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優花( ♀ 6VhO )
12/06/13 08:22(更新日時)

詩や小説など
独り言など・・
思いのままに
気ままに
マイペースに・・
更新したいと思ってます
乱雑な稚拙文章をお許しください・・



∮welcome∮

No.1161258 09/07/16 22:31(スレ作成日時)

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No.1 09/07/16 22:42
優花 ( ♀ 6VhO )

★アダルトチルドレン★


なんでだろう
小さな頃から
幸せなんて
一瞬だった。。
手のひらから
サラサラ砂のよう
青い鳥が
すぐにわたしから
飛び立つの


幸せ?
幸せなんて
あったかな。。
思いかえせば
すべては
恵まれてはいない
世界だったから


売春婦は言うよ
信じられるのは
欲望の瞬間
大枚で頬を叩く瞬間
幸せになれるよ


実業家の社長が言うよ
子供の頃ね
替えの服がなくて困ってた
だから今は大枚が
僕を守ってくれてるんだ
幸せだよ


わたしは
すりぬける
甘い匂いに
誘惑されて
たくさんのジュース
飲み干すの


だって
幸せなんて
わたしには
どんなものか
分からない


だから
知りたいの


真実を。。

No.2 09/07/16 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★晩餐会★


だれもかれも
ザマス眼鏡をかけて踊っているんだ


黒いサテンの羽織を一枚
そして
男も女も
奇妙な音楽に合わせてゆらゆら踊っているんだ

立食晩餐会
けれど
お洒落な赤布の丸テーブルには
ご馳走はない
形式だけの銀のお皿


ほら
ひとり女が
テーブルで手招き…
ひとり…ひとりと近づくよ
男も女も関係ない
女も女を狙うんだ


踊り狂う
サテンの羽織が飛べば
生まれた姿


男も男を
誘ってる


さあ
晩餐会
どんな夫婦も
恋人たちも
集まってくる



満月の夜

No.3 09/07/16 22:58
優花 ( ♀ 6VhO )

★愛憎★


あなたは
どうして
置いてきぼりに
できたの?


あなたの
匂いが染み着いた…
私は
一体どうすれば
いいのですか?


あなたの
指先を
私の身体が
覚えてる


あなたの
耳も目も舌も
すべてを
飲み込めば


この憎しみは
綺麗に
消えてゆくのでしょうか?


あなたは
私を弄んだの
だから次は
私が弄ぶ…



すべてを
飲み込めば
いいのでしょう?

No.4 09/07/17 08:00
優花 ( ♀ 6VhO )

★欲望の果て★


さあ
今日も
可愛く弱い
私の奴隷たちを
卑劣に
綺麗に
窮屈に
自由に


虐めてあげましょう…
たくさんの愛を
与えながら


あんたたちの
地位や名誉や富を
すべてを
忘れさせてあげる


忘れたいでしょ?
すべてを
棄てきれず
欲望は
満たされず
だから
私を求める
あんたたち…


今日も
たくさんの愛を
そして
たくさんの傷みを
快感を


私の脚を
どれだけ舐めれば
あんたたちは
満たされるのかしら?


世の中の縛りが
解き放たれた瞬間
あんたたちは
私の欲望の奴隷


そして
私は
あんたたちの
欲望の果て

No.5 09/07/17 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★罪と罰★


この険しく辛い道のりは
激しい傷みは
辛い現実は…


きっと
あなたが
用意したのね


私の
犯した罪
そして
あなたが用意した
私への罰


あなたに
償うために
この道を
ただひたすら
出口のない道を
きっと私は
ずっと
歩いていくのね


苦しいよ
悲しいよ
寂しいよ


だけど
それは
あなたが用意した道


私が
受けなければいけない罰…

No.6 09/07/17 08:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★純愛★


あなたが
望むなら
すべてを
あなたのために


あなたが
望むなら
私は私でなくても
いいのだから


私は
あなたに
支配されていい


見返りは
望まないわ
あなたは
あなたの
好きなように
したらいい


私は
あなたが
何をしても
許せてしまうの


あなたのすべてを
受け入れられてしまうの


あなたが
望むなら
この地位も名誉も富も
すべて
投げ出して
かまわない


きっと
あなたのすべてを
飲み込めるの…

No.7 09/07/18 01:14
優花 ( ♀ 6VhO )

★自慰★


自分を慰める時間
あなたは何を
想像しますか?


…私は。
片思いの大好きな彼を想像するの
そう
大好きな。


彼がね
たくさんの女の首に手をかけて
絞めながら…
そして
笑いながら
ゆっくり強く
絞めながら…


そして最後に
魂の抜ける瞬間
最高潮に達した
彼の性欲


何人も
何人も
絞めながら
魂の抜けた女に
興奮する彼をね


いつも
想像するのよ

No.8 09/07/18 08:16
優花 ( ♀ 6VhO )

★純白★


汚れのない女
純白のベールをまとい
金のなるチャペルを
くぐりぬける

汚れのない女
擦れてない
揉まれてない
何も知らない
純白のベールは
女と同様に
白すぎる


汚れのない女
何も知らない


そう
知らないふり…


それでいい
知らないふりで
いいの


中身は黒く黒く
黒すぎた


多くを知りすぎた女
だから
純白のベールと
変わらず
私も白く白く
純白でいなきゃ
いけないの


黒く汚い自分を隠すために

No.9 09/07/18 23:05
優花 ( ♀ 6VhO )

★アンナ★


彼女を愛した私は
レズビアン
彼女が愛しくて
たまらなかった
だから
だから
彼女をいつも
求めてしまった
彼女の左手薬指にキスをかわして
腕を愛撫して
首に愛撫して
頬に愛撫して
口づけをかわした
甘い香りに
せつなくなって
どうしようも
なかった
長い黒髪を
撫でながら
下へ下へと
優しく愛撫した
花園は甘い密
長く細い脚も
私のものなの


ねえ
お願い
もう一度声を聞かせてよ
返事をして
手錠ははずしたわ
だから
お願い
もう一度
声を


彼女がただ
ほしくてたまらなかった
それだけなの

No.10 09/07/19 21:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★秘密★


黙って
お願い
いまだけ
あなたのぬくもりを
感じながら
なにもかも
忘れていたいの


ただの
籠の鳥だった
私のような
平凡で清い女を
あなたは
変えてしまったのよ

白は少しの黒で
瞬く間に
黒く変貌するのよ


私はもう
黒い女
いつも
いつも
あなたに
抱かれていたいから
離れてても
いつも
思い出してるの


あのひと?


……ふん
知らないわ
あんな
つまらない男
ただ稼ぐしか能がないダサい男よ
抱かれても
吐き気がするだけ


あなたは
私の富が
目的ではないの?
それが目的でも
いいのよ
結局は…


ただ
抱かれていたいの


だから
いまだけ
黙ってちょうだい

No.11 09/07/20 21:04
優花 ( ♀ 6VhO )

★モノクローム★


すべての世界を
すべての景色を
すべての色彩を
なくすために
サングラスをかけた


ほら
やっと
視界が遮られた


君だけを
見ていたかったのに
君以外は
なにもかも
見たくなかったから


汚ならしい
メスブタたちよ
俺のすべてを
欲しがりやがる


皮っつらだけを
欲しがりやがる


君だけを
見ていたかったよ


だから
サングラスをかけた


きっと
モノクロームな世界でも
君だけには
色を感じるんだろうね…


叶わないひと
罪深い…


君は
壊れた俺を
どう思うのか?

No.12 09/07/21 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★冬★


白い息
あれから
三度目の冬
冬の季節は
好きだけど
冬は
辛い。。

思いだすから
彼の白い息や
ハラハラ舞う粉雪
長いマフラーを
寄り添い
ふたりに巻く
彼の腕とか
大きな手とか
長いキスとか。。


彼と
ずっと一緒にいた冬

今年の冬も
また
私の瞼に移る
彼との思い出。。

No.13 09/07/21 22:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★シンデレラの真実★


シンデレラ…それはそれは、本当に綺麗で美しい顔立ちで、細くて華奢な女の子だったよ。表側では裕福な父親が亡き後、継母と義理姉ふたりにコキ使われて、最終的には魔法使いのお婆さんの力で舞踏会に行けて、王子様にガラスの靴を拾われ探しあてられ、結ばれた…と、語り継がれているんだろ?
ハハハ!笑えるな。シンデレラはそんなしおらしい弱気な女の子じゃなかったよ。それはそれは本当に【悪女】だった。継母と義理姉ふたりはね…反対だよ。弱みを握られシンデレラにコキ使われていたんだよ。魔法使いのお婆さんなんて居なかった。ドレスやガラスの靴はシンデレラの魅力に取りつかれた街の商人達が仕立てて運んだんだ。シンデレラは淫乱でかなりサディスティックだったよ。たくさんの男はシンデレラの虜で何でも命令を聞いていた。
舞踏会に行けてわざとガラスの靴を置いて帰ったんだ。そして王子様に探してもらい猫をかぶったまま結婚したんだよ。
いま現在もシンデレラ女はたくさんいるんじゃないのか?
結局女は皆、心の奥底にシンデレラが住んでるだろ?
王子様は富だけが魅力のインポだったからな…それが真実だ。

No.14 09/07/21 22:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★天国★


天国に連れてって
快感の加速は
早く
早く
早く……
今宵も乱れる
蜜が溢れて
またあなたを
興奮させる
あなたの指先で
何度も天国に
昇ってしまう


今宵も
乱れる
壊れる
乱れる
壊れる


素敵な夜を
快感を
甘い天国の味

No.15 09/07/21 22:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★歪んだ愛★


静かに眠ったあなたに口づけを
髪を撫でて
顔中優しい愛撫を


舌も
耳も
瞳も
なにもかも
残らず


…頂きましょう
美味しいあなた


私たち
ひとつに
なれるのよ


指は
最後に
頂くわ…
優しい愛撫の後に

No.16 09/07/21 22:42
優花 ( ♀ 6VhO )

★狂った女★


『君はおかしい』

『狂ってる!!』



…ふん。
なんとでも言って
あたしは狂ってるわ
自分でも解ってる


あんたたちの首を締めあげながら
苦しむ顔を見上げながら
最高級のエクスタシーオーガズムを
性の神様が
降臨するのよ


あんたたちが
死への恐怖を
感じる瞬間
あたしは最高に
興奮するのよ


一体
なにを求めたの
このカラダでしょう


このカラダを
頂けるならば
我慢しなさいよ


おかしい?
狂ってる?


あんたたちは
常に正常で
いたいのね


もがいて
苦しんで
なんてゆうの?


ママ!!って?
ハハハ!
笑っちゃう!!


さあ
今日の獲物は

黙って天国に
向かうかしら?

No.17 09/07/21 22:48
優花 ( ♀ 6VhO )

∮御礼∮


もし覗いて読んで下さっている方がいましたら、本当にありがとうございます。
素直に嬉しいです。
詩やショート小説はすべて想像世界なお話なのですが・・
楽しんで頂ければ幸いです☆☆


マイペースにこれからも更新していきたいと思っています。
詩、ショート小説、言葉遊び、独り言など、想像・妄想な世界を書き出すことは昔から趣味で楽しんでました。


マイスレ登録して頂ければ嬉しく思います☆☆



では
失礼します🎵

No.18 09/07/22 08:14
優花 ( ♀ 6VhO )

★眠り姫の真実★


百年の眠りについた後、眠り姫はいばらの道を通過できた、勇気ある王子様に見つけだしてもらい、キスにより目覚めた…


ハハハ!!
ハハハ!!


眠り姫は百年眠ってなんかいなかったさ!寝たふりをしながらも自慰行為をし、お城の塔で働く家来たちを最上階の自室に入れ替わりで呼び出しては、性行為を繰り返していた。


ああ勿論、王様には秘密にね。世間一般には【百年の眠りについた美女】だったからさ。淫乱な姫は、何度も何度も性行為を繰り返しながら、ほぼ毎日頂点に達して、百年、いばらの道を通過できる勇敢な王子様を待っていたんだよ。


姫は百年たったら、王子様が迎えに来てくれると、あらかじめ解っていたからね。


したたかな計算高い淫乱だった姫。それが真実なのさ。

No.19 09/07/22 20:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


金髪に下着だけの女たちが軽やかな踊りを見せつける
ショーを見ながら安酒をかわし談笑する男たち


入口に立つナイフを頬に当てた男は、不気味な笑みで金髪の女たちを見つめてる
不思議ないつもと変わらない夜


悲鳴はいつもと変わらず若い女のかん高い声
不思議ないつもと変わらない夜


飛び散る血華はブロンド女に似合う
ナイフの男は今宵も満足な笑みを浮かべる
不思議ないつもと変わらない夜


ああ
なんでこんなに
刺激のない街だ
この街のどこに刺激があるというのだろう…


不思議ないつもと変わらない夜


全く変わらない
平凡な夜

No.20 09/07/22 20:50
優花 ( ♀ 6VhO )

★キス★


彼はキスが
上手だった
だから愛しく
思えてきて
唇を
噛みくだいて
食べちゃった


キスは大好き
愛しくなって
興奮するの
ああ…
この唇を
食べちゃいたい
我慢しなきゃ…
ああ…
感じる
興奮する


食べちゃいたい


彼はキスが
上手だった


だけど
もうキスは
できないの


できないの…

No.21 09/07/23 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★境界線★


どこまで
追求していいのか
どこまで
理解していいのか
どこまで
望んでもいいのか
どこまで
押さえていいのか
どこまで
叫んでもいいのか
どこまで
苦しんでいいのか
どこまで
触れてもいいのか
どこまで
偽善者でいいのか
どこまで
支配者でいいのか
どこまで
悪態でもいいのか
どこまで
歓喜していいのか
どこまで
悲観していいのか
どこまで
傍観していいのか
どこまで
感じてもいいのか
どこまで
嘘つきでいいのか
どこまで
無言でもいいのか


どこまで


どこまで……

No.22 09/07/23 22:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


星に見守られ

月に微笑まれ

太陽に見捨てられ

幾度も罪を重ねたね

血華を飛ばして

笑いあった

首を締めあい

涙が流れた

あなたの右目

わたしの左目

すべてを
見透かした

哀しみも
せつなさも
解りあえた

寂しさも
苦しみも
解りあえた


罪は消えない
太陽は見捨てたよ
わたし達を


それでも


お互いを求める
わたし達


世界中を敵に
手に入れた幸せ
泡のように
いつか
消えてしまうの?


今夜も

星に見守られ

月に微笑まれ

罪を重ねる
わたし達

No.23 09/07/23 23:49
優花 ( ♀ 6VhO )

★記憶★


封印した幼き頃の遠い記憶。思い返せばバラバラのピースはまとまらない。防衛本能で封印した。自分を守るために。思い返したくないし、思い返せば動悸は止まらなくなる。ストーリーは曖昧だ。たくさんのシーンはバラバラのピース。
何故あの場所で遊んでしまったのだろう。何故あの子は足を滑らせた?何故転落したのは自分じゃなかったのだろう。あの子と引換に自分が転落すれば良かった。そうすればきっと私もこんなに苦しまずにすんだのに。罪を背負う苦しみは生きる希望も灰色と化す。
あの子はまだ病院で深い眠りにつく。あれから何年たったのだろう。20年を過ぎても私の心は脅えている。あの子の辛さや苦しみはすべて私が受けなければいけないのだから。だから私が眠りにつけば良かった。
神は私をすぐには逝かせないだろうな。簡単には楽にさせないんだろう。罰は重く私にのし掛かる。
バラバラのピースはまとまらないまま、封印した遠い記憶。時間は戻せない。許されない罪と共に時間を重ねた。



今夜も眠れない…

No.24 09/07/24 08:00
優花 ( ♀ 6VhO )

★トリップ★


飛んだら
たくさんの
雪光
ハラハラキラキラ
モンスターと化した
敵たちは
私をひどく
脅かす


何故私には
学習能力が
備わっていない?


父さん
罪を犯す娘を
傍観しながら
酒に溺れたの?


母さん
純白な心に
邪心が生まれた?


つまらない日常を
飛んで
この雪光のなか
モンスター達と
時を刻む


逃げ道は
遠回りなんだと
誰かがいつか
教えてくれた


飛んだら


…ほら
もう大丈夫
何も恐くない


トリップ

No.25 09/07/24 23:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★ものさし★


自分よりも
不幸な人を
見ては慰められ

自分よりも
幸せな人を
見ては妬んでる


自分の
幸せのものさしは
他人の不幸だ


自分の
不幸のものさしは
他人の幸せだ


きっと
私の存在を
私の価値を
私のせつなさを
私の苦しみを
私の悲しみを


分かってくれるのは

君だけだから


だけど無性に
不安になる
自分は幸せか
それとも
不幸なのか


心のものさしは
君には
理解できる?


幸せは結局


自分の
向上心から
沸き上がるもの


いつか
ものさしを
棄てることが
できるの?


君に
訪ねたい


幸せかと…

No.26 09/07/25 21:42
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


沈黙したあなた
美しいよ

アンティークの
お気に入りの椅子
縛りつけられた
あなた
美しいよ

残酷な
クラシックに
夜中の雨音は
せつないね

煙草に
火をつける
あたしを
睨みつける
あなたもまた
美しいよ

悲しいね…

動けないね…

騒げないね…

涙は
飲んであげるよ

でも残酷に
虐めてあげたい

クラシックは
なにが
好きかしら?

怒った顔も
美しいよ

吸殻を投げ
あなたの顔に
傷痕を

熱いかな
痛いかな

感じるかしら?

顔に傷痕は
良くないから

手足にしようか

残酷に
虐めてあげる

赤いグロスを
血に変えて
飲ませてあげるわ

夜中の雨音が
鳴り響く
クラシックは
なにが好きかしら?


ふふっ
もっと
もっと
もっと
もっと

睨みなさいよ

怒りを興奮へ

導いてあげましょう…

No.27 09/07/25 23:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★星★


遠い場所に
もう二度と
会えない場所へ
旅立ったのね
夜空を見上げれば
たくさんの星光
あなたは
あのたくさんの光の
ひとりなの?
苦しみや
悲しみから
あなたは解放されて
肉体の痛みも
心の痛みも
消えて
無くなった
あなたはすべてから
解放されたのね
もう二度と
会えない場所は
温かいかしら
その場所は
なにもかもが
安らげている?
あなたは
わたしを
置いてきぼりに
できたのよ
わたしは
悲しみや
哀れみや
同情とか
辛いとか
なにも感情は
無かったのよ
そして涙も
流れなかった
あなたは
見返りを求めず
ただ愛情を
注いでくれたのに
信じたくなかったから泣けなかったのかな…
あなたの娘で
良かったという
良心と
あなたの娘で
辛かったと思う
罪悪感と
あなたは
わたしを
望んだよね?
わたしと
きっと
離れたくなかったよね?
思い出は
星空に浮かぶ
思い出は
心に写りだす
わたしが
過ちを犯した日々
その罪は
あなたを
狂わせたんだ
だから
辛くて
逃げてしまった
認めたくて
認めたくなかった
あなたのこと
謝るよ
夜空に
たくさんの星
あなたのいる
星空に

No.28 09/07/25 23:40
優花 ( ♀ 6VhO )

★狂猫★


黒猫は
何度も
身ごもって
何度も
子猫を生んでは
噛みころしてた
どうして
そんなに
身ごもるの
どうして
そんなに
イカれてるのよ
黒猫は
凛として
気高く構え
メスの
身体つきだった
甘えては
棄てて
身ごもっては
噛みころした
我が子
その
サディスティックな
思考回路が
気になって
黒猫に
近づいた
あんたの
勝手は
残酷で罪深いのよ
あたしが
制裁を
あたしが
復讐を


復讐を…

No.29 09/07/26 22:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


カラダを捧げて
汚い豚たちの
奴隷になった
その汚れない
16の少女は
女へと変貌を遂げた
嘘が上手くなる
演技をして
涙も流さない
汚い豚たちの
嘘ばかりの行為
いま我慢すれば
あとは楽しく
暮らしていける
汚れかった
16の少女も
純白に邪心が生まれ
黒い女と変貌を遂げた


偽り
苦悩
迷い
挫折
邪心
快楽
略奪
甘美
窮屈
自由


汚れない
16の少女は
後戻りは
出来なかった
未来から
目をそらして
その世界に反抗し
その純心は壊れた



もしも
逢えるなら
慰めに行きたい


あなたは
大丈夫
壊れてないよ
黒くない
白い少女だ
なにも
誰にも
責められやしない
あなたはあなた
全うに
生きてほしい


お願い…

No.30 09/07/27 07:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★嘘★


あなたを
愛してます
自分自身より
あなたが
心配で
自分自身より
あなたが
大切です
あなたのために
すべて棄てて
あなたのために
すべて捧げる
あなたの
すべてが
欲しいの



愛してない
わたしはわたしが
一番大切
自分だけを
愛しているの
すべてを
棄てたり
できないわ
すべてが
大切なのだから
あなたのために
すべてを
失えないわ
勝手に満足
したらいい
わたしはたまに
満足するだけ
わたしには
考え事は
たくさんあるの
あなたのことだけ
考えられない


さあ

今日も
嘘ばかりの
わたしの口が
喋りだす



『愛してる』

No.31 09/07/27 20:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★混乱★


混乱する
頭には蛇
首には蜥蜴
南京錠
足には鎖

混乱する

混乱する

激しく
燃えた
放火魔という天使
そしてその裏側で
ささやく悪魔

混乱する

混乱する

錯乱した身体は
身を焦がすよう
たくさんの男と
絡み合っていた

混乱する

混乱する

花を見れば
握りつぶしたくなる
虫を見れば
踏みたくなる

混乱する

混乱する

父さん
母さん
どうして
僕をそんな
疎ましく
見てくるんだ
そんなに
僕は邪魔なのか

混乱する

混乱する

ささやく悪魔は
天使ばかりに
近づくんだ
すべては悪に
染められ
命をとられる

混乱する

混乱する

ああ

僕は…

No.32 09/07/28 08:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


本当は
死にたい
人生において
喜怒哀楽は
わたしには
何の意味も
持たない


本当は
生きたい
子供らの将来を
楽しみに
孫なんか
できたのなら
感動して泣ける
辛い現実も
子供のためならと
頑張っていける


本当は
死にたい


母親であり
主婦であり
そしてわたしは
女である
そしてわたしは
人間だ


周りの容赦ない
わたしへの攻撃は
耐え難いものがある
わたしはヘラヘラと
馬鹿みたいに
笑ってるだけ
なのに
どうして
そんなに
攻撃してくるの
的は結局
わたしじゃなきゃ
面白くないようね


本当は
死にたい


でも
生きたい


一緒に
乗り越えようと
言ってくれる
あのひとも
所詮は敵達の味方
あのひとには
もう一生
期待はしないだろう
そして
いつまでも
敵達をお大事に


敵達は
抱かせては
くれないわよ
抱けるのも
すべての世話も
結局はわたしなの


本当は
死にたい
でも
死ねない


わたしには
愛すべき
守るべき
ふたつの小さな
宝物があるから


だから
死ねないのよ

No.33 09/07/28 22:45
優花 ( ♀ 6VhO )

★夢跡★


時には純愛
時には牙を

時にはクラシックを
時にはハードロックを

時には薔薇を
時には百合を

ふたりの足跡は
誰にも
嗅ぎつかれやしない

快楽に酔いしれ
残酷に振り回す

感じなかったり
無性に感じた夜

ふたりの足跡は
誰にも理解されない

サディスティックに
マゾヒスティックに

頭のなかで
クラシックも
ハードロックも
鳴りやまない

どうにかして

時には純愛
時には牙を

噛みくだいた
肉体からの血華

最高のご褒美

ふたりの足跡は
ふたりの歴史は

愛の形の変化

脅えたわたしは
あなたをもっと
知りたくなる

No.34 09/07/29 08:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★仮面舞踏会★


ほら今宵も
たくさんの飢えた
パートナーたちが
ここに密かに
集まってくる

皆は白の仮面
ふたりずつ
密かに
密かに…

大ホールには
たくさんの男女
黒いサテンの羽織
入り口で別れた
パートナーたちは
もう自分の相手は
見渡す限り
分からない

さあ
皆で踊るよ
モーツァルトでもドビュッシーでも
どんな曲にも
合わせれてしまう

たくさんの男女
飢えた男女

絡み合う
テーブルをベッドに
どこの誰かは
知りはしない
そんなことは
いま無意味だ

踊り合う

絡み合う

緊張と興奮と
快楽と絶頂と
すべて溶け合う
感覚は
男女を世の中から
解放させる


今宵も
仮面舞踏会


たくさんの
白仮面の男女

No.35 09/07/29 22:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


ふいに
涙がこぼれた


こみあげた感情
思い返した記憶
とりみだす自分
悲しみの思い出
消したい過去
苦しみの過去


ふいに
涙がこぼれた


刺激もなにもない
平凡な時間に
追われてしまい
つい忘れた


忘れたふりを
していたのだ


忘れはしない
わたしは常に
他人にとって
邪魔な存在


平凡な時間は
ゆるやかに
そして
あわただしく
流れていく


わたしには
思い返すたび
辛い記憶がある
きっと
他人には
解らない


人々とは違う
わたしは
一握りの少数派
経験した
わたしの不幸話は
だれにも
明かせはしない


ふいに
涙がこぼれた


ふいに
涙が…


止まらない

No.36 09/07/30 21:56
優花 ( 20代 ♀ 6VhO )

★欠陥人間★


なにもかも
欠陥してるの
あたしという
人間は

つまらない意地
ださい劣等感
醜い妬み
うわべの笑顔
醜い身体
欠如した感受性
優柔不断な心情
他人への無愛


欠陥人間は
どうして
生まれて
くるのですか?


つまらない
あたしみたいな
人間は
どうして
生まれて
くるのですか?


神よ
人々が人生最後に帳尻が合うよう平等に作られているのであれば
あの人は
どうして
あんな人生で
短命に
幕を閉じたのでしょうか?


欠陥人間も
まだ心にある
温かみ
どうしたら
普通な人間に
なれるんだよ


無意味なことばかり
起きやがる
無意味なことばかり
求めてきやがる


あたしのような
欠陥人間を
はやく見透かせ


はやく突き放せ


ああ神よ
欠陥人間は
これまでの人生に
幕を閉じたい


なにひとつ
平等な世界は
見えなかったよ

No.37 09/07/30 22:43
優花 ( 20代 ♀ 6VhO )

★無題★


彼女はね
とても皆に
馬鹿にされ
同情され
笑われてた
自分の力では
どうしようもない
親のことや
身体のこと

彼女はね
強いふりをして
気にしていない
ふりをして
夜中は泣きながらも
日々明るく生きていたよ
笑われることを
恐れ怯えて
誰にも相談できなかった

彼女はね
幼少から少女まで
そうやって
苦しみを隠して
生きてきた

彼女はね
16で爆発したよ
この世界は
無意味だと
悟ったんだ
犯罪な世界は
彼女を堕落させ
そして彼女を
幸せにした

回り道をしたあと
彼女はね
大切だったひとを
失ったんだ
彼女は狂った頭を
冷静に抑え
理解しようとした

平凡が幸せなことは彼女が一番分かっている

彼女には
平凡な毎日が
送れなかった

可哀想だと笑う周りの陰口に耐え
笑みで返した毎日

自分には
なにが幸せで
なにが不幸せか
分からないと
彼女が言った

感覚は
失われている

突っ走る行動性は
依存性な性格を潜め
心はもろく外見とは裏腹にもろすぎた


彼女は

いま何を願う?

No.38 09/07/30 23:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★女の子★


女の子は
絵を描くのが
大好きだ
常に絵を描いて
遊んでいる

女の子は
お父さんを描いたりお母さんを描いたり
おじいちゃんを描いたりおばあちゃんを描いたり
お友達を描いたり
動物も描いた

ある日
こんな絵を
得意気に
母親に見せた


檻の中で
母親が注射器をたくさん打たれて
泣いている絵

檻の外で
父親が笑っている


『ふふっ
どうわたしの絵!
上手いでしょう?
これはね
わたしから見た
パパとママよ!


ふふっ


上手いでしょう…?ママ』

No.39 09/07/31 23:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


片手に薔薇を
隠した片手にはナイフを
激情に身を滅ぼし
愛情に罪悪感を
つまらない戯言に
差し出すナイフ
君はいつまで
少女だった?
いつから女に
変貌したんだ?
笑いかけてくる
小さな悪魔は
片手に薔薇を
隠した片手にはナイフを
快楽と堕落
興奮と絶望
つまらない戯言に
差し出すナイフ
生まれついての精神障害者
辞められた犯罪
危険と歓喜
支えられた自分
逃げた君
ショパンとモーツァルトの相性は抜群だ
共に甘美に妖艶に踊りたかった
生まれついての精神障害者
これで君は
窮屈にも自由だ

No.40 09/07/31 23:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★白雪姫の真実★


迷い込んだ木のおうちには7人の小人たち。白雪姫は毎日毎日、7人の小人たちと腰を振っていたよ。奴隷のように快感を味わいながら小人を虐めてたよ。そしてね…毒林檎を渡した老婆は、実は、白雪姫の実母だったんだ。理由?若くて綺麗な娘に幼少から嫉妬してたのさ。だから消えてほしかったんだ。7人の小人たちと散々遊んだあげく、わざと王子様の日課の散歩道で、棺に入り小人たちに祈るふりをさせた。心配した王子様のキスで目覚めたふりをした。そしてめでたしめでたしだ!!

ハハハ!!

そうだ。白雪姫、結婚した後は、王子様の家来たちに命令し、実母を海に沈めさせたらしいよ。火炙りにしなかったのは、せめてもの優しさだって。
大好きな顔が焼けたら可哀想でしょう?
そう言ってたな。まあ、どう語りつがれるか分からないがね…そういう真実だ。

No.41 09/08/01 08:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


無邪気な笑顔に
隠れた邪心
凛とした微笑みに
隠れた計算高さ
良心の呵責
悪態に隠れた優しさ
欲望と純愛
壊れた音色
血華と薔薇
現実と妄想
白百合と雑草

無防備な寝顔に
天使と隠れた悪魔
滑稽な売春婦
哀れな老婆
裕福豚とホームレス


壊せ!!


叫べ!!


突き放せ!!

No.42 09/08/02 00:36
優花 ( ♀ 6VhO )

★目眩★


目眩がする

立っているだけで精一杯だ

最初のひとくちは目線を送った

二度目はあなたに流し込みディープキス

目眩がする

たくさんの宝石が投げられたような

きらびやかなシーン

目眩がする

首を強く締めつけ抱きついた

目眩がする

ひとのものは大好きだからね

たとえあなたじゃなくても

ひとのものを奪う瞬間は誰にでも目眩がするのよ

脚にからまる蛇がはい回る

目眩がする

目眩がする

おとなしくしてったら

もうすぐ

帰してあげるわよ

No.43 09/08/02 22:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★傷口★


他人の手により
何度この傷を
えぐられてきたことだろう
もう聞かないでよ
もう騒がないでよ
触れられたくない

可哀想
同情の上から目線
哀れむ笑み
悪意ある言葉
自分たちの平和を慰めてくれる陰口
嘘偽りだらけの会話

もう話したくない
もう聞きたくない

面白いか
人の苦しみは
面白いか
人の悲しみは


ちっとも夜は明けず太陽の影もない
つまらない話も誰かにするつもりもないから


せめて自分で
傷口を癒してあげようか


大好きな
あの歌を
口ずさんで

No.44 09/08/04 22:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★雨のち晴れ★


天気予報のようね
わたしたち夫婦は

一緒にアイスクリームを食べてベンチにふたり寄り添いあったり
動物園に行ってはしゃいだり
お互いを傷つけあいながらの言い合いをした雨の中のドライブ
誓いあった言葉と共にリング
可愛い子供に恵まれ
可愛い子供に悩まされ
夫婦の役割に不満をぶつけあい帰りがごぜんさまになった時期もあった
女の影もあったし何度も家のものは壊された
そしてお互いに子供が手を離れたら空虚感ばかり
孫も抱けて嬉しかったし
あなたはいつも抱きたそうに照れくさそうに孫を見つめてたわね
ねえ?孫は可愛いわね
責任ないもの
可愛がればいいだけのおじいちゃんおばあちゃんだもの
お嫁さんに怒られちゃうわね
いまふたりにはなにも語らなくとも
会話以上の会話があるわね…
語らなくとも解りあえてる空気がある
ここまでふたり
歩いてきた道は
なんだか
天気予報に思えてならないのよね
雨はいずれ
晴れになるの…


振り向けば
ただ
笑ってくれたら
それでいい

たまに優しいくらいがちょうどいい

いつまでも元気にいてほしい

あなたを残して逝くのは絶対嫌だから

いままで
ありがとう

天気は
雨のち晴れ

No.45 09/08/04 22:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


大好きなお気に入りのテディベアに
大好きなブランドのペンダントを
映画に影響されて真っ赤なペディキュアを塗った
ウィッグもいつも違っていたいの


このバタフライナイフも
わたしの宝物なの


女は弱いふりをしてひと突きで刺すわ
平気にね


大好き
たくさんの可愛いもの
たくさんの服もコスメもバッグも


裏切るから
こうなるのよ
解る?


馬鹿な男たち
みんな一緒なわけ?


女は
弱いふりをして刺すわ
隠したナイフで
ひと突きにね

No.46 09/08/05 22:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★別れ★


なにがわたし達には間違っていたのだろう
わたし達の選択は間違っていたのか
結局はお互いを譲り合えず思いやれなかった
信じた日
信じられず自暴自棄になった日
愛した日
愛しさが憎しみに変わった日
発した言葉はたくさんの傷を残し
侮辱された言葉に傷が残った
なにが正しかったか
なにが間違ってたか
考えても答えは見出だせない
決断はふたりが決めたのだけど
あなたが決めたような気もする
笑いあっても心底笑えなくなったのは
何故だったのだろうか
出会ったころのようには戻れなかったし
気持ちも違っていた
なにも状況は変化してなく
なにも問題なんてなかったのに
いつから一体崩れていたのか
ただもう心底もう十分だろうと
思ってしまった


決して嫌いになったわけじゃない
ふたりなにも間違ってなかったと思う
そう思いたいし
幸せになってほしいとも思う


【別れ】
悲しいばかりじゃない
自由を思いやる場合もある
相手のためを考える場合もある


ふたり
なにも間違ってなかったよ


…お元気で

No.47 09/08/07 08:05
優花 ( ♀ 6VhO )

★倦怠★


会話が続かない
話を聞いてもらえずに
話を聞くつもりもない
深いことは触れたくない
身体も求めなくなってしまった
過去のような情熱は消え失せ
ただ同居人を続けていた
そんなふたりは
自由の翼を得ることができたなら
ふたり
飛び立てたのかな
ふたり
優しい気持ちや思いやる気持ち
何故持てなくなった?
子供のために家庭のために必死に働くあなたと
家庭のために家族のためにと必死なわたし
歯車は狂いだして
ふたりの距離は近くにいながら
離れていってしまった
面白味のない現実は笑顔を奪う
刺激という媚薬はふたりには無縁で
きっと
無関心になったのは
温かい家庭を作らなかった
わたしへの罰
倦怠の渦は
家庭をどす黒く巻き込んで





これは


現実のおはなし

No.48 09/08/07 22:57
優花 ( ♀ 6VhO )

∮御礼∮


もしも未だ飽きずにこの自己満スレ、目を通して頂けてましたら、本当にありがとうございます。毎回読んで頂けてる方がいらっしゃいましたら、正直、恥ずかしながらとても嬉しいです!!
ほとんどが自己満な詩や独り言、言葉遊びですが・・
色々な人間像の立場に成りきり、書き上げています。男女関係なく環境、人間性も全く統一なく、たくさんのシチュエーションでのシーンを書き上げています・・
たまにスレ主本人の内容もありますが💧
まだまだ自由気ままに更新していきたいと思ってますので、また目を通して頂ければ幸いです。


ありがとうございます!!


LOVE,優花

No.49 09/08/07 23:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★瞳★


吸い込まれそうな
綺麗なコバルトブルーの瞳
長いまつげが
よりいっそう
その瞳を引き立てる

優しい嘘を
その瞳から
悲しい涙を
その瞳から
隠した罪を
その瞳から


綺麗なブルー
そんなビー玉のようなガラスのような瞳で
わたしを見つめてた


掴みたかったのは
右手に自由
掴みたかったのは
左手に愛情


罪深い瞳は
たくさんの黒く狂った世界を写しすぎた
間違った思考回路


長いまつげが
その瞳を引き立てた


罪を伝えたいけれど
罰を与えられそうで
恐かった


瞳はブルー
いつもの英語で
いつもの言葉を


いくつもの嘘を
優しいあなたへ


いくつもの嘘を
わたしにください


瞳はブルー


瞳はブルー

No.50 09/08/09 19:29
優花 ( ♀ 6VhO )

★懺悔★


俺はあいつに最後はなんて言葉を残したかな
ついこの前のように感じる去年の冬
別れのシーンはドラマのようには綺麗ではなかったな
すべて俺が原因だから壊れたんだよな
気づけばおまえをよく泣かせてしまってた
俺がすべて悪いんだけど
自分の欲ばかりに動いてしまって
おまえの気持ちとか感情とか苦しみとか
全然解ってやれなかった
おまえはいつも先回りして俺を優先してくれていたのに
おまえを大事にしたかったのは当たり前だったんだけど
想いと行動が比例しなかった俺に
おまえは常に悲しんだ顔をして涙を浮かべ訴えてきた
うまく言葉を伝えられないのが俺の欠点だから
おまえが一番大事だなんてとても言えなかったし
解ってくれてると勝手に解釈してた
おまえに何回謝っても
おまえは許してくれないんだろうな
どうすれば解決するのかわからなくて
ダラダラ時間だけ無意味に流れて
生かされてるような感覚のいまの俺
もう一度声が聞きたかったからって
電話すればあの頃に戻れるんじゃないかとか思ったりするけど
そんな女々しい俺自身が嫌だとも思う
俺は常に男らしくありたかったから

謝らせてほしい

ただ

声が聞きたい

No.51 09/08/09 23:01
優花 ( ♀ 6VhO )

★拘束★


赤いワインを
全て飲み干したら
あなたを
頂きましょうか

ベッドをテーブルに
あなたを眺めながら
ゆっくりワインを
頂くわ

もがくけれど
もがくほどに
痛いでしょう

ふわりふわり
浮かぶ白羽根に
手を伸ばせば

白目を向くあなた

感度と効きの良い
あなたの身体
もがいてもがいて
よじれてる身体

この赤ワインを
飲み干したら
一緒に
逝くわね

それまでは

ベッドをテーブルに

眺めていましょうか

No.52 09/08/11 07:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


吠えた勇敢者
怒鳴る被害者
惨めな快楽者
感じる売春婦
否認する両親
手中の偽善愛
恋人の嘘言葉
夫婦の嘘恋愛
親子の無関心
主婦の妄想論
悲劇の嘘家族
哀れな老夫婦
権力者の愛涙
歪んだ幼性癖
快楽と願望心
堕落と善天使

No.53 09/08/14 08:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


意地をはって
ごめん
でもこの決断は
色々な思いがあって
長い間たまった
黒い感情が
限界点に達して
もう決めたんだ
君と仲良く
幸せに暮らすため
この決断しか
ないと思った
どうしてふたり
ふたりだけの世界で
生きられはしないのかな
君とふたり
ただ幸せに
同志として
暮らしていきたいだけなのに
うまくはいかない
君を困らせて
君を怒らせて
君を悲しませた
わたしは
意地をはって
君に辛くあたる
ただ君とふたり
仲良く幸せに
暮らしていければ
それでいいのに
想いと現実生活は
比例しないし
矛盾だらけだ
ごめん
本当にごめん


でももう
決めたんだ


気づけば
君の周りは
敵だらけだった

No.54 09/08/14 21:18
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


何故立てない
立てば全ては
解決するのに

何故歩けない
歩けば全ては
解決したのに

代わり映えない
現実は辛く私に
突き刺さる

環境を変えるドア
開けたらいいのに
開けれない私は
自分に問いかける

何故

何故

全ては自分が
開き直れば
いいじゃないか

ここから
立てば
ここから
歩けば
全て解決だ

でも結局
私は解決したくないのかもしれない

解決すれば
幸せなのかは
分からない

何故

何故

分からない

もがくほどに
苦しいけれど

助けだしてくれても
結局私は
幸せになれない

何故

何故

No.55 09/08/15 22:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★出逢い★


出逢いは偶然であり必然だった
なぜか初対面なのに落ち着く雰囲気だった
君の瞳はいまにも泣きそうに見えて
哀しみの色彩ばかりが映っているように思えたんだ
君と楽しく過ごせる時間が増えて
君とつきあうようになった
なんだかつきあうようになるのが分かってるような出逢いに思えてたし
自分だけ思うのかなとか思ったりもした
不思議だったけど
似た者同士だった
年齢や育ちや環境
全て違った世界だったけれど
ふたりはよく似ていた
哀しみの上に作られた笑顔
棄てられたような不安感や
無償の愛を疑いながら
常に求めてた愛
ふたりは惹かれあい
結ばれていった


さあ


どうなる


私達ふたり


まだ知らない未来


これは


現実の


おはなし

No.56 09/08/16 21:03
優花 ( ♀ 6VhO )

★鬱★


霧がかかったから
ただそれだけの理由だ

悪い霧がかかった
鬱なんてダサいけれど
どうしようもなく
沈み込む
塞ぎ込む

決して
傷つけるつもりもなかったし
傷ついたつもりもない
なのに

なのに

なのに…

なんでこんな
なってしまった?

悪い霧がかかった
きっとまた
探すんだろう

その道がまた呼んでくれるさ

甘い媚薬は
すべてをぶち壊す
甘い快楽は
すべてを解き放す

きっとまた
探してしまう

あの味は
天国の味だから

媚薬がないと

ほら

廃人

鬱なんてダサい

鬱なんていやだ

こんなんなら
もう人生
終わってしまえ


きっとまた
見つけるだろう


甘い媚薬を

No.57 09/08/16 21:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★混血★


混血であろう君
いや
混血になられた君
流し込む
大量のわたしの血
純血でないわ
わたしの血と
君の血
混血な君


もっともっともっともっともっと
綺麗な唇に
流し込むわ


わたしの血を
取り入れて
わたしの細胞を
活性化させて

わたしと
一体化してよ


混血になられた君
君と交わすキスは
甘い味


細くて柔らかな
マットブラウンの髪
ぐしゃぐしゃにして
耳も頬も唇も首筋も
すべて愛撫するわ


ねえ

もうすぐ起きちゃうわよね


混血の君


愛する君

No.58 09/08/18 08:03
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


お目にかけてくれている方おられましたら、こんな自己満スレをいつも覗いてくださり、ありがとうございます!

最近は、明るいNEWSが少なく、芸能人の薬物逮捕、政治家の傲慢選挙、有名人孤独死…など。私達を不安感、恐怖感、不満、妬み、哀れみといった、失望とも取れる堕ちたNEWSをマスコミメディアが垂れ流し状態と化してます。誰だって暗くおぞましい話ばかり聞いていれば、落ち込むし、生活面でのやる気は失せてしまう。でも私達にはしなければならない事がたくさんあり、たくさん考える事が常々頭にあります。
日々辛い中でも仕方なく覇気がなく頑張るより、前向きに明るく頑張る方が心身共に健全です。
己に打ち勝つために、自分を楽にしてあげるために、生きにくい世の中をより楽に渡っていきましょう。。
ひとりひとりに人生という映画がある。
ヒロインとして恥じるべき行為は辞めましょう。
私は基本、悲観的なのですぐ堕ちます。だからこそ楽観的思考に憧れ、そうありたいと日々性格を変えたいと、今現在頑張っている途中です。。
ではまた時間が取れれば、メッセージもどんどん書込みしたいと思います!


