ー真実の愛ー
あの時、あなたに出会ってなければーーー
気付かなかったかもしれない、、、
本当の愛に。。。
※一部、不快に思われる場面があるかと思います。申し訳ありませんが、不快に思われた方はスルーをお願いします。🙏
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「いらっしゃいませ!」
亮ちゃんのお店も、ランチタイムになると、忙しかった。
でも、ここのファミレスの忙しさは半端じゃない。
接客業は経験あっても、慣れるまではちょっと大変そう。
でも、余計な事考えずに済むから、いいのかも、、、。
あれから、恭介からは何も連絡はない。
昨日、恭介の部屋から帰ってきて、亮ちゃんに電話して、、、
その日のうちに、今のバイトが決まって、今日から働いてる。
短い間に、いろんな事があって、、、、
やっぱり、戸惑っちゃうけど前に進んでいくしかないんだよね。
初日の仕事を終えて、ロッカールームで着替えながら、そんな事を考えていた。
バックを手に取り、いつものように携帯を開く。
、、、、亮ちゃん?
【バイト代の清算出来たから、取りに来て。
いつでもいいから。】
亮ちゃんからのメールだった。
「あ、、、」
、、、早いな、、。
このファミレスは、亮ちゃんのお店とは逆の方向にある。
亮ちゃんと顔を合わせたくなくて、わざとこの場所を選んだんだけど、、、。
それと、駅にも近くて電車でも通えるから、車も使わなくていいし。
アパートの最寄りの駅からでも、二駅で着くから、20分もかからない。
今日は、午前中からのシフトで、3時過ぎにはあがった。
時計を見ると、4時になろうとしている。
今から出れば、亮ちゃんのお店の営業時間が終わるまでには、充分間に合う。
【今から、行きます。30分くらい、かかりますが、、。】
私は、亮ちゃんに返信メールをして、店を出た。
アパートに戻った私は、そのまま車に乗り、亮ちゃんのお店へと向かう。
「どんな顔して、会えばいいんだろ、、、」
やっぱり、不安だった。
そんな事を考えているうちに、すぐ、亮ちゃんのお店に着いてしまった。
車を駐車場に止める。
、、、、、なんで、隠れてんだろう。私、、、、
「未来、、。」
!!
ゆっくり、振り向く。
「、、、、、、、亮ちゃん、、」
うつむき加減に、小声で名前を呼ぶ。
「今ちょうど、お客さん切れたとこだから。
入って。」
ドアを開けながら、立ち止まった私に気付いて、
「あ、、、明日、面接に来る子がいるんだ。」
「え、、? 、、、、あ、、、そうなんだ、、」
少し、複雑だった。
「入って。」
「あ、、うん」
亮ちゃんに促されて、私も中に入っていった。
何日も経っていないのに、この場所がなんだか遠くに感じてしまう。
ここは、何も変わってないのに。
変わったのは、
、、、、私、、、?、、、、、
「はい。、、バイト代。」
カウンターの中に入った亮ちゃんが、封筒を差し出した。
「あ、、、 、、、ありがとう、、。」
しばらく、沈黙が続く、、、。
何か、話さなきゃ、、
「あ、あの、、」
「新しい仕事、早く見つかるといいな。」
亮ちゃんは、窓の外を見ながら、煙草に火を点ける。
「あ、、、あの」
「え?」
「今日から、、、、働いてるの、、、。」
少し、驚いたような顔をして、
「そっか。 、、、、頑張れよ。」
どっちにしても、もう、、、、
亮ちゃんと会う事は、ないんだよね、、。
多分、今日が、、、最後、、、
いろいろあったけど、やっぱり、別れって寂しい、、、
「うん。 、、、、、ありがとう。 頑張る、、。」
話し掛けたのは、私なのに、言葉が出てこない。
何か、何か、、、
「ごめんな、、、」
え、、、!?
