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ストロベリートリップ

レス362 HIT数 51353 あ+ あ-

優花( ♀ 6VhO )
12/06/13 08:22(更新日時)

詩や小説など
独り言など・・
思いのままに
気ままに
マイペースに・・
更新したいと思ってます
乱雑な稚拙文章をお許しください・・



∮welcome∮

No.1161258 09/07/16 22:31(スレ作成日時)

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No.101 10/03/10 21:30
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


公衆電話からその男の家までは、歩いて1時間はかかる距離だった。途中、歩きながらあらすじを考えた。どう痛みつけようか…ひと思いに刺せばすぐに事は済む。人間は一番痛みつけられて、すぐには死なない場所はどこだろうか。少ない知識に腹がたつ。あらすじや予定は意味がない。予定外想定外な状況になるかもしれない。少し緊張していた。


その男の家に上がり込むと、男はいやらしい顔つきで笑い、すぐに持ち込もうとした。ベットに誘われ、後方からついて行きながら、居間のガラス製の灰皿を手に取った。背後から思いきり後頭部を灰皿で殴りつけた。男は倒れ、頭を抱え込んで痛がっていた。鞄からナイフを取りだし、まず右肩を思いきり刺した。男は叫んだ。黙れ、静かにしろと命令し、顔を切った。頼む頼む…やめてくれ助けてくれ…と命乞いしだした。何の見返りがあるか聞けば、金を…いくらだと言った。もう一度左肩を刺した。叫んだ男の苦しんで痛がる姿に、私は絶好調に興奮した。足を軽くたくさん切ってやって、お尻も刺した。たくさんの血が溢れ出る。私は男の髪を引っ張りあげ自慰行為をした。苦しんだ顔に興奮し絶頂感を味わった。

No.102 10/03/10 22:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


そんな殺人プレイを18まで何度も楽しんだ。慣れは恐いくらいに日常的となる。犯人像は世間的には10代少女とかけ離れたものだった。あるときは縛りつけ1日奴隷的拷問をして済ませたり、ナイフで全身に刺青を入れたりした。面白いほどに、命乞いすれば皆が金を出すと言う。私の性欲は程よい頻度に満たされ充実していた。


……。
あの女は今どうしているんだろうか。


15から会っていない。まだあんな生活なのか。変わってはいないだろうが、あんな薬中のアル中は、ろくな暮らしはしてないに決まってる。いい加減老けてきただろう。


私は実家アパートに様子を見に行こうと突然思った。顔を見せるつもりは更々ないが、無性に気になってしまった。



少し張り込んでみよう。

No.103 10/03/10 23:01
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


地元も実家アパートも何も変わってはいなかった。家を出てからは4年近くがたっていた。
アパートの前の団地に小さな滑り台がある。そこに腰かけると、この団地の家族達を常々羨ましく思っていた、小学生の自分を思い出していた。暮らしぶりは並の平凡な家族達は、いつも笑っていて、父親母親と子供らが幸せそうに映っていたから。父親母親が幼い子供をこの滑り台で遊ばせていた。私は遠目で観察しながら、自分は何の意味があり生まれてきたのか、母親は何故私を生んだのか、父親は一体誰なのか…いつも劣等感で押し潰されそうになっていた。いつか目が覚めて、現実が夢ならばいいのにと…可哀想だと思いたくないのに、可哀想だと言われてしまう現状が、自分自身情けなかった。


……?!!


私は絶句した。
あの女が幼い子供と手をつなぎ帰ってきた。意味が分からない。ヨチヨチ歩いてる所を見れば…1~2歳だろうか。女の子だ。意味不な状況に絶句し放心状態となった。外見はやはり少し老けていた。

No.104 10/03/11 15:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


呼鈴を押す。
…ガチャ
『はぁ~い??』


『…!!?』
『ヒィッッ?!!』


ドンッ!!!
玄関でナイフを突き付け思いきり押し倒してやったら、骨だけのようなガリガリの薬中女は吹っ飛んで倒れた。


『…?!あんた!!なんだよ?!今頃…何しに来たんだい?!ナイフなんか持って…』


はん…それが4年ぶりに会う娘に吐く台詞か。この売女が。幼子がギャアギャア泣き出した。


『…なんだ、そのガキは。てめー生んだわけ?てか再婚したわけ?』

ナイフを顔に向け髪を引っ張りあげた。

『ヒィッッ!!そうだよ!!再婚したんだっ…!!何しに来たんだっ!!やめろっ!!』

少し頬を切ってやった。
『ギャアァァ!!!』

『うるさい黙れ、ちょっと顔ヤられたぐれーでいちいちうるせぇんだよ、てめー』

タオルを探して、手首と足首を締めあげた。ガキの手首も一応締めた。


『旦那はもうそろそろ帰って来るのかよ?』

『…7時には帰るさ…。なぁ。なんなんだよ、あんた。殺りに来たのか?』


あははは。
愉快でたまらない。お前はあたしの手で殺られる運命だったんだよ。

No.105 10/03/11 23:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


この女の旦那が帰って来るまで3時間はある…じわじわ痛めつけてやろうか…。こいつはあたしを支配してきた。こいつなりのやり方で。私はこの女にケリをつける。色々と聞いてみた。再婚してからは薬も酒も減らし、子作りに励んだとのこと。新しい家庭でもう一度やり直したかったらしい。リセット?笑わせるな、私が失敗作なわけか。やり直しってなんだよ。怒るというよりこの女には、ほとほと呆れてくる。
この女に幕をおろす前に、絶対に聞いておかなければならないことがあった。


『私の父親は誰だか分からなかったのか?』


『……』
『あのタンスの一番上の引き出しに、黄色い箱がある、おまえの母子手帳に写真が挟まってる。おまえの父親だ。事情もあったから籍は入れなかった…』


箱の中を覗くと母子手帳の中に写真が挟まれていた。


『……。あ……!??』

こいつは…?!


痩せた色黒の男。細い目。

確か…こいつは…。


私が15で一番最初に殺った男だ。
薬物依存者で私に誘いをかけ、拒否ると逆上し、手をあげてきた男だ。

No.106 10/03/12 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


不思議なもので連続殺人犯というものは、一昨日の夕食メニューを忘れてはいても、今までに殺った人間たちの顔は忘れはしないらしい。1ヶ月にひとりだとしても3年でざっと36人。私はその全ての顔を忘れはしない。殺ってからの自慰行為のオカズは日替わりで使い回す。


私の、初めての殺人は、…父親だった。

聞けばこの女は18で私を生み、私生児として育て、父親とは一切会っていなかったらしい。


ギャアァァー!!ギャアァァー!!!!!


