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カヤの依存

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ちゃら( 3bHK )
10/04/10 13:30(更新日時)

自分の居場所と愛が欲しかっただけ…


一男二女。
カヤは戸田家の長女として生まれた。



宗教に熱狂的にハマる母。


堪え性と甲斐性のない父



兄ほど期待されず、妹ほど可愛がられていない事を幼い頃から痛いほど感じてきた



心にポッカリ空いた穴は成長を増す事に大きくなっていった…

No.1158792 08/11/09 21:52(スレ作成日時)

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No.451 10/03/23 23:29
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

主に金土(日)曜日に更新しています


それ以外の日も書ける時は頑張りたいと思っていますが、
沢山は更新できないと思うので

金土(日)あたりに覗いて頂ければと思っております


本当に不甲斐なくて
すみません
















ちゃら🐢

No.452 10/03/24 00:01
カナ ( ♀ E0l6h )

>> 451 ちゃら様🌱
更新お疲れ様です☺

カヤの気持ちも痛いほどよく分かり、カヤの周りの男達も真の優しさを持っていて、私は毎回胸を踊らされて読んでます😁

大事な週末なのに、更新ありがとうございます😚
体に気をつけて頑張って下さい☺

それにしても【カヤの依存】があと少しで終わるなんて寂しいなぁ😢


*他の読者の皆様💦読みずらくしてたらすみません💦
ちゃら様のお言葉に甘えさせていただき横レス失礼しました💦

No.453 10/03/26 20:59
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 452 🙇✨✨






ちゃら🐢

No.454 10/03/26 21:45
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 450 「飯食い行っていい? 俺今日まだなんも食ってなくて」 「あ、うん 私も何かお腹空いてるかも」 レストランに入り テーブルに案内… 愛する人が

自分以外の男に
気を患い

日に日に痩せ細ってていく姿を


一体リョウは


どんな気持ちで見てきたのだろうか


あの日偶然目にした香織の姿に


香織の抱える闇や辛さにばかり目を向けていたが


リョウの立場もまたどんなに辛いものであろうか


一緒に居ても居なくても辛い恋


そして、それでも好き故に

一緒に居る事を選んだリョウは

どれほどの覚悟を決めたというのか


しかし
やはりそれも

カヤには想像出来ず

そんな自分を歯痒く思った

No.455 10/03/26 22:54
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 454 「そっか…
でも
あなたに支えられてるんだろうね…


だから…
早くあなたが側にいてくれる幸せに気付いて欲しいね…」


リョウは
ちょっと驚いた表情でカヤを見つめた

リョウから何も言葉が発せられぬまま


料理が運ばれてきた

黙って食事をする二人


カヤは、自分の口から出た言葉に


リョウとの間にある
自分の立場を考えさせられていた


もしもこの先


香織がようやく

【リョウが側にいる幸せ】
に気がついた時


自分の存在に気付いてしまったら

大切な人に再び裏切られたような気持ちになるのではないだろうか


香織の闇を更に深く濃くし


いよいよ二度と這い上がってはこれない
奈落のそこへ突き落としてしまうのではないか

No.456 10/03/27 10:21
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 455 もしそれが
【リョウが側にいる幸せ】
に気付く前だったら

この先
香織を
気付くものにも
気付かなくさせてしまうかもしれない


リョウの身を削る思いをしながら長年愛し続けている気持ちを

みすみす無駄にさせてしまうかもしれない…


リョウと交わした約束の

2人が本当の意味で結ばれる時に
リョウの前から姿を消す

という物では


遅過ぎるのではないか


カヤは自分が人間凶器のように思えてきて


上手く食事が喉を通っていかない

No.457 10/03/27 10:55
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 456 「そっちはどうだったんだよ

楽しかった?」


「うん楽しかったよ」


「【自分の中の答え】
ちゃんと見つけられたのかよ?」


「…

そうそう、帰りにね
携帯電話貰ったの

私携帯もってなかったし、あの人が新しいの買ったから古いのやるって」


「……」


「だから、あれから毎日連絡取り合っててね

今は凄くいい感じなんだ」


「……で?」


「エッチした時に

他にも誰かとしてるんぢゃないかって

勘ぐられて…」



「で?」


「だから!


