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クロス( ♀ gAVFh )
11/11/21 10:37(更新日時)



高校時代
同タイトルで
脚本を かきました。

人間不信の少女が
廃屋のビルの地下室で
復讐のため 爆弾をつくるという内容のものでした。


真実は
私にとって 永遠のテーマ。



時が流れ 絵空事ではない 不信感や絶望を知ることになった 私の お話しです。



No.1686010 11/10/11 02:32(スレ作成日時)

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No.201 11/10/28 03:29
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 200

「俺のだからね」






出かける間際に

R君は 言った。



「え?」






「リエりんは


俺のものだから」






初めて聞いた…







だからと言って



その瞬間から




何が 変わるわけでもない…







もともと

ヤキモチをやく人ではない。


自分の

自由な時間も 必要な人。









一樹は あいかわらず

ほぼ毎日
会社にあらわれる。



初めてメールをしてから

半月ちかくが過ぎていた。







「ホテルの バイキングに

ご飯 食べに行こう!」




「いいけど…

何もしないでね(笑)」



「食事です!」




あろうことか


私は



本当に 開き直ってしまった…





このままで

いいじゃないか。



彼が 2人いちゃいけないって

誰が 決めたの?






一樹には


お正月にある
伊豆旅行が終わるまで

待ってほしいと言った。


摩耶が


とても楽しみに しているから…


と。




摩耶の名前を出されたら

引っ込むしかない。




汚いやり方だが

旅行が終わったら


その時また

何か 理由を見つければいい


と 私は考えていた。



No.202 11/10/28 03:56
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 201

「うそ…」



「俺 知らない💦

マジで 知らね💦💦」




食事が終わって

カウンターに案内されると


ルームキーが


手渡された。





「疑ってるよね?

ハメたと思ってるだろ?」



正直


どっちでもいい。




一樹が お世話になってる
別の中古車屋さん。

かなり年配の社長さんが


この バイキングの

チケットをくれた。



もちろん そちらも

私の会社の会員さん。


ここへ来る前 ご挨拶にあがり



「カズ
うまいことやったな(笑)」


褒めたたえられてたっけ…




一樹は どこへでも

私を 連れ歩く。


そして自慢する。



堂々と

照れひとつなく。




自分のまわりと関わらせない

R君とは まさに真逆…






「手 つなごっ…」

部屋までの距離を


手を つないで歩く。



途中 ロビーにつくられた

池のほとりで遊ぶ
小学生男子に


つないだ手を

目の前まで持ってゆき


「い~べ~? い~べ~?

うらやましいべ~♪♪♪」



と しつこく はしゃいでいた。






「マジで ほんとに 俺

知らなかったんだからね!」


鍵を開ける行為を

バツが悪く感じるのか


一樹は しきりに喋る。




「はいはい(笑)」





ドアが





開けられた…



No.203 11/10/28 04:17
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 202

何も…



しないんだ。









けっこう ガッカリした(笑)






