ナナの冒険
遥か昔、人間とドラゴンは仲良く暮らしていた。
ある時、人間とドラゴンは争う事になってしまった。
それは、山に成るたった1本の木の実をどちらが食べるかである。
ただ、それだけの事で人間とドラゴンは争う事になった。
そして戦いの末に人間がドラゴンに勝利した。
ドラゴンは人間に追われ行き場を無くし考えに考えた。
それで見つけたのが姿を消す事だった…。
人間はどうしてこうも愚かなんだろう。
いつか自分の首を絞めて人間自体いなくなるだろう。
気づいて欲しいアナタの周りには人間と別の命がある事を…。
新しいレスの受付は終了しました
ある日学校の帰りに不思議な卵を見つけた。
それは、草むらの所にポツンと転がっていた。
ラグビーのボールほどの大きさで、七色をしていた。
どの位の目玉焼きが出来るのだろう?
辺りを見回したが、巣は無く親になる動物も見つからなかった。
卵を拾ってカバンに入れて家に持って帰る事にした。
家に帰ってカバンから卵を出した。
動物図鑑を開けて見てみるが、一番大きなダチョウの卵よりも大きい事がわかった。
何の卵なんだろう?
卵を暖める事にした。
暖め始めて1週間ほど経ったある日、卵にヒビが入った。
もう少しで産まれるのだ。
殻が落ちた。
中から何かが顔を出した。
キィーキィー
それはトカゲのような顔をしている。
しかし、違うのは背中に羽根があった。
これってもしかしてドラゴン?
そうそれはドラゴンだった。
漫画とか映画なんかでは見た事あるがが、本物を見るのは始めてだ。
ドラゴンは殻破り外に出てきた。
キィーキィー
どうも僕の事を親だと思っているようで、ちょこちょことついて来る。
さて、ドラゴンは何を食べるのだろうか?
トカゲみたいだから虫で良いのか?
>> 1
しかし、ワニだったら肉を食べるだろうし…
台所にある物を取ってドラゴンの前に置いてみた。
すると、ドラゴンは匂いを嗅ぐと何故かクッキーを食べ始めた。
美味そうに食べている。
ドラゴンに名前を付けあげようと考えた。
七色の卵から産まれたと言う事からナナと名付けた。
ナナは日に日に大きくなって来るので家で飼うのは難しくなってきた。
どうしょう?
仕方なくナナを連れて近くの山に向かった。
そこには洞窟があったからそこで飼う事にしたのだった。
餌は相変わらずクッキーなんだが、大丈夫なんだろうか?
とりあえず、ナナを残して帰る事にした。
しかし、ナナは僕から離れない。
どうして付いて来る?
親だと思っているから仕方ない事なんだろうが…。
キィーキィー
頼むからここに居てくれ。
それでもナナは付いて来る。
仕方ないので紐でつないでおく事にした。
キィーキィー
ナナは紐をピンと引っ張って鳴いていた。
ごめんよ、家では飼えないんだよ。
後ろ髪ひかれる思いで、自宅に帰った。
ここから、ナナの冒険が始まる。
>> 2
ある日、少年に拾われた卵からドラゴンが生まれた。
名前をナナとつけられた。
最初は、少年の家で暮らしていたが、日に日に大きくなったナナをどうする事も出来ず洞窟で飼う事にした。
洞窟の中は広かったが、首には紐が繋がれていた。
ナナは紐を引っ張るが返って首が苦しい。
飼い主の少年はすまなそうにしていたが、時間になったのかクッキーを置いてどこかに居なくなった。
ナナは少年の後を追おうとするが、首の紐が苦しい。
キィーキィー
ナナはいつまでも鳴いた。
しかし、少年は帰って来なかった。
ナナは諦めて洞窟の所にちょこんと座った。
辺りを見回すと地面に好物のクッキーを見つけた。
1つ拾い上げるとそれを食べた。
食べていると洞窟の奥で変な声がした。
チュウチュウ
クッキーを食べながらそちらを向くと何かが動いている。
それは岩の陰からこっちを伺っていた。
それは洞窟に住んでいるネズミだった。
ネズミは近くまで寄って来てナナを見上げる。
ナナは初めて見るネズミをジッと見て言った。
『こんにちは。』
『おいおい、俺を食べるなよ。』
ナナがあまりにジッと見るから食べられると思ったのか…
>> 3
そんな事を言った。
『キミは誰?ボクはナナって言うんだよ。』
『お前、本当に俺を食べるなよ!』
ネズミはまだナナの事を疑っていた。
『大丈夫だよ。ボクはこれが大好物さ。』
ナナはクッキーをネズミに見せた。
『…ん?そりゃ人間の食べ物じゃないか!お前はそんな物食べるのか?実は俺も好きだ!甘くって美味しいんだよな…。』
ネズミは思い出したのか涎を垂らした。
『なら君にもあげるよ。』
ナナは1つネズミに渡した。
『お前デカいけど、良い奴だな。あっそうだ。俺の名前はトムスだ。よろしくな!』
『ボクはナナだよ。よろしくね』
『そりゃさっき聞いたよ。』
『そうだったね。あははは…。』
ナナは恥ずかしそうに顔を人差し指でポリポリと掻いた。
『そうだよ。ははは…。』
トムスはナナの脚をペンペンと叩いて笑った。
『ところでナナ、何で首に紐を巻いているんだ?』
『ヒ‥モ…。』
ナナはトムスの姿勢の先を追っかけて見た。それは少年が首に巻いた物だった。
『これの事?』
『そうそうそれの事だよ。』
『分かんない。』
『おいおい…分かんないって自分の事だぞ。それぐらい分かれよ!』
- << 7 トムスは腕を組んでイライラしているのか足先をバタバタさせた。 『だって分からないものは分からないよ。』 『本当にお前と言う奴は…。』 トムスは首を振りながら呆れている。 『それは、お前を繋いでいるみたいだな。お前もしかして人間に飼われているのか?』 『わかんない。でも、ママはクッキーをくれるよ。』 ナナはニッコリと微笑んだ。 『だから、それを飼われていると言うんだ。それにママなんかじゃない。あれは人間だ。自分達の為なら平気で他の動物殺す。よし、俺が噛み切ってやるよ。俺の歯は何でも噛み切れるんだぜ。それでお前は自由だ。』 トムスの自慢げに歯を見せた。 『ちょっと待ってよ。そんな事をしたらママが心配するよ。』 ナナは悲しそうな顔をしてトムスを見つめた。 『ママって……。本当にお前は世間知らずだな。まあ、良い今日の所はそのままにしといておくよ。自由になりたかったら俺に言いな。いつでも噛み切ってやるよ。』 トムスは自慢の歯をまた輝かせた。 『うん、わかった。』 ナナは蔓延の笑みでトムスを見つめた。 『じゃあ、俺はこれで帰るからな。じゃあな!』
>> 4
そんな事を言った。
『キミは誰?ボクはナナって言うんだよ。』
『お前、本当に俺を食べるなよ!』
ネズミはまだナナの事を疑っていた。
…
トムスは腕を組んでイライラしているのか足先をバタバタさせた。
『だって分からないものは分からないよ。』
『本当にお前と言う奴は…。』
トムスは首を振りながら呆れている。
『それは、お前を繋いでいるみたいだな。お前もしかして人間に飼われているのか?』
『わかんない。でも、ママはクッキーをくれるよ。』
ナナはニッコリと微笑んだ。
『だから、それを飼われていると言うんだ。それにママなんかじゃない。あれは人間だ。自分達の為なら平気で他の動物殺す。よし、俺が噛み切ってやるよ。俺の歯は何でも噛み切れるんだぜ。それでお前は自由だ。』
トムスの自慢げに歯を見せた。
『ちょっと待ってよ。そんな事をしたらママが心配するよ。』
ナナは悲しそうな顔をしてトムスを見つめた。
『ママって……。本当にお前は世間知らずだな。まあ、良い今日の所はそのままにしといておくよ。自由になりたかったら俺に言いな。いつでも噛み切ってやるよ。』
トムスは自慢の歯をまた輝かせた。
『うん、わかった。』
ナナは蔓延の笑みでトムスを見つめた。
『じゃあ、俺はこれで帰るからな。じゃあな!』
>> 7
トムスは後ろを向き、手を振りながら洞窟の奥へ消えて言った。ナナは疲れたのか、伏せるように眠った。
ガサガサ……
ナナの近くで何かが動きまわる音がした。それは壁を歩く2匹のムカデだった。
『キミ達は脚がいっぱいあるんだね。』
大きい方が体を持ち上げ、ナナの顔をジッと見ると、頭に近い前2本を組んで言った。
『あのね!この2本は手なの!わかる?こっからが脚!わかった?』
大きいムカデは後ろ何十本ある足を指した。
『うん、わかった。』
何故か、大きいムカデはカリカリしていた。小さいムカデが申し訳なさそうに大きいムカデの横から顔を出した。この2匹はどうも夫婦のようだ。
『ごめんなさいね。彼女は出産前で少しナーバスになっていてね…。』
小さなムカデは頭を掻いている。
『アンタ!!そんな事を言わなくて良いの!!ところでそこのデカいのここで何をしているだい?』
『ママを待っているの。』
ナナはニッコリと笑った。
『ママをねぇ~。ならかなりデカいのだろうね?
