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店員が水分補給してたら怒りますか?
既婚者の人が同僚をホテルに誘う心理

もしも…

レス479 HIT数 139480 あ+ あ-

唯( ♀ M9mPh )
09/04/30 21:12(更新日時)

もしも…

あの時、あの人を信じることができていたら…


もしも…

あの日、手をさしのべてくれたあなたの優しさの裏を見抜く事ができたなら…


…私は……



※私の人生を書きます。
このスレは私しかレスすることができません。ある程度書き進めたら、意見スレを立ち上げさせていただきたいと思います。
つまらない人生かもしれませんが、一生懸命生きています。そしてこれからも生きて行きます。
良ければお付き合い下さい。

No.1159270 09/02/22 21:48(スレ作成日時)

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No.1 09/02/22 21:56
唯 ( ♀ M9mPh )

私には過去の記憶があまりない。

頭が悪いのかな…

それとも
なんとなく生きていたからなのかな…

ううん

その時は
一生懸命だった
けど、いろんな事経験していくうちに忘れちゃった…

どれもこれも
たいした悩みじゃなかったよ


今に比べれば…

No.2 09/02/22 21:59
唯 ( ♀ M9mPh )

私は高校2年生の夏
中退した。

なんだかつまらなかった。

友達も居た
先輩とも
後輩とも
先生とも
うまくやってた。


うわべだけだったかな…

No.3 09/02/22 22:09
唯 ( ♀ M9mPh )

高校1年生の秋、初めて彼氏ができた。

けんちゃん。
2つ上で
SOPHIAの松岡に似てた。
背は小さく、痩せ型。
友達のカオリの元カレ。

おさがり。

それでも好きだから嬉しかった

けんちゃんの家まで電車で1時間。学校が休みの日は毎週行った。

けんちゃんは父子家庭
両親は離婚
当時荒れてたけんちゃんは母親に捨てられたって言ってた

No.4 09/02/22 22:15
唯 ( ♀ M9mPh )

けんちゃんちに初めて泊まった時

処女ではなくなった

付き合って一週間

ゴムなし
一応外出し

今思うとかなり安売り

痛かったけど
『こんなもんか』
と思った

けんちゃんは済んだあと
ティッシュで鼻をかんでいた

けんちゃんへの期待が薄れた

No.5 09/02/22 22:19
唯 ( ♀ M9mPh )

私は毎日けんちゃんに手紙を書いていた

どうでもいいことばっかりだと思う

けんちゃんはそれを全部、机の引き出しの中へしまっててくれた

それを見つけた時は
『愛されてる』
ちょっと恥ずかしかった

中にはカオリからの手紙もあった

付き合ってる頃にもらった手紙

見なかったことにして
静かに元へ戻した

No.6 09/02/22 22:24
唯 ( ♀ M9mPh )

付き合って1ヶ月くらい経った頃

『ユミおもしろい』

けんちゃんがやたらと私の友達のユミの話をよく出すようになった

ユミはギャル系でうちのクラスでは数少ないタイプ

ヤリマン

よくいろんな男と遊んで、キスマークばっかり付けてた

No.7 09/02/22 22:29
唯 ( ♀ M9mPh )

ある日いつものごとく
けんちゃんちに遊びに行った

なんとなく私の手紙が入ってる引き出しをあけてみた

ない

私がけんちゃんへ書いた手紙がひとつもない

『?あんなにいっぱいあったのに…捨てられた?』

その下の引き出しをあけてみた

あった

ひとつだけ…

でも私こんなキティちゃんの紙に書いた覚えない。


手に取ってみてみる…


ユミより


『は?』

No.8 09/02/22 22:37
唯 ( ♀ M9mPh )

けんちゃんへ

ユミ、けんちゃんのこと好きだよ

でもゆいちゃんのことも好き

ユミはどっちかなんて選べない

けんちゃんがユミのこと好きってゆってくれて嬉しかった

ユミ…どうすればいいのかな?


ユミより


こうゆう内容だった

女は男に浮気された場合、相手の女を恨むとよく聞く
ユミに裏切られた
と思うのが普通かもしれないが、私は黙っていたけんちゃんに怒りを覚えた

『けんちゃんがユミを好き!?』

ただそれだけが頭にきた

No.9 09/02/22 22:43
唯 ( ♀ M9mPh )

『ユミのこと好きなの?』
そう聞いた

けんちゃんは何も答えない。

『本気じゃないならユミ傷付けんといてよ』

けんちゃんは
ユミから誘ってきた
と言った。

何がほんとで
何がうそかわからない

ユミには何も言わず聞かずで何もなかったことになった

ユミは相変わらず他の男と遊んでた

人ってやだなぁ…

そう思った

No.10 09/02/22 22:48
唯 ( ♀ M9mPh )

付き合って4ヶ月
けんちゃんが卒業した

けんちゃんの3年間使ってたジャージと制服のボタンをもらった

それから何度か学校まで車で迎えにきてもらったりした

かなり優越感に浸っていた

でもそんな幸せはいつまでも続かなかった

No.11 09/02/22 22:53
唯 ( ♀ M9mPh )

『もう別れよう』

そう言ったけんちゃんに

なんで?
どうして?

の連発だった。

ほんとに何故かわからない

『うざっこい』

うざい
て言った

…どうゆう意味?
うざい?
うざいこといつした?

嫌!
別れたくない!
どうして?
私は好きなのに!


結構醜く引き止めた
でもだめだった


この頃かな

一生懸命やっても
結局ムダかな
て思い始めたのは…

No.12 09/02/22 22:58
唯 ( ♀ M9mPh )

けんちゃんの居ない学校

けんちゃんの居ない生活

全然楽しくなかったよ

別れた理由
今でもわからない
きっと
どうでもいいことだったと思う

初Hの後
平気で鼻をかむ男だったけど
本気で好きだった


初めての彼氏
けんちゃん

今、どうしてるかな

No.13 09/02/22 23:23
唯 ( ♀ M9mPh )

高校2年生になり
後輩のリエコと仲良くなった

リエコは同級生のサトシと付き合っていた

サトシの友達
ユウちゃん

男前なのに
どっか抜けてる
背が高くて
優しい

リエコと仲良かったから
ユウちゃんとも自然に仲良くなった


楽しかったなぁ…

No.14 09/02/22 23:29
唯 ( ♀ M9mPh )

そんな私を見て
私の同級生のリエが話しかけてきた

『ゆいちゃんとユウちゃん付き合ってるの?』

違う
ただの友達
気は合うけど男として見てないし
向こうも同じ

そうゆうとリエは安心した様子で

『ユウちゃんにこれ渡して』

…手紙…

『好きなの?わかった任せて~』


なんだか複雑
好きなわけじゃないけど
なんか複雑だった

今思うと
やっぱり好きだったのかな

No.15 09/02/22 23:40
唯 ( ♀ M9mPh )

リエとユウちゃんは付き合うことになった

でも一緒に居るとこ全然見かけなかった

私はユウちゃんとリエが付き合い始めてからも
ユウちゃんとは登下校一緒にしたりしていた

ユウちゃんが下駄箱で私を待ってた

『てかリエと付き合ってるんじゃないの?』

そう聞くとユウちゃんは

『付き合うって、どんなことしたらいい?』

てゆうから
笑っちゃったよ
私と帰ってる場合じゃないだろ


数日後、ユウちゃんとリエは別れた

別れた
とゆうか付き合ってもない
なにも形がなかった


リエグループには

“ゆいちゃんに男盗られた”
そう思われていた


盗ってません。

No.16 09/02/22 23:45
唯 ( ♀ M9mPh )

部員の少ない水泳部だった私はプールの更衣室を自由に扱えた

更衣室の鍵をあけて

ユウちゃんと2人で
語り合ったり
昼寝したり
楽しい時間を過ごしてた

2人っきりで横で寝てても手を出したりしてこない
ユウちゃんはすごいと思った

何がすごいか

ただ私を女として見てなかっただけかな

No.17 09/02/22 23:51
唯 ( ♀ M9mPh )

そんなことやってたら
体育の先生に見つかっちゃって

不純異性交友

とか言われて
めちゃくちゃ怒られた

お互い別々の部屋で話聞かれて
お互い
『なにもしてません』
『寝てただけ』
一点張りだった

ほんとになにもしてませんから。

やってもないこと
言えないでしょ

No.18 09/02/23 00:01
唯 ( ♀ M9mPh )

【停学】

は?
なにもしてないのに?
ユウちゃんは家業を継ぐために高校には推薦で入っていた

停学…
そんなこと
真面目なユウちゃんに?
ダメ
ダメダメ

必死で先生に謝った

『私はいいけどユウちゃんだけは停学なんてやめて下さい!私が2人分受けます!』

これだけ必死に何かお願いしたのは久しぶりかも
てか親にもこんなに頭下げたことない


お互いの意見が一致してるとのことで 今回は見逃してもらった

良かった…
迷惑かけてごめんね
ユウちゃん…


鍵はもう使えなくなった

あたりまえだけど

No.19 09/02/23 00:06
唯 ( ♀ M9mPh )

それから

ユウちゃんとは
ちょっときまずくなった

避けるユウちゃんに

私が悪かった
と思いながら

『うちらなにも悪いことやってないじゃん!今まで通り話したり遊んだりしよ!今日はカラオケ!行くよっっ』

と何故かキレ気味で
ユウちゃんに言った

ユウちゃん笑ってた

なんだこいつ
て思ったかな

先生の目より
ユウちゃんとの時間の方が大切だよ


心からそう思った


やっぱり
ユウちゃんのこと
好きになってたのかな

No.20 09/02/23 21:24
唯 ( ♀ M9mPh )

ユウちゃんとは
今まで以上に仲良くなった

でもただの友達

どちらからも

好き
付き合おう

て言葉は出なかった

でもなんとなく
私がユウちゃんを好き
ってユウちゃんは思ってるだろうなぁ
って思ってた

そんでもって
ユウちゃんは私のことが好きなんだ
って思ってた

自意識過剰かな(笑)

No.21 09/02/23 21:45
唯 ( ♀ M9mPh )

もうすぐ夏休み

うちの高校は全寮制

夏休みは残りたい人だけ残って寮生活を送ることになっていた

夏休み、どうするかユウちゃんと話してた

私の家から学校まで車で1時間半かかる程遠い
そして山奥
帰ったら遊びに出るのも大変
だから家に帰らず寮に残る

『ゆいが居るなら俺も残ろっかな』


おっと
告白タイムか!?

と思いきや

やっぱり何もなかった(笑)

No.22 09/02/23 21:58
唯 ( ♀ M9mPh )

男子寮と女子寮は行き来できない

長い通路で離されていて、真ん中には食堂がある

寮を出る度日直の先生に声をかけなくてはいけない

外泊は届けを出す

今考えると
かなり窮屈

ユウちゃんに会いたくなったら
寮にある公衆電話から男子寮に電話をかけて
ユウちゃんを呼び出していた

一度
不純異性交友
わけのわからん古くさい疑いをかけられてるから、慎重に時間をズラして寮を出てた

なんだか秘密の恋をしてるみたいで楽しかったな


今はそんな気持ちにすら
なれないよ
人間って
いつまでも純粋ではいられないんだね

No.23 09/02/23 22:06
唯 ( ♀ M9mPh )

夏休みは

ユウちゃんとなぜかコソコソ会ったり

寮に残ってる
ユノ ユキ カオリ(けんちゃんの元カノ)とバカやって楽しく過ごしたり

若くて結構男前の寮の先生3人(日によって交代)と日直室で恋愛や音楽について語ったり


かなり楽しかった


夏休みも半分過ぎた
8月中旬

この頃から
私は変わっていった

今思うと
すべての始まりだったのかもしれない

No.24 09/02/23 22:16
唯 ( ♀ M9mPh )

2泊3日の外泊届けを提出した

行き先は同じクラスの友達のヒロミんち

ヒロミとは1年生の時にいろいろあった

高校に入学して一番最初に仲良くなった

ひとなつっこくて
身長163cmある私より背が高くて
背が高い者同士話が合った

入学式の日に仲良くなって、1ヶ月くらい経った5月に

ヒロミに無視された

No.25 09/02/23 22:22
唯 ( ♀ M9mPh )

???

なんかした?

自分の席の机の上に
紙が置いてあった


【調子に乗るな】


ヒロミの字…


乗りましたか?
いつ?

かなり疑問だった


無視されてから2日くらいあとに
クラスの男子、カズが話かけてきた

No.26 09/02/23 22:29
唯 ( ♀ M9mPh )

『おまえ、ヒロミと喧嘩でもした?最近全然一緒にいないけど。ヒロミ、アカリと仲良くなってんじゃん』

喧嘩なんてしてない
いきなり無視
前の日までは
普通だったのに

ヒロミ…アカリのこと
ブス 毛深い 鼻の穴がでかい 暗い
て散々悪口言ってたのに


『ヒロミがおまえのこと、最近モテるようになったから調子に乗ってる、て俺に言ってきた』

カズは教えてくれた

モテてる?
誰が?

わけがわからなかった

No.27 09/02/23 22:34
唯 ( ♀ M9mPh )

別にヒロミと特別仲がいいわけじゃないカズが私の悪口を聞いていた

て事は
そこら中に言いふらしてるんだ
そう思った

隣のクラスのサヤカとヤスコに聞いてみた


私、ヒロミに嫌われてるのかなぁ…


思わぬ言葉が返ってきた

No.28 09/02/23 22:45
唯 ( ♀ M9mPh )

『てゆうか、ゆいちゃん私たちの悪口言ってたってほんと?』

え?
言った覚えない
嫌う理由がどこにあるの?

誤解だと伝えると

『そうなんだ~じゃあヒロミの嘘なんだね
ヒロミ、リエやナツキやカオリ…とにかくいろんな人に同じことゆってたよ』

何?
どうゆうこと?

『みんなに違うってゆっとくよ。多分みんなヒロミのゆってたこと信じてないけどね』


私によく
いろんな人の悪口を言っては笑ってた

私は黙って聞いて
話題を逸らす

みんなその姿を見てたみたいで、私の方を信じてくれた

なんだか少しヒロミがかわいそうだった

No.29 09/02/23 22:54
唯 ( ♀ M9mPh )

それを知った次の日

ヒロミと同じ中学だった同じクラスのマミが

『ヒロミのヤツ、ゆいちゃんより自分の方がかわいいのに、最近ゆいちゃんが男子とよく喋ってるからムカつくってゆってたよ
どのへんがゆいちゃんに勝ってるんだろうね(笑)
中学の時、暗いオタクで高校デビューのくせに』


やっとわかった
私が男子と話すのが
ヒロミにとってはおもしろくなかったんだ
だから無視したんだ


くだらん

ばかだなぁ…ヒロミ

No.30 09/02/23 23:09
唯 ( ♀ M9mPh )

ヒロミは誰にも相手にされなくなり、2つ隣のクラスのおとなしいグループに入っていた


ある日
1限が終わって2限が始まるまでの休憩時間
マミと廊下で

バーカ
ハゲ~

と言いながらフザケ合ってた


ヒロミは2限に遅れて教室に入ってきた


昼休みになり
寮に帰って昼食を食べていたら

『ご飯食べたら教務室(職員室)に至急来なさい』

と担任からの伝言を
寮専属先生から言われた
3人の中で一番仲のいい先生だったから

なんで?
私怒られるの?

聞くと
先生は

『おまえがそんなことするとはなぁ~
ちゃんと反省しろよ』


???

最近わけわからんことばっか

何気に神経が図太い私は
おかわりまでしたあと
歯磨きして
寮を早めに出て
学校の教務室へと急いだ

No.31 09/02/23 23:24
唯 ( ♀ M9mPh )

担任の宍戸が言った

『御船(ミフネ)にバカ、ハゲ、死ねって言ったのは本当か』

御船はヒロミの名字


???
いつ?

『今日の1限後の休憩時間に御船に言ったそうじゃないか』

あ~
違うって
マミと遊んでた
しかも死ねは言ってない

『御船は奥田(私)にすれ違い様に言われたと言ってたぞ』

あぁ…
確かに居たかも

『違う子に言ったにしても、そんなこと友達に言うもんじゃない。死ねなんて…』

だから
死ね は、ゆってないから

『もう高校生なんだし
ちゃんと御船に謝って
二度とこんなことがないように』


先生ご苦労様
生徒の交友関係に首つっこむのも楽じゃないよね


昼休みが終わるまで
あと少しだけ時間があった

貴重な休み時間を返せ

強く思った

No.32 09/02/23 23:30
唯 ( ♀ M9mPh )

5限が始まる前に

『ヒロミ、嫌な思いさせてごめん!
マミとふざけてただけでヒロミにゆったわけじゃないんだ』

ヒロミに謝った

『…別に』

ヒロミ様か!?

当時“エリカ様”が有名だったら思わず突っ込んでたと思う

それからは
ヒロミともちょこちょこ普通の会話をたま~にするようになった


勝った

ヒロミは思ってたかな


どうでもいいよ
負けるが勝ち

No.33 09/02/23 23:41
唯 ( ♀ M9mPh )

まぁこんなことがあったんだけど

2年の夏休みには
遊ぶ仲になってた


あんなことになるなら
仲直りなんてしないほうが良かったかな


ヒロミのせいにしようとしたらダメだね
自分の行動には責任持たないと

状況が良くなったら
自分の成果

状況が悪くなったら
それも自分の成果


何かのせいにしたり
誰かのせいにしたり

そんな事してたら
いつまでも自分が成長しないね
わかってるんだけどね


ヒロミの家に泊まりに行ったことで

何かが狂い始めた

そうでも思わなくちゃ
“自分のしたこと”に
責任持てないよ……

No.34 09/02/24 10:45
唯 ( ♀ M9mPh )

ヒロミが言った

『年上の人たちと仲良くなったんだけど
その人たちがご飯おごってくれるから行こう』


年は30歳前の2人組み
高2の私たちから見たら
立派なおじさん

やせ型のケン
がっちり型のヨウ


ご飯をおごってもらった

そのあとカラオケに行き
カラオケのお金も
むこう持ちだった


そろそろ帰りたいなぁ…


ケンの家で飲むことになった
正直だるかった
おじさんたちと話してても別におもしろくなかった


断って
またヒロミと仲悪くなるのも嫌だな



帰ってれば良かった…
ヒロミんちに行かなきゃ良かった…

No.35 09/02/24 12:40
唯 ( ♀ M9mPh )

強姦された


ヒロミは嫌だと言いながら喜んでいるようにも見えた
途中から笑っていた


よく知らない男たちと
下の名前しか知らない男たちと
それも本名かどうかもわからない男たちと
密室で飲んでたら
私も処女じゃないんだからどうなるか
安易に想像できたはず


ほんとにバカだった
自分を恨んだ

もう朝6時だった
どうやって帰ったかは覚えてない
気付けばヒロミんちの前

ヒロミのお母さんが

『ゆいちゃん?
ヒロミは?』


お邪魔しました
帰ります

と言って
着替えの入った小さなバッグを持ち、あてもなく足早に去った

2泊ヒロミんちに泊まらせてもらう予定だったから
あてもなく
とにかく歩いた

No.36 09/02/24 23:28
唯 ( ♀ M9mPh )

汚い

汚い汚い

汚い汚い汚い汚い

キタナイ!!


私には8歳上の姉と
5歳上の姉がいる
一番上の姉は結婚していて1人子供がいる

独身の姉ちゃんちに行くことにした


姉ちゃんちに行ってシャワー浴びさせてもらおう
とにかくこの汚れた体を
洗い流したかった
さっきまでの
キモチワルイことを
水に流したかった


なかったことにしたい

そう思うことしかできなかった

No.37 09/02/24 23:40
唯 ( ♀ M9mPh )

姉ちゃんちに着いたのは
8時前だった

『ゆい?久し振り~
何こんな朝に?
あんたがこんな時間に起きてるなんて(笑)
またそんな腹の出たような服着て!
誰もあんたの腹なんか見たくないよ(笑)』


姉ちゃんの顔がまともに見れなかった
姉ちゃんちに着いて
安心したからか
自分が情けないからか
涙が出そうになったのを
必死でこらえた


『私は仕事行くから
まぁ適当にあるもの食べて。米はあるよ。てか米しかないけど(笑)
鍵かけてね~』


全寮制の高校に入ってからあまり会わなくなった私を嬉しそうに招いてくれた

姉ちゃんごめん…
こんな妹でごめん……

No.38 09/02/24 23:48
唯 ( ♀ M9mPh )

姉ちゃんの車が出たのを確認すると

すぐにお風呂に入りシャワーを浴びた


洗わなきゃ
もっときれいに…
洗わなきゃ…

まだ汚れてる

汚い…

私は汚い……

洗っても洗っても
まだ汚い

延々と体を洗ってた

お風呂を出た時
10時を過ぎていた


それでもまだ汚いような気がした


8月分の水道代
高かっただろうなぁ…
姉ちゃんごめんね

No.39 09/02/24 23:56
唯 ( ♀ M9mPh )

何か食べようと思った
こんな時でも食欲があることに驚きながら
冷蔵庫を見た

ほんとに何もない

ヨーグルトとコンビニのサラダと納豆


…納豆にするか

炊飯器の中を見た


ほんとに米だけはしっかり炊いてある

なんだか笑えてきた


バカな自分に

No.40 09/02/25 12:55
唯 ( ♀ M9mPh )

昼過ぎに姉ちゃんが帰ってきた

姉ちゃんは銀行員
こんなに早く終わるわけない


『ただいま~
あんた食べるものに困ってるかと思って買ってきたよ~お金もないだろうし
ほんとに米しかなかったでしょ(笑)』


姉ちゃん
私に何かあったと思って心配してくれたんだね
仕事もそう簡単には帰してくれなかったよね
仕事いっぱい残ってるよね明日大変だよね


ごめんね
心配かけてごめんね
迷惑かけてごめんね


姉ちゃんは納豆を買ってきた


『さっき食べたよ~(笑)
納豆ばっかり食べてどうするの(笑)』


姉ちゃんに言った
姉ちゃんは笑った
私も笑った


ありがとう姉ちゃん…

No.41 09/02/25 13:04
唯 ( ♀ M9mPh )

『せっかく早く帰ってきたんだし一緒にどっか行く?私の携帯、ちょっと調子悪いからショップ行きたいし
あ、あんた携帯いる?
ボーナスも入ったし買ったるよ』


欲しい!かなり欲しい!
いいのかな?

悪いと思ったけど
姉ちゃんに甘えた


うちは貧乏で
親に携帯が欲しいなんて言えなかった


ほんとに嬉しかった

ありがとう
ほんとにありがとう

No.42 09/02/25 13:12
唯 ( ♀ M9mPh )

『リミットプランに入ったから、ひと月に使える金額決まってるからね
私もしがない銀行員だから贅沢言わないでよ』


言わない 言わない


『出世払いね(笑)』


返すよ 返します


今のSoftBankがまだJ-PHONEだった時
初めて携帯を持った


帰って説明書を端から端まで読んだ

嬉しくてしょうがなかった

No.43 09/02/25 20:48
唯 ( ♀ M9mPh )

その日は姉ちゃんちに泊まらせてもらうことにした


慣れない手付きでユノとマミとユミと後輩のリエコにメールを送信した


明日リエコと遊ぶ約束をした


あの出来事を早く忘れたい

ヒロミも携帯を持ってる
ヒロミに連絡とろうとゆう気にはならなかった

この日の夜は泣きながら寝た

夢だったら…
いいのにな…

No.44 09/02/25 21:09
唯 ( ♀ M9mPh )

リエコとは朝10時にファミレスで待ち合わせをした

ファミレスまで
姉ちゃんが仕事に行くとき送ってもらった


姉ちゃんが車の中で
『ゆいは
なんでも自分ひとりで溜め込んで
なんでも自分で解決しようとするから…
あんまり頑張りすぎたらだめだよ』


涙が出そうになったから
左を向いて景色を眺めた

あんなこと…
あんなこと誰にも言えないよ…



『ま!何かあったらいつでもうちに来て
米だけは食わせたる(笑)』

ありがとう
ほんとにありがとう
こんなバカな妹の為に
仕事早退してくれて
携帯まで買ってくれて

…ありがとう…


『携帯使い過ぎるなよー
まぁ使えんけど(笑)
じゃあね~』



姉ちゃんとは笑って
バイバイした


笑う…?

私…




うまく笑えてるかな…

No.45 09/02/25 23:28
唯 ( ♀ M9mPh )

リエコが来るまであと2時間ある

ファミレスに入り
ドリンクバーを注文した


トイレに行き
化粧を軽く直して
笑顔を作った


…うん 笑えてる

もう一回…

…うん 笑えてる


何度か繰り返し

モーニングメニューを食べている他のお客さんを見渡した


誰も…

誰も私にあった事知らないよね?
知らないよね?


居るわけないのに

怖かった


ひとりで居ると
嫌なことばかり考えてしまう


早くリエコ来ないかな

来るわけないよね
まだ8時半にもなってない

ファミレスのコンセントを勝手に使って
まだ慣れない携帯を開き
充電しながらつついていた

  • << 47 リエコは彼氏が居るのに そんなことする子じゃない リエコとの付き合いは短いけどそれくらいわかる 私は悔しくて 悔しくて悔しくて 泣いた 『何で… 死ねよサトシ…』 『死ねはないだろ(笑) いいのいいの! それだけの恋愛だったってことだからさ 泣くなよ私が笑ってんのに(笑)』 リエコは涙声で言いながら笑った その姿が可哀想で 私はまた泣いた 『泣くな~』 リエコも泣いた 2人で泣いた ファミレスの店員や他の客が多分見てたと思うけど 関係なかった リエコ… この時のこと 覚えてる?
  • << 48 10時になると普通のメニューが注文できるようになった オムライスに ドリア スパゲッティに フライドポテト わけわからんくらい注文して私たちは食べた ゲラゲラ笑いながら食べた 『あ~食った~! さっきので2キロは太ったわ(笑) こんだけ食べたら明日飯いらんわ(笑)』 とバカなことをゆって リエコの顔を見たら うっすら涙を浮かべてた 『ゆい…ありがとね』 てリエコが言ってきたから 『男紹介して(笑)』 また冗談で返したら 『こっちのセリフだろ(笑)』 と軽くたたいてきた そうだよ 落ち込んでたらだめだよ これからいいこと いっぱいあるんだから 自分でつくるんだから 過ぎたこと 後悔したらだめだよ そう いつまでもうじうじしてたらだめ 私にも言える

No.46 09/02/26 12:46
唯 ( ♀ M9mPh )

9時になる前にリエコが来た

私は“ファミレスに居る”とか連絡してない
着信音とか待受画面を設定してただけ


『リエコ!?
どーしたの?こんなに早く?まだ9時だよ』

と言ったら

『ゆいこそ!
いつから待ってたの?
早く来たなら連絡してくれたら良かったのに~』


私は
『さっき来たとこだけど…リエコ、サトシくんちに泊まってたんでしょ~
嫌じゃん、最中とかだったら(笑)』


リエコは
『ばーか(笑)
てか別れようって言われたよ』


え?

うそ…


『なんか勘違いされててさ…私はヤリマンなんだって(笑)』


…何それ


『夏休み入ってから
私が他の男と遊んでるとこツレが見たんだって
私そんなことしてないのに何ゆっても信じてくれないんだ
ツレのこと信じて
私のことは信じれないんだって
その言葉が信じられないよね(笑)』

No.47 09/02/26 12:54
唯 ( ♀ M9mPh )

>> 45 リエコが来るまであと2時間ある ファミレスに入り ドリンクバーを注文した トイレに行き 化粧を軽く直して 笑顔を作った …うん 笑… リエコは彼氏が居るのに
そんなことする子じゃない
リエコとの付き合いは短いけどそれくらいわかる

私は悔しくて

悔しくて悔しくて

泣いた


『何で…
死ねよサトシ…』



『死ねはないだろ(笑)
いいのいいの!
それだけの恋愛だったってことだからさ
泣くなよ私が笑ってんのに(笑)』

リエコは涙声で言いながら笑った

その姿が可哀想で
私はまた泣いた


『泣くな~』

リエコも泣いた

2人で泣いた


ファミレスの店員や他の客が多分見てたと思うけど
関係なかった



リエコ…
この時のこと
覚えてる?

No.48 09/02/26 13:06
唯 ( ♀ M9mPh )

>> 45 リエコが来るまであと2時間ある ファミレスに入り ドリンクバーを注文した トイレに行き 化粧を軽く直して 笑顔を作った …うん 笑… 10時になると普通のメニューが注文できるようになった


オムライスに
ドリア
スパゲッティに
フライドポテト

わけわからんくらい注文して私たちは食べた

ゲラゲラ笑いながら食べた


『あ~食った~!
さっきので2キロは太ったわ(笑)
こんだけ食べたら明日飯いらんわ(笑)』

とバカなことをゆって
リエコの顔を見たら
うっすら涙を浮かべてた


『ゆい…ありがとね』

てリエコが言ってきたから
『男紹介して(笑)』

また冗談で返したら
『こっちのセリフだろ(笑)』
と軽くたたいてきた


そうだよ
落ち込んでたらだめだよ
これからいいこと
いっぱいあるんだから
自分でつくるんだから
過ぎたこと
後悔したらだめだよ



そう
いつまでもうじうじしてたらだめ

私にも言える

No.49 09/02/26 13:15
唯 ( ♀ M9mPh )

昨日のことは忘れよう
もう2度とないように
自分が気を付けよう


そう気づかせてくれたリエコにお礼を言わずにはいられなかった


『リエコ!ありがとう!』

て言ったらリエコは笑ってた

『何が?私なんかありがたいことした?
あ!存在がありがたいんだろ~(笑)』


その通りだよ
姉ちゃんとリエコのおかげで昨日のこと忘れようと思えた

“忘れたい”から

“忘れよう”と思えることができたよ


逃げることせずに
前に進むことができたんだ

大きな違いだよ




ありがとう

No.50 09/02/26 13:29
唯 ( ♀ M9mPh )

夕食は寮でとると
外泊届けを出す時に言ったから
夕方5時には寮へ戻った


リエコと散々遊んで
クタクタになって玄関に入った



玄関先のロビーの椅子に誰か座ってる
ここは来客スペース
寮生の親とかがたまにくる

誰だろ…
視力が悪い私は遠目ではわからなかった




『ゆいちゃん…』


その声は…








…ヒロミ

No.51 09/02/26 21:15
唯 ( ♀ M9mPh )

『昨日は…』


ヒロミは昨日の話をしようとした

私は話をさえぎるように

『ヒロミ!昨日は勝手に帰っちゃってごめんね!
ヒロミのお母さんに挨拶して荷物持って
そのまま帰ったよ~
電話くらいすればよかったね!ごめんね』


ヒロミは首を振り
泣きながら
『ごめん…ゆいちゃん…
私…私のせいで…ごめ…んね』


違うよ
ヒロミのせいじゃないよ
判断力の無い私が
相手につけこまれるスキを作った私が
私が悪いんだよ

ヒロミのせいなんかじゃないよ

No.52 09/02/26 21:29
唯 ( ♀ M9mPh )

わかってるけど

自分が悪かったってわかってるけど


昨日の今日のこの時は
まだ気持ちの整理を
つけきれてなくて
わかってるつもりだったのかもしれない



だからひとこと
ヒロミにひとこと


『ヒロミも辛かったね』


言えなかった
どうしても言えなかった


だって
笑ってたよね

あの時
笑ってたよね?

もしかして私をハメたの?

最初から知ってたの?

だから笑ってたの?



私の中にはまだ
そうゆう感情があった

No.53 09/02/27 09:57
唯 ( ♀ M9mPh )

泣いて謝るヒロミを
どこか冷めた目で見てた



その涙は本当?

それとも演技?

なぜ泣いてるの?

笑ってたのに?



冷たい奴だと思われるかもしれないけど
ヒロミの性格からして
そのくらいできる子



本当の事はわからない
問い詰めようとは思わなかった
忘れようと決めたから

No.54 09/02/27 10:08
唯 ( ♀ M9mPh )

『なに泣いてるの!
泣いてても何もならんし
ほら!目がパンダになってるよ(笑)』


なんとかそう言えた


『先生もびっくりしてるし!私が泣かせてると思われるじゃん(笑)
別れ話でもしてるみたいでしょ(笑)』


ロビーは先生が居る事務室から丸見え



もしかしてそれが狙い?

また被害者ぶってるの?
1年前みたいに?

“私が悪いの”と言いながら

“私は悪くない”と思ってるの?



また私の中に
嫌な思いが込み上げてきた

No.55 09/02/27 10:15
唯 ( ♀ M9mPh )

まだ泣いてるヒロミ


泣いてばかりいる
ヒロミがうっとうしくなってきた


『ゆいちゃん…ごめんね…ごめんね…』






うるさい!!!








口に出してしまうところだった

もうダメ

ヒロミの茶番には付き合ってられない



『もうすぐ夕飯だからさ
また2学期ね!
そんなに泣いてたら水分なくなって脱水症状起こすよ(笑)暗くなると危ないから気を付けてね』


ヒロミが帰るのも見送らずにさっさと階段を上がり自分の部屋へ行った










疲れた

もうヒロミの顔は見たくないなぁ…

No.56 09/02/27 20:59
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日から普通の寮生活が始まった



朝起きて点呼

掃除して

洗濯して

みんなとおしゃべりして

昼飯食べて

またみんなとまったりして
お風呂に入り

夕飯を食べる

事務室に行き
先生に絡む(笑)

9時消灯

もちろんみんな寝ない

しばらく雑談して
気が済んだら寝る



単調で変わりない生活が
なんだか嬉しかった

だからにやにやしてた
そしたら変人扱いされた
友達からはバカ扱いだけど
それが幸せだった
あんなことがあったから
なんでもないことが
幸せに思えるのかな


感謝は到底できないけど

No.57 09/02/27 21:02
唯 ( ♀ M9mPh )

夏休みも残りわずか



こんな毎日が続くといいな










そんな願いは叶わなかった

それもやっぱり
自分のせい
自分の選んだこと


そうなんでも割りきれたら

【後悔】


とゆう言葉なんて
ないよね

No.58 09/02/27 21:09
唯 ( ♀ M9mPh )

外泊から帰ってきて
2日経った日

私は朝
男子寮に電話をかけ

ユウちゃんを呼び出した


ユウちゃんとは食堂で会うと必ずひとことふたことは言葉を交わしてる
たわいもない会話


やっぱり2人で
ゆっくり話したい



こうやって会うのも
1週間ぶりくらい
なんだかちょっと照れくさいな


付き合ってもないのに照れてどうする

と自分にツッコミを入れてみたり

自分の携帯番号を書いた紙をくるくる巻いたりして


ユウちゃんがくるのを待った

No.59 09/02/27 21:30
唯 ( ♀ M9mPh )

ユウちゃんがきた


ユウちゃんは来るなり


『お前、最近何かあった?』



え…
なんで?



『なんか目ぇあんまし合わさんし…
飯食ってるとき、たまにぼけっとしてるし…喋るとまぁ普通だったけど
…何かあった?』



私 そんな顔してた?

女子寮のみんなにも
先生にもそんな事
ひとつも言われなかったのに




ユウちゃん
私のこと良く見てくれてたんだ

No.60 09/02/27 21:42
唯 ( ♀ M9mPh )

『そんとき下痢してたんじゃない(笑)コーラック愛用者だし(笑)あれ飲み過ぎると便秘解消どころか
下痢になるんよ(笑)
私に悩みなんて便秘くらいしかないよ(笑)』



『汚ねぇなー(笑)
まぁあんまり悩むなよ
何があったかは聞かんけど
便秘プラス10円ハゲできるぞ(笑)』


ユウちゃん笑ってた


でもユウちゃんなりに励ましてくれてるのが
すごく伝わってきた


こんな私を心配してくれてありがとう



ユウちゃんありがとう

No.61 09/03/01 02:00
唯 ( ♀ M9mPh )

リエコとサトシくんの話になった

リエコがすごく傷付いてることを言った


『サトシ…
ほんとはあいつに好きな女ができたって聞いた…
なんで彼女居るのに
他に目がいくのか
そのへん俺は理解できん』


サトシくん最悪…
自分に好きな人できたくせにリエコを悪者にしたんだ…
ほんと最低


『サトシくん死ねばいいのに!!』


私はまたキレた


『死ねはねぇだろ(笑)』


ユウちゃんにもリエコと同じこと言われて
ちょっと可笑しかったけど
ほんとこうゆうのは許せなかった


『彼女作る資格なし!』


リエコにこのことは言わないでおこう…
言ってもまた傷付けるだけ

友達の悲しい顔は見たくない

No.62 09/03/01 02:09
唯 ( ♀ M9mPh )

『ユウちゃんは彼女作らんの?』


なにげなく聞いてみた


『ゆいとこうやってる間は無理だろ(笑)
周りには付き合ってるだろって良く言われるし(笑)』


私も良く言われる
というか
“今日も彼氏と密会?”
とか、完璧彼氏扱い(笑)



『だよね(笑)
てかユウちゃん付き合っても何していいかわからんのでしょ(笑)』



『うるせぇ!死ね(笑)』


ちょっと赤くなってるユウちゃんが
新鮮でかわいかった




ユウちゃんの彼女になる子は幸せだろうなぁ…

No.63 09/03/01 02:26
唯 ( ♀ M9mPh )

夏休みも残りあと3日


夏休みの間寮に残ってるユノが外出から帰ってきた
今日は同じクラスのナツキと遊びに出掛けてたみたい


ユノは帰ってくるなり
私の部屋に入ってきた



『ゆい!あんた大変な噂流されてるよ!
この夏休みの間にレイプされて妊娠したって!
あんた妊娠してるの?』








!!!


私は瞬間的に思った



この噂を流したのは






ヒロミ…だと

No.64 09/03/01 02:34
唯 ( ♀ M9mPh )

『その噂残念!(笑)
生理なら2日前に終わったとこだよ
ユノも知ってるじゃん
一緒にお風呂入ってるんだから』



そう言うとユノは安心してた



ユノはナツキと遊んでた…

ナツキがヒロミと話してるとこは何度か見たことがある



ヒロミだ…
絶対ヒロミだ…











許さない!

No.65 09/03/01 02:44
唯 ( ♀ M9mPh )

やっぱりあの日はヒロミにハメられたんだ!


