…君色…
あなたと出会ったのは
桜が舞い散る今の季節…。
この時期になると あなたを思い出すよ。
私達 それぞれの人生 歩んでるね。
もう会う事もない。
たまに思い出すのは出会った頃のあなたと、 あなたの家の電話番号…。
楽しい思い出…。
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>> 150
『借りてたお金を返したい。』今度は そう言ってきた。
いらない…。
無視した。 しつこかった。
『俺はせっかく出会えたんだから友達のままでいたい』
はぁ? 私は友達にもなりたくなかった。
二度と顔は見たくなかった。
そんな准が 勝手に高速に乗って 私の家に来た。 お金を返したら すぐ帰ると言って…。
夜 会いに来た。 私は会わなかった。
友達の家に避難した。 明け方 家に帰った。
准も 車の中で 明け方近くまで待ってたらしい。 怖い…。
家に着いて少し寝ようと した時 また着信の嵐…。 無視。
次はショートメール。
『事故った。すぐ連絡して』
???
本当なのか嘘なのか…?
>> 151
准からのメール…。
無視した。
しつこくメール。
『お願い、電話ください。』 『俺、どうしたらいいのかわからない』…等…。
私は すべて無視した。
次の日 会社に電話かけてきた。
私の会社は二人しか事務員がいない為、准からの電話に出る確率は二分の一。
私が出た電話は准からだった。
『あっ俺だけど…。』 『はい、何のご用件でしょうか?』『昨日、事故っちゃって大変だったんだよ。どうして電話に出てくれなかった?』 『私には関係ない事ですから』『冷たいなぁ、俺はお前の家に来て、その帰りに事故ったんだよ』 『だから?』『責任とれよ』『はぁ?意味が分かりません。』 そう言った途端 准は怒って電話を切った。
正直 こっちから切りたかったからホッとした。
…それもつかの間。
また電話。
『さっきはごめんな。興奮しちゃって。事故の事で色々と忙しくて』
准は いつも 怒っては謝る、の 繰り返し。 やっぱり前と変わってない。
もう 本当に終わりにしたい。
>> 153 スロットに行けば 顔なじみがいる。『あの台はどーだ、この台はどーだ』なんて 情報交換から始まる。もちろん哲也もいる、梨華もいる、梨華の彼氏もいる。 何だか 仲間って感じがして 居心地がよかった。『今日、俺がおごるから夕飯一緒にどう?』そう言ってきたのは梨華の彼氏。今日は花金、明日は休みだ。 お言葉に甘えて 行っちゃお。 みんな車は別。別々に集合。 今日は 焼鳥屋。焼鳥屋に着いてもスロットの話で盛り上がる。食事しながらいろんな話をした。楽しかった。その帰り、梨華が私を呼び止めた。『ねぇ、哲也どう思う?』 『どうって?』 『はっきり言うケド、哲也はあんたに好意を持ってるよ、彼氏とうまく行ってるならいいケド、相変わらず連絡ないみたいだし、それであんたが幸せなら私は何も言わないよ』 『ごめん、私、自分でも、よく分からないんだ。彼氏の存在、私はどうしたいのか、ただ彼氏を繋ぎ止めておきたいだけなのか?』『焦らなくていいよ。哲也だって彼氏がいるって、ちゃんと分かってる事だから』『心配してくれてありがとう。』そう言って 家に帰った。
>> 155
休日の午後…またスロットに行く。
一応 梨華にも連絡するが…やっぱり彼氏とデート。
しょうがない。
一人で出かけた。
いつもの場所。
