注目の話題
これからの時代子ども作っても大丈夫?
声を掛けられなくなった
美容院での会話が苦手

葛藤

レス212 HIT数 36305 あ+ あ-

匿名
14/03/23 08:10(更新日時)

Everlasting Love.



あの日から…
5回目の夏が来る



今もまだ
あたしの横には
スヤスヤと眠るこの男がいる







13/07/19 02:13 追記
●以前、書いていた
「Everlasting Love」の続編です。

14/03/23 08:10 追記



『葛藤』
続きはこちらです ↓↓↓↓↓ m(_ _)m
http://mikle.jp/viewthread/2074669/

No.1975394 13/07/16 02:58(スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.101 13/10/28 02:36
匿名0 

>> 100



今度は私がセットした私のスマホと専用携帯のアラームが鳴り続く。
バカな私は、織田さんが気づく前に専用携帯のアラームを解除してしまった。





「凛…はい!」と私のスマホを織田さんが渡す。
触ってはいけない物のように鳴ったままのスマホを手渡された。




「おはよ」
私が笑いかけると



「凛………。
ごめん…」
寂しい顔をしている。




言いたい事は分かっていたが、わざと聞いた。
「ん?
あ…もう帰らなきゃ!…か。
ごめんね…すぐ支度する!」



立ち上がろうとする私の手を引っ張り
「凛、ごめん
俺、また即寝しちゃった…
ホントにごめん…」



私は、織田さんと話せると凄くホッとする。
ほとんどがメールだけの毎日だから、電話でもいい。声を聞いて話せる時間が嬉しい。
専用携帯の事は見る時間もなかなか無いのも分かってるから今日は黙っておこう。




「ちょっと寂しかったけど
大丈夫だよ」




「ごめん」



あまり「ごめん」と言うからほっぺを少し摘まんで「バカ敦!」と笑いかけた。




「織田さん、時間は?」




「まだ平気o(^-^)」




少し早起きしたからチェックアウトまでには、まだ時間があった。




織田さんがジッと私の顔を見る。
「…凛…、ちょっと泣いたのか?」





ん?
何でだろ…
「ん?今日は泣いてないよ」




「…よかった」
そう言うと優しく私を抱き寄せた。




「待って…歯磨いてくる」




そんなのいいよ!と言わんばかりに私を強く強く抱きしめ…キスをした。



これが平日だったら私も違ってただろう。
起きてすぐ支度して、仕事に向かわなければならかった。そういう日は虚しさだけが残る。
でも今日は、昨日は寝ちゃったけど…今こうしていられる。



大抵、逢ってから2回はエッチするけど
今日は時間がないからか、いつもより時間をかけた濃厚なセックスだった。



幸せな時間はあっという間に過ぎ、バイバイの時間になった。駅に着く手前で織田さんが振り返った。



ん?




「昼だし、朝飯食ってないし
飯でも食って帰るか?」




「うんっ!!」




実はホテルを出る時、専用携帯に気づき織田さんは画面を見てから携帯を鞄にしまったのを私は見落とさなかった。



ちょっとした罪悪感があったんだろう。




No.102 13/10/28 03:04
匿名0 

>> 101



私は本当は織田さんと食事出来る時が一番嬉しい。いっぱい会話が出来るから。
仕事の事で相談するには一番良き相手でもある。




織田さんも愚痴をこぼせるのは多分、私にだけだろう。特に、前嶋の事や男の部下の事は他には言えないと言う。




色んな話をした。
こんな時間は私の心を満たしてくれる。




「凛、今日なんか予定ある?」
突然、聞かれた。




「特にないよ」
本当は病院に行く日だったけど、土曜日は午前中しかやってないから どっちにしても後日に後回しした。




ちょっと言いにくそうに
「…でも、蓮が待ってるよなぁ…」
と言葉を濁す。




「蓮は今ね、研修で山梨に行ってるよ」
そう言うと、少し安心したように




「じゃあ、今日も一緒に寝る?」
と言ってきた。



「一緒に寝よう」と言わない所が織田さんらしい。
「ヤッタ!」
私の喜ぶ顔が嬉しいらしく、織田さんもニコッと笑う。




こんな幸せな時間は久しぶりだった。
今からフリータイムで入れる所を探すのも面倒だったから、いつものホテルに行った。
持ち込み禁止だけど、コンビニで色々買ってチェックインした。



今日はまだ時間がある。
テレビが(今時(笑))有料だから私はある事を思いついた!




「織田さんにテストします!」




「テスト?」


No.103 13/10/29 01:44
匿名0 

>> 102


「メールで問題送るから
好きなゲームでもしてていーよ!」




①凛の好きな色は?
  A:赤
  B:黒
  C:ピンク


②凛の好きな飲み物は?
  A:ウーロン茶
   B:コーヒー
   C:紅茶(ストレート)


③凛の好きな食べ物は?
  A:ラーメン
  B:パスタ
  C:うどん


④凛が織田さんとしてみたいデートは?
  A:手を繋いで歩く
  B:旅行
  C:ドライブ  


⑤凛が織田さんの1番好きな所は?
  A:プックリした唇
  B:綺麗な手
  C:ジョリジョリのヒゲ



さぁ答えてください( ´艸`)
制限時間は3分です!



スタート!





織田さんは…
どれだけ私を知ってるんだろう…。
私の性格は本当によく分かってくれている。
でも、好きな物とか…知ってんのかな?
と、単純に思っただけで何の意味もないこのテスト。



ちょっと引っ掛け問題が2つある。
何やら真剣に迷ってる( ´艸`)



さて、結果は?



No.104 13/10/29 02:09
匿名0 

>> 103



織田さんの解答は
①ハズレ
②ハズレ
③④⑤当たりだった。



引っ掛け問題をそのまま間違えただけ。
①は普段、身に付けない色だから分からなくて仕方ない。
②も織田さんの前では、あまり飲まないから分かりにくいはず。



と、言うことで「合格」にします!




ちょっぴり本気で悔しがる織田さんがなんだか可愛かった。




「合格のご褒美は?」
織田さんが聞いた。



「何もない(笑)」



「えーーー!
じゃあ、俺からリクエストする!」





「何?」




織田さんが指を差す。
その指の先にあったものは………。




大人のおもちゃ?が入ってる自販機とコスプレのレンタルの案内だった。
私はこの歳にして、どちらも経験がない。
正直、戸惑った。



「え…、恥ずかしいからヤダ」




「ダメ!」




「織田さん使ったことあるの?」





「ない!だから使ってみたい!」




「うーん………
恥ずかしい…な…」




「凛は?前の男と使った?」




「使ったことないから恥ずかしいの!」




恥ずかしい気持ちと、
ほんの少しだけ興味もあった。
ニッコニコした織田さんはローションとなんだっけ(ごめんなさいド忘れしましたm(_ _)m)の2個を買い、コスプレは私が断った!
だって可愛い格好が似合う女じゃないもん(笑)




とは、言ったものの…
すぐには使わなかった。
なんだか緊張した。
どんな反応をしたらいいんだろう…。
私の頭の中は、そんな事を考えていた。








No.105 13/11/01 02:26
匿名0 

>> 104



「凛が引っかけ問題出して意地悪したからお仕置きだ!」




元々、好奇心旺盛な人だけど…
あ…!
思い出した。



付き合い出して間もない頃、初めて外でデートした時、一緒にこういうのが売ってるお店に入って買った事があったね…。
私の反応がイマイチだったからホテルにそのまま捨ててきた。




なんでまた今更それを?




最近、少しだけ不安だった事がある。
逢い方が以前と変わってきたこと。
忙しさのせいもあるけど…
前のように食事だけ、とかホテル以外の場所ではあまり逢わなくなったこと。



時間がない日に逢うのはもったいない!と言う。
逢う時は、ゆっくり逢いたい、と。
だからか、最近は逢うのはもっぱらホテルにお泊まり。



不満はないんだけど
織田さんも、ホントはエッチしたいだけなのかな…と不安になる。
アナルや動画を撮りたがったり、アソコの毛を剃りたがったり…。
マンネリ…なのかな…。




一度、喧嘩した時に聞いた。
「ねぇ…織田さんもホントはヤリたいだけ?」





「そんなこと言うなら、もう二度とセックスしない!
逢っても絶対、セックスなしだ!
そんなに俺は信用ねぇーのか?」




私の不安を話した。
「俺は凛に満足して欲しい。
なかなか逢えないから、逢えた時は少しでもゆっくり過ごしたい。
凛が充電が持たないのは…
満足出来てないのか…と思って。
だから、色々試して満足して欲しかった。
凛が嫌ならやめるよ」



No.106 13/11/02 01:40
匿名0 

>> 105


「ううん…そうじゃなくて。
最初のデート、覚えてる?
1度だけ使ったことあったよね!」




「あ…あるねぇ!
あぁ…凛、あんまり感じないんだったね
やめるか?」




「織田さんの好きなようにしていーよ」





実際、織田さんの期待に反して、くすぐったい感じしかなく…
「これはお仕置きにはなんねーなぁ」
と言って織田さんはそれをポイッとした。
それ以来、使うことはなかった。





「織田さんの直が1番いいな」
私がそう言うとニコっとして優しくキスをした。





この男は本当に良く寝る男だ。
また寝た。
この寝顔を見ていると、よくこんな事を考える。




職場では、1番絡みも少ないんじゃないか…と思う程 私とは接点を持とうとしない織田さんだけど、それが時にものすごく寂しくなったりするけど…
この寝顔を見れるのは私だけ。
織田さんに抱いてもらえるのは私だけ。




不安な時
寂しい時
私はいつも自分にそう言い聞かせる。



織田さんもたまに言う。
「凛にこれが出来るのは俺だけ?」




「そうだよ」




私をあえて遠ざけなければならない織田さん自身もたまには心配になったりするんだな…。
こんな言葉で私は安心する。




No.107 13/11/02 02:16
匿名0 

>> 106



寝不足だった私もいつの間にか寝て、やはり私が先に目覚める。
よく寝てる。
ゆっくり寝れる日がほとんどない人だから、そのまま寝かせておいた。






お腹すいたな。




その時、織田さんの携帯が鳴った。
奥さんからの電話。
コールが鳴る間は写メが出るから、すぐ分かる。





そう言えば、いつからか織田さんは私と泊まる日も写メを送らなくなっていた。
今日は土曜日。
「休みなはずなのに何やってんだ」
きっとそう思ってるに違いない。
止まってはまた鳴る携帯。
全く気づかない織田さん。




「織田さん!
携帯鳴ってる!」




織田さんは画面を見て、放置する。
この行動にいつも胸が痛む。
それはいつも私がされる事そのもので
連絡がつかない事がどれだけモヤモヤして、腹立たしく、寂しいものか…私が1番わかってる。
自分がされて嫌なこと。
悲しくて辛い時間。
それを私がさせているんだ。




ごめんなさい…。




携帯が鳴っている間、私たちは終始無言のまま。
放置しているものの…
時にチラッと携帯を覗く織田さん。
あまりに鳴り続けるので織田さんは何やら携帯を触り始めた。
メールしている。




