【続】あの時違う道を選んでいたら…
あの時違う道を選んでいたら…
の続きになります。
ミツルと別れてからの
道のりを綴っていきたいと思います。
14/03/03 16:15 追記
性的描写を一部含みます
苦手な方は、閲覧注意して下さいね。
主さんお疲れ様でしたm(_ _)m
感想どちらのスレにしようか迷いましたがこちらにしました…
いつも楽しみに読ませて貰ってました。
最後は健ちゃんと結婚したんですね💐
なおきさんの事もミツルさんの事も今となってはいい思い出ですね😃
楽しみにしていた小説が減ってしまい寂しいです😔
主さんいつまでも健ちゃんとお幸せに💐
又何か小説書き込みする事があれば読ませてもらいます。
長い間本当にお疲れ様でした。
- << 482 ※主です 読んでいただいて ありがとうございました。 つたない文章で 健ちゃんと、結婚に至るモタモタと綴ってまいりました… あれから、何十年の月日を経過して、、、 何十年のうちには、色々ありましたが…(笑) 綴ることで改めて、健ちゃんで良かったんだなと感じております。
健ちゃんは、結婚を機に独立した。
色々考えたが…
お婆ちゃんの申し出もあり、お婆ちゃんちで同居することになった。
一番同居を望んだのは、お婆ちゃんだった。
一人娘の母を嫁に出し、、お爺ちゃんを看取り…
一人余生を送るはずだったが、こんな嬉しいことはないって大喜びで、私と健ちゃんと同居することを願っていた…
独立を機に何もツテのない地に拠点を移す不安はあったが…
健ちゃんの人柄か…
徐々に仕事も増え
軌道に乗り、今では、5人の若い衆を使っている。
新婚時代くらい二人で住みたいなって、ちょっとは思ったけれど…
お婆ちゃんをまた一人にしちゃうのも可哀想だったし、お婆ちゃんが一緒に住みたいって何度も言ってくれたから…
健ちゃんも納得してくれて、3人での同居が始まった。
案外、嫁・姑より、お婆ちゃんと孫は上手くいくようで、、、
仲良く暮らしている。
ダイヤの指輪を買ってもらった…
『健ちゃん、ありがと…』
『俺の精一杯の気持ちだから…これから、お前ちに行っていいか⁉』
『いいよ。』
『こんばんは~。』
『あらっ健ちゃん。
いつも倫子とお婆ちゃんがお世話になっちゃってるみたいで…どうぞ…』
『お邪魔します。』
『おじさん、いますか⁉』
『居間でテレビ見てるわよ。』
『こんばんは。』
母がお茶を入れて運んできた
『今日は、、突然ですが、倫子ちゃんとの結婚を許していただきたいと思って来ました。』
“えっ…えっ…“
“健ちゃん、何を…突然、言い出す“😲😲😲
父は暫く黙っていたが…
『二人が決めたことなら…よろしく頼む』
とだけ言った
健ちゃんの車に乗り込み
お婆ちゃんちを出発した
いつもとかわりない
何気ない会話
『健ちゃん、遠いのに悪いね…』
『いや、いいんだよ。
気にするなよ。
俺が勝手に来てるだけだから…』
『高速代もガソリン代もかかるしさ…』
『別に…
いいんだって…』
『休憩すっか⁉』
途中のサービスエリアに寄っていた
『ハイッ‼』
健ちゃんが、ソフトクリームを買ってくれた
『ここのソフトクリームさっ、旨いんだ。』
『うんっ、ミルク~って感じが濃厚だよね。(笑)』
『いつも帰りに一人で食べてるとさ、お前に食べさせたいなって思ってたんだ(笑)』
『エヘヘヘ…ありがと。』
『旨いだろ⁉』
『うん…美味しい。』
一週間後…
母がやってきた
顔を見ただけで
怒っている様子がわかった
『まったく…
帰って来たと思ったら…
仕事はどうしたの⁉』
『・・・・』
『そう、まくし立てたら
倫子ちゃんだって
なんも喋られないでしょ…』
お婆ちゃんが母に言った
『あんたって子は
いったい何を考えてるの⁉』
『・・・・』
『そう…
怒りなさんなって…』
お婆ちゃんが言った
『お婆ちゃんは、黙っててっ‼』
母が言った
『どうするの⁉』
『ここに居る…』
そう言うのが
精一杯だった…
正直、何も考えてなかったし…
今は、家に居るより
ここのが居心地がよかったから…
『アタシはいいんだよ。
いつまでも居たって…』
お婆ちゃんが助けてくれた
“ありがと…お婆ちゃん“
直樹のソレが入口にあてがわれた…
“早く埋めて満たして欲しい…“
直樹は直樹のソレ自身で、蜜なめ回していた…
入口を確かめるようにゆっくりと力を込める
ガマン出来ずに、腰をあげ直樹をくわえ込もうとした…
『まだ、ダメだよ…』
『・・・・
ガマン出来ないよ…』
『しょうがないな~…』
ジラすようにゆっくりと侵入してきた…
思わず声が漏れる…
“うっ…んっ~…“
ゆっくりと直樹が腰を動かす…
密が溢れ…
したたってきた…
『こんなになったのは、初めてだね…』
直樹が囁く…
“恥ずかしい…“
『嬉しいよ…倫子…
すごいよ…締め付けるよ…』
直樹にみたされて絶頂を迎えていた…
直樹も一緒に…
『大丈夫⁉』
『う…ん…』
『嬉しいよ…倫子…』
『恥ずかしい…』
『恥ずかしがるなよ…』
直樹がティッシュでそっと拭ってくれた
『ありがとう…直樹…』
『でも…
こうして逢えた…
一人でよく来たね。』
『直樹に逢いたくて…
不安で…』
『ゴメンな…』
『百合子さんが…
来たでしょ⁉』
『えっ⁉来てないよ。』
百合子さんがシンガポールに旅行に来たらしいこと…お土産をもらったこと…
『私は直樹のお荷物にしかならないって…』
『俺は、百合子さんとは会ってないし…
第一、百合子さんが⁉
意味わかんないよ…』
『たぶん…
直樹のことが好きなんだと思う…』
『俺は…倫子だけしか見てない。』
『でも…私は、
不安で…心配で…』
『そうだよな…
ゴメン…』
『暫くこっちで、ゆっくり出来るの⁉』
『・・・・
帰らない…』
『どうゆう事⁉』
『ちゃんとお母さんに話して来たの⁉』
『・・・・』
『まさか…家出して来た⁉』
『旅行行くって言って来たけど…』
『俺の所に行くって、ちゃんと言わなかったんだね⁉』
『・・・・』
お店から割合近い距離にアパートと言うのか…
マンションかな…
それはあった
『直樹らしいね…』
『ん⁉』
『きちっと片付いてる…』
『寝に帰るだけだからね。』
『それより…
何かあったんだろ⁉
話てごらん…』
お婆ちゃんのこと…
体調を崩して入院したこと…
なにより、手紙をずっと受け取っていなかったこと…
寂しかったこと…
電話が繋がらないこと…
話したいことは、いっぱいあった…
『そっか…手紙見てなかったんだ…』
『ごめんなさい…』
『いや、俺も悪いんだ…
倫子がマンションに来てくれてるって思い込んでたから…』
『俺は、俺で、倫子から連絡のないのを心配していたんだ…』
そう言って、ギューッと抱き締めてくれた
お姉さんは“緑“と名乗った
シンガポールで日本の旅行代理店のツアー客を観光案内している仕事をしていると言った、サバサバとした感じのいい女の人だった
『そう…
彼氏さんを訪ねて来たのね。会えるといいわね。
もし、困ったことがあったら…』
と、連絡先を教えてくれた
なんとありがたい⤴
『ありがとうございます。』
『たぶん、この先辺りにあると思うわ。
私のオフィスは反対側だから…』
『本当にありがとうございます。あの…』
お財布を出したら
『いいわよ。
こんな可愛い妹みたいなお嬢さんに出会えて、私もなんか嬉しくなっちゃったから(笑)』
『ありがとうございます』
『私も祈っているわ‼』
世の中捨てたもんじゃない…
人の縁とは不思議なものだ…
まさかこんな知らない所で日本人に助けてもらえるとは…
いい予感⁉
さてと…
ここまでは勢いで来たけど…
ここからどうやって行こう…
一人で海外での移動なんてちょっと怖い…
空港ロビーで暫く様子観察しよう
日本人も少なくないみたいだし…
ちょっとモタモタしていたら…
見覚えのある旗を持った団体ツアーの一行がゾロゾロと…
添乗員さんに引率されて、歩いて行った
手を振り見送る添乗員らしき人
ツアー客をゲートに送り込み、引き返そうとしていた
『あの…
すいません…』
声を掛ける
『はい⁉』
『日本人ですよね⁉』
『えぇ…』
『良かった⤴⤴』
『あの…
○○まで行きたいんですけど…
初めてで…』
『………』
『う~ん…
私も今仕事終えたみたいな所だから、ちょうどそこまで引き返す所、、ホントはダメなんだけど…
これも何かの縁だわね。
一緒に連れて行ってあげるわ。』
ナイス‼⤴⤴⤴
ホントにこんな
Goodタイミングで
信じられない
でも日本人と言う安心感で甘えさせてもらった
早く手紙が読みたかった
自分の部屋へかけ上がり
封筒をカバンから出した
綾野直樹様方
倫子様へ
表書きが嬉しかった
ドキドキ💕する
倫子、元気か⁉
仕事頑張ってるか⁉
お店は…
……………
…………
………
……
……………
…………
………
試験が終わったら
こっちまで来ないか⁉
取急ぎ連絡まで
住まいの住所と
お店の住所と電話番号が書いてあった
シンガポールに着いてすぐに出したようだった
・・・・・
はぁ~…
なんでもっと早くに
マンションに来なかったんだろう…
合鍵貰って、部屋の空気を入れ換えに来てよって
頼まれてたのに…
今日まで、直樹の居ないマンションに行く気になれずにいたから…
『今、健ちゃんが来てくれるって
病院連れてってくれるって言うから…』
『えっ⁉
なんで健ちゃんになんか連絡したのよ⁉
断ってよ‼💢』
『だって…
そんなじゃ、しょうがないじゃない…
私は運転出来ないし…』
『それでも嫌なのっ‼
わかんないの⁉
こんな所、見られたくない…
断ってよっ…』
頭にきていた
具合悪い姿なんて
見られたくない
髪の毛ボサボサで
スッピンだし…
ピンポ~ン🎵
呼鈴が鳴った
『は~い…
ごめんなさいね~…
病院行かないって言ってるから…』
母の声が聞こえていた
階段を上がってくる足音がした
『ほらっ…
病院行くぞっ。
なんか羽織れよ。』
『いい…
行かない…
大丈夫だから…
帰って…』
布団に潜った
『大丈夫じゃないだろ⁉
子供じゃないんだからよっ…』
『・・・・
動けない…』
母が上着を出した
無理矢理、身体を起こそうとしたが…
動けなかった…
次の朝
寒気がして熱を計ったら
39度近くあった
“風邪ひいた~“
忙しいのに申し訳なかったが…
とても仕事に行ける状態ではなかった
お店に電話を入れて
休ませてもらった
『病院行く⁉』
母に聞かれた
『一日寝てれば大丈夫…』正直、病院へ行くのもツラかった
『じゃ、ちゃんと薬飲んで寝てなさいよ。
早めに帰ってくるから…
なんかあったら、職場に電話いれなさいね。』
そう言って、母は仕事に出ていった
“寒気がする“
腰が痛い…
インフルエンザかな~…
母が仕事から帰ってきた
『どう⁉』
『・・・・』
『お医者さん行った方がいいわよ。
支度しなさいよ。』
『無理、動けない…』
『しょうがないわね~…
困ったわね…』
母が下へおりて行った
12時を回って
お開きになった
なんか身体がだるい…
『元気ないじゃん⁉』
『えっ…』
振り返ると健ちゃんだった
『送って行くよ。』
『大丈夫だよ。
健ちゃんこそ、ちゃんと帰れるの⁉(笑)』
