注目の話題
元旦那とディズニー旅行に行くシングルマザーの彼女
ゴールデンウィークって大事な行事ですか?
家を綺麗にしたいんです。

葛藤

レス212 HIT数 36294 あ+ あ-

匿名
14/03/23 08:10(更新日時)

Everlasting Love.



あの日から…
5回目の夏が来る



今もまだ
あたしの横には
スヤスヤと眠るこの男がいる







13/07/19 02:13 追記
●以前、書いていた
「Everlasting Love」の続編です。

14/03/23 08:10 追記



『葛藤』
続きはこちらです ↓↓↓↓↓ m(_ _)m
http://mikle.jp/viewthread/2074669/

No.1975394 13/07/16 02:58(スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.51 13/08/31 22:30
匿名0 

>> 50



興奮してたんだろう。
織田さんは3回目に言った時
「監視」を「監督」と誤って送ってきた。



その後、
「どうしたいんだ?
この先、どんな形の2人なんだ?」




返事なんて出来ない。
そこまで言われたら、言い返す言葉すら見つからない。



「織田さんは?」




「そりゃ今まで通り+少し距離を置きたい。
少しね」




距離を置きたい。
距離を置く…って…何?



今まで通りなのに距離を置く…って何?
織田さんから「距離を置こう」なんて言われたのは初めてだった。



その次の日から5日間、夏休みに入った。
5年記念日まで あと2週間。
私が精一杯、返せた返事は




「記念日は逢おうね」
だった。
もうこの段階で
私の中では「終わり」を決めていた。
それくらいショックだった。




織田さんの返事は
「そうだね
着いたよ。また月曜日ね」




そっけない返事だった。
その時から6日間、私はずーっと仕事を探していた。終わりなんだな………と思ったから。



だって私には今まで通りだけど
距離を置く。なんて出来ないもん。



No.52 13/08/31 22:55
匿名0 

>> 51



あらゆる求人アプリをインストールし
求人雑誌をかき集め、ずっと仕事を探してた。



1つのアプリに私が1年ちょっとで辞めた店が載っていた。大好きだった仕事も人材が足りず、今すぐにでも人が欲しい…と。
給料体制も福利厚生も私がいた時より良くなっていた。



よし…仕事は本気で探せばどうにかなりそうだ。
私の中で計画を立てた。
別れるなら1日でも早く仕事を辞めたい。
だって…まだ好きなのに同じ場所にいたら辛い。
忘れられないし、泣きたくなる事だっていっぱいあるはず。



耐えられるほど私は強くない。
休み明け、すぐに話をしに行かなければ
最低「1ヶ月前」は続けなきゃいけない期間が伸びてしまう。



織田さんが言った「本心」は
私の胸を思いっきりぶっ刺した。
刺された傷口は織田さんの予想以上に深かった。




私の夏休み5日間は
休息どころか、引きこもりで食事も出来ないほど
どんよりした夏休みになった。




夏休み最終日の夕方。
休みの間はめったにないはずなのに織田さんからメールが来た。



メールを見るのさえ怖かった。



No.53 13/08/31 23:51
匿名0 

>> 52


「今日、携帯変えるね(○´∀`○)」





そこには笑顔の絵文字が付いていた。
ずっと携帯の調子が悪い 早く替えたい!とは言っていたけど…



なんで笑顔の絵文字なの?
まるで何事もなかったかのように。




「楽しみだね(*´∀`)」
あえて私も笑顔で返した。




「織田さん!決めたよ(^_^)v」




「何を?(*゚д゚*)」





「5年記念日の極秘お揃いプレゼント☆」




「今後、どんな形の2人か!」
私のメールと
「すげー( ´艸`)ビックリした(>_<)」
織田さんのメールが重なった。



「明日、話に行きます」



「辞めるのか?」




「辞めない限り、私の監視は治らない。
私がいないのが織田さんの為には1番いいと思った」




「ダメだ!呼ばれちゃったから、また連絡する!」




返事はしなかった。
付け足して
「カミサンも来るって言うから、また連絡するからね」



もうこの日は連絡が来ない事など分かっていた。




以前の織田さんの言葉を次々と思い出していた。
「俺のわがままも
凛がいつでも許してくれて
好きだって言ってくれる。
どんなに喧嘩しても
絶対に別れないと
どこかで安心しきってる。
俺はきっと甘えてるんだ。
最後にフラれて気づくんだろうね…
凛の大事さを…」





私たちは似ている部分が多い。
ヤキモチもこんな似たり寄ったりの事を言い合うのも…。



だら5年も続いたんだろう。
今回こそは揺るがない決心をしなきゃ!
と思いながらも
次の朝、織田さんがどんな事を言うのか不安でいる私もいた。



これだけ傷ついても
嫌いになれないのはなんでだろう。
憎めない。恨めない。嫌えない。



いっそ嫌いになれたら どんなに楽か………。



そっか!
嫌いになれないならいっそ
思い切りトコトン嫌われたらいいんだ…!




  • << 55 長かったような 短かったような夏休みが終わった。 次の朝、織田さんからはいつものように 「おはよ。寝坊した(*_*;」 と、メールが来た。 あえて本題から入らないのが織田さんらしい。 だから私も普通に 「あらま(^-^; おはよー!」 と返した。 メールが来たのが遅かったため、私はもうすぐ会社に着く。 「2番手だね?( ´艸`)」 「そうだけど、もちろん、女性初です(+。+)」 多分、会社に連絡を入れた後だと思い 新携帯になって2番手だね?と聞いた。 至って普通の会話。 「携帯…何色?黒でしょ?( ´艸`)」 「黒!凛のに似てるo(^-^)」 「嬉しい!早く見たいな」 「そろそろ着くね! 凛、辞めんなよ!じゃ、あとでね」 辞めんなよ……… 分かってる。 織田さんはいつも分かってる。 私がとる行動を。 そして、私は決めたら決行する性格なことも。 こんなにウダウダ悩むのは、織田さんの事くらい。 ほんのり目がジワッときたけど 「決めた事だから!」と言う意志は強かった。 同じ部屋にいる間は他の人の目を気にして普段ならメールはしない。でも夕方になって珍しくメールが来た。 「俺、夕方から外出るからね(゚o゚;」 逃げるつもりだ。 「辞める」と言う時は、織田さんに言うのが原則。今までの人は皆、織田さんに言っている。 「わかった」 今日じゃなくても明日、言おう。 そう思った。 どこかで私も… まだ迷いがあったんだろう………。 定時が近づいた。 ふと見ると、織田さんはいた(*゚ロ゚) さて、どうする?  ………凛。

No.54 13/09/01 05:41
匿名0 

>> 53



【訂正】



だら⇨だから



誤字がありました。
すみません。



No.55 13/09/02 01:26
匿名0 

>> 53 「今日、携帯変えるね(○´∀`○)」 そこには笑顔の絵文字が付いていた。 ずっと携帯の調子が悪い 早く替…



長かったような
短かったような夏休みが終わった。



次の朝、織田さんからはいつものように
「おはよ。寝坊した(*_*;」
と、メールが来た。



あえて本題から入らないのが織田さんらしい。
だから私も普通に
「あらま(^-^; おはよー!」
と返した。



メールが来たのが遅かったため、私はもうすぐ会社に着く。
「2番手だね?( ´艸`)」




「そうだけど、もちろん、女性初です(+。+)」



多分、会社に連絡を入れた後だと思い
新携帯になって2番手だね?と聞いた。
至って普通の会話。



「携帯…何色?黒でしょ?( ´艸`)」




「黒!凛のに似てるo(^-^)」




「嬉しい!早く見たいな」




「そろそろ着くね!
凛、辞めんなよ!じゃ、あとでね」




辞めんなよ………



分かってる。
織田さんはいつも分かってる。
私がとる行動を。
そして、私は決めたら決行する性格なことも。
こんなにウダウダ悩むのは、織田さんの事くらい。



ほんのり目がジワッときたけど
「決めた事だから!」と言う意志は強かった。




同じ部屋にいる間は他の人の目を気にして普段ならメールはしない。でも夕方になって珍しくメールが来た。



「俺、夕方から外出るからね(゚o゚;」




逃げるつもりだ。
「辞める」と言う時は、織田さんに言うのが原則。今までの人は皆、織田さんに言っている。




「わかった」




今日じゃなくても明日、言おう。
そう思った。
どこかで私も…
まだ迷いがあったんだろう………。




定時が近づいた。
ふと見ると、織田さんはいた(*゚ロ゚)




さて、どうする? 
………凛。



No.56 13/09/02 01:57
匿名0 

>> 55



休みの間、智恵が言った。
「私はね、白黒ハッキリさせないとダメなタイプだから!別れる=辞める。
だけどね、凛。
辞める=別れない。って言う選択肢もアリだと思うよ」



場所が変われば、気持ちも落ち着くかもしれないし。…別に、別れる=辞めない。だっていい。
別れない=辞めない。だっていい。
今すぐ決めなくたっていいじゃない!
凛だって、仕事始まって織田さんの顔見たら…気持ち変わるかもしれないよ?
織田さんだって「言い過ぎた」って反省してるかもしれない。
ちゃんと話し合ってから決めても遅くはないはずだよ?





でも、それでも
織田さんが吐き出した言葉は普段から溜まっていた言葉のように感じた。
私と織田さんの違いは
私は思った事をすぐ口にするけど
織田さんはメールでさえ、言葉を1つ1つ選んで話す人。



あまり感情を剥き出しにして突発的に怒る人じゃない。そんな人が言った言葉だもん…。
ずーっと我慢してたんだよ、きっと。




定時のチャイムが鳴った。
織田さんがたまたま私の斜め前を通りかかった。



チラッとこっちを見た。
得意気に
「聞きませんよーだ!(-。-)y-゚゚゚」
って顔をした。




思わず 「ぷっ( ´艸`)」
と笑ってしまいたくなるような顔。




私が立って織田さんに近づいていくと
その得意気な顔は瞬時に不安げな顔に変わった。




「織田さん………」




No.57 13/09/03 01:56
匿名0 

>> 56


「話したい事があるんですが、
少し時間作って頂けますか?」





ちょっと怒ってる様にも見えたが寂しげな顔にも見えた。




「あっ!俺、これからお得意さんとこ行かなきゃいけないんだ。…急ぎ?」





「出来れば。待ってます」



「遅くなるかもしれないから…
あんまり遅くなるようだったら連絡するから…
そしたら明日でもいいかな?」



「分かりました」




廊下に出て話したから、この会話には誰も気づいていない。私は席に戻り、普通に仕事をしながら帰りを待つ事にした。



すると、すぐに携帯が鳴った。
「凛…辞めるな。
今日は帰れ」



小さなため息が出た。
「わかった」



私だって…
出来ることなら織田さんのそばにいたい。
好きなのに、離れたくなんかない。




でもね…
時々、苦しくなって
逃げ出したくなる時があるの。



きっとね…
織田さんに
「もうお前とは無理だ!」
って言われない限り
私はこの葛藤を繰り返す。




織田さんが引き止めず
「はい。分かりました」
って退職願を受理してくれたら………



私たちは



終わる。




後悔するかもしれない。
分からないけど、
織田さんは私がいないほうが




なにもかも楽になる。





監視、されずに
縛られずに
重たい荷物を背負わずに



毎日、好きな人たちと飲んで
誰とイチャイチャしても文句も言われない。




監視されることに疲れたなら
楽な道を選べばいい。
自由を望むなら
自由になればいい。




距離を置いたって
私は変われない。



No.58 13/09/09 23:48
匿名0 

>> 57


その夜、いつもより早くメールが来た。




「今○○行って帰り道。バス待ち!
何してる?」




「ボーッと色々考えてた」




「出て来れるの?」




「出れるよ」




「じゃあ1時間だけ飲み行くか!」





「………うん」




織田さんに言われた言葉が胸に焼き付いていて
なんとなく不安だった。




絶対、泣かない。
質問もしない。




もう………
笑える自信がない。




織田さんは今、何を思ってるんだろう…。
喧嘩のあとは
だいたい逢う。
そして仲直りする。
今までのパターン。





今までの喧嘩と同じ感覚?
「また始まった…」くらいの感覚?