許さない


絶対許さない



まだ夕方だった
私は日直の先生に



『門限の8時までには帰ります!夕飯はいらないです!』




ヒロミの家にむかった

No.66 09/03/01 14:54
唯 ( ♀ M9mPh )

ヒロミの家の前でヒロミの携帯に電話をかけた

ヒロミは私の番号を知らない


2回ほどのコールでヒロミは警戒した様子もなく電話に出た




『ヒロミ?ゆいだよ
今何してる?』



『え!?あっ…
今お母さんと買い物してるけど、どうしたの?』


すぐ嘘だとわかった
ヒロミのお母さんの車は家の前に停まってる



『そうなんだ~
私ね今ヒロミんちの近くに居るからちょっとお邪魔しようかなと思って
いつ帰ってくるの?』



ヒロミは
『ごめん!今出たとこなんだ~だからいつ帰るかわかんない』


と言った

私は電話を切った

No.67 09/03/01 14:58
唯 ( ♀ M9mPh )

5分もしないうちにヒロミが家から出てきた

もしかしたら私が来ると思ったのかもしれない
私が来る前に本当に留守にしようと思ったんだろう



浅はか…バカだねヒロミ



家の前に居る私に
当然すぐに気づいた




『!!!ゆいちゃん…』

No.68 09/03/01 15:02
唯 ( ♀ M9mPh )

『ヒロミ…
そうやって私に嘘をついてたんだね
ヒロミがしたこと全部知ってるよ
私のことがそんなに嫌いなの?』



ヒロミが私をハメたかどうか、確信はあるが証拠はない

“全部知ってるよ”


試してみた
ヒロミを試した



ヒロミの顔はひきつっていた


いつもへらへらしている私が真剣に話してる

もう嘘はつかせない

逃がさない




絶対許さない

No.69 09/03/01 15:07
唯 ( ♀ M9mPh )

黙っているヒロミに私は続けた



『あの男たち使って
楽しかった?
ヒロミの気は済んだ?』




黙っているヒロミ


下を向いて肩を震わせている



また泣き落とし?




違う








笑ってる



ヒロミは笑ってる

No.70 09/03/01 15:12
唯 ( ♀ M9mPh )

我慢していたものが溢れ出してきた




自業自得

被害妄想

ヒロミも被害者

ヒロミを信じる



どこかヒロミを信じたかった自分が全部消えた











バチンッ!!!

No.71 09/03/01 15:17
唯 ( ♀ M9mPh )

初めて人を叩いた


初めて心から人を憎いと思った




『私はあんたのこと
絶対に許さない』




それだけヒロミに言い、私は寮へ帰ろうとした



ヒロミは最後に


『よくも私を叩いたな!
覚えとけ!』



そして大きな声で




『おかぁさぁ~~~ん!』


と言い家の中へ入っていった





ヒロミ…あんた救われないね



バカだね…
バカな子…

No.72 09/03/01 15:32
唯 ( ♀ M9mPh )

寮に戻ったのは8時ギリギリだった


慌てて外出していった私
キレた顔して帰ってきた私
いつも見せない自分を出してる私を見て


日直の先生は心配して
『奥田!大丈夫か?
一体何があったんだ?』



と言ってくれた


私は無表情で
『なんでもないです
お風呂に入ります』



と言い階段を上った




先生は
『何か悩み事があるなら聞くことくらいはできるからな!』



と言ってくれた





ごめんね先生


今はいつもみたいに笑うことできないんだ



ごめんね…

No.73 09/03/01 15:42
唯 ( ♀ M9mPh )

朝がきた


昨日のヒロミの姿が忘れられない




点呼が終わり、いつも通りに掃除に洗濯



洗濯物を干してるとき



先生が私の元へ来た



『奥田~よく眠れたか?』


いい先生だな…

『寝た寝たっ!
いびき聞こえた?(笑)
先生が添い寝してくれたらもっと良く寝れたんだけどな~(笑)』



いつもの冗談で返し
先生を安心させた


『奥田は笑っとけ!昨日はすげぇ怖かったぞ(笑)』




先生ありがと

だよね
あんなバカなヒロミなんて相手にしてられないよね


時間の無駄だよね

先生ありがとう

No.74 09/03/01 22:06
唯 ( ♀ M9mPh )

いつも通りに過ごし


昼食を済ませ
ひとりでのんびりしていると




コンコン



私の部屋を誰かがノックした


『は~い』


返事をしたと同時に
昨日の先生と交代した
私が一番仲良くしている寮専任の先生が入ってきた




『先生~!今日の日直、先生なんだっ
どうしたんですか?乙女の部屋にいきなり(笑)』

No.75 09/03/01 22:15
唯 ( ♀ M9mPh )

『お前また御船と何かあったのか?
さっき御船のお母さんから電話があって今からここに来るらしいぞ
えらく怒ってたから何かあったんだろ』



…ヒロミ

今度はまた何?

“覚えとけ”

言ってたなぁ

これがお返し?



くだらない…



『あ~…昨日おもいっきり顔ひっぱたいたから
そのことじゃない(笑)』



先生は呆れた様子で
『笑って言うことじゃないだろ…親御さんが出てくるんだぞ
お前の親も呼べって言ってたけど今から呼べるか?』


無理無理

うちの親自営だし忙しい

だいたいこんなくだらないこと言って心配かけたくないよ

No.76 09/03/01 22:25
唯 ( ♀ M9mPh )

呼べって言ってるんだからとりあえずかけようかな

怖いとか思われるのも嫌だし




やっぱり出なかった

留守電に切り替わったから先生の耳に受話器を当て
留守だとゆうことを確認してもらった



『とゆうことだから(笑)
てか子供の喧嘩にいちいち出てくる親も暇だね
どんな根性悪い子供でもかわいいんだね
ヒロミも来るんでしょ?上等じゃん』



『お前が誰かを悪く言うなんて相当だな
まぁどんな理由があるにせよ手をあげたのが事実ならお前も悪いから
よく反省することだ』



先生は正論を言った

その通り

手をあげたのは悪い

それは謝らなくちゃ…



シャクだなぁ…

No.77 09/03/01 22:32
唯 ( ♀ M9mPh )

“反省しろ”

1年前ヒロミとモメた時も先生同じことゆってた


先生

悪いけど私
“反省”て言葉嫌いなんだ
自分のとった行動くらい責任持たなきゃ






私は先生と一緒に来客用ロビーで
ヒロミたちが来るのを待っていた


ロビーからは外がよく見える




ヒロミのお母さんの車だ



…来た

ヒロミの姉まで居る

どんだけ暇なんだ?



無勢に多勢とはこのこと

No.78 09/03/02 14:20
唯 ( ♀ M9mPh )

ヒロミはわざとらしく左頬を押さえてた


私が叩いてから十数時間経っているのに痛いわけない


そのヒロミの姿に
腹も立たなかった


ただ
こんな奴に腹を立て
手を出してしまった自分が情けなかった




ヒロミのお母さんは
私を見るなり罵倒した




『このアバズレ!!!
よくもうちの子に!!!』

No.79 09/03/02 14:25
唯 ( ♀ M9mPh )

“よくもうちの子に”

それはわかるけど

“アバズレ”

…?
それはあなたの子供さんのことではないですか?



この常識の無さ

この親にしてこの子ありだ



私は自分が手を出したことを謝ろうと思っていたが
謝る気は一切なくなった



バカか?と言う顔をしている私に今度はヒロミのお姉さんが


『早くヒロミに謝りなさいよ!』




お姉さんごめん

謝る気はついさっき無くしたよ

No.80 09/03/02 14:31
唯 ( ♀ M9mPh )

私は
ヒロミのお母さんやお姉さんの顔は一切見ずに
ヒロミだけを見ていた


“どう?参ったでしょ”


と言いたげな顔をしている


ちょっとムカついたので

『それでヒロミは何が言いたいの?』


と聞いた



外野がうるさかった
ヒロミは黙っていた




『もうすぐ丸一日経つってゆうのにまだ痛いの?
演技が上手だね(笑)
私に叩かれた理由くらいわかってるでしょ(笑)』


私はバカにしたように
笑いながら言ってやった



やっぱり外野がうるさいだけで
ヒロミは黙ったまま




被害者ぶるのもたいがいにしてほしい

No.81 09/03/02 14:46
唯 ( ♀ M9mPh )

うるさい外野のひとりのお姉さんが言った


『あんたヒロミが妊娠して流産したとか噂流してるんでしょ!
ヒロミが私に泣いて相談してきた!かわいそう!!!』




は?
今なんて言った…?


私が?



さすがに驚いた

目を丸くしている私を見て
今まで黙っていた先生が口を開いた




『奥田はそんな根も葉もない噂を流すような子ではありません!』




嬉しかった


そしたらヒロミが泣き出した





またか…
また茶番が始まった…

No.82 09/03/02 22:36
唯 ( ♀ M9mPh )

私の中で何かがプツっと切れた


『もういいよ…』



私はもうどうでもよくなった

何もかもどうでもよくなった

ほんと

もういいや…







『先生、私学校辞めます』



『何言ってるんだ奥田!』先生が止めてくれてる


ありがとう先生…

でもどうでもよくなっちゃった

もういい











めんどくさい

No.83 09/03/02 22:44
唯 ( ♀ M9mPh )

先生が何かを一生懸命言ってくれてる

でも何も耳に入ってこない

ヒロミたちにも興味ない



この時の私は完全に
“無”だった





そこに居る人全員無視して

自分の部屋へ戻った


ヒロミたちがいつ帰ったかはわからない




私は寝た


どうでもいいから好きにさせて…


これしか思ってなかった





夕食前になるとユキが私の上にダイブしてきた

びっくりして起きた


『飯!食べに行こっ!』

No.84 09/03/02 22:51
唯 ( ♀ M9mPh )

『いらない』

そう言った私にユキは


『何があったか知らないけどご飯は食べなきゃ!
ひとりで痩せようと思うなよ~(笑)』



ユキに元気づけられ
食堂へ向かった



事務室に先生が居る
こっち見てる



…謝らないと

ユキに先に行ってもらうよう伝え
事務室に入り
先生に話した



『先生さっきは迷惑かけてごめんなさい
私学校辞めるよ…
なんかめんどくさくなっちゃった…
先生の言ってくれたことはほんと嬉しかった!
危うく惚れそうだったよ~(笑)』



先生は苦笑いした

No.85 09/03/02 22:57
唯 ( ♀ M9mPh )

先生は
『奥田…本気で言ってるのか?』


私は
『え?惚れそうだったってこと??…うそうそっ(笑)学校のことでしょ?
辞めるよ!本気!まだ誰にも話してないけどね』




先生は厳しい顔して
私に言ってくれた
『人生もっと辛いことがあるんだ
友達と喧嘩して悲しいことより
彼氏と別れて悲しいことより
もっともっと辛いことがあるんだ
だから逃げてたらだめなんだぞ』









数年後、この言葉を思い知らされるが
これはまたあとでの話…

No.86 09/03/02 23:04
唯 ( ♀ M9mPh )

『ん~…確かに逃げてるだけかもね(笑)
でももういいんだ
あのヒロミの演技力で“停学処分”とか言い渡されたくないし(笑)』



ヒロミはきっと
このままで終わらせるつもりはないだろう




『私も最近いろいろあったから…
大人の事情ってやつ?(笑)
明日までに荷物まとめて
明日には辞めるから』




先生は
『後悔しないようにな』

とだけ言ってくれた

No.87 09/03/02 23:14
唯 ( ♀ M9mPh )

先生…




あの時
『もちろん!』

て言ったよね


先生
私のこと
あの時のこと
覚えてるかなぁ…
生徒いっぱい居るから
きっと忘れちゃったよね


先生ごめんね

私ウソついちゃった




後悔ばかりなんだ

あの時も

それからあった出来事も



先生が知らないところで
後悔ばっかり…




後悔しても前に進めない

頭ではわかってるけど

気持ちがついていかないんだ…

No.88 09/03/03 04:53
唯 ( ♀ M9mPh )

【高校中退】

高校2年生の夏

せっかく入った高校
親がお金かけてくれた高校
書類ひとつで辞めれた

泣いて怒っていた両親

こんなバカな娘でごめんね



私の人生でひとつめの後悔
親を泣かせた









もしも…あの時………

No.89 09/03/03 12:34
唯 ( ♀ M9mPh )

もしも…
あの時…
ヒロミと遊ぶ約束をしなかったら…



こんなことにはならなかっただろう





私が遊びを断って
嫌な気分になったヒロミがバカな噂を流したかもしれない

でも私はそんなことで
手を出したりしない



私は
男たちを使って
私を襲わせたことが許せなくて
頬を叩いた



あの日のことがなかったら私はこんなバカなことしない


何もかもどうでもよくなんかならない

No.90 09/03/03 12:40
唯 ( ♀ M9mPh )

私は2学期始業式の日に辞めた


始業式にはもちろん出ていない



寮に残ってたみんなには
辞めると決めた次の日に
夏休み最後の日に
辞めると話した



泣いてくれた子も居た




『一生会えないわけじゃないじゃん!(笑)
学校休みの日とか遊ぼうよっ』


私は精一杯笑った

No.91 09/03/03 20:25
唯 ( ♀ M9mPh )

ユウちゃん…


ユウちゃんには始業式が終わった頃

退学届を提出する前に
ユウちゃんのいる1年A組の教室に初めて行った


私が教室に来た事にもびっくりしてたけど

私が学校辞めるって言って退学届を見せた事に
ユウちゃんすごく驚いてた

そりゃびっくりするよね
ごめんね



『なんでだよ!やめるなよ!』


真剣に
すごく真剣に
止めてくれたね
…嬉しかったよ
ありがとう



『車の免許とったら
学校にユウちゃん迎えに来るよ!だからユウちゃんは私の真似して辞めたりしたらだめだよっ(笑)
浮気すんなよ(笑)』



そう言ってバイバイしたよね
付き合ってもないのにね(笑)


結局
その約束を果たす日は
こなかったんだけど…

No.92 09/03/03 20:38
唯 ( ♀ M9mPh )

ユウちゃんは何も知らないと思うけど

約束を守れなかったのは
それからまたいろいろあったんだ


全部自分がしたことなんだけどね



ユウちゃんと最後に会ったのは

今から3年半前


私がふたり目妊娠6ヶ月の時に偶然会ったね



ふたりでびっくりしたね

まさか会うとは思ってなかったよ


その時ユウちゃんは
婚約者を連れてたね


どこか
私に雰囲気が似てると
思ったのは


自意識過剰かな(笑)



今は結婚して
幸せにしてるかな



私たち
どちらかが告白したりしてたら
付き合ったりしてたのかな


わかんないね






ユウちゃん…

どうか幸せになってね

No.93 09/03/03 21:16
唯 ( ♀ M9mPh )

高校を辞めたその足で

ファミレスに行った


ウェイトレスに

『店長さんおられますか?』

と聞いたら

『マネージャー!』

と大きな声で呼んでくれた
ここでは店長を
マネージャーと呼ぶらしい

出てきた男の店長さんに

『バイトしたいんです!
募集してますか?』


店長さんはちょっと驚いた感じだったけど

『面接希望ですか?
ちょっと待っててね~
今お昼時で忙しいから
2時くらいまで待っててくれる?』


2時まで1時間…

『はい!
営業の邪魔になるので外に居ます!』


と言って失礼した




金銭的にまで
親に迷惑かけたくない

中卒だから就職は難しい
バイトでもなんでもいい
とにかく
親にこれ以上迷惑はかけられない!

No.94 09/03/03 21:23
唯 ( ♀ M9mPh )

ファミレスから歩いて10分のところにデパートがある

私は走ってそのデパートに行き

履歴書を買い

証明写真を撮り

外の椅子に座り履歴書を書いた



何も準備しないまま
思うがまま行動した私…
バカだなぁ…

No.95 09/03/03 21:31
唯 ( ♀ M9mPh )

“平成11年3月Y小学校卒業”

“平成11年4月N高校入学”

“平成12年9月N高校中退”



これが私の履歴



3行目を書いた時


あ…
私ほんとに辞めたんだな…と実感した



感傷に浸ってる場合じゃない

自分が決めたこと




さっさとファミレスへ戻った

No.96 09/03/03 21:56
唯 ( ♀ M9mPh )

2時ちょっと前にファミレスへ入った


店長さんが
『ここの席で待ってて』

入り口から一番近い席


テーブルの上には
お客さんが食べ終わった皿が置いてあった

店長さんはあっとゆう間に皿を下げた



しばらく待っていたら

店長さんがきた

『ごめんね待たせて~
えーっと…奥田さん!
どの時間帯がいいのかな?……ん?N高中退?9月?』

履歴書を目を細めながら
じーっと見てる


私は制服を着てるから
ちょっと混乱してるみたい


『今日辞めました』


店長さんは
『今日!?それでそのまま来たの?だって家遠いでしょ?』



驚いていた(笑)



『行動力あるね~(笑)
それで時間帯の希望とかある?…ない?
ないならランチに入ってもらおうかな!
キッチンがいい?ホールがいい?』



ウェイトレスは嫌だったのでキッチン希望にした
そしたらちょうどキッチンの方が人手不足だったみたいで


『じゃキッチンね!お昼の11時から3時ね
慣れたらもっと長くなるよ~ここは能力給もあるから頑張ってね
明日からこれるよね!』




即決採用だった


『ありがとうございます!頑張ります!』




バイトが決まった

これでひと安心

No.97 09/03/04 22:59
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日
私は金髪でバイトに行った

昨日採用された帰りに
またデパートに行き
ブリーチ剤を買い
家で脱色した


家ってゆうのは
独身の姉ちゃんち
親元では通勤がキツイから姉ちゃんちでお世話になることになった



『学校辞めたと思ったら
バイトか!茶色ならまだしも金髪!!
まぁゆいがいいならいいけど(笑)
髪痛むよ~』


そう姉ちゃんは言ってた

きっと姉ちゃん心配だったよね
言いたいこともいっぱいあったと思うけど
全部飲み込んでくれてたね


ほんとバカな妹で
ごめんね

No.98 09/03/04 23:04
唯 ( ♀ M9mPh )

私が入ったファミレスは規定がゆるかったから金髪でもピアスでもなんでもありだった



ピアスは金髪にした2日後に開けた


私は学校を辞めたことで
自由を手に入れたと
勘違いしていた



タバコも始めて
おいしさもわからないままバカバカ吸っていた




昨日は黒々としていたのに今日は金髪になってる私を見て
マネージャーはびっくりしていた

No.99 09/03/04 23:11
唯 ( ♀ M9mPh )

私が働くことになった平日ランチタイムは
ひとまわり以上年上の主婦のパートさんが多かった



高校中退
金髪
未成年でタバコ


こんな私が好かれるわけなかった


仕事のことだけの会話

いろんな嫌みを言われたりもした


“私は働きに来てるんだからおばちゃんらに嫌われようが関係ない”


そう思い
一生懸命仕事を覚えようとした

No.100 09/03/04 23:22
唯 ( ♀ M9mPh )

平日はパートさんたちに嫌みを沢山言われていたけど

日曜日に皿洗いとして入った時に休憩室で
のちに親友となるエリちゃんと仲良くなった



金髪
どう見ても未成年なのに休憩室でタバコ吸ってる


そんな私には
挨拶以外で誰も話してくれなかった

エリちゃんが初めて声をかけてくれた


前髪を上げながら
『あっついねぇ~!
その髪脱色?傷まなかった?』



すごく嬉しかった

エリちゃん
この時のこと覚えてるかな…

No.101 09/03/04 23:28
唯 ( ♀ M9mPh )

ここには学生バイトがいっぱい居た

エリちゃんはS高校生



赤信号
みんなで渡れば怖くない


てことで
エリちゃんと私が話してるところを見て
みんなが話しかけてくれた


何高だったか
どこ出身か
彼氏は居るか
マネージャーの悪口



ありきたりな会話だったけど
エリちゃんのおかげで
みんなと仲良くなれたよ

No.102 09/03/05 13:05
唯 ( ♀ M9mPh )

入って2週間経ったくらいに
平日の主婦パートさんたちに話しかけられた


きっかけは私がつけてるウィッグ

ショートの私がロングのウィッグをバイトにつけて行った

控え室の机の上に置きっぱなしにしていたことが

なぜか大ウケだった(笑)


それから家のこととか彼氏のこと
初めて世間話をした


私はその日まで
周りで楽しくして笑い声を聞きながら
ひとり黙々と仕事していた


すぐ辞めると思ってたら
見かけによらず
仕事続くし覚えも早い

見かけのわりには
話すとおもしろい

見かけで近づきたくないと思った



こう言われた

私は外見が相当悪いらしい(笑)

No.103 09/03/05 13:15
唯 ( ♀ M9mPh )

この日からバイトが
すごく楽しくなった


土日は同年代のエリちゃんたちが居て楽しかったけど

メインの出勤は平日だったから

周りは楽しくしてるのに
自分だけ無言で働くのは
正直辛かった



ランチのキッチン責任者の主婦パート今井さんと仲良くなれてほんと嬉しかった


私はウィッグに感謝した(笑)

No.104 09/03/05 13:27
唯 ( ♀ M9mPh )

3ヶ月経つ頃
仕事も一通り覚えて
使いものになった私は
時給が上がった

そうそうあげてもらえるものじゃないから
ほんと嬉しかった


仕事は楽しい
給料も上がった
人間関係もうまく行ってる

仕事に関しては順調だった


バイトだけど
仕事が楽しくて
恋愛するの忘れてた…

No.105 09/03/05 20:30
唯 ( ♀ M9mPh )

気づけば
彼氏いない歴
7ヶ月…


!!!


やばい
私終わってる!?


バカな発想だけど
その時はほんとに焦った


でもすぐに

別にいいや…


と思った(笑)






私はこのファミレスでバイトしたことによって

ひとりの男に逢い
一度目の結婚をすることになる


そしてこれからの
人生が
大きく変わることになるなんて


この時は思ってもみなかった

No.106 09/03/05 20:43
唯 ( ♀ M9mPh )

“そろそろ彼氏欲しいかも”

と思い始めた頃



土日で一緒になった
上田くんに話しかけられた

上田くんは男子の多いK高の3年生
私の1コ上



『奥田さんて彼氏居るの?』


『居たら毎日バイト入ってないですよ(笑)
いない歴7ヶ月ですよ』


初めて話すのに
上田くんは気さくだった



『俺の友達すげぇかっこいい男紹介しようか?』



嘘くさい(笑)


『え…いいです
紹介とかよくわからんし』



『ほんとすげーかっこいいよ!見て!』


上田くんは携帯に貼ってあるプリクラを見せてきた


女2人と上田くんと
もうひとりの男…



ほんとにかっこよかった

プリクラで全然かっこよかったのに

『これちょっと写り悪いけど本物かっこいいよ!
あ!俺の隣に写ってる子、俺の彼女♪』



『彼女かわいいですね!』

とだけ言った



顔がいい男は
もてるからなぁ…

No.107 09/03/05 21:45
唯 ( ♀ M9mPh )

上田くんは私より1時間早く上がった


私が控え室に行くと
上田くんはまだ居て
バイトの女の子と話していた



『奥田さん!お疲れ~!
奥田さんのプリクラちょーだい!』


…何のために?


『ナオに見せるからちょーだい!』


ナオ…さっきプリクラに写ってた男前のひとのこと



『ナオに奥田さんのこと紹介したいし!』


まだゆってる…


あんまり乗り気じゃなかったけど
退きそうにない上田くんに
特に写りがいいわけじゃない微妙なプリクラを1枚渡した
携帯番号も聞かれた



なんなんだ一体…
少女斡旋か(笑)

No.108 09/03/05 21:49
唯 ( ♀ M9mPh )

月曜の夜知らない番号から携帯に電話があった

070…PHSだった


あ…ナオはまだPHSって上田くんがゆってたなぁ…


てことはナオ…さん?



てか何を話せばいいの?

どーする?

無視したらだめだし…

どーする??


その時私はLIFEカードを持っていた(笑)


とりあえず電話に出た…

No.109 09/03/05 21:55
唯 ( ♀ M9mPh )

『はい』


私が出ると
『もしもし?ナオだけど
てか今家にいる?
家の電話番号教えて!』



え?

と思う間もなく
私は姉ちゃんちの家電の番号を教えた


『じゃすぐにかけなおすから!』


と言ってきられた



…?

私は姉ちゃんの部屋に行き

『もうすぐ電話がかかってくるから私出るよ!』


と言って自分の部屋に戻った


家電が鳴った…

ナオだろう



だから一体なんなんだ??

すぐに電話に出た

No.110 09/03/05 22:00
唯 ( ♀ M9mPh )

『ごめんごめん!
PHS高いから(笑)
初めまして…てゆうのも変だけど(笑)
こうゆう時何話せばいいんだろう…』


私もわからんよ…


初めての電話でのナオは
ちょっと軽い印象だった




あとでわかったことだけど

ナオは緊張してたんだよね


だからわざとテンション高めで話していたんだね

真面目なナオは私に
気を使ってくれたんだよね

No.111 09/03/05 22:10
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオとはそれから毎日電話で話すようになった


しばらくして
私たちは会うことになった


『上田は上田の彼女と
俺とゆいの4人で遊ぼうってゆってるけど
俺はふたりのほうがいいな~だからふたりで会おう!』


私もどっちかと言えば
ふたりのほうがよかった

毎日電話で話して
少なからずナオに好意を抱いてた私は
何のためらいもなく
承諾した


会ってみたかった

かっこいいとかそんなん関係なく

毎日話してる彼に

会いたかった



11月22日
デパートの階段で待ち合わせをした

No.112 09/03/05 22:18
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオは先に待ち合わせ場所に来ていた


私はナオに電話をかけた


『今着いたけどどのへん居るの?』



『1階と2階の間に居るよ』



ほんじゃすぐそこだ…



『すぐ行くからもうちょっと待ってて』

と電話を繋げたまま
ナオが居るとこへ
急いだ



居た…!!



階段を少し上がったとこに携帯を耳にあててる感じの人が居る

No.113 09/03/05 22:21
唯 ( ♀ M9mPh )

視力が悪い私には
顔がよく見えなかった

電話越しに
ナオの名前を呼んだ



『ゆい…!』



携帯から
目の前から
私を呼ぶ声…



ナオだ!



それが私たちの出会いだったね

ナオは覚えてるかな



すごく緊張してたんだよ

ナオは私の10倍は緊張してたと思うけど…



ナオ…

私たちここから始まったね

No.114 09/03/05 22:27
唯 ( ♀ M9mPh )

初めて会った日は

一緒にプリクラを撮って

カラオケ行って

私のバイト先のファミレスでご飯食べて


普通のデートしたね



ナオはほんとにかっこよくて

冗談抜きで
ほんとにほんとにかっこよくて
びっくりしたよ


これもあとでわかったことなんだけど


他校にファンクラブが出来るほどだったんだね

私が高校辞めてなかったら噂くらい聞いてたかな


そんな人の
彼女になれて


ちょっと自慢だったんだ

No.115 09/03/05 22:36
唯 ( ♀ M9mPh )

帰りのバスの中で

『付き合おう』


てゆってくれたよね

私に断る理由なんて
なかったよ


逆に私でいいの?
て感じだったよ…



ナオとはいっぱい楽しい思い出があるよ

ナオんちからバス停まで毎日チャリで送ってくれたね

私重いから
ナオはぁはぁゆってた(笑)

ナオの誕生日には香水をあげたよね

私の誕生日にも香水選んでくれたよね

地元はつまらないから
電車に1時間乗って
あんまり知らない街をブラブラしたね


いっぱいいっぱいあるよ







なんで終わっちゃったんだろうね…

私たち


若かったから
大切なものがわからなかったんだね…

No.116 09/03/05 23:04
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオにとって私は初めての女だった

これは上田くんから聞いた話


『ナオは奥田さん処女じゃないっぽいってゆってたよ!』


男同士ってそうゆうこと平気で話すんだ…

ちょっとナオにひいたけど私に言ってくる上田くんにもっとひいた

まぁ別に気にしなかった

実際私は初めてじゃなかったし

ナオは何も聞いてこなかったから言ってないだけで

別に隠してるわけじゃない

てか過去なんてどうでもいいじゃん


私の考えはこれだった

No.117 09/03/06 13:16
唯 ( ♀ M9mPh )

私とナオの付き合いは半年間で終わった


その間私たちは何度も
別れ話をしてた


若かったんだね


別れを切り出すのは
順番だったね



最初にナオが別れよう
って言った時は

私はナオと別れたくなくて一生懸命ナオにすがった

ナオが別れたいって言った理由は

『そばに居すぎて
大切さがわからない』

私にとっては???だった


次の別れ話は私からしたね
理由は良く覚えてないけど

この時1週間距離をあけたよね



次はナオ…
その次は私…


ままごとだね

No.118 09/03/06 13:23
唯 ( ♀ M9mPh )

喧嘩の度に別れ話

どれもたいした原因じゃない

浮気とかそうゆうのじゃなくて
ほんとくだらない喧嘩ばかりしてた



今回もいつもの感じで別れ話になった


でも私は
なんか疲れちゃってたんだ


『俺はゆいとの結婚とか考えてない
今が楽しければよくない?俺もっと遊びたいし(笑)』



その言葉は
私にはかなり衝撃的だった

No.119 09/03/06 13:29
唯 ( ♀ M9mPh )

あぁ…

この恋には終わりがあるんだ


終わりがあるのに
なんで
今は一緒にいるの?


よくわかんないよ…




なんか一気に冷めた


私だって別にナオと結婚したいとか思ってたわけじゃない


だけど
“別れる”為に
“付き合ってる”
意味がわからなかった



『ゆいとは友達で居たいから喧嘩別れとかやめよ(笑)ゆいが一人暮らししたら遊びに行くから教えてな!』

ナオは私に言った


私はまたすべてが
どうでもよくなった

No.120 09/03/06 13:33
唯 ( ♀ M9mPh )

私はその頃
一人暮らしがしたくて
ナオと一緒に居れる空間が欲しくて


バイトに精を出していた


目標があると
人ってこんなに頑張れるんだ…!

びっくりするくらい
すぐに引っ越し資金は貯まった




そろそろ部屋を探そうか

という時に

こうゆう事があった



だから尚更

ナオの言葉が信じられなかった

No.121 09/03/06 13:53
唯 ( ♀ M9mPh )

引っ越し資金を貯める為
私はバイトをかけもちしてた


ナオは4ヶ月前の春から専門学校に通っていた

通学方法は
家から駅まで自転車で30分それから
駅から電車で1時間


朝は5時起き
帰りはいつも8時すぎだった


だからナオが高校生の頃みたいに頻繁には会えなかった


だから私は駅の近くに部屋を借りて

学校の帰りにちょっとでも寄ったりしてくれたら


一緒に過ごせる時間も長くなるんじゃないかな

て思ってた



同棲はできないと
真面目なナオは最初からゆってたから

半同棲くらいならいいんじゃないかな


勝手に考えていた

No.122 09/03/06 20:46
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオともう少し
一緒に居たいから…



居たいから頑張ってたのに…


ナオはきっと

この時もいつもの
ままごと別れ話で

また寂しくなったらヨリを戻すつもりでいたと思う



ごめんね

私にとってはそうじゃなかったんだ…

ナオの言葉で
どうでもよくなっちゃったんだ


でもナオのせいにしてるわけじゃないんだよ


私が白黒はっきりつけたい性格がだめだったんだと思う



この性格のせいで
今でも苦しむことに
なってるよ



どうしようもないね 私

No.123 09/03/07 13:34
唯 ( ♀ M9mPh )

バイト先のみんなには

私には彼氏が居ると知ってた
ナオと何度もファミレスでデートをしたことがあるし

今井さんや私と仲良くしてる人たちとナオは言葉を交わしたことがある



私はみんなにナオと別れた話をした

今まで何度も別れたことはあるけどみんなに話すことは一切なかった


それほど私の中で踏ん切りがついていたんだと思う

No.124 09/03/07 13:49
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオと別れて2日後


休憩時間に
控え室でエリちゃんと話してたら

山口くんが上がってきた


仕事はできないけど
見てて飽きないような
新しく入った子


2コ下の山口くん


私は会う度にからかっていた

山口くんはウェイターをやってて
料理を運んできてくれたりする時に
ナオと一緒にからかったりもしていた



私はいつものように山口くんに話しかけた

No.125 09/03/07 13:55
唯 ( ♀ M9mPh )

『山口くんお疲れ~!
今から学校?』


山口くんは夜間学校へ通っていた


『はい!今日はツレも久しぶりにくるみたいなんで
俺も行きます!』



『ははっ!だよね~学校なんて友達に会いに行くようなもんだよね!
山口くんて家からここまで何で来てるの?』



『チャリっす!家遠いしキツイっすよ~』


ほんとにキツそうな顔するから笑っちゃった

No.126 09/03/07 14:09
唯 ( ♀ M9mPh )

『大変だね
私が免許取ったら送ったげるんだけど
もう18だからね』


山口くんは目を丸くして

『奥田さんって18歳なんすか?もっと上かと思ってました!』



『悪かったな老けてて(笑)
私もうすぐこの近くに部屋借りようと思ってるんだけど
山口くん一緒に住もうよ(笑)』



『何言ってんすか!
ナオさん居るじゃないすか!つかナオさんめちゃくちゃかっこいいすよね!
俺惚れそうですよ(笑)』


山口くんは慌てながらそう言ってきた

No.127 09/03/07 14:14
唯 ( ♀ M9mPh )

『別れたよ(笑)
山口くん彼氏になってよ(笑)』



『えっ!別れたんすか?
…いやいやいやいや(笑)
もったいないっす(笑)』


『何がもったいないの(笑)』



こんな冗談を言って
エリちゃんと笑ってた



山口くんはおもしろいけど恋愛対象ではないから
こうゆう冗談を平気で言えた






言わなきゃ良かったなぁ…

No.128 09/03/08 01:10
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日

いつもよりお客さんも少なく
仕事よりもおしゃべりに精を出したバイトを終えて外へ出ると山口くんが居た



『お疲れ様っす!』



『今から?今日は暇だったよー』


そう声をかけると

『奥田さん!
彼氏と別れたのってほんとっすか?』



『別れたよ~
何?付き合ってくれるの?(笑)』




『俺で良かったら付き合ってください!』





びっくりした

No.129 09/03/08 01:26
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんは多分本気だろうと思ったけど

私は

『嘘でしょ?
誰との罰ゲーム?
ギャンブルは嫌いだよ(笑)』



わけのわからない冗談でごまかした



『俺本気っす!奥田さんのこと好きでした!』




…困った
恋愛対象じゃないんだけど


私が断ったりしたら
山口くんバイトやめちゃうだろなぁ…
それは申し訳ないなぁ…

No.130 09/03/10 12:50
唯 ( ♀ M9mPh )

>> 129 私はバカか…

その気もないのに
純粋な年下の15歳の子に…

(※すみません
以前2コ下と書きましたが山口くんは3コ下の間違いです)




『うん
付き合おう!』


私の出した答え


山口くんはものすごく喜んでくれた


今は好きでもなんでもないけど

決して嫌いではない
付き合っていたら好きになるかもしれない


失礼かもしれないけど
私はこんな理由で山口くんと付き合うことにした

No.131 09/03/10 12:54
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオと別れて一週間も経ってないのに

新しく彼氏を作った


ナオのことは完璧に忘れたわけじゃない

気持ちは冷めていたけど
やっぱりどこかで
ナオのことを想っている私が居た


好きと言ってくれた山口くんに申し訳ない気持ち


ナオのことを完璧に忘れられない気持ち



私は複雑だった

No.132 09/03/10 13:45
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日

私がバイトに行くと

『奥ちゃん山口くんと付き合うことになったんだって?』


今井さんがゆってきた


山口くん…
いつも私より先に上がってる今井さんが知ってるってことは
昨日のうちにみんなに言いふらしたな…



『昨日山口くんめちゃくちゃ嬉しそうだったよ~』


ウェイトレスのハルちゃんが言った

No.133 09/03/10 14:37
唯 ( ♀ M9mPh )

ハルちゃんそういえば昨日ディナー入ってたなぁ…


みんなが口を揃えて言った

『なんで山口くんなの?』


ナオとはタイプが違う
外見も全然違う
山口くんと

私がなぜ付き合うのか
疑問だったらしい



『15歳に手ぇ出すなんて
犯罪だよね(笑)』


笑ってごまかした

No.134 09/03/10 21:11
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんは携帯も持ってなかった

付き合ったからといって
何かをしてるってことはなかった

まぁ昨日の今日だし
何もないのも当然かもしれないけど


山口くんと付き合ってるってゆう実感は0だった

ただ周りが知っているだけで…


なんだか周りに話されたことが腑に落ちなかった

勝手なことするな

とか思ってしまっていた





この頃は

あんなに山口くんにハマるなんて想像もしてなかった

No.135 09/03/10 21:20
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんとはバイト先で少し話しするだけとか
ご飯一緒に食べるとかだけで
特に何もないまま一週間が経とうとしていた



その間私は一人暮らしをするアパートを決めて
準備を進めていた



初めての一人暮らし

ウキウキワクワク

この言葉の通りだった



『俺ゆいんちに住む!』



山口くんが言った



えっ…



これが本音だった

No.136 09/03/10 21:36
唯 ( ♀ M9mPh )

『ゆいともっと一緒に居たい!家賃も半分出すし!
引っ越したその日から一緒に住みたい!』



家賃とかそうゆう問題じゃない…

ほんとに失礼だけど
私は別にそこまで山口くんのこと好きじゃないし
一人暮らしを満喫したい

ちょっとうっとうしいな…


これもまた本音だったけど


『うん!じゃあ引っ越す日決まったらゆうね』



裏腹にゆってた…


自分の優柔不断さにはあきれる

No.137 09/03/10 22:01
唯 ( ♀ M9mPh )

ねぇ山口くん


山口くんは本当に純粋な子だった

私たちの別れは
ほんと最悪だったね…


なんであんなふうになっちゃったのかな…


もしかしたら
私が山口くんを変えちゃったのかな……



だとしても
私はあなたを許さない


あんな仕打ち
私はあなたを許さない



もしも…

あの時…

今となってはあなたとの思い出





すべて後悔だよ

No.138 09/03/10 22:34
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんとバイト先の駐車場で
引っ越してからの話をしていた


私の優柔不断さで
同棲が決まってからは
会う度その話題だった


会う度
話す度

山口くんの素直で純粋なところに惹かれていった


“好き”


とまではいかないけど
一緒に居ることが楽しいと思い始めていた

No.139 09/03/10 23:01
唯 ( ♀ M9mPh )

私の携帯が鳴った


…携帯からか…

なんとなく見覚えあるようなないような

誰だろ?