LOVE,優花

No.59 09/08/18 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★不平不満★


口にすれば邪気を吐く
ため息は蜥蜴
怒鳴れば大蛇
自分自身が
一番嫌いだ
常に面白くないことを探しては
また堕落した

見上げれば
ほら

太陽には見捨てられ笑われてた

口にすれば邪気を吐く
つまらない日常
蹴り飛ばしたくなる拘束
殴りたくなる束縛

悔しいけれど
あんたは
あたしより
人格的に優れてる

いつからか
住みついた悪魔
呪縛に疲労する
身体の老化
心の病

自分自身が
一番嫌いだ


太陽には見捨てられ笑われてた


見捨てられたくない


こうして
あたしは


あたしは


あたしは…?

No.60 09/08/18 22:39
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


ねえ積み重ねた時間の記憶を呼び覚まそうよ
恐い?
恐いでしょう?
ヒステリーなおばさんや飲んだくれやたくさんの悪態つくおじさんおばさん
登場人物はたくさんいるのよ

ねえ積み重ねた時間の記憶を呼び覚まそうよ
白い粉毒雪と刺激臭
甘い甘い媚薬
たくさんの男たち
誰も彼も愛してくれたわよ

ねえ積み重ねた時間の記憶を呼び覚まそうよ
恐い?


恐いでしょうね
だって
たくさん
消してやりたい記憶ばかりよ
いい加減
うざいんだよ
あたしの中にいる
マイナス思考なネガティブ女

多重人格者


精神障害者


誰一人として
手は差し伸べて
くれなかった

だから

だから

積み重ねた時間の記憶を呼び覚まそうよ


解決策は
すぐに
思いつくはず

No.61 09/08/19 07:58
優花 ( ♀ 6VhO )

★音色★


壊れた音色は
ひどく綺麗で
雑音に近いその音色は
ひどく綺麗だった
遠くから
近くから
聴こえてくるよ
その音色は
呼び寄せるため
わたしを
引き寄せるため

勘ぐりを消してくれ
愛憎を楽にしてくれ
快感を絶頂に


揺りかごなんてもんじゃない
壊れた音色は
ひどくハードだった
お願いだから
もう一度
あの音色を奏でてよ
神様
もう一度
戻りたい
あの頃に


壊れた音色は
純朴な音色で
塞ぎ込むほどに
ハードだった

No.62 09/08/20 22:50
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


罵声と野次が飛ぶ
頭には大蛇
つまらない戯言に
応えた身体
激しい絡みは
堕ちた心を
和ませた
いい加減やめてよ
あたしをまだ
敵にしたいわけ
罵声と野次が飛ぶ
頭には大蛇
罵りあい
殴りあい
傷つけあう
悲惨な結末と
飢えた身体
散りばむ血華は
薔薇のように
美しく
気品高かった
狂ってしまった環境は
恐ろしく醜かった
幾度となく襲う
劣等感
罵声と野次が飛ぶ
頭には大蛇
ねえ
お願いだから
はいまわらないで
大人しくしてよ
飼い慣らすわよ
もうすべて
棄てたのだから

No.63 09/08/20 23:04
優花 ( ♀ 6VhO )

★一輪華★


桃色の薔薇
一輪挿しの薔薇

綺麗よ
この薔薇のように
ありたかった

こんなふうに
一輪華となり

あなたに
見つめられたら
どんなに
幸せだっただろう

けれど
叶わない幻想

面白おかしく
笑い飛ばしてくれたら
それでもいい

話ができるし
声も聞ける

あなたの
大切な者たち
奪うような
そんな堕ちた
女ではないわ

ただ
見つめられたら
それで良かった

何故人間には欲の終わりがないんでしょうか神様

ただ
会えたら
ただ
見てくれたら
それで
良かったのに

あなたに
伝えられなかった
言葉たち

きっと
越えられなかった
境界線の壁は
ひどく高かった

この桃色の薔薇
一輪挿しのように
見つめられたら
良かったのに


それだけだったのに

No.64 09/08/24 07:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★色欲旺盛★


あたしは人間であり

女であり

雌だった

そして獣

沸き上がる色欲は

あなたにも

あちらにも

たくさんの狙いを

嗅ぎ分けるポイントを

たくさんの雄たちに

なんでいけないことなのよ

誰にも迷惑はかけてないわよ

自分の所有物なら

きちんと見張って

飼い慣らしておきなさいよ

よそ見しないようにね

色欲が抑えられないから

バランス取らなきゃ

壊れてしまう

お願いだから

うるさく言わないでよ

あたしが

壊れてしまうじゃない

No.65 09/08/25 19:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★愛罪★


話しかければいつも鼻で笑われてた
逆毛だったブロンドに真っ赤なルージュ
煙草をふかしながら見下すような優しい微笑みで
俺を見つめてくれてた
ミニスカートと網タイツの細い脚とハイヒール
長い睫毛と哀しげな瞳
罵声と奇声と綺麗な歌声と
多量のアルコール
身体に共に射れた毒粉雪
殴りあうように愛しあい
殺しあうようなセックス
理性で現実を生きたならどんなに楽だったんだろう
夢と快楽と欲望と
そして堕落と
俺達はシドやナンシーのように
純愛を貫けてたのかな
今となっては
もうわからない
君が望むなら今すぐにでも会いに向かうよ
いや
望まなくても会いに向かうから
だから待っててよ
先に旅立った君は
神が与えた俺への罰
俺達の愛は罪だったのだから
またあの歌声を聴かせてよ
天国でもスターなんだろ
もう寂しくさせないから


もう逝くから
待っててよ

No.66 09/08/26 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


君に命令されたら怒り狂うよりも嬉しさがこみあげてきた
子猫を溺愛して世話は当たり前に俺にさせたし
キメては錯乱し俺を常に殴ってきたし
俺に抱かれたがった
黒いランジェリーとブロンドの爆発頭に真っ赤なルージュ
俺の溜まりたまっての暴言にいつもなら怒鳴る君が時折見せる哀しげな表情
寂しそうな瞳で俺になにか伝えるわけでもなかった
俺には心を開かせながら
君はいつも心を閉ざしていた
愛撫をすれば子猫のように甘えてきた
表裏一体の君をどれだけ傍観していいかい
どれだけ愛したら満足してくれるの
疲れはてながら君へハマっていく
身体へ積もらせる毒と快楽
君に出逢わなければこんなに俺も壊れなかったのに
でも出逢わないほうが俺には不幸だったんだ
歌えよ
聴かせてくれよ
子猫を抱きながら
俺にほんの少し
優しい微笑み
アイメイクが崩れた君のその顔が
愛しい

歌えよ
ほら
また怒鳴る前に

No.67 09/08/27 21:52
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


シドヴィシャスとナンシースパンゲン。。。少し知っている方もマニア的に詳しいロックな方も、皆さん、どう二人の愛を捉えていますか?。。私的にはシドアンドナンシーは【純愛】そのものなんです。ですが私にとって夢ではありますが、理想ではありません…。シドはチェルシーホテル100号室にてナンシーを刺殺したのか?重度のヘロ●ン中毒だったシドとナンシー。刺殺したというよりは愛するシドに愛を過激に伝えたいと錯乱していたナンシーは、血華を華麗にショータイムした後、あの世へと旅立つ事になった…と、思ってしまうのです。。シドがクスリの影響で悪意があり刺殺したとは到底思えない。または愛し合う故の過激なsexによりシドに刺されながらの快感を得たまま息を引き取った…とか。。とにかく悪意ある刺殺説は決してないと思うんです。彼らは確かに夢…あんなふうに理性をぶっ飛ばして、身を焦がしながら愛し愛されたい…でもそれ故の引換の代償はとてつもなく大きく痛々しいのです(泣)
二人はいつもクスリに溺れ(勿論犯罪は犯罪ですが)ピッタリくっついていたらしいですね。そんな恋愛相手はなかなか…って思えます。相手のためになかなか全てを捨てれませんし…

No.68 09/08/28 08:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★本能★


錆びたランプの暖色系な光
錆びた金のベッドと
赤いレザーソファ
脱ぎ散らかしたワンピースと黒いランジェリー
今宵もゆるやかなワルツ
そして激しいクラシックからハードロック
手を取りあい
首を絞めあい
互いに流した涙の雫
絞められながら
逝きそうになりながら
天国への絶頂感
互いに確かめあい
互いに認めあう
永遠に離れられない絆
それがたとえ
もろく儚いものだとしても
絆は切れはしない
繋いだ手の温かさに
命を感じた
また逝きそびれた
そしてまた
繰り返す本能

繰り返す

繰り返す…

No.69 09/08/31 08:00
優花 ( ♀ 6VhO )

★ナルチシズム★


刺される前に
刺さなきゃ
やられる前に
やらなきゃ
自分自身を
守るために
愛する自分を
馬鹿にされたら
なん百倍にも
仕返しを
復讐を…
自己愛に満ちた
少女は
自分自身しか
愛せなかった
だから日々
自分を守るために
必死だった
ある日
そのプライドは
ズタズタにされ
復讐の制裁を
実行した
自己愛に満ちた
少女は
華麗な犯行だったと
自己満足した
殺人犯となった
少女の起訴事実は
こうだった


片思いの彼に彼女がいることを知らず、妄想的に相思相愛説を造り上げていたため、逆上。彼の彼女を略奪だなどと因縁をつけ、刺殺。


少女は言った

『彼も彼女も私を馬鹿にした。だから略奪したあの女を刺した。』

No.70 09/09/02 23:42
優花 ( ♀ 6VhO )

★貴女★


男に求めるもの?

男は美しければいいわね
それだけ

他に?
地位や名誉や富?
包容力?優しさ?


…そんなもの

私が全て持っているわよ

必要ないわ

他力本願ではないの

男は美しいなら

それだけでいいの

他に何も

望まないわ

No.71 09/09/08 22:32
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


適応障害
精神分裂障害
自律神経失調症
なんなんだよ一体
あたしがあんたらに
一体なにした?
悪意ないじめ
意地悪差別
すんじゃねえ
あんたらに負けたくないし
あんたらに媚売りたくないし
気に入られたくもねんだよ
適応障害
適応障害
はいはいそうそう
なんもあんたらの
ご希望には添えません
あんたらは可愛がるもんだけ
可愛がってな
失うものがない女の復讐ほど
こえーもんねえぞ

ハハハ
笑えるな
あんたらの将来
絶望的で
マジに笑える
ハハハ!!

No.72 09/09/10 23:42
優花 ( ♀ 6VhO )

★高揚★


慣れた指先と
待ってる花園
高ぶる本能に
抑制する理性
正直に愛撫で反応するカラダ
それは心とは裏腹で曖昧模糊な感情までも
全てぶっ飛んだ
吐き出した言葉から望んだ
最後の囁き
耳元で今夜も聞かせて
望んでくれた
満ち足りたから
もう
頑張らなくて
いいから
私は決して
逃げないから
大丈夫
高ぶる本能に
抑制する理性
全ては裏腹に
全ては愛と呼ぶ大好物
満ち足りたから
不安も消えた


どうかまた
同じ夜を

No.73 09/09/12 01:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★連鎖★


死ぬほど苦しんだ
もがいてもあがいても
太い腕に押さえつけられた
華奢な中学生少女
訳も解らず全て理解できない
現実に目をそらし
恐いはずの性行為を
何故か誰にでも許すようになった
宿る命の尊さと
母親への拒絶感
あんたはゴミ
ゴミ人間で腐ってる
でもゴミ人間に食べさせてもらわなきゃ生きられない自分に
吐き気さえする
この苦しみを
どう責任とるの?
ママ
傍観者ならば母親とは言えないでしょ
欲望は満たされ
私の敵意を示す瞳に
不敵な笑みを浮かべるゴミ人間
苦しみを分かち合えると思った男からも
汚らしく思っている目線を感じとれた
笑わずにいられない
悲しむ余裕すらないよ
悲劇のヒロインもいい加減に飽きたし
辛い自分にも飽きたから
どうでもよく抱かれて
また同じ過ちを繰り返す
どれだけ学習能力がないんだろう
イカれた頭で
イカれた涙に
イカれた行為
どうかまた見捨てられる子供が
生まれてきませんように
何の罪もない



罰せられたゴミ人間には
面会者はいないと聞く

No.74 09/09/12 08:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


照れて笑う仕草や愛情溢れる目線を
何時も感じれる毎日だったのに
信じてあげたかったのに
何故信じてあげられなかったの?
いつも一緒にいてくれる事が君の答えだったのに
軽く吐ける言葉なんて何の意味があったの
愛してるなんて
軽々しく口に出せるような
軽い想いだったのなら
たくさん言ってくれたんだろうね
何時も私の事を
考えてくれた
何時も私の気持ちを
理解しようとしてくれてた
我儘を通して私が怒れば
謝ってくれた
何時も何でもない事にありがとうと感謝してくれた
何故いつも信じなかったの
信じていても不安だらけだったの
きっと私には勿体ない君に
いつか愛想尽かされて
離れてしまうのを心の奥底で恐れていたんだね
何度となく別れ話が出て
また何時ものように
仲直りできると思ってた
後になって自分の過ちに気づけば
君は後ろ姿になっていて
振り返る優しさを私にはもう持てなくなっていた
最後のキスは
どんなだった?
最後に抱いてくれたのはいつ?
戻らない時間に苛立ち
悲鳴をあげた
君の意思を尊重したいけど
自分も壊れてしまったから
どうしようもない
お願い
戻ってきてよ
お願い
許してよ

No.75 09/09/13 21:44
優花 ( ♀ 6VhO )

★狂雑草★


孤独で破綻多き人生だった
幼少から学生、家庭や職場
挫折失敗を繰り返し
喪失感と絶望により
自滅への道を辿ってきた
俺のこの複雑化した感情
不満苛立ち悔しさ劣等絶望…
どこにぶつけたらいいんだ
どこにぶつければ自分は助かる?
標的は何だ?
標的は誰だ?
きっと誰でもない
世の中なんだろうか
ならば世の中を
征服すれば
自分が楽になれる
そんな気がしたから
ここまでの大惨事を起こした
それが理由だ

No.76 09/09/23 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★抑制★


心の奥底に秘めた願望
隠された欲望
頭にはう大蛇
自身に問いかけてみた
第二の自分に
傍観者のごとく
何人もの人格がいて
結局は統合不可能
すべて手に入れることが出来たのなら
抑制できるのか
頭痛と吐き気はもう通常状態だ
苦し紛れに問いかけてみた
何が目的?
こう皆答えた
お前を守りたい
ああ
複数の自身が基本の自分を守りたいと言ってくれている
心の奥底に秘めた願望
隠された欲望
頭にはう大蛇
きっとすべては
味方であって
敵対視するべき問題じゃない
問いかけてみた
いつか果てるのかな私達は
答えてくれた



果てた瞬間
きっと
統合されて
私達
神になるんだよ

No.77 09/09/25 08:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★激情★


激しくゆるやかなワルツ
猫足のバスタブをベッドに
泡と薔薇の花びら
あなたの唇を
そっと強く噛んだ
流血と薔薇の相性は良く
強く強く
抱き合って
激しくゆるやかなワルツ
あなたの嘘に
騙されたふり
私の嘘には
気づいてないようね
いつまで
躍り続ける?
お互いを求める
激しい感情



いつまで
奪い合うのかしら

No.78 09/10/07 08:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


平等の上に不平等
愛想笑いと憎悪心
どうして人は
許し合えないの
どうして人は
憎み合うの
つまらない会話に
飽き飽きしながら
煙草に火をつけた
崩れたアイメイクは
気にならない
別に
綺麗でいなくていいから
この場所で
どうして人は
こんなに弱いの
また酒に逃げた
嘘をつきながら
悪態吐きながら
今日も醜い姿をさらけ出す


平等の上に不平等
平等の上に不平等
平等の上に不平等



でしょう?…

No.79 09/10/08 22:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


狂った頭と
ローズの香り
はじけた頭と
苺の香り
相性は良好で
癒された良心と
隠れた邪心
堕落していくのは
快感にみせた
地獄絵図
たくさんの香水を
使い分けて
たくさんの色彩を
魅せてあげた
つまらない戯言に
笑ってあげた
この頭じゃ
理解不可能
今夜も狂った頭と
そして
いつもの香りづけ

No.80 09/10/09 08:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★錯乱★


二人寄り添っても
なかなか温まらなかった
冬の真夜中
毛布にくるまっても
寒さはしのげずに
悲しいクラシックが
耳に心地良く
共に射れた毒水を
二人分けあった
好きな季節と
凍える自分と
全ては記憶には
残らなかった
激しい人格たちが
次は我こそがと
争いあった
悲しいクラシックが
ドビュッシーを流す
毒水の回りは
早く早く
脳細胞を死滅させ
早く自分を壊してと
綺麗な雫が
唇から垂れた


冬を越えて
春が訪れたころ
きっと自分たちは
覚えていないよ


悲しいクラシックが
また
耳に心地良い

No.81 09/10/15 20:55
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


頭にはう大蛇と
たくさんの人格たち
太陽と喧嘩して
月に見透かされた
日々の時間は
ゆるやかに
そして早く早く
この頭痛をなんとかしてと
頭で叫ぶ
大蛇がはう
たくさんの人格たちは皆笑う
もう一度少女に戻れたら
またあの人と
たくさん話して
たくさん笑って
たくさん出掛けたい
取り戻せない過去も
薄らいだ記憶と共に
いつからか
葬り去った
太陽と喧嘩して
月に見透かされた
いつもいつも
うまくいかない
もどかしい気持ちと
日々演技する自分
どこまで頑張れば
苦しまなくなるの
答えは
きっと
見つからない

No.82 09/10/16 00:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★狂愛★


月に見守られ静かでまたつまらない夜
こんな夜は
目眩さえする小刻みなワルツで共にまた過ごそう

殴りあうように抱かれあって殺しあうように奪いあう

また粉雪のせいで冴えてきたから
彼女も愛らしく想えてきた

赤いランジェリーは脱ぎ散らかして
髪を引っ張りあげたら赤いルージュの微笑み
ヒール投げてきて大量にアルコール浴びて叫ぶ彼女は
飽きたら歌いだした
かん高い笑い声が妙にうざったい

このホテルを出たらまた別々の帰路

月に見守られ静かでまたつまらない夜

月を見上げたら
また思い出した
吸った煙草はいつの間にか灰となった

太陽から月に変われば感情がナイフに変わる
どうか忘れないで

また
会える夜まで

No.83 09/10/17 21:37
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


アダルトチルドレンなんだろう
自己判断の診断
精神年齢は16
あれから時間は遮断され
精神面は時間と比例しなくなった
側にいたくなかったんだよ
汚ならしい現実は
堕落を快楽に魅せた
間違いと過ちに気づいたのは
10年たってからだ
でも
あの頃はそれで良かった
それなりには
幸せを掴んで気づかず通りすぎていたのかもしれない
白い粉雪や毒水は
近道と見せた遠回り
酒やイカれた仲間
まるで拷問や
度重なるリンチ
激しい血流と共に
血華を飛ばしあった
おまえら
なにしてるって
皆がふと思う
特に中身はなんも変わりない
ただ老けただけだ
もう
夢にも出ないなら
記憶を消して
若気の至りの暴走で
やっと半分
消された記憶
なんで
置いてった
なんで
消えたんだ
ふざけるな
アダルトチルドレンなんだろう
精神年齢は16
だからまだ
引きずっていいってこと


半分の記憶を辿ってね

No.84 09/10/18 21:04
優花 ( ♀ 6VhO )

★闇★


手すりさえない真っ暗な闇の中の階段を
ただただ
かけ降りた
目的地のない自分に声をかけていてくれた人
気づかず通りすぎていた
嘘つきの糸を切らせて
最善を尽くした自分を突き放してほしい
解放されたら闇の中から抜けて
さあ
どこへそれから
向かうのだろう

手すりさえない真っ暗な闇の中の階段を
かけ降りた
あなたにも気づかず他人さえも蹴り飛ばしてきた
激しい動悸は止まらずに
ただただ
苦しかったから
助けを求めてしまった

抜け出したい

でも

抜け出したくない

No.85 09/10/31 23:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★性★


うずきだした
痛んでいく
傷ついていく


懐かしい景色と
煌めく世界と
灰色の色彩


手首からの
生暖かい血華
生々しい温もり


手を振り払ったのはこの私
牙で噛み砕いた
爪を立てた


雨音はひどく鳴り響く
暗い青と黒
寂しげに呼んだのは私から


未来さえも
笑い話に
酔えたから


またいつか
教えてあげましょう


あなただけに

No.86 09/11/02 23:37
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


焦点は見上げるべき天空
崩れ落ちた稲妻
降りかかる天災をも
全ては私への投入細胞


父さんのずるい戯言
母さんの純白から生まれた邪心


天空より舞い降りた一片の羽
天使の存在を信じながらも
隣で囁く悪魔に耳をかした


暴れろ狂え狂え
吠えろ叫べ叫べ


うるさくて堪らないから
悪魔を小瓶に誘い込む
声をあげたら?
その嘘つきな瞳に皆騙されるんだろう


一輪の薔薇で
あなたのご機嫌を


苦し紛れに答えた嘘の言葉を
悪魔は笑いながらも
誉めてくれていた


天空より舞い降りた一片の羽
今もこの手の中に
清く尊く祈った讃美歌に
想いをのせて


今は祈ろう


命は引き換えに

No.87 09/11/03 23:37
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


からませた舌を噛んだら
からませた腕に爪を立てた
突き放したのは私から
何故だったのだろう
今も思う
問いかけてみる

私から呼んだ雨雲
あなたが忘れた夜空
星空はもう
頭上高く届かない


叫んだらどう
怒り狂って発狂して
つまらないから
歌ってみせて


天の川はベッドに
星空の空想空間


ほらまた


からませた舌を噛んで
からませた腕に爪を立てるから…

No.88 09/11/10 22:42
優花 ( ♀ 6VhO )

★独り語り★


憂鬱と孤独
攻撃性に秘めた依存心
波の浮き沈みに溺れ息苦しいけれど
君の声は届いたよ
幾度の季節を越え
辿り着いた此の場所
灰色に混ざる紫
憂鬱や孤独を全て消してよ
邪気を祓う紫は
手をつないでくれた君かもしれない


此の場所は落ち着かないけれど
まだ頑張れるかもしれない
灰色に混ざる紫
今こそ混色に染め上げる

No.89 09/11/24 23:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


せつない波音と共に流れた涙
たくさんの星に見守られながら
君を想った
苦し紛れの嘘を吐いて
あなたを突き放したことは
私しか知らない
君も今夜は同じ星空を眺めているかな
頭飛んでも飛びきれなかったから
理性が頭を支配する
侵入者は
君だけ


ねえ
涙の雫は止まらない
もう少しだけ
君を支配して
良かったかな
苦し紛れの嘘
信じてない?
もう少しだけ
君を奪いたい

No.90 09/11/24 23:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


ナイフを突きつけて愛の言葉

たくさんの傷とキス

小刻みに踊ったら

もう一度

繰り返そう

血は舐めあって

お互いの感度に興奮

笑って

刺して

狂って

叫んだ

悲鳴のような喘ぎは

また興奮を呼び覚ますよ

きっとまたあの場所で

生まれ変わっても

ふたりは巡り会う

何故だか

解っているから

ナイフを突きつけて

愛の言葉を

君に愛を

No.91 10/03/06 12:36
優花 ( ♀ 6VhO )

★楽園★


もがき苦しんで
必死に泳いできた
この道のりは
深く傷つき
そして深く悲しんだ
悲しみを
分かち合えたから
引き寄せられた
苦しみをも
分け与えた
罪も憎まず
罰を見逃した
いつ
楽園に辿り着けそうかな
いつ
想いは届くのだろう
この声が
枯れても
求めてしまうのだろう

No.92 10/03/06 21:53
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★歪んだ心★


また口から嘘っぱちなセリフを吐き出す
つまらない人達ね
退屈な刺激のない毎日
刺激を求めた先には快楽と言う名の退屈
何を求めているかも分からなくなるわ
愛した男はひとりだけ
何人寝たかは分からないけれど
例え三桁だろうと記憶は全員同じプレイよ
ああ喉が乾いた
また体がだらしくなる
ほしい…ほしい…
とにかくイライラするし
つまらない人達にはあたってあげたくなるわ
私が好きでしょう
私の顔とこの体が
内面なんて一体なんの関係があるの
この環境に
愛した男には会えないっていうのに…
ああ
私でもね
愛した男はひとりだけいるのよ
退屈なんて一秒だって感じないのよ
常に刺激のあるスパイスに翻弄されて
体が高騰するの
本当はね…
彼の大切なとこを持ち歩きたいの
あははは
昔の時代に実際そんな女いたわよね
死姦して切り取って持ち歩いたのよね
分かるわその気持ち
つまらない男達に戯言をプレゼントして
私が物欲性欲を満たしていても
彼は妬いてもくれないわ

No.93 10/03/06 22:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


幸せな恵まれた生い立ちだったならば
こんなふうに墜ちてはいなかったかしらね
やりたいだけ色々やれたし遊んできたから
悔いはないけどね
苦しみは渦巻き
悲しみを重ねた
傷ついたし他人もたくさん傷つけた
ねえ
なんで
私といてくれるの
なんで
私でもいいの
私がすることなすこと許してくれるから
なにをしても妬いちゃくれないし怒らないのよね
本当はずっと二人だけで生きたいのに
この世に私達だけになればいいのに
嘘つきな私はあなたと正直に向き合えないから
辛くて苦しいよ
今は痛みを分かち合いたい



愛した男はひとりだけ

信じなくていいよ

信じてもらわなくていいから

私だけが

知っている

私の秘密

歪んだ心に光を

No.94 10/03/08 00:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


天使の御加護
悪魔の囁き
蹴り飛ばした法律も秩序も世間体も
なにもかも
全て失ってもいい
本気でそう思えてた
だから夢中になった
さようならも言えないままに終わった過去
約束をした左手薬指には指輪の痕跡
守れなかった約束と夢は今も胸に刻んである
恐いくらいに会話がいらなかった
下手な言葉もいらずに解りあえた
天使も悪魔も
実は同一人物な気がして
それは君だと思ったんだ
右手を差し伸べた君の左手にはナイフ
微笑みは企み
綺麗な言葉は戯言であり暴言だったように思える


始まりは急で
終わりも急にだった


もう忘れてもいいのだろうか
自信はないが


時をこえて
君を愛したい


全て失ってもいいから
名前を呼びたい


出逢った
あの日も
雨だったね

No.95 10/03/08 23:39
優花 ( ♀ 6VhO )

★多重人格★


エミ
君に覆う闇は
僕が消し去るよ

トムの声だわ

エミ
あなたと共に
全てを感じていたいわ

ジェシーの声だわ

お姉ちゃんを守りたい

ゆうくんの声だわ

エミ
君はまだ無限大の可能性を秘めているよ

修二さんの声だわ

暴れん坊のサリナはまだ出ないわね

困るのよ
勝手に万引きするしイタズラ電話もするし

多重人格者はね
自身の身を守るため
たくさんの人格を造りあげるのよ

今日起こした罪は
殺人未遂
一体誰の仕業?

サリナかしら?

私はエミ
私は退屈しない
常にお話出来るの
分身たちとね

あの
生々しく激しいショックの地獄絵に
彼らは造りあげられた


今日も
エミを支配しよう


声が聞こえた


あなたは?
はじめまして
私はエミよ

No.96 10/03/09 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★純朴★


私の故郷に車で迎えに来てくれた
夜にこっそりおうちを抜け出して
夜中のドライブ
ただただ会えたことが嬉しくて
頬は高騰していたの
少しだけ震える手をぎゅっと握った
君は年上だったから
まだ子供だった私には凄く大人に見えて
ひとつひとつの意地悪な言葉に甘えて
たまに優しい言葉にまた甘えて
駆け引きなど無意味だったから
ぎゅっと抱きしめてもらったら
私の顔は君の胸の中
背の高い君に近づきたくて背伸びをした
今思えば君以上に恋に恋していたのかな
君を好きだったことに間違いはないけれど


11年前のゴールデンウィーク
東京から帰ると君から連絡があって
私は会うのをお断りして別れを告げた
私は子供過ぎて幼く
たまにしか会えない君を待つ時間が
自分には耐えられなくなって
逃げてしまった

今大人になって
あのときの君の年齢を越したけれど
君の終わりに
また幸せな道のりを歩いてきた

君にもう一度

ありがとう

さようなら

No.97 10/03/10 08:31
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★少女★


私は今こそ復讐を遂げた。
やっと…。


私の母親は薬物中毒者だった。水商売の母子家庭で、何度も入れ替わる男たちと夜中に帰って来ては、汚いあえぎ声を出して、隣の部屋で耳を塞ぎながら寝ていた。中学に上がってからは、男どもの中には私に狙いをつける奴もいた。私は特に抵抗せず声もあげずにヤられていた。だって解っていたから。あの女は、私がヤられていたら嫉妬に狂い、私を殴り続けるだろうって。娘がヤられたって庇う所の話じゃない。おまえ、あたしの男を誘惑したんだな?!ってなるだろうから。薬物に酒に汚いあえぎ声。荒れた部屋に、お友達さえ呼べないから、私は自分から友達が欲しいなど思わなくなっていた。引かれてまでいらないから。男は汚い、母親はアタリハズレがある。私はハズレのおうち。小学生で悟っていたから、中学では妙におとなしい、擦れた女に映っていただろう。母親は30代に見えず容姿は若かったから、綺麗どころだったんだろう。私も別に自分の顔が好きではなかったが、可愛いだとか綺麗だとか、中学ではたくさんの告白、誘いを受け、本気でウザかった。

No.98 10/03/10 12:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


中学は3年になれば行かなくなった。適当に遊ぶ20代30代の男らに金を出させ、家に泊まり歩き、体を提供しながら過ごしていた。あの女はいつもロンパッてラリッてるから話にならない。だから別に連絡を入れる必要もなかった。
あるとき利用した男の中に薬物依存者がいた。私は慣れで驚きもしなかったが、彼は私を黒だと判断したらしい、誘ってきた。私は拒否した。そしてラリッて逆上した男は、恩着せがましい暴言を吐きながら私を殴り、蹴りはじめた。頭がボーッとし始め、何かが切れたような音がした。私は護身用で持っていたナイフで男の腹を刺していた。気がつけば、体中血まみれ。男はしばらく唸っていたが少しして息が止まった。


…やってしまった。


もうどうしようもない。
血を洗い流すためシャワーを浴びた。衣類とナイフは鞄に詰め、男のジャージを着て、外に出た。

No.99 10/03/10 20:41
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


とにかく頭が混乱した。とりあえず近場の公園トイレに駆け込んだ。

……。

なんなの。
このウズウズした興奮は。
私の下半身は洪水状態だった。下着はビショ濡れだ。
刺した瞬間、返り血を浴びて、男がもがき苦しんで唸っていた。さっきのシーンを思い返す。息苦しくなり、股間は熱くなっている。

ハァ…ハァ…

右手は物凄いスピードで、私の大切な場所を激しく揺らす。初めて自慰行為をした。初めて頂点を知る。もっと痛めつけて殺ればよかった…。
性癖を知った。複雑過ぎる環境の中で、母親のつきあう男たちに何度もヤられ、普通の快感など経験は無かった。初めて知る快感は、殺人プレイだった。歪んだ性癖に、自分自身に少々驚いた。
あの女のせいだ。私の堕ちた人生は。私はあの女を恨む権利がある。それだけの仕打ちを受けてきた。

とりあえず有り金で服を買おう…
街で適当に服を購入して男のジャージを鞄に詰めた。そして血のついた服と、ジャージを空き地で燃やした。血を拭き取った凶器のナイフは、埋めようかとためらったが、結局持ち歩くことにした。また機会があれば…と思ったからだ。

No.100 10/03/10 20:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


理性を取り戻した私は、男の家に戻り、私の指紋がついただろうと思う箇所を、拭きまくった。横たわる死体はまだ生きているようだ。流血がひどい。血だけは美しいと思えた。赤い色は昔から好きだった。

それから特に気にすることもなく過ごしていた。TVも見ないし携帯も無いため、あの男が死体発見されたのかは分からなかった。独身者で恋人もいないような男だったから、発見も遅くなるだろうと思った。

1ヶ月もたてば、私の犯した殺人も、自慰行為のオカズに物足りなくなった。

…また殺ってみたい。

獲物を探そうと、とりあえず今関係のある男どもの中から、一番本性が腐ってそうなのに目をつけた。連絡を取れば、いつまでも家にいていいとのこと。


ふふふ、いいの?
殺人犯を招いて。運の悪い男ね。

No.101 10/03/10 21:30
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


公衆電話からその男の家までは、歩いて1時間はかかる距離だった。途中、歩きながらあらすじを考えた。どう痛みつけようか…ひと思いに刺せばすぐに事は済む。人間は一番痛みつけられて、すぐには死なない場所はどこだろうか。少ない知識に腹がたつ。あらすじや予定は意味がない。予定外想定外な状況になるかもしれない。少し緊張していた。


その男の家に上がり込むと、男はいやらしい顔つきで笑い、すぐに持ち込もうとした。ベットに誘われ、後方からついて行きながら、居間のガラス製の灰皿を手に取った。背後から思いきり後頭部を灰皿で殴りつけた。男は倒れ、頭を抱え込んで痛がっていた。鞄からナイフを取りだし、まず右肩を思いきり刺した。男は叫んだ。黙れ、静かにしろと命令し、顔を切った。頼む頼む…やめてくれ助けてくれ…と命乞いしだした。何の見返りがあるか聞けば、金を…いくらだと言った。もう一度左肩を刺した。叫んだ男の苦しんで痛がる姿に、私は絶好調に興奮した。足を軽くたくさん切ってやって、お尻も刺した。たくさんの血が溢れ出る。私は男の髪を引っ張りあげ自慰行為をした。苦しんだ顔に興奮し絶頂感を味わった。

No.102 10/03/10 22:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


そんな殺人プレイを18まで何度も楽しんだ。慣れは恐いくらいに日常的となる。犯人像は世間的には10代少女とかけ離れたものだった。あるときは縛りつけ1日奴隷的拷問をして済ませたり、ナイフで全身に刺青を入れたりした。面白いほどに、命乞いすれば皆が金を出すと言う。私の性欲は程よい頻度に満たされ充実していた。


……。
あの女は今どうしているんだろうか。


15から会っていない。まだあんな生活なのか。変わってはいないだろうが、あんな薬中のアル中は、ろくな暮らしはしてないに決まってる。いい加減老けてきただろう。


私は実家アパートに様子を見に行こうと突然思った。顔を見せるつもりは更々ないが、無性に気になってしまった。



少し張り込んでみよう。

No.103 10/03/10 23:01
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


地元も実家アパートも何も変わってはいなかった。家を出てからは4年近くがたっていた。
アパートの前の団地に小さな滑り台がある。そこに腰かけると、この団地の家族達を常々羨ましく思っていた、小学生の自分を思い出していた。暮らしぶりは並の平凡な家族達は、いつも笑っていて、父親母親と子供らが幸せそうに映っていたから。父親母親が幼い子供をこの滑り台で遊ばせていた。私は遠目で観察しながら、自分は何の意味があり生まれてきたのか、母親は何故私を生んだのか、父親は一体誰なのか…いつも劣等感で押し潰されそうになっていた。いつか目が覚めて、現実が夢ならばいいのにと…可哀想だと思いたくないのに、可哀想だと言われてしまう現状が、自分自身情けなかった。


……?!!


私は絶句した。
あの女が幼い子供と手をつなぎ帰ってきた。意味が分からない。ヨチヨチ歩いてる所を見れば…1~2歳だろうか。女の子だ。意味不な状況に絶句し放心状態となった。外見はやはり少し老けていた。

No.104 10/03/11 15:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


呼鈴を押す。
…ガチャ
『はぁ~い??』


『…!!?』
『ヒィッッ?!!』


ドンッ!!!
玄関でナイフを突き付け思いきり押し倒してやったら、骨だけのようなガリガリの薬中女は吹っ飛んで倒れた。


『…?!あんた!!なんだよ?!今頃…何しに来たんだい?!ナイフなんか持って…』


はん…それが4年ぶりに会う娘に吐く台詞か。この売女が。幼子がギャアギャア泣き出した。


『…なんだ、そのガキは。てめー生んだわけ?てか再婚したわけ?』

ナイフを顔に向け髪を引っ張りあげた。

『ヒィッッ!!そうだよ!!再婚したんだっ…!!何しに来たんだっ!!やめろっ!!』

少し頬を切ってやった。
『ギャアァァ!!!』

『うるさい黙れ、ちょっと顔ヤられたぐれーでいちいちうるせぇんだよ、てめー』

タオルを探して、手首と足首を締めあげた。ガキの手首も一応締めた。


『旦那はもうそろそろ帰って来るのかよ?』

『…7時には帰るさ…。なぁ。なんなんだよ、あんた。殺りに来たのか?』


あははは。
愉快でたまらない。お前はあたしの手で殺られる運命だったんだよ。

No.105 10/03/11 23:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


この女の旦那が帰って来るまで3時間はある…じわじわ痛めつけてやろうか…。こいつはあたしを支配してきた。こいつなりのやり方で。私はこの女にケリをつける。色々と聞いてみた。再婚してからは薬も酒も減らし、子作りに励んだとのこと。新しい家庭でもう一度やり直したかったらしい。リセット?笑わせるな、私が失敗作なわけか。やり直しってなんだよ。怒るというよりこの女には、ほとほと呆れてくる。
この女に幕をおろす前に、絶対に聞いておかなければならないことがあった。


『私の父親は誰だか分からなかったのか?』


『……』
『あのタンスの一番上の引き出しに、黄色い箱がある、おまえの母子手帳に写真が挟まってる。おまえの父親だ。事情もあったから籍は入れなかった…』


箱の中を覗くと母子手帳の中に写真が挟まれていた。


『……。あ……!??』

こいつは…?!


痩せた色黒の男。細い目。

確か…こいつは…。


私が15で一番最初に殺った男だ。
薬物依存者で私に誘いをかけ、拒否ると逆上し、手をあげてきた男だ。

No.106 10/03/12 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


不思議なもので連続殺人犯というものは、一昨日の夕食メニューを忘れてはいても、今までに殺った人間たちの顔は忘れはしないらしい。1ヶ月にひとりだとしても3年でざっと36人。私はその全ての顔を忘れはしない。殺ってからの自慰行為のオカズは日替わりで使い回す。


私の、初めての殺人は、…父親だった。

聞けばこの女は18で私を生み、私生児として育て、父親とは一切会っていなかったらしい。


ギャアァァー!!ギャアァァー!!!!!


…うるさい。
ガキは泣きまくる。

『おい、お願いだよ…この子だけは助けておくれよ…』


頭のなかで何かが音を立て、激しい頭痛が走る。

は?
なんなんだ。意味が分からない。幼子を守るこの女。私にとっても母親だった。ろくに育てられずに殺人犯となり、初犯は父親だった。私のいない間に再婚して新たな家庭を築き、やり直しそうとしたと言う。幼子をハラハラした目で心配そうに見つめる。

おいおい…。
ふざけるな。
じゃあ私は本当になんだったんだ。

No.107 10/03/12 08:28
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ここ3、4年の間に県内で男ばっかり殺る物騒な事件が続いてるだろ?』

『…?ああ…』

『…!??まさか…おまえ…!?』

あははは。
おまえはこのガキと心中すればいい。そういうシナリオでも、酒の空き瓶大量にばらまきゃ誰も疑わないさ。だって元々そういう女だったからね?あんたは。人間のイメージってのはね、恐ろしい位に脳みそに植えつけられてんの。近所であんたは薬中アル中の水商売女で長年通ってんの。子供殺して自殺しても誰も疑わないんじゃない?


『おまえ…やっぱりイカれて育ったな!!あたしは昔から思ってたさ…こいつは何かおかしいんだろうって…ッッ!!!』


……!??


ドンッ!!!!


