みんなでつくろうストーリー⑩
みんなでつくろうストーリー⑩
複雑な家庭環境で育ち
心に傷を負った千夏は
農場の寮に住むことになった。
そこで歌穂、上畠、川上と出会う…
>> 391
ふたりでチェッカーズのコンサートに行ってまもなく、松本も和子も大学を卒業し、松本は公務員になり、和子は就職はしないで、弁護士になるため法律事務所でアルバイトを続けていた。
チェッカーズのコンサートに行ってから、ふたりは何となく恋人のようなつきあいになり、ごく自然に身体を重ねるようにもなっていた。
松本は、元スケバンだった和子が処女だったことが意外だったようだが、感激していたようだったし、和子も、松本がはじめてだったことが嬉しかった。
そして、大学を卒業してから約3年後、和子が司法試験に合格したときに、松本と和子は結婚した。
そのときに祝福してくれた、姉の昌子の胎内には、直人が息づきはじめていたのだったが…
>> 360
松本『そうか…。どうだ?久しぶりに帰ってみて。』
直人『いや~、みんないい子たちだね。。笑』
松本『見た目はな。みんな、いろんな困難…
直人「でも、おじさんがこの農園で寮をはじめたことで、ずいぶんたちなおった子たちもいたんじゃないですか?俺もそのひとりだけど…」
松本「まあな、親の残した農園を引き継いだ時に決心したんだが、和子がいてくれなかったら、この寮も今まで運営できなかったかもしれないな…、和子には、本当に感謝してるよ」
直人「なーんだ、結局ノロケなんですか」
松本「おじ貴をからかうなよ!ハハハ」
直人「和子おばさんとはどこで知り合ったんですか?」
松本「大学時代だよ。同じ大学だったんだ…」
松本は、和子と出あったころを思い出すような、遠い目になった…
>> 359
松本『そうか…。どうだ?久しぶりに帰ってみて。』
直人『いや~、みんないい子たちだね。。笑』
松本『見た目はな。みんな、いろんな困難を抱えているんだよ。』…
- << 362 直人「でも、おじさんがこの農園で寮をはじめたことで、ずいぶんたちなおった子たちもいたんじゃないですか?俺もそのひとりだけど…」 松本「まあな、親の残した農園を引き継いだ時に決心したんだが、和子がいてくれなかったら、この寮も今まで運営できなかったかもしれないな…、和子には、本当に感謝してるよ」 直人「なーんだ、結局ノロケなんですか」 松本「おじ貴をからかうなよ!ハハハ」 直人「和子おばさんとはどこで知り合ったんですか?」 松本「大学時代だよ。同じ大学だったんだ…」 松本は、和子と出あったころを思い出すような、遠い目になった…
>> 353
聞けば、昌子は昼間の勤め先の妻子ある上司とそういう関係になり、結果、妊娠したのだという。
上司とは、和子が大学にはいってからの不倫関係だったらしい。
昌子があまり職場で目立つ存在ではなく、和子のことがあり、早く帰宅したりもしていたので職場の人間とのつきあいもあまりないため、会社の人間にバレることもなく続いたのだという。
和子が大学生になり、比較的時間が自由になったせいもあったのか、単身赴任で来ていた上旬との不倫関係がはじまった。
気をつけていたのだが、昌子は妊娠し、相手の上司は異動で単身赴任を解除して、妻子の待つ家に戻ることになっていた。
昌子は
「あの人には知らせずに、ひとりで産むつもりよ…」
と、昌子は、和子のために夜の仕事をやめた時のように、和子に宣言した…
>> 350
和子は、そう言いながら、甥の直人が、この寮にいた頃のことを思い出していた。
和子がスケバンだった頃、何度となく警察に補導されたが、いつも姉の昌子は嫌な顔もせず和子を迎えに来て、刑事に謝っていた。
和子は、姉の気持ちはわかっていたのだが、今さら素直にもなれなかった。
ぐれつづけていた和子に、ある日、昌子が
「お姉ちゃん、今月でスナックの仕事辞めるわ。多少お金は減っても、夜はあんたと一緒にいられる昼間の仕事を探す」
と和子に宣言した。
そして、和子を抱き締め
「今までごめんね…。父さんと母さんが一度に死んじゃって、お姉ちゃんも、あんたとの生活をなんとかすることに必死で、あんたのことをちゃんと見ていてあげられなかったわ。本当に、本当に、ごめんね…」
と言って泣いた。
和子は、昌子に抱き締められ、胸がいっぱいになった。
まもなく、宣言通り、昌子は昼間の仕事を見つけ、夜は和子と一緒に過ごすようになった。
和子も、スケバンから足を洗った…
>> 349
麗奈『お…やすみなさい。』
麗奈は小さな声で言った。
直人『おやすみ!イチゴちゃん!』
麗奈は直人の投げかけてくれる言葉が嬉しかったが
嬉しい気持ちをどう表現してよいのか分からぬまま
小走りで部屋に帰った。
そんな麗奈を見ながら和子は
『直人…しばらくここにいてくれない?』
直人『良いけど…何で?』
和子『麗奈…あんたの言葉に初めてほんのちょっと笑ったの。』
直人『え?笑った?』
和子『よ~く見なきゃ分からないけどね。』
直人『へ~!まあ、俺はしばらく自由だから居てやるよ。』
和子『全く偉そうに!』
直人『はっはっはっ!俺様は偉いのじゃ!』
和子『そうね。偉いから麗奈の心開かすのを手伝って欲しいのよ。』…
>> 340
和子と麗奈が寝ようとした時再び大きな雷が鳴り響き
次の瞬間停電した。
和子は松本と一緒に建物内の見回りをすることにした。
麗奈は暗い部屋に1人残る恐怖に耐えかね
和子達の見回りについていく事にした。
各部屋からは停電というアクシデントを楽しんでいるかのような笑い声が聞こえてきた。
一通り見回って異常は無く
部屋に帰ろうとしていた時
和子がいきなり悲鳴を上げた。
麗奈は和子の悲鳴にびっくりして悲鳴をあげた。
2人が悲鳴をあげると暗い廊下の先の方で何かが動いた。