「織田さん。今日は帰ったら?
私は大丈夫だよ。今まで一緒に居てくれたから」





「いや、大丈夫。
この時期は毎年、忙しいって言ってあるから。
ごめんな」




メールを返した事により
電話はメールに変わり、通知音が幾度か鳴る。




あまり気にしていない振りをするようにタバコに火をつける私。
でも内心、気になって仕方ない。



しばらくメールのやり取りをして、返信が来なくなった事を確認すると、織田さんは私の方に来る。




「大丈夫なの?」




「大丈夫!ごめんね」




ちょっとの間が空き
「いやぁ~良く寝た!」
織田さんが言う。





奥さんを騙している事に…
罪悪感はないんだろうか…。
それとも、常に罪悪感を抱きながら
私といるんだろうか…。



No.108 13/11/02 02:56
匿名0 

>> 107




次の日はお昼にホテルを出て別れた。
帰宅する間はお決まりのメールをする。
「また月曜日ね!」




「うん。月曜日ね!」
これが最後の決まり文句。



そして、月曜日が来る。




前嶋に
「中川さん、これさ、欲しい人が誰か勝手に持ってくとマズいから今日持って帰ってくれる?」




抽選会で当たったファンヒーターの事だ。
「このデカいの…電車で持って帰らなきゃなんないの?」
内心そう思ったが、
「わかりました」と答えた。




私が使う電車はかなり混む。
さほど重くはなかったが、かさばって持ちにくい。
郵送して欲しかったな…と思いながらも、前嶋にそれを頼むのもシャクだから意地で持って帰ろうと思いながら会社を出ようとした。





そこに偶然、織田さんが1人の女性と話をしていた。前嶋と仲良しメンバーの内の1人。




「え?
中川さん、それ自分で持って帰るの?」
女性が言う。




「今日中に持って帰ってくれって言われたから…」





「だって電車でしょ?
運んでもらいなよ!大変じゃない!」




「大丈夫です」




「俺、車で持ってくよ!」
織田さんが言ってくれた。




「ありがとうございます。
でも、大丈夫ですよ。頑張って持って帰りますから」
そう言って会釈して歩き出すと、それを見ていた2人が呼び止め



「えー!やっぱり可哀想だよ。
織田さん持ってってあげなよ!」




「うん、俺、持ってくよ」




「じゃあ、お願いします」
2人の言葉に甘えた。




「住所だけ教えて!中川さんが着く頃、見計らって持ってくから」




知ってるクセにわざと織田さんは聞いた。
「すみませんが宜しくお願いします」
そう言って私は会社を後にした。




しばらくすると織田さんから
「今から向かうぞ~!!大丈夫かい?」
とメールが来た。





「余計な仕事増やしてごめんね。
待ってるね」




織田さんは車で来て話す事もなく即、帰って行った。
「これ、黙って来たから…
すぐ帰るね!また連絡する!」



「ありがとう!」





この行動が
後に、問題となる。
きっと相手が私じゃなければ、何ともない話なはずなのに…。



No.109 13/11/02 19:09
匿名0 

>> 108



朝、会社に向かう。
「おはようございます」と言いながら席へ。




そこに私の向かいの女性が来る。



「おはようございます!」




「………」




そっぽを向き、隣りの子と仲良く話し出す。




聞こえてるはずなのに…。




前から無視される事はよくあった。
だから慣れっ子と言えば、慣れっ子だ。




まぁ、気にするのやめよ…。




その後、タバコを吸いに喫煙所に行くと…例の彼女と数名の仲良しさん達がいた。
場所的に私の立ち位置は彼女の隣りしか空いてなかった。隣りに行くと…すかさず私に背を向け、みんなと大きな笑い声をあげて話している。



その中の1人が気を使ったのか、私にも話を振ってきた。彼女だけは私に背を向けたまま私の顔さえ見ようとしない。
それが何度か続いた。



そこへベテランの女性が2人入って来た。
かなりご機嫌な様子で私に話し掛ける彼女。




彼女のやり方は上手い。
自分より上の立場の人の前では決して無視することはない。むしろニコニコ話す。
そう言った人がいない所では180度変わる。




仮に私が
「田中さんに無視されてる」と上司に相談した所で
「いつも仲良く話してるじゃない!」と言われるのがオチだろう。気にしすぎじゃない?と…。




気にしない。
そう思っていたが、それは彼女だけではなくなって行った。彼女の仲良しさん達にまで広がった。




No.110 13/11/02 22:41
匿名0 

>> 109


他に話せる友達がいないわけじゃないし、特に仕事に支障があるわけでもないからほっといた。



彼女達と織田さんは相変わらず仲がよく私と織田さんの1週間~1ヶ月分くらいの会話を毎日している。
織田さんの放置振りも相変わらずだ。




この事に織田さんは気づいているのだろうか。
織田さんに話したくても、なかなか話せるタイミングがない。




1番近い人なはずなのに
1番遠くに感じるのは何故だろう。




織田さんは自分の忙しさを理由に私の事はすっかり忘れ、時には「おやすみ」もなく朝が来る。




バレた頃以来、なかなか逢えないとは言っても、それでも…私をなるべく寂しくさせない努力はしてくれる人だった。




手帳を見る。
逢えてない日を数えると既に2週間が経っている。
私の手帳は細かい。
その日がどんな1日だったか、見ると分かるように付けている。



逢えないだけじゃない。
メールさえ、ほとんど出来てない。
緑色がズラリと並んでいた。




忙しいのは分かるけど
メール1つ出来ない理由ってなに?
私は知ってる。
いつもだいたい決まった時間に喫煙所に行く事。
彼女達と楽しそうに戻ってくる事。
そんな時間はあって私にメール1つする時間はない、って何故?




彼女達や前嶋の目を気にするのはわかる。
でも、それだけじゃない気がして仕方ない。




しばらく我慢して頑張ったけど、私が寂しさに慣れてくことはなかった。
織田さんは言わないと気づかない人。




逢えなくて17日目の夜。
織田さんにメールした。




「忙しいのは分かってるから、しばらく頑張ったけど…限界。挫折しました」



No.111 13/11/03 01:45
匿名0 

>> 110


すぐに返事が来た。
いつもなら既読になっても返事なんて来ないのに。



「挫折したら、どうなる?」
泣き顔の絵文字付き。




「終わる」




「さすがに放置しっぱなしだったからな…
ごめん。でも、終わりにはさせたくない」




「どのくらい経ったか分かる?
逢わなくて」



「10日くらいか?…すまん」




「今日で 17日。
今までの中で1番長い。17日間で連絡なかったのが3回。…でもね、喧嘩は0!
なんでだろうね」




喧嘩ばっかりしてた私達は、気づけば2ヶ月の間、喧嘩をした日がなかった。

仲良しだった証拠?
いや…違う。
それだけ会話が出来ていないって事。
感情を剥き出しにする余地もなかった。



「分かってる。
自分でも俺が全部悪いって分かってる。
今日は頑張って早く切り上げるから」


「大丈夫だよ。
私だけが逢いたいだけなんだから
もう逢いたがるのはやめたの。
仕事、頑張ってね!」


やっぱり素直じゃない私。
可愛くない女。
織田さんに「逢いてー」と思わせる位、私に気持ちの余裕があったなら、私自身もっと楽になれるはずなのに。




こんな会話の途中でメールは途切れた。



結局、織田さんは早く切り上げる事もなく会社に泊まった。



次の日。
逢えなくて18日目の夜。
私は仕事が早めに終わったので帰宅することにした。
私が早く帰った日は何故か何かが起こる。





仲良しの沙織からお茶のお誘いがあり、お茶して帰ることにした。




「ねぇ凛ちゃん。昨日ね、木村さん!織田さんからのご飯のお誘い断ったんだよ!
超珍しくない?どうしちゃったの?って思っちゃった!」




え?
織田さんからのご飯のお誘い?
昨日?




「ふーん。
なんでだろうね!」




胸が苦しくて
泣きたい気持ちを必死にこらえ、冷静を装った。
昨日と言えば、あんなメールをした後だよね?




「そんな遅くまで毎日いるの?」
私が聞く。




「だいたい木村さんが最後!
昨日は私含めて3人いて、織田さんが腹減ったから飯でも食いに行かないか?って。
木村さんが断ったから結局、行かなかったんだけどね」





ふーん。
断らなければ、行ったんだ。
私と逢う時間はないのに、メールも返せない位、忙しいはずなのに…他の子とご飯は行けるんだね…。




やっぱり私は
バカにされてんのか?
早く嫌いになっちまえよ…凛ちゃん。
もう、そんな男、凛から捨ててやりな!
自分で自分をバカな女だと思った。




いつもの私なら、速攻お怒りのメールでもするのに…知らない振りをしてずっと黙っていた。
織田さんからも何も言っては来なかった。




そこまで傷ついても頑張る私は何のため?
私の頭に
「私も裏切ってやろうか」一瞬、織田さんが1番嫌がる「浮気」と言う2文字が頭をよぎった。




No.112 13/11/04 08:58
匿名0 

>> 111



浮気。
浮気しようと思えば簡単なこと。
「逢いたい」と言えば、すぐ逢いに来る男はいる。
今までだって、「浮気」この言葉は何度も私の頭をよぎった事がある。





でも、私はしない。
何故?って、織田さんを裏切りたくないから。
寂しさに負けそうな夜はいっぱいあったよ…。
悲しくてメゲてしまいそうな夜は山ほどあった。




しようと思えば簡単なことなんだよ。
だって織田さんは朝まで連絡がない事だってよくある話だし、飲みに行けば私のことは放置だもん。
5~6時間放置なんてしょっちゅうだし、その間に逢ってホテル行って、何事もなかったかの様にメールすればいい話。
逢えない•メール出来ない休日だってある。





でもね…。
そんな事をしても
その時の寂しさが紛れるだけで
残るものは罪悪感と虚しさだけ。
自分がされて嫌な事を私がしたっていい事は何もない。



私は裏切りたくない。





その夜、織田さんからメールがきた。
「凛、お待たせ!
何してる?」



No.113 13/11/04 18:51
匿名0 

>> 112


「ボーッとしてた。
終わったの?」





「そろそろ終わりにしようと思って。
逢えますか?」
私の心と裏腹に笑顔の絵文字付き。



迷ったけど、逢いに行った。
沙織にあんな話さえ聞かなければ…
待ちに待った嬉しいお誘いのはずだから。
ずっと逢いたくて指折り待ってた日のはずだから。



せっかく喧嘩なしで今日まで来れたんだから、私は知らない振りをして黙っていよう。
そんな事を考えながら待ち合わせの場所へと向かった。




そこには笑顔の織田さんがいた。
何故かこの笑顔を見ると嬉しい気持ちになる。
早速、中に入ると、そこは織田さんが1番ホッとする空間。
誰の目も気にせず2人っきりになれる場所。




あ!
と思い、聞いた。



「織田さん、ご飯は?」





「あ!飯ねぇ、木村さんにカレー作ってもらって食った!」




え…
また木村さん?



ねぇ…織田さん…。
私、木村さんが1番不安なんだ!って何度も言ってるよね?
昨日の飯と言い…
なんなんだ?




私は織田さんに手料理を作ってあげた事が2回しかない。と言っても、その内の1回はおにぎり。




喧嘩はしたくない。
でも、伝わらない想いが悔しくて切なくて仕方なかった。





涙が溢れ始めた。
私は、織田さんに見えないように立ち上がり、お風呂場に向かった。
シャワーで泣き声と泣き顔が分からないように。




忙しくて放置になるのは仕方ない。
だから私は待ってるんだ。
毎日、「今日は飲みに行ってないよね?」
「今日はみんな帰ったかな?」
そんな不安を我慢して、あなたを信じて待ってる。





放置されてる間に毎日、他の女性とそんな事をしているの?