プツッと頭のなかで音がして。
私は思いきり薬中女の胸を刺した。


ウゥ…くっ…あ…


薬中女が苦しみもがき始めた。
薬中女の顔にも返り血にも流血にも、何故だか全く興奮しない。私の目からは大量に涙が溢れ出ていた。
一番興奮するナイフを抜く瞬間も、何も感じなかった。


母さん。
さようなら…。
私はあんたをやっと支配できた。私は復讐を遂げた。あんたみたいなアバズレは、こんな最後がお似合いだよ。

No.108 10/03/12 23:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


支配され続け、そして今この母親を支配した。
今…やっと復讐を遂げた。


さあ…この幼子をどうしよう。
この子には私と同じ、この母親の血が流れている。
私のように生きていかねばならない。私のように支配出来なければ生きてはいけない。


私が育てあげてやろうか。この子を。
私の手で。
私の思い通りに。


あははは。
またあの女の大切なものを奪えた。


…ねぇ母さん。
私は正直誘っていたかもしれない。あんたの男たちを。
奪いたかったのかもしれない、あんたのものを。

あの夜わざと薄着で横たわっていたよ。すぐにバカな獲物は寄ってきやがった。寝ていたあんたの目を盗んでね。


あははは。
また私の思い通りにあんたのものを支配できた。


この子は私のように立派な人間にならないとね、たったひとり、この世で血の繋がった義妹。


私は十分に痕跡を処理した後、ナイフで刺したため自殺は装えないから、強盗に見せかけようと部屋を荒らし、金品を奪った。そして幼子を連れ出し、人目を伺いながら実家を出た。

No.109 10/03/13 08:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


【少女】再び…



私は連続殺人犯の娘。…だと周りに聞いて生きてきた。母親は私が7歳のときに捕まった。周りの話では、娘ではなく妹だとも聞いた。でも今はそんなことどうでもいい。
バカな女。連続殺人犯で名前売るんなら、捕まるようなだせーヘマしてバレんなよ。あははは。
私もあの女と同じ血が流れているから、通常の感覚ではないんだ。ヤッてるとき男の首を締め上げなきゃエクスタシーを感じられないの。勿論何度か力入りすぎて危ないこともあった。
首を締め上げて逝く瞬間が見たい…興奮するわ、ゾクゾクする。もしかして近いうち本気で殺ってしまうかもしれないわね。あははは。


私は男を支配することでしか感じられないの。


でもあんたとは違うわよ母さん…。


いや。


お姉ちゃん…



end

No.110 10/03/16 08:04
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


読んで下さった方、ありがとうございました。
これからショート小説もたくさん書いていきたいです。
【少女】は10代の荒れた心と、連続殺人犯の心理を混合させた描写を書き綴りました。
命の尊さと重み、家族の意味といった疑問点を、私なりのフィクションで表してみました。
誰でも、父親であり母親であり兄弟であり…少なからずともトラウマや劣等感を持ちながら、生きてきているのではないでしょうか。私もそうです。生い立ちには様々なドラマがあり、人間には多種類のひとりひとりの人生、映画があると私は思います。
弱いものを虐める汚い人間、罪を認めない傲慢な人間、強姦殺人、強盗殺人…など。
彼らもまた、子供であり、赤ちゃんからのスタートだったわけです。彼らにも御両親がいたわけです。育て方だけではないはずです。二十歳前後になれば、自分の親は自分自身だと、私は思います。どういう道であれ、自分の人生という映画の中では、主人公である自分が、恥じるべき行為は出来ない…と常々思っています。

No.111 10/03/16 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★秘密★


『いらっしゃい、先生。今日もよろしくお願いしますね。』


『はい、お母さん。』


娘にこの家庭教師をつけて1年になる。時期は中3の夏休みとなった。この夏が勝負だから、娘には志望校に受かってほしいし、頑張ってもらわなきゃ…。
センターより派遣されたこの家庭教師は23歳、日中は臨時講師、夜はうちの家庭教師だ。掛け持ちはなく、うち専門に見てもらっている。
私はサユリ、38歳、専業主婦。平凡な会社員の妻であり、中学3年のひとり娘がいる。主人は2つ年上、会話はあまりない。娘の話か、娘を介しての会話が中心だ。義務的なセックスは季節に1度ペースだろうか…。完全に子供で繋がった夫婦だ。特に気にしてはいない。向こうは仕事に、私は子育てに夢中となれば、こういう関係は当たり前の結果だろうと思うからだ。
私はこの家庭教師と半年前、娘の相談という形で食事に出た。話は自然に夫婦間の話題となり、私は虚しさや寂しさを計画的に吐き出した。

No.112 10/03/16 23:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


彼は、こんな綺麗な方なのに勿体無い、御主人は馴れ合い過ぎて、あなたの魅力を忘れている、僕があなたを守りたい…そう言ってくれた。素直に嬉しかったが、あまりに待ち望んでいたセリフを淡々と吐く彼に、少々戸惑ってしまった。
そして彼に押しきられる形でホテルに入った。内心、計画的だったが、展開があまりにスムーズで、嬉しい半面なんだか緊張してしまった。

だって若い男性なんてかなりご無沙汰ですもの…。私は抱いてほしくなって、半年前ついに誘う決断をした。彼は筋肉質で顔も男らしい顔立ちで、本当に私のタイプだったから…。


優しい愛撫に激しい機敏な動き。私は愛液をたくさん放出しながら、彼を何度も求めた。
主人が出張中は、勉強後に娘と一旦彼を送り出るふりをして、もう一度自宅に入ってもらい、娘が寝た位の時間帯に1階でたまにセックスをした。声を荒げず押し殺しながらするセックスに、私は興奮してしまい、何度も絶頂感を味わった。

私達の関係が半年たった今、私は自然と深い愛情を持つようになった。

No.113 10/03/16 23:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


彼は若いから、本当は彼女がいるんじゃないかとか、愛してる、好きだなど言ってくれる言葉も、実は嘘で、構ってほしい中年女とでも、日々ヤれればいいかななんて思ってて、私を抱いているのではないか…など、嫉妬や独占欲や疑いの気持ちが膨らんでいった。
彼は若い女性が駄目で30代の年上の人が理想だったと私に打ち明けた。私は単純に信じたかった。

娘は地味であまり着飾る子でなく、クールな性格のため、中学にもなると、私とあまり奥深い話はしなくなってしまった。反抗期もあるかもしれないが、私は受験に頭が一杯で余裕がないのだろうと、簡単に考えていた。

私は彼が娘の家庭教師に付いてからは、身なりに気を使うようになった。新しい化粧品をたくさん購入したり、出来るだけ20代の服を着こなせるように心掛けた。彼に合わせたい自分に、焦りを感じた。彼は常に綺麗だとか若いだとか、賛美して絶賛してくれていた。心地よい関係に欲は出て、外で遊びたいと思うことも多くなっていた。

No.114 10/03/17 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


たまには外出デートしてみたいわと、彼に打ち明けてみた。街を歩いたり、お買い物したり、映画も見に行ってみたい。もう10年以上は、男性とデートという雰囲気を味わっていない。
『……。
それは無理だよ。』

ショックだった。彼はやはり私と外で堂々と 歩けないのかしら…私が人妻だから気を使ってくれているの?私がオバサンだからかしら…。彼と縁が切れてしまうことを恐れた私は、気にしないで、少し冗談言ってみただけだからと、明るく場を和ませた。
それからも彼は一切変わらずに、愛してる、綺麗だ、僕が守るから…など、たくさんの愛の言葉を囁いてくれた。あまり深く気にしないでおこう…そう自分に言い聞かせ、とにかく綺麗な自分でいたいと、肌のケアやストレッチなど、体重管理も努めた。

娘の調子はどうなの?聞き分けよくスムーズにお勉強出来てるかしら?
そう聞いてみると彼は、ああ大丈夫。彼女は飲み込みが早いから。そう言った。娘も順調、私も色々と満たされ、主人との関係も良くもないが決して崩れてもいない。
ふふ、この程度でも幸せかしらね私…。
そう自分を慰めた。

No.115 10/03/17 08:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


娘は勉強以外でもパソコンに張りついていて、休日も出掛けず、1日部屋にこもりパソコンに熱心だった。小学生までは素直で可愛らしく、私の言うことはきちんと聞く、お利口さんな子だった。中学に入りパソコンを買い与えてからは異様に執着し、休日も出掛けないようになり、私ともあまり口を聞いてくれなくなった。しかし何か言えばきちんと返事を返し、あっさりとした会話の中でも笑顔を見せるし、反抗期といっても反抗する荒い素振りもない。軽い親離れというか、反抗期のごく軽いものだろう…と、さほど気にも止めなかった。パソコンの何に夢中なのかも少しは興味もあったが、私自身、機械音痴だし、痕跡なく触れる自信もないため、調べたりなど出来なかった。
彼いわく、今の時代の中学生なんて皆そうだよ、ネット社会だし、将来的にパソコンは必需品だから、決して悪いことではないし、心配することはないよ。彼女はきちんと勉強しているんだから、息抜きもないとね…、だそうだ。少し子供が離れたようで寂しいが、現に私も私で恋愛にハマッているし、親子関係も変わっていくものなんだろう…そう解釈した。

No.116 10/03/17 18:17
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ある日、またいつものように、主人の出張中、彼が夜中側にいてくれていた。娘と彼…先生を送り出し、しばらくしてから自宅に入ってもらった。濃厚な時間を共に過ごし、朝方前に彼を送り出した。彼が携帯を忘れていってしまったのに気づいたのは、一眠りしてからでお昼前だった。彼は仕事中だろう…どうしよう…また今日家庭教師に来てくれる日だから、夜渡せばいいか…、そう思った私は、夕食の仕込みに取りかかった。

…ちょっと気になる。見ちゃいけないわよね…。人の携帯は…。でも…ちょっとだけなら…。

私は彼の携帯を恐る恐る開いた。好奇心は止められず、彼への疑いを晴らしたいがために、見てしまっていた。

えっと…。メール…メール…っと。

動悸は激しくなった。なんだか悪いことをすること自体が刺激的で、平凡な主婦の私には少し面白くもあった。


………??

メール相手は私と…あとはほとんど…


リカ??

No.117 10/03/17 20:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


メールの送信受信履歴は、ほとんどが私サユリと、リカで埋まっていた。

リカ……
娘の名と一緒だ。
この女は一体…?

好奇心は止まらない。内容まで見てしまっていた。

リカへ(君の望むようにしてるけど正直きつい。)
(いつこんなの終わらせてくれるんだ?)
(君に毎日会いたいよ。)
(勘弁してほしい。デートしたいって言い出した。)
(ホームページ見たよ。みんなウケてたね。よっぽどあの女、嫌いなんだね。スッピン運動の画像引いたよ。)
(可愛いリカを早く自分のものにしたい。)


………!!

…なんなのコレ?!

私は混乱した。意味が解らない。どういうこと?彼はこのリカっていう女が好きなの?デートしたいって言い出したって…私のことよね…?なんでこの女に伝えて…?
全く意味不明だが、とにかく彼は私と嫌々つきあっているらしい。勘弁してほしいとのこと…。怒りというよりは、やっぱりという悲しみの方が大きかった。そしてこのリカという女。可愛い、ものにしたいなど彼に言われている…一気に憎しみが湧いてくる。私は受信履歴も開いた。

No.118 10/03/17 20:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


受信リカより
(あんたはまだまだあの女の相手をして。)
(私はまだあなたを認められない。)
(ホームページにたくさんあの女の画像載せたわ。鬼アクセス!)
(ババァが気持ち悪!マジきもい!早く死ねばいいのに!)
(今日の声は異様にきもかった!)
(私に感謝してほしい。先生つけてるから出会いあったのよ、ババァは!)


!?

まさか……


(きついの?ダメよ!まだまだ!先生とママがヤるとこ見んのだけがストレス解消なんだから!まだまだババァ相手に頑張って♪)


……!!?
リカは…娘!?
ババァって…画像って…ヤるの見るって…
一気に血の気が引いた。娘と彼は…?私はその場に崩れ落ちた。


ガチャ…
バタン!


『ただいまぁ』


!?『どうしたの?体調悪いの?』


ダイニングテーブルに塞ぎ込んだ私に、娘は心配そうに声をかけてきた。

No.119 10/03/17 22:30
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ねぇ…大丈夫なのママ?』

私は握りしめた携帯を見せた。

『これ…先生が忘れていったの。講師先の連絡がつけばって思って見ちゃったわ。あなた…先生とメールをたくさんしてるのね。ママ、内容も見ちゃったの。』


『………。』

『どういうことか説明して。私との関係を先生に勧めていたのね?画像っていうのはどういうことなの?』


『………。』

『説明しなさいよ!!!』


私は怒鳴った。


『……ふふっ。』


『バレちゃったんだぁ。そう、私はママが先生とヤってるとこ見てたし、写メ撮ってたよ?気づかなかった?ふふッ…。』


『!!?…な…なぜ!?なんであなたそんな…。』

『自分のホームページに熟女おねだりプレイって画像も貼ったし。もちモザイク無しよ。もろに顔出てるし。』

!?…なんなの一体!この子はどうしてそんな…わけが分からない!頭は混乱し動悸は激しくなる。


『常に自己中心的な考えだもんね、自分だけ可愛いんだからね、あんたは。』

No.120 10/03/18 22:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


まだまだ子供だと思っていた娘。よく見れば、この子の顔にはもう、あどけなさなど無かった。


『…専業主婦って暇だからさぁ、やらしいことしか考えないよね。だからあんたが可哀想だったからさぁ、先生に相手してあげてって頼んであげたのよ。感謝してよね。吐き気するって言ってたんだから。』


『なっ?!……そんな…。嘘よ!!』


『あらほんとよ。』


『ねぇママ。彼は私とすごくヤりたいみたい。私の体を想像しながらあんたで処理してるってさ。』


『ママ…可哀想にね。いくら頑張っても知れてるしね…。先生は私にハマッてるし…。あははは!!あははは!!』



………誰なのこの女は。私の娘じゃないわ……私の子供なわけないじゃない…。


『早く夕食出してよねー。』



…ああ。
どこかで間違えたのね人生を。
終わりにしましょう、リセットしなきゃ…。


私は夕食のシチューに食器用洗剤を入れた。

これから毎日毒を混ぜてあげるわね。
ふふっ…


ふふふ…。


end

No.121 10/03/19 19:43
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★欲望の果て★


私は10代20代女性に大人気の某ファッション雑誌の専属モデル契約をしている。
リン、21歳。契約は3年間…あと2年、契約は残っている。
きっかけは友達と歩いていたらスカウトされ、専属モデルとなるまでの道のりはあっという間に短調なものだった。実際フリーターで適当にアルバイトをコロコロ替えていたため、ギャラ的にも夢のようなお話だった。
昔から身長は168cmと高めだったし48㎏と細身だったから、モデルみたいだねってよく言われていた。顔も自信はあった。大きな目も高い鼻も少しポッテリした唇も大好きだ。


カシャッッ!カシャッッ!…


シャッター音が入れば、たちまち私は可愛く微笑む。色々なポーズに色々な顔。カメラのレンズが私を見つめる。撮影が大好きだ。


もっと、もっと近づいて!
もっと、もっと可愛い私を撮って!
この服もあの服も…なんでも任せて!
私は全て似合うの!
どう?
私、綺麗でしょう?
私、細いでしょう?
皆、羨ましいでしょう?
私に憧れてるんでしょう?


あは!!

あははは!!

No.122 10/03/19 19:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


モデル仲間とはベッタリ仲良くもないし、悪くもなかった。
私たちは常に、昼食!とか夕食!といったものは口にしない。ご飯ものを食べたとしても、1日1食に抑える。1日総カロリーは800くらいまでに抑えたいし、とにかく太りたくない。お腹を出させたくないし、顔をむくませたくない。
ある日、都内の大きな某公園にて撮影中、女子高生に囲まれた。キャーキャー騒いで、細ーい!!マジ可愛いー!!だの、羨望の眼差しで私たちの撮影風景を観察していた。


…はん。私たちはね、あんたたちみたいにマック食べたりミスド食べたりしないの。ウォーキングもジムもストレッチもスイミングも、ほとんど毎日だわ。その間あんたたちはどんどんブタになるんでしょう?違うのは当たり前よ。元々綺麗だけどね、更に上に見えるように顔も少しはイジッてんのよ。努力もしないで羨んだり…バカじゃないの全く…。


私は愛想笑いの裏側に、彼女らへのムカつく思いでイライラしていた。


私だってね。スウェット着て、彼氏とコンビニ行ったりラーメン食べ行ったりしたいわよ!!甘いのドカ食いしたいわよ!!
…ああ、イライラする…なんなのよクソ…。

No.123 10/03/19 20:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私はモデルとして活躍しだして半年で、楽しさ華やかさの裏側に、常にイライラがつきまとっていた。

半年でモデル仲間にこう言われた。

『リンちゃんって【冷たいの】喰ってないのぉ~??』

『……は?』

『えぇ~!!だからぁ~冷たいのだよ~!!知らないの!?痩せ薬~!!』

『……!!?』

『キープすんの大変でしょ~に!社長に言いなよぉ~すぐくれるからさぁ~!あははは!!』

『………。』

『リンちゃん以外みーんな常に喰ってるよぉ!』

冷たいの…薬…痩せ薬って…大体解ってはいるけどなんだかあまり良く思えない。皆してるって…。

そして私はすぐに社長に話を聞いてみた。ああ聞いてきたのかと言われ、太ったかな?とモデルに疑問を持ったら、声をかけて渡していたらしい。大切な人気モデルたちが、太って見落ちするのは避けたいからね、そう言って、社長は笑いながら私に、冷たいの。を詰めた小さな透明袋をくれた。ジュースにでも混ぜて飲みなよ、また再来週でも入り用あれば事務所に声かけなよ、そう言っていた。
教えてくれたモデル仲間に話を打ち明けたら、『ああ!良かったねぇ』の一言だった。

No.124 10/03/19 21:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


……すごい。

ただその一言だった。社長にもらった痩せ薬は1週間、お腹が空かなかった。少しは食べたが、別に食べなきゃそれでも平気だった。飲み物とサプリがあれば、やっていけるんじゃ…と思えた。そしてモデル仲間や周りのスタッフたちと夜飲みに出ても、早朝からの撮影が続いていたのに眠気さえこなかった。寝なくて平気な夜が続いていた。肌に影響が出てはまずいから、半身浴してからはスキンケア、パックにマッサージと丁寧にケアした。やたらと喉が渇くから飲み物はかかせなかったが、1週間もしたら、体が疲れてだらしくなり1日寝込んだ。空腹感が強くなり、ドカ食いもした。

…一体??

社長の言葉を思い出した。再来週にでもまた声かけなよって…。そう言っていた。私は2日ドカ食いしてしまい、体重は1㎏増えてしまった。

そういえばモデル仲間は何㎏位?身長は私とはさほど変わらない…私は実は1番太っているんじゃないか…。皆、前々からこの痩せ薬を使っていたみたいだし…。
私はそれから、事務所の人間だけ見られる個人プロフのファイルを隠れてチェックした。

No.125 10/03/19 21:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ユナ(21)
169cm/45㎏
ミユ(19)
168cm/43㎏
ナナ(22)
170cm/45㎏
マナミ(21)
169cm/44㎏


………?!!!


愕然とした。私と皆さほど身長は変わらないのに、45㎏以上いかないようキープ出来ている…。私は薬を飲み1㎏痩せてはいたが、ドカ食いにより結果太ったから、今は48㎏だ…。皆より3㎏も重い。
今までの自信やプライドが一気に崩れ落ちた。急に自分の体が恥ずかしくなり、とてつもない不安感に襲われた。

それからまた社長にお願いをし、痩せ薬を2回分もらった。2週に1回という約束だった。
体がだるくなったときは、とりあえず食べたら吐くようにした。野菜ばかり取るかサプリのみにした。飲み物中心の生活が続き、2~3ヶ月もそんなことを繰り返すうちに、私は42㎏まで落とせた。


モデル生活が1年たった今は、私は自信に満ち溢れていた。

どう?私、細いでしょう?
綺麗でしょう?
羨ましいでしょう?

カメラのレンズは大好きになっていた。シャッター音が鳴る度に、私はテンションが上がっていく。

あははは!!
私が1番細いのよ!!

No.126 10/03/19 23:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


何故だろう。
自分自身の公式ブログにはたくさんのファンからコメントが寄せられ、雑誌を見ても明らかに私が1番スタイルがいい。細い!綺麗!可愛い!と言われ、美容室に通わなくとも専属ヘアメイクさんが度々仕上げてくれる。ギャラに不満もないし、こんなにおいしい仕事もないだろう。
なのに…なのに何故だろう。
イライラは収まるばかりか、日に日に溜まっていく。
【キメテル】ときは最高に気分がいい、しばらくテンションが上がる。でも痩せ薬が切れてくると、何とも言えない鬱感情に襲われ、不安感が押し寄せてくる。空腹感に耐えながら、イライラは増して爆発しそうになる。
早く…早くまた痩せ薬が欲しい…欲しい…。
公式ブログのコメント欄には、多々アンチからの荒らしが来る。
(痩せすぎっしょ、キモイ骨女)
(リンが1番モデル仲間に嫌われてそう)
(あと2年したら何すんの?TVデビュー?喋ったらバカそう)
(鶏ガラっぽい)

…嫌いなくせに覗いてまでわざわざコメント書いちゃって…暇なやつら、ああーー!クソ!イライラする…。

私はもう週1のペースでも痩せ薬が手放せなくなった。

No.127 10/03/19 23:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ちょっと~リンちゃ~ん!最近ヤバくなぁ~い?
めっちゃ疲労感出てんだけどぉ~?』

『…ああ、ちょっと最近疲れてるし。』

『アレ!ペース早いらしいじゃ~ん?マジ、ハマらないほうがいいよぉ~?うちらみたく月2とかにしときなってぇ~』


うるさい女。私が超細いから結局嫌味だろ、…ったく。いちいち忠告してんじゃねえよ。

私はとにかく痩せていたい。1番綺麗に可愛くいたい。

No.128 10/03/20 08:03
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『うーん…たまにいるんだよねぇー、君みたいな物分かり悪い子。』


私はもう週2で欲しがる位に【冷たいの】にハマってしまっていた。見兼ねた社長はそう言ってため息をついた。


『今の君、綺麗でないよ。今の君じゃ若者女性にはウケない。』


『………?!!!』


『バレバレなんだよ君は。モロに外見に出てる。』

『こっちとしてもビジネスだからね…。余計な虫に追われちゃ芋づる式に色々バレちゃうんだよ。わかるよね?いらん疑いをかけられちゃたまったもんじゃないよ。』

『…契約は今月までということで…。今月、さよならデキ婚しますってな感じの卒業ページ組んだげるからさ。来月誌面4ページで出したげるから。ね?いいね?』


『……あ…水…水ください。冷たいの分けて…お願い……ハァ…ハァ…』


『…君ねぇ。悪いけど雇ってるモデルじゃなきゃあげる必要なくなるんだから。これからは他あたってね。』


『………!!』


谷底に突き落とされた。私は何が間違っていたんだろう。痩せたいから頑張っていたのに…プライベートを犠牲にしてモデルにかけたのに…。

No.129 10/03/20 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


あっさりと契約解除された私は、デキ婚によるウェディング卒業という形でモデル業界に幕を閉じた。

何故?
ああまだ実は太って見えたとか…
何故?
この太もも肉が見劣りしたの…?
何故?
整形が崩れてきたの…?
ああ悔しい!!腹がたつ!!周りの一般女は好きなだけやってるってゆうのに…!!デブばっか!ブスばっかのくせに…なのに、なのになんでみんな…そんな幸せそうなのよ!!私は食べてないのに!努力してるのに!あんたらよりなんで幸せじゃないの…?!


とにかく体がだらしいから苦しい。幻聴さえ当たり前になっていく。


私は使い捨てのモデル業界に、吸われるだけ吸われ、骨抜きにされ捨てられた。



『あっ!!ねぇねぇ!!アレッてさ、最近○○の卒業したモデルの…』
『ああ!!リンでしょ!!』
『なにあれー!!もう確実だよねー!!あのクマありえないってー!!』
『デキ婚とか完璧嘘だよね!ネットでも薬物中毒でクビってみんな書いてたもん!!』
『哀れだね~ああは落ちたくないよね人生~!!』
『ほんとほんと!!』
あははははは!!


今日もまた幻聴が聞こえる。
…あの痩せ薬がまた欲しい…。

end

No.130 10/03/22 13:43
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★姉妹★


お姉様はずるい…。

幼少よりお姉様は全てを手に入れてきた。


お母様から可愛がられ望まれていて、ピアノも歌も演技力も踊りも、全てお姉様のほうが私より優れていた。


…でも優しかったお姉様。いつも私の気持ちを確かめてくれ気遣ってくれていた。


私たちは二卵性双生児だから、顔は似てはいない。だから、お姉様の顔が羨ましくてたまらなくて、私は常に自分の顔に自信がなかったの。


小さな頃、様々なレッスンの先生から私が怒られる度に、お母様はよく私の手を叩いた。様々なジャンルの先生たちを、お母様は私たち姉妹に付けてくれ、全てのジャンルに適応できるお姉様とは真逆に、私は全てに向いていなかった。


手を叩くお母様は、いつもギラギラした目で私を睨みつけ、こう言っていた。


『里奈。悔しくないの?いつも姉に負けて、悔しくないの?』


『悔しくないのならば、私の子供ではありませんよ。』


隠れて泣いていたら、お姉様がいつも側に来てくれ慰めてくれた。


『里奈、私の可愛い里奈。泣かないで。里奈はすごく才能があるの、優しいの。お母様は気づかれていないのだわ…』

No.131 10/03/22 17:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


この広い邸宅はお母様方の姓で華族としての古い歴史がある。お婆様もお母様も親戚関係や利益関係による策略結婚をして、この土岐多家の血筋を守ってきた。


私たちは21となり、お母様は42になった。お母様…土岐多小百合は映画スターだから、お姉様…土岐多優菜も同じ道に進み、今や土岐多小百合の娘として、大注目されている女優となっている。


私は芸能関係には進まず、短大を卒業し、今のところ家事手伝いといった目標のない生活を送っていた。


いつもいつも注目されているのはお姉様ばかりね…。そんな劣等感を常に抱きながら、この屋敷にしがみついて生きてきた。


この私の家には不思議なこともある。ただ口には出してはいけないように躾られ生きてきたから、私たち家族の中では決して話題には出ないが。お婆様は私たちが4~5歳の頃から、三階の端部屋から出て来なくなった。生きてはいるのだが、毎度食事はお手伝いが持って行き、自室にて入浴も済ませている。もう15年はお婆様を見てはいない。不思議なことは、お母様も何もお婆様のお話をしないし、私たちもお婆様の話題には触れない。

No.132 10/03/22 23:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私には好きな人がいた。男性未経験の私は、ただその方を見つめていられるだけで良かった。その方は、お姉様のマネージャーの近藤さんだった。お姉様の送り迎え、お仕事の調整、たまにお母様のお手伝いまでもしていて、うちの家族が非常にお世話になっている方だった。


しかしある日、私は見てしまった。夜中に仕事帰りのお姉様を送ってくれていた近藤さんの車が門に着いた。私はエンジン音に反応してベッドから飛び起きて、一目近藤さんを見つめようと窓のカーテンを少し開けた。飲んで帰ってきたらしく、お姉様は酔ってしまっていて歩けていない。近藤さんがお姉様を支え介抱しながら、二人は門扉を開け庭に入ってきた。そのときだった。二人は抱き合いながら長いキスをしていた。そして家にしばらくいたらしい近藤さんは、朝方前には帰っていた。


お姉様はそう…。ずるいの。お姉様はいつもいつも、私の望んでいるものを持っているの。お姉様だけいつも認められて、いつも優位に立つの…。近藤さんもお姉様のものだったのね。


私の小さな恋は見事に崩れてしまった。

No.133 10/03/23 00:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ある日うちに長く仕えてくれているお手伝いさんとお母様が、慌てたように何かヒソヒソとリビングで話し合っていた。そしてお母様に私とお姉様は呼ばれ、お婆様が亡くなったことを伝えられた。しかし15年も姿を見ていないためピンとこないし、感情も湧かない。それはお姉様も同じようだった。そしてお母様はソファーにドッカリと座り、煙草を吸いながら大きな溜め息をついた。


『とうとう私の番だわ…。』


??……。
私たち姉妹は顔を見合わせた。


『…お婆様は密葬にするわ。棺のお顔を見ても驚かないように。分かったわね。』


意味が分からなかったが、その答えは、私たち姉妹には衝撃的なものだった。


棺の中にお花を捧げようと、お顔の窓をお手伝いさんらに開けてもらい、覗いた瞬間、驚きにより私たちは少し声をあげてしまった。


これは……?!

誰なの?!!


真っ白の長く伸びたボロボロの髪に、しわくちゃな顔。顔は火傷の痕があるかのように赤くただれ、シワが尋常ではなかった。そして驚いたのは沢山の赤い斑点が、お顔や手足にあったのだ。63~4歳のはずのお婆様は、まるで100歳位の老婆のように見えた。

No.134 10/03/23 08:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お婆様の四十九日が過ぎ、納骨も済ませると、お母様は私たち姉妹を呼び出した。


『優菜、里奈。よくお聞きなさいね。』


『私たち土岐多家での掟は、先代が亡くなれば、代々伝わる外見の美しさと引き替えに、通常の倍のスピードで、身体が醜く老化していき、年齢と比例しない、醜い老婆になってしまうの。』


『髪は真っ白となり肌は衰え全てがシワとなり、代々、赤い斑点が身体中に広がるのよ。お婆様もひぃお婆様も、そうやって私たち土岐多の家を守ってくれていたの。』


『これは何百年も前に私たち土岐多家の御先祖様が、若き美貌を長く保つために、平民の娘たちをさらい、常々生き血を吸っていたことによる、殺された女たちの復讐…つまり呪いをかけられたと伝えられているの。』


『あなたたちに話さなければいけない時期がきたのよ、分かるわね?』


『私は今日より、3階の端部屋を自室とし、老いて命の火が消えるそのときまで、永遠に外出することはありません。良いですね?』


『…お母様……。』

No.135 10/03/23 08:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お母様の私たち姉妹に言い伝えを残し、映画スターという華麗なる功績を残し、世間に惜しまれつつも電撃引退、その芸能生活に幕を閉じた。


お母様が引き込まれてから、私は色々と考えさせられた。


私たち姉妹は二人ともに呪いがかけられるのだろうか…。どちらかひとりなのだろうか…。


お姉様も口には出さないが、多分同じように思っているだろう。


私は少し助けられているのではないか…と勝手に考えていた。というのが、…私は男性を知らない。お姉様はマネージャーの近藤さんと密会しているし、確実に男性を知っている。


この土岐多の家の呪いは、男性を知らなければ、呪いは避けれるのではないか…私は密かに少し期待を抱いていた。そして何より私は、お姉様より美貌は数段落ちている。


いつだってお姉様は恵まれていたじゃない…。


呪いはお姉様だけが犠牲となればいいじゃないの…。


私には何も無かったわ。恵まれた才能も美貌も、そして…お母様の愛も…。地位と名誉とお母様をも手に入れていたお姉様。


あなただけにこの土岐多の残虐な罪による呪いが降りかかれば…。

No.136 10/03/23 20:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お母様が端部屋に引き込まれてから、私もあまり自室から出なくなっていた。カゴの鳥のような生活を変える勇気も無ければ、ひとり、この屋敷を出て暮らす自信も無かった。憂鬱な日々に加えて、お姉様の華々しい女優としての活躍が、私をどんどん鬱状態に追い込んでいった。


ある日、お手洗いを済ませ自室に戻っているとき、お手伝いさんたちがキッチンでティータイムの休憩を取っており、ヒソヒソと会話が聞こえてきた。


『……可哀想にねぇ……だろうに……』

『…ねぇ……だから……らしいのよ…』


??…一体何をヒソヒソ話しているの。


私は少し気になり立ち止まって、会話を聞いてしまっていた。


『可哀想にね…。まさか優奈様はお知りにならないわよね。』


『知っているはずないじゃないの!長く仕えている私だけが知っている秘密よ…。奥様は結局お二人にお伝えしないまま、引き込まれてしまったのよ…。』


『あぁ。そうよねぇ…。とてもお伝え出来ないわよね。まさか優奈様が赤ん坊のときにもらわれた子供だなんて…。』


『里奈様だけが土岐多の血の呪いを受け継ぐのね…。』


……な…なんですって?!!

No.137 10/03/23 20:16
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


頭が混乱して目眩と吐き気がした。
お姉様がもらわれた子供…?そして私だけが土岐多の人間…?なんですって…。
じゃあ、私たち姉妹は血の繋がりのない…他人?二卵性双生児なんかじゃなく、全く無関係の…。


何故!?ならばどうしてお母様は、お姉様ばかりを可愛がっていたの!?実子の私には何故そっけなかったの!?どうして…どうして…


何故!!!!


思い出す…。
お母様の言葉を。


【里奈。姉に負けて悔しくないの?
悔しくないのならば、お前は私の子供ではありませんよ】


お母様は…?
実子の私に姉に負けてほしくなかったの?
どうして女系家族に女児が生まれたのに、お姉様を引き取ることになったの…?


お姉様。
あなたにはもううんざりよ。
他人のくせに地位と名誉、美貌と栄光を手にして…。
そして他人だからこそ、土岐多の呪いには無関係なのね…。
あなたはずっと永遠に老化することなく、美貌を保っていられる…。
老婆になり引きこもるのは…この私だけ。
はは…。
あはははは!!

何よそれ!!
何よそれ!!

あはははは!!

No.138 10/03/24 22:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お姉様は久々に1週間程度、まとまってオフが取れたらしく、私たち姉妹は数ヵ月ぶりに夕食の席を共にした。お姉様は一緒に夕食を頂くのは久しぶりよね、と言いながら微笑んだ。


夕食を済ませると、私はお手伝いさんたちに、お姉様にお話がありますから、二人きりにさせてもらえるかしら、と言い、お手伝いさんたちを下がらせた。
お姉様が『…なにかあったの?』と不安げな顔つきで私に問いただす。


『…お姉様。お母様が自室に引き込まれて、私色々と考えていたの。』


『伝えるか伝えないか…。けれど私は、もうハッキリとしたほうが良いと思ったの。』


『……なにがあったの…?』


『お姉様は信じられないかもしれないけれど…。これは多分真実なの。』


『お姉様…。お姉様は養子なの。土岐多家の血筋では無かったの。私とも双子ではなかったの…。実子は私だけ…。』


『…………。』


『信じられないと思うわ。でもね、私、お手伝いさんたちの会話を聞いてしまったの…。お姉様、私はとても驚いたわ。まさかお姉様と私が、血の通わない他人だなんて…。とても理解に苦しんだの。』

No.139 10/03/24 22:41
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『お姉様。ごめんなさい…急に私、こんな話…。』


私はとても気まずいような喋り方をしながら、内心、清々しい気分を味わっていた。


何故だか分かる?

初めてお姉様より優位に立てたから。
初めてお姉様に対して優越感を味わっているの。


あは!!
あはははは!!
どう?
傷ついて悲しむ気分は…。


『里奈…。私は全て子供の頃から知っているのよ。』


……?!!


な…そんな…何故…?!!


『私はね、里奈。全て知っていたの。お母様はね…私に全てをお話してくれていたわ。内密にねって忠告され続けてきた。』


『お母様はね…こう言っていたわ…。私を養子でもらった理由は…土岐多の血筋の呪いを終わらせたかったと…里奈を最後の血筋として止めておきたかった…だから私を土岐多の人間として、新たに家系をスタートしてほしいと…家と違う血筋で家系を守っていってほしいと…。』


……そんな…なんてこと…!!お母様の理由は…私で、この残酷な血筋を消し去ろうと…だからお母様を……。


『里奈は知ってしまったのね…。』

No.140 10/03/25 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『里奈…。私はお母様の言付け通り、近い将来、近藤さんに家に入ってもらい結婚するわ。そしてゆくゆくは子供を生み、新たに家系をスタートさせる…。それがお母様の願いだったから…。』


『お母様には感謝しているの。新たなる血筋のため、たくさんの教養を私に身につけさせてくれ、力を注いでくれた…。』


『里奈…。お母様がね、私だけを見ていたのは、私が土岐多の新たなる人間となることを決めていたからなのよ…。』


『あなたは最初からお母様には見えてはいなかったの…。子供の頃から事情を知っていた私は、あなたが哀れでたまらなかった…。』


『だからね里奈…、子供の頃からいつも私はあなたを励ましていたでしょう?』


『あなたはお母様が亡くなられたら、老化が進む…そしてあのお部屋に引き込む運命なの…。』


『可哀想…。本当に里奈は可哀想だわ…。』


………はは!!
あはははは!!


お姉様。
どこまで私を蔑めば気が済むの?どこまで馬鹿にすれば気が済むのよ…。
あなたはもう、私の手で始末しなければ…。


それが私の宿命。


end

No.141 10/03/26 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


お目にとめて頂きありがとうございます!性欲に堕ちた母親の話、痩せたい願望に堕ちた若い女性の話、呪われた家系の話。。書きました!
今のこの世の中は、母親が我が子の世間体や上っ面ばかりを気にして、きちんと内面を重視した子育てをすることが出来なくなっているような気がします。そして親であっても自分の方が大事だというような人も、ニュースで見たりしますよね。兄弟姉妹であっても、異様にどちらかに執着し、注目されなかった子供が将来的にコンプレックスから、犯罪を犯したり、我が子の愛し方が解らなかったり…。親の育て方で殆ど決まると言っても過言ではないでしょう。若者も痩せたいとかあれがほしい、これもほしいとか…欲望の理性的ブレーキが壊れているような気がします。
そんな今の世の中を見つめていて、自分はどうしたらいいのか、自分はどういうふうに子育てしていけばいいのか…など、一人の時間、よく自問自答をします。難しいこともあるけれど、逃げて楽になろうとしても、違うトラブルが訪れると思うのです…。日々勉強だなって思います…(泣)

No.142 10/03/28 22:17
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


心に余裕のある女

が、私の思う、いい女の理想像です。心に余裕があるということは、心が広い大きい=穏やかということに繋がり、そして、余裕があるからこそ、人を思いやれるんだと考えます。現実は厳しく生活に追われる、そのなかで、家族や友人知人、恋人、同僚など…自分は差し置いて、人を思いやれることができたら…。そんな人は稀でしょうから、理想像なんですよね。理想は理想ですが、近づくことは誰しもが可能なのでしょう。切迫詰まってもニコニコと笑顔で居れる余裕。なかなか出来ないです。(泣)
人を思いやることは想像力ですよね。こうゆう場合はこうしたら傷つけず事が済むだろう…こうゆう場合こう言えば励ませるだろう…とか。想像力は、常に先を読まなければいけない。先々を考えることに脳を柔軟させるには、やはり読書と切り離せません。絵本も小説も、そして映画も、想像力豊かにしてくれる行程かと思います。
優しさ無くしては人間でないような気さえします。他人の温かみに触れたとき、自分もそうでなければ…と考えさせられます。

No.143 10/04/13 08:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★mother★


いつこの悪夢から
目が覚めるの?
いつ私は現実に戻れるのだろうか。
人が死ぬこと。
それはもう姿形が無となり骨となり
そして
もう話が出来ないということだ。
最後の会話は
そっけなくて覚えてはいない。
父の死。
そして母の死。
全ては長い夢の中であってほしいと願う。
目が覚めたら
あの白い家で談笑して
またたくさん言い合いしたい。
私を置いていって
旅立った天国の
居心地はどうなの?
お母さん。
お父さんに会えた?
あなたたちの思い出を胸に
悲しみは渦巻く。
馴れ合いは深い愛情の証だった。
置いていかないで。
遠い所にいかないで。
いつこの悪夢から目が覚めるの?
早く現実に戻してよ。
神様。
この世は平等なの?
たくさんの施餓鬼供養に意味はある?
徳を積んだら両親を返してくれるの?
早く私が目覚めれば
両親に会えるはず。
この現実は
夢なのだから…。

No.144 10/04/14 08:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★邪道★


小6の担任に怪文書を自宅へ送りつけたのは私だよ。あのクラスメートたちは今更驚くだろうか。
あの若かった女担任はクラスの女子を集めてこう言った。
『ひとりひとりの嫌いな所を言っていこう』
みんな、ひとりずつに、女子全員が嫌いな所を打ち明けていった。
それが怪文書を送った理由。
何度も何度も私だけ名前を間違えて出席取ってたよね。
頭悪いと思ってたけど、教員試験て難しいだろうしね。
わざとだったんだろうね。あの女は当時25歳だったかな。
嫌いな所言い合って、それからクラスの女子はギクシャクしないと思ったか?
バカな女だった。
ひいきも激しかったし。
怪文書も私だとは気づかなかったでしょう?
そう。
犯人は私。
クラスメートだったみんな。
未だに犯人探ししたりする?
今更だよね。

No.145 10/04/15 17:04
優花 ( ♀ 6VhO )

★創造の罪★


どうしてイヴは果実をアダムに勧めたの
蛇にそそのかされたから?
でも蛇が悪巧みをしなくても
イヴはアダムを騙しただろう
イヴは神が怒りエデンの楽園を追放すると
計算していたのではないだろうか
ふたりの愛を誓う代償に
アダムとイヴは男30人女30人の子を生み増やしたと言われる
神は命の木と善悪の木にわざと果実を実らせたの?
神が人間を創造した時代から気が遠くなるほどの年月を越え
そして今現在私たちは私たちの時代を生きる
神よ
人間が生きるこの世は平等な世界なの?
お釈迦様
あなたは一体どれだけの輪廻転生を繰り返した?
私のこの人生が修行ならば
もうこんな修行は終わりにしたい
苦し紛れには
愛する人に看取られ
旅立ちたい
もう悲しまないで
小さな私
もう苦しまないで
大丈夫だから
もう泣かないで
人間を創造した神は
どんな未来を与えるの?
応えてよ

No.146 10/04/16 17:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★希望★


小さな女の子と男の子。煌めく星空を見上げて、ふたり肩を寄せ合う。響く罵声はキレイな音楽で消して、ふたりの希望を星に託した。笑われてもけなされても、傷ついた小さなふたつの心は、ふたりの成長の糧となった。女の子、男の子。生きていれば必ず幸せは見つかるから。どうか希望の光を見捨てないで。苦しんだら、私がタイムマシンに乗っていつでも助けに行くよ。泣かないで。今の辛い現実には必ず終わりがくるから。可哀想なあのふたりをどうか許してあげて。あなたたち小さなふたりを必ず助けてあげるから。


どうかこの声が星空に届きますように。

No.147 10/04/19 23:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


雨音に慰められる夜更け。悲しみのワルツに身を寄せ、涙の雫を飲んだ。
ねえ。
もしも解り合えていたら、こんな結末は迎えていなかったの。
偶然に思える過去には、深い意味があったの。
現実は結果論。
狂おしいまでに、もがき渡り歩いてきた。
何ももう望んじゃいないよ。結果は現実だから、何も変われはしない。
神や仏に私のちっぽけな悲しみの声は届くかしら。
果てなく続いていく迷路の幸せ。明日は何があるのか分からない。
今を生きろ。
今を楽しめ。
今この時間を大切にしなければ。
私には消え失せたもの。皆が当たり前に恵まれていても、私はこの視界に背を向けない。
きっと精神病。
だから私に構わない。


それでいいのよ。


私は私ただから。

No.148 10/04/21 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★引き換えた不幸★


ずば抜けた容姿や、地位や名誉や富を手に入れてしまった女性達は、高く高く登りつめたために、高い場所から転落して、そして命を落とすのよ。知っている?

楊貴妃、小野小町、クレオパトラ、マリーアントワネット、西太后、グレタガルボ、グレースケリー、ダイアナ妃、マリリンモンロー、ジョンべネ…などなど。

悲惨な結末、悲惨な運命。可哀想にね。
美しさや地位や名誉や富と引き換えた代償は、あまりにひどく、残酷だ。
じゃあね、これといった幸がなく、引き換えるべきなはずの不幸ばかりが襲ってくる人生って…。一体なんなの?
不幸が襲うのならば、幸福がないなんて、おかしいんじゃないの?
皆さん、とてつもない幸福を先に手に入れていたわけでしょう?


見過ごした幸福。
直視する不幸。
今の私には、全てがモノクロに映る。

No.149 10/04/22 21:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★言霊★


人間が吐く言葉には言霊がある。
心地良い波動。
凶暴な波動。
ゆるやかな波動。
荒々しい波動。
言葉はどうしてこんなにもどかしく
難しいのだろう。
どんなに周りに伝えたくても
どんな言葉も軽々しく思えてしまう。
愛しい人に愛しいと言えば
なんだか自分の愛情を軽く伝えたような気さえしてしまう。
そして言葉は凶器となりさえする。
傷つける失言や暴言。
こんな言葉は使いたくないのに
頭の中で適切な単語が見つからない。
言霊は波動を出し
自分の見えない膜となりオーラとなる。
重大な人生のシーンでも
うまくは適応できない。
私は過去何度言葉の過ちを犯したのだろうか。
愛しい人たち。
ごめんなさい。
辛かった人。
うまく言葉が見つからないまま
励ませなかった。
ごめんなさい。
記憶の中で桜が散る。
思い起こす春は
私の瞼のスクリーンに鮮やかに映った。

No.150 10/04/24 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★お姫様★


私はね、いつだってお姫様だったのよ。
なんだって欲しいものは手に入れてきたの。
なのに…
なのに…
どうしてこんなことになってしまったの…?