『俺は、大丈夫だよ。
女の子が一人歩きする時間じゃないべ…』
『ありがと…』
いつもなら、
“大丈夫“ って一人で帰るのに…
健ちゃんが、
“送るから…“
ってついてきた
『寒いっ…』
何気なく
健ちゃんが腕をからめてきた
『あれっ⁉
お前、熱あるんじゃね⁉』
『お酒飲んだからだよ。』
そうは言っても
寒気と身体がダルかった
“風邪ひいたかな…“
と思っていた
『ありがと健ちゃん
ちゃんとアパートまで帰りなよ。』
『大丈夫、大丈夫。』
健ちゃんの後ろ姿を
見送った
このタイミングで
お料理が運ばれてきた
『食べよ、食べよ‼
お腹空いてたんだぁ~⤴』
なんとなく
話をはぐらかされた気がした
『あ~っ…美味しい』
『百合子さん…』
『何⁉』
『知り合いって…
綾野さんですか⁉』
ストレートに聞いていた
『・・・・
倫子ちゃん
私なら、足手まといにならずに、綾野さんをしっかり支えられると思うの‼』
“足手まとい⁉“
私が⁉
『付き合ってたんでしょ⁉』
『・・・・』
『悪いけど…
そ~ゆ~ことだから‼』
百合子さんが、
お金を置いて
店から出ていった
“そ~ゆ~こと⁉“
ど~ゆ~こと⁉
付き合ってたって…
過去形⁉
百合子さんは、直樹の連絡先を知ってたの⁉
頭の中がパニックだった…
直樹を信じたい私と
連絡すらくれずに
連絡先も知らない私…
それなのに、
百合子さんは
直樹と会ってきた⁉
出勤していた
差し入れのお土産が
休憩室に置いてあった
チョコレート
マーライオンの形をしていた
『誰のお土産ですかぁ~⁉』
『あ~、昨日、
百合子さんが来たんだよ。』
『ふ~ん…』
『倫子ちゃんに
会いたがってたよ。
連絡欲しいってさ。』
“マーライオン“って
シンガポールだよね…
百合子さん、シンガポールに行ったってことだよね⁉
まさか…
直樹に会いに⁉
連絡欲しい⁉
なんだろ⁉
仕事が終わって
百合子さんに電話を入れていた
☎『もしもし…』
☎『あっ…倫子ちゃん⁉』
☎『はいっ…チョコレートいただきました。ごちそうさまでした…』
☎『久しぶり~、今度ご飯一緒にしない⁉』
☎『あ…はいっ…』
ご飯を一緒にする約束をした
『お茶入れたよ~‼』
3時になっていた
お茶と漬物、
お婆ちゃん手作りの蒸しパンがあった
ふかふかのまだ温かい
ほんのり甘い蒸しパン
『すっかりキレイになったね
ありがたいよ~…』
お婆ちゃんが言った
『お婆ちゃん、
お茶飲んだら帰るね。』
『そうかい⁉
ゆっくり休んでもらいたいけど…
帰るのが遅くなっちゃうからね…
部屋はあるから泊まって行ければいいんだけどね~…』
『うん、ありがと
皆、明日は仕事があるからさ。』
『ホントにありがたいよ。
また、いつでも来てよ。
今度は、泊まりでおいでよ。』
『うん、また来るよ。』
“これ少ないけど、皆で夕飯になんか食べて“
お婆ちゃんが私に1万円を握らせた
お婆ちゃんの気持ちと思って受け取った
お婆ちゃんに見送られ
お婆ちゃんちを後にした
『おはよう‼』
『おはよう‼』
私と香と徹ちゃんで、
健ちゃんの運転する車に乗り込み
お婆ちゃんちに向かっていた
『悪いね…』
『悪くなんかないよ~。
私らが勝手に遊びに行くんだからさ~。
なんかワクワクする
うちはさ、両親地元だから、田舎がないからさ、なんか楽しみなんだ。』
香が言った
『そうだよ。
ドライブ、ドライブ‼』
徹ちゃんも言っていた
“ありがとう“
皆の気持ちが嬉しかった…
『こんにちは~‼
お婆ちゃんいる~⁉』
『はい、はい
居ますよ…』
奥からお婆ちゃんが出てきた
『草むしりに
来たよ~‼』
『さっさっ
お上がりなさいな
朝早くに出たんでしょ⁉
大変だったね、
お茶飲んでよ。』
お茶を一杯飲んでいた
『お婆ちゃん、元気そうだね⁉』
『ありがとう。
おかげさまで
元気になったよ~。』
お茶を飲み干したところで草むしりを始めた
そんなに広い訳ではなかったが…
放置した庭は草がボーボーと生い茂っていた
健ちゃんと徹ちゃんが作業着に着替えた
『あらっ…
本格的だわね…(笑)』
お婆ちゃんが言った
『職人ですから(笑)』
健ちゃんが答えていた
何日か過ぎて
家も、落ち着きを
取り戻していた
香の店に来ていた
『お婆ちゃん、どう⁉』
健ちゃんが言った
『大丈夫みたいだよ。
家に帰れば一人暮らしだからね。
何でも自分でやらなきゃならないから大変だろうけど…
元々、働き者のお婆ちゃんだから、
こっちに居た時よりも
元気みたい。』
『そうか
良かったな。』
『うん、
健ちゃん、ありがとう
お世話になりました。』
『いいんだよ
気にするなよ。』
『次の休みにでもさ
ドライブがてら、
行かないか⁉』
『えっ⁉』
『お婆ちゃんち…』
話を聞いていた香も加わって、徹ちゃんも一緒に4人で、
お婆ちゃんちに草むしりに行こうと話ていた
『いいよ、いいよ…
草むしりなんて…』
と断ったが…
『い~んだよ。
皆でドライブがてら
遊びに行こうよ‼』
って盛り上がってしまった
『ホントに
世話になったね
ありがとうね…
ありがとうね…』
お婆ちゃんが何度も何度も健ちゃんにお礼を言っていた
『気にしないでください。俺も楽しかったですから…』
『ありがとう…
ありがとう…
倫子ちゃんをよろしくね。』
お婆ちゃんが健ちゃんの手にお年玉袋を渡した
『こんなん貰えないですよ』
と健ちゃんがお婆ちゃんに返していたが…
『帰りに二人で
美味しいもんでも食べて帰りな…』
またお婆ちゃんが
健ちゃんの手に…
『お婆ちゃんの気持ちだから…
受け取ってあげて。』
と母が言って
健ちゃんが受け取っていた
母は、2日程お婆ちゃんちに泊まる事になっていた
私は、
健ちゃんの車に乗り込み
家路についた
お婆ちゃんは
父や母が
“いつまでも居てもいいんだから…“
と説得したが…
“住み慣れた
家に帰りたい“と帰ることになった
ここでは、茶飲み友達もいないから、一日中家にこもる生活だ
日中は、誰も家には居なくなる
寂しかったのだろう
田舎の家を処分して
一緒に住もうと言う話も出ていたが…
お婆ちゃんが嫌がった
田舎に帰れば
近所のおばちゃんちも
気にかけて
夕飯時分になると
お皿を持って行き来するような
まだ、隣近所との付き合いも多いような所だった
何かとお婆ちゃんを気にかけて、よく家にやってきた健ちゃんが車で送ってくれるという話になっていた
宅急便で荷物を送って
新幹線で帰った方が、
楽じゃないかと提案したが…
お婆ちゃんは、
“健ちゃんに送ってもらうから…“と言い張っていた
『ごめんなさいね…
健ちゃんに甘えちゃって
お婆ちゃんも言うこときかないんだから…
困ったもんだわ…』
母が健ちゃんに言っていた
『いいですよ。
俺も田舎のお婆ちゃんに
何も孝行してやれなかったから…
そんな真似事が出来て、俺もちょっと、嬉しいんです。』
健ちゃんが答えていた
『遠慮しないで下さい
買い出しのついでですから…』
健ちゃんが言った
『そうですか⁉
悪いですね
迷惑かけちゃって…』
お婆ちゃんが言っていた
『大丈夫ですよ。
ちっとも迷惑なんかじゃないですから。』
『行も帰りも
お世話になっちゃって…
倫子ちゃんをよろしくお願いしますね。』
何をよろしくなのか
わからないが…(笑)
健ちゃんが調子にのって
『大船に乗ったつもりで、まかせて下さい。』
なんて言っていた(笑)
お婆ちゃんを家まで
送り届けた
玄関に母が出てきた
『すっかりお世話なっちゃって、健ちゃんありがとうね。』
と、母が健ちゃんに声を掛けた
『いいっスよ。
お婆ちゃんと話が出来て
楽しかったっスから…』
『お母さん‼
私も続き行くから、今日は夕飯いらないからね‼
遅くなるからね。』
と母に告げ助手席へと
乗り込んだ
『ありがと‼
健ちゃん。』
1ヶ月を過ぎる頃から
お婆ちゃんの元気がなくなってきていた
“帰りたい“
と口にすることも増えていた
そんな時に
いつもの香のお店の常連さんで恒例のバーベキューの話があったから、お母さんに話して、お婆ちゃんを誘い出していた
『私はいいよ…』
と最初は遠慮していたが、連れ出していた
健ちゃんが車で迎えに来てくれた
健ちゃんの車はワゴン車だったから、お婆ちゃんが乗り込みやすいように、健ちゃんが踏み台の箱を用意してくれていた
『ありがとう、
健ちゃん感謝する‼』
もうバーベキューが始まっていた
『お婆ちゃん、
どうぞ、どうぞ‼』
皆がお婆ちゃんに
声を掛けてくれた
久しぶりの賑やかな場所に嬉しそうだった
『倫子ちゃんには、お友達がいっぱいいるんだね…』
『お友達って言うか~…
知り合いかな…』
『疲れてない⁉』
『大丈夫だよ
大勢で食べると
美味しいね~』
お婆ちゃんがニコニコしながら言っていた
あまり長い時間になると疲れちゃうといけないと思って早めに帰ることにした
『健ちゃん、悪い
送ってくれる⁉』
『OK👌』
健ちゃんに送ってもらった
『どうも
お世話になっちゃって。』
お婆ちゃんが
健ちゃんに言っている
そんなお婆ちゃんのことがあったおかげで
直樹と離れた寂しいさも少しは気が紛れていた
『倫子ちゃんは、ボーイフレンドはいないのかい⁉』
お婆ちゃんが聞いてきた
『ボーイフレンド⁉
友達ならいっぱいいるよ。(笑)』
『そうかよ~。(笑)
遠くにお嫁さんに行くんじゃないよ。
近くにしなよ。』
お婆ちゃんが言った
『近くって、どのくらい⁉』
『そうだね~…
スープの冷めない距離ってことかね~(笑)』
まさか、海外へ行くなんてお婆ちゃんには言えないな…
なんて頭の中で考えていた
『お婆ちゃんは、お爺ちゃんのどこが良かったの⁉』
『どこもなにも…
昔のことだから、親が決めたようなもんだよ。
結婚前に1度会っただけで、次に会ったのは結婚式だったから…(笑)
結婚式と言っても、田舎だったからね。
昔は家で親戚の顔合わせみたいにしただけだよ。』
『1回会っただけで、嫌じゃなかったの⁉』
『嫌もなにもないよ。
親が決めたんだから。』
『お爺ちゃんで良かった⁉』
『そうだね~。
働き者だったからね。(笑)今頃、爺さんクシャミしてるだろ~よ。
早くお迎えに来てくれるといいんだが…』
『お婆ちゃん、何言ってんの‼
ひ孫の顔見たいでしょ⁉』
『いつのことになるんやら…
そんなに長生き出来やしないよ…(笑)』
そんな会話を交わしていた……
1階の納戸に使っていた部屋が和室だったので、お婆ちゃんの寝室にした
後から聞いた話だが
父が、いつかは母の両親を迎える日が来るかもしれないと、1階に和室をひと部屋用意していたそうだ
一人娘の母を嫁にした時から、母の両親の行く末を案じていたのだと父が言った
いつもは、頼り無げが父がその時は、ちゃんと考えていたんだ…
と、ちょっと見直していた
お婆ちゃんは、最初こそ嬉しそうにしていたが、半月も過ぎる頃から
『家に帰りたい』
と口にするようになっていた
顔見知りのいない場所での暮らしは、お婆ちゃんにとっては寂しかったのだろう…
世話になっていると言う負い目もあったのかもしれない
『私は一人で大丈夫だから…
そろそろ家に帰ろうかねぇ…』
と言い始めていた
退院の日
