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㍊( wPNK )
10/07/03 00:53(更新日時)

小説なんて書いた事もないので表現力が乏しい上、読み難いかもです。

最近よく見聞きする【虐待】という行いについて考えるきっかけになれればと思い、主役【城(セイ)】の存在を何かに残したかったので…ですからほぼノンフィクションです。

つたない文章ですが、暇潰し程度に読んでください。

虐待を中心に、同性愛的な内容、精神的な問題等、少々生々しい部分も含まれています。
不快に思われた方は素通り願います。
感想スレは別にありますので、読者の方の邪魔にならないよう、レスはそちらにお願いします。

一度自分のミスで削除してしまい…申し訳ありませんでした。
再度よろしくお願い致します。

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No.1301642 10/04/19 21:10(スレ作成日時)

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No.51 10/04/21 14:57
㍊ ( wPNK )

『お前そこの中学校だろ。』
『…。』
『お節介かもしれないけど、もう一回見せてくれ。』
『嫌だ。』
『傷口を直接見ないと薬選べないだろ?シャツ脱げよ。』
『見せたくない。外からも見えるし。』
『フルスモだから見えないさ。俺の顔わからなかったろ?』
(…確かに。)

城は上着を脱いで渡した

『何があったかわからないが。お前が怖がる事や不安な思いはさせないから、オニイサンの言うこと聞けばいい。面倒見いい性格なんだ。』

そう言ってキョウはシャツを脱がすのを手伝う

『痛い!ゆっくりやって。』
『…お前…これ…。』

様々な生傷や古傷
痣で黒ずんだ跡
乾燥しかけた皮膚と
血液でベタ付いた皮膚が
シャツに所々くっついていて
ただれている
熱も相当持っている

『…家か?』
黙って小さく頷いた

No.52 10/04/21 17:58
㍊ ( wPNK )

キョウは汚れたシャツを袋に突っ込みながら動揺していた

『火傷も酷いけど…傷…傷も酷い…。やっぱり…普通の怪我ではないなと思ったんだ。』
(やっぱり…?)
城は震えていた
その反応…汚い奴って思ってる

深い溜息をついた
『TVの中だけの話じゃないんだよな…。』
薬屋へ向かって走り出す

『薬と服も買ってやるから。家まずいか?新品なんて。』
『もう帰らないから。』
窓の外を見ながら答える

『どこへ行く気だよ。』
『知り合いの家に連れてって…先輩なんだ。』
『なら良いけど。どの辺?』
『川沿いだった。』
『川沿いのどこ?』
『…わからない。川沿い。』
『…(マジかー…)。』
そんなやり取りをしながら薬屋に到着
消毒薬や包帯等を多めに買う
薬を塗ってやるからと袋を開け
丁寧に塗る
城は小さな悲鳴を上げ任せる

『何やってる人?仕事。さっき男ばかりだったけど。』
『建設業だよ。鳶。』
『トビ?給料いいのか?』
『景気悪いから微妙だけどまだ良い方かもな。』
『仕事したい。』
『あー…ウチは無理。年齢制限がなぁ(笑)。』
『…そうか。仕方無い。』
残念そうに黙り込む

No.53 10/04/21 21:33
㍊ ( wPNK )

次は服を買いに行く

『お前さ、刺青しようとしたのか。少し残ってる。意味もわからず馬鹿な事すんなよ。まだガキンチョのクセに。』
『ガキとか言うな。単にヤクザと組んでるって脅そうとしただけだ。』
『(そこがガキなんだけど…)ま、いい。待ってろ、すぐ買ってくるから。』

一人車に残った城は
車内を何気に見回す
缶コーヒー、タバコ、ティッシュ
サングラス、車の雑誌、仕事の工具
色々置いてある
格好は小汚ない作業着なのに
割と小綺麗に整理してる

カーコンポからは聴いた事のない音楽が流れている
ギターが格好いい

(車があれば自由なのに…)

10分もかからず戻って来た

『ホラ、俺様センスでジャージとTシャツと白いYシャツとパンツ(笑)!入れる物も必要だろ、サービスだ!川沿い行くぞ。』
大きめのバッグも渡された

【優しさ】に慣れていない城は
戸惑った

どうして
自分なんかにここまで…
何か企んでんのか?
面白がっているんだろうか…
考えるほど逆に不信感が増す

川沿いを暫く走ると
見慣れた風景、建物を見付けた
『そこだ。左の角の家。』

キョウはスッと停まり
城を真直ぐ見た

No.54 10/04/21 21:45
㍊ ( wPNK )

『今日は色々と驚かせてごめんな。謝る。名前は?』

(名前…聞いてどうするつもりだ。俺を探している人間がいるのを知ってて探ってるのかもしれないし…。)

城の目付きが変わる
『言うほど信用していない。』
負けずに真直ぐ見返して言う

キョウは期待通りの返事だと言わんばかりにフッと笑った
柔らかい笑顔で静かに返す

『そうかい(笑)。嫌ならいい。何が原因でそんな境遇なのかはオニイサンわからないから、意見出来る立場じゃないんだけど…。汚くないからな、お前も傷も。話してたら分かる。きっとずっと一方的に虐げられて来たんだろ。』

目を背けた
【虐待】を受けている子
そう思われているのが
凄く恥ずかしかった

『人に対して不信感で一杯ですって話し方が気になってさ。すぐにって訳にはいかないだろうが、中にはこういった人間もお前の傍にいたってのを忘れずに…自分を否定しないで進めよ。俺の印象は相当良いはず(笑)!少しでも信用してくれてありがとうな。イイ子だ。』
頭にポンと手を乗せた

『…子供扱いするなよ!』
すぐに振り払う
不思議と胸が熱くなる

No.55 10/04/21 21:51
㍊ ( wPNK )

『ちゃんと先輩に至れり尽くせりしてもらえよ。熱ある内は外出厳禁!傷の消毒も忘れんな。何よりパンツもちゃんと履き替えること!いいな(笑)!』

そう言って城を降ろし
クラクションを鳴らして消えた

何も言えなかった

人間不信みたいだからと言う理由でここまでしてくれる人がいるなんて

後悔した
名前くらいは素直に教えてやれば良かった

ありがとうって
たった一言…
伝えられなかった…

No.56 10/04/21 22:07
㍊ ( wPNK )

湿気がだるさを増す

一日がとても長く感じ
ヨウヘイの家の敷地に入った途端
一気に疲れが出た

玄関のドアが開く
ヨウヘイが驚いた顔で迎える

『ジョウ!よく来れたな!今の車知り合いか?』
クラクションの音を聞いて
窓から覗いてたらしい

『知らない。さっき会ったばかり。流れでこうなった。』
『何だよそりゃ(笑)。まぁいいや、上がれ。顔色良くないし…いつもだけど(笑)!』

困った時は使える奴
そう思いながら入る
『…お邪魔します。』

『はーい、どうぞー。』
母親が返事する

2階のヨウヘイの部屋に入ると
城はすぐ切り出した

『今日、ここに泊りたい。家には帰れない。』
『バイト連絡入れないで休んだろ。こっちに電話来てたから代わりに謝っといた。明日電話入れとけよ。家って…喧嘩か?今日はいいよ、ゆっくり休め!何か食う?酒は?あっお前未成年か。いやオレもだし(笑)!』

