泚目の話題
芪からの反察に぀いお
公園では満足しおくれなくなる幎霢っお
ずっず抱えおいる悩みです

🎈手軜に読める短線小説

レス418 HIT数 19587 あ+ あ-

ヒマ人
08/09/06 15:03(曎新日時)

皆様こんにちわ‌手軜に読める短線小説始たりたす 埅ち合わせや倜の時間に手軜にサクッず読めちゃうそんな小説スレです❀貎方はどのお話が奜きですか 

No.1157387 07/10/22 18:10(スレ䜜成日時)

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No.418 08/09/06 15:03
ビリケン昭和 ( Y5u6h )

>> 417 💀みみ様💕こちらですよ😁✌

No.417 08/07/28 11:06
ビリケン昭和 ( Y5u6h )

>> 416 携垯小説ファンの皆様こんにちは✌ビリケン昭和の🎈短線小説の過去䜜品です💚ただの方や新芏の皆様埅ち合わせや暇な時間手軜に読めたすのでこちらもどうぞよろしくお願いしたす😁✚

No.416 08/06/14 21:45
向日葵 ( dtkN )

>> 415 ども、あさひ🐯です。
なんか人類滅亡じゃないけど、私が䜏んでるずこ今朝の地震で有名になっちゃいたした💧幞い、私の家は山が近いずかではないので、土砂厩れもラむフラむンの䞍通もないのですが、䜙震で家の䞭が危険なので、今倜は車で寝るこずになりたした。因みに、地震圓初、䞋半身䞞出しでボットントむレにお尻がはたらないようにず栌闘しおたした(爆)宮城県沖地震があった30幎前は生埌ヶ月の赀ちゃんだった私が、たさか30歳になっお二床も倧地震に芋舞われるずは 日本おホント島囜地震倧囜ですよね(苊笑)皆さんもお気を぀けあそべ。

No.415 08/06/14 16:10
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

>> 414 💀さん、こんちくわ🍢😚


着衣✚👚✚

🙌
∥
🔥

➰➰🙎

🔥🔥🔥
🔥💃🔥‌


☁☁☁
☁☁☁💚💊

😀💢さん火薬倚すぎ💢

😲おっず 

いや💊💊
地球最埌の倏䌑み
流石は💀さんずしか蚀いようのない物語の構成の仕方、自分的にはハッピヌ゚ンドで行っお欲しかったずころですが、これはこれで本圓に実際あっおもおかしくない話しですね😚💊
今は地球枩暖化で北極海の氷が枛りCO2を冷华しお海底に抌しやる力が100幎埌には匱たるず蚀いたす😱
これからどうなる地球🌏⁉💊💊
あっ、話しは脱線したしたが💊こいからも執筆頑匵っお䞋さい😚次回䜜埅っおたす👋草堎の陰からい぀も応揎しずりたす😁 

🌏最埌の日は👪ず䞀緒に過ごしたいアル🍺より

No.414 08/06/14 13:27
ヒマ人0 

>> 413 🎐42🎐


ありがずう 最埌たで䞀緒に居おくれお 本圓にありがずう 

地球最期の日貎方は誰ず䜕凊で過ごしたすか 



 

【月28日午前時30分 䞖界各囜の䞻芁軍事斜蚭から䞀斉に栞爆匟が発射された 䞖界150囜からなる地球環境保党地球人口削枛蚈画委員䌚の圓初の予定通りの決断だった 䞖界に飛び亀った70基の爆匟で党人類の玄分のにあたる12億人もの尊い呜が倱われた 地球がい぀しか攟射胜汚染から脱したた緑ある矎しい星に生たれ倉わるたで生き延びた我々は䞀䜓どれだけの歳月を費やせばよいのだろうか 運よく生き延びたいや神によっお生かされた我々に出来る事 それは再び同じ過ちを起こさぬようにする事 からのStartを切る事 さすれば再び地球は矎しい星ぞず創䞖するのかもしれない 】



地球最期の倏䌑み完

No.413 08/06/14 13:03
ヒマ人0 

>> 412 🎐41🎐

心臓が喉から飛び出そうずはこの事だった 枅原唯の枩かな䜓枩を感じながら亮介は身䜓䞭を匷匵らせ緊匵しおいた 

ここれじゃ 眠れないよ

亮介は興奮気味の気持ちを抑えるように暪に寝おいる枅原唯に蚀葉をかけた 

『結局䜕幎もな倏祭りずかなかったね よく行っおた倏祭り 』

『うん 雪子ずね 花火倧䌚ずか海ずか 毎幎倏䌑みが埅ち遠しかったな 』

『ぞ結構普通なんだ 倏䌑みは毎日Ham無線に勀しんでるのかず思っおた 』

『それどういう意味よ人を䞇幎みたく蚀わないでよ』

二人は苊笑いをした 

『ねぇ亮介君 どうしお私に優しくしおくれたの教宀じゃ殆ど䌚話なんお亀わさなかったのに 』

『ささぁ どうしおだろ 』

亮介はが悪くなり寝返りを打った 

『亮介君 』

『 ん』

『ありがずね 色々 』

枅原唯はそっず亮介の背䞭に身を寄せた 

あ たずいっお 

『明日が終わるたで私ず䞀緒に 私のそばに居おくれる』

『 ううん その぀もり 』

『䜕にも起きなきゃいいのにね 』

その蚀葉を最埌に枅原唯は寝息を立お始めた 

No.412 08/06/14 12:27
ヒマ人0 

>> 411 🎐40🎐

『無線 聞かなくおいいの』

枅原唯は来客甚の真新しい垃団を敷くずずを広げた 

『いいの あちょっずその端持っおくれる』

郚屋を襖に仕切られおはいるものの女性ずこうしお䞀぀屋根の䞋で寝る事に亮介は胞の錓動が治たらなかった 

『枅原 な䜕も しないよね 』

『あのねそれは普通私の蚀う台詞じゃん䜕で亮介君が先に蚀うのよ』

枅原唯はず笑った 県鏡を倖した枅原唯を芋たのは亮介は初めおだった 

やっぱり可愛い顔しおるよな あず趣味嗜奜がごく普通なら文句なしなんだけど 

『じゃ おやすみ 』

『あおやすみなさい 』

『亮介君 』

『ん 䜕』

『うぅん 䜕でもない 早く終わるずいいね 䜕もかも 』

『そうだね 』

それだけ蚀うず枅原唯は襖を閉めた 

 しかし明日以降䞀䜓どうなるんだろ この地球 

そんな事を考えながら亮介はゆっくり目を閉じた 遠くで野犬の遠吠えの声がしおいた 亮介は人の気配でず起きた

『  枅原 どしたの』

『  䞀緒の垃団で寝おいい』

枅原唯は半分涙目でじっず亮介の目を芋おいた 

『ああぁ いいいけど 』

No.411 08/06/14 11:53
ヒマ人0 

>> 410 🎐39🎐

盆が過ぎ秋の気配が随所に芋られ出した 月27日のその倜は䜙りにも静かで厳かに過ぎ行くようだった 

『西瓜食べない買っお来た 』

亮介は朝から片時も無線機から離れる事のない枅原唯に声をかけた 

『いよいよ明日 明日䜕も起きなけりゃ党おが終わるんだね た隕石は出鱈目だから䜕も起きる蚳ないんだけど 少なくずもこれ以䞊の悲惚な自殺者は防げるか 』

『   』

『どしたの たた考え事』

枅原唯はたた腕組みをしお倜空を芋䞊げた 

『 んもし もしよ 仮に私が地球の未来を牛耳る絶察的暩力者だったずしたら 』

たた始たった 亮介は気にせず真っ赀に熟れた西瓜をかぶった 

『こんな倧芏暡な嘘぀いおたで党䞖界人口のにも満たない削枛だけで果たしお成功ず思えただろうかしら 』

『どういう意味だよそれ 』

枅原唯の奇劙な蚀い回しに亮介は耳だけ傟けおいた 

『うぅん気にしないで 䜕でもない 』

『倉なの 』

蟋蟀の哭き声がず茪唱で聞こえる 

『ねぇ亮介君 今日泊たっおかない』

『え 』

枅原唯から初めお聞く《亮介》ずいう響きに亮介は䞀瞬ずした 

No.410 08/06/14 11:06
ヒマ人0 

>> 409 🎐38🎐

月25日の朝を迎えた い぀ものように亮介は䞀人枅原唯の家に足を運んだ 枅原唯は郚屋でしきりに無線をいじっおいた 政府機関の極秘情報を入手しようず必死のようだ 

『䞖界での自殺者がずうずう億人を突砎したよ 今朝近所の亀番の譊官に聞いた 』

『  そ 』

『なぁ枅原 俺考えおたんだけど お前の掚論 たんざら間違いでもないんじゃないかっお 』

亮介の意倖な蚀葉に枅原唯の䜜業の手が止たった 

『もしかしたらこれは未来の地球環境を守る為人類自ら䞋した霊長類の人工淘汰なのかなっお 決しお蚱されるやり方ではないんだけど 』

『䜕か難しい蚀葉䜿うわね けどそれ圓たっおるかも 』

枅原唯は苊笑いをしお芋せた 

『䞀぀の囜の暩力者が無差別虐殺をすればそれは倧眪 でもそれが䞖界同時芏暡で行われるずしたなら それは玛れもなく揺るぎない絶察的《正矩》なの ぀たり人類はそれを決断したのかも知れない 隕石ずいう《未知なる虚停の悪魔の倧王》を造り䞊げおたでも 人類は自分達の䜏む地球の未来をもはやこんな圢でしか救う事が出来ないず感じたんじゃ 』

『酷い それが事実ならあんたりだ 』

亮介は肩を萜ずした 

No.409 08/06/14 10:05
ヒマ人0 

>> 408 🎐37🎐

『これはあくたで私の掚論掚枬の域を出ないんだけど 今回の䞀連の隒動は䜕幎もの時間入念に蚈画された倧芏暡な人口削枛蚈画なのかも 』

『じ人口削枛蚈画ぅ なぁ枅原 な䜕かお前凄く怖い事蚀っおないか 』

『《もうすぐ地球に巚倧な隕石が衝突したす おそらく人類はほが滅亡するやも知れたせん ですから䞖界の皆さんそれぞれ遞んだ道を準備し進んで䞋さい 》 間違いないこれは人類史䞊およそ想像も出来ない《人枛らし》蚈画なのよ』

亮介はを叩き付けた

『ややめろ枅原いい加枛な事蚀うな人間が自らそんな酷い決断する蚳ないだろそりゃ今地球は自然環境が深刻に悪化しお危機的状況にあるよそれらの原因は党お我々人間が招いたんだけど だからっおだからっお地球の人口を枛らしたからっお解決する問題じゃないだろ人枛らし蚈画なんお出鱈目もいいずこだどうかしおるぞお前』

暫くの沈黙が台所を支配した 

『そう そうだよね 人間が自らそんな事する蚳ないよね 私の考え過ぎだった ごめん 』

枅原唯はそう蚀うず流しに食噚の皿をず浞けた 

No.408 08/06/14 09:24
ヒマ人0 

>> 407 🎐36🎐

『思った通り 向こうさん呚波数を倉曎しおる私のこないだのがたみたい 』

『  ね 』

亮介は返す蚀葉も芋圓たらずただ頭を掻いた 

『でもこれではっきりず裏付けられたわね 』

独り蚀を蚀うず枅原唯はたた腕組みをした 

『 防衛庁の緊急呚波数に合わせるにはたた時間がかかる骚が折れる䜜業になりそ あそだ長田君お腹空いおない』

枅原唯は立ち䞊がるず少し䌑憩ず呟きながら散らかった台所に向かった 枅原唯は手際よくのを䜜っお亮介に出しおくれた 

『うたい 料理も䞊手いんだね枅原は 』

『 そんなの即垭䜿っお麺茹でるだけ簡単じゃん』

い぀もの玠っ気ない蚀葉が返っおきた 

『衝突しないよ 隕石なんお 』

枅原唯が頬杖を぀きながら突然亮介に蚀い攟った 

『そそれ 本圓で』

『うん 本圓  垞識では考えられないんだけど倚分隕石衝突は地球䞖界芏暡の《倧嘘》』

亮介のの手がず止たった 

『な 䜕でそんな嘘を 』

枅原唯はゆっくり俯いた 

No.407 08/06/14 08:36
ヒマ人0 

>> 406 🎐35🎐

枅原唯は血盞を倉えお家の䞭に入るず慌おお離れにある自分の郚屋に駆け出した

『ちちょっず枅原䜕凊に行くのさ』

亮介は慌おる枅原唯の埌を远うように぀いお行った 枅原唯は郚屋に入るず机に腰掛け自分の耳より倧きなをかけるず壁にある無数のの電源を順番に入れおいった 

『す すげぇなお前の郚屋 』

の壁玙に瞫いぐるみ若いのを想像しおいた亮介の目に飛び蟌んで来たのは無機質で機械的空間に囲たれた本栌的な無線宀だった 

『たるでTV挫画の地球防衛軍の基地か䜕かみたいだ 』

『ちょっず座っおお埌でゆっくり説明するから 』

枅原唯はののようなものを慎重に合わせながら面倒臭そうに亮介に蚀った 

蚀葉悪いけどこりゃ䞖間の皆に倉人っお蚀われる蚳だ 

亮介は床に腰掛け蟺りを芋回しながら心でそんな事を呟いた 

『たた防衛庁の呚波数を傍受出来ればいいんだけど 』

枅原唯は真剣に機械の波ず向き合っおいた 䜕かに没頭しおいるその真剣な暪顔が亮介は奜きだった 

No.406 08/06/14 07:58
ヒマ人0 

>> 405 🎐34🎐

『芋えないっお 隕石だからそりゃ望遠鏡くらいでは 』

『地球の半分皋ある隕石よ この目で芋えないはずはないわ 考えおみお䜕䞇光幎も離れたあのやですら肉県であんなにず光茝いおいるのよ たさにあず六日で地球に衝突する星が肉県で確認出来ない蚳ないず思わない』

確かにその通りだ そんな巚倧な隕石ならもうずっくに肉県ではっきりず芋えたっお䞍思議じゃない 亮介は静かに頷いた 

『じゃぁ隕石は【1970】は䞀䜓今䜕凊に』

枅原唯は軒先の栌子に腰を䞋ろすずじっず空を芋おいた 

『 私数日前からずっず考えおた 䜕だかしっくり来ない胞隒ぎはどうやらこれだったんだ 』

『なぁ枅原 解るように説明しおくれないかこれっおどういう事』

枅原はふず顔を䞊げた

『長田君持っおたよね携垯 ちょっず貞しおくんない』

『ああぁ いいけど 』

枅原唯は亮介からを借りるず電源を入れた 

『蚀っずくけど枅原 はどの局もずっず宗教番組で念仏ずかずか唱えた奎流しおお隕石の情報なんお䜕も掎めないぜ』

『それだ』

枅原唯は立ち䞊がった 

No.405 08/06/13 23:46
ヒマ人0 

>> 404 🎐33🎐

『あの 家の䞭が荒らされおるんだけど 』

『あそれ それさっき倖囜人の物取りが䟵入しおきお 別にどうぞご自由にっお感じ 』

『ごご自由っおったっお枅原これ 』

本圓に少々の物事には動じない鉄のような女だなず亮介は頭を抱えた 

『今日䞡芪を山圢の知り合いの家に避難させた 』

『そっ たぁ備えあれば憂いなし 䜕にもなかったらそれはそれで結果だしね いいんじゃない』

枅原唯は今日初めお亮介に笑顔を芋せた 

『でこんな明るいうちから䜕芋おんの星』

蚀うが早いが頭にず来た亮介は慌おお蚀葉を被せた 

『あたもしかしお䟋の隕石【1970】たさかもう望遠鏡で確認出来るの』

『  うん たぁ 』

枅原唯の䟋の感情の篭っおいない盞槌だった 

『けど䞍思議なんだよね 』

『䞍思議ぃ䜕が』

枅原唯は䞀床望遠鏡から目を離すず腕組みをしお瞑想に耜った 

『 もうあず六日足らずで地球に衝突するはずのその隕石が確認出来ないんだよね 』

『 え たでそれ ぀たりどういう事』

亮介は枅原唯の次の蚀葉を埅った 

No.404 08/06/13 23:23
ヒマ人0 

>> 403 🎐32🎐

翌日盛岡行きの東北新幹線で亮介の䞡芪は山圢の亮介の埓兄匟の実家に旅立っおいった すがり付くように泣き叫ぶ母芪貎子を䜕ずか宥めるず新幹線は定刻通り発車した 

ごめんねお父さん お母さん 

亮介は螵を返すず圚来線を乗り継ぎ芋慣れた地元の街に垰っお行った 途䞭救急車のがあちこちからひっきり無しに鳎り響き自分の䜏む街に着くたでに飛び降り自殺したず思われるの死䜓を幟床ずなく確認した この瞬間にも䞖界で次々ず尊い呜の火が消えおいるのかず思うず亮介は自身ただ正気ですらいる事が逆に恐ろしく猟奇的にも感じた そしおあおもなく街を歩き気が付くず亮介はやっぱり枅原唯の家の前にいた を鳎らす事もなく亮介は裏庭の軒先にいるであろう枅原唯の姿を芋付けに䞭に入っお行った 枅原唯は身䜓の䜕倍も長い倩䜓望遠鏡を庭に備え付けしきりにを合わせながら䞭を芗き蟌んでいた 

『この期に及んで倩䜓芳枬かよ 他にする事ないのかい 』

『そのお蚀葉そっくりそのたたお返ししたす』

䜙蚈な挚拶もなく枅原唯はそれでもじっず倜でもないのに望遠鏡を芗いおいた 

No.403 08/06/13 20:48
ヒマ人0 

>> 402 🎐31🎐

その倜亮介は父孊を居間に呌び出した 

『え 山圢の甥っ子の所ぞ母さんず䞀緒に行けだっお』

突拍子もない亮介の蚀葉に孊は息を飲んだ 

『あそこは高い奥矜山脈に囲たれた盆地だから接波が来おももしかしたら助かる可胜性があるんだ病匱の母さんを支えおやれるのは父さんだけだからね頌むよ 確率は䜎いけど䞇に䞀぀生き延びる可胜性がある頌むから父さん俺の蚀う事玠盎に聞いおくれ 』

『亮介 お前はどうすんだ勿論䞀緒に行くよな』

孊の蚀葉に亮介は銖を振った 

『俺には守らないずいけない人がいる 最埌たで䞀緒にいたいっお思う人が だから俺はその人ず行動を共にするよ 心配いらないよ父さん 俺は倧䞈倫だから 』

孊は今たで䞀床たりずも芋た事のない息子の真剣な衚情に圧倒されおいた そしお暫く考え蟌んだ埌ゆっくり亮介を芋た 

『本来なら匕きずっおでも䞀緒に連れお行く所だが 信じおいいんだな』

『  倧䞈倫きっず生き延びるから』

䜕の根拠もない慰めを父に芋せるず亮介は郚屋に戻っお行った 

銬鹿野郎 呜を粗末にしやがっお 

孊はさりげなく手枡された山圢行きの航空刞を芋た 

No.402 08/06/13 20:23
ヒマ人0 

>> 401 🎐30🎐

『今回の隕石衝突の䜙波 䞖界で亡くなった人今日付けで玄億1200䞇人 長田君この数字どう思う』

突然枅原唯が口を぀いた 

『どう思うっお 哀しい数字だよ 隕石が衝突する最埌の最埌たでどうなるか解らないのに混乱しお先走っお 哀しいね 』

『そうそこ私もそこに匕っ掛かっおるんだよね 』

枅原唯は腕組みをし考え蟌んでいた 暪顔を芋ながら付き合えば付き合う皋颚倉わりな子だず亮介は思った 

『枅原はどうすんだよ このたたここにいるのか最埌たで 』

亮介は栞心を぀いおみた 

『うん 』

YesずもNoずも取れる曖昧な返事をするず枅原唯は偎にあった枩くなった麊茶を飲み干した 

『うんきっず倧䞈倫だ 』

枅原唯は突然そう蚀うず苊笑いした 

『䜕が』

『だから倧䞈倫だっお倚分 』

枅原唯の奇劙な受け答えに亮介は戞惑った たさかずは思いたくはないが隕石衝突の恐怖やそれに䌎う䞡芪の心䞭ので頭がどうかしおしたったのだろうかず亮介は枅原唯を案じた このたたこの子を䞀人にしおおけない亮介の䞭に倉な正矩感が沞いお来た 

No.401 08/06/13 19:37
ヒマ人0 

>> 400 🎐29🎐

月21日 ずうずう䞀週間のが始たった 隕石衝突に関する䜕の情報も埗られないたた街ではあちらこちらで癜い服を着た団䜓が神頌みで地球救枈を念じお回っおいた 

䞖玀末  いや 《惑星末》 か

必芁最小限の食料を買い亮介は枅原唯の家に向かった 野性ず化した銖茪をした䜕凊かの元飌い犬達が牙を向きながら亮介に吠え立おる 

いるかな 枅原 

を䜕回か鳎らした埌亮介は広い裏庭に回っおみた 

『䜕だいるじゃん返事くらいしろよ』

枅原唯は黒の姿でじっず倕方の空を芋䞊げおいた 

『  盞楜君 行っちゃったんだ 』

『  あぁ 』

枅原の身䜓からほのかに蚊取り線銙の臭いがする 

『 長田君は』

『え  』

『長田君はどうするのあず168時間 』

《䞀週間》ず簡単に蚀わない所が枅原らしいず亮介は苊笑いした 

『 そうだな どうすんべか 段々俺の呚りから芪しい人が消えおくようで䜕かやりきれねぇ 』

『  』

『あ ごめん そんな぀もりで蚀ったんじゃないから 』

いいよ気を遣わなくおず枅原唯は県鏡を指でず持ち䞊げた 

No.400 08/06/13 18:55
ヒマ人0 

>> 399 🎐28🎐

『母ちゃんの里岐阜の倧垣っお所なんだ そこに家族党員で移り䜏もうっお今から新幹線で 枅原が蚀っおたじゃん もし隕石が衝突しおももしかしたらあの蟺りは倧䞈倫なんじゃないのかっお だから俺決心したんだ 亮介俺お前も倧切だけどやっぱ倧事な母ちゃん攟っずけねぇし だから ごめん 衝突の日は䞀緒に居られない 』

『 分かっおる時男 圓たり前じゃんかお母さんがそんな状態でただ俺ず居るだなんお蚀おうもんなら今床は俺の方がお前を殎るぜ 元気でな時男お互い生きおたらたた逢おうぜ』

亮介は時男の髪をず乱した 時男は亮介に目配せするずゆっくり振り向いお亮介の玄関を埌にした 

絶察たた逢おうな 時男 

亮介の心の䞭で䜕かが匟けた 寂しさずどうしようもないぶ぀け所のない怒りが亀錯し䞀気に亮介に襲い掛かっおくるようだった 《地球最期の日 貎方は誰ず䜕凊で過ごしたすか》い぀か本屋で芋たその蚀葉が亮介の脳裏を光のように駆け巡った 

No.399 08/06/13 18:21
ヒマ人0 

>> 398 🎐27🎐

月14日 《隕石衝突の日》が二週間埌に迫った 䞖界では未来に垌望を倱った自殺者を含む犯眪亀通事故等での死傷者の数が遂に9000䞇人を越えるずいう最悪の事態に陥っおいた 亮介の䜏む街も殆どの家から人の姿が消えおいた 新聞やTV等のも䞭断され政府からの隕石衝突に぀いお䜕の情報も埗られないたた残された䜏民は頭を抱えお怯える日々を淡々ず生きおいた 亮介は迫り来る恐怖に塞ぎ蟌み垃団に震え蹲る母芪の看病をしながら自分に䜕か出来る事はないのかず自問自答の日々を送っおいた 

『おどうしたんだよ 時男』

玄関のが鳎り出おみるずそこにはを抱えた盞楜時男がい぀になく神劙な面持ちで立っおいた 

『どしたんだよ そんな荷物抱えお 』

『亮介  ごめん 』

時男は亮介に深々ず頭を䞋げた 

『な䜕だよ 』

『母ちゃんが 母ちゃんが 睡眠薬倧量に飲んで倒れた 俺 母ちゃんの偎にいお看病しおやりたいから だから 玄束守れなくお本圓にごめん』

『時男の お母さんが う嘘だろ 』

亮介は時男の顔を芋る事が出来なかった 

No.398 08/06/13 17:50
ヒマ人0 

>> 397 🎐26🎐

『私達日本囜民が生き残る方法はただ䞀぀ 隕石が東から西ぞそれも䞭囜倧陞から以西の陞地をえぐるように衝突する事そうすれば日本列島かなりの揺れは起きるけど沿岞から到達する接波の圱響は最小限に食い止められるのそりゃ日本沿岞䞀垯の土地は接波で氎没はするだろうけど関東でいうず内陞の山岳地垯長野や岐阜それに山梚県北郚はかろうじお氎没から免れる 』

『じゃさ今からそこに逃げお衝突すんの埅おばいいんじゃんか生き残る事出来るじゃんかよ』

時男が鬌の銖を取ったように蚀葉を発した しかし枅原唯の顔は曇ったたただった 

『 そんな私達日本人にだけ奜郜合に隕石は萜ちおはくれないわよ これは私が独断ず偏芋で調べあげたただの願望なんだから 』

『   』

亮介はなぁんだず萎れる時男の肩を叩いた 

『た自分達だけ助かろうなんお甘いよな そだそだ 』

時男が玍埗いかない顔付きでず独り蚀を呟いた 

『萜ち蟌むなよ時男奇跡が起こるかもしんねぇじゃんか萜ちおみなけりゃ解らないっお』

亮介は時男の頭を抱えお埮笑んだ 

No.397 08/06/13 16:43
ヒマ人0 

>> 396 🎐25🎐

『いいここからはあくたでも私の想像 地球を霞んで通過するず蚀っおも安心しないでその衝撃は半端じゃないから たず盎撃の接波ず違っお摩擊衝突の堎合は䞀床に䜕回も接波は来ない 倚分倧きな波が回皋床 でも接觊角床や地圢気候その他様々な環境で状況は目たぐるしく倉わるわ 』

枅原唯はに䜕個も円を描いた 

『海面をえぐるのか陞地をえぐるのかでもかなり被害に差が出そう 予定通り海面だず接波陞地郚分だず掚定160 阪神淡路倧震灜の玄二倍のが掻断局にかかる 郜垂郚だずたずどんな耐震蚭備を兌ね備えた建物でも倒れずに残る術はたずないず思うわ 』

亮介は生き生きず話をする枅原唯を芋た これが本圓に女子高校生なのかず疑う䜍に枅原唯は淡々ず自らの掚枬を理論立おた 

『で結局俺達はどうすりゃ 䜕凊にいれば助かるのさ』

時男が難しい話はずばかりに枅原唯をせき立おた 

『巚倧隕石【1970】衝突に備えお生き残る方法はただ䞀぀あくたでも䞀時的にだけど 』

枅原唯の眉が動いた 亮介ず時男は身を乗り出した 

No.396 08/06/13 11:58
ヒマ人0 

>> 395 🎐24🎐

『圓初隕石は地球に真っ盎ぐぶ぀かるっお予枬だったの でもNASA航空宇宙局の研究者達の芋解が少しず぀倉わっお来たんだっお 』

『お事は぀たり 隕石の野郎の軌道が圓初の予枬より埮劙にずれお来たっお蚳』

亮介の蚀葉に枅原は人差し指を立おお正解ず笑った 

『どういう事解りやすく説明しろよ亮介』

䞀人だけ蚊垳の倖の時男が詰め寄った 

『野球で説明すれば簡単だ こないだたではに真っ芯に圓たる予定だったがで枈むかもっお事』

『なるほ それっおいい事なのか』

時男は枅原唯を芋た 

『ううん 盎撃が免れただけでも凄い事だわ 』

『やったやった助かるのか俺達』

時男は䜙りの嬉しさに螊り出した 

『ちちょっず埅っおよ勘違いしないで盎撃しないっおだけで隕石【1970】は確実に地球に衝突はするんだからね』

亮介は螊り狂う時男を制止した 

『もっず詳しく聞かせおよ 《倩文博士》』

亮介は枅原唯に笑いかけるず枅原唯は少幎のような目でたたを取り出した 

No.395 08/06/13 11:32
ヒマ人0 

>> 394 🎐23🎐

枅原唯が汗をかきながら亮介ず時男のいる河川敷に珟れたのはそれから日埌の月日だった 

『き枅原どうしたのさ』

駄菓子屋で買ったを口に含みながら亮介は目を䞞くした 

『 倧よ倧 』

『ずにかく萜ち着けっおお茶飲むか』

時男が枡した烏韍茶のを䞀飲みするず枅原唯は真倏の草の䞊に腰掛けた 

『私が趣味でやっおるHam無線でたたたた政府機関の情報を傍受したのね  したら 』

『 Ham無線っおお前 しかし色んな事やっおんだな 女のくせに 』

時男が枅原唯に呆れおいた 

『ちょっず人の話を最埌たで聞きなさいよしたらね 聞いちゃったのよ』

亮介ず時男は顔を擊り合わせんばかりに枅原唯に泚目した 

『もしかしたら巚倧隕石【1970】は最悪《摩擊衝突》だけで枈むかもっお』

『た 摩擊 衝突ぅ』

枅原唯はそんなのも解んないのずいうような䞍愉快な顔をした 

『぀たり隕石は地球に真っ盎ぐぶ぀かるんじゃなくお地球をかすりえぐるるように通過しおくっお事』

『 はぁ 』

No.394 08/06/13 11:09
ヒマ人0 

>> 393 🎐22🎐

街灯の぀いおいない枅原家はたるでお化け屋敷のようだった 

『 いないのかな 』

䜕床もを抌すが応答はない 

『芪戚んちにでも行ったんじゃね』

透明の傘を面倒臭そうに肩にかけながら時男が蚀った 

『芪戚はもう日本には居ないっお蚀っおた 自宅に居るはずなんだけどな 』

『あのな亮介 䞡芪が自殺しちたっお同情する気持ちは解るけどさ もうそっずしずいおやったら枅原の事は 』

亮介は黙っお螵を返すず土砂降りの倜道を歩き出した 角の児童公園を通り過ぎようずした時亮介は公園の砂堎に真っ赀な傘を確認した 

『あれ もしかしお 』

亮介は傘の遮る堎所からゆっくり顔が確認出来る距離たで近付いおみた 

『枅原だ 』

『嘘 䜕しおんのこんな土砂降りの倜に 』

『な泣いおる 』

枅原唯は䞡芪の小さな遺圱を抱きしめお䞀人激しく嗚咜しおいた 雚か涙か解らない粒が容赊なく真っ癜な頬に次々ず匟ける 

『 俺達の前じゃ気䞈に振る舞っおさ 本圓は 』

『  枅原 』

い぀しか真っ赀な傘はの偎たで飛ばされおいた 

No.393 08/06/12 20:41
ヒマ人0 

>> 392 🎐21🎐

月に入った頃から次第に䞖間が俄かに隒ぎ始めた 䞖界での自殺者数がこの䞀幎で遂に3000䞇人を越え人生に疲れどうせ皆死ぬのだからず自暎自棄ずなった人間が犯す犯眪も䞀気に加速し各囜で殺人や匷盗事件が盞次いだ その䜙りの件数に譊察機構も麻痺しもはや躍起になっお犯人を捕たえる事すらしなかったせいで益々凶悪犯眪に拍車がかかったのだ 

『嘘だろ 法務倧臣が囜連呜什で来週にも党囜の刑務所や拘眮所に収容されおいる犯眪受刑者の釈攟を宣蚀したっおさ 』

亮介は新聞蚘事に目を䞞くした 隣で時男が音楜を聎きながら雑誌を読んでいる 

『 文字通り䞖も末だぁね どうせ死ぬんだから最期䜍お前らも奜きにしな っお事なんだな これじゃ野攟しの狌益々犯眪に拍車がかかるじゃん』

亮介は激しい倕立を芋぀めながらふずたた枅原唯の顔を思い出した 

 家で䞀人なのかな 淋しいだろな 

亮介は時男のTの袖を取るず぀いおこいず傘を差し玄関を出た 

『ちちょっず亮介䜕凊行くんだよ』

『いいから぀いお来いっお』

No.392 08/06/12 19:41
ヒマ人0 

>> 391 🎐20🎐

『だ!誰に吹き蟌たれたのそんな銬鹿な予枬 唯ちゃんねあの子に逢っおたたそんな話ばっかしおるのかい』

倕食の垭で亮介の母貎子がいきなり怒り出した 

『だっお事実なんだぜ 母ちゃんだっおもう腹くくっおんだろじゃぁ䜕蚀ったっお平気だろ』

『枅原さんちは自治䌚も䞀緒だしそれなりの付き合いがあったからお葬匏には行ったけど あの子は少し倉わっおるから付き合うなっお母ちゃん蚀ったよねね!? どうしようもない子だねったく 』

貎子は食噚を流しに投げ蟌むようにほうり蟌んだ 

『枅原は倉な奎じゃないよ そりゃ少し根暗な所あるけど 決しおじみた倉人なんかじゃないからな』

亮介は貎子を睚み付けるず階段をず駆け昇り自分の郚屋に入った 

『母ちゃん 枅原の事䜕にも知らない癖に』

亮介はの䞊で倧の字になり倩井を仰いだ 

 たぁ俺も憧れっおだけでただ枅原の事䜕にも知らないんだけど 

亮介は越しにじっず真倏の倧䞉角茝く倜の星空を芋䞊げおいた 

No.391 08/06/12 19:12
ヒマ人0 

>> 390 🎐19🎐

『 聞かなきゃよかった ただ足が震えおるぜ なぁ残っおる喉』

日の暮れた倜道で時男は亮介の自転車の埌ろ座垭に腰掛けたたた䞡手で互いの肩を摩っおいた 

『 予想はしおた事だけどいざ枅原にあぁやっお改めお詳しく聞かされるず䜕か お感じだよな 』

『亮介俺思ったんだけどさ どうせ死ぬんなら死ぬ前に䜕かこう思い出䜜りたくね䜕でもいいんだ 俺達に出来る事』

『思い出 そうだな 』

亮介の抌す自転車のが自動的にず回転しおいる 

『みんなどんな気持ちで来たるべく《その日》に備えおんだろな 』

時男の喉が鳎った 

『さぁ 人の心の内たでは解らないよ その日を穏やかにただじっず迎える奎神頌みする奎ただ信じおねぇ奎先に逝っちたう奎 人それぞれ色々だかんな 』

『なぁ亮介 』

『ん』

時男は箱に飲んだ猶を捚おた 

『最期の日も 倉わらず䞀緒に銬鹿やっお遊がうな 俺達 』

『 あぁ玄束だぞ時男』

ずいう掌を合わせる音が真倏の倜道に響いた 

No.390 08/06/12 18:47
ヒマ人0 

>> 389 🎐18🎐

『蚀っおおくけど接波は埌から次々ず倧陞を襲っおくる 氎の䞭に鉄の球をず萜ずした時䜕局もの氎の波王が珟れるでしょあの原理 』

『日本はで日本はどうなるんだよ』

時男が我慢しきれない様子で枅原唯に尋ねた 枅原唯は県鏡を䞀床ず䞊げた 

『日本は島囜 西からの接波は広倧で高地の倚い倧陞に阻たれ䞭囜内陞で止たるず予想されおるけど怖いのは東倪平掋偎からの接波よ 北南米倧陞で守られおるなんお思っおたら倧間違い第䞀陣の接波で飲み蟌んだ北南米倧陞の圧迫された海面がさらに膚匵し倪平掋䞊を西ぞ西ぞず移動 さらに高い接波ずなっお諞島台湟を飲み蟌んだ埌 日本にやっおくるその接波の高さは想像を絶するわ䞀瞬で䜕もかも 氎の䞭に消えおなくなる 』

『 そそんなぁ 』

時男は顔面蒌癜になっお震えおいた 

『悲しいかな 地球䞊の人類の玄9割5分はこの接波の被害によっお絶呜するずされおいるの 仮に生き残ったずしおも埌から来る䜕癟幎間の氷河期でずおも生きおは行けない 』

蝉の声が止んだ 

No.389 08/06/12 18:25
ヒマ人0 

>> 388 🎐17🎐

『地球の倧気圏を通過した隕石【1970】はその速床を緩める事もなくそのたた海面に激突 海溝を突き砎り地䞭内郚たで到達 その瞬間嘘のような静寂が蟺りを包む でもそれはこれから始たる壮絶な悪倢の序章 』

『おおい枅原 䜕か顔こぇよ修孊旅行の怪談話じゃねぇんだからさもっず普通に話せよ』

時男の怖がりは以前から知っおいたが圓の亮介も枅原唯の話にさっきから冷や汗がずめどなく流れおいた 

『次の瞬間海面が異垞に盛り䞊がり巚倧な接波が出珟し数十分埌に各倧陞の䞻芁な枯にそれが猛然ず襲い掛かる』

『接波っおったっお m䜍のだろ』

時男が亮介の埌ろに隠れながら枅原唯に尋ねた 

『海抜の䜎い南北米倧陞や西東郚を陀く䞻芁郜垂ははおそらく第䞀陣の波で党お氎没する』

亮介ず時男は口を開いたたた止たっおいた 

『波の高さは掚定 ㌔㍍ いっずくけど暪にじゃないわよ瞊によ瞊に㌔㍍ 想像も぀かないけどそれが被害予想なの 』

淡々ず話す枅原唯の声に亮介ず時男は改めお事の重倧さを痛感しおいた 

No.388 08/06/12 17:57
ヒマ人0 

>> 387 🎐16🎐

『巚倧隕石【1970】は倪陜系の遥か遠くの名もない朚星䜍の倧きさの恒星が自然爆発しお飛び散った砎片なのね 殆どの砎片は隕石ずなり小惑星に衝突したり宇宙をさ迷ったりしお消えおいくんだけどこのだけは遥か圌方の我々倪陜系の惑星矀に本圓偶然に軌道を合わせお珟れたっお蚳 それもあろう事かこの第䞉惑星【地球】に䜕十億分のっお確率で 本来なら有り埗ない倩文孊的確率なんだけどね 超最悪どうせ来るなら䜕癟幎も埌にしおっお感じ 』

亮介ず時男は唟を飲み蟌んだ 

『は時速䜕䞇㌔ずいう速さで今も真っ盎ぐ地球に向かっおる 到達予定時刻は8月28日午埌5時03分 枯沖玄500㌔の海䞊付近 到達盎前の空は隕石が攟぀赀い光で真っ赀に染たり颚が舞いこれたで感じた事もないような地響きが起こる 』

枅原唯は䞖界地図を広げ沖の地点を䞞く鉛筆で囲んだ 時男の歯がず震え出した 

『で地球に隕石が萜ちた埌は予枬ではどうなるんだ』

亮介がたるで怖い者芋たさの少幎のように枅原唯に尋ねた 

『衝突する角床速さにもよるんだけど 』

枅原唯はを畳んだ 

No.387 08/06/12 17:03
ヒマ人0 

>> 386 🎐15🎐

『そんな所で二人しお䜕しおんだよ』

いきなり背埌から亮介の肩を叩いたのは圌の芪友の盞楜時男だった 

『あお前らい぀の間にそんな仲になっおたんだぁ』

『銬鹿ちげぇよ俺らはただ 』

亮介が枅原唯の顔色を䌺ったが枅原唯は別にどうでもず蚀った顔付きだった 

『で䜕しおんのさ勉匷やめずけやめずけ地球が無くなっおから東倧行ったっお手遅れだっおの 』

『だぁらその地球が今埌どうなるかっお話をしようずしおた所だよ』

枅原唯は亮介ず時男の掛け合い挫才のような䌚話を聞いお声を出しお笑った 

『俺も聞きたい隕石が圓たった埌どうなるかいいだろ枅原』

屈蚗のない時男の明るい性栌に根負けしたように枅原唯はいいよず苊笑いで頷いた 枅原唯は本の裏から自分の倧孊を取り出すず草の䞊に眮いた 

『いい今隕石は地球から275600㌔離れたこの䜍眮我々惑星ずほが盎角に地球に向かっお進んでいるの 』

亮介ず時男は枅原唯が曞いたの文字ず絵を食い入るように芋぀めおいた 

No.386 08/06/12 16:43
ヒマ人0 

>> 385 🎐14🎐

『私には兄効ずか居ないし芪戚も海倖に避難しおもう日本には誰䞀人居ないみたいだし 《衝突の日》たでこうしお本を読んでる以倖にやる事ないじゃん 』

『枅原  』

県鏡を指で持ち䞊げる暪顔が䜕ずも哀しそうに亮介には芋えた 遠くに芋える河原の河川敷で子䟛達が無邪気に氎遊びをしおいる 

『ねぇこれ芋お長田君 』

枅原唯はさっきからずっず読み耜っおいた本を亮介に芋せた 

『《隕石【1970】による䞖界被害予想抂芁》 䜕だこれ おゆぅか【】っお蚀うんだ今床やっおくる隕石 』

『そう 五幎前に初めお倩䜓望遠鏡でこの隕石を発芋した囜立倧の倩文郚倧孊生の名前にちなんでだっお名前なんおどうだっおいいよね』

枅原唯のを摘む手が早くなった 

『色々調べたの 私も孊校で倩文郚だったじゃんたさかこんな圢でその知識を発揮出来るなんお皮肉だけど 』

枅原唯はの぀いた手を右腰あたりでず掃うずゆっくり隕石【1970】に぀いお話しを始めた 

No.385 08/06/12 16:24
ヒマ人0 

>> 384 🎐13🎐

亮介は枅原唯の偎に遠慮がちに腰掛けた 第䞀声が芋぀からないたた数分が過ぎた 意を決しお話しかけようずした時枅原唯の方から先に話しかけおきた 

『もし地球に隕石が衝突したら どれほどの衝撃なんだろね 』

『え 』

枅原唯から攟たれた第䞀声が䜙りにも意倖な蚀葉だったので亮介は戞惑った 確かにここは䞡芪を倱った友達ぞの同情の蚀葉よりそんな話題の方がかえっお穏やかで差し支えない話題のような気に亮介はなった 

『ささぁな 俺には想像も぀かねぇよ 』

亮介は袋から買っお来た奜物の颚味のの包みを無造䜜に開けるず食べろよず枅原唯の前に広げた 空には透き通るような真っ青な空が広がっおいお入道雲が抌しくら饅頭でもしおいるかのようにに湧いおいた 

『本圓に隕石なんお近付いおきおるのかな 䜕だか私達銬鹿にされおるような気がしない党郚嘘だったら 冗談だったらいいのにね 』

枅原唯はを䞀぀摘むず有難うず亮介に瀌を蚀っお笑った 

『 これからどうすんの』

『どうっお』

『あ その 生掻ずか 』

枅原唯は亮介の蚀葉に目を现めるず埮笑んだ 

No.384 08/06/12 11:14
ヒマ人0 

>> 383 🎐12🎐

それから数日が淡々ず過ぎお行った 《衝突の日》たであずもう少しだずいうのに䞍思議ず亮介の䞭に恐怖感や焊りのような物は無かった いやむしろ䜕もかも初めおの経隓で自分でもどう恐怖を感じおいいのですら解らない状態だったのだ 《その日》たで䞀䜓䜕をしお過ごせばいいのかどんな心の準備が必芁なのか それを教えおくれる者もなく亮介はただ䞀人途方に暮れおいた 亮介の䜏む街も衚向きは普段ず倉わりなく動いおいるように芋えたが芋えない郚分で少しず぀倉化もしおいるようだった 

あ き枅原 

の垰りに通った川添いの遊歩道で亮介は偶然枅原唯を芋぀けた あの䞡芪の葬儀の日に芋お以来だったので声を掛ける事を躊躇した亮介だったが黙っお通り過ぎる蚳にもいかないので思い切っお声をかけおみようず決意した 

『枅 原 』

亮介がか现い声で埌ろから遠慮がちに声を掛けるず枅原唯は聞こえたのか聞こえおなかったのかただじっず本を読み耜っおいた 

『あ 枅原』

『 あぁ 長田君 』

枅原唯は無機質な物䜓でも芋るような顔付きで亮介を䞀床芋るずたた本の方に目をやった 

No.383 08/06/11 18:54
ヒマ人0 

>> 382 🎐11🎐

枅原唯の䞡芪の死因は郜垂を䜿甚しおの無理心䞭だった 枅原唯が買い物に出掛けた埌決行したらしく突然の䞡芪の死に萜胆の色は隠せなかった唯は䞞䞉日も䞀歩も家から倖に出ようずしなかった しかし葬儀に出向いた亮介の䞡芪の話では枅原唯は䞡芪の祭壇の前で䜕故かにこやかに埮笑んだずいう 亮介には到底理解出来なかったのだが母貎子によるず䜕ずも優しい悟りの埮笑みに芋えたそうだ 

『䜕かやりきれないよね 私唯ちゃんに䜕お蚀葉をかけおいいのか解らなかったわ 』

母貎子の蚀葉が亮介の胞に重々しくのしかかっおいた 

『衝突の日を埅たずにあぁやっお先に逝っちたう方が楜なのかな 』

父孊がず呟いた 

『そんな事そんな事あるかよどうなるか解らないうちから䜕もかも投げ出すなんお絶察しちゃいけないんだよみんなどうかしおるよ死ぬ皋怖いのは解るけどそれたでにもっずやらなきゃなんない事あるはずだよ』

亮介は混乱する䞖界にただ䜕も出来ないにもかかわらず蚳もなく䞀人牙を向いおいた そうする事で自分の䞭の恐怖心を拭い去ろうずもしおいるようだった 

No.382 08/06/11 15:32
ヒマ人0 

>> 379 🎐🎐 【月日】 これたで囜民には䞀切明らかにされおこなかったその《衝突の日》が倕方の臚時攟送で開瀺されたのはそれから数日埌だった  🎐10🎐

倏䌑みがやっおきた 倏䌑みずはいっおも春以降たずもに孊校は機胜しおいなかったのだからただその䌑みの延長に過ぎない 

あず玄䞀ヶ月 遂にが始たるのか 

ずりあえずで身の回りの品を買い蟌んで亮介は呚囲の雑螏に玛れながら家に向かっお垰っおいた 

『 たた葬匏か 最近あの公民通葬匏しおいない日が無いっお䜍毎日のようにあぁしお誰かを芋送っおるよなぁ』

亮介は申し蚳なさそうに暪を通り過ぎようずした 

 え!? き枅原ぁ

公民通の門柱に曞かれた名前を芋た瞬間亮介の錓動が早くなった 

枅原っお たさか

亮介は恐る恐る䞭を芗き蟌んだ 目の前に倧きな祭壇が食られ慌ただしく係員が葬儀屋の若い衆に指瀺を送っおいた そしおその祭壇の端に枅原唯が肩を萜ずしおじっず座っおいたのだ 

き枅原 嘘だろ

亮介は改めお祭壇にある遺圱に芖線をやった 遠くから芋おいるのではっきり確認は出来なかったが間違いなく食られたその遺圱は二぀䞊べられおあった 

『ただお若いのに 』

亮介の偎を通った喪服の老婆がず呟いた時亮介は党おを理解した

あれっお 枅原の䞡芪

No.381 08/06/11 14:57
ヒマ人0 

>> 380 ゆうママ様💕メッセヌゞありがずうございたす‌ビリケン昭和💀です 🎈短線小説は仕事の合間に気匵らずに曎新出来るので継続を決めたした✚ファンの皆様方にはい぀も勝手ばかりで申し蚳ありたせんが長い目で芋おやっお䞋さい💊今回の🎐地球最期の倏䌑みはビリケン昭和自信䜜品ですのでごゆっくりお楜しみ䞋さいたせ 💕💀

No.380 08/06/11 13:45
ゆうママ ( ♀ 5ETJh )

こんにちはわたしは👶が寝た埌ずかにチョコチョコみおたす❀ビリケンさんの䜜品、ずおも面癜いから楜しみだったんですが、終了ず聞いおガッカリしおたずこです💚 が、久々にみたら再開しおお嬉しかったです😍たた沢山曞いお䞋さい🙇わたし的にはゟンビの話みたいなや぀が奜きです

No.379 08/06/11 13:06
ヒマ人0 

>> 378 🎐🎐

【月日】

これたで囜民には䞀切明らかにされおこなかったその《衝突の日》が倕方の臚時攟送で開瀺されたのはそれから数日埌だった 

『亮介知っおた駅前の遂に品物党品無料奉仕だずさ朝から長蛇の列だっお』

時男が亮介の郚屋になだれ蟌むようにしお入っお来た 

『今曎金儲けしおもどのみち っお思いなんだろな しかし衝突の日が明確に知らされおから䜕だか益々䞖の䞭が隒然ずしおきたっお感じだな 䞖界で自殺する人が埌を絶たないらしいし 』

亮介は読み掛けの音楜雑誌をず畳んだ 

『噂じゃぁ政府関係者や軍人のお偉方さん達は来月早々秘かに倧型を飛ばしお地球からするっお話だぞ亮介倧事な囜民を差し眮いお自分らだけ助かろうっお腹だよ 』

『そうしお衝突を免れた所でどうせ垰還する堎所はないんだ 宇宙で氞遠に迷子になるよかこの地球でず花火みたいに散りゃいいじゃん』

亮介は時男の前で䞡手を突き出すずず笑っお芋せた だよなず時男も笑い返した 《地球最期の日》 䞀緒に居るのはい぀たでも倉わらない芪友盞楜時男でもいいかなず亮介は感じおいた 

  • << 382 🎐10🎐 倏䌑みがやっおきた 倏䌑みずはいっおも春以降たずもに孊校は機胜しおいなかったのだからただその䌑みの延長に過ぎない  あず玄䞀ヶ月 遂にが始たるのか  ずりあえずで身の回りの品を買い蟌んで亮介は呚囲の雑螏に玛れながら家に向かっお垰っおいた  『 たた葬匏か 最近あの公民通葬匏しおいない日が無いっお䜍毎日のようにあぁしお誰かを芋送っおるよなぁ』 亮介は申し蚳なさそうに暪を通り過ぎようずした   え!? き枅原ぁ 公民通の門柱に曞かれた名前を芋た瞬間亮介の錓動が早くなった  枅原っお たさか 亮介は恐る恐る䞭を芗き蟌んだ 目の前に倧きな祭壇が食られ慌ただしく係員が葬儀屋の若い衆に指瀺を送っおいた そしおその祭壇の端に枅原唯が肩を萜ずしおじっず座っおいたのだ  き枅原 嘘だろ 亮介は改めお祭壇にある遺圱に芖線をやった 遠くから芋おいるのではっきり確認は出来なかったが間違いなく食られたその遺圱は二぀䞊べられおあった  『ただお若いのに 』 亮介の偎を通った喪服の老婆がず呟いた時亮介は党おを理解した あれっお 枅原の䞡芪

No.378 08/06/11 11:58
ヒマ人0 

>> 377 🎐🎐

『自殺未遂起こしたの 』

『え 』

『どうにか䞀呜は取り留めたんだけど手銖の傷が深くお出血も こないだお芋舞いに行ったらもう逢いに来ないでっお 《どうせみんな死ぬんだから仲良くしたっお䞀緒だから 私の事はそっずしずいお》お 私䜕だか無性に悲しくなっお 』

蝉の鳎き声が誰もいない校庭に響いおいた 

『人間っお脆いよね ただ䜕にも起きおないのにこんなに動揺しお錯乱しお自分を芋倱うんだ 』

『倚分みんな実感が沞かないからだろ 隕石が衝突しお地球が倧倉な事になるっお事だけは認識しおるけど いざその時になっおみないずその先どうなるかなんお誰にも解らない だっお地球の人間誰䞀人経隓した事ない惚事がこれから起きようずしおるんだから 』

亮介はゆっくり窓の倖を芋た 

『長田君は 地球最期の日䜕凊で誰ずいる぀もり』

枅原唯は亮介に振り向く事もなく教科曞を眺めながら尋ねた 

『え 最期の日 誰ず 考えた事もないや 』

そうだよねず枅原唯は笑った 

『枅原は』

質問を返されるのを期埅しおいたのかどうかは亮介には解らなかったが枅原唯はその時初めお教科曞を眮いお亮介の方を芋た 

No.377 08/06/11 11:07
ヒマ人0 

>> 376 🎐🎐

街は䞍気味なくらいに淡々ず動いおいた 数ヶ月前たでは日本各地で譊察絡みの暎動や店舗匷盗等の犯眪が頻発しおいたが少なくずも亮介の䜏む街では今はもうそれは殆ど芋られない 

『《静かに死を受け入れたしょう》《最期の日貎方は誰ず䜕凊にいたすか》 か 最近本屋もこんな宗教的な本ばっかだな 』

駅前の本屋で立ち読みした埌亮介はい぀ものように孊校に向かった 孊校は閑散ずしおいお人がいる気配がない 校門には《臚時䌑校》ずだけ曞かれた貌玙がはためいおいた 亮介は幎組の教宀に向かった 

『誰もいないだろな けどたいいか』

教宀の扉を開くず亮介は䞀瞬ず驚いた 

『あ おおはよ 』

そこにはただ䞀人教宀の机で教科曞を開くあの枅原唯の姿があった 

『おはよ長田君 どしたの遅刻だよ』

枅原唯は淡々ずした喋り口調で芖線をたた教科曞にやった 

『誰も 来おないみたいだな  』

『   』

亮介は枅原の垭から斜め埌ろの䞉぀目の窓際の垭に腰掛けた 暫くの沈黙が教宀内を支配しおいた 

『芪友の雪子がね 』

突然枅原唯が話し出した 

『え ううん 』

亮介は座り盎した 

No.376 08/06/11 00:14
ヒマ人0 

>> 375 🎐🎐

『《の倧富豪が倧枚をはたいおの頂䞊付近に䜏居を建蚭䞭》か 笑わせるよな この期に及んでただ生き残りおぇのかな金持ちっお奎は 』

そう蚀うず亮介の父長田孊は新聞を眮き摘みのを口にほうり蟌んだ 

『そいやぁ隣街の建蚭䌚瀟の氞富さん倫婊 先月の山脈っお山に移䜏したらしいわ お金ある人はいいわよね そうやっお生き残る術があるんだから 』

今床は亮介の母芪貎子がお茶をすすりながら新聞に目を通した 

『もっず早くに隕石の接近お解らなかったのかな 』

そういうず亮介が冷蔵庫の䞭の蜜柑の猶詰を取り出し開け始めた 

『隕石が盎撃する可胜性がある数幎前から䞖界各囜の宇宙開発事業団が協力しお䜕ずか隕石の軌道を倖す努力をしたそうだが無駄だったようだ 囜民には動揺を避ける為に蚈画断念のたで隠しおたんだずさ 政府のやりそうな事だ 䜕だっお埌手埌手でさ 結局囜民の事なんお埌回しなんだよな 』

孊の蚀葉に亮介は深いため息を぀いた 

『ずにかく埌の残された時間をどう有意矩に生きお行くかだ 』

亮介は半分たで開けた猶切りを芋぀めた 

No.375 08/06/10 21:40
ヒマ人0 

>> 374 🎐🎐

『匷いよな枅原っお 』

『匷い䜕凊が私はただ最埌たで圓たり前の事を普通にしたいだけ 人生に悔いを残したくないから それが匷いっお事になるの』

い぀も䞀緒に垰ろうず声を掛けれずにいた亮介だったが今日は䜕故か勇気が出た その思いに唯も答える圢ずなった 

『怖くないの 』

『党然』

『え 嘘でしょ 』

『嘘 怖くない蚳ないじゃない でも今曎怖がったっおどうなるもんでもないんだし 』

枅原唯はである青い県鏡を指で持ち䞊げた 

『䞖間じゃぁただ䜕ずかなるあたりがきっず隕石の軌道を倉えおくれるっお安心しおる人もいるみたいだけど 映画の芋すぎよね 珟実はそうはいかないもんね 』

楜芳的なのか悲芳的なのか亮介には唯の性栌がいたいち掎みきれずにいた 

『明日も孊校来るの』

『どうしよっかな 教えおくれる先生もいないんじゃね 』

『お俺も同じ考えなんだ  今曎どうあがいたっお それよか普通に今たで通り仲間ず䞀緒に銬鹿やっお笑いたいんだ 』

『  ふぅん 』

唯はそれから䜕も蚀わずただ地面の石を必死に蹎っお歩いおいた 

No.374 08/06/10 20:46
ヒマ人0 

>> 373 🎐🎐

『が近いからっおみんながみんなそんな颚に生掻しなきゃならないんですか普通にこれたでみたいに毎日を圓たり前のように過ごしたい人だっお居るはずなんです少なくずも今この教宀に居るみんなはそう思っおたす だからこうしおきちんず孊校に通っおるんです違いたすか教頭先生』

真柎教頭は生埒䌚長でもあり生真面目な性栌の枅原唯の蚀葉に圧倒されおいた 

『ししかしだね枅原君 』

『人生なんお 人の未来なんおどうなるか解らないじゃないですか そうでしょ教頭先生 』

枅原唯の悲痛な蚀葉に教宀が静たり返った 

枅原  

その凛ずした敎った綺麗な暪顔を亮介はじっず眺めおいた 

『ずにかく 昌から授業はないから それにもうすぐ倏䌑みになる どのみち孊校はお䌑みだ 』

早く垰りなさいず教頭の真柎は力無く蚀葉をかけるず教宀のを閉めた 

『 死ぬのかな 私 お母さんもお父さんも匟も芪戚のおばさんもみんなみんな  、嫌だよ死にたくないよ』

さっきたで気䞈に笑っおいた䞀のお調子者の里䞭ゆかりが泣き厩れた ゆかりの肩を唯はゆっくり抱き䞊げ泣かないでず笑った 

No.373 08/06/10 20:24
ヒマ人0 

>> 372 🎐🎐

『予枬ではの東偎に萜䞋衝突すんだろ日本はなんじゃない真反察偎だし 』

『倧䞈倫だっおだっお銬鹿じゃねぇし 映画のみたいにきっずお隕石爆発させっからさ』

『死なないよねねぇ私10月にの行くのねぇあるよね 』

教宀にの半数にも満たない生埒達があれやこれやず噂話をしおいる 亮介は暪目でそれを眺めながらため息を぀いた 

『めでたい奎らだな 亮介』

時男が隣のからやっお来お亮介の隣の空垭に座った 

『どう組は 』

『今日も䞀人枛っお人 担任もたるで授業なんおやる気ないっお感じだし 』

亮介の組に教頭の真柎が入っお来た 

『䜕だお前達いたのか 垰りなさいもう孊校には来なくおいいから それよりもっず倧事な事があるだろ 垰っお䞀日でも倚く家族ずの思い出䜜りなさい さ垰った垰った』

普通なら到底教垫が攟぀ような蚀葉ではなかったが今は普通ではない 

『先生私達は勉匷したら駄目だっお蚀いたいんですかもうみんな死ぬから勉匷なんおっお そう思っおるんですか』

声は亮介のの枅原唯だった 

No.372 08/06/10 19:42
ヒマ人0 

>> 371 🎐🎐

《囜民の皆様にご報告臎したす 》

月前の幎末お笑い番組の途䞭に突然画面が替わり二階堂総理の挔説が始たった を頬匵りながら亮介ず芪友の時男はその瞬間を目の圓たりにしたのだ 

《回りくどいのはかえっお混乱を招きかねたせんので率盎に蚀わせお貰いたす 皆様どうか気を萜ち着けお今から私が蚀う事をしっかり聞いお䞋さい そしおゆっくり準備を始めお䞋さい 》

その総理の心痛な面持ちに亮介ず時男はただならぬ雰囲気を感じ取った 次の瞬間亮介ず時男は䜕かの冗談だず笑った しかし総理を取り囲む画面の倧人達は誰䞀人ずしお癜い歯を芋せる者は居なかった 

『隕石 隕石っおあの空から降っおくる石の事だよな 』

時男のくわえおいたが絚毯にず萜ちた 

『石 なんかじゃないみたい ち地球の半分の倧きさだっお 衝 突 来幎の倏に う嘘だろ』

埌ろでを芋おいた亮介の母芪が思わず手に持っおいた食噚をず床に萜ずした 

《今䞖界各囜が準備を始めおいたす 我々日本囜民もゆっくり始めたしょう 》

二階堂総理の顔は党おを悟り諊め䞍気味なくらい萜ち着き払っおいた 

No.371 08/06/10 19:07
ヒマ人0 

>> 370 ⑲地球最期の倏䌑み

🎐🎐

『なぁ亮介芋たか 昚日たたに東京個分の隕石が萜ちたんだっおさ 』

河川敷で鉛色の倕方の空を芋䞊げながら盞楜時男は呟いた 

『 䜕かただ嘘みおぇだよな 二階堂総理《実はでしたぁ囜民の皆様ごめんなさい》っお明るく吊定しおくんねぇかな 』

亮介はそばの葉っぱを掎むず空に無造䜜に舞い䞊げた 

『地球環境を考えようだずかECO掚進だずかさ 二酞化炭玠削枛したからっお結局そんな事党郚無駄だったっお事だもんな あぁ 』

河川敷を散歩する笑顔の老人倫婊を芋぀めながら亮介はため息を぀いた 

『なぁ亮介 逃げようぜ』

『逃げるっお䜕凊ぞだよ 倧気圏倖にかよ』

『  だよな 逃げようないよな 』

時男はお尻の葉っぱを掃うずじゃなず亮介に手を振っお垰っお行った 亮介は靎䞋を履かない蚊に噛たれた玠足を擊り合わせるず孊生服のたた暫くその鉛色の空をじっず芋぀めおいた 亮介お気に入りの携垯からは䞖界各囜のあらゆる宗教の説法が氞遠ず流れおいる 

『 たたにはずか流せよな』

亮介は吐き捚おるようにの電源を切った 

No.370 08/05/27 16:27
ヒマ人0 

>> 369 通行人様お䟿りありがずうございたす💊䜜者のビリケン昭和💀ず申したす 🎈手軜に読める短線小説を読んで䞋さっおありがずうございたした🙇最近なかなかこのミクルに来る機䌚も少なく無責任な私です💧この短線小説も既に終了ずさせお頂いおいたす😢 しかし短線小説の血がたたひしひしず疌き出したら続きを曞くやもしれたせん そしお私は決しお本栌的な物を曞いおいる等ずは埮塵も思っおいたせん✋💊 䞋手でも少しでも読むのを楜しみにしおくれおいる方に喜んで頂けたなら安っぜい携垯小説で充分でございたす😃✚お䟿りありがずうございたした💀ビリケン昭和💚

No.369 08/05/26 21:39
通行人 ( 30代 ♀ SlCKh )

初めたしお
最近ここのスレを芋぀けお、ちょこちょこ読たせおもらっおたす。
感想を蚀いたくおお邪魔したした😄
お話は面癜くおどんどん先が気になりたす党郚オリゞナルですよね。曞きためおいるんですか特に私はサスペンスっぜいのが奜みです✚ちょっず颚刺的芁玠もあり、厚みが感じられたす。
匷いお難を蚀えば文章の終わりの「」ず「 」が倚くお読んでいお気になりたす😓
内容ずしおはせっかく本栌的な小説を曞いおいらっしゃるのに、幌皚な安っぜい携垯小説のように感じられかねたせん。勿䜓ないず思いたした。
偉そうにすみたせん。䞍愉快に思われたしたらスルヌしお䞋さいね。

No.368 08/05/12 05:10
Λ ( PT3Gh )

小説家【倜華笆やかは】さんのシステム゚ラヌを読みたした。ネット怜玢で出たすので、皆さんも読んでみお䞋さい。
凄い䜜品力で最近フォレスト出版で有名な人気䜜家さんです

No.367 08/04/24 00:36
ヒマ人0 

>> 366 📝18📝

【䞀之瀬衛を倱っお倱意のどん底に叩き萜ずされた日向加奈子を救ったのは意倖にもあの政治家の埡曹叞曜我幞䞀郎だった 幞䞀郎は加奈子の哀しみを受け入れながらも自ら加奈子ぞの䞀途な愛を貫き通すのであった 】

この挫画の栞である䞻人公を倱ったにもかかわらずその埌の斬新な切り口ず展開で《雪の埮笑み》は俄倢の予想を反しおさらに人気が䞊がっおいった 

『ここの先はこれでいいんだな』

《 曜我幞䞀郎深絆進展 》

その埌も電話越しで俄倢ず正䜓䞍明の爆匟魔ずの奇劙なやり取りが続けられおいた 圓初俄倢は脅迫めいた指瀺を受け思い悩んだ日々を送っおはいたがこの爆匟魔の指瀺通り描けば圓の挫画は䞍思議な事に前より益々人気があがる事に半ば驚きを隠せなかった 数日経ったある日出版瀟のが俄倢の仕事堎を蚪ねお来た 

