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【続】あの時違う道を選んでいたら…

レス493 HIT数 125188 あ+ あ-

りんご( ♀ UNyGh )
14/06/12 19:10(更新日時)



あの時違う道を選んでいたら…


の続きになります。



ミツルと別れてからの
道のりを綴っていきたいと思います。




14/03/03 16:15 追記
性的描写を一部含みます
苦手な方は、閲覧注意して下さいね。



No.2053560 14/01/24 14:07(スレ作成日時)

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.351 14/03/09 21:21
りんご ( ♀ UNyGh )



忙しい
12月になっていた


クリスマスにお正月を控えて、お店は一段と忙しくなっていた


きちんとお昼の休憩を取れないのは当たり前のことで
タイミングを逃すと
トイレにも行けず
尿意をガマンしちゃう事もあった


職業病とでも言えるかもしれない腰痛にもなっていた


直樹のこともあって…
知らず知らずに
ストレスも溜まっていたんだと思う…

私の身体は、
少しづつ悲鳴をあげていた


No.352 14/03/09 21:30
りんご ( ♀ UNyGh )



香の店に来ていた


『クリスマス会
参加するでしょ⁉』
香が聞いてきた


『あ~、うん
予定ないし、今年も遅れるけどいいかな⁉』


『了解👌』


『なんか、顔色悪いけど
大丈夫⁉』


『うん、忙しくてさ…
膀胱炎みたい…』


『無理しないようにしなよ~。』


『ありがと。』




No.353 14/03/09 21:47
りんご ( ♀ UNyGh )



クリスマス会の日

お店が終わり
急いで香の店に行った


毎年の事ながら
遅刻だ…

『遅くなりましたぁ~‼』


『待ってたよ~‼』
と、いつもの常連客の顔に温かく迎えられていた



『乾杯~‼』


『あ~美味しい』
シャンパンを飲み干す




良かった…
クリスマスイブに
一人じゃなくて…

一人で居たら
寂しさに押しつぶされちゃいそうだもん…


良かった…
仲間に恵まれていて…



No.354 14/03/09 22:08
りんご ( ♀ UNyGh )


12時を回って
お開きになった


なんか身体がだるい…

『元気ないじゃん⁉』


『えっ…』
振り返ると健ちゃんだった

『送って行くよ。』


『大丈夫だよ。
健ちゃんこそ、ちゃんと帰れるの⁉(笑)』


『俺は、大丈夫だよ。
女の子が一人歩きする時間じゃないべ…』


『ありがと…』



いつもなら、
“大丈夫“ って一人で帰るのに…
健ちゃんが、
“送るから…“
ってついてきた


『寒いっ…』


何気なく
健ちゃんが腕をからめてきた


『あれっ⁉
お前、熱あるんじゃね⁉』

『お酒飲んだからだよ。』
そうは言っても
寒気と身体がダルかった
“風邪ひいたかな…“
と思っていた


『ありがと健ちゃん
ちゃんとアパートまで帰りなよ。』


『大丈夫、大丈夫。』

健ちゃんの後ろ姿を
見送った



No.355 14/03/09 22:25
りんご ( ♀ UNyGh )



次の朝

寒気がして熱を計ったら
39度近くあった


“風邪ひいた~“

忙しいのに申し訳なかったが…
とても仕事に行ける状態ではなかった
お店に電話を入れて
休ませてもらった


『病院行く⁉』
母に聞かれた


『一日寝てれば大丈夫…』正直、病院へ行くのもツラかった


『じゃ、ちゃんと薬飲んで寝てなさいよ。
早めに帰ってくるから…
なんかあったら、職場に電話いれなさいね。』
そう言って、母は仕事に出ていった


“寒気がする“
腰が痛い…
インフルエンザかな~…



母が仕事から帰ってきた


『どう⁉』


『・・・・』


『お医者さん行った方がいいわよ。
支度しなさいよ。』


『無理、動けない…』


『しょうがないわね~…
困ったわね…』
母が下へおりて行った



No.356 14/03/09 22:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『今、健ちゃんが来てくれるって
病院連れてってくれるって言うから…』