確かに私は「辞める」「別れる」を何度も言ってきた。その時は本当にそう思って言っている。




でも…
今までより
ずっとずーっと
真剣だった。




別れたいんじゃない。





考え方の違いと
私に求めているものが見えた気がしたんだ。
本当の織田さんの気持ちが…




ハッキリ分かった気がした。




そこにはムッとした顔をした織田さんが待っていた。



No.59 13/09/10 01:06
匿名0 

>> 58



言葉を交わすことなく、いつもの店に入る。
慣れたようにビールとウーロン茶を頼む織田さん。
つまみも決まっている。




飲み物が来るとやっと



「お疲れさん!」




初めに口を開いたのは織田さんだった。




「お疲れ様!何買ってきたの?」




出来るだけ普通に…。
普通の会話をした。




「携帯のカバーとフィルム!
凛、見たいって言ってたから見せたかった」




「あっ!見せて( ´艸`)」




………笑えない。
と、思ってたはずが………




自然に笑っていた。




織田さんは、そんな私をジーっと見ていた。
「これさ、充電すごい持つんだ!で、………」
嬉しそうに携帯の事を話している。




今度は私がそんな嬉しそうに話す織田さんを見ていた。




今日はなんの為に逢ったんだろう…。
1時間と言われたから、私は時間が気になり




「織田さん。時間!…1時間…」




無言のまま何か考えている。




だよね…。
本題に…入れてないもんね…。




切り出しにくいよね…。





本当は聞きたい事はいっぱいあった。
飲み会の話も状況を聞きたかったし
距離を置くって具体的にどういう事なのか、とか。




でも「質問攻め」と言われたから
私はあえて何も聞かずにいた。




喧嘩のことに触れたら
泣きそうだから…。
私は何も言わずにいた。




「出よっか」




織田さんも触れてこない。




「うん。携帯見せてくれてありがとう」




駅まで歩いた。
どちらも無言のまま。




2人で歩く時も少しだけ先を織田さんが歩く。
私は織田さんの後ろを歩く。
その後ろ姿がどことなく寂しそうに見えた。




織田さんは何を考えて歩いてるんだろう。





今日、別れ際 私は何を言われるんだろう。




辞める。
別れる。




そう決めたのは私なのに…
やっぱり逢うと「別れよう」と言われるのは怖かった。





織田さん…。
織田さんは私といて幸せでしたか?





私といた5年間を後悔していませんか?





こんな私でも
織田さんの心に
「いい思い出」として残ることが出来ますか?




別れることがこんなにも辛いと
思ってもいなかった5年前の夏。




はしゃぎすぎた夏。
そしてー
苦しくて辛すぎる夏。





夏に始まって
夏で終わる恋。




どんなに辛くても、
私はあなたに出逢えて幸せでした。




ずっとずーっと一緒にいたかった。




私はそんな事を考えながら歩いていた。




No.60 13/09/10 01:47
匿名0 

>> 59



5年記念日まで、あと1週間。
お揃いのプレゼントは渡せないまま。
楽しみだった記念日。
本当は笑っていたかった記念日。




「ありがとう」と「ごめんね」を
いっぱい織田さんに言いたい。




こんな事を考えていたら…
泣かない!って決めたはずなのに
泣き虫な私は、また勝手に涙がジワーッと沸いてくる。





駅に着いた。
私は溢れでそうな涙を必死にこらえた。





「凛を泣かせるのが1番辛い」
と、よく織田さんは言っていた。




でも最後は
「何かあると泣くだろ!もう、うんざりだ」
と、言われた。




どちらにしても
私が泣く事が織田さんには嫌な事だったんだ。
だから…
泣いちゃいけない!



少し上を見上げて、涙をひっこめて
「織田さん!」と呼んだ。





「駅着いたよ。
……………バイバイ」
 




バイバイ…。 





頑張って、
少しだけ笑って見せた。





「バイバイ…
今まで、ありがとう!」





言えた。





けど、
ごめん。





やっぱり…
どうしても
どう頑張っても






涙が流れた。





「…ごめん」
最後まで泣いてごめん。





私の人生は
振られてばかりの人生だった。
「バイバイ」って言うことは
こんなにも辛いんだね。





もっともっと言いたいことはいっぱいあった。
伝えたいことはいっぱいあった。




でも…
これ以上 言ったら、もっと泣く。




私には、
これが精一杯の
「バイバイ」だった。



No.61 13/09/12 02:23
匿名0 

>> 60



織田さんは歩き出す。
改札口ではない。
タクシー乗り場へ………。




そして、私を見た。
「乗れ」と………。




私もタクシーに乗ると手を繋いでくれた。
無言のまま。
前を向いたまま。




2人きりになると織田さんが話し始めた。





「俺はさ…
別れた後のことをたまに考える。
別れても、たまには会えるのかな?
蓮の父親みたいに…申請したら、たまには会ってもらえるのかな…って」





驚いた。




「申請ってなに?」



「○○日、会ってもらえますか?
って申請したら、会えるのかな…って…」




思わず笑ってしまった。




「それじゃ、別れた意味ないじゃない!
別れたら…一切、連絡も取れないんだよ」




「え?(゚o゚;
ライン位は出来るじゃん」




「別れたら…アドレスは消す。
だからラインも無理。凛携帯も返してもらうから…連絡は不可能になるよ」




「………凛携帯って…返すの?(>_<)」





「だって持ってる意味ないじゃない!」




「…写真がある」




「全て消去、だよ」




織田さんは
「別れない」と言った。




今から思えば、
織田さんも疲れていたんだろう。
私は周りに何も言われないが
織田さんばかりが周りから言われて…
疑われて、勘ぐられて、なにかあるとネタ的に指摘されて…



私に言った
「監視」の意味も
きっと私からだけじゃなく、周りから見られてる事も含め、「監視されてる」ように思ってたんだろう。




私も織田さんも
色々悩んでも結局、最後は
「別れたくない」と言う結論に辿り着く。



私だって どれだけ悩んで 泣いて 傷ついて 
「別れよう」って決めても
好きだから、
ただ好きだから、




そう簡単には別れられない。
そうして何度も繰り返す。




別れよう。
いや、別れない。




どれだけ苦しんだら終わりが来るんだろう。
織田さんは辛くないの?



  • << 64 それから一週間が経ち、また喧嘩になる。 織田さんは「バレない為には会社では割り切って欲しい」と。 その日から、朝と帰り道のみメールするのが続く。1日2回しかメール出来ない日もある。 もちろん会社では一切、絡まない。 そんな時でさえ、他の人とはゲラゲラ笑ってたり一服したり飲みに行ったり…。 バレて終わるのが一番イヤな終わり方だから、と織田さんは言った。 バレたら終わる。 そんな事は分かってる。 「俺は、別れたくないし 諦めたくない。 何が悲しくて人に左右されなきゃなんないんだ」 でもね… バレない為に悲しいことも 辛いことも我慢し続けてく内に 私の心が潰されていく。 嫌な事も目の当たりに見えて 悲しいこともすぐ耳に入る。 ごめんね…。 バレないように頑張ってる織田さんに対して 私は心が折れそうで 我慢は限界に達した。 「不倫」………。 どれだけ綺麗事を言っても、してはいけない事。 一緒にいられた5年間は幸せだったけど 傷つく事もたくさんあった。 5年記念日に 「さよなら」をプレゼントします。 これからは、 お互い見えない場所で 二度と同じ過ちを繰り返さぬように… 織田さんが 失うものがない内に 私はあなたの前から消えます。 Everlasting Love. 初めから分かってたけど 叶うことのなかった「永遠の愛」。

No.62 13/09/12 21:22
旅人62 

この話にオチはあるんですか?
結末までずっとこの調子でしょうか?

No.63 13/09/13 00:43
匿名0 

>> 62


旅人62さん



これが、私の捌け口になってるので
ダラダラ書いてすみません。


もう少しダラダラ続きます。
近いうちに完結しますが、まだダラダラこの調子です。


板違いになってしまいましたね。
日記として書くべきでした。


せっかく読んで頂いてるのに
こんな感じですみません。


No.64 13/09/13 01:20
匿名0 

>> 61 織田さんは歩き出す。 改札口ではない。 タクシー乗り場へ………。 そして、私を見た。 「乗れ」と………

それから一週間が経ち、また喧嘩になる。
織田さんは「バレない為には会社では割り切って欲しい」と。




その日から、朝と帰り道のみメールするのが続く。1日2回しかメール出来ない日もある。
もちろん会社では一切、絡まない。




そんな時でさえ、他の人とはゲラゲラ笑ってたり一服したり飲みに行ったり…。




バレて終わるのが一番イヤな終わり方だから、と織田さんは言った。




バレたら終わる。
そんな事は分かってる。




「俺は、別れたくないし
諦めたくない。
何が悲しくて人に左右されなきゃなんないんだ」





でもね…




バレない為に悲しいことも
辛いことも我慢し続けてく内に
私の心が潰されていく。




嫌な事も目の当たりに見えて
悲しいこともすぐ耳に入る。




ごめんね…。
バレないように頑張ってる織田さんに対して
私は心が折れそうで
我慢は限界に達した。




「不倫」………。
どれだけ綺麗事を言っても、してはいけない事。



一緒にいられた5年間は幸せだったけど
傷つく事もたくさんあった。




5年記念日に
「さよなら」をプレゼントします。




これからは、
お互い見えない場所で
二度と同じ過ちを繰り返さぬように…




織田さんが
失うものがない内に
私はあなたの前から消えます。




Everlasting Love.
初めから分かってたけど
叶うことのなかった「永遠の愛」。









No.65 13/09/13 01:28
匿名0 

>> 64




今まで読んでくださった方々。
くだらない話にお付き合いして頂いて
ありがとうございました!