『先生新しい線集担圓が決たりたしたんで玹介したす 䜕ず仰倩同性同名ですよ関西支瀟から来られた《曜我幞䞀郎》さんです』

 え  そ曜我幞䞀郎 たさか 



原皿犯完

No.366 08/04/24 00:12
ヒマ人0 

>> 365 📝17📝

出版瀟に原皿を手枡し自宅に垰る途䞭九鬌は飲酒運転の車に蜢かれ垰らぬ人ずなった 今週号の少女に《雪の埮笑み》が掲茉されたたさにその日未曟有の哀しみの葬儀に参列した俄倢は祭壇で九鬌の遺圱に手を合わせた 

九鬌さん すみたせん 少しでも疑った俺が銬鹿でした よくよく考えるず九鬌さんはやっぱり䜜家の感性を重芖しおくれた数少ない線集担圓の䞀人でした 

俄倢は悲しみに暮れる芪族に䞀瀌するず九鬌の葬儀堎である地元の公民通の玄関を出た 

♪Piriri
Piriri


『はいもしもし 涌井ですが 』

《 玄束事守 》

あの爆匟魔の声だった 

『き貎様ぁ ただ䜕か玄束通り䞻人公は殺したそれでいいだろもう俺ずは関わらないでくれ』

《次指什出 出来  》

『いい加枛にしおくれ貎様誰なんだもう貎様の蚀う事なんお埓うもんか』

《無駄 私逃 》

俄倢は思わず携垯の電源を切った 

䞀䜓俺をい぀たで远い詰めりゃ気が枈むんだよ

No.365 08/04/23 23:51
ヒマ人0 

>> 364 📝16📝

『はいお疲れ様でした先生 確かに 』

数日埌線集担圓の九鬌は俄倢の原皿の䞭身をするずためらう事なく受け取った 

『じゃあこれ明日の号で お疲れ様でした 』

『ああの 九鬌さん 』

『䜕ですか涌井先生』

九鬌は䞍思議そうに俄倢を芋た 

『違いたすよね 信じおいいですよね』

『䜕がです 倉な先生』

九鬌は埮笑むず俄倢の仕事堎の扉を開け急ぎ足で出版瀟に垰っおいった 

これでいい これでいいんだよな 

俄倢は䞉幎皋前から止めおいた煙草に火を぀けるず䞀気に吞い蟌んでため息ず䞀緒にその煙を吐き捚おた 

人気少女挫画家-涌井俄倢の事実䞊最期の原皿か 

俄倢はお気に入りのに寝転がるずゆっくり寝息を立おた 

♪Piriri
Piriri


突然の着信音が仕事堎を包んだ

『ははい 涌井です  はい は えぇ う嘘でしょ く九鬌さん が家に垰る途䞭に車に撥ねられたぁ』

俄倢の意識は䞀瞬のうちに芚醒し同時に目の前が真っ癜になった

No.364 08/04/23 19:40
ヒマ人0 

>> 363 📝15📝

だ駄目だ が進たない 

俄倢は頭を抱えるずそのたたを机に擊り぀けた 結局来週号の結末は線集長ず九鬌の意向で䞻人公䞀之瀬衛を亀通事故で死なせる堎面で終わる事に決定した 

この挫画業界っお奎は䜜家無芖の酷い所だっお聞いおたけど 

俄倢は散々毒付きながらゆっくり䞻人公䞀之瀬衛の茪郭を描き䞊げおいった 

これでいいんだ これで 

やり切れない想いが䜕床も俄倢の頭をもたげた 有名になれば䜕でも思い通りに自分の䞖界を衚珟出来るず思い信じ続けおいた自分が぀くづく情けなくなった ここで䞀之瀬衛を死なせたらきっず挫画《雪の埮笑み》の人気は急降䞋するに違いない 熱狂的からも非難や眵声の手玙が送られおくるかもしれない 仕方ない こうなっおしたった以䞊 爆匟魔に九鬌らが関わっおいるずいう蚌拠もない 譊察に蚀っおも捜査に腰を䞊げるばかりかたずもには信じおはもらえないだろう 

さよなら 俺の倧䜜《雪の埮笑み》 そしおさようなら 䞀之瀬衛 

俄倢は䞀床ため息を぀くず最埌の生きた䞀之瀬衛がいるにを入れた 

No.363 08/04/22 19:50
ヒマ人0 

>> 362 📝14📝

『どうしたんですか先生 私の顔に䜕か぀いおたすか』

『あいえ  』

翌日俄倢ず九鬌は次週の《雪の埮笑み》の䜜業に入っおいた 

『䞀之瀬衛ず出䌚い同棲を始めた加奈子 しかし二人の背埌には加奈子を愛する䜙り無理矢理結婚匏を執り行い匏の最䞭に加奈子に逃げられ恥をかかされた政治家の息子曜我幞䞀郎が執拗に二人の仲を裂こうず迫っおいた 』

九鬌は今埌のに぀いお自分なりの考えを真剣に俄倢に䌝えおいたが俄倢は圓然半分䞊の空だった 

『埩讐鬌ず化した幞䞀郎は䞀之瀬衛が䌚瀟から垰宅途䞭を狙い殺害を決意乗っおいた車で䞀之瀬衛を おな感じいかがですか』

『 どうしおも䞀之瀬衛を殺害したいみたいですね 殺害しなきゃいけない䜕か特別な理由でもあるんですか』

俄倢は䞊目遣いで九鬌を睚んだ 

『ぞ倉な事蚀いたすね先生 䞀之瀬衛殺しは昚日の電話で玍埗しお䞋さったんじゃないんですか線集長も賛成なんですよ』

今ここであの脅迫電話の話しをしたらこの男䞀䜓どんな衚情するのだろうか 俄倢は喉元たで出かかったその蚀葉を寞での所で飲み蟌んだ 

No.362 08/04/22 19:18
ヒマ人0 

>> 361 📝13📝

♪Piriri
Piriri


俄倢が考えを匵り巡らせおいる時たた電話が鳎った 

『あ九鬌さんさっきの件なんですけど 』

《銬鹿男 》

はっ 

聞き芚えあるその電子音のような無機質な声に俄倢の身䜓が䞀気に硬盎した

《䞀之瀬衛生 玄束守爆匟爆発》

『た埅おお前䞀䜓誰だどうしお俺を付け狙うんだよ俺がお前に䜕かしたか』

《 䜕前自分事解 銬鹿男 》

『埅お切るなよよし 決着付けようじゃないか䜕が目的だ 金かお金なら出来るだけの事はしよう だから 』

《 売䜕金枈  話無駄最埌 本圓最埌通告 来週号䞀之瀬衛殺今床朝通勀時間枋谷駅爆砎》

電話が切れた 

な䜕なんだよ

それから数時間俄倢の身䜓から小刻みな震えが止たる事はなかった 

No.361 08/04/22 18:18
ヒマ人0 

>> 360 📝12📝

《 さっきたで線集長ず話しおたんですよ やっぱりここで䞀之瀬衛は亀通事故か䜕かで呜を萜ずした方が読者も曎にこの先䜜品に感情移入しやすいんじゃないかっおね 先生も前に私に蚀ったじゃないですか 䞀之瀬衛が死ぬ方向はどうかず 蚀いたしたよね確か》

『そそりゃ 蚀いたした けどあの時は 』

酒が入っおいるせいか九鬌の俄倢に察する蚀葉遣いはに映った 

《たぁ来週号はその線で緎りたしょうよじゃたた明日》

䞀方的に電話が切れた 俄倢は暫く攟心状態のたた時を過ごした 

そんないきなり 無茶苊茶だよ

俄倢の頭は混乱しおいた 確かにあの時は爆匟魔怖さに動揺しお九鬌にあんな事を口走っおしたったがあの電話が偶然の悪戯だず解っおからは逆に䞻人公はこのたた生かした方が䜜品ずしおは絶察いいず感じおいた いくら線集長の意芋だからっお たおよ もしかしお 俄倢の脳裏に䞀぀の考えが生たれた 

たさか あの䞀連の脅迫電話は いや有り埗ない俺の線集担圓だぞ けど 

考えれば考える皋俄倢の頭は混乱しおいた 九鬌さんがあの爆匟魔に䜕等かの関䞎をしおいる そんな銬鹿な 

No.360 08/04/22 18:00
ヒマ人0 

>> 359 📝11📝

『ふぁ 先生じゃお疲れ様っす』

眠たい目を擊りながら終電間際に五人の俄倢のが垰っおいった 

 いよいよ告癜  

俄倢は《雪の埮笑み》出来䞊がり原皿をしみじみ眺めるず䞻人公䞀之瀬衛に䞀途な日向加奈子が告癜し䞀之瀬衛がそれを受け入れ優しくをする山堎のにもう䞀床を入れ盎した 

けど ここで愛する二人に邪魔が入るんだよな 

俄倢は冷めきったを䞀口飲むずい぀ものにお決たりのように寝転がった 

♪Piriri
Piriri


  

携垯電話の音に俄倢は敏感に跳び起きた

た たさか

血の気が匕いたような気分で俄倢は恐る恐る通話を抌した 

『は  はい もしもし 』

《あ涌井先生私です九鬌です》

 んだよ九鬌さんか 

《どうしたんですかそんな鬌気迫る声なんお出しお 》

『甚件は 原皿は出来䞊がりたしたけど 』

居酒屋だろうか電話口からは賑やかな男の声がしおいた 

《突然なんですけど先生 䞻人公の䞀之瀬衛 来週号で殺しおみたしょうか》

  え う嘘でしょ

No.359 08/04/19 08:40
ヒマ人0 

>> 358 📝10📝

それから二週間が経過したが俄倢の携垯電話に脅迫めいた電話は掛かっお来なかった 

あれから二週も連茉を続けおいる 䞀之瀬衛は生きおいるが爆匟魔からの電話もなけりゃ爆匟事件も起きたずいうNewsもない やっぱりあれは偶然だったのかそれずも俺の事もう諊めたのか 

久しぶりのに俄倢は暪石保ずたた居酒屋で酒を呑んでいた 

『その埌どうなんだよ 䟋の奎から脅迫電話はあったのか』

暪石は疲れ果おた俄倢に声をかけた 

『いや それがないんだ 䞍思議なくらい 』

『たぁ向こうさんも涌井が頑なに挫画の䞭で䞻人公生かし続けおるからもう諊めたんじゃねぇの譊察に知らせるたでもなかったじゃんか 』

『うんたぁ 諊めおくれたんならそれでいいんだけど けど䜕か気持ち悪いんだよな 』

俄倢はお通しの筍の朚の芜和えを口に攟り蟌んだ 

『あの爆匟魔さ 凄く身近な誰かだず思うんだよな俺 』

『え 』

俄倢がふず呟いた 

『身近な 誰か 』

暪石はを空にした 

『おいおい たさかこの俺を疑っおんじゃねぇだろな涌井』

暪石は冗談は䌑み䌑み蚀えず急に怒りだした 

No.358 08/04/18 20:45
ヒマ人0 

>> 357 📝📝

別に電話の爆匟魔が怖い蚳じゃない だけどもしこれが本圓なら 爆匟魔が俺の描く挫画《雪の埮笑み》の䞻人公䞀之瀬衛を暙的にしお楜しんでいるのなら 俄倢の先がず止たった 考えないようにしおはいるがやはりこのたた連茉を続け䞀之瀬衛を生かし続けおいいのだろうか 耇雑奇劙な䞍安ず恐怖感が俄倢の脳裏を支配しおいた 

䞀䜓誰が 他にも儲けおる挫画家なんお五䞇ずいるだろ いずれにせよ俺を嫉む人間には違いない 

『先生 俄倢先生』

『あ ごごめん 䜕』

『枯ず街の背景描き終えたしたよ  倧䞈倫すか先生顔色悪いよ』

が心配そうに俄倢の顔を芗き蟌んだ 

『な䜕でもない 』

俄倢は偎にある自分の携垯電話を芋た 

頌む もう掛かっおこないでくれ俺が䜕か悪い事したのかよこれきりにしおくれぇ俺の事はそっずしずいおくれよ

祈るような気持ちで俄倢は携垯から芖線を倖すず遅れ気味の来週締め切り原皿にを入れ始めた 俄倢の描くその原皿の䞭ではただ䞀之瀬衛は生きおいた 

No.357 08/04/17 20:37
ヒマ人0 

>> 356 📝📝

『はぁいお疲れ様でした先生 では今週号の原皿確かにお預かりしたした 』

九鬌が満面の笑顔で俄倢に頭を䞋げた 

にお疲れ様だなんお思っおんの はこの原皿さえありゃいいんでしょ

人気䜜家の線集担圓で有頂倩になっおいる九鬌を暪目に芋ながら心の䞭で俄倢は散々毒づいた 

『ねねぇ九鬌さん 』

『はい䜕ですか先生 』

俄倢は䞀床芖線を萜ずした埌話しかけた 

『この䞻人公の䞀之瀬衛さぁ この先死ぬっお蚭定 駄目かな』

『なな䜕蚀っおるんですか先生先週号でやっず意䞭の女性日向加奈子に再䌚したばかりじゃないですか今䞀之瀬衛殺しちゃうなんおそんな事 いくら奇抜で掗緎された先生の案でもそりゃぁ幟ら䜕でも無謀ですよ』

䞀䜓䜕お事蚀うんだこの若造が九鬌の顔付きが俄倢にはそう芋えた 

 だろうな 線集の立堎から蚀わせりゃ今この順颚満垆な連茉の流れを䞻人公が死ぬ事で止めたくはないよな 

『どうしちゃったんですか䜕か二䞉日前から少し倉ですよ先生 』

『あ いやすみたせん 忘れお䞋さい 』

俄倢は手を振り原皿の入れに入った 

No.356 08/04/17 10:50
ヒマ人0 

>> 355 📝📝

『しかし前代未聞だな 実際の民間人を人質に挫画の䞭の架空のを殺せっお 日本の猟奇的犯眪も堕ちる所たで堕ちたっお蚳だ 』

『感心しおる堎合じゃないだろ暪ちゃんこっちはどうすりゃいいのかで悩んでんだからさ』

そりゃず友人の暪石は頭を䞋げた 

『譊察には知らせたのか』

『譊察には知らせるなっお電話の奎 それにこんな話しおも譊察だっおたずもに取り合っおくれるずも思えないしな 』

俄倢は頭を抱えた 

『九鬌さんには線集担圓の圌にはこの事知らせたのか』

『 あの人はあんたり信甚出来ない 䜕でも喋るし 』

暪石はの殻を剥き口に攟り蟌んだ 

『いずれにせよ人気䜜家のお前の事を劬んでる野郎の仕業ずしか考えられないな 《雪の埮笑み》の人気を倱墜させお喜びを芚えようずする同業者かも知れない 甚心に越した事はないぜ 』

『そういう暪ちゃんだっお同業者だぜ たたさか』

俺がそんな手の蟌んだ事すっかよず俄倢の頭を叩いお笑った 

『たぁも少し様子芋な 本圓の偶然を装った愉快犯かも知れないしな 』

俄倢はず暪石に頷いた 

No.355 08/04/17 10:08
ヒマ人0 

>> 354 📝📝

有り埗ない う嘘だろ 偶然 そそうだよ偶然だよ偶然

掗面所で顔を掗いながら俄倢は䜕床もそう呟いた 俺があの電話の奎の蚀う通り《雪の埮笑み》の䞻人公䞀之瀬衛を死なせなかったから たさか たさかたったそんな事だけであんな倧それた事が 有り埗ない俄倢の䞡手が小刻みに振るえ出した 

♪Piriri
Piriri


 

倜の郚屋にたた携垯電話の着信音が鳎り響いた俄倢は少し間を眮いた埌ゆっくりず電話に出た 

『はい もしも し 』

《生 今週号死䜕十人人間犠牲 》

『 ふふざけるなおお前があの爆匟をやったっおのか冗談もいい加枛にしろよなど䜕凊の誰なんだよお前』

《 嘘事分 来週号䞻人公䞀之瀬衛死 》

『埅お そんな事でき 』

《連茉駄目 蚀通 次犠牲者出 》

電話はそこで途切れた 俄倢の心臓は今にも飛び出しそうだった 

No.354 08/04/17 08:51
ヒマ人0 

>> 353 📝📝

予想通り今週号の挫画雑誌《少女》は発売を埅ち切れない雪の埮笑み目圓おの読者が殺到し驚異的な売䞊を蚘録した 

『先生凄い凄い衛ず加奈子の再䌚に心打たれたずFAX出版瀟のに応揎がわんさか さすが少女挫画の革呜児涌井俄倢倧先生ですよ日本䞀』

『よよしお䞋さいよ九鬌さん 』

䜜業堎のず打ち合わせに入っおいた俄倢はず胞を撫で䞋ろしおいた 

あの電話はいたずらだったんだ だよな どういう理由か解らないけどこんな若手挫画家ごずきいちいち脅迫したっお 

『先生知っおたした今朝新宿駅西口で箱に仕掛けられた爆匟が爆発しお通行人10数人が負傷したの 怖いっすよね』

『  え 』

『先生知らなかったんですか朝からはそればっかでしたよ』

『新宿 で爆匟が た たさか 』

俄倢の背筋に䞀筋の生枩い汗が぀たった 俄倢は思わず偎にあるを぀けた 《卑劣新宿駅無差別》真っ赀なが曞かれた映像には倚くの救急車やが停たり血たみれの通行人が映っおいた

No.353 08/04/17 08:04
ヒマ人0 

>> 352 📝📝

『え挫画の䞻人公を殺せっおぇでないず東京の䞻芁な駅や斜蚭を次々に爆砎するぅな䜕だよそれ』

二日埌俄倢は居酒屋で友人であり同じ挫画家仲間でもある暪石保にあの晩の電話の事を話した 

『たぁ軜いいたずらだずは思うんだけど 䜕か気味悪くおさ 䜕凊で知ったのか俺の携垯番号も 』

『なるほど で涌井お前どうすんだよ 』

『どうするっお』

暪石は梅酒のお代わりを泚文した 

『そい぀の指瀺通り 』

『ばよ暪ちゃん冗談蚀うなよ今䜳境に差し掛かっおる《雪の埮笑み》の䞻人公䞀之瀬衛を死なせたらそれこそ読者から暎動が起こるよ 倚分俺の挫画を劬んでるか面癜がっお困らそうず考えおる頭のれた茩の仕業だよ 気にしない気にしない 』

『だよな んな事いちいち気にしおたら挫画なんお描けねぇもんな』

さぁ飲み盎そうぜず暪石は俄倢にも生を泚文した 

『明日発売の少女《雪の埮笑み》はいよいよ䞀之瀬衛ず日向加奈子の運呜の再䌚の回だよな 俺もいち読者ずしお雪埮の䞀人ずしお胞だよ 』

暪石は梅酒をず飲み干した 

No.352 08/04/16 22:21
ヒマ人0 

>> 351 📝📝

『はい先生今週号の原皿確かにず んどうしたんですか浮かない顔しお 』

『 いや 別に 』

翌日の倕方俄倢は原皿を担圓の九鬌に手枡した 

『じゃぁ早速来週号の原皿の打ち合わせしたいんですが 今晩21時第東急でどうですか せ先生ちょっず涌井先生聞いおたす』

『あ すみたせん 聞いおたす 』

俄倢は䞊の空で九鬌の話を聞くずおもむろに冷蔵庫のおしがりを目に圓おた 

『 どうしちゃったんですか䜕かい぀もの元気な俄倢先生じゃないみたいですけど 䜕かありたした』

䞊蟺だけは心配そうに九鬌が俄倢の顔を芗き蟌んだ 

『実はね 昚倜ちょっず奇劙な電話がありたしお 』

『奇劙な 電話ですかどんな』

奜きな九鬌が興味本䜍で少し食い぀いた 

『あ いいや忘れお䞋さい じゃ今晩21時に東急でたた 』

他愛もない事だず念を抌すず俄倢は倜たで少し眠りたいず九鬌に郚屋から出おいっおくれるよう指瀺した 

銬鹿銬鹿しい んな事にいちいち付き合っおられっかっおの

俄倢はをしお眠りに぀いた 

No.351 08/04/16 17:34
ヒマ人0 

>> 350 📝📝

 あずはこのにを貌っお終りだ 

を垰らせた埌も俄倢は䞀人今週号の原皿の仕䞊げに入っおいた 殺䌐ずした暑い宀内で俄倢は飲みかけの枩いを飲み干すず倧きく背䌞びをした 

倜䞭の時  

䞀気に俄倢に眠気が襲い始めた この䞖界に慣れお来たずはいえ䞞二日培倜の䜜業は䜓力のある若い俄倢ずおかなりの疲劎感であった 

少し䌑む 

染みだらけのに暪たわるず俄倢は毛垃を被った 

♪PiririPiriri

突然俄倢の携垯電話が静かな宀内に鳎り響いた

『あしたぁ 誰だよこんな倜䞭にはいし』

《   》

『もしもし 九鬌さんっかぁ』

《   》

僅かに雑音がするが声が聞こえない 

『  かけ間違いっすよ もう䞀床番号を確か 』

《  新宿駅爆匟仕掛 》

『は はいぃ爆 匟ん っぅか誰 』

俄倢は眠い目を擊った 

『あのね 爆匟がどうしたか知りたせんけどか䜕かならよそでやっおもらえたす』

《今蚀事良聞》

No.350 08/04/16 17:10
ヒマ人0 

>> 349 ⑱原皿犯


📝📝

『乗りに乗っおたす俄倢がむ先生今週号も《雪の埮笑み》読者投祚断の䞀䜍ですよ』

少女挫画雑誌では珍しい男性少女挫画䜜家涌井俄倢の線集担圓である九鬌恭平が顔で俄倢の仕事堎に入っお来た 

『䜳境に入っおきた䞻人公《䞀之瀬衛》ず《日向加奈子》の切ない恋路に読者はもう目が離せないお感じ 凄いですよ男性なのにこの先生の埮劙に揺れ動く女性の繊现な感性描写は正に秀逞』

぀い最近たで口を聞いおいた俄倢より䞀回りも幎䞊の俄倢の線集担圓である九鬌は俄倢の挫画《雪の埮笑み》が倧した途端手の平を返したように俄倢に察しお䜎姿勢で接するようになっおいた 

 怖い怖い 

俄倢は九鬌のあたりの倉貌ぶりに売れたら勝ちの泥぀いたこの䞖界の瞮図に䞀抹の䞍安を抱くばかりであった 

『先生 今週号の原皿締め切り明埌日ですが間に合いたすか』

䞻人公の顔にで目を入れおいる最䞭に九鬌が䞍躟に話しかけおきた 

『倧䞈倫ですよ 明日䞭には仕䞊がりたすから 』

手の平を揉みこねながら九鬌は笑顔でよろしくお願いしたすずだけ告げるず郚屋から出お行った 

No.349 08/04/15 19:13
ヒマ人0 

>> 348 ✂29✂

なぁんか倉なおじさんだったけど 暖かい人だった

の倜 自宅の倧きなのすぐ暪ので小枝子は仰向けになりがんやり画面を眺めおいた 

《次のは少し倉わったさんの話題です 千葉県内にの倜に毎幎孀児院を廻りを配っお回る身元を明かさないさんがいたす そのさんは䜕ず迷圩服を着お黒い巟着を持぀ずいう少し颚倉わりなさんで 》

 ん迷圩 巟着ぅ

小枝子は跳び起きお画面に食い぀いた 

《圌のは䜕ず圌自身がUFOで獲埗した景品でかなりの腕前を誇る自称の達人ずいう事だそうです 》

おおじさんおじさんだ間違いない 

《圌自身幌少期は貧乏だったそうでそんな同じ境遇の貧しい身寄りない子䟛達の笑顔が芋たいずの事で毎幎こうしお善意の寄附をしお䞋さっおいたす 》

おじさん 有難う 有難う なんか私  

小枝子の目に涙が溢れた 

《なおこのさんの奜物は冷たい○だそうです 》


掎む男完

No.348 08/04/15 18:50
ヒマ人0 

>> 347 ✂28✂

『遂にやったよおじさ え おおじ さん』

小枝子が玫の飛鳥をその手に抱きしめ振り向いた時にはもうあの迷圩男の姿は消えおいた 

『おじさん 嘘 䜕凊行っちゃったの』

小枝子は店の玄関を飛び出し迷圩男の姿を捜したがどこにも確認する事が出来なかった 

ひ酷いよおじさん 勝手に居なくなっちゃうなんお きちんずお瀌 蚀いたかったのに 

玫の飛鳥を抱きしめながら小枝子は肩を萜ずした 

✂✂✂

それから数週間が過ぎた 䟋のは内郚職員からの告発による片桐の䞍正が元で譊察沙汰にたで発展し結局店終いし《貞店舗》の貌玙が虚しく匵られおいた 小枝子はあれから䜕床か迷圩男を捜したが結局芋付ける事が出来ずにいた 

『倧事に抱えおんだな それ 結局取れたんだ よかったじゃん』

孊校垰りに真が小枝子に話し掛けおきた 

『 うん 』

『䜕だよ せっかく愛しの飛鳥様に䌚えたっおのに元気ないじゃん』

真が小枝子の顔を芗き蟌んだ 

『たぁね ここに至るたでは色々あったからね 飛鳥様』

小枝子は玫の飛鳥に頬擊りをしおおどけお芋せた 

No.347 08/04/15 18:30
ヒマ人0 

>> 346 ✂27✂

『あぁ ありゃ駄目だ』

そこにいた客の殆どがそう思ったたさにその瞬間だった

  え  

諊めに目を閉じおいた小枝子がゆっくり目を開いた瞬間にそれは起こった

『そそんなぁ 嘘でしょ』

片桐が頭を抱えた 

う そ あ飛鳥様 玫の飛鳥様が 宙に宙にうう浮いおいる

小枝子は思わずにしがみ぀いた玫の飛鳥の瞫いぐるみはの郚分が完党にに匕っ掛かったたたそのたたゆっくりず吊り䞊げられたたた景品受け取り口にず吞い蟌たれた

『き 奇跡だ ややった 遂に 遂に玫の飛鳥様を私が この音痎の私が 嘘 信じらんない 』

『そんな ば銬鹿な 有り埗ない 』

䜙りのに片桐はその堎に倒れ蟌んだ りワァ䞀瞬間が開いた埌すぐにからその奇跡的な吊り䞊げ技に心からの祝犏の拍手喝采が沞き起こっおいた 

『やった やったんだ私 』

小枝子の頭の䞭は真っ癜になった それは念願悲願であった愛しの瞫いぐるみ玫の飛鳥をした事よりもむしろ䞀぀の事を成し遂げた達成感のほうが今の小枝子をより匷く圌女を支配しおいるようだった 

No.346 08/04/15 18:09
ヒマ人0 

>> 345 ✂26✂

♪緊匵感挂う宀内には堎違いな可愛いらしい電子音が響いた はゆっくり瞊方向に軌道を進めた 

そうだ そのたた そのたただ

迷圩男は祈るようにの軌道を眺めおいた その時䜙りの緊匵感で小枝子のを抌す手が埮劙に狂った

は早いたずい

小枝子が思わず心で声を䞊げたは目暙より少し手前で停止するず口を開き掎む態勢に入った

だ駄目このたたじゃ玫の飛鳥様の胎䜓郚分を吊り䞊げおしたう倱敗だ

『 残念ですね この䜍眮だずで吊り䞊げる事は䞍可胜私の勝ちですな』

片桐が高笑いを始めた 

『黙れ䞻はただ降りおない勝負はただ終わった蚳ではないぞ』

迷圩男が片桐を睚み付けたしかしは片桐小枝子の予想通り胎䜓郚分をず掎んだ

『む無理だよどうしよう倱敗しちゃったおじさん』

『銬鹿少女最埌たで自分自身を信じろ信じるんダァヌッ』

からず玫の飛鳥の瞫いぐるみが抜け萜ちた

だ駄目

No.345 08/04/15 17:48
ヒマ人0 

>> 344 ✂25✂

『いいか少女 この台のは萜䞋時に巊斜めにずれおいく癖がある 予め目暙より少し右寄りでを止めろ』

『ううん 解った けど玫の飛鳥様の䞭には重りが入っおるわ が耐えれるかな 』

『萜䞋さえ間違わなければ倧䞈倫だ 萜䞋目暙は瞫いぐるみの右脇ず巊頚郚これを倖すずたず吊り䞊げる事は出来ないいいか慎重にな 最埌は自分自身を信じる事だ 少女ならやれる自信を持぀んだ』

迷圩男のに䞀床倧きな深呌吞をするず小枝子は100円硬貚2枚をず機械の䞭に投じた 蟺りが静たり返った 誰もがその異様な緊匵感ず雰囲気に呑たれおいた 

たず右→① 萜ち着いお小枝子 

小枝子の指がに掛かった心臓の音がず聞こえた ♪電子音が枇いた宀内を埋め尜くした 

ここだぁ

は玫の飛鳥の手前で芋事蚈算通りに止たった

『よ完璧だ巊右はこれ以䞊の䜍眮はない』

思わず迷圩男が拳を突き䞊げた 

『問題は前埌の䜍眮だ これで党おが決たる』

小枝子は䞀床唟を飲み蟌むず↑②を抌した

No.344 08/04/15 17:22
ヒマ人0 

>> 343 ✂24✂

『 ようやく来たねお嬢さん 銖を長くしお埅っおたよ』

翌日小枝子ず迷圩男は玫の飛鳥様があるあのの玄関をくぐった 奥から脳倩気な顔付きで片桐が姿を珟した 

『いいかいお嬢さん 200円だたったのでこの玫の瞫いぐるみを匕き䞊げおみたたえたぁ100無理だろがね 』

い぀の間にか小枝子の回りには人だかりが出来おいた 

『おや 埌ろの男は助っ人かいおやおやを頌むのかい いくら達人にを受けた所で所詮を抌すのはお嬢さん 繊现で埮劙なの萜䞋角床が解りきるずも思えたせんなぁ 』

『少女盞手の挑発には動揺するな今は集䞭だ昚倜のを静かに脳裏に思い浮かべるのだ 』

『ううん解ったおじさん 』

迷圩男は小枝子の緊匵をほぐそうず優しく蚀葉をかけた 

『さぁでは始めたしょうか UFO䞀発勝負 』

嫌味な片桐の合図で小枝子はゆっくりず玫の飛鳥が䞭倮に静かに眠る台の前に立った

No.343 08/04/15 16:52
ヒマ人0 

>> 342 ✂23✂

『おじさん 』

『少女 䜕故僕がここたでの達人ず呌ばれるようになったのか解るかそれは毎日が真剣勝負だったからだ 圓時金持ちで䜕でも買っお貰える玚友達を芋おいお僕は思った 自分は貧乏だ 貧乏は貧乏なりに金持ちず同じように䜕ずか幞せを勝ち取りたい それがその䞀途な想いがの道ぞず僕を駆り立おたのだ 䜕千円も払えば簡単に手に入れれる玩具を持぀金持ち達を芋お痛感した 貧乏な僕が残された道はただ䞀぀この200円ずいう虎の子の金であい぀らず同じ物を手に入れおみせる事それが今の私の党おなのだ 』

『あ 熱いですね 盞圓 』

小枝子は迷圩男の話を真剣に聞いおいた 

『ずにかく おじさんはに察する愛情が半端じゃありたせん だからこそ私はこの勝負にはおじさんが おじさんのその熱いが必芁なんですよどうかお願いしたす私のそばでしお䞋さい』

迷圩男は店員にのお代わりを頌んだがお金払っお䞋さいず芋事に断られた 

『お願いしたすおじさん』

『  良かろう 少女の熱いに免じお助倪刀いたす』

No.342 08/04/15 16:34
ヒマ人0 

>> 341 ✂22✂

『片桐の芪父ず玄束しおしたったの もし片桐の芋おいる前でたった䞀回きり200円だけで玫の飛鳥様を吊り䞊げる事が出来たならあの芪父は今迄の行いを悔い改め謝っおもいいず 』

『なぬ で少女は呑んだのかその玄束 』

小枝子は銖を瞊に振った 

『ねぇおじさんおじさんのあの目を芋匵るの極意を私に䌝授しおお願いしたすこれはUFOを愛する人達の未来をかけたたった䞀床の最初で最埌の真剣勝負おじさんのがないず私 私 お願いしたすおじさん』

小枝子は深々ず頭を䞋げた 暫く沈黙が続いた 迷圩男はじっず腕組みをしながら目を぀むっおいた 

『 貧乏だったんだ 』

『 はい』

『僕のは超が䞃぀皋぀くくらいの貧乏家族でな 䞡芪がくれるのは二ヶ月に䞀床のたった200円のお小遣いだけだった しかし僕にはそのお小遣いの日が楜しみで楜しみでならなかったのだ 』

迷圩男は目を閉じながら幌少期の話を始めた 

『その頃ちょうど流行っおいたんだよ こい぀がな 』

迷圩男は小枝子の目の前でのを掎む真䌌をした 

No.341 08/04/15 11:42
ヒマ人0 

>> 340 ✂21✂

『ほぅ これが○ずいう飲み物 に䌌おいるな 』

店の階の番端の垭に小枝子ず迷圩男は座った 

『おじさん ごめんなさい 倉態だなんお蚀っちゃっお私 』

小枝子は申し蚳なさそうに頭を䞋げた 

『少女 謝る事はない 玛れもない事実だからな はっきり蚀おう僕は倉態だしだ 』

小枝子は少し埮笑んだ 

『やっぱりあの片桐の芪父 しおたの景品に现工しお簡単に吊り䞊げられないように瞫いぐるみの䞭に重りを入れおね酷いず思いたせん』

『 僕の思った通りだ 以前からの景品にはどこか䞍審な点が沢山あったからな 』

迷圩男はを抜き取るず党䜓をず舐めた 

『おじさん私悔しいんです玫の飛鳥様が取れなかった事よりもみんなが楜しむUFOにあんな酷い现工しおるっお事が今たでもあの芪父に泣かされおきたお客さんだっおかなりいるはずだし だからお願いおじさん仇を取っお』

『仇ずは 穏やかではないな少女 僕にどうしろず蚀うのだ』

小枝子は身を乗り出しお迷圩男を芋぀めた 

No.340 08/04/15 11:12
ヒマ人0 

>> 339 ✂20✂

あ 䜕凊に居るの おじさん

䜕の手掛かりもなく幟日か過ぎた頃捜玢を続ける小枝子に思わぬ奇跡が起こった 

お おじ さん おおじさん

隣町の小さな商店街のに男はいたに迷圩柄の服黒い巟着袋に時折あげる奇声 それは間違いなくあの男だった 

『おじさんおじさん私です私』

小枝子は○のの台を真剣に眺める迷圩男の埌ろから肩を叩いた

『 ん 誰だ』

『嘘解るでしょほらえず あ玫玫の飛鳥様の』

『おオォあの時の少女ではないか』

迷圩男の持぀巟着袋の䞭には盞倉わらず凄い数のの景品が入っおいた 

『こんな所で䜕をしおいる しおその埌あの小僧は確保出来たのか』

『 ごめんなさい おじさん 』

『䜕を謝っおいるのだ 少女に謝っおもらう筋合いはないが それよりほら芋おみなさい○が 』

『ちょっずいいかな おじさん 奢るからさ付き合っおよ 』

小枝子はそう蚀うず迷圩男の袖を掎みから出た 

No.339 08/04/14 20:52
ヒマ人0 

>> 338 ✂19✂

『身長は165㌢くらいで䞞坊䞻い぀も掟手な迷圩柄の服を着お黒い巟着袋を担いでる目茶苊茶UFOが䞊手いちょっず危ない倉なおじさんなんです知りたせんか』

次の日から小枝子は千葉県内のを次々蚪れあの迷圩男を捜し回った 

『さぁ 知らないこの店には来た事ないかな 』

『そうですか 』

小枝子はあの日の哀しそうな迷圩男の最埌の目を思い出しおいた 

おじさん あの時きっず きっずおじさんは党郚解っおたんだよね なのに私 おじさんに冷たく圓たっおしたっお ごめんねおじさん 

に腰を降ろすず小枝子は人の䞭身を芋抜けない自分自身が情けなくなった 

 逢いたいな おじさん 今の私には おじさんの力が必芁なの あんな芪父が二床ずあんな酷い事出来なくする為には おじさんの力が必芁なの お願いおじさん力を貞しお䜕凊にいるのおじさん

小枝子は決意した あの迷圩男を捜し出し片桐にする日が来るたでは絶察に諊めないず 

No.338 08/04/14 20:36
ヒマ人0 

>> 337 ✂18✂

『そそんな事しおおじさん 良心が咎めないんですかUFOを楜しむのは䜕も私みたいな孊生や倧人ばかりじゃないんです人気を吊り䞊げようず健気に頑匵る小さな子䟛だっおいるんです なのにこんな 酷い酷すぎる』

『䜕ずでもいいなさい 䞀方で原䟡䜕円ずもかからないこんなな景品欲しさに目が眩み必死に金を泚ぎ蟌む銬鹿な倧人だっおいるんです ここは私のお店です私が䜕をしようず私の自由なんです 』

片桐は小枝子を睚み付けた

『悔しいかいそうだろうね 悔しかったらほれ取っおみなさいよお嬢さんの愛しの玫の飛鳥様をね』

『鬌悪魔信じおたのに 優しいおじさんだっお今の今たで信じおた私が銬鹿だった』

小枝子は䜕も出来ずにただ悔しさず怒りが混じり合っお自分をどう制埡すればいいのか解らなかった 店の玄関を飛び出した小枝子は泣きながら走り出した 

 このたたで枈たさないを心から楜しむ人達の為にも絶察に絶察に蚱さない

No.337 08/04/14 19:56
ヒマ人0 

>> 336 ✂17✂

たさか そんな酷い事 しないよね 

小枝子は垞連客の蚀葉がずっず匕っ掛かっおいた 片桐さんを信じたいけど確かめたい その日から小枝子は他のをするをしながらそれずなく埓業員の片桐を監芖しおいた 

 う嘘でしょ そそんなぁ

数日埌の閉店間際の客が誰もいないにいた片桐に小枝子は目を疑ったなんず片桐はの人気のあるず思われる景品の瞫いぐるみの䞭に䜕やら黒い物䜓を入れ蟌んでいるではないか

そそんな 酷いみんなが倧事なお金で頑匵っお必死で吊り䞊げようずしおる景品の䞭に重りなんお あんなのい぀たで経っおも無理じゃないああのお客さんの蚀った事だったんだ きっず玫の飛鳥様の䞭にも ゆ蚱せない

小枝子の䞭で怒りの炎が燃え䞊がった

『芋たよおじさん瞫いぐるみの䞭に䜕入れおるの』

小枝子は片桐の前に仁王立ちしお䞍穏な動きをする片桐を睚み぀けた開き盎ったのか片桐は詫びる様子もなく信じられない蚀葉を小枝子に攟った

『これがどうかしたかいお嬢さん 店の景品をどう扱おうか私の勝手だよ』

No.336 08/04/14 19:37
ヒマ人0 

>> 335 ✂16✂

たた駄目ずもしないじゃん

その日から小枝子の孀独な戊いが始たった 䞀日500円以内ず決めお毎日のように玫の飛鳥が静かに䜇むそのに足を運んでいた 

『どうだいお嬢さんお目圓おの瞫いぐるみはただ取れないのかい』

぀いた顔付きで片桐が近付いおきた 

『 おじさん もう限界 私の虎の子の䟘しいお小遣いが底を぀いお来た  』

『 どうしたんだい最初の嚁勢の良さは たぁ頑匵りなさい 』

こんなにたで泚ぎ蟌んでるのにこのお店に貢献しおるのに 䜕か冷たいんだよな 

顔では優しく振る舞っおくれるがどこか冷たい片桐に小枝子の心は次第に萜ち蟌んでいった 玫の飛鳥が吊り䞊げられぬたた数日が過ぎた頃通い詰めおいるの垞連客から小枝子は奇劙な噂を聞いた 

『うそ 嘘でしょそんな事 』

『だよ担圓の埓業員が瞫いぐるみの䞭に重り入れおるの俺この目で芋たんだからありゃ詐欺だぜ詐欺』

小枝子は信じられなかった たさか片桐さんがそんな事 

No.335 08/04/14 16:58
ヒマ人0 

>> 334 ✂15✂

『ほぅ この少女の為だずぉそんな䞊蟺だけの冗談をよくもず口に出来たものだ』

迷圩男は片桐の胞倉を掎んだ

『ちちょっず止めおよおじさん暎力反察片桐のおじさんは私の為を思っおこうしお玫の飛鳥様を取り眮きしおおいおくれたんじゃないそんな優しい人の事悪く蚀わないでおじさんこそ䜕よいきなり倉な栌奜で珟れお倉な事ばっか蚀っお 少しはが䞊手いからっお調子に乗らないでよ』

小枝子は片桐にかかった迷圩男の手を解くず咳蟌む片桐に倧䞈倫ですかず優しく呟いた 

『し少女隙されおはいけないいいかよく聞け が』

『おじさんの話なんか聞きたくいどっか行っおよ』

小枝子の䞡手は迷圩男の身䜓を凄い力で抌したず迷圩男は飛ばされ灰皿の角で頭を打ち付けた

『  そそうか 少女 僕の話を聞いおはくれないのか 』

『そうよどっか行きなさいよこの倉態UFOおたく』

迷圩男はゆっくりず立ち䞊がるず巟着袋を肩に抱え小枝子の顔を䞀床芋るずそのたた店から立ち去っおしたった 

No.334 08/04/14 12:05
ヒマ人0 

>> 333 ✂14✂

『今䜕ず蚀った 商売だからお金を䜿っおもらわないずだずぉ䞻貎様確かに今そう蚀ったな』

迷圩男は小枝子ず片桐の間にず割っお入るず片桐を睚み付けた 

『そそうだよ それの䜕が悪いんだ 普通にいずも簡単に景品取られちゃぁ商売䞊がったりでしょうが 』

『ちちょっず止めおよ 口出ししないでよおじさん』

小枝子は二人の倧人の険悪な雰囲気に割っお入った 

『聞き捚おならん 僕は玍埗いかんぞ䞻』

『郚倖者のにずやかく蚀われる筋合いはないよそれにほらこうしおこのお嬢さんの為にだけこの瞫いぐるみを残しおあげたんだ 感謝されおも非難される芚えはないがね』

片桐ず迷圩男は玙䞀枚入るか入らないかずいった間隔で睚み合いを続けた 

『䞀筋20幎のこの僕を芋くびるなよ䞻少女を隙せおもこの僕の目は欺けはしないぞ䞻』

迷圩男はゆっくりの機械の前に仁王立ちした 

『䜕なんだお嬢さん このれた男は 知り合いか』

『いいぇ 昚日初めお ちょっず倉わっおるんです気にしないで䞋さい 』

No.333 08/04/14 11:30
ヒマ人0 

>> 332 ✂13✂

『 お嬢さんが狙っおいたあの玫の瞫いぐるみならただあるよ 』

『 え ほに』

小枝子の垂れた重い頭が䞀気に持ち䞊がった

『の機械が調子悪くおね あの台毎昚日業者に修理に出したんだよ あの玫の瞫いぐるみならほらあの隅のの台に移しおある 』

片桐の話しが終わるや吊や小枝子はず䞀目散にそのの機械に駆け寄った 

『 あ あったぁ 私の愛しの玫の飛鳥様こんな店の片隅にず眮かれお 䜕ずもおいたわしや 』

たるでに食られた宝石を穎が開く皋芋぀める女性の劂く小枝子は䞀瞬にしお幞せに包たれた 

『あ 有難うおじさん私が欲しいっお蚀っおたから玫の飛鳥様だけこっちの機械に移しおおいおくれたんですよね 有難う に有難う』

『 も商売だからね お金䜿っおもらわないずね 』

店の事情はどうあれ小枝子には玫の飛鳥ず再䌚出来た事が取りあえず嬉しかった 

『聞き捚おならんな 䞻 』

突然あの迷圩男が口を挟んで来た 

『ん 誰』

No.332 08/04/14 10:55
ヒマ人0 

>> 331 ✂12✂

『 少女 残念だが目暙は既に猛者により確保されたようだ 』

『 う嘘 たった䞀䜓しかない む玫の飛鳥様 だったの に あんなに探し求めお やっず  』

小枝子は厩れるように膝から萜ちた 小枝子はあたりのでそこから動く事すら出来なかった 

『 たかが されど ずいう事だ少女 この䞖界はたさに生きるか死ぬかの真剣勝負はたさに箱の䞭の小さな戊堎なのだ 悔しいだろうが仕方あるたい 少女はよく戊った 諊めよ少女ほら僕がさっき確保した《いたずら○》の瞫いぐるみを進呈しよう だから元気を出せ』

小枝子の䜙りの意気消沈ぶりに迷圩男はかける蚀葉を倱い぀぀あった そしお同時に迷圩男は今たでこれほどたでにに呜をかけた人間は自分以倖芋た事がないず半ば驚きを隠せなかった 

『どうしたのお嬢さん そんな所で寝そべっお 』

ふいに声をかけおきたのは幎配埓業員の片桐だった 

『 ずず 取られちゃったんです 私の愛しの玫の飛鳥様䜕凊の誰だか解らないけど 超KYの卑怯者』

小枝子は肩を萜ずした 

No.331 08/04/14 08:45
ヒマ人0 

>> 330 ✂11✂

『 少女 やはり来たか』

玫の飛鳥のUFOに向かおうずした矢先背埌から聞き慣れた声がした 

『 おおじさん』

振り向くずそこに䟋の迷圩男が昚日ず党く同じ身なりで立っおいた 

『来るず思っおいたぞ少女やはりあの小僧を諊め切れぬようだな 』

迷圩男はず笑った 

『ああのもうおじさんには頌りたせんから 気が散るんであっち行っずいおもらえたす』

『ほぅ 自らの力で小僧を吊り䞊げるずいうのだな  そうだその気合いこそが達人ぞの道の第䞀歩だ』

『ああのねおじさん 私は別にの達人になりたいなんおこれっぜっちも思っおたせんから 私はただこの玫の飛鳥様さえこの手に抱きしめさえすればそれでいいんです 超満足なんです』

迷圩男は䜕も蚀わず腕組みをするず黙っおの䞭の景品の山を芗き蟌んだ 

『 ここれは』

の台の䞭を芗き蟌んだ迷圩男の驚いた顔に小枝子も思わず動揺した そしお次の瞬間小枝子の目に飛び蟌んできた事実 

『 なない む玫の飛鳥様の瞫いぐるみが なな無くなっおる』

No.330 08/04/13 17:34
ヒマ人0 

>> 329 ✂10✂

あん私の愛しの玫の飛鳥様どうか誰のものにもなっおいたせんように

孊校にいる間も小枝子の心は萜ち着く事がなかった 珟囜の教科曞を頭に乗せ祈るような気持ちで小枝子は時間目終了のを埅った 

『おい小枝子今からみんなで行くんだけどお前も行くだろ』

『行かない 悪いけど垰るじゃね』

真の誘いを断り掃陀圓番も友達に任せるず小枝子は急いで鞄に教科曞を詰め蟌み孊校を飛び出した 

飛鳥様 飛鳥様  お願い今日も無事再䌚出来たすようにあの爜やかな笑顔に䌚えたすように

小枝子は電車に飛び乗るず䜕床も祈りながら隣り街にある䟋のに向かった 20分埌にに到着した小枝子は財垃の小銭を確認した 

神様私神厎小枝子断腞の思いで宝物だった挫画ずCDを党お売りに出しおお金に替え党身党霊を玫の飛鳥様に捧げる決心を臎したしたどうか小枝子のこの想い 優しく受け取っお䞋さい

小枝子はよしず拳を握り締めるず玫の飛鳥が入っおいるUFOの台に向かった 

No.329 08/04/13 07:17
ヒマ人0 

>> 328 ✂✂

『た たさか 私に取れなんお蚀わないでしょうねおじさん 』

小枝子は迷圩男の鬌気迫る目に䞍安を擡げた 

『 これでも私はの達人だ 䟝頌人ず目暙確保の契玄を亀わすずなるず莫倧な報酬を貰わねばならん 今の少女にそれほどの報酬が払えるずも思えんからな しかしここで䌚ったも䜕かの瞁少女が頑匵っおこの小僧確保に粟進するずいうのなら埮力ながらこのの達人の僕が報酬は無料で力になろうではないかどうだ』

『あ あのおじさん そそんな倧局な事ではないんですよ ただおじさんがず手っ取り早くこの玫の飛鳥様を私に取っお頂けたならそれでいいんで  』

小枝子は話せば話す皋疲れおくるこの奇劙な迷圩男に次第に䞍快感を芚え出しお来た 

『初察面でこんな事を蚀うのは悪いが少女 そんなやわで䞭途半端な気持ちの持ちようではこの難航䞍萜の小僧の瞫いぐるみは確保出来ないぞ悔しかったら人に頌らず根性芋せお自らの手で栄光を勝ち取っおみろ』

『もういいです 解りたした おじさんには頌みたせんから 』

小枝子は諊めるずゆっくり玄関に歩き出した 

No.328 08/04/13 06:57
ヒマ人0 

>> 327 ✂✂

『おじさんお願いです 私千葉県内を探しに探しおやっずの思いでここで䞀䜓だけ玫の飛鳥様を芋぀けたんです毎日取れずに諊め家に垰っおも他の誰かにこの飛鳥様を吊り䞊げられるんじゃないかっお䞍安で䞍安で倜もろくに寝れないんですっおばだからどうか どうか私のこの䞀途な願いを聞いお䞋さい』

小枝子は半ば泣きそうになりながら迷圩男に懇願した 

『  なるほど 悲痛な願いだな少女 瞫いぐるみ䞀぀にここたで呜をかけれるなんお たるで俄虫しゃらに青春を駆け抜けた昔の若い僕を芋おいるようだ 』

迷圩男は暫く腕組みをしながら思案するず小枝子の肩を叩いた 

『ず取っおくれるのおじさん玫の飛鳥様を』

『 いいか少女よく聞け 人間䜕事も蟛い険しい苊劎があっおこそ最高の幞せが蚪れるものだ 』

『はぁ  で』

『僕がここであの小僧をいずも簡単に吊り䞊げたずしよう 少女はそれで本圓に満足だろうか 』

『はい ずおも満足です』

『いや違うそれは本圓の満足感達成感ではない』

小枝子はたた銖を傟げた 

『本圓の満足感ずは自らの手で勝ち取るものだ』

No.327 08/04/13 06:34
ヒマ人0 

>> 326 ✂✂

『いいか少女 あの小僧の瞫いぐるみをもう䞀床よく芋おみたたえ』

迷圩男は立ち䞊がるず玫の飛鳥の瞫いぐるみを指差した 

『身䜓は完党に浮いおはいるがほぅら 瞫いぐるみに付いおいるが䞋の瞫いぐるみに絡み付いおいるのだ 』

小枝子はそれがどうしたのず銖を傟げた 

『ただ解らんのか぀たり身䜓の郚分がうたく持ち䞊がったずしおもだあの絡み付いたのせいでいくらで匕き䞊げようずしおも䞋の瞫いぐるみの重みでおそらくあの小僧は萜ちおしたう 』

『 じゃあ぀たりあのの郚分を倖さなきゃいけないっお事そんなの お金が幟らあっおも足りないじゃない』

小枝子は迷圩男に詰め寄った 

『だから僕はさっきあの小僧を吊り䞊げるのは無理だず蚀ったのだ僕はこう芋えおも癟戊錬磚のの達人 本圓の達人はな負け戊はせんのだ諊めたたえ少女ほれ代わりにこれを進呈しよう 寅のしたじ○うの可愛い瞫いぐるみだ』

迷圩男は巟着袋からさっき獲埗した戊利品の瞫いぐるみを小枝子に差し出した 

『い芁らないです 寅は 私は飛鳥様が 』

No.326 08/04/12 14:31
ヒマ人0 

>> 325 ✂✂

『これなんです 』

小枝子は迷圩男を玫の飛鳥があるUFOの前に連れお来た 

『  あの玫の小僧の瞫いぐるみか 』

小僧っお䜕よ小僧っお 倱瀌な 飛鳥様よの窪内飛鳥様

『䜕回やっおも取れないんですけど私どうしおもあの玫の飛鳥様が欲しいんです だからその おじさんの腕を芋蟌んで代わりに取っお頂けないかず  』

迷圩男は腕組みをしながら暫くじっずその瞫いぐるみを眺めおいた 

『お願いできたすか』

『  』

迷圩男はの噚械の呚りを䞀呚するず険しい顔付きで蚀葉を発した 

『少女 結論から蚀おう あの小僧を確保するのは無理だ』

『え む無理っおそんなぁ どうしおですかあんなに身䜓も浮いおるし さっきのおじさんの腕ならいずも簡単に 』

『甘いな少女 に糖かけお食べる䜍甘い』

迷圩男はゆっくり偎の怅子に腰掛けた 

『甘いっお どうしお出来ないんですか』

小枝子は䞀気に意気消沈した迷圩男に詰め寄った 

『いいか少女 UFOはそんなに甘いもんじゃない 生きるか死ぬかの䞖界だ』

No.325 08/04/12 14:04
ヒマ人0 

>> 324 ✂✂

『あ あのぅ 』

小枝子は迷圩男の暪に立぀ず䞍安げに声をかけた 

『 ん 䜕だ少女 この僕に䜕か甚か』

し少女っお  

芋るからに奇劙な男だった 頭はでどこの囜の物か解らない腕章を぀け人䞀人したい蟌める䜍の黒い巟着袋を肩にかけた誰がどう芋おも《あぶない奎》の象城ずもいえる男だった 

『あ 凄いですね 』

『 䜕がだん蚀っおみたたえ このした身なりがか』

迷圩男の軍人口調はどこか嚁圧感があった 

『いやその UFO 党郚䞀回で  実は芋おたした 』

小枝子は頭を掻きながら出来るだけ䞋手に出ようず決めた 

『圓然だ僕を誰だず思っおるんダァヌ』

いきなりの倧声に小枝子は驚いお耳を塞いだ

『お そそんな倧きな声を出さなくおも聞こえたすからで誰なんですかおじさんは』

『 名乗る皋の者ではない 』

䜕よそれ さっき誰だず思っおるんお蚀ったじゃん 

支離滅裂な䌚話に小枝子は頭が痛くなりそうだった 

『で 僕に䜕の甚だね少女 』

『あの 実はですね 取っお貰いたいの景品がありたしお 』

No.324 08/04/12 13:28
ヒマ人0 

>> 323 ✂✂

す凄い 凄くないあれ 

目を䞞くした小枝子は玄関を出るのを䞀旊止めるず䞡替械に身を朜めその迷圩男の様子を暫く眺めおいた 迷圩男は数あるの噚械を物色するようにゆっくりず芋お回りそしおいきなり立ち止たるず店内に響き枡らんばかりの倧きな声を出した

『次の目暙確認孫○空の右手掛け発射』

お金を入れのが動き出した 

『 ここだぁ』

迷圩男は䞋降を抌したは芋事にの右手郚分に匕っ掛かるずず共にゆっくりず宙に浮いた

『確保ぉ芋事孫○空確保』

迷圩男はの物たねをし高らかに拳を突き䞊げるず呚りをも気にする事なく吠えおいた 

 な䜕 す凄い だ にも がいたんだ

今の小枝子にはその奇劙な迷圩男の気持ち悪さよりも確実に目暙を捕え䞀発で成功させるそのの腕にただただ驚愕しおいた

これよ 圌だわ 圌しかいない私の王子様

小枝子は迷圩男に近付いた 

No.323 08/04/12 13:04
ヒマ人0 

>> 322 ✂✂

『どうしおも売っおくれないの』

『あぁ 欲しいなら取るしかないね 』

『私 飛鳥様を取る為にもう幟ら䜿っおるず思っおんですか 』

片桐は私には関係ないずいった顔で䞍粟を指で敎えるず勝ち誇ったような顔぀きでに去った 

毎日あしげく通っおる垞連にこんな仕打ちっおある じ地獄に堕ちちゃえだ

小枝子はたた深いため息を぀くず床に眮いたたたの鞄をゆっくりず担いで肩を萜ずしの玄関を出ようずした 

 ん

『目暙確認右斜め前方の俯き加枛の○』

小枝子の耳に倧きな声が入っお来た 小枝子はその倧きな声の方を向いた 

ぞ 

そこには党身迷圩柄の掟手な服を着た40前埌の奇劙な男性が立っおいた どうやら人気のUFOをしおいるみたいだ 

 あんな倧の倧人が真剣に  銬鹿みたい

小枝子は玄関を出ようず扉を開けた瞬間たた迷圩服男の倧きな声がした

『よし目暙確保』

その瞬間芋事に○が宙に浮いおいた 

No.322 08/04/12 12:20
ヒマ人0 

>> 321 ✂✂

 私の愛しの飛鳥様 

真が呆れお垰った埌も小枝子はずっずのUFOの噚械のに顔を抌し付け名残り惜しそうにその瞫いぐるみを芋぀めおいた 

  あの愛しの玫の飛鳥様を私のこの手の䞭に抱きしめさせおくれる王子様 䜕凊かに居ない 

先月UFO限定の玫の飛鳥があるず知人に聞いた時から小枝子は地元千葉県内のありずあらゆるを探し回っおやっずの思いで玫の飛鳥が䞀䜓だけ入っおいるこののを芋぀けたのだ 

 こんな目の前にいるのに私の思いが 手が届かないなんお たるで甘酞っぱい片思いね  

噚械に向かっお蚳の解らない事を呟く小枝子を他の客がず眺めおいた 

『苊戊しおるようだねお嬢さん 』

意気消沈する小枝子に声をかけたのはこのの担圓の片桐ずいう幎配埓業員だった 

『おじさん お願いこの玫の飛鳥様私に売っお䞋さい死ぬ皋手に入れたいんです』

『 悪いがお嬢さん それはUFOの景品だ 売る蚳にはいかない 』

No.321 08/04/12 11:42
ヒマ人0 

>> 320 【⑰】掎む男


✂✂

『あんもう少し右だったじゃん䞋手くそ』

女子䞭孊生の小枝子はどうしおも《超電子戊蚘飛鳥》の瞫いぐるみが欲しかった しかし無情にも最埌のお小遣いの200円はその想いず共に泡ず消えおしたった 

『絶察取っおやる任せろっお蚀ったのは䜕凊の誰よ責任取っおよね真』

『 んな事蚀われおも 』

小枝子の同玚生で幌なじみの茂田井真たこずはずため息を付いた 

『だいたい こんな瞫いぐるみ店で買えばいいだろ いちいちUFOなんかで取らなくおもさ 』

『解っおない 真本圓に解っおないよ いいこの玫の飛鳥は激なのでも番人気のこのUFOでしか取れない究極最高のお宝なのよ』

『 し知らねぇよ んな事興味ねぇもん 』

真は垰るわず鞄を背負った 

『ちちょっず埅っおよ取っおくれないの』

小枝子は真の袖を持ち匕っ匵った 

『自分で取りゃいいじゃんかこんな事人に頌むなっお』

『 酷い 私がUFO䞋手なの知っおるくせに』

No.320 08/04/11 13:59
ヒマ人0 

>> 319 ⚟44⚟

《傍高の䞉幎間は最高でした 友達の倧切さを孊び野球の玠晎らしさに感動し そしお叶えられなかったけど自分の倢を芋぀ける事が出来たした 先生や䞡芪友達や郚員みんなみんなに感謝感謝で䞀杯です 》

培の目から涙が溢れた 

《あもしかしおこの蟺りで泣いおたりしおいちゃんの泣き虫》

培は思わず照れながら涙を拭いた 

《でもね そんなちゃんが 》

『 ん』

《そんなちゃんが ちゃんが 》

『  』

培は唟を飲み蟌んだ 

《そんなちゃんが倧奜きですこれからもきっず 人生補欠だっお倧奜きです 》

ば銬鹿 

《さぁ立お銙坂培早く》

ぞ 立 ぀

矎䜳はその堎で培に立っお打者のように構えろずで指瀺した 

《今から人生の延長戊に入りたす》

『 な 䜕なんだ』

《⑊番蒲地君に代わりたしお 代打銙坂君背番号16》

み 矎䜳 ありがずう 矎䜳

地平線に真っ赀な倕日が静かに萜ちた 


10回の裏完

No.319 08/04/11 13:39
ヒマ人0 

>> 318 ⚟43⚟

《 ちゃんがぁこのを聎いおるっお事はぁ  我が青春の母校沖瞄県立傍野南高等孊校は芋事柿添商業に負けちゃったっお事 圓たり》

『  み矎䜳 』

培はじっず耳を柄たせお矎䜳の声を聎いおいた 

《実はねちゃん 矎䜳はもうすぐ喉の手術に向かいたす 残念な事に今日は傍高の倧事な倧事な準決勝戊なんだけど こんな事になり悔しいけど仕方ないよね だからこの録音はちゃんが矎䜳の声を聞く事が出来る本圓に本圓の最埌になっちゃいたす  》

矎䜳 おお前 

《ちゃん 私の倢は報道になる事だった けどその倢もう叶えられそうにないから だったら最埌に この声が出るうちに郚員みんなにらしい事しおあげたいず思いたした かなり喉痛かったんだけど頑匵っお録音したした みんな 私の最埌の声聎いおくれたよね 決しお矎声ではないけどね 》

遠くで終業のがけたたたしく鳎った 培の瞌が熱くなった 

No.318 08/04/11 13:16
ヒマ人0 

>> 317 ⚟42⚟

ぅ 

廣沢から手枡されたのは䞀枚のだった 

『な䜕ですかこれ 』

培はの裏に曞かれおある文字を芋぀けた 

『《あの砂浜で 聞け》 な䜕の事だろ 《あの》っお䜕凊のだよ』

廣沢はそれだけ培に手枡すず惜しかったなずだけ告げお長い廊䞋に消えお行った 


⚟⚟⚟

矎䜳のお気に入りの倕暮れの砂浜はい぀もず倉わらぬ颚景で培を迎えおくれた 倕日が射す氎平線から䜕隻もの持船が長い持を終え枯に垰っお来る ぀い先週来たばっかりの矎䜳ず䞀緒でないその癜い砂浜は培にずっお䜕故か䜕凊か他の砂浜に芋えおならなかった 培は砂浜のど真ん䞭に腰掛けるず家の物眮から持っお来た叀びた銀色のに矎䜳のを差し蟌んだ 

《ちゃん元気私す䞊原の矎䜳ちゃんです》

『 わ解っおるっお 』

突然倧声で流れ出したの声に培は思わずでいた から流れる矎䜳の声に培は思わず笑った 同時にもう䜕幎も耳にしおいないような懐かしさず淋しさが亀錯した 

No.317 08/04/11 12:54
ヒマ人0 

>> 316 ⚟41⚟

『由兞の倧飛球は柿商のに䞀歩手前で 玍たっちゃった  あず䞀歩だったんだけどな 』

培の独り蚀に矎䜳の身䜓はずも反応すらする事なくただ呌吞機噚の音だけが郚屋䞭に挂っおいた 

『 なぁ矎䜳 あのたた傍高が同点に远い付いおさらに延長っお事になっおたずしたらさ 俺にも出番あったのかな どう思う』

培はすぐ目の前にある矎䜳の小麊色に日焌けした现く長い指に觊れようずしお止めた 

『みんな喜んでたぜ 幞も島も枡嘉敷兄匟も お前に名前呌んでもらえお しお貰えお 凄く喜んでたんだからな それで始たったんだから あの奇跡の10回の裏が 』

圓然反応のない矎䜳を芋お培は䞀床ず息を吐いた 

『 銙坂 培君だね』

突然背埌から声がしお培が振り向くずそこに矎䜳の䞻治医廣沢が立っおいた 

『はじめたしお 矎䜳ちゃんの喉の手術をした䞻治医の廣沢です 』

『 ははぁ 』

『ちょっず いいかな』

廣沢は培を廊䞋に呌び出した そしお詊合の延長であのが流された経緯を培に䌝えた 

『 矎䜳の奎  』

『矎䜳ちゃんから君に枡しお欲しい物があるっお これ 』

No.316 08/04/11 12:32
ヒマ人0 

>> 315 ⚟40⚟

開け攟した病宀から枇いた爜やかな颚が吹いお来る 

『おおばさん 』

『 ちゃん さ入っお』

䜕かをしおいないず萜ち着かないのか翌日培が矎䜳の病宀に芋舞いに行くず矎䜳の母芪はしきりに林檎の皮を剥いおいた それがすぐそばで死んだように眠る矎䜳に食べさせる林檎でないにせよ 

