…君色…
あなたと出会ったのは
桜が舞い散る今の季節…。
この時期になると あなたを思い出すよ。
私達 それぞれの人生 歩んでるね。
もう会う事もない。
たまに思い出すのは出会った頃のあなたと、 あなたの家の電話番号…。
楽しい思い出…。
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>> 200
その日から 私は哲也との連絡も一切しなくなりました。
恋は順調…。
仕事も ぼちぼち…。
相変わらず 会社から私への評価は低く…。
…
彼氏からのプロポーズを機に、仕事の引き抜きの話を断る事にしました。
私にとって、とてもいい話だったと思います、ただ私の中で結婚イコール幸せ、そう思ったからです。
引き抜きの話だけでなく 会社を見事に寿退社する事になりました。
正直、会社の人はみんな大嫌いでした。
私は会社では 常に一人…。
誰だってそうなのかもしれませんが 私は結婚退社することで優越感に浸りました。
私を見下した人達に対して 幸せを見せ付ける事だけが私の精一杯の見栄になりました。
結婚…、あの人が『俺がお前を貰ってやるよ』そう言った言葉が 昨日の事の様に 頭の中に蘇ります。
あれから二年…。
私、29歳…。
…続君色…完。
…君色…最終章へ
- << 204 …君色…最終章。 会社を辞めます。 私は部長の机に辞表を提出した。 営業マン達がざわざわ言ってる。 でも もう何も気にならない。 だって私は幸せだもん。 部長に別室に呼ばれた。 『急にどうした?』部長が言う。 『急ですみません。結婚が決まりまして』 自然と顔がニヤケてしまう。 『わかりました。』部長が言う。 おいおい、一度くらい止めてくれよ、なんて心の中で思いながら でも気持ちは晴れ晴れしていた。 さぁ早速 営業先へ退職の挨拶に回らなければ…。 まず一件目。事情を説明する。『えー辞めるの?あなたが辞めるなら取引先変えよかな』 心の中でニヤつく。 ケド心とは裏腹に『そんな事言わないで下さいよ、後はベテランの島田さんに頼んでますから、後で島田を連れてご挨拶に来ます』 そう言って後にした。 残りの三軒も だいたい同じ反応だった。 退職まであと半月、引き継ぎで忙しい。 この頃 彼氏のお母さんとメールのやり取りをする様になってました。
>> 202
彼氏からのプロポーズを機に、仕事の引き抜きの話を断る事にしました。
私にとって、とてもいい話だったと思います、ただ私の中で結婚イコール幸せ…
…君色…最終章。
会社を辞めます。
私は部長の机に辞表を提出した。
営業マン達がざわざわ言ってる。
でも もう何も気にならない。
だって私は幸せだもん。
部長に別室に呼ばれた。
『急にどうした?』部長が言う。
『急ですみません。結婚が決まりまして』 自然と顔がニヤケてしまう。
『わかりました。』部長が言う。
おいおい、一度くらい止めてくれよ、なんて心の中で思いながら でも気持ちは晴れ晴れしていた。
さぁ早速 営業先へ退職の挨拶に回らなければ…。
まず一件目。事情を説明する。『えー辞めるの?あなたが辞めるなら取引先変えよかな』 心の中でニヤつく。
ケド心とは裏腹に『そんな事言わないで下さいよ、後はベテランの島田さんに頼んでますから、後で島田を連れてご挨拶に来ます』 そう言って後にした。
残りの三軒も だいたい同じ反応だった。
退職まであと半月、引き継ぎで忙しい。
この頃 彼氏のお母さんとメールのやり取りをする様になってました。
>> 204
私と彼氏の結婚の話は 当人達が思うよりも 早く進んで行きました。
大好きな人と結婚できる。
前の失敗は繰り返さない。
ある日 私は彼氏の両親に呼び出されました。
彼氏の地元の料亭で待ち合わせ。
中に入る。彼氏と両親と彼氏の妹と私、個室に通される。
彼氏の父親が口を開く。
『離婚歴があるのは聞いてる、ただ一つ確認したい事がある』『はい』『子供はいないんだね?』『はい、いません』『絶対だね?後で話が変わってもいけない事だからね』 そう言われたら 涙が溢れてしまった。
涙の訳は…、彼氏の両親に話した事で今まで背負っていたモノが スゥーっと無くなった気がした。
父親は続けた。
『同居も喜んでしてくれるって聞いて安心したよ』
って、えー?同居?何の話? 喜んで?
