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優花( ♀ 6VhO )
12/06/13 08:22(更新日時)

詩や小説など
独り言など・・
思いのままに
気ままに
マイペースに・・
更新したいと思ってます
乱雑な稚拙文章をお許しください・・



∮welcome∮

No.1161258 09/07/16 22:31(スレ作成日時)

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No.151 10/04/26 07:54
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『これ、もういらないからあげる。』

『え…いいの!?』


小学生時代、いらなくなった物を周りの子にあげていた。普通は、ひとりだけ奇抜に目立てば、いじめられたり仲間外れにされるんだろうけど、私はクールでターゲット的なキャラではなかったし、むしろ逆をついて、こうしていらなくなった玩具やぬいぐるみ、お人形など、周りに還元しておけば、意地でも私と仲良くなっておこうと、得を感じさせるように先に仕向けた。
案の定、私自身、小学生時代いじめられたり仲間外れにされたりするようなことはなかった。
物をあげる快感、優越感。周りの子達の視線。常々、新しいお洋服、靴、おかばん…私自身、別にこれといっていつもお気に入りなどなかった。

【パパとママはいつだって可愛い物をたくさん買ってくれるの。だって私、他のみんなとは違って、お姫様だから。】


私は自分がお姫様だから、なんでも願い事は叶えられる。夏休みや冬休みは海外だし、ピアノもお歌もダンスも、いっぱい習い事が出来るの。私は幼少期や小学生時代がたまらなく幸せだったと思う。

No.152 10/04/26 21:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


しかし中学生になると私を取り巻く環境は激変した。両親の勧めにより、公立中学には進まず、某お嬢様学校に編入した。小中高、大学とエスカレーター式の女子校で、大多数の生徒は小学生からの進級だった。私のような中学からの編入は、ごくわずかだった。両親も無理をしたのだろうか。入学金も多額だったと思う。私は小学生時代とは真逆の理由により違和感を覚えた。
クラスメート達の父親は、政治家や、警視庁、某有名企業の社長であったり、有名芸能人であったりした。名前を聞けば、ピンとくるような人物ばかりだった。うちはそこそこ有名な会社ではあるが、重役ではない役職会社員のヒラである父親だったし、なんだか自分1人だけ惨めな環境となった。
羨ましく思われていた私にとって、桁が違うお嬢様学校は嫌悪感に押しつぶされそうになっていた。

No.153 10/04/27 08:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『エリナさんの御自宅に遊びに行かせて頂きたいわ。』

『まぁそうね!こうして私達仲良くなれたのだし』

入学してからしばらくして、席が近い女子達に声をかけられた。私達?仲良くなれた?
私は入学してからは誰とも奥深い会話など交わしていなかった。
多分、自宅調査なんだろう…自分達よりお金持ちなのか、勝っているのか、負けているのか…。ベラベラと自分の父親の職種やポストを自慢げに話す周りに、違和感を感じていた私は自分の環境など恥ずかしくて語れなかった。
私は丁寧に嘘をついてお断りした。クラスメートで私1人が編入生徒であり、浮いた存在の転校生のようだ。転校生に変わりはないが。
私は自宅から学校までそこそこ近距離だったことから、自宅通学だった。大体クラスメートの7割は寮生活だった。
会話はついていけない話題ばかり自慢だらけ。お父様は○○様と最近お付き合いをよくしているわ、お母様は美容関係で有名人の○○さんとよく食事に行くわ…など。全くもってついていけない。うちに政治家や芸能人や警視庁には知り合いなんていない。

No.154 10/04/27 16:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


中学生活の3年間はとにかく勉学に励んだ。私自身、幼少期から両親にたくさん愛情を注がれ、周りの状況にいつも甘えてきたため、競争心といったものを持てる環境でなかった。小学生時代も常々一番羨ましがられ周りに下心から慕われてきた。だから、勉学の部分に大きな成果が出るようになり、その快感がまた私を嬉しく感じさせた。私はまた違う意味で周りに優越感を感じたかったのだ。どうあがいても超ド級クラスのお嬢様にはなれない。家柄は負けている…だったら他の面で周りに勝つしかない。私は3年間猛勉強した。勿論、両親からはとにかく誉められ、たくさんのわがままもきいてもらえた。超のつくほどのお嬢様ではないが、うちもやはり人並みの家庭に比べれば、はるかに経済的裕福な家庭だ。
3年に進級すると学年200人中、毎回テストは5番以内にランクインしていた。【頭がいいひと】それだけが何より優越感に浸れた。周りも私がそうでもない家柄だと気づいている…だから私はあえて友人など作らなかった。いらないと思ったからだ。

No.155 10/04/27 21:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


高校に進級すると、周りの環境は更に激変した。周りの女子達の大多数は、他校生や社会人の彼氏ができていったのだ。
勉学=ダサい。そういったイメージが浸透して、女子校であるがゆえ、話題も彼氏のノロケ話、オシャレやヘアメイク、服のブランド…など、益々話題についていけなかった。私にとって、勉学など何も意味を持たなくなった。いい成績を勝ち取れても、中学のときのように周りはもてはやしてはくれない。羨ましがられない。ダサい、地味だと笑われる…。また新たな違和感に戸惑い、中学時代とはまた違う理由により、精神的に追い込まれた。
一体何のために…?誰のために勉強してるんだろう…。私だってたくさんブランド服集めたい。男性とお話してみたい。髪にカラーも入れたいし、パーマもかけてみたい…。あんたらみたいにVUI●TONやGU●CIのお財布やバッグが欲しい…。
私の中で新たな気持ちが生まれていて、思春期ならではの、男女交際への憧れなど…たくさんの甘い気持ちが溢れてきていた。
両親にその思いを伝えたら、パパとママはあっさり否定してきた。

No.156 10/04/28 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『周りの風潮に流されてはいけませんよ。エリナは成績が良いんだから。勉強に恥じらいを感じるなど、そんな風潮が間違っているわ。』

『高校生活も今まで通り勉学に励みなさい。』

着飾る事オシャレする事の理解はしてはもらえなかったが、最終的に私の希望は通るのだ。ブランド物や服をたくさん持っていないと、周りはお嬢様だらけだから仲間外れにされてしまう、ひとり黒髪だと浮いてしまい仲間に入れてもらえない、いじめられてしまうから…と説明すると、パパとママは悲しそうな表情で顔を見合わせ、それならばエリナの希望も通さなければ…と、全ての望みを聞いてくれた。
パパとママにとって私はお姫様だから。きっとどんな願い事も叶ってしまうの。周りに比べれば家庭環境は劣る。それは場違いな学校に放り投げた両親のせい。私に辛い惨めな思いをさせているのは、あんたらなんだから…。私は思春期を迎え高校生となり、初めて両親を心の奥底で恨むようになっていた。確かに学歴の肩書きは一流で、就職も結婚相手にも良縁はすぐに見つかるだろう。でも有名私立のお嬢様学校において、私は生まれて初めて劣等感というものを味わった。

No.157 10/04/28 20:27
優花 ( ♀ 6VhO )

