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㍊( wPNK )
10/07/03 00:53(更新日時)

小説なんて書いた事もないので表現力が乏しい上、読み難いかもです。

最近よく見聞きする【虐待】という行いについて考えるきっかけになれればと思い、主役【城(セイ)】の存在を何かに残したかったので…ですからほぼノンフィクションです。

つたない文章ですが、暇潰し程度に読んでください。

虐待を中心に、同性愛的な内容、精神的な問題等、少々生々しい部分も含まれています。
不快に思われた方は素通り願います。
感想スレは別にありますので、読者の方の邪魔にならないよう、レスはそちらにお願いします。

一度自分のミスで削除してしまい…申し訳ありませんでした。
再度よろしくお願い致します。

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No.1301642 10/04/19 21:10(スレ作成日時)

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No.401 10/06/13 17:55
㍊ ( wPNK )

『終わった(笑)?そりゃそうだ。証拠が無い。どんなに教育の仕方が暴力行為だと言っても、私が城を犯したと喚いても、こんな…こんな紙切れ…!こんな…(笑)!』

今度は祖父が
ノートを1枚残らず拾い集め
俺と城に向かって投げつけた

『そんなバラけた小汚いノート(笑)!ゴミでしかないですな!』

俺は黙ってノートを拾い集め
嘲笑う奴らの言葉を
浴び続けた

男が言う

『よくそんなんで自信満々に飛び込んで来ましたよ。そこは素晴らしいと思います(笑)。確かに、城を虐げるのに快感は心のどこかにあった。虐待と言うならそうかもしれません。認めて欲しいなら認めてやる(笑)。』

『小便かけられたから自分は臭いんだ?当たり前だろう!お前はその程度の人間性だったんだ。これからも沢山厳しく教育してやる。言うこと聞いて自分を磨け。』

徹が反発する

『人間性を語る資格はあんたには無い!イカれてる。証拠よりやった行いに対しての償いや謝罪はないのか?俺達がここに来てからも散々手を出し、出そうとした。それを今、認めた! 笑ってないで謝罪しろよ!父親としてさ、どうなんだよ!』

No.402 10/06/13 18:23
㍊ ( wPNK )

『あーごめんごめん。城クン、パパが悪かった!これからも頑張ってお前の障害治すようにガンバリます(笑)!』

『…どこまで腐ってるワケ?』

『まぁまぁ、梶谷さん。終わりました。神崎さんを充分なだめて差し上げながら、お気を付けてお帰り下さい。』

拾い集めたノートをまとめながら
俺は笑いを堪えるのに
必死だった

城が俺に抱きついてきた
負けたと感じたんだろう
無理もねぇよな…

『置いてかないでね!約束したでしょ!?』

『さぁ、城を置いてどうぞ玄関へ!もう疲れましたよ。』

今度は徹に抱き付いた

『徹、帰らないで…1人にしないで!連れてって!兄貴だろ!弟が出来て最高だって言った!お願い…守って!』

半ベソになる城に
俺は笑顔で答えた

『城~泣くなって。俺を信じるって言っただろ?スゲー基本中の基本なやり方なのによ、警戒すらしないないなんて…大した事ねぇな、お前の嫌いな人間達は(笑)!』

俺と徹以外
訳が分からないと言う顔…

『徹、もういいよな。』

『あ、そうなの。鏡が言うならいいよ別に。』

No.403 10/06/13 18:49
㍊ ( wPNK )

徹がファイルを開けた
俺は手を出したまま
3人を見る

『イワオさん。シンジさん。裁判だの証拠だのってね。不利になった時、簡単に法を引き合いに出せば怯むと思ったら大間違いですよ。虐待した事を結局認めるなら、くだらない御託並べないで素直に謝りゃまだ救いようがある物を…。』

徹が俺の手に渡した物
これを見た時の顔(笑)

『言い訳や言い逃れにそんなに機転利く頭があるなら、もしかしたら、かもしれないって考えたりしなかった?こういう話し合いをする時の基本中の基本でしょ?』

カセットレコーダーを見せた

『俺らさ、大した頭良くないから話し合い前日になって、これくらいしか浮かばなかったんだよね(笑)。』

『あ、頭良くないのは神崎鏡矢だけですから。今時!ボイスレコーダーじゃなくて、カセットだよ?しかもワザワザ、取り出してカセット裏返さないとリターンしないヤツ。別に胃腸弱くてトイレ行ってたワケじゃないから。』

『るせぇ(笑)。こっちだってお前の中抜けに合わせるの大変だったって!いちいちイワオサン、シンジサン、ミツエサンて名前呼んで会話してたんだから、気付く奴は気付くんだけどな!』

No.404 10/06/13 19:16
㍊ ( wPNK )

唖然とした3人を見る
何だよ~ってか(笑)?
散々言わせる事言わせて
それかよ~ってか(笑)!

でもさ…俺だって
まさかここまで上手く吐いてくれるなんて思いもしなかった
しかも最後は
虐待認めやがった

イワオサンお疲れー
シンジサンお疲れー
ミツエサンお疲れー

『何?何なの、それは何?』

城が手を伸ばして
興味津々の顔をする

『今までの会話、全部録音した。お前を酷い目に合わせた内容や理由…全部入ってる。ノートと一緒に強力な証拠になる。』

『もうひとつの証拠!?』

コホンと咳払いをして
3人の顔を見る

『もう充分なので録音停止しますから。』

停止を押して徹に渡す
分厚いファイルにしまう時
ガサゴソと音を立てながら
また録音再生押したのを
俺は見た

流石分かってる(笑)

『あまりにも度が行き過ぎてますので、これは相談所へ預けますから。何度か相談してみたものですから。』

『鏡…!それは…。』

城な肩を押さえて
徹が小さく脅しだからと
耳打ちした

No.405 10/06/13 19:59
㍊ ( wPNK )

言葉が出ないのか
黙ったままの3人

『裁判はいつ頃になりそうですかね。』

嫌味ったらしく言ってやる
祖父が反応する

『そ、それは…。』

充分堪えてるみたいだ
口籠もる

こいつからは直接
どうしても聞きたい
城をここまでにした理由
その心理…

そしてもうしないと
城の前で誓わせる

妻子が居て強情になるなら
言えなくなるのなら
言いやすい環境にしてやるよ

『シンジさん、ミツエさん。少しイワオさんと話させて欲しい。外してもらえますかね。』

抵抗する様子もなく立ち去る
それから…

『徹、城連れて車で…。』

『聞く。』

城は俺と徹の間に座り
祖父を堂々と見つめる…

これで一段落付いたら
次は本題だ…

一番 難しい交渉が始まる…

No.406 10/06/14 18:09
㍊ ( wPNK )

1人になった所で
彼が先に口を開く

『あんたらは…このやり取りを録音してどうしたいんだ。』

『どうするつもりはないです。俺達みたいな機関の人間でもない奴が、突然お邪魔して…虐待の疑いがありますなんて言い出しても、応じてくれないか憤慨されて訴えられる可能性を考えただけで。その最悪の場合に利用しようとしただけですよ。』

『相談所に提出…するんだろう…?』

『そのつもりでしたが。イワオさん、シンジさん、ミツエさんの心からの謝罪…もう暴行しないという宣誓…城に対してのね…それがあれば考えます。』

『…恐喝か。』

『は?恐喝?交渉です…条件ですよ。失礼な。』

まだそう言うか…
全く呆れる…

『虐待しているつもりはなかった。それをあんたら、自分勝手な質問攻めで意にそぐわない事を言わせて…!誘導尋問か!仕組んだのか!』

徹の顔を思わず見た
肘をついて睨んでいた

言っている意味がわからん…
何なんだこいつは…!