今日は 人が多くて空き台が 中々 見つからない。
何だか打つ気がしなくなってきた。
帰ってもする事がないしな。
とりあえず もう一回りする。
哲也がいた。 すごい勝ち盛りしてる。
声をかけてみよう。
『すごいじゃん、バリ勝ち』 『すごいやろ?今日は一人?梨華ちゃん達は?』
『デートだよ!』
『あっそっかぁ』そう言って 哲也は手を止めて席を立ち上がり 私の手を引いて 自販機コーナーへと移動した。
『今、来たん?』『そう、人すごいね』『今日は彼氏とデートは?』 『…仕事』とりあえず そう答えた。 なぜか連絡がないなんて言えなかった。
>> 157
ちょっと高めの焼肉屋。
二人で行く初めての焼肉屋。
焼肉屋に行く途中 梨華から携帯に連絡が入った。
哲也と焼肉屋に行くって言って電話を切った。
焼肉屋に到着。
向かい合わせて座る。
話はスロットの話。
途中 彼氏から電話が鳴る。
初めて 彼氏からの電話を無視した。
二回目…。 チラチラ携帯を見る私を見て 哲也が言った。
『彼氏から?気にしなくていいから電話でたら?』
『…うん、ちょっとごめんね』そう言って席を離れた。
『もしもし?』『おー久しぶり、仕事忙しくて中々電話出来なくてごめんな』
『仕事忙しんならしかたないよ』 それから5分程 話をして電話を切った。
席に戻る。
『ごめんね』何故か咄嗟に 謝った。
哲也は いつもと変わらない表情で 『おう!』そう言ってまたスロットの話を始めた。
>> 159
私は 哲也に惹かれ始めていた。
仕事が終わって スロットに行くのが楽しみになっていた。
スロットが楽しみではなく 哲也に会うのが楽しみになっていた。
ある日 一緒に花火大会に行く約束をした。
彼氏とも一緒に行った事がなかったから誘われた事が 嬉しかった。
その頃の私は 彼氏に対して 罪悪感はなく むしろ ほったらかしにしてる方が悪い、くらいにしか思って いなかった。
いよいよ花火大会。
何を着て行くか 相当 悩んだ。
浴衣? んーやっぱり ジーパンにキャミ。 これでいいや。
支度を済ませ 哲也との約束場所まで歩いて行った。
家の近くまで迎えに来てくれていた。
約束場所に一台の車が止まっていた。
哲也だ。 黒のシーマ。
私は何だか照れ臭かった。
哲也がおりて来て
『よっ』と一言 言った。
その時の笑顔が眩しかった。 かっこよく見えた。
>> 162
夜の海。
車から降りてみる。
何も見えない。
怖くなってきた。
ザブーン ザブーンと波の音だけがする。
どこからが海なのかも分からないくらい真っ暗。
怖くて 私の方から哲也の腕にしがみついた。
哲也は 大笑いした。
私もつられて 大笑いした。
砂浜に座って話をした。
哲也が言った。
『今日の花火綺麗だったね。人が多かったけどね』
『私、男の人と初めて花火大会行ったよ』
『そうなんだぁ』
『そうだよ!』
『初めてが俺でごめんね』『全っ然。楽しかったよ』
そんな会話をしながら 何だか泣けてきた。
心が寂しかった。
何より 彼氏に会えない寂しさを哲也に埋めて貰ってる事実が 申し訳なかった。
>> 165
食べてる途中、哲也が私に言った。
『俺に対して申し訳ないとか思わないで、俺は自分の意思でやってる事なんだから。それが迷惑ならきちんと言ってくれていいから』
『…』
また申し訳ないって思ってしまった。
哲也…顔も悪くない、性格もどちらかと言うと温厚。
私は 何故 彼氏と別れないでいるんだろぅ?
