注目の話題
馬鹿な子に「馬鹿」と言われたくない
男女は結婚したら不倫や浮気をするの?
家に帰るのが苦痛、ストレス。離婚したい。

さよなら、あなたへ

レス165 HIT数 71900 あ+ あ-

旅人( ♀ )
15/02/15 16:28(更新日時)

エキサイトラブを書いている主です

いつも女心で物語を書いてるので、気晴らしに男サイドからの短編小説を書きます

すぐに終わります

よろしければ読んでください

宜しくお願いします



14/11/23 00:20 追記
◆お知らせ◆

もしまだ読んで下さっている方がいらっしゃいましたら、訂正があります

すぐに終わりますなんで、書いてしまいましたがすぐには終わらなさそうです(-人-;)

いつも、訂正ばかりで申し訳ございません

そして読んで下さっている方がおられましたら、ありがとうございます(*´∀人)



15/01/16 19:52 追記

http://mikle.jp/thread/2177109/

感想スレです
よろしくお願いします

タグ

No.2155848 14/11/07 22:09(スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.51 14/12/12 15:58
旅人 ( ♀ )

杏は、とんでもなく床上手だった。

風俗経験ありか?

エロくソフトにバードに、時に壊れそうな雰囲気を醸し出したり。

甘い甘い夜。

スイートメモリーズな夜だった。


「また………すぐに会おうね………亮介が私の生活の励みだ・か・ら!」


いつもならムカつきそうな言葉さえ、杏の美貌とたまらないセックスを思い出すと許してしまう。


杏を車で家まで送り杏は車から降りる時、さりげなくウインクをした。


まるで天使のウインク。


おい!亮介!どうした?

やめとけ。オカルト女だぜ?

わかってる……けどよ、何だよ、この胸のザワメキ。


自分との闘いだった。


ふと杏の家を見ると高層マンション。

一人暮らしだよな?

パトロンでもいるのか?

まさか………男がいるのか?



あ゛~~~~!!

意外な展開過ぎるよ。

女に対して、こんなザワメキを感じたのは少年時代以来だ。


はぁ…何か30にもなって女に振り回されて、僕笑っちゃいます。


アレコレ考えながら、スマホを見た。


彩から着信とメールがあった。


彩...そうだ。


俺には彩がいたんだ。


No.52 14/12/13 15:48
旅人 ( ♀ )

地味な彩と結婚して外で刺激を求めるんだ。

妻は妻。彼女は彼女。

スッゲーだっせぇ発想だけど一度きりの人生、楽しんだもん勝ちだぜ!



俺は乗り気なんて少しもないが彩を土曜日に、女が好きそうな自然食ビュッフェ、日帰り温泉に連れて行き帰り道はドライブしながら、そこら辺の景色を見させておいた。


スマホの音は切っておいたが杏から連絡がないか、何度も確認してる自分がいた。

朝に〈今日も好きよー♪〉とLINEにあったくらいだ。


「ごめんなさい………!お手洗いに行きたいんです……どこかコンビニで止めてもらえませんか?ごめんなさい!」


「うん、いいよ!あ、コンビニあった」


俺はコンビニの駐車場に車を止めた。


「ごめんなさい…!すぐ戻りますから!」


すぐってことは、小か?まさか生理じゃねぇだろうな?


そう思いながら、スマホをジャケットのポケットから出した。

あっ…

手にスマホを取った瞬間、着信が!

杏だ!

ナイスタイミング!


「もしもし」

俺は、わざとクールに声を出す。

『……亮介………やっと出てくれたね………』


えっ?この声………


愛じゃん!


おい!亮介!

なんで愛と杏を読み間違えるんだよ…


老眼かよ…



No.53 14/12/13 16:05
旅人 ( ♀ )

「あ、ああ」

他に女が、できたって言うか!

さよなら、愛へ。今から伝えるよ。

「あの……」


俺が話し出すと愛と言葉が被った。


『……亮介………嬉しいよ。やっと声が聞けた……ずっと連絡が取れなくて寂しかったよ………?』

な、な、何だよ。

外にいるせいか愛の声が、ツボにハマる。

ちょい。寒気がしている…

やばいぜ!亮介!相手は愛だぞ!


「ごめ…………」

俺が話し出すと、やっぱり愛と言葉が被った。

『亮介の都合の良い日にまた泊まりに来てくださーい!
都合の良い女、愛ちゃんで~す♡朝はモーニングコーヒー飲もうよ!二人で』

「あ、うん………」

『良かったぁ!良かったぁ~!いつ来てくれる?』

「んー、来週の火曜………」



バカだ俺。愛にまでほだされた…


「ごめんなさい!戻りました!」

彩が戻ってきた。

「大丈夫だよ」

すると彩は俺が手にスマホを握ってることに気づいた。

「なんか……急用とかありました?」

「いや!仕事関係の人からちょっとした用件で連絡あっただけだよ。
いこうか!」


浮気関係の人からの連絡だよ。



「そうですか……」


彩は安心した声を出した。




No.54 14/12/15 16:41
旅人 ( ♀ )

その後、俺の部屋に彩と一緒に帰り彩は晩御飯の支度をしてくれた。

鯖の味噌煮、揚げ出し豆腐、いんげんのごま和え、長芋の味噌汁。

純和食の手料理に、遠い記憶が蘇る。


死んだ母さんの煮魚や味噌汁。


母さんは俺が母の日にあげたお椀をずっと使っていてくれた。


母さんの手料理と母さんの笑顔が好きだった。

.....彩は母さんと重なる。

やっぱり結婚相手に相応しい。


俺は過去を、これ以上思い出したくなくてビールを淡々と飲み始めた。

「いつも…ビールですか?」

「いや、酒なら何でも」

「…そうですか。飲みすぎには注意して下さいね」

次の瞬間、俺は彩をギロリと睨んだ。

うっせーんだよ。

黙って傍にいればいーんだよ!



「あ、ごめんなさい!ごめんなさい!大きなお世話ですよね!ごめんなさい!」

「……あはっ。うーん。小さなお世話かな」

「…」


彩が萎縮しているのがわかった。

それでいーんだよ。

彩は俺の所有物なんだから。

それに彩は、そんな俺に夢中だろ?

振り回されるのも悪くないだろ?






その夜、俺は彩を抱いた。

彩は構えてて体がガチガチだった。

つまらない女。

つまらないセックス。



やっぱり結婚相手に最適じゃねぇか。



No.55 14/12/15 23:19
旅人 ( ♀ )

後日、杏から連絡がありクリスマスイヴにプレゼントあるから一緒に独身最後のイヴを過ごそうと言われた。


躊躇する俺。

普通に可笑しいよな。

占いで相手を決めるなんてよ。


頭の芯でわかっていながらも、杏の甘い声、甘い顔付きを思い出すとオッケーしてしまった…

ま、存分に杏を楽しんだらフェイドアウト。

俺らしく軽く考え、愛の家に泊まりに行く日が来た。



体が動くうちは!色んな女とヤル。

愛の家に着くと、玄関のドアを開けるなり愛が抱きついてきた。


「会いたかった!会いたかった!会いたかった!」


珍しく今日の愛は無臭だった。

そして、やっぱり顔がほっそりした気がする。

痩せた?なんて聞くと、注目してる?なんて付け上がりそうだから、止めとく。


「ダーリン♡ これからパスタ作るねぇ!たらスパ♡だよ~~~ん!」

「ああ…」


バサバサ…………パッ…………ガチャン。

ピッピッピッ。ピッ!ダ~ン…。


ん?


ピロリピロリ♪ピロピロリ~!