『シンジは認めても私は認めません!ホラ、城を犯したって部分。説明付けてくれたら認めますよ。でなきゃ、認めません。逆に裁判の話は取り消すから、そのテープをよこしてください!』

No.407 10/06/14 20:09
㍊ ( wPNK )

『別にいいよ。なぁ、鏡。城君を犯したって…性虐の事だけが重要な訳じゃないし、そこを認めてもらわないと虐待したって証拠にならないって訳じゃないからさ。本人の口から性虐に関しては言いたくないってんならそれまでだし、それでいいと思う。その分、他の行為に関してなら言えるよね?城君、熱湯を直に2回も肩に浴びせられたって本当?』

城と徹が息を合わせる

『…うん、右肩に2回…熱くて死ぬ所だった。鏡と徹が気付いてくれたんだ。』

『手錠かけてドッグフードも食べさせられたんだって、これも?』

『…うん…手錠のせいで手首血だらけで…鏡が怪我治してくれた。』

『首の傷は首輪?』

『…首輪…だよ…犬なんだ…ハクって…飼ってた犬と同じ名前付けられて……。』

うつむいて拳を見つめる…

『誰がそんな事をしたの?』

徹が祖父をまた睨む
俺も目を逸らさない

『…ジジィです…クソジジィ、バカイワオ…!お前がやったんだぞ!』

祖父を指差して
立ち上がろうとしたが
俺は抑えた

『…ほらね?もうこれだけで充分だろって。無駄な足掻きは止めて、いい加減にしろよお前…!時間の無駄!鏡、進めな!』

No.408 10/06/15 00:09
㍊ ( wPNK )

『…テープは渡しません。裁判も怖くありません。城を…城を心から安心させてやって下さい。二度と泣かせないと誓ってやってください。貴方が認めたからと言って、別に貴方を公の場に晒すつもりもありません。ただ、城のこれからの人生の為に、今までの行いを認めて謝罪してくれと言っているんです。そうして頂ければ、機関へテープを預けることはしません。それが出来ないなら、城の今後の身の危険性を考慮して、機関に介入してもらわざるを得ません。貴方に不利な事は何ひとつ無いと思うんですが。』

萎んだ風船の様に
見る見る小さく
みすぼらしくなる祖父
もう…大丈夫だろう…

『…何故そこまで城を庇うんです…赤の他人の子なのに…。』

『血は関係無い。数ヶ月見てきて…誰にも頼れず傷や痣を背負い、1人で突っ張って彷徨って生きて来た子が…貴方達に怯え泣きながら…助けてって…いつも…俺の名前を呼ぶんです…可愛くて仕方ないです…。何とかしてやりたかった。それだけです。だからとことん首突っ込みました…。』

城の視線を感じ俺も見返す
まつげの長い大きな目は
何の濁りもない…
それなのに
こんな悲しい人生…
もう終止符を打とう

No.409 10/06/15 18:36
㍊ ( wPNK )

祖父は観念したかのように
頭を垂れていた

『何から話せば…。』

『そうですね…まずは城が知りたがっていた…何故この子に対して虐待行為をしたのかを。』

城は不機嫌ながらも
祖父を見ている

『虐待だなんて思ってもいない…今でも…そんな事はしていないと言える…。ただ…。』

俺はまだ言うかと思いながら
黙って耳をすましていた
きっと徹も…

城が感情を抑制するなんて
非常に難しいんだってこと
すっかり忘れていた
急にテーブルをバンッと叩き
膝をついて立ち
怒りをあらわにする

『認めろ!認めろよ!認めろ!バカヤロウ!クソジジィ!死ね!死ねよ!ジジィ!死ね!』

『城!!うるさい!』

城の服を引っ張る
怒りの矛先が俺に向く…

『鏡!まだ認めない!謝らない!クソだ!こいつ、クソ!殺して!鏡!殺してよ!』

指を差しながら
【殺して】と叫ぶ孫の一言に
何とも言えない顔で
静かに見返す祖父

知らず知らず
眉間にシワがよる俺

『静かにしろ!まだ話の途中だろって!聞くんだろ?座れ!』

『何で俺に怒るの、俺が悪いの!?鏡、認めないこいつが悪いだろ!俺じゃない!』

No.410 10/06/15 19:01
㍊ ( wPNK )

しまったと思って説得する

『そうじゃない、お前を責めてるんじゃないから…今話してる途中だろ?落ち着けって言ってるの!』

『こんなの殺せばいいよ!死んでもいいんだ!』

参った…
まさかこんな所で…
話が進まない…

もう死ねと殺せしか言わない
12年間の痛みを
全て今吐き出している様に…

そんなもんだから
祖母と男が入ってきた…
来るなよな…
ジジィ話さなくなるだろ…
あぁ、口のきき方
俺…気を付けなきゃ…

席を外して城を抱き締める
幼い子をあやすように
ゆっくり話しかける…

『怒鳴って…悪かった。人は殺せないって前に話しただろ…今さ、爺ちゃんがちゃんと説明しようとしてるから。最後まで聞いて。お願い。』

徹の顔を見る
やれやれという顔で立ち
城の隣り…床に座る

『城君、座って。』

徹の肩に手を掛けて
両膝を抱えて座り込み
大人しくなった

No.411 10/06/15 19:37
㍊ ( wPNK )

流石に
死ねと殺せは効いたのか
口に手を当てて驚いていた

男と祖母も
城の剣幕に酷く驚愕 した顔
黙って祖父の隣りに座った

もういいや
このまま進めよう

『…すいません。話、続けて下さい。』

『私は…虐待だなんて思っていなくて…ただ…酷いことをしているという…自覚は…ありました…。』

静まり返る
城は膝を抱えたまま
顔も上げずに聞いている

『今、死ね殺せと言われて…その子がナイフを振り回した時を思い出して…冷静に考えれば…殺意を抱かせる程…苦しめていたのかと…今の城を見て…今やっと…気付いた…気付きました…やっと…。』

すすり泣き始める城

『城は貴方を一番恐怖に感じていましたよ。』

『…まぁそうかもしれません…加減をしたことは無いですから…。カッとなりやすい性格なものでね…。』

『親父…話すこと無いだろ!また録音してるかもよ。』

男を睨み返す
根っから腐ってんのは
こいつだったりしてな…

『先程、停止しましたよ。』

『信用出来るか。ま、いいけど。この際。』

『イワオさん、続けて。』

No.412 10/06/15 21:14
㍊ ( wPNK )

『どう話していいか…正直自分でもよく分からない…。』

自覚無しでやってきたなら
そうなのかもな…

『なら俺が聞いていいですかね…孫が生まれた時はどうだったんです?』

『嬉しかった…確かに…初孫ですからね。でも、すぐ息子の子じゃないと聞いた時から複雑な気分で…職場や近所の方々にも祝ってもらった後ですし…あの母親に息子が丸め込まれたと思うと怒りが治まらず…可愛いと思うことすら無くなった…。』

