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【続】あの時違う道を選んでいたら…

レス493 HIT数 124932 あ+ あ-

りんご( ♀ UNyGh )
14/06/12 19:10(更新日時)



あの時違う道を選んでいたら…


の続きになります。



ミツルと別れてからの
道のりを綴っていきたいと思います。




14/03/03 16:15 追記
性的描写を一部含みます
苦手な方は、閲覧注意して下さいね。



No.2053560 14/01/24 14:07(スレ作成日時)

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主のみ
付箋

No.1 14/01/24 14:17
りんご ( ♀ UNyGh )


真智子と二人
帰りの飛行機の搭乗を
待っていた。


せわしなく
二泊三日で
やってきた沖縄


最終日もギリギリまで
沖縄で遊んで
夜のフライトとなっていた


修学旅行も新幹線だったから、二人とも、飛行機での旅行は初めてだった。



No.2 14/01/24 14:23
りんご ( ♀ UNyGh )



『真智子、楽しかったね。』


『うん、メチャメチャ楽しかった。』


『また来ようね。』


『今度はさ、石垣とか離島に行ってみたいよね⁉』


『うん、二泊三日じゃなくて、、最低三泊はしたいよね⁉』


『うん。』


『遊び足りないもんね⁉』

『うん、遊び足りないと言えば…足りないね(笑)』


『いっそ…住んじゃいたいよね。』



そんな会話をしていた

No.3 14/01/24 22:24
りんご ( ♀ UNyGh )

『どうやって帰ろうか⁉』

当初、空港から地元までの直行バスに乗るつもりだったのだが…

飛行機ってヤツは
1時間や2時間くらいは
離陸でも着陸でも
簡単にズレる⤵


空港の上まで来たのに
ゲリラ豪雨だか
雷だかで…
と、機内アナウンスが入り
上空をクルクル旋回してて
なかなか着陸してくれなかった


結果…直行バスの最終便には間に合わない時間になってしまっていた


もちろん、公共交通機関も間に合わない…


タクシーなんてもったいないし…
翌朝まで空港で時間を潰すしかないのもかね~
なんて、にわか沖縄ボケした二人はノンキに話していた。



No.4 14/01/24 22:53
りんご ( ♀ UNyGh )


今だに…


離陸とか着陸とか

着陸の
ゴーッと助走から
ガァーッと行って
フッと浮いた瞬間
地に足が着いてないってゆうか…
(その通りなのだが…)


また、離陸のその瞬間の
ドスンッと
足が着いた瞬間の
スピードの速さに
ちゃんと止まるのかと
いちいち、不安になるのは
慣れればなくなるのだろうか⁉(笑)


トイレに行けなくなった瞬間のランプを見ては
なぜかトイレに行きたい衝動にかられたり(笑)


田舎者丸出しで
やたらゴソゴソと
いじくれるものを
探りだしてみたり

席が窓際じゃない時は
子供のようにガッカリしちゃうんだよね~…



No.5 14/01/24 23:01
りんご ( ♀ UNyGh )

やっと着いた

ゾロゾロとモタモタと
人波の流れに乗って
ついて行く


ベルトコンベアーから
流れくる荷物を探し出す

同じような荷物が流れてくるから
これがまた大変な作業で

見つけた瞬間
ゲットしなくちゃと
荷物は逃げないのに
妙に緊張したりするもんです(笑)



『あった‼あった‼』


二人して、無事
荷物を手に喜びを分かち合う⤴


さて次は…
出口…出口…



No.6 14/01/26 21:25
りんご ( ♀ UNyGh )


荷物を引きづりながら
出口を探して歩いていたら

前から見慣れた顔が
歩いてきた


『あれ~っ、どうしたの⁉』と声を掛けた


『迎えに来たんだよ。』


『へぇ~誰の⁉』


『誰のって…』


『えっ⁉』


『えっ⁉じゃないよ。』


『えっ⁉』
『えっ⁉もしかして私の⁉』


『もしかしなくても、お前‼』


『え~っ…うそっ⁉』
『なんで⁉』


『なんでって、来ちゃマズかった⁉』


『いやいや、、なんでわかったの⁉』




会話の相手は…


健ちゃんだった




No.7 14/01/26 21:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『今日は、朝から雨だったから、仕事が休みでさ』

『おばさんに、縁側の縁台の修理をを頼まれてたから、お前んちに行ったら…
おばさんから、今日旅行から帰って来るって聞いてさ…』

『雨で暇だったから…』
と言った


『えっ⁉えっ⁉』
『いつから来てたの⁉』


『昼過ぎくらいからかな…』


『え~っ⁉』




母には、帰りの便の時間までは言っていなかった…

昼過ぎから、ずっと
沖縄からの到着便が来る度に、見ていたというのか⁉


『いい暇つぶしになったよ。』



『健ちゃん、ありがとう。』


『だいたい、こんな時間に到着して…
どうするつもりだったんだよ⁉』


『・・・・』


『まったく…』
『ほらっ、荷物よこせよ。』


私と真智子の荷物を持って、スタスタと駐車場へと健ちゃんは向かって歩き始めた


『誰⁉』
真智子が聞く


『知り合いのペンキ屋さん。』



『すいません…
ありがとうございます。』
真智子が言った


『いや、気にしないで、
暇つぶしに来ただけだから…』
と健ちゃんが
笑って答えた



No.8 14/01/26 22:00
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃん、お母さんに頼まれても断っていいんだよ。
健ちゃんはペンキ屋さんなんだからさ、大工さんじゃないんだから…
お母さんも、なんでも健ちゃんに言えば直してくれるって思っちゃって図々しいんだから、ごめんね。
健ちゃんも人が良すぎるよ…』


『いや、いいんだよ。
暇な時でいいからって、おばさんも言ってたしさ…』


後部座席で真智子と二人座っていた


『お腹空いてないの⁉』
健ちゃんが尋ねた


『ちょっと空いてる…』


『じゃ、ファミレスかどっか寄るか⁉』


『うん⤴』


で、、開いてた牛丼屋に寄っていた


『楽しんで来たのか⁉』


『うん⤴』

『でも、遊び足りない…』


『そりゃ、贅沢ちゅ~もんだ。
俺だって沖縄なんて行ったことないのに…』


ガツガツと牛丼を平らげた



『ごちそうさま。』


『私までご馳走になって、ありがとうございます。
ごちそうさまでした。』
真智子が言った


『ど~いたしまして‼』

『しかし、まぁ~、
ガツガツ牛丼平らげて、
色気ね~よな~。』
健ちゃんが言ってる


『健ちゃんに色気出したってさぁ~…(笑)』


『早く帰るべ、、
家で心配するからさ。
家に電話入れとけよ。』


公衆電話の横に車を停車してくれた


真智子と二人で家に電話を入れた




No.9 14/01/26 22:14
りんご ( ♀ UNyGh )


真智子の家に到着した

『ありがとうございます。
助かりました。』


『リンゴ、またね✋』


『またね~✋』



『健ちゃん、ホントにありがとうね。』


『いや、いいんだよ。
暇だったからさ…』

『でもさ、ちゃんと考えろよ、
俺が迎えに行かなかったら、どうするつもりだったんだか…』


『は~い…』


『じゃ、、
コーヒー1杯付き合えよ。』


『は~い。』

健ちゃんとファミレスに入った


『沖縄の海ってね
すっごくキレイなんだよ。
すっごく澄んでて、お魚がいっぱい泳いでるのが見えるんだよ。
バナナボートにも、乗ったんだよ。』


後から後から喋っていた


健ちゃんは
『うん、うん、それで⁉』
『うん、うん、良かったなっ。』

って笑って聞いていた。


コーヒー1杯だけ飲んで

『もう遅いから、、話はまた聞きたいから、この次に聞かしてよ。』


『うん、そ~だね。』

少し走って家に着いた


『健ちゃん、ありがとう
ホントに助かった。』


『ど~いたしまして。』


『ありがとう。』
『またね。』


『あぁ、続きの話楽しみにしてるから…
おやすみ✋』


『ありがと‼
おやすみ。』






No.10 14/01/26 22:25
りんご ( ♀ UNyGh )


『ただいま~‼』


『お帰り。』

『健ちゃん、迎えに行ってくれたのね⁉』


『行ってくれたのね、じゃないよ。
お母さんが言ったんでしょ⁉』


『今日、帰ってくるのよ~って話をしただけよ。』


『だいたい、健ちゃんはペンキ屋さんなんだからね‼
何でも屋さんじゃないんだから…
なんでもかんでも頼むの止めてよ。
恥ずかしいよ…』


『なんかあったら、なんでも言ってくださいって言ってたから…』


『も~…
それが図々しいんだよ。』


おばちゃんヤツは…




No.11 14/01/26 22:33
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日
沖縄土産定番の
【ちんすこう】を持って職場へ行った


『お休みありがとうございました。』
と一人一人に挨拶していた



『おはよう、
楽しかった⁉』
綾野さんが声をかけてくれた


『お休み
ありがとうございました。
充電出来ました。⤴』


『良かったね。』


『ハイッ』



なんか、妙にやる気になっていた。(笑)



沖縄で気持ちを整理して
スッキリして
充電したからかな⁉



No.12 14/01/26 22:44
りんご ( ♀ UNyGh )



そう…

真智子と二人
傷心旅行


失恋のキズを
癒しに行こうって
目的で旅立った沖縄だった


もう、ミツルは…
すでに入籍も済ませ
子供まで産まれてる…


この時点で…
考えてもしょうがない

諦めるしかないと思っていた


あんなに自分の家族を欲しがって…
あんなに子供を欲しがってたミツル…


欲しいものが
手に入ったんだね…





私は…より一層
自分の夢に向かって
頑張ろうって思っていた




No.13 14/01/27 13:24
りんご ( ♀ UNyGh )


そんなある日
学校が終わって、
仲間数人と食事に行った


『最近どう⁉』
明君が言った


『何が⁉』


『仕事だよ。』
『人間関係がさ…』


『何かあったの⁉』


『なんか、やりづらくてさ…』


明君の店も
どちらかと言うと
大きなチェーン店だった


『一番下っぱだからさ、しょうがないんじゃないの⁉どこも同じようなもんじゃないの⁉』
と誰かが言った


『なんか、辞めたくてさ…』
明君が言う


『今は見習いなんだから
我慢して、
頑張るしかないよ。』


明君が言うには、仕事場に馴染めないらしい
イジメのような
仲間外れにされていて辛いと言うのだ…


どの業界にも
少なからず
イジメや仲間外れはあるのだろう…

仕事の辛さじゃなく
人間関係の辛さは
難しいものがある…



No.14 14/01/27 13:32
りんご ( ♀ UNyGh )


明君は、仕事も学校も
段々と休みがちになっていた…


明君に電話を入れた

☎『学校も来ないで
何してるの⁉』


☎『何もしてないよ。』


☎『学校おいでよ。
皆、心配してるよ。』


☎『ありがとう…』
『でも…
もう辞めようと思ってる…』


☎『そんな簡単に辞めちゃっていいの⁉』


☎『・・・』


☎『明日、必ず学校は来なよ‼』


☎『あぁ…』



そう言って電話を切った



No.15 14/01/27 13:43
りんご ( ♀ UNyGh )


結局、明君は、学校に来ることはなく…


簡単に夢を諦めて
辞めていった


皆、残念がっていた

皆が頑張ってると
思うから
多少辛い事があっても
自分も頑張らなきゃ
って思っていたのに…


何かもっと
相談にのってあげられたら

残念だった…


No.16 14/01/29 01:09
りんご ( ♀ UNyGh )

相変わらず

仕事に勉強に
忙しくしていた


と言うより、
忙しくしていたかった


忙しくしていれば
ミツルの事を思い出さなくて済むから…


沖縄旅行で
ふっ切ったつもりでも…


なんで…⁉
どうして…⁉


ミツルの口から
真意を聞きたい
自分も居た…


確かめたところで
納得なんて出来るはずもなく…


そんなで
忙しくしていたかったのだ…


No.17 14/01/29 14:54
りんご ( ♀ UNyGh )



『頑張ってるね。』
綾野さんに声を掛けられた


『ありがとうございます。』


『今日、終わってから予定ある⁉』


『ありませんけど…』


『よかったら、また食事付き合ってくれない⁉
一人の食事はど~も味気なくてね…』

『じゃ、、終わったら…』


返事をする間もなく
終わったら…
と言われてしまっていた…


なんか綾野さん、
緊張するんだよね…


尊敬してるんだけど
誘ってもらえて
嬉しいような
微妙なものがあった


No.18 14/01/29 15:08
りんご ( ♀ UNyGh )



綾野さんが目で合図して
先に店を出た
『お先に~‼』

『お疲れさまで~す。』


暫くしてから
私も店を出て
角を曲がった所に
綾野さんの車が停まっていた


『お邪魔します。』


『ど~ぞ。』


『何、食べたい⁉』

綾野さんは、必ず聞いてくれる。


『あの…
緊張しないところで…』


『肉⁉魚⁉
どっちがいい⁉』


『お肉のがいいかな…』


『了解』


車を走らせた

暫く走って
店の駐車場に車を入れた


焼肉でも行くのかなと
思っていたのに…


ステーキハウスと
書かれた店だった


入り口でスーツを着た人がドアを開けくれた

『綾野様、どうぞ』

名前まで知ってるんだ…

鉄板が丸くなっている
中で目の前でコックさんがステーキを焼いてくれる店だった…


またまた、こんな店
緊張するじゃん💦




No.19 14/01/29 15:21
りんご ( ♀ UNyGh )


メニューを出された

あ゛っ…
あり得ないほど
高すぎる…💦

困っていると


『まかせてもらっていいのかな⁉』


『あの…』
綾野さんの耳元で
小さい声で
『私、こうゆう店初めてで…』


『大丈夫だよ、じゃまかせてもらうよ。』
笑って綾野さんが言った


恥ずかしぃ…


最初に
小さいサラダと
生牡蛎がサーブされた

車ということで
ノンアルコールの
飲み物で

『お疲れさま』と乾杯をした

綾野さんが横に座っている
近い…


No.20 14/01/29 15:34
りんご ( ♀ UNyGh )


『こちらのお肉になります。』
『焼き方は⁉』

『ミディアムレアで。』

『ニンニクは、お入れしてよろしいでしょうか⁉』

綾野さんが、私の方を見る
コクンッと頷く

『入れて。』
綾野さんが答える


目の前でステーキが焼かれる…


一口大に切り分けられて
お酒が振りかけられて
炎があがった…



ひぇ~…💦
ステーキなんてものは
ファミレスでしか食べた事がない…
ファミレスじゃ、
炎があがるような
パフォーマンスはしない



目の前のお皿に分けられた

ご飯と味噌汁と
タレが出された


『どうぞ。』
お皿をそっと押し出された


『いただきます。』


No.21 14/01/29 15:49
りんご ( ♀ UNyGh )


『まずは塩だけで食べてみて。』
綾野さんが言った

塩をちょっとだけつけて
食べてみた


甘い⁉
肉汁が口に広がり
甘味があって
数回噛んだだけで
喉へと流れていった…


今まで食べてたステーキとはあきらかに違うというのは、十分にわかった…


『美味しい⁉』


『ハイッ、とっても‼』


『どうぞ‼』


色気より食い気…
夢中で食べていた

お箸が嬉しい

目の前で野菜が焼かれていた




『ごちそうさま』

『美味しかったです。』


『それは、よかった。』
横で綾野スマイルに見つめられると…
照れちゃうじゃないか…


ガツガツ食べていた自分が急に恥ずかしくなっていた…


『綾野様、こちらへどうぞ。』


『ありがとう。』


何かと思ったら…


デザートと食後の飲み物は
別室に通された


『お飲み物は⁉』

『コーヒーで…』
綾野さんが私を見る
私もと軽く頷く


落ち着いた席で
シャーベットと
コーヒーが出された


No.22 14/01/29 15:56
りんご ( ♀ UNyGh )



『ホントに、美味しそうに食べるね。(笑)』


『美味しいそうじゃなく、美味しいからです。』

『こんな美味しいお肉食べたの初めてで…』

『こうゆうお店も初めてで…』


『喜んでもらえて、よかった。』



ゆっくりと時間が流れる



No.23 14/01/29 16:06
りんご ( ♀ UNyGh )



『ねぇ…』

『嫌じゃないよね⁉』


『もちろん。
ただ、こないだのお店も…
私には、高級過ぎて
場違いみたいで…』


『いや…
そ~じゃなくて…』

『付き合ってくれるかな⁉』


『どちらかと言うと、庶民的な店のが…』


『クックックッ…』
笑ってる

『そうじゃなく…
俺と付き合って欲しいって事…』


『ん⁉・・・・』

『え~っ‼』



突然の予期せぬ
綾野さんの申し出に
驚いた…




No.24 14/01/29 17:38
りんご ( ♀ UNyGh )



『無理、無理、
絶対に無理です‼』




『キッパリ言うね⁉』



『・・・・』

『私なんて、綾野さんに
ふさわしくないです…』


『ふさわしくないなんて…どうして⁉』


『・・・・』

『綾野さんは、大人で…
私は、こんなお店も初めてで、マナーも知らなくて…』



『嫌い⁉』




『トップスタイリストで…
憧れてます…』

『でも…』




『でも⁉』



『・・・・』

『ごめんなさい…』
『今は、見習いで…
自分は、ちゃんと卒業して資格を取る目標があります。』

『私…器用じゃないんで…
恋愛と両立する自信がないです…』





No.25 14/01/29 17:48
りんご ( ♀ UNyGh )



『答えは…すぐじゃなくていいよ。』
『考えてね。』



“考えてね“なんて言われたって…
考えようがないよ…

だって、綾野さんは
憧れの人で…

恋愛対象としては
まったく見てはいなかった

お客様にも人気があって…お店でも人望もあって…


あれ⁉
綾野さんて、いくつなんだろう⁉
年すら知らない…


でも、ちょっとナルシストで…(笑)



No.26 14/01/29 17:55
りんご ( ♀ UNyGh )


第一…

今は、まだ…


そんな気になれないよ…




“そんな気になれない“
それが一番の理由だろう…




No.27 14/01/29 18:01
りんご ( ♀ UNyGh )



『送って行くよ。』

車に乗り込む



ちょっと気まずい💦💦



『あの…』


『何⁉』


『綾野さんて…
おいくつですか⁉』


『32才』

『対象外かな⁉』



『いや…
そ~ゆ訳じゃなく
年も知らないなって
思って…』



『いろんな事を
これから知っていけば
い~んじゃない⁉』



『・・・・』






No.28 14/01/29 20:27
りんご ( ♀ UNyGh )


『あの~…』


『何⁉』


『綾野さんは、なんで私なんか…』




『真っ白だから…』



『えっ⁉』



『まだ色がついてないから…』

『素直で…』
『どんな色にも染まってない感じかな…』





No.29 14/01/31 18:12
りんご ( ♀ UNyGh )


お店が休みの日
香の店に来ていた


『なんかあった⁉』
察しのいい香が言った


『うん…』


『言ってみな⁉』


『お店のさ~…』
香にいきさつを話た


『で⁉』


『・・・』


『付き合うの⁉』


『綾野さんは、尊敬してる。』


『好きなの⁉』


『憧れはあるけど…
好きか嫌いと言われたら…嫌いじゃないよ…』


『じゃ、付き合えばい~じゃん。』


『でもさ…
同じ店って気まずいよ…』


『また~…“でも“とか言ってるよ(笑)』


『もてるし…』


『もてない男なんて魅力ないんじゃないの~⁉』


『綾野さん目当てのリピーターも多いし…』


『でもさ、その人がリンゴを選んだ訳じゃん⁉』


『・・・』



『まだ、引きずってんの⁉』




No.30 14/01/31 18:19
りんご ( ♀ UNyGh )


“まだ、引きずってる“

つもりはないけど…


恋愛に臆病になってるのは否めないかも…


しかも、綾野さんは
32才で独身で居る訳で…
そりゃ、何度も恋愛なんてしているはずで…

もっと大人な、ふさわしい人がいるはずで…



………………
……………
……………
……

………………
…………



やっぱ無理…





No.31 14/01/31 18:22
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはようございま~す。』

『おはよう‼』


いつもと変わらない
綾野さんがいる


ドギマギ意識してるのは
私だけか…



1日が普通に過ぎていった



No.32 14/01/31 18:59
りんご ( ♀ UNyGh )


あれから1週間が過ぎようとしていた


綾野さんは変わりなく
普通で…


私も普通を装っていた


空いてる時間に
裏で食事をしていた


スタッフの先輩の
百合子さんが食事をしにきた


『あっ…お茶入れます。』

『ありがとう。』

『新しい店舗が出来るみたいよ。』


『そ~なんですか⁉』


『綾野ちゃんあたりが、任されるんじゃないかってウワサだよ。』


『・・・』


『ニューオープンのお店の店長なんて、やりがいあるよね~。』




No.33 14/01/31 19:13
りんご ( ♀ UNyGh )



『お疲れさま~
お先に失礼しま~す。』


『お疲れさま~』


今日も一日無事
終わりました~。


家路を急ぐ…


あっ…
綾野さんの車だ…


『乗って‼』


『あっ…ハイッ』


車が走り出す


『お疲れさま
お腹空いたでしょ⁉』


『・・・・』


『何、食べたい⁉』


『お蕎麦食べたいかな⁉』

『じゃ、お蕎麦にしようか。』


お蕎麦屋さんに入った


『何にする⁉』


『ん~…鴨南蛮』


『じゃ、俺も』





No.34 14/01/31 19:25
りんご ( ♀ UNyGh )



蕎麦を食べる


『ん~美味しい⤴』


『ホント、美味しいそうに食べるね。(笑)』


『食べてる時が一番幸せかも…』


『クックックッ(笑)』



『新しいお店任されるって…ウワサですけど…』


『たぶんね…』


『・・・・』


『遠くじゃないから。』


お蕎麦を食べ終え
店を出た


『コーヒー飲もう。』

ホテルのラウンジで
綾野さんはコーヒー
私にはケーキも付けてくれた。


『いただきます。』
『ん~…美味しい⤴』


『クックックッ(笑)』

また、笑われた⤵


No.35 14/01/31 19:44
りんご ( ♀ UNyGh )



『静かな所で話をしたいんだけど…いいかな⁉』


『・・・・』


コーヒーを飲み終えて
綾野さんはフロントでカードキーをもらってきた



ここまでついてきて
子供じゃないんだから…

駐車場に車を入れた時点でもしかしたら…
とは思わなくもなかったが…



綾野さんにエスコートされエレベーターに乗り込む、部屋の前で

ピッ
とカードキーの音がした


綾野さんに促され
部屋に入った


足が動かない…


綾野さんが
突然ギューッ抱き締めてきた…



『くっ…苦しいよ…』



『ゴメン…
ずっと、こうしたかった…』

あのいつも冷静な穏やかな綾野さんが…



『座って…』


『ハイッ』


『ゴメン、驚かせたね…』


『・・・・』



No.36 14/01/31 20:15
りんご ( ♀ UNyGh )



『返事、聞いていいかな⁉』


『私、まだ見習いで…』


『俺のこと嫌い⁉』


『嫌い…じゃないです…』


『誰か他に好きな人がいるの⁉』


『それは…ないです…』
『でも…』


『でも⁉』


『・・・・』
『綾野さんは、憧れです。
それはスタイリストとして目標で…
私も綾野さんみたいな、お客様からもスタッフからも慕われるような……』



綾野さんに抱き締められ、唇を塞がれた…

普段の穏やかな綾野さんからは
想像もつかないような…


激しいキス…





No.37 14/01/31 20:31
りんご ( ♀ UNyGh )



足の力が抜けて…
ヘナヘナと座り込む…



私、何してるんだろ⁉
ここまでノコノコ
ついてきて…


何、言い訳してるんだろ⁉


自分がどうしていいのか
わからなかった…



『俺、初めてなんだ…
自分からこんなに手に入れたいって、、
思ったのは…』

『真っ白な倫子ちゃんを
俺の色に染めたい…』




No.38 14/02/01 10:47
りんご ( ♀ UNyGh )



はっ…⁉

そんなこと言われたって…
真っ白じゃないし…

綾野さん
なんか思い違いしてる⁉


なんか妙に客観的に冷静な自分もいた…




そう…
いつも私って、可愛くない…

ミツルにだって

きっとあの時
『離れたくない…』って言ってたら、
違っていたんだろうな…

ちゃんと聞いていたら
違っていたのかもしれない…


肝心な時に
自分の気持ちにウソつく…
出来ない言い訳を作ってるのは自分なんだ…

わかってる

石橋を叩いて
壊しちゃうタイプ⁉




No.39 14/02/01 11:19
りんご ( ♀ UNyGh )



『俺のパートナーになって欲しい…』


『パートナー⁉』


『遊びで付き合うつもりはないから…』

『真面目に結婚を前提として、付き合って欲しい…』


『・・・・』

『私なんか綾野さんの、足手まといになります…
まだ見習いだし…
学校も…』


『大丈夫だよ。
ちゃんとサポートするから。』


『・・・・』



No.40 14/02/01 11:31
りんご ( ♀ UNyGh )


『いい⁉』





『・・・・』





『わかった…
今日は、やめよう…
無理矢理する気はないから…』



No.41 14/02/01 11:45
りんご ( ♀ UNyGh )


綾野さん
なんか重い…


“結婚“て何⁉


家を出たい気持ちはあるけど…
それは自立したいって思ってる訳で…(自由になりたい)

今は、“結婚“は、したくはない…


同棲にはちょっと憧れはあるけど…

“結婚“とは違う…



綾野さんのことは…
“好き“かも…
イヤ、、“好き“だと思う

年上で、オシャレで、気配りも出来て…

でも、お店での綾野さんは、仕事の顔で…


あんな激しいキスする人だと思わなかった…


No.42 14/02/01 12:07
りんご ( ♀ UNyGh )



そ~言えば…

唯のママが言ってた言葉を思い出していた


『なんか、本物の社長さんとか、偉い人とか、出世する人って、ただ座ってるだけで、オーラがあるんだよ。
存在感て言うのかな⁉
自信に充ちてて、秘めたる熱い炎が燃えてる威圧感がある。

いくらお金を持っててチヤホヤされて派手に使ってても、人間として魅力のない薄っぺらな人には誰もついていかない。
ペラペラな感じ。』


『人並み以上の事するには…人の何倍も努力をしなくちゃ、楽してたらなれないんだよ。』

お酒が入ると
ママは、よく人生についてみたいな事を話始めた


何度も聞いてる唯にとっては耳タコみたいだったが…

普通の家庭に普通に育った私は、深いと思って聞いていた


No.43 14/02/01 12:15
りんご ( ♀ UNyGh )


綾野さんは、静かな物腰で穏やかな感じだけど…

芯は強くて、、
強いオーラ⁉を放ってる感じがする




綾野さんに任せてついていけばいいのかな⁉




No.44 14/02/01 15:22
りんご ( ♀ UNyGh )



“無理矢理する気はないから“ と…

綾野さんは言った


おそらく…
押し倒されても
抵抗はしなかったかも…


ただ…
綾野さんと付き合って
お店の人にバレたら
どうなるのかな⁉
なんて考えていた…


綾野さんは、
“遠くじゃないから“
と言ったが…
今まで近くに居た人と
離れて付き合っていく
自信はない…


お店では、尊敬出来る人だけど…

信頼出来るほど
綾野さんのことを
知らない


32才って…
大人だよね…


私は、まだ結婚なんて…


そう思ってた


No.45 14/02/01 18:51
りんご ( ♀ UNyGh )



そんな事があっても
綾野さんはお店では
今までと変わりない


次の週にまた仕事が終わって、食事に行った


『これ、家の電話番号だから、いつでも電話していいから…』


『あの…お休みの日は何をしてるんですか⁉』


『今は、新店舗の準備に追われてる…
普段は、掃除とか、洗濯したり…
一人暮らしだから。』


『忙しそうですね…』


『あぁ…』

ちょっと疲れてるように見える

いま一歩、綾野さんには踏み込めない感じがしていた…


『新店舗オープンはいつの予定なんですか⁉』


『一応、年明けの予定』


『じゃ、益々忙しくなりますね…』




『これから…よかったら、家来る⁉』


『大丈夫だから(笑)』



家来るって言われても…
一人暮らしとわかってて、ついて行くって…



No.46 14/02/01 18:59
りんご ( ♀ UNyGh )


結局、、ノコノコついてきてしまった…


『お邪魔します…』


『ど~ぞ‼』


ワンルームって言うのかな…
結構広い


壁一面、美容系の業界紙で埋まっていた…


『すごいですね…』

やっぱり、違う人は見えない所で人一倍勉強してるんだな…


『コーヒーでいい⁉』


『あっ…ハイッ』


ガァーッて豆を挽いて
コーヒーのいい香りが辺りに広がった…


『オシャレさんですね。』

『えっ⁉』


『うちなんて、インスタントですから(笑)』





No.47 14/02/01 19:09
りんご ( ♀ UNyGh )



『倫子ちゃんて、育ちがいいよね⁉』


『そんな事ないです…
普通の家ですよ…』


『そうじゃなくてさ…
ちゃんと躾されて育ったって感じする。
お母さんに感謝だね。』


『そんなことないです…』


『はいっ、ど~ぞ。』


『ありがとうございます。いただきます。』


『なんかホッとする…』


『綾野さんてもてるじゃないですか…ステキな女性からアプローチされたりしてますよね⁉』


『それはないよ。』


『お客様も綾野さん目当ての方もいらっしゃいますよ。』


『仕事だからね。
女性の嫌うような事はしないよ(笑)』


No.48 14/02/01 20:02
りんご ( ♀ UNyGh )



『私…綾野さんのこと、なにも知らないんですよね…』


『何を知りたいの⁉』


『お店の顔しか…』


『倫子ちゃんが何構えてるのかわからないけど…
俺は、こ~ゆヤツだって自己紹介が必要って事⁉』


『・・・』


『俺は、直感かな…』
『こないだも言ったけど、初めて自分から手に入れたいって思った…』


綾野さんに見つめられると…
ドキドキする…


『悪いけど…ちょっとシャワーだけ浴びてきていいかな⁉
仕事から帰って、まずシャワー浴びたいんだ…
毛もついてるし…』


『あっ…ごめんなさい…
私、帰りますね…』


『いやゴメン、ちょっとだけ待ってて…』


綾野さんはバスルームへ行った



No.49 14/02/01 23:57
りんご ( ♀ UNyGh )



15分ほどでバスルームから出てきた


タオルで濡れた髪の毛を拭きながら

Tシャツにスウェットを履いていた


お店では決して見ることはない姿


『ゴメン、待たせたね。』


『疲れてるのに、図々しくお邪魔しちゃったのは私ですから…』

『そろそろ帰りますね…』


『明日、休みでしょ…
泊まっていかない⁉』


『・・・・』



ご飯をご馳走になって
ノコノコ一人暮らしの男の人の家にあがりこんで…
帰りますね、、は…
ないだろう⁉
って、私も思ってはいた…

軽はずみに来てしまったな…



『困ってる⁉』


『ハイッ…』


『もうちょっと待ってよ。髪の毛乾かしたら、ちゃんと送って行くから。(笑)』
『俺、焦ってないから…』




年上の余裕だろうか…






No.50 14/02/02 00:06
りんご ( ♀ UNyGh )



綾野さんの事を
もっと知りたかった


もっと身近に感じたかった


週に1度程
食事して送ってもらうだけの関係が

付き合っているような…
付き合っていないような…


お店では、何も変わりない綾野さん…
当たり前なんだけど…

それが余計に
距離感を感じて
冷たく感じていた



それ以外に
デートなんてした事もない

今は、新店舗オープンで忙しいってわかってるけど…



No.51 14/02/02 08:55
りんご ( ♀ UNyGh )


次の日は休みだった

いつものように
香の店にいた


『どうなった⁉』


『どうなったって…』


『例の憧れのさ。』


『変わりはないよ。
昨日もご飯だけ食べて
送ってもらった。』


『ふ~ん。』


『週に1度だけ、ご飯奢ってもらうって、付き合ってるって言えるのかな⁉』


『さぁ~⁉(笑)』


『なんか綾野さん、緊張しちゃうんだよね…』


『倫子はさ、女子校だったからじゃない⁉』


『そ~かな~⁉』


『綾野さんて、大人なんだよ。』


『そ~、大人なんだよね…』


『やっぱ美容師の男の人って、女慣れしてるんじゃないの⁉』

『今度、リンゴの店に綾野さんとやらを偵察行ってみようかな⁉(笑)』


『そ~してよ。
私、見る目がないからさ。(笑)』


そんな香と会話をしていた。



No.52 14/02/02 09:11
りんご ( ♀ UNyGh )


数日して、香がお店に
綾野さん指名で予約の電話を入れて来た


『どうぞこちらへ。』
綾野さんが対応している

気が気じゃない💦

けど、素知らぬ振りして
チョロチョロ掃除をする


『どうなさいますか⁉』


『ショートにイメチェンしたいんです。
今までショートにした事がないのでイメージがわかなくて…』


綾野さんが雑誌を見せながら、香とイメージを作りあげていた

鏡越しに香と目が合う
ニッと香が笑う


カットとカラーをして
香は満足気にお店を後にしていた。





No.53 14/02/02 09:48
りんご ( ♀ UNyGh )


『ソーダ水ちょ~だい‼』
『で、どうだった⁉』


『皆が似合うって言ってくれた。
超お気に入り⤴』


『うん、うん、似合ってるよ。』


『なんかさ、ちゃんと話を聞いてくれて、
でもここはこうした方が自分でもブローしやすいですよって意見もしてくれて、それが強引じゃなくて、
いい感じ⤴』

『プロだね。』


『そりゃプロだよ~(笑)』


『で…綾野さんは⁉』


『ステキだね。
憧れちゃう気持ちがわかるよ。』

『彼氏だったら、自慢しちゃうね。⤴』


『でもリンゴが緊張しちゃうって気持ちもわかるよ~な気がする。』




No.54 14/02/02 10:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『おっ…可愛いじゃん‼』
徹ちゃんが来た

『でしょ~。💕』


『似合ってるよ。』


『エヘヘ…
リンゴの店に行ってきたんだ。』


『ヘェ~、リンゴちゃんにやってもらったの⁉』


『まさか~…ネッ‼』


『そ~言えばさ、日曜日に、健ちゃんちで鍋パーやるんだけど、リンゴちゃんも来れる⁉』


『行っていいの⁉』


『あ~、香と俺と健ちゃんだからさ。』





No.55 14/02/02 10:59
りんご ( ♀ UNyGh )


日曜日、仕事が終わって香の店に寄っていた

徹ちゃんが迎えに来てくれた

途中で飲み物を買って
健ちゃんちに行った


『お邪魔しま~す。』


『適当に座って…』

鍋が用意されていた


『あっ…コレッ…』


『そう、きりたんぽ鍋』

『田舎から送ってきたから…』


『じゃ始めようか、乾杯~🍻』


『お疲れ~、乾杯~』


8畳一間のワンルーム⁉
ドアを開けると左手に流しがあって、


コタツが一つとベッドがあるだけ…

乱雑に物が積み上げられた
男の部屋って感じだった



No.56 14/02/02 11:13
りんご ( ♀ UNyGh )


『美味しい⤴』


『だろ~⁉』


『健ちゃん料理するんだ⁉』


『まっ基本自炊だから。』


『へぇ~、ビックリ‼』


『この鶏肉違うね⁉』


『比内地鶏、シコシコしてんだろ⁉スープもね。
きりたんぽは、入れたら煮込まないで食べんだ。
煮込んだら、グズグズになっちゃうから。』


『うん、うん、
ハフハフ、美味しいよ。』


『腹いっぱい食え。』

そう言ってる健ちゃんはビールばっかり飲んでいる。


No.57 14/02/02 11:24
りんご ( ♀ UNyGh )



『腹いっぱい~
美味しかった、
幸せ~⤴⤴』
ポンッポンッお腹を叩いて笑ってた


『色気ね~なぁ~…』
健ちゃんが言った

『色気より食い気
花より団子‼』



『お正月にスキー行くんだけどさ、、リンゴもお正月は休みでしょ⁉』
香が聞いてきた


『31日まではめいっぱいだけど…
正月は休みだけど…』


『一緒に行こうよ‼』


『でもスキーの道具なんて何も持ってないし…』


『大丈夫だよ、板と靴は向こうで借りればいいし、、ウェアだけ買えば。』


『うん…』




No.58 14/02/02 11:39
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんと並んで洗い物を片付けていた


『火曜日さ、夕方にでもウェア見に行く⁉』

『あっ…俺も丁度、手袋だけ欲しいと思ってて…』


『でも…スキー行ったことないし…』


『大丈夫だよ…』



………
……………
……………




ふと、綾野さんの顔が頭に浮かんだ

綾野さん、に言ったらなんて言うかな⁉
なんて考えていた





No.59 14/02/02 11:53
りんご ( ♀ UNyGh )



月曜日の夜


綾野さんと食事をしていた

モッツァレラチーズと
濃厚なトマトに
オリーブオイルとバジルをちりばめた
シンプルなカプレーゼ


魚介の味がよく出た
美味しいパスタ


洋酒のたっぷり染み込んだババにフルーツを添えてあって、甘味を抑えた自家製ジェラード


小さいカップの
エスプレッソ



『美味しい⤴💕』





釣った魚に餌はやらないってあるけど…
綾野さんといると
いつも、美味しい食事ばかりで
フォアグラにされそうだ(笑)

そんな事を考えていた(笑)



No.60 14/02/02 12:11
りんご ( ♀ UNyGh )



綾野さんは
いつも洗練された
オシャレさんだ…


エスコートもスムースだし

そんなのに慣れてないから、緊張しちゃうのかも…


『綾野さんて、オシャレなお店いっぱい知ってますよね⁉』


『外食か買食が多いからね…』


『自炊はされないんですか⁉』


『家に帰って、疲れて自炊する気にならなくてね…
若い頃はしていたよ。』






No.61 14/02/02 13:05
りんご ( ♀ UNyGh )