哲也なら きっと毎日 会いに来てくれるし 電話だってメールだって 沢山くれるはず。
彼氏と別れない理由が 私自身もわからなくなっていた。
モスを後にする…。
時間は23時ちょい過ぎ。
車は路肩に止まった。
そして 哲也の手が私の首に周った。
引き寄せられたと思ったら 突然キス…。
私は目を閉じた。
哲也の事が愛おしく感じた。
>> 168
哲也とは 平日に会った。
彼氏とは週末に会った。
そんな時 私は ガンジタ膣炎になってしまった。
二人の男性と関係を持った私に対しての天罰…。
移ったのが どちらかなのか分からない。
でも この事実を二人に言って 二人にも病院に行ってもらわなくては…。
哲也には すぐに言えた。
病院に行った。
陽性。
哲也からの感染だった。
私は哲也に対して とやかく言う筋合いはない。
でも 哲也は 私に『一度だけ会社の先輩の誘いで…』と言って謝った。
本当に申し訳なかった。
私のせいで この人を縛り付けて、傷付けて…。
付き合いが長くなればなる程 傷付けてしまう。
私自身 早く決断を出さなくては…。
>> 170
相変わらずな毎日を過ごす。
二股にも 慣れてしまっていた。
久しぶりの休日、彼氏と会う約束。
私の家に来てくれるらしい。
何だか嬉しかった。
仕事が終わったら そのまま来る。
ワクワクした。
彼氏が家にやって来た。
玄関先まで迎えに行った。
照れ臭い。 やっぱり嬉しい。
ちょっと遅目の夕食。二人で囲む。
楽しい。それからお風呂に入る。
お風呂から上がったら タバコ吸いながら話をしたりテレビを見たり…ゴロゴロTime。
梨華の結婚の話をする『梨華、今度結婚するんだよ。』 『へぇーそうなんだ。』 『梨華が次はあんただねって言ってたよ』どんな反応するか彼氏に行ってみた。
『俺達?んーあと二年は考えられないね』 『…?』 あと二年。
…長いなぁ。
>> 172
哲也と会う約束…。
何から切り出そう。
約束の場所まで哲也が来てくれた。
いつもと変わらない笑顔。
…言えない。
…でも言わなければいけない。
顔を見ると 言いづらいな…。
でも 言わなければ。
心臓がドキドキ、哲也に聞こえるんじゃないかってくらい…。
『…あのね、』
『何?』
『…』
『ごめん、言いたい事、分かってる』
『…私、すごく酷い人間だね』
『そんな事ないよ、俺が好きで勝手にやってきた事。今まで付き合わせてごめんな、お前か一番辛かったな』
哲也の言葉に 胸が苦しくなって 涙が溢れた。
私という人は こんなに 優しい人を傷付けている。
殴られても おかしくない立場で それでも哲也は私を一度だって責めたりしなかった。
哲也が言った。
『俺はいつもお前の味方だから、何も遠慮すんなよ』
ありがとう、本当にありがとう。
>> 173
次の日から 私は仕事に打ち込んだ。
元々 事務職だったのを 営業に回して下さいとお願いした。
私の勤める会社では女性の営業はいなかった。
みんな男性ばかり…。
男の営業マンからすれば、きっと生意気な女って思われただろう。 女のくせに…。なんて陰口が聞こえた。
でも私は気にもとめなかった。
一から学びたい。 その気持ちだけ…。
そんなある日 部長から呼び出された。
営業の話だった。
女性営業マンは初だから 期待してる…、と。
私は胸が高鳴った。
漲った。
その日から まず自分が営業する商品をしっかり勉強した。
商品の名前だけでなく 実際 手で触れたり、現場に何度も足を運んだり…。
私の教育担当の営業マンは日頃から兄の様に慕う人だった為、心身共に楽に教育が受けられた。
>> 174
営業に回ったが、事務職も していたので 中々 本格的な営業は させて貰えなかった。
…屈辱。
結局 所詮 女…。
そういう考えが 部長自身にあったみたいで。
すごくもどかしかった。
恋愛…後2年は 結婚はない…。
仕事も中途半端…。
頑張れば頑張るだけ空回り…。
みんなが鼻で笑ってる。
やっぱり女だからね、なんて言われる。
仕事をさせてくれない、チャンスをくれない…。
段々、腹立たしくなってきた。
私はまた、毎晩 お酒に酔い潰れた。
飲んで吐いて…、の繰り返し。
そして そんな酔っ払い中によく思い出すのは 亡くなった父とあの人の事…。
父が居たら きっと叱ってただろうな、とか あの人が 生きてたら 私はあの人と結婚でもしてたかな?とか…。
そんな事を思い出しながら涙してました。
そして また朝が来る。
>> 175
朝になれば すべてリセットされた。
二日酔いなんてしなかった。
朝起きて、化粧して、朝食は抜き。
通勤途中の缶コーヒー。
会社まで10分の道程、車の中で必ず三本 タバコを吸い 缶コーヒーを飲む。
会社に着いたら 元気な挨拶から始まる、当番の時は給湯室から出られないくらい朝は忙しい。
何だか、毎日 つまらなかった。
相変わらず営業なんて名ばかり…。
営業マンのお手伝い程度。
その頃からか 私は転職を考え始めた。
この会社に居ても何のメリットもない。
しかも たった二人しかいない事務員のもう一人の事務員を部長はすごく気に入っていた。
いわゆる、えこ贔屓。
後から入社したにも関わらず 私よりすべての待遇がよかった。
これも この頃 知りました。
もうショックが大きい。
自分自身が惨めになってきた。
もう辞めようかな?