ガチャン…バサバサ…


「あつぅ‼ 出来たぁ~~~~!」


ばっかやろってよ~。

冷凍パスタ、チン!じゃねぇか。

見えなければバレないと思ってんだな。


No.56 14/12/17 16:03
旅人 ( ♀ )

「ダーリン♡愛ちゃん特性のタラスパ完成で~す!召し上がれ~!」


愛はピンクの絵の具のような、いかにもって感じの冷凍パスタとカットして袋売りしているようなサラダをテーブルに並べた。

皿を持つ手が若干腫れてるように感じた。

もちろん面倒だから指摘はしないが。


「サンキュ。……タラスパってどうやって作るの?」


オバサンみたいに意地悪な質問をする俺。


「え~…パスタ炒めてタラコからだし汁とって…塩コショウしたり…まっヒミツ‼」

タラコからだし汁って…

素直に料理は出来ないって言えば良いのにな。



「ねぇ、亮介。もうすぐイヴだね。一緒に過ごそうねぇ」

ダメだ。その日は杏の日だから。

「あー、仕事だし夜、地元から友達来るんだよ」

「えーー!やだぁ!少しくらい逢えないの?」

「25日なら大丈夫。イヴにこだわらず、ゆっくり逢える日が良いだろ」

つーか、なんで愛と関係を切らないかな俺。

女遊びは一種の病気だってのはホントだ。


「うん!そだねー!オシャレなホテルで食事して泊まろうよ~!」

めんどくせぇ!

ぜってー生理になんなよな!

「ああ…」

「楽しみ♪楽しみ♪」


向かいにいた愛は、トトトトと俺の後ろにきて後ろから抱きついてきた。


さっさと飯くって愛の体を楽しむか。


No.57 14/12/17 20:50
旅人 ( ♀ )

久しぶりに愛を抱く。


下半身だけいつも脱がせるが、たまには乳も見たくて上も脱がせた。


「ダーリン……電気真っ暗にして………」

「何でだよ?いつも明るいとこでヤってたじゃん」

「何かはずかしーの!消すね」

恥ずかしいだと?

そんなわけがない。

きっと体に秘密ができたんだろうが何も聞かない。

めんどくさい。

俺は真っ暗闇の中、愛に愛撫した。


「あ…………」


何故だろう?

暗闇の中にいると孤独だった過去が蘇る。

ろくでなしの父親。

優しかった母親。

父親の背中を本気で何度も睨んだ。

七夕には学校での短冊のお願いごとに、元気なお母さんが欲しいと書いた。

それを知って母さんは静かに泣いていた。

泣かないで。

そう言うと、ごめんねって掠れた声で言ったんだ。

泣いちゃって、ごめんね。

そう解釈してた。


でも違ったんだ。

俺達兄弟を残してしまう、ごめんねの涙だったんだ。


俺らしくもなく心の闇に入り込んでしまったので愛を乱暴に抱いた。

何故だか愛の体の所々が熱かった…



「今日は………激しいね…………」



暗闇の中、愛が言う。

目がなれてきてうっすら愛の顔が見えてきた。


切なくて人恋しい顔をしていた。


No.58 14/12/19 16:50
旅人 ( ♀ )

愛も人恋しいのかよ。

俺と同じだな。

珍しく俺は邪心が無いまま愛とひとつになった。


すると。


「あっ…ダーリン!待ってちょっと待ってて!」



突然、愛は上にいる俺を押し退け寝室から出てった。

何だよ、急に!

珍しく良い気分だったのによ!

まさかトイレか?大じゃないだろうな…

でもトイレへ行ったような物音はしない。


ただ、洗面所の水が流れる音が聴こえる。


なんだ?吐いてるのか?


しばらくして愛が戻った。

「えへっ。ごめんね」

愛は困ったように笑い俺の上に乗り、愛撫をしてきた。

時折触れる愛の両腕が冷たかった。


「腕、何でこんなに冷たいの?」

「…ダーリンから離れたから。きっとすぐあったまるよ」


不思議な女だと思った。

何かをはぐらくてるはずなのに余裕があるんだ。


そのまま、愛と快楽の時を共にした。


事が終わると。


「亮介、他に女いるんだね」

ダーリンじゃなくて亮介と呼ばれた。

それも疑いではなく確信をついてきた。

やるじゃないか。

でも簡単に尻尾は出さないぞ。


「いないよ。俺、そんなに器用じゃないから」

「じゃあ私だけ?」

「…ああ」

「あ~嬉しい!」


愛は、それ以上なにも聞かず猫のように俺の二の腕に顔を擦り付けてきた。


なかなか賢いところもあるんだな。




No.59 14/12/19 20:05
旅人 ( ♀ )

愛の次の日は彩と会う日だ。

病院で仕事をしていると弱った老人、ピンピンした老人、程よい雰囲気の老人、様々な老人がいる。


俺はピンピンした老人になりたい。

その為にも妻は必要だよな。

一生独身は早死にするって聞くし。


仕事を終え明後日のイヴのために、杏にTIFFANYのネックレス、愛に香水のベルドゥミニュイ、彩に同じく香水のラルフローレンロマンスを買った。


杏に3万もかけて自分でもどうかしてると思う。

ある程度の物をあげるなんて、杏に対して自信がなく惹かれている証拠のような気がする。


いいじゃん。この際。

駆け引きなんて棄てればいい。

それに俺には彩がいる。

ダメになっても戻る場所がある!


そう思いながら、彩の家の近くのコンビニまで車で迎えに行く。

既に手に買い物袋を下げて、彩がまっていた。


車の助手席に乗り込む彩。


「お疲れ様…」

「おう。お疲れ」

彩は未だに俺の名前を呼ばない。

最初の勢いはどうした?


「あの…今日も料理しますね。食材買ってきました」

「ああ…ありがとう」


相変わらず気の利く女だと思われたいんだな。


女は、あるがままの姿を愛されることが一番幸せなのにな。





No.60 14/12/20 00:21
旅人 ( ♀ )

「今日は何作ってくれるの?」

「…ホントは聞こうと思ったんです…何食べたいか……けど気づけば仕事中で。
私が先に買い物した方がスムーズに行くと考えました」


「で、何作ってくれるの?」

「あっごめんなさい、ごめんなさい!鰈の唐揚げです」

「ふーん」

「嫌いですか…?」

「いや」


会話の途中で俺の家に着いた。


「じゃあ、………亮介さんがお腹空かないうちに作りますね!」

亮介さん…?

さすが彩だ。

つぅか、もう腹は減ってるが。


トントン……

グツグツ……


料理してる音。

本来なら幸せを感じる音なのに何も感じない。

ただ、退屈に感じるだけだ。


しばらくして。


「出来ました!お皿借りますね…」

「ああ…」


彩は作った料理を並べ始めた。

「お米……私ももらって良いですか?」

「はっ?うん」

食材費も自分で出してんだろ?

どこまで謙虚なんだよ。

限度があるとイラつくんだよ。


少しイラつきながら、彩の作ったメニューを見た。

鰈の唐揚げにピーマンもやし人参の餡掛けをかけたもの
カボチャの煮付け、ブロッコリーを何かで和えたもの。

豆腐とワカメの味噌汁。

あ~俺の嫌いなものばかりだ。

「亮介さん、どうぞ…」

「うん、いただきます」

俺は魚を口に入れた。

「どうですか……?」


「美味しいけど、こないだも和食だったし洋食が良かったな」

「あっ……そうですね!ごめんなさい!ごめんなさい!………あの、クリスマスイヴ、何でも食べたいもの言ってください!作りますから!」


No.61 14/12/21 14:05
旅人 ( ♀ )

「イヴは用事があるんだよね」

俺が無愛想な声で言うと彩の表情は固まった。


「そうですか…勝手に空いてると思ってごめんなさい!…じゃあ25日はどうですか?」

「その日も用事がある。26日で良いかな?」

良いかな?なんて、あたかも会ってやるみたいな上からの言葉。


彩は涙を浮かべていた。

それでも。


「良いです!ありがとうございます!……何が食べたいですか?ローストビーフでもケーキでも何でも作ります!!」


彩は無理に作り笑いをした。

まだまだな女だ。

悲しい笑顔だとすぐにわかる。

それなら思ってることを叱られても言えば良いんだ。


「その日は外食しようよ。たまには美味しいもの食べたいじゃん」

「え……。あ、そ、そうですね!」

まるで彩の手料理が不味いようなこの言い方。

彩は悲しそうに俯いている。

だけどな、そう言う男を選んだのも自分なんだぞ。

あとあとになり騙された!なんて怒り狂う女もいたが騙される方も悪いんだよ。

利口じゃなくて弱いんだ。

強くなれば自分にあった男しか目の前に現れないから。


俺はまさしく痛々しいが俺様になっていた。

そして。

財布から2万円を出した。


「はい」

彩に渡す。

「え、えぇ?」



「今までかかった食材費やこれからのデート代。彩がやりくりして。なくなったら教えて」


彩は躊躇しながらも地獄から這い上がったような顔をしていた。




No.62 14/12/22 17:42
旅人 ( ♀ )

「そ、そんな…………あ、私も半分出します…それでやりくり…しますね」

「良いから。僅かながらの男の可愛いプライドだと思って俺の金でやりくりして」


彩は俺の顔色を伺っている。

仕方ないからニッと笑ってやったぜ。


「…良いんですか?……すみません…ありがとうございます…」

「良いよ。彩のことは先々のことも考えて付き合ってるから」

「先々……?」

「まぁ、結婚てことだよね。彩も28だし責任もって付き合ってるよ。
もし無理なら言って」

「そんな、そんな!無理なわけありません!……凄く……嬉しいです。………末永く宜しくお願いします……」


固いな。

感動して目が潤んでる。

心の中ではどんなラブソングが流れてるんだろう?