『ううん。ボクぐらいだよ。』
『ママだからデカいかと思ったけど、そうでも無いんだね。あっこんな事してられなかった。さあ、アンタ行くわよ!!』
- << 11 『はいはい…。そう言う事なんで。あっ言い忘れてた。私はカデであっちがムデだよ。それじゃ先を急ぐんで…。』 ムデは先を足早に歩いて行く。その後を必死にカデは付いて行った。 『あの2匹仲が良いな。それにしても…ふぁ~眠い…おやすみ…。』 ナナはまた眠りについた。 チチチチ… チュンチュン… 山の向こうから朝日がゆっくり登ってくると鳥達の鳴き声が響いてきた。 『おい、見て見ろよ。このデカい奴。』 近づいて来たのは3羽のスズメだった。 『生きているのか?』 頭の上の羽根がピンと跳ねたスズメがナナの鼻の辺りに羽根をかざした。 『息はあるよん。』 『そうか、羽根でくすぐってやろうか?』 クチバシが白いスズメが笑いながら言った。 『やめなよ。可哀想だよ。』 少し太って寝ぼけた顔のスズメがそう言って止めた。 『…ん?』 周りの騒がしさにナナは目を覚ました。ゆっくりと体を起こそうとしたら、3匹のスズメは驚いて飛び立ち洞窟の近くの木の枝に停まった。 『キミ達何しているの?』 ナナが見上げている枝に3匹は体を寄せ合っていた。 『お前こそなんなんだ?』 クチバシが白いスズメが言った。
>> 8
トムスは後ろを向き、手を振りながら洞窟の奥へ消えて言った。ナナは疲れたのか、伏せるように眠った。
ガサガサ……
ナナの近くで何かが動きま…
『はいはい…。そう言う事なんで。あっ言い忘れてた。私はカデであっちがムデだよ。それじゃ先を急ぐんで…。』
ムデは先を足早に歩いて行く。その後を必死にカデは付いて行った。
『あの2匹仲が良いな。それにしても…ふぁ~眠い…おやすみ…。』
ナナはまた眠りについた。
チチチチ…
チュンチュン…
山の向こうから朝日がゆっくり登ってくると鳥達の鳴き声が響いてきた。
『おい、見て見ろよ。このデカい奴。』
近づいて来たのは3羽のスズメだった。
『生きているのか?』
頭の上の羽根がピンと跳ねたスズメがナナの鼻の辺りに羽根をかざした。
『息はあるよん。』
『そうか、羽根でくすぐってやろうか?』
クチバシが白いスズメが笑いながら言った。
『やめなよ。可哀想だよ。』
少し太って寝ぼけた顔のスズメがそう言って止めた。
『…ん?』
周りの騒がしさにナナは目を覚ました。ゆっくりと体を起こそうとしたら、3匹のスズメは驚いて飛び立ち洞窟の近くの木の枝に停まった。
『キミ達何しているの?』
ナナが見上げている枝に3匹は体を寄せ合っていた。
『お前こそなんなんだ?』
クチバシが白いスズメが言った。
>> 11
『ボクはナナだよ。ママを待っているの。』
『ママって、お前そんなにデカいのに子供なのか?』
3匹は顔を見合いながら驚いた顔をした。
『うん。そうだよ。』
ナナはニッコリと微笑んだ。
『こりゃビックリだよん!』
頭の上の羽根が跳ねたスズメが言う。
『本当にビックリ!』
クチバシが白いスズメが続いて言った。
『腹減った…。』
太ったスズメが言うと残りのスズメが落ちそうになった。
『お前は食い過ぎなんだよ!そんなにブクブク太りやがって!そんなんじゃ捕まって食べられるぞ!』
クチバシの白いスズメが羽根をバタバタさせながら怒っていた。
『ねぇ~お腹空いているなら、これをあげるよ。』
ナナはクッキーをスズメ達に見せた。
『ヤッター!!』
太ったスズメが落ちるようにナナの所に飛んで来た。
『おい、ちょっと待て!』
残りの2匹もナナの前に飛んで来た。
『これは人間の食べ物じゃないか?』
『オレこれ知っている。確か、クッキーって言うだよな。甘くて美味しいんだよ。でも、このままじゃ食べられないな…。』
ナナにとっては小さいのだが、スズメ達には大きすぎた。
『なら、こうしたらどうかな?』
- << 15 ナナがクッキーをパキッと割ると小さな欠片が落ちた。 『これぐらいなら食べられるな。う~ん美味しい。』 太ったスズメが美味そうにクッキーを食べた。残りの2匹はそれを見ながら唾を飲み込んだ。 『キミ達も食べなよ。』 ナナはそう言うと更にクッキーを割り始めた。残り2匹は恐る恐るそれをくわえ食べた。 『う、美味い!!』 3匹は争うようにクッキーを食べた。 『そんなに慌てなくてもまだあるから大丈夫だよ。』 ナナはまた、一枚クッキーを砕いた。スズメ達はそれを美味しそうに食べている。 『ふ~っ喰った喰った。』 クチバシの白いスズメがお腹叩きながら言った。残り2匹はゴロンと寝転がり、同じようにお腹をさすっていた。 『それにしてもお前は良い奴だな。』 『イイヤツ…?』 ナナは頭を捻って尋ねた。 『そりゃなんだ…お前みたいなのを言うんだよ。』 『ボクにはナナって名前があるよ。』 『お前本当に何にも知らないんだな。だからな、俺達にクッキーくれただろう。そう言う事をしてくれるのを良い奴と言うんだ。わかったか?』 『なんとなく…。ところでキミ達の名前は何?』
>> 12
『ボクはナナだよ。ママを待っているの。』
『ママって、お前そんなにデカいのに子供なのか?』
3匹は顔を見合いながら驚いた顔をした。
『…
ナナがクッキーをパキッと割ると小さな欠片が落ちた。
『これぐらいなら食べられるな。う~ん美味しい。』
太ったスズメが美味そうにクッキーを食べた。残りの2匹はそれを見ながら唾を飲み込んだ。
『キミ達も食べなよ。』
ナナはそう言うと更にクッキーを割り始めた。残り2匹は恐る恐るそれをくわえ食べた。
『う、美味い!!』
3匹は争うようにクッキーを食べた。
『そんなに慌てなくてもまだあるから大丈夫だよ。』
ナナはまた、一枚クッキーを砕いた。スズメ達はそれを美味しそうに食べている。
『ふ~っ喰った喰った。』
クチバシの白いスズメがお腹叩きながら言った。残り2匹はゴロンと寝転がり、同じようにお腹をさすっていた。
『それにしてもお前は良い奴だな。』
『イイヤツ…?』
ナナは頭を捻って尋ねた。
『そりゃなんだ…お前みたいなのを言うんだよ。』
『ボクにはナナって名前があるよ。』
『お前本当に何にも知らないんだな。だからな、俺達にクッキーくれただろう。そう言う事をしてくれるのを良い奴と言うんだ。わかったか?』
『なんとなく…。ところでキミ達の名前は何?』
>> 15
クチバシの白いスズメが地面から飛び立ちナナの鼻の上に乗っかった。
『俺はクチバシが白いからシロと呼ばれている。』
シロはクチバシをナナに自慢げに見せた。すると頭の羽根がピンと跳ねたスズメが飛びながら言った。
『オイラがピンだよん。羽根がピンと跳ねているからねん。』
ピンは語尾まで跳ねている。そして最後の地面で満腹で苦しそうにしているスズメが言った。
『ボクはブクだよ。見たとおりブクブク太っているからね。食べ過ぎには気をつけてね。』
『お前が言うな!』