…うるさい。
ガキは泣きまくる。

『おい、お願いだよ…この子だけは助けておくれよ…』


頭のなかで何かが音を立て、激しい頭痛が走る。

は?
なんなんだ。意味が分からない。幼子を守るこの女。私にとっても母親だった。ろくに育てられずに殺人犯となり、初犯は父親だった。私のいない間に再婚して新たな家庭を築き、やり直しそうとしたと言う。幼子をハラハラした目で心配そうに見つめる。

おいおい…。
ふざけるな。
じゃあ私は本当になんだったんだ。

No.107 10/03/12 08:28
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ここ3、4年の間に県内で男ばっかり殺る物騒な事件が続いてるだろ?』

『…?ああ…』

『…!??まさか…おまえ…!?』

あははは。
おまえはこのガキと心中すればいい。そういうシナリオでも、酒の空き瓶大量にばらまきゃ誰も疑わないさ。だって元々そういう女だったからね?あんたは。人間のイメージってのはね、恐ろしい位に脳みそに植えつけられてんの。近所であんたは薬中アル中の水商売女で長年通ってんの。子供殺して自殺しても誰も疑わないんじゃない?


『おまえ…やっぱりイカれて育ったな!!あたしは昔から思ってたさ…こいつは何かおかしいんだろうって…ッッ!!!』


……!??


ドンッ!!!!


プツッと頭のなかで音がして。
私は思いきり薬中女の胸を刺した。


ウゥ…くっ…あ…


薬中女が苦しみもがき始めた。
薬中女の顔にも返り血にも流血にも、何故だか全く興奮しない。私の目からは大量に涙が溢れ出ていた。
一番興奮するナイフを抜く瞬間も、何も感じなかった。


母さん。
さようなら…。
私はあんたをやっと支配できた。私は復讐を遂げた。あんたみたいなアバズレは、こんな最後がお似合いだよ。

No.108 10/03/12 23:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


支配され続け、そして今この母親を支配した。
今…やっと復讐を遂げた。


さあ…この幼子をどうしよう。
この子には私と同じ、この母親の血が流れている。
私のように生きていかねばならない。私のように支配出来なければ生きてはいけない。


私が育てあげてやろうか。この子を。
私の手で。
私の思い通りに。


あははは。
またあの女の大切なものを奪えた。


…ねぇ母さん。
私は正直誘っていたかもしれない。あんたの男たちを。
奪いたかったのかもしれない、あんたのものを。

あの夜わざと薄着で横たわっていたよ。すぐにバカな獲物は寄ってきやがった。寝ていたあんたの目を盗んでね。


あははは。
また私の思い通りにあんたのものを支配できた。


この子は私のように立派な人間にならないとね、たったひとり、この世で血の繋がった義妹。


私は十分に痕跡を処理した後、ナイフで刺したため自殺は装えないから、強盗に見せかけようと部屋を荒らし、金品を奪った。そして幼子を連れ出し、人目を伺いながら実家を出た。

No.109 10/03/13 08:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


【少女】再び…



私は連続殺人犯の娘。…だと周りに聞いて生きてきた。母親は私が7歳のときに捕まった。周りの話では、娘ではなく妹だとも聞いた。でも今はそんなことどうでもいい。
バカな女。連続殺人犯で名前売るんなら、捕まるようなだせーヘマしてバレんなよ。あははは。
私もあの女と同じ血が流れているから、通常の感覚ではないんだ。ヤッてるとき男の首を締め上げなきゃエクスタシーを感じられないの。勿論何度か力入りすぎて危ないこともあった。
首を締め上げて逝く瞬間が見たい…興奮するわ、ゾクゾクする。もしかして近いうち本気で殺ってしまうかもしれないわね。あははは。


私は男を支配することでしか感じられないの。


でもあんたとは違うわよ母さん…。


いや。


お姉ちゃん…



end

No.110 10/03/16 08:04
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


読んで下さった方、ありがとうございました。
これからショート小説もたくさん書いていきたいです。
【少女】は10代の荒れた心と、連続殺人犯の心理を混合させた描写を書き綴りました。
命の尊さと重み、家族の意味といった疑問点を、私なりのフィクションで表してみました。
誰でも、父親であり母親であり兄弟であり…少なからずともトラウマや劣等感を持ちながら、生きてきているのではないでしょうか。私もそうです。生い立ちには様々なドラマがあり、人間には多種類のひとりひとりの人生、映画があると私は思います。
弱いものを虐める汚い人間、罪を認めない傲慢な人間、強姦殺人、強盗殺人…など。
彼らもまた、子供であり、赤ちゃんからのスタートだったわけです。彼らにも御両親がいたわけです。育て方だけではないはずです。二十歳前後になれば、自分の親は自分自身だと、私は思います。どういう道であれ、自分の人生という映画の中では、主人公である自分が、恥じるべき行為は出来ない…と常々思っています。

No.111 10/03/16 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★秘密★


『いらっしゃい、先生。今日もよろしくお願いしますね。』


『はい、お母さん。』


娘にこの家庭教師をつけて1年になる。時期は中3の夏休みとなった。この夏が勝負だから、娘には志望校に受かってほしいし、頑張ってもらわなきゃ…。
センターより派遣されたこの家庭教師は23歳、日中は臨時講師、夜はうちの家庭教師だ。掛け持ちはなく、うち専門に見てもらっている。
私はサユリ、38歳、専業主婦。平凡な会社員の妻であり、中学3年のひとり娘がいる。主人は2つ年上、会話はあまりない。娘の話か、娘を介しての会話が中心だ。義務的なセックスは季節に1度ペースだろうか…。完全に子供で繋がった夫婦だ。特に気にしてはいない。向こうは仕事に、私は子育てに夢中となれば、こういう関係は当たり前の結果だろうと思うからだ。
私はこの家庭教師と半年前、娘の相談という形で食事に出た。話は自然に夫婦間の話題となり、私は虚しさや寂しさを計画的に吐き出した。

No.112 10/03/16 23:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


彼は、こんな綺麗な方なのに勿体無い、御主人は馴れ合い過ぎて、あなたの魅力を忘れている、僕があなたを守りたい…そう言ってくれた。素直に嬉しかったが、あまりに待ち望んでいたセリフを淡々と吐く彼に、少々戸惑ってしまった。
そして彼に押しきられる形でホテルに入った。内心、計画的だったが、展開があまりにスムーズで、嬉しい半面なんだか緊張してしまった。

だって若い男性なんてかなりご無沙汰ですもの…。私は抱いてほしくなって、半年前ついに誘う決断をした。彼は筋肉質で顔も男らしい顔立ちで、本当に私のタイプだったから…。


優しい愛撫に激しい機敏な動き。私は愛液をたくさん放出しながら、彼を何度も求めた。
主人が出張中は、勉強後に娘と一旦彼を送り出るふりをして、もう一度自宅に入ってもらい、娘が寝た位の時間帯に1階でたまにセックスをした。声を荒げず押し殺しながらするセックスに、私は興奮してしまい、何度も絶頂感を味わった。

私達の関係が半年たった今、私は自然と深い愛情を持つようになった。

No.113 10/03/16 23:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


彼は若いから、本当は彼女がいるんじゃないかとか、愛してる、好きだなど言ってくれる言葉も、実は嘘で、構ってほしい中年女とでも、日々ヤれればいいかななんて思ってて、私を抱いているのではないか…など、嫉妬や独占欲や疑いの気持ちが膨らんでいった。
彼は若い女性が駄目で30代の年上の人が理想だったと私に打ち明けた。私は単純に信じたかった。