一樹は ずっと喋っている。



2時間という

その限られた時間




私は 瓶ビールを

イヤと言うほど飲みながら


チラチラと


時計ばかり 見ていた。






ほんとに 知らなかったんだな



この人…








キスひとつ






しない。











お姫様を乗せるのだから

外車で お迎えにあがりました




と わざわざ この日のために

車を買った 彼。




待ち合わせた駐車場で



「ほんっとに可愛いなぁ…」

と デレデレと いつまでも


私を見つめる 彼。






傷を負った



女の私が








どう 転んでゆくかなんて





誰が考えても



わかりそうなもの…







知らずにいたのは






この状況で


手を出して来ない一樹と





私だけだった。




No.204 11/10/28 04:53
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 203

「さっき外で 社長から
あずかって来ましたよ

リエさんに渡してって…」



Oが 茶封筒を私に手渡す。



「なんだろ?」


「ラブレターでしょ?」

「茶封筒で(笑)?」




ラブレターなら

つい この間 もらった。



長い 長い 手紙。



涙でくもって書けない

と 締めくくられた
その手紙には


愛してるの文字と


お墓の中まで一緒だよ



の 決めゼリフ。







65点。







ところで

本当に なんだろう…





封を 開ける。





3万円と 小さなメモ用紙。



『リエと摩耶の
携帯代に 使って下さい』













「O! 社長は!?」



「行っちゃいましたよ~!」






涙が 出そうになった。



私は こういう事に


よわい。









なんて いい奴。




まさに 現金だ。








すぐに お礼の電話。


「こんな事
しなくていいのに…」

『リエの携帯とまったら

俺が やなの(笑)』







100点。











ところが…








「そんな奴の金で
携帯つながったって

嬉しくもなんともない!」









- 50点 …




No.205 11/10/28 13:10
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 204

もしも…



曲がった道の先が


見えていたのだとしたら



苦しむことも


きっと ない。





10年前から


曲がりくねり出した道を




なんとか 自分の足で


ゆっくり


ゆっくり



歩いて来た。





正しい道ではなくても




険しいのぼり坂を


避けたのだとしても






前に 進みたくて







私は ひとり





歩いて来た。









「リエだけが お客さんに
声かけられてるわけじゃ
ないんだよ!?」


「わかってるよ…」



「みんな 上手にかわして
逃げてんの! 私達は
仕事しに来てるんだから…」



同僚で 幼なじみのC。

私は Cの紹介で
この会社に 入社した。



入ったそばから

会員さんや 出入りの業者に ちょっかいを出される私

わざわざ 相手の所まで
出向き

「うちの会社
そういうの ご法度なんで!」


と ピシャリと言うC。




私は Cにも頭があがらず

反論なんて



したことなかった。




しつこい お客さんの時には

確かに 上司からも注意された


「ああいう男達は 君と政治の話しをしようなんて 誰も思ってないよ。 わかるだろ?」


そう言って

客側に やんわり 手をひくように 間に 入ってくれたりした。




だけど…




No.206 11/10/28 13:50
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 205

「一樹は

そんな男達とちがう!」


「リエ…」



初めて見る 私の剣幕に

おどろいている。



「飲みに行こうだの

ご飯 一緒に食べようだの

そんな軽い感覚で
声をかけて来る奴らと

一緒に しないで!」




Cとは 週1で

必ず 会社がひけた後
食事を 一緒にしていた。


『〇曜日は Cさんに
リエさん 返します!』

Uちゃんが
よく 言ってたっけ…



『だけど リエさんとCさんが 友達同士って…

納得いかないっす』


これは 社内のみんなが
思ってる(笑)



不良と 真面目ちゃん。

昭和の言い方をすれば
そんな感じ…







「本気… なんだね リエ…」


「 … 」


「R君は…


どうするの… ? 」





「C…


なんだかね…

Rとの未来が
私には想像できないんだ…



それなのに

一樹との 将来は




青写真が 見える。」



私は 泣いた…




「摩耶ちゃん… だね」





Cは 母子家庭になった私達に

精一杯の力を くれた。

摩耶のためにと
通帳をつくり
積み立てまで してくれてた。


幼い頃

リエの家が 羨ましかった。
うちは貧乏だったから…

摩耶ちゃんには

私みたいな思い させないで
って言って。





C…


私また






曲がり角だよ…



No.207 11/10/28 16:18
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 206

自動ドアが 開くと


対面が ガラス張りの

エントランス




並んだ自販機に


エレベーター…






「大きいマンションだね…」


「ちっちぇ~よ(笑)

こんなとこ(笑)」





家賃3000円の

我が家に比べたら…



だ。








一樹は いいとこのボンボン。


手のつけられない

やんちゃ坊主の次男坊。



バツイチ。





ちょうど

私と雄太が離婚した年に


一樹も 離婚している。


あまりの 女遊びの酷さに

愛想をつかされて…



摩耶と同い年と
その下にもう1人
2人の男の子は

奥さんが連れて行った。

可愛いと思ったことは




1度もない

と言う。


元の家族が
どうしているかなど


いっさい 気にならない。




ある意味




雄太より酷い(笑)