『えっ⁉
なんで健ちゃんになんか連絡したのよ⁉
断ってよ‼💢』


『だって…
そんなじゃ、しょうがないじゃない…
私は運転出来ないし…』


『それでも嫌なのっ‼
わかんないの⁉
こんな所、見られたくない…
断ってよっ…』


頭にきていた
具合悪い姿なんて
見られたくない
髪の毛ボサボサで
スッピンだし…



ピンポ~ン🎵
呼鈴が鳴った



『は~い…
ごめんなさいね~…
病院行かないって言ってるから…』
母の声が聞こえていた


階段を上がってくる足音がした


『ほらっ…
病院行くぞっ。
なんか羽織れよ。』


『いい…
行かない…
大丈夫だから…
帰って…』
布団に潜った


『大丈夫じゃないだろ⁉
子供じゃないんだからよっ…』


『・・・・
動けない…』


母が上着を出した
無理矢理、身体を起こそうとしたが…
動けなかった…


No.357 14/03/09 23:19
りんご ( ♀ UNyGh )



『しょうがね~なぁ~…』
健ちゃんが、
上着を羽織らせ
ヒョイッと抱き抱えた


『・・・・⤵⤵』


健ちゃんは私を抱き抱え
階段を下りていった


母が慌てて玄関を開け
車のドアを開けていた…

後ろの席がフラットに
倒されていた
そこに横にされた


母を乗せて
車は病院へ走りだした


『ごめんなさいね…』
母が健ちゃんに言っていた


『いいですよ…
何かあったら、
遠慮しないでいいっスから…』





急性腎盂腎炎だった
入院する事になった



No.358 14/03/09 23:28
りんご ( ♀ UNyGh )



健ちゃんは
仕事が終わると
病院に寄ってくれた

『健ちゃん、ありがと
毎日来なくていいよ…』


『い~んだよ、
暇だから…』




“スッピン見られたくない女心もわかってよ…“
なんて、思っていたのもある


それでも、一週間
健ちゃんは毎日やってきていた


『明日、退院出来ることになった…
お世話になりました…』


『そっか…
良かったな。
お迎え来てやるよ。』


『いいよ、いいよ…
大丈夫だから…
お母さんが来てくれるし…健ちゃん、仕事あるでしょ。』




No.359 14/03/09 23:39
りんご ( ♀ UNyGh )



退院の日


結局、年末年始の休みに入っていた健ちゃんが
母を乗せて迎えに来てくれた


『いいって言ったのに~…』


『暇だからよ…』


『そんな言い方ないでしょっ⁉』
母が言った


『年末の忙しい時に、
お母さんも非常識だよ…』


『いいんだって…』
健ちゃん間に入って言った


No.360 14/03/09 23:56
りんご ( ♀ UNyGh )



『健ちゃん、ありがとう
本当にお世話になりっぱなしで…
お正月、良かったら
いらしてね。
何もないけど…』
母がお礼を言った

『健ちゃん、
ありがとう…』


玄関に荷物をおろすと
健ちゃんは帰って行った


年末の忙しい時に
一週間もお店を休んでしまっていた

日中は忙しいと思い
店が終わった頃に電話を入れた


『大変ご迷惑おかけしました。
今日、退院してきました…』


『そう、良かった。
お正月ゆっくり休んで
また、来年から頑張って。』
と店長が言ってくれた


本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった




No.361 14/03/10 13:10
りんご ( ♀ UNyGh )



『お母さん、
入院中、電話とか手紙とかなかった⁉』


『なかったわよ。』


年末年始で、直樹が帰って来るかもしれない
入院中から、気になって仕方なかった…



『ちょっと、
出掛けて来る…』


『何言ってるの。
退院してきたばかりで
お店も休みなんだから、暫くは落ち着いて家に居なさい。』
叱られてしまった


生憎、父親も居て
出られられそうもない雰囲気だった…



No.362 14/03/10 19:49
りんご ( ♀ UNyGh )