ヨウヘイはわざと明るく接した
明らかに今の城はいつもと違う

『親父のビール持ってきてやる(笑)!飲んだ事ないだろ?』
そう言って部屋を出た

No.57 10/04/21 22:19
㍊ ( wPNK )

暫くしてヨウヘイが夕食の残りと缶ビールを抱えて持ってきた
酒なんて初めて飲む

『とにかく食べて飲め!』

ブシュッと缶ビールを開け
匂いを嗅いでみる城
『嗅ぐのかよ(笑)!』
『…微妙。』
苦笑いをして飲んでみる
『苦ッ。マズ…。』
ヨウヘイは手を叩いて笑う
『オコチャマかよ(笑)!』
城がすぐ返す
『子供扱いすんな。飲んでやるこんなモン。』
『すぐムキになる(笑)。』

久々に熱のだるさも
傷の痛みも忘れられた

ヨウヘイがやる事は
自分にも出来る
そう思って負けん気を起こす

ヨウヘイは
そんな城を見るのが好きだった
一歩先行く自分の行動全て
必死に真似して付いて来る
そこが面白い
次は何を教えようか

車、バイク、酒…そうだ!

No.58 10/04/22 00:21
㍊ ( wPNK )

晩飯を食べ終え食器を返す

『旨かった。』
『だろ。じゃあ、ま、一服しようぜ。』
『イップク?何。』
『一休みって意味かな、タバコとかさ(笑)。』
『タバコか…(さっき車にもあったな)。』

わざと話を持ち掛ける
カチッとライターで火を付け勧める

『吸ってみるか?もう大人にならねば(笑)。』
『子供じゃないし。吸う。』

この次から次へと簡単に乗ってくる所がヨウヘイはとても気に入っている

『吸うんだぞ。肺に入れる。』
『肺…。ゴフッ!…!』
『ハハッ!ベタなやり取りでベタな反応!!』
『目…しみる。こんなもん何がいいのかわからない。』
『慣れだ、慣れ(笑)!お前ってホント純粋だよ、そうゆー所。』

タバコを灰皿に置き
その言葉に反応する

『純粋?それは無い。汚れてる…化物みたいだし。』

ヨウヘイはハッとして言い直す
『違うって、外見とかじゃなく心がって意味。』
『心?読めるのか?何を考えてるとか思ってるとか。』

段々鋭く悲しげな目付きになる

No.59 10/04/22 00:35
㍊ ( wPNK )

初めてのアルコールで
酔いが回るのも早かった

頭が回らない
今自分が言った言葉の
話の続きが出てこない
城は頭を抱えた

『なぁジョウ。また何かあったんだろ?聞きたいこと沢山あるんだけど、風呂沸いたから入れよ。俺の服貸してやるから。』

タンスから服を出しながら続ける

『たださ、その包帯。シャツから少し透けててさっきから気になってたんだけど。結構大きな怪我だろ。どうする?止める?』

忘れてた
どうしようか迷う

(入らないとまた怒鳴られる…)
自然と恐怖心が芽生える
帰らないと決めたのに

『入る。流せる所だけ流す。』
『そっか。酒入ってるんだし溺れるなよ(笑)!』

ヨウヘイは風呂場に案内した
居間に母親が居る
若く綺麗な人だ

『ダチ先に風呂入れるから!』
『あら、どうぞ。ゆっくり温まってね。』

ペコリと頭を下げ訪ねる
『若過ぎないか?』
ヨウヘイは笑う
『本当の母親じゃないから。』

(…先輩も複雑な家なのか)

No.60 10/04/22 00:45
㍊ ( wPNK )

『バスタオルこれ使え!あとは…熱め?ぬるめ?』
『お湯?使っていいのか?』
『…は?いいけど…?』

何の冗談?と思いながら返す
ふざけている感じが無い

『ま、何かあったら呼べ。居間にいるから。』
『時間がわからない。』
『…?何の?今の?』
『何分入ってていいの?俺んちは3分だった。時計ないとわからない。タイマーは?』
『…。』

言葉を失う
初めて城の家の様子を垣間見た気分だ

『時間なんて無い(笑)!ゆっくり好きなだけ入ってろ。お湯も使い放題!自由に入っちゃって(笑)!』

大袈裟に笑い動揺をごまかす
トドメに恐ろしい台詞が来た

『このたまってるお湯は何かに使うのか?』

もう笑えなかった…

No.61 10/04/22 01:05
㍊ ( wPNK )

城の後に風呂に入り
部屋を開けた
布団は敷いておいた

城は痩せて疲れ果てた顔で
どこか気持ち良さそうに
うつぶせでグッスリ寝入っている

近付いて軽く揺する
『ジョウ、布団掛けろよ。中に入れって。』
…全く動かない

思い出した様に
城のバッグを開けて見た
新品の服か…
来る前に買ってきたのかな…?
薬がある
解熱、消毒、火傷…?

シャツの裾をめくって覗く
『ワッ…。』
つい声が出る

見なきゃ良かった…
いや見ておいて良かった…
喧嘩でとは聞いてたけど
ずっと怪しいと思ってた
こいつは絶対
こんな目に合ってる事をオレにも言わないだろう…

早く家を出たいと洩らした
その意味が今確実に理解出来た

普通の家に育てば
この容姿と性格ならきっと
友達も女も沢山出来て
勉強も学校生活も
楽しい思い出が沢山残っただろうに…

修学旅行や行事に参加した話は
聞いたこともない

毎日こんな目に合って
安らげる場所を探し回って
疲れきって寝るだけなんだろう

何一つ
大人になってからも
癒える思い出なんて無い

ヨウヘイは毛布を出して城にかけ
そして静かに電気を消した

No.62 10/04/22 05:15
㍊ ( wPNK )

翌日
城の目が覚めたのは10時過ぎ

痛む体を慎重に起こし
ベッドの方を見る
ヨウヘイは既に居なかった
全く気付かなかった

枕元に紙と籠が置いてある

起きたか?
オレ今日バイトあるから
夕方6時くらいまでいない
その籠に着てた服全部入れて母さん(一応な!)に渡せば洗ってくれるからさ
忘れんなよ!
居ても暇だろうから
勝手にその辺散歩してもいいし
棚にマンガあるし
TVつければゲームも出来るし
好きにやっとけよ
また後でな!
―ヨウヘイ

書かれている通り
籠に制服やら靴下やら放り込む

バッグから袋を取り出す
血の付いたシャツだ
改めて見ると酷い…
これは出したらマズいな…
また袋に入れバッグに戻す

キョウが買ってくれた
黒いジャージを着る
サイズも丁度いい
まだ何か入ってる
黒に銀色の横文字の柄のキャップ
帽子は初めて手にする

目立たないように黒いのを選んでくれたのかと感謝する

籠を持って下の居間へ向かう
ヨウヘイの母が城に気付く
洗濯物を受け取り
城を見て笑った

『寝癖が凄いわぁ~(笑)。』

顔が真っ赤になるのが分かった
すぐ階段を上がって鏡を覗き
キャップをかぶって押さえた

No.63 10/04/22 06:03
㍊ ( wPNK )

