【続】あの時違う道を選んでいたら…

レス493 HIT数 125955 あ+ あ-


2014/06/12 19:10(更新日時)



あの時違う道を選んでいたら…


の続きになります。



ミツルと別れてからの
道のりを綴っていきたいと思います。




14/03/03 16:15 追記
性的描写を一部含みます
苦手な方は、閲覧注意して下さいね。



No.2053560 (スレ作成日時)

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付箋

No.51


次の日は休みだった

いつものように
香の店にいた


『どうなった⁉』


『どうなったって…』


『例の憧れのさ。』


『変わりはないよ。
昨日もご飯だけ食べて
送ってもらった。』


『ふ~ん。』


『週に1度だけ、ご飯奢ってもらうって、付き合ってるって言えるのかな⁉』


『さぁ~⁉(笑)』


『なんか綾野さん、緊張しちゃうんだよね…』


『倫子はさ、女子校だったからじゃない⁉』


『そ~かな~⁉』


『綾野さんて、大人なんだよ。』


『そ~、大人なんだよね…』


『やっぱ美容師の男の人って、女慣れしてるんじゃないの⁉』

『今度、リンゴの店に綾野さんとやらを偵察行ってみようかな⁉(笑)』


『そ~してよ。
私、見る目がないからさ。(笑)』


そんな香と会話をしていた。



No.52


数日して、香がお店に
綾野さん指名で予約の電話を入れて来た


『どうぞこちらへ。』
綾野さんが対応している

気が気じゃない💦

けど、素知らぬ振りして
チョロチョロ掃除をする


『どうなさいますか⁉』


『ショートにイメチェンしたいんです。
今までショートにした事がないのでイメージがわかなくて…』


綾野さんが雑誌を見せながら、香とイメージを作りあげていた

鏡越しに香と目が合う
ニッと香が笑う


カットとカラーをして
香は満足気にお店を後にしていた。





No.53


『ソーダ水ちょ~だい‼』
『で、どうだった⁉』


『皆が似合うって言ってくれた。
超お気に入り⤴』


『うん、うん、似合ってるよ。』


『なんかさ、ちゃんと話を聞いてくれて、
でもここはこうした方が自分でもブローしやすいですよって意見もしてくれて、それが強引じゃなくて、
いい感じ⤴』

『プロだね。』


『そりゃプロだよ~(笑)』


『で…綾野さんは⁉』


『ステキだね。
憧れちゃう気持ちがわかるよ。』

『彼氏だったら、自慢しちゃうね。⤴』


『でもリンゴが緊張しちゃうって気持ちもわかるよ~な気がする。』




No.54



『おっ…可愛いじゃん‼』
徹ちゃんが来た

『でしょ~。💕』


『似合ってるよ。』


『エヘヘ…
リンゴの店に行ってきたんだ。』


『ヘェ~、リンゴちゃんにやってもらったの⁉』


『まさか~…ネッ‼』


『そ~言えばさ、日曜日に、健ちゃんちで鍋パーやるんだけど、リンゴちゃんも来れる⁉』


『行っていいの⁉』


『あ~、香と俺と健ちゃんだからさ。』





No.55


日曜日、仕事が終わって香の店に寄っていた

徹ちゃんが迎えに来てくれた

途中で飲み物を買って
健ちゃんちに行った


『お邪魔しま~す。』


『適当に座って…』

鍋が用意されていた


『あっ…コレッ…』


『そう、きりたんぽ鍋』

『田舎から送ってきたから…』


『じゃ始めようか、乾杯~🍻』


『お疲れ~、乾杯~』


8畳一間のワンルーム⁉
ドアを開けると左手に流しがあって、


コタツが一つとベッドがあるだけ…

