もしも…
もしも…
あの時、あの人を信じることができていたら…
もしも…
あの日、手をさしのべてくれたあなたの優しさの裏を見抜く事ができたなら…
…私は……
※私の人生を書きます。
このスレは私しかレスすることができません。ある程度書き進めたら、意見スレを立ち上げさせていただきたいと思います。
つまらない人生かもしれませんが、一生懸命生きています。そしてこれからも生きて行きます。
良ければお付き合い下さい。
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『昨日は…』
ヒロミは昨日の話をしようとした
私は話をさえぎるように
『ヒロミ!昨日は勝手に帰っちゃってごめんね!
ヒロミのお母さんに挨拶して荷物持って
そのまま帰ったよ~
電話くらいすればよかったね!ごめんね』
ヒロミは首を振り
泣きながら
『ごめん…ゆいちゃん…
私…私のせいで…ごめ…んね』
違うよ
ヒロミのせいじゃないよ
判断力の無い私が
相手につけこまれるスキを作った私が
私が悪いんだよ
ヒロミのせいなんかじゃないよ
わかってるけど
自分が悪かったってわかってるけど
昨日の今日のこの時は
まだ気持ちの整理を
つけきれてなくて
わかってるつもりだったのかもしれない
だからひとこと
ヒロミにひとこと
『ヒロミも辛かったね』
言えなかった
どうしても言えなかった
だって
笑ってたよね
あの時
笑ってたよね?
もしかして私をハメたの?
最初から知ってたの?
だから笑ってたの?
私の中にはまだ
そうゆう感情があった
泣いて謝るヒロミを
どこか冷めた目で見てた
その涙は本当?
それとも演技?
なぜ泣いてるの?
笑ってたのに?
冷たい奴だと思われるかもしれないけど
ヒロミの性格からして
そのくらいできる子
本当の事はわからない
問い詰めようとは思わなかった
忘れようと決めたから
『なに泣いてるの!
泣いてても何もならんし
ほら!目がパンダになってるよ(笑)』
なんとかそう言えた
『先生もびっくりしてるし!私が泣かせてると思われるじゃん(笑)
別れ話でもしてるみたいでしょ(笑)』
ロビーは先生が居る事務室から丸見え
もしかしてそれが狙い?
また被害者ぶってるの?
1年前みたいに?
“私が悪いの”と言いながら
“私は悪くない”と思ってるの?
また私の中に
嫌な思いが込み上げてきた
まだ泣いてるヒロミ
泣いてばかりいる
ヒロミがうっとうしくなってきた
『ゆいちゃん…ごめんね…ごめんね…』
うるさい!!!
口に出してしまうところだった
もうダメ
ヒロミの茶番には付き合ってられない
『もうすぐ夕飯だからさ
また2学期ね!
そんなに泣いてたら水分なくなって脱水症状起こすよ(笑)暗くなると危ないから気を付けてね』
ヒロミが帰るのも見送らずにさっさと階段を上がり自分の部屋へ行った
疲れた
もうヒロミの顔は見たくないなぁ…
次の日から普通の寮生活が始まった
朝起きて点呼
掃除して
洗濯して
みんなとおしゃべりして
昼飯食べて
またみんなとまったりして
お風呂に入り
夕飯を食べる
事務室に行き
先生に絡む(笑)
9時消灯
もちろんみんな寝ない
しばらく雑談して
気が済んだら寝る
単調で変わりない生活が
なんだか嬉しかった
だからにやにやしてた
そしたら変人扱いされた
友達からはバカ扱いだけど
それが幸せだった
あんなことがあったから
なんでもないことが
幸せに思えるのかな
感謝は到底できないけど
外泊から帰ってきて
2日経った日
私は朝
男子寮に電話をかけ
ユウちゃんを呼び出した
ユウちゃんとは食堂で会うと必ずひとことふたことは言葉を交わしてる
たわいもない会話
やっぱり2人で
ゆっくり話したい
こうやって会うのも
1週間ぶりくらい
なんだかちょっと照れくさいな
付き合ってもないのに照れてどうする
と自分にツッコミを入れてみたり
自分の携帯番号を書いた紙をくるくる巻いたりして
ユウちゃんがくるのを待った
ユウちゃんがきた
ユウちゃんは来るなり
『お前、最近何かあった?』
え…
なんで?
