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きぃ( ♀ bh2hi )
10/03/17 21:58(更新日時)

あの時、あなたに出会ってなければーーー


気付かなかったかもしれない、、、





本当の愛に。。。



※一部、不快に思われる場面があるかと思います。申し訳ありませんが、不快に思われた方はスルーをお願いします。🙏

No.1229340 10/01/23 20:56(スレ作成日時)

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No.1 10/01/23 21:28
きぃ ( ♀ bh2hi )

「いらっしゃいませー」

お店のドアが開く。


「あ、未来ちゃん。おはよう。いつものコーヒー!」

常連さんが私に、コーヒーの注文をする。


「おはようございます。ホットコーヒーですね~。」


カウンターに座った常連さんに、お冷やを出しながらー

「マスター!ホットコーヒーひとつお願いします!」

No.2 10/01/23 21:38
きぃ ( ♀ bh2hi )

「了解!」

カウンターの中に居るマスターが、返事をしながら、常連さんと話をしてる。


そしてまた、お客さんが入って来るー


朝の8時からモーニングコーヒーを飲みに来るお客さんで、小さいお店はいっぱいになる。


私は、このコーヒーの香りが大好きだ。

だから、ここでバイトする事に決めたぐらいだった。

No.3 10/01/23 22:01
きぃ ( ♀ bh2hi )

5人が座れるカウンターと、2人掛けのテーブル席が3つに、4人掛けのテーブル席が2つ。

決して大きいとは言えないお店ーーー


でも、マスターが煎れるコーヒーは結構人気がある。


常連さんを含め、他のお客さんもマスターのコーヒーを気に入って通ってきてくれてる。



私は、そんなこのお店が大好き。

そして、、、、
人気のコーヒーを煎れるマスター、、、、亮ちゃんの事も、、、、、。

No.4 10/01/23 22:30
きぃ ( ♀ bh2hi )

私がここでバイトを始めたのは、大学に入ってすぐだった。


コーヒーの香りが好きだっのは勿論だけど、学費を稼ぐのが一番の目的で。


、、、、、私は、中学生の時に両親を交通事故で亡くした。
一人っ子だった私を引き取って育ててくれたのは、母の妹だった叔母。

だから、大学は勿論、高校だって行くつもりなくて、、、、


育ててくれた叔母に、働く事で少しでも負担を掛けないようにって思ってた、、、。

No.5 10/01/23 22:42
きぃ ( ♀ bh2hi )

私は、運動は全く駄目だったけど、勉強だけは好きで。

特に、本を読むのが好きだった私は、国語の教師になるのが夢だった。


勿論、そんな話を叔母にした事はなかったんだけど、、、、


「未来ちゃん。
夢は実現させるためにあるものよ。亡くなった姉さん達も、同じ事言うと思うけど?」


嬉しかった、、、
涙が止まらなかった、、、、

No.6 10/01/23 22:59
きぃ ( ♀ bh2hi )

自分の事、不幸だと思ってた。


一度に両親を亡くした私は、もう、誰からも愛されない、、、、

私も、パパやママのいる所に行きたい、、、、、



何度も何度も、そう思った、、、


でも、そんな私を叔母は広い心で優しく受け止めてくれた。

No.7 10/01/24 10:57
きぃ ( ♀ bh2hi )

そして、第一志望だった大学にも無事合格して、ここでバイトを始めた。

その頃、亮ちゃん、、、亮介さんには奥さんがいた。

私がバイトをする前は、奥さんの響子さんも、お店を手伝っていたらしいんだけど、、、、。

いろいろあって、お店は勿論、家にも帰って来なくなって、、、

亮介さんもお店をやりながら、響子さんを捜したらしく、、、でも、結局、見つける事が出来なかったらしい、、、、、

そこで、アルバイトを雇う事になって、私が決まったって話を聞いていたーーー。

No.8 10/01/24 11:19
きぃ ( ♀ bh2hi )

私がこのお店で働きだして、一度だけ響子さんに会った事がある。


突然、お店にやってきた響子さん、、、。

私を見るなり、
「あなたが未来ちゃん?」

いきなりの問い掛けに、びっくりしながらも、、、

「あ、、、! はい!」

なんて綺麗な人なんだろう、、、
ぼーっと見つめてると、、、


「申し訳ないんだけど、これ、亮介に渡してくれない、、、、?」


勿論、この時、亮介さんに対して恋愛感情とか、全くなくて。

No.9 10/01/24 11:38
きぃ ( ♀ bh2hi )

慌てた、、、!
だって、その時亮介さんは買い物に出掛けてて、いなかったから!


