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離婚した人と友達以上恋人未満。

葛藤

レス212 HIT数 36298 あ+ あ-

匿名
14/03/23 08:10(更新日時)

Everlasting Love.



あの日から…
5回目の夏が来る



今もまだ
あたしの横には
スヤスヤと眠るこの男がいる







13/07/19 02:13 追記
●以前、書いていた
「Everlasting Love」の続編です。

14/03/23 08:10 追記



『葛藤』
続きはこちらです ↓↓↓↓↓ m(_ _)m
http://mikle.jp/viewthread/2074669/

No.1975394 13/07/16 02:58(スレ作成日時)

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No.1 13/07/16 20:13
作家1 

すごい、なんかの歌詞みたいだ~
詩人ですね、主さんは。

5年付き合ってる彼がいるのですか?
でも、どうして「葛藤」っってなってるんでしょう??

No.2 13/07/17 22:50
匿名0 

>> 1


レスありがとうございます!
慣れないのでタイトル間違えちゃいました(*゚▽゚)ノ


タグってとこに「葛藤」を入れて
タイトルは Everlasting Love. にしたつもりでした(笑)

詩人ではなく おバカちゃんですね(*_*;


葛藤…の中身はお話の中でご理解頂けるかと思います。


レス嬉しく思いました。
ありがとうございます!


No.3 13/07/18 02:13
匿名0 

>> 2


「ねぇねぇ…!
私の存在ってどんな感じ?」





「うーん…そうだな…カミサンじゃなくて、嫁さん。って言うのかな…そんな感じ!」




うーん…
「嫁さん」…………?
ちょっと意味が分かんない。


嫁さんってどんな存在なんだろうか。




喧嘩するほど仲がいい
って言うけど、
ホントに私たちは喧嘩が多い。
しかも決まって、水曜日………。


意識してるわけでもなく
気がつくと
「あッ!今日もまた水曜日…!」
って感じ。





「嫁さん?
嫁さんってどんな感じなの?」



「なんて言うか、
何があっても離れない。
お互いを理解し合ってて
ずっと一緒にいられる安心感がある。
そんな感じ!」





「ふーん…」
よく分からん。
確かに、付き合いが長くなれば
お互いをよく分かっているのは確か。




けど、馴れ合いで何でも「当たり前」「普通」になるのが許せない私。




ほらね…
昨日まであんなにラブラブだったのに
今日はまた当たり前のように飲んで酔っ払って返事がないな…と思うと もう寝てる。



散々、待って「来て」って言うから支度してんのに
メールの途中でもう寝てる。




ほら!
また水曜日。
私の手帳の水曜日は黄色で埋まる
黄色は喧嘩マーク。



ラブラブなピンクより黄色が勝つ、私の手帳…。




なんだかんだ言って
こんな手帳も5冊目になった。




No.4 13/07/21 16:35
匿名0 

>> 3


織田さんは奥さんが初めて付き合った女性。
奥さん以外の女性と付き合った経験がない。



だからか、時々 私の過去を聞きたがる時がある。
別に隠す必要もなかったのかもしれないけど…



私には、封印したい過去がある。
そんな過去の私を知ったら…
心配症の織田さんは、きっと今より「心配」する要素が増えるだろう。



何より、そんな私を知ったら…
幻滅される。嫌われる。
そんな不安もあり、私はあえて過去を隠した。



私が付き合った男性は 元旦那と
離婚後、付き合った小島…
結婚前に付き合った男性、3人だけ。




…と言う設定になっている。




残りの2人はあまり気にする感じはないけど、
小島の事だけは気になるようだ。



人は、人肌恋しくなる時期があるのだろうか。
たまーにメールが来る。
不思議と決まって同じ時期に。



私の寂しさを察するかのように…。



No.5 13/07/21 17:06
匿名0 

>> 4
18歳の時。
まだ純粋だったあの頃。
私は小島と付き合っていた。
同級生と言うこともあり、家も近い。
友達を含め、毎日のように会っていた。



お互いの家にも、よく遊びに行った
いつも一緒だった。
あの当時はまだポケベルで、今では思い出せないような暗号のようなモノで
「愛してる」
って毎日、言い合ったね。



ずっと一緒にいたせいか、
もっともっと長く付き合った気がしたけど
あんなに仲良しだった私たちは
たった「5ヶ月」で終わってしまった。



たった1つの過ちで
あっけなく終わった18の恋だった。




昨日までラブラブだった2人が
たった一晩で気持ちって変わってしまうモノなんだ…
と、悲しくて毎晩 泣いたよね。
訳もなく、あの駐車場の前を通って…。






No.6 13/07/22 02:40
匿名0 

>> 5

小島との再会は何年前だっただろう。
忘れちゃったけど、同級生の結婚式だった。
もうその頃 私はバツイチだった。




その前にも二度、会ってはいた。
一度は同窓会。
二度目はやはり同級生の結婚式。
小島は彼女連れだった。
特に、何の感情を抱くわけでもなく終わった。




私が言う再会とは、三度目の事を差す。
女友達とは時間が合わず、結婚式場が分からなかった私は誰かに連れて行ってもらうことにした。
その相手が小島だった。




電車の中で色んな話をした。
「ねぇ…あんたさぁ!たいしてカッコいい訳でもないのに(笑)なんで次から次へと彼女出来んの?」




失礼な言い方だけど、私たちはいつもこんな感じだった。



「えー、失礼だなぁ(-.-;)出逢い系ですが悪りぃ?」




出逢い系………。
私には未知の世界。




「出逢い系って怖くないの?顔出すの?
たから、あんたいつも騙されんだね( ´艸`)」




「あ~、どーせ俺は女運ないですよーだ!
だってさぁ…この歳になったら出逢いなんてないじゃん!?」




まぁ…確かにそうだけど。
出逢い系なんて怖いじゃん。





そんな会話をしながら結婚式場に着くと、会場で待っていた同級生と合流した。





帰りはみんなで帰った。
最後だけ、みんなと方向が違う私はみんなに
「バイバイ!またね~♪」
と言い、一人足早に歩いた。



誰かが後ろからついて来る。
「一人じゃ危ねーから送るよ」




小島だった。



No.7 13/07/23 01:33
匿名0 

>> 6


「お前の家ってどこ?今日、実家に帰んの?」




「あー、もうみんな寝てるだろうからアパートに帰ろっかな」




今日の結婚式の話なんかをしながら歩いてると
小島の手が、さりげなく私の腰に。



「なにしてんの!?(-_-#)」





「いーじゃん!ちょっと昔を思い出してんの!」




「ふーん…」





酔ってんのかな?
小島はお酒が強いから めったに酔ったりしないのに…。




少し戸惑ったけど
この時はお互いフリーだった事もあり
「ま、いっか」と思い そのまま歩いた。





「着いたよ。ありがとね!ウチ、ここだから」 





………。




「ん?」




「俺も疲れたから泊めて」



「アホか(*_*;」




「アホです!」




そう言うと小島はウチにドカッと上がり込んだ。
ハッと我に返った。




「あ!無理!ウチ布団 1つしかないから!」




あーだこーだ言ってるうちに小島はもうスーツを脱いでいた。




「ちょっとぉ!ベットは私が寝んの!あんたは下!」




「はいはい、分かりましたよー。」
小島は布団もない真冬の床に寝っ転がった。










No.8 13/07/23 01:48
匿名0 

>> 7



仕方がない。 
私は寒いキッチンでパジャマに着替え、ベットに入った。




6畳一間しかない部屋に2人きり。
小島に背を向けるように私は寝た。




こんなシチュエーションじゃ当たり前。
そっとベットに入り込み、
「寒いから一緒に寝かせて」…と
背後から私に触れてくる。




昔、好きだった男が私に触れている。
そっと後ろからキスしてくる。




私はそれを受け入れた。





その日から、私たちは幾度か 
こんな関係を続けていた。



No.9 13/07/28 09:43
匿名0 

>> 8



織田さんと付き合い始めても
度々、小島から連絡はきた。




その都度、断る。
だが、懲りずにまた連絡が来る。




「ごめん…私、浮気はしないって決めたの。
だから、もう逢わない」




返事はない。
織田さんを好きになってしまった私は
他の男の身体は受け入れられなくなっていた。



もう以前の私ではない。
どんなに落ち込んでも、他の男で満たすことは
完全に卒業した。



そんな事をしたら…
罰が当たる。
常にそう感じていた。




だが、不思議なモノで
私がオチたり、悩んだり、凹んだりしている時に限って連絡がくる。



それは小島だけじゃない。
岡田も…
陵くんも…
みんな私の寂しさを察したかのように…。




弱くて愚か者の私は
別れても、アドレスは消せないままでいた。



今まで、寂しいとき
相談に乗ってもらったり愚痴を聞いてもらったりした。




織田さんと付き合ってからは
そんな事さえも裏切りに思えて
私は一切、返信するのをやめた。
岡田に関しては、着拒してアドレスも消した。




No.10 13/07/29 15:56
匿名0 

>> 9


陵くんは既婚者。
小島が「知り合うのは出会い系」と言ったあの当時、「出会い系ってそんな簡単に知り合えるんだ?」
と、興味本位で覗いた掲示板で仲間同士の飲み会で知り合った。




既婚者だと知らずに付き合った。
ある日突然、奥さんからメールが来た。
「あなた、騙されてますよ!陵には妻子がいますから」




あれが出会い系と言うものをキッパリやめるキッカケになった。



出会い系は作ろうと思えば簡単に相手が出来る。
寂しさを紛らわすために…
でもそこには「落とし穴」がある。
やっぱり「怖いモノ」だと思った。



寂しくても、「現実」を見よう。
その一歩を踏み出せた出来事だった。





No.11 13/07/29 16:17
匿名0 

>> 10



あとから知ったことだけど
そのメールから、陵くんとは連絡がつかなくなった。
泣いた。
いっぱい泣いた。



大好きだった人がまさか既婚者だったなんて。
奥さんからのメールで知って、メールがきた途端から連絡が取れなくなるなんて…。




夢のようで夢じゃない。
現実を受け止めるしかなかった。
それから私は仕事に没頭した。



蓮がスポーツを始めたこともあり、
私は「お母さん」に戻れた。
毎週、洗濯とお弁当作り。
お茶当番があって自転車でよく応援に行ったよね。



蓮はスポーツが得意だったから
試合は楽しみで欠かさず行った。



男なんかいなくても平気な私でいられた。




ある時、知らないアドレスからメールがきた。
陵くんだった。



あの時、奥さんとモメた際に携帯を折って
アドレスも分からず連絡出来なかった…と。
一言、謝りたかった…と。




でも、逢うことはもうなかった。
私の中で忘れようと必死に一歩進み出したのだから…。




陵くんは「子供のために」離婚はしない。
と言っていた。




そんな陵くんからも、忘れた頃にふとメールがくる時がある。




人は…寂しいと思い出すモノなのかな…。



No.12 13/08/07 01:39
匿名0 

>> 11



この頃の私は
「別れ」をよく考えるようになっていた。




決して、別れたいわけじゃない。
「好きだから別れる」
なんて、意味が分かんねー!と、ずっと思ってた。
ただの綺麗事だと思ってた。




この何年間…
色んな事があった。



不倫してて、こんな言葉を発したら笑うかもしれない。激怒するかもしれない。
それでも私は、素直に感じている。



色んな壁を乗り越えてきた…と。



けど、年数を重ねて行けば行くほど
その壁は高くなり、深刻になり、現実味も増していく。




織田さんが「バレない」ように頑張るのは何のため?
本当は、そんなの分かってる。
口には出さないけど、分かってる。



もう楽にしてあげる!
たまに、そう思う。
それと同時に…
私も… 苦しさから逃げたくなるんだ。
好きなのに。大好きなのに。




そんな事を考えてると…
ほらね…。
メールが鳴る。
それは欲しい相手からじゃない。




陵くん…。




「元気か?」




「うん…。陵くんは?」




「酔っ払い(゚◇゚)今、帰り道」




「相変わらず飲兵衛だね!!」




「なぁ…凛。今度、会えないか?
7月7日!」




7月7日………七夕だぁ。
日曜日。
織田さんとはメールも出来ない日曜日…。




一瞬、気持ちが揺らぐ。
「まっ、今すぐじゃなくていーから。考えてみて」

No.13 13/08/08 02:29
匿名0 

>> 12



それからと言うもの、陵くんからは毎日メールがきた。



そんな時、また些細なことから織田さんと喧嘩になった。




「自信がなくなった。俺じゃ凛を満たせない。出来ることと…出来ないことがある。何のために俺は頑張ってるのか…。俺がどれだけ頑張っても結局、凛は満たされない。…もう、自信がない」




この言葉を見た瞬間、絶望感に襲われた。
普段、喧嘩をしたって こんな事は言わない。
喧嘩の原因はだいたいがお互いのヤキモチから始まることが多いから…
子供みたいに意地の張り合いになって
次の日には、どちらかが折れて仲直りする。




でも、この日は違った。
次の朝も昼も…メールはない。
なのに、職場では笑ってる織田さんがいる。
それが私には酷く切なかった。




メールをしてみる。
けど、返事は来ない。




笑ってる織田さんが、遠い人に見えた。
午後から外回りをしなきゃならなかった私は
同じ空間にいなくて済むことにホッとした。




外に出て、もう一度だけ!と思いメールをした。
返事は来ない。
喧嘩ばっかりしてきたけど
こんなのは初めてだった。




「いい加減、嫌われたんだ」
そう思うと涙ばかりが溢れて
とても営業なんて出来なかった。




電話をした。
織田さんの会社の電話に…。



さすがに、仕事関係なら出ない訳にはいかなかったんだろう。



「もしもし」



なんでこんなに声が震えるんだろう。
織田さんの声を聞いたら本当に立っていられない程、ボロボロだった。



「すみません。ちょっと体調が悪くなっちゃったので早退させてください」



やっとのように言えた言葉、だった。




「わかった。じゃ、俺が変わるから。帰っては来られそう?」




「…はい」




私とは違って全然、普段通りの「上司」の織田さんの声だった。




辛いのは、私だけなんだ…織田さんはヘッチャラなんだ。
そう思うと益々、涙でもう周りすら良く見えなくなった。




終わっちゃうかもしれない…。
私は織田さんを傷つけた。
つまんない事で嫌みを言った自分をえらく後悔していた。



No.14 13/08/09 00:10
匿名0 

>> 13


会社に戻ると織田さんの姿はもうなかった。
ちょっぴりホッとしたような…悲しいような…。




「中川さん、具合悪いんだって?大丈夫?」




前嶋だ。


「すみません。頭が痛くて…」




「送ってくよ!車乗ってけば?」




「いえ…大丈夫です。ありがとうございます」




「じゃあ、気をつけて帰ってね」




「はい。失礼します」



そう言って私は会社をでた。




考えれば考えるほど涙が出てきて…。
「泣いた」とわかる顔で家に帰りたくなかった。




こんな時間じゃ智恵も仕事中だし…
缶コーヒーを買って公園に行った。




愚痴れる相手も話が出来る相手もいない。
こんな時はいつも行く公園。
落ち込んだ時はいつもここに来た。




タバコに火をつけ
これから仕事はどうしよう
専用携帯はどうしよう
ひたすらボーッと考えていた。




その時、携帯が鳴った。
「家、着いたか?大丈夫か?」



織田さん…。




返事をしていいものか迷っていると
「帰ってないのか?…公園か?」




「公園………」




よく見ると、織田さんのメールには絵文字がついていた。



「早く帰って少し寝ときな」
いつもの優しい織田さん。




「もうすぐ帰る。心配しないで」
私はまだ絵文字はつけられなかった。




織田さんからメールがきた事で
ホッとしたのかな…。
また涙がポロポロ零れ落ちた。




いつまでも、ここにいても仕方ない。
家に帰るとメールがきた。




「どうよ?返事は決まった?」





なんだ…。
陵くんか。
七夕は近づいていた。




「陵くん…。私ね、他の男の人とメールするだけでも罪悪感でいっぱいになるの。裏切ってるようで。………ごめん。やっぱり会えない」





「そっか…分かった。じゃあメールもこれが最後な!幸せになれよ!…でも最後に言っとく。不倫はやめろ。凛が幸せになれないから。では」





「うん」
これが陵くんとの最後のメールになった。



幸せ。
私にとって、
幸せってなんだろう…。











No.15 13/08/09 00:27
匿名0 

>> 14



好きな人のそばにいたい。
好きな人にそばにいて欲しい。
ただ、それだけ。
ただ、そう願うだけ。





少し泣き疲れた私は、いつの間にか眠っていた。
いつも喧嘩の後は逢って仲直りする。



でも今日は
「今から帰るよ」
織田さんからのメールで目が覚めた。





昼間、メールはくれたけど
織田さんの気持ちもまだ不安定なんだね。
どこかぎこちない私たち。













No.16 13/08/10 01:32
匿名0 

>> 15


5年という年月のせいなのか
お互いの気持ちに「ズレ」を感じ始めていた。




いつまでも新鮮な気持ちでいたい私と
「嫁さん」をもらって安心しきっている織田さん。



毎日のように言い合っていた「好き」って言葉も…
投げかけないと出てこない。




ラブラブな日だってある。
嬉しい事も幸せな時間もいっぱいある。



でも最近は喧嘩の中身と後味が以前とは違う。
重みが違う。
喧嘩するたび、体中の全ての力が抜けたように無気力状態で、ものすごく疲れる。
簡単に仲直り出来なくなっている。



喧嘩するたびに感じる不安。
もしかしたら、
もしかしたら織田さんも…
私と同じように「別れ」を考え始めてるんじゃないか…。




「俺は笑ってる凛が好き」




そんな言葉も今ではもう聞くこともなくなった。
独身の私と、既婚者の織田さん。
織田さんが色んな面で頑張ってくれたから「今」がある。
そう思う。




5年記念日ももうすぐ。
今年のプレゼントは何にしよう。




もしかしたら、
織田さんにとって
最高のプレゼントをあげられるかもしれない。




待っていたメールがやっと来た!と思ったら
また少し落ち込んで…
返事こないな、と思ったら もう寝てる。
私は眠れずに、今日もただただタバコを吸ってはプレゼントの中身ばかりを考えていた。



「大台に乗るね」
と喜んだ私たちの嬉しいはずの記念日。
私からのプレゼントは、果たして渡せるんだろうか………。



No.17 13/08/10 02:02
匿名0 

>> 16



ある先輩が言っていた。
男が浮気する時は、嫁には無い「癒やし」の場所を求めるから、絶対に嫁とは正反対の女を選ぶ!
って。




以前、織田さんに聞いたことがある。
「夫婦が長続きする秘訣ってなに?」
って。
織田さんは若い時に結婚してるから結婚生活は長い。その秘訣を聞いた。



「カミサンのだんまり、かな」
ちょっと意味がわからず聞き直したら


「すごい苦労させてるけど、黙って耐えてくれてる」
と言っていた。
鬼嫁の印象が強かったから、結構な衝撃を受けた。




じゃあ、私たちは?
私、奥さんと正反対なのかな…。



でも「癒やしの空間」
もうそれは、今の私には果たせてないかもしれない、と思った。



仕事熱心で職場の 1人1人を大事に考えてくれる人。女が多いこの職場で色んな神経を使ってる。
決して、夫婦が不仲なわけじゃないのに私とここまでいてくれた。



癒やすどころか疲れさせてる私が
これ以上、織田さんといる価値があるのか…
私といて何のメリットがあるのか…




プレゼントの中身はほぼ決まっていた。
あとは私がキチンと渡せるか…。
こんなに好きなのに、
好きだから、
どんなに自分が辛くて悲しくても




好きな人のために
好きだから、



ねぇ…織田さん。
好きな人の幸せを願って
別れを選ぶことが出来ますか?


きっと、織田さんなら
出来るよね…。




No.18 13/08/12 00:54
匿名0 



ある日、私は先輩に誘われて飲みに出かけた。
そんな時でも…いつ、織田さんから
「帰るよコール」が来てもいいように
私はお尻のポケットに携帯をしまい
こんな時だけは「トイレの近い女」になる。



2~3回トイレに行って携帯をチェックした。
まだ連絡はない。
「まだ飲んでる」
そうメールを入れると



「まだ仕事中、まだ大丈夫だよ」
と返事が来た。



そこから少し安心した私は、あまりトイレばかり行くのもマズい気がして
なかなか携帯を見れずにいた。




「そろそろ明日もあるから帰りましょうか」
やっと切り出せた。




「そうだね!じゃあ、その前に私もトイレ行ってくるね!!」




チャンス!
即、携帯を開いた。




真っ青になる私。




携帯の不具合は確かに続いてはいたが
さっきは普通にメールしたのに…




携帯を開くと
一気に何通かのメールと着信。




そこには、
「そろそろ帰るぞ」
から
「着いた。もう限界だ。家着いたらメール入れとけ」
のメールが入ってた。




かなり怒ってる。
まさに、いつもとの逆バージョン………。



No.19 13/08/17 04:09
匿名0 

>> 18


慌てて電話をした。
………繋がらない。



同時に電話をかけていたからだった。
少し待ち、かけ直そうとすると
電話がきた。



木村さんが戻って来てしまうかもしれないと思ったが
迷わず出た。




怒っている。




この人は、自分の事はいつも棚に上げて
私の時には、ものすごく怒る。
相手は女じゃない!ちゃんと報告もしてるし…。



そんな事じゃない。
自分が
「帰るよ」とメールしたのに
返信しなかった事に疑っているんだ。




「どこにいるんだ?」




「和民…」




「なんでメール見ない?
電話に出ない?」




「今、携帯開いたら…まとめて来たの
ごめん」




「帰ったらメール入れとけ」




「分かった。ごめんね」




私の年に何度もない寄り道なのに
やってしまった。



家に着きメールをした。
普段、電源すら入ってない「専用携帯」。
私が携帯を変えてから半年近く。
織田さんからのメールはたった3回のみ。
こういう時だけ使われる専用携帯。



もう専用携帯は
無意味なモノになっていた。
私の中では………。



No.20 13/08/17 04:23
匿名0 

>> 19



喧嘩をしても
朝、メールが来ない事はないのに
次の朝…メールがない。



織田さんからメールが来ない限り私からメールをしても織田さんには繋がらないから
あえてメールを待った。



急遽、お休みする時も大抵は隙を見てメールをくれていた。
あまりにも連絡がないからメールしてみた。
専用携帯ではなく、直に。



「お休み?」




「いや、ご機嫌斜めなだけです」




「そっか…ごめんなさい」




朝、木村さんが男の社員に絡んでたのを見て
昨日、一緒だったんじゃないか…と疑ったらしい。
私のメールが遅かったのも気に入らなかったようだ。




なんだか、本当に喧嘩ばっかりで
仲直りしても喧嘩で…。
もう、この頃から…お互いに気持ちが疲れ果てて
すれ違い始めていたんだね…。




私たちの5年記念日と共に
終わりも近づいていたんだね…。

No.21 13/08/17 17:57
匿名0 

>> 20



この日はメールを返してくれたことにより
仲直り出来た。



…はず、だった。



でも、私が帰った後からはメールがない。
きっと忙しいんだ、と思いメールを待つ。



待っても待ってもメールは来ない。
忙しいのか、まだ怒ってるのかさえ分からない。



また、せっかちな私はメールをしてみる。




「忙しいの?」




「オヤジ達と飲んでる。
また連絡する」



なんだ………。
また、飲みか。




昔から嫌いなこの時間。
連絡は全くない。
24時を過ぎると…私の怒りがこみ上げてきた。




昨日の私と何が違うって言うの?
同じじゃない!
私は、ちゃんと報告してから飲みに行ったし場所も伝えた。電話にも出た!



仕返しのつもり?
あまりにもメールさえ無視されるから
遂に私はルールを破る。



してはいけないはずの電話を織田さんに…した。
もちろん、出るはずはない。


次の瞬間、メールがきた。



「バレた」
「ざけんな!」




…バレた?
バレた!ってなに?




No.22 13/08/18 00:18
匿名0 

>> 21




そのメール以来、一切 メールは来なかった。
「最後は必ず連絡する」約束は、
またも破られた。




何度も何度も同じ事で喧嘩をして
それでも守られることのない約束。



以前の織田さんは、次の日 必ず
「昨日はごめん」
と、謝ってくれたのに…



今回は違った。




朝一のメールで
「今後一切、電話はやめてくれ」




今までと違うこと。
それは、



織田さんが私にキレる。
私がキレられる事が多くなった。



織田さんの我慢してきたことが
爆発し始めたんだね。




私から、
織田さんの携帯に電話をすることは
出来なくなった。
それでも、専用携帯はいつも電源すら入っていない。




私って…
なんなんだろう………。
自分の都合のいい時だけは専用携帯から電話をしてきて、私は電話もできない。



「今後一切、電話はやめてくれ」



酷く深く心に傷がついた
そんな想いだった。



No.23 13/08/18 02:50
匿名0 

>> 22




この日も私は早退した。
「仕事は仕事、ちゃんと切り替えて仕事はキチンとして欲しい」



前に言われた言葉。
確かにその通り。
それが出来る織田さんと出来ない私。




家に帰ってボーッとしながら
今までのメールを読み返してた。


幸せな時間だっていっぱいあるのに
喧嘩になると そんな幸せはどこかへ飛んでいく。



たまたまメールが来た。
同級生からのプチ同窓会のお誘い。


今まで私の全ての時間を
蓮と織田さん最優先で過ごしてきた。
喧嘩続きだったから迷ったけど
またには私も気分転換が必要だと思い、出席にした。




男もいることは内緒にして
次の日、同窓会に行った。



「きっと心配してるはず」
飲んでても織田さんの事が気になる。
店は電波が悪く、友達の携帯はほぼ圏外だった。
私の携帯は大丈夫だったけど
圏外の方が都合がよかった。



時々、外に出てメールを入れた。
「まだまだ終わらないから、ゆっくりしておいで」



優しい織田さん。
でも、織田さんの終電の時間が近づいてきたら…
喧嘩続きだったからか、帰り道くらい いっぱいメールがしたい!と思い、私は先に同窓会を切り上げて帰宅した。



「帰ってきたよ!そろそろ終電だし帰るよね?」




返信が
いつまで経っても………来ない。



No.24 13/08/18 03:14
匿名0 

>> 23

木村さんと飲みに行ったあの日が引き金になって
3日間も喧嘩続きだった。
「また、喧嘩は嫌だから」
そんな思いもあって早めに帰宅したのに
どうしたんだろう…。




何度かメールをしたが
返信はない。
いつの間にか私も眠っていた。



夜中、3時頃メールが鳴る。
「凛から連絡がくるまで、少しだけ仮眠!のつもりが…爆睡してた。ごめん」



「そうだったんだ。待たせてごめんね。ホッとした」




「明日も仕事だから7時に起こして!」




「わかった(^_^)/~」




「会社、気味悪いし床が硬くて寝付けないな」




「少しメールする?」




「凛、起きてたの?いつもごめん」




「メールで目が覚めた。安心したから気にしないで大丈夫」




「よかった(^-^*)寝付けそうだ」




「寝よっか」




「だな。①だよ(*´∀`)」


「私も大①」




①とは、予測変換を気にした私たちの愛情表現だ。「好き」を表す。



しばらく、ぎこちなかった2人に
やっと普段通りのごくごく普通の幸せな時間が戻った瞬間だった。




No.25 13/08/18 03:33
匿名0 

>> 24


その3日後は、1年に数回しかない
「唯一、ゆっくり過ごせる」会社の休みの日だった。



お互い、いつもこの日だけは待ち遠しくて楽しみにしている日。
喧嘩続きだったけど、この日だけは必ず逢おうね!と約束していた。




…が、




夕方のメールで織田さんが
「凛、すまん。まだ分からんが…もしかしたら明後日、無理かもしれん」



その理由が、私には理解出来ず
我慢出来ない私は、またもやすぐにヘタレ凛になる。私が凹むのが1番辛い、と いつも織田さんは言う。
少しくらい我慢してあげれば済む話なのに…
私はショックを隠しきれない。




織田さんが気を使い
「俺も出来れば明後日は会いたかった。もし、明後日が無理だったら…今日、会うか?」




数時間しか会えないのと
1日中一緒にいられる その日とは意味が全然、違う!と思いながらも「仕方ない」と思った私は
精一杯の強がりで
「うんッヾ(≧∇≦)」
と答えた。



本当は、ものすごくショックだった。
それからしばらくメールが途切れた。


 

No.26 13/08/19 01:25
匿名0 

>> 25

仕事中だから忙しくなってきたんだな…と、思い時間を見て



「お風呂入ってくるね」
と、メールした。



お風呂から出るとメールが入っていた。




「ちょっと待った!」
「明後日、大丈夫になりましたヾ(≧∇≦)
でも、せっかくだから今日も少しだけど会おう」




やった( ´艸`)
すごくすごく嬉しかった。



だが、この後…
私の済む街では台風並みの大雨が降り出す。
通り雨なら良かったが、一向に止む気配を見せない雷雨。
時間だけが過ぎていく。




「織田さん。雨すごいから今日は無理しないでいいよ」




「帰るに帰れない状態。今日は無理だな…ごめんな」




明後日、逢える楽しみがあったからヘッチャラだった。
明後日も今日も逢えないとなれば…
私のことだから、めちゃくちゃ凹んでただろう。




この日は結局、終電ギリギリで織田さんは帰宅した。



「明後日ね( ^o^)ノ」




「うん!寝坊しないでね( ´艸`)」




「が、頑張ります(>_<)ゞ」



今まで「この日」は必ずと言っていい程
織田さんは寝坊して来た。
明後日は大丈夫なんだろうか…。
まだ何かオチがありそうで
どこか不安がよぎる私だった。


No.27 13/08/19 01:48
匿名0 

>> 26


当日の朝。
やはりいつもの時間にメールは来なかった。
「寝坊」は予想範囲内。



約束通りの時間なら、待ち合わせの場所が普段と違うため、私はいつもより早めの出発になる。
既に、いつ連絡が来ても出れるように私は準備万端。



どんどん時間は過ぎ
このままだとお昼になっちゃうな…と不安になり出す。




7時には連絡が来る予定が
既に9時半を過ぎた。
私の不安とは…
あまり遅くなると家を出る口実がなくなるんじゃないか、と言う不安。
普段、仕事に行くのにここまで寝坊はしないから…。



10時になり諦めて着替えた。
1番遅かった時で「お昼」の時があったが
もう連絡は来ない気がした。




部屋着に着替えた。
少し寂しくなって
「楽しみにしてるのは私だけ…か」
と思ったら泣けてきた。
あれだけ喧嘩して、やっと逢える今日。
本来なら、いつもの5倍の時間は一緒にいられるはずなのに…。



そんな事を考えていた時、
メールが来た。
携帯を開くのがちょっぴり怖かった。





「すまん、今日は無理だ」
「すまん。寝坊した。これから向かう」




どっち?



No.28 13/08/19 02:12
匿名0 

>> 27




「今○○駅!10時 40分集合でお願いします!
やっぱり寝坊しちゃった。ごめんな」




怒りよりも
むしろ、逢えるんだ!と言う嬉しさのほうが大きかった私は、急いでまた着替え家を出た。




「すまない」と言う顔で近づいてくる織田さんとは真逆に、ニッコニコの私だった。




「いつものとこでいい?たまには違うとこ行くか?」




「ううん。いつものとこがいい」




いつものとこは、設備はめちゃくちゃ悪いけど
安くて長いフリータイムがあるホテル。
何もなくても、ただ いっぱい話が出来て
ただ一緒にいられる。
それだけで私は満足だった。



部屋に入ると少し話をして
普段は着ない私のワンピース姿をニッコリ見る織田さん。
この時間だけは唯一、私だけの織田さんになる。




あまり甘えるのが得意じゃない私は
ぎゅっと抱きついたり可愛い仕草は出来ない。
本当なら…
こんな日くらい外でのデートをしてみたいけど
人目を気にする織田さんを感じるのが嫌で
「この日」は、いつもここで過ごす。



「凛。こっち来て!」




織田さんの温もり。
私の大好きな綺麗な手。



今日だけは、一日中 この手の中に包まれていたい。


No.29 13/08/24 02:46
匿名0 

>> 28


喧嘩ばっかりで
そのたび「別れ」を考え
「別れなきゃ」「別れたほうが…」「別れようかな」



「でも…やっぱり好き」
「でも…一緒にいたい」
「でも…」
「でも…」
 


こんな葛藤ばかりを繰り返してきた。
何度、別れを考えても
結局、「好きだから、別れたくない」が結論で今日まで来た。



ずっと喧嘩が続いてたから
「今日は絶対に怒らない!」と決めていた。



そんな私を試すかのように…織田さんは一度エッチをした後 ぐっすりと眠れっていた。




ここは安い変わりにテレビも有料で
私は1人、なんの友達もいない。
携帯を触る位しか出来ずにいた。 




時間ばかりが過ぎて
結局、織田さんは6時寝ていた。

  

  • << 31 時々、目を覚まし 携帯をイジっている私に 「ごめん」と言う顔をしながら 「今、何時?」 と聞く。 私が答えると 「あー寝まくった…ごめん」 と言いながら、また寝てしまう。 何度かそんなのを繰り返したけど 「怒らない!」と決めていた私は我慢していた。 携帯をイジるのも飽きて、少しお腹もすいた。 「織田さん」 起こしてみたけど起きない。 私も寝ようかな…と何度かベットに入ったが眠れない。 いい加減、私も飽きて… 気持ち的にも寂しさでいっぱいになってきた。 めったにない「この日」 「大切に過ごそうね!」って約束してたのに… あんなに楽しみにしてたのに… 着いてから倍以上も寝ているだけ。 トイレに入ると、我慢していた涙が ポロポロと溢れ出す。 「帰ろっかな…」 もしかしたら、 「明後日、ダメかもしれない」は 疲れてるから、ゆっくり休みたかっただけで 私に言った理由は 取って付けただけの口実だったのかもしれない。 涙を拭いてトイレから出ると 少し寂しげな目を大きくした織田さんがベットに座っていた。 「こんな時間まで寝ちゃった…ごめん」 時計は 20時を過ぎていた。

No.30 13/08/24 23:32
匿名0 

>> 29


レス26


誤字がありましたm(_ _)m



正⇨ぐっすりと眠っていた
正⇨6時間



すみませんでした。


No.31 13/08/24 23:52
匿名0 

>> 29 喧嘩ばっかりで そのたび「別れ」を考え 「別れなきゃ」「別れたほうが…」「別れようかな」 「でも…やっぱり好き…



時々、目を覚まし
携帯をイジっている私に
「ごめん」と言う顔をしながら


「今、何時?」
と聞く。



私が答えると
「あー寝まくった…ごめん」
と言いながら、また寝てしまう。



何度かそんなのを繰り返したけど
「怒らない!」と決めていた私は我慢していた。
携帯をイジるのも飽きて、少しお腹もすいた。




「織田さん」
起こしてみたけど起きない。
私も寝ようかな…と何度かベットに入ったが眠れない。



いい加減、私も飽きて…
気持ち的にも寂しさでいっぱいになってきた。



めったにない「この日」
「大切に過ごそうね!」って約束してたのに…
あんなに楽しみにしてたのに…
着いてから倍以上も寝ているだけ。




トイレに入ると、我慢していた涙が
ポロポロと溢れ出す。
「帰ろっかな…」



もしかしたら、
「明後日、ダメかもしれない」は
疲れてるから、ゆっくり休みたかっただけで
私に言った理由は
取って付けただけの口実だったのかもしれない。




涙を拭いてトイレから出ると
少し寂しげな目を大きくした織田さんがベットに座っていた。



「こんな時間まで寝ちゃった…ごめん」




時計は 20時を過ぎていた。




No.32 13/08/25 00:36
匿名0 

>> 31



なんて答えたらいいのか分からず
「飽きちゃった」
とポツリ答えた。




「ずっと何してた?
凛は寝てなかったのか?」




「眠れないから携帯イジってたよ」




「…ごめん」




「今日は怒っちゃダメ!って決めてたから」




「………。」




「今、20時過ぎ。どうする?これから…」




自己嫌悪に陥っているのだろうか。
しばらくの間、沈黙が続いた。



喧嘩しない為に我慢したんだから
せっかく逢えた今日、また喧嘩はイヤだと思い
「出て、ご飯食べる?
それとも、ここで何か頼む?」




「ここで頼もうか」
織田さんが口を開いた。



「うん(≧▽≦)」
笑顔で答えた。




ホッとしたのか
織田さんも普通に戻った。




私さえ我慢すれば
私さえ何も言わずにいれば
私たちの喧嘩はなくなる。
そんなことはずっと前から分かっていた。



我慢…………。
その我慢が出来なくなった時、
私たちは「最後」を迎えることも…。



限界は、
そう遠くはないよ…。ねぇ…織田さん。



No.33 13/08/25 01:16
匿名0 

>> 32


結局、選択肢がないのでピザを頼むことにした。
織田さんはいつも食べきれないほど沢山、注文する。


「そんなに食べれないよぉ」



「凛はもっとガッツリ食って少し太りなさい!」




実は私、
あまりピザが好きじゃない。
と言うか、
織田さんが好む食事はむしろ、私の好みとは真逆。5年を迎えようとする今、織田さんはそんなことすら気づいていない。



前は、電話もくれた。
今は、電話をくれることもなくなった。



よく話をした。
今は話す時間さえ、ほとんどない。
唯一、変わっていないのは「帰り道のメール」くらいで。
織田さんの気持ちが薄れてきている
疲れてきている。
気持ちの温度差を感じていた。




美味しそうにピザを食べている織田さんを見ていると、寂しさは消え…
私が大切にしたい「話す時間」が出来た。
たわいもない会話。
何にも贅沢は言わない。
私はこんな時間だけで幸せだと感じる。




「終電まで、もう少しだね…」




あぁ…寝まくったせいでこんな時間か…
と、織田さんが時計を見る。
「帰らないで…!」
そんな事は、思っても口にした事は一度もない。




織田さんが私の手を優しく引っ張った。
昼間のエッチより、少し激しいエッチだった。




ハッ(゚o゚;として目が覚めると
織田さんの終電はなくなっていた。




「ごめんなさい」



No.34 13/08/25 01:29
匿名0 

>> 33



「作戦だな?(○´∀`○)」





「え…違う。ホントにごめんね」





「昼間は俺が寝まくったから、起こさなかったんだ」
優しい…。


2人だけの時は、こんなに幸せで優しさも感じて「やっぱり好き」と思うのに。
ある時から…
私たちの邪魔をする強敵が現れたんだ。



あの人達さえいなければ
私たちはもっともっと、いつまでも仲良しでラブラブでいられたんだろう。
いつも喧嘩の原因はそこにあった。
あの人達が現れてから、織田さんは変わった。



「凛、泊まれる?」




「明日、めちゃくちゃ早く帰れば大丈夫」



「よし。じゃあ、このままココに泊まろう!」




「大丈夫?」



「うん(*^_^*)」



私は
いつまで、この人と一緒にいられるんだろう。



No.35 13/08/25 03:05
匿名0 

>> 34 朝、電車は満員で私にドンドンもたれ掛かかってくる親父がいた。
織田さんは私の隣りにいたが、その親父が気に入らない様子で何とか私の後ろに回り、その親父から私をガードした。



普段、人目を気にする織田さんは絶対安心!なところ以外、手を繋ぐこともめったにしない。
なのに、この時ばかりは私の腰に手を回し
「触るなアピール」をしていた。



そんな些細なことが嬉しかったりする。
今だけは、私だけの織田さん。
あと何時間もしたら、また何事もなかったかのように普通の上司と部下に戻る。
職場では、ほぼ接点はない。絡みもない。




前嶋の存在と
前嶋がお気に入りのメンバー、織田さんは特別 仲が良かった。
周りから「上司のお気に入りメンバー」と言われるほど その仲の良さは格別だった。



ヤキモチ妬きだった織田さんを
いつからか私が逆転して
そのメンツは私にとっての強敵になっていった。



以前は他の男性を手で軽く叩くだけでも嫌がった織田さんは、今はもういない。
ヤキモチはなくなったのか、言わなくなった。
お互いにヤキモチ妬きだったから「おあいこ」だったのに、気がつけば私ばかりがヤキモチを妬くようになっていた。




振り返って親父を見た。
ヤキモチは妬かなくなったけど「これは嫌なのか…」と思うと少しだけホッとした私がいた。



電車を降りて
「もうヤキモチ妬かないのかと思ってた」
と言うと




「言わないだけだよ」
と織田さんは言った。




それから2週間後には
私が大嫌いな会社の飲み会があった。




No.36 13/08/25 03:28
匿名0 

>> 35



月が変わり、真夏の暑さもピークを迎えた。
帰り道のメールで
「今月はなかなか厳しいぞ!」
と織田さんが言った。



「どういう意味?」
と聞くと



「なかなか会うのが厳しいぞ!少し我慢だな」
と。




「…今月は記念日があるのに」
私がそう言うと



「もちろん記念日は俺も会いたい!だから、それまで少し我慢だな。…少しだけ…ね」



少しだけ…って。
今月は大嫌いな飲み会がある。
長い休みもある。




我慢できる?…凛…。
飲み会は99%喧嘩の原因になる。
その後、長い休みに入る。




「子供の事でお金がかかるようになったから毎日 小遣いが1000円しかもらえなくてさ。
凛にも生活があるから、あまり金使わせたくないんだ」





あまり言わないが
「わかった。頑張ってみる。
でも、逢えない間は喧嘩はしたくない。
だから、あまり不安にさせないで」





「わかった!約束ね!」




ずっと逢えない。
付き合い始めにバレて逢えなかった時をふと思い出した。




何かが違う。
なんか違う。
織田さんの気持ちが少しずつ離れているようで怖かった。



ずっと逢えない。
そう思うと、メールさえ殆ど出来ない時の織田さんと強敵との絡みがヤケに気になった。




織田さんはあの人達といる時はめちゃくちゃ楽しそう。
私はあまり明るくないから…
きっと、私に無いものが魅力的なんだろうな。
寂しいと感じながらも、文句は言わないように頑張っていた。



No.37 13/08/25 04:04
匿名0 

>> 36


飲み会は基本、全員参加。
行くべきか、行かないべきか散々 迷った。
織田さんは
「任せる」としか答えない。



以前の飲み会で
耐えきれず私が織田さんを怒った事があり
織田さんは今でもそれを怒っている。
私も同じ。
どちらも引けない。互いに納得出来ていない。
それがお互いにネックになっていた。




私は酔っ払った織田さんが嫌い。
と、言うか酔っ払いが嫌い。
約束を守らない人は大嫌い。




でも…
ずっと逢えないなら、せめて同じ空間にいたいと思い、出席にした。
当日まで迷いに迷った。



飲み会まで、あと一週間。
飲み会の話になると少し険悪なムードが漂った。
だから、なるべくその話は避けた。



「なかなか厳しいぞ」と言われてから5日目。
いつものように帰り道のメールを待っていた。



いつもより少し早めにメールが来た。
「凛、何してる?」




「ん?メール待ってたよ(*´∀`)」




「今日、逢いたいって言ったら来れる?」



一瞬、不安がよぎる。
「嫌な話?」



「いや…普通に逢いたいと思った。無理かな?」





「行くヾ(≧∇≦)」
織田さんからこんな素直に逢いたいなんて珍しい。
こんな時でさえ、素直になれずに少しだけ疑ってしまう私。もしかしたら…嫌な話かと。




でも違った。
待ち合わせの場所に向かうとニッコリ微笑む織田さんが待っていた。




「今日はどうしても逢いたくて」
何か言ってくれるのを待ってる気がしたが私はそれに気づかない。



「ん?」




指を指す。
…あっ!
私が誕生日にあげたYシャツを着ていた。
ちょっぴりキツそうなのがおかしかったが、素直に嬉しかった。



「凛…少しだけお金足してくれたら泊まれるんだが…」
申し訳なさそうに言う。
普段は私にお金を出させることを酷く嫌う織田さんがこんな事を言うなんて珍しい。




迷うことなく「泊まろう」と答えた。





「そんなに我慢できないもんだね…
言った俺のほうが先に挫折した」



他人から見たら、
性欲…。
ただ、したいだけ。
そう思うのかもしれない。



それでもいい。
「欲しがられる」ことが喜びに繋がる。
身体を重ねることで幸せを感じる。
その時だけは、不安から解放される。
…まだ必要とされてる、………と…。




  • << 43 私たちはラブラブかと思えば、突然、険悪になったりを繰り返す。 数日後、私が半分冗談•半分本気で言った言葉が織田さんの気持ちを落胆させたようで 朝のメールは途中で途切れ、帰り道まで連絡がなかった。 「これから帰るよ!」のメールが来た。 一瞬、 「…よかった。普通で…。」 と安心したけど… 次のメールで 「凛は俺といて不幸じゃないか?」 …と、いきなり聞かれた。 まだ、朝言った事が気になってるんだな…と思い 「幸せです」と、答えた。 不幸…って どんな時に感じるんだろう…。 私はあまり裕福ではない家庭で育った。 それでも人並みの生活は出来ていたし不幸だと感じたことはない。 離婚して、人一倍 仕事ばっかりの生活で蓮に贅沢もさせてあげられなかったけど、不幸だなんて決して思わなかった。 既婚者に騙された(騙されたとは思っていないが)時だって、不幸だとは感じなかった。 私にとって 何が幸せで 何が不幸せ? 「どうしてそんなこと聞くの?」 「俺は…凛の期待に応えられてんだろうか… 泣かせてばっかりで、我慢させてばっかりで 俺といたら、不幸なんじゃないか…って気になって」 「幸せだから一緒にいるんだよ 好きな人のそばにいられるのが幸せ」 「そうか…それなら良かった。 たまに心配になるんだ。今は俺が不安定なんだろうか」 連絡も取り合えない連休前だった事もあり 朝の私の言葉のせいだと感じた私は 少し元気になって欲しくて 敢えて冗談混じりなメールを送った。 少しずつ少しずつ織田さんが普段通りに戻った。 「こんな感じで適度に仲良しな時がいい」 織田さんが言う。 そうだね… 何もなければ基本、私たちは仲良しだよね。 障害物があったほうが燃える!って人もいるけど 私たちは穏やかに時を過ごしたいタイプだね。 こんな会話をして連休に入った。 飲み会まであと2日。

No.38 13/08/25 14:42
匿名38 

Everlasting☆Love

見てたけど…。


更新されなくなってたからどうしてたのかと気にしてました。

タイトル変わってたからわからんかったけど…。
タイトル変わっても見つけられたのは、やはり、縁があったのかな。

また読ませていただきますね。

No.39 13/08/25 18:44
匿名0 

>> 38



匿名38サン☆



読んで頂いて
ありがとうございます。


読んで下さっている方がいるんだ…
と、嬉しく思いました。



どうしようもないくだらない話ですが
これからも宜しくお願いします。




No.40 13/08/25 22:15
匿名38 

>> 39 くだらないなんて思ってないですよ。


前スレは結構更新を楽しみにしてましたけど、なかなか更新なくてどうしたの?って心配してました。


ROM者がレスすると物語が中断されるから、別に感想スレ作ってほしいかも(無理かな?)。

  • << 42 恥ずかしながら感想スレ立てさせて頂きました! 宜しくお願いします。

No.41 13/08/26 02:46
匿名0 

>> 40



沢山、読んで下さる方がいるなら考えますが
感想スレ立ててレス来ますかね?(゚◇゚)



以前はレス下さる方の中身が検討着くので
怖かったのもあり… 私のみ にしてましたが
少し吹っ切れた部分もあり設定変えました。



嬉しいお言葉をありがとうございます。
検討してみます☆


No.42 13/08/26 20:14
匿名0 

>> 40 くだらないなんて思ってないですよ。 前スレは結構更新を楽しみにしてましたけど、なかなか更新なくてどうしたの?って心配してました。 R…


恥ずかしながら感想スレ立てさせて頂きました!
宜しくお願いします。


No.43 13/08/28 01:31
匿名0 

>> 37 飲み会は基本、全員参加。 行くべきか、行かないべきか散々 迷った。 織田さんは 「任せる」としか答えない。 …


私たちはラブラブかと思えば、突然、険悪になったりを繰り返す。



数日後、私が半分冗談•半分本気で言った言葉が織田さんの気持ちを落胆させたようで
朝のメールは途中で途切れ、帰り道まで連絡がなかった。



「これから帰るよ!」のメールが来た。
一瞬、
「…よかった。普通で…。」
と安心したけど…
次のメールで



「凛は俺といて不幸じゃないか?」
…と、いきなり聞かれた。



まだ、朝言った事が気になってるんだな…と思い
「幸せです」と、答えた。



不幸…って
どんな時に感じるんだろう…。
私はあまり裕福ではない家庭で育った。
それでも人並みの生活は出来ていたし不幸だと感じたことはない。



離婚して、人一倍 仕事ばっかりの生活で蓮に贅沢もさせてあげられなかったけど、不幸だなんて決して思わなかった。




既婚者に騙された(騙されたとは思っていないが)時だって、不幸だとは感じなかった。



私にとって
何が幸せで
何が不幸せ?