外に出るのはまだ危険だし
部屋から出て
ヨウヘイの母に会っても
何話していいか困る

部屋から出ずに先の事を考える
ずっとここには居られない

もうすぐ先輩も帰って来る
バイト先には電話を借りて
明日までは休むと伝えた

窓を開けて外を見る
車があまり通らない場所
高校が近いのか
自転車で帰る学生が多い

『…!』
城は突然窓から離れる
(まさか…まさかな…)
心臓がバクバクする
目を見開いて天井を見つめる
手の震えが止まらない
息が苦しい

(嘘だろ…!)
もう一度恐る恐る確認する

間違いない
祖父の車がハザードを付けて
すぐそこに停まっている
しかも乗っていた

最悪な事に目が合った気がする

(誰かから聞いたんだ…)
隠れる様に座り込む

頭が真っ白になった
思い出したかのように
傷口や痣が熱く痛み出す
汗が吹き出る…

誰かが上がってきた

No.64 10/04/22 06:14
㍊ ( wPNK )

バンッとドアが開く
『ジョウ、ただいま。…あれ?何でそんな隅で丸まってんだ(笑)?』

一瞬安心した
でも一気に不信感が込み上げる
感情任せにぶつかる

『グルだったのか?』
『は?』
『アンタが呼んだのか、アイツを!俺がここに居る事をチクッたのかよ!』

ヨウヘイは何が何だか分からず
言い返す

『ちょっ、何の話だ?』
『とぼけんな。』
『待てって、何か見たのか?』
『アイツが居る、そこに!車で待ってるだろ!』

城を押し退けて窓から覗く
『車?…居ないし。』

そういやさっき
家入る前にハザード付けてた車が動き出して消えたな
それか?

『もしかしてツートンの車?俺が家入る前に消えてったけど。』

城はそれを聞いて
やっと落ち着いた様子だ

『…ごめん。』
『もしかして家の奴?』
返答は無い
『おい、ジョウ!』

キャップを深くかぶって
荷物をまとめだした

No.65 10/04/22 06:28
㍊ ( wPNK )

『落ち着けって!』
『落ち着いてる。』
『洗ったばかりだろ、まだ乾いてないし!』
『構わない。』
『今出てどうすんだよ?』
『何とかなる。』

流石にヨウヘイも
この頑固さに腹を立てる
バッグを取り上げ城を押した

『何をする。返せ。』

…ゾッとした
こんな目付きの城
初めて見た
妙に重くて冷たい空気
人を人とも思ってないような目

『だからさ…オレがチクッたって、何でそうなるワケ?』
『…誰かがここを教えたのかもしれない。でもアンタが内心居座る俺を邪魔に感じてチクッたのかもしれない。』
『テメェ…ブン殴るぞ?目ぇ覚ましてやろうか!』
『やれよ。慣れてる。痛くも痒くもねぇ。』

…慣れてる…
拳を降ろして
ハァーッと溜息をつく

『ジョウ…。』
昨夜覗き見た体の傷を思い出す
言葉が出てこない


ヨウヘイの悲しげな困った顔
城は我に返り呟いた
『じゃあ明日出てくから…。』

No.66 10/04/22 09:19
㍊ ( wPNK )

晩飯は部屋で食べた
考え事をしているのか
あれから城は大人しい

『…佐伯城。』
何か面白い話をと
ヨウヘイは口を開いた

(…?)
『サエキジョウ。大分県佐伯市にあるんだって、城だよシロ!凄いよお前、シロの名前なんて(笑)!』
『城?大きいの?』
『…いやぁ~写真で見たけど…城跡みたいな…。』
『…。』
『(ヤベェ墓穴掘った)…。』
『建物と同じ名前にするなんてセンス無い。』
『でも本当はセイじゃん。』
『漢字を見れば建物だ。』
『まぁな…(笑)。』

気まずい空気を更に重くしてしまったと後悔する

『明日、本当に出るのか?』
『どの道ずっと居る訳にはいかないし…。』
『オレ明後日バイト無いし、それまで居てもいいよ。その時ゆっくり考えればいい。怪我治せよ!痛いんだろ?』
『…考えとく。』

No.67 10/04/22 09:32
㍊ ( wPNK )

一日でも多く置いてくれるなら
そんな良い事はない

ただ…場所を知られた
さっき自分が顔を出してた時に
気付いた可能性はある

いつ来るかわからない
来ないかもしれない
アイツの性格なら
来る率の方が遥かに高い
…なんて執拗な男だ

ここも安心出来ない
出てからどこへ行こう
…居場所が無い
アイツらが生きているから
居場所が無い!
それならいっそ…!

『…ョウ。』

考え込みながら知らず知らず
ビールの缶を握り絞めていた

『ジョウ!!』

ハッと我に返る
ビールが吹き出て床も濡れていた

『あ…ごめん。』
『酒、止めるか(笑)?』

城にティッシュを渡し
床を拭きながらヨウヘイが苦笑する

『お前さ…包帯、そろそろ変えないと。そこ墨入れた所だろ。何か聞くタイミング無くてじっくり話出来なかったけど、どうした?』

孤独な城が自分を頼って来た
力にならなきゃ
オレには全て話して欲しい
城がオレをどう思おうが関係無い
気を遣いながら
中学校の時から兄貴分として
ずっと見守って来たから

『…。』
しかしなかなか
肝心な所で心を開かない

No.68 10/04/22 09:52
㍊ ( wPNK )

城も葛藤していた

包帯を外して見せて
事実を追及されて
こんなになるまで抵抗出来ない情けない奴と思われたら…
傷や痣だけでも酷いのに
火傷で腐れて汚い奴と思われ
敬遠されてしまったら…

でも…どうせ…
センパイって奴は俺にとって一時的な避難所みたいな所だし
無理に話す必要もないか…

『その内自分で換える。』

ヨウヘイはこりゃダメだと思った
少し強引にやらなきゃ
やっぱり絶対言わない奴だと

『彫師の所行った時に見て何となく分かってるから!殴り合いの喧嘩みたいなごまかし方してたけど、違うんだろ?家の奴に暴行されてんだろ?言えよ!心配してっからこうやって泊めてんだからさ。墨、見付かったのか?それでまた何かされたんだろ!なぁ!水臭いんだ今更!』

【暴行】【何かされた】
キーワードのように
城の頭に残る

No.69 10/04/22 10:15
㍊ ( wPNK )

心を読もうとして
真直ぐ見るヨウヘイの目から
城は顔を背けた

つい一昨日の出来事だが
今また鮮明に思い出され
祖父が今喚いている錯覚に陥る
もう細かく思い出したくない

心配して言ってるのは分かる
…けど内容を聞くな!
…アイツと先輩の声が重なる
…心拍数が上がる
…呼吸が早まる

ヨウヘイはもうあとひと押しの勢いで追及する事しか頭に無い

『なぁ、刺青の部分に何された?薬品でもかけられたか!熱湯とか?まさか火炙りか?火傷の薬持ってたの見ちゃったんだよ!それなら尚更消毒し直さないとよ…』

【熱湯】【火傷】
カタカタと機械的な音でキーワードが頭に打ち込まれる

ヨウヘイは立ち上がった

まるで叱られる子供のように
小さくなって耳を塞いで背を向けている城の背後から
覆うように無理矢理シャツを脱がせようとした

No.70 10/04/22 10:27
㍊ ( wPNK )