ど、、、どうしよう!

響子さんが出て行った理由は、わかんないけど!
亮介さんが必死になって捜してた事、聞いてたから、、、!


「あ!!、、、、、あの、、、、ちょっと、もうちょっと待ってもらえませんか?」

No.10 10/01/24 12:05
きぃ ( ♀ bh2hi )

その時、響子さんが寂しそうに笑った、、、


「未来ちゃん、亮介の事、、、、よろしくね。」


え、、、、?


「あの、、、!響子さん!よ、、、よろしくって、、、!」


響子さんは、また、にっこり微笑んで、店を出て行った、、、


私は、どうしていいのかわかんなくて、、、
立ちすくんでいた、、、。



ふと我に返って、慌てて響子さんの後を追う。





響子さんを乗せた車が、走り去るところだった、、、。

No.11 10/01/24 18:56
きぃ ( ♀ bh2hi )

・・・・・



「響子、、、、、」


その声に振り向くと、亮介さんが買い物袋を提げたまま、立っていた、、、。


「マスター、、、、」


私はそれ以上、掛ける言葉が見つからなかった、、、

No.12 10/01/25 09:03
きぃ ( ♀ bh2hi )

「未来ちゃん、ごめんな。」


買ってきた物を片付けながら、亮介さんが言う。

「、、、、あ、、、、いえ、、、」


本当に言葉が見つからない、、、


亮介さんの顔を見る、、、、



何故だかショックで落ち込んでるって顔には、見えなかった。

No.13 10/01/25 09:18
きぃ ( ♀ bh2hi )

「、、、あ、あの、、、!」


亮介さんが私の方に顔を向ける。


そしてーーー

「どっかで、覚悟は出来てたんだろうな。俺、、、。
あいつが、、、響子が考えてる事、、、、、。」


え?、、、、


そう言いながら、さっき響子さんから渡された封筒をカウンターの上に置く。


「離婚届、、。」

No.14 10/01/25 10:04
きぃ ( ♀ bh2hi )

「、、、、、、、」


お昼のランチタイムも終わって、今は休憩時間。


この時間を分かってて、、、、
そして、亮介さんがいない事も知ってて、持ってきたんだろうか、、、、
響子さん、、、


「コーヒー煎れるね。」

「あ、、!、、、、はい、、、」



「結婚して10年、、、か。」


豆を挽きながら、亮介さんがゆっくりと話し始めた。

No.15 10/01/25 10:52
きぃ ( ♀ bh2hi )

「16の時だったかな?
俺と響子が初めて出会ったのって。」

「え?16って!?高校生の時ですか!?」


亮介さんは、ちょっとはにかみながら


「そう。って言っても、響子は学校行ってなくてさ。
働いてたんだ。
あいつ、、、中学生の時に親に捨てられたんだよ。」


え、、、、!?
響子さんも中学生の時に、親と、、、、
でも、、、、なんか、私とは違う気もする、、、、

No.16 10/01/25 11:17
きぃ ( ♀ bh2hi )

「そう言えば、未来ちゃんも、、、だったよね?」

亮介さんがハッとしたように、言う。


「あ、はい。、、、でも、私には叔母がいてくれたから、、、。」


「うん。、、、、、響子には、誰も頼る人がいなかったからな、、。
しかも、弟もいたし。」

弟、、、、!