ピンポ~ン🎵

『夜分にすいません。
親方から、カレンダー預かってたもので…
つい渡しそびれてしまってたので…』

健ちゃんだった…


『あらっ、わざわざ
ありがとう。
良かったら、お茶飲んでって…』
母が言っていた


『いや、夜分なので…
倫子ちゃん、どうですか⁉』


『ありがとう、おかげさまで、大丈夫みたいよ
健ちゃんのおかげね。
助かったわ。』

健ちゃんは、帰って行った



No.363 14/03/10 22:33
りんご ( ♀ UNyGh )



二階の部屋の窓を開け
健ちゃんを呼び止めた

『健ちゃん
ちょっと待ってて‼』


『お母さん、
香の店にちょっとだけ
顔出してくる
心配してくれてたから…』


『も~
おとなしくしてなさいって言ってるのに…
すぐ帰ってらっしゃいよ。』

慌てて着替えて、
家を出た


『健ちゃん、悪い。』


『おとなしくしてろって言われてんだろ⁉』


『ちょっとだけ…』


『しょ~がね~なぁ~…』
健ちゃんが車のエンジンを掛けた

『ゴメン、駅まで…』


『店に行くんじゃね~の⁉
なんだよ駅って⁉』


『ちょっと、
寄りたい所があって…』


『俺はちゃんと
家まで送り届ける責任がある‼』


『・・・・』


No.364 14/03/10 22:41
りんご ( ♀ UNyGh )



『ちゃんと、すぐ帰るから…』


『ダ~メ‼
ちゃんと送る。』


『・・・・』


『じゃ、ちょっとだけ待ってて…
お願い…』


『ちょっとだけだぞ‼』


直樹のマンションの近くまで乗せて来てもらった


『20分だけだぞ‼
ここで待ってるからなっ‼』


『うん…』


車から降りて
直樹のマンションまで走って行った


エントランスを入る

ポストの中の郵便物を出して、直樹の部屋へ向かう


初めて合鍵を使って
開けて入った


…………
………
……
…………
………
……………
……


帰って来た形跡はなかった…





No.365 14/03/10 22:47
りんご ( ♀ UNyGh )



郵便物をテーブルに
置いて帰ろうとした時に


郵便物の中の
封筒に目がいった


綾野直樹様方
倫子様へ

と宛名の書いた封筒があった…


郵便物を一つ一つ確認すると…
三通の同じ宛名の封筒が入っていた


直樹の字だった


三通の封筒をカバンにしまい込み
慌てて鍵を締めて
来た道を走って戻っていた


封筒…
早く読みたい…

でも、健ちゃんを待たせてる…


No.366 14/03/10 22:58
りんご ( ♀ UNyGh )


『健ちゃん
ありがと…』


『用事は済んだのか⁉』


『うん…』


健ちゃんがエンジンをかけて、車を走らせる
香の店までやってきた

『顔出すんだろ⁉』


『あっ…うん…』


『すぐ帰るからなっ‼』


『うん…』



店に顔を出して
コーヒー1杯だけ飲んで
店を後にしていた…

健ちゃんは、まっすぐ家まで送ってくれた

『健ちゃん、ありがと』


『・・・・』


『よい年を…』


『あぁ…』

ちょっと、不機嫌な健ちゃんが居た

『ゴメンね…』


『何が⁉
お袋さんに心配かけんなよ。』


『・・・・』





No.367 14/03/12 20:23
りんご ( ♀ UNyGh )



早く手紙が読みたかった


自分の部屋へかけ上がり
封筒をカバンから出した


綾野直樹様方
倫子様へ


表書きが嬉しかった


ドキドキ💕する



倫子、元気か⁉
仕事頑張ってるか⁉
お店は…
……………
…………
………
……

……………
…………
………
試験が終わったら
こっちまで来ないか⁉

取急ぎ連絡まで

住まいの住所と
お店の住所と電話番号が書いてあった



シンガポールに着いてすぐに出したようだった


・・・・・
はぁ~…
なんでもっと早くに
マンションに来なかったんだろう…
合鍵貰って、部屋の空気を入れ換えに来てよって
頼まれてたのに…

今日まで、直樹の居ないマンションに行く気になれずにいたから…


No.368 14/03/13 18:35
りんご ( ♀ UNyGh )

