カヤの依存
自分の居場所と愛が欲しかっただけ…
一男二女。
カヤは戸田家の長女として生まれた。
宗教に熱狂的にハマる母。
堪え性と甲斐性のない父
兄ほど期待されず、妹ほど可愛がられていない事を幼い頃から痛いほど感じてきた
心にポッカリ空いた穴は成長を増す事に大きくなっていった…
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>> 99
男が出るとカヤも早速入った。
昨日は嫌に恥ずかしく感じたバスローブも、今日は何の躊躇いもなく着た
風呂に入っている時、既に眠気はピ…
男はバスローブの上半身を脱がし、後ろから唇や舌を這わす
あちらこちらに行き交うそれに、カヤはその度何度もビクンと反応してしまう
同時に乳房に受けている刺激により一層カヤの背中はのけぞった
「あん…
アン…ッ」
漏らす声は遠慮がちだが、ガマンする事などもはや出来ない
「可愛い声で鳴くんだね…」
その言葉のいやらしさにカヤはおもいきり感じて声はどんどん大きくなる
「今ので感じたの?」
男の意地悪な言葉が続く
男は手は乳房から腹へと…
ゆらゆらと這いカヤのあの部分へそっと指を当てた
>> 103
薄暗い中、男の瞳は優しくカヤを見つめ返した…
そのまま向かい合い、抱き合い、唇を重ね
カヤの不安も迷いも溶けてなくなり、男もそれを察した様に
「嫌だったらちゃんと言ってね」
と再びカヤの秘部にそっと指を当てる
その指はゆっくりと上下に、なぞり、充分にカヤの蜜をすくい取ると小さく突起する部分をなで始めた
「…う…
ん……」
他のどの部分より強く流れる電流にカヤは身をよじる
男が更に乳首を咥えると、カヤの背中はビリビリと熱くなっていった
「あん…
あん…ッ
あんッ…!」
カヤの口からは今までよりずっと色を増した声がこぼれる
複雑に撫でていた指はやがて、落ち着きのある一定のリズムで単調な動きに変わり、それを繰り返す
同時に咥えた乳首に優しく歯をあて小刻みに舌を震わす
>> 104
しばらくその快楽に溺れていたカヤが急に
「止めて!!
なんか怖いッ!
自分がドコかへ飛んで行っちゃいそうなの!!」
息を荒くしたまま叫び懇願した
男はピタリと動きを止めた
「大丈夫、リラックスして
」
男の温かい眼差しと柔らかい声にカヤはまた安心し、男の胸に頭を預けた
男の指は先程と全く同じ動作で、しかしそれよりも更に丁寧に動き出した
カヤの中で、あの恐ろしく感じた波はすぐやってきた
「んんッ!
ン…ッ
アンッ!…
アン…ッ…!
あっ…
あっ…
」
頭のてっぺんから爪先まで電流が流れる様な感覚に陥ったすぐ後、カヤの頭の中は真っ白になった
- << 107 息をきらしながらしばらくぼう然としていたカヤが、ようやく背中に自分の汗を感じると、男の顔を見上げた 「イッちゃったね」 男はカヤの髪を柔らかくなで、その心地よさにカヤはそのまま眠りについた
>> 105
しばらくその快楽に溺れていたカヤが急に
「止めて!!
なんか怖いッ!