何といった表現がふさわしいんだろう。
とにかく、ショックだった。




私が「浮気してない?」と聞くと
「そんな暇なし!」いつもあなたはそう答える。




ウソ…ばっかり…。



No.114 13/11/07 22:19
匿名0 

>> 113



織田さんは私が隠れて泣いてるなんて気づいていない。でも実際、のぼせそうなくらいお風呂に浸かってた。
サウナにでも入ったかの様に汗をかいてたから泣き顔も分からなかっただろう。




別に飯くらいどうだっていいじゃん。
私が帰れば監視から解放されて気が楽なんだよ。
放置されるのが嫌で、何度言ったって向こうは好き勝手やってんだから…凛も少し遊んだら?




もうあまり執着するのやめない?…凛。
織田さんなんかいなくても平気な凛になりなよ。
凛が離れてく事に不安を覚えさせる位の方がいいぞ!…凛。




こんな事をボケーっと考えていた。




いつも烏の行水の私があまりにも出てこないから織田さんが様子を見に来た。




「凛?」



背を向けたまま
「ん?」




「どうした?」





「もう出るよー!」
笑って言った。




鈍感な織田さんは私のこんな気持ちに気づく事なく




「なぁ…凛さ、俺に黙ってることないか?」
と、聞いた。




黙ってること?
いっぱいあるよ。
言いたいことなんて
話したいことなんて
いっぱいいっぱいある。





「黙ってることってなに?」




No.115 13/11/08 03:04
匿名0 

>> 114



「黙ってること、あるだろ?
内緒にしてることが!」
喧嘩腰ではなく、至って冷静に聞く織田さん。



しばらく考えてみたけど思い当たる節がないから
「ない!なんで?」
と聞き返した。




「本当か?」




「うん。ない!」





織田さんがゆっくりと話し始めた。
「少し前にさ、前嶋さんと飲んだ時に言われたんだ」





内容はこうだ。
 

実はさ、中川さんに話があるって言われて飲みに行ったんだけどさ。
織田、お前 中川さんが辞めたいって何度も言ったのを毎回引き止めてるんだって?
泣いて、私は辞めたいんです。って訴えて来たぞ。次、言いに来た時は引き止めるのはやめろ!
本人の将来は、本人に決めさせた方がいい!





「俺が凛に、辞めるな!って言ったのは間違ってたのかな、ってずっと考えてたんだ…」





何故、前嶋はそんな嘘を言ったんだろう。




「それさ…全くのデタラメだよ。
私、前嶋に辞めたいなんて一言も言ったことない」





「…え!嘘だろ?
ホントに?」




「うん。
考えた事は正直、あるよ。
織田さんは引き止めるのだろうから、前嶋に言った方が早いかも…って。でも、言う時は織田さんに!って決めたから織田さんに言ったよね?」





「そうか…。
じゃあ、なんでそんな嘘を言ったんだろう」





あ!と思った。
「織田さん…反応、見られてるんだよ。きっと。動揺するか?って」




その時、彼女達からされている「無視」の話をした。前嶋と彼女達は仲がいい。




「私を辞めさせたいのかも…」




彼女達が無視を続けてく内に私を精神的に追い詰めて、辞めるか悩ませて、私が織田さんに相談に行った時に、織田さんが引き止めない為の先手を打ったんじゃないか…。




そんな気がした。
少し納得した織田さんは
「凛…大丈夫か?
気づいてやれなくてすまなかった」
と言った。



No.116 13/11/08 03:28
匿名0 

>> 115



「大丈夫o(^-^)
もし、私たちが付き合ってるなら…って考えると私が憎たらしいからじゃない?
織田さんを取られたくない!みたいな…」





「なんか、どこで、どう、繋がってんだか恐ろしいな…。
あっ!ファンヒーター届けた事も前嶋さん知ってたんだよ!」




ならば話は早い。
だって、あの場にいたのは私と織田さんの他に女性1人だけじゃん。
「届けてもらいなよ~!」と言った彼女。





取られたくないんじゃなくて
別れさせたいんだな、きっと。




「織田さん。
頑張れる?」




「もちろん!」




もうカレーの事など、どうでも良くなっていた。
逢えなかった日の寂しさも、どっかに飛んでった。



こうしてメールじゃなく逢って話せる事が、やはり嬉しい。顔を見て話せる事が。




だけど、やっぱり少しでも疑われているのか…と言う事で、また より一層、私達は職場での絡みに注意が必要だった。
特に、前嶋と彼女達の前では…。
そう考えると、織田さんは彼女達と仲良くするのがベストなのかもしれないね。




仕方ないんだ。
私達のしている事は、誰にも言えない関係なんだから…。
決して、許されないこと。。。なんだよね…。



 

No.117 13/11/09 20:25
匿名0 

>> 116


彼女達+前嶋からの嫌がらせは更に続いた。




「若くて綺麗な人は的にされる。
昔から、この会社、そういう習性があるんだ」





それは分かる。
だからって何故、私?
今までそんな経験はない。
私は綺麗でも何でもない。
若さは変えられない。




彼女達はあらゆる手段を使った。
目的は「喧嘩別れ」させる為だろう。
私には直接、手を下さない。
ありもしない噂を流すんだ。
織田さんを混乱させるように。





厄介だった。
噂は連想ゲームのように途中から話がデカくなったり形や内容が変わっていく。
しかも、ありもしない話。




みんなが真に受けたら、私のイメージは大きく変わるだろう。
それが彼女達の狙いなんだ。
みんなに嫌われて追い詰めて辞めさせる。




確かに、この年齢じゃなきゃ…
とっくに挫折して辞めてる。





そして、ウチの職場ではちょっとした対立と言うか派閥のようなものが出来て行った。
真ん中に男が居たとしたら、それを囲む2つのグループ。




職場が段々とストレスになっていく。







No.118 13/11/10 14:47
匿名0 

>> 117



この時期は毎年だけど、織田さんの忙しさはピークを迎え 残業は当たり前。帰れない日々が続く。休日出勤までするようになる。




どう考えても、オーバーワークだよ…。




「ねぇ…なんで織田さんばっかりそんな仕事量が多いの?」





「前嶋さんはズルいからさぁ、案を出すだけ出して全部こっちに投げるんだよ」





納得だ。
私達の仕事量も前嶋が来てから、どんどん増えた。定時と言うものがあるにも関わらず、誰1人として定時で帰れる人はいない。
残業代なんてつかないのに…。




それでも、他に比べたら安定した給料とボーナス。それ+年齢的にみんな転職は厳しい。
文句を言いながらも、みんな続けてくしかない。
計算高い男だ。




織田さんが頑張れば、前嶋の評価は上がる。
この男…とことん大嫌い。
でも何故か、前嶋を取り巻く女達がいる。





それだけ忙しいのを知ってるんだから
「逢いたい」「メールしたい」「話したい」そんなワガママは言えなくなっていた。




織田さんを応援する気持ち。
だけど、やっぱり寂しい…。
「お待たせ。そろそろ終わりにするよ」
このメールが毎日、待ち遠しくなっていた。





この日も
「凛、遅くまで待たせてごめん。
もう終わりにするよ!」




「はーい。
遅くまでお疲れ様!」





そのメールから1時間が過ぎてもメールがない。





倒れたりしてない…よね?




メールしても既読にならない。
心配でたまらなかった。


No.119 13/11/11 03:05
匿名0 

>> 118



電話してみようかな…。
でもそれは掟破り。




「今後、一切電話はやめてくれ」





織田さんに「朝、起こして」と言われた時だけしか私からは電話していない。
でも、もし…何かあったら…。



迷いながら電話を鳴らした。
だけど、怖くなってワン切りで切った。
すると、すかさず折り電が来た。




あ!怒られる(>_<)




「凛。
お前、島田さん飲みに誘ったのか?」





島田さん?
誰だっけ?
ちょっと考えて思い出した。
島田さんとは、営業部のイケメンだと有名な人。



全く覚えがない。
だって、接点すらないもん。




「誘ってないよ。
話す時だってないじゃない!」





「一服した時にでも誘ったんじゃないの?」





「誘ってない!
私、嘘はつかないよ。誰が言ったの?」




片付けをして帰る支度をしてる時に私の机に目が行ったらしく、そこにノートを破ったメモ書きがあったから見たら…




「飲みの件は喜んで!」
と、書いてあったらしい。




それを見て、ショックと怒りでしばらくボーッと考え事をしてた、と。
自分が放置する事が多いから、寂しくて他の男を誘ったのかと思ったらしい。




「具合悪くなったのかと思って心配した!
電話…ごめんね。倒れてなくてよかった」




「俺こそ、疑ってごめん。
このメモ、なんなんだ?」



私が聞きたいくらいだよ…。
「誰かのイタズラとしか考えらんないな」




「そっか…。
こういう嫌がらせ、他にもあるのか?」




「物がなくなるのは、何度かある。
でも大丈夫だから心配しないで。
あと、そのメモ捨てといて!」




「もうとっくにムカついて捨てた(゚〇゚;)」





他の男と飲みに行って欲しくない!
まだ、こんな気持ちでいてくれる事を知ると
なんだかホッと嬉しい気持ちになる私だった。



引き裂こうとされる事はかえって私の
「絶対に負けない!」と言う思いを強くさせた。
それを知った織田さんもまた「頑張ろうね!」と
「凛が頑張ってるんだから俺も負けない!」と
約束をした。



気づけば深夜2時半を回っていた。
「織田さん寝なきゃ(>_<)」




「たまには凛と話したかったんだ」




次の朝、有るはずのメモがない事に
気づくのは誰なのか、私と織田さんはコッソリと辺りを見回してみた。




No.120 13/11/13 01:29
匿名0 

>> 119


それをする為には普段より早く出勤する必要があった。
でも私が先に着くと「捨てた」「隠した」と思われる可能性があるから、織田さんが先に行き、私が少し遅く行く作戦にした。
織田さんに様子を見てもらうように。





だいたいみんなが来る時間を見計らって私は部屋に入った。



うわっΣ(゚ω゚ノ)ノ
織田さんは例の彼女達に囲まれるように喋ってる。笑いながら…。
作戦大失敗?
    



「おはようございます!」
と入って行くと、彼女達の視線は一瞬こっちに向いた。でも、あいさつを返す事なく織田さんと話し続けていた。





なんだかバカらしくなって
もうどーでもいーや。と思った。




しばらく経っても織田さんからメールはない。
「お得意さんのとこ行ってきます」って出てったのにメールも出来ないのか?と少しイラついた。





定時を過ぎ私は帰宅する。
すると知らない番号から電話が鳴る。



私は基本、知らない番号のものは出ない。
この時も出なかった。





夜、やっと織田さんから連絡が来た。
「朝はごめん。
大失敗だった」
見てりゃ分かるさ…。




「もうやめよ。バカらしい」





「でもあれさぁ、たぶん島田さんの字なんだよな…あの人あんな字、書くんだよ!」




「ふーん…。まぁ本人だとしても、私は行かないから大丈夫だよ!」





「頼むぞ(>_< )」




何度かやり取りをした後、織田さんが言った。
「一緒に寝たいね…」




うん…。
でも既に、日付は変わっていた。
今から行ったって遅くなる。
毎度のように、その気持ちはお預けになった。




忙しさの中で
少しでも「逢いたい」と感じてくれている事に少しホッとしながらも、「逢いたい」とは言ってくれても…逢えない現実が寂しかった。




私が嫌がる彼女達。
私に嫌がらせをしているのが彼女達かもしれないと知っても彼女達と仲良しは変わらない織田さん。
口だけなのかな…。




もうこの頃から寂しさに勝てない私がいたんだ。




No.121 13/11/13 02:13
匿名0 

>> 120




次の日、懐かしい名前だが、どこかルンルンの吉田さんが珍しく私をランチに誘ってきた。外回りじゃない日は大抵、食堂で食べる私だけど断る理由もないからランチに行った。





「凛ちゃん何たべたい?」




「何でもいーよ」





「じゃあさ、焼き肉行こッ!」




なるべく節約したいから私はほとんど社食なのに今日は珍しく贅沢な昼食。
たまにはいっか ♪ ♬ ヾ(´︶`♡)ノ ♬ ♪




「ねぇねぇ凛ちゃん!
凛ちゃん昨日、早く帰ったじゃん?
誰かから電話来なかった?( ´艸`)」




電話?
あぁ…すっかり忘れてた!