古くて固い感じだから祝い船ってとこか?


彩に喜びを与え、しばらくした後、彩を抱いた。

相変わらずガチガチで声もあまり出さない。


杏みたいにエロい声出してみろよ?


「……もっと声出して。彩の声が聴きたい」

いや、杏だと思ってヤりたい。

「え………ハァ………」

ただの溜め息じゃねぇか!


「もっと!」

俺は彩を愛撫する。

「あ…………あん……」

「もっと!!」



「あん…………好きです………亮介さん」

「さんは要らないよ」

「…」

「恥ずかしがらないで。今呼ばなかったらずっと呼びづらくなるよ」


「りょ…うすけ…」


彩が初めて呼び捨てで俺を呼んだ。

まったく心は動かなかった。


No.63 14/12/22 22:47
旅人 ( ♀ )

~12月24日~

街はクリスマス一色。

20時に杏と駅の近くで待ち合わせをした。

ホントは着替える時間はあったが今日はスーツで決めたくて、スーツのまま待ち合わせ先へ。


キャメル色の膝丈のコートを着た杏が待っていた。

杏が俺に気づきしなやかな指先を揺らしながら手をふっている。

心臓の鼓動の度に胸の奥がぎゅっと痛むのを感じていた。


「おぅ!待った?」

「ううん。大丈夫よ!」

今日も艶やかな杏はニコリと微笑み俺の横に並んだ。


「〇〇ホテルのフレンチのお店予約しといたから」

「嬉しい!あんな人気のお店~」

杏は俺の腕を組んできた。

あたたかい。じんわりと幸せを感じる。


店に着き窓際のテーブルに向かい合い座った。

「うわー!夜景綺麗ね、あなた」

「ああ…」


綺麗な夜景より杏に、とらわれているよ。

今年流行りのブルーのニットワンピは胸元が大きめに開いている。

鎖骨が綺麗だ。

シンプルな服装が杏の魅力を引き立たせている。

本当に綺麗だ。


料理がコースで運ばれてくる。

パイ包みの茸のクリームシチュー。

サーモンのソテー。

フォアグラステーキ。


「おーいしい!……あ、これ私からのクリスマスプレゼント」


杏がラッピングされた青いリボンがついた小さめの箱を渡してきた。


No.64 14/12/24 01:35
旅人 ( ♀ )

俺は中身を確認せずクールに装っていたが内心、喜びが込み上げてきていた。

「…俺にはいいのに。あ……俺からも」

杏は気づいて居ただろう。

俺がTIFFANYの小さな手さげ袋を持っていることを。


だからそれを渡しても杏は大きくは驚かなかった。

「…えーTIFFANY?…ブランドもの貰ったの初めて!…開けていい?」

嘘つけ!数えくれないくらいもらってんだろ。

それに杏クラスの女なら男が〈初めて!〉の言葉が悪くなく感じることだってお見通しなはずだ。


…それでも杏の笑顔が眩しかった。
杏は中身を開けている。


「わ~~!可愛い!オープンハート!」

「両面で使えるよ。柄なしと、ダイヤが散りばめられてる方と」

「ホントだ~~!…あなた、ありがとう…嬉しい!すっごく嬉しい……私、大したものあげれてないのに」

杏は笑顔を消して申し訳なさそうな顔をした。

「……開けていい?」

「うん………」


俺はゆっくりとリボンをほどき包装紙を開いた。

重みがあり揺れている、


中身はBVLGARIプールオム30㎎だった。


瞬時に見抜いた。


ド〇キホーテで安く買い、100均でラッピングセットを買ったんだと。

やっぱり数うちの一人だよ、俺は。

結婚を迫るなんて俺が彩に企んでることと同様か?

テンションは下がるが一定の感情であるフリを装い続けた。


「うわ!ありがとう!…この香水大好きなんだ。これは嬉しいわ!」


俺は多分、嬉しそうに笑っていた。




No.65 14/12/24 20:01
旅人 ( ♀ )

「良かった…でも、もっと良いものあげたかったな。まだ占い師の卵だし稼ぎも悪いの…」

稼ぎが悪くて何であんな高級マンションに一人暮らしなんだよ…

「何言ってんだよ!気持ちでしょ?気持ち!」

「うん…気持ちはたーくさん詰まってるよ♪旦那様になる人だもの」


そう言いながら杏は柔らかい笑顔を見せてくれた。

天使みたいだ。

ふわんとしてて、ぼんやりしていたら何処かに天使の羽で飛んで行ってしまいそうだ。

………ダメだ!しっかりしろ!亮介。

流されないで思ったことを伝えるんだ。


「…でもさ、占いで俺って決めたんだよね?それはちょっと悲しいからお互いをよく知っていこうよ」

「ううん…占いだけじゃない。純粋にあなたが好きよ。ダメ?あなたは私を好きじゃない?」


くぅ……ダメ?って首かしげる所がたまんないな。


「そんなことないけど…」

「…良かった。あなたってシャイな人だもんね♪私がリードしなきゃ♪…運命の縁を逃したら一生後悔する……占いはまだまだだけど私のインスピレーションは鋭く働くの。
私たち縁がある………」


悪戯に真剣に、そして笑顔に変わるその表情の変化に俺のハートは鷲掴みされる。

縁なんてどうだっていい。

早く二人きりになりたいな。


「そうか……じゃあ食事のあとはどうする?」

「……身体中で愛し合いたい。愛し合お?」


そうだ。ベストアンサーだ!いいぞ!


No.66 14/12/25 17:47
旅人 ( ♀ )

その後、俺達はホテルの一室で快楽の時に溺れていた。

下半身さえ気持ちよけりゃ良いはずなのに、俺の汚れたハートがズキンズキンと痛みやがる。
まだ純な部分があったのか?

杏の艶っぽい顔、俺を惑わす仕草や動作、耳の鼓膜が溶けそうなくらいに刺激する甘く切ないエロイ声。


この女は一色では塗りつぶせない。

魅力的過ぎて鼻血が出そうだ。


「あなた……好き………」


杏は俺の上で動きながら囁き俺の唇を指先で触れてきた。

俺は、その指をなぞるように舐めた。


溺れている、杏に。

杏はどうなんだろうか?

知りたい。杏のことを。知り尽くしたい。





~12月25日~


仕事中も俺は昨夜の余韻に浸っていた。

公私混同はダメだぜ~

なんてな。表面に出さずミスさえしなけりゃいい。

つぅか今日の夜は愛か。

店も予約してないな。

ごめんね、愛。

こんなに粗末にするくらいなら愛を完全に離してあげればいいよな。

けどな、離れていかない愛も賢くないんだよ。

まぁ一度きりの人生、失敗も成功もたくさんしろ。

俺は心の中で愛に話しかける度、優越感に浸っていた。

我ながら手に負えないバカだと思う。


そして20時に愛と駅の近くで待ち合わせ。

適当に深いベージュのダウンをはおり中はダークグレーのセーターに下は黒いパンツ。

楽だ。

楽だと思いながら待ち合わせ場所に向かうと楽な女、愛がチドリガラの膝丈のコートを着て待っていた。



No.67 14/12/25 19:24
旅人 ( ♀ )

「ダーリン♡」

愛は俺の姿を見付けるなり小走りで近づいてきた。

「おぅ!」

「おぅ!じゃないでしょ?待たせてごめんなさいでしょ?」

チッ!都合の良い女だと認めながら、また“女”を全面に出してきやがった。


「ごめんねー」

「心がこもってないし!」

調子に乗んな!隠れブスが!


