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みんなでつくろうストーリー⑩

レス402 HIT数 6958 あ+ あ-

小説大好き
16/10/17 01:55(更新日時)

みんなでつくろうストーリー⑩

複雑な家庭環境で育ち

心に傷を負った千夏は

農場の寮に住むことになった。

そこで歌穂、上畠、川上と出会う…





No.2287612 15/12/27 22:00(スレ作成日時)

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No.351 16/07/15 23:34
旅人1 

>> 350 和子は、そう言いながら、甥の直人が、この寮にいた頃のことを思い出していた。


和子がスケバンだった頃、何度となく警察に補導されたが、いつも姉の昌子は嫌な顔もせず和子を迎えに来て、刑事に謝っていた。


和子は、姉の気持ちはわかっていたのだが、今さら素直にもなれなかった。


ぐれつづけていた和子に、ある日、昌子が


「お姉ちゃん、今月でスナックの仕事辞めるわ。多少お金は減っても、夜はあんたと一緒にいられる昼間の仕事を探す」



と和子に宣言した。


そして、和子を抱き締め


「今までごめんね…。父さんと母さんが一度に死んじゃって、お姉ちゃんも、あんたとの生活をなんとかすることに必死で、あんたのことをちゃんと見ていてあげられなかったわ。本当に、本当に、ごめんね…」



と言って泣いた。



和子は、昌子に抱き締められ、胸がいっぱいになった。



まもなく、宣言通り、昌子は昼間の仕事を見つけ、夜は和子と一緒に過ごすようになった。


和子も、スケバンから足を洗った…



No.352 16/07/15 23:43
旅人1 

>> 351 昌子は、自分は大学進学を諦めたが、和子には大学に行かせたいと、両親が残したお金にはなるべく手をつけず、和子の大学の進学資金にするつもりだった。


その事を知った和子は、最初は躊躇したが昌子の気持ちに甘え、大学に行くことにした。



少しでも昌子の助けになればと、アルバイトを探していた和子は、大学から比較的近い法律事務所の電話番のアルバイトの広告を見つけ、応募して採用された。



その法律事務所でアルバイトをしたことが、和子が弁護士になるきっかけだった…






No.353 16/07/15 23:50
旅人1 

>> 352 大学卒業後、和子は就職はせず、法律事務所でアルバイトをつづけながら、弁護士を目指すため、司法試験の勉強を開始した。


弁護士になりたいのは、ひとつは昌子のためもあった。



ぐれていた時、いつも嫌な顔もせず警察に来てくれた昌子に楽をさせてあげたかった。


すんなりと司法試験には合格はしなかったが、何度目かの挑戦で、ついに司法試験一次と二次に合格し、和子は弁護士になることができた。


イソ弁として、法律事務所で働き、大変ながらも充実した日々を送っていた和子だったが、ある日、昌子が


「和子。実は、お姉ちゃん、妊娠したの…」



と和子に告げた…



No.354 16/07/16 00:02
旅人1 

>> 353 聞けば、昌子は昼間の勤め先の妻子ある上司とそういう関係になり、結果、妊娠したのだという。


上司とは、和子が大学にはいってからの不倫関係だったらしい。



昌子があまり職場で目立つ存在ではなく、和子のことがあり、早く帰宅したりもしていたので職場の人間とのつきあいもあまりないため、会社の人間にバレることもなく続いたのだという。