私は周りの風潮に流され、髪にカラーを入れて、メイクを覚えた。お財布やバッグはブランド物を揃え、私服も女子高生の人気ブランド服をたくさん買った。いわゆる高校デビューだった。単調なシンプルな顔立ちで幅広い二重だったため、メイクが非常に映えた。そのため、パッと見、最初は私だと周りは気づかなかった。
オシャレに目覚め、私は綺麗だ、可愛いと自信を持つようになると、段々周囲から注目を浴び、そしてクラスメートからたくさん話しかけられるようになった。
新クラスの2人と仲良くなった。2人とも私と同じく高校デビューだった。中学でのクラスはバラバラで、互いに知らなかったが、私達3人は急速に仲良しグループとなり、行き過ぎたメイク髪色により、気づけば学年で目立つ存在になっていた。
由佳とリン。この2人は初めての親友だった。高1の夏休み、男女グループで合コンをした。相手は大学生だった。チョイスは由佳だったが、カラオケでバカ騒ぎをして3人初のお酒を飲んでしまった。さっそく3対3となり、大学生の男等がイチャイチャしてきた。私の相手はもろにタイプだった。

No.158 10/04/28 21:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『トイレ行こうか?』

『え…初めてなんだけど…(笑)。初めてがトイレ?』

『いいじゃん。こんなにすぐ手に入れてみたい子初めて。ハマっちゃったみたい。』


かっこいい顔に甘い言葉。私の初体験はカラオケのトイレだった。彼に抱っこされたまま行為に持ち込んだが、痛くて痛くてたまらなかった。でも不思議と痛くても気持ちよかった。ドキドキしてふわふわして、頬が高揚して温かくなった。避妊はしなかった。男が用意するものだと信じていた私は、一瞬は戸惑ったが、彼が平気そうだったため、流れに身を任せた。
彼から、俺ら勿論つきあうよね?と聞かれた。私は勿論!!と返した。Hをするのはつきあっているからなんだから…当たり前じゃないの…。順序は逆になったけれど、私に初めての彼氏ができた…。私は浮かれてしまっていた。芸能人の○○にかなり似てる…本当にタイプだった。大学2年でもうじき二十歳になるという、孝志。1人暮らしダッた。私は頻繁に彼のアパートに行った。Hは何度も経験するうちに気持ちよさは倍増した。

No.159 10/04/29 20:18
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


つきあいも半年たち、高2に進級すると、段々と孝志の様子はおかしくなっていった。バイトが忙しいと言われあまり会えなくなり、アパートで待たれても帰りが遅くなるし会えないと言われた。私の中で不安や疑いは大きくなっていった。初めての男だったし、私は彼にハマってしまっていた。たまに会えたら疑ってばかりの会話から喧嘩となり、孝志がうざったく思いだしているのは気づいていた。でも私は別れる気は更々なかった。

つきあいだして1年たった高2の夏休みに生理が遅れた。由佳とリンの勧めで妊娠検査薬をしてみたら案の定、陽性だった。驚きと不安でいっぱいだった。でも、少し嬉しかった。これで孝志と結婚できるのかもしれない…、私は孝志を独占できる…、子供も悪くない…。母性など全く持って湧かなかったが、私は生みたいと思った。
孝志に妊娠を告げると、やはり中絶を勧めてきた。

『…無理。悪いけど、おろしてくれ』

『いや!!絶対いや!!私生むから!!もう決めたんだからね!!学校も辞めるし!!』

『…はぁ。なんだそれ。いつだって自分の意見貫くんだな。おまえのそうゆう自己中なとこ…、もういい加減ウンザリなんだよ』

No.160 10/04/29 20:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


しばらく考えさせてくれと孝志は連絡を絶った。私の孝志はこの私の彼氏なんだから…私はお姫様なんだから…彼は王子様なんだから…
きっと私と私達の子供を受け入れるはず。そう信じていた。
1ヵ月、そして2ヵ月たっても孝志からは連絡がなかった。私からの連絡もいよいよ繋がらなくなり、アパートに自ら出向いた。すると、部屋は引き払われていた。出て行っていた。放心状態となった私は、彼の大学へ向かった。そして事務所に立ち寄り伝言を残そうと○○孝志の身内です…と伝えた所、大学内にはその名前の男性は存在しないと言われた。
頭を鈍器で殴られたような頭痛に見舞われ、つわりも始まっていたため気分が最高潮に悪くなり、トイレで吐きまくった。

…どういうこと?彼は偽名だったの?彼は大学生だと嘘をついていたの?一体誰だったの?私は誰の子供を妊娠しているわけ?わけが分からない…

どうしよう…

どうしよう…


私は悩みに悩んだ。両親に伝えられない…伝えたらすぐに堕胎をさせられるんだろう…そんなことされたら、いざ孝志が私の元に帰ってきたときに結婚できない…孝志と結婚しなきゃ意味ない…。

No.161 10/04/29 21:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私は悩み続けながら、とうとう安定期の5ヵ月に入った。私は元々が小柄だから周りにバレてはいなかったが、さすがにもう隠し通す事は限界だったし、明らかにお腹はポッコリ出てきて太ってきた。そして孝志からも連絡は来ないし、堕胎はもうできない…。私は両親にとうとう打ち明けた。
ママは泣き崩れ、パパも涙目になりながら頭を抱えた。何故もっと早くに相談しなかったんだ、その男が見つからないままだと認知されず私生児となるんだぞ、荒げた声をあげパパは何度もテーブルを叩いた。ママは、どうして…どうして…と泣き続けた。
両親の決断として、結局学校は辞める事、子供はこの家の子、エリナの子供として育てていこう、私達の孫として可愛がろうという話だった。そして孝志が戻ってきたら、この家に養子として入ってもらい、責任を取らせよう…そういう結果になった。
私は孝志が私を騙すはずがないと思ったし、私は周りから愛されるのは当然だと考えていた。孝志は今だけ恐いだけ…結果私と一緒じゃないと苦しむだろう…そう思った。
私は自信を持ちながらも内心は不安でたまらなかった。

No.162 10/04/30 07:58
優花 ( ♀ 6VhO )

>> 161 ★続★


その不安感の中に、赤ちゃんのこと、育児のことなど、母親になる不安といったものは全くといって無かった。ただ、孝志が戻ってくると信じながら、実はもう違う女が…とか、結婚出来ないかもしれない…とか、出産は痛いと聞くから恐い…とか、そういう意味の不安感だった。赤ちゃんなんて周りにはいないし、免疫ないから、育児なんて全く分からない世界だ。パパとママが育てればいいじゃない…私は本気でそう考えていた。


孝志からは連絡がなく、そして探す術も見つからずじまいに、私は臨月を迎え、何の異常もなく出産した。女の子だった。名前は5月生まれだったため皐月と名付けた。私も春生まれで4月に18になっていたが、まさか自分が18でママになるとは思っていなかった。
出産してから皐月と常に横になっていたが、うるさくて眠れやしない。なんなの…この赤い小さな生物は…。私は心から本心で可愛いなんて思えなかった。そして母乳をあげていると気分が悪くなっていった。ママは、母乳をあげていると子宮収縮しているから気分が悪くなるのよ、そう言いながらミルクを足してくれた。

No.163 10/04/30 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ママ、体調が悪いの。あまり眠れてないし、悪いけど完全ミルクにしてくれない?私そんなに母乳出てないっぽいし…』

そう言うと、両親からは意外な言葉が返ってきた。

『何を言ってるんだ。赤ちゃんがいたらしばらく睡眠不足は当たり前だ!!』

『母乳は常に吸わせてあげなきゃ出なくなるのよ!!子宮収縮しないと子宮の戻りも悪いし…あなた母親なんだからミルクも自分で作るのが当たり前でしょう!!』


………!?