二通目の封筒を開けた

元気にしてますか⁉
お婆さんの具合は
どうですか⁉
…………
………
……
試験は合格だろ⁉
………
…………
………

(火)(水)休みにでもさ
有休プラスして
来れないかな⁉
案内するよ。
………
……
逢いたい

声が聞きたい
連絡くれ



そう綴ってあった



はぁ~…

なんで家に
連絡してくれなかったの⁉
私は、私で、
何も連絡くれない
直樹を、心配してたのに………



No.369 14/03/20 13:44
りんご ( ♀ UNyGh )


三通目の封筒を開けた




お互いの将来について
話をしたいことが
いっぱいあるんだが…

声が聞きたい
電話してくれ





それだけが便箋に
書いてあった




No.370 14/03/20 13:50
りんご ( ♀ UNyGh )



三通の封筒を目にして…


何でもっと早くに
直樹のマンションに来ていなかったのかと後悔していた


お婆ちゃんのことがあったし…
直樹の居ないマンションに足を運ぶこともなかった…

私は、私で、ひたすら連絡をくれない直樹を心配していた



直樹を信じてない訳ではなかったが、百合子さんのことも気になっていた







No.371 14/03/20 13:57
りんご ( ♀ UNyGh )



手紙に書いてあった通りに電話を掛けていた



繋がらない



お店の方の電話にも掛けてみた



繋がらない



なんでかわからないが
繋がらなかった





No.372 14/03/20 15:00
りんご ( ♀ UNyGh )



シンガポールへ行く決意をしていた


会わなくちゃ
お互いの気持ちが伝わらない


私も逢いたい


あまり感情を表に出さない直樹も逢いたがっている





No.373 14/03/20 15:33
りんご ( ♀ UNyGh )



三が日が過ぎて
仕事も始まった

最初の休みにパスポートの申請に来ていた

パスポートが取れ次第
シンガポールへ行くつもりだ


会わなくちゃ
何も伝わらない



No.374 14/03/22 17:06
りんご ( ♀ UNyGh )


パスポートを手にしていた

気持ちは決まっていた

日本には帰って来ないかもしれない…

片道切符だ



年末に入院して1週間仕事を休んでいたから、休みたいとは言えなかった…

体調が悪くこれ以上迷惑もかけたくないので、辞めたいと退職願いを職場に申し出ていた。

休職扱いで暫く休んで復職するようにって言ってくれたが…
なかば強引な形で美容室を辞めさせてもらった

最後に迷惑をかけるような形になったが…
無断欠勤を続ける形にはしたくなかったから…


No.375 14/03/22 17:14
りんご ( ♀ UNyGh )



親には、美容室を辞めた事は話していなかった

シンガポールに美容室の先輩が住んでるから会いに行くと嘘をついた

嘘ではないのだが…


母親は、会いに行く相手が、男(直樹)だとは思っていなかったから、半分は嘘をついたようなものだった




No.376 14/03/22 17:19
りんご ( ♀ UNyGh )



香にだけは、
帰って来ないかもしれないと話をした


『そっか…
とりあえず会わないとね…
このままには出来ないもんね。
でも、向こう行ったら、連絡だけはちょうだいよ。』


『うん…
香には、連絡入れるから…』


『絶対だよ…』


『うん…大丈夫‼』





No.377 14/03/22 17:25
りんご ( ♀ UNyGh )



一人、シンガポールの空港に降りていた

一人で海外に来るなんて…
自分でも、私にこんなに行動力があるのが信じられなかった


直樹に逢いたい一心だった

何ヶ月も手紙を見ていなかったこと…
直樹に会ってちゃんと話をしたかった


なにより…
早く逢いたい…






No.378 14/03/22 23:12
小説大好き378 ( 30代 ♂ )

う~ん続きが気になりますね😥

No.379 14/03/23 18:31
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 378
※主です