『なんか目ぇあんまし合わさんし…
飯食ってるとき、たまにぼけっとしてるし…喋るとまぁ普通だったけど
…何かあった?』
私 そんな顔してた?
女子寮のみんなにも
先生にもそんな事
ひとつも言われなかったのに
ユウちゃん
私のこと良く見てくれてたんだ
『そんとき下痢してたんじゃない(笑)コーラック愛用者だし(笑)あれ飲み過ぎると便秘解消どころか
下痢になるんよ(笑)
私に悩みなんて便秘くらいしかないよ(笑)』
『汚ねぇなー(笑)
まぁあんまり悩むなよ
何があったかは聞かんけど
便秘プラス10円ハゲできるぞ(笑)』
ユウちゃん笑ってた
でもユウちゃんなりに励ましてくれてるのが
すごく伝わってきた
こんな私を心配してくれてありがとう
ユウちゃんありがとう
リエコとサトシくんの話になった
リエコがすごく傷付いてることを言った
『サトシ…
ほんとはあいつに好きな女ができたって聞いた…
なんで彼女居るのに
他に目がいくのか
そのへん俺は理解できん』
サトシくん最悪…
自分に好きな人できたくせにリエコを悪者にしたんだ…
ほんと最低
『サトシくん死ねばいいのに!!』
私はまたキレた
『死ねはねぇだろ(笑)』
ユウちゃんにもリエコと同じこと言われて
ちょっと可笑しかったけど
ほんとこうゆうのは許せなかった
『彼女作る資格なし!』
リエコにこのことは言わないでおこう…
言ってもまた傷付けるだけ
友達の悲しい顔は見たくない
『ユウちゃんは彼女作らんの?』
なにげなく聞いてみた
『ゆいとこうやってる間は無理だろ(笑)
周りには付き合ってるだろって良く言われるし(笑)』
私も良く言われる
というか
“今日も彼氏と密会?”
とか、完璧彼氏扱い(笑)
『だよね(笑)
てかユウちゃん付き合っても何していいかわからんのでしょ(笑)』
『うるせぇ!死ね(笑)』
ちょっと赤くなってるユウちゃんが
新鮮でかわいかった
ユウちゃんの彼女になる子は幸せだろうなぁ…
夏休みも残りあと3日
夏休みの間寮に残ってるユノが外出から帰ってきた
今日は同じクラスのナツキと遊びに出掛けてたみたい
ユノは帰ってくるなり
私の部屋に入ってきた
『ゆい!あんた大変な噂流されてるよ!
この夏休みの間にレイプされて妊娠したって!
あんた妊娠してるの?』
!!!
私は瞬間的に思った
この噂を流したのは
ヒロミ…だと
『その噂残念!(笑)
生理なら2日前に終わったとこだよ
ユノも知ってるじゃん
一緒にお風呂入ってるんだから』
そう言うとユノは安心してた
ユノはナツキと遊んでた…
ナツキがヒロミと話してるとこは何度か見たことがある
ヒロミだ…
絶対ヒロミだ…
許さない!