2人の荒い口調に声を失った。私に対してパパとママの態度は明らかに変わった。私に怒るなんて…声を荒げて注意するなんて…。
そして皐月への異常なほどの甘さ。初孫に対するベタベタした愛情。段々両親は、私はそっちのけで、皐月ばかりを抱っこして可愛がった。ママは家にいながら皐月を見るから、私はママが出事があるときだけ皐月を見るといった生活になった。

『皐月ちゃ~ん!さっちゃ~ん!ねぇパパ!もう2ヵ月になると赤ちゃんて笑うのね~』

『ああ!本当だ!しっかり笑ってる!皐月は可愛くなるぞ~』


…バカバカしい。なんなの一体…私が1番だったのに…私だけだったのに…お姫様は…。

No.164 10/04/30 12:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


イライラが止まらず欲求不満が募り、私は両親に刃向かいながらも夜遊びに度々出かけるようになった。最初は衝突していたが、段々ひき止められなくなり、両親は私に対して見て見ぬふりをするようになった。
私は不特定多数の男性と関係を持ち、夜な夜なクラブや常々違う男性と共に遊んでいた。バイトをするわけでなく、しばらくはパパから小遣いをもらっていたが、皐月が歩き出すようになり1歳を過ぎると、小遣いにもうるさくなっていった。

『何かバイトでもしないのか!!』

『お前は皐月の母親なんだぞ!!皐月が可哀想だと思わないのか!!』

『母性というものが無いのか!!』

『皐月のために生活費を入れなさい!!』


……うるさい!!!
うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!

なんなの!!
2人して皐月、皐月って!!私だって好きで1人で生んだんじゃないんだから!!孝志が裏切ったんだから!!孝志のせいじゃん!!皐月ばっかり可愛がって…あんたらには皐月だけが可愛いんでしょう?!

『この子の育て方はしっかりしないとね…パパ』

『ああ…皐月にはきちんと子育てをやり直そう』

………!?!?

No.165 10/04/30 21:34
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


…子育てをやり直す?
皐月はしっかり育てる?
…は?

あははは!!

意味が分からない。
私は小さな頃からあんたらにお姫様にされてきた、だから大人になってもお姫様でいて何が悪いの?私がこうなったのはあんたらのせいじゃない!!

イライラする…。
とてつもなくイライラする…!!

リビングから笑い声が聞こえる。

『よーしよし!!こっちにおいで皐月!!』

『もうこんなに上手に歩けるのよー!さっちゃんはお利口ねー!!』


…あんたら3人で幸せな結末を用意してあげる。

ふふふ…
パパ、ママ、さようなら。大好きな可愛い皐月と一緒に旅立ちなさいね。

私は3人が寝静まってから、家のあらゆる場所に火をつけた。そしてまとめた荷物を持ち出し、夜の街へ飛び出した。


なんでこんなことになってしまったのだろう…。
私はずっとお姫様だったのに…。

なぜ?
どうして?

私だけがお姫様なのに…。


end

No.166 10/05/10 22:27
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★堕落★


出逢いは偶然であり、そして必然であった。
俺にとって君は、初めて目にした天使であり、その正体は悪魔だった。


俺は27、高卒で車関係の工場作業員として働いてきて、もう9年目だ。
周りの奴らはだいぶ結婚した。結婚式はバカにならない。ここ最近は冠婚祝儀に金がかなり飛んでいった。幸せそうな友達と新婦を祝福…だが羨ましさとは裏腹に、大変そうだな、めんどくさそうだなとも思う。

こんな俺にも一応、長年の彼女がいる。同い年で高3からつきあっているから、約10年となる。俺は彼女しか知らないし、彼女も俺しか知らないと思う。彼女は事務員をしているが、そろそろ結婚したいと言う。俺も年齢的に結婚という選択肢も悪くないとは思ってる。でも正直…大変そうだし、めんどくさそうだというのが本音だ。
給料は全て家庭に入れ、子供もいずれはできる…ひとりの充実したゲームやネット、そんな時間も奪われる。俺はそんなの到底我慢出来ない。

No.167 10/05/11 07:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『亮!私の両親への挨拶はいつになったら…』

『私ね式場は絶対○○がいいなっ』

最近の由衣はこんな話題ばかりだ。俺も俺で、優柔不断な事なかれ主義の情けない性格がゆえ、適当に合わせながらこの話題はスルーする。由衣も由衣で約10年もつきあっているから、俺のこんな所は解りきってお見通しだと思う。だからこそ、強引にでも話を進めようとしている。
俺はきっと情けないダメンズだ。由衣に冷めたわけじゃない。ただ色々なしきたりがめんどくさそうなだけ。自分と由衣の両親に話をつけ、会社報告して、式場の打ち合わせ、新婚旅行のプラン…新居探し。稼いだ給料は由衣に預け、そこからお小遣いを貰う。もう俺のひとりの充実したゲームやネット、映画見る時間なんて、多分一切無くなる。子供出来たら家事育児協力して…。はぁ…考えただけで疲れてきた。
俺は家庭を持てる器じゃない。俺はそこまで成長出来てない。
最近は由衣が髪型変えたり服装変えたりしても、気づかず怒られてしまうくらいだ。

No.168 10/05/11 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俺達も高校時代から22~23位までは、こんなんじゃなかった。というか、俺がこんな無気力人間でなかった。誕生日やクリスマスは高価なプレゼントをお互い渡しあって、よく遠出のドライブや旅行にも出掛けていた。俺にも仕事に対する情熱とか野望もあった。しかし、25過ぎ何かが変わった。与えられた業務を日々こなせばいいという考えになり、由衣とはケンカする事や深く話し合う事が面倒になった。今が平和であればいい…俺はどんどん無気力になっていった。由衣からの電話やメールさえも面倒になって、しまいに会って話すのも段々めんどくさくなった。
でも俺は由衣と別れたいとか冷めたとか…決してそんなんじゃなかった。矛盾だらけの自分に自己嫌悪が募る、そしてどんどん無気力人間と化していく。

ああ。俺も、俺の人生もなんてつまらないんだ。

No.169 10/05/12 08:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お互い1人暮らしである俺達は、今では2週に1度ペースで、由衣が俺のアパートに来るというパターンが多くなった。俺から向かう事は少なくなった。


ある夜、俺はいつものようにネトゲにハマっていた。そして人生が180度変わる事件は起きた。
ベランダから物音がしたため不審に思い窓を開けた。ん?…なんだ?下を見て思わず声をあげた。真っ白い子猫がいた。
ニャアァァ~
『うわぁっっ!!』
俺は猫が嫌いだ。
窓を思わず閉めた。なんだよ…野良猫か?俺は気にせずまたゲームを始めた。
ドンッッ!!
また大きな物音がした。は?なんなんだよ…。猫の仲間が来たのか?そして恐る恐る窓を開けた。

?!!!☆☆

え……?