父は仕事だったから、母と私と迎えに来ていた
お世話になった同室の方や先生、看護婦さんに挨拶をして、見送られた
一度は自分の家に帰りたいとお婆ちゃんが言うので、お婆ちゃんちへ寄っていた。
玄関をあがると、一番最初に仏壇にお茶を入れて、お線香をつけ、なにやらお爺ちゃんに報告をしているようだった
『やっぱり家が一番いいねぇ…』
お婆ちゃんがしみじみと言った
近所のおばちゃんちもやってきて
『良かったねぇ、早くに退院が出来て…』
と言われて、お婆ちゃんも嬉しそうだった
『暫くは、娘の家にお世話になるから、留守するけどよろしくね。』
お婆ちゃんが言った
『そう、寂しくなるけど、その方が安心だよ。
ゆっくり養生しておいで、帰ってくるのを待ってるからね。』
とおばちゃんが言った
線香も燃え尽き
戸締りをして、お婆ちゃんちを後にした
タクシーに乗り込み駅まで来ていた
電車と新幹線を乗り継ぎ、また電車を乗り継ぎ3時間はかかる距離だ
新幹線の窓から外を眺めながら
『何年ぶりだろうね~…』
お婆ちゃんがポツリとつぶやいた
ホントは、住み慣れた家に居たいんだろうな…
と感じてた
その頃、母は
大半をお婆ちゃんの家に泊まり、入院中のお婆ちゃんの世話をして
週末だけ家に帰って来る生活をしていた
家に帰ってきていた
ある日の夕食時に
『もう暫くしたら、退院出来そうなんだけど…
どうしようかしらね⁉』
母が言った
『どうしようって⁉』
父が聞く
『一人暮らしは
もう厳しいかもしれない…』
『こっちの家に連れて来て
暫くは養生してもらって
様子見てみたらいいんじゃないか⁉』
『お父さん、いいんですか⁉』
『娘は、お前一人なんだ…お前しか頼る人は居ないだろう⁉』
そんな父と母の会話を聞いていた
幸い後遺症もあまりなく
普通に生活は出来そうな感じではあったが、家事等の負担を考えて病み上がりのお婆ちゃんを一人暮らしにさせる訳にはいかないだろうとの配慮だった
香の店に寄っていた
『元気ないじゃん⁉』
『うん…
行っちゃったんだ…』
『そっか…』
『香は、結婚して
大変じゃない⁉』
『う~ん…
楽しいよ。』
『楽しいんだ⁉』
『喜びが二倍ってヤツかな(笑)』
『香、頑張ってるもんね…』
『頑張ってはいないよ(笑)
適当だよ。
ただいま~って帰って来た時に、空っぽの弁当箱見るとさ、、
明日も早起きして
作ろうって思える(笑)
小さな幸せだよ。』
『小さな幸せの
積み重ねだね。』
私の幸せは…
いつも、目の前まできて…
遠くに逃げて行っちゃうような気がする
何も悪いことしてないのにな…
直樹と出会って
付き合って
夢のような時間だった…
いつも穏やかな直樹に包まれていた
大きな存在だった
私は、直樹に
何かをしてあげられたのかな⁉
直樹には
夢のような時間と
仕事のことも…
生き方も…
いっぱい、いっぱい
もらってばかりいたような気がする…
勝手な事を言ってても
怒ることもなかったし…
胸の中がポッカリと
空いたような気がしていた
直樹…
逢いたいよ…
寂しい…
『ベッドへ行くよ…』
直樹に促され
ベッドへと移動した
優しく唇を重ねる
首筋から…
乳首へ
舌を這わせ吸い付く
横向きされ
身体を密着させる
直樹の体温が伝わってきた
後ろから
抱き締められる
直樹の指が
乳首を弄ぶ
もう片方の手が
下へと滑り込む…
敏感なツボミを探しあて
優しく波打つようにゆっくりと刺激する
背中にキスされ
身体がビクッと反応した
声が漏れた
『あっ……』
身体の奥から
溢れてくるのがわかった…
直樹の指がツボミの奥へと滑り込む
『すごいよ…』
我慢出来ずに
腰を反らし
直樹の方へと
お尻を突き出した
直樹のモノが
入口にあてがわれる
満たされたいのに
入口にあてがわれたそれでジラすように
撫でている
やがて
ゆっくりと
埋め込まれた…
くの字になった身体が
ピッタリと密着された
結局、
7月いっぱいは、
直樹も仕事に追われ、両親との休みも合わず
挨拶に来る機会は作れなかった
8月に入って
7月いっぱいで店を辞めるはずになっていたが…
引き継ぎや残務整理もあり荷造りとバタバタとしていた
さすがの直樹にも苛立ちが見え始めていた
『次の日曜日には、挨拶に行くから、ご両親に伝えておいて欲しい』
と言われた
母親に
『付き合ってる人が挨拶に来たいと言ってるんだけど…』
と伝えた
母親には
『まだ倫子は、
資格も取得してない半人前なのに、“挨拶“って何⁉
付き合う事には、反対しないけど、まさか結婚なんて言い出さないわよね⁉』
と言われてしまった
直樹に、母親の言葉を伝えたが…
それでも挨拶には行くからと言い切られた…
母親にきちんと話は通せなかったが、直樹にまかせるしかないと思っていた
きっと直樹と会えば
両親も反対はしないだろうと思っていた
“サポートはするからやりたい事をやればいい“
って直樹は言ってくれていたし
おそらく何不自由しない暮らしが出来るんじゃないかななんて、打算的な考えもなくもなかった…
ただ…なんとなく…
ホントにこれでいいのか⁉
って感じていた
直樹は…
自由も与え与えてくれるし…
喜ばす事もしてくれる…
でもどこかで
釣り合わないものを感じていた
それは、年齢と経験を重ねれば直樹と同じステージに立てるのかなとも思ったが…
年齢差は埋まらない
『今は、待って‼』
と、直樹に言っていた
『今はって…
いつならいいの⁉
俺は、2年も3年も先には出来ない。』
と直樹に言われた
『試験が終わって…
成人式が終わるまで…』
『俺は、シンガポール行く前に、きちんとして行きたい。』
直樹の気持ちは変わらないようだった
『行く前に、きちんと、倫子ちゃんのご両親に挨拶して、婚約の形を取って行きたい…』
『試験が終わって…
年明けたら、成人式だろ⁉
来春、3月にでも入籍をしたいって考えてる。』
“えっ⁉“
そこまで考えてるの⁉
直樹は、私に相談することなく、人生設計を立てていたことに、
苛立ちを感じていた
直樹は、よく“自分の目標を持ちなさい“って、私にも言っていた
今年の目標
3年後にどうなっていたいか⁉
5年後にどうなっていたいか⁉
10年後にどうなっていたいか⁉
その為には、何を“今“努力しなくちゃならないのか⁉
目標が明確になっていれば、おのずとやるべき事が見えるだろ⁉
って…
私は、ずっと一人前になりたいってこの2年頑張ってきたつもりだ
試験も控え、、
目標が達成される⁉
その先は………⁉
普通に毎日働いて
普通に結婚して
普通に子供を産んで育てて…
“普通“しか考えてなかった…
パートナーに何を求めるの⁉
と直樹に聞いた事があった
お互いの感性を刺激しあえる関係だと直樹は言った
家事や育児に全力を注ぐのではなく
自分を磨き
お互いが、高めあえるような関係だと…
“仕事と私のどっちが大切⁉“
なんて聞いちゃいけない事だとわかっている…
そんな言葉を口にした時点で、直樹に呆れられるって十分にわかっている
聞く事自体が愚問なのだ
直樹は、おそらく、そんな家庭は望んでいないのだ…
あくまで自分の高い目標を達成し得るまで、大きな野望を持っている
自信があるのだろう
努力を惜しまない精神力も持ち合わせている
“成功者“になりたいのだ…
それはビジネスの世界でと言うこと…
いつも穏やかで、ポーカーフェイスの直樹が
“連れて行きたい“
と、ストレートに口にしてくれた
答えは
ただ、直樹に全てをまかせて着いていけばいいだけなのだから…
『行くことにしたって…
決めてるってことだよね⁉』
『あぁ…』
そ~言えば…
だいぶ前に、直樹の部屋で英語の教材を目にした事があったのを思い出した
『・・・・』
『出来れば、ちゃんとして一緒に連れて行きたい…
でも、もうじき国家試験の大事な時だよな…
試験が終わったら、来てほしい…』
『試験が終わるまでは、待てないって事だよね⁉』
『なんでいつも
先に言ってくれないの⁉
直樹は私に相談してくれないよね⁉
なんで⁉』
『なんでって…』
『いつ帰ってくるの⁉』
『いつとは…』
『だから、連れて行きたいって言ってるだろ⁉』
『ちゃんとしたいって
思ってる…』
『ちゃんと⁉』
『俺にまかせてくれれば大丈夫だから…』
梅雨明けの待ち遠しい
7月になっていた
久々の連休に
綾野さんの
マンションへと来ていた
『大事な話があるんだけど…』
『大事な話⁉』
もしかして
“結婚“⁉
香が結婚してから
いつでも一緒に居られる
生活にちょっと憧れを感じていた
一緒に居たいのに
近い距離に居るのに
なかなか忙しくて
逢えない直樹に
“私のことなんか
どうでもいいんだ⁉“
って苛立ちを感じていた
『8月になったら
シンガポールへ行くことにした』
『シンガポール⁉
旅行⁉』
『旅行じゃない…』
『どうゆ~事⁉』
『世界を見てみたいと思ってる…』
『世界⁉』
『先ずはシンガポールから…』
『なんでシンガポールなの⁉』
『知り合いがシンガポールで店を出してる
来ないかって誘われてる』
次の日
仕事帰りに
香の店に来ていた
『新婚旅行は
行かないの⁉』
『冬になったら
北海道に5日くらいスキーに行く予定なんだ』
『いいなぁ~…』
『昨日はありがとうね。
酔っ払い連中大丈夫だった⁉』
『うん、大丈夫だったよ。』
健ちゃんとの出来事は
香にも話さなかった…
『コーヒー‼
昨日はど~も、
世話かけたなっ‼』
仕事の終わった
健ちゃんがやって来た
『世話かけたなって……』
健ちゃんは
何も覚えていないようだった…
アレだけ泥酔していたから
覚えてないのだろうか⁉
『久々に酔っ払って
今日一日中
二日酔いで仕事キツかったよ⤵』
健ちゃんが言った
『自業自得だよ。
フフンッ…』
『今度、世話になったお礼に飯でもおごるからさっ』
『結構ですっ‼』
『なに怒ってんの⁉』
コイツ~ッ…
でも、覚えてなくて
良かった…
ちょっとホッとしていた
お酒の強い
健ちゃんはめったに
酩酊状態になるような事はなかったが
徹ちゃんの結婚が
余程、嬉しかったのだろう
徹ちゃんは、健ちゃんを頼って田舎から出てきた
同郷の弟みたいなもんだったから…
しかたないから、健ちゃんの車を運転して送ることにする
健ちゃんを車に押し込む
『倫子ちゃ~ん
ありがと~
大好きだよ~‼』
『も~酔っ払い💢
捨ててくよっ‼』
『酔ってないです‼
捨てないで~…』
ふざけた野郎だ💢
酔ってる奴に限って
酔ってないと言い切る(笑)
健ちゃんのアパートまで
なんとかたどり着いた
『健ちゃんっ‼
健ちゃんっ‼
アパート着いたよ‼
起きてよっ‼』
『酔ってませんっ‼』
部屋まで健ちゃんを連れて行く
『これから、人生いろいろ経験重ねて、女って色艶が出て綺麗になるんじゃね~の⁉』
健ちゃんが言った
『健ちゃんて熟女好きなの⁉(笑)』
『そ~じゃね~よ。
結婚はゴールじゃなくて
スタートだろ⁉
男にしたら
そいつの人生まで一生背負って行くってことだべ⁉
徹に相談された時も
中途半端な気持ちじゃダメだぞって言ってやったんだよ。
そしたら徹、中途半端じゃね~って言いきりやがったよ。』
『へぇ~、重たいね⁉
まぁ、結婚してない健ちゃんに言われても、説得力はないかも~(笑)』