シロがブクを叱り飛ばした。ブクは羽根で顔を掻きながら苦笑いしている。
『キミ達は空を飛べるんだね。』
スズメ達はナナの近くを飛び回った。
『ほら、こんな風に自由自在に飛べるぞ。』
ナナは羨ましそうに眺めた。そして、尋ねた。
『ねぇ~ボクも飛べるかな?』
スズメ達は洞窟の近くの岩に降りると羽根を大きく広げた。
『俺達には羽根があるんだ。お前には羽根が無いから飛べないな。』
『羽根ってもしかしてこれかな?』
ナナは背中を見せると羽根をパタパタとして見せた。
『こりゃ驚いた。お前にも羽根があるんだな。』
>> 16
シロはナナの背中を見て目を丸くして驚いている。
『なら、ボクも飛べるね?』
スズメ達は顔を見合わせて何かを話し合っている。
『それはやってみないとわからないやん。』
『そうだな。やってみないとわからないな。』
『うん、うん。』
3匹はそう言った。
『ナナちょっと羽ばたいてみたらどうだ?』
シロが羽根を羽ばたいて見せた。
『うん。ボクちょっとやってみる。』
ナナはまだ小さな羽根を広げ羽ばたかせた。その羽ばたきで起こった風に3匹は飛ばされた。そして洞窟の壁にへばりついた。
『おい、ナナちょっと止めろ!』
『うわ~止めてくれ。』
ナナは羽ばたくのを止めた。スズメ達は壁からやっと離れる事が出来た。
『ふ~どうなる事かと思った。しかし、まだ無理みたいだな。』
『どうして?』
ナナは分からなかった。羽根を羽ばたかせたら飛べると思ったからだ。しかし、シロは難しい顔をして言った。
『お前はな、大きいがまだ子供ようだな。体にしては羽根が小さいからな。』
『そうか!ボクはまだ子供なんだね。』
ナナは首を背中の方に向け羽根を見た。そしてまたパタパタと動かした。
『ところで、子供って何?』
>> 17
3匹はポカンと口開けたままだった。
『…ん?』
ナナは何故3匹が黙ってしまったのか分からなかった。その後はシロが四苦八苦しながら説明してやっと分かったようだった。
『本当に分かったな?』
『うん。多分…。』
ナナは満面の笑みで3匹を見た。
『まあ、良いよ。毎日教えに来てやるよ。』
『教えに来るよん。』
『うん、うん。』
3匹のスズメはそう言った。
『キミ達は良い奴だね。』
『おっと、分かってきたな。その調子だ。』
ナナは誉められたので照れていた。
『さて、俺達はそろそろ帰ろうかな。また来るよ。それじゃな。』
3匹のスズメは敬礼をすると空高くどこかへ飛んで行った。ブクだけはフラフラと飛んでいた。ナナはそれを羨ましそうに見ていた。あまり上ばかり見ていた性かちょっとフラついた。
『こらっ!!危ないじゃないか!!』
いきなりどこかから怒った声がした。周りを見回すがどこにも姿が無かった。するとまたどこかから声がした。
『どこ見てやがる!下だ下!!』
ナナは下を向き声がする方を見た。そこにはさっきナナが割ったクッキーの欠片を持ったアリがいた。
『あれっキミは誰?』
- << 21 アリはクッキーの欠片を置くと言った。 『ばっきゃろう!名前聞く時は自分から名乗りやがれ!!』 アリは何故か怒鳴っていた。 『あっゴメン。ボクはナナだよ。』 ナナは顔を近づけた。 『おい、こら!あんまり近づくな!お前の鼻息で飛ばされそうだ!』 アリは手を振り回し怒っていた。ナナは普通に呼吸しているのだが、アリにとってはかなりの風になるようだ。 『ごめんなさい。』 ナナは顔を離した。 『よし、それで良い。オレの名前はアントだ。食料調達隊隊長だ。今からこれを持って仲間を呼びに行くんだから邪魔するなよ。』 アントはクッキーを指差して言った。クッキーはアントの5倍はあった。 『キミは凄いね。自分より大きい物を持てるんだね。ボク驚いちゃったよ。』 ナナがそう誉めたのが嬉しいのか、アントは腕を自慢げに見せた。 『辺り前だ。日頃から鍛えているからな。オレが本気を出せば、自分の100倍の物だって持てるんだぞ。』 アントは鼻息混じりにそう言った。 『本当に凄いね。』 ナナはポーズを決めているアントを見ていた。 『あっいけねぇ~。これをみんなに教えに行かなきゃいかん。ナナ、また後でな。忙しい忙しい。』
シュタ
一人の大柄な男が舞い降りた。黒装束の上に鎧を身に付け背には奇妙な形の刀を背負っている。
辺りは漆黒の闇に覆われ小さい街灯の灯りをもとに鉛色の空を見上げると大粒の水が顔を叩き出した。
「チッ!」
男は近くにある洞穴を見つけ雨宿りをしようと中に入った。
…キィー
どこからともなく奇怪な声が聴こえる。男は手を広げ耳に当てると声の主を探した。
……。
キィーキィー
「んっ!?こっちか…」
男は洞穴の奥から聴こえるのが分かるとジリジリと歩を進めた。
キィーキィー
腕に嵌めている電子ライトを灯すとそこには一匹の竜がいた。
「よしよし、何だ腹減ってるのかよ。」 ゴソゴソ
男は腰袋から小腹が空いた時に食べる為のクッキーを取り出し竜に与えた。
キィーキィー
「そうか、美味いか。」
竜の頭を撫でると表情を一変させた。
チャキ
「もう、敵さん来やがったか…じゃあな…」
奇妙な形の刀を鞘から抜くと入り口に急いだ。
ザシュ
ミー兄、新作早ッ💦
😲ヌオッ
応援レスしに来たばい😉頑張って執筆してちょ‼
じゃば👋😁
🐲ワイバーンに乗ってみたいアル🍺より
>> 18
3匹はポカンと口開けたままだった。
『…ん?』
ナナは何故3匹が黙ってしまったのか分からなかった。その後はシロが四苦八苦しながら説明して…
アリはクッキーの欠片を置くと言った。
『ばっきゃろう!名前聞く時は自分から名乗りやがれ!!』
アリは何故か怒鳴っていた。
『あっゴメン。ボクはナナだよ。』
ナナは顔を近づけた。
『おい、こら!あんまり近づくな!お前の鼻息で飛ばされそうだ!』
アリは手を振り回し怒っていた。ナナは普通に呼吸しているのだが、アリにとってはかなりの風になるようだ。
『ごめんなさい。』
ナナは顔を離した。
『よし、それで良い。オレの名前はアントだ。食料調達隊隊長だ。今からこれを持って仲間を呼びに行くんだから邪魔するなよ。』
アントはクッキーを指差して言った。クッキーはアントの5倍はあった。
『キミは凄いね。自分より大きい物を持てるんだね。ボク驚いちゃったよ。』
ナナがそう誉めたのが嬉しいのか、アントは腕を自慢げに見せた。
『辺り前だ。日頃から鍛えているからな。オレが本気を出せば、自分の100倍の物だって持てるんだぞ。』
アントは鼻息混じりにそう言った。
『本当に凄いね。』
ナナはポーズを決めているアントを見ていた。
『あっいけねぇ~。これをみんなに教えに行かなきゃいかん。ナナ、また後でな。忙しい忙しい。』
>> 21
アントはクッキーを担ぎ上げ歩いて行った。ナナは誰も居なくなった洞窟で、石ころを転がしながら遊んでいた。するとさっきクッキーを運んで行ったアントが仲間を連れて帰って来た。
『ようナナ!コイツらが俺の仲間だ。よろしくな。』
よろしく!!!