私は今、いい感じだから
あなたとの事で自分が不利になるのイヤだから!




あなたとはもう居られない!


これが私の中で出た答え!」

No.458 10/03/27 11:35
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 457 リョウは一度も
カヤの目を逸らす事なく
真っ直ぐと見つめていた


その真っ直ぐな瞳に
カヤは何度も負けそうになったが

必死に堪え、自分の意志の強さを訴えるように
見つめ返した


「わかったよ

さっさとそれ食っちまえよ」



食欲などとうに失せていたが

自分の心情を悟られまいと

カヤは皿の上の物を次々と口に運ぶ



味のしない固形物を

咀嚼するのが精一杯だった

No.459 10/03/27 12:08
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 458 再び車に戻り

二人沈黙の中


いよいよカヤの自宅へと近付くと


「私のワガママで

あなたを振り回してごめんなさい」


リョウはフッと鼻で笑うと

「何で謝んの?



お互い様だろ」


再び沈黙のうち
いつもの場所へと車はゆっくりと停車した


「ありがと…」



カヤの言葉が終わらないうちに

リョウはカヤに唇を重ねた


舌を入れてきたが

その動きはとてもゆっくりとしていて


リョウの人柄がそのまま伝わってくるような
優しいキスだった


その動きに

カヤは自分の舌に

自分の気持ちを激しく乗せたい衝動に駆られたが


ガマンをし
リョウの舌をただ受け入れるだけだった

こんなに切ないキスは


初めてだった

No.460 10/03/27 15:27
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 459 静かに唇が離れる


「今までありがとう」


リョウの言葉に

カヤはただ頷く事しか出来なかった


胸が熱く苦しい


切なさから

逃げ出すように車から降りようとした時


「カヤ!」


その声にカヤはゆっくりと振り向いた


リョウは
あたたかな眼差しでカヤを見つめ

とても優しく
しかししっかりとした口調で言った


「幸せになれよ」


「リョウも絶対

幸せになってね!」


初めてお互いの名を呼び合ったのは


皮肉にも

お互いから離れる決断を下した時だった

No.461 10/03/28 13:29
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 460 車から降り、歩き出すカヤ


一度もリョウの方へ
振り返る事はしなかった



カヤの目からは涙がとめどなく溢れていた


後ろ姿で泣いている事がわからないように

曲がり角を曲がるまで


肩を震わせないように
涙を拭わないように

静かに泣いた



【リョウの恋を応援する】


自分がかつて、リョウに言った約束の言葉を思い出しながら

その重みを引きずるように


いつかはこうしなければならない日がくるんだと

自分に言い聞かせて
涙で霞む目で
必死に前を向いて歩いた

No.462 10/03/28 14:05
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 461 それからまた2ヶ月


相変わらず歩から連絡はなく

リョウに付いた嘘とは対照的に
歩から貰った携帯電話は

もはや機能しないのではないかと思われるほど静かにカヤの部屋に置かれていた


今までの事を思えば
それは想像できたゆえ

その切なさからは目を背ける事ができた


しかし
それよりもカヤは

失ったリョウの存在の大きさと重みに打ち拉がれていた


ただ
歩への想いの
寂しさの穴を埋める為だけだったはずの関係が


いつの間にか
こんなに自分を苦しくさせるなんて



最初は
歩から目を背ける手段がなくなった事への苦しさからだと思っていた


今は仕事だってしている

だからそのうち慣れるだろうと思っていたのだが


慣れるどころか
日に日に思い出されるリョウの姿に


心は空虚になるばかりで


カヤを辛く苦しめていった

No.463 10/03/28 14:41
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 462 そんな日々にカヤは自分の狡さや弱さを見た気がした


あの時だって本当は
香織の闇や、それを映し出しているような姿に心が痛み


リョウの香織に対する長年の想いに


いつかその関係に
自分が水を差してしまうんじゃないかという思いに

関係を絶ったつもりでいたが


想像の内だけにいた香織が姿を持った事で

香織とリョウが共にいる現実や
リョウが香織を支えている現実

揺るぎないリョウの香織への深い想いを

まざまざと思い知らされ

そこから目を背けたかっただけなのではないか


リョウを失った事で

【リョウが側にいる幸せ】




香織より先に
気付いてしまった自分に
カヤは涙を流す日々が増えていった



その涙は

リョウの前で
歩を好きだと自覚した時に流した涙と


よく似ていた

No.464 10/03/28 16:19
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 463 それからカヤは益々家に引き籠もる事が多くなっていった