ちょっと無理やりですが
終わりにします。



No.66 13/09/25 02:24
匿名0 




ーその後ー





「凛は、別れたら荒れるんだろうな…」





辞めると決まっても1ヵ月間はここに来なければならない。



毎朝、憂鬱で
帰り道は辛くて
毎日のように「バックレられたら楽なのに…」なんて考えていた。




さて、
どうするよ?凛さん。




毎日のようにメールしてた時間。
織田さんの帰りを待っていた時間。
何かに没頭出来たら忘れられるのかな?
何も考えずにいられるのかな?




隣りでゲームに夢中になってる蓮の画面を見ながら、ただそんな事を考える日々。




なんかないかな…。
友達と言っても、この歳になればみんな主婦で
まだ出産したばかりの子もいる。
そんな私の都合で毎回毎回、呼び出せない。




もともと私は不器用で
自分の気持ちなんてコントロール出来ない。
夢中になると「その事」だけで一杯一杯になる。



サイトたるものは卒業したつもりだったが
私は友達の会話を思い出し あるサイトに登録した。




そこには、知ってる友達が何人もいた。
それ系のサイトはお手の物で、すぐに使いこなせると思っていたが………。




意外と難しくて登録して友達が何人も出来たのはいいが…やり方が理解出来ず何も出来ない私。



これの何が楽しいんだろう。
暇つぶしにすらならなかった。




ただ、これがまた問題を引き起こす種になる。






No.67 13/09/25 02:49
匿名0 

>> 66



その日 私は残業で会社にはもう数名しか人がいなくて部屋の中は静かだった。
私は会社にいるのが辛くて黙々と仕事をしていた。ここに織田さんもいる。




その時 1人の先輩が
「中川さん○○やってんの?」



その声は部屋中に響いた。



織田さんはそう言ったサイト系をやるのも嫌がっていた。




気まずい…。





会社関係の人は一切、私の中身を見れないように設定したつもりなのに、何故?




「あ…はい。始めたばかりで何もやってないんですが登録だけしてます」




「私のとこに『招待メール』がきたよ(笑)
私そういうの疎くて(^-^; どうしたらいい?」




あ…
そういう事か!
そんなメールまで行っちゃうのか。
面倒臭ッ!





「すみません。無視してください」





「わかったo(^-^)」




織田さんにも聞こえてる会話。
顔を見ることさえ出来ないけど
きっと不愉快だろうな…。




面倒くさいから退会しようか迷ったが
もう少しこのままでいようと思った。




この頃の私は必要以上に誰とも絡まず
ただ黙々と仕事をしていた。
「楽しい」とか「腹の底から笑う」なんていう感情はすでになくなっていた。




今思えば、私の耳の異常もこの頃から始まった。





そして次の日………。



No.68 13/09/26 21:22
匿名0 

>> 67



この日は休みで、ボケっとしながら私は何気なくそのサイトを開く。




パッと目に入ってきた!




織田さん…





登録してたんだ…?


と、同時に視界に入ってきた ある人。
織田さんの「友達」に奥さんがいる。


私達の共通の友達とも1人友達になっている。





なぁんだ…私にはダメって言いつつ自分はやってたんだ…。




あれ?
これ…
登録日、昨日だ!




昨日…。



あの会話を聞いてて気になって登録したのだろうか。



私は奥さんをブロックした。



そして、その夜 仲良しの沙織からメールがきた。
「ねぇねぇ凛ちゃん!織田さんも○○始めたよ( ´艸`)
友達申請したら承認してくれた!
凛ちゃんもしなよぉ!!」




「え…いいよ。面倒くさい」




ちょっと待って!
そんな私と共通の友達作ると、私の顔もホームも奥さんに見られるよ!?



伝える術はなく諦めた。



と、友達からメッセージがきた。



「これはさ…誰からも見れないの?」




「見えないよ!メールと同じ!」




そっか!
これなら伝えられるかな!!
私は試しに「!」と、だけ入れてみた。




返事など来るはずがない。



「休みの日のメール」
ルール違反。



でも早く伝えたかった。



休み中メールはなく
休み明けにメールがきた。




久々のメール。




メールを開くと…………




No.69 13/09/28 01:57
匿名0 

>> 68


「○○あれ、どういうつもり?」




「私の友達とやたらと友達になるとマズいよ!って伝えたかった」




「わざわざ休みの日にすることか?
バレたぞ!ウチのに!」





バレた。




またか…。
最近、二言目には「バレる」「バレた」




「ごめんなさい」




それ以上、メールは返さなかった。
まだ、仕事上で必要だから携帯はそのままにしなければならなかった。





以前は優しかった織田さん。
私がブリブリ怒っても優しかった織田さん。




いつからか逆転した。
私への「不満」が爆発したかのように。




昔、テレビで
その人は寝る前に「好きなところ」を100個答えさせてから寝るのが日課、だと言うのを見て
喧嘩すると100はさすがに多すぎるから
10個言い合う!なんて事もよくしてた。



10個なんて、お互いにスラスラ言えたよね…。
あの頃は。




今は?



もう織田さんの口からは、1つも出てこないんじゃないかな。




そして私も、言える内容はもう以前とは違うだろう。




職場に向かう足が重くて重くて仕方なかった。




同じ空間にいる事すら嬉しかった以前とは違い、この空間がたまらなく切なくなった。




それでも、ふと織田さんを見ると
何事もなかったかの様に普通…いや…普通より
やけに他の女と絡む。


まるで私への当て付けのように。




不器用な織田さん。
いつからそんなに器用になったの?




優しかった織田さんが冷たくしか感じられなくなっていく。




そして、私は会社を出ると1日我慢してたものが毎日のように景色を滲ませる。





これが私がしてきた事の罰なんだろう………。



No.70 13/09/28 02:34
匿名0 

>> 69



その晩、久しぶりに智恵からメールが来た。



「凛、元気にしてるの?
連絡が来ない、って事は『上手くいってる証拠』だと思ってんだけど。
あんまり連絡こないと逆に心配!」





ありがとう、智恵。
絶妙なタイミング!




「元気だよ!
あんまり智恵にばっかり甘えてちゃいけないと思って連絡しなかった。
相変わらず、だよ」




「これから飲み行かない?」




「行こッ!」




色々、話してると智恵が言った。
どんな時でも、見守ってくれてた智恵が初めて口にした。





「凛…。
別れなよ。
まーちゃんも心配してたよ!
凛なら、もっといい男いくらでも出来るのに!
って」





「うん…」





「凛、ちゃんと食べてるの?
織田さんと付き合って少しふっくらしてホッとしたけど、また痩せちゃったじゃん」




「食欲がない
あとね…関係ないとは思うんだけど…
耳が聞こえにくいの。右の耳。
貧血はもともとだけど、たまにめまい
痩せたから、かな」





「ストレスじゃないの?
凛…もう1度だけ言わせて。
別れな」




明日は私達の
5年記念日。




「記念日は逢いたい」




「約束だ(*´∀`)」




もうきっと、
織田さんは記念日だって事すら忘れてるに違いない。




「凛さ、前は痩せすぎると顔がキツく見えたけど、今の凛…やつれて見える。
決して幸せな人の顔じゃない」




どこまでも
どこまでも…優柔不断な私。
情けない。


No.71 13/10/02 00:20
匿名0 

>> 70


私は今年の誕生日を思い出していた。




奥さんは私の誕生日も分かっていて
これまでお互いの誕生日に逢えた事はない。
当たり前のように誕生日は逢えないと思っていた。



今年は、忙しい織田さんの様子から
プレゼントなんて買う暇がないのも分かっていた。



織田さんが今までくれた誕生日プレゼントはハートシリーズで。



ジッポ
時計
財布
ネックレス



「本当は指輪があげたかったけど、サイズが分からなかった」



と、去年は言われた。




この歳にもなって今更、誕生日が嬉しいわけでもないけど… 
やっぱりイベントは一緒に過ごしてみたい「夢」的な思いはあった。




いつだか忘れたけど
クリスマスイブに



「ちくしょー!街中のカップルをひっぱたいてやりてー!」



って悔しがって帰ったよね…。




そういう言葉があったから
私はいつでも安心していられた。
想われている自信みたいなモノが持てた。




最近はもう、そう言ったラブラブ感が減ってきたのも私の不安材料の
1つなんだろう。




「好き」と言われないと どこか不安で。
大事にされてる実感がないと どこか怖くて…。




今年の誕生日は幸せだった。
あれから月日はそこまで経っていないはずなのに
今はどうしてこんなに不安定なんだろう…。



No.72 13/10/02 01:04
匿名0 

>> 71



5月17日
私の誕生日。



その日は金曜日だった。
織田さんは子供のサッカーチームのコーチをしてるから
もともと週末は逢えない。





この日は普段より早くメールが来た。
「あ…私の誕生日だから早く帰らないといけないんだね」と思った。






「何してる?」



これは逢える日に織田さんがくれるメールの決まり文句。




「片づけも洗濯も終わってテレビ見てたよ」





「逢えるか?」





「もちろん( ´艸`)」
嬉しくてたまらなかった。
ほんの10分でも誕生日に逢えるって事が嬉しかった。




「泊まれる用意してきて!」





え?
泊まり?




「大丈夫なの?」





「カッコいい事はしてあげられないけど
せめて凛とゆっくり過ごそうって決めてたんだ」




誕生日に逢えるだけでも嬉しいのに
休み前に逢えるなんて…!