閲覧ありがとうございます
読んでくれてる人がいられること、とても励みになります。


季節の変わり目
花粉症にやられて
鼻をかみすぎて💦💦
頭がボォ~ッとしてまして…⤵⤵

おまけに扁桃腺炎のWパンチで⤵⤵⤵


ボチボチ綴っていきますので…

今暫くお待ちくださりまし…



No.380 14/03/23 19:00
匿名380 ( 20代 ♀ )

めちゃ面白かったです、ミツルさんのお話も読みました、少し泣けてきました。更新楽しみにしています。

No.381 14/03/24 07:36
りんご ( ♀ UNyGh )

>> 380
※主です

おはようございます

ありがとうございます

読んで頂けて
嬉しいです‼


No.382 14/03/24 07:52
りんご ( ♀ UNyGh )


さてと…

ここまでは勢いで来たけど…

ここからどうやって行こう…

一人で海外での移動なんてちょっと怖い…


空港ロビーで暫く様子観察しよう
日本人も少なくないみたいだし…


ちょっとモタモタしていたら…


見覚えのある旗を持った団体ツアーの一行がゾロゾロと…
添乗員さんに引率されて、歩いて行った
手を振り見送る添乗員らしき人
ツアー客をゲートに送り込み、引き返そうとしていた

『あの…
すいません…』
声を掛ける


『はい⁉』


『日本人ですよね⁉』


『えぇ…』


『良かった⤴⤴』


『あの…
○○まで行きたいんですけど…
初めてで…』


『………』
『う~ん…
私も今仕事終えたみたいな所だから、ちょうどそこまで引き返す所、、ホントはダメなんだけど…
これも何かの縁だわね。
一緒に連れて行ってあげるわ。』



ナイス‼⤴⤴⤴
ホントにこんな
Goodタイミングで
信じられない

でも日本人と言う安心感で甘えさせてもらった


No.383 14/03/24 18:03
りんご ( ♀ UNyGh )


お姉さんは“緑“と名乗った

シンガポールで日本の旅行代理店のツアー客を観光案内している仕事をしていると言った、サバサバとした感じのいい女の人だった

『そう…
彼氏さんを訪ねて来たのね。会えるといいわね。
もし、困ったことがあったら…』

と、連絡先を教えてくれた

なんとありがたい⤴


『ありがとうございます。』


『たぶん、この先辺りにあると思うわ。
私のオフィスは反対側だから…』


『本当にありがとうございます。あの…』
お財布を出したら


『いいわよ。
こんな可愛い妹みたいなお嬢さんに出会えて、私もなんか嬉しくなっちゃったから(笑)』


『ありがとうございます』


『私も祈っているわ‼』



世の中捨てたもんじゃない…
人の縁とは不思議なものだ…


まさかこんな知らない所で日本人に助けてもらえるとは…



いい予感⁉


No.384 14/03/24 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



もう少しで直樹に逢える……


胸の高鳴りを感じていた


この辺りだと緑さんは言っていたな…

30分程ウロウロと歩き回っていた


見つけた‼
何度もお店の名前と
手紙に書いてあった名前を見比べてみる

間違いない…
ここだ…


深呼吸して
呼吸を整える


そ~っと外から覗き込んでみる…


……………
………


見つからない……

直樹は居ない⁉



No.385 14/03/25 13:32
りんご ( ♀ UNyGh )


ドアを開けて
店に入る勇気はない…


どうしよう…


一人ポツンと佇んでいた


1時間くらい入口をちょっと離れた場所から眺めていた


結構人の出入りもあり、繁盛している様子がした


直樹は居ないのかな⁉
休みなのか⁉


どうしよう…







No.386 14/03/25 18:02
りんご ( ♀ UNyGh )


辺りがうっすらと
薄暗くなり始めていた

ネオンがつき始めた…


心細くなる…


泣きたい気持ちになってきた…


帰れる場所はない…


もう…
訪ねるしかない



気持ちを落ち着かせ


お店の前に立つ

深呼吸をひとつして
ドアを開けた



No.387 14/03/25 18:11
りんご ( ♀ UNyGh )