和子が大学生になり、比較的時間が自由になったせいもあったのか、単身赴任で来ていた上旬との不倫関係がはじまった。



気をつけていたのだが、昌子は妊娠し、相手の上司は異動で単身赴任を解除して、妻子の待つ家に戻ることになっていた。



昌子は


「あの人には知らせずに、ひとりで産むつもりよ…」



と、昌子は、和子のために夜の仕事をやめた時のように、和子に宣言した…




No.355 16/07/16 00:07
旅人1 

>> 354 このときに産んだ子が、直人だったのである。



直人が高校受験の頃に、母親の昌子が癌のために他界し、戸籍抄本を見て自分の出生のことを知ってから、やさぐれだすようになったのである。



その時には、和子は松本とすでに結婚しており、弁護士の仕事の傍ら、松本とこの農園の寮をしていたので、直人を寮に入れていたのである…


No.356 16/07/19 20:01
旅人1 

>> 355 和子「とりあえず、あんたは、主人の部屋で寝泊まりする?」



直人「それでもいいよ。男子部屋は今何人ぐらいいるのかな?」



和子「今のところ、高校生の男の子ふたりだけどね」



直人「そっか…」




直人は、そこで、ふふっと笑い



「さっきの子が着てたイチゴパジャマ、かわいかったな…」



と言った…



No.357 16/07/19 22:48
小説大好き 

>> 356 和子と麗奈がいる部屋と松本と直人がいる部屋は

隣であった。

松本と直人は晩酌を始めたようで

楽しそうな会話が麗奈の耳にも聞こえてきた…




No.358 16/07/20 22:16
小説大好き 

>> 357 その声は囁くような小さな声であったが
当たりが静まり返っているから

隣の部屋にいる麗奈にも会話が所々聞こえてきた。

松本『もうすっかり大人だな。』

直人『そう?』

松本『昔は酷かったからな~。笑』

直人『えへへへ。御陰様で更正しました。笑』

松本『俺は嬉しいよ。直人がこんな好青年になってくれてさ。彼女は出来たか?』…






No.359 16/07/20 22:37
旅人1 

>> 358 直人「うん、ニューヨークで一緒に住んでたんだ。向こうで知りあった子でね」



松本「アメリカ人か?」



直人「いや、日本人だよ。やっぱり留学で来てた子なんだ。でも、日本に帰ってくるから、同棲は解消したし、彼女も実家に帰ったんだ…」



麗奈は、その話を聞いた時、かすかに胸の奥がキュッとしたが、なぜキュッとしたのか、自分でもわからなかった…



No.360 16/07/25 22:56
小説大好き 

>> 359 松本『そうか…。どうだ?久しぶりに帰ってみて。』


直人『いや~、みんないい子たちだね。。笑』


松本『見た目はな。みんな、いろんな困難を抱えているんだよ。』…




  • << 362 直人「でも、おじさんがこの農園で寮をはじめたことで、ずいぶんたちなおった子たちもいたんじゃないですか?俺もそのひとりだけど…」 松本「まあな、親の残した農園を引き継いだ時に決心したんだが、和子がいてくれなかったら、この寮も今まで運営できなかったかもしれないな…、和子には、本当に感謝してるよ」 直人「なーんだ、結局ノロケなんですか」 松本「おじ貴をからかうなよ!ハハハ」 直人「和子おばさんとはどこで知り合ったんですか?」 松本「大学時代だよ。同じ大学だったんだ…」 松本は、和子と出あったころを思い出すような、遠い目になった…

No.361 16/07/26 23:06
小説大好き 

>> 360 直人『俺も色々協力するよ。』

松本『おう!それは心強いよ。』

麗奈は所々聞こえる会話から、直人がしばらくここにいるのだと察した。

麗奈はちょっと嬉しかった…




No.362 16/07/28 10:02
旅人1 

>> 360 松本『そうか…。どうだ?久しぶりに帰ってみて。』 直人『いや~、みんないい子たちだね。。笑』 松本『見た目はな。みんな、いろんな困難… 直人「でも、おじさんがこの農園で寮をはじめたことで、ずいぶんたちなおった子たちもいたんじゃないですか?俺もそのひとりだけど…」



松本「まあな、親の残した農園を引き継いだ時に決心したんだが、和子がいてくれなかったら、この寮も今まで運営できなかったかもしれないな…、和子には、本当に感謝してるよ」