自分がドコかへ飛んで行っちゃいそうなの!!」
息を荒…
息をきらしながらしばらくぼう然としていたカヤが、ようやく背中に自分の汗を感じると、男の顔を見上げた
「イッちゃったね」
男はカヤの髪を柔らかくなで、その心地よさにカヤはそのまま眠りについた
- << 109 再びカヤが目を覚まし、ふと時計を見るとホテルへ来てからまだ四時間しか経っていなかった 隣りにいる男は眠っている 身体は気怠いが頭はスッキリとし、先程の情事を思い出していた 昨日は生まれて初めて、愛撫の快感に目覚め、そしてつい先程、やはり生まれて初めてイクという経験を味わった。 たった二日で大人への階段を随分上ってしまった気分になった 乱れたガウンを直し、タバコに火を付ける 「…おいしい…」 今まで、気が向いた時だけなんとなく、真似事の様にタバコを吸っていたが、こんなに美味く感じた事などあったであろうか 美味いと感じた事もなく、いつでも止められると思っていたが、ニコチンが自分の中に浸透し、蓄積され、いよいよ支配し始めたかと思うと少し苦々しい気持ちになったが、一本目を吸い終わるとすぐ、二本目に火を付けた
>> 107
息をきらしながらしばらくぼう然としていたカヤが、ようやく背中に自分の汗を感じると、男の顔を見上げた
「イッちゃったね」
男はカ…
再びカヤが目を覚まし、ふと時計を見るとホテルへ来てからまだ四時間しか経っていなかった
隣りにいる男は眠っている
身体は気怠いが頭はスッキリとし、先程の情事を思い出していた
昨日は生まれて初めて、愛撫の快感に目覚め、そしてつい先程、やはり生まれて初めてイクという経験を味わった。
たった二日で大人への階段を随分上ってしまった気分になった
乱れたガウンを直し、タバコに火を付ける
「…おいしい…」
今まで、気が向いた時だけなんとなく、真似事の様にタバコを吸っていたが、こんなに美味く感じた事などあったであろうか
美味いと感じた事もなく、いつでも止められると思っていたが、ニコチンが自分の中に浸透し、蓄積され、いよいよ支配し始めたかと思うと少し苦々しい気持ちになったが、一本目を吸い終わるとすぐ、二本目に火を付けた
>> 109
「今日は随分吸いますねぇ」
ベットの方を振り返ると男が起きていた
「ごめん!
起こしちゃった?」
「いや、眠りが浅くて、寝たり起きたり繰り返してたから」
そう言って男も、カヤの座るソファの隣りへと腰を下ろし、自分のタバコを咥えた
「ハイ!」
カヤは自分のライターで男のタバコに火を付けた
男は「おッ!」とでも言う様な顔をし
「随分大人な事してくれるねぇ」
と笑いながら悪意のない皮肉を浮かべた
カヤは「だよね」と恥かしそうに肩をすくめて見せた
「可愛い」
男はタバコを持つ自分の手を遠ざけるとカヤにキスをした
舌を絡ませたが短いキスだった。
「タバコの味がするね」
お互いを見つめながら笑った
>> 110
「まだだいぶ時間あるから、今のうちもぅ少し寝とくか!」
二人は再びベッドに戻った
男が自然に腕を差し出したので、カヤも恥かしがらず素直に頭を預けた
「カヤって髪短いよね」
「ずっとショートなの。
ちっちゃい頃から
だから伸ばしたいって思っても途中でいつも嫌になっちゃって切っちゃうんだ
自力で肩より下まで伸ばした事ないよ
オニイサンは私より全然長いよね
やっぱりバンドマンだから?」
「ん~、最初は確かにバンドがきっかけだったケド、もぅ当たり前になり過ぎちゃって、だいたいいつもこんな感じ
女の子で髪伸ばした事ない子なんているんだな~」
「ん~、私の回りでも私くらいかも
ショートの子でも、前は長かったってのが殆どだよね
何で?
オニイサンは髪の長い子が好きなの?」
>> 111
「いや…別にそうじゃないんだけどさ…
髪短い子の裸、直に見たのって初めてだな~と思って」
男はチラリとカヤの顔を見て
カヤと目が合うとわざとらしくニヤリと笑ってみせた
「何ソレ?