充分すぎる誕生日プレゼントだった。





食事してホテルに入ると
ニッコリ笑って「手、出して!」





私の薬指にピンクのハートの指輪をはめてくれた。肌が弱い私は、だいたいのアクセサリーはカブれるのに何故か織田さんがくれるアクセサリーはいつもカブれない。




「ありがとう(≧∇≦*)」




織田さんも嬉しそうだったね…。




そして次の日も終電まで一緒にいてくれた。





ちょっと前はあんなに幸せだったのに………。

No.73 13/10/04 23:59
匿名0 

>> 72


今日は記念日。
私たちの5回目の記念日。




曇り空の私の心とは真逆に
空は青く、痛い程の日差しが降り注ぐ晴天。




「どういうつもり?」
と言われたあの昨日、




「おまえは何も分かってない。
明日も無理だぞ」
と、言われた。




私にとって特別な日。
5回目の記念日。
でも、逢うのも無理で、まだ私たちは喧嘩したまんま。




こんな日は同じ空間にいるのが辛い。
幸い私は外回り要因だった。



真夏や真冬はみんな外を嫌がるから私は結構、外回りになる事が多い。
電話対応が嫌いな私は外仕事の方が合っている。



たけど…
こんな時は織田さんと顔を合わさずにいられるのはいいけど…気分的にキツい。




ほとんど眠れずにいた事とこの炎天下。
気分は上がらず時間ばかりが過ぎていく。
私の報告が上がらないのが気になったのかメールがきた。




織田さんからだ。
「進んでる?大丈夫か?」





メールは返さなかった。
心配なんてしてないクセに…。
私が結果が出せないこと•具合が悪くなることが
「自分のせい」になるのを気にしてるだけ。




そんな風にしか考えられない。
けど、1件でも決めないと帰りずらくなるから
とりあえず1件だけ頑張って帰社した。




いつもなら、大量の汗をかく真夏は帰社後すぐに着替えをする。
でも今日は着替えることすら気力が出なかった。
お昼ご飯も食べていない。




「誰も私に話しかけるな!」と思いながら報告書だけ仕上げ私は会社を出た。
織田さんとは一言も言葉を交わさず、顔も見ず。





私がどんな気持ちで仕事してるかなんて気にもならず、また例の奴らとゲラゲラ笑ってたんだろ!?
そんな意地の悪い私でしかいられない。




本当なら…
幸せいっぱいなはずの記念日なのに。



No.74 13/10/05 00:53
匿名0 

>> 73


私が向かった先は例の公園。
だが、ショックな事にこの公園!『禁煙』に変わっていた。




なんだか力が抜け、無気力になった私は他の公園を探し、ただ歩き続けた。小さな公園を見つけた。
夜とは言え、真夏の夜はまだまだ暑く
空きっ腹の私はブラックコーヒーとタバコで少し気分が悪くなった。




そんな時、織田さんからメールが来た。
「何してる?」




「気持ち悪い…」





「そっか…じゃあ今日は無理か。
家だろ?少し安静にしてな」





「家じゃない…」




「公園…か?(*゚д゚*)」





「もう気力が出ない。
でも大丈夫だから気にしないで」





「気にすんなって言ったって心配するに決まってんだろ!」




返事を打ってる途中でメールすら打てなくなった。かすかに電話が鳴り続けているのは分かるけど、出れない。




心配させたかった訳でも、当て付けでも、計算したわけでもない。




もともとは優しい織田さん。
心配した織田さんは私を探す。
だけど、いつもの公園ではない。
見つかる訳がなかった。
だって織田さんは自宅が遠い。こんなとこ土地勘すらないんだから…。




それでも織田さんは諦めずに探し続けてくれたんだろう。




しばらく休んでいたら歩けそうだったから歩いてとにかく帰ろうとした。
電話が鳴る。
携帯を見るとかなりの着信とメールが入っていた。




ヤバい…。
絶対、怒ってる…。




とりあえず電話をかけた。
「も…」



「今どこだ?」




「いつもの公園が禁煙だったから歩いて見つけた公園」





「近くに番地とかないか?目印探して!」




目印…。




「大丈夫。タクシー拾って帰るから」




「もういつもの公園にいるんだ!近くにはいるはずだろ!?」




なんでいつもの公園の場所を知ってたんだろう。
私もいつもの公園に向かって歩き始めた。
近くに有名なスーパーがあった。




「○○がある!」
番地も見つけた。
だけど、織田さんに逢うのが怖かった。




番地を伝えると、しばらくして遠目に織田さんの姿を見つけた。…と同時に、織田さんも私を見つけた。
ものすごい勢いで織田さんは走ってきた。



No.75 13/10/05 01:50
匿名0 

>> 74



「いた!…なにやってんだよ…」







「…ごめん…」





「…ったく。…大丈夫か?」





「…うん」




「とにかく少し涼め。どっか入ろう」





結局、タクシーに乗って、いつもの居酒屋に入った。




「喉カラカラだよ!まったく手が掛かる奴だ!」




「ごめん」





「今日、凛…帰ってきた時からずっと具合悪い顔してたから気にはなってたんだ。青白い顔してたから」




「私の顔なんて見たんだ?
気にもしてないと思ってた」
可愛くない私。




「ちゃんと毎日見てる。
凛が思ってるよりずっと、ちゃんと気にしてるんだ、毎日」




「…今日、無理だ!って言ったじゃない。
帰らなくちゃダメじゃん」
まだ素直になれない私。




「泊まる。今日は凛といる」




…。





「お見通しだ!全部お見通し。
凛が元気がないのも着替えすらしてないのも
誰とも話してないのも全部お見通し。
そういう時の凛は必ず無茶するんだ
全部分かってんだ!」





私だって本当は
渡したかったプレゼント…こっそりちゃんと鞄の中に入ってるよ…。
でも、まだ素直になれない。




「凛…」
織田さんが悲しそうに私の顔を覗き込む。




私は目をそらす。




「凛…」
もう一度、織田さんが私を呼ぶ。




「あ…私、○○退会したから安心して
もう迷惑かけないから」
本当に嫌みな女。可愛くない。




「なんでそうやっていつも極端なんだ?
普段、ほんの少し気をつければ済む話なのに」





ほんの少し?
毎日、心が折れそうになるくらい我慢してるよ…?気をつけてるよ?
 



この言葉は飲み込んだ。
もう喧嘩はしたくなかった。
私は黙っていた。




「帰りな。
私のせいでバレたんでしょ?ごめんね…」




逢えた事が嬉しいのかさえ自分自身分からなかった。




「記念日は会うって約束だっただろ?
今日は凛といるんだ!」




「逢えないって言ったじゃない!
何も分かってないって言ったじゃない!」
悔しくて泣いた。
一度、泣き始めたら私の涙は終わりを知らない。
場所がたとえ居酒屋であろうと一度出始めると止まらなくなる。





「ショックだったんだ。
見られて自滅パターンで終わるなんて嫌だった。でも何とか誤魔化したから。
もう大丈夫だから…凛…もう泣くな…」




バレるのが怖いだけなのか
私を失うのが嫌なのか、わからない。
もうわからない。
織田さんの考えてることがわからない。



No.76 13/10/08 02:01
匿名0 

>> 75


結局、記念日は一緒にいられた。
喧嘩さえしてなければ最高に幸せな日だったはず。私が意地を張ってたばっかりに…こんな1日になってしまった。




一緒にいる事で私も少しずつ気持ちが落ち着く。
そうだ!!!
せっかく買ったんだから渡さなきゃ!と思い、鞄からプレゼントを出す。





プレゼントは悩みに悩み、何度も何度も買いに行っては迷い やっと決めた物。
記念日のプレゼントは『密かにお揃い』って決めてるから、選ぶのが難しい。





4年記念日は手帳だったから
5年記念日はボールペンにした。
手帳に合う色柄のボールペン。
あと、織田さんの好きな柄の小さなポーチ。





離れていても毎日使う物。
いつもお互いを忘れない様に…。




記念日は織田さんからのプレゼントも決まっている。と言うか決めている。




私は織田さんの字が好き。
だから、私の用意したメッセージカードを渡していつも書いてもらう。
安上がりなプレゼント(笑)




今まで怒って泣いてたから、プレゼントを渡すのが照れくさい。可愛くない私は、プレゼントを「はいっ!」と無言で差し出した。
そして、逃げるようにシャワーに向かう。
本当は織田さんの反応が気になるクセに…。





メッセージカードをその間に書いてくれるのが、いつものお決まり。




ちょっぴり怖い気もしながらシャワーから出た。
そこには封を開けていないプレゼントとカードがそのまま置いてあった。





あれ?







No.77 13/10/08 02:26
匿名0 

>> 76




「凛が一生懸命、選んでくれたプレゼントだから一緒に見ようと思って」





ビックリした。
仕返しに「いらねー」とでも言われるかと思った。




「たいした物じゃないよ」





ニコッと織田さんが微笑む。
そうだ!この顔が大好きなんだ…私。
単純な私はすっかり機嫌を直した。
本当に単純…。
ちょっと優しくされただけで機嫌が直るんだから簡単な女。




ま、いっか。
記念日だし…最後に笑えたなら それでいいじゃない?凛。
なんて、心の中で思う。





私は早くカードが欲しくてワクワクしてた。
「これさ…宿題にさせて」




「宿題?書けるとこあるの?」





「大丈夫!ちゃんとゆっくり考えて書きたいから」




「わかった!」




プレゼントを見た織田さんは
「これさ…出なくなったら普通の文房具屋で芯買えるのかな?」
全く考えてなかった私(笑)




「買ったところで聞いてみる!」




織田さんは早速、鞄の中に散らばった小物類をポーチにしまい込んだ。
「凛はこれ、何に使うの?」




私は化粧品を既に入れたポーチが入った鞄を織田さんに開けて見せた。
織田さんがまた微笑む。




「良かった。凛がやっと笑った」
私も微笑む。




「今日はくっついて寝ようね」




「うんっ!」





そして私達は6年目に突入する。
喧嘩しながらも…
なんだかんだ、ここまで一緒にいられた。
次の6年記念日も私達はまた、こうしていられるのだろうか…。









No.78 13/10/10 02:39
匿名0 

>> 77




次の日から、また忙しい日々に戻る。
織田さんは残業続きの毎日。
大抵、終わる間際まで連絡がないのが当たり前になってしまった。




記念日の次の日も、また当たり前のように連絡待ちかと思い待っていると………



いつもより早く着信音が鳴る。
おっ♪今日は珍しく早く終わったかな?
…と、思いメールを開く。




そこにはメッセージカードの写メがあった!
あ…
忘れずに書いてくれたんだ♪




「宿題終わりました!
こっそり凛の机の引き出しに入れたから明日、朝一で出してね!取り扱い注意!
じゃ、仕事頑張ります」





仕事に手を着ける前に書いてくれたんだ!
「ありがとう♪
頑張ってね!」




結局、この日から織田さんは仕事で帰れない日が続いた。
記念日はきっと、ものすごく頑張って逢ってくれたんだな…そう思うと
ありがとうって気持ちと
ごめんねって気持ちが入り混じった。




そして…朝。




会社に着くなりメッセージカードを取り出した。
早く見たいところだけど見た目、会社の封筒に入れられたメッセージカードはビッシリと糊付けされていた。
どこまでも慎重な織田さんらしい。




早く見たい気持ちを抑え今日は電話対応要因だった為、メッセージカードの入った鞄はロッカーにしまった。




定時になりチャイムと同時に会社を出た。
早く帰って読みたかったから。
家まで待ちきれず、会社のそばの喫茶店に入り開けてみた。





何枚目のメッセージカードだろう。
照れ屋な織田さんは文章だと普段、言わないような言いまわしで率直に書いてくれる。
楽しみで開けてみると………。






んんん?