ヒロミの家の前でヒロミの携帯に電話をかけた
ヒロミは私の番号を知らない
2回ほどのコールでヒロミは警戒した様子もなく電話に出た
『ヒロミ?ゆいだよ
今何してる?』
『え!?あっ…
今お母さんと買い物してるけど、どうしたの?』
すぐ嘘だとわかった
ヒロミのお母さんの車は家の前に停まってる
『そうなんだ~
私ね今ヒロミんちの近くに居るからちょっとお邪魔しようかなと思って
いつ帰ってくるの?』
ヒロミは
『ごめん!今出たとこなんだ~だからいつ帰るかわかんない』
と言った
私は電話を切った
5分もしないうちにヒロミが家から出てきた
もしかしたら私が来ると思ったのかもしれない
私が来る前に本当に留守にしようと思ったんだろう
浅はか…バカだねヒロミ
家の前に居る私に
当然すぐに気づいた
『!!!ゆいちゃん…』
『ヒロミ…
そうやって私に嘘をついてたんだね
ヒロミがしたこと全部知ってるよ
私のことがそんなに嫌いなの?』
ヒロミが私をハメたかどうか、確信はあるが証拠はない
“全部知ってるよ”
試してみた
ヒロミを試した
ヒロミの顔はひきつっていた
いつもへらへらしている私が真剣に話してる
もう嘘はつかせない
逃がさない
絶対許さない
初めて人を叩いた
初めて心から人を憎いと思った
『私はあんたのこと
絶対に許さない』
それだけヒロミに言い、私は寮へ帰ろうとした
ヒロミは最後に
『よくも私を叩いたな!
覚えとけ!』
そして大きな声で
『おかぁさぁ~~~ん!』
と言い家の中へ入っていった
ヒロミ…あんた救われないね
バカだね…
バカな子…
寮に戻ったのは8時ギリギリだった
慌てて外出していった私
キレた顔して帰ってきた私
いつも見せない自分を出してる私を見て
日直の先生は心配して
『奥田!大丈夫か?
一体何があったんだ?』
と言ってくれた
私は無表情で
『なんでもないです
お風呂に入ります』
と言い階段を上った
先生は
『何か悩み事があるなら聞くことくらいはできるからな!』
と言ってくれた
ごめんね先生
今はいつもみたいに笑うことできないんだ
ごめんね…
朝がきた
昨日のヒロミの姿が忘れられない
点呼が終わり、いつも通りに掃除に洗濯
洗濯物を干してるとき
先生が私の元へ来た
『奥田~よく眠れたか?』
いい先生だな…
『寝た寝たっ!
いびき聞こえた?(笑)
先生が添い寝してくれたらもっと良く寝れたんだけどな~(笑)』
いつもの冗談で返し
先生を安心させた
『奥田は笑っとけ!昨日はすげぇ怖かったぞ(笑)』
先生ありがと
だよね
あんなバカなヒロミなんて相手にしてられないよね
時間の無駄だよね
先生ありがとう
いつも通りに過ごし
昼食を済ませ
ひとりでのんびりしていると
コンコン
私の部屋を誰かがノックした
『は~い』
返事をしたと同時に
昨日の先生と交代した
私が一番仲良くしている寮専任の先生が入ってきた
『先生~!今日の日直、先生なんだっ
どうしたんですか?乙女の部屋にいきなり(笑)』
『お前また御船と何かあったのか?
さっき御船のお母さんから電話があって今からここに来るらしいぞ
えらく怒ってたから何かあったんだろ』
…ヒロミ
今度はまた何?
“覚えとけ”
言ってたなぁ
これがお返し?
くだらない…
『あ~…昨日おもいっきり顔ひっぱたいたから
そのことじゃない(笑)』
先生は呆れた様子で
『笑って言うことじゃないだろ…親御さんが出てくるんだぞ
お前の親も呼べって言ってたけど今から呼べるか?』
無理無理
うちの親自営だし忙しい
だいたいこんなくだらないこと言って心配かけたくないよ
呼べって言ってるんだからとりあえずかけようかな
怖いとか思われるのも嫌だし
やっぱり出なかった
留守電に切り替わったから先生の耳に受話器を当て
留守だとゆうことを確認してもらった
『とゆうことだから(笑)
てか子供の喧嘩にいちいち出てくる親も暇だね
どんな根性悪い子供でもかわいいんだね
ヒロミも来るんでしょ?上等じゃん』
『お前が誰かを悪く言うなんて相当だな
まぁどんな理由があるにせよ手をあげたのが事実ならお前も悪いから
よく反省することだ』
先生は正論を言った
その通り
手をあげたのは悪い
それは謝らなくちゃ…
シャクだなぁ…
“反省しろ”
1年前ヒロミとモメた時も先生同じことゆってた
先生
悪いけど私
“反省”て言葉嫌いなんだ
自分のとった行動くらい責任持たなきゃ
私は先生と一緒に来客用ロビーで
ヒロミたちが来るのを待っていた
ロビーからは外がよく見える
ヒロミのお母さんの車だ
…来た
ヒロミの姉まで居る
どんだけ暇なんだ?