訳がわからない。
画して、私の同居が勝手に決まった瞬間でした。
>> 206
それは、増改築が始まった頃の事。
彼氏のお母さんからのメール。
『お父さんの胸に写っているのはどうやら癌みたい。』
…私は返す言葉が見つからなかった。
必死になってメールした内容は、『まだ悪性だって決まった訳じゃないんでしょ?』…だった。
お母さんからの返事は『それが…悪性だった。病院のベットが空き次第、即入院』
そんなに悪いの?
私は あの日の事を思い出していた。
癌で亡くなった 父、そして…あの人の事。
癌…、今まで他人事だと思っていた。父が、そして、あの人が亡くなった事実をようやく 最近になって受け止めれる様になった矢先。
これから ゆっくり引越しの準備でもしよう、と思っていたが なるべく早く こちらに引越して来て欲しい、身一つで来てね。と…。
泊まる回数は週に2~3回から始まり、いつの間にか 私はほんとに身一つで来てしまっていた。
>> 208
大好きな彼氏が旦那になった。
家族になった。
新婚生活が始まった。
色んな事がいっぺんに始まった。
それでも私は毎日 充実していた。
朝5時に起きて 朝ごはんの準備をする。 お弁当は旦那の分と義妹の分と義母の分と三人分 作った。
食事が終われば 後片付け。祖父母以外はみんな仕事。
送り出した後に 掃除。部屋が多く2階だけで5部屋、1階には8部屋。掃除するだけでも一時間かかってしまう。
それから トイレ 風呂掃除。
掃除が終わったら買い物に出掛ける。
買い物から帰ったら昼食の準備をする。
昼食が終わったら 後片付けして少しの休憩タイムに入る。
昼からは 義父の病院に行く。
病院から帰ったら 夕食の準備に取り掛かる。
…毎日 繰り返す。
義父は何度も入退院を繰り返した。
増改築が終わって いよいよ私達は一階のお座敷から2階へと引越し。
20畳の部屋にWベット一つ。
そんな時 またまた災難が降り懸かる。
>> 214
いつもの様に旦那の病院へ向かった。
何だか機嫌が悪そう。
『どうしたの?』
『…。』
『何かあった?』
『トイレ行きたいケド行けないし、寝たきりだから簡易トイレでしろって言われても力も入れられないし出るわけない』
…たしかに…、旦那は寝たきりだし 渡された簡易トイレはおしりサイズの浮輪みたい。
私でも無理っぽい。しかも、四人部屋だしカーテン閉めただけで 人の声はするし、何だかプライバシーもクソもない。
その事で苛々していた。
そして 苛々は絶頂に!!
ついに、持っていた携帯を真っ二つにへし折った。
『個室にしてもらおう、私ちょっと看護師さんに言ってくる』
そう言って看護師さんに当たり散らした。
運よく個室が開いていた。
すぐ移動出来る。
差額ベット代くらいは致し方ない。
私達は同じ階の一番端の部屋に移動した。
夜8時…消灯時間。
旦那がいない、旦那の家族だけがいる家に帰る時間。
家に帰ったらテーブルにケーキが置いてあった。
>> 216
旦那が入院して一週間後の事。
そろそろ病院を移動しなければならなくなっていた。
地元の病院へと移る日が決まった。
どうやら救急車で搬送されるらしい。
…当日の朝。
身支度を済ませる。少しの荷物を片手に持ち 旦那から先に救急車に乗せられる。
続いて私が乗り込む。
さぁ いよいよ出発。
すると 救急車のサイレンが鳴った。
びっくりした。
ケドそれ以上に 何だか くすぐったい感じがして 二人で目を合わせて クスッと笑ってしまった。
30分以上かけて地元の病院に到着。
病院に着いたら すぐレントゲン室に入って 検査をした。
それから病室に入る。
四人部屋。
みんなおじさんばかり。
一人は糖尿病を患いながら 胸辺りの手術をした 熊のぬいぐるみみたいな親父。
もう一人は 土建屋の社長。
もう一人は 趣味が折り紙と言う親父。
この病院は整形外科専門の為に 皆さん よく喋る、よく食べる、禁止されてるお酒は飲む、もちろん煙草も、いつも喫煙室は満員だった。
>> 217
こっちの病院に移って来てから すごく楽しかった。
前の病院では 起き上がる事は禁止、とにかくベットから起きたらダメだった。
こっちに移ってからはリハビリと称して当日から動き回っていた。
旦那と二人で煙草を吸いに行く。
カーテンを閉めて 旦那の代わりに私がベットに寝転がったり、二人で並んでテレビを見たり。