そんな風来坊を 見兼ねた
一樹の父が

彼に 買い与えたマンション。









私は 今日





ここに来た。









エレベーターを降りると


部屋までの 外廊下から

大きな川が 見渡せる。





もうすぐ


11月も 末にかかる。






シンと
冷たく澄んだ空気と



川の流れる音…










私は その時




例えようのない何かを













強く感じた。




No.208 11/10/28 20:32
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 207

「わぁ~ お風呂も綺麗~…」


(展開早すぎでしょうか(笑))



「普通だよ…」



家賃3000円の

コンクリートむき出しの
うちの お風呂に比べれば…



だ。








「ホテルみたいだね~♪」




終始はしゃぐ私にたいして…




一樹

終始 赤面のまま硬直。







それでも



濡れた身体や 髪を

赤ちゃんにするように


優しく 優しく

扱ってくれる。










「愛してる…」






ベッドに入っても


ずっと


『信じられない』

を 繰り返していた彼が




優しく ささやく。



















当たり




だった。









40年生きてきて


1番の





当たりだった。








受け身のセックスを好む私には



一樹は

最高の パートナーだった。







私は

ただ 快楽をむさぼり




「愛してる…



絶対に 離さない…




リエ…



リエ… 」




彼の 声に酔いしれる。







私は


彼の声が 好きだ。







「私も…




一樹…



愛してる… 」







まだ





愛しては








いないくせに…



No.209 11/10/28 20:59
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 208

「ナカナイデ リエチャン!」



プーさんのぬいぐるみが


私の目の前に

ぴょこっと あらわれた。



「だって…


ごめん。


私ってば ずるい… 」







自分の汚さに

後から 後から



涙が 流れる…







「ズット マッテルッテ

イッタデショウ!



リエチャン ナイタラ

ボクモ カナシインダヨ…!」



プーさんが 言う。






「ありがとう… 」







リビングのソファー



私の肩を抱いて

一樹が言う。




馬鹿デカいテレビ画面には

浜崎あゆみの DVD…





「俺 もし今

アユに『つき合って』って
言われても 絶対ことわる…」


「中学生か(笑)」



「本気だって!!


リエの方が



何百倍も 可愛い… 」







そのまま キスをして




もう





1ラウンド。











帰りたくないな…












思ってしまう




私が いた。




No.210 11/10/28 22:35
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 209

「もしも~し!」




R君が


また 私の目の前で 手を振る。



そして

後方を 何度も大袈裟に見る。








はぁ~…




ひどく イライラした。



ごめんなさい。

自分勝手。




しかも

何も ふれてこない。




さらに イライラする。


ごめんなさい…








摩耶は 敏感に


そんな 私の様子を感じてる。





「ママ チャオ
こたつに入りたいみたいだよ」


「チャーちゃんなんですか~」

「聞かなくても

チャーちゃんだよ(笑)」


2人で 笑っている。





R君は

アドレスに チャオの名前を入れる程 チャオが好きだ。



もしかして


私より 好きかもしれない(笑)


















堕ちた



女でも







さすがに この状況は



キツい。












カウント




ダウン










かな。










「…パパ! 伊豆


もうすぐだね♪」


「早ぇ~なぁ~… 」
















ちっとも










早くない。




No.211 11/10/28 23:11
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 210

会えば


つらくなる別れ。




今まで

一樹だけが
感じていた それを





抱かれた日から 後は





私も



感じるようになった。







バイバイ…



したくない。







だけど




摩耶が 待ってる…









つらいな。












「俺 絶対

この人を幸せにします!」



仕事帰り


小一時間ほど

必ず寄るようになった


和風レストラン。




注文を取りに来た

パートのおばちゃんに


宣言する 一樹。





「ちょっと💦やめてよ💦

すみませんっ💦」



「お幸せね♪」


おばちゃんが笑う。









幸せ…






なんだろうか 私。








摩耶に
早く会いたいと言う

一樹。





今は


無理だと言う 私。








すぐに

過ぎてゆく 時間…









車を積む

一樹の 大きな積載車。


自分の車が あたたまるまで


必ず
その大きなトラックの
助手席で



30分。






キスをして




途中までして(笑)









さようなら。






助手席から 降りる前に

私は ため息をつく。




「ん?」



「私 右折 苦手でしょ?