「あ…1回だけ来たねぇ。
知らない番号だから出なかったけど…」





「ぷっ( ´艸`)
あれねぇ!島田さんだよ!」




ふーん…またソイツか。
「なんで?」




「昨日一服しに行ったら○○さん達にけしかけられて電話してた!凛ちゃんのこと好きみたいだよ!」




「勝手に番号教えたんかい(-_-#)」




「あ…だねぇ、きっと。
でもいいじゃん!島田さんイケメンだし( ´艸`)
凛ちゃん彼氏は?いないの?」




永遠にこの話だった。
昼休みが1時間って決められている事が何よりの救いだった。
何気に吉田さんも噂好きだから…
必要以上のお喋りは控えた。
そして私は嘘をつく。




忘れた頃に何か聞かれても、ある程度の事情を把握している相手。小島を私の彼氏にしておいた。




「なんだぁ…凛ちゃんやっぱり彼氏いるのか。
くっついちゃえばいいのに!って思ったのに」




あのメモの意味がやっと理解出来た。
さて、これを…
織田さんに言うべきなのだろうか…。
どのタイミングで話せばいいんだろう。
きっと知ったら嫌がるだろうな…。




なんて1人で考えていた。
忙しくて逢えない。メールだってなかなか出来ない。
そんな時に話しても、織田さんの事だから…きっと不安材料にさせるだけな気がした。




その夜、待ちに待った「終わりにするよメール」が来た。
やっと、メールだけど、2人だけの時間が来た。
単純に嬉しかった私。
でも、なんだか様子がおかしい…。




No.122 13/11/14 02:56
匿名0 

>> 121


「遅くまでお疲れ様!」





「凛、島田さんに告られたのか?」





なんだ?
私が話す前に知ってるのか…?





「ん?告られてないよ、なんで?」





「昨日、電話来たんだろ?
なんて言ったんだ?ちゃんと断ったのか?」





「昨日ね、知らない人から電話が来たの。
でも出なかったんだ。それが島田さんだったみたい…。私は直接なにも話してはいないよ。
誰かに何か言われたの?」





メールだから織田さんがどんな様子なのかイマイチ掴めない。いつもそう。
肝心な事を話す時は毎回メール。
いつも思う。
大事な事は逢って話したい、と。




既読になっても返信に間が空くと、怒ってるのかショックなのか何かやりながら、なのか分からないから不安になってくる。




返信が来ないから私からもう1度メールした。
「何も心配いらないよ。
例え好きって言われても断るし」




返事が来た。
「絶対、頼むぞ(T_T)」




元々そんなに口数が多い人じゃないけど、この言葉に少し言いたい事を察した。
「寂しい想いさせてるから…
他の人になびくんじゃないかって心配してる?」





「うん。
俺、放置ばっかだし…凛、寂しいのダメだから。島田さんイケメンだしさ。
○○さん達が「中川さんイヤそうじゃなかったよ」って言ってたから…」





やっぱり…。
いらん事を吹き込むのは奴らしかいない。
またソイツらの言うことを真に受けてんのか。





「ねぇ織田さん。
彼女達の言う事に左右されないで。
真に受けないで。
全部、嫌がらせだから。事実じゃない噂ばっかり流されてるだけ」





「そっか…。
ごめん。凛を信じてるクセにたまに混乱する」




分かるよ。
私だってそう。
織田さんを信じてるクセに知らない話を聞いて不安になったりするもの…。




「①か?(T_T)」




「もちろん①(*´3`*)ゞ」




織田さんは私の気持ちを確かめるかの様に聞いた。いつもは私から求めるこの言葉。
例えその場しのぎでも聞くと少しホッとする。





「逢いたいね」




「うん。逢いたい」




いつもなら時間や私の体調、睡眠時間を気遣って、遅い時間には私を呼び出さない織田さんだけど…この日は
「今から出れる?」と言って私を迎えに来てくれた。




誰にも渡さないと言わんばかりに強く強く抱きしめられた。
誰に「恋愛ごっこ」と言われてもいい。
好きだから、ただ一緒にいたい。
私達に、終わりを決断出来る日は…
いつか来るのだろうか。


No.123 13/11/16 08:06
匿名0 

>> 122


織田さんの焦りは感じていた。
今年度が終われば、織田さんは移動ありの可能性が高い。
残された時間の中でやりたい仕事、やらなきゃいけない仕事が山積みになっていく。
1つ片付けたら3つ増えるような間隔で仕事ばかりが増えていく。




私から見れば、自分で自分の仕事を増やしてるだけの様にも思えた。
やり遂げた時の達成感に満足する。
何度となく話をしても自分の仕事に責任を持たない後輩に、自分の姿を見せて分からせようとしているのも感じる。





前嶋が来てから、仕事の体制が大幅に変わった。
いつでもアイツは掻き回す。
最初は皆が「前嶋はいい人」と言っていたけど今はそんな事を言うのはほんの一握り。





アイツが移動すりゃ~いいのに。
いつも腹ん中ではそう思っている。





織田さんと同じ場所で働けるのもあと少しかもしれない。





私は…
本当はどっちを望んでるんだろう…。




ケンカすると度々言っていた。
「俺はどーせもうすぐ移動だ!」




「移動したら逢いにくくなるね」






「今より放置はなくなるだろうし
動く拠点は変わらないから心配いらないよ」





「もし、地方になったら?」





「そりゃ~さすがに今より逢えなくなるだろな!でも心配するな!ちゃんとメールする」





でもこれは織田さんの本心じゃない。
そんな事、分かってるよ…。
移動なんて、したくないに決まってる。
以前、前嶋のイタズラの時…あんなにホッとしてたじゃない!





織田さんのオーバーワークは更にエスカレートし、毎日のように泊まり込み、もしくは深夜まで…が続いた。





そこまで頑張って
織田さんの熱意はどこまでみんなに伝わるんだろう。
家には週末しか帰らない。
子供は寂しくないだろうか。
奥さんは?




もう…メールなんて出来ないのが当たり前のようになっていた。
織田さんに両立は無理なんだ。
元々、不器用な人だもの。
織田さん…
ギブアップなんじゃない?





それともまだ
「今は耐えてくれ!」
って言う?




何度も何度も聞いた言葉。





No.124 13/11/16 21:34
匿名0 

>> 123



織田さんが私を想う気持ちが
以前より遠くなっている事にも気づいてる。
(不倫男に初めから愛情なんて無い!と思う方が多いのは承知で書いてます)





織田さんがたまに口にする。
「他の奴に取られてたまるか!」
「他の奴に渡してもいいわけがない」




でもそれは、好きだから…とは違う気がする。
ただ、悔しいだけ。




実際、私も何度となく考えた。





「別れ」





でも、例え同じ職場にいるのが数ヶ月でも織田さんが違う女と関係を持ったら………
別れた私は怒る権利も泣く権利もない。
それだけは悔しく思う。




織田さんもきっと同じなんじゃない?





忙しい毎日の中で
「おやすみ」さえもメールが来ない日が出来始めた。



クタクタになるまで
限界になるまで仕事を続け
「おやすみ。今日は○○に泊まるね」
すら、力尽き…寝てしまう、と。





連絡がないのが1番不安になる、と何度も言った。それは、不安になる前科があるから。




1日の中で
どんなに大変な時だって1度もメールが出来ないなんてあるはずかない。




現にほらね!
私が送ったメールは何時間経っても既読にならないのに…
喫煙所でたまたま見た。
ずーっと携帯イジってるじゃない…!




ずっとマメで
時間が許す限りメールをくれてた織田さん。
「どんなに忙しくても、飲みに行っても
最後は必ず連絡する」




時々、出来ないこともあったけど
それでもずっと守ってきてくれた。
だから安心していられた。




すれ違い…。
今の私達は、どんどんすれ違ってく。
そんな不安を抱きながら
それでも私は信じていた。
これだけ忙しい毎日なんだから…
裏切りは…ないよね…?




No.125 13/11/18 02:24
匿名0 

>> 124




もうすぐキャンペーンが始まる。
2日間にわたって2つの場所に分かれ販売促進会のようなものがある。
織田さんは常にバタバタ動いていた。
これは毎年行われる恒例行事なため、織田さんの大変さは理解している。




入社して4回目になるこの行事。
たった1度だけ、織田さんと同じ場所になれた事がある。でも、前嶋が来てからは一緒になれた事は1度もない。





「どーせ一緒になれないよね…」




「前嶋さんはきっと、○○さん達で自分の周り固めるだろうな…で、凛もね…」





希望なんて聞かれる事なく、場所とメンバーが貼り出された。




私と織田さんの予想通りだった。





準備に追われる織田さんは、通常の業務は後回しで走り回っている。一方の前嶋は皆に指示を出すだけで全く動かない。




この雰囲気からして、当日の光景も予想はついた。





そしてー当日ー。




天気もよく、人通りも多い。
これは忙しくなりそうだ!




…と、思ったものの
ヒーヒー言うほどの忙しさではない。




前嶋がいる手前か、お気に入りメンバーのリーダー格の彼女が私のとこに来た。





「中川さん!一服して来な!
タバコ吸いたいでしょ!!」





「あ…私、最後でいいですよ」




自分らは最後に行くから気にせず行って来い、と言われ一服しに行った。あらかじめ用意されていた喫煙所には水の入った缶カラが置いてあった。
タバコを吸わない人の方が多いのに、私だけ休んでいる事に気が引け、すぐに終わりにしてタバコを捨てようとした時………




あれ?
タバコ吸うのって前嶋と私入れて4人だけだよね?
吸い殻の銘柄を見れば一目瞭然で…




なんだ…。
奴らサボってばっかなんじゃん…。
既に缶の1/3は吸い殻で埋まっていた。




織田さん、どーせ返せないだろうけど…
メールしてみよ。




「お疲れ様!
どう?忙しい?」




No.126 13/11/20 01:10
匿名0 

>> 125


案の定それは
いつまで経っても既読にはならない。




終わりが近づいてきた2時間前くらいだろうか。
なにやら前嶋が真剣に電話で話している。
たまたま近くにいた私は、その受け答えの内容から電話の相手は織田さんだとすぐわかった。





電話を切った前嶋は
「B(チーム)が在庫足りないって言うから運んでくる。こっち頼むね!」
と言って在庫を車に乗せBの所に向かう。





結構な数、持ってったな…。
そんなに足りないんじゃ相当忙しいだろう。




すると前嶋は思ったより早く戻ってきた。
「だいぶ売れたね!
こっちはそろそろ片付けよっか!」




当たり前じゃん(-_-#)
あんだけ持ってったんだから。




最後に売り上げ報告等があるため一旦会社にもどらなければならない。
そこで織田さんの顔だけは見れる。
でも…織田さん達は、なかなか戻ってこなかった。




去年のキャンペーンは確か、ちょこっとだけ打ち上げに参加した織田さんとその後に逢えたんだよね。口にはしなかったけど、
「今日も逢えるかな」
ほんの少し期待してる私がいた。