基本知らない番号からの電話には出ないようにしてるけど
その時は
ひとりじゃなかったし
山口くんも居たし
なんとなく知ってる番号だし

電話に出た



『はい』



『ゆい?』



…ナオ!!



すぐにわかった

別れてから2週間も経ってないけど

なんだかすごく懐かしく感じた

No.140 09/03/10 23:08
唯 ( ♀ M9mPh )

『よかった~
ゆい、知らない番号には出ないし…
俺の番号消してなかったんだな!』



ごめん消してた(笑)



『久しぶりだね!
どうしたの?』


隣に山口くんが居るから
ちょっと気まずいなぁ…



『ゆい!今から会えない?』



あ…
ナオ…
私とヨリを戻そうとしてる…


何も答えないでいると


『…ゆい?今どこにいる?
ひとり?』

No.141 09/03/10 23:16
唯 ( ♀ M9mPh )

私は

『違うよ
ひとりじゃないよ』


と答えた


“山口くんと居る”

と言わなかった

ううん
言えなかった…
隠そうとしてる私が居た…


『もしかして…彼氏できた?』



ナオ…鋭いね
私の気持ちには鈍かったくせに…

いつもそうだった…

私が隠し事してる時は
すぐに見抜かれていた

でも
私が一番わかってほしい事は
わかってくれなかった…

No.142 09/03/10 23:24
唯 ( ♀ M9mPh )

~かった

~だった

~いた


…この時すでに

ナオとのことは


“過去”


だった



『うん…』



それだけ言うと


『あ!そうなんだ!
じゃ~ゆいが一人暮らし始めたら遊びに行くってゆうのもナシなっ!
なんだそっか…じゃあもう会えないな!
彼氏に悪いしっ!』



『…うん』



私はそれだけしか
言葉が出なかった



ナオ…

無理してる…

ごめんね傷つけて…

ナオはまだ好きでいてくれてたんだね


ごめんね


それと
冷めてしまった気持ち
どうすることもできない…

No.143 09/03/11 10:34
唯 ( ♀ M9mPh )

電話を切ったあと

『…ナオさん?』


山口くんが聞いてきた



『何ゆってた?』



『なんでもないよっ!
もう終わってるんだから
私には山口くんが居るし!』



自分にも言い聞かせるよう山口くんに言った



『よかった!!!』




そう…

良かったんだ

山口くんが居なかったら
私たちはまた同じことを繰り返す

終わりのある恋愛なんて



意味がないんだから…

No.144 09/03/11 10:39
唯 ( ♀ M9mPh )

ただ


“俺と別れて2週間も経たないうちに男を作ってる軽い女”


そうナオに思われてると思うとすごく嫌だった


実際そうなんだけど
バイトのみんなにも思われてると思うけど
ナオに思われるのは嫌だった



“俺のことも本気じゃなかったんだ”


とも思われてそうで
すごく嫌だった

No.145 09/03/11 10:43
唯 ( ♀ M9mPh )

違うよナオ…


確かに私たちはままごとしてたかもしれない


だけど好きだったよ



ナオの顔

ナオの声

ナオの髪

ナオの体…


全部覚えてる



私があの時のナオの言葉を軽く流していたら


私たちは今も一緒に居たのかもしれない



私も傷付く人生を送らなくてよかったかもしれない…



今となっては

もう遅いよね

No.146 09/03/11 10:47
唯 ( ♀ M9mPh )

『山口くん!
明日携帯変えるから!
山口くんの携帯も買ったげるよ♪
もうちょっとで誕生日でしょ?』



私はナオのところに戻らないように

戻れないように

携帯の番号だけでも変えようと思った



『いいよいいよ!
俺バイト代少ないし毎月払えるかわからんし…』

No.147 09/03/11 10:52
唯 ( ♀ M9mPh )

遠慮している山口くんに
半ば強引に


『いいの!もう決めた!
携帯代くらい私が払うから!携帯持ってもらわないと私が困るよ(笑)
はい!決定~!(笑)』



次の日

言葉通り携帯ショップに一緒に行き

山口くんに携帯をプレゼントした

私は携帯を新規で購入した


これでナオときれた


私は山口くんと付き合ってるんだから…
また連絡とったりして
山口くんを傷付けないようにしなくちゃ…



携帯を変えることは
私なりのケジメだった

No.148 09/03/11 10:58
唯 ( ♀ M9mPh )

数日後

私たちはアパートに
引っ越した

一緒に暮らすことになった


まだ片付けきれてない部屋の中で



山口くんと私は結ばれた



『こんなに気持ちいいもんだったんだ!
もう一回しよ!』


もう一回…

もう一回…


山口くんは若かった(笑)



15歳だもんなぁ…

No.149 09/03/11 11:00
唯 ( ♀ M9mPh )

私たちは毎日何回も体を重ねた


同棲ってゆうのはこんなもんなのかな…


嬉しいけど
疲れる…

でも
ないと寂しいかな…



そんな日々を過ごしてた

No.150 09/03/11 11:06
唯 ( ♀ M9mPh )

私はいつの間にか山口くんを好きになってた


たまに友達と遊びに行ってる夜なんかは

家でひとりで居るのが寂しかった



遊びに行くときは

『ゆいさん!シン連れてくよ!』


と言って友達が迎えに来てたから

浮気とかそうゆう心配はなかったけど



私は確実に山口くんに依存してた

No.151 09/03/11 11:15
唯 ( ♀ M9mPh )

普段から友達を家に連れてきては飲んで騒いでた


あの日は山口くんが友達とその彼女を連れてきていた


泊まってくとゆうから

4人で雑魚寝することになった



その日の夜


私たちの終わりは
決定した



私はこの日の出来事を

今でも忘れていない

No.152 09/03/11 11:35
唯 ( ♀ M9mPh )

【もしも…】

を読んで下さっている方

意見スレを立ち上げさせていただいたので


よろしければ
お聞かせ下さい


失礼しました

No.153 09/03/11 11:56
唯 ( ♀ M9mPh )

私たちは飲むだけ飲んで

騒ぐだけ騒いで

いつの間にか眠っていた



ごそごそ音がする…

私は目が覚めたがそのまま横になっていた…


今度は声が聞こえる


目を開けると
隣でもぞもぞしてる



あ…
マコトくんとカナちゃん
えっちしてる…



良く寝泊まりするその2人のそんな光景を見るのは初めてじゃない



私の右隣には山口くんが居る…






居ない!

山口くんが居ない…

No.154 09/03/11 20:10
唯 ( ♀ M9mPh )

隣でカナちゃんたちは
えっちしてるし

山口くんは?

なんて聞けないし…



カチャ


水が流れる音と共にトイレの戸を開けて閉める音が聞こえた



なんだトイレか…

びっくりした


私はまた目を閉じて山口くんの寝る場所の方に体を向けて横になった



山口くんが隣にきた


キスをされて
胸を触られた

No.155 09/03/11 20:18
唯 ( ♀ M9mPh )

私は人前でそうゆうことをするのがすごく苦手

たとえ酔っていようが
隣でえっちをしてようが

私はそうゆうことが大嫌い


ヒロミとのことを思い出すから…
思い出したくないことまで頭によぎるから…



私が人前でイチャつくことが嫌いなのを知ってるくせに
えっちしようとしてくる山口くんに
かなりムカついた



舌を入れてきた時
おもいっきり噛んでやった


『いってぇ!!!』





…??


マコトくんの声?

マコトくんの声が真正面から聞こえた…



どうゆうこと?

No.156 09/03/11 20:21
唯 ( ♀ M9mPh )

『何やってんだよマコト!』


???


さらにわけがわからない


山口くんの声が後ろから聞こえる



カナちゃんとマコトくんが寝てるとこから聞こえる…



どうゆうこと??




答えは簡単

カナちゃんとえっちしていたのは山口くんだった

No.157 09/03/11 20:27
唯 ( ♀ M9mPh )

『だってゆいさんが
おもいっきり舌噛むから!』



『ばーか!うまくやれよ!』



うまくやれ??

何を?

山口くんは何を言ってるの?



私が知っている山口くんじゃなかった



私は電気を付けた


そこには
紛れもない真実が
目の前にあった



山口くんは真っ裸で

カナちゃんは乳が出たような格好をしていた




殺そうかと思った

No.158 09/03/11 20:36
唯 ( ♀ M9mPh )

私は山口くんの髪を掴み


『出ていけ』


とだけ言った


私の怒る姿を見て

カナちゃんはあわてて
帰っていった


『じゃあお前が荷物まとめろよ』



はぁ!?

お前!?


私は
『いいから出ていけよ!お前の荷物は明日の朝捨てるから
その汚い顔二度と見せるな!!』

自分がこんなことを言うこと自体信じられなかった



『俺の服捨てたら殺すぞ』



何?

何を言ってるの?

普通は謝るところじゃないの?

No.159 09/03/11 20:42
唯 ( ♀ M9mPh )

てゆうか

あんたの服買ったの誰?

私でしょ?


あんた家賃半分出すって言って出したことあった?

光熱費も食費も全部私でしょ?


携帯代払えないってゆってたのは覚えてるけど

誰が4万も5万も使えってゆった?




気づけば
私は山口くんに貢いでた


今まで何も思わずにやってきたけど


この時初めて


私は山口くんの何!?


と思った





…都合のいい女だったんだね

No.160 09/03/11 20:57
唯 ( ♀ M9mPh )

別に全部自分が好きでやってきたことだから

いちいち恩着せがましく

あれしてやった
これしてやった


とか言うつもりはない



いろいろ思う部分はあるけど
私には

『出ていけ!』

と言うのが精一杯だった



『お前まじうぜぇ』


と言い山口くんは出ていった



あの…
うざいこと何かしましたか?
あなたなんなんですか?


今考えても
うざい理由は見つからない(笑)



荷物はもちろん次の日の朝ごみ置き場へ投げておいた

No.161 09/03/11 21:07
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんが出ていった後



『…ゆいさん…実は…』


マコトくんが何かを言おうとしたけれど

私は久々にキレてたから
人の話なんか聞く余裕はなかった


聞く気すらない状態だった


『うるせぇ!
お前も同じなんだよ!
実は~とかどうでもいいから早く消えろよ!』



マコトくんも追い帰した




あぁ…またこの感じだ…

すべてがどうでもいい…


どうやら私は

キレると全てがどうでもよくなるみたい…


ヒロミの時といい

ナオの時といい


隠れている自分に気付いたことができた



悪いけど感謝はしない(笑)

No.162 09/03/12 14:39
唯 ( ♀ M9mPh )

全員追い払った後

私は鍵をかけてチェーンをかけた


電気をつけて

ごみ袋にさっきまでアホ達が使っていたタオルケット2枚を入れた

次は段ボールを出してきて
山口くんの物を放り投げながら部屋を片付けていった

服も…靴もゲームも全部私が買った…

ばかだなぁ…
こうなってから気付いても遅いのに…


朝方の5時に掃除機をかけ玄関口にある洗濯機をブンブン廻した

ご近所さんごめんなさい(笑)


そして山口くんの荷物をごみ置き場に持って行ってる時に気付いた



あいつ携帯持っていったな…

No.163 09/03/12 14:43
唯 ( ♀ M9mPh )

携帯は私の名義

返してもらわないと…


失くしたってゆって解約してもいいけど
お金がもっとかかる


これ以上無駄金は使いたくない



私はその日9時から夕方6時までバイトに入っていた


山口くんも入れ違いで夕方6時から入ってくるはず



私はバイトに行った

No.164 09/03/12 14:49
唯 ( ♀ M9mPh )

いつも通り
みんなと笑いながら仕事をした


誰も私に何かあったなんて気づかない


気付かれなくていい…

こんな情けないこと誰にも言えない



6時15分前
山口くんがきた



キッチンの方へ顔を出し

『ゆい~♪』

手を振ってきた






私は愕然とした





『死ね!』


と大きな声で言った

No.165 09/03/12 14:53
唯 ( ♀ M9mPh )

5時から一緒にキッチンをやってた高校生のユミちゃんに


『何?喧嘩でもしてるの?』


と聞かれた



『終わったよ』


と笑顔で答えた


6時になり
私は仕事を終え私服に着替えた


山口くんはウェイターをやってるから

私はホールの方へ行った




ダスター(ふきん)を畳んでいる山口くんに




『携帯返せよ』



と冷たく言った

No.166 09/03/12 15:00
唯 ( ♀ M9mPh )

『なんで?』



はぁ?
お前がなんなんだよ!

『うぜぇな!返せっつってんじゃん!』



うざい呼ばわりを返してやった(笑)



『ゆい~まだ怒ってる?』


得意の甘え声
これに騙されていた自分が嫌になった



後ろポケットに入れている携帯を取り上げて

その場で中身を見た

No.167 09/03/12 15:06
唯 ( ♀ M9mPh )

メモリには女の名前がいっぱい

メールも気持ち悪い内容がいっぱい



本気で死んでくれと思った

山口くんは
何か一生懸命言い訳してた


中身に関しては何も言わず
『返して欲しい?
この携帯使う?』


と山口くんに聞いた

No.168 09/03/12 15:18
唯 ( ♀ M9mPh )

『いるいる!』


と笑顔で手を差し出してきたと同時に



バキッ



私は携帯を壊した

『はい!大事に使ってね!』


と言って壊れた携帯を山口くんの手にのせた



『お前何してんだよ!』


携帯をおもいっきり投げつけられた


腹が立ったので
私は山口くんの胸ぐらを掴んだ



『お前こそ何してんだよ!
私の横で何ヤッてんだよ気持ち悪い!
死ねボケ!バイトも辞めろよ!お前が居なくなっても誰も困んねぇんだよ!』



とかなんとか言った

あんまり覚えてないけど
とにかくひどいことを言ってやった


山口くんが憎かった

No.169 09/03/12 15:26
唯 ( ♀ M9mPh )

『はぁ?お前調子に…』


バカの言葉は聞きたくなかったから
『調子に乗ってるのはお前だろ!

マネージャー!山口くんバイト辞めたいんだって~!私今日代わりにホールやりますよ~!』



と店長を呼んだ



店長はびっくりしていた

店長だけじゃなく
キッチンのユミちゃんも
他のバイトの人もびっくりしていた


多分お客さんにも聞こえていただろう


店長の顔を見てやっとそのことに気付いた



我に返った

No.170 09/03/13 20:15
唯 ( ♀ M9mPh )

『何?喧嘩してるのか?』
マネージャーが慌ててマネージャールームから出てきた



『いぇっ!なんでもな…』

また私は山口くんの言葉をさえぎり

『山口くんは辞めたいみたいなんで!シフトに入ってる分私が出るし
今日も入りますからもう帰ってもらいましょう!』



マネージャーに言い
私は即行
ホールの制服に着替えて



山口くんに
『邪魔だから帰れ!』

と言い放った



あーだこーだ何かゆってるのをほっといて
私はホールへ行って仕事を始めた


私はキッチンだけでなく
ホールも入ったことがある
回数は少ないが
山口くんよりは使える(笑)

No.171 09/03/13 20:23
唯 ( ♀ M9mPh )

18歳になってから
朝も昼も夕方も夜も夜中も朝方も
どの時間帯でも
キッチンでもホールでも
シフトに入れられれば

文句も言わず(ちょっとはゆったけど)働いてきた私にマネージャーは何一つゆってこなかった


別に天狗になってるわけじゃないけど

山口くんよりかは仕事はできる(笑)



だから山口くんは捨ててもらった


てか山口くんが
『俺あいつの顔見たくないからバイト辞めます』

ってゆったらしい



どうもありがとうございます

私も見たくありません(笑)

No.172 09/03/13 20:30
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんとの一悶着はあっとゆう間に知れわたったと思うが

誰もそのことには触れてこなかった


エリちゃんだけには全部言った

知らぬ間に貢いで
知らぬ間に遊ばれてて
寝てる横で他の女とえっちされてたってこと



エリちゃんが私にゆったのはひとこと

『ゆいちゃんもマコトくんとえっちしたればよかったのに!』



エリちゃんのこうゆうとこ好き(笑)



『惜しいことしたなぁ(笑)』


2人でゲラゲラ笑った
笑って忘れることができた

友達っていいなぁ…
早くいい男探そっっ(笑)

No.173 09/03/13 20:53
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんと別れてから

バイト先の女の子とよく遊ぶようになり
男の人ともよく話すようになり
飲みに行ったり
家で騒いだり

毎日が楽しかった

彼氏が居るとなると
みんな何かしら気を使うらしい


そりゃそうだ…
逆に考えると

彼氏や彼女が居る人は
なんとなく遊びに誘いづらい


山口くんと別れたことでこんなに毎日が楽しいなんて感激だった(笑)



早く本性に気付きたかったなぁ…

まぁ自分がバカなんだけど

No.174 09/03/13 21:05
唯 ( ♀ M9mPh )

山口くんと別れてから2ヶ月経った頃


バイト先のコウくんに告白された

コウくんは私と同じ年の高校3年生
ファミレスでバイトし始めたのも半年くらい前からだから
山口くんと付き合ってたのも知ってる


コウくんとはたまにバイトが重なってて
会えば普通に話す程度の関係で
私のこと好きだなんて
全然知らなかった



私は好きでも嫌いでもない

意識して見たことない


どうしよう…


また好きでもないのに付き合って豹変されるのも嫌だなぁ…


軽くトラウマだった

No.175 09/03/13 21:14
唯 ( ♀ M9mPh )

しばらく黙っていると

『今答えを出せなんて言わないから
奥田さんの気持ちが大切だから』



バカだと思われるかもしれないけど
このコウくんの言葉には
かなり感動した

私の気持ちを考えてくれる人なんていたんだっっっ!

たったひとことで私はコウくんを信じてみようと思った



『私でよければお願いします』


そうゆうと

コウくんは照れたように
すごく嬉しそうに

笑ってくれた



私…コウくんのこと…

信じていいよね?

No.176 09/03/13 21:26
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんはすごく真面目で優しくて
私のバイトが終わる時間が遅い日は
自分がバイトに入ってなくても迎えにきてくれて
すぐ先の私のアパートまで原付で送ってくれた



付き合って1ヶ月
1ヶ月記念日に
私のアパートでひとつになった

私はコウくんの優しさに包み込まれてるみたいで
すごく嬉しくて
幸せを感じていた



それから何日か経ち

突然

『バイト先の男とあんまり話さないで欲しい』


と言われた

No.177 09/03/13 21:34
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんと付き合うようになってからは

飲みに行ったり
遊びに行ったりするのはやめている

私は別に必要以上に仲良くしてるつもりはなかった



『なんで?別にたいして関わってないよ』


と言うと

『ゆいがとられそうで怖い』


と真剣な顔で言われた


???
とられるって誰にとられるのさ?


と思ったけど
逆の立場を考えてみた




コウくんが他の女と話す



別にいい



コウくんの気持ちはわからなかった(笑)

No.178 09/03/13 21:38
唯 ( ♀ M9mPh )

まぁコウくんが嫌だってゆうんならやめとこ


『わかったよ~
仕事とかについては話すけど誤解しないでね』


話してるとこ見て
どーのこーの言われたくないから
先手を打っておいた

コウくんは嬉しそうに頷いた


結構女々しいんだなぁ…





これが束縛への第一歩だと

私はこの時


全く気づいていなかった

No.179 09/03/13 21:46
唯 ( ♀ M9mPh )

2月になり
コウくんの高校が自由登校になった

私のアパートで半同棲をし始めた


その頃から
コウくんのすることがむちゃくちゃになってきた


昼間から
バイト先の私の様子を見にきたり

誰かと遊ぶ約束をしたら相手に確認したり

『携帯の男のメモリ全部消して』とか言ってきたり
(バイト先の人しか入ってないのに)



最初は笑っていたが
うっとうしくなってきた…


ちょっと干渉しすぎ…

No.180 09/03/13 21:54
唯 ( ♀ M9mPh )

『ちょっと!
いちいち干渉せんといてくれる?心配心配って何が心配なの?』


我慢できなくなって
コウくんに言った


コウくんはまた

『ゆいがとられそうで…』


と言った

うっとうしかったので

『とられないよ!
私がしっかりしてればとられないよ!』


とはっきり言ったら
コウくんは安心したみたいで


『ごめん
もう言わないから』


そうコウくんは私にゆったけど
それから同じような喧嘩を何回もした


そんな時…

私は自分自身の体の変化に気がついた







生理が遅れてる……

No.181 09/03/13 22:51
唯 ( ♀ M9mPh )

私はすぐに妊娠検査薬を買ってトイレへ駆け込んだ




……


陽性


赤ちゃんができてる






産みたい!





どうしようとか

困ったとか

そんなことは一切思わなかった



私の周りには結婚して子供がいる人とか結構いた


特に羨ましいって思ったことはなかったけど


自分に赤ちゃんができたってゆうことは

素直に喜べた

本当に嬉しかった

No.182 09/03/13 22:54
唯 ( ♀ M9mPh )

来月になったらコウくんは高校を卒業する


コウくんは真面目でよく働くし

万が一

困るとか

堕ろせとか

言ったとしても



この子は絶対産む!!!





私には強い意志があった

No.183 09/03/13 23:02
唯 ( ♀ M9mPh )

その日の夜
コウくんに報告した

『赤ちゃんできたよ!
今週は日中バイト入ってるから行けないけど
来週病院行ってくるね』


コウくんは

『まじで?
俺今よりバイト増やしてもらうから!
2人で頑張って育てよう!結婚しよう!』



もしかしたら嫌な顔されるかもしれない…
と考えていた私に
コウくんの言葉は
本当に嬉しかった



ありがとう…

私…この子産んでもいいんだね

この子は望まれてる子なんだね




ありがとう…

私もできる限りお金を貯めなくちゃ!

No.184 09/03/13 23:17
唯 ( ♀ M9mPh )

私はその頃

ひと月に26万稼いでいた


ファミレスのバイトで23万

デパートの服屋で3万


支払いは

家賃が4万5千

光熱費が1万5千

携帯が1万5千

食費や交際費を多めに考えても10万あれば生活できる

あと半年働いたとして…

単純計算しても100万近くは貯められる

通帳の残高を見ると20万しかなかったが

余裕で100万は貯められる…

いや

絶対貯めるっっ!

No.185 09/03/13 23:34
唯 ( ♀ M9mPh )

産婦人科へ行くと
やっぱりできていた

赤ちゃんの姿を見て
私はまた母性が強く出てきた



バイト先のみんなとマネージャーに事情を話し

私は深夜手当てが欲しかったので

時給が高い深夜から早朝に多く入れてもらった


もともとランチに入ったからランチ時間帯も抜けられたら困るとゆうことなので

ナイトからモーニング

ランチからディナー

めちゃくちゃなシフトだった

睡眠時間が2時間とかの日なんてザラだった


労働基準法がどうとかでマネージャーも上から注意されてたみたいだけど

半年間だから~と言い
なんとかオトガメなしだった

No.186 09/03/13 23:43
唯 ( ♀ M9mPh )

つわりも軽く

体重はかなり増えたが
特に何も問題なく

お腹の子も5ヶ月になり

7月10日

私たちは籍を入れた



うちの親は
結婚にも
出産にも
反対していたが
私に聞く耳はなかった


結婚式も何も挙げず
婚姻届だけ提出した



私は19年間名乗っていた
奥田から原口に変わった


なんだか変な感じだった

No.187 09/03/14 10:27
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんが卒業してから
コウくんと私は一緒に暮らしていたし

その前から半同棲だったし

結婚したといって何が変わるわけでもなかった


コウくんがそばにいてあたりまえ

コウくんにとっても
私がそばにいてあたりまえ

冷めてると思われるかもしれないけど

私にとって

【結婚】

てゆうのは大きなイベントではなかった


それより

【妊娠】

の方が大イベントだった

No.188 09/03/14 10:38
唯 ( ♀ M9mPh )

そうゆう感覚だったから

その時点でコウくんのことをないがしろにしていたのかもしれない



相変わらず男関係にはうるさかったが

家事には一切口を出されなかった

私は掃除や料理も全然完璧にできてなかったけど


コウくんに

“妊娠してる妻を働かせている”

とゆう負い目があったのか
何ひとつ言われなかった



自分が好きでやってることだからそんなの気にせんでいいのに…

と思いながら

家事はおもいっきり手抜きした(笑)

No.189 09/03/14 10:44
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんも深夜手当てが欲しいから一緒に深夜のバイトをしていて


コウくんと24時間一緒に過ごすことになった


別に苦ではなかったけど
無駄に身体を心配されるのはうっとうしかった


『私が大丈夫ってゆったら大丈夫なんだってば!』



この言葉を毎日何回ゆったことか

心配してくれるのは
ありがたいし
心配するのもあたり前なんだけど


度が過ぎていたから
うんざりしていた

No.190 09/03/14 10:48
唯 ( ♀ M9mPh )

一番嫌だったのが


男と話すな
目を合わせるな
今あいつがゆいを見てた
ゆいも見てた


こう言われることだった



軽く妄想入ってるし

こいつ病気か?

口を閉じればいいの?

目をつぶせばいいの?



仕事の疲れや妊娠の辛さもあったのに

それプラス

コウくんの妄想劇はキツかった

No.191 09/03/14 11:01
唯 ( ♀ M9mPh )

書き忘れていたが

私は妊娠8ヶ月に入り

ファミレスのバイトを深夜専属にしてもらったことで

コウくんと24時間一緒に過ごすことになっていた


(わかりづらくなってしまいすみませんでした)


唯一の息抜き(笑)の
服屋のバイトは辞めた

妊婦フェチかなにか知らないけど
変なストーカーが居た
コウくんに誤解される前に辞めた



貯金は予定通り
100万を超えていたから別に両方辞めても良かったけど

金はあるに越したことはないと思い

9ヶ月まで働くことにした

No.192 09/03/14 13:50
唯 ( ♀ M9mPh )

9ヶ月に入り
バイトを辞めた

辞めたとゆうか
産休をもらった



能力給は2度上げてもらっていた
3ヶ月経った時と
それから半年後
最高時給になっていた


一度辞めてしまうと
また最初の時給からスタートになってしまうから
もったいないから籍だけおいとく
落ち着いたらいつでも戻っておいでとマネージャーが言ってくれた

籍だけおいといてもらった

そうゆってくれたマネージャーにはすごく感謝した


ありがとうございます
かっこいい!(笑)

No.193 09/03/14 14:01
唯 ( ♀ M9mPh )

もういつ産まれてもいいと産婦人科の先生から言われた日から

私は赤ちゃんの誕生を

まだか まだかと待ち望んだ


予定日は12月5日…


今日は11月27日…


初産は遅くなるって聞いたことあるし
まだかな…


出産へむけて
心も身体も休めたかったから

バイトを辞めても
毎日何かしら繰り広げられるコウくんの妄想劇には
入場せず(笑)

あまり気にしないように
出産のことだけを考えるようにしていた

No.194 09/03/14 20:17
唯 ( ♀ M9mPh )

そんなことを思ってた次の日の朝方

何か温かいものが流れる感覚がしたので

私は飛び起きた


破水!?


血とかじゃないし
これは破水だ…


半信半疑だったが

眠りについたばかりのコウくんを起こし


病院へと急いだ

No.195 09/03/14 20:21
唯 ( ♀ M9mPh )

診察を受けるとやっぱり破水だった


もうすぐ赤ちゃんに会える…
ほんとうにもうすぐ

もうすぐ会えるんだ!

どんな顔してるのかな?

最初になんて声をかけようかな?

私の頭と心はもうすぐ産まれてくる赤ちゃん一色になった

No.196 09/03/14 20:31
唯 ( ♀ M9mPh )

昼の2時過ぎにやっと陣痛が始まった


最初の方は余裕で笑っていられたが

夕方の6時を過ぎると
だんだんキツくなってきた

8時を回った頃には
今なんで自分がこんなに苦しいのかよくわからなくなっていた(笑)

それほど陣痛は強烈だった

死ぬかと思ったけど

そう簡単に
丈夫な私は死ななかった

No.197 09/03/14 20:39
唯 ( ♀ M9mPh )

20時42分

私は無事に男の子を出産した


さっきまでの痛みと苦しみはどこかへ行った

後陣痛もあったが
そんなのハナクソだった(笑)



かわいい!

かわいいかわいい!

良かった無事に産まれてきてくれて…

本当にかわいい我が子を抱っこした時は
自然に涙がこぼれた


ありがとう…
私のところへ産まれてきてくれてありがとう…

No.198 09/03/14 20:43
唯 ( ♀ M9mPh )

陣痛と闘ってる最中
最初にどんな言葉をかけようか考えまくっていたけど

胸がいっぱいでそれしか言えなかった

要らない脳みそを使った(笑)



その日の夜はなかなか寝付けなかった

私が出産したところは個人病院ではなく大きな総合病院だった

6人の大部屋

母子同室ではなかった

3時間置きに赤ちゃんの元へ行った

ずっと一緒にいたくて
離れたくなくて
ガラス越しに赤ちゃんを見てた

No.199 09/03/14 22:09
唯 ( ♀ M9mPh )

退院してから2ヶ月間

育児をして
家事をモロ適当にして(笑)過ごした


子供がすごくかわいい
特にぐずりが多いわけでもなく

大変とも思わず子育てした

もしかしたら大変だったのかもしれないけど

これが当たり前と思ってやっていたし
何よりかわいかったから
何も辛いことはなかった


コウくんは子供のオムツやミルクをあげたり
積極的に育児の手伝いをしてくれた


結婚や出産に反対していた私の両親も孫はかわいいらしく

孫の顔を見に週2ペースで会いに来てた



コウくんは3年前にお母さんを亡くし父子家庭だった

お義父さんもたまに
うちへ来て孫を抱いてくれていた



私は幸せだった

No.200 09/03/14 22:17
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんは相変わらずファミレスの深夜のバイトをしていた


特に私はなんとも思っていなかったけど


『子供も産まれたし
ちゃんと正社員で雇ってくれるところを探す』


と言って
昼過ぎから職探しに励んでいてくれた


『夜中家を空けるのも心配だし…
ゆいが男連れ込むかもしれないから』



出ました妄想

待ってませんでした


2ヶ月間何も言わないと思っていたけど
やっぱり妄想ぶりはひどかった(笑)



なんで私がそんなことしなくちゃならんのだ


私は妄想を聞かされる度
強く思っていた

No.201 09/03/14 22:34
唯 ( ♀ M9mPh )

私は週3日
ランチ時間帯のみ
とゆうことでファミレスに復帰させてもらった


私がバイトの時はコウくんに子供を見てもらっていた

コウくんはまだいい仕事が見つからずファミレスで深夜のバイトをしてる

そんな生活が1ヶ月続いた頃


『眠いから子供見れない』

とコウくんが言った

No.202 09/03/14 22:41
唯 ( ♀ M9mPh )

確かに眠いかもしれない
夜の7時に出て
朝の6時に帰ってきていたから
私がバイトの日は4時間しか眠れない


でもそうじゃない日は夕方の4時くらいまで寝てる


十分だろ
と思った私は


『私も眠いよ
でも眠いなんて言ってる場合じゃないでしょ
生活かかってるんだから』

貯金はあるけど
やっぱりお金は有るに越したことはない


子供にはお金がかかる

自分の睡眠時間なんてどうでもいい

私はそうゆう考えだった



『そんなにバイトが楽しい?男と話すのがそんなに楽しい?どーせランチの男とか客とかとも仲良くやってるんだろ!』





…またか……
なんともならんなぁ…

私は日頃の疲れがどっときた

No.203 09/03/15 22:43
唯 ( ♀ M9mPh )

好きなように言ってくれ…

そう聞き流すのにも
限界がきていた


眠いなら
子供が寝てる時に少しでも横になればいいのに
子供を連れてファミレスまでバイトをしている私の様子を見に来る


みんなの前では

『家で見るのが大変だから連れてきた』


とかゆってたが
私の前では

『ゆいが男と…』

例の妄想ばかりだった


そんな日が続いていた

No.204 09/03/17 15:13
唯 ( ♀ M9mPh )

子供は特に何も問題なく
日に日にかわいく成長し
5ヶ月になろうとしていた


コウくんが

『次の休みはツレと出てくる』

結婚してから初めて
休日をバラバラに過ごすことになった

私は最高に嬉しかった

ちょっと離れる時間が欲しかった

家ではいつも一緒
バイト先も一緒
休日も一緒
何もかも一緒

そのうえ毎日の妄想がほんとに嫌



『そっか!楽しんできて!』


超笑顔で了解した

No.205 09/03/17 15:14
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんが休みの日
予定通り出掛けた


すごくホッとした

“亭主元気で留守がいい”

まじでその通りだった(笑)

自分の好きなように過ごせれて開放的だった



帰ってきたら

『また来週も出るから』


と言った


私はどーぞどーぞとゆう感じだった

No.206 09/03/17 15:15
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんは週に一度休みがあって
コウくんはその度に友達と過ごすようになった


子供が6ヶ月の月誕生日にコウくんの休みが重なった

私は

『今月の28日どうする?何して過ごす?』

と聞いた
毎月子供の月誕生日には軽くお祝いしてたし
コウくんの休みとかぶるのは初めてだった



『俺はまたツレと出てくるよ』



1ヶ月以上この調子だったから

『毎週毎週何やってんの?』


と普通に聞いたら

『俺が何しててもいいだろ!!』


いきなりキレられた

No.207 09/03/17 15:22
唯 ( ♀ M9mPh )

『何いきなりキレてるの?私のことは無駄に詮索して勝手に妄想してるくせに
自分の事は隠すの?
私はコウくんに隠し事なんてひとつもないよ』


私は感情的にならずに
コウくんに言った



コウくんは目を反らして

『どーかな…』



どうかな!?

隠し事してないってゆうのが嘘に聞こえるの?


毎日
適当だけど家事して
育児して
たまに仕事して
出かけるってゆったら買い物くらいで
友達付き合いは全部家の中で

そんな私に何を隠すことがあるの?

何言ってるの?



いろんな事思ったけど

『別に言いたくないならいいよ』

それだけ言った

No.208 09/03/17 15:23
唯 ( ♀ M9mPh )

隠すなら

暴くまで


携帯を取りあげて中身を見ようとした

『携帯なんか見ても何もねぇよ!ゆいみたいに浮気してるわけじゃないし』


いつもの妄想部分は無視して
確かにコウくんは浮気なんかしない
だけど隠されると知りたくなる
何を隠しているかもわからないけど
それを知りたくなる


『じゃあ見られても困らないでしょ
コウくんはいつも私の携帯見てるんだから』

私は中身を調べ始めた

No.209 09/03/17 15:24
唯 ( ♀ M9mPh )

電話帳も

発着履歴も

メールも

なにも怪しくない


ひとつだけ見つけた



『このパチンコ屋のサイト見てる理由は何?』


私が知ってる限りコウくんはギャンブルはしない
私がギャンブル全般嫌いなのを知っている

『もしかして毎週してることってパチンコ?』

私は聞いた


『…スロットを少しだけ』

少しだけ!?
朝早く出て夜遅く帰ってきといて
少しだけはないだろ

No.210 09/03/17 15:25
唯 ( ♀ M9mPh )

『…お金は?』


私は2食分の食事代としてコウくんに1日千円渡していた

『自分のしか使ってないよ』

それは無理だろ…

『自分のってお小遣いでやってるってこと?
ご飯代がスロットできるくらい余るわけないじゃん!自分の貯金崩してるの?
コウくん貯金なんて10万あるかないかでしょ?』



『俺の金どう使おうが俺の勝手だろ!』



そうですか
そうゆう事言いますか
私の貯金で子供産んで
コウくんの車の頭金出して
生活に足りない分出して

そうゆうこと平気で言うんだ



どうでも良くなった私は

『好きにしたら』

吐き捨てるように言った

No.211 09/03/17 15:25
唯 ( ♀ M9mPh )

その事があってから私たちに会話はなくなった

もともとあまり喋るタイプではないコウくんは
私が黙っていれば
特に話しかけてくることはなかった


私がバイトの日は
子供を保育園に預けるようにした

私と子供の生活時間は昼型
朝6時に起きて夜10時に寝る


コウくんの生活は夜型
夕方4時に起きて朝6時に帰ってきてすぐ寝る

休みの日はパチンコに行く

完全にすれ違いの生活だった

No.212 09/03/19 13:21
唯 ( ♀ M9mPh )

7月10日
コウくんと結婚して1年の日まであと少し


生活はすれ違い
会話もない
夫婦生活も当然ない私たちは


“記念日どうする?”

とゆう幸せ夫婦の会話もなかった


子供も7ヶ月になりかわいさも増してきた

このままじゃだめだ…
子供も空気で感じる頃かもしれない
コウくんが近づいてこないなら
私から近づくしかない


そう思い
夕方起きてきた時に記念日のことを話そうと思った

No.213 09/03/19 14:04
唯 ( ♀ M9mPh )

何して過ごそうかな~とのんびり考えているところ

郵便のバイクがうちの前に停まり
ポストに郵便物が入れられた


コウくん宛に一通の封書が届いた
送り主はわけわからん会社だった


何これ?

と思ったあと

無性に嫌な予感がした


私はビリビリとのり付けしてある部分を破って中を見た

No.214 09/03/19 15:11
唯 ( ♀ M9mPh )

返済滞納通知

金融会社からだった


金額は50万



金額はたいしたことないけど
コウくんが借金していることに愕然とした


でもどこかで

やっぱり…

と思っている私がいた

コウくんの給料は全部私が管理して
少ない小遣いを渡して
コウくんの貯蓄はないに等しかった

そんな状況で毎週遊びに行けるわけないと思っていた

でもまさか…

借金してたなんて…

No.215 09/03/19 20:15
唯 ( ♀ M9mPh )

私は自分名義の通帳を開いた

残高50万

財布の中に3万

家に常備置いてある5万


…これでなんとかなるかな


私はお金とカードと金融会社からの滞納通知書を持ち

子供を連れて家を出て
バスに乗り込んだ


銀行でお金をおろし
金融会社に行き元金と利息を払い完済させた


残ったお金は微々たるものだった

給料日まであと一週間ある…

大丈夫…買い物は昨日したばかりだし
オムツやミルクは買い置きしてある

大丈夫なんとかなる
生活は大丈夫


帰る頃にはもう夕方になっていた

No.216 09/03/19 21:20
唯 ( ♀ M9mPh )

家に帰るとコウくんは起きてご飯を食べていた


『今50万完済してきたよ』

それだけ言い
完済書と家に届いた滞納通知書をコウくんの目の前に出した


コウくんの顔は血の気がひいていた


『給料日までお金ないからご飯代とかなんとかしてね』


私はコウくんを責めたりせずに
子供のオムツを換え始めた
無言の圧力をかけていた



コウくんは箸を置いて
何も言わないまま自分の部屋へ行った


少しは反省してくれてるかなぁ…
これで仲のいい
夫婦
家族
なれるかなぁ…

No.217 09/03/20 13:05
唯 ( ♀ M9mPh )

あぁ…結婚記念日の話どうしよう…

お金もないから何もできないし
そうゆう雰囲気でもないし
別にいいか…
しょうがない



コウくんが部屋から出てきた

無言で私の前に4通の封書を置いた



………


まさか!!!