「そうだったんですか、、、。
響子さん、大変だったでしょうね、、、。」


私なんか、まだ幸せだ、、、。

No.17 10/01/25 11:34
きぃ ( ♀ bh2hi )

「親の事も弟の事も、あんまり、話したがらなかったからさ。
詳しい事は、知らないんだけどね。
、、、、確か、弟は未来ちゃんと同じ歳じゃなかったかな?」


じゃあ、私とマスターと同じで、歳が離れてるって事、、、。


「そうなんですか。、、、じゃあ、今、その弟さんは、、、、?」


「うーん。わかんないだよね。、、、、ただ、その頃は、弟のためにって必死で働いてたよ。
ほんとに、可愛がってたんだろうな。」

No.18 10/01/25 12:44
きぃ ( ♀ bh2hi )

コーヒーのいい香りが漂ってきた。


カップにコーヒーを注ぎながら、亮介さんは言う。

「俺も、親が離婚しててさ。、、、、母親に育てられてたんだ。
だから、早く大人になりたかったっていうかさ、一人前になりたかったんだよね。」




ちょっとだけ、亮介さんが寂しそうな顔になった。


黙ったまま、頷く私。

No.19 10/01/25 12:59
きぃ ( ♀ bh2hi )

「はい、コーヒー。」


カウンターの椅子に座ってた私に、コーヒーを差し出す亮介さん。


「あ、ありがとうございます。」


カップに口をつけて、一口飲む私を優しい顔で見ながら、、、、


「高校卒業と同時にさ、家出て、響子と一緒に暮らし始めたんだ。
別々に住むより、金もかかんねぇし。
で、二十歳の時、籍入れたってわけ、、、。」

No.20 10/01/25 18:26
きぃ ( ♀ bh2hi )

気になった事を聞いてみた、、、。


「あの、、、その頃、弟さんは?」


少し、俯いて

「響子にも聞いたんだけど、、、答えてくれなくてさ、、、
とにかく、元気だから、大丈夫だって!それしか、言わなかったんだ。」

「でも、マスター達が二十歳だった頃、弟さんて10歳とかでしょう!?」

マスターは、少し言いにくそうに、

「これは、俺の想像なんだけど、、、」

と前置きして、

「響子達が親に捨てられた時は、おそらく弟は施設に居たんじゃないかな。
でも、そのあと、、、
悪い連中と付き合ってたみたいだから、そっちの世界にいったんだと思う。」

No.21 10/01/25 18:45
きぃ ( ♀ bh2hi )

10歳そこそこで、、、、
そんな世界に、、


黙り込んでしまった私を見て、

「でも、響子はさ、一緒に暮らし始めても、弟のためにずっと働いてたんだよ。仕送りするために。」



「そうなんですか、、。」

「あぁ。結婚してからも、それは変わんなかったしね。」


響子さんは、ほんとに弟さんの事、大事に想ってたんだ、、、。


「だからさ、俺も頑張って働いたんだ。
店を出すのが夢だったからね。
そして、25の時念願叶ってこの店出したってわけ。」

No.22 10/01/25 19:04
きぃ ( ♀ bh2hi )

それからは、響子さんも仕事を辞めて、お店を手伝ってくれてたらしいんだけど、、、、、


亮介さんがコーヒーを飲む手を止めて、少し、遠くを見つめながら、、、


「俺たち、子ども出来なくてさ、、、。
最初は、店もオープンしたばっかで、忙しかったから、、、
それはそれで良かったんだけど。」


.......


「店の方も落ち着いてきた頃からかな、、?
なんか響子の様子がおかしくなってきて、、、」

No.23 10/01/25 19:17
きぃ ( ♀ bh2hi )

亮介さんはやっぱり、響子さんが出て行った詳しい事情は言わなかった。


「結局、、、、
俺が悪いんだよ。
響子の事、ちゃんと守ってやれなかった、、、俺が、、、、。」


「、、、、マスター、、、」


ゆっくりと私の方に顔を向けた亮介さんは、


「未来ちゃんは、いい男見つけろよ!」


は、、、!?


「あはははっ」
と笑いながら、亮介さんは、残りのコーヒーを一気に流し込んだ。

No.24 10/01/25 20:40
きぃ ( ♀ bh2hi )

無理して、、、、る?

亮介さん、、、、



「あ、そう言えば、、、
響子さん、なんで私の事知ってたんですか?」


一度も会った事のないのに、なぜか、妙な親しみみたいなものを感じてた。

あぁというような顔をして、

「実はね、一週間ぐらい前に電話があったんだ。響子から、、。その時にね、未来ちゃんの事話してて」


だから、、、


「響子、未来ちゃんが弟と同じ歳だって言ったら、なんていうか、、、
自分の弟と重ねたのかな、、?
未来ちゃんの境遇も話したからね。」


響子さん、、、、
私の事まで、気に掛けてくれたのかな、、、


「あ!」

No.25 10/01/25 20:51
きぃ ( ♀ bh2hi )

「何?未来ちゃん」


響子さんに言われた事、今頃思い出した!