乱雑に物が積み上げられた
男の部屋って感じだった



No.56


『美味しい⤴』


『だろ~⁉』


『健ちゃん料理するんだ⁉』


『まっ基本自炊だから。』


『へぇ~、ビックリ‼』


『この鶏肉違うね⁉』


『比内地鶏、シコシコしてんだろ⁉スープもね。
きりたんぽは、入れたら煮込まないで食べんだ。
煮込んだら、グズグズになっちゃうから。』


『うん、うん、
ハフハフ、美味しいよ。』


『腹いっぱい食え。』

そう言ってる健ちゃんはビールばっかり飲んでいる。


No.57



『腹いっぱい~
美味しかった、
幸せ~⤴⤴』
ポンッポンッお腹を叩いて笑ってた


『色気ね~なぁ~…』
健ちゃんが言った

『色気より食い気
花より団子‼』



『お正月にスキー行くんだけどさ、、リンゴもお正月は休みでしょ⁉』
香が聞いてきた


『31日まではめいっぱいだけど…
正月は休みだけど…』


『一緒に行こうよ‼』


『でもスキーの道具なんて何も持ってないし…』


『大丈夫だよ、板と靴は向こうで借りればいいし、、ウェアだけ買えば。』


『うん…』




No.58



健ちゃんと並んで洗い物を片付けていた


『火曜日さ、夕方にでもウェア見に行く⁉』

『あっ…俺も丁度、手袋だけ欲しいと思ってて…』


『でも…スキー行ったことないし…』


『大丈夫だよ…』



………
……………
……………




ふと、綾野さんの顔が頭に浮かんだ

綾野さん、に言ったらなんて言うかな⁉
なんて考えていた





No.59



月曜日の夜


綾野さんと食事をしていた

モッツァレラチーズと
濃厚なトマトに
オリーブオイルとバジルをちりばめた
シンプルなカプレーゼ


魚介の味がよく出た
美味しいパスタ


洋酒のたっぷり染み込んだババにフルーツを添えてあって、甘味を抑えた自家製ジェラード


小さいカップの
エスプレッソ



『美味しい⤴💕』





釣った魚に餌はやらないってあるけど…
綾野さんといると
いつも、美味しい食事ばかりで
フォアグラにされそうだ(笑)

そんな事を考えていた(笑)



No.60



綾野さんは
いつも洗練された
オシャレさんだ…


エスコートもスムースだし

そんなのに慣れてないから、緊張しちゃうのかも…


『綾野さんて、オシャレなお店いっぱい知ってますよね⁉』


『外食か買食が多いからね…』


『自炊はされないんですか⁉』


『家に帰って、疲れて自炊する気にならなくてね…
若い頃はしていたよ。』






No.61



『いつも、こんなに美味しいお食事ご馳走にばかりなってて…
高いし、、、心苦しいんですけど…』


『遠慮しなくていいんだよ。』

『でも、この前、お蕎麦食べに行ったじゃない…
俺も、お蕎麦好きだから、嬉しかったよ。』


“⁉⁉⁉⁉⁉“


『女の人って、フレンチとかイタリアンとかが好きなのかなと思ってたよ(笑)』


『たまの特別な日にはフレンチとかイタリアンとかって盛り上がりますけど…
普段は、高くて食べられないですよ…』

『きっと綾野さんが、そうゆうのが似合うステキな女性と付き合ってたんだと…』


『そんな事ないよ。』

『そんな事、思ってたの⁉(笑)』




『私なんかじゃ、釣り合わないなって……』





私、何を言い出してるんだろ………







No.62



『綾野さんは、お正月ってどうされるんですか⁉』


『いつも年末は予約も入りきれないくらい忙しいからね。
元日は爆睡してるよ。
でも、来年は新店舗があるから、元日くらいは休みたいけど…
そ~ゆ~訳にもいかないだろうね…』