「どうしてそんなこと聞くの?」




「俺は…凛の期待に応えられてんだろうか…
泣かせてばっかりで、我慢させてばっかりで
俺といたら、不幸なんじゃないか…って気になって」




「幸せだから一緒にいるんだよ
好きな人のそばにいられるのが幸せ」




「そうか…それなら良かった。
たまに心配になるんだ。今は俺が不安定なんだろうか」



連絡も取り合えない連休前だった事もあり
朝の私の言葉のせいだと感じた私は
少し元気になって欲しくて 敢えて冗談混じりなメールを送った。




少しずつ少しずつ織田さんが普段通りに戻った。
「こんな感じで適度に仲良しな時がいい」
織田さんが言う。



そうだね…
何もなければ基本、私たちは仲良しだよね。
障害物があったほうが燃える!って人もいるけど
私たちは穏やかに時を過ごしたいタイプだね。



こんな会話をして連休に入った。
飲み会まであと2日。



No.44 13/08/28 01:58
匿名0 

>> 43


飲み会前日。
飲み会は私にとって相当な覚悟で挑む場所。
流れや雰囲気が確実に読めてしまうから相当な
不安材料が揃っている。



普段なら飲み会前日は大抵、逢う。
お互いに近くにいけないのが分かっているから
せめて前日はラブラブに過ごす。



だけど…
「会うのが厳しい」
と言われていたから、「逢いたい」とは言えずにいた。




夜になって、いつものようにメールを待つ。
「危なかった!危うく、○○さんと電車一緒になるとこだった!すき家で飯食うから…って逃げ切った(*´∀`)」




織田さんは私が帰り道のメールだけは楽しみにしていることを分かっていて、誰かと帰り道が重ならないように いつもズラしてくれる。



「いつもごめんね…ありがとう」
私がそう言うと



「今日、一緒に寝る?」
と織田さんが言ってくれた。




「なかなか逢えない」と言われたのに大丈夫なのかな…。私が一週間に1度は逢いたい!って前から言ってるのを気にしてるのかな…。




「平気なの?」



「俺の希望でもある!」



ヤッタヾ(≧∇≦)
逢える☆



いつものように幸せな夜を過ごした。
「何も心配いらないよ。
そんな飲まないつもりだし、ちゃんと連絡もするから」



明日の飲み会の事だ。
初めから、そんな信用はしてないけど
毎回、バカな私は少しだけ期待してしまう。
果たして、約束は守れるんだろうか………。




そして、飲み会当日を迎えた。



No.45 13/08/28 02:23
匿名0 

>> 44


織田さんが前回の事を思い出したかのように職場に向かう道中の間にメールをしてきた。




さっきまでラブラブだったのに突然、
「どんな事があっても!泣いたり、顔に出したり、怒ったりしたら即アウトで!
○○さん達も相当、疑ってるからホントに良く見てるからな!」





即アウト?




即アウトとは「終わり」と言うこと。
最初は
「はい!気をつけます。大丈夫」
なんて、あっけらかんと答えたけど
少し冷静に考えたら段々と怒りがこみ上げてきた。




なんで私が「即アウト」なんて言われなきゃなんないの?
いつも自分が言った事に無責任で約束を守らないのはそっちなのに………。





それに、場合と状況によっては
私も絶対に我慢出来る自信はなかった。
「即アウト」この言葉がやけに上から目線なモノの言い方に聞こえたのと
私を試しているような気がして、とにかく腹が立った。





「わかった。じゃあ私はやっぱり行かない。
織田さんも連絡なかったら即アウトね!




返事はなかったが、家で待つと悶々として1人で憂鬱になるのが分かってるから私は別の場所で誰かと飲もうと思い智恵と数名にメールしてみた。



だが、時期的なこともあって
みんな都合が悪かった。




「やっぱり行くね。
お互いに約束が守れなかったらケジメとして別れよう!」




こんなメールを送った。
忙しいのか返事はない。




毎回、飲み会のたびに喧嘩になる。
だから「ケジメ」。
私を試すから、私も試す!




けど…
別れたくない私は「今日は絶対、我慢する!」と心に決めて飲み会に出席した。




No.46 13/08/31 02:29
匿名0 

>> 45



しばらくの間、酔っ払った織田さんを見るのが辛くて…喧嘩になるのも嫌で…



【最後は必ず連絡する】 
を、約束に私は飲み会には欠席していた。



まぁ、あらゆる所から色んな情報や話はどちらにしても入ってくるから、結果、行かなくてもショックは多々あったけど…。




でも今日はそれを思い切り目の当たりにする。
私の目の前に酔っ払って「私の存在」など、頭からスッカリ抜けた織田さんがいた。




智恵の言葉を思い出す。
「飲んでる時は都合よく凛を忘れたいんだよ」





でも…
いつになく楽しそうな織田さんの姿だった。
私といる時には見せない織田さんだった。




あぁ…私がいない時はいつも
こうやってやりたい放題、好き放題やってるんだぁ………。





怒りより、悲しみの方が大きかった。




お酒を飲む人はみんな酔えばその位、当たり前なのかもしれないけど…。
飲めない私は酔うことすら出来ないから…
とても辛い空間だった。



普段、私がほんの少しでもボディタッチするだけでも怒る人が…ボディタッチどころじゃない。
後ろから羽交い締めにしてみたり、もう少しで顔が付いちゃうよ!ってくらい近くで話したり…
手を触ってみたり、膝の上に座ってみたり…




それでもね…
ずーっと我慢してたんだよ。
今日は我慢して笑わなきゃいけない日、なんだ…ってね。



何があってもこらえなきゃいけない日、なんだよ…ってね。



No.47 13/08/31 20:11
匿名0 

>> 46


思ったより飲み会は早くお開きになり私が先輩と話している内に、織田さんの姿はもうなくなっていた。



「織田さん、終電ないんじゃない?」
1人の先輩が心配そうに言う。
時計を見たら、ギリギリ間に合うか…間に合わないか、の時間だった。



でも、飲んだら大抵は帰らない人だから
きっと連絡が来ると思っていた。



しばらく連絡は来なかった。
きっと誰かと一緒に電車に乗ったんだな、って事は今日は帰るんだ…と思い私も歩き出す。



すると後ろから木村さんに呼ばれた。
「まだ時間早いから少しだけ次、行かない?」




「いーですよ」



この判断は間違っていた。
木村さんは相当、深刻な悩みがあるのか…
愚痴がたまってるのか…
飲めない私を相手に、かなりハイスピードで日本酒を飲みまくる。



そんな時ですら私は携帯と時間が気になる。
その時メールが来た



「○○さんと一緒で今、○○駅。
今日は帰るね」




「わかったぁ」




どっちにしても、織田さんと合流は不可能な状態だったから次に気になるのは織田さんの到着時間。
危ないな…と思いながら半分 上の空で木村さんの話をただ聞いていた。



No.48 13/08/31 21:29
匿名0 

>> 47

そろそろ時間だ!と思った私は
今日は木村さんの目を半分気にしながら電話をした。



案の定、専用携帯は電源が入っていない。
「今後、電話は一切やめてくれ」
と言われて以来、直に電話は出来ない。


メールで起こすしかない。



「もう着くよ!起きて」



返事はない。
2~3回繰り返したが返事はない。
私は諦めた。



「○○駅まで行っちまった…最悪」




やっぱり………!
寝過ごしていた。



「罰だね」
この私の言葉にキレたんだろう。



「さよなら」
とメールが来た。



さよなら?
なんで?
私、今日は約束守ったけど。



「なんでさよなら?
今日は約束守ったよね?」




「○○さん達が「お怒りだよ!」って
言いに来たぞ」




意味がわかんない。
私は偉く怒りを覚えた。



「今日は○○駅のカプセルホテルに泊まる」




「わかった」




「約束は精一杯守ったつもりなんだけど
○○さん達の言った言葉でさよならを選ぶなら…
仕方ないね。さようなら」




しばらく間が空いて
「そんな本気でさよならって言ったわけじゃない。
ごめん。今日は辛いから寝る」




「おやすみ。こっちは酷い状態になってる。
木村さんといるから帰ったらメール入れとくね」



「早く帰れよ!
おやすみ」



織田さんが寝たのが分かったら
今日はとことん木村さんに付き合うか!って気持ちになった。




「せっかく頑張ったのに」って気持ちと
私には一言もそんな疑って探るような事は言って来ないアイツらの汚さと
私を信用する前にアイツらの言葉で「さよなら」と言う織田さんへのショックさと
色々混じりあって私もどこかヤケクソになっていた。




そこへ突然、若い男がナンパしに来た。





No.49 13/08/31 21:58
匿名0 

>> 48



かなり酔っ払ったその男は目が完全にもうイッちゃってる。と同時に木村さんもかなり泥酔している。




普段の私ならすぐに織田さんの顔が頭によぎって
すぐにでも追い返すか木村さんを無理やりでも説得して店を出ただろう。



でもこの時は、木村さんの反応に任せてみた。
木村さんは男好きだから…
なんだかんだ説教をしながらも、まんざらでもない様子。



だけど、あまりにもしつこいから私も遂に口を開いた。



「あんた1人じゃないでしょ?一緒に来た子は何してるの?」




「あー!別んとこにいる」




私はそいつを探し
「アイツ連れてけ!お前はココで何やってんだよ!邪魔だから連れて帰れ」



もう1人の男が渋々、ナンパヤローを連れ戻しに行った。だか、しつこい酔っ払い男は動こうともせず、連れの男まで私たちのテーブルに居座った。



なにやら木村さんと酔っ払いヤローはセックスネタで盛り上がっていた。
連れの男と私はタバコを吸いながら黙っていた。



時計を見たら、既に明け方の4時近い。
いい加減、こんな無駄な時間を過ごすのに嫌気が差し、木村さんは先輩だけど
「私は帰ります」と奴らを置いて店を出ようとした。




3人もすぐに店を出てきた。
酔っ払いは木村さんの胸を触っている。
私のも触ってくる。
「ふざけんな!うぜーからやめろ!」



まるで純粋な処女のように
私の脳裏には織田さんが浮かび
「織田さんごめん」がグルグル渦巻いていた。



すぐ近くにラブホがあった。
このままだと連れて行かれそうな勢いだったから
私は構わず3人を置いて家に帰った。



No.50 13/08/31 22:14
匿名0 

>> 49


次の朝、織田さんからのメールで目が覚めた。
昨日、「今、家着きました」とメールを入れてあったから既に織田さんの機嫌は悪かった。




嘘をついても木村さんは多分、みんなに昨日の話をするだろうから、男の一件は話さなかったけど… 帰宅時間は正直にメールした。




「そんな時間まで2人でいたのか?」
から始まり、やっぱり喧嘩になった。


 


私は一生、忘れないだろう。
織田さんはこの日、今までになく私への不満と怒りを私にぶつけた。




「くどい」
「うんざり」
「お前は俺のなんなんだ!」
「俺は自由がないんじゃない。いつもおまえに監視されてるんだ。で、ダメ出しされて、何かあるとすぐ泣くだろ!いい加減もう、うんざりだ」



「俺は一体、お前のなんなんだ」



「彼女………」




「違う!監視役だ!いつも俺は監視されてるんだ」




終わった。と思った。
私をそんな風に思ってたなんて………。
あまりにもショックで私は返事が出来なくなった。

No.51 13/08/31 22:30
匿名0 

>> 50



興奮してたんだろう。
織田さんは3回目に言った時
「監視」を「監督」と誤って送ってきた。



その後、
「どうしたいんだ?
この先、どんな形の2人なんだ?」




返事なんて出来ない。
そこまで言われたら、言い返す言葉すら見つからない。



「織田さんは?」




「そりゃ今まで通り+少し距離を置きたい。
少しね」




距離を置きたい。
距離を置く…って…何?



今まで通りなのに距離を置く…って何?
織田さんから「距離を置こう」なんて言われたのは初めてだった。



その次の日から5日間、夏休みに入った。
5年記念日まで あと2週間。
私が精一杯、返せた返事は




「記念日は逢おうね」
だった。
もうこの段階で
私の中では「終わり」を決めていた。
それくらいショックだった。




織田さんの返事は
「そうだね
着いたよ。また月曜日ね」




そっけない返事だった。
その時から6日間、私はずーっと仕事を探していた。終わりなんだな………と思ったから。



だって私には今まで通りだけど
距離を置く。なんて出来ないもん。



No.52 13/08/31 22:55
匿名0 

>> 51



あらゆる求人アプリをインストールし
求人雑誌をかき集め、ずっと仕事を探してた。



1つのアプリに私が1年ちょっとで辞めた店が載っていた。大好きだった仕事も人材が足りず、今すぐにでも人が欲しい…と。
給料体制も福利厚生も私がいた時より良くなっていた。



よし…仕事は本気で探せばどうにかなりそうだ。
私の中で計画を立てた。
別れるなら1日でも早く仕事を辞めたい。
だって…まだ好きなのに同じ場所にいたら辛い。
忘れられないし、泣きたくなる事だっていっぱいあるはず。



耐えられるほど私は強くない。
休み明け、すぐに話をしに行かなければ
最低「1ヶ月前」は続けなきゃいけない期間が伸びてしまう。



織田さんが言った「本心」は
私の胸を思いっきりぶっ刺した。
刺された傷口は織田さんの予想以上に深かった。




私の夏休み5日間は
休息どころか、引きこもりで食事も出来ないほど
どんよりした夏休みになった。




夏休み最終日の夕方。
休みの間はめったにないはずなのに織田さんからメールが来た。



メールを見るのさえ怖かった。



No.53 13/08/31 23:51
匿名0 

>> 52


「今日、携帯変えるね(○´∀`○)」





そこには笑顔の絵文字が付いていた。
ずっと携帯の調子が悪い 早く替えたい!とは言っていたけど…



なんで笑顔の絵文字なの?
まるで何事もなかったかのように。




「楽しみだね(*´∀`)」
あえて私も笑顔で返した。




「織田さん!決めたよ(^_^)v」




「何を?(*゚д゚*)」





「5年記念日の極秘お揃いプレゼント☆」




「今後、どんな形の2人か!」
私のメールと
「すげー( ´艸`)ビックリした(>_<)」
織田さんのメールが重なった。



「明日、話に行きます」



「辞めるのか?」




「辞めない限り、私の監視は治らない。
私がいないのが織田さんの為には1番いいと思った」




「ダメだ!呼ばれちゃったから、また連絡する!」




返事はしなかった。
付け足して
「カミサンも来るって言うから、また連絡するからね」



もうこの日は連絡が来ない事など分かっていた。




以前の織田さんの言葉を次々と思い出していた。
「俺のわがままも
凛がいつでも許してくれて
好きだって言ってくれる。
どんなに喧嘩しても
絶対に別れないと
どこかで安心しきってる。
俺はきっと甘えてるんだ。
最後にフラれて気づくんだろうね…
凛の大事さを…」





私たちは似ている部分が多い。
ヤキモチもこんな似たり寄ったりの事を言い合うのも…。



だら5年も続いたんだろう。
今回こそは揺るがない決心をしなきゃ!
と思いながらも
次の朝、織田さんがどんな事を言うのか不安でいる私もいた。



これだけ傷ついても
嫌いになれないのはなんでだろう。
憎めない。恨めない。嫌えない。



いっそ嫌いになれたら どんなに楽か………。



そっか!
嫌いになれないならいっそ
思い切りトコトン嫌われたらいいんだ…!




  • << 55 長かったような 短かったような夏休みが終わった。 次の朝、織田さんからはいつものように 「おはよ。寝坊した(*_*;」 と、メールが来た。 あえて本題から入らないのが織田さんらしい。 だから私も普通に 「あらま(^-^; おはよー!」 と返した。 メールが来たのが遅かったため、私はもうすぐ会社に着く。 「2番手だね?( ´艸`)」 「そうだけど、もちろん、女性初です(+。+)」 多分、会社に連絡を入れた後だと思い 新携帯になって2番手だね?と聞いた。 至って普通の会話。 「携帯…何色?黒でしょ?( ´艸`)」 「黒!凛のに似てるo(^-^)」 「嬉しい!早く見たいな」 「そろそろ着くね! 凛、辞めんなよ!じゃ、あとでね」 辞めんなよ……… 分かってる。 織田さんはいつも分かってる。 私がとる行動を。 そして、私は決めたら決行する性格なことも。 こんなにウダウダ悩むのは、織田さんの事くらい。 ほんのり目がジワッときたけど 「決めた事だから!」と言う意志は強かった。 同じ部屋にいる間は他の人の目を気にして普段ならメールはしない。でも夕方になって珍しくメールが来た。 「俺、夕方から外出るからね(゚o゚;」 逃げるつもりだ。 「辞める」と言う時は、織田さんに言うのが原則。今までの人は皆、織田さんに言っている。 「わかった」 今日じゃなくても明日、言おう。 そう思った。 どこかで私も… まだ迷いがあったんだろう………。 定時が近づいた。 ふと見ると、織田さんはいた(*゚ロ゚) さて、どうする?  ………凛。

No.54 13/09/01 05:41
匿名0 

>> 53



【訂正】



だら⇨だから



誤字がありました。
すみません。



No.55 13/09/02 01:26
匿名0 

>> 53 「今日、携帯変えるね(○´∀`○)」 そこには笑顔の絵文字が付いていた。 ずっと携帯の調子が悪い 早く替…



長かったような
短かったような夏休みが終わった。



次の朝、織田さんからはいつものように
「おはよ。寝坊した(*_*;」
と、メールが来た。



あえて本題から入らないのが織田さんらしい。
だから私も普通に
「あらま(^-^; おはよー!」
と返した。



メールが来たのが遅かったため、私はもうすぐ会社に着く。
「2番手だね?( ´艸`)」




「そうだけど、もちろん、女性初です(+。+)」



多分、会社に連絡を入れた後だと思い
新携帯になって2番手だね?と聞いた。
至って普通の会話。



「携帯…何色?黒でしょ?( ´艸`)」




「黒!凛のに似てるo(^-^)」




「嬉しい!早く見たいな」




「そろそろ着くね!
凛、辞めんなよ!じゃ、あとでね」




辞めんなよ………



分かってる。
織田さんはいつも分かってる。
私がとる行動を。
そして、私は決めたら決行する性格なことも。
こんなにウダウダ悩むのは、織田さんの事くらい。



ほんのり目がジワッときたけど
「決めた事だから!」と言う意志は強かった。




同じ部屋にいる間は他の人の目を気にして普段ならメールはしない。でも夕方になって珍しくメールが来た。



「俺、夕方から外出るからね(゚o゚;」




逃げるつもりだ。
「辞める」と言う時は、織田さんに言うのが原則。今までの人は皆、織田さんに言っている。




「わかった」




今日じゃなくても明日、言おう。
そう思った。
どこかで私も…
まだ迷いがあったんだろう………。




定時が近づいた。
ふと見ると、織田さんはいた(*゚ロ゚)




さて、どうする? 
………凛。



No.56 13/09/02 01:57
匿名0 

>> 55



休みの間、智恵が言った。
「私はね、白黒ハッキリさせないとダメなタイプだから!別れる=辞める。
だけどね、凛。
辞める=別れない。って言う選択肢もアリだと思うよ」



場所が変われば、気持ちも落ち着くかもしれないし。…別に、別れる=辞めない。だっていい。
別れない=辞めない。だっていい。
今すぐ決めなくたっていいじゃない!
凛だって、仕事始まって織田さんの顔見たら…気持ち変わるかもしれないよ?
織田さんだって「言い過ぎた」って反省してるかもしれない。
ちゃんと話し合ってから決めても遅くはないはずだよ?





でも、それでも
織田さんが吐き出した言葉は普段から溜まっていた言葉のように感じた。
私と織田さんの違いは
私は思った事をすぐ口にするけど
織田さんはメールでさえ、言葉を1つ1つ選んで話す人。



あまり感情を剥き出しにして突発的に怒る人じゃない。そんな人が言った言葉だもん…。
ずーっと我慢してたんだよ、きっと。




定時のチャイムが鳴った。
織田さんがたまたま私の斜め前を通りかかった。



チラッとこっちを見た。
得意気に
「聞きませんよーだ!(-。-)y-゚゚゚」
って顔をした。




思わず 「ぷっ( ´艸`)」
と笑ってしまいたくなるような顔。




私が立って織田さんに近づいていくと
その得意気な顔は瞬時に不安げな顔に変わった。




「織田さん………」




No.57 13/09/03 01:56
匿名0 

>> 56


「話したい事があるんですが、
少し時間作って頂けますか?」





ちょっと怒ってる様にも見えたが寂しげな顔にも見えた。




「あっ!俺、これからお得意さんとこ行かなきゃいけないんだ。…急ぎ?」





「出来れば。待ってます」



「遅くなるかもしれないから…
あんまり遅くなるようだったら連絡するから…
そしたら明日でもいいかな?」



「分かりました」




廊下に出て話したから、この会話には誰も気づいていない。私は席に戻り、普通に仕事をしながら帰りを待つ事にした。



すると、すぐに携帯が鳴った。
「凛…辞めるな。
今日は帰れ」



小さなため息が出た。
「わかった」



私だって…
出来ることなら織田さんのそばにいたい。
好きなのに、離れたくなんかない。




でもね…
時々、苦しくなって
逃げ出したくなる時があるの。



きっとね…
織田さんに
「もうお前とは無理だ!」
って言われない限り
私はこの葛藤を繰り返す。




織田さんが引き止めず
「はい。分かりました」
って退職願を受理してくれたら………



私たちは



終わる。




後悔するかもしれない。
分からないけど、
織田さんは私がいないほうが




なにもかも楽になる。





監視、されずに
縛られずに
重たい荷物を背負わずに



毎日、好きな人たちと飲んで
誰とイチャイチャしても文句も言われない。




監視されることに疲れたなら
楽な道を選べばいい。
自由を望むなら
自由になればいい。




距離を置いたって
私は変われない。



No.58 13/09/09 23:48
匿名0 

>> 57


その夜、いつもより早くメールが来た。




「今○○行って帰り道。バス待ち!
何してる?」




「ボーッと色々考えてた」




「出て来れるの?」




「出れるよ」




「じゃあ1時間だけ飲み行くか!」





「………うん」




織田さんに言われた言葉が胸に焼き付いていて
なんとなく不安だった。




絶対、泣かない。
質問もしない。




もう………
笑える自信がない。




織田さんは今、何を思ってるんだろう…。
喧嘩のあとは
だいたい逢う。
そして仲直りする。
今までのパターン。





今までの喧嘩と同じ感覚?
「また始まった…」くらいの感覚?




確かに私は「辞める」「別れる」を何度も言ってきた。その時は本当にそう思って言っている。




でも…
今までより
ずっとずーっと
真剣だった。




別れたいんじゃない。





考え方の違いと
私に求めているものが見えた気がしたんだ。
本当の織田さんの気持ちが…




ハッキリ分かった気がした。




そこにはムッとした顔をした織田さんが待っていた。



No.59 13/09/10 01:06
匿名0 

>> 58



言葉を交わすことなく、いつもの店に入る。
慣れたようにビールとウーロン茶を頼む織田さん。
つまみも決まっている。




飲み物が来るとやっと



「お疲れさん!」




初めに口を開いたのは織田さんだった。




「お疲れ様!何買ってきたの?」




出来るだけ普通に…。
普通の会話をした。




「携帯のカバーとフィルム!
凛、見たいって言ってたから見せたかった」




「あっ!見せて( ´艸`)」




………笑えない。
と、思ってたはずが………




自然に笑っていた。




織田さんは、そんな私をジーっと見ていた。
「これさ、充電すごい持つんだ!で、………」
嬉しそうに携帯の事を話している。




今度は私がそんな嬉しそうに話す織田さんを見ていた。




今日はなんの為に逢ったんだろう…。
1時間と言われたから、私は時間が気になり




「織田さん。時間!…1時間…」




無言のまま何か考えている。




だよね…。
本題に…入れてないもんね…。




切り出しにくいよね…。





本当は聞きたい事はいっぱいあった。
飲み会の話も状況を聞きたかったし
距離を置くって具体的にどういう事なのか、とか。




でも「質問攻め」と言われたから
私はあえて何も聞かずにいた。




喧嘩のことに触れたら
泣きそうだから…。
私は何も言わずにいた。




「出よっか」




織田さんも触れてこない。




「うん。携帯見せてくれてありがとう」




駅まで歩いた。
どちらも無言のまま。




2人で歩く時も少しだけ先を織田さんが歩く。
私は織田さんの後ろを歩く。
その後ろ姿がどことなく寂しそうに見えた。




織田さんは何を考えて歩いてるんだろう。





今日、別れ際 私は何を言われるんだろう。




辞める。
別れる。




そう決めたのは私なのに…
やっぱり逢うと「別れよう」と言われるのは怖かった。





織田さん…。
織田さんは私といて幸せでしたか?





私といた5年間を後悔していませんか?





こんな私でも
織田さんの心に
「いい思い出」として残ることが出来ますか?




別れることがこんなにも辛いと
思ってもいなかった5年前の夏。




はしゃぎすぎた夏。
そしてー
苦しくて辛すぎる夏。





夏に始まって
夏で終わる恋。




どんなに辛くても、
私はあなたに出逢えて幸せでした。




ずっとずーっと一緒にいたかった。




私はそんな事を考えながら歩いていた。




No.60 13/09/10 01:47
匿名0 

>> 59



5年記念日まで、あと1週間。
お揃いのプレゼントは渡せないまま。
楽しみだった記念日。
本当は笑っていたかった記念日。




「ありがとう」と「ごめんね」を
いっぱい織田さんに言いたい。




こんな事を考えていたら…
泣かない!って決めたはずなのに
泣き虫な私は、また勝手に涙がジワーッと沸いてくる。





駅に着いた。
私は溢れでそうな涙を必死にこらえた。





「凛を泣かせるのが1番辛い」
と、よく織田さんは言っていた。




でも最後は
「何かあると泣くだろ!もう、うんざりだ」
と、言われた。




どちらにしても
私が泣く事が織田さんには嫌な事だったんだ。
だから…
泣いちゃいけない!



少し上を見上げて、涙をひっこめて
「織田さん!」と呼んだ。





「駅着いたよ。
……………バイバイ」
 




バイバイ…。 





頑張って、
少しだけ笑って見せた。





「バイバイ…
今まで、ありがとう!」





言えた。





けど、
ごめん。





やっぱり…
どうしても
どう頑張っても






涙が流れた。





「…ごめん」
最後まで泣いてごめん。





私の人生は
振られてばかりの人生だった。
「バイバイ」って言うことは
こんなにも辛いんだね。





もっともっと言いたいことはいっぱいあった。
伝えたいことはいっぱいあった。




でも…
これ以上 言ったら、もっと泣く。




私には、
これが精一杯の
「バイバイ」だった。



No.61 13/09/12 02:23
匿名0 

>> 60



織田さんは歩き出す。
改札口ではない。
タクシー乗り場へ………。




そして、私を見た。
「乗れ」と………。




私もタクシーに乗ると手を繋いでくれた。
無言のまま。
前を向いたまま。




2人きりになると織田さんが話し始めた。





「俺はさ…
別れた後のことをたまに考える。
別れても、たまには会えるのかな?
蓮の父親みたいに…申請したら、たまには会ってもらえるのかな…って」





驚いた。




「申請ってなに?」



「○○日、会ってもらえますか?
って申請したら、会えるのかな…って…」




思わず笑ってしまった。




「それじゃ、別れた意味ないじゃない!
別れたら…一切、連絡も取れないんだよ」




「え?(゚o゚;
ライン位は出来るじゃん」




「別れたら…アドレスは消す。
だからラインも無理。凛携帯も返してもらうから…連絡は不可能になるよ」




「………凛携帯って…返すの?(>_<)」





「だって持ってる意味ないじゃない!」




「…写真がある」




「全て消去、だよ」




織田さんは
「別れない」と言った。




今から思えば、
織田さんも疲れていたんだろう。
私は周りに何も言われないが
織田さんばかりが周りから言われて…
疑われて、勘ぐられて、なにかあるとネタ的に指摘されて…



私に言った
「監視」の意味も
きっと私からだけじゃなく、周りから見られてる事も含め、「監視されてる」ように思ってたんだろう。




私も織田さんも
色々悩んでも結局、最後は
「別れたくない」と言う結論に辿り着く。



私だって どれだけ悩んで 泣いて 傷ついて 
「別れよう」って決めても
好きだから、
ただ好きだから、




そう簡単には別れられない。
そうして何度も繰り返す。




別れよう。
いや、別れない。




どれだけ苦しんだら終わりが来るんだろう。
織田さんは辛くないの?



  • << 64 それから一週間が経ち、また喧嘩になる。 織田さんは「バレない為には会社では割り切って欲しい」と。 その日から、朝と帰り道のみメールするのが続く。1日2回しかメール出来ない日もある。 もちろん会社では一切、絡まない。 そんな時でさえ、他の人とはゲラゲラ笑ってたり一服したり飲みに行ったり…。 バレて終わるのが一番イヤな終わり方だから、と織田さんは言った。 バレたら終わる。 そんな事は分かってる。 「俺は、別れたくないし 諦めたくない。 何が悲しくて人に左右されなきゃなんないんだ」 でもね… バレない為に悲しいことも 辛いことも我慢し続けてく内に 私の心が潰されていく。 嫌な事も目の当たりに見えて 悲しいこともすぐ耳に入る。 ごめんね…。 バレないように頑張ってる織田さんに対して 私は心が折れそうで 我慢は限界に達した。 「不倫」………。 どれだけ綺麗事を言っても、してはいけない事。 一緒にいられた5年間は幸せだったけど 傷つく事もたくさんあった。 5年記念日に 「さよなら」をプレゼントします。 これからは、 お互い見えない場所で 二度と同じ過ちを繰り返さぬように… 織田さんが 失うものがない内に 私はあなたの前から消えます。 Everlasting Love. 初めから分かってたけど 叶うことのなかった「永遠の愛」。

No.62 13/09/12 21:22
旅人62 

この話にオチはあるんですか?
結末までずっとこの調子でしょうか?

No.63 13/09/13 00:43
匿名0 

>> 62


旅人62さん



これが、私の捌け口になってるので
ダラダラ書いてすみません。


もう少しダラダラ続きます。
近いうちに完結しますが、まだダラダラこの調子です。


板違いになってしまいましたね。
日記として書くべきでした。


せっかく読んで頂いてるのに
こんな感じですみません。


No.64 13/09/13 01:20
匿名0 

>> 61 織田さんは歩き出す。 改札口ではない。 タクシー乗り場へ………。 そして、私を見た。 「乗れ」と………

それから一週間が経ち、また喧嘩になる。
織田さんは「バレない為には会社では割り切って欲しい」と。




その日から、朝と帰り道のみメールするのが続く。1日2回しかメール出来ない日もある。
もちろん会社では一切、絡まない。




そんな時でさえ、他の人とはゲラゲラ笑ってたり一服したり飲みに行ったり…。




バレて終わるのが一番イヤな終わり方だから、と織田さんは言った。




バレたら終わる。
そんな事は分かってる。




「俺は、別れたくないし
諦めたくない。
何が悲しくて人に左右されなきゃなんないんだ」





でもね…




バレない為に悲しいことも
辛いことも我慢し続けてく内に
私の心が潰されていく。




嫌な事も目の当たりに見えて
悲しいこともすぐ耳に入る。




ごめんね…。
バレないように頑張ってる織田さんに対して
私は心が折れそうで
我慢は限界に達した。




「不倫」………。
どれだけ綺麗事を言っても、してはいけない事。



一緒にいられた5年間は幸せだったけど
傷つく事もたくさんあった。




5年記念日に
「さよなら」をプレゼントします。




これからは、
お互い見えない場所で
二度と同じ過ちを繰り返さぬように…




織田さんが
失うものがない内に
私はあなたの前から消えます。




Everlasting Love.
初めから分かってたけど
叶うことのなかった「永遠の愛」。









No.65 13/09/13 01:28
匿名0 

>> 64




今まで読んでくださった方々。
くだらない話にお付き合いして頂いて
ありがとうございました!




ちょっと無理やりですが
終わりにします。



No.66 13/09/25 02:24
匿名0 




ーその後ー





「凛は、別れたら荒れるんだろうな…」





辞めると決まっても1ヵ月間はここに来なければならない。



毎朝、憂鬱で
帰り道は辛くて
毎日のように「バックレられたら楽なのに…」なんて考えていた。




さて、
どうするよ?凛さん。




毎日のようにメールしてた時間。
織田さんの帰りを待っていた時間。
何かに没頭出来たら忘れられるのかな?
何も考えずにいられるのかな?




隣りでゲームに夢中になってる蓮の画面を見ながら、ただそんな事を考える日々。




なんかないかな…。
友達と言っても、この歳になればみんな主婦で
まだ出産したばかりの子もいる。
そんな私の都合で毎回毎回、呼び出せない。




もともと私は不器用で
自分の気持ちなんてコントロール出来ない。
夢中になると「その事」だけで一杯一杯になる。



サイトたるものは卒業したつもりだったが
私は友達の会話を思い出し あるサイトに登録した。




そこには、知ってる友達が何人もいた。
それ系のサイトはお手の物で、すぐに使いこなせると思っていたが………。




意外と難しくて登録して友達が何人も出来たのはいいが…やり方が理解出来ず何も出来ない私。



これの何が楽しいんだろう。
暇つぶしにすらならなかった。




ただ、これがまた問題を引き起こす種になる。






No.67 13/09/25 02:49
匿名0 

>> 66



その日 私は残業で会社にはもう数名しか人がいなくて部屋の中は静かだった。
私は会社にいるのが辛くて黙々と仕事をしていた。ここに織田さんもいる。




その時 1人の先輩が
「中川さん○○やってんの?」



その声は部屋中に響いた。



織田さんはそう言ったサイト系をやるのも嫌がっていた。




気まずい…。





会社関係の人は一切、私の中身を見れないように設定したつもりなのに、何故?




「あ…はい。始めたばかりで何もやってないんですが登録だけしてます」




「私のとこに『招待メール』がきたよ(笑)
私そういうの疎くて(^-^; どうしたらいい?」




あ…
そういう事か!
そんなメールまで行っちゃうのか。
面倒臭ッ!





「すみません。無視してください」





「わかったo(^-^)」




織田さんにも聞こえてる会話。
顔を見ることさえ出来ないけど
きっと不愉快だろうな…。




面倒くさいから退会しようか迷ったが
もう少しこのままでいようと思った。




この頃の私は必要以上に誰とも絡まず
ただ黙々と仕事をしていた。
「楽しい」とか「腹の底から笑う」なんていう感情はすでになくなっていた。




今思えば、私の耳の異常もこの頃から始まった。





そして次の日………。



No.68 13/09/26 21:22
匿名0 

>> 67



この日は休みで、ボケっとしながら私は何気なくそのサイトを開く。




パッと目に入ってきた!




織田さん…





登録してたんだ…?


と、同時に視界に入ってきた ある人。
織田さんの「友達」に奥さんがいる。


私達の共通の友達とも1人友達になっている。





なぁんだ…私にはダメって言いつつ自分はやってたんだ…。




あれ?
これ…
登録日、昨日だ!




昨日…。



あの会話を聞いてて気になって登録したのだろうか。



私は奥さんをブロックした。



そして、その夜 仲良しの沙織からメールがきた。
「ねぇねぇ凛ちゃん!織田さんも○○始めたよ( ´艸`)
友達申請したら承認してくれた!
凛ちゃんもしなよぉ!!」




「え…いいよ。面倒くさい」




ちょっと待って!
そんな私と共通の友達作ると、私の顔もホームも奥さんに見られるよ!?



伝える術はなく諦めた。



と、友達からメッセージがきた。



「これはさ…誰からも見れないの?」




「見えないよ!メールと同じ!」




そっか!
これなら伝えられるかな!!
私は試しに「!」と、だけ入れてみた。




返事など来るはずがない。



「休みの日のメール」
ルール違反。



でも早く伝えたかった。



休み中メールはなく
休み明けにメールがきた。




久々のメール。




メールを開くと…………




No.69 13/09/28 01:57
匿名0 

>> 68


「○○あれ、どういうつもり?」




「私の友達とやたらと友達になるとマズいよ!って伝えたかった」




「わざわざ休みの日にすることか?
バレたぞ!ウチのに!」





バレた。




またか…。
最近、二言目には「バレる」「バレた」




「ごめんなさい」




それ以上、メールは返さなかった。
まだ、仕事上で必要だから携帯はそのままにしなければならなかった。





以前は優しかった織田さん。
私がブリブリ怒っても優しかった織田さん。




いつからか逆転した。
私への「不満」が爆発したかのように。




昔、テレビで
その人は寝る前に「好きなところ」を100個答えさせてから寝るのが日課、だと言うのを見て
喧嘩すると100はさすがに多すぎるから
10個言い合う!なんて事もよくしてた。



10個なんて、お互いにスラスラ言えたよね…。
あの頃は。




今は?