「僕、好きな子には照れ屋なんだよね」

愛は悪くないような顔で照れ笑いをしてる。

そう言う簡単な所いいぞ。


「もう…僕って言ったら可愛いと思われるとでも?ガキね~!さぁ、どんなお店に連れてってくれるの?予約したよね」

「ごめん…仕事忙しくてさ…予約してない」


「はぁ?綺麗な夜景が見えてピアノの演奏でもあるお店に行くかと思ってたのに!!」

「悪い悪い!ほら、俺って人間らしいからミスが多いんだよ。何が食べたい?」


また愛はすぐ怒った顔からニヤケ顔になった。

惚れてんだな。

惚れたもん負けなのに、こんなに優しくしてもらって感謝しろよ!


「食べたいもの……串揚げかなぁ?茄子の串揚げ大好き♡」


愛は俺の横で俺の手を握り、背の高い俺を見上げてきた。

……今日はまた顔がパンパンだな?

香りもする。


甘酸っぱいベビードールの香りが。


つぅか串揚げの店ってよ。

綺麗な夜景もピアノ演奏もないし。


そう言う頑固じゃない所もいいぞ。


「オッケイ!美味しい串揚げ屋、知ってるから行こうか!」

「は~い♡ 茄子!長芋!椎茸!エビ!わ~い♡」


俺達は手を繋ぎながら串揚げ屋に向かった。




No.68 14/12/26 23:15
旅人 ( ♀ )

>> 67 串揚げ屋は15分程、待つことになった。

それでもカウンター席だ。

カウンターの方がいい。

別に愛の顔は見たくないから。


「ダーリン♡これ!クリスマスプレゼント!」

会計近くの長椅子に座って待ってる間、愛が縦長の紙袋を渡してきた。

知っていた。

手元にぶら下げていたから。

コムサデモードの袋だ。

ふーん。無難なブランドじゃん。


「ありがとう!はい、俺からも」


俺もダウンのポケットの包まれた香水を愛に渡した。


「ありがとう~!ねぇ、ダーリンから開けて♡」

「ああ」


中身は小さめの白いドット柄の濃紺のネクタイだった。

ネクタイを見ると杏と出逢った日を思い出す。

会ってすぐに『花柄のネクタイしてる!』って驚いてな。



「あっ!ダーリン♡にやけちゃって!良かったぁ!気に入った?」

「あ、ああ…なかなかセンスいいじゃないか」

「えへへ♡」


愛はほっぺたあたりでブイサインみせてきた。

ごめんね、愛。にやけたのは杏のことを思い出したから。

それにね。愛。顔が横に丸くてブイサインされでも蟹にしか見えない。

全然可愛くないよ。


「私も開けるね!」

「ああ」


愛は包装紙をはがし中身を見てしばらく香水を真顔で見つめていた。

どうせ『レディにこんな安いものなんてありえない!』とか言うんだろ。




「えへへ。香水だ。嬉しい♡」

意外なリアクションで愛はまたほっぺたにブイサインをした。


やがて時間が経ち串揚げを食べる。


「あ~っつつ、あっつーい!」

「来て早々かぶりつくからだよ(笑)」


愛といて自然に笑ってる俺がいた。



夜は愛の部屋に行き、また体を重ねる。

今日の愛はちょうどよい体温だった。

部屋の明かりを消してとも言わず人恋しい表情が全快だった。


No.69 14/12/27 16:25
旅人 ( ♀ )

【杏の気持ち】




内心私を屈服させたいとでも思ってる?


取り合えず遊んでおこうと始まったのに、あなた私にどっぷりハマってきてるわね。


でも、あなたも結構イイ男だし冷静な部分もあるみたいね。


表情を見ていたら良くわかるわ。


でもね、どうして一番不可解なあのことを疑わないの?



やっぱり男は単細胞よ。

男の下心を利用して、私の魅力と色香に夢中にさせるの。


ねぇ、あなた。………亮介さん?

私の性行為のテクニックは長けていたでしょう?

やっすい香水のことなんて忘れちゃったでしょう?



あの香水ね、他の男から貰ったの。

シャネルの財布と、シャネルの手袋と、あの香水。

なんで香水だけ超安物よ(笑)

呆れて、部屋のタンスの上に起きっぱなしだったの。



いらないから箱のホコリをはらってあなたに包み直してあげたわ。

それにしてもTIFFANYのネックレス……こんな安いものだけがプレゼントとは……



あなたの冷静な部分に私も冷静になるわよ。



目標達成となるかしらね?



もし達成したら、あなたにとって私は幻なる。



今回の占いから始まるシチュエーションもなかなか楽しかったわ!




フッ…フフフフフ…………




No.70 14/12/27 22:38
旅人 ( ♀ )

【彩の気持ち】


亮介さんのことを相談した友達からの言葉が耳に残っている。


“ただただ気を使って思ったことも言えない男なんて止めときなよ。疲れるだけでしょ?何が良いの?顔?それともエッチ?結婚って言葉が彼にとって彩へのエサなんだよ”

と、ラン。



“26日がクリスマス?ぜっったい他にも女いるって!あと二人位いるんじゃない?彩、利用されてるんだよ。止めときなよ。傷つくだけだよ”

と、スー



“うーん。色んな男がいるからねぇ。それに男って第一に仕事だし脳の働きも女と違うじゃん?自分と価値観が違って戸惑うけど自分の気持ちに嘘つける?好きなんでしょ?”


と、ミキ。



亮介さんの何が良いのか…?

確かに最初は外見と雰囲気。

クールそうなんだけど目が合うと優しそうな目をしてて。

顔も好き、凄く好き。



体も………亮介さんの温もりが離れない。

思い出すだけで気が狂いそう…



だけど、優しかったのは最初だけ…

いつも素っ気ない。

温度差を感じずにはいられない。


不安になる。

何を考えてるかわからない。


利用されてる?傷つくだけ…?


いや……そんなのいや………こんなに誰かを好きになったのは初めて…

何か…息が苦しい…


でも、お金もくれたもん。

やりくりしてって。

結婚の二文字はエサなんかじゃない!


ミキの言う通り色んな男がいて価値観も違う!


それに好きな気持ちに嘘はつけない………


だから亮介さんを信じる。


愛することは信じることだもん………



No.71 14/12/28 17:52
旅人 ( ♀ )

【愛の気持ち】



亮介………また会えて良かった。

どうやら恋してるみたいだけどね。

わかるよ。


自然に笑ってくれたり、いつもより優しかったり…

恋すると男も女も身体中が嬉しくなっちゃうもんね。



私は、我が儘な女を楽しんだから、もう素に戻るよ。

構ってくれるだけでいい………

こんな私だもん。


亮介の隣に居れるだけで幸せだよ。

嬉しくて私も自然と笑顔になるよ。


いつか亮介が私の知らない誰かと結婚するまで、たまに隣にいてよ。


一緒に笑ってよ。


ホントは生きる資格なんて私にはない。

その証拠に悪魔が私を責めるの。


これでもか、これでもかと。


亮介……………熱いよ、熱い……………



香水ありがとうね。



体調の良い時に使わせてね。



ベルドゥミニュイ………真夜中の美女。

私は美女ではないけど、決行の日は、あの日と同じ時間にしようと思うの。



あの日も真夜中だった。



亮介、寂しいよ、とてつもなく寂しいよ。



涙がポロポロ流れる。



涙の一粒一粒に亮介と私がいて、流れて消える。


  • << 73 ~12月26日~ ああ…疲れた。 さすがに3日連続、女と会うとなると体がダルい。 杏に会うなら疲れ知らずなんだろうが、何せ今日は彩と会う日だ。 適当に何とも言えない味のイタリアンの店を予約しといた。 理由は料理が安くて店内は小綺麗だからだ。 彩にぴったりじゃないか。外から見たら汚れなき人生を送っているような彩。 しかし与えられるものは安っぽい言葉や愛しかないんだよ。 彩を始め女どもよ。 男に騙された。復讐してやる。生き霊送ってやる。 よくそう思うよな。 勝手にしろ。 こっちだって粗末にしてやってんだからサインを送ってるんだよ。 傷心を乗り越えて絶対、後悔する女になってやる! はぁ!?笑わせんな。 お前らにはもう会うことはない。 どうやって後悔させるんだよ。 俺は渋々、彩に会うので意味不明な悪意しかないつぶやきを心の中で繰り返していた。 待ち合わせは20時、駅の近くで。 三日連続、同じ場所で待ち合わせだ。 20時10分になっても焦ることもなく、悪いとも思わずダラダラ歩いていた。