アントの後ろには数え切れないほどのアリが行列を作っていた。
『よろしくね。』
ナナは微笑んだ。
『お~いみんな!あそこに食料がある!片っ端から持って行ってくれ!』
おぉぉぉーーーっ!!
アリ達の歓声が上がった。アリ達はクッキーの欠片を次から次に運んで行った。10分経っただろうか、地面に散らばっていたクッキーの欠片は全て綺麗になくなっていた。するとアントがナナの前に来て言った。
『さて、これで全部だな。ところでお前はここで何をやってんだ?』
『ボクはここでママを待っているんだ。』
ナナは相変わらずの笑顔でアントを見た。
『ママ…?ママってなんだ?』
『えっアントはママを知らないの?』
ナナは生まれて初めて言葉の意味を聞かれた。
『ああ、知らないな。食べ物か?それなら俺も待とうかな?』
アントはニヤニヤしながらナナを見上げた。
>> 22
『食べ物じゃないよ。えっとね…。』
ナナは説明に困った。どう話したら良いか分からなかったからだ。仕方なく思った事を話す事にした。
『ママはね。ボクを守ってくれるんだよ。それにいつもこれをくれるんだ。』
ナナは手に持ったクッキーを見せた。
『やっぱり食べ物じゃないか!』
アントはクッキーを見て目を輝かせていた。
『お前達は何もわかってないな。』
洞窟の奥から呆れたような声がした。ナナ達がその声の方を見るとそこには最初に出会ったネズミのトムスがいた。トムスはナナ達の方に近づいて来て言った。
『あのな。ママとは俺達を産んでくれて育ててくれるんだ。他にはお母さんとか母ちゃん、マミーななんて言うんだな。まあ、そこに居るアリさんはちょっと違うがな。』
トムスはアントを見て顎の下に手を置いた。
『ああなるほど。ママとはそう言う事だったか。確かに俺達アリは女王が産んで、そして保育所でみんなが協力して育てるからよ。感覚的にはわかったが、それにしてもネズミの旦那は頭が良いね。』
アントは尊敬の眼差しでトムスを見た。ナナも同じように見ていた。
『そう言われると照れるな。だが、まだ旦那じゃないけどな。』
>> 23
トムスは少し笑いがら頭の裏を掻いた。
『俺はトムスだ。君は?』
『オレかい?オレは食料調査隊隊長アントだ。よろしくな旦那。』
アントは敬礼をした。
『だから旦那じゃないって。まあ、そんな事は良いや、よろしくな。ところでナナ…。ママはまだ来ないのか?』
トムスも敬礼するとナナを向いて言った。
『うん、いつもアレがアソコに来ないと来ないよ』
ナナが指差したのは太陽だった。太陽が山のとこまで落ちると来ると言いたかったようだ。いわゆる夕方になったらと言う事だった。以前、少年の家に居たときはいつもそのぐらいに帰って来ていた。
『なるほどね。それならまだ時間があるな。』
トムスは腕を組んで考え込んだ。するとアントが思いついたように言った。
『オレはまだ、仕事があるからこれで失礼するよ。』
アントは頭を下げると頭から出た2本の触角をピコピコ動かしながらどこかへと消えて行った。
『アントは忙しいんだな。あんな小さな体なのにな。』
トムスは頷きながら納得していた。するとナナが言った。
『それならトムスも小さいよ。』
『あははは…。こりゃ1本取られたな。ナナからしたらみんな小さいわな。』
- << 29 トムスは腹を抱えて笑った。ナナには何故笑っているのか分からなかくキョトンとしている。 それから、どれぐらい経っただろうか、2匹はたわいのない話をして時間を過ごしていた。 そして日も傾きかけた頃だった。近くで誰かが、歩いて来る音が聞こえて来た。2匹は洞窟からそっと顔を出すと木々の間から人影が見えた。 それは少年だった。ランドセルをカタカタさせて洞窟に近づいていた。 『あっママだ。ママが来たんだ。』 ナナは生まれて初めて見た少年をママだと思っていた。 『人間だ。ヤバいな俺は帰るぜ。またな!』 トムスは手を振りながら奥に走って行った。ナナはそれを見送ると少年の方を見た。少年はナナを見るなり抱きついた。 『ナナ、寂しく無かったか?ほらっクッキーだよ。』 少年はナナの頭を撫でるとクッキーを見せた。ナナはそれを受け取ると食べた。 『ナナ、この紐苦しくないかい?』 『ママ、大丈夫だよ。』 ナナはそう答えたが、少年にはキィーキィーとしか聞こえていなかった。ナナの仕草を見て少年はわかったようだった。 『ナナごめんね。ひとりぼっちにしちゃって。一緒に居たいけど、家では飼えないんだよ。』
☆今晩わ😊
ほのぼのした作品に、💖が癒されます。(≧▽≦)💕
更新を毎回、楽しみにしてますよ🐱
私の方は 仕事[ビル]💦が忙しくて、なかなか話が進めませんが どういう方向にするかパターンを決めたので、最後まで頑張って書こうと思ってます。
宜しければ、応援してて下さいね🎌
>> 24
トムスは少し笑いがら頭の裏を掻いた。
『俺はトムスだ。君は?』
『オレかい?オレは食料調査隊隊長アントだ。よろしくな旦那。』
アントは…
トムスは腹を抱えて笑った。ナナには何故笑っているのか分からなかくキョトンとしている。
それから、どれぐらい経っただろうか、2匹はたわいのない話をして時間を過ごしていた。
そして日も傾きかけた頃だった。近くで誰かが、歩いて来る音が聞こえて来た。2匹は洞窟からそっと顔を出すと木々の間から人影が見えた。
それは少年だった。ランドセルをカタカタさせて洞窟に近づいていた。
『あっママだ。ママが来たんだ。』
ナナは生まれて初めて見た少年をママだと思っていた。
『人間だ。ヤバいな俺は帰るぜ。またな!』
トムスは手を振りながら奥に走って行った。ナナはそれを見送ると少年の方を見た。少年はナナを見るなり抱きついた。
『ナナ、寂しく無かったか?ほらっクッキーだよ。』
少年はナナの頭を撫でるとクッキーを見せた。ナナはそれを受け取ると食べた。
『ナナ、この紐苦しくないかい?』
『ママ、大丈夫だよ。』
ナナはそう答えたが、少年にはキィーキィーとしか聞こえていなかった。ナナの仕草を見て少年はわかったようだった。
『ナナごめんね。ひとりぼっちにしちゃって。一緒に居たいけど、家では飼えないんだよ。』
>> 29
少年は少し悲しい顔をしてナナに再び抱きついた。ナナは抱きついた少年の顔をペロペロと舐めた。その時ナナは少年の顔がしょっぱい気がした。
『ママ、どうしたの?これは何?』
ナナはそっと指で少年の目から流れ出た涙を触った。ナナにとっては初めて見るものだった。
『ナナもう大丈夫だよ。心配しないでね。』
少年は涙を拭った。そして岩に結んである紐を解くと洞窟の外にナナを連れ出した。
『今日も良い天気だね。ほらっナナ見てごらん青くて綺麗だね。』
少年が指差した空をナナも見上げた。
『うん!!』
やっぱり少年にはキィーと言う声しか聞こえてなかった。しかし、ナナの鳴き声を聞き分けていた。それは、心が通じている証拠でもあった。
『そうか、ナナにも分かるか。』
少年はナナを見て微笑んだ。その時、ナナは空に何かが飛んでいるのに気がついた。それは洞窟の上空をグルグル回っていた。
『ナナどうした?』
少年はずっと空を見ているナナに尋ねた。
キィーキィー
ナナは鳴いたが、少年にはそれは見えていなかった。
『何か見えるのかい?』
しかし、少年には見えなかった。それはあまりに高い所を飛んでいたのである。