そこには華奢な女の子がいた。見た目…中学生位だが…。少しだけつり目で大きな瞳。子供か…?まだ春先というのに、白いノースリワンピ1枚だ。

『おいおい!てか!ここ2階なんだけど!どうやって来たの?』

『どっか違う部屋に忍びこもうとしてたんか?!』


『………』

No.170 10/05/12 16:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…キャハハハ!!』
少し黙り込んでたが、急に変な女の子は笑い出した。
『は?なんなの君。意味不明なんだけど。』

『あたしお腹すいてんの。何か食べさせて。』

『はあ~!?』

俺はわけわからないまま、とりあえず悩んだが、ちょっと訳ありっぽいし部屋に入れた。
一体なんなんだこの子…高校生というにも幼すぎる気が…。大体なんで俺んちのベランダに?

『名前教えてあげる!あたしはミルクだよ!白いからミルク!』

『え…てか何?ミルク?白いって服が?変な名前持ってんなまた(笑)』

『ほんと!ほんとにほんと!あたしミルクだもん!』

『…ああ。分かった分かった。てゆうか何でもいいけどさ。君、まだ中学生とかそんぐらいだよね?家どこ?送ってくからさ…。』

『中学生?なあにそれ。家はこの近くの公園だったけど、もう住めなくなったの。』

『え…マジ意味不明なんだけど。』

『もおーー!!お腹すいたって言ったじゃーん!なんかちょーだーい!!』

『え…もうなんなんだよ君…。あーもう…じゃあ食パンでもいい?食べたらマジ帰れよな?』

『わあ~い!あたしパン好き!!』

No.171 10/05/12 23:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


軽く焼いた食パンにジャムを塗った。
『もおー!そのままで良かったのにー!』
『は?何も味ないよかいいっしょ?』
『あたし何もないパンが好きなの!』
はあ?!なんだこの子!変わってる!そしてワガママだ!子供か!…って、このあどけなさはリアルに高校生にも見えないし…中学生だな多分。つりめの大きな瞳がクリクリして、正直顔は特上。もろにタイプだ。可愛いとは認めるが…なんとも小柄で顔とのアンバランスが絶妙だ。あと5年もしたら超いい女になるんだろうなぁ…。
由衣は決して顔がタイプなわけでない。というのも友達から恋愛に発展したし、顔もランクで表せば世間的に中の下だろう。自分の彼女だからそんなふうに思うのはいけないだろうが、やはり客観視すればそんなとこだろう。

『ああ~~食べたあ!おいしかったあ~!』
『ジャム付きで悪かったね。』
『ジャムおいしんだね!あたしジャムも好き!』
…?ジャム食べた事ないわけ?本当変な子。まるで初めて食べたみたいな…。
『…ええと。じゃあ送るからさ。家どこ?いい加減教えてくんないかな。』
『だからさー無くなったって言ったじゃん!』

No.172 10/05/12 23:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『なんなんだよ家が無いって…てかまずなんでうちのベランダにいたわけ?そこから謎だし。』
『飛んだらここに落ちてたの!』
『…?ああもう訳分からんな君は。』
『きみってすぐ呼ぶけどミルクってばあ!名前があるんだからねー!』

ミルクって…常識的にミルクなんて名前親御さんが付けるか普通。この子本当に変だ。

『おうち無いんだからここにいていいでしょ!?ええと…なにくん?』
『ええ!泊まるってことか?マズいだろそれは…。』
『いいじゃん!ここにいさせてよ!なにくんー?』
『はあ?…亮だけど…。見ず知らずの野郎の家には泊まれないよ普通。』
『りょーくん!分かった!りょーくんだね!みずしらずってなんなの?』

なんかこの子調子狂うな。気弱な俺は怒鳴って帰れなんか、そもそも言えるはずないんだけど。
訳ありなんだろうけど、1日見てあげてもいいが…親御さんは大丈夫なのか?

No.173 10/05/13 10:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…今夜は泊めてあげるよ。なんか訳ありそうだしさ…でも明日はちゃんと親御さんの元に帰るんだぞ。分かった?』

『おやごさん??はあい!わかた!』

わかた?…ああもうマジでなんなんだよこの子。俺も訳分からん女の子泊めたり…こんなの初めてだ。
ん…?こんなの初めて…?浮気…ではないが、こんな女の子家に泊めたり…俺的に罪悪感が全く無い。由衣に対して罪悪感が…。俺ってなんで罪悪感ないんだ?浮気ってわけじゃないから?いや…疑われそうな事してんのに、別に悪いなって気持ちが無い。由衣がここに今例えば来たとして…俺は必死こいて謝るんだろうか?謝っても適当に謝るだけだと思う。由衣はいつでも熱いから、過剰反応して怒鳴りつけるだろう。もう俺は由衣に対して、良く見せようとか優しいと思われたいとか…なんだかそんな気持ちが無い事に気づいた。そしてそれは…気づかないふりしなきゃいけないんだろうって思った。

『なんか考えてる?』

『…えっ!いやっ別に…。』

『ふうん…あたし寒い!おっきい服着たい!』

『あ…だよな。てか君…じゃない、ミルクちゃん。なんで袖無しワンピ一枚?(笑)』

No.174 10/05/13 11:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『わあい!あったかい!』
ブカブカに俺の長袖Tシャツを着た彼女は、ベッドで飛び跳ねていた。夜だから静かにと注意したら、はーいと返事をした直後に眠りについた。俺は床下で座布団を枕に横になった。ああ…明日も仕事だ。めんどくさいな…。

翌朝起きたらミルクちゃんはまだ寝ていた。俺が仕事から帰れば居なくなってるだろう…。鍵開けっ放しでも盗られるようなもんもないし…。起こさず仕事に出た。

夕方帰宅したら彼女はいた。
『おかえりー!りょーくん!キャハハハ!』

『ええ~君…ミルクちゃん帰らなかったの?』

『だから帰る所無いんだってば!ねえねえ!どこ行ってたの?』

『え…仕事だけど。』

『しごと?ふうん…。今日も何も食べなかった!お腹すいたよー!』

『もう…そりゃ冷蔵庫何もないし。とりあえず買い出し行くわ。待ってて。』

『はあーい!』

コンビニで弁当買って与えたら非常に早いスピード食いに驚いた。よっぽどお腹すいてたんだな…。箸は下手だからフォークを出したが…箸が下手とかマジで子供だな。

No.175 10/05/13 11:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


その日も帰ったほうがいいと進めたが家が無いとの一点張り。そして翌日もそのまた翌日も…。もう段々とどうでもよくなった。ミルクは日々共に暮らす中でおかしな事だらけだったが、彼女に少しずつ惹かれる自分がいた。子供っぽいあどけなさと時折見せるオンナの表情、仕草。甘えたがりが増長し、1週間も経つと常にベタベタくっついてくるようになった。服や下着が無いと言うから仕方なく、由衣がおいているものを貸してたが、想像すると正直男として耐え難いものがあった。相手は推測14~15だぞ…本気で犯罪だ。未成年監禁生活と取られて仕方ない…。はあ…もうなんだこの状況。でも男目線が止まらない。胸の膨らみは手に収まる位は発達している…。しかも小柄で細い。スタイル抜群だ。由衣はポチャ体系だが、俺は正直タイプはポチャでない。実は小柄で細身が大好きだった。そしてネコメで目の大きな色白の子…まさにこのミルクみたいな。常にベタベタくっついてくるミルクに、スケベ心と理性が常に葛藤する。