ある日 ふと思い立って外出してみた。
行き先はパチスロ。
2時間程 抜け出し パチスロに行く。
おもしろい様に勝ちまくった。
必ず昼から 外出した。
その頃の私の一日、朝6時起床。
朝ごはんの準備。
後片付け。
部屋掃除。
買い物。
昼は弁当を持って旦那の病院へ自転車で向かう。
だいたい 5時過ぎに帰宅。
夕食の準備。
後片付け。
風呂。
就寝。
…これの繰り返し。
この生活に慣れて来た頃、旦那の退院が決まった。
物凄く 嬉しい。
やっと 真新しいWベットに旦那と二人で寝られる。
旦那がいない 孤独だけだった この家に 帰ってくる。
そう思うだけで幸せ。
>> 219
慌ただしい一日が終わった。
初めて旦那と二人でベットに横たわった。
明日から毎日リハビリに通わなければならない。
それでも旦那と一緒だと思うだけで幸せになった。
それと並行して結婚式の準備もしなくてはならなかった。
結婚式は初冬と決めていた。
理由は…旦那の父の容態がその頃には回復してるであろう、と予測しての事だった。
とにかく今日は寝よう。
初めて二人並んでベットに寝た。
- << 223 次の日の朝、私は誰よりも1番早く起きて 朝ごはんの支度をした。 みんなの分の目玉焼きを焼き サラダを盛り付ける。これで一品目。 ヨーグルトにバナナを混ぜて ハチミツをかける。二品目。浅漬けを漬ける。三品目。 お味噌汁を作る。四品目。 それに、勤めにでる義母と義妹の為に弁当も作った。 毎日 ご飯の支度だけで一時間もかかっていた。 ちょうど朝ごはんが出来上がる頃 義祖父が起きて来る。
>> 226
義祖父は 温厚なタイプ、怒ったトコは見た事がないくらい、一代で事業を築き上げ大成功を成し遂げる。 趣味は無くアルコール類が大好物で朝からでもお酒を飲んでいる事が多々ある。
義祖母は そんな義祖父と共に苦労を重ね 今では趣味は吟詠、カラオケ、書道、華道、と何不自由なく暮らしている。性格は自己中でお節介、しかも何でも自分が顔を出さないといけないと思うタイプ。
義父は この事業の後継者として 婿養子として嫁いでくる。 性格は竹を割った様な感じ、義祖母と仲が悪い。 よく言い争っている。
義母は小さい頃から義祖母から『あなたは跡取りだから』と育てられ 義祖母の言う事は 必ず聞いている。 性格は温厚。 母親と旦那の間に挟まれて 苦労していた
>> 229
旦那が仕事復帰してから、義祖父母と一緒に居る時間が長くなりました。
義祖母は元気が良すぎる為、その元気が嫌味に見える事さえありました。
この頃から義祖母の嫌がらせにも似た行動が始まりました。
朝 顔を合わせれば必ず私の方から『おはようございます』と言い、返事が返ってくるのは 10回に1回くらい…。あとは無視されてる。
他のみんなに対しては自分から『おはよう』って言ってる…、朝からイラッとくる。
その後 朝食。
朝食は みんなバラバラに食べるケド いつも私は義祖母と同じ時間帯になっていた。 私の目の前に座る義祖母は いつも ムスッと怒った様な顔をして食べていて…。
だから私は義祖母と同じ時間帯にならない様にずらして食べる様にしました。が、ずらしてるのにいつも一緒になってしまう。
それが苦痛…。
>> 230
それから、食べ物に関しては 優先順位が決まってました。
果物やお菓子など 頂き物がある場合、必ず義祖母は義妹から食べさせていました。
迂闊にも私が食べようとしようものなら決まって『これはみどりちゃん(義妹の名前)が大好物だから食べない様に』………。
言葉もありません。
こんな感じで 食べ物の事では嫌な事が多い。
つーか 私に食べさせたくないんだなって後でわかりました。
一度 2階に上がり 1階に忘れ物を取りに行った時 聞いてしまったんです。
義祖母が 義母と義妹に『あの子、勝手に食べるから半分しか残ってないんだよ』って。
え?私 一つ足りとも食べてませんが…。その場で言いたかったが グッと堪えました。
心の中で叫びました、『くそババァァァーー』って。
>> 231
しかし義祖母は 自分の友人、知人等には私の事をめちゃくちゃ褒めて言ってました。
しかも何の資格も無い私が いつのまにか看護師になってました。
義祖母、電話で『うちの孫の嫁は看護師なんですよ~』って…。
もう私は知らない…。
そんなに私って駄目な人間なんだろうか? ありのままではいけないんだろうか?