一番嫌なシーンが浮かんだ
記憶から削除していたシーン

シャツを脱がされ
許しを乞うにもかかわらず
強引に口に突っ込まれ
気色悪い喘ぎ声が響いた
あのシーン

…何も聞こえなくなった
…全てが無音でスローモーション

シャツに手を回すヨウヘイを
振り払うように立ち上がった

城はヨウヘイの首を掴み
渾身の力で壁に叩き付けた

祖父にやられたやり方
そっくりそのまま…

ヨウヘイは気を失って倒れた

No.71 10/04/22 10:50
㍊ ( wPNK )

―初めてこんなに走った

月明りが雲に遮られ
暗闇の中を

この場所から町から
遠く離れて
誰も自分を知らない所まで
ずっとずっと…
そのくらい遠くまで
走り続けていたような…

足に限界がきて
思い通りに動かなくなる
足の裏の皮が剥れ
靴の中が血でぬかる
それでも走った

息が切れて
肺が痛い…胸が苦しい…

まだ傷の癒えない体中が
炎に包まれたように
熱くて熱くて
気が狂いそうだ…

出ない声を振り絞る
誰が見てようと構わない

『俺は…俺は…!』

堤防の芝生を川めがけて
転びそうになりながら
一気に下る

胸くらいの高さの柵が邪魔する
でももう…
飛び越える力は無い…

柵にもたれむせ込む
出るのは涙だけ

俺はやっぱり
あいつらと同血なんだ!
一生呪ってやると誓った!
一生この呪血を抱えて!
生きなければならないんだ!

『同じ事をこの手で…!』

両手を地面に叩き付ける
見る見る腫れ上がり血が滲む

もう接し方が分からない
温かさを望みながら
優しさに触れると
疑心暗鬼に捕われ続け
怖くなる…

もう無理だ…疲れた…

No.72 10/04/22 11:20
㍊ ( wPNK )

死にたい…
生を受けた意味が分からない

死ねば終わる
死ねば無になる
誰も悲しむ奴はいない…
喜ぶ奴ならいる…

真っ赤な目で
空を見上げた
涙と雲で何も見えない

カモメを思い出す…
気持ち良さそうに
自由に飛んでいた
羨ましかった

だから刺青も鷹を選んだ
自由になりたくて背負った
逞しくて強そうだったから

けれどもう…背には…

体中が悲鳴を上げる
痛い…熱い…辛い…苦しい…

体中がSOSを出してる
死にたくないから…

月が顔を出す
生きろって言ってるみたいに
闇を照らす

死ねば終わる
死ねば楽になる

でも
死んだら負けだ…
喜ばせたくない…
どうして俺が死ぬ…?

死ぬのはあいつらだ
そして自由になる

『…生きてやる!』

城はまた歩き出す
何かを決意したかのように…

No.73 10/04/22 16:42
㍊ ( wPNK )

『…ヨウヘイ君?』

激しい物音に異変を感じ
ヨウヘイの母が上がって来る

『…!どっ、どうしたの?!』
倒れているヨウヘイと
その前に膝をついてたたずむ城とを交互に見る

『ヨウヘイ君!…ねぇ、何したの!?喧嘩!?』
『…分かりません…。』

彼女はその言葉に怒る
ヨウヘイの首が鬱血している
城がやったと確信していた

『分かりませんじゃないでしょ…?』

城がゆっくり動き出す
…ヨウヘイにこんな事をする子だ
…私も危ないかもしれない
そんな危険を感じた

『救急車…警察を…!』
パニックになった彼女の腕を
ヨウヘイが掴もうとした

『…い……から…。』
朦朧とした意識のまま止める

その様子を
泣きそうな顔で震えながら
城は見ていた

玄関から声がする
ヨウヘイの父親だ
久々に仕事から帰って来た
『ただいまー。』
咄嗟に彼女が叫ぶ
『こっち!2階に来て!』

城はバッグを取り
中から20万入った封筒を
ヨウヘイ達の前に投げ付け

逃げる様に階段を降りた
上がって来た父親が
驚いてつい道を開ける

城はそのまま逃走した

No.74 10/04/22 17:15
㍊ ( wPNK )

何も無くなった
足を引きずりながら
どのくらい歩いたかなんて
覚えていない

見覚えのある橋が見えてくる
サボッた時の隠れ場所

行った事のない方向に逃げたつもりだったのに
結局戻ってきてしまった

倒れ込む
体力が限界…
どうにでもなれ…
永久におやすみ…

なのに夢の中で誰かが呼ぶ

『サエキクン…!』
(誰だよ…)
『サエキクンッテバ…!』
(寝かせてくれ…)
『ダイジョウブ?ネェ!』
(揺するな…痛い…うるさい…)

『佐伯君!』
『うるせぇッ!!!』

自分の怒声に驚いた
いつの間にか朝になってる
(…?)

『佐伯君…だよね?』
声の方向を見る
同じ学校の制服の女子
強張り怯えた目で見てる

『…誰。』
『隣の席のフクダユウナ。』
『…隣の席?カロリー…。』
『そう(笑)!』
やっと笑顔になった

『…で、何。』
頭痛が酷い
頭を押さえ面倒臭そうに言う

『遅刻しそうで走ってて、たまたまここから近道するのに降りようとしたら倒れてる人が居たから(笑)!ビックリ(笑)!』

気を失うように倒れて寝たから
しっかり橋の陰に
入っていなかったらしい

No.75 10/04/22 17:58
㍊ ( wPNK )

ユウナは少しポッチャリ系
性格は良さそうだが
決して可愛いくも美人でもない
隣の席のくせに
あの一件の一言しか
会話したことない
存在感の薄い女だ

(参ったな…こんな所で…)
『何か用か。』
無愛想に言う

『用は無いんだけど…どうしたのかなって。顔はやつれてるし、靴はボロボロだし。』

(ほら来た…関係無いだろ…)
立ち去りたくても立ち去れない
適当に突き放すか

『…早く行けよ。遅刻で焦ってたんだろ。』
『ウン。でももう遅いし…佐伯君は行かないの?』
『行けるかこの格好で。』
『そうだよね~(笑)!』

天然か馬鹿かのどっちかか?
うっとおしくなってきた
終いには一人で喋り出す

『佐伯君とこんなに話すの初めてだし面白いかも!』
(面白い?何が?)
『学校おいでよ、皆、久々だし喜ぶよ?』
(話繋げる為の世辞か…)
『佐伯クンてイケメンだし女子には人気なのに。だから男子は面白くないんだよきっと!学校祭ももうすぐだしね(笑)!』
(どうでもいい…学校じゃ喋らないクセに…頭に響く…苛々させんな…)
『ねっ、お腹空かない?』
『空いた。』

空腹には勝てない城だった…

No.76 10/04/22 18:33
㍊ ( wPNK )