男に言う

『ミツエさんの話も含め…基本的にはあんたが撒いた種だな。』

『知るか。関係ねぇ。』

城が顔を上げずに口を開く

『俺の父さんもいないの…?何で俺ここに置いたの…みんな家族じゃないんだろ。』

『施設でも良かったけど。世間がうるさいからだ。』

『…黙れ。』

気に入らない…この男
こいつも多分隙を狙ってる…
祖父が続ける

『世間は気になりますよ…やっぱり…後ろ指さされたく無い。私の親も厳格でね。いつも見られていると思えと教えられてきましたから。』

『ウチの親父は厳しいよ。それでよく殴られてた。城の育て方だって同じようなもんだろ。さっきも言ったけどさぁ?』

No.413 10/06/16 05:48
㍊ ( wPNK )

『シンジさん。あんた体に熱湯浴びたか?繋がれたか?飯与えられないなんてことあったか?同じじゃねぇだろ。黙ってろ。』

どうでもいい奴なだけに
話し方もどうでも良くなる
祖父の方を向く

『世間体気にした所で、世間は何もしてくれないですけどね。どうして…いつから暴力的になったんです?』

『小学生の頃は…あまり家に居なかったですから…ミツエに任せっきりで…中学になる頃には態度もふてぶてしくなり…見るだけ腹立たしいと思うようになって…手を上げると面白いくらい言うことを聞いたものですから…エスカレートしてしまった…。勝手に学校行かずにフラ付くようになり、近所に変な目で見られていないかと…噂されていやしないかと不安で余計…。躾と言ったのはそんな所からです。』

『エスカレートですか…。あまりにも残酷過ぎましたね。ゴルフクラブでの暴力、熱湯、手錠やロープや首輪による監禁、犬扱いする等の人権侵害…手紙での挑発。それらの行為について今どう思いますかね。』

『虐待の自覚は無かったにしろ…やりすぎた自覚はあったから…そこはもう…。』

もう、何だよ
言えよ早く

No.414 10/06/16 06:05
㍊ ( wPNK )

『表に…人様の前に出したくなくて必死でしたから。でも…うん…そうですね…息子にはしなかったことを…城に…殺意抱かせるくらいね…。』

黙って1人で頷いて
顔を伏せたままの城を見た

『城…私が悪かった…本当に…すまなかった…。』

謝った!

『許してくれるなら顔を上げて欲しい…。』

上げない
反応すら無い

それどころか
背を向けて後ろを向いた

そりゃそうだろう
暴力に対しての謝罪でも
全ての行いに対しての
謝罪ではない

城にとっては
こんな中途半端な謝罪なんか
意味が無い

とりあえず…

『シンジさん、ミツエさんもお願いします。』

祖母がハンカチを当てて
口を開く

『城…本当の孫なのかもしれないと思うと…さっきずっと考えてたら…私達のした事は…城、ごめんなさいね…本当にごめんなさいね…。』

残るは男

No.415 10/06/16 08:25
㍊ ( wPNK )

『城は俺の子だよ。』

祖父母が男を見る

『梶谷さんの言った通りね。まだ遊びたかった。逃げ口実だったさ。当時はそれでいいと思ってたけど、やっぱり気にはなってた。俺だって城が生まれた時は親父になったんだなぁって実感して、大きくなったら一緒に晩酌できるって…息子だってことに喜んだ。でもねー現実って難しくてさ、小遣い減るわ自由に出来ないわ給料まで下がるわ、疲れて帰ればガキは泣いてるし、嫁さん疲れたって飯作らないし、俺に当たるし。もうイヤんなっちゃって。しまいに息抜きしてくるって、城置いて外出れば、尻軽女、どこぞの男と遊びまくって…そりゃ俺だって女作って遊ぶよ。疲れながらも代わりに面倒見れば言うこと聞かねーし。もう、いらねーと思った。だから親父とおふくろに、俺の子じゃないかもって言ったんだ。俺に対して特におふくろは過保護だったから信じると思って。俺達、出来婚だしさ。正直に言えばそんな所。城は正真正銘、間違いなく俺の種(笑)!』

開いた口が塞がらないって
こういうことか

『親父、おふくろ。何こんな奴らに謝ってんの?俺も謝らなくちゃならなくなるだろ!一般人だぜ?』

No.416 10/06/16 11:24
㍊ ( wPNK )

祖父の平手打ちが
男の顔面を直撃した

『お前は…!今になってなんてことを…!』

何でグーじゃないんすか!
って言いそうになったが
堪えた

『何でグーじゃないの?パーでやるあたりが甘やかして育てたって証拠だよね(笑)。厳しくしてるつもりで実は甘やかした育て方だったんだ。だからそんな自己中の脳味噌腐った馬鹿息子になったんだよ。城君はグーよりも痛い思いをしてきたのに。今だってホラ。そりゃ簡単に許せないさ。』

徹…(笑)
城は見向きもせず
ただ小さくなって泣いている
そりゃ傷付くよな…
どうにも出来ない時期に
既に嫌われ
邪魔扱いされていたんだから

『俺にも…息子はいます。城と同じくらいの。人の育て方をどうこう言える立場じゃありません…息子の希望で離婚しましたから…。でもね、子を育てるってどういうことか考えて下さいよ。利己的な判断で、簡単に要る要らない、可愛い可愛くないって…それは違う。自分の人形じゃないでしょう。赤ん坊だって人間ですよ、心も脳もあります。考えるし喜怒哀楽持ちます。喋ることが出来ないだけですよ!物じゃない!快楽だけを望むなら作るな。』

No.417 10/06/16 12:11
㍊ ( wPNK )

『作りたくなくても、出来ちまったんだからしょうがないだろ?俺なりに頑張ってもみたんだしよ。久々に去年会って、大きくなったなって本当に嬉しかったさ。クソ生意気だったからやっぱり受け付けなかった…ついビシバシやったけど。親父だって昔はそうだった。変な所で親父ぶるなよ。』

『俺が…。』

城がしゃくりあげながら
話し出す

『俺が生まれて…泣かないで大人しく可愛くしてれば良かった…可愛くってどんなこと?頑張って昔々を思い出そうとした…でも、母さんが抱いてキスしてくれた所までしか思い出せなくて…そんな悪い子だなんて気付かなくて…ごめんなさい…でもどうしていいかわからなかったよ…何で叩かれるのかも全然わからなかった…気付かなくてごめんなさい…去年会った時も…急に父さんだって言われても頭の中グチャグチャで…信じなかった…だからまた嫌ったんだろ…ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!俺は…俺が悪かったから、父さんも爺ちゃんも婆ちゃんもいつも怒ってた…鏡と徹は怒らなかったけど…我慢してたんならごめんなさい…許してください…!鏡と徹、嫌わないで…。』

『城君は謝る必要無い!何も悪くない!』

No.418 10/06/16 17:33
㍊ ( wPNK )

『そうだよ、城!お前も悪いんだよ!馬鹿!何、助け呼んでんだ!』

城がワアッと
声を張り上げて泣き出す
祖父母が怒る

『シンジ、いい加減にしろ!』

『どうしてこんな…。』

『ごめんなさい…ごめんなさい!俺が悪いです!』

『親父が俺にしたことだって虐待になるだろ!俺は叩かれて育ったから城にもそうした!言うこと聞かないから仕置きした!親父だって同じじゃねぇの?そもそも城をあそこまで汚ぇ体にしたのはあんただろ!』

『シンジ、あなたが周りに対していけないことをした時しか、この人は手を上げてないでしょう!欲しいものはあげたでしょう!』

『知るか!勝手に買ったんだろって!俺の話信じて、違うかもって言っただけで孫を虐待して?俺だけが責められるのか?飯もろくにやらなかったんだろ!俺はあんたらに預けたんだ!それをこんな馬鹿にしたの、誰だよ!』