『どうしたんですか?』
暗い廊下の先の方から声がした。
和子『その声は直人?』
だんだんと近付いて懐中電灯でその先を照らすと
直人『まぶしいよ!』
和子『こんな暗がりで何してるの?』
>> 323
女子の部屋で、麗奈は机に向かってひとりで夕食を食べていた。
母親の慶子が
「えっ!ここの寮って、個室はないんですか?!」
と驚いた様子だった。
和子は
「そうなんですよ。共同生活をするため、そしてひとりで孤立してしまうのを防ぐため、あえて、男子は男子、女子は女子で、ひと部屋で寝起きしてもらうことになっているんです。それがうちの寮の規則ですので、申し訳ありませんが、特別な理由なく個室をあてがうことはできないんです」
と、慶子に説明した。
慶子は麗奈に
「麗奈ちゃん、あなた、ほかの人と共同生活って、大丈夫なの…?」
と聞いてみると、麗奈は無言だったが、コックリと頷いた…
>> 310
そして、歌穂と公園デートのために、またも和子に外出許可をもらいにいった上畠だった。
和子は許可してくれたが
「最近、みんな外出が多いわね。まあ、そういう年頃だから仕方ないかもしれないけど…。外出しても節度のある振る舞いをしなきゃダメよ。私たちはあくまでも、あなたたちの親御さんからあなたたちを預かっている立場なんだから。
ちゃんと門限までには帰ってくること。変な場所には行かないこと、お酒飲んだりタバコ吸ったり変なことしたりしないこと、ちゃんと守らないと外出許可は今後は出さないわよ」
と笑いながら言った。
上畠は
「ち、ちょっと公園に行くだけだから大丈夫ですよ…」
と照れながら言った…
>> 301
富子が電話を切ったあと、富子の家の電話が鳴った。
「もしもし…」
と富子が電話に出ると、
「俺だよ」
と、黒田の声が聞こえてきた。
「今からお前のとこに行くから、酒と、何かつまめるもの用意しといてくれないか?」
と言われて富子は嬉しくなり
「わかったわ。待ってるから」
と言っていそいそと電話を切った。
寂しくて、千夏の声が聞きたくて寮に電話したことなど、富子はすっかり忘れ、黒田のためにいそいそと酒の肴の支度をはじめた。
黒田は黒田で、富子とそろそろ手を切る時期かもな と思っていたが、気まぐれに電話してみると、富子の嬉しそうな声を聞いて
やっぱり、富子とは離れられないな…
と思い直していた。
その夜、黒田は久しぶりに富子のアパートに泊まった。
富子はもう、千夏のことなどすっかり忘れていた…
>> 254
上畠は、歌穂の大胆さとテクニックに我を忘れていたが、そこで我にかえった。
歌穂は、やけくそになっているんだ
今、…
上畠「歌穂は、汚れた女なんかじゃないよ…。義理のお父さんに何されたか知らないけど、それは歌穂だけの責任じゃない…」
歌穂「上畠くん…」
上畠「歌穂、もっと自分に自信持たなきゃダメだよ。俺も、あんまり人のこと言えないけど…さ」
歌穂は、黙って、シャツの前ボタンを止め直した。
上畠は
「そろそろ、寮の門限の時間が近づいてるし、帰ろうか…。和子さん心配するからな」
と歌穂に言うと、歌穂は黙って頷いた。
そして、上畠と手を繋ぎながら、再び歩いて、バスに乗り、門限ギリギリではあったが、寮に戻った。
「何とか夕飯の時間に間に合ったな…」
と上畠は歌穂に言って、素早く歌穂の唇にキスをした。
さわやかなキスだった。
歌穂も、上畠にキスされ、さわやかな気持ちになった…
>> 253
上畠は、歌穂の大胆さとテクニックに我を忘れていたが、そこで我にかえった。
歌穂は、やけくそになっているんだ
今、そんな歌穂とヤったとしても、後味が悪くなるだけだ
歌穂が、本当に俺を好きになってくれてるなら、別だけど、今は違う
今は、やめておくほうが、お互いのためには絶対いい…
そして、歌穂が本当に俺を好きになってくれたら、俺は歌穂を抱きたい
上畠は決意した。
そして歌穂に
「やめろよ、やけくそでこんなことするなんで、歌穂らしくないぞ」
と言って、歌穂から身体を離した。
さっきまで歌穂の唇と舌で愛撫されて、感じていた上畠自身も治まっていた。
歌穂は
「でも、上畠くん、あたしが欲しいんでしょ?今だけなら、あたしを自由にしていいよ…。もうどうせ汚れた女なんだし…」
と言った。
上畠は、思わず歌穂を平手打ちした。
「落ち着けよ、歌穂!もっと自分を大事にしなきゃダメだろ!」
と上畠が一喝して、歌穂は、上畠にぶたれた頬を手で押さえ、やがて理性が戻ってきた…
- << 256 上畠「歌穂は、汚れた女なんかじゃないよ…。義理のお父さんに何されたか知らないけど、それは歌穂だけの責任じゃない…」 歌穂「上畠くん…」 上畠「歌穂、もっと自分に自信持たなきゃダメだよ。俺も、あんまり人のこと言えないけど…さ」 歌穂は、黙って、シャツの前ボタンを止め直した。 上畠は 「そろそろ、寮の門限の時間が近づいてるし、帰ろうか…。和子さん心配するからな」 と歌穂に言うと、歌穂は黙って頷いた。 そして、上畠と手を繋ぎながら、再び歩いて、バスに乗り、門限ギリギリではあったが、寮に戻った。 「何とか夕飯の時間に間に合ったな…」 と上畠は歌穂に言って、素早く歌穂の唇にキスをした。 さわやかなキスだった。 歌穂も、上畠にキスされ、さわやかな気持ちになった…
>> 248
上畠は、歌穂が徐々に、自分のキスを受け入れているのを感じると、今度は深めに舌を入れ、歌穂の舌に自分の舌を絡ませた。
歌穂も拒まず、上畠の舌に自分の舌を絡めてきた。
上畠は、歌穂を抱きたい と思った。
歌穂とキスをしながら、身体が欲望で熱くなってきたのが自分でもわかった。
だが、歌穂は、義父との辛い経験がある…
今は、これ以上求めると、歌穂から拒絶されるだろう
そう思った上畠は、歌穂から唇を離した。