もう織田さんの口からは、1つも出てこないんじゃないかな。




そして私も、言える内容はもう以前とは違うだろう。




職場に向かう足が重くて重くて仕方なかった。




同じ空間にいる事すら嬉しかった以前とは違い、この空間がたまらなく切なくなった。




それでも、ふと織田さんを見ると
何事もなかったかの様に普通…いや…普通より
やけに他の女と絡む。


まるで私への当て付けのように。




不器用な織田さん。
いつからそんなに器用になったの?




優しかった織田さんが冷たくしか感じられなくなっていく。




そして、私は会社を出ると1日我慢してたものが毎日のように景色を滲ませる。





これが私がしてきた事の罰なんだろう………。



No.70 13/09/28 02:34
匿名0 

>> 69



その晩、久しぶりに智恵からメールが来た。



「凛、元気にしてるの?
連絡が来ない、って事は『上手くいってる証拠』だと思ってんだけど。
あんまり連絡こないと逆に心配!」





ありがとう、智恵。
絶妙なタイミング!




「元気だよ!
あんまり智恵にばっかり甘えてちゃいけないと思って連絡しなかった。
相変わらず、だよ」




「これから飲み行かない?」




「行こッ!」




色々、話してると智恵が言った。
どんな時でも、見守ってくれてた智恵が初めて口にした。





「凛…。
別れなよ。
まーちゃんも心配してたよ!
凛なら、もっといい男いくらでも出来るのに!
って」





「うん…」





「凛、ちゃんと食べてるの?
織田さんと付き合って少しふっくらしてホッとしたけど、また痩せちゃったじゃん」




「食欲がない
あとね…関係ないとは思うんだけど…
耳が聞こえにくいの。右の耳。
貧血はもともとだけど、たまにめまい
痩せたから、かな」





「ストレスじゃないの?
凛…もう1度だけ言わせて。
別れな」




明日は私達の
5年記念日。




「記念日は逢いたい」




「約束だ(*´∀`)」




もうきっと、
織田さんは記念日だって事すら忘れてるに違いない。




「凛さ、前は痩せすぎると顔がキツく見えたけど、今の凛…やつれて見える。
決して幸せな人の顔じゃない」




どこまでも
どこまでも…優柔不断な私。
情けない。


No.71 13/10/02 00:20
匿名0 

>> 70


私は今年の誕生日を思い出していた。




奥さんは私の誕生日も分かっていて
これまでお互いの誕生日に逢えた事はない。
当たり前のように誕生日は逢えないと思っていた。



今年は、忙しい織田さんの様子から
プレゼントなんて買う暇がないのも分かっていた。



織田さんが今までくれた誕生日プレゼントはハートシリーズで。



ジッポ
時計
財布
ネックレス



「本当は指輪があげたかったけど、サイズが分からなかった」



と、去年は言われた。




この歳にもなって今更、誕生日が嬉しいわけでもないけど… 
やっぱりイベントは一緒に過ごしてみたい「夢」的な思いはあった。




いつだか忘れたけど
クリスマスイブに



「ちくしょー!街中のカップルをひっぱたいてやりてー!」



って悔しがって帰ったよね…。




そういう言葉があったから
私はいつでも安心していられた。
想われている自信みたいなモノが持てた。




最近はもう、そう言ったラブラブ感が減ってきたのも私の不安材料の
1つなんだろう。




「好き」と言われないと どこか不安で。
大事にされてる実感がないと どこか怖くて…。




今年の誕生日は幸せだった。
あれから月日はそこまで経っていないはずなのに
今はどうしてこんなに不安定なんだろう…。



No.72 13/10/02 01:04
匿名0 

>> 71



5月17日
私の誕生日。



その日は金曜日だった。
織田さんは子供のサッカーチームのコーチをしてるから
もともと週末は逢えない。





この日は普段より早くメールが来た。
「あ…私の誕生日だから早く帰らないといけないんだね」と思った。






「何してる?」



これは逢える日に織田さんがくれるメールの決まり文句。




「片づけも洗濯も終わってテレビ見てたよ」





「逢えるか?」





「もちろん( ´艸`)」
嬉しくてたまらなかった。
ほんの10分でも誕生日に逢えるって事が嬉しかった。




「泊まれる用意してきて!」





え?
泊まり?




「大丈夫なの?」





「カッコいい事はしてあげられないけど
せめて凛とゆっくり過ごそうって決めてたんだ」




誕生日に逢えるだけでも嬉しいのに
休み前に逢えるなんて…!





充分すぎる誕生日プレゼントだった。





食事してホテルに入ると
ニッコリ笑って「手、出して!」





私の薬指にピンクのハートの指輪をはめてくれた。肌が弱い私は、だいたいのアクセサリーはカブれるのに何故か織田さんがくれるアクセサリーはいつもカブれない。




「ありがとう(≧∇≦*)」




織田さんも嬉しそうだったね…。




そして次の日も終電まで一緒にいてくれた。





ちょっと前はあんなに幸せだったのに………。

No.73 13/10/04 23:59
匿名0 

>> 72


今日は記念日。
私たちの5回目の記念日。




曇り空の私の心とは真逆に
空は青く、痛い程の日差しが降り注ぐ晴天。




「どういうつもり?」
と言われたあの昨日、




「おまえは何も分かってない。
明日も無理だぞ」
と、言われた。




私にとって特別な日。
5回目の記念日。
でも、逢うのも無理で、まだ私たちは喧嘩したまんま。




こんな日は同じ空間にいるのが辛い。
幸い私は外回り要因だった。



真夏や真冬はみんな外を嫌がるから私は結構、外回りになる事が多い。
電話対応が嫌いな私は外仕事の方が合っている。



たけど…
こんな時は織田さんと顔を合わさずにいられるのはいいけど…気分的にキツい。




ほとんど眠れずにいた事とこの炎天下。
気分は上がらず時間ばかりが過ぎていく。
私の報告が上がらないのが気になったのかメールがきた。




織田さんからだ。
「進んでる?大丈夫か?」





メールは返さなかった。
心配なんてしてないクセに…。
私が結果が出せないこと•具合が悪くなることが
「自分のせい」になるのを気にしてるだけ。




そんな風にしか考えられない。
けど、1件でも決めないと帰りずらくなるから
とりあえず1件だけ頑張って帰社した。




いつもなら、大量の汗をかく真夏は帰社後すぐに着替えをする。
でも今日は着替えることすら気力が出なかった。
お昼ご飯も食べていない。




「誰も私に話しかけるな!」と思いながら報告書だけ仕上げ私は会社を出た。
織田さんとは一言も言葉を交わさず、顔も見ず。





私がどんな気持ちで仕事してるかなんて気にもならず、また例の奴らとゲラゲラ笑ってたんだろ!?
そんな意地の悪い私でしかいられない。




本当なら…
幸せいっぱいなはずの記念日なのに。



No.74 13/10/05 00:53
匿名0 

>> 73


私が向かった先は例の公園。
だが、ショックな事にこの公園!『禁煙』に変わっていた。




なんだか力が抜け、無気力になった私は他の公園を探し、ただ歩き続けた。小さな公園を見つけた。
夜とは言え、真夏の夜はまだまだ暑く
空きっ腹の私はブラックコーヒーとタバコで少し気分が悪くなった。




そんな時、織田さんからメールが来た。
「何してる?」




「気持ち悪い…」





「そっか…じゃあ今日は無理か。
家だろ?少し安静にしてな」





「家じゃない…」




「公園…か?(*゚д゚*)」





「もう気力が出ない。
でも大丈夫だから気にしないで」





「気にすんなって言ったって心配するに決まってんだろ!」




返事を打ってる途中でメールすら打てなくなった。かすかに電話が鳴り続けているのは分かるけど、出れない。




心配させたかった訳でも、当て付けでも、計算したわけでもない。




もともとは優しい織田さん。
心配した織田さんは私を探す。
だけど、いつもの公園ではない。
見つかる訳がなかった。
だって織田さんは自宅が遠い。こんなとこ土地勘すらないんだから…。




それでも織田さんは諦めずに探し続けてくれたんだろう。




しばらく休んでいたら歩けそうだったから歩いてとにかく帰ろうとした。
電話が鳴る。
携帯を見るとかなりの着信とメールが入っていた。




ヤバい…。
絶対、怒ってる…。




とりあえず電話をかけた。
「も…」



「今どこだ?」




「いつもの公園が禁煙だったから歩いて見つけた公園」





「近くに番地とかないか?目印探して!」




目印…。




「大丈夫。タクシー拾って帰るから」




「もういつもの公園にいるんだ!近くにはいるはずだろ!?」




なんでいつもの公園の場所を知ってたんだろう。
私もいつもの公園に向かって歩き始めた。
近くに有名なスーパーがあった。




「○○がある!」
番地も見つけた。
だけど、織田さんに逢うのが怖かった。




番地を伝えると、しばらくして遠目に織田さんの姿を見つけた。…と同時に、織田さんも私を見つけた。
ものすごい勢いで織田さんは走ってきた。



No.75 13/10/05 01:50
匿名0 

>> 74



「いた!…なにやってんだよ…」







「…ごめん…」





「…ったく。…大丈夫か?」





「…うん」




「とにかく少し涼め。どっか入ろう」





結局、タクシーに乗って、いつもの居酒屋に入った。




「喉カラカラだよ!まったく手が掛かる奴だ!」




「ごめん」





「今日、凛…帰ってきた時からずっと具合悪い顔してたから気にはなってたんだ。青白い顔してたから」




「私の顔なんて見たんだ?
気にもしてないと思ってた」
可愛くない私。




「ちゃんと毎日見てる。
凛が思ってるよりずっと、ちゃんと気にしてるんだ、毎日」




「…今日、無理だ!って言ったじゃない。
帰らなくちゃダメじゃん」
まだ素直になれない私。




「泊まる。今日は凛といる」




…。





「お見通しだ!全部お見通し。
凛が元気がないのも着替えすらしてないのも
誰とも話してないのも全部お見通し。
そういう時の凛は必ず無茶するんだ
全部分かってんだ!」





私だって本当は
渡したかったプレゼント…こっそりちゃんと鞄の中に入ってるよ…。
でも、まだ素直になれない。




「凛…」
織田さんが悲しそうに私の顔を覗き込む。




私は目をそらす。




「凛…」
もう一度、織田さんが私を呼ぶ。




「あ…私、○○退会したから安心して
もう迷惑かけないから」
本当に嫌みな女。可愛くない。




「なんでそうやっていつも極端なんだ?
普段、ほんの少し気をつければ済む話なのに」





ほんの少し?
毎日、心が折れそうになるくらい我慢してるよ…?気をつけてるよ?
 



この言葉は飲み込んだ。
もう喧嘩はしたくなかった。
私は黙っていた。




「帰りな。
私のせいでバレたんでしょ?ごめんね…」




逢えた事が嬉しいのかさえ自分自身分からなかった。




「記念日は会うって約束だっただろ?
今日は凛といるんだ!」




「逢えないって言ったじゃない!
何も分かってないって言ったじゃない!」
悔しくて泣いた。
一度、泣き始めたら私の涙は終わりを知らない。
場所がたとえ居酒屋であろうと一度出始めると止まらなくなる。





「ショックだったんだ。
見られて自滅パターンで終わるなんて嫌だった。でも何とか誤魔化したから。
もう大丈夫だから…凛…もう泣くな…」




バレるのが怖いだけなのか
私を失うのが嫌なのか、わからない。
もうわからない。
織田さんの考えてることがわからない。



No.76 13/10/08 02:01
匿名0 

>> 75


結局、記念日は一緒にいられた。
喧嘩さえしてなければ最高に幸せな日だったはず。私が意地を張ってたばっかりに…こんな1日になってしまった。




一緒にいる事で私も少しずつ気持ちが落ち着く。
そうだ!!!
せっかく買ったんだから渡さなきゃ!と思い、鞄からプレゼントを出す。





プレゼントは悩みに悩み、何度も何度も買いに行っては迷い やっと決めた物。
記念日のプレゼントは『密かにお揃い』って決めてるから、選ぶのが難しい。





4年記念日は手帳だったから
5年記念日はボールペンにした。
手帳に合う色柄のボールペン。
あと、織田さんの好きな柄の小さなポーチ。





離れていても毎日使う物。
いつもお互いを忘れない様に…。




記念日は織田さんからのプレゼントも決まっている。と言うか決めている。




私は織田さんの字が好き。
だから、私の用意したメッセージカードを渡していつも書いてもらう。
安上がりなプレゼント(笑)




今まで怒って泣いてたから、プレゼントを渡すのが照れくさい。可愛くない私は、プレゼントを「はいっ!」と無言で差し出した。
そして、逃げるようにシャワーに向かう。
本当は織田さんの反応が気になるクセに…。





メッセージカードをその間に書いてくれるのが、いつものお決まり。




ちょっぴり怖い気もしながらシャワーから出た。
そこには封を開けていないプレゼントとカードがそのまま置いてあった。





あれ?







No.77 13/10/08 02:26
匿名0 

>> 76




「凛が一生懸命、選んでくれたプレゼントだから一緒に見ようと思って」





ビックリした。
仕返しに「いらねー」とでも言われるかと思った。




「たいした物じゃないよ」





ニコッと織田さんが微笑む。
そうだ!この顔が大好きなんだ…私。
単純な私はすっかり機嫌を直した。
本当に単純…。
ちょっと優しくされただけで機嫌が直るんだから簡単な女。




ま、いっか。
記念日だし…最後に笑えたなら それでいいじゃない?凛。
なんて、心の中で思う。





私は早くカードが欲しくてワクワクしてた。
「これさ…宿題にさせて」




「宿題?書けるとこあるの?」





「大丈夫!ちゃんとゆっくり考えて書きたいから」




「わかった!」




プレゼントを見た織田さんは
「これさ…出なくなったら普通の文房具屋で芯買えるのかな?」
全く考えてなかった私(笑)




「買ったところで聞いてみる!」




織田さんは早速、鞄の中に散らばった小物類をポーチにしまい込んだ。
「凛はこれ、何に使うの?」




私は化粧品を既に入れたポーチが入った鞄を織田さんに開けて見せた。
織田さんがまた微笑む。




「良かった。凛がやっと笑った」
私も微笑む。




「今日はくっついて寝ようね」




「うんっ!」





そして私達は6年目に突入する。
喧嘩しながらも…
なんだかんだ、ここまで一緒にいられた。
次の6年記念日も私達はまた、こうしていられるのだろうか…。









No.78 13/10/10 02:39
匿名0 

>> 77




次の日から、また忙しい日々に戻る。
織田さんは残業続きの毎日。
大抵、終わる間際まで連絡がないのが当たり前になってしまった。




記念日の次の日も、また当たり前のように連絡待ちかと思い待っていると………



いつもより早く着信音が鳴る。
おっ♪今日は珍しく早く終わったかな?
…と、思いメールを開く。




そこにはメッセージカードの写メがあった!
あ…
忘れずに書いてくれたんだ♪




「宿題終わりました!
こっそり凛の机の引き出しに入れたから明日、朝一で出してね!取り扱い注意!
じゃ、仕事頑張ります」





仕事に手を着ける前に書いてくれたんだ!
「ありがとう♪
頑張ってね!」




結局、この日から織田さんは仕事で帰れない日が続いた。
記念日はきっと、ものすごく頑張って逢ってくれたんだな…そう思うと
ありがとうって気持ちと
ごめんねって気持ちが入り混じった。




そして…朝。




会社に着くなりメッセージカードを取り出した。
早く見たいところだけど見た目、会社の封筒に入れられたメッセージカードはビッシリと糊付けされていた。
どこまでも慎重な織田さんらしい。




早く見たい気持ちを抑え今日は電話対応要因だった為、メッセージカードの入った鞄はロッカーにしまった。




定時になりチャイムと同時に会社を出た。
早く帰って読みたかったから。
家まで待ちきれず、会社のそばの喫茶店に入り開けてみた。





何枚目のメッセージカードだろう。
照れ屋な織田さんは文章だと普段、言わないような言いまわしで率直に書いてくれる。
楽しみで開けてみると………。






んんん?













No.79 13/10/11 01:35
匿名0 

>> 78




凛へ




あっという間の5年間に感じます。



喧嘩も多いけど共通点も多いと思います。
わがまま放題の2人がこれからも一緒にいられるように頑張っていこう。



これからもよろしく!





予想とは大きく違っていた。
なんなんだ?
このラブラブ感の全くない内容…。




しかも『わがまま放題の2人』って…。
私の中では『わがまま』は半分以上、飲み込んでる、抑えてるつもりなんだけどな。
織田さんには、私は『わがまま』に映ってるのか…。





これを読んだ時、最後にもらった
クリスマスカードを思い出していた




クリスマスから半年以上 経つ今、
織田さんの中での私は明らかに想いが変わってきているように感じた。
私が感じる『ズレ』…
想いの温度差の違い。




これはきっと私の考えすぎではない。




織田さんが言う『共通点』ってなんだろう。
「カード読んだよ!ありがとう」
そんな事すらメールするのをためらう。
何故なら、メールをしても返事は来ない。
メールは読まれる事なく深夜になるまで待ちぼうけ。




それが毎日続く。
明らかに以前とは違うんだ…。
優しかった織田さんは段々いなくなっていく。




朝のメールもままならず
日中は全くない。
夜は深夜近くまで来ない。




会話がどんどん出来なくなっていく。





織田さんが言ってた
「距離を置きたい」
って…こういうこと?




No.80 13/10/11 02:27
匿名0 

>> 79



きっと、初めからこんなペースだったなら
私もそれほど寂しくもなく不安にもならないんだろう。



普通に考えたら、仕事中なんてメール出来ないのが当たり前だろうし、仕事中にピコピコ携帯ばっかり触ってるわけにもいかないんだから。




それが出来てしまっていた贅沢に
私が慣れすぎたんだ。




私が独身だから…
私たちの形が普通ではないことを私は忘れてわがままになりすぎている。




どんなに綺麗事を言っても私たちはいけない事をしている。それを知りつつも、お互いのわがままで今に至っている。





「人に言えない関係」
「自分だけのものにならない寂しさ」
「思うようにならない苛立ち」
そんな事からどんどん私の独占欲ばかりが強くなってしまっている。





「ねぇ…夫婦が長く続く秘訣ってなに?」





「カミサンのだんまり、かな」





だんまり…。
すげー苦労させてるけど黙って耐えてくれている。
織田さんはそう言ったよね。




きっと織田さんは
私にも、それを求めているんだろう。
でも私は黙っていられない。
自分の中に溜め込むと、あるキッカケで爆発する。じゃないと…鈍感な織田さんには私の気持ちなんて伝わらない。





私は、私の苦しさを織田さんに分かって欲しいだけなんだ。
そして…
そんな私にきっと織田さんは疲れたんだろう。




私の仕事は女の仕事にしたら給料は良いほうで安定している。
もし別れたら、私は仕事は辞める。
私の歳で今以上、好条件な仕事は簡単には見つからない。




私の将来…。
もしかしたら…
私の将来を心配して「別れよう」って言えないでいる?


だから少しずつ距離を置いて
自分がいなくても私が平気でいられるように…



もしかしたら、
織田さんも悩んでる?



鳴らない携帯を横に
今日もまた、ぼんやりとそんな事を考えていた。




No.81 13/10/12 03:06
匿名0 

>> 80




携帯が鳴る。





織田さんではない着信音。





誰だろう?
それは知らないアドレスからだった。



空メール…。


「なんだ?」
とは思ったけど、あまり気にしなかった。


少しして、また携帯がなる。
また同じ人。


「逢えないかな?」
一言だけ。名前も書いていない。


なんなんだ?
アドレスをよく見てみた。





わかった…。
TUBEの曲名。


それは、しつこいから着拒した相手。



繋がらないから、アドレス変えたのか…。



もちろん返信はしなかった。
今更、なんなんだ…



岡田は私の人生の中で唯一、付き合った事を後悔している男。「嫌いになって別れる」事は、まずない私が着信拒否するくらい私の中から抹消したかった男。



しつこいと言っても1日に何度も、とか
毎日何度も何度もメールや電話が来るわけではない。



忘れた頃にメールや電話をしてくる。
「逢えませんか?」
「忘れられない…」 
と。




返信などしない。電話にも出ない。
でも、半年に一度、何ヶ月かに一度くらいの割合でメールが来る。



一度だけ、毎日のようにメールが来るから返信したことがある。



「100万くれたら逢ってもいーよ」と。



「…凛じゃないよね?男が打ってるのか?
凛はそんなこと言わない…よ」と。




「私だよ。もうメールも電話もやめて」
と最後に言って着信した。




どーせ金に困ってんだろう。
このアドレス…別に着拒もせずにいた。
ほらね…
一度きりでまたメールが来るわけでもない。




だいたいが「忘れられない」の意味が分からない!忘れられないほど私のことなんて好きでもなかったクセに。




この男からメールが来たことで、無性に織田さんに逢いたくなった。
時計を見る。
終電は近い。



織田さんにメールしてみた。
「今日も終わらないの?」


No.82 13/10/12 03:59
匿名0 

>> 81



返信はない。
今は、LINEでやり取りしてるから「既読」かどうかが分かる。
既読にならない。




メールを見ないって事は飲みか?
なんだか寂しくなった。
こんな事…しょっちゅうだけど。




逢いたい時に逢いたいと言えない。
逢いたい時には、なかなか逢えない。
手帳を見ると、逢えなくて1週間が過ぎていた。





前に喧嘩した時に言ったことがある。
私たちの現状からして「放置」になるのは場合によっては仕方がない。
でも、1週間に1度は逢いたい、と。




ただ私の言う1週間に1度とは、月曜日から金曜日の中で1度だから、月曜日に逢えて 次の週 金曜日に逢えば10日振りになる。
私は1ヶ月に4回は逢いたいと思って言った。




私の手帳の逢えた日はピンク。
喧嘩は黄色。
最近、加えた「放置」は緑。
明らかにピンクは少ない。
最近は、やけに多くなった緑。




結局この日は深夜2時になり
「ごめん…いつの間にか居眠りしちまった」とメールが来た。



でも、メールが来たことで安心する私だった。

No.83 13/10/12 04:47
匿名0 

>> 82




今日は木曜日。
週末は基本的には逢えないから…
今日、逢えないと月曜日に逢えたとしても11日振りになる。
最近はこんな事ばかり考えるようになった。




それでも、逢いたいとはあまり言わないようにしている。逢いたいオーラを出す事はあるけど忙しいのも分かってるから、あまり言ってはいけないと思っている。
だから、心の中で「今日は逢えるかな」と言う期待ばかりが膨らむ。





前のようにメールが頻繁に出来なくなり、織田さんが周囲を気にするあまり日中のメールが出来なくなってから、私は会社を出た後が嫌いになっていく。
待つ時間は長く感じる。
織田さんからメールが来るまで、状況が分からないから不安になる。



忙しいだけなのか
飲みに行ってるのか、
そこに女はいるのか…。
また寝ちゃったのか。




「放置ばっかりでごめん」
織田さんは口癖のように言うけど
やっぱり今日もメールは来ない。




今日も逢えなそうだな…。





終電が近くなるとメールする。
「終電なくなるぞー」




既読にならない。




また…か。





そして深夜0時を過ぎた頃、やっとメールが来た。




「ごめん!前嶋さんと飲んでた
凛、今から来れる?」




飲みにしては比較的早い時間だった。



「酔っ払い?」




「酔っ払いです(*_*;
でも、一緒に寝たくてさ」




あんなに逢いたかったのに
「じゃ、行かない!」




「え?
分かりました(ToT)なら、会社に戻ろっかな…」




泣いた顔の絵文字。
まさか、断るとは思ってなかったんだろう。




「だって、すぐ寝ちゃうでしょ?」




「即寝だな…」




やっと逢えた1日が逢えた途端にいびき、なんて嫌だった。私の意地。



織田さんは私に断られた事にショックを隠し切れないようで、この日は少しメールをしてから寝た。いつもなら飲んだ日は速攻寝るのに。


No.84 13/10/12 05:26
匿名0 

>> 83

寂しくなって、
クリスマスカードを引っ張り出して読んでみた。





凛へ




いつも泣かせてばかりなのに
一緒に居られるのは凛のおかげです。



今後もどんなに辛い事があっても
ずっと俺と一緒に居ること。



勝手な判断は禁止!
何があっても一緒に来い!



ずっと大好きだからね!



                織田 敦




明日は逢えない金曜日。
でも、帰り道メールが出来る金曜日。
逢えなくても、いっぱいメールが出来た日は心が満たされる。



忙しくて帰れない日が続くとメールもほとんど出来ないまま1日1日が終わる。
今もクリスマスカードのように思っていてくれてるのかな…。





そして、金曜日の夜。
ちょっと楽しみにしながら織田さんからの連絡を待っていた。




「そろそろ帰るよ(^_^)/」




「スタンバイOK(^_^)/」





私はいつも、織田さんの帰り道はメールに集中出来る様に、連絡がくる前にやる事を全部片づけて待つ。




「会社出たよ!」のメール待ち。





1時間過ぎてもメールが来ない。





何故………?



No.85 13/10/14 03:36
匿名0 

>> 84



段々、不安になる。
…と言うのも、別口で飲んでいる女連中から誘いが来て、飲みに合流したことが何度かある。



織田さんの事情を知らない彼女たちにとっては、金曜日ともなれば連休前で飲みに誘うには都合がいい日だろう。




「会社出た?」
メールしてみた。
やはり既読にはならない。



また、か…。



あまり返信がないと心配にもなってくる。
具合悪くなったわけじゃないよね…?
もう一度だけメールしてみよ!




「飲んでるの?
具合悪いわけじゃないよね?」




随分経って、もう寝ようかな…と諦めた頃メールが来た。



「会社出る時に佐々木さん達と一緒になっちゃって、今○○駅の近くで飲んでる」



佐々木さんとは、違う課だけど織田さんを可愛がってくれている先輩。




「わかった。
もう終電ないよ?」




「どっか探す。
また連絡するね!」




連絡なんてしないくせに…。




女連中じゃないことに少しホッとはしたものの…
週末は我慢してるのに…
飲みは断らない織田さんに少しイラっとした。




タバコ吸って寝よ。
あ…
こんな時に限ってタバコ無いし(-_-;)
ちょっと外の空気でも吸って気分転換でもしようと歩いてコンビニまで行った。




「おい!」
後ろから誰かが私の肩を叩く。



No.86 13/10/14 04:22
匿名0 

>> 85



「こんな時間に何してんの?」





小島だった。
偶然、逢ったっておかしくはない。
お互い地元に住んでるんだから…。




「タバコ買いに来た」




「こんな時間に?」




「うん…小島は?」




「仕事の帰りぃ。元気ねーなぁ。
上手くいってねーのか?」



なんでわかるの?
「ん?元気だよ!」




「ふーん…
元気じゃありません。って顔してるけどな」



「そう?
歳とったからじゃん?(笑)」




「お前痩せたな。前から痩せてるけど…
あ!お前ちょっと時間あんの?」




「なんで?
帰って寝るよ!」




「付き合い悪ッ!」




「バカじゃん!
こんな時間にどこ行くつもり?」



「えぇ~!車乗せてやろうかと思って。
凛、ドライブ好きだっただろ」




時計を見た。
深夜2時を回っていた。
もう…織田さんからは連絡来ないな…。
少し迷ったけど


「じゃあ、少し乗せて」




ドライブなんて何年もしていなかった。
助手席に座って普通に話していると冷房に弱い私はガンガンに冷えた車内が寒くなってきた。
よく考えたら、部屋着のまま来たから胸元がパックリ開いたキャミソールだった。



織田さんは胸元の開いた服を他の人の前で着るのをひどく嫌がる。
織田さんの顔が浮かぶ。
ものすごくいけない事をしている感覚に陥った。





「ねぇ…ちょっと寒くなっちゃった。
でさ、もう眠くなったから帰る」



「まだ目的地着いてないのに?」
そう言って小島は冷房を弱めた。
信号が赤になり車を止めると、小島の目線が私の胸元にいくのを感じた。




「そんな格好じゃ寒いだろ。
後ろに仕事のだけど、上着あるから着な」




「ありがとう」
焦った…。気のせいか。
後部座席にある上着を取ろうとした時………



No.87 13/10/15 02:29
匿名0 

>> 86




私の腕を引き寄せる。
顔が近づく。




とっさに避けた。
「アホ(-_-;)」


小島は本音で付き合える相手。
織田さんには言えないような言葉も気にせず使えるから楽ちん。



「アホですよー(-。-)y-゚゚゚すいませんねぇ」





「ここどこ?
もう降りる」



自己嫌悪に陥った。
織田さん以外の男と2人きり…。
自分がされたら怒るクセに…。




「そんなに好きか?
その男…」




「うん…
バカでしょ(笑)」




「今日だって連絡ないんだろ?
そんなに泣かされても好きか?
好きなら泣かすなよ!…って感じだけどね、俺からしたら」




「私が勝手に泣いてるだけだから…。
私が別れられないの」




「お前もアホだな」




「うん…」




そんな会話をしながら家まで送ってもらいバイバイした。この日から、たまに小島からメールが来るようになった。



家に着いても織田さんからの連絡はない。




「また連絡するね」




嘘つき………。




例えば今日、一緒にいる相手が
佐々木さん達ではなく…女だったとしたら…
ねぇ…織田さん。
あなたも自己嫌悪に陥ったりするの?
私に罪悪感を感じたりするの?




しばらく考えて、いつの間にか眠っていた。
そして、朝が来る。



No.88 13/10/16 00:46
匿名0 





寝坊助な織田さんの事だから、どこかに泊まっているのなら連絡が来るのはお昼頃だろう。
万が一、家に帰っていたらマズいから…
私は敢えて連絡を待とう。



なんて思っていたら、意外と早く連絡が来た。




第一声。
「凛に謝らなきゃならない事がある」




え?
何?
嫌な事なら聞きたくない。
心臓がバクバクし始める。




「嫌な話?」




「めちゃくちゃ嫌だと思う…」




やっぱり女がいたのか…。
女がいたとしたら、ここで織田さんに聞かなくても私の耳に入るのは時間の問題。 
他で聞いて同じようにショックを受けるなら…
織田さんの口から聞いたほうがいい…。




怖いけど聞いた。
「角田さん達と飲んでたの?」



聞きたくない…。
知らずにいられるなら知らずにいたい。



「いや…違う。
佐々木さん達と飲んでた」




ん?
じゃあ、何?



「何?」




「昨日…解散して、色々探したんだけど
どこも泥酔お断りされて、泊まるとこなくて
どうしようもなくエロビデオ鑑賞のとこに泊まった…ごめん…
でも何も見てないからね(>_<)」




なんだ………。
そんなの黙ってればバレないのに!



「ムラムラしちゃったのか?( ´艸`)」




「してない。
凛が知って泣いてる夢見たんだ…」




「だから第一声がソレなのか…
女と泊まった!とか言われるのかと思った」




「ごめん…
凛にメール打ってる途中でオチちゃってた
また約束破った…ごめん」




「浮気じゃないならいーよ!」




「凛に逢いたくてたまらない」



「だって…帰らなきゃじゃん」



「少しだけ…」




単純だよな…。
散々待って放置されて、約束も破られて
悲しいを通り越して怒りさえ覚えても
こんな簡単な一言で嬉しくてたまらない。


騙しやすく都合のいい女…だろう…ね。



結局、織田さんのいる隣町まで行き、食事をして織田さんは帰って行った。



「エロビデオ鑑賞のとこに入った瞬間に
凛の顔が浮かんで…罪悪感でいっぱいになった
毎回、飲みすぎて自己嫌悪に陥るんだ
放置した挙げ句、約束も守れないことに」





おんなじだね…織田さん。
でも私はズルいから…
小島との事は言わない。
知らない方がいいこともある。



そして、約束を破った織田さんへの
私が与えた微かな小さな小さな罰だった。




もう小島には逢わないと決めた私がいた。
自分がされて嫌なことは、私はしない。
必ず自分に返ってくるのだから…。


No.89 13/10/20 04:17
匿名0 

>> 88



[自分に返ってくる]





いつか必ず自分に返ってくる。
いけない事と知りながら
現実からは目を背け
出ているはずの答えは
心の中にしまい込む。




幸せ………。
扉を開けたら、そこには幸せが待っているかもしれないのに
その扉を開ける勇気がない。



どれだけ泣いても先はない。
私の辛さなんかより
もっと辛い人がいる。
私の手で…
傷つけ悲しんで苦しい人がいる。





わかっているのに踏み出せない私。
まだ、一緒にいたい…。
どれだけ卑怯な女なんだろう。




もうすぐ織田さんの嫌いな冬が来る。
喧嘩して、何度も考えた別れ…。
それでもまたこうして新しい冬を迎える。
私の隣にはまだ、織田さんがいる。
色んなことに葛藤しながらも…。



No.90 13/10/20 07:07
匿名0 

>> 89



明日、明後日、明明後日と会社のイベントがあり
まぁ…イベントとは言っても私の嫌いな飲み。
誰がいつ出るのか詳細を決めるのは前嶋。





会社の入口に詳細が張り出された。
織田さんの言葉を思い出していた。





「前嶋さんはさぁ
絶対に俺と凛を同じ日にしないんだ。
あれ…絶対にわざとだと思う。
前回も違う日だっただろ?
張り出すまで俺にもメンバー言わないんだ
で、自分は必ず凛と同じ日にする(-_-#)」





やはり織田さんとは違う日だった。
前嶋のお気に入りメンバーの中に私と数名が同じ日。
そして織田さんの日を見ると…



やっぱり…木村さんと一緒だ…
前嶋は木村さんが嫌い。
酔った木村さんは絡み酒になるから面倒臭いんだ。だから織田さんの日に当てる。




毎回の事だから分かってるクセにやっぱりショックだった。この会社に入って6年近くなるのに織田さんと一緒になれたのは1度だけ。




「やっぱり違う日だったね…」



「だろ?俺まだ見てないんだ」




「木村さんと一緒…あと金木さん…」




「またか…
大丈夫!少し避けて遠目で飲むよ」




「織田さんが避けても向こうが絡むじゃん」




織田さんは私が1番嫌がる相手な事を知っている。必ず、こんなやり取りをする。



毎回なんだから初めから期待しなきゃいいものを織田さんの言葉にどこか期待してしまうバカな私。


でも、心配なのはお互い様なのかな…
私も織田さんが嫌がる前嶋と一緒だから…。



こういったイベントはみんな張り切ってオシャレする。全社員が集まるから。
さて、何を着てこうか…
「おっぱいの見える服は禁止!」




私の参加日の前日が織田さんの参加日だった。




No.91 13/10/20 08:22
匿名0 

>> 90



今日の参加者がみんな着替え始めた。
みんなオシャレして化粧直ししている。
そこにはスーツを着た前嶋の姿があった。
なんだよ…前嶋も出るのか…。
そして、私の嫌いな時間が始まった。





早く帰ろッ…
私は会社を出た。
イベント終了まではまだ時間がありすぎる。
二次会もあるだろうから尚更。



この、待つ時間が辛い。
何をして気を紛らわそうか…。



あ!
ちょっと明日の服でも見に行くか!
散々見て回っても、まだ時間は余りすぎている。



 
そうだ!
蓮とDVDでも見よう!
気分的に恋愛モノは気分が滅入るから敢えて蓮の好きなアクションモノにした。



それでも時間はまだお開きだろう時間に満たず
私の妄想タイムが始まった。



終電の時間はとっくに過ぎ
またいつものパターンね…と、私もお決まりのように寂しさと不安感でいっぱいになる。




すると珍しく携帯がなった。
あ…珍しい…織田さんだ!




メールを開くと、そこには何故か便器の写メがある。なんだ…?




「辛い。帰りたい。
気持ち悪くて1時間以上もここにいる
逃げたい…」



「具合悪いって言って帰りなよ!」




「前嶋さんが帰してくれないんだ」




「2人?」



「いや…前嶋さんと木村さんはずっと喋ってる」



そこから連絡が途絶えた。
織田さん…
私が心配なのは今じゃないんだよ。
その後が嫌いなの。




結局、それ以降、連絡が来ることはなかっな。

 

  • << 93 朝になっても連絡はなかった。 モヤモヤしたまま出社すると、見るからに二日酔いの織田さんが既にいた。 会社に泊まったんだな…。 せめて一言位メールくれたっていいのに。 「会社に泊まった」 と言われれば、私はそれを信じるしかない。 万が一、酔っ払った者同士でホテルに泊まったとしても…それを確認する手段はないんだから。 小島と別れた理由。 昨日まで「好き」「愛してる」と、言い合ってたのに、次の日から連絡が返ってこなくなった。 私が旅行に行ってた間に…たった1日で元カノとヨリを戻してた。 何故わかったか? 女の勘は鋭い。 「次は車で来ようね」 車がなかった。 すぐにわかった。 ついこの間、2人で行ったホテル。 きっとそこにいる。 そこに車はあった。 私と集めた馬のぬいぐるみが並んでた。 織田さんはそんな人じゃない。 わかってはいる。 でも人なんて何が起こるか分からない。 だから…不安になるんだよ…。 私は1日外要因だった。 織田さんは気持ち悪くなるたびトイレに引きこもってるようで、昨日の状況をメールしてくれた。 私にメールをくれたあとテーブルに戻ったら寝てしまい、目が覚めて気づいた時にはもう2人は帰ってた…と。 確かに織田さんは普段から、なかなか起きない人だから分からなくもないな。 でも、でも、メールくらい1回でもくれたらホッとするのに。 「そんなんじゃ、今日は早く帰らなきゃね…」 「とにかく気持ち悪い」 私は今日、参加日だよ? 呑気でいいな…。 私は不安でいっぱいだったのに… 織田さんは私を心配する余裕もないね。 私もそのくらい余裕のある女になりたい。 織田さんが誰とどこで何をしていても 気にもならないくらいになりたい。 いつもハラハラ、ドキドキ、モヤモヤ、鬱々した自分にたまに疲れる。 夕方になり帰社すると 織田さんの顔色はだいぶ良くなっていた。 そろそろ着替えるか…! 織田さんのいない飲み。 なんだか気が乗らない…。

No.92 13/10/20 12:52
匿名0 

>> 91


No.91



誤→なかっな
正→なかった


すみません。

No.93 13/10/21 02:52
匿名0 

>> 91 今日の参加者がみんな着替え始めた。 みんなオシャレして化粧直ししている。 そこにはスーツを着た前嶋の姿があった。 なん…



朝になっても連絡はなかった。
モヤモヤしたまま出社すると、見るからに二日酔いの織田さんが既にいた。




会社に泊まったんだな…。
せめて一言位メールくれたっていいのに。




「会社に泊まった」
と言われれば、私はそれを信じるしかない。
万が一、酔っ払った者同士でホテルに泊まったとしても…それを確認する手段はないんだから。





小島と別れた理由。
昨日まで「好き」「愛してる」と、言い合ってたのに、次の日から連絡が返ってこなくなった。
私が旅行に行ってた間に…たった1日で元カノとヨリを戻してた。




何故わかったか?
女の勘は鋭い。
「次は車で来ようね」



車がなかった。
すぐにわかった。
ついこの間、2人で行ったホテル。
きっとそこにいる。




そこに車はあった。
私と集めた馬のぬいぐるみが並んでた。




織田さんはそんな人じゃない。
わかってはいる。
でも人なんて何が起こるか分からない。
だから…不安になるんだよ…。





私は1日外要因だった。
織田さんは気持ち悪くなるたびトイレに引きこもってるようで、昨日の状況をメールしてくれた。



私にメールをくれたあとテーブルに戻ったら寝てしまい、目が覚めて気づいた時にはもう2人は帰ってた…と。



確かに織田さんは普段から、なかなか起きない人だから分からなくもないな。
でも、でも、メールくらい1回でもくれたらホッとするのに。




「そんなんじゃ、今日は早く帰らなきゃね…」





「とにかく気持ち悪い」




私は今日、参加日だよ?
呑気でいいな…。
私は不安でいっぱいだったのに…
織田さんは私を心配する余裕もないね。
私もそのくらい余裕のある女になりたい。




織田さんが誰とどこで何をしていても
気にもならないくらいになりたい。
いつもハラハラ、ドキドキ、モヤモヤ、鬱々した自分にたまに疲れる。




夕方になり帰社すると
織田さんの顔色はだいぶ良くなっていた。



そろそろ着替えるか…!
織田さんのいない飲み。
なんだか気が乗らない…。


No.94 13/10/25 03:40
匿名0 






美味しい料理とお酒が並んで乾杯となる。
あんまり食べたい物もなく、ソフトドリンクはお茶 コーラ オレンジジュースのみ。




お茶とお寿司を少し食べた。
あとはフルーツばっかり食べていた。




「ちゃんと食ってる?」



パッと見ると織田さんだった。
あ…
本当に顔出してくれたんだ(≧∇≦*)



少しだけテンションが上がった。




抽選会。
私は運がない。いつも当たった試しがない。
私の番号は…




偶然にも【27】
記念日の数字!
でも、これ…
当たんなかったらテンションがた落ち(-_-;)




次々と番号が呼ばれ盛り上がっている。
もうそろそろ景品も終わり。
残りほど品が高い!



あー…もう当たんないな…




すると私の横に来た織田さんがどこかで呼ばれ
「悪りぃ!これやっといて!」
抽選券を渡された。




こんな事は珍しい。
いつもなら絶対、私には近づいて来ない。
前嶋と仲良し女子がいるから尚更。
どうしたんだろう…今日は。




織田さんの番号は【26】
偶然にも、これは2人が初めてサシで飲みに行った日。




こんな偶然ってあるんだぁ…!
なんとなく良い予感がした。



ディズニーランドのペアチケットが欲しかった。
もらっても行けないのは分かってるけど、
なんとなく欲しかった。




次だ!
ディズニーランド!




「残りの景品もあと7個です!
次はディズニーランドペアチケット!
番号は!」



…………




そこへ織田さんが戻ってきた。
そっと抽選券を返そうとすると
「持ってて」
言葉にはしなかったけど、そんな仕草をした。



ねぇ…織田さん!
今ね…ディズニーランドペアチケットだよ!
欲しいな…。




「言いますよ!いいですか?
………番号は!」





No.95 13/10/26 04:03
匿名0 

>> 94



「63番!」




「あ~♪は~い♪あたしだ~!!」
当たったのは仲良しの沙織。


そんなモンだよね…。
いいな…。



「凛ちゃん♪超嬉しいんだけどぉ( ´艸`)」



「くれ(-_-#)」



「やだぁ!」
なんて会話をしていると沙織が私のカードを覗き込む。



「あれ?
なんで凛ちゃん2個あんの?」
沙織は声がデカい。
みんなが一瞬こっちを見た。



織田さんを指差して
「預かっててって言われたの」




「ふーん」
一瞬、見られたものの…
次の番号に移っていたため みんなはもうそっちに夢中になっていた。




段々、景品が良くなり会場は盛り上がっていた。
残り3個。




「26番!」




あ…
織田さんだ!
チラッと織田さんを見ると
「中川さんじゃん!」と背中を押された。




戻ってくるとみんなに
「いいなぁー!いいなぁー!」と囲まれる。
デカい箱の中身はファンヒーター!