お店の女の人が
気がついて
笑顔で話かけてくれたが
言葉がわからない…


『あの…綾野さんは…』


カットをしていた男の人が気がついて来てくれた


『君、日本の方⁉』


『はいっ…
綾野さんを訪ねて来たんですけど…』

良かった、
日本人みたいだ


『ちょっと待ってて‼』

そう言うと、
奥へ入って行った



ドキドキする…



No.388 14/03/25 18:19
りんご ( ♀ UNyGh )


暫くして…
男の人が戻り

『ちょっとお待ち下さいね』
と笑顔で対応してくれた


ドキドキッ…
ドキドキッ…
ドキドキッ…


20分も待ったのだろうか⁉


『倫子っ‼』

奥から出てきたのは
直樹だった…

涙が溢れる
後から、後から、
大粒の涙がボタボタと…


そばに近寄り
ギューッと
抱き締めてくれた


やっと逢えた…
不安で押し潰されそうだった気持ちと
直樹に逢えた嬉しさで

しゃくりあげて
泣いていた…






No.389 14/03/25 18:27
りんご ( ♀ UNyGh )



さっきの男の人が

『直樹、奥へ…』
と声を掛けてくれた


『倫子、こっちへ…』
奥へと通された


誰も居ない奥の部屋へと通された


ギューッと抱き締められて…
キスしてくれた




『直樹、逢いたかったよ…』



『俺もだ…』








No.390 14/03/25 20:18
りんご ( ♀ UNyGh )



『一人で来たの⁉』


コクンッと頷いた


『何かあったの⁉』


『逢いたかったから…』


『そっか…』
『ちょっとここで
待ってて…』
直樹は部屋から出ていった





『さっ…行こう。』


『仕事中でしょ⁉』


『いや、大丈夫だから…』


『お腹空いてない⁉』


『胸がいっぱいで…』


『そっか…
じゃ、何か買って
俺のアパート行こうか⁉』


『うん…』







No.391 14/03/28 21:19
りんご ( ♀ UNyGh )

お店から割合近い距離にアパートと言うのか…
マンションかな…
それはあった




『直樹らしいね…』


『ん⁉』


『きちっと片付いてる…』


『寝に帰るだけだからね。』
『それより…
何かあったんだろ⁉
話てごらん…』



お婆ちゃんのこと…

体調を崩して入院したこと…

なにより、手紙をずっと受け取っていなかったこと…

寂しかったこと…

電話が繋がらないこと…

話したいことは、いっぱいあった…


『そっか…手紙見てなかったんだ…』


『ごめんなさい…』


『いや、俺も悪いんだ…
倫子がマンションに来てくれてるって思い込んでたから…』
『俺は、俺で、倫子から連絡のないのを心配していたんだ…』

そう言って、ギューッと抱き締めてくれた



No.392 14/03/28 21:40
りんご ( ♀ UNyGh )



『でも…
こうして逢えた…
一人でよく来たね。』


『直樹に逢いたくて…
不安で…』


『ゴメンな…』


『百合子さんが…
来たでしょ⁉』


『えっ⁉来てないよ。』


百合子さんがシンガポールに旅行に来たらしいこと…お土産をもらったこと…


『私は直樹のお荷物にしかならないって…』


『俺は、百合子さんとは会ってないし…
第一、百合子さんが⁉
意味わかんないよ…』


『たぶん…
直樹のことが好きなんだと思う…』


『俺は…倫子だけしか見てない。』


『でも…私は、
不安で…心配で…』


『そうだよな…
ゴメン…』
『暫くこっちで、ゆっくり出来るの⁉』


『・・・・
帰らない…』



『どうゆう事⁉』
『ちゃんとお母さんに話して来たの⁉』


『・・・・』


『まさか…家出して来た⁉』


『旅行行くって言って来たけど…』


『俺の所に行くって、ちゃんと言わなかったんだね⁉』


『・・・・』


No.393 14/03/28 21:52
りんご ( ♀ UNyGh )



