注目の話題
全員和食にしてと言う義母。
彼氏が他人の子供を面倒みています
愛猫の病気で遠方の葬儀に参加しない件について

サプライズ

レス359 HIT数 49414 あ+ あ-

ナルシスト( 84wJh )
15/04/01 23:45(更新日時)

彼はサプライズが大好きな人!

14/11/13 10:17 追記
サプライズにお付き合い頂きありがとうございます。

感想はナルシストの部屋でお待ちしております。

……★ナルシスト★……

No.2150227 14/10/21 17:41(スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.101 14/11/01 11:24
ナルシスト ( 84wJh )

再度笑えないピエロに送信した。

  何が目的なんですか?   
  何故私が最後に泣くのですか?

………☆送信…………

すぐに返事が来た。

……………笑えないピエロさん…………

  最後のメッセージ

    サプライズ

…………☆返信☆………

何なのまだメッセージカードが来るって事?
私は再度メールをした。
すると エラー になっていた。

サプライズ、サプライズって喜ばせる意味だと思っていた。
私と関連ある人で私にこんな細かい個人情報を知っているのは、裕太しか想像出来なかった。

裕太が私に悪戯するなんて有り得ない。
連絡すらして来ない裕太に、また何の為にそんな悪戯するメリットも無いはず。


     一体誰なの?

No.102 14/11/01 13:29
ナルシスト ( 84wJh )

お父さんにはこの事だけは言えない。
お母さんを亡くしてからお父さんは私が居なくならないか?
凄く気にしている事すら良く分かる。

沙友理
「お父さん、今日は出来合いで済ませてもいい?」

父親
「単身赴任で慣れてるから、思い出すよ単身赴任を」

お父さんの顔は後悔していたかの様に曇っていた。

父親
「電話番号…変えようか?」

沙友理
「どうして?」

父親
「覚悟したよ、変えよう」

沙友理
「駄目だよ…またお母さんとの思い出無くすの?」

父親
「母さんは分かってくれるよ」

沙友理
「嫌だ!これ以上相手の思うツボにはまるの?」

父親
「もう過去を清算する為にもだよ」

沙友理
「無理だよ…お母さんの思い出を消すなんて、もし、お母さんが電話したくても、出来ないんだよ」

父親
「過去より、父さんは今の沙友理が心配なんだよ」

沙友理
「嫌だ…時間下さい…」

父親
「うん……」

お父さんの口から初めて聞いた、過去の清算。
あの男は私達親子に恨みを持って居るのか?

No.103 14/11/01 13:37
ナルシスト ( 84wJh )

冷めたお惣菜をレンジで温め私達親子は無言で食事をしていた。

恐怖に怯えながら、いつ電話の音が鳴るか分からない隣りの部屋で。

沙友理
「お父さん、お布団引いておくらか、早くお風呂入ってね」

父親
「ありがとう」

私は電話の受話器を外した、今晩はあの恐怖から逃れられる。

反対に良く眠れる安心感すら湧いていた。

父親
「気持ち良かったよ」

沙友理
「お父さん、後ろの髪の毛まだ、濡れてるよ、タオル貸して」

父親
「後ろに目がないから、分からないよ」

何だかお父さんが小さく見えた。
私は裕太と結婚しても、お父さんは私が引き取ろうと思ってた。

父親
「沙友理、くすぐったい、やめてくれ」

No.104 14/11/01 14:12
ナルシスト ( 84wJh )

お母さんが私を起こしてくれた、食事の支度をしてくれた、合図の時計は鳴らない。

私達親子が必要としていた時計の役目はおわったのか?

今は腕時計で確認するようになってしまった。
固定電話も携帯のお陰で必要なくなって来ている。
お母さんの思い出は時間と共に薄れてくるのか?

父親
「沙友理、今日会社に行くのか?」

沙友理
「うん」

父親
「大丈夫か?」

沙友理
「平気よ」

全く平気ではなかった。
お父さんが心配するから、何よりもそれが心配だった。

沙友理
「お父さん、今日は早く出かけるね、戸締まりと火のチェックお願いね」

父親
「何かあればすぐ連絡しなさい」

沙友理
「ありがとう、行って来ます」

私はある場所に行きたかった。

No.105 14/11/01 14:23
ナルシスト ( 84wJh )

電車に乗り連絡が来ない裕太の会社に向かった。
続々と入って行く社員さん。

受け付け
「いらっしゃいませ」

沙友理
「今市沙友理と言います」

受け付け
「今市沙友理様ですね」

沙友理
「小池裕太さんおられますか?」

受け付けの人は部署帳を見ていた。

受け付け
「本日は直接に現場に行ってますね?」

沙友理
「人事異動はこの時期ですか?」

受け付け
「うちは少し時期が違って……何か?」

沙友理
「小池さんは転勤ですか?」

受け付け
「それは…教え出来ません」

沙友理
「もう1人の受け付けさんは?」

受け付け
「寿退社なんですよ」

沙友理
「ありがとうございました」

私は裕太が来るのを待っていたが、現場なら会えないだろう。

会社から離れて、裕太にメールした。

………………………・・…………

おはよう裕太!
今日現場なんだってね!
あの…連絡欲しいの。
話したい事があってね?
待っています。

沙友理

   送信

No.106 14/11/01 15:55
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理はそのメールを送り会社に向かった。