『やめて!やめて!家族だろ、やめて…俺が悪いからみんな駄目になる…!』

『お前が我々を騙すなんて思ってもいなかった…事の発端はお前の嘘じゃないか!』

『徹…。』

『何、テープなら今の内に入れ替えた…。』

『俺…もう…疲れたよ…。』

No.419 10/06/16 18:04
㍊ ( wPNK )

ここに来て数時間…

予想以上に話が進まず
聞かない人間

俺なりに抑えて
原因も聞き出して
何とか進めてきたけど…

もう…本当に疲れて
頭が回らなくなってきた

何をしにきたんだか
何を話してきたんだか
もうわからなくなって…

次から次へと
出てくる言葉は
自分を守る為に過ぎない内容

この3人が何故
家族喧嘩をし出したのかも
どうでもよくなって
頭が真っ白で…

何しに来たんだろう…俺

ソファーに背を埋め
両手で頭を押さえる

3人の喚き声が
ただの雑音にしか聞こえない

城…泣くなってば…
俺が泣きたいよ…
俺が謝りたい…
お前に…

スムーズに事を運んで
言い聞かせて
早く終わらせる頭が無くて
ごめんなさい…

城…泣くなって…
お前は何一つ悪くない…

お前の…
笑顔は無くても嬉しそうな
あの空気が欲しい…

俺の一番の特効薬…
俺に…元気を…

『城…こっち来て…。』

城を見ずに手招きする…

No.420 10/06/16 18:29
㍊ ( wPNK )

ベソかいたまま
立ち上がって俺の真横に立つ

何て顔だよ…
いい男なのに勿体ない(笑)

目は真っ赤
耳も真っ赤
顔も真っ赤
涙でベチャベチャ
見た目は小学校低学年

手を取って
お前は何一つ悪くないって
説明してやろうとしたんだ…

それなのに
体も口も動かない…

ソファーに背を埋めたまま
片手で城の手を取り…
もう片方の手で顔を隠す…

城が泣き止んで
逆に俺を見てくるから
照れるじゃねぇか(笑)

『鏡…。』

俺が城に話す時にしたように

俺の手を離し
俺の頬に両手を優しく乗せ
ジッと目を見詰めた…

『泣かないで…!』

そんなつもりは無かった
でも目が
赤くなってたかもしれない…

自分の顔を
見てみろよと思いながら
笑い返した

一気に充電完了した!
ありがとう!
カワイコチャン(笑)!

早送りします!
頑張ります!

城を軽く抱いて座らせた

No.421 10/06/17 04:08
㍊ ( wPNK )

手を叩いて注目させる

『ハイハイ!周りの目が気になるって言っておいて、こんな時間に大の大人が喧嘩しないでくれますかね!』

1人ずつ突き飛ばし
また座らせる

『城の言葉聞いたのか?何で被害者に謝らせる?シンジさんよ…俺と同じくらいの歳にしても、ちょっと…大人になってくださいよ。』

『今こう息子と衝突して…何て言いますか、我々の非がどれだけだったかというのを実感しました…。』

『だから俺だけが悪ぃのかってよ!』

『それも含めて!城にもう1度謝ろうと言っている!城に爺ちゃんなんて呼ばれた事は今まであったか無かったか…さっきの城の話し方…私の前に居た時とは全然違うのにも驚いた…。』

城は徹の陰で
今度は前を向いていた

『城…全てを認めて頭を下げよう。全てだから…爺ちゃんがお前にしたこと…隠さずに…だから…お前の体に悪戯したこと…。』

妻と息子が祖父を見る

『虐待の自覚は無かったと言っても…これだけは自覚しつつも…やってしまった…心に深い傷を残すのは知っていた…まだ未成年で男で…孫なのに…最低な行為なのも知ってて…欲望を抑えられなかった…厭らしいことを…すまない…。』

No.422 10/06/17 04:51
㍊ ( wPNK )

認めた…
そして…謝罪の言葉…

妻子の軽蔑の眼差し…
もしかするとこの先
この行為を
事あるごとに引き出されて
責められるかもしれない

でもそれが
城を虐げたこの人の
負い続けなきゃならない
当然の罪

城はそんな傷じゃ
比べものにならない
癒える事の無い傷を
負ってしまったんだ

うつむいて唇を噛む祖父
最初の勢いも
厳格な雰囲気ももう無い…

『俺が個人的に知りたいだけなんですが…その行いに対して…原因とか教えて欲しいです。俺にとっては理解し難い行為なので。性の欲望だけじゃないでしょう?話せる部分だけでも。』

城を見る
思い出すよな…
やっぱり顔を上げず
手は震えていたが
徹も傍で話し掛けてるし
大丈夫だろう

No.423 10/06/17 13:34
㍊ ( wPNK )

現実逃避…
だったのかもしれません…

さっきも述べましたが
城が生まれて
知人達に祝されて幸せでした
息子に継いで男児
佐伯の名を継いでくれると
心から喜びました

でも
息子に違うかもと言われ
まさかと思いつつも
息子を信じた
どうでもいいと思いました…

今確実に息子の育て方自体
誤ったんだなと実感しました

息子が城を置いて消え
捜しても見つからなくて
寂しさが募りました

こんな馬鹿息子でも
私達の子ですから
そして親ですから
心配で不安で…

城はというと
ミツエも言ったように
笑わないし顔色を伺うし
呼べばおどおどして
何か気を遣いながら
話し掛けてくる…
何かをするにも
先読みして動く…

それはお前にしてみれば
私達に褒められたくて
構って欲しくての
行動だったんだろうが…

それがまた3歳児らしくなくて
どこか不気味で…

…城、昔の話だからな
城は悪くないんだよ

うちの馬鹿息子がきっと
ここに来る前に
お前をそういう性格に
してしまったんだと

今は思っているから…
話すだけ話させてくれ

No.424 10/06/17 13:55
㍊ ( wPNK )

成長する城を
どこか息子と重ねたり
そして
憎たらしくて仕方なかった

こいつがいるから
息子は戻らないんだとも
思いました…

そんな空気を
既に察知していたんだな
お前は賢いから…

小学校あたりでは
城のことは
ミツエに任せていたので
あまり記憶にありません

職場の仲間や
町内会の集まりで
周りから孫は元気?とか
可愛くて仕方無いでしょうと
そう言われる度ただ苦痛で

家と学校以外
外出や寄道は厳禁
城の存在を気にしないように
家に閉じ込めました

私自身も誰にも
何も噂されたくなくて
周囲との関係を断ったことが
余計どこかで
寂しさ覚えていましたが…

この時からは
当然ミツエからも不満を当てられ
私の中では
孤独感も増した時期でした

中学前後になると
城も少しずつ抵抗し始め
面白くなかった…

だから力でねじ伏せたんです
自分の力を見せつけ
逆らわないように
今度はそれが
愉快になってしまったんだと
思います…

No.425 10/06/17 14:18
㍊ ( wPNK )

そして…初めて…
やってはいけないことを…

ミツエが疲労で入院した時
ミツエに怒られて…

私と同じ気持ちなのに
城の面倒を
任せっきりにした部分を
酷く責められた後だった…

自業自得とは言え
自分の周りには
誰もいなくなったと思い
そんな中…

城に当たって文句を言うと
素直に聞くもので…
どこか快感を…持って…

体も大きくなったし
初めて…呼び付け…
しました…

泣きながら
嫌がりながら
謝りながら

言うことを聞く姿が…
可愛くて可愛くて…

お前に隙があるから
こうなるんだと
責任を押し付け…

…犯し…ました…

No.426 10/06/17 14:32
㍊ ( wPNK )