家庭内での事ならば我慢も出来た。が、私が知らない内に私が私じゃなくなってきている。
旦那に話してみよう。
でも、言えなかった。
仕事で疲れて帰ってくる旦那に家の中の愚痴を言って もっと疲れさせたくなかった。
それに旦那は 毎日 休憩時間にメールをして私を気遣かってくれた。
そんな旦那を困らせたくなかった。
>> 232
そんな生活が続いた。
ある日の朝、旦那が義祖父と些細な事で言い争ってしまった。
そのまま仕事に行った。
その後から義祖母の態度が一変した。
私が義祖母に話かけた、すると、完璧無視。
大人げない。
私に八つ当たり。
この時ばかりは頭にきた。
もういい、こんな家、義祖父にだけ行き先を告げ家を出た。
行き先は買い物。
あの頃の私には車がなく交通手段はバスしかなかった。
バスの中でムカムカが止まらなかった。
そして、こんな事までされて それでも自分が夕飯の買い物に出てる事にも腹立たしくなり、買った物を一度家に持ち帰り、荷物をまとめ暫く実家に帰ろう、そう心に決め 家路を急いだ。
玄関に着くと 私が戸を開ける前に義祖母が駆け寄り にこやかな笑顔で『おかえり』そう言ってきた。
私もアホだからその笑顔に騙され、実家に帰る事を忘れてしまった。
こんな事の繰り返し…。
しかし、信頼していた義母からも 嫌な仕打ちが待っていた。
>> 233
義母は洋品店に勤めていた。
この洋品店は子供から大人までの服を取り扱っていて義母は店の店長をしている。
年齢の割にはセンスがいいし 優しいし、私は好きだった。
ケド…ある日から 嫌いになってしまった。
私は何度か義母の店に行った事があり、お店の従業員さんとは顔なじみになった。
そんなある日の事…、義母の店に買い物に行った。
ちょうど義母は休憩らしく店内には居なかった。
そんな時、レジをしていた一人の従業員さんから話かけられた。
『あなた、お義母さん優しくていいわね』 『はい』 『先日もあなたにって言って洋服買って帰ったでしょ、いいお義母さんよね~』って…。
???
私 洋服なんて一度も買ってきて貰ってない。
初めて買ってきて貰ったのは タオルハンカチ一つだけ、だけど…。
義母は恰も私に買って行く、と従業員さん達に豪語しておきながら、実は自分の娘に買って行っていました。
娘がいらないって言った服達は 値札がついたままゴミ箱へ捨てられていました。
それを義祖母は勿体ないと言って 拾っておいて、自分が買ってきたと言わんばかりに 私に持ってきていました。
>> 234
この家の中で信頼出来る人間は…旦那だけ。
義父も とっても優しかった。
自分も嫁いで来た身だから 私の気持ちがよくわかる、よくそう言っていた。
私は義父を物凄く尊敬した。
あんな義祖母達とよく今まで生活してたよなぁ~、それに 実家で勤めていた職を辞して ゼロから家業を継いだ、これって大変な事だと思う。
義父の苦労がよくわかる。
義祖母が言う義父の悪口は決まって、『いっつも飲みに行ったりして全然家にはいなかった』と…。
私はその気持ちがわかる気がする。
あんたと一緒にいたくなかったんじゃん。
ストレスも相当なモノだったと私は思う。
私が勝手に思う事、義祖母があんなだから義父は病気になったんだ、と。
義父の病気の原因がタバコにあるらしい。
イライラさせる義祖母が悪いんだ、って心の中でずっと思っている。
>> 235
まだ結婚式を挙げていない私達は 着々と準備に取り掛かった。
義父の容態が思わしくない。
入退院の繰り返し…。
今度の入院は最後になるかもしれない…、と。
もう家に帰れないかもしれない…。
ある日、義母が病院に呼ばれた。
…余命が宣告された。
…あと三ヶ月…。
病院から帰って来た義母は 車庫に車を止め、中々 降りて来ようとしない…。
涙を拭っていた。
それから家に入って来た。
余命が言い渡されたとみんなに話ていた。
……ガン…、またガン。
あの人と父の命を奪ったガン。
そして、また、ガン…。
もう気持ちが麻痺していた。
ガン、イコール……死。
私の中でそう思う様になっていた。
>> 236
緩和ケア…。
