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白銀翼の彼方

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アルミ( yXSV )
08/03/23 15:15(更新日時)

しばらく違う所に書いていたのですが、思いきってここに載せてみようと思いました。

ヘタクソですが長い目で見てやって下さい。

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No.628538 07/01/01 20:38(スレ作成日時)

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No.151 07/07/06 17:30
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 150 そう肝心な人、長谷川がいなかったのだ。すると玄関から髪を乱しながら長谷川が走ってきた。車の近くに来たとたん何かに躓いて転んだ。持っていたカバンなどがそこら一面に散らばった。それを見ていたアルミ達は笑った。神崎については呆れ顔だった。

『長谷川君大丈夫か?』心配して言っているホイルも下向きに笑っていた。

『あっすみません!すぐ乗りますから…』長谷川は散らばった物をカバンに詰め込み車に乗り込んだ。

『本当にすみません。昔からそそっかしいもので…小さな頃は体中傷だらけでした』長谷川は下を向きもじもじしながら言っている。

『さぁ行くぞ!』ホイルはそう言うと車を走らせた。洞窟への道はいつもと変わらず静かだった。

『あれ…?あそこに誰かいますよ!』長谷川が何かに気が付きそう言った。アルミ達が見るとそこには黒服の男が歩いていた。

『あれはガイじゃないか!車を止めて下さい!』アルミはホイルに言うと車を止めた。ガイもこちらに気づき立ち止まった。

『ガイ久しぶりだな!』
『おぉ誰かと思えばアルミではないか!お前も来ていたのか?』

No.152 07/07/07 14:01
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 151 『あぁ昨日来たところだよ!今からあの洞窟に向かうところだ!ガイはどこに行くつもりだったんだ?』久しぶりの再会であった。

『実は俺もその洞窟を目指していたんだよ!魔水を探しにな!』
『魔水?なんなんだそれは?』アルミはそう尋ねながら車を降りた。近くの木陰に腰掛けた。皆も車からゾロゾロと降りてきた。

『実は…ミツキ姫が原因不明の病にかかってな…』
『ミツキ姫が…』ガイはアルミを見ると今まであった事を話出した。

『一週間前、城の鍛錬場で体を鍛えていた…』ガイは空を見上げた。



『うりゃー!とぉー!』ガイは刀を振り鞘に収めた。藁俵がバサリと落ちた。居合い抜きのようである。

『ガイ!ガイはどこ?』ミツキ姫の声がした。ガイはタオルで汗を拭きながら返事した。

『ミツキ姫どうなされた?』ガイは何があったのかとミツキに近づいた。

『ガイ…これを見てよ…何か変でしょう?』ミツキが差し出したのは飼っていた金魚であった。30㎝ほどのガラス鉢に2匹の金魚が泳いでいた。

『昨日あたりから元気がないのよ…』そう言われると確かに元気もなく苦しそうではあった。

No.153 07/07/07 18:56
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 152 『もしかしたら水が悪いのではないでしょうか?』
『私もそうではないかなと思って飼育係に聞いたのだけど、定期的に替えているらしいのよ…』ミツキは泣きそうな顔をしていた。しばらく見ていると金魚がプカっと浮かんできた。それを見てミツキは泣き出した。

『ミツキ姫泣かないで下さい。生き物はいつか死ぬのです。多分寿命だったのでしょう』
『そうだよね…命ある物いつかは死ぬのだよね…』
『泣くのは止めて部屋に戻りましょう!』
『うん、わかった!』ガイ達はミツキの部屋に向かった。

『ねぇ…ガイは好きな人はいるの…』
『急にどうしたのですか?私にはそのような人はおりませんが…』
『そうなんだ……』ミツキは少し寂しげな顔をした。ガイは何かまずい事を言ってしまったと頬をポリポリ掻いた。しばし気まずい雰囲気が流れていた。そしてガイ達はミツキの前に着き扉を開け中に入った。

『それでは私はこれで…』
『うん…ありがとうね…』ミツキは少し元気がなかった。金魚が死んだ性か、さっきの返事の性かはわからない。そしてガイが部屋を出ようとした時、後ろで倒れる音がした。振り返るとミツキが倒れていた。

No.154 07/07/08 14:25
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 153 ガイは慌ててミツキに近寄り抱え起こした。

『姫、姫、大丈夫ですか?おい誰か、誰か来てくれ!』ガイはミツキを見るが意識がない。抱え上げベッドに寝かした。すると世話役達が入って来た。それから医者を呼びしばらくしてやって来た。医者はミツキを診察しだした。医者は難しい顔をしている。

『どうした?姫の様態はどうなんだ?』
『すみません…今はなんとも言えませんが…医療室で詳しく調べないとわかりません!』
『では、早速医療室に連れて行こう!』そう言ってミツキを医療室の方に運んで行った。

それから2時間ほど経って医者が出て来た。

『姫の様態はどうなんだ?』
『今は落ち着いています。意識はまだ戻りませんが1つ気になる事がありまして…』医者は眉間にシワを寄せている。

『なんなんだそれは?』
『実はまだ詳しい事はわかりませんが体内に微量の毒らしき物が見つかりました』
『毒?それはなんの毒なんだ?』
『それが今まで見た事のない物でして…良く調べないと…』
『そうか!なら分かったらすぐ知らせてくれ!』
『わかりました』ミツキは毒を飲まされていたのだろうか?それとも…まあ結果が出てからだな。

No.155 07/07/08 17:14
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 154 しかしミツキだけではなかった。城の至る所で人が倒れだした。城では緊急配備がしかれ大調査が行われた。調査の結果、植物から取れる毒である事がわかった。しかしその治療薬がまだ見つかっていなかったのだ。ガイ達は途方に暮れていた。するとこの国に昔から噂になっていた、ある賢者の話が上がってきた。彼なら何か分かるのではないかと言う事なのだ。

『その賢者はどこに居るのだ?』
『アカラ山の近くに居るとは聞いた事はありますが、はっきりした場所はわかりません』
『アカラ山の麓に村がありそこの長なら知っているかもしれません!』
『わかった!俺が行って来る!』そう言うとガイは村に向かった。城を出ると2人の部下が追っかけてついて来た。

『おぉ―お前達!どうした?』
『隊長、俺達もお供します!』
『そうか助かる!それでは行こう!』ガイ達は改めて山の麓の村に向かった。村に着くと不思議な事に人っ子一人いなかった。村の中を見回しながら歩いていると広場に出た。するとそこに人だかりが出来ていた。それは村人が何者か達に銃を向けられていた。

『隊長あれは何ですかね?』
『わからん?しばらく様子を見よう』ガイ達は身を隠した。

No.156 07/07/08 22:13
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 155 『いい加減居場所を言ってもらおうか!』

ババババババッ!!
銃を空にめがけ打ち鳴らした。村人は怯えている。

『賢者の居場所を教えなければ1人ずつ殺して行く!』村人はただ怯えている。

『まずはお前からだ!』ひ弱そうな男に銃を向けた。

『止めてくれ…撃つなら私にしろ!』村長らしき男がそう言った。

『なら、お前からだ…』男は村長に銃を向けた。

『隊長!マズいですよ!助けなければ!』
『そうだな!お前達は右側から回ってくれ!そして俺が飛び出すのが合図だ…頼むぞ!』
『了解!』
『了解!』ガイ達は二手に別れ作戦を決行した。気づかれないように回った。そして男が銃を撃とうとした、その瞬間ガイは飛び出した。腰の刀を抜き男達に向かった。それを合図に2人の部下が飛び出した。一斉に男達に斬りかかる。男達は突然のガイ達の登場に一瞬怯んだ。すかさずガイは村長に銃を向けた男を斬り倒した。男達は次々と倒れていく。そして最後の男が倒れた。村人達は突然の出来事に唖然としていた。ガイが指示をして男達を縛り上げた。

『どこのどなたか知りませんがありがとうございました』村長はお礼を言った。続いて村人達が頭を下げた。

No.157 07/07/09 00:36
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 156 『申し送れました。私は城の親衛隊隊長でガイと言います』
『城の親衛隊?あのガイ様ですか!?』
『何私をご存知で?』
『姫様をお助けになった話はこの村でも有名です。そんなお方がこの村にどのようなご用件ですか?』
『実はその姫様が病で倒れられた!その病を治す方法を知っているのがこの辺り住む賢者!その賢者を知っているのはここの長と聞いた。それでここに来ました』村長は驚いた。何があったのだろうか?