直人「なーんだ、結局ノロケなんですか」



松本「おじ貴をからかうなよ!ハハハ」




直人「和子おばさんとはどこで知り合ったんですか?」



松本「大学時代だよ。同じ大学だったんだ…」




松本は、和子と出あったころを思い出すような、遠い目になった…



No.363 16/07/29 21:43
小説大好き 

>> 362 松本『あいつ、あの頃はヤンキーだったんだよ。笑』


直人『うん。今でも時々怖いっす。笑』

松本『長いスカートにパーマかけてな。それがまた可愛かったんだよな。』…





No.364 16/07/29 23:28
旅人1 

>> 363 和子とは、確かに大学は同じだったが、実は、松本は、昔まだ和子がスケバンだった頃から、和子のことを知っていたのだった。



大学で、和子と再会した時、和子が当時とあまりにもかけ離れた、普通の女子大生の外見になっていたので、松本は最初、和子だとわからなかったぐらいであった。



松本は、まだ和子がスケバンだった頃から、和子のことが気になっていたのであった…



No.365 16/07/31 22:38
小説大好き 

>> 364 大学の校内で和子を見かけた松本は

和子のあまりの変わりように、思わず立ち止まって和子を目で追った。

すると視線を感じた和子は振り返り

和子『何?』

とちょっとヤンキー風に言った…




No.366 16/07/31 22:49
旅人1 

>> 365 松本は、和子のヤンキー口調に思わず


「あ、あの…、人違いだったらすみません…。あなたは、坂口和子さん、じゃないですか…?」



と聞いてしまった。



和子は、


「そうですけど…、何か…? ていうか、あなたは一体誰なんですか?」



と、松本に質問してきた。



松本は、



ああ、やっぱり彼女だったんだ…



と、嬉しくなった…






No.367 16/08/03 22:04
小説大好き 

>> 366 松本『ほら、俺松本農園で麦わら帽子かぶって畑で仕事しているもので…』

和子『あっ!いつも挨拶してくれる人?』

松本『エヘヘ、そうです。笑』…





No.368 16/08/05 21:33
旅人1 

>> 367 和子が中学時代、通学路に、松本の農園があり、和子も当たり前のように、農園の横を通っていたのだった。



松本は、和子とは別の中学に通っていたが、朝、登校前に父親と共に農園を手伝っていたので、和子を目にしていたのだった…


No.369 16/08/05 22:53
小説大好き 

>> 368 その当時の和子はグルグルパーマにロングスカート、カバンはぺちゃんこの

見るからにスケバンであった。

松本が〃おはようございます!〃

と挨拶をすると

和子はちょっと迷惑そうな顔をしながらも

『おはようございます。』

と返した。

松本は見た目に似合わずきちんと挨拶を返してくれる和子を
良く覚えていたのだった…



No.370 16/08/06 21:51
小説大好き 

>> 369 和子『そうだ!いつもジャイアンツの帽子かぶっていましたよね。』


松本『ハハハ!そうだよ。』


和子『私もジャイアンツファンなんです。笑』

そこから松本と和子は野球の話で盛り上がった…




No.371 16/08/08 22:55
小説大好き 

>> 370 松本『だけど、随分印象変わったよね。よ~く見ないと、君だってことが分からなかったよ。』


和子『ちょっと大人になったんです。笑』


松本『ヤンキーもなかなか似合っていたよ。』

和子『えっ?!本当に?』

松本『あ、駅前の喫茶店知ってる?珈琲がめっちゃ上手いんだよ。良かったら今度行かない?』…





No.372 16/08/08 23:40
旅人1 

>> 371 和子は

「ありがとう、でもきょうは、あたしバイトの日だから」


と言った。



松本「バイト?」



和子「大学の近くの法律事務所で、電話番のバイトしてるのよ。これから行かないと」



松本は、和子が法律事務所でアルバイトしていることが意外だった。


和子は


「明日はバイトない日だから、明日でもいい?」



と、ちょっといたずらっぽく笑って言った…



No.373 16/08/13 22:06
小説大好き 

>> 372 そして翌日。

松本は待ち合わせ時間より少し早く喫茶店に到着していた。
和子『待った?』

小さく手を振りながらやってくる和子に
松本『いや、今きたところだよ。』

水玉のブラウスにロングスカート姿の和子は

昨日より大人びて見えた。…




No.374 16/08/14 07:59
小説大好き 

>> 373 ウエイターが2人のテーブルにアイスコーヒーを運んできた。

ブラックで飲む和子に対して松本は

シロップもミルクも全部入れてかき混ぜていた。

和子『甘党なのね。』

松本『和子さん、大人だね。』

2人の距離がちょっと縮まった瞬間だった。

松本『そういえば、オリンピック見た?すごいよね!』

和子『うん。みたみた!感動したよ!』

と、2人の会話は弾みまくり

アイスコーヒー一杯でかなりの時間喋っていた。

松本はさすがにウエイターからの迷惑そうな視線を感じ

2人は喫茶店をでることにした。