彼女の家はすぐそこだ
親は共働きでいないと言う
こういう時の運はあるとつくづく実感した

男と話すことが無い彼女
そして女子から人気のサエキクンを独占した気分

こいつなら頼めばきっと
何でもするだろう
先輩との関係がダメになった
次はこいつを利用しよう

城は寄生することにした

着いた先は10階建ての
洒落たマンション
オートロックに驚いた
勿論内心でとどめたが

『どうぞ!』
『どーも。』

居間に案内すると
昨夜の肉料理やらケーキやらジュースやら出してきた

『残り物でごめん(笑)。私も朝食べてないからお腹空いたよ~。』

初めて男の前で食べるのか
顔は赤く汗ばんでいる
細かく細かく刻んで少しずつおしとやかに口に運ぶ…

『…そんなチメチメ食ってて食い終わるのか?』
つい突っ込む
『何でそんな赤いの顔。』

『やっ、男の子と2人って初めてだし(笑)。』
『純なんだな。』

腹は満たされた
初めて食ったケーキも旨かった

No.77 10/04/22 22:11
㍊ ( wPNK )

『学校嫌いなの?』
『あぁ。』
『何で朝からあんな所にいたの?違ったら悪いけど…もしかして…家出…とか?』

恐る恐る聞く
城はここぞとばかりに
上手く繋げる

『そう。ジジババと上手くいってなくて。金も置いてきたし、腹減って倒れてた。だから助かった。』

ユウナは目を丸くして聞く

『複雑なんだ…。じゃあ学校どころじゃないね。あっ、今の内なら出来ること協力するよ?親帰って来たら何も出来ないから!何かある?』

ほら簡単だ
心の中でユウナを嘲笑する

『…シャワー貸して。』
『それだけ?他は?』
『思い出したら言う。』
『分かった。今夜も帰らないんでしょ?何か食べる物用意しとくよ(笑)!』
『…マジ?(さすが女は気が利く…)優しいな。』
ユウナは照れながら風呂場を案内し台所へ去って行った

足の傷が気になっていた
血が滲んでるが
黒い靴下だから分からない
シャワーしながら靴下も洗おう

背中の火傷も痒くて
我慢するのに精一杯だった
包帯を外して一度水で流そう

(…痛てぇッッ!)
背中も足の裏も酷くしみた

No.78 10/04/22 22:48
㍊ ( wPNK )

火傷の薬を
何とか手の届く範囲で塗り
制服のズボンと白シャツに着替え
上着も着る

『ドライヤー使うならそこだよ。あっ制服だァ(笑)。上着暑くない?』
『(…暑い)いや。』

髪を乾かす
だいぶ伸びたことに気付く
今時珍しくないし
帽子をかぶればその辺にいるオニイチャンと変わらない

靴擦れが酷いと絆創膏を貰い
コンディションがかなり良くなった

大きめの入れ物に
唐揚げや野菜やご飯を
綺麗に敷き詰め
飲み物までくれた
正直感心した

『悪いな。』
『何もだよ(笑)!これくらいしか出来なくて…。佐伯クン、ジャージなのに妙に格好よく見えた。スタイルもいいんだよね~顔も小さいし…。』
(いいからそれ以上喋るな…疲れの原因が増える)

早く出ようと玄関に向かう
『ねぇ!』
『(今度は何だよ)何?』

5千円を渡された
『少ないけど、私のお小遣いからだから気にしないで。もしもの時の為に…。』

天然じゃなく馬鹿だ
そう思いつつ
儲けた気分で靴を履く

『ありがとう。ユウナ。』

No.79 10/04/23 05:34
㍊ ( wPNK )

ユウナはこの時から城に懐き
週に一度は城を家に入れる為
学校を休んだり遅刻したりした

ポツンと並んだ城とユウナの空席は
やたら目立った

友達が心配して聞く
『ユウナ、最近どしたの?』
『そうそう、あんな真面目なあんたが毎週休んだり遅刻したりさ。』

小学校からの友達なだけに
大親友の3人
何でも話し合えた

『…やっぱり目立つよね。この前先生にも言われたもん。家に直接電話しようとしてたみたいだし(笑)。バレたらヤバイんだよね…。3年で大変な時期なのに。』
『ヤバイ?どうして?』
『話して?』
『いやぁ、実はね…。』

ユウナは忘れていた
2人いる親友の内1人は
自分と同じで城に好意を持っていたことを

この2人なら口外しないと
信じていた
全てを話した

佐伯君を見付けたら
家出してたこと
橋陰に居ること
週に一度家に入れてること
冷たく不器用だけど
話もちゃんと聞いてくれるし
優しい部分も沢山あること
先があるから仕事もちゃんと探してること
可哀相だから時々お金もあげてたこと…

つい見栄も張ってしまう
付き合ってはいないけど
心を許してくれてるから
近い内そうなるかもね
…なんて

No.80 10/04/23 06:22
㍊ ( wPNK )

2人の反応は様々だった

『佐伯君…と?』
『え~、何ソレ!家事情とはいえ…それってまるでヒモじゃん!』

ユウナがムッとして反発する
『佐伯君はそんなつもりじゃないと思う!私が何とかしてあげたいっていうのあったし…迷惑そうな時もあったけど!あの佐伯君にありがとうって笑顔で言われたら…。』
『ダメだわこの子(笑)!目がハート(笑)。』
『ウチも会いたい~!ずるいユウナ、今日は無理だけど今度会わせて!話してみたい。』
『ウン、皆で行って仲良くなれば学校来るかもしれないしね(笑)!』
『ま、面白そうだし。あんたら2人が(笑)。私も行くかな~。』


自分達が彼を楽しませて
最初の友達になろう
そのくらいのノリだった

この安易なノリが裏目に出るとは
全く思いもせずに…

No.81 10/04/23 08:29
㍊ ( wPNK )

一か月以上家に帰っていない
体の傷の化膿も治まり
痣も薄くなった

バイトはもうあの電話きりで
収入も無い

ヨウヘイの家に有り金叩き付けた
無意識の行動だった
病院代と罪滅ぼしのつもりで…

ユウナがたまにくれる
微々たる小遣いで空腹は凌げた

毎日のように学校が終わると
ユウナは会いに来る
不便があればその時言う
そうすれば
犬のようにすぐ行動する
こんな都合のいい奴
他にはいない

今日は快晴で気持ちいい

目立たないように
少し散歩してみよう

カン…ガンガンガン
マンションの工事らしい

【〆〆〆建設】
見た事のある社名のワゴンだ
(…キョウ?)
まさかと思いつつ見上げる

男達が足場を組んでいる
(…トビってこれかな)
ついキョウを探すがわからない

『危ないよ。下がって。』
忙しそうに行き来する人に
つい聞いた
『これ、トビって仕事?』
『…?…そうだよ。誰か探してんのか。』
『いや…。』

居るなら会いたかった
でも迷惑かもしれないし…

変な引け目を感じて
その場を去った

No.82 10/04/23 11:35
㍊ ( wPNK )