『いつも、こんなに美味しいお食事ご馳走にばかりなってて…
高いし、、、心苦しいんですけど…』


『遠慮しなくていいんだよ。』

『でも、この前、お蕎麦食べに行ったじゃない…
俺も、お蕎麦好きだから、嬉しかったよ。』


“⁉⁉⁉⁉⁉“


『女の人って、フレンチとかイタリアンとかが好きなのかなと思ってたよ(笑)』


『たまの特別な日にはフレンチとかイタリアンとかって盛り上がりますけど…
普段は、高くて食べられないですよ…』

『きっと綾野さんが、そうゆうのが似合うステキな女性と付き合ってたんだと…』


『そんな事ないよ。』

『そんな事、思ってたの⁉(笑)』




『私なんかじゃ、釣り合わないなって……』





私、何を言い出してるんだろ………







No.62 14/02/02 13:12
りんご ( ♀ UNyGh )



『綾野さんは、お正月ってどうされるんですか⁉』


『いつも年末は予約も入りきれないくらい忙しいからね。
元日は爆睡してるよ。
でも、来年は新店舗があるから、元日くらいは休みたいけど…
そ~ゆ~訳にもいかないだろうね…』


『そ~ですよね…』


『どうして⁉』


『友達にスキーに誘われて…』


『行っておいで…』



“行っておいで“か…
大人だな…
誰と行くとか
どこへ行くとか
聞かないんだ…



No.63 14/02/02 13:27
りんご ( ♀ UNyGh )



なんかちょっと寂しい気持ちもした…


女って面倒臭いよね⁉


束縛され過ぎれば
嫌になるし


束縛され過ぎないと
それはそれで
物足りない⁉ような気持ちになる…


お互い信頼していれば
何をしてようと
気にならないのかな⁉




綾野さんとは
“釣り合わない“って感じてる…






No.64 14/02/02 14:11
りんご ( ♀ UNyGh )



次の朝


“いただきま~す“

ご飯に味噌汁、漬物に卵焼き、納豆…
メンタイコなんかあったら最高だよね~。

あ~美味しい⤴⤴

やっぱコレだよ…



『何ニヤニヤしてんのよ⁉』
母が言った


『やっぱさ、ご飯に味噌汁、お母さんのご飯が一番だなって思ってさ』


『何~⁉(笑)』


『あっ…昨日、健ちゃんから、きりたんぽのお裾分けもらったのよ。
今度会ったら、お礼言っといてね。』


『へぇ~、健ちゃん来たんだ…
今日一緒に買物行く約束してんだ。』


『あら、そ~なの⁉』


『お正月にさ、香なんかとスキー行こうって誘われてさ…』


No.66 14/02/02 14:40
りんご ( ♀ UNyGh )



『じゃ、行ってくるね~』


『ちゃんとお礼言っておいてよ~。』


『わかってるよ。』


香の店に向かって歩いていた

プップ~ッ🎵
車のクラクションの音に
振り返ると
健ちゃんだった


『よ~っ✋』
『ナイス、タイミング👍』


『お母さんが、ご馳走様ってさ。』


『食いきれないからよ。』

一緒にウェアを買いにスポーツ屋さんに行った

これがい~とか
あれがい~とか

似合うとか似合わないとか…

『他の店も行ってみるか⁉』


『うん⤴』


健ちゃんの車に乗り込み
スポーツショップ巡りをした


『健ちゃん、付き合ってくれて、ありがとうね。』


『俺も手袋欲しかったからついでさ。』

『楽しみだな…』


『うん⤴』


『腹減ってない⁉』


『減った。』


『お母さんが、今日きりたんぽ鍋にするって言ってたから、嫌じゃなかったら家に来ない⁉』


『いいの⁉』


『もちろん(笑)』







No.67 14/02/02 14:54
りんご ( ♀ UNyGh )


『ただいま~。』


『あらっ、早かったわね⁉』


『お邪魔します。』


『あらっ、健ちゃんいらっしゃい。』


『今日、きりたんぽ鍋にするって言ってたから、誘ったんだ。』


『あらっ、よかった⤴
お兄ちゃんからさっき、夕飯いらない電話があったのよ~。』

『すぐ支度するわね。』


お母さんの手伝いをしていた


支度と言っても、きりたんぽ鍋の材料はセットになっていたから、カセットコンロと鍋を用意して野菜を切っただけだった


母もきりたんぽ鍋は初めてだと言う

結局、鍋の仕切りを健ちゃんに頼んでいた(笑)


No.68 14/02/02 15:00
りんご ( ♀ UNyGh )



『美味しい~⤴』
母が言った


『でしょ~⤴』


『健ちゃんて、何でも出来るのね⁉』


『お母さんっ‼
健ちゃんは何でも屋じゃないんだからねっ‼』


『いいっスよ…
俺で出来る事なら。』






お鍋って暖まるね
温かいよね…
お鍋を囲んでいると
笑顔になるよね…

健ちゃんのきりたんぽ鍋は温かかった



No.69 14/02/02 15:07
りんご ( ♀ UNyGh )



『ご馳走様でした。
とっても美味しかったわ。』
母が、健ちゃんに言ってた

『こちらこそ、ご馳走様でした』
健ちゃんも母に言っていた



『お母さん、ちょっと香の店まで行ってくる~。』


『また、いつでもいらしてね。』


『ありがとうございます。
ご馳走様でした。』


車に乗り込む



No.70 14/02/02 15:18
りんご ( ♀ UNyGh )



『きりたんぽ鍋…
前に食べさせてやるって約束したから、美味しいって言ってもらえて良かった…』


『うん、ホント美味しかった⤴』


『健ちゃんの温かみが加わって、いい味出てるし(笑)⤴』


『よくわからん事言うな…』


『あれっ⁉
健ちゃん、照れてるぅ~⁉(笑)』


『ほらっ、着いたゾッ‼』


No.71 14/02/02 15:24
りんご ( ♀ UNyGh )



『あれっ、お揃いで‼』


『スキーウェア買ってきた。』


『いいのあった⁉』


『うん⤴⤴』




『その前に…
今年のクリスマスパーティーは参加しますかぁ⁉』


『クリスマスはお店が忙しいから…』


『遅れてもい~じゃん。
おいでよ。』


『うん……
ちょっと返事は待って…』


『あっ…わかった…』





お正月もスキー行っちゃうのに…


クリスマスも…なんて
ないよね…


No.72 14/02/02 15:46
りんご ( ♀ UNyGh )



電話してみようかな…



店の片隅にある
公衆電話のBOXに入った

受話器を握り
電話を掛ける

ピッポッパ…


トゥルル~…
トゥルル~…トゥルル~…

ガチャ、はい只今外出しております…

留守番電話だった…


“留守なんだ…“⤵

電話を切った…


なんか凹む



No.73 14/02/02 17:48
りんご ( ♀ UNyGh )



『どうだった⁉』
香に聞かれた

『留守電⤵』


『そっか、今週中に返事くればい~からさ。』


『うん…』



『健ちゃん、今日はありがとう。
私、帰るね。』


『送って行こうか⁉』


『い~よ、近くだから大丈夫(笑)』


『そっか…✋』


一人お店を後にして
トボトボと歩いて帰った




『ただいま~』


『お帰り~、早かったわね。
お風呂入っちゃいなさいよ~。』


『は~い。』




No.74 14/02/02 17:56
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日も
お店はお休みだった


第三(火)(水)は連休になる

お昼頃になって
起き出した


綾野さんに
電話してみようかな…



トゥルル~…
トゥルル~…
トゥルル~…

また留守電だ…⤵


忙しいんだろうな…


結局、連休なのに
綾野さんの声すら
聞くことは出来なかった…



No.75 14/02/02 18:06
りんご ( ♀ UNyGh )



木曜日…


『おはようございま~す‼』


普通に普通の日常が始まっていた


『あれ⁉
綾野さんは⁉』


『今日は、有休って書いてあったよ。』
百合子さんが答えてくれた

『へぇ~…』


『気になる⁉(笑)』


『そ~ゆ~訳じゃないけどさ、いつも早く来てるのに見えないから…』



ホント、私って何にも知らないっちゅ~か…



有休って…⁉



No.76 14/02/02 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



仕事が終わって
綾野さんに電話を入れた



トゥルル~…
トゥルル~…🎵


☎『もしもし…』


☎『もしもし…』
『………』





☎『倫子ちゃん⁉』



☎『ハイッ…』


☎『お疲れさま』
『どこに居るの⁉』


☎『お店終わって…
駅の近く…』


☎『迎えに行こうか⁉』


☎『はい…』


☎『すぐ出るから…
ちょっと待っててくれる⁉』


☎『はいっ…』





20分くらいして
綾野さんの車が来た



No.77 14/02/02 18:16
りんご ( ♀ UNyGh )



車に乗り込む



……………
…………


……………
……………
……………


……………
………………


『ご飯は⁉』


『いえ、大丈夫です…』


『大丈夫って、
食べてないんでしょ⁉』


『・・・・』


『お店で何かあったの⁉』


『何もないです…』


『じゃ、うちでコーヒーでも飲もうか…』

綾野さんのマンションへと車を走らせた



No.78 14/02/02 18:24
りんご ( ♀ UNyGh )



『どうぞ‼』
綾野さんがコーヒーを
入れてくれた


『有休でしたね…』


『あぁ…』


『電話も入れたんですけど…
ずっと留守電だったんで…』

『どちらかへ行かれてたんですか⁉』


『あぁ…たまに一人で遠出したくなるんだ…』


『一人でですか⁉』


『あぁ…』




『綾野さん…
私ってなんですか⁉』





私って
面倒臭い女だ
自分でも、わかってる…



No.79 14/02/02 19:06
りんご ( ♀ UNyGh )


『ごめん…
寂しい思いをさせたみたいだね…』

綾野さんが横に座り
優しく抱きしめてくれた


『今日、お店行って綾野さんが休みだって初めて知って…』


『そうか…ごめん…』


『いつも接客してるから、たまに一人でフラ~ッとドライブしたり…
静かな美術館巡りをしたりするのが好きなんだよ…』


『綾野さんは、一人になりたいって事ですよね⁉』
『私なんて、面倒臭いですよね⁉』


『そ~じゃないよ…』


『倫子ちゃんには、倫子ちゃんの時間が必要だし…
俺には、俺で一人の時間も大切なんだよ…』


『私は…
綾野さんみたいに大人じゃないから、、、
休みの日は一緒に居たいって思っちゃいます。』




『そうか…そうだね…
ごめん、、
わかってあげられなくて…』



『今が新店舗オープン前で、忙しい時だってわかってるつもりです…
でも…
私はやっぱり物わかりのいい大人じゃないから無理です。
ごめんなさい…。』



綾野さんの腕から
逃げるようにして
マンションを後にして必死に走っていた…







No.80 14/02/02 19:18
りんご ( ♀ UNyGh )






自爆した……











No.81 14/02/02 19:28
りんご ( ♀ UNyGh )



ふぅ~…


真っ直ぐ家に帰る気にもなれず…



行く所は…



香の店しかなかった…



『ただいま~』


『お疲れ~‼✋』


『奮発して…
クリームソーダ…』


『おやおや~っ…
なんかあったん⁉』


『よくわかるね~…』


『リンゴ…
アンタの顔みりゃ…
プッ…酷い顔してるよ…』


『だよね…
わかってる…
飲んだらすぐ帰るから…』


シュワシュワ~…
溢れてくる…


ハッ…
自爆したのに
クリームソーダだよ…⤵⤵


私ったら…
なにやらかしちゃったんだろ…

明日、どんな顔して
店行ったらいいんだよ…




No.82 14/02/02 19:32
りんご ( ♀ UNyGh )



『ごち…帰るわ…』


『ん⁉よく寝なよ✋』




はぁ~っ…










No.83 14/02/02 19:40
りんご ( ♀ UNyGh )



目が覚めた…


寝ちゃったんだ…

寝られるし…
食べられるし…


私って…最低だな…



普通なら、こんな時…
寝られないし…
食べ物も喉を通らなくなって…



休む訳にも行かず
仕事に向かう…



『おはようございま~す…』


『おはよう‼』


ゲッ…
ドアを開けたら、
よりによって真ん前に綾野さんだ…


いつもと変わりない⁉

変わりなくもないか⁉


『よかった…ちゃんと来たね…』
小声で綾野さんが囁いた…


『ハイッ…』
私もうつむきながら
小声で答えた…




なんなんだよ~………




No.84 14/02/02 19:49
りんご ( ♀ UNyGh )



何もなかったように
仕事をしてる


綾野さんもだ……



お客様に綾野スマイルで…


イラッとしてる
自分に気がついた…


なんて小さい女なんだろう…
私って…最低⤵





『お疲れさま~
お先に失礼しま~す。』

『お疲れ~』


今日はこのまま学校だ…




No.85 14/02/02 19:54
りんご ( ♀ UNyGh )



授業を受ける



そ~だ‼
私には目標があったんだ。
また勉強と仕事にだけ集中して、自分を取り戻せばいいだけだ…
ガンバッ、私‼


やけにポジティブな自分に凹む…



『またね~‼✋』

『バイバイ~✋』


学校も、終わった…


ふぅ~っ…



No.86 14/02/02 19:59
りんご ( ♀ UNyGh )



ゲッ…


綾野さんの車だ…


学校まで綾野さんが迎えに来るのは初めてだった…


どうしよう…

素通りする訳にもいかないよな…


『乗って‼』


乗り込む
『ど~も…』


『お帰り。』


あんなことがあったのに…
綾野さんはポーカーフェイスだ…



No.87 14/02/03 17:46
りんご ( ♀ UNyGh )



『ご機嫌は、なおった⁉』


『おちょくってます⁉』


『いや…
そんなつもりは…』



沈黙……



『お腹、空いてるでしょ⁉』


『餌で釣ろうとしてます⁉』


……………
……………
……………


『クックックッ(笑)』


『なにが、可笑しいんですか⁉』



『ゴメン…
可愛いいなって思って…』


『失礼ですよねっ‼』



……………
……………
…………






大きな市民公園の
駐車場に車を入れた





No.88 14/02/03 17:55
りんご ( ♀ UNyGh )



『少し、歩こうか⁉』


綾野さんが車から降りて
助手席側のドアを開けてくれた


ポチポチと歩き始めた

駐車場から公園へ入ると
遊歩道になってて

遅い時間だと言うのに
ランナーや
犬を散歩させてる人が結構いた


『初めてだね…』
綾野さんが言った


『えっ⁉』


『こんな風に歩くのって…』


『・・・・』



綾野さんが手を繋いできた


『こんな風にデートしたことなかったな…
ゴメンな…』




No.89 14/02/03 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



『昨日…倫子ちゃんが
俺の腕からすり抜けて
出て行った後……』



『ちゃんと倫子ちゃんと向き合ってやれてなかったなって、気がついたよ…』


『新店舗の事で頭がいっぱいで…
余裕がなかった…
一人になりたいとかって勝手だよな…』







No.90 14/02/03 18:22
りんご ( ♀ UNyGh )



『・・・・』

『無理しなくていいですよ…』



『そんな風に言うなよ…』



『年の差は埋められませんから…
綾野さんが、“今“大変な時だって、
私だってわかってますから…』



No.91 14/02/03 18:56
りんご ( ♀ UNyGh )


『私は、私で…
仕事と学校で
いっぱい、いっぱいで
正直、余裕なんてないかわけで…
これ以上、
綾野さんに迷惑かけたくないです…』



『迷惑だなんて思ってないよ…』



『後、半月もしないうちに、綾野さんは新店舗へ行っちゃいますよね⁉
益々責任も重くなるし
忙しくなるし…
逢える時間なんてなくなりますよね⁉
私…そんなの…
ツラいです…』



『ツラい…か…』



『私、面倒臭い女ですよね⁉』



『そんな事ないよ…』
『俺も器用な方じゃないからな…』




No.92 14/02/03 19:14
りんご ( ♀ UNyGh )



『車、行こうか⁉』


『ハイッ…』


車に乗り込む
『俺は、別れ話をしに来たつもりはないんだ…』


『・・・・』



『ちゃんと、倫子ちゃんと前向きに付き合って行きたいと思ってる。』



『これ……』



『何⁉』



『マンションの合鍵…』



『ううん…いらない…』



『なんで受け取ってくれないの⁉』





No.93 14/02/03 19:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『マンションて…
綾野さんにとって、他人に踏み込まれたくない聖域じゃないですか⁉』


『なんでそう思うの⁉』


『なんとなく…』


『鋭いね…
確かに…
部屋に女の子を入れたのは、倫子ちゃんが初めてなんだ…』


『綾野さん、
結構、無理してますよね⁉』


『そんなことないよ…』
『どうしたら、わかってくれるかな⁉』



No.94 14/02/03 23:25
りんご ( ♀ UNyGh )



私って…
面倒臭い…

意地悪で…

意地っ張りだし…


綾野さんを前にすると
素直になれる自分と
意地っ張りな自分がいた



綾野さんは
“どうしたらいい⁉“
“どうしたいの⁉“
“どうしたら、わかってくれる⁉“

って、いつも怒ることなく、穏やかに
聞いてくれた…



大人なのか⁉
性格なのか⁉



わかってて、
私ってタチが悪い…




No.95 14/02/04 08:21
りんご ( ♀ UNyGh )



『ねぇ、倫子ちゃん…』


『ハイッ。』


『無理して物わかりのいい大人になんてなろうとしなくていいよ…
倫子ちゃんは、年相応だと思うよ…
よく努力してるし…』


『倫子ちゃんのファンがいるの知ってる⁉』


“⁉⁉⁉“


『お店にくる常連の野村様とか…』


『野村のおばあちゃん⁉』


『そう、、いつも優しく気遣ってくれるって喜んでるんだよ。
前よりも倫子ちゃんの顔見たいってよく来るようになってる…
膝の具合どうですか?
っていつも膝掛けしてあげてるでしょ?
シャンプー台に移る時も、必ず手をひいてくれるって…すごく喜んでる。』


『他のスタッフも皆してることですよ…』


『そうだね…
でも、違うんだよ…』


『いつも、小さい野村様の目線の高さに合わせて
しゃがんでるでしょ⁉』


『あぁ…』


『意識してなかったの⁉』


『はい……』


『いい子ね、大好きって言ってたよ。』


『そうなんですか…
嬉しいな…』


『ちゃんと見てる人は見てるんだよ…
俺もそんな倫子ちゃんのファンなんだ…』


『・・・・』


『って言うより、
そばに置いておきたい…
抱きしめたいって思う…』


No.96 14/02/04 08:55
りんご ( ♀ UNyGh )



『遅くなるから…
送って行くよ。』


『はい…』


『ホントは…
送りたくないんだけどね…』


『・・・・』




『合鍵……』



『今は…
もらえません…』



『そっか…
わかったよ…』


綾野さんは
私の頭をクシャクシャと
撫でた…




No.97 14/02/04 09:59
りんご ( ♀ UNyGh )



綾野さんの
私を思ってくれてる
気持ちは伝わってきた



でも…
逢えないツラさは
よくわかってる

半月もしたら
たぶん…

今だって
お店では顔を合わせるけど…



綾野さんて
ホントは、器用じゃないんだろうな…

だから、人一倍、、人何十倍も勉強して、努力してきたんだと思う


日々、努力して積み上げた結果が大きな大会でも賞をとる実力に繋がっているんだろうな


そんな自分を見せたくないから
今まで誰も部屋には入れたくなかったんだろう…




【1%の才能と
99%の努力】
って言葉が好きだって言ってたな…



No.98 14/02/04 10:32
りんご ( ♀ UNyGh )



お店ではあくまで
ポーカーフェイス

当たり前だけど…


お昼も食べられないような年末の慌ただしさに
追われていた


ボーナスも入り
クリスマスを迎える頃は
女の子にとっては
勝負の季節

綾野マジックとでも言うのか⁉
女の子を輝かせる魔法をかける


何気に綾野さんに
アプローチしてくる人も
少なくはない



No.99 14/02/04 11:37
りんご ( ♀ UNyGh )



『お疲れ~‼
お先に~✋』


『お疲れさま~。』


今日は、
クリスマスイブ🎄


街はキラキラ✨と
イルミネーションが輝いている


お店も超忙しかった


ウキウキムードの
お客様に
ちょっとだけ
ウキウキ気分を
お裾分けしてもらった気分⤴⤴


“うまくやれよ~っ“
“頑張れよ~っ“
って、
私もちょっとだけ
魔法をかけてあげれたのかも(笑)



No.100 14/02/04 11:45
りんご ( ♀ UNyGh )



『遅くなりましたぁ~‼』

『倫子ちゃん待ってたよ~。』


『おつ~。』


『じゃ、倫子ちゃんも来たと言うことで~
またまた乾杯~‼』


ほろ酔い加減の
見慣れた常連の居る
香の店の
クリスマスパーティーに来ていた


パーティーと言っても
そこは慣れ親しんだ常連さんの飲み会のようなもんだった…



それでもイブの日に
家に居るよりはいい…



No.101 14/02/06 10:15
りんご ( ♀ UNyGh )

クリスマスは
好きじゃない…


ミツルとの別れを
思い出す…

未練がある訳じゃないが…
思い出してしまう…


人それぞれに
それぞれの思いが
クリスマスにはあるのだろう…


ニギニギしく
騒いで自分の気分を誤魔化す



今年も…



でも、良かった
クリスマスの夜を
一緒に騒いでくれる仲間がいてくれて。



No.102 14/02/06 10:36
りんご ( ♀ UNyGh )



『じゃ~ね~✋』

『またね~✋』

お店を後にする


綾野さん…
何してるのかな…


普通さっ、
クリスマスくらいさぁ~…

私から電話するのもなぁ~…


そんなことを考えながら
しかたなく、家へ帰っていた



No.103 14/02/06 12:20
りんご ( ♀ UNyGh )


25日


お昼に裏で
おにぎりを頬張っていた


不意に綾野さんがやって来て

『明日、予定ある⁉』


『ないですけど…』


『じゃ、デートしよ‼
9時に迎えに行くから。』
初めてストレートな
誘いを受けた


『ハイッ…
あっ…大丈夫なんですか⁉』


『何が⁉』


『色々、忙しい時ですよね⁉』


『大丈夫だから‼』


それだけ言って
綾野さんはまたお店に出て行った







No.104 14/02/06 12:33
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日、
休みなのに珍しく早く起きてきた私に…

『どっか出掛けるの⁉』
と、母が聞いた


『うん、、お店の人に誘われて…
遅くなるかも…』


その頃は、母もそんなに高校生のときほど煩くはなくなっていた。



そそくさと朝御飯を食べて出掛けた



大通りに出た所に
綾野さんの車が停まっていた



No.105 14/02/06 12:48
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはようございます。』


『おはよう‼』


車を走らせる

いつも綾野さんは
オシャレさんだ…

ちょっと凹む⤵


『大丈夫ですか⁉』


『大丈夫だって言ったろ。
たまには、お店から離れて
リフレッシュと充電することが必要なんだよ。
今日は、一緒にリフレッシュだ。』


『ハイッ…』

素直に、嬉しい⤴
綾野さんの運転は
安心して乗っていられた

煽られるような事もなかったし
車が静かだったのもある(笑)


2時間程走らせた所で
大きな高台のホテルの駐車場に車を入れた


『行こうか⁉』


『へっ⁉』


『リフレッシュ‼』


綾野さんの後について
歩いて行く

途中、綾野さんが振り返りニコッと笑って、腕を出した。

綾野さんの腕に腕を絡ませた。


ホテルの入口を入り
中に歩いて行く

吹き抜けのエントランスを抜けた

奧にスパ施設があった


No.106 14/02/06 12:55
りんご ( ♀ UNyGh )



『よく来るんですか⁉』


『たまにね。』


入口でタオル一式と
水着もレンタル出来た


『じゃ~中で✋』


入口で別れ
各々更衣室へ




おい、おいっ…💦💦💦

言ってくれないかな~…

いきなりだと困るじゃないか⁉

でも、まぁ水着はトライアスロンの人が着るようなタイプだったから、露出度は低いのが救いだった(笑)



更衣室のドアから出ると
綾野さんが待っててくれていた



No.107 14/02/06 13:02
りんご ( ♀ UNyGh )


平日だからか、広いスパは空いていた


綾野さんの後に着いて歩いて行った


アチコチに、ジェットの出る所があったり
ジャグジーもあり~の
寝湯だのプールもあり
施設は充実していた


一回りしてから
外のジャグジーへ入った
ジャグジーには二人以外誰もいなかった


『気持ちいぃ~⤴』


『良かった、気に入ってもらえて…』


遠くに海が見えていた



No.108 14/02/06 13:17
りんご ( ♀ UNyGh )



2時間楽しんで

『次、行こうか⁉』
綾野さんが言った


『次⁉』


『そう、、じゃ~入口で待っているから…』

綾野さんに手をひかれ
着いて行った



ゲッ…
エステって書いてある…
こんな所入った事もない



『大丈夫だよ。
まかせて‼』
綾野さんは笑ってる。


『綾野様、お待ちしておりました。』


ソファに座り
体調やら好みのアロマやらとカウンセリングを済ませて個室へと誘導された

用意された紙パンツ1枚になりうつ伏せに寝転がる


ウォ~、ベッドが温かいよ~😲

背中にアロマオイルを塗られ、マッサージをされる


アロママッサージなんて初めてだった…


超気持ちイィ⤴⤴
たまらん⤴⤴⤴


『肩凝りしてますね~⁉』

『肩も腰もカチカチです…』

『ですね…』


はぁ~気持ちイィ⤴


2時間のスペシャルコースだった

『お疲れさまです。』
ハーブティが出された


全てが初めて体験した
夢心地の時間だった…


No.109 14/02/06 13:31
りんご ( ♀ UNyGh )



『さぁ~どうぞ‼』
綾野さんにエスコートされるまま着いていった


ホテルの一室だった


『シャンプーしておいで。』


『えっ…えっ…⁉』


『ブローしてあげるから…』


モジモジしていると…


『お腹空いたろ⁉
早くシャンプーしてきなさい。』
『嫌じゃなかったら、わたくしがシャンプーしてさしあげますよ⁉』って…


『それは、遠慮します…』


シャンプーしてきた


『ハイッ座って‼』

ドレッサーの前に座り
綾野さんがブローしてくれた…


綾野さんの魔法にかかる…

ごくごく普通のどこにでもいる
ごくごく普通の女の子が…
綾野さんの魔法にかかって…
ツヤッツヤッの髪の毛になる…


『アップする⁉』
綾野さんに聞かれた


『いや…普通で…』


普通にしてもらった


普通だけど…
綾野さんの手にかかると普通じゃない(笑)


『ハイッ出来た‼』



No.110 14/02/06 13:44
りんご ( ♀ UNyGh )



『食事しに行こうか⁉』


『ハイッ…』


『今日は、和食でいいかな⁉』


『ハイッ‼』


ゲッゲッ…
個室だよ、個室…

懐石料理なんて初めてだよ💦

八寸
なにやら色んなものが
チョビチョビと

煮物椀
蓋を開けると
カニの入った飛龍頭に
柚子の香が立って
お出しのいい香

焼き肴に、、、
次々と食べた事もないような料理が出てきた


ただ、“美味しい“ことだけはわかった(笑)


土釜で炊かれた
ご飯が出される頃には、お腹もパンパンッになっていた…

食事に2時間近くかかっていた

『大変、美味しかったです。
ごちそうさまでした。』


『どういたしまして‼』


サインだけ済まして
部屋に行った




No.111 14/02/06 14:47
りんご ( ♀ UNyGh )



お腹が、、ぐるじぃ~…
フグの立ち泳ぎ状態だよ⤵
食べ過ぎ…反省


『お腹いっぱいになった⁉』


『もちろんです。
食べ過ぎですね…』


『よく食べたね(笑)』


『綾野さん…』


『何⁉』


『お金使わせ過ぎですよね…』


『そんな事ないよ…』


『たまにはね、普段頑張る自分にご褒美あげなきゃね。
最低、給料の2割は自分のメンテナンスに使いなさいってことだよ。
リフレッシュは必要だよ。』


『・・・・』


『なんかレベルが違い過ぎます…』


『そんなことないよ。』


『初めての体験ばっかりで…』


『誰でも最初は、初めてでしょ⁉』
『嫌だった⁉』


『・・・・』
『嫌とかじゃないですよ…』


No.112 14/02/06 19:04
りんご ( ♀ UNyGh )



『少し休んで行こう…』


エスコートされて
部屋へと行った


完全に綾野マジックに
はまっていた


1日遊び回って
お腹いっぱいになって…


眠たくならない訳がない


いつしか綾野さんの
腕の中で眠っていた


“ヤバい、ヤバい“
寝ちゃってた…💦

綾野さんも、
横でスゥスゥ~と
寝息を立てていた


綾野さんも疲れているんだろうな…


忙しかったもんね…
新店舗のこともあるし…


綾野さんの
寝顔って意外と可愛い💕


そんなことを思っていたら綾野さんが目を開けた


“ヤバい、ヤバい…“


綾野さんの顔が近づいてくる…


目をつぶる…


綾野さんの
唇が重なってくる




何度も何度も…





No.113 14/02/06 19:10
りんご ( ♀ UNyGh )



『さっ…帰ろうか⁉』



『えっ・・・⁉』




『いいの⁉』




ここまでお膳立てされて
魔法を掛けられて
女が落ちない訳がない…


綾野さんの首に
手を回していた…




『いいんだね⁉』




コクンッと
頷いた…






No.114 14/02/06 19:35
りんご ( ♀ UNyGh )


綾野さんが部屋の明かりを消した…


街の夜景が
遠くに見えていた

走っている車のライトが
流れ星のように
キラキラ
瞬いて流れていた



何度も唇を重ねていた

綾野さんの唇が
耳たぶから

首筋に吸い付く…


優しく胸を包み込んでいた手を離し…
唇が吸い付く…


優しく…
激しく…
激しく…優しく…

綾野さんの
手のひらと指先が

身体中をなで回す…




そ~っと
触れるか
触れないかのようなタッチで茂みを触る

中指が時々確めるように
一番敏感な部分に触れてくる…


“ぁっ…“
声が漏れる…


『我慢しなくていいよ…』
耳元で綾野さんが囁くと同時に…

敏感な所を…

キュッと押された…



No.115 14/02/06 19:49
りんご ( ♀ UNyGh )







綾野さんと…
結ばれた…









No.116 14/02/06 21:53
りんご ( ♀ UNyGh )



『そろそろ、帰ろうか⁉』


『・・・・』


『明日、仕事でしょ‼』
『俺は、一緒に出勤してもいいけどね。』


『いやいや、それはマズイでしょ…』


『じゃ…帰らなきゃね。』


綾野さんに急かされて
身支度を整え
ホテルを後にした



No.117 14/02/06 22:08
りんご ( ♀ UNyGh )



車を走らせる


『綾野さんずるいよ…
あそこまでされたら…
女は絶対に落ちるって
計算だよね…』



『さぁ~…
それはどうかな~(笑)』

『でも、今日は一日
仕事忘れて
倫子ちゃんと過ごしたかったから。』

『クリスマスも何もしてあげられなかったしね…』





No.118 14/02/06 22:20
りんご ( ♀ UNyGh )



日付が変わる前に
送ってくれた

『今日は一日
楽しかったよ
ありがとう。』


『私の方こそ
夢のような一日でした…』

『夢じゃないよ』
『二人の時間も大切にしないとね。』




シンデレラタイムは終わった…



今までに
経験したことのない事ばかりの一日が過ぎていった




No.119 14/02/07 16:25
りんご ( ♀ UNyGh )



た・だ・い・ま…

そ~っと靴を脱いでいたら

風呂上がりのお母さんとバッタリ…

『お帰り、
遅かったわね。
すぐお風呂入っちゃいなさい。』


『は~い』


まさか
“お風呂入ってきた“ とは言えず…

せっかく、綾野さんにブローしてもらったのが
もったいないと思いながら…
お風呂に入った


ふぅ~っ…
お風呂って気持ちいぃ⤴

ゆっくりと湯船につかる


綾野さんの事を思ったら…
体の芯が…

キュンッとした…




No.120 14/02/07 17:08
りんご ( ♀ UNyGh )



映画のプリティーウーマンを思い出していた…


夢を叶えてくれる
リチャード・ギアと綾野さんが重なっていた…


大人で穏やかで…
怒ることもない…



私にとっては
夢のような初体験ばかりだったけど…


綾野さんは
たまにって言ってたけど…


一人で⁉
なんて訳ないよな…


綾野さんじゃなかったら
今日みたいなデートは
一生体験する事はなかったかもしれないな…
なんて思ってみたりした


でも…
いったいいくら使わせちゃったんだろう⁉

ちょっと心配になった


金銭感覚の違いなのか⁉


綾野さんの年齢なら
普通なのかな⁉



いったい綾野さんて…

よくわからなくなっていた…



No.121 14/02/07 17:29
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはようございま~す』


『おはよう』


おっ…綾野スマイル


私も負けじとニカッと笑って返した


年末までは予約もいっぱいで、毎日が忙しい


でも大丈夫
充電満タン
頑張れる‼


ファイトッ私…


No.122 14/02/07 17:43
りんご ( ♀ UNyGh )



慌ただしく1週間は過ぎていった


12/31
今年も後少しで終わる


最後の最後まで予約で埋まっていた


毎年、恒例の年越し蕎麦をスタッフ全員揃って最後に食べる


『今年も1年ご苦労さまでした。』
店長が挨拶して


『いただきま~す‼』

皆、お腹ペコペコだから、無言でズルズルと一気に食べていた(笑)


食べ終わった所で
店長から
『え~…
今日を最後に綾野さんが
新店舗の店長として移動されることに……
…………
………………
これからも、頑張ってください。』

と、綾野さんに花束が渡された。


No.123 14/02/07 18:02
りんご ( ♀ UNyGh )



『お疲れ~』

『よい年をお迎えくださ~い』

店を出た



さてと…


さて、、どうすっかな⁉

綾野さんに電話を入れた


トゥルル~…🎵
トゥルル~…🎵

留守電だった…⤵


No.124 14/02/07 18:24
りんご ( ♀ UNyGh )



香の店に寄っていた


『じゃ、明日、朝6時出発で‼』


『うん、わかった。
じゃ~、よい年を~』


そう、明日は初スキーだ


でも、、その前に綾野さんに逢いたい

家に帰り荷物をパッキングしてから、綾野さんに電話した


トゥルル~🎵
トゥルル~🎵

☎『もしもし…』


綾野さんが迎えに来てくれることになった⤴


『行ってきま~す。』


『気をつけてね。』


スキーの荷物を持って家を出た

香に事情を話、荷物を預けた


綾野さんの車に乗り込む



『お疲れ~』


『ありがとう』


『家でいいのかな⁉』


『ハイッ⤴』


No.125 14/02/07 18:37
りんご ( ♀ UNyGh )



途中でコンビニに寄り
綾野さんのマンションに行った




ギューッと
ギューッと
綾野さんに抱きついた


『どうした⁉』


『だって…
お店じゃ出来ないじゃん…』


綾野さんは笑って
ギュッとしてくれた…



『コーヒー入れるから』


『うん』

ポコポコとした音と共に
コーヒーのかおりが部屋中に漂う

『落ち着くね⁉』


『そうだね…』


『お邪魔じゃなかった⁉』


『大丈夫だよ。
俺も逢いたかったし』



No.126 14/02/07 18:49
りんご ( ♀ UNyGh )



『ゆっくり出来るの⁉』


『明日、朝6時出発なんだけど…
綾野さんが嫌じゃなかったら…』


『嫌な訳ないでしょ。』


『よかった⤴』


ソファに並んで座って
テレビを見ていた




No.127 14/02/07 19:01
りんご ( ♀ UNyGh )



『もう、お店来ないんだよね…』


『そうだね』


『逢えなくなるね…』


『う~ん…
暫くは忙しくて時間とれないかもな…』


『・・・・』

『綾野さんはなんともないんだ…』


『そんなことないよ
寂しいよ…』

『だから~
合鍵‼』


『合鍵はいらない…』


『意地っ張りだな~』


『だって…
嫌なんだもん…』


『合鍵持っていれば
いつだって来ていられるでしょ⁉』


『い~の‼』


『そっか…
その気になったら言って。』


『うん…』


No.128 14/02/07 19:12
りんご ( ♀ UNyGh )



『それとさ…
綾野さんて…やめない⁉
二人の時は直樹でいいよ』


『ナ・オ・キ‼』


『なに⁉』


『なんか照れちゃうね…』


No.129 14/02/07 23:10
りんご ( ♀ UNyGh )



『お風呂は⁉』


『まだ、だけど…』


『入っておいで、
俺は、さっき入ったから。』


『うん、、じゃ~お借りしま~す。』


『そこにあるタオルとか使っていいから…』


脱衣場の所のロッカーに
きちんとたたんで
タオル類が積み重ねられていた

綾野さんらしい(笑)


お風呂場もきちんと整理されていた

結構、神経質なタイプなのかも…


オゥオゥ⤴
さすが、いいシャンプー使っているな…
ナルシス綾野(笑)


『ありがとう、さっぱりした~。』


『ブローいたしましょうか⁉』


『いや、めっそうもない…』


『ささっ、遠慮なさらずに、こちらへど~ぞ(笑)』


綾野さんに2度目のブローをしてもらった

綾野さんの指先は
優しくキレイに動きで
ホントに魔法みたいだ…




No.130 14/02/07 23:26
りんご ( ♀ UNyGh )



『あっ…除夜の鐘だ…』


『ホントだね』


『あけまして
おめでとうございます』


『あけまして
おめでとうございます』


『今年は、新店舗
頑張ってくださいまし‼』


『そちらこそ、
益々のご活躍
期待いたしております
まずは、資格だね。』


『はいっ
頑張らせて
いただきたいと思っております』


『思ってじゃなく
頑張ってください』


『はいっ
了解いたしましてございます』



向き合って
笑いあっていた


No.131 14/02/08 09:45
りんご ( ♀ UNyGh )


『おいで…』


………
…………
………………



……………
………


綾野さんの
腕の中で眠りにつく




No.132 14/02/08 10:00
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよう
そろそろ、起きなよ』