義父には余命は言わない事にしたらしい。
義母が独断と偏見で決めていた。
日に日に弱っていく体、痩せ細っていく体。
私は毎日毎日 病院に行った。
義母は仕事の為 夕方からしか行けず、義祖母は 習い事やらで忙しく 中々 病院には寄り付かなかった。
結婚式まであと二ヶ月。
余命三ヶ月。
私は病院に通いながら 結婚式の準備をし 家の事もすべて手を抜かずにやった。
こんな時でも夕食を囲む時 義祖母は義父の実家の悪口を言ってきた。
義祖母いわく『自分の息子が余命三ヶ月なのに病院に見舞いにも来ないなんてどういう神経してんだか』…。
私は呆れた。
そんなの毎日でも会いに行きたいに決まってる、でも 田舎から出て来るだけでも2時間はかかるし、交通の便は悪いしあちらの祖父母は体も悪い。 寝たきりで来たいケド来れないだけなのに…。
そんなに言うんなら自分が迎えに行けよ、そう思った。
>> 240
私達の結婚式の日にちが決まり いよいよ一週間後になった。
私はこの頃から実家に帰って実家の母、姉、姪っ子と楽しく過ごしていた。
しかしまた母親の借金癖が発覚。
情けない事に携帯は止められ、光熱費も二ヶ月滞納していた。
もう嫌気がさした。我が母親ながら、父の代わりに…、とまで思う様になっていた。
親戚が集まった。
もう親子の縁を切りなさい、と言われた、が、出来ない。この母親をほって置いたらとんでもない事になる、それと、やっぱりなんだかんだ言っても母親…見捨てるわけにもいかない、そう思ったから。
ただ今回は金額が少なかった為姉が全てのお金の管理をする、母親は通帳は持たせない、車ももう乗らない、そう約束させた。
そして今回もまた私が借金の肩代わりとなった。
今までに立て替えた金額…数百万…。
少しばかりの貯金、結婚式はあさってだというのに…。
>> 241
結婚式前日…。
旦那からの電話。
『明日の結婚式、親父出れなくなった…』『…わかった』『ごめんな』『お父さん具合悪いの?』『うん』『そんなに悪いの?』『結婚式の間、体力がもたなくて』『明日は一人で大丈夫なの?』『寝てれば大丈夫』『わかった。お父さん無理しない様にしてあげてね』『明日早いからもう寝よう』『おやすみ』 そう言って電話を切った。
しかし全然眠れない。
いろんな事を考えた。
これまでの自分の人生…。
小さい頃の事…。
亡くなった父の事…。
大好きだったあの人の事…。
そして借金癖のある母の事…。
離婚してる姉の事…。
こんな環境で育つ姪っ子の事…。
今ガンと戦ってる義父の事…。
それに何より、私は今 なんて幸せなんだ、と涙が出た。
明日 私は二回目の結婚式を挙げ様としている。
結婚式を二回もするなんて…。
今度は絶対 幸せになる、そう亡くなった父に誓った。
眠れぬまま朝が来てしまった。
>> 242
結婚式当日…。
私は姉と共に一足先に会場入りした。
ウエディングドレスに着替え、髪をセットする。
化粧もバッチリしてもらう。
旦那が到着。
旦那も着付けてもらう。
うん、かっこいい。
『今日、親父来てるから』『えっ?』『這ってでも行くって言って来た』『そう、ありがとう』『良い結婚式にしような』 『うん!』
みんなに支えられ、結婚式も無事終了。
二次会、三次会…。
ホテルに帰り着いたのは 朝の5時…。
それから 新婚旅行へと旅立ちました。
新婚旅行中は楽しくて楽しくてたまらなかったケド、いざ 家に帰るとなると 現実がドーンと待っている。
義理家族が待っている。
そう考えただけでため息が出ちゃうし…。
>> 243
新婚旅行から地元に帰って来た。
空港から自宅までタクシーで30分…。家族の分の沢山のお土産を抱えて…。
家に到着。
旦那はワクワクしてるみたい…。
私は……微妙…。
勢いよく玄関を開ける。『ただいまぁぁ』『まぁまぁお帰りなさい。』と義祖母。おっと、帰宅早々 1番見たくない顔が現れ 一瞬で 現実に戻った。
早速 仏間に行き ご先祖様にご挨拶をする。それから 皆が待つリビングへ。
新婚旅行どうだった?なんて聞いてくる人なんて一人もいない。