『 日間眠ったたんたなの たるで生きおないみたいでしょだけどちゃんず息はしおるのよ 』

粟神的疲劎からか矎䜳の母芪はたるで我が子を飌っおいた動物か䜕かのように䟋えた 

『あさっき柿添商業 甲子園出堎決たりたした 』

『 そう ごめんね 野球芋る暇なくお 』

培は今この堎で話す事でもなかったず埌悔した 昏睡状態で生死をさ迷う我が子の看病をする母芪にずっおそんな事どうでもいい事だ 培は身を乗り出しおじっず深い眠りに぀く䞊原矎䜳の顔を眺めた 喉元に巻かれた包垯以倖はい぀も芋おいたあの䞊原矎䜳の綺麗な顔だった 

『  矎䜳 ごめんな 玄束果たせなくお 負けちゃったよ 傍高 』

『  』

矎䜳の母芪は気を利かしたのか少し散歩に出るず蚀っお病宀を埌にした 二人きりの病宀にたた爜やかな颚が舞った 

No.315 08/04/11 12:10
ヒマ人0 

>> 314 ⚟39⚟

『 こうなっおしたった原因は実際の所私にもよく解りたせん 粟神的疲劎ず術埌の䞀時的興鬱状態から矎䜳ちゃんの身䜓に䜕等かの障害が加わっおしたったずしか考えられないんです 』

䞊原矎䜳の䞻治医である廣沢は矎䜳の䞡芪に圌女が昚日から昏睡状態に陥った経緯をこう告げた 

『咜頭癌摘出のは間違いなく成功したした 医者である私がこんな事を蚀うなどおかしな話なんですが 埌は圌女が 圌女自身が奇跡を起こすだけ ただそれだけです 』

灯にかけられおいた䞊原矎䜳の脳のMRI画像をず匕き抜くず廣沢はうなだれる䞊原矎䜳の䞡芪に頭を䞋げた 

『倧䞈倫だよ 矎䜳は匷いから 』

矎䜳の䞡芪は長怅子が䞊べられた埅合宀で肩を萜ずしおいた 

『 せ先生 』

矎䜳の父芪が自分達の前に静かに立぀具志堅ず銙坂培の姿を芋぀けた 

『 倧倉でしたね 』

具志堅は他に蚀葉が芋付からないのかただそう矎䜳の䞡芪に告げた 

『具志堅先生 残念でしたね 聎いおたした 』

『 いいや 遞手達はよくやっおくれたしたから 満足です 』

培は肩を萜ずしただうずくたりながら泣いおいる矎䜳の母芪をじっず芋おいた 

No.314 08/04/11 11:26
ヒマ人0 

>> 313 ⚟38⚟

枡嘉敷由兞はゆっくり構えに入った 

死塁 点差点 

『由兞繋いでいけ』

の培が喉が切れんばかりに打垭の枡嘉敷由兞に叫んだ

 頌む由兞 矎䜳の為に傍高みんなの為に 奇跡を起こしおくれ

から柿添商業の第球目が投じられた

 あ甘い

枡嘉敷由兞は甘く入ったを思い切り掬い䞊げた



球堎党䜓がその瞬間時間が止たった 枡嘉敷由兞が攟った打球は䌞び頭䞊を襲った

『たか』

柿添商業が背面に打球を远った球堎内が倧歓声に包たれた

『ぬ 抜けろ』

『は入れそのたた』

具志堅監督はじめ傍高が身を乗り出すように打球の行方を远った 党員の瞌に薄い入道雲が映り蟌んでいた 

よし入れ

培は思わず倩に祈ったその時初倏の青空に䞀瞬だけ䞊原矎䜳のあの笑顔が培自身の瞌に映り蟌んだ気がした 䞉幎最埌の野球郚の倏だった 

No.313 08/03/25 20:37
ヒマ人0 

>> 311 ⚟35⚟ 《番 島袋君》 柿添商業投手がに入るず塁走者比玀塁走者関谷がゆっくりを始めた  《♪抌せ  ⚟37⚟

『勝也よく球を芋ろ』

2-2ずなり具志堅がで指瀺を送るず番枡嘉敷勝也はず息を吐きゆっくりず構えに入った 

頌む勝也

で培は目を閉じ祈った 柿添商業が球目を投げた

『 ふん』

枡嘉敷勝也の鋭い打球はずなり䞉遊間に匟き返された

『しゃぁ』

党員が打球の行方を远った 

抜けた

誰もがそう思った瞬間枡嘉敷勝也が攟ったはした柿添商業のの䞭に吞い蟌たれおいた

《 》

『』

のはずうなだれた 塁ずなり球堎内は隒然ずなった 

『みんな䜕肩萜ずしおんだよ詊合はただ終わっちゃいないんだぜ』

培がいきなり立ち䞊がり党員に激を飛ばした 

『そそうだな 野球はからだ 』

『そうだ勝敗なんお最埌たで解らないんだ』

最埌たで声を出そうず党員が前に乗り出した

《番 枡嘉敷由兞君》

䞊原 奇跡を芋せおやる

No.312 08/03/19 13:07
ヒマ人0 

>> 311 ⚟36⚟

『ここ昏睡状態っお そそれどういう意味だ䞀䜓䜕があった』

電話越しの廣沢の倧きな声に赀城ず手塚は驚いた 廣沢はすぐ垰るずだけ告げるず悲痛な衚情で携垯電話を閉じた 

『廣沢先生 な䜕かあったんですか』

尋垞ではない廣沢の顔を芋お手塚が声をかけた 

『 矎䜳ちゃんの 䞊原矎䜳の容態が悪化したず病院から 』

『おし手術は成功したんじゃないのかい』

赀城が自分の事のように心配した 

『ずにかく電話では詳しい事は こここはお二人にお任せしたす僕は病院に戻りたす』

蚀うが早いか廣沢は攟送宀の扉を開けお廣沢は駆け出しお行った 

『 赀城さん』

手塚は赀城の蚀葉を埅った 

『ずずにかくあれだ 少女の方は先生さんに任せおよお俺達は今出来る事を必死でやり遂げるたでさ』

そうですねず手塚は頷いた 

頑匵っお矎䜳さん圌らだっお今必死に闘っおるのよ

手塚は䞀床深呌吞をするずの線集䜜業ず録音された矎䜳の肉声を堎内に流す䜜業に集䞭した 

No.311 08/03/19 12:23
ヒマ人0 

>> 310 ⚟35⚟

《番 島袋君》

柿添商業投手がに入るず塁走者比玀塁走者関谷がゆっくりを始めた 

《♪抌せ抌せ抌せ抌せ抌せ抌ぉせ》

傍野南高校から地響きのような合唱が始たった -からの球目島袋の構えがに倉わった

『な䜕ぃ』

『 いいやだぁ』

島袋は誰もが異衚を぀くを詊みた塁線に転がった打球を芋お塁走者比玀がをかけた柿添商業塁手はを諊め塁島袋をにした

『』

りワァ

『やったな島袋』

しおやったりの衚情で島袋がに垰っお来た 

『あず点あず点で远い付ける頌んだぞ勝也』

死塁 埗点差は点 

《♪番 枡嘉敷勝也君 》

䞊原のに枡嘉敷勝也がゆっくりず打垭に入った 

点差 䞀発出れば 同点

枡嘉敷勝也はをでず叩くず構えに入った 

『しゃ来い』

  • << 313 ⚟37⚟ 『勝也よく球を芋ろ』 2-2ずなり具志堅がで指瀺を送るず番枡嘉敷勝也はず息を吐きゆっくりず構えに入った  頌む勝也 で培は目を閉じ祈った 柿添商業が球目を投げた 『 ふん』 枡嘉敷勝也の鋭い打球はずなり䞉遊間に匟き返された 『しゃぁ』 党員が打球の行方を远った  抜けた 誰もがそう思った瞬間枡嘉敷勝也が攟ったはした柿添商業のの䞭に吞い蟌たれおいた 《 》 『』 のはずうなだれた 塁ずなり球堎内は隒然ずなった  『みんな䜕肩萜ずしおんだよ詊合はただ終わっちゃいないんだぜ』 培がいきなり立ち䞊がり党員に激を飛ばした  『そそうだな 野球はからだ 』 『そうだ勝敗なんお最埌たで解らないんだ』 最埌たで声を出そうず党員が前に乗り出した 《番 枡嘉敷由兞君》 䞊原 奇跡を芋せおやる

No.310 08/03/19 11:21
ヒマ人0 

>> 309 ⚟34⚟

『 す凄い 完党に入っちたったじゃねぇか 傍高の遞手 』

赀城が頭を掻いた 攟送宀でも廣沢手塚赀城が傍野南の驚異の粘りに目を䞞くしおいた 

『この声 圌女の声は圌らにずっおたるで魔法のおたじないなんですね 』

手塚が廣沢に蚀葉をかけた 

『えぇ 郚掻の幎間苊しい時も嬉しい時も励たされ続けお来た圌らにずっおの最高の掻力剀なんだず思いたす 』

手塚は廣沢の蚀葉に優しく埮笑んだ 

『赀城さん こんな無理聞いお䞋さっお本圓にありがずうございたす矎䜳ちゃんも傍高もみんな喜んでるず思いたす赀城さんのお陰です』

廣沢は線集䜜業䞭の赀城に頭を䞋げた 

『よよせやい に瀌蚀われる筋合いなんお  瀌なら手塚ちゃんに蚀っずくれぇな』

根は優しい方なんですよず手塚が付け足すず赀城は銬鹿野郎ず蚀っお照れ隠しをした 

さぁ埌は矎䜳ちゃんの為に奇跡を起こすだけだぞ傍高

廣沢が再びに目をやったその時廣沢の携垯電話が鳎った 

『はい廣沢です  はい は  え 䜕ですっお う嘘 ですよね』

No.309 08/03/19 10:58
ヒマ人0 

>> 308 ⚟33⚟

『くぉっ傍高魂』

枟身の力で振り切った関谷の打球は塁線を地を這うように鋭く切り裂いた

《》

りワァ

塁審刀が倧きなを芋せるず倧歓声が地響きのように兒玉した

『回れ回れ』

塁はじめの傍野南高校党員が総立ちずなり腕をず回した塁早乙女が生還した 塁比玀も塁を萜ずし入れ打った関谷は塁ぞをしお雄叫びを䞊げた

『芋たりォ』

関谷は泥だらけの顔で腰の蟺りで䜕回もを芋せた 

『凄いいけるぞ矎䜳の声がに火を付けちたった』

具志堅は手をず叩くず生還した早乙女ずした -なおも無死塁ずいう傍野南高校の倧ずなっおいた 柿添商業内野手はをずりに集たった 

『島袋いい球だけ狙い撃お』

を目深に被り䞻将番島袋がゆっくり打垭に向かった 

No.308 08/03/19 08:41
ヒマ人0 

>> 307 ⚟32⚟

『神颚だ  』

『え 』

『これが神颚なんだよ培』

順平の双子の匟関谷幞生が嬉しそうに培にそう蚀うず手にず唟を吐き䞀床気合いを入れ盎すずに歩み出した 

み矎䜳 お前い぀の間に たさか自分が近く声が出せなくなる事を予想しお 矎䜳

その時傍野南高校応揎からたた凄たじい歓声が䞊がった

《続いた途䞭から守備に぀いおいた比玀君も内野安打で繋げた塁傍野南最埌の最埌に執念の粘りを芋せたす》

『シャァよう繋げた比玀』

は正にお祭り隒ぎだった たるで矎䜳のが起爆剀になっおしたったかのように各遞手がただいける逆転出来るず信じお生き生きずしおいるようだった 

䞊原が 俺の名前を呌んでくれる 

関谷はゆっくり打垭に入った 

《♪番関谷幞生君 》

『しゃぁぁありがずよ䞊原』

䞊原のの声に関谷は打垭でを倧きく二床回すず構えに入った

『♪かっ飛ばせ幞生幞生♪』

柿添商業の投手が投球に入った

No.307 08/03/18 20:37
ヒマ人0 

>> 306 ⚟31⚟

攟送宀では手塚ず赀城が矎䜳のの線集に右埀巊埀しおいた 

『次は比玀君です』

『はいよ準備だ』

赀城は番で回から守備に付いおいた比玀雅人のを甚意した 

『でもこれっお凄いです 傍野南がどんな組み合わせ守備打順の巡り䌚わせにも察応出来るように遞手党おののが録音されおありたす 䜕癟ずいうを完璧に 党おを網矅録音するのはかなり時間がかかったでしょうね 』

『確かに 僕も初め圌女からこの話を聞かされた時たるで信じられたせんでした 圌女が我が身を削っおたでずっずこんな過酷な䜜業をしおいたかず思うず䜕だか これは圌女の傍野南ぞの愛情自分の存圚䟡倀を残す為の挑戊だったんでしょう 』

赀城ず手塚は改めおただ芋ぬ䞊原矎䜳ずいう女子高生の果おなき最埌のを感じずにはいられなかった 

『さぁお喋りは埌だ 次次』

赀城は矎䜳が録音した番打者関谷幞生のを探した 

矎䜳ちゃん 芋おるかい 君の倩䜿の声が今からに奇跡を起こすからね

廣沢は気合いを入れた 

No.306 08/03/18 19:55
ヒマ人0 

>> 305 ⚟30⚟

柿添商業の遞手の治療が終わり審刀団がに散った 

『よし始たるぞ』

傍野南高校点差を远う10回裏の攻撃が始たった 

《♪10回の裏 傍野南高校の攻撃 》

この回の先頭打者早乙女が打垭に入ったその時だった

《♪番 早乙女君》

傍野南が䞀斉に球堎攟送宀があるに芖線をやった

『おおい い 今の埌の声 』

『う䞊原の声 だよな』

『たたさか 䞊原なのか嘘だろ』

は党員総立ちになり驚いた 昚倜喉の緊急手術で今日歀凊にいないはずのあの䞊原矎䜳の声が確かにで流れおくるではないか

『か 監督』

培は具志堅ず顔を芋合わせただ驚いお蚀葉が出なかった 

『䞊原だ 確かに䞊原の声だあい぀䜕で』

枡嘉敷勝也も由兞も島袋も今井も党員がこの堎所にいるはずのないその䞊原のの声を確かに聞いたのだ 

《》

審刀の掛け声で詊合が始たった 

矎䜳 お前 

培が我に垰るず番早乙女が初球を前に運んでいた

『シャァ芋おろよ䞊原』

No.305 08/03/18 18:54
ヒマ人0 

>> 304 ⚟29⚟

『 事情はよく解りたしたがしかしそんな事この詊合で出来る蚳ないでしょうが 』

廣沢の必死の懇願に男性は困り顔でため息を぀いた 

『お願いしたす別にそんな事は駄目だず高校野球倧䌚芏玄には曞いお無いはずです』

『確かにそうですが  』

『 別にいいじゃないですか赀城さん 』

廣沢ず赀城ずいうその男性の䌚話に入っお来たのはさっき攟送宀にいた女性だった 

『あこの詊合の遞手を担圓させお貰っおいたす倧䌚の手塚ず申したす 』

手塚ずいう女性は廣沢に䞁寧に頭を䞋げた 

『お話聞こえおしたいたした 私に出来る事なら協力させお䞋さい 元はずいえば私だっお代圹なんですから 』

『あありがずうございたす』

廣沢はを取り出すず手塚ず共に攟送宀に入った 赀城は勝手にやっおよずいうをするず二人に続いお攟送宀に入っお行った 

『幞運な事に今詊合が䞭断しおいる所です 早く線集したしょうさ赀城さん』

手塚は赀城ず䞀緒にの䞭身を聞き始めた 

No.304 08/03/18 18:34
ヒマ人0 

>> 303 ⚟28⚟

10回衚が終了した 《》 肩を萜ずしお倱意に満ちた顔で傍野南高校はに匕き䞊げおきた 

『 ごめん みんな 』

蒲地がに謝った 

『 䜕蚀っおんだよ お前はよく投げたよここたで なみんな』

䞻将の島袋が気䞈に蒲地を慰めるず党員がそうだよず肩を叩いた 

『野球は最埌たで䜕が起こるか解らない玠晎らしいだ それに巡り逢えたお前らも最高に玠晎らしい経隓をしおきた 最埌たで諊めずに仲間達ず䞀緒に党力を出し切れ いいな』

円陣の真ん䞭の具志堅はにそう告げた 䞻審が具志堅の元に歩み寄っお来おさき皋の攻撃時に柿添商業の遞手がで足を怪我したずの事で治療に少し時間がかかるず報告しおきた 

『ずいう事だ 静かに埅お 』

は詊合再開たでに入った 熱戊に氎を差すように係員が敎地を始めた 

『点差  』

『終わった蚳じゃないぞ 俺達にはただ《10回裏》が残っおるんだ』

腕組みをしおため息を぀く関谷に培が蚀葉をかけた 

『あぁ 神颚なんお吹かないかなぁ』

関谷は倩を仰いだ 

No.303 08/03/18 18:02
ヒマ人0 

>> 302 ⚟27⚟

詊合はの延長戊に突入した 10回衚蒲地の疲劎はもはや限界に達し぀぀あった 先頭打者に四球を䞎え䜕ずかは取ったものの続く人の打者に連続死球を䞎えたたもや満塁のを迎えおいた 

『倧䞈倫か 』

『あぁ倧䞈倫 ここは意地でも抑えるから 』

蒲地は捕手枡嘉敷由兞にず背䞭を叩かれを解いた内野手が定䜍眮に散った 

《♪番奥村君 》

倧歓声ず共に回に逆転のを攟った柿添商業の䞻砲奥村がゆっくりず打垭に入った 

『監督 蒲地 もう限界なんじゃ 』

で培が具志堅に蚀葉をかけた 

『分かっおる しかし予遞の詊合は党おが投げ抜いお来たんだ ここたで来たらず心䞭だ 』

具志堅は片膝に肘を぀いおじっず戊況を芋぀めおいた 

《》

は0-3ずなった 柿添商業から歓声が䞊がった 

たずい もうは投げられない

蒲地が投げた球目のだった 

カキン

打った瞬間入ったずわかる打球は䌞びお枡嘉敷勝也の遥か䞊空に消えお行った 

No.302 08/03/18 17:19
ヒマ人0 

>> 301 ⚟26⚟

や やりなやがったなぁめ

運転䞭の廣沢も興奮の䜙り思わず拳を振り䞊げおいた 同時に車は沖瞄県営球堎の駐車堎に止たった 

『すすみたせん球堎の攟送宀っお䜕凊ですか』

駐車堎にいた譊備員に掎みかからん勢いで廣沢は真っ先に球堎の宀の堎所を聞きそこに向かい走った

『すすみたせん』

『 だ誰です』

長い階段を駆け䞊がり廣沢が扉を開けるず熱気立぀狭い宀の䞭に二人の男女がいた 

『ちちょっず貎方誰の蚱可でこんな堎所たで 駄目ですよ入っちゃ』

眉間に皺を寄せおそらくの党おを統括するらしき男性ず廣沢は郚屋の倖に出た 

『た頌みがあるんです』

『頌みぃ芋おの通り今詊合の最䞭で忙しいの話しなら埌に 』

『今じゃなきゃ駄目なんです』

廣沢の気迫にその男性は䞀瞬たじろいだ 

『攟送宀の䞭にっおありたすよね』

『あ たたぁ 』

廣沢は矎䜳から手枡された玙袋の䞭身を取り出した 

『ぅ これがどしたの たさか』

男性は䜕かを察したような驚いた顔付きになった 

No.301 08/03/18 16:52
ヒマ人0 

>> 300 ⚟25⚟

の矢のような送球がに向かっお攟たれた

『うっっ』

関谷は返球されおくるすら目に入らずひたすらに突進した

『頌む』

いや 傍野南高校応揎団党員が祈るような気持ちで関谷の生還を信じたは関谷の滑り蟌んだ足よりも早くに玍たっおいた

『 』

枇ききった土のに今日䞀番の砂埃が舞った 

『  どどっちだ』

誰もが目を぀むった は完党にだった 

『   』

『 』

球堎の党おの目が本塁審刀に泚がれた培はず唟を飲み蟌んだ 

《   》

党員が頭を抱えようずした

《 いいや 》

え  

柿添商業の捕手のから癜球が零れ萜ちおいたりワァ関谷の足が捕手のを捉えおいた 関谷の気迫が捕手のを誘ったのだ

《同点同点䜕ず傍野南高校最終回に同点に远い付きたしたぁ》

党員が関谷に芆いかぶさり喜びを露にした 

No.300 08/03/18 16:29
ヒマ人0 

>> 299 ⚟24⚟

《俊足関谷すかさず盗塁成功したした最終回傍野南高校同点のが広がりたした》

球堎内に地割れのような倧声揎が波打ち塁䞊の関谷はに向かっおをした

『し島袋きっちり送れ』

番䞻将の島袋がを進める送りを成功させるず堎内は異様な皋の興奮に包たれた誰があの名門柿添商業盞手にここたでの接戊を予想したであろうか死塁ずいう絶奜の同点期の堎面傍野南高は党員総立ちずなり番枡嘉敷勝也に党おを蚗した 

『勝也になれ』

『力むな圓おお行け』

抌せ抌せのは党員が䞀䞞ずなっおいた 柿添商業のは肩で息を吐き明らかに動揺しおいた -からの球目枡嘉敷の攟った打球は浅く䞊がった

ち無理か

誰もがを諊めた瞬間関谷が垰塁し䜕ずの態勢に入った

『ややめろ関谷浅い無理』

が捕球ず同時に関谷は目掛けお突進した

『む無理だ浅い』

No.299 08/03/18 12:43
ヒマ人0 

>> 298 ⚟23⚟

回衚を䜕ずか無倱点に抑えた瞬間病宀のの䞊で矎䜳は合わせた手を額に移し

よし

ず息を吐いた そしお矎䜳は今この興奮の瞬間あのので名前をしながら郚員達の勇姿を芋る事が出来ない事が心底悔しかった 

頌むみんな 勝っおそしお私の倢を繋いで

声にならない心の叫びが矎䜳の党神経をいっぱいにしおいた たるで志半ばにしお果たせなかった自分の倢を傍野南に蚗すかのように矎䜳は祈った 

《最終回先頭打者の関谷君がに匟き返したした》

のはたるで劣勢の傍野南を莔屓しおいるかのような倧声で叫んだ 

お願い 䜕ずか繋いで点 いやでもいいから 

矎䜳の感情が䞀気に膚れ䞊がったその瞬間だった自分の身に䜕が起こったのか矎䜳には解らなかった 頭の䞭が真っ癜になり矎䜳の身䜓はのようにゆっくりず床に萜ちお行った 花瓶が割れる音がした 隣の病宀にいた看護垫が物音に気付いお矎䜳の病宀に駆け寄った

『 み矎䜳ちゃん』

No.298 08/03/18 11:41
ヒマ人0 

>> 297 ⚟22⚟

無死塁 䞊の蒲地は回に続き絶䜓絶呜のを迎えおいた 連投の疲れからか球が䞊擊り柿添商業打線に甘い球を痛打されおいた 

『監督からの䌝什だ 䜕ずか螏ん匵れここを螏ん匵れば奇跡は起こる』

再び䌝什に出た培が内野手党おに芖線を送った 

『しゃみんな気合い入れお守り抜く』

を叩き䞻将の島袋がみんなに気合いを入れた 初倏の倪陜が守る傍野南に容赊なく照り付ける 蒲地はゆっくり投球に入った

『な䜕ぃぃ』

捕手枡嘉敷由が思わず声を䞊げた打者は打぀構えから突然の構えに倉えた

『すだぁ』

は打者のにず圓たるずに転がった予めを切っおいた塁走者が枡嘉敷由に突進しお来た

た間に合う

蒲地は慌おおを䞋り転がるをで掎むずそのたた枡嘉敷由にした砂煙を䞊げおず枡嘉敷由が䞊で亀錯した

《あ 》

審刀の手が䞊がった がさらに沞き䞊がった 

No.297 08/03/18 10:24
ヒマ人0 

>> 296 ⚟21⚟

打球は柿添商業のも虚しく緑の芝生の䞊で跳ねた

『シャァ』

塁の代走島袋幹が䞀気にを駆け抜けたりワァこの詊合䞀番の倧歓声が球堎内に響き枡った

『よしあず点あず点』

はたるで盆ず正月が䞀緒に来たような興奮に包たれた予想倖の展開に柿添商業応揎団からどよめきが起こっおいた こんなはずは孊の応揎団長も達もそんな顔付きでを眺めおいた 次の打者は凡退に終わったが流れは䞀気に傍野南に傟いおいた 

『よし回きっちり抑えお裏の攻撃に党おを賭けようぜ』

䞻将の島袋がに声をかけた 

⚟⚟⚟


病院の医事課の職員に倖出するず声をかけるず廣沢は車に乗り蟌んだ 

間に合うか 

をかけ癜いは急発進した 信号埅ちで廣沢は備え付けのを付けた 

《回衚傍野南高校たたたた倧を迎えおしたいたした》

の搟り出すような声に廣沢はずため息を぀いた 

頑匵れ 傍野南高校

廣沢は心の䞭で呟いた 

No.296 08/03/18 09:31
ヒマ人0 

>> 295 ⚟20⚟

党囜高等孊校野球遞手暩倧䌚沖瞄県予遞準決勝第詊合回裏は異様な雰囲気に包たれおいた 䞋銬評では県内屈指の匷豪《柿添商業》の圧勝ずの芋方が倧半を占めおいたこの詊合創郚11幎目で甲子園初出堎を目指す新鋭《傍野南》がたさに互角の戊いを芋せおいたからだ 

『よし代打今井だ』

今日の板状に代わり勝負匷い代打の切り札今井亮介がを被り打垭に぀いた 死塁で長打が出れば同点の堎面右打垭の今井亮介はじっず投手を睚み付けた 

『亮介力抜け』

から必死に培が声を出した 

《》

盞手投手の速球で今井はず远い蟌たれた 

『今井 をもっず短く持お圓たれば飛ぶから』

培の声に今井は拳䞀握り短く持぀ず䞀床倧きく息を吐いた うだるような暑さの䞭球目が投げられた快音ずは蚀い難い今井の打球はずずの䞭間に䞊がった

『お萜ちる回れ』

党員が打球の軌跡を远ったの島袋は䞀気に走り出した

No.295 08/03/17 23:11
ヒマ人0 

>> 294 ⚟19⚟

《目線を 倉える》

『そうだよ 人の数だけ倢の圢はあるんだからねそれは自分で芋぀けるしかない 誰かに頌っおちゃ倢は叶わない 僕はそう思うよ 』

矎䜳の鉛筆の手が止たった 

『 ん どうしたの』

矎䜳は暫く無心に考えおいた 廣沢はただ黙っおその様子を芋おいた 次の瞬間矎䜳は䜕を思ったか車怅子を発進させお病宀に垰ろうずした 

『 郚屋に垰るんだね いいよ送るよ 』

廣沢は必死に車怅子を抌す矎䜳の埌ろをゆっくりず歩いた 病宀に垰るや吊や矎䜳はのを付けた 

《番早乙女君も続いた傍野南連続でながら塁塁傍野南反撃です》

詊合はたさに回裏傍野南高校の攻撃だった 矎䜳は䜕かに取り付かれたように画面に食い入った そしお䞀床倧きく頷くず匕き出しから倧事そうに玙袋を取り出し廣沢に手枡した 

『 なにこれ 』

《先生に頌みがあるの 》

矎䜳は玙に小さくそう曞いた 

『頌み  』

矎䜳は䞡手を合わせお必死に廣沢に頭を䞋げた 

《この病院から沖瞄県営球堎たで近いですよね》

No.294 08/03/17 21:38
ヒマ人0 

>> 293 ⚟18⚟

医局の戞がずされた 

『 み、矎䜳ちゃん 』

廣沢が扉を開けるずそこに車怅子の矎䜳がいた 

『勝手に出歩いちゃ駄目だろ 喉の傷口からばい菌が入ったらどうすんの 安静にしおなきゃ 』

矎䜳は右手でず振りをした 

『 いいよどうぞ 䞭には誰も居ないから 』

矎䜳は銎れない手぀きで車怅子を挕ぎ医局宀に入った 

『ん 玙ず鉛筆 芁るかい 』

矎䜳は頷き玙ず鉛筆を手に取るず早速曞き始めた 

《先生 助けおくれおありがず 》

『 いいよそんなのいちいち 』

照れ臭そうに廣沢は猶を飲んだ 

『 芳なくおいいのかい野球郚の準決勝なんだろ』

《先生倢を諊める時っおどんな時》

矎䜳は突然そう曞き蚘した 

『 倢 そうだな 自分を信じれなくなった時かな 』

《先生私の倢 知っおるよね》

『あぁ知っおるずも 玠晎らしい倢じゃないか 』

《適圓人事だず思っお》

矎䜳はそう蚘すずふお腐れた 

『おいおい適圓なもんか 僕はね矎䜳ちゃん考え方䞀぀だず思うんだ 叶わないず思う事でもさ目線を倉えたらほぅらっお事あるじゃない』

廣沢は笑った 

No.293 08/03/17 20:37
ヒマ人0 

>> 292 ⚟17⚟

『傍高をぬぁぁめんな』

枡嘉敷勝也の䞖玀の倧遠投だった 青空に倧きく孀を描いたは真っ盎ぐに双子の兄捕手枡嘉敷由兞に向かっおに飛んで来た

『由だぁしろ』

で埅ち構える枡嘉敷由兞にがを詊みた



䞊で砂煙が濛々ず舞った 

『どどうだ どうなった』

監督をはじめ控え遞手が党員身を乗り出した

『  あ 』

りオ

審刀が右手を䞊げたその瞬間球堎内はたるで傍野南が優勝したかのような倧歓声に包たれた に垰っお来る遞手は党員や抱擁で喜びを党身で衚した 

『芋たか俺の匟䞞返球』

『銬鹿俺ののお陰やぞ』

枡嘉敷兄匟の䞀䞖䞀代のには䞀気に盛り䞊がった 

『さぁ詊合はこれから気を匕き締めお行け』

具志堅の激が飛んだ 

矎䜳芋おるか 俺達の倢はここからやぞ

歓声の茪の䞭培は呟いた 

No.292 08/03/17 19:58
ヒマ人0 

>> 291 ⚟16⚟

『螏ん匵れ蒲地』

から蒲地ぞの声揎が飛んだ 158ずいう投手ずしおは決しお恵たれた身䜓ずは蚀い難い蒲地の手からが攟たれたの打球は島袋の前に飛んだ

『䜳だぁぁ』

島袋はを凊理するずでを取った 

『しゃ』

捕手枡嘉敷由兞が思わず拳を握った 傍野南応揎団から地響きのような歓声が沞いた 

『あず぀あず぀』

䞀死盎も満塁でから培の声が飛んだ 

『よぉし 萜ち着けぇ 萜ち着くんだ』

具志堅が身を乗り出し守備陣に指瀺を送った から蒲地の球目が攟たれた 

ししたったぁ

ど真ん䞭のは打者のの芯を捉えぞ高く䞊がった

『勝也ぁぁ』

がに戻りの準備をしおいた 

た頌む勝也

培は思わず䞡手を合わせたの枡嘉敷勝也がを取った瞬間はを始めた

『』

No.291 08/03/17 18:31
ヒマ人0 

>> 290 ⚟15⚟

『ほら矎䜳ちゃんだよ ちゃんが映っおる背番号16 』

矎䜳の母芪が矎䜳の肩を抱き必死に画面を芳おいた 矎䜳はただ虚ろな目で背番号16の埌ろ姿を远っおいた 

『蒲地君 開き盎るしかないよな ここで点取られたら決たっおしたう』

蒲地をよく知る矎䜳の父芪が隣で冷静に画面を芳おいる 

『倧䞈倫だよ 蒲地君なら ね矎䜳ちゃん』

看護垫が埌ろから声揎を送った 背番号16が垜子を取り画面から消えた 傍野南の内野は定䜍眮に戻り詊合が再開された 

『頑匵っお傍野南』

その瞬間矎䜳が突然を消した 

『 矎 䜳  芋ないのか』

矎䜳は垃団を被るずみんな病宀から出お行っおずいうをした 

『み矎䜳  』

矎䜳の䞡芪ず看護垫は黙っお郚屋から立ち去った 垃団を被った途端矎䜳の目から涙が溢れ出した 次々ずずめどなく流れる涙はい぀しかをに濡らしおいた 䜕が哀しいのか䜕が悔しいのかが矎䜳には頭の敎理が぀かなかった ただ確かなのはいくら必死に詊みおも自分の口から発せられない《みんな頑匵っお》の䞀蚀が出ない絶望感だった 

No.290 08/03/17 18:05
ヒマ人0 

>> 289 ⚟14⚟

『蒲地 ただ攻撃は回残っおる』

特倧のを打たれうなだれおに垰っおくる蒲地に培は声をかけた 回衚を終了し県内屈指の匷豪《柿添商業》盞手に傍野南高校は予想以䞊の善戊だった 回裏に盞手の倱策ず犠牲により虎の子の点をもぎ取った埌蒲地が緩急を付けた埗意のずで回たで柿商打線を翻匄しおいたが回衚にを打たれず圢勢は䞀気に柿添商業に傟いた 

『島袋だ』

打垭の䞻将島袋にず監督から激が飛ぶ 回裏の傍野南の攻撃はあっさり者凡退に終わった 

『倧䞈倫かな蒲地の奎 さっきの 尟を匕いおなきゃいいんだが 』

を朰れるくらい握りしめ監督の具志堅は苛立ちの貧乏揺すりを始めた 具志堅の嫌な予感が的䞭した 回衚四球ず二本ので蒲地は無死満塁の倧を迎えおしたった 

『だおい銙坂䌝什だ 行っお来い』

具志堅に背䞭を叩かれ背番号16がに䌝什に走った 傍野南の内野党員がに集たった 

No.289 08/03/17 17:42
ヒマ人0 

>> 288 ⚟13⚟

麻酔がうたく効いたらしく病宀の矎䜳は銖に包垯が巻かれおいる他は手術前ず䜕等倉わらないように䞡芪には映った 

『矎䜳  よく頑匵ったな 』

たるで腫れ物にでも觊るかのように矎䜳の父芪はで仰向けに寝る矎䜳に蚀葉をかけた 

『矎䜳』

『  』

母芪が声をかけおも矎䜳は反応しなかった いや声垯の䞀郚を切陀されお反応出来なかったずいうのが正解か 気を効かせた看護垫が矎䜳にそっず甚玙ずを手枡した 無理せずにここに思った事を曞きなさいそういう事だろう 矎䜳は暫くじっずその玙ずを眺めおいた そしおおもむろに手に取るずゆっくり文字を曞き始めた 

《が芋たい 》

『  あそそうか そうだな 』

矎䜳の父芪はの暪の液晶にを入れた を地元沖瞄攟送に倉えた途端柿添商業の番が倀千金のを打ったたさにその瞬間だった

『  』

『 打たれちゃったね 蒲地君』

矎䜳ず同じ母校の若い看護垫が悔しそうにため息を぀いた 

『  』

矎䜳はただじっず冷静に画面を食い入るように眺めおいた 

No.288 08/03/17 16:48
ヒマ人0 

>> 287 ⚟12⚟

『手術は成功したした 腫瘍も幞い他の臓噚や節等には転移が確認されおおりたせん 』

南日本倧附属病院消化噚倖科の蚺察宀で矎䜳の䞡芪はほっず胞を撫で䞋ろした 䞻治医の廣沢はそれでも悲痛な顔は厩さなかった 

『しかしそれにもかかわらず 以前にも申し䞊げたしたように 矎䜳ちゃんの腫瘍は声を出す為に必芁な神経組織にたで特殊に浞蝕しおいお 』

『 解っおたす先生 呜だけでも助かったんですから 有難うございたした 』

矎䜳の父芪が拳を握ったたた静かに廣沢に頭を䞋げた 

『 今埌は蚀語聎芚士さんず蚀葉の発声緎習等特別なをしお頂く事になりたす 』

『廣沢先生 やはり矎䜳は以前のようにもうたずもには話せないんでしょうか 』

矎䜳の母芪が前のめりになりながら最埌の垌望を繋いだ 廣沢はずにかく呜が助かっただけでもず母芪を宥め聞かせた 

『 ある意味呜より倧切な あの子の倢を  』

母芪は父芪に泣き厩れた 

『仕方ない 仕方ないんだよ 』

廣沢はでは ず静かに蚺察宀を出た 

『さ笑顔で矎䜳に逢いに行くぞ』

矎䜳の父芪は母芪の背䞭を軜く叩くずゆっくり立ち䞊がった 

No.287 08/03/17 11:50
ヒマ人0 

>> 286 ⚟11⚟

《♪只今より準決勝第詊合柿添商業高等孊校察傍野南高等孊校の詊合を開始したす 》

䞡校遞手が倧歓声ず共に䞀斉にを挟んだ 䞀番埌ろに䞊んだ培は䞀瞬を眺めた 

矎䜳 

から流れるは圓然の事ながら䞊原矎䜳のものではなかった 

『みんな䞊原の為に勝぀ぞ』

぀いさっき培に遅れお郚員党員が䞊原矎䜳の手術の事を監督の具志堅から聞かされたばかりだった その事が郚員党員に改めお気合いを入れ盎させる材料ずなった 

《♪先に守りに぀きたす傍野南高等孊校 蒲地君 枡嘉敷由君 》

ず倪錓を鳎らし地元埌揎䌚のず圚校生達が遞手の名前が呌ばれる毎に声揎を送った 控えの培はの最前列に立ちじっずの同玚生達に芖線を送っおいた 

矎䜳 勝぀からな みんなず䞀緒に党力で 柿商に勝っおみせるからな

傍野南蒲地の投球緎習が終わり柿添商業の䞀番打者がに入った 

《》

審刀の右手が灌熱の倪陜にず反射した 

No.286 08/03/17 10:54
ヒマ人0 

>> 285 ⚟10⚟

『昚日の深倜䞊原のお母さんから連絡があっお䞊原の容態が急に悪化したそうだ そのたた病院に搬送されお深倜から腫瘍摘出手術に入ったらしい 』

『あ そんなに そんなに悪かったんですか』

具志堅は遞手に守備緎習の甚意をしろず䌝えた 

『医垫の話では手術たではあたり声を出すなずの忠告を受けおいたらしい そういえば最近䞊原の奎少し声を出すのが苊しそうだったような 』

培は昚日の砂浜での出来事を思い返しおいた 

あれからもずっずあそこで緎習を  無茶しやがっお

『監督 あ 』

『あぁ 解っおる 解っおるっお けど䞀番蟛いのは䞊原自身だ 』

培の気持ちを芋透かすかのように具志堅は培の肩を叩いた 

『 行っおも いいぞ 銙坂 』

具志堅は芖線をわざずに向けた 

『い いぇ 今日は倧事な詊合です もしかしたら高校生掻最埌の 矎䜳だっお きっずそう感じおるはずですから 俺が行っおもすぐ詊合に戻れっお 怒鳎り぀けるず思いたすから 』

具志堅は䞀床地面の土をならしおそうだな ず苊笑いした 

『よしなら詊合に集䞭しろ』

『はい』

No.285 08/03/17 08:41
ヒマ人0 

>> 284 ⚟⚟

台颚が逞れ翌日の沖瞄は雲䞀぀ない晎倩になった 沖瞄県営野球堎には名門柿添商業が出堎するずあっお倧䌚最高の人手ずなっおいた 

『すげぇ芳客だな 』

『甲子園出堎通算12回うち沖瞄県勢初の党囜倧䌚準優勝1回 県内では敵なしの叀豪だから無理もないけどよ 』

詊合前の玠振りをしながら培はで同じの芪友の関谷順平に蚀葉を返した 

『おい集たれ』

監督の号什がかかり16人の遞手党員が監督に茪を䜜った 

『よし今日が事実䞊の決勝戊だ お前らこの幎間で培った党力を出しきれ いいな』

『ハむッ䞊原の堎内も聞こえるしきっず勝おたすいや勝っおみせたすなみんな』

䞻将の島袋がそう蚀うず茪の䞭に入り党員が気合いの雄叫びをした 

『 銙坂 ちょっず来い』

培だけ監督の具志堅に呌ばれ裏に入った 

『はい 䜕すか』

『 実はな 』

が鳎り倧芳声の䞭傍野南ず柿添商業の遞手達がに出お詊合前のを始めた 

『  に入院した み矎䜳が』

培の蚀葉に具志堅はゆっくり頷いた 

No.284 08/03/17 00:12
ヒマ人0 

>> 283 ⚟⚟

『こ声 出せなくなるっおそれ どどういう意味なんだよ』

『 喉に出来た腫瘍がね 声垯の神経を圧迫しおんだっお だからもし腫瘍を切陀出来たずしおもね 声垯の䞀郚を切陀しなくちゃいけないみたい 』

『たさか う嘘だろ』

『 仮に腫瘍を摘出出来おも 声垯の神経がないから私 人工的に声を䜜る装眮でしか声を出す事出来なくなるの 無機質なただの電子音の声 たるでのような無感情な冷たい声にね 』

培は淡々ず語る矎䜳の蚀葉にただ硬盎しおいた 知らなかった 培にはずっず矎䜳の手術がもっず簡単な物なのだず思っおいた 腫瘍さえ取れれば党おが元通りなんだず 浅はかだった 愚かだった そんな矎䜳の陰の苊しみ葛藀絶望も知る由もなく自分はただのうのうず矎䜳に接しお来たのだ 

『高校生掻最埌の倏 倧切な仲間ず共に闘っお倧奜きな事しおさ 18幎間䞀緒に居おくれた自分のこの声ずしたいんだよね だから転移する事なんお怖がっおられないんだよね 神様に誓ったんだ 声はあげおも呜たではあげるもんかお 』

『み矎䜳  』

培は蚀葉が出なかった 遠くで花火の音がした 

No.283 08/03/16 23:37
ヒマ人0 

>> 282 ⚟⚟

『ちゃんさぁ 私の将来の倢知っおる』

しゃがみ蟌む培に矎䜳が蚀葉をかけた 

『倢ぇ の倧食い女王になる事だっけ』

『 野郎』

矎䜳は培を持っおいた玙を䞞めお殎り぀けた 

『あわ解っおるっお 冗談だよ冗談』

倕闇の砂浜の遥か先で芳光客らしき若者達が打ち䞊げ花火で隒いでいる 

『 ちゃん 私の声 どう思う』

『どどうっお 』

『自分でも特別綺麗な声だずか発音がいいだずか そんな事これっぜっちも思っおないけど 』

『けど』

暫くの長い沈黙が続いた 波がさっきよりさらにうねりを増したようだ 

『 神様っお 意地悪だよね䜕考えおんだろ』

矎䜳は肩が取れそうな䜍ず倧きな䌞びをしおそのたた埌ろから砂浜に倒れ蟌んだ 

『傍野南高校の幎間は最高に楜しかっ』

矎䜳はず手足を぀かせた 

『矎䜳 』

『そんな最高の高校生掻の最埌 私の倢の終焉の舞台にふさわしいかもね 』

矎䜳はゆっくり起き䞊がるず培を芋た 

『手術するずね 倚分もう声 出せなくなるんだ 私』

『 え』

No.282 08/03/16 23:13
ヒマ人0 

>> 281 ⚟⚟

説埗っ぀ったっお 

培は石垣の小高い階段を登りこれたでの人生で䜕床も足を運んだ䞊原矎䜳の家のを鳎らした 

『あらちゃん いらっしゃい 』

明らかにい぀もの元気なおばさんの顔ではなかった 

『あのぅ矎䜳 いたすか』

『矎䜳なら 』

矎䜳の母芪は浮かない顔で黙っお巊手で海岞の方を指差した 

『明日のの緎習するっお勝手に飛び出しお 私の蚀う事なんお  』

心底萜ち蟌む矎䜳の母芪に培は倧䞈倫ですからず甚だ無責任な慰めを蚀うず矎䜳がい぀も事ある毎にそこに行けば萜ち着くずいう海岞に向かった 台颚が近づいおいるせいかい぀もの海岞は波が荒かった 

『《♪番 島袋君 背番号 》』

明日の先発が曞かれた玙を持ち匷い颚に飛ばされそうになりながら䞊原矎䜳は砂浜のど真ん䞭での緎習をしおいた 

『 矎䜳 』

『  ちゃん 』

矎䜳が着おいた黒のが颚にず舞った 

『おばさんが心配しおる ずにかく垰ろ』

『駄目 本番は明日だしそれに じゃぁ倧きい声出せないし 』

培は頭を掻いおその堎にしゃがみ蟌んだ 

No.281 08/03/16 22:52
ヒマ人0 

>> 280 ⚟⚟

準決勝を翌日に控えた朝培は野球郚監督の具志堅新に職員宀に呌ばれた 

『監督䜕すか甚っお 』

培はひそかに淡い期埅を抱いおいた 監督盎々に俺を呌び出すずいう事は぀たり 明日の詊合先発ずいう事かも

『お前 䞊原ず仲良かったよな』

 䜕だ 先発の告知じゃなかったのか だよな 

具志堅はののの襟を盎し話を続けた 

『昚日の晩䞊原のお母さんから連絡が入っおな 䜕ずかしお圌女を病院ぞ入院させる方法はないかず泣き付かれおな 』

『䞊原 み矎䜳に䜕が』

『かかり぀けの南日本付属倧消化噚倖科の医垫の話によるず䟋の病気の件 予断を蚱さない状況らしいんだず 俺も䜕床か䞊原を説埗はしおはみたんだが ほらあぁ芋えお 』

頑固だから 具志堅の蚀葉の続きが培には手に取るように解った 

『矎䜳も自分で蚀っおたした 今のたんたじゃい぀転移しおもおかしくないっお けど明日の準決勝で 母校の鶯嬢するのを楜しみにしおいお 』

『䞀日も早く 医垫の通達らしい それほど䞊原の病状は進行しおいるずいう事だ 』

具志堅は腕組みをしながら窓の倖䞀点をじっず芋぀めおいた 

No.280 08/03/16 22:06
ヒマ人0 

>> 279 ⚟⚟

『なぁ矎䜳 お願いだから病院でゆっくり治療しろよ の仕事なら埌茩の幎にやらせりゃ枈むんだから 』

培は少し䌞びた顎髭を右手で摩った 矎䜳の顔から笑顔が消えた 

『入院したらきっず すぐに手術っお蚀われる そしたらもう 』

幎代物の掗濯機が跳びはねんばかりに右に巊に蜟音をあげお螊っおいる 

『倧䌚に無理蚀っお傍野南の詊合の担圓鶯嬢させお貰っおんだもん みんなが甲子園に行く瞬間䞀緒に味わいたいんだ 私も詊合に参加しお䞀緒に戊いたい だからたずえ声が出なくなったっお私やるから 絶察最埌たでやり抜くから 』

南囜の葉が南颚にず揺れた 

『 本圓お前は昔から融通の効かない女だよな 』

『䜕よ 悔しかったら勝ち取っおみなよ 私に《♪銙坂培君》っお毎打垭させおよ』

痛い所を付かれお培は䜕も蚀えずにため息を぀き倩を仰いだ 背番号16番 幎で唯䞀の補欠ずいうだけでお情けで入りさせおもらっおいる培の珟状を幌なじみの矎䜳はよく解っおいた 

『はあるよ 絶察に 代打だっお䜕だっお絶察に俺の名前お前にさせおやるからな』

No.279 08/03/16 21:41
ヒマ人0 

>> 278 ⚟⚟

最埌の守備緎習が終わり泥だらけの野球郚員が監督の具志堅の元に集たった 

『よし いよいよ明埌日名門《柿添商業》ずの準決勝だ 幎は悔いの残らないようないい詊合をしようそしお必ず勝぀いいな』

ひたすら熱い若手監督のもず郚員は円陣を組み䞀斉に掛け声をあげるずその日の緎習を終えた 

『お疲れ』

『お疲れ様たた明日な』

培は氎道で頭に぀いた汗や泥を掗い流しながら先に垰る郚員を芋送った 

『 ♪《番 銙坂君》 』

『み 矎䜳 ぀ぅかそれ嫌味かよ 俺補欠だし 』

掗濯籠に沢山の掗い物を抱えながら培の暪に悪戯な笑顔の䞊原矎䜳が立っおいた 

『お お疲れ た倧倉だな それ今からだろ』

『 早くしないず転移するかもっお 先生がさ 』

矎䜳は郚員の掗濯物を掗濯機に攟り蟌むず掗剀を入れ掗いを回した 

『お 転移っお お前』

『でもやっぱり私最埌たでやりたいの 傍野南が甲子園初出堎たであず詊合 詊合頑匵り抜けば私の圹目は終わるから 』

『圹目が終わるだずか そんな瞁起でもない事蚀うなよ 』

培はを被るず䞞坊䞻の頭を䞀気に拭いた 

No.278 08/03/16 17:41
ヒマ人0 

>> 277 ⚟⚟

私の最埌の倢 か 

ず床から音がする自分の郚屋に入るず培はずに倒れ蟌んだ 同玚生の䞊原矎䜳が咜頭癌だず知ったのは昚幎秋の遞抜高校野球遞考を兌ねた沖瞄予遞の最䞭だった 

《私 来幎の倏の予遞で もうみんなの名前 できないかもしれない 》

九州倧䌚の䞀回戊で負けた埌矎䜳が郚員達や培にそっずその事を告げた 䞊原矎䜳は傍野南高校幎の野球郚のをしおいた時たたたた沖瞄県野球連盟が公募した《沖瞄倧䌚予遞䌚での鶯嬢募集》で鶯嬢に抜擢された 将来高校を卒業したら本土に枡っおになるのが倢だった矎䜳にずり野球詊合の鶯嬢をするずいう事は喜びであり生き甲斐を感じおいた しかしその矢先の䞍運な運呜に呚囲は萜胆に包たれおいた 

 耇雑だな 

培はため息を぀いた 傍野南高校が勝ち続けるずいう事は矎䜳の咜頭癌の手術を遅らせおいる事にもなっおいた 

俺が䜕蚀ったっお聞かない筋金入りの頑固者だからな 

培は机の䞊に眮いた愛甚のを持぀ずず右拳をに叩き付けた 

No.277 08/03/16 15:25
ヒマ人0 

>> 276 【⑯】10回の裏

⚟⚟


『いよいよ準決勝だね 』

『あうん たさか俺達がここたで来ちたうなんおな 』

銙坂培は自転車の前籠のをずり萜ちないように乗せ盎した 岬の向こうの倕日がただ淡い色の光りを名残り惜しそうに反射させおいる 

『なぁ矎䜳 本圓に倧䞈倫なのか』

培は自分のすぐ前を歩く小柄な䞊原矎䜳に声をかけた 

『倧䞈倫っお』

『本圓は今すぐにでも入院ずかしなきゃなんない倧倉な病気なんだろ』

矎䜳は黙っお枯の堀防に腰掛けた 

『ちゃんが心配する皋の事じゃないよ ありがず』

『 っお蚀ったっお 心配するよそりゃ 』

知り合いの持垫が矎䜳に声を掛けた 矎䜳は笑顔で返した 

『ちゃん私ね 決めたの 我が傍野南高校が晎れの甲子園初出堎を決めるたで それたで頑匵るっお 』

自転車のを立お培も矎䜳の隣に腰掛けた 凪の海はの海ず倕日の橙が埮劙な色圩を奏でおいる 

『甲子園出堎は䜕もちゃん達野球郚だけの倢じゃないんだから 私の最埌の 倢でもあるんだから 』

『矎䜳  』

持船の汜笛があちこちでした 

No.276 08/03/14 21:25
ヒマ人0 

>> 275 ☔16☔

【せっかく神様から貰った呜だったのに あんな圢で 】

【仕方ないさ それがの運呜だったんだよ 】

桜の花びら達が墓石の回りを悪戯に舞った 亀通事故でこの䞖を去った䞻人の効さんの墓に花を添えるず私は静かに合掌した 

【僕達二人があの日あのの屋䞊で出䌚ったのも運呜だったのかもな 】

䞻人は苊笑いを浮かべお杓で墓石に氎をかけた 

【貎方が掋食屋さんのさんだったっお事もね 】

私は䞻人の肩を抱いた 

【さお 垰っお䜕か旚いでも䜜ろっか】

【私がいい】

たたかぁず䞻人が笑った 春の颚が優しく二人を包んだ 䞻人のを食べる床に思い出す《お兄ちゃんの最期の蚀葉》 

『垰ったら䞀緒に䜜ろうな』

あの朝私にかけおくれたあの蚀葉はい぀たでもい぀たでも私の䞀生の宝石です 



お兄ちゃんの最期の蚀葉完

No.275 08/03/14 20:50
ヒマ人0 

>> 274 ☔15☔

《倩囜のお兄ちゃんぞ お兄ちゃんが倩囜に逝っおからもう五回目の春を迎えたすね あれから私䜕床もお兄ちゃんの偎に逝こうず思ったんだ だけどやっぱり決心が付かずにいたす その蚳は私お兄ちゃん皋ではないけど玠敵な男性を芋぀けお去幎結婚したした お兄ちゃんによく䌌た背の高い優しい人だよ その人は倧奜きだった効さんを事故で亡くした私ず䌌た境遇の男性 これからはお互いの傷を拭い合い庇い合い生きお行こうず思いたす お兄ちゃんもきっず私にそうしろお蚀っおくれるよね私はい぀たでもお兄ちゃんの事忘れない 子䟛が出来おお母さんになっおもお婆さんになっお呜尜きるたで私は倧奜きなお兄ちゃんの笑顔を忘れないからね 》


【ただ拝んでるのもういいよ 】

私の偎で䞻人がお兄ちゃんの遺圱に向かっお今日もじっず手を合わせおくれおいる あなたもう償いなんおよしお 貎方は散々苊しんだわ だからもういいの 頭をあげお毎日を生きお欲しい それがきっずお兄ちゃんの願いでもあるはずだから 効さんもお兄ちゃんに䌚っおきっず償っおいるはずだから 効さんも苊しんだよ どうしお自分だけ生きおたのかっお だから 

No.274 08/03/14 20:03
ヒマ人0 

>> 273 ☔14☔

【 どうしお自殺なんか 】

私は肩を震わせる男性に尋ねた 

【 償い かな 】

【償い】

氎溜たりに映る色ずりどりの灯が男性の顔に反射した 

【君は ただ若いのに 】

【死ぬのに若いも幎寄りもない 生き甲斐を倱ったから ただそれだけ 】

【生き甲斐 かぁ  】

男性は初めお笑った 

【倧切な人を倱ったからよなんかには到底解らないよどうせ借金か䜕かで思い詰めただけでしょ】

男性は虚ろに芖線を萜ずした 

【僕も倱った 倧切な人を 生きおおも仕方ない そう思ったから 】

男性はゆっくり立ち䞊がり䞀床私を芋るず黙っお階段を降りお行った 

  倧切な人 かぁ 

私は暫く街のをじっず眺めおいた 

 そうだよね  私っお䜕か ほんず 銬鹿 

急に気持ちが萎えた 萎えたずいうより初めから萎えるような物は䜕も無かったのかもしれない 私は痛む足を匕きずりながらを肩にかけ雚氎が染み付いたを片手に持぀ずさっきの男性ず同じようにゆっくり階段を降りお行った 

No.273 08/03/14 19:36
ヒマ人0 

>> 272 ☔13☔

【な䜕で  貎方䜕しおんのよ 】

膝たづいた拍子に私は足銖を捻挫した 男性は県を爛々ず芋開き額から倧粒の汗を流しながらこの䞖に留たっおいる珟実を噛み締めようずしおいるように芋えた 

【あ こそな䜕なんだ勝手な事しないでく 】

【どうしお私の邪魔したの召されるのは私の方が先だったんだから】

そんな私情男性には関係ない事だ ただ蚀える事は今日この堎所で自殺しようずしおいた二人の人間がただ生きおいるずいう事実 

【䜕も 同じこの日に 歀凊で自殺しようずしないでよ】

私は男性を怒鳎り付けた 

【そそんな事 僕に蚀われたっお 】

私は偎にあるの金網を鷲掎みにするず捻挫の足銖をかばいながらゆっくり立ち䞊がった そしお足を匕きずりながら宀倖機の䞊に座り蟌んだ 

【早く歀凊から居なくなっおよ でないず私も 萜ち着いお逝けやしないから 】

【もっず自分を倧切にしなよ 】

【 これから死のうず思っおたあに蚀われたくない  】

No.272 08/03/14 19:11
ヒマ人0 

>> 271 ☔12☔

私の県に映り蟌んだのは背広を着た若い男性だった 男性はの端に足をかけ今にも飛び降りそうな態勢に入っおいた

じ 自殺たたさか 

男性は緊匵の顔付きで私の存圚には党く気が぀いおいないようだった 声をかけれないかけた瞬間その男性は決断しおしたうどうしよう どうしよう 有り埗ない たさか私が飛ぶ予定のすぐ偎で同じ決意を持った人がいるなんお事どうしよう どうしたらいい圌はただ私には気が぀いおいない このたた芋届けるそんな事したら でも私だっおもうすぐ逝く身だもん ここで圌を助けようずしたりしたらきっず私  どうしようお兄ちゃんお兄ちゃん男性が空を仰いだ次の瞬間ゆっくり深呌吞をしお芖線を真䞋に移した

だ 駄目 本圓にい逝っちゃう

私の身䜓は䞍思議なくらい機敏に動いた そしおたさに飛び蟌もうずしたその瞬間男性の腕を掎んでの床に叩き付けおいた男性は私を幜霊でも芋るような顔付きで驚愕の衚情を浮かべず喚き出すず緊匵感から解攟されたのかその堎でず振るえ出した 

No.271 08/03/14 18:53
ヒマ人0 

>> 270 ☔11☔

この女が この女がお兄ちゃんを殺した 

錻に管を挿入され包垯を巻いたその女の眠る顔を芋た時私の䞭に沞々ず湧き出した殺意ず憎悪の感情 

どうしお どうしおだけ生きおるの 死ぬんじゃなかったのなのにどうしおのうのうずは生き長らえおんの

この手で締め殺しおやりたかった どうしおあず30秒埌に萜ちなかったのよどうしおあの瞬間に萜ちなきゃなんなかったのよが死ぬのは勝手だけど䜕で 䜕で私のお兄ちゃんを道連れにする必芁があったのよ 蚱さない絶察に蚱さないお この女をいくら責めおもお兄ちゃんは垰っお来ないんだ 

【かえ ような】

 お兄ちゃんの最期の蚀葉 もう《向こう》でお兄ちゃんに盎接教えおもらう事にするね私は建物の端にゆっくりず足の前半分を反り出した 颚が止んだ もう誰にも邪魔されない もう誰にもお兄ちゃんをあげない私の身䜓がず軜くなった たさにその瞬間だった私の右県の芖界に人圱が映り蟌んだ

 え な䜕

No.270 08/03/14 18:29
ヒマ人0 

>> 269 ☔10☔

さっきたであれだけ激しかった雚颚がず止んだ 雚に掗われた向かいのサラ金の広告灯がやけに鮮やかに映る 私はゆっくり立ち䞊がった 濡れた服が重りのように党身にず匵り付いお気持ち悪い 悔しいけどやっぱり私思い出す事が出来ないや お兄ちゃんの最期の蚀葉 涙なんおもう枯れ切っお身䜓から䞀滎たりずも出ないはずなのにお兄ちゃんの顔を浮かべるず䞍思議ず倧粒のそれがずめどなく溢れ出す い぀たでもこうしおる蚳にはいかないよね 決心が鈍っちゃうもん 私はから䞀枚の倧切な写真を取り出した 同じのを応揎に行った詊合の垰り道通りすがりの人にを抌しお貰った䞀枚の写真 勿論党郚奜きだったけれど取り分け私はこの写真のお兄ちゃんの笑顔が特に倧奜き 倩囜に行っおもお兄ちゃんのこの笑顔芋れるかな の䌝線が内腿の蟺りたで進んでいた 別にいっかこの期に及んでなりふりなんお気にはしない 私は再びの端からそっず真䞋を芋た なるべく人が居ない時に逝こう でないずお兄ちゃんを殺したあの女の二の舞になっおしたう それだけは絶察嫌だから 

No.269 08/03/14 16:53
ヒマ人0 

>> 268 ☔☔

 珍しく孊校を遅刻しお二時間目の授業が始たる矢先担任の先生からすぐ病院に行くように蚀われた お兄ちゃんが怪我をした倧倉らしいず 曖昧に話す担任の蚀葉に私はお兄ちゃんの身に䜕が起きたのかずっさに理解出来なかった ずにかく急がなくちゃお兄ちゃんが倧怪我をしお病院にいる事は確かなんだ 私は蚀われた通りの病院に駆け蟌んだ 

【浩䞀さんの効さんでしょうか 】

小柄な幎茩の譊察官が私に話しかけお来た 

な䜕で 䜕があったのお兄ちゃん

譊察官の埌ろを歩きながら私は考えた お兄ちゃんの容態よりもむしろ 朝した事なんお謝ろうかっお 面ず向かっおお兄ちゃんに謝る事が出来るだろうか そんな事ばかり考えおいた 

【この䞭です さぁどうぞ 】

 病宀じゃない 䜕で冷たい無機質な鉄の扉は黒くちゃけおいた 䞭に入るずずお線銙の銙りが挂っおいた そしお脇に血だらけの遺䜓が癜い垃を被せられお暪たわっおいた 

【 あなたの お兄さん 】

譊察官が垃を捲くりあげるず同時に私の䞭の血液が党郚足元から流れ抜けお行くようだった 

  う 

No.268 08/03/14 10:43
ヒマ人0 

>> 267 ☔☔

あの朝仕事に向かうお兄ちゃんはい぀もず違う道を通った 駅たでの近道である路地䞭を通らず䜕故か駅たでは遠回りの倧通りの街を遞んだ 䞀床も駅たでの歩く道を倉えた事がなかったのに その日に限っおお兄ちゃんは別の道を遞んだんだ きっず 私ず蚀い合った事がずっず匕っ掛かっおたんだよねい぀も実盎で几垳面なお兄ちゃんが普段そんな遞択する蚳ないもん ゆっくり考えたかったんだ 考えおくれおたんだ私の事真剣に 雑螏に玛れる駅に着くたでにゆっくり時間をかけお私の事 だから だから ごめんねお兄ちゃんごめんなさい 



《今日午前時25分頃○○区の雑居から若い女性が飛び降り自殺を詊みたした しかしちょうどその時萜䞋地点を通行しおいた飲食店職員の橋爪浩䞀25さんが萜䞋しおきた女性の巻き添えになり党身を匷打し搬送先の病院で間もなく死亡が確認されたした 自殺を蚈った女性は肋骚を折る等したしたが奇跡的に䞀呜は取り留めた暡様です 》

【かえ  ような】

あの朝の お兄ちゃんの最期の蚀葉 もうすぐ思い出せそうだよ 

No.267 08/03/14 10:17
ヒマ人0 

>> 266 ☔☔

生たれおからずっずお兄ちゃんず喧嘩なんかした事なかった ち違う ずっずお兄ちゃんが私の自分勝手な我が儘を䜕も蚀わず優しく包んでくれおただけ お兄ちゃんの方が私なんかよりずっずずっず倧人だった 時には厳しい父ずなり時には優しい母ずなりい぀も私の偎に居おくれおたから私は今日たでこうしお生きおこれた そしおお兄ちゃんを倧奜きでいられたんだ だから私に気たずく突き攟されたあの朝のお兄ちゃんの哀しみは私には蚈り知れないものだったに違いない ごめんねお兄ちゃん 䜕床謝っおも蚱される事じゃない 遠くで救急車のが鳎る音がする 私のいるこのの真䞋の道にももうすぐ救急車が来おのように眉間に皺を寄せた黒い人だかりが出来るんだろうな どうか顔だけはこのたた朰れないでいたい そんな蚳にはいかないよね 朰れた顔でもお兄ちゃん向こうで私に逢っおくれるかな お兄ちゃんの最期の蚀葉 思い出せない 思い出したいでないず私倩囜でお兄ちゃんに䜕を話せばいいのね だからこの䞖で思い出しおからすぐに逝く 埅っおおね倧奜きな倧奜きなお兄ちゃん 

No.266 08/03/14 08:19
ヒマ人0 

>> 265 ☔☔

お兄ちゃんを困らせる぀もりなんおなかった 悲したせる぀もりなんお毛頭 《あの朝》 喧嘩した次のあの忌たわしい翌朝 お兄ちゃんは䜕事もなかったようにい぀ものように早起きしお私のお匁圓ず朝ご飯を䜜っおくれた 気たずい私は頭から垃団を被りお兄ちゃんのず鳎らす包䞁の音だけを郚屋から聞いおいた 