『そんな前から…!』

と涙ながらに
汚い物から逃げるように
祖父から離れる祖母

『流石に…それはねぇわ親父…クソだな!』

と祖父の二の腕に一発
拳を打つ息子…

どっちの気持ちも分かるが
この結果がこの人の
懺悔なのかと思うと
俺はもう憎めなかった…

城は…聞いてる途中で
徹の後ろで
うつ伏せに倒れ込み
ずっと泣いていた

その状況でも
声を震わせながら
祖父は続ける…

…初めて涙を見た

No.427 10/06/17 14:47
㍊ ( wPNK )

自分が一番可哀相だと
感じていました

周囲の目
妻との不和
息子の消息問題
孫の血縁問題
仕事でも問題があり
もう全てが嫌でした

城しかいませんでした

城を泣かせ怯えさせ
許しを乞わせるのが
いつの間にか
生きがいともいえる
そんな状態でした…

城は弱いですから
簡単で
利用したんです私は…
おかしくなっていました…

もう一つ
知っていたことがありまして

城なら
簡単に他人には洩らさない
賢いから
どうなるか知っているはずと
安心していました

恥ずかしい行為だというのも
城なら知っているはずと…

どこか安心して…

何度も…何度も…
抱きました…

もう…
通報して頂いても…
結構です…

神崎さん…
立派な犯罪者でしょう?
私は…

No.428 10/06/17 15:09
㍊ ( wPNK )

泣き崩れる祖父

『城、すまなかった…爺ちゃんなんて呼ばないでくれ…いつか…いつかは…こういう日が訪れるのを…夢にまで見て…怯えながらいたんだ…怖いくせに…馬鹿なことを…!警察や相談所ではなく…この方々を選んだお前に…ありがとうと…言いたい…なぜなら…虐待行為について…考え直して悔い改める時間を…じっくり与えてくれたからな…神崎さん…梶谷さん…どうぞ…明日にでも機関へ…全て認めて受け入れますから…!』

彼は立ち
伏せて泣きっ放しの城の
近くに座った
ビクッと反応する城

『お前には触れない…安心しろ。そんな権利は私には無い。でも、城…お前がこんなクソイワオを…いつか許してくれるなら…その時は…爺ちゃんって呼んで…くれるか?汚らわしいだろうし、触れなくていいから…爺ちゃんと呼んでくれるだけでいい…。城、ごめんな。痛かった、辛かった…気持ち悪かったな…。本当に…本当にすまなかった…城…すまない…。』

両手を床に付き
頭を床に付き

土下座をした…

城が顔を上げるまで
ずっと…ずっと…

No.429 10/06/17 15:38
㍊ ( wPNK )

誰も口を挟めなかった

間違いなく
この人の心からの謝罪
皆がわかっていた

あとは城の判断だろう…

さっき俺から離れて
徹にティッシュ貰って
ベチャベチャの顔
拭いたばかりだったのに…

また同じ顔で
ゆっくり起き上がった

土下座する祖父の方に
泣きながら
両膝で進み

正面から祖父の背中に
手をついた…

そして
やっぱりしゃくりあげながら
こう言った…


イワオが、お、おれの、おじいちゃんに、なった…!

き、きょう、クソッタレじゃ、ないよ、おれの、おじいちゃん、じいちゃんだよ!


俺…これから
城の前で言葉遣い
気を付けよう…マジで…

そう思いながら安堵する

『…うん。城、良かった。爺ちゃん、お前と同じベチャベチャの顔、上げられねぇって困ってるぞ(笑)。』

ベチャベチャの顔に
嬉しそうな笑みを浮かべて
頭を上げた

真っ直ぐ見る城を抱き締め
ありがとう!と言った

そして俺を見て礼をした
俺も笑顔で
頭を下げて返した

No.430 10/06/17 18:10
㍊ ( wPNK )

城にとって祖父の土下座が
どれだけの重みなのか
俺は知らない

端から見れば
甘いとも思える許し…

でも祖父の人間性は
本人が一番良く知っている

城が許すのなら
俺も許そうと思った

城はまた
徹にティッシュを貰って顔を拭く

すぐ祖父の手を振り切り
傍を離れて
徹と俺の間に座る

行為を許しても
体が許さない
受け付けない
俺にはそう見えた…

祖父もソファーに戻る


全てが面白くないのは
男だろう

馬鹿息子と罵られてから
ずっと祖父を睨んでいる

『孫の体も汚けりゃ、親父のアソコも汚れきってんな。ショックだよぉ俺。』

勿論祖父は何も言えない…
祖母が怒鳴る

『それでも!私達の生活を支えたのはこの人よ!そんな言い方…確かに汚らわしいとも思うけど…それを思うと…。シンジ、いい加減にして。城を、本当の息子をそんな風に言わないで!』

『確かに俺が馬鹿だった。認めるよ。俺のくだらない一言で、まさかまさかの虐待が始まるなんて。信じてそこまでやる2人も馬鹿だけど。なぁ、城。俺が憎いか?謝れば許してくれるかな。土下座したら。』

No.431 10/06/17 18:38
㍊ ( wPNK )

『お前は、死ね。』

城の表情が見る見る変わる
落ち着いた低い声で罵る…

『じいちゃんは土下座したから、許したわけじゃない。お前はおかしい。嘘つきだ。気持ち悪い。』

『言ってくれる(笑)。お前も逃げれば良かったろ。その人達に会うまで何してた?赤ん坊じゃあるまいしよ。』

『挑発して意味あんのか?おぅ!本当、いい加減にしろよテメェよ…。』

俺も素になる
悔しそうに城が答える

『逃げたけど!逃げたけど、俺は学校とここしかわからなかったから!逃げても…行く場所が無くて…どうしていいのかわからなくて…!知らない人間が怖くて…学校の奴らに知られたくなくて…外のことはテレビでしかよくわからなくて…ダメだった…から。捕まっても逃げたけど…遠くに行けなくて…知らない世界が怖くて…。それ以外は…凄く怖くて…!変な行動したら沢山殴られるから…逃げられなかったよ…大人しくしないと…怖かったから…助けてなんて…言えなかったよ…。』

『結局怖い怖いばっかで、居たんだろ(笑)。お前にも非があるっつってんの。な、城。これからちゃんと俺が外の世界も教えてやるから。それがお前への償いだ。駄目か?』

No.432 10/06/17 23:38
㍊ ( wPNK )

『駄目。許さない。バカ!』

その一言の後…
男の行為で俺はとうとう
ブチ切れた

何したと思う?
城に…城に湯のみを
投げつけやがった!
頭でなく腹に当たったのが
まだ救いだったが…

痛みよりも恐怖心が芽生え
城が酷く痙攣し出した

祖父も立ち上がって
喚いていたが
俺のが早かった

『テメェ…コラ…!』

でももっと早く立った徹に
押さえられた…

祖父に殴られる男
2度、3度殴られる…
俺にも殴らせろ!

『離せ、徹!テメェ、何した!ふざけんじゃねぇぞ!!』

『鏡、あいつの罠だ!ワザとだよ!落ち着け、ハメられる所だった!』

『知らねぇ!こいつ…オゥ!こっち来いや!話じゃ無理なんだろうが!』

『鏡、笑ってるだろ!』

男は祖父に殴られても
まだ笑ってやがる…
寒気がする…
何なんだこいつ!