私は急いで全ての封書の中身を確認した

そのまさかだった


4通とも
中身は滞納通知書


全部違う金融会社


借金の合計金額




250万

No.218 09/03/20 13:29
唯 ( ♀ M9mPh )

私は怒りを押さえながら聞いた


『2ヶ月間
週に一度スロットに行ってるだけで
300万使うなんてどう考えてもおかしい!
使わずに持ってるんだったら滞納通知なんかこないでしょ!?
一体何に使ったの?』



コウくんはボソボソ話し始めた

『スロット…
…最近始めたんじゃなくて
冬くらいからやってたんだ…週1だけじゃなくて仕事の前とか就職探してる合間とかにしてた…』



そうゆうことなんだ…
約半年間私に黙って
借金して
こんなに膨らませて


『こんなお金どうやって払っていくの?
もう貯金もないし
私とコウくんの給料合わせても25万しかないんだよ!
車のローンもあるし
毎月余裕なんてないよ!』


コウくんは

『わかってる…』



わかってる!?

『わかってたらこんなことになってないでしょ!』


大きな声をあげた
私は情けなくて
涙が出た

No.219 09/03/20 13:38
唯 ( ♀ M9mPh )

子供がキョトンとしてる


だめだ…
この子の前でこんな会話できない
こんな姿を見せられない


でも冷静で居られるはずがない



私はなんとか自分の心を落ち着かせ


『どうするの?』


とコウくんに聞いた





コウくん…

あの時のコウくんの言葉

今も忘れられないよ


なんでかな…
なんでこうなっちゃったのかな…

山口くんの時も思ったけど

私がコウくんを
そうゆう人間にしてしまったのかな?



やっぱり
だめなのは私なのかな…

No.220 09/03/20 19:53
唯 ( ♀ M9mPh )

『ゆいがなんとかしてくれないか?
こうなったのも
ゆいに責任があるから』



私!?

私に責任があるの?

なんで?

なんで??


この人は何を言ってるの?
私の責任?
夫の借金が妻の責任なの?
私がブランド狂とかだったらわかるけど
使ったのは全部あんたでしょ!



『…保証人は誰?』


私はそれだけを聞いた


『ゆい』

コウくんは
“当然だろ”
と言わんばかりの態度だった…



『そう…』



私は子供を連れて
家を出て
バス停へ向かった

No.221 09/03/20 20:05
唯 ( ♀ M9mPh )

バス停までの道
バスを待っている間
バスに揺られながら乗っている間

私は無心だった

何にも考えられなかった


とにかく子供を強く抱き締めた



目的地に着いた



…市役所



窓口へ行き

『離婚届けください』



私は

【離婚】


を選んだ

No.222 09/03/20 20:18
唯 ( ♀ M9mPh )

離婚用紙をもらった
帰りのバスの中では

子供に申し訳ない気持ちでいっぱいだった


ごめんね…
もうママは
パパとやってく自信なくしたよ…
弱いママでごめんね
パパを取り上げてごめんね
ママが頑張って幸せにするから…



親の勝手で
片親をなくしてしまう
この子に申し訳なくてたまらなかった


でも

私に借金の全責任を押し付けたコウくんの

あの言葉が何かの勢いだとしても



私は許すことができない



ごめんね…
辛抱の足らない母親でごめんね…

No.223 09/03/20 20:26
唯 ( ♀ M9mPh )

家に帰ると
コウくんはもう仕事へ行って居なかった


私は子供とお風呂に入り
ご飯を食べさせ
ちょっと早めに寝かせた

今日は
バタバタして疲れたよね…
ごめんね…



私は後片付けをして



ゆっくりと
離婚用紙にサインし印鑑を押した


そしてコウくんが
差し出してきた
滞納通知書を眺めていた




私の…

責任…かぁ……

No.224 09/03/20 20:37
唯 ( ♀ M9mPh )

“離婚するのには莫大なエネルギーが要る”

と聞いたことがある


私は寝た

いつもなら夜中の2時、3時まで起きていたが
その日は9時に寝た


明日は結婚記念日…
私もコウくんも仕事は休み…



結婚記念日に離婚話なんて…


なんなんだろうね…

笑っちゃうね…


笑える話なのに

なんでかな…



涙しか出てこないや

No.225 09/03/20 20:52
唯 ( ♀ M9mPh )

早く寝たせいか
寝れる状態じゃなかったのか
早く目が覚めた


しばらくするとコウくんが仕事から帰ってきた



『起きてたんだ?
俺、昼には起きるから
起きてからどこか行こう』

何をするにも主導権を握らないコウくんがそう言った


『今日のこと覚えてたんだ?てゆうか、お金もないのにどこ行って何をするってゆうの?』


私は冷たく聞いた


『昨日久々に勝っちゃってさ♪1時間で3万の儲け!だからやめられないんだよなぁ~』


ばかか…

昨日私が離婚用紙取りに行ってる間に
反省することもなく
スロットやってたんだ…

コウくんに対して
情けないとか
呆れたとか
そうゆう感情すら沸かなかった

終わると決めた相手に
持つ感情なんてない



『どこも行きたいと思わない
もうコウくんとやっていこうとは思わない!』


上機嫌のコウくんを尻目に
私は離婚話の火蓋をきった


戦いは始まった

No.226 09/03/20 21:07
唯 ( ♀ M9mPh )

『え?何言って…』


『何言ってるじゃないでしょ!あんた自分のやってることわかってるの?
借金だよ?それも300万!
何考えてるの?
月25万の給料から生活費抜いて支払っていけるの?
あんたひとりじゃないんだよ!家族が居るのに!!』

私は昨日言えなかった分
全部ぶつけようと思った


『だからそれは…』


コウくんの言葉は聞きたくない

『何?私の責任って言いたいんでしょ?
あんたの借金が私の責任なら全部私が払ってやるよ!カードと契約書の控え出せよ!
だからあんたとはもう終わりにさせて!
自分の非を認めない人間なんかと一緒に居たくない!父親で居て欲しくない!』

私はめちゃくちゃ言った

言っても言っても
足りなかった

『ちょっ…ちょっと俺の話を聞いて…』


“本気”を見せると
ようやくコウくんも焦ってきた

No.227 09/03/20 21:14
唯 ( ♀ M9mPh )

『何の話だよ!
今さらごめんとか聞きたくないんだよ!謝ってもお金返ってこないし
あんたのギャンブル癖は一生直んねーよ!!!
あんたと夫婦やってく気持ちなんてもうなくなったよ!』


そう言って
私は離婚用紙を叩き付けた


『名前書けよ!』


コウくんを睨み付けて
力強く言った

子供はきっとまた驚いた顔してるだろう…

ぼやっと視界に入ってるけど
子供の顔を見ないようにした




もうこんな姿見せないから…
ごめんねびっくりさせて…
こんな怒鳴り声も聞きたくないよね

ごめんね…ごめんね……

今日で最後にするから

No.228 09/03/20 21:18
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんは一生懸命私をなだめようとしていた


でも私は止まらない

一度決めたことを
止めることはできない


コウくんの言ってることを無視して


『いいから早く書けよ!
あんたと一緒の空気吸うのも嫌なんだよ!』


私はかなり苛ついていた
止められない…
もう無理…
何を言われても

私は終わるって決めたんだ




ビリッッ



コウくんが離婚用紙を破った

No.229 09/03/20 21:26
唯 ( ♀ M9mPh )

…ふーん
逃げるんだ


『破ったのはいいけど
私、また取ってくるよ』



冷たく言う私に

『取ってきてもまた俺は破るよ!名前は絶対書かない!
ゆい!本当にごめん!
もう俺、スロットやらないから!!』



『返す当てのない借金作るだけ作っておいて
もうしませんじゃねぇんだよ!』


信じない…
一度でも私に責任があると言ったあなたを
あなたが言ってること全てを
私は信じることができない

誰が信じるものか!!!

No.230 09/03/20 21:47
唯 ( ♀ M9mPh )

『まぁとにかく出ていくよ…あんたの顔見たくないし…ここのアパート私の名義で借りてるんだから
ほんとはあんたに出ていって欲しいんだけど』



とにかく
とにかく1分1秒でも早く
コウくんから離れたかった

なんとか我慢してきた
妄想癖も
借金とギャンブル癖がプラスされると
何もかもが嫌になった


しかも今になって
謝ってくる姿勢が気に入らなかった


コウくんの言葉は何ひとつ心に響かなかった

No.231 09/03/20 22:00
唯 ( ♀ M9mPh )

軽く荷物をまとめて

『子供だけは渡さないから』


ひとこと言って家を出た



さて…出たはいいけど
どこ行こう…

こんな時
真っ先に思い浮かぶのは

姉ちゃん…

ヒロミの時も
バイト始めた時も

お世話になった姉ちゃん


ごめん姉ちゃん!
またご迷惑おかけします!


勝手に決めてる
ほんと迷惑な妹(笑)



今日は平日で姉ちゃんはもう仕事に行ってる

姉ちゃんが仕事終わるまでまだ半日ある…
お金もないしどうしよう…

No.232 09/03/20 22:09
唯 ( ♀ M9mPh )

外は暑いし
子供のオムツ替えやミルクのことだってある


とりあえず家の近くのデパートへ行くことにした


何度も後ろを振り返ったがコウくんの姿はなかった


追ってこられても困るけど
やっぱり口だけで
自分を改める気なんてひとつもないんだ…
だから私たちを追い求めたりしようと思わないんだ…
コウくんに対しての残された期待が
その時消えた



絶対別れてやる…

あんたなんか要らない

この子さえ居てくれれば…


デパートで夕方まで時間を潰した

No.233 09/03/21 13:16
唯 ( ♀ M9mPh )

姉ちゃんちに行って
姉ちゃんの帰りを待った


30分くらいすると
姉ちゃんが仕事から帰ってきた


『お!来たの?大きくなったね~♪
ゆい!何その荷物!?
夫婦喧嘩したの?
ここは実家じゃないよ!(笑)』


久し振りに会った姉ちゃんはいつもと一緒で
なんだかホッとした


『腹減ったで米食べさせて(笑)』



そう言ってお邪魔した


一緒にご飯を作りながら

私達の間に何があったのか話をした

姉ちゃんは何も聞いてこなかったけど
私は聞いて欲しくて
話をした



ひどいねぇ

別れちゃえ!

とも何も言わず
黙って聞いてくれた



話終わったあと

『どうするの?』

と聞かれた


そう…
何があったとか
あれがダメこれがダメとか言ってる場合じゃない

重要なのはこれからのこと

No.234 09/03/21 19:59
唯 ( ♀ M9mPh )

『離婚する…子供は渡さない』

そう姉ちゃんに言った



『そう…
ゆいが決めたんだったら
私はゆいのこと応援するよ』


そう言ってくれた姉ちゃんの笑顔は
どこか悲しそうで
胸が苦しくなった


こうと決めたら突っ走る
私の性格を良く知ってる姉ちゃんは
私を止めたり、責めるような言葉は何ひとつ言わなかった


ごめんね姉ちゃん

ほんとは夫婦で頑張らなきゃいけないことくらい
わかってるんだ

でももうそんな気すらなくなったんだ

子供から父親を取り上げるなんて
最低な母親だよね


わかってる…
別に白黒はっきりつけなくていいかもしれない…


でも


もう決めたんだ

No.235 09/03/21 20:16
唯 ( ♀ M9mPh )

私は家に携帯を置いてきた

だからコウくんからの連絡はない

電話帳メモリも発着履歴も受送メールも全部消去してきた

姉ちゃんちの電話番号はわからないはず



次の日私はバイトに入っていた

初めて行きたくないと思った


コウくんがみんなに
私が家を出ていったこと
ゆってるかもしれない

確実にゆってるだろうなぁ…


嫌だなぁ

みっともないなぁ…


でも急に休んで迷惑はかけられないから

子供を保育園に預けて
バイトに行った

No.236 09/03/21 20:28
唯 ( ♀ M9mPh )

行ったとたんに
キッチンから今井さんが顔を出して

『奥ちゃん!あんた家出したの?さっきまで原口くん居たよ!』


やっぱり…
しかも私に会う勇気はないんだ…

根性なし


『離婚しますよ~!もうやる気なくしました!(笑)』


『そんなん言って…
子供はどうするの?
母子家庭は大変だよ!
まぁ何があったか詳しくは知らないけど
子供のことを考えないと!』


第三者は冷静にものを言う


何も知らないくせに…

と思うのが間違ってるよね

何があったかなんて
情けなくて話せるわけない


コウくんだって

『喧嘩したら出ていった』
くらいしかゆってないと思う



喧嘩したくらいで
出ていかないよ

続けていく自信がなくなったから
出ていったんだよ

結婚はままごとじゃない


子供の親になったんだからそのくらいわかってる


でもやっぱり
ままごとしてたのかな

No.237 09/03/21 20:43
唯 ( ♀ M9mPh )

仕事が終わって
控え室へ行きタイムカードを出した

ここは手書きだから
終わった後に
何時~何時とペンで書く


タイムカードを取ると
手紙が一緒に落ちてきた



…コウくんだ

“俺は離婚したくない
子供のことだって
俺とゆいで育てていきたいと思ってる
どこ行ってるんだ?
男のところに居るのか?
帰ってきてくれ
俺はずっと待ってるから”


誰かに見られてしまうかもしれないから
借金のことには触れてない手紙
むしろ“私に好きな人ができてコウくんを捨てた”的な内容だったから

すごく腹が立った


直接ゆってくることができない小心者!

こうゆう内容の手紙をわざわざ書く卑怯者!



私はもっとコウくんのことが嫌になった

No.238 09/03/21 22:12
唯 ( ♀ M9mPh )

私はその手紙をビリビリに破って捨てた

その日はそのまま
子供を迎えに行き
姉ちゃんちへ帰った


次の日
子供を保育園に預けて

バス代がもったいないから30分歩いて市役所へ行き
また離婚用紙を貰った


窓口の人に

『1枚しか貰えないんですか?』

と聞いたら


『記入を間違えたりしたら横線を引いて印鑑を押してください
捨印を忘れずにお願いします』


と言われた

そりゃ何枚も貰えるものじゃないよね…

また破られようが
何度でも貰いにくればいい

No.239 09/03/21 22:17
唯 ( ♀ M9mPh )

私はその場で書いて
印鑑を押し
コウくんの居る家へ向かった


今は昼前だから寝てるだろうけど
叩き起こしてやろうと思った


今まで生活時間帯が違うコウくんに
子供がうるさくしないよう、大きな音をたてて
寝てるとこを起こさないように
気を使いながら生活してきた


今になっては
腹の立つ人間に
気を使うことなんてしない

のんびり寝かせてやらない



もっと
もっと苦しめばいい!


こう思うようになってしまった

No.240 09/03/22 20:21
唯 ( ♀ M9mPh )

玄関を開け
コウくんの部屋に入り
体に巻いてあるタオルケットをおもいっきり引っ張った


『離婚届けにサインして!』


コウくんにしたら
最悪な目覚まし時計(笑)



起きたから

『サインして』

ともう一度言った

『離婚はしない』


…うっとうしい…


それから何度も同じやりとりをして

終始平行線で
話し合いにならなかった


『私はこれ以上コウくんと一緒には居られない
居たくない!
子供の父親で居てほしくない!私が幸せにする!』


と言った時に


『俺が居たら幸せにできない?俺は邪魔なだけなのか?』


と聞いてきた



何ゆってるんだこの人は…
邪魔って何?

どうゆう感覚してるの?

自分に非は一切ないとでも言いたいの?

何が原因でこうなってるかわかってるの?



わかってないみたいだから


『私はコウくんが借金したことに怒ってるんじゃない
一緒に苦労したくないわけじゃない
許せないのは
自分が悪いってゆうことを認めなかったこと!
責任は私にあるってゆったこと!
どこに私に責任があるの?あんたに借金させたのが私だったら
私が一人で全額払うよ!』


私は言い切った

No.241 09/03/23 22:47
唯 ( ♀ M9mPh )

『借金は…』


コウくんの言葉はもう要らない

『それに何!?あの手紙!
私に男が居るの?妄想で被害者ぶるのはやめてよ!
何?借金は何!?自分ひとりで返せれるの?
コウくんは夫婦2人で力を合わせて~みたいなことゆってるけど
コウくんみたいな卑怯な人とはこれ以上一緒に頑張りたいと思わない!
それなら風俗でもなんでもして私ひとりで返すよ!』


もう後には退けない

意地が先行していた

とにかくコウくんを許せなかった

コウくんは要らない



私の人生に必要ない


この時の私は
子供のことなんて考えてなかった


“仲の悪い両親を見て育つ子供がかわいそう”


そう言い、子供のことを考えてるフリをしているだけだった




この時はそれが正しいと思っていた



すべて自分の考えが正しいと…

No.242 09/03/23 22:54
唯 ( ♀ M9mPh )

『ゆい…許してくれ…
風俗なんて言わないでくれ…
俺が…俺がゆいと子供を幸せにするから………』



コウくんは
今にも泣きそうな声で
そう言った



『私と子供を幸せにしてくれるってゆうんなら
離婚して!!!』


もう私の口からは
コウくんを傷つける言葉しか出てこない




…ごめんね

もう決めたんだ…

コウくんを許してしまう自分が許せないんだ…



私って何様なんだろうね


すべて自分が正しいと思ってる

子供の父親を取り上げてしまえる母親…



ごめんね…

No.243 09/03/23 23:02
唯 ( ♀ M9mPh )

その日は平行線で終わり


また日を改め
何度も離婚協議をした


会う度コウくんは痩せていた


私は表情がキツくなっていった


子供には一度も会わせずに
いつも私が一方的に離婚宣言



私と子供が家を出て
2ヶ月経った9月中旬

『いい加減、裁判にしようと思ってる
こんな平行線じゃ話しにならない』


そう言い

コウくんの居る家をあとにした

No.244 09/03/23 23:13
唯 ( ♀ M9mPh )

それから一週間後


いつも私がいきなり家に行って話をする状況だったが

コウくんから

“明日家にきて”

とゆう手紙が
タイムカードに挟んであった


その短い文面から

何か
コウくんの決意が伝わってきた


きっと
離婚に応じるつもりだ


明日終わる…

私たちの夫婦ごっこも終わり



私は自分の思う通りになり

自由と希望を感じていた






本当は

拘束と絶望


それに気がつくのは




もう少し先の話………

No.245 09/03/24 16:33
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日の昼過ぎ
コウくんが居る家に行った

鍵を開けると

コウくんは
起きて待っていたみたいで玄関まで出てきた


私は驚いた

長かった髪をバッサリ切って短髪にし
服装も前と全く変わっていて

イメージが変わっていた


『離婚してくれるんでしょ?』


私はコウくんを真っ直ぐ見て言った


『もうサインしたから…
上がれよ』

喋り方もなんだか違ったように思えた


あまりの変わりように
少し戸惑った



部屋へ入るとガランとしていた


見渡すとコウくんの物は
テーブルに置いてある携帯と財布だけで
あとは何もなかった

No.246 09/03/24 20:11
唯 ( ♀ M9mPh )

『…荷物出したんだ』


そう言うと

『ゆいが借りてるアパートだろ…
他の部屋の荷物も全部出したから』


コウくんは

淡々と言った


2ヶ月以上も

早く離婚したい
もう顔も見たくない

と思っていたが

こうも変わると
なんだか寂しくなった

寂しい気持ちになる私もおかしいけど

この時は
なんだか寂しかった



コウくんがすごく遠くに感じた







…自分から離れたのに

No.247 09/03/24 20:40
唯 ( ♀ M9mPh )

『離婚届けは?』

寂しくなった気持ちを悟られたくなくて
いつものキレ口調で言った


コウくんは
ジーンズのポケットから
しわくちゃの離婚用紙を取り出して
私に手渡した


私はサインを確認して
きれいに折り畳んでバッグにしまった



『これで…』

終わりだねと言おうとした私に


『これで終わりだな…
慰謝料や養育費を払うつもりはないから』



慰謝料も養育費も貰おうとかは一切思っていなかった

でも
コウくんから言われるとは思ってなかったから

すごく腹が立った

No.248 09/03/24 20:41
唯 ( ♀ M9mPh )

『あんたの金なんか要らないよ!もう関わりたくもない!早くどっか行けよ!』


『お前に出す金なんてねぇよ!それ、早く出せよ!』


そう言ってコウくんは
家の鍵を置いて出ていった


昨日の夜

最後は感情的に
終わるんじゃなくて

笑って終わろうと
きれいごとをひとりで
考えていた

きれいごとはきれいごとで終わった


私たちは憎しみ合って別れた



私たちの結婚ってなんだったんだろう…
所詮ままごとの延長で

【結婚】の意味を
子供の親になってもそれがわからなくて

わかろうと努力もしないで

一体なんだったんだろう…

ただ

子供を作っただけ


…だったね

No.249 09/03/24 20:52
唯 ( ♀ M9mPh )

私はすぐに市役所へ行き
離婚届を提出した


その後
いろんな手続きがあって
一日では終わらなかったが


私と子供から早く“原口”とゆう姓を取りたくて
早く“奥田”に戻りたくて

書類の必要事項を
無我夢中で埋めていった


…心の隙間を埋めたくて




“離婚は莫大なエネルギーが要る”



…本当だった




平成15年9月22日

【離婚】

20歳の秋だった

No.250 09/03/24 21:03
唯 ( ♀ M9mPh )

手続きも全部終わり

私と子供は姉ちゃんちを出て自分の家に戻った

そこにコウくんの姿はない

コウくんが居なくなった家はすごく広く感じた


私と子供が出ていった時
コウくんも同じことを考えていただろう…

悲しみ 寂しさ

私が今感じてる倍以上コウくんは感じてただろう

その中に2ヶ月も居たんだ…

なんとなくコウくんに申し訳なかった


…借金大丈夫かな……




考えなくてもいいことまで考えていた

No.251 09/03/24 21:05
唯 ( ♀ M9mPh )

どうでもいいよ
あんな奴

死ねばいいよ
あんな奴


そう思いきれない自分が
すごく嫌だった

中途半端な自分が嫌

終わると決めたのは私


もう終わった




私は奥田に戻ったんだから…


それでもやっぱり
この家で生活するのには抵抗があった


お金がたまり次第出よう…


そう考えていた

No.252 09/03/24 21:29
唯 ( ♀ M9mPh )

9月いっぱいでコウくんはファミレスのバイトを辞めた

シフトから名前が消えたのに気付き

タイムカードを探すとコウくんのはなかった



私は10月から平日毎日9時~6時まで働いた


給料は少ないし
貯金もない

でもなんとか
子供と2人で暮らしていた

私が子供を守る!


その気持ちだけは
強く持っていた



コウくんは必要ない



この気持ちも
強く持っていた


自分の選んだ道は
正しいと
自分に言い聞かせていた



後ろを振り返っていたら
守るものも守れない



私は母親だ

No.253 09/03/24 21:56
唯 ( ♀ M9mPh )

フルで仕事をし始めて2週間くらい経った

10月中旬


いつも通り

仕事が終わったら
即行子供を迎えに行き
買い物をして
7時前に帰宅して
子供とご飯を食べて
一緒にお風呂に入り
子供を寝かし付けた

時計を見ると9時…

はぁ~やれやれ
今日も一日終わった
明日は土曜…
子供と何しようかな


と考えてる時
ふと郵便受けをチェックしてないことに気付き

玄関の内側に付いてる郵便受けのフタを手前にひくと


バサバサッ


大量の茶封筒が落ちてきた

えっ…何っ!?


封がされてなくて中身が飛び出てるのもあった





…コウくん宛だった

差出人は見覚えのある金融会社




大量の滞納通知の中に
大学ノートのような紙が紛れていた



コウくんからの手紙だ…

No.254 09/03/25 13:30
唯 ( ♀ M9mPh )

コウくんからの手紙には



“お前が払え”



と書いてあった

金融会社からの通知の中には
原口唯…
離婚前の姓で私宛のもあった


全部確認すると

2ヶ月前より2社増えていて

借金は膨れ上がり


500万円を超えていた




全ての通知に目を通し
計算し終わった私は
なぜか冷静だった




そう…

そうゆうことなんだ…


これが最後の仕打ちなんだね















受けて立ってやるよ

No.255 09/03/25 20:34
唯 ( ♀ M9mPh )

丁寧にカードと契約書まで各金融会社の通知と共に同封されていた


次の日
詳しく調べる為に
子供を保育園に預け
各金融会社のATMを廻った

毎週土曜日は子供と過ごしてたのに…

借金のことより
子供との時間を奪われたことに
腹を立てていた



ATMで調べてみると
6社の中で1社だけ限度額まで借りてない所があった

限度額50万のところ
20万引き出して30万残っていた



私はその30万を引き出し

6社に1万5千円ずつ返済した


6社とも次回の支払日は1ヶ月後

これでしばらくは大丈夫…



残りのお金

21万を握りしめ

私はひとつのことを決めた




…風俗


風俗に行くことを決めた

No.256 09/03/25 22:26
唯 ( ♀ M9mPh )

私はその足でバイト先のファミレスへ行き
マネージャールームに入った


『奥ちゃん今日休みなのにどうしたの~?
手伝いに来たの?笑』


マネージャーの笑顔に胸が痛かった


『マネージャー…
すみません!来週いっぱいで辞めさせてもらいたいんです!』



『急に困るよ!?どうしたの?』



『ほんとに勝手言ってすみません…
県外の親戚の所に行ってお世話になろうと思っています』


もちろんそんな予定はない

『そうか…
もう少し居ることできない?せめて今月いっぱいは働いてもらいたいなぁ』


ごめんねマネージャー…
私には時間がないんだ

No.257 09/03/26 20:44
唯 ( ♀ M9mPh )

謝り続け

『しょうがないよね!
奥ちゃんに辞められたら
僕がランチ入らないとまわらないなぁ(笑)
いろいろ大変な思いさせたね!ありがとう!』


マネージャーは
勝手な私にそう言ってくれた

すごく嬉しくて
申し訳なくて
自分が情けなくて

わけのわからない涙が出た

『奥ちゃん!?
泣かないでよ~!今井さんに知られたら僕が怒られるから(笑)あの人神出鬼没なんだから(笑)』


マネージャー…
みんな…
ほんとにありがとう…

迷惑かけてごめんなさい

No.258 09/03/26 20:51
唯 ( ♀ M9mPh )

一週間後

私は3年間お世話になったファミレスを辞めた

最後の金曜日は
私が入った時の思い出話をして盛り上がった

元金髪半端ギャル

今井さんが言った
このネーミングには爆笑した(笑)


3年間
バイトはほんとうに楽しかった


私はこれから風俗に行く

『また遊びに来ます!』

と言って
さよならしたけど

もうみんなに会うことはない


私がファミレスに行けば会えるけど



行く勇気がない




私は風俗嬢になるのだから…

No.259 09/03/26 21:24
唯 ( ♀ M9mPh )

さすがに生まれ育った地元で風俗をする勇気はない

やるなら県外

全く知らない所がいい…


誰も私を知る人が居ない所へ……

行く宛は全くない




月に一度は帰ってきたい

寝る場所に困るといけないから
私は今住んでいるアパートをそのままにして

旅立つ準備をした

子供を抱えているから
荷物は最小限

とかいいつつ
大中小のバッグを3つ(笑)

どうやって運べっちゅうの
とひとりツッコミをしていた


ゆっくりしてる時間はない
3週間後には
借金の支払いをしなくちゃ


明日旅立とう…

No.260 09/03/26 21:36
唯 ( ♀ M9mPh )

10月下旬の土曜日


行き先が決まってないまま
私は駅へ行き

適当な電車に乗った


心配していた荷物は
電車が運んでくれた(笑)



初めての電車に
嬉しそうな10ヶ月の息子を抱っこしながら
外の景色を眺めて
これから先のことを考えていた



なんとかなる!

ううん
なんとかしなきゃ!


私がここで頑張らなきゃ

この子は誰が守ってくれる?

誰が幸せにしてくれる?


私が頑張って
この子を守り、必ず幸せにする!



ママ…頑張るからね




子供に何度も誓った

No.261 09/03/26 21:52
唯 ( ♀ M9mPh )

2時間電車に揺られ
隣の県の中心部に出たところで降りた

子供におやつを食べさせ
少し休憩したあと

今度は新幹線に乗った

行き先は都会だった

田舎者の私には
都会は怖いイメージがある


一度都会へ出て
そっからまた移動しようと考えた


都会まで3時間


その間寝てしまった子供の寝顔を見ていた

子供の寝顔や笑顔を見ていると
どんなマッサージよりも
疲れがとれる

子供が乗り物酔いしなくてよかった…


いきなり長旅させてごめんね…
目的地のない旅…

振り回してるママを許してね…

No.262 09/03/26 22:05
唯 ( ♀ M9mPh )

3時間後都会に着いた


やっぱり都会は怖かった(笑)

適当に切符を買い
そこから快速電車で1時間弱…


切符に書いてある駅に着いた


“ここかぁ…!”


行き着いた知らない街

駅の中は地元の隣駅と変わらないくらいの大きさ

ここを選んだの
正解だったかも…




とりあえず近くのホテルを探した

子供と大中小の荷物を抱えてウロウロできないから
空き情報を電話で確認をして

空きのあるホテルへ向かった

No.263 09/03/27 21:03
唯 ( ♀ M9mPh )

ビジネスホテルに着き
ほっと一息ついた

子供にミルクをあげた後
子供はすぐに寝てしまった

疲れたよね…

ごめんね…



…働く場所

探さなくちゃ


フロントに電話をして
タウンページを借りた

私はまず子供を24時間保育で預かってくれる託児所を探した

今居るビジネスホテルと同じ住所の託児所を1件見つけた

そう遠くはないだろうと思い
そこに電話をかけた

いろいろ質問する私に
丁寧に対応してくれた
ビジネスホテルからは歩いて5分のところだった


子供が起きてから
コンビニへ行き
ご飯と地元仕事情報誌を買ってホテルに戻った

No.264 09/03/27 21:03
唯 ( ♀ M9mPh )

ナイトのページを食い入るように見た

縁もゆかりも何もない
全然知らない街
住所だけ見てもどこがどこだかわからない

だからとにかくビジネスホテルと同じ住所に風俗がないか調べた

パブ デートクラブ キャバクラ ヘルス デリヘル
ホストクラブ…

名称は伏せてあるのもあるけど
たぶんそんな感じ…

とにかくいっぱいある

どうやらこの辺は
夜の街みたい


私の

“なんとなくここにしよう”

大当たりだった

あちこち移動できないから安心した

No.265 09/03/27 22:01
唯 ( ♀ M9mPh )

どうしよう

ヘルス…

ヘルスにしようか…

てかヘルスって何?
パブって何?

何をするの?



…なんでもいいや

500万返済しなくちゃ……

その為にはなんでもしないと…




“個室サウナ”

???


サウナって銭湯?
銭湯に来たお客さんに何かサービスするの?

“個室サウナ”が何なのか興味がありそこを選んだ

電話をしてみた

No.266 09/03/27 22:18
唯 ( ♀ M9mPh )

『はい!お電話ありがとうございます!ソープランド・キティです!』


ソープランド?

『あっ!もしもし…コンパニオン募集の広告を見てお電話させていただきました…』


ソープランドって…?
何するんだろ?

『少々お待ちください!』

しばらくすると
店長か誰かわからないけど違う人が電話に出た


『あ~もしもし?
働きたいの?』


ソープランドがどんなところかもわからない
でも私には迷ってる時間がない

『はいっ!』

返事をして

年齢と名前を聞かれ
面接の日時を言われ
電話を切った



明日面接…

No.267 09/03/28 12:47
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日

まずは託児所に子供を預けに行った

小さなところで
その日預かっている子は2人だった
保育士さんは年配の方と若い方の2人で
とても感じのよい方だった

保育料は後払い制
登録料に1万を払い

『とりあえず今日は夜8時までお願いします
早く迎えに来れるようなら来ます』

と言って子供を預けた


心の準備をして

面接へ向かった

No.268 09/03/28 12:56
唯 ( ♀ M9mPh )

お店は託児所から歩いて3分もかからないところにあると
昨日の電話の人が言っていた


えーっと…

託児所の右隣の服屋の前を通って…

寿司屋があって…

うどん屋のところを左…

立体駐車場があるから
そこを左…


あった!

建物の間に3階建てくらいの

“キティ”

…ソープランドとは書いてないけど…ここだよね?


着いたら電話するように言われてたから

お店に電話をした

No.269 09/03/28 14:45
唯 ( ♀ M9mPh )

今お店の前に居ることを伝えると少し待つように言われた

しばらくすると
入り口からスーツ姿の茶髪でロン毛の人が出てきた


ホストかと思った

『こっちこっち!』

外が眩しいのか
面倒なのか
眉間にシワを寄せて手招きしている


『あっ!はい!』

ヒールの高いブーツで
一生懸命小走りした


お店の奥に入り
面接が始まった

No.270 09/03/28 16:17
唯 ( ♀ M9mPh )

「風俗は初めて?」


『はい…ファミレスで3年バイトしてました』


「ふ~ん…どうしてソープを選んだの?」


『ソープがどうゆうところかもわからないんですけど…お金が欲しいから…
借金返済のためです』


「いくらあるの?」


『500万です』


「ブランド物が好きそうには見えないね」


『前の夫が知らない間に借金してました(笑)』


「ふ~ん…
子供が居るみたいだけど、妊娠線とか体に入れ墨とかある?」


『妊娠線はあります…』


「じゃ、脱いで」

No.271 09/03/28 16:21
唯 ( ♀ M9mPh )

脱ぐ!!?

…当たり前か

私は下着姿になった
知らない人の前で
明るい部屋で
脱ぐのはかなり恥ずかしかった

私は視線をそらしていた

上から下まで見られたと思う


これで不採用だったら
へこむなぁ…

妊娠中20キロ太り
産後だいぶ体重は戻ったけど
伸びきった自分の身体が
売り物になるか
自信は全くない



「はい、じゃあこれから部屋移るよ」


採用か?

不採用か?

私はそれが気になっていたけど

黙ってついていった

No.272 09/03/28 20:27
唯 ( ♀ M9mPh )

ついていった先の部屋は

ベッドがあって
変な大きなビニール製のマットと
シャワーとお風呂と小さな冷蔵庫とタオルが大量に置いてあった

ベッドの周りには鏡が貼ってあって
ラブホを連想した


周りを見渡していると
面接してくれた人が脱ぎ始めていた



!?

何脱いでるの??


「脱いで!講習するから」

…講習!?


講習って何???

No.273 09/03/28 20:35
唯 ( ♀ M9mPh )

とりあえず服を脱ぎ
下着もとった


「舐めて」

髪をかきあげながら
当たり前のように言われた

だよね…
そうゆうことするんだよね…

そのくらいはわかってたけど
やっぱり抵抗があった


ついさっき
30分前に会った人のをいきなり?



しょうがない
つべこべ考えてる場合じゃない

私は借金を返さなくちゃ!


観念して

私は言われるた通りにした

No.274 09/03/28 21:42
唯 ( ♀ M9mPh )

舐めて
キスして
舐められて
口でゴムを着けて
挿れられて
自分の体を使って相手の体を洗って
お風呂に入って
そこでも舐めて
ローションを洗面器いっぱいに作って
マットの上で体をこすりつけ合って
もう一度騎上位で挿れて
体を洗い
相手の体を拭く


こんな流れだった


…これがソープランドの仕事…



「1本50分、終わったらお客さんから2万5千貰ってお店に1万、残りが手取りね」


1本1万5千円…


『1日にだいたいどれくらい付くんですか?』


「うちは昼の12時~夜の12時までだから!ご飯の休憩が40分あって、フルだと12本で、えーっと…18万だね。うちは指名料とかないからね」


1日18万!!!
どうゆう世界だ!?
てか1日12人とやるの!?


…ありえない…

No.275 09/03/28 21:45
唯 ( ♀ M9mPh )

思ってることが顔に出てたのか

「フルで付けることはないよ。体壊されても困るしね」


そっか…
でも1日18万稼いでみたい…何もせずに18万貰いたい

とかバカな事を考えていた

「名前何にしようか?好きな名前あったら言って」


『特にないですけど…
あの…採用してもらえるんですか?』


「採用!採用ね!今日2本くらいやって帰ってもらうから」


今日!?これから?
まだ全然仕事わからんのに!
でもお金は今すぐにでも欲しい
手持ち15万しかないし、それは金融会社から引き出したお金
自分のお金なんて1万もない


『ありがとうございます
頑張ります!』


そう…頑張らないと…

やるしかない!!!

No.276 09/03/28 21:46
唯 ( ♀ M9mPh )

お店での私の名前は

“ゆうか”

かわいい名前をもらった

私はここで
50分1万5千円の女になる




そして私は

【ソープランド・キティ】

で出逢った男性と


2度目の結婚をすることになる

No.277 09/03/28 22:01
唯 ( ♀ M9mPh )

「じゃ、控え室に行くから」

ここのお店は女の子の控え室を3つに分けているらしく

私の年の近い子が居るとこに入れて貰えるみたいで
ちょっとホッとした


中には4人の女の子が居た

「おはよう!今日から入った、ゆうか!いろいろ教えてやってくれ!」

と紹介してもらった


『あ…お願いします!』


私も挨拶をした


「主任!この子が昨日言ってた20歳の子?良かったね若い子入って!
私は“茜”よろしく~」


20代前半くらいの綺麗なお姉さん


こんな綺麗な人が!!
なぜ!?