織田さんが
「ヤッタねo(^-^)」と微笑む。
本当は…織田さんのなのに…。




結局、私は当たらずに終わった。
そしてイベントが終わった。
本来この会に限ってはいつもなら二次会はない。
だが、この日は社長が来ていたため急遽 二次会に移ることになった。



人前で絡む事を必要以上に避ける織田さんが珍しく近くにいてくれた。チラッとのはずが最後までいてくれた。



気が乗らなかったイベントが
ほんのり嬉しいイベントになった。
だが、急遽の二次会…。
私の嫌いな二次会…。
幸せな時間から憂鬱な時間に変わる瞬間。



もう聞かなくてもメンバーは分かる。
前嶋と彼女たちが行く二次会には、他の女性たちはみんな行かない。敢えて別口で飲む。
みんな前嶋のお気に入りメンバーが嫌いだから。




「凛ちゃんはどうする?」


No.96 13/10/26 04:46
匿名0 

>> 95



この日は金曜日だった。
休み前だから絶対みんな行くよね…。




どうしよう…。
行きたい気持ちと目の前でまた現実を見る怖さ。
迷った。
すると…
前嶋のお気に入りメンバーは1人を残し帰って行く。



「あれ?
行かないの?」



「今日は帰る~!疲れたから」




「中川さんは行くの?」




「う~ん…迷ってる」





「行ってあげて!秦野さん1人だから!」




後から聞いた話だが、この日は彼女たちが嫌いな峯木さんと言う新人さんがいた為、彼女たちは別口で飲んだらしい。
秦野さんは主任だから社長がいる手前、残らなければならなかった…と。
彼女たちは峯木さんが嫌いで、その子が行く二次会には行かないと決めてるらしい。




そこに秦野さんが来て
「ねぇ…中川さんも来て!
お願い!女が集まらないのよ…」




この言葉のお陰で、ちょっと行きやすくなった。
秦野さんは女性を集める為に走り回る。
そこに織田さんが通り
「中川さんも行こうよo(^-^)」と微笑んだ。




結局、女性は私を含め5人。
残りは男性。




カラオケ。
こう言った個室では、やはり織田さんは私を避け遠目に座った。前嶋が
「男は女性を挟んで座って!」と指示する。
必然的に私の両隣には男性が座った。
男性が圧倒的に多かったため織田さんは入口付近にポツリと座っていた。




織田さんがランダムに曲を入れ
指名された人たちが歌い始める。
私が歌が好きなのを知っている織田さんは、何番手かに私の曲を入れた。





なんか言いたそうに織田さんが私を見た気がした。何が言いたいのかは分からなかったけど…きっと男性が隣りにいるのが嫌なんだろうな、と思った。




途中、お酒も入り酔いが回ってきたんだろう。
私の左隣りの男がやたらエロい。



「中川さんは綺麗だからモテるでしょ」
顔を近づける。




「いや…私みたいなタイプはモテませんよ」





「あ!分かる!
綺麗な女性は損するんだよね~!」




やたら綺麗、綺麗と言っては段々と体ごと私に寄りかかってくる。私はU字型のソファーの奥に座ってしまったため、なかなか逃げられずにいた。



ちょっと限界!と思い、意地悪な私は峯木さんに
「トイレ行くから詰めて」
と言ってトイレに行った。




戻ってくると峯木さんは言われた通り、その男の隣りに座っていた。でも意外と楽しそうにしている。
私は迷わずソファーの一番手間に座った。



No.97 13/10/26 05:24
匿名0 

>> 96



しばらくして私がポツンと座っていたからか前嶋が私の横に来た。
私は好きに歌ってるから来なくていいのに(-_-;)
と思いながら特に話す事も見つからず
気が利かない私は何か話のネタを探す訳でもなく
黙って曲を選んでいた。




コイツつまんねぇー!と言わんばかりに前嶋は
席を立ち、何か織田さんに言っている。
終電がなくなりそうなメンバーが少しずつ帰って行き人数が少しずつ減っていく。
まだエロ男と峯木さんは残っていた。
特にイヤがる素振りもないから放っておいた。





すると…
織田さんが前嶋と変わって私の隣りに来た。
いつもより酔ってる感じではなかったけど…酔ってるのかな。
ピタッと私にくっついて座る。
そして………。





「監督!今日は合格ですか?」
と聞いた。





「…合格…かな」




監督…。
以前の喧嘩の際、「監視」を「監督」と言い間違えた事を織田さんはネタとして使っていた。




やっぱり「監視されてる」意識は変わらないんだな、と感じた。私がいると織田さんは楽しめないのかもしれない…。




「凛は不合格だ!」




「…え?」





「今日は合流するぞ!」




「それは…謝罪的なもの?」
私が聞くと



「俺の希望だ!」
と言った。




なんだか本当に久し振りに思い出した。
付き合い始めて前嶋たちに疑われる前は
よくこうして飲み会の後は合流したね…。
喧嘩が絶えなくなって私が二次会に行かなくなったから随分、久し振りの感覚だった。




そう…。
あの頃は飲み会は嬉しいイベントだった。
こうして最後に合流出来るから。



いつからか大嫌いになったんだ。
前嶋が来てから…だな。




終電が近づいてほとんどの人が帰り、前嶋と秦野さんも帰って行った。
少し安心したのか織田さんは最後まで私の横に居てくれた。
お開きの時間になり会計を済ませた織田さんは何やら女性2人に捕まっている。




どこでどうやって合流すればいいの?
みんなが駅に向かって歩き始めたから、私も一緒に行くしかなかった。
こっそりメールをしても、やはり返信はない。
後から来る気配もない。




そこへ電車が来た。
もうこれが最終電車。
仕方なく私もみんなと一緒に電車に乗った。





「今日は合流するぞ!」





織田さん…。
私は…
どうしたらいいの…?




No.98 13/10/27 08:31
匿名0 




電車に乗った。
しかし連絡はない。



結局、最寄り駅で下車した。




「今日は合流するぞ!」





嘘つき…!
いつも思わせ振りな織田さんに、怒りと言うよりも寂しさが募った。



私の最寄り駅近くには橋がある。
高い所は苦手な私だけど、しばらく橋の上から夜の道路を眺めていた。




メールしたってどうせ返信はないからメールするのはもう止めた。




もう…メールはないだろう…。
自分から言ったクセに私の事など忘れているんだ、と思うと夜の夜景が少し滲んで見えた。




もう帰ろうと歩き出す。



その時、
携帯が鳴る。




「凛、すまん!
今、どこにいる?」



「………橋」




「橋?
どこの橋?」




「どうしていいか分からないから
駅の近くの橋にいる。…諦めて帰ろうと思ってたとこ」



「ごめん…
すぐ迎えに行く!」




「もういいよ…
来なくていい…」




こうした時の私は素直じゃない。
普段、我慢してる事を織田さんに当て付けるように困らせるだけの嫌な女。




「そんなこと言うなよ…」




別口で飲んでいた女性2人が
「どーせ終電ないもの同士、次、行こう!」
と、しつこかったらしい。
相当、酔っていて困った…と。




「ずーっと凛が気になってたんだ!
絶対泣いてると思って。
今日は俺が逢いたくてたまらない。
すぐ、迎えに行くから」




「メールしても意味ないし
忘れて次でも行ったのかと思った」




「夜中だし危ないから、どっか入って待ってて」





連絡をくれた事に正直、ホッとした。
本当は嬉しかった。
半分は諦めてたから…。




ハッ!(゚o゚;とした。
ここに来てもらっても、この辺りはホテルがない。
すぐにメールした。




「織田さん!ここ泊まる所がない。
○○駅まで行くよ!」



「凛拾いに行くから待ってて」



少し待って織田さんが来た。
隣駅まで行きホテルに入る。
織田さんはスーツを脱ぎ、ハンガーにかける。




次の瞬間……。







No.99 13/10/27 21:34
匿名0 

>> 98



全裸でベッドに大の字になる。
これは…正に…寝ちゃうパターン…。





「今日は俺が逢いたくてたまらなかった」




この言葉はなんだったんだろう。




「寝るの?」
離れたところから聞くと、目を閉じたまま



「凛も裸になって来て!」
目を瞑ったまま言う。





自分から裸になるなんて…。



女の子はね、
やっと逢えた時くらい、ムードを大事にしたいんだよ…。
「逢いたくてたまらなかった」なら、いきなり抱き締めるくらいして欲しい。


酔ってる織田さんには無理な話…か。




しばらく言われるがままには脱がずに
織田さんを見ていた。



やはり、
「グ~グ~グォ~(-_-)zzz」
いびきをかき始めた。




何のために合流したの…?
「逢いたくてたまらなかった」は
「逢えてホッとした」に変わったの?
そういう事?




仕方ないから私はシャワーを浴びて
バスローブを来てベッドに入ろうとした。


だけど、ベッドの真ん中で掛け布団の上にドカッと寝てしまったから布団がかけられない。
何度も呼ぶが、深い眠りにオチているんだろう。
全くビクともしない。



諦めて隅っこに無理やり入り込んだ。
あ…
アラームかけないと!
織田さんのスマホはイジった事もなく
やはり人の携帯だから触れない。


私のスマホと専用携帯の2つのアラームをセットしようと織田さんの鞄から専用携帯を取り出す。



電源も入っていない専用携帯。
これは予想範囲内。
いつも繋がらない無意味な携帯だもん。
だが、次の瞬間…愕然とした。
電源を入れたら



未読メール 16件。着信 が9。




一体、いつから開いてないんだろう。
これは私との専用携帯だから
お知らせメール以外は全て私のメール。



実は、喧嘩した時に話せる時間がないから
私の気持ちをメールしていた。
私にとっては大事なメールだった。



読んでもいないんだ………。
寂しい。
悔しい。



朝、この専用携帯に気づいて
織田さんが何を想うか、未読メールも着信件数もイジらずにアラームをセットした。



明日は休みだから、平日より少しだけ朝の時間には余裕があった。


しばらく織田さんの寝顔を見ていた。
織田さんは寝ている時、子供に
「パパ臭い!」と言われた事を気にしていて
一緒に寝ても気がつくと背中を向けて寝ている。
今日はまだ大の字のまんまだ。
私が入ると反対を向く。




しばらく寝顔を見ていて、ふと思った。




私はこの男の何がそんなに好きなんだろう…。



No.100 13/10/27 23:01
匿名0 

>> 99

わかってる。
私が依存しすぎてる事。
私が望む事は既婚者に期待する事じゃない事も。



普通の恋愛。
私はきっと、また1人になるのが怖いだけ。
この歳にもなれば、出逢いなんて全くないだろう。



もし…
もしも…
織田さん以外に私を必要としてくれる異性が現れたら、私は織田さんから離れられるんだろうか。




頻繁に出来ていたメールもほとんど出来なくなり、気づけば逢う回数も激減し、月に2~3回になる。



だけど、その1回だって…
今日みたいな日も少なくはない。
ただ、一緒に寝られるだけの日もある。




職場では我慢の連続で辛い事だっていっぱいある。逢いたい時に逢いたいと言えない。




普通の恋人同士みたいに、手を繋いで歩く事も出来ない。いつだってコソコソしていなきゃならない。




それでも幸せと言えるのだろうか。




不倫なんて、
どちらかが本気になったら辛いだけ。
きっと友達が不倫してたら冷静に判断して
冷静な助言が出来る。




自分の事になると、頭では分かっていても
離れられずにいる自分が情けなくなる事もある。




「好き」




どれだけ泣いても
「好き」
一緒にいたい。




眠れずにいた私はまた、こんな事を考えていた。





いつの間にか眠ったんだろう。
かすかに聞こえるアラーム。
遠くでアラームが鳴ってる。
明け方になって寝た私はアラームを止めに行くより睡魔が勝っていた。




普段、寝坊助な織田さんがアラームを止めに行った。普段5時過ぎに起きる織田さんのスマホは5時前から鳴っていた。



立ってアラームを止めに行った事で織田さんは目が覚めたようだった。



シャワーを浴びている音が聞こえる。
寝付いてから、まだ何時間も過ぎていなかったが私も目が覚めた。



だけどもう少し、寝ている振りをしていよう。
シャワーから出た織田さんが何をしているか、少し興味があった。




専用携帯の存在に気づくのか…。
それを確かめたかった。
嫌な女。




シャワーから出た織田さんは、そっとベッドに入ってきた。
いつもと逆の事をしてやろうと私は即座に反対を向いた。寝返りをうつ振りをして。



織田さんは専用携帯には全く気がつかない様子だった。
その内、織田さんも退屈だったんだろう。
気づけば2人して、また眠っていた。




No.101 13/10/28 02:36
匿名0 

>> 100



今度は私がセットした私のスマホと専用携帯のアラームが鳴り続く。
バカな私は、織田さんが気づく前に専用携帯のアラームを解除してしまった。





「凛…はい!」と私のスマホを織田さんが渡す。
触ってはいけない物のように鳴ったままのスマホを手渡された。




「おはよ」
私が笑いかけると



「凛………。
ごめん…」
寂しい顔をしている。




言いたい事は分かっていたが、わざと聞いた。
「ん?
あ…もう帰らなきゃ!…か。
ごめんね…すぐ支度する!」



立ち上がろうとする私の手を引っ張り
「凛、ごめん
俺、また即寝しちゃった…
ホントにごめん…」



私は、織田さんと話せると凄くホッとする。
ほとんどがメールだけの毎日だから、電話でもいい。声を聞いて話せる時間が嬉しい。
専用携帯の事は見る時間もなかなか無いのも分かってるから今日は黙っておこう。




「ちょっと寂しかったけど
大丈夫だよ」




「ごめん」



あまり「ごめん」と言うからほっぺを少し摘まんで「バカ敦!」と笑いかけた。




「織田さん、時間は?」




「まだ平気o(^-^)」




少し早起きしたからチェックアウトまでには、まだ時間があった。




織田さんがジッと私の顔を見る。
「…凛…、ちょっと泣いたのか?」





ん?
何でだろ…
「ん?今日は泣いてないよ」




「…よかった」
そう言うと優しく私を抱き寄せた。




「待って…歯磨いてくる」




そんなのいいよ!と言わんばかりに私を強く強く抱きしめ…キスをした。



これが平日だったら私も違ってただろう。
起きてすぐ支度して、仕事に向かわなければならかった。そういう日は虚しさだけが残る。
でも今日は、昨日は寝ちゃったけど…今こうしていられる。



大抵、逢ってから2回はエッチするけど
今日は時間がないからか、いつもより時間をかけた濃厚なセックスだった。



幸せな時間はあっという間に過ぎ、バイバイの時間になった。駅に着く手前で織田さんが振り返った。



ん?




「昼だし、朝飯食ってないし
飯でも食って帰るか?」




「うんっ!!」




実はホテルを出る時、専用携帯に気づき織田さんは画面を見てから携帯を鞄にしまったのを私は見落とさなかった。



ちょっとした罪悪感があったんだろう。




No.102 13/10/28 03:04
匿名0 

>> 101



私は本当は織田さんと食事出来る時が一番嬉しい。いっぱい会話が出来るから。
仕事の事で相談するには一番良き相手でもある。




織田さんも愚痴をこぼせるのは多分、私にだけだろう。特に、前嶋の事や男の部下の事は他には言えないと言う。




色んな話をした。
こんな時間は私の心を満たしてくれる。




「凛、今日なんか予定ある?」
突然、聞かれた。




「特にないよ」
本当は病院に行く日だったけど、土曜日は午前中しかやってないから どっちにしても後日に後回しした。




ちょっと言いにくそうに
「…でも、蓮が待ってるよなぁ…」
と言葉を濁す。




「蓮は今ね、研修で山梨に行ってるよ」
そう言うと、少し安心したように




「じゃあ、今日も一緒に寝る?」
と言ってきた。



「一緒に寝よう」と言わない所が織田さんらしい。
「ヤッタ!」
私の喜ぶ顔が嬉しいらしく、織田さんもニコッと笑う。




こんな幸せな時間は久しぶりだった。
今からフリータイムで入れる所を探すのも面倒だったから、いつものホテルに行った。
持ち込み禁止だけど、コンビニで色々買ってチェックインした。



今日はまだ時間がある。
テレビが(今時(笑))有料だから私はある事を思いついた!




「織田さんにテストします!」




「テスト?」


No.103 13/10/29 01:44
匿名0 

>> 102


「メールで問題送るから
好きなゲームでもしてていーよ!」




①凛の好きな色は?
  A:赤
  B:黒
  C:ピンク


②凛の好きな飲み物は?
  A:ウーロン茶
   B:コーヒー
   C:紅茶(ストレート)


③凛の好きな食べ物は?
  A:ラーメン
  B:パスタ
  C:うどん


④凛が織田さんとしてみたいデートは?
  A:手を繋いで歩く
  B:旅行
  C:ドライブ  


⑤凛が織田さんの1番好きな所は?
  A:プックリした唇
  B:綺麗な手
  C:ジョリジョリのヒゲ



さぁ答えてください( ´艸`)
制限時間は3分です!



スタート!





織田さんは…
どれだけ私を知ってるんだろう…。
私の性格は本当によく分かってくれている。
でも、好きな物とか…知ってんのかな?
と、単純に思っただけで何の意味もないこのテスト。



ちょっと引っ掛け問題が2つある。
何やら真剣に迷ってる( ´艸`)



さて、結果は?



No.104 13/10/29 02:09
匿名0 

>> 103



織田さんの解答は
①ハズレ
②ハズレ
③④⑤当たりだった。



引っ掛け問題をそのまま間違えただけ。
①は普段、身に付けない色だから分からなくて仕方ない。
②も織田さんの前では、あまり飲まないから分かりにくいはず。



と、言うことで「合格」にします!




ちょっぴり本気で悔しがる織田さんがなんだか可愛かった。




「合格のご褒美は?」
織田さんが聞いた。



「何もない(笑)」



「えーーー!
じゃあ、俺からリクエストする!」





「何?」




織田さんが指を差す。
その指の先にあったものは………。




大人のおもちゃ?が入ってる自販機とコスプレのレンタルの案内だった。
私はこの歳にして、どちらも経験がない。
正直、戸惑った。



「え…、恥ずかしいからヤダ」




「ダメ!」




「織田さん使ったことあるの?」





「ない!だから使ってみたい!」




「うーん………
恥ずかしい…な…」




「凛は?前の男と使った?」




「使ったことないから恥ずかしいの!」




恥ずかしい気持ちと、
ほんの少しだけ興味もあった。
ニッコニコした織田さんはローションとなんだっけ(ごめんなさいド忘れしましたm(_ _)m)の2個を買い、コスプレは私が断った!
だって可愛い格好が似合う女じゃないもん(笑)




とは、言ったものの…
すぐには使わなかった。
なんだか緊張した。
どんな反応をしたらいいんだろう…。
私の頭の中は、そんな事を考えていた。








No.105 13/11/01 02:26
匿名0 

>> 104



「凛が引っかけ問題出して意地悪したからお仕置きだ!」




元々、好奇心旺盛な人だけど…
あ…!
思い出した。



付き合い出して間もない頃、初めて外でデートした時、一緒にこういうのが売ってるお店に入って買った事があったね…。
私の反応がイマイチだったからホテルにそのまま捨ててきた。




なんでまた今更それを?




最近、少しだけ不安だった事がある。
逢い方が以前と変わってきたこと。
忙しさのせいもあるけど…
前のように食事だけ、とかホテル以外の場所ではあまり逢わなくなったこと。



時間がない日に逢うのはもったいない!と言う。
逢う時は、ゆっくり逢いたい、と。
だからか、最近は逢うのはもっぱらホテルにお泊まり。



不満はないんだけど
織田さんも、ホントはエッチしたいだけなのかな…と不安になる。
アナルや動画を撮りたがったり、アソコの毛を剃りたがったり…。
マンネリ…なのかな…。




一度、喧嘩した時に聞いた。
「ねぇ…織田さんもホントはヤリたいだけ?」





「そんなこと言うなら、もう二度とセックスしない!
逢っても絶対、セックスなしだ!
そんなに俺は信用ねぇーのか?」




私の不安を話した。
「俺は凛に満足して欲しい。
なかなか逢えないから、逢えた時は少しでもゆっくり過ごしたい。
凛が充電が持たないのは…
満足出来てないのか…と思って。
だから、色々試して満足して欲しかった。
凛が嫌ならやめるよ」



No.106 13/11/02 01:40
匿名0 

>> 105


「ううん…そうじゃなくて。
最初のデート、覚えてる?
1度だけ使ったことあったよね!」




「あ…あるねぇ!
あぁ…凛、あんまり感じないんだったね
やめるか?」




「織田さんの好きなようにしていーよ」





実際、織田さんの期待に反して、くすぐったい感じしかなく…
「これはお仕置きにはなんねーなぁ」
と言って織田さんはそれをポイッとした。
それ以来、使うことはなかった。





「織田さんの直が1番いいな」
私がそう言うとニコっとして優しくキスをした。





この男は本当に良く寝る男だ。
また寝た。
この寝顔を見ていると、よくこんな事を考える。




職場では、1番絡みも少ないんじゃないか…と思う程 私とは接点を持とうとしない織田さんだけど、それが時にものすごく寂しくなったりするけど…
この寝顔を見れるのは私だけ。
織田さんに抱いてもらえるのは私だけ。




不安な時
寂しい時
私はいつも自分にそう言い聞かせる。



織田さんもたまに言う。
「凛にこれが出来るのは俺だけ?」




「そうだよ」




私をあえて遠ざけなければならない織田さん自身もたまには心配になったりするんだな…。
こんな言葉で私は安心する。




No.107 13/11/02 02:16
匿名0 

>> 106



寝不足だった私もいつの間にか寝て、やはり私が先に目覚める。
よく寝てる。
ゆっくり寝れる日がほとんどない人だから、そのまま寝かせておいた。






お腹すいたな。




その時、織田さんの携帯が鳴った。
奥さんからの電話。
コールが鳴る間は写メが出るから、すぐ分かる。





そう言えば、いつからか織田さんは私と泊まる日も写メを送らなくなっていた。
今日は土曜日。
「休みなはずなのに何やってんだ」
きっとそう思ってるに違いない。
止まってはまた鳴る携帯。
全く気づかない織田さん。




「織田さん!
携帯鳴ってる!」




織田さんは画面を見て、放置する。
この行動にいつも胸が痛む。
それはいつも私がされる事そのもので
連絡がつかない事がどれだけモヤモヤして、腹立たしく、寂しいものか…私が1番わかってる。
自分がされて嫌なこと。
悲しくて辛い時間。
それを私がさせているんだ。




ごめんなさい…。




携帯が鳴っている間、私たちは終始無言のまま。
放置しているものの…
時にチラッと携帯を覗く織田さん。
あまりに鳴り続けるので織田さんは何やら携帯を触り始めた。
メールしている。




「織田さん。今日は帰ったら?
私は大丈夫だよ。今まで一緒に居てくれたから」





「いや、大丈夫。
この時期は毎年、忙しいって言ってあるから。
ごめんな」




メールを返した事により
電話はメールに変わり、通知音が幾度か鳴る。




あまり気にしていない振りをするようにタバコに火をつける私。
でも内心、気になって仕方ない。



しばらくメールのやり取りをして、返信が来なくなった事を確認すると、織田さんは私の方に来る。




「大丈夫なの?」




「大丈夫!ごめんね」




ちょっとの間が空き
「いやぁ~良く寝た!」
織田さんが言う。





奥さんを騙している事に…
罪悪感はないんだろうか…。
それとも、常に罪悪感を抱きながら
私といるんだろうか…。



No.108 13/11/02 02:56
匿名0 

>> 107




次の日はお昼にホテルを出て別れた。
帰宅する間はお決まりのメールをする。
「また月曜日ね!」




「うん。月曜日ね!」
これが最後の決まり文句。



そして、月曜日が来る。




前嶋に
「中川さん、これさ、欲しい人が誰か勝手に持ってくとマズいから今日持って帰ってくれる?」




抽選会で当たったファンヒーターの事だ。
「このデカいの…電車で持って帰らなきゃなんないの?」
内心そう思ったが、
「わかりました」と答えた。




私が使う電車はかなり混む。
さほど重くはなかったが、かさばって持ちにくい。
郵送して欲しかったな…と思いながらも、前嶋にそれを頼むのもシャクだから意地で持って帰ろうと思いながら会社を出ようとした。





そこに偶然、織田さんが1人の女性と話をしていた。前嶋と仲良しメンバーの内の1人。




「え?
中川さん、それ自分で持って帰るの?」
女性が言う。




「今日中に持って帰ってくれって言われたから…」





「だって電車でしょ?
運んでもらいなよ!大変じゃない!」




「大丈夫です」




「俺、車で持ってくよ!」
織田さんが言ってくれた。




「ありがとうございます。
でも、大丈夫ですよ。頑張って持って帰りますから」
そう言って会釈して歩き出すと、それを見ていた2人が呼び止め



「えー!やっぱり可哀想だよ。
織田さん持ってってあげなよ!」




「うん、俺、持ってくよ」




「じゃあ、お願いします」
2人の言葉に甘えた。




「住所だけ教えて!中川さんが着く頃、見計らって持ってくから」




知ってるクセにわざと織田さんは聞いた。
「すみませんが宜しくお願いします」
そう言って私は会社を後にした。




しばらくすると織田さんから
「今から向かうぞ~!!大丈夫かい?」
とメールが来た。





「余計な仕事増やしてごめんね。
待ってるね」




織田さんは車で来て話す事もなく即、帰って行った。
「これ、黙って来たから…
すぐ帰るね!また連絡する!」



「ありがとう!」





この行動が
後に、問題となる。
きっと相手が私じゃなければ、何ともない話なはずなのに…。



No.109 13/11/02 19:09
匿名0 

>> 108



朝、会社に向かう。
「おはようございます」と言いながら席へ。




そこに私の向かいの女性が来る。



「おはようございます!」




「………」




そっぽを向き、隣りの子と仲良く話し出す。




聞こえてるはずなのに…。




前から無視される事はよくあった。
だから慣れっ子と言えば、慣れっ子だ。




まぁ、気にするのやめよ…。




その後、タバコを吸いに喫煙所に行くと…例の彼女と数名の仲良しさん達がいた。
場所的に私の立ち位置は彼女の隣りしか空いてなかった。隣りに行くと…すかさず私に背を向け、みんなと大きな笑い声をあげて話している。



その中の1人が気を使ったのか、私にも話を振ってきた。彼女だけは私に背を向けたまま私の顔さえ見ようとしない。
それが何度か続いた。



そこへベテランの女性が2人入って来た。
かなりご機嫌な様子で私に話し掛ける彼女。




彼女のやり方は上手い。
自分より上の立場の人の前では決して無視することはない。むしろニコニコ話す。
そう言った人がいない所では180度変わる。




仮に私が
「田中さんに無視されてる」と上司に相談した所で
「いつも仲良く話してるじゃない!」と言われるのがオチだろう。気にしすぎじゃない?と…。




気にしない。
そう思っていたが、それは彼女だけではなくなって行った。彼女の仲良しさん達にまで広がった。




No.110 13/11/02 22:41
匿名0 

>> 109


他に話せる友達がいないわけじゃないし、特に仕事に支障があるわけでもないからほっといた。



彼女達と織田さんは相変わらず仲がよく私と織田さんの1週間~1ヶ月分くらいの会話を毎日している。
織田さんの放置振りも相変わらずだ。




この事に織田さんは気づいているのだろうか。
織田さんに話したくても、なかなか話せるタイミングがない。




1番近い人なはずなのに
1番遠くに感じるのは何故だろう。




織田さんは自分の忙しさを理由に私の事はすっかり忘れ、時には「おやすみ」もなく朝が来る。




バレた頃以来、なかなか逢えないとは言っても、それでも…私をなるべく寂しくさせない努力はしてくれる人だった。




手帳を見る。
逢えてない日を数えると既に2週間が経っている。
私の手帳は細かい。
その日がどんな1日だったか、見ると分かるように付けている。



逢えないだけじゃない。
メールさえ、ほとんど出来てない。
緑色がズラリと並んでいた。




忙しいのは分かるけど
メール1つ出来ない理由ってなに?
私は知ってる。
いつもだいたい決まった時間に喫煙所に行く事。
彼女達と楽しそうに戻ってくる事。
そんな時間はあって私にメール1つする時間はない、って何故?




彼女達や前嶋の目を気にするのはわかる。
でも、それだけじゃない気がして仕方ない。




しばらく我慢して頑張ったけど、私が寂しさに慣れてくことはなかった。
織田さんは言わないと気づかない人。




逢えなくて17日目の夜。
織田さんにメールした。




「忙しいのは分かってるから、しばらく頑張ったけど…限界。挫折しました」



No.111 13/11/03 01:45
匿名0 

>> 110


すぐに返事が来た。
いつもなら既読になっても返事なんて来ないのに。



「挫折したら、どうなる?」
泣き顔の絵文字付き。




「終わる」




「さすがに放置しっぱなしだったからな…
ごめん。でも、終わりにはさせたくない」




「どのくらい経ったか分かる?
逢わなくて」



「10日くらいか?…すまん」




「今日で 17日。
今までの中で1番長い。17日間で連絡なかったのが3回。…でもね、喧嘩は0!
なんでだろうね」




喧嘩ばっかりしてた私達は、気づけば2ヶ月の間、喧嘩をした日がなかった。

仲良しだった証拠?
いや…違う。
それだけ会話が出来ていないって事。
感情を剥き出しにする余地もなかった。



「分かってる。
自分でも俺が全部悪いって分かってる。
今日は頑張って早く切り上げるから」


「大丈夫だよ。
私だけが逢いたいだけなんだから
もう逢いたがるのはやめたの。
仕事、頑張ってね!」


やっぱり素直じゃない私。
可愛くない女。
織田さんに「逢いてー」と思わせる位、私に気持ちの余裕があったなら、私自身もっと楽になれるはずなのに。




こんな会話の途中でメールは途切れた。



結局、織田さんは早く切り上げる事もなく会社に泊まった。



次の日。
逢えなくて18日目の夜。
私は仕事が早めに終わったので帰宅することにした。
私が早く帰った日は何故か何かが起こる。





仲良しの沙織からお茶のお誘いがあり、お茶して帰ることにした。




「ねぇ凛ちゃん。昨日ね、木村さん!織田さんからのご飯のお誘い断ったんだよ!
超珍しくない?どうしちゃったの?って思っちゃった!」




え?
織田さんからのご飯のお誘い?
昨日?




「ふーん。
なんでだろうね!」




胸が苦しくて
泣きたい気持ちを必死にこらえ、冷静を装った。
昨日と言えば、あんなメールをした後だよね?




「そんな遅くまで毎日いるの?」
私が聞く。




「だいたい木村さんが最後!
昨日は私含めて3人いて、織田さんが腹減ったから飯でも食いに行かないか?って。
木村さんが断ったから結局、行かなかったんだけどね」





ふーん。
断らなければ、行ったんだ。
私と逢う時間はないのに、メールも返せない位、忙しいはずなのに…他の子とご飯は行けるんだね…。




やっぱり私は
バカにされてんのか?
早く嫌いになっちまえよ…凛ちゃん。
もう、そんな男、凛から捨ててやりな!
自分で自分をバカな女だと思った。




いつもの私なら、速攻お怒りのメールでもするのに…知らない振りをしてずっと黙っていた。
織田さんからも何も言っては来なかった。




そこまで傷ついても頑張る私は何のため?
私の頭に
「私も裏切ってやろうか」一瞬、織田さんが1番嫌がる「浮気」と言う2文字が頭をよぎった。




No.112 13/11/04 08:58
匿名0 

>> 111



浮気。
浮気しようと思えば簡単なこと。
「逢いたい」と言えば、すぐ逢いに来る男はいる。
今までだって、「浮気」この言葉は何度も私の頭をよぎった事がある。





でも、私はしない。
何故?って、織田さんを裏切りたくないから。
寂しさに負けそうな夜はいっぱいあったよ…。
悲しくてメゲてしまいそうな夜は山ほどあった。




しようと思えば簡単なことなんだよ。
だって織田さんは朝まで連絡がない事だってよくある話だし、飲みに行けば私のことは放置だもん。
5~6時間放置なんてしょっちゅうだし、その間に逢ってホテル行って、何事もなかったかの様にメールすればいい話。
逢えない•メール出来ない休日だってある。





でもね…。
そんな事をしても
その時の寂しさが紛れるだけで
残るものは罪悪感と虚しさだけ。
自分がされて嫌な事を私がしたっていい事は何もない。



私は裏切りたくない。





その夜、織田さんからメールがきた。
「凛、お待たせ!
何してる?」



No.113 13/11/04 18:51
匿名0 

>> 112


「ボーッとしてた。
終わったの?」





「そろそろ終わりにしようと思って。
逢えますか?」
私の心と裏腹に笑顔の絵文字付き。



迷ったけど、逢いに行った。
沙織にあんな話さえ聞かなければ…
待ちに待った嬉しいお誘いのはずだから。
ずっと逢いたくて指折り待ってた日のはずだから。



せっかく喧嘩なしで今日まで来れたんだから、私は知らない振りをして黙っていよう。
そんな事を考えながら待ち合わせの場所へと向かった。




そこには笑顔の織田さんがいた。
何故かこの笑顔を見ると嬉しい気持ちになる。
早速、中に入ると、そこは織田さんが1番ホッとする空間。
誰の目も気にせず2人っきりになれる場所。




あ!
と思い、聞いた。



「織田さん、ご飯は?」





「あ!飯ねぇ、木村さんにカレー作ってもらって食った!」




え…
また木村さん?



ねぇ…織田さん…。
私、木村さんが1番不安なんだ!って何度も言ってるよね?
昨日の飯と言い…
なんなんだ?




私は織田さんに手料理を作ってあげた事が2回しかない。と言っても、その内の1回はおにぎり。




喧嘩はしたくない。
でも、伝わらない想いが悔しくて切なくて仕方なかった。





涙が溢れ始めた。
私は、織田さんに見えないように立ち上がり、お風呂場に向かった。
シャワーで泣き声と泣き顔が分からないように。




忙しくて放置になるのは仕方ない。
だから私は待ってるんだ。
毎日、「今日は飲みに行ってないよね?」
「今日はみんな帰ったかな?」
そんな不安を我慢して、あなたを信じて待ってる。





放置されてる間に毎日、他の女性とそんな事をしているの?




何といった表現がふさわしいんだろう。
とにかく、ショックだった。




私が「浮気してない?」と聞くと
「そんな暇なし!」いつもあなたはそう答える。




ウソ…ばっかり…。



No.114 13/11/07 22:19
匿名0 

>> 113



織田さんは私が隠れて泣いてるなんて気づいていない。でも実際、のぼせそうなくらいお風呂に浸かってた。
サウナにでも入ったかの様に汗をかいてたから泣き顔も分からなかっただろう。




別に飯くらいどうだっていいじゃん。
私が帰れば監視から解放されて気が楽なんだよ。
放置されるのが嫌で、何度言ったって向こうは好き勝手やってんだから…凛も少し遊んだら?




もうあまり執着するのやめない?…凛。
織田さんなんかいなくても平気な凛になりなよ。
凛が離れてく事に不安を覚えさせる位の方がいいぞ!…凛。




こんな事をボケーっと考えていた。




いつも烏の行水の私があまりにも出てこないから織田さんが様子を見に来た。




「凛?」



背を向けたまま
「ん?」




「どうした?」





「もう出るよー!」
笑って言った。




鈍感な織田さんは私のこんな気持ちに気づく事なく




「なぁ…凛さ、俺に黙ってることないか?」
と、聞いた。




黙ってること?
いっぱいあるよ。
言いたいことなんて
話したいことなんて
いっぱいいっぱいある。





「黙ってることってなに?」




No.115 13/11/08 03:04
匿名0 

>> 114



「黙ってること、あるだろ?
内緒にしてることが!」
喧嘩腰ではなく、至って冷静に聞く織田さん。



しばらく考えてみたけど思い当たる節がないから
「ない!なんで?」
と聞き返した。




「本当か?」




「うん。ない!」





織田さんがゆっくりと話し始めた。
「少し前にさ、前嶋さんと飲んだ時に言われたんだ」





内容はこうだ。
 

実はさ、中川さんに話があるって言われて飲みに行ったんだけどさ。
織田、お前 中川さんが辞めたいって何度も言ったのを毎回引き止めてるんだって?
泣いて、私は辞めたいんです。って訴えて来たぞ。次、言いに来た時は引き止めるのはやめろ!
本人の将来は、本人に決めさせた方がいい!





「俺が凛に、辞めるな!って言ったのは間違ってたのかな、ってずっと考えてたんだ…」





何故、前嶋はそんな嘘を言ったんだろう。




「それさ…全くのデタラメだよ。
私、前嶋に辞めたいなんて一言も言ったことない」





「…え!嘘だろ?
ホントに?」




「うん。
考えた事は正直、あるよ。
織田さんは引き止めるのだろうから、前嶋に言った方が早いかも…って。でも、言う時は織田さんに!って決めたから織田さんに言ったよね?」





「そうか…。
じゃあ、なんでそんな嘘を言ったんだろう」





あ!と思った。
「織田さん…反応、見られてるんだよ。きっと。動揺するか?って」




その時、彼女達からされている「無視」の話をした。前嶋と彼女達は仲がいい。




「私を辞めさせたいのかも…」




彼女達が無視を続けてく内に私を精神的に追い詰めて、辞めるか悩ませて、私が織田さんに相談に行った時に、織田さんが引き止めない為の先手を打ったんじゃないか…。




そんな気がした。
少し納得した織田さんは
「凛…大丈夫か?
気づいてやれなくてすまなかった」
と言った。



No.116 13/11/08 03:28
匿名0 

>> 115



「大丈夫o(^-^)
もし、私たちが付き合ってるなら…って考えると私が憎たらしいからじゃない?
織田さんを取られたくない!みたいな…」





「なんか、どこで、どう、繋がってんだか恐ろしいな…。
あっ!ファンヒーター届けた事も前嶋さん知ってたんだよ!」




ならば話は早い。
だって、あの場にいたのは私と織田さんの他に女性1人だけじゃん。
「届けてもらいなよ~!」と言った彼女。





取られたくないんじゃなくて
別れさせたいんだな、きっと。




「織田さん。
頑張れる?」




「もちろん!」




もうカレーの事など、どうでも良くなっていた。
逢えなかった日の寂しさも、どっかに飛んでった。



こうしてメールじゃなく逢って話せる事が、やはり嬉しい。顔を見て話せる事が。




だけど、やっぱり少しでも疑われているのか…と言う事で、また より一層、私達は職場での絡みに注意が必要だった。
特に、前嶋と彼女達の前では…。
そう考えると、織田さんは彼女達と仲良くするのがベストなのかもしれないね。




仕方ないんだ。
私達のしている事は、誰にも言えない関係なんだから…。
決して、許されないこと。。。なんだよね…。



 

No.117 13/11/09 20:25
匿名0 

>> 116


彼女達+前嶋からの嫌がらせは更に続いた。




「若くて綺麗な人は的にされる。
昔から、この会社、そういう習性があるんだ」





それは分かる。
だからって何故、私?
今までそんな経験はない。
私は綺麗でも何でもない。
若さは変えられない。




彼女達はあらゆる手段を使った。
目的は「喧嘩別れ」させる為だろう。
私には直接、手を下さない。
ありもしない噂を流すんだ。
織田さんを混乱させるように。





厄介だった。
噂は連想ゲームのように途中から話がデカくなったり形や内容が変わっていく。
しかも、ありもしない話。




みんなが真に受けたら、私のイメージは大きく変わるだろう。
それが彼女達の狙いなんだ。
みんなに嫌われて追い詰めて辞めさせる。




確かに、この年齢じゃなきゃ…
とっくに挫折して辞めてる。





そして、ウチの職場ではちょっとした対立と言うか派閥のようなものが出来て行った。
真ん中に男が居たとしたら、それを囲む2つのグループ。




職場が段々とストレスになっていく。







No.118 13/11/10 14:47
匿名0 

>> 117



この時期は毎年だけど、織田さんの忙しさはピークを迎え 残業は当たり前。帰れない日々が続く。休日出勤までするようになる。




どう考えても、オーバーワークだよ…。




「ねぇ…なんで織田さんばっかりそんな仕事量が多いの?」





「前嶋さんはズルいからさぁ、案を出すだけ出して全部こっちに投げるんだよ」





納得だ。
私達の仕事量も前嶋が来てから、どんどん増えた。定時と言うものがあるにも関わらず、誰1人として定時で帰れる人はいない。
残業代なんてつかないのに…。




それでも、他に比べたら安定した給料とボーナス。それ+年齢的にみんな転職は厳しい。
文句を言いながらも、みんな続けてくしかない。
計算高い男だ。




織田さんが頑張れば、前嶋の評価は上がる。
この男…とことん大嫌い。
でも何故か、前嶋を取り巻く女達がいる。





それだけ忙しいのを知ってるんだから
「逢いたい」「メールしたい」「話したい」そんなワガママは言えなくなっていた。




織田さんを応援する気持ち。
だけど、やっぱり寂しい…。
「お待たせ。そろそろ終わりにするよ」
このメールが毎日、待ち遠しくなっていた。





この日も
「凛、遅くまで待たせてごめん。
もう終わりにするよ!」




「はーい。
遅くまでお疲れ様!」





そのメールから1時間が過ぎてもメールがない。





倒れたりしてない…よね?




メールしても既読にならない。
心配でたまらなかった。


No.119 13/11/11 03:05
匿名0 

>> 118



電話してみようかな…。
でもそれは掟破り。




「今後、一切電話はやめてくれ」





織田さんに「朝、起こして」と言われた時だけしか私からは電話していない。
でも、もし…何かあったら…。



迷いながら電話を鳴らした。
だけど、怖くなってワン切りで切った。
すると、すかさず折り電が来た。




あ!怒られる(>_<)




「凛。
お前、島田さん飲みに誘ったのか?」





島田さん?
誰だっけ?
ちょっと考えて思い出した。
島田さんとは、営業部のイケメンだと有名な人。



全く覚えがない。
だって、接点すらないもん。




「誘ってないよ。
話す時だってないじゃない!」





「一服した時にでも誘ったんじゃないの?」





「誘ってない!
私、嘘はつかないよ。誰が言ったの?」




片付けをして帰る支度をしてる時に私の机に目が行ったらしく、そこにノートを破ったメモ書きがあったから見たら…




「飲みの件は喜んで!」
と、書いてあったらしい。




それを見て、ショックと怒りでしばらくボーッと考え事をしてた、と。
自分が放置する事が多いから、寂しくて他の男を誘ったのかと思ったらしい。




「具合悪くなったのかと思って心配した!
電話…ごめんね。倒れてなくてよかった」




「俺こそ、疑ってごめん。
このメモ、なんなんだ?」



私が聞きたいくらいだよ…。
「誰かのイタズラとしか考えらんないな」




「そっか…。
こういう嫌がらせ、他にもあるのか?」




「物がなくなるのは、何度かある。
でも大丈夫だから心配しないで。
あと、そのメモ捨てといて!」




「もうとっくにムカついて捨てた(゚〇゚;)」





他の男と飲みに行って欲しくない!
まだ、こんな気持ちでいてくれる事を知ると
なんだかホッと嬉しい気持ちになる私だった。



引き裂こうとされる事はかえって私の
「絶対に負けない!」と言う思いを強くさせた。
それを知った織田さんもまた「頑張ろうね!」と
「凛が頑張ってるんだから俺も負けない!」と
約束をした。



気づけば深夜2時半を回っていた。
「織田さん寝なきゃ(>_<)」




「たまには凛と話したかったんだ」




次の朝、有るはずのメモがない事に
気づくのは誰なのか、私と織田さんはコッソリと辺りを見回してみた。




No.120 13/11/13 01:29
匿名0 

>> 119


それをする為には普段より早く出勤する必要があった。
でも私が先に着くと「捨てた」「隠した」と思われる可能性があるから、織田さんが先に行き、私が少し遅く行く作戦にした。
織田さんに様子を見てもらうように。





だいたいみんなが来る時間を見計らって私は部屋に入った。



うわっΣ(゚ω゚ノ)ノ
織田さんは例の彼女達に囲まれるように喋ってる。笑いながら…。
作戦大失敗?
    