No.176 10/05/15 07:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


由衣からの、家行っていい?的なメールは言い訳を作り上げ、断りながら1ヵ月が過ぎた。そろそろ怪しまれそうだよな…。でも俺は常にミルクと居たい…そんなふうに思えてきて、心はかなりミルクに奪われていた。そして俺は勝負に出た。
『チューとかエッチとか知ってる?』
『…?ゴロゴロのこと?』
『(笑)ゴロゴロ?!ああ…まあゴロゴロだな。ミルクとゴロゴロしていい?』
『いいよ!りょーくんとゴロゴロしたい!』
拍子抜けするようなムードだが…俺はついに1ヵ月経って、ミルクとしてしまった。最中はいつもと正反対で、子供らしさもなく、積極的なオンナのプレイだった。到底初めてだと思えず、処女だと勝手に信じ込んでいたため、無償に腹が立った。なんだよ…初めてじゃねーのかよ。俺以外の男とミルクが…クソ!!
俺はなんだか悔しいような傷ついたような、腹立たしいような…複雑な心境だった。そして、もうひとつの決心が生まれた。
俺は由衣に対して浮気の罪悪感など一切無い、そしてこんな嫉妬心を燃やす事も彼女には無くなった。…別れよう。そう決心した。

No.177 10/05/20 14:01
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『久々に外食して海までドライブでもするか』

『……珍しいね。でも…嬉しい!』


俺は由衣を誘い出した。ひとつの決心を打ち明けるために。
約束の土曜の夜。ミルクにコンビニ弁当を買ってあげ、帰りが遅くなるから先に寝ておくよう伝えた。はーい!!いってらっしゃいッッ!!と、元気いっぱいの笑顔で送り出してくれた。屈託の無い笑顔がとても可愛く愛らしかった。そして、俺はミルクを守らなければいけない…そう心に決めていた。


『久しぶりだよね…2ヵ月ぶりくらい?』

『…かなあ。色々忙しくてさ…。』


街で食事を終えると、海方面に車を走らせた。色々な思い出話を語り、たわいもない笑い話をしながら、海岸沿いの公園に着いた。少し2人で歩いて、ベンチに座った。
さあ…伝えなければ。
俺は由衣を真剣に見つめた。


『…なあ由衣。真面目な話があるんだ。』

『え……。なんなの?』

『俺、もう由衣とつきあってはいけない。ごめん…本当に悪いけど…。』

『……!?え…』

No.178 10/05/20 15:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


別れ話に優しさなど必要ないだろう、そして言い訳さえも必要ない。
俺は自分の中に生まれた新たな恋心と、結婚への戸惑い、由衣に対する気持ちの変化…そしてミルクとの一夜の浮気。全てを語った。
由衣はずっと下を向き、黙って俺の話を聞いてくれていた。


『……ははは!!
あははは!!』


!?

『あの猫、本当だったのね…ふふ…まんまと乗せられたんだぁ。』


『??…なんだよ、猫って…。』


『その不思議な女の子、突然来たでしょう?最初は猫が迷い込んで来たんじゃない?』


あ……そうだ。あの白い猫…。ベランダにいて…それから大きな音がして…ミルクがいたんだ…。


『ははは!!
その猫はね。私が雇ったのよ!!人間に化けれるのよ!!あははは!!』


『?!お前…。別れ話納得出来ないからって…そんな馬鹿げたこと…。』


『信じらんないわよね!分かるわ!私だって百万払ったのよ?!夜飲み歩いてたときね!話しかけられたの!占い師にね!そしたら猫を送るからって…猫女を送るって…。』

No.179 10/05/20 22:47
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『猫女?!はあ?!』

『私も最初はワケ分かんなかったわよ!!でもその占い師…なんだか妙に吸い込まれて…。猫女の使いを婚約者に送る、そうすればあなたの不幸は、きっと幸福な道しるべに好転される…そう言われたのよ!!だから…百万払って…。』

『…てかお前それ詐欺だろーが!!大丈夫なんか…百万も払って…。ミルク…あの娘はたまたまうちのベランダに…。』

『たまたま?!はあ?!亮んち2階だよ?!どうゆう訳から2階のベランダにたまたまいるわけ?!それきっと私が雇った猫女よ!!間違いないわ!!』


由衣はきっと別れ話を認めたくないんだ。だからゴチャゴチャ言ってるんだ…。

『占い師の言った不幸ってゆうのはね、多分あなたが結婚するにはつまらない奴だって、私に気づかせるためだったのよ。結婚すれば不幸を辿る…そう伝えたかったんだわ。』

『……。確かにな。俺は浮気して他に目がいった。そんな俺にお前がついてきたなら、お前は間違いなく不幸だ。』

『…だね。許せるはずないものね…。浮気されて、今まで通りには出来ないわ、私には無理…。』

No.180 10/05/21 07:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


10年のつきあいは一夜にしてあっけなく幕を降ろした。そしてミルクが心配だったから足早に帰宅 したら、家にミルクは居なかった。綺麗に服が畳まれてあり、部屋も片付いていた。そしてベッドの上にカードが落ちていた。
【占い師ドマーニ】
あなたに猫使いを


ああ…。マジか…。俺は騙された。誰に?ミルクに?占い師にか?ということは…一生守りたいとまでに決めた女は、結果猫であって…10年つきあった女に試されて、浮気報告して…。猫であった女に夢中になっていた…。
ははははは!!
ははははは!!
嘘だ!!嘘だ!!
嘘に決まってる!!猫が大体人間に化けれるはずがない!!
多分由衣の苦し紛れの嘘で、このカードもどうにかしてわざと、俺の部屋に置いたんだ。あいつ…俺が簡単に騙されると思ったな。バカが。俺はミルクには本気なんだ!!
もうミルクじゃなきゃ駄目なんだ…。どこに行った…?明日になりゃ腹が減って帰ってくるわな…。


それから1週間、2週間。そして1ヵ月、2ヵ月。
半年しても、ミルクは俺の前に現れなかった。

No.181 10/05/21 08:18
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ミルクが居なくなって、精神的に落ちていった。会社には無断欠勤が続き、1ヵ月で自主退社を迫られた。半年もたつと、髭や髪は汚らしく伸び放題、立派な引きこもりとなっていた。
ああ…なんで…こんなはずじゃなかった…。やはりあの…占い師の猫使い話は本当だったのか…?俺はなんとなく由衣に電話してみた。本当の話か確かめたく思ったのと、正直寂しさが募っていたのも事実だ。

『…もしもし。』

『…あ、由衣?…久しぶりだな…。』

『…なによ?』

『あのさ…えっと…あの猫使いの話って…やっぱマジだったのか…?』

『………。
ははっ!!ははははは!!
10年もつきあったのに、恋をすれば盲目ね!!一切信じてもらえなかったってわけ?!』

『…いや…その…。』

『ええ本当よ!!猫使いの女に間違いないわ!!あんたが冷めてたなんて、とっくの昔に気づいてたわよ!だから試したの!!』

『ふふ…私ね。占い師の言葉通り、あれからすぐ大手企業の年上の彼が出来たの!!もうすぐ結婚するわ。良かったわ…あなたと縁が切れて、こんな恵まれた結婚が出来るんだもの…。あなたが消えて本当に幸せ!!感謝してるのよ!!ははははは!!』

No.182 10/05/21 08:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俺は今、由衣のアパートに来ている。


お前だけ幸せになるなんて許せない。俺はお前にはめられて、人生を狂わされた。
ミルクに恋をして、ミルクを失った俺の傷ついた心は…もう一生癒されはしないだろう。


呼び鈴を押す。


『は~い!!
どなたですか~?』


ははははは!!