私は一人っ子だった。両親は10年近く子宝に恵まれなかったらしく、30半ばでやっと待望の妊娠。そして私が生まれた。そういった過程において一人娘の私は、それはそれは、本当にお姫様のような扱いだった。パパもママも私に甘く、パパは大企業の役職会社員で人並みよりは裕福であったし、ママも裕福な実家のお嬢様であったから、私は両親から、そして祖父や祖母から、多大な愛情を受け、欲しいものは何でも買ってもらいわがまま放題生きてきた。
幼少期からお姫様だった私には、小学生になり物心がつくと、周りとの違和感に戸惑いだした。私がすぐに手に入るものは、みんなはお誕生日やクリスマスにやっと買ってもらえるという。服もワンシーズンに何度も同じコーデ、鞄も靴もいつもみんな同じ物を身につける。私自身、毎日違う身なりだったから、周りとの違和感に疑問を持ち、そしてだんだん羨ましく思われる優越感が気持ちよくなっていった。

No.151 10/04/26 07:54
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『これ、もういらないからあげる。』

『え…いいの!?』


小学生時代、いらなくなった物を周りの子にあげていた。普通は、ひとりだけ奇抜に目立てば、いじめられたり仲間外れにされるんだろうけど、私はクールでターゲット的なキャラではなかったし、むしろ逆をついて、こうしていらなくなった玩具やぬいぐるみ、お人形など、周りに還元しておけば、意地でも私と仲良くなっておこうと、得を感じさせるように先に仕向けた。
案の定、私自身、小学生時代いじめられたり仲間外れにされたりするようなことはなかった。
物をあげる快感、優越感。周りの子達の視線。常々、新しいお洋服、靴、おかばん…私自身、別にこれといっていつもお気に入りなどなかった。

【パパとママはいつだって可愛い物をたくさん買ってくれるの。だって私、他のみんなとは違って、お姫様だから。】


私は自分がお姫様だから、なんでも願い事は叶えられる。夏休みや冬休みは海外だし、ピアノもお歌もダンスも、いっぱい習い事が出来るの。私は幼少期や小学生時代がたまらなく幸せだったと思う。

No.152 10/04/26 21:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


しかし中学生になると私を取り巻く環境は激変した。両親の勧めにより、公立中学には進まず、某お嬢様学校に編入した。小中高、大学とエスカレーター式の女子校で、大多数の生徒は小学生からの進級だった。私のような中学からの編入は、ごくわずかだった。両親も無理をしたのだろうか。入学金も多額だったと思う。私は小学生時代とは真逆の理由により違和感を覚えた。
クラスメート達の父親は、政治家や、警視庁、某有名企業の社長であったり、有名芸能人であったりした。名前を聞けば、ピンとくるような人物ばかりだった。うちはそこそこ有名な会社ではあるが、重役ではない役職会社員のヒラである父親だったし、なんだか自分1人だけ惨めな環境となった。
羨ましく思われていた私にとって、桁が違うお嬢様学校は嫌悪感に押しつぶされそうになっていた。

No.153 10/04/27 08:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『エリナさんの御自宅に遊びに行かせて頂きたいわ。』

『まぁそうね!こうして私達仲良くなれたのだし』

入学してからしばらくして、席が近い女子達に声をかけられた。私達?仲良くなれた?
私は入学してからは誰とも奥深い会話など交わしていなかった。
多分、自宅調査なんだろう…自分達よりお金持ちなのか、勝っているのか、負けているのか…。ベラベラと自分の父親の職種やポストを自慢げに話す周りに、違和感を感じていた私は自分の環境など恥ずかしくて語れなかった。
私は丁寧に嘘をついてお断りした。クラスメートで私1人が編入生徒であり、浮いた存在の転校生のようだ。転校生に変わりはないが。
私は自宅から学校までそこそこ近距離だったことから、自宅通学だった。大体クラスメートの7割は寮生活だった。
会話はついていけない話題ばかり自慢だらけ。お父様は○○様と最近お付き合いをよくしているわ、お母様は美容関係で有名人の○○さんとよく食事に行くわ…など。全くもってついていけない。うちに政治家や芸能人や警視庁には知り合いなんていない。

No.154 10/04/27 16:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


中学生活の3年間はとにかく勉学に励んだ。私自身、幼少期から両親にたくさん愛情を注がれ、周りの状況にいつも甘えてきたため、競争心といったものを持てる環境でなかった。小学生時代も常々一番羨ましがられ周りに下心から慕われてきた。だから、勉学の部分に大きな成果が出るようになり、その快感がまた私を嬉しく感じさせた。私はまた違う意味で周りに優越感を感じたかったのだ。どうあがいても超ド級クラスのお嬢様にはなれない。家柄は負けている…だったら他の面で周りに勝つしかない。私は3年間猛勉強した。勿論、両親からはとにかく誉められ、たくさんのわがままもきいてもらえた。超のつくほどのお嬢様ではないが、うちもやはり人並みの家庭に比べれば、はるかに経済的裕福な家庭だ。
3年に進級すると学年200人中、毎回テストは5番以内にランクインしていた。【頭がいいひと】それだけが何より優越感に浸れた。周りも私がそうでもない家柄だと気づいている…だから私はあえて友人など作らなかった。いらないと思ったからだ。

No.155 10/04/27 21:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


高校に進級すると、周りの環境は更に激変した。周りの女子達の大多数は、他校生や社会人の彼氏ができていったのだ。
勉学=ダサい。そういったイメージが浸透して、女子校であるがゆえ、話題も彼氏のノロケ話、オシャレやヘアメイク、服のブランド…など、益々話題についていけなかった。私にとって、勉学など何も意味を持たなくなった。いい成績を勝ち取れても、中学のときのように周りはもてはやしてはくれない。羨ましがられない。ダサい、地味だと笑われる…。また新たな違和感に戸惑い、中学時代とはまた違う理由により、精神的に追い込まれた。
一体何のために…?誰のために勉強してるんだろう…。私だってたくさんブランド服集めたい。男性とお話してみたい。髪にカラーも入れたいし、パーマもかけてみたい…。あんたらみたいにVUI●TONやGU●CIのお財布やバッグが欲しい…。
私の中で新たな気持ちが生まれていて、思春期ならではの、男女交際への憧れなど…たくさんの甘い気持ちが溢れてきていた。
両親にその思いを伝えたら、パパとママはあっさり否定してきた。

No.156 10/04/28 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『周りの風潮に流されてはいけませんよ。エリナは成績が良いんだから。勉強に恥じらいを感じるなど、そんな風潮が間違っているわ。』

『高校生活も今まで通り勉学に励みなさい。』

着飾る事オシャレする事の理解はしてはもらえなかったが、最終的に私の希望は通るのだ。ブランド物や服をたくさん持っていないと、周りはお嬢様だらけだから仲間外れにされてしまう、ひとり黒髪だと浮いてしまい仲間に入れてもらえない、いじめられてしまうから…と説明すると、パパとママは悲しそうな表情で顔を見合わせ、それならばエリナの希望も通さなければ…と、全ての望みを聞いてくれた。
パパとママにとって私はお姫様だから。きっとどんな願い事も叶ってしまうの。周りに比べれば家庭環境は劣る。それは場違いな学校に放り投げた両親のせい。私に辛い惨めな思いをさせているのは、あんたらなんだから…。私は思春期を迎え高校生となり、初めて両親を心の奥底で恨むようになっていた。確かに学歴の肩書きは一流で、就職も結婚相手にも良縁はすぐに見つかるだろう。でも有名私立のお嬢様学校において、私は生まれて初めて劣等感というものを味わった。

No.157 10/04/28 20:27
優花 ( ♀ 6VhO )

私は周りの風潮に流され、髪にカラーを入れて、メイクを覚えた。お財布やバッグはブランド物を揃え、私服も女子高生の人気ブランド服をたくさん買った。いわゆる高校デビューだった。単調なシンプルな顔立ちで幅広い二重だったため、メイクが非常に映えた。そのため、パッと見、最初は私だと周りは気づかなかった。
オシャレに目覚め、私は綺麗だ、可愛いと自信を持つようになると、段々周囲から注目を浴び、そしてクラスメートからたくさん話しかけられるようになった。
新クラスの2人と仲良くなった。2人とも私と同じく高校デビューだった。中学でのクラスはバラバラで、互いに知らなかったが、私達3人は急速に仲良しグループとなり、行き過ぎたメイク髪色により、気づけば学年で目立つ存在になっていた。
由佳とリン。この2人は初めての親友だった。高1の夏休み、男女グループで合コンをした。相手は大学生だった。チョイスは由佳だったが、カラオケでバカ騒ぎをして3人初のお酒を飲んでしまった。さっそく3対3となり、大学生の男等がイチャイチャしてきた。私の相手はもろにタイプだった。

No.158 10/04/28 21:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『トイレ行こうか?』

『え…初めてなんだけど…(笑)。初めてがトイレ?』

『いいじゃん。こんなにすぐ手に入れてみたい子初めて。ハマっちゃったみたい。』


かっこいい顔に甘い言葉。私の初体験はカラオケのトイレだった。彼に抱っこされたまま行為に持ち込んだが、痛くて痛くてたまらなかった。でも不思議と痛くても気持ちよかった。ドキドキしてふわふわして、頬が高揚して温かくなった。避妊はしなかった。男が用意するものだと信じていた私は、一瞬は戸惑ったが、彼が平気そうだったため、流れに身を任せた。
彼から、俺ら勿論つきあうよね?と聞かれた。私は勿論!!と返した。Hをするのはつきあっているからなんだから…当たり前じゃないの…。順序は逆になったけれど、私に初めての彼氏ができた…。私は浮かれてしまっていた。芸能人の○○にかなり似てる…本当にタイプだった。大学2年でもうじき二十歳になるという、孝志。1人暮らしダッた。私は頻繁に彼のアパートに行った。Hは何度も経験するうちに気持ちよさは倍増した。

No.159 10/04/29 20:18
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


つきあいも半年たち、高2に進級すると、段々と孝志の様子はおかしくなっていった。バイトが忙しいと言われあまり会えなくなり、アパートで待たれても帰りが遅くなるし会えないと言われた。私の中で不安や疑いは大きくなっていった。初めての男だったし、私は彼にハマってしまっていた。たまに会えたら疑ってばかりの会話から喧嘩となり、孝志がうざったく思いだしているのは気づいていた。でも私は別れる気は更々なかった。

つきあいだして1年たった高2の夏休みに生理が遅れた。由佳とリンの勧めで妊娠検査薬をしてみたら案の定、陽性だった。驚きと不安でいっぱいだった。でも、少し嬉しかった。これで孝志と結婚できるのかもしれない…、私は孝志を独占できる…、子供も悪くない…。母性など全く持って湧かなかったが、私は生みたいと思った。
孝志に妊娠を告げると、やはり中絶を勧めてきた。

『…無理。悪いけど、おろしてくれ』

『いや!!絶対いや!!私生むから!!もう決めたんだからね!!学校も辞めるし!!』

『…はぁ。なんだそれ。いつだって自分の意見貫くんだな。おまえのそうゆう自己中なとこ…、もういい加減ウンザリなんだよ』

No.160 10/04/29 20:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


しばらく考えさせてくれと孝志は連絡を絶った。私の孝志はこの私の彼氏なんだから…私はお姫様なんだから…彼は王子様なんだから…
きっと私と私達の子供を受け入れるはず。そう信じていた。
1ヵ月、そして2ヵ月たっても孝志からは連絡がなかった。私からの連絡もいよいよ繋がらなくなり、アパートに自ら出向いた。すると、部屋は引き払われていた。出て行っていた。放心状態となった私は、彼の大学へ向かった。そして事務所に立ち寄り伝言を残そうと○○孝志の身内です…と伝えた所、大学内にはその名前の男性は存在しないと言われた。
頭を鈍器で殴られたような頭痛に見舞われ、つわりも始まっていたため気分が最高潮に悪くなり、トイレで吐きまくった。

…どういうこと?彼は偽名だったの?彼は大学生だと嘘をついていたの?一体誰だったの?私は誰の子供を妊娠しているわけ?わけが分からない…

どうしよう…

どうしよう…


私は悩みに悩んだ。両親に伝えられない…伝えたらすぐに堕胎をさせられるんだろう…そんなことされたら、いざ孝志が私の元に帰ってきたときに結婚できない…孝志と結婚しなきゃ意味ない…。

No.161 10/04/29 21:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私は悩み続けながら、とうとう安定期の5ヵ月に入った。私は元々が小柄だから周りにバレてはいなかったが、さすがにもう隠し通す事は限界だったし、明らかにお腹はポッコリ出てきて太ってきた。そして孝志からも連絡は来ないし、堕胎はもうできない…。私は両親にとうとう打ち明けた。
ママは泣き崩れ、パパも涙目になりながら頭を抱えた。何故もっと早くに相談しなかったんだ、その男が見つからないままだと認知されず私生児となるんだぞ、荒げた声をあげパパは何度もテーブルを叩いた。ママは、どうして…どうして…と泣き続けた。
両親の決断として、結局学校は辞める事、子供はこの家の子、エリナの子供として育てていこう、私達の孫として可愛がろうという話だった。そして孝志が戻ってきたら、この家に養子として入ってもらい、責任を取らせよう…そういう結果になった。
私は孝志が私を騙すはずがないと思ったし、私は周りから愛されるのは当然だと考えていた。孝志は今だけ恐いだけ…結果私と一緒じゃないと苦しむだろう…そう思った。
私は自信を持ちながらも内心は不安でたまらなかった。

No.162 10/04/30 07:58
優花 ( ♀ 6VhO )

>> 161 ★続★


その不安感の中に、赤ちゃんのこと、育児のことなど、母親になる不安といったものは全くといって無かった。ただ、孝志が戻ってくると信じながら、実はもう違う女が…とか、結婚出来ないかもしれない…とか、出産は痛いと聞くから恐い…とか、そういう意味の不安感だった。赤ちゃんなんて周りにはいないし、免疫ないから、育児なんて全く分からない世界だ。パパとママが育てればいいじゃない…私は本気でそう考えていた。


孝志からは連絡がなく、そして探す術も見つからずじまいに、私は臨月を迎え、何の異常もなく出産した。女の子だった。名前は5月生まれだったため皐月と名付けた。私も春生まれで4月に18になっていたが、まさか自分が18でママになるとは思っていなかった。
出産してから皐月と常に横になっていたが、うるさくて眠れやしない。なんなの…この赤い小さな生物は…。私は心から本心で可愛いなんて思えなかった。そして母乳をあげていると気分が悪くなっていった。ママは、母乳をあげていると子宮収縮しているから気分が悪くなるのよ、そう言いながらミルクを足してくれた。

No.163 10/04/30 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ママ、体調が悪いの。あまり眠れてないし、悪いけど完全ミルクにしてくれない?私そんなに母乳出てないっぽいし…』

そう言うと、両親からは意外な言葉が返ってきた。

『何を言ってるんだ。赤ちゃんがいたらしばらく睡眠不足は当たり前だ!!』

『母乳は常に吸わせてあげなきゃ出なくなるのよ!!子宮収縮しないと子宮の戻りも悪いし…あなた母親なんだからミルクも自分で作るのが当たり前でしょう!!』


………!?

2人の荒い口調に声を失った。私に対してパパとママの態度は明らかに変わった。私に怒るなんて…声を荒げて注意するなんて…。
そして皐月への異常なほどの甘さ。初孫に対するベタベタした愛情。段々両親は、私はそっちのけで、皐月ばかりを抱っこして可愛がった。ママは家にいながら皐月を見るから、私はママが出事があるときだけ皐月を見るといった生活になった。

『皐月ちゃ~ん!さっちゃ~ん!ねぇパパ!もう2ヵ月になると赤ちゃんて笑うのね~』

『ああ!本当だ!しっかり笑ってる!皐月は可愛くなるぞ~』


…バカバカしい。なんなの一体…私が1番だったのに…私だけだったのに…お姫様は…。

No.164 10/04/30 12:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


イライラが止まらず欲求不満が募り、私は両親に刃向かいながらも夜遊びに度々出かけるようになった。最初は衝突していたが、段々ひき止められなくなり、両親は私に対して見て見ぬふりをするようになった。
私は不特定多数の男性と関係を持ち、夜な夜なクラブや常々違う男性と共に遊んでいた。バイトをするわけでなく、しばらくはパパから小遣いをもらっていたが、皐月が歩き出すようになり1歳を過ぎると、小遣いにもうるさくなっていった。

『何かバイトでもしないのか!!』

『お前は皐月の母親なんだぞ!!皐月が可哀想だと思わないのか!!』

『母性というものが無いのか!!』

『皐月のために生活費を入れなさい!!』


……うるさい!!!
うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!

なんなの!!
2人して皐月、皐月って!!私だって好きで1人で生んだんじゃないんだから!!孝志が裏切ったんだから!!孝志のせいじゃん!!皐月ばっかり可愛がって…あんたらには皐月だけが可愛いんでしょう?!

『この子の育て方はしっかりしないとね…パパ』

『ああ…皐月にはきちんと子育てをやり直そう』

………!?!?

No.165 10/04/30 21:34
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


…子育てをやり直す?
皐月はしっかり育てる?
…は?

あははは!!

意味が分からない。
私は小さな頃からあんたらにお姫様にされてきた、だから大人になってもお姫様でいて何が悪いの?私がこうなったのはあんたらのせいじゃない!!

イライラする…。
とてつもなくイライラする…!!

リビングから笑い声が聞こえる。

『よーしよし!!こっちにおいで皐月!!』

『もうこんなに上手に歩けるのよー!さっちゃんはお利口ねー!!』


…あんたら3人で幸せな結末を用意してあげる。

ふふふ…
パパ、ママ、さようなら。大好きな可愛い皐月と一緒に旅立ちなさいね。

私は3人が寝静まってから、家のあらゆる場所に火をつけた。そしてまとめた荷物を持ち出し、夜の街へ飛び出した。


なんでこんなことになってしまったのだろう…。
私はずっとお姫様だったのに…。

なぜ?
どうして?

私だけがお姫様なのに…。


end

No.166 10/05/10 22:27
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★堕落★


出逢いは偶然であり、そして必然であった。
俺にとって君は、初めて目にした天使であり、その正体は悪魔だった。


俺は27、高卒で車関係の工場作業員として働いてきて、もう9年目だ。
周りの奴らはだいぶ結婚した。結婚式はバカにならない。ここ最近は冠婚祝儀に金がかなり飛んでいった。幸せそうな友達と新婦を祝福…だが羨ましさとは裏腹に、大変そうだな、めんどくさそうだなとも思う。

こんな俺にも一応、長年の彼女がいる。同い年で高3からつきあっているから、約10年となる。俺は彼女しか知らないし、彼女も俺しか知らないと思う。彼女は事務員をしているが、そろそろ結婚したいと言う。俺も年齢的に結婚という選択肢も悪くないとは思ってる。でも正直…大変そうだし、めんどくさそうだというのが本音だ。
給料は全て家庭に入れ、子供もいずれはできる…ひとりの充実したゲームやネット、そんな時間も奪われる。俺はそんなの到底我慢出来ない。

No.167 10/05/11 07:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『亮!私の両親への挨拶はいつになったら…』

『私ね式場は絶対○○がいいなっ』

最近の由衣はこんな話題ばかりだ。俺も俺で、優柔不断な事なかれ主義の情けない性格がゆえ、適当に合わせながらこの話題はスルーする。由衣も由衣で約10年もつきあっているから、俺のこんな所は解りきってお見通しだと思う。だからこそ、強引にでも話を進めようとしている。
俺はきっと情けないダメンズだ。由衣に冷めたわけじゃない。ただ色々なしきたりがめんどくさそうなだけ。自分と由衣の両親に話をつけ、会社報告して、式場の打ち合わせ、新婚旅行のプラン…新居探し。稼いだ給料は由衣に預け、そこからお小遣いを貰う。もう俺のひとりの充実したゲームやネット、映画見る時間なんて、多分一切無くなる。子供出来たら家事育児協力して…。はぁ…考えただけで疲れてきた。
俺は家庭を持てる器じゃない。俺はそこまで成長出来てない。
最近は由衣が髪型変えたり服装変えたりしても、気づかず怒られてしまうくらいだ。

No.168 10/05/11 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俺達も高校時代から22~23位までは、こんなんじゃなかった。というか、俺がこんな無気力人間でなかった。誕生日やクリスマスは高価なプレゼントをお互い渡しあって、よく遠出のドライブや旅行にも出掛けていた。俺にも仕事に対する情熱とか野望もあった。しかし、25過ぎ何かが変わった。与えられた業務を日々こなせばいいという考えになり、由衣とはケンカする事や深く話し合う事が面倒になった。今が平和であればいい…俺はどんどん無気力になっていった。由衣からの電話やメールさえも面倒になって、しまいに会って話すのも段々めんどくさくなった。
でも俺は由衣と別れたいとか冷めたとか…決してそんなんじゃなかった。矛盾だらけの自分に自己嫌悪が募る、そしてどんどん無気力人間と化していく。

ああ。俺も、俺の人生もなんてつまらないんだ。

No.169 10/05/12 08:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お互い1人暮らしである俺達は、今では2週に1度ペースで、由衣が俺のアパートに来るというパターンが多くなった。俺から向かう事は少なくなった。


ある夜、俺はいつものようにネトゲにハマっていた。そして人生が180度変わる事件は起きた。
ベランダから物音がしたため不審に思い窓を開けた。ん?…なんだ?下を見て思わず声をあげた。真っ白い子猫がいた。
ニャアァァ~
『うわぁっっ!!』
俺は猫が嫌いだ。
窓を思わず閉めた。なんだよ…野良猫か?俺は気にせずまたゲームを始めた。
ドンッッ!!
また大きな物音がした。は?なんなんだよ…。猫の仲間が来たのか?そして恐る恐る窓を開けた。

?!!!☆☆

え……?

そこには華奢な女の子がいた。見た目…中学生位だが…。少しだけつり目で大きな瞳。子供か…?まだ春先というのに、白いノースリワンピ1枚だ。

『おいおい!てか!ここ2階なんだけど!どうやって来たの?』

『どっか違う部屋に忍びこもうとしてたんか?!』


『………』

No.170 10/05/12 16:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…キャハハハ!!』
少し黙り込んでたが、急に変な女の子は笑い出した。
『は?なんなの君。意味不明なんだけど。』

『あたしお腹すいてんの。何か食べさせて。』

『はあ~!?』

俺はわけわからないまま、とりあえず悩んだが、ちょっと訳ありっぽいし部屋に入れた。
一体なんなんだこの子…高校生というにも幼すぎる気が…。大体なんで俺んちのベランダに?

『名前教えてあげる!あたしはミルクだよ!白いからミルク!』

『え…てか何?ミルク?白いって服が?変な名前持ってんなまた(笑)』

『ほんと!ほんとにほんと!あたしミルクだもん!』

『…ああ。分かった分かった。てゆうか何でもいいけどさ。君、まだ中学生とかそんぐらいだよね?家どこ?送ってくからさ…。』

『中学生?なあにそれ。家はこの近くの公園だったけど、もう住めなくなったの。』

『え…マジ意味不明なんだけど。』

『もおーー!!お腹すいたって言ったじゃーん!なんかちょーだーい!!』

『え…もうなんなんだよ君…。あーもう…じゃあ食パンでもいい?食べたらマジ帰れよな?』

『わあ~い!あたしパン好き!!』

No.171 10/05/12 23:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


軽く焼いた食パンにジャムを塗った。
『もおー!そのままで良かったのにー!』
『は?何も味ないよかいいっしょ?』
『あたし何もないパンが好きなの!』
はあ?!なんだこの子!変わってる!そしてワガママだ!子供か!…って、このあどけなさはリアルに高校生にも見えないし…中学生だな多分。つりめの大きな瞳がクリクリして、正直顔は特上。もろにタイプだ。可愛いとは認めるが…なんとも小柄で顔とのアンバランスが絶妙だ。あと5年もしたら超いい女になるんだろうなぁ…。
由衣は決して顔がタイプなわけでない。というのも友達から恋愛に発展したし、顔もランクで表せば世間的に中の下だろう。自分の彼女だからそんなふうに思うのはいけないだろうが、やはり客観視すればそんなとこだろう。

『ああ~~食べたあ!おいしかったあ~!』
『ジャム付きで悪かったね。』
『ジャムおいしんだね!あたしジャムも好き!』
…?ジャム食べた事ないわけ?本当変な子。まるで初めて食べたみたいな…。
『…ええと。じゃあ送るからさ。家どこ?いい加減教えてくんないかな。』
『だからさー無くなったって言ったじゃん!』

No.172 10/05/12 23:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『なんなんだよ家が無いって…てかまずなんでうちのベランダにいたわけ?そこから謎だし。』
『飛んだらここに落ちてたの!』
『…?ああもう訳分からんな君は。』
『きみってすぐ呼ぶけどミルクってばあ!名前があるんだからねー!』

ミルクって…常識的にミルクなんて名前親御さんが付けるか普通。この子本当に変だ。

『おうち無いんだからここにいていいでしょ!?ええと…なにくん?』
『ええ!泊まるってことか?マズいだろそれは…。』
『いいじゃん!ここにいさせてよ!なにくんー?』
『はあ?…亮だけど…。見ず知らずの野郎の家には泊まれないよ普通。』
『りょーくん!分かった!りょーくんだね!みずしらずってなんなの?』

なんかこの子調子狂うな。気弱な俺は怒鳴って帰れなんか、そもそも言えるはずないんだけど。
訳ありなんだろうけど、1日見てあげてもいいが…親御さんは大丈夫なのか?

No.173 10/05/13 10:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…今夜は泊めてあげるよ。なんか訳ありそうだしさ…でも明日はちゃんと親御さんの元に帰るんだぞ。分かった?』

『おやごさん??はあい!わかた!』

わかた?…ああもうマジでなんなんだよこの子。俺も訳分からん女の子泊めたり…こんなの初めてだ。
ん…?こんなの初めて…?浮気…ではないが、こんな女の子家に泊めたり…俺的に罪悪感が全く無い。由衣に対して罪悪感が…。俺ってなんで罪悪感ないんだ?浮気ってわけじゃないから?いや…疑われそうな事してんのに、別に悪いなって気持ちが無い。由衣がここに今例えば来たとして…俺は必死こいて謝るんだろうか?謝っても適当に謝るだけだと思う。由衣はいつでも熱いから、過剰反応して怒鳴りつけるだろう。もう俺は由衣に対して、良く見せようとか優しいと思われたいとか…なんだかそんな気持ちが無い事に気づいた。そしてそれは…気づかないふりしなきゃいけないんだろうって思った。

『なんか考えてる?』

『…えっ!いやっ別に…。』

『ふうん…あたし寒い!おっきい服着たい!』

『あ…だよな。てか君…じゃない、ミルクちゃん。なんで袖無しワンピ一枚?(笑)』

No.174 10/05/13 11:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『わあい!あったかい!』
ブカブカに俺の長袖Tシャツを着た彼女は、ベッドで飛び跳ねていた。夜だから静かにと注意したら、はーいと返事をした直後に眠りについた。俺は床下で座布団を枕に横になった。ああ…明日も仕事だ。めんどくさいな…。

翌朝起きたらミルクちゃんはまだ寝ていた。俺が仕事から帰れば居なくなってるだろう…。鍵開けっ放しでも盗られるようなもんもないし…。起こさず仕事に出た。

夕方帰宅したら彼女はいた。
『おかえりー!りょーくん!キャハハハ!』

『ええ~君…ミルクちゃん帰らなかったの?』

『だから帰る所無いんだってば!ねえねえ!どこ行ってたの?』

『え…仕事だけど。』

『しごと?ふうん…。今日も何も食べなかった!お腹すいたよー!』

『もう…そりゃ冷蔵庫何もないし。とりあえず買い出し行くわ。待ってて。』

『はあーい!』

コンビニで弁当買って与えたら非常に早いスピード食いに驚いた。よっぽどお腹すいてたんだな…。箸は下手だからフォークを出したが…箸が下手とかマジで子供だな。

No.175 10/05/13 11:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


その日も帰ったほうがいいと進めたが家が無いとの一点張り。そして翌日もそのまた翌日も…。もう段々とどうでもよくなった。ミルクは日々共に暮らす中でおかしな事だらけだったが、彼女に少しずつ惹かれる自分がいた。子供っぽいあどけなさと時折見せるオンナの表情、仕草。甘えたがりが増長し、1週間も経つと常にベタベタくっついてくるようになった。服や下着が無いと言うから仕方なく、由衣がおいているものを貸してたが、想像すると正直男として耐え難いものがあった。相手は推測14~15だぞ…本気で犯罪だ。未成年監禁生活と取られて仕方ない…。はあ…もうなんだこの状況。でも男目線が止まらない。胸の膨らみは手に収まる位は発達している…。しかも小柄で細い。スタイル抜群だ。由衣はポチャ体系だが、俺は正直タイプはポチャでない。実は小柄で細身が大好きだった。そしてネコメで目の大きな色白の子…まさにこのミルクみたいな。常にベタベタくっついてくるミルクに、スケベ心と理性が常に葛藤する。

No.176 10/05/15 07:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


由衣からの、家行っていい?的なメールは言い訳を作り上げ、断りながら1ヵ月が過ぎた。そろそろ怪しまれそうだよな…。でも俺は常にミルクと居たい…そんなふうに思えてきて、心はかなりミルクに奪われていた。そして俺は勝負に出た。
『チューとかエッチとか知ってる?』
『…?ゴロゴロのこと?』
『(笑)ゴロゴロ?!ああ…まあゴロゴロだな。ミルクとゴロゴロしていい?』
『いいよ!りょーくんとゴロゴロしたい!』
拍子抜けするようなムードだが…俺はついに1ヵ月経って、ミルクとしてしまった。最中はいつもと正反対で、子供らしさもなく、積極的なオンナのプレイだった。到底初めてだと思えず、処女だと勝手に信じ込んでいたため、無償に腹が立った。なんだよ…初めてじゃねーのかよ。俺以外の男とミルクが…クソ!!
俺はなんだか悔しいような傷ついたような、腹立たしいような…複雑な心境だった。そして、もうひとつの決心が生まれた。
俺は由衣に対して浮気の罪悪感など一切無い、そしてこんな嫉妬心を燃やす事も彼女には無くなった。…別れよう。そう決心した。

No.177 10/05/20 14:01
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『久々に外食して海までドライブでもするか』

『……珍しいね。でも…嬉しい!』


俺は由衣を誘い出した。ひとつの決心を打ち明けるために。
約束の土曜の夜。ミルクにコンビニ弁当を買ってあげ、帰りが遅くなるから先に寝ておくよう伝えた。はーい!!いってらっしゃいッッ!!と、元気いっぱいの笑顔で送り出してくれた。屈託の無い笑顔がとても可愛く愛らしかった。そして、俺はミルクを守らなければいけない…そう心に決めていた。


『久しぶりだよね…2ヵ月ぶりくらい?』

『…かなあ。色々忙しくてさ…。』


街で食事を終えると、海方面に車を走らせた。色々な思い出話を語り、たわいもない笑い話をしながら、海岸沿いの公園に着いた。少し2人で歩いて、ベンチに座った。
さあ…伝えなければ。
俺は由衣を真剣に見つめた。


『…なあ由衣。真面目な話があるんだ。』

『え……。なんなの?』

『俺、もう由衣とつきあってはいけない。ごめん…本当に悪いけど…。』

『……!?え…』

No.178 10/05/20 15:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


別れ話に優しさなど必要ないだろう、そして言い訳さえも必要ない。
俺は自分の中に生まれた新たな恋心と、結婚への戸惑い、由衣に対する気持ちの変化…そしてミルクとの一夜の浮気。全てを語った。
由衣はずっと下を向き、黙って俺の話を聞いてくれていた。


『……ははは!!
あははは!!』


!?

『あの猫、本当だったのね…ふふ…まんまと乗せられたんだぁ。』


『??…なんだよ、猫って…。』


『その不思議な女の子、突然来たでしょう?最初は猫が迷い込んで来たんじゃない?』


あ……そうだ。あの白い猫…。ベランダにいて…それから大きな音がして…ミルクがいたんだ…。


『ははは!!
その猫はね。私が雇ったのよ!!人間に化けれるのよ!!あははは!!』


『?!お前…。別れ話納得出来ないからって…そんな馬鹿げたこと…。』


『信じらんないわよね!分かるわ!私だって百万払ったのよ?!夜飲み歩いてたときね!話しかけられたの!占い師にね!そしたら猫を送るからって…猫女を送るって…。』

No.179 10/05/20 22:47
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『猫女?!はあ?!』

『私も最初はワケ分かんなかったわよ!!でもその占い師…なんだか妙に吸い込まれて…。猫女の使いを婚約者に送る、そうすればあなたの不幸は、きっと幸福な道しるべに好転される…そう言われたのよ!!だから…百万払って…。』

『…てかお前それ詐欺だろーが!!大丈夫なんか…百万も払って…。ミルク…あの娘はたまたまうちのベランダに…。』

『たまたま?!はあ?!亮んち2階だよ?!どうゆう訳から2階のベランダにたまたまいるわけ?!それきっと私が雇った猫女よ!!間違いないわ!!』


由衣はきっと別れ話を認めたくないんだ。だからゴチャゴチャ言ってるんだ…。

『占い師の言った不幸ってゆうのはね、多分あなたが結婚するにはつまらない奴だって、私に気づかせるためだったのよ。結婚すれば不幸を辿る…そう伝えたかったんだわ。』

『……。確かにな。俺は浮気して他に目がいった。そんな俺にお前がついてきたなら、お前は間違いなく不幸だ。』

『…だね。許せるはずないものね…。浮気されて、今まで通りには出来ないわ、私には無理…。』

No.180 10/05/21 07:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


10年のつきあいは一夜にしてあっけなく幕を降ろした。そしてミルクが心配だったから足早に帰宅 したら、家にミルクは居なかった。綺麗に服が畳まれてあり、部屋も片付いていた。そしてベッドの上にカードが落ちていた。
【占い師ドマーニ】
あなたに猫使いを


ああ…。マジか…。俺は騙された。誰に?ミルクに?占い師にか?ということは…一生守りたいとまでに決めた女は、結果猫であって…10年つきあった女に試されて、浮気報告して…。猫であった女に夢中になっていた…。
ははははは!!
ははははは!!
嘘だ!!嘘だ!!
嘘に決まってる!!猫が大体人間に化けれるはずがない!!
多分由衣の苦し紛れの嘘で、このカードもどうにかしてわざと、俺の部屋に置いたんだ。あいつ…俺が簡単に騙されると思ったな。バカが。俺はミルクには本気なんだ!!
もうミルクじゃなきゃ駄目なんだ…。どこに行った…?明日になりゃ腹が減って帰ってくるわな…。


それから1週間、2週間。そして1ヵ月、2ヵ月。
半年しても、ミルクは俺の前に現れなかった。

No.181 10/05/21 08:18
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ミルクが居なくなって、精神的に落ちていった。会社には無断欠勤が続き、1ヵ月で自主退社を迫られた。半年もたつと、髭や髪は汚らしく伸び放題、立派な引きこもりとなっていた。
ああ…なんで…こんなはずじゃなかった…。やはりあの…占い師の猫使い話は本当だったのか…?俺はなんとなく由衣に電話してみた。本当の話か確かめたく思ったのと、正直寂しさが募っていたのも事実だ。

『…もしもし。』

『…あ、由衣?…久しぶりだな…。』

『…なによ?』

『あのさ…えっと…あの猫使いの話って…やっぱマジだったのか…?』

『………。
ははっ!!ははははは!!
10年もつきあったのに、恋をすれば盲目ね!!一切信じてもらえなかったってわけ?!』

『…いや…その…。』

『ええ本当よ!!猫使いの女に間違いないわ!!あんたが冷めてたなんて、とっくの昔に気づいてたわよ!だから試したの!!』

『ふふ…私ね。占い師の言葉通り、あれからすぐ大手企業の年上の彼が出来たの!!もうすぐ結婚するわ。良かったわ…あなたと縁が切れて、こんな恵まれた結婚が出来るんだもの…。あなたが消えて本当に幸せ!!感謝してるのよ!!ははははは!!』

No.182 10/05/21 08:24
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俺は今、由衣のアパートに来ている。


お前だけ幸せになるなんて許せない。俺はお前にはめられて、人生を狂わされた。
ミルクに恋をして、ミルクを失った俺の傷ついた心は…もう一生癒されはしないだろう。


呼び鈴を押す。


『は~い!!
どなたですか~?』


ははははは!!

俺の右手にはナイフ。


さあ、復讐してやるか。
10年の恋人に。


お前だけは
許せない。





end

No.183 10/05/22 23:41
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


【水清ければ魚住まず】

綺麗すぎるお水では魚は住めない…といった意味です。世の中が綺麗事ばかりで成り立ってはいない…という事。職場や身内、友人知人、夫婦または恋人。周りの人間達も様々で、良い人ばかりという構図は決してありえないのです。そして綺麗事だけじゃ人間界で人は生きれません。不倫や浮気、嘘や詐欺…たくさんの揉め事は、裏を返せば当たり前なのかもしれませんよね。他人を心底信用する事が出来るのは、自分を心底信用出来ている場合に限られます。自分でさえも自分を裏切るかもしれないのに、ましてや他人など…という話です。裏切られた、という言葉が、大っ嫌いです。そんな被害者意識は人間の器が小さい。ベッタリと依存していなければ、ああ、こういうもんなんだ…人間関係は。と、思えるのです。不正や不平等は誰しもが理解不能、ですがそこで、他人を許せる大きな心を持ちたいものですよね。

No.184 10/05/24 22:32
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★いい人★


【彼女は…私にとって、とてもいい人でした。だから……。いい人過ぎたのではないのでしょうか…。】


私は結婚8年の主婦29歳。小1のひとり娘がいる。旦那はひとつ上で、いわゆるデキ婚だった。
もう5年間、私は耐えてきている。ドメスティックバイオレンス…そう、旦那の暴力に。娘が2歳位からずっとだ。そしてその位から、勤めていた車の修理工場を辞め、それから職を転々としている。毎月安定しない生活費のため、私は娘を2歳から保育所に預け、長めのフルパートに出ている。安いアパート暮らしだが、私のパート代でなんとか生活出来ている。酒乱の旦那は、酔うと暴力を振るう。拳で顔もたまにやられてしまい、アザが出来てパートに出ることも多々あった。ゴミ袋など、大量生産する工場のパートだから常に帽子は被るから、うまく髪で頬を隠したりしたが、やはり周りにはバレているだろう。私は内気な方で、あまり他人に多くは語らないため、パート仲間に膨張されたネタ元にされているのは、分かりきっていた。

No.185 10/05/24 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


毎月酒にお金が飛んでしまうため、家族の食事は質素となり、私や娘の新しい服も新調出来なかった。職場は半年と続かないし、酒乱、暴力…もう限界がきていた。しかし娘を想うと、母子家庭に踏み切れない。父親はただひとり…この腐った旦那。娘には手をあげるなどという事はなく、大体娘が寝ついて、酔いが激しくなった夜更けに暴力を振るうことが多かった。なんでこんなことに…泣き叫びたかった。…が、実際は泣けない。生活がかかっている、旦那も私も、それぞれ実家は地方だし、頼れはしない。私は娘のために、日々とにかく我慢した。
小学校に上がれば、学校行事も多くなった。今は働いているなど関係無く、役員が付き物だ。人付き合いは苦手だが、娘のために、PTA行事にはなるべく参加した。

No.186 10/05/25 07:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


娘の友達のママさん達とは当たり障りなく仲良くしておかなければ、娘が可哀想だ…。娘が小学校入学になると、同じクラスの女の子ママさん達と挨拶をかわした。若い頃出来た子だから、皆、大体30代半ばから後半といった感じで、私より年上ばかりだった。
中でも娘は綾乃ちゃんという子と仲良しらしく、綾乃ちゃんママとは色々とお話した。34歳らしく、キレイ系な優しそうなママさんだ。PTA懇談会で周りを見渡せば、皆キレイな服、手入れされた髪、きちんとされたメイク…。自分はジーンズに古いロンT。美容院もずっと行けていない。メイクもしていないし、自分が一番若いだろうにすごく老けている気がする。地味な自分が情けなく思えた。

『美沙ちゃんママ!娘達も仲良しになれたし、私達も良かったら仲良くしましょうね。』

綾乃ちゃんママは優しい笑顔で私に言った。私も笑って頷いた。懇談会が終わると、綾乃ちゃんママと、前々からの友達ママさんらしい他2人に、ファミレスに誘われた。子供達も連れて行ったのだが、正直、給料前での出費は痛かった。

No.187 10/05/26 23:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


皆で食事をしながら連絡先交換をし、綾乃ちゃんママと自宅が近所であったため、皆と別れ一緒に帰った。娘の美沙と綾乃ちゃんは手をつないで、仲良く歩いていて、後ろから私は、娘が友達ができた事を微笑ましく見ていた。

『…あの。美沙ちゃんママ…。知り合ってばかりなのに、失礼なことお聞きしてもいいかしら…。』

『…??えっと…何でしょうか?』

『いきなり本当に失礼なんだけど…。もしかして、DV受けてはいない?』

『…!!』

驚いて声が出ない。どうして…、何故、気づかれてしまったの!?

『ごめんなさい!!本当に違っていたらごめんなさいね…!!
いえ…あの。私、以前に友人が悩まされていて…あっ、もう離婚成立してね、今は幸せに母子生活を送れているんだけど。…なんだか、あなたのその頬の下のアザの跡のような…それから手首にあるアザ…なんだか強力に掴まれた跡のような。まさに友人もそんな感じだったわ…。
そしてあなたのように、なんだか奥底に秘めた寂しさのような…。』

『もし行きすぎた妄想であれば冗談で笑い飛ばしてもらえるかしら?…失礼をごめんなさいね…。』

No.188 10/05/27 20:58
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


胸がつまる思いだった。そして涙がこぼれてしまった。
…今まで何度も耐えて乗り越えてきた、娘のために。
友人達は私が交際費が厳しいといった理由から、誘いを断り続けていたら、私の周りには誰も居なくなっていた。
他人は気づいてはくれない、気づいてはいても、職場の人達のように陰口で終わる。
風船が破裂しそうな感情を常に抱え、私はもう限界点を通過してしまっていたのかもしれない。
涙がこぼれてしまった理由は、バレて辛かったからではない。
単純に嬉しかったのだ、他人に気づいてもらえ、優しく声をかけてもらえたから。


『…泣いたりして…ごめんなさい。私…張り詰めた現実で、人に気づいて貰えたことが嬉しくて…。』

『……。美沙ちゃんママ…。』


綾乃ちゃんママの優しく微笑む優しいオーラに甘え、私は結婚してからの苦悩を全てさらけ出した。そして母子生活も視野に入れていること、でも娘からは父親を切り離せないこと…。気づけば全てを相談してしまっていた。うんうんと真剣に話を聞いてくれる綾乃ちゃんママに、彼女を慕いたいような感情が生まれ、私は彼女を頼ろうとしていた。

No.189 10/06/01 20:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『近々うちにいらして…。私なんかで良ければ、色々とお話聞くから…ね?美沙ちゃんママ。』


私は綾乃ちゃんママが、世界中でたったひとりの味方のように思えた。いや、事実そうだろうか。私の地元は遠い地方で、両親は兄夫婦と同居しており、うまくいっているようで、男の子と女の子2人、3人の内孫もいる。私に帰る場所は無いし、両親の反対を押し切り駆け落ち同然に家出した私を、両親はもう見捨てているだろう。実際うちに両親から連絡も無い。
味方なんかいなかった。助けてくれる人なんかいなかった。綾乃ちゃんママに全てさらけ出して、私をこの泥沼から救い出してもらいたい…。


しばらくして綾乃ちゃんママから家に来ないかと連絡がきた。綾乃ちゃんと娘の美沙に学校帰りに連れ出してもらい、お宅にお邪魔した。…想像以上のお宅だった。立派な洋風の白い一軒家。お庭も手入れが行き届き、お花がたくさん咲いていた。
『いらっしゃい!美沙ちゃんママ!待ってたわ!』

『…あ!お邪魔します!』

No.190 10/06/01 20:40
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


手土産も無いことを詫びると、堅苦しいこと言わないのと軽く笑われた。正直、余裕が無かった。入学には、だいぶお金が飛んだ。旦那もまた職を探している状況だった。

子供達には手作りのおやつが出てきた。
『わあ~綾乃の大好きなキャロットケーキ!ハートだあ~可愛い~!』

『綾乃はキャロットケーキが大好きなのよねっ』

『うんっっ!ねえねえ!美沙ちゃんも好きでしょ?』

『……え…っと。美沙は…食べたことない…ねえママ?』

『…あっ、そうだね!』

『うちはおやつとか無いから…綾乃ちゃんはいつもケーキがあるの?』

『えー!おやつ食べないの!綾乃んちはね、ケーキとかクッキーとかゼリーとか…毎日あるよ!ねえママ!』

『……綾乃。食べるのならば静かに食べなさい。』

はい…と、大人しくなった綾乃ちゃんと、傷ついたような悲しい顔の美沙を見て、私は落ちてしまった。だっておやつ作る時間も…材料費も無いもの。ごめん美沙…。

『あっ!美沙ちゃんママも食べて食べて!』

気を使われてしまった。ケーキの美味しい味に涙が出そうだ。

No.191 10/06/01 20:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


子供達は綾乃ちゃんの部屋に行き、私達はリビングでゆっくりと語った。私の家庭問題について…私は全てを打ち明けた。そしてどうすれば良いのか悩んでいると告げた。綾乃ちゃんママはゆっくりと答えた。

『美沙ちゃんママが我慢していることは限界が見える。今は大丈夫でも、美沙ちゃんがだんだん理解出来てくると、非行に走ったり…もしくはご主人が美沙ちゃんにまで手をあげたり…とにかく将来的にあなたに利益は無いと私は判断するわ。あなたと美沙ちゃんが、生活は贅沢で無くても、2人笑顔に暮らせることが一番だわ。私は第三者として、離婚を勧める…要するに逃げ出してほしいわ、そんなご主人のもとから。でも決めるのはあなた自身よ。他人の意見はあくまでも参考までに…ね?』

そして数種類の書類をくれた。全て母子家庭的な書類であり、DV被害者のためのシェルターや母子寮など、詳しい市の情報が記載されてあった。すいませんと頭を下げると、こんなことしか出来ないわと言ってくれた。

No.192 10/06/01 22:05
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


夕方になり帰り際、ご主人が帰宅され、鉢合わせてしまった。慌てて挨拶をしたが、なんとも優しそうなご主人だった。綾乃ちゃんを抱き上げながら、いつも仲良くしてくれてありがとうと美沙に言ってくれた。私はなんだか外人の家族風景を見せつけられた気分だった。うちの旦那を美沙のお友達には見せれないし、いつも仲良くしてくれてありがとうなどと、まず口にしないだろう。そして職の肩書きレベルから違っているだろう。綾乃ちゃんママは専業主婦で、そしてご主人はあの立派なマイホームを持っている。なんという格差社会なのだろう。というよりは、人並みにさえ暮らせてはいない。

『ねえママ!綾乃ちゃんのお部屋ね!美沙のおうちくらいだった!』

『可愛いお人形とか玩具とかいっぱいあってね!カーテンとかベッドとか全部ピンクでレースが付いてたよー!』

『……そうなんだ…。美沙…ごめんね。』

『?どうして?なんでママが謝るの?』

頭を殴られたような気分だった。美沙が可哀想でたまらない。どうしてあんな裕福な子供と友達なのよ…同じレベルの友達でいいじゃないの…。

No.193 10/06/01 22:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


どす黒く渦巻いた感情が生まれた。綾乃ちゃんママを慕いたい…頼りたい気持ちより、お宅に伺ってしまい、私の中の醜い気持ちが強くなってしまった。
なんなの…一体。憐れみ?同情?母娘共々、私と美沙を馬鹿にしてるの?