どーゆー意味?」
カヤも負けずと、わざと気持ち悪い物を見るかの様な顔を作り聞いたが、男は気にも止めない様子で
「見慣れてないせいか
エロいな~と思って」
男はまたチラリとカヤを見てしてやったりな顔をした
- << 115 カヤは顔から火が出る思いだった なんだか男が憎たらしく思えて、涙が出そうになった 何か言い返してやりたかったが、恥かしさで頭がカッとなり言葉が出てこない。 睨んで見せるのが精一杯だった そんなカヤの顔を見て男は「フッ」と噴出したが慌てて 「ごめんごめん カヤってちょっと苛めたくなっちゃうんだよね」 男はカヤの方へ向き直し、なだめる様な口調で言い、まるで子供をあやすかの様にカヤの頭をポンポンと叩いた そしてカヤを抱き締めると首筋に何度もキスをした
>> 112
「いや…別にそうじゃないんだけどさ…
髪短い子の裸、直に見たのって初めてだな~と思って」
男はチラリとカヤの顔を見て
カヤと目が合う…
カヤは顔から火が出る思いだった
なんだか男が憎たらしく思えて、涙が出そうになった
何か言い返してやりたかったが、恥かしさで頭がカッとなり言葉が出てこない。
睨んで見せるのが精一杯だった
そんなカヤの顔を見て男は「フッ」と噴出したが慌てて
「ごめんごめん
カヤってちょっと苛めたくなっちゃうんだよね」
男はカヤの方へ向き直し、なだめる様な口調で言い、まるで子供をあやすかの様にカヤの頭をポンポンと叩いた
そしてカヤを抱き締めると首筋に何度もキスをした
>> 116
「はぁ…」
カヤが甘く息を吐き出すと
男はわざとバスローブとの摩擦を大きくする様に摘んだ乳首を上下に擦った
「もぅ一度見せて…」
とカヤのガウンの紐を片手でほどき、一瞬マジマジとカヤの裸に目をやると
「やっぱりエロいよ」
と乳房の回りを舌でなぞった
その言葉のいやらしさにカヤは火がついてしまったのか
「んんん…っ
んッ…
アン…ッ」
喘ぎ声がこぼれてしまう
男の舌は焦らす様に乳首を避け、乳房の回りや腕、腹をなぞる
カヤは想像のつかないその舌の行く先に身体はビクン…
ビクン…
とその度身をよじらす。
やっと上に戻ってきた舌はようやくまたカヤの乳房に辿り付き、乳首を丁寧に舌先で舐め上げると口に含み転がした
>> 117
男の生暖かい口の中に包まれカヤの乳首は、更に男に弄んで欲しいかの様に大きく突出す
男はそれに応えるかの様に強弱をつけながら巧みに舌や唇、歯を使う
カヤの全神経は乳首へと集中し、その快感に酔いしれていたが、そのうち秘部に熱いものを感じる様になった
先程、絶頂を知ったその部分に切ない疼きを感じていた
両腿をモジモジと擦り合わせていると、それに気付いた男は、乳首から唇を離す
そのまま下へ下へと舌でなぞりながらカヤの太股へと辿りついた
- << 121 内腿を這う唇や舌の刺激にカヤは緊張していた。 内側へ内側へとジワジワ迫ってくるそれにカヤの足は力が入って、拒むかの様に閉じてゆく 「そんなトコ汚いからやめて…!」 カヤが言うと 「汚くなんかないよ」 とだけ言い、カヤの緊張を丸ごと包み込むかの様に更に優しく丁寧に愛撫する カヤの固く閉ざされかけた足が、徐々にゆるんでいった
>> 121
カヤは二度目の絶頂を迎えた
指とはまた違った快楽に、あっという間に果ててしまった
しばらく経ってもまだ余韻が残りトロンとしているカヤに男が言った
「カヤの処女、俺が貰ってもいい?」
カヤが処女である事は、車の中で今までの恋愛経験を語っている時に話していた
「オニイサンだったらいいよ…」
しかし男は
「ちょっと一服するか…
カヤは今イッた所だし。
もぅちょっと冷静になって、考えられる時に、また聞くよ」
二人はベットでタバコを吸った
カヤはやはりタバコを美味いと感じていた
男の言う通り少し考えてみたが、それよりもタバコの美味さの事ばかり考えていた
カヤの回りは殆ど経験済みだった
しかし焦っている訳でもなかった
自分は不感症だと思い込んでいた事で、セックスを楽しむ事なんて出来ないだろうと考えていた
好奇心はあっても魅力を感じる事は無かった