そして
「ごめんな…、でも、我慢できなくてつい…」
と言った。そして
「でも、いい加減な気持ちじゃなくて、ずっと前からこうしたいって思ってた…、好きだったから…」
と言った…
>> 232
もちろん、つきあいはじめてまもなく、宮下は此恵ともセックスするようになった。
此恵は処女だった。
宮下は、時々は歌穂のことを思い出したが、此恵は、
「宮下くんとつきあえるなんて思ってなかった。勇気だして告白してよかった…」
と言った。
此恵は、歌穂ほど美貌ではないが、結構かわいくて、此恵を狙っている男子は多いと聞いていたので、きっと自分にも自信があるんだろうと思っていた宮下には意外だった。
宮下は、此恵を大事にしようと思った。
此恵とつきあいはじめてまもなく、街で中学時代の友人と偶然再会し、歌穂が不登校になり、そういう子ばかりを受け入れる寮に入ったと聞いた。
その話を聞いた宮下は、平日仮病で学校を休み、歌穂の家を訪ねてみた。
平日の昼間ならば、義父の菊池は仕事でいないだろうと考えたからだ。
はたして、義父の菊池はいなくて、母親の瑞穂が出てきた。
そして、歌穂が入寮したことを話してくれた。
瑞穂はその頃、歌穂が菊池にひそかに餌食になっていたことを気づいていて、
「もう、あの子には会わないつもりだし、あの子もそうだと思うわ。だから、宮下さんも、あの子を訪ねていったりしないで…、あの子の傷がさらに深くなるだけだから」
と、宮下に言った。
宮下は、その時、歌穂が、義父に無理矢理犯されて、あんな画像を撮らされたのだと悟ったが、無理矢理とはいえ、歌穂が義父と身体の関係をもっていたのは事実だし、連絡も無視した自分が今更会いにいったとしても、歌穂のほうが拒絶するかもしれず、それに今自分には此恵がいる…
そうして宮下は、ようやく歌穂への思いを封印したのである…
>> 231
宮下が初体験をした女の子・詩子(うたこ)は、初体験後もしばらくはつきあっていて、ふたりで会うときにはセックスしていた。
はじめて知った世界で、宮下は彼女とのセックスに夢中になり、詩子も求めてきたので、勉強がおろそかになるぐらい、セックスばかりだった。
だが、そんな日々でも、宮下の脳裏には歌穂がまだ焼きついていた。
歌穂の義父から見せられた、自分は見ることがなかった歌穂の裸や乳房、あの部分の画像が…。
これが歌穂とだったら、もっとよかったかもな…
宮下は心のどこかで、そう思いながら、詩子とのセックスにのめり込んだ。
だが、詩子は、宮下以外にも、同じ進学校の一学年上の男がいて、その男と二股をかけていたことがわかった。
噂を耳にした宮下が問いつめると、詩子は
「だって、豪(ごう)くん、あたしと会ってても、エッチしてるときも、いつもどこかうわのそらだし…。あたしのことホントに好きじゃないんでしょ?センパイは、ちゃんとあたしのこと見ててくれるから…」
と、宮下に言って去っていった。
詩子とは別れたが、もともとイケメンで、スポーツ万能な宮下は、すぐに別のクラスの女の子から告白され、つきあいはじめた。
それが、指環を買ってあげた、此恵(このえ)だった…
>> 230
そして、その時、菊池は歌穂の中に放出した。
菊池は、トイレで歌穂の使用済みの生理用品をチェックし、安全な日を割り出して、安全なときは平気で歌穂の中に放出していた。
菊池は、歌穂の中に放出しながら
「うう~、ホントにお前を孕ませたいぜ~」
と、安全とわかっていても言ったのだった。
歌穂には地獄の日々だったが、宮下は、菊池から画像を見せられて、歌穂が、義父との関係を望んでいたと思い込んでいた。
むろん、歌穂はそんなことなど知らず、宮下からの連絡もなくなり、高校にも馴染めず不登校になっていた。
歌穂を忘れようと決めてまもなく、宮下は同じクラスの女の子とつきあうようになった。
歌穂が見た、自転車に乗せた女の子だった。
そして、その女の子と、宮下は初体験をした。
女の子が処女でなかったことにはちょっと驚いたが、初体験のとき、なぜか歌穂の顔が浮かんだ宮下だった…
>> 229
むろん、歌穂が望んで義父にそんな画像を撮らせたわけではない。
母親・瑞穂が、秋穂を出産して入院していたとき、菊池が歌穂を犯しながら
「ホント、10代のくせにいい身体してるよな…」
と言って、自分のスマホを取り出し、自分と歌穂の結合している部分をカメラで写したのである。
歌穂は恥ずかしさと嫌悪で
「やめて、そんな画像撮るの!」
と言ったが、菊池は
「瑞穂には見せないし、変な雑誌にも投稿したりしないからいいだろ」
と言って、歌穂の局部をアップで撮ったり、裸の写真も撮った。
さらには、歌穂を犯しているところを動画で撮ったりした。
歌穂は顔をそむけ、カメラに映らないようにしたが、菊池は無理矢理、歌穂の顔をカメラに向けさせた。
そして、終わってから、歌穂の恥ずかしい画像の数々を歌穂に見せて
「イヤだとか言っても、俺の○○○をこんなに奥まで受け入れて、イヤらしい汁が出てるのも丸見えだぜ…」
と、歌穂が嫌がるのがわかっていて、言うのだった。
「お義父さん、お願い、消して…」
と歌穂が泣きながら言ったが、菊池は
「何言ってんだ。こんなエロいお前の画像を消せるわけないだろ。さっきも言ったが、投稿雑誌なんかには出さないから安心していいぜ」
と言った。
歌穂が菊池のスマホを奪おうとしたが、菊池は歌穂の顔を殴り、痛さで半ば気絶した歌穂をさらに犯した…
>> 228
菊池のスマホには、歌穂の裸だけでなく、歌穂の、形のよい乳房や、恥ずかしい部分がアップで写っていたり、結合している部分もアップで写っている画像があった。
菊池はニヤニヤ笑いながら
「これでも、まだ信用できないっていうのなら、俺と歌穂の動画を見せてやってもいいんだぜ…」