びっくりした

No.278 09/03/28 22:08
唯 ( ♀ M9mPh )

「主任昨日からめちゃくちゃ張り切ってたんだよ~(笑)この店若い子少ないから(笑)ゆうかちゃんが一番若いよ~よろしくねぇ」


おっとり天然系の30代前半“みゆき”さん


「かわいいね!仲良くしようね!つうかみゆきちゃん!ここにめっちゃ若い子居るじゃん!(笑)」


30代後半の“やよい”さん

「もうすぐ40歳のおばちゃんじゃん!(笑)ゆうかちゃんのお母さんでもいけるじゃん(笑)」


かわいい顔して毒を吐く20代後半の“りえ”さん




女の集まりだからもっとドロドロしてると思った…
感じが良くて安心した

No.279 09/03/28 22:17
唯 ( ♀ M9mPh )

みんなに挨拶し終えた後


『主任さんだったんですね…ずっと誰なのか気になってました(笑)』


私は面接と講習してくれた人に言った


「主任ってゆーか店長と同じ。こないだ店長飛んじゃってよぉ…金庫の300万持って消えたよ(笑)
ボーイも貸した5万返さずに消えるしよぉ!」


それを聞いて女の子達は笑ってる


…なんちゅう世界だ…

金持って消えるのが当たり前みたいな…

私はすごいところに
足を踏み入れてしまったらしい


でも後戻りはできない

…前進あるのみ

No.280 09/03/30 09:21
唯 ( ♀ M9mPh )

制服に着替えて待機していた

待機してる間
女の子にいろいろ聞かれた

どこから来たの?
なんでソープ選んだの?
彼氏は?


浮気とか不倫とか嫌いな私は
普通彼氏が居たら風俗なんてしないだろと思っていたけど
茜さんとりえさんには彼氏が居るとゆう

それを聞いて
茜さんとりえさんに嫌悪感も何も抱かなかった

…まぁ人それぞれか…

て感じだった

郷に入れば郷に従えで

私が元々持っていた価値観はすぐに壊された


1時間くらいすると

「ゆうかさんお願いします」

とボーイさんに呼ばれた


初仕事…

不安だらけだった

No.281 09/03/30 12:06
唯 ( ♀ M9mPh )

初めての風俗の仕事は
それはもう大変だった

体をこすりつけて
お客さんの体を洗う意味がわからなかった

こんなことして
何になるんだとも思ったし

ローションでぬるぬるのマットの上での行為はかなりの体力勝負だった


初めてのお客さんは
たまにキティに来る方で
控え目な人だった

さっき教えてもらったばかりの私に満足なサービスができたわけじゃないのに

「また来るね」

と言ってくれた


休憩することなく
すぐに次のお客さんについた

その人は常連さんらしく
新人好きとゆう
私にとってはありがたい人だった



終わった後は

なんとも虚しい気持ちになった

これが風俗…

知らない人に体を売る

自分自身に値段がついてるこの仕事は

精神的に辛かった

No.282 09/03/30 15:44
唯 ( ♀ M9mPh )

自分の使った部屋をみゆきさんに教えてもらいながら掃除した後
控え室に戻ったら主任がソファーに座っていた


「お~ゆうか!お疲れさん!」


夕方5時だとゆうのに
仕事中だとゆうのに
主任はお酒を飲んでいた(笑)


『まだ全然わからないことばっかりで困りました(笑)』


「またいつでも講習するぜ~」


『え…いいです(笑)』


「いいですって何だよ!」

笑いながらいろんなことを話した
主任がきさくな人で良かった
もっと厳しい人かと思っていたけど
見た目とは違っていた


人間関係はなんとか良さそう
仕事内容が苦痛

でも苦痛とか言ってられない

明日からも頑張らなくちゃ

No.283 09/03/30 16:54
唯 ( ♀ M9mPh )

その日稼いだ3万を財布には入れ

さっさと着替えて子供を託児所に迎えに行った


「早かったですね!
ママ来たよ~!」

私を見て一目散に近づいてきた我が子を抱き締めて


『ありがとうございました!明日は昼の11時から夜の1時までお願いします』


保育料を払って
ビジネスホテルへ帰り
子供と遊んで
子供を寝かせた



…半日以上預けることになる
子供と過ごすのは
朝7時~預けるまでの4時間しかない

キティは店休日がない
託児所も年中無休

子供との時間が少ないのは辛いけど

短期集中でお金を稼いで
早く風俗をやめたかったから

私は生理休暇だけを貰い
後は休まないことを
今日主任に話した


早く稼いで
早く風俗を辞めたい


風俗を始めた日に
風俗を辞めることを考えていた

No.284 09/03/30 22:03
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日

「おはよう!
今日はゆうかは忙しいぜ!ネットで宣伝したからよ~20歳の新人!大型デビュー!頑張れよ~」


主任の言葉に

『えっ…ほんとですか…
ありがとうございます』


「顔と言葉が合ってねぇじゃねぇか(笑)」


どうやら顔がひきつっていたらしい(笑)


『まだ全然なんにもできないし…こんなんでお金貰っていいのかなぁって感じです』


「じゃあ金くれ(笑)」


『あ、それは嫌ですね(笑)頑張ります』


主任とのやり取りは楽しかった


2日目はほんとに忙しかった

No.285 09/03/30 22:04
唯 ( ♀ M9mPh )

客層は様々だった

彼女が居ない人
家庭がある人
ギャンブルに勝ってあぶく銭で遊びに来た人

お客さんは
地方なまりのある私に
必ず出身地を聞いてきた


家族構成

以前の職種

初体験


いろいろ聞かれたけど

出身地は九州

家族は両親と兄2人

子供は居ない
妊娠線は激太りした後痩せたからついてる

コンビニのバイトをしていた

初体験は18歳


全部嘘で固めた

“ゆうか”

を作りあげていった

No.286 09/03/30 22:28
唯 ( ♀ M9mPh )

それから5日間

1日7本~10本ついて

80万稼いだ


5日で80万…

50日で800万…


まじで?


頭がおかしくなりそうだった

毎日15時間以上働いて
26万貰っていた
ファミレスと服屋のバイト掛け持ち時代が
すごくアホらしく感じた


風俗って…

体を売るって…


こうゆうことなんだ

金が良すぎる


その分

仕事内容が辛すぎる



こうゆうことなんだ…

No.287 09/03/30 22:30
唯 ( ♀ M9mPh )

風邪をひいた

咳や鼻水はないけど
熱だけ高くて
真っ赤な顔をして出勤した
仕事のストレスか
環境の変化かわからないけど
ちょっとしんどかった


指名2本済ませたあと
主任が控え室に入ってきた

「おはよう!」


『おはようございま~す』

と普通にしてるつもりだったが

「ゆうか!?熱でもあるのか!?」


『なんか顔赤いですよね(笑)大丈夫ですよ~』


「大丈夫じゃないだろ!
うわ!すげぇ熱じゃねぇか!」

おでこを触りながら
主任が心配そうにしてくれてる


『あっ…お客さんとかにうつしたらまずいですよね…』


私がそう言うと

「お前今日は6時まで予約指名入ってるから帰らせれない…
風呂入るな!客には言っておくからよ!」


いいのか!?
仕事手抜きしていいの??


意識がもうろうとする中
なんとか指名をこなした

No.288 09/03/31 07:31
唯 ( ♀ M9mPh )

7時にやっとストップした

主任が風呂に入らなくていいとゆってくれたのは
ほんとに嬉しかった

主任がお客さんに話をつけていてくれたおかげで
特に苦情を言われるわけでもなく

お風呂プレイは無しで
サービスを一通りした



控え室でソファーにもたれかかる私に


「今日はもう上がっていいぞ!?つぅか上がれ!」


そう言ってくれる主任に

『大丈夫です!
もっと働かせてください』

と言ったが強制的に帰らされた


「帰ってはよ寝ろ!
明日、無理そうなら店でも俺の携帯でもいいから鳴らせよ!」


言葉に甘えて
私は託児所に子供を迎えに行き
ビジネスホテルへ行き
ご飯を食べて
子供と一緒にベッドへ横になった

No.289 09/03/31 09:02
唯 ( ♀ M9mPh )

3、4日しんどかったが
なんとか乗りきった

風邪をひいている間は
主任の配慮で1日5本~6本にしてもらって助かった

まだ仕事にも慣れてない
風邪で体はしんどい
この約一週間は本当に辛かった

収入は40万

最初の一週間の半分

思うように稼げないし
体だけには気を付けようと思った


全快してからは
風邪をひいていた分を取り戻そうと頑張った


店自体が暇とゆうこともあり1日5本~6本とゆう毎日が続いた


待機している間は
女の子と話したり
主任と話したり

楽しかった

No.290 09/03/31 09:41
唯 ( ♀ M9mPh )

3週間経った頃
生理になり
生理休暇を貰うことになった

3週間で稼いだ金額は
160万


待ってもらっていた制服代、月1の雑費、仕事に使う歯ブラシやローションなどのお金
全部で10万
お店に支払った


「もうゆうかの借金はねぇぞ(笑)これで負い目なく働けるなぁ」


そう言う主任に


『もう借金は増やしたくないですからね~(笑)
主任がいつ取り立てに来るか不安で夜も眠れませんでしたよ(笑)』


「体力的にも精神的にもぼろぼろだろうから
ゆっくり休めよ!」


女の子みんなにゆってるだろうけど
主任の言葉は嬉しかった


明日から仕事が休み…
3週間寂しい思いをさせてる子供と過ごせる


何よりそれが嬉しかった

No.291 09/03/31 09:48
唯 ( ♀ M9mPh )

生理休暇は5日間


この間に
ビジネスホテルから

家電製品一式そろっているウィークリーマンションを借りて
引っ越した

家賃は光熱費込みで9万円

場所は店までひと駅離れたところで遠くなってしまったけど
いつまでもビジネスホテルには居られないから
それでよかった


近くのデパートへ行き
子供の服やおもちゃを買ったり
生活に必要なものを買い揃えた

No.292 09/03/31 21:01
唯 ( ♀ M9mPh )

地元の口座に当分の間の家賃と光熱費の50万を入れた

こっちの銀行口座をひとつ持つことにして
千円で作った


生活費に10万手元に置き


タクシーを乗り回り
金融会社のATMに支払いをしに行った

1社に2万ずつ返済した

ほとんど利息分で
元金はちっとも減っていかない

やっぱり一括返済が一番だが
私はまだそれほど
稼げれてない

次の返済はまた1ヶ月後


3週間で稼いだ160万は
引っ越し資金と
生活費に
あっとゆう間に消えた


世の中金なんだ…

金がないと生きていけないんだ…

No.293 09/03/31 21:57
唯 ( ♀ M9mPh )

生理休暇も終わり
またいつもの毎日に戻った

一度入ったことのあるお客さんが指名してくれた

これをリピーターとゆうらしい



「ゆうかちゃんに会った後パチンコに行くと絶対勝つんだよ」

とゆうお客さんは
毎週月曜日の1本目にきてくれた

顔は民主党の岡田克也に
よく似ていて
勝手に“岡田さん”と呼んでいた(笑)

岡田さんは自動車会社に勤めているらしく
ひとり者らしい

無茶なことを要求したりしない
いいお客さんだった

No.294 09/03/31 21:58
唯 ( ♀ M9mPh )

「婚約者がゆうかちゃんと体型に似てる
顔は全然違うけど」


とゆうお客さんは
私が風邪をひいてる時に来てくれたお客さんで

あんなサービスでも
こうやってまた来てくれるんだ…
と思うと本当にありがたかった

この人は今思うと石原良純に良く似てる
その時気づいていたら
間違いなく“良純さん”と呼んでいただろう(笑)

会社の社長さんらしく
体が空いた時にぽつぽつと来てくれた

話をしていても楽しいし
なんとなく
大事にされてるような感覚で居られて

婚約者さんのことを考えると申し訳ないけど
このお客さんが来てくれた時は
純粋に嬉しかった

No.295 09/04/01 20:41
唯 ( ♀ M9mPh )

ダブル(50分×2)で入ってくれるお客さんも居た

その人はフリー(指名なし)しかしないお客さんで
どの女の子に当たっても
必ずダブルにするとゆうこだわりの持ち主だった

1時間40分一緒に居て
一度だけして
あとはベッドの上でゆっくりする感じだった

それだけで3万稼げるのは楽と言ったら悪いけど
…楽だった(笑)


みゆきさんのリピーターの中には2週間に1度トリプル(50分×3)のお客さんが居て

みんなが羨ましがっていた
しかもその人も
2時間半居て1度しかしないらしく
みゆきさんはほくほくだった(笑)

No.296 09/04/01 20:57
唯 ( ♀ M9mPh )

とにかくいろいろなお客さんが居た

主任が私に付けるお客さんを選んでくれているみたいで
私が付く人に酔っぱらいとかヤクザっぽい人とか
厄介な人は居なかった


でもやっぱり中には

生でしたい
外で逢いたい
携帯番号教えて


そうゆう人はいた


そうゆう人達は簡単に
あしらえた



一番困ったのが

毎日のように通いつめ

風俗辞めて俺と結婚してくれ

とゆうお客さんだった

42歳の結婚歴のない人で
勤めてる会社では上の方で結構稼いでるから
金の心配はないと
毎回言われた

No.297 09/04/01 21:47
唯 ( ♀ M9mPh )

その人が来た日は
仕事を終えた後

あまりのしつこさに
待ち伏せとかされて
後をつけられたりでもしたら…
と考えてしまい
帰るのが怖かった


ストーカーの恐怖は
妊娠中に経験したことがある…


あの頃は

気持ち悪い!!
何かされたら急所を狙う!とか
かなり強気だったけど

風俗をしていて
夜中の1時過ぎに
たいして知らない街を歩いている

今と前の状況とは全然違う


いつも
お店から託児所までは歩いて
寝ている子供を迎えに行きそこからマンションまでタクシーで帰る

託児所までの3分を歩くのが本当に怖くて


主任に相談した

No.298 09/04/02 02:08
唯 ( ♀ M9mPh )

『主任…お客さんが外で待ち伏せしてるとかないですか?』


主任は はぁ? とゆう顔をしていた


「どうした?ストーカーされてるのか?」


『ストーカーとかじゃないんですけど、ラストに入ったお客さん良く来るじゃないですか、あのお客さんにプロポーズされてて…』



「はぁ~?笑
お前結婚するんか?笑」


『冗談とかじゃなくて
ずっと前から言われてるんです…』


そう言い
少し前にそのお客さんから渡された紙を主任に見せた

その紙には
お客さんの家の住所と電話番号と会社名と年齢と趣味が書いてある


「…なんだこれ…いつもらったんだ?」


さっきまでふざけていた主任の顔が一気に変わった

No.299 09/04/02 02:24
唯 ( ♀ M9mPh )

『3日前です…それから昨日も今日も来て…なんか怖くて』


「なんで早く言わねぇんだよ!何かあってからじゃ遅ぇぞ!今日は俺が家まで送ってってやるからよ!
後はボーイに任せて俺も帰るから!少し待ってろよ」


本当に怖かったから
主任の言葉に甘えさせてもらった

その日は歩いて一緒に子供を迎えに行ってくれて
そこから車でマンションへ送って貰った


「また何かあったらすぐに言えよ!」


そう言って主任は帰って行った


ほんと助かった…

もしかしたら明日もまた来るかも…

嫌だなぁ
怖いなぁ

いろいろ考えていると
その日はなかなか寝付けなかった

No.300 09/04/02 02:42
唯 ( ♀ M9mPh )

そのお客さんは2日後に来た

入る前に主任が控え室に来て

「あの客だけど大丈夫か?」

と心配してくれた


『刺されはしないと思いますから(笑)せっかく指名して来てくれたんだから
行きます』


ほんとは嫌だったけど
仕事だからしょうがない

お客さんの言うことを軽く流せるくらいにならないと…

「プロ意識が出てきたんか?(笑)頑張れよ!」



帰ってもらえばよかった…
私はまた選択肢を間違えた

No.301 09/04/02 12:15
唯 ( ♀ M9mPh )

「今日プロポーズの返事を聞かせてくれないなら
僕は違う子を指名するようにして
ゆうかちゃんのことはお店の店長さんに悪く言うよ
最悪だ!てね」



部屋に入るなりいきなり
言われた

…なんだこの人


『そうですか~(笑)
もう藤森さんとは会えないんですね
寂しくなります
じゃあ…今日が最後ですね!楽しく過ごしましょう!』


寂しそうな笑顔を作り
言ってみせた

お客さんを怒らせたりしたら主任やボーイさんに迷惑がかかる

だから怒らせないように言葉と態度を選んだ


別に指名が減っても
悪く言われても
全然かまわない

ただお世話になっている
主任に迷惑をかけたくなかった



なんとかうまくかわせれたみたいで
私はサービスを始めた



まさか別の形で主任に迷惑をかけてしまうなんて
思ってもみなかった


あんなことになるんだったら
この時に

『どうぞご自由に!』

とキレ気味程度で言って
怒らせて帰ってもらえばよかった

No.302 09/04/02 16:58
唯 ( ♀ M9mPh )

私はいつものように口でゴムを着けた

この人は体位をころころ変える人で
今日もいつものように変えていた


「今日はバックで終わろうかな」


いつもは正常位で終わるのに…
とは思ったけど
特に変に思わず

後ろをむいた

No.303 09/04/02 21:09
唯 ( ♀ M9mPh )

「ゆうかちゃん…いくよ」

その時

背中に生温かいものが
飛んできた


不覚



生で入れられた

後ろをむいた隙にゴムを外されていた



…信じられない…
こんなことするなんて……


「ゆうかちゃんの中
気持ち良かったよ
ゴムと生じゃ全然違うね
生禁止なのにごめんね」


男が笑いながら言ってる



私は無言で
シャワーで掻き出すように中を洗った


何度も何度も


その間男は上機嫌で服を着ていた

No.304 09/04/02 21:24
唯 ( ♀ M9mPh )

私も気が済むまで洗い

制服を着た


「やっぱりゆうかちゃんの体、忘れられないから
また来るよ
結婚は諦めるから
次からも生でやらせてね」


その瞬間

私はキレた

キレたと同時に男の胸ぐらを掴んでいた


『ふざけんな!!
こっちに来い!!!
このまま帰れると思うなよ!!!』


私より背が小さく
細い男を引きずるように
階段を降りて
主任の居るフロントまで連れていった

連れていく間も


『さっさと歩けよ!』

『風俗嬢なめんなよ!』


とか
頭にきていたから覚えてないけど
とにかくいろいろ言っていた

男はただただ驚いていた


その時の私の頭の中には


“主任に迷惑がかかる”


なんてものは
ひとかけらもなかった


ごめんなさい(笑)

No.305 09/04/02 21:38
唯 ( ♀ M9mPh )

フロントに行き

『主任!ちょっといいですか?』


お客さんの胸ぐらを掴んでいるのを見て
主任は当然驚いた顔をした
でもすぐに真剣な顔をして

「ゆうか!その手を離せ!」

と私に言った

そして

「うちの女の子が失礼をして申し訳ありません」

客の方を見て頭を下げた


…なんで?

なんで主任が謝るの?


「ゆうかも謝れ!」


え…なんで…?

主任はなんでこんな状況になってるのか聞かないの?
なんで私が謝らないといけないの?


私は謝らなかった

No.306 09/04/02 23:17
唯 ( ♀ M9mPh )

「申し訳ありませんが
少しお話を聞かせていただきます
こちらへお越しください」

男はボーイと一緒に奥の部屋へ行った

主任を睨み付ける私に

「お前はもう上がりだから部屋片付けろ!」


それだけ言って
主任も奥の部屋へ行った



…私には何も聞かないの?
あいつにだけ聞くの?
ほんとのこと言うわけないじゃん…!

なんだか主任に裏切られた気分だった


もう姿のない主任に

『…わかりました』

と言って

あの男と主任に怒りを感じながら2階の自分が使った部屋へと戻った

No.307 09/04/02 23:28
唯 ( ♀ M9mPh )

部屋を掃除していると
だんだん冷静になってきた


もっとちゃんとした対応すれば良かったなぁ…

そりゃ客の胸ぐら掴んでたら怒るよね主任も…

…でも理由があるんだからそれを聞いてくれてもいいじゃん…


あ~
迷惑かけちゃったなぁ…



それにしてもほんと気持ち悪い


反省と怒りを繰り返していたら
あの客にされたことが
気持ち悪くなり

私は脱いで
また体を力一杯洗い始めた

No.308 09/04/02 23:40
唯 ( ♀ M9mPh )

「おい、ゆうか~
掃除終わったかぁ~?」


主任がきた

『ちょっと今体洗ってるんで待っ…』


振り返ると主任はもう部屋の中に居た


「何やってんだよ(笑)」


『だから待ってって言おうとしたのに
主任入ってきてるじゃないですか!』


「俺とゆうかの仲じゃねぇか(笑)」


さっきの厳しい顔をした主任じゃなくて
いつもの主任だったから
主任への怒りはどっかへいって
なんだか笑えてきた


『どんな仲なんですか(笑)』


私が笑って答えると
主任が話し始めた

No.309 09/04/03 00:04
唯 ( ♀ M9mPh )

「さっきの客は帰ったぞ
何があったんだ?」


何?
今になって聞いてくるの?
また頭にきた


『あの人に聞いたんじゃないんですか?
お客さんが言ってることがあったことなんじゃないんですか?』


可愛いげのない返事をした


「ゆうか~
俺の立場も考えろよ~
客の胸ぐら掴んでるお前を怒らないわけにはいかないだろ」


わかってるよ
それはさっき気づいたよ
…遅いけど


『私の気持ちも考えて下さいよ』


私はむちゃくちゃ言っていた


「まぁ何があったか言いたくないならいいけどよ
客は“他の子指名するって言ったら掴みかかってきた”って言ってたぞ」


…あほくさ

No.310 09/04/03 00:14
唯 ( ♀ M9mPh )

『そうですか』


背を向けて着替えながらそれだけを言う私に


「そうじゃないんだろ」


…そうなわけないじゃん
なんでそんなことで
お客さん引きずらないといけないの


“そうじゃないんだろ”

この言葉で

主任が

“私をわかってくれている”

と感じて
なんだか泣けてきた


「とりあえずあの客出禁(店出入り禁止)にしたからよ
もう会うことはないぜ」


喋ったら
泣いてるのがバレちゃうから
私は主任に背を向けたまま黙ってた

No.311 09/04/03 09:15
唯 ( ♀ M9mPh )

「…ゆうか泣いてるのか?」


涙を手で拭きながら
鼻水を思いっきりすって

『泣いてません!』


泣いてるってバレバレ(笑)


「…この仕事…辛くなったか?辞めたくなったか?」


私は振り向いて
主任の目を真っ直ぐ見て答えた


『覚悟して入った世界です!こんなことで辞めません!迷惑かけてすみませんでした!』


そう言って頭を下げた


主任は思いっきり私の頭をくしゃくしゃに
撫でながら


「お前は男前な女だな(笑)
これからも辛いことあると思うけどよ
フォローできるところは
フォローしていくからよ!頑張れよっ!」



迷惑をかけられた相手に
笑いかけ
気を使わないといけない
主任って大変だなぁ…


『…ごめんなさい』


私は素直な気持ちで謝った

No.312 09/04/03 15:47
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日

主任は県外の本社で会議があるらしく
お店には顔を出さなかった

私は部屋の準備をする為
タオルやお茶が置いてある場所に居た

そこでは毎日誰かに会うけど
挨拶くらいしかしたことない


名前もわからない
違う控え室の女の子に話しかけられた


私が昨日起こした騒ぎは
違う控え室の女の子にまで知られていたらしい

当たり前だ

他の女の子が使っている部屋の前の廊下を通り

客に暴言を吐きながら引きずっていたのだから


全部屋
入り口にドアはなく
カーテンで隠されている状態

声も丸聞こえだし

廊下の様子を見ようと思えばすぐ見れる



多分この人は見たんだ…

No.313 09/04/03 16:09
唯 ( ♀ M9mPh )

「昨日何があったの?」


相手は30歳半ばの
スラッとした人だった


『あ…すみません騒がしくして…これからは気を付けます』


そう言ってその場を離れようとした

主任が前に言ってた


「別の控え室の女は
百戦錬磨が多いからよ
あんまり関わらないほうがいいぜ
怖ぇぞ(笑)」


だから私は関わりたくなかった


「最近入った20歳の子だよね?ゆうかちゃんだっけ?昨日の今日で出勤してるんだから
主任のお気に入りなんだねぇ~いいね若いって!」



…嫌味?
嫌味だよね確実に…

体力的にも精神的にも辛い仕事なのに
プラス女の戦い
それだけは避けたい


『中身はオッサンなんですよ(笑)』


ひきつっていたかもしれないけど
笑って答えた

No.314 09/04/03 16:32
唯 ( ♀ M9mPh )

さっきまでの
意味深な笑みとは違う
笑顔で
その人は笑った


「おもしろい子!
主任が気に入る理由がわかる気がするよ
昨日ね、掃除してる時主任が女の子の部屋に入ってくのが見えたからさ~
ちょっと会話聞いちゃったのよ
その前に廊下での騒ぎもあったしね(笑)
主任、私達にはキツイから…あ、達ってゆうのは同じ控え室の子のことなんだけど
全然扱いが違うから
なんなの~?って思って
でもゆうかちゃんいい子そうだからもういいんだけどねぇ~
何?風俗初めてなの~?」

喋り続けたあと
質問されて
私の喋る番になった(笑)


『初めてなんですよ
だからわからないことばっかりだし
昨日みたいな騒ぎ起こしちゃうし…ダメですね(笑)』

No.315 09/04/03 16:40
唯 ( ♀ M9mPh )

「私なんかお客さん殴ったことあるわよ~(笑)
若い頃の話だけどね~
何で?将来の夢?借金?何で働いてるの?」


…殴ったんだ…
私はまだマシだな(笑)


『借金があって…働いても働いても返せないですねぇ』


「そうなの?
返せるくらい稼いだら早く辞めた方がいいわよ
私みたいに抜け出せなくなるわよ~(笑)
じゃあ頑張ろうねぇ~」


笑って言ってたけど
あの人もいろいろあるんだろうなぁ…
綺麗な人なのになぁ…

生きるって大変だなぁ…


そんなことを考えながら
部屋の準備を続けた

No.316 09/04/04 10:11
唯 ( ♀ M9mPh )

その日から2日後

控え室に来た主任が


「ゆうか!他の控え室の女と何かあったんか?」


と聞いてきた

『髪の長いスラッとした人ですよね?
一昨日話しましたよ~
明るい人ですね(笑)』


止まることなく
喋り続けていたあの人を思い出して
ちょっとおもしろかった(笑)


「いじめられなかったか?」


『大丈夫ですよ(笑)』

No.317 09/04/04 10:13
唯 ( ♀ M9mPh )

「あいつリサってゆうんだけどよ~
さっきリサがお前の話してきたから
リサもお前も気ぃ強ぇから殴り合いでもしたかと思ってよぉ(笑)」



『お客さん殴ったことあるとか言ってましたね(笑)』

「そうなんだよな~
まぁ前の店での事だし
詳しくは知らねぇけど
ここでやられたらたまんねぇよ(笑)
俺より年上だし怖ぇよ(笑)」


『そういえば主任何歳なんですか?』


「言ってなかったか?
2月で32歳になるぞ
見えねぇだろ?」

32歳!?
ほんと見えない…


『20代かと思ってました
初めて見た時
ホストかと思ったし(笑)』


「そんなガキんちょに見えるか?
これでもいろいろ苦労してきてるんだけどよ(笑)」


そう言った
主任の笑顔は
なんだか寂しそうだった

No.318 09/04/04 10:31
唯 ( ♀ M9mPh )

もうすぐ息子の誕生日

この日はいちにち一緒に過ごしたい


『あ!主任!ちょっとギリギリになっちゃったんですけど
今月の28日は休ませてもらいたいんです
子供の誕生日で…
1歳になります』


「おぉ!めでてぇなぁ!
休め休め!」


『ありがとうございます!』


良かったぁ
これで子供と過ごせれる

いつも寂しい思いさせてるから

誕生日くらいは
ずっと一緒に居てあげなくちゃ

居てあげたいってゆうか
私が居たいんだけど

No.319 09/04/04 10:40
唯 ( ♀ M9mPh )

「うちも
もうすぐ産まれるぜぇ」


あ 結婚してたんだ


『そうなんですか!
いつ頃出産予定なんですか?』


「今月末だったかなぁ」


『だったかなぁって適当ですね(笑)あと一週間じゃないですか!
楽しみですねぇ~
他にもお子さん居るんですか?』


私は何気なく聞いた


「…2人」


主任は
目をこすりながら
間を置いて
そう答えた

何か悪いこと聞いちゃったかな…
プライベートなことだからあんまり聞かれたくないのかな


『にぎやかになりますね!』


そこで話を終わらせた

No.320 09/04/04 11:14
唯 ( ♀ M9mPh )

生理休暇が開けてから
10日間

10日で120万


大金を持ち歩くのも
家に置いておくのも怖いから
毎日出勤前に
前の日に稼いだお金を入れていた

こっちで千円で作った
銀行口座の預金通帳には
すごい勢いで
預金額が増えていく


誕生日前日

寝ている子供の横で
預金通帳を開く私


これで1つの借金は
完済できる…

全然足りない

まだ…

まだまだ頑張らないと…

早く返して

子供と過ごす時間を増やしたい


明日はいっぱい遊んで


それからまた頑張ろう!

No.321 09/04/04 21:20
唯 ( ♀ M9mPh )

子供の誕生日は

電車に乗り
大きな街へ出て

プレゼントに
服と靴とおもちゃを買った

帰りに小さなケーキを買って

マンションでお祝いした

お風呂も
いつも出勤前に
バタバタと一緒に入るだけだけど
ゆっくり遊びながら入った

子供はものすごく嬉しそうだった



ここへ出てきて1ヶ月とちょっとの間に

よちよちだけど
ひとりで歩けるようになった

発する言葉も多くなったしよく動く

子供は放っておいても
成長していく


こないだまで
ねんねしてたのに…
大きくなったね


子供の成長に感動した


何もしてあげれてない
ママを許してね…

No.322 09/04/04 21:37
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日


部屋の準備をして控え室に居ると

主任が入ってきた


「ゆうか!昨日子供の誕生日だったんだよな!?」


『はい!昨日は休みもらってありがとうございました!おかげで…』


子供と楽しく過ごせれました

と言おうとしたら


「うちも産まれたぞ!
誕生日一緒だなぁ!」



『ほんとですか!
おめでとうございます!!どっちでした?』


「男!見るか?」


携帯カメラで撮った写真を見せてもらった

かわいい!

主任にそっくりな男の子だった


『主任にそっくりですね!かわい~!男前になりますねっっ』



「俺より男前だろ~!
頭も良さそうだしよぉ!
これ朝早く起きて撮ってきたんだよ~
かわいいだろ!」


親バカ全開だった(笑)

No.323 09/04/04 22:19
唯 ( ♀ M9mPh )

生理休暇以外は休まないと前に主任に言ったけど

子供との時間が欲しかったから
毎週木曜日、週1の休みをもらった


週の真ん中はだいたい暇だった


週に1度の休みは
体力的にも
子供と過ごせるとゆう
精神的にも
ありがたかった

無理せず
最初からそうすればよかったと思った



次の生理休暇は地元へ帰ろう…

残してあるアパートも心配だし
友達にも会いたい


私はファミレスのバイトで仲良くなって
こっちに来てからもたまに連絡を取り合っている
エリちゃんに


“来月中旬に2、3日そっちに帰るから暇だったら遊んでやって”


とメールをした


“まじで!絶対遊ぼ!”


すぐに返信された


はやく来い生理!(笑)


楽しみができた

No.324 09/04/05 09:22
唯 ( ♀ M9mPh )

12月中旬になり
生理休暇をもらった


生理休暇の一日目は

子供を託児所に預け

口座に入れてある

270万から250万を引き出し

借金返済にまわった


コウくん名義の

3社を完済させた


残り3社

多目にみても
300万あればすべて完済できる


この日残りの3社には

2万ずつ返済した



あと2ヶ月

何か問題がない限り2ヶ月で稼げる金額


暗闇の人生に
光が見えてきた



あともう少し…

もう少し頑張ろう…



用事を終え

子供を迎えに行った

No.325 09/04/05 10:06
唯 ( ♀ M9mPh )

その日は子供とゆっくり過ごし

2日目に地元へ帰った

地元の駅に着いた時は
なんだかどっと疲れが出た

すぐにアパートへ行った

久々のアパートは
今住んでいるマンションより古いしゴキブリも出るけど

やっぱり落ち着く

我が家に帰ってきた

て感じがした

このアパートにいい思い出はないけど

初めて自分で借りたアパートだから
愛着はあった

カビ臭い部屋の空気を入れ換える為に
窓を全開した

積もったほこりを掃除して

5時間 電車や車に揺られて疲れてる子供を寝かせた


そして郵便受けをチェックした…

No.326 09/04/05 10:19
唯 ( ♀ M9mPh )

光熱費の請求書と領収書

ピザ屋や住宅のチラシ


そして

コウくんからの手紙…


やっぱりあった

だから郵便受けは
落ち着いてからチェックした


大学ノートを破って
封筒にも入っていない紙


何枚もあった

綺麗に折り畳んでいるのもあれば

ぐちゃぐちゃにしてあるのもあった


私は全部に目を通した




…狂ってる


私はコウくんに

異常者の烙印を押した

No.327 09/04/05 22:53
唯 ( ♀ M9mPh )

“ゆい元気してるか?子供も元気か?俺は今新しく入った会社の正社員で
毎日朝から晩まで働いている”



“携帯の番号は変わってないからいつでも連絡くれ”



“ゆい、俺が悪かった
戻ってきてくれ”



“借金は返してくれてるのか?本当に悪かった
俺がどうかしてた”



“子供がもうすぐ誕生日だな!3人で一緒に祝おう”


“子供にプレゼントを買ったから渡したい”



“離婚する前に子供名義の通帳を作った
それに毎月1万ずつ貯金してるから
成人した時子供にあげようと思ってる”




綺麗に折り畳んでいる手紙には

こうゆうことが書かれていた


私は何も信じなかったし

何も感じなかった


私の心は

コウくんを拒絶していた

No.328 09/04/06 20:59
唯 ( ♀ M9mPh )

そして

ぐちゃぐちゃになっている手紙の内容は



“滞納通知がこないってことはお前が払ってるんだろ
バカな女!”



“どうやって返してるんだ
風俗か?汚ぇ女!”



“俺の子供を返せ”



“殺してやる”



“必ず殺してやる”





…殺す?