【じゃぁ お兄ちゃん行くから ちゃんず朝ご飯食べお孊校に行くんだぞ】

固く閉ざした私の郚屋の扉の倖からお兄ちゃんの優しい声がした その日に限っお私 お兄ちゃんに《いっおらっしゃい》が蚀えなかった 今たで䞀床たりずも忘れた事がなかったお兄ちゃんぞの《いっおらっしゃい》 お兄ちゃんの淋しそうなの音が玄関に移動した 玄関の扉を開き その時お兄ちゃんが私に蚀ったこの䞖での《最期の蚀葉》 

【かえ   ような】

扉がず閉たった その瞬間がお兄ちゃんず私の絆が氞遠のを告げた時だった どうしお芚えおないんだよお兄ちゃんが最期に私にかけおくれた蚀葉だったのにどうしおねぇどうしお芚えおないの氎捌けの悪い屋䞊のの床はもう川のようになっおいた 

No.265 08/03/13 23:07
ヒマ人0 

>> 264 ☔☔

たった䞀床の 最初で最埌の過ちだった 私はお兄ちゃんに内緒で倖泊しお朝垰りした 

【䜕凊に行っおたんだ朝垰りなんお䞀䜓どういう぀もりなんだ連絡くらいできただろ心配したじゃないか】

 私の事なんお党然心配なんかしおないくせに思わず口を぀いおしたった党くの本心でない刺の蚀葉 

【䜕凊に行っおたんだ】

私の芪代わりずしお圓然の質問だった お兄ちゃんは党然悪くないんだから なのにあの時䜕故か䞀瞬だけ倧奜きなお兄ちゃんが疎たしくなった 

【攟っおおいおよ私の事なんか本圓は党然心配なんおしおくれおないくせに】

倧奜きなお兄ちゃんに私䜕お酷い事 銬鹿だった 限りなく愚かだった 私は自分勝手に身勝手に腹を立お郚屋に篭りその日は䞀歩も郚屋から出おは行かなかった 

お兄ちゃん 優しすぎだよ たたんないよ 

私は降りしきる雚の䞭䜕床も叫んだ  っお だけど雚はそのけたたたしい心の叫び声を圓然聎いおはくれない 雚は我が物顔で党身党霊で私に芆いかぶさっおくる やっぱり こんな日に雚だなんお

No.264 08/03/13 21:25
ヒマ人0 

>> 263 ☔☔

向かいのの窓に人圱が芋えた 若いの男ず制服の女が蟺りを気にしながら窓越しで぀いおいる 銬鹿みたい 誰にも芋られおない぀もりなんだろうけどここからじゃたる芋え 脳倩気なあの幞せそうな男女ももう埌数十分もすれば自分達がいたすぐ前の道に女の飛び降り自殺した無惚な死䜓が転がるずは倢にも思いはしないだろう 

お兄ちゃん あの時䜕お蚀ったの

私はい぀だっおお兄ちゃんの話す蚀葉を身䜓で聞いおいた 䞀字䞀句を魂で聞いおいた なのにあの日に限っおどうしお あの時ちゃんずお兄ちゃんの蚀葉を聞いおさえいたなら ちゃんず返事を返しおさえいたなら お兄ちゃんは今でも私の 私だけの倧奜きなお兄ちゃんでいおくれたのかな お腹が鳎った そういえばこの数日間たずもに食べおなかった  死ぬ間際だっおお腹はすくのね 銬鹿みたい どうせ死んだら食べる事さえ心配しなくおいいのにね 雚足はたすたす匷くなり街の灯はたるで絵の具をの䞊で混ぜたように柱んでいる 

あの時どうしお私 お兄ちゃんにあんな事蚀っちゃったんだろ もう私の事なんか攟っおおいおよ なんおあんな酷い事 

No.263 08/03/13 20:38
ヒマ人0 

>> 262 ☔☔

私のせいだ 私のせいでお兄ちゃんは 

こんな春の土砂降りの倜にこんな郜䌚のど真ん䞭の雑居の屋䞊で䞀人の女々しい女が今たさに自殺を図ろうずしおいる事なんお誰も気付きはしないだろう 《私の最期》に着お来たこの空色のずのは去幎お兄ちゃんが私の誕生日に買っおくれた服で私の倧切な宝物の䞀぀ だけど雚粒の跳ね返りの泥ず化粧萜ちした私のの跡ずが混ざり合いもはや原色をずどめない汚い色に倉わっおいた もうこんな厳粛で倧事な日に雚なんか降らないでよ私は仰向けになり攟射線状に降り泚ぐ雚空の軌跡をじっず眺める 

【お兄ちゃんず結婚出来たら 】

あの時のお兄ちゃんの驚いた顔 今でも思い出せるよ お兄ちゃんは銬鹿ず私の頭をお照れ隠しに慌おお台所に立ち食噚を掗うしおた でもねお兄ちゃん 私あれ 本気の本気だったんだよ本圓にそうなればどんなにどんなに幞せだったかっお 他人の目なんおどうだっおいいんだ これは私の玛れもない揺るぎない本心だったんだから 本気でお兄ちゃんの事   

No.262 08/03/13 20:01
ヒマ人0 

>> 261 ☔☔

【ほんっずお前らは仲がいいな そうしお䞊んでるずたるで恋人同士みたいだぞ】


攟心状態の私のにあの頃の蚘憶が蘇る 私はい぀も孊校の垰りにお兄ちゃんが働く小さな掋食店に毎日遊びに通っおいた お兄ちゃんは私が来るずい぀も店長さんに内緒で倧きなを䜜っお食べさせおくれた 倧きな口を開けお矎味しそうにを食べる私の顔を芋おいるのが奜きだず笑っお蚀っおくれた お兄ちゃんが店を終わるのを埅ち私はお兄ちゃんの腕を組んでい぀も䞀緒に垰った 本圓の兄効じゃない事なんお私にはそんな事どうでもよかった ただ倧奜きなお兄ちゃんの暪顔をずっず芋぀めおいたかった ずっずずっず 

お兄ちゃんの最期の蚀葉 思い出せないよ 哀しい 哀し過ぎるよ あんなにお兄ちゃんの事毎日芋おたのに 髪の毛の枝毛から足の小指の爪の圢たで私お兄ちゃんの事なんだっお知っおるんだもん なのに あの朝の最期の蚀葉がどうしおもどうしおも思い出せない

䞋着の芯たで雚氎で濡れおいた 前髪からず滝のように雚氎が滎り萜ちる 私は膝を抱えた 

No.261 08/03/13 19:29
ヒマ人0 

>> 260 【⑮】お兄ちゃんの最期の蚀葉


☔☔

ここから芋䞋ろす人圱はたるで胡麻粒を運ぶ蟻のようだ 赀 青 玫 緑 街のの色様々な灯が代わる代わる私の党身に色を䜜っおは消える 倕方から降り出した雚は容赊なく暪なぶりで宀倖の䞊のをず鳎らしおいる 

お兄ちゃん あの朝 私に䜕お蚀ったの 

私は傘も射さずずぶ濡れのたたさっきからずっずこの堎所に立っおいる 時折身䜓ごず吹き飛ばされそうな突颚ず雚によろめきながら静かにその時を埅っおいる お兄ちゃんのそばに行く準備をしおいる 揃えおそっず暪に䞊べお眮いた靎はもう䞭が氎溜たりになっおいる 

お兄ちゃんの居ない人生なんお 無いに等しい 

私は䞀歩前に出た 背埌からたるで早く逝けず突颚が埌抌しする 埅っお やっぱり あの時私に蚀ったお兄ちゃんの最期の蚀葉を思い出すたでは私 倧奜きだったお兄ちゃんのあの朝に蚀った《最期の蚀葉》を思い出すたでは 私はゆっくり足を埌ろに匕いた 決しお自殺を思い留たった蚳じゃない その蚀葉さえ思い出せたら そしたらすぐに逢いに行くからね お兄ちゃん 

No.260 08/03/13 16:44
ヒマ人0 

>> 259 サクラさん初めたしお ビリケン昭和💀です💕レス有難うございたす😁💊ラブ🐻におほめの蚀葉頂き有難う‌これからも様々な角床から短線を曞いおいきたいず思っおたす🎈そしおアル様もい぀も有難う‌次回䜜もう間もなく✚😱お楜しみに💀💊

No.259 08/03/13 15:55
サクラ ( 20代 ♀ zgXCh )

こんにちわ☆
初めたしお😁
党郚おもしろかったです✚‌
特に、箱の䞭のラブが①番奜きです😍
これからも楜しみにしおいたすので曞き続けおくださいね💕

No.258 08/03/12 00:37
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

昭和💀さん、こんばんわ
   〆
m⊆(_ _)⊇m

☺笑い星🌠の最高😚👍
お笑いバッチ👍

👍
 👍
👍
 👍
👍👍
😲💚

おっず💊倱瀌おば💊
たた、新たな短線たっずりたす😁
頑匵っお䞋さい👍
ではでは
👋😁

草堎の陰から芋守るアル🍺より

No.257 08/03/11 21:04
ヒマ人0 

>> 256 ☺66☺

翌日 芞胜週刊誌のある蚘者の蚘事が倧々的に掲茉されおいた 

【お笑い新人発掘先日行われた第52回䞊方新人挫才倧賞で惜しくも䞉䜍に終わった元ず芞人の異色《》に泚目が集たった 歎は浅くただ粗削りだが物おじした所がなく生き生きず力を発揮しおいたず感じた 特に目を匕いたのは珟圹の人気だった愛川可憐の芋事なたでのお笑いぞの転身振りである 自身の時代の過去の犁断等を振り返りそれをにするずいうある意味業界な詊みは関係者を驚愕させた それゆえ愛川可憐自身の挫才ずいう物に察する䞀途なたでの真剣さが垣間芋え私には気持ちよく爜快に映った 今埌の圌等の掻躍を心より願いたす 頑匵れ安藀䞉島怿】



笑い星完

No.256 08/03/11 20:47
ヒマ人0 

>> 254 ☺63☺ 二人の挫才が始たるや吊や䌚堎は割れんばかりの倧きな笑いに包たれた  『 そう来たか  そうかそうか 』 䞉島は今  ☺65☺

『じじゃぁ垫匠が私達の垫匠に』

可憐の蚀葉には優しく頷いた 

『昔から匟子は取らぞん囜宝玚の頑固者やで その君がお前ら二人の挫才を認めたんや 有り難う思いや』

の心憎い挔出に可憐ず安藀は思わず泣きそうになった 

『有難うございたす垫匠』

『これから挫才道をしごきたっさかいにな 芚悟しなはれや』

苊笑いしながらは二人に笑いかけた 

『そうず決たれば明日から束前座のらの前座に出お挫才しおもらう』

の蚀葉に可憐ず安藀は目を䞞くしお驚いた 

『わ 私 たちが ああの䌝統の束前座 の前座ぁ嘘 嘘みたい』

『䞉島の䞀番匟子ずしお恥ずかしくない挫才をしなさいそれが私達のお前さんらに察する泚文や 』

『し 垫匠』

可憐ず安藀は二人の垫匠に抱き着いた 

『挫才の䞀番星 笑いの頂点を目指す長い旅が今始たったんです 頑匵りや《》』

可憐ず安藀は二人の膝でい぀たでも溢れる涙を拭う事が出来なかった 

No.255 08/03/11 20:30
ヒマ人0 

>> 254 ☺64☺

『 そうか 優勝は出来んかったか 』

翌日は二人から決勝倧䌚の結果を聞いた 

『 䜕や お前ら悔しいないんか優勝出来んでもっず萜ち蟌んでるず思ったけど 』

は笑顔を芋せる可憐ず安藀を䞍思議そうに芋぀めた 

『そら悔しいないっお蚀ったら嘘です けど垫匠 俺ら持っおる力党お出し切りたした 芳客からもいっぱい笑い声もろうたし もう倧満足ですな怿 』

『はい 垫匠に蚀われた《らしさ》の意味 やっず解りたした 有難うございたした』

は照れ臭そうに煙草を吹かした 

『あそや 優勝したらの匟子入り正匏に認めたるっおあの件な 』

可憐ず安藀はその蚀葉に反応した 

『優勝逃したしやっぱり玄束は玄束やから お前ら匟子には出来ん』

『 ですよ ね 玄束は玄束ですよね 解っおたす 』

可憐ず安藀は淋しそうに肩を萜ずした 

『 ず思っおたら䜕やお前らに興味持っおる物奜きな挫才垫がおっおな その人の匟子でも良ければ挫才続けおもえぇ』

『ほ本圓ですかでその方はどこに』

可憐ず安藀はに詰め寄った 

『さっきからここに居たすがな 』

声の䞻は䞉島だった

No.254 08/03/11 19:36
ヒマ人0 

>> 253 ☺63☺

二人の挫才が始たるや吊や䌚堎は割れんばかりの倧きな笑いに包たれた 

『 そう来たか  そうかそうか 』

䞉島は今たで新人の挫才では耳にした事のないような芳客の心からの笑い声にただ苊笑いをしおいた そしおゆっくり垭を立ち垰る支床を始めた 

『 最埌たで芋おいかないのんですか君 』

がに声をかけた 

『 この芳客の笑い声聞いおみぃや君 もうは充分や 䜕も蚀う事ない これが党おの答えや 』

『  確かに では私も 』

䞉島の二人は可憐ず安藀の挫才を終わりたで芋る事なく䌚堎を埌にした 二人がを出た埌も芳客の笑い声がなりやむ事がなかった 

『なぁ君 ら きっず将来らをも脅かす存圚になるかもな 』

は襟を正しながら黙っお埮笑んだ 

『䜕や君 泣いおるんず違いたすか』

『あ蚀うな君 目に埃が入っただけや』

二人は笑いながら今倜は飲み明かそうず肩を抱いお深い街に消えお行った 

  • << 256 ☺65☺ 『じじゃぁ垫匠が私達の垫匠に』 可憐の蚀葉には優しく頷いた  『昔から匟子は取らぞん囜宝玚の頑固者やで その君がお前ら二人の挫才を認めたんや 有り難う思いや』 の心憎い挔出に可憐ず安藀は思わず泣きそうになった  『有難うございたす垫匠』 『これから挫才道をしごきたっさかいにな 芚悟しなはれや』 苊笑いしながらは二人に笑いかけた  『そうず決たれば明日から束前座のらの前座に出お挫才しおもらう』 の蚀葉に可憐ず安藀は目を䞞くしお驚いた  『わ 私 たちが ああの䌝統の束前座 の前座ぁ嘘 嘘みたい』 『䞉島の䞀番匟子ずしお恥ずかしくない挫才をしなさいそれが私達のお前さんらに察する泚文や 』 『し 垫匠』 可憐ず安藀は二人の垫匠に抱き着いた  『挫才の䞀番星 笑いの頂点を目指す長い旅が今始たったんです 頑匵りや《》』 可憐ず安藀は二人の膝でい぀たでも溢れる涙を拭う事が出来なかった 

No.253 08/03/11 19:19
ヒマ人0 

>> 252 ☺62☺

8組䞭6組の挫才が終了した 汗だくで緊匵しながら挫才を終えお舞台の袖に䞋りおくる他の決勝進出者を眺めながら可憐はゆっくりず深呌吞をした 

『倧䞈倫や怿 萜ち着け 予遞の時みたいに萜ち着いおやったら結果は぀いおくる』

『はい あん人前に出るのには慣れおるはずなのに緊匵するぅ』

可憐は自分の頬を䞀床ず叩いた 

『えぇか怿 俺達はここで終わりやない ここから始たるんや』

安藀は震える可憐の䞡肩に手を眮くず笑顔で蚀葉をかけた そこには以前の䜕でも悲芳的で消極的な安藀の姿はもうなかった 可憐は初めお芋るそんな安藀を芞人の先茩ずしお頌もしく感じた 

『そそうですよね ここからが私達の始たりですよね』

二人が出番ですずに呌ばれた 

『よしいくぞ䞉島怿』

『はい党囜に《》ありっお所芋せおやりたしょ安藀兄さん』

玅癜の衣装を着た二人が軜快なお囃子ず共に勢いよく倢の舞台に飛び出した

《はぁいどうもでぇす》

No.252 08/03/11 19:00
ヒマ人0 

>> 251 ☺61☺

䞊方新人挫才倧賞圓日 OBV挔劇は異様な熱気に包たれおいた 昚今のお笑い挫才に煜られおか内はず今旬で最先端のお笑いを䞀目芋ようず満員の芳客で埋め尜くされおいた 

『よう君 やっぱりも芳に来たんか 』

芳客垭の最埌尟での䞉島が同じく仕事䌑みのを芋぀け声をかけた 

『 君もか  さおは可愛い匟子達のする挫才が気になるず芋た図星ですやろ』

『 たぁな ら䞀䜓どんな挫才しお決勝たで勝ち残ったんかが興味あっおな 』

私もですずも頷いた 

『しかし頭のえぇ子らやないですか あの二人君のきちんず飲み蟌んでちゃんずここたで来たんですから 』

は黙っおただ開かぬ舞台の幕を眺めおいた 

『だからこそ芋おみたい らの挫才を っお事ですな』

の蚀葉には苊笑いを浮かべた 

『さぁ始たるで』

番組の前説が終わり軜快な音楜ずずもに眩しいが䌚堎を亀錯した 《茝け䞊方新人挫才倧賞ぉ》ずは息を殺した 

No.251 08/03/11 18:41
ヒマ人0 

>> 250 ☺60☺

『よ予遞通過したっお お前らそれ け!?』

それから䞉日埌舞台の合間に食堂でうどんをすすっおいた二人の垫匠䞉島は目を䞞くした 

『あ垫匠その顔たさか私達匟子の事党然期埅しおなかったんじゃありたせんか』

『  た たぁな すたんけど その通りや 』

可憐ず安藀は䞊方新人挫才倧賞予遞通過者だけに送られる本遞決勝倧䌚に出堎出来る分厚い封筒を芋せた 

『 み芋おみぃ君 これ もんや 』

『 あぁ 驚きたした 』

二人は封筒の内容を䜕床も読み返しお信じられない様子だった 

『ネタは 䟋の散髪屋のでいったんか』

『いぇ違うネタで 垫匠に蚀われたようにあのネタは封印しお私達らしい挫才のに倉えお 』

ずは銖を傟げながらそらおめでずうず初めお笑顔を芋せた 

『本遞決勝倧䌚は来週OBV挔劇で党囜で生攟送です垫匠 芋おお䞋さいね私達《》きっず新人挫才賞の頂点に立っおみせたすから』

安藀も可憐に続き笑顔を芋せた 

『そうか しかしお前ら二人共えぇ顔しずる 芋違えたわ たあ頑匵り』

No.250 08/03/11 16:54
ヒマ人0 

>> 249 ☺59☺

『あ 安藀さん 今䜕ず 䜕ず蚀いたした』

突然可憐は䜕かを思い出したかのように安藀ににじり寄った 

『な䜕や 気持ち悪い どないしたんや』

『今䜕ず蚀いたしたか』

可憐は安藀の襟銖を掎みず揺らした 

『ちちょっず埅おいたい 痛いやろが さすが元やなっお耒めただけやがな』

『 そそれです分かった私 分かっちゃいたした垫匠達の蚀わんずしおいる事が今』

可憐は安藀の手を取るず小躍りするようにその堎を走り回った 

『ちちょっず 䜕が 䜕が分かったんや』

『緎習ですさぁ緎習したしょ安藀先茩 』

『き気持ち悪い 䜕が䜕か俺に解るように説明しおくれるか』

可憐は笑顔で安藀を芋た 

『ほら このたたで このたた食らない私達でいいんですよ答えはそれです』

可憐はそう蚀うず安藀を定䜍眮に立たせおゆっくり深呌吞をした 

『で ネタは』

『そんな芁りたせんよ』

『  え 』

No.249 08/03/01 13:23
ヒマ人0 

>> 243 ☺57☺ 『らしさ ですか 』 可憐ず安藀は俯きがちに顔を芋合わせた  『そや はお前らにしか出来ぞん挫才があるっおゆうずるん  ☺58☺

『らしさ  垫匠も難しい泚文出しよるなぁ 』

新人挫才倧賞予遞䌚が明埌日に迫っおいた 安藀ず可憐は䞉島ので途方に暮れおいた 䞉島の蚀う《らしさ》の意味が理解出来ぬたた䜕の打開策も芋出だせないたた悩んでいた 

『ねぇ安藀さん 私解んないよらしさっおどういう意味ですか』

『あ俺に聞いおも解るかい』

『぀たり 正統掟挫才をするな や蚭定の段階から冒険しろずいう意味ですかね 解んない』

せっかく起動に乗り出した可憐の倢も暗瀁に乗り䞊げた圢ずなっおいた 

『  もう諊めるしかないんかな 』

安藀が自信なさげに呟いた 

『な䜕蚀っおるんですか安藀さんの挫才垫になるっお倢そんなな物だったんですかただ二日ありたす諊めずに頑匵りたしょうよ』

可憐は䜕ずか安藀のやる気を奮起させようず必死に自分自身の萎える気持ちず共に闘っおいた 

『 さすが元 貧盞な俺ずはが違うわ』

安藀は苊笑いした 

No.248 08/02/14 22:28
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

>> 247 🐯さんたで、💝🍫有り難う😚
で、どちらの谷間で 
😍💧
あっ すいたせん💊぀い涎が 💊

☝😂🔥🔚100t

💀さん、🐯さん、いただきたす😳

アル🍺

No.247 08/02/14 22:16
向日葵 ( dtkN )

>> 246 既にバレおたすから 🐯には(笑)アルさん、🐯からもチョコレヌトあげたす😁あ、すいたせん💢谷間に挟たっおたした😱ちょっず枩いけど どうぞ(笑)ずころで、ビリケンさん 短線小説の曎新ストップしおたすが 

No.246 08/02/14 20:50
ヒマ人0 

>> 245 アル様❀い぀も有難うございたす💊今日は聖バレンタむンデヌでしたね😉では若茩ながら私ビリケン💀からアル様に💋 
🍫🍫🍫チョコっずね❀😳💊

やだ💊ビリケンが女だったっお事ばれるじゃないですカァぷんぷん💚

No.245 08/02/14 17:03
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

昭和💀さん、こんちくわ😚🍢
元気ですか💚🔉

笑い星☺の続き🌠も寝れず😪💀 💊楜しみに埅っずりたす☝😁

぀いでに💝🍫も、埅っずりたす😁

では👋😁
アル🍺

No.243 08/01/31 19:53
ヒマ人0 

>> 242 ☺57☺

『らしさ ですか 』

可憐ず安藀は俯きがちに顔を芋合わせた 

『そや はお前らにしか出来ぞん挫才があるっおゆうずるんや 』

䞉島のそばでも同じくその蚀葉に頷いた 

『そんな誰かに教えおもろたような教科曞通りの挫才やっおお客が喜ぶず思うか客が芋たいのは《お前ら》ずいう人間やお前らの党郚を党裞で毛穎の䞭たで掗いざらい芋お貰う皋の芚悟がないず客は真剣にお前らず向き合う事はせんのや解るか』

『 私達ずいう人間 どういう事か解りたせん垫匠もっず詳しくはな 』

『甘ったれるなそれが解らんようじゃ挫才垫どころか予遞も通過せぇぞんわしっかり頭䜿うお考え』

それだけ蚀うず䞉島は出番の為舞台の袖に消えお行った 

『 らしさ  難しいなぁ 』

安藀が頭を抱えた 可憐は黙っお爪を噛みながらその堎に暫く立ちすくんでいた 

党おをさらけ出す 䞀䜓どういう意味だろ 

可憐は自信満々だったが华䞋された悔しさよりも䞉島の蚀葉の重さにただただ唇を噛み締めおいた 

らしさ 私らしさ 

  • << 249 ☺58☺ 『らしさ  垫匠も難しい泚文出しよるなぁ 』 新人挫才倧賞予遞䌚が明埌日に迫っおいた 安藀ず可憐は䞉島ので途方に暮れおいた 䞉島の蚀う《らしさ》の意味が理解出来ぬたた䜕の打開策も芋出だせないたた悩んでいた  『ねぇ安藀さん 私解んないよらしさっおどういう意味ですか』 『あ俺に聞いおも解るかい』 『぀たり 正統掟挫才をするな や蚭定の段階から冒険しろずいう意味ですかね 解んない』 せっかく起動に乗り出した可憐の倢も暗瀁に乗り䞊げた圢ずなっおいた  『  もう諊めるしかないんかな 』 安藀が自信なさげに呟いた  『な䜕蚀っおるんですか安藀さんの挫才垫になるっお倢そんなな物だったんですかただ二日ありたす諊めずに頑匵りたしょうよ』 可憐は䜕ずか安藀のやる気を奮起させようず必死に自分自身の萎える気持ちず共に闘っおいた  『 さすが元 貧盞な俺ずはが違うわ』 安藀は苊笑いした 

No.242 08/01/28 20:22
ヒマ人0 

>> 241 ☺56☺

䞉島ずはじっず芖線を萜ずし黙っおいた 可憐ず安藀はただじっず盎立䞍動で二人の蚀葉を埅っおいた 

『うん たぁ 䞀぀の䜜品ずしおは及第点は付けられるな 』

錻をかみながら意倖な垫匠の第䞀声だった 

『基本的な事はきっちり出来おたす ぀い最近生たれた急造にしおはなかなかのや はしっかりしおたす 』

埌からの優しい声が飛んだ 二人の垫匠の䜙りにも意倖な蚀葉に可憐ず安藀は思わず飛び䞊がりそうになる皋喜んだ 

『ただァし』

楜屋䞭に響き枡るような声でが声を発した

『 ただしそんなでは新人挫才倧賞どころか 予遞すら通過せんやろな 』

『  え そ な どどうしおですか』

喜びも぀かの間可憐ず安藀はの蚀葉に動揺した 

『 可もなく䞍可もなく ごく普通ぅの教えられたような挫才やからや 』

隣でもそうやず頷いおいた 

『せせやかお垫匠俺ず怿は来る日も来る日もずこずん頑匵りたしただから 予遞はこので 俺らこの挫才で勝負したいんです』

安藀が珍しく声を荒げた 

『 らしさがないんやらしさが』

No.241 08/01/27 08:47
ヒマ人0 

>> 240 ☺55☺

《はいどうも皆さんこんにちはでぇす》

䞉島はあぐらをかいお真剣に聞くようでもなく新聞を読みながら耳だけ二人に傟けおいた 手掗いから垰った䞉島も加わり䞉島の二人は匟子の挫才を聎いおいた 

《実はね怿ちゃん僕この間散髪屋に行っお来た時の話やねんけどな 》
《ちゃんでも散髪するんやね河童やから毛䌞びないんやず思っおたわ》
《埅お埅お埅ったらんかい だ誰が河童やねんほな䜕かこの僕の髪の毛の䞋には皿でも忍ばせずんかい》

は二人が二週間かけお緎り䞊げた䟋の散髪屋の客ず店員の䌚話だった 怿がおな店員になり安藀がそんな圌女に振り回されるお客の圹で玄3分間の二人の創䜜挫才が始たった 垫匠二人はそれぞれく぀ろぎながらじっず二人の挫才を聎いおいた 

《 おゆうかやめさせおもらうわどうも有難うございたしたぁ》

分間の《》の挫才が終了した 楜屋内に暫く沈黙が続いた 

『  お終わり です 』

『   』

『 でいいかがだったでしょうか 』

可憐ず安藀は緊匵の面持ちで二人の顔を芋た 

No.240 08/01/26 13:06
ヒマ人0 

>> 239 ☺54☺

《元愛川可憐が挫才結成目指すは䞊方新人挫才倧賞》

二人が挫才倧賞予遞にしたその数日埌週刊誌にはそんな蚘事が飛び亀っおいた 

『さっすが人気やないか怿ちゃん』

『人気だなんお垫匠 ただに半分笑い者にされおるだけですよ』

楜屋で週刊誌を眺める䞉島の衣装敎理をしながら可憐は答えた 可憐ず安藀が垫匠である䞉島の前で結成の報告をした時はさほど驚いた様子もなくそうかしっかりやれずだけ二人に告げた 

『で予遞甚のは仕䞊がったんか』

可憐の暪で靎を揃える安藀に䞉島は尋ねた 

『あ はい 䞀応 怿ず二人で緎りに緎りたしお  』

小さな声で申し蚳なさそうに安藀は答えた 

『芋せおみ』

『 えい今ぁ 歀凊でですか』

可憐が反応した 

『そや お前らに任せるずはゆうたがどんな挫才に仕䞊がったんか興味ある 芋せおみぃほら 』

お茶ず饅頭でく぀ろぎながら䞉島は二人にこの堎で芋せを呜什した 

『はい じゃあ 安藀さん 』

『お照れたすね  』

二人は立ち䜍眮に収たった 

No.239 08/01/25 21:03
ヒマ人0 

>> 238 ☺53☺

『俺正盎お前の事芋䞋しずった 䜕がじゃ挫才垫なりたいお銬鹿にしずんのかっお どうせに興味持぀芞の事党然解りもせんが話題性や知名床䞊げる為の宣䌝にでもするんか お』

『 仕方ないですね そう思われおも 』

可憐は切り替えるようにさぁもう䞀螏ん匵り詰めたしょうず立ち䞊がった 

『すたんな に 』

『もういいですよ過去の事ずやかく蚀ったっお戻っお来おはくれないじゃないですか前を芋たしょうよ前を半月先に迫った新人挫才倧賞予遞䌚突砎目指しお』

可憐は安藀に握手を求めた 

『じゃあ正匏に今日平成19幎11月14日午前零時22分私《䞉島怿》ず《安藀》の新挫才誕生名は名付けお《カキツバキ》どうですか』

『カキ せ無いなぁ たぁえぇわ 』

照れ笑いを浮かべながら安藀は可憐の手を握った 

『いっちょやったろか』

『挫才界に旋颚を起こしおやりたしょう』

寒空の䞭挫才の頂点を目指す若い二人は互いに笑い合った 

No.238 08/01/25 20:39
ヒマ人0 

>> 237 ☺52☺

安藀はから䞞めた倧孊を取り出した 

『これっお 』

『すたん ちょっず焌いおもうた けど党郚読たせおもろた お前が小さい頃から本気で挫才垫に憧れおたっお事 どんだけ挫才が奜きかっお事よう解った 』

焌けた箇所に幟぀ものの跡があったので可憐は少し笑った 

『なぁ 䞀぀聞いおえぇか』

安藀は猫背の姿勢を正した 

『䜕で癜玙やったんや』

『癜玙 』

『途䞭から日蚘曞かんず止たっずったやないか え確か平成11幎 』

可憐は偎の葉っぱを摘むずず撒いおみせた 

『なぁ 気になったんや あんだけ毎日楜しく曞き蟌んでたのに な 』

『倢を 』

『え 』

『倢を捚おなきゃならなかったから だからもう曞けなかったんです 』

可憐の顔が曇った 

『倢を 捚おる』

『父に 事務所の瀟長であった父に半ば匷匕に歌手の道を歩む事を玄束させられたその日だったから 』

突然晩秋の冷たい颚が銀杏の枯れ葉を匕き連れお二人の回りを舞った 

『 怿お前に 蟛かったんや になる事 』

可憐は黙っお金網の向こうの颚のざわめきを聎いおいた 

No.237 08/01/25 19:54
ヒマ人0 

>> 236 ☺51☺

『俺目醒めたわ お前に蚀われた《やらなきゃ始たらない》っお蚀葉にな 』

『 安藀さん 』

安藀が着おいた緑のの垜子の郚分が颚に揺れた 

『こんな俺でもな 昔ちょっず売れ出した時期があったんや 倧阪のTVの番組で前説ずかさせおもろたりしおな ほら俺お 顔面癜いやん』

『 はい 矚たしい䜍に 嫉劬したす 』

そこは吊定せんかず安藀は笑った 

『けどある日先茩芞人に蚀われたんや 《は顔がいだけで人間は党然ない そんな奎の挫才聞いおも誰も振り向かぞん》っお 俺その蚀葉にかなり受けおな 』

『  』

可憐は短く切った髪の毛をかきあげじっず安藀の話を聞いた 

『そこで䜕ず奮起したら 出来おたら俺もう少し倉わっおたんかもしれん けど出来んかった それ以来殻に閉じこもり自分に自信無くしおな 䜕もかも嫌になっおな このや 』

『  』

公園の街灯に虫がず近付いお花火のような音を奏でおいる 可憐は猶を開けるずゆっくり口を぀けた 

『矎味しい 昌から喉だったから 』

それを芋お安藀が目線を合わさず苊笑いをした 

No.236 08/01/25 19:34
ヒマ人0 

>> 235 ☺50☺

『せやからぁ客はをあおおもらいたいんやろそこで店䞻の《顔剃りたすかぁ》っおは倉やっお蚀っおるんや』

『だ駄目ですここは譲れたせんにの繰り返しこれっきゃないんです』

気が぀くず安藀ず可憐の䜜りはし深倜たで続いおいた 二人のの高さに犬の散歩に来た近所の䞻婊は目を䞞くしおいる 

『お前ず話しおたら疲れるわ考えが幌皚なんやっお䌑憩䌑憩』

安藀は䞀段萜付かせるように近くの自販機で猶を二本買っお䞀本を可憐に投げた 

『あ 有難うございたす 』

の埮かな声が聞こえる公園で二人は土の䞊にゆっくり腰を䞋ろした 安藀はため息を付きながら星空を芋䞊げた 

『 来お䞋さったんですね 有難うございたす 』

可憐はを䞡手に囲んだ 

『か勘違いすんな 俺は 俺はただ 』

俯く安藀に可憐はず肘でいお芋せた 

『あれからずっず歀凊で 䞀人で緎習しおたんか 』

可憐は頷いた 

『そっか  』

安藀はを飲み干した 

『けど䞍思議やな こず挫才の事になるず自然ず身䜓ず頭が 』

可憐は苊笑いした 

No.235 08/01/25 19:15
ヒマ人0 

>> 234 ☺49☺

冬に差し掛かる肌寒い朝安藀は䟋の公園の前にいた 

  いた

安藀は公園の公衆䟿所の偎の金網に可憐を発芋した 可憐は金網に向かっおず話しかけながら時には倧声で笑ったり身振り手振りで動き回っおいた 安藀には明らかにの緎習をしおいるず解る埌ろ姿だった 

『だからぁさっきから蚀っおるでしょ䞞坊䞻にはかけられないんだっおじゃあどうすんのよお客さんその気になっおじっず座っおるじゃん』

 䞀人二圹かよ 萜語じゃねぇんだから み芋おらんねぇ

可憐の挫才の垞識を超えたな緎習颚景に安藀は草堎の陰でため息を぀いた 

『うちは散髪屋だよ そんな 』

『そんな䞭途半端な蚭定で客が食い぀くかいな』

『 え』

可憐が振り向くずそこに可憐が曞いたらしい垳を芋぀める安藀の姿があった

『あ あ安藀さん』

『 なるほどな 散髪屋に来た客ず店䞻倫婊のやり取り ちゅう蚳か うん解りずらいな 客』

『はぁ 』

『客や俺を客やず思っお話膚らたせおみい』

『安藀 さん じゃあ 私ず 』

No.234 08/01/25 18:21
ヒマ人0 

>> 233 ☺48☺

《平成11幎7月26日 今日初めおを䜜りたした 本気で嫌がる芪友のに盞方をやっおもらいみんなの前で披露 結果散々 でもめげないきっず魚屋っお蚭定が悪かったのよ次はにしやすい散髪屋で再床挑戊頑匵ろうね》

《平成11幎8月1日 うけない 私が担圓の方がいいのかな 散髪屋ののくだりは受けあず党滅 》

安藀はじっず可憐のを読んだ 

《平成11幎9月20日 が盞方を蟞めたいっお蚀い出したの  挫才するのは決しお恥ずかしい事じゃないよ人を笑わせお幞せに出来る最高のだよっお必死に時間説埗 盞方続けおくれるっお 倧奜き》

   銬鹿か 

安藀は苊笑いするずお茶を入れお今床はゆっくりず腰を据えおの続きをたた読み始めた 

《平成11幎11月9日 今日は 曞きたくない ごめんなさい私 》

ん 

安藀の目線がこので止たった その日からは癜玙のが続いた 

No.233 08/01/25 18:01
ヒマ人0 

>> 232 ☺47☺

《お前も怿も前に進んでいくしか道はないんや 》

垫匠の蚀葉がい぀たでも安藀の心に残っおいた 

前に  

䞡手を頭の埌ろで組み安藀はじっず倩井の暡様を眺めおいた 高校を卒業し芞人の䞖界に憧れこの䞖界に飛び蟌んだたではいいがい぀たで経っおもの䞊がらぬ付き人で仕事らしい仕事は殆ど無いただ惰性に生きおいる空気みたいな存圚 安藀はそんな情けない自分を自芚しおいた だからこそ可憐に蚀われた事に腹が立ったのだ そんな事今曎お前に蚀われなくおも解っおるず 《顔が面癜いからっお即舞台で笑われる䞀流芞人になれるず思ったら倧間違いやぞそっからたた䞀歩努力せんかったら芞人それでおしたいなんや》 い぀しか垫匠に蚀われた蚀葉が蘇り安藀は目を閉じた 

俺も二幎前は ず同じ目を しおたんや 

安藀はふずさっき壁際に捚おた焌けかけの可憐の倧孊に目をやった そしおゆっくり手に取り䞭身をずめくっおみた 



《平成11幎6月12日 今日初めお䞉島さんの挫才を芋た 電気が走ったよ凄い二人の挫才を聞くだけでこんなに心が暖かくなれるんなんお私決めた絶察挫才垫になる》

No.232 08/01/25 17:37
ヒマ人0 

>> 231 ☺46☺

『ほれ食えの特補や 今日は特別やぞ 』

は安藀にの半分を手枡した 

『  』

『 䜕やお前 怿の事が嫌いか』

うっすらず光の差し蟌む安藀の郚屋の真ん䞭では手に぀いたの皮の郚分をず舐めながら尋ねた 

『確かには䜕考えおるか解らん所あるな 人気絶頂のやったのを蹎っおたでこんな芞人の䞖界に飛び蟌んでくるくらいやからな おい茶や』

安藀はずお茶の甚意を始めた 

『けどな お前も二幎前はあんな顔しずったで 怿のようなな 』

『え 』

『この芞の道䞀筋で食っおいくそんなした目での前で頭䞋げたんや 』

安藀は熱いのか枩いのか䞭途半端なお茶をに差し出した 

『蚀っずくけどな お前にももう埌がないんやで』

『え し 』

『怿ずうたい事いけぞんおゆぅんならもうの匟子も砎門する』

『 う そそん な』

安藀はの顔をず芋぀め驚きの衚情を芋せた 

『お前も怿も前に 前に進んで行くしか道はない 道はないんや わかったな』

No.231 08/01/25 16:49
ヒマ人0 

>> 230 ☺45☺

『䜕やあの 䞀䞁前な事蚀いやがっお』

可憐が垰った埌安藀はそのを思い切り床に叩き぀けた

お前に お前に俺の䜕が解るっおゆぅんじゃ

安藀は自分の郚屋で倧の字になるず喚き散らした

こんなが䜕やっちゅうねん

安藀はに火をかけるず可憐の倧孊を近づけた

こんな 燃やしたる

安藀の振える手が火に䌞びる 

 銬鹿にしやがっおぇぇぇ

安藀は寞での所で火からを離したが䞉分の䞀皋焌いた所で我に垰り暪の壁に燃えかけの可憐のを叩き付けた

『 䜕やっずるんや』

『あ し垫匠 』

玄関に垫匠の䞉島が立っおいた 

『䜕䞀人で暎れずるんや 』

『あ いえ 』

猫を被ったように垫匠の前で安藀は倧人しくなった 

『気になっお仕事の合間に来おみた どや怿ずは仕䞊がったか』

『   』

『な 䜕や どないしたんやただ出来おぞんのか』

安藀はただ黙っおその堎にぞたり蟌んでしたいうなだれおじっず窓の倖の秋空を眺めおいた 

No.230 08/01/25 11:47
ヒマ人0 

>> 229 ☺44☺

『 な 䜕や』

安藀の䜏むは可憐の想像通り昭和挫画家の聖地《荘》を圷圿ずさせるような兞型的な長屋のだった 

『 甚があるから来たに決たっおたす』

半ば怒り気味に可憐は鞄から束になった叀い倧孊を安藀に差し出した 

『 な 䜕やこれ 』

『私が小孊生の頃から自分で考えお䜜っおいた垳ですこれを読んで䞋さい読めば私が本圓に腰掛けや興味本䜍でこの䞖界に入ったのかどうかが解っお頂けるず思いたす 』

『な䜕で俺がこんな読たな 』

『読んで䞋さい』

可憐は匷匕に安藀の脇にを差し蟌んだ 

『正盎内容は人様に披露出来るじゃないかも 救いようがない䜍぀たらないかもしれたせん けど だけど貎方みたいに䜕でも吊定的で自己嫌悪の䜕もしないしお他人を批刀する人よりは無謀でも銬鹿でもこうしお明日を考えおる私みたいな人間の方がただ癟倍だず思いたす違いたすか』

安藀は芖線を床に萜ずしお黙っおいた 可憐は垰り際振り向き安藀に蚀った 

『あの公園で毎日䞀人で緎習しおたすから 貎方が嫌でも私やり通したすから』

No.229 08/01/24 23:24
ヒマ人0 

>> 228 ☺43☺

『垫匠 私どうしたらいいんでしょうか 』

安藀からこずごずく無芖され仕方なくその日も可憐は䞉島の荷物持ちを手䌝っおいた 

『垫匠の君がそうしろず蚀っおるんや 埓うしかないやろ 』

粋なで粉煙草をふかしながらず党く正反察の䞊品な䞉島は䌑憩䞭いき぀けの喫茶店のを飲んだ 

『けど肝心の安藀さんにあんな態床取られたら 私どうしおいいのか解りたせん垫匠も垫匠ですよ無責任にお前らで解決しろだなんお 』

『ほんたに 無責任なんかな』

は瓶の角砂糖を䞀぀口に入れおねぶり始めた は無類の甘党で有名だ 

『お前らで解決せぇ 君はそう蚀った その意味解るか怿』

可憐は銖を傟げた 

『嫉劬やな 』

『え 』

『ん いいや 䜕もない たあしっかり頑匵りや』

笑うず皺だらけの面長の顔ではそれだけ蚀うず喫茶店を埌に束前座の楜屋口ぞず消えお行った 

ずにかく新人挫才倧賞はひず月を切っおいる 䜕ずか 䜕ずかしなきゃ 䜕が䜕でも安藀さんに分かっおもらわなきゃ

可憐は楜屋たで二人の背広を届けるず䞀人気合いを入れた 

No.228 08/01/24 20:40
ヒマ人0 

>> 227 ☺42☺

『そうか の奎えらい剣幕やったんやな珍しい は女子䟛だけには匷いからなぁ 』

『もう 笑い事じゃないです 結局それ以来䞞二日も口聞いお貰えないんですから所詮はらしくの履いお螊っおろだずか氎着になっお男に色目䜿っおりゃいいだずかもう蚀いたい攟題』

栗ご飯の甘い銙りが郚屋䞭に充満した 䞉島は倧奜物のの塩蟛を可憐の䜜った栗ご飯に乗せるず矎味しそうにかきこんだ 

っおゆうか どういう味芚ですか垫匠

『垫匠 安藀さんに䜕ずか蚀っお䞋さいたすよね私ず合わせちゃんずしろっお 』

可憐の真剣な県差しに照れながら䞉島は手を暪に振った 

『悪いけどそれはお前らの問題や は関䞎せん勝手にやっおくれ 』

『そそんなぁ垫匠』

可憐はのご飯のおかわりを無芖した 

『 ああのな怿 そんな事ぐらいで躓いおるようじゃぁ到底日本䞀の挫才垫にはなれんお前もの奎もな』

『どうしおも安藀さんず組たなきゃ駄目ですか』

『そやな お前ら二人で新人挫才倧賞に出お優勝 それしか道はない 』

No.227 08/01/24 19:29
ヒマ人0 

>> 226 ☺41☺

『だっお垫匠が決めた事なんですよそんな事蚀わないで頑匵っおみたしょうよずにかくやらなきゃ始たらないじゃないですか』

『なんかず挫才が出来るかいみんなの笑い者や』

ず怒鳎りながら垰る安藀の埌を远いながら可憐は身振り手振りで必死に呌び掛けた 私だっお奜き奜んで貎方ずを組みたい蚳じゃないでもやらなきゃ自分の将来が 倢がかかっおるんだから どんだけ安藀にこの蚀葉を济びせたかった事か しかし可憐はそれを飲み蟌んでひたすら安藀にどうか萜ち着くようにゆっくり話そうず諭した がみるみる安藀の姿が芋えなくなっおいく 可憐は远い掛けるのを諊めるず䞀床右足で地面を螏み倩を仰いだ 

ななんで 嫌だ嫌だあの粟神䜕ずかしお

可憐は銀杏の黄色い絚毯にしゃがみ蟌んでため息を぀いた 

お婆ちゃん 私 無理なのかな みんなの笑顔 舞台で芋る事は出来ないのかな 

可憐にずっお《歌手愛川可憐》がこの時䜍疎たしく感じた事はなかった 

No.226 08/01/24 18:38
ヒマ人0 

>> 225 ☺40☺

『あ あのいくら兄匟子だからっおいきなりはないんじゃないですかは』

『はだろが他に蚀いようあるかい』

安藀は傍にあった小石を思い切り蹎飛ばした

『お前愛川可憐やろ歌手の』

『だだったら だったら䜕なんですか』

安藀のその蚀葉に䞀瞬たじろいだが可憐は肩を怒らせ安藀を睚み返した

『前から蚀いたかったんや お前銬鹿にしずんのかえぇこの䞖界を銬鹿にしずるんかっお聞いおるんや』

凄んだその安藀の姿は垫匠の前では決しお芋せないものだったので可憐はかなり驚いた 

『歌手が真剣に挫才垫を目指したらそれっお銬鹿にしおる事になるんですか』

『圓たり前じゃ芞の䞖界を舐めんなよお前みたいな持ち䞊げられお来た歌手がず興味本䜍だけで通甚する皋挫才の䞖界は甘ぅないんじゃ』

どうしたどうした喧嘩かず二人の回りを野次銬が取り囲み始めた 

『そんな文句蚀う為に私を歀凊に呌んだのですか安藀さん新人挫才倧賞に出堎しお優勝したくないんですか』

『先に蚀うずくお前ずは絶察なんか組たんからな』

No.225 08/01/24 17:59
ヒマ人0 

>> 224 ☺39☺

ぶっきらがうで無愛想な安藀の電話で呌び出され可憐は近くの公園に来おいた 公園䞀面に銀杏の黄色い葉っぱが絚毯のように敷き詰められた郜䌚のど真ん䞭にある小さなこじんたりした公園だった 

『  あおはようございたす 』

玄束の時間に20分も遅刻しず安藀がいかにも面倒臭そうに可憐の前に珟れた 

『  』

安藀は可憐ず挚拶どころか目すら合わせる事もなく暫くじっず地面の土を蹎っおいた 

『  』

な なんか喋っおよ 倧人気ないな

通行人にたっ昌間からこんな人気のない公園で男女が二人䜕をしおいるのだろうかずいった芖線で芋られながら沈黙は続いた 

『垫匠から説明受けたした で ああのぅ ずにかく 始めたせんか』

可憐は出来るだけ䜜り笑いにならないような笑顔で安藀に話しかけた 

『  』

『えぇず私 垌望は《》なんですが  どうしおもっお蚀うなら話し合いで  』

『 お前バカか』

突然吐き捚おるように安藀が蚀った 

『え ば バカ ぁ 』

『䜕浮かれおんだっお蚀っずんじゃ頭おかしいんずちゃうか』

可憐は安藀の䜙りにも意倖な蚀葉に呆然ずした 

No.224 08/01/24 17:31
ヒマ人0 

>> 223 ☺38☺

 結局䞀睡も  

昚倜のの䞀蚀が可憐を今日も䞍眠に远いやった 

安藀さんず組むぅ う嘘でしょよりによっおどうしお安藀さんずなの

目の䞋にを䜜り今朝も可憐は憂鬱なたたが仕事に出る支床を始めおいた が安藀ど挫才を組めずいった意図は可憐には党く理解出来なかったし可憐もただ玠人ながらあの根暗で芁領の悪い神経質な人間ずいくら挫才をしおもきっず息すら合わないだろうし面癜くもないだろう 䜕故かそんな確信も抱いおいた 

『あ 今日かららに぀かんでえぇから』

玄関でがいきなり可憐を制止させた 

『えど どうしおですか』

『新人挫才倧賞たでもうあず䜕日もない 今日からお前は盞方の安藀ず䜜っお新人挫才倧賞に備え緎習するんややり方はお前らの奜きにせぇ 詳しい事は今朝安藀に電話で話しずいたから ほな』

『ほな お し垫匠』

は新人挫才倧賞の結果が出るたで自分の付き人は芁らないず䞀人鞄を担いで仕事に出掛けた 

ど どうしよう どうすりゃいいの 

可憐はため息を぀いたたた頭を抱えた 

No.223 08/01/24 16:49
ヒマ人0 

>> 222 ☺37☺

『なぁ怿 』

『あはい 䜕でしょう』

『お前䜕で挫才垫になりたいんや 』

が手招きしたので可憐はゆっくりずの前に鎮座した 

『な䜕故っお 人を笑わせたい 毎日が嫌になったり悲しんだりしおる人達が䞀人でも倚く私の挫才芋お笑顔になっおくれたらなっお っお垫匠どうしおそんな事聞くんですか』

は目線を窓に移した 今日の仕事疲れなのかの目は明らかに虚ろだった 

『歌で お前は今たででも歌ずいう圢で沢山の人様を幞せに笑顔にしおきたやないか なのに䜕でたた今挫才なんやろかそう思うただけや 気にすんな 』

はず腰を䞊げた 

『 垫匠 もうお䌑みになられたすかお垃団しき 』

『 それしか無いかな うん』

は思い立ったように自分で独り蚀を呟いた 

『え それっお䜕ですか』

可憐はの埌を远うようにの颚呂の䞋着の準備をし始めた 

『 なぁ怿 今床の新人挫才倧賞になお前安藀ず組んで出ぇ 』

『  えぇし垫匠じ冗談でしょ』

可憐はの蚀葉に目の前が真っ癜になっおしたった

No.222 08/01/24 16:32
ヒマ人0 

>> 221 ☺36☺

『今日かお舞台の袖で埅っずけおあれほど蚀うおんのに楜屋でじっずの垰り埅っずるんや 頭の線䞀本抜けずるんやないやろな 』

背広のを無造䜜に攟りなげるず可憐はそれを玠早く空䞭でした 

『安藀さん 垫匠に぀いおもう長いんですか』

可憐は颚呂の湯沞かし噚のを入れるずにお茶を差し出した 

『挫談垫になりたいお䞉島の門叩いおもう二幎になるかな どうしおもらの匟子になりたいお頌むから枋々が匕き受けたんやが  芋おの通り芞を盗むどころか雑甚すらたずもに出来ん圹立たずや』

『な 䜕もそこたで 』

可憐はの安藀に察する䜙りの蚀いように蚀葉を無くした 

『 ええ玠質 』

『え 』

䞉島はほころびた畳をじっず眺めおいた 

『せやけどなの奎 ほんたらがいくら頑匵っお努力しおも敵わん芞人ずしおのえぇ玠質持っずるんや けど けどはそれをよう発揮せんいや 発揮の仕方が解らんのやな 勿䜓ない や 』

し垫匠 䜕だかんだ蚀っおも可愛いんだ 安藀さんの事  

畳を觊りながらしみじみず安藀の事を口にするに可憐は埮笑んだ 

No.221 08/01/24 12:43
ヒマ人0 

>> 220 ☺35☺

挫才垫䞉島の䞀日のはたさに殺人的だった NOKの挔芞寄垭の収録が終わるず着の身着のたた公民通での営業雑誌の取材に答えた埌ずお茶で軜い昌食午埌からは地元束前座の定期公挔回をこなす間に䞊方萜語䌚䞻催のに呌ばれ締めは来月行われる䞊方芞人運動䌚の総合叞䌚の打ち合わせを地元TV局ず この日二人が仕事を終えたのは午前様近くだった 途䞭でを自宅で降ろした埌は午前零時過ぎの前で停車した 

『どや 䞀日目で死ぬ皋疲れたやろ けどこれでも今日仕事少なかった方や』

郚屋の鍵を探しがら䞉島は可憐に蚀った 

『倧䞈倫ですこういう分刻みの地獄のには慣れっこなんで 』

『あ せやった お前は寝る暇もない元やっおんものなこれくらい朝飯前か 』

郚屋に入るず可憐は真っ先にの䞋着を掗濯機に入れ機械を回した 

『 しかしした お前は䜕でもよう気の付く奎っちゃ 』

可憐は少し照れながら銖を振った 

『それに匕きかえの奎は 』

䞉島は舌打ちをしおお茶をすすった 

No.220 08/01/23 13:03
ヒマ人0 

>> 219 ☺34☺

可憐の本栌的な芞人修行がした 安藀の運転する車に乗り蟌んだ䞉島ず可憐は途䞭で垫匠を拟いTVの挔劇番組収録の為に囜営攟送局があるNOKに向かった 

『どうです 昚日はよぅ眠れたしたか』

埌郚座垭の可憐のすぐ隣りに乗り蟌んだ䞉島は優しく緊匵しおいる可憐に話しかけた 

『あ はい いいぇ 』

でしょうねず䞉島は笑った 

『そら君 あんたり可愛いから襲い掛かろうず思ったで䜕せ皆のやっおんから  』

助手垭から劖怪のようにず銖を䌞ばし䞉島が話に割り蟌んで来た 

 このたた䞀緒に䜏んでるうちに本圓にやりかねないかも 

安藀は䞉人の話を面癜くなさそうにずしながら前を向いおを握っおいた 

『えぇか怿 お前はの匟子やゆうおも蚀い換えたら挫才垫䞉島の匟子やせやからだけでのぅお君の䞖話もしっかり焌かなのやで』

『あ はいその぀もりですしっかり勉匷させお頂きたす』

 に匟子入りを断られはしたが間接的にこうしお二人に勉匷させお貰える 可憐の心は匟んでいた 

No.219 08/01/23 09:40
ヒマ人0 

>> 218 ☺33☺

『ほんたにい぀たで経っおも成長せん奎やねんからあ そや 玹介しずくわこの嚘は昚日の匟子になった怿やたあただ芋習いっちゅう身分やがな 』

『あ ぀怿ですよろし 』

を䜜った頭を撫でる䞉島に玹介され可憐が挚拶しようずしおも安藀ずいう匟子は垫匠の靎を揃えるのに必死のようだった 

な 䜕人が挚拶しようずしおるのに

『そいでこい぀はの䞀番匟子の安藀矩圊 芞名は《安藀》 おいちゃんず挚拶せんかい』

䞉島に促されお安藀ずいう青幎は初めお顔を䞊げお可憐を芋た 

『  ども 』

『  』

安藀は身長は可憐よりも䜎いだろうか 頭に思いきり䞻匵した出っ歯 近県なのか昔のに出おくるがり勉のような県鏡をかけたたさに芋るからにお笑い芞人の兞型的な容姿だった 安藀はじっず可憐を芋぀めた埌䜕かに気付いたような衚情になったみたいだがそれから䜕も口に出さなかった 

『たあの匟子はお前ら二人だけやから 仲良うせぇな仲良うっちゅうおも間違っおも色恋沙汰にはならんずいおや』

ないない ぜ絶察ない

No.218 08/01/16 19:50
ヒマ人0 

>> 217 ☺32☺

『垫匠 今日のは 』

『んあぁ 予定はに任せずる お前は心配せんずの身の回りの䞖話さえしずけばえぇ 』

小柄な䞉島に背広を着せながら可憐ははいず頷いた しかし狭い郚屋で二人でこうしおいるず䜕か新婚倫婊のように感じ可憐は急にこっ恥ずかしくなった 勘違いしおはいけない私は挫才垫䞉島の付き人兌芋習い匟子ずいう立堎なのだ それに䞉島垫匠には悪いが䞀人の男性ずしお幎霢を差し匕いたずしおも完党に私の恋愛察象でもなければでもない それだけは胞を匵っお蚀える

『あ そや盞方の件やけどな 』

『あはい 』

玄関でず靎を履きながら䞉島が蚀葉を発した 可憐の耳がになった 䞉島が続きを話そうずした瞬間玄関の扉が激しく開いたず思うずその扉が䞉島の頭を盎撃した

『ここのがぁいきなり扉開く奎あるかい』

『あす 垫匠』

あ 䟋の芁領悪いあのお匟子さんだ

次の瞬間䞉島のがその匟子の頭を盎撃しおいた

No.217 08/01/16 19:30
ヒマ人0 

>> 216 ☺31☺

け結局䞀睡も出来なかった  

翌日可憐は眠い目を擊りながら䞉島より早く起きお朝ご飯の支床を始めおいた 決しお垫匠の事を信じおいない蚳ではないしかし50過ぎたずはいえただただ元気な独身男性である事は玛れもない事実 いきなりな若い嚘が独身男性の狭いで垃団を䞊べお䞀倜を共にする事自䜓䜙り想定出来ない展開だ 

こんな事が毎日  䞀日でも早く慣れなきゃ 䜓が持たない

可憐の心の正盎な叫びだった 

『おは よ 早いやないか 』

『おはようございたす冷蔵庫の䞭の物で朝ご飯䜜っおおきたした お口に合えばいいですが 』

䞉島は驚いおいた 料理たで䜜れるんかたたげたな そんな蚀葉が聞こえおきそうな顔だった 

よし少しでも点数皌ぎしなきゃ 

『 怿 』

『あはい䜕でしょう 』

『 朝はお決たっずるんや 谷町六䞁目にある屋《》の限定10食限りの特補 』

『ず  ですか 』

『悪いな やいけぇ』

可憐は目が点になった 朝は食だなんおそんなの知らない

No.216 08/01/16 19:11
ヒマ人0 

>> 215 ☺30☺

『お 旚いやないか 䜕凊で教わったんや元のくせに 』

『垫匠 その元っお蚀うのやめお頂けたす』

ひずたず綺麗に敎った郚屋の真ん䞭に座るず可憐ず䞉島は可憐の入れた煎茶をすすった 

『えぇか日本䞀の女挫才垫になる第䞀歩は垫匠に矎味しいお茶を入れれるかどうかで決たる』

『あ有難うございたす お茶やお華は小さい頃祖母に教わりたした 瀌儀䜜法や着物の着付け等も 』

『意倖やなぁ 超人気歌手やおいうからもっずしたやず思っずったけど  叀颚なんや 』

䞉島は腕組みをしお可憐をず眺めた 早くこのしい芖線にも慣れなければ 

『で垫匠 䞉ヶ月埌にある新人挫才賞優勝を目指す私の盞方さんずいう方にはい぀逢わせお䞋さるのですか』

可憐は䞉ヶ月埌にあるお笑い新人挫才賞の事で頭が䞀杯だった 

『あぁ盞方か そやな 明日にでも正匏に挚拶させよか 』

䞉島はそう告げるず颚呂の湯沞かし噚のを抌した 

『怿 颚呂沞いたら先に入りぃや』

『え ふおお颚呂 ですか  』

『 䜕顔赀ぅしずるんや』

No.215 08/01/16 17:09
ヒマ人0 

>> 214 ☺29☺

『垫匠私 甘えおたした 間違っおたした  こちらで喜んでお䞖話になりたす』

『 そぅか 解ればえぇんや解れば 』

可憐は䜕床も䞉島に詫びを入れお蚱しを埗た そしお自分の甘さを痛感しおいた 初めお飛び蟌む芞の䞖界 今たで時代に抱えおいた垞識や偏芋はこの䞖界では通甚しないのだ 

『たぁ䞭に入り 』

迎え入れおくれた垫匠の郚屋は究極に汚かった 

  な生が散乱しおる 

正盎確かに10代の若い嚘が䜏める環境ではなかった の空䜕故かに固たっお開かない雑誌 靎䞋に䜕床もご飯粒が匕っ付いた 

『そ掃陀 したすね  』

『あ 悪いな 』

䞉島は可憐のその蚀葉を埅っおいたかのように恐瞮した 

これも匟子の仕事のうち 頑匵らなきゃ

錻を摘みながら可憐は郚屋の掃陀をした 䞉島は座垃団をひいお居眠りを始めた 

 たさかいい家政婊さんが来おくれた んお考えおないわよね 垫匠

時折居眠りする䞉島を睚み付けながら可憐は誇りにたみれた掃陀機を蚀いながらかけ始めた 

No.214 08/01/16 16:32
ヒマ人0 

>> 213 ☺28☺

『 垫匠ずこの郚屋で この小さな6畳で寝泊たりするんですかここのただ18歳になったばかりのうら若き乙女のこの私ずぉ たたさか嘘ですよねたた冗談なんだ 本圓はきちんず私の䜏む郚屋を甚意 』

『いや今床ばかりは冗談やない ここで生掻しおもらう』

䞉島は真面目な顔で答えた 

『だだっお私は 』

『䜕や だっお䜕やず蚀いたいんや 《私は女やから 特別やから》 そう蚀いたいんかるなよおい』

䞉島の顔がみるみる豹倉しおいった 

『あいや 私は ただ 』

『この䞖界じゃな垫匠ず䞀緒に寝食共にさせお貰える匟子は数える皋しかおらんのじゃ垫匠ず䞀緒に寝食共にするっお事は垫匠の芞を盗む䞀番の近道なんや それを己は女やからどうだの汚いからどうだの ずったらど』

䞉島の雷が萜ちた

『ず䞀緒に䜏めん蚀うんならやめおたえ荷物たずめお東京垰れ』

䞉島は郚屋の鍵を開けるず可憐を衚に残し䞀人郚屋の䞭に入っおしたった 

『あ し垫 匠 』

可憐はどうしたらいいのか解らずただじっず郚屋の前に立ちすくんでいた 

No.213 08/01/16 16:13
ヒマ人0 

>> 212 ☺27☺

『怿お前 䜏む所あるんかただ決たっおないんやったらんずこに来い小汚いやけど 』

『 えいいいんですか』

可憐はたさか匟子入りを認めお貰えるずは思っおもいなかったので䜏たいをただ決めおはいなかった だからたさか垫匠の家に䜏み蟌めるなんお正に䞀石二鳥だず喜んだ 午埌の寄垭の仕事を終えた䞉島に連れられお可憐は䞉島のに向かった 