と言った。
宮下は、その場を走り去った。
自分は、キスだけで、高校に入学したら、歌穂と と思っていたのに、歌穂は、義理の父親と…
宮下は、自宅に帰ると、ショックのあまり部屋に閉じ籠ってしまった。
歌穂からのLINEも未読、電話がかかってきても出なかった。
そして、歌穂を忘れることに決めたのだった…
>> 226
宮下は、上畠と手を繋いで歩く歌穂を遠くから見た。
菊池…
宮下の胸中に、甘く苦い思いがよぎった。
同じ進学校を受験し、不合格だった歌穂と、高校は違っても、つきあっていくつもりでいた。
連絡はしていたが、何となく気を使いながらだった。
ある日、宮下は、見知らぬ男に道で声をかけられた。
それは、歌穂の義父、菊池優だった。
「あんた、歌穂の彼氏だろ?」
いきなり無遠慮に言われ、宮下は内心気を悪くした。
「失礼ですが、どなたですか?」
菊池は
「俺は、歌穂の義理の父親だが、あんたに話があってな。ここで待ち伏せてたんだ。よくこの辺で歌穂とキスしたり、イチャイチャしてたよな…」
と、ニヤニヤ笑いながら、宮下に言った。
宮下は
「そ、それがどうかしたんですか?僕たちは、つきあってるんだし、関係ないでしょう?」
と切り返したが、菊池は
「それが、関係あるんだよなあ~、歌穂は、実は俺の女なんだよ…、俺が時々、あいつの母親の目を盗んで抱いてるンでな」
と言った。
宮下は、衝撃で凍りついた…
>> 216
歌穂は、宮下と女の子が、オモチャの指環を買って、出店をあとにするのを、悲しい気持ちで見ていた。
中学卒業後、宮下からの連絡が途絶えがちになり、やがて連絡が来なくなった直後だった。
宮下が、同じ進学校の制服を着た女の子を、自転車の後ろに乗せて、楽しそうに、仲良さそうに帰っていた姿を見たのは…。
ふたりの姿を見てすぐに、歌穂は携帯を解約した。
そして現在も、携帯は持たないままである。
携帯なくて不便じゃないのか? と上畠から聞かれたことがあったが、
別に、電話したりLINEするような友達もいないから
と返事をした。
義父から絶えず電話がかかってくるのが嫌なのもあったが、宮下と電話やLINEをしていた頃を思いだし、悲しくなったからだった…
>> 176
川上「ていうか、ファミレス行くんならまずは松本さんか和子さんに外出許可もらわないとダメだろ。上畠も、何でも思いつきで言うもんじゃないぞ」
とぶっきらぼうに言って川上はその場を去った。
確かに、寮にいる以上勝手には外出できず、事前に外出許可をもらわないといけなかったのである(ただし緊急時は別だが)。
歌穂も、そのことはわかっていたのだが、川上を元気づけたくて、わざと上畠のセリフにのったのだが…。
歌穂「まあ、今はそっとしておいたほうがいいのかもね。また今度改めてみんなで外出許可とって一緒にファミレスに行けばいいんだし」
上畠「そういえば、今度の日曜、歌穂と一緒に水族館行くんだったっけ」
外出許可で思い出した上畠だった…
>> 159
川上は、意外な展開に、酸欠のように口をパクパクさせながら
「終わり って…?」
と聞いた。
麻由美「寮に入ってからあんまり連絡くれないし、すれ違いばっかしだし…、こっちがLINEしても返信もないときあるし。なんか、つきあってる意味ないしね。だから、もう、いいかな って…」
川上は
「他に好きな人とかできたの…?」
と、つとめて平静をよそおいながら、聞くのがやっとだった。
麻由美「そんなこと、ないよ。別に好きな人なんていない。でもさ、今みたいな状態に疲れたんだよ…、もともとあたしが告白しなきゃ、竜彦くんあたしとつきあったりしなかったでしょ?だから、気持ちに温度差あるのもわかってたし、仕方ないよね…、じゃあ、用事あるからもう帰るね…。今までありがとう。元気でね…」
と言うと、飲み物代をテーブルに置いて、麻由美は喫茶店を出ていった。
川上は、喫茶店のテーブルに取り残されたまま、意外な展開に、何も考えられなかった…
>> 158
一方、川上は、喫茶店で、麻由美を待っていたが、以前のように、麻由美はちょっと遅れてやって来た。
麻由美「久しぶり。やっと会えたよね。LINEしてもなかなか返信してくれないし、どうなったかと思ってた。寮に入るって言ったときはビックリしたけど、なかなか連絡とれないし」
川上は、麻由美にたいしてまだ別れの言葉をちゃんと考えてなかったことに気づいた。
でも、とにかく、別れたい って言わないと
そう内心では思いつつも、しばらくは麻由美と、通っていた高校の話などの当たり障りのない話をした。
話がちょっと途切れて、川上が、今が言うチャンスかもしれない と思い
「麻由美、あの…」
と言うと、麻由美のほうから
「あたし、本当は、竜彦くんに話があって…。
言いにくいんだけど、もう終わりにしようって思うの…」
と言われた。
川上は一瞬
えっ…?!
と言葉につまった…
>> 134
上畠は、歌穂に一目惚れし、先輩たちから「下ふたり」と言われていた頃から、歌穂の表情に時おり浮かぶ、暗い翳りが気になっていた。
臨時で来る、大学生アルバイトは別にして、この寮に住んでるのは、みんな家に問題ある奴ばっかしだからな
大学生アルバイトといえば…
上畠は思い出した。
自分と歌穂が、入寮して間もない頃、ちょうど学校が休みの時期、短期の大学生アルバイトたちがやってきた。
大学生アルバイトは、だいたい男子ばっかりでその頃は、兄イや姉ちゃんたちがまだいたから、寮の部屋がいっぱいだったため、寮には泊められず、通いにしてもらっていた。
男子アルバイト大学生たちの中でも、チャラい何人かが、歌穂の美貌に目を止め、作業の合間に、歌穂から携帯の番号を聞こうとしたり、LINE教えてとか言ってた奴もいたよな…
だけど、歌穂はそのとき、いつになくキツい口調と表情で