『何故そんな顔をする?』
『実はあの者達もその賢者を探していたようで、何が目的なのかは知りませんが…』ガイは何かが起こり始めた気がした。

『あの…ここではなんですから家の方にどうぞ』
『そうかすまない!』ガイ達は村長の家に連れていかれた。村長の家に入るとコーヒーを入れてくれた。そして賢者について話してくれた。

『多分彼らは賢者の持っている魔水が目的ではないでしょうか?』
『魔水…?その魔水とはなんなんだ?』
『魔水とはかなり昔からどんな病も治すと言われる薬です。それを持っているのが賢者であるハイバル様なのです。彼らもそれを使って設けようとしているのでしょう』ガイは村長の話を聞き尋ねた。

No.158 07/07/09 02:05
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 157 『彼らも…?』
『実は今回が初めてではないのです…この村が襲われるのは…』村は今まで何度となくこんな目にあっていたようだった。しかしそれを救ってくれたのは賢者だった。だから彼らは賢者の居場所を言おうとしなかったのであった。

『大体の事はわかりましたがその魔水について教えてもらえないでしょうか?』『私も詳しくはわかりませんが、昔ある国の騎士が戦場へ行く途中に倒れ気を失ったのです。そして目覚めるとそこにあったのが魔水だったそうです。それを飲んだ事で元気になり戦場へと向かったそうです。彼はそれを傷ついた仲間に飲ませ傷を治したんだそうです』
『なるほどそんな話があったのですね』
『あくまでも昔話ですから本当かはわかりませんが…』ガイは村長の話を一通り聞いてから言った。

『それでもし良かったら賢者に合わせてもらえないでしょうか?』村長はしばらく考えていた。

『わかりました。ガイ様には助けていただいた。お礼に教えて差し上げましょう』
『そう言ってもらえるとありがたい!早速で悪いのだが教えていただけないだろうか?』ガイは村長にそう言った。

No.159 07/07/09 03:04
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 158 『それは構いませんが少し複雑な場所なのです。私の息子を案内に付けましょう!』
『ありがとうございます!』村長はそれを聞くと席を立った。しばらくすると村長が息子を連れて帰って来た。

『私の息子でマーベックです。コイツに案内させます』マーベックはまだ子供であった。しかし顔のキリッとして意志が強そうな子供だった。

『ガイ様はじめましてマーベックと言います。よろしくお願いします』マーベックはガイに近づいて会釈をした。ガイはしゃがみ視線を落とした。

『よろしくな!』マーベックの頭を撫でた。そしてガイ達は賢者ハイバルのいる場所を目指した。場所は山の中腹にあるらしく険しかった。確かに説明されただけでは分からないだろう。こんな所は登れるのだろうかと言う崖をマーベックはスルスルと登って行く。ガイ達はそれに続いて登って行く。しばらくすると目の前が開けた。マーベックが急に立ち止まった。

『どうした?』
『もう少ししたらハイバル様のいる場所なんだけど…』マーベックが言葉を濁した。

『なら早く連れて行ってくれ?』
『実はハイバル様はなかなか人を受け入れてくれないのだよね』マーベックは困った顔をしている。

No.160 07/07/09 13:55
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 159 『一応僕が先に行って話してくるよ!』
『そうか…それなら頼む!ここで待っているから…』
『じゃあ行って来るね!』そう言うとハイバルの所に向かって行った。ガイ達は近場の岩に腰掛けてマーベックの帰りを待った。5分ぐらい経った頃帰って来た。

『どうだった?ハイバルは会ってくれそうか?』
『はい!会ってくれそうなんですが…』
『どうした?』
『先にテストをしたいと言っているのですが…』
『テスト?何のテストだ?』
『とりあえず家の前に行きましょう!』ガイ達はハイバルの家に行った。そこには丸太で作られた小屋があった。その前に立つと声がした。

《お前達は本当に姫様の親衛隊なのか?》
『何故そんな事を聞く?間違いなく俺は親衛隊隊長のガイだ!』
《なら聞くが姫様の誕生日を言ってみろ!》
『誕生日…?』
《答えられないのか?》
『わかるさ!姫様の誕生日は7月7日だ!これで良いか?』《………》ハイバルはしばらく黙っていた。ガイ達は顔を見合った。しばらくすると扉が開いた。中からハイバルが顔を出した。

『済まなかった!入ってくれ!』それを聞きガイ達は中に入った。

No.161 07/07/09 15:31
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 160 中は暖炉がありそこではお湯を沸かしているのか湯気が立っていた。真ん中には木で作られたテーブルがありハイバルはそこに腰掛けている。

『まあ座りたまえ!』そう言われるとガイ達は腰を掛けた。ハイバルは白い髭を生やしていた。体はガッチリとしていた。ガイは何か引っかかった。どこかであったような気がしていた。

『ガイどうした?俺を忘れたか?』
『……まさか……師範!』
『やっとわかったようだな!ははははは!』ハイバルは笑った。部下の2人とマーベックは不思議そうな顔をしている。

『懐かしいなガイ!』
『私もです牌原師範!』ガイと牌原はガッチリと握手をした。

『それにしても何故誕生日を聞いたのですか?』
『誕生日か?それはなお前の癖を見るためだ。』
『俺の癖?そんなものありますか?』
『ははははは!男のくせに人の誕生日を良く知っている!』
『あははは…』ガイは照れくさそうにしている。

『冗談はこれぐらいにして姫の様態はどうなんだ?』
『今の所は大丈夫ですが意識は戻っていません!』
『あまり良い状態ではなさそうだな…』
『………』
『ガイお前が欲しいのはこれだな?』牌原はテーブルの上に魔水の瓶を出した。

No.162 07/07/10 03:12
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 161 ガイは魔水の瓶を取ると眺めた。魔水は薄い水色で匂いは無かった。

『それが最後の魔水だ!早く姫に飲ましてやってくれ!』
『ありがとうございます!しかし倒れたのが姫だけではないのです…』ガイは城での話を牌原に伝えた。

『それは困ったな…以前もらったのはそれが最後だからな…』
『それは誰からもらったのですか?』
『その魔水はある島で私が修行している時にもらった物だ。くれたのは漁師でギレンと言ったな。確か娘が居たはずだ。その当時赤ちゃんで目がクルッとして可愛らしい子だったな』
『その島の名前はなんですか?』
『島の名前はナインアイランドだ!そこの洞窟にあるとまでは聞いた!』
『ナインアイランドですか!』
『なんだ行った事あるのか?』
『はい、ちょっと前に行ったばかりです!早速行ってみます!』ガイはそう言うと席を立った。牌原も立ち上がった。固い握手をすると再び会う約束をして小屋を出た。険しい道を戻りそして村に着いた。

『お前達はこれを持って城に帰ってくれ!俺は島に行って来る!』
『わかりました!気を付けて下さい!』そう言って部下2人は村を後にした。そしてガイはマーベックと村長の家に向かった。

No.163 07/07/10 13:10
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 162 家の中に入るがそこには誰も居なかった。

『パパ?パパどこにいるの?』辺りは静まり返っていた。テーブルに何かが置いてある。良く見ると手紙のようだった。取り上げて見てみた。

《村長は預かった。助けたければ魔水を港の第3倉庫まで持って来い。》

村長はどうも誘拐されたようだった。その紙の下には《ブラックシャーク》と書いてあった。これはあの時の闇組織のはずだ。あれはホイル氏が解散したはずだ。誰がこんな事を…?とにかく行って見るしかない。

『マーベックここで待っていろ!俺が行って助けてくる!』そう言うとガイは港に向かった。港に着くと大きな倉庫が建ち並んでいた。倉庫前を歩きながら調べていた。言われた第3倉庫があった。辺りは昼間にしては静まり返っていた。ガイは周囲に目をやりながら中をうかがった。すると村長がロープで縛られていた。しかし辺りには見張りがいない。ガイはしばらく様子を見るため裏の方に回った。人の気配はするがどこにも見当たらない。多分不意打ちを狙っているのだろうか?すると動きがあった。村長の周りに数人が近寄って来た。そこの中の1人に見覚えがあった。