ここ出て すぐの道路
大きいんだもんっ

超 こわいんですけど(笑)」






「…大丈夫!!」




一樹が








笑った。




No.212 11/10/29 01:14
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 211

やだなぁ…




バイバイも やだけど…





今は

それどころじゃない。




私は 本当に運転が苦手。


どこまでも暴走しそうだよね…



と 人に言われるが






外見で 判断してくれるな…





ノミの心臓。


右折は とくに
対向車が迫って来る感覚が
わからなくて困る。


ぶつかって来るんじゃないかと

心臓が バクバク鳴る。





目の前に見える

一樹の
大きな積載車の テール…




余韻にも ひたれない。


もうすぐ

右折が 近づいて来る…






パンと短く
一樹がフォンを鳴らす。


彼は このまま直進だ。



軽く 手をふる私…






幸い 右折レーンには

私しか いない。



後続車に
迷惑は かけなくて済む
な…








なっ!!







ナニっ!?!?








急ブレーキの音


クラクションの嵐





対向車側の 二車線をふさぐ






一樹の 大きな





積載車…









運転席の窓を開け


ニッコリ笑って

私の行く道を




手で 指し示す彼。





鳴りやまない






クラクションの嵐










頭に











花が 咲いた。





No.213 11/10/29 03:02
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 212

恋のはじまりなんて




実に 単純。








10年前



私を 地獄にたたき落とした


雄太と女の

恋のはじまり…










『キスして』


って言われたから



キスしたら…










花が 咲いたんだって。








私は



そんな単純なはじまりの

恋愛に




ふり回されて しまったんだ。





自分を


こわしてしまう程に…




















アドレナリンだ?


ドーパミンだ?





ふざけるな!!










私は今






恋を…


してしまったじゃないか!












お花畑の中



携帯が鳴った。







『ねっ


大丈夫って言ったでしょ?』



いたずらっぽく


彼が笑う。




「危ないことしないで!!」




すごく


すごく




嬉しかったくせに…








かっこいい…






って


思っちゃったくせに…






泣きながら



怒ってるのも








アドレナリンだか


ドーパミンだか





わけのワカラナイものの




せいなのかな…




No.214 11/10/29 04:06
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 213

もう 無理だ…






私には

2人の男に 愛を注ぐ



なんて事は


できやしない。







ずいぶん 長い間


誰かが そばにいても

雄太に抱かれつづけた私だけど…




雄太への愛情が


自分で手放しておいて

手に入らなくなった者への
確かな愛情が



あったからこそ…



なんだと思う。











R君に…



愛はない。



そして


一樹は





手に入らない人じゃない。





おのずと



コタエは 見えてる。








「摩耶…」



「ん?」




「摩耶

パパが かわいそう…


って 言ったよね?」


「うん…」





「もう…

ママ 馬鹿な事しないね」




「 … どういう意味?」





「パパと 別れる」



「どうして そうなんの!?」





コタツに
仰向けに寝転がってた摩耶が
ガバッと 跳ね起きた。



「おかしいんじゃないの!?
ママ! 後から出て来たのは
あいつでしょ!?!?

あいつさえいなければ
なんにも起きなかったのに!」



「だって…

ママ パパのこと…




好きじゃない」






隔たれた自分の部屋を持たない摩耶には 身を隠す場所もなく



私の顔を


見たくなくても






コタツにもぐるしか




道がなかったようだ…




No.215 11/10/29 12:15
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 214

もうすぐ12月…


郊外にある 私の会社は
構内の敷地が 果てしなく
広い。


何百台という数の車が

整然と並んでいる。


買い付けに来る お客さんは

目当ての車を 事前に
チェックしに来たりする。


そして 私の部署は

こうして 外へ出て
車まで 足を運ぶ事が多い。


月曜日など ほぼ 外で仕事をしているような ものだ。


かじかみそうな手に
息をかける…




「おうっ! クニワケ!」


私を 近辺の 有名な飲み屋街の名前で呼ぶ 社長だ。

「いらっしゃいませ(笑)

〇〇です(怒)(笑)」


「い~んだよ おまえは
クニワケで(笑)(笑)!」

「(笑)いい車 ありました?」

「ね~よ! おまえんとこ

ゴミばっかじゃん(笑)!」


「ひっど~い(笑)…」



…!