かと言って、特別大切なものだとも思ってはいなかった
- << 125 例え愛する人にそれを捧げる事が出来たとしても、その愛が永遠に続く事など殆どないと思っていた 実際、美也子も、他の友達もカヤの回りで経験を済ませたその殆どが、今はもぅ別れてしまっているのを見てきた その相手と結婚まで漕ぎ着けたとしても、もしくは結婚まで守り抜いたとしても、だからと言ってその愛までが保証される訳ではない。離婚だってするかもしれない… 愛が憎しみに変わる事だってあるだろう あの人に捧げて良かったなんて…結局死ぬまでわからない しかし、今まで付き合った男たちにくれてやる気にもなれなかった事で、自分の感情は無視出来ない事は充分わかっていた
>> 122
カヤは二度目の絶頂を迎えた
指とはまた違った快楽に、あっという間に果ててしまった
しばらく経ってもまだ余韻が残りトロンとしてい…
例え愛する人にそれを捧げる事が出来たとしても、その愛が永遠に続く事など殆どないと思っていた
実際、美也子も、他の友達もカヤの回りで経験を済ませたその殆どが、今はもぅ別れてしまっているのを見てきた
その相手と結婚まで漕ぎ着けたとしても、もしくは結婚まで守り抜いたとしても、だからと言ってその愛までが保証される訳ではない。離婚だってするかもしれない…
愛が憎しみに変わる事だってあるだろう
あの人に捧げて良かったなんて…結局死ぬまでわからない
しかし、今まで付き合った男たちにくれてやる気にもなれなかった事で、自分の感情は無視出来ない事は充分わかっていた
>> 126
「ゲームでもやる❓」
男は備え付けのテレビゲームを指差しながら聞いてきた
「エッチしないの?」
自分の決意とは全く関係のない言葉にカヤは驚き聞いた
カヤのその言葉に今度は男が驚いた顔をしたが
「俺が変な事言っちゃったからだよな…
ゴメンな…
」
謝られた事で、なんだかカヤは切ない気持ちになった。
まるでフラれた気分だ
いや、それどころか大好きだったあの人に、勇気をふり絞って生まれて初めて告白し、フラれたあの時よりずっと重たい気分だった
「なんで?オニイサンにお礼がしたいの…
私の事、拾ってくれたし
私の話も聞いてくれたし
いっぱい楽しい時間もくれた
お金も沢山使わせちゃったし…
」
カヤはうつむきながら、呟くよりずっと小さな声で言った
その声は掠れていた
男は優しくカヤの頭を撫でると強く抱き締めた
「自分の身体…
お礼だなんて言うなよ…」
その言葉にカヤから初めてキスをした
>> 131
カヤがイクと、指を伝い、男の手の平までも蜜が濡らした。
全身で息をしているカヤに
「本当に貰ってもいいの?」
再び男が聞く
「うん、
いいよ」
男は自分の着ていたガウンを空いている左手でほどくと、指を抜き、カヤの愛液がたっぷりついた指と手の平でペニスを濡らした
カヤのと男のとでヌチャリと粘着質な音を立てた
そそり起つペニスをカヤの秘部にそっと当てた
「痛かったら言うんだよ…」
カヤはコクリとうなずく
男は右手でペニスの根元を押さえると、ゆっくり腰を沈めた
- << 134 誘う様に甘い蜜の匂いを振りまきながら充分に潤いきり、すぐにでも男の全てを濡らし飲み込んでしまいそうになっている、肉食植物の様になったカヤのその部分は、見た目よりずっと強い抵抗力を見せる 「んんん…ッ うぅ…ッ ッッ!!… ッ…!」 小さく低い呻き声をあげるカヤに 「カヤ、力抜いてごらん… 」 男はカヤが立てている右膝に優しく何度もキスをした カヤはしばらく男の唇が触れる膝に神経を集中し、いつの間にかその甘美なキスに酔いしれ溶けた… その瞬間 「いッ!!!!」 脳天を突き抜ける様な衝撃を受けカヤはシーツを強く握りしめこらえていた カヤと男は一体になっていた その後もカヤは男が果ててしまうまでの短い時間ガマンを尽くした 愛液に溶けた血が綺麗な薄い紅色にシーツを染めていた
>> 132
カヤがイクと、指を伝い、男の手の平までも蜜が濡らした。
全身で息をしているカヤに
「本当に貰ってもいいの?」