『そ~ですよね…』


『どうして⁉』


『友達にスキーに誘われて…』


『行っておいで…』



“行っておいで“か…
大人だな…
誰と行くとか
どこへ行くとか
聞かないんだ…



No.63



なんかちょっと寂しい気持ちもした…


女って面倒臭いよね⁉


束縛され過ぎれば
嫌になるし


束縛され過ぎないと
それはそれで
物足りない⁉ような気持ちになる…


お互い信頼していれば
何をしてようと
気にならないのかな⁉




綾野さんとは
“釣り合わない“って感じてる…






No.64



次の朝


“いただきま~す“

ご飯に味噌汁、漬物に卵焼き、納豆…
メンタイコなんかあったら最高だよね~。

あ~美味しい⤴⤴

やっぱコレだよ…



『何ニヤニヤしてんのよ⁉』
母が言った


『やっぱさ、ご飯に味噌汁、お母さんのご飯が一番だなって思ってさ』


『何~⁉(笑)』


『あっ…昨日、健ちゃんから、きりたんぽのお裾分けもらったのよ。
今度会ったら、お礼言っといてね。』


『へぇ~、健ちゃん来たんだ…
今日一緒に買物行く約束してんだ。』


『あら、そ~なの⁉』


『お正月にさ、香なんかとスキー行こうって誘われてさ…』


No.66



『じゃ、行ってくるね~』


『ちゃんとお礼言っておいてよ~。』


『わかってるよ。』


香の店に向かって歩いていた

プップ~ッ🎵
車のクラクションの音に
振り返ると
健ちゃんだった


『よ~っ✋』
『ナイス、タイミング👍』


『お母さんが、ご馳走様ってさ。』


『食いきれないからよ。』

一緒にウェアを買いにスポーツ屋さんに行った

これがい~とか
あれがい~とか

似合うとか似合わないとか…

『他の店も行ってみるか⁉』


『うん⤴』


健ちゃんの車に乗り込み
スポーツショップ巡りをした


『健ちゃん、付き合ってくれて、ありがとうね。』


『俺も手袋欲しかったからついでさ。』

『楽しみだな…』


『うん⤴』


『腹減ってない⁉』


『減った。』


『お母さんが、今日きりたんぽ鍋にするって言ってたから、嫌じゃなかったら家に来ない⁉』


『いいの⁉』


『もちろん(笑)』







No.67


『ただいま~。』


『あらっ、早かったわね⁉』


『お邪魔します。』


『あらっ、健ちゃんいらっしゃい。』


『今日、きりたんぽ鍋にするって言ってたから、誘ったんだ。』


『あらっ、よかった⤴
お兄ちゃんからさっき、夕飯いらない電話があったのよ~。』

『すぐ支度するわね。』


お母さんの手伝いをしていた


支度と言っても、きりたんぽ鍋の材料はセットになっていたから、カセットコンロと鍋を用意して野菜を切っただけだった


母もきりたんぽ鍋は初めてだと言う

結局、鍋の仕切りを健ちゃんに頼んでいた(笑)