>> 176
もう一人の事務員…。私より七ツも年上。 独身、彼氏はいないらしい。 本人いわく、結婚はしたい、お見合いも何度かしたらしい。
そんな彼女…。
何だか 私は 嫉妬する様になっていた。
部長に気に入られてる、ただそれだけで彼女は すべて優遇された。
もちろん 給料面に於いては 私とは著しく差が出ていた。
こんな事が現実にあるなんて…。
何だかドラマの中の世界。
ある日、私は一人の営業マンから『女の武器を使ったらいいじゃん』なんて鼻で笑いながら言われた。
女の武器? 何だろう? 私の教育担当の営業マンに聞いてみた。
『それは一つしかないじゃん』 『?』『体を使えって事だよ』『…最低だね』
あーもう すべてが嫌になってきた。
営業に出たくても 事務所から出させて貰えない。
…?もしかして、私、この会社には要らない人材なのかな?
…早くも挫折…。
私は何をやっても いつも中途半端。
仕事も恋愛も…。なにもかも…。
もう どうなってもいい。
>> 178
私が向かった先…。
スロット。
制服の上からカーディガンを一枚羽織り、缶コーヒー片手にドキドキしながら 店に入った。
営業マンが どこをうろついてるか分からない。
でも、まっ見つかったら見つかったで 別にいいか。
そんな勢いだった。
その日のスロットは面白い程 絶好調だった。
時間も忘れるくらい。
お昼ご飯なんか 気にならないくらい。
気付けば時間は夕方になっていた。
スロット中に何度も会社の上司から電話が鳴ってた、が無視した。
あんまりしつこいので もしかして スロットがばれた?
思い切って 電話した。
すると、心配してた、そう言われた。
心配かけてすみません。 明日は出社します。 そう伝えて電話を切った。
それから またスロットに戻る。
すると 見慣れた人とばったり会った。
哲也…。
>> 179
相変わらず 優しい笑顔。
何だか癒された。
『仕事帰り?』哲也が言った。
『ずる休み』
『珍しい、何かあったん?』『うーん、まぁ色々と』 『何だよ、勿体ぶらずに言っちゃえよ』 『話しだしたら長くなるし、もう大丈夫になったよ』そう言ってスロットに戻ろうとした。
哲也に心配かけたらいけない、そう思ったから。
そんな時 珍しく彼氏から電話が鳴った。
彼氏にはずる休みなんて言えない。
携帯持って 慌てて店の外へ出て 電話に出る。
『あっ俺』 『うん』 嬉しかった。たわいもない話。
普通に電話を切った。 そしてスロットに戻る。
ぼちぼち帰ろう。
私は3箱分、換金した。
哲也には何も言わずに店を出た。
帰りの車中、虚しさだけが残った。
そして明日からまた仕事、と言う現実に戻ってしまった。
>> 180
朝が来る。
体は正直…、行きたくない…、けど行かなきゃいけない。
渋々 制服に着替える。
いつもの通勤路、タバコをくわえる。
途中 自販機に寄り缶コーヒーを買う。
会社に到着。
扉を開ける、と共に『おはようございます。昨日はすみませんでした』と大きな声で言ってみせた。
大丈夫?なんて誰も言わないし、なんか変な雰囲気。
すると所長が寄って『もう大丈夫?』って言ってきた。
とりあえず 席について 昨日の分の仕事から始めた。
一日 休むと かなり仕事がたまってしまう。
お陰で その日は昼食を摂る時間もなかった。