『まぁな…(笑)』
『お前も、花嫁衣装着たいの⁉』
『わかんない…』
『健ちゃんは、
結婚しないの⁉』
『きっつぅ~…
一人じゃ出来ないべさ…』
『そりゃ、そ~だ(笑)』
(笑)(笑)(笑)
香の結婚式の当日を迎えていた
神社での式は親族だけだったので、呼ばれてはいなかったが、仲間何人かと花嫁姿を見に来ていた
白無垢に綿帽子を被った香がシズシズと神前へ向かう
『香~
おめでとう~‼』
『キレイだよ~‼』
声を掛ける
照れ臭そうに
香がVサインを出してる
一番の親友の
香の花嫁姿を目にして、
感動して
涙が溢れてきた
パーティーの受付を健ちゃんと頼まれていたので健ちゃんの車でパーティー会場のレストランへと向かっていた
『香、キレイだったね…』
『馬子にも衣装ってヤツだな(笑)』
『健ちゃん、ひど~い
女の人が一生で一番綺麗な時なんじゃない⁉』
『そうなん⁉(笑)』
5月も終わり
香の結婚が
近くになっていた
香の店に来ていた
『結婚するって
どんな感じ⁉』
香に聞いてみる
『どんなって…
一緒になるんだなって感じ…』
『パパさん‼
まだ早いとか思わなかったの⁉』
カウンターの中で
タバコを燻らしていた
パパさんに聞いてみる
『徹君は、いい子だし
反対した所で
香の人生だからね…
香が好きになって
一緒になりたいって言うんだから、早かれ、遅かれ、いつかは嫁に出るんだ…
本人達が決めたことだよ…』
ちょっと寂しそうな
パパさんだった
『でも、結婚しても
お店は手伝いに来るし
近くに済むからさっ。』
香が言った
結婚式は、近くの神社で
親族だけで済まして
レストランで
会費制でパーティーをすると言う
お金のない若い二人は
入籍だけすると言ったらしいが…
そこは一人娘、
パパさんがどうしても
ケジメで花嫁姿で嫁に出したいと言ったそうだ
親心なんだね…
そのまま
真っ直ぐ家には帰らず
香の店に寄っていた
『ソーダ水ちょ‼』
『どっか行ってきたの⁉』
『うん…
綾野さんと…』
『どうした⁉
元気ないじゃん…』
『旅行は楽しかったんだけどね…
一緒に居るときはいいんだけど…
離れると…
私なんかでいいのかなって思うんだよね…』
『ふ~ん…』
『なんか…
わかんないけど…』
『香はそんな事ない⁉』
『ない、ない(笑)
徹、わかりやすいから』
そっか…
綾野さんは
わかりにくいからなんだ…
あまり本心を見せないって言うか、
自分の事はあまり話さないような気がする…
詮索しちゃいけないんだって思って、私も聞かないし…
好きになればなるほど
なんでも知っていたいような気持ちになるけど
綾野さんのがずっと大人だからって思って…
『疲れた⁉』
『ううん…
大丈夫…』
直樹がコーヒーを
入れてくれる
『留守電チカチカしてるよ…』
『あぁ…
後で聞くよ』
どんな留守電が入っているのか
ちょっと興味があったけど
あっさり、かわされてしまった…
郵便物に目を通している
直樹はやっぱり、
現実に戻ると
忙しいんだよね
また、逢えない日が続くんだ……
ちょっぴり寂しい気持ちになる
『帰ろうかな…』
『そう…
送るよ…』
自分で帰ると言っておきながら
引き留めてくれないだって思っていた
『ここでいい…』
『家までちゃんと送らせてくれないかな⁉』
『・・・・』
『今日は、ここで…』
『わかった…』
大通りで降ろしてもらった
身支度を整え
荷物のパッキングを
大方済ませてから
朝食へと出向いた
昨日は、和食を頂いたから
今日は、洋食にした
サラダを皿に盛り付け
ウィンナとベーコンを少し
オムレツは注文してから
目の前で焼いてもらえる
卵液を流し入れ
クルクルとフライパンを回す
キレイなオムレツが
出来あがる
直樹は、ロールパンを
私は、フレンチトーストを焼いてもらった
今までに食べたことのないような
中まで卵の染み込んだ
ふあふあの
フレンチトーストに
メイプルをかける
バターの香と
甘いメイプルの香がした
『朝から、
よく食べられるね(笑)』
『直樹といると
太っちゃうね(笑)』
『俺のせい⁉』
朝日の射し込む
ラウンジで
向かい合って
朝食を食べる
回りからは
どんなカップルに
見られているのだろうか⁉
夫婦に見られるかな⁉
なんて、ちょっと思ってみたりした
直樹が
ゆっくりと
二杯目のコーヒーを飲む
私はフルーツにパクつく
直樹は、
仕事柄か、ナルちゃんだからか⁉
手のケアにも
拘りがある
今でこそ
メンズの爪のケアなんてもあるが、当時は爪にまで拘る男の人はそういなかったと思う
だから、いつも指先までキレイだった
おそらく、指先の動きまで、
キレイに見えるように
していたのだろう
直樹の
プロ意識だったのかもしれない
ベッドに横になり
後ろから抱きしめられた
ピタッと密着した
身体の体温が伝わってくる
キレイな直樹の指先が
優しく身体を擦る
優しく乳房を撫で回し
包み込む
直樹の指先の動きにだけ
神経が集中させられる
どちらかと言えば
胸の大きくない私は
上向きになるのは
あまり好きでない…
横向きの方が
胸の膨らみも
感じられる
そんな私のコンプレックスを見抜いたのか…
『俺の手のひらサイズの
形のいいオッパイだね…』
って誉めてくれたことがあった
そんな乙女心を
察するのが上手かった
『この後、
どうする⁉』
『ダンスホール
行きたい…』
直樹とダンスホールにやってきた
生バンドの演奏で
ダンスパーティーが繰り広げられてる
昼間、ダンス講習で一緒になったおば様もいた
圧倒的におば様ばかりなのだが…
中に素敵な男性が数名いた
船のクルーが正装して
ダンスに入っていた
これも、圧倒的に多い女性客を楽しませる演出の一つなのだろう
カップルで楽しんでる人も居た
50代か、60代だろうか⁉
夫婦でドレスアップしてダンスを楽しむなんて素敵だなと思った
『お嬢様かと思ってたら、お連れ様がいらしたのね⁉せっかく習ったのに、踊らないの⁉』
昼間一緒に習ったおば様に声を掛けられた
『ええ…
見てても楽しいですから…』
何曲か眺めていた…
曲がスローなチークタイムになった
直樹が手を掴み中へと促された…
『私、踊れないよ…』
『暗いから、
大丈夫だよ。』
直樹のリードにまかせて
身を委ねる
“なんか、いいな“
キュンキュンしていた
一曲だけ踊ると
外に捌けていた
『よかった⁉』
『キュン、キュン
キュン、キュンした⤴』
『それは、それは…(笑)』
私は、ルールがよくわからなかったから直樹の横で眺めていた
ルーレットが回される
勢いよく玉が回り始め
コロンと数字の枠に入る度に歓声とため息があがる
『ちょっと喉乾いた
何か飲みに行こうか⁉』
バーへと来た
薄暗く落ち着いたバーだった
カクテルを頼む
『美味しい…』
カクテルはスキー場で飲んだ時に、足がフラフラした経験をしたばかりだったから、美味しかったが1杯にした(笑)
直樹とは、いつも車だったから、外で一緒にお酒を飲む機会はめったになかったから、なんか大人の付き合いをしてるみたいだな…
なんて思ってみたりしていた…
『ど~したの⁉
ニヤニヤしてるよ。』
『直樹と一緒にお酒飲むことってなかったから…』
『あ~…そうだね。
いつもは車だからね。』
『今日は、カジノに
行こうか⁉』
直樹について行くと
ルーレットや
カードゲームをしていた
外国映画で見た“その場面“があった
『預けてあるチップを出して…』
『はい、かしこまりました。』
暫くしたら、直樹が預けたチップが来た
『ここは、日本海域だからね、カジノと言っても現金での賭けは出来ないから、雰囲気を楽しむゲームなんだよ。
前回乗船した時のチップもキープしておいてもらえるんだよ。』
と直樹が言った
前回って…
いつ⁉
誰と⁉
そんな疑問が頭の中を駆け巡る
直樹は、誰かとこんな時間を過ごしたと言うことなのだろうか⁉
どんな人⁉
直樹にとってどんな存在の人だったの⁉
聞きたいが…
今は、それを飲み込んだ
ディナーまでは
時間があったから
また大浴場まで足を運んでいた
直樹にヘアメイクをしてもらう
いつもとは、ヘアもメイクも違う
きっと直樹は、
こんなメイクが好きなんだろうな…
そう思っていた
直樹に真剣な顔で見つめられるとドキドキしてしまう…
リップグロスをつけてもらう
筆が唇に触れると
直樹にキスされたような
錯覚に陥る
『ダメだよ(笑)
そんな顔しても…
キスはおあずけだよ
グロスが散るからね(笑)』
『も~…
直樹ったら~…』
『さっ…
ディナーに
向かいましょうか⁉』
直樹にエスコートされて
ディナーへと向かう
三歩下がってが美徳とされる日本式と違って…
どこでもレディーファーストでエスコートされる
何とも言えない
優越感があった…
船内には
エステやマッサージ
理・美容室まである
まぁ、何ヶ月にもなる
ロングクルーズになれば
髪の毛をカットしたりも必要になるだろうし
ドレスコードがフォーマルだと和装なんかも認められるから、髪の毛をアップしたり、着付けもしてくれる
フォーマルのオシャレを
楽しむのも
また、別世界を満喫する喜びでもある
ロングクルーズになると
段ボール何箱にも及ぶ衣装が宅急便で運び込まれるのも、頷けるような気がする
乗船者一人一人が主賓になれるのだから…
幼い頃に夢見た
お城の舞踏会のような
華やかな世界がここにはあった
何も知らずに紛れ込んでしまった私は
乗船直前に直樹に
買っもらった
フォーマルな感じの
ワンピース1枚だったのをちょっと後悔していた…
船内新聞と
にらめっこしていた
『ねぇ~ねぇ~
ソシアルダンスの
初心者講習に参加したい…』
『行っておいで✋』
『ねぇ~…
直樹も一緒に行こうよ~』
『パス…
寝てるよ』
しかたがないので
直樹を残して
一人ソシアルダンス講習に参加した
おじ様、おば様に混じり講師の先生からステップを教わる
1時間もすると
初歩の簡単なステップならつっかえながらもなんとかと言う状態になった
曲に合わせて
踊る
先生のリードに
引っ張られ
気持ちいい感じ
初心者同士だと
もうどうにもならなくなっちゃう感じ(笑)
運動を兼ねた
ダンス講師は終了した
『是非とも夜のダンスパーティーにご参加ください
お待ちしております。』
との挨拶で締めくくられた
着替えて
お茶を飲みに行った
ミニサイズの
ケーキとクッキーと紅茶をもらい
ラウンジに座る
回りは、見渡す限り
“海“
当たり前だが…
ゆっくりと時間が流れる
一度乗り込んでしまえば
ホテルごと移動しているようなものだ
車で目的地まで移動して
観光してホテルにチェックインして…
なんて煩わしさはない
何もしたくなければ
部屋で一日くつろいでいても目的地まで着いてしまうのだ
荷物を持っての移動も
乗船・下船のカウンターまでで済んでしまう
俗世の時間に囚われる
気忙しさは
微塵もない
ホントに余程の
緊急時でもなければ
電話すら繋がらないと言う訳だ
連絡が取れた所で
戻る術がないのだから…
俗世間からは
まったく離れた世界が
ここにはある
船酔いしてると言うのに…
直樹がコーヒーを飲みたいと言うので…
和食膳を食べ終えて