「やめて下さい。困るんです。第一あたし携帯もってないし。バイトじゃなくてナンパに来てるんですか?」
と、怒って言った。
ちょっと綺麗だからって、生意気だよな
と、アルバイト学生たちが、陰口を叩いていたのを上畠は聞いた。
だが、確かに歌穂の言うとおりだし、学生たちも学生たちだと思ったが、拒絶した時の歌穂の表情とキツい言葉が気になった。
時おり翳りを見せるものの、明るく、気遣いもできる優しい歌穂なのに…
上畠は、歌穂のことを知りたい と思った。
何かあるなら、俺が力になりたい
普段はチャラけていたが、上畠はずっとそう思っていた…
>> 132
歌穂は、悲しかったが、いずれこの寮を出る日が来た時のために、自立できる力を養おう と心に決めていた。
上畠の、自分への気持ちにも、歌穂は、薄々は
気づいていたが、歌穂の心の中には、まだ、初恋の宮下が完全には消えていないことと、心では嫌で嫌でたまらなかったのに、義父に犯され続けているうちに、自分の身体が反応していたこともあったのを思い出すと、自分が汚れた、情けない女だという思いが残っていたのであった。
歌穂の身体の反応を見逃さなかった義父は、
「お前も、母親に似てスケベな女なんだよ。無理矢理ヤられた男に抱かれて感じてやがる。
若くて別嬪でも、メスブタ同然だな~、匕匕匕」
と、母と自分を貶めることを平気で言うのだった。
でも と歌穂は思った。
ここに来てよかった、学校には行けないけど、生きる希望ができたから
と…
>> 131
歌穂が、この農園の寮に移って間もない頃、義父・菊池が何度か歌穂を訪ねてきたことがあった。
菊池は、そ知らぬ顔で
「娘は元気にしてますかね~、いや、あれの母親も心配していて…、ちょっと外出させて一緒に食事でもと思ってるんですがね」
と、松本と和子に言った。
もちろん、菊池は、歌穂を連れ出し、自分の車かラブホテルで歌穂を犯すつもりだった。
松本も和子も、歌穂から事情を聞いているので、むろん歌穂を菊池に会わせるつもりなどなかったし、歌穂からも
「お義父さんが来ても絶対に会わせたり、部屋に入れたりしないで」
と、泣きながら言われていたからだ。
寮は、希望すれば、週末だけ自宅に戻ったり、寮での家族の面会も、面会時間など規則はあるが、原則としては認められていた。
だが、歌穂の場合は、事情が事情なので、菊池が来ても、決して歌穂には会わせなかった。
歌穂が寮に入って、1年ほどが過ぎる頃には、菊池は姿を見せなくなった。
義父が姿を見せなくなってから、1度だけ、母・瑞穂が、まだ赤ん坊の妹・秋穂(あきほ)を抱いて、寮に歌穂を訪ねてきたことがあった。
母の瑞穂の話によれば、菊池は会社の人事異動があり、今まで住んでいた一軒家を売りはらって、瑞穂と秋穂と一緒に、他県に移り住むことになったのだという。
さらに、母の瑞穂から
「あなたには、ずいぶん辛い、嫌な思いをさせたわね…。お母さん、あの頃全然知らなくて…、あなたには、許せない、ひどい男だろうけど、あなたの妹の秋穂も生まれて、あの人と離婚してひとりで生きて行けるほど、私に経済力はないのよ。だから、あの人と別れることはできない…。 あの人の人事異動で、他県に移り住むことになって、私はあの人と秋穂とやり直すつもり…。あなたには、帰る家がなくなってしまうけど…、許して…、悩んだ末の結論なのよ…。寮のお金は、責任もってきちんとするわ…」
と、泣きながら言われた。
母の瑞穂に、自分が義父から犯され続けていたことを知られてしまったこと
もう、その事実だけで、すでに自分には帰る家はなくなったのだと歌穂は思った…
>> 128
何も知らない母の瑞穂は、以前に比べて元気がなくなり、不登校になった歌穂を心配していた。
そして、松本の農場の寮に行くことをすすめたのだった。
歌穂が、寮の見学に行った時、なんともいえない温かさを感じた。
和子が、歌穂を見て
「綺麗ね」
というと、歌穂は
「やめて下さい、綺麗だなんて言うの」
と、強い口調で言った。
義父が、歌穂を犯すとき、いつも歌穂に
「お前が綺麗でいい女だから仕方ない。俺がこうして可愛がってんだからいいだろ。ああ、10代の綺麗な子とこんなことできる俺ってなんてついてんだろ、イヒヒ」
と言っていたのである。
綺麗、可愛いというのは、小さい頃から言われていたが、綺麗だからこんな目に合うんなら、綺麗じゃなくていい
と思うようになっていたからだった。
和子は、歌穂のキツい口調に、
「よかったら、話してみない…?」
と、優しく言った。
歌穂は、はじめて他人に、今までのことを打ち明けた。
歌穂は泣きながら
「男の人なんて、嫌い…。綺麗な自分も嫌い…。よごれてしまった自分がいちばん嫌い…」
と言った。
和子は
「つらい目にあったのね。でもね、あなたの人生はまだまだ長いのよ。自分でそんなこと思うよりも、強く生きていけるようにならないと…。学校は無理に行かなくてもいいのよ。ここにいて、あなたにできることをしてくれたらいいの」
歌穂は、和子の優しさに、この寮で暮らすことを決めた。
何より、ここにいれば、義父に犯されずにすむ。
歌穂がこの農場の寮に移り、同室の幸子にも助けられ、さらにみんなの優しさに触れ、学校には行けていないが、大検の受験資格をとるための勉強を始めたり、農園の仕事を手伝ったり、前を向いて歩いていけるようになったのである。
自分の過去のことは、和子以外誰にも話していないし、話すつもりもなかった。
ただ、綺麗 と言われると、今も身構える自分がいた…
>> 127
瑞穂が家に戻ってきてからは、さすがに家の中では歌穂を抱けない義父は、歌穂の帰り道に車で待ち伏せ、歌穂を車に乗せ、ひとけのない場所に車を止めて歌穂を抱いたり、ビジネスホテルに連れていき、そこで歌穂を好きなようにしていた。