No.68



『美味しい~⤴』
母が言った


『でしょ~⤴』


『健ちゃんて、何でも出来るのね⁉』


『お母さんっ‼
健ちゃんは何でも屋じゃないんだからねっ‼』


『いいっスよ…
俺で出来る事なら。』






お鍋って暖まるね
温かいよね…
お鍋を囲んでいると
笑顔になるよね…

健ちゃんのきりたんぽ鍋は温かかった



No.69



『ご馳走様でした。
とっても美味しかったわ。』
母が、健ちゃんに言ってた

『こちらこそ、ご馳走様でした』
健ちゃんも母に言っていた



『お母さん、ちょっと香の店まで行ってくる~。』


『また、いつでもいらしてね。』


『ありがとうございます。
ご馳走様でした。』


車に乗り込む



No.70



『きりたんぽ鍋…
前に食べさせてやるって約束したから、美味しいって言ってもらえて良かった…』


『うん、ホント美味しかった⤴』


『健ちゃんの温かみが加わって、いい味出てるし(笑)⤴』


『よくわからん事言うな…』


『あれっ⁉
健ちゃん、照れてるぅ~⁉(笑)』


『ほらっ、着いたゾッ‼』


No.71



『あれっ、お揃いで‼』


『スキーウェア買ってきた。』


『いいのあった⁉』


『うん⤴⤴』




『その前に…
今年のクリスマスパーティーは参加しますかぁ⁉』


『クリスマスはお店が忙しいから…』


『遅れてもい~じゃん。
おいでよ。』


『うん……
ちょっと返事は待って…』


『あっ…わかった…』





お正月もスキー行っちゃうのに…


クリスマスも…なんて
ないよね…


No.72



電話してみようかな…



店の片隅にある
公衆電話のBOXに入った

受話器を握り
電話を掛ける

ピッポッパ…


トゥルル~…
トゥルル~…トゥルル~…

ガチャ、はい只今外出しております…

留守番電話だった…


“留守なんだ…“⤵

電話を切った…


なんか凹む



No.73



『どうだった⁉』
香に聞かれた

『留守電⤵』


『そっか、今週中に返事くればい~からさ。』


『うん…』



『健ちゃん、今日はありがとう。
私、帰るね。』


『送って行こうか⁉』


『い~よ、近くだから大丈夫(笑)』


『そっか…✋』


一人お店を後にして
トボトボと歩いて帰った




『ただいま~』


『お帰り~、早かったわね。
お風呂入っちゃいなさいよ~。』


『は~い。』




No.74



次の日も
お店はお休みだった


第三(火)(水)は連休になる

お昼頃になって
起き出した


綾野さんに
電話してみようかな…



トゥルル~…
トゥルル~…
トゥルル~…

また留守電だ…⤵


忙しいんだろうな…


結局、連休なのに
綾野さんの声すら
聞くことは出来なかった…



No.75



木曜日…


『おはようございま~す‼』


普通に普通の日常が始まっていた


『あれ⁉
綾野さんは⁉』


『今日は、有休って書いてあったよ。』
百合子さんが答えてくれた

『へぇ~…』


『気になる⁉(笑)』


『そ~ゆ~訳じゃないけどさ、いつも早く来てるのに見えないから…』



ホント、私って何にも知らないっちゅ~か…



有休って…⁉



No.76



仕事が終わって
綾野さんに電話を入れた



トゥルル~…
トゥルル~…🎵


☎『もしもし…』


☎『もしもし…』
『………』





☎『倫子ちゃん⁉』



☎『ハイッ…』


☎『お疲れさま』
『どこに居るの⁉』


☎『お店終わって…
駅の近く…』


☎『迎えに行こうか⁉』


☎『はい…』


☎『すぐ出るから…
ちょっと待っててくれる⁉』


☎『はいっ…』





20分くらいして
綾野さんの車が来た



No.77



車に乗り込む



……………
…………


……………
……………
……………


……………
………………


『ご飯は⁉』


『いえ、大丈夫です…』


『大丈夫って、
食べてないんでしょ⁉』


『・・・・』


『お店で何かあったの⁉』


『何もないです…』


『じゃ、うちでコーヒーでも飲もうか…』

綾野さんのマンションへと車を走らせた



No.78



『どうぞ‼』
綾野さんがコーヒーを
入れてくれた


『有休でしたね…』


『あぁ…』


『電話も入れたんですけど…
ずっと留守電だったんで…』

『どちらかへ行かれてたんですか⁉』


『あぁ…たまに一人で遠出したくなるんだ…』


『一人でですか⁉』


『あぁ…』




『綾野さん…
私ってなんですか⁉』





私って
面倒臭い女だ
自分でも、わかってる…



No.79


『ごめん…
寂しい思いをさせたみたいだね…』

綾野さんが横に座り
優しく抱きしめてくれた


『今日、お店行って綾野さんが休みだって初めて知って…』


『そうか…ごめん…』


『いつも接客してるから、たまに一人でフラ~ッとドライブしたり…
静かな美術館巡りをしたりするのが好きなんだよ…』


『綾野さんは、一人になりたいって事ですよね⁉』