汚いっお謙遜しおたけどきっず凄いに䜏んでるんだろな 

着の身着のたたで詰め蟌んだ黒いをず担ぎ盎し可憐はただ芋ぬ䞉島の豪邞に胞を螊らせおいた 

『さぁここや遠慮せんず入り』

『  え ここ ここ ぶ文化䜏宅 ですけど 』

『䜕や䞍満か築40幎のの豪邞やがな』

可憐の期埅は事々く厩れ萜ちた 

小汚いっお そのたんた じゃん 

そんな事も口には出せず可憐は䞉島の埌を倱意のたた぀いお行った 

『こここに䜏むんですかじゃないですかあ 私の郚屋は 』

『んなもんあるかいなず同じ郚屋で寝食を共にするんや』

No.212 08/01/16 15:53
ヒマ人0 

>> 211 ☺26☺

二人が楜屋に入るず䞉島が座っおいた はが連れお来た可憐を芋お党おを悟ったのか䜕も口に出さなかった 

『君玹介しずくわ 今床芋習い匟子になった怿やよろしゅう䜿ったっおくれ 』

は煙草に火を付け息を吐いた 

『぀怿ですよ宜しくお願いしたす』

たるで初察面のように可憐は改めおに頭を䞋げた 

『そうか そこたでしお䞉島の匟子になりたいんか 根性だけは芋䞊げたもんやな 』

物静かに䞉島は呟いた 

『けどただ匟子ずしお正匏に認めた蚳やないんや 䞉ヶ月埌にある䞊方新人挫才賞に出堎しお優勝したら の条件付きでな』

䞉島はに告げた 

『君そりゃ無茶苊茶やで䜙りにもが高すぎるがな』

は目を䞞くしお驚いたがは倧䞈倫倧䞈倫ず笑った 

だ倧䞈倫じゃないっお ほが自殺行為だよ

『 たぁ君が決めた事や は䜕も蚀わんけどせいぜい頑匵り』

䞉島は可憐に優しく埮笑んだ 

『 垫匠の匟子になりたかったな 』

『ん䜕かゆうたか怿』

No.211 08/01/16 12:43
ヒマ人0 

>> 210 ☺25☺

『遠慮せんずたぁ入り 』

昚日通された通路を通り可憐は䞉島に楜屋裏の斜蚭をあれこれ教えおもらいながら歩いた 

『こか己れ今から舞台に履いおでる靎やないか』

楜屋入口で䞉島はいきなり怒鳎り声を䞊げたので可憐は驚きの䜙り身を竊めた 

『す 今で也かしたすんで 』

怒鳎られた先に居たのは昚日䞉島に怒鳎り぀けられおいた䟋の匟子だった 

『 お前で靎也く蚳ないやろが  倩日干しや裏で也かしお来い』

䞉島はそのふがいない匟子を足で蹎り䞊げた

『垫匠 』

匟子は慌おお靎を持ち裏口ぞ走った 

こ怖い 私もしたらあんな颚に蹎り倒されるんだろか なぁ 

可憐は急に䞍安になっお来た 

『ったく い぀たで経っおも あ気にせんずいおやい぀もの事やさかい は人䞀倍芁領の悪い奎やさかいに 』

そういえば䞉島䞀門は匟子には厳しいっお雑誌に曞いおあったわ 私぀いおいけるのかな 

可憐はため息を぀いた 

No.210 08/01/16 11:58
ヒマ人0 

>> 209 ☺24☺

冗談やず笑いながら䞉島はから䞀枚の玙を取り出し可憐に芋せた 

『《怿 䞉島怿》 怿は䞉島䞀門の叀くからの家王に䜿われおいる高貎な花らしい その花の名前をお前の芞名にする えぇか怿 少なくずも䞉ヶ月の間はお前は愛川可憐やない 挫才垫の卵䞉島怿ずしお生掻するんや分かったな』

怿 怿 可愛い名前だ 

『垫匠有難うございたす怿 気に入りたした』

䞉島は荒川の方が売れたかもず仕切に呟いおいたが可憐は無芖した 

『えぇか怿 どの䞖界でもそうやが特にこの芞の䞖界は男女の差などない匱肉匷食の実力䞻矩やこれたでのお前の茝かしい経歎はここでは通甚せんい぀たでも自分はで特別なんやされるっおやわな気分でおったら目に遭うで』

『はい分かっおたす党おを捚おおこの䞖界に飛び蟌んで来たんですから 甘えや泣き事は蚀いたせん死ぬ気で頑匵りたす』

䞉島は改めお可憐の挫才垫になるずいう決意を確かめるようにそう蚀うずず可憐の肩を叩いた 

No.209 08/01/16 11:35
ヒマ人0 

>> 208 ☺23☺

『そうか やるか それでこそ男や』

 お女なんですけど 

近くの栌安に宿泊した可憐は翌日真っ先に束前座の楜屋裏に蚪れた 玄束通りそこで埅っおくれおいた䞉島に挫才を組んでやっおみたすず返事をした 

『䞉ヶ月しかないからな しっかり詰めお頑匵りや䞀応の立堎は事がするたで《匟子芋習い》っちゅう事で えぇか』

可憐は返事をした 先の事は䞍安だったが芋習いでも䜕でもずにかく匟子にしおもらえた事に可憐はず胞を撫で䞋ろしおいた 

『の芞名考えずいた 』

『芞名 ですか』

『本名の《可憐》では䜕かそのたんた歌手の延長やず呚りから䜕かず劬たれるかもしれんやろ せやから垫匠のが芞名を぀けたるお前は人圢みたいに可愛いらしいから《荒川》 おのはどないや荒川はの本名や 』

『は  人圢ずずどういう関係があるんですか』

『こ子䟛は知らんでえぇそんな詳しい事』

䞉島の含み笑いを察した可憐は䞍審に思った 

『な䜕か倉な意味なんですか なんか嫌です他の名前にしお䞋さい』

No.208 08/01/15 20:53
ヒマ人0 

>> 207 ☺22☺

『ちちょっず埅っお䞋さいよお笑い新人挫才賞っおったら新人挫才垫達の登竜門も倧勢参加するずいうあの由緒ある挫才賞じゃないですかむ無理ですどう考えたっお優勝なんか出来る蚳私はただ挫才の《た》の字も解らないの玠人ですどんな凄い盞方さんが぀いたっお優勝なんお 絶察無理です』

䞉島は可憐の蚀葉を聞いおいた 

『 なら無理や 匟子入りは認めれん今たで通り歌唄っおお客さん喜ばしずき』

䞉島は店員を呌ぶずその堎での勘定を支払い垭を立った 

『ちちょっず埅っお䞋さい垫匠』

『 お前の挫才にかける情熱はそんななんやな そんな匱気じゃあ日本䞀の挫才垫には到底なれんの決めた盞方ずを組みお笑い界の頂点を目指す お前にはそれしか道はないよう芚えずき返事は明日たで埅ったる ほなら』

䞉島は喫茶店を埌にした 

どどうしよう 匟子入りの条件が新人挫才賞優勝だなんお 無茶苊茶だよ  お婆ちゃんどうしよう 私䞀䜓どうすれば 

可憐は䞀人頭を抱えた 

No.207 08/01/15 20:37
ヒマ人0 

>> 206 ☺21☺

数分間の睚み合いが続いた 

駄目ず蚀われおも食い䞋がる頑匵れ可憐

『  えぇよ匟子にしたる 』

『  駄目ですか  っおえぇいいいんですか』

『うんえぇよ 』

䞉島は満面の笑顔で可憐を芋た その気配が逆に可憐には䞍気味に感じた 

『ああの わ私っお垫匠から芋おこの道に む向いおないずか 思いたせんか』

『䜕で』

䞉島はを飲み干した 

『いいやその 埌から向いおないっお断られたりしないなんお  』

『䜕や 向いおないっお誰かに蚀われたんか』

『 じ実はさっき䞉島垫匠の楜屋にお邪魔しお同じように匟子入り志願したんですけど 断られたしお 』

『あぁ 君は匟子取らぞん䞻矩やからな あぁ芋えお結構な頑固やさかい 』

ずりあえず可憐はホッず胞を撫で䞋ろした 

『ただし条件がある 』

『じ条件』

真面目な顔付きで䞉島はお冷やを飲んだ 

『の決めた盞方ず挫才を組んで䞉ヶ月埌にあるお笑い新人挫才賞に出お優勝するこれが正匏な䞉島䞀門ぞの匟子入りの条件や』

『ええぇ』

No.206 08/01/15 19:48
ヒマ人0 

>> 205 ☺20☺

『旚いでここの』

䞉島は束前座近くの喫茶店に可憐を連れ出し倧阪名物らしい特補を矎味しそうに吞い蟌んだ 

『あ あのぅ 』

『あ気にせんでもえぇそれはの奢りや 遠慮せんず飲んでや っお蚀いながらは奢られるの埅っおたりしお 䜕ちゅうおも幎収䜕億円のなんやから っお冗談冗談』

   

可憐は深呌吞をするず䞉島を芋た 

『 匟子に 私を垫匠の挫才の匟子にしお䞋さいお願いしたす』

『最近のは冗談も面癜い今床それネタに䜿わしお貰うわ』



 可憐は勢いよく机を手で叩いた 䞉島は可憐の気迫に黙り蟌んでしたった 

『お願いですからないで䞋さい私真剣なんです私本気で挫才の勉匷したいんです』

『  た マゞかいな 』

『マゞです 限りなく』

䞉島の顔぀きが豹倉した 

『本気で そんな事蚀っずるんか』

『 はい本気です』

暫く腕組みをしながら䞉島は黙り蟌み考えおいた 可憐は䞉島の次の蚀葉をただじっず埅っおいた 

No.205 08/01/15 19:13
ヒマ人0 

>> 204 ☺19☺

『あのぅ すみたせん 』

『ん  』

可憐は䞉島に声を掛けた 

『お   あ 愛川愛川可憐ちゃんやないか』

䞉島はいきなり可憐に抱き着き頬にKissをした䜙りの䞍意な出来事に可憐はただ目を䞞くし䜕も出来ずにいた 

『  あ あの 』

『愛川愛川可憐ちゃんやろなな本物本物やっ』

『あ 』

䞉島ず䜙りの察照的な歓迎振りに可憐は戞惑った 

『の倧なんやCDかお党郚持っおるでかおダフ屋で買っおよう行っおる』

 ダフ屋でね 

可憐が話そうずするず䞉島はたあたあず肩を抱いおお茶でも行こず半ば匷匕に可憐を連れ出した 

『最高最高こんな所でに逢えるたぁ 実物は想像以䞊にさんやなぁ 䜕食うお奜み焌きかん』

 たたぁいいか このたた黙っお埓おう たさか倉な所には連れお行かれないずは思うけど 

しきりに可憐の腰の蟺りを摩るように持ちながら可憐は䞊機嫌の䞉島に付いおいった 

No.204 08/01/15 18:51
ヒマ人0 

>> 203 ☺18☺

『もうえぇわお前ず話しおたらこっちたで疲れおくるほなら倜舞台で着る背広屋からずっお来おくれこれやったら小孊䞀幎生でも出来るお䜿いやほらせんず早ぅ行かんかい』

匟子らしき若者は䞉島に背䞭を叩かれるず頌りなく歩き出した 

『 い぀たで経っおも成長せん奎やなぁ 』

その埌ろ姿を眺めながら䞉島はため息を付いおいた 

 䜕かお匟子さんで苊劎しおそう 匟子 ん

可憐はふず気が付いた 

確か䞉島垫匠は匟子は取らないっお蚀っおた お事は さっきの人は垫匠の方のお匟子さん お事は 

突然可憐の目の前が明るく開けたようになった

䜕も匟子になるのは垫匠だけじゃない 垫匠はお匟子さんがいる なら私にもただがあるかも 顔の事で萜ずされない限り そうそうだよ可憐 圓たっお砕けろだ

可憐は䞉島に匟子入りの党おを蚗そうず決意した 絶察このたた泣き寝入り出来ない私は諊めお垰る為にこの聖地に赎いた蚳じゃない気が付いたら可憐は䞉島のいる堎所に歩き出しおいた 

No.203 08/01/15 18:35
ヒマ人0 

>> 202 ☺17☺

『こんの誰が䞭山の9買っお来いっおゆうたんじゃ阪神の9に決たっおるやろが芋おみぃ案の定きずるがな《》ちゃんず買うお来おたら䞇銬刞やったやないか』

すぐ暪の路地でが転がる音ず怒鳎り声がしお可憐は跳び起きた

私 寝おたんだ 

可憐は楜屋裏の玄関口の偎でうずくたり眠っおしたっおいた 

『す 』

『で枈みたせんっおい぀も口酞っぱなるくらい蚀っおるやないか芞が面癜ないんやからせめお蚀われた遣い䜍ちゃんずせんかい』

この声 

可憐は起き䞊がるず聞き芚えある声の方向をそっず芗いた 

そうだ䞉島垫匠

小柄な颚貌に特城的な声 そこに居たのは䞉島の担圓の䞉島だった 䞉島は匟子らしき若者の頭をこれでもかず蚀わんばかりに殎っおいた 

 芞颚通りだ 䜕か自由奔攟で荒っぜい 垫匠ずは正反察だ 

可憐は暫く二人のやり取りを眺めおいた 

ただ殎られおる よっぜど芁領が悪いんだ 可哀盞 

No.202 08/01/15 18:00
ヒマ人0 

>> 201 ☺16☺

䞉島はさっきたで銖にかけおいた愛甚の手ぬぐいにずを曞くず可憐に手枡した 

『人間適材適所っお蚀葉があるやろさぁ垰っお元気で歌う事に専念しなさい 歀凊はのいる堎所やない 』

『  』

可憐は俯いたたた黙っおいた 

『 別にの事が憎いずか嫌いやずかやないんや 実は元々は匟子はずらぞん䞻矩でな  悪く思いなさんな けどはよう解ったでは挫才垫になれんでもこんなに玠晎らしい瀌儀正しい気持ちの持ち䞻や ただからここたで歌手ずしお成功を収めたんやろうな 頷けたす 』

『  垫匠 』

䞉島は楜屋の玄関たで可憐を送っおくれた 

『久しぶりに気持ちのええ子に逢えお嬉しかった爜快爜快ほなねたたどこかの番組で䞀緒になれるやろか  さいなら』

手を振り䞉島は垰っお行った 可憐はそこから䞀歩も動けずただ涙を流した 

垰れったっお もう私には垰る堎所なんおない 

ず浪花の空から雚が降り出した このたた車道に飛び出しお顔を車に蜢かれようか そしたら䞍现工な匟子ずしお垫匠に認めお貰えるのだろうか 可憐はふず思った 

No.201 08/01/15 17:37
ヒマ人0 

>> 200 ☺15☺

可憐にずっお䞉島の蚀葉は衝撃的屈蟱的なものだった 

そんな この容姿のせいだけで 断られたんだ 私 

《どんなに話術が優れおいお面癜く挫才をする最高の玠質を兌ね備わっおいたずしおも 顔が綺麗過ぎおは客には笑っおもらえない 》思いもしおいない蚀葉 綺麗にしお来いず蚀われればただ手の斜しようもある だが綺麗な物を䞍现工にするなど聞いた事もない 

『わ 私はどうしたら 』

『元いた堎所に垰りなさい の居堎所はここやない 』

『え 』

䞉島は可憐を優しく芋぀めた 

『にはが䞀番茝ける居堎所があるやろっおゆうずるんです 』

『 垫匠 しご存知だったんですか 私の事 』

『圓たり前田のや こんな幎寄りでも芞胜週刊誌くらい芋たすがな』

䞉島は週刊誌に掲茉されおいた愛川可憐の蚘事を指さし埮笑んだ 

『 し垫匠 』

『挫才垫になるお匕退か たさからの所に来るずはな  』

䞉島は可憐の正䜓を初めから解っおいた 

『䜕億円も皌いでるからもっずわがたた高飛車嚘かず思っおたけど  なかなか出来たお嬢さんで驚きたした 』

No.200 08/01/15 17:15
ヒマ人0 

>> 199 ☺14☺

『顔が 私の顔がぁ』

『そや そんな人圢さんのように可愛いらしい女の子が挫才しお誰が心底笑う事が出来るず思うたあな今TVで売れおる芞人が党郚が党郚䞍现工やずは蚀わん せやけど舞台やTVで面癜い事やる芞人さんおぇのは倧䜓䞍现工っお盞堎が決たっずる 䞍现工が真剣に銬鹿やっおるから䞖間の人らは腹抱えお心の底から笑う事が出来る そう思わんか』

『 確かに それはそうかも 』

可憐は蚀葉に詰たった 日本䞭を熱狂させるだった圌女はこれたでいかに自分を可愛いらしく愛らしく䞖間のに芋せる事こそが倧事だった 《愛川可憐》ずいうを自ら䜜り䞊げ自分の本圓の気持ちを停っおでも食り立おる事を矩務付けられお来たのだ 

『顔が この顔が仇になる 垫匠はそうおっしゃりたい蚳ですね こんな面癜みのない顔で舞台で䜕を喋っおもお客さんは笑っおくれない 垫匠はそうお感じになられたんですね 容姿っお 挫才をするのに容姿っおそんなに倧事な芁玠なんですか 』

『 挫才は第䞀印象も笑いの倧事な芁玠なんや 蚀うわ のその綺麗な容姿では客は笑っおくれぞん』

No.199 08/01/15 16:47
ヒマ人0 

>> 198 ☺13☺

『 向いおないんや 』

『え 向いお いない』

『そやお嬢ちゃんは挫才垫いや そもそも芞人っちゅう職業には向いずらん悪い事は蚀わん やめずき』

䞉島は可憐の目の前でそう蚀い切っおしたった 

『などうしおですか垫匠はどうしお私が芞人に向いおないっお蚀い切れるんですか私は垫匠達の出挔された挔芞は欠かさずさせおもらい間の取り方だずかのだずか 毎日独孊ながら勉匷しお来たしただから他の人より少しはこの䞖界の事理解しおいる぀もりですそれを向いおないの䞀蚀で じじゃあ私は私はどうすればいいんですか』

可憐は瞋り付くように䞉島に詰め寄った 

『 䜕で向いおないか おせぇたろかお嬢ちゃん らかお䞊方挫才界の至宝ずたで蚀われたや 匟子になりたいお蚀っお来た若者は山皋おるけども皋情熱持っおらの門叩いおくれた若者はおらんはにえぇ子や 』

『だったら䜕故 』

可憐は思わず泣き厩れそうになった 

『顔や 』

『か顔ぉ』

『そや はすぎる!そこが䞀番の匱点なんや』

No.198 08/01/15 12:31
ヒマ人0 

>> 197 ☺12☺

『芞人の逊成孊校があちこちに出来始めお芞人目指すたいがいの若い子はそっちに入孊しよる 昔ながらの垫匠に匟子入りするっちゅう埒匟関係を嫌うが倚い䞭はこの䞉島䞀門に匟子入りしたいず蚀うんやな』

『はい是非お願いいたしたす』

䞉島は葉巻の煙草を粋に吞い始めた いける絶察が出る可憐の思いが通じお必ず匟子入りを認めおくれるそう確信した時だった 

『 悪いがお嬢さん それは出来ん 』

『  ええぇ そそれはどうしお 』

可憐の膚らんだ期埅は䞀気に音を立おお萎み出した 

『匟子には出来んっちゅうこっちゃ それだけや 』

䞉島は立ち䞊がるず背広に着替え出した 

『な䜕故ですか垫匠 私の事今耒めお䞋さったじゃないですか瀌儀正しい最近にはいない子だっお なのになのに䜕故匟子にしお頂けないのですか女だからですか』

可憐は食い䞋がった 

『確かにお嬢さんは瀌儀正しいしきちんず物事考えられる賢い女性やず思う 挫才に察するその真面目で䞀途な気持ちは玠晎らしいず思う 』

『だったら だったらどうしお』

可憐は激しく動揺した 

No.197 08/01/15 11:51
ヒマ人0 

>> 196 ☺11☺

『匟子 』

䞉島は腕組みをしながら暫く黙り蟌んでいた 

『おお願いしたす私本気の本気で挫才垫になりたいんです決しお生半可な気持ちではありたせんお二人の挫才は最高です そんな䞉島の挫才の原点は䜕なのか知りたいんです 掗濯でも身の回りの䞖話でも䜕でもさせお頂きたすだからどうかこの通りお願いいたしたす』

可憐は知っおいる限りの敬語ず誠意で䞉島に匟子入りを迫った 

『お嬢さん幟぀や』

『え あはい じ18歳です』

䞉島はあぐらをかき盎した 

『 うん 玠晎らしいな 』

『え 』

顎髭を摩りながら䞉島は目を閉じ蚀葉を発した 

『初察面の目䞊の者に察する挚拶の仕方瀌儀䜜法蚀葉䜿い どれをずっおも珟代の若者にしおは珍しく感じのえぇ嚘さんやな いや玠晎らしい 感服したした 』

䞉島は今床は正座をするず笑顔を芋せた 

『あいや そそんな 』

思いもよらない䞉島の蚀葉に可憐は戞惑った 匟子入りを迫ったら癟怒鳎り぀けられる事を芚悟しおいたからだ 

ここの感じ もしかしお幞先いいのかな 

No.196 08/01/14 22:22
ヒマ人0 

>> 195 ☺10☺

『あ 違うんです 実はですね 』

䞉島は真っ盎ぐ可憐の目を芋お次の蚀葉を埅っおいるようだった 

『じゃあ䜕の甚事かな』

『実は私 む昔から䞉島さんの倧で そそれで挫才垫になりたくお それで 』

『あぁかいな 宜しい宜しい 曞いおあげたすさかい 』

䞉島は匕き出しからを取り出しさぁ䜕凊に曞きたしょず満面の笑顔を芋せた 

『あち違うんです 実はですね 』

『 䜕やのん蟛気臭いはよぅ蚀っおみなさいな 』

䞉島は少し䞍思議そうな顔をしお可憐を芋た 可憐は䞀床唟を飲み蟌むず蚀葉を攟った 

『 匟子に 䞉島垫匠の匟子になりたいんです』

『  はぁ』

『私は幌少の頃浅草の遠埁寄垭で芋た䞉島垫匠の絶劙で繊现な䞀流のしゃべくり挫才に䞀目惚れしたんですどうか私もお二人の匟子にしお頂き䞊方挫才の真髄を孊びたいず思っおたすどうかどうかお願いしたす』

可憐は思いきり頭を䞋げた そこには぀い最近たで連発の歌手の片鱗は埮塵も感じ取れなかった 

No.195 08/01/14 18:47
ヒマ人0 

>> 194 ☺☺

『䞉島垫匠の楜屋はこちらです』

男性は可憐を䞉島の楜屋たで案内しおくれた 

『あありがずうございたした 』

『 垫匠達に突撃取材の番組か䜕かですか人気も倧倉ですなぁ 』

男性が苊笑いしながらほなず可憐から去った 

いや そうじゃないんだけどなぁ

可憐は気を取り盎し䞀床深呌吞をするず小豆色の暖簟に䞉島ず曞かれた他の芞人ずは明らかに違うそこだけ別栌の楜屋をノックした 䞭からはいどうぞず声が聞こえたので可憐は䞀床唟を飲み蟌むず

『倱瀌いたし したす』ず䞭に進んだ 

『はい 䜕の甚でっか』

ほ 本物だ

そこにいたのはの長身䞉島の方だった 

『あああの 』

䞉島は暫くじっず可憐を芋぀めるずどうぞず䞭にず手招きした 

『し倱瀌したす 』

䞉島は芞颚通り芋るからに几垳面で真面目そうな感じの玳士に芋えた 

『 で私に䜕かご甚ですかお嬢さん 』

『  あ 』

可憐は憧れの挫才垫を目の圓たりにした緊匵の䜙り蚀葉を無くした 

『あもしかしお君の方に甚事かな圌なら今食事に出かけずる 』

No.194 08/01/14 18:28
ヒマ人0 

>> 193 ☺☺

楜屋口を匕っ切りなしに出入りするや若手芞人を時折ず眺めながら可憐は䞉島が出おくるのを埅っおいた 

 逢ったら䜕お声をかけようかな  緊匵するぅ

『 さっきから䜕しおんの䜕か甚』

䜕回も楜屋口に出入りする男性が可憐に声をかけおきた 

『あ いいや その 』

『ん ああんたどっかで芋た顔やなぁ えず 』

その男性は可憐の顔をじっくり芋぀め始めた 

『ああんた ほら愛川可憐そやろの間違いないそうやんな感動したぁ本物やがなみたいながこんな寄垭の楜屋裏で䜕しおるんでっか』

『あ いやその み䞉島垫匠にあ逢いに 』

党おを悟ったように男性は可憐の肩を抱くずさぁ入り入りず可憐を楜屋に招いた 

 寄垭の楜屋口っおあ案倖簡単なものなんだ  

銖を傟げながら可憐は男性の蚀われるがたたに楜屋に入った 䞭は意倖ず質玠で廊䞋に仕切られた巊右に郚屋があり今日の出挔者の名前が匵り出されおいた 

凄い凄い凄いここが挫才の聖地《束前座》の楜屋

No.193 08/01/14 09:02
ヒマ人0 

>> 192 ☺☺

䞉島 数々の賞を受賞し䞊方挫才界に燊然ず茝く珟圚も若手を匕っ匵るしゃべくり挫才の第䞀人者である 生粋の倩然の芪父䞉島ず鋭いを芋せる䞉島のは今や䞊方挫才界でも名実ずもにであった 可憐が挫才垫を志したかったのも初めお祖母に連れおいかれた寄垭が圓時から実力No.1ず隒がれおいたこの䞉島の軜快な挫才を芋たからだった 

《い぀か䞉島垫匠の匟子になっお挫才の勉匷がしたい 》

 人気歌手愛川可憐をこれほどたでに動かした理由である 

やっぱりい぀芋おも面癜い 二人の挫才を芋おるず嫌な事党郚忘れおい぀しか笑顔になっおる 䞉島垫匠 貎方達は私の倢芋おた最高の挫才垫です

挫才を聞き終えるや吊や可憐はその足で楜屋口に走っおいた 

いきなりの無しだもんね 怒鳎り返されるかも いや私は諊めないそんな簡単な気持ちでここ倧阪に来た蚳じゃないもん

震える肩を萜ち着かせながら可憐はい぀たでも䞉島が出お来る楜屋口で立っおいた 

No.192 08/01/13 09:56
ヒマ人0 

>> 191 ☺☺

『あぁ 束前座ならその先や』

可憐は倧阪の地に降り立った 倧阪難波付近の地図を広げ通りすがる人に道を聞きながら可憐はひたすら意䞭の目的地を目指した では䜕床ずなく蚪れた事のあるここ倧阪だったがこうしおじっくり䞭心郚を歩き回る事は勿論初めおの事だった 

『あった束前座』

いかにも䞊方䌝統芞胜ずいった日本家屋颚の建物に沢山の寄垭芞人の昇りが旗めいおいた 

ここが䞊方挫才界の聖地《束前座》 

その出挔者の䞀番䞊の看板に可憐の目指しおいる名前があった 

《䞉島》 あった 

可憐は思わず寄垭のを賌入し䞭に入った ちょうど若手の挫才が終わりいよいよ真打ち登堎《䞉島》の出番だった 軜快なお囃子ず共に挫才䞉島が珟れた 可憐の胞に祖母銙代子ずの懐かしい過去が鮮明に蘇った

 おばあちゃん 

小さい頃忙しい䞡芪の代わりにい぀も可憐の面倒を芋おくれおいた優しいおばあちゃん その祖母が初めお連れお行っおくれた堎所が寄垭だった そこで初めお目にし耳にした感動 その芖線の先が䞉島の軜快な挫才だった 

No.191 08/01/13 09:28
ヒマ人0 

>> 190 ☺☺

党囜が終わり匕退隒動も䞀段萜した頃所属事務所関係者やTV局に挚拶を終えた可憐は単身新幹線東京駅の構内にいた 

《今君が歌手掻動を蟞めるずいう事が事務所にずっお いや芞胜界にずっおどれほどの損害になるのか解っおいるよね 君はそれほど倧倉な事をしたんだ だから最埌たで倢を諊めずしっかりやっおおいで 》

昚倜最埌たで歌手匕退に反察だったの坪井のかけおくれた蚀葉だった 坪井は涙を浮かべおいた さぞ悔しかったに違いない の頃からずっず二人䞉脚できた自分の自慢だった愛川可憐ずいう商品を断腞の思いでなくなく手攟したのだから 

坪井さん ごめんね 私頑匵るから 

人目に぀かぬよう深々ず垜子を被るず可憐は自由垭に腰掛けた 事務所が逞別代わりにくれた車の切笊をも断っお 

よし私の人生䞀から出盎しだ

新たな決意ず単身倧阪に行く䞍安が亀錯し可憐は心现くなった 別に倧阪に圓おがある蚳でもない 瀟長である父のもきっぱり断っおいたからだ 新幹線はゆっくりず走り出した 成功するたで垰らない 窓の倖の景色に可憐は誓った 

No.190 08/01/12 16:26
ヒマ人0 

>> 189 ☺☺

『お父さんは人に笑われる職業に぀いおもらいたくおお前を芞胜界に入れ育おあげた蚳じゃない富も名誉も人気も絶頂のお前がいきなりお笑いの䞖界に飛び蟌むず聞いたらや新聞瀟はお前を奜奇の目でしか芋なくなる お父さんはそれが耐えられない だがそれを承知の䞊での銬鹿げた決意なら勝手にしなさい私はもう䜕も蚀わない でももし泣き付いお来おも 金茪際事務所の敷居は跚がせない歌手の道は途絶えたそう思えいいな』

豊はそれだけ蚀うず郚屋を埌にした 

  もう 決めたんだもん 私の本圓の生きる道 

可憐は手垳から亡き祖母の写真を取り出し眺めた 

おばあちゃん によかったのかな これで 

波立぀気持ちを抑え぀぀可憐は暫く祖母銙代子の笑顔の写真を芋぀めおいた 

《可憐は笑顔の可愛い子だよ その笑顔で沢山の䞖の䞭に疲れた人達を救っおあげれれば玠敵じゃないか 》

可憐の胞に死ぬ間際に銙代子が孫の可憐にず蚀っおくれた蚀葉が甊った 

『よく寄垭に連れお行っおくれたよね おばあちゃん 』

心筋梗塞で五幎前に他界した祖母の顔を可憐はい぀たでも蚀葉をかけおいた 

No.189 08/01/12 13:14
ヒマ人0 

>> 188 ☺☺

《愛川可憐突然の歌手匕退宣蚀人気絶頂の陰に䜕が》《䜕故今お笑いなのか平成の歌姫に䞍可解な男の圱》《富も名誉も棄おた人気が倢芋た䞊方挫才の道ずは 》

毎日のようにこんな蚘事が新聞週刊誌を賑わせおいた 

『可憐 これはどういう事だ私の知らない内にお前は䞀䜓䜕をやっずるんだ』

自宅の郚屋の戞が開かれ可憐の父でもあり可憐が所属する事務所の瀟長でもある愛川豊が鬌のような圢盞で週刊誌を投げ捚おた 

『 芋おの通りよ 私挫才垫になる為に匟子入りするの 倧阪に行く』

可憐は慌おおから流れおくる挫才のCDを止めた

『 この期に及んでただそんな銬鹿げた事を蚀っおおるのかお前は私がお前をどんな思いでここたで人気歌手にしおやったず思っおるんだ』

『私決めたの本圓にやりたい事やるっお 子䟛の頃からずっず倢芋おた挫才垫になるっお もう決められたの䞊を歩くのは疲れたの歌手なんおはや 』

突然豊は可憐の頬をぶった

『 挫才垫 お笑い芞人になるっお事がどういう事か解っおるのか 人前で銬鹿を蚀っお おかしな事やっおただ客に笑われるんだぞ 』

可憐は俯いた 

No.188 08/01/12 12:30
ヒマ人0 

>> 187 ☺☺

愛川可憐は䞀幎前に突然圗星の劂く芞胜界にした18歳の歌手である 以来出す曲は党おを蚘録し続けこの䞖代のでは右に出る者はいない名実ずもたさに芞胜史に名を残すずなっおいた そんな圌女がの途䞭に突然の匕退宣蚀それもあろう事か挫才垫になるずいう倩地をひっくり返したようなは日本䞭に衝撃を䞎えた 

『こ困るよ可憐あんな堎所で告癜するなんおその事はただ内緒にしおおくっお玄束だったでしょうがお陰で䞖間は倧混乱だよ』

所属事務所の可憐の専属の坪井が頭を抱えた 

『でも遅かれ早かれ解る事だもし 告癜遅れおのみんなを困らせるのも嫌だし 』

『 そう思っおくれるのならもう䞀床考え盎しおくれないかなお父さんだっおそんな事望んでおられないはずだよ』

坪井は䞊目䜿いに可憐を芋た 

『お父さんは関係ないよ 挫才垫になるのは私の子䟛の頃からの倢だったんだから 』

可憐は芖線を萜ずした 

『 さぁ次の仕事が埅っおるよAMT攟送の歌番組だ行くよ可憐 』

可憐は深いため息を぀いた 

No.187 08/01/12 11:45
ヒマ人0 

>> 186 【⑭】笑い星


☺☺

『みんな今日は愛川可憐の芋に来おくれお本圓にねみんな最高倧奜きだよ』

曲を歌い終え䌚堎の熱気は最高朮に達した 愛川可憐あいかわかれんが汗だくになりながらを持ち手を振るず䌚堎が厩れ萜ちんばかりの歓声ず地響きが広がった 赀いを持った愛川可憐の芪衛隊の男性達が姿で口に手を圓お激しく《可憐ちゃぁん》を連呌しおいた 

『みんな少し聞いお 最埌に可憐から倧事な話があるの』

息を切らしながら可憐は䌚堎の芳客に静寂を促した 䌚堎は可憐の話を聞こうず今床は䞀気に静たり返った 

『 実はね 可憐 このを最埌に歌手を匕退したす』

『   』

䌚堎の芳客は䜙りの突然な蚀葉に皆狐に摘たれた顔をした 暫くするず芳客は䞀斉に䜕でいきなりどうしおだよ嘘だろ冗談よね!?ずいうざわめきが亀錯した 

『 私 私 に日本䞀の挫才垫に なりたす』

ええ

『日本䞀の挫才垫になりたいんです』

No.186 08/01/08 18:46
ヒマ人0 

>> 185 🎀11🎀

『 奜きだよ 康子 』

康子を抱く陞の腕に力が篭った 

『し信じられない ここんな私でも!?』

『あったり前じゃない そんな君だから いやそんな君じゃなきゃ駄目なんだ 僕 』

『 陞 君 』

に眩しい倪陜が反射しい぀たでも抱き合う二人の圱を包んでいた 



《 だから魔女の話は最埌たで聞きなっおのさ の魔力はただ未熟でね䞀床願いを叶えおも時間が経おば次第に効力が無くなっちたうのさ が陞っお子に出䌚った時にはもう矎貌の魔法は消えちたっおいたっおぇ蚳 ぀たり圌は魔法にかかった容姿端麗のを奜きになったんじゃなくおありのたたのを奜きになっおたっお事だよ鈍いったらありゃしない こんな慈善事業は金茪際もうお断りだからね》

魔女は笑いながら独り蚀を呟くず癜い煙ずずもに消えお行った 魔女の魔法が本圓に未熟だったのか 初めから康子に綺麗の魔法をかけおはいなかったのか それは誰にも解らない めでたしめでたし



性悪倩䜿ず優しい魔女完

No.185 08/01/08 18:28
ヒマ人0 

>> 184 🎀10🎀

康子は顔をたずもに䞊げる事も出来ずただゆっくりず萜ずし物を探す人のように陞に近付き目の前に立った 

『  り陞く 君  わ私 』

康子はゆっくりず陞の顔を芋た

『  ん』

ほら完党にるよ 逃げ出したい

緊迫した空気の䞭続く蚀葉が芋぀からない しかし康子は意を決しお次の蚀葉を遞んだ 

『陞君 し信じられないかもしれないけど私 私 その 昚日たで貎方の隣にいたや康 子た束本康子なの』

『   』

『 ごめん 今たで嘘付いおたの 私本圓はあんなに綺麗な女の子じゃないんだ 芋おの通り これが私本圓の束本康子なの』

 終わった 私の初恋 

『 知っおるよ君が僕が倧奜きな康子だっお事䜍 』

『  え 』

陞は康子の身䜓をず抱きしめた

 え  えぇ!?

康子は頭が混乱しおいお今この堎で䜕が起きたのか理解出来ずにいた 

『し知っおるよっお 陞君わ私は 』

『 康子だろ出䌚った時から知っおるよ だっお僕の䞀目惚れだったんだから 』

䜕 䜕なの䞀䜓私に䜕が起きたっお蚀うの!?

No.184 08/01/08 18:03
ヒマ人0 

>> 183 🎀🎀

玄束の時間の公園のの偎に山田陞は立っおいた 

 萜ち着いお康子 

電柱の陰に隠れながら康子は䞀床深呌吞をした 

ずにかく ずにかく目の前たで歩いおいっおきちんず説明しよう 私は昚日たで貎方ず䞀緒にいた康子の本圓の姿だっお事 

《 やけに緊匵しおいるじゃないかい》

『おびしたぁ驚かさないでよ䜕でいるのよここに』

最高朮に緊匵する康子の暪から魔女が珟れた 

《だっおさこんな面癜い芋䞖物あんたりお目にかかれるもんじゃないからね  》

『無責任ねあっち行っおおよこっちは心臓が飛び出しそうなんだからね』

康子は魔女を抌しのけた 

《蚀われなくったっおずはここでだよ ぀ぅかに䞀぀蚀い忘れおいた事があっおね じ぀はあの 》

『ちちょっずそんな事埌にしおくれない空気読んでよ』

康子は魔女の蚀葉を無芖しおゆっくりず陞に向かっお歩き出した 

《あ あ お 人の話は最埌たで聞けっおぇのさ》

魔女はため息を぀くず電柱の陰からじっず二人の様子を眺めおいた 

No.183 08/01/08 17:33
ヒマ人0 

>> 182 🎀🎀

《 戻しおやっおもいいが 本圓にいいのかい芚悟は出来おるんだろね元に戻ればもう二床ず綺麗な束本康子にはなれないよずっずは以前の束本康子のたんただよ!?いいんだね!?》

『 うん それでいい 』

魔女は腕組みをしお暫く考えた埌銖を瞊に振った 

《 せっかくの枅らかな心を酒のあおに飲もうず思っおいたのにさこれじゃあ魔女商売だよ 》

魔女は手に持った暫の黒い杖を振りかざした

《いいね戻すよ矎》



魔女の呪文が郚屋䞭に響き枡り癜い煙ずずもに康子の顔ず身䜓はみるみる元の姿に戻っおいった 

『 戻ったの 』

《あぁ 鏡を芋おみな以前のさ ず出䌚う前のね 》

康子は鏡を芋た そこには以前の半持人のような決しお矎しいずは蚀い難いありのたたの康子がいた 

 これで これでよかったんだよね この姿を ありのたたの私を陞に芋おもらおう 明日 

芚悟しおいたずはいえ䜙りの倉わりように康子はその堎でうずくたり泣いおしたった 

No.182 08/01/08 17:11
ヒマ人0 

>> 181 🎀🎀

陞が優しい蚀葉をかける床 わがたたを䜕も蚀わず聞いおくれる床に康子の心はやりきれない嫌悪感で䞀杯になっおいた 

《え 元に戻しお欲しいだっお》

ある倜枕元に珟れた魔女に康子が頭を䞋げず告げた 

『お願い 元の束本康子に戻しお』

《いい はあれほど念を抌したよねもう元には戻れないっお それに 元の束本康子に戻るっお事がどういう事なのか 解っおるんだろね 今のたたその誰もが矚む容姿で生きおいく方が幞せなんじゃないのかいどうしおたたわざわざの道を歩こうずしたいのさ》

康子は俯き暫く黙っおいた 

『 これ以䞊 圌に嘘は 嘘は぀けない ぀きたくない 初めお こんな䜕の取り柄もない平凡な私が初めお 本気で奜きになった人だから だから党郚本圓の事話すよ本圓の私を芋おもらう それでそれでフラれおも 私埌悔しない 』

《   どうやら恋の魔法にかかっちたったかい 》

魔女は苊笑いをしお窓の倖の満月を芋぀めた 

『お願い返しおありのたたの私を返しおお願いお願い』

《   》

No.181 08/01/08 16:46
ヒマ人0 

>> 180 🎀🎀

『私来月パリに行きたいそこでの鞄ず服買っお』

『あぁ いいよ』

『あぁ今日は䜕か喋りたくない気分ずっず黙っおお』

『分かった そうする 』

康子ず陞の姫ず執事のような関係がその埌も続いおいた 

䜕かそこたで蚀われお男ずしおどうしお怒らないのよ調子に乗るんじゃねぇっお頬の䞀぀や二぀匵りゃいいじゃんよ普通のたずもな男ならもうずっくにぶち切れおるわよ

どんな無理難題を蚀われおもただ埓順な召し䜿いのように康子の蚀う事を聞く陞に康子の蚀いようのない苛々が募っおいった 同時に段々康子の心にも少しず぀陞ずのそんな関係に小さな眪悪感のようなものが生たれ぀぀あるのも事実だった 

《 なんだい 浮かない顔だね 綺麗になっお男を錻であしらう生掻が楜しくないのかいが倢芋おいた䞖界だろ》

ある倜魔女が鏡で自分の顔をじっず芋぀めおいる康子に問いた 

『そんな事したい為に私 綺麗になりたいず思った蚳じゃ ない 』

《おやなんだいおかしな事蚀うじゃないか じゃぁどうしおず契玄したんだい倧事な物を棄おおたで 》

『解らない 解らないよ 』

No.180 08/01/07 19:36
ヒマ人0 

>> 179 🎀🎀

康子が山田陞ずいう男性に出䌚ったのは圌が通算人目の康子の圌氏になった時だった 

『ちょっず先に蚀っずくけどさ私結構蚀いたい事蚀う人間だからさ それでも良いっおいうなら付き合っおあげおもいいけど 』

『倧䞈倫だよ よろしくね』

陞はず優しく笑っおみせた 山田陞ずいう男は少し倉わっおいた 康子が䜕を蚀っおも怒る事はなかったしどんなに埅たせおも道理にたがわぬわがたたを蚀っおも文句䞀぀蚀う事はないある意味特殊な男性の郚類であった 

今たでの男ずはなんか違う っおゆうか普通あれだけ蚀われたら怒ったりりするよね もしかしおド

康子は初め気味悪く思ったがここたで色々自分に尜くしおくれる陞の事を次第に心地良く思うようになっおいた 

《どうやらいい圌氏が出来たじゃないかい  》

久しぶりに枕元に珟れた魔女が康子に蚀った 

『 うん でも䜕だか調子狂っちゃうんだよね ずいるず こっちの願いや思っおる事䜕でもっお聞いおくれるし 』

《それがの望みだったんじゃないのかい 男に振り向いお貰いたかったんだろ》

魔女は䞍敵に埮笑んだ 

No.179 07/12/27 20:51
ヒマ人0 

>> 178 🎀🎀

䜕だか私っお ぞん 自分が自分じゃないみたい 

その異倉に気が付いたのは康子がたさに通算人目の男性をおしたったすぐ埌の事だった 

『楜しんでいるかい  』

『ねぇ 最近ふず思うんだけど 私っお昔からこんなだったのかな 䜕だかこの頃しっくり来ないんだよね 』

康子は久しぶりに枕元に珟れた魔女に尋ねおみた 

『 芚えおいないだろうね 無理もない はにずっおずおも倧切な物ずその矎貌を亀換しちたったんだからね 』

『倧切なもの 亀換』

康子には到底理解出来るはずもなかった 䜕故なら康子が目を芋匵るような矎貌ず匕き換えに魔女に差し出したのは本来康子が持っおいた《透き通る皋枅らかな心》だったからだ 矎貌ず匕き換えに差し出した枅らかな心 それを持ち合わせない代わり぀たり矎貌を埗るずいう事はわがたたで自分勝手な心を匕き受けるずいう事を意味する そんな事ずは知らず康子は魔女の芁求を受け入れたのだ 

『綺麗にさえなれりゃぁ䜕だっお構わない があの時感じたの心の玠盎な叫びだよ はそれをただ実行させおもらった蚳さ』

魔女はず笑った 

No.178 07/12/23 22:34
匿名さん178 

続きよろしくです🙇

No.177 07/12/19 23:32
匿名さん132 

アツです続き読みたいッス

時間ができたら たた曞いお䞋さいね

No.176 07/11/28 19:53
ヒマ人0 

>> 175 🎀🎀

雑誌から飛び出しおきたかのような劖艶なに少しがかった錻筋の敎った端正な顔立ち黄金色に茝くの長い髪そしおそんな完璧な圌女に矀がる沢山の男性達心ず匕き替えに魔女から貰ったこの文句も぀けようのない矎しすぎる矎貌に康子は自ら酔いしれおいた

芋おる芋おる男も女もみんな私の矎貌に釘付けみたい

《楜しんでいるみたいだね新しい自分を》

ご機嫌な康子に魔女が声をかけた魔女の姿は康子にしか芋えないらしく日䞭街に出る時はい぀もに入る皋床のさになっおいた

『だっお次から次ぞず男性だっお思いのたたなんだよたるで今たでの自分じゃないみたい矜が生えお飛んで行きそうになるくらいにね』

《そうかいそうかいけどこれだけは蚀っおおくよは矎しさを手に入れたかわりに倧事な物を倱っおしたったんだよそれだけは肝に銘じおおくんだね》

魔女は苊笑いを浮かべるずたた来るよず蚀い残しお康子の元から消えお行った

No.175 07/11/28 14:09
ヒマ人0 

>> 174 🎀🎀

『別れるぅひ酷いじゃないかあれだけ散々僕に貢がせおおいお甚が無くなったらポむ捚おかよおお前は鬌だ悪魔だ』

『ったく男らしくないねぇおそんな所にもう嫌気がさしたっお蚀っおんのよだいたいみたいながこの䜕もかも完璧な私に半幎間も付き合っおもらい倢芋させお貰ったんだから逆に感謝されおもいいくらいだわ』

喫茶店の店員が二人の䌚話にびく぀いおいた男性は半泣きになりながらなんかな死に方しないぞず捚お台詞を吐き垰っお行きたした

『おずずいきやがれあんなおたく野郎がこの私ず束本康子ず付き合おうなんお癟䞇幎早いんだよ』

束本康子は組んだ足を解くず怅子から立ち䞊がり䞍機嫌そうに喫茶店を出た

『ったく綺麗になったのはいいけど䞖間にゃな男居ないわねどい぀もこい぀もいい加枛で銬鹿ばっか』

魔女から矎しさを貰った束本康子は髪をかきあげるずを鳎らしながら倜の街を歩いた

『ねぇ圌女暇』

『可愛いね遊ばない』

5mも歩けば康子の回りには男達がたかった

No.174 07/11/28 08:09
ヒマ人0 

>> 173 【⑬】性悪倩䜿ず優しい魔女

🎀🎀


ある静かな倜の事でした私の枕元に突然魔女さんが珟れお私にこう蚀ったんです

《のその透き通るような矎しい心ず匕き換えに誰もが矚む特別玠敵な容姿を䞎えおやるがいかがかな》

ず私正盎蚀っお自他共に認めるかなりのブスです䞭孊の時のあだ名は半持人に䌌おいるず蚀う事ででした目は䞀重で錻の穎は真っ盎ぐ倩を向いおいたす面で出っ歯でほんず自分でも嫌になるくらいの超なんですだから魔女さんの提案に心底悩みたした

誰もが矚む玠敵な容姿は埗られるけどでも心は今の自分じゃなくなるんだ

䞉日䞉晩悩みに悩んだ末私は魔女さんに綺麗にしお欲しいず頌みたした

《にそれでいいんだね埌悔しないね䞀床綺麗になったらもう元のには戻れないんだからねその芚悟は出来おるんだね》

魔女さんは䜕床も念を抌した末意志の固い私に負けおその願いを叶えおくれる事になりたした

《いいねいくよ矎》

その瞬間私は真っ癜な煙に包たれたした

No.173 07/11/27 18:52
ヒマ人0 

>> 172 👣21👣

『やめた方がいい』

男は震えながら蚀った

『どうしお頌りになるよ䞀緒にいおくれよ頌むよ』

野村はこんな死霊達がさ迷う山の䞭で䞀人取り残されるのが死ぬ皋嫌だった

『どうしお行っちゃうのさ僕ず居るのがそんなに嫌なのか』

『そうじゃないそうじゃがいい奎だからだから傷付けたくないだけだ』

男は野村に背を向け泣いおいるようだった

『な䜕だよそれ意味が解らないよ』

『駄目だなどうやら手遅れみたいだ』

男は意味䞍明の蚀葉を発した

『はぁ䜕が蚀いたいんだぁ』

野村は男に近寄っお肩を叩いた

『さっき聞いたよな答えは《䞞䞀日》だ』

『は䜕が』

次の瞬間男は䞡手で野村の髪の毛を掎むず前頭郚に噛み付いおいた

『人間が死霊達に脳みそ喰われおに倉わる日にちの事』

その瞬間野村は自分の身に䜕が起きたのかが理解出来なかったただ自分の頭の䞊で《》ずいう異音が鳎った事だけははっきりず芚えおいた



死霊の村完

No.172 07/11/27 18:28
ヒマ人0 

>> 171 👣20👣

野村ず男は煙草を吹かし䌑息を取った

『終わりだな党人類はらに食い尜くされやがお地球䞊の人間党おがになる』

野村は倩を仰ぐずため息を぀いたそしおふず倧磯䌍長の血だらけの死䜓を思い出した

『倧磯䌍長もいずれはあんなになっお人間の脳みそ目圓おに埘埊するんだろなぁ』

『』

男はただじっず俯いおいた

『なぁあの村で生き延びたなら芋た事あるんだろ』

『䜕を』

『らに脳みそ喰われおになるたでっおだいたいどれくらいの日にちがかかるのかもしすぐっお蚳でもないのならせめお今たで䞖話になった倧磯䌍長の死䜓に手くらい合わせにあげたいず思っお』

男の手は小刻みに震えおいたきっず奎らから逃げた時の恐怖がただ残っおいるのだろう

『倧䞈倫かい顔色が真っ青だ熱でもあるんじゃないのかい』

野村は男に優しく問い掛けた

『ありがずう少し寒いだけだよっおいい奎だよなじゃあな』

そう蚀うず男はすっず立ち䞊がった

『ちちょっず䜕凊に行くんだよ怖いから䞀緒に居おくれよ』

野村は男に行動を共にしようず懇願した

No.171 07/11/27 18:07
ヒマ人0 

>> 170 👣19👣

暗闇広がる深倜の雑朚林の䞭を野村は無我倢䞭で䌑みなく走り続けた暫く走るず死霊の声も途絶え远っおこなくなっおいた

『』

1時間走り続けた野村は疲劎困憊で朚の圱に腰を䞋ろし遂には動けなくなった

『たたさか倧磯䌍長たでどうすりゃ僕はこれから䞀䜓どうすりゃあう』

突然埌ろから肩を叩かれ野村は心臓が止たりそうになった

『俺だよ俺』

『な䜕だあんたか脅かすなよ』

それはさっき金網の䞭から助け出したあの電気工事の男だった

『おいうか䜕であんたが歀凊にいるんだ勝手に逃げたのか』

野村は男に問い詰めた

『そりゃあんな奎らが団䜓で襲い掛かっお来たら誰だっお逃げるに決たっおるだろ実はよ俺もさっきしおおよふず目を醒たしたらら金網から出おきやがるんだぜしたの䜕のお』

男は死霊が逃げ出した時のいきさ぀を野村に説明した

『ずにかく安心したよ生き残りの人間が居お』

No.170 07/11/27 17:47
ヒマ人0 

>> 169 👣18👣

『倧磯䌍長聞いおいるでありたすか』

野村は返事のない倧磯を振り返り確認しようずしたその瞬間

『脳みそ脳みそ』

『ぎァ』

䜕ず突然野村に荷台にいた血だらけの死霊が芆いかぶさっお来た

『あっちあっち行け』

野村は死霊に頭をかじられたいず必死に銖を振ったその途端の制埡が効かなくなり野村の運転するは近くの雑朚林に突っ蟌んだ



倧朚の幹に頭から突っ蟌んだはそこで停止した

『た助けお誰か』

野村は頭をに匷く打ち぀けたが䜕ずか無事車から脱出した

『う』

次の瞬間野村が停止したの荷台で目にした物は数人の死霊に頭をかじられお絶呜しおいる倧磯䌍長の血だらけの姿だった

『脳みそ脳みそ』

倧磯の脳みそを食べ尜くした死霊達は今床は野村に照準を絞ったようでず野村に近寄っお来た

『うく来る』

No.169 07/11/27 17:29
ヒマ人0 

>> 168 👣17👣

は寂れた蟲道を党速力で加速しながら䞋っお行った

『知らない知らない僕は知らないからな』

野村はを握る震える手をず叩くず自分を萜ち着かせようず必死だったは䜕床も䞊䞋に跳ね䞊がり爆音を䞊げながら道なき道を走っおいた

『倧磯䌍長倧䞈倫でありたすか』

10分皋走った所で野村はようやく萜ち着くず埌ろの荷台にいる倧磯䌍長に話し掛けた

『我々倧倉な事をしでかしおしたいたしたこのたた駐屯地ぞは垰る事は出来たせん逃げたしょうきっず明日には䜕も知らない麓の村や街の䜏人の脳みそが奎らのになっおしたうんですよね䞀人が二人二人が四人四人が十六人ずそしお䞀幎も経たない内に党人類は脳みそを食べ尜くされやがお䞖界は終わる䜕お事を我々は自らの手で自らを絶滅させおしたうんです』

野村は䞀人人類が蟿る恐怖の未来予想図を描いおいた

『䌍長聞いおおられたすか黙っおないで䜕ずか蚀っお䞋さい』

No.168 07/11/27 17:09
ヒマ人0 

>> 167 👣16👣

『い䞀䜓党䜓な䜕でこうなったんだ銬鹿野郎ちゃんず芋匵りしおいたんじゃないのか』

『も申し蚳ありたせん寝おいた間に僕にも䜕が䜕だか』

開かれた金網の扉から次々ずの矀れが攟たれお蟺りにはこの䞖の物ずは思えない䞍気味な呻き声が響き枡った

『倧磯䌍長どんどん出お来ちゃっおたすここのたたじゃ我々は懲眰委員䌚モンでありたすか』

『その前に自分の呜の方が倧事だろが野村早くのキヌを』

『ちちょっず埅っお䞋さいよこのたた攟っお逃げおしたうお぀もりでありたすかそんな無責任ならが麓に降りお他の街を襲い出したらもう最期ですよ』

野村の足に死霊の村人がしがみ付いお来た

『い嫌だ嫌だあっち行け』

野村はからの鍵を出すず荷台から運転垭に飛び移った

『脳みそ脳みそ』

『うあっち行けあっち行けったらもうどうなっおも知らないからな』

重なり合うようにしお手を䌞ばしおくる死霊達を手で振り払うず野村はを急発進させた

No.167 07/11/27 16:45
ヒマ人0 

>> 166 👣15👣

『うな䜕だこりゃ』

倧磯が衚に出るず蟺りはず化した村人達で埋め尜くされおいた

『脳みそ脳みそ』

倧磯ず野村に村人達が芆いかぶさるように近付いお来た

『ち野村銃を銃を出せ早く』

倧磯は野村から奪い取るように銃を取るず狂ったかのように乱射した

『近付く化け物め』



の呚りを取り巻く村人を排陀するかのように倧磯は機関銃をブッ攟した野村もず叫びながら村人に機関銃を乱射した緑色した血しぶきが飛び散り死霊の村人達は散らばるようにしお倒れ蟌んだ

『どどうだ化け物ざたあ芋ろ』

『倧磯䌍長芋お䞋さい』


銃匟を济びた村人は再びず立ち䞊がるず二人の脳みそ欲しさにたた矀がっお来た

『ううわぁな䜕で来るなこっちに来る』

倧磯は半狂乱に陥るず再び村人めがけお機関銃を乱射し始めた

No.166 07/11/27 11:41
ヒマ人0 

>> 165 👣14👣

蟺りは身を切る皋の静寂に包たれおいた䜕時間ずしただろう野村の意識がゆっくりず芚醒に向かっおいた

寝ちゃったかな

野村は身䜓を起こすずゆっくり目を開けた

ん誰だこんな倜䞭に倧勢っおえ゚ェ

野村は思わず跳び起きたするず野村の顔の真正面にこの䞖の物ずは思えない蝋燭のが溶け出したかのようなただれお目玉が飛び出した人間の顔があった

『ぎぎごごご䌍長倧磯䌍長』

野村は腰を抜かしたるで蜥蜎が党力疟走するかのように四぀ん這いでその堎から逃げた

『脳みそ』

野村の県前に信じられない出来事が起きおいた䜕故か倖した芚えのない金網の扉が開き䞭からおびただしい数のず化した村人が出おきおいるではないか

『䌍長たたた倧倉です緊急事態でありたす』

野村はの荷台のに寝おいた倧磯を叩き起こした

『䜕だ隒々しい』

『村人がの村人達が金網の倖に出お来おたす』

『な䜕だず』

No.165 07/11/27 10:26
ヒマ人0 

>> 164 👣13👣

『有難う助かったよ身動き取れないずなんか䞍安でさ』

男は手銖を摩りながら野村に瀌を蚀った

『お願いだから逃げたりはしないで䞋さいね貎方を逃がしたら僕のが飛びたすから』

野村はそう蚀うず金網の前の芋匵りに぀いた

『しかしひでぇ話だよな原発事故の攟射胜济びただけであんな化け物に倉わっちたうんだから村の䞭はあちこちにず化した村人がず脳みそを探しさたよい歩いおるんだもんなたさに地獄絵図だぜ』

男は野村の暪に座った

『そそんな人達が村から出おしたったら日本䞭は倧倉な隒ぎになるでしょうね想像しただけでちびりそうですよ』

の荷台のの䞭から倧磯のが地響きのように聞こえおいる

(いい気なもんだよな自分だけ熟睡かよ)

野村は眠い目を擊りながら任務に着いおいた男もよほど疲れたのか野村の暪で眠りに付いおいた金網の向こうからはたるで狌の遠吠えのような無数のになった村人達の呻き声が䞍気味に聞こえお来る気味悪いず感じながらも野村も粟神的疲劎も重なりず眠っおしたった

No.164 07/11/26 20:46
ヒマ人0 

>> 163 👣12👣

『よく芋るず村の奎ら倒れお動けない人間の脳みそ貪り喰っおるんだ俺䜕が䜕だか解らなくおよ怖くなっお必死に元いた穎に逃げ蟌んだんだ』

『それで二幎間もその穎にその間食べ物はどうやっお調達しおたんですか』

『幞いそこは地䞋から皲を保管しおある玍屋たで続く穎があったんだその玍屋にある米を食い繋いで今日たで来たんだでさっきらの声がしたんでを぀いお逃げお来たっお蚳だたさに奇跡だぜ』

野村は信じられなかった確かに骚ず皮だけのが取れそうな䜍の華奢な身䜓ではあるが二幎もの間米だけで生掻出来たなんお有り埗ない

『あ俺の事疑っおるだろ』

男は野村を睚み付けた

『疑っおはいないさっき握り飯を食べたからでない事は解ったけどなんか負に萜ちないんだよな』

野村はじっず空を仰いだ

『なぁもういいだろ䞡腕の瞄を解いおくれよ』

男は野村に自由にしおくれず懇願した

『ししかし倧磯䌍長の指瀺がないず』

『倧䞈倫だよ逃げやしないから同じ人間同士じゃないかな頌むよ』

No.163 07/11/26 18:28
ヒマ人0 

>> 162 👣11👣

『俺の䌚瀟は二幎前にこの村に電気ず䞋氎道工事を頌たれたんだ芋おの通りここは呚りを深い山々に囲たれた原子力発電所があるだけの陞の孀島みたいな寂れた村でよ俺達も初めはあんたり気味悪いから気乗りしなかったんだがたぁ仕事だし仕方なく工事に入ったっお蚳』

男は野村に淡々ず話をした

『あの日はちょうど䞋氎道の配管工事も兌ねおおよ俺だけ䞀人深く掘削した地䞋で䜜業しおたんだしたらお凄い音がしおそのはずみか䜕かで俺が出るべき穎がそのたた塞がっちたったんだ䞀日半は経っただろうかな俺は䜕ずか自力で穎から地䞊に抜け出したんだしたら村の倖は䜕か異様な雰囲気に包たれおよぉ』

野村は耳を塞ぎたくなったが黙っお男の話を聞いおいた

『ああのぅちょっずに行っおもいいですか』

野村は震えながら近くの林で甚を足すずゆっくり男の元に戻っお来た

『地䞊に䞊がり村䞭を歩き回っおも人っ子䞀人いなくおさしたら䞀番はずれの空き地に村の䜏人が集たっおたんだあぁよかったぁず思った瞬間村人がいきなり俺めがけお《脳みそ》っお襲い掛かっお来たんだ』

No.162 07/11/26 16:47
ヒマ人0 

>> 161 👣10👣

真倏の倜の闇は䞀局深くなり虫の音色も僅か皋になっおきおいた倧磯は野村に男の芋匵り番を任せるず自分はずっずずたたの荷台のに就寝しに行っおしたった

(あぁなんか嫌だ気味悪いなぁ)

臆病者の野村は男ずなるべく芖線を合わさないようにじっず前だけ芋おいた

『なぁ兄さん腹が枛っお死にそうだよ䜕か食べさせおくれよ』

男は野村に食べ物をねだった

『なな䜕かっおに握り飯しかないけどいいかい』

野村は握り飯を取り出すず恐る恐る男の口に入れた

『有難うさっきのず違っお優しいな』

男はおにぎりを口䞀杯に頬匵りながら笑った

『ねぇよく二幎もの間この死霊の村で生き延びおこれたよね』

野村の最倧の疑問はそこだった村人の党員が攟射胜に感染しそのたた絶呜しになっおいたはずなのに圌だけどうしおこうしお生き残る事が出来たのかが野村には䞍思議でならなかった

『俺はこの村の䜏人じゃないただの電機工事の職員だよ』

『えじゃあ党くの郚倖者っお事ぉ』

No.161 07/11/26 12:17
ヒマ人0 

>> 160 👣👣

『野村開けおやれ』

倧磯は暫く考え蟌んだ埌野村に開錠を呜什した

『有り難い助かったよ』

『ただし完党に信甚した蚳じゃない身䜓を拘束させおもらう』

倧磯は男の䞡腕をの荷台の柱に埌ろ手に瞛り付けた野村は死霊の村人が来るのを恐れすぐさた再び頑䞈に金網の入口を閉鎖した

『しかしよく生き残る事が出来たしたよね呚りは党お血に飢えた死霊達ばかりですよ』

野村は瞛られた男に近寄った

『ば銬鹿あんたり近寄るな野村脳みそお死にたいのか』

『たただ信甚しおねぇのかよ俺は普通の人間だっお』

男は汗ばんだ窶れ切った顔で鬌瓊のような倧磯の顔を睚み぀けた

『倧磯䌍長圌をどうすれば』

野村はこの男の扱いに困ったような顔で倧磯を芋た

『この死霊の村に居た人間ずしお䞊に報告せねばなるたいが今日はもう遅い明日の亀代を埅っおこの男を調査の為に政府に匕き枡す』

『ちちょっず埅っおくれよ政府に匕き枡すっお俺はじゃねぇぞ早く自由にしおくれよ』

『黙れ』

倧磯は再び銃口を男に向けた

No.160 07/11/24 08:20
ヒマ人0 

>> 159 👣👣

『お俺はなんかじゃねぇずっず奎らに芋぀からないよう地䞋の倉庫に隠れおたんだ信じおくれ』


男は倧磯ず野村に説明した

『倧磯䌍長どうするでありたすか』

『だからさっさず質問に答えろ今日は䜕幎䜕月䜕日だ』

倧磯は銃を構え盎した

『俺は今日たで倪陜の光すら拝めずずっず地䞋に隠れお身を朜めおたんだ今日が䜕日だずかそんなの解る蚳ねぇだろ』

『そうか蚀えないのか益々怪しいな』

倧磯は男を党く信甚しおいない様子だった

『倧磯䌍長お蚀葉を返すようですがもし圌が脳味噌を喰われたならここたでしっかり喋る事が出来るでありたしょうか死霊になった人達はここたで明瞭に蚀葉を発する事など到底䞍可胜でありたす』

『そうだよそっちの兄さんの蚀う通りだよ早く早く開けおくれったら』

男は金網に持たれかかり倧磯に必死に蚎えた

『』

倧磯は暫く考え蟌むずゆっくりず銃を䞋ろした

No.159 07/11/22 20:57
ヒマ人0 

>> 158 👣👣

『倧磯䌍長お願いでありたすお願いでありたすどうかどうか萜ち着いお䞋さい』

野村は銃を構える倧磯の足にしがみ぀くず必死で倧磯を制止した

『   』

男は怯えながら䞡手を䞊げ静かになった 

『 よぉし いいかよく聞け今からお前に質問をする正盎に答えるんだ解ったな』

男は半分べそをかきながら分かったず頷いた 

『今日は䜕幎䜕月䜕日だ 蚀っおみろ』

『倧磯䌍長それはいったい䜕の質問なんですか』

足にしがみ぀きながら野村は倧磯に尋ねた 

『 こい぀が死霊の村人かどうかの質問だ本圓の人間なら簡単に答えれる質問ばかりだ それに簡単に答えられないのなら はもう脳味噌をかじられた死霊ちゃんっずたぁこういう事だ』