洋食ビュッフェへと
足を運んでいた
コーヒーと
フルーツを食べていた
船の中の飲食は
アルコール以外は
ほぼフリーだと言うことを初めて知った
食べようが
食べなかろうが
クルーズ料金に全て含まれていると言うのだ
だから、どこで何を飲食しようが、サインも現金もいらなかったのかと理解出来た
モーニングコーヒーから
朝・昼・晩の三食
ティータイム
アフタヌーンティーに
テラスでは好きな時に
いくらでも飲み食い出来た(笑)
夜食まで…
一般庶民の浅はかさと言うのか…
全てを網羅しないと
いけないような衝動にかられていた…(笑)
ついさっきまで
“気持ち悪い…“
なんて言ってたのが
嘘のようだった(笑)
何年かぶりに
ラジオ体操なんかした(笑)
ストレッチが
身体をほぐしてくれた
冷たい風のせいか
目眩が少し良くなった
ような気がした
ラウンジでは
モーニングコーヒー&ティーとデニッシュ・ペストリーが置いてあった
早起きした人の為の
朝食前のひとつまみって
感じだろうか⁉
朝食は
アメリカンブレックファーストと
和食膳
洋食ビュッフェ
と3つに別れている
『食べられる⁉
なんか食べた方がいいよ。』
『うん…
お味噌汁が飲みたいかな…』
和食にした
おかゆをチョイスした
鮭におろし大根
炊き合わせ
胡麻豆腐
おひたし・香の物・などが
お膳にのせられて
出てきた
『あ~…
お味噌汁が美味しい…』
『良かった、
食べられそうだね。』
船の寝心地は…
よくない
寝ていると
不快なエンジンの振動が
グンッグンッグンと
伝わってくる
詳しいことは
わからないが…
発電とかの関係も
あるのだろう
エンジンを止めることはない
しかも、揺れはほとんどないと言われていたが…
そこは、やはり海上である
ベッドに入ると
ファファとした感じはする
翌朝、目覚めると
船酔いしていた
寝ている間に
酔っていたのだ
『おはよう』
直樹に声を掛けられた
『頭がクラクラする…
気持ち悪い…⤵』
『船酔いしたかな⁉』
『そ~みたい…』
『薬飲む⁉』
『うん…』
直樹が酔い止めの薬を貰ってきてくれた
『ベッドで寝てるより
外の空気に当たった方がいよ。
デッキに行こうか⁉』
『ごめんね…』
直樹につかまり
デッキに行った
デッキでは
朝早くから
体操が始まっていた
参加する
船内では
船内新聞が届けられ
1日のスケジュールが
書かれていた
食事の案内やら
イベント
エンターテイメント
コンサート案内
シアター案内など…
フィットネス案内
ソシアルダンススクールや
絵手紙スクールなんかも
やっていた
気に入ったものがあれば
自由に参加出来た
ダンスホールを
覗きに来てた
結構、いい年した
おじ様、おば様達が
華麗なステップで
踊り明かしている
『直樹は、踊れるの⁉』
『いや…
社交ダンスは
出来ないよ。(笑)』
良かった(笑)
これでダンスまで
踊られたら
引いてしまう(笑)
ただグラス片手に
ダンスホールの
雰囲気に酔いしれているのも楽しかった…
『そろそろ、
夜食の時間かな⁉』
直樹が言った
『夜食⁉』
直樹に着いていくと
軽食とケーキ、フルーツがバイキング形式で
用意されていた
適当な皿に盛り合わせ
席につく
『楽しんでる⁉』
『こんな世界が
あるんだね…
直樹と付き合って
なかったら…
絶対に知ることのない
世界だと思う…』
『そんな事ないでしょ⁉』
『そんな事あるよ‼』
直樹は、しっかり
フォーマルを着こなしてた
七五三状態の私とは違い
決まっている
『さぁ~、行きましょ。』
ディナーへと向かう
テーブルには
皿が並べられ
キレイにたたまれた
ナフキンが飾られてた
案内されて
席に着く
『お飲み物は⁉』
直樹がワインを頼む
ディナーはフルコースだった
結婚記念日や
誕生日など
アニバーサリー記念の人が紹介され
お祝いもされていた
見ず知らずの回りの人も
お祝いに参加した気分になる
生演奏が各テーブルに回って、リクエスト曲を奏でてくれた
回りを見渡すと
平日と言う事もあるのか
年齢層はシニア層が多かった
これでもかっ‼
と言うくらい
ドレスアップしていた
中には、社交ダンス部か⁉
と言うようなキラキラドレスを纏ったおば様、おばぁ様だらけだった(笑)
『今回は、急にキャンセル待ちで予約したから、狭い部屋だけど…』
直樹が言った
『十分だよ~⤴⤴』
『出航のセレモニーがあるから、甲板に行こうか⁉』
『えっ⁉』
『行けばわかるから…』
甲板に出ると
シャンパンとジュースが
配られていた
デッキから見ると
見送りの人や見物人が
対岸で手をふっている
テープが配られる
ドラを鳴らしながら
クルーが通り過ぎて行く
汽笛の音が
ボーッ、ボーッ、と
鳴り響く
一斉に色とりどりのテープが
対岸に投げられた
風にテープがなびく
キレイ⤴⤴
イヤでも
気分が盛り上がっていく
エンジンの振動が
グンッグンッグンと伝わり
タグボートに引っ張られ
船が徐々に陸から離れて
進行方向へと進み出した
『さっ…中へ入ろうか⁉』
中へ入ると
またシャンパンとプチパイのツマミが振る舞われていた
こんな世界が
本当にあるんだ
映画で見た
タイタニックのようだ…
あっ…
タイタニックみたいに
沈んじゃ困るが…
駐車場に車を入れて
荷物をおろした
『アレに乗るから…』
『えっ⁉
えっ…え~っ…』
テレビで見た
豪華客船だった
綾野さんに連れられて
受付を済ます
荷物を預け
『お帰りなさい。』
とクルーが声を掛ける間を通って、乗り込む
これが船の中⁉
生演奏で迎えられ
豪華なホテルのような吹き抜けだった
キラキラ
ピカピカしてる
部屋まで案内された
初めて船の客室へと
足を踏み入れた
入口を入ると
荷物が届いていた
左手にユニットバスとトイレ
右手がクローゼット
その先にベッド
窓の外のベランダには
テーブルとイスがあった
真っ直ぐ歩いてベランダへ出た
海風が髪をなびかせる
『スッゴ~い‼
スッゴ~い‼⤴⤴⤴』
“凄い“しか言葉は出なかった
5月になっていた
綾野さんから
次の連休に合わせて
予約を取ったから
(月)にも有休を取るようにと
告げられていた
いつも綾野さんは
行き先は告げない
私は、ただ着いていくだけだった
途中で綾野さんが
知り合いの店に立ち寄った
『この子に合うようなパーティードレス見繕って。』
とお店の人に言った
『何があるの⁉
何かのパーティー⁉』
『パーティーじゃないけど、ドレスコードがあるから、たまにはオシャレしてもいいでしょ⁉』
『・・・
そんな格式高いような所
私は、嫌だよ…』
『大丈夫、
そんな心配はいらないから。』
そんな心配はいらないからと言われても…
綾野さんと出掛けると
時々、自分が場違いの場所に入り込んでいるような
凹む気持ちになるような時がある…
『彼女⁉』
と聞かれると…
釣り合わないと
見下げられてるような…
思い過ごしかもしれないけれど……
男組と女組と別れた、
男組は山頂目指して行った
お昼も近くなった頃
3人が下りてきた
『せっかくだから
一緒に山頂まで、
行くべ‼』
『うん⤴』
6人して山頂まで行き
滑って下りてきた
途中、下手っぴ組は
迂回しながら林間コースを回り
男3人は上級コースを
『カッコイイ💕』
真知子の目が
ハートマークになっていた(笑)
お昼を食べることにした
『俺、運転するから、
先に、車に行ってひと眠りしてるよ。』
健ちゃんが言った
『私も、夕べ寝てないから、ちょっと眠たいから…』
と言って
車へ行くことにした
これで、真知子と隼人君が二人になれるだろうから…
『倫子ちゃんは
気にしないで
滑ってきていいよ』
『い~の‼』
お腹もいっぱいになって
車の暖房も効いてきて
気持ちよく眠りについた
健ちゃんのイビキが
煩くて目が覚めた
ふと気がついたら
健ちゃんと一つの毛布に
まるまって寝ていた
健ちゃんが毛布を
掛けてくれたんだ…
結局、
香は起こしても
起きそうにもなかったから
徹ちゃんが一緒だから
大丈夫だろうと
真知子と女組の部屋に
戻って寝ることにした
『リンゴが羨ましいな…』
真知子が言った
『なんで⁉』
『健ちゃんとか
徹ちゃんみたいな
友達が居て…』
『真知子も友達じゃん。
もう、仲間だよ。』
『なんか違うんだよね。
異性として意識しちゃうって言うのかな⁉』
『意識しなけりゃ
いいじゃん。(笑)』
『惚れやすいのかも…
隼人君がめっちゃ気になる…』
『それはそれで
い~んじゃない⁉』
『リンゴの彼氏は
何も言わないの⁉
内緒なの⁉』
『内緒じゃないよ。
“スキー行く“
って言ったら
“楽しんでおいで“
って言ってくれたから…』
『そ~なの⁉
普通は、ダメって言うでしょ⁉
ダメって言われたら、
来てない⁉』
『う~ん…
わかんない…』
『もし、先に彼氏と約束をしていたら、スキーには来てないと思うけど…』
『もし、“ダメ“って言われたら
嘘をついてまでは
来ていないと思うよ。』
『ふ~ん…
普通、彼女が他の男と
泊まりで出掛けるって言ったら行かさないんじゃない⁉』
真知子がそんな事を
言っていた
『真知子、
今日は、タイミング悪くて
ゴメン…
明日は、健ちゃんと二人になれるようにするから…』
『いいよ、いいよ…』
『せっかく
来たんだからさ…』
『実は…
隼人君のが
良くなっちゃった…』
『えっ⁉えっ⁉』
『ウソッ⁉』
『ゴメン…』
『え~っ……』
ゲレンデマジックだ…
いいのか⁉
最初に隼人君にスキーを教えてもらっちゃったからか⁉
真知子の恋心は
思わぬ方向へと
方向転換してしまったようだった
まぁ…
健ちゃんとまだ何も始まってもいない訳だし…
真知子が隼人君を気に入ってしまったのなら…
健ちゃんを無理矢理
押し付けるような訳にもいかないよな~…
真知子もいい子だし…
健ちゃんならバッチグーかと思ったんだけどな…
『そ~ゆ~事だから…
健ちゃんの話はなかった事に…』
『了解👍』
『じゃ、ラスト1本滑ってあがろうか⁉』
健ちゃんが声をかけて
6人してちょっと長めの
リフトへと並ぶ
『隼人君、一緒に座ろ‼』
隼人君に声をかけた
やった‼
頑張れ、真知子‼
と、思ったら
ちょっと長めのリフトは
4人乗りだった…(笑)
それでもなんとか
健ちゃんと真知子と
並んで座った
よっしゃ⤴⤴
滑り始めた
『隼人君
ちょっと、ちょっと…』
『ん⁉何⁉』
『ちょっと教えて欲しいところがあって…』
『なに⁉』
『ど~も、
板がバラけるんだけど…
どうしたら、隼人君みたいにシャッシャッていくのかな⁉』
なんて口実を作って
隼人君を呼び止めて
健ちゃんと真知子を
先に行かせた
(月)の夜中に出発して
(火)の朝には
スキー場に着くようにした一泊して
(水)夜に帰って来ることになった
一泊で2日間は丸々スキーが出来る
当日…
健ちゃんと徹君と
もう一人、仕事仲間の隼人君が加わり
香と真知子と私の
6人になっていた
健ちゃんの運転する車で、スキー場に向かう
助手席に隼人君が座り
次に私と真知子
後ろに徹ちゃんと香が座っていた
真知子は、面識がないから紹介していた
『こないだは、送っていただいて、
ありがとうございました。』