『お前が殴れば傷害罪だったのに…気に入らねー…。』

息を切らせて
城に寄る
震えじゃない…痙攣だ

『救急車…!』

俺が徹に言うと
やめてやめてと腕を掴んだ

『クソッ!!』

その内落ち着くからと
徹が面倒を見る

男を見ると
祖父が胸倉を掴んで
城に謝れと
投げ飛ばしていた…

No.433 10/06/18 19:56
㍊ ( wPNK )

城は投げ飛ばされて
近付いた男に悲鳴を上げ
徹の後ろに隠れた

ごめんなさい、俺が怒らせた
俺が悪いから!叩かないで!

徹が間に入ったまま
男に向かって言う

『あのさ。まだわからないの?城君がどんな思いでここに来たか…分からないか。正真正銘の腐れた〇*☆◇※みたいだから(笑)!来る必要も無かったんだ、こんな家。こんな…おぞましい思い出しかない家!お前の親父の話も聞いただろ。お前達の異常な行為が繰り返されたこの家に、何でわざわざ俺達と一緒に来たと思ってんだよ!あれだけの事されてさ!お前、分かってんだろ?自分で!色々言い訳するけどね!城君にやってきた事が、どれだけ痛くて苦しいのか、お前だって親父に殴られて育ったなら分かるだろ!なのに、そのお前に!!それ以上の事されてきた!犬呼ばわり…ワンて言え…犬の餌…!低脳な一問一答…!根性焼き!飯に毒、熱湯って脅し!他にもあるだろ!?城君言わないだけで、お前も親父が今告白した事と同じ事やったんじゃないの?親父にされた事以上の行為をするくらいだからな!女と遊びたくてこんな良い子捨てるくらいだからさ!下半身だらしないんだろ、お前こそ(笑)!吐け!』

No.434 10/06/18 20:21
㍊ ( wPNK )

『やってねぇ!あんな事…一緒にすんな!』

『ならやるなよ!この場になってまで!痛みを知ってしまったならそこで…お前で止めろよ!自分がされた嫌なことを相手にやるって、どういう思考回路だよ!絡まってるどころか、ショートしてんじゃないかって(笑)!嬉しかった事は相手にもしてあげる、嫌だった事は相手にはしない…今時園児だって知ってるし!ホンッッット…〇*☆◇※(笑)!!城君はな、直接自分の目と耳で…お前達から何故こんな扱いされてきたのか…充分身を持って経験してきた恐怖を!自分の事だからって!自分の何が悪かったのか知りたいからって…城君は悪くないのに…直接聞くんだって…自分から化物の巣窟に入る勇気を出して、ここへ来たんだよ!どうして分からない!?どこまで化物なワケ!それともエイリアン!?心無いからロボット?ターミネーターのがまだ人間に近い!』

徹は男の肩を
時々小突きながら続ける…

No.435 10/06/18 20:47
㍊ ( wPNK )

『言いたい事あるか?あるなら言えよ!その代わり言うなら教えてやれよ!?どうして酷いことして笑えるのか、どうして鏡のが本当の父さんみたいなのかって、城君がいつも抱いてきた疑問に答えてやれよ!?その覚悟を持って、文句あるなら言え!言ってみろ!』

『…。』

『…鏡や城君が許しても、俺は許さない…俺はとことん監視するからな。盗聴器だって仕掛ける…小型カメラだって、隙見て仕掛けてやる!時間あれば張り込むし!責任感強いA型ナメんなよ…やるって言ったらやる。A型の性格の恐ろしい部分、フル活用して事細かに記録してファイルして…何かあったらすぐ引き出して通報してやるからな。分かったか!』

『…徹、それ犯罪の域…。』

『冗談に決まってるだろ、空気読めよ!鏡ほどマヌケじゃない!…お前、聞いてるか?冗談だけど冗談じゃないかもよ…!捕まったら務所からでも怨念送ってやる…!それだけ、俺は許さないって事だ!』

怖いと思った…(笑)
徹は最後に男の胸を
ドンと軽く拳で突く

俺は慣れてるけど
あまりのマシンガンに
3人は呆然としていた

男はあぐらをかいて
座ったまま溜息をついた…

No.436 10/06/20 18:46
㍊ ( wPNK )

『こいつが?…本当の父さんみたい…ね…(笑)。』

不服そうに俺を見やがる…
その目にカチンときた

『…何だよ!俺が教え込んだんじゃねぇ、城が自分の判断で俺に信頼置いてそう言ってくれたんだからな!』

面と向かって座る徹から
少しずれて座り直し
城に話し掛ける

『城。悪かった。』

そして振り向いて
ソファーの傍で立ち尽くす
親を見て言う

『親父、おふくろ。馬鹿息子で…こんなんでごめん。親父。俺はあんたのせいにしてたけど、違うから。俺にしたことも虐待だろって言ったのは…ただ困らせてやろうと思っただけ。この歳にして恥ずかしい限りだ。そんな風には微塵も思ってなかったよ、怖かったけど(笑)。』

どこか寂しそうに笑う…

『確かに…予想外の妊娠で入籍…生まれた城の存在で自由が奪われたのが面白くなかった。ガキの頃からおふくろにねだれば、すぐ金くれたり欲しい物買ってくれたり。金なんてあって使って当たり前みたいなもんだったから…。』

No.437 10/06/21 00:21
㍊ ( wPNK )

『全ては俺の何気ない自己中な一言から始まった…しっかり認めますよ…。親が自分に甘いことを知ってて城を押し付けて…自由気ままに好き放題やって、失敗して借金抱えて…そしてまた自ら甘えに来て。気にはしてたって言っても、12年間写真すら見ずに放置した息子…正直に言えば…心のどこかで、本当にあの城なのか?って実感すら無かった。間違いないのは分かってたけど…空白があまりにも長すぎてね…。何を言っても言い訳にしかならないけど…。上手く行かない毎日に…弱い城を利用してストレス発散したって…あぁ、そこは親父と一緒かも…城、ごめん…。』

今までが今までだったから
このごめんが全然納得いかず
俺も徹の隣…
城と男の間の床に座った

城は困惑した様子
純粋な奴だから
きっとこの言葉に
心が揺らいでるのかも…

俺は全く信用していないから
更に念を押す様に
言ってやる…

No.438 10/06/21 01:18
㍊ ( wPNK )

またきっとどこか笑いながら
何か裏があって
油断させようとしてるように
見えたから…

『認めて心からの謝罪をと言ったけど、これだけは覚えていて欲しい。』

祖父母の顔も見る

『貴方達が城にしたことは永久に許される事じゃない。城本人が許すと言うならそれまでですから、表向きは良いでしょうけどね…傷は消えないんですよ。体と心の傷、痛み。体中の傷や痣は多少薄まっても…完全に消えはしない…真夏に薄着になることも、海やプールで遊ぶことも温泉も…当たり前のことをこの先経験することが…。』

城が慌てて口を挟む

『鏡!ダメだ!言っただろ、誰にも見られたくない…そんな所絶対行かないからな!鏡と徹だから見せたんだ、鏡と…。』

うん、分かってると
笑いながら口を塞いだ

『…鏡を見る度、着替える度、どういう事をされて作った傷なのか思い出すでしょうよ。貴方達の暴行から完全隔離される事は無い。心に刻まれた傷がどれだけ彼の生活に影響を与えてしまったのか…想像…つかないだろ?本来ならごめん、すまないで終わる話じゃないんですよ…!』

思い出して腹立たしくなる
城が許すなら俺も許す
でも覚えておけよ!