松本『次に行きたい所ある?』…







No.375 16/08/14 08:03
旅人1 

>> 374 和子は


「特にはないけど…」




と言った。



松本は



「じゃあ、イヤじゃなかったら、うちの農園に来てみる?」




と、和子に言った…





No.376 16/08/20 22:41
小説大好き 

>> 375 和子『良いわね!是非行ってみたいわ!』

松本『よし、決まりだね。』

2人は喫茶店を出て
松本農園へ向かって歩いた。

真夏の日差しは容赦なく2人を照りつけた。

和子『暑いね。』

松本はカバンからタオルを取り出すと

そそくさと和子の頭にタオルをかけた。
和子はいきなり松本にタオルをかけられびっくりして

松本の方を見ると

松本『ちょっとは涼しいだろ?』

とニヒルに微笑んだ…




No.377 16/08/23 23:30
旅人1 

>> 376 農園では、松本の父親の宗一が農作業をしていた。



宗一は、息子の横に、若い女の子を見て



「おー、陽介、遅かったな。その子は彼女かい?ちょっとポッチャリしてるけどなかなかかわいい子じゃないか」


と、口元をほころばせた。



松本は

「ちっ、違うよ、親父なに言ってんだよ!」


と顔を赤くして照れた…



No.378 16/08/23 23:41
旅人1 

>> 377 昔、通学路で外から見ただけの農園だったが、中に入ってみると、意外に広大だったことに和子は驚いた。


松本は

「親父とオフクロと俺と3人でこの農園をやってるんだ。ひとまわり年上の姉貴がいるんだけど、姉貴は6年前に結婚して、北海道に住んでるけど、やっぱり向こうで旦那と子供とで牧場をやってるんだよ」


と和子に説明した。



「親父もそうだけど、俺も、農業が好きなんだ…。親父は反対したけど、俺は、大学卒業したら、この農園を継ぎたいって思ってるんだ」



そう言う松本の横顔が、和子には大人びて見えた…



No.379 16/08/25 22:47
小説大好き 

>> 378 その時松本の母親が松本を呼んだ。

『文也、お茶が入ったよ~!』

その時和子は松本の名前が文也だと知った。

その当時一世を風靡していたチェッカーズのボーカルのフミヤの大ファンだった和子は

松本の名前が文也だと知って、ちょっと嬉しかった。

縁側では松本の母吉江が茹でたトウモロコシで和子を歓迎してくれた…




No.380 16/08/25 23:04
旅人1 

>> 379 「母さんまた俺の名前間違えてるだろ。俺は陽介だよ。いくらチェッカーズのフミヤのファンだからって、絶対わざとだろ」



と松本が言ったので、和子はちょっとガッカリしたが、それでも松本の母親がチェッカーズファンと知り、ちょっと親しみを覚えたのだった…


No.381 16/08/25 23:24
旅人1 

>> 380 それがきっかけで、和子は時おり、松本の農園の手伝いに行くようになった。


和子は、農業の楽しさを知るとともに、松本の農業や農園を愛する心や、おおらかな人柄に好意を抱くようになっていった。



帰りには、わずかながら、農園で取れた野菜をもらえることもあったので、姉の昌子とふたり暮らしの和子には大助かりでもあった。


日曜日には朝から松本の農園に行き、お昼をごちそうになり、夕方までいることもあった。


松本の両親、宗一も吉江も、和子に好感を持っており、息子の陽介と一緒になってくれたら と考えるようになっていた…



No.382 16/08/26 21:52
小説大好き 

>> 381 その頃の松本のあだ名は〃フミヤ〃になっていた。

冗談好きの吉江につられて

和子も時々〃フミヤさん〃と呼ぶようになった。

松本も吉江に似て冗談好きで

〃フミヤさん〃と呼ばれると

全然似てないけどフミヤの物真似をして和子を笑わせた…




No.383 16/09/02 21:33
旅人1 

>> 382 和子にとっては、そんなひとときが楽しく、また、やすらぎになっていた。


松本と和子が、お互いを意識しあうようになるのに、さほど時間はかからなかった…



No.384 16/09/07 22:31
旅人1 

>> 383 そんな日々が続き、大学も卒業を迎えようとする頃、和子は松本から、チェッカーズのコンサートに、一緒に行かないか と誘われた…


No.385 16/09/08 22:05
小説大好き 

>> 384 和子は憧れのチェッカーズのコンサートに誘われ

即答でOKした…




No.386 16/09/12 22:23
小説大好き 

>> 385 そしてコンサート当日。松本は髪形を変えてきた…




No.387 16/09/13 21:29
旅人1 

>> 386 当時流行っていた、いわゆる、チェッカーズカットだった。



チェッカーズカットは、意外に松本に似合っていたので、和子は内心ビックリした…



  • << 390 松本はちょっと照れ臭そうに髪形を意識していた。そんな松本に 和子『髪形、似合ってる。』 と言うと松本は嬉しそうに 『そうか?』 とニヒルに笑った。 コンサート会場に入ると すでにファンの熱気でムンムンしていた…

No.388 16/09/13 22:30
小説大好き 

フリーターさん、遅くなってゴメンナサイ!