なんだ?



手首をつかまれてる!

引っ張られてる…



一樹だ。





驚いた顔の社長…




引きずられるみたいに

去ってゆく私を 見つめてる。


仕方なし

笑顔で 会釈しといた。



怒った顔で
手首をつかんだまま
ズンズン歩く 一樹。


「ちょっと 一樹!痛い!」

ピタっと立ち止まる。



「ヘラヘラすんな!!」



… ?



「俺以外の 男と

ヘラヘラ 笑うな!!」



「 … 仕事だよ。」



「ここは飲み屋じゃね~だろ」






少し…




めんどくさいと思った。



No.216 11/10/29 12:58
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 215

「よ~~~く

考えた方が いいっすよ…」


大勢いる 女子事務員。

タバコを吸うのは

Uちゃんと私だけだ。




肩身のせまい私達は

よく

火曜日以外使われていない
2階のトイレで
タバコを 吸った。


これまた 中学生か(笑)





「ヤキモチやかないRさんと…


やき過ぎる社長…



どっちもどっちもっすね…」



Uちゃん

それを言うなら
『どっちも どっち』




「私 寂しがりじゃん(笑)?

Rとの つき合い方は
慣れたつもりでいても…

寂しかったんだろな 」


「リエさんは
Tさんの 異常さに
慣らされちゃったんですよ」

「だよね(笑)」




「選び間違ったら 大変っすよ! 一生の事なんすから…











先に行ってていっすよ」



「なんで?」



「うんこ」







自由だな Uちゃん。









私は トイレを出ると


事務所に向かうため
ひと気のない 食堂を 突っ切る…




優柔不断なくせに

制限される事を嫌う
自分の性格。




一生の問題か…



「きゃっ!」


また ギュっとされた。

「一樹…」

「ごめん…」















やっぱり 好きだ。



No.217 11/10/29 13:42
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 216

「はい!プレゼント!」

いつもの 和風レストラン。



テーブルの下から
取り出したのは…





「寒くなって来たからね♪」


私と摩耶の2人分

ピンクのトレーナー…





しかも
ナイキのロゴ入り(笑)

最近 音沙汰ないなぁ…
そう言えば。





「ありがとう。」



「結婚したら
仕事やめてね。リエ」








「俺と一緒に

店 やろう! なっ!」









… 考えられなかった。









私は 会社が大好きだ。


辞めるなんて…







考えられない。









天秤にかけるものが


またひとつ






増えた。








「すぐに…



というわけには いかないよ」






また








先延ばしだ…



「わかってるよ(笑)」






待って





待って





待ってて…










待たせてばかり…








ずっと ずっと

私の知らない 長い間も

彼は 私を 見つめてた。


『火曜日が楽しみで

前の夜は 眠れなかった』

と 一樹は言った。


私の顔を 見ることだけが

生き甲斐だったと言った。




生きてて よかった









一樹は 言った。








携帯が鳴る




R君だ。











ケリをつけよう。


ひとつずつ…



No.218 11/10/29 16:46
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 217

店の外で


電話をとった。





ガラス越しに

一樹が




見える。






「はい…」

『リエり~ん♪』


「…うん」


『あれ? どしたの?』

「 … 」


『なんだか 陰気くさいんですけど~~~~(笑)(笑)』


「 … 」



『まぁ いいや。

今から行くね!何か欲しい…』


「別れて」


『え? かぶるなよ~

なんか言った?』



「別れてください」




ドクドクと

心臓が鳴る…





『 … なに 言い出すの?』



涙が ボロボロ ボロボロ

流れはじめた。






「別れて…

お願い ダーリン…」



『突然なんだよ!?