真知子が健ちゃんに声を掛けた
『私、スキー初めてなんです…
よろしくお願いします。』
早くも後ろから
徹ちゃんのイビキが聞こえてきた
『ホントに、後ろの二人はよく寝るんだよね~(笑)』
休みの日以外は、
綾野さんも何かと
帰りが遅くになる事も多かったし
私も仕事も学校があったから、なかなか逢うことが出来なかった
その休みの日も
都合が合わないと
半月も顔を合わせない
なんて事もあった
私は、毎日のように
香の店には寄っていた
『ね~、3月のスキーの話なんだけどさ、
第三の(火)(水)ならリンゴも行ける⁉』
香に聞かれた
『うん‼』
『じゃ、計画しちゃっていい⁉』
『うん、まかせるよ。』
『あっ…友達の真知子が一緒に行きたいって言ってたんだけど…
ダメかな⁉』
『健ちゃんと徹に聞いてみるよ。』
『よろしく‼』
真知子を健ちゃんに紹介するのにいいチャンスかなと思っていた
綾野さんとは
(火)の定休日には
デートを重ねていた
新しくオープンした
お店もほぼ順調に
軌道に乗りつつあるようだった
『夏になったら、真知子と沖縄旅行行くんだ。』
『そう。』
『真知子にね、
こないだ行ったホテルの話をしたら、真知子も行ってみたいって言ってたよ…』
『沖縄にも系列ホテルがあるから、
行くなら予約取ってあげようか⁉』
『直樹って、なんでそんなに収入があるの⁉』
『なんでって一生懸命働いてるからでしょ。(笑)』
『なんか副業してるの⁉』
『そんな時間ないでしょ。(笑)』
『あのホテルって会員制なんでしょ⁉』
『まぁ、そうだけど…
今の年までお金を使う事がなかったからね。
使う時間がなかったと言えばいいのかな⁉
やっぱり、今の倫子ちゃんみたいに、早く一人前になりたくて、仕事が終わっても毎日遅くまで練習してたから、必要最低限の生活費しか使わなかったから。
この年まで独身できたしね(笑)』
『でも、直樹のことだから、、彼女くらいはいたでしょ⁉』
『そりゃ~…
いないって言っても信じないでしょ⁉』
『うん…』
『まぁ普通にいたよ。
でも、若い頃は、気持ちに余裕もなかったんだろうな…
相手の事なんて考えてあげられてなかったから…』
『“縁“がなかったんだよ。』
『ねぇ、わかってる⁉』
『何を⁉』
『たぶん俺は、倫子ちゃんが思ってるより
何倍も、何十倍も倫子ちゃんの事が好きなんだよ……』
あまり感情を表に出すこともない直樹の気持ちを初めて聞いたような気がした……
夏になったら、また沖縄へ旅行に行こうと盛り上がって、旅行代理店にパンフを集めに真知子とやってきていた
何冊かのパンフを手にして眺めていた
『お日にちは、お決まりですか⁉』
『いえ、まだ全然
離島に行きたいと思って
いくらくらいかかるのか
下見に来ただけなんです』
代理店のお姉さんと
談笑していた
『あの…ホテルで○○っていくらくらいするんですか⁉』
直樹と泊まったホテルを聞いてみた
お姉さんが調べてくれた
『残念ながら、
○○は、こちらでは予約とれません。』
“⁉⁉⁉⁉⁉“
『会員制のリゾートホテルになります。』
『えっ⁉
そ~なんですか⁉』
会員制のホテルがある事すら知らなかった
グレードによって
金額は違うらしいが
何百万~何千万の会員権を購入して、私が想像してたほどは高くない宿泊料で利用出来るシステムらしい
宿泊料金はそんなに高くないとは言っても…
会員制て…
綾野さんて…
真知子とパンフを抱えて
ファミレスに入った
パンフを広げ
沖縄再訪へ向けて
盛り上がる⤴
久々に真知子と
逢う約束をした
『はいっ、お土産‼
偽装に名前お借りしました。』
『ありがとー。』
『こないだ、空港まで
迎えに来てくれた彼⁉』
真知子が聞く
『違うよ~、
健ちゃんの訳ないよ(笑)』
『あの人、彼氏じゃなかったの⁉』
『違う、違う(笑)
旅行は、お店の人と…』
『付き合ってるって
言ってないの⁉』
『まだね…
なんとなく…』
『空港に迎えに来てくれた人は⁉』
『家を塗り替えしてくれたペンキ屋さん、友達仲間の一番上のお兄ちゃんて感じかな⁉(笑)』
『そ~なんだぁ~。
イケメンだよね。』
『え~っ(笑)
真知子のイケメン基準
低~(笑)』
『そっかな~⁉
ペンキ屋さんなんだ~
だから、引き締まった
細マッチョ
タイプ~⤴⤴
紹介してよ』
『アハハハハ
伝えておくよ。』
『おはよう…』
『ん…おはよう…』
直樹の腕の中で
目覚めた
『大浴場行く⁉
部屋のジャグジーにする⁉』
『どっちでもいいよ…』
『じゃ…お湯入れてくるよ』
直樹がお湯を張りに
ベッドから抜け出た
二人でジャグジーに入った
『朝から贅沢気分だね⁉』
のんびりと浸かっていた
『日常から離れて
自分のメンテナンスを
しっかりする、
自己管理はきちんとしないとね。』
直樹が言った
『そ~だけどさ…
普通は、こんなの無理だよ』
『友達と来たかったら、いつでも予約とってあげるから言って。』
『無理、無理~…』
『遠慮しなくていいから…』
『今日は、どうする⁉』
『どうするって言われても…』
『じゃ~、ゆっくりメンテナンスして行こうか⁉』
『ひと休みしたら、
一緒にジャグジー入ろうか⁉』
『うん…』
部屋に戻ると
フルーツとチョコレートが届けられていた
ソファで寛いで
テレビを見ていた
その間に直樹がジャグジーのお湯をを入れてくれた
『お湯が入ったよ。
先に入ってるよ…
すぐおいで…』
『うん…』
お風呂を覗くと…
泡でいっぱいになっていた
『キャーッ⤴⤴
すっご~い…
こんなの外国映画でしか見たことな~い…』
さっきのちょっと
凹んでた気分も
吹き飛ぶ
テンションMAX⤴⤴
一緒に入るのは
ちょっと恥ずかしいけど…
アワアワで隠れるもんね…
ササッとシャワーを浴びて直樹の横に入った…
二人で足を伸ばしても
向こう側につかないほど広い…
キャーッ⤴⤴
凄い すっご~い⤴
『元気になったみたいだね⁉(笑)』
『おきに召しますもなにも…
こんな広い部屋
もったいないよ…』
『私…3万しか持ってこなかった、足りる⁉』
『支払いの心配はしなくていいよ…』
『そ~ゆ~訳にはいかないよ。』
『いつもいつも奢ってもらう訳にはいかないから…』
『女の子は、そんな事心配しないでいいの。』
『しかもスーパースィートって何⁉』
『スィートは、スィートだよ。』
『て言うか…
直樹、大丈夫なの⁉』
『大丈夫じゃなかったら、来ないでしょ⁉』
『・・・・』
『下の大浴場も素晴らしいから、食事の前に行っておいで。』
“素晴らしいからって…
直樹はここに来たことがあるって事だよね⁉“
って聞きたかったけど…
余計な詮索はしちゃいけないって思った……
真知子には、事前に承諾をへて
お母さんには
真知子と温泉へ行くと嘘をついた
『どこ行くの⁉』
『お楽しみ…』
3時間ほど走り
ホテルについた
一目見て格式の高いホテルだとわかった
『こちらへどうぞ』
荷物を預け
ソファに座り
ウェルカムドリンクで
一息ついていると
そこでチェックインも
済ませられた
鍵を貰い
部屋へと通された
《ここよりスーパースィートのお客様以外の立ち入りはできません》
と書いた入口を抜けた所のエレベーターに乗った
入口のドアを2つ抜けた所が広いリビングになっていた
猫足の家具が
まるでテレビで見た
イギリスの宮殿の中のようだった
『うわぁ~っ
凄い‼』
リビングから目の前の広大に広がるゴルフ場が目に入った
部屋を見渡す
洋間のリビングに繋がって
8畳くらいの和室があり
横のドアを開けたら
ベッドルームがあり
もう一つのドアを開けたら
ジャグジー付きの
大理石のお風呂になっていた
“凄すぎる“💦💦💦
『こんな部屋見るのも初めて…』
綾野さんは笑って
『おきに召しましたか⁉』
と聞いた…
そんなでお正月休みは
アッと言う間に過ぎていった
また、慌ただしい
日常が始まっていた
ただ違うのは
出勤しても
綾野さんが居ないと言うことだった
綾野さんが居なくなって
新しいスタッフも加わり
お店の雰囲気もちょっとづつ変わっていたように思う
そんなある日
先輩の百合子さんと
お昼が一緒になった
『私、お店辞めるんだ…』
『えっ⁉』
百合子さんは、
私が入った当初から
色々と細かい事まで
指導してくれた先輩だった
『最近、腰痛酷いし…
少し休もうかなと思ってさ…
綾野ちゃんも居なくなっちゃって、、
なんか張り合いもなくなっちゃった…』
『・・・・』
『綾野さん⁉』
『なんかさ…
色んな意味で目標だったんだよね。
しんどい時とか
何気に声かけてくれたりして、“頑張らなきゃ“って思えたのが、なくなっちゃった感じでさ…』
『もしかして…
百合子さん⁉』
『ちょっとね…』
“え~っ…“
そうだったの⁉
『あっ…でも彼女になりたいとかはないよ。
あの人厳しそうだから(笑)』
『厳しい⁉』
『完璧を求められそうでしょ⁉
私生活見えないしね。(笑)』
そんな事を言っていた…
私は微妙に感じてた
『お腹、空いてない⁉』
『大丈夫、途中のドライブインでいっぱい食べてきた。直樹は⁉』
『一日、動いてないから、減ってないよ。』
『じゃ、家でいいかな⁉』
『うんっ。』
コーヒーを入れてもらった
『はいっ、お土産‼』
お土産のお酒を渡した
『綺麗な瓶だね。』
『そ~でしょ~。
お酒のことは、わからないけど…
瓶がキレイだったから。』
『ありがとう。』
『で、スキーは、どうだったの⁉』
『うん、楽しかった⤴
…………
………
……
…………
………
……………
…………
………』
初めて見たゲレンデがキレイだったことや
最初は滑れなかったこと…でも、最後は山頂まで行ってきたこと
アップルパイが
美味しかったこと
話したい事は
いっぱいあった
綾野さんは
“うん、良かったね“
“それで⁉“
って、聞いてくれてた
4人で板をかついで
ロープウェイに乗る
“ヒェ~ッ…“
昨日まで滑ってたところより何倍も長い距離だ
『香、大丈夫かな⁉』
『二人してこのまま下る⁉』香が言った
『せっかく来たんだからさ、一度は山頂に立たなきゃなっ‼』
徹ちゃんが言った
山頂に降りた
回り道の林間コースもあって、林間コースは比較的なだらかだから大丈夫だと促され、滑り出した
朝一と言うこともあり
新雪で滑りやすかった
健ちゃんと徹ちゃんが
下手っぴな私と香をフォローしてくれた
暫く滑った所で
上級コースと
林間コースに別れていた
私と香は林間コースへと回って上級コースの下へと出た
二人が無事辿り着いたのを確認した健ちゃんと徹ちゃんが上から滑ってきた
別名 断崖 と言われる上級コースを二人は
シャッ、シャッ、と
リズミカルに下りてくる
アッと言う間に下りてきた
回りから歓声が上がった
シャッと雪をかけ止まった
『すご~い⤴
健ちゃんカッコイイよ~‼』
『だべ~‼』
また合流して滑って行った
何本か滑ってから
ホテルに戻りチェックアウトして、家路についた
『どうぞ…』
カウンターに並んで座った
カウンターの奥がガラス張りになっていて
ライトアップされたゲレンデが見えていた
健ちゃんは、ロックを頼んでいた
私は、
『お酒、よくわからないので…』
と言ったら