沙友理
「おはようございます」

先輩
「おはよう」

沙友理
「あの…先輩は何人兄弟ですか?」

先輩
「妹が居るんだよ」

沙友理
「私一人っ子だから羨ましいです」

先輩
「沙友理ちゃんの兄貴みたいなもんだよ」

沙友理
「ありがとうございます」

先輩
「今日は体調大丈夫なの?この間顔色悪かっから」

沙友理
「大丈夫です」

「こんにちは」

沙友理
「多田さん、お久しぶりです」

多田さん
「今市さんのお勧めの本怖すぎるね」

沙友理
「夜は見ない方がいいですよ」

多田さん
「夜勤に見てるんだよ」

沙友理
「多田さんに聞きたい事あるんですが」

沙友理
「先輩すいません、休み時間今使っていいですか?」

先輩
「暇だからいいよ」

私は多田さんに聞いておきたい事があった。

No.107 14/11/01 18:24
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「多田さん、すいません」

多田さん
「どうしたの?あれからなんかあった?」

沙友理
「メッセージカードや、ピエロの人形と不審な電話など」

多田さん
「警察は?」

沙友理
「相談に行きました」

多田さん
「何て言ってました?」

沙友理
「脅迫でもないからと、取り合ってくれませんでした。」

多田さん
「僕は消防なので、警察とは全く違いので」

沙友理
「そうなんですか?」

多田さん
「消防隊員と救急車は同じ部署ですが、消防隊員は救急隊とも又違ってるんです」

沙友理
「警察と一緒だと思ってました」

多田さん
「すいません、ただ僕の友達が警察官なんで、相談しておきます」

沙友理
「お願い致します」

多田さん
「住所聞いてもいいですか?」

沙友理
「はい」

多田さん
「それと……」

No.108 14/11/01 20:00
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「すぐメモしますから」

多田さん
「その人をすぐ信用するのが駄目なんですよ」

沙友理
「ご指摘通りです」

多田さん
「僕だからいいけど、僕かも知れませんよ」

沙友理
「えっ?」

多田さん
「犯人が」

沙友理
「そうなんですか?」

多田さん
「あいにく今市さんの携帯も、住所も知りません」

沙友理
「びっくりさせないで下さいよ」

多田さん
「今の所被害がないなら、次回にします」

沙友理
「すいません」

先輩
「沙友理さん、文具整理お願い」

沙友理
「はぁーい」

沙友理
「多田さん、ありがとうございました」

多田さん
「また何かあったら、携帯に電話してください。僕は待ってる側ですから」

沙友理
「ありがとうございました」

先輩
「ごめんね、少し整理品が届いたから」

沙友理
「融通聞いて貰って、すいません」

多田さんの表れるタイミング、理解者は父親と多田さん。

No.109 14/11/01 20:06
ナルシスト ( 84wJh )

ポケットの携帯のバイブが震えた。
裕太だった。

トイレに入り、裕太と話した。
裕太
「沙友理、ごめんね」

沙友理
「裕太じゃないよね?」

裕太
「何が?」

沙友理
「会えないかなぁ?」

裕太
「今日?」

沙友理
「明日じゃ無理?」

裕太
「時間作るよ」

沙友理
「明日休む予定」

裕太
「どこか悪いの?」

沙友理
「違うの…用事」

裕太
「明日連絡するよ」

私は分かっていた、裕太が私に本気なのか?
    知りたかった。

No.110 14/11/01 20:17
ナルシスト ( 84wJh )

在庫の整理と発注した商品の整理をしていた。

沙友理
「先輩、明日突然なんですが、お休み頂いて、いいですか?」

先輩
「明日ね~シフトにバイトの人が入るから、構わないけど、どうしたの?」

沙友理
「父親の体調が悪くて、今も連絡が来ました」

先輩
「お父さん、大丈夫なの?」

沙友理
「母親を亡くしてから、駄目になっちゃって」

先輩
「それなら尚更だね」

沙友理
「すいません、突然で」

先輩
「お大事にね」

私の人生は明日にかかっていた。
裕太との人生も私の人生も。
泣いてなんて居られない、お父さんは私が守る。

No.111 14/11/01 21:10
ナルシスト ( 84wJh )

帰り道にスーパーに寄るのが私の日課。
今日は何にしょうかなぁ?

多田さん
「今市さん!」

沙友理 
「えっ?」

何故多田さんが私の駅に居るの?

多田さん
「すごーい偶然って本当にあるんですね?」

沙友理
「びっくりしました」

多田さん
「僕もびっくりです」

沙友理
「どうして?」

多田さん
「この駅だったんですか?」

沙友理
「はい」

多田さん
「今日話してた警察官の連れがこの駅に居るんですよ、相談しようと思って」

沙友理
「気にかけさせて、すいません」

多田さん
「お買い物ですか?」

沙友理
「はい」

多田さん
「お母さんの体調が悪いとか?」

沙友理
「いえ、母は亡くなっています、父親と暮らしています」

多田さん
「寂しいですね」

沙友理
「慣れました」

多田さん
「気をつけて下さいね」

沙友理
「ありがとうございます」

私達はわかれた、偶然なの?