美也子たちと会うのも
更に仕事や体調不良を理由に断る事が多くなり

美也子たちも
そんな付き合いの悪いカヤを遊びに誘う事も少なくなり

その距離はどんどんひらかれていった


しかし実際カヤは
その理由のひとつとしていた仕事をも休みがちになっていて


一度少しだけ
盛り返したように見えた
家族との関係も益々悪化していった


全てリョウによって保たれていたバランスは

その柱を失った事で
すっかり崩れ落ちていたのだった

No.465 10/03/29 00:40
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 464 あまり聞き慣れない
しかしどこかで聞き覚えのある電子音がした



カヤは反射的に自分の携帯電話を見る


…しかし何の表示もされていない


「!!!」



カヤは
充電器に差しっぱなしのまま放置されている
歩から貰った携帯電話に目をやった


ランプが小さく点滅しているのが見えた


急いで携帯電話の表示画面を見てみると

「メール受信1件」
の文字


2ヶ月振りに鳴った携帯電話を

開いてみた


メール受信宛名には
たったひとりしか登録されていない
「谷川 歩」

ではなく

アルファベットと数字が並べられていたものだった

「yuki-***@*****.ne.jp」


カヤはその配列された文字を何となく読んでみた


(ユキ?)



送信者の名前だろうか


歩は全ての知り合いに新しい番号とアドレスを教えたと言っていたが

恐らく漏れてしまったのだろう


本文を開くと


【あーちゃん…
もう疲れちゃったよ】


たったそれだけだった

【あーちゃん】


とは

やはり歩を指す呼び名であろう


絵文字も何もない
どこか寂しさを感じるメール文だった

No.466 10/03/29 01:18
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 465 カヤは歩にこの事を知らせなければと思った


電話かメールか迷ったが

電話を掛けて
出なければメールで知らせようと


そのまま歩から貰った携帯電話で掛けてみる事にした


5コールほど鳴ったのち

「もしもし…」


久々に聞く歩の声は
寝起きのような声だった


「もしもし?カヤだよ
ごめんね、寝てた?」


「…ん…?
おぉ…カヤか…
久しぶりだな…寝てたけど
全然大丈夫



珍しいな…
どーしたよ?」


「あのね、
オニイサンから貰った携帯に私の知らないアドレスからメールがきて

もしかして
オニイサンの新しいアドレスを知らないお友達かな?って思って

【あーちゃん…
もう疲れちゃったよ】

って入ってきて


【yuki】から始まるメールアドレスなんだけど

心当たりあったら連絡してあげて」



「……
………

あ~、うん…

わかった…


わざわざありがとな」


用件だけ伝えると

2ヶ月振りの歩との電話は

終わった

No.467 10/03/29 08:13
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

間違えました

歩宛てに送られてきたメールは
EメールではなくCメール

登録されていないアドレスではなく、登録されていない電話番号

メール本文「あーちゃん…
もう疲れちゃったよ
ユキ」
で読んで頂くと助かります

昨日、酔って更新してしまった為
構成がぐちゃぐちゃになってしまいました

すみません

No.468 10/03/30 02:14
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

久々の歩とのやりとりは


とてもあっけなく

あゆみ以外の女性の影も見えた事から


カヤはとてもやるせない気分になっていた


声を聞いてしまうと
胸がキュウッと締め付けられるように苦しくなるのは

やはり今もなお
歩を好きだという事なのか


最近は殆どリョウの事ばかり考えていた

カヤは自分の気持ちがわからなくなる


しかし
どのみち自分の本当の気持ちが

わかったところで


どちらかとの関係性や
何かが変わるわけではない


カヤは悲しいほど
自分の立場をよく理解していた


弱り果てた今のカヤには

好きという気持ちや
会えた時の喜び

一時の幸福感より

孤独が上回ってしまい


どうせリョウとの関係が無くなって
今辛いのだ


こんな辛い気持ちはいっそ一度にまとめてしまいたい


カヤは
そんな投げやりな気分になっていた

No.469 10/03/30 21:00
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 468 もう何もかも終わりにしよう