終わり予定の時間から大幅に遅れてBは戻ってきた。



「随分遅かったな」
前嶋の言葉に




「誰1人まともに休憩も取れてませんから!」
少しキレた様な織田さんに見えた。




その織田さんの疲労ぶりは半端ない姿だった。
あんな姿はめったに人前じゃ見せない。




人をうまく使う前嶋とは違って、織田さんは自らが動いて、少しでもみんなを休ませてあげようとする人。
きっとフル回転で頑張った姿だろう。




黙ったまま椅子に腰掛け動けない織田さんに対し、
「みんな待ってるから早く報告して解散するぞ」
前嶋が言う。




その時、打ち上げに流れる人達の姿が見えた。




あんなに疲れてるのに打ち上げなんか出たら…すぐにベロベロになっちゃうだろうな。
って事は、今日は…無理…かな…。



No.127 13/11/20 01:32
匿名0 

>> 126


一通りの報告が終わり数名が帰り始めた。
私は織田さんの様子が気になり、一服だけして帰ることにした。




喫煙所から戻ると、まださっきの姿のまま下を向いている織田さん。相当疲れきっている。
そのそばで、前嶋のお気に入りメンバーは何だか盛り上がっている。
打ち上げには女性は出れないのは知ってた。
彼女達が帰るのを確認したい気持ちだったが、帰る気配すらないから


「お先に失礼します」
諦めて私は帰ろうとした。
その時、その中の1人が
「あ~私も疲れたから帰ろ!」
と言ったのが聞こえた。
その言葉に少しホッとしながらも「お前らも早く帰れ!」そう思いながら私は会社をあとにした。





家に着き、織田さんにメールした。
「相当疲れきってたね…大丈夫?
飲みすぎてベロベロで連絡出来なかった…ってパターンはヤダからね。
もう一踏ん張りかな?頑張ってね」





終電の時間は過ぎ
深夜になっても既読になることはなかった。
毎年こんな時間まで打ち上げやってないはず…。
不安になる私は、しつこいからもう一度メールする。




「解散した?寝てるの?」




すぐに返信が来た。
泣き顔の絵文字が付いた
「ごめん、死亡。
おやすみ(;_;)」





織田さんは疲れて、叉は、飲みすぎて即寝することを「死亡」と言う。
きっと疲れたんだね。




何の疑いもしなかったバカな私……。


No.128 13/11/20 02:01
匿名0 

>> 127


幸い翌日が休日だったため、今日はゆっくり寝かせてあげようと思い私からメールするのは控えた。




と言っても、織田さんの行動パターンはよく分かってる。だいたいメールが来るのはお昼頃。




だけど…
珍しく11時頃にメールが来た。




「すまん!もう帰ってる!」





帰ってる………って?




「今どこ?」




「早い電車に乗れたから、もう○○駅」





あと20分で着いちゃうんだ…。
逢えるかな…って期待は見事に期待はずれに終わり、メールすら返信が遅くてほとんど出来なかった。




「今までどこにいたの?」





「会社」




「○○さん達は?」




「早々帰ったよ!」




この言葉だけで安心した私だった。
「打ち上げでベロベロだった?」




「いや…俺、見たか?
俺もクタクタでそれどころじゃなかったんだ」




まるで私の心配を払いのける様にホッとさせてくれる会話だった。彼女達と飲みに行くのは1番イヤ。(木村さんもイヤだけどね)∑(=ω=;))




バカな私はこんな短い会話の中でも、織田さんの言葉を信じたんだよ…。
こんなバカな女…簡単に騙せるとでも思ったの?




このあんなにもホッとした、安心した会話が
織田さんを信じられなくなっていく私に変えた。
嘘。
嘘をついた方がいい選択の時も
時と場合によってはあると思う。
それは嘘を貫き通せるならば…。
絶対にバレない嘘ならば…。
知らない方が幸せな時もある。





でもね…。
嘘が人を変えていく。
地獄に落ちる嘘もあるんだよ………織田さん。



No.129 13/11/22 02:21
匿名0 

>> 128

この頃、職場の雰囲気は最悪で派閥と言うか対立のようなものが出来ていた。
女同士には良くある話だけど、要は「好き嫌い」を仕事に持ち込んでるだけの話。




アイツ嫌いだからアイツの全てが気に入らねー!…みたいな。端から見ると、お互い様なんだけどね…って言うような。




でも、当事者達には大問題なんだろう。
当事者達だけで済むならいいけど、それに便乗する人達がいるから話がデカくなる。
段々みんなが便乗し始め、人を巻き込むから厄介だ。





そんなある日の夜、メールが鳴る。




あ…
珍しい…木村さんからだ!




「お疲れ♪
いきなりだけど
中川さん上着のサイズM?S?」




「Sなんて着れませんよ(^。^;)
Mです。靴はSだけど…」




「あ!よかった。
買ったけど小さくて着れないコートがあるから
もらってくれる?」




「買いますョ!」




「そんなのいーよ!あげる!
話は変わるんだけどさ…」





本当に聞きたかったのはこっちね(-.-;)
と思った。




「中川さんもキャンペーン後の飲み会行ったの?」





飲み会?
なんだそれ?




「打ち上げのこと?
出てないですよ。すぐ帰りましたから」





ちょっと嫌な予感がしたから私からは何も聞かなかった。




「やっぱりね!
打ち上げはウチの課は出ないんだよ!
あれは上の人達と営業の打ち上げ。
デモね…奴らは飲み会やったらしいよ。
みんなに内緒でね」




「奴ら?前嶋さんとか、ですか?」





「そう。あと角田達!」




でも、織田さんは行ってないョ!
と言いたかったけど、言えない。
私が知ってたらおかしいから。





木村さんは妄想で決めつけるところがある。
だからまだこの時は、織田さんを信じてた。
自分が参加出来なかった事が悔しいんだろうな…と思って、ただ話を聞いてた。
と言うか…
木村さんが何を言っても、まだ私は信じてたんだ。
織田さんの言葉を。






あの日が来るまでは………。


No.130 13/11/23 23:27
匿名0 

>> 129



休み明け、いつもと変わらぬ朝。





「おはよう。ちょい寝坊だ(*_*;」




織田さんの第一声から始まる1日。




「おはよ。今週も頑張ろうねヾ(´▽`;)ゝ」




ねぇ…織田さん。
昨日ね…木村さんから変なメールが来たよ。
言おうか迷ったけど、朝はあまり時間もないしやめた。




社内の対立の片側は、木村さん達。
角田さん達はライバル。
当事者だけでは問題解決出来なくなり、遂には男性が間に入る。




この日、私は仕事が終わらず珍しく最後まで会社にいた。





今日も何やらモメてるな…と思いながら、私は残ってる仕事を片づけた。
みんないつもこんな時間までいるんだぁ…と思うと少し嫌な気分になった。




さて、帰るか!
身支度をして鞄をかけると




「中川さん帰る?」




「はい!帰りますよ~」





「ちょっとだけ待てる?
一緒に帰ろ!」
木村さんだ。




前より木村さんの帰りが益々遅くなってから、一緒に帰る事はほとんどなくなっていた。
木村さんと帰ると、いつも嫌な予感がする。
以前、大喧嘩した時も
木村さんと帰った時に発覚した、織田さんの嘘が原因だった。




断れば済むのに、木村さんの勢いに逆らえない私。あまり嫌な話なら聞きたくないな…と思いながら一緒に会社を出た。



No.131 13/11/23 23:54
匿名0 

>> 130



「ちょっとたまにはコーヒーでも飲まない?」





「いいですョ!」





嫌な予感はしたものの
織田さんを信じていた私は
織田さんは飲みには行ってない!と言う自信が何故かどこかにあったから
「愚痴くらい聞いてやるか!」くらいに思ってた。





木村さんのストレスは相当溜まっていた。
暴言吐きまくり。




「キャンペーンの後だって絶対飲みに行ってんだよ!私には確信があるんだから!」




あ…
やっぱり、聞いたわけじゃないのね?(-.-;)
でもさ、私が怒るならまだしも…なんで木村さんが怒る?
不思議だった。




「なんで木村さんは分かったの?
飲みに行ったこと」



聞かなきゃいいものを聞いてしまうバカな私。





「え?中川さん気づかなかった?
さっき織田さんと角田がコソコソ部屋出てったの!…部屋出たとこで、お金のやり取りしてたもん。間違えないよ!」




お金のやり取り?
なんだか気分が悪くなった。
どんな都合か知らないけど、なんでお金のやり取りなんだ?




「あーやってさ、飲みにばっかり行ってれば仲良くもなるよね!仲良しだから間違った事でも奴らには強く言えないんだよ!男も…。
私にばっかりキレたものの言い方するけどさ、ハッキリ言って筋違いなのはアイツらなんだよ!」






あぁ…そういう事が言いたかったのか。
ようやく理解出来た。
でも私からしてみたら木村さんだって飲みに行ってるじゃない!
とは思ったけど、言わないでおこう。




こんな話をコーヒー一杯で何時間したんだろう。
織田さんを信じてはいるのに、妄想とは言え、あれだけ自信満々に話されると不安になる。




木村さんと分かれてメールしてみた。
「織田さん、何か隠してる?」



No.132 13/11/24 00:21
匿名0 

>> 131



既読にはなってるのに返事が来ない。
今から思えば、返事に困ってたんだね。
じゃなければ、「ウザい」と思ってたんだろね。
なんだか考えてるうちに
知らなくていい話に思えてきて
「やっぱりいーや。気にしないことにした」とメールした。




しばらくしてメールが来た。
「そろそろ終わりにするよ!風呂は?」




いつも通りの織田さんにホッとしたような
何か腑に落ちないような。
でも、そんな事で喧嘩するより逢えてないんだからラブラブなメールがいいな、と思って
私も敢えて普通通りにメールした。




織田さんは最後まで私の質問に触れることはなかった。
私もそれ以上、聞かなかった。





「今年は2人だけの打ち上げ出来なかったね」





この言葉さえも何故かスルーだった。
電車が混んでると返事が遅い事はよくあり、待ちきれない私が、織田さんの返事の前にまたメールを入れるから読み落とす事もよくある。




でもこの時は違った。
ちょっとだけ私の信じていた気持ちが
疑いに変わった瞬間だった。





「凛、①か?」
話をすり替える。




「まぁまぁ…①かな Ψ( ̄∀ ̄)Ψ」





「俺は大①だ(T_T)」




何故、隠したのか
その心理は織田さんにしか分からない。
織田さんが yes ともnoとも言おうとしないから私ももう聞かなかった。



No.133 13/11/24 07:49
匿名0 

>> 132


女って、誰かとツルむ習性がある。
まるで女子校の延長のように。
誰かと常に一緒にいて、誰かいないとダメ!みたいな。



ウチの職場もそんなグループが幾つかに分かれていて、その中に一匹狼タイプがチラホラいる。
私は「いつも、何をする時も、絶対一緒」って言うのは疲れちゃうタイプ。
誘われたら行くし、気分が乗れば行く。
木村さんもそんなタイプに近い。
一方の角田さん達は女子校タイプ。




でもまぁ、どちらとも気が強く負けん気が強い。
織田さんも頭を抱えてた。




思い出したんだ。
以前もめちゃめちゃ忙しくて、辞めてく人が後を絶たなくなってた時、織田さんが医師との面談で言われたことを。





「仕事一筋で真面目な人は鬱になりやすいから気をつけなさい」




私は家族で鬱病がいた経験がある。
とにかく大変な時期だった。




織田さん、大丈夫かな…。
ふと心配になった。
よく考えたら、付き合った当時より飲みに行く回数が断然減った。
お小遣いが減って節約せざるを得ない。
元々は明るくて周りを喜ばせる事が大好き。
イタズラ大好き。
今は前嶋の子分のように動かされる。
家での事はよく分からないけど、尻に敷かれた感じだからどうなんだろう。




織田さん、ストレスの発散場所…ちゃんとあるのかな…。




なるべく私は帰りのメールくらい癒やすようなメールにしなきゃな、と思った。



たまに口にする。
最近全て面倒くさい。
気力が続かん。
無理が利かない。




きっと、我慢の時期なんだ。
織田さんが頑張ってるんだから…
私も頑張らないと!
寂しがってばっかりじゃダメなんだ!