No.72 14/12/30 20:09
名無し72 

☆主です
いつも読んでくれている方々ありがとうございます。
ペナルティーのため1月4日まで執筆お休みしますm(_ _)m


年末で慌ただしい方々が多いと思いますが、体調に気を付けて
良いお年をお迎えください。


来年も、さよなら、あなたへを宜しくお願いします。




No.73 15/01/04 21:21
旅人 ( ♀ )

>> 71 【愛の気持ち】 亮介………また会えて良かった。 どうやら恋してるみたいだけどね。 わかるよ。 自然に笑っ… ~12月26日~

ああ…疲れた。

さすがに3日連続、女と会うとなると体がダルい。

杏に会うなら疲れ知らずなんだろうが、何せ今日は彩と会う日だ。


適当に何とも言えない味のイタリアンの店を予約しといた。

理由は料理が安くて店内は小綺麗だからだ。

彩にぴったりじゃないか。外から見たら汚れなき人生を送っているような彩。

しかし与えられるものは安っぽい言葉や愛しかないんだよ。

彩を始め女どもよ。

男に騙された。復讐してやる。生き霊送ってやる。
よくそう思うよな。


勝手にしろ。


こっちだって粗末にしてやってんだからサインを送ってるんだよ。

傷心を乗り越えて絶対、後悔する女になってやる!


はぁ!?笑わせんな。


お前らにはもう会うことはない。

どうやって後悔させるんだよ。


俺は渋々、彩に会うので意味不明な悪意しかないつぶやきを心の中で繰り返していた。


待ち合わせは20時、駅の近くで。


三日連続、同じ場所で待ち合わせだ。


20時10分になっても焦ることもなく、悪いとも思わずダラダラ歩いていた。







No.74 15/01/05 16:02
旅人 ( ♀ )

彩の姿が視界に入った。

膝丈の白いコートを着てるな。

地味な彩が白いコートかよ。

どうせ♡男ウケコートは白♡とか雑誌で読んだんだろ。

俺、白いコートって安っぽくて嫌いなんだ。

やっぱ杏みたくベージュの方が品があって好きだな。

あ…やべぇ。杏、杏って…やべぇ。やべぇ。

俺はちんたら歩いていたが杏にとらわれてるのが怖くなり、遂に走り出した。


「ごめんね、遅れて」

全然悪いだなんて思ってないよ。

「ううん。気にしないで…」

おっ!瞳がウルウルしてんな。しかたねーな。

惚れてんだな。


あ、今日は顎までの髪の毛のサイドを編み込みしてんな。

彩は編み込みあたりを指で触れた。


亮介さん…………?私、可愛くないですか?
編み込みしてるんですよ?


そんなことを思ってるんだろう。


可愛くないから。

編み込み、全然可愛くないから。

しめ縄にしか見えないからさ。SMがお好きで?としか思えないんだよな。
俺は。



「お店予約しといた。イタリアンでいいだろ?」

「はい!!」


はい!!じゃなくて、うん!!♡って可愛く言えねーーのかよ?

それにイタリアン?私の希望も聞いてよ!

みたいに我が儘言えないのかよ。

だから所有物なんだぜ。


我が儘と言えば、愛は最近、我が儘言わなくなったな…

  • << 76 な、何で愛なんかのことを考えるんだ! 杏ならともかく愛だぜ? 「彩、いこうか」 「はい…」 俺は今の感情を消したくて、彩の腰に手を回し歩き始めた。 キャッキャした今時の子なら、腰に手を回したりカラオケで歌に対し足の爪先でリズムをとると、ありえないしー! とか思うんだろうが彩なら大丈夫だ。 素朴女子代表格だからな。 やがて店に着き、俺は彩にメニュー表も見せずさっさと料理を頼んだ。 私にも見せてよぉ!……みたく言えないからやっぱり所有物だぜ。 ペスカトーレや生ハムが載ったカナッペ、寒鰤のカルパッチョを食べながら適当に話をし時間が流れるのを待った。 「亮介さん…これ」 彩は大きめのバッグからプレゼントらしき小さな箱と少し大きめのラッピングされた袋を渡してきた。 「えっ……いいの?ありがとう」 当たり前だよな。プレゼントは。 「いいえ…」 「あ、俺からも」 俺も彩にプレゼントの香水ラルフローレンロマンスを渡した。 彩は、また瞳を潤ませている。 「わぁ…私に?ありがとう…嬉しいです」 彩は相変わらず恐縮した言葉を添えてプレゼントを受け取った。 「彩からのプレゼント開けていい?」 「あっ、はい。是非!」 中身が気になり、ゆっくりと包装紙を剥がしていった。 さぁ中身は何かな?

No.75 15/01/05 17:23
旅人 ( ♀ )

※主です

いつも読んで下さっている皆様ありがとうございます。

私事ですが、待ち人さんがいるのでこの場に書き込みさせて頂きます。

不快に思われた方がいらっしゃいましたら先に謝ります。
申し訳ございませんm(_ _)m


........


事情があり、感想スレを閉鎖し、もう建てる予定もありません。

でも、お部屋が好き、ファンだと言って下さった方、そして、はにちゃん、つゆママ、ようこさん、ミナヨちゃん、まきちゃん見てますか…?

雑談板の何でも雑談、フレンドリー☆女子トークに私います。


無理強いはしませんが、ご縁を大切にしたくまた再会できたらいいなと図々しく思ってます(>_<)
ごめんなさい。


気が向いたらで良いので来てくれたら嬉しいです。


らぶ






※次頁からは、お話が続きます!

No.76 15/01/05 17:46
旅人 ( ♀ )

>> 74 彩の姿が視界に入った。 膝丈の白いコートを着てるな。 地味な彩が白いコートかよ。 どうせ♡男ウケコートは白♡とか雑誌で読ん… な、何で愛なんかのことを考えるんだ!

杏ならともかく愛だぜ?


「彩、いこうか」

「はい…」


俺は今の感情を消したくて、彩の腰に手を回し歩き始めた。

キャッキャした今時の子なら、腰に手を回したりカラオケで歌に対し足の爪先でリズムをとると、ありえないしー!
とか思うんだろうが彩なら大丈夫だ。

素朴女子代表格だからな。

やがて店に着き、俺は彩にメニュー表も見せずさっさと料理を頼んだ。

私にも見せてよぉ!……みたく言えないからやっぱり所有物だぜ。

ペスカトーレや生ハムが載ったカナッペ、寒鰤のカルパッチョを食べながら適当に話をし時間が流れるのを待った。

「亮介さん…これ」

彩は大きめのバッグからプレゼントらしき小さな箱と少し大きめのラッピングされた袋を渡してきた。

「えっ……いいの?ありがとう」

当たり前だよな。プレゼントは。

「いいえ…」

「あ、俺からも」

俺も彩にプレゼントの香水ラルフローレンロマンスを渡した。

彩は、また瞳を潤ませている。

「わぁ…私に?ありがとう…嬉しいです」

彩は相変わらず恐縮した言葉を添えてプレゼントを受け取った。

「彩からのプレゼント開けていい?」

「あっ、はい。是非!」


中身が気になり、ゆっくりと包装紙を剥がしていった。

さぁ中身は何かな?