No.112 14/11/01 21:17
ナルシスト ( 84wJh )

スーパーの後から多田さんが付けていないか?
買い物どころではなくなった。

私は早足しで家に帰った。
お父さんはまだ仕事から帰って居なかった。
段々近付く私達の家、一歩、一歩、近づいた。


スーパーの袋と私の鞄は、バザーっと音が鳴った。
凍りつく恐怖で手に力が抜けていた。

    玄関のドアの前に


   真っ赤なピエロ
    涙も真っ赤に
     泣いてた
   


…………★サプライズ★………

   もうすぐ君は泣くよ

    真っ赤な涙で

No.113 14/11/01 23:59
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「ぎゃ………」

「大丈夫ですか!」

沙友理
「誰か!怖い……」

「もう大丈夫ですよ!」

私の視界に入ったのは多田さんだった。

沙友理
「多田さん?貴方なの?」

多田さん
「違いますよ…声がしたから…」

沙友理
「多田さん、教えて…誰なの…誰…」

多田さん
「今市さん、落ち着いて、ね、落ち着いて」

沙友理
「多田さんじゃないなら、誰なのよ!」

多田さん
「友達呼びますから…今呼びます」

沙友理
「もう……嫌…嫌なの…」

多田さん
「すぐに来て欲しいんだ、住所は……今市さん、話せますか?」

沙友理
「怖い…怖い…お願い…助け…て…」

多田さん
「落ち着きましょう、まずここの番地だけ、教えて下さい」

沙友理
「○丁目○○番地」

多田さん
「今市さん、今市さん、大丈夫ですか!」

No.114 14/11/02 00:19
ナルシスト ( 84wJh )

多田さん
「今救急車呼ぶから、頑張ってくれる」

沙友理
「お父さんが帰ってないから……」

多田さん
「お父さんには警察から連絡させるから」

沙友理
「お父さん…」

多田さん
「救急車1台、住所は○○丁目○○番地」

多田友
「多田どうしたんだ?」

多田
「これなんだよ」

多田友
「これ酷いなぁ」

多田
「救急車呼んだから、後頼むわ」

多田
「今市さん、大丈夫ですよ」

真っ赤に泣いているピエロは多田さんの友達が持って帰った。

救急車に多田も乗り、病院に沙友理は、運ばれた。

No.115 14/11/02 00:28
ナルシスト ( 84wJh )

ピーポー、ピーポー、ピーポー、ピーポー。
多田
「すまない、知り合いなんだよ」

救急隊員
「多田さんのお知り合いですか?」

多田
「かなり恐怖で興奮してるから」

救急隊員
「心拍数が少し早いだけで、血圧は大丈夫です」

多田
「良かったよ」

救急隊員
「大丈夫ですか!すぐ病院に着きますから」

多田
「まだ帰ってない、父親を心配してるんだ」

多田
「お父さんには連絡するからね」

隊員
「意識レベルは」

多田
「どうなんだ」

隊員
「かすかに聞こえてると思います」

隊員
「聞こえますか?」

救急車の中でかすかに聞こえていた。

No.116 14/11/02 00:56
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「お父さん、お父さん」

ストレッチャーに運ぶ

  せぇのぉーーーーー

多田
「今市さん、着きましたよ」

沙友理
「多田さん…ありがとうございます」

多田
「大丈夫ですからね、心配ないですから」

沙友理
「裕太にも、裕太来てよ」

多田
「彼氏ですか?」

沙友理
「はい」

多田
「明日は帰れますからね」

沙友理
「ありがとうございました」

沙友理はすぐに処置室に入り点滴をした。

夜勤の勤務医が担当していた。

医師
「大丈夫ですか?」

沙友理
「多分…私…妊娠しています」

医師
「病院は?」

沙友理
「明日行く予定です」

医師
「なら余計に大事を取らないと」

沙友理
「父親が来ても内緒で」

医師
「明日、専門医に受診して下さい」

沙友理
「ありがとうございます」

医師
「看護師さんお父さん来られたら案内してあげて」
 
看護師
「分かりました」

No.117 14/11/02 01:06
ナルシスト ( 84wJh )

かすかに段々聞こえて来たお父さんの声。

父親
「今市沙友理の父親です」

看護師
「今処置室で点滴をしています」

父親
「すいません」

看護師
「先生のお話がありますから」

父親
「先生、お世話になりました」

医師
「緊張と恐怖感による、発作みたいなもので、命には関わりません、点滴が終われば帰って下さい、お大事に」

父親
「沙友理、びっくりしたよ、大丈夫か?」

沙友理
「怖いの」

父親
「多田さんだったかなぁ?友達の警察官の人に、連絡を貰った、びっくりしたよ」

沙友理
「ごめんね、お父さん」

父親
「大した事なくて、良かったよ」

その人形は一応多田の友達が持って帰ったが、有力な手がかりはなかった。

No.118 14/11/02 09:33
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理は天井を眺めて考えていた。
沙友理
「そんな事はない、絶対にある訳がない、確信がない、そんな事をする確信が、」

父親は心配そうな沙友理の点滴が終わる事をずっと側で眺めていた。

沙友理
「お父さん、点滴終われば帰っていいみたい、明日私大切な用事あるから、出掛けるね」

父親
「もう会社も辞めていいから」

沙友理
「仕事は続けます、続けないと困るの」

父親
「お前1人くらい食わせれるから」

沙友理
「もしかしたら、また1人増えるかも?」

父親
「どうしたんだ?何なんだ?」

沙友理
「会えば分かるのあの人に……」

No.119 14/11/02 12:15
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「お父さん、もう帰って、明日会社だから」

父親
「心配だから」

沙友理
「もう大丈夫だし、タクシーで帰るから」

父親
「沙友理無理しなくていいんだよ」

沙友理
「1人になって考えない事があるの」

父親
「そうかぁ、分かった」

沙友理
「お父さん…ありがとう」

父親
「必ずタクシーで帰って来いよ」

沙友理
「うん」

父親は処置室のドアに向かっていた。
何故か悲しそうな後ろ姿だった。

No.120 14/11/02 12:52
ナルシスト ( 84wJh )

裕太からの連絡もない、裕太何か隠してる。
早く点滴終わらないかなぁ?
裕太との出逢いから、今までを考えていた。
裕太は私に都合を合わしてくれてた。

朝、昼、夜、必ずメール返信もくれていた。
なのに何故裕太は返信をしなくなったのか?