織田さんがいつでも愚痴をこぼせて
私といる時くらい、気が休まる空間でなきゃ。
そんな風に感じて、少し遠くから見守るように心がけていた。






No.134 13/11/24 16:21
匿名0 

>> 133



前だったら…
喧嘩の後や、こんな時は次の日だいたい逢ってくれて仲直り出来てた。




でも、おこづかいが減った事も理由の1つで仕事も忙しく、やっぱり前とは違う。




あれから一週間が過ぎた頃
「凛、何してる?」




「パソコンイジって待ってたョ!」





「今日、逢えるか?」





嬉しくてたまらないクセに
ちょっと意地悪っぽく
「うん!逢う!
今日はお仕置きだな (*≧艸≦)」
と言うと、




「その話は今日は無しでお願いします(>_<)」
と、返ってきた。




予想外の返事に戸惑ったのは私。
特に意味もなく言った言葉だった。




「ん?その話?
なんかやましい事あるの?」





「え…お仕置きって言うから
この前の件かと…」





その時、初めて事実だったと知った。
やっぱり…嘘ついてたんだ………。
一瞬にして、あの日のメールが浮かんできた。





そんな事を深く考えてる余裕もなく
「今日はやめる?
凛、ヤダよな…」




「ううん。逢う!」





「平気か?
迎えに行くから支度出来たら連絡して」




「うん!わかった!」





ショックはショックだったけど
もう時間が過ぎていた事と、なんとなく言いにくかったのかな、って言うのもあって
今日は責めるのはやめよう…と思い、出掛けた。





「着くよ」





「はーい」




少し笑顔のない織田さんが待っていた。
「どうする?凛、飯は?」




「なんか買ってく?
どっかで食べてく?」




「買ってこうか。
こないだ食ったのですげー美味いのがあったんだ!それ凛にも食わせたい!」




「うん」
織田さんにほんのちょっぴり笑顔が戻った。



No.135 13/11/24 17:00
匿名0 

>> 134


ホテルに入って織田さんオススメの「なす味噌弁当」を食べた。




「すげー美味いだろ?」





「うん、美味しい!
でも、私が作ったのの方が上手いな (((*≧艸≦)ププッ」





あ ~ψ( ̄▽ ̄)ψ
と言った顔をして
「食ってみたいな…」とボソッと言った。




ギクシャクした2人より
せっかく逢えた時くらい、こうして仲良しがいい。
織田さんが笑ってるほうがいい。



聞きたい事はいっぱいあったけど
今日はやめよう。グッとこらえた。




「ちょっと暑いから脱いでいい?」




「うん。
じゃあ私、シャワー浴びてくる」




後ろからギュッと抱きしめられた。
その力強さに、私のイケない口が開く。




「なんで、嘘ついた?」
後ろを向いてるから、顔が見えなくてちょうどいい。顔を見たら泣く。




「凛が泣くと思って言うタイミングが分からなかった」




「あんなに疲れてたのに。
彼女達、早々に帰ったって言うから安心してたのに」




「早々に帰ったんだよ!
あの日、俺はムカついてたんだ!前嶋さんに」




「なんで?」




「自分のとこが売れ残ると示しが着かないからって在庫すげー持ってきてさ。
俺が欲しいって言ったのは在庫じゃなくて人を貸して欲しいって言ったんだ!
こっちは誰も昼だってロクに食ってないのに」





前嶋の事をこんな風に言うのは珍しい。
「え…ウチそんなに忙しくなかったよ。
それに在庫足りないって言うから!って言ってたよ?」





「デタラメだよ!」




「会社に泊まったのは?」




「言えるかよ?
エロビデオ鑑賞のとこに泊まった、なんて!
…無理やり電車に乗せられたんだ。
疲れてて無理だって言ってんのに。
案の定、○○駅までしか電車がなくて
あんなとこで降りても何もないんだよ…。
仕方なく、そこに泊まったんだ」




「まだ聞く?」
続けて織田さんが言った。
その顔とその口調には、いつにない織田さんの迷惑そうで嫌そうな雰囲気を感じた。




最後に捨て台詞のように
「不本意なんだよ、俺だって」と…。



No.136 13/11/24 17:30
匿名0 

>> 135


最後まで「ごめん」と言う言葉はなかった。
それが逆に「仕方なかった」事を証明しているように私には思えた。
もう過ぎた事だから、今更何を言ったってね。





「ねぇ…今日ね!
やっと付けて来れたんだ(^-^)」




「ん?何を?」




場の雰囲気を変える為にわざと言った。
「ぷっ!内緒( ´艸`)」




いつもはしないけど今日は私からキスをねだった。長いキスをしたあと、織田さんが優しく服を脱がせる。
鈍感な織田さんはあまり気づかない事が多いけど




「あ…可愛い下着(*^-^*)
珍しいね!こういうの…可愛いよ」




「新しいんだよ( ´艸`)」




「ねぇ…織田さん。
○○日は休めそう?」




「あ~…まだ分からないんだ。
でも休む方向で持ってってる!」



たぶん私が不安げな顔をしたんだろう。
○○日は年に何度か有るか無いかの平日休み。
私が1番楽しみにしている日。
私の気持ちを察したように




「休む!
何が何でも休む!
大丈夫だよ、何としてでも逢う!!」





「約束だよ!」




「わかったよ(*^-^*)」




何の障害もなければ
いつでもこうして仲良しなのに。
「なにが悲しくて周りに左右されなきゃなんないんだ」
前に織田さん言ったよね?
私が強くならなきゃ
もっと織田さんを信じて。




ベッドに入るとギュッと織田さんが抱きしめた。
その時、偶然にも流れたんだ。
「織田さん…よく聞いて!」




私が大好きなあの歌。
よく歌うあの曲。
歌詞が私の気持ちを代わりに歌ってくれているようだった。



織田さんは歌を聞きながら黙って私を更に力強く抱きしめた。ギューッとすっぽり私の体を包み込むように。




ごめんね…。
泣き虫で。我慢してもポロッと零れ落ちる涙を織田さんは何も言わず胸の中でそっと泣かせてくれた。




No.137 13/11/25 02:44
匿名0 

>> 136



これは別に、女と飲みに行ったことが悲しかった涙じゃない。
嘘が悲しかったんだ
織田さんに涙の理由が分かっているのかは分からない。




久しぶりに泣いた。
でもね…
ちゃんと分かってるんだよ。
だって全然、飲みに行かなくなったもんね。
それだけ、ちゃんと気にしてくれてること分かってる。




私が泣いたり怒ったりするから言いにくい気持ちも分かってる。織田さんも、強引に誘われれば断りにくいのもわかる。




泣いた後でごめんと思う。
だけど、ショックなのも事実なの…。
自信がないのかな。
織田さんはよく言うよね?
「何も心配いらないのに」
「もっと自信持っていーんだよ」って。




思われてる自信がないわけじゃないんだ。
だけど不安がいつもあるのは確かで。
じゃあ、この不安ってなんなの?って考えると
織田さんがいなくなるんじゃないか、離れてくんじゃないか…って不安なんだ。




思われてないのかな?って不安なんじゃない。
誰かに取られるんじゃないか?って不安でもない。
「いつか私に嫌気がさして離れてくんじゃないか」って不安。




そんな事をぐっすり眠ってる織田さんの寝顔を見ながら考えていた。

No.138 13/11/27 02:13
匿名0 

>> 137



敢えて今日を選んでくれたのか
この日は珍しく連休前だった。
いつもなら夜から逢って、私の山積みになっている話をしてるだけで、あっという間に時間は過ぎ…すぐに日付が変わる。
あっという間に朝が来てバイバイの時間になる。





連休前に逢える事があったとしても、コーチをしなきゃいけないから朝早くバイバイする。





でも、この日は
「明日は朝寝坊しても大丈夫だからね」と言ってくれた。
いつもより何時間か長く一緒にいられる。




せっかくゆっくり寝れる時くらい寝かせてあげようと思った。私は習慣なのか、いつもと変わらぬ時間に目が覚めたら二度寝も出来ず…。





でも、ほっといたらチェックアウトの時間ばかりが迫ってくる。





ずーっと寝てたらそんなにいつもと変わらないなぁ…なんて思いながら、私はシャワーを浴びる。お風呂から出ると織田さんは珍しく自力で起きていた。





「凛、ここ何時までだっけ?」




「12時まで」




「まじで?もうあんまり時間ないな
ごめーん…いつも寝まくっちゃって」




「大丈夫だよ!ゆっくり寝れること、あんまりないでしょ。わざと起こさなかったの」





織田さんが私の手を引く。
そしてキスをする。
力強く抱きしめられ、織田さんの手が私の胸に。





「…織田さん!
あまり時間ないよ…」




「たまには延長!
凛、大丈夫?」




「うん!」





結局その後、私のお気に入りの中華料理屋で食事までしてバイバイした。
ちょっぴり贅沢な時間を過ごせた。




帰り道お決まりのメールをしながら帰っていく。
贅沢な時間を過ごせたせいか
私の心も少し穏やかになっていた。



No.139 13/11/27 02:37
匿名0 

>> 138



帰り道のメールで私は言った。
「織田さん、ありがとう。
幸せな1日になりました。
でもね…約束して。
嘘はダメだよ。
どれだけ傷ついたとしても絶対に別れたりはしないから。ちゃんと言って欲しい。
じゃないと…」





色んな事が
あ…
嘘かな。
もしかしたら、また嘘ついてるのかな…
って
疑うようになっていくよ。




場合によっては断れない事もあるだろうし
織田さんから誘ってるわけじゃないのも分かるから。
知った時はショックだけど、いつでも許して来たよね?




飲みに行ったことなんかより
嘘のほうが悲しくなる。
前に織田さん言ってくれたでしょ?




「いっぱい喧嘩もするけど
喧嘩したら必ず仲直りしよう。
喧嘩してもずっと一緒だ!」
って。




私もそう願ってる。
わかったか?





「わかった。
ごめんね…」




今回、初めてごめんと言った。
ずっと一緒なんて、叶わない事は分かっているけど…
少しでも、一緒にいたい。
この気持ちが変わる事はない。




「誰にもあげないもん!
今回は私の織田さんを貸してあげただけ(-.-)y-~~」





「そうだ!
その意気だ!
余裕持って大丈夫なんだからね!」




「うん!でもあんまりレンタルさせてあげないけどね( ´艸`)」




こうして何だかんだ言いながらも結局最後には仲直りする。これが私達らしいのかもしれない。





そしてバイバイ。
織田さんとメールも出来ない連休がくる。



No.140 13/11/29 01:43
匿名0 

>> 139



織田さんに逢えない連休の過ごし方はだいたい決まっている。
朝は蓮の仕事があるから普段と同じく早起きし、ご飯を作る。蓮が出た後は洗濯をして簡単に掃除。化粧をして買い物に行く。




今日はウィンドウショッピング。
そこで見つけた!



「あ…これ…織田さんにあげたいなぁ」




値段を見ると結構、高い。
織田さんの好きな柄の革の財布。
もしこれが、まだ売っていたら今年のクリスマスプレゼントにしようと決めた。
2種類の形があって、どっちも捨てがたい。
息子と織田さんがお揃いなんて微妙だけど1つは蓮にあげたいな。
今日から少し節約•貯金だ!