無勢に多勢とはこのこと
ヒロミはわざとらしく左頬を押さえてた
私が叩いてから十数時間経っているのに痛いわけない
そのヒロミの姿に
腹も立たなかった
ただ
こんな奴に腹を立て
手を出してしまった自分が情けなかった
ヒロミのお母さんは
私を見るなり罵倒した
『このアバズレ!!!
よくもうちの子に!!!』
“よくもうちの子に”
それはわかるけど
“アバズレ”
…?
それはあなたの子供さんのことではないですか?
この常識の無さ
この親にしてこの子ありだ
私は自分が手を出したことを謝ろうと思っていたが
謝る気は一切なくなった
バカか?と言う顔をしている私に今度はヒロミのお姉さんが
『早くヒロミに謝りなさいよ!』
お姉さんごめん
謝る気はついさっき無くしたよ
私は
ヒロミのお母さんやお姉さんの顔は一切見ずに
ヒロミだけを見ていた
“どう?参ったでしょ”
と言いたげな顔をしている
ちょっとムカついたので
『それでヒロミは何が言いたいの?』
と聞いた
外野がうるさかった
ヒロミは黙っていた
『もうすぐ丸一日経つってゆうのにまだ痛いの?
演技が上手だね(笑)
私に叩かれた理由くらいわかってるでしょ(笑)』
私はバカにしたように
笑いながら言ってやった
やっぱり外野がうるさいだけで
ヒロミは黙ったまま
被害者ぶるのもたいがいにしてほしい
うるさい外野のひとりのお姉さんが言った
『あんたヒロミが妊娠して流産したとか噂流してるんでしょ!
ヒロミが私に泣いて相談してきた!かわいそう!!!』
は?
今なんて言った…?
私が?
さすがに驚いた
目を丸くしている私を見て
今まで黙っていた先生が口を開いた
『奥田はそんな根も葉もない噂を流すような子ではありません!』
嬉しかった
そしたらヒロミが泣き出した
またか…
また茶番が始まった…
私の中で何かがプツっと切れた
『もういいよ…』
私はもうどうでもよくなった
何もかもどうでもよくなった
ほんと
もういいや…
『先生、私学校辞めます』
『何言ってるんだ奥田!』先生が止めてくれてる
ありがとう先生…
でもどうでもよくなっちゃった
もういい
めんどくさい
先生が何かを一生懸命言ってくれてる
でも何も耳に入ってこない
ヒロミたちにも興味ない
この時の私は完全に
“無”だった
そこに居る人全員無視して
自分の部屋へ戻った
ヒロミたちがいつ帰ったかはわからない
私は寝た
どうでもいいから好きにさせて…
これしか思ってなかった
夕食前になるとユキが私の上にダイブしてきた
びっくりして起きた
『飯!食べに行こっ!』
『いらない』
そう言った私にユキは
『何があったか知らないけどご飯は食べなきゃ!
ひとりで痩せようと思うなよ~(笑)』
ユキに元気づけられ
食堂へ向かった
事務室に先生が居る
こっち見てる
…謝らないと
ユキに先に行ってもらうよう伝え
事務室に入り
先生に話した
『先生さっきは迷惑かけてごめんなさい
私学校辞めるよ…
なんかめんどくさくなっちゃった…
先生の言ってくれたことはほんと嬉しかった!
危うく惚れそうだったよ~(笑)』
先生は苦笑いした
先生は
『奥田…本気で言ってるのか?』
私は
『え?惚れそうだったってこと??…うそうそっ(笑)学校のことでしょ?