裕太が転勤の話をたもちだしたのも突然。
辞令が出れば必ず知らせてくれるはず。
出版社に転勤なんてあるのかなぁ?

裕太とのセックスも、そう言えば、愛してる、結婚しようぜ、なんて言わなくなった。
反対に親に会う事を避けている様に感じた。

何故裕太は変わってしまったのか?
犯人と裕太?

確信はない。
でもあの人に間違いない。
何故あの彼が私をこんな目にあわすのか?

あの優しい笑顔の奥で、残酷卑劣な行為。
同じ人物とは思えなかった。

No.121 14/11/02 21:22
ナルシスト ( 84wJh )

看護師さん
「今市さん、点滴終わりましたね」

沙友理
「気持ち楽になりました」

看護師さん
「良かったです。針抜きますよ」

私は点滴の針を抜いた腕からの真っ赤な血が、あの真っ赤なピエロと同じ色をしていた事に気づいた。

あの真っ赤に染まった、真っ赤な涙の、ピエロ。

背筋が凍りついた。

看護師さん
「少しの間、押さえておいて下さいね」

沙友理
「ありがとうございます」

看護師さん
「血が、止まったら、このシール貼ってくださいね、お大事に」

私は病院を後にしようと思ってたら。

多田さんが来てくれた。

多田
「今市さん大丈夫ですか?」

沙友理
「本当にお世話になりました。」

多田
「体調はどうですか?」

沙友理
「少し楽になりました」

2人の会話を聞いている?
ピエロの主さん。

No.122 14/11/02 21:34
ナルシスト ( 84wJh )

多田
「今市さん、あの例の人形なんですが」

多田さんは私に気遣いながら話してくれた。

沙友理
「あの人形ですよね?」

多田
「警察の友達が被害届け出してくれました」

沙友理
「えっ?被害届け出せたんですか?」

多田
「すいません、今市さんの住所で、勝手しました」

沙友理
「助かります」

多田
「あれはやばいですね?」

沙友理
「犯人は誰だか分かりませんか?」

多田
「全く手掛かりがなくて」

沙友理
「私も探してみます」

多田
「ストーカーかも知れませんから、夜のパトロールも頼みました」

沙友理
「何から何までありがとうございます」

多田
「今日のご予定は?」

沙友理
「確認したい事がありまして…」

多田
「僕の携帯にいつでも連絡下さい」

沙友理
「ありがとうございました」

私は被害届けが出された事に少し安心した。
ストーカーなんて思いもよらなかった

No.123 14/11/02 22:20
ナルシスト ( 84wJh )

朝から行きたかった場所は、そう産婦人科。
分かってたの、身体に異変がある事は。

診察よりもうお腹の中が何ヶ月なのか?
裕太との愛の証のお腹の子供を。

待合室に検査問診票を提出してその時を待っていた。

看護師さん
「今市さん、どうぞ」

沙友理
「すいません」

先生
「4ヵ月に入りました」

沙友理
「ありがとうございます」

先生
「エコーしましょう」

機械から流れる、子供の心音。

ドク、ドク、ドク

繰り返される裕太との子供の心音。

今の先生はこう聞くのか?

先生
「どうされますか?」

沙友理
「産みます」

先生
「また健診に来て下さい」

驚きも戸惑いもなかった。
あんなに大好きな裕太の子供を、私が手離す筈がない。
裕太は照れながら嬉しい表現を、身体いっぱいに表せてくれるかなぁ?

もしかしたら抱きかかえてくれるかなぁ?
嬉しかった!
裕太と私の赤ちゃんが、お腹にいる事を。

No.124 14/11/02 22:39
ナルシスト ( 84wJh )

妊娠に希望が満ち溢れていた。
裕太に話すタイミングを探していた。

裕太の好きなサプライズなんかもいいかも!
   
   サプライズ

   サプライズ

私と裕太には関係ない、サプライズ
きっとストーカーに違いない。
多田さんも言ってくれてたよね?
パトロールに回る事を、少しだけ安心だった。

都合良く、裕太からの電話。

沙友理
「もしもし」

裕太
「遅くなってごめん」

沙友理
「大丈夫だよ」

裕太
「今から会える?」

沙友理
「私も話があるの!」

裕太
「いつもの場所だぞ」

沙友理
「分かった!」

私は早く裕太に子供の事を伝えたかった。
裕太びっくりするよ!

No.125 14/11/02 22:54
ナルシスト ( 84wJh )

裕太といつも待ち合わせの場所には大きな時計の下だった。
裕太は走りながら私に近づいて来た。

裕太
「はぁはぁ沙友理、お待たせ」

沙友理
「裕太はいつもなんだから」

裕太と同じ強さで握ってた手は今日は私の方が少し強めだった。
肩にもたれかかり、何を食べようか!
なんて話してた。

ちらっと人気を感じた。

沙友理
「怖い!」

裕太
「どうしたの?」

私の勘違いなのか?
人気がしたように思った。

沙友理
「人違いかも?」

裕太
「何に食う?」

沙友理
「とんかつ!」

裕太
「よし、豚カツ、出発!」

沙友理
「進行!」

No.126 14/11/03 10:41
ナルシスト ( 84wJh )

裕太の顔を見れば安心感が私の心を癒やしてくれた。
沙友理と裕太は食堂ターミナルに足を運んだ。

裕太
「うーん、このお店にするか?」

沙友理
「美味しいだね」

裕太
「ここに入ろうっか!」

沙友理
「うん」

付き合い始めた当初から沙友理は益々裕太の事が好きになっていた。


裕太
「タイミング悪かったかなぁ、満席だよ」

沙友理
「待てばいいじゃん、私待つこと嫌いじゃないよ」

裕太
「俺は無理」

沙友理
「待つこと嫌いじゃなかったら、裕太と付き合えないよ」

裕太
「……」

沙友理
「怒った?」

裕太
「違うよ」

沙友理
「なら、何に?