娘は地味であまり着飾る子でなく、クールな性格のため、中学にもなると、私とあまり奥深い話はしなくなってしまった。反抗期もあるかもしれないが、私は受験に頭が一杯で余裕がないのだろうと、簡単に考えていた。

私は彼が娘の家庭教師に付いてからは、身なりに気を使うようになった。新しい化粧品をたくさん購入したり、出来るだけ20代の服を着こなせるように心掛けた。彼に合わせたい自分に、焦りを感じた。彼は常に綺麗だとか若いだとか、賛美して絶賛してくれていた。心地よい関係に欲は出て、外で遊びたいと思うことも多くなっていた。

No.114 10/03/17 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


たまには外出デートしてみたいわと、彼に打ち明けてみた。街を歩いたり、お買い物したり、映画も見に行ってみたい。もう10年以上は、男性とデートという雰囲気を味わっていない。
『……。
それは無理だよ。』

ショックだった。彼はやはり私と外で堂々と 歩けないのかしら…私が人妻だから気を使ってくれているの?私がオバサンだからかしら…。彼と縁が切れてしまうことを恐れた私は、気にしないで、少し冗談言ってみただけだからと、明るく場を和ませた。
それからも彼は一切変わらずに、愛してる、綺麗だ、僕が守るから…など、たくさんの愛の言葉を囁いてくれた。あまり深く気にしないでおこう…そう自分に言い聞かせ、とにかく綺麗な自分でいたいと、肌のケアやストレッチなど、体重管理も努めた。

娘の調子はどうなの?聞き分けよくスムーズにお勉強出来てるかしら?
そう聞いてみると彼は、ああ大丈夫。彼女は飲み込みが早いから。そう言った。娘も順調、私も色々と満たされ、主人との関係も良くもないが決して崩れてもいない。
ふふ、この程度でも幸せかしらね私…。
そう自分を慰めた。

No.115 10/03/17 08:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


娘は勉強以外でもパソコンに張りついていて、休日も出掛けず、1日部屋にこもりパソコンに熱心だった。小学生までは素直で可愛らしく、私の言うことはきちんと聞く、お利口さんな子だった。中学に入りパソコンを買い与えてからは異様に執着し、休日も出掛けないようになり、私ともあまり口を聞いてくれなくなった。しかし何か言えばきちんと返事を返し、あっさりとした会話の中でも笑顔を見せるし、反抗期といっても反抗する荒い素振りもない。軽い親離れというか、反抗期のごく軽いものだろう…と、さほど気にも止めなかった。パソコンの何に夢中なのかも少しは興味もあったが、私自身、機械音痴だし、痕跡なく触れる自信もないため、調べたりなど出来なかった。
彼いわく、今の時代の中学生なんて皆そうだよ、ネット社会だし、将来的にパソコンは必需品だから、決して悪いことではないし、心配することはないよ。彼女はきちんと勉強しているんだから、息抜きもないとね…、だそうだ。少し子供が離れたようで寂しいが、現に私も私で恋愛にハマッているし、親子関係も変わっていくものなんだろう…そう解釈した。

No.116 10/03/17 18:17
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ある日、またいつものように、主人の出張中、彼が夜中側にいてくれていた。娘と彼…先生を送り出し、しばらくしてから自宅に入ってもらった。濃厚な時間を共に過ごし、朝方前に彼を送り出した。彼が携帯を忘れていってしまったのに気づいたのは、一眠りしてからでお昼前だった。彼は仕事中だろう…どうしよう…また今日家庭教師に来てくれる日だから、夜渡せばいいか…、そう思った私は、夕食の仕込みに取りかかった。

…ちょっと気になる。見ちゃいけないわよね…。人の携帯は…。でも…ちょっとだけなら…。

私は彼の携帯を恐る恐る開いた。好奇心は止められず、彼への疑いを晴らしたいがために、見てしまっていた。

えっと…。メール…メール…っと。

動悸は激しくなった。なんだか悪いことをすること自体が刺激的で、平凡な主婦の私には少し面白くもあった。


………??

メール相手は私と…あとはほとんど…


リカ??

No.117 10/03/17 20:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


メールの送信受信履歴は、ほとんどが私サユリと、リカで埋まっていた。

リカ……
娘の名と一緒だ。
この女は一体…?

好奇心は止まらない。内容まで見てしまっていた。

リカへ(君の望むようにしてるけど正直きつい。)
(いつこんなの終わらせてくれるんだ?)
(君に毎日会いたいよ。)
(勘弁してほしい。デートしたいって言い出した。)
(ホームページ見たよ。みんなウケてたね。よっぽどあの女、嫌いなんだね。スッピン運動の画像引いたよ。)
(可愛いリカを早く自分のものにしたい。)


………!!

…なんなのコレ?!

私は混乱した。意味が解らない。どういうこと?彼はこのリカっていう女が好きなの?デートしたいって言い出したって…私のことよね…?なんでこの女に伝えて…?
全く意味不明だが、とにかく彼は私と嫌々つきあっているらしい。勘弁してほしいとのこと…。怒りというよりは、やっぱりという悲しみの方が大きかった。そしてこのリカという女。可愛い、ものにしたいなど彼に言われている…一気に憎しみが湧いてくる。私は受信履歴も開いた。

No.118 10/03/17 20:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


受信リカより
(あんたはまだまだあの女の相手をして。)
(私はまだあなたを認められない。)
(ホームページにたくさんあの女の画像載せたわ。鬼アクセス!)
(ババァが気持ち悪!マジきもい!早く死ねばいいのに!)
(今日の声は異様にきもかった!)
(私に感謝してほしい。先生つけてるから出会いあったのよ、ババァは!)


!?

まさか……


(きついの?ダメよ!まだまだ!先生とママがヤるとこ見んのだけがストレス解消なんだから!まだまだババァ相手に頑張って♪)


……!!?
リカは…娘!?
ババァって…画像って…ヤるの見るって…
一気に血の気が引いた。娘と彼は…?私はその場に崩れ落ちた。


ガチャ…
バタン!