だからと言って別に歩にサヨナラを言う訳ではない


悲しいが
そもそもそんな関係ではないのだ


そんな事を告げたって

歩は寂しくも嬉しくもないだろう


きっと困惑させるだけだ

このまままた歩から連絡が来ない事に慣れ


いつかまた帰省してくる時にでも連絡があるかもしれない


ただその時に連絡を取らなければいい


そして自然に終わってゆくだろう


歩がカヤを追う理由などないのだから


たった後一度

会わないだけで

全ては跡形もなく消えてゆくのだろう

No.470 10/03/31 01:50
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 469 カヤがその様を想像していると

再び涙が零れ落ちた

この2ヶ月よく泣いたというのに


まだ枯れる事を知らず

溢れ続ける




カヤが時折
涙と共に鼻を啜るだけの

静かな部屋に


突然電話が鳴り響く









鳴っていたのは歩から貰った携帯電話だった


着信相手は
この携帯に唯一登録されている

歩の名を表示していた


先ほど歩との電話を切って

30分が経過していた


想定外の出来事に


カヤは驚き、戸惑い


電話に出た

No.471 10/03/31 22:53
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 470 「もしもし俺だけど
さっきはありがとな

元気でやってっか?



カヤの所に入ってきたメールの相手と

連絡がついたのだろう

歩は

先ほどとは打って変わって

眠気も覚め、スッキリとした声をしていた


カヤは
自分とは対照的な
その歩の明るい声を聞き


切なさが爆発した


それは怒りとも思えるような

激しい感情だった


「私…
全然元気なんかぢゃないよ!

何にもうまくいかなくて

誰とも上手にできなくて

毎日毎日
辛くて苦しくて


全然思うようにいかなくて

何でこうなるの?って思う事ばっかりしちゃうし、なっちゃうし


自分の事も周りの事どんどん嫌なっちゃうよ!!」



カヤは一方的に


歩と出会ってからの
自分の気持ちやその変化

出来事全てを


激しく
泣き
叫び
訴えた

No.472 10/03/31 23:35
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

いきなりの
カヤの激しい剣幕に


訳がわからぬ歩は



カヤが全てを話し


気が済むまで




黙ってきいているしかなかった




漸くカヤが


全てのエネルギーを使い切るほど


胸の内を
さらけ出し
吐き出し
涙を出し切ると


そのうち疲れたように

落ち着きを取り戻し

沈黙が流れた



歩が静かに口を開く




「カヤは俺の事が

好きだったのか…


気付いてやれなくてゴメンな


そう思ってくれてたのはマジ嬉しいけど…


ゴメンな…


俺はもう


遠距離とかイヤなんだわ」

No.473 10/04/02 21:49
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 472 「別にいいよ…


私だって…
オニイサンが私の事そーゆーふうに見てないって

わかってたから

期待しちゃいけないって思ってたんだと思う…



最初は全然連絡無くても

そりゃ寂しいってどこかではいつも思ってたけど


それでも時々会えるだけで


その時は嬉しかったし幸せだったから

満たされてたんだと思う



ただ今は


またいつか会える楽しみより


期待出来ない事が

辛くなっちゃってさ


でもそれだってさ



その人と一緒に居られなくなって

自分のオニイサンへの気持ちとか…


私に対する
オニイサンの気持ちに期待を持てない現実から

目を背けられなくなって辛いのか



その人と一緒に居られなくなった事自体が辛いのか



私だって今は

わからなくて

気持ちがふわふわしてて


なのに


オニイサン自身にこんな事あたり散らして


私…

本当に頭悪いよね…」


カヤはそんな自分のみっともない姿が

急に恥ずかしくなって


笑って誤魔化した

No.474 10/04/02 22:35
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 473 「……

俺はさっきも言ったけど


元カノの事があってから


遠距離が本当にもう…

イヤなんだわ…


だからお前


東京来てみる?」


遠距離は嫌だと言う歩の言葉は


カヤを傷付けない為か

もしくは

歩がカヤを振る事で
自分が後味の悪い思いしたくない為の


言い訳だと思っていたカヤに



歩の言葉を理解できるまで少しの時間が流れた



それを察した歩が捕捉するように言った


「俺と東京で
一緒に暮らしてみる?