俺の右手にはナイフ。


さあ、復讐してやるか。
10年の恋人に。


お前だけは
許せない。





end

No.183 10/05/22 23:41
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


【水清ければ魚住まず】

綺麗すぎるお水では魚は住めない…といった意味です。世の中が綺麗事ばかりで成り立ってはいない…という事。職場や身内、友人知人、夫婦または恋人。周りの人間達も様々で、良い人ばかりという構図は決してありえないのです。そして綺麗事だけじゃ人間界で人は生きれません。不倫や浮気、嘘や詐欺…たくさんの揉め事は、裏を返せば当たり前なのかもしれませんよね。他人を心底信用する事が出来るのは、自分を心底信用出来ている場合に限られます。自分でさえも自分を裏切るかもしれないのに、ましてや他人など…という話です。裏切られた、という言葉が、大っ嫌いです。そんな被害者意識は人間の器が小さい。ベッタリと依存していなければ、ああ、こういうもんなんだ…人間関係は。と、思えるのです。不正や不平等は誰しもが理解不能、ですがそこで、他人を許せる大きな心を持ちたいものですよね。

No.184 10/05/24 22:32
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★いい人★


【彼女は…私にとって、とてもいい人でした。だから……。いい人過ぎたのではないのでしょうか…。】


私は結婚8年の主婦29歳。小1のひとり娘がいる。旦那はひとつ上で、いわゆるデキ婚だった。
もう5年間、私は耐えてきている。ドメスティックバイオレンス…そう、旦那の暴力に。娘が2歳位からずっとだ。そしてその位から、勤めていた車の修理工場を辞め、それから職を転々としている。毎月安定しない生活費のため、私は娘を2歳から保育所に預け、長めのフルパートに出ている。安いアパート暮らしだが、私のパート代でなんとか生活出来ている。酒乱の旦那は、酔うと暴力を振るう。拳で顔もたまにやられてしまい、アザが出来てパートに出ることも多々あった。ゴミ袋など、大量生産する工場のパートだから常に帽子は被るから、うまく髪で頬を隠したりしたが、やはり周りにはバレているだろう。私は内気な方で、あまり他人に多くは語らないため、パート仲間に膨張されたネタ元にされているのは、分かりきっていた。

No.185 10/05/24 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


毎月酒にお金が飛んでしまうため、家族の食事は質素となり、私や娘の新しい服も新調出来なかった。職場は半年と続かないし、酒乱、暴力…もう限界がきていた。しかし娘を想うと、母子家庭に踏み切れない。父親はただひとり…この腐った旦那。娘には手をあげるなどという事はなく、大体娘が寝ついて、酔いが激しくなった夜更けに暴力を振るうことが多かった。なんでこんなことに…泣き叫びたかった。…が、実際は泣けない。生活がかかっている、旦那も私も、それぞれ実家は地方だし、頼れはしない。私は娘のために、日々とにかく我慢した。
小学校に上がれば、学校行事も多くなった。今は働いているなど関係無く、役員が付き物だ。人付き合いは苦手だが、娘のために、PTA行事にはなるべく参加した。

No.186 10/05/25 07:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


娘の友達のママさん達とは当たり障りなく仲良くしておかなければ、娘が可哀想だ…。娘が小学校入学になると、同じクラスの女の子ママさん達と挨拶をかわした。若い頃出来た子だから、皆、大体30代半ばから後半といった感じで、私より年上ばかりだった。
中でも娘は綾乃ちゃんという子と仲良しらしく、綾乃ちゃんママとは色々とお話した。34歳らしく、キレイ系な優しそうなママさんだ。PTA懇談会で周りを見渡せば、皆キレイな服、手入れされた髪、きちんとされたメイク…。自分はジーンズに古いロンT。美容院もずっと行けていない。メイクもしていないし、自分が一番若いだろうにすごく老けている気がする。地味な自分が情けなく思えた。

『美沙ちゃんママ!娘達も仲良しになれたし、私達も良かったら仲良くしましょうね。』

綾乃ちゃんママは優しい笑顔で私に言った。私も笑って頷いた。懇談会が終わると、綾乃ちゃんママと、前々からの友達ママさんらしい他2人に、ファミレスに誘われた。子供達も連れて行ったのだが、正直、給料前での出費は痛かった。

No.187 10/05/26 23:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


皆で食事をしながら連絡先交換をし、綾乃ちゃんママと自宅が近所であったため、皆と別れ一緒に帰った。娘の美沙と綾乃ちゃんは手をつないで、仲良く歩いていて、後ろから私は、娘が友達ができた事を微笑ましく見ていた。

『…あの。美沙ちゃんママ…。知り合ってばかりなのに、失礼なことお聞きしてもいいかしら…。』

『…??えっと…何でしょうか?』

『いきなり本当に失礼なんだけど…。もしかして、DV受けてはいない?』

『…!!』

驚いて声が出ない。どうして…、何故、気づかれてしまったの!?

『ごめんなさい!!本当に違っていたらごめんなさいね…!!
いえ…あの。私、以前に友人が悩まされていて…あっ、もう離婚成立してね、今は幸せに母子生活を送れているんだけど。…なんだか、あなたのその頬の下のアザの跡のような…それから手首にあるアザ…なんだか強力に掴まれた跡のような。まさに友人もそんな感じだったわ…。
そしてあなたのように、なんだか奥底に秘めた寂しさのような…。』

『もし行きすぎた妄想であれば冗談で笑い飛ばしてもらえるかしら?…失礼をごめんなさいね…。』

No.188 10/05/27 20:58
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


胸がつまる思いだった。そして涙がこぼれてしまった。
…今まで何度も耐えて乗り越えてきた、娘のために。
友人達は私が交際費が厳しいといった理由から、誘いを断り続けていたら、私の周りには誰も居なくなっていた。
他人は気づいてはくれない、気づいてはいても、職場の人達のように陰口で終わる。
風船が破裂しそうな感情を常に抱え、私はもう限界点を通過してしまっていたのかもしれない。
涙がこぼれてしまった理由は、バレて辛かったからではない。
単純に嬉しかったのだ、他人に気づいてもらえ、優しく声をかけてもらえたから。