ショッピングを終え帰宅すると友達からメールが来ていた。
もう忘年会のお誘い?(゚o゚;
結婚して遠くにいる人達の為に早めに決めたいから希望を知らせて欲しい、と。





迷わず休みに入ってからの日付を希望した。
でも、同窓会のようなもの。もちろん男もいる。
なんだか、こんな事でさえ罪悪感を感じる。





そんな事を考えていたら………





ガタガタッガタガタッ…
怖っ(>_<)




地震。
結構、大きな揺れが続いた。




するとメールが鳴る。
「無事か?」





あ…
織田さん だ(๑•ᴗ•๑)♡




休みの日はメール出来ないのに…
「怖かったけど無事!」





「よかった」




たった、それだけだったけど嬉しかった。





ふと思い出した。
3月11日のあの地震の時の事。




No.141 13/12/01 16:41
匿名0 

>> 140



あの日、私は外回りで織田さんも外回り。
あの頃はまだメールも今よりは出来ていたから、ちょうどやり取りをした後だった。





私は高台にいて階段を下りる直前に大きな揺れを感じた。電柱やマンションが大きく揺れてる。
家の中から住人が飛び出してくる。
私の横には、たった1人、おばあちゃんが「怖い」と言いながらフェンスにしがみついている。





「大丈夫?」




「怖い!」




「家は近くですか?」
と聞いた時、娘さんが階段を足早に登り、おばあちゃんを見つけて連れて行ってくれた。




あ!
お母さん大丈夫かな…
蓮は学校だから大丈夫だろう。
まず、お母さんだな!




電話は既に繋がらない。
メールだ!
「お母さん大丈夫?」




すぐに返ってきた。
「大丈夫だけど怖い。足が…」




「誰かといて!危ないから」




「悠が今から来るって。大丈夫だからね」
悠とは兄。
兄がいるなら大丈夫だろう。




携帯が鳴る。
あ!
織田さん…。
「無事か?
すぐに電話したけど繋がらなくて」





「大丈夫!無事。
織田さんは?怪我なし?」




「無事!
すぐ会社に戻るから凛も気をつけて戻ってきて」





すると会社から一斉メールが来た。
安否確認と今日は早く帰って下さい、と。
返事をしようとしたが、ここから携帯が全く繋がらなくなった。




仕事はあと少し。
ほんの何十分もあれば終わる。
揺れもおさまっているし明日に繰り越すのも嫌だ。




よし!
終わらせて急いで帰ろう。







No.142 13/12/01 17:12
匿名0 

>> 141




冷静に冷静に仕事をこなし会社に戻ろうとした時、偶然にも同僚に逢えた。




「凛ちゃん!
凛ちゃんと連絡がつなかいって騒がれてるよ!」




え…
「携帯が使えない。
公衆電話はあの列だし、帰ったほうが早いかと」





「待って!電話してあげる!」
DOCOMOは繋がるようだった。
2人で会社に戻ると、まだ帰社していない人が数名いた。




沙織がいない…。
キョロキョロしてると織田さんが私を見つけて寄ってきた。
「無事でよかった…」




「携帯繋がらなくなっちゃって…。
すみませんでした」




織田さんはホッとしたように微笑んだ。





「中川さん、お母さん家に1人でしょ?
早く帰りなさい!」
先輩が言う。




「兄がいるので、みんな帰ってきたら帰ります」




織田さんはバタバタと動いていた。
私が織田さんが気になるのを察したのか
「俺は今日はどの道、帰れないから心配しないで早く帰りなね」
と、メールが来た。




「沙織が帰ってきたら帰るね」
沙織は途中で仕事を断念し戻ってきた。





帰り道。
あの光景を忘れる事はないだろう。
いつもはガラガラな道が人で溢れかえっている。
歩いて帰れない距離じゃなくてよかった。




家に着くと兄とお母さんがいた。
予想以上に家の中は散らかっていた。
「お母さん、足…どうした?」




「足?」




「メール!足が…で、止めるのやめてよ!
心配するじゃんか!」




「あ~!足が震える、って事!」
なんだよ………(*_*;
蓮も無事帰宅。
我が家は余震にビビりながらも皆、無事でよかった。




それから3日間、織田さんは帰れずに仕事に明け暮れた。ご飯もほとんど食べれないと。




「凛、あと10分位で凛の家の近くの○○マンションに行く!顔だけ見たい。
すぐ次に行かなきゃだけど」




私は休みで家にいた。
このメールを見て、とっさに思い付いた!
あと10分………。




No.143 13/12/01 22:30
匿名0 

>> 142



ご飯は炊けてる。
食べ盛りの蓮の為に買い揃えてあるから具も海苔もある。




よし!


ほとんど食べれていない織田さんの為に、おにぎりを握った。織田さんが好きな梅干しと、カリカリ梅とちりめんじゃこをごはんに混ぜたのと、 昆布とわかめ、4つ握ってバンダナにホカロンを敷き、おにぎりを少しでも冷めないように。
水筒に温かいお茶。




そんな事をしてたら少しもたついて、織田さんからイラついたようにメールが来る。
「凛、まだか?
遅いぞ!」




「ごめん。すぐ行く!」




メールとは違って優しい顔で織田さんは待っててくれた。




「眠れてるの?」




「仮眠程度には。
電話が鳴りっぱなしで寝てもいられなくて…」




「身体、気をつけて」





「大丈夫!心配すんな。
じゃ、行くね!顔見たから頑張れそうだ!」





「あ…織田さん。
これ、食べれたら食べて」




手作りのお弁当…とは言えないけど、初めて手作りを食べてもらえる。



これで少しでも頑張れますように…。




織田さんは少し驚いた顔をしたね。
そして、その夜
「凛。今日は遅いぞ!なんて言ってごめん。
理由は、おにぎりだったんだね…。
めちゃくちゃ美味かった!
今、食べたよ。愛情おにぎり、ありがとう!」





「食べれてよかった。
あとは睡眠だね…」



「明日から多分、何日か休むようになると思う」




「うん!働いた分、身体休めないとね!!」




こんなやり取りをした。
なんだかこの頃は、邪魔される物もなく
ほんわかな日々だったように感じる。





あ…
また地震。
最近、地震がよくある。
そのたび、織田さんはメールをくれる。
織田さんもあの日を覚えてくれてるかな…?




No.144 13/12/03 02:45
匿名0 

>> 143



今日の私も何故か気分がオチている。
なんでだろう。
こんなに幸せな気分と落ち込みが激しく繰り返されるのは。






昨日までラブラブだったはずなのに、次の日にはもう落ち込んでたりする。




最近、満たされない。
心が、満たされない。




織田さんの考えと、私の想いに大きな壁のようなものを感じる。ぶつかり合う事があったとしても、それは依然として平行線のまんまで…。




どちらも譲れない考えがある。
平行線のままだから、この辛さはなくなる事がない。今のままでは。





こんな時間になっても眠れない。
不安定だな…私。





「織田さんは私が他の男と目の前で毎日笑って楽しくしてたらどう思う?」





「怒る!」





「で、織田さんとは全く話さないの。
メールもなし!」





「ブチ切れるね!」




だよね………。
そう言うと思った。



じゃあ、なんで私には我慢しろ、って言う?
単なるワガママじゃん。




でもね…。
私は思うんだ。
きっと織田さんは、そこまで気にしてないんだよね。





「私が我慢と辛さの限界で、浮気したら?」





「浮気…すんの?」




浮気すんの?じゃねー!
聞いてんだよ。




なんだかイライラする。
バカみたい。
こんな自分勝手な男…やめちまえばいいのに。





今日も私は寝つけない夜。
自分が情けなくなる。



No.145 13/12/08 03:17
匿名0 

>> 144


織田さんが最も忙しい時期を迎えた。
手帳を見れば、週末以外は毎日泊まり込みで残業。




日中、私が外かお互い外回りな時は動きが見えない分、忙しさが分かりにくい。
同じ中にいる時なら分かるけど…。
でも、織田さんの仕事が遅くまでかかってしまう要因の1つは分かっている。




仕事量は織田さんだけじゃない。
私達も皆、どんどん増えている。
だから以前に比べて皆、帰れるのが遅くなった。
定時なんて無いようなモノ。
織田さんには、みんなが帰らないと出来ない仕事が沢山ある。



私は分かってるけど、大半の人はそんなの理解してないし仕事が終わらないんだから仕方ない!と思っている。
でも中には仕事が終わっても、いつまでもいつまでも残ってるメンバーがいる。




「みんな仕事が終わらなくて遅くなってるのに、早く帰ってくれ!とは、さすがに言えないよ」
織田さんは言う。




だけど、話題になってるよ?
遅くまで残ってるメンバーは、仕事なんかやってないのにいつまでもダラダラ残ってる!って。
それは…
あわよくば、前嶋達と飲みに行くためだ…って。




別に遅くまで残ってるのが気に入らない訳じゃなくて、空気が読めない人達に私はイラつく。
みんなが残ってると、夕飯も食べられないでいるんだ。
仕事が終わったら、とっとと帰れ!




言いたいけど…言えない(T_T)
そんな彼女達を残して、先に会社を出るのが毎日毎日イヤで仕方ない。
どんなに目一杯仕事があったって、結局、いつも私が先に終わってしまう。




私が帰ったあと、織田さんから連絡が来るまでの時間が大嫌いでなんとなく不安で仕方ない。
会社では私に距離を置く分、私には絶対しない事を織田さんは普通に他の人にはする。
それがなんだかひどく切なくなる。




No.146 13/12/08 04:06
匿名0 

>> 145



外回りがなくて中での仕事が何日か続いた。
でも、織田さんと話す事は1度もない。
織田さんが私を拒絶するように絡む事を避けるから私からも話し掛けられない。




でも、仕事の事で聞きたい事があったから織田さんに聞きに行った。
顔も合わせない様に書類をポイッと渡された。
それだけでも何だか切ないのに、近くのパソコンでその書類を処理してたら、笑い声が聞こえる。
楽しそうに例のメンツと話してる。




「織田さん、これは………」
話しかけた時、感じた。
すごく迷惑そうな嫌な顔をした。





バレたくないのは分かるよ。
…でも、そこまで避ける必要があるの?
普通に仕事の事を聞いただけなのに…。




職場では、一切関わるな!って事か。





なんだか息が詰まると言うか、惨めと言うか、
私が嫌だ!と言ってるメンツと当てつけのように仲良くされて…私には「バレないため」とは言え、あそこまでされる事が妙にショックで…私は仕事を放棄してタバコを吸いに行った。
途中で放棄した書類を金田さんに(織田さんの隣接の席の人)ポイッと渡して。




少しここでサボろう。
あの笑い声を聞いてたら頭に血が上る。
ボーッとしてたら涙が出そうになる。





すると、あのデカい声が近づいてくる。
あ…
奴らタバコ吸いに来たんだ…。
入れ違いに出ないと一緒になってしまう。





その前に、営業の男が先に来て話し掛けられた。
タイミングを逃した私は出るに出れなかった。
奴らと一緒に織田さんも来た。
また目の前でくだらない話で盛り上がっている。





無理だ。
私は喫煙所を出た。
何を考えてるのかわからない。
私には理解出来ない。
私を避けるなら、同じように避ければいいじゃない!
女と絡まずにいられないの?
こういう時の気持ちはどう表現したらいいんだろう。
悲しいのと怒りが入り混じって、ただ落胆するだけ。何もしたくない。




こうなると私も意地になる。
やられたら、やり返す。
この日から決めた。
私も今日から織田さんには一切絡まない。
用事は全てほかの男で済ます。
今まで織田さんが嫌がるからしなかったけど、私も男と普通に絡もう!