No.439 10/06/21 12:35
㍊ ( wPNK )

『貴方達は城が許せば良かったで終わるかもしれない。けど知らなきゃならない部分もあるでしょう?貴方達が自分を守ることしか考えず、この子にやってきた全て…それによって城が今どうなってしまったのか…知らなければまた繰り返すかもしれない!俺はそれが怖いんですよ!貴方達が笑いながらやってきたことが、1人の人間をどうしてしまったか、ザッとお話ししますよ!どれだけあんたら自身が腐れた人間だったのかをね!とことん自覚させてやりますよ…そして一番話したかった…本題…入りますから。』

その時徹がファイルを手にし
後ろを向いて城に話しかけた

『城君、こんな家居たくないよな!婆ちゃんに言われたんだろ、義務教育終わったら出てけって。今すぐ出たいよな(笑)!車あればどこでも行ける。頑張って金貯めて買って俺達と、城君の車で旅行しよう。車の雑誌買ってきたんだ。今これ見て何買うか一緒に考えようぜ(笑)!』

『鏡と徹みたいなのがいいよ、色は黒!』

後ろを向いてファイルから取り出した雑誌を見始める2人…

こっちの話から気を逸らすため…徹は知らない間に雑誌を… 本当、助かる

『今から話す内容、しっかり胸に刻め。』

No.440 10/06/21 20:13
㍊ ( wPNK )

俺は思い出せる限りの
城の異常な行動を語った

中でも3人が
うつむいて聞いていたのは

自分は犬で汚い化物だと
思わせてしまった話

普段は恐くて近寄らない犬
散歩中の飼主に首輪を外せ解放しろ!と突然掴みかかったこと

繋がれている犬の首輪を外してあげたと嬉しそうに報告し俺に説教されたこと

夢の中でも自分をハクだと言ってワンワン吠えていたこと

TVで流れていた保健所の話に怒り、TVに向かって人殺し俺を殺すなと泣き喚いたこと

腕をナイフで血塗れにして泣いていて、理由を聞いたら…皮膚を全部剥がせば汚い体が綺麗になると思ってやってみたら凄く痛くてできないと…言っていたこと

他にも…

アームカットという自傷行為
頭の中があんたらで一杯で、謝っても許してくれないからと…自分が悪いと思った時、自分に罰を与えていたこと

熱湯とタバコによる恐怖
キッチンに立つことすら出来ず沸騰する音や熱気で体自体が異常反応を起こすこと

暴行されたことを思い出し
突然の発作と同じ…震え出す手を呻きながら噛み切ろうとして俺に押さえつけられたこと

穀潰しだと思い込み
金への執着が酷かったこと…

No.441 10/06/21 21:13
㍊ ( wPNK )

本名で呼ばれることに対する激しい怒り

刺青への深い想い

人からの視線に対する尋常でない恐怖との葛藤
目が合っただけで見るな!と怒り出すこと

殺意

死への憧れと生への執着

絶えることの無い暴力と恐怖によって成長しない心と体

性虐のせいでおかしくなる心
俺は女なのかもしれないと言い出し…何故か聞くと…男が男になんて変だ、きっと俺が女だからやったんだろと話したこと…

子を持つ母親への憎悪と嫉妬
スーパーでぐずる子を抱いてキスした母親…急に傍に走って行って、自慢するなバカと叫んだこと…

…まだまだある

とことん自覚させてやるつもりだったのに…

俺自信が辛くなってしまい
話を止めた…

話しながら次から次へと
昨日の事のように
辛い思い出が湧き出て来て…

また沈黙になってしまった…

城と徹の
車の話題だけが響く…

徹が空気を察して振り向いた
城も気付いて
雑誌から目を離した…

No.442 10/06/21 21:49
㍊ ( wPNK )

…誰か何か言ってくれ(笑)

声出ねぇんだって…
無理矢理出しても
きっと声が震える…

城のベソ移ったから
涙もろくて参る…
泣いてねぇけどな!

お前らに見せてやりたかった
今挙げた中の城を直接…

俺は全部見てきたから
城のこと…
全て受け入れられたから
そしてこれからも
自立して羽ばたくまで
見守って育てて行きたい
…俺が!

だからさ…頼みに来たんだ…

でもまず
詰まる喉を開かないと…

『…生まれた我が子を可愛いと言っておいて…どこの世界に…こんなにズタボロにする…親がいますかね!どこに…自分の家が憂鬱な場所だと思わせる家庭がありますかね!』

ここにもいるけど…
神崎鏡矢っていう馬鹿親が

『貴方達よりも…城と一緒にいる時間は遥かに短い俺だけど…俺のが本当の城を貴方達より遥かに知ってますよ…。』

自分の息子より…
城を知ってるよ…

だから…

No.443 10/06/22 00:03
㍊ ( wPNK )

『だから…。』

『…神崎さん。』

男がうつむいたまま口を開く

『もういいです…。』

祖父母も続ける

『神崎さんにも本当に申し訳ないこと…城が知らない所でそこまで…それを貴方が…。』

『ごめんなさいね…本当に…謝って済む話ではないわね…。』

『神崎さんと梶谷さんと…城…。俺達親子揃ってどうにかしていた…気付かせてくれて…感謝しますよ。そして、俺の口…信用出来ないかもしれないですけど、これが心から…本当の謝罪のつもりです…大変…申し訳ありませんでした。城、爺ちゃん婆ちゃん共々…俺も目が覚めたから…許してくれるかな…ごめん…ごめんな、そこまでおかしくしてしまって…嘘付いてお前を悪者にして…ごめんな…!犬じゃないよ、汚くない…俺のが汚かった…ごめん…。』

男も両手を付いて頭を下げた
あわせて祖父母もまた下げる
祖母はハンカチを当てて涙する

俺は言いそびれたまま
聞いていた

許したくない…
もっと教えてやりたかった…
身を切る思いさせたかった…
でも今の目の前の光景が
本当の3人の謝罪

それは充分伝わってきた

きっと城は
この男も許すだろう
なら俺も…許そう…

No.444 10/06/22 01:02
㍊ ( wPNK )

城は祖母の前に立ち
俺が城に真面目な話をする時の台詞を…

『俺の目を見て。話して。』

『…ごめんなさいね…それしか出てこないの…他に言葉が見付からないの…。でもこれからは私の自慢の料理、沢山食べて欲しいと思ってるわ。』

『…うん…嘘の目じゃないから…俺の婆ちゃんになった…。』

『ええ、ありがとう、城!』

次は男の前に座る

『俺の目を見て。話して。』

『…父親失格なの分かってた。ガキだった。お前を悪く言った嘘は取り消す…この2人…連れてきてくれてありがとうな…そして、ごめん…。』

『…母さんは?』

『え?あ、母さん?…再婚した話は聞いたけど…子供の話は…嘘…。』

『呼んだら…会いに来てくれる?分かる?できる?』

『…いや…実は連絡取ってたけど、色々あって…しつこいって拒否されてそのまま。お前のことも引き合いに出してみたけど…今更もう…って。』

小さな溜息をつく

『…そっか。仕方ない…俺も忘れます…。』

『許して…くれるかな、こんな父親…。』

『…。』

目を逸らして考える
そして頷いた

『嘘の目じゃないから…俺の父さん…許します…。』

No.445 10/06/22 01:38
㍊ ( wPNK )

男は笑った
今までの不適な笑みでなく
父親らしい顔で…
きっと
心底嬉しかったんだろう…

城の前に手を出し
よく分からないまま
城も手を出す…
根性焼きだと言って付けた
タバコの火傷痕を優しく撫で
何度も謝った…

城はそれを見て初めて
男に対して警戒心を解いた

片頬に手を当てて
本当の父さんに戻ったって
呟いていた

そして
俺に向かってまた…
また半ベソの顔で叫んだ

鏡!聞いたでしょ?
家族が家族に戻ったんだ
鏡と徹が助けてくれた!
この家が怖くなくなった!