コーヒーの香りの中で
目が覚めた


『おはよう…
ごめんなさい』


『何⁉』


『こんなに早くに…』


『無邪気な寝顔してたよ(笑)
忙しかったからね
疲れてたんだよ。』



普通、反対だよね…
女が“おはよう“って
起こすんだよね…

綾野さんの腕の中で
安心して寝すぎちゃった…
忙しくて疲れてるのは
私より綾野さんの方なのに

私、ダメダメだ

恥ずかしい⤵



『ほらっ、遅くなるよ。』


No.133 14/02/08 10:15
りんご ( ♀ UNyGh )



トーストと
ハムエッグが焼かれる


『綾野さんて、
なんでも出来るね』


『“綾野さん“じゃないでしょ‼』

『なんでもって…
ハムエッグくらい普通出来るでしょ⁉
倫子ちゃんは、玉子も焼けない⁉(笑)』


『玉子くらい…』

『いただきま~す』


『ど~ぞ(笑)』




『スキーやめて
ここに居たいな…』




『何、言ってるの⁉
約束は守らなきゃダメでしょ⁉
お友達に迷惑かけることになるよ⁉』


『うん…』


『ここに帰ってくればいいから…』


『うん…』



No.134 14/02/08 10:33
りんご ( ♀ UNyGh )



『洗い物くらいするから…』


『い~よ、顔洗っておいで』


『・・・・』


『ここ座って‼』


綾野さんにメイクをしてもらった


いつもとは全然違う…

『綾野さんはこ~ゆ~感じが好きなの⁉』


『嫌いじゃないよ。
でも俺の好みじゃなくてさ
倫子ちゃんには、こんな感じが似合うってポイントでしょ⁉』


『さっ…
送っていくよ』



も~っ…
………
…………
……………


No.135 14/02/08 11:05
りんご ( ♀ UNyGh )



香の店の駐車場まで送ってもらった


『ありがとう』


『楽しんで行って
らっしゃい‼』


『うん…』


『ケガしないように…』


『うん…』


香が出てきた


『じゃ…✋』

綾野さんのホッペに
チュッとして
車から降りた





No.136 14/02/08 11:16
りんご ( ♀ UNyGh )



『あけまして
おめでとう‼』


『あけまして
おめでとう‼
香、荷物ありがと。』


『寒いね~っ…』




健ちゃんの車がやってきた
『あけおめ~‼
今年もよろしくぅ~‼』


車に荷物を積み込み
車に乗り込む


『さっ…いざ、出発~‼』



No.137 14/02/08 11:27
りんご ( ♀ UNyGh )



まだ薄暗い
高速道路を走っていた


暫く走ると
段々とあたりが薄紫に
明るんできた


『寒くない⁉』
運転席の健ちゃんが聞く

『大丈夫だよ。』


『寒かったら、言えよ。』


『うん…』



No.138 14/02/08 13:11
りんご ( ♀ UNyGh )



“わぁ~っ…⤴
すっご~い“


遠くに見える山々が
真っ白だった


段々と雪が降り始めた


ワクワク
o(^^)o


チェーン規制の標識も出始めた

『もう少ししたら
チェーンするようかな…』健ちゃんが言った


暫く走って
チェーン着脱所と書いた
空き地に車を入れた

健ちゃんが降りしきる雪の中チェーンをまく


傘をさしてあげてると
健ちゃんが
『寒いだろっ、
中入ってろよ‼』
って言った


『ううん、大丈夫だよ。』

『ありがとな。』


テキパキと作業する
健ちゃんはカッコよく見えた。


ペットボトルの水で手を洗う
健ちゃんの
手が真っ赤なっていた


No.139 14/02/08 13:21
りんご ( ♀ UNyGh )


ガタガタと車は走り始め

次第に

シャンシャン🎵
シャンシャン🎵

とチェーンの音が響いていた

フロントガラスに吹き付けるように雪が舞っている



『わぁ~っ
すっご~い…
目が回りそうだぁ~‼
こんな雪、見るの初めてだよ‼』


『そうなん⁉』


『うんっ…すごい
すっご~い⤴⤴』


『後、少して到着するから…』




No.140 14/02/08 14:14
りんご ( ♀ UNyGh )



宿泊するホテルに到着した

『健ちゃん、
お疲れさま‼』

荷物をクロークに預け
お茶をしに行った


私は、
コーヒーとアップルパイ

健ちゃんは、
コーヒーとチーズケーキ


香と徹ちゃんは
コーヒーだけ飲んでいた


このアップルパイが
サックサクで
大きめのリンゴがシャクッと少しだけ食感を残し
アーモンド風味の粉を座布団にして、シナモンが香る

私は、このアップルパイの虜になり、1日何個も食べることとなる(笑)



少し休んでから
ウェアに着替え
板と靴を借りて

ゲレンデへ


初めて
スキー靴を履いて歩くのは大変だった


『さっ…準備体操しよか⁉』
健ちゃんが言った


『準備体操⁉』


『そ~だよ、捻挫したくね~だろ⁉』


健ちゃんに言われるまま体操をした(笑)


『じゃ、とりあえず~
徹は香ちゃんで、
俺は倫子ちゃんのお守りで(笑)』


『おもり⁉』


『そう、お守り(笑)』


No.141 14/02/08 14:40
りんご ( ♀ UNyGh )



板を履いたら…

最初は、歩くことも出来なかった(笑)


『じゃ、こっち行くから』
『ハの字を逆にしたようにあるいておいで』
と少しだけ坂になった所を登らされた

少し登ると
ズルズルと下がってしまいコケる
コケると自分では立ち上がる事も出来なかった


『ほら~っ(笑)』
健ちゃんが助けてくれる


何回かそんな事をやらされてから、

『リフト行こうか⁉』


『大丈夫かな⁉』


『俺がついてるから大丈夫だよ‼』


リフトに並んでいるのも大変だった(笑)
ズリズリと後ろに下がってしまう(笑)

『ほらっ、俺の前に来いよ。』


『エヘヘッ…』


『エヘヘッじゃね~よ。』

めっちゃ緊張

初リフト

緊張、緊張、緊張💦💦


『ほらっ…』

リフトに腰かけた


グンッグンッグングンッ🎵と振動が体に伝わり
リフトはゲレンデの上へと上った


『どう⁉』


『どうって…ド緊張…』


『着いたら、まんま下へ滑っていけばいいから』


『滑ってて…⁉』


No.142 14/02/08 14:58
りんご ( ♀ UNyGh )


『ほらっ…今だっ‼』
健ちゃんの掛け声でおりた

ヒェ~…
リフトの降り口は
何人もに踏み固められ
ガリガリとアイスバーンになっている


そのまま滑れって言われたって…

もれなく、、ベタッ
コケた⤵


『後ろに迷惑かかるから、早くこっち来いよ(笑)』


『ほらっ…』
健ちゃんに支えられたまんま滑る

『板をハの字にして、エッジを立てて』


『ん⁉エッジ⁉』


ドテンッ

コケまくり💦


それも、3時間くらいしたらなんとか、ゆっくりとならコケまくりながらボーゲンで滑れるようになっていた…


夢中になっていた


『ちょっと休まない⁉
お腹空いたし…』
健ちゃんが言った


『うんっ…』


下までおりたところで
徹ちゃんと香を待っていた

『キャハハハ
香、コケとる~
ウケる~‼』


『人のこと笑えないでしょ(笑)』

No.143 14/02/08 15:24
りんご ( ♀ UNyGh )


おりてきた香達と合流してひとまずホテルの中へ入った

とりあえず
チェックインして
ご飯を食べることになった

クロークに預けた荷物を受け取り、部屋へと向かう


部屋に入ると窓から
ゲレンデが見渡せた


『腹減ったなぁ~‼』


『うん、ペコペコ~』


ホテルには、大きなレストランがあった
結構、混み合っていた


カレーライスとラーメンとおでん…


スキー場へ行くと
なぜか
カレーライスと
ラーメンが定番の所が多いし、旨い








No.144 14/02/08 15:39
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃん、スキー上手いね。』


『あたりめ~だろ‼
健ちゃんは、国体レベルだからさっ。』
徹ちゃんが言った


『国体⁉』


『昔な…』
健ちゃんが答えた


『そ~なんだ~…
だって、私が掴まってもコケないもんね。』


爆笑



『ホントに健ちゃんて
なんでも出来るスーパーマンみたいだね。(笑)』



『お腹もいっぱいになったし、もうひと滑りすっか⁉』


『うん⤴』


『俺と健ちゃんは、上まで行ってくっから
香と倫子ちゃんは下でチョロチョロしてろよ。
もう、二人でも大丈夫だろ⁉(笑)』
って徹ちゃんが言った


私と香は
ヘタクソ初心者だったが
初めてやったスキーが面白くて
夢中になっていた


健ちゃんと徹ちゃんは
上級コースへと行った




No.145 14/02/08 16:43
りんご ( ♀ UNyGh )



香と私は
ヘタクソながらも
一番短いリフトを
何度も何度も繰り返し
少しづつ、、
少しづつ、、
滑る事が出来るようになっていった



ナイターの明かりが灯り始める頃になっていた



モタモタしてる所に

シャッ…
と上から滑ってきて
雪を思いっきり
かけられた


『ひど~いっ‼』


『だいぶ上達したじゃん。』
健ちゃんだった


『でしょ~。』


『そろそろ、あがるぞ‼』

『えっ~…
もっと滑っていた~い‼』


『じゃ、1本付き合ってやるか…』


『うん、うん⤴』




No.146 14/02/08 18:06
りんご ( ♀ UNyGh )



『そっちじゃね~よっ』

“ニカッ“


『こっち。』


『え~っ……』


『大丈夫だから‼』


健ちゃんに促され
ちょっと長いリフトに乗った


『大丈夫かな⁉』


『大丈夫でしょ(笑)』

リフトは長かったけど
斜面的には同じだった

トロトロ滑る
私の回りを
健ちゃんが滑ってくる


端っこで向きをかえられずに立ち止まっていると


『俺の後についてきな‼』と、健ちゃんがちょっと先を滑って行った


健ちゃんの後を
必死に着いていく


なんか上手になったような錯覚になる(笑)


『足元ばかり見ないで
先を見て滑ってごらん‼』

『うん…』


『なっ…
ホラッ、もっと力を抜いて…』


健ちゃんの言う通りにすると、上手く滑れる⤴



あっと言う間に
下まで滑ってきた


『良くできました‼』


『ありがとう、
健ちゃん‼』


『もう1回行くか⁉』


『うんっ⤴』

No.147 14/02/08 18:12
りんご ( ♀ UNyGh )


リフトに並んで座る


『健ちゃん
ありがとうね。
下手っぴに付き合ってくれて。』


『一緒に来たんだからさ。
少しは、下手っぴさんにも付き合ってやんないとな‼』



“十分付き合ってくれてるよ健ちゃん…“



『じゃ…ラストだから、コケるなよ‼』


『それは無理(笑)』


健ちゃんの後を着いていく…



途中、香と徹ちゃんを発見‼


『あがるよ~‼』


『了解~‼』




No.148 14/02/08 18:29
りんご ( ♀ UNyGh )


部屋に戻って
ご飯を食べに行った


美味しい肴と

升に入ったにごり酒
升の端に塩がついていた


『飲んでみる⁉』
健ちゃんの升酒を
ちょぴっと舐めてみる…

にごり酒なんて
初めて口にした…


『美味しいね…』



『だろ~っ‼』


『うんっ⤴』


『スキーの後の
これが飲みたいから
来てるようなもんだ。(笑)』

健ちゃんは、東北人だからか
お酒がめっちゃ強い


お腹もみたして
ほろ酔い加減で
部屋に戻った


少し休んで
お風呂へ行って

今度は部屋で酒盛りした


『なんか、あっちこっちがパンパンッ』
『転んでばかりいたから、膝がアザになってたよ~。』


『ほらっ、寝転がってごらん…』


健ちゃんがマッサージしてくれた

『ヘタクソはよ、
力むから、あっちこっちに力が入って筋肉痛になんだよ(笑)』


『キャ~ッ痛い💦』


『ほぐしておけば
明日、楽だから…』


『キャ~ッ
イテテテ~ッ……』


No.149 14/02/08 18:39
りんご ( ♀ UNyGh )



かなりお酒も入って…


いつの間にか眠っていた



香と徹ちゃんは
一緒の布団に入っていた


私と健ちゃんは
もちろん別々に…(笑)



そ~っと起き出して

カーテンの隙間から
覗いてみる


ナイターの照明は
落とされていたが
ゲレンデはライトアップされて
雪がキラキラ舞って
キレイだった


『キレイだろ⁉』
健ちゃんが耳元で
言った


『あっ…ゴメン
起こしちゃった⁉』


『喉乾いて起きた(笑)』



No.150 14/02/08 18:55
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよ~う‼』
『もう9時だよ~。
朝ご飯食べ行こうよ~っ‼』


『おは~っス…』
健ちゃんが目をさました


香と徹ちゃんは…
起きない⤵


しかたなく、健ちゃんと二人で朝ご飯のバイキングに行った


『お前、朝から元気だな~…筋肉痛になってないの⁉』

『うん⤴全然、大丈夫‼』


『若いな~…』


『だって…
スキー、上手くなりたいもん。』


『そっか…
頑張れよ(笑)』

『しょうがないな~…
あいつら、起きてきそうもないから、付き合ってやっか⁉』


『うんっ⤴』



No.151 14/02/08 19:12
りんご ( ♀ UNyGh )



身支度を整え
ゲレンデに出た

『空気が
冷たくて甘いね。』


『甘い⁉(笑)
甘いじゃなくて、
寒いだろ⁉』


『違うよ、甘いよっ‼』


『そっかぁ~…⁉
じゃ、準備体操‼』


『いち、にっ、さん、し~…』

『ちゃんと真面目にしないとケガすんぞっ‼』


『は~いっ✋』


『じゃ、今日は上から行こうか⁉』


『・・・・』


『大丈夫だよ‼』

中級クラスのリフトに乗った


滑り出す


『あれっ⁉あれれっ⁉
なんか上手くね⁉』


『新雪だから滑りやすいんだよ。(笑)』


『なんか、一晩寝たら
上手くなったかと思った(笑)』


何本か滑って…

『健ちゃん、上行ってもいいよ。
一人で大丈夫だから…』


『い~よ。
付き合っててやるよ。』
『もう少しさ、膝を柔らかくして、気持ち板を揃えてみ。』


『うんっ‼』



No.152 14/02/08 19:20
りんご ( ♀ UNyGh )



『次はさ、
曲がる時にさ
ストックをチョンてついて
そのタイミングで方向転換してみ‼』


『はいっ、先生わかりました‼』


『わかれば、よろしい‼』
『せっかく上手くなってきたんだから、ちょっと上行くべさ‼』


『うんっ、行ってみる⤴』

『よかった、健ちゃんに教えてもらって‼』


No.153 14/02/08 19:54
りんご ( ♀ UNyGh )



時計を見たら
12時をだいぶ過ぎていた

『お昼にするか⁉』


『香達、起きたかな⁉』


『ほっときな…
ヤボな事しないの‼』


『へへへへっ…
だね…』


健ちゃんと二人で
ランチをすることにした



No.154 14/02/08 20:16
りんご ( ♀ UNyGh )



『何にする⁉』


『適当につまんで
ビールかな⁉』


『えっ⁉
昼から飲むの⁉』


『昼から飲むのっ‼』


『じゃ~、、私はラーメンにしよっ‼』


『スキー靴脱ぐと
足が解放されて
気持ちいぃ⤴』


『今日は、マッサージしてもらおうかな⁉』


『うん、いいよ‼』


『じゃ、先にアップルパイおごっちゃる‼』


『わ~い⤴⤴』

健ちゃんに
コーヒーとアップルパイをおごってもらった⤴


ゲレンデの見える窓際に座った

『あっ…香と徹ちゃんだ‼』


No.155 14/02/08 20:33
りんご ( ♀ UNyGh )



『俺、部屋行って
昼寝してくるわ。
倫子ちゃんは
どうする⁉』


『じゃ、私は滑ってるよ。香も来てるし
上手くなりたいし。』


『気をつけてなっ‼』


『うんっ⤴』


健ちゃんと別れて
一人でゲレンデに出ていった

ちょっと心細かったけど
スキーに夢中になっていた


ナイターの明かりが
灯る頃…
健ちゃんがやってきた


『頑張るね~⁉』


『うん⤴
超楽しい⤴』


『そっか…
よかった、よかった‼』


香達と合流して
健ちゃんと徹ちゃんは
上級コースへ
私と香は下の方で…





No.156 14/02/08 20:49
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんと徹ちゃんが
上から滑って来るのが
見えた


『二人共、超カッコイイね。』


『スキー場ってさっ、
スキーが上手いと
カッコよく見えちゃって
恋が芽生えるけど…
街に戻るとダサくて
恋が一気に冷めるって言うよね(笑)』
香が言った


『わかるような気がする~。
コケてたりしててさ
助けてくれたりすると
ステキに見えるもん(笑)』

キャハハハ…


『何、笑ってんの⁉』
徹ちゃんが言った

『カッコイイねって言ってたの‼』
香が言った


『そろそろ上がるべ‼』


『うん。』



No.157 14/02/09 09:23
りんご ( ♀ UNyGh )


着替えて、街へとくり出した

居酒屋へ入った

地物の肴が、
刺身も美味しいし
焼き物も美味しいし

お酒も地酒が
いっぱいあって
飲み比べながら
知らず知らずに
すすんでしまう(笑)


お酒のよくわからない私はもっぱら食べる、食べる


『よく食うよなぁ~…』
健ちゃんが
笑ってる


『健ちゃんだって
よくそんなに飲めるよ。
酔っ払いは、雪の中に捨ててくからね。(笑)』


『えっ⁉
俺、捨てられちゃうの⁉(笑)
ひでぇ~』


飲んで、食べて、笑って
楽しかった



No.158 14/02/09 09:43
りんご ( ♀ UNyGh )



ホテルに戻ってきた
部屋でゴロゴロ
テレビを見てる

約束のマッサージを
健ちゃんにしてる

『気持ちエェ~⤴』


『も~っ、酔っ払いなんだから~…』


『土踏まずに乗ってや‼』
うつ伏せになった
健ちゃんの足裏を
踏み踏みする

『たまんね~⤴』
『健ちゃんて、Mじゃね⁉(笑)』


『かも~ぉ~(笑)』

そんなやりとりをしているうちに
健ちゃんは寝息を立てていた




No.159 14/02/09 09:57
りんご ( ♀ UNyGh )



『香、お風呂行かない⁉』

『そ~だね。』

香と二人で大浴場へ向かった


『気持ちイィね~
温泉大好き⤴
生き返る~。』
私が言ったら

『生き返るって…
死んでないし(笑)』
香が言った


さっぱりしてお風呂を出た

『私、ちょっと電話してくるわ…』


『あ~、じゃ先に部屋に戻ってるね。』


綾野さんに電話を掛ける

トゥルル~🎵
トゥルル~🎵
トゥルル~🎵


☎『もしもし…』


☎『もしもし…』


☎『何してたの⁉』


☎『寝てた、倫子ちゃんは⁉』


☎『香とお風呂入ってきたところ』


☎『楽しんでる⁉』


☎『うん⤴、ものすごくスキーって楽しい⤴』

…………
……………
………
…………
……



☎『明日、帰るから』


☎『家に来る⁉』


☎『うん……』





電話を切った





No.160 14/02/09 11:17
りんご ( ♀ UNyGh )


綾野さんの声を聞いて
ちょっとご機嫌になった私🎵

アップルパイと
チーズケーキと
ショートケーキと
ガトーショコラを
選んで部屋に持ち帰った


『ケーキ買ってきた~⤴』

『キャーッ⤴
甘い物が食べたいって思ってたんだよ~。』
って香が言った


香と徹ちゃんが選んで

アップルパイと
ショートケーキが残っていた

『健ちゃんは⁉』


『アップルパイ‼』

『ウッソ~ッ(笑)
お前、アップルパイ食べたいんだろ⁉』


『うんッ⤴』



ケーキを食べ終えて
健ちゃんと徹ちゃんが
大浴場へと出掛けた


No.161 14/02/09 11:22
りんご ( ♀ UNyGh )


『電話繋がった⁉』


『うん⤴』


『帰ったらさ
香んちに荷物置かせてくれる⁉』


『い~よ。』


『ありがとっ‼』





No.162 14/02/09 12:38
りんご ( ♀ UNyGh )


健ちゃんと徹ちゃんが
お風呂から戻ってきた


『いい正月だなぁ~…』

健ちゃんが買ったばかりの日本酒を飲みながら
呟いた


『健ちゃん、
オヤジみた~い(笑)』

私と香が笑う

『オヤジっ結構っすよ‼』健ちゃんが言い返す


徹ちゃんのイビキが
ガァーガァーと
聞こえ始めた(笑)

香がそんな徹ちゃんの横に滑り込む


健ちゃんも徹ちゃんも
あまりベラベラと
喋る方じゃない

口下手と言うのかな…





No.163 14/02/09 16:06
りんご ( ♀ UNyGh )


『私、下のショップ覗いてくる…』
綾野さんのお土産を買いたかった


『じゃ、俺も行こうかな⁉』


『い~よ…
健ちゃんは、飲んでなよ(笑)』


『い~の‼』


健ちゃんと一緒にショップに向かう


『あそこで一人酒飲んでても、
お邪魔だろ⁉
ヤボっちゅ~もんだ⁉』


『そっか
エヘヘッ(笑)』

ショップを見て回る

家には野沢菜漬けと
職場にはクランチチョコ

綾野さんには
悩んだけど
綺麗な瓶のお酒にした


『買物、済んだか⁉』


『うんッ⤴』


『じゃ、俺にも
付き合ってよ。』


⁉⁉⁉


健ちゃんに着いて行くと
ホテルのバーだった

ホテルは混んでいるのに
バーはガラガラだった

No.164 14/02/09 16:30
りんご ( ♀ UNyGh )



『どうぞ…』


カウンターに並んで座った
カウンターの奥がガラス張りになっていて
ライトアップされたゲレンデが見えていた

健ちゃんは、ロックを頼んでいた

私は、
『お酒、よくわからないので…』
と言ったら

お勧めのカクテルを作ってくれた

色が層になってて
口当たりがやわらかく
飲みやすかった


『美味し~い⤴』


バーテンダーの人が
中でニコッと微笑んだ


あまりにも美味しくて
もう一杯もらった


『結構、降ってきたね。
明日、帰るんだね…』


『朝一で滑って
昼にはあがるよ。』


『せっかく滑れるようになったのに…
もう帰るんだぁ~…』


『また来ればいいだろ…』


『来ればって…』


『連れてきてやるよ…』







No.165 14/02/09 16:39
りんご ( ♀ UNyGh )



1時間もいただろうか

『そろそろ部屋に戻るか⁉』
健ちゃんが言った

『そ~だね。』


立ち上がろうとしたら…
足がフラフラした

キャハハハ

『どうした⁉』


『頭はしっかりしてるのに、足が酔っ払っちゃったみたい(笑)』


『しょ~がね~なぁ~』

健ちゃんに支えられるように部屋に辿りついた





前にもこんな事あったな…
それは、遊園地行っときだった、ジェットコースターで気持ち悪くなったとき……

そんな事を思い出していた


『健ちゃん、
ありがとう…』


No.166 14/02/09 16:44
りんご ( ♀ UNyGh )



部屋に戻った


徹ちゃんのイビキが聞こえる(笑)

香の寝息もスゥピィ聞こえた


健ちゃんも布団に寝転がった
3分もしないうちに
豪快なイビキが聞こえていた(笑)



No.167 14/02/09 16:57
りんご ( ♀ UNyGh )



一番に目が覚めたのは私だった


そ~っと起き出して
カーテンに潜り込み
ゲレンデを眺める


朝日にゲレンデが光って
舞う雪が
キラキラ、キラキラ
輝いている

“きれ~い…“

みとれていたら

後ろからそっと
健ちゃんに包み込まれた


『寒いだろ⁉』

『今日は、最後だから、ロープウェイに乗って山頂まで行くからな‼』


『えっ⁉無理だよ~…』


二人して暫くゲレンデを眺めていた






No.168 14/02/09 17:22
りんご ( ♀ UNyGh )



4人で板をかついで
ロープウェイに乗る


“ヒェ~ッ…“

昨日まで滑ってたところより何倍も長い距離だ

『香、大丈夫かな⁉』


『二人してこのまま下る⁉』香が言った


『せっかく来たんだからさ、一度は山頂に立たなきゃなっ‼』
徹ちゃんが言った


山頂に降りた

回り道の林間コースもあって、林間コースは比較的なだらかだから大丈夫だと促され、滑り出した


朝一と言うこともあり
新雪で滑りやすかった


健ちゃんと徹ちゃんが

下手っぴな私と香をフォローしてくれた


暫く滑った所で
上級コースと
林間コースに別れていた

私と香は林間コースへと回って上級コースの下へと出た


二人が無事辿り着いたのを確認した健ちゃんと徹ちゃんが上から滑ってきた

別名 断崖 と言われる上級コースを二人は
シャッ、シャッ、と
リズミカルに下りてくる



アッと言う間に下りてきた

回りから歓声が上がった


シャッと雪をかけ止まった
『すご~い⤴
健ちゃんカッコイイよ~‼』


『だべ~‼』



また合流して滑って行った


何本か滑ってから
ホテルに戻りチェックアウトして、家路についた



No.169 14/02/09 17:33
りんご ( ♀ UNyGh )



帰りは、後ろに
徹ちゃんと香が座って

私は助手席に座った


『アッと言う間の3日間だったね⁉』
私が言った

『3月にでも、また来るか⁉』
健ちゃんが言った


『賛成‼』
徹ちゃんと香が賛成した


『じゃ、計画すっか⁉』


車中そんな話で盛り上がっていた


『しかしまぁ~、よく寝る二人だな~…』
後ろで徹ちゃんと香が爆睡していた




No.170 14/02/09 17:44
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃん、
お疲れさま~』


香の店の駐車場に到着した

『家まで、送るよ。』
って健ちゃんが言ってくれたが…


『うん、ありがと…
ここで大丈夫だから…』
と、下ろしてもらった


『ありがと~
バイバイ~、
またね~✋』


車を見送った





No.171 14/02/09 17:49
りんご ( ♀ UNyGh )



綾野さんには
途中のドライブインから
電話を入れていた


暫くしたら
綾野さんの車が見えた


『香、ありがと‼
荷物、後で取りに来るから。』


『了解👍』




車に乗り込む
『お帰り。』


『ただいま。』





No.172 14/02/09 20:36
りんご ( ♀ UNyGh )



『お腹、空いてない⁉』


『大丈夫、途中のドライブインでいっぱい食べてきた。直樹は⁉』


『一日、動いてないから、減ってないよ。』

『じゃ、家でいいかな⁉』

『うんっ。』


コーヒーを入れてもらった

『はいっ、お土産‼』
お土産のお酒を渡した


『綺麗な瓶だね。』


『そ~でしょ~。
お酒のことは、わからないけど…
瓶がキレイだったから。』


『ありがとう。』


『で、スキーは、どうだったの⁉』


『うん、楽しかった⤴
…………
………
……

…………
………
……………

…………
………』


初めて見たゲレンデがキレイだったことや

最初は滑れなかったこと…でも、最後は山頂まで行ってきたこと

アップルパイが
美味しかったこと


話したい事は
いっぱいあった


綾野さんは
“うん、良かったね“
“それで⁉“
って、聞いてくれてた



No.173 14/02/09 20:50
りんご ( ♀ UNyGh )



『明日から、仕事だぁ~⤵⤵
もう、お店には直樹は来ないんだよね…』


『そ~だよ。(笑)』


『オープンはいつ⁉』


『後1週間後だよ。』


『そっかぁ~…
毎日、忙しくなるね。
もう、スタッフは決まったの⁉』


『ほぼね、
倫子ちゃんも移動する⁉』


『そんな事出来ないよ…
まだ一人前になってもないのに、迷惑になるだけだし…
示しがつかなくなるでしょ⁉』


『そうだね…
自分の店なら自由にもなるんだけどね。
そのうちね…』


『そのうち⁉
独立するの⁉』


『まっ…そのうち…』




No.174 14/02/09 23:01
りんご ( ♀ UNyGh )


そんなでお正月休みは
アッと言う間に過ぎていった


また、慌ただしい
日常が始まっていた


ただ違うのは
出勤しても
綾野さんが居ないと言うことだった


綾野さんが居なくなって
新しいスタッフも加わり

お店の雰囲気もちょっとづつ変わっていたように思う


そんなある日
先輩の百合子さんと
お昼が一緒になった


『私、お店辞めるんだ…』


『えっ⁉』
百合子さんは、
私が入った当初から
色々と細かい事まで
指導してくれた先輩だった

『最近、腰痛酷いし…
少し休もうかなと思ってさ…
綾野ちゃんも居なくなっちゃって、、
なんか張り合いもなくなっちゃった…』


『・・・・』
『綾野さん⁉』


『なんかさ…
色んな意味で目標だったんだよね。
しんどい時とか
何気に声かけてくれたりして、“頑張らなきゃ“って思えたのが、なくなっちゃった感じでさ…』


『もしかして…
百合子さん⁉』


『ちょっとね…』



“え~っ…“
そうだったの⁉


『あっ…でも彼女になりたいとかはないよ。
あの人厳しそうだから(笑)』


『厳しい⁉』


『完璧を求められそうでしょ⁉
私生活見えないしね。(笑)』


そんな事を言っていた…



私は微妙に感じてた



No.175 14/02/09 23:16
りんご ( ♀ UNyGh )



綾野さんは
オープン前で忙しいと言うのもあってか
電話をしても
いつも留守電だったし
声も聞けずに一週間が過ぎていた


綾野さんは
一週間も声も聞けなくて
なんともないのかな⁉


私は…
寂しいよ…


声くらい聞きたいよ…



でも、しょうがないか…



なんか手伝いたいけど
そうもいかないしね…







No.176 14/02/12 10:35
りんご ( ♀ UNyGh )


オープン当日を迎えていた

私は、私で普通に仕事や学校もあったし…
お店に行くわけにもいかないし…

もどかしい日々をすごしていた


学校が終わって
綾野さんに電話をいれる


トゥルル~🎵
トゥルル~🎵


やっぱり、留守電だった…

『オープンおめでとうございます。』
とだけメッセージを残して切った



数日後、(火)になり
昼頃に電話をしたら
やっと繋がった


☎『もしもし…』


☎『もしもし…』


☎『お疲れさま』


☎『今、起きたよ…』


☎『ゴメン、起こしちゃった⁉』


☎『起きなきゃいけない頃だから良かったよ。
一緒にお昼でも食べようか⁉』


お昼を一緒に食べる事になった




No.177 14/02/12 10:41
りんご ( ♀ UNyGh )



久々に綾野さんに逢える⤴⤴
ウキウキしていた


『久しぶり~』


『ゴメン、かまってやれなくて…』


『いいよ、いいよ~、大変な時だもん、
わかってるから…』


『逢いたかったよ。』


『私も…』


『少しドライブしようか⁉』


1時間程、走ってレストランに入った


No.178 14/02/12 11:02
りんご ( ♀ UNyGh )



『百合子さんがね…
腰痛が酷くて、お店辞めるんだって…』


『そっかぁ~…
腰痛は職業病みたいな所あるからな。』


『直樹が居なくなって、お店も張り合いがなくなっちゃったって言ってたよ…』


『俺⁉』


『うん、好きだったって…』


『…………』


『直樹、優しいから…
女の子は何気ない優しさにグッときちゃうんだよ…』


『でも俺は、そんなつもりは…』


『直樹は気がなくても女の子は優しく声かけてくれたりしたら、惹かれちゃうんだよ。』


『職業柄、立場上、お客様はもちろんスタッフにも気配り、目配りは大切だと思ってる。』


『それでもね…』


『そっか…気をつけるよ』



No.179 14/02/12 11:48
りんご ( ♀ UNyGh )



『いつも留守電だし…』


『だから、いつ来ててもいいように合鍵渡しておくって言ってるのに…』


『だって直樹が居ない時に、マンションに居たって…』


『俺は、逢えない間も、倫子ちゃんも頑張っているんだなって思うから、俺も頑張ろうって思えるよ。』

『仕事がちゃんと出来てなければ、生活も出来ないし、男としてダメだろ⁉』

男と女の違いだろうか⁉

年相応の責任ある考えなのかもしれない

仕事が第一だと直樹は言う

言っていることはよくわかる。
でもちょっと寂しい…



『埋め合わせに、
この次の連休に、泊まりで温泉に行こう⁉
予定しておいて。』


No.180 14/02/12 12:08
りんご ( ♀ UNyGh )



ドライブしてランチして
マンションに帰ってきた

『コーヒーでいい⁉』


『うん』


直樹はコーヒーを飲みながら、パソコンを開いている

『仕事⁉』


『あぁ、勤務のローテーション表を早めに出してあげないとね。』


『私、お邪魔だったら帰るよ…』


『邪魔なんて言ってないでしょ⁉』


久しぶりに一緒に居ると言うのに…
ちょっと拗ねちゃう
子供だなって自分でもわかってる

No.181 14/02/12 12:53
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹はご機嫌を取るように
隣に座り肩を抱く


それはそれで嬉しいのだけれど…


会話とか、遊びとか、、
一緒の時間を楽しみたいと思う…


一緒に、映画を観たりして、泣いたり、笑ったり、感動したり…


一緒に、スキー行ったり…

スキー、楽しかったな…



No.182 14/02/12 13:01
りんご ( ♀ UNyGh )



『あっ…
3月にまたスキーに行く話が出てるんだけど…』


『行っておいで。』


『行っておいでって…
何も聞かないの⁉』


…………
………
……

……………
…………




『誰と行くの⁉』


『いつも話てる香と
香の彼氏と
彼氏の友達。』


『そうなんだ。』


『・・・・』





No.183 14/02/12 13:26
りんご ( ♀ UNyGh )



微妙なズレを感じる

これは価値観の違い
と言うのかな⁉


それ以上は、突っ込まなかった…


私って面倒臭いって
自分でわかっている…

面倒臭いって
思われたくなかったし…








No.184 14/02/12 18:56
りんご ( ♀ UNyGh )


真知子には、事前に承諾をへて
お母さんには
真知子と温泉へ行くと嘘をついた


『どこ行くの⁉』


『お楽しみ…』


3時間ほど走り
ホテルについた


一目見て格式の高いホテルだとわかった


『こちらへどうぞ』

荷物を預け
ソファに座り
ウェルカムドリンクで
一息ついていると
そこでチェックインも
済ませられた


鍵を貰い
部屋へと通された


《ここよりスーパースィートのお客様以外の立ち入りはできません》
と書いた入口を抜けた所のエレベーターに乗った


入口のドアを2つ抜けた所が広いリビングになっていた

猫足の家具が
まるでテレビで見た
イギリスの宮殿の中のようだった



『うわぁ~っ
凄い‼』



リビングから目の前の広大に広がるゴルフ場が目に入った


部屋を見渡す

洋間のリビングに繋がって
8畳くらいの和室があり
横のドアを開けたら
ベッドルームがあり

もう一つのドアを開けたら
ジャグジー付きの
大理石のお風呂になっていた



“凄すぎる“💦💦💦


『こんな部屋見るのも初めて…』


綾野さんは笑って

『おきに召しましたか⁉』
と聞いた…




No.185 14/02/12 19:07
りんご ( ♀ UNyGh )



『おきに召しますもなにも…
こんな広い部屋
もったいないよ…』

『私…3万しか持ってこなかった、足りる⁉』


『支払いの心配はしなくていいよ…』


『そ~ゆ~訳にはいかないよ。』

『いつもいつも奢ってもらう訳にはいかないから…』


『女の子は、そんな事心配しないでいいの。』


『しかもスーパースィートって何⁉』


『スィートは、スィートだよ。』


『て言うか…
直樹、大丈夫なの⁉』


『大丈夫じゃなかったら、来ないでしょ⁉』


『・・・・』


『下の大浴場も素晴らしいから、食事の前に行っておいで。』




“素晴らしいからって…
直樹はここに来たことがあるって事だよね⁉“
って聞きたかったけど…

余計な詮索はしちゃいけないって思った……







No.186 14/02/12 19:22
りんご ( ♀ UNyGh )



『俺も、食事の前に、
お風呂入って来たいから
一緒に行こう。』
と誘われて行く事になった

入口で別れ
大浴場へと入っていった


脱衣場とは
別に独立した
パウダールームもあり


内風呂も広く
シャワーブースも
仕切られていた
アメニティグッズは
高級ブランド品だった


露天風呂に
ジャグジー、
ミストサウナ
バブルの寝湯
ジェットもあった

こんなホテルがあるんだと、全てに感動しちゃう設備だった


タオルもフカフカだぁ~⤴しかも何枚も使える


No.187 14/02/12 19:34
りんご ( ♀ UNyGh )



部屋に戻ると
綾野さんも戻っていた


『綾野さん、一つ言っていいですか⁉』



『何、綾野さんて…
二人の時は、直樹でいいって言ってるでしょ。』



『こないだ行ったスパもですけど…
こんな高級なホテル、私は初めてです
贅沢過ぎると思います…
いくらするのかなんて、想像もできないくらい…』



『いくらするなんて、女の子が心配しなくていいって言ってるでしょ。』



『直樹と一緒に居られるなら、私は、こんな高級なホテルじゃなくても…
無理しないで下さい…』



『無理なんてしてないよ。忙しくてちっともかまってやれないし…
埋め合わせだよ。』



『・・・・』




No.188 14/02/12 19:46
りんご ( ♀ UNyGh )



『食事だけど…
和食と中華、フレンチとイタリアンとあるけど、何がいい⁉』


『直樹のお勧めで…』


『じゃ、和食かな…』


『食事処は、一応ドレスコードあるから…』


『ドレスコード⁉』


『マナーとしてね。
温泉旅館じゃないから、浴衣とスリッパで廊下は出ちゃダメなんだよ。』







私は…
そんなマナーなんても知らなかった…



No.189 14/02/12 20:20
りんご ( ♀ UNyGh )



食事は、個室で
仲居さんが専属でついた


料理を一つづつ
そつなく説明してくれた
見た目も華やかで
口にしたこともないような初めての物も多かった…


今まで、友達とはもちろん家族でもこんな豪華な食事はしたことがない


せいぜい高校でテーブルマナーで行ったホテルのレストランが私の中では、一番高級だった…





世界が、違い過ぎる…




No.190 14/02/12 20:26
りんご ( ♀ UNyGh )