そっちに居ても

友達も家族も仕事も

うまくいかねーし

うまくできなねーんだろ?」



漸く歩の言葉を飲み込めたカヤが


思ってもみなかった
歩の言葉に驚くのも無理は無かった


「だって!

オニイサン

私の事
別に好きぢゃないんでしょ?!!」


「お前だって今は

俺が好きなのか
さっき言ってたソイツが好きなのわかんねーんだろ?


俺はカヤの事

イイコだなとは思ってたけど

正直恋愛としては見てなかった

No.475 10/04/02 23:06
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 474 ただ
最初俺の事好きって自覚して


そんで

自覚したら辛くなって


その辛さをソイツが忘れさせてくれてたんだろ?


だから

今度は俺が



カヤが
ソイツの事好きなのかもしれないって思う辛さを忘れさせてやるよ



…って言っても
俺にそれが出来るか わかんねーけど


カヤがそれでもいいなら
来てみれば?」



「だって!

だって!それぢゃあオニイサンの気持ちはどーなっちゃうの?!」



「だから

その間にカヤも


俺をマジで好きにさせてみればいーんじゃねーの?」



歩の大胆な提案にカヤは益々驚き


そして不安を感じた


「私がオニイサンを好きにさせるなんて…
出来るか自信ないよ!」


「来るならそれ位の覚悟で来いって事


どーすんの?

来るの?


来ねーの?


それともちょっと考えっか?」


「も、勿論!

私!

東京へ行く!」




こうしてカヤは


もうすぐ
生まれて18年になる時間を過ごした

この田舎町を出て


歩のいる東京へ

行く事を決意したのだった

No.476 10/04/03 13:33
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 475 この電話から
1ヶ月後の土曜日に東京へ行く事を約束したカヤは


その間に

こちらでの全てを清算しようと思った





「ちょっと…
話があるんだけど…」



互いに嫌悪と憎悪の念を


ほとんど言葉を交わす事なく


静かにぶつけ合っていた母親に


こんな風に改まって
自分から話を持ち掛ける事なんて


高校を辞める決断を伝える以来だった



カヤがキッチンのテーブルにつくと


母親も黙って

カヤと向かい合わせに座った



しかしカヤの目は見ていない


カヤはそんな母親の相変わらずな態度に
溜め息を尽きたくなるが我慢をし

自分が冷静さを失わぬよう

意識しながら口を開いた


「私、この家出るわ…

来月、東京へ行く事に決めたから」



そのカヤの言葉に母親は顔を上げ


ようやくカヤの目を見る

「東京で暮らすだなんて…

一体誰と?!」



「私の好きな人だよ」


自分の子供がもう
男に走るほど
女になっている姿は

母の目には
一体どのように映し出されていたのだろうか

No.477 10/04/03 14:06
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 476 「お父さんと相談してみるけど…

あなたは今まで

高校を辞めた時もそうだったけど…


自分が決めた事は
絶対に押し通してきたんだから

今回もそうするんでしょうね…」


母親の口調が
酷く乾いたもののように聞こえた


【押し通す】


高校を辞めると告げたあの時も

母親は反対など少しもしなかった


だからやはり


経済的に苦しくても
兄が休学や退学をするよりも

カヤが高校を辞め、進学を諦める事の方が


親にとっても都合が良かったのだ


と解釈していたカヤは


【押し通す】
という言葉で自分がくくられたのは

まれるでカヤだけが
自分勝手
という烙印を
押されたような気がして


自分の気持ちなど

やはり何もわかっていないのだと


頭や肩が重くなる


「だから…

お母さんもそんな私から解放されるんだから良かったじゃん

お互いの為にも


チエの為にも

これで良かったと思わない?」



母親はカヤのその問いに


しばらく黙って
何かを考えていたようだったが


「わかった…」

とだけ言葉を返した

No.478 10/04/03 14:30
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 477 翌日父親がカヤの部屋に来る