トイレに行き タバコを数本 吸っただけだった。
こんな時でも 営業マンは私には声さえ掛けてこなかった。
>> 182
休憩時間に 職を探す。 インターネット、求人誌、色んなものを検索した。
自宅から近い所で一件 面接まで辿りついた。
小さな町工場の事務員。
早速 面接に行った。
ボロボロの工場の片隅に事務所らしき建物があった。
そこで面接をした。
手応えは感じた。
しかし、返事は『不採用』。 理由、こんな所に あなたみたいな人に来てもらうのは勿体ない…。
当たり障りない断られ方。
全てにイライラした。
また次を探さなければならない。
もう一件 面接した。 そこも不採用…。
人生そんなに甘くなかった。
最後に選択したのは…キャバ嬢。
もう職種なんて選んでる暇なし。
とにかく 今の会社を辞めたい。
ただそれだけ…。
>> 184
私って…、結局 今の会社に しがみついていないといけないのかな?
何をしても中途半端。
そう言えば、今度の休日は 梨華の結婚式だった。
友人代表のスピーチを頼まれていたんだっけ。
その事も考えなければならないし、頭がいっぱいいっぱい…。
とりあえず 今の仕事をしなければならない。
もう…やけくそ。
勝手に営業に回ってこよう。
私は仕事中は事務所から出させてもらえない為、仕事が終わって 即効で一日一件、営業に回りました。
他の営業マンに何て言われようと気にもせず…。
そして週末。
明日は梨華の結婚式。
早目に帰り支度をしていると、取引先の社長から 食事の誘いがありました。
はい、と二つ返事。
そして 社長との待ち合わせ場所につき食事を始める。
もちろん 仕事の話。
>> 186
週末、梨華の結婚式に出席。
とても感じる結婚式でした。
久しぶりに哲也とも会った。相変わらず優しい眼差し。
二次会では哲也は結構モテてました。
哲也が寄ってきて彼氏の事を聞いたので順調だよ、そう答えました。
それから 次の日、私は 部長に 営業に回して下さいと直談判しました。
もちろん最初は鼻で笑われました。
『もし営業に出て成績が悪い様であるなら会社辞めます』
そこまで言ったら 部長も首を縦に振った。
しかし、条件付き。
…社用車は出さない、移動は全て 自家用車。
…交通費も出さない。…試用期間は二ヶ月。
これが条件。
はっきり言って他の営業マンとは待遇が違うが まだ見習い期間中、これくらいは仕方ない。
絶対 みんなを見返してやる。
その勢いだけだった。
>> 187
早速 営業らしい事ができる。
私が営業担当になったのは三件。
挨拶回りから始める。
まず一件目。 小さい個人経営の工場。
そこの社長に挨拶。
名刺なんて作って貰ってない、名前は 何度も足を運ぶ内に覚えて貰った。
好感触。出だし好調。
次、二件目。
社長は男性だが専務は女性。 従業員30名の工場。専務に挨拶した。社長は留守。専務とは歳は同じくらい、話も合った。
こちらも好感触。
次、三件目。
こちらは夫婦で経営してる町工場。
旦那さんが社長、挨拶をする。
美男美女のカップル。
こちらも好感触。
とりあえず今日は挨拶回りだけして帰った。
これから この三件から 目まぐるしく注文が殺到する。
そんな事とは思いもしない私は 暢気に缶コーヒー飲んで 車中 タバコをふかしながら 会社へ戻っていた。