『美味しかった⁉』


『うん…』


『なんか元気ないね⁉』


『そんな事ないよ…』


『そう⁉
それならいいけど…』





No.191 14/02/12 21:26
りんご ( ♀ UNyGh )



『どうしたの⁉
具合でも悪い⁉』


『そうじゃない…
そうじゃないけど…』

『私も後10年もしたら、こんな贅沢が出来るほど
お給料があるのかなと思って……』


『頑張れば、成れるんじゃない⁉』


『そ~なの⁉』




『後、10年後は、
もっと稼いでるようにするから…』



『違うよ…
私がって事…
資格を取って
ちゃんと仕事して、
自分でってことだよ。』






こないだ行ったスキーは、雑魚寝だった
ラーメンにカレーに
バイキングだったし…

でも、すごく楽しかった…


今は…
ちょっと、場違いな雰囲気に
正直なところ戸惑っている自分がいた…




No.192 14/02/12 21:42
りんご ( ♀ UNyGh )



『ひと休みしたら、
一緒にジャグジー入ろうか⁉』


『うん…』


部屋に戻ると
フルーツとチョコレートが届けられていた



ソファで寛いで
テレビを見ていた

その間に直樹がジャグジーのお湯をを入れてくれた


『お湯が入ったよ。
先に入ってるよ…
すぐおいで…』


『うん…』


お風呂を覗くと…
泡でいっぱいになっていた


『キャーッ⤴⤴
すっご~い…
こんなの外国映画でしか見たことな~い…』

さっきのちょっと
凹んでた気分も
吹き飛ぶ



テンションMAX⤴⤴



一緒に入るのは
ちょっと恥ずかしいけど…

アワアワで隠れるもんね…


ササッとシャワーを浴びて直樹の横に入った…


二人で足を伸ばしても
向こう側につかないほど広い…


キャーッ⤴⤴
凄い すっご~い⤴



『元気になったみたいだね⁉(笑)』




No.193 14/02/12 22:50
りんご ( ♀ UNyGh )


私って単純だ…


でも、せっかく来たんだから…

今は、余計な詮索ばかりするのは止めようと思った…



アワアワのついた身体は、スルスベ、
トゥルットゥルッ⤴

直樹が、身体中を
手でなめ回す…


『スベスベだね…』


『う…んっ…』


『気に入ってくれた⁉』



『・・・・』



『乳首が、立ってきちゃったね…』



『う…ん…』



『足を開いてごらん…』



お湯の浮力で
スッと抱きかかえられた…



……………
…………
……



…………
…………


『初めてかな⁉』



S○Xの時は
直樹は意地悪だ…
普段、穏やかな

直樹からは
想像出来ないほど…
熱く、激しぃ…



No.194 14/02/12 23:03
りんご ( ♀ UNyGh )



ジャグジーの縁に
掴まらせられ
後ろ向きにされた


背後から
直樹の手に胸を
優しく…強く…揉まれる


首筋から
背中を泡でなで回していた


その手が前に回って…

中指が茂みの中の
敏感なところを
そ~っと
まさぐった…


……………
…………
………


…………
……
………………
…………







No.195 14/02/13 12:03
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよう…』


『ん…おはよう…』


直樹の腕の中で
目覚めた


『大浴場行く⁉
部屋のジャグジーにする⁉』


『どっちでもいいよ…』


『じゃ…お湯入れてくるよ』


直樹がお湯を張りに
ベッドから抜け出た


二人でジャグジーに入った

『朝から贅沢気分だね⁉』


のんびりと浸かっていた


『日常から離れて
自分のメンテナンスを
しっかりする、
自己管理はきちんとしないとね。』
直樹が言った



『そ~だけどさ…
普通は、こんなの無理だよ』


『友達と来たかったら、いつでも予約とってあげるから言って。』


『無理、無理~…』


『遠慮しなくていいから…』

『今日は、どうする⁉』


『どうするって言われても…』


『じゃ~、ゆっくりメンテナンスして行こうか⁉』



No.196 14/02/13 12:15
りんご ( ♀ UNyGh )


朝食を済ませて


部屋でのんびり
休んでから
直樹のお勧めで
ホテルの岩盤浴へ行った


私は、岩盤浴も初めてだった
汗がドッと吹き出し
サウナとはまた違った爽快感があった


『お肌スベスベだ~⤴⤴』


『若いからピカピカだね。』


『直樹だってスルスルしてるよ~(笑)』


『また来ような。』



簡単に“また来よう“なんて言われても…
直樹は、いつも私に支払いはさせない
そりゃ、一回り以上年上の直樹からしたら、私に払わせたくはないだろうけど…
ラーメン奢ってもらうのとは桁が違う

それに甘えてばかりいるのは嫌だった…



No.197 14/02/13 15:10
りんご ( ♀ UNyGh )



久々に真知子と
逢う約束をした


『はいっ、お土産‼
偽装に名前お借りしました。』


『ありがとー。』
『こないだ、空港まで
迎えに来てくれた彼⁉』
真知子が聞く


『違うよ~、
健ちゃんの訳ないよ(笑)』


『あの人、彼氏じゃなかったの⁉』


『違う、違う(笑)
旅行は、お店の人と…』


『付き合ってるって
言ってないの⁉』


『まだね…
なんとなく…』


『空港に迎えに来てくれた人は⁉』


『家を塗り替えしてくれたペンキ屋さん、友達仲間の一番上のお兄ちゃんて感じかな⁉(笑)』


『そ~なんだぁ~。
イケメンだよね。』


『え~っ(笑)
真知子のイケメン基準
低~(笑)』


『そっかな~⁉
ペンキ屋さんなんだ~
だから、引き締まった
細マッチョ
タイプ~⤴⤴
紹介してよ』


『アハハハハ
伝えておくよ。』





No.198 14/02/13 15:25
りんご ( ♀ UNyGh )



夏になったら、また沖縄へ旅行に行こうと盛り上がって、旅行代理店にパンフを集めに真知子とやってきていた


何冊かのパンフを手にして眺めていた


『お日にちは、お決まりですか⁉』


『いえ、まだ全然
離島に行きたいと思って
いくらくらいかかるのか
下見に来ただけなんです』


代理店のお姉さんと
談笑していた


『あの…ホテルで○○っていくらくらいするんですか⁉』
直樹と泊まったホテルを聞いてみた


お姉さんが調べてくれた


『残念ながら、
○○は、こちらでは予約とれません。』


“⁉⁉⁉⁉⁉“


『会員制のリゾートホテルになります。』


『えっ⁉
そ~なんですか⁉』


会員制のホテルがある事すら知らなかった

グレードによって
金額は違うらしいが
何百万~何千万の会員権を購入して、私が想像してたほどは高くない宿泊料で利用出来るシステムらしい


宿泊料金はそんなに高くないとは言っても…
会員制て…
綾野さんて…





真知子とパンフを抱えて
ファミレスに入った


パンフを広げ
沖縄再訪へ向けて
盛り上がる⤴



No.199 14/02/13 15:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『こないだ行ったところがね…』

真知子に直樹と泊まったホテルの話をした


『行ってみた~い⤴』


『リンゴ、
その綾野さんて凄いじゃん
玉の輿なんじゃない⁉』


『玉の輿って…』


『だって、32才だったら、即結婚なんじゃないの⁉』


『それはないと思う。
私は、まだ…』


『まだって⁉
まさかまだ⁉』


『ない、ない、ない、ない
それはないよ…
まだ一人前にもなってないから、考えられないって事だよ…』


『リンゴが何そんなに資格、資格って拘ってるのかわからないよ。』


『目標だからっ‼』




No.200 14/02/13 15:55
りんご ( ♀ UNyGh )



目標だからと
真知子には言った


真知子は何を拘ってるのかと尋ねた



ミツルのことは
もう…


ただ、資格をとって
一人前になりたいからと
あの時、ミツルについて行かなかった…


その資格を取らないで
中途半端で諦める訳にはいかなかった


私の中の全てが
中途半端になって

これからの人生を
後悔にしてしまうと
思ったから…


資格を取って
一人前になる

そこまでは頑張らないと、あの時ミツルについていかなかった自分を悔いてしまうことになる…




後悔はしなくなかった



No.201 14/02/13 20:27
りんご ( ♀ UNyGh )


綾野さんとは
(火)の定休日には
デートを重ねていた


新しくオープンした
お店もほぼ順調に
軌道に乗りつつあるようだった


『夏になったら、真知子と沖縄旅行行くんだ。』


『そう。』


『真知子にね、
こないだ行ったホテルの話をしたら、真知子も行ってみたいって言ってたよ…』


『沖縄にも系列ホテルがあるから、
行くなら予約取ってあげようか⁉』


『直樹って、なんでそんなに収入があるの⁉』


『なんでって一生懸命働いてるからでしょ。(笑)』


『なんか副業してるの⁉』


『そんな時間ないでしょ。(笑)』


『あのホテルって会員制なんでしょ⁉』


『まぁ、そうだけど…
今の年までお金を使う事がなかったからね。
使う時間がなかったと言えばいいのかな⁉
やっぱり、今の倫子ちゃんみたいに、早く一人前になりたくて、仕事が終わっても毎日遅くまで練習してたから、必要最低限の生活費しか使わなかったから。
この年まで独身できたしね(笑)』


『でも、直樹のことだから、、彼女くらいはいたでしょ⁉』


『そりゃ~…
いないって言っても信じないでしょ⁉』


『うん…』


『まぁ普通にいたよ。
でも、若い頃は、気持ちに余裕もなかったんだろうな…
相手の事なんて考えてあげられてなかったから…』

『“縁“がなかったんだよ。』



『ねぇ、わかってる⁉』



『何を⁉』



『たぶん俺は、倫子ちゃんが思ってるより
何倍も、何十倍も倫子ちゃんの事が好きなんだよ……』


あまり感情を表に出すこともない直樹の気持ちを初めて聞いたような気がした……



No.202 14/02/14 23:06
りんご ( ♀ UNyGh )



休みの日以外は、
綾野さんも何かと
帰りが遅くになる事も多かったし

私も仕事も学校があったから、なかなか逢うことが出来なかった

その休みの日も
都合が合わないと
半月も顔を合わせない
なんて事もあった


私は、毎日のように
香の店には寄っていた


『ね~、3月のスキーの話なんだけどさ、
第三の(火)(水)ならリンゴも行ける⁉』
香に聞かれた


『うん‼』


『じゃ、計画しちゃっていい⁉』


『うん、まかせるよ。』

『あっ…友達の真知子が一緒に行きたいって言ってたんだけど…
ダメかな⁉』


『健ちゃんと徹に聞いてみるよ。』


『よろしく‼』



真知子を健ちゃんに紹介するのにいいチャンスかなと思っていた




No.203 14/02/14 23:11
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日

『健ちゃんと徹が、
大勢で行ったほうが
楽しいから真知子ちゃんもいいって
言ってたよ。』


『ありがとう。』


私はすぐに真知子に電話を入れた

☎『もしもし…
…………
………
………
……………』


☎『うん、わかった⤴
有休取るよ⤴』


真知子も一緒に行く事になった


No.204 14/02/14 23:40
りんご ( ♀ UNyGh )



(月)の夜中に出発して
(火)の朝には
スキー場に着くようにした一泊して
(水)夜に帰って来ることになった


一泊で2日間は丸々スキーが出来る


当日…

健ちゃんと徹君と
もう一人、仕事仲間の隼人君が加わり

香と真知子と私の

6人になっていた


健ちゃんの運転する車で、スキー場に向かう

助手席に隼人君が座り

次に私と真知子

後ろに徹ちゃんと香が座っていた

真知子は、面識がないから紹介していた

『こないだは、送っていただいて、
ありがとうございました。』
真知子が健ちゃんに声を掛けた


『私、スキー初めてなんです…
よろしくお願いします。』


早くも後ろから
徹ちゃんのイビキが聞こえてきた


『ホントに、後ろの二人はよく寝るんだよね~(笑)』


No.205 14/02/14 23:53
りんご ( ♀ UNyGh )



2時間くらい走った所で
トイレ休憩をした


『あ~っ寒っ…』

『寒いね~。』

『だいぶ冷え込んできたな。』

外の空気は、冷たかった
吐く息が白い

『健ちゃん、運転疲れない⁉』


『大丈夫だよ。
現場で昼寝したから(笑)』
『隼人が、その分仕事頑張って疲れてるから
後ろで寝かしてやってくんない⁉』


『あっいいよ。』


『じゃ、倫子ちゃん
助手席に座ってよ。』


『真知子でもいい⁉』


『倫子ちゃんのがいいな
気を使わないで済むから…』
と健ちゃんが言った


そっか…
しかたないか…


車に乗り込む

暫く走ったら、
隼人君の寝息も聞こえてきた


No.206 14/02/15 00:09
りんご ( ♀ UNyGh )



『真知子はね
高校のクラスメートなんだ。』
健ちゃんに話かける


『そう…』


『しっかりしてて、
働き者なんだよ。
健ちゃんの事、イケメンだって(笑)』
真知子を売り込む


『そう…
真知子ちゃん、
見る目あるね(笑)
倫子ちゃんは見る目ないからなぁ~…』


『そんな事ないよっ‼』


後ろを見たら
真知子も寝ているようだった
“なんだよ~真知子“
せっかく売り込んであげてるのに…
寝ちゃったらダメじゃん…



『倫子ちゃんも
寝ても、いいよ。』
健ちゃんが言った


『ううん…
私は大丈夫…
健ちゃんが居眠りしないように見張ってるから(笑)』


『そっかぁ~(笑)
じゃ、頼んだぞ‼』









No.207 14/02/15 00:17
りんご ( ♀ UNyGh )



スキー場の駐車場に
到着した


まだリフトが動くまでには時間があった


とりあえず、トイレと
朝食を食べにホテルのレストランへ行ってひと休みすることになった


お腹もいっぱいになり
車で着替えて
スキー場に行くことになった


『俺は、ひと眠りしてから行くから、先に行ってていいよ。』
健ちゃんが言った


健ちゃんを一人車に残して5人でゲレンデへと向かう


No.208 14/02/15 00:25
りんご ( ♀ UNyGh )



『真知子がスキー
初めてなんだけど…』
徹ちゃんに言ったら


『そっか…
じゃ、俺が香と倫子ちゃんのおもりすっから、
隼人頼むわ‼』
と徹ちゃんが言って


『了解👍』
って隼人君が返事をして
真知子に教えてくれる事なった


『じゃ、下手っぴ二人は
一番短いリフトから行くからよ。』
真知子は隼人君に任せて

私と香は、徹ちゃんに
連れられてリフト乗り場に行った



リフトから、真知子と隼人君の姿が見えていた



No.209 14/02/15 00:31
りんご ( ♀ UNyGh )



元々、運動神経のいい
スポーツ万能の真知子は
半日もすると
だいぶ滑れるようになっていた


『凄いね、真知子‼』


『隼人君の教え方が
上手いんだよ~。』
真知子が言った


『そんな事ないよ。
真知子ちゃんの
センスがいいんだよ。』
隼人君が誉めた



私は、徹ちゃんと香に
『トイレ行きたいし…
健ちゃんの様子見に行ってくるよ。』
と香達から離れた



二人にもしてあげないとね…



No.210 14/02/15 00:36
りんご ( ♀ UNyGh )



車を覗き込む

健ちゃんが起きて着替えていた


トントンッ
窓をノックして合図した

『寝られた⁉』


『あぁ…
迎えに来てくれたの⁉』


『香と徹ちゃんを
二人にしてあげたかったしね。(笑)』


『そっか…(笑)』
『じゃ、行くか⁉』


『うん⤴』


健ちゃんとゲレンデに向かった




No.211 14/02/15 00:42
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんとリフトに乗る


香達の姿をリフトから探した


見つかった


二人を追いかける

二人も気がついて
合流して
四人で少し長めのリフトに何回か乗って滑って下りてきた


下りてきたところで
真知子達と合流して
6人になり、
お昼を食べて
チェックインを
済ませちゃう事に
なった


スキー場は
荷物を駐車場から運んだり
チェックインしたり
何かと時間がかかる





No.212 14/02/15 18:00
りんご ( ♀ UNyGh )



おやおや~…

隼人君が真知子の
荷物を運んであげてる


ヤバい💦
本命は、健ちゃんのはず


部屋は二部屋
男女で別れた


まずはお昼を食べに行き
ひと休みしてから
また、滑りに行くことになった



部屋に戻ると、
徹ちゃんと香が
いつものごとく
二人でガァーガァー
お昼寝タイム


『まったく、どこでも
よく寝る二人だ…(笑)』



No.213 14/02/15 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



『隼人君、、
夜のお酒とつまみを
買い出しに行かない⁉』
私は、隼人君に声をかけた


『いいっスよ。』


部屋に健ちゃんと真知子を残して、
真知子にウィンクで
合図して

隼人君と二人で部屋を出た


『隼人君、
コーヒー飲んで
行かない⁉』


『いいっスよ。』

ティーラウンジで
暫く時間を潰すことにした





No.214 14/02/15 18:24
りんご ( ♀ UNyGh )



真知子に気をきかしたつもりだった


1時間くらいして
部屋に戻ると…
健ちゃんのイビキが
聞こえてた…


『なんだよ真知子~…
せっかく二人にしてあげたのに…』


『うん…
5分もしないうちに…』


職人の習性なのかもしれないと思った

残念⤵



午後からは、男女別々に滑ることになった


男組は
上級コースへ

女組は
初心者コースで



『真知子ちゃん、大丈夫だよね⁉』
隼人君が聞く


『うん、ありがと‼』


『真知子ちゃんは運動神経いいみたいだから、、
もう、下手っぴ組と十分
同レベルだよ。』
健ちゃんが言った


『はい、はい、
私ら下手っぴ組ですよ~だ‼』


(笑)(笑)(笑)





No.215 14/02/15 18:44
りんご ( ♀ UNyGh )


女子3人で
初心者コースの
緩やかなゲレンデを
時間がたつのも忘れて
繰り返し滑っていた


ナイター照明が点灯された


“ヒャッホ~ッ“
上から男組3人が
勢いよく滑ってきた


『少しは上達したんかい⁉』


『ボチボチやね~(笑)』


『せっかくだから
上行くか⁉』
と誘われて上に行くことにした


二人乗りリフトに並ぶ

香と徹ちゃんが乗った


真知子を先に行かして
健ちゃんと乗らせようと画策していたら…

隼人君がスゥ~ッと
横をすり抜け
真知子と並んで座ってしまった


失敗💦💦💦


しかたなく
健ちゃんと私と乗る事になった


も~
隼人君たら~…
気が利かないんだから~…





No.216 14/02/15 18:58
りんご ( ♀ UNyGh )



何本か滑っていたが…
私も初心者なので
モタモタしていると
隼人君がスゥ~と
入り込んできて
健ちゃんと真知子を
二人で座らせてあげる作戦は失敗が続いていた


『健ちゃん、真知子を見てあげてよ。』
リフトに乗ってるときに
健ちゃんに言ってみた


『真知子ちゃんのが、
上達しるべ…
倫子ちゃんのがコケるから(笑)
俺がついてた方が安心だからだよ(笑)』


確かに、運動神経のいい
真知子のが上達しているように見える…⤵⤵⤵



No.217 14/02/15 19:14
りんご ( ♀ UNyGh )


『じゃ、ラスト1本滑ってあがろうか⁉』
健ちゃんが声をかけて
6人してちょっと長めの
リフトへと並ぶ


『隼人君、一緒に座ろ‼』
隼人君に声をかけた





やった‼
頑張れ、真知子‼


と、思ったら
ちょっと長めのリフトは
4人乗りだった…(笑)



それでもなんとか
健ちゃんと真知子と
並んで座った


よっしゃ⤴⤴


滑り始めた

『隼人君
ちょっと、ちょっと…』


『ん⁉何⁉』


『ちょっと教えて欲しいところがあって…』


『なに⁉』


『ど~も、
板がバラけるんだけど…
どうしたら、隼人君みたいにシャッシャッていくのかな⁉』

なんて口実を作って
隼人君を呼び止めて
健ちゃんと真知子を
先に行かせた



No.218 14/02/15 19:23
りんご ( ♀ UNyGh )



だいぶ距離をあけてから
滑り始めた


よし、よし…


健ちゃんと真知子の
距離が縮まる事を
願っていた




下まで滑って
6人合流した


『あがるか⁉』


『もう1本行きた~い…』と言ってみた


『じゃ、俺もう1本
付き合ってからあがるから先にあがっててよ。』
健ちゃんが言った



“違う、違う…“


『真知子は⁉』


『私も、あがるわ。』

なんだよ~💦💦💦


結局、健ちゃんと二人で
ラスト1本滑り行く事になってしまった


作戦失敗💦


No.219 14/02/15 19:29
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんとリフトに座る


『ね~真知子どう⁉』


『どうって…
運動神経いいんじゃね⁉
上達早いみたいだし。』


『そ~じゃなくて~…』
『いい子でしょ⁉』


『悪い子には見えないわな…』


『・・・・』
健ちゃんニブイ…


『倫子ちゃん…
俺のこと避けてる⁉』


『そんな事ないよ…』


『ならいいんだけど…』








No.220 14/02/15 19:41
りんご ( ♀ UNyGh )


遅れて部屋に戻った


部屋には、香と徹ちゃんがいた


『真知子は⁉』


『隼人とゲーセン行ったよ。』
香が答えた


『健ちゃんは⁉』


『部屋に行ったよ。』


『じゃ、ゲーセン寄って
飯食いに行くか⁉』
徹ちゃんが言った



No.221 14/02/15 19:54
りんご ( ♀ UNyGh )



真知子と隼人君を見つけて

6人して居酒屋風の所へ入った


お決まりの
にごり酒と地酒を飲んで
旨い肴を
みんなで食べた


真知子もだいぶ
打ち解けていたから
安心した


お腹もいっぱいになって
続きの酒盛りを
部屋ですることになった





No.222 14/02/15 20:05
りんご ( ♀ UNyGh )



各々好きな飲み物を手にして
乾杯しよ~としたら…


『ジャジャ~ン‼
重大発表があります‼』
徹ちゃんが言った


『何⁉何⁉』


『俺達、結婚することになりました‼』


『え~っ‼』
『おめでとう‼』

『いつ、いつ⁉』


『今年の6月に結婚式をすることになりました。』


『おめでとう‼香‼』


『ありがとう。』


香は、この3月に定時制の高校を卒業したら、
徹ちゃんと一緒に住むんだと嬉しそうに報告してくれた。


『では、二人の幸せを祝して乾杯~‼』

『乾杯~‼』



自分のことのように
嬉しかった




No.223 14/02/15 20:12
りんご ( ♀ UNyGh )



嬉しいこともあり
お酒も進んで
だいぶ酔いも回ってきていた


マッサージ大会も始まった(笑)


『イテテテ…』

『アタタタ…』
そのうちに気持ちよくなったのか、、
徹ちゃんと香は
また例のごとく
クゥクゥ~と
よく寝る二人は夢の世界へと入っていた(笑)


私と真知子は
お酒の買い出しに行ってくると部屋を出た





No.224 14/02/15 20:26
りんご ( ♀ UNyGh )


『真知子、
今日は、タイミング悪くて
ゴメン…
明日は、健ちゃんと二人になれるようにするから…』



『いいよ、いいよ…』



『せっかく
来たんだからさ…』



『実は…
隼人君のが
良くなっちゃった…』



『えっ⁉えっ⁉』
『ウソッ⁉』



『ゴメン…』



『え~っ……』




ゲレンデマジックだ…
いいのか⁉

最初に隼人君にスキーを教えてもらっちゃったからか⁉

真知子の恋心は
思わぬ方向へと
方向転換してしまったようだった



まぁ…
健ちゃんとまだ何も始まってもいない訳だし…
真知子が隼人君を気に入ってしまったのなら…

健ちゃんを無理矢理
押し付けるような訳にもいかないよな~…


真知子もいい子だし…
健ちゃんならバッチグーかと思ったんだけどな…



『そ~ゆ~事だから…
健ちゃんの話はなかった事に…』


『了解👍』






No.225 14/02/15 20:50
りんご ( ♀ UNyGh )



ショップで
ビールとサワーを買い込み部屋に戻ってきた


『お待たせ~‼』


『遅~いっ‼』


真知子が隼人君の横に座った

『何かお祝いしなくちゃだね。』

『健ちゃん、徹ちゃんに
先越されちゃったね⁉(笑)』


『はぁ~⁉
先越された⁉
なにそれ⁉
俺、焦ってね~し。』


『も~…
酔っ払いっ‼』


『俺は、
嬉しいんだよ‼
弟分の徹が
幸せになるんだぞっ‼
こんな嬉しいこと
ね~だろ。』
ちょっと酔ってる
健ちゃんは
ホントに嬉しそうだった




No.226 14/02/15 21:38
りんご ( ♀ UNyGh )

結婚かぁ…


私は…
まだまだだな…


その頃は
いずれいつかは…
とは思っていたけど

まだ結婚なんてしたくないって思っていた


やりたい事が
いっぱいあったから


資格を取って
一人前になって…
いつかは綾野さんみたいな誰からも認められるような美容師にって
いっぱい稼いで


着付けの資格や

ネイルも

トータル的なものも含め


いつかは独立したりとか


海外にも勉強しに行ってみたかった…


目標も
夢もあったから


いや…
夢ばかり見ていたのかもしれない…





No.227 14/02/15 23:47
りんご ( ♀ UNyGh )

結局、
香は起こしても
起きそうにもなかったから

徹ちゃんが一緒だから
大丈夫だろうと
真知子と女組の部屋に
戻って寝ることにした



『リンゴが羨ましいな…』
真知子が言った


『なんで⁉』


『健ちゃんとか
徹ちゃんみたいな
友達が居て…』


『真知子も友達じゃん。
もう、仲間だよ。』


『なんか違うんだよね。
異性として意識しちゃうって言うのかな⁉』


『意識しなけりゃ
いいじゃん。(笑)』


『惚れやすいのかも…
隼人君がめっちゃ気になる…』


『それはそれで
い~んじゃない⁉』




『リンゴの彼氏は
何も言わないの⁉
内緒なの⁉』


『内緒じゃないよ。
“スキー行く“
って言ったら
“楽しんでおいで“
って言ってくれたから…』


『そ~なの⁉
普通は、ダメって言うでしょ⁉
ダメって言われたら、
来てない⁉』


『う~ん…
わかんない…』

『もし、先に彼氏と約束をしていたら、スキーには来てないと思うけど…』

『もし、“ダメ“って言われたら
嘘をついてまでは
来ていないと思うよ。』



『ふ~ん…
普通、彼女が他の男と
泊まりで出掛けるって言ったら行かさないんじゃない⁉』

真知子がそんな事を
言っていた



No.228 14/02/16 00:01
りんご ( ♀ UNyGh )



『好きなら
“束縛“したくなるんじゃない⁉』
真知子が言った


『“束縛“と“愛情“
って違うよね⁉』


『もしリンゴの彼氏が
他の女の人と旅行に行くって言っても
“楽しんで行っておいで“
なんてリンゴは言えるの⁉』


『二人だけだったら嫌だけど…
でもグループだったら、
“ダメ“なんて言わないかな⁉』


『私はダメだな~…』

真知子は“ダメ“だと言う


初めて、直樹は
どんな気持ちで
“行っておいで“
って言ったのかな⁉
なんて思った…


私は…
直樹の気持ちを考えてなかったのかな⁉




No.229 14/02/16 00:16
りんご ( ♀ UNyGh )



遅くまで
真知子と女子トークで
盛り上がっていた




部屋の電話の音で
起こされた


☎『もしもし…』

☎『もしもし、まだ寝てんの⁉
部屋入れて~』
香からだった

☎『今、開ける…』
眠い目を擦りながら
鍵を開けた


『ゴメ~ン、
起こしちゃった⁉』


『うん、電話の音で
起こされた…
夕べ、起こしても
香が起きなかったから…
徹ちゃんと一緒だから
いいかと思って…
部屋に戻って、真知子と
遅くまで女子トークしてたから…』


『ご飯食べに行くよ。』


『うん、支度する』



今回は、一泊だから
今日は帰らなくちゃならない
朝食を済ませたら、
すぐにゲレンデに出ることにした




No.230 14/02/16 00:45
りんご ( ♀ UNyGh )

男組と女組と別れた、
男組は山頂目指して行った


お昼も近くなった頃
3人が下りてきた


『せっかくだから
一緒に山頂まで、
行くべ‼』


『うん⤴』


6人して山頂まで行き
滑って下りてきた


途中、下手っぴ組は
迂回しながら林間コースを回り

男3人は上級コースを


『カッコイイ💕』
真知子の目が
ハートマークになっていた(笑)



お昼を食べることにした

『俺、運転するから、
先に、車に行ってひと眠りしてるよ。』
健ちゃんが言った


『私も、夕べ寝てないから、ちょっと眠たいから…』
と言って
車へ行くことにした



これで、真知子と隼人君が二人になれるだろうから…



『倫子ちゃんは
気にしないで
滑ってきていいよ』


『い~の‼』

お腹もいっぱいになって
車の暖房も効いてきて
気持ちよく眠りについた


健ちゃんのイビキが
煩くて目が覚めた


ふと気がついたら
健ちゃんと一つの毛布に
まるまって寝ていた

健ちゃんが毛布を
掛けてくれたんだ…





No.231 14/02/16 00:54
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんが目を覚ました


『お前、温かいな
湯タンポ代わりに
ちょ~ど、よかったよ(笑)』

まったく、健ちゃんたら
人のことを
湯タンポ代わりだと…



暫くしたら
4人も引き上げてきて
帰ることにした


私が助手席に座り
車が走り出した




No.232 14/02/16 11:40
りんご ( ♀ UNyGh )



暫く走ると
後ろの4人は
眠りに落ちていた


『倫子ちゃん、
ありがとな…』
健ちゃんが言った


『何⁉』


『寝ないで
付き合ってくれてて…』


『こんな綺麗な雪景色
見ないで寝ちゃってたら
もったいないでしょ⁉』


『健ちゃんみたいに
滑れるようになったら
もっと、楽しいよね。』


『俺みたいに⁉
何十年かかるか(笑)』


『だよね(笑)』





No.233 14/02/16 11:55
りんご ( ♀ UNyGh )


次の週の定休日
直樹とデートの
約束をしていた


『はいっ
お土産‼』


『ありがとう
楽しかった⁉』


『うん、
上達したんだよ。』


『そう、良かったね』


『香が結婚するんだって…』


『そう。』



No.234 14/02/16 12:21
りんご ( ♀ UNyGh )


『倫子ちゃんも
結婚したい⁉』


『えっ⁉』


『倫子ちゃんさえ良かったら…』




これって…
プロポーズ⁉




『私は…
まだ……』


『いつだったらいいの⁉』


『それは…』

『まずは、今年、
資格を取るまでは
考えられない…』



『そう…
じゃ、資格取ったら⁉』



『・・・・』

『私、お料理とかあまりしたことないし…
いい奥さんにはなれないかも…』


『料理なんていいんだよ。』



No.235 14/02/16 12:48
りんご ( ♀ UNyGh )



『家事とかをしてもらう為に、
結婚したいって
考えてはないから…』



『でも、結婚したら
ご飯作ったり、洗濯も掃除もしなきゃならないでしょ⁉
家事と仕事と…』


『別にお互い仕事してたら、毎日、外食でも買い食でもいいと思うよ、今もそうだし…
正直、食べ物に拘りはないんだ。
お腹が満たされればいいと思ってる。』


『じゃ…
直樹は“奥さん“に何を求めるの⁉』


『パートナーかな。』



『パートナー⁉』



『自分がこれから仕事をしていく上で
サポートして欲しい』



『サポート⁉』


『今のままの
店長で終わるつもりはないから』


『どうゆう事⁉』






No.236 14/02/16 13:14
りんご ( ♀ UNyGh )



『将来的に、独立はする。
………
……………
………………
…………
……
……………
………
………………
………』


つまり、、
直樹は、家事をする為の奥さんは求めていないと言うことだった

自分が仕事だけに集中出来るような
パートナーとしての役割だけをしてくれればいいと言った






No.237 14/02/16 15:09
りんご ( ♀ UNyGh )



中学の時に
父親を亡くし
女手ひとつで
育てられた直樹


それ以来
働き続ける母親の姿を
ずっと見てきたと言う


いつも綺麗にイキイキ仕事していた母親が自慢だと言っていた

そんな働く母親の姿を
見ていたせいなのかは
わからないが…


食べる物には
拘りはない
今時、なんとでもなると言う


自分が仕事に打ち込む為に、わずらわしい家庭は求めないと…


お互いに仕事を持って
個人を尊重出来るような
関係でいたいから…


束縛するつもりはないから好きな事をすればいいと…

それって…
自分が束縛されたくないからって事だよね…



No.238 14/02/16 15:49
りんご ( ♀ UNyGh )



子供は好きじゃないと…


『でも倫子ちゃんが
欲しければ…
それはそれで
もちろん協力はするよ』



他人事のような
言い方だ…



結局、直樹は
自分自身が
一番好きなんだろうなと
思った


今は結婚したい訳じゃないが…

私は、普通の家庭を描いていた

毎朝、早起きして
味噌汁作って
お弁当作って
『いってらっしゃい‼』と笑顔で送り出す


バタバタと掃除・洗濯を済ませて
夕飯の買い出しをして
『お帰り~‼』

って…そんな家庭を

もちろん、子供も3人くらい居て、ドタバタしてる

笑顔が溢れる家庭を



でも、直樹は
そんな所帯じみた
生活は嫌なんだろう…


No.239 14/02/16 17:00
りんご ( ♀ UNyGh )


今まで、もててないはずのない直樹が
独身でいた理由は
そんな“家族“を望まない所にあったのかもしれないと感じた


美容師を目指してる
私には、
専門学校に行くきっかけになった夫婦で営む美容室のような…
そんなお店を直樹と出来たら…
なんて夢を見たりもしていた

まぁ…その前にやるべきこと、学ぶべきことが
いっぱいあるのだが…


No.240 14/02/16 20:43
りんご ( ♀ UNyGh )



香から、
スキーの写真が出来たと、電話をもらい
真知子も誘って
香の店に来ていた


皆で仲良くポーズしてる写真から
いつの間に、撮ったのと思うようなコケてる写真
香と徹ちゃんが
口を開けて寝ている写真


『楽しかったね~。』


『またこのメンバーで
行きたいよね。』

仕事を終えた
健ちゃんと徹ちゃんと隼人君もやってきて写真を見ながら話も盛り上がった


『じゃ、また‼』


店を出て別れた





No.241 14/02/16 20:55
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日
真知子から電話をもらった

香の店を出て
歩いていたら
隼人君が追いかけてきて
家まで送ってくれたそ~だ

“付き合って欲しい“
って告られたと真知子が言った


『で、真知子は⁉』


『OKした⤴』


『そっか~
良かったね。』


ゲレンデマジックは
街へ戻っても
マジックは解けることなくお付き合いに繋がった




No.242 14/02/17 15:31
りんご ( ♀ UNyGh )


5月になっていた


綾野さんから
次の連休に合わせて
予約を取ったから
(月)にも有休を取るようにと
告げられていた


いつも綾野さんは
行き先は告げない
私は、ただ着いていくだけだった


途中で綾野さんが
知り合いの店に立ち寄った

『この子に合うようなパーティードレス見繕って。』
とお店の人に言った


『何があるの⁉
何かのパーティー⁉』


『パーティーじゃないけど、ドレスコードがあるから、たまにはオシャレしてもいいでしょ⁉』


『・・・
そんな格式高いような所
私は、嫌だよ…』


『大丈夫、
そんな心配はいらないから。』


そんな心配はいらないからと言われても…

綾野さんと出掛けると
時々、自分が場違いの場所に入り込んでいるような
凹む気持ちになるような時がある…



『彼女⁉』
と聞かれると…

釣り合わないと
見下げられてるような…

思い過ごしかもしれないけれど……



No.243 14/02/17 15:55
りんご ( ♀ UNyGh )


駐車場に車を入れて
荷物をおろした


『アレに乗るから…』


『えっ⁉
えっ…え~っ…』


テレビで見た
豪華客船だった


綾野さんに連れられて
受付を済ます
荷物を預け


『お帰りなさい。』
とクルーが声を掛ける間を通って、乗り込む



これが船の中⁉



生演奏で迎えられ
豪華なホテルのような吹き抜けだった


キラキラ
ピカピカしてる


部屋まで案内された


初めて船の客室へと
足を踏み入れた



入口を入ると
荷物が届いていた

左手にユニットバスとトイレ
右手がクローゼット
その先にベッド


窓の外のベランダには
テーブルとイスがあった


真っ直ぐ歩いてベランダへ出た


海風が髪をなびかせる



『スッゴ~い‼
スッゴ~い‼⤴⤴⤴』


“凄い“しか言葉は出なかった




No.244 14/02/17 16:13
りんご ( ♀ UNyGh )



『今回は、急にキャンセル待ちで予約したから、狭い部屋だけど…』
直樹が言った


『十分だよ~⤴⤴』


『出航のセレモニーがあるから、甲板に行こうか⁉』


『えっ⁉』


『行けばわかるから…』


甲板に出ると
シャンパンとジュースが
配られていた


デッキから見ると
見送りの人や見物人が
対岸で手をふっている


テープが配られる


ドラを鳴らしながら
クルーが通り過ぎて行く


汽笛の音が
ボーッ、ボーッ、と
鳴り響く


一斉に色とりどりのテープが
対岸に投げられた


風にテープがなびく

キレイ⤴⤴


イヤでも
気分が盛り上がっていく



エンジンの振動が
グンッグンッグンと伝わり
タグボートに引っ張られ
船が徐々に陸から離れて
進行方向へと進み出した



『さっ…中へ入ろうか⁉』

中へ入ると
またシャンパンとプチパイのツマミが振る舞われていた


こんな世界が
本当にあるんだ

映画で見た
タイタニックのようだ…






あっ…
タイタニックみたいに
沈んじゃ困るが…



No.245 14/02/17 16:24
りんご ( ♀ UNyGh )