少し気まずいムードになり、無言で準備を待っていた。

No.127 14/11/03 10:48
ナルシスト ( 84wJh )

裕太
「後2人だなあ」

沙友理
「食事したら話したい事があるの」

裕太
「俺もなんだ」

沙友理
「何?今話して」

裕太
「こんな人混みで話せないよ」

沙友理
「そうね」

裕太
「次だよ」

沙友理
「本当に」
 
裕太の話って転勤の話しくらい分かってた。

No.128 14/11/03 10:58
ナルシスト ( 84wJh )

裕太
「よし!行こうか、沙友理」

私達はようやく、豚カツ定食にたどり着いた。 

沙友理
「裕太、少し食べてくれる?」

裕太
「どうした?体調悪いのか?」

沙友理
「私が食べたいって言ったのに、ごめんね」

裕太
「ラッキー!頂きまーす」

無邪気に食べている姿見ていると、お腹の子供の父親とは思えない。

沙友理
「美味しい?」

裕太
「ばかうま!」

沙友理
「裕太、ごめん、トイレに行くわ」

裕太はもくもくと食べていた。

トイレに走り込んだ沙友理は、つわりか?
トイレで吐いていた。

沙友理
「苦しい」

No.129 14/11/03 11:22
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「お待たせ」

裕太
「遅かったなぁ、大丈夫なの?」

沙友理
「病気じゃないから」

裕太
「食べちゃったぞ」

沙友理
「行こうか!」

裕太
「沙友理、食べてないじゃんか」

沙友理
「裕太の顔見たら、お腹いっぱいになったから」

早く裕太の話も聞きたかったし、私も裕太に沢山話したかった。

裕太
「行こうか!」

沙友理
「出よう!」

裕太
「どこに行く?」

沙友理
「ゆっくり話せる所がいい!」

裕太
「行っちゃう?」

沙友理
「行こう」

裕太はラブホと考えているだろう?
どこでもいいの、2人で話せるなら。
私の目的はセックスではない、裕太との時間が欲しいの。

No.130 14/11/03 12:33
ナルシスト ( 84wJh )

昼間からホテル街に歩く2人。
裕太
「ゆっくり話せるだろう?」

沙友理
「反対にここしかないかも?」

裕太
「真剣な話しあっから」

沙友理
「私も」

裕太
「入るぞ」

沙友理
「うん」

2人はギュッと手を繋ぎホテルに入って行った。

………★いらっしゃいませ★………

ご希望のお部屋のボタンを押して下さい。

裕太
「一番安い部屋でいいよな」

沙友理
「うん」

……★302号室、ごゆっくり★……

裕太
「沙友理」

沙友理
「ありがとう」

いつも裕太と愛情を確認するホテル、今日は生々しいホテルの、雰囲気は違って見えた。

No.131 14/11/03 14:41
ナルシスト ( 84wJh )

裕太とやっと2人っきりになれたんだ!
裕太に沢山聞いて貰いたかった、裕太に怖い事沢山あった事話したかった。

裕太
「沙友理」

沙友理
「裕太!ずーっと、ずーっと離さないで、お願い怖いの」

沙友理のその言葉に裕太の手は力がなくなった。

沙友理
「裕太?」

裕太
「…」

沙友理
「裕太?どうしたの?」

裕太
「ごめん…」

沙友理
「裕太?何謝ってるの?」

裕太
「すまない…」

沙友理
「何がすまないの?愛してるんだよね?」

裕太
「ごめん」

沙友理
「意味分からないよ…」

裕太
「……」

沙友理
「何黙ってるの?」

沙友理
「答えてよ!」

No.132 14/11/03 14:54
ナルシスト ( 84wJh )

裕太
「転勤になってさぁ」

沙友理
「そうなんだ」

裕太
「会えなくなるね」

沙友理
「何故?会えないの?」

裕太
「転勤するし……」

沙友理
「私も引っ越すよ、会社も辞める」

裕太
「終わりに…しよう」

沙友理
「何が?終わりなの?」

裕太
「ごめん」

沙友理
「ごめんじゃ分からないよ?」

裕太
「別れて欲しい……んだ」

沙友理
「サプライズかなぁ?」

裕太
「本当の…サプライズ…」

沙友理
「何で?」

裕太
「結婚した…」

沙友理
「結婚して下さいでしょう?」

裕太
「結婚した、他の女と…」

沙友理
「またまた、サプライズ?」

裕太
「まじ」

沙友理
「私と付き合ってたんだよね?」

裕太
「そのつもり…だった」

沙友理
「他にもいたの?」

裕太
「酔った勢いで抱いた…女…」

沙友理
「1回だけ?」

裕太
「そう…一度だけ…」

沙友理
「その人が何故?結婚なの?」

裕太
「出来た…」

沙友理
「何が?」

裕太
「ガキ」

2人の会話はホテルとは程遠い小さな声だった。

No.133 14/11/03 18:03
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「何? 訳分かんない? どう言う事?」

裕太
「ごめん」

沙友理
「ごめんじゃ分からないって聞いてるの!!」

沙友理の声は荒々しい、また暴言のごとく、裕太の身体全体に響き渡った!