『…泣いたりして…ごめんなさい。私…張り詰めた現実で、人に気づいて貰えたことが嬉しくて…。』

『……。美沙ちゃんママ…。』


綾乃ちゃんママの優しく微笑む優しいオーラに甘え、私は結婚してからの苦悩を全てさらけ出した。そして母子生活も視野に入れていること、でも娘からは父親を切り離せないこと…。気づけば全てを相談してしまっていた。うんうんと真剣に話を聞いてくれる綾乃ちゃんママに、彼女を慕いたいような感情が生まれ、私は彼女を頼ろうとしていた。

No.189 10/06/01 20:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『近々うちにいらして…。私なんかで良ければ、色々とお話聞くから…ね?美沙ちゃんママ。』


私は綾乃ちゃんママが、世界中でたったひとりの味方のように思えた。いや、事実そうだろうか。私の地元は遠い地方で、両親は兄夫婦と同居しており、うまくいっているようで、男の子と女の子2人、3人の内孫もいる。私に帰る場所は無いし、両親の反対を押し切り駆け落ち同然に家出した私を、両親はもう見捨てているだろう。実際うちに両親から連絡も無い。
味方なんかいなかった。助けてくれる人なんかいなかった。綾乃ちゃんママに全てさらけ出して、私をこの泥沼から救い出してもらいたい…。


しばらくして綾乃ちゃんママから家に来ないかと連絡がきた。綾乃ちゃんと娘の美沙に学校帰りに連れ出してもらい、お宅にお邪魔した。…想像以上のお宅だった。立派な洋風の白い一軒家。お庭も手入れが行き届き、お花がたくさん咲いていた。
『いらっしゃい!美沙ちゃんママ!待ってたわ!』

『…あ!お邪魔します!』

No.190 10/06/01 20:40
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


手土産も無いことを詫びると、堅苦しいこと言わないのと軽く笑われた。正直、余裕が無かった。入学には、だいぶお金が飛んだ。旦那もまた職を探している状況だった。

子供達には手作りのおやつが出てきた。
『わあ~綾乃の大好きなキャロットケーキ!ハートだあ~可愛い~!』

『綾乃はキャロットケーキが大好きなのよねっ』

『うんっっ!ねえねえ!美沙ちゃんも好きでしょ?』

『……え…っと。美沙は…食べたことない…ねえママ?』

『…あっ、そうだね!』

『うちはおやつとか無いから…綾乃ちゃんはいつもケーキがあるの?』

『えー!おやつ食べないの!綾乃んちはね、ケーキとかクッキーとかゼリーとか…毎日あるよ!ねえママ!』

『……綾乃。食べるのならば静かに食べなさい。』

はい…と、大人しくなった綾乃ちゃんと、傷ついたような悲しい顔の美沙を見て、私は落ちてしまった。だっておやつ作る時間も…材料費も無いもの。ごめん美沙…。

『あっ!美沙ちゃんママも食べて食べて!』

気を使われてしまった。ケーキの美味しい味に涙が出そうだ。

No.191 10/06/01 20:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


子供達は綾乃ちゃんの部屋に行き、私達はリビングでゆっくりと語った。私の家庭問題について…私は全てを打ち明けた。そしてどうすれば良いのか悩んでいると告げた。綾乃ちゃんママはゆっくりと答えた。

『美沙ちゃんママが我慢していることは限界が見える。今は大丈夫でも、美沙ちゃんがだんだん理解出来てくると、非行に走ったり…もしくはご主人が美沙ちゃんにまで手をあげたり…とにかく将来的にあなたに利益は無いと私は判断するわ。あなたと美沙ちゃんが、生活は贅沢で無くても、2人笑顔に暮らせることが一番だわ。私は第三者として、離婚を勧める…要するに逃げ出してほしいわ、そんなご主人のもとから。でも決めるのはあなた自身よ。他人の意見はあくまでも参考までに…ね?』

そして数種類の書類をくれた。全て母子家庭的な書類であり、DV被害者のためのシェルターや母子寮など、詳しい市の情報が記載されてあった。すいませんと頭を下げると、こんなことしか出来ないわと言ってくれた。

No.192 10/06/01 22:05
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


夕方になり帰り際、ご主人が帰宅され、鉢合わせてしまった。慌てて挨拶をしたが、なんとも優しそうなご主人だった。綾乃ちゃんを抱き上げながら、いつも仲良くしてくれてありがとうと美沙に言ってくれた。私はなんだか外人の家族風景を見せつけられた気分だった。うちの旦那を美沙のお友達には見せれないし、いつも仲良くしてくれてありがとうなどと、まず口にしないだろう。そして職の肩書きレベルから違っているだろう。綾乃ちゃんママは専業主婦で、そしてご主人はあの立派なマイホームを持っている。なんという格差社会なのだろう。というよりは、人並みにさえ暮らせてはいない。

『ねえママ!綾乃ちゃんのお部屋ね!美沙のおうちくらいだった!』

『可愛いお人形とか玩具とかいっぱいあってね!カーテンとかベッドとか全部ピンクでレースが付いてたよー!』

『……そうなんだ…。美沙…ごめんね。』

『?どうして?なんでママが謝るの?』

頭を殴られたような気分だった。美沙が可哀想でたまらない。どうしてあんな裕福な子供と友達なのよ…同じレベルの友達でいいじゃないの…。

No.193 10/06/01 22:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


どす黒く渦巻いた感情が生まれた。綾乃ちゃんママを慕いたい…頼りたい気持ちより、お宅に伺ってしまい、私の中の醜い気持ちが強くなってしまった。
なんなの…一体。憐れみ?同情?母娘共々、私と美沙を馬鹿にしてるの?

それから度々、綾乃ちゃんママからメールをもらった。
(最近は大丈夫?)
(変わりはない?)
(今度美沙ちゃんとうちで夕食しましょう)
(ランチ時間あるとき行かない?)


…何。この空気読めないメールは。私、フルパートって言ったわよね。休みは日曜だけだし朝の8時から夕方18時よ…どうやって平日ランチに行けるわけ…知らないわけないし…本当に馬鹿にしてるわ、この人。
私の渦巻いた黒い感情は日に日に増していった。娘の美沙は、帰ってからずっと綾乃ちゃんのおうちの自慢話を羨ましがる。しまいには綾乃ちゃんちのパパママは、うちのパパママと違うと言い出した。

『綾乃ちゃんちのママは顔も服も綺麗!パパは土日いつもどこか連れて行ってくれるって!おうちも美沙のおうちと全然違うし…ねえママ!どうして!なんでうちはこんなに小さいし汚いの?!』

段々美沙の違和感に愛想笑い出来なくなった。

No.194 10/06/01 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


日曜日、旦那は珍しく仕事だと出かけた。以前から交友のある車屋のバイトがあるという話だ。私と美沙は久々にファミレスでランチしようと出かけた。美沙はすごく喜んだ。
通された席の後ろ側を見ると、見たことのあるような二人組がいた。確か美沙の同級生のママでは…と思いながら食事していると、会話が耳に入ってきた。

『ほんと!いい人なのよね綾乃ちゃんママは!』
『そうそう!クラスメートで問題のある子供をさあ、リストアップしてカウンセリングすんのよ!なかなか出来ないわよね普通!』

……??問題のある子供…リストアップ?どういうこと…?