『ただいまぁ』


!?『どうしたの?体調悪いの?』


ダイニングテーブルに塞ぎ込んだ私に、娘は心配そうに声をかけてきた。

No.119 10/03/17 22:30
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ねぇ…大丈夫なのママ?』

私は握りしめた携帯を見せた。

『これ…先生が忘れていったの。講師先の連絡がつけばって思って見ちゃったわ。あなた…先生とメールをたくさんしてるのね。ママ、内容も見ちゃったの。』


『………。』

『どういうことか説明して。私との関係を先生に勧めていたのね?画像っていうのはどういうことなの?』


『………。』

『説明しなさいよ!!!』


私は怒鳴った。


『……ふふっ。』


『バレちゃったんだぁ。そう、私はママが先生とヤってるとこ見てたし、写メ撮ってたよ?気づかなかった?ふふッ…。』


『!!?…な…なぜ!?なんであなたそんな…。』

『自分のホームページに熟女おねだりプレイって画像も貼ったし。もちモザイク無しよ。もろに顔出てるし。』

!?…なんなの一体!この子はどうしてそんな…わけが分からない!頭は混乱し動悸は激しくなる。


『常に自己中心的な考えだもんね、自分だけ可愛いんだからね、あんたは。』

No.120 10/03/18 22:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


まだまだ子供だと思っていた娘。よく見れば、この子の顔にはもう、あどけなさなど無かった。


『…専業主婦って暇だからさぁ、やらしいことしか考えないよね。だからあんたが可哀想だったからさぁ、先生に相手してあげてって頼んであげたのよ。感謝してよね。吐き気するって言ってたんだから。』


『なっ?!……そんな…。嘘よ!!』


『あらほんとよ。』


『ねぇママ。彼は私とすごくヤりたいみたい。私の体を想像しながらあんたで処理してるってさ。』


『ママ…可哀想にね。いくら頑張っても知れてるしね…。先生は私にハマッてるし…。あははは!!あははは!!』



………誰なのこの女は。私の娘じゃないわ……私の子供なわけないじゃない…。


『早く夕食出してよねー。』



…ああ。
どこかで間違えたのね人生を。
終わりにしましょう、リセットしなきゃ…。


私は夕食のシチューに食器用洗剤を入れた。

これから毎日毒を混ぜてあげるわね。
ふふっ…


ふふふ…。


end

No.121 10/03/19 19:43
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★欲望の果て★


私は10代20代女性に大人気の某ファッション雑誌の専属モデル契約をしている。
リン、21歳。契約は3年間…あと2年、契約は残っている。
きっかけは友達と歩いていたらスカウトされ、専属モデルとなるまでの道のりはあっという間に短調なものだった。実際フリーターで適当にアルバイトをコロコロ替えていたため、ギャラ的にも夢のようなお話だった。
昔から身長は168cmと高めだったし48㎏と細身だったから、モデルみたいだねってよく言われていた。顔も自信はあった。大きな目も高い鼻も少しポッテリした唇も大好きだ。


カシャッッ!カシャッッ!…


シャッター音が入れば、たちまち私は可愛く微笑む。色々なポーズに色々な顔。カメラのレンズが私を見つめる。撮影が大好きだ。


もっと、もっと近づいて!
もっと、もっと可愛い私を撮って!
この服もあの服も…なんでも任せて!
私は全て似合うの!
どう?
私、綺麗でしょう?
私、細いでしょう?
皆、羨ましいでしょう?
私に憧れてるんでしょう?


あは!!

あははは!!

No.122 10/03/19 19:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


モデル仲間とはベッタリ仲良くもないし、悪くもなかった。
私たちは常に、昼食!とか夕食!といったものは口にしない。ご飯ものを食べたとしても、1日1食に抑える。1日総カロリーは800くらいまでに抑えたいし、とにかく太りたくない。お腹を出させたくないし、顔をむくませたくない。
ある日、都内の大きな某公園にて撮影中、女子高生に囲まれた。キャーキャー騒いで、細ーい!!マジ可愛いー!!だの、羨望の眼差しで私たちの撮影風景を観察していた。


…はん。私たちはね、あんたたちみたいにマック食べたりミスド食べたりしないの。ウォーキングもジムもストレッチもスイミングも、ほとんど毎日だわ。その間あんたたちはどんどんブタになるんでしょう?違うのは当たり前よ。元々綺麗だけどね、更に上に見えるように顔も少しはイジッてんのよ。努力もしないで羨んだり…バカじゃないの全く…。


私は愛想笑いの裏側に、彼女らへのムカつく思いでイライラしていた。


私だってね。スウェット着て、彼氏とコンビニ行ったりラーメン食べ行ったりしたいわよ!!甘いのドカ食いしたいわよ!!
…ああ、イライラする…なんなのよクソ…。

No.123 10/03/19 20:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私はモデルとして活躍しだして半年で、楽しさ華やかさの裏側に、常にイライラがつきまとっていた。

半年でモデル仲間にこう言われた。

『リンちゃんって【冷たいの】喰ってないのぉ~??』

『……は?』

『えぇ~!!だからぁ~冷たいのだよ~!!知らないの!?痩せ薬~!!』

『……!!?』

『キープすんの大変でしょ~に!社長に言いなよぉ~すぐくれるからさぁ~!あははは!!』

『………。』

『リンちゃん以外みーんな常に喰ってるよぉ!』

冷たいの…薬…痩せ薬って…大体解ってはいるけどなんだかあまり良く思えない。皆してるって…。

そして私はすぐに社長に話を聞いてみた。ああ聞いてきたのかと言われ、太ったかな?とモデルに疑問を持ったら、声をかけて渡していたらしい。大切な人気モデルたちが、太って見落ちするのは避けたいからね、そう言って、社長は笑いながら私に、冷たいの。を詰めた小さな透明袋をくれた。ジュースにでも混ぜて飲みなよ、また再来週でも入り用あれば事務所に声かけなよ、そう言っていた。
教えてくれたモデル仲間に話を打ち明けたら、『ああ!良かったねぇ』の一言だった。

No.124 10/03/19 21:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


……すごい。

ただその一言だった。社長にもらった痩せ薬は1週間、お腹が空かなかった。少しは食べたが、別に食べなきゃそれでも平気だった。飲み物とサプリがあれば、やっていけるんじゃ…と思えた。そしてモデル仲間や周りのスタッフたちと夜飲みに出ても、早朝からの撮影が続いていたのに眠気さえこなかった。寝なくて平気な夜が続いていた。肌に影響が出てはまずいから、半身浴してからはスキンケア、パックにマッサージと丁寧にケアした。やたらと喉が渇くから飲み物はかかせなかったが、1週間もしたら、体が疲れてだらしくなり1日寝込んだ。空腹感が強くなり、ドカ食いもした。

…一体??

社長の言葉を思い出した。再来週にでもまた声かけなよって…。そう言っていた。私は2日ドカ食いしてしまい、体重は1㎏増えてしまった。

そういえばモデル仲間は何㎏位?身長は私とはさほど変わらない…私は実は1番太っているんじゃないか…。皆、前々からこの痩せ薬を使っていたみたいだし…。
私はそれから、事務所の人間だけ見られる個人プロフのファイルを隠れてチェックした。

No.125 10/03/19 21:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ユナ(21)
169cm/45㎏
ミユ(19)
168cm/43㎏
ナナ(22)
170cm/45㎏
マナミ(21)
169cm/44㎏


………?!!!