No.164 07/07/10 14:18
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 163 そこにいたのはサザナだった。確かあの時斬り倒したはずだ。何故生きている?まさかヤツが本物で倒したのは影!?何を企んでいるのだ?近くで足音がした。ガイは身構えた。

『隊長!私です!』さっき帰ったはず部下の1人だった。

『おうケイじゃないか!何故ここに?』
『村を出る時に怪しいヤツらを見かけたのでジェイに魔水を託し附けてきたらここに来たのです!しかし何故隊長がここに?』
『あれを見ろ!村長が捕らわれている…それで助けに来たのだ!』
『なるほど、それでどうなんですか中の様子は?』
『相手は6人全員銃を持っている!しかし1人手強い相手がいるようなんだ!倒したはずのヤツがな!』ガイは前あった事を話した。中を見ていると1人を残し他はどこかに行った。

『隊長、今がチャンスじゃないですか?』
『そうだな!行くぞ!』ガイ達は裏の扉からそろりと入った。見張りの1人はこちらには気づいていなかった。ガイはケイに指示して見張りを撃たせた。サイレンサーを付けている為音はしない。

プシュッ
見張りが倒れる。村長は何が起きたかと驚いている。ガイは素早く村長に近寄りロープを切った。

No.165 07/07/15 18:13
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 164 『ふふふふ…やはり来ましたねガイさん!』ガイは声のする方を見るとサザナが立っていた。

『何故俺が来ると…』ガイはサザナを睨みつけた。

『あの村に居たのは私の部下達なんですよ!アナタ達が来たのも見ていたのです!いずれアナタが魔水を持って帰ってくると思いまして待っていたのです』
『村長はあくまで囮だったか…しかしお前確かあの時死んだはず…何故生きている?』サザナはガイを見ながら笑った。そして今までの事を語り出した。

『私は不死身なんですよ!』
『不死身だと!ふざけるな!』
『まあ人の話は最後まで聞きなさい!』ガイはサザナの話を聞く事にした。

『確かに私はあの時死んだはずだった…しかしそこに2人が現れて…そして持っていた物を飲ませたの…そしたら私の傷はみるみる治りこの通りよ!』ガイはまさかと思った。そうサザナが言っていた物とは【魔水】の事だろうと思った。しかしその2人とは誰だろう?誰だろうと村長を先に助けるのが先だ。ガイはケイに目配せをした。ケイはわかったようだ。するとガイは腰にある袋に手を入れ煙玉を取った。ところがサザナが言った。

No.166 07/07/16 00:11
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 165 『村長は返してあげる!しかし坊やを助けたければ魔水を渡しなさい』ガイはしまったと思った。奴らの常套手段だった事を…

『汚いぞ貴様ら!!』
『こういう事に汚いもクソないわ!』サザナがそう言い放った。しかし魔水はすでに姫の元にある。どっちにしてもサザナに渡す物はない。

『マーベックはどこに居るんだ?』村長はそう言うとオロオロしている。

『大丈夫ある場所にちゃんと居るから!それはそうと…さあ魔水を渡してもらえるかな?』
『今はない!それに最後の魔水は今頃、姫に飲ましているはずだ…』
『何!アナタ達は手ぶらでここに来たわけですか!』サザナは頭にきたのか近くにあった椅子を蹴った。しかしすぐに気を取り直し言った。

『仕方ないですね!その姫に持って行った分をすぐにここに持って来て下さい!』サザナが険しい顔をして言った。そう言われても、もう無くなっているだろう。とにかく城に戻るしかない…。

『わかったすぐに城に戻って取ってくる!』ガイはそう言うと村長を連れ村へと戻った。

『ガイ様!マーベックを…マーベックを助けて下さい』
『任せて下さい。必ず助け出します』ガイはそう言うと城へと向かった。

No.167 07/07/16 01:32
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 166 ガイは城に戻りながら考えた。もし魔水を奴に渡したら…あれがなければ姫だけでなく城で倒れた者の命も危ない…。何か良い方法はないだろうか?そんな事を考えていた。すると道の先に誰かが立っている。ガイは立ち止まり身構えた。それは牌原だった。

『師匠!どうしてここに?』
『その話は歩きながら話そう』そう言うと城へと歩き出した。

『実はな…お前達が帰った後嫌な予感がして村まで降りてきたのだ。すると目の前を1台の車がすれ違った。それにはお前と一緒に来たマーベックが乗っていた』牌原はそう言うとガイを見た。

『お前は魔水が必要なんだろう?』
『はい、実はマーベックが人質にされ城に持って行った魔水をよこせと言っているのです』
『しかし魔水がないから困っていると言う事かな?』
『はい!そうなんです!…でもあれを持って行くと…』ガイは俯きながら言った。

『ガイよ!お前に言わなかったがあの島行けばなんとかなるかもしれない!』
『もしかしたらあの洞窟にあると言う事ですか?』
『そうだ!あの島に居るダンと言う男にあってみろ!』
『ダンですか!?』ガイは驚いた。あのダンが魔水の事を知っていたなんて…。

No.168 07/07/16 14:53
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 167 しかしあの島に行って本当に魔水はあるのだろうか?それに姫達の容態がいつ悪くなるか…。だが渡さなければマーベックが危ない…。どちらにせよあの島に行くしかないな!とにかく一度城に戻ろう。そして牌原に話かけた。

『師範は今からどうされるのですか?』
『ワシか…ワシは一度姫の所に寄って容態を見たい。もしかしたら直せるかもしれない!』
『本当ですか!?』
『我が家の秘薬があってな…それを使えばなんとかなるかも…ただ完全には治せないかもしれない…これが秘薬だ』黒い四角な箱を出した。中には5㎜ほどの丸薬が入っていた。

『まずはこれを飲ませるしかないな』
『それなら急ぎましょう!』2人は城へと急いだ。ガイは城に居るジェイに連絡をとった。

『おい!ジェイか…俺だ…魔水はどうした?………それならまだ姫には飲ませるな!しばらく待ってくれ…後10分で着く』そう言って切った。3人は城へと急いだ。そして目の前に城が見えて来た。城の門の前にジェイが見えた。待っていたようだ。

『ようジェイ!姫の様子はどうだ?』
『容態は変わっていません。それと魔水です』ジェイは魔水の瓶をガイに手渡した。

No.169 07/07/17 01:41
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 168 『ジェイとケイは第3倉庫に行って見張っていてくれ!』
『了解!』
『了解!』
そう言うと2人は倉庫に向かった。2人を見送るとガイ達は城の中に入って行った。そして姫の居る部屋に着いた。中に入ると医師達が忙しそうに歩き回っていた。

『姫の容態はどうだ?』近くに居た医師に尋ねた。

『はい、今の所は変化はありません』
『そうか…師範診てもらえますか?』後ろに居る牌原に言った。牌原は頷きミツキの側に寄った。医師達が見守る中、牌原はミツキを診た。しばらくして牌原がガイを見た。

『これは高山に咲くヒワリ毒草の症状に似ておるな!この体に出ている斑点がそうだ』そう言うとガイにさっき渡した丸薬を飲ませるように言った。医師達はミツキにそれを飲ませた。

『しかし症状は和らぐが完全には治らないな…やはり魔水が必要だな…』牌原はそう言うとミツキの側から離れた。

『それならこの魔水を飲ませた方が良いのでは……』
『飲ませるのは良いがマーベックはどうするんじゃ?ましてや姫様も喜ぶまい!』すると医師達が騒ぎ出した。ミツキが目を覚ましたのである。丸薬が効いてきたのだろう。

No.170 07/07/20 03:07
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 169 眠っていたのではなく意識はあったが動けなかっただけのようだった。しかし牌原の丸薬で動けるようになったみたいだった。ミツキはガイを向きか細い声で言った。