やってみろよ


恐怖なんか感じなかった


できるような男じゃない

せいぜいこうやって
手紙で嫌がらせくらいしかできない


つまらない男




私は手紙を全部捨てた


異常者は私の人生に必要ない

No.329 09/04/06 21:19
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日はエリちゃんと遊んだ


エリちゃんは興味本位で聞いてきた


「風俗ってどのくらい儲かる?」



『一番良かったのが
5日で80万だったよ』



「えぇ!まじで?
体辛くない?」



『ん~正直瀕死(笑)
でもしょうがないよ!私頭悪いし体使うしか(笑)』



「私も看護師の勉強辛いよ~!」



『頑張って金持ちつかまえなくちゃ!売り切れちゃうよ(笑)』



看護学校に通うエリちゃんは
看護師になったら
金持ちの医者と結婚できるかも
とゆう理由で看護師を目指してた(笑)



「ほんとだよね(笑)
でもかなりハードだよ~
学校の後に病院のバイトだし…
あ~私も風俗しようかな~」



私は焦った
5日で80万稼いだなんて言うから
楽なイメージをあたえちゃったんだ



『ダメ!絶対ダメ!!!
風俗は金の為に体を売るんだよ!
その為には心も捨てなくちゃいけないんだよ!
そんな思いエリちゃんにはしてほしくない!
もっと自分を大切にして!』



エリちゃんが本気で
言ってるわけじゃないことくらい
わかってるけど

私は怒った

友達にあんな思いはさせたくない

No.330 09/04/06 21:30
唯 ( ♀ M9mPh )

「わかったわかった!
ちょっと現実逃避(笑)」



『ほんとに?
絶対ダメだよ!エリちゃんは看護師になって
絶対金持ちと結婚してよ(笑)』



「うん(笑)ゆいちゃんもあんまり無理したらダメだよ!
私が看護師になったら
ゆいちゃんと子供を養ってあげる!
そしたら風俗しなくていいでしょ!」



私はこの言葉に感動した


自分を大切に想ってくれてる人がいる

嘘でもノリでもなんでもいいや


エリちゃん…ありがとう



私たちはまた遊ぶ約束をして別れた

No.331 09/04/06 21:32
唯 ( ♀ M9mPh )

久々の友達は
やっぱり良かった


私が風俗をしていると
知ってるのはエリちゃんだけ

知らせてない人には
会わなかった

ううん…
会えない



私は風俗嬢“ゆうか”


それを隠して

“奥田 唯”


としては会わす顔がない


気にしすぎなのかもしれないけど

私には会う勇気がなかった

No.332 09/04/06 21:44
唯 ( ♀ M9mPh )

私はアパートに置いてある

服や靴を段ボールに詰め込み
次の日にむこうのマンションへと送った


ここのアパートも
早く引き払ってしまわないと
またコウくんからの手紙がくる


狂ってる手紙は見たくない

不動産屋に連絡をして
来月いっぱいで出る
と言った

部屋を返すのには
立ち会いが必要


来月中旬の生理休暇に
また帰ってこよう



テレビや冷蔵庫や洗濯機…

むこうのマンションは
備え付けがあるし


まだまだ新品同様だけど

リサイクルショップに連絡して引き取ってもらおう



でも
まだどうするかわからないから
リサイクルショップの連絡先だけ控えた



そしてまた5時間かけて戻った

生理休暇最終日は
子供とのんびり過ごした

No.333 09/04/06 22:49
唯 ( ♀ M9mPh )

20歳のクリスマスイヴは
キティで過ごした

出勤している女の子は少なく

同じ控え室の女の子
私以外の4人は皆休みだった


お客さんの入りも悪く
暇な一日だった


去年のクリスマスは
まだ0ヶ月の子供と過ごしたなぁ…


その前は
ナオと過ごして…


その前は
けんちゃんと過ごしてたなぁ…


今年は風俗か……

来年は何してるんだろ


そんなこと考えてた


暇で時間を持て余していると
どうでもいいことばかり考えてしまうから

忙しいほうがいいなぁ…



夕方になると
主任が控え室に来た


酔っぱらって(笑)

No.334 09/04/06 23:45
唯 ( ♀ M9mPh )

「何やってんだぁ~ゆうか~仕事しろぉ!」



『主任こそ何やってんですか(笑)毎日飲んでるじゃないですか!目の周りクマできとるし!』


主任は毎日寝る間を惜しんで浴びるほど飲み歩いているらしい


みのさんか?(笑)


「うるせぇよ(笑)俺の金どう使おうが俺の勝手じゃ」


『荒れてますね(笑)何かあったんですか?』



「店のトップだといろいろあるんだよ…」



『大変なんですね…お疲れ様です』



「お~大変なんだよ~
ゆうか慰めてくれよ~」



酔っぱらいの相手も大変だ(笑)

No.335 09/04/07 00:01
唯 ( ♀ M9mPh )

『奥さんに言ってくださいよ(笑)』



「実家に帰ってるよ~
帰って来ねぇんだよ家に。まぁ帰って来ても
忙しいから俺は相手できねぇからよ!チビも小せぇし」



『そうなんですか?
主任も男ひとりだと大変ですね!洗濯とかやってるんですか?主任がパンツ干すとこ見てみたいですね(笑)』



「店の女にやらせてるよ」



『奥さん知ったらかわいそうですね。私だったら絶対嫌ですけどね!旦那が他の女にパンツ洗わせてるとか最悪ですね』



「居ても何もしてくれねぇよ!そうゆう女だからよ!」


…あんまり奥さんの悪口とかは聞きたくないなぁ…

私は相づちを打っただけで何も言わなかった

家庭のことはあまり話さない主任が言うのは

よっぽど大変なのかなぁ…


関係ないけど

主任の様子を見ると

ちょっと心配だった

No.336 09/04/07 00:11
唯 ( ♀ M9mPh )

正月は2日間店休日


同じ控え室のみゆきさんとりえさんに

忘年会と新年会を誘われたけど断った


私はこの仕事を長く続けていこうとは思わない

冷たいかもしれないけど
店の女の子とも
必要以上に付き合いたくない


仲良くなっても

私は借金返済が終わり次第この仕事を辞める

金で繋がる風俗の世界に


友情 愛情 人情

そんなものは

ひとつもない

あるかもしれないけど

私は作らない



必要ない

No.337 09/04/07 20:24
唯 ( ♀ M9mPh )

年も明けて


風俗を辞めたらどうするか

自分と子供のこれからを
考えていた


どこに住もう…


地元は確かに落ち着くけど

いつどこでコウくんに
会うかわからない

私ひとりの時に出くわすのはいいけど

子供と一緒の時は…


子供には会わせたくない


ここに出てきたのは
何かの縁があるのかもしれない

私の半生の地かもしれない


地元を捨てて
ここに住もう

ここで人生をやり直そう



私は地元を出ることを決めた

No.338 09/04/07 21:50
唯 ( ♀ M9mPh )

ピルを飲んでいるから
生理は規則正しくやってくる

1月の中旬に生理休暇があるから

その時に全て片付けよう


私はこないだの生理休暇に控えをとった
リサイクルショップに電話した

洗濯機 乾燥機 冷蔵庫 掃除機 テレビ 炊飯器 レンジ ガステーブル 3段BOX

引き取り日時を言うと
すんなり予約がとれた


損傷の激しい物は
引き取れないと言われたけど

全部綺麗だから大丈夫だろう

お金取られなかったら
タダ同然でも
なんでもいいや



不動産屋にも
立ち会いの日時を
詳しく連絡しておいた

忘れてましたなんて言わせない



これで抜かりはないはず


役所に行って
いろいろな手続きをしなくちゃいけないから


だらだらしてられない

No.339 09/04/07 23:07
唯 ( ♀ M9mPh )

1月の中旬

予定通り生理休暇


休暇1日目に

借金返済にまわった

週に1度休みをとるようになり

先月より預金額は
当然減っていた


口座の220万から

200万を引き出して


2社完済させた



借金も残すは

私名義の1社


60万


70万あれば余裕で完済できるだろう


あと一週間か10日働けば
稼げる



あともう踏ん張り…


頑張ろ…



託児所に預けた子供を迎えに行き

地元へ帰るため

電車に乗った

No.340 09/04/07 23:22
唯 ( ♀ M9mPh )

地元に着き
アパートへ行き
荷物をまとめた

次の日に

MDコンポやキッチン用品、春夏物の衣料、アルバムを詰めた段ボール3箱を宅配便でマンションへ送った


役所へ行って

転出届けなどの手続きを
終わらせた


明日

午前中リサイクルショップの人が洗濯機とかを引き取りに来てくれるし

昼からアパートを引き払う立ち会いがある


アパートで過ごすのも
今夜が最後


初めてのひとり暮らし

初めて自分で買った電化製品

ここでの思い出



全部バイバイ

No.341 09/04/08 08:13
唯 ( ♀ M9mPh )

翌日

洗濯機などを引き取りにきたリサイクルショップの人は


「1年か2年しか使ってないみたいですね?
状態もいいし、本当に引き取ってしまっていいですか?」



『処分に困るから…お願いします』


しばらく計算して


「全部で3万ということで…
よろしいですか?」



全部3万って…
この洗濯機5万もしたし
冷蔵庫も7万したんですけど…

何万で売りに出すんだよ


と思いながら



『いいですよ!
お金取られるよりいいですし(笑)』



商売ってそんなもんだよね


引き取ってもらった
家の物がトラックに積まれ


「ありがとうございましたー!」


リサイクルショップのおじさんは超笑顔だった


私は3万円を持って
ドナドナを口ずさんだ(笑)


そんな気分だった

やっぱりちょっと悲しい


不動産屋が来るまでに

カーペットや布団を片付けて捨てなくちゃ…


ゴミ回収日じゃないけど

ここを立ち去る私には関係ない


ルール違反でも

不法投棄でもなんでもしてやる


ちょっと最低だけど



どうでもいいや

No.342 09/04/08 09:59
唯 ( ♀ M9mPh )

悪いなぁと思いつつ

カーペットや布団を捨てて

家の中を空っぽにした


不動産屋が来て


『カーテンと電気は付けたままにしていきます』


と言って
鍵を返した

そしてポストの中の物を

鞄に押し込んで


アパートを出た

No.343 09/04/08 11:39
唯 ( ♀ M9mPh )

電車の中で


いろいろお世話になった

5つ上の姉ちゃんにメールした



“達者でな✌”



と返信がきた


バカかもしれないけど
短い文に愛情を感じた



親には連絡しなかった


親と8つ上の姉ちゃんとは

コウくんと離婚する時に
かなり揉めた


それから疎遠だったことから



私は何も連絡しなかった



子供の親になっても

自分の親のことを理解しようとしない

わからないフリをしている


親不孝者



こんな私が幸せになれるわけないよね…

No.344 09/04/08 13:02
唯 ( ♀ M9mPh )

マンションに着く頃にはもう夜だった

すぐに子供とお風呂に入り

子供を寝かせた


1歳を過ぎたと言っても
やっぱり5時間乗り物に揺られるのは
しんどいだろう


ごめんね

もう当分

こんな思いをさせることはないと思うから…


もしかしたら

一生地元へは帰らないかもしれないし…


私はここで生きてくって決めたんだから

親元を恋しがっていてはいけない



もう帰らない!


それくらいに思っておかないと


心を強く持たなくちゃ…



本格的に親元を離れたけど

孤独は感じなかった


子供が居るから

子供に心を支えてもらっているから…



勝手なママでごめんね

No.345 09/04/08 13:12
唯 ( ♀ M9mPh )

…洗濯しなくちゃ


鞄をあけた


アパートを出る時に

詰め込んだ郵便物…


そうだった…

詰め込んだ時点で気づいてたけど

もちろんある

当然のように入ってた

大学ノートを破った


コウくんからの手紙…







とりあえず洗濯した(笑)

No.346 09/04/08 17:19
唯 ( ♀ M9mPh )

タバコに火をつけ

大きく吸って

息をはいた


ほとんどぐちゃぐちゃに丸めてある手紙

てゆうかゴミ(笑)


綺麗に折り畳んである手紙から読んだ



“会いに来てもいつもいないから心配だよ
ゆいも子供も元気にしてるか?”



“子供の写真をくれ
俺は実家に住んでるから
住所知ってるだろ?”



そんな感じだった


何にも感じなかった




次はゴミを広げた(笑)

No.347 09/04/08 19:32
唯 ( ♀ M9mPh )

“朝も夜もどこ行ってるんだ!インラン女!”



“汚ぇ手で子供を触るな”


“もうここには住んでいないのか?逃げ足だけは早いな!”



“見つけ出して殺してやる”



そして

“必ず殺してやる”


と書かれた紙が

12枚あった



どうやらネタ切れらしい(笑)


私はその12枚の紙を
封筒に入れて保管した


万が一何かあった時

私は刺されてもいいけど

子供に手を出されたりしたら


元旦那だろうが
警察に行ってもらう
人生終わらせてやる



バカな男

バカな男と結婚してた私も

バカな女



結構お似合いだったかもね

No.348 09/04/08 19:50
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日にアパートで出した荷物が届いた

開けてもどうしようもないからそのまま部屋の隅に置いた


今住んでるマンションも
早く出なきゃ…

月9万なんて

風俗を辞めたら払えない


子供が居ると
思うように働けない

今預けてる託児所は

24時間預かってくれるから夜も働けるし
多少風邪をひいていても
保育してもらえる


市立の保育園は
時間が決まっているし
風邪をひいている子は
保育してもらえない


ひと月に13万貰える仕事したとしても

13万-9万

4万で生活はしんどい


だからと言って

このまま風俗を続ける気は毛頭ない



だから

家賃の安い部屋を

借りなくちゃ

No.349 09/04/08 20:09
唯 ( ♀ M9mPh )

不動産屋に行き

家賃の安いアパートを探した


車の免許がない私は

近くになんでも揃っている便利なところが良かった


でも
便利なところは家賃が高い

地元で借りてたアパートは

駅まで徒歩10分
真横にデパート
保育園まで徒歩5分
3DKで4万5千だったが


いくら築が古いとしても

ありえない安さだった


田舎ならでは だった



ここで
そんな条件のいい物件を借りようものなら
家賃7万を覚悟しないといけない


だから私は

スーパーの近く
バス停の近く
家賃5万~5万5千


それを条件に探した

No.350 09/04/08 21:47
唯 ( ♀ M9mPh )

不動産屋の眼鏡をかけた兄ちゃんが私の担当になった

新井さん推定25歳(笑)

若いのに主任とゆう
肩書きだった


いくつか条件に合う物件を出してくれた


私が選んだのは


家賃5万3千

築2年

2DK 1階角部屋

外壁が明るい黄緑のアパート


夜12時までやってるスーパーまで徒歩1分

最寄りのバス停徒歩5分



ここがいいかも


『ここ見せて貰えますか?』



「ではこの書類にご記入ください」


兄ちゃんがそう言って
出してきた書類の必要記入欄を埋め始めた

No.351 09/04/08 22:10
唯 ( ♀ M9mPh )

名前 住所 生年月日 職業勤務先の住所 年収


職業は接客業

年収300万

300万…
1ヶ月半で稼げる風俗をしているけど
さすがに正直には書けないから
適当に書いた


眼鏡の兄ちゃんは

書類に目を通し

勤務先の住所欄を指差して


「…T市D…失礼ですが夜のお仕事をされているのでしょうか?」


確かにキティは繁華街の一角にある
周りも水商売だらけだ


何のために聞かれてるのか疑問だった


『なんでですか?』


聞くと


「夜の出入りを嫌がる大家さんもいるもので…」


軽蔑の目で見られてるのかと思った…

被害妄想だった(笑)


『そうゆうことですか!
それなら大丈夫です
今は夜に働いてますけど
来月には昼間の仕事に転職しますから』



「昼間の仕事をされてから契約というわけにはいかないでしょうか?」



『今すぐにでも引っ越したいもので…』



「…わかりました!大家さんに話をしておきます
…契約もなにも、まだ物件を見てないですね(笑)
行きましょう!」



ちょっと天然入ってる兄ちゃんでおもしろかった(笑)

No.352 09/04/09 08:05
唯 ( ♀ M9mPh )

選んだ黄緑のアパートへ案内してもらった

スーパーは超近くで
歩いて1分もかからない
目と鼻の先だった

バス停までは少し距離があったけど

バス停から最寄りの駅まではバスで10分かからない程度で

便利がいいほうだろう


玄関を開けると


洗面台所が2、3メートル先真ん前にあって鏡に自分がうつってびっくりした


でも
部屋はまぁまぁ綺麗で広く
日当たりも良かった


洗面所の場所は
なんじゃ!と思ったけど
子供と慎ましく生活するにはいい部屋


『ここにします』


と言った


不動産屋に戻り詳しい話をした


お金はある

礼金は要らないし
敷金は3日働けば用意できる

就業証明と保証人…


就業証明は出るって
前に主任がゆってたなぁ…


保証人どうしよ…


問題は保証人




知り合いも友達も居ない

頼りになるのは

主任しかいない


主任に頼んでみようかな



なってくれるかなぁ…

No.353 09/04/09 13:07
唯 ( ♀ M9mPh )

主任の携帯に電話をした

主任に電話するのは初めて

なんとなく緊張…



「はいー」


主任はすぐに出た

緊張する間もなかった(笑)


『おはようございます
ゆうかです』



「おぅ!なんだ ゆうかかぁ!珍しいなぁ!
俺の番号知ってたんかぁ(笑)」



えぇ
名刺3枚もらいましたから(笑)



『主任、明後日店に来ます?話があるんですけど』



「1時くらいには居るぜ!愛の告白か?」


…また酔っぱらってるのか…昼の3時なのに(笑)


『しませんよ(笑)じゃあ明後日に話すんでお願いします』



「おぅ!また何かあったら連絡しろよ~」



明後日死ぬ気でお願いしよう



不動産の帰りに役所へ行き

転入届などの手続きをしてマンションへ帰った

No.354 09/04/09 13:38
唯 ( ♀ M9mPh )

疲れたぁ~

あっちこっち行って
ほんとに疲れる4日間だった


エリちゃんの友達に
生理中は腹痛と頭痛と吐き気に襲われる子が居ると
聞いたことがある


私はちょっと眠いくらいで
どこかが痛いとかは
全然ない

だからほんとに助かった


体質に感謝した


明日は一日ゆっくりしよう…


次の日は

子供とデパートで時間潰しして

ゆっくり過ごした


明日から仕事

借金も残りわずか

引っ越し資金と
当分の生活費


1ヶ月も働けば十分



頑張ろう

No.355 09/04/09 17:16
唯 ( ♀ M9mPh )

生理休暇もあけて

私はいつも通り
10時半にお店に出勤した

営業は12時からだけど
部屋の準備もあるし
早めに行かなくちゃいけないとゆうこともあるけど


女の子の部屋割りは
出勤順に1階から近い部屋を当てられるようになっている

1階の出入口まで
お客さんを出迎えたり
見送ったりしなくちゃいけないから

1日何回も階段を往復する

部屋が3階の時は
かなりしんどかった

近い方がいいから

私はいつも一番早く出勤してた



電気を付けて控え室に入った




驚いた



ソファーに主任が寝てる…

No.356 09/04/09 20:18
唯 ( ♀ M9mPh )

とりあえず


さっきつけた控え室の電気を消して

主任の足元
ソファーの下に座った



…なんでこんなとこで寝てるの?

起こしていいのか悪いのか

てか着替えれないし準備もできない

起こそうかな…


でもなぁ…疲れてるよね…


そうだ!

部屋で着替えて準備すればいいじゃん



そっとバッグを持ち
控え室を出ようとしたら


主任がムクッと起きた


今度は起きたことにびっくりしたけど


電気をつけて
挨拶をした

『おはようございます
びっくりしましたよ~
こんなとこで寝てるから(笑)起こしちゃってすみません』





主任は何も言わず

携帯とタバコを持って

1階へ降りていった



主任寝起き悪いなぁ~


まぁいいや

早く着替えて準備しよっ


さっさと着替えて部屋の準備をした

No.357 09/04/09 21:27
唯 ( ♀ M9mPh )

いそいそと控え室へむかうと

控え室から大きな怒鳴り声が聞こえる



…主任の声


なにごとじゃ!!


勢いよく控え室に入ると


主任は背を向けて
携帯で誰かと話してて


ソファーに
バツが悪そうな顔をしたみゆきさんが座っていた



口パクで


‘どうしたの?’


と聞くと

みゆきさんは

首をかしげながら
両手の人差し指を上に差し頭の所に持っていった

鬼のジェスチャー…

‘わからないけど
主任かなり怒ってるよ’


とゆう意味だろう



主任は電話の相手に


「誰にモノ言っとるかわかっとんのか!あぁ!?
人生終わらすぞ!
…あ~えぇわえぇわ!出るとこ出たきゃ出てくれよ!
…あ~好きなようにしてくれ!」


とか言ってる


…???


始めて見る主任

何なの一体…




「子供だけは渡さんからのう!!俺の子供じゃ!
裁判でもなんでもやったるわ!」






離婚危機だ


この会話でわかった


“子供だけは渡さない”

“裁判”




私も言ったことがあるから…

No.358 09/04/09 21:40
唯 ( ♀ M9mPh )

言い争いが続く中


私とみゆきさんは硬直していた(笑)


部屋の準備を終えて戻ってきた茜さんとりえさんも

やっぱり固まった(笑)




…こんなところで
そんな話するなよ…


みんな思っていたと思う(笑)


しばらくすると


「…おい!?
…チッ 電話切りやがった」


どうやら向こうの相手に切られたらしい


主任はみんなに挨拶することなく

控え室を出ていった



私たちは
やっとやわらかくなれた(笑)





…主任


大丈夫かな…



辛いだろうなぁ…

No.359 09/04/09 21:56
唯 ( ♀ M9mPh )

その日は忙しくて

ご飯休憩もまともにとれないくらいだったが

夜10時くらいには落ち着いた



ソファーに座り


あぁ疲れた

このまま帰りたいなぁ

と思っていたら


主任が控え室に入ってきた



「ゆうか!お前このまま上がれ!俺に付き合えっ!」


えぇ!?


『まだ2時間ありますけど…』



「若い衆(ボーイさん)にはゆうかは上がりって言ったから
ここに居ても仕事は入らないぜ(笑)いいのか?」



いいも何も
仕事ないなら居ても意味ないじゃん(笑)


まぁしょうがない…

酔っぱらいの相手
してやるか


『それじゃ掃除してくるんで少し待ってて下さい』



「なんだよ俺を待たせるのかぁ~!
…じゃ俺も掃除手伝おうかな」


主任は私の使った部屋についてきた(笑)



掃除は手伝わずに
ベッドで寝転んでいた

No.360 09/04/10 10:08
唯 ( ♀ M9mPh )

いつも適当にやってる掃除も

主任が居るから
手抜きできなかった(笑)

くそぉ~っっ
と思いながら
お風呂をゴシゴシ洗ってると



「…俺がいけねぇのかな…」


主任が呟いた


「俺同じ失敗してるんだよ…娘2人と嫁捨てて 今の嫁と一緒になったんだけどよ…」


そうだったんだ…

主任に
子供が何人居るか聞いた時

“…3人”

と寂しそうに答えたのは

そうゆうことだったんだ…


寝転がっていた主任は
ゆっくりと起き上がり



「俺みたいな奴が幸せ望んだらいけねぇんだな」



悲しそうに笑った



厳しく女の子やボーイに指導する主任


おちゃらけてる主任


電話の相手に怒り狂う主任


それとは違う

辛く悲しい後悔で
どうすることもできなく
自分を責めて

弱さを見せてる主任が
私の目の前に居る



私は涙が溢れた

No.361 09/04/10 11:10
唯 ( ♀ M9mPh )

『何言ってるんですか!!主任がそんなんでどうするんです!?
息子さんはどうするんですか!手放すんですか!?』


泣きながら言った



「あの女は渡してくれねぇよ…」



『電話で“子供だけは渡さねぇ”って言ったのは何なんですか?
主任の幸せって何!?
子供は俺が幸せにしてやろうって思わないですか!?そしたら主任も幸せでしょ!!!』


主任の何が悪かったのか

奥さんの何が悪かったのか

どんな理由があって
主任と奥さんがうまくいかなくなったのか

そんなことはわからないけど


悪いところを許し合って
良いところを認め合えなくなったら

夫婦は終わる


犠牲になるのが子供



子供の幸せを奪う権利は
誰にもない

親にもない


親は子供に幸せを与えなくちゃ



だから…


だから頑張ってよ


弱気でいたらだめだよ主任…

No.362 09/04/10 13:16
唯 ( ♀ M9mPh )

別に私は

子供と母親を引き裂けってゆってるわけじゃない

子供には母親が必要だと思ってるし

だけど逆に言えば父親も必要

子供から父親を奪った私が言える言葉じゃないけど

子供にとっては
両親共、必要不可欠


ただ私は

心を強く持たないと

守るものも守れない


それを伝えたかった


主任は私より人生長く生きてるし
痛い想いもしてきてる


そのくらいは
伝わっているはず



「…そうだな
ゆうか ありがとな」


そう言って
主任は笑った

ひとまわりも下の小娘に
えらそうに言われなくてもわかってるだろう

それでも素直に聞いてくれ

お礼まで言ってくれた



私は洗剤の泡がついた手で涙を拭いた

当然目に入り
軽く騒いだ(笑)



「ははっ!お前はほんとにおもしれぇ子だな!」



主任が笑ってる


そうだよ

笑っててよ…

主任は酔っぱらって
おちゃらけてるのが一番似合ってる



それにしても
目に入った泡は痛かった(笑)


…バスマジッ○リンめ(笑)

No.363 09/04/10 13:41
唯 ( ♀ M9mPh )

掃除も終わり

そのまま部屋で他愛いのない話をしていた


12時をまわり
お客の入ってない女の子達が部屋の片付けをする為
廊下をパタパタし始めた



「おっ!もうこんな時間かぁ!ゆうか、お前子供迎えに行かないといけないだろ」



『そうですね
毎日一応1時半までって言ってあります』



「それじゃまだ時間あるじゃねぇか!
一発ヤッてくか?ここにベッドあるし(笑)」



そりゃ
ここはソープランドですから(笑)



『帰ります(笑)
あっ!主任!話があるって言ったでしょ、あのね 今住んでるウィークリーマンションを出て
アパート借りようと思ってるんですけど
保証人に なってもらえませんか?絶対迷惑かけないんで…』



不意に思い出した保証人のお願いをした



「いいぜ!なんだ?こっちに住むのか?」



『はい!地元は捨てました(笑)じゃあ明日書類持ってくるんでお願いします!
ありがとうございます!』


やった♪

これでアパートを借りれる

No.364 09/04/10 14:02
唯 ( ♀ M9mPh )

控え室に戻り
着替えて
帰り支度をしていたら



主任が来て

「ゆうか!今日はありがとな!」



『何もしてないですよ…
仕事もサボったし(笑)』



「今度飲みに連れてってやるよ!ゆうかのおごりで(笑)」



『なんで私のおごりなんですか(笑)』


そう言って笑う私の頭を撫で
髪をくしゃくしゃにしながら



「お前は本当に男前な女だな!」


あの時と同じ


私が客と揉め事を起こした時


同じことをされ
同じことを言われた


なんだか恥ずかしかった



『ほめてるのかなんなのかわかりませんけど(笑)』





この日からかな…


風俗をする自分に

感情は要らないと思っていた私自身が


店の女の子を束ねる存在の



主任に対して





今までとは違う感情を抱き始めたのは…

No.365 09/04/10 14:26
唯 ( ♀ M9mPh )

就業証明も貰い


半月後の2月に
黄緑のアパートへ引っ越すことになった

必要なお金も全額納めた



1月末
預金額は100万

次の水曜日休みの日に


残り1社、60万を完済させたら


借金は全てなくなる



40万あれば

生活必需品は買える


あとはある程度の生活費を稼ぐだけ


風俗を辞める前に次の仕事と保育園を探そう


新しい生活をスタートさせる為



私はもう一度気合いを入れた

No.366 09/04/10 20:07
唯 ( ♀ M9mPh )

2月になり

新居に引っ越した

電器やテレビ、洗濯機、冷蔵庫は前の休日に買って

この日に合わせて
届けてもらった

マンションに置いてあった荷物も

引っ越し業者に頼むより安いから
宅急便で送った


カーテンと布団を買い忘れていて慌てて買いに行ったっけ(笑)



黄緑のアパートに引っ越した時は


知らない街でやってく不安と

知らない街で人生やり直せる希望


いろんな気持ちが入り交じっていたけど



私の心は満たされていた

No.367 09/04/10 20:12
唯 ( ♀ M9mPh )

引っ越し蕎麦ならぬ
引っ越しケーキを買って



『ママと一緒に
ここで頑張っていこうね』

1歳2ヶ月になった
我が子に言った


子供は無邪気に笑ってた




それが数年後の今じゃ

この子の笑顔を奪ってる…


ごめんね…


幸せにするって




約束したのにね…





…ごめんね…

No.368 09/04/10 20:34
唯 ( ♀ M9mPh )

引っ越ししてから一週間後の水曜日


先週引っ越し作業で疲れてめんどくさくなり


先延ばししていた

借金返済へむかった



子供を託児所に預け

預金口座から100万引き出して


いざ最後の砦へ(笑)



元金+利息で65万



完済




10月下旬から2月上旬…

3ヶ月半で6社 500万円の借金

全部完済させた


この時だけは


自分で自分を誉めてやりたい


そんな気持ちだった



有森裕子じゃないけど(笑)

No.369 09/04/10 22:05
唯 ( ♀ M9mPh )

まだ一度も

主任に仕事を辞めると話してない

風俗で働く理由を

“借金があるから”

とは言ったけど

“借金を返したら辞める”

とは言ってない



てゆうのは

キティに入った当初



「辞める時はギリギリになってから言った方がいいよ~
辞めるって言ったら
お客さんつけてもらえなくなるから
フリー(指名なしのお客さん)は絶対つけてもらえないし
指名も他の子にまわされることだってあるんだよ
だから飛ぶ(勝手に辞める)かギリギリで言うのがいいよ!
そうゆう世界なんだ
ココは(笑)」


業界10年以上のみゆきさんに教えてもらったことがある

だから借金全額返済できるまで

黙っておこうと思った

No.370 09/04/10 22:06
唯 ( ♀ M9mPh )

いざ完済し終えても

言うタイミングが難しい

当面の生活費を稼いでから言うか

1ヶ月前くらいから一応言うか


…どうしよう


いきなり辞めるって言うのも迷惑がかかりそうで嫌だけど

辞めると言って仕事が減り収入が減るのも嫌だ…



後者が勝ち

みゆきさんの言う通り

ギリギリに言うことにした


…3月いっぱいで風俗を辞めよう


心にそう決めた

No.371 09/04/11 05:03
唯 ( ♀ M9mPh )

2月も中旬になり

生理休暇をもらった


休暇初日
なんだか朝早く目が覚めた

もう地元に帰る用はないし
今日から5日間

子供と一緒に何しよう…


毎日家では寝るだけで
洗濯以外何にもしないから
とりあえず周りの片付けを始めた

バッグの中を整理した後
通帳や保険証や母子手帳を入れているカゴを取り出し整頓しようとしたら
銀行の封筒があった


なんだこのお金…

あ、こないだ100万おろした残りだ!
口座に戻し忘れてた…


よしっ!
この35万、おもいっきり使おっっ

No.372 09/04/11 05:09
唯 ( ♀ M9mPh )

今まで
風俗で稼いだお金を
自分の為や物に
使ったことが一切ない


当たり前だけど
子供と生活と借金返済が
最優先だった


電車で大きな街まで出て
ブランド品でも見てみようかな


子供が寝てるうちに
着替えて化粧して
準備万端にした


遠足を楽しみにしている子供みたいだった(笑)

No.373 09/04/11 14:15
唯 ( ♀ M9mPh )

今まで使っていた
雑貨屋で買った1980円のバッグを

12万円のヴィトンのバッグに替えた



その辺のデパートで買い揃えた安っぽい服装を

雑誌から抜け出してきた
ような
今どきファッション総額6万円


かわいい靴2万円


短い爪をスカルプチュアで長くした


次の日美容院に行き

肩までのくせっ毛を

縮毛矯正し
エクステをつけて腰までの長い髪にした


2日で30万使った



自分の体を売って稼いだお金


そのお金でオシャレをした












虚しくて

何も嬉しくなかった

No.374 09/04/11 22:32
唯 ( ♀ M9mPh )

どうしてだろう…

ファミレスのバイトをしていた時は

そのお金で安い服一枚買っただけで
すごく嬉しかったのに

高い服着ても
キレイになっても

全然嬉しくない


…何やってるんだろ私…

そうゆう気持ちになってしまう



残りの5万は子供に使った

自分の服を買ったりするより
子供にぬいぐるみや車のおもちゃを買った方が
満足する


風俗を続けていくと
私はもっとすさんでいくだろう…




早く辞めたいよ……

No.375 09/04/11 22:46
唯 ( ♀ M9mPh )

生理休暇も明けて

スカルプチュアを爪切りで切って出勤した

ヴィトンのバッグも家に置いてきた


私には合わない


あと1ヶ月半働いたら
必ず辞めよう

お金はたくさんあっても
困らない

だけど私の心がもたない


借金を完済させたことで
私の意思は弱くなった


風俗を早く辞めたくて仕方がなかった



職を探そう…

新聞広告にいいバイト情報があるかもしれないから

明日から新聞を取ろう


引っ越ししてすぐの頃
ポストに新聞が勝手に入れられてたことがあった

そこの新聞社に電話をして

明日の朝から入れてもらうように頼んだ

No.376 09/04/11 23:07
唯 ( ♀ M9mPh )

「明日何の日か知ってるか?」


主任が控え室に入るなり
聞いてきた


明日?2月20日?

…何かあったっけ?


「俺の誕生日!」



あ~そういえば2月に
32歳になるってゆってたなぁ




あれから主任は

家庭がどうなったか
何も話さない

私も聞かない




聞かなくてもわかる



左手薬指に



光るものがない


もともと結婚指輪をしてなかった主任は

電話で揉めていた日から数日間
しばらく指輪をはめていた

やり直そうとしたんだと思う


でも
それがなくなったってことは





終わったんだと思う

No.377 09/04/12 11:55
唯 ( ♀ M9mPh )

『もっと早く言ってくれれば何かプレゼントしたのにっ』



「日にち言ってなかったか?」



『聞いてないですよ!』



「何くれるんだ?
俺、時計が欲しいんだよな~ロレックスのデイトナ!120万のでいいぞ(笑)」


買えってか(笑)


『そんなお金はないです(笑)じゃあこないだ約束したし、飲みに行きましょうよっ!主任のおごりで(笑)』



「誕生日なのに
俺が払うんか(笑)」



結局次の日

控え室のみんなでお金を出し合って

1足千円のカルバン・クラインの靴下を5足プレゼントした(笑)

No.378 09/04/12 13:59
唯 ( ♀ M9mPh )

飲みに行くってゆうのは
社交辞令で
そんな気はなかった

主任もなかったと思う

でも何かをして
お祝いしたかった


その日は12時ちょっと過ぎにラストのお客さんが帰ったから早く上がれた

掃除を済ませて
着替えてそそくさと店を出た


「お疲れ様でしたぁ!」


と言うボーイに


『また来ます!』

と言って走った


は?
と思っただろうなぁ(笑)



託児所に顔出して

『今日は2時までお願いします』


と言って


コンビニで買い物をして
足早にお店へ戻って主任の居る1階奥の部屋に行った

No.379 09/04/12 14:06
唯 ( ♀ M9mPh )

主任はパソコンに向かって仕事をしていた

…邪魔だったかな


「お~お疲れさん!どうした?」


手を止めてこっちを向いてくれた


『ケーキ!一緒に食べましょっ』



コンビニでショートケーキを買ってきた


『誕生日おめでとうございます!
…日付変わっちゃったけど(笑)』



主任は嬉しそうに笑って


「俺、甘い物食えねぇよ(笑)いちごくらいなら食えるけどよ!
…ありがとなぁ
ひとり寂しい誕生日かと思ったぜ(笑)」



主任にお礼を言われたのが
嬉しくて
照れくさくて

照れ隠しに

『じゃあさっきみんなであげた靴下履いてください(笑)
私全部食べますから(笑)』


「いちごはくれよ!」



2人で笑った

No.380 09/04/12 14:30
唯 ( ♀ M9mPh )

あっとゆう間に時間は過ぎて

もうすぐ2時…

『そろそろ子供迎えに行かないといけないから帰りますね!』



「おぉそうか!待たせるとかわいそうだから早く行ってやれ!今日はありがとな!」



『寝てるんですけどね(笑)迎えに行くと起こしちゃうから逆にかわいそうで…(笑)』



「…ゆうか借金は返してるか?いつまでこの仕事続けるんだ?」



えっ…

そんなこと聞かれると思ってなかったから

どうしようかと思ったけど“辞める”と言うチャンスだと思って正直に答えた


『全額返しました!
ある程度貯金できたら辞めようと思ってます
…すみません…言うタイミングがつかめなくて』



「早く辞めろよ!
店の女に手は出せないからな(笑)」



…???

どうゆう意味?


とりあえず

『はい!次の仕事見つけたら辞めます!あと1ヶ月くらいはお世話になるんでお願いします!』


と言って

託児所へむかった






超鈍感な私は
主任が言った言葉の意味をほんとに理解できなかった(笑)

No.381 09/04/12 15:01
唯 ( ♀ M9mPh )

“辞める”て言ったから

仕事減るかなぁと
思っていたけど

今まで以上に忙しく

フリーもつけてもらえた

フルでついて
1日18万稼いだ日も少なくなかった


3週間で300万貯めて

預金額は350万になった


3月中旬

新聞に

4月上旬から新しくオープンする
パチンコ屋のオープニングスタッフを募集する広告が入っていた

パチンコ屋の時給は高い

同じ働くなら時給が高いほうがいい


私はそこに電話をした


面接日は2日後で
ちょうど生理休暇1日め



デパートでリクルートスーツを買って
証明写真を撮って
履歴書を書いて

面接日に備えた

No.382 09/04/12 20:18
唯 ( ♀ M9mPh )

面接はパチンコ屋の敷地内に設置してあるプレハブの中で行われた


高校中退とは書かず
卒業と書いた

県外だから調べられないだろう

高2在学~卒業後1年
計3年間ファミレスでバイト

その後育児に専念していて

社会復帰希望


とゆうことにした


『働けるのは9時~6時までですが…子供が風邪をひいたりしたら、どうしてもお休みをもらわなければなりません』



それを言うと


「子供を持つ方でも
働きやすい環境にしますから安心してください
僕の一存で合否は決めれないので
また後日お電話させていただきます
多分大丈夫だと思いますよ~(笑)」



『よろしくお願いします』


そう言って失礼した

No.383 09/04/12 20:18
唯 ( ♀ M9mPh )

ファミレスも服屋もキティも即決採用だったから

…合否は後日かぁ…
採用だといいなぁ


すごく心配だった


他にも仕事はいっぱいあるけど

早く次の仕事を決めたかったから

不安だった



2日後 知らない番号から
電話がかかってきた




パチンコ屋からかな


『はい!』


…パチンコ屋の店長さんからだっっ!

No.384 09/04/12 20:28
唯 ( ♀ M9mPh )

結果は採用

一週間後 採用された人を集めて説明会があるらしい

詳しくはそこで


とゆうことだった


『ありがとうございます!よろしくお願いします!』


やった!
採用された♪♪♪

良かったぁ


これで風俗を辞めれる


また新しく
人生に光が見えた

まだどんな仕事をするのか全然わからないけど

風俗ができたんだから

なんだってできる


体を売る仕事より

キツイ仕事はないから







絶対頑張る!

No.385 09/04/13 09:50
唯 ( ♀ M9mPh )

電話を切ったあと

役所へむかった


保育園探さなくちゃ

職場(パチンコ屋)の近くにある保育園を探すことにした

家の近くにないなら
職場の近くで探そう

子供に何かがあった時
すぐに駆けつけられるように…



あった

少し遠いけど…

役所で地図を見せてもらうと徒歩15分の距離


家からは遠い

バス+徒歩で20分

でも家から職場までの間にあるし
場所的には最高だった


『ここの保育園に空きはありますか?』



「私立ですから電話で聞いてみますね
少々お待ちください」



空いてないなら
他を探さなきゃいけないし

空き待ちが短い期間なら
今預けてる託児所で
空くまでの間預けよう


4月から新入園も多いから、すぐに入るのは無理だろうなぁ…




「空いているみたいですよ!あとはこちらの保育園へお伺いください」



ほんとに良かった…

私は家に帰ってから
保育園に電話した


「4月からの入園手続きが必要なので
一度こちらへお越しください」


次の日
子供を連れて保育園に行った

No.386 09/04/13 15:03
唯 ( ♀ M9mPh )

無事4月からの入園が決まった
明日から4月まで
一時保育で預かってくれる


仕事も決まった
保育園も問題ない

貯金は350万



…風俗

もう辞めようかな…

辞めてもいいかな…


もう十分

頑張ったかなぁ…



3月いっぱい続けると
決めていたけど

もうやる気なんてなかった

こんな気持ちで仕事は続けていけない



主任に電話をかけた

No.387 09/04/13 17:34
唯 ( ♀ M9mPh )

『お店辞めます
これから荷物、取りに行きます』



「…そうか
挨拶しにくるんだろ?
俺も今日は店に居るからよ!」



生理休暇中だから
そのまま辞めても良かったけど

お店の控え室のロッカーには私物も置いてある


それに

4ヶ月間

うわべだけかもしれないけど
嫌がらせもされることなく仲良くしてくれた
控え室の女の子に挨拶がしたい


なにより

お世話になった主任に
会って挨拶がしたかった


風俗の世界に入る私を
迎えてくれた主任に

風俗の世界に
もう2度と戻らないよう
送り出して欲しい

去る私の背中を見届けてほしい



ただ

主任に会いたかっただけなのかも(笑)


私はまだ

主任への気持ちがなんなのか


自分でもよくわからなかったんだ…

No.388 09/04/13 20:39
唯 ( ♀ M9mPh )

お店に着いて

控え室に行くと

主任とみゆきさんが居た

茜さんとりえさんは仕事中で

やよいさんはお休みだった


『おはようございます!
今日でキティ辞めます!
お世話になりましたっ!』



「ゆうかちゃんすごいね
なかなか辞めれないものだよ…私みたいに戻ってきちゃだめだよ(笑)」


そう言って笑ったみゆきさんは
少し悲しそうだった

いつも明るくて
元気なみゆきさん


やっぱり笑顔の裏では
いろいろあるんだなぁ…

誰も好きで
この仕事しないよね…

辛いよね…



「お疲れさま!」


にっこり笑って言ってくれた

No.389 09/04/13 20:50
唯 ( ♀ M9mPh )

主任は

「俺は明日から本社に行かねぇといけねぇから
しばらく店には居ねぇぞ!戻ってきたくても
戻れねぇからな(笑)
まぁまた困ったことがあったら電話してこい!
電話はいつでも繋がるからよ!
お疲れさん!」


そう言ってくれた


辞めたら縁切り


みたいなんじゃなくて

嬉しかった



風俗に感情なんか要らないってゆってた私が
周りに情をもらって嬉しがってる


イタイ奴(笑)


本当は寂しくて仕方なかったのかもしれない

子供さえ居ればいい

強がりだったのかもしれない




きっとそうだった…

No.390 09/04/13 22:03
唯 ( ♀ M9mPh )

私は振り返らずにお店を出た

風俗を辞めて

清々しくて気持ち良かった

これからは

パチンコ屋の姉ちゃんやって

子供とゆっくりお風呂に入って

子供と一緒に寝て


パパは居ないけど

子供と明るく楽しい生活をおくっていこう



託児所の手前で

携帯が鳴った



着信 主任


やべ 忘れ物したかな…

と思い

立ち止まって電話に出た

No.391 09/04/13 22:04
唯 ( ♀ M9mPh )

『はい』


「おぉ!俺!もう子供迎えに行ったか?」


『まだですよ
何か忘れてました?
めっちゃかっこ悪いですね(笑)』


「ねぇと思うけどよ!
まだ店の近くだろ?
お前が前に泊まってたビジネスホテルの前で
ちょっと待ってろ!車まわしてくるから」



え!?