愕然とした。私と皆さほど身長は変わらないのに、45㎏以上いかないようキープ出来ている…。私は薬を飲み1㎏痩せてはいたが、ドカ食いにより結果太ったから、今は48㎏だ…。皆より3㎏も重い。
今までの自信やプライドが一気に崩れ落ちた。急に自分の体が恥ずかしくなり、とてつもない不安感に襲われた。

それからまた社長にお願いをし、痩せ薬を2回分もらった。2週に1回という約束だった。
体がだるくなったときは、とりあえず食べたら吐くようにした。野菜ばかり取るかサプリのみにした。飲み物中心の生活が続き、2~3ヶ月もそんなことを繰り返すうちに、私は42㎏まで落とせた。


モデル生活が1年たった今は、私は自信に満ち溢れていた。

どう?私、細いでしょう?
綺麗でしょう?
羨ましいでしょう?

カメラのレンズは大好きになっていた。シャッター音が鳴る度に、私はテンションが上がっていく。

あははは!!
私が1番細いのよ!!

No.126 10/03/19 23:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


何故だろう。
自分自身の公式ブログにはたくさんのファンからコメントが寄せられ、雑誌を見ても明らかに私が1番スタイルがいい。細い!綺麗!可愛い!と言われ、美容室に通わなくとも専属ヘアメイクさんが度々仕上げてくれる。ギャラに不満もないし、こんなにおいしい仕事もないだろう。
なのに…なのに何故だろう。
イライラは収まるばかりか、日に日に溜まっていく。
【キメテル】ときは最高に気分がいい、しばらくテンションが上がる。でも痩せ薬が切れてくると、何とも言えない鬱感情に襲われ、不安感が押し寄せてくる。空腹感に耐えながら、イライラは増して爆発しそうになる。
早く…早くまた痩せ薬が欲しい…欲しい…。
公式ブログのコメント欄には、多々アンチからの荒らしが来る。
(痩せすぎっしょ、キモイ骨女)
(リンが1番モデル仲間に嫌われてそう)
(あと2年したら何すんの?TVデビュー?喋ったらバカそう)
(鶏ガラっぽい)

…嫌いなくせに覗いてまでわざわざコメント書いちゃって…暇なやつら、ああーー!クソ!イライラする…。

私はもう週1のペースでも痩せ薬が手放せなくなった。

No.127 10/03/19 23:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ちょっと~リンちゃ~ん!最近ヤバくなぁ~い?
めっちゃ疲労感出てんだけどぉ~?』

『…ああ、ちょっと最近疲れてるし。』

『アレ!ペース早いらしいじゃ~ん?マジ、ハマらないほうがいいよぉ~?うちらみたく月2とかにしときなってぇ~』


うるさい女。私が超細いから結局嫌味だろ、…ったく。いちいち忠告してんじゃねえよ。

私はとにかく痩せていたい。1番綺麗に可愛くいたい。

No.128 10/03/20 08:03
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『うーん…たまにいるんだよねぇー、君みたいな物分かり悪い子。』


私はもう週2で欲しがる位に【冷たいの】にハマってしまっていた。見兼ねた社長はそう言ってため息をついた。


『今の君、綺麗でないよ。今の君じゃ若者女性にはウケない。』


『………?!!!』


『バレバレなんだよ君は。モロに外見に出てる。』

『こっちとしてもビジネスだからね…。余計な虫に追われちゃ芋づる式に色々バレちゃうんだよ。わかるよね?いらん疑いをかけられちゃたまったもんじゃないよ。』

『…契約は今月までということで…。今月、さよならデキ婚しますってな感じの卒業ページ組んだげるからさ。来月誌面4ページで出したげるから。ね?いいね?』


『……あ…水…水ください。冷たいの分けて…お願い……ハァ…ハァ…』


『…君ねぇ。悪いけど雇ってるモデルじゃなきゃあげる必要なくなるんだから。これからは他あたってね。』


『………!!』


谷底に突き落とされた。私は何が間違っていたんだろう。痩せたいから頑張っていたのに…プライベートを犠牲にしてモデルにかけたのに…。

No.129 10/03/20 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


あっさりと契約解除された私は、デキ婚によるウェディング卒業という形でモデル業界に幕を閉じた。

何故?
ああまだ実は太って見えたとか…
何故?
この太もも肉が見劣りしたの…?
何故?
整形が崩れてきたの…?
ああ悔しい!!腹がたつ!!周りの一般女は好きなだけやってるってゆうのに…!!デブばっか!ブスばっかのくせに…なのに、なのになんでみんな…そんな幸せそうなのよ!!私は食べてないのに!努力してるのに!あんたらよりなんで幸せじゃないの…?!


とにかく体がだらしいから苦しい。幻聴さえ当たり前になっていく。


私は使い捨てのモデル業界に、吸われるだけ吸われ、骨抜きにされ捨てられた。



『あっ!!ねぇねぇ!!アレッてさ、最近○○の卒業したモデルの…』
『ああ!!リンでしょ!!』
『なにあれー!!もう確実だよねー!!あのクマありえないってー!!』
『デキ婚とか完璧嘘だよね!ネットでも薬物中毒でクビってみんな書いてたもん!!』
『哀れだね~ああは落ちたくないよね人生~!!』
『ほんとほんと!!』
あははははは!!


今日もまた幻聴が聞こえる。
…あの痩せ薬がまた欲しい…。

end

No.130 10/03/22 13:43
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★姉妹★


お姉様はずるい…。

幼少よりお姉様は全てを手に入れてきた。


お母様から可愛がられ望まれていて、ピアノも歌も演技力も踊りも、全てお姉様のほうが私より優れていた。


…でも優しかったお姉様。いつも私の気持ちを確かめてくれ気遣ってくれていた。


私たちは二卵性双生児だから、顔は似てはいない。だから、お姉様の顔が羨ましくてたまらなくて、私は常に自分の顔に自信がなかったの。


小さな頃、様々なレッスンの先生から私が怒られる度に、お母様はよく私の手を叩いた。様々なジャンルの先生たちを、お母様は私たち姉妹に付けてくれ、全てのジャンルに適応できるお姉様とは真逆に、私は全てに向いていなかった。


手を叩くお母様は、いつもギラギラした目で私を睨みつけ、こう言っていた。


『里奈。悔しくないの?いつも姉に負けて、悔しくないの?』


『悔しくないのならば、私の子供ではありませんよ。』


隠れて泣いていたら、お姉様がいつも側に来てくれ慰めてくれた。


『里奈、私の可愛い里奈。泣かないで。里奈はすごく才能があるの、優しいの。お母様は気づかれていないのだわ…』

No.131 10/03/22 17:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


この広い邸宅はお母様方の姓で華族としての古い歴史がある。お婆様もお母様も親戚関係や利益関係による策略結婚をして、この土岐多家の血筋を守ってきた。


私たちは21となり、お母様は42になった。お母様…土岐多小百合は映画スターだから、お姉様…土岐多優菜も同じ道に進み、今や土岐多小百合の娘として、大注目されている女優となっている。