No.79 13/10/11 01:35
匿名0 

>> 78




凛へ




あっという間の5年間に感じます。



喧嘩も多いけど共通点も多いと思います。
わがまま放題の2人がこれからも一緒にいられるように頑張っていこう。



これからもよろしく!





予想とは大きく違っていた。
なんなんだ?
このラブラブ感の全くない内容…。




しかも『わがまま放題の2人』って…。
私の中では『わがまま』は半分以上、飲み込んでる、抑えてるつもりなんだけどな。
織田さんには、私は『わがまま』に映ってるのか…。





これを読んだ時、最後にもらった
クリスマスカードを思い出していた




クリスマスから半年以上 経つ今、
織田さんの中での私は明らかに想いが変わってきているように感じた。
私が感じる『ズレ』…
想いの温度差の違い。




これはきっと私の考えすぎではない。




織田さんが言う『共通点』ってなんだろう。
「カード読んだよ!ありがとう」
そんな事すらメールするのをためらう。
何故なら、メールをしても返事は来ない。
メールは読まれる事なく深夜になるまで待ちぼうけ。




それが毎日続く。
明らかに以前とは違うんだ…。
優しかった織田さんは段々いなくなっていく。




朝のメールもままならず
日中は全くない。
夜は深夜近くまで来ない。




会話がどんどん出来なくなっていく。





織田さんが言ってた
「距離を置きたい」
って…こういうこと?




No.80 13/10/11 02:27
匿名0 

>> 79



きっと、初めからこんなペースだったなら
私もそれほど寂しくもなく不安にもならないんだろう。



普通に考えたら、仕事中なんてメール出来ないのが当たり前だろうし、仕事中にピコピコ携帯ばっかり触ってるわけにもいかないんだから。




それが出来てしまっていた贅沢に
私が慣れすぎたんだ。




私が独身だから…
私たちの形が普通ではないことを私は忘れてわがままになりすぎている。




どんなに綺麗事を言っても私たちはいけない事をしている。それを知りつつも、お互いのわがままで今に至っている。





「人に言えない関係」
「自分だけのものにならない寂しさ」
「思うようにならない苛立ち」
そんな事からどんどん私の独占欲ばかりが強くなってしまっている。





「ねぇ…夫婦が長く続く秘訣ってなに?」





「カミサンのだんまり、かな」





だんまり…。
すげー苦労させてるけど黙って耐えてくれている。
織田さんはそう言ったよね。




きっと織田さんは
私にも、それを求めているんだろう。
でも私は黙っていられない。
自分の中に溜め込むと、あるキッカケで爆発する。じゃないと…鈍感な織田さんには私の気持ちなんて伝わらない。





私は、私の苦しさを織田さんに分かって欲しいだけなんだ。
そして…
そんな私にきっと織田さんは疲れたんだろう。




私の仕事は女の仕事にしたら給料は良いほうで安定している。
もし別れたら、私は仕事は辞める。
私の歳で今以上、好条件な仕事は簡単には見つからない。




私の将来…。
もしかしたら…
私の将来を心配して「別れよう」って言えないでいる?


だから少しずつ距離を置いて
自分がいなくても私が平気でいられるように…



もしかしたら、
織田さんも悩んでる?



鳴らない携帯を横に
今日もまた、ぼんやりとそんな事を考えていた。




No.81 13/10/12 03:06
匿名0 

>> 80




携帯が鳴る。





織田さんではない着信音。





誰だろう?
それは知らないアドレスからだった。



空メール…。


「なんだ?」
とは思ったけど、あまり気にしなかった。


少しして、また携帯がなる。
また同じ人。


「逢えないかな?」
一言だけ。名前も書いていない。


なんなんだ?
アドレスをよく見てみた。





わかった…。
TUBEの曲名。


それは、しつこいから着拒した相手。



繋がらないから、アドレス変えたのか…。



もちろん返信はしなかった。
今更、なんなんだ…



岡田は私の人生の中で唯一、付き合った事を後悔している男。「嫌いになって別れる」事は、まずない私が着信拒否するくらい私の中から抹消したかった男。



しつこいと言っても1日に何度も、とか
毎日何度も何度もメールや電話が来るわけではない。



忘れた頃にメールや電話をしてくる。
「逢えませんか?」
「忘れられない…」 
と。




返信などしない。電話にも出ない。
でも、半年に一度、何ヶ月かに一度くらいの割合でメールが来る。



一度だけ、毎日のようにメールが来るから返信したことがある。



「100万くれたら逢ってもいーよ」と。



「…凛じゃないよね?男が打ってるのか?
凛はそんなこと言わない…よ」と。




「私だよ。もうメールも電話もやめて」
と最後に言って着信した。




どーせ金に困ってんだろう。
このアドレス…別に着拒もせずにいた。
ほらね…
一度きりでまたメールが来るわけでもない。




だいたいが「忘れられない」の意味が分からない!忘れられないほど私のことなんて好きでもなかったクセに。




この男からメールが来たことで、無性に織田さんに逢いたくなった。
時計を見る。
終電は近い。



織田さんにメールしてみた。
「今日も終わらないの?」


No.82 13/10/12 03:59
匿名0 

>> 81



返信はない。
今は、LINEでやり取りしてるから「既読」かどうかが分かる。
既読にならない。




メールを見ないって事は飲みか?
なんだか寂しくなった。
こんな事…しょっちゅうだけど。




逢いたい時に逢いたいと言えない。
逢いたい時には、なかなか逢えない。
手帳を見ると、逢えなくて1週間が過ぎていた。





前に喧嘩した時に言ったことがある。
私たちの現状からして「放置」になるのは場合によっては仕方がない。
でも、1週間に1度は逢いたい、と。




ただ私の言う1週間に1度とは、月曜日から金曜日の中で1度だから、月曜日に逢えて 次の週 金曜日に逢えば10日振りになる。
私は1ヶ月に4回は逢いたいと思って言った。




私の手帳の逢えた日はピンク。
喧嘩は黄色。
最近、加えた「放置」は緑。
明らかにピンクは少ない。
最近は、やけに多くなった緑。




結局この日は深夜2時になり
「ごめん…いつの間にか居眠りしちまった」とメールが来た。



でも、メールが来たことで安心する私だった。

No.83 13/10/12 04:47
匿名0 

>> 82




今日は木曜日。
週末は基本的には逢えないから…
今日、逢えないと月曜日に逢えたとしても11日振りになる。
最近はこんな事ばかり考えるようになった。




それでも、逢いたいとはあまり言わないようにしている。逢いたいオーラを出す事はあるけど忙しいのも分かってるから、あまり言ってはいけないと思っている。
だから、心の中で「今日は逢えるかな」と言う期待ばかりが膨らむ。





前のようにメールが頻繁に出来なくなり、織田さんが周囲を気にするあまり日中のメールが出来なくなってから、私は会社を出た後が嫌いになっていく。
待つ時間は長く感じる。
織田さんからメールが来るまで、状況が分からないから不安になる。



忙しいだけなのか
飲みに行ってるのか、
そこに女はいるのか…。
また寝ちゃったのか。




「放置ばっかりでごめん」
織田さんは口癖のように言うけど
やっぱり今日もメールは来ない。




今日も逢えなそうだな…。





終電が近くなるとメールする。
「終電なくなるぞー」




既読にならない。




また…か。





そして深夜0時を過ぎた頃、やっとメールが来た。




「ごめん!前嶋さんと飲んでた
凛、今から来れる?」




飲みにしては比較的早い時間だった。



「酔っ払い?」




「酔っ払いです(*_*;
でも、一緒に寝たくてさ」




あんなに逢いたかったのに
「じゃ、行かない!」




「え?
分かりました(ToT)なら、会社に戻ろっかな…」




泣いた顔の絵文字。
まさか、断るとは思ってなかったんだろう。




「だって、すぐ寝ちゃうでしょ?」




「即寝だな…」




やっと逢えた1日が逢えた途端にいびき、なんて嫌だった。私の意地。



織田さんは私に断られた事にショックを隠し切れないようで、この日は少しメールをしてから寝た。いつもなら飲んだ日は速攻寝るのに。


No.84 13/10/12 05:26
匿名0 

>> 83

寂しくなって、
クリスマスカードを引っ張り出して読んでみた。





凛へ




いつも泣かせてばかりなのに
一緒に居られるのは凛のおかげです。



今後もどんなに辛い事があっても
ずっと俺と一緒に居ること。



勝手な判断は禁止!
何があっても一緒に来い!



ずっと大好きだからね!



                織田 敦




明日は逢えない金曜日。
でも、帰り道メールが出来る金曜日。
逢えなくても、いっぱいメールが出来た日は心が満たされる。



忙しくて帰れない日が続くとメールもほとんど出来ないまま1日1日が終わる。
今もクリスマスカードのように思っていてくれてるのかな…。





そして、金曜日の夜。
ちょっと楽しみにしながら織田さんからの連絡を待っていた。




「そろそろ帰るよ(^_^)/」




「スタンバイOK(^_^)/」





私はいつも、織田さんの帰り道はメールに集中出来る様に、連絡がくる前にやる事を全部片づけて待つ。




「会社出たよ!」のメール待ち。





1時間過ぎてもメールが来ない。





何故………?



No.85 13/10/14 03:36
匿名0 

>> 84



段々、不安になる。
…と言うのも、別口で飲んでいる女連中から誘いが来て、飲みに合流したことが何度かある。



織田さんの事情を知らない彼女たちにとっては、金曜日ともなれば連休前で飲みに誘うには都合がいい日だろう。




「会社出た?」
メールしてみた。
やはり既読にはならない。



また、か…。



あまり返信がないと心配にもなってくる。
具合悪くなったわけじゃないよね…?
もう一度だけメールしてみよ!