そんな日々が続いていたので、当然勉強にも身が入らず、宮下と同じ高校には行けなかった。
滑り止めで受験した、私立の青蘭女子学園には合格していたので、歌穂は、青蘭女子学園に通いはじめたが、やがて、学校には行かなくなった。
義父の性的虐待だけでなく、高校生になって3ヶ月ほど経った頃、学校の帰り道で、宮下が、進学校の制服をきた女の子を、自転車の後ろに乗せて仲良く帰っていくのを見たのである。
高校が別になってからは、宮下からの連絡も途絶えがちになっていたが、もう別の子とつきあってるんだ
歌穂は、悲しくなった。
一緒の高校に行っていたなら、宮下くんとああしていられたのに
家では、陰で義父から犯され、新しく妹が誕生したことで、母は育児にかかりきりになっている。
母は、自分が義父から犯されてることなど気づいていない
歌穂は、自分の居場所を見つけられず、無気力になり、不登校になっていった。
歌穂が松本の農場の寮を知ったのは、そんな頃だった…
>> 126
義父・菊池は、瑞穂の前では何事もなかったような素振りをし、瑞穂が赤ん坊を連れて退院してからも、瑞穂を優しくいたわったり、歌穂の前で瑞穂を抱き寄せ、平気でキスしたりした。
40近くの出産を終えて、さすがに瑞穂の美貌は以前よりも衰え、加えて育児がはじまったので、以前のような夜の生活がなくなると、ますます菊池は、歌穂に自分の欲望をぶつけるようになった。
瑞穂が出産で入院中は、家の中で歌穂を犯し続けていた。
歌穂も、ほとんど毎晩、義父に抱かれ続けて、心では嫌でたまらないが、身体は、開発されてきたのか、義父に触れられると、妙な気分になることもあり、自分が恐ろしくなっていた。
義父に犯されてからは、宮下とも、素直に向き合えなくなった。
宮下は、歌穂の変化を、受験が近いせいだと思い、変わらない態度で接してくれていた。
そして、高校受験も終わり、合格発表の日。
宮下は合格したが、歌穂は不合格だった…
>> 125
次の日、歌穂は寝室に必ず鍵をかけて寝ようと心に決めた。
だが、次の日は、歌穂がお風呂に入っているときに、いきなり全裸の義父が入ってきた。
そして、歌穂が声もあげられないような恥ずかしいことをいろいろさせた挙げ句、義父は、風呂場で歌穂を犯した。
終わると、義父は、裸の歌穂を抱き上げ、自分と瑞穂の寝室に連れていき、歌穂を抱いた。
義父は、ラテックスを装着しながら
「さすがに、お前を孕ます訳にはいかないからな。でも本音を言えば、オバハンになった瑞穂よりは、お前のほうを孕ませてやりたいんだがな…」
と瑞穂を侮辱するようなことまで言うのだった。
歌穂は、嫌で嫌でたまらなかったのだが、
自分さえ黙っていれば
という義父の言葉と、あまりに恥ずかしく、誰にも言えないという思いでいっぱいだった。
やがて、母・瑞穂は退院し、それから約2ヶ月後、瑞穂は女の子を産んだ…
>> 124
結局、夜が明けるまで、義父は歌穂の身体を離さなかった。
義父は、腰を振りながら
「やっぱり若い女はいいな~、瑞穂よりもお前のほうがいい身体してるよ」
と悦に入った声で言った。
歌穂は、泣きながら、無言で耐えていた。
夜が明けて、義父はやっと歌穂の身体を離すと
「このことは、お母さんにも、誰にも話すんじゃないぞ。言ったら最後、お前も瑞穂もメチャメチャになるんだからな。お前さえ、黙っておとなしく俺のいうことを聞いてたら、万事丸く収まる話なんだからな。いいか、わかったな」
義父は、後始末をすると、そそくさと部屋から出ていった。
歌穂は、義父が去ると、声をあげて泣き崩れた…
>> 123
義父は、歌穂の乳房を片手で揉みながら、もう片方の乳首に吸い付き、乳房を吸った。
「嫌、やめて!」
そして、パジャマのズボンとショーツを同時に脱がされ、義父は、全裸にした歌穂の足を大きく広げた。
「いやあっ!」
義父は、大きく開かせた歌穂の股間をいやらしい目で眺めて
「もう大人の女と変わらんな…、だいぶ発達してる…」
そう低く呟くと、歌穂の股間に顔を埋め、匂いを嗅いだり、犬のように舐めたりした。
抵抗しようとしたが、歌穂の両手はすでに歌穂の頭の上で、義父の手にがっしり捕まれていた。
「いや、いや~」
歌穂は泣き叫んだが、義父は歌穂の股間を舐めまくると、やがて歌穂の上に重なってきた。
「うっ、い、痛いっ!」
義父も、歌穂の中に入ってから
「お前処女だったのか。まあ、諦めろ。あんな小僧よりも俺とする方が、これからの生活のためには都合がいいんだしな~」
と言った。
歌穂は泣きながら、義父に犯され続けた…
>> 122
歌穂は、胸を押さえつけられてるような感じがして、目を覚ました。
目を覚ますと、そこには義父がいて、ベッドに寝ている歌穂を見下ろしていた。
気づくと、歌穂のパジャマの前のボタンははずされ、ノーブラの、裸の胸が義父の目にさらけ出されていた。
そして、歌穂の胸には義父の手があった。
「お、お義父さん…?!」
義父は、歌穂に目覚められ、一瞬驚いた顔をしたが、ひるまず、歌穂の胸を揉みしだいてきた。
「嫌、やめてっ…!」
歌穂は叫んだが、母の瑞穂は入院し、この家には、自分と義父のふたりだけなのだと思い、戦慄した。
「だいぶ発達してるな。もう子供じゃないじゃないか。いいおっぱいしている」
義父はそう言って、歌穂のベッドの中に入ってきた。
そして、歌穂の唇を、自分の唇でふさいだ。
唇を離した義父は
「夕方、同じ中学の男と、帰り道でキスしてたじゃないか。見たんだぞ。俺にもやらせてくれたってバチはあたらないだろ。もうあの小僧とやることやってんじゃないのか?」
と、歌穂の首筋に舌を這わせながら、下劣な言葉を囁いた。
歌穂は、ベッドの布団の中で必死に抵抗したが、40過ぎているとはいえ、男の力にはかなわなかった。