「カヤ、東京へ行くんだって?」


「あ、うん…」


「東京は、俺も実は
昔住んでた事があるんだよな~

随分若い時に

高田馬場って所なんだけど

カヤ知ってるか?」


カヤの父親は

昔から真面目な話や難しい話、重い話や出来事が苦手で


現実からも苦しい事からよく逃げ出し

その為、職も転々としていた

父親の威厳など全くなく、精神的にも金銭的にも何の頼りにもならない

相談事など出来るはずもなく


自分や兄がそれぞれの進学に気を患うのも
父親の甲斐性がないせいだと思っていたので


カヤはそんな父親が
不真面目で情けないと

大嫌いだったが



こんな時はその無責任さに救われた


「知らないけど

覚えておくよ」


カヤは久しぶりに父親に

笑顔を向けた

No.479 10/04/03 14:53
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 478 リョウと離れてから休みがちだった職場では

辞める事を伝え


それまでの恩ではないが


今までにないほど
仕事に打ち込み
意欲的に精を尽くした




そして東京行きまで、あと一週間を切ったある晩

あの日以来

会う事も連絡も途絶えていたリョウに電話を一本掛けた


しかし

忙しいのか故意的になのかわからないが

リョウはその電話に出る事なく


そのまま留守番電話へと切り替わった


「リョウ、カヤだよ
来週東京へ行く事になったの

今までありがとう

リョウが香織さんと幸せになる事祈ってます

元気でね」


メッセージを残し


電話を切った

No.480 10/04/03 15:15
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 479 東京行きまで残り三日

最後の仕事は昨日に終わりを迎え



カヤは着々と東京行きへの準備をしていた


リョウから折り返しの連絡は無かったが

リョウはもう
自分とは関わりたくないんだろう…

とカヤの中で想像でき
リョウのその気持ちを受け止め
そっと汲んでやる事だけが

自分が最後にリョウにしてやれる事なんだと考えていた


自分の今までの感謝とお礼の言葉は

留守番電話を通してだが

伝える事が出来たのだ

カヤは
それだけで満足した



そして

美也子に電話を掛けた

No.481 10/04/03 19:58
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 480 久々のカヤからの電話と誘いに


美也子は少し驚いたふうだったが


会う約束をして電話を切った



美也子の家の近くに
新しいイタリアンの店ができていた


美味しいし手頃だと
開店早々から好評の噂がたっていた


土日のランチの時間は
混むと聞いていたが

この日は平日で

値段も更にリーズナブルだと聞き

カヤにも手が届く範囲だった


カヤは美也子にご馳走しようと考えていた


サヤカも誘いたかったがみつるの家に行っているらしい


やよいが援助交際で居なかったのは

カヤにとって都合が良かった

No.482 10/04/03 20:16
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 481 店の前に着くと美也子はもう来ていた


平日だったが
カヤたちの前には三組が並んでいた


「平日なのに凄いね!
美也子はここ来たことあるの?」


「私も初めてだよ
いつ見ても混んでそうだったから
落ち着いたら来たいとは思ってたんだけどね」


美也子はまた少し派手になっていた



スタイルのいい
身体の線を強調させた洋服に

ボリュームを持たせた巻き髪

マスカラやマニキュアは

もう大人並みに上手くなっていたし


手にはブランド物のバッグを持ち


その姿はカヤと並んでいてアンバランスなほど大人びていた

No.483 10/04/03 21:55
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 482 ようやく店内に通され席に着く


美也子はずっと我慢をしていたのか

座るなりタバコに火を着けた


釣られてカヤもタバコに手を伸ばす


いつもの事だが
カヤが公共の場で
堂々とタバコを吸えたのは


一緒にいた美也子が大人びて見える事と

その姿が少しも躊躇う事なく堂々としている事からだった



美也子がメニューを広げる


パスタのページの写真に目をやりながら

「カヤは明太子が好きだったよね」



なんだかんだの長い付き合いで
カヤの好みを充分に心得ていた美也子が
得意気に言った


「美也子はカルボナーラでしょ」


カヤも負けじと得意気に言ってみせた


その互いにの姿に

二人は同時に吹き出した


「ピザも食べようよ!