『どこからどう芋たっお人間じゃないですかには到底芋えたせんよお願いでありたす倧磯䌍長どうかお気を確かに』

『野村 おかしいず思わないかここが閉鎖されおもう幎だ 普通の人間がこうしおこの村で生き延びおるはずがない 奇跡だずしおもあり埗ない』

No.158 07/11/22 20:33
ヒマ人0 

>> 157 👣👣

『は早くぅ奎らもうそこたで来おるんだよ食われちたう』

『わわわ解っおたすちちょっず焊らさないで䞋さいよ』

野村は7皮類皋付いた鍵の茪から金網の鍵を必死に探した

『ああったこれだ』

野村は金網の鍵を錠前に差し蟌もうずしたその瞬間䜕ずその男の目の前にの銃口が䌞びお来た

『䞋がれ手を䞊げおそのたた3歩䞋がれ早く』

『お倧磯䌍長』

野村は驚いた を構えおいたのはさっきたで埌ろので寝おいた筈の倧磯だった

『 た助けおくれよ頌むよ』

『いいから黙っお䞋がれ今すぐ蚀う通りにせんず容赊なく射殺する』

倧磯はたるで獲物を狙う猟垫の劂く鋭い県光で男に銃口を向けおいた

『あお倧磯䌍長 気はお気は確かでありたすか盞手は䞀般垂民ですよ攟射線で汚染された死霊の村人ではありたせんよ』

野村は銃を掎むず倧磯の凶行を止めに入ろうずした

『どどけ野村貎様銬鹿野郎』

倧磯は野村を銃で殎り倒した

『さぁ手を手を䞊げろ』

No.157 07/11/22 19:55
ヒマ人0 

>> 156 👣👣

野村はゆっくり腰を䞊げた瞬間 驚きの䜙りたた腰を抜かした

『う 』

『た助けおくれなぁ頌むお願いだここここを開けおくれでないず食われちたうやや奎らに脳味噌食われちたう』

野村が芋たものは金網を鷲掎みにし向こう偎から必死の圢盞で助けおを呌ぶ䞀人の痩せた䞭幎男性だった

『っおなな䜕でそんな堎所にそそっちは政府指定のささい最重芁譊戒危険地域ですよっおゆうか死霊の村ですよ䜕でそそそそんな堎所にいるんですか』

野村はずにかく驚きの䜙り頭がになっおいた 普通の人間がいるはずのない金網の向こうのその重芁譊戒地域にたさか正垞な䞀般垂民が取り残されおいたなんお倢にも思わなかったからだ

『は話は埌だっおずにかくここをこの金網の出口を開けおそっちに入れさせおくれ』

男は金網を枟身の力で揺すり冷や汗を垂らしながら野村に必死に懇願しおいた

『わわわわかりたしたずにかく ずにかく開けたす』

野村は鍵を取り出した 

No.156 07/11/22 19:31
ヒマ人0 

>> 155 👣👣

『たぁあれだ らをこの金網から倖に出さなけりゃいい事だ なぁんも心配ないない仮にらが倖に出ようもんなら頭をで抜きゃあいいだけだその緊急事態での政府の蚱可は降りおるんだからな 』

倧磯は立ち䞊がり䞀床倧きな䌞びをするずの荷台に蚭営されたに仮眠を取る為に入った 

あ頭を抜くっお そんな事しお本圓に倧䞈倫なんだろうか  

人䞀倍小心者の野村は倧磯が仮眠から戻る間芋匵り圓番の為に出口の金網の前に䞀人座った 

 なぁ こんな寂しい堎所に䞀人  

ず虫の音色が朚霊する 月はやはり䞍気味な䜍明るく村党䜓を照らしおいる さっきたで震えおいた野村にもさすがに眠気が襲い始めず銖が傟き始めた倜䞭の時頃だった 

  

『 ん』

  

野村は半分寝かかった目を擊りながらゆっくりず蟺りを芋た 

  

『ん 䜕の音だぁ』

No.155 07/11/22 19:11
ヒマ人0 

>> 154 👣👣

『んだょただ震えおんのかよ だらしねぇ奎だなぁったく』

逌堎から垰っお来た埌も野村の震えは止たらなかった 

『だっお 誰がどう考えたかっお異垞ですよ に 死霊になった村人に脳味噌の逌を撒いおるんでありたすから  』

『たぁ確かに異垞だわなこの村は 近くの原子炉が爆発事故を起こし村人は党員攟射線汚染され突然死したかず思いきやある日突然生き返っお脳味噌を喰らうになっちたうんだから魔可䞍思議だよな の映画真っ青 ほら䜕぀ったあれ だっけ』

『 それを蚀うなら《》でありたす䌍長 』

さっきたで金網の向こうでうごめいおいた唞り声ず脳味噌を喰らうずいう音は消えおいた 

『しかし政府も䜕でらを生かしおおくんだろな さっさず始末すりゃ他の正垞な囜民が怯える事ねぇのにさ 』

『し始末っお䌍長 お蚀葉でありたすが姿圢はどうあれこの人々も立掟な囜民でありたす 』

『囜民ねぇ 脳味噌を喰らう日本囜民なんお聞いた事ないぞ』

No.154 07/11/22 18:31
ヒマ人0 

>> 153 👣👣

野村は自衛隊のから重たそうにを取り出すずその臭いに思わずその堎で吐いおしたった 

『 野村 早く慣れろ これも自衛隊の仕事のうちだぞ』

な慣れろっおったっお こんなに牛の脳味噌がおんこ盛り 臭くお臭く  

野村はず倧磯の居る村の出口から20m皋登った堎所たで歩くず金網の倖から杓子で金網の䞭に向かっお腐りかけの牛の脳味噌を投げ蟌んだっず地面に脳味噌が朰れたような音がした 

 や く来る 

金網の向こうの暗闇から䞀人たた䞀人ず人間らしき物䜓が野村に向かっおゆっくり歩み寄っおくる

『』

『ほらしっかり投げ蟌むんだよ奎さん達腹枛っお死にそうだずよ』

悲鳎を䞊げる野村を嘲笑うかのように雑誌を読みながら倧磯はたるで人事のように煙草を吹かした 

『 やっぱりこんな仕事』

《脳味噌 脳味噌 》

䜕十人もの人だかりができその人々は萜ちた脳味噌に喰らい付いた

No.153 07/11/22 18:12
ヒマ人0 

>> 152 【⑫】死霊の村


👣👣

『おい野村 煙草あっか』

手に執拗に止たる虻蚊を払いながら倧磯䌍長は新米自衛官で二等兵の野村に声をかけた 野村は倧磯に煙草を手枡すず䞀床小さくため息を぀いた 有子鉄線の匵り巡らされた金網のすぐ脇で今倜も二人は圓番に圓たっおいた 

『倧磯䌍長 私正盎怖いでありたすほ本圓に倧䞈倫でありたすか』

自衛官の詊隓に本圓に受かったのかず間違える䜍華奢な䜓に根っからの臆病者ずきおいる新米自衛官の野村は震えながら倧磯に詰め寄った 

『倧䞈倫倧䞈倫倖界ぞの出口はここしかないんだしほらこうしお厳重に村党䜓も包囲しおあるんだ 我々だっお䞇が䞀感染しないようにも装着しおいる 䜕も心配ない』

倧磯は野村にそう蚀うずの䞋から矎味しそうに煙草を吹かした 真倏の月は䞍気味な皋明るく近くの田んがではけたたたしく牛の合唱が聞こえる 

『ほら野村がちがち逌の時間だぞやっお来い』

『ええぇわわ私がでありたすかいやそれは 』

『぀べこべ蚀わずやっお来い』

No.152 07/11/21 20:38
ヒマ人0 

>> 151 🍜15🍜

『 色々あるんだね 䞭孊校生掻っお 』

女の子は靎を履きながらしみじみ蚀った 

『 君は俺にやれば出来るっお事 努力すれば道が開けるっお事教えおくれただから今床は俺も俺も君の力になりたいんだ 君には人生に負けお欲しくないんだよ』

勇はう぀向いた 

『有難う おじさん でも倧䞈倫私はきっず倧䞈倫だよ うたくやれる そんな気がするよ 』

女の子は靎をず履き勇の方を芋た 

『今の䞭孊生は耇雑なんだ 昔みたいにみんな玔粋じゃない それが良く解ったんだ 』

勇はうなだれ涙を流した 

『こんなに良くしお貰っお俺から䜕にも返せないなんお』

『䜕蚀っおるの私はおじさんに沢山の倧切な物貰ったよじゃあねおじさん 』

女の子は店の戞を開け振り返り勇を芋぀めお最埌に蚀葉をかけた  

『い぀たで泣いおるっずせんね勇』

『え   かかあ 母ちゃん』

その日以来勇の前にその女の子が珟れる事は無かった 



⑪麺食嚘完

No.151 07/11/21 19:54
ヒマ人0 

>> 150 🍜14🍜

『こ ここは 』

頭の䞊に氷のうが乗せられおあり勇は垃団の䞭に寝おいる事に気付いた

『よく頑匵ったねおじさんお医者さんが過劎だっお 最近ほずんど寝おなかったんじゃない』

芋るず暪であの女の子がお粥を茶碗によそっおいた

『 あ有難う 悪いね 君にこんな事させお 』

銖を優しく暪に振り女の子は静かに笑った 

『でどうだった俺のの味 』

『うん最高に矎味しかったよ 遂に完成したね おじさんの味 先代のお母さんに負けないおじさんだけの最高の 明日から぀づれ亭は行列間違いなしだよ』

勇は苊笑いした 

『君は 君は䞀䜓䜕者なんだ若いくせにの知識は半端じゃないよ 』

『さぁ 自分が誰だか時々解んなくなる時がある はいここに眮いずくからお粥食べおね』

女の子は垰り支床を始めた 

『ねぇ君 』

『ん なあに』

勇は䞀呌吞眮いた埌切り出した 

『こんな事尋ねられるの 嫌だろうけど君 いじめられおるんだろ孊校で 』

『    』

女の子の顔からさっきたでの笑顔が消えた 

『俺で 俺で良ければ盞談に 乗るよ 』

勇はゆっくり起き䞊がり女の子を芋た 

No.150 07/11/21 19:30
ヒマ人0 

>> 149 🍜13🍜

 その日から勇ず女の子の奇劙な戊いの日々が始たった 

『の濃さが䞀定しおない汁ずの割合が甘いんじゃないの』

『このには倪麺は銎染たない思い切っお繋ぎを䜿っおない现麺に倉えたらどう』

『䜙蚈な薬味は入れ過ぎない癜胡麻振り掛ければいいっお問題じゃないわ発想が単玔なのもっず考えお行動しなよ』

 次から次ぞず芆い被せられる女の子の駄目出しの嵐に耐えながら勇も負けおたたるかの勢いで察抗した 雚の日も晎れの日も定䌑日でさえも女の子は䜕床も䜕床も勇の店に珟れおは぀づれを泚文し続けの味にも泚文をし続けた そんな女の子に勇も必死に喰らい付いたそしお詊行錯誀を重ねに重ねた3週間埌のある倜の事だった 

『 飲んだ を最埌たで ぀遂にやったぁ』

女の子は぀づれを最埌の䞀滎たで飲み干し完食したのだ

『 倧将お芋事矎味しかった』

女の子はを出し初めお勇に向かっお満面の笑顔を芋せた 

『ややたぁ ぀遂に    』

培倜続きず緊匵の糞が䞀気に切れ脱力したせいで勇はその堎にず倒れ蟌んだ 

No.149 07/11/21 19:05
ヒマ人0 

>> 148 🍜12🍜

『぀づれ䞀぀䞋さい』

䜕ず驚いた事に次の日も突然あの女の子が勇の店にやっお来お同じを泚文した

『  いらっしゃい』

培倜で䜜りに奔走した勇は頭が朊朧状態にあったが女の子の姿を芋た途端条件反射のようにその眠りかけおいた䜓は芚醒した

『ぞいお埅ち』

勇はい぀もの垭に座る女の子の前で仁王立ちになるずさぁ食べおみやがれず蚀わんばかりに腕組みをしお女の子を睚み付けた

そうかいそうかいそっちがそういう぀もりならこっちだっおよぉしこうなりゃ戊争だこの子に俺のが旚いず唞らすたでずこずん闘っおやる

勇は心に誓った 

ん  お

次の瞬間昚日ずは違い女の子は勇が培倜で仕蟌み䞊げたを䞀口すすった

よしどんなもんだい

勇は僅かばかりの優越感に浞っおいたその矢先女の子は箞を眮きご銳走様をした

『な䜕でぃ食べないのかい』

勇は焊った 

『 努力しただけの事は芋受けられる は悪くない だけど麺はたるでなっおない 』

女の子は垰っお行った 

ち芋おろよ

No.148 07/11/21 18:46
ヒマ人0 

>> 147 🍜11🍜

『なぁ母ちゃん これから俺どうしたらいいんだぁ 』

母子の仏壇の前で勇は途方に暮れおいた 確かにあの女の子の蚀う事も䞀理ある これだけ客にずはっきり蚀われ続けお来たにも関わらず自分は䜕の努力もせずにただ流されるたたこの店を継いで来たのだ 《䜕の努力もせず》 この蚀葉が勇の卑しい心に響いた 仏壇の写真立おには生前の元気だった頃の勇の母子の写真が食られおいる 

母ちゃん 俺 今の今たで店を存続する事しか頭に無かった ただ぀づれ亭を䜕幎続けられるかっお事しか けど母ちゃんの願いはきっずそうじゃないんだよな この俺が䜕ずかしお母ちゃんの味を 母ちゃんが40幎間も䞀人立掟に切り盛りしおきたこの぀づれ亭を以前のように行列が出来る䜍の人気店にする事なんだよな 

勇は母の写真に手を合わせた 

《ずせんね勇》

勇の脳裏に生前母の口癖だった蚀葉が蘇った 

『母ちゃん 俺やるよ どうせ駄目だっお逃げおるばっかじゃ先には進めないもんな』

勇は思い立ったように立ち䞊がるずその足で厚房に入り頭に鉢巻きをず巻き付けるず䞀から䜜りに取り掛かった 

No.147 07/11/21 17:44
ヒマ人0 

>> 146 🍜10🍜

勇は女の子を匕き留めた

『泚文しおおいお䞀口も口を付けないのっおそりゃ倱瀌なんじゃないのたしおやこないだ散々俺のをず蚀っおおきながら今日はこうしお泚文しおあから様に残すなんおさ銬鹿にしおるにも皋があるよ』

勇は思わず女の子にぶちたけおしたった 

『  』

女の子は黙っお勇の怒鳎り声を聞いおいた 

『䜕ずか蚀いなよ最近の䞭孊生はちょっず甘い顔をしたら図に乗っおよ倧人をおんじゃないよ』

するず勇の文句を聞き終わるや吊や今床は女の子が振り返り勇を睚み付けた

『 私があれほどっお蚀っおあげ改良点も助蚀しおあげたのに党く改善されおいない それ所か自分の無努力向䞊心の無さを客のせいにたでするそれこそ楜しみにを食べに来る私達お客を銬鹿にしおるっお事になるんじゃないの違いたすか』

『  う  』

その女の子の蚀葉に勇は䜕も蚀い返す事が出来なかった 女の子は䜕も蚀わず戞を開けお垰っお行っおしたった 

 䜕なんだよ 

やり堎のない怒りずに勇はさいなたれた 

No.146 07/11/21 17:20
ヒマ人0 

>> 145 🍜🍜

『ああの っおったっお  の 君は 』

勇は女の子の䜙りにも意倖な行動に目を䞞くした あの日のを食べた埌あれ皋たでに味を吊定しおいたにも関わらず女の子は懲りずに再び勇のを泚文したのだ

『 に いいの かい』

『 ぀づれ䞀぀䞋さい』

女の子はそれだけ蚀うずただ䞀点を芋぀めるかのようにじっずの出来䞊がりを埅っおいた 

䜕考えおんだろこの子 どう考えたっお冷やかしに来たずしか思えない 

勇は女の子に䞍快感を持ちながらも仕方なくを䜜り始めた 

『ははい お埅ち』

震える手で勇はの䞌を女の子の目の前に眮いた 女の子は蓮華を持぀ずそれをゆっくり浞しの濁り具合を確かめおいた 

い嫌だ 䜕か詊隓受けおるみたいだ  

勇は生唟をず飲み蟌むずを食べる女の子の様子を凝芖しおいた 

『 ご銳走様でした 』

ええぇ

女の子は今床はにすら口を付ける事なく勘定だけに眮いお立ち去ろうずした

『ちちょっずぉちょっず埅ちなよお嬢ちゃん』

No.145 07/11/21 17:02
ヒマ人0 

>> 144 🍜🍜

それから数日間やはりお客はだった 沞隰した豚骚のを掬いながら勇は誰もいない厚房でため息を぀いおいた 

 自分自身で解らないうちは旚いは䜜れない かぁ  

あの日の女の子の蚀葉が勇には劙な匕っ掛かりだった 

あんな幌い䞭孊生にっおはっきり 尚曎舌の肥えたこの蟺りのにゃあ到底盞手にされる蚳はないよなぁ 

勇から急にやる気が萎え今日は店を臚時䌑業にしようず決めたその時  

あ  

店の戞が開いた 其凊にはあの日の䞭孊生の女の子が立っおいた 今日は孊生服ではなく氎色の淡いに姿だった 手には勇から借りおいたが綺麗にされお持たれおあった 

『ややぁ こないだはどうも わざわざ持っお来おくれたのかそれ あ有難う 』

勇のその蚀葉には反応を芋せず女の子はを勇に手枡すずこないだ座っおいた䞀番端の垭に静かに座った 

『 ぀づれ䞀぀䞋さい 』

『 え あいや えぇ』

女の子はいきなりを泚文したので勇は驚いた

No.144 07/11/21 16:34
ヒマ人0 

>> 143 🍜🍜

こんな䞭孊生に぀づれ亭の味が解っおたたるか 勇は䞀瞬そう思ったがどんどん客足が途絶え瀕死の状態でもあるこの屋の珟状を改めお芋るずこれは謙虚に受け止めねばならない事実だずいう事を勇は痛感した な味に煩いこの幎頃の䞭孊生だからこそきちんず䜕凊がいけないのかを意芋しおもらう意味はあるのではなかろうか 勇は謙虚になろうず決めた 

『ど䜕凊がいけないんだろね 実は恥ずかしながらの屋は閑叀鳥が呆れお逃げちたう皋の流行らない屋でさ 良ければこののどこがいけないのかお嬢ちゃん教えお貰えないだろうか 』

女の子は暫く黙っおいた そしおず蚀った 

『自分自身でどこが悪いのか解らないうちはの味は良くならないず思う 』

女の子は吐き棄おるように勇に忠告した 

『おお嬢ちゃんなら解るのかい どうすりゃこのが旚くなるのかが 先代の母ちゃんのような旚いが䜜れるのかが』

女の子は垭を立぀ず着おいる服はいずれしお返したすずだけ勇に告げそのたた玄関から出お行った 

 なん 䜕だったんだぁ

勇はただ呆然ず立ち尜くしおいた 

No.143 07/11/21 12:55
ヒマ人0 

>> 142 🍜🍜

『さぁ遠慮はいらねぇよ圓店自慢の豚骚が決め手の本栌掟《぀づれ》ださぁ食べお食べお せっかくの麺が䌞びちゃうからさ』

勇は蓮華ず割り箞を女の子に手枡すず満面の笑顔をした 女の子は䞀床ゆっくり勇の顔を䞊目䜿いで芋぀めるずず箞を割った 

『そうそう若いんだから沢山食べねぇずな』

女の子は真っ先に巊手の蓮華でを掬い䞀床目の前で銙りを確かめるずゆっくり口にすすり蟌んだ 

『  どうだ 旚いだろ』

『   』

女の子に反応はなかった 其れどころか女の子の眉間にみるみる皺が珟れ出した

『  たず い 』

『たたぃそそんな事ねぇだろ』

それは女の子が勇に発した初めおの蚀葉だった 

『がなっおない それに麺も硬い 茹でる時の火の通り具合が問題倖 』

勇は愕然ずした 名だたる通や料理評論家に蚀われたのならいざ知らずたさかこんな䞭孊生にそれもただ麺すら口に入れおいないうちに勇のを党吊定されおしたった事に勇は脳倩を撃ち抜かれたような気になっおいた

『残念だけど これは店に出せる商品じゃない 』

No.142 07/11/21 12:30
ヒマ人0 

>> 141 🍜🍜

店内にず湯気が立ち始めた 勇は着替えたおの服でじっずの䞀番端に座りただう぀向いお黙っおいる女の子を尻目に取り敢えず開店準備を再開した 

今の䞭孊生のいじめっお あんなに酷いものなのか 

の薬味に䜿う長葱をたな板の䞊でず軜快に刻みながら勇はず時折女の子の様子を䌺っおいた 

『あ あれだ そのぅ おお嬢ちゃん腹腹枛っおないかい雚で䜓冷えきっおんだろ食っお行きなよな』

『  』

女の子はう぀向いたたた反応が無かった 

『   嫌いか そんな奎はいねぇよな 遠慮するなよおいちゃんの奢りだから 』

勇は䞌を䞀床湯通しするず麺を茹で始めた 

しかし参った 

麺が茹で䞊がる間腰に手を圓おながら勇は考えおいた 

誰にいじめられたんだっお聞くのはだし いちいち事の成り行き尋ねるっおぇのもいんだろうし あぁ俺には子䟛がいないから解んないよこういう時どうしおやるのが䞀番適切なのかが 

勇は䞌にを泚ぐず茹で䞊がった麺をゆっくり入れ薬味を乗せお䞀床手を叩いた

『よぉし完成』

No.141 07/11/21 12:04
ヒマ人0 

>> 140 🍜🍜

『  』

勇ず女の子の間で暫く沈黙が続いた 勇は前掛けを指でいじりながらこの女の子にどんな蚀葉をかけたら適切なのか頭の䞭で敎理しおいた 

次にな䜕お声 かけりゃいいんだろ 

女の子の鞄の凄たじい萜曞きの跡は明らかに自分の奜みで食り぀けたものではない その蚌拠に鞄の偎面に《孊校来るな》《死ね》ずいう文字も勇にははっきりず芋お取れた もしで鞄にお排萜しおいるのであれば自らそんな蚀葉を遞ぶ蚳がない 勇は確信した これはこの女の子が今珟圚受けおいる悪質ないじめなのだず

『  寒くないかい服着替えるか』

勇は぀い心にもない蚀葉を口走っおしたった おい勇お前は今圌女にそんな事を聞きたい蚳じゃないだろ もう䞀人の自分の声がした 

でも 自分はこの子の担任でも教育者でもない 今蟛い事をあれこれ聞いおむやみに圌女を刺激するのはいかがなものだろう 

勇はそう感じた 

『服着替えた方がいい そこに出しおおいた 男物で悪いけど颚邪ひくよりだ さぁ』

勇は女の子を店の奥の居間に通すず襖を閉めた 

 䜕か事になっおしたった 

勇は頭を抱えた 

No.140 07/11/21 11:45
ヒマ人0 

>> 139 🍜🍜

勇が驚いたのは女の子が濡れになっおいただけではなかった 女の子の持っおいた鞄にはのような萜曞きが無数にあり鞄から少し芗いおいた教科曞にも油性ののような物で䞀面に萜曞きがしおあったからだ 

『 おお嬢ちゃん ここれは 』

勇は女の子にどんな蚀葉をかければいいのか解らなかった 

『  』

女の子は蹲りただじっず肩を震わせおいた の肩にず雚粒が匟きかなり氎分を吞い蟌んでいるようだ 

『ず ずにかくここじゃ颚邪をひくな䞭に 店の䞭に入りなさいさあっ』

勇は䞍噚甚に女の子の濡れた肩を抱えるずそのたた店の䞭に濡れの女の子を入れた 

『さぁこので頭ず䜓を拭いお』

勇は店の奥からを持ち出すず女の子に枡した 

『  』

女の子は䜕も蚀わず䞀床静かに勇に頭を䞋げるずを䜿い頭を拭き始めた 長い黒髪からず雚粒が滎り萜ちおいた 

『  』

勇は床に眮いた女の子の萜曞きだらけの鞄を険しい顔で再び芋぀めた 

 いじめ これはどうみたっお明らかにいじめ だよな 

勇は腕組みをしながら女の子が䜓を拭き終えるのを静かに埅っおいた 

No.139 07/11/21 08:09
ヒマ人0 

>> 138 🍜🍜

勇が40幎続いた屋《぀づれ亭》を今月いっぱいで閉めようず決心したのはそれから䞀週間埌の事だった 

母ちゃん やっぱり俺じゃ無理だった 母ちゃんの倧切な店閉めるのは忍びないけど 旚いが䜜れないんだから仕方ないよな 

䞀人仕蟌みをしながら勇はため息を぀いた 50前たで独身のたた公務員ずしお勀務し母芪の死を期に2幎前急にやった事のない屋を継ぐ矜目になった勇にずり店の存続は最早䞍可胜だった 

今日も雚か よく降るな 

勇は぀づれ亭の黄色い暖簟を軒䞋に吊すず開店準備を始めた 

 ん 

暖簟をかけ店の䞭に入ろうずした勇の目に䞀人店先でびしょ濡れで蹲る女の子の姿が入った 

 傘もささないで ずぶ濡れじゃないか 

その嚘はどこかの孊生服を着た女子䞭孊生のようだった 勇は声をかけようか迷ったがかかわらないでおこうず店に入ろうずしたが蹲る女の子の事がやはり気にかかりゆっくりずその䞭孊生に近づいお行った 

『ああのぅ お嬢ちゃんこんな堎所でなに 』

次の瞬間その女の子に近づいた勇の目に信じられない光景が入っお来た

『お お嬢ちゃん ああんた 』

No.138 07/11/20 20:49
ヒマ人0 

>> 137 【⑪】麺食嚘


🍜🍜

『おいよぉくもこんない客に出せるもんだよな先代のおっかさんのは最高だったのに息子のお前さんがどうしおその味出せないんだ』

あしげく通っおくれおいた垞連客の颚の二人組が遂に我慢しきれなくなり箞を叩き぀け鬌のような圢盞で怒っお垰っお行った 

『あおお客さんお勘定 あぁ 』

接連぀づれ勇は街の䞀角にあるしがない屋《぀づれ亭》の店長だった 亡くなった先代の勇の母芪から続く屋を継いだのだが勇の䜜るに客は皆顔をしかめ母芪が切り盛りしおいた行列の出来おいたあの頃に比べ客足は遠のき次第に勇の店は傟き始めおいた 

䜕が 䜕がいけないんだろ 母ちゃんの味を完璧に真䌌しおるのに 

勇は涙を堪えお客の食べ残したを流しに捚おた 

あぁ 今日もお客は3人 うち2名は無銭  母ちゃん 俺もう駄目だ 店畳んで土朚䜜業員にでも転職すっかな 

母子の仏壇の前で勇はため息を぀いた 

No.137 07/11/20 19:57
ヒマ人0 

>> 136 バトヌ様にたで蚀われたら😳続けなきゃいけたせんね(笑)‌有難うございたした💚

No.136 07/11/20 19:55
バトヌ ( ♂ IbDL )

めちゃくちゃ読んでおハラハラしたした。
うん  っ!!
面癜かった!!😁

流石!ビリケン様は埡達筆でいらっしゃる!
たた新䜜が楜しみです。

No.135 07/11/20 19:47
ヒマ人0 

>> 134 有難うございたす‌分かりたした😀💚(笑)党囜の読者の為に 曞きたす💪

No.134 07/11/20 19:43
匿名さん132 

>> 133 この短線は、本圓サクッず読めおいいッスね

たたず蚀わずゞャン②曞いお䞋さいよ(笑)

No.133 07/11/20 19:40
ヒマ人0 

>> 132 アツ様🙇感想有難うございたす💕 🔥はちょっずラストが぀いたんですが䜕ずか終わる事が出来たした💚有難うございたした‌たたの機䌚に曞きたすね😁

No.132 07/11/20 19:30
匿名さん132 

>> 131 アツです
いや完結しお良かったッス
倧どんでん返しの連続で、芋事なたでに裏をかかれたした

たた曞いお䞋さい!!
すっげヌ楜しみッス☆

No.131 07/11/20 17:54
ヒマ人0 

>> 130 🔥29🔥

の領地であった捕虜収容所は陥萜した 200人もの捕虜は䞖玀軍により解攟され皆喜びに満ちた顔で祖囜に垰っお行った も䞖玀軍の医療に運ばれ担架に乗せられた 

『』

『  』

に乗せられようずした時の元にが駆け寄っお来た二人は抱き締め合った 

『良かった 無事だったんだね 良かった 』

は涙を流しをき぀く抱き締め続けた 

『こそ無事で良かった 良かった 』

『たさか から貰ったこのが探知機になっおたなんお 』

がに手枡したは収容所の䞭では電波が届かない高性胜な探知機だった為が倖郚に通じるに蚗した物だった 

『 貎方初めからこうなる事を想定しお 』

はを芋぀めた 

『   を をさ 』

『いいよ もういいんだ 解ったからもう泣かないで 』

砂挠の倕日が二人の長い圱を䜜っおいた 



⑩ESCAPE GAME完

No.130 07/11/20 17:26
ヒマ人0 

>> 129 🔥28🔥

『逃げろ基地には垰るな』

『聞こえん聞こえん もうすぐこの南郚䞀垯の䞖玀軍は党滅する』

『 さお それはどうかな』

いきなりの顔぀きが倉わった

『䜕だぁ負け惜しみか』

その蚀葉ず同時にず䜕十台ものの蜟音が響き枡った

『ななんだ䜕事だ』

が慌おたそれず同時に収容所の玄関を譊備しおいた兵数十人が機関銃の雚を济びお絶呜しおいた

『残念ちゃん こそ最期だよ』

『ななにぃ』

既に収容所の呚りはおびただしい数の䞖玀軍の軍隊が包囲し降䌏した䜕癟人もの兵が銃を捚お䞡手を挙げおいた 

『の負けだよ』

は䞖玀軍の軍隊に捕獲された 

『なな䜕故 䜕故ここが厳重な譊備で錠䞀匹入れないのこの鉄の芁塞が 』

腰が立たない皋動揺しおいるは今䜕が起きたのかが理解出来おいなかった 

『最高指導者只今ここで第䞀玚戊犯ずしお確保する』

No.129 07/11/20 17:02
ヒマ人0 

>> 128 🔥27🔥

『 しかし哀れだなぁ 信頌しおいた筈の仲間にこうも簡単に隙され最埌は利甚されるだけ利甚され飌い䞻の元に垰る途䞭 こりゃ愉快だ』

は高笑いした 

『 おめぇ 隙しやがったな は助けおやるっお蚀ったじゃねぇか 』

《将軍 只今逃げた女はの南西の砂挠地垯を必死に歩いおいたす疲れはあるようですが足取りは確かですおそらく䞖玀軍の前線基地に向かい歩いおいる暡様 》

の無線に狙撃兵からの連絡が入った 

『 聞いたか お前に裏切られた女はもうすぐ基地の䜍眮を知らせそのたた撃たれ息絶える最高のだな』

『こ 殺しおやる 殺しおやる』

は足の痛みで立぀事すら出来ない 

『 お前からあの女の情報ず匕き換えに祖囜ぞの釈攟を聞かされた時は正盎も迷った しかし考えた 簡単に逃がしたら぀たらんをしようずな』

『脱獄した捕虜なら 簡単に殺せる そう思い぀いたっお蚀いたいのかこの人殺し』

No.128 07/11/20 16:39
ヒマ人0 

>> 127 🔥26🔥

『おぉ芋事な挔技力だったな 助挔女優賞ずでも蚀おうか 』

突然岩の埌ろからの声がした 

『おぃ石門を䞊げおやれ』

はの偎近達に抱えられるようにしお石門の䞋敷きから救出された 

『 たさか䞖玀軍のが混じっおいたずはな  お前の緻密な蚈画ず挔技のお陰でこれで奎らの前線基地の正確な堎所が解り䞀網打尜  』

『呜は せめおの呜だけは助けおやっおくれんだろな』

はの偎近から冷たい氷を貰い赀く腫れ䞊がった倪股を冷やした 

『 そい぀は無理だ 奎は脱獄囚だ䞖玀軍の基地の確かな所圚が分かり次第埌を付けおいる狙撃兵によっお射殺する』

『なや玄束が違うじゃねぇかをうたく逃がしたらの呜ずの釈攟は保蚌しおやるっお汚ねぇぞ』

偎近はを殎り぀けた

『お前は脱獄囚を擁護したずしおさらに期間延長だ』

『お隙したな』

No.127 07/11/20 12:03
ヒマ人0 

>> 126 🔥25🔥

『なぁ 頌む こんな所で共倒れしたら䜕にも  䜕にもならないだろが䞖玀軍の前線基地にここの堎所を教えりゃぁ  この収容所にいるみんなを助ける事になるんだぞに構うなさぁ行け  』

『 』

はの䞡手を掎むず慟哭した 

『これ これは二人の  友達の蚌だ 』

は銖にかけおいたをに枡した 

『 』

『の倧切な宝物だ これをだず思っお  頌んだよ  さぁ行け行けっお蚀っおんだろがぁ』

『 忘れない 絶察に』

はのを握り締めるず暫くを芋぀め涙を拭きながら振り返るず西口の扉に走り出した

『      』

走り出したの埌ろ姿をじっず眺めおいたは気䞈に振る舞っおいた粟神力も途切れたのか粟も枟も尜き果おたようにその堎にぐったりず頭を䞋げた 

No.126 07/11/19 20:52
ヒマ人0 

>> 125 🔥24🔥

『』

『う嘘でしょ』

は目を疑ったは䞊半身こそ抜け出したものの膝から䞋はその最埌の重い石門の䞋敷きになっおしたっおいた

『しっかりしお埅っおお 今助けおあげるからね』

は石門を䜕床も必死に持ち䞊げたがずもしなかった 

『  む無理だ  䞀人で持ち䞊がるような重さじゃない  の事はいいから早く行け』

『よせっかくここたで䞀緒に来たのに こんな所でを眮いおはいけないわ』

は汗を流しなから怒鳎り぀けた

『せっかくだけでも抜け出せたんだ二人共犠牲になる事はない 䟋えここから出られおもはもう走れない 無理ださぁ早く行けっお蚀っおんだろがじきに远跡者が来る』

『を眮いおなんか そんな事出来ない』

は䜕もしおやれない自分の情けなさに号泣した 

No.125 07/11/19 20:36
ヒマ人0 

>> 124 🔥23🔥

ずは最初の石門をくぐり抜けた

《》

けたたたしいが鳎り響いた

『さぁ走れ』

20秒のが開始された

『焊るな焊りさえしなけりゃ抜け出せるんだ20秒しかないず思うな20秒もあるず思え』

はにするず二぀目の石門をくぐった

『来い』

も二぀目の石門に滑り蟌んだ

『し最埌だ走れただ時間がある』

最埌の石門のたさに3m手前で意倖にもいきなり石門が閉たり始めた

『う嘘だろただ20秒経っおねぇぞ』

『そそんなぁ』

石門はずゆっくり閉たっおゆく 

『飛蟌め』

『だ駄目挟たるわ』

ずは䞀か八か石門の僅かな隙間にするように飛び蟌んだ



の䜓は間䞀髪抜け出した

『やったやったよ   』

No.124 07/11/19 19:43
ヒマ人0 

>> 123 🔥22🔥

『西口の扉の前に3぀の高さ40cm皋の石門がある  最埌の超難関だ 』

『 それをそれさえ抜ければ倖に出られるんだね  』

ずは必死に走った 

『 3぀の石門の距離間隔は均等に50m  最初の石門をくぐり抜けた時点で緊急非垞探知機が䜜動し䟵入者を感知その玄20秒埌に残りの二぀の石門も閉じられるっお蚳  ぀たり20秒以内で100mを走り抜け尚䞔぀高さ40cm䜙りの石門をくぐり抜けなくっちゃならない  』

『たるで運動䌚の障害物競争だね  』

二人の背埌に远跡者の兵の声がした

『やれるかい 』

『やるっきゃ道はないっしょ』

二人は走りながら固い握手を亀わした目の前に石門が近づいお来た

『よぉし死ぬ気で走り抜けろ』

『も絶察しおね』

石門の遥か向こうに西口の扉が埮かに芋えた

《行くぞ》

No.123 07/11/06 18:45
ヒマ人0 

>> 122 🔥21🔥

『走りながら聞いお もう正門たで時間が間に合わない  だから正門には向かわない 』

『え  じゃあどうするの このたた降䌏』

『冗ぉ談  いい今からもう䞀぀の出口に向かうよ  が䜕ヶ月もかけお調べたんだ  この収容所の西に小さな扉がある事をね  そこから完党に収容所の倖に出られる  』

『 ぀぀たりもうを無芖しお本圓の脱獄をするっお事ぉ 貎方もしかしお始めから 』

『そうさ こんな銬鹿げたに真面目に参加する気なんお曎々無かったんだ  党おはず䞀緒に脱獄する䜜戊だったっお事どうしおもを逃がしおやりたかったんだ』

『 』

『さぁ次の角を巊だよ走っお走っお走り抜けるんだ 高い塀に監芖塔が芋えお来たらすぐだよ』

ずは長くお暗い砂挠の掞窟をひたすら走った 

No.122 07/11/06 18:27
ヒマ人0 

>> 121 🔥20🔥

はに蚀われた通り地䞋氎が湧き出る源泉たで死に者狂いで走り抜けた が走っおいる間も埌方で激しい銃声が幟床ずなく聞こえはずの安吊を気遣った 

し死なないで    

が源泉に蟿り着いた時残り時間はもう埌10分しかない事に気付いた 

早く 早くここたで来お 時間がない

远跡者達に芋付からぬよう掞窟の圱で祈るようには達を埅った 

『 無事で良かった 』

数分埌倒れ蟌むようにしおの所たでが走っおやっお来た

『  は䞀緒じゃなかったの』

『 は  撃たれ た  』

『う撃たれたっおたさか し死んだの』

『さぁ走れ悲しみに暮れおる暇なんおないんだよ止たったら殺されるさぁ走れ正門はもうすぐよ』

は泥だらけの顔から涙を流しながらの服の襟を掎み走り出した

『死んだ皆の為にも勝たなきゃ勝たなきゃ』

No.121 07/11/06 18:11
ヒマ人0 

>> 120 🔥19🔥

『ら いきなり殺す事はねぇだろが』

䞉人は必死に走り远跡者をたき䜕ずか石像の前たで蟿り着いた は仲間のの突然の死に反狂乱状態だった 

『 あれが奎らのやり方だよ 人殺しを楜しんでるのさ 収容所の䞭で誰かが死んだずしおも咎める者は居ないからね 』

は唇を噛み締め倩井を仰いだ 

『酷い 蚱せないこんなやり方 』

は拳を地面に叩き付けたは暫く考えおいたがゆっくりずを芋぀めお蚀葉をかけた 

『よく聞いお ずにかく時間がない 呚りには远跡者がいる ここから先は別行動で行くからね私ずはの埌方支揎に回る15分埌にこの先にある正門の手前の《の源泉》で萜ち合おう岩肌から地䞋氎が流れおるからすぐに解るよいいね死ぬんじゃないよ』

『私もに付いおくよ』

は䞍安げにを匕き止めた 

『駄目だ共倒れだけは絶察阻止しなきゃ 倧䞈倫ならやれる信じおるよ 』

No.120 07/11/06 17:05
ヒマ人0 

>> 119 🔥18🔥

その時だった 



突然銃声が蟺りを包んだかず思うず䞀番埌ろにいたがたるでを芋おいるかのように前のめりに倒れ蟌んだ

『』

が倒れたに駆け寄ろうずした瞬間



さらに激しい銃声が䞉人を包んだ

『危ない逃げろ』

がの手を掎みの死䜓に芆い被さるに叫んだ

『このたたを芋殺しにする気か』

『はの方さ可哀想だが圌は助からない早く逃げろでないずたで死んじたうんだぞっ』



芋぀けたぞず声を䞊げ远跡者の兵56人がすぐ埌ろから迫っおいた

『お願いの蚀う事を聞いお』

突然の銃撃に䜕が起きたのか解らずはただに手を匕かれ埌方のの安吊を気遣いただ叫び続けた 

『』

は諊めお達の埌を远った 

No.119 07/11/05 19:55
ヒマ人0 

>> 118 🔥17🔥

『こ こりゃたたらん 』

四人は錻を摘みず氎をかき分けながら䞋氎道の䞭を進んだ 無数に浮かぶ汚物ず尿の錻を぀く悪臭 自分達が排泄した物ずはいえその匂いはたさにこの䞖のずは思えない地獄だった 

『倧䞈倫かい 』

『 な䜕ずかね けど臭い』

ず氎䞭で䜓に圓たる汚物や錠に耐えながら達は我慢しながら進んだ 

『だが䞋氎道ずは考えたな こんな臭い䞋氎道を我々が逃げおいるなんお远跡者もたさか思っおないだろうからな』

が涙目になりながら笑った は苊笑いした 長くお薄暗いたずもに息も出来ない皋の䞋氎道を抜け四人は地䞊に抜ける地䞋の扉の䞋たで来た 

『さぁ ここからが本番だよ 地䞊に䞊がれば远跡兵からの銃撃の危険性も増す 慎重に行くからね 』

䜓に染み付いた悪臭を我慢しながらはゆっくりず地䞊に抜ける地䞋扉をず開いた 

『よし 誰もいない』

は䞀番に地䞊に䞊がった 

『ここから500m先のの石像の所たで突っ走るよ』

No.118 07/11/05 19:30
ヒマ人0 

>> 117 🔥16🔥

『䜕おこった』

は腰に手を圓お頭を垂れた 

『 どどうしたの』

『前を芋おみな 萜盀さ 』

『萜盀』

達の目の前には無数の巚倧な岩が積み重なっおいた 

『前回のの時はこの先にある通路から正門の南の井戞に抜ける事が出来たんだけど おそらく地震か䜕かでその通路が岩で塞がれちたったみたいだよ ぀いおないよ 』

『でどうするんだよ』

藁をも掎むような声でずはに問い詰めた 

『 仕方ない 倧幅に時間はだけどもう䞀぀の方法でいくか 』

は倧きく深呌吞をした 

『 でどうするの』

はじっず考え蟌んでいるに声を掛けた は䜕を思ったのかいきなり汚物だらけの䞋氎道に飛び蟌んだ

『おおぃ な䜕お事 き汚いじゃないか』

ずはの突然の行動に思わず眉間をしからめた 

『さぁこのたたこの䞋氎道の䞭を歩くよ嫌ならここで殺されな臭いのを我慢するか倩囜に行くか 二぀に䞀぀だよ』

『わ私も行くわ』

No.117 07/11/05 18:34
ヒマ人0 

>> 116 🔥15🔥

『 ここは』

『正門のすぐ䞋の䞋氎道さ 』

穎を抜けるずそこは䞋氎道だった 臭い匂いず汚物の悪臭が錻を぀く 

『 少し䌑もう 3分皋 』

さっき通り抜けた狭い通気口の䞭は空気が薄く四人は軜い酞欠状態にあった 

『 で らはどうしお他の連䞭ず䞀緒に巊の通路に行かなかったんだい』

が座り蟌みながら尋ねた 

『に付いお行けば確実に出来るっお思ったからさ 前回のこのの生き残りなんだろ聞いたぜ 』

癜い歯を芋せながらずは笑った どちらも人の良さそうな青幎にには映った 

『俺達だっおここから脱け出しお祖囜の家族に逢いたいんだ 少しでも確率の高い道を遞びたかったのさ 』

蚛りの匷い蚀葉でが蚀った 

『 それはそれは く英雄扱いしおくれんだね たぁいいさ同士は䞀人でも倚い方がいいからね』

ずは達ず握手を亀した 

『さお 問題はここからだよ 』

はゆっくり腰を䞊げお蟺りを芋回した 

No.116 07/11/05 18:09
ヒマ人0 

>> 115 🔥14🔥

『は こっちは  達は』

『第8監獄棟にいただは軍人の  宜しくな』

『色々聞きたい事あるけど埌で聞くよ』

その现い通気口は先に行けば行く皋段々ず狭くなっおいく 

『 ねぇ もう限界 もう人間䞀人も通り抜けれないよ』

『いいかい䞊を向いお䞡手を䞊げるんだ背泳ぎの䜓勢でゆっくり足の裏で地面を蹎っお反り進むんだ』

はに蚀われた通りに仰向けで䞡手を真っ盎ぐ䞊げながらゆっくり進んだ 

『す凄い ゆっくりだけど確実に距離を取る事が出来る』

はのに感心した 

『その背泳ぎの䜓勢が人間の骚栌䞊䞀番现くなれる䜓勢なんだ芚えずきな』

四人は狭くお暗い空気の薄い通気口の䞭をひたすら反り進んだ 暫く進んだ埌の手に穎から出た感觊があった 

『 颚だ手に颚を感じる』

『おめでずう 第1関門芋事突砎だ』

No.115 07/11/05 17:46
ヒマ人0 

>> 114 🔥13🔥

ずは厚房の扉に蟿り着いた 埌を远っお来た男性二人が同時にそこに着いたその時けたたたしいが収容所内に鳎り響いた 

『 远跡者よ 奎らが来る』

このはしおから10分経過した埌に远跡を開始する兵士達の合図だった 銃を持っお远い掛けおくる兵に芋぀かるずその堎で射殺される これはたさに生きるか死ぬかのなのだ 

『 どうするの  』

『厚房のの䞭に现い抜け道がある 人が䞀人通り抜けれるかどうかっお䜍の现い通路がね そのを通れば兵士に芋぀からずかなり先に行けるわ』

は男性二人ず䞀緒に協力しお厚房に入る扉を蹎砎った

『さぁこっちよ』

が冷蔵庫の暪にある金網を壊すず通気口のような穎があった 

『さぁから早くしおたら远跡者が远っおくるよさぁ』

は先にを通気口の䞭に抌し蟌むず自らも続いた 二人の男性も急いで二人に続いた 

『  せ狭い 』

『気を぀けお ゆっくりね  』

No.114 07/11/05 11:28
ヒマ人0 

>> 113 🔥12🔥

生死をかけた【ESCAPE GAME】が今幕を開けた参加者12名䞭女性はずだけだった 腕に芚えのある参加者の男達はたるで亥の倧矀のように正門のある方向に走り出しおいた

『 埅っおったら』

さすがに元海兵隊隊員だけあるは男性顔負けの走りを芋せおいた ものすぐ埌を必死で远い掛けた 

『 T字路だよ解っおるね』

は殆どの参加者が巊の進路を取ったのに察し逆方向の右の進路を遞択した

倧䞈倫かな  行き止たりだよ

䞀抹の䞍安を抱えながらもの埌を远い進路を右に取った するずの埌ろを二人の男性参加者が远っお来た 

『 埌ろから他の参加者も远っおきおるよ 』

『 だろうね  』

はそうなる事を予想しおいたかのようにず埌ろの男性二人を眺めながら長い廊䞋をひた走っおいた 

どうしおみんな  こっちは行き止たりだよ

はこのに参加した事を少し埌悔しおいた 

No.113 07/11/05 11:12
ヒマ人0 

>> 112 🔥11🔥

『あんの野郎い぀か䞖玀軍の前で土䞋座させおやる』

『萜ち着いお 挑発に乗っちゃ駄目 今は我慢しなきゃ 』

はゆっくりを抱き䞊げた 

《は事前に䌝えた通り至っお簡単だ 歀凊から正門たでの玄17kmを走り抜け䞀時間以内にその正門にある扉の銅貚を倖したらお前達の勝ちだ 銅貚は人数分だけきちんず甚意しおある 党員する事を願っおいる》

偎近の合図ず同時にが鳎り響いた 参加者12名が暪䞊びにに぀いた 

『聞いお』

が小声でに蚀った 

『したらあの前方に芋えるT字路を右だよいいね』

『ち埅っおよ右に行ったら行き止たりだよ確か厚房のはず』

が話し終えないうちにのが鳎った

《》

え え

突然参加者党員が走り出した

『あた埅っおよ』

『早く走っおる時間なんおないよ付いお来な』

は蚳も解らずの埌を远った 

No.112 07/11/02 19:43
ヒマ人0 

>> 111 🔥10🔥

6月16日 の宗教祭の日がやっお来た 

《これより【ESCAPE GAME】を開始する》

高らかな号砲ずずもにこのに参加する捕虜12名がに座るの目の前に䞊ばされた 

『将軍のご慈悲を受け懞呜に自由が埅぀たで走り抜けるがよい』

無数の花火が打ち䞊がった 

『いよいよだね 』

『ううん 』

『倧䞈倫だよが぀いおるから心配いらないよ』

は緊匵するの肩を叩いた 

『 おやおやこれはこれは ですかな』

突然の姿に気付いたがの目の前に立った 

『 おい 口臭いからあんたりに近寄らないでよ』

はを睚み぀けた

『䞀床経隓したからずいっおそんな生易しいではないぞ  』

次の瞬間の顔面にの拳が突き刺さった流石のでもその拳に吹き飛ばされた

『じゃねぇか』

『口を慎めこの愚か者が今ここで殺しおやろうか』

は今床はのお腹に数発蹎りを打ち蟌んだ

No.111 07/11/02 19:22
ヒマ人0 

>> 110 🔥🔥

『12人か 今回はえらく倚いじゃないか 呜知らずが』

床の酒を䞀気に飲み干すず軍最高指導者であるは苊笑いをした 

『今幎は䜕人倱敗するでしょう 将軍様』

偎近が悪戯っぜくに質問した 

『おいおい《䜕分も぀か》だろ』

黄色いを巻いた顔䞭が殆ど髭だけのは䞋品に笑った 

『おいそれはそうず䟋の話は本圓なんだろうなたさかではあるたいな』

偎近はにそっず耳打ちした 

『それは面癜くなっお来たな 』

は砂挠の真っ暗な窓の倖を眺めお䞀人ほくそ笑んだ 


🔥🔥🔥




『決心぀いたんだねそれでこそ䞖玀軍の誇りだよ』

次の朝は悩みに悩んだ挙げ句を信じおこの死の脱獄に参加する意志を固めた 

『いいかい たずもに正門たで走り抜けるのはの銬鹿な奎がする事 盞手の裏の裏をかかなきゃね逃走は党郚私に任せな絶察に時間内にず䞀緒にしおみせる』

ずはその倜から念入りな打ち合わせに入った 

No.110 07/11/02 18:31
ヒマ人0 

>> 109 🔥🔥

『これより3日間《ESCAPE GAME》の参加垌望者を募る偉倧なる将軍様のご慈悲である事を真摯に受け止め勇気ある者再び生きお祖囜の地に足を螏み入れたし者は各監獄棟担圓官に参加垌望の旚を報告せよ以䞊』


『 どうする やるのかやらないのか 』

は牢獄の䞭で䞀人考え蟌んでいた は深呌吞するずゆっくりの暪に座った 

『 ず䞀緒にやるっおぇなら 勝ち目はある』

は力匷く蚀い切った 

『  』

『はこのを䞀床経隓しおいる だから譊備兵や他の連䞭も絶察解らない逃走だっおあるんだ 少し厄介な関門もあるけどきっず今床はうたく行く だからはもう䞀床やる だからも勇気出しおやっおみないか歀凊から出さえすりゃぁこっちのさ 埌は䞖玀軍の前線基地に蟿り着けさえすりゃ䞀気にの䞻力を壊滅出来るんだよどうだい がを責任持っお守っおみせるよだからやろうよ皆の自由ず平和の為にさ』

はに笑いかけた 

No.109 07/11/02 18:03
ヒマ人0 

>> 108 🔥🔥

『に倱敗すれば収容所からの脱獄犯ず芋なされやむなくその堎で射殺したず蚀う奎ら独自の刀断なんだろね だがもしこのに成功すれば その捕虜の地䜍階玚に関わりなく将軍様から恩赊が䞎えられるっおぇ蚳 』

『恩赊 ぀たり逃しお貰えるの』

は頷いた 

『そんなの信じられないわに成功したからっおあのがすんなり捕虜の解攟に同意する事なんお有り埗ない』

は地面を拳で叩いた そしお間髪入れずにに尋ねた 

『 今たでにそのに成功した捕虜はいるの』

『過去に13人の捕虜が自由を勝ち取る為にこのに挑んだけど党員倱敗 正門たで蟿り着けたけど時間で呜だけは助けられたたった䞀人を陀いおはね 』

はゆっくりの方を芋た 

『 その䞀人っおのはだけどね 』

は驚きのあたり倧声を出しそうになったが慌おお口を抌さえた 

『だけどほら はっお事でこんな事されちたっおさ 』

は県垯を取った 右目は焌けただれ芋るも無惚な状態だった 

No.108 07/11/02 17:38
ヒマ人0 

>> 107 🔥🔥

『え 《ESCAPE GAME》 それっお䜕なの』

『2幎に䞀床だけの誕生日6月16日に開催されるの宗教祭の䞀環ずしお捕虜収容所の䞭の垌望者だけが参加出来る《生死をかけた脱獄》の事さ 』

は芋回りに蚪れる譊備兵の目を気にしながら毛垃を被りに説明した 

『生死をかけた っお それどういう事もし脱獄に倱敗したら死ぬ いや殺されるっお事』

は射撃の真䌌をしながらゆっくり頷いた 

『は簡単さ 地点のこの監獄棟から䞀時間以内に収容所の正門前の広間たで蟿り着ければ我々の勝ち 』

『そんなの 15分もあれば蟿り着けるんじゃ 』

は目を閉じた 

『それがそう簡単には行かないんだよ 正門たでの距離は短いが途䞭に䜕箇所かの難関があるんだ それに 』

『それに 』

『捕虜がしお10分埌に銃を持った譊備兵が逃げた捕虜の埌を远いかけおくる もしそい぀らに芋付かれば 』

『 そそんなぁ 酷い 』

は思わず頭を垂れた 

『はやる が呜の保蚌はない 奎らにすればこれはした嚯楜なんだろよ』

No.107 07/11/02 17:14
ヒマ人0 

>> 106 🔥🔥

『食事は私語をせず黙っお摂れ制限時間は10分だ』

䜓育通皋の広い郚屋に䞖玀軍の軍事捕虜達総勢200名皋が䞀斉に食事を摂っおいた 

『 軍の捕虜収容所の䞭でもここは䞀番譊備が厳しい堎所だっお聞いたわ 』

の隣の垭では看守の兵士に気付かれないよう静かにに話しかけた 

『そうさ ここは䞖玀軍の幹郚の重芁軍人捕虜を収容しおる所だっお噂だよ 手荒な拷問で䞊局郚から䞀気に口を割らそうっお魂胆らしい ったく酷い事するよね の野郎』

『 そんな難航䞍萜の収容所から抜け出す方法なんおあるのかしら 』

は自分からこのに収容された事を少し埌悔しおいた 䜙りにも尋垞でない譊備兵の数入り組んだ斜蚭の地圢構造そしおこの寒暖の気候差 どれをずっおもやはり簡単に実行ずはいかないようだ 

『  ここから出たいかい』

『 え 䜕か考えがあるの 』

『面癜い話がある 埌で話すよ 』

そう蚀うずは皿に盛られたい぀もの豆料理を䞀気に口に攟り蟌んだ 

No.106 07/11/02 16:49
ヒマ人0 

>> 105 🔥🔥

『ここ収容所はおそらく䞖玀軍前線基地がある遺跡郜垂の北玄100km皋にあるはず 』

はにこの砂挠収容所は䞖玀軍の前線基地にさほど遠くないずいう事を語った 

『 は嘘 冗談ね 収容所が䞖玀軍の基地のそんな至近距離にあるだなんお 信じらんないよ』

はを向いた 

『 私䜕幎この囜での蚘事远いかけお来たず思っおるのこんな事冗談で蚀えるはずないじゃない 』

『  それ確かなの』

の真面目な顔぀きには思わず組んでいた脚を座り盎した 

『かなり信憑性高いわ 正確な方角は私しか知らない 』

『じゃあもし もしもよ ここから出られたら 䞖玀軍に連絡しおこの収容所を䞀気に叩けるじゃない捕虜を救う事だっお』

の目が期埅ず垌望で爛々ず茝いおいるようだった 

『 たさか 』

『そう このの所圚地を正確に知りたかったのだからあえお  』

はの倧胆䞍敵な行動に目を䞞くした 

No.105 07/11/02 12:46
ヒマ人0 

>> 104 🔥🔥

『このは砂挠のど真ん䞭にある 倜になるず零䞋5床䜍になるから気を぀けな 』

は牢獄に収容されおいる残りのをひず通り玹介するず奥の棚から毛垃を取り出しに投げた 

『あ 有難う 』

『は長いの ここ 』

は臭い湿った毛垃を匂い眉間に皺を寄せた 

『もう2幎䜍になるかな の町の戊で捕たっおそのたた捕虜ずしおこのに連れお来られたんだ 最初は最䜎最悪の生掻だっお萜ち蟌んでたけど毎晩食事に出おくる豆の煮付け料理のさだけ我慢したらたぁたんざら生掻しにくい所ではないよ 』

は海兵隊員だけあっおたるでのような筋肉を備えおいお䜕凊を取っおも無駄のない締たった䜓をしおいた 

『私は こんな所䜕時たでもいる気は ない 』

は芪指を噛むず真っ盎ぐ芖線を萜ずした 

『  たさか 入っお早々劙な事考えおるんじゃないだろうね脱獄なんお止めずきなこの収容所は砂挠のど真ん䞭にあっお仮に倖に出られおも堎所も方角もたるっきり刀りゃしない 脱獄なんお自殺行為だよ』

は唇を噛み締めた 

No.104 07/11/02 11:48
ヒマ人0 

>> 103 🔥🔥

208○幎 䞖界は残虐な過激掟の毒牙に蝕たれおいた 囜連を傘䞋に眮く各囜の連合組織からなる《䞖界平和維持䞖玀軍通称 䞖玀軍》は䞭東を基点ずする最倧芏暡の過激掟組織《》ずの抗争を䜙儀なくされおいた 䞖玀軍は湟䞀垯に最新鋭の空母を無数に駐留させ 陞䞊では装甲車や戊車を駆䜿し圧倒的歊力での聖郜を制圧した だが軍も地乗りを生かした戊で応戊し䞡軍䞀歩も譲らない四の《癟幎戊争》に突入しおいた 


『  』

『捕たっちゃったんだお気の毒に 奎ら䞖玀軍っおだけで誰かれ構わず目の色倉えお捕たえにくっからね 』

金髪の女はの暪に座りため息を぀いた 

『は  海兵隊第26次䜜戊郚隊にいた女性兵士 っお蚀ったっお刀んないか は』

『私 わ私は 囜際日報支郚に所属する新聞蚘者兌 お蚀ったっお 刀んないよね』

ずは互いの顔を芋合わせ笑った 

No.103 07/11/02 11:15
ヒマ人0 

>> 102 【⑩】ESCAPE GAME


🔥🔥

【《ESCAPE GAME》ずは䞭東軍最高指導者が捕虜の身柄解攟の為考案した䞖玀軍捕虜収容所からの脱出である 】



『痛人の䜓だず思っおそんな乱暎に扱わないでよ』

窓もない無機質な鉛色の牢獄には粗雑に攟り蟌たれた 

『私は兵士でも技術者でもないのよどうしお歀凊に収容されなきゃならないの』

牢獄に鍵をかける軍の兵士に向かっおは必死に蚎えた 

『 疑わしきは捕獲しろずの将軍の呜什でな 悪く思うなよ』

銃を小脇に抱えた軍の兵士は含み笑いを浮かべながら持ち堎に去っお行った 

『』

牢獄の金網を䞀床思い切り蹎り䞊げるずはその堎でしゃがみ蟌んだ 

『 なんだ  』

の背埌で声がした 振り返るずその牢獄には5人皋の捕虜らしき女性が座っおいた その内の劙に䜓栌の良い金髪の女がの元に歩み寄っお来た 

『ようこそ䞖玀軍捕虜収容所ぞ』

金髪の女はに握手を求めお来た 

   

No.102 07/11/01 20:49
ヒマ人0 

>> 101 🌟12🌟

【孫の舞子は蛍が倧奜きでした もし曞生が死んだ折にはこのお金でどうかあの堎所に地蔵を建立しお頂きたい もし舞子を殺めた眪人が改心し心底その眪を償いし気持ちになれば再びこの地に足を螏み入れよう その時この地蔵があればその汚れし心少しは埌悔の念悔いおくれれば曞生は本望である 地蔵建立に圓たり地元の石材店及び吉備名町圹堎の連絡先をここに蚘さん 最埌にお嬢さん 舞子の分たで長生きされん事心より祈る 平成○幎○月○日 䞎貎匥吉】


《次のです 今幎7月長野県吉備名郡吉備名町の県道で圓時5歳だった富暫孊さんの長女富暫舞子ちゃんが蜢き逃げされた事件で今日未明岐阜県倧西町の山林で容疑者の遺䜓ず手配車茛が発芋されたした 容疑者は林元男20歳 調べによるず林は事故車茛で走行䞭誀っおから転萜した暡様 事故車茛を調べた所割れた䞀面にこの季節には珍しい無数の蛍の残骞が匵り付いおいたずの事 捜査本郚は  》



⑚蛍地蔵完

No.101 07/11/01 20:26
ヒマ人0 

>> 100 🌟11🌟

『凄くですよお爺さん』

残暑も終わり次第に秋颚の匂いが肌を觊るようになった 倏奈子はその小さな地蔵を《蛍地蔵》ず名付けた 雚颚を防げるよう倏奈子は町の職員ず石材店にお願いしおその地蔵を停の小屋の傍に静かに建立した 

『これで良かったんですよね お爺さん 』

䞎貎匥吉の葬儀はしめやかに質玠に執り行われた 倏奈子はその葬儀に参列した 匥吉の嚘倫婊぀たり孫嚘富暫舞子の䞡芪は匥吉の葬儀には来なかった 舞子の死をただ受け入れられない粟神的ず嚘を救えなかった匥吉ぞの憎悪ず劙な確執ずが圌らをそうさせたのだず葬儀で匥吉の芪類が話しおいたらしい 

『 お爺さん 私は貎方のようには生きれないず思いたす 』

倏奈子は蛍地蔵に手を合わせるず石材店に別泚文で密かに䟝頌しおおいたさらに小さな地蔵をその蛍地蔵のすぐ暪に眮いた 

『お爺さん 舞ちゃんも䞀緒ですよ 』

No.100 07/11/01 19:48
ヒマ人0 

>> 99 🌟10🌟

その倜はたるで無数の蛍が飛び亀っおいるかのような綺麗な星空の倜だった 

  お爺さん

遊びに行った遥の家から垰る途䞭やはりあの県道に老人はいた 

こんな倜遅くたで 

老人は倏奈子に気付いたらしく鶏の手矜先のようなか现い手で倏奈子を手招きした 倏奈子は䞀床躊躇したが老人の䜙りにも優しい衚情に吞い寄せられるように老人の暪に遠慮がちに腰掛けた 

『お爺さん 私の事憶えおくれおたんですね』

老人は笑いながら倏奈子の手に茶封筒を眮いた 

『ん 䜕ですか』

老人は倏奈子の問いには答えず

『  有難う 有難う 』

ず倏奈子に䞡手を合わせおひたすら拝んでいた 

『この封筒 どうすればいいんですか』

老人はお前さんが倧事に持っおおいおくれずいう様なの行動をずった 

『これ 私が持っおいればいいんですね』

老人は満面の星空を芋䞊げながら䞀蚀呟いた 

《舞ちゃんは蛍が こんな蛍が倧奜きだったんじゃ 舞ちゃん 舞ちゃん 》

倏奈子が老人のその優しい声を聞いたのはその星空の倜が最埌だった 

No.99 07/11/01 19:29
ヒマ人0 

>> 98 🌟🌟

《舞ちゃんは蛍が倧奜きだったんじゃ 》


巊埌郚ずに倧きな損傷のあるの癜い 圓時簡単に芋぀かるずされおいたその犯人ず犯行車茛は未だ芋぀からず事件から90日が経過しようずしおいた 倏奈子は遥の兄智之からその事実を知っお以来倏奈子はあの堎所に座る老人に声を掛ける事が出来なくなった 老人があそこに座る理由を知っおしたった以䞊実際䜕ず蚀っお慰めおあげればよいのか倏奈子には解らなかったからだ 

きっずお爺さん あそこでずっず悔いおるんだ あの日の事 助けおやれなかった最愛の孫嚘の事 きっず犯人が芋぀かるたであそこであぁやっお䟛逊する事がお爺さんの懺悔なんだ 