ようやくミクルに来れました。

新スレおめでとうございます。また宜しくお願いします。



No.389 16/09/13 22:38
旅人1 

>> 388 主さまありがとうございます。



新スレを開けますので、レスをください。



レスくだされば、すぐさま締め切りします。

No.390 16/09/13 22:45
小説大好き 

>> 387 当時流行っていた、いわゆる、チェッカーズカットだった。 チェッカーズカットは、意外に松本に似合っていたので、和子は内心ビックリ… 松本はちょっと照れ臭そうに髪形を意識していた。そんな松本に

和子『髪形、似合ってる。』

と言うと松本は嬉しそうに

『そうか?』

とニヒルに笑った。

コンサート会場に入ると

すでにファンの熱気でムンムンしていた…



No.391 16/09/15 22:12
小説大好き 

>> 390 あれから30年近くがたって

和子は当時を思い出しながら

棚からアルバムを取り出した…




No.392 16/09/16 09:52
旅人1 

>> 391 ふたりでチェッカーズのコンサートに行ってまもなく、松本も和子も大学を卒業し、松本は公務員になり、和子は就職はしないで、弁護士になるため法律事務所でアルバイトを続けていた。


チェッカーズのコンサートに行ってから、ふたりは何となく恋人のようなつきあいになり、ごく自然に身体を重ねるようにもなっていた。


松本は、元スケバンだった和子が処女だったことが意外だったようだが、感激していたようだったし、和子も、松本がはじめてだったことが嬉しかった。



そして、大学を卒業してから約3年後、和子が司法試験に合格したときに、松本と和子は結婚した。



そのときに祝福してくれた、姉の昌子の胎内には、直人が息づきはじめていたのだったが…





No.393 16/09/16 10:01
旅人1 

>> 392 松本と結婚することになった頃、和子は、姉の昌子から、不倫の末に妊娠したことを聞いたのである。



昌子は


「あなたたちが結婚しようってときに、不倫した相手の子を産もうっていうお姉ちゃんでごめんね…。でも、産みたいの…。あなたたちに迷惑はかけるつもりはないから…」



と言った。




直人が生まれ、会社を辞めた昌子は、友人の紹介で、雇われではあったが、友人の親がオーナーの、商店街にある洋品店を任されていたので、自分の収入で直人を育てていくつもりだった。



直人が誕生し、次は私達も



と和子は思ったが、なかなか子供ができなかった…





No.394 16/09/16 10:07
旅人1 

>> 393 結婚して2年目に、和子は妊娠したが、流産してしまい、その後は、松本と和子には子供の縁はなかった。



子供がなかったことはさびしいことかもしれないが、松本の父親、宗一の他界で、松本が公務員を辞め農園を引き継ぐことになり、問題のある子供たちを受け入れるための寮を立ち上げることになって、直人をはじめ、たくさんの子供達の面倒をみてきたし、その子達が、私達の子供でもあるんだわ



と、当時のアルバムをみながら、和子は考えていた…




No.395 16/09/18 22:39
小説大好き 

>> 394 和子がアルバムを見ていると

後ろから

『わあ、綺麗!これ和子さんですか?』
と声がした…




No.396 16/09/20 23:08
小説大好き 

>> 395 それは麗奈であった。
和子はちょっと驚いた。

麗奈が自分から話しかけて来るなんて

今まで無かった。

和子『ずっと昔のね。』

麗奈『おじさんイケメンですね。』

和子『アハハ!この髪形うけるよね。』
麗奈『ウフフ、そうですね。』

和子はその時麗奈の笑った顔を始めてみた気がした…





No.397 16/09/20 23:14
旅人1 

>> 396 若い頃の和子の写真に、麗奈は、どこか直人の面影がある と思いながら写真を見ていた。




和子と、他界した姉の昌子とは、それほど顔立ちが似ているわけではなかったのだが、やはり姉妹ならではの共通点があったからだ…




No.398 16/09/30 22:23
小説大好き 

>> 397 若い頃の和子の写真を見て

麗奈『いい笑顔ですね。』

和子『エヘヘ…そう?』
麗奈『私の小さい頃の写真って笑ってないんです。』

和子『…麗奈ちゃん…』…





No.399 16/10/04 23:37
旅人1 

>> 398 麗奈「うんと小さい頃の写真には、1、2枚は笑ってる写真もありますけど…。小学校に入ってからは、1枚もないんです…」




和子は、麗奈の言葉から、麗奈の家庭環境や、麗奈の過酷な学校生活を想像した…






No.400 16/10/05 22:10
小説大好き 

>> 399 麗奈『父親が、小さい頃にしゃべるな!笑うな!っていつも怒鳴っていて、

いまでも笑うの苦手だし

大きな声で話すのも苦手なんです。』…




  • << 401 和子は麗奈を抱きしめた。 和子『辛かったね。もう大丈夫よ。』 麗奈は和子に抱きしめられて 暖かい温もりを感じた…
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