『はい!』


とりあえず気合いの入った返事をした(笑)



何だろ…

託児所に

『もう少し遅くなるのでお願いします』


と電話をしながら


ビジネスホテルへむかった

No.392 09/04/13 22:24
唯 ( ♀ M9mPh )

しばらく待つと主任が来た

前に主任が駐車場から出てくるのを見た時とは違う車に乗っていた



『主任車買い替えたんですか?ファミリーカーでしたよね』



「ファミリー居ねぇからよ(笑)」



自分の無神経さに嫌気がさした



『かっこいい車ですね!』

車の良さなんて全然わからないくせにごまかした



「今日はドライブしようぜ!子供大丈夫か?」



『さっき電話しておきました!どこ連れてってくれるんですか?』



「俺明日本社に行くって言っただろ?今夜走ってくからあんまり時間ねぇんだよ!だからその辺ぐるっとするか!」



『てか主任飲酒運転じゃないですか?』



「俺飲酒運転で捕まったことねぇし事故ったことねぇから心配すんな!」


…いや
普通に心配するでしょ(笑)



「お前んちどの辺だ?
案内しろ!」



言われる通り案内した


一体何なんだろ?
まぁ…主任が楽しそうだからいいけど


よくわからないまま
ドライブした(笑)

No.393 09/04/13 22:44
唯 ( ♀ M9mPh )

私の住むアパートの前に来て


「ふ~ん…お前黄緑好きなんか?(笑)」



『黄緑が好きで選んでないですよ(笑)』


家の中に入るわけでもなく
車の中から眺めるだけ


他愛もない会話をしながら

1時間くらいドライブした後


「そろそろ子供迎えに行かねぇと寝ちまうなぁ
俺も高速乗って行ってくるかな!今日はいきなり付き合わせて悪かったな(笑)
ゆっくり休めよっ!」



ビジネスホテルでおろしてもらい


「また何かあったら連絡しろよ!」



『主任の決め台詞ですね(笑)ドライブ楽しかったです!
ほんとうにお世話になりました』


と言って
主任に挨拶をした


主任と最後にいろんな話ができて楽しかった



『お仕事頑張ってください!』


主任は帰って行った



ありがとう主任…



ほんとうにお世話になりました…

No.394 09/04/14 15:22
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日から
子供は保育園に行った

新しい環境に慣れさせるために4月までは4時間保育だった

子供も居ない
友達も居ない
仕事はまだ始まらない

することがない私は
超ヒマ人だった(笑)


家事は1時間もあれば終わった


部屋の模様替えをした

何もない殺風景な部屋だったから

ちょっと飾った


飾ったってゆうか

白いソファーを買ってきただけ



しばらくゆっくりしてないから

昼寝でもすればいいんだけど
なんだか落ち着かなかった


そんな日が何日か続いて

明日はパチンコ屋の説明会


やっと予定がある
ホッとした(笑)


どんな仕事かな

こっちでも友達作りたいなぁ…

彼氏は…

職場恋愛はもういいや(笑)




主任…


どうしてるかなぁ…

No.395 09/04/14 20:16
唯 ( ♀ M9mPh )

今もまだ本社に居るのかな

それともこっちに戻ってきてるかな


もう会うこともないのかな


所詮 風俗の店長と
風俗嬢の関係でしか
なかったのかな

そりゃそうだよね



暇だといろんなこと考えるから

早く仕事やりたいなぁ



お昼過ぎに子供を迎えに行き
帰りにデパートに寄って


主任の吸っていたタバコといつも飲んでいた芋焼酎とビールを買って帰った


家がどこにあるか知ってるし

もしかしたら来てくれるかも


なんて思って


つい買っちゃった(笑)

No.396 09/04/14 20:40
唯 ( ♀ M9mPh )

何か予感がしてたのかな


その日の夜

電話が鳴った


…主任だ!



『はいっっ!』

飛び付くように出た(笑)



「元気だな~(笑)
さっき本社から帰ってきたぜ!今から店行かねぇとならねぇんだけどよ~
お前今家に居るんか?」



『居ますよ!出張お疲れ様でした!』



「俺今日は早く上がるからまだ寝るなよ!
じゃあ店着いたから電話切るぞ~!寝るなよ!(笑)」


『はーい!仕事頑張ってください』



電話が切れた

…仕事終わったあと
家に来るってことだよね?
わからんから
はっきり言えよ(笑)


てか
今のやり取りは何だ?

恋人同士か?



とにかく

主任が来るかも

時計は11時をまわったとこ

多分12時には上がって
それから来るから

12時半か…


私はお気に入りの
プレイボーイのスウェットに着替えて

化粧をして


主任が来るのを待った

No.397 09/04/15 09:42
唯 ( ♀ M9mPh )

12時半になるころ

外から人が歩く音が聞こえる

コツコツ コツコツ


主任だ!

主任はコツコツと音が立つ革靴を履いていて
私はその音が好きだった

だからすぐにわかった


玄関の鍵を開けて
主任を迎え入れた







言葉もなく
私たちは抱き合い

身体を重ねた




ずっとこうしたかったのかもしれない



私は


風俗嬢でもなく

母でもなく

ひとりの女になりたかったのかもしれない



私も

主任も

ただ寂しかったのかもしれない



~かも


そんなことはどうでもいい



主任の温もりが心地よかった…

No.398 09/04/15 10:07
唯 ( ♀ M9mPh )

私たちは

夜通し いろんなことを話した


主任が今まで歩んできた人生…

前の2人の奥さんのこと…

子供のこと…



全部ほんとかどうかわからないけど

知らない主任を知ることができた



若い頃ヤクザで
犯罪を犯して
刑務所に6年入っていたこと


刑務所から出てきてすぐに結婚して2人の娘ができたこと


風俗の仕事に就いてから
不倫の末
奥さんと別れたこと


暴力が原因で
2度めの離婚をして
産まれたばかりの息子を手放したこと




とんでもない話ばかりだけど

私は特に驚かなかった






寂しい人だな…


それだけ感じた



『私にとっては
主任は主任ですから…』



主任はまた

悲しい笑顔を浮かべていた

No.399 09/04/15 20:31
唯 ( ♀ M9mPh )

私がどんな人生を歩んできたとか

なんで離婚したとか

聞かれなかったから
私は話さなかった


別にたいした過去じゃないし

特に知って欲しいと思わなかった



私が主任のタバコやお酒を買ってることに
嬉しそうに笑って


「一番目の嫁を思い出す」

とか言って

最初の奥さんのことを話し始めた

出会い、名前、出身地、夫婦生活…


不愉快極まりなかった

なにしに夫婦生活まで
聞かされんとならんのだ

そんなにいい奥さんだったらなんで捨てたの


バカか!


腹が立ったから


『てか別にそんなことまで
聞いてないです
そうゆうデリカシーないとこ嫌ですね
その話、したかったら他の人にしてください』



はっきり言ってやった

No.400 09/04/15 20:31
唯 ( ♀ M9mPh )

主任はニヤッと笑って

「お前、俺のこと
愛して止まないんだろ」



…からかわれてる…


…愛してる?

私が主任を?

なんだかピンとこなかったけど

嫉妬全開だったことは認める(笑)



『バカにしないでください』



「まぁそう怒るな!(笑)」


そう言って

頭をくしゃくしゃにされた


これをされると

心が温かくなる



こうやって私は丸めこまれた(笑)

No.401 09/04/15 21:59
唯 ( ♀ M9mPh )

それからまた他愛もない話をしていた

夜中の4時をまわって

私があくびをしたら


「もう眠いだろ!
明日パチンコ屋の何かがあるんだろ?寝ろ!」



『主任は?泊まって行きますか?』



「帰るよ!店に何かがあった時、連絡とれなかったらいけねぇだろ?
明日11時に起こしてくれ!」


と言って主任は
自分のマンションへ帰っていった



…なんだ…帰っちゃうんだ…

また来てくれるかなぁ



寂しいなぁ…


と思いながら

ぐーすか寝た(笑)

No.402 09/04/15 22:10
唯 ( ♀ M9mPh )

9時に子供を保育園に送って行き

パチンコ屋の説明会へ行った


グランドオープンは4月下旬に延期され

約1ヶ月

住んでいるT市から
車で1時間かかるY市にある
チェーン店のパチンコ屋で研修することになった



…どうやって行こう…

と考えていたら


店長さんが


「奥田さんは免許ないんですよね!吉田くんに乗せてもらって
Y市まで出勤してください」


吉田さん推定23歳(笑)


「あ…毎朝ここで待ってるから…ここまでは来れるよね?」



えぇ!?と思ったけど
足がない私にはありがたい


『すみません…お世話になります』




4月1日から研修


保育園は春休みだから

前の託児所に預けなくちゃ…

保育料は高いけど
一週間くらい仕方ない



制服の受け渡しなどがあるから

また3日後に…

とのことだった



…また暇じゃんか



2日間 暇人すると思うだけで涙が出そうだった(笑)

No.403 09/04/16 10:11
唯 ( ♀ M9mPh )

11時…
主任に電話をかけた


「はい」


『主任!おはようございます!11時ですよっ』



しっかりした声で電話に出たのに

「ぅおぉぉ~もうそんな時間かぁ~~酒が抜けんわぁ~」


ふたこと目は
ダラダラだった(笑)

そんな主任が可愛らしくて愛しかった


自然体を見せてくれるのが一番嬉しい

作った姿なんて魅力がない


ファミレスでバイトしている時も

マネージャーが

「あ~…疲れたなぁ」

とポソッと言ってるのを一度だけ聞いたことがあって

その時も ドキッ とした

マネージャーは妻子持ちだし全然好みじゃないタイプだったけど

ときめいた(笑)


どうやら私は疲れたオッサンが好きらしい(笑)



主任が昨日言ってたことを思い出す

“俺のこと愛して止まないんだろ”


…愛って何?

人を愛するってどうゆうこと?

その人の全てを受け入れて心から守りたいって思うこと?


一度失敗してる私に
人を愛することができるのかな?


子供を犠牲にした私に


また誰かを愛する資格があるのかな…



わかんないよ…




誰か教えてよ…

No.404 09/04/16 13:45
唯 ( ♀ M9mPh )

その日の夜の1時過ぎ

主任は家に来た


それから毎日の様に来るようになった
遅くても4時には
マンションへ帰っていく


“明日も来てくれる?”

とか

“明日も来るよ”


とか、そうゆう会話は一切なかった


主任は当たり前のように来て

私も当たり前のように来るのを待って


そして当たり前のように体を重ねた



ただ主任が来てくれるのが嬉しかった



“私たちの関係って何?”


頭で思っていても
口には出さなかった


彼氏とか彼女とか
付き合うとか付き合わないとか

どうでもよかった…




お互いが寂しさを埋め合ってただけ…




…きっと…

No.405 09/04/16 14:03
唯 ( ♀ M9mPh )

パチンコ屋の2回目の集まりで
他のバイトの子と話す機会があった

すぐに仲良くなり
携番とメアドを交換した


同じ子持ちの同じ年
マキ

1コ下のおとなしめ
アイちゃん

2コ上の明るい
ミカりん

30歳のプチ天然
アヤちん



やっぱり私の外見は悪いらしく


「もっとツンとしてる人だと思ったよー(笑)」


「私も(笑)子供が居るようには見えない」



えーっと…
そんなに感じ悪いですか?(笑)



オープンまでの研修先はみんなバラバラだけど
1ヶ月もすれば
オープニングスタッフとして一緒に働ける
パチンコ屋のバイトも楽しくなりそう!!


知らない土地で孤独を感じてたから
仲の良い子たちができて嬉しかった



ほんとに嬉しかったんだ



まさか

あの子に裏切られるなんて



思ってもみなかった






ねぇ

私のこと
覚えてるかな

きっと心の片隅にもないよね


私はまだ
あなたから受けた心の傷




癒えてないよ…

No.406 09/04/16 20:21
唯 ( ♀ M9mPh )

パチンコ屋の研修は

朝は早いけど

仕事自体は楽しかった

Y市のチェーン店の人たちも明るく楽しい人ばかりだった


店員同士で繋がってる小型マイクで
いらん話ばかりして楽しかった(笑)


6月に職場結婚する原田さんが

「奥田さん彼氏は~?」


と聞いてきた(笑)


『居ませんよ~誰かもらってください(笑)』


また私はノリで答えた
山口くんのことがあってもまだ懲りないバカ(笑)


他の誰かが

「どんな人がタイプなの~?」



『ん~子種くれる人(笑)』

いきなり下ネタをかましたから大ウケだった(笑)


冗談半分だけど
この頃、自分の子供に兄弟が欲しいと思ってた

…主任の存在があったからかな…


『いや本気ですよ(笑)
血液型A型かO型の人がいいですね』


またわけのかわらんことを言った(笑)



「俺O型だよ~」

「俺も~」

「私O!女だけどいいかな~?(笑)」

「子供できないできない(笑)」

「俺はA!」

「あんたBやん!(笑)」

「今日からA型」

「アホか!(笑)」


まだ全員の名前を覚えてないし声だけでは誰が誰だかわからなかったけど
楽しかった


他の人が話してるのを聞くのもおもしろかった


みんないい人で良かった…

No.407 09/04/16 21:09
唯 ( ♀ M9mPh )

吉田さんにも毎度お世話になった

きっちり連れてってくれて

きっちり連れて帰ってくれた


たまに子供の保育園まで送ってくれて

本当にありがたかった


そんな毎日で

研修期間を終えた



オープン…

大変だった

ハンパない忙しさが続いた

1日中走り回って
マイクでいらん話してる間もなかった(笑)


それでも
みんなと仲良く頑張っていたから全然苦じゃなかった


ある日事件が起きた

私が控え室に入ると

1コ下のアイちゃんが居た

なんだか様子がおかしかった


鞄の中に
サッと何かを隠した

No.408 09/04/16 21:37
唯 ( ♀ M9mPh )

…なんだろ?

と思ったけど普通に話しかけた


『今日も忙しいね~!
毎日来てる人居るけど
並んだりして気合入ってるねぇ~(笑)』



「…うん、そうですね…」


やっぱり様子が変だった


ふと控え室を見渡すと
マキのロッカー扉が開いていた


控え室には
ひとりひとりロッカーが与えられていて

鍵も付いてるけど
ほとんどの人が鍵をかけずに使ってた


『マキの奴、ちゃんと閉めてないし~(笑)』


と言って

マキのロッカーを閉めようとしたらバッグから財布が出ていた


下を向いたままのアイちゃん…



…まさか…





バイトしていたファミレスでも
控え室に置いてある私物から物やお金を盗られる事件が多々あった

あまりにも多かったから防犯カメラまでつけられたくらいだった


だからピンときた…

No.409 09/04/16 21:48
唯 ( ♀ M9mPh )

『アイちゃん…マキのお金…』



「ごめんなさい!
…お金なくて…ごめんなさい!」


…アイちゃん…


『マキには言わないから…戻しておきなよ!』


「ゆいさん…」


『いいから!
誰か来ちゃうよ!早く!』


アイちゃんはマキの財布にお金を返した


『言ってくれたらお金貸したのにっ!まぁ私も貧乏だけど、明日食べる米はあるからさ(笑)』


私は1万円渡した

『給料もらってから返してくれればいいから
利息はつかないから(笑)』


「ごめんなさい…
ありがとうございます!
ほんとごめんなさい!」


アイちゃんは何度も頭をさげていた





次の日

アイちゃんはパチンコ屋を辞めた

辞めたとゆうか無断欠勤した



連絡が取れない!と怒っている店長や
心配して何度も電話やメールをするマキたちをよそに


“あぁ…もう来ることはないなぁ…1万損したなぁ”


そう思ってた


「何かあったんかな!?」

そう心配するマキを見て
胸が痛んだ


『どうしたんだろうね…』


アイちゃん…

今はちゃんと働いて
お金稼いでるかな…

同じこと

繰り返してないかな…

No.410 09/04/16 22:03
唯 ( ♀ M9mPh )

その日の夜

いつものように主任と夜を過ごしてた


昨日は黙っていたけど
昨日と今日の出来事を話した



「人は怖ぇぞ」


『だよね…いい子だったのになぁ…
あ!主任…』


他の話題を出そうとしたら


「お前いつまで俺のこと“主任”て呼ぶんだ?
敬語はなくなってきたけどよ」



『え~(笑)主任って呼びやすいんだけど…
ん~何て呼ぼ…
タケルだから…タケ!』



「タケ?初めてだなぁ!
まぁええわタケでもシイタケでもよ(笑)」



『おいシイタケ!(笑)』


「へ~い(笑)」


なんだか恥ずかしくて
なかなか慣れなかった


つい“主任”って呼んじゃって

その度に怒られた(笑)

No.411 09/04/16 22:32
唯 ( ♀ M9mPh )

『主任…あっ!また言っちゃった(笑)
こんなやり取りして
なんか付き合ってるみたいですね!変な感じ(笑)』


私は何の気なしに言った



「お前俺の女じゃねぇのか!」


えっ…


「俺は ゆいの男じゃねぇのかよ!」





涙で主任の顔が滲む…

ずっとひっかかってた

主任と私の関係

どうでもいいフリして
気にもしてないフリして

自分の気持ちをごまかしてた





「愛してるって言わねぇとわかんねぇのか!」




ずっと溜めてたものが溢れた

涙が止まらない



『わかんないよ!
言ってよ!私バカだから
言ってくれないとわかんないよ!
愛してるって言ってよ!』


主任の胸を叩きながら言った
恥ずかしいほど恋愛ドラマやっていた(笑)


今まで
これほどまでに
こうゆう自分の気持ちを出したことはないし

相手に要求したこともなかった



主任の言う通り


愛して止まない




そうだったんだと思う

No.412 09/04/17 01:54
唯 ( ♀ M9mPh )

曖昧な関係から

晴れて彼氏彼女とゆう関係になれた気がした


そしたら自然に

主任のことをタケと呼べるようになった


自分から電話したりすることもなかったが
できるようになった


タケも夜中だけではなく
早い時間に来て
一緒にご飯を食べたりしていた


子供とも良く接してくれた

タケが噛んで小さくした
唐揚げを
子供に食べさせてくれた時は
ほんとに感動した


仕事中ボーイとゲームセンターに行き
UFOキャッチャーで取ってきてくれたぬいぐるみをプレゼントしてくれたり


肩車をしてくれたり…


父親が居たら…
こうゆう光景が毎日見られるのかな…


私にはタケが必要

子供もなついている


私…幸せになれるかな…

子供も…幸せになれるかな…



2度目の結婚を意識した

No.413 09/04/17 07:51
唯 ( ♀ M9mPh )

かと言って

“結婚したい”

とかは言わなかった


言わないとゆうか

言えない…



タケは2度失敗しているし
たくさん失ったものもある


私も1度失敗して

子供を犠牲にしてる



そんな2人が

そう簡単に

“結婚”を口に出すことはできない





もう傷付くのが怖い

臆病な2人



タケも私も

みんな


そう


ただ幸せになりたいだけ…





でもそれが

難しいんだ……

No.414 09/04/18 14:03
唯 ( ♀ M9mPh )

グランドオープンの忙しさもひいた頃

夕方
タケが職場のパチンコ屋に遊びに来た


「お~い!姉ちゃん!
この店出ねぇなぁ(笑)」


えらそうに座って
スロットをするタケ


『何やってんの(笑)』


少し話をしながら仕事をしていた



マキとミカりんが


「何?彼氏?」



『そうだよ
仕事サボって遊んでるよ(笑)』



「ホスト?」



…ほらみろ(笑)


『違うよ(笑)一応会社の上のほうだよ』


嘘はついてない

タケの役職名は

“代表取締役”


最近昇格した

仕事内容は変わってないらしく

代表取締役 兼 店長 兼 主任 兼 ボーイ(笑)

そう言ってた




タケのとこに行って


『やっぱホストに見えるみたいだよ(笑)』



「誰が言ってんだよ(笑)」


私はマキとミカりんを指差し


『髪をアップしてるのがマキで
あの茶髪で2つに結んでるのがミカりんだよ
2人ともおもしろくていい子だよ』


と 紹介した

タケに友達を知ってもらえるのは嬉しかった

No.415 09/04/18 23:29
唯 ( ♀ M9mPh )

それから
タケはよく遊びに来た

1日2回来る時もあった


『そんなに暇なの?(笑)』


「俺はいつでも忙しいぜ!(笑)来るなって言っとるんか!」


別に来てほしくないとかは思ってないけど

来てくれることを期待して仕事に集中できないし


なんとなく
干渉されてるみたいで少し嫌だった


でもやっぱり
夜以外に逢えるのは嬉しい

そんな矛盾でいっぱいだった



しばらく経ったある日




ミカりんが仕事を辞めた

電話にも出ないし
メールも返ってこないし

マキと どうしたんだろう と話をしていた



その日の夜

タケにそのことを話した


『楽しそうにしてたんだけどなぁ…
何かあったんかな?』



「玉が重いんだろ(笑)」



…そんな理由じゃないだろ(笑)


ミカりんは仕事の愚痴とかはこぼしてたけど
仕事がほんとに嫌で仕方ないようには見えなかったから心配だった

No.416 09/04/18 23:29
唯 ( ♀ M9mPh )

「若い子は根性ねぇから…あ~明日面接入るんだよ!めんどくせぇなぁ~
どうせぶっさいくな女だろうなぁ(笑)」


面接

新人が入るとなると講習がある


他の女にタケの体を触られると思ったら気持ち悪くて仕方がない


でもそれは仕事

そんなこと
元風俗嬢で しかもタケの下で働いてた私が言えるわけない

講習は仕事として割りきらなくちゃいけないと
頭ではわかっていても
気持ちはついていかなかった


『大変だね』


それだけ言うのが精一杯だった




本当は

やめて!他の女に触らないで!



言いたい…

わがまま言いたいよ…

No.417 09/04/19 21:25
唯 ( ♀ M9mPh )

次の日のお昼過ぎ

仕事中にタケから着信があった
お昼に電話がかかってくるのは初めてで
少しびっくりした

休憩時間にかけ直した


『どうしたの?』


「おぉ!今日面接入るって言っただろ?お前の友達のミカりんだったぞ!」



…え!?

…なんでミカりんが??


『どうして?』



「まぁ詳しくは夜話すからよ!俺忙しいから電話切るぞ!何かあったら電話しろよ~」



電話を切ってから
全然仕事に集中できなかった


なんでミカりんが風俗に…?

よりにもよって
なんでタケのとこに?


…嘘でしょ?


風俗の辛さは知ってる

ミカりん…何があったの?

どんなに辛い所か知ってるの?


私はミカりんやマキやアヤちんに
風俗をしていた過去は話したことはない


それでも

何か悩みがあるなら話して欲しかった

私の勝手な思いなのかな…



…ミカりん…

大丈夫かな…

No.418 09/04/20 12:12
唯 ( ♀ M9mPh )

『ほんとにミカりんなの?人違いじゃなくて?』

「間違いねぇぞ!
中嶋ミカだろ?」


タケにミカりんの名字を教えたことはない

ミカりんと初めて話したとき
“字は違うけど中島美嘉と同姓同名だね”

そう言ったことがある
ミカりんは中嶋ミカ…

同一人物だ…


『採用したの?』


「あぁ!女は多いほうがいいからな!」


何!?


『私の友達って知ってるじゃん!私の友達をなんだと思ってるの!?
ミカりんにあんな思いさせたくないよ!!』

仕事とはいえ 友達を風俗に堕としたことにすごく腹が立った


「…借金があるらしいぞ」

…借金!?

『どのくらい?』


「30万」

私はぶちキレた


『30万なんてお金昼間の仕事で返せれるでしょ! そのくらいあんたにもわかるでしょ? なんでミカりんに風俗をさせるの? おかしいんじゃないの!?』

タケを責めるのは間違っているかもしれない

でもとにかく腹が立ってしょうがなかった

ミカりん…

なんで?

なんで風俗なの?

パチンコ屋で頑張れば返せれる額の借金じゃん…

No.419 09/04/20 12:24
唯 ( ♀ M9mPh )

『その30万私が出すから お店で働かさないでよ!』

ミカりんを守りたい

あんな思いする必要ないよ
ダメだよ

風俗はダメだよ…

お願いだから

自分を大切にしてよ…




『電話かして!』


私は昨日も今日もミカりんに電話やメールをいっぱいした

それでも応答はなかった


自分がこれから働こうとしているお店の店長、タケからの電話なら出るだろう

そう考えた


タケの携帯には“あゆみ”とゆう名前でミカりんの番号が登録されていた



プルルルルル…


「はぁ~い!」


夜中の2時過ぎだとゆうのに
ミカりんはハイテンションで電話に出た

No.420 09/04/20 13:15
唯 ( ♀ M9mPh )

『ミカりん!?ゆいだよ!』


「…ゆいちん!?
…ごめんね電話やメールいっぱいくれたのに…」



『そんなのはいいから!元気そうで良かった!
ミカりん…タケから話聞いたよ…』



「………」


ミカりんは何も言わなかった


『困ったことがあるなら言って!できるだけ力になるから…!』



「…ゆいちん…そこにタケルさん居るよね?
タケルさんの携帯だし…
タケルさん、ゆいちんとこ泊まるの?」



ミカりんは小さな声で話してる

タケに聞かれたくない話なのかな

そう思って私も


『違うよ』


タケに内容がわからないように単語で答えた


「あとでゆいちんから電話してもらってもいい?何時になってもいいから…起きてるから…」



『うんわかった!おやすみ!』


わざとそう言って電話を切った


『眠いから寝るんだって
また明日連絡してみるよ』

と言ってタケに携帯を返した


ミカりんの話題を避け
タケが帰るのを待った

タケに対して

早よ帰れ!

と思ったのは初めてだった(笑)

No.421 09/04/20 13:36
唯 ( ♀ M9mPh )

タケがマンションへ帰って行った

もう4時前…

ミカりん寝ちゃったかな…

そう思いつつ電話をかけた


「ゆいちん さっきはごめんね…」



『ううん!遅くなってごめんね』


沈黙の重たい空気が伝わってきた


『ミカりん…?』


ミカりんは電話のむこうで泣いていた


!!


「ゆいちん…あたし…元カレに貢いでて…それで…」

泣きながら話してるミカりんの話を

うん…うん…

と聞いた



ミカりんは薬物依存の元カレに散々貢いで
借金は、タケの話の30万ではなく100万あると言った


「そのことをパチンコ屋に来てるタケルさんに冗談まじりで言ったの…
そしたら“俺の店で働くか?”てゆって名刺貰ったの…」



え…

タケから風俗に誘ったの…?


うそ…

No.422 09/04/20 13:47
唯 ( ♀ M9mPh )

「私、風俗って知らなくて…“会社まで来い”ってゆうから行ったの…
そしたら無理矢理…」



…無理矢理?タケが?


…強姦したってこと?



許せない


私の友達を…!!!



「ゆいちんごめ…」


謝ろうとするミカりんに



『ごめんね…ごめんねミカりん!ごめんで済むことじゃないけど
ほんとにごめんね!!』


私は泣きながら謝った


「いいよ…ゆいちん謝らないで…」


私は謝り続けた


ミカりんに申し訳ない気持ちと
タケに対する怒りと
情けない気持ちでいっぱいだった


彼女の友達に手を出し
風俗に堕とすような男を
愛してるなんて…



自分が情けなかった



ごめんねミカりん…

傷つけてごめんなさい…




タケ…


あなたのこと許さない

No.423 09/04/20 14:08
唯 ( ♀ M9mPh )

『100万は私が出すから
それで借金はなくなるよね…?』


「えっ!?いいよ!借金は返したから…」


…どうゆうこと…?


「タケルさんが…
“前借りさせてやるからきっちり働け”て100万出してきたの…断ったんだけど、金融会社に連れていかれて…
100万払うまでお店で働かなくちゃ…」



最低…
本当に最低…


『私がお店に100万持ってくから!ミカりんは行かなくていいから!
ごめんね、ほんとにごめんね』



「ゆいちん…そんなこと…」


お金で済ますつもりはないけど
ミカりんに償いたかった


女をなめちぎってるタケ
許せないけど

一度は愛した男

目を覚まさせたい想いもあった

No.424 09/04/20 14:21
唯 ( ♀ M9mPh )

『いいから!
ミカりんが風俗で働く理由なんてどこにもないから!私が無くすから!
ミカりん!パチンコ屋に戻るんなら店長にうまくゆっとくし
これからのこと考えておいてね!』



もう一度謝り
電話を切った


その日は一睡もできなかった


朝になり

寝不足フラフラで
みんなに迷惑がかかるかもしれないから
アヤちんに電話をして
土曜とシフトを交代してもらった


急なお願いに承諾してくれたアヤちんに感謝した


子供を保育園に預け

銀行へ行き
100万を引き出した


タケが出勤するのは
だいたい12時過ぎ

家に帰って家事をした


11時、お金を持ってキティへとむかう


約2ヶ月振りの繁華街…


まさかまたここに来るとは…

しかもこんなことで来ることになるなんて


思ってもみなかった…

No.425 09/04/20 17:27
唯 ( ♀ M9mPh )

12時をまわってもタケは来ない

毎日11時に電話をしてタケを起こしてたけど

今日はかけなかった



…寝てるんだ…

私が眠れない程の罪悪感に苛まれてるときに

何も考えずに寝てるんだ…


ものすごくムカついた

でも待った…

延々と


吐き気がする程タバコを吸い続けた



2時過ぎ
タケの車が立体駐車場に入っていった


2時間半待たされたことで私は最高に機嫌が悪かった

勝手に待ってたんだけど

私が起こさなかったから
待つことになったんだけど

全てタケのせいにした





憎かった

No.426 09/04/20 21:43
唯 ( ♀ M9mPh )

コツコツ コツコツ


立駐のコンクリートを歩く音が響いて聞こえる


5月の紫外線は強いから建物の影に座っていた私は

スッと立ち上がり
タケを待った


怒りとタバコの吸いすぎで頭がクラクラする


それもまたタケのせいにして さらに腹が立った



来た



タケが私に気付いた


「お前なんでこんなとこに居るんだよ!
つぅかなんで起こさねぇんだよ!おかげでこっちは…」


タケもキレていた

でも私はそれ以上にキレてる

話を最後まで聞かずに言った


『うるせぇ!どうでもいいわ!そんなこと言われに来たんじゃねぇっつーの!』


タケにとったら逆ギレだから かなり怒った顔してた


『金!』


タケに100万入った封筒を突きつけた



「はぁ?…あぁ昨日言ってたやつか?…なんでこんなにあるんだよ?」


中身を見てそう言った


…しらばっくれやがって


『金輪際ミカりんに近づくな!タケがそんな男だとは思わなかったよ!』

No.427 09/04/20 22:08
唯 ( ♀ M9mPh )

「そんな男ってどんな男だ?」


冷静なタケ
キレてる私を真っ直ぐ見てる

…何?

まじでうざい…


『もうどうでもいいから!私の家の鍵返して!!』


もう話したくない
もう顔も見たくない
もう早く縁を切りたい



「お前狂ってんのか!何言ってんのか さっぱりわかんねぇよ!」



『あぁ狂ってるよ!誰が狂わせたんだよ!?
いい加減にしてよ!
バカにするのも大概にしてよ!どうでもいいから早く鍵返してよ!!!』



私はこの時
ほんとに狂っていたのかもしれない

知らない街へ出てきて
誰も知る人がひとりも居ない中
風俗をして
子供に寂しい想いをさせて
自分も寂しい想いをして


その中で光をくれた

人を愛するとゆう気持ちを教えてくれたあなたに


タケに裏切られた



…狂わずには居られなかったかもしれない…


とにかく

タケが憎くて仕方なかった

No.428 09/04/21 10:05
唯 ( ♀ M9mPh )

そんな自分を見られたくなくて

タケには見られたくなくて

『もういいよ!
鍵は替えてもらうから!』

私は逃げた





この時 タケは私のこと
どんな想いで見てたんだろう…

今となってはどうでもいいことだけど

この時は
必死だったんだよ…
苦しかったんだよ…

逆にタケを傷つけてると知らずに


被害者ぶってた私


ごめんね


信じることができなくてごめんね…






帰り道
ミカりんに電話をかけた

100万を渡したことを言うと

ミカりんは
絶対返すからね
と言った

私は要らない
と言った

ほんとに要らなかった


返してもらう間

タケのことを思い出してしまうから…


『ミカりんパチンコ屋に戻ってくる?』



「考えたんだけど…
いきなり辞めちゃったし戻りづらいよ」



『そっか…そうだよね、ごめんね』



「またバイト探すよ!
これから用事あるし
また連絡するからね!」



電話を切った

ごめんねミカりん…
何もできない私を許して…


早めに子供を迎えに行き
家へ帰った

No.429 09/04/21 10:18
唯 ( ♀ M9mPh )

タケが居なくてもいいじゃん…

私にはこの子が居るじゃん…


楽しそうに遊んでいる子供の姿を見て

自分に言い聞かせるよう
心で呟いた




思い起こしてみると

ミカりんに不信な点がある

四六時中タケに見張られてるわけじゃないのに
私へ連絡しなかったこと


タケからの電話は一度で出たこと
しかもハイテンションで



…私…

間違ってないよね…?


もういい…

何もかも忘れたい……


早く楽になりたい…


その日は早めに眠りについた

No.430 09/04/21 12:45
唯 ( ♀ M9mPh )

目が覚めて時計を見ると
12時をまわっていた

早く寝たせいか
それとも
いつもこの時間起きてたから目が覚めたのかな…

昨日まで
もうすぐ来るタケを
心待ちにしてた時間


今日からもう来ない


当たり前だよね
私が信じることできなかったんだから…






コツコツ コツコツ

聞き慣れた 大好きな靴の音


やばいな私…

幻聴までする

…末期だ…



カチャン





何!?
鍵を開けた音?


と思ったと同時に


コツコツ コツコツ…

遠くなっていく靴の音が聞こえる…



えっ!?


バッと飛び起きて
玄関へ向かった

鍵は閉まってる

鍵を開けて


外を見た



そこにタケの姿はなかった

No.431 09/04/21 21:15
唯 ( ♀ M9mPh )

…やっぱり幻聴か…


ふと足元を見ると
紙袋が置いてあった


その場で中を見た


カードと大層な長方形の箱が入ってる


カードを開くと


“Happy Birthday”


もうすぐ私の21歳の誕生日…


箱に貼ってあるシールを見ると


“Champagne
Cuwee Dom Perignon
Rose 1993”


??

チャンパ…シャンパン?

キュウィ?

ドン…ペリ…


ドンペリ

ローズ…


ピンクのドンペリ…


タケがこないだ飲み屋から買ってきたってゆってた…

タケだ…


タケが来たんだ…



すぐに走ったら
タケに追い付いたかもしれない


でも

追いかけてなんて言えばいい?

どんな顔で会えばいい?

心から信用してない
相手に
どうすればいいの?


私には

追いかける勇気も資格もなかった…

No.432 09/04/21 23:18
唯 ( ♀ M9mPh )

部屋でドンペリとカードを眺めてた


このドンペリ…

タケから買ってきたって話を聞いた時


『へぇ~!私も飲みたい♪ピンドン!
ハイッ 飲んで~飲んで~ でしょ』


「ほんとは売ってもらえねぇんだぜ!それを飲み屋のママに無理言って10万で売ってもらったんだからよぉ!
お前には一滴もやらねぇ(笑)」


なら買ったってゆうなよ
って私はスネたっけ…

一滴どころか全部くれてんじゃん…



誕生日だって


「誕生日なんて関係ねぇ 生きとりゃ勝手に歳取る」


そう言ってたくせに…

♪~

携帯が鳴った


この着信音はタケ…



タケからの電話やメールは個別に設定してあった
失恋の曲だけど
大好きだから設定してた


浜崎あゆみの
“Wishing”

もう鳴らないと思ってた


メール…タケからのメールはいつも短いけど

届いたそのメールは

びっちり画面が埋まっていた

No.433 09/04/21 23:24
唯 ( ♀ M9mPh )

【少し早いけど、誕生日プレゼントな!
高いから味わって飲めよ!

本当は一緒に飲もうと思ったけど、お前がそうさせてくれねぇみたいだからな。

お前は信じるか信じねぇかわかんねぇけど
俺はお前のこと裏切ってねぇよ。

でも、お前を傷つけてしまうことはしたかもしれねぇな。それは悪かったな。
この街はお前の知らない街だ。
何か困ったことがあったらいつでも連絡してこい!

鍵はポストの中に入れておいた。元気でな!】


私はポストを確認した


鍵が入ってた


…終わった…

タケと私は終わったんだ…

不思議と涙は出なかった



鍵を握りしめ

タケからのメールをぼんやりを見てた…



…タケ……


いつも思うけど

男と女の終わりって


あっけない…


ほんとあっけない…

No.434 09/04/22 10:06
唯 ( ♀ M9mPh )

私は返信しなかった


ただメールを見続けていた


“俺はお前のこと裏切ってねぇよ”



…ほんと?

…ミカりんが嘘をついてるの?


何が嘘で
何が真実なの?


タケからのメール

ミカりんが言ってたこと




ぐるぐる ぐるぐる


頭の中で回る


タケ…

ミカりん…




どっちを信じればいいの?