再び男が聞く
…
誘う様に甘い蜜の匂いを振りまきながら充分に潤いきり、すぐにでも男の全てを濡らし飲み込んでしまいそうになっている、肉食植物の様になったカヤのその部分は、見た目よりずっと強い抵抗力を見せる
「んんん…ッ
うぅ…ッ
ッッ!!…
ッ…!」
小さく低い呻き声をあげるカヤに
「カヤ、力抜いてごらん…
」
男はカヤが立てている右膝に優しく何度もキスをした
カヤはしばらく男の唇が触れる膝に神経を集中し、いつの間にかその甘美なキスに酔いしれ溶けた…
その瞬間
「いッ!!!!」
脳天を突き抜ける様な衝撃を受けカヤはシーツを強く握りしめこらえていた
カヤと男は一体になっていた
その後もカヤは男が果ててしまうまでの短い時間ガマンを尽くした
愛液に溶けた血が綺麗な薄い紅色にシーツを染めていた
- << 136 「痛かった❓ 大丈夫…❓」 男はカヤの額の汗を手で拭いながら、心配そうな顔でカヤの目を真直ぐ見つめた 「うん… 平気」 カヤはいまだジンジンと続く、苦く、しかし甘いその痛みを静かに感じていた 終わるまでは痛みに堪えるので必死だった しかし終わってみるとその痛みが愛しく思えた 同時に頭の中はスッキリと爽快な風が吹いている様でさえあった 「大人になっちゃった…」 「大人にしちゃったね…」 二人は見つめ合い笑った
>> 136
二人は結局その後、寝ないで時間いっぱいテレビを見たり、ゲームをしたりして過ごし、ホテルを後にした
食事に行き、いつもの様にドライブをしたが、あまり寝ていなかった為、カヤはいつのまにかそのまま眠ってしまっていた
次に目を覚ました時、隣りにいる男の声が聞こえた
車はどこかで停車され誰かと携帯電話で話している様だった
男に背を向けた体制のまま、なんとなく話に耳を傾けた
「そうなんだ…
………
こっちはちょっと雪が降ったし寒いよ
………
東京には戻るけど、まだいつかは決めてない。
………
うん、もぅちょいゆっくりするわ
………
わかった!あゆみも風邪ひくなよ
またこっちからもメールするわ
………
おぅ!じゃあな、おやすみー…」
【あゆみ】
昨日も電話がきた、男が毎日連絡がくると言っていた『女友達』であろう
男の本当の気持ちまではわからなかったが、楽しそうに話していた感じから、カヤは満更でもなさそうな気がした
そして、その【あゆみ】という女は、やはり男の事が好きなんだろう…と確信した気がした
ぼんやりしながらそんな事を考え、カヤは再び目を閉じた
>> 137
カヤが再び目を覚ましたのはトイレに行きたくなったからであった
男が【あゆみ】という女と電話で話しているのを確認してからどれくらい寝たかはわからないが、時間を見ると午前2時を過ぎていた
隣りの男は運転席のシートを倒して寝ている
ふと外を見るといつもの公園の駐車場であった
カヤはトイレに行きたいが男を起こすには気が引けた
しかし自分独りであのトイレに行くのはやはり怖い
カヤは取り合えず一人で行ってみようと思ったが、なかなか決心が付かない
しかしいつ起きるかわからない男の目覚めを待てるほど我慢など出来るものでもないと諦めた
よし、このタバコ一本吸ったら行こう!
カヤはタバコに火を付けた
目覚めの一服は一瞬頭がフワッとしたが、気怠い美味さがカヤの全身を包んだ
カヤはその一本を出来るだけゆっくり味わった
>> 138
タバコが短くなるにつれカヤの緊張は増していった
あのトイレにもうすぐ一人で向かわないといけないと思うと気分は重い
なかなか消す決心が付かずとうとう根元ギリギリまできてようやく、タバコを灰皿に押し付けた
ヨシッ!!!
カヤはバッグから、告白した時に貰った黒沢のZIPPOを取り出し、強く握りしめ、外に出た
「こんなの告白した時のあの勇気に比べたら!!」
自分にいい聞かすかの様に呟き、強い歩調で歩き出す
シルバーの冷たさを手の平全体に感じると、カヤは自分が強くなった気がした
しかしあっという間にトイレの入り口まで来てしまうと、足がすくんでしまい前に進む事が出来なくてなってしまった
なんで…?!