  • << 90 彩からのプレゼントを開けるとノーブランドのキーケースに黒いマフラーだった。 このキーケース、スーパーだな。 これだから彩みたいな素朴の塊の女には参るよ。 ファッションビルとスーパーも同系だと思ってるんだ。 惚れた男にスーパーでプレゼント買うとは。 誠に遺憾だ。 俺は面白くなかったが当然の結果のプレゼントなので、感情をしずめた。 「ありがとう。ちょうどキーケースもマフラーも欲しかったんだ」 あ…俺、マフラーなんて窮屈なものは嫌いだし杏と今度、目隠しプレイをする時に使お………な、な、何でだ。 やっぱり杏にとらわれすぎている。 俺はまた感情をしずめた。 「……良かったです!……あと、マフラーは手編みなんです。編み目が増える度、嬉しくなりながら作りました…」 あ?手編みだ?そう言う重さがイラつかせるんだよ。 ちゃんと私は確かに愛されてると確信した時に作るもんだろ。 まぁ、イニシャルが入っていないだけ救いだが。 「そうなんだ。サンキュー」 「はい……」 俺が素っ気なく返事をしたがために、彩の顔色が曇った。 イチイチ振り回されるから、やっぱり所有物だ。 そのあと、素早く飯を食い、店を出た。 彩は俺を見上げしめ縄を触っている。 このあと…………亮介さんの家で…………結ばれるんですよね? 下着は今日も純白の白です。 男の人は清楚な色が好きですよね? なんて思ってるんだろ?

No.77 15/01/06 13:48
旅人 ( ♀ )

☆主です

すみません……この小説、続けて欲しい方いますか?

複数いたら続けますし、いなかったらちょっと色々あり、精神的に病んでるので保留にしたいのです。

一時、誰でも書き込める設定にしておきます。

ネットってこわいですね

  • << 79 はい、読みたいです。是非続けて下さいm(_ _)m
  • << 80 一番大好きな作品です🙌 でも主様が心配です 大丈夫ですか?😢

No.78 15/01/06 13:55
小説大好き78 

>> 77 読んでますよ
着レスにして毎回、楽しみにしてます


でも主さんの体調が優れないなら待ちますよ

ゆっくり休んで下さいね

No.79 15/01/06 13:56
自由人79 

>> 77 ☆主です すみません……この小説、続けて欲しい方いますか? 複数いたら続けますし、いなかったらちょっと色々あり、精神的に病んでる…
はい、読みたいです。是非続けて下さいm(_ _)m

No.80 15/01/06 14:19
自由人80 ( ♀ )

>> 77 ☆主です すみません……この小説、続けて欲しい方いますか? 複数いたら続けますし、いなかったらちょっと色々あり、精神的に病んでる… 一番大好きな作品です🙌
でも主様が心配です
大丈夫ですか?😢

No.81 15/01/06 14:25
旅人 ( ♀ )

☆主です

皆さんありがとうございます。

体調が落ち着き次第、頑張ります。

非常に今、辛いです。

もしかしたらミクル利用停止になるかもしれません、

だとしたら、ごめんなさい。

ごめんなさい。

  • << 83 ありがとうございますm(_ _)m 待っていますから ゆっくり休んで元気になれたら書いて下さいね

No.82 15/01/06 14:45
はに ( W9XQnb )

読んでます!
1番好きな作品です、涼介がどうなるのか愛の病気は杏の真意は?

気になることがいっぱいです、

どうか続けてください、

らぶちゃんがなんで利用停止になるの?
訳わかんないよ、そんなのさせないよ

絶対いやだ。

  • << 86 ママのあとに私がやりましたって書いちゃったしょ? それを運営がこのユーザーはNGだと判断したら利用停止だと思うよ。 自業自得だけど、ああ書けば、ママが出てくると思ったんだ はにちゃん、悩みがあったらあっちのスレで吐き出してね 私で良ければ、いくらでも聞くから! はにちゃん、ありがとうね らぶ

No.83 15/01/06 14:49
自由人79 

>> 81 ☆主です 皆さんありがとうございます。 体調が落ち着き次第、頑張ります。 非常に今、辛いです。 もしかしたらミクル利…
ありがとうございますm(_ _)m
待っていますから
ゆっくり休んで元気になれたら書いて下さいね

No.84 15/01/06 15:04
名無し84 ( ♀ )

作者様。

握った手は離さないよ。

ゆっくり更新して下さいね。

完結目指してね。

影ながら応援しています。

ガンバ! 負けるな!

  • << 87 ねんね、ありがとう! 今は少し休んでまた再開します( ^ω^ ) 今、肋骨が折れて寝込んでます ネットばかり見ています 小説を書くという原点に戻るよ! ねんねは正しかったよ(´▽`) らぶ

No.85 15/01/06 15:17
自由人85 

ずっと待ってるから…


焦らなくていいからゆっくりとで大丈夫だよ✌


ようこ

  • << 88 ようこさん、本当にありがとう! ようこさんの優しさに少し安心してきました。 ゆっくりですが、完結させます( ´∀`) らぶ ☆この辺で閉めます 皆さんありがとう!

No.86 15/01/06 15:19
旅人 ( ♀ )

>> 82 読んでます! 1番好きな作品です、涼介がどうなるのか愛の病気は杏の真意は? 気になることがいっぱいです、 どうか続けてください… ママのあとに私がやりましたって書いちゃったしょ?
それを運営がこのユーザーはNGだと判断したら利用停止だと思うよ。

自業自得だけど、ああ書けば、ママが出てくると思ったんだ

はにちゃん、悩みがあったらあっちのスレで吐き出してね

私で良ければ、いくらでも聞くから!

はにちゃん、ありがとうね

らぶ

No.87 15/01/06 15:24
旅人 ( ♀ )

>> 84 作者様。 握った手は離さないよ。 ゆっくり更新して下さいね。 完結目指してね。 影ながら応援しています。 ガン… ねんね、ありがとう!

今は少し休んでまた再開します( ^ω^ )

今、肋骨が折れて寝込んでます

ネットばかり見ています

小説を書くという原点に戻るよ!

ねんねは正しかったよ(´▽`)

らぶ

No.88 15/01/06 15:27
旅人 ( ♀ )

>> 85 ずっと待ってるから… 焦らなくていいからゆっくりとで大丈夫だよ✌ ようこ ようこさん、本当にありがとう!

ようこさんの優しさに少し安心してきました。

ゆっくりですが、完結させます( ´∀`)

らぶ


☆この辺で閉めます

皆さんありがとう!


No.89 15/01/08 14:22
旅人 ( ♀ )



***

アリサだよ(o’∀`)♪

みんなぁ、私のこと知ってる?

勘違い女アリサのア・リ・サ☆

アリサって誰もが羨む美貌の持ち主で心も仏なの(-ι-З)

あ、嫉妬しないでね┐(-。-;)┌

らぶちゃんにアリサが励ましの言葉をかけたの☆

何でもありさ‼ ファイトだよ?

アリサみたく素敵女子になれるように、らぶちゃんもスタートラインにたとう?ってね。

らぶちゃん納得してたけど、ちょっとアリサに嫉妬してる感じだった┐(-。-;)┌

次頁からは、さよなら、あなたへが続くみたいだよ!

みんなぁ!勘のいいアリサは

みんなの声が聴こえるよ("⌒∇⌒")

アリサさん、素敵すぎる~~!

はいはーい(●´∀`●)∩ストーップ!

アリサが魅力のある子で、その点らぶさんは…

と思ったよね?

でもね、アリサが奇跡の女なの。

だから♪さよなら、あなたへも応援してあげて♪

神に選ばれた娘、不動の絶対的センター存在♪

アリサ姫でした("⌒∇⌒")

***

No.90 15/01/08 14:49
旅人 ( ♀ )

>> 76 な、何で愛なんかのことを考えるんだ! 杏ならともかく愛だぜ? 「彩、いこうか」 「はい…」 俺は今の感情を消… 彩からのプレゼントを開けるとノーブランドのキーケースに黒いマフラーだった。

このキーケース、スーパーだな。

これだから彩みたいな素朴の塊の女には参るよ。

ファッションビルとスーパーも同系だと思ってるんだ。

惚れた男にスーパーでプレゼント買うとは。

誠に遺憾だ。


俺は面白くなかったが当然の結果のプレゼントなので、感情をしずめた。


「ありがとう。ちょうどキーケースもマフラーも欲しかったんだ」

あ…俺、マフラーなんて窮屈なものは嫌いだし杏と今度、目隠しプレイをする時に使お………な、な、何でだ。
やっぱり杏にとらわれすぎている。

俺はまた感情をしずめた。


「……良かったです!……あと、マフラーは手編みなんです。編み目が増える度、嬉しくなりながら作りました…」


あ?手編みだ?そう言う重さがイラつかせるんだよ。

ちゃんと私は確かに愛されてると確信した時に作るもんだろ。

まぁ、イニシャルが入っていないだけ救いだが。


「そうなんだ。サンキュー」

「はい……」


俺が素っ気なく返事をしたがために、彩の顔色が曇った。

イチイチ振り回されるから、やっぱり所有物だ。

そのあと、素早く飯を食い、店を出た。


彩は俺を見上げしめ縄を触っている。

このあと…………亮介さんの家で…………結ばれるんですよね?