沙友理
「何よ!一回寝た女に子供が出来たがら、結婚しました?」

裕太
「……」

沙友理
「何だったのよ!私達の1年少しは?馬鹿にしないでよ!」

沙友理の目は何筋もの涙が床にこぼれていた。

沙友理
「あのね!今私の気持ち分かる?裕太に?」

裕太
「相手の家族に呼び出され、俺ノイローゼ状態だった」

沙友理
「だから私のお父さんにも会えなかったの?あのピエロも貴方なの?」

裕太
「ピエロ?」

沙友理
「どれだけ嫌がらせするつもり?」

裕太
「俺、知らないよ!」

沙友理
「昨日も救急車で運ばれたんだよ!この腕に点滴したんだよ?わかる?」

裕太
「知らないって!」

沙友理
「ふざけないでよ!」

裕太
「落ち着いてくれよ!沙友理」

沙友理
「気安く名前呼ばないでよ!」

裕太
「……」

沙友理
「死んで下さい、一緒に死ぬ?」

No.134 14/11/03 18:19
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理は護衛用に小さなペティナイフを鞄がら出した。
沙友理
「いつ、襲われるかと、護衛用に持ってたの、一緒に死のうか?私は怖くないわよ?裕太?」

裕太
「本当にごめんなさい」

床に土下座する裕太に、ビクともしない沙友理。

沙友理
「ねぇ、おばあさんの病気も嘘なの?」

裕太
「相手の家に毎日呼び出されてた」

沙友理
「だから電話もメールも返せなかったのね!」

裕太
「後悔してる、でもどうしようもなくて」

裕太が沙友理に土下座し、言い訳している姿に、沙友理は。

沙友理
「こんな最低な男を好きだったなんて、私も見る目無かったわね」

裕太
「許してくれるのか?」

沙友理
「これだけ教えて、その女と私、どっちを愛してた?」

裕太
「沙友理だよ、沙友理に決まってる!」

沙友理
「これで、ゆ・る・し・て・あ・げ・る・」

裕太
「おぃ、待て、待ってくれ!お願いします、お願い、ギャー」

No.135 14/11/03 21:52
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「貴方とのサプライズ~」

裕太の髪の毛をナイフでズタズタにしていた。

沙友理
「私が恐怖だった事これで分かった?」

裕太
「わかった、わかった、わかった」

沙友理
「奥さんの名前教えて?」

裕太は沙友理の耳元で囁いた。

沙友理
「好きなの?後悔してる?」

裕太
「後悔してるよ~あんな女に捕まって!」

沙友理
「なら、いいのよ~可哀想な村上裕太君~」

裕太
「はい、はい、はい」

裕太は恐怖のあまり漏らしていた。

沙友理
「どこに、行っても、忘れないでね、私の事」

裕太
「忘れません、忘れません」

裕太の髪の毛は床一面に切り落とされていた。

No.136 14/11/03 22:30
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「もう裕太君と会えなくなるね~」

裕太
「ごめんなさい」

沙友理
「どこに転勤するのかなぁ~」

裕太
「嘘です、嘘なんです」

沙友理
「今幸せなんだ~」

裕太
「地獄です、地獄なんです!」

沙友理
「無責任男の成れの果て、かしら?」

沙友理のナイフは裕太の髪の毛をギリギリと捌いていた。

裕太は床一面の髪の毛と下半身は失禁でベトベト状態だった。


沙友理
「裕太!私に顔見せて?裕太顔忘れたくないから」

裕太
「はい、すいません、すいません」

沙友理
「ありがとう、ね」

沙友理は裕太にナイフを放し、裕太は慌てふためいて、ホテルから、逃げて行った。

放心状態の沙友理は裕太のナイフで切った髪の毛を拾いながら。

沙友理
「離れていても、別れても、またやり直せると思ってた」

1人寂しく呟いていた。

No.137 14/11/03 22:40
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理が部屋から出れば清掃員は驚くだろう。
沙友理のこの先はまだまだ続いて見守りたい。

ピエロの犯人はまだ未解決だった。
沙友理は今後どうするのか?

サプライズとの題名はこの後続くのか?
サプライズ、不意の出来事。

沙友理のお腹の子供を今後どうするのか?

今の沙友理に誰も何も聞くことは出来ない。

人生が奈落の底に落とされ、またピエロの犯人は誰なのか?


あの真っ赤なピエロの涙は沙友理と裕太の別れを予知していた涙だったのか?


引き続き、サプライズ、お楽しみ下さい。

No.138 14/11/03 22:49
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理は裕太の髪の毛を鞄に入れ、電車に揺られていた。
鞄からはみ出た髪の毛を見た乗客は、危険人物扱いで沙友理を見ていた。

家に帰る間沙友理は全く記憶すら無くなっていた。
父親が帰宅し、声を掛けるまで、茫然と座っていた。


父親
「沙友理?帰ってるのか?」

父親
「沙友理?」

沙友理の顔色は真っ赤な血で埋め尽くされていた。

裕太の髪の毛を切った時に、怪我したのか?
裕太の頭皮に傷をつけたのか?