辞めるよ!本気!まだ誰にも話してないけどね』
先生は厳しい顔して
私に言ってくれた
『人生もっと辛いことがあるんだ
友達と喧嘩して悲しいことより
彼氏と別れて悲しいことより
もっともっと辛いことがあるんだ
だから逃げてたらだめなんだぞ』
数年後、この言葉を思い知らされるが
これはまたあとでの話…
『ん~…確かに逃げてるだけかもね(笑)
でももういいんだ
あのヒロミの演技力で“停学処分”とか言い渡されたくないし(笑)』
ヒロミはきっと
このままで終わらせるつもりはないだろう
『私も最近いろいろあったから…
大人の事情ってやつ?(笑)
明日までに荷物まとめて
明日には辞めるから』
先生は
『後悔しないようにな』
とだけ言ってくれた
先生…
私
あの時
『もちろん!』
て言ったよね
先生
私のこと
あの時のこと
覚えてるかなぁ…
生徒いっぱい居るから
きっと忘れちゃったよね
先生ごめんね
私ウソついちゃった
後悔ばかりなんだ
あの時も
それからあった出来事も
先生が知らないところで
後悔ばっかり…
後悔しても前に進めない
頭ではわかってるけど
気持ちがついていかないんだ…
【高校中退】
高校2年生の夏
せっかく入った高校
親がお金かけてくれた高校
書類ひとつで辞めれた
泣いて怒っていた両親
こんなバカな娘でごめんね
私の人生でひとつめの後悔
親を泣かせた
もしも…あの時………
もしも…
あの時…
ヒロミと遊ぶ約束をしなかったら…
こんなことにはならなかっただろう
私が遊びを断って
嫌な気分になったヒロミがバカな噂を流したかもしれない
でも私はそんなことで
手を出したりしない
私は
男たちを使って
私を襲わせたことが許せなくて
頬を叩いた
あの日のことがなかったら私はこんなバカなことしない
何もかもどうでもよくなんかならない
私は2学期始業式の日に辞めた
始業式にはもちろん出ていない
寮に残ってたみんなには
辞めると決めた次の日に
夏休み最後の日に
辞めると話した
泣いてくれた子も居た
『一生会えないわけじゃないじゃん!(笑)
学校休みの日とか遊ぼうよっ』
私は精一杯笑った
ユウちゃん…
ユウちゃんには始業式が終わった頃
退学届を提出する前に
ユウちゃんのいる1年A組の教室に初めて行った
私が教室に来た事にもびっくりしてたけど
私が学校辞めるって言って退学届を見せた事に
ユウちゃんすごく驚いてた
そりゃびっくりするよね
ごめんね
『なんでだよ!やめるなよ!』
真剣に
すごく真剣に
止めてくれたね
…嬉しかったよ
ありがとう
『車の免許とったら
学校にユウちゃん迎えに来るよ!だからユウちゃんは私の真似して辞めたりしたらだめだよっ(笑)
浮気すんなよ(笑)』
そう言ってバイバイしたよね
付き合ってもないのにね(笑)
結局
その約束を果たす日は
こなかったんだけど…
ユウちゃんは何も知らないと思うけど
約束を守れなかったのは
それからまたいろいろあったんだ
全部自分がしたことなんだけどね
ユウちゃんと最後に会ったのは
今から3年半前
私がふたり目妊娠6ヶ月の時に偶然会ったね
ふたりでびっくりしたね
まさか会うとは思ってなかったよ
その時ユウちゃんは
婚約者を連れてたね
どこか
私に雰囲気が似てると
思ったのは
自意識過剰かな(笑)
今は結婚して
幸せにしてるかな
私たち
どちらかが告白したりしてたら
付き合ったりしてたのかな
わかんないね
ユウちゃん…
どうか幸せになってね
高校を辞めたその足で
ファミレスに行った
ウェイトレスに
『店長さんおられますか?』
と聞いたら
『マネージャー!』
と大きな声で呼んでくれた
ここでは店長を
マネージャーと呼ぶらしい
出てきた男の店長さんに
『バイトしたいんです!
募集してますか?』
店長さんはちょっと驚いた感じだったけど
『面接希望ですか?