>> 188
相変わらず 営業マンの目線は冷たかった。 手のひらを返した様に もう一人の事務員も 冷たかった。
けど その頃の私は そんな周りの人達なんて どうでもよかった。
目標が出来ただけで考え方も変わった。
毎日 忙しく仕事をこなした。
午前中は 事務処理。 午後から 営業。
全て完璧にした。
私を鼻で笑った人達を見返す為に…。
そんな中 私は 自分でも 驚くくらいの契約が舞い込んで来た。
それは突然の電話、電話の相手は 二件目に挨拶に言った所からだった。
これから 全て私に任せたい、と。
突然の事で何が何だかわからなかった。
とりあえず 工場に向かった。
その専務いわく、これから使う材料は全て私に頼む、と言う事で、今までの営業マンに少々 不満があり そんな中での担当交代、決してベテランではない私だけど誠意ある態度がよかったと、これなら信頼できる。
とまで言って貰いました。
私は正直 涙が出そうになりました。
頑張ってよかった、この時 初めてそう思いました。
>> 189
その日から 私は 毎日の様に 工場に足を運びました。
私なんかより 工場の人達は 全てに於いて詳しいし 教えて貰う事が沢山で、毎日 充実してました。
あとの二件も コンスタントに注文が入り、決して私の成績は悪くはなかったと思います。
あんまり 順調に行き過ぎると また営業マンの嫌味をかうことになり…。
うまくいかないと鼻で笑われ、うまくいき過ぎると あいつは客と寝ただの、色目使っただの…。
私って結局 どうなっても 何か言われるんだなぁって軽く流してました。
何故か 忙しくなったと同時に彼氏からよく連絡が来る様になり、今まで 待ってばかりの私でしたが 逆に彼氏を待たせる様になってました。
>> 191
そんな時 私に舞い込んだ話…。
それは一本の電話から始まりました。
取引先の社長から『今日、仕事が終わったら話たい事があるから時間を取って』との事…。
?何だろう?
仕事が終わり、社長との約束の場所まで行く。
まずい、私ったら社長を待たせていた。
それでも社長は笑顔で これこの間のお土産だよって言ってワインをくれた。
ワインを受け取り いざ 本題に入る。
お洒落なお店。
個室に通される。
もう一人 男の人がいた。 別の取引先の部長だった。
『こんばんは、遅くなりました。すみません』そう言って席に着く。
とりあえず乾杯した。
いよいよ本題に入る。
社長が『最近、営業の方はどう?』と聞いてきた。
私は正直に今思ってる事、会社の待遇の事や営業としての仕事が中々出来ない事など話した。
静かに聞いてくれてた。
そして社長が言った。
『隣にいる部長の会社からあなたを引き抜きたいって話がある』 『???えっ』 頭が混乱した。
>> 193
しっかり考えなくては…。
これは 私の人生を変えるかもしれない。 今後の私の人生を大きく左右するかもしれない。
悩む…。答えは もう出ていたはずなのに、やっぱり悩んだ。
私を馬鹿にした人達を見返したい、そう思ったり。不安になったり…。
彼氏に一度 相談してみよう、そう思った。
毎週 毎週 彼氏と会った。 彼氏は仕事の帰りに会いに来てくれた。
そして、ついにこの日が来たぁーーー。
『今度、俺の家に来いよ』って。
嬉しかった、初めて行ける。
どんな家だろう?