亮ちゃんが、いきなり謝ってきた。
「あ、、、!」
「未来を、、、傷つけて、、。」
「、、、、、、、、」
「俺、、、ほんと、進歩してないってゆうか、、、情けないよ、、。」
「言い訳に聞こえるかもしれないけど、、、、いや、言い訳だよな。」
吸っていた煙草の火を消して、私を見る。
「未来を傷つけるつもりじゃなかったんだ。
俺、、、、俺から、離れてく未来を手放したくなくて、、、それで、、、、、、ごめん、、、ほんとに、ごめん!」
ずるいよ、、、
「謝って済む問題じゃないって事ぐらい、わかってる!、、、、でも、今の俺にはこんな事しか出来なくて!、、、、」
亮ちゃんばっかり、、、、
カウンターに、額をつけたまま、必死で謝ってる。
私だって、
私だって、言いたい事、たくさんあるのに、、、
涙が邪魔をして、上手く言葉が出てこない。
何も言わない私に気付いて、亮ちゃんが顔を上げる。
声も出さずに泣いてる私を見て、亮ちゃんも、俯いたまま黙ってしまった。
そんな亮ちゃんを見ていると、なぜだか少し落ち着いてきて、、、。
「、、、亮、、ちゃん?」
「!、、、、、、ん?、、、」
「亮ちゃん、、、まだ、、、、、、響子さんの事、、、、忘れ、、られないん、、、じゃ、ない、、、?」
「!!」
涙でまだ上手く喋れなかったけど、一番気になってた事を思いきって聞いてみた。
「、、、、わかってた。、、、響子が、出て行った時から。だから、未来と付き合いだしても、いつか、未来も、、、って。」
「、、、、、、」
「どうしようもないな。、、、、、俺。」
「でもな、未来?」
「ん、、、?」
「未来が、離れていった事でさ、やっぱり俺は、響子の事、忘れる事が出来てなかったんだって、気づいたんだよ。」
「亮ちゃん、、。」
「今さら。なんだけどさ。」
「、、、、、。」
「いや、、、だから、その、、、未来には感謝してる、、。 ありがとな。
それと、、、、未来、ほんとにごめん!。」
「亮ちゃん、、、」
「俺にはさ、もう何もしてあげる事って無いけど、、。
もし、何かあったらいつでも、、、あ!」
「、、、、え?」
ちょっと、はにかみながら、
「俺はもう、必要ないか!未来には、あいつがいるんだもんな。」
嫌みじゃなく、素直な気持ちが伝わってきた。
けど、、、、、
もう、今さら、、、
あの日の事、話しても何にもなんないよね。、、、
亮ちゃんも、ちゃんと前を見て頑張ろうとしてるんだし、、。
ここで、あの話をしても、、、、
「未来?」
「え!?、、、、あ!う、うん、、、、、そうだよね、、。」
「え!?そうだよねって、他人事みたいじゃん。」
不思議そうな顔をして、亮ちゃんが聞いてくる。
「あ、、、いや、」
「あ、ごめん、ごめん!余計なお世話か!」
あ、、、、
その時、
お店のドアが開いて、お客さんが入って来た。
「あ!いらっしゃいませ!」
亮ちゃんが、お冷やとおしぼりの準備を始めようとする。
「じゃあ、私帰るね。、、」
小さい声で、話し掛ける。
「あ、ごめんな。」
軽く頭を下げて、私を見る。
「ううん。 、、、ありがとう、、、。」
急いで、カウンターの椅子から立ち上がり、ドアに向かった。
お店の前を通る時、ちらっと中を見る。
いつものように、亮ちゃんがコーヒーを煎れていた。
亮ちゃん、、、、元気でね。
心の中で呟く。
駐車場に戻った私は、もう一度、お店の方を振り向き、そして車に乗り込んだ。
「あ、店長!お疲れ様です。」
店長と言っても、女性だ。
「ちょっと未来ちゃん~、(店長)は、やめてよ。仕事以外では、名前で呼んでね~。」
にこにこ笑いながら、店長が自分のロッカールームを開けている。
「あはっ、すいません。上原さんー!」
私も、笑いながら言葉を返した。
上原さんは、45歳。
ご主人と、大学生になる子どもさんがいる。
ご主人の仕事はサラリーマンなんだけど、最近の不景気で大変らしい。
子どもの学費もかかるという事で、ここで働いているって言ってた。
「どう?仕事。 少しは慣れた~?」
この一週間で、随分仲良くなって、何かと気にかけてくれる。
「あ、はい。 なんとか。」
私に、両親がいないという事は、面接の時に上原さんに話したので知っている。
だから、娘みたいに思ってくれてるらしい。
「未来ちゃんは、飲み込みも早いし、助かってるよ~。
ただ、あんまり無理しちゃダメよ。」
もし、ママが生きてたら、ママも、こんなふうに言ってくれたかな、、、、。
「未来ちゃん?」
「あ! すいません!