『裕太くんママは母子だし、広樹くんママは水商売!きちんとした子育てをカウンセリングするみたい!あと…美沙ちゃんママね!あれはDV家庭だったみたいだしね!』

『やっぱりね!雰囲気で匂うからね!ああいうママは!』

『綾乃ちゃんママ、親身にカウンセリングしたらしいわ!そしたらちゃんと離婚を考えだしたみたい!』

『へえ!じゃあ健全なる母子家庭にして、学年の非行の芽を潰してるわけね!さすがだわ綾乃ちゃんママは!』

No.195 10/06/01 23:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『やっぱり裕福なお宅だと気持ちも綺麗よね!きちんとした礼儀と子育てを周りにも指導してあげて…心に余裕があるわ!』

『そうね!綾乃ちゃんがうちの娘のクラスメートで良かったわ!』

『あっ!美沙ちゃんママって綾乃ちゃんママがせっかく話を聞いてあげたのに、お宅に手土産も無かったらしいわよ!』

『ええ~ありえない!話聞いてもらえるのが当たり前とか思ってたのかしら!普通レベル違いすぎて話せる人じゃないのに!』

『そうよね!家呼ばれて話聞いてもらえるだけ有り難いのに!』

『綾乃ちゃんママがきっと更正させてくれるでしょうね!』

『本当にいい人!』


…なんですって?更正?きちんとした礼儀と子育てを指導?家呼ばれて話聞いてもらえるだけ有り難い?問題のある子供のリストアップ…?

はははは!!

…ふざけんな。家庭環境の悪い家から非行に走る子供が出てくると、自分とこの子供が心配だから、学校の悪い芽は潰していくってこと…?

綾乃ちゃんママ。あなたなんなわけ?周りを見下して馬鹿にして、排除すべき者を選り好みして家庭環境調べたの?

No.196 10/06/01 23:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


許せない。偽善者を装い親身に相談に乗りながら、結局は自分の子供に悪影響を及ぼす、問題が降りかかりそうな家庭環境の子供と親は…早くに問題解決して、悪い芽を潰していくわけね?結局自分の子供が良い環境になければ駄目なのね?

はははは!!
私、馬鹿にされていたわ!全く気づかなかった!上手く手のひらで転がされていたのねえ!

いいわ。
あなたはいい人。
いい人なのよね。
綾乃ちゃんママ…。

私、あなたの幸せの象徴…ご主人とあなたの立派なお宅を今夜燃やしに伺うわ…。あなたもご主人も綾乃ちゃんも…一緒に天国へと旅立ちなさい。

許してくれるでしょう?
許してくれるわよね?

だってあなた。


【いい人】


なんだから…。



end

No.197 10/06/02 08:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★精神分析★


人々の心が健康か不健康かは、幼い頃の母親との関係で決まるらしい。母親がいなければ父親や祖父母など、周りの人々によって。私は多分、心が不健康なまま体つきだけ大人になった。決して母親を恨んでいるわけでなく、そして心が不健康だからといって別にひねくれているわけでもない。母親はもう亡き人であり、父親もそうだ。私は20代で両親を亡くした。私が何故、心が不健康だと判断するか…それは言葉や態度、仕草など、幼少時代愛された記憶がないからだ。幼少から母親との関係が上手くいかないまま大人になると、他人や外の世界に母親像を求めるらしい。愛情飢餓人とでも名づけようか。幼少満たされなかった心を大人になっても他人へ求める。勿論、相手は他人であり肉親でないため、段々迷惑に感じる。母親との関係が上手くいって生きてきた人、つまり愛情を沢山かけられ育った人は、心が健康であり、他人に母親像を求めたりはしない。母親は母親だから愛情をくれたのだ、母親は1人しかいないと、しっかりした基盤が出来ている。

続→

No.198 10/06/02 16:48
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私自身、愛情飢餓人だと認識出来る原因はある。それは、心から他人を信用出来ないこと。頼れるのは自分自身、信用出来るのも自分自身。母親との関係がトラウマとなっているため、肉親といえど他人であり、そして愛情とは何なのだろうと、常に頭はクールだったからだろう。母は、下の弟を可愛がった。私は母と相性が良くなかった。ベタベタとされたり、心配されたり、過干渉だったり…そういう親子関係には恵まれなかった。生活も苦しかったし、甘やかされた経験も無い。そういう家庭環境は、私自身を強くさせ、今現在、忍耐力に長けている。手に入れたものは、手のひらをすり抜けて消えていく。父と母を亡くしたように。私はひねくれたり拗ねたりはしない。何故なら、その時点で私は他の人間より落ちた人生になるような気がするからだ。私は他の人間より可哀想なわけじゃない、不幸なわけじゃない。マイナス思考は、私が惨めだと認めるようなものだ。手に入れれば、何かを失う。そして起きた悲劇を止めることは出来ない。時は移り変わり、状況変化を遂げる。私はもう、何が起きても、きっと驚かない。戦うべきは自分自身だ。

No.199 10/06/02 21:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


自分自身の生い立ちをこんなふうに綴りながら、大変矛盾しているのだが、私は母親が母親なりの育て方で、私を愛してくれていたと思っている。ただ、その愛情のかけ方が、幼少時代私に感じれなかったという意味だ。私は、母の弟への接し方と自分への接し方を、常に比べて生きてきた。何故だろう、どうして同じ子供なのに、こんなにも違うのだろうと。今となれば簡単な答えなのだろう。母と弟は異性だ。周りからすれば当たり前かもしれないが、高校まで出してもらえ、贅沢は出来なかったが、食べさせてもらえた。それだけで御の字だろう。成人すれば、自分を育てるのは自分自身だ。自分が親となる。そして私は二児の母親となった。子育ては難しい、そして旦那との関係も難しい。譲り合い思いやる。夫婦としての理想を踏み外してしまうこともある。彼は母親と小学生で別離している。その思いは私には計り知れない。人は経験が経て初めて痛みを知る。その経験は確実に彼を強くしただろう。人生は上手くはいかない、そう悟ったかもしれない。私自身、両親を亡くし、初めて本当の親になれた気がした。

No.200 10/06/04 08:28
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


魔法使いのおばあさんが現れた夜更け
私は頼んだ
どうか1日だけ
17歳に戻してください

またあの車で迎えに来て
夜中に家を飛び出すから
抱きついたら君の胸の中
冗談ばっか言うくせに
カッコいいことだけ
真剣に話す

もう一度言ってよ
たくさん言ってよ

白い服の女を見て
冗談をとばす
責めた私は黒い服

俺は黒がいいから

北へ向かった君を待てなかった私は
君を捨てたの

魔法使いのおばあさんが私を呼ぶ

時間だよ。と

私戻りたくなったの
28歳に

思い出は
綺麗なまま
宝箱に閉じ込めて

あなたを少し
また見たかっただけ

冗談聞きたかっただけ

もう一度好きだって
言われたかっただけ


魔法使いのおばあさんが
小瓶の悪魔を飼い慣らす

振り返る癖が出るのは
私の中の悪魔の囁き

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