想像ばっかりが膨らんだ。
そして彼氏に会社の事を相談する。
彼氏の答え…『周りが何と言っても結局、決めるのは自分なんだから…』冷静だった。
>> 194
今日は久しぶり梨華と会う。
新婚ほやほやの梨華。
新居のアパートまで行く。
久しぶりに見た梨華は 何だか少し疲れてみえた。
『新婚生活はどう?』 聞いてみた。
『うーん…』
『どうした?』
『うん、実は旦那が定職に就いてくれなくて…』
『今までの仕事は?』
『全部、すぐ辞めるんだよね』
『そうなん』
『私、疲れちゃって、毎日お金の事で言い合いになるんよ』『生活、どうしてるの?』
『私の貯金が少しあるからそれを使ってるケドもう無くなる、先月は実家に借りたんだ』
『えー?!』私はびっくりした。
よく話を聞いてみると、勝手に資格とるために 学校に申し込んだり、もちろん入学金から授業料は梨華の貯金から…仕事は友達の家の手伝いで週に2、3回…。
支払いは税金 年金と沢山あって…。全然足りてない。 梨華はパートに出ていたがマイナス。
そのくせ 旦那は スロットに行ったり 何か言えば 逆切れしたり…。
梨華が 哀れに思えた。 自分が買いたいものも買わず我慢して 旦那の為に尽くしていた。
>> 196
私もその頃 色々と考えさせられる時期だった。
仕事の事。
そういえば 引き抜きの返事 まだ先延ばしにしていた。
真剣に考えなくては…。
そう思った。
そんな時 久しぶりに哲也からメールが来た。
元気にしてるか?…、と。
久しぶりに食事に行く約束をした。
その時 色んな話をした。
彼氏の事、仕事の引き抜きの事…。
梨華の事を話そうか悩んだケド 止めました。
私が口だす問題でもないし…。
それから また哲也とは頻繁に連絡を取る様になりました。
彼氏は週末、毎週の様に家に泊まりに来る様になりました。
ある日 近くのコンビニに私一人で出かける為に 彼氏に留守番をお願いしました。
コンビニから帰ると彼氏は 少し態度が変。
それから間もなく家に帰ると言って帰りました。
この日は泊まる予定だったのに…。
それから すぐ携帯に電話してみたら 彼氏は泣いていました。
>> 199
その日から 私は哲也との連絡も一切しなくなりました。
恋は順調…。
仕事も ぼちぼち…。
相変わらず 会社から私への評価は低く…。
そんな時 彼氏から思いがけない電話…。
いつも通り携帯に出る、『もしもし』『あっ、俺だけど。』何だか声のトーンが低いな。
何だろ、不安になる。
『俺と結婚して…。』
思いがけない電話でのプロポーズ。
『あっ、私でいいの?』
『お前じゃなきゃ駄目だ』
『うん』
そうして私は彼氏のプロポーズを受けました。
それは、もうすぐ春が来る頃。
- << 202 彼氏からのプロポーズを機に、仕事の引き抜きの話を断る事にしました。 私にとって、とてもいい話だったと思います、ただ私の中で結婚イコール幸せ、そう思ったからです。 引き抜きの話だけでなく 会社を見事に寿退社する事になりました。 正直、会社の人はみんな大嫌いでした。 私は会社では 常に一人…。 誰だってそうなのかもしれませんが 私は結婚退社することで優越感に浸りました。 私を見下した人達に対して 幸せを見せ付ける事だけが私の精一杯の見栄になりました。 結婚…、あの人が『俺がお前を貰ってやるよ』そう言った言葉が 昨日の事の様に 頭の中に蘇ります。 あれから二年…。 私、29歳…。 …続君色…完。 …君色…最終章へ
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8レス 284HIT 匿名さん (20代 女性 ) -
余裕を持った行動はしないのでしょうか。
例えば、13時頃待ち合わせの場合。 電車で行くとして、12:40着と13:05着の便があるとします…
7レス 223HIT 教えてほしいさん -
ファミサポで預かってもらっていたのですが・・・。
2歳の娘がいます。 月2回の2時間〜4時間ほど、ファミサポを利用しています。用事がたくさんある時や…
6レス 230HIT 子育てパンダさん (30代 女性 ) -
食後。お茶でブクブクうがい、その後ごっくん!何が悪い
食後。 お茶で、 お口ブクブク、 その後、ごっくん! 何が悪い? 何が汚い? それを指…
10レス 211HIT おしゃべり好きさん - もっと見る