あっ、お土産か…。この人達はお土産を待ってるんだ。お土産もかなり奮発したと私は思ったんだけど…。
義祖父には美味しそうなお酒。 結構、高かった。義祖母にはCHANELのスカーフ。 義父母には お揃いのVUITTONの財布。義妹にはフェラガモの靴とバック。私の実家のお土産はチョコレート一つと姪っ子達へ キーホルダー。
この時点でも めちゃくちゃ差があると思うんだけど…。
しかも ブランド物のお土産 頼んでおきながら餞別もなし…。
私の実家からは餞別貰ったのに…。
>> 244
色んな不満を抱え、また同居生活が始まる。
義父は 結婚式が終わったその足で病院に帰っていた。
早速 病院に お土産を持って行く。
財布ともう一つ 大きなお土産を抱えて。
病院に着いた。
病室へと急ぐ。
トントン…。
返事はない。 義父はテレビを見ていた。
旦那の顔をみると すごく嬉しそうに笑った。
『はい、これお土産』 そう言って手渡す。
『ありがとう』そう言って受け取ってくれた。
新婚旅行はどうだった?って聞いてくれた。
少し話をして、今度は大きなお土産を渡す。
『もう一つ親父に報告があるんだけど』旦那が言った。
『何?』
『俺達に赤ちゃんが出来たよ。親父もおじいちゃんになるよ。』
義父は 少しハニカミながら『よかったね』そう言った。
どうしても1番に伝えたかった。
これで もっともっと生きて欲しい。
その想いを込めた。
- << 247 余命宣告から 三ヶ月目に入った。 義父の容態はかなり悪くなっていた。 この頃になると もう食事も出来なくなっていた。 起き上がる事も出来なくなり ついに寝たきりになってしまった。 私は赤ちゃんの超音波写真を持って行った。 その写真を見て笑顔になってくれた。 そしてその次の日、容態が変わった。 危篤状態になった。 家族みんな病院に駆け付けた。 あちらのご両親も兄弟も 甥も姪も駆け付けた。 仕事中の旦那に電話した。 すぐ駆け付けた。 病室に入ると義父の息だけが 鳴り響いた。 ズーズーズー…。 時間が深夜になり義母とあちらのご両親を残して一度 帰る事にした。 エレベーターを降りて 駐車場に出ようとした まさにその時、 『早く!早く!』 その声にただならぬ予感が…。
>> 245
色んな不満を抱え、また同居生活が始まる。
義父は 結婚式が終わったその足で病院に帰っていた。
早速 病院に お土産を持って行く。
財布…
余命宣告から 三ヶ月目に入った。
義父の容態はかなり悪くなっていた。
この頃になると もう食事も出来なくなっていた。
起き上がる事も出来なくなり ついに寝たきりになってしまった。
私は赤ちゃんの超音波写真を持って行った。
その写真を見て笑顔になってくれた。
そしてその次の日、容態が変わった。
危篤状態になった。
家族みんな病院に駆け付けた。
あちらのご両親も兄弟も 甥も姪も駆け付けた。
仕事中の旦那に電話した。
すぐ駆け付けた。
病室に入ると義父の息だけが 鳴り響いた。
ズーズーズー…。
時間が深夜になり義母とあちらのご両親を残して一度 帰る事にした。
エレベーターを降りて 駐車場に出ようとした まさにその時、
『早く!早く!』 その声にただならぬ予感が…。
>> 249
全てが終わった。
悲しみだけが残った。
しかし私達 残された者は これからも頑張って生きて行かなければならない。
お腹に宿った新しい命、これはきっと 私の父、義父の生まれ代わり…。
そう思った。
大切にしなければならない。
葬儀が終了したら 次は早速 あちらのご両親やら親戚やらの文句大会が始まった。
もちろん義祖母を筆頭に…。
義母まで一緒になって言ってたのには耳を疑った。
この人達 本当最悪。
- << 251 義父の事を想うと胸が痛む。 義祖母は義父の文句を言う時 きまって『死んだ人の悪口は言いたくないけど…』と言う。 だったら言うな、と私は思う。 かなりストレスになっていた。 ストレスと悪阻で妊娠三ヶ月目でマイナス五キロ…。
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