>> 30
それと、人には見えない物だったからだ。少年はナナのを撫でると言った。
『さあ、散歩に行こうよ。今日はこっちに行ってみようかな?』
少年は洞窟の左側に広がる森の方に歩き出した。その横をナナはついて歩いていく。
森は広くどこまでも続いていた。その森には、人が作った道があった。
動物が作る獣道とは違っていて、車の行き来がある性か中央が膨らみ左右にはタイヤの跡が出来ていた。その為、まるでトンネルのようだった。
『ナナ、この先には池があるんだよ。』
少年はこの先にある池の事を話し出した。
『休みの日には良く釣りに来るんだよ。こ~んなに大きな魚を釣った事もあるんだよ。』
少年は手を広げて見せた。実際は20cmぐらいの魚であったが、他人に自慢する時は少しオーバーに言ってしまう物である。
『今からちょっと行ってみようか?』
ナナははしゃいで話している少年を見てキィーと答えた。
『うん、行きたい。』
ナナはそう言っていた。
『じゃあ行こう!』
キィーキィー
しばらく歩くと少し開けた所に池があった。見たところ向こう岸まで20mぐらいの池だ。学校にあるプールぐらいの大きさだ。
>> 31
ここは昔から釣りのメッカであり休みの日には釣り人や家族連れで賑わう。その性で道があったのだ。
『ほらっ、ここも綺麗だろう。』
少年はナナにそう言って近くにあった石を拾うと池に向かって投げた。石は水面を滑りながら幾つもの波紋を作った。ナナはそれを見て驚いている。そして少年達は池に近づき水の中を覗いた。池は澄んでいて水中を泳ぐ魚が見えた。
『うわ~ママあれは何?』
そう言いながら水面に手を突っ込んだ。
『ひゃっ冷たい!』
ナナが振り返ると少年が言った。
『ナナ、何やってんだよ。あははは…。』
そうやってナナは少しずつ色んな事を覚えて行った。
ブロロロロ…
車が近づく音がした。
『あっ誰か来た。ナナ隠れて!!』
少年はナナを森の木々に隠そうとするが、ナナは嫌だと抵抗した。そうこうしている内に1人の大人が近づいて来た。
『ボク…1人かい?お父さんかお母さんはいないの?』
人の良さそうな50代のおじさんだった。
『えっえっ…1人だよ。』
少年はナナを隠すようにとっさにそう答えた。
『もうこんな時間だから早くお家に帰らないと暗くなるよ。なんだったら送ってあげようか?』
>> 32
おじさんはニッコリと笑った。少年は母親や先生から言われていた事を思い出した。
「知らない人について行ったらダメ」
だった。
『いっ今から帰る所だから大丈夫だよ。さ…さよなら…。』
少年は逃げるようにその場から離れた。しばらく走り池が見えなくなった辺りで立ち止まった。振り返るがおじさんは追って来る様子は無かった。だが、何か忘れているような気がした。
『あっナナを置いて来ちゃった!!どうしょう?』
少年は悩んだ。ナナをそのままに出来ないし、かと言って池に戻るのも怖かった。少年は決意した。池に戻ってナナを連れて帰らないといけないと…。
少年は今来た道を少し急ぎ足で戻った。するとおじさんが何も無かったように釣りをしていた。少年は気づかれないようにナナを探した。
『あっ!?』
少年は目を疑った。在ることかナナはおじさんの横で釣りを見ていたのだ。それも嬉しそうにしていた。
『ナナ…ナナ…。』
少年は小さな声で呼びかけた。ナナは声に気づいたのか辺りを見渡している。ついでにおじさんまでもが、少年の声に気がつき、後ろを振り向き少年を見つけた。
すると不思議な事におじさんとナナは一緒に少年に向かって来た。
>> 33
『あれっボク!帰ったんじゃなかったのか?それとも道が分からなくなったのか?』
おじさんはしゃがむと心配そうに少年に言った。その横にはナナが立っていた。
『ちょっと忘れ物しただけで…。もう見つかったから今から帰る所。』
少年は怖い性もあり、うつむき加減に答えた。実際に探し物はおじさんの横に居た。
『そうか…それなら早く帰るんだぞ。それじゃ気をつけてな。』
おじさんは少年の頭を撫でた。そして池の方に歩いて行った。
『ナナ、ごめんね。ひとり残したりして…。』
ナナは頭を横に振った。
『ママ、楽しかったから大丈夫だよ。』
少年は一度ナナを抱きしめると洞窟に戻ろうとした。少年は何気におじさんの方を見るとおじさんは大きく手を振っていた。少年は頭を下げると早々にその場から立ち去った。しばらく歩いてから少年は言った。
『ナナ、大丈夫かい?本当にごめんね。』
『ママ、何の事?何故謝っているの?』
ナナには何の事か分かって無かった。ナナにとってはただ単におじさんのやっている事が珍しいだけだった。
『しかし、おじさんはナナに気がつかなかったのかな?』
>> 34
確かにあんなに近くに居たのに、おじさんは少年の事しか言っていなかった。普通ならドラゴンを見て驚かないはずが無かった。
《もしかして…ボクにしか見えていないのかな?》
少年はそんな事を考えていた。ナナを見るが少年にはハッキリ見えていた。
『まあ、良いか!ナナさあ帰ろう。』
少年とナナは洞窟へと鼻歌を歌いながら歩いて帰った。洞窟に着くと岩に紐を結んだ。
『ナナ、ボクもうお家に帰らなきゃ。ひとりで寂しいだろうけど、また明日来るからそれまで待っていてね。クッキーをいっはい持ってくるから。』
少年は手を広げて表現した。ニッコリ笑うと足早に帰って行った。洞窟から顔を出しているナナに手をいつまでも振っていた。少年のランドセルのカタカタ言う音が聞こえなくなった。
『ママ、行っちゃったなぁ…。はぁ…。』
ナナはため息をつくと洞窟の奥にトボトボと歩いて行った。定位置に来るとちょこんと座った。洞窟から見える空がオレンジ色に変わっていた。
『綺麗だなぁ~。』
『おいっ!!』
いきなり後ろから声がした。それはネズミのトムスだった。
『あっキミは!えっと…え~と…。』
>> 35
『おいおい。いい加減名前ぐらい覚えろよ。トムスだ。』
トムスは両手を広げ呆れている。
『トムスこんばんは!』
ナナは何もなかったように笑顔で挨拶をした。
『その笑顔には負けるな。それでお前の言うママはもう帰ったのか?』
『うん、また、明日来るって。』
『お前は呑気だな。』
『ノンキ?』
ナナはまた言葉が分からなかった。
『呑気とはお前の事だよ。あははは…。』
トムスは指差しながら笑っている。
『そんなに笑わなくても。』
ナナは今にも泣き出しそうな顔をした。
『ごめん、ごめん悪かった。しかし、その紐は窮屈…いや、息苦しくないのか?』
『苦しくはないよ。』
『それなら良いけど。その紐の意味分かっているのか?』
トムスは両手を腰に置きながら言った。
『わかんない…。』
『仕方ない。世間知らずのお前に教えてやるよ。それはな、お前をここから逃げないようにしているんだ。人間のわがままだな。お前は自由を奪われているんだよ。わかるか?』
『わかんない。』
『やっぱり…。』
トムスはナナに説明しても無駄だと思った。ナナにとっては全ての事が当たり前の事で、気にはしてないと言う事だ。
>> 36
『でもな。ここを離れて俺んちに行きたいとか思わないか?』
『え~とトムスのお家に行ってみたい。』
『ならば、この紐を外さないと無理なんだよ。分かったか?』
トムスはナナの顔を見た。ナナは顔を近づけて来た。トムスはナナの答えに息を飲んだ。