沙友理の顔はどちらかの血で赤く染まっていた。

父親
「沙友理?どうしたんだ?その顔は?」

沙友理
「お父さん、真っ赤なピエロは私なの?」

No.139 14/11/04 00:19
ナルシスト ( 84wJh )

父親
「沙友理?」

沙友理
「ピエロになっちった」

父親は沙友理を抱きしめ。

父親
「あの犯人が…許さない」

沙友理
「お父さん、お父さんの娘でごめんね」

父親
「心配するなぁ、お父さんが沙友理を守るから」

沙友理
「お父さんは私から離れないよね?」

父親
「沙友理から絶対に離れないよ」

沙友理
「お父さんとこうしてると、安心してきたわ、眠いよ」

父親
「お風呂だけ、沸かすから、入って寝なさい」

沙友理
「眠い……」

父親
「沙友理のその姿が、お父さんは、辛いよ」

沙友理
「5分だけ、このままでいて、約束守るから」

ずっと沙友理を抱きしめ、その日は何も聞かなかった、沙友理の父親だった。

No.140 14/11/04 00:25
ナルシスト ( 84wJh )

父親
「沙友理、お風呂沸いたぞ」

沙友理は父親の背広を掛けて眠っていた。
何分いや、何十分寝ていたのか?

沙友理の為に、お粥を作っていた父親。

娘と父親の関係は、どこの家庭でも、同じなのか?
会話すらないが、父親にとって、娘は宝物な存在だろう?

沙友理の為に、お風呂を沸かし、お粥を作る事が、娘への最大の愛情だと思った。

No.141 14/11/04 00:41
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理はお風呂から上がって来たら、父親は母親の仏壇の前に座っていた。

父親
「昨日から大変疲れて、寝ていないんだろう?」
 
沙友理
「大丈夫だよ」

沙友理の大丈夫は、父親を気遣う、娘からの愛情であった。

父親
「お父さんの部屋でねるだろう、布団引いてあるから、先に寝なさい」

沙友理
「お休みなさい、お父さん、ありがとう」

沙友理はあのピエロ事件から、父親と同じ布団を並べ寝ていた。

沙友理が床に付いても、父親は母親の仏壇から、離れる事はなかった。

なくなった妻に何を語りかけていたねか?

仏壇の部屋は電気が消える事も、沙友理の隣りの布団に入る事なく、じっと一晩中、亡くなった、沙友理の母親の仏壇に、無言で、夜を明かしてした。

不器用な父親とはそんな愛情表現しか出来なかった。

仏壇に飾られたら、遺影の笑顔の、母親に何を語りかけていたねか?

No.142 14/11/04 20:33
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「おはようお父さん」

父親
「良く眠れたか?」

沙友理
「少し楽になったわ」

父親
「なら…良かった」

沙友理
「お父さん昨日眠れなかったの?」

父親
「久しぶりに、母さんと話しをしてた」

沙友理
「今日早く帰れる?話があるの」

父親
「彼を連れて来るのか?」

沙友理
「私達の今後の話し」

父親
「寂しくなるが……仕方ない事だ、なるべく早く帰るよ」

沙友理
「お願いします」

沙友理と父親の会話は、父親が娘を手離す話だと、思っていた。

No.143 14/11/04 20:39
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「おはようございます」

先輩
「お父さんの体調はどう?」

沙友理
「心配かけました…大丈夫です」

先輩
「いつでも言ってよ、力になるから」

沙友理
「はい、有り難う御座います、私文具の整理して来ます」

先輩
「お願いするね」

沙友理
「はぁーい」

私は子供達がよく買っていく、交換ノートや、シール、鉛筆などを整理していた。

先輩
「沙友理さん、沙友理さんにお客さんだよ」

沙友理
「はぁーい」

沙友理を訪ねたのはあの男性だった。

No.144 14/11/04 22:35
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「こんにちは多田さん、お世話になりました」

多田
「今市さん大丈夫どうですか?」

沙友理
「お陰様で何とか…」

多田
「今日仕事終わりにお時間ありますか?」

沙友理
「父と話し合う予定なんです」

多田
「また改めてと言う事に…」

沙友理
「多田さん?」

多田
「はい」

沙友理
「多田さんのご家族は?」

多田
「今は1人暮らしですが、両親と姉、妹がいます」

多田
「賑やかすぎて、女に囲まれて、親父と僕は肩身が狭いです」

沙友理
「羨ましいです、沢山の家族がいて」

多田
「姉が最近結婚してやっとでした。ではまた。」

沙友理
「本当に有り難う御座いました」

と多田さんは帰って行った。
沙友理は何故多田の家族構成を聞いたのか?

No.145 14/11/04 22:51
ナルシスト ( 84wJh )

先輩
「多田さん、今市さんの事好きなんだと思うよ」

沙友理
「止めて下さいよ!からかうのは!」

先輩
「男だから分かるんだよ」

沙友理
「先輩には彼女居ないんですか?」

先輩
「今は居ないかなぁ?」

沙友理
「妹さん居ましたよね?」

先輩
「結婚してるよ、兄貴より、先越されたよ!」

沙友理
「先輩なら素敵な彼女すぐ見つかりますよ」

先輩
「有り難う」

沙友理
「文具整理終わりましたから、赤本見て来ます」

先輩
「頼んだよ!」

沢山ある中学受験、高校受験、大学受験、の赤本を整理していた。
何故沙友理は先輩にも家族構成を聞いたのか?

No.146 14/11/05 00:11
ナルシスト ( 84wJh )

いつもなら、裕太からの連絡があり、あの大きな時計の、待ち合わせ場所、もう裕太と会う事もなくなった。

裕太との付き合いは、今となれば、ピエロが運んだ、意味合いの、付き合いだったのか?

1年少しの付き合いの結末は、杜撰な結末になってしまった。

お腹の子供は、唯一裕太と、愛した証。
絶対に産みたい。

こんなに好きな男性は裕太だけ。
人をこんなに愛する事が、死にたい位辛かった。

愛する事って苦しかった。
ピエロ事件でも、流産しなかったのは?