下着は今日も純白の白です。

男の人は清楚な色が好きですよね?



なんて思ってるんだろ?

No.91 15/01/08 19:01
旅人 ( ♀ )

それは大きな間違いだ。

本当に愛した女なら全てが愛しいが、利用的存在の女は穴さえあれば良いんだよ。


それに俺はヤりすぎで腰が辛かったので、その日は食事だけで終えることにした。


彩へのプレゼントの香水ラルフローレンロマンスを渡したが彩は身震いしながら喜んでいた。


引いた。


「じゃ、今日はバイバイ。また」

俺はさっさと帰りたかったので、早口でそう彩に告げた。

「えっ……」

彩の顔がひきつった。

そんなにセックスがしたいのか?

快楽を覚えたんだな。

極太マジックでも刺しとけよ。


「ごめん、疲れてるんだ。じゃあ」

俺は彩の言葉を待たずに彼女に背を向けた。

「ま………た………」


彩の悲痛な声が聴こえる。

俺は構わずスマホをジャケットのポケットから取り出した。

ホント俺は腐ってる。

父親と同じだ。

やっぱり蛙の子は蛙。

薄っぺらな人間なんだよ。




そしてスマホを見るとLINEに杏からメッセージが入っていた。


〈あなた~♪イヴに会ったばかりだけど明日会えない?
お酒飲みに行かない?〉


行く!行く行く!絶対行く!

疲れは一気にぶっ飛びテンションが上がる。

すぐに返事をしようと思ったが、じらしも必要だ。

俺はにやけていたと思う。

通りすがりのデブスが不信な顔で俺を見ていたから。


No.92 15/01/09 15:17
旅人 ( ♀ )

俺は自宅へ着き、杏からの誘いを受け入れる返事をした。

どこか店を予約する?と聞いたが新しいお店の発掘も良くない?
と提案され確かに…と思った。

「♪~♪~♪」

無意識に口笛を吹いていた。


待ち合わせは明日の20時に駅の近くで。





~翌日~

約束の時間より前に待ち合わせ場所に着いた。

杏を思い描くだけで下半身がヤバイ。

白くて決め細やかな、しっとりとした肌。

程よく豊満な乳。

プルんとしヒップアップしてる尻。

無敵と言っても過言ではない美貌。

興奮をマックスにするような魅力的な美声。


最高だ。


けれど、外から見た好きであって、彼女の内面を好きだと言うわけではない。

要は下心があるだけだ。


「あなた~♪」

俺が下らないことを考えていると杏が俺に向かって走ってきた。

赤いマフラーに鴬色の膝丈のコート。

マフラーの側で遊ぶようになびく髮。

いつも通りの艶っぽい美貌。


綺麗だ。


「おぅ!」

俺は平常心を保ち、到着した杏を見つめた。

「会いたかった~!さぁ行きましょう!」

「どんな店に行こうか?」

「あ~…あのね、今日急に、お兄ちゃんから連絡があってね、お客さんから美唄の焼鳥と室蘭の豚串をたくさんもらったんだって。
だからお兄ちゃんのお店いこ?」

はぁ~?あのインチキ不潔野郎の店か。

ぜってーやだ。



No.93 15/01/09 17:47
旅人 ( ♀ )

「え…他行こうよ。杏と二人で話がしたいな」

俺がそう言うと杏は、深く俯いた。

「どした?」

「…」

なしたんだ?

その時、杏の長い髮に涙が流れ落ちた。


「何だよ?どうしたの?ん?」

「………凄く辛いことがあって…………」

「辛いこと?」


杏は呼吸が速くなっている。

かなりの動揺だ。

顔を上げてくれたが、次から次と杏の柔らかな頬に涙が伝っている。

「…」

「どうした?ゆっくりで良いから話そう。やっぱり二人きりになれる場所が良いだろ?」


泣くな、杏。

杏には笑っていてほしい。

杏、好きだ……………



はっ…俺………もしかして………



「………辛かった…事情を話すと…呼吸が苦しくなるの………私、こんなに弱かったなんて………。お兄ちゃんが事情を知ってるから、お兄ちゃんに聞いて欲しいの。
私は辛くて話せないの……そのあとは二人になろう………私を離さないで………」


杏は涙ながらにそう言うと俺の胸にうずくまってきた。

柔らかな香りがする。

身体も柔らかい。

髪の毛に触れても柔らかい。


杏の柔らかさに触れ、俺はもう拒否できない心境になっていた…


「わかったよ…」


一体、杏に何があったんだ………



No.94 15/01/11 21:11
旅人 ( ♀ )

涙が止まらない杏の肩を抱き、インチキ不潔野郎のbarへ向かった。

兄貴から話すって家族の問題か?

混乱しながらbarに到着しカビの前兆の赤い汚れがついたドアを開ける。




店内は誰も居なかった。

「いらっしゃい……」

杏の兄貴がカウンターの椅子に座り足を組ながら浅く礼をしてきた。


「あなた…座ろう?」

ようやく杏が言葉を発した。

「ああ…」


二人でカウンターの席に座ると、兄貴は立ち上がりカウンター内に入った。


「何飲む?」


兄貴は冷静に俺に聞いてきた。

「大事な話があるみたいだから、コーヒーで」

「……わかった」


兄貴は、俺と杏にアイスコーヒーをいれてくれた。

「何かあったんですよね?」

俺が聞くと兄貴は、口元を押さえ目が泳ぎ始めた。

ん?……人は嘘をつく時、目が泳ぎ口元を触る。


今まで嘘をついてきた奴らはそうだった。


嘘つきの俺も嘘をつく時、そのような仕草に走りやすい。

亮介、落ち着け。

罠だ、きっと。罠なんだ。

俺は冷静さを保ち兄貴の言葉を待った。



「実はね………」

「はい」


「杏の師匠のミオン先生の話をしただろ?」

「ミオン……ああ、はい」


「騙されたんだよ、杏が」

「騙された?」


俺は兄貴の次の言葉が想像ついていた。

No.95 15/01/12 16:59
旅人 ( ♀ )

「うん、要はインチキ占い師だったんだな。杏は200万払って弟子入りした。なのに姿をくらましたんだよ」

「そうなんですか…」


だから、金をくれって言うんだろ?


「うっうっう……」

杏は嗚咽を漏らして泣いている。

ごめんね、杏。

俺、バカだけど、この話の魂胆くらいはわかるよ。

最初から金だったんだろ……

どうしてなのか胃がキリキリしてきた。

「でね…」

兄貴が口を開いた。

「はい」



「恥ずかしながら俺は借金抱えてるし、杏を助けたくても助けられないんだ……君、杏の婚約者だよね?
杏を助けてあげてくれないかな。200万……何とかならないかな…」

「婚約者じゃありませんよ。勝手に杏が騒いでただけです」


俺が、あっさりそう言うと杏は険しい顔でこう言った。

「…婚約者じゃないって!………あんなにしたのに?遊びだったの?ねえ?………遊び?遊びだったの?
あなたまで裏切るの……?」


名演技だな。

構ってらんねーわ。

やっぱり、この世は裏切りが大半だよ。

すると。

兄貴がカウンター内から飛び出し、土下座を始めた。


「この通りだ………!頼る人が君しかいないんだよ。頼む……」

兄貴は土下座して下を向いたまま、そう言った。


ん?