理由は なんなんだよ!?』



「好きな



人が いる…」



私は かすむ目で

ガラス越しの一樹を見る



彼は


私に 気づいていない。


ただ

電話の長い私に


イライラと





しているんだろう…










『この間 言ってた客か?』


「 … 」


『会ってたのか!?!?』



泣くしかない…



『今


一緒なのか…?』











『とにかく 今から行く。


会って話そう…』






電話は



切れた。















私は

立っている事が出来ず



その場所に へたりこみ






大声で




泣いた。




No.219 11/10/29 19:11
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 218

泣きはらした顔…



テーブルに戻った私に

一樹は おどろく。




無理矢理に

笑顔をつくろうとしても


うまくいかない。




R君と別れること


私が つらがってると

思われたくなかった。





「どした…?」






「『別れて』って言ったよ」

極力 明るく言った。




「え… 」







見たことのない表情。



怒っているようにも

見える…





嬉しく



ないの?








無意識に 私は


一樹の喜ぶ顔を

想像していたんだろう。





「それで


… なんて?」




「会って話そうって…」


「会うな!」


一樹…





「そういうわけには

いかないよ…」




「会えば必ず 情が出る!

別れられなくなる!



それぐらい…



俺にだって わかる…」





「最後ぐらい

思う通りに してあげたい」



「俺も行く!」


「これ以上!!





傷つけないであげて…


だって


あの人は






なにも






悪くない… 」













『おまえは



何も

悪くない



悪いのは 全部 俺だ…』










10年前の


雄太の言葉が




私の

身体の中を








通りぬけて行った。




No.220 11/10/29 19:59
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 219

信じてて。



必ず 連絡する。








私は そう言って

家に向かった。


(右折しなくても済む
ルートを見つけた(笑))