『…ガイ。話は聞こえてました。私は大丈夫ですからマーベックを助けてあげて…』まだ苦しいのかミツキは唸っている。しかし力を振り絞るようにさらに言った。

『本当に私は大丈夫だから行ってあげて…』
『そうだガイ!姫様もああ言っておられる。早く行って来い。後は私に任せろ!』ガイはそれを聞くと頷き入り口まで行き振り返ると深く頭を下げた。ミツキの言葉に感謝したのだった。

さっそくガイは第3倉庫へと車を走らせた。倉庫の近くに着いた。車を降り気付かれないように倉庫に近づいた。先に着いた2人に連絡をとってみた。すると待ち合わせた場所にケイが現れた。スラッとして髪が短い男だ。ガイよりは少し背は低いようだ。

『それで中の様子はどうなんだ?』
『はい!それが人質が見当たらないのです…?』
『見当たらないだと?それならどこに居るのだ?』
『別の場所ではないでしょうか?』
『仕方ない…とりあえず行くぞ!ついて来い!』そう言うと倉庫の中に入って行った。

No.171 07/07/20 17:02
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 170 ガイ達は倉庫の入り口に立った。中にはやはり誰もいない。ガイ達は辺りを伺いながら入って行く。奥に扉がありそこに近づくと中から声がした。

《魔水さえ入ればこっちのもんですわ!オホホホ…》
《奴ら持って来でしょうか?》
《あの人質が居る限り持って来るはずですわ!》
《そうですね…ミナ様!》…ミナ?どこかで聞いた名前だ。どこだったかな?確か…ハナナム家の令嬢がそんな名前だったはずだ。まさかな…。近くで足音が聞こえた。

『お前ら何者だ?』ガイ達が振り返るとサザナの手下が銃を向けている。

『お前はガイだな!サザナ様…サザナ様!奴らが来ました!』ガイ達は一歩下がり身構えた。扉が開きサザナ達が出て来た。最後に女が2人出て来た。ガイはそれを見て確信した。ハナナム家の令嬢2人であった。1人は姉のミナ、もう1人は妹のムナである。

『あらあら盗み聞きですか?いけませんね…魔水は持って来たのですか?』サザナがニヤニヤした顔で聞いて来た。

『あぁ持ってきた!マーベックはどこだ?』
『マーベック?…村長の息子ね!彼は他の場所に居るよ!アナタ達が何するか分からないからね!』サザナはさらにニヤニヤしながら言った。

No.172 07/07/21 13:10
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 171 『それはこっちの台詞だ!』ガイは怒りを露わにした。

『あらあらそんなに怒らなくても…』何かムカつく感じだ。

『お前…俺達をバカにしているのか!』流石にガイはキレてしまった。今にも襲いかかりそうだ。

『隊長落ち着いて下さい!』ケイが止めに入るとガイは我に返った。サザナの挑発にのってしまった事を恥じた。

『ところで魔水はどこにあるのかしら?早くこちらに渡しなさい!』
『ここにはない!こんな事もあるかと別の場所に置いてある…先にマーベックの無事を確認しないとな…』ガイがそう言うとサザナは後ろにいるミナに何か話しているようだ。

改めて令嬢2人を見ると姉はオテンバ風で妹は逆で大人しそうだ。だが女性は見た目では判断が出来ないところがある。しばらくして話が終わったのかサザナが言った。

『仕方ありませんね…こちらに来て下さい』そう言うと先ほどの奥にある扉に入って行く。ここにいるのか?そんな訳はない。それならあんな言い方はしないだろう。

中に入るとごちゃごちゃしていてテーブルの上にはモニターがあった。この倉庫は事務所も兼ねていたのだろうか…。サザナはモニターのスイッチを入れた。

No.173 07/07/21 14:29
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 172 画面が出るとそこにはロープで縛られて横たわっているマーベックが映った。そこはどこかの部屋だろう。太陽の光が差し込んでいる。地下ではない事だけがわかった。

『ご覧の通り無事ですよ!』サザナはガイを見て言った。ガイは納得する訳がない。

『ふざけているのか?こんな物先に撮影する事だって出来る』
『まだ信用していただけないようですね!わかりました!お連れしましょう!その前にそちらも魔水を見せてもらいましょうか?』
『わかった…』ガイは無線機を出すとジェイに魔水を持って来るように言った。ガイは部屋を出て倉庫の方に歩きだした。するとそこに瓶を持ったジェイが立っていた。その横からマーベックを連れた手下も現れた。

『さあこれでよろしいですか?お互い確認が出来ましたよ…渡してもらいましょうか?』
『わかった!ジェイその瓶をそいつに渡せ!しかしサザナ同時に交換だ!良いな?』
『わかりました…そうしましょう!』サザナはニヤニヤしながら手下に指示をした。ガイは部下2人にあるサインを出した後指示をした。手下がマーベックを差し出し、ジェイがマーベックを掴み手下の手に瓶を渡した。2人同時に離れた。

No.174 07/07/22 01:00
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 173 離れた瞬間サザナの手下達が銃を構える。ほぼ同時にガイ達も動いた。ガイは素早くサザナの首元に刀をつけつけていた。

『流石ですな…油断しました。しかしこちらの方が上手だったようですね…』サザナが余裕の顔してマーベックの方を向いた。見るとマーベックの様子がおかしい。助けたジェイも不思議そうにしている。マーベックが急に笑い出した。その声は子供の声ではない。マーベックが顔に手を当てると皮を剥ぎだした。中からはサザナの手下が現れた。

『サザナ…貴様!騙したな!』
『ははは!騙されるアナタが悪いのですよ!』サザナは勝ち誇った顔をしている。

『魔水は頂きましたよ』サザナは瓶をミナに手渡した。

『マーベックはどこにいるんだ?』それを聞いたサザナが合図をすると入り口の所に手下がマーベックを連れて来た。

『ガイ様!!』マーベックがそう叫んだ。

『マーベック待っていろすぐ助かるからな!』ガイはサザナを見て尋ねた。

『サザナお前何が目的だ?』サザナはそれを聞くと話出した。

『ははは…察しが早いですね!それはこの魔水の他に魔水のありかを知ってますよね?』ガイは何故サザナが知っているのか不思議だった。

No.175 07/07/27 00:46
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 174 『ガイ様いい加減刀を収めてもらえませんか?』ガイはしぶしぶ刀を鞘に収めた。サザナは首のあたりを触りながら少し下がった。

『さて、先ほどの件ご存知ですよね!?』
『俺は師範から貰ったそれしか知らない!』
『とぼけても無駄ですよ…ちゃんと調べはついているのですから…ねぇケイさん!』
『!?』ガイは驚いた。まさか自分の部下が裏切るとは思っていなかった。ガイは悔しさに拳を握りしめた。

『何故だ…ケイ何故裏切った!』
『裏切った?ご冗談を…私は元々サザナ様の部下…隊長…いやガイあなたを見張る為に部下になっただけ……別に裏切りではないさ』ガイは驚いた。今まで俺は部下達の何を見て来たのだろう…。自分の不甲斐なさに落胆した…。

『まぁそういう事です。では教えてもらいましょうか?…いや探して来てもらいましょう!それで良いですよねミナ様?』サザナはニヤリと笑った。

『そうしてもらえるかしら?』ミナが言うとガイは尋ねた。

『何故そこまでして魔水が必要なんだ?』ミナはガイの方に近づいて言った。

『ふふふ…あれね文字通り魔法の水なの!若返りの薬と言われているの…ご存知かしら?』ミナはそう言ってガイの肩を叩いた。

No.176 07/07/27 13:11
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 175 ガイは少し俯きながら答えた。

『仕方ない…私が見つけて来よう!ただしすぐには無理だ!最低でも3日は欲しい…』
『それぐらいは待ってあげるわ!』ミナは長い髪を掻き揚げ答えた。その後ろでムナは何故か悲しそうな顔をしていた。ミナがムナを見ると無理に笑っていた。もしかしたらムナはこんな事はしたくなかったのだろうか?本人に聞く事が出来ないからわからないが…。そんな事を考えているとサザナが口を開いた。