「飲んでるの?
具合悪いわけじゃないよね?」




随分経って、もう寝ようかな…と諦めた頃メールが来た。



「会社出る時に佐々木さん達と一緒になっちゃって、今○○駅の近くで飲んでる」



佐々木さんとは、違う課だけど織田さんを可愛がってくれている先輩。




「わかった。
もう終電ないよ?」




「どっか探す。
また連絡するね!」




連絡なんてしないくせに…。




女連中じゃないことに少しホッとはしたものの…
週末は我慢してるのに…
飲みは断らない織田さんに少しイラっとした。




タバコ吸って寝よ。
あ…
こんな時に限ってタバコ無いし(-_-;)
ちょっと外の空気でも吸って気分転換でもしようと歩いてコンビニまで行った。




「おい!」
後ろから誰かが私の肩を叩く。



No.86 13/10/14 04:22
匿名0 

>> 85



「こんな時間に何してんの?」





小島だった。
偶然、逢ったっておかしくはない。
お互い地元に住んでるんだから…。




「タバコ買いに来た」




「こんな時間に?」




「うん…小島は?」




「仕事の帰りぃ。元気ねーなぁ。
上手くいってねーのか?」



なんでわかるの?
「ん?元気だよ!」




「ふーん…
元気じゃありません。って顔してるけどな」



「そう?
歳とったからじゃん?(笑)」




「お前痩せたな。前から痩せてるけど…
あ!お前ちょっと時間あんの?」




「なんで?
帰って寝るよ!」




「付き合い悪ッ!」




「バカじゃん!
こんな時間にどこ行くつもり?」



「えぇ~!車乗せてやろうかと思って。
凛、ドライブ好きだっただろ」




時計を見た。
深夜2時を回っていた。
もう…織田さんからは連絡来ないな…。
少し迷ったけど


「じゃあ、少し乗せて」




ドライブなんて何年もしていなかった。
助手席に座って普通に話していると冷房に弱い私はガンガンに冷えた車内が寒くなってきた。
よく考えたら、部屋着のまま来たから胸元がパックリ開いたキャミソールだった。



織田さんは胸元の開いた服を他の人の前で着るのをひどく嫌がる。
織田さんの顔が浮かぶ。
ものすごくいけない事をしている感覚に陥った。





「ねぇ…ちょっと寒くなっちゃった。
でさ、もう眠くなったから帰る」



「まだ目的地着いてないのに?」
そう言って小島は冷房を弱めた。
信号が赤になり車を止めると、小島の目線が私の胸元にいくのを感じた。




「そんな格好じゃ寒いだろ。
後ろに仕事のだけど、上着あるから着な」




「ありがとう」
焦った…。気のせいか。
後部座席にある上着を取ろうとした時………



No.87 13/10/15 02:29
匿名0 

>> 86




私の腕を引き寄せる。
顔が近づく。




とっさに避けた。
「アホ(-_-;)」


小島は本音で付き合える相手。
織田さんには言えないような言葉も気にせず使えるから楽ちん。



「アホですよー(-。-)y-゚゚゚すいませんねぇ」





「ここどこ?
もう降りる」



自己嫌悪に陥った。
織田さん以外の男と2人きり…。
自分がされたら怒るクセに…。




「そんなに好きか?
その男…」




「うん…
バカでしょ(笑)」




「今日だって連絡ないんだろ?
そんなに泣かされても好きか?
好きなら泣かすなよ!…って感じだけどね、俺からしたら」




「私が勝手に泣いてるだけだから…。
私が別れられないの」




「お前もアホだな」




「うん…」




そんな会話をしながら家まで送ってもらいバイバイした。この日から、たまに小島からメールが来るようになった。



家に着いても織田さんからの連絡はない。




「また連絡するね」




嘘つき………。




例えば今日、一緒にいる相手が
佐々木さん達ではなく…女だったとしたら…
ねぇ…織田さん。
あなたも自己嫌悪に陥ったりするの?
私に罪悪感を感じたりするの?




しばらく考えて、いつの間にか眠っていた。
そして、朝が来る。



No.88 13/10/16 00:46
匿名0 





寝坊助な織田さんの事だから、どこかに泊まっているのなら連絡が来るのはお昼頃だろう。
万が一、家に帰っていたらマズいから…
私は敢えて連絡を待とう。



なんて思っていたら、意外と早く連絡が来た。




第一声。
「凛に謝らなきゃならない事がある」




え?
何?
嫌な事なら聞きたくない。
心臓がバクバクし始める。




「嫌な話?」




「めちゃくちゃ嫌だと思う…」




やっぱり女がいたのか…。
女がいたとしたら、ここで織田さんに聞かなくても私の耳に入るのは時間の問題。 
他で聞いて同じようにショックを受けるなら…
織田さんの口から聞いたほうがいい…。




怖いけど聞いた。
「角田さん達と飲んでたの?」



聞きたくない…。
知らずにいられるなら知らずにいたい。



「いや…違う。
佐々木さん達と飲んでた」




ん?
じゃあ、何?



「何?」




「昨日…解散して、色々探したんだけど
どこも泥酔お断りされて、泊まるとこなくて
どうしようもなくエロビデオ鑑賞のとこに泊まった…ごめん…
でも何も見てないからね(>_<)」




なんだ………。
そんなの黙ってればバレないのに!



「ムラムラしちゃったのか?( ´艸`)」




「してない。
凛が知って泣いてる夢見たんだ…」




「だから第一声がソレなのか…
女と泊まった!とか言われるのかと思った」




「ごめん…
凛にメール打ってる途中でオチちゃってた
また約束破った…ごめん」




「浮気じゃないならいーよ!」




「凛に逢いたくてたまらない」



「だって…帰らなきゃじゃん」



「少しだけ…」




単純だよな…。
散々待って放置されて、約束も破られて
悲しいを通り越して怒りさえ覚えても
こんな簡単な一言で嬉しくてたまらない。


騙しやすく都合のいい女…だろう…ね。



結局、織田さんのいる隣町まで行き、食事をして織田さんは帰って行った。



「エロビデオ鑑賞のとこに入った瞬間に
凛の顔が浮かんで…罪悪感でいっぱいになった
毎回、飲みすぎて自己嫌悪に陥るんだ
放置した挙げ句、約束も守れないことに」





おんなじだね…織田さん。
でも私はズルいから…
小島との事は言わない。
知らない方がいいこともある。



そして、約束を破った織田さんへの
私が与えた微かな小さな小さな罰だった。




もう小島には逢わないと決めた私がいた。
自分がされて嫌なことは、私はしない。
必ず自分に返ってくるのだから…。


No.89 13/10/20 04:17
匿名0 

>> 88



[自分に返ってくる]





いつか必ず自分に返ってくる。
いけない事と知りながら
現実からは目を背け
出ているはずの答えは
心の中にしまい込む。




幸せ………。
扉を開けたら、そこには幸せが待っているかもしれないのに
その扉を開ける勇気がない。



どれだけ泣いても先はない。
私の辛さなんかより
もっと辛い人がいる。
私の手で…
傷つけ悲しんで苦しい人がいる。





わかっているのに踏み出せない私。
まだ、一緒にいたい…。
どれだけ卑怯な女なんだろう。




もうすぐ織田さんの嫌いな冬が来る。
喧嘩して、何度も考えた別れ…。
それでもまたこうして新しい冬を迎える。
私の隣にはまだ、織田さんがいる。
色んなことに葛藤しながらも…。



No.90 13/10/20 07:07
匿名0 

>> 89



明日、明後日、明明後日と会社のイベントがあり
まぁ…イベントとは言っても私の嫌いな飲み。
誰がいつ出るのか詳細を決めるのは前嶋。





会社の入口に詳細が張り出された。
織田さんの言葉を思い出していた。





「前嶋さんはさぁ
絶対に俺と凛を同じ日にしないんだ。
あれ…絶対にわざとだと思う。
前回も違う日だっただろ?
張り出すまで俺にもメンバー言わないんだ
で、自分は必ず凛と同じ日にする(-_-#)」





やはり織田さんとは違う日だった。
前嶋のお気に入りメンバーの中に私と数名が同じ日。
そして織田さんの日を見ると…



やっぱり…木村さんと一緒だ…
前嶋は木村さんが嫌い。
酔った木村さんは絡み酒になるから面倒臭いんだ。だから織田さんの日に当てる。




毎回の事だから分かってるクセにやっぱりショックだった。この会社に入って6年近くなるのに織田さんと一緒になれたのは1度だけ。




「やっぱり違う日だったね…」



「だろ?俺まだ見てないんだ」




「木村さんと一緒…あと金木さん…」




「またか…
大丈夫!少し避けて遠目で飲むよ」




「織田さんが避けても向こうが絡むじゃん」




織田さんは私が1番嫌がる相手な事を知っている。必ず、こんなやり取りをする。



毎回なんだから初めから期待しなきゃいいものを織田さんの言葉にどこか期待してしまうバカな私。


でも、心配なのはお互い様なのかな…
私も織田さんが嫌がる前嶋と一緒だから…。



こういったイベントはみんな張り切ってオシャレする。全社員が集まるから。
さて、何を着てこうか…
「おっぱいの見える服は禁止!」




私の参加日の前日が織田さんの参加日だった。




No.91 13/10/20 08:22
匿名0 

>> 90



今日の参加者がみんな着替え始めた。
みんなオシャレして化粧直ししている。
そこにはスーツを着た前嶋の姿があった。
なんだよ…前嶋も出るのか…。
そして、私の嫌いな時間が始まった。





早く帰ろッ…
私は会社を出た。
イベント終了まではまだ時間がありすぎる。
二次会もあるだろうから尚更。



この、待つ時間が辛い。
何をして気を紛らわそうか…。



あ!
ちょっと明日の服でも見に行くか!
散々見て回っても、まだ時間は余りすぎている。



 
そうだ!
蓮とDVDでも見よう!
気分的に恋愛モノは気分が滅入るから敢えて蓮の好きなアクションモノにした。



それでも時間はまだお開きだろう時間に満たず
私の妄想タイムが始まった。



終電の時間はとっくに過ぎ
またいつものパターンね…と、私もお決まりのように寂しさと不安感でいっぱいになる。




すると珍しく携帯がなった。
あ…珍しい…織田さんだ!




メールを開くと、そこには何故か便器の写メがある。なんだ…?