「ただいま」


「おかえり~」



摩耶は

中学生になってから

少しずつ


私が会社に居る時間

かつての あの家へ
行くことを やめて行った。

そして今は

もう行ってはいない。





後から 聞いた話しだが

義弟が あの家にお嫁さんをもらい 女の子を授かった事で

摩耶は


自分の役目が 終わった

と思ったのだそうだ。



学校へも

行っていない。



担任が まめに自宅へ

勉強が遅れないようにと

教材やプリントを
運んでくれている…



受験も 迫っている。



がんとして
進学を拒否する摩耶にだけ

私は 途方にくれていた。



もちろん


R君は


そういう摩耶を

よく思ってはいなかった。


『高校だけは 出ておけ』



しつこい程




言っていた。









「摩耶…

今からパパ来るけど…」


「うん…」



察したんだろう…






もう どうにもならないと。









「あたし 外出てようか?」







砂利にタイヤがきしむ音と
エンジン音…



聞き慣れた その音は





もう 大きくなっていた。



No.221 11/10/29 20:27
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 220

家に入って来た彼は


当たり前のように







いつもの場所に座る。







「あたし
出てようか?ってば!」



口火をきったのは

摩耶だった。




「いいよ摩耶

ここに居て…」



R君が言う。




立っていた摩耶が

しぶしぶ すわった。




合わせるように


私も 腰をおろす…






「本気なのか?」



うなずく

私。




「 … 会ってたんだな」


「ごめんなさい…」





「俺の…


何が いけない?」


しぼり出すような声。




「なにも… 」


言いかけて ハっとする。




悪いところは何もないと

言われる事の つらさ…





私が





1番 知ってるじゃないか…







「頼む! 言ってくれ!」


泣いていた。






「あの人は…


私を



自分の世界に
関わらせようとするの


仕事場…


プライベート…



みんなに 私を自慢する。




嬉しかった。


自分が認めてもらえてるって

すごくすごく嬉しかった… 」




言いながら 気づいていく

自分の気持ち。




「ダーリンは
5年も一緒にいて

私と摩耶を

誰かに会わせようとしてくれた? もしかして お母さんですら

私に子供がいること
知らないんじゃないの!?」




責めはじめると

とまらない言葉…






私は こんなにも


彼に



不満を持って







暮らしていたんだ…




No.222 11/10/29 21:04
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 221

「母ちゃんは


知ってるよ…

おまえに子供がいること」



今まで


どんなに頼んでも

『おまえ』
と呼んでくれなかった彼…







最初で




最後だ。







「母ちゃんしか いない家だ…

結婚したい人がいるとは
話してあった


もちろん 摩耶がいる事も…


おまえが 親と一緒に暮らすのは嫌だと言うから 話さなきゃ おかしいだろ…? 」




子供がいなくたって

同居はごめんだ…


と 少しトンチンカンな事を

考えてしまった。




「結婚しよう リエ… 」





「今すぐ



結婚しよう リエ… 」



「遅いよ!!!」



私も泣いた。


悔しくて 泣いた。



「こんな事がなければ

もっと ずっと


ずっと ずっと ずっと ずっと…



先延ばしにしてたくせに… 」






私は 早く




結婚したかったんだ…






また


自分でも知らなかった

真実が



見えた。





「直すから!!


俺 直すから…



おまえが嫌だと思ってること

全部 直すから!!!」



彼は 私の腕をつかみ

強く握って離さない…





冷静にさせなければ

と 咄嗟に思った。




「摩耶はね…


ダーリンのこと

大好きなの… 」





摩耶が




泣き出した…。




No.223 11/10/29 21:33
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 222

「こんな事してる私に


パパが かわいそう… って

ママやめて…



って…」




「俺だって

摩耶が 大好きだよ!!」



大声で 泣き出す2人…








また…








私は 鬼だ。










胸が痛い






痛い

痛い


痛い…














大きい声が聞こえると

なぜか


私を噛む チャオが





唸りながら

何度も 私に飛びかかる。



「痛いよ チャオ…」


興奮しているチャオを

私は 抱き上げ



ゲージに入れた。







立ち上がったことで

高ぶっていた気持ちが



少しだけ




静かになった。






『もう 終わりにするんだ』










「だけど…


好きになってしまった気持ちは




もう



変えられない。」











「 わかった… 」




彼が 立ち上がる。








「俺の 荷物 出して…」




私は そのまま


いつも旅行に使っていた
彼のバッグに



下着や 部屋着を

詰めはじめる…




「ほんとに 入れるんだ…」






彼は 賭けたのだろう。

その言葉に…




泣き虫で 弱虫の私が


冷静に

自分の荷物を
詰めるわけがないと…





『無理だ』

と 泣き叫ぶ私を



強く


強く 求めて…



No.224 11/10/29 22:20
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 223

彼は





出て行った。







摩耶の頭を


ポンっと
ひとつ優しくたたいて

「幸せにしてもらえよ」



と 言って。











玄関で 靴を履き

私に背中を向けたまま




「修善寺…

キャンセルしておいてね」




と言い残して…


























何も…








考えられなかった。













どのくらい



時間が過ぎたんだろう…


しばらくすると


摩耶が

鼻をかむ音が聞こえた。




私は 母親だ。






摩耶の

気持ちのケアを



しなくちゃ だめじゃないか…








…玄関に

座りこんだまま



立ち上がることが出来ない。









「ママ 大丈夫?」



摩耶が






私を 心配してる…








「摩耶…



摩耶…





ごめんね…


摩耶… 」




私達は


また ひとしきり

玄関で 抱き合って泣いた。







女は



泣くことで

いろんなものを捨てられる。




私達は

突然 笑い出した。





「チャオってば

空気読まないよね…」


と言って

泣きながら 笑った。








そして

摩耶は

勢いよく立ち上がると





「ママは悪くないよ。


悪いのは 全部 あいつ…」





と言った。




No.225 11/10/30 00:24
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 224

その


全部悪いあいつ


の言う事は



本当に よく当たる。







「全部 終わったよ…」


そういう私に



『あまいよ リエ


絶対に 戻って来るから …



今度こそ

絶対に会うな!