『それでは早速探して来てもらいましょう!』
『わかった!絶対に人質に手を出すなよ!』
『わかっていますよ…だから早く探して来て下さいね…』
『ああ…わかった!』ガイはそう言うとジェイと倉庫から出ていった。サザナはそれを見届けるとミナに言った。

『ミナ様…ヤツは必ず探し出してくれますよ…』
『そうね!彼はそういうタイプだわ!必ず探し出してくれるわ!必ずね!』ミナは振り返ってムナに合図をすると奥の部屋に歩いていった。サザナはマーベックに近づき顎をつかみ言った。

『もうしばらくの辛抱よ!食べたりはしないから心配しないでね…ははははは』笑っているサザナを見ながらマーベックは震えていた。

No.177 07/07/27 13:54
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 176 その頃ガイ達は空港に向かっていた。もちろん魔水を探す為ナインアイランドに行く為であった。ガイはジェイに言った。

『ジェイ…俺は何をしていたのだろう?人質も救えず、部下の事さえ分からなかった…』
『隊長!それは自分も同じです!パーフェクトな人間なんていません!それより早く魔水を見つけてしまいましょう!』『そうだな…悩んでも仕方ないな!』ガイはジェイに勇気を貰った。ガイ達は湖の近くを通り過ぎた。湖面から雁の群れが飛び立つのが見えた。ここを過ぎると空港までは後少しだった。

『ジェイ!』
『はい?』
『俺はあの島に1人で行く…』ジェイはガイを見る。

『私も行きます!』『いや…お前にはやってもらいたい事がある…それは奴らを見張って欲しい!それにこの事を村長に伝えて欲しいのだ』
『………』ジェイは返事が出来ずにいた。

『ジェイお前だから頼んでいるのだ…良いな?』
『わかりました…隊長』ガイはジェイを見て微笑んだ。そしてガイ達は空港に着いた。1人ガイは車を降り軽く手を挙げると空港の中に入っていった。そしてナインアイランドへと旅立った。

No.178 07/07/27 17:03
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 177 ジェット機に乗ったガイは窓の外を眺めていた。そこには雁の群れが飛んでいた。《先ほど見た雁だろうか?それにしても疲れた…》そんな事を思いながら眠り落ちた。どれぐらい経ったのだろうか?窓の外に9つの島が見えていた。そうナインアイランドに着いたのであった。

『ふぅ~久しぶりだな…』ガイは独り言を言いながら空港を出た。

『ダンの店を探さなければ…確か街の外れ辺りだったな…』ガイはダンの店に向かって歩き出した。しばらく歩くと見慣れた犬!?いや狼が近づいて来る。

『お前は…アギトじゃないか!!元気にしていたか?』ガイはしゃがみアギトの体を撫でた。アギトは気持ち良さそうにしている。そして立ち上がると再びダンの店に向かった。アギトはガイの横をついてきていた。

目の前に店が見えて来た。ガイは店の前に立った。すると後ろからガイを呼ぶ声がした。振り向くとそこにはサツキとシュウトが立っていた。

『ガイさん久しぶりね!今日はどうしたの?』サツキは微笑んでそう言った。

『ちょっとなここの店主のダンに会いにな…』ガイが言うとサツキは近寄り言った。

No.179 07/07/28 02:48
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 178 『そうなんだ…でも今ダンはいないわよ!ここじゃなんだから中に入りましょう!』そう言うと扉を開け中に入っていった。中には前来たときと少し変わっているように思った。

『好きな所に座って!コーヒーで良いかしら?』
『あぁ頼む!』何か久しぶりにゆっくりコーヒーを飲む気がした。サツキはカウンターでコーヒーを作り出した。コーヒーの薫りが漂って来る。横を見るといつの間にかシュウトが腰掛けていた。足をブラブラさせながらキョロキョロしている。しばらくするとサツキが出来上がったコーヒーを持ってきてガイの前に置いた。

『さぁどうぞ!砂糖とクリームはそこにあるから使ってね!』
『ありがとう!俺はブラックで大丈夫だよ!』ガイはカップを持ち上げて薫りを嗅いだ。なんとも言えないうまそうな薫りだった。ガイは一口飲んだ。

『これはうまいなぁー!!』
『当たり前じゃない!誰が作ったと思っているの!』サツキがそう言う。

『そりゃそうだ!あははは!』ガイはそう言って笑った。

『ところでダンはどうしたんだ?』
『ダンは今港の近くに行っているの!』
『…港?』ガイはカップを皿に置いた。

No.180 07/07/29 22:50
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 179 『港に何しに行ったのだ?』ガイが尋ねるとサツキはジュースをシュウトの前に置いた。シュウトはそれを取り飲みだした。足は相変わらずブラブラしている。そしてサツキは皿を拭きながら答えた。

『ダンは今日届く荷物を取りに行くって言っていたけど…そろそろ帰って来るのじゃないかしら?』
『そうか…ならしばらく待たせてもらうか…』
『久しぶりだからゆっくりしていって!』サツキがそう言うとガイは懐から煙草を出し1本に火をつけ吸い出した。煙を吐き出すと視線を感じた。視線の先を見るとシュウトがジッとガイを見ていた。いや、ガイと言うよりガイが腰に挿している刀だった。

『どうした?これが珍しいか?』そう尋ねるとシュウトは頷いた。ガイは刀を抜くとシュウトに見せた。

『危ないから気を付けろよ!』シュウトはただジッと見ているだけでしばらくすると刀をガイに返した。

『もう良いのか?』シュウトは頷いた。何がしたかったのかは良くわからなかった。刀の柄にあるブラックダイヤを見ていたようだった。まあ珍しい物ではあるからな…。

『ところで何故アナタ達はここに居るのですか?』ガイはサツキに聞いた。

No.181 07/07/30 02:19
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 180 サツキはニコニコしながら言った。

『実はあれから旦那がこっちでコーヒーの畑を作るって言い出してね…それで仕方なくこっちに居るのだけど…何かしていないと退屈だからダンの店を昼間借りて喫茶店をやらして貰っているのよ!』
『本当にそうなのか…?あの時は言わなかったが…』そう言いかけるとサツキは話を遮るように言った。

『シュウト悪いけど外に出て遊んでくれないかな?』シュウトは黙って店の外へと出て行った。外ではアギトだろうか?犬の吠える声がした。

『ガイさん何が言いたいのかしら?』サツキは腕を組みガイを睨む。

『昔、俺は1人の女性に助けられた…コードネームはエス!あなたですよねサツキさん!?』
『………』サツキはしばらく何も言わなかった。

『あの時意識が朦朧としていたから顔は覚えていないがその腕の傷と声はハッキリと覚えている!』サツキはとっさに腕を隠した。ガイはサツキの目をジッと見た。

『ふふふ…懐かしい話ね…何年になるかしら?あの時はゲリラの襲撃に合い私の部隊も壊滅状態になっていて…私達も必死に反撃していた…そこに黒の部隊が現れた…それがあなたの部隊だった』サツキは椅子に腰掛けた。

No.182 07/07/30 03:11
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 181 『黒の部隊は烈火の如くゲリラ達を倒して行った…ゲリラは窮地に追い込まれた…後のない彼らは最後の手段に出た…身を捨てた攻撃だった…あらゆる武器を撃ちながら攻めて来る…そして黒の部隊の近くにミサイルが爆発し何人かが倒れてた…』サツキは思い返すようにそう言った。

『そうだったな…あの時俺達の近くで爆発があり俺は気を失った…しばらくして近くで足音が聞こえて来て意識が戻った…ゲリラ達が俺に気づき今にも撃とうとした時、銃声と共にゲリラ達が倒れた…それはサツキさん…君が俺を助けてくれたのですね?その後はまた気を失ってしまったから覚えてはいないがな…』ガイが言うとサツキは微笑み言った。

『いいえ…あの時あなた達が来てくれてなかったら私達はどうなっていたか…お互い様ですね!』ガイとサツキは笑った。

『じゃあやっぱりあの時の女性はサツキさんだったんですね!!』サツキは頷いた。

『そう…私よ…しかし何故コードネームまで知っているの?』サツキはガイがそこまで知っているのか聞きたくなった。

『それは助けてくれた人の事を調べるのは当たり前でしょう!』
『どこまで調べているの?』サツキが聞くとガイはニヤリとした。

No.183 07/07/30 15:15
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 182 『俺はあなたに助けられた事を聞き情報部に頼み調べてもらった!しかしサツキさんがあの有名なエスだったとは思わなかった…』コードネームエスとは有名な女スパイだった。