シャンパンなんて
初めて飲んでいた


雰囲気に酔いしれる



出航の余韻を十分に味わってから
部屋へ戻った




『どう⁉』
直樹が笑って聞いた


『凄い⤴
凄いしか言えない…』


『今回は、
お試しには丁度いい
ショートクルーズだから…』


『コレが、クルーズってやつなのね⁉』



『そうだよ…(笑)』


二人してベランダに出た


大きな橋の下を通過する


橋を真下から見上げることなんてまずない


いちいち感動してしまう…



No.246 14/02/17 16:36
りんご ( ♀ UNyGh )



『直樹は…
何度も乗ってるの⁉』


『小さい頃から
憧れだったから…
男の子はさ
電車とか働く車とか飛行機とかに
憧れを持つもんでしょ⁉
俺の場合は船だったんだ。
大きくなったら
船長になるんだって思ってた
まぁ、船長にはなれなかったけど…
船が、好きなんだよ。』


『360度回りは海だし
日常から離れられるでしょ⁉』



『でも…』


『何⁉』


『高いでしょ⁉』



『また~…
女の子は、支払いの心配はしなくていいの‼』


『でも…』


『い~んだって…
普段、何もかまってやれない埋め合わせだって言ってるでしょ‼
倫子ちゃん、何も欲しがらないし…』


No.247 14/02/17 16:47
りんご ( ♀ UNyGh )



『こんな贅沢ばかり…
直樹に負担かけたくないし…』


『負担⁉
負担じゃないよ。』


『こんなの
普通じゃないよ。』



『すぐに、慣れるよ。(笑)』


No.248 14/02/17 16:58
りんご ( ♀ UNyGh )



『ディナーは、
ドレスコードがあるからね。
時間があるから先にお風呂に入ってくるけど、倫子ちゃんはどうする⁉』


『お風呂⁉』


『大浴場もあるんだよ。
海の大浴場だからね。
気持ちいいよ。』


『え~っ⁉』


『さっ…行くよ。』



船の中とは思えない
大浴場だった
当たり前なのだが
全ての窓からは
海しか見えない


ちゃんとシャワーもある


アメニティもタオルも
船の中とは思えないほど充実している


No.249 14/02/17 17:19
りんご ( ♀ UNyGh )



『座って‼』

直樹が髪をアップにしてくれた


『素敵なレディだよ。』




“はぁ~…“
正直な所、気が重い⤵

ドレスコードがあるような
ディナーって…
慣れない


一般家庭でごく普通に
育った私は
そんな堅苦しい
ディナーなんて
窮屈だった…

自分がマナーとか
意識し過ぎていたせいかもしれないけど…


恥ずかしい気持ちもあった




No.250 14/02/17 17:55
りんご ( ♀ UNyGh )


直樹は、しっかり
フォーマルを着こなしてた

七五三状態の私とは違い
決まっている


『さぁ~、行きましょ。』

ディナーへと向かう


テーブルには
皿が並べられ
キレイにたたまれた
ナフキンが飾られてた


案内されて
席に着く


『お飲み物は⁉』
直樹がワインを頼む


ディナーはフルコースだった

結婚記念日や
誕生日など
アニバーサリー記念の人が紹介され
お祝いもされていた

見ず知らずの回りの人も
お祝いに参加した気分になる


生演奏が各テーブルに回って、リクエスト曲を奏でてくれた


回りを見渡すと
平日と言う事もあるのか
年齢層はシニア層が多かった

これでもかっ‼
と言うくらい
ドレスアップしていた

中には、社交ダンス部か⁉
と言うようなキラキラドレスを纏ったおば様、おばぁ様だらけだった(笑)


No.251 14/02/17 18:02
りんご ( ♀ UNyGh )



『どうでしたか⁉』


『凄いね‼
あれだけの料理を
一斉にサーブするのは
調理場は戦場だろうね⁉
しかも、これが
船の中なんだよね⁉』


『クックックッ…
倫子ちゃんらしい感想だね…』


『さぁ~、これからだよ。』


『これから⁉』

直樹にエスコートされ
着いていく




No.252 14/02/17 20:20
りんご ( ♀ UNyGh )


ステージで
ショーが始まった

外国人のダンサー
によるミュージカルだった

そんなに広くはない分
目の前で息づかいまで聞こえるような迫力あるショー

回りはドレスアップした
紳士・淑女ばかりだ
自分がこんな世界に
紛れ込んでいるなんて…



直樹は、
リチャード・ギアみたいだ……


ホントに
ホントに
映画の世界のようだった…



No.253 14/02/17 20:31
りんご ( ♀ UNyGh )



ダンスホールを
覗きに来てた


結構、いい年した
おじ様、おば様達が
華麗なステップで
踊り明かしている



『直樹は、踊れるの⁉』


『いや…
社交ダンスは
出来ないよ。(笑)』




良かった(笑)

これでダンスまで
踊られたら
引いてしまう(笑)



ただグラス片手に
ダンスホールの
雰囲気に酔いしれているのも楽しかった…



『そろそろ、
夜食の時間かな⁉』
直樹が言った


『夜食⁉』


直樹に着いていくと
軽食とケーキ、フルーツがバイキング形式で
用意されていた


適当な皿に盛り合わせ
席につく



『楽しんでる⁉』


『こんな世界が
あるんだね…
直樹と付き合って
なかったら…
絶対に知ることのない
世界だと思う…』


『そんな事ないでしょ⁉』


『そんな事あるよ‼』







No.254 14/02/17 20:46
りんご ( ♀ UNyGh )



『少し、外の風に
あたりに行こうか⁉』


デッキへ出た

夜風が冷たく
気持ちがいい…



『いつかは、この船で
世界一周がしたいと
思ってる(笑)』


『えっ⁉』


『いつかね…
夢なんだ…
30年後くらいかな⁉(笑)』

『夢を叶える為には
いっぱい働かなくちゃね。
絶対…叶えるから…』




海外すら一度も行った事がない私には
世界一周なんて
考えられない…





No.255 14/02/17 21:13
りんご ( ♀ UNyGh )



部屋に戻ってきた


服を脱ぎ捨て
ロンTに着替える

ふぅ~っ…

楽チン🎵楽チン🎵



『クックックッ…
シンデレラの魔法が
解けたみたいだね⁉』



『そうだね…
でも、シンデレラじゃないから…』




『先にシャワー浴びていいかな⁉』


『うん…』
直樹がシャワールームへ入って行った




No.256 14/02/18 10:53
りんご ( ♀ UNyGh )


船の寝心地は…
よくない

寝ていると
不快なエンジンの振動が
グンッグンッグンと
伝わってくる

詳しいことは
わからないが…
発電とかの関係も
あるのだろう
エンジンを止めることはない

しかも、揺れはほとんどないと言われていたが…
そこは、やはり海上である
ベッドに入ると
ファファとした感じはする

翌朝、目覚めると
船酔いしていた
寝ている間に
酔っていたのだ


『おはよう』
直樹に声を掛けられた


『頭がクラクラする…
気持ち悪い…⤵』


『船酔いしたかな⁉』


『そ~みたい…』


『薬飲む⁉』


『うん…』
直樹が酔い止めの薬を貰ってきてくれた


『ベッドで寝てるより
外の空気に当たった方がいよ。
デッキに行こうか⁉』


『ごめんね…』


直樹につかまり
デッキに行った

デッキでは
朝早くから
体操が始まっていた
参加する

船内では
船内新聞が届けられ
1日のスケジュールが
書かれていた

食事の案内やら
イベント
エンターテイメント
コンサート案内
シアター案内など…
フィットネス案内
ソシアルダンススクールや
絵手紙スクールなんかも
やっていた


気に入ったものがあれば
自由に参加出来た


No.257 14/02/18 11:13
りんご ( ♀ UNyGh )



何年かぶりに
ラジオ体操なんかした(笑)
ストレッチが
身体をほぐしてくれた


冷たい風のせいか
目眩が少し良くなった
ような気がした


ラウンジでは
モーニングコーヒー&ティーとデニッシュ・ペストリーが置いてあった


早起きした人の為の
朝食前のひとつまみって
感じだろうか⁉


朝食は
アメリカンブレックファーストと
和食膳
洋食ビュッフェ
と3つに別れている


『食べられる⁉
なんか食べた方がいいよ。』


『うん…
お味噌汁が飲みたいかな…』

和食にした

おかゆをチョイスした

鮭におろし大根
炊き合わせ
胡麻豆腐
おひたし・香の物・などが
お膳にのせられて
出てきた



『あ~…
お味噌汁が美味しい…』


『良かった、
食べられそうだね。』



No.258 14/02/18 11:28
りんご ( ♀ UNyGh )



船酔いしてると言うのに…

直樹がコーヒーを飲みたいと言うので…

和食膳を食べ終えて
洋食ビュッフェへと
足を運んでいた


コーヒーと
フルーツを食べていた


船の中の飲食は
アルコール以外は
ほぼフリーだと言うことを初めて知った


食べようが
食べなかろうが
クルーズ料金に全て含まれていると言うのだ

だから、どこで何を飲食しようが、サインも現金もいらなかったのかと理解出来た


モーニングコーヒーから
朝・昼・晩の三食
ティータイム
アフタヌーンティーに

テラスでは好きな時に
いくらでも飲み食い出来た(笑)
夜食まで…


一般庶民の浅はかさと言うのか…
全てを網羅しないと
いけないような衝動にかられていた…(笑)


ついさっきまで
“気持ち悪い…“
なんて言ってたのが
嘘のようだった(笑)



No.259 14/02/18 11:54
りんご ( ♀ UNyGh )



『良かった
少しは楽になったかな⁉』


『うん…
ありがとう』


『じゃ…腹ごなしに
フィットネスでも
行こうか⁉』


二人してフィットネスに出掛けた

海を眺め
エアロバイクを漕ぐ

これが船内かと
思われるほど
運動器具も充実している


本物のセレブが
ロングクルーズで
日課でフィットネスとか
エステとかしちゃって
夜な夜な
ソシアルダンスや
ショーなんか堪能
しちゃうんだろうな…





No.260 14/02/19 23:32
りんご ( ♀ UNyGh )


1時間程
身体を動かし
部屋に戻った

『シャワー浴びてくる』

直樹は、
ちょっと潔癖症傾向が
あるように感じる

手を洗う回数や
シャワーもよく浴びる

直樹のマンションを
見ても
それは、よくわかった

除菌・消臭グッズも
いっぱいあったし

浴室を見ても
男の一人暮らしと言うのに湯垢もヌメリのかけらもない


イヤ、、
女より男の一人暮らしの方が、きれい好きの人は
きちんとしてるのかもしれない……


キッチンもいつもピカピカしていた

まるでモデルルームのようだったから…


性格かもしれないが…




No.261 14/02/19 23:46
りんご ( ♀ UNyGh )


着替えて
お茶を飲みに行った


ミニサイズの
ケーキとクッキーと紅茶をもらい
ラウンジに座る


回りは、見渡す限り
“海“

当たり前だが…


ゆっくりと時間が流れる


一度乗り込んでしまえば
ホテルごと移動しているようなものだ


車で目的地まで移動して
観光してホテルにチェックインして…
なんて煩わしさはない


何もしたくなければ
部屋で一日くつろいでいても目的地まで着いてしまうのだ


荷物を持っての移動も
乗船・下船のカウンターまでで済んでしまう


俗世の時間に囚われる
気忙しさは
微塵もない


ホントに余程の
緊急時でもなければ
電話すら繋がらないと言う訳だ

連絡が取れた所で
戻る術がないのだから…


俗世間からは
まったく離れた世界が
ここにはある



No.262 14/02/19 23:56
りんご ( ♀ UNyGh )



とは言え
二泊三日のショートクルーズである


まして初めて船旅を体験している私には、時間を忘れてなんて余裕はない(笑)


あれも、これもと
欲張りに見聞き、
体験したいものばかりだった


夕食以外は
ドレスコードはないが
それでも比較的年齢層の高い富裕世代である

カジュアルでも
オシャレを楽しんでいる


クルーもしっかりと
教育が行き届いている
(東南アジア系のクルーも多かった)


No.263 14/02/20 00:05
りんご ( ♀ UNyGh )



『そろそろ、お昼の時間だね。』


『食べてばっかりいるみたい…(笑)』


お昼はあっさりと和食にした
和食は、
季節を盛り込んだお膳に
ざるうどんだった


さっぱりとツルツルいける


低カロリーに設定されたセットもあった

成人病の気になる世代にはありがたいのだろう(笑)


ちゃんと医務室もあり
簡単な手術なら出来ると聞いた

船酔いも酷いと
注射をしてもらうと
一発で治るらしい

ありがたいことに
私は、注射のお世話にはなくても酔い止め薬で治まってくれていた





No.264 14/02/20 00:16
りんご ( ♀ UNyGh )



昼食を済まして
部屋に戻っていた


私はベランダのイスに座り風を満喫していた


直樹は、ベッドに転がっている


まったりした時間だ


『見て見て~‼』


『何⁉』


『魚が跳ねてるよ~。』


『あ~…飛び魚だよ。』


ホントに飛び魚って
海面を飛ぶんだ…

海面すれすれに
鳥のように飛ぶ飛び魚を初めて見た

中にはかなり長い距離を飛行するのもいた


超感動である


『たまに、イルカの群れに遭遇することもあるんだよ。』


『直樹は、見たことあるの⁉』


『あるよ、イルカやクジラは船内放送で放送されるから(笑)』


『見てみた~い⤴』









No.265 14/02/20 13:53
りんご ( ♀ UNyGh )


船内新聞と
にらめっこしていた

『ねぇ~ねぇ~
ソシアルダンスの
初心者講習に参加したい…』


『行っておいで✋』


『ねぇ~…
直樹も一緒に行こうよ~』


『パス…
寝てるよ』

しかたがないので
直樹を残して
一人ソシアルダンス講習に参加した

おじ様、おば様に混じり講師の先生からステップを教わる

1時間もすると
初歩の簡単なステップならつっかえながらもなんとかと言う状態になった


曲に合わせて
踊る


先生のリードに
引っ張られ
気持ちいい感じ


初心者同士だと
もうどうにもならなくなっちゃう感じ(笑)


運動を兼ねた
ダンス講師は終了した
『是非とも夜のダンスパーティーにご参加ください
お待ちしております。』
との挨拶で締めくくられた


No.266 14/02/20 14:17
りんご ( ♀ UNyGh )



『ただいま~』

部屋に戻ると
直樹はスゥ~スゥ~と
寝息を立てて
気持ちよさそうに寝ていた

直樹を起こさないように
横にそっと滑り込んだ


『お帰り
楽しかった⁉』


『あっ…
起こしちゃった⁉
ごめんね
楽しかった⤴』


『そう…良かった』

直樹の腕に包まれて
“幸せ“を感じていた


No.267 14/02/20 14:39
りんご ( ♀ UNyGh )


船内には
エステやマッサージ
理・美容室まである


まぁ、何ヶ月にもなる
ロングクルーズになれば
髪の毛をカットしたりも必要になるだろうし
ドレスコードがフォーマルだと和装なんかも認められるから、髪の毛をアップしたり、着付けもしてくれる


フォーマルのオシャレを
楽しむのも
また、別世界を満喫する喜びでもある

ロングクルーズになると
段ボール何箱にも及ぶ衣装が宅急便で運び込まれるのも、頷けるような気がする

乗船者一人一人が主賓になれるのだから…


幼い頃に夢見た
お城の舞踏会のような
華やかな世界がここにはあった


何も知らずに紛れ込んでしまった私は
乗船直前に直樹に
買っもらった
フォーマルな感じの
ワンピース1枚だったのをちょっと後悔していた…



No.268 14/02/20 14:46
りんご ( ♀ UNyGh )



『こんな船に乗るなら
先に言ってくれればよかったのに…』


『なんで⁉』


『そしたら、
オシャレなドレスを持って来てたのに…』


『先に聞いてたら
来てる⁉』


『・・・・』


おそらく私は、拒否していただろう




『気にすることないよ、
気軽に乗れるショートクルーズだから、丁度いいんだよ。
ホントは、クリスマスクルーズに乗せてあげたかったんだけどね…
クリスマスには休める訳ないからね…』


『直樹、ありがとう…』




No.269 14/02/20 15:02
りんご ( ♀ UNyGh )


ディナーまでは
時間があったから
また大浴場まで足を運んでいた


直樹にヘアメイクをしてもらう


いつもとは、ヘアもメイクも違う

きっと直樹は、
こんなメイクが好きなんだろうな…
そう思っていた


直樹に真剣な顔で見つめられるとドキドキしてしまう…

リップグロスをつけてもらう
筆が唇に触れると
直樹にキスされたような
錯覚に陥る


『ダメだよ(笑)
そんな顔しても…
キスはおあずけだよ
グロスが散るからね(笑)』


『も~…
直樹ったら~…』


『さっ…
ディナーに
向かいましょうか⁉』


直樹にエスコートされて
ディナーへと向かう


三歩下がってが美徳とされる日本式と違って…

どこでもレディーファーストでエスコートされる
何とも言えない
優越感があった…




No.270 14/02/20 15:15
りんご ( ♀ UNyGh )



昨日とはまた違った趣きの和食ディナーだった


前菜から始まり
お造りにはトロまで入って
目にも楽しませくれる


『お造り、美味しい~…』


『昼間釣りあげた
ばかりだからね…』



『えっ…ホント⁉』


『クックックッ』
笑ってる

『ウソつきっ‼
釣りなんてしてなかったよ。』


でも、ホントに
美味しかった





No.271 14/02/20 15:26
りんご ( ♀ UNyGh )



『今日は、カジノに
行こうか⁉』

直樹について行くと
ルーレットや
カードゲームをしていた


外国映画で見た“その場面“があった


『預けてあるチップを出して…』

『はい、かしこまりました。』


暫くしたら、直樹が預けたチップが来た


『ここは、日本海域だからね、カジノと言っても現金での賭けは出来ないから、雰囲気を楽しむゲームなんだよ。
前回乗船した時のチップもキープしておいてもらえるんだよ。』
と直樹が言った



前回って…
いつ⁉
誰と⁉
そんな疑問が頭の中を駆け巡る
直樹は、誰かとこんな時間を過ごしたと言うことなのだろうか⁉

どんな人⁉

直樹にとってどんな存在の人だったの⁉



聞きたいが…
今は、それを飲み込んだ




No.272 14/02/20 15:43
りんご ( ♀ UNyGh )


私は、ルールがよくわからなかったから直樹の横で眺めていた
ルーレットが回される
勢いよく玉が回り始め
コロンと数字の枠に入る度に歓声とため息があがる


『ちょっと喉乾いた
何か飲みに行こうか⁉』

バーへと来た

薄暗く落ち着いたバーだった

カクテルを頼む


『美味しい…』


カクテルはスキー場で飲んだ時に、足がフラフラした経験をしたばかりだったから、美味しかったが1杯にした(笑)


直樹とは、いつも車だったから、外で一緒にお酒を飲む機会はめったになかったから、なんか大人の付き合いをしてるみたいだな…
なんて思ってみたりしていた…


『ど~したの⁉
ニヤニヤしてるよ。』


『直樹と一緒にお酒飲むことってなかったから…』


『あ~…そうだね。
いつもは車だからね。』



No.273 14/02/20 16:09
りんご ( ♀ UNyGh )



『この後、
どうする⁉』


『ダンスホール
行きたい…』


直樹とダンスホールにやってきた

生バンドの演奏で
ダンスパーティーが繰り広げられてる

昼間、ダンス講習で一緒になったおば様もいた

圧倒的におば様ばかりなのだが…
中に素敵な男性が数名いた
船のクルーが正装して
ダンスに入っていた
これも、圧倒的に多い女性客を楽しませる演出の一つなのだろう

カップルで楽しんでる人も居た
50代か、60代だろうか⁉
夫婦でドレスアップしてダンスを楽しむなんて素敵だなと思った


『お嬢様かと思ってたら、お連れ様がいらしたのね⁉せっかく習ったのに、踊らないの⁉』
昼間一緒に習ったおば様に声を掛けられた


『ええ…
見てても楽しいですから…』


何曲か眺めていた…

曲がスローなチークタイムになった

直樹が手を掴み中へと促された…


『私、踊れないよ…』


『暗いから、
大丈夫だよ。』

直樹のリードにまかせて
身を委ねる




“なんか、いいな“
キュンキュンしていた


一曲だけ踊ると
外に捌けていた


『よかった⁉』


『キュン、キュン
キュン、キュンした⤴』


『それは、それは…(笑)』


No.274 14/02/20 16:20
りんご ( ♀ UNyGh )



『部屋戻ろうか…』


『うん…』


チークを踊ったせいかもしれない…
二人きりになりたかった


部屋に戻り鍵をしめた


直樹に抱きつき
キスをせがむ

直樹が唇をふさぐ…


『どうしたの⁉』


『直樹にキュンキュンしちゃってる…』


『じゃ、ドレスを脱いで…
一緒にシャワー浴びようか』


『うん…』


一緒にシャワールームに入った…


No.275 14/02/20 16:39
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹がボディソープをつけた手のひらで、全身を優しく洗ってくれる


『直樹の手…
気持ちいぃ…』


『後ろ向いて…
足を開いて…』


言われたまま後ろを向き
足を開いた

直樹が後ろから胸を洗い
下半身へと手を忍ばせた


シャワーをかけて
泡を洗い流す



『続きは…
ベッドで…』



『うん…』



No.276 14/02/22 11:05
りんご ( ♀ UNyGh )


直樹は、
仕事柄か、ナルちゃんだからか⁉

手のケアにも
拘りがある

今でこそ
メンズの爪のケアなんてもあるが、当時は爪にまで拘る男の人はそういなかったと思う

だから、いつも指先までキレイだった

おそらく、指先の動きまで、
キレイに見えるように
していたのだろう
直樹の
プロ意識だったのかもしれない




ベッドに横になり
後ろから抱きしめられた


ピタッと密着した
身体の体温が伝わってくる

キレイな直樹の指先が
優しく身体を擦る

優しく乳房を撫で回し
包み込む

直樹の指先の動きにだけ
神経が集中させられる


どちらかと言えば
胸の大きくない私は
上向きになるのは
あまり好きでない…

横向きの方が
胸の膨らみも
感じられる


そんな私のコンプレックスを見抜いたのか…

『俺の手のひらサイズの
形のいいオッパイだね…』
って誉めてくれたことがあった

そんな乙女心を
察するのが上手かった



No.277 14/02/22 15:48
りんご ( ♀ UNyGh )


『こっち向いて…』


直樹の方へと
向きを替える

キスをしたまま
直樹がクルッと
私を持ち上げ
上に乗せた


直樹に跨がったように
上になる


初めての騎乗位に
恥ずかしくて
横に下りようとしたら


『ダメだよ…
下りちゃ…』


直樹の硬くなったモノが
私の花芯にあたってる


『恥ずかしぃよ…』


『恥ずかしがらなくていいよ
入れてごらん…』


入口を近づけ
ゆっくりと
腰を沈める


直樹がグィッと
腰を突き上げ
奥まで埋めた


両手で胸を
揉み上げ、
吸われる



どうしたらいいのか
わからない…




『たまらなく
可愛いよ…』
直樹が囁く


No.278 14/02/22 16:03
りんご ( ♀ UNyGh )



『自分のことだけ
考えればいいからね…


動いてごらん…』


『・・・
出来ないよ…』



直樹がそっと
手のひらを
差し込んできた

中指が花芯に触れる
ゆっくりと波打つように
撫で上げる

中指と薬指の間に
花芯をはさんでいる

身体の芯の
一番敏感な部分が
直樹の指に
優しくはさまれている


『ゆっくり動いてごらん…』


No.279 14/02/22 16:19
りんご ( ♀ UNyGh )



言われたまま
ゆっくりと動いてみる…


探り当てられた
敏感な花芯は
直樹の指に囚われている


奥の方から
滴が溢れ出てくるのが
わかった…


『すごいよ…
溢れてきている…』




『恥ずかしぃよ…』




『恥ずかしがらないで…
大丈夫だよ…
そう…
ゆっくり、ゆっくり…』


直樹が、優しく
ツボミを露にした…


『可愛いぃツボミだ…』


No.280 14/02/22 16:42
りんご ( ♀ UNyGh )



………
…………
……………

……
………
……
……………


………
…………
……………
…………………

………
……




初めて
セックスが
気持ちいいと知った…


『大丈夫⁉』


『うん…』




No.281 14/02/22 16:51
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹の体温を
感じながら
眠りについた










No.282 14/02/22 19:30
りんご ( ♀ UNyGh )


身支度を整え
荷物のパッキングを
大方済ませてから
朝食へと出向いた

昨日は、和食を頂いたから
今日は、洋食にした

サラダを皿に盛り付け
ウィンナとベーコンを少し
オムレツは注文してから
目の前で焼いてもらえる
卵液を流し入れ
クルクルとフライパンを回す
キレイなオムレツが
出来あがる

直樹は、ロールパンを
私は、フレンチトーストを焼いてもらった


今までに食べたことのないような
中まで卵の染み込んだ
ふあふあの
フレンチトーストに
メイプルをかける
バターの香と
甘いメイプルの香がした


『朝から、
よく食べられるね(笑)』


『直樹といると
太っちゃうね(笑)』


『俺のせい⁉』


朝日の射し込む
ラウンジで
向かい合って
朝食を食べる



回りからは
どんなカップルに
見られているのだろうか⁉

夫婦に見られるかな⁉
なんて、ちょっと思ってみたりした


直樹が
ゆっくりと
二杯目のコーヒーを飲む

私はフルーツにパクつく




No.283 14/02/22 19:39
りんご ( ♀ UNyGh )



部屋のベランダのイスに腰かけて眺めていた

陸地が見えてきた


船の往来も増えてきた

小さい漁船から
大きなタンカーが行き交う港が近くなってきたことを意味する


『直樹…
夢のような時間を
ありがとう…』


『夢じゃないよ、
また来ような…』


『・・・・』




『もう、着いちゃうんだね…』


夢のような世界から
現実へと引き戻される






No.284 14/02/22 19:46
りんご ( ♀ UNyGh )



クルーの笑顔に見送られ
下船した


荷物を受け取り
駐車場へと向かう


アッと言う間に
過ぎた二泊だった


『マンションでいいかな⁉』


『うん…』


直樹のマンションへと
車を走らせた





No.285 14/02/22 20:16
りんご ( ♀ UNyGh )



『疲れた⁉』


『ううん…
大丈夫…』


直樹がコーヒーを
入れてくれる


『留守電チカチカしてるよ…』


『あぁ…
後で聞くよ』


どんな留守電が入っているのか
ちょっと興味があったけど
あっさり、かわされてしまった…


郵便物に目を通している


直樹はやっぱり、
現実に戻ると
忙しいんだよね

また、逢えない日が続くんだ……


ちょっぴり寂しい気持ちになる



『帰ろうかな…』


『そう…
送るよ…』


自分で帰ると言っておきながら
引き留めてくれないだって思っていた


『ここでいい…』


『家までちゃんと送らせてくれないかな⁉』


『・・・・』
『今日は、ここで…』


『わかった…』


大通りで降ろしてもらった


No.286 14/02/22 20:44
りんご ( ♀ UNyGh )


そのまま
真っ直ぐ家には帰らず
香の店に寄っていた

『ソーダ水ちょ‼』


『どっか行ってきたの⁉』


『うん…
綾野さんと…』


『どうした⁉
元気ないじゃん…』


『旅行は楽しかったんだけどね…
一緒に居るときはいいんだけど…
離れると…
私なんかでいいのかなって思うんだよね…』


『ふ~ん…』


『なんか…
わかんないけど…』


『香はそんな事ない⁉』


『ない、ない(笑)
徹、わかりやすいから』




そっか…
綾野さんは
わかりにくいからなんだ…
あまり本心を見せないって言うか、
自分の事はあまり話さないような気がする…
詮索しちゃいけないんだって思って、私も聞かないし…

好きになればなるほど
なんでも知っていたいような気持ちになるけど

綾野さんのがずっと大人だからって思って…




No.287 14/02/23 16:20
りんご ( ♀ UNyGh )



5月も終わり
香の結婚が
近くになっていた

香の店に来ていた

『結婚するって
どんな感じ⁉』
香に聞いてみる

『どんなって…
一緒になるんだなって感じ…』


『パパさん‼
まだ早いとか思わなかったの⁉』
カウンターの中で
タバコを燻らしていた
パパさんに聞いてみる

『徹君は、いい子だし
反対した所で
香の人生だからね…
香が好きになって
一緒になりたいって言うんだから、早かれ、遅かれ、いつかは嫁に出るんだ…
本人達が決めたことだよ…』

ちょっと寂しそうな
パパさんだった


『でも、結婚しても
お店は手伝いに来るし
近くに済むからさっ。』
香が言った

結婚式は、近くの神社で
親族だけで済まして
レストランで
会費制でパーティーをすると言う


お金のない若い二人は
入籍だけすると言ったらしいが…
そこは一人娘、
パパさんがどうしても
ケジメで花嫁姿で嫁に出したいと言ったそうだ

親心なんだね…





No.288 14/02/23 16:39
りんご ( ♀ UNyGh )


香の結婚式の当日を迎えていた


神社での式は親族だけだったので、呼ばれてはいなかったが、仲間何人かと花嫁姿を見に来ていた


白無垢に綿帽子を被った香がシズシズと神前へ向かう

『香~
おめでとう~‼』


『キレイだよ~‼』


声を掛ける

照れ臭そうに
香がVサインを出してる


一番の親友の
香の花嫁姿を目にして、

感動して
涙が溢れてきた





パーティーの受付を健ちゃんと頼まれていたので健ちゃんの車でパーティー会場のレストランへと向かっていた


『香、キレイだったね…』


『馬子にも衣装ってヤツだな(笑)』


『健ちゃん、ひど~い
女の人が一生で一番綺麗な時なんじゃない⁉』


『そうなん⁉(笑)』


No.289 14/02/23 17:05
りんご ( ♀ UNyGh )



『これから、人生いろいろ経験重ねて、女って色艶が出て綺麗になるんじゃね~の⁉』
健ちゃんが言った


『健ちゃんて熟女好きなの⁉(笑)』


『そ~じゃね~よ。
結婚はゴールじゃなくて
スタートだろ⁉
男にしたら
そいつの人生まで一生背負って行くってことだべ⁉
徹に相談された時も
中途半端な気持ちじゃダメだぞって言ってやったんだよ。
そしたら徹、中途半端じゃね~って言いきりやがったよ。』


『へぇ~、重たいね⁉
まぁ、結婚してない健ちゃんに言われても、説得力はないかも~(笑)』


『まぁな…(笑)』
『お前も、花嫁衣装着たいの⁉』


『わかんない…』


『健ちゃんは、
結婚しないの⁉』


『きっつぅ~…
一人じゃ出来ないべさ…』

『そりゃ、そ~だ(笑)』

(笑)(笑)(笑)




No.290 14/02/23 17:19
りんご ( ♀ UNyGh )



次々と顔馴染みがやってきた


香と徹ちゃんもやってきて、照れ臭そうに
皆の前で結婚の誓いをたてた

皆に囃し立てられ
照れながらの誓いのキス


乾杯をしてパーティーが始まった

パパさんは、始終嬉し涙でクシャクシャになっていた

ほんわかした二人の門出に相応しい温かいパーティーになった


最後に徹ちゃんが
『俺、絶対に幸せにしますから…
今日は、皆さんありがとうございました。』
って挨拶をしていた


パパさんのしゃくりあげる嗚咽が聞こえた





No.291 14/02/23 19:04
りんご ( ♀ UNyGh )



二次会へ流れ

三次会へと流れていた


徹ちゃんの仕事仲間と
香の友達と

数人になっていた


徹ちゃんの仕事仲間は
健ちゃんを筆頭に
ほぼ泥酔状態になっていた

そのまま放置して
帰る訳にもいかず

適当にかわしながら
付き合っていた


三次会の店を出た所で

『二人の前途を祝して~‼
バンザイ
バンザイ
バンザイ~‼』


酔っ払い野郎の
万歳三唱が始まった(笑)


『ここらでお開きににしよ~よ…』


私は、泥酔の健ちゃんを
連れ帰る事になった


No.292 14/02/23 19:18
りんご ( ♀ UNyGh )



お酒の強い
健ちゃんはめったに
酩酊状態になるような事はなかったが

徹ちゃんの結婚が
余程、嬉しかったのだろう

徹ちゃんは、健ちゃんを頼って田舎から出てきた
同郷の弟みたいなもんだったから…



しかたないから、健ちゃんの車を運転して送ることにする

健ちゃんを車に押し込む

『倫子ちゃ~ん
ありがと~
大好きだよ~‼』


『も~酔っ払い💢
捨ててくよっ‼』


『酔ってないです‼
捨てないで~…』

ふざけた野郎だ💢
酔ってる奴に限って
酔ってないと言い切る(笑)

健ちゃんのアパートまで
なんとかたどり着いた

『健ちゃんっ‼
健ちゃんっ‼
アパート着いたよ‼
起きてよっ‼』


『酔ってませんっ‼』


部屋まで健ちゃんを連れて行く





No.293 14/02/23 19:31
りんご ( ♀ UNyGh )


『も~っ…
ほらっ、靴脱いでっ‼』

健ちゃんをベッドに寝かした


その時…
健ちゃんに腕を掴まれ
グィッと引き寄せられ
力いっぱい抱きしめられた…



ヤバい💦💦💦


酔っ払っていようと
そこは男の力だ…


無茶苦茶に
キスされてしまった


健ちゃんが押さえつけようとしたが…



無我夢中で
逃げるように
アパートを飛び出していた



ふぅ~っ…
ヤバかった…


酔っ払い健ちゃん野郎めっ💢



No.294 14/02/23 19:47
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日
仕事帰りに
香の店に来ていた


『新婚旅行は
行かないの⁉』


『冬になったら
北海道に5日くらいスキーに行く予定なんだ』


『いいなぁ~…』


『昨日はありがとうね。
酔っ払い連中大丈夫だった⁉』


『うん、大丈夫だったよ。』


健ちゃんとの出来事は
香にも話さなかった…



『コーヒー‼
昨日はど~も、
世話かけたなっ‼』
仕事の終わった
健ちゃんがやって来た


『世話かけたなって……』
健ちゃんは
何も覚えていないようだった…
アレだけ泥酔していたから
覚えてないのだろうか⁉


『久々に酔っ払って
今日一日中
二日酔いで仕事キツかったよ⤵』
健ちゃんが言った


『自業自得だよ。
フフンッ…』


『今度、世話になったお礼に飯でもおごるからさっ』


『結構ですっ‼』


『なに怒ってんの⁉』



コイツ~ッ…

でも、覚えてなくて
良かった…

ちょっとホッとしていた






No.295 14/02/23 19:55
りんご ( ♀ UNyGh )



仕事と学校の
日常が戻っていた


綾野さんとも
相変わらずで

なかなか逢うことも
ままならず

月に2度くらい
逢えればいい方だった


『お店はどう⁉』
綾野さんに聞いてみた


『まぁ、順調だよ。』


『倫子ちゃんは⁉』


『特に変わりないよ。』


『そう。』


特になにもない平穏な日々が過ぎていた





No.296 14/02/24 12:00
りんご ( ♀ UNyGh )



梅雨明けの待ち遠しい
7月になっていた


久々の連休に
綾野さんの
マンションへと来ていた


『大事な話があるんだけど…』


『大事な話⁉』



もしかして
“結婚“⁉
香が結婚してから
いつでも一緒に居られる
生活にちょっと憧れを感じていた

一緒に居たいのに
近い距離に居るのに
なかなか忙しくて
逢えない直樹に
“私のことなんか
どうでもいいんだ⁉“
って苛立ちを感じていた



『8月になったら
シンガポールへ行くことにした』


『シンガポール⁉
旅行⁉』


『旅行じゃない…』


『どうゆ~事⁉』


『世界を見てみたいと思ってる…』


『世界⁉』


『先ずはシンガポールから…』


『なんでシンガポールなの⁉』


『知り合いがシンガポールで店を出してる
来ないかって誘われてる』



No.297 14/02/24 12:32
りんご ( ♀ UNyGh )


『行くことにしたって…
決めてるってことだよね⁉』


『あぁ…』


そ~言えば…
だいぶ前に、直樹の部屋で英語の教材を目にした事があったのを思い出した


『・・・・』


『出来れば、ちゃんとして一緒に連れて行きたい…
でも、もうじき国家試験の大事な時だよな…
試験が終わったら、来てほしい…』


『試験が終わるまでは、待てないって事だよね⁉』

『なんでいつも
先に言ってくれないの⁉
直樹は私に相談してくれないよね⁉
なんで⁉』


『なんでって…』


『いつ帰ってくるの⁉』


『いつとは…』

『だから、連れて行きたいって言ってるだろ⁉』


『ちゃんとしたいって
思ってる…』


『ちゃんと⁉』


『俺にまかせてくれれば大丈夫だから…』





No.298 14/02/24 14:32
りんご ( ♀ UNyGh )



男ってヤツは
ホントは何を考えてるのかわからない


なぜ、今のままでは
いけないのか⁉


『店長』
で十分じゃないのか⁉
何、不満があるのか⁉


“世界を見てみたい“
って何⁉





ミツルもそうだった…


なぜ、わざわざそんな所へ行かなくちゃいけないのか⁉



私“夢“は…

いつか直樹と
二人で高校の時に
職業体験で行った夫婦のような夫婦で営むようなお店でも出来たらいいなって
思ってた

直樹となら
出来るような
気がしてた


でも“シンガポール“って…
まかせれば大丈夫って…


…………
……



……………
…………
……
…………………
…………
……





No.299 14/02/24 14:48
りんご ( ♀ UNyGh )



『私のことなんて
どうだっていいんだよね⁉』


『だから、連れて行きたいって言ってるだろ⁉
倫子にも、もっと視野を広げさせたいんだよ。』




先ずは“シンガポール“
それから、世界を回って視野を広げたいと直樹は言ってる



女は“今“を見る

男は“将来“を見る


直樹の“夢“は
“夢“じゃなく
“絶対に自分の実力で成し遂げる“現実への一歩なんだって言う




どうすればいいのか⁉


直樹に、まかして着いていけばいいのか⁉


言葉も通じない国で
私は、何が出来るの⁉






No.300 14/02/24 15:17
りんご ( ♀ UNyGh )