それから度々、綾乃ちゃんママからメールをもらった。
(最近は大丈夫?)
(変わりはない?)
(今度美沙ちゃんとうちで夕食しましょう)
(ランチ時間あるとき行かない?)


…何。この空気読めないメールは。私、フルパートって言ったわよね。休みは日曜だけだし朝の8時から夕方18時よ…どうやって平日ランチに行けるわけ…知らないわけないし…本当に馬鹿にしてるわ、この人。
私の渦巻いた黒い感情は日に日に増していった。娘の美沙は、帰ってからずっと綾乃ちゃんのおうちの自慢話を羨ましがる。しまいには綾乃ちゃんちのパパママは、うちのパパママと違うと言い出した。

『綾乃ちゃんちのママは顔も服も綺麗!パパは土日いつもどこか連れて行ってくれるって!おうちも美沙のおうちと全然違うし…ねえママ!どうして!なんでうちはこんなに小さいし汚いの?!』

段々美沙の違和感に愛想笑い出来なくなった。

No.194 10/06/01 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


日曜日、旦那は珍しく仕事だと出かけた。以前から交友のある車屋のバイトがあるという話だ。私と美沙は久々にファミレスでランチしようと出かけた。美沙はすごく喜んだ。
通された席の後ろ側を見ると、見たことのあるような二人組がいた。確か美沙の同級生のママでは…と思いながら食事していると、会話が耳に入ってきた。

『ほんと!いい人なのよね綾乃ちゃんママは!』
『そうそう!クラスメートで問題のある子供をさあ、リストアップしてカウンセリングすんのよ!なかなか出来ないわよね普通!』

……??問題のある子供…リストアップ?どういうこと…?

『裕太くんママは母子だし、広樹くんママは水商売!きちんとした子育てをカウンセリングするみたい!あと…美沙ちゃんママね!あれはDV家庭だったみたいだしね!』

『やっぱりね!雰囲気で匂うからね!ああいうママは!』

『綾乃ちゃんママ、親身にカウンセリングしたらしいわ!そしたらちゃんと離婚を考えだしたみたい!』

『へえ!じゃあ健全なる母子家庭にして、学年の非行の芽を潰してるわけね!さすがだわ綾乃ちゃんママは!』

No.195 10/06/01 23:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『やっぱり裕福なお宅だと気持ちも綺麗よね!きちんとした礼儀と子育てを周りにも指導してあげて…心に余裕があるわ!』

『そうね!綾乃ちゃんがうちの娘のクラスメートで良かったわ!』

『あっ!美沙ちゃんママって綾乃ちゃんママがせっかく話を聞いてあげたのに、お宅に手土産も無かったらしいわよ!』

『ええ~ありえない!話聞いてもらえるのが当たり前とか思ってたのかしら!普通レベル違いすぎて話せる人じゃないのに!』

『そうよね!家呼ばれて話聞いてもらえるだけ有り難いのに!』

『綾乃ちゃんママがきっと更正させてくれるでしょうね!』

『本当にいい人!』


…なんですって?更正?きちんとした礼儀と子育てを指導?家呼ばれて話聞いてもらえるだけ有り難い?問題のある子供のリストアップ…?

はははは!!

…ふざけんな。家庭環境の悪い家から非行に走る子供が出てくると、自分とこの子供が心配だから、学校の悪い芽は潰していくってこと…?

綾乃ちゃんママ。あなたなんなわけ?周りを見下して馬鹿にして、排除すべき者を選り好みして家庭環境調べたの?

No.196 10/06/01 23:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


許せない。偽善者を装い親身に相談に乗りながら、結局は自分の子供に悪影響を及ぼす、問題が降りかかりそうな家庭環境の子供と親は…早くに問題解決して、悪い芽を潰していくわけね?結局自分の子供が良い環境になければ駄目なのね?

はははは!!
私、馬鹿にされていたわ!全く気づかなかった!上手く手のひらで転がされていたのねえ!

いいわ。
あなたはいい人。
いい人なのよね。
綾乃ちゃんママ…。

私、あなたの幸せの象徴…ご主人とあなたの立派なお宅を今夜燃やしに伺うわ…。あなたもご主人も綾乃ちゃんも…一緒に天国へと旅立ちなさい。

許してくれるでしょう?
許してくれるわよね?

だってあなた。


【いい人】


なんだから…。



end

No.197 10/06/02 08:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★精神分析★


人々の心が健康か不健康かは、幼い頃の母親との関係で決まるらしい。母親がいなければ父親や祖父母など、周りの人々によって。私は多分、心が不健康なまま体つきだけ大人になった。決して母親を恨んでいるわけでなく、そして心が不健康だからといって別にひねくれているわけでもない。母親はもう亡き人であり、父親もそうだ。私は20代で両親を亡くした。私が何故、心が不健康だと判断するか…それは言葉や態度、仕草など、幼少時代愛された記憶がないからだ。幼少から母親との関係が上手くいかないまま大人になると、他人や外の世界に母親像を求めるらしい。愛情飢餓人とでも名づけようか。幼少満たされなかった心を大人になっても他人へ求める。勿論、相手は他人であり肉親でないため、段々迷惑に感じる。母親との関係が上手くいって生きてきた人、つまり愛情を沢山かけられ育った人は、心が健康であり、他人に母親像を求めたりはしない。母親は母親だから愛情をくれたのだ、母親は1人しかいないと、しっかりした基盤が出来ている。

続→

No.198 10/06/02 16:48
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私自身、愛情飢餓人だと認識出来る原因はある。それは、心から他人を信用出来ないこと。頼れるのは自分自身、信用出来るのも自分自身。母親との関係がトラウマとなっているため、肉親といえど他人であり、そして愛情とは何なのだろうと、常に頭はクールだったからだろう。母は、下の弟を可愛がった。私は母と相性が良くなかった。ベタベタとされたり、心配されたり、過干渉だったり…そういう親子関係には恵まれなかった。生活も苦しかったし、甘やかされた経験も無い。そういう家庭環境は、私自身を強くさせ、今現在、忍耐力に長けている。手に入れたものは、手のひらをすり抜けて消えていく。父と母を亡くしたように。私はひねくれたり拗ねたりはしない。何故なら、その時点で私は他の人間より落ちた人生になるような気がするからだ。私は他の人間より可哀想なわけじゃない、不幸なわけじゃない。マイナス思考は、私が惨めだと認めるようなものだ。手に入れれば、何かを失う。そして起きた悲劇を止めることは出来ない。時は移り変わり、状況変化を遂げる。私はもう、何が起きても、きっと驚かない。戦うべきは自分自身だ。

No.199 10/06/02 21:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


自分自身の生い立ちをこんなふうに綴りながら、大変矛盾しているのだが、私は母親が母親なりの育て方で、私を愛してくれていたと思っている。ただ、その愛情のかけ方が、幼少時代私に感じれなかったという意味だ。私は、母の弟への接し方と自分への接し方を、常に比べて生きてきた。何故だろう、どうして同じ子供なのに、こんなにも違うのだろうと。今となれば簡単な答えなのだろう。母と弟は異性だ。周りからすれば当たり前かもしれないが、高校まで出してもらえ、贅沢は出来なかったが、食べさせてもらえた。それだけで御の字だろう。成人すれば、自分を育てるのは自分自身だ。自分が親となる。そして私は二児の母親となった。子育ては難しい、そして旦那との関係も難しい。譲り合い思いやる。夫婦としての理想を踏み外してしまうこともある。彼は母親と小学生で別離している。その思いは私には計り知れない。人は経験が経て初めて痛みを知る。その経験は確実に彼を強くしただろう。人生は上手くはいかない、そう悟ったかもしれない。私自身、両親を亡くし、初めて本当の親になれた気がした。

No.200 10/06/04 08:28
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


魔法使いのおばあさんが現れた夜更け
私は頼んだ
どうか1日だけ
17歳に戻してください

またあの車で迎えに来て
夜中に家を飛び出すから
抱きついたら君の胸の中
冗談ばっか言うくせに
カッコいいことだけ
真剣に話す

もう一度言ってよ
たくさん言ってよ

白い服の女を見て
冗談をとばす
責めた私は黒い服

俺は黒がいいから

北へ向かった君を待てなかった私は
君を捨てたの

魔法使いのおばあさんが私を呼ぶ

時間だよ。と

私戻りたくなったの
28歳に

思い出は
綺麗なまま
宝箱に閉じ込めて

あなたを少し
また見たかっただけ

冗談聞きたかっただけ

もう一度好きだって
言われたかっただけ


魔法使いのおばあさんが
小瓶の悪魔を飼い慣らす

振り返る癖が出るのは
私の中の悪魔の囁き

No.201 10/06/05 08:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★叫び★


身体に巻きついた大蛇と頭に住みついた蜘蛛
うるさい外野
少しは黙れば
他人は誰も助けてはくれないよ
そう言った悪魔
信じるべきは自分自身
私を突き落とそうと
必死な人々
私は平気
突き落とされるよりも残酷な仕打ちにあってきたから
何も恐くはないの
ああ
だから
私を突き落とせないのかもしれないわね
失うもののない私に
何も遮るものはない
他人が笑う
他人が同情する
私からしたら
あんた達のほうが可哀想よ?
今からの人生大変なことばかりでしょうね
私はもう経験したから
たくさんの悲劇を
そして喜劇もね
落ちた人生から見上げる私の空は
誰よりも綺麗な蒼
人は大切なものを無くしてから
狂いながらに成長する


十分飼い慣らした私の大蛇と蜘蛛
悪魔までも
私と居たいと言う
いいわよ
飼い慣らしてあげる
ただ私はもうそこらの温かい人間でないわよ
扱い方に気をつけたほうがいいわよ


心の叫びを口には出せない
出したら私は負けだ
私は独り死ぬ
孤独は人間の宿命だ

No.202 10/06/05 21:55
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★シンデレラ★


『やはりあなたですね?この小さなガラスの靴の持ち主は…。探しておりました。私と結婚してください、シンデレラ。』


『…はい。王子様…。』


父は裕福な貴族であり、母は幼少に亡くなった。そして10歳で父が再婚、新しい母親と連れ子の姉2人がうちに来たの。父は私ばかり可愛がってはくれていたけれど、やはり夜は継母が独り占めしてた。私だけの父だったのに…そう嫉妬した私は、たくさんの嘘を父や家来に伝え、継母と義姉2人の立場を悪くさせた。

あははは!!あのババアの困り果てた顔!義姉2人の泣き顔!
うふふ…なんて面白いのでしょう。
はん!生意気なのよ!平民の分際でうちに嫁いでくるなんて…あんた達には私と同じようなドレスや食事は贅沢過ぎるわ!


『お父様!またお姉さん2人が私のぬいぐるみを引き裂いたわ!』

『お父様!お母様ったら無理矢理私の髪を切ってきたのよ!』


父が問えば3人は慌てて違うと泣きながら訴えた。そしていつも言ってくれるの。


『シンデレラを大切に扱いなさい。』


あははは!そうよそうよ!大切になさいな!

No.203 10/06/05 22:51
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私は貴族家系の実母譲りで、周りが惚れ惚れする美人顔だった。比べて義姉2人は、どうしようもないブス姉妹だった。継母は父が平民からのよりすぐりを選んだ位だから、まあまあ見れたが、実母の美貌には何百倍も落ちている。

本当にお母様の代わりなんて生意気だわ…。下品だわ、卑しいのよね全く…。

私は常々姉2人に命令したの。勿論、父や継母の目の届かない所でね。

男を知らないって言うから、不細工な家来を集めて2人を強姦させたの。そしたら泣き叫んびながらも喘ぎ声出してたわ。

私は14歳で男を知った。城に出入りする街の商人達は皆、私の虜だった。その中でも惚れ惚れする端正な顔立ちの、カッコいい爽やかな少年がいたわ。私から声をかけて、バレないよう部屋に呼んで、喜んで抱かれたわ。顔がタイプだったから。

そんな調子でタイプの商人や家来を頻繁に自室に連れ込んでいたの。16歳にもなれば、普通のプレイはつまらなくなった。私の性癖はSだった。だから剣で身体をたくさんいたぶってあげたり、紐でくくって縛り付けたりしたわ。


ふふ…男は可愛いわねえ、たまらないわ。

No.204 10/06/06 15:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


そんな優しい立派な父も急病で突然他界した。私は17歳だった。さすがに悲しみは深く、しばらく声が出なかった。形上、継母が城の…この国の頂点に立った。そして継母は、父が亡くなると急に態度が変わった。この私を呼び捨てにしたのだ。

『誰に向かって話しかけてらっしゃるの?
平民の分際で横着な。』

『シンデレラ!!あんただけは許せない!あんたは魔性の女だ!!アバズレだよ!!やり方が腐ってる!!』


『…?何をおっしゃっているの?ふふ…意味が解らないわ。実質私がこの国の王女であり、たったひとりの城の血筋であります。家来達もよーく分かっておられますよ。』


『……ッッ!!許せない!!』


あははは!!
あんた貴族になれたつもりでいるの?!
笑わせないで!
生まれや育ちは身体から滲み出るの!
あんた達3人の下品なこと!吐く言葉が汚いったらありゃしないわ。
上品な立ち居振る舞い…そして悪事は陰湿に…それが貴族の掟…ルールよ。右手に薔薇を、隠した左手にナイフを。こうして私達貴族は生きてきたの。要するに頭がいい血筋なわけ。
あははは!!

No.205 10/06/06 15:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ある日、家来達の会話が耳に入ってきた。

『奥様とリリー様アン様のドレスと靴と宝石が届いております。今週末の舞踏会のためです。』

『はっ、了解しました!…?シンデレラ様は御出席されないと申されたのですか?』

『…うむ。奥様がシンデレラ様には内密にと…。次期王女様の欠席となると、この国の財政に関わりますとは、お伝えしたのだが…。』

『…なんとも卑劣な。どういたしましょうか…。』


!?…なんですって!あのババア…行政を隠しやがった!…ああ、色々な国の王子様がお見えになるものね…ははん…先に姉2人の嫁ぎ先を決めておくってことね…、私が出席すれば、父の一人娘って意味でも、この美貌という意味でも、私だけがちやほやされるのは、分かり切ってるものね…。あははは!!いいわ!それなら知らないふりをしてあげる…。遅れて出向くわ。ふふ、そろそろ私も身を固めなきゃいけないからね…勿論婿養子を迎えるけど。父の城は私が守る責任があるもの。継母、あんたはそうなりゃ用無しよ。

あははは!!

No.206 10/06/06 21:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


3人の醜い女共が舞踏会に胸を弾ませ、続々と届く様々な商人達のドレスや靴、宝石など品定めしていて、下品な笑い声が度々聞こえてきた。私が珍しく短期間で仕入れているのねえ…とイヤミを吐くと、ああ…色々とね。と継母は答えた。

はん、アバズレが。一番いい男…王子様は私が頂くことが決まっているのに。まあ知らないふりしといてあげるわ。
あははは!!


さて…。ドレスと靴と宝石…新しく新調しなきゃね。それから足が無いわ。適当な男共に頼んで、内密に動いてもらえばいいわね…。


私は、私の虜のひとり、街でも1、2を競う程の商人から、最高級のドレスと靴と宝石を命じ、早急に運ばせた。そして身体の関係もあり、信頼もある家来のひとりに、内密に舞踏会まで馬車を出しなさいと命じた。


舞踏会当日となり、アバズレ共が不釣り合いな支度をして、食事だと出かけた。私は少し遅らせて舞踏会へと出発した。


うふふ…、あいつらの驚く様が楽しみだわ。
ああ、王子も決めなきゃね…。経済発展大国であって婿養子が条件ね。顔はカッコいいに越したことはないけどね。

No.207 10/06/06 21:38
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


でも私も一国一城の王女。顔なんて意味が無いことはよく理解しているわ。結婚だもの。肝心なのは我が国の財政よ。その利益が無ければ結婚に意味が無いの。まず狙いはそこだけれど、やはり男は美しくなければねえ…。ふふ…まあ男なんて家来や商人を品定めすれば十分いるけれど。ふふ。

しかし足が痛い。この靴…最高級のガラスの靴らしいけど、デザインに惚れ惚れしたから選んだのに、痛いったらありゃしないわ。もう舞踏会まで目前だし…仕方ないわね、ああ…イヤだわ、痛い。


舞踏会に着くと、もうたくさんの人々が夜を盛大に楽しんでいた。私は興奮しながら赤い階段を上る。足の痛みが気にならなくなってきた。


『ああ…あれはどこの国の姫だ…』

『なんて美しいんだ…』

『一体どこのお国のお姫様かしら…本当にお綺麗だわ』

『○○のお国のお姫様では…次期王女様の…ほら、お父上が最近お亡くなりになられた…』

『ああ!…シンデレラ様!』

『彼女がシンデレラ!』

『噂通りにお美しい!』

ドアを開けば会場がざわめいた。聞こえてくる会話と目線が、なんて心地良いのかしら…ふふ。

No.208 10/06/06 21:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『失礼…私、○○の王子である○○と申します。是非とも私と踊って頂けませんか?』

『いや!私と!』

『いえ!この私と是非!』


たくさんの国の王子が声をかけてくる。変なのばかりねえ。しかもあまり見込めない国ばかり…何の利益も期待出来ないわ。周りの女共の妬んだ視線の中に、アバズレ共3人の驚いた顔が遠目に見えた。
あははは!!どう?知らせてないのに私が出向いてさぞ驚いたでしょう?そしてこの私の至れり尽くせりの対応…。嫉妬に狂うがいいわ!私に挑戦すること自体が図々しいのよ全く…。


『失礼。私も踊っては頂けないでしょうか。私、隣国となる○○の国の王子です。お噂はかねがね…本当になんとお美しい。はじめまして、シンデレラ姫。』


あっ…隣国○○の王子…?!かなりの経済大国だわ!お父様が生前、我が国の財政危機により、合併交渉を図ったが、上手くいかなかったと嘆いておられた…。
…ふふ、ああ、あのふざけた対応をした隣国の王子ねえ…。爽やかな男じゃないの。あんたの父上が私のお父様を馬鹿にしたように…今度は私があなたを利用してあげるわ。ふふ…。

No.209 10/06/06 22:38
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ええ…私もお噂はかねがね。はじめまして。私で宜しければ是非踊りましょう。』


たくさんの女共がキーキー怒鳴った。この王子、やはりこの爽やかで端正な顔立ちと、経済大国であるがゆえに人気抜群なのね。ふふ…あははは!!本当に良い気分!!なんて気持ちいいの!!あんたらの狙っている王子は私のものよ!


帰り際、踊り疲れた私は、小さく窮屈なガラスの靴の痛みに、足が耐えられなくなった。王子に送り出してもらい、赤い階段を下る途中、片方脱げたことに気づいた。しかし手を差し出しかけて…取るのをやめた。そして私はそのまま立ち去った。片方のガラスの靴を放置して。


何日か過ぎると隣国の王子が我が国の城を訪れた。そしてなんとあのガラスの靴を家来に持たせていた。


『やはりあなたが忘れていったのですね。届けなければと…この城をなんとか探してやっと到着出来ました。
ああシンデレラ…私と是非とも結婚してくださいませんか。』


…あははは!!上手くいったわね!…私、あのときすぐに取れた靴を、わざと置いて帰ったの。そう、わざとね。

No.210 10/06/06 22:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


だって口実を作っておいてあげなければ、一国一城の王子様だもの、来にくいわよねえ。万が一、プロポーズに失敗した場合、【私は靴を隣国の姫に届けた】それで済むもの…恥ずかしくないものね。だから本人共々、家来を引き連れて来れたのよ…。そう。貴族には貴族にしか計れないプライドがあるものよ。私はこの王子に気遣いをしてあげたのよ…この気遣いがお分かりになるかしら?【お義母様】あははは!!


『はい…王子様。
喜んで。』

私はしとやかに返事を返した。そして婿養子として…経済合併という条件を伝えた。沢山の結婚申し出が私にあることも伝えると、分かりました、我が国が全面的に協力致します。と、王子も負けたくない一心で条件を飲んだ。

こういう舞い上がって理性が働かないうちに、条件を提示しておく…。私は貴族として、残酷で冷血なのよ。ああ…あなたも大変裕福な貴族ならば解るわよね?似たもの同士だもの…王子様?ふふ…ふふふふ。


継母と姉2人は悔しがった。婿養子ということで、男が城に入るため、王子様が形上王様となり私が王女となる。

No.211 10/06/08 08:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


そして私達は夫婦となり、いつまでも幸せに暮らしました……。


いいえ。
幸せなんて披露宴と国内パレード位だったわ。
彼ね。
インポだった。
夜は望めないの。
どうして私を選んだのかって…?
それはね、彼の隣国も内情は経済破綻していて、早くに我が国と合併しておきたかったのよ。そして私は利用したつもりが利用されていたの。

あははは!!
なんて哀れなの!!外見上だけ華やかな王女様。皆が私を羨ましがる!でも私は少しも幸せじゃない!世継ぎも望めないなんて…!!私のこの血を残さなければ、貴族としての責任は果たせないわ!!


姉2人は近い国の王子と結婚して嫁いだが、たまに子供を連れて継母に見せに帰って来た。

中庭から、はしゃぐ子供達と、継母と姉の幸せそうな笑い声響いてきた。

…あんた達が何故幸せそうに笑っているの?
平民の出の分際で…。私は家来や商人達と、寂しさから夜な夜なたくさんの男と寝たが、何も満たされなかった。
解っていたから。
私の美貌が目的であって、私自身を求められてはいないことを。

No.212 10/06/08 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


老いていくと誰も私と関係を持ちたがらず、40代で病気を患い、寝たきりとなった。王との世継ぎは望めず、国民からは私の不能だと非難を浴びた。


私は唯一信頼のおける、昔からの家来にこう伝えた。


『ねえ。私の話を語り継ぐストーリーはね。
平民の出にして頂戴。そしてね、継母と姉達にいじめられながら、魔法使いにお支度を頼み、舞踏会に行けた、そしてガラスの靴を落としてしまい、王子様が見つけ出してくれ、王女様となった…。
2人はいつまでも…いつまでも幸せに暮らしましたって。
私の人生をそれで完結としてほしいの…。』


私は44歳で永眠。
家来1人に看取られながら。
王の姿は無かった。
私の人生はそのまま語り継がないで。


私はシンデレラ…。


シンデレラ
なのだから。



end

No.214 10/06/08 19:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★テディベア★


記憶の片隅に
あのテディベア
嫉妬にかられ
奪い去りたかった
私なら
大事にするのに
私なら
いつも一緒に居る
けれど
テディベアは
私の元には
居れなかっただろう
結局は人の物
優しい父と母は
幻だったのだろうか
私はあのときの
お人形で
幸せだった
あのテディベアが
伝えてくれた
あなたの元には
行けなかった
ごめんなさいと
私はもう
子供じゃないから
あなたを
必要とはしてないわ
心配しないで
テディベアも
嬉しそうに微笑んだ


ねえ
まだ
あのお部屋に
居るの?

No.215 10/06/14 12:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★羅刹★


私の中の羅刹が騒ぐ
やられる前にやれ
殴られる前に殴れ
いつまで傍観者でいるつもり?
きっと気づきたくなかっただけ
私の中の羅刹は
日々鬼へと進化した
どうしようもない現実と苦悩
全く意味のない施餓鬼供養
徳を積んだら
この羅刹の鬼は
静まるかしら
逃げたい
遠くに行きたい
ひとりになりたい
お釈迦様
どうかもう
私を苦しめないでください
羅刹を消してください
遠くから聞こえる声は
穏やかで優しい声
鬼が消えたら
私もそこに行けるよね

No.216 10/06/15 22:41
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★償い★


33歳、兼業主婦。
結婚11年目、ひとつ上の主人と小3の息子、3人家族。賃貸マンション住まい。
23で結婚してから、ずっと外見には気を使ってきた。勿論、育児も家事も仕事も…十分両立してきた、…つもりだ。息子はやはり可愛い…。
主人ともそれなりに仲良くしてきた。だが…ひとつのきっかけが私を女にしてしまった。
私は。短期間で。
私が一番嫌う女に変貌を遂げた。周りに理解してもらえるはずがないし、理解してもらえるなんて望んでもいない。
私は主人と息子を裏切り、互いの親、親戚を裏切った。
いばらの道を選択したのは私。だから覚悟は出来てはいる。
だが、主人と息子を手放せない、ずるい女。
こんな妻で…こんな母親でごめんなさい。


私は
彼を
愛してしまった。

No.217 10/06/15 23:01
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


彼はパート先喫茶店の店長だった。彼も既婚者で妻子がいた。去年の夏からだから、関係を持って1年経った。働き始めた理由は、息子に手がかからなくなって時間を持て余したからだ。
店長…彼は3つ上。もろに私のタイプだった。後々聞けば、彼も私がタイプだったらしい。お互い気にかけながら日々働いてるうちに、もう忘れていたような、熱い感情が生まれていた。
というか、多分、私達はお互い刺激しあった。
平凡で穏やかな結婚生活…子供のために日々働き、愛し合っていたはずなのに、相手は子供で繋がっただけの同居人みたく思う。変化の無い単調な毎日。刺激無き現実…。
私達はポッカリ空いてしまった心の空洞を埋めたかった、だから惹かれ合ってしまった…それは事実かもしれない。
だが私は彼に恋をしたのは間違いない。
…そして彼も同じように想ってくれたのだ。

No.218 10/06/15 23:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


罪悪感は人を優しくする。…私は彼と関係を持ってから、一段と主人と息子に優しくなった。許してもらいたいがために。彼とつきあってから、主人との夜も、何故か回数が増えた。不思議だが、多分、私の罪悪感と、恋をしたことによるフェロモンだろうか、最近キレイだよなとか言われるようになっていた。
私はビクビクしながらも、主人の言葉が素直に嬉しくもあった。


私はパートは5時までと家族に話してあり、実際は2~3時だった。終わりから夕方まで、彼とラブホに寄っていた。彼は外仕事だと他従業員に伝え外出していて、私達は週2ペースで逢い引きした。


『俺だけのものだったらいいのに…。』


『あら。あたしもあなたにそう言い返すわ。』


夕方までの一緒に過ごせる2~3時間は、とても貴重だった。彼も奥さんとは空気のようだと言っていた。うちと同じように、決してうまくいってないわけではない。

No.219 10/06/16 08:17
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お互い家庭が普通にうまくやっていけている。
なのに。何故私達は秘密を続けるのだろうか。
この1年、私達に別れ話が出た事も、小さな喧嘩だって無かった。お互いが秘密を続けているのは、スリルという刺激を味わっていたいからじゃないか…とも思う。
ただ家族と過ごし、ただ母親をして、ただ生活費の足しにパートに出て、ただ主人の床の世話をする。そういう、ただの女で、30代も40代も生きるのか…そう思えば、私はたくさんの化粧品や服やバックが、なんだか無駄使いのように思えた。


『可愛いよ。』


彼の言葉は、甘いキャンデーのような響き。
主人には、結婚してから甘い言葉なんて、言ってもらったことなど無かった。
私達夫婦の頭の中は、現実という生活設計。子供のために私達夫婦は繋がっていた。
それは彼の家庭も同じだろう。彼も妻子のために日々頑張っているのだ。

No.220 10/06/16 20:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私と彼の会話に、離婚という言葉は出なかった。私も家族を捨ててまで一緒になりたいなど考えた事はないし、それはきっと彼も同じだ。
私は彼を、男として愛してしまった。そして彼も私を女として見てくれた。彼とのプレイで私は常に彼を求めた、主人との儀式化したようなプレイとは違う、甘く激しいプレイ。髪を優しく撫でてくれ、愛撫をたくさんしてもらえる。その間、私は妻でも母親でもない…ひとりの女だった。


『こんな関係を永遠に続けたい…なんて、やっぱり俺のワガママかな…。』

『ふふ。ワガママじゃないわ…私も同じ気持ち。ずっと別れたくないの…。』


私達は一泊旅行も望めない、夕方しか会えない秘密のカップル。だから、短時間の濃厚な時間は、お互いを激しく求めてしまう…。


息子が言う。

『友達が俺のママが一番キレイってさー!』

主人が言う。

『最近キレイになったよなあ。おまえ全然20代で通るよ。』

彼が言う。

『可愛いよ、愛してる…。』


私は幸せだわ…だって可愛い息子がいて優しい主人がいて、そして恋する彼がいる…。

No.221 10/06/16 21:03
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


愛する彼がいるから、家庭に優しくなれる。
要はバランスだ。
バランスが取れれば、私はずっと幸せでいれるのだ。
平凡で穏やかな生活に、スパイスの刺激。枯れない方法を取り入れただけ…。ずるいけどね。ずるい私は家族と離れたくない。そして彼とも別れたくない。
罪悪感は償いとなり、家族に優しくなれる。
良い妻、良い母でいられる…。
何も刺激の無い、主婦という名の家政婦なんて、まっぴらだわ。


ふふ…


ふふふふ。

No.222 10/06/16 21:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俺は結婚11年目、34歳、息子ひとり。ひとつ下の妻に、不満は無い。夫婦仲も悪くはない…。

だが、俺には秘密がある。5年前から、つきあっている女性がいる。会社の後輩で、彼女は28になった。勿論、妻にはバレないようにやってきた。彼女も、控えめでとても物分かりのいい女だ。
そんな彼女が、最近妊娠してしまった…。彼女は身を引いて、ひとりで育てると言うが、俺には彼女とお腹の子に責任がある。俺は彼女を本気で愛していた。妻子も大事だが、彼女を見捨てることだけは絶対出来ない。
妻には別れを告げようと決心していた。
喫茶店のパートと家事育児と両立してくれた妻。本当にすまない。だが…俺は彼女を守っていきたい。本気の恋の彼女を…。


『すまない。


別れてくれ。』



すまない…。



ついに…



俺は家庭を捨てた。

No.223 10/06/16 21:38
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


秘密を抱えてスリルを味わっていた私。
しかし主人には本気の女がいた。
私のような甘い刺激程度の恋じゃない…本気の恋をした女が。
私は家庭を捨てるほどの恋じゃなかった。
だが主人は恋人のために、私達家族を捨てれた。
甘い刺激で良かったじゃない…家庭を壊すほどの問題なわけ…?
償いをする立場かと思っていたら、あっさり償いをされる立場になってしまった。


息子が言う。


『パパについていくよ。貧乏になっちゃったらイヤだし…。新しいママで全然大丈夫!赤ちゃんも楽しみだし!お兄ちゃんになれるし!』



…はは!!

ははははは!!


あたしは何だったの…?


あんたらにとって
あたしは…



あたしは……!!




end

No.224 10/06/19 08:26
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★因果応報★


私は24歳、専業主婦。新婚、まだ妊娠していない。主人は26歳、つきあい半年での入籍。挙式の準備も慌ただしく、私達は時間に追われながら、無事に、海の見渡せる素敵なチャペルでの挙式をした。


あとは子供ね…そしてマイホーム…ふふ。
幸せ…。
私。幸せだわ…。


私自身、主人に恋い焦がれて、結婚という選択肢をしたわけではない。
結婚に対してあまり憧れは無かったからだ。
父が高校生で他界したが、父と母は、いつも喧嘩していた。お互いを罵り合い、罵倒して、常日頃お互いの悪口を、私に話してきた。
母も父が他界してから、仲良しの男がいるし、結婚ていいもんじゃないなって、そんなイメージだった。
だけど、周りは21~23にかけて、次々結婚した。していない子もたくさんいるが、皆、大体仕事に気合い入れてる子達ばかりだった。

No.225 10/06/19 21:38
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私は高卒で、24で結婚するまではアルバイトを転々としたフリーターだった。昼間したり夜だったり…21、22の間はキャバにいた。しかし夜一筋でいるつもりは更々なかった。夢見るわけではなかったけれど、いずれは結婚するだろう…そう思い描くと、やはり昼間の女でないと、類は友を呼ぶで、程度のいい男と知り合えない…そう思ったからだ。
しかし私には恋愛の癖があった。
というのも、18~24までの独身時代は、略奪愛ばかりだった。
いわゆる不倫、浮気。私のつきあう男は、妻帯者や彼女のいる男ばかりだった。
理由?
…相手のいる男にしか興味がなかったから。略奪じゃなきゃ燃えなかったし、人の男を寝取った気分…これほど最高な気分のベッドインは略奪でなければ味わえない。
結婚するまでの約6年、私は何度も不倫や浮気男との軽いつきあいを楽しんだ。大概20代後半から30代半ばだったが、転々と変えるバイト先で知り合う人ばかりだった。
私がワガママを言えば、別れたくないばかりに必死になだめる男達…。そう。私はいつでも逃げられるのだ。

No.226 10/06/19 22:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ベッドで抱かれる度、高揚感の中で…。私は思っていた。


家庭持ちのくせに。
彼女持ちのくせに。
なんで?
だから結婚なんていいもんじゃない、夢描けないのよ。仲良く出来ないなら結婚しなきゃいいのよ。子供はいい迷惑だわ。
奥さんと幼子は今頃こいつの帰りを待ってんのよね。
奥さん?
あなたのご主人、私と一緒よ?
こんなことしてるわ。
アハハハ!!
こんな男のどこが好きなのよ!!
私が温かい家庭の時間を奪ってるの!!
温かい家庭なんて存在しなきゃいいのよ!!
でなければ不公平でしょう?
私みたいな人間が可哀想でしょう?
ふふ…皆平等にいかなきゃ…。
ね?



私は飽きたら次、飽きたらまた次…とっかえひっかえで相手を代えた。
ひとりでも多くの犠牲者を生み出すかのように。

周りが結婚していくと、幸せがたくさん見えた。結婚式、新婚旅行、出産…。結婚した友達は幸せにしか見えない。
憧れなんかなかったし、幸せが続くはずないと思った。事実、両親は不仲のまま、結果分かり合えず、父が他界した。夢は描けなかった。

No.227 10/06/20 10:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


主人…斎藤は、友人からの紹介だった。私のプリクラを見て気に入ったらしく、友人から誘われ、男女6人で飲み会をした。斎藤は大手酒造メーカーの会社員だった。肩書きも、まあまあ気に入ったのだが、顔がまず私のタイプだった。目鼻立ちのいい筋肉質体系。私はすぐに交際を迫られ、当たり前にイエスだった。
24歳…結婚なんか憧れやしないけれど…。賞味期限が切れないうちに、定まらないといけない。一生自分で食べてくつもりは更々無いし、仕事に気合いや根性入れてるわけでもない。略奪愛ばかり繰り返して、遊んでばかりもいられない。

斎藤も26と若いくせに結婚を焦っていた。周りはバタバタと家庭を構えたと言う。周りが早いのでは…?と思いつつも、同じような気持ちを抱けなければ、結婚は出来ないもの。お互い落ち着きたい…そういう気持ちの上で、私達は惹かれ合う運命だったかのように、早急に結婚を決めたのだった。

No.228 10/06/20 15:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


皆からの祝福、挙式と新婚旅行…全ての幸せを手に入れたかのような気分だった。あとは子供…マイホーム…夢を描けた。
ああ…何を怯えていたのだろう。こんな私でも、結婚という夢を描けている。幸せは実現化して、新たな家と家族に夢を描けている。人による…きっと結婚は結局相手によるんだわ。斎藤は穏やかな男だし、20代にして経済力がある。今まで私がつきあってあげていた妻帯者の男共。あいつらは結局、情けないつまらない男共。世の中のゴミね…クズよ。ああいう家庭を簡単に裏切る奴らがいるから、そういう子供が生まれて、遺伝を引き継ぐのよ…。両親の不仲もそうだわ。結局仲良く出来ないならば、家庭を築かなければよかったのよ。私なんて汚い罵り合いの響く家庭で育ったから、結婚なんて吐き気がするほど興味無かったわ。
そう…人による。男によるんだわ。私は本当の勝ち組。人生の勝者なのよ…。アハハハ!!

No.229 10/06/20 20:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


…だが、幸せだと充実した新婚生活も、半年続かなかった。結婚して、3~4ヶ月もすると、斎藤は頻繁に帰宅が遅くなっていった。私は徐々にイライラが募り、専業主婦という、家に閉じ込められたような生活にも、少しずつストレスが溜まっていっていた。
私はもしかしたら選択肢を間違えたのか…。穏やかだった男も、過去つきあっていた、家庭を顧みないような…あいつらのような男だったのか。
そしてついに、私は深夜に帰宅した斎藤を大声で怒鳴りつけた。

『一体なんなのよ!!つきあいとかなんとか言って…毎日毎日!!なんで早く帰れないのよ!!女じゃないの!?新婚なのよ!!これじゃ子供も出来ないじゃない!!』

『……。
そんなん言えんの?結婚出来ただけ有り難いでしょ?自分。』

『……?!はあっ!?』

『…不倫ばっかしてたんだよね?友人達から調査済みだよ。お前が男を奪ってる間、嫁は今のお前のような気分で待ってたんじゃないの?』

『……?!』

No.230 10/06/20 20:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『略奪愛ばっか繰り返してる女だから結婚したかったんだよ、分かるか?』

『は……?』

『そういう女ならさ、結婚して何して遊んでも自分的に平気じゃん。過去の過ちの罰だろって言えるし。俺的にも出世するならいずれは結婚しなきゃなんないし、けど更々嫁だけで満足するわけないんだよね。』

『罪がない女と一緒になって不貞ばかりじゃ、相手が可哀想だろ?だったら罪深い女に罪を与えるのは悪事にならないだろ?』

『お前は俺から罰を与えられてるんだよ。お前がたくさんの妻を泣かせた。だから妻になった今、俺からされる不貞が仕返しとなって返ってきてんだよ。
…因果応報だな。』



…頭を鈍器で殴られたような気分だ。
私がした悪事…?今になって返ってきてる?
ハハ!!
アハハハ!!
違うわ!!…だって今笑えるもの…。過去の男共の連れ合いは笑えてたかしら…?


さあ。
因果応報ね…。
私はあなたに復讐するわよ。長い時間泳がせて…多額の保険金を掛けなければね…。ふふ。

私と仮面夫婦を続けましょう。


トドメを刺す日まで。



end

No.231 10/06/21 23:44
優花 ( ♀ 6VhO )

★罪★


この手が作った罪の量に等しき罰を
私に与えてください
花を枯らせた
生きる手助けを十分に出来ずに
あの子も助けれず
人を傷つけ
人を泣かせ
人を弄んだ
苦し紛れの瞬間には
走馬灯の景色
私は何故生かされているのだろう
あちらに会いたい人々がいるのに
罪の量に等しき罰を神が与えてくれれば
私でも
天国に辿り着けるだろうか
この人生に悔いはない
恵まれなかった世界に
何の未練もない
2人の天使は私を許してくれるだろうか
無償の愛を与える笑顔の裏には
人生に幕を閉じたい自分がいる
人は笑う
私は笑えずに
立ちすくむ


どうか罰を
どうか許して

No.232 10/06/26 08:18
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★愛憎の裏★


私はいつも不思議に思う。
どうしてお父さんは、お母さんにいつも意地悪をするの?
どうしてお母さんは、お父さんに意地悪されても、少し笑っているの?


不思議…


不思議…


私は中2、一人っ子だ。両親は父39歳、母37歳。3人暮らし。
父は消防士、母は専業主婦。
小さい頃から思っていたことがある。
何故父はいつも母に優しくないのか。
母はいつも父と私に優しい。口数は少ないが、柔らかい喋り方、優しく私を叱り諭す。いつも少し笑って、微笑みをうかべた表情。そんな母に、父はいつも意地悪を言っていた。



『…なんだ、この味噌汁は。また味違うじゃないか。』


『ここのたまった埃はなんなんだ!1日家でなにやってんだよ!』


『家の電話には3回鳴ったら出れるだろ!』


『これだけの味付けしか出来ないのか。お前は本当に成長しない女だよ!』


『○○さんちの奥さんを見習え!』


声は決して大きく荒げてはいない。だがズキズキする言葉のナイフ。

No.233 10/06/28 22:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


幼少より小学生までは、私も特別違和感を抱いていなかった。うちはお父さんが厳しいんだな、お母さんは優しいけど、ドジするんだなと…。
中学になると、反抗期も重なり、両親を客観視してしまう。父がおかしいんじゃないか…異常ではないか…と思いだした。
周りの友達のお父さんと違う…。私はたまらない嫌悪感を抱きはじめた。
うるさい、また小言。
ネチネチ…女々しい奴。
バカじゃないの。
お母さん、一体こんな人の何がいいわけ?


父は母にこそ口うるさいが、私には普通だった。うるさい説教もないし、自由にさせてくれる。あまり喋らなくなったが、小さい頃はよく父に可愛がってもらっていた。


『ねえ。お母さん。
お父さんて何であんなに口うるさいの?
お母さん、腹立たないの?』


『……ふふ。お父さんは口うるさくなんてないわ、お母さんがヘマするから怒られるのよ…。』


理解不能。
お母さんは、よそのお母さんより家の事してくれるから。
いつもおうちは綺麗だし、おやつはいつも手作りだし。料理上手だし…。

No.234 10/06/29 07:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


お母さんが可哀想。
こんなお父さん
いらない。


私は父がどんどん嫌いになっていく。好きな人と呼べる男子はまだいないけれど、恋愛するならお父さんみたいな口うるさいのは御免だ。


父は、消防士だから、ガッツリとした体格、筋肉質系だ。顔は人並み。
だが母は美人だった。
人並みでは決してない。綺麗な顔立ちに色白、細身で綺麗な髪…私は完全な父のコピーだから、なんでお母さんに似なかったの…と、その点も小さい頃から気に入らなかった。


お母さん綺麗だねと、友達に言われるたび、自慢気に思えた。逆に辛くもなった。私もお母さんみたいに生まれたかった…。


お父さん、ムカつく。
威張りくさって遺伝子残しやがった…息子じゃない、娘に。ムカつく…。


お母さんはいつも言ってくれる。


『いつまでこうして髪をとかさせてくれるかしらね…。』


ずっとだよ。
ずっと髪してね。
お母さん…。

No.235 10/06/30 07:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


ある日、いつもと変わりない朝。朝食の準備をしている母に父がいつものように小言を言う。


『なんだ、また和食か。たまには凝った洋食でも出せないのか。』


…滅茶苦茶だ。
バカじゃん、このおっさん。
私は生理前でイライラしていた。


『そんなん言うなら少しは家事手伝えば?』


『…っ!??』


父と母は、初めて親に反抗する私に驚いた顔をしたが、父は私には何も言わなかった。
言い返せないんだ、多分、娘に嫌われたくないから。
あははは!
もう十分嫌いだけどね!