『そこまで調べがついていたのね…これ以上は話さなくて良いわね!家族は誰も知らない事だから…』
『それはわかっている!誰にも言うつもりはない!』
『ありがとう!』サツキは頭を下げた。ガイは吸いかけの煙草を消すと入り口の方を向いた。

『それにしてもダンは帰って来ないな?』
『言われてみればそうね…』
『俺ちょっと港の方に行って見てくるよ』ガイは立ち上がりサツキに言った。

『そう分かったわ!もし入れ違いになったら連絡してあげるわ!』
『ありがとう!ちょっと行ってくる!』そう言ってガイは店を出て行った。外ではシュウトがアギトと遊んでいた。港へと歩いて行くと街は賑わっていた。近々祭りがあるらしい。人混みをすり抜けて港に着いた。そこには大きな貨物船があり荷物を下ろしていた。その一角にダンらしき男がいた。ところがその近くに見た事のある2人の女性が一緒に居た。ハナナム家の令嬢達だった。

No.184 07/07/31 17:51
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 183 何故に令嬢達がここに居るのだろうか?それよりもダンと一緒に居る事が謎である。令嬢達はダンが魔水の事を知っている事を知っていたのだろうか?謎が深まるばかりであった。ガイはダン達の近くへ見つからないように近づいた。やり取りの声が微かに聞こえてきた。

『例の……はちゃんと……かしら?』
『ああ!……はあの中に………あるはずだ?』途中の声が聞き取れない。その後も良く聞き取れない中、ダン達を見張っていた。すると話が終わったのか、令嬢達はどこかへ居なくなった。頃合いを見計らってダンの元へ歩いて行った。

『よう、ダン元気にしていたか?』ガイは近づくそう言った。

『誰かと思えばガイじゃないか?久しぶりだな!今日はどうしたんだ?』ダンはガイと握手をして肩を数回叩いた。

『ちょっと君に聞きたい事があってな…少し時間をもらえるか?』
『それは構わないが…どうした?』ダンは作業をしている者達に指示をするとガイと歩き出した。

『それで話とはなんなんだ?金の事なら無理だぞ!』ダンは笑いながら言った。ガイは呆れた顔をした。

『すまんすまん…俺が悪かった…話を聞こう』ダンはさっきとは打って変わって真面目な顔をした。

No.185 07/08/02 02:40
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 184 『実はダンに聞きたい事あるのだが…』
『ん…なんだ?』
『魔水の事知っているか?』
『魔水?……いや知らないな…』ガイはダンの意外な返事に驚いた。

『そんなはずはない…それなら牌原師範を知っているだろう?』
『ハイバラ……あっハイバルね!知っているよ!昔何度かあったな…そのハイバルがどうした?』
『師範がダンに聞いたらわかると言っていたのだが……本当に魔水の事知らないのか?』
『……ああ』ダンは本当に知らないようだ。ガイは諦めて立ち去ろうとした。するとダン呼び止めた。

『ちょっと待ったもしかしてお前が言っているのは【命水】の事じゃないかな…?』ダンはそう言った。命水?また新たな名前が出てきた。

『命水とはなんだ?』
『ここではなんだから車に行こう!荷物も全て載せたから帰りながら帰ろう!』ガイ達はダンの車に乗り込むと話出した。

『まあ俺もそれでも詳しくは知らないのだが、昔からここの島に言い伝えがあってな病気を治す力ある水があるらしいのだ…確かギレンがその在処を知っている最後の継承者じゃなかったかな?』
『それならそのギレンに合わしてくれないか!?』ガイがそう言うと首を横に振った。

No.186 07/08/10 11:49
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 185 『何故会えないのだ…?』
ガイは不思議に思い尋ねた。

『残念だが亡くなっているよ…漁に出て嵐に巻き込まれてな……』
ダンは思い返すように言った。

『亡くなった…と言う事は他に知っている者はいないと言う事か?』
ガイは確認した。だがダンは意外な事を言った。

『しかし彼には娘がいた…』
『娘?』
『そうガイお前も知っているだろう!……クルミだよ!』
『あのクルミがそうなのか…!?』
そう声の無い少女のクルミであった。クルミの両親が亡くなった事は聞いていたがあの娘だとは…。偶然にも知り合っていたのだ。

『それでクルミは今どこに居るのだ?そう言えば君が店でアギトにはあったがクルミは居なかったが…』
『今は学校じゃないかな?』
そう言われればクルミは学校へ通う年齢ではある。声も取り戻せて楽しんでいるだろう。

『そろそろ学校も終わるだろうから俺が家に送ってやるよ!』
ダンは腕時計を見るとそう言った。ガイにとっては願ったり叶ったりの事であった。

『すまない。そうしてくれたら助かるよ』
ダンは車をクルミの家へと走らせた。南国風の小屋が見えてきた。

No.187 07/08/13 07:07
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 186 車を停めると2人は入り口へと向かった。ノックをしてみるが返事がない。

『まだ帰って来てないな…』
『そうだな…しばらく待つしかないな!』
『ああ…』
ガイは小屋の外にある丸太で出来た椅子に腰掛けた。

『ところでそのお前の言う魔水でどうしょうと思っているのだ?』
ガイはそう聞かれて今までの事を話した。空を見ると鳥が飛んでいた。見たこともない鳥だった。

『なるほどね…そりゃ困ったな!それにしてもまたサザナが関わっているのか!何が目的なんだあの男は…?』
『確かにね…ヤツいったい何者なんだ…』
ダンは何かを考えていた。

『ヤツは確か昔どこかのゲリラの一員だったはずだ!』
そう言った。すると…

『あれっ?おじちゃん達どうしたのこんな所で?』
声の方を見るとクルミが立っていた。声が出なかった彼女はあの四角柱により声が出るようになった。

『おおクルミ久しぶりだな!待っていたぜ!』
『えっ!?私を待っていたの?』
『ああ…ちょっと聞きたい事があってな…』
クルミは目をクルクルさせて見ている。

『聞きたい事って何…?こんな所もなんだから中に入ってよ!』
そう言われガイ達は小屋の中に入った。

No.188 07/08/14 01:03
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 187 中に入ると中央にテーブルと椅子があった。そこにガイ達は腰掛けた。

『学校の方はどうだ?楽しいか?』
『うん凄く楽しい!』
今までは声が出ない事で学校に行けないでいた。ダンが親代わりに勉強を教えていた。余計な事も教えていたようだったが…。

『紅茶しかないけど良いかな?』
『ああ構わないよ』
クルミはヤカンを沸かしながら聞いた。

『ところで話って何かな?』
『クルミは魔水…いや命水を知っているかい?』
ガイはストレートに聞いた。クルミはカップに紅茶を注いでいる。

『魔水…命水…あっ昔お爺ちゃんに聞いたことある!確かこの島の洞窟に不思議な水があるって言っていた!でもそのままでは普通の水だって!』
カップを置きながら何かを思い出そうとしていた。

『熱いから気を付けてね!』
『ああ…ありがとう!それでどうやったら効果が出るのだい?』
『それはわからない…そういえば前…お父さんがそれに関しての本がどこかにあるって言っていたと思うのだけど…』
『それってどこに?』
ガイは食いつくように言った。

『お父さんの遺品はあっちの部屋にあるけど…それがあるかわからない!?』
クルミは自信がないようだった。

No.189 07/08/15 05:26
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 188 『部屋はこっちよ』
ガイ達はクルミに案内されクルミの父であるギレンの部屋に入った。そこは漁師とは思えないほどの本の山であった。何かを研究している科学者の部屋と言った方が正しいだろう。