自分が情けなくなって、カヤは目を瞑りもう一度強くZIPPOを握りしめた。
いつの間にかZIPPOはカヤの体温と同じ温度になり汗ばんでいた
>> 140
結局男に個室の前までついて来てもらい、ようやくカヤは用を足す事が出来た
「いつもゴメンね…」
歩きながらカヤが相変わらず情けない顔で男に謝ると
「起こしてくれたら良かったのに」
それからこんな時、男はいつもカヤが気にしない様にいられる言葉を使う
「でも、こんな深夜に絶対ないだろうけど、もし誰か入ってきたら間違いなく、俺変態って思われるよな」
そんな男のジョークにカヤの心は温かくなり、笑った
「やっぱり、こっちは星スゲェーね」
男はふと空を見上げて言った
「東京だと、こんな見えないもん
距離も近いし
空ってデカイんだな~って改めて思う」
つられてカヤも空を見上げた
空に輝く何千何万もの星を見ながら
「そうなんだ…
私はこの空しか知らないから、これが当たり前になっちゃってる…
綺麗だなって思うけど、特別な感動はないよ…
山も自然も季節の移ろいも…
」
カヤは自分の素直な気持ちを言葉にするとこんなに素っ気ない物になるんだと寂しく思えた
>> 141
しかし、男は気を悪くする風でもなく
「俺も東京行くまでは、ナンも思って無かったわ…
生まれてずっとこの環境で、確かにそれが当たり前、あって当たり前だったもんな~…
」
賛同しながらしみじみ言う男にカヤは聞いた
「東京は楽しい?」
「ん~…
わかんね…
ただ、やっぱ刺激は多いよね
近い距離に何でもあって便利だし、色んな店もあるし
色んなトコから色んな人間が沢山集まってきている所だから、その分今まで出会った事ない様な考え方や捉え方があるんだって思う事は多いよね
それが視野が広がるって事なのかはわからないけど、楽しいってより面白いって感じかな…
まぁ、何でもあって、色んな人間が集まってる分、誘惑が多いのも確かなんだろね…
」
カヤは急に男の存在を遠く感じ切なくなった
>> 143
抱き締めながらカヤの頭の上で
「今、寂しいって思ったでしょ?」
わざと茶化す様な男の言葉にカヤは腹が立ち
「別にそんな事思ってないよ!
今オニイサンがそう思わせているのは【あゆみ】チャンなんぢゃないの?!」
腹立つ勢いで思わず口をついて出てしまった言葉にカヤはハッとし息を飲んだ
男はフッ…と笑うと
「【あゆみ】?なんであゆみなの?」
と言った
「ゴメン……
オニイサン電話してる時一度起きちゃって
何となく聞いちゃって
でも、寝起きで頭ボーッとしてたし、その後オニイサンすぐ電話切ったみたいだったし、私もそのまますぐ寝たからほとんど聞いてないよ!!
」
男はまたフフ…と鼻で笑うとカヤの手と自分の手を繋ぎ、再び車へと歩いた
>> 144
車に戻ると男はタバコに火を付けた
カヤもそれにつられる様にタバコに火を付ける
「あゆみは俺のファンらしいよ」
男は自分のファンだと口にした事が少し恥ずかしそうだった
専門学校を辞めた仲間とバンドを組み、半年前に対バンという形式のアマチュアバンド何組かで合同でライブを開いた
終わってから自分たちと、一緒にライブをした他のバンドとそのファンたちと打ち上げをした
当時、学校も辞め、彼女にもフラれ、おまけにその日の自分たちの出来がひどい物で、半分ヤケになり、あまり得意ではない酒を浴びる様に飲んだ
ある日、知らない番号から電話が掛ってきて、出てみると女だった
電話の相手の女は自分の名を名乗ると
「覚えてますか?」
と聞いてきた
全く思い出せないので間違いではないかと聞くと、その打ち上げで出会ったと言ってきた
ライブには友達が追っかけをしている違うバンドを付きあいで見に行ったが、そこで偶然見た男に一瞬でファンになったと打ち明けてきた
>> 146
「結局その後、バンドのメンバーにその日の事を聞いたんだけど、確かに親しそうに女の子と二人で話していたらしいんだけど
」
男はそんな自分を呆れた様に
「普段だったら、女の子の事なら絶対忘れる事なんかないのに、惜しい事したかな~」
と笑った
ふんふんと真剣に聞いていたカヤも
「ホントだよ!