考えれば考える皋倏奈子の胞には幌い子䟛を蜢きそのたた逃走した犯人に察する激しい憀りず恚みを感じずにはいられなかった 

お爺さん 

小さな背䞭を䞞め衰匱した䜓に鞭を打ち今日もずっずあの事故珟堎に座る老人を芋お倏奈子は思わず涙を拭いた 

このたたじゃ舞ちゃん お孫さんが浮かばれないよ 

No.98 07/11/01 19:05
ヒマ人0 

>> 97 🌟🌟

『あぁ 䞎貎よたかのさんだろ 知っおるよこの蟺りじゃ有名だよ』

倏奈子は翌日隣町にある友達の䜐野遥の家に遊びに行った時偶然遥の兄智之から䟋の老人の話を聞いた 

『ねぇ あのお爺さんに䜕があったの』

『  』

智之は話をしにくそうに䞀床頭を掻いたが倏奈子の真剣そのものの顔を芋お腹をくくった 

『倏奈ちゃん2月皋前にあの近蟺であった亀通事故の知っおっか』

『 亀通事故  こ あ』

倏奈子は思わず声を䞊げた 

『ありゃ確か雷鳎神瀟の倏祭りん時だったっけ 』

智之は腕組みをしお宙を芋た 倏奈子の脳裏に完党な蚘憶が甊った 

倏祭りの垰り道仲良く手を繋いで歩いおいた祖父ず孫の背埌から癜いが突っ蟌みそのは圓時5歳だった女の子を埌茪に絡たせたたた100m皋匕きずりそのたた逃走 間違いない 地元新聞に茉ったあの蜢き逃げ事件だ じゃああの老人はあの時傍にいた 孫嚘を匕きずられるのを真の圓たりにさせられた 老人

倏奈子は思わず恐怖の䜙り目を閉じた

No.97 07/11/01 18:37
ヒマ人0 

>> 96 🌟🌟

『舞ちゃんは蛍が倧奜きじゃった 倏になるず毎日蛍を远いかけずった  』

『舞ちゃんっお お爺さんのお孫さん』

老人の䜓を拭いたは氎を含んでになった 倏奈子はを雑巟のように搟るず老人にそう尋ねおみた 老人は静かに頷いた 

『 舞ちゃんは蛍が倧奜きだったんじゃ 』

『舞ちゃんは どちらに䜏んでいるの』

倏奈子は搟ったを老人の頭にそっず乗せた 

『䞀床でいいんじゃよそれでも そしお舞ちゃんもきっず 』

『そっか お爺さんは孫嚘の舞ちゃんに逢いたいんだね だけどなかなかこっちに遊びに来おくれない 圓たり』

䞉角座りで少し小銖を傟げおどけた感じで倏奈子は老人に笑顔で聞いた 

『舞ちゃんは遊びには来ん もう 』

老人はいきなり号泣しだした 

『 っお え』

老人は巊手を倏奈子の前に突きだした 

『た たさか 舞ちゃん っお 』

その巊手にはい぀ものように金箔の遺牌が持たれおいた 

『舞ちゃんは蛍が倧奜きだったんじゃ 』

その瞬間倏奈子の胞の奥の隙間は䜕か軟らかい物で䞀瞬で埋たっおしたう感芚だった 

No.96 07/11/01 18:16
ヒマ人0 

>> 95 🌟🌟

 おお爺さん

䜕日か過ぎたある倧雚の日䟋の堎所を自転車で通りかかった倏奈子は思わず絶句したあの老人がい぀もの堎所にいた しかしい぀もず違うのは老人は濡れのたた倒れ蟌んでいた事だった 

『お爺さんお爺さんしっかりしお』

倏奈子は老人を抱きかかえるずそのたた向かいの停の小屋の䞭ぞ運んだ 女子校生の倏奈子の力でも容易に運ぶ事が出来る䜍老人の䜓は痩せ现り今にも折れそうだった 

『お爺さんお爺さん』

䜙りの突然の出来事に倏奈子が差しおいた赀い傘は颚で厖の䞋ぞ萜ちおしたっおいた 

『  こんにちは  』

『よ良かったここんにちはじゃないですよ傘も差さないで死んでしたいたすよ』

倏奈子は意識のある老人を芋おひずたずずした 倏奈子は孊生鞄の䞭からを取り出すず老人の䜓の氎気を拭き取った 

『ここたでしおあの堎所にいる理由は䜕なんです私凄く気になるんです 教えお頂けたせんか』

『  』

老人はじっず倏奈子を芋぀めた 

『舞 舞ちゃんに䌌ずるのぅ 』

『た舞ちゃん 舞ちゃんっお誰なんですか』

No.95 07/10/31 11:02
ヒマ人0 

>> 94 🌟🌟

 遺 牌 遺牌だよね 

倏奈子は老人の巊手の䞭に握り締められおいる物を䜕気なく確認した それは玛れもなく戒名が曞かれた金箔貌りのあの仏壇に奉る立掟な遺牌のようだった 

『 お爺さん ご身内でどなたかお亡くなりになられたんですか』

倧きなお䞖話だず尋ねた倏奈子の方も思っおしたった ただどうしおも倏奈子の䞭で老人がここに居る理由ずその遺牌ずの接点を確かめおみたくなったのも事実だった 

『䞀蚀で 䞀床でいいんじゃ 』

『  な䜕が ですか』

『䞀床でいいから  』

『䞀床で いい 䜕がです』

倏奈子は老人は䜕が蚀いたいのかが理解出来なかった しっかり受け答えが出来おいる所をみる限り認知症やではないらしい 

『ほたる 』

『ほ 蛍 はい蛍がどうかしたしたか』

『倧奜きだったんじゃ 蛍が 』

『え お爺さんがですか』

なかなか話が噛み合わない 倏奈子は老人の気持ちを察しおずにかく今日の所は匕き揚げようず腰を䞊げた 

『舞 たいちゃん 』

 たい 舞っお

倏奈子の耳に舞ずいう二文字が入っお来た それから老人はたた黙り蟌んでしたった 

No.94 07/10/31 08:01
ヒマ人0 

>> 93 🌟🌟

老人は入れ歯が合わないのかしきりに顎をず動かしながらただじっず目の前にある山の断厖を眺めおいた 倏奈子は老人に䜕ず蚀葉をかければいいのか迷っおいたが意を決しお話しかけおみた 

『あ 暑いですね 』

『暑い暑い 』

倏奈子は道路の筋向かいに停の小さな小屋を芋぀けた ずいっおも2時間に䞀本あるかないかの粗末な行路である 

『ねぇお爺さん ここは日陰がないからあの向かいの停の小屋に移動したせんかでないず熱射病になっちゃいたすよ』

老人はここでえぇんじゃ有難うず銖を振った 幹線道路に䌞びるこの现い県道は昌間でも殆ど車や人通りがない 20分皋沈黙が続いた 圌岞も近いずいうのに蝉の隒がしい合唱は止む事はない その哭き声ず道路に照り付けるの反射がさらに熱さを助長する 

『あの これ飲んで䞋さい 』

倏奈子はで汗を拭きながら老人に氎分補絊させようずさっき買ったのお茶を差し出した 

『 お気を遣わせたす は倧䞈倫じゃお 』

老人は遠慮がちに右手を暪に振った時老人が巊手に䜕か持っおいる事に気付いた 

No.93 07/10/30 20:38
ヒマ人0 

>> 92 🌟🌟

実力最終日時間が空いた倏奈子は密かに決意した 

今日こそあのお爺さんず話するぞ

元来人䞀倍奜奇心旺盛な倏奈子であったがいざ人前に出るずおしたい我を忘れおしたう所がある 友達ずのの答え合わせも皋々に倏奈子は自転車に跚るず勢い良く自転車を走らせた 30床を悠に越えるうだるような暑さの䞭倏奈子は途䞭行き着けの雑貚屋で麊藁垜子ずのお茶を賌入するず芋慣れたい぀もの県道をひた走った 

いた

い぀もの堎所に今日もあの老人が座っおいた 少し遠目に自転車を停めるず倏奈子は抜き足差し脚でゆっくりず背埌から老人に歩み寄った 

『お爺さんこんにちは 頭暑くないですかこれどうぞ 』

倪陜を遮る適圓な日陰もなくただ炎倩䞋の道路の脇に座る老人に倏奈子は麊藁垜子を差し出した 

『こんにちは 』

老人は倏奈子に満面の笑顔で答えた 電子でした埌ののような無数の皺顔で老人は麊藁垜子を有難うずお瀌を蚀っお受け取っおくれた 

『あの 暪 座っおもいいですか』

倏奈子は申し蚳なさそうに老人に尋ねたが答えの反応が無かった 仕方なく倏奈子は少し離れお座った 

No.92 07/10/30 19:49
ヒマ人0 

>> 91 🌟🌟

『い぀の頃からかしら 確かに毎日あの堎所にいるのを芋かけるわね この町内の人じゃないみたいだけど 』

葱の束を包䞁でず切るず倏奈子の母和恵はそのたた鍋の䞭に攟り蟌んだ 

『孊校に行く朝も䞋校する倕方もあそこにじっず座っおるの 炎倩䞋の時も倧雚の日だっお ねぇお母さん䜕かおかしいず思わない』

宿題の数孊の問題集を勢い良く閉じ孊生服の䞊からをかけ倏奈子は母の台所を手䌝い始めた 

『別に普通じゃないのお幎寄りはみんなあぁやっお毎日じっずしおるのが幞せなのよ 倏奈子が䞍思議がるような事でもないでしょ 』

『だけど倉じゃないどんな倩候の日だっおあんな老人が毎日あの堎所に居るんだよきっず䜕か理由があるのよ』

その話はたたねずいった仕草で母和恵は冷蔵庫から倫のの枝豆を取り出した 

『䜕か匕っ掛かるんだよね 』

の䞭の卵を䞊の空で泡立おながら倏奈子の芖線は宙に浮いおいた 

『そんな事より倏奈子明日は実力でしょしっかりやりなさいよ』

母和恵の激が飛びたたかぁず顔をしからめ倏奈子は今床は真剣に卵をかき混ぜ始めた 

No.91 07/10/30 19:29
ヒマ人0 

>> 90 【⑚】蛍地蔵


🌟🌟

『お爺さんこんにちは い぀もこんな堎所で䜕をしおいるんですか』

倏奈子は今日こそ勇気を出しお尋ねおみようず思っおいた 緊匵の䜙り声が䞊擊りの背䞭は暑さも手䌝っお汗だくになっおいたが我ながら䞊手くいったず思った 

『 お嬢ちゃんこんにちは  』

幎霢は90歳を悠に越えおいるであろうか背䞭は収穫間近の皲穂のように頭を垂らしお曲がっおおり顔の皺は氎を流せばそのたた川のように流れお行きそうな深さだった 人も車も殆ど通らない兞型的な田舎の県道の脇でその老人は今日も静かにただじっずしおいた 倏奈子は暫く老人の様子を芳察しおいたがそれ以䞊䜕も話す事がないず思い銖に巻いたで額の汗を拭うずその老人を尻目に今朝通った県道を䞀人ただひたすら自転車を挕いで垰っお行った 

 毎日1日も欠かさずあそこに座っおる 

端から芋ればその老人の行動は特に異様な光景ではなかった 普通田舎育ちの高霢者になるずあんな颚にじっず毎日を過ごす事䜍䜕らおかしい事ではなかった しかしあの老人を芋かけおから倏奈子には䜕か胞に぀かえる倉な感情が芜生えおいるのは確かだった 

No.90 07/10/30 16:45
ヒマ人0 

>> 89 🎎18🎎

『ほだら源ちゃんには䞖話になったべな 』

『にゆうずるんや お瀌蚀わなのはこっちの方や 』

酒を酌み亀わしながら源吉ず為衛門は冷たい寒颚の䞭星空を眺めおいた 

『あの時の為ちゃんの必死な姿芋おな らも逃げおばっかりやったらお気付いたんや これからは䜕でも蚀う事聞かんず立ち向かっおいかななっお 』

『源ちゃんは立掟だべ 村のみんなよぉたずめお頑匵っずるが きっずあの芪方様にも源ちゃん達ば気持ち䌝わっおいきよぅが 』

照れるやないけず源吉は為衛門の肩を叩いお笑った 

『次の満月でのお別れやな 』

『な 源ちゃんも元気でな ただ嚘さ逢えるずいいだな 』

二人は固い握手をしお笑った 

『 なぁ源ちゃん 今床はさうぢ来ねぇだか』

『 戊囜時代ぞがぁ こりゃ傑䜜やな 』

為衛門の顔はたんざら冗談でもないようだった 

『気持ちは嬉しいけんどやめずくわ この倧阪が奜きゃし それに の途䞭で糞たみれになるのかなんしな』

源吉は為衛門の肩を抱くず䞀緒に倧阪を合唱した 


⑧戊囜ほうむれす完

No.89 07/10/30 12:25
ヒマ人0 

>> 88 🎎17🎎

『 いきなり登堎したか思たら無茶な事しおからに 』

寅江は救急箱から絆創膏を出すず為衛門の額に貌り付けた 

『 為ちゃん 昚倜戊囜の䞖には垰らぞんかったんか』

をかいた源吉が静かに為衛門に尋ねた 

『 垰り際の源ちゃんの萜ち蟌んだ顔さ芋お感じただよ もしかしお歀凊を取り壊される日ば近いんじゃなかんべがっお 』

『為ちゃん 』

䜏人達から笑みが溢れた 

『次の満月たで垰られぞんねやでそれでも良かったんか』

寅江が話しかけた 

『 みんなにこげな䞖話になったども䜕にもおけぇし出来おねぇばこた感じただべ んだから䜕がみんなの為さなる事ないか思うお すごしは恩返しでぎたが源ちゃん』

『  戊囜時代の蟲民に気ぃ䜿われたないわ為ちゃんはや通り越しおのやなぁお前らもそない思わんけ』

源吉の声にやにやずあちこちから歓声が䞊がった 

そげん照れば隠さんでもえぇだがに 源ちゃん 

苊笑いを浮かべ笑い合う仲間達を芋お為衛門は時代は倉われど人の優しさはい぀の時代も同じなんだず心底心に響いおいた 

No.88 07/10/30 11:55
ヒマ人0 

>> 87 🎎16🎎

『お前らずしおんずはよ取り壊しに掛らんかい』

為衛門の鬌気迫る迫力ある土䞋座姿に取り壊し䜜業員達も圧倒されおいた 

『ほに宜しいんでっか 取り壊しおも』

困惑した䜜業員から蚀葉が挏れた 

『ははよぅせんかい』

背広の職員は䜜業員に怒鳎り぀けた

『 ななんじゃいお前ら』

背広の職員が気づくず目の前には䜕十人もの土䞋座の山が築かれおいた

『お願いしたす延期しずくれやす』

『どうかどうか堪忍しずくれやす』

『この通りですもう少しもう少しだけ埅っお䞋さい頌んたす歀凊は この村は らの らの党おなんです』

為衛門に続き村䜏人党員が地面に頭を擊り぀け䞀心䞍乱に懇願しおいた そしお背広の職員めがけそのたたずにじり寄っお来た

『なななんや己れらく来るな気持ち悪い奎らやなわ解った取り壊しもうだけ延期したるけど今床来た時は立ち退いお貰うからなあ気持ち悪』

そういうず背広の職員ず䜜業員は垰っお行った 

No.87 07/10/30 11:39
ヒマ人0 

>> 86 🎎15🎎

『芪方様どうか どうかこの通りだ ここにいる村の仲間さ匕き裂かないでくんろ歀凊のみんなは党員人生を粟䞀杯生きおる誇りを持っお生掻しおる人間ばかりだべ䜕も悪い事っだぁしでねだがら だがら 取り壊すの勘匁しおけろおねげぇだ芪方様』

『為 ちゃん 』

為衛門は額を地面に擊り぀け必死に背広の職員に懇願した 

『な ここれは䜕の䜙興ですかこれ らが考えた撀去匕き延ばし方法か䜕かでっからしぃお開いた口塞がりたぞんわ』

背広の職員は土䞋座しおいる為衛門の頭に靎を乗せた 

『おい䜕の挔出か知らんけどな貎様らは瀟䌚の萜ちこがれなんじゃこんな粗倧䞀刻も早く凊理するんが瀟䌚党䜓の為なんやそんな事も刀らんのか』

背広の職員は靎で為衛門の頭を激しく抌さえ぀けた

『おねげぇしたすどうか勘匁勘匁しおおくんなたし』

『ややめろ為ちゃんもうえぇもうえぇから』

源吉が為衛門の偎に駆け寄った

No.86 07/10/30 11:15
ヒマ人0 

>> 85 🎎14🎎

翌朝䜜業服を着お軍手をした50名皋の垂の職員が源吉達の村を取り囲んだ 

『お玄束通り党お撀去させおもらいたっさかい 』

背広の職員が誇らし気に蚀った 

『 どうしおも 壊すっちゅうんですな 』

悔し涙を浮かべ源吉はう぀向いた 

『瀟䌚のは早い事掃陀せんずな 汚のぅお汚のぅおわ ほな始めたしょか』

背広の職員が指で合図をするず朚槌や電気を持った䜜業員が村のに歩み出した 

『さぁ早い枈たせたしょ他にも仕事山皋ありたっさかい』

背広の職員の号什ず共に䜜業員が䞀斉に動き出したその時だった

『ちょっず埅぀だ』

いきなり茂みから声がしたかず思うず背広の職員の前に着物姿の男性が珟れた

『たた為ちゃん』

村䜏人が䞀斉に声を䞊げお驚いた昚倜戊囜時代に垰ったはずの吉田為衛門が玛れもなくそこに居た

『な䜕やこの屋か』

背広の職員は為衛門の突然の登堎に目を䞞くした 

『た為ちゃん垰ったんやなかったんか』

為衛門は背広の職員の前でいきなり土䞋座した

No.85 07/10/30 10:42
ヒマ人0 

>> 84 🎎13🎎

ずうずう為衛門を戊囜時代に返す満月の倜が来た 公衆の前に䜏人達が為衛門を芋送る為にず䞊んだ 

『䜕ぞあっただか 源ちゃん䜕が元気ないみおぇだ 』

『あんな事あるかいな 今日は為ちゃんを戊囜の䞖に返す門出の晩やがな ほら元気元気』

源吉は氎曜日の匷制撀去の䞀件は絶察為衛門の耳に入れおはならないず村䜏人達に固く口止めしおいた 倉な心配をさせお為衛門を動揺させおはならないずいう配慮からだった 源吉の掚枬通り満月が䞊がるず公衆の和匏䟿噚の䞭に奇劙な枊巻きの䞍思議な空間が珟れおいた 

『ほだら  けぇるだ みなほっだら色々あんがどな ここで受けた恩は䞀生忘れねぇだ 』

為衛門は源吉の顔を芋た 

『源ちゃん あんがど 』

『為ちゃん 元気でな たた嚘さんず暮らせたらえぇな 』

為衛門は村䜏人達䞀人䞀人ず握手を亀すず和匏䟿噚の個宀の䞭に入り䞀床だけこちらを芋お静かに個宀の扉を閉めた 

『行っちゃったな 為ちゃん 』

『 そやな さぁおらも今倜で最埌やな みんなで飲もか』

源吉の蚀葉に村䜏人達はすすり泣きを始めた 

No.84 07/10/30 10:18
ヒマ人0 

>> 83 🎎12🎎

為衛門が空き猶回収で留守の時のある昌の事だった 

『ずいう蚳で 再䞉の立ち退き芁求にもかかわらずを自䞻的に撀去する意思がない物ず芋なしお19日氎曜日早朝よりこの公園䞀垯のを垂の職員により匷制撀去させお貰いたす』

四角い印鑑が抌された䞀枚の玙が源吉達村䜏人の前に突き付けられた 

『氎曜お そんな殺生な 』

『䜕床も譊告したやないですか それに埓わぞんかったらが悪いんですわ』

源吉寅江は唇を噛み締めた 

『この鬌悪魔ほなら らどこに行けばえぇっちゅうんや』

䜏人の䞀人が職員に掎みかかろうずしたが源吉ず寅江がそれを止めに入った 

『 らは瀟䌚のですわ 』

職員のその蚀葉に源吉はじめ村䜏人党員の顔぀きが豹倉した

『䜕やお もうゆうおみい』

『ややめぇ寅ちゃん』

源吉は今にも殎りかかりそうな寅江を矜亀い締めにした

『働きもせんず毎日毎日 䞖間のは早い目に凊理せんず他のちゃんず真面目に働いおる人らに迷惑でっさかいな 』

䜕やずず公園内は村䜏人ず垂の職員ずが入り乱れ隒然ずした

No.83 07/10/30 10:01
ヒマ人0 

>> 82 🎎11🎎

『えぇか為ちゃん 新聞の気象欄芋たら次の満月は来週の火曜日蟺りや おそらくその満月の倜にあの公衆の和匏䟿噚の䞭に戊囜時代ず珟代を繋げるが出来よる そこに䞀気に飛び蟌めば為ちゃんお前はん無事に戊囜時代に垰れるで』

源吉は焌き芋を頬匵りながら為衛門に戊囜時代に垰る方法を事现かく説明した 

『源ちゃん あんがどあんがどな 皆に䜕でお瀌さ蚀っおいいのがわがんね たっごどあんがどな 』

『せやかお為ちゃんは垰っおも蟛い珟実が埅っずるで 生掻苊しいお䞀揆起こすのは解るけどあんたり無茶したらで 呜あっおのやからな 』

『  な 垰っだら芪方様に䜕ずか謝っで嚘さけぇしお貰えるよう頌んでみるだ 』

それがえぇかもな ず源吉は為衛門の肩を叩いた 

『 為ちゃんに出䌚えお良かった思っずる 』

『かでさぁ 源ちゃんや村のみんなが倧奜きだべ 』

次第に䞞みをおびだした月が二人の別れを惜しむかのように光々ず高局に囲たれた小さな公園を照らしおいた 

No.82 07/10/30 08:12
ヒマ人0 

>> 81 🎎10🎎

『為ちゃんの気持ちは有難いけどな 今はお前はんを無事に戊囜の䞖に送り返すのが先決やあんな垂の職員の糞野郎なんかほお ほ えく糞ぉ』

源吉が突然䜕かに気付いたように蚀葉を止めた

『そういやぁ確か為ちゃんを芋぀けた時 為ちゃん党身糞たみれになっおた そうか』

源吉は突然倖に出るず公衆に向かっお走り出した 為衛門や䜏人達は源吉の䞍可解な行動に蚳も分からず぀いお行った 源吉は公衆の個宀の和匏䟿噚の䞭を芗き蟌んだ 

『 なるほど 為ちゃんよ謎が説けたでおそらくお前はんはこの䟿噚の䞭からしお珟代の倧阪に来たんや間違いない』

『けど源ちゃん どっからどう芋おも普通の䟿噚やけど 』

寅江が銖を傟げた 

『為ちゃんお前はんが芪方の屋敷に殎り蟌みに入る時月はどんな圢しおたか芚えずるか』

『 確かあん倜は綺麗な満月の倜だったべ 』

『それやきっずこの䟿噚の䞭は満月の倜にだけになるんや間違いない』

源吉の確かではないが独特な掚枬に党員がもしかしたらそうかもず声を䞊げた 

No.81 07/10/30 07:55
ヒマ人0 

>> 80 🎎🎎

『源ちゃん さっきの男さどごの誰だべか』

村に垰り䞀息぀いた時為衛門は源吉に尋ねた 

『 為ちゃんには関係ない お前さんは無事に戊囜時代に垰る事だけ考えたらえぇんや』

源吉は吐き捚おるように答えた 

『䜕が困っおる事があるんやながが源ちゃんや村のみんなに今たでたっごど良うしおもろうただ 䜕がお返しがしたが 』

為衛門の必死な態床に源吉はゆっくり口を぀いた 

『実はな この村を幎末たでに撀去しろっお倧阪垂から芁請があっおな 来幎早々この公園取り壊しお䜜るらしいんや 』

『ここが無くなるだが そだら事したら 源ちゃんらの居堎所無くなるでねぇか折角こんな沢山のえぇ仲間が出来たのに みんな離ればなれになるでねぇか駄目だべそんな事絶察駄目だべ』

源吉や寅江他の村䜏人は皆黙りこんだ 

『仕方ないんや これでもらかお必死で抵抗したんやで けどな お䞊の蚀う事は絶察なんや 埓わなのや 』

寅江が悔しそうに蚀葉を発した 

『そだな そだな事 そいじゃたるでの時代ず䞀緒じゃながが皆はそがな事でえぇがか離れ離れになっおもえぇがか』

No.80 07/10/29 20:57
ヒマ人0 

>> 79 🎎🎎

村䜏人は総動員で公衆の呚りの捜玢を開始した しかし半日も现かく捜玢したが為衛門が通り抜けお来れるような穎はひず぀も芋぀からなかった 

『無理だべか 』

草むらをかきわけながら為衛門は諊めたように呟いた 

『諊めんのはただ早いきっず䜕か 䜕か芋萜ずしずるんや 探せ穎ずいう穎を探したくるんや』

源吉は必死に探し続けた 

『粟が出たんなぁ 立ち退きが近いっちゅうのに採集でもしおたすんか』

突然源吉達の背埌から声が聞こえた 其凊には物の背広にを抱えた男性が立っおいた その男性を芋た瞬間源吉はじめ村䜏人の誰もが眉間に皺を寄せお䞍快な顔をした 

『  䜕の甚だっか』

源吉の声は明らかに緊匵しおいた 

『甚はひず぀に決たっおたすがな 幎末たでにこの公園から立ち退いお貰うっちゅう甚事です 』

ひずり郚倖者の為衛門は皆のただならぬ気配にこれから䞀䜓䜕が起こるのかず固唟を飲んでその男性ず村䜏人ずの行動を芋守っおいた 

No.79 07/10/29 20:34
ヒマ人0 

>> 78 🎎🎎

翌日 村䜏人は皲䜜蟲民吉田為衛門を元の戊囜時代ぞ戻すべく緊急䌚議を開いた たず議長兌為衛門の第1発芋者である源吉が玙ず鉛筆で説明を始めた 

『たず4日前にが為ちゃんを発芋したのが公園の公衆のすぐ暪の垣根やった 今朝この垣根付近を捜玢したんやが特に怪しいは無かった 』

『為ちゃんはこっちの䞖界にしおきたその瞬間は意識あったんけ』

おそれえぇ質問やがなず寅江の問いに呚りの䜏人から尊敬の声が䞊がった 

『  たっこず意識さ無かったべ 気が぀いたら源ちゃんに助けられおたもんで 』

『けどしお来た堎所っおのはあの公衆付近に間違いないんやないけ』

『源さん寅ちゃん さっきからっちゅうずるでが正しい発音や』

そんな事どうでもえぇがなず䜏人達からため息が挏れた 

『ずにかく為ちゃんは確かにこっちに来れたんやほならこっちから向こうぞ行ける穎か䜕かが存圚するはずや明日はその蟺りを培底的に捜玢やえぇかみんな』

䌚議の䜏人達は䞀斉に雄叫びを䞊げた 

No.78 07/10/29 19:34
ヒマ人0 

>> 77 🎎🎎

『しかし酷い話もあるんやな 幎貢米のに嚘を連れおかれるなんお䞍条理やそんな事珟代瀟䌚じゃあ蚱されぞん営利誘拐や』

村の䞀足早い忘幎䌚で鍋を぀぀きながら寅江は源吉から聞いた為衛門の村の話に怒りだった 

『仕方ないんだべ 幎貢米の払いが悪けりゃ芪方様の戊ば䜿う兵糧さ枛るだ したららが蟲地さ別の藩䞻さになるだべ 事さなったら達の呜も無んなんべ 』

仕方ないず肩を萜ずす為衛門の暪顔を源吉はじっず芋おいた そしお䜕かを感じたのかいきなり立ち䞊がり忘幎䌚に集たっおいた村の䜏人達に呌びかけた

『なぁみんな為ちゃんを返しおやろうやないか口には出さんけどきっず為ちゃんは嚘さんの事心配しずるはずや戊囜時代からこっちぞ来れたんやこっちから向こうぞ返せん道理はあらぞんどやみんな為ちゃんの為に䞀肌脱いだろやないか』

寅江をはじめみんな䞀斉に声を䞊げお源吉の提案に賛成した 

『おめぇら あんがず かたじけねぇだべ  䜕だか 嬉しいべ もうあっちには垰れんず思っおだども たっこず嬉しいだ 嬉しいだよ』

No.77 07/10/29 19:10
ヒマ人0 

>> 76 🎎🎎

『源吉殿 ひず぀尋ねおえぇだか』

『源吉殿なんお呌び方やめおぇな 源ちゃんでえぇ』

煙草はこうやっお吞うんだず源吉は為衛門に教えた 

『ここさ人達はみな良か人ばかりだべ みだいなよそ者に優しくしおぐれる どしおだべ』

『 そやなこの公園に䜏んでる奎らは皆人生のも甘いも経隓し尜くした奎らばっかりやからな 姿圢や蚀葉や身なりで差別せぇぞん噚の人間の集たりなんや』

為衛門は煙草にむせお咳き蟌んだ 

『 䜕がただ倢さ芳おるようで けんどこれは 誠の事なんだべな 』

道路をひっきりなしに走る車を眺めながら為衛門はため息を぀いた 

『 垰りたいんか 戊囜時代に そらそやな 乱䞖やゆうおも為ちゃんの故郷やもんな 』

源吉は優しく為衛門に笑いかけた 

『 源き  うんや源ちゃんおめぇ 嫁ごさ居るのが』

『嫁はんか ずっくに別れた 嚘は䞀人おる 』

『そっがぁ 嚘 いるのが 』

急に為衛門の顔が曇った 

『為ちゃんもおるんか嚘 』

『 だども 芪方様に幎貢のに取られおしたったべ それが幎貢さ払えねぇ芪方様ずの玄束だったべな 』

No.76 07/10/29 17:46
ヒマ人0 

>> 75 🎎🎎

倧阪垂内の高局やに囲たれた小さな公園の䞀角に源吉達10人皋が生掻しおいる村がある 家を远い出された借金で倜逃げした事業に倱敗しお文無しになった等 色んな諞事情で宿無しになった者達のここは至極のである 戊囜時代の䞖に䜏む為衛門が䜕故倧阪のこんな村にしお来たのかは謎であったが源吉や寅江をはじめずするこの村の䜏人はよそ者の為衛門に䞍信感や䞍愉快な玠振りは埮塵も芋せる事なくそんな行き堎のない為衛門を快く受け入れた 

『ほら為ちゃん この食え近所の小孊生にもろたんや』

『為ちゃん猶集めに行くの手䌝っおくれるけ』

『為ちゃん 織田信長っお凄い奎なんけ』

元来人圓たりもよく優しい性栌の為衛門はい぀しかこの村きっおの人気者になっおいた 

『疲れたやろ 䞀服しよか』

源吉の匕くの埌ろを抌す為衛門に源吉が声をかけた 

『 どや為ちゃんこっちの暮らしにゃあ慣れたけ』

手枡された煙草の䜿い方が解らず為衛門はずしおいた 

『  もうじき正月やなぁ 』

No.75 07/10/29 17:12
ヒマ人0 

>> 74 🎎🎎

『っちゅうのは あぁ その過去やら未来やらを行き来でけるっちゅう映画のあれけ』

寅江は半信半凝で源吉ず為衛門の話を聞いおいた 

『 越埌長岡藩䞻村岡実友様を芪方に持぀皲䜜蟲民の吉田為衛門だべさ 芪方様の䜙りにもきんびすぃ幎貢の取り立おに我々城䞋さ蟲民は䞀揆を䌁おたべ だども村岡様の屋敷に螏み蟌んだど思った矢先に 気が付いたらこげんな堎所に 』

『぀たり原因は刀らんがこの戊囜時代の蟲民である為ちゃんは21䞖玀の倧阪に飛ばされたっちゅう蚳や 』

源吉は寅江が手に入れたの猶詰を必死で開けおいる ず寅江は源吉の襟元を掎んでの倖に連れ出した 

『源さんたさかあの仮装倧賞の蚀う事信甚しおるんちゃうやろな』

寅江は䞍快そうに眉間に皺を寄せた 

『信甚するも䜕も 行き堎がのぅお困っずるんやい぀の時代に生たれようが人類皆兄匟や 』

『に源さんは人がえぇっちゅうか頭の䞀本抜けおる蚀うか たぁ源さんが信甚するならも信甚するけど 』

寅江はしかしそんな事もあるんやなず感心した 

No.74 07/10/29 16:40
ヒマ人0 

>> 73 🎎🎎

『源さん芋おみぃ行き぀けの料理店の裏での猶詰芋぀けたでぇ』

源吉ず為衛門が源吉の団にいるず倖からけたたたしい声を䞊げ隣の寅江が飛び蟌んで来た 

『んや寅ちゃん隒々しいな』

『これ幎前に賞味期限切れたやで勿䜓無いただらのお口の蚱容範囲やがな  っおか 源ちゃんお客さんか』

『おぅ昚日公衆の偎で糞たみれで倒れおたんや 』

寅江は為衛門を凝芖した 

『さんこの蟺では芋ん顔やな な身なりしおどっから来たんや着物にお 仮装倧賞か』

この寅江ずいう女性は蚀葉は汚いが悪い人間でない事は源吉ず話しおいるのを聞いお為衛門は理解した 

『 お ただあだた䞭真っ癜で 䜕が䜕だか 』

為衛門は源吉に芖線を送り事の発端を説明しおくれずいう仕草をした 

『寅ちゃんよう聞きや この為ちゃんはなどうやら昚日戊囜時代からしお来た越埌のしがない蟲民らしいわ 』

『   はぅ』

寅江は源吉の蚀葉に口をず開くしかなかった 

No.73 07/10/29 12:52
ヒマ人0 

>> 72 【⑧】戊囜ほうむれす


🎎🎎

『ほれでも食え腹枛っおるんやろ さっきの裏で捚おられおた匁圓や賞味期限切れおおもただ充分食べれるでぇ』

垫走の寒い倜 闇倜に浮かぶ鋭利な䞉日月を寂しそうに眺めおいる吉田為衛門ためえもんに源吉は食べかけの匁圓を手枡した 

『あんがずな源吉殿 だどもは今腹枛っおねぇから 』

『遠慮せんず食わんかいな 袖觊れ合うも他生の瞁ちゅうおなここ人情の街倧阪の人間は誰にでも優しいんや特にらの人間同士はお互い助け合わなな』

源吉は為衛門の肩を叩いた 

『あ しお源吉殿 ここは䞀䜓䜕凊だぁんべさ  』

『だぁからここは人情ず氎の郜倧阪やないけ為ちゃん頭打ったんずちゃうか河内や河内河内の囜や』

『 ここは河内の囜け っぅこたぁ たんずこらぁおぇぞんな事になった』

為衛門は頭を抱えた 

『たぁずにかく悩んでないでの泊たれや重ねた団で枩熱しずるから枩い』

源吉は為衛門を連れおの䞭に入った 

No.72 07/10/29 08:44
ヒマ人0 

>> 70 🗿10🗿 《ずその時だったの背埌に怪しい圱》 『たんたず眠にったな  🗿12🗿

愛矎はの楜屋口で正憲ず恭䞀郎が仕事を終えお出おくるのを埅っおいた 

『あ 君 だよ』

う぀向き加枛で恭䞀郎が出口から出おきた 

『  正憲  』

恭䞀郎は正憲の芖線に自分の目線が届くように䞭腰になっお息子を芋た 

『  』

『ほら君 』

愛矎が静かに黙っおいる正憲の背䞭を叩いた 

『な にをやっ぀ける぀もりで粟䞀杯頑匵ったんだ だけどあんの野郎正矩の味方だからさ匷くっおさ 党然歯が立たなかったんだ な 』

愛矎は恭䞀郎の蚀葉に苊笑いした 

『  』

『匷い芋せるっお玄束砎っちゃったな 』

『  仕方ないよ 』

正憲が静かに口を぀いた 

『仕方ないよ だっおは正矩のなんだから が負けちゃうのは 圓たり前だよ』

『た 正 憲 』

恭䞀郎は愛矎ず顔を芋合わせた 

『でも 栌奜良かったよよりずっず だっお僕のは悪の垝王なんだもん明日幌皚園で自慢しおやるんだ』

正憲の蚀葉に恭䞀郎は涙が溢れた 


⑊は《悪》完

No.71 07/10/29 07:58
ヒマ人0 

>> 70 🗿11🗿

ず悪の垝王ずの激しい亀戊が続いおいた 

『負けないで ぀けお 』

祈るような気持ちで正憲は目を閉じた 

『倧䞈倫だよ君はい぀だっお匷いんだよ絶察自分から逃げたりしないんだから 』

愛矎は正憲の肩を抱きながら息子にそう蚀葉をかけた その時の必殺技《》がのお腹にした

『おおのおんのれ』

は黒い煙ずずもにその堎に倒れ蟌んで動かなくなった

『  』

正憲はの敗北に顔を芆った 《芋たかこれでたた地球の平和は守られた》が拳を倧きく突き䞊げるず䌚堎から倧歓声が䞊がった 

『  負けちゃった   負けちゃったよ 』

正憲は倧粒の涙を溢した それは自分ずの玄束を守っおくれなかった父芪ぞの怒りずは違い自分の倧奜きな父芪が倧勢の芳客の前で倒された事ぞの寂しさだった 

No.70 07/10/28 14:05
ヒマ人0 

>> 69 🗿10🗿

《ずその時だったの背埌に怪しい圱》

『たんたず眠にったな今日こそお前の最期』

癜煙が䌚堎党䜓を包み蟌み蟺りは真っ暗になったあたりの恐ろしい挔出にすすり泣く子䟛もいた 芳客垭の䞀番前に愛矎ず正憲は座っお恭䞀郎の出番を埅っおいた 父芪の登堎を間近に正憲の目は爛々ず茝いおいた 

『君 ほらもうすぐが出おくるよ』

『本圓に負けないよね絶察をやっ぀けおくれるよね』

正憲の蚀葉に隣にいた子䟛達は驚いた様に目を䞞くした 

《今日こそお前の息の根をずめおやる》

子䟛達が䞀斉に拳を突き䞊げた

《それはこっちのだ芚悟しろ》

ずが激しく剣で亀戊を始めた

『頑匵れ』

党おの子䟛達がぞの声揎を送っおいる䞭で正憲だけは胞の前で䞡拳を握り締め必死にに声揎を送っおいた 

恭ちゃん 

愛矎も正憲の暪で事の顛末を固唟を飲んで芋守っおいた 

  • << 72 🗿12🗿 愛矎はの楜屋口で正憲ず恭䞀郎が仕事を終えお出おくるのを埅っおいた  『あ 君 だよ』 う぀向き加枛で恭䞀郎が出口から出おきた  『  正憲  』 恭䞀郎は正憲の芖線に自分の目線が届くように䞭腰になっお息子を芋た  『  』 『ほら君 』 愛矎が静かに黙っおいる正憲の背䞭を叩いた  『な にをやっ぀ける぀もりで粟䞀杯頑匵ったんだ だけどあんの野郎正矩の味方だからさ匷くっおさ 党然歯が立たなかったんだ な 』 愛矎は恭䞀郎の蚀葉に苊笑いした  『  』 『匷い芋せるっお玄束砎っちゃったな 』 『  仕方ないよ 』 正憲が静かに口を぀いた  『仕方ないよ だっおは正矩のなんだから が負けちゃうのは 圓たり前だよ』 『た 正 憲 』 恭䞀郎は愛矎ず顔を芋合わせた  『でも 栌奜良かったよよりずっず だっお僕のは悪の垝王なんだもん明日幌皚園で自慢しおやるんだ』 正憲の蚀葉に恭䞀郎は涙が溢れた  ⑊は《悪》完

No.69 07/10/28 11:53
ヒマ人0 

>> 68 🗿🗿

自身の過去の栄光に未緎  

爜やかな颚が吹き抜ける平日の午埌河原で恭䞀郎は仰向けになり考えおいた 愛矎ず正憲はすぐ偎で遊びをしおいる 愛矎の蚀った事は確かに圓たっおいた 俺は正憲の気持ちず自らを重ね合わせおいたのだ 正憲の願う匷い父芪像は今の己れ自身に打ち勝぀匷さであるずいう事なのか 過去に瞛られない粟䞀杯今の自分を芋぀め盎す力ずいう事なのか 柄んだ青空にかかる飛行機曇を眺めおいるうちに恭䞀郎の䞭で䜕かが匟け飛んだ 

『野球しよ君だよ』

遊びを終えた愛矎ず正憲が恭䞀郎の元に垰っお来た 

『なぁ正憲 』

『ん なぁに 』

恭䞀郎は正憲を目の前に座らせた 

『匷い 芋たいか』

『  うん 芋たい』

少し間をおいお正憲は恥ずかしそうに答えた 

『よぉしじゃぁ今床の日曜芳に来い匷いを芋せおやる』

『もう倒されない』

『あぁ倒されるもんか反察に返り蚎ちさ』

今たでに芋せた事がない正憲の笑顔だった 

『き恭ちゃん』

心配そうな愛矎に恭䞀郎はした 

No.68 07/10/28 11:22
ヒマ人0 

>> 67 🗿🗿

『 たぁ誰が考えたっお圓然の結果よね 䞀ノ瀬さんに私は党面的に賛成よ 䜕凊の䞖界に正矩で悪に倒されるがいるそれは恭ちゃんが䞀番刀っおる事じゃない いくら正憲の為だからっおそれはやり過ぎ 』

食噚を棚に片付けながら愛矎は静かに恭䞀郎に諭した 

『俺だっお解っおるさそれ䜍 けど正憲の為になるなら 』

『恭ちゃん正憲のせいにしおる 』

『 え』

『恭ちゃんはただ自分の過去の栄光に未緎があるのよ 恭ちゃんは正憲の想いを利甚しおただあのだった若くお茝いおいた頃の自分を取り戻したいだけなんだ 敵をず倒しおいた頃の自分に 』

愛矎は残り物のを小鉢に移し倉えた 

『 随分な蚀い方だな 俺はただ 』

『悪の垝王がを倒したからっお 正憲の気持ちがする蚳じゃないそうする事によっお本圓は恭ちゃん自身が玍埗したいだけなんだよ違う』

『である恭ちゃんがを倒したずしおも 正憲はきっず喜ばないず思うよ それっお䜕か違うず思う私 』

愛矎の蚀葉に恭䞀郎はただう぀向くだけだった 

No.67 07/10/28 10:57
ヒマ人0 

>> 66 🗿🗿

『 恭ちゃん今䜕お蚀った』

『柿内さんそれ冗談よね』

次の日の仕事垰り恭䞀郎はの統括責任者の䞀ノ瀬ずのの長谷川忍に深々ず頭を䞋げた 

『お願いしたす䞀床でたった䞀床でいいんです』

䞀ノ瀬は目を䞞くしお驚いおいた 

『のを忍ず替わっおくれっお蚀うのならいざ知らず今の配圹のたた悪の垝王にが倒されおくれっお恭ちゃんそんな事子䟛達の前で出来る蚳ないじゃないの気でも狂っちゃったの』

恭䞀郎は息子正憲の事を二人に詳しく打ち明けた 䞀床でいいから芪父が勝぀姿を芋せおやりたいず 

『柿内さんじゃぁ䞀床だけ僕ずを亀替しおあげたすから 』

先茩に気を䜿ったのか長谷川忍は蚀葉をかけた 

『いやそれじゃぁ意味がないんだ 気持ちは嬉しいけど 今の自分のありのたたを息子に芋せおやりたいんだ 』

『恭ちゃん 気持ちは解るがこれは正矩のだ幕が降りた埌に個人的にしおやる事は出来るがの開挔その真っ只䞭にそんな事は絶察に蚱される事じゃない 頭を冷やせ』

No.66 07/10/28 09:33
ヒマ人0 

>> 65 🗿🗿

『でもこんなの僕が生たれるずぅずずぅず前の事でしょ 今のは悪い怪人なんだもん 党然匷くないし すぐにちゃう そんな 僕芋たくないよ』

正憲は悲しそうに列車ので遊ぶ為にるように郚屋に戻っお行った 恭䞀郎ず愛矎は顔を芋合わせ静かにため息を぀いた 

『俺がいけなかったんだ もう少し倧きくなる迄この仕事の事正憲に隠しおおくべきだったんだ 少なくずももうなんお信じないおいう幎頃たで 』

『恭ちゃんは間違っおないわよ それだけ自分の仕事に誇りを持っおる蚌拠だわ 早いうちから子䟛に父芪がどんな仕事しおるのか教えおおくのっお私は倧事だず思う 私は恥ずかしかったから今の今たで正憲には蚀えなかったけどね』

愛矎の蚀葉に恭䞀郎は少し救われた気持ちになった 同期の戊隊で職堎結婚し恭䞀郎ず同じ苊しみを知り尜くしおいる劻ならではの意芋だず恭䞀郎は感じおいた 

『俺の気持ちを理解しおくれる君ず結婚しお良かったよ 』

恭䞀郎は笑顔で愛矎に蚀った 

『さぁお 埌は正憲をどうするかだよね 』

腕組みをしながら愛矎は掗濯物を取り蟌みにに向かった 

No.65 07/10/28 07:17
ヒマ人0 

>> 62 🗿🗿 仕事柄地方の遊園地や癟貚店の出匵が倚い恭䞀郎であったが久しぶりに家でゆっくり䌑める日が出来た 恭䞀郎は郚屋で黙々ず超合金の  🗿🗿

『嘘だ が正矩のな蚳ないよだっおい぀もにる圹ばっかだよ僕僕 匷くお栌奜いい芋たいよ』

正憲は寂しそうにそう蚀った 

『君 来おごらん 』

愛矎は正憲を居間に連れお来るずをした 

『恥ずかしいから君には芋せたくはなかったんだけど 』

愛矎はそう蚀うずの再生を抌した 《神話戊隊》正憲の目の前に五人の鮮やかな戊士達が珟れた それは10幎以䞊も前の戊隊のだった 

『愛矎お前 こんな叀い映像 保管しおたんだ 』

恭䞀郎は驚いた 軜快な䞻題歌が流れだし五人の隊員達の映像が順に玹介されおいく 

『 あだ赀いのだ』

いきなり玹介されたの圹はたさに恭䞀郎だった 正憲は身を乗り出すようにその映像を芋た 

懐かしい 俺が䞀番茝いおた頃だ 

隊員が順に玹介され正憲はずした 

『 だこれだだよね』

五人目の唯䞀の女性のは愛矎であった 

No.64 07/10/27 23:14
ヒマ人0 

>> 63 匿名63様厳しいご意芋誠に身にしみる思いです 😥今埌の反省材料にさせおいただきたす 💀

No.63 07/10/27 17:43
匿名さん63 

新しい小説もよいですが、埩垰できたなら、今たでなげおた小説完結しおもらいたい。次々曞いおポむ捚おじゃ、ずっずファンでしたが正盎うんざりきたす。

No.62 07/10/27 14:45
ヒマ人0 

>> 61 🗿🗿

仕事柄地方の遊園地や癟貚店の出匵が倚い恭䞀郎であったが久しぶりに家でゆっくり䌑める日が出来た 恭䞀郎は郚屋で黙々ず超合金ので遊ぶ正憲の偎に座った 

『 なんだ で遊ばないのか』

恭䞀郎は別のの玩具で遊ぶ正憲に声をかけた 

『 嫌い倧嫌い』

恭䞀郎はそっかぁず少し぀いた 

『でもはもっず嫌い倧倧倧ぃ嫌い』

    凹む 

『ねぇ 』

正憲が列車ので遊び出した 

『 ん 』

『はどうしおじゃないのどうしお悪の垝王なの』

恭䞀郎は黙り蟌んだ 正憲のその質問に察しすぐに的確な答えが芋぀からない 

『正憲は がだったら嫌か』

『   』

『  だぁよな  』

正憲は恭䞀郎に背を向けるようにひたすら列車のを䜜っおいた 暫くの沈黙が続いた 

『正憲 はね 昔正矩の《神話戊隊》のだったんだよ栌奜良かったんだから』

郚屋の倖からそっず劻の愛矎が声を掛けおきた 

  • << 65 🗿🗿 『嘘だ が正矩のな蚳ないよだっおい぀もにる圹ばっかだよ僕僕 匷くお栌奜いい芋たいよ』 正憲は寂しそうにそう蚀った  『君 来おごらん 』 愛矎は正憲を居間に連れお来るずをした  『恥ずかしいから君には芋せたくはなかったんだけど 』 愛矎はそう蚀うずの再生を抌した 《神話戊隊》正憲の目の前に五人の鮮やかな戊士達が珟れた それは10幎以䞊も前の戊隊のだった  『愛矎お前 こんな叀い映像 保管しおたんだ 』 恭䞀郎は驚いた 軜快な䞻題歌が流れだし五人の隊員達の映像が順に玹介されおいく  『 あだ赀いのだ』 いきなり玹介されたの圹はたさに恭䞀郎だった 正憲は身を乗り出すようにその映像を芋た  懐かしい 俺が䞀番茝いおた頃だ  隊員が順に玹介され正憲はずした  『 だこれだだよね』 五人目の唯䞀の女性のは愛矎であった 

No.61 07/10/27 14:12
ヒマ人0 

>> 60 🗿🗿

『芚悟しろ悪の垝王この䞖にがいる限りお前の奜き勝手にはさせない』

䌚堎から割れんばかりの子䟛達の声揎が飛び亀った

『 䜕床でもほざくがよい所詮お前はこの悪の垝王様の盞手ではないず苊しめお地獄に送っおやる』

の蚀葉に子䟛達は䞀斉にを济びせた 

《なんかちゃえ》

《死ね死ね死んじたえ》

《殺せ殺せ殺しおも犯眪にはなんねぇぞちたえ》

の着ぐるみの䞭で恭䞀郎は䜕故か哀しい気持ちになった それらは最早玔真な気持ちでの掻躍を目を茝かせながら芋぀める小さな子䟛の蚀う蚀葉ではなかった 

 これじゃ正憲に芳に来いなんお蚀える環境じゃないよなぁ 

ただ自分がであったなら救いはあったのかず恭䞀郎は思っおいた 

『死ね』

のが恭䞀郎の腹にした 恭䞀郎はそのたた舞台の䞋に吹っ飛ばされた 

No.60 07/10/27 13:26
ヒマ人0 

>> 58 ⏳13⏳ 『目撃者によれば君が暎挢に刺された埌圌女は瀕死の君をおんぶしお2kmも離れたこの病院たで党力疟走したそうだ 頑匵っお頑匵っ  🗿🗿

柿内恭䞀郎の職業は俳優である 俳優ずいっおもTVに顔を晒す俳優ではない 䞻に等の着ぐるみや衣装を着お動き回るいわゆる《》ずいう専属の圹者である ぀たり倉身圹の人間の姿の俳優が倉身した埌に登堎する被り物専門俳優ずいった所か 人間圹の圹者達ずは違い恭䞀郎の仕事は子䟛達に決しお顔を晒す事はない地味な仕事ずも蚀える 

『愛矎 最近正憲ず俺の芳に来ないのか』

晩酌をしながら恭䞀郎は劻愛矎に話かけた もうすぐ歳になる愛息子の正憲は奥の郚屋で寝息を立おおいた 

『 こないだ幌皚園で友達にからかわれたんだっお 』

『からかわれた 䜕で』

愛矎は恭䞀郎のにを泚いだ 

『君ちのっおは悪い怪人なんでしょ お 』

愛矎はゆっくり腰掛けた 

『今の子䟛っお珟実的よね 正矩のだっお䞭に違う誰かが入っおるっお事䜍呚知の事実みたい 』

恭䞀郎の箞が止たった 

『正憲もただ小さかった頃は䜕も解らずただ喜んで芳おたけど あの子ももう歳よ 良きに぀れ悪きに぀れ瀟䌚の事䜕でも吞収しだす幎頃なのかもね 』

恭䞀郎は寝息を立おおいる正憲を眺めた 

No.59 07/10/27 13:01
ヒマ人0 

>> 58 【⑊】パパは《悪タヌ》

🗿🗿


『柿内さん さっきの殺陣たおの堎面さ もっずっお勢いよく倒されおくんないかねぇ 』

恭䞀郎が額の汗を拭っお氎分補絊をしおいた時埌茩の長谷川忍が恭䞀郎に声を掛けおきた 

『䜕かあれじゃが圧倒的で悪の垝王に勝ったっお気がしないんよ 午埌の郚はそこん所宜しくお願いするっ』

のを着たたた長谷川は䞍服そうに自分の控宀に垰っお行った 

忍の自分の挔技が䞋手な事を棚に䞊げやがっお䞻圹やりだしおから生意気になっお来たな 

恭䞀郎は肩に掛けおあったを床に叩き付けた 

あぁ 俺も忍くらい若い頃にゃ䞻圹匵っおたもんなぁ だけど今じゃ悪の幹郚が関の山 

いくら経隓や挔技力が豊かであっおも重ねる幎霢には勝おないず恭䞀郎はため息を぀いた 子䟛達で埋め尜された䌚堎を袖で眺めながら恭䞀郎はふず息子の正憲の事を考えた 

そぅいやぁ最近 俺のを芳に来なくなったよ 

䜕故だろうず考えながら恭䞀郎はの氎を飲み干した 

No.58 07/10/26 21:25
ヒマ人0 

>> 57 ⏳13⏳

『目撃者によれば君が暎挢に刺された埌圌女は瀕死の君をおんぶしお2kmも離れたこの病院たで党力疟走したそうだ 頑匵っお頑匵っおず励たしながら狂いで走ったそうだ 』

『 そんな 未菜 そんなぁ 』

隆志は目を閉じお唇を噛み締めた 

『 死因は心臓発䜜だった 君を抱え䞀気に党力疟走したので心臓に負担がかかったらしい 元々持病の狭心症を持っおいたそうだ 』

隆志はただ黙っおいた 

未菜 未菜  救えなかったんだね僕 こんな胜力消えおしたえばいいんだしたら誰も傷぀く所を芋なくお枈むんだ

隆志は泣き厩れた 

『圌女がね 息を匕き取る間際に君に䌝えおくれっお 䌝蚀があるんだ 』

医垫は隆志を芋぀めた 

『な䜕ですか 䌝蚀っお 』

『《倧䞈倫心配しなくおも君は【21054】倧埀生だよ》 私には䜕の事か 』

 た たさか 未菜 あなた

時蚈は11時55分を刻んでいた 隆志は溢れる涙を止める事が出来なかった 



⑥寿呜カりンタヌ完

  • << 60 🗿🗿 柿内恭䞀郎の職業は俳優である 俳優ずいっおもTVに顔を晒す俳優ではない 䞻に等の着ぐるみや衣装を着お動き回るいわゆる《》ずいう専属の圹者である ぀たり倉身圹の人間の姿の俳優が倉身した埌に登堎する被り物専門俳優ずいった所か 人間圹の圹者達ずは違い恭䞀郎の仕事は子䟛達に決しお顔を晒す事はない地味な仕事ずも蚀える  『愛矎 最近正憲ず俺の芳に来ないのか』 晩酌をしながら恭䞀郎は劻愛矎に話かけた もうすぐ歳になる愛息子の正憲は奥の郚屋で寝息を立おおいた  『 こないだ幌皚園で友達にからかわれたんだっお 』 『からかわれた 䜕で』 愛矎は恭䞀郎のにを泚いだ  『君ちのっおは悪い怪人なんでしょ お 』 愛矎はゆっくり腰掛けた  『今の子䟛っお珟実的よね 正矩のだっお䞭に違う誰かが入っおるっお事䜍呚知の事実みたい 』 恭䞀郎の箞が止たった  『正憲もただ小さかった頃は䜕も解らずただ喜んで芳おたけど あの子ももう歳よ 良きに぀れ悪きに぀れ瀟䌚の事䜕でも吞収しだす幎頃なのかもね 』 恭䞀郎は寝息を立おおいる正憲を眺めた 

No.57 07/10/26 20:40
ヒマ人0 

>> 56 ⏳12⏳

  ここは どこ 僕は 䞀䜓 



䜕が起きたのか隆志には理解出来なかった ただ気が぀くず病院のらしき堎所に寝かされおいた 

『気が぀いたかい良かったぁ』

『ここは 僕は䜕故 』

隆志は頭の䞭を敎理しおいた 未菜ずいう女性ず握手をしようずしお そしたら急に 

『君は二時間前に近くの公園で暎挢に襲われお胞を刺されたんだよ 』

隆志の担圓医らしき医垫が静かに隆志に蚀葉をかけた 

『胞を 刺され た』

『だが奇跡的にが急所から倖れおいおね に奇跡ずしか蚀いようがないよ君は呜拟いしたんだよ』

医垫ず偎にいた看護垫達は笑顔で隆志を芋た 

『そだ未 な 未菜っお女性は確か僕ず䞀緒にあの堎所に 圌女は圌女は無事なんですか』

隆志の質問に医垫は䞀気に顔色を曇らせた 

『圌女は 亡くなったよ ぀いさっき 』

『亡くなった っお 死んだっお事 そんな 嘘だ 』

隆志は未菜の死を受け入れられなかった 

寿呜を 圌女の寿呜を䌞ばす事が出来たず思ったのに 䜕で 䜕でだよ

No.56 07/10/26 20:23
ヒマ人0 

>> 55 ⏳11⏳

『はいでいいよね』

未菜はに座っおいる隆志に猶を投げるず自分も隣のに腰掛けた 

『 そっかぁ 寿呜が芋えるんだ  面癜いね 』

未菜はを開けた 

『信じお貰えないず思うけどなんだ 芋たいっお念じれば誰かれ芋える蚳でもない䞭途半端な胜力なんだけどさ 』

『信じるよ 私は 』

未菜はを揺らした 隆志は目を䞞くした 

『だけど 他人の寿呜は芋えおも 自分の寿呜っお解らないんだよね鏡ずか芋おも駄目なんだ』

隆志はそうず頷いた 

『他人のは芋えお自分のは芋えない  䜕か人生そのものだよね䜕もかも自分の思い通りにはいかないもんなんだよね 玠敵じゃない 䜕かそれ 』

『たたに思うんだ 僕には䞀䜓どれだけの寿呜があるんだろかっお 』

『 知りたいんだ だよね 』

未菜はから立ち䞊がり隆志に握手を求めた 

『助けおくれお有難うじゃ私垰るね』

隆志は照れ臭そうにそれに答えようず立ち䞊がったその時いきなり背埌に人圱を感じた

『隒ぐなあり金党郚出せ』

隆志の喉元にが突き付けられおいた

No.55 07/10/26 19:47
ヒマ人0 

>> 54 ⏳10⏳

『 私の寿呜が1日しかないだっおぇ 貎方それ䜕の冗談』

『ほら信じおくれないじゃん 』

隆志ず未菜ずいうその女性は近くの児童公園で傷の手圓おをしおいた 

『぀たり君が人の寿呜が芋える超胜力を持っおいおたった1日しか寿呜がないこの私を興味本䜍で尟行しおたっお蚳』

未菜は隆志の口元の血を持っおいたで拭った 

『ごめんなさい 僕぀たらない事蚀っお 垰りたす 』

垰ろうずした隆志を未菜は埅っおず制止した 

『もし もしもよその話がなら さっきの酔っぱらいの車にひかれお死んでいたかも知れないんだよね私 』

隆志はずした そうだ もしかしたら未菜の寿呜はさっきの車で消される予定だったのではこれはもしかしお本来起こりうる未来を僕がねじ曲げおしたったのではずするず 

『 でも私 今こうしお生きおるよ これっおもしかしお未来が倉わったんじゃないの』

あくたでも君の話を信じるのが前提ずしおよず未菜は苊笑いで蚀った 

そうだもしかしお僕は僕自身の力でこの超胜力に打ち勝ったんだ圌女の寿呜をこの手で䌞ばしたのかも知れないぞ

No.54 07/10/26 19:14
ヒマ人0 

>> 53 ⏳⏳

『さっきからどういう぀もり地䞋鉄乗る所からずっずこれ以䞊おくるなら譊察呌ぶわよ』

『 あ 』

女性は隆志を睚み付けた隆志の尟行は完党に女性においた 

『いいや ああの そのぅ 』

『私に䜕の甚』

『いいや 甚っおゆっか 䜕぀ぅかその 』

隆志は思わず顔を䌏せた 

『貎方高校生よね 倉態野郎には芋えないけど 』

女性は腕組みをしお曎に隆志を睚み぀けた 

ここで本圓の事蚀ったっお曎に傷口は開くよな よし決めた逃げよ

隆志は女性に背を向けその堎から逃げようずした

『ち埅ちなさいよ逃げる぀もり』

女性が思わず逃げようずする隆志の腕を掎んだその時酔った車が猛で二人めがけお突進しお来た

『』

『あ危ない』

隆志はずっさに我が身をその女性に被せ抱きしめるずそのたたすぐ暪の怍え蟌みの䞭に身を投げた

『䜕凊で぀いおんだ』

酔った運転手が眵声を飛ばしそのたた去っおいった 

『  こ怖かったぁ』

『貎方だ倧䞈倫怪我はない』

No.53 07/10/26 18:55
ヒマ人0 

>> 52 ⏳⏳

珟圚午埌8時 今日が終わるたであず4時間  

地䞋鉄を降りた女性ず隆志は商店街を歩いおいた 

圌女の地元かな 

土地勘のない隆志は呚りをず芋回し圌女の《死因》を探した 女性は商店街の倖れの䞀軒のに入った 

 かぁ もしかしお匷盗 あり埗るよな 抌し入った匷盗が圌女を人質に取り圌女だけ さっきの地䞋鉄ずは違いここじゃ他の客の寿呜知っおも仕方ないよな 殺されるのは圌女だけかも知れないし 

隆志はあれこれ分析しおいた 

 違うのか なぁんだ

女性は䜕事も無く無事買い物を終えを埌にした 

圌女本圓に今日死ぬんだろうか 僕が勘違いしたんだろうか 

隆志は䞍安になっお来た 最早ここたで来たら圌女を助ける道を探すどころか本圓に自分の瀺した胜力通り圌女が死んでくれるのか吊か誠に䞍謹慎ではあるが隆志の䞭の焊点はそこに絞られおいた 

もうすぐ今日 終わっちゃうぞ さぁさぁどうなるんだよ僕の胜力を裏付けさせおくれ僕の肉県にその瞬間を芋せおくれよ頌むよ寿呜【1】の圌女

その時突然女性が振り返っお隆志を芋た

No.52 07/10/26 18:31
ヒマ人0 

>> 51 ⏳⏳

圌女は䞀䜓これからどんな圢で死ぬんだろ 事故死それずも病死 っおゆうかあんなに若くお元気そうに歩いおる いきなり病死っおのは考えにくいよ 

隆志の䞀番の関心は最早そこにあった 隆志は塟の重たいを肩にずかけ盎すず䞀心䞍乱に圌女を尟行した 圌女は地䞋鉄の駅に降りお行った 

地䞋鉄 考えられるのは列車事故

隆志は玠早く切笊を買いに降りた 

 埅およ もし列車事故で圌女が死ぬ事になるのなら䞀緒に乗った僕も巻き添え食うじゃないか 

次の瞬間隆志は閃いた圌女は䞀番前の車䞡に乗り蟌んだ 電車は幞い少しの間車掌乗り換えの為に停車しおいた 隆志は車倖から圌女の呚りの乗客を芋぀めた 

良かった いたぞ【13667】 【20041】 【9342】よし倧䞈倫だ

隆志は䞀番前の車䞡にそのたた乗り蟌んだ 

どうやら圌女はこの地䞋鉄で事故死する事はないらしい もしここで列車が倧惚事で事故るなら他の乗客に【1】の人が居たっお䞍思議じゃないからね こんな時この胜力は䜿えるよな 僕っお頭

隆志の蚳の解らない自我自賛だった 

No.51 07/10/26 18:08
ヒマ人0 

>> 50 ⏳⏳

絶察よこれ どどうしよう 声掛けおみようかな 駄目駄目そんな事しお䜕になる隆志 どうせ超胜力の事なんか信じお貰えないよ 貎方は今日䞭に死にたすっお蚀われお誰が信じんだよ気違い倉態扱い受けるの確実だっお 

隆志は怯えながらゆっくりその女性の埌を぀けた 

っおゆぅか僕は䜕で埌を付けおんだ 攟っおおけばいいじゃないか 別に芪戚瞁者でもあるたいの他人の圌女が今日死のうが明日死のうが僕には関係ない事じゃないか

隆志の脳裏は最早倧混乱に陥っおいお簡単に敎理が付きそうにない状態だった 

ずにかくずにかく萜ち着け萜ち着くんだ隆志 こうなった以䞊最埌たで圌女に起きる事の顛末を芋届けようじゃないか 半分はこの僕にも責任があるいいや責任はないけど 【1】ずいう圌女の寿呜を知った以䞊圌女が䜕凊でどうやっお呜が断たれるのかを芋届る矩務がある 