私は芸能関係には進まず、短大を卒業し、今のところ家事手伝いといった目標のない生活を送っていた。


いつもいつも注目されているのはお姉様ばかりね…。そんな劣等感を常に抱きながら、この屋敷にしがみついて生きてきた。


この私の家には不思議なこともある。ただ口には出してはいけないように躾られ生きてきたから、私たち家族の中では決して話題には出ないが。お婆様は私たちが4~5歳の頃から、三階の端部屋から出て来なくなった。生きてはいるのだが、毎度食事はお手伝いが持って行き、自室にて入浴も済ませている。もう15年はお婆様を見てはいない。不思議なことは、お母様も何もお婆様のお話をしないし、私たちもお婆様の話題には触れない。

No.132 10/03/22 23:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私には好きな人がいた。男性未経験の私は、ただその方を見つめていられるだけで良かった。その方は、お姉様のマネージャーの近藤さんだった。お姉様の送り迎え、お仕事の調整、たまにお母様のお手伝いまでもしていて、うちの家族が非常にお世話になっている方だった。


しかしある日、私は見てしまった。夜中に仕事帰りのお姉様を送ってくれていた近藤さんの車が門に着いた。私はエンジン音に反応してベッドから飛び起きて、一目近藤さんを見つめようと窓のカーテンを少し開けた。飲んで帰ってきたらしく、お姉様は酔ってしまっていて歩けていない。近藤さんがお姉様を支え介抱しながら、二人は門扉を開け庭に入ってきた。そのときだった。二人は抱き合いながら長いキスをしていた。そして家にしばらくいたらしい近藤さんは、朝方前には帰っていた。


お姉様はそう…。ずるいの。お姉様はいつもいつも、私の望んでいるものを持っているの。お姉様だけいつも認められて、いつも優位に立つの…。近藤さんもお姉様のものだったのね。


私の小さな恋は見事に崩れてしまった。

No.133 10/03/23 00:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ある日うちに長く仕えてくれているお手伝いさんとお母様が、慌てたように何かヒソヒソとリビングで話し合っていた。そしてお母様に私とお姉様は呼ばれ、お婆様が亡くなったことを伝えられた。しかし15年も姿を見ていないためピンとこないし、感情も湧かない。それはお姉様も同じようだった。そしてお母様はソファーにドッカリと座り、煙草を吸いながら大きな溜め息をついた。


『とうとう私の番だわ…。』


??……。
私たち姉妹は顔を見合わせた。


『…お婆様は密葬にするわ。棺のお顔を見ても驚かないように。分かったわね。』


意味が分からなかったが、その答えは、私たち姉妹には衝撃的なものだった。


棺の中にお花を捧げようと、お顔の窓をお手伝いさんらに開けてもらい、覗いた瞬間、驚きにより私たちは少し声をあげてしまった。


これは……?!

誰なの?!!


真っ白の長く伸びたボロボロの髪に、しわくちゃな顔。顔は火傷の痕があるかのように赤くただれ、シワが尋常ではなかった。そして驚いたのは沢山の赤い斑点が、お顔や手足にあったのだ。63~4歳のはずのお婆様は、まるで100歳位の老婆のように見えた。

No.134 10/03/23 08:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お婆様の四十九日が過ぎ、納骨も済ませると、お母様は私たち姉妹を呼び出した。


『優菜、里奈。よくお聞きなさいね。』


『私たち土岐多家での掟は、先代が亡くなれば、代々伝わる外見の美しさと引き替えに、通常の倍のスピードで、身体が醜く老化していき、年齢と比例しない、醜い老婆になってしまうの。』


『髪は真っ白となり肌は衰え全てがシワとなり、代々、赤い斑点が身体中に広がるのよ。お婆様もひぃお婆様も、そうやって私たち土岐多の家を守ってくれていたの。』


『これは何百年も前に私たち土岐多家の御先祖様が、若き美貌を長く保つために、平民の娘たちをさらい、常々生き血を吸っていたことによる、殺された女たちの復讐…つまり呪いをかけられたと伝えられているの。』


『あなたたちに話さなければいけない時期がきたのよ、分かるわね?』


『私は今日より、3階の端部屋を自室とし、老いて命の火が消えるそのときまで、永遠に外出することはありません。良いですね?』


『…お母様……。』

No.135 10/03/23 08:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お母様の私たち姉妹に言い伝えを残し、映画スターという華麗なる功績を残し、世間に惜しまれつつも電撃引退、その芸能生活に幕を閉じた。


お母様が引き込まれてから、私は色々と考えさせられた。


私たち姉妹は二人ともに呪いがかけられるのだろうか…。どちらかひとりなのだろうか…。


お姉様も口には出さないが、多分同じように思っているだろう。


私は少し助けられているのではないか…と勝手に考えていた。というのが、…私は男性を知らない。お姉様はマネージャーの近藤さんと密会しているし、確実に男性を知っている。


この土岐多の家の呪いは、男性を知らなければ、呪いは避けれるのではないか…私は密かに少し期待を抱いていた。そして何より私は、お姉様より美貌は数段落ちている。


いつだってお姉様は恵まれていたじゃない…。


呪いはお姉様だけが犠牲となればいいじゃないの…。


私には何も無かったわ。恵まれた才能も美貌も、そして…お母様の愛も…。地位と名誉とお母様をも手に入れていたお姉様。


あなただけにこの土岐多の残虐な罪による呪いが降りかかれば…。

No.136 10/03/23 20:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お母様が端部屋に引き込まれてから、私もあまり自室から出なくなっていた。カゴの鳥のような生活を変える勇気も無ければ、ひとり、この屋敷を出て暮らす自信も無かった。憂鬱な日々に加えて、お姉様の華々しい女優としての活躍が、私をどんどん鬱状態に追い込んでいった。


ある日、お手洗いを済ませ自室に戻っているとき、お手伝いさんたちがキッチンでティータイムの休憩を取っており、ヒソヒソと会話が聞こえてきた。


『……可哀想にねぇ……だろうに……』

『…ねぇ……だから……らしいのよ…』


??…一体何をヒソヒソ話しているの。


私は少し気になり立ち止まって、会話を聞いてしまっていた。


『可哀想にね…。まさか優奈様はお知りにならないわよね。』


『知っているはずないじゃないの!長く仕えている私だけが知っている秘密よ…。奥様は結局お二人にお伝えしないまま、引き込まれてしまったのよ…。』


『あぁ。そうよねぇ…。とてもお伝え出来ないわよね。まさか優奈様が赤ん坊のときにもらわれた子供だなんて…。』


『里奈様だけが土岐多の血の呪いを受け継ぐのね…。』


……な…なんですって?!!

No.137 10/03/23 20:16
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


頭が混乱して目眩と吐き気がした。
お姉様がもらわれた子供…?そして私だけが土岐多の人間…?なんですって…。
じゃあ、私たち姉妹は血の繋がりのない…他人?二卵性双生児なんかじゃなく、全く無関係の…。


何故!?ならばどうしてお母様は、お姉様ばかりを可愛がっていたの!?実子の私には何故そっけなかったの!?どうして…どうして…


何故!!!!