「おはようございます!」
と入って行くと、彼女達の視線は一瞬こっちに向いた。でも、あいさつを返す事なく織田さんと話し続けていた。





なんだかバカらしくなって
もうどーでもいーや。と思った。




しばらく経っても織田さんからメールはない。
「お得意さんのとこ行ってきます」って出てったのにメールも出来ないのか?と少しイラついた。





定時を過ぎ私は帰宅する。
すると知らない番号から電話が鳴る。



私は基本、知らない番号のものは出ない。
この時も出なかった。





夜、やっと織田さんから連絡が来た。
「朝はごめん。
大失敗だった」
見てりゃ分かるさ…。




「もうやめよ。バカらしい」





「でもあれさぁ、たぶん島田さんの字なんだよな…あの人あんな字、書くんだよ!」




「ふーん…。まぁ本人だとしても、私は行かないから大丈夫だよ!」





「頼むぞ(>_< )」




何度かやり取りをした後、織田さんが言った。
「一緒に寝たいね…」




うん…。
でも既に、日付は変わっていた。
今から行ったって遅くなる。
毎度のように、その気持ちはお預けになった。




忙しさの中で
少しでも「逢いたい」と感じてくれている事に少しホッとしながらも、「逢いたい」とは言ってくれても…逢えない現実が寂しかった。




私が嫌がる彼女達。
私に嫌がらせをしているのが彼女達かもしれないと知っても彼女達と仲良しは変わらない織田さん。
口だけなのかな…。




もうこの頃から寂しさに勝てない私がいたんだ。




No.121 13/11/13 02:13
匿名0 

>> 120




次の日、懐かしい名前だが、どこかルンルンの吉田さんが珍しく私をランチに誘ってきた。外回りじゃない日は大抵、食堂で食べる私だけど断る理由もないからランチに行った。





「凛ちゃん何たべたい?」




「何でもいーよ」





「じゃあさ、焼き肉行こッ!」




なるべく節約したいから私はほとんど社食なのに今日は珍しく贅沢な昼食。
たまにはいっか ♪ ♬ ヾ(´︶`♡)ノ ♬ ♪




「ねぇねぇ凛ちゃん!
凛ちゃん昨日、早く帰ったじゃん?
誰かから電話来なかった?( ´艸`)」




電話?
あぁ…すっかり忘れてた!




「あ…1回だけ来たねぇ。
知らない番号だから出なかったけど…」





「ぷっ( ´艸`)
あれねぇ!島田さんだよ!」




ふーん…またソイツか。
「なんで?」




「昨日一服しに行ったら○○さん達にけしかけられて電話してた!凛ちゃんのこと好きみたいだよ!」




「勝手に番号教えたんかい(-_-#)」




「あ…だねぇ、きっと。
でもいいじゃん!島田さんイケメンだし( ´艸`)
凛ちゃん彼氏は?いないの?」




永遠にこの話だった。
昼休みが1時間って決められている事が何よりの救いだった。
何気に吉田さんも噂好きだから…
必要以上のお喋りは控えた。
そして私は嘘をつく。




忘れた頃に何か聞かれても、ある程度の事情を把握している相手。小島を私の彼氏にしておいた。




「なんだぁ…凛ちゃんやっぱり彼氏いるのか。
くっついちゃえばいいのに!って思ったのに」




あのメモの意味がやっと理解出来た。
さて、これを…
織田さんに言うべきなのだろうか…。
どのタイミングで話せばいいんだろう。
きっと知ったら嫌がるだろうな…。




なんて1人で考えていた。
忙しくて逢えない。メールだってなかなか出来ない。
そんな時に話しても、織田さんの事だから…きっと不安材料にさせるだけな気がした。




その夜、待ちに待った「終わりにするよメール」が来た。
やっと、メールだけど、2人だけの時間が来た。
単純に嬉しかった私。
でも、なんだか様子がおかしい…。




No.122 13/11/14 02:56
匿名0 

>> 121


「遅くまでお疲れ様!」





「凛、島田さんに告られたのか?」





なんだ?
私が話す前に知ってるのか…?





「ん?告られてないよ、なんで?」





「昨日、電話来たんだろ?
なんて言ったんだ?ちゃんと断ったのか?」





「昨日ね、知らない人から電話が来たの。
でも出なかったんだ。それが島田さんだったみたい…。私は直接なにも話してはいないよ。
誰かに何か言われたの?」





メールだから織田さんがどんな様子なのかイマイチ掴めない。いつもそう。
肝心な事を話す時は毎回メール。
いつも思う。
大事な事は逢って話したい、と。




既読になっても返信に間が空くと、怒ってるのかショックなのか何かやりながら、なのか分からないから不安になってくる。




返信が来ないから私からもう1度メールした。
「何も心配いらないよ。
例え好きって言われても断るし」




返事が来た。
「絶対、頼むぞ(T_T)」




元々そんなに口数が多い人じゃないけど、この言葉に少し言いたい事を察した。
「寂しい想いさせてるから…
他の人になびくんじゃないかって心配してる?」





「うん。
俺、放置ばっかだし…凛、寂しいのダメだから。島田さんイケメンだしさ。
○○さん達が「中川さんイヤそうじゃなかったよ」って言ってたから…」





やっぱり…。
いらん事を吹き込むのは奴らしかいない。
またソイツらの言うことを真に受けてんのか。





「ねぇ織田さん。
彼女達の言う事に左右されないで。
真に受けないで。
全部、嫌がらせだから。事実じゃない噂ばっかり流されてるだけ」





「そっか…。
ごめん。凛を信じてるクセにたまに混乱する」




分かるよ。
私だってそう。
織田さんを信じてるクセに知らない話を聞いて不安になったりするもの…。




「①か?(T_T)」




「もちろん①(*´3`*)ゞ」




織田さんは私の気持ちを確かめるかの様に聞いた。いつもは私から求めるこの言葉。
例えその場しのぎでも聞くと少しホッとする。





「逢いたいね」




「うん。逢いたい」




いつもなら時間や私の体調、睡眠時間を気遣って、遅い時間には私を呼び出さない織田さんだけど…この日は
「今から出れる?」と言って私を迎えに来てくれた。




誰にも渡さないと言わんばかりに強く強く抱きしめられた。
誰に「恋愛ごっこ」と言われてもいい。
好きだから、ただ一緒にいたい。
私達に、終わりを決断出来る日は…
いつか来るのだろうか。


No.123 13/11/16 08:06
匿名0 

>> 122


織田さんの焦りは感じていた。
今年度が終われば、織田さんは移動ありの可能性が高い。
残された時間の中でやりたい仕事、やらなきゃいけない仕事が山積みになっていく。
1つ片付けたら3つ増えるような間隔で仕事ばかりが増えていく。




私から見れば、自分で自分の仕事を増やしてるだけの様にも思えた。
やり遂げた時の達成感に満足する。
何度となく話をしても自分の仕事に責任を持たない後輩に、自分の姿を見せて分からせようとしているのも感じる。





前嶋が来てから、仕事の体制が大幅に変わった。
いつでもアイツは掻き回す。
最初は皆が「前嶋はいい人」と言っていたけど今はそんな事を言うのはほんの一握り。





アイツが移動すりゃ~いいのに。
いつも腹ん中ではそう思っている。





織田さんと同じ場所で働けるのもあと少しかもしれない。





私は…
本当はどっちを望んでるんだろう…。




ケンカすると度々言っていた。
「俺はどーせもうすぐ移動だ!」




「移動したら逢いにくくなるね」






「今より放置はなくなるだろうし
動く拠点は変わらないから心配いらないよ」





「もし、地方になったら?」





「そりゃ~さすがに今より逢えなくなるだろな!でも心配するな!ちゃんとメールする」





でもこれは織田さんの本心じゃない。
そんな事、分かってるよ…。
移動なんて、したくないに決まってる。
以前、前嶋のイタズラの時…あんなにホッとしてたじゃない!





織田さんのオーバーワークは更にエスカレートし、毎日のように泊まり込み、もしくは深夜まで…が続いた。





そこまで頑張って
織田さんの熱意はどこまでみんなに伝わるんだろう。
家には週末しか帰らない。
子供は寂しくないだろうか。
奥さんは?




もう…メールなんて出来ないのが当たり前のようになっていた。
織田さんに両立は無理なんだ。
元々、不器用な人だもの。
織田さん…
ギブアップなんじゃない?





それともまだ
「今は耐えてくれ!」
って言う?




何度も何度も聞いた言葉。





No.124 13/11/16 21:34
匿名0 

>> 123



織田さんが私を想う気持ちが
以前より遠くなっている事にも気づいてる。
(不倫男に初めから愛情なんて無い!と思う方が多いのは承知で書いてます)





織田さんがたまに口にする。
「他の奴に取られてたまるか!」
「他の奴に渡してもいいわけがない」




でもそれは、好きだから…とは違う気がする。
ただ、悔しいだけ。




実際、私も何度となく考えた。





「別れ」





でも、例え同じ職場にいるのが数ヶ月でも織田さんが違う女と関係を持ったら………
別れた私は怒る権利も泣く権利もない。
それだけは悔しく思う。




織田さんもきっと同じなんじゃない?





忙しい毎日の中で
「おやすみ」さえもメールが来ない日が出来始めた。



クタクタになるまで
限界になるまで仕事を続け
「おやすみ。今日は○○に泊まるね」
すら、力尽き…寝てしまう、と。





連絡がないのが1番不安になる、と何度も言った。それは、不安になる前科があるから。




1日の中で
どんなに大変な時だって1度もメールが出来ないなんてあるはずかない。




現にほらね!
私が送ったメールは何時間経っても既読にならないのに…
喫煙所でたまたま見た。
ずーっと携帯イジってるじゃない…!




ずっとマメで
時間が許す限りメールをくれてた織田さん。
「どんなに忙しくても、飲みに行っても
最後は必ず連絡する」




時々、出来ないこともあったけど
それでもずっと守ってきてくれた。
だから安心していられた。




すれ違い…。
今の私達は、どんどんすれ違ってく。
そんな不安を抱きながら
それでも私は信じていた。
これだけ忙しい毎日なんだから…
裏切りは…ないよね…?




No.125 13/11/18 02:24
匿名0 

>> 124




もうすぐキャンペーンが始まる。
2日間にわたって2つの場所に分かれ販売促進会のようなものがある。
織田さんは常にバタバタ動いていた。
これは毎年行われる恒例行事なため、織田さんの大変さは理解している。




入社して4回目になるこの行事。
たった1度だけ、織田さんと同じ場所になれた事がある。でも、前嶋が来てからは一緒になれた事は1度もない。





「どーせ一緒になれないよね…」




「前嶋さんはきっと、○○さん達で自分の周り固めるだろうな…で、凛もね…」





希望なんて聞かれる事なく、場所とメンバーが貼り出された。




私と織田さんの予想通りだった。





準備に追われる織田さんは、通常の業務は後回しで走り回っている。一方の前嶋は皆に指示を出すだけで全く動かない。




この雰囲気からして、当日の光景も予想はついた。





そしてー当日ー。




天気もよく、人通りも多い。
これは忙しくなりそうだ!




…と、思ったものの
ヒーヒー言うほどの忙しさではない。




前嶋がいる手前か、お気に入りメンバーのリーダー格の彼女が私のとこに来た。





「中川さん!一服して来な!
タバコ吸いたいでしょ!!」





「あ…私、最後でいいですよ」




自分らは最後に行くから気にせず行って来い、と言われ一服しに行った。あらかじめ用意されていた喫煙所には水の入った缶カラが置いてあった。
タバコを吸わない人の方が多いのに、私だけ休んでいる事に気が引け、すぐに終わりにしてタバコを捨てようとした時………




あれ?
タバコ吸うのって前嶋と私入れて4人だけだよね?
吸い殻の銘柄を見れば一目瞭然で…




なんだ…。
奴らサボってばっかなんじゃん…。
既に缶の1/3は吸い殻で埋まっていた。




織田さん、どーせ返せないだろうけど…
メールしてみよ。




「お疲れ様!
どう?忙しい?」




No.126 13/11/20 01:10
匿名0 

>> 125


案の定それは
いつまで経っても既読にはならない。




終わりが近づいてきた2時間前くらいだろうか。
なにやら前嶋が真剣に電話で話している。
たまたま近くにいた私は、その受け答えの内容から電話の相手は織田さんだとすぐわかった。





電話を切った前嶋は
「B(チーム)が在庫足りないって言うから運んでくる。こっち頼むね!」
と言って在庫を車に乗せBの所に向かう。





結構な数、持ってったな…。
そんなに足りないんじゃ相当忙しいだろう。




すると前嶋は思ったより早く戻ってきた。
「だいぶ売れたね!
こっちはそろそろ片付けよっか!」




当たり前じゃん(-_-#)
あんだけ持ってったんだから。




最後に売り上げ報告等があるため一旦会社にもどらなければならない。
そこで織田さんの顔だけは見れる。
でも…織田さん達は、なかなか戻ってこなかった。




去年のキャンペーンは確か、ちょこっとだけ打ち上げに参加した織田さんとその後に逢えたんだよね。口にはしなかったけど、
「今日も逢えるかな」
ほんの少し期待してる私がいた。




終わり予定の時間から大幅に遅れてBは戻ってきた。



「随分遅かったな」
前嶋の言葉に




「誰1人まともに休憩も取れてませんから!」
少しキレた様な織田さんに見えた。




その織田さんの疲労ぶりは半端ない姿だった。
あんな姿はめったに人前じゃ見せない。




人をうまく使う前嶋とは違って、織田さんは自らが動いて、少しでもみんなを休ませてあげようとする人。
きっとフル回転で頑張った姿だろう。




黙ったまま椅子に腰掛け動けない織田さんに対し、
「みんな待ってるから早く報告して解散するぞ」
前嶋が言う。




その時、打ち上げに流れる人達の姿が見えた。




あんなに疲れてるのに打ち上げなんか出たら…すぐにベロベロになっちゃうだろうな。
って事は、今日は…無理…かな…。



No.127 13/11/20 01:32
匿名0 

>> 126


一通りの報告が終わり数名が帰り始めた。
私は織田さんの様子が気になり、一服だけして帰ることにした。




喫煙所から戻ると、まださっきの姿のまま下を向いている織田さん。相当疲れきっている。
そのそばで、前嶋のお気に入りメンバーは何だか盛り上がっている。
打ち上げには女性は出れないのは知ってた。
彼女達が帰るのを確認したい気持ちだったが、帰る気配すらないから


「お先に失礼します」
諦めて私は帰ろうとした。
その時、その中の1人が
「あ~私も疲れたから帰ろ!」
と言ったのが聞こえた。
その言葉に少しホッとしながらも「お前らも早く帰れ!」そう思いながら私は会社をあとにした。





家に着き、織田さんにメールした。
「相当疲れきってたね…大丈夫?
飲みすぎてベロベロで連絡出来なかった…ってパターンはヤダからね。
もう一踏ん張りかな?頑張ってね」





終電の時間は過ぎ
深夜になっても既読になることはなかった。
毎年こんな時間まで打ち上げやってないはず…。
不安になる私は、しつこいからもう一度メールする。




「解散した?寝てるの?」




すぐに返信が来た。
泣き顔の絵文字が付いた
「ごめん、死亡。
おやすみ(;_;)」





織田さんは疲れて、叉は、飲みすぎて即寝することを「死亡」と言う。
きっと疲れたんだね。




何の疑いもしなかったバカな私……。


No.128 13/11/20 02:01
匿名0 

>> 127


幸い翌日が休日だったため、今日はゆっくり寝かせてあげようと思い私からメールするのは控えた。




と言っても、織田さんの行動パターンはよく分かってる。だいたいメールが来るのはお昼頃。




だけど…
珍しく11時頃にメールが来た。




「すまん!もう帰ってる!」





帰ってる………って?




「今どこ?」




「早い電車に乗れたから、もう○○駅」





あと20分で着いちゃうんだ…。
逢えるかな…って期待は見事に期待はずれに終わり、メールすら返信が遅くてほとんど出来なかった。




「今までどこにいたの?」





「会社」




「○○さん達は?」




「早々帰ったよ!」




この言葉だけで安心した私だった。
「打ち上げでベロベロだった?」




「いや…俺、見たか?
俺もクタクタでそれどころじゃなかったんだ」




まるで私の心配を払いのける様にホッとさせてくれる会話だった。彼女達と飲みに行くのは1番イヤ。(木村さんもイヤだけどね)∑(=ω=;))




バカな私はこんな短い会話の中でも、織田さんの言葉を信じたんだよ…。
こんなバカな女…簡単に騙せるとでも思ったの?




このあんなにもホッとした、安心した会話が
織田さんを信じられなくなっていく私に変えた。
嘘。
嘘をついた方がいい選択の時も
時と場合によってはあると思う。
それは嘘を貫き通せるならば…。
絶対にバレない嘘ならば…。
知らない方が幸せな時もある。





でもね…。
嘘が人を変えていく。
地獄に落ちる嘘もあるんだよ………織田さん。



No.129 13/11/22 02:21
匿名0 

>> 128

この頃、職場の雰囲気は最悪で派閥と言うか対立のようなものが出来ていた。
女同士には良くある話だけど、要は「好き嫌い」を仕事に持ち込んでるだけの話。




アイツ嫌いだからアイツの全てが気に入らねー!…みたいな。端から見ると、お互い様なんだけどね…って言うような。




でも、当事者達には大問題なんだろう。
当事者達だけで済むならいいけど、それに便乗する人達がいるから話がデカくなる。
段々みんなが便乗し始め、人を巻き込むから厄介だ。





そんなある日の夜、メールが鳴る。




あ…
珍しい…木村さんからだ!




「お疲れ♪
いきなりだけど
中川さん上着のサイズM?S?」




「Sなんて着れませんよ(^。^;)
Mです。靴はSだけど…」




「あ!よかった。
買ったけど小さくて着れないコートがあるから
もらってくれる?」




「買いますョ!」




「そんなのいーよ!あげる!
話は変わるんだけどさ…」





本当に聞きたかったのはこっちね(-.-;)
と思った。




「中川さんもキャンペーン後の飲み会行ったの?」





飲み会?
なんだそれ?




「打ち上げのこと?
出てないですよ。すぐ帰りましたから」





ちょっと嫌な予感がしたから私からは何も聞かなかった。




「やっぱりね!
打ち上げはウチの課は出ないんだよ!
あれは上の人達と営業の打ち上げ。
デモね…奴らは飲み会やったらしいよ。
みんなに内緒でね」




「奴ら?前嶋さんとか、ですか?」





「そう。あと角田達!」




でも、織田さんは行ってないョ!
と言いたかったけど、言えない。
私が知ってたらおかしいから。





木村さんは妄想で決めつけるところがある。
だからまだこの時は、織田さんを信じてた。
自分が参加出来なかった事が悔しいんだろうな…と思って、ただ話を聞いてた。
と言うか…
木村さんが何を言っても、まだ私は信じてたんだ。
織田さんの言葉を。






あの日が来るまでは………。


No.130 13/11/23 23:27
匿名0 

>> 129



休み明け、いつもと変わらぬ朝。





「おはよう。ちょい寝坊だ(*_*;」




織田さんの第一声から始まる1日。




「おはよ。今週も頑張ろうねヾ(´▽`;)ゝ」




ねぇ…織田さん。
昨日ね…木村さんから変なメールが来たよ。
言おうか迷ったけど、朝はあまり時間もないしやめた。




社内の対立の片側は、木村さん達。
角田さん達はライバル。
当事者だけでは問題解決出来なくなり、遂には男性が間に入る。




この日、私は仕事が終わらず珍しく最後まで会社にいた。





今日も何やらモメてるな…と思いながら、私は残ってる仕事を片づけた。
みんないつもこんな時間までいるんだぁ…と思うと少し嫌な気分になった。




さて、帰るか!
身支度をして鞄をかけると




「中川さん帰る?」




「はい!帰りますよ~」





「ちょっとだけ待てる?
一緒に帰ろ!」
木村さんだ。




前より木村さんの帰りが益々遅くなってから、一緒に帰る事はほとんどなくなっていた。
木村さんと帰ると、いつも嫌な予感がする。
以前、大喧嘩した時も
木村さんと帰った時に発覚した、織田さんの嘘が原因だった。




断れば済むのに、木村さんの勢いに逆らえない私。あまり嫌な話なら聞きたくないな…と思いながら一緒に会社を出た。



No.131 13/11/23 23:54
匿名0 

>> 130



「ちょっとたまにはコーヒーでも飲まない?」





「いいですョ!」





嫌な予感はしたものの
織田さんを信じていた私は
織田さんは飲みには行ってない!と言う自信が何故かどこかにあったから
「愚痴くらい聞いてやるか!」くらいに思ってた。





木村さんのストレスは相当溜まっていた。
暴言吐きまくり。




「キャンペーンの後だって絶対飲みに行ってんだよ!私には確信があるんだから!」




あ…
やっぱり、聞いたわけじゃないのね?(-.-;)
でもさ、私が怒るならまだしも…なんで木村さんが怒る?
不思議だった。




「なんで木村さんは分かったの?
飲みに行ったこと」



聞かなきゃいいものを聞いてしまうバカな私。





「え?中川さん気づかなかった?
さっき織田さんと角田がコソコソ部屋出てったの!…部屋出たとこで、お金のやり取りしてたもん。間違えないよ!」




お金のやり取り?
なんだか気分が悪くなった。
どんな都合か知らないけど、なんでお金のやり取りなんだ?




「あーやってさ、飲みにばっかり行ってれば仲良くもなるよね!仲良しだから間違った事でも奴らには強く言えないんだよ!男も…。
私にばっかりキレたものの言い方するけどさ、ハッキリ言って筋違いなのはアイツらなんだよ!」






あぁ…そういう事が言いたかったのか。
ようやく理解出来た。
でも私からしてみたら木村さんだって飲みに行ってるじゃない!
とは思ったけど、言わないでおこう。




こんな話をコーヒー一杯で何時間したんだろう。
織田さんを信じてはいるのに、妄想とは言え、あれだけ自信満々に話されると不安になる。




木村さんと分かれてメールしてみた。
「織田さん、何か隠してる?」



No.132 13/11/24 00:21
匿名0 

>> 131



既読にはなってるのに返事が来ない。
今から思えば、返事に困ってたんだね。
じゃなければ、「ウザい」と思ってたんだろね。
なんだか考えてるうちに
知らなくていい話に思えてきて
「やっぱりいーや。気にしないことにした」とメールした。




しばらくしてメールが来た。
「そろそろ終わりにするよ!風呂は?」




いつも通りの織田さんにホッとしたような
何か腑に落ちないような。
でも、そんな事で喧嘩するより逢えてないんだからラブラブなメールがいいな、と思って
私も敢えて普通通りにメールした。




織田さんは最後まで私の質問に触れることはなかった。
私もそれ以上、聞かなかった。





「今年は2人だけの打ち上げ出来なかったね」





この言葉さえも何故かスルーだった。
電車が混んでると返事が遅い事はよくあり、待ちきれない私が、織田さんの返事の前にまたメールを入れるから読み落とす事もよくある。




でもこの時は違った。
ちょっとだけ私の信じていた気持ちが
疑いに変わった瞬間だった。





「凛、①か?」
話をすり替える。




「まぁまぁ…①かな Ψ( ̄∀ ̄)Ψ」





「俺は大①だ(T_T)」




何故、隠したのか
その心理は織田さんにしか分からない。
織田さんが yes ともnoとも言おうとしないから私ももう聞かなかった。



No.133 13/11/24 07:49
匿名0 

>> 132


女って、誰かとツルむ習性がある。
まるで女子校の延長のように。
誰かと常に一緒にいて、誰かいないとダメ!みたいな。



ウチの職場もそんなグループが幾つかに分かれていて、その中に一匹狼タイプがチラホラいる。
私は「いつも、何をする時も、絶対一緒」って言うのは疲れちゃうタイプ。
誘われたら行くし、気分が乗れば行く。
木村さんもそんなタイプに近い。
一方の角田さん達は女子校タイプ。




でもまぁ、どちらとも気が強く負けん気が強い。
織田さんも頭を抱えてた。




思い出したんだ。
以前もめちゃめちゃ忙しくて、辞めてく人が後を絶たなくなってた時、織田さんが医師との面談で言われたことを。





「仕事一筋で真面目な人は鬱になりやすいから気をつけなさい」




私は家族で鬱病がいた経験がある。
とにかく大変な時期だった。




織田さん、大丈夫かな…。
ふと心配になった。
よく考えたら、付き合った当時より飲みに行く回数が断然減った。
お小遣いが減って節約せざるを得ない。
元々は明るくて周りを喜ばせる事が大好き。
イタズラ大好き。
今は前嶋の子分のように動かされる。
家での事はよく分からないけど、尻に敷かれた感じだからどうなんだろう。




織田さん、ストレスの発散場所…ちゃんとあるのかな…。




なるべく私は帰りのメールくらい癒やすようなメールにしなきゃな、と思った。



たまに口にする。
最近全て面倒くさい。
気力が続かん。
無理が利かない。




きっと、我慢の時期なんだ。
織田さんが頑張ってるんだから…
私も頑張らないと!
寂しがってばっかりじゃダメなんだ!



織田さんがいつでも愚痴をこぼせて
私といる時くらい、気が休まる空間でなきゃ。
そんな風に感じて、少し遠くから見守るように心がけていた。






No.134 13/11/24 16:21
匿名0 

>> 133



前だったら…
喧嘩の後や、こんな時は次の日だいたい逢ってくれて仲直り出来てた。




でも、おこづかいが減った事も理由の1つで仕事も忙しく、やっぱり前とは違う。




あれから一週間が過ぎた頃
「凛、何してる?」




「パソコンイジって待ってたョ!」





「今日、逢えるか?」





嬉しくてたまらないクセに
ちょっと意地悪っぽく
「うん!逢う!
今日はお仕置きだな (*≧艸≦)」
と言うと、




「その話は今日は無しでお願いします(>_<)」
と、返ってきた。




予想外の返事に戸惑ったのは私。
特に意味もなく言った言葉だった。




「ん?その話?
なんかやましい事あるの?」





「え…お仕置きって言うから
この前の件かと…」





その時、初めて事実だったと知った。
やっぱり…嘘ついてたんだ………。
一瞬にして、あの日のメールが浮かんできた。





そんな事を深く考えてる余裕もなく
「今日はやめる?
凛、ヤダよな…」




「ううん。逢う!」





「平気か?
迎えに行くから支度出来たら連絡して」




「うん!わかった!」





ショックはショックだったけど
もう時間が過ぎていた事と、なんとなく言いにくかったのかな、って言うのもあって
今日は責めるのはやめよう…と思い、出掛けた。





「着くよ」





「はーい」




少し笑顔のない織田さんが待っていた。
「どうする?凛、飯は?」




「なんか買ってく?
どっかで食べてく?」




「買ってこうか。
こないだ食ったのですげー美味いのがあったんだ!それ凛にも食わせたい!」




「うん」
織田さんにほんのちょっぴり笑顔が戻った。



No.135 13/11/24 17:00
匿名0 

>> 134


ホテルに入って織田さんオススメの「なす味噌弁当」を食べた。




「すげー美味いだろ?」





「うん、美味しい!
でも、私が作ったのの方が上手いな (((*≧艸≦)ププッ」





あ ~ψ( ̄▽ ̄)ψ
と言った顔をして
「食ってみたいな…」とボソッと言った。




ギクシャクした2人より
せっかく逢えた時くらい、こうして仲良しがいい。
織田さんが笑ってるほうがいい。



聞きたい事はいっぱいあったけど
今日はやめよう。グッとこらえた。




「ちょっと暑いから脱いでいい?」




「うん。
じゃあ私、シャワー浴びてくる」




後ろからギュッと抱きしめられた。
その力強さに、私のイケない口が開く。




「なんで、嘘ついた?」
後ろを向いてるから、顔が見えなくてちょうどいい。顔を見たら泣く。




「凛が泣くと思って言うタイミングが分からなかった」




「あんなに疲れてたのに。
彼女達、早々に帰ったって言うから安心してたのに」




「早々に帰ったんだよ!
あの日、俺はムカついてたんだ!前嶋さんに」




「なんで?」




「自分のとこが売れ残ると示しが着かないからって在庫すげー持ってきてさ。
俺が欲しいって言ったのは在庫じゃなくて人を貸して欲しいって言ったんだ!
こっちは誰も昼だってロクに食ってないのに」





前嶋の事をこんな風に言うのは珍しい。
「え…ウチそんなに忙しくなかったよ。
それに在庫足りないって言うから!って言ってたよ?」





「デタラメだよ!」




「会社に泊まったのは?」




「言えるかよ?
エロビデオ鑑賞のとこに泊まった、なんて!
…無理やり電車に乗せられたんだ。
疲れてて無理だって言ってんのに。
案の定、○○駅までしか電車がなくて
あんなとこで降りても何もないんだよ…。
仕方なく、そこに泊まったんだ」




「まだ聞く?」
続けて織田さんが言った。
その顔とその口調には、いつにない織田さんの迷惑そうで嫌そうな雰囲気を感じた。




最後に捨て台詞のように
「不本意なんだよ、俺だって」と…。



No.136 13/11/24 17:30
匿名0 

>> 135


最後まで「ごめん」と言う言葉はなかった。
それが逆に「仕方なかった」事を証明しているように私には思えた。
もう過ぎた事だから、今更何を言ったってね。





「ねぇ…今日ね!
やっと付けて来れたんだ(^-^)」




「ん?何を?」




場の雰囲気を変える為にわざと言った。
「ぷっ!内緒( ´艸`)」




いつもはしないけど今日は私からキスをねだった。長いキスをしたあと、織田さんが優しく服を脱がせる。
鈍感な織田さんはあまり気づかない事が多いけど




「あ…可愛い下着(*^-^*)
珍しいね!こういうの…可愛いよ」




「新しいんだよ( ´艸`)」




「ねぇ…織田さん。
○○日は休めそう?」




「あ~…まだ分からないんだ。
でも休む方向で持ってってる!」



たぶん私が不安げな顔をしたんだろう。
○○日は年に何度か有るか無いかの平日休み。
私が1番楽しみにしている日。
私の気持ちを察したように




「休む!
何が何でも休む!
大丈夫だよ、何としてでも逢う!!」





「約束だよ!」




「わかったよ(*^-^*)」




何の障害もなければ
いつでもこうして仲良しなのに。
「なにが悲しくて周りに左右されなきゃなんないんだ」
前に織田さん言ったよね?
私が強くならなきゃ
もっと織田さんを信じて。




ベッドに入るとギュッと織田さんが抱きしめた。
その時、偶然にも流れたんだ。
「織田さん…よく聞いて!」




私が大好きなあの歌。
よく歌うあの曲。
歌詞が私の気持ちを代わりに歌ってくれているようだった。



織田さんは歌を聞きながら黙って私を更に力強く抱きしめた。ギューッとすっぽり私の体を包み込むように。




ごめんね…。
泣き虫で。我慢してもポロッと零れ落ちる涙を織田さんは何も言わず胸の中でそっと泣かせてくれた。




No.137 13/11/25 02:44
匿名0 

>> 136



これは別に、女と飲みに行ったことが悲しかった涙じゃない。
嘘が悲しかったんだ
織田さんに涙の理由が分かっているのかは分からない。




久しぶりに泣いた。
でもね…
ちゃんと分かってるんだよ。
だって全然、飲みに行かなくなったもんね。
それだけ、ちゃんと気にしてくれてること分かってる。




私が泣いたり怒ったりするから言いにくい気持ちも分かってる。織田さんも、強引に誘われれば断りにくいのもわかる。




泣いた後でごめんと思う。
だけど、ショックなのも事実なの…。
自信がないのかな。
織田さんはよく言うよね?
「何も心配いらないのに」
「もっと自信持っていーんだよ」って。




思われてる自信がないわけじゃないんだ。
だけど不安がいつもあるのは確かで。
じゃあ、この不安ってなんなの?って考えると
織田さんがいなくなるんじゃないか、離れてくんじゃないか…って不安なんだ。




思われてないのかな?って不安なんじゃない。
誰かに取られるんじゃないか?って不安でもない。
「いつか私に嫌気がさして離れてくんじゃないか」って不安。




そんな事をぐっすり眠ってる織田さんの寝顔を見ながら考えていた。

No.138 13/11/27 02:13
匿名0 

>> 137



敢えて今日を選んでくれたのか
この日は珍しく連休前だった。
いつもなら夜から逢って、私の山積みになっている話をしてるだけで、あっという間に時間は過ぎ…すぐに日付が変わる。
あっという間に朝が来てバイバイの時間になる。





連休前に逢える事があったとしても、コーチをしなきゃいけないから朝早くバイバイする。





でも、この日は
「明日は朝寝坊しても大丈夫だからね」と言ってくれた。
いつもより何時間か長く一緒にいられる。




せっかくゆっくり寝れる時くらい寝かせてあげようと思った。私は習慣なのか、いつもと変わらぬ時間に目が覚めたら二度寝も出来ず…。





でも、ほっといたらチェックアウトの時間ばかりが迫ってくる。





ずーっと寝てたらそんなにいつもと変わらないなぁ…なんて思いながら、私はシャワーを浴びる。お風呂から出ると織田さんは珍しく自力で起きていた。





「凛、ここ何時までだっけ?」




「12時まで」




「まじで?もうあんまり時間ないな
ごめーん…いつも寝まくっちゃって」




「大丈夫だよ!ゆっくり寝れること、あんまりないでしょ。わざと起こさなかったの」





織田さんが私の手を引く。
そしてキスをする。
力強く抱きしめられ、織田さんの手が私の胸に。





「…織田さん!
あまり時間ないよ…」




「たまには延長!
凛、大丈夫?」




「うん!」





結局その後、私のお気に入りの中華料理屋で食事までしてバイバイした。
ちょっぴり贅沢な時間を過ごせた。




帰り道お決まりのメールをしながら帰っていく。
贅沢な時間を過ごせたせいか
私の心も少し穏やかになっていた。



No.139 13/11/27 02:37
匿名0 

>> 138



帰り道のメールで私は言った。
「織田さん、ありがとう。
幸せな1日になりました。
でもね…約束して。
嘘はダメだよ。
どれだけ傷ついたとしても絶対に別れたりはしないから。ちゃんと言って欲しい。
じゃないと…」





色んな事が
あ…
嘘かな。
もしかしたら、また嘘ついてるのかな…
って
疑うようになっていくよ。




場合によっては断れない事もあるだろうし
織田さんから誘ってるわけじゃないのも分かるから。
知った時はショックだけど、いつでも許して来たよね?




飲みに行ったことなんかより
嘘のほうが悲しくなる。
前に織田さん言ってくれたでしょ?




「いっぱい喧嘩もするけど
喧嘩したら必ず仲直りしよう。
喧嘩してもずっと一緒だ!」
って。




私もそう願ってる。
わかったか?





「わかった。
ごめんね…」




今回、初めてごめんと言った。
ずっと一緒なんて、叶わない事は分かっているけど…
少しでも、一緒にいたい。
この気持ちが変わる事はない。




「誰にもあげないもん!
今回は私の織田さんを貸してあげただけ(-.-)y-~~」





「そうだ!
その意気だ!
余裕持って大丈夫なんだからね!」




「うん!でもあんまりレンタルさせてあげないけどね( ´艸`)」




こうして何だかんだ言いながらも結局最後には仲直りする。これが私達らしいのかもしれない。





そしてバイバイ。
織田さんとメールも出来ない連休がくる。



No.140 13/11/29 01:43
匿名0 

>> 139



織田さんに逢えない連休の過ごし方はだいたい決まっている。
朝は蓮の仕事があるから普段と同じく早起きし、ご飯を作る。蓮が出た後は洗濯をして簡単に掃除。化粧をして買い物に行く。




今日はウィンドウショッピング。
そこで見つけた!



「あ…これ…織田さんにあげたいなぁ」




値段を見ると結構、高い。
織田さんの好きな柄の革の財布。
もしこれが、まだ売っていたら今年のクリスマスプレゼントにしようと決めた。
2種類の形があって、どっちも捨てがたい。
息子と織田さんがお揃いなんて微妙だけど1つは蓮にあげたいな。
今日から少し節約•貯金だ!





ショッピングを終え帰宅すると友達からメールが来ていた。
もう忘年会のお誘い?(゚o゚;
結婚して遠くにいる人達の為に早めに決めたいから希望を知らせて欲しい、と。





迷わず休みに入ってからの日付を希望した。
でも、同窓会のようなもの。もちろん男もいる。
なんだか、こんな事でさえ罪悪感を感じる。





そんな事を考えていたら………





ガタガタッガタガタッ…
怖っ(>_<)




地震。
結構、大きな揺れが続いた。




するとメールが鳴る。
「無事か?」





あ…
織田さん だ(๑•ᴗ•๑)♡




休みの日はメール出来ないのに…
「怖かったけど無事!」





「よかった」




たった、それだけだったけど嬉しかった。





ふと思い出した。
3月11日のあの地震の時の事。




No.141 13/12/01 16:41
匿名0 

>> 140



あの日、私は外回りで織田さんも外回り。
あの頃はまだメールも今よりは出来ていたから、ちょうどやり取りをした後だった。





私は高台にいて階段を下りる直前に大きな揺れを感じた。電柱やマンションが大きく揺れてる。
家の中から住人が飛び出してくる。
私の横には、たった1人、おばあちゃんが「怖い」と言いながらフェンスにしがみついている。





「大丈夫?」




「怖い!」




「家は近くですか?」
と聞いた時、娘さんが階段を足早に登り、おばあちゃんを見つけて連れて行ってくれた。




あ!
お母さん大丈夫かな…
蓮は学校だから大丈夫だろう。
まず、お母さんだな!




電話は既に繋がらない。
メールだ!
「お母さん大丈夫?」




すぐに返ってきた。
「大丈夫だけど怖い。足が…」




「誰かといて!危ないから」




「悠が今から来るって。大丈夫だからね」
悠とは兄。
兄がいるなら大丈夫だろう。




携帯が鳴る。
あ!
織田さん…。
「無事か?
すぐに電話したけど繋がらなくて」





「大丈夫!無事。
織田さんは?怪我なし?」




「無事!
すぐ会社に戻るから凛も気をつけて戻ってきて」





すると会社から一斉メールが来た。
安否確認と今日は早く帰って下さい、と。
返事をしようとしたが、ここから携帯が全く繋がらなくなった。




仕事はあと少し。
ほんの何十分もあれば終わる。
揺れもおさまっているし明日に繰り越すのも嫌だ。




よし!
終わらせて急いで帰ろう。







No.142 13/12/01 17:12
匿名0 

>> 141




冷静に冷静に仕事をこなし会社に戻ろうとした時、偶然にも同僚に逢えた。




「凛ちゃん!
凛ちゃんと連絡がつなかいって騒がれてるよ!」




え…
「携帯が使えない。
公衆電話はあの列だし、帰ったほうが早いかと」





「待って!電話してあげる!」
DOCOMOは繋がるようだった。
2人で会社に戻ると、まだ帰社していない人が数名いた。




沙織がいない…。
キョロキョロしてると織田さんが私を見つけて寄ってきた。
「無事でよかった…」




「携帯繋がらなくなっちゃって…。
すみませんでした」




織田さんはホッとしたように微笑んだ。





「中川さん、お母さん家に1人でしょ?
早く帰りなさい!」
先輩が言う。




「兄がいるので、みんな帰ってきたら帰ります」




織田さんはバタバタと動いていた。
私が織田さんが気になるのを察したのか
「俺は今日はどの道、帰れないから心配しないで早く帰りなね」
と、メールが来た。




「沙織が帰ってきたら帰るね」
沙織は途中で仕事を断念し戻ってきた。





帰り道。
あの光景を忘れる事はないだろう。
いつもはガラガラな道が人で溢れかえっている。
歩いて帰れない距離じゃなくてよかった。




家に着くと兄とお母さんがいた。
予想以上に家の中は散らかっていた。
「お母さん、足…どうした?」




「足?」




「メール!足が…で、止めるのやめてよ!
心配するじゃんか!」




「あ~!足が震える、って事!」
なんだよ………(*_*;
蓮も無事帰宅。
我が家は余震にビビりながらも皆、無事でよかった。




それから3日間、織田さんは帰れずに仕事に明け暮れた。ご飯もほとんど食べれないと。




「凛、あと10分位で凛の家の近くの○○マンションに行く!顔だけ見たい。
すぐ次に行かなきゃだけど」




私は休みで家にいた。
このメールを見て、とっさに思い付いた!
あと10分………。




No.143 13/12/01 22:30
匿名0 

>> 142



ご飯は炊けてる。
食べ盛りの蓮の為に買い揃えてあるから具も海苔もある。




よし!


ほとんど食べれていない織田さんの為に、おにぎりを握った。織田さんが好きな梅干しと、カリカリ梅とちりめんじゃこをごはんに混ぜたのと、 昆布とわかめ、4つ握ってバンダナにホカロンを敷き、おにぎりを少しでも冷めないように。
水筒に温かいお茶。




そんな事をしてたら少しもたついて、織田さんからイラついたようにメールが来る。
「凛、まだか?
遅いぞ!」




「ごめん。すぐ行く!」




メールとは違って優しい顔で織田さんは待っててくれた。




「眠れてるの?」




「仮眠程度には。
電話が鳴りっぱなしで寝てもいられなくて…」




「身体、気をつけて」





「大丈夫!心配すんな。
じゃ、行くね!顔見たから頑張れそうだ!」





「あ…織田さん。
これ、食べれたら食べて」




手作りのお弁当…とは言えないけど、初めて手作りを食べてもらえる。



これで少しでも頑張れますように…。




織田さんは少し驚いた顔をしたね。
そして、その夜
「凛。今日は遅いぞ!なんて言ってごめん。
理由は、おにぎりだったんだね…。
めちゃくちゃ美味かった!
今、食べたよ。愛情おにぎり、ありがとう!」





「食べれてよかった。
あとは睡眠だね…」



「明日から多分、何日か休むようになると思う」




「うん!働いた分、身体休めないとね!!」




こんなやり取りをした。
なんだかこの頃は、邪魔される物もなく
ほんわかな日々だったように感じる。





あ…
また地震。
最近、地震がよくある。
そのたび、織田さんはメールをくれる。
織田さんもあの日を覚えてくれてるかな…?