『わかった。』
『よし、ならこの紐を噛み切ってやるよ。』
トムスは歯を輝かせて紐を噛もうとした。
『トムス、ダメだよ。そんな事をしたらママが心配するから。』
トムスは口を開けたまま、ナナを見た。
『お前だって“分かった”って言ったじゃないか?』
トムスは鼻息も荒く言った。でも、ナナは泣きそうな顔をして答えた。
『ママが心配するのは嫌だもん。』
ナナはついに泣き出した。
『分かった、分かった。分かったから泣くな。』
トムスは残念そうな顔をした。ただ、ここで一つ分かったのは、トムスは心配しているよう見えるが、実はナナの首にかかっている紐を噛みたいだけなんだと言う事だ。ネズミは歯がずっと伸びている為に、常に何か硬い物をかじらないといけないらしいのだ。下手をしたら死んでしまう事もあるらしい。
『もう泣き止んだか?』
>> 37
トムスは泣かしてしまったので心配そうに覗き込んだ。ナナはまだ泣いている。トムスは困り、変な顔したり変な動きをして笑わせようとした。
『ぷっぷっ…わはははは…。トムス変な顔…。わはははは…。』
ナナは指差しながら思いっきり笑っていた。そんなナナを見ていたトムスもつられて笑い出した。
『わはははは…。』
2匹の笑い声が洞窟の中に響いていた。
『さて、ナナも元気になったから帰ろうかな…。』
『あっトムス待って。』
ナナはママから貰ったクッキーを取り出すと手渡した。
『オレにくれるのかい?』
『うん。』
『悪いな。じゃあ遠慮なく貰うよ。それじゃまたな。』
トムスはクッキーをくわえると洞窟の奥に消えて行った。辺りは少しずつ暗くなり、空には星が輝いていた。
『あれは、何だろう?キラキラして綺麗だなぁ~。』
ナナはしばらく星を見ていた。すると何かが飛んでいるのが分かった。
『何だろう?シロさん達かな?』
星空に飛ぶ黒い影。素早い羽根の音と時折聞こえる甲高い声がした。するとそれはナナのいる洞窟に近づいて来て入り口近くの天井に停まった。
『おっそこの奴。新入りか?』
『キミは誰?トムスの友達かな?』
>> 38
その天井に居るのは、見た目はトムスのようにネズミに似ているが、シロ達みたいに羽根もあった。その上、逆さまにぶら下がっていたのであった。
『トムスってあのネズ公の事か?違う、違う。ワシはコウモリのパタだ。お前は?』
パタは少し年配のコウモリのようだ。
『ボクはナナだよ。こんばんは。』
『あっこんばんは。なんか律儀な奴だな。それでそんな所で何しているのかな?』
パタは天井から離れるとナナの近くの洞窟の壁に飛んで来て張り付いた。
『ママを待っているの。』
『ママ?そんな図体してまだ、子供なのか!こりゃビックリだ!』
パタはそう言うとナナの体をジロジロと見た。
『ありゃお主の背中にも羽根があるじゃないか!!もしかしてお主はドラゴンか?』
『ドラゴン?わかんない。』
ナナのいつもの答えだった。パタは壁で頭を捻り考えていた。しばらくすると話し出した。
『これはな、前にワシのじいちゃんが、そのまたじいちゃんのじいちゃんに聞いた話だがな。ドラゴンと言う、とてつもなくデカい生き物がいると聞いた。
見た目はトカゲのようでその背中にはワシらのような羽根を持っていた。いつも自由に空を飛び回っていた。
>> 39
しかし、ある日人間との争いで敗れ、遠くの山に追いやられてしまった。その後、姿を消してしまい見た者がいないと言う事だ。もしかするとお主がそのドラゴンの生き残りかもしれないな。』
ナナはポカーンとした顔でパタを見ていた。
『お主には難しかったかな?』
『うん。良くわかんないや。でも、おじちゃん、ボクはそのドラゴンなの?』
『多分、間違いない。その内、ここの洞窟にも入れなくなるぞ。』
ナナは洞窟を見渡した。
『ボクはそんなに大きくなるの?』
『ドラゴンならそうなるだろうな。』
パタは頷きながら言った。
『凄いや。そんなに大きくなれるんだ。なら、空も飛べるようになるんだね。』
『ああ、ワシのようにな。』
そう言うとパタは辺りを飛び回った。
『早くボクも飛んでみたいな。』
ナナは背中の羽根をパタパタさせた。すると凄い風が起こり煙りが舞い上がった。パタもその風に巻き込まれ飛ばされてしまった。
『おっおい…。羽ばたくのを止めてくれ。』
ナナは振り返って羽ばたくのを止めた。風が急に収まった性でパタはそのまま落ちた。地面に転がった。
『痛たたたた…。酷い目にあった。』
>> 40
パタはお尻を押さえながら立ち上がった。そして羽根に付いた埃を払うと飛び上がり天井にぶら下がった。
『ナナよ。羽ばたく時には周りに気を配れ。いつか誰かが怪我をするぞ。』
『ごめんなさい。ところで気を配るって何?』
ナナは本当に何も知らないのだ。ぺこりと頭を下げる姿は幼かった。やはりまだ子供なのである。
その後、パタがなになに攻撃を喰らったのは言うまでもない。そんなこんなしていると、パタが現れた時と同じように羽ばたく音がいくつも聞こえて来た。
『…ん?息子達が帰って来たようだな。』
そこには何十匹ものコウモリの群れだった。洞窟の入り口近くの空をしばらく、グルグルと回っていた。そして、その中の1匹がナナ達の所に飛んで来て天井にぶら下がった。
『あれっ親父?なんでこんな所に居るんだ?家でゆっくりしといてって言っただろう。もう年なんだから無理するなよ。』
『うるさい!ワシをすぐに年寄り扱いしおって!まだ、ワシも十分に働けるわい!』
パタは息子のコウモリに怒鳴っていた。
『しかし、いつも飛んだ後、息を切らして苦しそうじゃないか!』
『それは、たまたまじゃ。ワシの事はほっとけ。
>> 41
お前らは早く孫達に餌を持って帰れ!!』
『本当にもう…。こうなったらテコでも動かないからな…。わかったよ。あんまり無理しないで早く家に帰れよ。』
コウモリ達は洞窟の中に入り奥の方へと入って行った。コウモリの住処は洞窟の奥にあるのだった。
『うるさい。お前の指図はうけん!』
パタはそう怒鳴っていた。ナナはそれを黙って見ていたが、急にこんな事を言った。
『ねぇ~なんで逆さまにとまっているの?』
もっともな質問である。頭を下にしている訳だから、不思議と言えば不思議な話だ。
『なんだ藪から棒に。なぜ逆さまかって…。う~んそうだな…。習性と言うか…なんと言うか…。まぁこうやっているのが一番安全なんだな。』
パタはぶら下がったままそう説明した。ナナは見上げながら微笑んでいた。
『…ん?ナナとやら分かったのか?』
パタがそう聞くがしばらく黙ったままだった。
『わかんない。』
結局、説明してもまだ分からないナナだった。
『お主ももう少し大きくなったらわかるようようになるだろう。またその時にお話をしよう。さて、ワシも家に帰ろうかな。さらばじゃ。』
パタはそう言うと羽根を広げると洞窟の奥へと飛んで行った。
>> 42
ナナはまたひとりになった。
『ふぁ~なんか眠たくなっちゃった。ムニャムニャ…』
ナナは大きな欠伸をする地面にうつ伏せになり眠った。夜の洞窟は静かで、たまにどこともなく動物の声が聞こえていた。その時、ナナに異変が起こった。
『うぅぅぅぅ…息苦しいよ…。』
ナナは息苦しさに目を覚ました。首にある紐が食い込んでいたのだ。
『なんか苦しいよ。あれっこれはなんだ?』
ナナの体に半透明な物が浮き上がっていた。触ってみるとカサカサしていた。