城の行動範囲は狭い
橋の陰の窪みを中心に半径1キロ以内だ

祖父は間違いなく毎日車で探しているだろう
また警察に届出してる可能性もある
日中は補導員もいる
朝と夕方は生徒もいる

一度は駅前の方へ行ってみたかった…きっと色々な店があって暇潰しにもなるし
闇や裏でもいい
金を手にすることが出来たかもしれない

人が怖いから無理だ…
祖母もよく買物に行くし
誰かに見付かって
家に連れ戻されるハメになったら
そう思うだけで恐ろしかった
皆が敵に見える

そういやユウナ…
俺の事喋ってないだろうか…
今更ふと不安がよぎる

そろそろ学校も終わって
ユウナが来る頃だろう
一応聞いておこう
戻るか…

いつも通りユウナが来る
『佐伯君、給食の残りのパンと牛乳持ってきた。』
『…いつもどうも。』
『あのさ、明日…』
『あぁちょっと待て、俺の事、誰にも話してたりしないよな。今更なんだけど。』

ユウナはハッとした
『えっと…ウン…学校や親には(笑)!ただ、ミクとサエコにはチラッと…明日会いに来たいみたい。心配してた…から。』

No.84 10/04/23 12:21
㍊ ( wPNK )

どこまで馬鹿なんだこの女…!
言葉が出て来ない

その様子を見て
慌ててユウナが付け足す
『2人、親友だから!サエコなんて1年の時から佐伯君に気が合ったし(笑)!ちょっと会いたいだけみたい。口堅いから心配無いから。』
『俺は今になってこんな状況で…クラスの奴になんか会いたくない!名前すら知らない…恥晒すだけだろ!』
『そんな風になんて思わないよ…。顔見るだけだって…。』
城の怒る顔を見て半ベソのユウナ

こんな馬鹿でも役には立つ
切る訳にはいかない
会うだけならまだ…
こいつの家でならまだ…

『…どこで?』
『え?』
『どこでいつ会うんだって!お前の家だろ勿論。』
『明日…学校終わったら、いつもここに居るから行こうって言っちゃったから…。』
『…。』

やられた…
唯一の隠れ場所が…
そいつらが学校に洩らして
学校からアイツに連絡行ったら…

もう…八方塞がりだ…
城はふてくされるように
芝生の上に仰向けになって
目を閉じた

No.85 10/04/23 16:06
㍊ ( wPNK )

『…ごめん…。』
ユウナが泣き出した

(これだから嫌だ…)

まぁな…
本当に口堅いかもしれないし…
ヤバそうなら移動しよう…
仕方無い…
半ば諦めた

『早い内に念押せば良かった。本当に信用出来るのかよ。』
『ウン、言っておく…。』
『家出なんだぞ俺…連れ戻されたら意味無い…頼むよ…。』
『明日は親早く帰ってくるから…ここしかないかなって。』
『いいから行けよ。』
『ウン、ありがとう(笑)!』
(笑いごとじゃねーし…)

その後は
もしもの時をひたすら考えて過ごした

怪我が良くなっただけ
行動出来るからまだいいか

俺ホームレスだよな
何だっていちいち
構いたがるんだ
どいつもこいつも

腹が立つ…

No.86 10/04/23 16:43
㍊ ( wPNK )

翌日の夕方

遠くから女子3人がこっちへ向かって来るのが見えた
『佐伯くーん!』

城は頭を抱えてうなだれた
(大声で呼ぶなよ!)

3人は苦しそうに息を切らす
ミクもサエコも同じクラスなのに
全く記憶に無い

ミクが言う
『まさかここに住んでるなんて…髪伸びたねぇ!帽子で押さえてんの?』
『別に住んでないから。』

無愛想な城は見慣れてる
お構いなしでサエコも話し掛ける

『元気なら良かった、ウン!家出してるなんて知らなかったし。ユウナの家にたまにでも出入りして食べれてるだけ安心だよ。』

悪気は無いのだろう
どこまで喋ってんだよと言わんばかりにユウナを睨む
(情けない…俺)

1時間半ばかり相手した所で
ユウナが切り出した

『そろそろ帰る?』
『そうだね、楽しかった(笑)!佐伯君、あまりユウナを利用して悪い事したら許さないからなぁ~。』
『(うるさい…とっとと帰れ)…心しときマス。』

サエコがわざと突っ込む
『ねぇねぇ、2人付き合ってんの?』
『サエコ!』
『親の居ない所で2人きりなんてさぁ、不純(笑)。』

城はユウナとサエコのやり取りをくだらなさそうに見ていた

No.87 10/04/23 22:17
㍊ ( wPNK )

帰ると言いだしたユウナが
城の隣にまだ残っている…
何度も振り返って見ながら
ミクと一緒にサエコは帰って行った

城は嫌な予感がした
『…お前も帰れよ。』
『ウン、今日はありがとう!堂々と親に紹介出来る関係なら、気兼ねなく家に呼べるのにねっ(笑)。』

(何でお前と…)
もう溜息しか出ない

『いいから帰れ!疲れた。2度とあいつら呼ぶな。1人にしてくれ…。』
『あ、ウン…またね。』

1人になって
いつもの様にぼんやりと
川沿いの景色を眺める

彼女達の会話のやり取りが
また脳裏を駆巡る

自分で何も出来ない不甲斐なさを嫌なくらい自覚させられた
でもどうしたらいいかさっぱりわからない

このままでは冬が来る
そうなれば完全アウトだ

ホームレス達はどうやって生きてるんだろう

ゴミ箱を漁ったり
ダンボールで過ごして寒さ凌いで
甘えだとか臭いとか言われ
そんなになってまで生きて
何の得がある?

…サエコの顔付きが気になる
話の節々から勘違い女のユウナに
嫉妬でもしてるかもしれない
やたら俺らの関係を追及してた
…ハッキリはわからないが
引き離す為チクられたら俺…

ま、今夜は大丈夫だろう
明日移動場所を探そう…

No.88 10/04/24 05:38
㍊ ( wPNK )

翌朝登校時間
ユウナは橋陰に寄った
朝は来るなと言われていたので
顔を出した事は無かった

昨日の事もあったし
嫌気がさして居なくなってたらどうしようと思い
確認のつもりで寄る

『居た…良かった…!』
城はグッスリと寝込んでいる

起こしたらまた怒らせるだろう
姿を見ただけで安心した
学校へ向かった

HRが始まる前
ミクとサエコと3人でいつものお喋り
勿論昨日の話
だが雲行きが怪しい…

『やっぱり来ないよね~佐伯君(笑)。』
『来るワケないじゃん。サエコ変なこと突っ込み過ぎ。』
『え~変なことって?』
『私達の関係とか。いいじゃんそんな事!佐伯君、機嫌悪かったでしょ?』
『だってもしかしたらそういう関係になるかもしれないんでしょ?ユウナ自分で言ってたし。昨日だってあの後何してたんだか。』
『もしかして…サエコ妬いてんの(笑)?』
『だっ、誰がよ!』

2人の険悪な様子を察知してミクが入る
『ほら、アイツいつも機嫌悪いしさ(笑)!てゆうか、ホームレスみたいなモンじゃん?それでも佐伯がいいの?謎!』

2人が答える
『一時的なものだよ!!』
ミクはあまりの剣幕に引いた

そうこうしてる内にチャイムが鳴り担任が入って来る

No.89 10/04/24 08:15
㍊ ( wPNK )

サエコはユウナが自分に対して
優越感を抱いてる態度が腹立たしかった
自分が最初に彼を好きになったのを知ってるくせに…!