『突然でゴメン
でも、何年も前から
考えてた事なんだ…
いつかは世界を相手にしたいって…
お店も軌道に乗った今、俺の役割は済んだと思ってる今の店は、雇われ店長だ、俺の店じゃない…』


『倫子ちゃんを見て…
俺は、初めて自分から手に入れたいって強く思った

俺の一生のパートナーにしたいって強く思ってる
一生そばに居て欲しいんだよ…
生活に困らせる事はしない。』


『ホントは、8月に連れて行きたい…
でも、それは今まで頑張ってきた倫子ちゃんを見てるから、試験はちゃんと受けさせてやりたいと思う
だから…試験が終わったらでいいから…』



No.301 14/02/24 15:37
りんご ( ♀ UNyGh )



何を悩む必要がある⁉


直樹にまかせて
着いていけばいいだけじゃないか⁉



直樹が一生のパートナーにしたいって言ってくれてるのだから…




そう…
悩むことなんかないよね⁉



自問自答を繰り返す






No.302 14/02/24 19:42
りんご ( ♀ UNyGh )


パートナーに何を求めるの⁉
と直樹に聞いた事があった

お互いの感性を刺激しあえる関係だと直樹は言った

家事や育児に全力を注ぐのではなく
自分を磨き
お互いが、高めあえるような関係だと…


“仕事と私のどっちが大切⁉“
なんて聞いちゃいけない事だとわかっている…

そんな言葉を口にした時点で、直樹に呆れられるって十分にわかっている
聞く事自体が愚問なのだ

直樹は、おそらく、そんな家庭は望んでいないのだ…

あくまで自分の高い目標を達成し得るまで、大きな野望を持っている

自信があるのだろう
努力を惜しまない精神力も持ち合わせている


“成功者“になりたいのだ…


それはビジネスの世界でと言うこと…


いつも穏やかで、ポーカーフェイスの直樹が
“連れて行きたい“
と、ストレートに口にしてくれた


答えは

ただ、直樹に全てをまかせて着いていけばいいだけなのだから…




No.303 14/02/26 13:35
りんご ( ♀ UNyGh )



『行く前に、きちんと、倫子ちゃんのご両親に挨拶して、婚約の形を取って行きたい…』

『試験が終わって…
年明けたら、成人式だろ⁉
来春、3月にでも入籍をしたいって考えてる。』



“えっ⁉“
そこまで考えてるの⁉
直樹は、私に相談することなく、人生設計を立てていたことに、
苛立ちを感じていた


直樹は、よく“自分の目標を持ちなさい“って、私にも言っていた

今年の目標

3年後にどうなっていたいか⁉
5年後にどうなっていたいか⁉
10年後にどうなっていたいか⁉

その為には、何を“今“努力しなくちゃならないのか⁉

目標が明確になっていれば、おのずとやるべき事が見えるだろ⁉

って…


私は、ずっと一人前になりたいってこの2年頑張ってきたつもりだ

試験も控え、、
目標が達成される⁉

その先は………⁉

普通に毎日働いて
普通に結婚して
普通に子供を産んで育てて…


“普通“しか考えてなかった…



No.304 14/02/26 14:15
りんご ( ♀ UNyGh )



まかせれば大丈夫だからって…

まかせる⁉


私は、漠然と
20で資格を取得して
働いて、26、7あたりで結婚したいなぁ~って思ってた

あくまで漠然としてだけど…


直樹も今までは
“結婚“と言う言葉は口にした事がなかった…
結婚と言う形に縛られるのが嫌なんだろうと思っていた
焦っていないっていつも言っていたのに…


急に婚約って…
結婚って…
海外って…


一人で決めちゃってて…


直樹の事は
大好きだよ…

直樹に、まかせればいいんだよね…


まかせれば…




No.305 14/02/26 18:45
りんご ( ♀ UNyGh )



『いつ、お宅に伺っていいかな⁉
ちゃんと、事前にご両親に倫子ちゃんから話は通しておくんだよ。』
って、直樹から言われていたが…

母にも、話せずにいた…


いきなり婚約・結婚するだとか…
海外へ行くだとか…


直樹本人を見たら
反対はされないだろう…
とは、思ってたが


私自身の気持ちが
その時はまだ、まとまっていなかった…



なぜだかわからないが…




No.306 14/02/26 19:01
りんご ( ♀ UNyGh )



“サポートはするからやりたい事をやればいい“
って直樹は言ってくれていたし

おそらく何不自由しない暮らしが出来るんじゃないかななんて、打算的な考えもなくもなかった…



ただ…なんとなく…
ホントにこれでいいのか⁉
って感じていた


直樹は…
自由も与え与えてくれるし…
喜ばす事もしてくれる…

でもどこかで
釣り合わないものを感じていた
それは、年齢と経験を重ねれば直樹と同じステージに立てるのかなとも思ったが…

年齢差は埋まらない





『今は、待って‼』
と、直樹に言っていた


『今はって…
いつならいいの⁉
俺は、2年も3年も先には出来ない。』
と直樹に言われた


『試験が終わって…
成人式が終わるまで…』



『俺は、シンガポール行く前に、きちんとして行きたい。』
直樹の気持ちは変わらないようだった




No.307 14/02/27 22:43
りんご ( ♀ UNyGh )


結局、
7月いっぱいは、
直樹も仕事に追われ、両親との休みも合わず
挨拶に来る機会は作れなかった

8月に入って
7月いっぱいで店を辞めるはずになっていたが…
引き継ぎや残務整理もあり荷造りとバタバタとしていた


さすがの直樹にも苛立ちが見え始めていた

『次の日曜日には、挨拶に行くから、ご両親に伝えておいて欲しい』
と言われた


母親に
『付き合ってる人が挨拶に来たいと言ってるんだけど…』
と伝えた


母親には
『まだ倫子は、
資格も取得してない半人前なのに、“挨拶“って何⁉
付き合う事には、反対しないけど、まさか結婚なんて言い出さないわよね⁉』
と言われてしまった


直樹に、母親の言葉を伝えたが…
それでも挨拶には行くからと言い切られた…


母親にきちんと話は通せなかったが、直樹にまかせるしかないと思っていた

きっと直樹と会えば
両親も反対はしないだろうと思っていた




No.308 14/02/28 12:54
りんご ( ♀ UNyGh )



母から、父には
日曜日に倫子の彼氏が来るとは伝えてくれていた


母親が、根掘り葉掘り直樹の事を聞いてきた


“お店の人だよ“とだけ伝えたが…
海外へ行く話は出来なかった…




ただ、、ミツルの時のような後悔はしたくなかった…

【失ってわかる大切な存在】にはしたくはなかった


直樹の存在は、ものすごく大きいのは確かだ

色々な意味で成長させてくれた
生涯の伴侶にしたら
直樹ほど頼りがいのある人と巡り合う事はないだろうと信じていた

直樹にさえついて行けば、間違いはない…
そう思っていた




No.309 14/02/28 13:02
りんご ( ♀ UNyGh )



金曜日、、


職場に1本の電話が入った

『お婆ちゃんが倒れて、救急搬送されたって連絡が入ったのよ…これから病院へ行くから、倫子も出来たら帰ってきて一緒に行って欲しい』
と母は言った
お祖母ちゃんの状態は詳しくはわからなかったが

店長に話をして
早退させてもらった



慌てて自宅へ戻り
母と病院へと向かった




No.310 14/02/28 13:11
りんご ( ♀ UNyGh )



病院へ着くと、点滴と酸素マスクをしてお婆ちゃんが横たわっていた


お婆ちゃんは、
脳梗塞を起こしたと言う事だった

幸い発見が早く
命には別状はないが…
後遺症とかは、まだわからないと医師からは説明があった


近所のおばちゃんが、回覧板を届けに来て、お婆ちゃんの様子がおかしい事に気がついて、救急車を呼んでくれたらしい…



命に別状はないと聞いて一安心した





No.311 14/02/28 13:25
りんご ( ♀ UNyGh )



このタイミングで
お婆ちゃんの入院か…

日曜日はどうなるんだろう…
そんな事を考えていた


病院から、職場へは電話を入れて、明日は休ませてくれるようお願いした

(日)には、有休を取っていたから、(土)(日)と休めることになった



母を残し、私は一人帰ることになった
片道3時間はかかる距離だったから自宅のある駅に着いたのは、夜の11時を過ぎていた…


そのままの足で直樹のマンションへと向かっていた


マンションの呼鈴を押す

直樹が出てきた



No.312 14/02/28 14:32
りんご ( ♀ UNyGh )



『どうした⁉』


『うん…
…………
………
………………
………
……

……………
………
……』

お婆ちゃんが入院した事を話した



『しかたないな…
来週にはシンガポールへ行くことになっている
そんな状態の時に、ご両親に挨拶もないだろう…




No.313 14/02/28 15:58
りんご ( ♀ UNyGh )



『ゴメンね…』


『いや…
しょうがないよ…
時間に余裕がなかったから
もっと早くに、ご両親に挨拶に行っておくべきだったな…
倫子は、試験に向けて頑張るんだよ。
試験が終わった頃に、一度帰国するよ。
それまで、大丈夫だよな⁉』


『うん…』



お婆ちゃんの容態も気にはなるし

そう…
どっちにしろ私は当面は日本に残る
試験が終わるまでは、試験だけに集中するしかなかったから…





No.314 14/03/01 15:41
りんご ( ♀ UNyGh )


(土)父と兄と病院へ向かった

お婆ちゃんは、安定はしているようだった

暫くは、母がお婆ちゃんちに泊まり、病院へ通うことになった


(土)は、お婆ちゃんちに泊まり、(日)に母を残し、3人で帰ってきていた


『思ってたより、軽くて良かったな…
でも、もう一人暮らしは無理だろうな…』
父が言った


No.315 14/03/02 15:12
りんご ( ♀ UNyGh )


(月)は、出勤していた

『お休み、
ご迷惑かけました』


『お婆ちゃん
大丈夫だった⁉』


『おかげさまで…
…………
………
……』


仕事を終えて
直樹のマンションへ
向かった


『明日、
出発だね……』


『あぁ…』




それ以上
会話が続かなかった…



沈黙が続き


一晩中
お互いに求め合っていた





No.316 14/03/02 15:21
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹がシャワーを
浴びる音で目が覚めた


あぁ…
行っちゃうだな…


ベッドから抜け出し
浴室のドアを開けた


シャワーを浴びてる
直樹の後ろから
そっと抱きついていた



『離れたくないよ…』



直樹が振り返り
抱きしめてくれる


直樹の身体の温もり


シャワーの流れ落ちる滴に涙も一緒に流れていた


膝まづき
直樹を口に含んでいた…



『倫子……』



夕べあんなに
激しく求め合っていたのに…


また直樹を欲しい自分がいた


No.317 14/03/02 18:18
りんご ( ♀ UNyGh )

『うっ……
倫子…
ダメだよ…
………
……』


直樹と付き合って
男性自身を口に含むことを仕込まれた…

最初は恥ずかしくて
抵抗もあったが…


いつしか
自分から
口に含むようになっていた

未開発だった
幼い身体に
満たされる
喜びを教えてくれたのも
直樹…





No.318 14/03/02 19:06
りんご ( ♀ UNyGh )



『ベッドへ行くよ…』
直樹に促され
ベッドへと移動した


優しく唇を重ねる
首筋から…
乳首へ
舌を這わせ吸い付く

横向きされ
身体を密着させる
直樹の体温が伝わってきた
後ろから
抱き締められる

直樹の指が
乳首を弄ぶ

もう片方の手が
下へと滑り込む…
敏感なツボミを探しあて
優しく波打つようにゆっくりと刺激する

背中にキスされ
身体がビクッと反応した
声が漏れた

『あっ……』

身体の奥から
溢れてくるのがわかった…

直樹の指がツボミの奥へと滑り込む


『すごいよ…』


我慢出来ずに
腰を反らし
直樹の方へと
お尻を突き出した


直樹のモノが
入口にあてがわれる


満たされたいのに
入口にあてがわれたそれでジラすように
撫でている


やがて
ゆっくりと
埋め込まれた…


くの字になった身体が
ピッタリと密着された


No.319 14/03/02 19:22
りんご ( ♀ UNyGh )



左手で
ツボミを撫で回しながら

埋め込まれた
モノをゆっくりと動かす


『う…ん……』

たまらず声が漏れる


『まだだよ…
おいで…』

直樹が上を向き
上になるよう促す


直樹に股がり
ゆっくりと腰を下ろす


直樹に教えられたように
ツボミを擦り付けるように動く



ツボミを刺激されながら
乳首を吸われ
直樹が埋め込まれた部分からしずくが後から後から溢れてくる…


自分を失っていた…





No.320 14/03/02 21:39
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹の腕に包まれていた


『マイスウィートハニー…』

耳元で直樹が何かを囁いたような気がした…


『ん⁉何⁉』



『なんでもないよ…』

ギュッと抱き締められていた


いつまでも…
抱き締めていて
欲しかった…







No.321 14/03/02 21:49
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹がベッドから抜け出し身支度を整え始めた



『合鍵渡しておくよ…』



『直樹が居ないマンションに来たってしょうがないから…
いらない…』




『たまに空気の入れ替えに来て欲しいんだけどな…
ダメかな⁉』




『・・・・』



『倫子ちゃん以外頼める人がいないんだけどな…』



渋々、合鍵を受け取っていた


ベッドから抜け出し
シャワーを浴びて
身支度をした


No.322 14/03/02 22:12
りんご ( ♀ UNyGh )



空港まで
見送りに来ていた


『試験、頑張れよ
倫子なら大丈夫だから…』


『うん…』




“私を置いて
行かないで…“

口には出来ずに
ここまで来て
胸の中で念じていた…



無情にも時間は過ぎ…


直樹は、
『じゃあ…』
と、手をあげて
搭乗口へと向かって行った…




一人ポツンと残されていた……



どうやって
帰って来たのかも
覚えていないほど…
気持ちが空っぽになっていた…


別れた訳じゃない
ちょっとの間
離れるだけ…

頭の中で
何度も繰り返していた





No.323 14/03/03 19:02
りんご ( ♀ UNyGh )


香の店に寄っていた

『元気ないじゃん⁉』


『うん…
行っちゃったんだ…』


『そっか…』


『香は、結婚して
大変じゃない⁉』


『う~ん…
楽しいよ。』


『楽しいんだ⁉』


『喜びが二倍ってヤツかな(笑)』


『香、頑張ってるもんね…』


『頑張ってはいないよ(笑)
適当だよ。
ただいま~って帰って来た時に、空っぽの弁当箱見るとさ、、
明日も早起きして
作ろうって思える(笑)
小さな幸せだよ。』


『小さな幸せの
積み重ねだね。』





私の幸せは…
いつも、目の前まできて…
遠くに逃げて行っちゃうような気がする
何も悪いことしてないのにな…


直樹と出会って
付き合って

夢のような時間だった…


いつも穏やかな直樹に包まれていた
大きな存在だった

私は、直樹に
何かをしてあげられたのかな⁉


直樹には
夢のような時間と
仕事のことも…
生き方も…
いっぱい、いっぱい
もらってばかりいたような気がする…

勝手な事を言ってても
怒ることもなかったし…


胸の中がポッカリと
空いたような気がしていた

直樹…
逢いたいよ…
寂しい…



No.324 14/03/03 19:19
りんご ( ♀ UNyGh )



その頃、母は
大半をお婆ちゃんの家に泊まり、入院中のお婆ちゃんの世話をして
週末だけ家に帰って来る生活をしていた


家に帰ってきていた
ある日の夕食時に

『もう暫くしたら、退院出来そうなんだけど…
どうしようかしらね⁉』
母が言った


『どうしようって⁉』
父が聞く


『一人暮らしは
もう厳しいかもしれない…』


『こっちの家に連れて来て
暫くは養生してもらって
様子見てみたらいいんじゃないか⁉』


『お父さん、いいんですか⁉』


『娘は、お前一人なんだ…お前しか頼る人は居ないだろう⁉』



そんな父と母の会話を聞いていた




幸い後遺症もあまりなく
普通に生活は出来そうな感じではあったが、家事等の負担を考えて病み上がりのお婆ちゃんを一人暮らしにさせる訳にはいかないだろうとの配慮だった



No.325 14/03/03 23:55
りんご ( ♀ UNyGh )

退院の日

父は仕事だったから、母と私と迎えに来ていた


お世話になった同室の方や先生、看護婦さんに挨拶をして、見送られた

一度は自分の家に帰りたいとお婆ちゃんが言うので、お婆ちゃんちへ寄っていた。

玄関をあがると、一番最初に仏壇にお茶を入れて、お線香をつけ、なにやらお爺ちゃんに報告をしているようだった


『やっぱり家が一番いいねぇ…』
お婆ちゃんがしみじみと言った


近所のおばちゃんちもやってきて
『良かったねぇ、早くに退院が出来て…』
と言われて、お婆ちゃんも嬉しそうだった


『暫くは、娘の家にお世話になるから、留守するけどよろしくね。』
お婆ちゃんが言った


『そう、寂しくなるけど、その方が安心だよ。
ゆっくり養生しておいで、帰ってくるのを待ってるからね。』
とおばちゃんが言った


線香も燃え尽き
戸締りをして、お婆ちゃんちを後にした


タクシーに乗り込み駅まで来ていた
電車と新幹線を乗り継ぎ、また電車を乗り継ぎ3時間はかかる距離だ


新幹線の窓から外を眺めながら
『何年ぶりだろうね~…』
お婆ちゃんがポツリとつぶやいた


ホントは、住み慣れた家に居たいんだろうな…
と感じてた



No.326 14/03/04 00:13
りんご ( ♀ UNyGh )



1階の納戸に使っていた部屋が和室だったので、お婆ちゃんの寝室にした


後から聞いた話だが
父が、いつかは母の両親を迎える日が来るかもしれないと、1階に和室をひと部屋用意していたそうだ
一人娘の母を嫁にした時から、母の両親の行く末を案じていたのだと父が言った

いつもは、頼り無げが父がその時は、ちゃんと考えていたんだ…
と、ちょっと見直していた


お婆ちゃんは、最初こそ嬉しそうにしていたが、半月も過ぎる頃から

『家に帰りたい』
と口にするようになっていた


顔見知りのいない場所での暮らしは、お婆ちゃんにとっては寂しかったのだろう…

世話になっていると言う負い目もあったのかもしれない


『私は一人で大丈夫だから…
そろそろ家に帰ろうかねぇ…』
と言い始めていた



No.327 14/03/04 00:48
りんご ( ♀ UNyGh )



そんなお婆ちゃんのことがあったおかげで

直樹と離れた寂しいさも少しは気が紛れていた



『倫子ちゃんは、ボーイフレンドはいないのかい⁉』
お婆ちゃんが聞いてきた


『ボーイフレンド⁉
友達ならいっぱいいるよ。(笑)』


『そうかよ~。(笑)
遠くにお嫁さんに行くんじゃないよ。
近くにしなよ。』
お婆ちゃんが言った


『近くって、どのくらい⁉』


『そうだね~…
スープの冷めない距離ってことかね~(笑)』




まさか、海外へ行くなんてお婆ちゃんには言えないな…
なんて頭の中で考えていた


『お婆ちゃんは、お爺ちゃんのどこが良かったの⁉』


『どこもなにも…
昔のことだから、親が決めたようなもんだよ。
結婚前に1度会っただけで、次に会ったのは結婚式だったから…(笑)
結婚式と言っても、田舎だったからね。
昔は家で親戚の顔合わせみたいにしただけだよ。』


『1回会っただけで、嫌じゃなかったの⁉』


『嫌もなにもないよ。
親が決めたんだから。』


『お爺ちゃんで良かった⁉』


『そうだね~。
働き者だったからね。(笑)今頃、爺さんクシャミしてるだろ~よ。
早くお迎えに来てくれるといいんだが…』


『お婆ちゃん、何言ってんの‼
ひ孫の顔見たいでしょ⁉』


『いつのことになるんやら…
そんなに長生き出来やしないよ…(笑)』


そんな会話を交わしていた……


No.328 14/03/04 01:15
りんご ( ♀ UNyGh )


1ヶ月を過ぎる頃から
お婆ちゃんの元気がなくなってきていた


“帰りたい“
と口にすることも増えていた


そんな時に
いつもの香のお店の常連さんで恒例のバーベキューの話があったから、お母さんに話して、お婆ちゃんを誘い出していた


『私はいいよ…』
と最初は遠慮していたが、連れ出していた


健ちゃんが車で迎えに来てくれた


健ちゃんの車はワゴン車だったから、お婆ちゃんが乗り込みやすいように、健ちゃんが踏み台の箱を用意してくれていた


『ありがとう、
健ちゃん感謝する‼』


もうバーベキューが始まっていた


『お婆ちゃん、
どうぞ、どうぞ‼』

皆がお婆ちゃんに
声を掛けてくれた


久しぶりの賑やかな場所に嬉しそうだった


『倫子ちゃんには、お友達がいっぱいいるんだね…』


『お友達って言うか~…
知り合いかな…』


『疲れてない⁉』


『大丈夫だよ
大勢で食べると
美味しいね~』
お婆ちゃんがニコニコしながら言っていた


あまり長い時間になると疲れちゃうといけないと思って早めに帰ることにした


『健ちゃん、悪い
送ってくれる⁉』


『OK👌』
健ちゃんに送ってもらった


『どうも
お世話になっちゃって。』
お婆ちゃんが
健ちゃんに言っている


No.329 14/03/04 01:28
りんご ( ♀ UNyGh )



『遠慮しないで下さい
買い出しのついでですから…』
健ちゃんが言った


『そうですか⁉
悪いですね
迷惑かけちゃって…』
お婆ちゃんが言っていた


『大丈夫ですよ。
ちっとも迷惑なんかじゃないですから。』


『行も帰りも
お世話になっちゃって…
倫子ちゃんをよろしくお願いしますね。』


何をよろしくなのか
わからないが…(笑)


健ちゃんが調子にのって
『大船に乗ったつもりで、まかせて下さい。』
なんて言っていた(笑)



お婆ちゃんを家まで
送り届けた
玄関に母が出てきた

『すっかりお世話なっちゃって、健ちゃんありがとうね。』
と、母が健ちゃんに声を掛けた


『いいっスよ。
お婆ちゃんと話が出来て
楽しかったっスから…』


『お母さん‼
私も続き行くから、今日は夕飯いらないからね‼
遅くなるからね。』
と母に告げ助手席へと
乗り込んだ


『ありがと‼
健ちゃん。』


No.330 14/03/04 11:28
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹からは
何も連絡もなかった…


“落ち着いたら連絡するから“と言っていたのに…


心配になっていたが、
連絡を取る術がない…


直樹のことだから
きっと大丈夫…
仕事に夢中になっているのだろう…
そう思って
私も、仕事に夢中になろうとしていた




試験も
無事に済んでいた



No.331 14/03/04 11:51
りんご ( ♀ UNyGh )



お婆ちゃんは
父や母が
“いつまでも居てもいいんだから…“
と説得したが…

“住み慣れた
家に帰りたい“と帰ることになった


ここでは、茶飲み友達もいないから、一日中家にこもる生活だ
日中は、誰も家には居なくなる
寂しかったのだろう


田舎の家を処分して
一緒に住もうと言う話も出ていたが…
お婆ちゃんが嫌がった


田舎に帰れば
近所のおばちゃんちも
気にかけて
夕飯時分になると
お皿を持って行き来するような
まだ、隣近所との付き合いも多いような所だった


何かとお婆ちゃんを気にかけて、よく家にやってきた健ちゃんが車で送ってくれるという話になっていた


宅急便で荷物を送って
新幹線で帰った方が、
楽じゃないかと提案したが…

お婆ちゃんは、
“健ちゃんに送ってもらうから…“と言い張っていた


『ごめんなさいね…
健ちゃんに甘えちゃって
お婆ちゃんも言うこときかないんだから…
困ったもんだわ…』
母が健ちゃんに言っていた

『いいですよ。
俺も田舎のお婆ちゃんに
何も孝行してやれなかったから…
そんな真似事が出来て、俺もちょっと、嬉しいんです。』
健ちゃんが答えていた



No.332 14/03/04 11:59
りんご ( ♀ UNyGh )


出発当日

私と母が一緒に送って行く事になった


なぜか、お婆ちゃんは
健ちゃんが用意してくれた踏み台を使って
助手席に乗り込み
ご機嫌だった


途中、何度か休憩を取りながら、5時間近くかかってお婆ちゃんの家に到着した

荷物を下ろし
玄関の鍵を開ける


雨戸を開け、空気を入れ替えた

お婆ちゃんは、また一番にお仏壇にお茶を供えていた


雨戸の開く音で
気がついた
近所のおばちゃんもやってきた


『お帰り~
元気そうで、良かった、良かった。』


『留守中、ありがとうね。』
お婆ちゃんはニコニコしていた



No.333 14/03/04 12:35
りんご ( ♀ UNyGh )



『ホントに
世話になったね
ありがとうね…
ありがとうね…』
お婆ちゃんが何度も何度も健ちゃんにお礼を言っていた


『気にしないでください。俺も楽しかったですから…』


『ありがとう…
ありがとう…
倫子ちゃんをよろしくね。』
お婆ちゃんが健ちゃんの手にお年玉袋を渡した


『こんなん貰えないですよ』
と健ちゃんがお婆ちゃんに返していたが…


『帰りに二人で
美味しいもんでも食べて帰りな…』
またお婆ちゃんが
健ちゃんの手に…



『お婆ちゃんの気持ちだから…
受け取ってあげて。』
と母が言って
健ちゃんが受け取っていた

母は、2日程お婆ちゃんちに泊まる事になっていた


私は、
健ちゃんの車に乗り込み
家路についた



No.334 14/03/04 13:00
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃん
ホントに、ありがとうね…』



『庭…』


『えっ⁉』


『草むしりするようだな…』


『あぁ…
業者に頼むんじゃないかな⁉』
『あっ…健ちゃん⁉
いいからねっ…
近くじゃないんだし…
これ以上、迷惑かけたくないし…』


『・・・・』
健ちゃんは、黙っていた


夜の9時近くになって
やっと地元に戻ってきていた


『健ちゃん、お疲れさま
夕飯ご馳走するように母からお金預かってるから、何か食べたいもの言って。』


『焼肉‼』


『了解‼
行こ、行こ⤴⤴』





No.335 14/03/04 16:34
りんご ( ♀ UNyGh )



何日か過ぎて
家も、落ち着きを
取り戻していた


香の店に来ていた

『お婆ちゃん、どう⁉』
健ちゃんが言った


『大丈夫みたいだよ。
家に帰れば一人暮らしだからね。
何でも自分でやらなきゃならないから大変だろうけど…
元々、働き者のお婆ちゃんだから、
こっちに居た時よりも
元気みたい。』


『そうか
良かったな。』


『うん、
健ちゃん、ありがとう
お世話になりました。』


『いいんだよ
気にするなよ。』
『次の休みにでもさ
ドライブがてら、
行かないか⁉』


『えっ⁉』


『お婆ちゃんち…』


話を聞いていた香も加わって、徹ちゃんも一緒に4人で、
お婆ちゃんちに草むしりに行こうと話ていた


『いいよ、いいよ…
草むしりなんて…』
と断ったが…


『い~んだよ。
皆でドライブがてら
遊びに行こうよ‼』
って盛り上がってしまった




No.336 14/03/05 12:24
りんご ( ♀ UNyGh )


直樹からは
何も連絡がないまま
3ヶ月近くになっていた


さすがに
“どうしちゃったのかな⁉“
“まさか、事故とか⁉“
“私のことなんか、忘れちゃった⁉“

そんな不安も頭をよぎり始めていた

連絡しようにも、
連絡先もまだ聞いていなかった






(今時代のように
携帯やパソコンでの連絡なんて普及していなかったし、もちろんスカイプなんてもなかった。
連絡取るとしたら、国際電話かエアメールくらいだった。)





No.337 14/03/05 12:40
りんご ( ♀ UNyGh )



そんな時に
美容室の先輩だった百合子さんがお店にやってきた


『久しぶり~
差し入れ~‼』


『ごちそうさまで~す。』


『今日はカットとカラーをお願いしようと思って。』


『倫子ちゃん、
頑張ってる⁉』


『はいっ
ありがとうございます。』

百合子さんは、カットとカラーを済ませて帰っていった


昼休憩を裏でしていた
百合子さんの差し入れのドーナツを食べていた


『百合子さん、仕事復帰しないのかな⁉』
先輩が言った


『なんか海外旅行行くとか言ってたよ~。』
別の先輩が答えていた





“海外旅行⁉“
“どこ行くんだろ…
まさか…まさかね…“
頭の中で考えてた…



No.338 14/03/05 13:06
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよう‼』

『おはよう‼』

私と香と徹ちゃんで、
健ちゃんの運転する車に乗り込み
お婆ちゃんちに向かっていた


『悪いね…』


『悪くなんかないよ~。
私らが勝手に遊びに行くんだからさ~。
なんかワクワクする
うちはさ、両親地元だから、田舎がないからさ、なんか楽しみなんだ。』
香が言った


『そうだよ。
ドライブ、ドライブ‼』
徹ちゃんも言っていた



“ありがとう“
皆の気持ちが嬉しかった…


『こんにちは~‼
お婆ちゃんいる~⁉』


『はい、はい
居ますよ…』
奥からお婆ちゃんが出てきた


『草むしりに
来たよ~‼』


『さっさっ
お上がりなさいな
朝早くに出たんでしょ⁉
大変だったね、
お茶飲んでよ。』


お茶を一杯飲んでいた

『お婆ちゃん、元気そうだね⁉』


『ありがとう。
おかげさまで
元気になったよ~。』


お茶を飲み干したところで草むしりを始めた


そんなに広い訳ではなかったが…
放置した庭は草がボーボーと生い茂っていた


健ちゃんと徹ちゃんが作業着に着替えた


『あらっ…
本格的だわね…(笑)』
お婆ちゃんが言った


『職人ですから(笑)』
健ちゃんが答えていた

No.339 14/03/05 13:18
りんご ( ♀ UNyGh )



『お昼出来たよ~‼』
お婆ちゃんに声をかけられた


『は~い‼』


手料理が並べられていた

ちらし寿司に
お煮しめ、ぬか漬け、フキの佃煮、

『いただきま~す‼』


『こんなもんしか出来ないけど…
いっぱい食べてね。』


『うわ~っ、ぬか漬け
美味しい⤴
お婆ちゃん、教えて。』
香がお婆ちゃんに聞いていた


『帰りに、ぬか床分けてあげるから、種にして増やしなさいな…
毎日、毎日愛情込めてかき回すんだよ(笑)
夫婦と同じでね、年数重ねて深い味わいが出てくるよ。』


『ごちそうさま~‼』


『もうひと頑張りするべ‼』
健ちゃんが言った


『適当でいいからね』
お婆ちゃんが言っていた


No.340 14/03/05 13:35
りんご ( ♀ UNyGh )


『お茶入れたよ~‼』

3時になっていた

お茶と漬物、
お婆ちゃん手作りの蒸しパンがあった
ふかふかのまだ温かい
ほんのり甘い蒸しパン

『すっかりキレイになったね
ありがたいよ~…』
お婆ちゃんが言った


『お婆ちゃん、
お茶飲んだら帰るね。』


『そうかい⁉
ゆっくり休んでもらいたいけど…
帰るのが遅くなっちゃうからね…
部屋はあるから泊まって行ければいいんだけどね~…』


『うん、ありがと
皆、明日は仕事があるからさ。』


『ホントにありがたいよ。
また、いつでも来てよ。
今度は、泊まりでおいでよ。』


『うん、また来るよ。』

“これ少ないけど、皆で夕飯になんか食べて“
お婆ちゃんが私に1万円を握らせた
お婆ちゃんの気持ちと思って受け取った



お婆ちゃんに見送られ
お婆ちゃんちを後にした



No.341 14/03/05 13:47
りんご ( ♀ UNyGh )



途中で日帰り温泉に立ち寄っていた


『あ~気持ちいい』
香がお湯に浸かりながら言った


『香、お疲れさま
ありがとうね』


『いいんだよ~。
楽しかったよ。
うちさ、お婆ちゃん居ないからさ…
ぬか床分けてもらっちゃったし…毎日、毎日、かき回さなきゃ(笑)』

『皆、忙しいのに…
感謝だよ…
わざわざこんな所までさ…』


『なんか田舎があるって、羨ましいよ…』


『お婆ちゃんも元気そうだったし、喜んでたし、良かった…』






『お待たせ~‼』

健ちゃんと徹ちゃんが
先にあがって待っていた


『気持ち良かったなぁ~。』


No.342 14/03/05 13:58
りんご ( ♀ UNyGh )



後ろで、香と徹ちゃんの寝息が聞こえてきた


『疲れたんだね…』


『アハハッ(笑)
こいつら、どこ行っても、いつも寝てんじゃね⁉』


『そうだね…(笑)』


『健ちゃん、せっかくのお休みなのに
ありがと…』


『い~んだよ。
気にするなよ。
ぬか漬け、美味かっな~。
たまには、来てやれよ…』


『うん…』


『俺で良かったら
乗せて来てやるからさ…』


『・・・・』




『お婆ちゃんが、皆でご飯食べて帰りなって、小遣いくれたから…』


焼~肉🎵、焼~肉🎵焼肉🎵

『じゃ…また、焼肉で(笑)』


No.343 14/03/05 14:05
りんご ( ♀ UNyGh )



地元まで戻り
焼肉屋 に来ていた


『今日は、お疲れさまでした。
ありがとう。』


『ごちになりま~す‼』


『乾杯~🍻』


『俺も飲みたいんだけどさ…
倫子ちゃん運転してくれない⁉』


『えっ……⁉』


『アパート駐車場までさ。』


『しょうがないなぁ~…
いいよ。駐車場までだからね。』


香の結婚式の日の
出来事がふと頭を過ったが…今日はお世話になってるから“ダメ“と言えなかった…



No.344 14/03/05 14:22
りんご ( ♀ UNyGh )



香と徹ちゃんをアパートで降ろした


『お疲れさま
今日は、ありがとね~。』


『ごち~‼✋』


『またね~。』


次は健ちゃんだ…

『健ちゃん着いたよ‼』


『おっ…ども。
寄ってかね⁉』


『ううん、帰るよ…
今日は、ありがと。』


『送ってかなくて大丈夫か⁉』


『大丈夫だよ。』


歩いて帰ってきた



No.345 14/03/05 16:17
りんご ( ♀ UNyGh )



『ただいま~‼』


『お帰り‼
お婆ちゃんから
電話あったわよ。
凄く喜んでだわよ。
いい子達だって
ほめてた。』


『うん、
お婆ちゃんから1万貰っちゃたよ。
皆で何か食べなさいって…
焼肉食べてきた。』


『お婆ちゃん
健ちゃんがお気に入り
みたいね…』


『そう…』


『皆も、また行きたいって言ってくれてたよ…
香、ぬか床貰ってきた。』


『へぇ~…香ちゃん、
ちゃんと、奥さんしてるのね⁉』


『毎朝、お弁当も
作ってるんだってさっ。』


『偉いわね~。』





No.346 14/03/08 14:07
りんご ( ♀ UNyGh )



出勤していた

差し入れのお土産が
休憩室に置いてあった


チョコレート
マーライオンの形をしていた


『誰のお土産ですかぁ~⁉』


『あ~、昨日、
百合子さんが来たんだよ。』


『ふ~ん…』


『倫子ちゃんに
会いたがってたよ。
連絡欲しいってさ。』





“マーライオン“って
シンガポールだよね…
百合子さん、シンガポールに行ったってことだよね⁉
まさか…
直樹に会いに⁉

連絡欲しい⁉
なんだろ⁉


仕事が終わって
百合子さんに電話を入れていた


☎『もしもし…』


☎『あっ…倫子ちゃん⁉』


☎『はいっ…チョコレートいただきました。ごちそうさまでした…』


☎『久しぶり~、今度ご飯一緒にしない⁉』


☎『あ…はいっ…』


ご飯を一緒にする約束をした


No.347 14/03/08 14:23
りんご ( ♀ UNyGh )



何日かたって…

百合子さんと約束した
イタリアンレストランに来ていた…


お店に入ると
百合子さんが先に待っていた


“こっちこっち“と手をあげていた


『お久しぶりです…』


『倫子ちゃんに会いたかったんだぁ~…
はいっ…お土産‼』


『ありがとうございます。
シンガポール行って来たんですか⁉』


『うん…
良かったよ~‼』



百合子さんは、
行ってきた観光地の話を
楽しそうに話てくれた


『一人で行ったんですか⁉』
聞いてみた


『一人だよ。』
百合子さんが答える


『一人で海外なんて
すごいですね⁉』


『うん…
向こうに
知り合いが居てね…』


『そうなんですか⁉
知り合いって…』


No.348 14/03/08 14:41
りんご ( ♀ UNyGh )



このタイミングで
お料理が運ばれてきた


『食べよ、食べよ‼
お腹空いてたんだぁ~⤴』


なんとなく
話をはぐらかされた気がした


『あ~っ…美味しい』


『百合子さん…』


『何⁉』


『知り合いって…
綾野さんですか⁉』

ストレートに聞いていた



『・・・・
倫子ちゃん
私なら、足手まといにならずに、綾野さんをしっかり支えられると思うの‼』




“足手まとい⁉“
私が⁉




『付き合ってたんでしょ⁉』


『・・・・』


『悪いけど…
そ~ゆ~ことだから‼』

百合子さんが、
お金を置いて
店から出ていった




“そ~ゆ~こと⁉“
ど~ゆ~こと⁉

付き合ってたって…
過去形⁉

百合子さんは、直樹の連絡先を知ってたの⁉


頭の中がパニックだった…
直樹を信じたい私と
連絡すらくれずに
連絡先も知らない私…

それなのに、
百合子さんは
直樹と会ってきた⁉


No.349 14/03/08 14:44
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹…
逢いたいよ…