『これがお父さんの部屋!好きなように調べ下さい!私は隣で宿題やっているから…』
そう言って出て行った。ガイは本の山を見回しながらため息をついた。

『こりゃ何日かかるか…』
ガイがそう言うのもわかる気がする。かなりの本の量であった。

『まあ水に関する本と言い伝えの本を探した方が早いだろうな!』
ダンもそう言いながら一緒になって探している。助かる話だ。だがさっきのハナナム家の令嬢と一緒に居たのが気になる。

『おい!これはもしかして…』
ダンが持っている本は古く、今にも破けてしまいそうである。表紙を見ると【島の伝説】と書いてあった。

『それなら何かわかるかもしれないな!』
ガイは受けとると読み始めた。内容はいろんな事が書いてあった。海に怪物が出るとか、この島には9つの宝玉があり集めると願いが1つ叶うとか書いてあった。どこかで聞いたような話だ?そして半ば辺りに魔水の事が書いてあった。

No.190 07/08/15 08:23
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 189 そこにはこんな事が書いてあった。
[その者達は遥か昔、大きな舟で空より現れた。その者達の力は巨大であった。地上に降り地上の全てを支配した。そして繁栄を続けた。だが平和はいつまでも続かなかった。空の彼方より邪悪な力が襲ってきた。その者達の大半は死んでいった。戦いの末、その者達の中でも一番力のある者が邪悪な力を水により地下へと封じ込めた。]
最初の所にはそんな事が書いてあった。だが肝心の魔水の事がわからない。

『なんだ結局わからないじゃないか…』
ガイは頭を抱えている。

『まだ最初だろ!続きを読んで見ろよ!』
ダンがそう言うとガイは続きを読みだした。
[その一番力のある者は封印が解けない為にも水の事を記した。命水は遥か宇宙の彼方にあり、そして5つの光と交わり魔水となる。封印は千年に一度弱まる。それを防ぐ為にも我が分身をこの世に残し旅立つ。それをこの紋章与えこの地の者に与える。]
説明はそこまでになっていた。そこには絵が描かれてあり双頭の狼であった。これが意味するのはなんだろうか?確かあの洞窟の中にこれと同じ彫刻があった。やはり間違いなく、あそこにあるのであろう。

No.191 07/08/26 09:36
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 190 次の章には5つの宝石について書いてあった。[緑、黒、青、白、赤の宝石と亀、蛇、狼、竜、鷲の紋章を与える。これが1つになれば大きな力を得られる]
そのような事が書いてあった。それが魔水に関する項目であった。しかしこれだけでは良くはわからないのは確かだ。

『なんだよ…結局良くわからない!どうしたもんだろうな?』
『それなら一度洞窟に行ってみるしかないな!』
『……そうだな!行って何かわかるかもしれないな!』
ガイは本を直すと部屋を出た。

『ガイ!俺ももう少し調べてみるよ!ちょっと気になる事もあるしな…』
ダンは顎に手を置き考えていた。そういえば港で見たあの2人との関係が気になる。

『なあ…1つ聞きたいのだけど良いか?』
『なんだ?』
ダンは振り返るとガイを見た。

『さっき港で見たのだが…あの2人はハナナム家の令嬢だよな?いったいどんな関係なんだ?』
ダン少し驚いた風だったが少し笑うと答えた。

『ああ、あの2人は俺のお得意様よ!普通に手に入らない物を俺なら手に入れられるから、良く頼まれるのだけど…ああやって直接会ったのは初めてだ!』
ダンはカウンターの椅子に腰掛けた。

No.192 07/08/29 15:02
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 191 『それで何を頼みにきたのだ?』
ガイが聞くとダンは腕を組んで答えた。

『それがな…ホイル氏の屋敷を聞かれただけだ!後はこの前頼まれていたレッドイーグルの謎についての事を聞きに来ただけだ』
『レッドイーグル…?』
『レッドイーグルとは【真紅の鷲】と言う赤いダイヤだ。令嬢の家に伝わる家宝だ。今はそれがどこにあるかわからないらしい。本当の後継者の元にあるはず…』
ガイは思いだした。さっき調べた1つじゃないか!それに本当の後継者とはどう言う事だ?

『それはいったいどう言う事だよ?』
『彼女らは本当の後継者ではない…彼女らの父には兄がいたみたいなのだが、ある日を境に行方が分からなくなっている家宝と共に…』
『見つかったとして何をするつもりなんだ?』
『そこまでは俺もわからん…』
2人はどうでも良い話だが引っかかっていた。魔水の宝石の話だった。もしかしたらレッドイーグルが必要ではないのかと…。

『ダン俺も頼むレッドイーグルについて調べてくれるか?』
『ああ、俺もそのつもりだ!もう少しここの書籍を調べてみるよ!』
『それはそうとホイル氏の屋敷は何故聞いて来た?』
ガイの質問にしばし考えて答えた。

No.193 07/08/30 09:11
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 192 『多分だが後継者の叔父の行方を聞こうとしていたのではないかな?』
『行方…それを何故ホイル氏が知っている?』
『叔父になる人とホイル氏は友人だったようだ。まぁこれは令嬢が事前に調べていたみたいだが…それ以上の事はわからない…なんならそれも調べておくさ!』
ダンはそこまで言うと煙草を吸った。

『頼む!とにかく俺は洞窟に行ってみる!』
ガイはそう言うと出口に向かった。

『おじちゃんもう帰るの?』
クルミがそう言った。

『ああ、でもまた来るよ!』
『うん、待っているね!』
ガイは洞窟へと向かった。

しばらく歩いているとガイは誰かがつけて来ている事に気が付いた。立ち止まるとその者も止まる。どう見ても素人だ。尾行がバレバレである。ガイは走り出し素早く木の陰に隠れた。その者も慌てて追いかけてきた。ガイは後ろに回り取り押さえた。

『貴様何者だ?』
『………』
その者はバタバタして何も言わない…言わないのではなかった。ガイが締め上げすぎて喋れなかったのだった。その者は気を失い倒れてしまった。良く見るとその者はこの島の20代の男だった。何度か顔を叩くと目を開けた。男は驚きビクビクしている。

No.194 07/09/02 20:32
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 193 『お前は何者だ?』
男は後ずさりしながらガイを見ている。ガイは襟元を掴み再度聞いた。

『お前は誰だ?誰に頼まれた?』
ガイの凄い形相に男は口を開いた。

『俺は漁師でヤンだ』
『それで何故俺をつけてきたんだ?』
『それは…どこかのお嬢さんが金をやるからアンタを尾行しろと言われたんだ。金に困っていたし尾行するだけだから俺でも出来ると思ったんだよ』
ヤンは観念してそう言った。ガイは多分ハナナム家の令嬢だろうと思っていた。

『お前もつまらない奴に捕まったな!そいつに言ってやんな洞窟に向かったってな!』
『えっ良いのかい、そんな事言ってアンタは困らないのか?』
『大丈夫、来るなら来いってもんだ!さぁ行きな!』
『すまない助かった!じゃあ…!』
そう言うとヤンは去って行った。ガイはヤンの背中を見送ると再び洞窟へと向かった。しばらく歩くとまた気配がする。まさかまた誰かが尾行しているのか?すると森からバッと何かが飛び出して来た。それは赤穂だった。いつも勝手に歩き回っているから忘れていた。しかしその気配じゃなかった気もする。まあどちらにせよ後でわかる事だ。そう思いながらガイは洞窟に向かった。

No.195 07/09/03 12:19
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 194 『赤穂どこに行っていた?』

キキーキ…

『そうか森で遊んでいたのか!』
ガイは幼少の頃から動物の言葉がわかった。なぜわかるのかはわからない。家で飼っていた犬といつも話をしていた。周りはそれを見て気持ち悪がった。それでイジメにあっていた。しかし兄の鉄馬だけは理解してかばってくれていた。かといって鉄馬が動物の言葉がわかっていた訳ではなかった。ただガイの事を信じていたのだ。

しかしある時、能力がある事が周りにもわかった。それはガイが12歳の頃、町長の娘が行方不明になり何日も見つからなかった。そんな時、ガイが動物に聞きながら探し出したのだった。周りは驚きながらもガイの後ろについて行くと山奥にある炭焼小屋に弱り果てた娘を見つけたのであった。それからはガイを見る目が変わったのだった。

