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「しっぽ」

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小説好きさん
24/03/29 01:24(更新日時)

ぼくにはしっぽがある。
尾てい骨らへんに立派なしっぽがある。フワッフワで、ユキヒョウみたいなやつ。
ぼくはそのしっぽがあるせいで、ある男子からいじめられている。

ときどき、クラスの奇特な女子が「ねえ、さわらせてくれない?」と言ってくる。
けど、その子にさわらせたら、その子が男子にいじめられてしまうから、ぼくは断る。
女子は「わたし、猫かってたの......もうしんじゃったけど」と言い残し、机に戻る。

ぼくはあまり目立たないように、いつもはしっぽを学生服のズボンにしまいこんでいる。だから、本当はMサイズなのにLサイズを無理に履いて、ベルトで留めている。
体育の日は最悪だ。長ズボンのジャージを履ける体操や持久走のときはまだいい。でも、水泳の時間なんか、地獄だ。いやでも、しっぽの形に穴があいた特注の水着に履き替えて、立派なしっぽをみんなに見せないといけない。

「おい、おまえは何本しっぽがあるんだ」
でかい図体で仰々しくぼくをいじめてくるアイツ。
いやなやつ。
ぼくは無視して飛び込み台からジャンプする。夏の暑い光を受けて、プールはほとんど温水になっていた。
ぼくはしぶきをあげ、意気揚々とクロールをする。
かちっ。「すごい!全国大会の記録を抜いたぞ!」体育教師がタイムをみんなに見せる。どっと歓声を背中にあびる。
あたりまえだ。小さい頃から川遊びで慣らしたのに加えて、天然のスクリューがついているのだから。

じつは最近、ある大学から形成手術のさそいが来ている。
ぼくはどうしようか迷っている。

だって、しっぽを切ってしまったら、あの女子が授業中にそっと、ぼくのおしりの辺りに目線を向けるのを横目でみれないから。

あの子の通学カバンに、ちょっと前まで流行っていたしっぽのキーホルダーがついているのを、ぼくは知っている。
ふさふさで、人差し指くらいの大きさ。色は白。ぼくのしっぽの色といっしょだ。
入学当初にはついてなかった。
ぼくのしっぽを見てから、買ったのかも。

ぼくが切ったしっぽを、あの子にあげられないだろうか?
あの子はよろこぶかな?
昔飼ってた猫を思い出して、なでて、首に巻いてねるかな?
あの子にあげられたらなぁ......

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No.4015653 24/03/29 01:24(スレ作成日時)

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