考え事してて!」
「そう?」
また、上原さんはにこにこ笑ってる。
「あの、上原さん!」
「ん?何?」
「仕事もして、家の事もして、大変じゃないんですか?」
しかも、店長までやってる。
素朴な疑問だった。
「うーん、そうね~。
全然大変じゃないって言ったら、うそになるけど。
うちの店ね、従業員の管理がしっかりしてて。」
着替えを終えた上原さんが、バックを抱えて、ロッカールームに備え付けてある椅子に座りながら、話し出す。
「私、店長やってるけど、ちゃんと休みもあるし。深夜に働く事もないしね。でも、ちゃんと店長手当てももらってるから。」
私も、着替えを終えて、上原さんの隣に座った。
「シフト決めの時もね、本部から社員が来て、一緒に決めるようになってるのよ。だから、私の負担も小さいし。」
「そうなんですか!?」
「うん。でも、珍しいんじゃないかな?うちみたいなお店。」
この業界の事は、私はよくわからないけど、本当に働きやすいところなんだと思った。
「あ、でも、一緒にシフトを決めるには、スタッフの事もちゃんと知らないと決められないんじゃないんですか?」
「そう!だからね、担当の社員は、ここの従業員の事、よく知ってるし、結構、頻繁にお店にも来てるのよ。」
「え!?そうなんですか?」
「あ!って言ってもね、監視とかっていう事じゃなくて。
従業員の悩み?とか、う~ん、苦情を聞くため?あとはいい意味で、任せられてるって感じ。」
「そうなんですね~。」
「そう。 だから、私でも長く働いていられるのかな。
うちのお店は、本部がしっかりしてるって事ね~。」
私も、教員の採用試験の勉強するために、夜は入ってないけど、何も言われた事がない。
そんなお店で、働ける私は幸せだよね。
ますます、勉強も仕事も頑張ろうって思っちゃう。
こんなふうに、前向きな気持ちになれたのって、久しぶりだな。
でも、、、、
恭介、、、、、
あの日から、一切連絡がない、、、
亮ちゃんのお店、辞めた事、、、知らないだろうし、、、
もし、知ったらーーー
、、、、、亮ちゃんに、あの事、、、、、
話す、、、、、?
「未来ちゃん?」
上原さんの声に、はっとする。
「あ、すいません!また、考え事しちゃって、、。」
「未来ちゃん。
何かあったら、言って。
あ、余計な事かもしれないけど、ね。」
「あ、、、いえ。 あ、、、、ありがとうございます。
何かあったら、相談に乗って下さい。」
「ふふっ。わかった!」
上原さんが、さっきみたいに、また笑った。
私には、上原さんの優しさが、嬉しかった。
「そろそろ、帰ろうか?」
椅子から立ち上がった上原さんが、言う。
「あ、はい。」
私も立ち上がり、バックを手にとって、上原さんと一緒に裏口から出た。
上原さんは、自転車で10分ぐらいの所から通っている。
「じゃあ、またね~。」
「あ!お疲れ様でしたー。」
上原さんと別れた私は、駅へと向かう。
、、、、、、、、
どうしよう、、、
連絡、、、、、、した方がいい?、、、
立ち止まって、携帯を開く。
恭介、、、、
なんで、急に連絡して来なくなったんだろう、、、
やっぱり、亮ちゃんのお店辞めた事、言った方がいいよね、、。
亮ちゃん、、、、
やっと、響子さんの事、乗り越えようとしてるのに。
いろいろあったけど、
やっぱり、亮ちゃん、、、と、響子さんの大事なお店を潰すような事は出来ないよ、、、
「未来さん?」
突然、名前を呼ばれて、驚いて辺りを見回す。
「やっぱり!」
「え?」
声のする方に目をやる。
「何してんすか!こんなとこで~。」
「あ、、!」
竣也だ。
車の運転席から、顔を覗かせている。
「あ、、、、、の、、」
どうしよう、、、
なんて言おう、、、、!
「もう、やめてよ!」
「だったら~、なんで~こんなとこに~いるんすか~」
はぁ、、、
軽い溜め息をついた。
、、、あ!こんな事、話してる場合じゃない!
なんとか、ごまかさなきゃ!
「竣也くんこそ!、、、何やってんの、、、?」
とっさに思いついて、質問した。
「あ、おれ、、、恭介さん、迎えに来たんすよ!」
え?、、、
そうだった、、。
この街に、恭介は住んでて、そして、この駅は、あの朝、竣也が私を送ってきてくれた駅だった。
、、、!
「、、、迎えにって?」
「あれ?知らなかったんすか?
恭介さん、あれから仕事で出張しててー、今日、帰ってくるんすよ!」
、、、、、そう、だったんだ、、、
だから、連絡、なかったんだ、、、。
「だから、おれ、てっきり未来さんが迎えに来てるんだとばっかり、思ってたっすよ。」
なんで、そんな事、、、
私が、知ってる訳ないじゃない、、。
「何を、ブツブツ言ってる。」
聞き覚えのある声に、はっとする。
振り向きたくない、、、
このまま、聞こえなかったふりをして、帰りたい、、、!
「恭介さん!お疲れっした!」
竣也が、大きな声で言いながら、急いで運転席から降りてきた。
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