『また忙しくなるぞ!』

キキー
赤穂はクルクルと飛び回っていた。

すると後ろから車の近づく音がした。もしや奴らかと思い振り返ると懐かしい顔が見えた。少し通り過ぎると止まった。

『ガイ久しぶりだな!』
そう、やはりアルミ達だった。

『アルミお前も来ていたんだな!』
またアルミ達との冒険が始まる。

No.196 07/09/22 03:34
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

外伝 黒い龍

遥か昔、この国では血で血を洗う戦いが続いていた。

ズドドドドド……。

何十頭もの兵を乗せた馬が走り過ぎる。

『あれが敵か?』

『ああそうだ!先頭にいるのが俺達の標的だ!』

『先に回り込むぞ!』

『わかった!』

そう言って黒装束の男達はまるで風のように林の方へと走って消えた。そして道の見える所に来ると木の陰に身を隠した。

ズドドドドド……。

さっきの集団が現れた。

『よし、行くぞ!』

『了解!』

男達は道へ駆け下りると、集団の前に立ち、刀を抜いた。

『貴様ら何者だ?私を時村 利蔵と知った上の狼藉か?』

『ふふふ…すぐに死ぬのに名乗っても仕方あるまい!』

『何を!皆の者ヤツらを切り捨てい!!』

一斉に男達に斬りかかった。風を斬る音と走り抜ける音が響いた。すると十人ほどの兵が倒れた。

『だから言ったろ!すぐに死ぬってね!』

『その者を早く斬れ斬るのだ!!』

時村はそう言うと兵達は斬りかかった。だが男達は強かった。あっという間に兵達は地面に倒れて行った。そして残るは時村だけになった。

No.197 07/09/22 03:39
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 196 『さて、あんただけになったよ…』

『…まさか…お前ら噂で聞いた…月影だな…?』

『ふふふ…仕方ない、冥土の土産に聞かせてやろう!俺が月影の凱!』

『そして俺が昇!』

そう言うと凱は飛び上がると利村に斬りかかった。そして烈火の如く利村に刀を振り下ろした。凱は着地して刀を収めた。

チンッ…

すると利村の首はゆっくり地面に落ちた。体はまだ馬の上に乗ったままだった。

『ふっ大した相手ではなかったな…よし、昇帰るぞ!』

『ああ…』

彼らは風のように去って行った。空は夕日で真っ赤に染まっている。まるで血のようだった。



『凱!』

『なんだ?』

昇は走りながら凱に尋ねた。

『親方様は何故に時村の命を取れと言ったんだ?俺には納得がいかねー』

『親方様の命令は絶対だ!つまらぬ検索は止めろ!俺達は黙って従えば良い!』

『しかしよう…時村と言えばこの国をあいつらから守った男だぞ!やはりおかしいだろう…』

それを聞くと凱は急に止まった。昇もそれに気づき止まった。凱はしばらく黙ったまま立っていた。その背中は哀愁を感じさせた。そして昇の方を向くといきなり殴った。

No.198 07/09/23 03:18
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 197 『なんだよ…なぜ、殴るんだよ?』

『うるさい!親方様には、親方様の考えがあるはずだ!俺達がとやかく言う事ではない!』

凱の眼は鋭く昇を睨みつけた。それを見て昇は何も言えなくなった。2人は歩きだし屋敷へと帰って行った。

『親方様、ただいま戻りました』

凱達は膝をつき頭を下げた。目の前には薄いカーテンのような物がかけてあり親方様の顔を見る事は出来なかった。

『時村の首をとりました』

『それはご苦労であった。後はゆっくりとしてくれ』

『はっ!』

凱と昇は頭下げるとその場を立ち去った。

『紅龍…』

『はっ!』

どこに居たのか風のように現れた。

『例の件はどうなった?』

『今着々と進んでおります』

『わかった…任せたぞ』

『はっ!』

そう言うと紅龍は姿を消した。

『ふふふ…間もなく私の願いが叶う…あははは…』

親方様の笑い声が屋敷に響いていた。


凱達は自分達の小屋にいた。朝から何も食べていなかったから食事をしていた。

『咲ちゃんお代わり!』

『昇は良く食べるね!』

『そりゃ朝から何も食べてなかったからな!腹が減っては戦は出来ぬだよ』

昇はニッコリと笑いながら咲からの丼のような茶碗を受け取った。

No.199 07/09/23 03:21
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 198 ガッツキながら食べている横で凱は酒を飲んでいた。

『凱、食べないのか?それ俺が喰って良いか?』

『ああ…食べろ』

『すまねえな、いただきま~す!』

昇はどこに入るのか凱の分まであっという間に食べてしまった。

『凱、食べないでお酒だけだと体もたないわよ…』

咲が凱を心配してそう言った。

『ああ…わかっている…』

凱達は戦での孤児であった。それを拾ったのが親方様であった。小さな頃から忍術を叩き込まれて来た。咲はその親方様の右腕である雷鳴の娘にあたるのだ。雷鳴とは名前のごとく稲光のような早さで人を斬る。もし受けたとしても体はしびれて二の手が出ないほどである。凱にとっては憧れの人で兄のような存在であった。

『咲…いつも俺達の為にありがとうな…』

『何を今更…気にしないでよ!』

昇は口に箸をくわえたまま2人の様子を見ていた。何か思いついたのか、咲に向かって言った。

『咲~おめえ~凱の事が好きだろ?』

『昇…何を言っているのよ…バカじゃないの!!』

咲は顔を真っ赤にして小屋を出て行ってしまった。

No.200 07/09/24 02:16
アルミ‡ ( ♂ yXSV )

>> 199 『凱、お前は咲の事どう思っているんだよ?』

『どうとは…?』

『何しらばっくれているんだよ!好きか、嫌いかだよ』

凱は酒をグッと呑むと昇を見た。

『好きだ…妹のようにな…』

『はぁ~そんな事聞いてないだろう!女としてどうだと聞いているのだろうが!!』

凱は杯に酒をつぐとまたグッと呑んだ。杯を床に置くと言った。

『俺達は明日死ぬかわからぬ身…恋など語れぬ…』

昇は黙り込んでしまった。それは忍として育った彼らにとってはつらい話ではあるが、残された者の事を考えると当たり前なのかもしれない。

『昇…』

『なんだよ?』

『お前はどうなんだ?』

『へっ?』

昇は凱の言葉に驚いて目を丸くしていた。

『何がだよ?』

『だからお前は咲の事好きなのか?』

『えっ…俺は関係ないだろうよ…それに先に聞いたのは俺だろうが!』

昇は完全に舞い上がっている。そんな昇に凱はとどめを刺した。

『ふん、好きなんだな!』

昇の顔は真っ赤になり少し慌てていた。

『俺は…忍に生きるんだ。女なんて関係ない!』

『ふふふ…』

『何がおかしい?』

凱はチラッと昇を見ると膨れっ面していた。

『いや…別に』

  • << 201 『それなら笑うな!』 そう言って後ろを向いた。凱は最後の一杯を呑むと昇に言った。 『明日も早いから寝るぞ!』 凱は立ち上がり奥部屋へと入って行った。 朝になると辺りで雀の声が聞こえて来た。すると誰かの足音が近づいて来る。凱は身構えた。 『凱、昇、居るか?』 凱は声の方を見ると伝助が立っていた。凱達と一緒にこの屋敷に連れて来られた。孤児であった。あだなは泣き虫伝助だ。 『居た…早く起きろ!里が大変な事になっているぞ』 『どういう事だ?』 『どういう事もくそもない!とにかく早く来い!』 そう言って伝助の後を凱達はついて行った。すると里の至る所で人が斬り殺されていた。 『誰がこんな事を…』 無差別に女、子供も関係なく殺されていた。凱は死体の斬り口を見た。 『この斬り口は…風雅の者…』 それを聞いて昇が言った。 『…風雅?ヤツらは南の忍…俺達とは同盟を組んでいるはずだ…何故にこんな事を…』 凱は立ち上がり伝助の肩に手を置くと言った。 『雷鳴様に伝えて来い』 『おお、わかった』 伝助は屋敷の方へ走って行った。
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