父がいなくなれば、私とお母さん、仲良く2人で暮らせるのに。


ね?…お母さん。
私と2人がいいね。
そしたら毎日文句ばかり言われなくなって、幸せに暮らせるよ…。
お母さんと平和に笑って、暮らしていけるよ…。

No.236 10/07/01 12:40
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


中2になると勉強は難しくなったし、私は吹奏楽部だったが、勉強と部活の両立はけっこう大変だ。テスト前になれば夜遅くまで勉強しだした。


夜12時をまわり、まだ勉強していた私は、喉が乾いたからキッチンにお茶を取りに行った。


すると寝室から変な声が聞こえてきた。


『…ああ?ほら。
言ってみな!
今日はあたしに向かってなんて言ったんだよ!
威張りやがって!
こうして…
こうして…
こうやってやるよ!』


『……ああ!
痛い…!ひい!
すいません…!
美咲様すいません!』


……え。なにこれ…。
お母さんの声。
だけど私が聞いたことないお母さんの荒い声。
そしてお父さんの、聞いたことない弱々しい声。
2人は寝室で一体何をしているの?
…恐い!
お母さんが違う人みたい…。お父さんも…。


『ふん!
昼間しか威張れないあんたは弱々しい虫けら男さ!
あたしは昼は良妻賢母…夜はこうやってあんたを虐めて…縛りあげて…
あははは!
苦しい顔いいわよ!もっと苦しみなさい!
まだ私を抱かせないわよ!』


『痛い!痛い!
スタンガンはやめて…やめてください…!
はあ…はあ…』

No.237 10/07/01 13:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


…恐い!
恐い!恐い!
お母さんが…違う人。お父さんも違う人。
いつも口うるさいのはお父さんで…いつも可哀想なのはお母さんで…。
どうして…
どうして夜は反対なの?お母さんがお父さんを虐めるの?
こんなの…私の優しいお母さんじゃない!


『あははは!!
ほうら!もっともっと舐めなさい!
丹念に脚を舐めるのよ!丁寧にしなきゃ
この首輪のロープ
締め上げるわよ?』


『ひいっ…はい…はい…!美咲様…!』


気持ち悪い!
もうセックス位知ってるけど…こんなの変態だ!
父と…母が…
変態だったんだ…。
私はもう、お母さんをまともに見れない。


翌朝、普通に朝食を用意している母。いつもの柔らかい声で、おはようと私に言う。
おはよう…。
私はお母さんを直視出来ない。
お父さんがまた口うるさい。


『ほら!また味噌汁の味付け違うじゃないか!ったく…おまえは!』


なんなのよ…昨夜のあんた、なんなのよ…?!
虐められてハアハア言ってて…バカじゃないの?!


私は裏切られたような気分で胸やけがしていた。

No.238 10/07/01 20:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…お母さん。夜ね…私遅くまで勉強したよ…。』


『あら、偉いわね。頑張ってるね。言ってくれてたらお夜食持って行ったのに…。』


『…お母さん、夜…お父さんとね…。その…部屋から声が聞こえたの。』


『……。』


洗い物をしている母の後ろ姿がなんだか恐かった。


『お父さんとお母さん、どうして夜は反対なの…?夜のお母さん…恐かった…。一体どっちのお母さんがホントの…。』


『…ふふ。心配しなくていいのよ。恐かった?
…大丈夫。お母さんはお母さんよ。私は昼も夜も本当のお母さんよ。』


『いつも私がお父さんに意地悪されていると思っていたのね…。お母さんね、今までずっと夜は、お父さんを虐めてきたのよ?そういう夫婦なの。』


『お父さんは昼は外の顔、夜は隠れた顔。どっちもお父さんよ。私達は逆の夜の生活を大切にしているの。愛し合っているわ。』


『もう、あなたに伝えても良い時期よね…。
ごめんなさいね、心配かけて…。私達夫婦はお互い大事なのよ。』


ああ。
たった今から
母親が大嫌いになった。
汚らしい。不潔。
清楚な母は汚い女だった。
真実を知った中2の私。

No.239 10/07/02 13:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『いってらっしゃい。
気をつけてね。』


私を見送るお母さんは、やっぱり綺麗…。


お母さん。
汚い女だったんだね。
清楚な顔のベールを脱がせば、魔性の女。


大好きだったのに。
優しくて…
いつもお父さんに意地悪されてた。


お母さんはお父さんを縛って電流を流して…
お父さんを虐めて笑うんだね。


知らなかったよ。


もう大嫌い。
騙された私。


嫌いな両親には
お仕置きが必要だよね。


私は両親を虐めて
生涯笑って暮らすわ。


あははは!!



end

No.240 10/07/02 23:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★存在★


私はここだよ
お父さんとお母さん
おじいちゃんおばあちゃん
私はここだよ
星空を見上げ手をふる
子供は言う
寂しくないよ
おばあちゃんはお星様に なったから
いつでも会えるよ
繋がれているね
人と人は
繋いでいくもの
私という存在を
必要としてくれる人がいること
この当たり前の幸せは
見過ごしてはいけない
周りの当たり前に恵まれた環境と
私の存在を比べてはならない
私は雑草だ
花に生まれたくても
雑草に生まれた
昔の声が心に響く
この子らも
いつか私が旅立てば
星空を見上げてくれるだろうか
今宵も優しい風が吹く



もう夏だね

No.241 10/07/05 00:49
優花 ( ♀ 6VhO )

★呟き★


恋愛映画を見て
可愛い主人公に影響されて
真っ赤なペディキュア
雪の白い絨毯の上で
血だらけに倒れた人を見ては
死期は冬がいい
私も雪の中で血だらけがいいと願う
影響だらけ
流されて生きて
これだけ自分が無いのは
私ね
とっくの昔に
自分を殺した
だって楽だから
私の個性が生きてしまえば
私の周りは悲しむし
迷惑するのよ
違う事ばかり考えているふりをして
真実を突き止めない
真実を認めたら
私は私でなければならない
そんな作業は
全く無意味だ
人は逃げない事が正しい道だとは限らない
逃げないと
死んでしまう場合もあるから
服やバック
美容院にアクセ
ああ
新しい携帯にしたいわ
ほら
もう現実逃避


今日は何の映画を見ようかしら


私の呟きは
雨音に消えた

No.242 10/07/05 14:20
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★友情の悲劇★


19歳、フリーター。実家暮らし。今の生活で満足。私、正社員になろうなんて思ってない。
私は小中高と学校のアイドル的存在だった。160センチ44キロと細身で、自分の顔も大好きなの。大きな目、少し厚めな唇、高い鼻。スタイルも顔も恵まれているわ。両親には感謝してる。
こんな私の親友は正反対の望美。中学からの仲で、十人並みの地味顔、私と同じ位の身長で57キロもあるデブ。自分ではポチャだよねって言うのよ。だから私、話合わせてあげてるの、中学の頃から。望美はデブなんかじゃないよ!ポチャ系で可愛いんだからねっ!って…。
あははは!全然デブだけどね!私、こんな外見だから、あんまり親しくなろうとする女友達いなかったの。引き立て役には誰だってなりたくないもんじゃない?
けど望美は違った。彼女も暗くてあまり友達いなかった。だから私、中学から常に望美と行動したの。私も誰かと常にいたかったからね。高校も彼女と一緒にしたし、高校出た今も、ちょくちょく遊んでいる。
望美はいつも私を羨ましがる。昔から。いいな、百合はいいなって。

No.243 10/07/05 14:35
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


いつもローリーズやジーナなんか、ゆるカジのカッコして体型カバーしてる望美。痩せたいな~が口癖。そして最後には、百合が羨ましいな~って…。
はあ?!って感じ。甘えんな!望美はその体型通りの食生活なのだ。お菓子やケーキ、炭酸が大好き、ご飯が大好き。ダイエットも中学から口癖だけれど、いつも楽な置き換えダイエットやボールに乗るようなダイエットとかして、歩いたり走ったり、脂肪燃焼系のきつい運動は取り入れない。なのに痩せない痩せないって…。バカじゃん?!置き換えしてドカ食いしたら痩せるはずないっての!
望美は本当に甘えてる…。メイクも似合ってないメイクして…。
でも私、いつも励ますばかりで、絶対否定しないの。だって…。望美は今の望美だから、私がより一層輝くの。私はいつも自信たっぷり、望美に同情して、望美を励まして、いつも優越感に浸って幸せなの。
あははは!望美、いつも可哀想!だけど、望美はそういう人生のレールがあらかじめ敷かれているんだと思うの!それは生まれた瞬間に皆決まるんだわ、きっと。私もこういう絶賛される道だと決まっていたのよ。ふふ…。

No.244 10/07/05 18:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私はコンビニでバイト。望美は事務員。私達はちょくちょく遊びながら、近況報告しあっていた。私にはつきあって3ヶ月の、いっこ上彼氏がいた。私はノロケ話を望美にたっぷりしていた。望美はいいなあ~私も彼氏ほしいなあ~と、羨ましがる。
あんた!冗談でしょ!その身体、どうやってさらけ出すのよ!デブがよく彼氏ほしいなんて言い出しやがるわね!
元々ガッツリ一重なのに不自然なアイプチ…メザイクに替えりゃいいのに…。アイシャドーもブルー系とか似合わないっての…ブラウン系にしたらいいのに…チークはオレンジとかマジありえないし…なんか濃いし。
彼には望美を会わせていない。違う意味で会わせたくなかった。だって、こんな親友紹介するの恥ずかしい…。友達こんなんなわけ?って引かれたくないし。
彼氏は同じコンビニのバイト仲間で、仲良くなって告られた。別にそれほど好きではなかったけど、バイト仲間の女がカッコイイって言ってたからOKした。悔しがられるほど気持ち良い事はないわね。全く…望美といい、周りの女共は身の丈を解ってない奴ばかりだわ…。

No.245 10/07/05 19:27
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私も太らない体質というわけではない。食べ過ぎたら太るし、中学から食生活には気をつけている。晩御飯は控えめにしてるし、夜の間食は取らない。なるべく歩くようにしてるし、おやつも少しにしてる。ダイエットというか、体型維持に気を使ってきた。
望美みたいにドカ食いなんてしない。私だって毎日間食たくさんしたいし、マックやミスド、ケーキやアイス、お菓子とか、気にせず毎日いっぱい食べたいわよ!でも細いままを維持するには、太っちゃいけないのよ?望美、あんた、努力してる?気を使ってる?
何にもしないまま痩せようなんて、虫が良すぎなのよ!ったく!デブが、何が彼氏よ!百年早いっての!まず痩せなさいよ!一生処女のまんまで生きてくのかしら…。
ふふ、それがいいかもね。そうやっていつもいつも私を羨ましがって、私に気を使って…百合はいいな~いいな~って生きていくの。あははは!それがあんたの宿命かもね!あははは!


そんな望美から、1ヶ月位メールの返信があまり来なくなった。??…前はしょっちゅうくだらないメールのやりとりしあってたのに…。私は少し気になっていた。

No.246 10/07/05 19:40
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私も彼氏とデートばかりだったが、気になったので望美に電話してみた。

『あっもしもし…百合!ごめんね!最近メール返せてなかったね~!』


『いやいや。いんだけどねっ!どした?最近忙しいのっ?』


『…う~ん、まあ…ね!色々とね!妹、高校受験控えてるしね…勉強見てあげたりねっ!また連絡するからっ!』


ああ…妹ももう中3かあ…早いなあ。
そんなふうに思いながら私は望美の変化に気づかず、忙しいんだなと間に受け気にとめなかった。

そしてまたしばらくして、望美から遊ぼうと連絡があり、ファミレスに私達は待ち合わせた。

私は望美を見て唖然とした…いや、正直、最初は素通りできる位に気づかなかった…。


『こっちこっち!百合~!』


『……?!!!
はあ!!の…望美なの…?!…なんで…?!』


正直にかなり驚いた…。望美が私くらいの体型になり、顔が変わって、目が私より大きくなってる…!!メイクも変わって…服も…ギャル系になってる…!!


『あ~…もうそんな驚くかな~!ははっ!恥ずかしいわ~!』

No.247 10/07/05 22:45
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『……どうしたの一体…?なんで…』

『あはは!やだな~そんな引かないでよ~!
エステ通ってたのよ!
かなり落とせたの~!
今43キロなのよ!すごくないっ?!』

『……顔は?』

『あはは!かなりイジったみたい?
それが目だけよ!メイクも変えたの~!
コスメ揃えてね、ついでに美容部員さんにきちんと教わってさ~!』

『…へえ。…そうなんだ。』

『ちょっとーー!
もうー!そんな引かないでってばー!
変じゃないでしょ?
ましになった?はは…』


…変どころじゃない。かなり…いや、超美人じゃん。…てか、私と変わらなくない?私よりもしかして…。
いや!そんなわけないじゃん!あのデブスの望美よ?!
なんで私より望美が綺麗とかの話になんの?
…ムカつく…こいつ、努力もしないで…簡単にエステで痩せて…目イジったなんて…。

『ボーナス3回分の貯金はたいちゃったわ。
痛かったー!』


ああ…ボーナス?
OLだもんね?2年目だし3回支給されてんのね…。私はバイトだから当たり前にボーナスなんてない…。

No.248 10/07/05 23:00
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『百合には真っ先に報告したかったんだけど…。先週ねっ実はなんとぉ~!!
彼氏!!
出来ましたあ~!!
あはは!!』


??!はあっ!!
…なんなの、さっきから…望美のくせに!!
望美のくせに!!


『…へえっ!おめでとう…どんな人…?』


『ふふっ!喜んでくれる?
彼ね、○○の社長息子なの!!』


……!!
それはこの地方県内では有名な工業的グループだった。そしてその社長息子と言う…。

『うちの会社と取引があってね、連絡先交換して…。
まだつきあったばかりだけどねっ!
お互い一目惚れで…
あはは!
照れるね、こんな話!』

なんなの!!
なんなの!!
なんで望美が…
一目惚れ?望美が?
一目惚れされたの?!
社長息子に?!
私の彼氏なんてフリーターなのに…!!


トイレに望美が立って、隣の男3人グループの小声の会話が耳に入ってきた。

『お前どっち?』

『俺、席立った子!』

『俺もー!』

『めっちゃ可愛くね?』

…!!!
私は男らを睨みつけた。
信じられない…望美の方が可愛いとか言われるなんて…。

No.249 10/07/06 18:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私はね、望美。中学になって、オシャレに関心を持ってから、ずーーっと19の今まで日々の努力を怠らなかったわ。スキンケアから髪、日々の体型維持。よく歩いて、夜は飲食を控えめにした。あんたみたいにケーキやらクレープ、パフェやお菓子、マックにケンタ…そりゃあドカ食いしたいし、気にせずに毎日毎日たくさん食べれたら幸せよ。でもね。食べた代償として脂肪は蓄積されてしまうの。だから私は努力した。
あんたは結局何?自分の努力を怠り、エステに頼って簡単に体重を落とした。金払うんだもん。痩せさせてくれるわよね。
整形もそうよ。生まれつきじゃないくせに、周りを騙して…そんなん詐欺師じゃんか。私のような天然美から見たら、ただただズルいと思うし、卑怯だわ。目だけだよって、埋没だけじゃなくて、目頭切開してるんじゃないの?そんな幅あったかしら?


とにかくイライラしてムカついて…その日はプリ撮ったりカラオケ行く気分に到底なれなくて、適当な嘘をつき、早々に解散した。


ズルい…。
卑怯…。
ムカつく…。
望美のくせに!


望美のくせに!!

No.250 10/07/07 07:47
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


5年後、勝ち負けはついた。私達は同時期の22歳で結婚。望美はあの社長息子と、私はコンビニ彼氏とデキ婚だった。望美は最近女児が生まれ、私にはもうすぐ2歳の息子がいる。望美はお金持ちに嫁いで、旦那様も優しい人だ。私の旦那は相変わらずバイトばかりを繰り返し、未だ定職に就かない。浮気や暴言も日常茶飯事、喧嘩も絶えない。経済的な理由から実家に金銭を頼るのが癖になって、もういい加減呆れられていた。
私は古いアパートに暮らし毎月カツカツ、望美は悠々自適にセレブ生活を満喫していた。
私達の勝負は24歳でハッキリ決着がついたのだ。


メール受信。
望美から励まされる。


(百合大丈夫?私に助けられる事があれば、いつでも頼ってね)


(私達、親友じゃない!助け合わないとね!)


(百合が可哀想だわ!)


私……可哀想なの?
いつから私、望美なんかに励まされなきゃいけなくなったの?
…あ…旦那を盗ればいいのかしら…望美の旦那を…。
セレブ生活に似合うのは私のほうよ…望美にはうちのがお似合いよ…。


望美。
居場所が反対よ。
あなたの場所は私よ。



end

No.251 10/07/08 14:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★満月★


究極な選択をあなたに


血のワイングラス
赤い丸テーブル
晩餐の生贄となる
ご機嫌はいかがかしら


究極な選択をあなたに
屈辱的な理性を排除
あなたとワルツ
ドビュッシーとはじけたモーツァルト
雨音はクラシック


究極な選択をあなたに
邪魔で不必要な理性を排除
真っ赤なペディキュアと真紅のルージュ
ゆるやかなワルツ


究極な選択をあなたに
全てを食べてしまうけれど
残したあなたの右目の眼球
私の左目の眼球と共に宝箱へ


踊る私のサテンが飛ぶ
錯乱した脅威
征服した下僕
おいでダーク
私の飼い猫はしたたかに甘えるのよ


究極な選択をあなたに


平凡な満月の夜

No.252 10/07/08 17:34
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


追憶のビジョン
背徳のセレモニー
洗礼のコンビネーション
始まりは無言
終わりは苦言


愛撫は奥に奥に
苦し紛れのセリフ
聞こえない
聞こえない


呟きの天使
囁く悪魔
猫と蛇の愛撫
蜘蛛が嫉妬


カインとアベル
兄弟の原点
失笑の快楽
ポルターガイスト
爪痕に剃るナイフ


臨場感
嫌悪感
犠牲愛
花言葉を教えてあげましょう


ああ
始まりは無言
終わりは苦言
黒猫の純心
白猫の邪心


境界線を越えて
抱き合えば
堕落したアダムとイヴ
林檎の真実は毒粉雪


追憶のビジョン
背徳のセレモニー
洗礼のコンビネーション

No.254 10/07/12 07:55
優花 ( ♀ 6VhO )

★シークレット★


見据えた未来にいつまで傍観者でいるつもり
恥じらいを隠して恋愛を殺した
恐いくらいの平凡な日々は淡々と時間を刻む
雨音のリズムは
私に恐怖と不安を与える
もしもあのときあの手を握り返さなければ
私は死んでいたかもしれない
狂おしいほどの狂気を武器に落胆する
隠した左手のナイフ
響いたノイズとスクリーン
シークレット
シークレット
白猫のしたたかさ
黒猫の純朴
あの日の怪文書の送り主は私だから
罪には罪を
罪には制裁を
こんなにもこんなにも
ときめきはまだ胸にあるのに
壊れた脳は理性で埋め尽くされた
激しい雨音のリズム
究極のワルツ
差し出してくれた手を振り払った自分を想像する
どうしようもない自分は見損なった
酷くなる精神疾患
幸せの意味を見つけられずに
何のために生かされているの
シークレット
シークレット
言えない秘密

No.255 10/07/15 23:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★遠い記憶★


遠い記憶の片隅
ピントのずれたおばあさんの言葉


悪いことが起きたら
『ありがとう』


良くしてもらえたときは
『感謝します』


あなたの口癖にしてね。
そうすれば
あなたはずっと幸福でいられるわ。


遠い記憶の言葉


人はどうして頭で理解をしても
実行できない生き物なのでしょうか


私はあのおばあさんに
林檎をもらった


食べたら幸福になれたのかもしれない


私は食することを拒否した


もしかしたら
死んだかもしれない


今となってはもう
答えなんてわからない


遠い記憶の片隅に
おばあさんの言葉


人は生き続けることだけが幸福なのだろうか


素直になれない
素直にならない
素直では生きれない


正直に生きていても
獲物にされる


おばあさん
私が言葉の宝石を出せば
うまくいくの?


太陽は
今日も私を
照りつける

No.256 10/07/20 08:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★白昼夢★


澄んだライトブルーの景色をバックに
白い龍は高く気高く
夢を見る
現実を見る
君には伝わらないだろうね
雲が龍となり蛇や蜥蜴にもなることは
妄想する頭の乱れたノイズ
辛い
悲しい
苦しい
理解したい
理解されたい
傷つけた
傷つく
この手を広げれば
上に上に逝けるだろうか
君も白昼夢を見るかい
…僕のように
打ち砕かれた心に
君だけの声が響く
もう優しくできない
優しくされなくていい
結論は闇
現実が夢だと思うんだ
生きた証が罪だとすれば
せめてもの償いにこの死を
君には解るかな
自虐的な僕の罪
白い龍と共に風に乗る
争いには何も残らない
罵り合いに何の意味もない
欲は深く深く
人間を支配する


君には解るかな


だから
結局は



僕らは違ったんだ

No.257 10/07/22 12:33
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★裏の顔★


俺はなんて恵まれているんだろう。この裕福な邸宅に居候して2ヶ月。おばさんは優しいし、飯は雇われシェフの贅沢料理。バイトを探していると言いながらのニート生活。たまらない楽で怠けまくりのだらしない生活。全てはこの優しいおばさんのおかげだ。



2ヶ月前、この街外れの田舎町へと、ツーリングで立ち寄った。大きな湖があって緑に囲まれ、街より気持ちが良かったから、一晩ここに野宿するのもいいなと思った。7月の暑い日、湖のほとりの影で寝っ転がっていた。高校卒業してから印刷工場へ就いたが1ヶ月で辞めた。元々働きたくなかった。親はうるさいし、彼女もうるさい。職場に慣れず必死こいて働く友達からは甘いと言われ、取り合ってもらえず、俺はムシャクシャしていたんだ。逃げ出したいと思ってバイクで県外へ出た。うるさい街はウンザリだったから、この街外れの町にたどり着いた。


ああ…高校は良かったなあ。面白かった…。俺なにしてるんだ一体。周りはみんな頑張ってんのに…バカだ俺…。



『あら、先客さんね。
気持ちいいわよね、ここ。』


『…っ?!』

No.258 10/07/22 12:48
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


話しかけてきたのは50~60?位のおばさんだった。黒い日傘を持ち身なりがいかにも上品な金持ちのおばさんだった。うちの母さんは41だけど、こんなに小綺麗にはしていない。ここ、よく来るのか…てか地元住民だろうな。


『…あなた、ここら辺の方?』

『あ…いえ、○○県の○○です、バイクでふらっと…。』

『あらそう!ふふ、私はこの近所なの。』

『…はあ…。』



ひとりになりたかったのになあ…そう思いながら、場所移動を考えた。おばさんは俺と色々しゃべりたかったみたいで、年とか仕事を聞いてきた。おばさんは若く見えるが64歳だった。50代に見えたと言われすごい喜んでいた。会話してるうち、別にめんどくさいわけでも無くなり、逆に悪い気もせず、俺は今の俺の現状をベラベラ喋っていた。するとおばさんはこう言った。


『大人の男に成長するには、一度親御さんの元を離れてみるのが一番よ。そして曖昧な恋人とは、距離を置いて少し関係を考え直してみるのがいいわね。』


『親御さんには県外のペンションに住み込みで働きだしたとご連絡を入れて、私の元で住み込みで家事を手伝ってくれないかしら?』

No.259 10/07/22 13:00
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『勿論少ないかもしれないけれど報酬はお支払いするわ。外にバイトでも働きに出たいならば、少しでもお家賃として頂ければ部屋を提供出来るわよ。』


『どうかしら…悪い話じゃないでしょう?』


『え…?!今知り合ったのに…なんか頭混乱するなあ!なんでそこまでおばさん…?悪いよそんなの。』


『ふふ。オトナのオトコ!への成長のお手伝いをしたいだけよっ。ふふ。』


聞けばおばさんは、1人暮らしらしい。旦那さんを3年前に亡くし、広い家に1人で、寂しかったらしい。子供がいないため、俺が子供に思えて可愛いと言った。家にシェフとお手伝いを雇っているらしい。数秒悩んで即よろしくお願いします!とお宅にお邪魔した。俺もなかなか人に見守られる運命なのか…。居候としてお世話になる邸宅は、湖の近くにあり、それはそれは半端なかった。俺のリアクションに、おばさんはツボにハマったらしく、しばらく笑っていた。広い邸宅は立派な屋敷で、庭も広く、門構えなんかは金持ち度を超越していた。

No.260 10/07/23 08:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


洋風のこの広く立派な邸宅は、なんとおばさんの別荘らしい。立派なご馳走を頂きながら、おばさんと祝杯をあげた。


『ふふ。そんなに驚くことじゃないわ。説明するのが面倒だから…つい地元住民と言ったの。元々の地は東京生まれの東京暮らしよ。ここにはたまに休みに来ていたのだけど、主人が亡くなってからはずっとここに居るわね…。』


『あなたが来てくれて本当に嬉しいわ。これから賑やかになるわね!広い家にこんなおばさん1人じゃ寂しくてね…。』


…俺を招き入れた最大の理由は、やはり寂しさらしい。そりゃそうだよな…初老のおばさん1人、こんな広い家は寂し過ぎる。息子がいたら俺みたいな…って感じもあるんだろうな。


こうして名目は家事手伝い、職探しという、毎日たらふくご馳走を頂き、贅沢な広すぎるジャグジー風呂に入り…夜はシェフのスイーツ。贅沢という贅沢を日々味わいながら2ヶ月がたった。


おばさんは何か大きな会社の会長らしく、昼間はけっこう外出ばかりだった。夜は俺の学生時代の笑い話や彼女の話など、俺の話ばかりして、おばさんは本当に楽しそうだった。

No.261 10/07/28 07:59
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


2ヶ月も職を探しながらという口実の居候ニート生活をしていると、わざわざ自身からこの贅沢三昧の生活を打破して、環境を変えようなどと全く思わなくなる。人間は、甘えた環境にいればいるほど、底穴から抜け出そうなどとはしないらしい。


ああ…この優しいおばさんのおかげだ。なんて優しいんだ。俺の世話をしてくれ、俺を応援してくれる。離れたくないな、ここから。俺は安泰だ。


コンコン!

夜10時を回り、食事も風呂も終わらせ、部屋でTVを見ていたら、おばさんから呼ばれた。こんな時間に珍しいな…。


『はい?どうしたの、おばさん。』


『ねえ!私の部屋の写真を見ない?』


酔ってるのか?…まあいいや。おばさんの部屋は初めて入る。写真て…死んだご主人のかな?


『…ほらほら。入って頂戴。ふふ。』


度肝を抜かれた。部屋中に真っ赤な薔薇が敷き詰められていた。テンガイ付きの白いレース調のベッドの脇のチェストには、大きな写真。それは若く美しい女性だった。


『見て…あの女性は私が二十歳のときの写真よ。どう…?綺麗かしら?』


『あっ…うん!すげえ綺麗だよね!』

No.262 10/07/28 22:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『ふふ…嬉しいわ。この頃ね…男を知ったのは。』


??…


『さあ。見て…私、この頃とそんなに変わってないの。見て…。』


!??…
おばさんはガウンを脱いだ…そして黒のベビードールになり、ベッドに座り、俺に手招きする。


『さあ…全身全霊で丹念に舐めていきなさい。』


『……!?はあっ!…ちょっ…おばさん!何考えてんのマジ!こんなんやべえよ…てか俺無理だし!』


『何が無理なの?』


『いやっ…てかおかしいだろ!俺とおばさん40以上離れてるし!できないよこんなん…無理だよ!』


『……。
お黙りなさい。』


『年齢が何なの!
そんなの関係ないわよ。
散々甘い蜜は吸わせたはずよ。
お礼はきちんと返しなさいよ。』


『簡単でしょう?
私に尽くして、私を満足させればいいのよ。
私、二十歳から何も変わってないわ。美は永遠よ。』


『お礼…お返しって…俺がヤレってこと?』


『そうよ!早く丹念に脚から舐めなさい!!』


何てことだ…。
俺は無理だ。
初老のおばさんヤるなんて…。

No.263 10/07/29 14:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『冗談やめろよ!おばさん!ヤレるかよ!マジ無理だから!勘弁してよ…。』


『……。
あら。私も見くびられたものねえ…。
こんなにお世話してあげてるのに。』


『僕…。教えてあげましょうか。私の主人、世間では行方不明となっているわ。愛人と駆け落ちしたんじゃないかってね…。』


『…え?死んだんじゃなかったの…?』


『ええ!死んだわよ!ちゃんと見届けてあげたわよ!』


『…行方不明になってるって…なんで…?』


『ふふっ!
はははは!
私が殺したの!
この別荘でね!
中庭に主人がいるわ、眠っているわよ!』


『ひ…!ま…マジかよ…!』


『人殺しに1人も2人も一緒よねえ…僕?』


あ…。俺は…もしかして…底穴から這い上がれもしないのかもしれない…。俺の選択は…甘い生活への地獄だった。


『さあ僕。
始めましょうか。
丹念に舐めて頂戴。』



…俺はもう、平凡な日常には帰れないかもしれない。


この汚い喘ぎ声のババアが…
俺を殺すかもしれないのだから。



end

No.264 10/07/30 22:29
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


失笑の雑談
売春婦の溜め息
自律神経交代劇
完全的な支配下
求められた心の死
苦痛の快感
魅惑のクラシック
誘惑のワルツ
狂喜の美声
くだらない戯言
闇の階段
出口のないトンネル
曇る真理眼
殺した名前
亡くした肉体
目覚めた魂
子守歌の涙
止まったオルゴール
選択肢の絶望感
甘い舌
長い睫毛
固い髪
大きな手
自身の殺し方
白い猫と黒い猫
嘘だらけの口
心の不健康
廃虚
オレンジの光
連続殺人犯
焼けた家
焼けた野原
シンデレラの憂鬱

No.265 10/08/06 12:34
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


君はあの地獄絵図に耐えられただろうか
君はあの小さな子供2人のように
知らなくてもいい現実を突きつけられても
平気でいられただろうか
悲しくとも笑顔で
苦しくとも描く夢
あの白い家の悲劇
あの曇り空の下
晴れた記憶は何故だか消えていた
周りの中に溶け込む苦痛
合わない会話に自身を庇う
君は知っているかい?
世の中は親も大人も
いじめあっていることを
君は知っているかい?
本当のいじめが同情だということを
惨めな自分を自身が庇う
自分の殺し方は自分のみ知る
それでも君は自分が可哀想だと思えるかい?
表面図の奥には立体感
真理眼を肥やせ
頭を氷のようにクールに
辛く悲しい物語には
小さな子供2人が
幸せに暮らす結末
読み上げてあげようか
君は涙をこらえられるかな
はははは

No.266 10/08/09 08:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


本当はあちらの世界に逝きたいと願う自分が存在する
本当は全て放棄したいと甘えた自分が存在する


自分自身が楽になる道、会いたい人達に再会したい
この現実には会いたくない醜い人々ばかりだ
人が人をいじめる
人が人を馬鹿にする
人が人を笑い物にする
悪に染まった奴らと一体何故仲良くしなければならないのか
何か正当な理由にかこつけてのいじめ
見て見ぬふりの偽善者共
自身も悪に負けそうになる
母親の自分は本当に母親になっても良かったのか
けれど2人の母親を私は望んでいた
生きてきたのは2人に出会うためだったのだとも思う


あの場所にまた行った
変わりない景色とは逆に
現状は変わり果てた


誰も助けてなどくれない
そして他人を助ける強さも持ち合わせていない


あの電話は
手が震えて、そして全身が震えた
何故だか突然のはずなのに前々から知っていた自分も存在した
ああ、ついに時期がきたのか
いつか死ぬって解っていたから私は平気
恐かった
私は親の死を冷静に受け止めるほどの、冷たい自身を持っていた
いつか独りになるからね
そう言った、もう1人の自分
一体誰が本当の自分なんだろう

No.267 10/08/25 08:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


自身で飼い慣らす悪魔
激しい頭痛と倦怠感
大蛇は息をひそめて
苦し紛れの言葉は
【殺して】
早く逝きたい
居場所が無い
逃げ場も無い
こんな人生にどうか終止符を
悪魔は囁く
世界はお前の敵だ
不公平なまでに成り立つこの世に未練など無い
物欲も無くなれば尚良い
ブランドばかり買いあさる醜女
同じような洋服ばかり溢れたクローゼット
自身で飼い慣らす悪魔
激しい頭痛と倦怠感
二面性の自分への恐怖
良妻賢母は私じゃない
本当の私は
きっと悪魔に支配されている
あの曲は私を震えさせる
あの電話を思い出すから
激しい頭痛と倦怠感
言葉という暴力
罵声の飛び交う世界に何も求める事などない


例えば
私が消えたら


例えば
私が死んだら


何故だろう

それでも
晴れた空が愛しい

No.268 10/09/14 22:55
優花 ( ♀ 6VhO )

★my way★


やりたいだけやってきた
あたし、遊びたいだけ遊んできた
火遊びの恋もたくさんしたし、欲しい物は大体が手に入ってた
最期には死を選ぶほどに愛する人もいたの
そして愛されたわ
あたし思うのよ
二十年の短い人生で
本気で死ねるほど愛する人が出来たって事
それだけは奇跡じゃないかなって
彼とペットの猫だけが、あたしの信じれる全てだったのよ
法律は何度も踏み外したわ
法律なんてクソくらえ
法律は神経質な人間達が、自分らを住みやすくするために創ったのよ
あたしが手を出した毒は、毒の中の女王様
彼をも毒に染めたあたしは、心までも犯罪者ね
あたし歌が好きだった
彼はあたしのために秘密で曲を書いてくれたのよ
これは彼とあたしの究極の秘密よ
あたし、最期は彼に殺ってほしかった
あたしの希望だったの
彼はどうせ、あたしに会いに上がってくる事位、十分解ってたから
歌はめちゃくちゃよ
そう、だから、究極の秘密なの
愛する人が存在した奇跡
そして愛する人に想われた幸せ
あたし自分に後悔なんて無いわよ
またあたしで生まれたい
アバズレで結構よ
my name is N

No.269 10/09/26 23:38
優花 ( ♀ 6VhO )

★独り言★


心に潜む蜘蛛
頭をはう大蛇
私はいつも満たされはしない
私はいつも愛想笑いと作り笑い
神様は私の大切な人を次々と奪った
孤独に慣れた自分を自身が庇う
どうかもう悪夢を止めてほしい
何故神は人々を平等にしてはくれないのか
この人生に悔やむ
居場所がない
居場所はあるのに
居場所がない
他人には理解してはもらえないだろう
この不公平の不幸を嘆かれない現実を
守りたいものがある
守らなければならない使命がある
それなのに
私はいつも満たされはしない
他人を妬み僻み嫉む
心に住む蜘蛛と
頭をはう大蛇
馬鹿にされるように同情される
強がりは弱さを見せたくないから
私は可哀想なわけじゃない
ただ当たり前に人並みになりたいだけ
身近な人々を切り離したくてたまらない
私は一人
一人なのだから

No.270 10/10/10 00:36
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


神が私の頭と手足を奪った
思考回路は遮断され
手足は思うようにならない
神は私を見捨てた
憤りと憎しみ
あんたは私を虐めているね
どれだけ素直になれば悪夢を終わらせてくれるのか
始まりは終わり
この狭い視野で見る世界に
どれだけの涙を流したのだろう
蘇る傷だらけの過去が鮮明に映る
神は今日も私を試す


このプログラムの結末は
狂おしい過去の家族崩壊プログラム


神は私を見捨てた
この手になにか手に入れれたのだろうか


私は。


私は。

No.271 10/10/12 20:55
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★陰謀★


冴子28歳。独身、1人暮らし。彼氏…無し。21のとき、半年つきあった男性がいた。それからは合コンや紹介など、出会いはそれなりにあっても、恋愛には発展しなかった。
OL歴は10年目になる。同僚や友人…結婚式は結構出席した。招待状は年々苦痛になる。同僚は23~25位をピークに次々結婚していった。寿退社もあれば、子供が出来るまでは…と残る者もいる。
私の部署には6人の女の同僚がいる。3人は結婚していて、2人は結婚予定の彼氏がいる。1人は私と同じ独身、ひとつ下の優子がいる。優子がいるから私は会社を辞めずに頑張れている。優子がいなければ、こんな惨めな私はこの職場では頑張れなかっただろう。
表向きは同僚7人仲良くしているが、私は優しい先輩面をしながらも、実際は優子以外は皆大嫌いだ。3人は幸せな結婚生活を語りウザいし、21~2の2人は彼氏自慢でウザい。彼氏がいながらも合コン三昧。正直消えてほしい。だが私は年長者であり、先輩になる。仕事内容では責任がある。

No.272 10/10/12 22:18
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


仕事にはいつも全力で力を注いできたつもりだ。残業も嫌な顔ひとつせず真面目に取り組んできた。今まで寿退社した同僚も、今いる同僚メンバーも、ヘアメイクやファッション、エステやスキンケアと女に磨きをかける女性ばかりだっだ。仕事においては、いわゆる腰かけのようなおざなりな姿勢が垣間見えて、不愉快になる事は少なくなかった。
私の顔はやはり客観的に見て中の下だ。痩せてないし、よく言えばぽっちゃり、正直デブのラインだろう。25を過ぎたらメイクも面倒になり、薄化粧化した。美容院もあまり行かなくなった。服もずっと買ってない。25を越すと体重増加がヤバくなり、見た目がどうでもよくなっていった。元々ぽっちゃりで入社当時11号の制服だったが、今は15号で68キロある。
優子も私と同じ部類で、私より少し痩せたぽっちゃりさんで、化粧っ気のないブスコちゃんだ。私と同じくヘアメイクやファッションに興味が無く、私達はお互いレディコミとサスペンス映画が大好きという共通の趣味から仲良しだった。

No.273 10/10/14 07:58
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『今月出たレディコミさ、女に嫌われる女買った?』

『もちろ~ん!!買った買った!!』

『面白かったよね~!やっぱり夜はレディコミ見ながらビールとお菓子食べてストレス発散よ!』

『はは…確かに!!私は昨日シメにラーメン食べちゃった。また太るなあ…。』

『いいじゃんいいじゃん!!どうせ独り者なんだし!!』

『そだね~、見せる相手もいないし!!』

『あははは!!』


私と優子の会話はいつもこんなふうだった。優子も昔少し恋愛してから、ずっと男にご無沙汰らしい。私達は共通の趣味で笑い合い、いつもお互いを慰めあう関係だった。
今は晩婚化とか世間では言われているが、職場によってうちみたいに、バタバタ結婚してくようなOLが多いとこだと、残された私や優子みたいな真面目な会社員は会社にとって優遇されるどころか、恥ずかしい惨めな情けない気持ちに苛まれてしまう。仕事がいくらテキパキしていても何故か堂々と出来ないのだ。威張り散らす先輩にも成りきれない。…あんなだから独身なんだ、とも思われ兼ねない。
年はもう30に近づいていた。

No.274 10/10/23 08:00
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『今日の相手はマジに凄いよ!!』

…またか。結婚考えてる彼氏いながら、よくいつもいつも合コンするよなあ…。このキャンキャンした女2人は馬鹿女のくせに若いから仕事が早いのもムカつく。

『でもさ、向こう3人でこっちはうちら2人なんだよね…。美奈が行けなくなったからさ。』

『どーしようね…。』

そんな会話を聞きながら私はちょっとだけ、それなら私行っても…と思ってしまった。正直、毎回男との出会いがあってこの馬鹿女どもが羨ましく思えていた。私も出会いさえあれば結婚できるのに…出会いがある場に自分から行かないだけ、だから彼氏出来ないわけじゃない、作ろうとしてないのよ!!って…いつもそう思っていた。

『あ…っ!!ねえねえ!!
私今夜空いてるんだけど…?』

『……?!!あっ…!!そうなんですか…!!
えっと…その。もうキャンセルするかもなんで…えっと、なんかすいません!!また誘いますね!!』

2人はバタバタと仕事しだした。
…なんなの、その態度!!私は誘いたくないわけ?!!私じゃ何が駄目なわけ?ムカつく…。自分らだけおいしい思いして…人には分けたくないわけね…!!ムカつく…ムカつく!!

No.275 10/10/31 22:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


生理前だったからかイライラが収まらなかった私は、資料を取りに行くふりをしてコッソリ、ロッカー室に入った。そしてあらかじめ、隙を見て奴らのデスクの引き出しから盗んでおいたキーで2人のロッカーを開けた。
携帯をチェックして、いつも名前が出てくる彼氏の名前を検索した。
2人の彼氏の電話番号とメールアドレスをササッと控えた後、何も無かったかのように資料を持ち帰り、2人の隙を見てキーを引き出しへ戻した。
自分でも驚く位に冷静沈着だった。


さあ…どうしてくれようか。


レディコミのような展開にワクワクした。こんなに充足した刺激ある気分は久しぶりだった。


どうせ奴らは合コンに出かけるんだから…後をつけようと決めた。
そして私は実際尾行に成功して、出てきた男と出来上がっている2人を激写した。腕を組んで、かなりの泥酔様だ。片方をまたタクシー尾行すると、マンションに入っていった。そして激写に成功した。


はあ~なんて尻軽。アバズレなんだ…あいつは。今まで良くしてあげたのに…恩を仇で返されたからねえ…あははは!!どうしようかしらね!!

No.276 10/11/14 23:02
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


匿名で後輩彼氏に浮気現場画像を送信した。
数日後、かなりやり合って揉めたと焦っていた。後輩らの会話を聞きながら、心の中で笑いが止まらなかった。
私は罪深く汚い雌豚に正義在る制裁を加えただけ。決して汚くも陰湿でもないわ…。
時期に後輩から彼氏とは別れたと聞いて同僚皆で慰めながら、こんなにスリルある刺激的なゲームに快感を得ていた。


次はもうひとりのバカ女ね…。


そしてまたもうひとりの後輩にも同じように制裁を加えた。時期にこの女も彼氏とは別れてしまった。


あははは!
なんて面白いんだろう!
私をバカにして見下した罰だ!これは仕返しだ!私はなんて利口なんだろう。


そんなとき、優子から衝撃的な報告をされた。
なんと2ヵ月前からのおつきあいの彼と結婚を期に退職すると言う。
そしてそれは皆への報告であって、なんと私には事前に何も報告も無かった。
驚きと屈辱、悔しさと怒り…私は体中から震えを感じた。

No.277 10/11/14 23:09
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…おめでとう。』


『ありがとう冴子。ごめんね言いそびれたわね…。なんだか冴子には悪い気がしちゃってて…。』

『ふふっ。いいのいいの。気を遣ってくれたんでしょう?ありがとう優子。幸せにね…。』


『ありがとう…。』


目頭が熱くなった優子を見ながら固く決意した。
裏切り者には正義在る制裁をしなきゃねえ…。


優子に気を遣ってもらってまで…私はなんて可哀想なんだろう。


いいわ優子。
お返しはたっぷりお祝いしてあげなきゃねえ…。


私は可哀想。
なんて可哀想なの。



end

No.278 10/11/20 08:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★羽★


『やっと羽が生えたね』

そう言う女神のような人は真っ白い大きな羽
私の生えた羽はグレー
天使って本当に存在するんだね
じゃあやっぱり悪魔も存在するのかな
良かった
私天使だったんだ
雲と雲の間をすり抜けていたのに
眠りから覚めた私は公園の芝生だった
グレーの私の羽を誰もが気づかない
私でさえも透き通るから触れないの
ああ
誰もかれも羽が生えていない
私だけが神に認められた天使だったんだ
みんな可哀想
きっと心が純粋じゃないんだね


日々グレーだった私の羽は
だんだんと黒に近づいた
そしてついに真っ黒となり
コウモリや吸血鬼を連想させるような黒羽となった
トゲトゲしい黒羽
ああ
やっぱり私
悪魔だったのかな
それとも天使と悪魔は表裏一体なのかな


雲と雲の間をすり抜けて
またいつか聞いてみようか
きっと私
悪魔なんだろうな


ああ
あの女神も
もしかして
悪魔だったのかな…

No.279 10/11/25 08:12
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


白い棺にたくさんのお花とタバコ
それからメイク道具


逃げてしまう事が罪ならば罰を受けよう


逃げてしまう事も時には許されるでしょうか


不平等な世界にうんざりして神を憎む
何故弱者を極度に追い詰めるのか
弱者を守る事は神の使命ではないの


馬鹿馬鹿しい物語の末に神に見捨てられた2人


彼等は幸せがあったのだろうか


私の存在が幸せだと?