もういい

タケを信じたところで


もう終わってる…





どうでもいい…


もうどうでもいいよ…

No.435 09/04/22 10:21
唯 ( ♀ M9mPh )

仕事へ行く途中

ミカりんにメールした


宛先不明で返ってきた





電話した



“お客様のお掛けになった番号は現在使われておりません”



…そっか


ミカりんが嘘ついてたんだ


そうゆうことだよね



半分はわかってたよ






でも信じたかったんだ


久々にできた友達のこと

愛してる男のことよりも




信じたかったんだ…



私はミカりんのメモリを消した

タケのメモリも消した


発着履歴も
送受信メールも
カメラで撮った画像も

なにもかも



私も一緒に消えたい…



脱け殻で仕事して
仕事が終わったあと
携帯ショップへ行き
携帯を新規で買った


番号もアドレスも全部変わった




明日から3日間
仕事は休み


…地元帰ろう…



エリちゃんに

携帯を変えたこと
男と別れたこと
明日地元へ帰ること


メールを送った

No.436 09/04/22 14:23
唯 ( ♀ M9mPh )

しばらくすると

エリちゃんから電話がかかってきた



「ゆいちゃん! タケと別れたの!? 何があった??」


『私にもわからん(笑) 傷心帰省するわ(笑)』


「わからんかぁ(笑)
そりゃ私にもわからんわ(笑)明日いつ頃帰ってくる?駅まで迎えに行くよ!」


『朝イチに出るから昼にはそっち着くよ~
エリちゃん明日暇?予定とかない?』



「アキラ(彼氏)と会う約束してるけど断るよ
どうせヤるだけだし(笑)
ゆいちゃんに会いたいし連れていきたいとこあるし!」


『どこ連れてってくれるの?』


エリちゃんは

私に会いたがってる男が居ると言った


“県外出てるし彼氏が居るから”
て言ったら


その人は
“彼氏が居てもいいから帰ってきた時連絡して”
て言ったらしい


“彼氏居るのにゆいちゃんは連絡しないと思うよ”
てエリちゃんは言ってくれたらしい


“言うだけ言っといて”
て言われたみたい



2週間前の話


今初めて聞いた(笑)

No.437 09/04/22 14:27
唯 ( ♀ M9mPh )

「だってゆいちゃん絶対連絡しないじゃん(笑)
でもタケと別れたってメール見たから、伝えようと思って!こっち帰ってくるし♪」



『てゆか…誰?紹介とかならお断りだよ(笑)』




「ナオだよ!覚えてる?」




…ナオ…


3年前 ままごと恋愛してた彼…



今は美容師になって
美容院で働いてて

たまたまエリちゃんが行った美容院にナオが居た


2人は顔見知り

ファミレスでバイトしてた時の私の彼氏

私とエリちゃんはバイト仲間で友達


自然と私の話題は出る


そこでナオがそんなことを言ってたらしい




「さっき仕事から帰る途中に美容院に寄って報告しといたから(笑)」



えぇ!?
エリちゃん早ッ!(笑)



ナオ…

懐かしい…



次の日 予定通り朝イチの電車に乗り
昼前には地元に着いた



正直
ナオに会うとか
会わないとかは
どうでもいい




タケ…



この傷心帰省で



タケのこと




忘れられるかな…

No.438 09/04/22 15:53
唯 ( ♀ M9mPh )

久々に会ったエリちゃんといろんな話をした

ミカりんのことを話すと


復讐するなら手を貸す


と言ってくれた(笑)



友達から受けた痛みは
友達が癒してくれた



男と別れた痛みは…
時間が解決してくれるのかな…



「ナオ、今彼女居ないんだって!ナオに癒してもらって!」



ごめんエリちゃん
そんな気全然ない(笑)



「夜行くって言ったから
それまで何かして遊ぼ!
ゆいちゃんが居ない間に
新しくできた服屋とビデオ屋があるんだけど行ってみない?
私も行ったことないんだ!」


新店舗巡りにでかけた

No.439 09/04/22 22:54
唯 ( ♀ M9mPh )

服屋へ行き

エリちゃんと色違いの
ホルターネックのかわいい服を買った


ゆっくり服を見るのは久しぶりで楽しかった



次はビデオ屋に行った


私は特に欲しいものはなかった

エリちゃんは
わけのわからないDVDを手にして 借りる♪て張り切っていた


タイトルは思い出せないけど かなりしょうもなさそうなDVDだった


エリちゃんの
そうゆう趣味が悪いところが私は好き(笑)



金出して観る価値があるのか(笑)とか言いながらゲラゲラ笑って
レンタルのレジへ並んだ


私はレジ手前にある
妙なフィギュアに気を取られ好奇の目で見てた
子供も笑ってた(笑)



「あっれぇ~!
エリさんじゃないっすかぁ!」



聞き覚えのある声


エリちゃんの方を見ると
エリちゃんも私を見てた


…店員の声?



…!




あのドレッドヘアの店員…





山口くんだ…

寝てる私の横で
他の女とえっちしてた

山口くん…

No.440 09/04/22 23:29
唯 ( ♀ M9mPh )

一気にさっきまでの楽しさがひいた


山口くんが私に気付いた



「うわ びっくりした!
ゆいも居る!(笑)
…子供!?」


私は子供を抱っこして
山口くんを睨み付けた



「もしかして俺の子供!?(笑)」


指さして
ムカつく顔で笑ってる


その瞬間
ブチッとキレた


『お前の子がこんなにかわいいわけねぇだろ!
うぜぇこと言っとんな!
なんじゃその頭!!
似合うとでも思ってんの?気持ち悪ッッ』


必要以上に毒を吐いた(笑)


山口くんもキレて


「は…はぁ?お前…」



『お前にお前言われたくないわ!
…お姉さん!こいつ店の金盗むよ絶対!見張っておいたほうがいいよ!』


山口くんの隣に居た姉ちゃんに根拠もないことを言った
姉ちゃんはびっくりしてた(笑)



『この粗チンが!死ねアホ!』


とても一児の母とは思えない言葉を吐いて
店を出た



積年の恨みを晴らしたような清々しさだった(笑)



「ゆいちゃん うける!
粗チンって(笑)
あの人まだ生きてたんだね(笑)」


エリちゃんと笑いながらマクドへむかった




ごめんね山口くん
私、虫の居所が悪かったんだ


昔のお返し

これで あいこにしようね(笑)

No.441 09/04/23 12:38
唯 ( ♀ M9mPh )

マクドで7時まで
エリちゃんと語った


「もうそろそろ、ナオ仕事終わる頃だよ
美容院行こっか」



『そっか。そいえばナオんとこ行くんだった(笑)
エリちゃんさっきから携帯鳴ってるけど大丈夫?』


昼から何度か携帯が鳴ってて一時間前からしきりに鳴ってた
エリちゃんは夕方
一度メールを送信しただけで
そのあと全然携帯を見てない

気を使ってくれてた


「アキラの着信音だよ~
どうせヤりたいばっかだよ(笑)」



『ヤったってヤったって(笑)
ごめんね気ぃ使わせちゃって…ここから美容院近いし歩いて行くよ!
ポテトのカロリー消費しなきゃ(笑)』



それでも 送ってく と言ってくれたエリちゃんに甘えることにして
マクドを出た



ファーン…


車のクラクションが聞こえた


「げっ!アイツ来てるよ!ストーカーか!?(笑)」


エリちゃんの彼氏のアキラがマクドの駐車場で待ってた

No.442 09/04/23 13:10
唯 ( ♀ M9mPh )

『あははっ!いつから待ってたんだろうね?
悪いことしちゃったなぁ…じゃあ私歩いていくから!ごめんね、ありがとう!』


エリちゃんは
待たせておけばいい と言ったけど
私はアキラに軽く頭を下げて
エリちゃんに


『早く行ってあげて!
いい加減萎えるよ~(笑)
ほんとにありがと!また明日連絡するね♪』


そう言って歩き出した



「萎えたら困るかも(笑)」

まじでうけた(笑)


友達っていいなぁ…

ありがとう エリちゃん…



私はナオが居る美容院へむかった





ねぇ…


私 これから元カレに会うよ


エリちゃんが
“ナオに癒してもらって”て言ったときは

ほんとにそんな気なかったし

これから会うってゆう今でも
そんな気ないよ



でもね

男と女が

それも 元恋人同士が


お互いの存在を求め合って会うと

どうなるかってことくらいわかってるんだ…


今の私に
流されない自信なんてない


ねぇ…


止めてよ…






…タケ……

No.443 09/04/23 14:22
唯 ( ♀ M9mPh )

2階建ての美容院

1階が受付とかするとこで2階がカットとかするとこみたい


美容院の中まで入るのもやらしいなぁ…外で待つか…
と思ったと同時に中から誰か出てきた



「ゆい!!」



ナオ…

美容院の明かりの逆光で
良くわからなかったけど


3年前と全然変わってないナオを見て

安心感からか
私は自然に笑顔になった


『呼ばれて飛び出て…』


「「ジャジャジャジャーン」」


ハモられた(笑)


ナオは笑って


「久し振り!今ゆいの友達から店に電話があって
慌てて出てきた!
ごめんな、もうちょっと待ってて!もうすぐ仕事終わるから…
寒いし車の中で待ってて」


そう言って ナオの車まで連れてってもらった



スタッフの駐車場までの間
子供に話しかけてくれた


「ゆいママにそっくりでちゅねぇ~」

「おじちゃん怖くないでちゅか~?」

「あ、キモい?(笑)」



黙ってれば男前なのに
ナオは相変わらずバカ全開だった(笑)

…うそだよ
気を使ってくれてるのわかってたよ



「ごめんな!急いで終わらせるから!」


そう言って仕事場へ戻って行った

No.444 09/04/23 19:41
唯 ( ♀ M9mPh )

待ってる間、子供は寝た



…何やってるんだろ私…


自分が何をしたいのかよくわからない



30分くらい待つと
ナオが仕事を終えて車に乗った



「腹減ったからご飯食べに行こう」


私はポテトが胃の中で踊ってた(笑)


新しくできたファミレスに行き
ご飯を食べながら
他愛もない話をした


鼻がテカると言ってナオの前で化粧を直すと


「ゆい変わってないなぁ(笑)そうゆうとこ、俺すげぇ好き」


ただズボラなだけなんだけど
なんか照れくさかった





その気もないのに
元カレに会いに来て


“好き”
とか言われて喜んでる



そこには最低な私が居た

No.445 09/04/23 23:20
唯 ( ♀ M9mPh )

ご飯を食べ終えて

「これからどうする?
ホテルとかとってる?」


しまった
全然考えてなかった…

子供連れで野宿なんてできない…

前にバイトしてたファミレスに行けば
24時間だから過ごせるけど、行きたくないし子供は布団で寝かせてあげたい


最悪
ほんと頭に全然なかった



『どうしよう…
ナオの車の中で寝かせてもらおうかな…』


ナオの車の後ろのシートには大量の服が置いてあった

用途は不明(笑)

だけど布団代わりにはなるかな と思ってそう言ってみた



「車!?ばかだなぁゆい!(笑)どっかホテルに連れてくよ!」


そう言って車を動かした




行き先はラブホテルだった



……。


『ナオはどうするの?』


バカみたいな質問をした



「…じゃあ俺も泊まろっかなー(笑)」


当たり前だろ 何言ってんだ!? と思っただろうなぁ…



部屋に入り 子供とお風呂に入った

いつもの寝る時間を過ぎてたし、ご飯を食べる為に無理やり起こしたから

疲れている子供はすぐに寝た


ナオがお風呂へ入っていった




…やっぱりこうなるよね…

落ち着かない部屋で
ぼんやり考えていた

No.446 09/04/24 13:05
唯 ( ♀ M9mPh )

ナオとは最後までしなかった



私が濡れなかった



私の気分で
周りを振り回して
ナオを傷付けた



友達に裏切られて
男と別れて…


だから何?


自分が辛かったら
周りの人を傷付けていいの?

いいわけないじゃん…


ほんと最低



仕事で疲れて
すぐに眠ったナオ

母親の元カレの横で眠る
小さな我が子



私 何?…
バカじゃないの…


眠らず
ソファーに座って夜を明かした


次の日
ナオは仕事があるから
朝早く起きて
私たちを駅まで送ってくれた


「昨日は寝ちゃって
まじでごめんな!
また帰ってきたら連絡してな!」



そう言ってくれたナオ


ごめんね



もう会うことはないよ





人を傷付ける痛みは

もう感じたくない



自分が悪いくせに

その痛みからも逃げたい





もう消えたいよ…

No.447 09/04/24 14:06
唯 ( ♀ M9mPh )

そのまま電車に乗り
エリちゃんに
ありがとうのメールを送信した



アパートに着いて
洗濯して
子供を寝かせた



地元…帰るんじゃなかったなぁ…

また自分勝手なことを考えていた





…タケ


懲りもせず
タケの居る街に帰ってきたよ…


ちゃんと朝起きてるかな


飲みすぎてないかな



私のこと
恨んでるかな…



タケへの想いは何も変わることはなかった




ただ 会いたい とは思わなかった


タケを信じようともせず

携帯も変えて

地元の元カレと好き勝手やって



私には会わす顔がないから…



自分勝手な女…


タケ…




別れて正解だよ

No.448 09/04/24 14:27
唯 ( ♀ M9mPh )

3連休も終わり
なんの変化もない毎日を送っていた


週に5日働いて

土日は子供と過ごして


タケを想う気持ちは消えなかったけど


なるべく考えないように
常に何かをして動いてた


パチンコ屋のマキやあやちん、他のバイト仲間とも
必要以上に仲良くならないようにした

また裏切られそうで怖かった


だから私には子供しか居なかった


子供と出掛けたり遊んだり
子供が寝ている間は
窓のサッシの掃除をしたり

フローリングの継ぎ目の部分を爪楊枝で掃除したりしていた


今じゃ絶対しない(笑)


そんな日々が3週間続いた


月も変わり
気付けば明日は21歳の誕生日


仕事か…

彼氏も友達も居ないしそんなもんだよね




寂しくないと言えば嘘になるかもしれないけど


それはそれでよかった

No.449 09/04/24 14:45
唯 ( ♀ M9mPh )

誕生日
いつも通り仕事をして
子供を保育園に迎えに行き外でご飯を食べて帰った


『ママ誕生日なんだよー』と話しかけると


「まま…よーび!」


意味もわからず
とびっきりの笑顔を見せてくれた


21歳になった私を祝うように笑ってくれた

子供の笑顔…


タケのことも
何もかも吹っ切れた瞬間だった



涙が溢れた



『ごめんね…ごめんね…』


「めんねめんねっ」



ありがとう

ほんとにありがとう

ママ、強くなるからね



一緒にお風呂に入って
子供を寝かせた



新しい自分が生まれた気がした

No.450 09/04/24 20:18
唯 ( ♀ M9mPh )

夜中の12時になる頃
目が覚めた


タケと別れてから
私は必ずこの時間に目が覚める


そして1時間程眠れずに起きてる


“吹っ切れた”と言っても体が覚えてるみたい


ふぅ…

ソファーに座りタバコを吸った


この時間は
どうしてもタケを想ってしまう

最後にもらったピンドンを手に取る…



全然吹っ切れてないじゃん…


嘘ばっかり



今まで自分に正直に生きてきた

それが自分を苦しめる道だと知っていても

突き進んできた



でも今は…

傷付くのが怖いよ…



ねぇ


こんな私のことどう思う?




教えて…



タケ…

No.451 09/04/24 20:44
唯 ( ♀ M9mPh )

飲もうかな…


タケが 私の誕生日にと、プレゼントしてくれた

ピンクのドンペリ


もうすぐ日付が変わる

日付が変わるまでに

飲み干してしまおう


タケへの想いも一緒に…













コツコツ コツコツ



靴の音が聞こえる…

近づいてくる


幻聴だなんて
バカなことはもう思わない







タケだ…

タケが来てくれた!!



また何も言わず
帰ってしまうかもしれない






…このチャンスを逃したくない!!!

No.452 09/04/24 23:30
唯 ( ♀ M9mPh )

勢いよく
玄関をあけたと同時に叫んだ


『タケっ!!』



目の前にタケが居た



タケが笑った


「間に合ったか?」


そう言って
赤いバラの花束をくれた



会わす顔がないから会いたくない

傷つけたくない

傷つきたくない

愛することが怖い



そんな私はどこかへ消えてしまった


愛しくて

愛しくて

たまらなく愛しくて



『飲み干すとこだったよ』



泣きながら笑顔で言った






タケに抱かれた私は最高に幸せだった

No.453 09/04/25 12:38
唯 ( ♀ M9mPh )

しばらくして

私たちは一緒に暮らすことになった


私が住んでいた黄緑のアパートを引き払い

2階建てのオシャレなアパートへ引っ越した



私はパチンコ屋の仕事を辞めて
タケに生活の面倒をみてもらった


タケのご飯を作り
タケを仕事に送り出し
タケの帰りを待つ


退屈で平凡で
幸せな生活を送っていた

コウくんと結婚していた時より

“奥さん”していた



喧嘩もたくさんした

浮気をされて性病を持って帰ってこられたり

暴力も振るわれた

私もやり返して
タケの親指の骨にヒビが入った(笑)


とてもバイオレンスな2人だった(笑)


それでも

子供の前では絶対喧嘩しなかった

タケも子供には良くしてくれた


ご飯を食べさせてくれたり

一緒にお風呂に入ったり

仕事の合間に動物園や水族館に連れていってくれたり

2歳の誕生日には
三輪車と大きなケーキをプレゼントしてくれた


“パパ”をしてくれていた


それだけで私は幸せな気持ちになった

No.454 09/04/25 13:19
唯 ( ♀ M9mPh )

風俗をしていたことを
何度も責められた

風俗の店長をしていることを何度も責めた


家に帰ってこない日もあった


荷物をまとめて
子供を連れて出ていこうとしたこともあった



傷ついて
傷つけて

それでも離れられなかった


タケの愛は感じていたし

私の愛も感じてくれていた



“ひとりになりたくない”

2人とも
そう思っていただけかもしれない


それが“愛”だと勘違いしていただけかもしれない




なんでもいい

お互いがお互いのことを
必要としてた




それだけは確かだから…

No.455 09/04/25 13:42
唯 ( ♀ M9mPh )

クリスマス・イヴ…

私たちは昨夜の喧嘩で
険悪だった(笑)


くだらなすぎて
喧嘩の理由は思い出せない



指輪を貰った


かわいくない私は


『何これ?』


と言った



「俺の子供を産め!
結婚するぞ!」



タケはいつも強引で自分勝手で自己中で…


プロポーズまで
タケらしくて笑っちゃった



『はい』



それしか言えないじゃない(笑)


「パパになるからなっ!」


子供にそう言ってくれた



すごく幸せだった


人並みじゃない出逢いだったけど

喧嘩の多い日々を過ごしてきたけど



タケからのプロポーズは
そんなことはどうでもよくなるくらい

嬉しかった




私…

タケの子供を産みたい

タケにこの子の父親になってほしい

タケと幸せになりたい





1ヶ月後


平成17年2月

私たちは籍を入れた

No.456 09/04/25 21:02
唯 ( ♀ M9mPh )

私は2度目

タケは3度目


今度こそは幸せになりたい



私はピルを飲むのをやめた

しばらくして妊娠した


タケも私もすごく喜んだ



嬉しい…

タケと私の赤ちゃん



長男の時は

“私の子を産む”

という気持ちだった


今回は違う


“愛する人の子を産む”


子供に対する想いは同じだけど

相手に対する気持ちが違った



予定日は2月

長男の時より
つわりがひどかった

やっぱりタケとの喧嘩はなくならなかったけど


本当に幸せを感じた…

No.457 09/04/25 23:22
唯 ( ♀ M9mPh )

私の妊娠をキッカケに

タケは今の仕事を辞めると言った



数ヶ月前


タケは胃潰瘍で入院した


毎日夕方から浴びるように飲んでいるお酒

家に帰ってからも
3~5杯飲む水割り

十分な睡眠をとっているのに目の下にはクマ


すべては仕事のストレス


ついに体が悲鳴をあげ
胃に穴があいた



だから私は止めなかった

顔面蒼白で点滴を打って
ベッドに横たわるタケは
見たくない



私もつまらない嫉妬をしなくていい




暑さがまだ残る9月
妊娠5ヶ月のとき


T市から3つか4つ離れたK市に引っ越した


それからしばらくして

タケは風俗の仕事を辞めた

No.458 09/04/27 12:59
唯 ( ♀ M9mPh )

「2人目が産まれるまで
ゆっくりしていいか?」



『はい お疲れさまでした
ゆっくりして体やすめてね』


心から言った

生活の不安より
タケの体の方が心配だった


タケが金庫から通帳と印鑑を出してきた


私はタケの預金額を知らない

給料も知らない

毎月25万をもらって生活していた


金庫の中は
見ようと思えばいつでも見ることができたけど
鍵を開けてみたことは一度もない


大事なものが入っているだろうとは思っていたけど
ガサ入れする気もなかった


「これが俺の全財産!」



渡された通帳を開いた




ものすごいケタだった


何度もケタを数えた



残高 3200万



よく見ると

私と一緒に住み始めてから毎月200万、300万貯金している

1年と3ヶ月で3200万…



「おりこうさんだろ?」



ほんとにおりこうさんだ(笑)



「退職金の300万は俺にくれ!」



何も文句はなかった



この3200万と300万の他に
タケが1000万が入った口座を隠し持っていたこと

それを知るのはこの時から3年後の話



一体いくら給料をもらっていたのか…

怖くて聞けない(笑)

No.459 09/04/27 13:29
唯 ( ♀ M9mPh )

妊娠8ヶ月の時
里帰り出産をする為
タケの実家でお世話になることになった


半年前
親孝行で中古の一軒家を
タケがキャッシュで買った

しつこいけど
一体給料はいくら貰ってたのか…(笑)



そこにはお義母さんひとりで生活していた


タケが16歳の時に離婚したお義父さんは2年前に亡くなっている


18歳の時にタケを産んだお義母さんは若い
元気で仕事をしている


お義母さんには付き合っている人が居た
小さな工場の社長さんで
平日毎日夜7時に家にきて9時には帰っていった


相手の社長さんには家庭があり お義母さんとは不倫関係だった



そんな微妙なところでお世話になるのは
かなりの抵抗があった


私が入院してる一週間くらい
3歳になった息子を
タケひとりで面倒みてほしい


本心はこれだったが


強く言えずにお世話になることになった

No.460 09/04/27 15:46
唯 ( ♀ M9mPh )

何事もなく次男を出産した


と言いたいけど
問題はあった


夫婦喧嘩はなかったものの

姑の嫌味
親子喧嘩(タケと義母)
痴話喧嘩(義母と不倫相手)


嫌味はどうでもいいけど
親子喧嘩と痴話喧嘩はたまらなかった

それでも
次男が3ヶ月になるまではお世話になろう


そう言うタケに頷きながら
本心は早く自分たちの家に帰りたかった(笑)



祈りが通じたのか
次男が生後2ヶ月の時
盛大な親子喧嘩の末

私たちはK市に帰った



…もうあんな思いはしたくない



次男の誕生だけを喜べない里帰りだった

No.461 09/04/27 20:55
唯 ( ♀ M9mPh )

K市で家族4人
平穏な暮らしをしていた

3食昼寝付き
ついでにおやつ


タケは家事や育児には
ある程度できていれば口出ししなかった
だからある程度はやった


ある程度やったら
めちゃくちゃぐーたらしてた(笑)


長男が3歳半にもなれば
手もかからないし
次男も特に夜泣きがひどいわけでもなく

子育ては全然余裕だった



心配事といえば


タケ


仕事を探さずに毎日パチンコへ行っていた


朝早く家を出て

だいたい夕方には帰ってきた



仕事をしないこと
私は責めなかった


梅雨時

そろそろ仕事する
と言ったタケはビジネスホテルの従業員の面接に行き
採用された



2日で辞めた



年下の女に指示されるのが嫌で辞めた


タケはこの時 34歳
そりゃ周りは年下が多いだろう



…まぁまた見つければいい


そう思った

No.462 09/04/27 21:09
唯 ( ♀ M9mPh )

やっぱり夜の仕事しかできない


そう言い出した


不満だった
すげー不満だった



はぁ?
せっかく辞めたのに?
また女と仕事?
女と関わるな!


そう思ったけど



『そっか』


それだけ言った



デリヘルの面接に行き
前職は隠し
採用された


新人は
女の子をホテルまで連れていったりする運転手


会社専用の車はなくて
自家用車を使わなくてはいけないところだった



車の中に髪の毛が落ちているのを見つけたときは

非常に不愉快だった(笑)


仕事とはいえ
嫌なものは嫌だ
でもしょうがないっっ


と思っていたら

1週間で辞めた




うちの車を使わないといけないなんて ダメダメ
辞めて他のとこ見つければいい!辞めて正解♪


と思った


まだこの時は 不安なんてなかった


貯金があるから調子に乗っていた

No.463 09/04/27 22:10
唯 ( ♀ M9mPh )

暑い夏の7月
県外に単身赴任する

と言い出した


…何言ってんだこの人

と思った


お前らだけじゃ危ない
チビも小さいから心配
だからお袋のところに行け

まっぴらごめんだった


『大丈夫だよ』


そう言ったが
一切無視(笑)

お義母さんに電話をして状況説明していた


「そんな危ない!こっちに来なさい!」



同居決定…


またあの喧嘩三昧の生活かと思い 頭が痛かった


次男が4ヶ月のとき
K市にアパートを残したまま
義母さんとの同居生活が始まった




これが私や家族の人生が狂ったときだったかもしれない





もしも…あの時…



単身赴任を止めるか

私と子供だけでK市に残ると言い切っていたら…




現在の状況はまた違った形になっていたと思う


ううん…

絶対そう




なんで私…お義母さんのところへ来てしまったんだろう…


タケ…


タケはどう思ってるかな…


この分岐点の選択が

一番間違ってたんじゃないかな…




私が…


私が悪かったの?

No.464 09/04/28 05:59
唯 ( ♀ M9mPh )

新聞の勧誘をする
と言って大手の新聞社に採用された

家から車で3時間半かかるところへ単身赴任した



会社からタケへの待遇はめちゃくちゃ良かった

給料20万+歩合給
1Kレオ○レス 家賃9万 全額免除
交通費全額支給
こっちに帰ってくる高速代まで支給してくれた
入って1ヶ月もしないうちに社員昇格の話を貰った



よっぽど口がうまいらしい(笑)



仕事が順調なタケに比べ
家での私の待遇はめちゃくちゃ悲惨だった


お義母さんからの攻撃がすごかった

毎日嫌味
ご飯を別々で摂る
いきなり無視
何から何までケチをつける

…まだ我慢できた

許せないのは
仕事のストレスを子供にぶつけること

長男は私の連れ子

血のつながりなんてないから かわいくなくて当然かもしれないが

かわいがる次男との差が歴然だった



タケが帰ってくるのは
2週間に1度
タケが帰ってきた日には


これらの行為を一切しなかった



先行き不安だった

No.465 09/04/28 13:47
唯 ( ♀ M9mPh )

8月の終わり頃

タケが3日間の連休で家に居た


親子喧嘩が始まった

夜が明けても喧嘩はおさまらず最悪な3日間だった


タケが仕事に出る間際
お義母さんがタケに小言を言った


喧嘩勃発


飛び交う暴言
出てくる包丁


…子供の前で…





結果

タケは厚待遇だった仕事を辞めた

お義母さんに仕事を辞めさせ 男とも別れさせた



めちゃくちゃだった


私は間に挟まれ

気が狂うかと思ったが



無関係の子供を想うと

本当にかわいそうで

私がしっかりしなきゃいけないと思った




タケ無職
私無職
お義母さん無職


大人全員家に居る



家族5人の生活が始まった

No.466 09/04/28 14:06
唯 ( ♀ M9mPh )

お義母さんと不倫相手の
15年間の付き合いの清算はタケがした


本当は お義母さんが相手の妻に払うべきなのに
慰謝料として300万をぶん取った


それでも少ないと言い
あと200万を引っ張ろうとした



裁判所から通知がきた
向こうには5人の弁護士がついていた


青くなったタケとお義母さんは示談に持っていった


小さいけれど会社の社長
ほんとは大ごとにしたくないから
すんなり引いてくれた



まだ
“15年間影での暮らしをさせておいて!!”
と負け惜しみを語る親子


裁判とか法律とか全然知らない私から見ても


…この2人は間違っている

そう思った




それからしばらく経った
10月のある日


また親子喧嘩

タケはお義母さんを実家へ帰らせた
お義母さんのお母さんが居るところ



自分がプレゼントした家から追い出した



とにかくもうめちゃくちゃだった


この2人にはついていけない



この気持ちは現在でも同じ




悲しすぎる現実

No.467 09/04/28 14:24
唯 ( ♀ M9mPh )

タケは狂った

自分が追い出しておいて
出ていったら捨てられたと言っている


母親に捨てられるのは2度目

だと…


刑務所から出所するには
身元引き受け人が居るらしく


それをお義母さんが
“その子は要りません”
そう言い断ったらしい

それで刑務所生活が1年延長



理解し難い親子関係がそこにあった



タケは仕事を探すでもなく毎日パチンコ


同居してからなかったからもうないかな…と思っていた
私への暴言暴力


暴力こそないものの
しつけと称し
長男へのあたりもキツくなった


次男にも笑顔は少なくなった



俺がこうなるのも
お袋が出ていったのも
子供たちが嫌な思いするのも
すべてお前のせい




全部私のせいにされた

No.468 09/04/28 20:44
唯 ( ♀ M9mPh )

一応ある程度の責任感は持ち合わせてるつもりだけど親子喧嘩の責任なんてお断り


それでもこのままじゃいけないと思い
とにかく毎日お義母さんに電話をして


すみません
ごめんなさい
帰ってきてください
お義母さんが必要です


そう言った


何度も何度も…



年が明けた1月


お義母さんが帰ってきた


2日間何事もなく過ぎたが
やっぱり同じことの繰り返しだった


タケが居ないときに
お義母さんからの
私や長男への嫌がらせも
加速した



別居の話を出しても却下されるから


『あんたが居ると喧嘩になるから出て行って』


と タケに言った


次の日 県外で職を見つけ 布団を車に積んで出て行った


単身赴任…


タケが居なくなったら
半年前よりパワーアップされた姑パワーにやられることはわかっていた


それでも
親子喧嘩はもうたくさんだし タケやお義母さんが傷付くのは見たくない


苦渋の決断だった

No.469 09/04/29 13:21
唯 ( ♀ M9mPh )

タケの仕事が落ち着いた頃

3人目の妊娠がわかった


妊娠がわかった時は
長男次男同様
すごく嬉しかった

タケも喜んでくれた

そんなタケの子をまた産むことができるのが
幸せだった


タケが帰ってきた日に
2人でお義母さんに報告した

お義母さんは

「今度は女の子がいいね」

と言った



ところが

「また私の自由な時間が減るから堕ろしなさい」

タケの姿が見えない時に
眉間にシワを寄せながら言ってきた


信じられなかった

息子の子供を妊娠して喜ぶ嫁にこんなこと言うなんて…





妊娠6ヶ月の時

タケと買い物へ行く途中
歩いてた私は頭痛がひどくて倒れた

妊娠中毒症とかではなく


ストレス性


そりゃそうだ…

仕事を返せ 男を返せ
長男(この時4歳)の態度が悪い 嫁のあんたが全部悪い

そんなことを毎日朝から晩まで言われたらストレス溜まるにきまってる

タケには一度もお義母さんから言われたことを話さなかった


医者に“ストレス”と聞いたタケは
自分が家に居ない寂しさからくるもの
だと思い 仕事を辞めてしまった

No.470 09/04/29 20:50
唯 ( ♀ M9mPh )

タケが仕事を辞めたことで

更にお義母さんからの攻撃がすごくなった

親子喧嘩もなくならない

貯金も減ってきて
くだらない夫婦喧嘩も増えた


大人3人がピリピリしてる

最悪な家庭環境



躾の問題もあるかもしれないけれど


長男はオネショをよくする、嘘つきな子になった


次男は落ち着きのない子になった



その中でも
三男を無事出産できたことが喜びだった


家族が増えたことで
何かが変わると思っていた






何も変わらなかった

No.471 09/04/29 21:18
唯 ( ♀ M9mPh )

状況は悪化する一方で
1年4ヶ月経った

今年の2月


4人目の妊娠がわかった


情けない話だけど
予定外だった


だけど私は心から産みたいと思った

できたから産む

そうゆう発想ではなく
宿った命を無駄にしたくない

世の中には産みたくても産めない人がたくさん居る




夫は仕事が長続きせず
転職を繰り返す

姑は自己中的不満が肥大している

長男は自分に自信が持てず大人の顔色ばかり気にしてる

次男はまだ手がかかる

三男は1歳4ヶ月でこれから手がかかる



大人同士は毎日争っている


こんな状況だが
私は産むことしか考えなかった


何も考えてないと思われるかもしれない









でもダメだった

私は4人目の子を守ることができなかった

No.472 09/04/30 13:08
唯 ( ♀ M9mPh )

流産した




妊娠を報告した時

お義母さんは発狂した



仕事奪って
男奪って
自由奪って
これ以上私を苦しめるのか


タケは驚いた

私はいつものことだから
言われた内容については何とも思わなかったけど
タケの前で発狂するのは初めてだったから
それにびっくりした


当然親子喧嘩になった



いつものごとく私は仲裁に入る


キレるだけキレて
お義母さんは2階の自室へ行った

追いかけて私も階段を上がった



一番上まできた時…











私はお義母さんに蹴られた


バランスを崩し転げ落ちた


あの時のお義母さんの顔…




一生忘れられないと思う



落ちた時

痛くて 痛くて

お腹より胸が痛くて
張り裂けそうだった


下から生温かいものが流れていく…

今流れてるの 血だよね…
赤ちゃんだよね…




赤ちゃん…





気が付いた時は病院のベッドの上だった

No.473 09/04/30 13:20
唯 ( ♀ M9mPh )

看護師さんに聞いた


『赤ちゃんは?』



「残念ですが…」




そうだよね

階段から落ちたんだから
あたりまえだよね

普通に生活していても
流れる可能性がある
小さな小さな命…


ごめんね…
守ることができなくてごめんね…




なんで私 生きてるんだろう…


なんで赤ちゃんと一緒に死なせてくれなかったの?




生きてていいことある?



私の生きる意味って何?








そんなの簡単

今居る かわいい3人の子供たちの為


弱音なんて吐いてたらダメ

暗い顔してたらダメ




わかってる…

わかってるよそんなこと…



でも

今だけは泣かせて…




ひとりの弱い人間で居させて…

No.474 09/04/30 13:39
唯 ( ♀ M9mPh )

家に帰ると
かわいい子供たちが待っててくれていた


「お母さん!」

「ママおかえりー!」

「ままぁーーー」



これが私の幸せ

この子たちが居るから
私が居るんだ


私を必要としてくれる子供たちが居る



こんな幸せ どこにある?

探したって見つからない



私だけの幸せ


『はい ただいま!』






これからどんな辛いことがあっても

ママは泣かないよ

泣く暇がないくらい



やんちゃ言って
ママを困らせてね

飛びきりの笑顔で
ママを呼んでね






それがママの幸せなんだよ

No.475 09/04/30 14:24
唯 ( ♀ M9mPh )

あれから2ヶ月半



―現在―


タケは新しい仕事を始めてもうすぐ1ヶ月になる
残念ながら風俗だけど
朝9時に家を出て
子供が寝た頃帰ってくる

単身赴任をしないのは
お義母さんから私を守ってくれてる…つもり(笑)



お義母さんはうるさい息子が毎日帰ってくることで
前ほど自己中ではなくなったが
相変わらずタケの居ないところで朝から晩までブツブツ言ってる

とても高血圧(笑)



長男は近くの小学校に元気に通ってる
家が地獄だから学校は天国だろう(笑)
お義母さんに敵意ムキ出しの6歳

それがまた困るんだけど子供は正直(笑)



次男は甘えん坊の3歳
タケやお義母さんがでかけるとき
「やったーやったー!」と喜んでいる(笑)

…それはマズイだろ(笑)



三男は超やんちゃの1歳半
さすがタケの子(笑)
この先この子に一番苦労をかけられることになるだろう

いいよ どんとこい!(笑)


これが私の家族


私の幸せのかたち

No.476 09/04/30 15:13
唯 ( ♀ M9mPh )

もしも…


コウくんが“信じてくれ”と言った時…


私がコウくんを信じて
改心させることができていたら

長男は笑顔の多い素直な子に育っていたかもしれない

少なくとも連れ子の辛さから守ることはできる


でも 今居る次男と三男を授かることはできない

タケが居るから
この子たちを授かった



長男から 父親を奪って
違う父親を与えた


私は恨まれてもいい

それだけのことをした



だけどもう少しだけ
あなたのそばに居させてね



あなたがお母さんから離れる日まで


お母さんに守らせてね

No.477 09/04/30 20:47
唯 ( ♀ M9mPh )

もしも…


お義母さんに“危ないからこっちに来なさい”と言われた時…

お義母さんの優しさの裏を見抜く事ができていたら


私たち家族は
心から笑って
日々を過ごせれていたかもしれない


もしかしたら4人目が
妊娠5ヶ月をむかえていたかもしれない



あの時の選択肢を
違うものにしていたら
今の状況は変わっていたかな…


それともたいして変わらないのかな…



私の努力が

足りないのかな…



まだまだ

頑張らなきゃいけないかな…




心がもう もたない…

No.478 09/04/30 21:06
唯 ( ♀ M9mPh )

もしも…





もしも……





そんなこと考えていても
どうにもならないってことくらいわかってる


過去…

振り返ることはできても

やり直すことはできない



この世に生まれた命

すべてに与えられた試練



みんなそうなんだ

辛いのは自分だけじゃないんだ

辛いのを辛いと思っちゃ
ダメなんだ




この先 私がまた



もしも…



と思うことが

たくさんあると思う





乗り越えていける



必ず乗り越えてみせる






幸せは 自分が守らなきゃ













【完】

No.479 09/04/30 21:12
唯 ( ♀ M9mPh )

【もしも…を読んで下さった皆様へ】


読んでいただき
ありがとうございました



くだらない女の
くだらない人生ですが


冒頭に書いたように
一生懸命生きています






誤字脱字
(笑)が多いこと
考えが自分基準なこと



大変失礼しました








最後までお付き合いしていただき
ありがとうございました



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