お勧めのカクテルを作ってくれた
色が層になってて
口当たりがやわらかく
飲みやすかった
『美味し~い⤴』
バーテンダーの人が
中でニコッと微笑んだ
あまりにも美味しくて
もう一杯もらった
『結構、降ってきたね。
明日、帰るんだね…』
『朝一で滑って
昼にはあがるよ。』
『せっかく滑れるようになったのに…
もう帰るんだぁ~…』
『また来ればいいだろ…』
『来ればって…』
『連れてきてやるよ…』
『香、お風呂行かない⁉』
『そ~だね。』
香と二人で大浴場へ向かった
『気持ちイィね~
温泉大好き⤴
生き返る~。』
私が言ったら
『生き返るって…
死んでないし(笑)』
香が言った
さっぱりしてお風呂を出た
『私、ちょっと電話してくるわ…』
『あ~、じゃ先に部屋に戻ってるね。』
綾野さんに電話を掛ける
トゥルル~🎵
トゥルル~🎵
トゥルル~🎵
☎『もしもし…』
☎『もしもし…』
☎『何してたの⁉』
☎『寝てた、倫子ちゃんは⁉』
☎『香とお風呂入ってきたところ』
☎『楽しんでる⁉』
☎『うん⤴、ものすごくスキーって楽しい⤴』
…………
……………
………
…………
……
☎『明日、帰るから』
☎『家に来る⁉』
☎『うん……』
電話を切った
身支度を整え
ゲレンデに出た
『空気が
冷たくて甘いね。』
『甘い⁉(笑)
甘いじゃなくて、
寒いだろ⁉』
『違うよ、甘いよっ‼』
『そっかぁ~…⁉
じゃ、準備体操‼』
『いち、にっ、さん、し~…』
『ちゃんと真面目にしないとケガすんぞっ‼』
『は~いっ✋』
『じゃ、今日は上から行こうか⁉』
『・・・・』
『大丈夫だよ‼』
中級クラスのリフトに乗った
滑り出す
『あれっ⁉あれれっ⁉
なんか上手くね⁉』
『新雪だから滑りやすいんだよ。(笑)』
『なんか、一晩寝たら
上手くなったかと思った(笑)』
何本か滑って…
『健ちゃん、上行ってもいいよ。
一人で大丈夫だから…』
『い~よ。
付き合っててやるよ。』
『もう少しさ、膝を柔らかくして、気持ち板を揃えてみ。』
『うんっ‼』
部屋に戻って
ご飯を食べに行った
美味しい肴と
升に入ったにごり酒
升の端に塩がついていた
『飲んでみる⁉』
健ちゃんの升酒を
ちょぴっと舐めてみる…
にごり酒なんて
初めて口にした…
『美味しいね…』
『だろ~っ‼』
『うんっ⤴』
『スキーの後の
これが飲みたいから
来てるようなもんだ。(笑)』
健ちゃんは、東北人だからか
お酒がめっちゃ強い
お腹もみたして
ほろ酔い加減で
部屋に戻った
少し休んで
お風呂へ行って
今度は部屋で酒盛りした
『なんか、あっちこっちがパンパンッ』
『転んでばかりいたから、膝がアザになってたよ~。』
『ほらっ、寝転がってごらん…』
健ちゃんがマッサージしてくれた
『ヘタクソはよ、
力むから、あっちこっちに力が入って筋肉痛になんだよ(笑)』
『キャ~ッ痛い💦』
『ほぐしておけば
明日、楽だから…』
『キャ~ッ
イテテテ~ッ……』
『そっちじゃね~よっ』
“ニカッ“
『こっち。』
『え~っ……』
『大丈夫だから‼』
健ちゃんに促され
ちょっと長いリフトに乗った
『大丈夫かな⁉』
『大丈夫でしょ(笑)』
リフトは長かったけど
斜面的には同じだった
トロトロ滑る
私の回りを
健ちゃんが滑ってくる
端っこで向きをかえられずに立ち止まっていると
『俺の後についてきな‼』と、健ちゃんがちょっと先を滑って行った
健ちゃんの後を
必死に着いていく
なんか上手になったような錯覚になる(笑)
『足元ばかり見ないで
先を見て滑ってごらん‼』
『うん…』
『なっ…
ホラッ、もっと力を抜いて…』
健ちゃんの言う通りにすると、上手く滑れる⤴
あっと言う間に
下まで滑ってきた
『良くできました‼』
『ありがとう、
健ちゃん‼』
『もう1回行くか⁉』
『うんっ⤴』
『健ちゃん、スキー上手いね。』
『あたりめ~だろ‼
健ちゃんは、国体レベルだからさっ。』
徹ちゃんが言った
『国体⁉』
『昔な…』
健ちゃんが答えた
『そ~なんだ~…
だって、私が掴まってもコケないもんね。』
爆笑
『ホントに健ちゃんて
なんでも出来るスーパーマンみたいだね。(笑)』
『お腹もいっぱいになったし、もうひと滑りすっか⁉』
『うん⤴』
『俺と健ちゃんは、上まで行ってくっから
香と倫子ちゃんは下でチョロチョロしてろよ。
もう、二人でも大丈夫だろ⁉(笑)』
って徹ちゃんが言った
私と香は
ヘタクソ初心者だったが
初めてやったスキーが面白くて
夢中になっていた
健ちゃんと徹ちゃんは
上級コースへと行った
『ほらっ…今だっ‼』
健ちゃんの掛け声でおりた
ヒェ~…
リフトの降り口は
何人もに踏み固められ
ガリガリとアイスバーンになっている
そのまま滑れって言われたって…
もれなく、、ベタッ
コケた⤵
『後ろに迷惑かかるから、早くこっち来いよ(笑)』
『ほらっ…』
健ちゃんに支えられたまんま滑る
『板をハの字にして、エッジを立てて』
『ん⁉エッジ⁉』
ドテンッ
コケまくり💦
それも、3時間くらいしたらなんとか、ゆっくりとならコケまくりながらボーゲンで滑れるようになっていた…
夢中になっていた
『ちょっと休まない⁉
お腹空いたし…』
健ちゃんが言った
『うんっ…』
下までおりたところで
徹ちゃんと香を待っていた
『キャハハハ
香、コケとる~
ウケる~‼』
『人のこと笑えないでしょ(笑)』
板を履いたら…
最初は、歩くことも出来なかった(笑)
『じゃ、こっち行くから』
『ハの字を逆にしたようにあるいておいで』
と少しだけ坂になった所を登らされた
少し登ると
ズルズルと下がってしまいコケる
コケると自分では立ち上がる事も出来なかった
『ほら~っ(笑)』
健ちゃんが助けてくれる
何回かそんな事をやらされてから、
『リフト行こうか⁉』
『大丈夫かな⁉』
『俺がついてるから大丈夫だよ‼』
リフトに並んでいるのも大変だった(笑)
ズリズリと後ろに下がってしまう(笑)
『ほらっ、俺の前に来いよ。』
『エヘヘッ…』
『エヘヘッじゃね~よ。』
めっちゃ緊張
初リフト
緊張、緊張、緊張💦💦
『ほらっ…』
リフトに腰かけた
グンッグンッグングンッ🎵と振動が体に伝わり
リフトはゲレンデの上へと上った
『どう⁉』
『どうって…ド緊張…』
『着いたら、まんま下へ滑っていけばいいから』
『滑ってて…⁉』
宿泊するホテルに到着した
『健ちゃん、
お疲れさま‼』
荷物をクロークに預け
お茶をしに行った
私は、
コーヒーとアップルパイ
健ちゃんは、
コーヒーとチーズケーキ
香と徹ちゃんは
コーヒーだけ飲んでいた
このアップルパイが
サックサクで
大きめのリンゴがシャクッと少しだけ食感を残し
アーモンド風味の粉を座布団にして、シナモンが香る
私は、このアップルパイの虜になり、1日何個も食べることとなる(笑)
少し休んでから
ウェアに着替え
板と靴を借りて
ゲレンデへ
初めて
スキー靴を履いて歩くのは大変だった
『さっ…準備体操しよか⁉』
健ちゃんが言った
『準備体操⁉』
『そ~だよ、捻挫したくね~だろ⁉』
健ちゃんに言われるまま体操をした(笑)
『じゃ、とりあえず~
徹は香ちゃんで、
俺は倫子ちゃんのお守りで(笑)』
『おもり⁉』
『そう、お守り(笑)』
『お風呂は⁉』
『まだ、だけど…』
『入っておいで、
俺は、さっき入ったから。』
『うん、、じゃ~お借りしま~す。』
『そこにあるタオルとか使っていいから…』
脱衣場の所のロッカーに
きちんとたたんで
タオル類が積み重ねられていた
綾野さんらしい(笑)
お風呂場もきちんと整理されていた
結構、神経質なタイプなのかも…
オゥオゥ⤴
さすが、いいシャンプー使っているな…
ナルシス綾野(笑)
『ありがとう、さっぱりした~。』
『ブローいたしましょうか⁉』
『いや、めっそうもない…』
『ささっ、遠慮なさらずに、こちらへど~ぞ(笑)』
綾野さんに2度目のブローをしてもらった
綾野さんの指先は
優しくキレイに動きで
ホントに魔法みたいだ…
『さぁ~どうぞ‼』
綾野さんにエスコートされるまま着いていった
ホテルの一室だった
『シャンプーしておいで。』
『えっ…えっ…⁉』
『ブローしてあげるから…』
モジモジしていると…
『お腹空いたろ⁉
早くシャンプーしてきなさい。』
『嫌じゃなかったら、わたくしがシャンプーしてさしあげますよ⁉』って…
『それは、遠慮します…』
シャンプーしてきた
『ハイッ座って‼』
ドレッサーの前に座り
綾野さんがブローしてくれた…
綾野さんの魔法にかかる…
ごくごく普通のどこにでもいる
ごくごく普通の女の子が…
綾野さんの魔法にかかって…
ツヤッツヤッの髪の毛になる…
『アップする⁉』
綾野さんに聞かれた
『いや…普通で…』
普通にしてもらった
普通だけど…
綾野さんの手にかかると普通じゃない(笑)
『ハイッ出来た‼』
2時間楽しんで
『次、行こうか⁉』
綾野さんが言った
『次⁉』
『そう、、じゃ~入口で待っているから…』
綾野さんに手をひかれ
着いて行った
ゲッ…
エステって書いてある…
こんな所入った事もない
『大丈夫だよ。
まかせて‼』
綾野さんは笑ってる。
『綾野様、お待ちしておりました。』
ソファに座り
体調やら好みのアロマやらとカウンセリングを済ませて個室へと誘導された
用意された紙パンツ1枚になりうつ伏せに寝転がる
ウォ~、ベッドが温かいよ~😲
背中にアロマオイルを塗られ、マッサージをされる
アロママッサージなんて初めてだった…
超気持ちイィ⤴⤴
たまらん⤴⤴⤴
『肩凝りしてますね~⁉』
『肩も腰もカチカチです…』
『ですね…』
はぁ~気持ちイィ⤴
2時間のスペシャルコースだった
『お疲れさまです。』
ハーブティが出された
全てが初めて体験した
夢心地の時間だった…
『おはようございます。』
『おはよう‼』
車を走らせる
いつも綾野さんは
オシャレさんだ…
ちょっと凹む⤵
『大丈夫ですか⁉』
『大丈夫だって言ったろ。
たまには、お店から離れて
リフレッシュと充電することが必要なんだよ。
今日は、一緒にリフレッシュだ。』
『ハイッ…』
素直に、嬉しい⤴
綾野さんの運転は
安心して乗っていられた
煽られるような事もなかったし
車が静かだったのもある(笑)
2時間程走らせた所で
大きな高台のホテルの駐車場に車を入れた
『行こうか⁉』
『へっ⁉』
『リフレッシュ‼』
綾野さんの後について
歩いて行く
途中、綾野さんが振り返りニコッと笑って、腕を出した。
綾野さんの腕に腕を絡ませた。
ホテルの入口を入り
中に歩いて行く
吹き抜けのエントランスを抜けた
奧にスパ施設があった
『ねぇ、倫子ちゃん…』
『ハイッ。』
『無理して物わかりのいい大人になんてなろうとしなくていいよ…
倫子ちゃんは、年相応だと思うよ…
よく努力してるし…』
『倫子ちゃんのファンがいるの知ってる⁉』
“⁉⁉⁉“
『お店にくる常連の野村様とか…』
『野村のおばあちゃん⁉』
『そう、、いつも優しく気遣ってくれるって喜んでるんだよ。
前よりも倫子ちゃんの顔見たいってよく来るようになってる…
膝の具合どうですか?
っていつも膝掛けしてあげてるでしょ?