連絡欲しいよ…
声…聞きたいよ…


抱き締めて欲しいよ…



なんで私には
連絡くれないの⁉




No.350 14/03/09 20:53
りんご ( ♀ UNyGh )


逢いたい
と祈っても…

声を聞きたい
と願っても…


私からは、連絡先はわからない…


直樹が連絡をくれないのはなぜ⁉


百合子さんと……⁉




誰かに聞けば
直樹の連絡先を知っているのかな⁉

悩んだ末に
オーナーが店に来たときに聞いてみた


『あの…
綾野さんの連絡先って聞いてますか⁉』


『いや…
シンガポールから、
東南アジアに行くとは聞いてたけど…』


『東南アジアですか⁉』


『あぁ…なんか美容にも興味あったみたいで、他にも巡ってくるような事言ってたよ。』


『そ~なんですか⁉』




知らなかった…
何も聞いてなかった…


私って、直樹の
何だったのかな⁉


No.351 14/03/09 21:21
りんご ( ♀ UNyGh )



忙しい
12月になっていた


クリスマスにお正月を控えて、お店は一段と忙しくなっていた


きちんとお昼の休憩を取れないのは当たり前のことで
タイミングを逃すと
トイレにも行けず
尿意をガマンしちゃう事もあった


職業病とでも言えるかもしれない腰痛にもなっていた


直樹のこともあって…
知らず知らずに
ストレスも溜まっていたんだと思う…

私の身体は、
少しづつ悲鳴をあげていた


No.352 14/03/09 21:30
りんご ( ♀ UNyGh )



香の店に来ていた


『クリスマス会
参加するでしょ⁉』
香が聞いてきた


『あ~、うん
予定ないし、今年も遅れるけどいいかな⁉』


『了解👌』


『なんか、顔色悪いけど
大丈夫⁉』


『うん、忙しくてさ…
膀胱炎みたい…』


『無理しないようにしなよ~。』


『ありがと。』




No.353 14/03/09 21:47
りんご ( ♀ UNyGh )



クリスマス会の日

お店が終わり
急いで香の店に行った


毎年の事ながら
遅刻だ…

『遅くなりましたぁ~‼』


『待ってたよ~‼』
と、いつもの常連客の顔に温かく迎えられていた



『乾杯~‼』


『あ~美味しい』
シャンパンを飲み干す




良かった…
クリスマスイブに
一人じゃなくて…

一人で居たら
寂しさに押しつぶされちゃいそうだもん…


良かった…
仲間に恵まれていて…



No.354 14/03/09 22:08
りんご ( ♀ UNyGh )


12時を回って
お開きになった


なんか身体がだるい…

『元気ないじゃん⁉』


『えっ…』
振り返ると健ちゃんだった

『送って行くよ。』


『大丈夫だよ。
健ちゃんこそ、ちゃんと帰れるの⁉(笑)』


『俺は、大丈夫だよ。
女の子が一人歩きする時間じゃないべ…』


『ありがと…』



いつもなら、
“大丈夫“ って一人で帰るのに…
健ちゃんが、
“送るから…“
ってついてきた


『寒いっ…』


何気なく
健ちゃんが腕をからめてきた


『あれっ⁉
お前、熱あるんじゃね⁉』

『お酒飲んだからだよ。』
そうは言っても
寒気と身体がダルかった
“風邪ひいたかな…“
と思っていた


『ありがと健ちゃん
ちゃんとアパートまで帰りなよ。』


『大丈夫、大丈夫。』

健ちゃんの後ろ姿を
見送った



No.355 14/03/09 22:25
りんご ( ♀ UNyGh )



次の朝

寒気がして熱を計ったら
39度近くあった


“風邪ひいた~“

忙しいのに申し訳なかったが…
とても仕事に行ける状態ではなかった
お店に電話を入れて
休ませてもらった


『病院行く⁉』
母に聞かれた


『一日寝てれば大丈夫…』正直、病院へ行くのもツラかった


『じゃ、ちゃんと薬飲んで寝てなさいよ。
早めに帰ってくるから…
なんかあったら、職場に電話いれなさいね。』
そう言って、母は仕事に出ていった


“寒気がする“
腰が痛い…
インフルエンザかな~…



母が仕事から帰ってきた


『どう⁉』


『・・・・』


『お医者さん行った方がいいわよ。
支度しなさいよ。』


『無理、動けない…』


『しょうがないわね~…
困ったわね…』
母が下へおりて行った



No.356 14/03/09 22:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『今、健ちゃんが来てくれるって
病院連れてってくれるって言うから…』


『えっ⁉
なんで健ちゃんになんか連絡したのよ⁉
断ってよ‼💢』


『だって…
そんなじゃ、しょうがないじゃない…
私は運転出来ないし…』


『それでも嫌なのっ‼
わかんないの⁉
こんな所、見られたくない…
断ってよっ…』


頭にきていた
具合悪い姿なんて
見られたくない
髪の毛ボサボサで
スッピンだし…



ピンポ~ン🎵
呼鈴が鳴った



『は~い…
ごめんなさいね~…
病院行かないって言ってるから…』
母の声が聞こえていた


階段を上がってくる足音がした


『ほらっ…
病院行くぞっ。
なんか羽織れよ。』


『いい…
行かない…
大丈夫だから…
帰って…』
布団に潜った


『大丈夫じゃないだろ⁉
子供じゃないんだからよっ…』


『・・・・
動けない…』


母が上着を出した
無理矢理、身体を起こそうとしたが…
動けなかった…


No.357 14/03/09 23:19
りんご ( ♀ UNyGh )



『しょうがね~なぁ~…』
健ちゃんが、
上着を羽織らせ
ヒョイッと抱き抱えた


『・・・・⤵⤵』


健ちゃんは私を抱き抱え
階段を下りていった


母が慌てて玄関を開け
車のドアを開けていた…

後ろの席がフラットに
倒されていた
そこに横にされた


母を乗せて
車は病院へ走りだした


『ごめんなさいね…』
母が健ちゃんに言っていた


『いいですよ…
何かあったら、
遠慮しないでいいっスから…』





急性腎盂腎炎だった
入院する事になった



No.358 14/03/09 23:28
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんは
仕事が終わると
病院に寄ってくれた

『健ちゃん、ありがと
毎日来なくていいよ…』


『い~んだよ、
暇だから…』




“スッピン見られたくない女心もわかってよ…“
なんて、思っていたのもある


それでも、一週間
健ちゃんは毎日やってきていた


『明日、退院出来ることになった…
お世話になりました…』


『そっか…
良かったな。
お迎え来てやるよ。』


『いいよ、いいよ…
大丈夫だから…
お母さんが来てくれるし…健ちゃん、仕事あるでしょ。』




No.359 14/03/09 23:39
りんご ( ♀ UNyGh )



退院の日


結局、年末年始の休みに入っていた健ちゃんが
母を乗せて迎えに来てくれた


『いいって言ったのに~…』


『暇だからよ…』


『そんな言い方ないでしょっ⁉』
母が言った


『年末の忙しい時に、
お母さんも非常識だよ…』


『いいんだって…』
健ちゃん間に入って言った


No.360 14/03/09 23:56
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃん、ありがとう
本当にお世話になりっぱなしで…
お正月、良かったら
いらしてね。
何もないけど…』
母がお礼を言った

『健ちゃん、
ありがとう…』


玄関に荷物をおろすと
健ちゃんは帰って行った


年末の忙しい時に
一週間もお店を休んでしまっていた

日中は忙しいと思い
店が終わった頃に電話を入れた


『大変ご迷惑おかけしました。
今日、退院してきました…』


『そう、良かった。
お正月ゆっくり休んで
また、来年から頑張って。』
と店長が言ってくれた


本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった




No.361 14/03/10 13:10
りんご ( ♀ UNyGh )



『お母さん、
入院中、電話とか手紙とかなかった⁉』


『なかったわよ。』


年末年始で、直樹が帰って来るかもしれない
入院中から、気になって仕方なかった…



『ちょっと、
出掛けて来る…』


『何言ってるの。
退院してきたばかりで
お店も休みなんだから、暫くは落ち着いて家に居なさい。』
叱られてしまった


生憎、父親も居て
出られられそうもない雰囲気だった…



No.362 14/03/10 19:49
りんご ( ♀ UNyGh )


ピンポ~ン🎵

『夜分にすいません。
親方から、カレンダー預かってたもので…
つい渡しそびれてしまってたので…』

健ちゃんだった…


『あらっ、わざわざ
ありがとう。
良かったら、お茶飲んでって…』
母が言っていた


『いや、夜分なので…
倫子ちゃん、どうですか⁉』


『ありがとう、おかげさまで、大丈夫みたいよ
健ちゃんのおかげね。
助かったわ。』

健ちゃんは、帰って行った



No.363 14/03/10 22:33
りんご ( ♀ UNyGh )



二階の部屋の窓を開け
健ちゃんを呼び止めた

『健ちゃん
ちょっと待ってて‼』


『お母さん、
香の店にちょっとだけ
顔出してくる
心配してくれてたから…』


『も~
おとなしくしてなさいって言ってるのに…
すぐ帰ってらっしゃいよ。』

慌てて着替えて、
家を出た


『健ちゃん、悪い。』


『おとなしくしてろって言われてんだろ⁉』


『ちょっとだけ…』


『しょ~がね~なぁ~…』
健ちゃんが車のエンジンを掛けた

『ゴメン、駅まで…』


『店に行くんじゃね~の⁉
なんだよ駅って⁉』


『ちょっと、
寄りたい所があって…』


『俺はちゃんと
家まで送り届ける責任がある‼』


『・・・・』


No.364 14/03/10 22:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『ちゃんと、すぐ帰るから…』


『ダ~メ‼
ちゃんと送る。』


『・・・・』


『じゃ、ちょっとだけ待ってて…
お願い…』


『ちょっとだけだぞ‼』


直樹のマンションの近くまで乗せて来てもらった


『20分だけだぞ‼
ここで待ってるからなっ‼』


『うん…』


車から降りて
直樹のマンションまで走って行った


エントランスを入る

ポストの中の郵便物を出して、直樹の部屋へ向かう


初めて合鍵を使って
開けて入った


…………
………
……
…………
………
……………
……


帰って来た形跡はなかった…





No.365 14/03/10 22:47
りんご ( ♀ UNyGh )



郵便物をテーブルに
置いて帰ろうとした時に


郵便物の中の
封筒に目がいった


綾野直樹様方
倫子様へ

と宛名の書いた封筒があった…


郵便物を一つ一つ確認すると…
三通の同じ宛名の封筒が入っていた


直樹の字だった


三通の封筒をカバンにしまい込み
慌てて鍵を締めて
来た道を走って戻っていた


封筒…
早く読みたい…

でも、健ちゃんを待たせてる…


No.366 14/03/10 22:58
りんご ( ♀ UNyGh )


『健ちゃん
ありがと…』


『用事は済んだのか⁉』


『うん…』


健ちゃんがエンジンをかけて、車を走らせる
香の店までやってきた

『顔出すんだろ⁉』


『あっ…うん…』


『すぐ帰るからなっ‼』


『うん…』



店に顔を出して
コーヒー1杯だけ飲んで
店を後にしていた…

健ちゃんは、まっすぐ家まで送ってくれた

『健ちゃん、ありがと』


『・・・・』


『よい年を…』


『あぁ…』

ちょっと、不機嫌な健ちゃんが居た

『ゴメンね…』


『何が⁉
お袋さんに心配かけんなよ。』


『・・・・』





No.367 14/03/12 20:23
りんご ( ♀ UNyGh )



早く手紙が読みたかった


自分の部屋へかけ上がり
封筒をカバンから出した


綾野直樹様方
倫子様へ


表書きが嬉しかった


ドキドキ💕する



倫子、元気か⁉
仕事頑張ってるか⁉
お店は…
……………
…………
………
……

……………
…………
………
試験が終わったら
こっちまで来ないか⁉

取急ぎ連絡まで

住まいの住所と
お店の住所と電話番号が書いてあった



シンガポールに着いてすぐに出したようだった


・・・・・
はぁ~…
なんでもっと早くに
マンションに来なかったんだろう…
合鍵貰って、部屋の空気を入れ換えに来てよって
頼まれてたのに…

今日まで、直樹の居ないマンションに行く気になれずにいたから…


No.368 14/03/13 18:35
りんご ( ♀ UNyGh )

二通目の封筒を開けた

元気にしてますか⁉
お婆さんの具合は
どうですか⁉
…………
………
……
試験は合格だろ⁉
………
…………
………

(火)(水)休みにでもさ
有休プラスして
来れないかな⁉
案内するよ。
………
……
逢いたい

声が聞きたい
連絡くれ



そう綴ってあった



はぁ~…

なんで家に
連絡してくれなかったの⁉
私は、私で、
何も連絡くれない
直樹を、心配してたのに………



No.369 14/03/20 13:44
りんご ( ♀ UNyGh )


三通目の封筒を開けた




お互いの将来について
話をしたいことが
いっぱいあるんだが…

声が聞きたい
電話してくれ





それだけが便箋に
書いてあった




No.370 14/03/20 13:50
りんご ( ♀ UNyGh )



三通の封筒を目にして…


何でもっと早くに
直樹のマンションに来ていなかったのかと後悔していた


お婆ちゃんのことがあったし…
直樹の居ないマンションに足を運ぶこともなかった…

私は、私で、ひたすら連絡をくれない直樹を心配していた



直樹を信じてない訳ではなかったが、百合子さんのことも気になっていた







No.371 14/03/20 13:57
りんご ( ♀ UNyGh )



手紙に書いてあった通りに電話を掛けていた



繋がらない



お店の方の電話にも掛けてみた



繋がらない



なんでかわからないが
繋がらなかった





No.372 14/03/20 15:00
りんご ( ♀ UNyGh )



シンガポールへ行く決意をしていた


会わなくちゃ
お互いの気持ちが伝わらない


私も逢いたい


あまり感情を表に出さない直樹も逢いたがっている





No.373 14/03/20 15:33
りんご ( ♀ UNyGh )



三が日が過ぎて
仕事も始まった

最初の休みにパスポートの申請に来ていた

パスポートが取れ次第
シンガポールへ行くつもりだ


会わなくちゃ
何も伝わらない



No.374 14/03/22 17:06
りんご ( ♀ UNyGh )


パスポートを手にしていた

気持ちは決まっていた

日本には帰って来ないかもしれない…

片道切符だ



年末に入院して1週間仕事を休んでいたから、休みたいとは言えなかった…

体調が悪くこれ以上迷惑もかけたくないので、辞めたいと退職願いを職場に申し出ていた。

休職扱いで暫く休んで復職するようにって言ってくれたが…
なかば強引な形で美容室を辞めさせてもらった

最後に迷惑をかけるような形になったが…
無断欠勤を続ける形にはしたくなかったから…


No.375 14/03/22 17:14
りんご ( ♀ UNyGh )



親には、美容室を辞めた事は話していなかった

シンガポールに美容室の先輩が住んでるから会いに行くと嘘をついた

嘘ではないのだが…


母親は、会いに行く相手が、男(直樹)だとは思っていなかったから、半分は嘘をついたようなものだった




No.376 14/03/22 17:19
りんご ( ♀ UNyGh )



香にだけは、
帰って来ないかもしれないと話をした


『そっか…
とりあえず会わないとね…
このままには出来ないもんね。
でも、向こう行ったら、連絡だけはちょうだいよ。』


『うん…
香には、連絡入れるから…』


『絶対だよ…』


『うん…大丈夫‼』





No.377 14/03/22 17:25
りんご ( ♀ UNyGh )



一人、シンガポールの空港に降りていた

一人で海外に来るなんて…
自分でも、私にこんなに行動力があるのが信じられなかった


直樹に逢いたい一心だった

何ヶ月も手紙を見ていなかったこと…
直樹に会ってちゃんと話をしたかった


なにより…
早く逢いたい…






No.378 14/03/22 23:12
小説大好き378 ( 30代 ♂ )

う~ん続きが気になりますね😥

No.379 14/03/23 18:31
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 378
※主です

閲覧ありがとうございます
読んでくれてる人がいられること、とても励みになります。


季節の変わり目
花粉症にやられて
鼻をかみすぎて💦💦
頭がボォ~ッとしてまして…⤵⤵

おまけに扁桃腺炎のWパンチで⤵⤵⤵


ボチボチ綴っていきますので…

今暫くお待ちくださりまし…



No.380 14/03/23 19:00
匿名380 ( 20代 ♀ )

めちゃ面白かったです、ミツルさんのお話も読みました、少し泣けてきました。更新楽しみにしています。

No.381 14/03/24 07:36
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 380
※主です

おはようございます

ありがとうございます

読んで頂けて
嬉しいです‼


No.382 14/03/24 07:52
りんご ( ♀ UNyGh )


さてと…

ここまでは勢いで来たけど…

ここからどうやって行こう…

一人で海外での移動なんてちょっと怖い…


空港ロビーで暫く様子観察しよう
日本人も少なくないみたいだし…


ちょっとモタモタしていたら…


見覚えのある旗を持った団体ツアーの一行がゾロゾロと…
添乗員さんに引率されて、歩いて行った
手を振り見送る添乗員らしき人
ツアー客をゲートに送り込み、引き返そうとしていた

『あの…
すいません…』
声を掛ける


『はい⁉』


『日本人ですよね⁉』


『えぇ…』


『良かった⤴⤴』


『あの…
○○まで行きたいんですけど…
初めてで…』


『………』
『う~ん…
私も今仕事終えたみたいな所だから、ちょうどそこまで引き返す所、、ホントはダメなんだけど…
これも何かの縁だわね。
一緒に連れて行ってあげるわ。』



ナイス‼⤴⤴⤴
ホントにこんな
Goodタイミングで
信じられない

でも日本人と言う安心感で甘えさせてもらった


No.383 14/03/24 18:03
りんご ( ♀ UNyGh )


お姉さんは“緑“と名乗った

シンガポールで日本の旅行代理店のツアー客を観光案内している仕事をしていると言った、サバサバとした感じのいい女の人だった

『そう…
彼氏さんを訪ねて来たのね。会えるといいわね。
もし、困ったことがあったら…』

と、連絡先を教えてくれた

なんとありがたい⤴


『ありがとうございます。』


『たぶん、この先辺りにあると思うわ。
私のオフィスは反対側だから…』


『本当にありがとうございます。あの…』
お財布を出したら


『いいわよ。
こんな可愛い妹みたいなお嬢さんに出会えて、私もなんか嬉しくなっちゃったから(笑)』


『ありがとうございます』


『私も祈っているわ‼』



世の中捨てたもんじゃない…
人の縁とは不思議なものだ…


まさかこんな知らない所で日本人に助けてもらえるとは…



いい予感⁉


No.384 14/03/24 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



もう少しで直樹に逢える……


胸の高鳴りを感じていた


この辺りだと緑さんは言っていたな…

30分程ウロウロと歩き回っていた


見つけた‼
何度もお店の名前と
手紙に書いてあった名前を見比べてみる

間違いない…
ここだ…


深呼吸して
呼吸を整える


そ~っと外から覗き込んでみる…


……………
………


見つからない……

直樹は居ない⁉



No.385 14/03/25 13:32
りんご ( ♀ UNyGh )


ドアを開けて
店に入る勇気はない…


どうしよう…


一人ポツンと佇んでいた


1時間くらい入口をちょっと離れた場所から眺めていた


結構人の出入りもあり、繁盛している様子がした


直樹は居ないのかな⁉
休みなのか⁉


どうしよう…







No.386 14/03/25 18:02
りんご ( ♀ UNyGh )


辺りがうっすらと
薄暗くなり始めていた

ネオンがつき始めた…


心細くなる…


泣きたい気持ちになってきた…


帰れる場所はない…


もう…
訪ねるしかない



気持ちを落ち着かせ


お店の前に立つ

深呼吸をひとつして
ドアを開けた



No.387 14/03/25 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



お店の女の人が
気がついて
笑顔で話かけてくれたが
言葉がわからない…


『あの…綾野さんは…』


カットをしていた男の人が気がついて来てくれた


『君、日本の方⁉』


『はいっ…
綾野さんを訪ねて来たんですけど…』

良かった、
日本人みたいだ


『ちょっと待ってて‼』

そう言うと、
奥へ入って行った



ドキドキする…



No.388 14/03/25 18:19
りんご ( ♀ UNyGh )


暫くして…
男の人が戻り

『ちょっとお待ち下さいね』
と笑顔で対応してくれた


ドキドキッ…
ドキドキッ…
ドキドキッ…


20分も待ったのだろうか⁉


『倫子っ‼』

奥から出てきたのは
直樹だった…

涙が溢れる
後から、後から、
大粒の涙がボタボタと…


そばに近寄り
ギューッと
抱き締めてくれた


やっと逢えた…
不安で押し潰されそうだった気持ちと
直樹に逢えた嬉しさで

しゃくりあげて
泣いていた…






No.389 14/03/25 18:27
りんご ( ♀ UNyGh )



さっきの男の人が

『直樹、奥へ…』
と声を掛けてくれた


『倫子、こっちへ…』
奥へと通された


誰も居ない奥の部屋へと通された


ギューッと抱き締められて…
キスしてくれた




『直樹、逢いたかったよ…』



『俺もだ…』








No.390 14/03/25 20:18
りんご ( ♀ UNyGh )



『一人で来たの⁉』


コクンッと頷いた


『何かあったの⁉』


『逢いたかったから…』


『そっか…』
『ちょっとここで
待ってて…』
直樹は部屋から出ていった





『さっ…行こう。』


『仕事中でしょ⁉』


『いや、大丈夫だから…』


『お腹空いてない⁉』


『胸がいっぱいで…』


『そっか…
じゃ、何か買って
俺のアパート行こうか⁉』


『うん…』







No.391 14/03/28 21:19
りんご ( ♀ UNyGh )

お店から割合近い距離にアパートと言うのか…
マンションかな…
それはあった




『直樹らしいね…』


『ん⁉』


『きちっと片付いてる…』


『寝に帰るだけだからね。』
『それより…
何かあったんだろ⁉
話てごらん…』



お婆ちゃんのこと…

体調を崩して入院したこと…

なにより、手紙をずっと受け取っていなかったこと…

寂しかったこと…

電話が繋がらないこと…

話したいことは、いっぱいあった…


『そっか…手紙見てなかったんだ…』


『ごめんなさい…』


『いや、俺も悪いんだ…
倫子がマンションに来てくれてるって思い込んでたから…』
『俺は、俺で、倫子から連絡のないのを心配していたんだ…』

そう言って、ギューッと抱き締めてくれた



No.392 14/03/28 21:40
りんご ( ♀ UNyGh )



『でも…
こうして逢えた…
一人でよく来たね。』


『直樹に逢いたくて…
不安で…』


『ゴメンな…』


『百合子さんが…
来たでしょ⁉』


『えっ⁉来てないよ。』


百合子さんがシンガポールに旅行に来たらしいこと…お土産をもらったこと…


『私は直樹のお荷物にしかならないって…』


『俺は、百合子さんとは会ってないし…
第一、百合子さんが⁉
意味わかんないよ…』


『たぶん…
直樹のことが好きなんだと思う…』


『俺は…倫子だけしか見てない。』


『でも…私は、
不安で…心配で…』


『そうだよな…
ゴメン…』
『暫くこっちで、ゆっくり出来るの⁉』


『・・・・
帰らない…』



『どうゆう事⁉』
『ちゃんとお母さんに話して来たの⁉』


『・・・・』


『まさか…家出して来た⁉』


『旅行行くって言って来たけど…』


『俺の所に行くって、ちゃんと言わなかったんだね⁉』


『・・・・』


No.393 14/03/28 21:52
りんご ( ♀ UNyGh )



『お店は⁉』


『辞めてきた…』


『なんで⁉』


『帰らないつもりだったから…』


『そっか…
ゴメンな…寂しい思いをさせて…』


『ううん…』




『ちょっと待って…
コーヒー入れるから』


直樹がコーヒーを入れた
部屋に漂うコーヒーのいい香り


『コーヒーの香り
落ち着くね。』


『あぁ…』


No.394 14/03/28 22:12
りんご ( ♀ UNyGh )



『倫子…』


『何⁉』


『抱いていいか⁉』


『うん…』


話したいことは、
いっぱいいっぱいあった

でも、直樹の肌の温もりを感じたかったのは、私も同じ気持ちだった…



抱いて欲しい…



『シャワー…借りるね…』


『あぁ…』



先にシャワーを浴びに
シャワールームに行った…


No.395 14/03/28 22:22
りんご ( ♀ UNyGh )



シャワールームは
直樹らしく綺麗だった
上質なシャンプーとボディソープの香りが心地いい


入れ違いで
直樹がシャワーを浴びる


ドライヤーで髪の毛を乾かしている間に直樹がシャワーを済ましてバスタオルを腰に巻いて出てきた


ちょっと気恥ずかしい…


『貸してごらん…』


直樹がドライヤーをかけてくれる


直樹の指先が触れる

ドキドキする





No.396 14/03/28 23:15
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹がドライヤーの
スイッチをOFFにする


後ろからギュッと抱き締められた

首筋に直樹の唇が触れる



『ベッド行こう…』
耳元で直樹が囁く



直樹が部屋の電気を
パチンッと切った


一瞬真っ暗になったように感じたが…

小さいスタンドライトの灯りだけが薄ぼんやりと辺りを照らし出していた…



直樹のベッドに
もぐり込む


直樹が
いとおしむように
ゆっくりと
唇を重ねる


何度も何度も
唇が吸い付く






No.397 14/03/29 17:28
りんご ( ♀ UNyGh )


直樹にギュッと
しがみつく…


『どうしたんだよ⁉』


『直樹、あたたかい…』


『倫子も…』


肌と肌が触れ合う
直樹のぬくもり


初めてのように
ドキドキ
ときめく…


もう直樹を受け入れるだけ十分に潤っていた


恥ずかしい…


ゆっくりと直樹が
それを押し込む…


“うっ……“


『そんなに、
締め付けるなよ…』


“だって……“

直樹にキスされただけで
身体の芯が
ジュンッと熱く
我慢出来なくなっていた…


直樹の太ももに
足を絡ましていた…


直樹もパンパンッに
張っていた…



No.398 14/03/29 17:37
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹は、それを
ゆっくりと動かした…


ポッカリと空いた
心の隙間も
埋められていた


“直樹……“


心と身体が充たされて
静かに絶頂を迎えていた…

波のように
身体をくねらせ
反り返る


直樹自身を
締め付けていた






“倫子、
そんなに締め付けたら
我慢出来ないよ“







No.399 14/03/30 10:58
りんご ( ♀ UNyGh )


離れていた
数ヶ月分の思いが…
一気に溢れ
埋められていた


『直樹は寂しくなかったの⁉』


『寂しいに決まってるだろ⁉』

『まさか、倫子が店まで突然訪ねて来てくれるなんて思ってもいなかったから…嬉しいよ…』



直樹の腕に包まれて
安心しきっていた





No.400 14/03/30 22:29
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよう‼』


『ん…おはよう…』


『仕事に行かなきゃならないから…』


『うん…』


『なるべく早く帰るから、一人で待っていられるね⁉』


『うん…』


『冷蔵庫の中の物とか食べちゃっていいから。』


『うん…』


『じゃ、行ってくるから。』
おでこにキスをして
直樹は仕事に出掛けて行った



直樹の部屋に一人残されていた…
ウトウト微睡んでいた…
いつしかまた眠りについていた




時計に目をやると
11時近くになっていた

ベッドから抜け出し
冷蔵庫を開け
ミネラルウォーターを出して飲んだ


“美味しい“



夢じゃないよね…

ホントに直樹の部屋に居るんだよね…





No.401 14/03/30 22:44
りんご ( ♀ UNyGh )



シャワーを浴びる

アッ……
初めて、直樹にキスマークをつけられていた





ふぅ~っ…
直樹が帰って来るまで
何しよう…

ソファーに座り
ボォ~ッとしていた


普通なら…こんなとき
掃除したり、、、
料理したりして
帰りを待ってるんだろうな…


でも、直樹の部屋はいつもきちっと片付いていて…
きっと拘りがあるんだろうなって思ってたから、勝手に掃除なんかしない(笑)



手料理⁉
材料もないし…
一人で外に買い出しに行く勇気はない…


このクッション
直樹の匂いがする…


No.402 14/03/30 22:52
りんご ( ♀ UNyGh )



どうなるんだろう…


ここまでは直樹に逢いた一心で来たけど…


仕事も辞めちゃって…


日本には帰らないつもりで来たけど…


じゃ~…
これから、どうする⁉

この先を、何も考えていなかった…



アハハハハ(笑)
笑うしかない


突然来たことを
“嬉しい“とは言ってくれたけど…



どうしよう…



No.403 14/03/30 23:00
りんご ( ♀ UNyGh )



『ただいま~…』


“痛っ…イテテテテ…“
変な恰好でソファーで
寝ちゃっていたから
身体が痛かった…


『何か食べた⁉』


『・・・・・』


『冷蔵庫にあるもの食べていいって言ったろ。』


『うん…』


『ダメだろ、
ちゃんと食べなきゃ
ヨーグルト食べるか⁉
外に食べ行くか⁉』


『まかせる…』


『じゃ…
支度して‼』


パパッと化粧して
身支度を整えた


『じゃ、行こうか…』


直樹に連れられて、
レストランに来ていた



No.404 14/03/31 13:23
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹が適当に
メニューから選び
運ばれてきた

ただ黙々と口に運ぶ



『仕事を辞めて、
旅行に行くってだけ言って来たんだよね⁉』
直樹が口を開いた


コクンッと頷いた


『このまま、こっちに住むつもりで⁉』


『・・・・』


『俺は、それでもかまわないよ。』


『・・・・』


『ただ…家出同然じゃ、ご両親は心配するだろうね⁉』


『・・・・』


『それとも、一緒に日本に行こうか⁉
俺が、こっちに来る前に、きちんとご両親に挨拶してから来るべきだったね…』


『・・・・』


『そうしようか⁉』


『・・・・』


『黙ってちゃわからないでしょ⁉』


No.405 14/03/31 13:34
りんご ( ♀ UNyGh )



『倫子ちゃんは、どうしたいの⁉』


『離れているのは…
もう嫌…』


『じゃ、こっちに居る⁉』
『それでも、ちゃんとご両親に話して来なきゃダメだろ⁉』


『・・・・』


『2、3日考えてごらん』
『倫子ちゃんの人生のターニングポイントだよ。』


『俺は、最初から連れて来たかった。
ただ試験や、お婆ちゃんのこととかがあって、寂しい思いをさせたかもしれない。』
『でも…こうして訪ねて来てくれた。
俺は、嬉しいよ。
一緒に居たいと思う。』




No.406 14/04/02 22:18
りんご ( ♀ UNyGh )



人生のターニングポイントか……

考えてごらんって…


私は、自分の人生を
直樹に委ねようとしていた

でも…
直樹は自分で考えてごらんて言った…


ただ逢いたいってだけの気持ちでここまで来た…


けど…
先のことをちゃんと考えなければならない…


結婚⁉

ここで暮らす⁉


そばに居たいってだけじゃだめなの⁉



自問自答を繰り返す…



No.407 14/04/02 22:34
りんご ( ♀ UNyGh )



『ただひとつ言っておかなくちゃならない事がある。』


『何⁉』


『はっきり言っておくけど…
俺の気持ちは、倫子と一緒に人生を歩んで行きたいって思っている。』

『ただ…シンガポールにずっと居るつもりはないんだ…インド、バリ、、ニューヨーク、パリ、を何年かかけて回るつもりでいる。』


『・・・・』


『そして、日本に帰って起業する。』


『倫子が、ずっと一緒に居る事を望むなら、ちゃんとご両親を説得しに日本へ一時帰国して、ちゃんとケジメをつける。』


『家出状態のまま放浪する訳にはいかないだろ⁉』






No.408 14/04/04 21:13
りんご ( ♀ UNyGh )


離れているのは…
もう嫌…


でも、私に海外を転々とする生活が出来るだろうか⁉

私には、直樹のような野望はない…

直樹と一緒には居たい…

知らない土地で…
不安はある…


でも、直樹となら乗り越えられる⁉


直樹に任せていれば大丈夫‼






No.409 14/04/07 07:59
りんご ( ♀ UNyGh )


シンガポール滞在、
3日目を迎えていた


仕事も終わって直樹が帰ってきた


『気持ちは決まった⁉』


『・・・・』
『離れて居るのは…嫌…』


『じゃ、一緒に来るんだね⁉』


『・・・・』
『直樹が仕事している間、私も同じ仕事場に行ける⁉』


『それはわからないよ。』


『ずっと部屋で、直樹の帰りを待ってるだけ⁉』


『色々、見て回ったり、勉強することは、いっぱいあるでしょ⁉』


『一人で⁉』


『そう…そうゆう行動力も必要でしょ⁉』


『・・・・』





No.410 14/04/07 08:08
りんご ( ♀ UNyGh )


『ねぇ…倫子…』

『一度、日本に帰りなさい。』


『・・・・』


『旅行に行くって出てきたんでしょ⁉
このまま帰らないままでは、ご両親が心配するよね⁉』


『・・・・』


『日本に帰って、
よ~く考えて答えをだしなさい。
俺は、焦ってないから…
これからの長い人生の大事な決断だ…』


『直樹は、私が居たら邪魔なの⁉』


『そんな事ないよ。
一緒に居たいって言ってるだろ…
ただね、、家出状態のままじゃダメだろ⁉
ちゃんとご両親に話を通さなければならないと思っている。』

『明日、帰りのチケットを取ってあげるから…
一度、日本に帰って、、』


『・・・・』










No.411 14/04/08 19:36
りんご ( ♀ UNyGh )



このまま一緒に連れて行って、欲しかった…


強引に…


“俺について来い“

“俺にまかせろ“


と言って欲しかった…




でも…
直樹は違った…



おそらくまだ私が年若かったこともあり、両親の気持ちを察したのもあるのだろう…

“ちょっと旅行に行く“
と家を出てきてしまったから…


大人の恋をしてたつもりでも、やってた事は子供だった…




私は、直樹に説得されて、一度日本に帰ることになった…


No.412 14/04/08 19:40
りんご ( ♀ UNyGh )



『直樹…』


『何⁉』


『離れたくないよ…』


『俺だって、離したくないよ…』
『でも、だからこそ、ちゃんと将来を考えて…』



わがままっ子のように
泣きじゃくっていた…



直樹がそっと唇を重ねる…


No.413 14/04/10 22:08
りんご ( ♀ UNyGh )



『シャワー浴びておいで…』


『うん…』


シャワーを浴びていたら、直樹が入ってきた…


『シャンプーしてあげるよ。』


『うん』

やっぱり、直樹のシャンプーが一番気持ちいい…

質のいいシャンプーとトリートメント

アロマなボディソープで、心地いい香りに包まれる


『直樹にもシャンプーしてあげる‼』


『どれだけ腕をあげたかな⁉(笑)』





『うん…上達してるね。(笑)』


『でしょ⁉(笑)』




No.414 14/04/10 22:16
りんご ( ♀ UNyGh )



ボディソープをたっぷりと泡立てて
ボディスポンジで…
直樹の背中を流す


『気持ちいいよ。
ありがとう倫子…』



『愛しい』とは、こうゆうことなのか⁉
と初めて感じていた…







No.415 14/04/12 13:58
りんご ( ♀ UNyGh )



相手の事を思いやる…


家族を含め…
回りに心配をかけないよう…
迷惑をかけないよう…


直樹の大人な配慮だったのだろう…


直樹は、いつも穏やかで
声を荒らげたり、怒るようなことは一度もなかった…

『どうしたの⁉』

『何かあった⁉』

『どうしたい⁉』

って、優しく問いかけてくれる。



でも…
内に秘めた情熱は
感情をあらわにしないだけで、熱い…

仕事に対しても…
自分の夢に向かって突き進む強引な所も…

直樹の芯の強さなんだと思う…




No.416 14/04/12 14:06
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹は優しく
唇を重ねる…


『離したくないよ…』
耳元で囁く…


花芯がジュンッと疼く


唇を何度も何度も重ねていた…

首筋から胸…

直樹唇に吸われ…
舌が這う…


直樹の頭が
段々下へと下りていく…




『恥ずかしがらないで…』



No.417 14/04/12 14:20
りんご ( ♀ UNyGh )



お臍の回りに舌を這わせ…

指で花芯をまさぐる…

プックリと膨らんだ花芯を優しく指先で揺らす…


蜜が溢れてくるのを感じいた…

直樹が蜜を確かめるように指先を忍ばす…


『倫子…すごいよ…
溢れてる…』



直樹の舌が花芯にまとわりついてきた…


『イヤッ…』


『恥ずかしがらなくていいよ…』


初めて…
花芯を直樹にさらしていた…


『可愛いよ…
キレイだよ…』


優しく吸われ…
舌で刺激され…


今まで感じたことのない感覚に包まれていた…




『直樹…』


『何⁉』


『ガマンできない…』


『ガマンしなくていいよ…』
『どうして欲しいの⁉』



『・・・・』
『直樹…入れて…』





No.418 14/04/12 14:40
りんご ( ♀ UNyGh )


直樹のソレが入口にあてがわれた…


“早く埋めて満たして欲しい…“


直樹は直樹のソレ自身で、蜜なめ回していた…

入口を確かめるようにゆっくりと力を込める


ガマン出来ずに、腰をあげ直樹をくわえ込もうとした…


『まだ、ダメだよ…』


『・・・・
ガマン出来ないよ…』


『しょうがないな~…』


ジラすようにゆっくりと侵入してきた…


思わず声が漏れる…

“うっ…んっ~…“


ゆっくりと直樹が腰を動かす…


密が溢れ…
したたってきた…


『こんなになったのは、初めてだね…』
直樹が囁く…


“恥ずかしい…“



『嬉しいよ…倫子…
すごいよ…締め付けるよ…』


直樹にみたされて絶頂を迎えていた…
直樹も一緒に…





『大丈夫⁉』


『う…ん…』


『嬉しいよ…倫子…』


『恥ずかしい…』


『恥ずかしがるなよ…』

直樹がティッシュでそっと拭ってくれた


『ありがとう…直樹…』



No.419 14/04/12 14:44
りんご ( ♀ UNyGh )