思い出す…。
お母様の言葉を。


【里奈。姉に負けて悔しくないの?
悔しくないのならば、お前は私の子供ではありませんよ】


お母様は…?
実子の私に姉に負けてほしくなかったの?
どうして女系家族に女児が生まれたのに、お姉様を引き取ることになったの…?


お姉様。
あなたにはもううんざりよ。
他人のくせに地位と名誉、美貌と栄光を手にして…。
そして他人だからこそ、土岐多の呪いには無関係なのね…。
あなたはずっと永遠に老化することなく、美貌を保っていられる…。
老婆になり引きこもるのは…この私だけ。
はは…。
あはははは!!

何よそれ!!
何よそれ!!

あはははは!!

No.138 10/03/24 22:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お姉様は久々に1週間程度、まとまってオフが取れたらしく、私たち姉妹は数ヵ月ぶりに夕食の席を共にした。お姉様は一緒に夕食を頂くのは久しぶりよね、と言いながら微笑んだ。


夕食を済ませると、私はお手伝いさんたちに、お姉様にお話がありますから、二人きりにさせてもらえるかしら、と言い、お手伝いさんたちを下がらせた。
お姉様が『…なにかあったの?』と不安げな顔つきで私に問いただす。


『…お姉様。お母様が自室に引き込まれて、私色々と考えていたの。』


『伝えるか伝えないか…。けれど私は、もうハッキリとしたほうが良いと思ったの。』


『……なにがあったの…?』


『お姉様は信じられないかもしれないけれど…。これは多分真実なの。』


『お姉様…。お姉様は養子なの。土岐多家の血筋では無かったの。私とも双子ではなかったの…。実子は私だけ…。』


『…………。』


『信じられないと思うわ。でもね、私、お手伝いさんたちの会話を聞いてしまったの…。お姉様、私はとても驚いたわ。まさかお姉様と私が、血の通わない他人だなんて…。とても理解に苦しんだの。』

No.139 10/03/24 22:41
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『お姉様。ごめんなさい…急に私、こんな話…。』


私はとても気まずいような喋り方をしながら、内心、清々しい気分を味わっていた。


何故だか分かる?

初めてお姉様より優位に立てたから。
初めてお姉様に対して優越感を味わっているの。


あは!!
あはははは!!
どう?
傷ついて悲しむ気分は…。


『里奈…。私は全て子供の頃から知っているのよ。』


……?!!


な…そんな…何故…?!!


『私はね、里奈。全て知っていたの。お母様はね…私に全てをお話してくれていたわ。内密にねって忠告され続けてきた。』


『お母様はね…こう言っていたわ…。私を養子でもらった理由は…土岐多の血筋の呪いを終わらせたかったと…里奈を最後の血筋として止めておきたかった…だから私を土岐多の人間として、新たに家系をスタートしてほしいと…家と違う血筋で家系を守っていってほしいと…。』


……そんな…なんてこと…!!お母様の理由は…私で、この残酷な血筋を消し去ろうと…だからお母様を……。


『里奈は知ってしまったのね…。』

No.140 10/03/25 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『里奈…。私はお母様の言付け通り、近い将来、近藤さんに家に入ってもらい結婚するわ。そしてゆくゆくは子供を生み、新たに家系をスタートさせる…。それがお母様の願いだったから…。』


『お母様には感謝しているの。新たなる血筋のため、たくさんの教養を私に身につけさせてくれ、力を注いでくれた…。』


『里奈…。お母様がね、私だけを見ていたのは、私が土岐多の新たなる人間となることを決めていたからなのよ…。』


『あなたは最初からお母様には見えてはいなかったの…。子供の頃から事情を知っていた私は、あなたが哀れでたまらなかった…。』


『だからね里奈…、子供の頃からいつも私はあなたを励ましていたでしょう?』


『あなたはお母様が亡くなられたら、老化が進む…そしてあのお部屋に引き込む運命なの…。』


『可哀想…。本当に里奈は可哀想だわ…。』


………はは!!
あはははは!!


お姉様。
どこまで私を蔑めば気が済むの?どこまで馬鹿にすれば気が済むのよ…。
あなたはもう、私の手で始末しなければ…。


それが私の宿命。


end

No.141 10/03/26 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


お目にとめて頂きありがとうございます!性欲に堕ちた母親の話、痩せたい願望に堕ちた若い女性の話、呪われた家系の話。。書きました!
今のこの世の中は、母親が我が子の世間体や上っ面ばかりを気にして、きちんと内面を重視した子育てをすることが出来なくなっているような気がします。そして親であっても自分の方が大事だというような人も、ニュースで見たりしますよね。兄弟姉妹であっても、異様にどちらかに執着し、注目されなかった子供が将来的にコンプレックスから、犯罪を犯したり、我が子の愛し方が解らなかったり…。親の育て方で殆ど決まると言っても過言ではないでしょう。若者も痩せたいとかあれがほしい、これもほしいとか…欲望の理性的ブレーキが壊れているような気がします。
そんな今の世の中を見つめていて、自分はどうしたらいいのか、自分はどういうふうに子育てしていけばいいのか…など、一人の時間、よく自問自答をします。難しいこともあるけれど、逃げて楽になろうとしても、違うトラブルが訪れると思うのです…。日々勉強だなって思います…(泣)

No.142 10/03/28 22:17
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


心に余裕のある女

が、私の思う、いい女の理想像です。心に余裕があるということは、心が広い大きい=穏やかということに繋がり、そして、余裕があるからこそ、人を思いやれるんだと考えます。現実は厳しく生活に追われる、そのなかで、家族や友人知人、恋人、同僚など…自分は差し置いて、人を思いやれることができたら…。そんな人は稀でしょうから、理想像なんですよね。理想は理想ですが、近づくことは誰しもが可能なのでしょう。切迫詰まってもニコニコと笑顔で居れる余裕。なかなか出来ないです。(泣)
人を思いやることは想像力ですよね。こうゆう場合はこうしたら傷つけず事が済むだろう…こうゆう場合こう言えば励ませるだろう…とか。想像力は、常に先を読まなければいけない。先々を考えることに脳を柔軟させるには、やはり読書と切り離せません。絵本も小説も、そして映画も、想像力豊かにしてくれる行程かと思います。
優しさ無くしては人間でないような気さえします。他人の温かみに触れたとき、自分もそうでなければ…と考えさせられます。

No.143 10/04/13 08:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★mother★


いつこの悪夢から
目が覚めるの?
いつ私は現実に戻れるのだろうか。
人が死ぬこと。
それはもう姿形が無となり骨となり
そして
もう話が出来ないということだ。
最後の会話は
そっけなくて覚えてはいない。
父の死。
そして母の死。
全ては長い夢の中であってほしいと願う。
目が覚めたら
あの白い家で談笑して
またたくさん言い合いしたい。
私を置いていって
旅立った天国の
居心地はどうなの?
お母さん。
お父さんに会えた?
あなたたちの思い出を胸に
悲しみは渦巻く。
馴れ合いは深い愛情の証だった。
置いていかないで。
遠い所にいかないで。
いつこの悪夢から目が覚めるの?
早く現実に戻してよ。
神様。
この世は平等なの?
たくさんの施餓鬼供養に意味はある?
徳を積んだら両親を返してくれるの?
早く私が目覚めれば
両親に会えるはず。
この現実は
夢なのだから…。