ちょっと待っててね~
今お昼時で忙しいから
2時くらいまで待っててくれる?』
2時まで1時間…
『はい!
営業の邪魔になるので外に居ます!』
と言って失礼した
金銭的にまで
親に迷惑かけたくない
中卒だから就職は難しい
バイトでもなんでもいい
とにかく
親にこれ以上迷惑はかけられない!
ファミレスから歩いて10分のところにデパートがある
私は走ってそのデパートに行き
履歴書を買い
証明写真を撮り
外の椅子に座り履歴書を書いた
何も準備しないまま
思うがまま行動した私…
バカだなぁ…
“平成11年3月Y小学校卒業”
“平成11年4月N高校入学”
“平成12年9月N高校中退”
これが私の履歴
3行目を書いた時
あ…
私ほんとに辞めたんだな…と実感した
感傷に浸ってる場合じゃない
自分が決めたこと
さっさとファミレスへ戻った
2時ちょっと前にファミレスへ入った
店長さんが
『ここの席で待ってて』
入り口から一番近い席
テーブルの上には
お客さんが食べ終わった皿が置いてあった
店長さんはあっとゆう間に皿を下げた
しばらく待っていたら
店長さんがきた
『ごめんね待たせて~
えーっと…奥田さん!
どの時間帯がいいのかな?……ん?N高中退?9月?』
履歴書を目を細めながら
じーっと見てる
私は制服を着てるから
ちょっと混乱してるみたい
『今日辞めました』
店長さんは
『今日!?それでそのまま来たの?だって家遠いでしょ?』
驚いていた(笑)
『行動力あるね~(笑)
それで時間帯の希望とかある?…ない?
ないならランチに入ってもらおうかな!
キッチンがいい?ホールがいい?』
ウェイトレスは嫌だったのでキッチン希望にした
そしたらちょうどキッチンの方が人手不足だったみたいで
『じゃキッチンね!お昼の11時から3時ね
慣れたらもっと長くなるよ~ここは能力給もあるから頑張ってね
明日からこれるよね!』
即決採用だった
『ありがとうございます!頑張ります!』
バイトが決まった
これでひと安心
次の日
私は金髪でバイトに行った
昨日採用された帰りに
またデパートに行き
ブリーチ剤を買い
家で脱色した
家ってゆうのは
独身の姉ちゃんち
親元では通勤がキツイから姉ちゃんちでお世話になることになった
『学校辞めたと思ったら
バイトか!茶色ならまだしも金髪!!
まぁゆいがいいならいいけど(笑)
髪痛むよ~』
そう姉ちゃんは言ってた
きっと姉ちゃん心配だったよね
言いたいこともいっぱいあったと思うけど
全部飲み込んでくれてたね
ほんとバカな妹で
ごめんね
私が入ったファミレスは規定がゆるかったから金髪でもピアスでもなんでもありだった
ピアスは金髪にした2日後に開けた
私は学校を辞めたことで
自由を手に入れたと
勘違いしていた
タバコも始めて
おいしさもわからないままバカバカ吸っていた
昨日は黒々としていたのに今日は金髪になってる私を見て
マネージャーはびっくりしていた
私が働くことになった平日ランチタイムは
ひとまわり以上年上の主婦のパートさんが多かった
高校中退
金髪
未成年でタバコ
こんな私が好かれるわけなかった
仕事のことだけの会話
いろんな嫌みを言われたりもした
“私は働きに来てるんだからおばちゃんらに嫌われようが関係ない”
そう思い
一生懸命仕事を覚えようとした
平日はパートさんたちに嫌みを沢山言われていたけど
日曜日に皿洗いとして入った時に休憩室で
のちに親友となるエリちゃんと仲良くなった
金髪
どう見ても未成年なのに休憩室でタバコ吸ってる
そんな私には
挨拶以外で誰も話してくれなかった
エリちゃんが初めて声をかけてくれた
前髪を上げながら
『あっついねぇ~!
その髪脱色?傷まなかった?』
すごく嬉しかった
エリちゃん
この時のこと覚えてるかな…
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