そんなつもりの無いユウナも
サエコのトゲのある話し方に
少々気を悪くしていた
ちょっとした嫌がらせのつもりで言い返しただけだった…

HRが終わるとサエコはさり気なく
教室を出た担任の元へ走った

『先生!』
『お、どうした?』
『だいぶ前に佐伯君が行方不明で家の人から学校に連絡入ってたって言ってましたよね?』
『…あ、おぉ。そうだ。』
『近くに居ますよ?昨日会いました。橋の陰の…』

ユウナがくっついてるのが嫌
佐伯君は別に何とも思ってない
勘違いも甚だしい!
そんな怒りがとうとう爆発した

『本当か。何をやってるんだアイツは…。今すぐ家に連絡入れるから。』
『あっ!先生!…ウチが言ったって言わないで…通行人の通報みたいな感じでお願いします…。騒がれたくないから…。』

担任は深く頷いて
職員室へ入って行った

No.90 10/04/24 11:42
㍊ ( wPNK )

暖かくて風が気持ちいい

昨夜はこの川沿いで
花火をする家族や
改造車を並べて評価し合う人間達で賑わっていたから
あまり眠れなかった

そろそろ起きようと思いつつ
体が中々起きてくれない

その時だった
近くで車が停まる音…
ドアをバタンバタンと閉める音…
1人じゃない…

よくある音でも
こんな近いのは初めてだ

芝生の上を踏み歩く音…
速足で向かってくる…

(…誰か…来る…)
夢か現実かわからないウトウトした状態で耳を澄ます

(…誰だ!?)
ガバッと上半身を起し
警戒体制に入った時にはもう遅かった…

『佐伯!』
髭面の見覚えのある顔
担任が現れた

そしてその後ろから
2度と見たくなかった顔…

祖父が眉間にシワを寄せて
顔を出した…

『城ッ!!』

No.91 10/04/24 18:32
㍊ ( wPNK )

もうやめた(笑)

…学校の人間まで敵なんだ
…逃げても無駄でしょ
…金も車も飯も味方も居場所も無いんだ
…それに社会の仕組みも分からないから1人で進めない
…恥ずかしいことに漢字だって計算だって小学生レベルしか分からない
…新聞すら読めない
…情報収集はTVしかなかったし今はそれも無い
…生活する上での常識とかマナーも知らない
…まだまだ駄目な所あるよ

未成年のガキが1人で
生きて行けるワケない

だからやめた
大人しくしてるよ

殴られたら俺が悪かったんだ
熱湯かけないと約束してくれるんだったら
毎日でも裸になる

抗うからエスカレートするんだよな

中学3年って
片足くらいは大人の域に浸かってる歳だろ?
それくらいちゃんと理解出来る

ばあちゃん言ってたし
世間の目があるから
義務教育の間は仕方無いけど
卒業したら消えろって

あと少しだ…
頑張るよ…


担任が2時限目に授業があるからと城と祖父を家まで送って帰る

祖父に掴まれながら
城は虚ろな目で家に入った

No.92 10/04/24 19:25
㍊ ( wPNK )

祖母が出て来た
城の顔を見るなり
思い切り頬を叩いた

普通なら
心配かけさせて!なんだろう

この家は普通じゃない
『この、恥晒し!恥晒すくらいなら事故死でもしたら良かったのに!』
…だった

祖父が言う
『お前は外泊癖が酷いから繋ぐ事にした。学校なんか今更行ったって行かなくたって同じだから別にいい。外に出て家のこと喋られても困るからな!その前に臭いから風呂入れ。どこで買ったか貰ったか知らんが、そのジャージくらいは洗ってやる。』

そして風呂場に押し込み
衣服を洗濯機に入れ回した

城は言われたまま
今まで通り水を出して流す

(繋ぐって…?)
疑問に思いながら
もう好きにやってくれと
自暴自棄になる

風呂場から出て着替えると
祖父がすぐ首を引っ張り
手錠を掛け
トイレの隣りの物置を開け
そこに繋いであるロープと手錠をガッチリ結びはじめた

(あぁ、こういう事か…)

TVでやってたニュースを
また思い出した
部屋に閉じ込められ飯を与えず幼児餓死
ロープで縛り付けられたまま放置で小学生衰弱死

(中学生虐待死ってホント情けないかもな…)
冷めた目でされるがまま静かにしていた

No.93 10/04/24 20:21
㍊ ( wPNK )

死ね死ね言っても
実際死なれても困るもので
飯だけはちゃんと貰えた

トイレもすぐ隣だ
特に不便も無かった
手錠のせいで上手く手を動かす事は困難だったが…

学校からも連絡は来てたが
祖母が電話で上手くあしらい
担任も不良少年の家庭問題程度でしか見ていない

これと言った暴行も
ここ2、3日
今のところは無い

祖父母がトイレに入る時
わざと踏んだり蹴ったりするくらいだ

城にとってはマシな生活だった

しかしそれは祖母がいたからで
祖父は祖母の外泊を楽しみにしていた…

冷めて大人しい城が面白くない

前みたいに泣いて喚いて許してくださいと言えば可愛いと思える

一種の病気としか言い様がない

久々に自ら飯を渡し
物置の前に座って食べ始めた城に絡んでみる
『まるで犬だな(笑)。』
『…。』
『ハクが死んでからまた犬を飼う事になるなんて(笑)。』
『…。』
『旨いか?答えろ。』
『…クソマズイ。』
『そうだろうな。その飯はドッグフードだ(笑)。』

ガチャン!
思わず皿とスプーンを落とす…

大笑いして祖父は去った…

No.94 10/04/24 21:02
㍊ ( wPNK )

ある朝
祖父が仕事へ行くと
祖母が忙しなく何かの準備をし始めていた

大きめのバッグに着替えを詰めているらしい

思わず聞いた
『…外泊?』
祖母は見向きもせず答える
『温泉旅行で2泊3日。あとはあの人に世話してもらいな。』

血の気が引き思わず叫ぶ
『ジジィも連れてけよ…!夫婦だろ、一緒に行けよ!』

祖母は少し驚きやっと振り向く
『…誰に口を聞いてるの!あの人は旅行に行きたがらない人なの。あんたには関係無いわ!』

城はとうとう暴露した
『ある!俺はクソジジィの性欲処理機じゃねぇ!クソババァ!お前が相手しないからだ!連れて行け!2人で行けよ!!』

反抗するのをやめる決心はした

しかしいざ現実的に物事が進行すると恐怖心が芽生え抑制出来なくなる

その言葉に祖母は言葉を失い
やっと反応する

『性欲…?何言うの…。』
『アンタが間抜け面で楽しんでる間に毎回アイツは俺を…男の俺を…!責任持て!アンタのせいだ!連れて行け!』

物凄い剣幕で叫ぶ城
信じられない内容を聞いた祖母

城の言葉を信じていいのか動揺し1度目の前から姿を消した

No.95 10/04/24 21:39
㍊ ( wPNK )