「ねぇねぇ、川崎さん!
この時間スマホ率高いね!彼女?( ´艸`)」




川崎さんは織田さんの向かい側の席。
私と川崎さんが話してれば必然的に織田さんの視界に入る。
別にこんな事、計算したわけでもないけど…
川崎さんは絡むのに一番席が近い。
それだけの理由。
だって私は「計算で動く」ほど器用じゃない。





どんな気持ちか考えろ!





子供みたいだね…。
こんな仕返しなんて本当はしたくなんかない。
でもね…
時々、苦しくなるの。
こんなに頑張って我慢してても、織田さんは余裕なんだよね…。
織田さんは私が去ってもきっと、痛くも痒くもない。




だって織田さんは何も失わないもん。
自分が一番大切なもの…。




No.147 13/12/08 12:31
匿名0 

>> 146

まるで何事もなかったかのように
「そろそろ片づけて終わりにするよ~」
の、メールが来る。




向こうは自分の考えあっての行動だから、私が傷ついてるなんて気づいてもいない。
された方はひどく傷ついて、そんな簡単には素直になれない。




「お疲れ様」
あっけない返事しか返せない。




織田さんも少しは人の気持ちを感じ取る事が出来るようになったんだろうか。
「どうした?元気ないね」





「用があっても私は会社では話し掛けちゃいけないの? 今日、すごく迷惑そうな顔してた」




「事務所では 徹底的に接触を減らした方が良いんだよ。
その分 会った時に力が 入るけどね 」



「それは分かるけど仕事の事だよ?」



「あんまりイチャイチャ人前ですんのは避けなきゃダメだろ」



イチャイチャ?
何言ってんの?
「誰がいつイチャイチャした?」



「あ~わかったよ!
好きにしていいよ」



投げやりな態度…。
迷惑そうな返事…。



「凛、今日 川崎さんとイチャイチャしてたな」




「織田さんは?」



「俺が角田さん辺りを構ってるのが丁度いいんだよ。
怪しまれない為のカモフラージュだよ!」



ふーん。
納得いかない。



私がイジメられるから、織田さんはそっち側についてたほうがいいってか?




「織田さんこの前言ってたよね?
私が織田さんとは一切話さず他の男と毎日絡んでたらキレる!って。
それさ…逆ならいいの?
私にはあんな態度ってある?」



「逆はダメだ!
俺はワガママなんだ」
開き直った。



「いいんじゃない?
それで私が傷ついて、織田さんから離れても後悔なんてしないなら織田さんの考えを貫き通せば。
バレてダメになる前に、ダメになる事は考えないんだね」




「俺、凛が言う程 彼女達とも絡んでないぞ!」



「じゃあ、無意識なんだろね
私が一言も交わさない日が 5日間あったとしたら彼女達とは私との1ヶ月分位の会話を毎日してるよ?」



「そんなことないって…」




「話すな!とは言ってない。
織田さんが絡まれてるのも見てるから…
それを無視しろ、なんて思ってない
ただ、私にはあんな態度なのが落ち込むだけ」



織田さんにどれだけ伝わったかは分からない。
でも言いたい事は言った。
きっと変わりはしないだろうけど。
この日から、夕方になると織田さんの姿が消えた。
ここにいなければ、誰とも話さずにいられるって意味なんだろう。
そうなると、朝 顔を見れなかった日は、織田さんの顔を一度も見れないまま帰宅する事が増える。



それはそれで寂しい。
私のわがままなのかな…。




「織田さん、帰るね…
どこにいるの?」



「この時間は洗濯する時間にしたんだ
気をつけて帰りなね
終わったら連絡するから」




なんだか罪悪感が残る。


No.148 13/12/12 02:42
匿名0 

>> 147



この頃既に、人間関係がぐちゃぐちゃになり始めていた。
各々が織田さんに相談する。
でも、とことん嫌い合う派閥のようなものは いくら周りが助言したところで修復するのは困難で…
嫌いなのと意地があるから、解決策はなかなか見つからない。



忙しい上に、こんな相談役までやらなきゃいけなくて…。
それでも織田さんは「少しでもいい環境の職場作りのため」に最初は必死に頭を悩ませていた。
それでも一向に良くはならない人間関係。
織田さんも疲れ始めていたね。
疲れと言うか…うんざり、と言うのかな。




そんな時、織田さんから連絡がないまま朝を迎える日があった。




相談役。
連絡がつなかい。




また…飲みにでも行ってる?




不安が押し寄せる。
でも、極力我慢した。
疲れとストレスがピークな時にガミガミ言ってもいい事はない。



だけど、あまりにも連絡が来ないから一言だけメールした。
こういう時の私は嫌みな女になる。




「また飲んで、連絡なし?」




結局、朝まで連絡はなかった。
週末なのに…。
いつもなら帰らなきゃいけないはずの週末なのに。




「凛、すまん
会社で寝ちゃってた」




ふーん。
「約束…、最近守れなくなったね」




次に来た返事に
私は不安と恐怖を覚えた。





終わっちゃうのかな…。
私達。



No.149 13/12/13 00:52
匿名0 

>> 148




「約束…、最近守れなくなったね」






「今まで、背伸びしてたのかもしれない。
本格的に忙しさがピークに来て
無理が利かなくなった」




背伸び…
無理が利かない…




相当、無理してた…って事か。
無理…させてた、って事だね。
いい加減、重たくなったんだよね。




「おやすみ」も出来ないくらい疲れきった、って事なんだよね。




返す言葉が見つからない。





「無理させてごめんね…」





それだけしか返せなかった。




「いや…俺こそごめん」




それはどんな意味の「ごめん」なんだろう。
怖くて聞けない。



昨日、連絡出来なかった事に対しての「ごめん」なのか、それとも「今まで頑張ったけど、ごめん」って意味なのか、どちらにも取れる。





お互いが楽しみにしている唯一、平日長くいられるあの日は、もうすぐだと言うのに…。
ここでダメになるのか…?




ここまで疲れの限界をアピールしているのに、今は聞きたくても聞いてはいけない気がした。





織田さんは帰り道に1時間以上かかる。
この先、どんな会話をしたらいいんだろう。
「会社出たよ」
の、メールが来たら返事を返そう。




メールがなければ、そっとしておくべき日なんだ、きっと。
こういう時間は長く感じるもので、あっという間に時間が経っていく。
起きたてのメールから1時間半が過ぎた。
今日はもうメールは無理…って事なんだね。
そう考えると、さっきの
「俺こそごめん」の意味は理解出来た。




何かしなければ。
気を紛らわせなきゃダメ。
そう思えば思うほど、悲しさが溢れ出す。
だけど、織田さんが出した答えだから…。
振られない限り、私は離れられないんだから…。
受け止めるしかないんだ。




ピンコン♪




あ…!
ラインの通知音。



私のラインが鳴るのは織田さんしかいない。
見るのが怖かったけど、開くしかない。
さっきの続きでも考えてたのかな?





「会社出たよ!
相変わらず待たせてごめん」




あれ?
普通だな…。



「お疲れ様((*´∀`*))」
何を言っていいのか分からなくて、普通に無難に返す。




「凛、少し時間あるか?
腹減ったから飯食って帰ろうかと…」




「え?大丈夫なの?
でも、早く帰って休んだほうが…」




「ちょっとしかいれないけど
それでもよければ!」




「うん!行く」
まだ、ホッとは出来なかった。
あの続きがあるのかもしれない…。


No.150 13/12/23 00:55
匿名0 

>> 149



急いで支度はしたものの…
しばらくしてもメールが来ない。



会社出た!って言ったよな…。
誰かにバッタリ会っちゃったのかな…。
ため息が出た。

  

駅にはとっくに着いてておかしくない時間。
何分経っただろう。
かなり待って、やっと連絡が来る。




「俺から誘ったのにごめん
カミサンから電話がすごくて。
今すぐ帰って来い!って言うんだ。
ホントにごめん」




そっちか………。
「イヤ!」なんて…



言えるはずないじゃん。




「わかった」



「ごめんね(:_;)」




私って…
なんなんだろう。
支度して出かける準備バッチリで、母に
「出かけるの?」


「うん」と言った手前、「無しになった」と言うのが嫌だった。



買い物でも行くかな。
振り返れば、この頃はもうとっくに始まっていたんだろう。



私のストレスのやり場。
買い物依存症。
今でも決して裕福ではない。
でも、結婚してた時に比べたら自由に使えるお金は多少なりともある。




貧乏だった私は昔からストレスがたまると100均で1000円分!とか決めて買い物するのが楽しみだった。




やめなきゃ!とは思いつつ買い物したい衝動に駆られる。
着もしない服や使いもしないバッグ•靴…我に帰るとやたらと増えている。
でも、買い物に行く。
もちろんお金がいっぱいある訳じゃないから高い物は買えない。
お金なんてないくせに…
なにやってんだろ…。




「電車乗ったよ」




こんな気持ちで
どんなメールをしたらいいって言うの?




それでも、到着時間を調べ
織田さんが着いたら買い物に行こうとする私。
たまにはキレて
メールなんてほっといて
無視してやればいい。




いつも織田さんに
されてるように………。




それさえも出来ない私は
何をそんなに怖がってるの?




自分でも分かってる。
私は織田さんを失うことが
ただ…怖いだけなんだ。




どんなに傷ついても許してしまう。
だから何も変わらないんだよ。



  • << 151 私が待ち遠しい「あの日」はあと1週間後。 今日逢えなかったから、このまま逢えずにいたら11日ぶりになる。 もう…10日間とか2週間逢えないのが普通になってしまった。 会社に泊まる日は遅くまで仕事をしてお風呂に入るから、ほとんどメールもしないまま寝てしまう。 ちゃんと家に帰れる日だけが、唯一、私の心を満たす時間になる。 会社で口も利かないぶん、帰り道のメールだけが久しぶりの会話になるから。 今日は逢える!と喜んだのも束の間でダメになっちゃったけど「逢いたい」と思ってくれたんだろうか。 それとも昨夜の事を悪いと思って気を使ったんだろうか。 あ… 怖いけど聞いてみようかな。 帰り道のメールで朝、言われた言葉が気になった。 織田さんからは特に何も言ってこない。 怖いから… 遠まわしに聞いた。 「ねぇ…織田さん。 あの日は、逢えるんだよね?」 「もちろんヽ(●´∀`●)ノ 心配ないよ!」 よかった。普通だ。 「朝の言葉でもうダメになるのかと不安だったんだ」 「いつも我慢ばっかりさせてごめん。 気にはしてるんだが、メール1つ位…と自分でも思うクセに睡魔に勝てん。情けない。 ごめんね」 「私…重くない?」 「太ったのか?(* ̄ー ̄*)」 わざと冗談で返してきた。 「そうじゃなくて!」 「心配いらないよ! って、いつも言ってるでしょ!! まったく凛は心配性だな」 こんな会話をして織田さんが最寄り駅に到着。 私達のような関係で 割り切りではなく本当に好きになってしまった人だったら… 「帰らないで」と普通は感じるんだろうか。 でも私は「帰らないで」とは思わない。 帰ってしまう寂しさより、こうしてメール出来る時間が嬉しい。 織田さんとバイバイしたあと例の財布がまだ売っているか確認しに出掛けた。 まだちゃんと財布は売っていた。 クリスマスはまだまだ先だけど、ちゃんと渡せるのかな…。 その前に、私が待ち遠しい「あの日」はあと1週間後になっていた。
投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