歌穂の自室には鍵がついていて、眠るときはいつも鍵をかけて寝るのだが、母の入院騒ぎで、うっかり鍵をかけて寝るのを忘れてしまったのだった…
>> 121
瑞穂が妊娠し、歌穂も、新しい弟妹が今ごろできることに、多少の戸惑いはあるものの、やはり嬉しかった。
瑞穂は、若く初々しい妊婦 とは言えなかったが、それでも幸せそうで、だんだんとお腹も目だってきた。
瑞穂は歌穂に
「新しい弟か妹ができることになるけど、歌穂のことだって可愛い大事な娘よ…。お義父さんだってそう言ってるわ。生まれてきた自分の子と分け隔てなく接するつもりだって…」
と言った。
瑞穂のお腹がだんだんと大きくなってきて、瑞穂を抱くことができなくなった菊池の欲望は、歌穂に向けられるようになっていくのである。
瑞穂が、妊娠8ヶ月ぐらいになった頃、うっかり転んでしまい、お腹の子には別状はなかったものの、大事をとって、2、3日入院することになった。
瑞穂が入院した夜、歌穂が自室のベッドで眠っていると、眠りながら、誰かが、歌穂の胸に手を置いているような感触を覚えた…
>> 118
宮下と歌穂は、同じ進学校を受験するつもりだった。
今のままのふたりの学力なら、まず間違いなく合格すると教師たちからも太鼓判を押されていた。
宮下は、ある時歌穂に
「浅井さん…、あっ、今は菊池さんだったね。苗字が代わって2年たつけど、時々前の苗字で呼んでしまうな」
と言うと、歌穂は
「宮下くんとは小学校から一緒だったんだもん。それに、今の苗字の菊池歌穂よりも、浅井歌穂だった頃のが長いんだから、仕方ないわよ」
と笑った。
宮下は、歌穂に
「今は、受験があるし、交際とか言ってる場合じゃないってのはわかってるつもりだけど、一緒の高校に入ったら…、君と…」
と、言った。
歌穂も、同じ気持ちだった。
「私も…」
と、歌穂が言った時、宮下は歌穂に近づき、優しく歌穂の肩を引き寄せ、キスをした。
誰もいない、放課後の教室での思い出だった…
>> 117
当時、瑞穂は30代も終わりにさしかかっていた。
昔、若い頃に歌穂を産んでいたが、瑞穂も健康ではあるが、やはり40近くの妊娠ということで、医師からも注意するようには言われていた。
歌穂も中学3年になり、高校受験を控えていた。
当時、歌穂には、好きな男子がいた。
小学生の頃から一緒の、同学年の宮下だった。
宮下とは、小学校6年間ずっと同じクラスで、共にクラスの学級委員もしたことがあった。
中学に進んで、1年、2年は別のクラスだったが、3年のクラス替えで、また同じクラスになっていた。
宮下は、イケメンだけでなく、勉強もでき、運動神経もよかった。
宮下にあこがれている女子は多かったが、小学生の頃から同じクラスだった歌穂と宮下は、自然にお互いを意識し合うようになっていた…
>> 114
歌穂もまた、千夏と同じように、幼い頃に実父と死別していた。
歌穂が小学生の頃だった。
歌穂の実父は、建設作業員で、作業中に誤って転落死したのだ。
会社から補償金が出たため、当面の生活には困らなかったが、歌穂の母・瑞穂も美貌だったため、熱心に求婚する男性があとを立たず、いちばん熱心に言い寄ってきた男、菊池優(まさる)に根負けした形で再婚に踏み切った。
歌穂は当時、中学1年生、瑞穂は30代半ばの女盛りで、菊池は40をちょっと過ぎていた。
菊池の仕事は普通のサラリーマンだが、初婚だし、親にそこそこの資産があった。
菊池の両親は他界しているため、嫁姑の問題もなく、年齢も釣り合いがとれている。
何より、子持ちの瑞穂と結婚したいと切望していて、こんな良縁はもうないと、周囲から言われ、また瑞穂も先々の母子での生活に不安もあり、再婚を決意した。
菊池は、美貌の瑞穂を溺愛し、歌穂のことも可愛がってくれた。
歌穂が中学3年とき、母の瑞穂が菊池の子を妊娠した。
年の離れた弟妹ができることに歌穂も喜んだが、ここからが悲劇のはじまりだった…
>> 89
駅員実は、暖房がよく効いていて、暖かかった
。
佐々木は
「ひょっとしたら、お腹すいてるんじゃないか?」
と、川上に聞いた。
川上は、黙っていたが、そのときお腹がなったので、佐々木は
「あはは、やっぱりお腹すいてるんじゃないか。まだ俺夜食食べてないんだけど、よかったら食べるか?」
と、カバンを持ってきて、中から弁当箱を出してきた。
「これさ、俺のカミサンがつくってくれた弁当だけど…、保温機能つきの弁当箱だから、あったかいよ。俺は、近くのコンビニでなんか適当に買ってきて食べるから、心配しなくてもいいから」
と、屈託なく笑って言った。
これもあとでわかったのだが、このとき、佐々木はまだ30代前半で、半年前に結婚したばかりだった…
>> 83
川上が高校受験を控えるようになった頃、男は千代子のもとに姿を見せなくなった。
あとでわかった話だが、男には新たな、千代子よりも若い愛人ができたので、コブつきの千代子のところには寄り付かなくなったのである。
スナックは、男が、手切れ金がわりに千代子の名義にしてくれたので、男が来なくなっても、母子の当面の生活はなんとかなっていた。
千代子は、川上に
「あんたには、あの人のことで、ずいぶん辛い、嫌な思いをさせたと思うけど、お母さんもいつまでも芸者もできないし、やっぱり淋しかったのよ…」
と言った。
そして川上は、第一志望の高校に合格し、高校1年の夏に、同じクラスだった北原麻由美から告白され、つきあうようになったのだった…
>> 80
川上竜彦もまた、父親のいない母子家庭に育っていた。
川上は北陸に生まれ、子供の頃は北陸で育った。
川上の母親は、北陸の温泉街で芸者をしていた。
小学校に上がる頃、川上は母親に
おとうさん ってどんな人?