兄貴のヨレヨレの黒いシャツの胸元………





No.96 15/01/13 17:36
旅人 ( ♀ )

「なんか熱いな」

兄貴は顔を上げ、シャツのボタンをひとつ外し、更に胸元が強調された。








兄貴の胸元には刺青が刻まれていた。

それをわざと強調するように、胸元を広げやがって。

脅してるつもりかよ。


「君が納得してくれるまでこのままでいるよ。頼む!大事な妹なんだ。助けてやってくれ」

そうやって金を騙しとるんだろ?

俺より悪質な男だよ。ああ、ずっと土下座スタイルで居ればいいさ。



「すいません……自分バイトなんで金なんてありません。失礼します」

俺はバイトだと嘘をつき、兄貴のbarを出た。


すると、すぐに兄貴と杏が追ってきた。

兄貴の額に血管が浮き彫りとなっている。


「おまえ、俺の大切な妹をおちょくったのか?」

「何度も言いますが、杏が勝手に結婚、結婚と騒いでいてセックスしたくて仕方ないようだったので抱いてあげました」



「何だと!貴様!」


兄貴は俺の胸元を鷲掴みにし持ち上げた。

が、力はないな。

俺は両手で兄貴を振り払った。

騙してんのに逆ギレかよ!?


そのまま俺は走った。

勉強は出来なかったが運動神経は、なかなかなんだよ。

兄貴と杏も追いかけてきたが、俺がエレベーターに乗った瞬間、扉は閉まった。


エレベーターの扉の向こうには、悪魔のように怒りを放った目付きの杏の顔が見えた。



No.97 15/01/13 21:23
旅人 ( ♀ )




さよなら、見慣れたこの景色。


さよなら、大好きだった本たち。


さよなら、仲良くしてくれた数少ない友。


さよなら、大好きな雑貨たち。


さよなら、励ましてくれた曲たち。


さよなら、ずっと変わらぬたくましい樹木。


さよなら、変化を続けても存在する風。


さよなら、思い出のアルバムたち。


さよなら、河川敷の下の仔猫ちゃん。


さよなら、温もりをくれたおふとん。


さよなら、遠くで待ってくれていた未来。






さよなら、大好きな青空。


さよなら、煌めく星たち。


さよなら、やんちゃな弟。


さよなら、お父さんお母さん。





さよなら、苦しくて仕方ないこの気持ち。


さよなら、初めての恋心。


さよなら、惨めな私、カッコ悪い私。








そして









さよなら、あなたへ


さよなら、あなたへ





描かれない空に向かって指で、そうなぞるよ…








No.98 15/01/14 21:00
旅人 ( ♀ )

バカだった。


自分に呆れながら、その日はタクシーに乗った。

彩からもらったマフラーで杏とアレコレしようだの、浮かれて口笛を吹いていたり。あーあ。

情けない男だよ。


思えば出会いから変だったんだ。

“花柄のネクタイしてる、私の運命の人。”


この世に、そんなドンピシャな予言できるヤツなんていない。

最初から、胡散臭かったのに杏の美貌に負けていたんだ。

女どもにいつも心の中で暴言を吐きながら、俺だって簡単に騙されるバカな男だよ。

やっぱり、あーいうモテそうな女は調子に乗ってんだ。

簡単に裏切る。簡単に利用する。



人にしたことは自分に返ってくるってホントだな。

アハッ。

おとなしく彩を彼女にしといて、適当にあしらい、たまに愛をバカにして、また新たに遊び相手でも見つけるか。

懲りない男だよ。俺は。



その時、スマホのメール音がなった。

何故かドキッとする。












彩からだった。


なんだ彩か。とがっくりきながらメールを開いた。











〈まちあわせは 駅の 近く 20時

見たよ

私、信じてたのに


さよなら 探してもくれないだろうけど 探してもどこにもいないから さよなら………〉



いつも綺麗な配列でメールをよこす彩だが、文が乱れていた。


なんだこれ?


見たよ?さよなら?





さよなら………………





No.99 15/01/14 22:04
旅人 ( ♀ )

私は生まれた時から、大変なものを背負ってきた。

けれど、それはただ背負っているだけ。




人に深く愛され、人を深く愛すことができる女性になりますように。

そう願いを込め母が私に付けてくれた名前。


“愛”


私は愛を背負い生きてきた。

この名の如く愛に満ちた人生ならば良かったのに。

悲しいことに、ただ背負っているだけだ。




笹原 愛、26歳。

誰からも愛されてはいないけど、好きな人はいる。

河内 亮介、30歳。

彼が好き。大好き。

でも、愛してるのかはわかりません。

なぜなら私の心は激しく寂れていて、愛が残っているのかは分からないから。



私は病気を抱えている。

いずれ死に至るんだと思う。

それなのに、亮介に恋をした。

最後の恋。実りなき最後の恋。



あと少し、亮介の傍にいることができたなら、私は死を待たずに自らこの世を去ろうと思っている。


私には生きている資格なんてないから。


生きている資格もないのに、図々しく恋をして。


自分が情けない。






私は、最愛の母と弟を殺した。


この罪の深さは計り知れない。


だから、私も死ぬんだ。


さっさと死ねと急かすように、悪魔が私を苦しめるよ……





No.100 15/01/15 17:32
旅人 ( ♀ )

病気によるストレスからなのか、重症の蕁麻疹に悩まされた。

頭皮も顔も首も上半身、下半身全てが痛痒い。

掻くとみみず腫のように全身が盛り上がり、ケロイドのように赤くなる。


たかだか蕁麻疹と言う人もいるが、地獄の苦しみだ。

みみず腫は、時間が経てば引くけど血管が広がるような熱い場所に行くと、また激しい痒みが襲ってくる。


我慢出来なく掻けば掻くほど気が狂いそうになる。

そして全身が盛り上がり痛くヒリヒリし、熱くなる………



熱くなる度、思うんだ。

これは私への警告なんだと。

人殺しが、ぬけぬけと何故生きているんだと。


だから、もうひとつの病気で死に至る前に私は死ぬ。


それなのに神様は意地悪だ。

私の蕁麻疹は重症で、副腎皮質ホルモン剤を間隔をあけて服用している。

皮膚科も、もうひとつの病と同じ総合病院に掛かっていた。



ある日。

精算機の場所が変わって、血迷っていた。

傍に事務員らしき背の高い男の人がいたから、声をかけた。


『すいません……』

私が呼び掛けると、男性は振り返った。

その時、衝撃が走った。

何故なのかはわからない。

背が高くてイケメンで、タイプだと言うことは確かだ。でもそれだけじゃない。

『どうしました?』

『あ………精算機の場所変わりましたか?』

『ああ、そうなんですよね。ここから真っ直ぐ………………』


丁寧に説明してくれる男性は、口元は笑っていても…目が泣いていた。


涙が流れてる訳ではない。


悲しく儚げな視線だと私には感じたんだ…




  • << 102 副腎皮質ホルモン剤を服用してから、顔が腫れ上がってきた。 ムーンフェイスと言うらしい。 ホルモン剤は長期間服用すると体に害があるのでサイクルを決めて一旦、お休みをしては、また服用する。 ホルモン剤が抜けたら、抗ヒスタミン剤を服用するがあまり効果がない。 体調は優れないけど、その変わり顔の腫れも収まる。 また腫れ上がるけど... 私の顔は、よく誉められていた。 パッチリ二重に長い睫毛、色白の小顔。 その顔も腫れ上がることにより破壊された。 気に入っていた大きめの二重も肉で埋まり一重になり、睫毛も抜け落ちた。 やりきれなかった。 その為、アイプチをしたりマツエクもした。 通院する病院先で気になるあの人のこと、少し顔に自信がある時は、まじまじと見つめたこともあった。 テキパキ仕事をこなし笑っているけど、やっぱり悲しい目をしてる。 横顔も綺麗なのに… 綺麗なのに、俯いた時の目が悲しげだよ。 あなたも寂しいの…? 出口の見えない迷路をさまようように生きてきたの? 受付で仕事をこなす彼をずっと見つめていると、目があったこともあった。 鼓動が激しくなる。 やっぱり、寂しくて人恋しい顔をしていた。 恋心は募るばかり。ただ遠くから見てるだけなのにね。 消えてなくなってしまった何かを、追い求めるようなあなたへ。 私も同じだよ。でも一方的で、あなたに近づけることはないよね…
投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

お知らせ

5/28 サーバメンテナンス(終了)

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