『私なんて、面倒臭いですよね⁉』


『そ~じゃないよ…』


『倫子ちゃんには、倫子ちゃんの時間が必要だし…
俺には、俺で一人の時間も大切なんだよ…』


『私は…
綾野さんみたいに大人じゃないから、、、
休みの日は一緒に居たいって思っちゃいます。』




『そうか…そうだね…
ごめん、、
わかってあげられなくて…』



『今が新店舗オープン前で、忙しい時だってわかってるつもりです…
でも…
私はやっぱり物わかりのいい大人じゃないから無理です。
ごめんなさい…。』



綾野さんの腕から
逃げるようにして
マンションを後にして必死に走っていた…







No.80






自爆した……











No.81



ふぅ~…


真っ直ぐ家に帰る気にもなれず…



行く所は…



香の店しかなかった…



『ただいま~』


『お疲れ~‼✋』


『奮発して…
クリームソーダ…』


『おやおや~っ…
なんかあったん⁉』


『よくわかるね~…』


『リンゴ…
アンタの顔みりゃ…
プッ…酷い顔してるよ…』


『だよね…
わかってる…
飲んだらすぐ帰るから…』


シュワシュワ~…
溢れてくる…


ハッ…
自爆したのに
クリームソーダだよ…⤵⤵


私ったら…
なにやらかしちゃったんだろ…

明日、どんな顔して
店行ったらいいんだよ…




No.82



『ごち…帰るわ…』


『ん⁉よく寝なよ✋』




はぁ~っ…










No.83



目が覚めた…


寝ちゃったんだ…

寝られるし…
食べられるし…


私って…最低だな…



普通なら、こんな時…
寝られないし…
食べ物も喉を通らなくなって…



休む訳にも行かず
仕事に向かう…



『おはようございま~す…』


『おはよう‼』


ゲッ…
ドアを開けたら、
よりによって真ん前に綾野さんだ…


いつもと変わりない⁉

変わりなくもないか⁉


『よかった…ちゃんと来たね…』
小声で綾野さんが囁いた…


『ハイッ…』
私もうつむきながら
小声で答えた…




なんなんだよ~………




No.84



何もなかったように
仕事をしてる


綾野さんもだ……



お客様に綾野スマイルで…


イラッとしてる
自分に気がついた…


なんて小さい女なんだろう…
私って…最低⤵





『お疲れさま~
お先に失礼しま~す。』

『お疲れ~』


今日はこのまま学校だ…




No.85



授業を受ける



そ~だ‼
私には目標があったんだ。
また勉強と仕事にだけ集中して、自分を取り戻せばいいだけだ…
ガンバッ、私‼


やけにポジティブな自分に凹む…



『またね~‼✋』

『バイバイ~✋』


学校も、終わった…


ふぅ~っ…



No.86



ゲッ…


綾野さんの車だ…


学校まで綾野さんが迎えに来るのは初めてだった…


どうしよう…

素通りする訳にもいかないよな…


『乗って‼』


乗り込む
『ど~も…』


『お帰り。』


あんなことがあったのに…
綾野さんはポーカーフェイスだ…



No.87



『ご機嫌は、なおった⁉』


『おちょくってます⁉』


『いや…
そんなつもりは…』



沈黙……



『お腹、空いてるでしょ⁉』


『餌で釣ろうとしてます⁉』


……………
……………
……………


『クックックッ(笑)』


『なにが、可笑しいんですか⁉』



『ゴメン…
可愛いいなって思って…』


『失礼ですよねっ‼』



……………
……………
…………






大きな市民公園の
駐車場に車を入れた





No.88



『少し、歩こうか⁉』


綾野さんが車から降りて
助手席側のドアを開けてくれた


ポチポチと歩き始めた

駐車場から公園へ入ると
遊歩道になってて

遅い時間だと言うのに
ランナーや
犬を散歩させてる人が結構いた


『初めてだね…』
綾野さんが言った


『えっ⁉』


『こんな風に歩くのって…』


『・・・・』



綾野さんが手を繋いできた


『こんな風にデートしたことなかったな…
ゴメンな…』




No.89



『昨日…倫子ちゃんが
俺の腕からすり抜けて
出て行った後……』



『ちゃんと倫子ちゃんと向き合ってやれてなかったなって、気がついたよ…』


『新店舗の事で頭がいっぱいで…
余裕がなかった…
一人になりたいとかって勝手だよな…』







No.90



『・・・・』

『無理しなくていいですよ…』



『そんな風に言うなよ…』



『年の差は埋められませんから…
綾野さんが、“今“大変な時だって、
私だってわかってますから…』



No.91


『私は、私で…
仕事と学校で
いっぱい、いっぱいで
正直、余裕なんてないかわけで…
これ以上、
綾野さんに迷惑かけたくないです…』



『迷惑だなんて思ってないよ…』



『後、半月もしないうちに、綾野さんは新店舗へ行っちゃいますよね⁉
益々責任も重くなるし
忙しくなるし…
逢える時間なんてなくなりますよね⁉
私…そんなの…
ツラいです…』