No.144 13/12/03 02:45
匿名0 

>> 143



今日の私も何故か気分がオチている。
なんでだろう。
こんなに幸せな気分と落ち込みが激しく繰り返されるのは。






昨日までラブラブだったはずなのに、次の日にはもう落ち込んでたりする。




最近、満たされない。
心が、満たされない。




織田さんの考えと、私の想いに大きな壁のようなものを感じる。ぶつかり合う事があったとしても、それは依然として平行線のまんまで…。




どちらも譲れない考えがある。
平行線のままだから、この辛さはなくなる事がない。今のままでは。





こんな時間になっても眠れない。
不安定だな…私。





「織田さんは私が他の男と目の前で毎日笑って楽しくしてたらどう思う?」





「怒る!」





「で、織田さんとは全く話さないの。
メールもなし!」





「ブチ切れるね!」




だよね………。
そう言うと思った。



じゃあ、なんで私には我慢しろ、って言う?
単なるワガママじゃん。




でもね…。
私は思うんだ。
きっと織田さんは、そこまで気にしてないんだよね。





「私が我慢と辛さの限界で、浮気したら?」





「浮気…すんの?」




浮気すんの?じゃねー!
聞いてんだよ。




なんだかイライラする。
バカみたい。
こんな自分勝手な男…やめちまえばいいのに。





今日も私は寝つけない夜。
自分が情けなくなる。



No.145 13/12/08 03:17
匿名0 

>> 144


織田さんが最も忙しい時期を迎えた。
手帳を見れば、週末以外は毎日泊まり込みで残業。




日中、私が外かお互い外回りな時は動きが見えない分、忙しさが分かりにくい。
同じ中にいる時なら分かるけど…。
でも、織田さんの仕事が遅くまでかかってしまう要因の1つは分かっている。




仕事量は織田さんだけじゃない。
私達も皆、どんどん増えている。
だから以前に比べて皆、帰れるのが遅くなった。
定時なんて無いようなモノ。
織田さんには、みんなが帰らないと出来ない仕事が沢山ある。



私は分かってるけど、大半の人はそんなの理解してないし仕事が終わらないんだから仕方ない!と思っている。
でも中には仕事が終わっても、いつまでもいつまでも残ってるメンバーがいる。




「みんな仕事が終わらなくて遅くなってるのに、早く帰ってくれ!とは、さすがに言えないよ」
織田さんは言う。




だけど、話題になってるよ?
遅くまで残ってるメンバーは、仕事なんかやってないのにいつまでもダラダラ残ってる!って。
それは…
あわよくば、前嶋達と飲みに行くためだ…って。




別に遅くまで残ってるのが気に入らない訳じゃなくて、空気が読めない人達に私はイラつく。
みんなが残ってると、夕飯も食べられないでいるんだ。
仕事が終わったら、とっとと帰れ!




言いたいけど…言えない(T_T)
そんな彼女達を残して、先に会社を出るのが毎日毎日イヤで仕方ない。
どんなに目一杯仕事があったって、結局、いつも私が先に終わってしまう。




私が帰ったあと、織田さんから連絡が来るまでの時間が大嫌いでなんとなく不安で仕方ない。
会社では私に距離を置く分、私には絶対しない事を織田さんは普通に他の人にはする。
それがなんだかひどく切なくなる。




No.146 13/12/08 04:06
匿名0 

>> 145



外回りがなくて中での仕事が何日か続いた。
でも、織田さんと話す事は1度もない。
織田さんが私を拒絶するように絡む事を避けるから私からも話し掛けられない。




でも、仕事の事で聞きたい事があったから織田さんに聞きに行った。
顔も合わせない様に書類をポイッと渡された。
それだけでも何だか切ないのに、近くのパソコンでその書類を処理してたら、笑い声が聞こえる。
楽しそうに例のメンツと話してる。




「織田さん、これは………」
話しかけた時、感じた。
すごく迷惑そうな嫌な顔をした。





バレたくないのは分かるよ。
…でも、そこまで避ける必要があるの?
普通に仕事の事を聞いただけなのに…。




職場では、一切関わるな!って事か。





なんだか息が詰まると言うか、惨めと言うか、
私が嫌だ!と言ってるメンツと当てつけのように仲良くされて…私には「バレないため」とは言え、あそこまでされる事が妙にショックで…私は仕事を放棄してタバコを吸いに行った。
途中で放棄した書類を金田さんに(織田さんの隣接の席の人)ポイッと渡して。




少しここでサボろう。
あの笑い声を聞いてたら頭に血が上る。
ボーッとしてたら涙が出そうになる。





すると、あのデカい声が近づいてくる。
あ…
奴らタバコ吸いに来たんだ…。
入れ違いに出ないと一緒になってしまう。





その前に、営業の男が先に来て話し掛けられた。
タイミングを逃した私は出るに出れなかった。
奴らと一緒に織田さんも来た。
また目の前でくだらない話で盛り上がっている。





無理だ。
私は喫煙所を出た。
何を考えてるのかわからない。
私には理解出来ない。
私を避けるなら、同じように避ければいいじゃない!
女と絡まずにいられないの?
こういう時の気持ちはどう表現したらいいんだろう。
悲しいのと怒りが入り混じって、ただ落胆するだけ。何もしたくない。




こうなると私も意地になる。
やられたら、やり返す。
この日から決めた。
私も今日から織田さんには一切絡まない。
用事は全てほかの男で済ます。
今まで織田さんが嫌がるからしなかったけど、私も男と普通に絡もう!





「ねぇねぇ、川崎さん!
この時間スマホ率高いね!彼女?( ´艸`)」




川崎さんは織田さんの向かい側の席。
私と川崎さんが話してれば必然的に織田さんの視界に入る。
別にこんな事、計算したわけでもないけど…
川崎さんは絡むのに一番席が近い。
それだけの理由。
だって私は「計算で動く」ほど器用じゃない。





どんな気持ちか考えろ!





子供みたいだね…。
こんな仕返しなんて本当はしたくなんかない。
でもね…
時々、苦しくなるの。
こんなに頑張って我慢してても、織田さんは余裕なんだよね…。
織田さんは私が去ってもきっと、痛くも痒くもない。




だって織田さんは何も失わないもん。
自分が一番大切なもの…。




No.147 13/12/08 12:31
匿名0 

>> 146

まるで何事もなかったかのように
「そろそろ片づけて終わりにするよ~」
の、メールが来る。




向こうは自分の考えあっての行動だから、私が傷ついてるなんて気づいてもいない。
された方はひどく傷ついて、そんな簡単には素直になれない。




「お疲れ様」
あっけない返事しか返せない。




織田さんも少しは人の気持ちを感じ取る事が出来るようになったんだろうか。
「どうした?元気ないね」





「用があっても私は会社では話し掛けちゃいけないの? 今日、すごく迷惑そうな顔してた」




「事務所では 徹底的に接触を減らした方が良いんだよ。
その分 会った時に力が 入るけどね 」



「それは分かるけど仕事の事だよ?」



「あんまりイチャイチャ人前ですんのは避けなきゃダメだろ」



イチャイチャ?
何言ってんの?
「誰がいつイチャイチャした?」



「あ~わかったよ!
好きにしていいよ」



投げやりな態度…。
迷惑そうな返事…。



「凛、今日 川崎さんとイチャイチャしてたな」




「織田さんは?」



「俺が角田さん辺りを構ってるのが丁度いいんだよ。
怪しまれない為のカモフラージュだよ!」



ふーん。
納得いかない。



私がイジメられるから、織田さんはそっち側についてたほうがいいってか?




「織田さんこの前言ってたよね?
私が織田さんとは一切話さず他の男と毎日絡んでたらキレる!って。
それさ…逆ならいいの?
私にはあんな態度ってある?」



「逆はダメだ!
俺はワガママなんだ」
開き直った。



「いいんじゃない?
それで私が傷ついて、織田さんから離れても後悔なんてしないなら織田さんの考えを貫き通せば。
バレてダメになる前に、ダメになる事は考えないんだね」




「俺、凛が言う程 彼女達とも絡んでないぞ!」



「じゃあ、無意識なんだろね
私が一言も交わさない日が 5日間あったとしたら彼女達とは私との1ヶ月分位の会話を毎日してるよ?」



「そんなことないって…」




「話すな!とは言ってない。
織田さんが絡まれてるのも見てるから…
それを無視しろ、なんて思ってない
ただ、私にはあんな態度なのが落ち込むだけ」



織田さんにどれだけ伝わったかは分からない。
でも言いたい事は言った。
きっと変わりはしないだろうけど。
この日から、夕方になると織田さんの姿が消えた。
ここにいなければ、誰とも話さずにいられるって意味なんだろう。
そうなると、朝 顔を見れなかった日は、織田さんの顔を一度も見れないまま帰宅する事が増える。



それはそれで寂しい。
私のわがままなのかな…。




「織田さん、帰るね…
どこにいるの?」



「この時間は洗濯する時間にしたんだ
気をつけて帰りなね
終わったら連絡するから」




なんだか罪悪感が残る。


No.148 13/12/12 02:42
匿名0 

>> 147



この頃既に、人間関係がぐちゃぐちゃになり始めていた。
各々が織田さんに相談する。
でも、とことん嫌い合う派閥のようなものは いくら周りが助言したところで修復するのは困難で…
嫌いなのと意地があるから、解決策はなかなか見つからない。



忙しい上に、こんな相談役までやらなきゃいけなくて…。
それでも織田さんは「少しでもいい環境の職場作りのため」に最初は必死に頭を悩ませていた。
それでも一向に良くはならない人間関係。
織田さんも疲れ始めていたね。
疲れと言うか…うんざり、と言うのかな。




そんな時、織田さんから連絡がないまま朝を迎える日があった。




相談役。
連絡がつなかい。




また…飲みにでも行ってる?




不安が押し寄せる。
でも、極力我慢した。
疲れとストレスがピークな時にガミガミ言ってもいい事はない。



だけど、あまりにも連絡が来ないから一言だけメールした。
こういう時の私は嫌みな女になる。




「また飲んで、連絡なし?」




結局、朝まで連絡はなかった。
週末なのに…。
いつもなら帰らなきゃいけないはずの週末なのに。




「凛、すまん
会社で寝ちゃってた」




ふーん。
「約束…、最近守れなくなったね」




次に来た返事に
私は不安と恐怖を覚えた。





終わっちゃうのかな…。
私達。



No.149 13/12/13 00:52
匿名0 

>> 148




「約束…、最近守れなくなったね」






「今まで、背伸びしてたのかもしれない。
本格的に忙しさがピークに来て
無理が利かなくなった」




背伸び…
無理が利かない…




相当、無理してた…って事か。
無理…させてた、って事だね。
いい加減、重たくなったんだよね。




「おやすみ」も出来ないくらい疲れきった、って事なんだよね。




返す言葉が見つからない。





「無理させてごめんね…」





それだけしか返せなかった。




「いや…俺こそごめん」




それはどんな意味の「ごめん」なんだろう。
怖くて聞けない。



昨日、連絡出来なかった事に対しての「ごめん」なのか、それとも「今まで頑張ったけど、ごめん」って意味なのか、どちらにも取れる。





お互いが楽しみにしている唯一、平日長くいられるあの日は、もうすぐだと言うのに…。
ここでダメになるのか…?




ここまで疲れの限界をアピールしているのに、今は聞きたくても聞いてはいけない気がした。





織田さんは帰り道に1時間以上かかる。
この先、どんな会話をしたらいいんだろう。
「会社出たよ」
の、メールが来たら返事を返そう。




メールがなければ、そっとしておくべき日なんだ、きっと。
こういう時間は長く感じるもので、あっという間に時間が経っていく。
起きたてのメールから1時間半が過ぎた。
今日はもうメールは無理…って事なんだね。
そう考えると、さっきの
「俺こそごめん」の意味は理解出来た。




何かしなければ。
気を紛らわせなきゃダメ。
そう思えば思うほど、悲しさが溢れ出す。
だけど、織田さんが出した答えだから…。
振られない限り、私は離れられないんだから…。
受け止めるしかないんだ。




ピンコン♪




あ…!
ラインの通知音。



私のラインが鳴るのは織田さんしかいない。
見るのが怖かったけど、開くしかない。
さっきの続きでも考えてたのかな?





「会社出たよ!
相変わらず待たせてごめん」




あれ?
普通だな…。



「お疲れ様((*´∀`*))」
何を言っていいのか分からなくて、普通に無難に返す。




「凛、少し時間あるか?
腹減ったから飯食って帰ろうかと…」




「え?大丈夫なの?
でも、早く帰って休んだほうが…」




「ちょっとしかいれないけど
それでもよければ!」




「うん!行く」
まだ、ホッとは出来なかった。
あの続きがあるのかもしれない…。


No.150 13/12/23 00:55
匿名0 

>> 149



急いで支度はしたものの…
しばらくしてもメールが来ない。



会社出た!って言ったよな…。
誰かにバッタリ会っちゃったのかな…。
ため息が出た。

  

駅にはとっくに着いてておかしくない時間。
何分経っただろう。
かなり待って、やっと連絡が来る。




「俺から誘ったのにごめん
カミサンから電話がすごくて。
今すぐ帰って来い!って言うんだ。
ホントにごめん」




そっちか………。
「イヤ!」なんて…



言えるはずないじゃん。




「わかった」



「ごめんね(:_;)」




私って…
なんなんだろう。
支度して出かける準備バッチリで、母に
「出かけるの?」


「うん」と言った手前、「無しになった」と言うのが嫌だった。



買い物でも行くかな。
振り返れば、この頃はもうとっくに始まっていたんだろう。



私のストレスのやり場。
買い物依存症。
今でも決して裕福ではない。
でも、結婚してた時に比べたら自由に使えるお金は多少なりともある。




貧乏だった私は昔からストレスがたまると100均で1000円分!とか決めて買い物するのが楽しみだった。




やめなきゃ!とは思いつつ買い物したい衝動に駆られる。
着もしない服や使いもしないバッグ•靴…我に帰るとやたらと増えている。
でも、買い物に行く。
もちろんお金がいっぱいある訳じゃないから高い物は買えない。
お金なんてないくせに…
なにやってんだろ…。




「電車乗ったよ」




こんな気持ちで
どんなメールをしたらいいって言うの?




それでも、到着時間を調べ
織田さんが着いたら買い物に行こうとする私。
たまにはキレて
メールなんてほっといて
無視してやればいい。




いつも織田さんに
されてるように………。




それさえも出来ない私は
何をそんなに怖がってるの?




自分でも分かってる。
私は織田さんを失うことが
ただ…怖いだけなんだ。




どんなに傷ついても許してしまう。
だから何も変わらないんだよ。



No.151 13/12/23 03:19
匿名0 

>> 150

私が待ち遠しい「あの日」はあと1週間後。
今日逢えなかったから、このまま逢えずにいたら11日ぶりになる。
もう…10日間とか2週間逢えないのが普通になってしまった。




会社に泊まる日は遅くまで仕事をしてお風呂に入るから、ほとんどメールもしないまま寝てしまう。
ちゃんと家に帰れる日だけが、唯一、私の心を満たす時間になる。
会社で口も利かないぶん、帰り道のメールだけが久しぶりの会話になるから。




今日は逢える!と喜んだのも束の間でダメになっちゃったけど「逢いたい」と思ってくれたんだろうか。
それとも昨夜の事を悪いと思って気を使ったんだろうか。




あ…
怖いけど聞いてみようかな。
帰り道のメールで朝、言われた言葉が気になった。
織田さんからは特に何も言ってこない。




怖いから…
遠まわしに聞いた。
「ねぇ…織田さん。
あの日は、逢えるんだよね?」




「もちろんヽ(●´∀`●)ノ
心配ないよ!」




よかった。普通だ。
「朝の言葉でもうダメになるのかと不安だったんだ」




「いつも我慢ばっかりさせてごめん。
気にはしてるんだが、メール1つ位…と自分でも思うクセに睡魔に勝てん。情けない。
ごめんね」




「私…重くない?」




「太ったのか?(* ̄ー ̄*)」
わざと冗談で返してきた。




「そうじゃなくて!」




「心配いらないよ!
って、いつも言ってるでしょ!!
まったく凛は心配性だな」




こんな会話をして織田さんが最寄り駅に到着。
私達のような関係で
割り切りではなく本当に好きになってしまった人だったら…
「帰らないで」と普通は感じるんだろうか。



でも私は「帰らないで」とは思わない。
帰ってしまう寂しさより、こうしてメール出来る時間が嬉しい。
織田さんとバイバイしたあと例の財布がまだ売っているか確認しに出掛けた。




まだちゃんと財布は売っていた。
クリスマスはまだまだ先だけど、ちゃんと渡せるのかな…。
その前に、私が待ち遠しい「あの日」はあと1週間後になっていた。



No.152 13/12/24 03:22
匿名0 

>> 151




最近の織田さんのペースで考えると、「あの日」まで逢える日はないだろう。
今日がダメになったからと言って
「明日は必ず!」なんて気の回る人じゃない。
…と言うか、じゃ、なくなった。



いつからか変わった。
立場が上になってから変わった。
もっと優しい人だった。
キチンと約束も守ってくれる人だった。
だからかな…。
ここ1年位前から、私達の関係は
細くてモロい糸でやっと繋がっているように感じる。何かに触れられたら…プツッと切れてしまうような…。



織田さんにそんな危機感はないのだろうか。
朝、目が覚めて
突然、私の姿がなくなっていたら
何を感じるんだろう。
ずっと一緒だと思っていたはずの女が突然、自分の前から消える。



少しは寂しいと思ってもらえるんだろうか。




こんな事をボーッと考えていた時、ラインが鳴る。でも、今日は土曜日。
織田さんのはずがない。
他に誰がいる?智恵か?



携帯を開くと、兄だった。
「凛!お前ラインの通話出来ないのか?」



「あ…通話拒否にしてある。なんで?」



「いいから通話ONにして!」



「わかったぁ」
なんだ?
兄と話したってつまんないじゃんか!




すると可愛い顔が移った。



なに…これ?
もともとラインなんて興味もなく、スマホ自体、使い方に疎い私にビデオ通話なんてシャレたものをしてきた。




兄の長女、彩花。
可愛いなぁ。いつの間にかいっぱい喋るようになったね!

私の心が少し癒された瞬間だった。





休み明け、いつものようにラインがくる。
「おはよう。寝坊だ(*_*;」



そんなの時間見りゃ言わなくても分かるさ。
「今週の敦のスケジュールはどんなだね?」




「あ…今週もたぶんアレとコレと○○と○○で、
いっぱいだな(>_<)」



相変わらず「忙しいアピール」だ。




「そっか…頑張ってね(^_^)/」
実際に忙しいらしく徹夜が何日か続いた。
3日目位だっただろうか。
ふと思い出した!




「ねぇ織田さん!
ラインでエロいの出来るの知ってる?」



「なに?エロいの?」
食いついてきた(笑)
わざとこんな言い回しにした。




「今、電話しても平気?」



すると織田さんから普通に電話が来た。
私が寂しくて話したいと思ったんだろう。


「そうじゃなくて!かけ直すね!」
兄が教えてくれたビデオ通話とやらをしてみた。
織田さんもコレは知らなかったようで
「これ…いいなぁ」を何回言っただろう。



気がつけば1時間以上話していた。
織田さんはかなり気になって、会社に泊まり込みの日はいつもこれをしたがった。
私もこれが出来た日は気持ちがすごく安定した。



「これさ、切る時が寂しいね」

No.153 13/12/29 22:35
匿名0 

>> 152



この頃から…
確かな物は、お互いが「好き」と言う気持ちだけで…でも、お互いを思いやる気持ちが、お互いに欠けていたんだろう。




気持ちがすれ違ってく。





私の期待
それに答えようとする織田さん。
けど上手く行かない現実。




ものすごく逢いたいはずなのに
その日をこんなにも待ってるのに
逢っても喧嘩。
頑張って逢えるタイミングを作ってるのに
逢えても素直じゃない私に、織田さんも疲れ始めていたね…。




忙しさに追われ
気持ちの余裕も体力も限界に近かったんだろう。
けど私は、そんな余裕のない織田さんに不満ばかりが募る。




よく考えたら…
当たり前の事なのに。
全てにおいて、私が後回しにされる事なんて
当たり前の事なんだよ。




だって私達は、
そういう関係なんだもん。



織田さんがいつでも優しくて
こんな関係なのに、ちゃんと私を大事にしてくれた。
他人がどう思おうが、ちゃんと想われていた。




私がいつからか、わがままになりすぎた。
織田さんの優しさに甘えて…。





終わりの気配が漂い始めた時、やっと気づく気がする。




なんで
すれ違ってしまうのか。
お互いに何が足りなかったのか。




そして…




本当に今、失ってもいいものなのか。




別れたら、お互い楽になれるのか。
「好き」って気持ちを残したまま離れても、今までのように顔は合わせる。




本当にこれが1番の解決策なのか。
後悔はしない?



No.154 14/01/03 17:38
匿名0 

>> 153


この日、私は仕事が山積みで珍しく帰りが遅くなった。
時計を見ると普段なら、とっくに帰っている時間。さりげなく周りを見渡すと、まだ数名がまだまだ帰る様子もなくお喋りしながら残っている。




あぁ…みんな毎日こんな時間までいるのか…。





織田さんから放置される理由も分からなくもない。人が少なくなると男性も交え、話に花が咲く。



どちらかと言うと、仕事は集中してやりたいタイプの私には、その大きな笑い声がなんだか少し邪魔に思えた。




気が散る…。
定時を過ぎれば、ベテランさんはほとんどいない。ここに残ってるメンバーからしたら居心地のいい空間なんだろう。
うるさい事を言う人がいないんだから。



話が盛り上がっている中で私は1人黙々と仕事を進める。




「ギャハハハ…!」




デカい声。
そのうるささに耐えきれず、私は一服しに席を立つ。一服して戻ると、織田さんの姿がない。
と、同時に、木村さんを残し 残りのメンバーが一斉に帰って行った。




すると、スーツ姿の織田さんがひょっこり顔を出し
「お先に失礼します!」
と、会社を出て行った。





一瞬、こっちを見た。
何か言いたそうな顔だった。



今日、早く帰るなんて言ってたっけ?
家でなんかあったのかな?



珍しく私が遅くまでいる日に限って、織田さんが早く帰るなんて…皮肉だな…。
そんな事を考えて…全く持って「疑い」なんて頭にもよぎらなかった。



とにかく早く仕事を終わらせないと!
帰り道のメールが出来なくなる( >_<)





その時、木村さんが言った。
1人残された男性に
「○○さんも私達に構わず飲みに行けば?」





え…?
飲み…?




あの顔は「飲みに行く」って顔だったの?



No.155 14/01/03 18:17
匿名0 

>> 154


木村さんは残っていたメンバーが嫌い。
だから木村さんは行かないのか…。
一瞬にして、そんな事を考える。
私が一服しに行ってる間に決まった話なのかな。





「アイツら飲みに行ったんじゃないよ!
会場の下見に行ったんだよ!」




「へー(-_-;)」
木村さんはなんだか不服そうだった。
だけど私はホッとしていた。




確か、結婚式があるって言ってたもんね。
どっちにしても早く帰らないとメール出来ないぞ!と思い、急いで仕事を終わらせ会社を出ようとした。




「中川さん、あと10分待って!
一緒に帰ろッ!」




断れず「はい」と言い、待ってる10分の間 私は一服しに喫煙所に行った。




たまたまラインが鳴る。
あ…
織田さん♡




「今、○○さんと結婚式場の下見に来てる」





「場所は?
木村さんが織田さん達、飲みに行ったって疑ってるから連絡くれて安心した。
ありがとう!」




安心させる為なんだろう。
式場の写メが送られてきた。




本当は○○さんが言ってたから分かってたけどね…
(●´艸`)
まぁ今日は合格だ♪



「解散したらまた連絡する!」




「うん (*˘︶˘*)♡」
✧✧✧✧




帰り道、木村さんが言う。
「なんであんな聞き方したかって言うとね!
角田が織田さんの近くに言って何かコソッと言ってたの!
中川さん帰り早いから知らないと思うけど
あーやっていつもコソコソ話してんだよ!
みんなが帰ったあと」




「そーなんだぁ…感じ悪いですね」




「でしょ?
しょっちゅう行ってんだよ!飲みに。
だって私に対する『早く帰れよ!』的な雰囲気すごい感じるもん。
だからね、意地でも帰らないの(笑)」





辞めよーよ…そんな意地の張り合い(>_<)
どっちにしても私には嫌な話。




コソコソか…。
何をそんなにコソコソ話してんだろ。
でも、思ったんだ…この時。




木村さんは結構、妄想で決めつける所がある。
振り回されちゃダメだよ、凛。




とは言え‥
あれだけ自信を持って言われると、どこかでやっぱり信じてしまう私…。




「今、解散した!
○○駅!」








No.156 14/01/05 08:33
匿名0 

>> 155


「どうだった?式場」




「思ってたより狭くてさ(*_*;
スペース的にギリギリだな…」




こんな会話の途中でふと思い出した。
忘れない内に言わないと!




「あ、織田さん。
来週さ、1日どっかで木村さんと飲みに行くね!」




本当は帰り道にお茶に誘われたんだけど、あまり嫌な話は聞きたくなかったのと織田さんとメールがしたかったのもあって断った。
その時「じゃ、来週あたりお付き合いしてね!」
と言われた。




「え?来週?
なんの約束もしてねーぞ!
約束した覚えもない」



ちょっぴり不機嫌そうな返事が返ってきた。
しかも勘違いしてる。




もう私に「飲み」の件でアレコレ言われるのは嫌なんだろうな…。




「違くて!
私が!の、話だよ」




「あ~、ごめんごめん。
凛、気をつけろよ!
最近の木村さんはかなり面倒くさい感じだから」




面倒くさい…か…。
前の織田さんからは想像もつかない発言。
付き合い始めた頃の織田さんは、誰かが誰かの悪口や愚痴を言っても どんな人だろうが必ずフォローして決して人を悪くは言わない人だった。



まぁ…ここまで人間関係がグチャグチャにもなれば仕方ないか。
ある意味、木村さんはトラブルメーカー的なとこがあるからね。



今、1番問題抱えてるのは木村さん達の対立だしね。私に巻き込まれるなよ!って事なのかな!?




「私が巻き込まれないか心配?」




「いや、木村さんって聞くと深酒になって絡むだろ?それも心配だし…」




「だし?何?」



「男がいるのは許さん(-_-;)」




あ~そういうことか。
「全く心配いらないよ。
私が飲まないから私と飲む時の木村さんはそこまで深酒しないから。多分、愚痴りたいだけだよ。私みたいに反論もせず黙って聞いてる人に話したいこと話してスッキリしたいだけだと思う」




「わかった。でも男がいたら速攻帰ってこい!」




こだわりたいのはソコね。
「わかってるョ(^o^)/~~~」




こないだテレビの対談で誰かが言ってた内容が頭にパッと浮かんだ。




『女性は浮気を許してしまう傾向が強いけど
男性は「信じる」か「信じられなくなるか」の2択で、浮気されたら終わりって人が多い』って。



そうかもしれない。
織田さんは「浮気は即アウト」って言うもんね。
浮気れたら「もう俺はいらないんだな、って思う」って言ってたよね。


  • << 158 忙しくてしばらく逢うのが厳しいと言われてから何日経ったんだろう。 何かの会話の途中で 「あ!その日辺りデカい地震が来そうだって営業部の人達が騒いでたぞ!結構、当たるらしいよ。その人の予想!」 「そーなんだ…」 あまり気にもとめない呑気な私。 だから、そんな話…ちょっと忘れちゃってた。 そんな事より… 逢えないと言う割には、結構 早く帰る日が何日かある事の方が気になってた。 逢えないって言ったクセに今日だって早めじゃんか…。 別に、泊まれなくたってバイバイで顔見るだけだっていいのにな…。 なんだかとても片思いしている様な感覚に陥られる。 織田さんが目標としてた大きな仕事が1つ片付いた日…もしかしたら今日辺り逢えるかも♡なんて密かな期待を膨らませていた私。 ピンコン♪ ラインが鳴る。 あ…織田さんだ ヾ(´▽`;)ゝ もしかして♪ 「○○駅出たよ! 前嶋さんと飯喰ってた」 あれ?(>_<) 駅出たって事は…帰るんじゃんか! 私の期待は見事に外れた。 こういう時の私は、素直に反応してしまう。 よく考えて発言すればいいものを…。 「そーなんだ…今日は早かったんだね…」 「ガッカリかい?」 「うん」 自然と私のメールには絵文字がなかった。 最初はふざけ半分のメールをくれてた織田さんも私の反応に… キレた。

No.157 14/01/05 16:08
匿名0 

>> 156


※所々、誤字が多くてすみません <(_ _*)>




新しい1年が皆さんにとって
素晴らしい年でありますように



いつもくだらない話を読んで頂いて
ありがとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。



☆☆.。.:*・゚*:.。.☆☆.。.:*・゚*:.。.☆☆.。.:*・゚*:.。.☆凛☆.。

No.158 14/01/06 02:26
匿名0 

>> 156 「どうだった?式場」 「思ってたより狭くてさ(*_*; スペース的にギリギリだな…」 こん…


忙しくてしばらく逢うのが厳しいと言われてから何日経ったんだろう。



何かの会話の途中で
「あ!その日辺りデカい地震が来そうだって営業部の人達が騒いでたぞ!結構、当たるらしいよ。その人の予想!」



「そーなんだ…」
あまり気にもとめない呑気な私。
だから、そんな話…ちょっと忘れちゃってた。




そんな事より…
逢えないと言う割には、結構 早く帰る日が何日かある事の方が気になってた。




逢えないって言ったクセに今日だって早めじゃんか…。
別に、泊まれなくたってバイバイで顔見るだけだっていいのにな…。
なんだかとても片思いしている様な感覚に陥られる。




織田さんが目標としてた大きな仕事が1つ片付いた日…もしかしたら今日辺り逢えるかも♡なんて密かな期待を膨らませていた私。




ピンコン♪
ラインが鳴る。




あ…織田さんだ ヾ(´▽`;)ゝ
もしかして♪





「○○駅出たよ!
前嶋さんと飯喰ってた」




あれ?(>_<)
駅出たって事は…帰るんじゃんか!
私の期待は見事に外れた。
こういう時の私は、素直に反応してしまう。
よく考えて発言すればいいものを…。




「そーなんだ…今日は早かったんだね…」




「ガッカリかい?」




「うん」



自然と私のメールには絵文字がなかった。




最初はふざけ半分のメールをくれてた織田さんも私の反応に…
キレた。


No.159 14/01/07 22:35
匿名0 

>> 158



「俺はキチンと仕事したいだけだ
他の誰かが変わってくれんのか?
誰も変わりにやってくれる人なんていないんだ。


わかってるよ…
我慢させてることくらい。



そんなに待てないなら日にち決めるか?
待てないんだろ?」




そっか…。
織田さんの中では
待てない私が悪いんだね…。


忙しい忙しいって言ってるけど
飲みに行ったり早く帰ったりしてるじゃない。
1日中鳴らないメールを待ってる間に
私との絡みはとことん避けて…
他の子とは仲良く話してるじゃない。



コミュニケーションが足りない。
逢えなくたってほんの少しの優しさがあれば私だって我慢くらいする。
私は何をどこまで我慢したら織田さんは満足?




どうして…せっかく絡みが出来た時に私達はいつも喧嘩になるの?




なんだか…ものすごく気分が滅入った。




「いい。
日付決めて、その日がまたダメになったら私、とことん嫌な女になりそうだから…」




最近はないけど、以前 喧嘩になると織田さんがよく言った言葉を今日は私が口に出す。
これを言われた日はとにかくいつも落ち込んだ。




「今日はラインやめよう。
怒らせるだけだから。
最近の私は、何か言えば必ず織田さんを怒らせる。
今日はやめよう。
おやすみなさい」



携帯の向こうで私が泣いてるとでも思ったのかな…?
「いや、決める!
凛、絶対またブーブー言うもん(((*≧艸≦)ププッ」




返事しなかった。
駅に着く頃ラインが鳴る。
意地を張って見るか見ないか迷った。




迷ったけど開いてみた。
そこには笑顔の絵文字が付いた
「20日ね( ´艸`)」
のセリフがあった。



20日…
それでも私は返事をやめた。



No.160 14/01/08 02:38
匿名0 

>> 159


次の日…
織田さんはやけに早く帰る。
同僚と電車が一緒だったから、と言ってメール出来る時間は30分間。
私は依然として、まだモヤモヤの真っ最中。




昨日の夜、1人で色々考えた。
私が考え方を変えない限り、きっと何も変わらないと…。
だから、帰り道のメールは極力は普通に接した。



やたら部屋の危ない所は少し固定しな!だとか用心の為、だとか言ってくる。



バカな私はやっと気づいた!
そっか…
地震が来るって心配してたっけか…。




めちゃくちゃ早く帰る理由にようやく気づいた。
ちょっとばかり哀れな気持ちになる。




「ウチは心配いらないよ(*´∀`*)
早く帰って用心しなきゃね!
駅着いたらすぐ帰りな!」




こういうのを感づかれると罪悪感なのか…
少し申し訳なさそうに、ぎこちない雰囲気を漂わす。




当たり前じゃない。
大事な家庭だもん。
心配なのは当たり前。




今まで散々色々、悩んできたけど…
ここに来てようやく、自分の立場を本当の意味で思い知った気がする。




「ずっと一緒」なんて、
ありえない。
前からわかってた。




でも…
信じたかったんだろう。
それでも私は大切にされてる…と。
愛されてる…と。




それが、違うって事に遅いけど
気づき始めたよ…織田さん…。



No.161 14/01/12 22:58
匿名0 

>> 160


よく言うよね。
「会社では相当、気をつけてるよ」
って。



写メを撮っても
ラインをしても
電話をしても
証拠になるものは全て、帰る前には厳重にチェックして削除しなきゃならない。
結構、面倒な作業だよね…。




凛携帯だって、使いもしないのに持ち歩いては隠し、また出して……を繰り返して。




織田さんは…別れを考えたりしないんだろうか。
「少し距離を置きたい」
と、1度だけ言われたけど
「別れよう」
とは、決して言わないね。




こんな面倒臭くて重い女、
嫌にならないのかな…。




こんな事を考えてた矢先、朝礼で急な連絡事項があった。




「非常に残念なお知らせになりますが
ご本人の希望で発表は伏せてましたが
本日をもちまして○○さんが退社することになりました。
急ではありますが○○日に送別会をします
極力、全員参加でお願いします」




急な発表にも驚いたけど
○○日…「あの日」の前日だ…。
よりによって何故…。
送別会ともなれば、織田さんは最後までいるだろう。



またベロベロに酔っ払ってお昼頃起きるパターン?
それか、二日酔いパターン?




なんだかショックだった。
だって、もしかしたら「あの日」は私達の最後の1日デートになるかもしれないのに。
織田さんが移動になれば、もう2度と「あの日」はない。
なんだかダブルショックだった。




No.162 14/01/12 23:22
匿名0 

>> 161




「送別会…
前日だね(T_T)」




「俺、二次会は行かないから!
一次会終わったら合流しようね ヽ(●´∀`●)ノ」




「ホントかなぁ(-.-;)
100%無理だと思うけど!」




「本当に今回は行かないって決めてる
もう前嶋さんにも言ってある!
○○さんにも言ってある!」



「前嶋さんが納得するはずないじゃ~ん
無理にでも連れて行かれるよ」




「いや、大丈夫。
今回は本当に行かないって決めてるんだ」



この会話を何日も し続けた。
半分は無理だろうとは思ってたけど
織田さんの考えがいつもより本気なのを少し感じて半分は「信じてみよう」って気持ちにもなってた。




私を安心させるためか
「断り続行中( *´艸`)
絶対、大丈夫!」
こんなメールが何回も来る。




織田さんが大丈夫!って言っても…
周りがそうはさせないだろうな。
それを振り切る事が織田さんは出来る人じゃない。




「あの日」だけを楽しみに…
逢えない日々も寂しさも頑張って耐えて待ってたのに。



「ねぇ…
何て断ってるの?」



「金がもらえない
今、飲みをカミサンに禁止されてるから、って」




織田さんらしい。
そんな理由じゃ絶対、行くハメになるだろう。
「金貸すよ」とか
「金出すよ」って言われたら最後じゃん(*_*;



「大丈夫。
俺、鞄とか会社に置いてく作戦だから」



あんまり「大丈夫」「大丈夫」って言うから、ほんのちょっぴり期待する私もいた。



No.163 14/01/13 10:19
匿名0 

>> 162


上司である織田さんが送別会なのに、二次会に行かないって言えるのは…退社と言っても、違う課の方で 私もさほど接点はなかった。
それでも多少の関わりがある方だから私達の課も参加、と言うことになったらしい。
実際は欠席者も何名かいた。




人数の割にこじんまりとしたその飲み屋さんは彼女の指定だったらしい。
「料理が美味しいから」と。
私的には都合のいい作りだった。
座敷ではなく、各テーブルに 5~6名づつ座る。
もちろん仲良し同士でみんな座るから、苦手なあのメンバーとは席が離れた。



私は木村さんのいるテーブルに仲良し6人で座った。




そこに少し遅れて織田さん登場!



やはり………!
鞄、持ってるし (°□°/ )/
支度、バッチリじゃんか。



気まずかったのか、私の顔を見たと思ったら珍しく私の所へ来た。
「鞄、ここに置かせて」



その鞄は私の足元に置かれた。
鞄、持ってきちゃったけど 大丈夫だからね!って言いたいんだな、と思った。



本当は、二次会がカラオケなら私は行きたかったんだ。でも、織田さんが行かないと言うからやめた。
今日の送別会には別の課の男もいる。
織田さん的には私を行かせたくなかったのもあるんだろう。 



お酒を飲まない私にとっては「料理が美味しいから」と言うのは理想的。
だけど、なんだか会費の割には料理がしょぼい。
ここは飲む人間の来る店だな、と感じた。
だってソフトドリンクがウーロン茶かオレンジジュースしかないんだもん。




「中川さん飲む?」
ハッ Σ(゚ω゚ノ)ノと顔を見ると、織田さんが私の好きなドリンクを買ってきてくれていた。
カモフラージュの為に何種類かその袋には入っていた。



ちょっとだけ織田さんがいつもと違う気がした。



No.164 14/01/13 10:41
匿名0 

>> 163



一次会がお開きになると異様な光景があった。
いつもなら必ず二次会に行く人も足早に皆その場を立ち去る。
例のお気に入りメンバーだけが
「え?行かないの?」「え?二次会なし?」って感じで飲み屋の前でキョロキョロしていた。




私はそれを横目にそこを立ち去った。
あんな店の前で待たれたら…織田さんはきっと捕まって逃げられないんだろうなぁ…と思いながら。




ウチの課のほとんどの人は もうお決まりになっている「あのメンバー」の為に設定されたような飲み会は嫌っていた。
みんなお酒は大好きなのに…
こんな雰囲気になる前は必ず二次会に行ってた人までも今ではもう行かない。
別口でお金出して飲んだ方が楽しいから、と。
それは私も同意だった。




あの光景を見て、今日は諦めモードに入った私はなんだか「やっぱりな…」と身体の力が抜け、そのまま帰宅した。
案の定、鳴らない携帯が「あの後」を語っている。



今頃、楽しく盛り上がってカラオケでもしてるんだな、と思うと目に浮かぶ その光景に苛立ちと切なさが入り混じり何とも言えない脱力感があった。




もう期待するのはやめよう。
こうなれば…連絡が来るのは夜中。
もしくは連絡なし。
今日、逢えることはないだろう。
連絡があったところでベロベロなのは目に見えてる。



私はシャワーを浴び、ふて寝寸前だった。


No.165 14/01/13 20:47
匿名0 

>> 164



織田さんが二次会に行かないなんて到底、ありえない話。だから「行かないで」とは言えないし言わない。
今回は自分から「絶対行かない!」って言ってたのに。



私にとっては「特別な日」
私が普段、織田さんに逢えて話せて一緒に寝られる日の時間は短い。



飲み会は私と逢えた日より長い時間、みんなは同じ時間を過ごす。
私には、それも悔しい気持ちがある。



お金がない、って言いながらも飲みに行けばお金も使う。私となかなか逢えない理由…
忙しい
お金がない
お金と時間がある時にゆっくり逢いたい




どれも飲みに行く時は その理由をそっちのけにして行くくせに…。
でもまぁ仕方ないよね…。
これが私と織田さんの気持ちの温度差なんだから。




もう色々考えずに寝てしまえ!
と思った時、携帯が鳴る。





ピンコン♪
あれ?織田さんだ…。
「今○○駅!
これから折り返す!」



時計を見ると確かに二次会にしては早い時間。
しかも○○駅って…
かなり遠くまで行っちゃってる。



でも私は細かい事で意地になる。
「ごめん」って言葉がない。
「監視」されたくないから「行かない」と言っといて私を先に帰らせる為だった?とまで疑う。




実際は楽しみにしてたのに寂しかった。
いつもあのメンバーに振り回されるのが悔しかった。




「もう今日は諦めて化粧も落としちゃった…あれだけ行かないって言ってたクセに。
絶対こうなると思ってた!」




織田さんの都合なんて考えもせずイヤミを言う私。
本当は連絡が来て嬉しいはずなのに…。



「これでも俺だって頑張ったんだ。
ちょっとでも早く凛に連絡したくて最短で無理やりお開きにしたんだ。
凛、泣いてるだろうな…と思って、まだ飲み足りないって言う人達 無理に帰らせて速攻、凛に連絡したんだ。
凛が気に入らないなら このまま帰るよ…」




No.166 14/01/13 21:06
匿名0 

>> 165


「待って!行くよ!
どこに向かえばいい?」




「もういーよ…帰る」





「行くってば!」



こんなやり取りをしてる間に時間は過ぎてく。
私は化粧も落とし部屋着だったため、支度もしなきゃならない。



「せっかく早く切り上げてくれたのにごめん。
○○駅まで戻って来れる?」




「マック食いたいε=(。・`ω´・。)」




織田さんもご機嫌を直してくれた。
「じゃ、マックにいて」




慌てて支度をした。
本当は貴重なこの日。オシャレして逢うつもりでいた。
でも、待たせるのも悪いからササッと着替え、化粧もほとんどせず待ち合わせ場所に向かった。




2人の計画はほとんど台無しになったけど
何とか約束通り、前日から逢えた「特別な日」になった。




「織田さん、今日はそんなに酔ってないの?」




「凛と逢った日に限って酔っ払って即寝したら凛泣くだろ?
飲み過ぎて次の日二日酔いだったら凛泣くだろ?…セーブしたよ!」




ありがとう…。



「俺だってね…
凛が思ってるより、楽しみにしてたんだ」



No.167 14/01/15 02:16
匿名0 

>> 166




せっかく逢えた今日。
喧嘩はなく過ごしたかった。
なんで二次会に行ったのか、「楽しかった?」とイヤミの1つでも言ってやりたい気持ちもあったけど…こうして来てくれた。
今日は責めずに笑顔で過ごそうと思った。




でも、今回ばかりは織田さんが納得できない様子で話し始めた。



「あの人さ、何考えてんだかサッパリ分かんねーんだよ…俺のこと、引き止めるだけ引き止めて自分は金だけ俺に与えてサッサと帰ってくし…あの人さ、あれ多分、女んとこ行ったんだよ!
自分の都合が悪い時は全部俺に押しつけんだ。





こんな言い方するなんて、ほんとに珍しい。





「俺だって本当は二次会なんて行きたくなかったんだよ…とっとと凛に連絡する気満々だったのに…だから今日はどうしても早く帰らなきゃ行けないから!って強引にみんなをまいて帰ってきたんだ」





「そっか…責めてごめんね…
頑張ってくれてたのに…




フンッ(-。-;)って顔をしてイジけた様な顔をする。




「でも、ちゃんと逢えたね ゚。(*^▽^*)ゞ」
と言うと
少し怒った顔で


「当たり前だ!!」
と言う。




きっと…自分の思う様に動けない織田さんの方が私より切ないのかもしれない。
自分の意志に反した行動で私に悲しまれたり泣かれたりする織田さんの方が私以上に、辛いこともあるのかもしれない。




やっぱり会話って大事だよね。
今日ここで逢えて、こんな話も聞けないままだったら…きっと私はまた誤解してたと思う。




「織田さん、今日は眠くないの?(*≧艸≦)」
いつもなら、とっくにおネンネの時間だった。




「寝たら凛が泣く(-.-;)」




「また言う~!泣かないよ」
だって今日は違う。
また明日も一緒にいられるから。



「じゃ、寝る!」
ベットに入った途端にイビキをかく織田さんだった。



No.168 14/01/16 02:02
匿名0 

>> 167


本当に即寝が大得意な男だ。
「おやすみ3秒」って言葉がこれほど当てはまる人はいない!って毎回思う。




あ…
またこの顔してる…。



寝顔を見てるとたまに気になるこの表情。
歯を食いしばったようにキィーッて…顔。
苦しいのか何かに腹を立ててるのか分からないけど…なんだか怖い顔をする。




寝ている間の表情なんて、そんなに気にする事でもないのかもしれないけど…何年か前を思い出して怖くなる時がある。




何年か前。
「喉が塞がる。呼吸が出来ない」と訴えたあの朝。
あれ以来、あんな事は起きてないけど…よくするんだよね…この顔…。




私は相変わらず眠れず、織田さんに寄り添うようにベットにはいるものの、織田さんは寝ている時に反対を向く癖があるから私が触れると反対を向く。
これがまた、たまらなく寂しい感じがする。




ここは例のテレビ有料のホテルじゃないからチェックアウトが割と早めだった。




もう寝なきゃな…と思いつつ背を向けた織田さんに対し、仲悪そうに私も反対を向いて寝ようとした。




しばらくすると織田さんが寝返りを打つ。
今度は私の方を向く。




と、その瞬間。
また例のあの顔をしたと思ったら…突然、
「おい!」と怒鳴る。



なに…?