本日のオススメは
【四種のチーズのピザ】だって!」


二人の間に

和やかな空気が漂う

  • << 494 久々に美也子との時間を和やかに過ごし それをカヤはとても懐かしく感じていた 食後に運ばれてきた デザートとコーヒーを口にしながら 美也子が口を開く 「ねぇ、カヤ 今日は本当に この店に来たかっただけなの?」 やはり何かを察していたのか 美也子が少しだけ改まった口調でカヤに聞く カヤはコーヒーを一口啜り イスに深く座り直すと言った 「美也子… 私ね… 明明後日、東京へ行くの…」 美也子はキョトンとした表情でカヤを見つめる 「東京って… 旅行でも行くの?」 「違うの… 東京で暮らす事にしたの」 美也子の表情と動きが止まり 手にしていた煙草の灰だけが 今にも落ちそうになりながら 時間を刻んでいた

No.484 10/04/03 22:03
ミンチ ( o548h )

ちゃら様
一気に読みました。今日は仕事も休みで…一日中マッタリとゆったりと過ごしながら…貴女様の小説に目が停まり…時間も忘れて読みました。…充実した休日になりました。😉ありがとうございました。又々最後まで楽しみにしています😊

No.485 10/04/03 22:07
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 484 ☺✨✨



🙇🙇🍀🍀











ちゃら🐢

No.487 10/04/05 22:10
ネコ ( 30代 ♀ jMFN )

⬆の電話番号は何❓他の小説にもレスしてあるけど…

No.488 10/04/06 08:27
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

🙇🍀🍀






ちゃら🐢

No.489 10/04/07 19:47
埼玉口動キ蛾ゲエ色々自身ニ ( HCSznb )

小説ですか?興味あります(笑)

No.490 10/04/07 20:20
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

すみません
質問のご確認をさせて頂きたいのですが

作り物か?
実話か?

と言うことでしょうか?

No.491 10/04/09 00:12
匿名 ( 30代 ♀ j4eei )

更新すごく楽しみで毎日覗いてます☺

読みながらドキドキしてます😃ファンです💕主さんのペースで更新待ってます😊是非完結まで読ませて下さい😻

No.492 10/04/09 06:09
あい ( 20代 ♀ KlAGh )

ドキドキしながら全部読んじゃいました💓

更新楽しみにしています。☺

No.493 10/04/09 22:05
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

匿名さん、あいさん

☺✨


🙇🍀🍀









ちゃら💪

No.494 10/04/09 22:43
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 483 ようやく店内に通され席に着く 美也子はずっと我慢をしていたのか 座るなりタバコに火を着けた 釣られてカヤもタバコに手を伸ばす … 久々に美也子との時間を和やかに過ごし

それをカヤはとても懐かしく感じていた


食後に運ばれてきた
デザートとコーヒーを口にしながら

美也子が口を開く


「ねぇ、カヤ

今日は本当に
この店に来たかっただけなの?」


やはり何かを察していたのか

美也子が少しだけ改まった口調でカヤに聞く



カヤはコーヒーを一口啜り

イスに深く座り直すと言った



「美也子…

私ね…

明明後日、東京へ行くの…」


美也子はキョトンとした表情でカヤを見つめる



「東京って…
旅行でも行くの?」


「違うの…
東京で暮らす事にしたの」



美也子の表情と動きが止まり


手にしていた煙草の灰だけが


今にも落ちそうになりながら

時間を刻んでいた

No.495 10/04/09 23:49
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 494 カヤは美也子にこれまで黙っていた

歩との出会いや出来事
歩に対する自分の気持ち
そして東京へ行く経緯や決心を語った




ただただ驚き
黙って聞いているだけの美也子に


カヤはゆっくりと続けた


「今まで…
黙っていて

本当に…ごめんね…


もう、美也子の中で
私は友達じゃなくなっちゃうかもしれないけど



だから今日で
最後になっちゃうかもしれないから


私がもうひとつ黙っていた


ううん…


きっと私自身に

やよいちゃんに嫉妬してるだけだって思う事で
打ち消してきた


美也子への気持ち
言うね…

No.496 10/04/10 00:16
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 495 「本当は私

美也子に
売りやって欲しくないってずっと思ってた



あの時
美也子から初めて聞いて


美也子の事好きだし、嫌われたくないし、ずっと友達でいたいって思って


美也子が決めた事なら

どんな美也子も受け入れるって

自分にも美也子にも誓ったけど



だけど、やっぱり


売りが良い悪いとかぢゃなくて


美也子自身がどんなに納得してても

どんなに覚悟決めてやってるんだとしても


その美也子の意志とは関係なく


私は…

私は凄くイヤなんだ!