『ツラい…か…』



『私、面倒臭い女ですよね⁉』



『そんな事ないよ…』
『俺も器用な方じゃないからな…』




No.92



『車、行こうか⁉』


『ハイッ…』


車に乗り込む
『俺は、別れ話をしに来たつもりはないんだ…』


『・・・・』



『ちゃんと、倫子ちゃんと前向きに付き合って行きたいと思ってる。』



『これ……』



『何⁉』



『マンションの合鍵…』



『ううん…いらない…』



『なんで受け取ってくれないの⁉』





No.93



『マンションて…
綾野さんにとって、他人に踏み込まれたくない聖域じゃないですか⁉』


『なんでそう思うの⁉』


『なんとなく…』


『鋭いね…
確かに…
部屋に女の子を入れたのは、倫子ちゃんが初めてなんだ…』


『綾野さん、
結構、無理してますよね⁉』


『そんなことないよ…』
『どうしたら、わかってくれるかな⁉』



No.94



私って…
面倒臭い…

意地悪で…

意地っ張りだし…


綾野さんを前にすると
素直になれる自分と
意地っ張りな自分がいた



綾野さんは
“どうしたらいい⁉“
“どうしたいの⁉“
“どうしたら、わかってくれる⁉“

って、いつも怒ることなく、穏やかに
聞いてくれた…



大人なのか⁉
性格なのか⁉



わかってて、
私ってタチが悪い…




No.95



『ねぇ、倫子ちゃん…』


『ハイッ。』


『無理して物わかりのいい大人になんてなろうとしなくていいよ…
倫子ちゃんは、年相応だと思うよ…
よく努力してるし…』


『倫子ちゃんのファンがいるの知ってる⁉』


“⁉⁉⁉“


『お店にくる常連の野村様とか…』


『野村のおばあちゃん⁉』


『そう、、いつも優しく気遣ってくれるって喜んでるんだよ。
前よりも倫子ちゃんの顔見たいってよく来るようになってる…
膝の具合どうですか?
っていつも膝掛けしてあげてるでしょ?
シャンプー台に移る時も、必ず手をひいてくれるって…すごく喜んでる。』


『他のスタッフも皆してることですよ…』


『そうだね…
でも、違うんだよ…』


『いつも、小さい野村様の目線の高さに合わせて
しゃがんでるでしょ⁉』


『あぁ…』


『意識してなかったの⁉』


『はい……』


『いい子ね、大好きって言ってたよ。』


『そうなんですか…
嬉しいな…』


『ちゃんと見てる人は見てるんだよ…
俺もそんな倫子ちゃんのファンなんだ…』


『・・・・』


『って言うより、
そばに置いておきたい…
抱きしめたいって思う…』


No.96



『遅くなるから…
送って行くよ。』


『はい…』


『ホントは…
送りたくないんだけどね…』


『・・・・』




『合鍵……』



『今は…
もらえません…』



『そっか…
わかったよ…』


綾野さんは
私の頭をクシャクシャと
撫でた…




No.97



綾野さんの
私を思ってくれてる
気持ちは伝わってきた



でも…
逢えないツラさは
よくわかってる

半月もしたら
たぶん…

今だって
お店では顔を合わせるけど…



綾野さんて
ホントは、器用じゃないんだろうな…

だから、人一倍、、人何十倍も勉強して、努力してきたんだと思う


日々、努力して積み上げた結果が大きな大会でも賞をとる実力に繋がっているんだろうな


そんな自分を見せたくないから
今まで誰も部屋には入れたくなかったんだろう…




【1%の才能と
99%の努力】
って言葉が好きだって言ってたな…



No.98



お店ではあくまで
ポーカーフェイス

当たり前だけど…


お昼も食べられないような年末の慌ただしさに
追われていた


ボーナスも入り
クリスマスを迎える頃は
女の子にとっては
勝負の季節

綾野マジックとでも言うのか⁉
女の子を輝かせる魔法をかける


何気に綾野さんに
アプローチしてくる人も
少なくはない



No.99



『お疲れ~‼
お先に~✋』


『お疲れさま~。』


今日は、
クリスマスイブ🎄


街はキラキラ✨と
イルミネーションが輝いている


お店も超忙しかった


ウキウキムードの
お客様に
ちょっとだけ
ウキウキ気分を
お裾分けしてもらった気分⤴⤴


“うまくやれよ~っ“
“頑張れよ~っ“
って、
私もちょっとだけ
魔法をかけてあげれたのかも(笑)



No.100



『遅くなりましたぁ~‼』

『倫子ちゃん待ってたよ~。』


『おつ~。』


『じゃ、倫子ちゃんも来たと言うことで~
またまた乾杯~‼』


ほろ酔い加減の
見慣れた常連の居る
香の店の
クリスマスパーティーに来ていた


パーティーと言っても
そこは慣れ親しんだ常連さんの飲み会のようなもんだった…



それでもイブの日に
家に居るよりはいい…



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