人が死ぬ事
それは
もう会話ができない事だ


白い棺は未来絵図
私の未来


卑怯者だと罵倒されても
私には愛する者を守れない
精神病?
いいえ
この世は大なり小なり
皆が精神病なのだから


人と人の見えない絆
どうして信じる者は救われないの


タバコの煙が目にしみる


ああ
雲ひとつ無い
綺麗な青空

No.280 10/11/28 23:13
優花 ( ♀ 6VhO )

∮メッセージ∮


【悪口は虫歯のもと】
なんだそうです。悪口や愚痴というものは、悪い気を口の中に溜め込み、それが虫歯へと繋がる…という迷信です。
人は生活する上で大なり小なり悪口や陰口、愚痴など、他人の事について悪く言葉にしてしまいます。実際私も、悪口や暴言をたまに吐いてしまいます。
ある漫画で(笑)美容部員さんが綺麗なピンクの口紅を女性に塗ってあげて、『こんな綺麗な唇から汚い言葉を出せますか』と、問いかけていたシーンをふと思い出しました。。
悪口って言うのも嫌だし、言われるのも嫌だ、聞くのも嫌になりますし、悪口や愚痴ばかり吐く人には、ああ影で私の事もこんなふうに話すんだろうなって思います。
昔の人は現代人よりも、(生活の知恵)をたくさん知っていたのでしょう。この世は妬み僻みで形成されている、と、私の尊敬する方がおっしゃってました。立派で神様のようなその方でも、まだまだ人生の修行中なのだそうです。。
なるべく悪口や陰口、愚痴を吐かない心がけは、私にも出来るように思います。
美しい言葉、優しさは思いやりです。
…頑張ろう!私!

No.281 10/12/25 08:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


目を肥やせ
見えないものを見ようとする真理眼
目を肥やせ
不平不満ばかりの私の目
見えないものに
小さな幸せの灯
君なら解ってくれる?
君の目に映る悪夢
その先の光
目を肥やせ
光よ導け
敗者と弱者
私は弱者でいい
真理眼の先に
小さな幸せの灯


君なら
君なら…

No.282 10/12/26 23:34
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


君を見て
涙が出たよ
君を見て
自分になれた
どこか遠く遠く
走っていけたなら
きっときっと
強くなれた
一片の幸せ
ぎゅっと噛み締めたら
どんなに良い子でいても
それも駄目だと知った
この真っ暗闇の世界
ただただ
君だけは
輝いて見えた
ひとつの光
好きで
好きで
好きで
君を見てたら
涙が出たよ
君を見てたら
自分になれた
守りたいものが
この手にあるんだ
空に空に
この手かざすよ

No.283 11/01/17 22:12
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★愛の罪★


どこから間違えたのだろう…。
一体いつから
私の子育ては間違えていたのか…。


ひとり息子の俊は、今現在いわゆるニートだ。
引きこもりは高1から始まり、自主退学。
以来、今の19歳まで、自室で過ごしてきた。一日中パソコンや携帯、ゲームに読書、映画鑑賞など…そういうふうに過ごしているらしい。


母親の私は42。結婚してからずっと専業主婦だ。
主人は46、建設会社の役職、帰宅は昔から遅く、出張も頻繁だった。


夫婦仲は、俊が就学前にとっくに終わっていた。
俊が6歳のときに、主人の浮気が発覚した。主人は悪びれる事も無く、私も事を荒立てはしなかった。


私は俊を生んで、とにかく息子に集中した。
可愛い息子…そう、息子のためなら、完璧な環境で豊かな教育と躾…息子のため。俊のため。
父親と母親。


私の中に離婚などという選択肢は無かった。


主人もきっと同じだろうか。家庭に見切りをつける馬鹿なタイプでは無かった。

No.284 11/01/23 23:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俊が小学生の間は、今となって考えれば平穏無事で、人並みに幸せな生活だったと思う。
俊は活発で友達も多く、サッカークラブに入っていて、友達も多かった。よくクラブの帰りにお花を摘んで帰ってくれた。
勉強も中学年から塾に通い始め、自ら進んで取り組んでいた。他の子供より遥かに頭の良かった俊、サッカークラブで目立った俊。
私は主人の事は
『お給料を私達に与えてくれる人』
としか思えてなかった。
実際俊の事は私に任せきりで、外での浮気を平然とし、家庭サービスする人でなかった。
俊の話をしても
『…良かったな』
『…良い子だな俊は』
ただの一言、適当に返されるだけだった。
小学生の俊は私に優しい、勉強もサッカーも頑張る誇らしい息子だった。私はそれだけで十分だったし、主人には呆れるような証拠を残され、朝帰りや長期出張されていたが、そんな馬鹿らしい悩みを捨てて、とにかく息子だけを見つめていた。
家事も怠らない完璧さ。良妻賢母…まさに私にピッタリな言葉。
私なりに幸せな生活を送れていたのだ。

No.285 11/02/14 22:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俊がだんだん変わっていったのは中学からだった。大好きだったサッカークラブも、勉強のために私は見切りをつけた。中学では勉強に励み、進学高校に進み、立派な国立大に合格する事…それが私のレールであり、俊の最善なる幸せな道だ。私はそう考えていたからだ。
中学からは学校外の時間は塾に変わった。俊も勉強には励んでいた、そして、明るかった俊は暗くなって口数が減った。勉強のためには少々大人しくなったほうがいいのよ…私は特に気にしなかった。
中学の3年間、真面目に勉強に取り組んだ俊は、成績が落ちる事もなく、無事に県内最高レベルの進学高校に合格した。
私は最高潮に興奮した。息子のために尽くした成果が、この幸せな事実だと。主人の相変わらずな適当な態度も、立派な息子は私の育て方のおかげだと気分が良かった。


…だが幸せも泡のように消え失せた。
俊は高校に2ヶ月通い、行ったり休んだりを繰り返し、ついには行かないと言い張りだした。
私は頭が混乱し、取り乱して怒鳴ったりわめいたりしてしまった。

No.286 11/02/15 08:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『うるせえんだよ!!ババア!!』
『消え失せろ!!死ね!!』

私が取り乱しはじめてから錯乱した末に、息子は母親の私に初めて反抗した。信じられない言葉を吐き出した。まさに青天の霹靂だった。


『俊!!一体何があったって言うのよ!!
せっかく最高レベルの高校に入れたのに!!
甘えるのもいい加減にしなさい!!』


ドンドン!!
『開けなさい!!俊!!
今日は行けるわよね!!
俊!!』


『高校は辞めるっつってんだろーが!!クソババア!!失せろ!!』


日々のやりとりに疲れ果てた私は、結局俊を説得出来ず諦めていった。担任と話し合いもしたが、結果自主退学という最悪な結末となった。

主人も俊が高校に入学しておかしくなってから、あまり家に寄り付かなくなった。どこぞの女と安部屋でも借りているのだろう。あの男にとって、一体私達は何なんだろうか。私も俊も、あの男の人生に不必要なのではないか。
私の人生にあなたは必要だったけどね…人並みよりは良いお給料を運んでくれるから。私と俊のために働けばいいの。早死にしてくれたら一番だけどね。ふふふ…。

No.287 11/02/15 20:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


俊が荒い言葉遣いになり、自室に引きこもってから、3年経った。俊も19になっていた。
週に2回、風呂に入りに下に降りてくるが、それ以外は部屋から出ない。
…たまに深夜、出ているようだった。玄関のドアの音で目が覚めた事がある。主人は帰宅していなかった。
逆にあまり外出しないでほしいと思った。近所の目もあるし、3年も経てば周りは皆、うちの事情など分かりきっているだろうが…今の俊はおかしいと思われて当たり前なのだから、例えば変な犯罪でもこの町で起これば、俊が一番に疑われるんじゃないかと考えた。
あらぬ誤解を招くぐらいならば、いっそ家で大人しくしとけばいい…まあ深夜に出かけているのも、ごくたまにだろうから私も放置していた。と、いうか…あまりもう息子に関わりたくなかった。
あの男にしてこの息子…主人の血が強いのか。変人に育った、何を考えているのかさっぱり解らない。私は人並み以上に立派な良妻賢母だったはずだ。要は、子供自身の性格だろう。あの子はただ私について来れなかった。情けなかったのだ、男として。主人の二の舞だ。

No.288 11/02/15 20:31
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


2階を掃除していたら、変な匂いがした。俊の部屋からだった。
なんなの一体…臭いわ。あの子何か食べ物腐らせてゴミ溜めてるんだわ…。

『ちょっと?俊!!
なんなのこの匂い!!
臭いわよ!!掃除するから開けなさい!!』

また無視すると思ったが、すぐ素直にドアを開けた。

『もう…いつも掃除しないからよ!!…ったく本当に臭いわ…』

え………?
??!!
『ひいぃぃ!!!!』


『驚いた?母さん。
死体ってさ、やっぱだんだん腐るとすげー臭いよね。』

あ……あ……

『どうしようかなと思って。母さん…あんたなんとかしてよ。』


『そっ…その女の子…誰よ?!』


『知らない。中学生かな?家出したからって夜中ついてきた。』

『あんた…まさか…
殺した…の?!!!』

『首絞めたら死んだ。
普通ヤったら首絞めるだろ?そしたら…』

『く…首を?!ひぃぃ!!』

『だって父さんの書斎のエロDVD、首締めばかりじゃん、強姦系とか。
だから普通だよ。
ねえ早く死体なんとかしてよ。臭いってマジで。』


私は…私は…
本当に夫婦生活と子育てを間違えていた…


end

No.289 11/02/16 08:16
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


君が地獄という名の窮地に立たされ
君の目に映る絵は
どんなものだったのだろう
悲しみは強さに
怒りは諦めに
苦しみはトラウマへ
最期の食卓の日を
もう覚えはしないだろう
遠い遠い昔の記憶
君はどうして
あの時期だけ記憶が飛んでいるのかな
脳みそってのは都合の悪い記憶を排除したい仕組みになってるからね
両親よ
苦しませるだけなら
親にならないでほしかったよ
いや
生んでくれてありがとうと言うべきか
基礎も出来てない家族という地獄絵
一般的家庭の周りには到底理解出来ないだろう
誰にも解ってもらえなくてもいい
自分自身が唯一の味方だ


聞こえた
またあのメロディー
聞こえた
家族の笑い声

No.290 11/03/26 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★無題★


心が壊れ過ぎて
その感覚は麻痺していった
責任?…放棄したい
叶うならば
愛情?…できたら
そんな理解できないものは
排除したいね
死にたい?…ああ
今すぐにでも


人は偽りのベールをまとい生きる術を学ぶ
くだらない人間関係や
くだらない生活
全てを捨てて雲で寝れたらどんなに楽だろう
この私のポジションに
意味はあるのだろうか


ある占い師は言った


(ひとえに平等だとしても、比較的苦労の無い道のりと、苦労してしまう道のりに人は分けられるのは確かだ)


甘えることを知らない私は
可愛げが無いだろうね
理解者は自分だけで結構
くだらない周り
くだらない自分


今日も私を造る
さあ私という人間の演技を

No.291 11/03/31 20:49
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★命★


いつもの薬を貰った。
精神安定剤に眠剤…。
これがなきゃやってられない。


両親は10代でふたりとも他界した。
兄弟はいない、祖父母も小さい頃に死んでいる。

高校を辞めて16から、ひとり暮らしを始めた。
今年で私は26になった。


天涯孤独…というのは、こういう私みたいな人間。


そう。
例えば、今夜。
ひとり暮らしの私がまた手首を切りすぎて、出血が収まりつかなかったとしたら…?



死んでも誰も気づかない。友人はいない。
適当につきあってる男どもは2、30人はいるけど、私のこの自宅マンションを誰も知りはしない。



私は10年、同じ飲み屋に出ている。ママから寮としてアパートの一室を借りている。


寮を自宅だと言い、男どもを呼んでいる。
実際はマンションの自宅を持っている。



このマンションは16のときに、60代のおじさんが私に買い与えた家。



【成宮さん】
このおじさんは亡くなっている。彼は死ぬ前、私に言った。



『最期に人を助けることができて良かったよ』

No.292 11/03/31 23:28
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


彼は私と関係を持って、すぐに店の近くの新築マンションを購入してくれた。私のために。
彼…成宮のおじさんは、ママの客だった。
最初の会話で、彼は一気に店に入りたての私を気に入ったらしい。


『ゆりちゃんって本名?源氏名だよね?』

『…本名だよ。
優しいに理科の理。』

『ふぅん…。
優しい子に育ってほしかったんだ。御両親は。』

『…さあ。
どうでもいいけど…。』

『ハハ…さては御両親とうまくいかなくて家出したかな?』


『相次いで脳出血で死んだから。まあ…うまくいってたわけじゃないな…機能不全家庭だったから。家出というわけじゃないよ。働かなきゃ食べてけないし。』


『…あ、ああ。
大変だったねえ…。』


『別に…。
親がいりゃいいってわけでもないと思うし。』


『………。
そうか…。』


入りたての頃はガキ過ぎて、まともに敬語も使えない私に、よくママは頭を叩いた。そして成宮さんや他の客に頭下げて回ってた。
ママはとにかく口うるさく私に説教した。
だけど、客には私の親になりたいと話してくれていた。

No.293 11/04/01 17:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『あんたあれだけ口も態度も悪いのに…不思議だよねえ。うちの常連さんは皆あんたを可愛がりたいって言うんだよ。顔と若さでトクしてんのも勿論あるけどね…なんていうか。あんたには自分が守らなければならないって、なんだか周りの心を動かす雰囲気があるよ。…まあ私もそのひとりだけどさ…。いいかい?目上の方には丁寧な対応と綺麗な敬語。これは常識なんだ、人としてのね。まず女として…人間として有り様を磨くんだ。解ったね?』



私は16でママに見つけられて、10年生きられた。
なんだかそれは奇跡にさえ思う。
ママに会わなきゃ、成宮のおじさんにも関わらなかった。


成宮…彼は3年前、長く患っていた病気により死んだ。私は病気だったなんて知らなかった。彼は死期迫る事態は理解していたとママは言っていた。


成宮と私の関係は6年。彼はあまり私を求めなかった。だが、話をしに頻繁に会いに来た。店にもマンションにも。
彼は昔、奥様と娘さんを相次いで亡くしたらしい。ずっとひとりで豪邸に住んでいたと言う。


私には彼と同じ匂いがしたのかもしれない。

No.294 11/04/01 23:02
優花 ( ♀ 6VhO )

>> 293 ★続★


私は成宮の他に、たくさんの男と関係があった。成宮自身それは理解出来ていたようだった。


『ねえ。このマンションにはボーイフレンドは呼ばないみたいだね?
寮のアパートも解約するつもりはないんだろう?』


『…うん。
ここは汚したくないし…。』


『ん?汚す?
…僕は大丈夫なの?』


『……。
いいじゃん。
うざいよ。』


すまないねって言いながら笑う彼を見て、私もうざいなんて心無い言葉を心の中で謝った。


恋だとか…
愛だとか…
そういう気持ちじゃなく、私は成宮をどう言い表せばいいのか、自分でも解らなかった。


空気が暖房のような感じ。電気が黄色な感じ…。とにかく場が柔らかい雰囲気に包まれて、一切しゃべらなくても、向こうが黙ろうとも、次の会話のワードは必要無い空気感だった。


『悔しいよなあ…。
もしも妻子を亡くしてすぐに出会っていたら、君と長くいれたのに…。』


『?ずっといれるじゃん。これからも…。』


『…そうだな。』


彼は死期迫る中、私を6年面倒見ていた。


その日々は、自分は守られていると嫌でも実感していた。

No.295 11/04/03 22:58
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


成宮のおじさんや、店の客が皆、私を気にかけてくれていたのは、多分私が精神的に病んだ人間だからなんだろう。同情…憐れみ…。勿論ママも。
私は両親を亡くしてからリストカットが止められなくなった。止めたくて精神科通いしているのに止めれない。傷口はリストバンドじゃ隠せない程だった。
皆両親が死んだから精神的に病んだのかと思ってるようだった。
理由は違う。
死んだからじゃない。
両親に死なれて、周りが異様な目で自分を見ることに、耐えられなくなったのだ。
世話になっていた母の姉、叔母の家も、叔母が2人の娘を可愛がり、私に気を使う。叔母にとってもいい迷惑だ。旦那のおじさんにとっちゃ私なんて他人なんだから。
周りに気を使わせることは、自分が気を使うより苦痛だった。
だから高校を辞めて働き出した。
ママに拾ってもらって今の生活がある。


『あんた。もう十分切って自分をいじめたよ。もういい加減、自分をいじめんの止めな。』


ママからは今でも言われる。
でも私は成宮が死んでからリストカットも薬も増えた。


また置いて行かれたと…。

No.296 11/04/03 23:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


何故私に関わる人間はいなくなるんだろう。
何故私が求める人間は私を置いて行くんだろう。


常に頭に同じフレーズが連想する。
成宮は死ぬ前、最期に人を助けることが出来たと吐いた。
私を助けたつもりで逝きたかったのか…。私は助けられてない、まだまだ弱い。まだまだあんたが必要だったのに。
マンションとか金とか、セックスとか…そんなどうでもいいことじゃない。
私はそばにいたかったんだと思う。
保護者のような成宮のそばに。


成宮が死んで3年。
店には週末しか出れなかった。体調も浮き沈みがあった。それでもママはまだ私を見捨てないでいてくれた。
店の昔からの常連さんたちは私をすごく心配してくれた。


弱い自分を自分が責める。自分に疲れる。
周りの優しさに触れれば、尚更自分が嫌いになる。
関係してる複数の男らとのセックスはいいものだった。
最中は私が求められているからだ。そして鬱な自分を一瞬忘れさせてもらえるからだ。


お父さん、お母さん。
成宮さん。
早く私を迎えに来てよ…。


切っても切っても死ねない自分に発狂しそうだ。

No.297 11/04/03 23:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


眠剤が効いて深く眠れた夜、夢を見た。
小学生位の女の子が出てきた。


『ねえ?なんで泣いてるの?』
『は?私泣いてないし。』
『ふうん。いつも泣いたお顔ね。』
『…はあ?誰?』
『さあ!誰でしょう!』
『なんなの?』
『腕が可哀想だね。切るのもう終わりにしなきゃ。』
『…なんでよ。』
『私に会えないよ!
頑張れ!頑張れ!』
ずっと頑張れって言いながら、白いブランコに乗っていて、柔らかい茶色に透けたパーマっぽい髪が揺れていた。
この子、なんかどこかで見たか会ったかのような…誰だったっけ。目の大きな可愛い女の子…。


目覚めてから思いだそうとしたが、解らなかった。何故会ったような気がしたんだろう…。


その夢を見た後は、不思議とリストカットをしない日々が続いた。薬もあまり飲まなくても店に出れるようになった。
心が楽になったような気がした私は、穏やかな状態で仕事を続けられるようになった。


不思議な夢だったな…。

No.298 11/04/05 08:04
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


不思議な夢を見て数日、意味が解ったような出来事が起きた。


私は子を宿していた。
なんとなく女の子じゃないかなと思った。


感情が高ぶりながらも、自分がどういう心理状態なのか全く解らなかった。嬉しい?悲しい?


どうやらだいぶ感情を押し殺しながら生きたために、自分の体が素直に感情表現出来ないらしい。


ママはまるで、本当の親のような演技をしているような発狂ぶりだった。


『相手は誰だい!!解らない?!それであんたはどうするつもりなんだい?!自分自身もようと世話出来ないくせに子の世話なんて…そんなんできっこないさ!!』


私は少し涙ぐんだ。
ママは自分のきつい態度に私が沈んだと思ったかもしれない。
違う。
私は本当の親みたいな言葉を言ってもらえた事が、胸にジンときて、涙が出てしまったのだ。



『どうして…なんであんたにこれ以上に不幸が…。いいかい?自分で精一杯のあんたに子育ては無理だ。諦められるね…?』


そう。私は自分をなんとか保つだけで精一杯。人の世話所じゃない。

No.299 11/04/05 22:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


自分で精一杯な私が、母親になるなんて…
ありえない。
飲んだくれの父親と、仕事中毒で育児放棄の母親。汚い家に借金。子供の頃は、一体なんのために自分は生まれたのか解らなかった。
両親は私を望んでいなかったのか…。
私が今、このお腹の子を望んでいないように。


でも心とは裏腹に、何故かタバコを止めた。
薬も止めた。
高いヒールを恐がり、野菜や肉をきちんと取りたくなった。
ベビー服が気になり見に行った。
街の妊婦さんに目がいき、公園の親子を見つめてしまう。


本当は…
本当は…。


本心はこの子が気になって仕方ない。
母親になるなんてありえない。
でもこの子には会いたい。
矛盾した気持ちと行動に戸惑う。


…この子をおろすなんて、私には無理だ。


もしも…。
夢の女の子が私の娘であったなら…。
あの子は私に頑張れ頑張れって言ってくれた。
真顔の私に、どうして泣いたお顔なのって…。


親に求められない事、どれほどの衝撃かは、私がよく知っている。
私はお腹の子を求めたい。私みたいにはならないでほしい。

No.300 11/04/07 15:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


自分自身、早く死んでもいいのに…そう思いながら生きてきた。
だけど、もしも将来、自分の子供がそう言うのであれば、これほどに悲しい事はないと思った。
私の母親も、生きていたならそう思ったのだろうか。


『母性本能ってのは、全ての女性に備わってるからね。必要になって時期が来れば、呼び覚まされるもんだろうね』


ママの言葉には、重みがあった。私より少し上の一人息子さんを女手ひとつで育てた人だ。ママも昔、私のように迷ったのかもしれない。そして並大抵の苦労じゃなかった生活を、私にさせたくなかったのかもしれない。


命…小さな命。
私の動悸と子供の鼓動。
連帯感、一体感。


子供に父の名は、
【成宮】だと答えるだろう。


成宮さん。
グズグズしないよ。
母親になるからね。
親はいないけど
自分が親になれる。
母親なんてありえない。
だけど母親になりたい。


見上げた青空に
両親が浮かんだ。


『命をありがとう』



end

No.301 11/04/15 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★No.1★


私はいつだって優先的、優遇的存在。


私はいつだって可愛がられる存在。


私は皆から羨ましく思われ、憧れられる存在。


だって私。
お嬢様だもの。



『結婚しよう。
今すぐにでも。』


待ち望んだプロポーズ。行き遅れずいいタイミングの24歳。
彼は大手食品メーカー勤務。ふたつ上の三男。
私は九州から東京の私立大学を出て、彼と同じ会社でOLをしていた。
お付き合い2ヶ月のSPEED婚。私は全然イヤじゃなかった。むしろOLがイヤだったから。
何故、大学在籍中の実家からの生活費仕送りと、OL給料が同じなの?親から貰うのと働いて貰うのと変わらないなんて…働いても馬鹿みたいじゃない!!まだ部屋は親に見て貰っている。当たり前だわ…部屋代まで払ってたら全然残らないじゃないの…!
私に仕事なんて向かないんじゃないかしら。結婚して落ち着くのが一番だわ。経済力と優しさあれば、それだけでいいわ。

No.302 11/04/18 22:26
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私の地元は福岡で、有名な食品メーカー会社社長の父と、ピアノ教師の母との一人娘で、裕福層な家庭で育った。
有名私立の一貫校に通い、大学には進まずに、夢だった東京の私立大学へと進んだ。
私は周りにちやほやされて育ってきたが、顔は地味だった。だから華やかな東京に出たら、綺麗になれて美人になるんじゃないかと思った。
大学はオシャレで綺麗な子ばかりで、私も必死にメイクやオシャレを研究した。それなりに垢抜けたけれど、合コンでモテるのは綺麗な友達で、私は全然モテなかった。
それなりの男と2人お付き合いがあったけれど、2人ともに二股かけられていた。
仕事に就いてからも恋愛のことばかり考えて、私は仕事という意味が見いだせずにいた。


どうして私、働かなきゃいけないわけ?
地元に戻ればお嬢様なのに…。でも地元に戻れば田舎暮らし。田舎の生活に田舎の男…。
私は華やかな街にいたいし、東京で結婚したいし…。
早く相手が見つからないかしら。
養ってくれる優しい王子様が…。

No.303 11/04/25 22:30
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


優しい王子様が現れ、恋人となり、旦那様となった…養ってくれる優しい王子様と結婚して、お姫様は幸せにいつまでも暮らしました…


と。いうような物語になるのかしら?結婚っていう物語は。


経済力と優しさが表向きの彼は、だんだんと変わっていき、豹変した。


彼は出世のために家庭を急いだ。
私は仕事を辞めたくて、地元にも戻りたくなくて、結婚を急いだ。
2人の打算の代償は、結婚生活の日々の中で表れ始めたのだ。


目玉焼きは半熟玉子。
カレーの具はゴロゴロしたほうがいい。
ハンカチのアイロンは少しのシワも許せない。
家の電話にはツーコール。
ゲーム中に洗い物をされたくない。
タオルの緩んだ干し方が許せない。
常にビールを切らせない買い置き。
煮物の味付け。
魚の焼き加減。
白ご飯の炊き加減。


毎日毎日毎日…
うるさいんだよ!!
耐えられない…!!
毎週末の飲み会にゴルフ…自分は好き勝手しておきながら、私には専業主婦は完璧にして当たり前だと言う始末…!!


私は半年もたつと、ストレスで頭がやられそうだった。

No.304 11/05/05 20:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


旦那の入浴中、携帯が鳴り、私はなんとなく勝手に見てしまった。
受信したメールは、(田崎)と名字だった。

【今度いつの予定にする?ハート】
【大好きだよハート】
【早くケリつけてよねハート】


田崎という名の女から、たくさんのメールがあった。吐き気がした。
まだ結婚生活半年…子供も出来てないのに、こんな…。


だんだん嫌いにはなっていたが、心底嫌いになってしまった。
幸せになるはずだった。
お嬢様の私にはふさわしくない男だった。
そもそもが出世に利用されただけだ。
そして私も仕事などさらさら続けるつもりがなかったからだ。


ああ、どうしてくれようか…。
こんな男、死ねばいい。口うるさい器の小さな馬鹿男…。


死ね!!!
死ね!!!


お風呂から出た旦那を、背後から思い切り包丁で刺した。


悔しい!!憎い!!
馬鹿にしやがって…!!

No.305 11/05/05 20:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…一体、なんでこんな事なったんだ?ん?
奥さん。旦那さん、浮気してたから逆上したんだよね?』


『…………。
私に旦那なんていませんよ?』


『は?いやいや。
あんた旦那さんヤったんだからさ。』


『……?
旦那なんていません。
私、王子様待ってるんです。迎えを待ってるんです…。』


『…はあ?』


『一体誰が死んだんですか?刑事さん。
私、何もしてませんよ。誤解ですよ。』


『ちゃんと話しましょうよ?奥さん。』


一緒に住んでたという男性は誰なんだろう。
どうして死んでいたのだろう…?


ああ王子様。
養ってくれる優しい王子様。


この華やかな街で、あなたが早く私を見つけてほしい…。


私はここにいます。



end

No.306 11/05/22 23:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★破壊破裂★


限界まであと何日なのだろう?
どこまで頑張れるかな
ははは
精神科医はなんて病名付けてくれんの?
ふざけんな
悪人が出世して威張れて善人が貧乏して苦しむのか?
不公平という名の地球
苦し紛れの言葉を早く聞きたいな
悪人からの命乞い
私が何をした?
神と釈迦の輪廻転生
笑う力が失われる程に究極の不幸を?
じゃあ死んだらまた笑えない人生なんだよね
魂を磨いた末の限界
破壊そして破裂
心の病気
可愛がられなかった人間は心が死ぬかもね?
私みたいにさ
ははは
父よ母よ
神と釈迦にお願いしてよ
娘と早く会いたいってさ
なんでこんなにも僻んだり憎んだり妬んだり?
みんな普通に家があるし親がいるから?
いやいや
本当は解ってるからね
家を出た16から自分の親は自分だったからね
大人になりゃ自分の人生や運命なんて
自分の力でどうにでもなるからね
甘えたかったよ本当は
道楽したかったよ
出来る事ならばね
狭い視野の世界から抜け出せたのなら
新しい扉開けるかな?
天国でも本当はいいんだよ
じいちゃんばあちゃんと両親にまた会えるよね
限界まで頑張れるかな?
破壊された心の破裂
音が聞こえるのはいつだろう?

No.307 11/06/17 22:09
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★狂愛★


もっと…


もっと…見て


見ていいのよ?


私は普通の主婦。
真面目な銀行員の妻であり、優しく品行方正な息子の母である。


私達は平和であり、いたって可もなく不可もなく、穏やかに生活してきた。普通の幸せという、形ある現実。


私は良妻賢母。
良き妻でありたいし、中学生となった可愛い息子には、良き母でありたい。


私は結婚して専業主婦となり、可愛い一人息子に恵まれた。それはそれは、息子に手をかけてきたのだ。


幼稚園から小学校。
いつも私がお勉強を見て、休日は一緒に料理をした。ガーデニングにプール、キャンプ、海…。
たくさんの息子との時間。


主人は無口でおとなしい。帰宅してからは書斎にこもる。
だから主人とは仲が良くも悪くもなかった。
私の目は、常に息子だったけれど、主人にはかなり気配りをしてきた。


真面目が取り柄の、とりたてて可もなく不可もない旦那。
だから平和なのだ。
これが安泰なのだから。


息子の優太。
この子は私の生きがいなのだろう。

No.308 11/06/18 08:07
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


主人が28、私が26のときにお付き合いを始めた。主人からではなく、私から仕掛けた恋愛だった。


同じ銀行で働く上司と部下であったから、職場の飲み会のあとに私から誘ったのだ。
好みだとかタイプだとか…そういう理由ではなかった。


【多分…女を知らないだろう】


それが誘った動機だった。勿論私も男を知らなかった。
恋愛するも結婚するも…2人が初めてでなければ結ばれたくない。そう決めていたからだ。


それは皇族貴女のような処女感覚…生娘のように清らかな…私はそんな綺麗な心理ではなかった。


支配…独占…黒く闇がかった、なんだか強い感情が湧くような…私の地味な外見とは裏腹な感情であった。


初めての人と互いに初めて結ばれて…
結婚することが出来るのならば、どんなに幸せかしら…。


主人は『女性と付き合ったことはない』と言った。それだけで、私はまるで愛の告白を受ける位の衝撃だったのだ。


【初めての男女】
これこそ求めていた理想の人。


私は主人と1年のお付き合いを経て、無事結婚することが出来た。

No.309 11/06/19 20:41
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


愛しの息子。優太も中学生になると、だんだんと変わりはじめたのだった。自らの中学生だという自覚からなのか、張り切って塾に行きながら、今まで以上に私共々二人三脚で勉学に励んだ。
まだまだ可愛い子供らしい優太…勉強に頑張っている利口な息子…。
私にとって優太は、自分の体の一部のような錯覚を起こす。


2年生になると、優太は帰宅早々部屋にこもるようになった。声変わりをして、大人の男に近づいていく。夜は楽しそうに、お友達と携帯で話をすることが多くなった。
いつもの日課のように、リビングで2人談笑する…そういう私と優太の大切な時間が、だんだん消えていっているような気がした。
もしかしたら…女?好きな女が出来たのかしら…私の知らない優太になってしまったのかしら…。
不安が寂しさを連帯させて頭をふさいだ。


優太。
あなたは私の一部なのだから…そんな勝手はいけませんよ…?

No.310 11/06/20 00:05
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


夜、優太が寝静まっているのを確認した私は、部屋に入り携帯を持ち出した。
発着歴、メール…ほとんど(ゆい)という名前で埋まっていた。


『今度の映画○○見に行きたいよね』


『優太好きだよ~』


『ゆい前髪切ってたの可愛かった!』


『塾終わってから少し話して帰ろう!』


…なんなの。この女は。うちの可愛い息子の勉強と人生の邪魔をして…汚らしい女…親はろくなもんじゃないわね、育ちが良くないわ。うちの優太、最近メキメキと大人っぽくなったから…男としての色気が出てきたんだわ。こういう雌豚には狙われやすいのね…。


私は優太との関係に、ついに分岐点が来たのだと思った。
優太が覚えてしまう前に…あの女が…そう考えていたら発狂しそうだった。
主人も私も、お互いが初めての人、そして生涯お互いだけの支配感…。この黒い感情を、愛する息子に抱けない悔しさと寂しさ…。


もう潮時なのだ。
私達の分岐点。
息子は私でなければいけないのだから。

No.311 11/06/20 00:21
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


主人がつきあいの飲み会があるという金曜日、私はある決意をした。夕食後、優太に早めに入浴してもらい、私も軽くシャワーを浴びて、優太の部屋で話があるからと言った。


『…ママ、どうしたの?なんか顔恐いんだけど…?』


『…優太、彼女なんて作っちゃいけませんよ?』


『えっっ?
なんで知ってんの?』


『…隠し事はママにしない優太だったでしょう?一体どうしちゃったの?優太?』


『…隠し事にはならないんじゃない?そんなんて…親に絶対話さなきゃいけないもんなのかな…』


カアッと顔が赤くなった。
頭に血が上った私は、勢いよく早々に服を脱ぎ捨て、下着姿となった。


『なに!?なんなんだよママ…!?』


『優太…。
汚らしい雌豚がたくさん誘惑してきても、無視すればいいのよ。
あなたのことは私が全身全霊で守らなくちゃいけないの。』


『……??どういう意味?』


『見て…
全部見ていいのよ?見て優太…。』


下着を脱いで裸になり、優太を抱きしめた。

No.312 11/06/21 07:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『やだっ…やだよっ!!
やめてよママ!!』


私は、優太を抱きしめながらたくさん愛撫をした。
優太の大切な場所に優しく触れ、たくさん愛撫をしてあげた。
堅く中学生とは思えない、その立派な場所に避妊具を装着。
私は、優太に乗って激しく腰を振る。


『ああ…ああ…!!
優太!!
ママが全てお世話出来るからね…!!
ママが全てしてあげる…!!
だから…大丈夫よ!あなたは私のものなのだから…!!』


『ママ…うう…もうだめだ…!!』


私の中で燃焼した優太は、力尽きボーっとしてしまっていた。私は、性的に感じていたというより、使命感を達成し、母親の義務を果たしたような…教育的な母親の目で優太を上から眺めていた。


初めての人は雌豚であってはならないの…優太。
優太を知り尽くしているのは私よ。
経験は私だけでいいのよ優太…。


優太の髪を撫でていると、背中にゾッとする気配を感じた。


『…おまえ…一体…?!一体…優太に何を…!!』


『……っ!!!?』


ドア越しに主人がボーっと立っていた。私は、睨むような主人の顔を静かに眺めていた。

No.313 11/06/22 22:49
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


──3年後──


あれから3年の月日が経った…。
私はひとり、安アパートに住み、生きた心地のしない、心は死人のような生活ぶりだ。


あの息子との交わりを境に、主人は私を追い出し離婚届を突きつけた。息子も恐ろしくて私とは暮らせないと言った。


その1年後に息子の優太は死んでしまった。死因は、
【テクノブレイク】
思春期に、自慰行為を日々異常なほどに行い、脳がなんらかの混乱状態に陥り、突然死してしまうのだ。


主人は言った。


『…お前のせいだ。お前が優太の性を歪ませ、優太が同世代の娘と出来なくなってしまったんだよ…!!お前が優太を殺したんだ…!!』


ううん。
違うわよ、あなた。
優太は、私とのあの交わりにより、私と離されたことで、淋しさからテクノブレイクに至ったのよ。


きっと私を求めたんだわ…愛する母親の私しか優太を理解出来ないもの…。


ああ。
だいぶ待たせてるわね…ごめんね優太…。


早く逝けるようにするからね…?


またママと優太と…………。



end

No.314 11/06/24 07:53
優花 ( ♀ 6VhO )

★カウントダウン★


馬鹿馬鹿しいと思う程の滑稽な単調の日々
全力では生きれなくて
生かされているという感覚
広く視野を広げる事が出来るのなら
こんな私の思いはなんて馬鹿馬鹿しいんだろう
難病の女の子
そしてその女の子を励ましながら
若くして逝ってしまったあの人
ガンを患いながらも必死に生きて
若くして旅立った女性
私が成人してすぐに逝った両親
世界は現在だって戦争が起こってる
人は堕胎してもそれは人生だという
小さな子供でも
病気を患う若い人でも
働き盛りの中年代でも
きっと人生の青写真は上で自分が決めた事
受け入れよう全てを
受け入れよう現実を
不公平という名の地球では
きっと誰もが平等なのだと信じたい
馬鹿馬鹿しい
馬鹿馬鹿しい
こんな単調な日々で
何も感じれなくなった自分が
一番滑稽だった

No.315 11/07/05 22:47
優花 ( ♀ 6VhO )

★叫び★


恐い…、恐いよ。
毎朝起きた瞬間と、眠りにつく瞬間と。
他人の眼で感情が読める、自分が恐いよ。
お父さん、あんまり会わなくなって、死なせちゃった。
お母さん、可愛がってくれずに死んじゃった。
恐いよ、誰か助けて。心は既に壊れてる。
おじいちゃんおばあちゃん、優しかったおじさん、皆死んだ。
神様が連れて逝きました。白い穏やかな上の世界に。
他人は憐れみに蔑みを持ち合わせる。
優しさを信じる勇気は、もう私には難しいみたい。
恵まれても何も気づかない人間に、神様は何を悟らせようとしているのだろう。
他人の眼と私の眼。
解り合えるなんて不可能だもの。
親子でも解り合えないのに、何故他人と解り合えるの。
馬鹿にされてばかりの過去。他人の蔑んだ眼を浴びる現在。
私、可哀想なんかじゃないって。
そんな眼で私を視るな。
普通じゃないから普通になりたいだけ。
前世はどんな罪を犯したのだろう。
恐いよ、周りが恐い。
一番恐いのは、こんな冷淡な自分。
大事にしたい人を心底大事に出来ない。
気持ちはあるのに。心はあるのに。涙も持ててるよ。
皆守りたい人は溢れてますか。
自分の心、壊れてませんか。

No.316 11/07/12 08:06
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★Star★


人生はよく旅に例えられる。
そしてまるで映画のようだ。
私の人生は私の旅、私が主人公の映画。
この物語の結末は、何年後なのだろう。
もしかしたら明日なのかもしれない。


§実話かフィクションなのかは、ご想像にお任せ致します§


私は田舎町育ちで、長子長女として生まれた。父は次男、母は四女の末子同士の結婚で、父の両親…私の祖父母は近所に住んでいたが、私が3歳~4歳頃、相次いで他界した。
父には姉と長男である兄がいて、兄は両親が他界してから、人の車を借りたまま姿を消した。行方は分からないままだった。この兄、おじさんも含め、私は父方の家からかなり可愛がられていた。私はいつも祖父母の家に預けられていた。幼少期だが、私には可愛がられた記憶が強く残っている。具体的エピソードが残っているわけでもないのだが。身体が記憶しているのかもしれない。

No.317 11/07/12 23:03
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


父は実家である祖父母宅の近所に家を建てた。3DKの小さな家。建ててすぐに祖父母は他界したと思う。同時期に3つ違いの弟が生まれた。
父は酒好きで毎晩飲む人だった。仕事は一生懸命な人だったが、酒乱だったため、飲酒運転は日常茶飯事(当時の交通法も緩かったため)、何度も警察にお世話になり、パトカーで帰宅する事は珍しくなかった。
母はパートに一生懸命で、フルタイムで働いていた。遅いシフトになると帰宅は9時位だったと思う。
父と母はとにかく喧嘩三昧だった。私の幼少期から小学生中学生、そして高校と、日常的に話せば口喧嘩だった。
理由は毎回お金の話。父は母が私を美容院に連れていけば怒鳴ったし、母は父の酒癖や、やりくりの困難を訴え怒鳴る。
汚らしい罵声が飛び交う小さな家。年に何回かは、お皿やガラスが割れたり、父が母を蹴ったり叩いたり、髪を掴んで引きずり回した。
私と弟は、その光景に怯えながら星空を見ていた。早く終わりますように…そんな想いを抱きながら。

No.318 11/07/12 23:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


小学生になり物心つくと、周りと自分との違和感を抱き出した。なぜか周りと自分が違っているのだ。服にしても、お姉ちゃんであり長子のわりに、日々親戚の貰い物の服ばかり。田舎町から1時間かかる地方都市部に出かけて、お買い物や食事をしてきた…など、自分には理解できない話が耳に入ってくる。思えば、日曜日に家族で出掛けるなど、ありえない。そんなお金、ないはずだからだ。家には知らない会社の知らない大人から、たくさんの電話がくる。今思えば借金取りの催促連絡だ。
母が他の母親と違う。優しい口調に抱っこなどのスキンシップ。私にはありえなかった。
母は弟ばかりを可愛がった。父は子供に怒鳴ったりは無かったが、酒好きだから教育やスキンシップには無関心だった。
小学生の私は、本当に母の子供なのかと、本気で思い詰めていた。勉強しろ勉強しろと言われ、何も見返りなど期待出来ない境遇、可愛がられる弟。
思えばこの頃に、人格形成に影響を及ぼしたのかもしれない。愛情が理解出来ない子供。私の心に黒い闇がだんだんと広がっていった。

No.319 11/07/29 08:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


おじいちゃんおばあちゃんは幼少期に逝ってしまい、母の実家に行けば、母の姉妹達とその子供ら(イトコ)にバカにされた。田舎地域だという事、服や靴身なりの事。親戚らは、父と母の楽天的経済感覚を笑った。内孫を可愛がる母方の祖父母。大袈裟でなく、弟ばかり可愛がる母。酒好きの父。
私は、お母さんに可愛がられる友人やイトコが羨ましくて、周りをひっかいたり叩いたり、乱暴するような、赤信号を発信する小学生だったかもしれない。
小6の時の担任は、これほどないほどに、ムカつく担任だった。まるで母のような事をする若い女の教師だった。自分がお気に入りの生徒だけを可愛がり、気に入らない生徒への対応がハッキリ受け取れた。勿論私は、クールだし、ベタベタ甘えるタイプではないから、激しく周りとの落差を感じれた。

ああ、こいつ、お母さんとおんなじことするんだ。
家でも学校でも差別されるんだ。


小さな心の傷みが、だんだんと抑えられなくなる。今にも爆発しそうな頃、その女教師との事件は起こった。

No.320 11/07/30 08:11
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


そのバカ女教師は、クラスの女子だけを集め、低レベル過ぎたアホな議題を取り上げた。
『みんなー!仲良くしても嫌いなお友達はいるよねー?!
みんな順番名前を言うから、好きな所、嫌いな所を言っていこうよー!』
みんなが不思議そうに思わないなら、精神知能を疑う。私は、教師であるこの若い大学出たてのバカ女の、勉強以外での精神年齢を疑った。
それぞれの名前が呼ばれ、その一人一人に対して、クラスの女子全員がダメ出しをしていく。
『加藤優花ちゃん』
私の名が呼ばれた。
好きな所→よく覚えていない。
嫌いな所→○○先生(担任)に優しくない、態度が悪い…


『いいのいいのー!みんなは優しくて可愛いんだからね!
ユカコちゃんいいのよー!
あっまた間違えた!
昔ユカコって変な芸能人がいてね……』

アハハハハ!!


何回目?
もう秋だっていうのに、春からずっと名前間違えて呼ばれる。先生、私さ、人の裏側が何故か読めるんだよ。先生がなつく生徒を味方にして、私を虐めるの知ってるよ。
そりゃあ、なつかない少数派の生徒は可愛いわけないよな。

No.321 11/08/04 19:24
優花0 ( ♀ )

★続★


類は友を呼ぶ。
私はクラスメートの中で、私同様、バカ担任に懐いていない、可愛がらていない女子2人に、ある提案を呼びかけた。

『あいつに怪文書を送ろうよ』

私達は左手で筆跡を隠し、めちゃくちゃな手紙をバカ女教師の家に送った。

○○小学校の男教師とは全員ヤりました。もちろん校長もね!
学校来るな、淫乱女教師!
ひいきするバカ教師!
ど下手おばけメイク。
飛ばされてくれ。
教師やめろ。
勉学以外、何も学べてない非常識教師!