だけど東京に行くって決めて、色々考えてたらさ


本当に一番イヤだって気付いたのは


美也子と繋がれていたい為に

思った事を言わないで
自分の立場だけを大切にしてきた
自分だってわかったの


私は美也子の…

本当の友達なんかぢゃない」


言いながらカヤは

いつの間にか泣いていた

No.497 10/04/10 09:55
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 496 カヤの涙を見つめながら
黙って話を聞いていた美也子は


新しいタバコに手を伸ばし、火を着ける


「カヤも吸いなよ…
落ち着くよ…」


カヤは手でゴシゴシと涙を拭うと


美也子に促されるまま

タバコをくわえた



するとすぐ目の前にライターの火が差し出される



カヤはそのまま美也子に火を着けて貰うと


その煙を灰の奥深くまで吸い込んだ



「カヤにタバコを教えたのは私だったね…


前にね…うちの親父に言われたの


親父はずっとカヤの事気に入ってたじゃん…


カヤは中学の時は凄くいい子だったのに


高校を辞めたのも
タバコを吸う様になったのも



全部お前のせいなんじゃないか…って…」


そう言って美也子は
苦みを含んだ笑顔をカヤに向けた

No.498 10/04/10 11:04
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 497 「それは違う!


進学も出来ないって思ったから学校も辞めて、親と益々仲悪くなって
その憂さ晴らしで煙草を吸ってみようって…!
全部全部自分で決めて…

私から、美也子にタバコ吸ってみたい!
って言ったんじゃん!!」


カヤは
何故か昔から
それを酷く億劫だと感じる事で

あまり自分の出来事や気持ちを言葉にしてこなかった事が



知らず知らずのうちに美也子を傷付けてきたのではないかと

この美也子の言葉で気付き始め





涙は後悔の証となって


再び頬を伝った



「美也子ごめんね…」



「ねぇカヤ…

これから…本当の友達になっていこうよ…


私だって…カヤに辛い思いさせてたの…

自分で気付いてた


カヤがやよいや私についてこれなくて


それでも私と繋がれていようとしてたの知ってて


私も毎回カヤを誘ってた…


会えば余計にカヤに寂しい思いさせるの知ってたのに…」


いつの間にか美也子の頬にも

涙が伝っていた

No.499 10/04/10 12:50
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 498 「だけど、私はそれが嬉しかったんだよ


美也子たちみたいにはなれない自分に


会えば会ったで
確かに寂しい気持ちになったけど


変わらずまた誘ってくれる時


私の事忘れないでいてくれてるんだ…


っていつも安心できたし


美也子は私の為に
そうしてきてくれたのに…

なのに…

私は今美也子の気持ちを聞くまで…


やっぱり…
自分の事しか考えていなかったんだよ……」



「…カヤ……

友達だから…

私の事真剣にそう思ってくれたから


今日こうやって話そうって決心して


誘ってくれたんでしょ?


私はカヤがそう思って勇気を出して打ち明けてくれた事が嬉しいよ」


美也子の
カヤを心遣う言葉に

カヤの心は溶けてゆく

美也子に何度も謝り
何度も礼を言った


その度、互いに
涙と鼻水に笑みを浮かべ
グシャグシャになっているお互いの顔を見合う


「カヤ、今すっごいブスだよ!」

「美也子だって!」

二人はまた同時に吹き出した



そしてお互い
これから本当の友達になれるように

それぞれの場所で
頑張ろうと励まし合った

No.500 10/04/10 13:30
ちゃら ( 30代 ♀ 3bHK )

>> 499 清々しい気持ちで家路に着いたカヤに

珍しく母親が出て来ると言った



「さっき…

谷川さんって人から…

『東京でお嬢さんをお預かりしますが、大丈夫なのでしょうか?』
って…うちに電話があってね…


お母さん…

『家の娘は…
料理も選択も
何も出来ませんがご迷惑じゃないですか?』


って聞いたら


『僕が教えるので大丈夫です』


って…


だからお母さん


『宜しくお願いします』

って言ったわ…



もっと早く…

あなたにちゃんと色々な事…


教えておけば良かったわね……」




少し申し訳なさそうにそう言って


久しぶりに穏やかな顔をカヤに向けた




《つづく》

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