「あの、、、、
響子さんが、マスターの事よろしくね、、、、、って、、、、、」

・・・・・・・


「響子、、、、、が、、、
そっか!」


最後まで俺は、頼りない男だったな、、、。

「じゃあ、未来ちゃん!これからも、よろしくな~」



え??あの、、、!
ちょっと待って!
それって、どういう意味~~~

No.26 10/01/25 21:14
きぃ ( ♀ bh2hi )

、、、、っていう訳で、大学4年生になっても、ここでバイトしてた。


響子さんに言われたから?


、、、それとも、亮介さんに頼まれたから?、、、


自分でも最近、分からなくなってきて、、、。

No.27 10/01/25 21:31
きぃ ( ♀ bh2hi )

カウンターに居た常連さんが、私に向かって

「未来ちゃんも、ここ長いよね~」


確かに、そうなんです。

「あ、はい!無駄に長いって感じですよね~」


ちょっとおどけて、答えてみる。


「そんな事、誰も思ってないよ!」


、、、、、、、、、って、常連さんが、、、じゃなく、マスターが言った、、、、



「マスターだけじゃないよ。僕もそうだけど、他のお客さんだって、おんなじだと思うよ~」


一瞬、シーンとなった間を常連さんの一言が救ってくれたような気がした。

No.28 10/01/25 21:52
きぃ ( ♀ bh2hi )

その日の営業も終わって、後片付けをしてると、、、


「、、、未来ちゃん、今日は、ごめん。」


急に、亮介さんが謝ってきた。


でも、なんて言ったらいいの、、、?



「俺にとっては、、、
未来ちゃんがいてくれたから!、、、、未来ちゃんのおかげなんだよ。、、、、」


、、、、?


「マスター、、、、?」

No.29 10/01/25 22:07
きぃ ( ♀ bh2hi )

「は、、、、。俺、何言ってんだろ。いい歳して、、、」



「あの、マスター、、、」

私の言葉を遮るように

「とにかく!とにかくさ、未来ちゃんには、ほんと感謝してんだよ!
いや、違うな。
俺には、未来ちゃんが必要なんだ!」


マスター、、、、、、、、


「わ、私も、、、、です、、、」

消え入りそうな声で、言った、、、、


「え?今、、、、もしかして、、、、?」

No.30 10/01/25 22:31
きぃ ( ♀ bh2hi )

気がつくとーーー
私は、亮介さんの胸の中にいた。


「未来ちゃん、、、。」


強く抱きしめられて、呼吸が苦しい、、、


何か喋りたくても、声が出ない、、、


やっとの思いで、
「マ、マスター、、、」

「未来ちゃん、マスターじゃないだろ?」


「、、、、、りょ、亮介、、、さん」


「ん?何?未来ちゃん。」



「く、苦、、、しい、、、よ」

「あ、ごめん。」


やっと離してくれたかと思ったら、


次に抱きしめられた時は、ほんとに息が出来なくてーーー

No.31 10/01/26 09:33
きぃ ( ♀ bh2hi )

今まで、キスの経験が無かった訳じゃない。

でも、だからといって、それ以上の経験も、、、、無くて。


友達によく言われる。
〈未来は、真面目過ぎるんだよ~〉


真面目、、、

そうかもしれないな、、、けど、やっぱり、そういう事は、、、、

なんていうか、ほんとに好きな人と。



亮介さんは、、、亮ちゃんとは、あれ以来キス以外の事は無い。、、、、、

でも、私にはほんとに優しいし、卒業後の事まで心配してくれてて。


そう!
もうすぐ、卒業なんだ。私!

No.32 10/01/26 10:27
きぃ ( ♀ bh2hi )

無事に大学を卒業した私は、今、また、ここに居てーーー。


「未来ちゃん~おはよう!いつもね~」


「ハーイ。ホットですね~」

常連さんがいつものように、カウンターに座る。

ーーーー

卒業したものの、就職は出来なかった。

晴れて教員免許は取ったんだけど、仕事を得るには結び付かなくて。


う、、、
現実は、厳しかった、、、。

でも、教師になる夢諦めた訳じゃない!