と聞いたことがあるが、母親は
死んでしまったのよ
とだけしか言わなかった。
もちろんそれが嘘だということは、成長してからわかったことだった。
母親は、まだ芸者になりたての頃、北陸に単身赴任で来ていた妻子ある男と恋に落ち、ひとりで川上を産んだ。
川上の母親の千代子が川上を産んだ時には、相手の男はすでに単身赴任を終えて、妻子のもとに帰っていた。
千代子は、その後も、芸者を続けながら川上を育てていたが、そんな千代子を身請けしたいという男が現れた…
>> 76
幸子が結婚した、上條拓也もまた、幸子と似たような家庭環境だった。
同じ年で、寮生の中で最年長のふたりが、やがて恋人同士になるのも自然な流れだったのかもしれない。
寮の規則で、高校卒業と同時に寮を出ることになった拓也と幸子は、寄り添うようにふたりで暮らし始め、そして数年後の現在晴れて夫婦になったのである。
拓也は、幸子と恋人同士になってからは、登校しなかった高校にも再び通いはじめるようになった。
「将来幸子と結婚するなら、嫌だけどやっぱり高校ぐらいちゃんと卒業しないとな」
と、拓也は照れながら上畠に言った。
幸子もまた、拓也が再び高校に通いはじめた頃、染めていた髪を黒く戻し、高校に通うようになった…
>> 74
幸子「お父さんが離婚して2年後に再婚して、新しいお母さんも、はじめのうちはわずかな優しさがあったけど、そのうち腹違いの弟や妹が生まれると、実子でないあたしには見向きもしなくなったの。それで、家出したことがあって、そのときに離婚したお母さんのとこへ行こうと思って、お母さんを訪ねたんだけど…」
離婚した幸子の実母も、また新しい男性と再婚していた。
しかも、実母の再婚相手の男性は、まだ父親と夫婦だった頃から密かにつきあっていたということをはじめて知ったのだ。
幸子の実母は
「あなたには悪いけど、今の人とは、学生時代からのつきあいで、本当は結婚したかったんだけど、お母さんの親が大反対で泣く泣く別れさせられて…。親が薦める縁談で結婚させられたのがあなたのお父さんなのよ…。お父さんにははっきりいって愛情なんてなかった。お父さんは私の親の会社につとめていたから、地位がほしくて私と結婚したのよ。あなたが生まれたから我慢していたけど、偶然この人と再会して…。この人も、別の人と結婚したけど離婚したって言ったわ。お母さんの親も他界したし、もう我慢するのは嫌だったのよ…」
と、幸子に言った。そして
「あなたのことだって、本当は生みたくなんてなかったのよ…。だからあの人のところに置いて家を出たのよ」
と、致命的なことを言った…
>> 53
麻由美は、川上との将来に、過剰に期待しているような感じだった。
川上に有名大学に入ってもらい、将来は一流企業に就職した川上と結婚するのが麻由美の夢のようだった。
川上が、学校の成績がクラスで10位以内だったのも、麻由美が川上に惹かれた理由のひとつのようだった。
高校1年の夏、麻由美からの告白でつきあいはじめ、麻由美がルックスもまあまあかわいくて、明るく気さくなところが、自分にはない部分で新鮮だったし、つきあってみると、性格も気は強いが、結構かわいいところもあり、麻由美のことは好きだったのだが、だんだんと、麻由美の期待がプレッシャーになってきていたのも、また事実だった…
>> 19
千夏は富子を見つけると、ぶっきらぼうに
「何?」
と言った。
富子は、手に持っていた、ちょっと大きめのバッグを千夏に渡し
「多分着替えとか、足りないものがあるだろうから、あんたのタンスの中から持ってきたんだけど…」
と言った。そして
「寮で、ちゃんと元気でやんなさいよ。心配しなくても母さんはあんたの寮には訪ねにいったりしないから…。あんたの生活費は毎月きちんと振り込んでおくから安心していいからね…。じゃあ、もう帰るから…」
それだけ言った富子は、千夏に背を向けて、振り向かずに帰っていった。
富子の肩が震えていたが、千夏にはわからなかった。
千夏は、富子の後ろ姿を見ながら、何となくさびしく、悲しい気持ちになった…
>> 4
和子「上畠くんと歌穂ちゃんは、確かだいたいおんなじ時期にここに来たのよね」
上畠「俺のが1ヶ月先輩だよ」
歌穂「1ヶ月ぐらいで先輩面しないでよ。でもあのときはまだ兄イや、姉ちゃんたちがいたもんね。みんな高校卒業でここから出てったけど…」
上畠「俺たち、兄イや姉ちゃんたちから“下ふたり”って言われてたもんな~」
歌穂「川上くんは、半年前にここに来たのよね。もうちらほら兄イや姉ちゃんたちも出てってたけど、まだ今よりはちょっとにぎやかだったかな…」
歌穂はそこで千夏に
「あたしたち、自分たちより年上の人ばっかりの中だったから、先輩のこと兄イ とか 姉ちゃん って呼んでたの」
と説明した。
千夏が話題から取り残されないように、さりげなく気を配っている歌穂だった…
お知らせ
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
満員電車とアタシとイケメン痴漢22レス 662HIT 修行中さん
-
君は私のマイキー、君は俺のアイドル9レス 187HIT ライターさん
-
タイムマシン鏡の世界7レス 184HIT なかお (60代 ♂)
-
運命0レス 90HIT 旅人さん
-
九つの哀しみの星の歌1レス 104HIT 小説好きさん
-
また貴方と逢えるのなら
見ると天井が見えた。 誰かが看病でもしてくれていたのかしら。 「す…(読者さん0)
12レス 393HIT 読者さん -
わたしとアノコ
【苺花目線】 あぁあゎわわわわゎわ,,,。。 やってしまったっー!…(小説好きさん0)
175レス 2888HIT 小説好きさん (10代 ♀) -
神社仏閣珍道中・改
(追記) …お護摩ではよい思いができなかった、こちらではあったの…(旅人さん0)
341レス 11746HIT 旅人さん -
西内威張ってセクハラ 北進
高恥順次恥知らずサイコパス(自由なパンダさん1)
111レス 3600HIT 小説好きさん -
北進
勘違いじゃねぇだろ本当に飲酒運転してるんだから高恥順次恥知らずサイコパ…(作家志望さん0)
24レス 530HIT 作家志望さん
-
-
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②4レス 147HIT 小説好きさん
-
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?11レス 153HIT 永遠の3歳
-
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令1レス 191HIT 小説家さん
-
閲覧専用
今を生きる意味78レス 536HIT 旅人さん
-
閲覧専用
黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 993HIT 匿名さん
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 147HIT 小説好きさん -
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 153HIT 永遠の3歳 -
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 191HIT 小説家さん -
閲覧専用
おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1427HIT 檄❗王道劇場です -
閲覧専用
今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 536HIT 旅人さん
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
家に帰るのが苦痛、ストレス。離婚したい。
週6勤務で、小遣い月1万。 ロクな昼飯も食べれないから晩飯が楽しみなのに、大体おかず1品だけ。盛り…
36レス 2038HIT 逡 (30代 男性 ) -
助けてください、もう無理です
生きるのに疲れました 親に制限されます あそんじゃだめ すまほだめ ゲームダメ など制限さ…
56レス 1330HIT 聞いてほしいさん -
馬鹿な子に「馬鹿」と言われたくない
頭が賢く、エリートな子から「君、馬鹿だね」と言われても納得はします。 ただ、頭が馬鹿な子に「馬鹿だ…
22レス 525HIT 東雲絵名 (10代 女性 ) -
まじでムカつく店員
会計の時現金で支払うって言ってるのに「すみません、もう一度言ってください」を言われて、これが3回続い…
12レス 461HIT おしゃべり好きさん -
マッチングアプリで知り合って、、
マッチングアプリで知り合った年下男性と毎日かなりLINEもして、電話も2回くらいしました。 アプリ…
24レス 994HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) -
男女は結婚したら不倫や浮気をするの?
人は結婚して1、2年は大丈夫と思うけど(すぐにする人も居る)大体の人って不倫しますよね 例えば男が…
14レス 387HIT 匿名さん - もっと見る