お腹の子供は産んで欲しいと願っている。
お父さんにどういう風に話をしたら良いのか?

お父さんに今のありのままを話すしかない。

沙友理は父親と話し合う為に、父親の待つ家に帰って行った。

ポストを開けると、切手に消印付きの、「今市沙友理様」と書かれた、封筒が入っていた。


……★メッセージカード★……

  ピエロのサプライズ

     終了

   楽しかったかなぁ!

    楽しかったよ

   真っ赤なピエロ沙友理

私は誰だかわかった、でも今は黙ってる。

男性なのか、裕太なのか、多田なのか、他の誰かなのか?

沙友理は驚く事はなかった。
お腹をさすりながら、沙友理は玄関を開けた。

No.147 14/11/05 09:53
ナルシスト ( 84wJh )

沙友理
「ただいま」

父親は沙友理のピエロ事件から、さらに心配症が悪化したのか?

父親
「誰にもつけられてはいなかったか?」

沙友理
「大丈夫よ、もう大丈夫だから」

父親
「心配なんだよ」

沙友理
「心配かけてごめんね」

沙友理はすぐ台所に立ち、夕食の支度をし出した。
不器用な父親は沙友理が声を掛けるまで新聞を読んでいた。

父親
「沙友理、またストーカーの事件が新聞に乗っているぞ!物騒な世の中になったなぁ?」

沙友理
「お父さん、今日はカレーにするね」

父親
「嬉しいよ、2杯お代わりするか!」
 
沙友理の後ろ姿を見た父親は、沙友理がどんなに、恐怖体験した、可哀想な我が子に、映っていた。

No.148 14/11/05 11:08
ナルシスト ( 84wJh )

久しぶりに静かな夜を迎えるこの親子に笑いすらうまれていた。

「お父さんに話があるの」
と沙友理が父親に口にした。

父親は娘が深刻な話をする事を察していたのか?
沙友理の話す内容は父親も聞きたくない事くらい予想していた。

少し疑いながら
「何の話しなんだ?」

「私…妊娠してるの…今4ヵ月…」

沙友理は父親の顔をゆっくりと見た。

明らかに動揺している父親は、冷静を保とうと必死だった。

「相手の、いや、お腹の父親は何と言ってるのか?」

「別れたの…もう会う事もない」

父親の顔色が急に変わった。
「別れた男の子供なぞ、認めない!」

沙友理は父親のそばに寄り添った。
「彼ね、結婚しちゃったの」」

沙友理の頬を殴るな父親!
「男もお前も無責任な事をするからだ!」

怒りは当然だと沙友理は覚悟をしていたが。
「私は産みたいの!このお腹の父親を愛してるの」

肩を震わせる父親は。
「不倫してたのか?沙友理は」

大い被せるように沙友理は
「違うわ!お互いに真剣な付き合いだったの、彼が事情で、……結婚してしまったの」

少し笑う様に。
「沙友理はその男に捨てられたのか?」

「そうお父さんの言う様に捨てられたの」

父親は怒りが収まらないのか?
「そんな男の子供、さっさとおろしなさい!」

No.149 14/11/05 11:21
ナルシスト ( 84wJh )

「亡くなったのはお母さんじゃなく、お父さんだったら良かったのよ」

一瞬静まり返った部屋には、笑顔の母親の遺影の部屋だった。

黙り込む父親は沙友理のその子供をどう受け取っていたのか?

「お母さんが生きていてくれたら、絶対に私の気持ち、分かってくれたわよ!」

沙友理のその言葉に何も言い返せないだろう。

「本当に母さんなら、産ませるだろうか?」

「好きな人の子供なら、命がけで守りなさい、お母さんなら言ってくれるわ」

沙友理は父親に説得しているのか?
自分の気持ちをぶつけた。

「先に寝る」
と言い残し、父親は部屋に入った。

No.150 14/11/05 12:30
ナルシスト ( 84wJh )

私は仏壇の母親の前に座った。

「お母さん、こんな結果になっちゃったけど、お母さんなら、応援してくれた?好きな人の子供産みたいの、私の今の幸せなの、それも諦めないといけないの?」

沙友理は裕太をこれ程愛した事はない、裕太と会う時も不安だらけ。

愛情が深くなるにつれ、益々この関係がこわれないかと、不安も感じていた。

沙友理の別れてもいつかまた、やり直せると思ってた。
沙友理が努力すれば、裕太は戻って来てくれると、信じていた。

同じ強さで握った手は、離れないと思ってた。

父親が部屋から出て来た。

「沙友理早く寝なさい」

「お父さん、さっきはごめんね、お父さんとお母さんは私が産まれて嬉しかった?」

「当たり前だ」

「私も嬉しいの、お腹の子供が、産まれる事が」

父親は沙友理の真剣な言葉に重みを感じていた。

「私会社辞める、そして少し融通のきく、バイトにする、これからお父さんとの時間も大切にしたいの」

沙友理が涙を流し、話している姿に。

「本当に母さんなら、応援していたかなあ?」

と父親の口から出た言葉に、壁に掛けてある、沙友理の母親の写真が、ガタッと傾いた。

「沙友理の言う通りかも知れないな、沙友理お腹の子供が心配だから、早く寝なさい」

と父親は沙友理を布団まで連れて行った。

「母さんこれで良かったのか?」
と呟きながら、妻の写真を真っ直ぐになおしていた。

投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

お知らせ

6/10 カテゴリの統合(6月20日、26日実施)

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