『お店は⁉』


『辞めてきた…』


『なんで⁉』


『帰らないつもりだったから…』


『そっか…
ゴメンな…寂しい思いをさせて…』


『ううん…』




『ちょっと待って…
コーヒー入れるから』


直樹がコーヒーを入れた
部屋に漂うコーヒーのいい香り


『コーヒーの香り
落ち着くね。』


『あぁ…』


No.394 14/03/28 22:12
りんご ( ♀ UNyGh )



『倫子…』


『何⁉』


『抱いていいか⁉』


『うん…』


話したいことは、
いっぱいいっぱいあった

でも、直樹の肌の温もりを感じたかったのは、私も同じ気持ちだった…



抱いて欲しい…



『シャワー…借りるね…』


『あぁ…』



先にシャワーを浴びに
シャワールームに行った…


No.395 14/03/28 22:22
りんご ( ♀ UNyGh )



シャワールームは
直樹らしく綺麗だった
上質なシャンプーとボディソープの香りが心地いい


入れ違いで
直樹がシャワーを浴びる


ドライヤーで髪の毛を乾かしている間に直樹がシャワーを済ましてバスタオルを腰に巻いて出てきた


ちょっと気恥ずかしい…


『貸してごらん…』


直樹がドライヤーをかけてくれる


直樹の指先が触れる

ドキドキする





No.396 14/03/28 23:15
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹がドライヤーの
スイッチをOFFにする


後ろからギュッと抱き締められた

首筋に直樹の唇が触れる



『ベッド行こう…』
耳元で直樹が囁く



直樹が部屋の電気を
パチンッと切った


一瞬真っ暗になったように感じたが…

小さいスタンドライトの灯りだけが薄ぼんやりと辺りを照らし出していた…



直樹のベッドに
もぐり込む


直樹が
いとおしむように
ゆっくりと
唇を重ねる


何度も何度も
唇が吸い付く






No.397 14/03/29 17:28
りんご ( ♀ UNyGh )


直樹にギュッと
しがみつく…


『どうしたんだよ⁉』


『直樹、あたたかい…』


『倫子も…』


肌と肌が触れ合う
直樹のぬくもり


初めてのように
ドキドキ
ときめく…


もう直樹を受け入れるだけ十分に潤っていた


恥ずかしい…


ゆっくりと直樹が
それを押し込む…


“うっ……“


『そんなに、
締め付けるなよ…』


“だって……“

直樹にキスされただけで
身体の芯が
ジュンッと熱く
我慢出来なくなっていた…


直樹の太ももに
足を絡ましていた…


直樹もパンパンッに
張っていた…



No.398 14/03/29 17:37
りんご ( ♀ UNyGh )



直樹は、それを
ゆっくりと動かした…


ポッカリと空いた
心の隙間も
埋められていた


“直樹……“


心と身体が充たされて
静かに絶頂を迎えていた…

波のように
身体をくねらせ
反り返る


直樹自身を
締め付けていた






“倫子、
そんなに締め付けたら
我慢出来ないよ“







No.399 14/03/30 10:58
りんご ( ♀ UNyGh )


離れていた
数ヶ月分の思いが…
一気に溢れ
埋められていた


『直樹は寂しくなかったの⁉』


『寂しいに決まってるだろ⁉』

『まさか、倫子が店まで突然訪ねて来てくれるなんて思ってもいなかったから…嬉しいよ…』



直樹の腕に包まれて
安心しきっていた





No.400 14/03/30 22:29
りんご ( ♀ UNyGh )



『おはよう‼』


『ん…おはよう…』


『仕事に行かなきゃならないから…』


『うん…』


『なるべく早く帰るから、一人で待っていられるね⁉』


『うん…』


『冷蔵庫の中の物とか食べちゃっていいから。』


『うん…』


『じゃ、行ってくるから。』
おでこにキスをして
直樹は仕事に出掛けて行った



直樹の部屋に一人残されていた…
ウトウト微睡んでいた…
いつしかまた眠りについていた




時計に目をやると
11時近くになっていた

ベッドから抜け出し
冷蔵庫を開け
ミネラルウォーターを出して飲んだ


“美味しい“



夢じゃないよね…

ホントに直樹の部屋に居るんだよね…





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