「辛い。帰りたい。
気持ち悪くて1時間以上もここにいる
逃げたい…」



「具合悪いって言って帰りなよ!」




「前嶋さんが帰してくれないんだ」




「2人?」



「いや…前嶋さんと木村さんはずっと喋ってる」



そこから連絡が途絶えた。
織田さん…
私が心配なのは今じゃないんだよ。
その後が嫌いなの。




結局、それ以降、連絡が来ることはなかっな。

 

  • << 93 朝になっても連絡はなかった。 モヤモヤしたまま出社すると、見るからに二日酔いの織田さんが既にいた。 会社に泊まったんだな…。 せめて一言位メールくれたっていいのに。 「会社に泊まった」 と言われれば、私はそれを信じるしかない。 万が一、酔っ払った者同士でホテルに泊まったとしても…それを確認する手段はないんだから。 小島と別れた理由。 昨日まで「好き」「愛してる」と、言い合ってたのに、次の日から連絡が返ってこなくなった。 私が旅行に行ってた間に…たった1日で元カノとヨリを戻してた。 何故わかったか? 女の勘は鋭い。 「次は車で来ようね」 車がなかった。 すぐにわかった。 ついこの間、2人で行ったホテル。 きっとそこにいる。 そこに車はあった。 私と集めた馬のぬいぐるみが並んでた。 織田さんはそんな人じゃない。 わかってはいる。 でも人なんて何が起こるか分からない。 だから…不安になるんだよ…。 私は1日外要因だった。 織田さんは気持ち悪くなるたびトイレに引きこもってるようで、昨日の状況をメールしてくれた。 私にメールをくれたあとテーブルに戻ったら寝てしまい、目が覚めて気づいた時にはもう2人は帰ってた…と。 確かに織田さんは普段から、なかなか起きない人だから分からなくもないな。 でも、でも、メールくらい1回でもくれたらホッとするのに。 「そんなんじゃ、今日は早く帰らなきゃね…」 「とにかく気持ち悪い」 私は今日、参加日だよ? 呑気でいいな…。 私は不安でいっぱいだったのに… 織田さんは私を心配する余裕もないね。 私もそのくらい余裕のある女になりたい。 織田さんが誰とどこで何をしていても 気にもならないくらいになりたい。 いつもハラハラ、ドキドキ、モヤモヤ、鬱々した自分にたまに疲れる。 夕方になり帰社すると 織田さんの顔色はだいぶ良くなっていた。 そろそろ着替えるか…! 織田さんのいない飲み。 なんだか気が乗らない…。

No.92 13/10/20 12:52
匿名0 

>> 91


No.91



誤→なかっな
正→なかった


すみません。

No.93 13/10/21 02:52
匿名0 

>> 91 今日の参加者がみんな着替え始めた。 みんなオシャレして化粧直ししている。 そこにはスーツを着た前嶋の姿があった。 なん…



朝になっても連絡はなかった。
モヤモヤしたまま出社すると、見るからに二日酔いの織田さんが既にいた。




会社に泊まったんだな…。
せめて一言位メールくれたっていいのに。




「会社に泊まった」
と言われれば、私はそれを信じるしかない。
万が一、酔っ払った者同士でホテルに泊まったとしても…それを確認する手段はないんだから。





小島と別れた理由。
昨日まで「好き」「愛してる」と、言い合ってたのに、次の日から連絡が返ってこなくなった。
私が旅行に行ってた間に…たった1日で元カノとヨリを戻してた。




何故わかったか?
女の勘は鋭い。
「次は車で来ようね」



車がなかった。
すぐにわかった。
ついこの間、2人で行ったホテル。
きっとそこにいる。




そこに車はあった。
私と集めた馬のぬいぐるみが並んでた。




織田さんはそんな人じゃない。
わかってはいる。
でも人なんて何が起こるか分からない。
だから…不安になるんだよ…。





私は1日外要因だった。
織田さんは気持ち悪くなるたびトイレに引きこもってるようで、昨日の状況をメールしてくれた。



私にメールをくれたあとテーブルに戻ったら寝てしまい、目が覚めて気づいた時にはもう2人は帰ってた…と。



確かに織田さんは普段から、なかなか起きない人だから分からなくもないな。
でも、でも、メールくらい1回でもくれたらホッとするのに。




「そんなんじゃ、今日は早く帰らなきゃね…」





「とにかく気持ち悪い」




私は今日、参加日だよ?
呑気でいいな…。
私は不安でいっぱいだったのに…
織田さんは私を心配する余裕もないね。
私もそのくらい余裕のある女になりたい。




織田さんが誰とどこで何をしていても
気にもならないくらいになりたい。
いつもハラハラ、ドキドキ、モヤモヤ、鬱々した自分にたまに疲れる。




夕方になり帰社すると
織田さんの顔色はだいぶ良くなっていた。



そろそろ着替えるか…!
織田さんのいない飲み。
なんだか気が乗らない…。


No.94 13/10/25 03:40
匿名0 






美味しい料理とお酒が並んで乾杯となる。
あんまり食べたい物もなく、ソフトドリンクはお茶 コーラ オレンジジュースのみ。




お茶とお寿司を少し食べた。
あとはフルーツばっかり食べていた。




「ちゃんと食ってる?」



パッと見ると織田さんだった。
あ…
本当に顔出してくれたんだ(≧∇≦*)



少しだけテンションが上がった。




抽選会。
私は運がない。いつも当たった試しがない。
私の番号は…




偶然にも【27】
記念日の数字!
でも、これ…
当たんなかったらテンションがた落ち(-_-;)




次々と番号が呼ばれ盛り上がっている。
もうそろそろ景品も終わり。
残りほど品が高い!



あー…もう当たんないな…




すると私の横に来た織田さんがどこかで呼ばれ
「悪りぃ!これやっといて!」
抽選券を渡された。




こんな事は珍しい。
いつもなら絶対、私には近づいて来ない。
前嶋と仲良し女子がいるから尚更。
どうしたんだろう…今日は。




織田さんの番号は【26】
偶然にも、これは2人が初めてサシで飲みに行った日。




こんな偶然ってあるんだぁ…!
なんとなく良い予感がした。



ディズニーランドのペアチケットが欲しかった。
もらっても行けないのは分かってるけど、
なんとなく欲しかった。




次だ!
ディズニーランド!




「残りの景品もあと7個です!
次はディズニーランドペアチケット!
番号は!」



…………




そこへ織田さんが戻ってきた。
そっと抽選券を返そうとすると
「持ってて」
言葉にはしなかったけど、そんな仕草をした。



ねぇ…織田さん!
今ね…ディズニーランドペアチケットだよ!
欲しいな…。




「言いますよ!いいですか?
………番号は!」





No.95 13/10/26 04:03
匿名0 

>> 94



「63番!」




「あ~♪は~い♪あたしだ~!!」
当たったのは仲良しの沙織。


そんなモンだよね…。
いいな…。



「凛ちゃん♪超嬉しいんだけどぉ( ´艸`)」



「くれ(-_-#)」



「やだぁ!」
なんて会話をしていると沙織が私のカードを覗き込む。



「あれ?
なんで凛ちゃん2個あんの?」
沙織は声がデカい。
みんなが一瞬こっちを見た。



織田さんを指差して
「預かっててって言われたの」




「ふーん」
一瞬、見られたものの…
次の番号に移っていたため みんなはもうそっちに夢中になっていた。




段々、景品が良くなり会場は盛り上がっていた。
残り3個。




「26番!」




あ…
織田さんだ!
チラッと織田さんを見ると
「中川さんじゃん!」と背中を押された。




戻ってくるとみんなに
「いいなぁー!いいなぁー!」と囲まれる。
デカい箱の中身はファンヒーター!



織田さんが
「ヤッタねo(^-^)」と微笑む。
本当は…織田さんのなのに…。




結局、私は当たらずに終わった。
そしてイベントが終わった。
本来この会に限ってはいつもなら二次会はない。
だが、この日は社長が来ていたため急遽 二次会に移ることになった。



人前で絡む事を必要以上に避ける織田さんが珍しく近くにいてくれた。チラッとのはずが最後までいてくれた。



気が乗らなかったイベントが
ほんのり嬉しいイベントになった。
だが、急遽の二次会…。
私の嫌いな二次会…。
幸せな時間から憂鬱な時間に変わる瞬間。



もう聞かなくてもメンバーは分かる。
前嶋と彼女たちが行く二次会には、他の女性たちはみんな行かない。敢えて別口で飲む。
みんな前嶋のお気に入りメンバーが嫌いだから。




「凛ちゃんはどうする?」


No.96 13/10/26 04:46
匿名0 

>> 95



この日は金曜日だった。
休み前だから絶対みんな行くよね…。




どうしよう…。
行きたい気持ちと目の前でまた現実を見る怖さ。
迷った。
すると…
前嶋のお気に入りメンバーは1人を残し帰って行く。



「あれ?
行かないの?」



「今日は帰る~!疲れたから」




「中川さんは行くの?」




「う~ん…迷ってる」





「行ってあげて!秦野さん1人だから!」




後から聞いた話だが、この日は彼女たちが嫌いな峯木さんと言う新人さんがいた為、彼女たちは別口で飲んだらしい。
秦野さんは主任だから社長がいる手前、残らなければならなかった…と。
彼女たちは峯木さんが嫌いで、その子が行く二次会には行かないと決めてるらしい。




そこに秦野さんが来て
「ねぇ…中川さんも来て!
お願い!女が集まらないのよ…」




この言葉のお陰で、ちょっと行きやすくなった。
秦野さんは女性を集める為に走り回る。
そこに織田さんが通り
「中川さんも行こうよo(^-^)」と微笑んだ。




結局、女性は私を含め5人。
残りは男性。




カラオケ。
こう言った個室では、やはり織田さんは私を避け遠目に座った。前嶋が
「男は女性を挟んで座って!」と指示する。
必然的に私の両隣には男性が座った。
男性が圧倒的に多かったため織田さんは入口付近にポツリと座っていた。




織田さんがランダムに曲を入れ
指名された人たちが歌い始める。
私が歌が好きなのを知っている織田さんは、何番手かに私の曲を入れた。





なんか言いたそうに織田さんが私を見た気がした。何が言いたいのかは分からなかったけど…きっと男性が隣りにいるのが嫌なんだろうな、と思った。




途中、お酒も入り酔いが回ってきたんだろう。
私の左隣りの男がやたらエロい。



「中川さんは綺麗だからモテるでしょ」
顔を近づける。




「いや…私みたいなタイプはモテませんよ」





「あ!分かる!
綺麗な女性は損するんだよね~!」




やたら綺麗、綺麗と言っては段々と体ごと私に寄りかかってくる。私はU字型のソファーの奥に座ってしまったため、なかなか逃げられずにいた。



ちょっと限界!と思い、意地悪な私は峯木さんに
「トイレ行くから詰めて」
と言ってトイレに行った。




戻ってくると峯木さんは言われた通り、その男の隣りに座っていた。でも意外と楽しそうにしている。
私は迷わずソファーの一番手間に座った。



No.97 13/10/26 05:24
匿名0 

>> 96



しばらくして私がポツンと座っていたからか前嶋が私の横に来た。
私は好きに歌ってるから来なくていいのに(-_-;)
と思いながら特に話す事も見つからず
気が利かない私は何か話のネタを探す訳でもなく
黙って曲を選んでいた。




コイツつまんねぇー!と言わんばかりに前嶋は
席を立ち、何か織田さんに言っている。
終電がなくなりそうなメンバーが少しずつ帰って行き人数が少しずつ減っていく。
まだエロ男と峯木さんは残っていた。
特にイヤがる素振りもないから放っておいた。





すると…
織田さんが前嶋と変わって私の隣りに来た。
いつもより酔ってる感じではなかったけど…酔ってるのかな。
ピタッと私にくっついて座る。
そして………。





「監督!今日は合格ですか?」
と聞いた。





「…合格…かな」




監督…。
以前の喧嘩の際、「監視」を「監督」と言い間違えた事を織田さんはネタとして使っていた。




やっぱり「監視されてる」意識は変わらないんだな、と感じた。私がいると織田さんは楽しめないのかもしれない…。




「凛は不合格だ!」




「…え?」





「今日は合流するぞ!」




「それは…謝罪的なもの?」
私が聞くと



「俺の希望だ!」
と言った。




なんだか本当に久し振りに思い出した。
付き合い始めて前嶋たちに疑われる前は
よくこうして飲み会の後は合流したね…。
喧嘩が絶えなくなって私が二次会に行かなくなったから随分、久し振りの感覚だった。




そう…。
あの頃は飲み会は嬉しいイベントだった。
こうして最後に合流出来るから。



いつからか大嫌いになったんだ。
前嶋が来てから…だな。




終電が近づいてほとんどの人が帰り、前嶋と秦野さんも帰って行った。
少し安心したのか織田さんは最後まで私の横に居てくれた。
お開きの時間になり会計を済ませた織田さんは何やら女性2人に捕まっている。




どこでどうやって合流すればいいの?
みんなが駅に向かって歩き始めたから、私も一緒に行くしかなかった。
こっそりメールをしても、やはり返信はない。
後から来る気配もない。




そこへ電車が来た。
もうこれが最終電車。
仕方なく私もみんなと一緒に電車に乗った。





「今日は合流するぞ!」





織田さん…。
私は…
どうしたらいいの…?