あら…普通の顔して寝てる。
寝言か…。
寝ている間も忙しい織田さん。



普段、一度寝たら途中で起きることはまずない織田さんが今度は私の腕をいきなり引っ張った。
ビックリして目を開けると、織田さんがなんだか少し寂しい顔をして目を開けていた。




「どうした?」



No.169 14/01/19 21:04
匿名0 

>> 168



「凛…俺になんか隠し事してないか?」




隠し事?
なんだろ…。
1つだけ隠し事と言うか、言うのが嫌で黙ってる事ならあるにはある。
でもそんなのは誰も知るはずがないし…なんだ?





「隠し事?覚えはないけど。
してないよ?なんで?」




「俺さ…最近よく見るんだよ。
凛が他の男と浮気って言うか…イチャイチャしてる夢…」




思わず笑ってしまった。
「織田さんがいつも言う言葉をそのまま返すけど!全く心配いらないよ!」




「だよな…別に疑ってるわけじゃないんだ。
でも夢とは言え、何度も見ると心配って言うか…さ」




あ!っと思った。
「ねぇ、その夢…さっきも見てた?」




「見た。
凛と男が俺の顔見て笑いながら別の部屋に入ってく夢…俺は邪魔されて追いかけて行けない夢…」




あの顔…その夢の真っ最中だったのかな…?
「織田さん寝てる時、怖い顔で「おい!」って叫んでたよ(*´艸`*)」




「そうだよ。呼んでるのに凛行っちゃうんだ」




夢占いの本でも手元にあったら読んでみたかった。夢とは言え、そんな男好きみたいなキャラはイヤだ。




織田さんも、誰にも言えない事で不安でもあるんだろうか。忙しさに追われて私をほったらかしにしている事で私が寂しさから浮気でもしないか…って不安?




「大丈夫だョ!裏切ったりしないから。
好きだもん」



黙って織田さんは頷く。



「凛…来て」




私の大好きな織田さんの手。
その手をしっかり握ってこの日は眠った。




そして朝を迎える。
今日はここでバイバイしなくていいんだ。
まだ1日一緒にいられる。
そう思うだけで嬉しくてたまらなかった。


No.170 14/01/22 01:40
匿名0 

>> 169


私の中では
貴重な1日。
1日のスケジュールをなんとなくシミュレーションと言うか、こう過ごしたいな…っていうイメージが出来ていた。




本来、普通のカップルなら出来ることが私たちには出来ない。
一緒に手をつないで歩くことさえも今ではもうしなくなった。




今居るホテルを出て、いつものホテルに向かうには電車移動が必要だった。
先に起きた私は、化粧をして支度をする。
織田さんはまだ夢の中。




せっかくの休みだから、ギリギリまで寝かせてあげよう。
男の人は女性と違って支度が簡単だからギリギリに起こせば大丈夫。




よく寝ていた。
起こすのが可哀想だったけど…
計算してみたら、ここで今日も1日過ごすとなると高く付く。
チェックアウトの時間も考えたら…やっぱりいつものホテルの方が安いし長くいられる。




よく寝ている織田さんを、可哀想だけど起こす。





移動の時…どうするつもりなんだろう…と、密かに考えていた。
人目を避けたい織田さん。
一緒に電車には乗らないんだろうな…。
付き合い始めて何年間かは、手をつないで歩くことも出来たのに。
私も…人目を気にせず、手をつないで歩きたいな…なんて考えていた。




起きたばかりの織田さんはまだ頭が働かない様子で、ボケッとしている。
「ねぇ…これからどうする?
この時間でも一緒に移動するのは危険でしょ?」




「あ~そうだねぇ。
寂しいけど別々に乗るか!」




やっぱり。
言うと思った。




「じゃあ、織田さんが先に出て。
私、違う車両に乗るから」




「わかった」




そして、別々にホテルを出た。
なんだか虚しい…。



No.171 14/01/22 02:11
匿名0 

>> 170



すぐにアプリで時刻表を見る。
織田さんの1本後の電車に乗ろう。
少しコンビニで時間をつぶし駅に向かった。
1本ズラしてるから誰かに逢ったとしても大丈夫。
時刻表で調べてたから、すぐに電車が来た。




1つ、2つ…5つ………駅を越しても連絡がない。
平日の昼間、電車はそれほど混んでないと言うのに。
ここでも手を抜く?と思ってた頃、やっとメールが来た。




「今どこ?」





あれ?
遅すぎたかな?
1本ズラしただけなのに。



「次、着くよ!
1本ズラしたんだ。ごめん!」





「俺、これから電車乗るからドトールに入ってて!」





なにぃぃぃ (="=){ハァ?)
これから乗るんかい!?
なにやってたんだ?今まで。




なんだか、いつも私は待つ身なんだよな…。
まぁ、でも今日はまだまだ時間があるからいっか!




ドトールに着くと、そんなに待たずに織田さん到着。
「ごめん!俺も1本ズラすつもりで便所入ったら遅くなった」



ここでお互い簡単に朝食を済ませた。
初めてのデートで、織田さんがどうしたらいいか分からない様子で
「コーヒーでも飲む?」と言って入った喫茶店の事を思い出した。




「織田さん、初めてのデート覚えてる?」




「もちろん覚えてるョ!」




「あの頃はさ…今から考えたら恐ろしいくらい堂々とデートしてたよね。
でさ、織田さんが選んで入った喫茶店!
めちゃくちゃ高級だったよね!高いコーヒー飲んだよね」




「あそこは最初で最後だな。
ま、ここからそんなに遠くはないけどね」




朝食を済ませ、コンビニで簡単な軽食程度のものと飲み物を買い、ホテルに向かった。




ここまではまぁ予想通り。
今日は平日1日デートも、もしかしたら最後かもしれないから、私的にはダラダラ過ごすんじゃなくて夜は少し早めに出て、居酒屋で食事…なんて勝手な妄想の中のプランを立てていた。




No.172 14/01/22 02:33
匿名0 

>> 171



実際、私のプランは叶うことはなかった。
織田さんは私にあまりお金を使わせたがらない。
織田さんの持ち合わせがあまりないから、と言い結局このホテルで1日を過ごす。





普段なかなかゆっくり話が出来ないから、誰の目も気にせず、沢山話が出来る。
これに不満はない。
むしろ、この時間が嬉しい。




しばらく話をしてたら織田さんがシャワーを浴びに行った。
「この風呂じゃ2人では入れないなぁ」
おふろ場から声が聞こえる。
見に行くと、狭いお風呂(^.^;
まぁ安いホテルだから仕方ない。
織田さんが出る頃を見計らい、私もシャワーを浴びる。




織田さんは照れ屋のうえ、あまり慣れてないからかムード作りはどちらかと言えば下手。
私がシャワーから出ると、もう裸で大の字になってベットで待っていた。




だけど…残念!
すぐにベットには行かず、私はタバコを吸う。
すると私の手を引き、ベットに連れ込む織田さん。
平日1日デートの第一回戦開始。





そして、
また、寝た!
本当に本当に良く寝る人だ。
前回のこの日はほとんどが寝ていて終わった。
今日もまた、寝て終わるのだろうか………。



No.173 14/01/26 10:00
匿名0 

>> 172



一度寝たら、なかなか起きない人。
あ~あ…と言った感じ。
しょっちゅう逢えるなら、別に寝てばかりでも構わない。
でも…私達にとって長い時間一緒に居られる事は本当に貴重なんだ。
なんだか今日1日も寝てばかりの無駄な時間になりそうな気がした。





疲れているのは私が一番よく分かってるつもり。
寝かせてあげたい気持ちと寂しい気持ち…複雑な想い。
私は例のごとく携帯をイジる。
だって、それしかやる事がないんだもん。




少し経つと、何かの音が鳴った。
何の音?


織田さんの携帯だ!
私は織田さんの携帯には一切手を付けない。
だって…携帯なんか見ても嬉しい事なんてない。
嫌な物を自らなんて見たくもない。
昔はたまに見た。
携帯には知らない方がいい物がたくさん詰まっているもの。



だから、知らん顔をした。
でも、止まってもまた鳴る。
これって………




「あぶねー!
やっぱり寝ちまった、ごめん…」




私が気づかない内に、アラームをセットしていたみたい。
「今日こそは寝て終わるのはマズいと思ってさ」




マズい…って(-.-;)
前回を反省したのか、学習したのか、ひとまず起きてくれた織田さんだった。
しばらく話をして、私の寂しさもいつの間にか消えていった。




No.174 14/01/26 22:12
匿名0 

>> 173




逢えて嬉しいはずなのに、時間が過ぎれば過ぎるほど段々寂しくなってくる。
我慢したり待つ時間は長いのに、逢えた日はあっという間に時間が経つ。



エッチして寝て、またエッチして また寝て…
夜はお決まりのピザを食べて…。
今回は、私もいつの間にか寝ていた。
不覚にも織田さんに起こされる。
時計を見ると終電の時間は既に迫っていた。




やっぱり…帰るよね…。
織田さんが帰りを急ぐ言動がたまらなく寂しさを募らせる。




慌てて支度をすると、既にコートを着た織田さんが「早くしろ」と言わんばかりに待っている。
ホテルを出れば、もうキスも出来ない。
最後くらい、もう少しラブラブなムードでいたかった私とは正反対に足早に駅に向かおうとする織田さん。




ホテルを出れば、急ぎ足で駅まで歩く。
織田さんが先に改札口を通り、切符を買う私を改札の向こうで待っている。
こんな些細な行動で現実を思い知らされる。




早く帰らなきゃ…ね…。
終電なくなっちゃったらヤバいもんね。
時間ギリギリな事に焦っているのを感じた。
けど実際、終電にはまだ少し余裕があった。




「先に行っていいよ!」




どうせ電車に乗れば一緒にいられるのは たったの1駅。




「大丈夫。慌てなくていいよ」
織田さんはにっこり笑う。
何かを感じ取ったのか足早だった歩き方が私に合わせるように少しゆっくりになる。




ホームに着くと
「何か飲む?寒いだろ?」




「ううん。大丈夫」
織田さんは温かいコーヒーを1本買い、自分が飲んだ残りを私にくれた。




そして、電車が来る。
週末の電車は酔っ払いで混んでいた。



No.175 14/01/27 02:48
匿名0 

>> 174




前回までは帰りの電車は、必ず私のそばにいて私をガードするように立ってくれたのに…
今日はほんのちょっぴり距離を置いて立っている。




なんだか感じる違和感。
最近…なんか違う。
何かが違う。
年数のせい?




いや、それだけじゃない気がする。




織田さんはいつも言う。
「考えすぎ!」
「何も心配いらないのに」
って。




じゃあ…なんで私はこんなに不安定なの?
不安や寂しさが半端ない。
なんの根拠もなくこんな気持ちになるかな…?




こんな事を考えてる内に次の駅に着いた。
ろくに会話もしないまま織田さんはここで降りる。




何かを私に言っているのは分かるけど、何を言ってるのか聞こえない。
織田さんが見えるように頑張って入口付近まで移動すると、織田さんが私を引っ張った。





「凛の後ろの親父、酔っ払いだから車両変えろ!!」




「気に掛けてくれてたんだ?」





「当たり前だろ!
隣りの男と荷物が邪魔で凛のすぐそばに行けなかったんだ」




もう半分、扉が閉まりかけてた。
バイバイしながら織田さんの後ろ姿を見送った。
振り向きもしない姿に寂しさを感じながら。




すぐにラインをしようと思ったその時…
ハッ(;°□°)!



どうしよう…………。
ラインが開けない。




何とかしないとライン出来ないまま時間ばかりが過ぎてしまう(>_<)
でも、この混みようじゃ、とてもじゃないけど開けない。




もう織田さん電車乗ったよね…。
きっと織田さんも困ってるはず。




No.176 14/01/31 01:41
匿名0 

>> 175



ラインを開こうとした その時!
そこにあったものは…
織田さんが悪戯で送ってきた私の写メが連続で何枚もあった。
裸の写メが一番下に2~3枚。
満員電車だから開けば周りに見えてしまう。




あーあ…
ちょっとラインを諦めた。




すると連続で通知音が。
もちろんマナーだからバイブだけど。





鈍感な私は、恐る恐るスマホを開く。
写メをスタンプで見えなくしてくれた。
「これでライン出来るだろ?」





「うんと焦った(>_<)」


 

次に織田さんから出た言葉、それは…




「今回の俺は何点だった?」




今回の俺?
「エッチのこと?」




「いや…全体で!
今回は俺、合格?不合格?」





あ~…そういう意味か。
本当はもう少し低めの点数にしようかと思ったけど…



「100点満点(*˘︶˘*)♡」




1/3が寝ていたから
昨夜の点もある。
でも、こうして逢えたし
結果的には頑張ってくれたからね。




「マイナス点からの始まりだったから100点もらえないかと思った、よかった!」




その後も到着までラインを続け、私が待ちに待った『この日』は終わった。


No.177 14/02/01 02:28
匿名0 

>> 176




楽しみにしていたあの日は、幸せな気分で終わったけれど…
ここからが私にとっての地獄のような試練と葛藤の日々だった。




幸せな気分はまるで夢だったかのように、次の日からはまた現実に戻される。
逆に考えれば、究極の忙しさの中で本当に無理をして私のために時間を作ってくれたのかもしれない。




次の日から織田さんの忙しさは以前にも増し、ヒドい状態になった。
ほとんど家に帰らない。
12月と言えば、クリスマスがある。
ウチの職場は年末年始の休みが10日もある。
織田さんは相変わらず忙しい。




メールもほとんど出来なければ、逢う事なんてもっぱら期待出来ない。
毎日毎日、織田さんからの連絡待ち状態だった。
私からメールをすれば仕事の邪魔になると思った。私が「寂しい」と言えば、もう次は「別れよう」と言われそうな気がしてた。




思い出したの。
むかーし昔、織田さんの携帯をこっそり見た時のこと。バレた後の奥さんとの状態が気になってイケないとは思いつつ、こっそり内緒で見たんだ。
そこにはこんなやり取りがあった。




「私はいつも、あつ(敦)と話がしたかった。
子供の事、家の事、色々…話したい事がいっぱいあった。
私は毎日、あつの帰りを待ってた。
あなたはいつも帰ってこない。
それでも私は待ってた。

でも、帰ってくれば『疲れた』『寝かせろ』『同僚の悪口、愚痴』しか言わない。
私と話をする時間を与えてくれない。

私はただあなたと話がしたい。
こう言ってもあなたはまた言う?


私の気持ちも分かって!と言うなら、まず俺を理解しろ!…って…」



これを読んだ時、感じた。
そうたよね…
織田さんはほとんど家に帰らない。
私が寂しいと思う以上にずーっと、奥さんの方が寂しいはず。
子供だってまだ小さいのに。



「分かって欲しいと思うなら、まず俺を理解しろ」この言葉が私の脳裏によぎったんだ。
きっと私にも、そう感じてるんだ!…って。




だからね…
ひたすら待ってたの。
待ってたらいつか「凛、何してる?」ってメールが来るのかな、って。
逢いたい気持ち、寂しさを押し殺すように。



No.178 14/02/01 03:26
匿名0 

>> 177


去年は確か、クリスマスに逢えたんだ。
前だか後だかにズレてたかもしれないけど。
今年は無理そうだな。



でも、どうしてもあげたかった財布。
私は休みに財布を買いに出掛けた。
別にクリスマスに渡せなくてもいいや…と思って。



それから何日か後に織田さんは風邪を引いた。
かなりしんどいようで何日か早めに帰宅する。
忙しさの余り通院も出来ず、風邪は長引く。



ある時、顔を見ると顔が赤い。
熱…あるんじゃない?



仕事中だからマズいかな?…とは思ったけど、メールしてみた。
「織田さん、熱あるんじゃない?
ちゃんと薬は飲んでる?」




珍しくすぐに返事がきた。
「熱っぽいな…薬はないから飲んでない。
しんどい…」




家に帰ってるのに薬飲んでないの?
用意してくれないのかな…?
心配だったから外回りのついでに薬局で薦められたドリンクの風邪薬をこっそり冷蔵庫にしまった。




「織田さん。
冷蔵庫の上の引き出しの中に風邪薬入れたから飲んで!」





「ありがとう!」




織田さんが早帰りをすれば、仕事はどんどん溜まってしまう。
風邪が治ったらまた忙しさが増す。




次の日、私が病院でもらう良く効く風邪薬を持って行った。

どうやって渡そう………。
「織田さん、良く効く風邪薬持って来たんだけど渡せないかな?」



「じゃあ、駐車場に今出るよ!
心配かけてごめん」




何とか無事、風邪薬を渡せた。
その夜、
「ちょっと楽になってきた。
ありがとう!」
とメールが来た。



「無理しないで帰りな!
仕事も大事だけど体が一番大事だよ!」



「うん…凛放置してるのにすまんが今日も早く帰るね」




帰り道、きっと寝て行きたかったんだろうに、着くまでちゃんとメールをしてくれた。



「凛、クリスマスプレゼントなんか希望ある?
輪っか かい?」



私が以前、男性の客にしつこくされた時 織田さんが言った言葉。
「凛は何もつけてないから輪っかさせなきゃダメだな(-_-#)」


だから輪っかと言ったんだろう。
でも実際、その忙しさじゃ買いに行く暇なんてないだろうと思った。
でも、織田さんの口から『クリスマスプレゼント』って言葉が出たって事は………もしかしたら、どこかで1日逢えるんだ!と期待した。




プレゼントなんていらないけど
プレゼントが渡せる。
そう思うと嬉しくなった。



No.179 14/02/01 19:40
匿名0 

>> 178


逢えない理由の1つ。
お小遣いが減ったこと。
でも、今月はボーナスが出る。
毎年、ボーナス後には必ず逢っていた。
高まる期待。




風邪が治った頃には、ボーナスが出た。



そろそろ…かな?



でも実際、逢える事はなかった。
風邪で早く帰ってた分、仕事が山積みだった。



年末になれば、忘年会絡みの飲みも入ってくるだろう。
クリスマスは早く帰るだろう。
もうなんだか今月は逢えないままで 10連休を迎えそうな気がした。



寂しい…。
でも、私が弱音を吐くと最近は少し不機嫌になる。最初はごめん、と言うけれど。
だから、言わずにずっと待った。




風邪が治ってボーナスが出た後の週末。
いつもなら帰るはずの週末。
会社でもなんの接点もなく、いつものごとく仕事中のメールは全くなかった。
でも、週末だから帰るだろうと、織田さんのメールをひたすら待った。



夜になれば、みんなが帰ればメールが来る。
たまに待ちきれずに私からメールすると、時間差はあったとしても必ず返信は来る。



待っててもメールがない。
段々と不安になる。



年末が近づいて来ている。
早いとこであれば、忘年会をやるところもあるだろう。




私が帰る時、例のお気に入りメンバー+前嶋はいた。


飲みにでも行った?
そう考え始めると、憂鬱な気分がおさまらなくなった。
私がこんなに我慢してるのに、もし飲みだったら………。




不安で仕方なくメールをした。
「飲んでるの?」



もっと早くメールしてみれば良かった。
すぐに返信が来て
「飲みではない!」と。



飲みでは…ない…?
飲みではないけど?


No.180 14/02/01 20:43
匿名0 

>> 179




それ以降、メールが来ることはなかった。
織田さんは職場の誰かと一緒の時はメールを一切よこさない。




こんな状況なら、最悪な状態を妄想してしまうのはおかしい事なんだろうか。



「飲みではない」
この言葉は「飲みではない」けど、誰かと何かしらの事情で一緒なんだ。と解釈も出来ない?




連絡がつかないのが一番不安なんだ、と 何度となく言ってきた。
自分の都合が悪いと連絡して来ない。
メールもさほど出来ず、逢う事も出来ず、私の気持ちを話す余地さえない。




深夜になり、メールしてみた。
「なんで連絡出来ない?
飲みではなく、何?
いつも待ってる、ってわかってて何故 たった一言のメールが出来ない?
いつからそんなに思いやりがなくなったの?」




一度言い始めたら止まらなかった。
我慢しすぎて爆発した。
寂しさに加え、怒りが混じり…
連続してこんな内容のメールをいくつも送った。
例え飲んでいてマナーモードだとしても、これだけ続く通知音に気づかないはずがない。




それでも一向に既読にはならないライン。
怒りから、耐えきれない悲しみに変わっていく。




私って…
なんなんだろう。
もう、織田さんにとって私は不要だろうと思った。
必要なら、もっと私を求めるはずだもの。




一晩眠れずに朝が来た。
今でも既読にならないライン。
午前中が過ぎ、お昼になった。
まだ既読にならない。



最悪な事が頭に浮かぶ。
ホテルにでもいれば、チェックアウトは12時。
このタイミングでもしラインがくれば…
怪しい。



だってさ…
私とホテルにいる間は誰かからの通知音が鳴っても見ないもんね。



お昼を過ぎて、それでも既読にならないラインに… 最後のメールをした。





「さよなら」
今までありがとう! この言葉、今は言いたくない。さよなら…だけでいい。



いいんだ。
不要な物は、捨てたほうがいい。
織田さんにとって、プラスにならない私は捨てたほうがいい。



さよなら…。


No.181 14/02/01 21:22
匿名0 

>> 180



15時を過ぎても既読にならないライン。
一体、何が起きてると言うの?




もう枯れ果てたかのように、この泣き虫な私でも…不思議と涙は出なかった。
眠れずにいたから、睡魔に襲われ いつの間にか私は眠っていた。





ピンコン♪
通知音で目が覚めた。
織田さん、だった。
時計を見ると、もう夕方の 17時。




寝起きの悪い私でも、待っていたんだね。
やっぱりこの通知音を。
パッと目が覚め、ラインを開く。
一瞬にして「あれ?」と思った。



あれだけ送ったラインが、織田さんから連絡が来た今でも既読にはなっていない。
何故?




織田さんのメールを読む。
「ごめん…もう家なんだ…すまない」




家?
帰ってる?




どういう事?
頭が回らない。




「昨日、仕事に集中してたら営業部の○○さんに強引に飲みに連れて行かれて、病み上がりだったせいもあってベロンベロンになっちまって…
電車で寝ちゃったんだ。
終電だったのに寝過ごしてカミサンが迎えに来た。だから慌ててライン消した。
毎回こんなでごめん」




あ~、だから既読になってないんだね。
私が送ってたメールは全部、ブロックされた後のメールなんだ。
ブロックされる前のメールは、読まれることなく削除されたんだね…。




この言い訳が本当か嘘かは追求しない。
確かめる手段もないし、もし嘘なら知らずにいたい。



「ある意味、私からのメール…
読まずに削除してよかったかもね」




「内容はなんとなく分かる。
ほんとにごめん…」




次の返事を打ってる間に
「そろそろヤバいから戻るね!
ごめんね…また月曜日ね」




泣き顔の絵文字がついてた。
私の途中だった送信メールは間に合わなかった。
あれだけモヤモヤして不安で寂しく待っていた時間も、たったこれだけの内容でサラッと終わる。




織田さんが好きだから苦しい。
いっそ、嫌いになれたらどんなに楽なんだろう。
ポイッと捨てられる勇気が私にあれば…
絶対、今より精神的には楽になる。




それでもね…
つきまとうんだ。
「好き」って気持ちが邪魔をする。
別れたほうがいい。
そう思う私と、
まだ一緒にいたい。
って思う、もう1人の私。




読まれる事なく終わった
「さよなら」



なぁ~んだ…
と思う自分と
ちょっとホッとしたような自分がいた。




織田さんの心の中が覗けたら…
私も決心がつくのに。
本当の想いは、他の人には分からない。
私がこんなに苦しいことも、織田さんには分からない。
臆測の中でしか、お互いの本当の想いは分からない。



休み明け、どんなメールが来るのだろうか。



No.182 14/02/05 02:55
匿名0 

>> 181



「おはよう(´0`)ふぁ~」




至って普段と変わりない当たり障りのないメール。
あえて私も
「おはよう (﹡ˆ﹀ˆ﹡)」
と、当たり障りのないメールを返す。




さて、次に出る言葉は?




「今日は寒いぞ~!
あったかい格好してきな!」




ごくごく無難なメール。
織田さんは家に帰れば普通の旦那やパパに気持ちを切り換える。
だから、気持ちを引きずる事なく1日空けばスパッと忘れてしまうのかもしれない。




モヤモヤした気分なのは、気分転換が上手く出来ない私だけなんだろう。
でも、いーや。
こんな事でまたくだらない喧嘩になるよりは一週間の始まりなんだから目標は「今週も仲良く」で行こう。



私が笑ってたら喧嘩にはならない。
だから普通にメールを続けた。
ほんの少しモヤモヤした気分を隠しながら。




この頃の職場は最悪な人間関係になっていた。
前からだけど、たまりにたまった鬱憤を徐々にみんなが吐き出す。
大きく分けたら4つのグループと言うか、反対派•賛成派•我関さず派•何も感じない鈍感派…とでも言うんだろうか。




もちろん賛成派とは、あのお気に入りメンバーで、それが面白くない反対派。
反対派の中でも2つに分かれ、男連中に怒り爆発のベテラン勢と…お気に入りメンバーが気に入らない同年代。



あとはあまり話す事さえないから考えてる事がよく分からない我関さず派。
全く無関心で何も気にしない鈍感派。
と言ったところ、かな。




織田さんを悪く言う声をやたらと聞き始めた。
それと同時に、お気に入りメンバーと男性との関係•関わり方がおかしいと言う声があまりにも多く出始めた。




織田さんを悪く言われるのは複雑な心境だけど…男性とお気に入りメンバーとの関わりがおかしいと、それが問題化になると、私の中で今まで1人でモヤモヤしてた気持ちが少しホッとするのも事実。




なんだ…そう思ってたのは私だけじゃなかったんだ、みんなそう感じてるんだ、ってね。



でもそれがおおごとになればなる程、悪循環だった。男性はお気に入りメンバーの意見しか聞き入れなくなる。うるさい奴らには見せしめのような言動をする。
そりゃそうだ。
お気に入りメンバーは男性を見方につけてるんだから男性には反抗もしなけりゃ言いなりだから男性はやりやすいに決まってる。
簡単に言う事を聞くんだから。




私達も逢って仕事の話をすると、喧嘩みたいになる事も多かった。
最近は会社での織田 敦が私も実際あまり好きではなくなってきた。
織田さんは大好き。けど…上司である織田
敦は………。




だからね、2人でいる時は仕事の話はあまりしたくない。
織田さんの苦労、心労もわかってるから。
私は上司である織田さんを好きになったわけじゃない。そんな事でギクシャクしたくない。



それからまた数日後に、また喧嘩になるんだな。
なんでこんなに喧嘩ばっかりするんだろ………。



No.183 14/02/07 02:32
匿名0 

>> 182


いつものように帰宅後、織田さんからの連絡を待つ。
私の大嫌いな時間だ。
残っている残業組と、その雰囲気で帰宅後の私の不安感は全く違ってくる。




織田さんはよく言うよね。
「そんなに俺は信用ねぇか?」
って。




でもね…
あなたがあえてしている、と言うその態度でたまらなく切ない気持ちになるんだよ。




信用はしてるけど…
でも、断れなくて裏切る事が今までだって何度もあったじゃないか。




逢えない寂しさ、会話がほとんど出来ない寂しさ…我慢して待ってる時に限って、今まで何度となくショックな出来事があった。




ずーっと連絡が無いことが、今までを思い返して不安にさせるんだ。
「忙しくてそんなヒマないから心配いらないよ」
そう言ってくれた時だって、内緒で飲みに行った事が何度もあったじゃない!




「気にしすぎ」
「心配しすぎ」
確かに、それもあるのかもしれない。
でも、不安になる…。




今日も来ない連絡をただただ待っていた。
どんなに忙しくても、たった一言 言ってくれるだけで私の不安感はなくなるのに。



メールしても既読にならない。
もちろん返事も来ない。
時間が経てば経つほど私の妄想が始まる。




今日も飲みに行ったのかな。
彼女達と…。

あまりにも放置だからメールした。
「織田さんは変わったね。思いやりがなくなった。
織田さんはわがままだよ。自分勝手すぎる。
都合が悪くなると黙る。
飲みに行くなら一言メールくれてもいいじゃん!
待ってるって分かってるんだから」




何時間かして、やっとメールが来た。
絵文字もない
「カプセルホテルに向かおうと思う」



…やっぱり飲んでたんだ!
返事を打つ間もなく
「なんだか大きな誤解をしているようだけど
ずっと仕事してたよ。
集中してたから携帯見るのが遅かっただけだ」





そのメール以降、メールはなかった。
いつもなら「おやすみ」は、してくれるのに。




私の正直な気持ちだったとは言え
残業が終わって疲れてる時に、ここまで言われたら…
ショック…だよね…。
こんなメールをした事に後悔する私だった。






No.184 14/02/08 23:47
匿名0 

>> 183



朝になるのが怖かった。
以前は喧嘩をしても絶対に別れたりはしない!って自信みたいなものがあった。
織田さんもよく言ってくれてた。
「どんなに喧嘩しても
最後は必ず仲直りしよう。
喧嘩してもずっと一緒だ!」
って。




でもね…
今は違う。
喧嘩をするたび怖くなる。
前なら織田さんが大人になって折れてくれた。
「ごめん」で済んだ喧嘩が、今は織田さんがものすごく追い詰めて考え込んで…言われる言葉に重みがある。




ただの喧嘩だ!って笑って済むような喧嘩じゃなくなってきた。




それでも必ず朝は来る。
次の朝、もしかしたら鳴らないかもしれない通知音。
その前に…



今日は起こすべきなんだろうか…。
「おやすみ」もない位、怒ってたとしたら…辛い気持ちにさせたんだとしたら…
私からのモーニングコールは必要なんだろうか。





織田さんが泊まる日は必ず朝起こしている。
やっぱり普通に起こそう!
しかも今日は会社じゃなくカプセルホテル。
少し早めに起こさないと。




時間になり電話をかける。
2~3回じゃ起きないのはいつもの事。
「しつこいかな?」と思いながらも何度も電話をかける。




出ない。
全く出ない。
何回かけても留守電になってしまう。
ここまで出ない事は滅多にない。




もしかしたら…
怒ってるから出ないのかも…。
それか、もう会社に着いてるのかも。



今日はもう止めとこう。




そして私は出社する。
そこに織田さんの姿があったとしたら…
会社のドアを開けるのが怖かった。





No.185 14/02/09 00:20
匿名0 

>> 184




ドアを開ける。
みんなの視線に気をつけながら。
まず織田さんの席を見ないように。
席に着いて、上着を着る時にさりげなく見た。




来てない。
まだ寝てるんだろうか?
だとしたら早く起こさないと間に合わない。




けど…
無視されてるんだとしたら…
しつこいだけだよね…。




こういう時は、嫌な事ばかりが頭に浮かぶ。




「吉野さん…
今日、私 事務なんだけど吉野さん外回りだよね?
変わってもらえる?」




え?
と言う顔はしたものの
「いーの?めちゃくちゃ寒いけど?
アタシ的にはラッキー!」




「ありがとう♪」
私はあえて外に出たかった。
織田さんと1日同じ部屋にいるのは辛かった。
きっと織田さんもそうだろう。




支度をして外に出た。
中にいるよりね…サボれるのも事実。
目的地に向かう。
途中でこっちに歩いてくるスーツ姿に目がいった。



織田さんだ…。
やっぱり、メールがないって事は わざと出なかったんだね…。
すれ違うとき他人行儀に「おはようございます」とあいさつしたら、小さな小さな声で
「おはよう」と聞こえた。
でも、視線は私を見ていなかった。




トホトホ歩いていても嫌な事ばかり考えてしまう。
「カプセルホテルに向かおうと思う」
これが最後のメール。



それから連絡はなく、朝は電話に出ない。
誰かいた?




私は織田さんを信用してないんだろうか。
ただ不安なだけ。心配なだけ。
疑っているわけではない。
だけどね…
織田さんだって男だもん。
私を抱いたあの日のように…
魔が差す事だってあるかもしれない。
それを考えてしまうと不安なんだ。



酔っ払って裸になった女が「抱いて」って言ったら…織田さんはどうする?



No.186 14/02/09 01:28
匿名0 

>> 185



この言葉…
前に実際、聞いた事がある。
めちゃくちゃ笑いながら、実名を何人か挙げて
「ないな!
想像もつかないよ」
と、笑ってた。




織田さんに限って…絶対にそんな事しない!
信じよう。
きっとその内、メールくれるよ、凛。




仕事に集中しようとしても気づくと考えていた。
何度も鳴らない携帯を見ながら。




ヤバい。
そろそろ本腰入れないと!
吉野さんに変わってもらったクセに結果出せなかったら恥ずかしい。



その時一瞬、仕事に集中してたんだろう。
携帯が鳴り続けるのに気がついた。




携帯を見ると織田さんからの着信だった。
メールならまだしも仕事中に自分の携帯から電話なんて珍しい。
私はこれから何を言われるんだろう…。





怖かったけど…電話に出る。
「凛、なんでライン見ない?
なんで電話に出ない?
…ちゃんと仕事出来てんのか?…大丈夫か?」



普段よりワンオクターブ低い優しい口調で織田さんは言った。





え…?
ライン?…着信?
あんなに待ってたはずなのに気づかないわけないよね、私。




「メールも着信も来てないよ…
ずっと待ってたけど、来ないから私からはしちゃいけないと思った」




「そんなはずない!
何度もかけてる。ラインもしてる。
とりあえず出て安心したよ。
凛は考え込むと何するか分からないからな…
あんまり心配させるな」




「ごめん…」




「じゃ、待ってるから気をつけて帰って来いよ!」





「うん」




携帯なんて鳴らなかったよね…。
だって何度も見たもん。
と、思いながら電話を切って携帯を見た。




あっ!∑(・ω・*)
着信もラインも随分きてる…。
私…なんで気がつかなかったんだろ。




「凛、昨日はごめん。
意地張って朝はライン出来なかった。
朝、凛とすれ違った時、凛 悲しい顔してた。
すぐメールしようと思ったのに…忙しくて遅くなった。ごめんね」




その後、
「大丈夫か?」
と、着信が交互に何度も入ってた。



No.187 14/02/09 02:02
匿名0 

>> 186



私はテンションが仕事にもろ影響する。
まだ結果が出せない。
織田さんから連絡が来た事でちょっとやる気が出てきた。…と言ってももうあまり時間がない。
頑張らないと…!




でもダメだった。
夕方とは言え、真冬の外はもう真っ暗。
時間的にも限界だったから、諦めて帰る事にした。




帰りたくないな…。
帰れば嫌でも見なきゃならない。
あの人達と笑う織田さんを。
顔が見れる時間は少ないのに、本当なら嬉しい時間なのに、あれを見ると気が滅入る。




「凛、そろそろ帰って来い!
もう暗いから危ない。
頼むから帰って来い」




織田さんからのラインだった。
「ごめん…心配させようとしたわけじゃなくて…
結果が上がらなくて(>_< )」




「そんなのいいから戻っておいで」




「…わかった」




織田さんはどこでメールを打ってるんだろう。
普段なら絶対に来ない時間帯。
ちょっと早足で会社に戻る。




会社に戻ると吉野さんと目が合った。
吉野さんのところに駆け寄り
「変わって!とか頼んだくせに結果ゼロ!
吉野さんが出たほうがよかったね…!」
と笑って見せた。



「私が出たって同じだよ!だって…………」
続きはコソコソ話で
「外回りは私のサボリの場だから (*´艸`*)サボる事しか考えてないもん」



吉野さんらしい気の使い方だった。
それが今日の私にはとても、ありがたかった。




今日はやる事もないから早く帰ろうと決めた。
見ないで知らないでいられるなら、その方がいい。
「お先に失礼します」
定時のチャイムと同時に会社を出た。




ドアを閉める時、一瞬 織田さんがこっちを見たのがわかった。
ほんのちょっぴり元気がない顔だった。



No.188 14/02/09 02:31
匿名0 

>> 187



家に着いても見てしまう時計。
まだ、みんな帰ってないんだろうな…。
私が帰ると、ホッとするよね。
「監視」の目から解放されるから。




以前言われたこの言葉。




「監視」




私の中の記憶から消えることはない。
この言葉を言われてから、気に入らない事もショックな事もあまり口走らないように気をつけている。
見れば気になる。
聞けば気になる。
気になれば聞きたくなる。
聞けば文句を言いたくなる。




お風呂でも入って、気分もサッパリして来ようかな…。
まだ今日は時間が早いから織田さんもまだ帰らないよね?




一応、メールを入れてみた。
「お風呂入っても間に合う?」




こうメールしても返事が来ない事の方が圧倒的に多いのに…今日は違った。
織田さんもきっと、気にしてくれてるんだろう。




「今日は一緒に風呂入ろう(*˘︶˘*)
もうすぐ上がるから支度して待ってて」




今月に入って2度目だった。
クリスマスも近づいた月の後半。
もしかしたら、年内逢えるのは最後かもしれない。そうしたら長い長い10連休に入る。




「年内、これが最後になりそう?」




「うーん…頑張るけど、一応念の為そのつもりで来てm(_ _)m」




「わかった。じゃあクリスマスプレゼント持ってくね(●´艸`)」




「あ…俺、プレゼントまだ買えてない(T_T)」




「わかってる。
いらないよ(﹡ˆ﹀ˆ﹡)」




「今日は…。渡せないけど、ごめん」




「織田さん買いに行く時間ないの分かってるから私ちゃんと欲しいもの考えてある!
それをもらえれば十分」




「わかった!じゃあ終わったら連絡するね」




なんだかんだ言って、いつもこうして仲直りする。
何度「終わりにしよう」と思っても…
何度「これで振られるんだな」と思っても…
自分に甘くて弱虫な私達は離れられずにいる。
そしてこれが6回目のクリスマス。
クリスマスにはまだ少し早い2人のクリスマス。




No.189 14/02/16 21:01
匿名0 

>> 188



慌てて支度をするものの…
連絡は来ず、時間ばかり過ぎていく。



「もうすぐ上がるって言ってたのに…」




今日はダメになるのかな…。
そんな予感さえしてきた。
もうすぐ日付が変わる。
どうして最後のメールから、こんなに時間がかかるんだろう。
連絡1つなく。




いつも待ってばっかり。
逢いたいと思うのは私だけで、織田さんは義務的になっているのかもしれない。



私がブーブー文句ばっかり言って、寂しがるから。
これでも私なりに理解して我慢してるつもりなんだけど…仕事に追われる織田さんには私が重くなっているのかもしれない。




日付が変わったらメールしよう。
「今日は無理しなくていーよ」って。


そしたら織田さんは救われる?




そんな事を考えていたら涙がね、
ほら…また、溢れてくる。
せっかく気に入ってもらえるか楽しみにしてたクリスマスプレゼントも…私的には、クリスマスまでに渡せなかったら意味がないんだ。





「あんたまだ出掛けないの?」
こんな母親の言葉にさえイラッとする。




母親にあまり詮索されるのは好きじゃない。
「こんな時間から出掛けるの?」



わかってるよ。
連絡来ないんだよ!
そう心の中でつぶやいて、今日は無理だな…と諦めに入った。




時計が24時を回り、日付が変わった時 着信音が鳴った。




どうなるんだろ、今日は…。


No.190 14/02/22 07:57
匿名0 

>> 189



「前嶋さんと話してて遅くなった。
出れそう?」




「ごめん」と言う言葉がない。
そんな細かい事が気になる私。
今から逢っても合流した頃には深夜1時近く。
明日も仕事。
すぐ寝なきゃいけない時間になる。



でも…
これが年内最後の逢えるチャンスなら…
今日逢わなければ今年はもう逢えないまま10連休を迎える。
10日どころじゃない。
これまで逢えなかった期間もプラスしたら、随分な日数、逢えない事になる。



せっかく買ったクリスマスプレゼントさえ渡せないままになる。


凛、意地張るとこじゃないんじゃない?