うん…良かった…
望んだ結果じゃないか…
話が通じたんだ…
無駄な数時間じゃなかった…

なぁ…徹…
泣けるよな…
城を見ろよ…
あんなに嫌ってた男を…
父さんって認めたんだ…

男も…見ろよホラ
城は車が好きなのか
これから沢山ドライブしよう
そんな話をしてる…

泣けるだろ…
感動もんだよ…
待ち望んだ結果だよ…

なぁ…徹…
どうしたらいい…

タイミング見失って
もう言えないよ…
こんな嬉しそうな
【本当の家族】の前で…

城をよこせなんて…

城に【本当の父親】が
出来たんだ…

なら…俺は…?

No.446 10/06/22 18:26
㍊ ( wPNK )

ただ黙って一家を見ていた…
城を囲んで笑う家族…

俺は座ったまま
その場から少し後ろへ引く…

徹が俺の顔を見て
口パクをした…

は や く い え よ !

…言えるかって…
いいですよなんて
承諾する雰囲気じゃあない…
失敗するのは目に見えてる…

…首を振る…
徹が片眉を上げ
信じられないという顔を…

そして俺に合わせて下がり
耳打ちする…

雰囲気に飲まれるな!
言うだけ言えよ!
城君と約束しただろ?
確認もせずに帰るのか!?

確かに…そうだ…
城も望んでいたことだ…

城は許しただけだ!
居座ると決めた訳じゃない!

深呼吸をして立つ
徹も立ち上がる

『城、良かったな!』

笑って言えた
これは本心だったから

『鏡が助けてくれたんだ!』

嬉しそうに俺を見る
真っ直ぐな目を見返す…

この目なら大丈夫だ

『うん…来て良かった…。帰るぞ、家に。』

『帰る!』

そう言って
【本当の家族】から離れ
置いていた上着を手にした

No.447 10/06/22 19:08
㍊ ( wPNK )

祖父が一番先に反応する

『帰るって?どこへ…!』

『鏡のところだよ。俺の居場所だから。』

上着を着てボタンをとめる城
見る見る空気が凍てつき
父親が出る

『意味がわかりませんが。』

そりゃそうだ(笑)
いま本題に入ったばかりだ…
3人に向かって慎重に話す…

『城と約束しました。この場に置いていく結果にだけはしないと。』

『だから意味が…。』

『図々しい話なのも全て承知です。早い話、俺にこの子を育てさせて欲しい。』

困惑と言うか…
怒りと言うか…
あまりの内容に固まる親子
男がハッと笑う

『笑わせないでください。理由は?』

『理由…貴方達よりも城と共にした時は短いですが、貴方達よりも本当の城を見て知っています。城が望む限り、精神面で支え矯正してやりたいんです。』

徹も加勢する

『第三者の俺から見ても、城君が安らいで成長できる場所は神崎。今の城君の言葉、聞いただろ。俺の居場所だって。』

『ちょっと…図々しいとかの問題じゃなくて、おかしいじゃないですか(笑)?俺の子ですよ。謝罪認めて、父さんって呼んでくれた。ふざけるな。』

No.448 10/06/22 19:49
㍊ ( wPNK )

『謝罪認めて、父さんと呼んで…家族が家族になったと皆が喜んだ。目の当たりにして、それはよく承知の上です。俺達がここに来た本当の理由…城を確実に幸せにしてやりたい。』

祖父が言う

『我々の下では幸せになれないと?』

『ここまでお互い良い結果が出たのにも関わらず、城自身が居場所は俺のところだと言う。無視なんて出来ません。共に泣いて悩んで歩んで来ましたから。貴方達が刻んだ深い傷…何かの拍子にまた貴方達がえぐらないとも限りません。』

ストレートにぶつける
言葉を探す3人…
次は祖母が言う

『それにしたって…赤の他人に簡単にハイなんて…。』

『本人が望んでいます。そして俺からの…お願いです。』

今度は俺が頭を下げた
それを見て城が言う

『鏡と徹が助けてくれた…失敗しなかった…でも、ずっと居てもいいって言ってくれた…色々教えてくれた。鏡はずっとずっと父さんだったんだ。徹は兄貴。これからも。だから…帰る。いいでしょ。』

祖父母は迷いがある…
男は父親の顔から
ガキくさい顔付きに変わる…

No.449 10/06/23 05:15
㍊ ( wPNK )

『城…それは酷いな…。』

俺を睨みフンと鼻で嘲笑う

俺だけに向けられた敵意…
ここに来た時から
ひしひしと感じ続けていた…

こいつは
俺の存在が面白くないんだ

祖父母が必死に説得し始めた
時々納得したかのように
首を縦に振る城…

そして困った顔で
でも鏡とがいい…
鏡と居たい…と呟く

それを聞きながら
面白くない顔で腕を組み
周りを行ったり来たりする男

こればかりは
親や身内の許可無しでは
無理矢理連れて行くなんて
できない…
一応改心した後だし…

時間を与え過ぎては
いけない気がした

『城の判断に任せよう。親父、おふくろ含め俺もそこは…強要する権利はないから…。』

男が言う
…意外だった
城の答えは決まっていたから

城に近付いて
顔を覗き込む

『なぁ、城。爺ちゃん達の話も聞いただろ?父さん達に更生する機会をくれるのと、神崎さんの所に行くのと…どっちがいい?』

狡賢い選択肢だなと思いつつ
俺達の気持ちは余裕だった

城は考え込む
なぜ考えるんだよと
少し不安になる…

『鏡と徹が…いい…。』

決まった…!

ショックを受ける祖父母
男に表情は…無かった

No.450 10/06/23 18:35
㍊ ( wPNK )

男が城をソファーに座らせた
隣りに並んで腰を掛ける
そして城の手を取って
話し始めた…


まだ…怒ってるか?

…怒ってない

本当は許すことなんか
出来ないよな…
父さん達がしたことは

許してくれてありがとう
普通の生活をしていこう

なんてそんな簡単に
言えることじゃない…

お前を見付けて
守って助けて教育してくれた
神崎さんの傍に居たい
彼が父だと言う気持ち
凄く分かるよ…

行くなら引き止めはしない
そんな権利…ないから

父さん馬鹿な言い訳して
体裁繕った…
体裁ってのは…見栄

今は本当に恥ずかしさで
一杯だよ…

それなのに
こんな自分が
お前から父さんと言われて
どれだけ嬉しかったか…

強要しては呼ばないお前を
散々痛めつけて…
それでも…
絶対呼ぶことはなかった…

だから
どれだけ嬉しかったか
分かってくれるかな

…城…
お前の一言でバカシンジは
父親に戻れた…
気付かせてもらった…

この家が怖くなくなったって
その言葉で更に気付いた…

取り返しの付かないことを
俺達親子はしたんだなって…

行くなら行けばいい
神崎さんの所へ

ただ…
ひとつ頼みが…

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