『そりゃ君の古い皮だよ。』
その声の方を見ると壁に張り付いているトカゲがいた。時折、口から舌をチョロチョロと出していた。
『こんばんは。キミは誰なの?』
トカゲは紐の掛かっている岩にピョンと飛び乗り、ナナを向いて言った。
『私はトカゲのシェンと言います。以後よろしくお願いします。』
見かけに寄らずかなり紳士的な挨拶をした。
『シェンさんか。ボクはナナだよ。よろしくね。』
ナナは寝ぼけた顔であるが笑顔を見せた。
『ところでこれはボクの古い皮なの?』
『そう。それはキミの古い皮さ。成長する時に皮が剥がれ落ちるのさ。それの事を脱皮とも言うんだ。』
>> 43
『だっぴ?』
ナナはまた言葉が分からないのか頭を抱えていた。
『さっきも言ったが古い皮が剥がれ落ちて一回り大きくなる事を言うのさ。見た所キミも私達に近いようだから大人に近づいていると言う事さ。』
ナナはハッとした顔をしてシェンを見た。シェンはどうしたと言う顔をした。
『ボクも大人になるんだね。』
世間知らずのナナでも大人と言う意味は知っていたようだ。
『それで“大人”って何?』
そうでも無かったようだ。なになに攻撃を受けたシェンは説明を始めた。
『大人とはキミが大きくなってキミのママみたいになる事さ。後はキミにはまだ早いようだから言わないけど、そう言う事さ。』
『凄いなぁ~。ボクも大人になるんだぁ~。凄いなぁ~。』
ナナは嬉しそうにしている。しかし、急に苦しそうにした。
『キミ大丈夫かい?首にある紐の性で苦しいのかもしれないね。私が取ってあげよう。』
シェンは紐を伝いナナの首の近くに来て結び目を解こうとするが、シェンと同じぐらいの紐を解く事は出来なかった。
『これは私では無理のようだ。どうしたものか…。』
シェンは考え込んでしまった。ナナはある事を思い出して叫んだ。
>> 44
『トムスさーーーん。助けてーーー。』
すると洞窟の奥から近づいて来る気配がした。
『よっ!!ナナ呼んだか?…ん?どうした、なんか苦しそうだな。』
トムスは右手を上げて挨拶をした。
『おっもしかして紐を噛み切ってくれと言う事か?』
トムスは歯を輝かせた。
『うん。大きくなったんだって。』
『そりゃ生きてる物は日に日に大きくなってくる。さ~てこの紐を噛み切って…。』
そう言いかかけて紐を握って噛みつこうとしたその時だった。
『待って!』
ナナが止めた。トムスは口を開けたままナナを見た。以前も同じ事があった気がする。
『何だよ。噛み切って良いのだろう?またママが心配するか?』
『うん。ママが心配するから…。』
トムスは呆れた感じ言い返した。
『ナナ、お前が死んだらママはもっと心配するし、悲しむぞ。悲しむとは泣く事だ。お前もママが居なくなった時に涙が出ただろう?それが悲しいと言う事だ。』
トムスは両手を腰に置き少し怒り気味に言った。
『うん。悲しむのは嫌だ。』
『そうだろう。だから噛み切ってやる。』
『分かったよ。これを噛み切って。』
ナナは紐を持ってトムスに見せた。
>> 45
トムスはナナの体を駆け上がり、首にある紐に噛みついた。
ガリガリ…
トムスが紐をかじる音が洞窟内に響いた。そしてナナの首から紐が外れた。
『どうだ、もう息苦しくないだろう?』
『うん。もう大丈夫。』
ナナはにっこり微笑んだ。トムスは紐をかじったのが良かったのか、少し歯が短くなっていた。
『ナナ、良かったね。これで息苦しくないね。』
シェンは岩の上で拍手した。ナナもそれを真似して拍手をした。トムスは2匹が拍手しだしたので、つられるように拍手をした。
『これでお前は自由だな。そうだ今からこの洞窟内を案内してやろう。どうだ来るか?』
トムスはそうナナに尋ねた。
『でも~ママが心配するから…。』
『そりゃ大丈夫だよ。いつもの時間までに帰れば良いのさ。これなら心配しないだろう?』
トムスは人差し指を立ててどうだと言う顔をしている。
『そうですよ。そうすれば良いと私も思いますよ。ナナさんそうしましょうよ?』
シェンもトムスの意見に賛成しているのかナナを誘った。
『うん。そうだね。何で今まで気が付かなかったのかな?』
ナナはいつもの笑顔を見せた。トムスとシェンはナナの肩に登った。
>> 46
『それでは、洞窟探検に出発!!』
トムスはナナの肩の上でそう叫びながら、洞窟の奥を指差した。ゆっくりと3匹は洞窟の奥へ歩き出した。しばらく行くとそこにはムカデの夫婦が居た。
『ナナじゃないか。どうしたこんな所まで?』
そう言ったのはカデだった。その横でムデが卵を産んでいた。
『こんばんは。今洞窟を探検しているんだよ。』
『こんな夜中に探検とはねぇ~。気をつけないといけないよ。危険な動物が活動する時間でもあるし、危険な場所もあるからね。』
カデは体を起こし説明してくれた。その横でムデが卵をいっぱい産んでいた。
『危険な動物が居るなら気をつけないといけないね。どうしょう?』
ナナが困った顔をしているとトムスがナナの耳元で言った。
『大丈夫だ。俺が付いているからな。危険な時は俺が言うからさ。』
『うん。分かった。』
ナナはトムスの言葉に勇気を貰ったのか、急に元気になった。
『ナナ、私も居ますよ。』
肩に居るシェンが負けじと言った。
『うん。キミ達が居るから大丈夫だね。』
ナナは両肩の2匹を見てニッコリと笑った。
『まあ気をつける事だな。若者は勇気があって良い良い。』
>> 47
カデはそう言うとムデの方に帰って行った。ナナはまた、洞窟の奥へと歩き出した。
『トムスさんは何故ここに住んでいるの?』
いきなりナナがそんな事を聞いた。
『俺か?俺はな…。』
トムスはここに来た理由を話し出した。
『生まれは、この洞窟では無い遥か遠くの森だ。その時一緒に生まれた兄弟が5匹いた。しかし、家庭が貧しくてな。その日を生きるのも大変だった。
それで俺はみんなを助ける為に食料を探しに旅に出た。だが、それが運の尽き、歩いていた俺を掴み連れ去る奴がいた。トンビの野郎だ。
そこで俺は必死に逃げようとして奴の足に噛みついた。すると掴んだ足が離れ落ちたのが、この洞窟の近くの池だった。
それからさ迷ってたどり着いたのがこの洞窟だったんだ。それから何度となく故郷を探して見たが、未だに見つかってないよ。
今は半分諦めてここに住んで居るって訳さ。こんな所だけど、住めば都だよ。お前達みたいな仲間にも出会えたしな。』
トムスはそう話していると誰かが泣いているのに気が付いた。その声の主はナナだった。
『ナナどうしたんだよ?』
『だって、トムスさん可哀想なんだもん。』
『なんで俺が可哀想なんだ?』
>> 48
『だって、ママや兄弟に会えないんでしょう。だから可哀想だよ。エ~ン。』
ナナは大きな声で泣いていた。
『ナナ泣くなよ。いつかは家族と会えると思っているからさ。』
トムスは腕を組みそんな事を言った。
『ボクなんか少し会えないだけでも寂しいのにトムスは凄いね。』
ナナはまだ泣いていた。
『そんな事はないさ。こうやってナナ達と仲良くなれたから寂しい事はないよ。俺達は友達だからな。』
トムスは照れくさそうに後ろを向いた。
『トモダチ?』
ナナは鼻をすすりながら尋ねた。
『そうだな…友達とは、何でも頼めて裏切らない奴かな。』
ナナは首をひねってはいたが、分かったのか頷いた。