で、他の仕事とりあえず、見つけようと思ってたんだけどーーー

No.33 10/01/26 10:40
きぃ ( ♀ bh2hi )

〈他に仕事さがすくらいなら、うちに居ればいいじゃん〉

、、、、、、
甘えてしまった、、、。


だから今は、採用試験に受かるまで、っていう事でここでバイトさせてもらってる。


亮ちゃん、ありがとう!

恵まれてるよね、私。



でも、、、、
ふっと思い出す事があるんだ。

響子さん、、、、

どうしてるかな、、、、

あれから、3年近くか、、、、、

No.34 10/01/26 10:56
きぃ ( ♀ bh2hi )

亮ちゃんは、響子さんの事を口にする事はなかった。


もう、ほんとに忘れたのかな?、、、、、



お店のドアが、開くーーーー

「いらっしゃいませー。」
私は、いつものようにお絞りとお冷やを持って、お客さんのところへ行く。


「いらっしゃいませ。
なんになさいますか?」

初めて見る顔だな。、、、


「コーヒー。、、、ホットで」

「はい。ホットですね。」


私は、カウンターにいる亮ちゃんに声を掛ける。

しばらくして、そのお客さんのところへ煎れたばかりのコーヒーを運んだ。

No.35 10/01/26 11:57
きぃ ( ♀ bh2hi )

「お待たせしました。
ホットコーヒーです。」

私は、そっと、カップをテーブルに置く。


その時、そのお客さんと目があった、、

はっ、、、!
一瞬だった、、、
でも
なぜか、怖いと思った、、、、

「ごゆっくり、、、」


早々に、テーブルを離れた、、、。

No.36 10/01/26 12:07
きぃ ( ♀ bh2hi )

カウンターに戻って来た私を見て、

「どうかした?」

亮ちゃんが、小声で聞いてくる。


「ううん!なんでもない!」

慌てて、答える。



何だろ?
私、なんでこんなに、どきどきしてるんだろ?

ううん!どきどきじゃない!
やっぱり、怖い、、、!


「未来?」

また、亮ちゃんが心配して話し掛けてきた。

「あ、ごめんなさい!大丈夫!」



改めて、気付かれないように、そのお客さんを見る。

No.37 10/01/26 12:22
きぃ ( ♀ bh2hi )

黒いスーツに、長い足を組み、煙草を吹かしながら、窓の外を眺めてる。

眺めてる、、、、っていうより、睨んでる?



と思ったら、急に立ち上がって、レジのところへ向かってきた、、、!


私は、慌てて伝票を受け取る。、、、、と同時に、、、、、、、、
お金を置いて、出て行った。

「あ、ありがとうございました!、、、、、、、」



ハァ、、、、
ほんと、緊張したー

No.38 10/01/26 12:33
きぃ ( ♀ bh2hi )

私は、さっきのお客さんが座ってたテーブルに行く。

そして、カップを片付けようとして、、、、、


え!?



コーヒーは、一口も、口がつけられていなかった、、、、。



すっかり冷めてしまったコーヒー。
トレイの上に乗せると、カップの中でゆらゆらと揺れていた、、、、。

No.39 10/01/26 16:23
きぃ ( ♀ bh2hi )

テーブルに椅子を乗せていく。


営業を終えたお店を掃除しながら、私は、あのテーブルに目をやる。



いったい、何だったんだ、、、、

コーヒーの注文して、飲まないで帰っちゃうなんて、、、


あの、、、、瞳

確かに怖かったんだけど、、、
なんだか寂しそうな瞳にも見えたんだよね、、、

No.40 10/01/26 18:46
きぃ ( ♀ bh2hi )

「未来ー、終わった?」

カウンターの中で、伝票計算してた亮ちゃんが、私に声を掛けてきた。


「あ、うん。終わった。」

「俺も終わったから。そろそろ帰るか。」



私は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。

叔母の家からは、遠すぎて通えなかったから。

それと、早く自活したいっていうのもあったし。



そんな私を、叔母は気持ち良く送り出してくれたっけ。

No.41 10/01/26 19:00
きぃ ( ♀ bh2hi )