会ってみようとか思わないの?
大阪行ってみよーとか」
カヤは男の話にワクワクしていた
「嘘でもファンだなんて言ってもらえるの最初で最後かもしんねーし、あっても下心出す訳いかないっしょ
向こうから会おうとか言ってきたら会うかもしれないケド、そんな風でもないんだよね
まぁ、確かに一度しか会ってないんだし、しかも覚えてない様な男に恋愛感情持つわけもないでしょーよ」
>> 147
そうかな…?
カヤの中で、男の考えが正しいとは思えなかった。
勿論可能性としては一理あるだろうが、カヤだって黒沢とは殆ど話した事もないまま、黒沢が高校を辞めてから一年経ってもひっそりと想い続ける事が出来た
あゆみの場合、離れていても、例え一度しか会った事がなくても、ほぼ毎日メールや電話が出来れば、幸せなんじゃないか
むしろ、興味がなければ時間もお金も使って毎日メールや電話をしたいと思うだろうか…
しかし、カヤは自分から口火を切ったにしても、どこまでこの話に突っ込んでいいのかわからず、興味を残したままそれ以上自分から聞くのは止めた
- << 150 「カヤはいつかこの町を出てみようと思う?」 「ん~… 考えてみた事ないかも… 居たいとか居たくないとかぢゃなくてきっとずっとこの町にいるんだろなって感じかな… 勿論家は出たいけど」 きっとずっと、自分も回りも何も変わらない 希望も刺激もないがそこには窮屈な安心感だけがある カヤはどこかうんざりしながらも、それが当たり前なんだと思った。 「今度東京遊びにきなよ」 「うん!」 しかしカヤは本当にそんな日がくる事はないだろうと思った
>> 148
そうかな…?
カヤの中で、男の考えが正しいとは思えなかった。
勿論可能性としては一理あるだろうが、カヤだって黒沢とは殆ど話した事…
「カヤはいつかこの町を出てみようと思う?」
「ん~…
考えてみた事ないかも…
居たいとか居たくないとかぢゃなくてきっとずっとこの町にいるんだろなって感じかな…
勿論家は出たいけど」
きっとずっと、自分も回りも何も変わらない
希望も刺激もないがそこには窮屈な安心感だけがある
カヤはどこかうんざりしながらも、それが当たり前なんだと思った。
「今度東京遊びにきなよ」
「うん!」
しかしカヤは本当にそんな日がくる事はないだろうと思った
- << 152 そしてこのままいつまでも男に甘えている訳にもいかないと考えていた 家には帰りたくはないが、結局最後はあの家に帰るしかない事はよくわかっていた 「オニイサン、私今日帰るよ…」 「え…?! 何で…?! 大丈夫なの?!」 なんの前触れもない突然の言葉に男は驚いていた 「大丈夫だよ! 見ず知らずの私に、こんなに付き合ってくれてありがとね… お金も沢山使わせちゃったよね… ゴメンね… 」
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27レス 703HIT 通りすがりさん (50代 女性 ) -
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女の幸せは子どもを産み育てること」とはよく聞きますが、ならなぜ少子化なのでしょうか? お金がない、…
13レス 375HIT 育児の話題好きさん (20代 女性 ) -
🔥理沙の夫婦生活奮闘記😤パート2️⃣😸ニャ~ン
🎊パンパカパーン🎉 🎉パパパーパンパカパーン🎉(*≧∀≦*)ヤホーイ😸ニャー …
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40代の豊胸手術
女友達(44歳)が豊胸をしたいそうです。 この年齢で豊胸を考える事についてどう思いますか? …
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旦那がむかつく。
旦那の態度に怯えながら生活する日々です。もううんざりです。でも子供がいるので離婚できません。 食あ…
11レス 266HIT 結婚の話題好きさん (20代 女性 ) -
育ての親である祖母の心理は?
昭和10年産まれで中卒の祖母の心理は? 自分の娘には専門学校まで行かせて「娘は専門学校まで行ったか…
12レス 243HIT 育児の話題好きさん (20代 女性 ) - もっと見る