『トムスもシェンもボクの友達だね。』
ナナは涙を拭い笑って見せた。
『ああ、そうだ。友達だ。』
トムスはナナの顔を軽く叩き頷いた。そしてシェンも何も言わず頷いていた。
『それじゃ探検の続き行きますか?』
『おーーー!!』
皆は手を上げて更に洞窟の奥へと進んで行った。洞窟はかなり奥まであるようで先が見えなかった。右側には別の洞窟があった。
『ねぇ~トムスさんこの先には何があるの?』
ナナは肩に居るトムスに聞いた。
>> 49
『この先には滝があるんだ。』
『タキ?』
『説明は難しいな。水が高い所から低い所に落ちている場所だな。ほれっあそこを見な。水が流れているだろう。あれが滝からの水だ。』
トムスは近くに流れている小川を指差した。その小川は右側の洞窟に流れ込んでいた。
『あれはどこまで行くの?』
『こっちの洞窟を流れて外に出て川まで流れている。その後は海と言うバカデカい水溜まりに流れて行くんだ。一度は見てみたいな。』
トムスは目を瞑って何かを想像していた。
『カワとウミ…。ボクも見てみたいな。』
ナナも目を瞑って考えたが、想像が付かなかった。
『それにしても体中がなんか痒いよ。』
ナナは手で体を掻いた。動きが激しい性かトムスが落ちそうになった。シェンは四つん這いになり必死に張り付いていた。
『おいおい、そう動くなよ。落ちるじゃないか。ちょっと止まって俺達を下ろしてくれ。』
ナナは止まるとしゃがみ込んでトムスとシェンを下ろした。
『それは脱皮が最終段階まで来たのかもしれないね。ほらっさっきより捲れているからね。壁にでも擦り付けたら良いさ。』
シェンは脱皮の先輩であるかのように説明した。
- << 54 『うん。分かった。』 ナナはそう言うと洞窟の壁に擦り付けた。すると皮がスルリと剥けた。 『あっ腕の所が剥げたよ。』 洞窟の壁に半透明の皮がついていた。 『残りはもう少しかかりそうだから後からにしよう。』 『うん。分かった。』 ナナは一回り大きくなっていた。脱皮をするようになったのはドラゴンとして青年期に入った事を示した。だが、その事はもう少し後で話すとしよう。 ナナ達は滝を目指し歩いて行った。すると奥から水の落ちる音が聞こえて来た。 ザァーーーッ 『ナナ。あれが滝だ。』 ナナ達の前には大きな壁があり、その中央から水が落ちて滝になっていた。水が落ちた所は池のようになっている。 『あれが、滝なんだね。キラキラして綺麗だね。』 ナナは滝に近づくと池を覗き込んだ。微かにナナの姿が映っていた。洞窟の中だから暗いと思いだろうが、この洞窟には自ら光を放つ光苔と言う苔が、壁一面を覆うように生えていた。その薄明かりの中、滝から落ちる水がキラキラと輝いていた。 『ナナ、水に入るなよ。思ったより冷たいからビックリして死んでしまうぞ。』 トムスがそう言ったが、一足遅かった。
新しいレスの受付は終了しました
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
ゲゲゲの謎 二次創作12レス 124HIT 小説好きさん
-
私の煌めきに魅せられて25レス 247HIT 瑠璃姫
-
✴️子供革命記!✴️13レス 91HIT 読者さん
-
猫さんタヌキさんさくら祭り1レス 54HIT なかお (60代 ♂)
-
少女漫画あるあるの小説www0レス 74HIT 読者さん
-
私の煌めきに魅せられて
「ぉかあさ~ん!お母さーん!どこぉ?」 「玲香、お母さんはもう居ない…(瑠璃姫)
25レス 247HIT 瑠璃姫 -
わたしとアノコ
??? ちょっと何言ってるかわからないにゃん(・・)(小説好きさん0)
171レス 2104HIT 小説好きさん (10代 ♀) -
神社仏閣珍道中・改
(続き) 死後の裁きといえばたいていの人が思い浮かべる方がおられ…(旅人さん0)
222レス 7576HIT 旅人さん -
猫さんタヌキさんさくら祭り
そこで、タヌキさんの太鼓よくたたけるよう、太鼓和尚さんのお住まいのお寺…(なかお)
1レス 54HIT なかお (60代 ♂) -
ゲゲゲの謎 二次創作
「幸せに暮らしてましたか」 彩羽の言葉に、わしは何も言い返せなか…(小説好きさん0)
12レス 124HIT 小説好きさん
-
-
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②4レス 112HIT 小説好きさん
-
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?11レス 124HIT 永遠の3歳
-
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令1レス 126HIT 小説家さん
-
閲覧専用
今を生きる意味78レス 511HIT 旅人さん
-
閲覧専用
黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 950HIT 匿名さん
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 112HIT 小説好きさん -
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 124HIT 永遠の3歳 -
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 126HIT 小説家さん -
閲覧専用
おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1392HIT 檄❗王道劇場です -
閲覧専用
今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 511HIT 旅人さん
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
コンビニ店員、怖い
それは昨日の話 自分は小腹空いたなぁとコンビニに行っておにぎりを選んだ、選んだ具材はツナ おにぎ…
31レス 831HIT 張俊 (10代 男性 ) -
ディズニーの写真見せたら
この前女友達とディズニーに行って来ました。 気になる男友達にこんなLINEをしました。ランドで撮っ…
55レス 1710HIT 片思い中さん (30代 女性 ) -
ピアノが弾けるは天才
楽譜貰っても読めない、それに音色は美しい 自分はドレミファソラシドの鍵盤も分からん なぜ弾けるの
20レス 507HIT おしゃべり好きさん -
既読ついてもう10日返事なし
彼から返事がこなくなって10日になりました。 最後に会った日に送って、1週間後に電話と返事欲しい旨…
24レス 825HIT 一途な恋心さん (20代 女性 ) -
娘がビスコ坊やに似てると言われました
5歳の娘が四代目のビスコ坊やそっくりだと言われてショックです。 これと似てるって言った方も悪意…
19レス 652HIT 匿名さん -
一人ぼっちになったシングル母
シングルマザーです。 昨年の春、上の子が就職で家を出て独り立ちし、この春下の子も就職で家を出ました…
12レス 307HIT 匿名さん - もっと見る