No.98 13/10/27 08:31
匿名0 




電車に乗った。
しかし連絡はない。



結局、最寄り駅で下車した。




「今日は合流するぞ!」





嘘つき…!
いつも思わせ振りな織田さんに、怒りと言うよりも寂しさが募った。



私の最寄り駅近くには橋がある。
高い所は苦手な私だけど、しばらく橋の上から夜の道路を眺めていた。




メールしたってどうせ返信はないからメールするのはもう止めた。




もう…メールはないだろう…。
自分から言ったクセに私の事など忘れているんだ、と思うと夜の夜景が少し滲んで見えた。




もう帰ろうと歩き出す。



その時、
携帯が鳴る。




「凛、すまん!
今、どこにいる?」



「………橋」




「橋?
どこの橋?」




「どうしていいか分からないから
駅の近くの橋にいる。…諦めて帰ろうと思ってたとこ」



「ごめん…
すぐ迎えに行く!」




「もういいよ…
来なくていい…」




こうした時の私は素直じゃない。
普段、我慢してる事を織田さんに当て付けるように困らせるだけの嫌な女。




「そんなこと言うなよ…」




別口で飲んでいた女性2人が
「どーせ終電ないもの同士、次、行こう!」
と、しつこかったらしい。
相当、酔っていて困った…と。




「ずーっと凛が気になってたんだ!
絶対泣いてると思って。
今日は俺が逢いたくてたまらない。
すぐ、迎えに行くから」




「メールしても意味ないし
忘れて次でも行ったのかと思った」




「夜中だし危ないから、どっか入って待ってて」





連絡をくれた事に正直、ホッとした。
本当は嬉しかった。
半分は諦めてたから…。




ハッ!(゚o゚;とした。
ここに来てもらっても、この辺りはホテルがない。
すぐにメールした。




「織田さん!ここ泊まる所がない。
○○駅まで行くよ!」



「凛拾いに行くから待ってて」



少し待って織田さんが来た。
隣駅まで行きホテルに入る。
織田さんはスーツを脱ぎ、ハンガーにかける。




次の瞬間……。







No.99 13/10/27 21:34
匿名0 

>> 98



全裸でベッドに大の字になる。
これは…正に…寝ちゃうパターン…。





「今日は俺が逢いたくてたまらなかった」




この言葉はなんだったんだろう。




「寝るの?」
離れたところから聞くと、目を閉じたまま



「凛も裸になって来て!」
目を瞑ったまま言う。





自分から裸になるなんて…。



女の子はね、
やっと逢えた時くらい、ムードを大事にしたいんだよ…。
「逢いたくてたまらなかった」なら、いきなり抱き締めるくらいして欲しい。


酔ってる織田さんには無理な話…か。




しばらく言われるがままには脱がずに
織田さんを見ていた。



やはり、
「グ~グ~グォ~(-_-)zzz」
いびきをかき始めた。




何のために合流したの…?
「逢いたくてたまらなかった」は
「逢えてホッとした」に変わったの?
そういう事?




仕方ないから私はシャワーを浴びて
バスローブを来てベッドに入ろうとした。


だけど、ベッドの真ん中で掛け布団の上にドカッと寝てしまったから布団がかけられない。
何度も呼ぶが、深い眠りにオチているんだろう。
全くビクともしない。



諦めて隅っこに無理やり入り込んだ。
あ…
アラームかけないと!
織田さんのスマホはイジった事もなく
やはり人の携帯だから触れない。


私のスマホと専用携帯の2つのアラームをセットしようと織田さんの鞄から専用携帯を取り出す。



電源も入っていない専用携帯。
これは予想範囲内。
いつも繋がらない無意味な携帯だもん。
だが、次の瞬間…愕然とした。
電源を入れたら



未読メール 16件。着信 が9。




一体、いつから開いてないんだろう。
これは私との専用携帯だから
お知らせメール以外は全て私のメール。



実は、喧嘩した時に話せる時間がないから
私の気持ちをメールしていた。
私にとっては大事なメールだった。



読んでもいないんだ………。
寂しい。
悔しい。



朝、この専用携帯に気づいて
織田さんが何を想うか、未読メールも着信件数もイジらずにアラームをセットした。



明日は休みだから、平日より少しだけ朝の時間には余裕があった。


しばらく織田さんの寝顔を見ていた。
織田さんは寝ている時、子供に
「パパ臭い!」と言われた事を気にしていて
一緒に寝ても気がつくと背中を向けて寝ている。
今日はまだ大の字のまんまだ。
私が入ると反対を向く。




しばらく寝顔を見ていて、ふと思った。




私はこの男の何がそんなに好きなんだろう…。



No.100 13/10/27 23:01
匿名0 

>> 99

わかってる。
私が依存しすぎてる事。
私が望む事は既婚者に期待する事じゃない事も。



普通の恋愛。
私はきっと、また1人になるのが怖いだけ。
この歳にもなれば、出逢いなんて全くないだろう。



もし…
もしも…
織田さん以外に私を必要としてくれる異性が現れたら、私は織田さんから離れられるんだろうか。




頻繁に出来ていたメールもほとんど出来なくなり、気づけば逢う回数も激減し、月に2~3回になる。



だけど、その1回だって…
今日みたいな日も少なくはない。
ただ、一緒に寝られるだけの日もある。




職場では我慢の連続で辛い事だっていっぱいある。逢いたい時に逢いたいと言えない。




普通の恋人同士みたいに、手を繋いで歩く事も出来ない。いつだってコソコソしていなきゃならない。




それでも幸せと言えるのだろうか。




不倫なんて、
どちらかが本気になったら辛いだけ。
きっと友達が不倫してたら冷静に判断して
冷静な助言が出来る。




自分の事になると、頭では分かっていても
離れられずにいる自分が情けなくなる事もある。




「好き」




どれだけ泣いても
「好き」
一緒にいたい。




眠れずにいた私はまた、こんな事を考えていた。





いつの間にか眠ったんだろう。
かすかに聞こえるアラーム。
遠くでアラームが鳴ってる。
明け方になって寝た私はアラームを止めに行くより睡魔が勝っていた。




普段、寝坊助な織田さんがアラームを止めに行った。普段5時過ぎに起きる織田さんのスマホは5時前から鳴っていた。



立ってアラームを止めに行った事で織田さんは目が覚めたようだった。



シャワーを浴びている音が聞こえる。
寝付いてから、まだ何時間も過ぎていなかったが私も目が覚めた。



だけどもう少し、寝ている振りをしていよう。
シャワーから出た織田さんが何をしているか、少し興味があった。




専用携帯の存在に気づくのか…。
それを確かめたかった。
嫌な女。




シャワーから出た織田さんは、そっとベッドに入ってきた。
いつもと逆の事をしてやろうと私は即座に反対を向いた。寝返りをうつ振りをして。



織田さんは専用携帯には全く気がつかない様子だった。
その内、織田さんも退屈だったんだろう。
気づけば2人して、また眠っていた。




  • << 101 今度は私がセットした私のスマホと専用携帯のアラームが鳴り続く。 バカな私は、織田さんが気づく前に専用携帯のアラームを解除してしまった。 「凛…はい!」と私のスマホを織田さんが渡す。 触ってはいけない物のように鳴ったままのスマホを手渡された。 「おはよ」 私が笑いかけると 「凛………。 ごめん…」 寂しい顔をしている。 言いたい事は分かっていたが、わざと聞いた。 「ん? あ…もう帰らなきゃ!…か。 ごめんね…すぐ支度する!」 立ち上がろうとする私の手を引っ張り 「凛、ごめん 俺、また即寝しちゃった… ホントにごめん…」 私は、織田さんと話せると凄くホッとする。 ほとんどがメールだけの毎日だから、電話でもいい。声を聞いて話せる時間が嬉しい。 専用携帯の事は見る時間もなかなか無いのも分かってるから今日は黙っておこう。 「ちょっと寂しかったけど 大丈夫だよ」 「ごめん」 あまり「ごめん」と言うからほっぺを少し摘まんで「バカ敦!」と笑いかけた。 「織田さん、時間は?」 「まだ平気o(^-^)」 少し早起きしたからチェックアウトまでには、まだ時間があった。 織田さんがジッと私の顔を見る。 「…凛…、ちょっと泣いたのか?」 ん? 何でだろ… 「ん?今日は泣いてないよ」 「…よかった」 そう言うと優しく私を抱き寄せた。 「待って…歯磨いてくる」 そんなのいいよ!と言わんばかりに私を強く強く抱きしめ…キスをした。 これが平日だったら私も違ってただろう。 起きてすぐ支度して、仕事に向かわなければならかった。そういう日は虚しさだけが残る。 でも今日は、昨日は寝ちゃったけど…今こうしていられる。 大抵、逢ってから2回はエッチするけど 今日は時間がないからか、いつもより時間をかけた濃厚なセックスだった。 幸せな時間はあっという間に過ぎ、バイバイの時間になった。駅に着く手前で織田さんが振り返った。 ん? 「昼だし、朝飯食ってないし 飯でも食って帰るか?」 「うんっ!!」 実はホテルを出る時、専用携帯に気づき織田さんは画面を見てから携帯を鞄にしまったのを私は見落とさなかった。 ちょっとした罪悪感があったんだろう。
投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