私が住んでるアパートは、大学には近くて、歩いて5分ぐらい。


だから、車の免許は取ったんだけど、使った事はほとんどなくて。


でも、ここまでだと20分ぐらいはかかる。


卒業してからは、ほぼ毎日のように、来てたから。
さすがに、歩きじゃ危ないって言われて、、、
亮ちゃんに。



そういうわけで、今は、いつも車で通ってた。

No.42 10/01/26 19:09
きぃ ( ♀ bh2hi )

亮ちゃんはと言うと、自転車で5分ぐらいの所にあるアパートに住んでて。


響子さんと一緒だった頃に住んでたマンションは、一人には広すぎるからって、今のアパートに引っ越してきた。


店にも近いし、良いって言ってたな。



でも、私が住んでるアパートとはまったく逆方向で、、、、!


帰るって言っても、お店の外で、サヨナラなんだよね。

No.43 10/01/26 19:19
きぃ ( ♀ bh2hi )

「一緒に、住まないか?」

大学を卒業するちょっと前に、亮ちゃんが言ってくれた。
ちょっぴり、嬉しかった。

でもーーー


まだ、就職もしてないし、何よりも結婚してる訳じゃないのに。

あ、、、
また、真面目な性格が出ちゃったかな、、、


って思ったけど、やっぱり、そこは曲げられないし。


亮ちゃんも、分かってくれたから。

No.44 10/01/26 19:27
きぃ ( ♀ bh2hi )

だから、私たちは、、、

亮ちゃんと私は、まだ、、、

、、、、関係は、ない。


亮ちゃんも、私の気持ち分かってくれてるって思ってるし、、、、


何よりも、やっぱり、、、
私は、、、、、、、響子さんの気持ちを考えると、、、、




「じゃあ、出るぞ。」

「あ、うん!」


裏口から、先に亮ちゃんが出る。
その少しあとを私が出ようとした、、、、、

No.45 10/01/26 21:02
きぃ ( ♀ bh2hi )

その時ーーー

お店の電話が鳴った、、、!

「あ!電話!」

亮ちゃんは、もう自転車に跨ってる。


「え?電話?」

「うん!私、とるから!亮ちゃん、雨降ってくるから、先に帰って~」


急いで、中に戻る私。

受話器を取ろうとした時、、、、


切れてしまった。

「あぁ、間に合わなかった、、、。」


諦めて、電話から離れようとした時ーーー

No.46 10/01/26 21:18
きぃ ( ♀ bh2hi )

また、電話が鳴る。

「はい!もしもし。お待たせしました!」

<ツーツーツー、、、、、>


、、、、切れた。



ザー、、、、

あ、、、

窓の外を見ると、雨が降ってる。

やっぱり!

天気予報で言ってたからな。


亮ちゃん、濡れなかったかな、、、、

No.47 10/01/26 21:55
きぃ ( ♀ bh2hi )

、、、、帰ろう、、、、。


手にしていた子機を戻す。

カサッ、、、


その音に、振り向く、、、、、



「あ、、、、!?」



「だ、、、、、、、誰、、、、、?」

僅かではあるが、外からの光で逆光になってるため、はっきりとはわからない、、、、


けど、、、、、
誰かが立っていた、、、、

No.48 10/01/26 22:04
きぃ ( ♀ bh2hi )

「、、、、、、亮ちゃん?」


戻って来たの?




でも、その人、、、、は、何も答えてくれない、、、、



違う、、、、
亮ちゃん、、、じゃ、、、、ない、、、、、




思わず、後ずさりする、、、、


強盗、、、、、!?、、、、、!

No.49 10/01/26 22:24
きぃ ( ♀ bh2hi )

どうしよう、、、、!!


、、、、、「お、お金なら」
「金なんていらねぇ」



え、、、!?


その男が近づいてくる、、、



また、後ずさりする、、、


どういう、、、、事、、、、?!




ガタン、、、!
テーブルに当たり、動きが止まってしまう、、、、

No.50 10/01/27 07:28
きぃ ( ♀ bh2hi )

あ!今なら、、、
裏口の鍵が開いてるはず!


外にさえ出たら、、、
暗いとは言っても、まだ9時、、、


車や人の通りだって、まだある、、、!



「裏口から逃げようたって、無理だぜ。」

男が低い声で言う。


「え?!、、」

思わず、反応してしまった、、、



「仲間がいるからな。」


、、、、!!

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