No.144 10/04/14 08:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★邪道★


小6の担任に怪文書を自宅へ送りつけたのは私だよ。あのクラスメートたちは今更驚くだろうか。
あの若かった女担任はクラスの女子を集めてこう言った。
『ひとりひとりの嫌いな所を言っていこう』
みんな、ひとりずつに、女子全員が嫌いな所を打ち明けていった。
それが怪文書を送った理由。
何度も何度も私だけ名前を間違えて出席取ってたよね。
頭悪いと思ってたけど、教員試験て難しいだろうしね。
わざとだったんだろうね。あの女は当時25歳だったかな。
嫌いな所言い合って、それからクラスの女子はギクシャクしないと思ったか?
バカな女だった。
ひいきも激しかったし。
怪文書も私だとは気づかなかったでしょう?
そう。
犯人は私。
クラスメートだったみんな。
未だに犯人探ししたりする?
今更だよね。

No.145 10/04/15 17:04
優花 ( ♀ 6VhO )

★創造の罪★


どうしてイヴは果実をアダムに勧めたの
蛇にそそのかされたから?
でも蛇が悪巧みをしなくても
イヴはアダムを騙しただろう
イヴは神が怒りエデンの楽園を追放すると
計算していたのではないだろうか
ふたりの愛を誓う代償に
アダムとイヴは男30人女30人の子を生み増やしたと言われる
神は命の木と善悪の木にわざと果実を実らせたの?
神が人間を創造した時代から気が遠くなるほどの年月を越え
そして今現在私たちは私たちの時代を生きる
神よ
人間が生きるこの世は平等な世界なの?
お釈迦様
あなたは一体どれだけの輪廻転生を繰り返した?
私のこの人生が修行ならば
もうこんな修行は終わりにしたい
苦し紛れには
愛する人に看取られ
旅立ちたい
もう悲しまないで
小さな私
もう苦しまないで
大丈夫だから
もう泣かないで
人間を創造した神は
どんな未来を与えるの?
応えてよ

No.146 10/04/16 17:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★希望★


小さな女の子と男の子。煌めく星空を見上げて、ふたり肩を寄せ合う。響く罵声はキレイな音楽で消して、ふたりの希望を星に託した。笑われてもけなされても、傷ついた小さなふたつの心は、ふたりの成長の糧となった。女の子、男の子。生きていれば必ず幸せは見つかるから。どうか希望の光を見捨てないで。苦しんだら、私がタイムマシンに乗っていつでも助けに行くよ。泣かないで。今の辛い現実には必ず終わりがくるから。可哀想なあのふたりをどうか許してあげて。あなたたち小さなふたりを必ず助けてあげるから。


どうかこの声が星空に届きますように。

No.147 10/04/19 23:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


雨音に慰められる夜更け。悲しみのワルツに身を寄せ、涙の雫を飲んだ。
ねえ。
もしも解り合えていたら、こんな結末は迎えていなかったの。
偶然に思える過去には、深い意味があったの。
現実は結果論。
狂おしいまでに、もがき渡り歩いてきた。
何ももう望んじゃいないよ。結果は現実だから、何も変われはしない。
神や仏に私のちっぽけな悲しみの声は届くかしら。
果てなく続いていく迷路の幸せ。明日は何があるのか分からない。
今を生きろ。
今を楽しめ。
今この時間を大切にしなければ。
私には消え失せたもの。皆が当たり前に恵まれていても、私はこの視界に背を向けない。
きっと精神病。
だから私に構わない。


それでいいのよ。


私は私ただから。

No.148 10/04/21 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★引き換えた不幸★


ずば抜けた容姿や、地位や名誉や富を手に入れてしまった女性達は、高く高く登りつめたために、高い場所から転落して、そして命を落とすのよ。知っている?

楊貴妃、小野小町、クレオパトラ、マリーアントワネット、西太后、グレタガルボ、グレースケリー、ダイアナ妃、マリリンモンロー、ジョンべネ…などなど。

悲惨な結末、悲惨な運命。可哀想にね。
美しさや地位や名誉や富と引き換えた代償は、あまりにひどく、残酷だ。
じゃあね、これといった幸がなく、引き換えるべきなはずの不幸ばかりが襲ってくる人生って…。一体なんなの?
不幸が襲うのならば、幸福がないなんて、おかしいんじゃないの?
皆さん、とてつもない幸福を先に手に入れていたわけでしょう?


見過ごした幸福。
直視する不幸。
今の私には、全てがモノクロに映る。

No.149 10/04/22 21:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★言霊★


人間が吐く言葉には言霊がある。
心地良い波動。
凶暴な波動。
ゆるやかな波動。
荒々しい波動。
言葉はどうしてこんなにもどかしく
難しいのだろう。
どんなに周りに伝えたくても
どんな言葉も軽々しく思えてしまう。
愛しい人に愛しいと言えば
なんだか自分の愛情を軽く伝えたような気さえしてしまう。
そして言葉は凶器となりさえする。
傷つける失言や暴言。
こんな言葉は使いたくないのに
頭の中で適切な単語が見つからない。
言霊は波動を出し
自分の見えない膜となりオーラとなる。
重大な人生のシーンでも
うまくは適応できない。
私は過去何度言葉の過ちを犯したのだろうか。
愛しい人たち。
ごめんなさい。
辛かった人。
うまく言葉が見つからないまま
励ませなかった。
ごめんなさい。
記憶の中で桜が散る。
思い起こす春は
私の瞼のスクリーンに鮮やかに映った。

No.150 10/04/24 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★お姫様★


私はね、いつだってお姫様だったのよ。
なんだって欲しいものは手に入れてきたの。
なのに…
なのに…
どうしてこんなことになってしまったの…?



私は一人っ子だった。両親は10年近く子宝に恵まれなかったらしく、30半ばでやっと待望の妊娠。そして私が生まれた。そういった過程において一人娘の私は、それはそれは、本当にお姫様のような扱いだった。パパもママも私に甘く、パパは大企業の役職会社員で人並みよりは裕福であったし、ママも裕福な実家のお嬢様であったから、私は両親から、そして祖父や祖母から、多大な愛情を受け、欲しいものは何でも買ってもらいわがまま放題生きてきた。
幼少期からお姫様だった私には、小学生になり物心がつくと、周りとの違和感に戸惑いだした。私がすぐに手に入るものは、みんなはお誕生日やクリスマスにやっと買ってもらえるという。服もワンシーズンに何度も同じコーデ、鞄も靴もいつもみんな同じ物を身につける。私自身、毎日違う身なりだったから、周りとの違和感に疑問を持ち、そしてだんだん羨ましく思われる優越感が気持ちよくなっていった。

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