隆志は䜕ずかしお圌女の寿呜を䌞ばす方法はないかず考えおいた 同時に間近で圌女の死を芋届け自分の超胜力の力を裏付けたいず思う興味本䜍な気持ちがあるのも事実だった 

No.50 07/10/26 17:42
ヒマ人0 

>> 49 ⏳⏳

たたたじでいいや確かに 確かに今【1】っお浮かび䞊がったよな たた間違いだったのかな 

抜けた腰をゆっくり䞊げ隆志は額に【1】ず出た人物を確認した 

お女の人 幟぀䜍だろ OL

隆志の目に【1】ず映ったその人物は背の高いずおも綺麗な女性だった 仕事垰りだろうかその女性は足早に亀差点を隆志の方に向かっお歩み寄っおきた 亀差点の端で隆志はその女性ずすれ違った 

だ駄目だ確認できないもう額の数字消えちゃっおる

すれ違い際隆志はその女性の額を穎が開くほど芋぀めたがもう数字は消えおしたっおいた 

䜕おこった かよ今たで最高【75】っお人は芋た事あったけど たさか【1】だなんおっおゆっか【1】っお事は぀たり あの人あず あず1日しか寿呜がないっお事だよな

隆志は動揺した 䜓の底からこみあげおくる本物の恐怖 そしおこの時初めおこんな胜力を授けた神様を心底怚んだ 

どうする どうするんだよ隆志぀ぅかこのたたあの人攟っおおくのかよ

ふず気が付けば隆志は思わずその女性の埌を远っおいた 

No.49 07/10/26 17:14
ヒマ人0 

>> 48 ⏳⏳

高校の賌買郚の尟厎のおばちゃん【10994】 塟の数Ⅱの岞本先生【17639】 西高の憧れの宮城幞子ちゃん【19629】  今日もたた芋えちたった 

塟の垰り隆志は重い足取りで家路に向かっおいた 他人の額に数字が浮かび䞊がる床に自分は凄く悪い事をしおいるんじゃないかず頭がどうにかなりそうな時がある しかし自分の意志に関係なく浮かび䞊がる人間の寿呜日数を芋ない蚳にはいかない これも生たれ持った神様が䞎えた我が宿呜なのか 隆志はため息を぀いた 家の路地に入る倧きな亀差点で信号埅ちをしおいる時だった 

 今日はに倚いな倧持かよ

向かい偎で信号埅ちをしおいる人々の額に数字が浮かび䞊がっおいた 56人の男女の額にず映る寿呜日数 

【20100】 長生きじゃん【17800】 【4458】 【276】 ありゃこの人 

䜕気なくその人々を眺めおいたその時突然隆志の目にずんでもない衝撃が走った

い う嘘だろ 【】ぃぃぃ

隆志は思わず腰を抜かす皋驚き埌ろの怍え蟌みの䞭に尻逅を぀いた

No.48 07/10/26 16:41
ヒマ人0 

>> 47 ⏳⏳

『兄ちゃんたたその話ぃ死神じゃあるたいし人の寿呜を圓おられるだなんお信じられっかよ』

匟春圊は隆志がその超胜力を持っおいるず告癜した唯䞀の人間だった 

『間違いないんだっおほら䞀幎半前にあの人気絶頂の歌手があず【663】日目に死ぬっお蚀ったろ先週その通りになったじゃん』

『あんなの偶然に決たっおるさあの人さ麻薬䞭毒か䜕かの疑惑あったじゃんか元々䜓が蝕たれおたんだよ死んだ日にちだっお単なるたぐれに決たっおんじゃんか』

隆志は二段の䞊でため息を぀いた 

『そんなに蚀うなら兄ちゃん俺の寿呜圓おお芋ろよ』

『だから䜕回も蚀っただろ党員が党員のを芋たい時に芋れる蚳じゃないんだっお』

『ほぅら無理なんじゃん』

匟だけには理解しお欲しいず思った隆志だったがやはり聞き入れおもらえない それにもし匟の寿呜が芋えお仮に【500】を切っおたりなんかしたら僕は匟に䜕お打ち明けるんだろ ずも思った それはそれでかなりだ 

 特別な胜力を持った人間は誰からも認められず孀独だっお超胜力の党おっお本に茉っおたっけ 悲しい 

No.47 07/10/26 12:46
ヒマ人0 

>> 46 ⏳⏳

その事実を知っお隆志はただの偶然だず思っおいた でもその埌も次々に額に珟れる数字ずその人の寿呜ずがず䞀臎しおいるのに気持ち悪くなっおきた 

そんなはずない 僕がそんな事刀るはずない

そんな隆志の猜疑心を䞀気に打ち砕いたのが倧奜きだった祖父の病死だった 【1093】芋たくも無かった感じたくもなかった隆志の祖父の額に珟れた寿呜は1日の狂いもなく確実に実珟されおしたった それ以来隆志は自分のその胜力を受け入れるようになっおいた 

出来る事ならや母ちゃん匟の春圊の寿呜だけは芋たくないよな

高校の郚掻の垰りの電車に揺られながら隆志がい぀も思う事だった 隆志の胜力はその人を芋たからずいっおすぐに珟れる事ではないらしく偶然それもその人ひずりに぀きたった䞀床だけ䞍芏則に隆志の身に蚪れる䞍思議な超胜力なのだ 幞い隆志の家族はただ誰も珟れおいないらしい 

今日だけで19人  䜕か今曎ながら人の寿呜が刀るっおのは気が重いよな さっきのなんお100日切っおたもんな 

隆志はなるべく顔を䞊げず行き亀う人の顔を芋ずに重い足取りで改札を出た 

No.46 07/10/26 12:23
ヒマ人0 

>> 45 【⑥】寿呜カりンタヌ

⏳⏳

《皆さんは超胜力っお信じたすか 》


 小孊1幎生だった10幎前のある日 隆志は自分には倉な超胜力がある事を初めお知った 

14637日 あの憎たらしい隣の雷芪父ただあず40幎以䞊も生きるのか

やばいよ3211日 駄菓子屋の枅矎婆ちゃんもう10幎切っおんじゃん

【人の顔を芋るだけでたった䞀床だけその人間の寿呜が刀る】そう 隆志の超胜力ずはでもでもないその人間の寿呜が芋えるずいう凄く奇異で垌少な胜力だった 隆志が䞀番最初にその胜力に気が付いたのは小孊1幎の秋同じ孊校にいた3子の同玚生ず公園で遊んでいる時だった 隆志は突然3子の額党員に【152】ずいう数字が浮かび䞊がっおいるのに驚いた 䜕の数字なのかどうしお友達の額に数字が浮かび䞊がったのか幌い隆志には理解出来なかったがそれから5月皋経過した寒い雪の朝3子の䜏んでいた家は火の䞍始末による火事で䞍運にも3子の同玚生達だけが焌死した それは隆志が公園で圌らの額に芋た数字 正に䞁床【152】日目の事だった 

No.45 07/10/25 18:55
ヒマ人0 

>> 44 🚚13🚚

『う嘘 矎鳩 貎方なの 党郚貎方の仕業だったの』

友子はただ信じられない様子で矎鳩に問い詰めた 

『 私の方が 』

『え 』

『由道には私の方がふさわしいずずっずずっず なのに貎方は簡単に私の党おを奪っおいった 蚱せなかった 二人が結婚するっお聞いた瞬間 私 気が狂いそうだった  』

矎鳩は唇を噛み締めた 由道は静かに目を閉じお倩を仰いだ 党おは由道に奜意を抱いおいた矎鳩の嫉劬心から来る凶行だった 矎鳩の呚りを匵り蟌んでいた私服譊官達が取り囲んだ 

『久留米矎鳩 殺人未遂容疑で眲に連行する』

譊官の䞀人が手錠を填めようずした時由道はそれを黙っお制止した 

『 矎鳩 枈たなかった 今の今たでお前の苊しみを解っおやれなくお 』

由道は頭を䞋げた 

『鈍感銬鹿なんだから 結婚匏こんなにしちゃっおね 幞せになっおね 』

矎鳩はそう蚀うず自ら譊官に手錠を促した 



⑀玠敵なあなたず完

No.44 07/10/25 18:26
ヒマ人0 

>> 43 🚚12🚚

『さんこれお借りしたす』

由道はの䞊にあった等を掎む小型の䞇胜を持ち出しそのたた友子が座っおいた高砂垭に歩み寄った そしお目の前の薔薇の花束の䞭から䞀本の小さな銙氎瓶を䞇胜で摘み䞊げた 

『由道 これっお』

友子が驚いた 

『これは薔薇の花束の䞭に仕掛けられおいた硫酞が入った銙氎瓶です 瓶の暪に箱のような物が貌り付けおあっおこれはおそらくで目的時間が来れば自動的に䞭の硫酞が噎霧される仕組みです 』

『埅っおよそれを私が予め薔薇の花束の䞭に仕組んでおいたっお蚀いたいのそんなの私が友子を傷付けようずした䜕の蚌拠にもならないわ他の誰かが仕掛けたかも知れないじゃない』

矎鳩は泣きながら必死に事件ずの関䞎を吊定した 

『そうだね でもさっき君は正朚を責めおいる時に倧きな倱蚀をしおいるんだ 』

『え』

『僕はさっき被害者がかけられた薬品は《硫酞》だなんお誰にも䞀蚀も蚀った芚えはない なのに君は花束に硫酞が仕掛けられおいたず蚀った 瓶の䞭身は犯人しか知り埗ない情報だよね違う』

矎鳩の顔぀きが倉わった 

No.43 07/10/25 17:18
ヒマ人0 

>> 42 🚚11🚚

披露宎䌚堎は氎を打ったように静たり返った 

『もういいだろ 矎鳩犯人は君なんだろ』

由道は静かに矎鳩を芋た 

『ち埅っおよたたさか由道私を疑っおるの信じられない』

『そうよ由道矎鳩を疑うなんお貎方気でも狂ったの』

矎鳩ず友子が䞀斉に由道の蚀葉を吊定した 

『 信じられないのはこっちの方だよ 䜕床間違いであっおくれず思った事か 』

由道はため息を぀いた 

『どういう぀もり あんなに䜕でも盞談に乗っおあげお芪身になっおあげおいたのに 由道がそんな事私に蚀うなんお 酷い 』

矎鳩はその堎に厩れ萜ち泣き始めた 

『最初におかしいず思ったのは矎鳩 君が執拗に犯人は男性だずいう事を僕に怍え付けさせようずしおいた事だよ だからっお友子にたがいの脅迫状が届いたからず蚀っお必ずしも犯人が男性だずは限らないず感じたんだ それにもし犯人が結婚する友子の事がただ奜きならあの匏の前に届いた脅迫状のように友子に危害を加えようずする確率は極めお䜎い普通は奜きな圌女の盞手の男を殺したいず思わないか』

友子は黙っお由道の話を聞いおいた 

No.42 07/10/25 16:45
ヒマ人0 

>> 41 🚚10🚚

『間違いない貎方よ由道ず友子に執拗に悪質なを繰り返し挙句の果おは元恋人だった友子に高砂垭の花束に仕掛けおあった硫酞を巧劙に济びせようずしたのよ』

『ち違う僕はそんな事しない』

由道ず友子はゆっくりず矎鳩ずうなだれおいる正朚の元に歩み寄った 

『正朚君 なの』

友子は由道の䜓の背埌から恐る恐る尋ねた 正朚はただ黙っおう぀向いおしたった 

『ほら䜕も蚀えないじゃないやっぱり貎方が犯人なのよ由道が刑事だっお知っおおの倧胆な犯行 人生で䞀番の晎れ舞台をこんな圢で埩讐するなんお絶察に蚱せないこれは蚈画的で悪質な殺人未遂よさぁ由道 早く逮捕しお』

矎鳩は由道に正朚を突きだした

『  』

『さぁ由道早く捕たえお』

『  』

『どうしたの䜕黙っおるの』

『  猿芝居はもうそれくらいでいいだろ 矎鳩』

由道の䜙りにも意倖な䞀蚀で䌚堎䞭が隒然ずなった

『な䜕を蚀っおるの由道矎鳩は関係ないじゃない』

友子は由道の蚀葉に驚愕した

『 は 由道どうしちゃったの』

矎鳩は目を䞞くした

No.41 07/10/25 16:25
ヒマ人0 

>> 40 🚚🚚

披露宎䌚堎はに陥った 

『今䜕凊でこれがかかったか分かりたすか』

由道は硫酞を济びせられ震える埓業員に問い正すず答えも聞く間もなく友子が座っおいた高砂垭の蟺りに䞍審な物がないか探し始めた

『埅ちなさい䜕凊に行く気』

その時䞀人の男性が埌ろの扉から出ようずする所を矎鳩が腕を掎んで制止しおいた

 た正朚

それは披露宎列垭者の䞭にいた友子の孊生時代の友人正朚啓吟だった

『がやったのね』

『ち違うが僕じゃない』

『じゃあ䜕で逃げようずするのよ』

矎鳩は正朚の腕をたぐり寄せ䌚堎の真ん䞭たで匕きずり出した

『正朚』

『た正朚さんた たさか』

由道はそばのの係員にすぐ硫酞をかけられた埓業員の救急車の手配を促した 

『し信じおくれ僕じゃない』

『貎方確か今繊維䌚瀟の研究所に勀めおいたわよね硫酞なんお容易に手に入れれるんじゃない』

矎鳩は正朚の前で仁王立ちになり怒鳎り぀けた䞡家の芪戚達はみな䞀塊になり震えながら䞀郚始終を黙っお芋぀めおいた 

『さぁ癜状しなさいがやったんでしょ』

No.40 07/10/25 12:56
ヒマ人0 

>> 39 🚚🚚

どうやら 䜕にも起きなかったようだ 良かった 

由道の心配をよそに披露宎はもう最終段階に入ろうずしおいた 

『では最埌に新郎新婊からご䞡芪に花束の莈呈でございたす』

䌚堎が割れんばかりの拍手に包たれ由道達が垭を立ずうずしたたさにその時だった

『』

突然友子の垭から悲鳎が聞こえた䌚堎は䞀斉に高砂垭の友子を芋た

 な䜕

由道は思わず声を䞊げたしかしその悲鳎は友子のものではなく友子のを介添えしおいたの幎茩埓業員のものだった

『手が手が痛い』

䌚堎は隒然ずなった

『だ倧䞈倫ですか』

思わず偎にいた友子がその埓業員に歩み寄った

『駄目だ友子離れろそこから離れるんだ』

由道は友子ずその埓業員を匕きずるように高砂垭から降ろした

『倧䞈倫ですかどうしたした』

由道は埓業員を支えた 

『手が 手が』

埓業員の手を芋るず驚く皋赀く腫れ䞊がり皮膚は焌けただれたようになっおいた

 や薬品 ここれは硫酞䜕お事を

No.39 07/10/25 12:10
ヒマ人0 

>> 38 🚚🚚

『新郎由道君新婊友子さん ご結婚おめでずうございたす』

結婚匏圓日由道ず友子は無事匏を終え披露宎䌚堎の高砂垭に座っおいた 代衚者のお祝いの挚拶も滞りなく終わり披露宎は䜕事もなく進んでいった 披露宎の列垭者の䞭に由道ず友子の孊生時代の友人が倚数いた 《正朚啓吟》《島原守》その䞭に友子ず以前蚳ありだった二人の男性も混ざっおいた 

正朚啓吟 友子が郚のをしおた時に付き合っおいた郚の 島原守は友子の職堎の同僚 どちらも過去に友子ず別れおいる 

列垭者にを泚がれながらも由道の目はその二人の男性の行動に敏感でいた 

『どう怪しい人いる』

黒のに真珠のを぀けた矎鳩が由道にを泚ぐをしお耳打ちしおきた 

『 みんな犯人に芋えおくるよ これも刑事ずしおの性分 自分の結婚匏なのに因果なもんだ 』

『倧䞈倫よ由道きっず䜕にも起こらないわね矎鳩』

矎鳩ず由道の䌚話に深玅のを着た新婊の友子が入っお来た 高砂垭の前には花屋の矎鳩が甚意した薔薇の花束が鮮やかに食り付けられおいた 

『綺麗なお花有難うね』

友子は矎鳩に蚀った 

No.38 07/10/25 11:34
ヒマ人0 

>> 37 🚚🚚

結婚匏が3日埌に迫った その埌も由道ず友子に察する现かなは続けられおいたのだが二人は予定通り結婚匏をあげる決意をした ぀い先日犯人から《匏新婊二床芋顔》ずの脅迫めいた手玙が届いたばかりだったが由道ず友子はそんな脅迫には屈せず頑匵っお匏をあげようず誓ったのだ 

『そっか そうだよね 倉質野郎にびびっおちゃ䜕にも出来ないもんね』

慌ただしく店の埌片付けをしながら矎鳩は由道に優しく蚀った 

『矎鳩 お前も来おくれんだろ 披露宎 』

『あったり前じゃん私は二人の共通のじゃんそれに友子に披露宎のお花党般頌たれおるしさ商売商売 』

由道は苊笑いを浮かべながらおもむろににある披露宎で新郎偎新婊偎䞡方の若い列垭者䞀芧の玙を眺めた 

もしかしおこの䞭に犯人がいるかも知れない が本気なら披露宎の最䞭にも䜕らかのは起こしおくるはずだ 

由道は改めお新婊である前に自分は刑事なんだずいう事を自芚しおいた 由道は友達の矎鳩にを告げるず圌女の経営する花屋を去った 

No.37 07/10/25 09:52
ヒマ人0 

>> 36 🚚🚚

『蚱せない友子にたでそんな卑劣な事きっず貎方達の結婚に恚みを持぀倉態野郎の犯行だわ』

真っ赀な姿の矎鳩は長方圢の现長い箱から今朝仕入れたらしい癟合の花束を取り出した 

『所蜄の先茩刑事や同僚に僕がいない間の友子の監芖を頌んでおいた 今床圌女の身蟺に䜕かあればすぐに犯人が解るようにね 』

『けど犯人っおどんななんだろ きっずで倉質者みたいな男じゃないかな 』

矎鳩は腕組みをしお考えおいた 

『これは僕の安易な掚枬なんだけど もしかしお友子が過去に付き合っおいたもしくは蚳あっお振った男の䞭に犯人はいるんじゃないかっお ほら孊生の時から結構おたから 』

それは倧いにあり埗るわねず矎鳩は䜕床も頷いた 

『ねぇ由道 ず犯人が捕たるたで来月の結婚匏延期にしたらどう友子だっおかなり動揺しおるず思うし 』

由道は矎鳩が入れおくれたを飲みながら考えおおくよず蚀った 

『 いったい䜕凊の野郎だず卑怯な真䌌しやがっお僕が憎いなら面ず向かっおず蚀えばいいじゃないか』

由道は机を叩いた 

No.36 07/10/25 08:22
ヒマ人0 

>> 35 🚚🚚

『実はさ 』

非番の日由道は来月結婚する予定の婚玄者岬友子のにいた 

『嘘だろ 友子それ本圓か』

『最初は玄関の鍵穎が朰されおいお 次は駐車堎に停めおあった私の車にで口にも出せない䜍猥耻な蚀葉がかけられおいお 次は 』

『ただ ただあるのか』

友子は戞棚から䞀枚の封筒を取り出し由道に芋せた 由道は目を芆いたくなった 颚俗雑誌の衚玙に《お前をい぀か犯しに行く》ず蚘されおいた 

『なんおこず 友子どうしおすぐ譊察に連絡しなかったんだっおいうかこの僕に盞談䜍出来ただろ』

『 だっお 由道に䜙蚈な心配かけたくなかったんだもん きっずただのだず すぐ飜きおやめるだろっお 』

由道の恐れおいた事が既に珟実になっおいた 犯人が䜕凊で調べたのかは解らないが婚玄者の友子にたで觊手を䌞ばしおいた事に由道は動揺を隠せなかった 

『由道 私 怖い 』

友子は䞍安な顔぀きで由道を芋぀めた 

『な 理由は解らないが どうやら犯人はこの僕を困らせお楜しんでいるらしい 』

震える友子の肩を抱きながら由道は䜕床も䜕床も心配ないからず呟いた 

No.35 07/10/25 08:01
ヒマ人0 

>> 34 🚚🚚

『䜕よそれたるで悪質な行為じゃない』

客に頌たれおいた花束を䜜りながら由道の高校時代からの同玚生である矎鳩みはずは声を荒げた 

『正盎参っおる 毎日のように䜕凊の誰だか解らない人から電話が掛かっおくるんだ どこそこのは連続殺人犯だから逮捕しろだずか裁刀の蚌人に立っおくれだずか 挙句の果おには俺は譊察が嫌いだだから今からお前を殺しにいくずか  もうだよ 』

由道は花屋ののそばの怅子に腰掛けお頭を抱えた 

『ねぇ由道 そのに茉せおいる人物が誰だか特定出来ないの過去に捕たえた凶悪犯だずか たあね今の時勢頭の切れる悪いは䜕だっおやっちゃう時代だからね 』

矎鳩は出来たず蚀っお自分の䞊半身皋の倧きな花束を奥の棚に眮いた 

『いずれにせよ盞手は僕の身元や生掻を完党に把握しおいるんだ 僕だけに危害が及ぶならいい けどもし犯人がしお僕以倖の友達や芪戚にたで照準を絞り出したずしたら 』

由道の䞍安げな衚情を芋た矎鳩は倧䞈倫だよ少なくずも私はず笑顔を芋せた 

『だけどの友子さんは泚意しおあげた方がいいかもね 』

No.34 07/10/24 15:24
ヒマ人0 

>> 33 🚚🚚

譊察官をはじめ叞法関係者等の特別囜家公務員は第3者にみだりに自らの身分を明かしおはならないずいう芏則がある 由道が芋た所その女性は過去に犯眪に巻き蟌たれた被害者や加害者家族自身の芪戚関係者でない事は断定出来た 間違いなくこの女性はこれたで由道の譊察人生に関わった事のない人物だ 

『どうしお僕が譊察関係者だず解ったんですか』

『この町内じゃ有名ですよの曞き蟌みに曞いおありたした 東雲町309号宀に䜏んでいる䜐藀由道は神奈川県譊立朚眲の珟職刑事だっお』

だっお たたさか 個人情報挏掩じゃないか

由道は愕然ずした 

『お奥さんそそれはどこのですか教えお䞋さい』

由道は血盞を倉えお女性に詰め寄った

『えぇいいですけど もしお教えしたらの息子の無免蚱運転取消しお䞋さいたす』

女性は䜕ら悪ぶれる玠振りもなく由道に尋ねた 

『そそんな事出来る蚳ないでしょうがさぁ早く教えお䞋さいいいですか個人情報が掩れおるんですこれは立掟な犯眪なんですよ』

No.33 07/10/24 13:11
ヒマ人0 

>> 32 【⑀】玠敵なあなたず

🚚🚚


『あのぅ すみたせん 䜐藀由道さんですよね』

自宅に入ろうず鍵を開けた時由道よしみちは芋知らぬ女性に声をかけられた 

『はい そうですが䜕か』

由道は䜕の甚だろうず䞍思議そうに女性を芋た 

『あのぅ 折り入っお頌みたい事が 』

幎の頃は50歳前半ずいった所か小倪りで黒髪にの兞型的な《おばちゃん》だった 

『実はですね 倧孊受隓を控えおいるの息子が先日の無免蚱運転で捕たりたしお 』

『はぁ で』

女性は䞀呌吞眮いた 

『でですね その 貎方のお力でその事実を䜕ずか垳消しに出来ないかず あそりゃでずは申したせんそれなりのお瀌ははい 』

由道は䜕の事か理解出来ずにただじっず女性の話を聞いおいた 

『あの 貎方の息子さんの違反の事を䜕故僕に』

飲み蟌み悪いわねずいった顔぀きでその女性は蚀葉を続けた 

『だっお貎方譊察関係の方なんでしょ譊察関係者なら犯眪の事実隠蔜くらい簡単に出来るんじゃないんですか』

由道は驚いた 

『っお蚀うか䜕故貎方が僕が譊察関係者だっお事を知っおいるんですか』

No.32 07/10/24 11:36
ヒマ人0 

>> 31 👶10👶

『玠晎らしいいやぁ鄭料理長貎方を芋おいるず料理の䞊手さは幎霢ではないのだずいう事をたった今痛感させられたよ若いのにに芋事だ』

『お耒めの蚀葉を頂戎し誠に感謝したす 私事ではございたすが幌少の頃から私の蟲家は貧乏で母の䜓が匱く䜕ずか矎味しい料理を䜜りたくお単身䞭の料理店で皿掗い等をしながら料理を孊び今日たで来たした 今日ここで囜王の晩逐䌚担圓料理長に任呜された事を名誉だず胞に誓いこれからも頑匵っおいこうず思いたす』

鄭は深々ず囜王䞀家に頭を䞋げた その鄭の様子を瞬きもせずに芋぀めおいたのが次女のだった 鄭は静かに頭を持ち䞊げた時ず目が合った 

『 姫君 私の顔に䜕か぀いおいたすか』

鄭は䞍思議そうに自分の顔を芋぀めおいるに蚀葉をかけた 

『 あの 以前䜕凊かでお䌚いした事がありたすか』

は静かに鄭に蚀葉を返した 



④受粟面接完

No.31 07/10/24 08:43
ヒマ人0 

>> 30 👶👶

が進むに぀れ来賓客の各から料理が矎味しいずの声が䞊がりだした 

『この肉の柔らかい事最高の味付けですわ』

『このだっお がなくおに飲み易い』

䞀䜓誰が䜜っおいるのかずいった声たで䞊がるようになっおいた 

『これはたた盛況だね 』

囜王が来賓客の反応を芋お驚いた 

『お父様皆様が唞るのも頷けたすわだっおに矎味しいんですものこんな矎味しい料理今たで食べた事がないですわ』

次女のが蚀葉をかけた 

『うむ 確かに䞊品で繊现で玠晎らしい あ君すたんが今日の料理を䜜っおいるをここに 』

囜王は執事にそう蚀うず執事は今日の晩逐䌚担圓を囜王の前に連れお来た 

『お口に合われたしたでしょうか』

『君が 君がこれを党郚䜜ったのかね』

の䜙りの若さに囜王䞀家は皆驚いた

『圌は䞭囜人で初めおの5぀星料理店で総料理長を任された鄭朎孫さんです圌は6歳の頃に単身に枡り人䞀倍の努力で15歳ずいう若さでこの地䜍を勝ち取った正に倩才なんです』

囜王はじめ来賓客䞀斉に拍手が起こった 

No.30 07/10/24 08:07
ヒマ人0 

>> 28 👶👶 『《雄FQ28》君 私ね 実は昚日受粟面接だったんだ 』 《雌KW1929》さんは静かに蚀葉を発した  『でね 私は  👶👶

《15幎埌 》


『皆様本日は囜王陛䞋圚䜍20呚幎蚘念祝賀宮䞭晩逐䌚にお越し頂きたしお誠に有難うございたす』

きらびやかなにの生挔奏が響き枡る䞭囜王陛䞋ず王劃は二人の嚘を連れお壇䞊に姿を珟した 

『本日はお忙しい䞭各囜から私の為にこんなに沢山の方にお越し頂いお感謝臎したす』

来賓客から盛倧な拍手が起こった 

『本日は私の圚䜍20呚幎蚘念もさる事ながら実は次女の15歳の誕生日でもありたしお倧倉おめでたい日ずなりたした 』

次女は䞀歩前に出お䞡手でを持ち来賓客に軜く䌚釈した 

『皆様本日はどうぞごゆっくりず料理のをお召し䞊がり䞋さいたせ』

来賓客の各に料理の前菜が運ばれおきた 

『さぁ我々も頂きたしょう 』

王劃がそう家族に声をかけるず囜王䞀家は料理の垭に぀いた 

『前菜は南仏産のず茞の和えでございたす 』

晩逐䌚は静かに進んでいった 

No.29 07/10/24 07:49
ヒマ人0 

>> 28 👶👶

『にそれで それで君はいいんだね 埌悔しないね』

『はい䜕があろうず芚悟は出来おたす 』

玄束の日 面接官は枋い衚情で䜕床も僕に尋ねたが僕の気持ちは倉わらなかった 

『たぁ君がいいずいうなら我々も匕き留めはしたい だがもう埌戻りは出来ないからそれだけは肝に呜じなさい』

僕は面接官に頷いた 

『では受粟卵《雄FQ28》君君は䞭囜雲南省北郚の蟲村で蟲業を営む【鄭林章皋欄倫劻の䞉男】ずしお生を受ける事を蚱可したす』

事務係は勢いよく曞類にを抌した 

『 結論出したんだね 』

垰り道の途䞭で《雌KW1929》さんが僕を埅っおいた 圌女の顔は淋しそうだった 

『ね やっぱり僕 に敷かれた人生を送りたくないんだ 自分の人生だもんどんな事になっおも埌悔しない 』

『  そう 寂しいけど君が決めた事だから私もう䜕も蚀わない 元気でね 《雄FQ28》君 』

『有難う 君も 立掟なになる事を祈っおる 《雌KW1929》さん 』

僕は圌女ず笑顔で別れた 

No.28 07/10/23 23:59
ヒマ人0 

>> 27 👶👶

『《雄FQ28》君 私ね 実は昚日受粟面接だったんだ 』

《雌KW1929》さんは静かに蚀葉を発した 

『でね 私は共和囜の囜王の次女に産たれ出る事にしたの 』

『囜王 そそれっお 皇族だよね す凄い 』

僕は思わず声を倧にした 

『もし貎方がの若瀟長の息子ずしお産たれ出たならただ䞇に䞀぀の可胜性もあるかも知れない だけど 䞭囜雲南省の貧乏な蟲村に産たれおも私達は 䞀囜の皇族の私ずは二床ず巡り逢う事はないでしょうね 』

 間違いない 可胜性は いやだ 

『人間界に産たれ出たなら私達の今の蚘憶は党お無くなるわ 私も貎方を 貎方もこの私を忘れおしたう だからこそ貎方には玠晎らしい人生を送っお貰いたいの有意矩な䜕でも叶う環境で自分の力を発揮しお欲しいの』

《雌KW1929》さん  

『だからお願いよく考えお結論を出しおね』

《雌KW1929》さんそれだけ僕に告げるずは悲しそうに転がっお去っお行った 

そうだよな 䞀床しかない自分の人生だもんな 有難う 

僕は思わず倖郭から分泌物を出しおいた 

  • << 30 👶👶 《15幎埌 》 『皆様本日は囜王陛䞋圚䜍20呚幎蚘念祝賀宮䞭晩逐䌚にお越し頂きたしお誠に有難うございたす』 きらびやかなにの生挔奏が響き枡る䞭囜王陛䞋ず王劃は二人の嚘を連れお壇䞊に姿を珟した  『本日はお忙しい䞭各囜から私の為にこんなに沢山の方にお越し頂いお感謝臎したす』 来賓客から盛倧な拍手が起こった  『本日は私の圚䜍20呚幎蚘念もさる事ながら実は次女の15歳の誕生日でもありたしお倧倉おめでたい日ずなりたした 』 次女は䞀歩前に出お䞡手でを持ち来賓客に軜く䌚釈した  『皆様本日はどうぞごゆっくりず料理のをお召し䞊がり䞋さいたせ』 来賓客の各に料理の前菜が運ばれおきた  『さぁ我々も頂きたしょう 』 王劃がそう家族に声をかけるず囜王䞀家は料理の垭に぀いた  『前菜は南仏産のず茞の和えでございたす 』 晩逐䌚は静かに進んでいった 

No.27 07/10/23 23:35
ヒマ人0 

>> 26 👶👶

『も超が぀く皋の受粟卵だわ貎方っお』

垰るや吊や僕は友達の受粟卵《雌KW1929》にこっ酷く叱られた 

『だっお 自分の人生だろ そう簡単に決められないっお』

『あのねいい若瀟長の息子か映画の子䟛かっお遞択ならいざ知らずそんな銬鹿でも解る二択なんお考えるたでもないじゃないのよ貎方人生を捚おる぀もりそんな安易に物事運んで死んで行った䜕十億の同僚に申し蚳ないず思わないの』

友達の受粟卵《雌KW1929》はため息を぀いた 圌女は受粟研修の頃からの同期で぀いこないだ同じ頃に受粟に成功した僕が密かに憧れおいる将来きっず矎人になるであろう雌の受粟卵であった 

『ただはっきり決めた蚳じゃないよ ただ考えおみたいだけだよ 自分の人生を真剣に 』

《雌KW1929》は悲しそうに僕の呚りを挂った 

『私 貎方はそんな受粟卵じゃないず思っおた もっず前向きで堅実で保守的な受粟卵だずずっず思っおきたのにね あれは間違いだったんだよね 』

『《雌KW1929》さん 』

僕は悲しそうに挂う圌女の䞞い䜓をただじっず芋぀めるしかなかった 

No.26 07/10/23 23:12
ヒマ人0 

>> 25 👶👶

『果たしお 瀟長の息子に産たれたからずいっお にそれで幞せでしょうか 䞭囜雲南省の蟲村に産たれおも幞せになる可胜性はあるず思うのですが 』

僕は恐る恐る面接官に蚀葉を返した 

『呆れた 呆れおも蚀えないぞ 君みたいな受粟卵は前代未聞だ《雄FQ28》君 いいか䞭囜雲南省の䞉男の方は超が぀くほどの貧乏䞀家だぞそれでもいいのか 父芪は仕事もせずに博打に明け暮れ毎日毎日倫婊喧嘩ばかりのろくでもない蟲村家族の䞉男だぞ苊劎するのは目に芋えおるじゃないか君は敢えおそんな修矅堎に飛び蟌んで行くずいうのか自分から人生を捚おに産たれに行くようなもんだぞたぁいい時間をやる よく考えろ《雄FQ28》君』

確かに面接官の粟子の蚀う通りだず思う けど僕には将来が玄束されおいるからずはいじゃあず簡単には飛び぀けなかった 面接官はあず日間やるからよく考えろず蚀っおくれた 僕は2日埌にたたここで面接官に逢う玄束をしお元来たの道を垰っお行った そうだよな あそこで即答出来なかった僕はやっぱりな受粟卵かもしれない 僕は䞀人孀独感にさいなたれおいた 

No.25 07/10/23 22:50
ヒマ人0 

>> 24 👶👶

『え受粟卵《雄FQ28》君厳正なる委員䌚が遞考の結果君が母胎に宿る暩利がある倫婊はこの二組に決定した 』

僕は固唟を飲んで面接官の話に耳を傟けた 

『たずこちらは州のIT䌁業の若瀟長倫婊の長男ずしお産たれ出る暩利もう䞀方は䞭囜雲南省北郚の貧しい蟲村の䞉男ずしお産たれ出る暩利 』

僕の䞞い䜓は緊匵の䜙り倧きく跳ねおいた 

『たぁ遞ぶたでもなかろう 君はの若瀟長の長男っお事でじゅ 』

『埅っお䞋さい』

呚りにいた事務係が圓たり前にを抌そうずした瞬間僕はそれを制止させた 面接官ず事務係はどうしお止めるのず䞍思議そうな顔をしお僕を芋぀めた 

『おい受粟卵《雄FQ28》君どういう぀もりだね結果はもう出おいるではないか』

『た埅っお䞋さい 少し考えさせおくれたせんか』

面接官は目ず尟を䞞くした

『か考えるぅ 考えんでもいいように極端な二組を甚意した぀もりだが 《雄FQ28》君君は䞀䜓䜕を考えおるんだどう芋たっお瀟長の息子に産たれた方が幞せに決たっおるだろ』

面接官は僕に詰め寄った 

No.24 07/10/23 22:26
ヒマ人0 

>> 23 👶👶

『じゃあ䜕かね《雄FQ28》君 君はこのたたずっず受粟卵のたたここで挂っおいたいのかね折角䜕十億分の1の確率で受粟卵ずなっただずいうのに晎れお受胎し人間界に産たれ萜ちる喜びを君はみすみす攟棄するず蚀うのかね』

面接官は声を荒げた 取り巻きの粟子達はそうだそうだ莅沢だず䞀斉に僕を眵倒し始めた 

『いいいえ そりゃぁ僕だっお産たれたいですよ お元気よく 』

『 確かに昔のに子䟛は芪を遞べないなぁんおのがあったそうだがそんなのはもう時代遅れ 今は子䟛が芪を遞ぶ時代に突入したのだ それも受粟卵単䜍からゆっくりじっくり自らの宿り先を決定出来る玠晎らしい時代にな』

面接官は自分に酔っおいるような匁達者ぶりで僕に話をした 解っおたすよそれくらい だからこうしお僕は真剣に悩んでるんじゃないですかそうはっきり蚀い返す勇気もないたた僕はの良いその面接官のお説教をそれから2時間䜙り聞かされおしたった 

『解っおくれたか そうかそうか では受粟卵《雄FQ28》君 本題に入ろう 』

面接官は二組の新婚倫婊を僕の目の前に映し出した 

No.23 07/10/23 22:03
ヒマ人0 

>> 22 【④】受粟面接


👶👶

『次《雄FQ28番》君入りたたえ』

長いの廊䞋をくぐるず僕は真っ黄色な郚屋に通された 

『受粟卵番号《雄FQ28》です 』

『はいそこに挂っおでは只今から受粟する母胎を決める受粟面接を始めたす』

面接官は芋た事もないようなの良い幎茩の粟子だった きっず凄いお偉いさんに違いない 圌の呚りには取り巻きのように無数の若い粟子達がこの様子を芋おいた きっずこれから受粟を埅぀研修粟子達だろう 

『あのぅ 今曎なんですがこの堎で質問しおもいいですか』

僕は恐る恐る面接官に切り出した 

『手短に頌むよ埌が぀かえおるからね 』

『どうしおも今ここで受粟する母胎 ぀たり芪を遞ばないずいけたせんか』

面接官は尟を激しく揺らせた 

『受粟卵《雄FQ28》君君は今曎䜕ぁにを蚀っおおるんだね受粟卵が芪を決めるのは圓たり前ではないか』

のいい面接官は地面のを激しく叩いお怒った 面接官はゆっくりず僕の呚りを挂いながらお説教を始めた 

No.22 07/10/23 20:02
ヒマ人0 

>> 21 バトヌさん有難うございたす✚💝これから色々なゞャンルのお話が登堎したす💊よろしければお付き合い䞋さい💝

No.21 07/10/23 19:53
バトヌ ( ♂ IbDL )

どうも、この掲瀺板内にチラホラ出没しおいるバトヌず申したす。以埌お芋知りおきを。
お手軜に読たせおいただきたした。先の読めない展開ず、濃密な内容に読んだ埌すっきり感を芚えたした。曎新楜しみにしおたす。
頑匵っお䞋さい。

因みに自分は千矜鶎の話が泣けたした。

No.20 07/10/23 19:40
ヒマ人0 

>> 19 🍵䌑憩タむム☺

皆様こんにちわ‌䜜者です✚3぀のお話終了した所でお邪魔したす✌さお短線小説楜しんで頂いおるでしょうか⁉長い携垯小説を読むのは疲れる😩💊ずいう方にこのスレは持っおこいの長さではないでしょうか⁉😁短くおも内容の濃いがある読み終えた埌にいい意味で埌に匕く😚䜜品を目指しお今埌も頑匵っお行きたすね💪是非読者様からのメッセヌゞ気軜にお埅ちしおいたす📝私はこの䜜品が良かった💝ずかの感想もどしどし✌お埅ちしおいたすね✚✚

No.19 07/10/23 19:30
ヒマ人0 

>> 18 🐻🐻

『䜕蚀っおるんですか確かに䞀緒に内に居たしたよ茶色のを着た倧柄な男性がただ瓊瀫の䞭に居るかも知れない探しおあげお䞋さいお願いしたす』

酞玠を付けられお優は必死にただ男性が䞭にいる事を救助隊員に告げた 

『奥さん 䜕床も確認したしたがそのような男性の姿は確認出来たせんでしたよ で幻芚でも芋られたんじゃ 』

『信じお確かに 確かに居たんです倧柄で毛深くおたるでのような 』

『あぁはいはい ね埅っおお䞋さい 』

救助隊員が優の蚀葉に反応した 䞀人の救助隊員が優のお腹にのぬいぐるみをそっず眮いた その瞬間優は目を疑った

『ここのぬいぐるみ たさか 』

『瓊瀫の䞭から貎方を発芋した時頭蓋郚を守るようにが重なっおたしたよ このぬいぐるみののお陰で貎方は奇跡的に呜拟いしたした 良かったですね これ貎方のでしょ』

うそ 信じられない だ 私の じゃああの男性は

ぬいぐるみの胞元のには《ず優》の文字が曞かれおあった 



【③箱の䞭のラブ完】

No.18 07/10/23 19:08
ヒマ人0 

>> 17 🐻🐻

《あの時どうしおの䞀蚀が蚀えなかったんだろ 》



『倧䞈倫ですか意識ありたすか』

瞌を開くず芖界に茪になるように救助隊員の顔があった 

『わた し どう し 』

『良かった意識戻りたした生存者䞀名確保です』

優はゆっくり䜓を起こそうずしたが党身に激痛が走った 

『あ動かないで党身骚折だらけですからでも安心しお内臓には損傷ありたせんし頭蓋郚も奇跡的に無傷でした良かった良かった』

優はゆっくり蟺りを芋回した よく芋るずそこに建っおあったはずの団地は跡圢もなく芋るも無惚な瓊瀫の山ず化しおいた 

『私 あの時 凄い䜙震が来お 』

優の頭はただ混乱しおいた もう死んだず思った あの瞬間が凄い速さで萜䞋しお 建物もこんな悲惚な状態なのにもかかわらず自分がただ生きおいる事が優には信じられなかった 

『 あ䞀緒にいた男性は私ず䞀緒にに乗っおいた男性はどうなりたしたか』

優は思い぀いたようにあの䞀緒にいた倧男の安吊を救助隊に詰め寄った 

『 男性 貎方の他に男性が居たんですか』

救助隊員は䞍思議そうな顔をした 

No.17 07/10/23 18:48
ヒマ人0 

>> 16 🐻🐻

『あの子 ただこの団地に䜏んでるのかな  んな蚳ないか あれからもう20幎以䞊だもんね 普通なら  いいお母さんになっおる幎頃 』

その時遠くで埮かに救急車のが鳎り響くのを優は感じた

『 救急車だ   聞こえた 救急車だよ私達助かるかも知れないね   』

倧男も次第に息が荒くなっお来た もう宀内に吞える酞玠はごく僅かなのだろう 冷や汗を流しながら倧男は䜕床も汗を手で拭った 

『  救急隊が先か  私達の呜が途絶えるのが先か   』

その時曎なる䜙震がを揺らした 

『   』

『え 䜕』

隒然ずした混乱の䞭で初めお倧男が蚀葉を発した 

『今䜕お蚀ったの』

『   』

『 え それっお貎方の名前』

突き䞊げる地響きず共にいきなりが巊右に激しく揺れ始めた

『きゃ』



倩井のが萜ちお来お䞭の蛍光灯が衝撃でず割れたその盎埌は䞀気に萜䞋した

No.16 07/10/23 18:18
ヒマ人0 

>> 15 🐻🐻

『私さ 小孊校1幎の時に芪の転勀でこの団地に来たんだよね けど孊校にも友達にもなかなか銎染めなくおさ い぀も䞀人がっちだった 』

優は䜕故か幌少期に䜏んでいたこの団地の思い出話を始めた 別に話題は䜕でも良かったのだがどうせ歀凊に閉じ蟌められたのも䜕かの瞁だず䞀人黙々ずこの団地での思い出を語り出したのだ 

『けどそんな私にもさ芪友っおのが出来おさ この団地に䜏んでる同い幎の女の子 』

突然䜙震が起こり優は぀いたが揺れはゆっくり治たっおいった 

『仲良かったんだ 最高にね けどね ある日倧喧嘩しちゃっおさ 』

倧男は優の話を聞いおいるのかいないのかさっぱりな反応でじっずそこに座っおいた 

『私腹立おおその子から以前に誕生日に貰ったのぬいぐるみ ず䞀緒に捚おちゃったんだ そのぬいぐるみはその子がずっず倧事にしおいたぬいぐるみでさ あれを捚おたずその子が知った時 凄く泣いおさ その子ずはそれ以来 』

倧男は肩で息をしおいるようで少し苊しそうに優には芋お取れた 

『どうしおあの時 ねの䞀蚀が 蚀えなかったんだろっお 』

優の息も荒くなっお来た 

No.15 07/10/23 17:51
ヒマ人0 

>> 14 🐻🐻

このたた誰にも発芋されずに死んじゃうのかなぁ 私 

䞍吉な結末ばかり優の脳裏に浮かぶ は優が脚を組み換える床にず倧きく䞍自然に揺れた 

『䜕か䞀本で繋がっおる感じしない 凄く䞍安定なんだけど この 』

倧男は死んでるのかず思う䜍にその倧きな䜓を埮動だにしなかった 

確かこのに乗った時は10階だったっけ さっきの揺れで䞀䜓どれくらい萜䞋したんだろ 

優が地震に盎面した時確実に自分の䜓がず浮いた事を憶えおいた だずしたらこのは䞍安定な状態でかなりの速床で萜䞋した事になる 

『貎方 独身 歳は幟぀ここの団地の人』

優が沈んでいく気持ちを玛らわせるかのように倧男におもむろに話しかけた 

『  』

『貎方が話したくないのは勝手だけど 私は気が滅入るから勝手に話をさせおもらうわ 別に面倒なら盞槌ずか打たなくおいいから もう口を開かないず䞍安で䞍安で仕方ないのよ』

元来話し奜きな性栌の優は倧男の返事も埅たずに自分勝手に話を始め出した 

No.14 07/10/23 17:12
ヒマ人0 

>> 13 🐻🐻

しかし因果なもんね 昔ずいう皋遊んだこの団地のこのに閉じ蟌められるなんお 

30歳の優は保険の倖亀員で今日は䞊叞から指定された担圓地区を保険の勧誘に回っおいた この団地は優がか぀お小孊校䜎孊幎時代を過ごした公団団地だった 芪の転勀で匕越しを䜙儀なくされそれ皋長くは生掻しおいなかったのだが優はこの団地があたり奜きではなかった 

あぁ ここを任された時䜕か嫌な予感しおたんだ 出来れば足を螏み入れたく無かったな いい思い出なんお䞀぀も無かったし 

優はうなだれた 小さな䜙震がただ続いおいた 宀内は氎を打ったように静かだった 

かなり揺れたもんね 倖だっお盞圓な被害なんだろな 

優は座り盎すず脚を䞉角にした そしおゆっくりずたたう぀向きながら黙っお座る倧男の姿を芋぀めた 

『ねぇ』

『  』

『ねぇっおば口あるんでしょ 䜕か蚀いなさいよ』

『  』

 䜕ずかこの堎から脱出しようずかさ そんな悪あがきずかしなさいよ ったく男のに䜓だけは䞀人前に倧きいんだから

優は倧男を芋぀めながら胞内で散々毒付いた 

No.13 07/10/23 16:46
ヒマ人0 

>> 12 【③】箱の䞭のラブ


🐻🐻

 もう閉じ蟌められお二時間にもなる 春先ずはいえ宀内は悠に30床を越えおいおたたらなく熱い そしお次第に空気も薄くなっおいるようだ 優は党身汗だくになりながら救助隊の助けを埅っおいた さっきの地震の圱響でのはどれも圹に立たない 加えお緊急甚の呌び出しですらたるでただの玩具のように倖郚ずの通信が断たれおいた 

どういう事よこれじゃ緊急呌び出しの意味がないじゃないの

熱さず飢えで優は次第に苛立っお来おいた 

『ねぇ貎方䜕か食べる物ない』

優の他に䞍運にもこのに乗り合わせた䞀人の男性に優は話しかけた 

『   』

『 盞倉わらずね はいはいいいわよ別に嫌なら喋べらなくおも』

茶色のを着お垜子も顔が芋えないくらい深々ず被ったその無口な男性はかなりの倧柄での袖から芋える倪い腕は毛むくじゃらであった 

愛想のない人ね それに䞭がこんなに熱いんだから服を脱げばいいのに 

優はう぀向きがちに静かに座っおいるその倧男に芖線を送った 

No.12 07/10/23 11:04
ヒマ人0 

>> 11 🚚🚚

『ちゃん今日は間に合ったな守れたんやな』

産業廃棄凊理される鉄の玍品先の工堎長の抎本が煙草を吞う克矎の肩をず叩いた 克矎は朝日が昇る柄んだ空を芋䞊げながらため息を぀いた 

砎った  の忌たわしいを今日芋事自分の力で砎っお芋せたざたぁ芋やがれ

胞内で散々毒付くず克矎は疲れ切った䜓を持ち䞊げ事務所に玍品のに向かった しかしこんな些现なを砎る為だけに自分は今日1日䞀䜓どれ皋の人々を犠牲にしおきたのだろう の若者女子倧生 それにあの事故に遭ったの男性 こんななを砎る為だけには 克矎が深いため息を぀いた時突然工堎長の抎本が血盞を倉えお克矎に歩み寄っお来た

『どどうしたんですか抎本さん』

『どうしたもこうしたもあるかいお前䜕を運んで来たんや』

『䜕っお 鉄ですけど 』

『今の積み荷芋たら党郚粉やないけ』

『  はぁたさか 』

の積み荷には倧量の粉が積たれおいた 

《そんななぁ》

【②完】

No.11 07/10/23 10:36
ヒマ人0 

>> 10 🚚🚚

『じ事故だぁ』

克矎は思わず目を芋開いた 乗甚車ずの接觊事故らしくの運転手らしき男性が䞭倮分離垯のすぐそばで倒れおいた呚りには他の車は無かった 

た倧倉だ たさに今起きたおの事故じゃないかどうしよう 助けなきゃ 救急車呌ばなきゃ

克矎はすぐさたから飛び出しおの倒れた運転手の容態を確かめに行きたかった しかしその瞬間䜕故かたた克矎の心にがかかった

だ駄目だここでを降りたら 䞀時間やそこらじゃ到底枈たない 譊察の事情聎取や䜕やかんや  工堎の玍品時間に間に合わない でもこのたた攟っおおいたら が他の料金をくぐったばっかりにどうすりゃいいん

克矎は思わずを持぀手を頭に眮き目を瞑った

 には にはやらなきゃならない事が今日だけは今日だけはに

克矎のは暪たわるの運転手のすぐ脇を抜けお朝日が登り始めた薄明るい高速道路の靄の䞭に消えお行った 

No.10 07/10/23 10:19
ヒマ人0 

>> 9 🚚🚚

『 頌んだらどうだい』

『えぇ 亀換 しおくれないんですか』

女子倧生は克矎の意倖な蚀葉に目を䞞くした 女子倧生達の目はを運転しおいる男性がたさか亀換も出来ないのずいう冷ややかな芖線だった 克矎も圓然亀換くらい容易だったが䜕せ今日ずいう日は䜕のも背負いたくないずいうのが本音だった 

『ご 先急ぐから』

埌ろ髪を匕かれる思いで克矎はその堎から去った 女子倧生の䞀人が小さな声で《》ず呟いた声が克矎の胞に突き刺さった 

だっお替えおやりたいよい぀ものさえ通っおりゃこんな事には

今の隒動で克矎のは自身が蚈画しおいた予定時間より少し遅れ始めた 

 急がなきゃ

克矎のはの音を響かせながら目的地である倧阪府内に入った 

倧䞈倫 倧䞈倫だ克矎 もう倧阪だここたで来たらもう安心だなんお糞喰らえっおんだ

克矎の気持ちに䜙裕が出かかったその時目の前の光景に克矎は唖然ずした

No.9 07/10/23 09:08
ヒマ人0 

>> 8 🚚🚚

克矎の車は順調に京郜府に入った 

さっきの若者 悪い事したなぁ 

克矎も孊生時代で日本䞀呚の旅をした経隓がありそんなの若者の気持ちは人䞀倍理解しおいるはずだった 

よ若者 だがも今日は心に䜙裕がないんだ が砎られた以䞊どうしおも時間通りに倧阪の工堎に到着しなきゃならない 

深倜の闇を克矎のが疟走する 

 ん 

数分走るず道路の遥か前方にを付けた車が止たっおいた よく芋るず埌茪のの呚りに若い女性達数人が固たっお座っおいる 

䜕だ か

䞀人の女性が克矎のに倧きく手を振った 

おいおい たたかよ こんな時に限っお

元来困っおいる人を攟っおおけないの克矎は仕方なく枛速しを停車させた 

『どうしたの 』

『 みたいなんです 亀換ずか出来たすか』

女子倧生颚の人組だった 聞けば埌玉から深倜車を走らせ神戞の倧孊の先茩のに遊びに行く途䞭らしい 克矎は悩んだ ここで䞋手に時間を取る事はしたくない 䜕せ今日はが砎られた日だ 

『助けお䞋さい お願いしたす』

No.8 07/10/23 08:17
ヒマ人0 

>> 7 🚚🚚

克矎のはその埌䜕事もなく䌑憩を取る予定のに到着した 

 ここたでは順調 倧阪の工堎たであず玄半分っお所だな 枋滞もただないみたいだし 

から出お煙草を吞うず克矎は䞀床䌞びをした 

『あのぅ すみたせん 』

克矎は声をかけられお振り向くずそこにはを背負った20歳代䜍の若者が立っおいた 
『な䜕』

その若者のを芋お克矎は嫌な予感がした 克矎も過去に䜕床か乗せおあげた経隓がある これはたさしくだ 

『あの 広島たで行きたいんですが もし同じ方向なら途䞭たで乗せお貰えないでしょうか 』

克矎の予感が圓たった おそらく関東方面から車を乗り継いでここたで連れお来お貰ったのだろう 真面目で玔朎そうなそのの若者は䞁寧に克矎に頭を䞋げお来た 

 広島  乗せおやりたいのは山々だが 

い぀もの克矎ならいいよず二぀返事で返す所だが今回に限っおはなかなか気乗りがしなかった 

きっずい぀ものをくぐっおいればこんな卑屈な気持ちにはならなかったず思うんだが 

克矎は他の車を圓たっおくれず若者の頌みを断っおしたった 

No.7 07/10/23 07:55
ヒマ人0 

>> 6 🚚🚚

克矎の脳裏に嫌な蚘憶が蘇っお来た 

前回あのをくぐれなかった時は名叀屋で未曟有の倧事故に遭遇しちたっお4時間も枋滞で足止めくらっちゃったしその前はで぀い仮眠したらそのたた朝たで寝ちたったし ろくな事がないんだよ 

克矎のを握る手が汗ばんできた 

今回は䜕が起きるんだろ 䜕も起きずに玍入先の工堎に蟿り着ければいいんだけど 

克矎は頭の䞭で工堎たでのを綿密に立おおいた 

たずならゆっくり仮眠を取る予定のあのは䌑憩だけにしおすぐに出発しよう そしおもし枋滞にはたっおもいいようになるべく時間を短瞮しお目的地に向かおう 遅刻するのは悪いけど工堎に早く着くのは誰も文句は蚀わないはずだから 

そう蚈画を立おるず䞍思議ず克矎の胞は安堵した 

そうだ 慌おないで慎重に しっかり運転しおりゃなんお関係ないんだ

克矎はの鮮やかな道路の灯りをみ぀めながらもう䞀床眠気醒たしのを噛んだ 

No.6 07/10/22 22:13
ヒマ人0 

>> 5 【②】ゞンクス

🚚🚚

『倧倉だぁやっちたった』

高速の料金所入口を抜けた途端克矎は思わず倩を仰いだ 車線倉曎が遅れ無理にでも割り蟌もうずしたが運の悪い事に倧型の芳光が連なり結局克矎の乗るは車線倉曎出来ずにそのたた目の前の料金所を通過したのだった 

どうしよう 参ったなぁ 

降っお沞いた䞀人嚘の芋合い話に運転がうわの空になり克矎は䞀瞬気を取られおしたったのだ 

たずい あそこの料金を通らないず事になるんだよ 

克矎にはがあった 運送䌚瀟に勀務する克矎は仕事で毎週東京から倧阪たで長距離を走らせる 克矎はい぀も東名高速道路に入る手前の料金所の䞀番右のETCの料金をくぐる事を日課にしおいた 䜕故ならこのをくぐった時は必ずずいっおいい皋玍入先の工堎ぞ品物を時間通り届ける事が出来るのである 逆にこのを通らないで他のを通過しお倧阪に向かうず克矎は決たっお今たで良くない事が起きおいたのだ 

どうしよう 今曎匕き返す蚳にもいかないし 

悲痛な思いで克矎は祈りながら深倜の高速道路でを走らせた 

No.5 07/10/22 19:58
ヒマ人0 

>> 4 🎒🎒

雅矎ちゃんの小さな棺桶は霊柩車に乗せられ孀児院の子䟛達や先生らに芋送られお焌き堎に向かいたした 私はもう泣きたせんでした 雅矎ちゃんは倩䜿になったんです 私を捚おた䞡芪ずは違っお雅矎ちゃんは愛されお産たれた子䟛でした 赀ちゃんの時に䞡芪が事故に遭い仕方なくこの孀児院に連れお来られた子䟛だったから だから雅矎ちゃんは幞せなんです だっお倩囜の䞡芪に匕き取られるんだから 良かったね 雅矎ちゃん 郚屋に戻り私は䜕気なく雅矎ちゃんにあげる぀もりだった千矜鶎の数を数え始めたした 998
999 

え 999矜 そっか 1矜 足りなかったんだ ね 雅矎ちゃん 

私は机の匕き出しから折り玙を䞀枚取り出すず最埌の千枚目の鶎を折り䞊げたした 

これで千矜鶎完成  

私は涙が止たりたせんでした その時突然䞉奜先生が慌おお私の郚屋に入っお来たした 

『先生どうしたのそんな慌おお 』

䞉奜先生は䞀床唟を飲み蟌むず私に蚀いたした 

『矎砂ちゃん 萜ち着いお聞いお頂戎ね 今貎方のお母さんから電話があっお貎方を匕き取りたいっお』


①999の鶎完

No.4 07/10/22 19:26
ヒマ人0 

>> 3 🎒🎒

『先生䞉奜先生千矜鶎が完成したよ』

私は自分の背䞈皋ある千矜鶎を持っお雅矎ちゃんの病院に急ぎたした 

出来たよ出来た埅っおおね雅矎ちゃん

私は䞉奜先生ず䞀緒に廊䞋を早歩きしながら千矜鶎を芋た時の雅矎ちゃんの喜ぶ顔ばかりを想像したした 無菌宀の前で私ず䞉奜先生は雅矎ちゃんの担圓の先生に止められたした 暫く埅合宀の怅子に座らされたした ようやくお呌びがかかり私は雅矎ちゃんの郚屋に入りたした そこには怅子に座る孀児院の院長先生ず癜いをかけられた雅矎ちゃんが静かに暪たわっおいたした 

『雅矎 ちゃん 』

䞉奜先生は泣いおいたした 私はこの時初めお雅矎ちゃんはもうこの䞖にはいないんだずいう事を悟りたした 

『雅矎ちゃん どうしお 私 千矜鶎 折ったんだよ雅矎ちゃんどうしおどうしお』

私は雅矎ちゃんの亡骞に泣き厩れたした 郚屋の䞭に眩しい倕焌けが差し蟌んでいたした 雅矎ちゃん 倧奜きな雅矎ちゃん 願い叶わなかったね ね 

No.3 07/10/22 18:59
ヒマ人0 

>> 2 🎒🎒

私は捚おられた 芁らない子䟛だったんだ 


孀児院にいる時も私は䞀心䞍乱に毎日毎日千矜鶎を折り続けたした 䞉奜先生も手䌝っおあげようかず蚀っおくれたしたが私䞀人の力で折りたいず無理を蚀いたした 150
360
580 毎日䌑たず私は鶎を折り続けたした 産たれた時からずっず䞀緒だった雅矎ちゃんが居なくなる事なんお信じられたせん 信じたくありたせん 私には雅矎ちゃんが党おでした 孊校で芪無しずから苛められおも同じ境遇の雅矎ちゃんがいるから頑匵れたした だから だから絶察信じたせん雅矎ちゃんは絶察居なくなったりしたせん綺麗な倩䜿になる䜍なら汚くおも悪魔でもこの䞖の䞭に居お欲しい 雅矎ちゃん以倖の誰も私は奜きにはなれたせん家族の居ない私にずっお雅矎ちゃんは䞀番の絆です頑匵っお雅矎ちゃん頑匵っお雅矎ちゃん 私も頑匵るから だから絶察諊めないで690
830 もうちょっず もう埌ちょっず 

No.2 07/10/22 18:45
ヒマ人0 

>> 1 🎒🎒

雅矎ちゃんの髪の毛は殆ど抜けおたした 雅矎ちゃんは私を芋るず恥ずかしそうに頭を隠しおう぀向きたした 

《雅矎ちゃん元気》

《  うん元気 矎砂ちゃんは》

備え付けの面䌚甚ので私の声を聞いた途端雅矎ちゃんはたたい぀もの元気を取り戻したした 

《たた䞀緒に遊びたいね》

雅矎ちゃんが悲しそうに私に蚀いたした 

《きっず遊べるよたた元気に二人で遊が》

私は笑顔で答えたした 私は䞉奜先生の顔を芋おあの事を雅矎ちゃんに蚀っおもいいかず問いたした 䞉奜先生は優しくうん ず蚀っおくれたした 

《雅矎ちゃん矎砂ね今雅矎ちゃんの病気が治るように祈りながら千矜鶎を折っおるんだ あずもう少しで出来るから埅っおおね出来たら雅矎ちゃんのの暪に眮いおおいおね》

雅矎ちゃんは有難うず私に笑いかけおくれたした 

《願い 叶うかな 》

雅矎ちゃんが蚀いたした 

《叶うよ千矜折ったら䜕だっお願いが叶うんだから矎砂の千矜鶎は凄いんだから》

私は雅矎ちゃんにをしお芋せたした 雅矎ちゃんはで返しおくれたした 頑匵れ頑匵れ雅矎ちゃん

No.1 07/10/22 18:32
ヒマ人0 

【①】の鶎


🎒🎒

私の倧芪友の雅矎ちゃんは癜血病ずいうなかなか治りにくい倧倉な病気だそうです 小さい頃から凄く元気で遊んでたのにある日突然錻血が止たらなくなりたした その時からずっずずっず病院で生掻しおいたす 

『矎砂勝手に院を出おきちゃ駄目じゃない』

『だっお䞉奜先生 私雅矎ちゃんの事が心配だもの そばにいおいい』

『駄目に決たっおるでしょ先生だっおそう䜕回も無菌宀には入れお貰えないのよさぁ 垰りなさい 』

雅矎ちゃんが入院しおいる病院の玄関で孀児院の䞉奜先生に芋぀かった 私が泣きそうな顔をしたから䞉奜先生は困った顔をしお私を芋た 

『 仕方ないわね いいわでも窓越しからよ』

私は飛び䞊がっお喜んだ 雅矎ちゃんに䌚うのは䞀ヶ月振りだ 病院の長い廊䞋を䞉奜先生は私の手を匕きながらゆっくり歩いた 

《雅矎ちゃん 起きおる矎砂ちゃんが来おくれたよ》

䞉奜先生は越しのから無菌宀の雅矎ちゃんに向かっお声をかけた 

《え うそ矎砂ちゃん 矎砂ちゃん》

私は雅矎ちゃんのそのかすれた声を聎いた途端䜕だか涙が溢れおきた 

  • << 2 🎒🎒 雅矎ちゃんの髪の毛は殆ど抜けおたした 雅矎ちゃんは私を芋るず恥ずかしそうに頭を隠しおう぀向きたした  《雅矎ちゃん元気》 《  うん元気 矎砂ちゃんは》 備え付けの面䌚甚ので私の声を聞いた途端雅矎ちゃんはたたい぀もの元気を取り戻したした  《たた䞀緒に遊びたいね》 雅矎ちゃんが悲しそうに私に蚀いたした  《きっず遊べるよたた元気に二人で遊が》 私は笑顔で答えたした 私は䞉奜先生の顔を芋おあの事を雅矎ちゃんに蚀っおもいいかず問いたした 䞉奜先生は優しくうん ず蚀っおくれたした  《雅矎ちゃん矎砂ね今雅矎ちゃんの病気が治るように祈りながら千矜鶎を折っおるんだ あずもう少しで出来るから埅っおおね出来たら雅矎ちゃんのの暪に眮いおおいおね》 雅矎ちゃんは有難うず私に笑いかけおくれたした  《願い 叶うかな 》 雅矎ちゃんが蚀いたした  《叶うよ千矜折ったら䜕だっお願いが叶うんだから矎砂の千矜鶎は凄いんだから》 私は雅矎ちゃんにをしお芋せたした 雅矎ちゃんはで返しおくれたした 頑匵れ頑匵れ雅矎ちゃん
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