返事に迷っていると待ちきれない織田さんから
「今日はやめる?(;_;)」
とメールが来た。



「ううん!行く(*˘︶˘*)」



「よかった!じゃあ向かうからね!」



「はい♪」



結果、逢えた。
時刻は深夜1時近かったけど、私の1番嬉しい2人だけの時間。
時間がないから早速クリスマスプレゼントを渡す。


無言で差し出した。
少し申し訳なさそうに受け取る織田さん。
「凛…ごめん…俺さ、まだ用意出来てないんだ」



「さっきも聞いた!
気にしなくていいよ。
織田さんにはコレを書いてもらおうと思って。
このクリスマスカードも私の手作り♪
私はこれで十分!」



いつもなら、私がお風呂に入っている間に書いてもらうんだけど、時間もないしさそれは「宿題」にした。



織田さんは丁寧にラッピングを開け
しばらく無言で財布をじっくり見ていた。



「凛…これさ、高かっただろ?
すげーカッコいいよ!
とにかく気に入った!ありがとう」



「でもさ…
使い道がないよね(>_<)
これね…小銭入れが取り外せるの!
使い方が3wayあるんだよ♪
一目惚れして絶対コレあげたい!と思って…
使い道ないだろうな…と思いながらも コレをどうしてもあげたかったんだ!」



「使うよ!時期をズラせば使える! 
俺好みのだから怪しまれる事もない。
心配しなくていいよ。使うからね゚。(*^▽^*)ゞ」



織田さんは本当に嬉しそうにジックリそれを見ていた。
実際、少し奮発して買った財布。
喜んでくれてよかった。



ホントはね…
サプライズ好きな織田さんの事だから
「買ってない」と言っても何かしらのプレゼントがもしかしたら………
と、ほんのちょっぴり期待してる私もいた。




この何年間、どんなに忙しくてもプレゼントがない!って事はなかった。
今年は本当に…ないんだね…。


時計を見ればもう深夜2時。
「織田さん、お風呂入らないと…時間…」


ハッ!とした顔で織田さんも時計を見る。


No.191 14/02/22 08:21
匿名0 

>> 190


一緒にお風呂に入る。
私と織田さんはお風呂の好みが違う。
私は熱いお風呂にサッと入るのが好き。
逆に織田さんはヌルめのお風呂に長く入るのが好き。


今日のお風呂は私好みの熱いお湯だった。
「織田さん(笑)…コレ、無理じゃない?(笑)」


勝ち誇った顔で「入れる (╬¯ํ╭╮¯ํ๑ )」と言わんばかりに湯船に入る。

「うぉぉぉ(≧Д≦)!!!あぢぃぃぃ~」
やっぱり(笑)


織田さんの顔がみるみるうちに赤くなる。



「変わろ!」
織田さんがシャワーを浴びてる間、その姿を見て私はゆっくりお風呂に入った。



出ると、もう2時半すぎ。
このまま寝ても私は満足だった。
約束通りこうして逢えて、私の嬉しい時間が過ごせた。
プレゼントもクリスマスまでに渡せた。
何も贅沢は言わない。
こうして少しでも逢って話が出来る。



それだけで私は幸せだと感じる。


No.192 14/02/22 08:52
匿名0 

>> 191



どちらかと言うと、織田さんは昔に比べて体力が落ちた。
仕事量から考えれば仕方ないこと。
とにかく時間的に早く寝かせてあげないと!



髪を乾かしながら
「織田さん!こんな時間だから先に寝てな!」
と言うと、


「大丈夫!」
と言ってベットの定位置で私を待っている。
可哀想だから半乾きの髪のまま私もベットに行く。
もう既に眠そうな織田さん。


「おやすみo(^-^)o」
と言って織田さんの腕枕に包まれる。


私の中に潜む「義務感」を感じるのが嫌で今日はこのまま寝ようと思っていた。
「凛は抱かないと満たされない」と思わせるのが嫌だった。


織田さんがキスをする。
この感じだとエッチする方向。



「ねぇ織田さん。
私、こうして逢えただけで満足だよ。
織田さん寝ないと明日キツいよ!
今日は寝よう」



「いや…
俺が………」
照れ屋な織田さんはもぞもぞ言う。
わざと聞こえない振りをして、その言葉を何度も言わせようとする私。





「俺が、凛が欲しい」
「俺が、凛を抱きたい」



そこからはもう時計は見なかった。
たぶん2人の睡眠時間は2~3時間程度だっただろう。
気づかぬ内に2人共寝ていた。



案の定、次の朝なかなか起きてくれない織田さん。
私はもう出勤しなきゃいけない時間。
強引に起こし
「行ってくるね!ちゃんと起きてね!
…あと、逢えた次の日が要注意だからね!」



織田さんは「ウン、ウン」と頷く。



この「逢えた次の日が要注意」と言うのは
せっかく逢えて幸せな気分が必ずと言っていい程、次の日に何かしら起きて喧嘩になる。
だから私の充電はもたないんだよ。と言った私の言葉の意味である。



今回もなんとなく嫌な気がしたんだ。



No.193 14/02/22 20:25
匿名0 

>> 192



ホントに些細な事なんだけど
私の中では重大な事なんだ。



朝起こした時、織田さんはまだ完全に起きたわけではなく…ベットの中で寝ぼけたまま頷いていた状態だった。


ちゃんと起きたか、
ちゃんと会社に着いてるのか心配だった。
私は朝一の取引先に行く為、織田さんの出社を確認出来ずに会社を出た。



「起きてる?」
「ちゃんと着いてる?」
何度メールしても返事がない。



電車に乗っている間にしろ、歩いてるにしろ、どれだけ急いでいたとしても返事1つくらい出来ないものか?
今日に限らず、朝起こした時に「起きた」とメールが来ても二度寝している事もしょっちゅうで、遅刻にウルさいウチの会社だから尚更心配なのに。


メールしても返事がない。
万が一、会社にいたらマズいと思いメールを止めた。
せめて既読にでもなれば、「あ、大丈夫かな?」とも思えるけど既読にもならない。
私は取引先に着いたため、しばらく携帯を見れずにいた。



やっと終わって携帯を見ると、織田さん経由の連絡網が2回も来ていた。
しかも内容的には大した事もなく…こんなの終礼で言えばいいのに。と思うような内容。



そして、ラインを見る。
既読になっている。
でも、返事はない。



携帯イジれるのに何故、返事が出来ないのかな。
今まで何度も「放置絡み」で喧嘩してきたのに。



まぁ、無事着いている事に少しホッとしながら一服でもして帰社しようとした。
公園を見つけ珈琲を買って公園に行くと、偶然に同僚数名に会った。
何やら携帯を見て盛り上がっている。


なんとなく嫌な予感がして足がすくんだが、気づかれてしまった手前 行かない訳には行かず…。



「ねぇ中川さん見て!見て!」




そこには織田さんとやり取りした写メ付きメールがいくつかあった。
1度や2度じゃない。
何度もやり取りしている。
仕事とは無縁のふざけたメール。



こんな時の私の顔は、人から見たらどんな顔なんだろう。
きっと引きつった顔をしているんだろうな。
でも、冷静でいないと!と、あえて意識し笑いに便乗する。
すると調子に乗った彼女たちは事の一部始終を面白おかしく話し始める。




もう聞きたくない。



いつも忙しいと言って放置されてる間も、もしかしたら…こんな風に他の子とはメールしているのかな?
聞かなきゃ私は気づかない。
今日だって偶然逢わなければ知らなかった事。



なんだかバカにされた気分だった。




私は今日の事は織田さんに話さず、あえて織田さんからのメールを待った。
帰社してからの織田さんは、忙しそうにバタバタ動いていた。



もう今日は帰ろう。
朝バイバイしてから1度もメールはなかった。



家についてもモヤモヤしたまま気分は晴れない。
つい朝まで幸せだった気持ちも、遠い記憶のように感じた。



メールしたい気持ちをグッとこらえ、メールを待つ。
そして、やっとメールが来た。




No.194 14/02/23 07:59
匿名0 

>> 193


「お疲れ!
今日、凛帰るの早かったね」



「うん…気づいてたんだ?」



「いや…
バタバタしてたから気づいたらいなかったんだ」



だろうね。
仕事は仕事。
完全に切り離して考えてる織田さんには、仕事中の私の事なんて視界にも入らないもんね。
昼間の出来事が尾を引き、私はどこかひねくれた考え方しか出来ない。



「織田さん忙しそうだったね。
今日はこれが初メールだよ」



ちょっとふっかけてみた。
嫌な女…。



「ごめーん(>_<)
1日バタバタ動いてたから携帯触るタイミングがなくて…ごめんね!」




タイミング…ね…。
連絡網が流せて、写メ付きメールが何度も出来て、私にはタイミングがないんだ?




「今日は早く上がれそうなの?」




「まだまだ終わらん。
少しゆっくりしてな(*´∀`*)」




「うん。でも今日は金曜日だから帰るでしょ?
帰り道のメール楽しみに待ってるね♪」




「わかった!
頑張ります!」



私が日中の、あのメールのやり取りを知ってるなんて知らない織田さんには「忙しくて」は1番都合のいい言い訳だよね。



私、知ってるよ。
吉野さんのスマホにも、木村さんのスマホにも、沙織のスマホにも、織田さんのラインのマークがあるの…見た。
友達になってるの知ってる。
織田さんは誰かからメールが来れば、ちゃんと返信する。
付き合う前の織田さんもそうだった。




私だけじゃん。
メールしても返事が来ないのは。
前もこんな感じの喧嘩をしたけど織田さん言ったよね?
「業務関係のメールだろ?
それ以外はみんなとメールしてないぞ!」って。



嘘つき…。
別に、私の知らない所で気づかないようにしてる分には傷つくこともないからいいんだ。
でもね…。
知りたくなくても、あらゆる経由で耳に入ってきちゃうんだよ。
時には私の知らない話を他の子が先に知ってたりする。



隠すなら、とことん徹底してくれればいいのに…
中途半端に隠すから傷つく。



逆に言えば、そんな悪気もなくやってることが自分の知らない所でバレちゃう織田さんも可哀想なのかもしれないけど。


こんな事をモヤモヤしながら考えていた。
同じ職場と言う事は、毎日顔が見られる幸せもあるけど…時に残酷な出来事もある。


わかってる。
織田さんが誰といつメールしようが自由。
それを私がとやかく言う資格はない。
昼間誰々とメールした、と言えば私が怒るか傷つくか分かってるから言わない。
まぁ、いちいち報告する事でもないんだけどね。



「忙しくてメール出来ない」
と信じて私はメールを待つ。
案の定「忙しくてメール出来なかった」
と織田さんは言う。



放置の間に遊びのメールを何度もしている事実。
屈辱的に思うのは私が間違ってるのだろうか…。


No.195 14/02/25 22:58
匿名0 

>> 194

「そろそろ終わりにするよ~!
どんな感じ?」



「お疲れ様!
スタンバイOK♪」



休み前だしね。
今日の件はひとまず黙ってよう。
私が言わない限り、喧嘩にはならないんだから。
休み前位、喧嘩せずにラブラブでいたい。



「会社出た。
ちょいと寄り道!軽く飯食うね」



「はいっ♪」




何故だか写メ付きメールが送られてきた。
「ウニとサーモンだけ食った!」



本当に俺1人だよ!ってアピールなのかな?
別に疑っちゃいないさ。



「駅着いた。
○分発に乗れそうだから○時○分着だな!」




これは私が毎回聞くセリフ。
「何時着?」ってね。
今日は聞かれる前に答えた。


考えすぎかもしれないけど、いつもよりマメで返信も早め。
昼間の件で気が引けてるのだろうか?
いつもなら織田さんの返信が遅めだから、その間に私が2~3個目のメールを打つくらいの間があってから返信がくる。


今日は少しだけ、いつもと違う感じがした。



「会社の近くにお寿司屋さんなんてあったっけ?」



「凛あんまり通らない道なのかな?
すぐ近くにあるよ!あそこのウニ上手いんだよ!」



そうなんだ。
でも会社のすぐ近くなら、絶対2人で行けることはない。
それに私ウニ嫌い(笑)



前半はこんなメールをし
到着時間が近づくにつれラブラブモードに突入する。
「①か?」
今日は織田さんから聞いてきた。
だいたい私が聞く事の方が多いのに。



「まぁまぁ①かなo(^-^)o」




「俺はそこそこ①だ(¬_¬)」



「浮気すると『まぁまぁ』になるんだよ!
浮気しないと『大』になる( *´艸`)」



「えー!浮気してないぞ!」



「そっか…してないか♪
じゃあ、大①だな♪」



私には忙しくてメール出来ないと言って他の子とメールするのは浮気じゃない…か…。
浮気ではないにしろ、こっちは面白くはない。


なんだかちょっぴりズルい人だな、と思った。
私が責めなかった事により、喧嘩もなく連休に入る。


そして、休み明けはクリスマス•イブ。




No.196 14/02/26 02:25
匿名0 

>> 195



朝、寝坊助な織田さんにしては珍しく少し早めにメールが鳴る。



「おはよう」



「おはよう!
Merry Christmas♪」



「Merry Christmas╰(*´︶`*)╯」



早めにメールが来れば少しだけメール出来る回数が増える。
いつもなら私が会社に着くギリギリにメールが来るから朝はほとんどメールが出来ない。
今日はちょっぴり嬉しい朝だった。




…が、案の定 途中から寝た!
早くにメールが来ても普段とさほど変わらない朝になった。
日中ももちろんメールは出来ず、私がメールしてやっと返信が 1度あったくらい。



夜はどうせ早く帰るんだろうな…。
今までのクリスマスイブもそうだった。



だって…
パパサンタさんしなきゃだもんね。
それが予想出来たから今日は私も早めに帰り、帰りを待つ。
我が家はもう蓮もクリスマスに家にいるような年頃ではない。
帰りにケーキとローストチキンだけは買ったけど蓮はやっぱり帰ってくるのは遅かった。




予想はしてたものの
ピンコン♪



予想より遥か早めの帰宅報告メールだった。
しかも途中駅。
朝は途中で寝て、夜は同僚と一緒だったと言い、メール出来るのは30分間。


女にとってイベントは大切な思い出の1ページ。
けど、普段よりも会話の少ないクリスマスイブになる。



ふと、去年のクリスマスイブを思い出す。
「街中のカップルをひっぱたいてやりてー!」
早く帰らなきゃならない事に対してのこの言葉が例え嘘だったとしても嬉しい発言だった。




そんな言葉さえ言葉はない。
年数が長くなると、新鮮さがなくなる。
いつまでもいつまでも、ラブラブモードでいたいのは私だけ。
なんだかとても温度差を感じるクリスマスイブだった。


宿題にしたクリスマスカードも…
記念日には即書いてくれたけど…
今回は待て度暮らせ度、私の手に渡される事はなかった。


忙しさの中に忘れ去られたまま…。





  • << 198 翌日もまだ世間一般ではクリスマス。 今日も早く帰るんだろうな…。 昨日ちゃんと家に帰ったことにより、朝のメールはほんの少しだけだけど出来た。 日中は忙しさに追われ、きっと私の事を考える余裕なんてないんだろう。 気づけば織田さん発信のメールなんて、ここ1年位、無いように思える。 いつも私発信のメールに返信が来るような感じ。 今日もそんな感じで数回メールした。 私の中では今日も早く帰ると予想をしていたため私も早めに帰り、帰り道のメールをスタンバイOKで待つ。 …そんな日に限ってメールが来ない。 終電近くになってもメールが来ない。 仕事かな? たった一言でいい。 「今日は頑張って仕事に集中するね!」くらいの連絡をくれたら… どんなに気持ちが楽になるだろうか。 何も言わないから不安になる。 そんな事、もう何度言ってきたことか。 何年経っても慣れないこの時間。 不安材料さえなければ、きっと 「まだ終わらないんだな」ぐらいにしか思わずにいられるんだろう。 でもここは女性の多い職場。 「頑張ります!」 ってメールから待っても待っても連絡がなくて…飲みに行ってた事だって多々あった。 仕事は仕事。 キチンとやって欲しい。 以前言われたこの言葉。 それは分かる。 織田さんが頑張ってるのも分かる。 仕事に集中してる間はメールなんて出来ないのも分かる。 でもせめて、不安にさせない為の努力もして欲しい。 これは私のわがままなんだろうか…。 何故信じない? 俺が信用できないのか? 織田さんはきっとそう言うよね…。 「信用」 そうだね。 いつからかきっと私は織田さんを信用出来なくなっているのかもしれない。 だからかな。 いつもどこかで不安と恐怖が付きまとう。 そして、いつもどこか寂しい…。

No.197 14/02/27 02:47
匿名0 

>> 196



※訂正



こんな言葉さえ言葉はない←×


こんな言葉さえ今年はない←○



間違えました!
ごめんなさいm(_ _)m


No.198 14/02/28 00:43
匿名0 

>> 196 朝、寝坊助な織田さんにしては珍しく少し早めにメールが鳴る。 「おはよう」 「おはよう! Mer…


翌日もまだ世間一般ではクリスマス。
今日も早く帰るんだろうな…。



昨日ちゃんと家に帰ったことにより、朝のメールはほんの少しだけだけど出来た。
日中は忙しさに追われ、きっと私の事を考える余裕なんてないんだろう。
気づけば織田さん発信のメールなんて、ここ1年位、無いように思える。
いつも私発信のメールに返信が来るような感じ。



今日もそんな感じで数回メールした。
私の中では今日も早く帰ると予想をしていたため私も早めに帰り、帰り道のメールをスタンバイOKで待つ。



…そんな日に限ってメールが来ない。
終電近くになってもメールが来ない。



仕事かな?



たった一言でいい。
「今日は頑張って仕事に集中するね!」くらいの連絡をくれたら…
どんなに気持ちが楽になるだろうか。
何も言わないから不安になる。
そんな事、もう何度言ってきたことか。



何年経っても慣れないこの時間。
不安材料さえなければ、きっと
「まだ終わらないんだな」ぐらいにしか思わずにいられるんだろう。



でもここは女性の多い職場。
「頑張ります!」
ってメールから待っても待っても連絡がなくて…飲みに行ってた事だって多々あった。



仕事は仕事。
キチンとやって欲しい。



以前言われたこの言葉。




それは分かる。

織田さんが頑張ってるのも分かる。
仕事に集中してる間はメールなんて出来ないのも分かる。
でもせめて、不安にさせない為の努力もして欲しい。



これは私のわがままなんだろうか…。
何故信じない?
俺が信用できないのか?
織田さんはきっとそう言うよね…。


「信用」



そうだね。
いつからかきっと私は織田さんを信用出来なくなっているのかもしれない。
だからかな。
いつもどこかで不安と恐怖が付きまとう。
そして、いつもどこか寂しい…。



No.199 14/02/28 01:22
匿名0 

>> 198



こんな事を考えていると、疲れているはずなのに眠れない。
私の中に引っかかる「不安」な思いが睡眠の邪魔をする。



「もう連絡こないよ!凛」
と思う私と
「もしかしたら連絡くるかもしれないよ?凛」
と思う私が戦っているからだろう。




放置されてるんだから放置して寝れてしまえば、お互い楽なはずなのに。



こんな時、我慢出来ないのが私。
黙って連絡を待てばいいものをメールしたい衝動を抑えられない。




「飲みに行ってる?
それともまだ仕事頑張ってるのかな?」



しばらく間が空いたあと
「ごめーん!
まだ会社。終わらん(T_T)」



やっぱり仕事か…。
「まだ頑張る?
お風呂入っても間に合う?
もう寝ちゃう?」



「ゆっくり風呂入ってきな!
まだまだ終わらないから!」




「わかった。頑張ってね!
寝る前に連絡ください」



「はいよー♪」



これでやっとホッとした。
お風呂に入り、今度は織田さんが集中出来るように黙って連絡を待つ。



深夜1時を過ぎ…2時が過ぎ…3時…。
「不安」が今度は「心配」に変わる。
どちらかと言えば身体があまり丈夫な方ではないのに、こんな遅くまで毎日頑張っていて大丈夫だろうか?




「もう寝ないと身体もたないよ?
大丈夫?まだ終わらないの?」



既読にならない。
少し時間を空けラインを開く。
まだ既読にならない。
また集中してるから?



何度も何度もラインを開いては既読にならないライン。
なんだかもう日課になってきた、この作業。



明日も仕事だ。
いい加減、私も寝ないと…。
最後に
「ごめんね…。
先に寝るね。明日、何時に起こせばいいかライン入れといてね!
おやすみなさい」



夜中まで私は何のために起きて待っていたんだろう。
何のために眠れずに待つんだろう。



クリスマス。
結局、あれ以来 連絡がくる事はなく朝になる。


朝起きた私の手は、しっかりと携帯を握りしめていた。



No.200 14/02/28 01:55
匿名0 

>> 199



「浮気」
心配したらキリがないんだけど
つい考えてしまう。



誰かといて
「疑われるからメール返しとくか!」って感じで「まだ終わらん。風呂どーぞ!」と言い、その間にエッチする。
疲れ果て寝る。



そんな事を知らず私は頑張っていると信じ連絡を待つ。
朝になり
「ごめん。いつの間にか寝てた」
と、言われればそれを信じるしかない。




信用出来なくなったら終わり。
織田さんはそんな事しない!
信じているクセに、そんな事が頭によぎったりする。
だってね…
そんな事しない!って思ってるけど…
私達がしてること…それが現実。
もう既に織田さんは「そんな事」をしているんだもん。



こうして1人モヤモヤ考えていても、朝職場に行けば、まるで何もなかったかのように織田さんはいつもと変わらない。



片思い。
織田さんに片思いしている感覚に陥る。
「想い」が遥かに違く感じる。



凛。
今年もあと2日だよ。
織田さんの顔が見られるのは。
あと2日。
喧嘩なく過ごしたい。



クリスマスプレゼントを渡せたあの日から既に1週間が過ぎようとしていた。
あと2日逢えたら長い長い10連休に入る。
あの日から数えたら、年明け顔が見れるまで、20日間くらい。



年内たぶん最後、と言われていたから今年はもう2人きりで逢える時はない。


せめて、喧嘩なく今年も笑って年を越したい。
じゃないと10連休が…辛く悲しい日々になるから。



こんな時、連絡網が来る。
「本日、17時より仕事納めの挨拶式があります。急で申し訳ありませんが、用があって早く帰りたい方も顔だけ出して帰って下さい。
挨拶式は全員参加でお願いします!」




嫌な予感が走る。


No.201 14/02/28 02:43
匿名0 

>> 200



朝、一応毎回お決まりの設定時間に織田さんを起こす。
1度や2度で起きる人じゃない。
忙しく支度をする中、慌ただしく合間を見ては電話をかける。
何度も電話して、ようやく起きる。




「起きてる?」



案の定、二度寝している。
また電話をかける。
やっと電話に出る。



「完全に起きたら『起きた』ってメールしてね!」
これもお決まりのセリフ。



「起きた~(´0`)ふぁ~」
この段階でやっと一安心する私。



昨夜のモヤモヤが解消されない私は、
「①?」
確かめたくなった。



例え騙されていたとしても
「①」
この言葉は魔法のようにホッとする。
いつもどこかで不安な私は想われている事を確認する事で自分の気持ちを楽にさせたいんだろう。



「もちろん(◦'︶'◦)
①だよ」




この日はたったこの2回のメールで挨拶式の時間になった。
挨拶式とは言え指定された場所に向かうと、そこにはお酒や食事が並んでいる。
定時にはまだ1時間程の時間があったが、好きな人はその場に残りお酒や食事を続ける。
もちろん私は職場に戻り、終わらない仕事を続けた。
一部を除き、ほとんどの人が仕事に戻った。
織田さんも仕事に戻ったことにより、私は少し安心出来した。



定時になりボチボチみんな帰り始める。
だが、帰って欲しい人達は当たり前のように残るんだな、これが。
全く帰る素振りもない。
私はもう少しで仕事が終わってしまう。



こんな時、特に何をするわけでもなくダラダラと帰らずにいるメンバーもいるけど…私にはそれが出来ない。
みんなが帰るのを見送ってから帰りたかったけど、仕事が終わってしまったため私は帰宅した。



でもその時、例のメンツも帰り支度しているのが見えた。
よし!
今日の飲みはないな…!
どこか安心しながら駅に向かった。



男だけなら飲みに行くのは全然構わない。
心配する要素がないから。



そして礼のごとく、織田さんからの連絡を待つ。
顔を見れるのも年内、残すところ明日だけになった。



果たして喧嘩なく今年1年が終われるんだろうか。
笑って年を越したい。
こんな事にこだわって願うのは私だけなんだろうか。
織田さんはそんな事を考えたりはしないんだろうか。



「今日はちゃんと連絡が来ますように」
そう願いながらラインを何度も見る。



私の願いとは裏腹に事件は起きる。


No.202 14/03/01 11:40
匿名0 

>> 201



終電の時間は過ぎた。
この一年間お疲れ様でした!って意味で楽しんで飲む事も忙しさに追われる織田さんにとっては大事なこと。
たまには息抜きも必要だから。



でも…
1度くらいメールが出来ないものか?と言う私の考え方か変わらない。
最初の頃は出来た事がなぜ今出来ない?
不安で待っている私のことをわかっていながら。




どこかで今日は男だけ、と信用しきっていた私はこの時ばかりはあまり疑う気持ちがなかった。
ただ、鳴らない着信音をひたすら待つのみ。



時刻は0時を回る。
時間が遅くなるにつれ、次第に不安感が襲ってくる。



もしかして今日も連絡なし?…かな…



すると、着信音が鳴る。
「解散した!」


やっぱり飲んでたんだね…。
返信を打っている途中で、今度はビデオ通話のコールが鳴った。


出るとそこには、ベロンベロンに酔っ払った織田さんの姿が映る。
ベロベロじゃない。
ベロンベロンだ。
会話にならない程の酔い方だった。



ビデオ通話をしているにも関わらず、今にもその場で寝てしまうような勢い。
寝てしまう振りをしては変顔をして私を笑わせようとする。
その陽気で楽しそうな織田さんの姿を見て、かなり飲んだ事が想像出来た。
飲み会が余程楽しかったんだろうと感じた。



寝ちゃいそうだから
「そんなとこで寝たら死ぬぞ!
早く入って寝なよ!明日も仕事だよ?」



そう。
明日は年内最後の仕事納め。
会話にもならないのに通話している事がバカっぽく感じ
「早く寝な」と言い終了ボタンを押した。



これだけ酔っ払ってるのに、最後に連絡をくれた事で私はホッとし布団に入った。




翌日、年内最後の朝。
いつも以上に起きない織田さんを起こす事にかなり、てこずった。
会社に行けば、そこにはヒドい顔をした織田さんがいた。


絶対どう見ても二日酔いだろう。



まだ気づかなかった、バカな私。
「信用」してた時に限って裏切られる。



信用って一体なに?
信頼って一体なに?



今年最後の1日がこんな1日になるなんて…。



No.203 14/03/02 01:59
匿名0 

>> 202


私は今年最後の大きな仕事があり外へ出た。
「ヒドい顔だね…二日酔いでしょ?」



「ヒドい二日酔い。絶不調…」


だろうね…。
昨日のあの姿とそのヒドいを見りゃわかる。
なんだか今日は嫌な予感がする。



私は大役を務め、少しホッとしながら帰社する。
今日は有給を使い休んでる人も多く、会社の中は静けさで少し気味が悪いくらいだった。



仕事の後処理をしようとパソコンに向かう。
私と同じ仕事をした人が私の隣りに来た。
「中川さん出来た?
私、全然出来ないんだけど(>_<)」



「あ…ごめん。
まだこれからだ。ちょっとやってみるね!」



その子より私の方が全然出来が悪かった。
しばらく2人で悩みながらも解決しようと頑張れば頑張るほど解決からは遠ざかる。



その子がギブアップし近くにいた織田さんに助けを求めた。
笑いながらその子のパソコンを覗き、間違いを教えてあげる織田さん。
その間も私は隣りのパソコンで自分の間違いを探す。



うーん…
分からない(>_< )



すると
「うわー!ヤッター!
ありがとう!織田さん」
と、隣りから可愛らしい声が聞こえた。


解決したのか…。
私はまだ解決出来ないや。



「織田さん!中川さんのも見てあげて!
中川さんのも出来ないの!」


余計な事を…。



反射的に織田さんの顔を見ると、やけに嫌そうな顔をしている気がした。
嫌々ながら私のパソコンを見る。



次に出た言葉…
「ちょっと自分でもう一度最初からやってみな!もっと冷静によく考えてやってみろよ!」




愕然とした。
なんで?
なんでそんなに態度が違うの?
織田さんは女性にそんな強い口調では怒らない人なのに、私にはなんで?



隣りにいた子も え? って顔をし、驚いたんだろう。
責任を感じたのか、織田さんに教えてもらった事をやってみてくれた。
それでも上手く行かない。



情けなさとショックで、この時の私の顔は引きつっているであろう事が自分でもわかった。



見るに見かねた別の上司が
「中川さん大丈夫?出来そう?」
と、声を掛けてくれた。



「すみません。
もう一度初めからやり直してみます」 
震えるような声を振り絞り答えた。



その上司が私の横で間違いを優しく指摘してくれた事により、なんとか出来上がった。
「ありがとうございました。
本当にすみませんでした」



出来た時には、人前であんな言い方をされた事への惨めさと情けなさでジワーッと熱いものがこみ上げてきた。



No.204 14/03/02 02:39
匿名0 

>> 203


今年最後の今日。
本当は最後まで会社にいて織田さんと同じ空間にいたいと思っていた。
今日が終われば10連休…。
顔も見れない、メールも出来ない10連休。
せめて今日は、最後まで一緒の時間を過ごしたかった。



ジワーッと込み上げる熱いものに気づかれないようにトイレに急ぐ。
トイレに入ると同時に、込み上げてきた熱いものはポツポツと雫を落とす。




ダメだよ…凛。
ここは会社。
サッとその雫を拭き取り、冷静に部屋に戻る。



目に入ってきたものは
さっきやや大きな声で私を叱った織田さんが、何事もなかったかのように礼のメンツと笑って話しをしている。




私って一体なんなんだろう。
織田さんは私に何がしたいんだろう。
何が言いたいんだろう。



ダメだ。



気分を入れ替えようと私は喫煙所に向かう。
でも喫煙所には人がいた。
なんだか盛り上がっているけど私は笑えない。



まだ仕事は残っているけど限界だった。
もうここに居たくない。



私は有給を使い早退した。
早退願いは織田さんに出さなければならない。



「すみませんが今日は帰ります。
来年も宜しくお願いします」




笑っていた織田さんの顔が一瞬、真顔になったのがわかったけど、もう織田さんの顔は見なかった。



その時、吉野さんが
「凛ちゃん帰んのぉ?」
と、私を止めた。


吉野さんは礼のメンツが嫌いだから私にいて欲しかったんだと思う。
吉野さんはもう有給がないから帰れない。
だけど今の私に吉野さんの気持ちを気遣う余裕はなかった。




「1日いるって言ったクセにごめんね…帰るね」




事の一部始終を見ていた吉野さんは心配そうな顔をして小さくバイバイしてくれた。
ドアを空け更衣室に行く途中で携帯が鳴る。


「気にしないほうがいいよ!
初めての仕事なのにあんな言い方おかしいよ!
凛ちゃん大丈夫だよ!
見てたみんな『あれはおかしいよね』って。
凛ちゃん悪くないんだからね!」




怒られた事に凹んでる訳じゃないんだよ…吉野さん。
でも私達の関係を知らない吉野さん達はそう思うよね…ありがとう…。



「ありがとう!
ヘタレは帰ります(笑)」



バレないために、とか、そんなんじゃない気がして仕方なかった。
織田さんはやっぱりあのメンツといるのが楽しくて、気に入ってるんだろうな、と。
そして私には、会社では一切関わるな!と言いたい気がしてならなかった。



この空間に私は邪魔なんだと…。
織田さんにとっては長い10連休や、今度最後なんていうモノは全く関係ないんだと…。


No.205 14/03/02 03:04
匿名0 

>> 204



どこか意地を張り、その後一切 織田さんにメールはしなかった。



こんな時の私は1人になりたくなる。
家に帰れば母がいる。
退屈で仕方ない母は、私が帰ると話し相手が出来た事でお構いなしにベラベラ話し始める。
今日は勘弁して欲しかった。



いつもなら公園に行くけど今日は一段と寒い。
ちょっとだけ都会に出て買い物…とも思ったけど、なんだか疲れた。
結局、家に帰り携帯をいじりながらボーッとしていた。



織田さんは気にも止めていないのかメールをよこす訳でもない。
ふと、思った。
そうだ…!
メール…してみようかな。



他の異性とメールすることさえ、今までの私は罪悪感があり止めていたけど…
この時ばかりは誰かに話して自分の気持ちを少し落ちつかせたかった。




「元気?」
たった一言だけ送信した。



相手は陵くん。
陵くんなら…織田さんと立場が同じ。
男の本心が聞けるかもしれない。



しばらく経っても返信はなかった。
やっぱり陵くんは私のアドレスも消して、スッパリ最後と決めたんだね。
あの時のように。



No.206 14/03/02 03:22
匿名0 

>> 205


何かしなければ、考えてしまう。
でも何かをする気力も出ない。
こんな時は嫌な事しか頭に浮かばない。
今日は何かを感じ取ったのか、母も静かにテレビを見ていた。



ボーッとしながら携帯をいじっていると、睡魔に襲われた。
私は一度寝たらなかなか起きれないくらい眠りが深い。
だから短時間の睡眠でも翌日身体がもつ。




普段なら…いつ織田さんから『帰るよコール』が来てもいいように、睡魔に襲われても極力寝ないで待つ。
でも今日の私は睡魔に負けた。
と言うか、『寝てしまえ!』と思った。
どーせメールなんて来ないんだから。



少し経った頃、
「あんた携帯鳴ってるよ!」
と、母に起こされる。



携帯が点滅している。
時計を見ると18時。
随時、寝ちゃったんだな。




そこには、
「どちら様でしょうか?(^-^;」
と言う陵くんからのメールが入っていた。



「どちら様でしょうか?」
陵くんの中で、私は完全に過去の人。
この時、思った。
もう二度と陵くんにメールすることはないだろう…。



No.207 14/03/02 07:54
匿名0 

>> 206


電話でもないのに
「間違えました。すみません」
と、返信した。
急に恥ずかしくなった。
私だと気づいたら、今更なんだよ?って思うよね…。



返信はすぐに来た。
間違えメールに返信なんて来るんだ?
私だったらスルーだな!
なんて考えながらメールを開く。



「嘘だよ!凛は相変わらずだな」




相変わらず?
相変わらず、何なんだろ?
冗談だったのか…。



「急にごめんね。
今、家?仕事中?」



「どちらでもない。
大丈夫だよ!メール出来るから。
なんかあったのか?」




「…うん。
ちょっと…聞いてもいい?
男の人は、結婚してても本気で人を好きになっちゃう事ってあると思う?」



「あると思うけど(^-^;


そして必ず天秤にかける。

嫁 vs 彼女
子供 vs 彼女
嫁•子供 vs 彼女


どれかに天秤が傾けば結論は早い。
だけど、天秤が平行な奴はダラダラ…と」



「そっか。
以前かなり前にバレた時は


情けないがどちらも選べない。
子供と離れるのが1番辛い。って言ってた。


これは、天秤が傾いてるよね。
子供に。」




「彼と将来の話をした事はあるか?
お互いの意思表示は?


何か大きな行動を起こすには、必ずリスクが出る。
彼がそのリスクにビビっているようなら別れた方がいい。
40、50歳になって気づくより早い方がいい」



「織田さんに『離婚』の選択肢はないと思う。
バレたら全て終わりだから、っていつも言ってる」



結構、長い時間 私の話を真剣に聞いてくれた。
ここでは少し省略しているけど、事の成り行き等も話した。


最後に
「彼は、バレたらどうするつもりなんだろ?
今の時点で1番都合がいいのは彼だ。
例えばバレたとして
凛は、さほどダメージはないよな?

彼は?
さて、どうかな?」



仕事も家庭も失う…と、言いたいんだよね。
その言葉をそのまま返した。



「お前は人が良すぎるぞ!
しっかり足元を見てみ。

そして答えが出たなら、それが自分が出した答えだ。
へこたれるな!」



人が良すぎる…。
どういう意味なんだろう。
もっと話をしたい気持ちもあったけど、ここまで真剣に付き合ってくれた。
「楽しく飲んでる時にごめんね
でも、ありがとう♪
ちょっとキチンと考えてみる」



「うるせー!
飲んでるよ、悪かったな!
いつも酔っぱらいで(笑)」



最後に一言。
「俺は元気だ。凛も元気出せよ!」
と言うメールでバイバイした。



その後…
陵くんが言ってくれた言葉の意味を何度かメールを読み返しながら考えていた。



No.208 14/03/02 08:16
匿名0 

>> 207


将来のこと。
お互いの意思表示。
そんなこと話す時間さえ、無い。
以前は勤務予定やスケジュールもマメに教えてくれてたけど…
地獄のような勤務体制になってからは、スケジュールさえ自分で把握出来ていない様子だし、事後報告の方が圧倒的に多い。



織田さんはきっと、仕事と家庭と私。
これらを両立していくのはもう無理なんじゃないか?
優先順位が低い私が、結局は最後に後回しになる。



そういう事…だよね…。



通知音が鳴った。
これはライン。
ラインが鳴れば、相手は織田さんだとラインを開く前に分かるように、私は織田さん以外の人とラインはしていない。


だから、通知音が鳴れば その相手は必ず織田さんだ、と言うこと。
たまーに、ごくごくたまーに、兄から鳴ることもあるけど、そんなのはホントにマレ。



「お疲れ!
今日は、英ちゃんに飯ご馳走してくるね!
色々、世話になったからさ」



今月は、2回しか逢えていなかった。
最優先にして欲しい。
とは思ってはいないけど…結局のところ、私はどこかで「最優先にして欲しい」と思っているんだろう。


そんな時間とお金があるなら…
どうして私と逢おうとしてくれないんだろう。
段々と私は、ひねくれていった。


No.209 14/03/02 08:28
匿名0 

>> 208



「起きた」から始まり、
「①?」の質問に「もちろん(*´3`*)ゞ」
と、返信があったきり今日はメールもしていない。


英ちゃんとは帰宅路線が一緒。
って事は、帰り道も英ちゃんと帰る。
解散後メールをくれたとしても、メール出来る時間は20分くらいしかない。
どうせ飲むんだろうから、解散後、寝てしまう可能性も低くはない。



結局、2回しか逢えずに、この1年が終わる。
モヤモヤしたままの10連休になりそうだな。


「はい…」
気の利いた言葉なんて思いもつかず。
今度は解散メールを待つ時間が始まった。

No.210 14/03/03 02:09
匿名0 

>> 209



昨日、実は…
こんなメールをした。
「今日、連絡がなければ…全て終わりにしようと思います。
連絡がある事を願って待ちます」



私も…究極の所で我慢と戦っていた。
織田さんが私を放置する行為…
マメに連絡をくれる織田さんだから、私は常に安心していられたんだ。


必ず約束を守ってくれる誠実な織田さんが大好きだった。


いつも心配性の私をわかってくれて、ちゃんと気持ちを態度や言葉で表現してくれる織田さんだから信じてこれた。


今は?
織田さんからのメールや連絡が来ないのは、どこか「手抜き」のように感じてた。



何度同じ事をされても、結局いつも許してきたから…「まぁ大丈夫だろう」くらいにしか考えてないんじゃないか、と。



私がどれほど嫌で不安か、なんて 何度も何度も言っては喧嘩をしてきた。
それが分かっていながらも同じ事を繰り返すのは、本当に連絡が出来ないからじゃない。
連絡する気がないだけなんだ。



言えば、私がどう出るか…分かってるもんね。
もういい加減、織田さんも嫌になって来てるんだよね。



今まで信じてきた気持ちも、
織田さんが何を考えてるのか分からなくなってきていた。


織田さんは意外と頑固だから、1度決めたことは徹底的に曲げないとこがある。
前に
「もし凛が別れを選んだら俺に止める資格はない。
もう追いかける事はしない」
と、言われた事がある。



それ以来、簡単に口にするのは怖くてやめていた。
「全て終わりにします」



口走ってしまうくらい、私にとって
辛い日々が続いていたんだ。
織田さんは怒ってたね。
「勝手にしろ」
って。



その後、電話があって笑わせようとふざけてた。
そんな事があっての今日。
どれだけ想ってくれているとしても
どれだけ信用しろと言われても
時に不安で押しつぶされそうな時もある。



そんな時はせめて
言葉が欲しい時もあるんだよ…織田さん…。



No.211 14/03/05 02:11
匿名0 

>> 210


「もう会社出た?」



「急遽、取引先行く事になって今向かってる。
飯は中止!」



中止か…。
普段の私なら「ヤッタ♡メールできる♪」くらいに嬉しくなるはずが、まだ昼間の件を引きずり…
ちゃんと喧嘩しないでラブラブで終われるのか不安がよぎった。



しばらくして
「○○さんと飯食うね!」
と、メールが来た。



なんだ…
結局、相手が変わっただけじゃん。
○○さんも路線が一緒。
やっぱりメールは 20分くらいか。
20分だと、混む電車だからメールはあまり出来ない。
寝ちゃったら何度かやり取りする前に到着する。




やっぱり…気持ちに差があるのかな…。
温度差が。
織田さんにとっては逢えない10日間や年内最後なんて、たいした問題じゃないのかな。



考えれば考えるほどネガティブになる。



織田さんは毎日毎日忙しくて、私を「好き」とか、そんな事を考えてもいられないのかも。
それだけ忙しい忙しい言ってるんだもん。
織田さんにとったら、この上ない嬉しい10連休だよね…。



ピンコン♪




あ…解散したのかな?
○○駅だな!きっと。



それにしては少し早すぎる時間だった。
まぁ2人共、早食いだからね。



ラインを開くと
「解散!
出れる?」


の、メールだった。
予想外だっただけに、嬉しいような。
でも、まだどこかスネている自分もいた。



でも…凛。
待ってたんだよね?
逢いたくて逢いたくて指折り数えて待ってたんだよね?
今日逢わなくて、いつ逢うの?



こういう時は素直になりなよ。



「仕方なく?
仕方なく逢うの?」




「計画的犯行です!」




「逢おうって約束しててダメになったら凛へそ曲げるから、内緒で計画してた」



そっか…。
ちゃんと考えてくれてたんだね…。


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