シャンプー台に移る時も、必ず手をひいてくれるって…すごく喜んでる。』
『他のスタッフも皆してることですよ…』
『そうだね…
でも、違うんだよ…』
『いつも、小さい野村様の目線の高さに合わせて
しゃがんでるでしょ⁉』
『あぁ…』
『意識してなかったの⁉』
『はい……』
『いい子ね、大好きって言ってたよ。』
『そうなんですか…
嬉しいな…』
『ちゃんと見てる人は見てるんだよ…
俺もそんな倫子ちゃんのファンなんだ…』
『・・・・』
『って言うより、
そばに置いておきたい…
抱きしめたいって思う…』
『ごめん…
寂しい思いをさせたみたいだね…』
綾野さんが横に座り
優しく抱きしめてくれた
『今日、お店行って綾野さんが休みだって初めて知って…』
『そうか…ごめん…』
『いつも接客してるから、たまに一人でフラ~ッとドライブしたり…
静かな美術館巡りをしたりするのが好きなんだよ…』
『綾野さんは、一人になりたいって事ですよね⁉』
『私なんて、面倒臭いですよね⁉』
『そ~じゃないよ…』
『倫子ちゃんには、倫子ちゃんの時間が必要だし…
俺には、俺で一人の時間も大切なんだよ…』
『私は…
綾野さんみたいに大人じゃないから、、、
休みの日は一緒に居たいって思っちゃいます。』
『そうか…そうだね…
ごめん、、
わかってあげられなくて…』
『今が新店舗オープン前で、忙しい時だってわかってるつもりです…
でも…
私はやっぱり物わかりのいい大人じゃないから無理です。
ごめんなさい…。』
綾野さんの腕から
逃げるようにして
マンションを後にして必死に走っていた…
『じゃ、行ってくるね~』
『ちゃんとお礼言っておいてよ~。』
『わかってるよ。』
香の店に向かって歩いていた
プップ~ッ🎵
車のクラクションの音に
振り返ると
健ちゃんだった
『よ~っ✋』
『ナイス、タイミング👍』
『お母さんが、ご馳走様ってさ。』
『食いきれないからよ。』
一緒にウェアを買いにスポーツ屋さんに行った
これがい~とか
あれがい~とか
似合うとか似合わないとか…
『他の店も行ってみるか⁉』
『うん⤴』
健ちゃんの車に乗り込み
スポーツショップ巡りをした
『健ちゃん、付き合ってくれて、ありがとうね。』
『俺も手袋欲しかったからついでさ。』
『楽しみだな…』
『うん⤴』
『腹減ってない⁉』
『減った。』
『お母さんが、今日きりたんぽ鍋にするって言ってたから、嫌じゃなかったら家に来ない⁉』
『いいの⁉』
『もちろん(笑)』
『いつも、こんなに美味しいお食事ご馳走にばかりなってて…
高いし、、、心苦しいんですけど…』
『遠慮しなくていいんだよ。』
『でも、この前、お蕎麦食べに行ったじゃない…
俺も、お蕎麦好きだから、嬉しかったよ。』
“⁉⁉⁉⁉⁉“
『女の人って、フレンチとかイタリアンとかが好きなのかなと思ってたよ(笑)』
『たまの特別な日にはフレンチとかイタリアンとかって盛り上がりますけど…
普段は、高くて食べられないですよ…』
『きっと綾野さんが、そうゆうのが似合うステキな女性と付き合ってたんだと…』
『そんな事ないよ。』
『そんな事、思ってたの⁉(笑)』
『私なんかじゃ、釣り合わないなって……』
私、何を言い出してるんだろ………
次の日は休みだった
いつものように
香の店にいた
『どうなった⁉』
『どうなったって…』
『例の憧れのさ。』
『変わりはないよ。
昨日もご飯だけ食べて
送ってもらった。』
『ふ~ん。』
『週に1度だけ、ご飯奢ってもらうって、付き合ってるって言えるのかな⁉』
『さぁ~⁉(笑)』
『なんか綾野さん、緊張しちゃうんだよね…』
『倫子はさ、女子校だったからじゃない⁉』
『そ~かな~⁉』
『綾野さんて、大人なんだよ。』
『そ~、大人なんだよね…』
『やっぱ美容師の男の人って、女慣れしてるんじゃないの⁉』
『今度、リンゴの店に綾野さんとやらを偵察行ってみようかな⁉(笑)』
『そ~してよ。
私、見る目がないからさ。(笑)』
そんな香と会話をしていた。
15分ほどでバスルームから出てきた
タオルで濡れた髪の毛を拭きながら
Tシャツにスウェットを履いていた
お店では決して見ることはない姿
『ゴメン、待たせたね。』
『疲れてるのに、図々しくお邪魔しちゃったのは私ですから…』
『そろそろ帰りますね…』
『明日、休みでしょ…
泊まっていかない⁉』
『・・・・』
ご飯をご馳走になって
ノコノコ一人暮らしの男の人の家にあがりこんで…
帰りますね、、は…
ないだろう⁉
って、私も思ってはいた…
軽はずみに来てしまったな…
『困ってる⁉』
『ハイッ…』
『もうちょっと待ってよ。髪の毛乾かしたら、ちゃんと送って行くから。(笑)』
『俺、焦ってないから…』
年上の余裕だろうか…
そんな事があっても
綾野さんはお店では
今までと変わりない
次の週にまた仕事が終わって、食事に行った
『これ、家の電話番号だから、いつでも電話していいから…』
『あの…お休みの日は何をしてるんですか⁉』
『今は、新店舗の準備に追われてる…
普段は、掃除とか、洗濯したり…
一人暮らしだから。』
『忙しそうですね…』
『あぁ…』
ちょっと疲れてるように見える
いま一歩、綾野さんには踏み込めない感じがしていた…
『新店舗オープンはいつの予定なんですか⁉』
『一応、年明けの予定』
『じゃ、益々忙しくなりますね…』
『これから…よかったら、家来る⁉』
『大丈夫だから(笑)』
家来るって言われても…
一人暮らしとわかってて、ついて行くって…
そ~言えば…
唯のママが言ってた言葉を思い出していた
『なんか、本物の社長さんとか、偉い人とか、出世する人って、ただ座ってるだけで、オーラがあるんだよ。
存在感て言うのかな⁉
自信に充ちてて、秘めたる熱い炎が燃えてる威圧感がある。
いくらお金を持っててチヤホヤされて派手に使ってても、人間として魅力のない薄っぺらな人には誰もついていかない。
ペラペラな感じ。』
『人並み以上の事するには…人の何倍も努力をしなくちゃ、楽してたらなれないんだよ。』
お酒が入ると
ママは、よく人生についてみたいな事を話始めた
何度も聞いてる唯にとっては耳タコみたいだったが…
普通の家庭に普通に育った私は、深いと思って聞いていた
『静かな所で話をしたいんだけど…いいかな⁉』
『・・・・』
コーヒーを飲み終えて
綾野さんはフロントでカードキーをもらってきた
ここまでついてきて
子供じゃないんだから…
駐車場に車を入れた時点でもしかしたら…
とは思わなくもなかったが…
綾野さんにエスコートされエレベーターに乗り込む、部屋の前で
ピッ
とカードキーの音がした
綾野さんに促され
部屋に入った
足が動かない…
綾野さんが
突然ギューッ抱き締めてきた…
『くっ…苦しいよ…』
『ゴメン…
ずっと、こうしたかった…』
あのいつも冷静な穏やかな綾野さんが…
『座って…』
『ハイッ』
『ゴメン、驚かせたね…』
『・・・・』
お店が休みの日
香の店に来ていた
『なんかあった⁉』
察しのいい香が言った
『うん…』
『言ってみな⁉』
『お店のさ~…』
香にいきさつを話た
『で⁉』
『・・・』
『付き合うの⁉』
『綾野さんは、尊敬してる。』
『好きなの⁉』
『憧れはあるけど…
好きか嫌いと言われたら…嫌いじゃないよ…』
『じゃ、付き合えばい~じゃん。』
『でもさ…
同じ店って気まずいよ…』
『また~…“でも“とか言ってるよ(笑)』
『もてるし…』
『もてない男なんて魅力ないんじゃないの~⁉』
『綾野さん目当てのリピーターも多いし…』
『でもさ、その人がリンゴを選んだ訳じゃん⁉』
『・・・』
『まだ、引きずってんの⁉』
『まずは塩だけで食べてみて。』
綾野さんが言った
塩をちょっとだけつけて
食べてみた
甘い⁉
肉汁が口に広がり
甘味があって
数回噛んだだけで
喉へと流れていった…
今まで食べてたステーキとはあきらかに違うというのは、十分にわかった…
『美味しい⁉』
『ハイッ、とっても‼』
『どうぞ‼』
色気より食い気…
夢中で食べていた
お箸が嬉しい
目の前で野菜が焼かれていた
『ごちそうさま』
『美味しかったです。』
『それは、よかった。』
横で綾野スマイルに見つめられると…
照れちゃうじゃないか…
ガツガツ食べていた自分が急に恥ずかしくなっていた…
『綾野様、こちらへどうぞ。』
『ありがとう。』
何かと思ったら…
デザートと食後の飲み物は
別室に通された
『お飲み物は⁉』
『コーヒーで…』
綾野さんが私を見る
私もと軽く頷く
落ち着いた席で
シャーベットと
コーヒーが出された
綾野さんが目で合図して
先に店を出た
『お先に~‼』
『お疲れさまで~す。』
暫くしてから
私も店を出て
角を曲がった所に
綾野さんの車が停まっていた
『お邪魔します。』
『ど~ぞ。』
『何、食べたい⁉』
綾野さんは、必ず聞いてくれる。
『あの…
緊張しないところで…』
『肉⁉魚⁉
どっちがいい⁉』
『お肉のがいいかな…』
『了解』
車を走らせた
暫く走って
店の駐車場に車を入れた
焼肉でも行くのかなと
思っていたのに…
ステーキハウスと
書かれた店だった
入り口でスーツを着た人がドアを開けくれた
『綾野様、どうぞ』
名前まで知ってるんだ…
鉄板が丸くなっている
中で目の前でコックさんがステーキを焼いてくれる店だった…
またまた、こんな店
緊張するじゃん💦
そんなある日
学校が終わって、
仲間数人と食事に行った
『最近どう⁉』
明君が言った
『何が⁉』
『仕事だよ。』
『人間関係がさ…』
『何かあったの⁉』
『なんか、やりづらくてさ…』
明君の店も
どちらかと言うと
大きなチェーン店だった
『一番下っぱだからさ、しょうがないんじゃないの⁉どこも同じようなもんじゃないの⁉』
と誰かが言った
『なんか、辞めたくてさ…』
明君が言う
『今は見習いなんだから
我慢して、
頑張るしかないよ。』
明君が言うには、仕事場に馴染めないらしい
イジメのような
仲間外れにされていて辛いと言うのだ…
どの業界にも
少なからず
イジメや仲間外れはあるのだろう…
仕事の辛さじゃなく
人間関係の辛さは
難しいものがある…
真智子の家に到着した
『ありがとうございます。
助かりました。』
『リンゴ、またね✋』
『またね~✋』
『健ちゃん、ホントにありがとうね。』
『いや、いいんだよ。
暇だったからさ…』
『でもさ、ちゃんと考えろよ、
俺が迎えに行かなかったら、どうするつもりだったんだか…』
『は~い…』
『じゃ、、
コーヒー1杯付き合えよ。』
『は~い。』
健ちゃんとファミレスに入った
『沖縄の海ってね
すっごくキレイなんだよ。
すっごく澄んでて、お魚がいっぱい泳いでるのが見えるんだよ。
バナナボートにも、乗ったんだよ。』
後から後から喋っていた
健ちゃんは
『うん、うん、それで⁉』
『うん、うん、良かったなっ。』
って笑って聞いていた。
コーヒー1杯だけ飲んで
『もう遅いから、、話はまた聞きたいから、この次に聞かしてよ。』
『うん、そ~だね。』
少し走って家に着いた
『健ちゃん、ありがとう
ホントに助かった。』
『ど~いたしまして。』
『ありがとう。』
『またね。』
『あぁ、続きの話楽しみにしてるから…
おやすみ✋』
『ありがと‼
おやすみ。』
『健ちゃん、お母さんに頼まれても断っていいんだよ。
健ちゃんはペンキ屋さんなんだからさ、大工さんじゃないんだから…
お母さんも、なんでも健ちゃんに言えば直してくれるって思っちゃって図々しいんだから、ごめんね。
健ちゃんも人が良すぎるよ…』
『いや、いいんだよ。
暇な時でいいからって、おばさんも言ってたしさ…』
後部座席で真智子と二人座っていた
『お腹空いてないの⁉』
健ちゃんが尋ねた
『ちょっと空いてる…』
『じゃ、ファミレスかどっか寄るか⁉』
『うん⤴』
で、、開いてた牛丼屋に寄っていた
『楽しんで来たのか⁉』
『うん⤴』
『でも、遊び足りない…』
『そりゃ、贅沢ちゅ~もんだ。
俺だって沖縄なんて行ったことないのに…』
ガツガツと牛丼を平らげた
『ごちそうさま。』
『私までご馳走になって、ありがとうございます。
ごちそうさまでした。』
真智子が言った
『ど~いたしまして‼』
『しかし、まぁ~、
ガツガツ牛丼平らげて、
色気ね~よな~。』
健ちゃんが言ってる
『健ちゃんに色気出したってさぁ~…(笑)』
『早く帰るべ、、
家で心配するからさ。
家に電話入れとけよ。』
公衆電話の横に車を停車してくれた
真智子と二人で家に電話を入れた
『今日は、朝から雨だったから、仕事が休みでさ』
『おばさんに、縁側の縁台の修理をを頼まれてたから、お前んちに行ったら…
おばさんから、今日旅行から帰って来るって聞いてさ…』
『雨で暇だったから…』
と言った
『えっ⁉えっ⁉』
『いつから来てたの⁉』
『昼過ぎくらいからかな…』
『え~っ⁉』
母には、帰りの便の時間までは言っていなかった…
昼過ぎから、ずっと
沖縄からの到着便が来る度に、見ていたというのか⁉
『いい暇つぶしになったよ。』
『健ちゃん、ありがとう。』
『だいたい、こんな時間に到着して…
どうするつもりだったんだよ⁉』
『・・・・』
『まったく…』
『ほらっ、荷物よこせよ。』
私と真智子の荷物を持って、スタスタと駐車場へと健ちゃんは向かって歩き始めた
『誰⁉』
真智子が聞く
『知り合いのペンキ屋さん。』
『すいません…
ありがとうございます。』
真智子が言った
『いや、気にしないで、
暇つぶしに来ただけだから…』
と健ちゃんが
笑って答えた
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
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