そのまま…
直樹の腕の中で
眠りについていた…


身も心も…
直樹に包まれて
安心しきって
心地よい…深い眠りに…






No.420 14/04/12 19:35
りんご ( ♀ UNyGh )



部屋に朝日が射し込んでいた


目覚めてしまった…


目覚めたくなかったのに…


ずっと…
ず~っと…
直樹の腕に包まれて心地いい夢にまどろんでいたかったのに…


直樹を起こさないように…ジ~ッと息を潜めて、直樹の顔を見つめていた…



直樹の腕に力が入り、
ギューッと抱きしめられた


『おはよう…』

直樹が目覚めた


直樹の胸に顔を埋める


そのままジッと
直樹は包み込んでくれていた…


今日、、
私は日本へ、帰らなくちゃならない…

また離れ離れになる…







No.421 14/04/12 22:23
りんご ( ♀ UNyGh )



『もうしばらく、ここに居たいな…』
呟いてみた…


直樹は黙っている


『居たいな…』


『居ちゃダメ⁉』
『迷惑⁉』



直樹は何も答えず
ギュッと抱きしめてくれた…




でも…
“ここに居ろよ“とは言っては言葉にはしてくれなかった…








No.422 14/04/13 02:06
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹がベッドから抜け出しシャワーを浴びにいった…

『倫子もシャワー浴びてきな…』


嫌々ベッドから抜け出しシャワーを浴びてきた



直樹がコーヒーを入れていた…


見慣れた風景だ…


コーヒーの香りが部屋に漂う


直樹はブラックコーヒー

いつも私には、ミルクをたっぷり入れたカフェオレにしてくれる


『私もブラックでいい…』
苦い…


でも…
今日は、直樹と同じブラックを飲んでいたかった…





No.423 14/04/13 02:14
りんご ( ♀ UNyGh )



苦いコーヒーは減らない…


『ミルク入れてあげようか⁉』


『いらない…ブラックがいい…』


クックックッ…
直樹が笑いを押し殺したように笑う…



『いつまでもコーヒーカップを握ってないで…
支度しなさい。』



黙ってコーヒーカップを握っている私…



嫌々、スーツケースに荷物を詰め込む…



『直樹…』



『ダメだよ。
空港まで送るから…』



“帰りたくない“
って言おうとした言葉を遮られた…




No.424 14/04/13 02:24
りんご ( ♀ UNyGh )



期待していたような展開もなく…



あっさりと空港まで送られて来ていた…



『倫子…ちゃんと家に帰るんだよ…』


黙ったまま下を向いている…



涙がボタボタと落ちてきた…


搭乗アナウンスが流れている…


『ほらっ…』
直樹に背中を押されていた…



そっとキスをして…


ゲートを潜った



曲がる角で振り向くと
直樹が手をふっていた…


ちょっと手をあげ…
角を曲がった…


もう…直樹は見えない…






No.425 14/04/13 02:31
りんご ( ♀ UNyGh )



一人乗り込み


離陸を待つ…


せっかく逢えたのに…


送り返される…
複雑な気持ちだった…



落ち込む…




ずっと、涙を堪えて
寝たふりをしていた…











No.426 14/04/13 11:22
りんご ( ♀ UNyGh )



『倫子~っ‼
起きなさ~い。
お母さん、仕事行くからね~っ。』


母の声で起こされた


ベッドの中にいた



母は、まだ仕事を辞めたことは知らない…


夕べ日本に帰り
そのまま自分の部屋に
引きこもったから
ろくに会話もしてなかった…



仕事から、帰ってきたら
色々聞かれるだろうな…

あ~ぁ…
めんどくさい…


荷物も片付けなきゃ
めんどくさいな…


何もやる気が
起きなかった…



昨日まで直樹と居たことが
夢じゃなかったのかとさえ思えた…





No.427 14/04/13 11:27
りんご ( ♀ UNyGh )



“送り帰された“


直樹には、
突然訪れた私が迷惑だったのかなとさえ感じていた…


寂しさゆえの
被害妄想…








No.428 14/04/13 11:32
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよう
ソーダ水ちょ‼』

香の店に顔を出していた



『お帰り~‼』


『ただいまぁ~…』


『逢えたんでしょ⁉』


『うん…
帰りなさいって…
返品された…』


『えっ…⁉』
香が驚いた顔をしていた









No.429 14/04/13 11:37
りんご ( ♀ UNyGh )



『そっか…』
『綾野さん、大人だね…』


『大人⁉』
『私は子供⁉』


『ちゃんと倫子のことを考えてるからなんじゃないの⁉』


『そ~かな…』


『そ~だよ‼』









No.430 14/04/13 11:40
りんご ( ♀ UNyGh )



一人電車に乗っていた



“お婆ちゃんちに行ってきます“


と、母宛にメモをテーブルに残して…



窓に頭をつけて
外を眺めていた
ガタン、ガタンと
電車の振動が伝わってくる…



家に居たくなかった…
母に色々聞かれるのが
めんどくさかったし…


お婆ちゃんに会いたかった…




No.431 14/04/13 12:01
りんご ( ♀ UNyGh )


ピンポ~ン🎵
呼鈴を押す


出てこない…


庭の方に回ってみる


『お婆ちゃん‼』
お婆ちゃんは、草むしりをしていた


『おやっ…倫子ちゃん
一人で来たの⁉』


『うん…』


『そっか…そっか…
お茶にするかね~。』


縁側に腰かけて
おばちゃんと二人でお茶を飲んでいた


ポカポカが陽射しが気持ちいい

時間がゆっくりと
流れる


『今日…
泊まっていい⁉』


『いいよ。
お母さんには言ってきたかい⁉』


『うん…』

No.432 14/04/13 12:21
りんご ( ♀ UNyGh )



『お婆ちゃん、身体の調子はどうなの⁉』


『ボチボチね
だましだまし、草むしりも出来るよ。(笑)』


『無理しないでね…』


『やっぱり、アタシャ
田舎が合ってるんだよ。』


『倫子ちゃん、
悪いけど、押入れから布団出して、干してくれんかな⁉』


『あっ…うん、やるよ。』



No.433 14/04/13 13:37
りんご ( ♀ UNyGh )



『お婆ちゃんのぬか漬け美味しいね』


『こんなもんしか出来ないからね。』


『こないだ一緒に来た友達の香が、毎日もらった糠みそかき混ぜているって…
美味しいって…』


『そ~かい、そ~かい…
それは良かった。』
『皆、元気かい⁉』


『うん…』



そのとき電話が鳴った

『はい、もしもし…』

『あぁ元気だよ。』

『あぁ…来ているよ…』

お婆ちゃんが私の方を見た
お母さんだ…

『あっ…今、お風呂に入っているよ。』

『はい、はい…じゃ…』


電話を切った


『お婆ちゃん、ありがと…』


『ケンカでもしたんかな⁉』


『そ~ゆ~訳じゃないけど…』


お婆ちゃんは、
それ以上何も言わなかった…



No.434 14/04/13 15:35
りんご ( ♀ UNyGh )



『お婆ちゃん…』


『何⁉』


『私、ここで暮らそうかな…』


『こんな田舎、、
若いもんにゃ、つまらんでしょ⁉』


『こっちのが、
のんびりしてて
私には合ってるみたい…』


『それは、かまわないが…
お母さんがなんて言うか…』


『お婆ちゃん、、
私が居たら迷惑⁉』


『ちっとも…
一人で暮らすにゃ
部屋は空いてるからね。(笑)』








No.435 14/04/13 15:50
りんご ( ♀ UNyGh )


一週間後…

母がやってきた


顔を見ただけで
怒っている様子がわかった


『まったく…
帰って来たと思ったら…
仕事はどうしたの⁉』


『・・・・』


『そう、まくし立てたら
倫子ちゃんだって
なんも喋られないでしょ…』
お婆ちゃんが母に言った


『あんたって子は
いったい何を考えてるの⁉』


『・・・・』


『そう…
怒りなさんなって…』
お婆ちゃんが言った


『お婆ちゃんは、黙っててっ‼』
母が言った


『どうするの⁉』




『ここに居る…』

そう言うのが
精一杯だった…


正直、何も考えてなかったし…

今は、家に居るより
ここのが居心地がよかったから…


『アタシはいいんだよ。
いつまでも居たって…』
お婆ちゃんが助けてくれた


“ありがと…お婆ちゃん“


No.436 14/04/13 15:59
りんご ( ♀ UNyGh )



母は帰って行った


『お婆ちゃん…
ゴメンね…』


『なんも倫子ちゃんが、謝ることないよ。』


『だって…お婆ちゃんまで、お母さんに怒られちゃって…』


『なんも…なんも…
気にすることないよ。』


『ありがと…お婆ちゃん』

それから、半月、、、
私はお婆ちゃんちで
暮らしていた


な~んにも考えずに…
お婆ちゃんと一緒に
草むしりしたり
土いじりしたり…
買物にも行ったり…

のんびりと過ごしていた


たまに母から電話が入っていたが…

適当にかわしていた…




No.437 14/04/13 16:05
りんご ( ♀ UNyGh )



そういつまでも
仕事もせずに
やっかいになっている訳にもいかないな…
そう思い始めていた



どうしようか⁉



また、家に戻るしかないのかな⁉



仕事も探さなきゃ…




直樹…
どうしてるかな…

でも、前ほど辛くなったり寂しくは感じていなかった…
何故だろう⁉
わからないが…
直樹は、直樹の道を突き進んでいるのがわかったからなのか…


のんびりしたここの自然が、気持ちを癒してくれていたのかもしれない…



No.438 14/04/13 16:16
りんご ( ♀ UNyGh )



『お婆ちゃん…
話があるんだけど…』


『なんだい⁉』


『私…ここで暮らしてもいい⁉
ちゃんと仕事も探すから…』


『アタシはかまわないけど…お母さんにちゃんと話してからね。』


『うん…』





No.439 14/04/13 20:47
りんご ( ♀ UNyGh )



家に帰って来ていた


帰って来たと言うより…


着替えを取りに


『私、お婆ちゃんと暮らす…仕事も向こうで探すから…』


お母さんは、何かブツブツ言っていたが…


お父さんは
『お婆ちゃんに、迷惑かけないように…』
とだけ言っていた


次の日
母が仕事に出掛けたのを確認してから、家を出た…



香の店に寄って
香にだけは、
『お婆ちゃんちで暮らすから』
と告げていた


『そっか…
頑張るんだよ‼
たまには行くからさ…』


『ありがと…
お婆ちゃんも泊まりにおいでって言っていたから、遠慮しないでいつでも来てよ…』






No.440 14/04/13 20:59
りんご ( ♀ UNyGh )



一人電車に乗り込み


お婆ちゃんちに向かう


気持ちはスッキリしていた


まずは仕事を探さなくちゃな…






直樹のこと…
別れた訳じゃない…

でも…
もう、こないだみたいに
寂しさに押し潰されそうになることもなかった…

いつ帰ってくるかもわからない…

でも、ただ待っているだけでもない…


よくわからないけど…




ちょっと強くなったのかも…



No.441 14/04/13 21:07
りんご ( ♀ UNyGh )



仕事は、割合いすんなりと見つかった


夫婦で営む
小さい美容室


新しい毎日が始まっていた


従業員がいっぱいいるような最新の繁盛店ではなかったが…

それでも、小さい町の美容室は地元の常連客で、毎日忙しくしていた



毎朝、早起きして
自分でお弁当も作っていた
半分は、お婆ちゃんが前日の夕飯に作ってくれた煮物を詰めていたけど(笑)


親元を離れて
自立はしてないけれど
ちょっぴり親離れは出来たような気がしていた





No.442 14/04/14 09:08
りんご ( ♀ UNyGh )



そんな生活が
1ヶ月を過ぎようとしていた

職場にも慣れ
毎日の生活も落ち着いていた休日

朝からの雨で、
布団も干せないし
お婆ちゃんとの庭いじりも出来ない

お婆ちゃんと、居間でテレビを見ながら、お茶を飲んでいた

そんなまったりとした時間が好きになっていた




ピンポ~ン🎵

玄関の呼鈴が鳴った


“は~い“
玄関まで走る


『はいっ…』


『あれ~っ‼
どうした⁉』


健ちゃんだった…







No.443 14/04/14 09:18
りんご ( ♀ UNyGh )



『雨で仕事が休みになったから…』
健ちゃんが言った



『倫子ちゃん、誰だい⁉』
奥から、お婆ちゃんが出てきた

『あれまっ…
さぁさぁ、お上がりなさいな‼』


『あっ…はいっ…
お邪魔します…』
健ちゃんが言った


お茶を入れて
一緒にお茶を飲んでいた


『遠いところ
大変だったね~。』

お婆ちゃんが健ちゃんに言った


『いや…暇だったんでドライブがてら通りかかったんで…』

『おやまぁ…
わざわざ寄ってくれるなんて、嬉しいよ。』


健ちゃん、ドライブがてらなんて(笑)
ウソが下手くそだな(笑)
でも、ちょっぴり嬉しかった…
健ちゃんとは3ヶ月ぶりくらいになるだろうか⁉



No.444 14/04/14 09:24
りんご ( ♀ UNyGh )



それから健ちゃんは
月に1、2度
長い道のりをわざわざやってきた


雨で仕事が休みになったからとか…

ちょっとした日曜大工みたいな修繕をしに…




『じゃぁ…
また来るわ…✋』


『気をつけてね。』


『あぁ…』




その日も、健ちゃんは帰って行った



No.445 14/04/14 09:55
りんご ( ♀ UNyGh )



私もたまに実家に
帰っていた

季節毎に衣類を取りに行ったり

少しづつ実家の部屋から
お婆ちゃんちへ荷物が移動していた


たまに帰れば、
香の店には必ず顔を出していた


『自転車とタンスを持って行きたいんだけど…
引越し屋さんに頼むしかないかな⁉
それとも、新しいのを買っちゃおうかな⁉』
そんな話を香としていた


『ホントに向こうに住みついちゃうの⁉』


『うん…たぶん…
わからないけど…
今は、仕事も慣れて
毎日がすごく充実しているんだ…』


『そうか~…
今度さ、徹と遊びに行くから、その時にでも運んであげるよ。』


『助かる。ありがと。』






No.446 14/04/14 11:25
りんご ( ♀ UNyGh )



しばらく過ぎた
休みの火曜日


健ちゃんが自転車とタンスを車に積んでやってきた



『えっ⁉えっ⁉😲』


『香ちゃんから聞いたんだ…
余計なお世話だった⁉』


『ううん…ありがと…
でも…仕事は⁉』


『今日は、休み…』

『タンスおろすゾッ‼』


『あっ…うん…』
安物のタンスだったから、そう重たくはなかった。


『健ちゃん、ありがと…』


お婆ちゃんが、お茶を入れてくれた


『倫子ちゃん、自転車が来て良かったね~。』


『うん…』



No.447 14/04/14 11:32
りんご ( ♀ UNyGh )



『ちょっと、いいか⁉』


『何⁉』


『ちょっと…
ドライブ行こうや…』


『あっ…うん…』
『お婆ちゃ~ん、ちょっと出掛けてくる~。』


『あぁ、気をつけてね。』


久しぶりに健ちゃんの車に乗り込む


しかも今日は、お天気だ⤴
気持ちいぃ



No.448 14/04/14 13:19
りんご ( ♀ UNyGh )


1時間も走ったろうか…


のどかな田園風景の広がる道路の路肩に停車した


『俺の田舎に
なんとなく似ていて
ホッとするんだ…』


『そうなんだ…』





『俺さ…

お前のことが好きなんだ…』



『・・・・・』




『お前には、好きなヤツがいるんだろ⁉
俺…一番じゃなくていいから…』



健ちゃんの思いは、
私も薄々は感じていた…



なんと答えればいいんだろう………




No.449 14/04/14 13:29
りんご ( ♀ UNyGh )



『今日は、俺の気持ちを
お前に伝えようと決めてきた…』


『・・・・・』


『たまに、こうして来ちゃダメか⁉』


『そんなことないよ…
嬉しいよ…』


『そっか…
それだけ聞ければいいや…(笑)』



健ちゃんは、また車を走り出していた
ちょっと、ご機嫌で鼻歌を歌いながら…



月に1、2度やって来ては、なんやかんやと修繕したり、植木を切ったりして帰っていった



No.450 14/04/14 13:45
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんは、あれ以来
“好き“とか口にしなかった…


それでも毎月、1、2度は来ていた


いつしか、
“今日は来るかな⁉“
なんて、ちょっと期待したりする気持ちも芽生えていた


そう、美容室は夫婦で営んでいるし…
地元じゃないから友達もいない…

健ちゃんは電話する訳でもなく、いつも突然やってくる

私が留守してても、
お婆ちゃんと庭いじりをしたりして時間を過ごしていた




No.451 14/04/14 13:52
りんご ( ♀ UNyGh )



半年も過ぎた頃

小さなお祭りがあった

ちょうど健ちゃんも来ていた。

お祭りという事で
ちょっとしたお料理とお酒を用意していた

健ちゃんも、お酒は嫌いじゃないから(笑)
車で来たのに飲んでいた


お婆ちゃんが
『今日は、お酒も入っているんだから、泊まって行きなさい。』
と泊まるように促していた


結局、健ちゃんは一晩泊まっていた



No.452 14/04/14 14:01
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日の朝

『旨いな~味噌汁
朝の味噌汁なんて久しぶりだよ~‼
ぬか漬けも旨いし…
最高だ‼』
健ちゃんは朝からテンションマックスだった

美味しい、美味しいって、2杯もご飯をおかわりしていた


『朝から気持ちいい、食べっぷりだね(笑)』
お婆ちゃんが言った



『健ちゃん、仕事、大丈夫なの⁉』


『あぁ…今日は大丈夫‼』



『若い人が居るだけで、元気になるよ。』
お婆ちゃんは始終ニコニコしていた。




No.453 14/04/14 14:34
りんご ( ♀ UNyGh )



『さてと…今日は、雨どいの枯葉取るかな⁉』


『悪いね~』
お婆ちゃんが言った


雨どいが長年詰まった枯葉やらで壊れそうになっていた


『今日は、それ片付けたら俺、帰りますから…』


『あっ…私も向こう行くから、一緒に乗せてって‼』


『あぁ…OK』


昼前には、雨どいの片付けも済んで帰ることになった


『お婆ちゃん、今日は向こうに泊まるから、明日帰ってくる。』


『そうかい、健ちゃんよろしくね。』


『あっ…はいっ。』




No.454 14/04/19 22:00
りんご ( ♀ UNyGh )


健ちゃんの車に乗り込み
お婆ちゃんちを出発した


いつもとかわりない
何気ない会話


『健ちゃん、遠いのに悪いね…』


『いや、いいんだよ。
気にするなよ。
俺が勝手に来てるだけだから…』


『高速代もガソリン代もかかるしさ…』


『別に…
いいんだって…』




『休憩すっか⁉』

途中のサービスエリアに寄っていた

『ハイッ‼』

健ちゃんが、ソフトクリームを買ってくれた

『ここのソフトクリームさっ、旨いんだ。』


『うんっ、ミルク~って感じが濃厚だよね。(笑)』


『いつも帰りに一人で食べてるとさ、お前に食べさせたいなって思ってたんだ(笑)』


『エヘヘヘ…ありがと。』


『旨いだろ⁉』


『うん…美味しい。』




No.455 14/04/19 23:35
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんは…
いつもあたたかい…

優しいまなざしだ
でも、真っ直ぐには見ない
ちょっと照れてるのか
何気なくボソッと呟く


『ついでだから…』とか
『暇だったから…』とか
『近くに来たから…』とか、、、
遠慮がちだ…
ついでなんかなかった…
そんなのわかってる

でも、すごくあたたかい…


甘えちゃうよ…ゴメン




No.456 14/04/19 23:52
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃんありがと‼』
『コーヒー奢るよ。』


『ごち‼』


香の店に入っていった


『久しぶり~‼』


『おやおや~、お揃いで…』
香が言った

『エヘヘヘ…まぁね…』


『向こうは、どうなん⁉』


『どうって…のどかだよ(笑)久しぶりにこっち来ると、ニギニギしくて疲れる(笑)』


『アハハハハ…』
『近いうちに徹と遊びに行くよ。』


『うん、泊まりでおいで‼お婆ちゃんもさ、人が来ると、料理作ったり、張り合いがあるって喜ぶんだ。』


『ごち、俺帰るわ。』


『うん、健ちゃん、
ありがと‼』


『またな~✋』


No.457 14/04/20 00:04
りんご ( ♀ UNyGh )



『なに~どうなってん⁉』
香が言った


『どうって⁉』


『健ちゃんとさ…』


『どうもなってないよ。』


『そうなん⁉
倫子だって気づいてるでしょ⁉』


『うん……』


『綾野さんは⁉』


『音信不通…
つか…帰って来てから一度も連絡もしてないし…
お婆ちゃんちに行ってることも知らないから…』


『そっかぁ~…
微妙なんだ…』


『自分でも…
よくわかんない…』



『私が好きになるとさ、
ミツルも直樹も…
遠くに行っちゃったから…離れ離れになっていくような運命なのかなって…
思っちゃうよ…』


『そんな事ないっしょ⁉』


『そ~かな……』





No.458 14/04/20 00:09
りんご ( ♀ UNyGh )



『いつ帰るの⁉』


『明日帰る。』


『じゃ~、夜、どっかでご飯食べようか⁉』


『徹ちゃんは⁉』


『い~よ、こっちに寄るから、食べさせちゃうから(笑)』


『じゃ、店が、終わる頃、来るよ。✋』



No.459 14/04/20 00:15
りんご ( ♀ UNyGh )



家に帰っていた
自分の部屋から季節の服を運ぶ為に


スーツケースを出す

シンガポールから帰って来てそのままお婆ちゃんちに行っちゃったようなものだったから…
スーツケースもそのままだった…


なんか切ないな…


中身を出していたら…
1通の封筒が出てきた


なに⁉⁉⁉⁉⁉


直樹⁉
いつの間に⁉⁉⁉⁉






No.460 14/04/20 02:25
りんご ( ♀ UNyGh )



最愛なる倫子へ


来てくれて
ありがとう。
嬉しかった。

帰したくなかった…
無理矢理にでも、連れて行きたかった…

でも…
今、無理矢理に連れて行ってしまえば、
おそらく倫子は自分自身を無くしてしまうだろう


倫子、、もっと自分に自信を持ちなさい



いつ日本に戻るかは、わからない。






ズルいよ…直樹…

いつ帰るかわからないって…
待っててくれとも…
別れるとも…
直樹の気持ちは書いてない…



No.461 14/04/20 13:59
りんご ( ♀ UNyGh )



ボォ~ッとしていた


何も考えられない…


ただ…ボォ~ッと…




お母さんが階段を上がってくる足音がした


パチッと部屋の電気をつけた

『真っ暗じゃない。
何やってんの⁉』


『アッ…ウトウトしちゃってた…』
咄嗟にウソをついていた


『夕飯はどうするの⁉』


『香と約束してる。』


『あらっ、そうなの。
お婆ちゃんに迷惑かけてない⁉』


『迷惑なんてかけてないよ。』





No.462 14/04/20 14:08
りんご ( ♀ UNyGh )



香の店に向かっていた



途中…
直樹のマンションに寄っていた…


合鍵でセキュリティを抜け
ドアの前に立つ…


ドアのポストの小さい窓から、、、
合鍵を中に落としていた…
“カチャンッ“

と、中に落ちた音を聞いて、もう勝手に中に入ることは出来なくなった…



足早に立ち去っていた…



振り返ることもなく…








No.463 14/04/20 14:16
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹は…


夢みたいな体験をいっぱいさせてくれた…


高級そうなホテル…
クルーズ…


そして、自分の道を自分で決めること…


自分の夢は自分で掴みとる努力を教えてくれた…







『夢』のような時間だった……




『夢』を見てたのかもしれない…

そんな感じさえしていた…





No.464 14/04/20 14:48
りんご ( ♀ UNyGh )



それから…
半年の月日が過ぎていた…

健ちゃんは、相変わらず月に1、2度やってきていた…


『じゃ…また来るわ✋』


『アッ…私も向こう行くから、乗せてって‼』


『あぁ…』



二人で健ちゃんの車に乗り込む

大雨注意報が出ていて、高速道路は規制されていた


結局、、、途中のドライブインで休み休みいつもの倍近い時間がかかっていた


『こんな時間になっちゃったね…ゴメンね…』


『ど~せ、この雨で明日も休みになっちゃうから、俺はかまわないよ。』


『ありがと…
健ちゃんて、ホントに優しいね…』


『そんな事ないよ(笑)』



『健ちゃん…』


『何⁉』


No.465 14/04/20 14:53
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんの方へ向きをかえ…

目を瞑った…


沈黙の時間が流れる




『いいの⁉』


コクンと頷いた



健ちゃんの唇が
優しく、そっと触れてきた…




“健ちゃん…あたたかい“


No.466 14/04/20 15:06
りんご ( ♀ UNyGh )


『健ちゃん…いいよ…』


『えっ…』


高速インターを降りて
ラブホ街が見えていた…


健ちゃんは、ちょっと躊躇しながら、ラブホに車を滑り込ませていた


『ホントにいいのか⁉』


コクンと頷く


健ちゃんは、なかなか車から降りようとはせず…
迷っているようだった…


『健ちゃんが、一番好き…』


健ちゃんが車のドアを開けて降りた


私も、降りて健ちゃんの手を握った
あたたかい…
健ちゃんがギュッと私の手を握り返した

無言で空いてる部屋の鍵を受け取り、部屋に入っていた



No.467 14/04/20 18:35
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんは、
何も喋らず…


座っていた…



『先にシャワー浴びていい⁉』


『あっ…あぁ…』



バスタオルを巻いて
出てきた…


健ちゃんが目線をそらす…


『健ちゃんもシャワー浴びてきなよ…』


『あっ…あぁ…』



さっきから、健ちゃんは
“あぁ“しか言わない…









No.468 14/04/20 18:52
りんご ( ♀ UNyGh )

健ちゃんがバスルームからバスタオルを腰に巻き付けて出てきた…


『ホントに…いいのか⁉』


コクンと頷いた


健ちゃんが、
お姫様抱っこする


健ちゃんの首に腕を回し
たくましい大きな胸に
身体を委ねた…


ベッドに運ばれていた…



『俺、遊びじゃ抱けないから…』


『健ちゃんが、一番好き…』


『そっか…』

唇を重ねてきた


健ちゃんの、厚い胸板に男らしさを感じていた


安心して、すべてを
健ちゃんに委ねた…



No.469 14/04/20 19:20
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんと
ひとつになった



健ちゃん、あたたかい…


健ちゃんの腕に包まれていた…


『俺と、結婚してくれるか⁉』


突然の言葉に
ちょっと驚いたが…


『うん…』
て、頷いていた




No.470 14/04/20 19:35
りんご ( ♀ UNyGh )



次の日は、やっぱり雨だった…

健ちゃんの仕事も、休みだった


『ちょっと買物付き合えよ。』


『うん。』


『ここ…』


『えっ⁉』


『い~から…』


『いいよ、いいよ…』


『ダメッ‼』


健ちゃんと一緒にお店に入った…

お店の人が出てきて…
アレコレと話をしながら…


『じゃ…コレでいい⁉』
健ちゃんが言った…


『えっ⁉高いよ…ダメだよ…』


『ダメじゃないから…』



『結婚するって言ったろ、婚約指輪だ…』







No.471 14/04/20 19:51
りんご ( ♀ UNyGh )



ダイヤの指輪を買ってもらった…


『健ちゃん、ありがと…』


『俺の精一杯の気持ちだから…これから、お前ちに行っていいか⁉』


『いいよ。』





『こんばんは~。』


『あらっ健ちゃん。
いつも倫子とお婆ちゃんがお世話になっちゃってるみたいで…どうぞ…』


『お邪魔します。』


『おじさん、いますか⁉』


『居間でテレビ見てるわよ。』


『こんばんは。』


母がお茶を入れて運んできた


『今日は、、突然ですが、倫子ちゃんとの結婚を許していただきたいと思って来ました。』


“えっ…えっ…“
“健ちゃん、何を…突然、言い出す“😲😲😲


父は暫く黙っていたが…


『二人が決めたことなら…よろしく頼む』
とだけ言った


No.472 14/04/20 19:57
りんご ( ♀ UNyGh )



母も少し驚いていたが…


『健ちゃんなら…』と反対はしなかった


一番喜んでくれたのは、
お婆ちゃんだった

『良かった、良かった、アタシは最初からわかってたよ。
健ちゃんが倫子ちゃんの旦那さんになる人だなって、ずっと思ってたよ。(笑)』


トントン拍子に話が決まり

半年後…
皆に祝福されて
健ちゃんと結婚した






No.473 14/04/20 20:28
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんは、結婚を機に独立した。


色々考えたが…
お婆ちゃんの申し出もあり、お婆ちゃんちで同居することになった。


一番同居を望んだのは、お婆ちゃんだった。

一人娘の母を嫁に出し、、お爺ちゃんを看取り…
一人余生を送るはずだったが、こんな嬉しいことはないって大喜びで、私と健ちゃんと同居することを願っていた…


独立を機に何もツテのない地に拠点を移す不安はあったが…

健ちゃんの人柄か…
徐々に仕事も増え
軌道に乗り、今では、5人の若い衆を使っている。


新婚時代くらい二人で住みたいなって、ちょっとは思ったけれど…
お婆ちゃんをまた一人にしちゃうのも可哀想だったし、お婆ちゃんが一緒に住みたいって何度も言ってくれたから…
健ちゃんも納得してくれて、3人での同居が始まった。


案外、嫁・姑より、お婆ちゃんと孫は上手くいくようで、、、
仲良く暮らしている。


No.474 14/04/20 20:40
匿名474 

楽しく読ませてもらいました。
もしかしてこれで終了ですか?
なんか
さみしいです

  • << 477 ※主です。 読んでいただいて ありがとうございました。 ホントに、健ちゃんとの結婚は、あっけなく(笑)反対されることもなく決まりました。 今まで、自分が何を怖がっていたのか⁉わからないほど、すんなりと結婚してしまいました… 直樹は、いまだに独身でいます。 人生ってわからないものですよね…

No.475 14/04/20 20:44
りんご ( ♀ UNyGh )



それから、5年後…

業界紙で
直樹を目にしていた


“直樹、日本に帰ってきてたんだ…“


自分の店をオープンさせたようだった

業界紙でも取り上げられるような…注目を浴びるような店だった


直樹、ちょっと老けたかな(笑)…


凄いよ、直樹…
ホントに注目されるような店をオープンさせたんだ…





No.476 14/04/20 20:48
りんご ( ♀ UNyGh )




END


お付き合いいただき
ありがとうございました。




No.477 14/04/20 22:57
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 474 楽しく読ませてもらいました。 もしかしてこれで終了ですか? なんか さみしいです
※主です。

読んでいただいて
ありがとうございました。

ホントに、健ちゃんとの結婚は、あっけなく(笑)反対されることもなく決まりました。


今まで、自分が何を怖がっていたのか⁉わからないほど、すんなりと結婚してしまいました…




直樹は、いまだに独身でいます。


人生ってわからないものですよね…



No.478 14/04/21 00:13
自由人478 ( ♀ )

素敵な小説をありがとうございました。
あの時違う道を は
直樹を待っていたら?
ミツルを追いかけていたら?

不思議ですよね⁉︎
今が一番良いんですよ・・この人生が

良く男は思われて結婚が 幸せだ
と、言われます。

でも、女性だって思われて結婚するのが幸せだと思います。

幸せだから 思いを綴ってみようとされたのと思います。

お幸せに‼︎
私的には 直樹にも幸せになってほしいなぁ

No.479 14/04/21 04:54
自由人478 ( ♀ )

>> 478 ごめんなさい!
小説ではなかったですね。
半生記?ドキュメント?
ノンフィクション?みたいな・・・


また いつか

この道を選んで良かった

みたいなことを 書けたらいいですね‼︎
お疲れ様でした。


ここ2日間 すごいピッチで、進めて来られましたけど
けんちゃん 出張だったのかな?
なんて思いながら最後読んでました。

ぐだぐだと失礼しました。

No.480 14/04/21 09:05
携帯小説ファン480 ( 40代 ♀ )

主さんお疲れ様でしたm(_ _)m

感想どちらのスレにしようか迷いましたがこちらにしました…

いつも楽しみに読ませて貰ってました。
最後は健ちゃんと結婚したんですね💐

なおきさんの事もミツルさんの事も今となってはいい思い出ですね😃

楽しみにしていた小説が減ってしまい寂しいです😔

主さんいつまでも健ちゃんとお幸せに💐

又何か小説書き込みする事があれば読ませてもらいます。

長い間本当にお疲れ様でした。

  • << 482 ※主です 読んでいただいて ありがとうございました。 つたない文章で 健ちゃんと、結婚に至るモタモタと綴ってまいりました… あれから、何十年の月日を経過して、、、 何十年のうちには、色々ありましたが…(笑) 綴ることで改めて、健ちゃんで良かったんだなと感じております。

No.481 14/04/21 10:02
たまるん ( 30代 ♂ YpvSnb )

楽しく読ませてもらいました。

個人的には直樹さんより健ちゃんとくっついてくれてありがとうなかんじです


ところで主さんの仕事の夢(目標)は達成できたのかな?

その辺が書かれてなかったので気になってしまいました

  • << 483 ※主です。 読んでいただいて ありがとうございました。 あれから、同居して 共働きという形で、お婆ちゃんに支えられ(笑)、 健ちゃんは独立して 私は、自分のお店までは、持ってはいませんが、一人前になっています。

No.482 14/04/21 19:06
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 480 主さんお疲れ様でしたm(_ _)m 感想どちらのスレにしようか迷いましたがこちらにしました… いつも楽しみに読ませて貰ってました。 最後…
※主です

読んでいただいて
ありがとうございました。

つたない文章で
健ちゃんと、結婚に至るモタモタと綴ってまいりました…


あれから、何十年の月日を経過して、、、
何十年のうちには、色々ありましたが…(笑)


綴ることで改めて、健ちゃんで良かったんだなと感じております。



No.483 14/04/21 19:12
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 481 楽しく読ませてもらいました。 個人的には直樹さんより健ちゃんとくっついてくれてありがとうなかんじです ところで主さんの仕事の…
※主です。

読んでいただいて
ありがとうございました。

あれから、同居して
共働きという形で、お婆ちゃんに支えられ(笑)、
健ちゃんは独立して
私は、自分のお店までは、持ってはいませんが、一人前になっています。



No.484 14/04/24 23:52
チョコランチ ( ♀ 13vRh )

二作品共読ませて頂きました。お疲れ様でした(*^^*)ミツルや直樹や健ちゃん様々に良い出会いがあり、読み続けているうちに最後は誰と結ばれるんだろう...なんて色々想像しながら楽しませて頂きました。これからも主様、健ちゃん、お婆さまが健康で楽しく過ごせますように(^ー^*)

No.485 14/04/25 07:39
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 484
※主です

ありがとうございます。

あれから何十年と経過してます(笑)

私自身が、綴りながら、
若かりし頃を思い出しながら、ドキドキしたりしてました(笑)

違う道を選んでいたら…
なんて妄想したり…



読んでいただいた方のコメントいただけると、大変嬉しいです‼

ありがとうございます

No.486 14/04/26 23:21
チョコランチ ( ♀ 13vRh )

私自身も色々あったので....文章力あったしドキドキ感あったので楽しかったですよ(*^^*)私も何かやってみようかな( ̄。 ̄;)って思いました(o´∀`)b

No.487 14/04/27 00:09
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 486 ※主です


ありがとうございます。

文章力なんて…
お恥ずかしい💦💦💦

ダラダラとメリハリなく
綴ってしまったなと…💧

人生に出会いも、別れも、いっぱいありますよね

一つ一つに、
いいことも、そうじゃないこともあります。

月日が過ぎれば
全て思い出に…


チョコランチさま、是非読ませて頂きます。
その時は、ご報告くださいね‼


No.488 14/04/27 08:56
携帯小説ファン488 ( 40代 ♀ )

主さん、お疲れさまでしたm(_ _)m

スゴく楽しみに読んでました!
またペースが速く、早く読みたい私にありがたかったです。

私は健ちゃんが登場した瞬間、この人と一緒になる!と確信した結果、やっぱりでした。(≧▽≦)やっぱり健ちゃんスゴくいい人だもん!

直樹さんはなぜか綾野剛だと思って読んでました。綾野=みたいな。(≧▽≦)彼は結婚に不向きな感じ、遊ぶには面白い人なのかも。でも愛情表現が下手なのかな?って思いました。

ミツルさんとは結局お会いしたのでしょうか?

ワクワクドキドキ感を味合わせてくれてありがとうございました☆

No.489 14/04/27 13:05
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 488 ※主です

ありがとうございます。

ミツルとは会ってません。唯から、“会いたがっていた“とは聞きましたが…
今更ですし…


直樹とは…
定期的に(笑)カットなどしてもらってます。
健ちゃんも、それは知ってます。

何十年の間に、サイドストリー的なものがありますが…
直樹は、大人だなって感じてます。(大人→おじさん(笑))
一線を越えるアクションは一切ありません。
そんな所が直樹の弱さなんだと思います。
仕事には、強気なのに…







No.490 14/04/27 15:55
匿名490 


ずっと 読ませてもらってました。



なおきさんの 弱さじゃなく
今もなお 大切にしたい 強さじゃないかと。

No.491 14/04/28 08:02
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 490 ※主です

“弱さ“じゃなく…
“強さ“ですか…
目からウロコです

そんな風に考えたことなかったです…

そう言えば
思い当たる節が…



ありがとうございます。


No.492 14/06/10 23:55
名無し492 

>> 491 たまたま読ませて戴きました。
ついつい引き込まれて。
読んでるうちに、自分と重なる部分がありました。
彼を追いかけて、勢いで行ったシンガポール一人旅、空港での別れ際の辛さはまさにそのまま!
涙しました♪ほんとあの時のことが鮮明に思い出されました。
終わってしまって、さみしい~
続きはないのかな?

No.493 14/06/12 19:10
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 492
読んでいただき
ありがとうございます。

今のところ続きの予定はありません…
m(__)m

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