などなど…。
怪文書を送りつけた後のテンションの下がり具合には笑えた。病んだ理由は公にしなかったが、両親が心配してくれています、という言葉が無性に腹立たしかった。
一部の生徒に嫌われていたことさえ解っていなかった、擦れていない世間知らずなバカ女。
クラスみんなに好かれていると思っていたらしい。全く救いようがない。
私は思春期と共に、だんだんと歪んでいた。
中学にあがると、もう家族という意味が見いだせなくなった。

No.322 11/08/05 07:46
優花0 ( ♀ )

★続★


中学に上がると、飲酒運転を繰り返す父は、とうとう事故を起こした。罰金や謝罪金など、相手側への賠償に頭を痛めた母は、増して荒くなり父に怒りをぶつけた。父と母は喧嘩ばかりで、酒乱の父は酒を断とうとしないし、母は勉学しろ勉学しろと怒鳴る。
土日に友達同士で出掛けようと話が出ると、お金をもらわなければならないし、着ていく可愛い服もない。こればかりは辛かった。そしてTVドラマの話についていけない。TVは父と母が独占していて、父が飲みながら母と喧嘩しだすから、私は常に子供部屋に非難していたからだ。弟の考えていることは解らなかったが、子供部屋でいつも漫画を読んでいた。私達は異性だから、あまり会話はなかった。
中2の頃、私は自転車で車に跳ねられた。日常的にイライラしていたから、きっと私がスピードを出していた。近所の優しいおばちゃんが通りかかって、母に連絡してくれた。
軽傷だけど、お母さんが心配してくれるかもしれない。
だけどその思いは母の罵声により打ち消された。
バカ!恥ずかしいんだよ!私はバレー大会があるのに…早く帰れ!
自転車を痛い足で押して帰り、父が念のため病院に連れて行ってくれた。

No.323 11/08/05 22:37
優花0 ( ♀ )

★続★


中学になると、先輩からのいじめをかなり受けた。1年のとき、3年からの集団いじめはひどかった。といっても殴られたり蹴られたり、そういう度合いでなく、大きな声で悪口を言われたり、集団で近くを通りすがりに笑われたり、その程度だったからヘコむ程でもなかった。
私の悪い癖で、集団で威張り散らしたり、権力で弱いものを抑えつけようとする人間に、ペコペコ媚びるのは大嫌いだった。だからバカ女教師にも3年の女集団にも、ペコペコ頭を下げなかったし、挨拶もそっけなかった。だから目を付けられるのは当たり前かもしれない。
その女集団のボスがブタで、こいつの根性が腐ってた。卒業間際、ボスブタを呼び出したら案の定集団で来た。
『根性ねえな。一人しか呼び出してねえぞ。』
『とりあえず、あんた卒業したら入れ替わりの妹さ。いじめてやるから。やり返すから安心しなよ。』

女集団に言葉は無かったように記憶する。そして卒業式、頭を下げて詫びを入れにきた。頼むから妹をいじめないでくれと。そして手紙を差し出した。宛名には私を呼び捨てに書いていた。
『ふざけんな。呼び捨てで書くか普通。やっぱお前頭悪いな。妹は頼まれたから面倒見るわ。』
確か私は、こう吐き捨てて、ボスブタと別れた。都合が良すぎるから更々許す気にならなかった。

No.324 11/08/05 22:52
優花0 ( ♀ )

★続★


ボスブタの妹をいじめる気は更々無かった。私は、集団いじめも個人プレーいじめも大嫌いだし、言いたいことは直接けりを付ける。
ボスブタへの仕返しのプレゼントだっただけだ。
中学は私だけ浮いていた。田舎の真面目な中学で、私だけが茶髪でピアスを開けていた。時代もまだ今のように若者がハジケれなかったし、ど田舎はまるで狭い箱のようだった。
中学の仲間はみんな幼稚園からの仲間で、良くも悪くもみんな知りすぎていた。多分私は、家庭的に恵まれてないことを知られていたと思う。
母は夕飯時、大きな声で弟を呼ぶ。だから私もご飯なんだなと思い、弟に付いていく。
私は、悲劇のヒロインになりたくないのに、悲劇のヒロインとなってしまう。その矛盾がたまらなく嫌だった。
お父さん変だね、とか、貧乏ー!とか、一体何を周りに迷惑かけているのか。弟さえ庇護される理由も理解不能だったかもしれない。
勉強はなかなか追いつかなかった。母の母校の高校にはレベルが届かず、隣町のレベルが低い高校に進んだ。
親戚はみんな母の母校なのだから、母が私を疎んで当たり前だった。一体母の世間体のために尽くして、何の見返りがあるのか解らない。アメとムチじゃない、私にはムチとムチだった。

No.325 11/08/05 23:17
優花0 ( ♀ )

★続★


高校に上がると、下り坂を転がり落ちるような生活態度になり、母は私に皿を投げてきたり蹴ってきたり、顔を殴ってきたりした。家には帰らない事が多くなった。
高校は1年であまり行かなくなったため、担任の進めもあり、結局父が退学届を出した。
県の都市部で日々ウロウロして、私と同じような男友達女友達がたくさんできた。
16からランジェリーパブで働き、一人暮らしを始めた。彼氏は次々に変わり、法律上捕まる若者遊びをほとんど経験したと思う。
ドラッグ、シンナー、無免許運転、万引き、窃盗、援助交際、ヤクザ絡み、刺青…16から18までは、色々なことに溺れ、狂ってしまった時間を過ごした。起きたら何故か夜中に国道にいたりしていた。ヤクザが部屋に乗り込んできたり、彼氏から殴られて顔アザになって店に出たり。よく自分でも自分が解らないことが多かった。
溺れていくことは楽しくてたまらなかった。あの父と母の罵声の飛び交う、辛い家よりはマシだったからだ。友人は皆、家庭的に寂しさを持ち合わせた人間ばかりだった。
自分一人で生きて、好きなだけ大金が使える。なんて幸せなことなんだろう。服が買えて化粧品も買える。着飾れることは快感だった。

No.326 11/08/06 08:08
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


触りのある飲み屋から、イメージクラブ(コスプレ本番の店)に移り、金に苦労は無かった。私は元々、自分の体は汚れていると思っていたし、自分は大切にされていないし、自分が自分を大切にしたいとも思わなかった。お金が入ればそれでいいし、お金は人を苦しめ、そして人を幸せにすることを既に悟っていた。
でも周りの友人達と比べると、私は自分の置かれた境遇が、必ずしも不幸だとは言い切れなかった。
友人達はほとんど母子家庭だったり、母親がヤクザと再婚していたり、両親なく祖父母と暮らしていたり、母子家庭で4人兄弟の貧しい家庭だったり…。飲み屋で働く母が男を持ち帰り、あえぎ声を出すのを聞きながら育った友人は、母親に邪険に扱われながらも母親を嫌っていなかった。私はそこまではされていないのに、嫌っているのに。
周りから自分を客観視すれば、自分は視野が狭く、辛い境遇に甘えていたことがよく解ってきた。
私よりも家庭により深い傷を負った人間は、多数いることを知った。
飲み屋や本番屋の客は皆、寂しさを抱えていた。多かれ少なかれ、男も女も心にどうしようもない寂しさを抱く。
19になった頃には、生意気ながら既に全て悟ったような気がして、不必要な人間を絶ち、夜の街から足を洗った。

No.327 11/08/09 19:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私が家出をして実家は更に狂っていた。私がいなくなったことで父は酒の量が増え、糖尿病を患い、アルコール中毒となり、泡を吹いて緊急搬送されたり、仕事をクビになっていたり。極めつけに、家が嫌になった母は随分と年下の男と不倫していた。父は知っていたしそれにより酒量も増え、生活もままならなくなり、私が幼少の頃建てた小さな家も、売り渡す事となった。父と母は離婚が決まり、互いに自己破産した。
離婚の話し合いをしたとき、弟は妙に大人びていた。中1だった弟も高1になっていた。
『早く届を出してくれ。俺はもうあんたとはいたくない。』
父は黙っていた。
母は涙ぐんでいた。
私は他人のように家族を見据えていた。
父は家を売り渡した後、町営住宅に移った。母は自分の実家の近くにアパートを借り、弟と2人暮らしを始めた。

No.328 11/08/17 23:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


少し話を戻させてもらいたい。
兄弟を差別的ひいきにしたり、下を過保護に庇護したりした育て方をすると、間違いなく人格形成に悪影響を及ぼし、母親を恨むようになる。これは自分自身が体験した確実なデータだ。
そして明らかに可愛がられていない方の子供は、愛情に飢え、愛情を求める。自分を見て、誉めて、話して…心の寂しさは埋められずに、大人になっていく。
それは友達や職場、家庭に入れば旦那、義両親…全ての関係する人間へ、過度の期待を持ち合わせてしまう。コミュニケーションはうまく取れず世間に戸惑う。
自分は周りと違う。
自分はおかしい。
子供の頃の悲しい傷も、大人になれば更に深くなる。
僻みやすく拗ねやすい自分、そんな自分が嫌いで純粋になりたいと願う。
彼氏には常にそばにいてほしかったし、それが愛情だと思っていた。うまくいかない何度もの恋愛の末に、22で出既婚した。つきあって半年もたっていなかった。彼は私と同じ匂いがした。

No.329 11/09/01 22:38
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私が結婚する少し前 、21の秋。
父が他界した。死因は脳卒中による突然出血だった。一人暮らしだったため、近所の方の通報により、搬送されたらしい。
突然病院より電話が入り、着いてみれば、今夜が峠だと言われ、集まった母と弟と3人で父を見届けた。
父が死んで、人が死ぬということは、もう話が出来ないということなのだと学んだ。
酒をたらふく浴びて好き勝手に生き、周りを頼りに甘え、周りから沢山助けてもらった父。
長女の私には信じられない親の在り方でもあった。


【さよなら。お父さん】


結婚してバタバタと2人の子供を生んだ私に、母は驚く位に私への子育てとは真逆で、孫を溺愛した。私への冷淡さや暴言、突き放したような子育ては、まるで嘘だったような程に可愛がり、よく面倒を見てくれていた。

弟は大学を出て社会人となっていた。女手ひとつで弟を大学に通わせていた母は、仕事を2つ掛け持ちしていた。


そして私と母は、孫が2人出来たことにより、昔の距離感が少しずつ縮まっていった。

No.330 11/09/03 08:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私が28の春。
だんだん孫を通じて、過去を許せる自分になりつつ、母をひとりの女性として客観視でき、良好な修復関係を築けていた。それなのに。
母は父と同じ、脳出血で倒れ、あっけなく旅立ってしまった。


え?嘘でしょ?
また?また父のときみたいに突然いなくなるわけ?


あっけなく逝った母を見送って素直に泣けたのは、だいぶ時間が経ってからだった。
父と母がもういない。あれだけの恨み言も、もうぶつける術は無い。母の私への冷淡さと、弟への溺愛さと。理由は闇の中だし、勿論もう会話が出来ない。
私はいつだって自分の事ばかりだ。
弟は18で父、25で母を亡くしたのに。私よりも年下で独身なのに。
私は孫を見せれたし、可愛がってもらえたけれど、弟だって長男だから、いずれ家庭を築けたときに、母に対する思いがあったかもしれない。


旦那も小さい頃に、母親が旦那と弟を捨て、家を出ていったと言う。
でも全く悲観的には生きていなかった。


私はなんでいつも自分ばかりなんだろう。

No.331 11/09/06 08:10
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


【人は死んだら星になるんだよ】


2人の子供に私はそう教えた。彼らは私を必要としてくれて、それ以上に私も彼らが必要だ。


実際2人の息子を育てていて、2人のうちどちらかだけ愛して、どちらかを愛していないなど、考えられないし、有り得ない。


母親も私と同じように、想いは平等であり、態度とは裏腹だったのだと信じたい。


私は愛情飢餓人だから、幼い頃からの家庭環境により、寂しさを隠して、多大な愛情を求めてしまう。


でもそれ以前に私自身が愛情を与えなければ、それは望めない事が、この年齢になりやっと解ってきた。


もう指をくわえながら、弟を羨む子供なんかじゃない。


私は母親。
両親はいない。
もう抱きあげてもらえず、手は差し伸べてもらえないのだから。


2人の子供と星空を見上げると、
『あ!ばーば!』
と指をさした。


私は悲しくなりながら、でも、笑いながら、そうだねと答えた。


父と母に会いたい。


最初の言葉は
見つからないけれど。



end

No.332 11/09/08 22:56
優花 ( ♀ 6VhO )

★Bye-bye★


右手にタバコ
左手に玩具の拳銃
どうでもいいさ
どうでもなれ
笑ってろ一生
それが楽しみなんだよな?
早くカウントしたいな
待てないや
連れて逝って
純粋ってどんなキモチだったかな
抱きしめられるぬくもりって
知ってたのかな
好きなだけ笑ってろ
見てくれてる奴もいるから
タバコの煙が目にしみた
玩具の拳銃は
いつの間にか
鋭いナイフに
すり替わってた
思い出せない過去ってあるんだな
喉をひとつき
ひと思いに
カウントカウント
待てないや
hahaha!!
ecstasy!!
このプレゼントの賞金首
くれてやる
だからもう
泣くのは終いにさせてくれよな

No.333 11/09/09 07:52
優花 ( ♀ 6VhO )

★真実★


お父さん、犬を買ってくれてありがとう!嬉しそうにお庭で走り回ってるわ!


本当だね!元気いっぱいな子だ!
お母さんがいなくなっちゃったからね…○○が寂しくないように、この犬は○○をずっと見守ってくれるよ、きっと。


うん!私大丈夫!寂しくないよ!
あっ!何か一生懸命吠えて、あそこ掘り出したわ!


あ………
手が出てきたわ…お父さん…。


あ…!
それは…!
○○もう家に入りなさい!こら犬っ、もう家に入れ!ハウスだ!


お父さん…この手はお母さんよね?


……?!!
○○なにを言ってるんだ…!


ここに埋めてたらずっと一緒よね?お庭にお母さんいるから私は寂しくないわ!


………!!


ねえお父さん!
大きくなって結婚して、喧嘩したら、お庭に埋めちゃえばいいのよね!





ふふ。
…嫌な奴は
埋めれば
いいのよね?

No.334 11/09/12 22:45
優花 ( ♀ 6VhO )

§ショート小説§


★鎖★


夫婦ってなんなの?

大恋愛だったはずなのに…。


みんなの狙ってた先輩、杉沢を手に入れて…。


みんなの悔しがる顔に見送られて
お花のシャワーで階段を降りた私達…。


憧れの会社の先輩とつきあえて、そして結婚できた。


あんなに幸せだったのに…。


夫婦ってこんなに冷めてしまうの?



会社の先輩だった主人と結婚して3年。私達は子供はまだいいよねなんて話してたのに、すぐに妊娠発覚。結婚1年にして長男を出産。


主人は私が妊娠してから、私の話をつまらなそうに聞くようになっていた。そして赤ちゃんの話題も、あからさまにどうでもいいような態度だった。


妊娠中は抱かれはしないし、スキンシップも取ろうとしない。残業だ、付き合いだと帰りは遅く、それでも我が子が生まれたら、きっといいお父さんになってくれるだろうと…信じながら私も主人とうまく合わせてきた。


ところが出産してからも、主人の冷たい対応に変わりはないばかりか、ひどくなっていった。

No.335 11/09/13 14:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


長男の夜泣きがひどくて眠れやしないと、寝室を別にして、長男が熱を出しても全く心配するどころか、いびきをかいて寝ている様だった。


女としての相手は出産してからも求められず、長男も2歳になった。虚しいけれど、仕事だから…とか給料運搬人だから…とか、自分を慰めていれば、少し落ち着く事ができた。


けれど、主人に抱かれず日々息子と2人暮らしのような生活をしていると、悶々としてしまい、もしかして長い女がいるんじゃ…残業じゃなくて女の家にいるんじゃ…とか、日々不安で胸が押し潰されそうだった。


確かめる勇気。


それは家庭が壊れる覚悟ができたとき。


いつだって言うとおりにして、文句を言わず、主人の好きなとおりにさせてきた。それでも私や長男を省みないし、どうでもいいような対応に変わりはない。


抱かれもしないsex無しの家政婦…とでも言うのかしら?


主人はどうして私が告白したときOKして、どうして私を結婚相手に決めてくれたのかしら?
主人も私に恋い焦がれているならば、新婚時期位は、私を大事にしてくれたんじゃないかしら。いずれは今のように冷めきれるとしても…。

No.336 11/09/28 23:20
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


会社内の探りから始めてみようかと思った私は、以前勤めていた頃に大変お世話になった、既婚の先輩に連絡を取った。
久々だという事で話が盛り上がり、すぐにランチの予定が立った。
再会して驚いた。寿退社してから3年以上経っても、先輩は40近いのに未だに綺麗だった。私は主婦と育児を言い訳にした怠けから、見事に老化していた。
先輩も、すっかりお母さんになったじゃん!なんて、すり替えた誉め言葉を使う。
色々と近況報告や昔話を話していると、ふと先輩は思いつめた顔をして聞いてきた。

『…もしかして、杉沢くんとうまくいってないの?』

私はコクリと頷き、結婚してからの不安や不満、今の夫婦間状況を先輩にさらけ出した。
時折バタバタする息子をあやしながら、長い説明をひとりベラベラ吐き出してしまった。
先輩の信用度と、既婚者としての助言…私は昔も今も、先輩を慕っていたのだ。


『…なるほどねぇ。』
『やっぱ女ですかね?もしかして、会社内で噂になってる女子社員とかいます…?』

No.337 11/10/05 23:19
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『…杉沢くん真面目で、一生懸命働いてるよ?
あんたは杉沢くんに養ってもらってるんだから…感謝しなきゃ。
信じてあげなよ。
奥さんなんだから…。』


先輩のキツい言葉は頭を鈍器で殴られたようだった。
先輩は旦那…杉沢の事も可愛がっていた。杉沢含め、男性社員をよくフォローしてあげてたし、男のプライドを傷つけないように気遣ってあげていた。
先輩に優しい笑顔でキツく叱られ、もう少し杉沢を信じてみよう…過去、大好きでたまらず、必死に追っかけた男を手に入れる事が出来たんだから…私は頑張れると思った。


それから1ヶ月。
私の元に、会社の元後輩で仲が良かった子が、久しぶりに遊びに来てくれた。
突然でビックリしたけれど、日々育児に追われ会話に飢えている主婦だから、来客は嬉しかった。


『急にどうしたのー?久しぶりだねー!平日なのに…有給?嬉しいよー!』


後輩はなんだか浮かない顔だ。


『どうかしたの?』

『…先輩。私、先輩の運命、変えちゃってもいいですか?』


…??
運命?変える?

No.338 11/10/05 23:33
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『先輩は真実がもしあるならば、その真実を突き止めたいですか?
それともあえて知りたくはないですか?』


『え…意味分からないけど…
もちろん真実は知りたい派だよ?
ねえ、なんかあったの?』


『先輩のご主人。杉沢さんは、リエ先輩と不倫関係にあります。
そして、同じ社内の同僚に私の彼…婚約者がいますが、彼もリエ先輩と浮気しています。
これは真実なんです先輩…。』


!??
どういうこと…!
リエ先輩と杉沢が不倫…?少し前に優しく叱られて、杉沢を信じてあげろと…感謝しなきゃって…。


そんなわけないじゃない…そんなの嘘だ…だって片思いの頃から、私の相談にいつも乗ってくれてたし…。


『真実です。間違いないんです。てゆうか、杉沢さんと私の彼以外にも、興信所で調べた限り、他社員で3人は関係にあります。しかもその内の一人は社長なんです。』


頭が真っ白になる。
一体この子は何を…?


『先輩を私と同じ、不幸の仲間に道連れにしたかったんです…ごめんなさい。
1人じゃ抱えきれなくて…。』

No.339 11/10/07 23:06
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


…なんなのこの子は。わざわざ私に事実を突きつけて…不幸の道連れ?この後輩を憎む気持ちよりも、先日再会した先輩への不信感と憤りの感情のほうが勝っている。
驚きと憎しみが湧き上がる。
事実は真実であり、旦那を突き止めたい衝動を抑えられない。でも……それが事実であったとしても、そこからはどうなるのだろう…。


私が1人で子供を育てていけるのか。
一時の感情で動けば振り回されてしまう…。
私も親だ。
そんなに馬鹿じゃない。


後輩には早々にお帰り頂き、私はよく考えた。
そしてまた先輩に話がしたいという結論に至ったのだった。


後日、再びランチをした。先輩は何も変わらず気さくで優しくて…とても綺麗だ。


全てを先輩に問い詰めた。
どうして複数の社員と…どうしてうちの旦那と…いつからそういう関係なのか…。先輩はチクった後輩の話を顔色ひとつ変えずに静かに頷いていた。


『…知ってしまったのね。
そうねえ…いつからかしら。確か杉沢くんが入社2年位かな。』


私がつきあい出す3年も前からだ…。


No.340 11/10/08 22:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『彼はね。信じたくないだろうけど、放置プレイが大好きなのよ。ふふっ笑えてくるでしょう?』


??


『後ろに手回し手錠されてね、ずーっと取り合わないのよ。やらしいことしていじられて…それでいてまた放置。ふふっ、それがあの人の性癖よ?
あなた、知ってた?』


『…何言ってんの先輩…。』


『杉沢くんだけじゃない。あの子の彼氏も社長も…たくさんのペットくん達がいるの。だから杉沢くんと会ってあげてるのは月1程度よ?
それだけのことじゃない…。
あなた達夫婦間の問題に私は関係ないわ。
だって杉沢くん割り切ってるもの。性欲でたまに満たされたいって。
愛情とは違うと思うわよ?
勿論他の男もみんなそうよ。私も彼らも割り切ってるわ。
私は極度のS、彼らは極度のM…ただそれだけの関係なのよ?』


『…さっきから意味わかんないんですけど?』


『ふふふ…解らなくていんじゃないの?とにかく浮気してなんかないってことよ、結局。
あ、ちなみに私、ちゃんとした彼氏いるから。安心してね?ふふふ。』


No.341 11/10/08 22:37
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


聞けば、後輩の彼氏は締めつけが大好きで、社長は首締めが大好きらしい。
先輩の正体、真実、裏の顔…。


信じてたのに。


旦那にも裏切られてた。初めからきっと誰でも良かったんだ。偽装結婚とでも言うのかな…。
カラダと心の隙間を埋めるのは、ただひとり、先輩という女だけで良かったんだろう。
後輩の彼氏も…社長さんも…きっと杉沢と同類。


夫婦とはなんなんだろう。
錆びた鎖であろうとも、なかなか切れはしないだろう。
私に1人で子供を育てるなんて難題は、きっと出来ない。


だとすれば…選択肢に別れは無い。


私にはきっと、
復讐しか道はない。


旦那に?
いいや違う。
標的はこの綺麗な顔の雌ブタだ。


きっと私は明日にでも興信所に依頼を出す。
そしてこの女の彼氏を探し出し、なんとしてでも手に入れる。


最高な悲劇を先輩にプレゼント出来るように…。


夫婦なのに、夫婦じゃない。大好きだったけれど、見てもらえなかった。


きっと私。旦那…杉沢を、結婚前のように、これからも追いかけるんだ。


夫婦とは?


鎖は切らせはしない。


end

No.342 11/10/08 23:14
優花 ( ♀ 6VhO )

★悪魔★


過ちを重ねて理性を失った
笑みを忘れて会話を忘れた


舌を噛むと大好きな甘い血液の味


じっと手を見るとシワシワの老婆


魂の行方
苦しみの果て


この戦場でのテロリスト


私を忘れてあげる
私を消してあげる


あの人の最期の言葉は?
オレンジ色の夕焼けの記憶は?


情に流されたら本望だ


狂った頭に私という嘘つきな悪魔

No.343 11/10/11 08:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


例えば今
全てを壊すことができたのならば
きっと楽には生きていける


例えば今
憑いたモノと共存することができたのならば
きっともっと楽に生きていける


アドレナリンとオーガズム


究極の耐性


右脳の呼び掛け
左脳の呼び掛け


ひとりきり
恐いね
リセットボタンがあればいいのに
いや
停止ボタンだけで結構


楽になりたいだけ
もう十分だろう
どれだけ傷みを与えたら?


ひとりきり
恐いね
人といると
無性に恐くなる


ちぎったパンは差し出したけれど毒入りだよ?


私の中の邪悪な私
飼い慣らした悪魔


ひとりきり
恐いね
ひとりきり
逝きたいよ

No.344 11/10/17 22:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


誰か教えて
どうしたらそんな笑えるんだ?
誰か教えてよ
愛想笑いってどうやるの?
どうでもいいくだらない話をよくもまあそんなに話しこめるなあ
誰か教えて
結局大多数の人間は独りが恐いんだ
だから仲間を作って仲間に嫌われないように生きるんだよね?
幼い頃から人と合わせてまで自分を無くすことが嫌いだった
どうでもいいような仲間は作らなかった
要らないと思う人間は切っていった
だから今残った周りの人間は大事にしてるんだ
人が人を嫌う凶器の目
人は人を殺せる
心を殺せるんだよ
だからベラベラ喋る人間は信用しない主義
誰か教えて
うまくやってる人間て結局腹黒いんだよね?
こんなに真っ直ぐ過ぎて媚びれない自分は
いい加減うんざりだよ

No.345 11/10/24 01:23
優花 ( ♀ 6VhO )

★人形★


時間を戻してほしい
無邪気にはしゃいだあの幼少へ


季節の移り変わりには鈍感となり
春が訪れたら哀しみに浸り
秋が訪れたら後悔の嵐


精神科医の言葉は?
人は不安でいないと落ち着けないだろう?とでも言うでしょうか
苦し紛れの言葉
ああ眠れない


時間を戻してほしい
何も知らないあの頃に


少女に問いかける
そんなに家出したいの?
そんなに死にたいの?
それがいいかもしれないね
だって未来はこうなっちゃうんだから
知らないままに終わる幸せもある


川で田で森林で
道の草花や野良猫
あの納屋の天井
柿や栗の木


あの小さな体にはたくさんの未来があったのに
あの小さな手にはたくさんの幸せ掴む力があったのに


どうして可愛がられないの
どうして私可愛気がないの
そんな育て方するならどうして生んだの


淋しい心の闇
深い傷は癒せはしない
世の中金なのは少し合ってる


ああ違う
これも違う
自分を殺せばいい
私は本当はここに居ない
存在しない
だから人形
私は人形

No.346 11/11/07 21:27
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★ダウンタイム★


※実話を含んでいます※


初めて会った第一印象は、無愛想な女だと思った。
あまり可愛くはないけど、髪のやたら綺麗な女だった。


【マユミ】


私達の出会いは17歳だった。
マユミは中学もろくに行かなかったらしく、高校には進学していなかった。
私は高校1年で中退して、田舎町から地方都市に出て、1人暮らしをしていた。


マユミとは共通の友人を介して知り合った。第一印象はあまり良くなかったけれど、マユミの最初の会話は、私には忘れられないものだった。


『プリクラ見てユリちゃん可愛いと思ってたよ。』


無愛想なくせに、その誉め言葉…単純な私はすぐにマユミを気に入った。


それからマユミは私の家によく来るようになった。
私の安アパートは、六畳一間でも、常にヤンチャな男と女が溜まって集まるから、ひどいときは10人以上いた。常にバーベキューのようなタバコの煙と、シンナーの臭い匂いで充満していた。


No.347 11/11/07 21:39
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


マユミはシンナーはやらなかったし、私がヤクザの彼からもらう薬にも、全く興味を示さなかった。


私はホステスだったし、援助してくれるおじさんもたくさんいたけど、マユミは飲み屋もウリもしたくないと言った。


ニートで働かないし、飲み屋もウリもダメ、シンナーも薬も素通り…。
こいつ、一体何がしたいわけ?


私の中で、マユミはただただミステリアスだった。


マユミはどうやら友達はあまりいないらしい。
私はといえば、軽いたくさんの男女の関係と、深い友達…たくさんの人間が常に周りにいたから、マユミは共通の友達を作りたいのかもしれない。そう思っていそうでなんだかいやらしい感じがしていた。


だけど、私の男友達とたまに関係を作っても、女友達を作る訳じゃなかった。


なんだかこの女は、ただ私を求めてるみたい。


そう思うようになった。マユミは女のベタベタ感が嫌いらしい。かといって一途になった女友達…私には、ベッタリといった言葉が適切なつきあい方だった。

No.348 11/11/07 22:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


あるとき、すごく体がだるかった。誰にも会いたくないし外に出たくない。そう思って家にいたとき、ピンポンが鳴った。
…ウザイな。居留守使おう。
そう思って出なかったら、10分も20分も鳴らされた。


ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン…


マユミの声が鉄ドア越しに聞こえてくる。
『開けてよユリ。
開けてよ。
開けて!!』


電話もメールも無視してたけど、マユミ、マジしつこい…。


無視して1時間。
ずっとピンポンが鳴らされ、私はキレた。


『うるさいって!!』

『やっぱいるんじゃん。』


こいつおかしい。
なんだかまるで自分の常識はずれが全然理解出来ていないみたい。


マユミの常識はずれな行動には、たくさん驚かされた。


冷蔵庫を開けて、豆腐食べていい?と聞いて勝手に食べて、豆腐ダイエットしようかなと言い出す。


用事があるって言うのに、一緒に出ないで、勝手に留守番する気満々だったり。


母親からもらったアメジストの大きい石のリングも、マユミの留守番中に確実になくなった。

No.349 11/11/07 22:28
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


働いてないから、やたら万引きするし、友達の家で盗みも働く。
つきあいだすうちに、だんだんウザくなっていった。
他にたくさん友達いるから、こいつだけが特別なわけじゃないし。
私は少しずつ距離を置くようになっていた。


あるとき、私は飲み屋の仕事が終わってから、いい気分に酔っ払っていて、まだ遊びたいと思っていた。
だけど誰もつかまらない日があった。
仕方なくマユミに連絡しても繋がらず、マユミの母親が近くで店のママをしているのを思い出し、軽く寄ってみた。
私はマユミの家に行ったことないし、母親に聞けば家が解ると思ったからだ。


店に入るとマユミにそっくりなガリガリのオバサンママがいた。化粧が濃くて、一昔前のヘアメイク。まるで昔の工藤静香のような風貌。顔は似つかないけれど。


『すいません、マユミの友達なんですけど。連絡つかなくて。』


そう言うと、途端に母親は豹変した。家を知りたいと話すと、
『…はあ?だからなんだい?家?私んちだよ?勝手に行くんじゃないよ』


『あいつ私の店教えやがって…帰ったら覚えとけ!!』


私はマユミの母親が激怒して、理解に苦しんだ。

No.350 11/11/08 22:15
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


母親なのに、娘の友達が家を聞いたら怒鳴るって…
いつも仲良くしてくれてありがとうとか…
母親ってそういうもんじゃないの?
てゆうか、私んちだよ?って…
あんたとマユミ、2人の家じゃないの?
いかにも、自分の家に娘を住ませているって言い方。
頭イかれたような話し方だし、なんだかマユミが常識はずれなのも、理解出来る。



しばらくしてから、マユミが凄い剣幕でうちに来た。


『なんでお前アイツに会いに行ったんだよ!?
おかげでこの有り様だよ!!
お前勝手な事してんじゃねえよ!!』


『……?!ああ?
てめーなんなんだよ!!いきなりキレてんじゃねーよ!!!』


私達は、私がマユミの母親に、自宅を知りたいと訪ねた事が原因で、かなり大喧嘩になってしまった。


しばらくして何もなかったかのように戻った頃、マユミの生い立ちを聞いて絶句した。


マユミの家にお邪魔する機会があり、家に入ると、自分の想像した通りの家だったような気がした。

No.351 11/11/09 07:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


2DKの古アパート。飲み屋街のど真ん中にあった。マユミは3畳程の小さな部屋。台所と母親の部屋は立ち入り禁止っぽい事を話す。


マユミは父親が誰か分からず生まれ、母子で育ち、小学生低学年で、母親が飲み屋経営者のヤクザと再婚した。すぐに年の離れた弟が生まれた。ヤクザの義理父と母親は、弟ばかりを可愛がったと言う。その義理父は、まだ小さいマユミに、躾だと殴ったり蹴ったりしていたらしく、タバコを押し付けられ根性焼きされていたらしい。
母親は見て見ぬ振りを通し、マユミの前で両親は日々喧嘩をして、母親はひどく暴力を振るわれていたと話す。
小学生低学年の幼い頃から、酒や薬、暴力のある家で暮らし、両親が中学に上がる頃、離婚となったらしい。


私はマユミが飲み屋やウリをしないこと、酒やシンナー、薬に手を出さないこと。生い立ちを聞けば理由が解ったような気がしていた。


実の父母に育ち、貧乏で夫婦喧嘩が絶えない家庭で、父の酒乱が嫌だとか、母の愛情無い態度が嫌だとか、そういう私のレベルとは次元が違うと思えてしまった。

No.352 11/11/10 23:29
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『私はヤられてた訳じゃないから。義理の父親からヤられてたり、シャブ打たれたり…そんなんなかったからさ。
私はマシだよ。』



私にとっては、義理父が本場のヤクザだったり、両親が薬してたり、タバコ押し付けてくる躾とか…異常としか取れなかった。
しかも母親は離婚してからも、ずっと酒乱で薬漬け、男を自宅に持ち帰っては、娘がいようがいまいが、関係なくヤりまくるという具合だ。


あの時代止まったババママ…マジで狂ってる…。


マユミに映る母親は、一体どれほどのものだったのだろう。


挙げ句の果てに、別れた義理父が息子を取ったもんだから、後悔から息子のことばかり嘆くという有り様だった。


娘の友達が店に訪ねてきたら、娘を殴り飛ばす母親だ。
頭おかしいし、キモすぎる。



マユミはそれでもこう言っていた。


『あの人は血糖値が逆に低くて、糖分が足りてないんだよね。身体弱いから…。』



胸糞悪かった。
どうして虐待される側の子供が、親を心配する子供になっちゃうんだよ。
おかしいだろ、そんな系図は。

No.353 11/11/17 22:41
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私のたくさんの友達は、男女問わず、みんながみんな、マユミを嫌ってしまう。
非常識に映り、図々しく、話も面白くない。自己中、わがまま。
マユミの面倒を見ているつもりが、だんだんと私自身も友達たちの手前、ウザくなっていった。


マユミの人生は辛かったと思えた。
だからマユミを受け入れたいと思えた。


でも…。
私の友達たちは、誰一人彼女を構わない。マユミはたまに私の男友達とヤッて、少しつきあってとしても長続きしない。


『私にこの飲み屋街で楯突くヤツなんていないよ。
だってオヤジがいるからさ。』


本場のヤクザの義理父を何かあれば出せばいい…そう考えていたマユミは、なんだか浅はかに思えていた。多分、私も19となり、少しは成長していたんだろうと思う。


ガキ臭い?
いや、ガキのまま、時間が止まったメンヘラなんだ…。
あの母親なら仕方ないよね…?
マユミ、みんなもう成人していくよ?
働かないのは甘えた証。
マユミの成長しない様を見て、とうとう私はサジを投げてしまう。

No.354 11/12/03 23:57
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


19歳になった頃、私は同市内で近い部屋に引っ越しをした。
夜の飲み屋仕事を辞め、昼間と夜のバイトを掛け持ちして、落ち着きだしていた。
はじけたヤンチャな男女友達は、ほとんど連絡を絶ち、大切な友人だけに新居を知らせた。


マユミに新居は教えなかった。
携帯の連絡もスルーした。
マユミと縁を切るつもりの決断だった。


成人してからは、昼間していたバイトの社長から正社員雇用の話を頂き、正社員として働くようになった。


マユミとは全く違う人種になったような気がしたし、10代のシンナーやドラッグ、ウリや飲み屋…そういう若気の至りからは卒業して、まともな人間の生活になれた気がした。


つきあう男の種類も、類は友を呼ぶで、まともな企業の社員とつきあうようになった。友人らも看護士だったり事務員だったり、医療事務、経理事務…皆がきちんとした職種の友人ばかりだった。


10代の友人達を忘れていき、マユミという存在も22歳の頃には忘れていた。

No.355 11/12/04 00:14
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


22歳。私が彼氏と結婚を考えている頃、携帯でなく、家の電話に懐かしい声の留守電が入った。


『ユリ…元気?久しぶり…マユミだけど…』


マユミ?!!


『連絡取れなくなってからだいぶたったよね…人づてに家電の番号聞けたから…。私さ…あれから結婚して子供できたよ…。でも旦那とは別れるかも…。子供はどうすりゃいいか分かんない…。ねえ、子供ってどうすりゃいいかな…。されたことしたげればいいって…何もババアにしてもらった記憶ないんだよ…?ユリ…ユリしかやっぱり私のことは解ってもらえないから…。教えてよ色々…お願いだから連絡ちょうだい。今の携帯番号は…』



私は溜め息混じりに留守電消去した。


もう関われない。


ただただ…
マユミの子供の事が心配でたまらない。


育ちは変えられないし、受けた悪影響を、そのまま我が子に伝染する親もいるだろう。


マユミはあのイカレた母親のような母親になるんだろうか?


マユミの未来を見守る正義感は持てない。ごめんマユミ。



さようなら。
過去の私達。



end

No.356 12/02/14 08:25
優花 ( ♀ 6VhO )

★★


車窓からの眺めは
妙にせつなくて
瞼から映る似た景色


雨の雫は
まるで涙のように
木々から零れ落ちる


針が進まない時計を大切にしてしまう
涙と引き換えに
たくさんの恵まれた世界
その世界も
放棄したくなってしまう呆れた脳みそ


空は泣いて
私も泣いて


差し伸べてくれる手さえも払いたくなる


聞こえる音色は
妙にせつなくて
約束は破りたくなる
疲れた身体と
疲れた頭


非楽観的なこの自分を
私はどこまでいじめるんだろう


思いやり
優しさ
溢れ出した愛


手放したくない手


寂しい気持ちを
今日も仮面で隠す


誰にも気づかれないように

No.357 12/02/14 23:02
優花 ( ♀ 6VhO )

∮ショート小説∮


★転落★


私は鳥居留美。
私の人生を一言で言えば、転落という言葉がお似合いだろうか。
豊かな幸せと引き換えにした代償は大きく、現実から逃げた自分に救いは無い。



私は比較的裕福な両親の元で育ち、一人娘だったから、大切に可愛がられて育った。


ママはいつも優しくて、パパはいつも穏やかだった。
家も大きく庭も広くて、自分の部屋はピンク基調で、レースのベッドやたくさんのお人形、女の子らしい可愛い部屋。



友達はいつも私を羨ましいと言う。
笑いながら心で周りを見下した。当たり前じゃないのと言わんばかりに。



小学生の私は、とにかく人気者だった。お誕生日パーティーなんかは、主役だしママは素敵な飾り付けと得意のお料理をもてなす。



(みんな。私みんなとは違うの。私は特別な子なの。ふふ…)


No.358 12/02/15 23:14
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


『留美ちゃんはいいな。
毎日違う可愛いお洋服や靴。
いいな、いいな。』


『留美ちゃんて、いつも新しいお人形やオモチャ買ってもらえるよね。
いいな、いいな。』



小学生の私は常に周りに羨ましがられ、みんなの憧れの的だった。



そんな小学生の単純な思考回路は、少し大人な中学生にもなると、私のような子は憧れなどではなく、嫉妬や僻みの対象となった。



お金持ちで地味顔の私は、お嬢様というウザい存在であり、そして顔があまり良くないぶん、周りは興味を持たなかった。


可愛い女の子やセンスのいい女の子は人気者。すぐに彼氏が出来る。チヤホヤされている。


友達もあまり出来なかった中学時代。
扱いが変わり戸惑う自分の中で、はじけたいという衝動が生まれ、私は変貌を遂げた。


両親に(整形したい)と訴えたのだ。

No.359 12/02/16 22:46
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


目立つにはまず顔からでしょう?私が地味なまま無視されて、誰にも相手されなくて、恋人もずっと出来なくて結婚出来なくてもいいの?ずっと1人でいて、寂しく孤独死してもいいの?
というような説得で、優しいパパとママは悲しみながらも同情してくれ承諾し、全身整形という大金をすぐに用意してくれた。


少しぽっちゃりした身体、横に広がった鼻、歯並びの悪い出っ歯、小さい目。
気にしてみれば、たくさんのコンプレックスがあったのだ。


全身整形を終えたら、なんだか鏡に映る自分はまるで他人のように思えた。
美人だなあ…他人事のように自分の顔に実感が湧かない。



整形してから周りの反応を恐れ、学校には通えなかった。


優しい両親も、高校だけは頑張って出なさいと言うため、仕方なく適当に制服の可愛い高校を選んだ。


新しく友達を作る、ごく普通の事が、羨ましがられるだけの友達しかいなかった自分には、どういうふうに作ればいいのか解らなかった。


妬まれたり僻まれたり、女子の醜い関係も経験したからだ。


No.360 12/06/12 08:13
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


私はそこそこに裕福層の集まる、有名私立高校に入学した。
規則こそ厳しいものだったが、放課後は全く規則など関係無いようだった。


私は入学してから、男女問わず、同級生からも先輩らからも、たくさんの生徒に声をかけられた。


『可愛過ぎ!』
『どこ中なの?』
『彼氏いる?』
『遊び行こうよ!』


整形した外見のおかげで、私はただただビックリした。
やっぱり人間…女は結局顔なんだなあ…


私はたくさんの女友達が出来て、夏休み前には、なんとクラスの女子を仕切っていた。


上に立つって…気持ちいい!!見下すって…やっぱり気持ちいい!!


小学生時代の忘れられない優越感が、再び現れ私を満たしていく。
結局私はこうやって周りから賛美を仰がれる人間なんだわ。

見て。
あんたより脚も腕も細いわ、なのに胸は私のほうがあるわね。
私の顔はあんたたち凡人の中じゃ際立つわよね。
私はまるでお人形よね、バービーやリカちゃんより美人だわ。


あはははは!!!

No.361 12/06/12 22:43
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


(私みたいにレベルが高いと男は不特定多数で仕方ないわよね)


私は高1の夏に、クラスの女子達が憧れている先輩とつきあい、初体験を済ませた。ただ痛くて早く終わりたかった。
けれど心の欲望は満たされていた。


皆が憧れている先輩から告られて、抱かれている私。
バレバレな浮気をする私を心配する先輩。
男のオドオドした表情ったらたまらない。


私は校内から校外から、たくさんの男と同時につきあい、遊びまわった。


パパとママの少ないはずのないお小遣いでも、私の着飾る服や高価な化粧品代には足りなかった。


高3になると、金持ちのおじさんと寝ていた。大金を貢がせ、大量に買い物をさせた。


『留美ちゃんならたくさん彼氏いるよね。』


オヤジとなると、こっちをガキと見なしてる分、いちいちうるさくないし余裕があって詮索しない。
なんとも気持ちのいい関係だった。


そうして私はだんだんと若い男遊びに飽きて、金を持った30代40代ばかりと関係を広げた。

No.362 12/06/13 08:22
優花 ( ♀ 6VhO )

★続★


高3の冬、卒業間近にジンと出会った。34歳で身なりがオシャレ。車も黒の高級車。背が高くキリッとした顔立ち、目はきついが、笑うと目がたれて下がるギャップ、まさに私的にタイプな男だった。


ジンは見た目若々しいから30半ばには見えないし、チヤホヤしてきた今までの彼氏たちやオヤジらとは全く違い、出会ったときからそっけなかった。


この服どう?髪変えたんだけどどう?可愛い?キレイ?


こんな恋愛的会話でも、いんじゃねーので済ます。常に鳴り止まない携帯。大概は女からで、電話相手はいつも会いたがる。今はダメだな、またな。と、サラッと交わす。


この私が隣にいても他にたくさんの女がいるという態度。


『ねえジン!私ジンの中で一番だよね?』


『おまえみたいなんは、はいて捨てるほどいる』


完全に私は弄ばれている。それは気づいていた。ジンはお小遣いをくれるオヤジとは違う。会ってみればホテルに行っただけで、私に貢いだりお小遣いなんてくれなかった。

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