城は手錠を外そうとした
外れるはずがない…

もう充分締め付けられて
手首からは出血している

外れろ、外れろ、外れろ!
『アイツと2人は嫌だ!嫌だ!』

泣きながら
物凄い音を立てて暴れ出す

祖母は祖父に電話をかけていた
城がおかしいから早く来てと…

祖父は近くで駐車場管理の仕事をしていた
仕事は仲間に頼んで
すぐ帰って来た

流石の祖父も城の尋常ではない様子に引けた

『馬鹿が!静かにしろ!』

取り押さえようとするが
城は手当たり次第
手錠の付いた腕を打ち付け
壁はボロボロになっていく

祖母は驚愕し動けない

『城ッッ!!』
祖父が殴りかかった

城は祖父に気付き
殴られる前に手錠の付いてる両手首で顔面を殴り返す

祖父が倒れた
勢いで城も倒れた

息を切らしながら
時間が止まったように
2人は動かない…

No.96 10/04/25 04:27
㍊ ( wPNK )

祖母は悲鳴を上げて警察を呼ぼうとした
祖父が止める

初めて殴られた
怒りが治まらない

倒れている城を蹴飛ばし
手錠からロープを外す

祖母にテープと小さなタオルを持って来るよう指示し
そのまま抱えて
風呂場に向かった

口を無理矢理開けミニタオルを突っ込みテープで封じた
足もロープで縛る

『暫くここに閉じ込めて置くからもう出ていい。バスに間に合わなくなるぞ。』
冷静を装って祖母に言う

『あなた…あまりやって本当に死んでしまったら…私達…。』
簡単に死ねと口にする祖母の本音が漏れる

『殺しもしないし死にもしないコイツは!少し頭冷やさせるんだ。』
祖母は逃げるように出て行った

(行くなら連れて行け!2人にするなよ!2人で行けよ!!)
…叫ぶ事も出来ない城

風呂場で虐待・溺死とか
熱湯風呂に放り込み全身火傷
…そんな事件もあった気がする

思い出しながら恐怖と闘う
熱湯…熱湯だけは…

足を縛られても動く事は出来る
俺は子供じゃないから
何とか出来るはず
早く何とかしないと…

祖父が戻って来る
小さなやかんを手に…

No.97 10/04/25 12:18
㍊ ( wPNK )

自由に羽ばたく背中の鷹は
完全に消えてしまった

城は中学3年生
普通なら受験勉強に精を出すか
進学しないなら仕事探しか…
仲間とつるんでバカやって笑ったりしている年齢だろう

その歳と体力なら充分逃げることが出来たかもしれない

でも繊細なこの歳だからこそ
触れられたくない
知られたくない
見られたくない
騒がれたくない
そんな複雑な思いが絡み
益々悲惨な状況へ追い込んだ

物心付いた時から
怒鳴られ叩かれ罵られ
部屋に閉じ込められ
社会を知る機会も無く

城の世界は
学校と家だけでしかなかった

頭の中でいつも両親や祖父母の顔と言葉に支配され続けた
今日は15歳の誕生日だったのに

…深い深い眠りに付く
…闇の中を彷徨う

(俺やっと死ねたんだ)

そう思っていた…
そうでありたかった…

No.98 10/04/25 14:38
㍊ ( wPNK )

失神していたらしい
目が覚めると浴槽の中でズブ濡れだった

(…臭い…俺か…?)
体を起して見渡す
黄色っぽい液体で濡れている

『小便…かよ。』
唖然とした
同時に何かが心の奥で切れた

(犬の飯と小便…もう人間でもない扱いか…)
妙に冷静な自分がいる

周囲を見る
小さなやかんが落ちている
熱湯を流しきって空っぽだ

手錠を見る
暴れたせいで手錠に締め上げられた手首から先は
薄紫色になって冷えていた
それでも手は動く

ロープでくくられた足を見る
多分解けるだろう
音を立てない様に集中する
割と簡単に解けた

風呂場のドアを開ける
アイツは居るんだろうか…
試しに思い切り浴槽を蹴飛ばしてみる
ドンッ!
…シーンとしていた

安心してシャワーを出す
背肩に激痛が走る
でも前ほど辛くない
もう痛みにはだいぶ慣れた
小便を洗い流す
足も使ってボロボロのシャツを破り脱ぎ捨てる

手錠を外す方法を考える
その辺で入手した安物だろう
よく見るとチェーン部分が弱そうな気がした
手首が千切れてもいい
キッチンの椅子の背もたれに向かって思い切り両腕を振り下ろす…

『ウァッ…!!』
激痛と共に血が吹き飛ぶ…

No.99 10/04/25 17:51
㍊ ( wPNK )

手錠のチェーンは散った
手首の皮は裂け血が滴る
チェーンが切れても
手錠そのものは両手首に付いたままだ

動けば傷口に擦れて痛い…
痛みなんてのは小さい時から今日まであって当たり前のことじゃないか…
痛みを感じてる内は
死にはしないんだ…

ジャージに着替える
血だらけの手首に何か巻かないと目立つ
包帯とかなんて
どこにあるかわからない

風呂場に脱ぎ捨てたシャツを裂き
手錠の上から適当に巻いた

ふと鏡を見ると
湿気で剥がれた口のテープがまだ付いている

剥がしながら呟く
『許さねぇ…。』

アイツはどこへ行った…
見付けたら…

テーブルに紙が置いてあった

出るなら出て行け
逃げるなら逃げろ
必ず連れ戻すぞ
抵抗すればするだけ
仕置も倍だ
好きにしろ

もう完全にゲーム感覚だった

『見付けたら…俺からケリつけてやる…!』
殺意に満ちた目で家を出た

No.100 10/04/25 18:35
㍊ ( wPNK )

城は祖父の仕事を知らない
すぐ近くの駐車場で働いている事も知らない

川の方向へ向かって歩き出した
そう…まさにその駐車場の前を知らずに通って

見た事のある若者が
目の前を通り過ぎる
祖父は気付いていた

脱出出来たんだな城の奴
懲りずに川へ行くつもりか
まぁ数日余裕をやる
怯えながら野良猫気分を味わうがいい…

城は自分の唯一の居場所の
橋陰の窪みへ向かっていた
ずっと気にしていた…
バッグと帽子を取りに

初めて他人に優しくされ
無償で貰った物だ
特に初めての帽子は相当お気に入りだった
薬も入ってる

(無くなってたら凹む…)
そんな不安をよそに
そこにちゃんと揃ってあった
(良かった…)
中もあの時そのままだ

『佐伯君!』

突然後ろから呼ばれて驚く
ユウナだった

『佐伯君、良かった会えて…突然消えたから…』
『消えた?!』
城は目の色を変え
ユウナの顎を強く掴んだ

『よくも平然と…!テメェらが口滑らせたから捕まった…担任も来た。テメェかサエコかミクの誰の口からかは関係ねぇ。2度と俺の前に現れるな!』
怯えきったユウナを押し飛ばし
帽子を深くかぶって去った

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