電話も出るな!

メールもシカト!


『かわいそう』
と思っちゃダメだ。


い~い?

盗った人間が1番悪い。


それは 俺も認める。



だけど

盗られる方も悪いんだ!

忘れないで… 』





そう


一樹は 言った。








今は

悲しい気持ちで

いっぱいの私は



なんだか少し…




冷たいな




と感じた。











あたりまえか。





自分の女が 男と別れて



なぐさめる





バカは いないよな。



どこまで

自分勝手な女だ…






あの人は



狩りを している。


最善の方法を考えてる。



捕らえた獲物の気持ちまで

考える



わけがない。







そうか…



私は




喜んでほしいんだ。

一樹に…



嬉しい



って



言ってほしかったんだ。





こんな思いして

こんな痛い思いをして

別れた事を



全部


一樹のせいに







していたんだね。




摩耶と


同じように…












そして


そんな私の想いを

さえぎるかのように





やっぱり





電話は 鳴ったんだ。





No.226 11/10/30 01:17
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 225

『出るな! シカトしろ!』





一樹の声が


よみがえる。






私は もうすでに


彼の
指し示す方向を見るように


運命づけられて

いたのかもしれない…








やめて…


やめて…






鳴りやむと すぐに

携帯が鳴る。



そして



メール…




『この5年は

なんだったの?』


『一生 一緒にいると

約束したのに…』



『裏切られるなんて

思ってもいなかった』





R君は いつも

Uちゃんの別れた彼が
彼女に しつこくする度

「未練がましい」


と 嫌悪していた。


T君が
私につきまとった行為も
彼は 本当に憎んでいた。


去り際の醜さを

彼は いつでも



ばかにしていたのだ。






自分が


その位置に立つ日が

来ることも 知らずに…







一樹は 電話を切ってから
ずっと

私とのメールを

つなげている。







そして やっと



『ありがとう』






と 言ってくれた。






眠れるわけはないが



私は 目をとじた。








傷つけたことに

涙が とまらない…




そして


かつて 傷ついた自分を思う。








明日から 12月。



まだ暗い

朝方4時…







玄関のドアが


強く



たたかれた。



No.227 11/10/30 03:32
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 226

翌日は

仕事にならなかった…







よく

傷つけられた方より
傷つけた方がつらい

などと聞くが


そんなの嘘だ…


と ずっと思っていた。









人のいない

静かな会場。



大きな映画館程の広さはある
ここに

ひな壇のように並べられた

テーブルと椅子。


真正面の 1番低い場所から

そびえ立つ壁には


車を映し出す


巨大な モニター画面。









「泣きたいの

ずっと我慢してるっすよね…


リエさん」








給料泥棒ズは

今日は ここに居た。







「Uちゃん 前の彼と別れた時

『かわいそう』

って 泣いたでしょう」





私達は 次のオークションのための チラシを 各テーブルに 綺麗に並べていた。



一応 仕事はしている。









「あの時 正直 わからなかった…

Uちゃんの気持ち。

『かわいそう』って
むしろ失礼じゃないかな…


とも思った」




Uちゃんは


黙って聞いてくれてる。




「だけど…

今なら わかるんだ。


『かわいそう』

って思う気持ちが…


どんなに 痛いか苦しいか…


よく…


わかるんだよ…」






「泣いた方が いいっすよ…

リエさん」






「Uちゃん



Uちゃん… Uちゃん…」










私は 彼女を呼びながら


子供のように







泣きつづけた。




No.228 11/10/30 04:53
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 227

ドアを 叩きつづける彼…




「ダーリン やめて…!」



裸足のまま

ドアの前に 立つ私





「リエりん…!

リエりん…


開けて!




ここ開けてよ… 」






ちがう涙が



また


流れ出す。




「だめだよ ダーリン…


開けられない…!」



「なんで!?

俺のこと
そんなに 嫌い!?」

「嫌いじゃないよ!!」


思わず



そう言っていた。




「じゃあ なんで?


なんで




俺じゃだめなの…?」






5年前…




T君も



同じ場所で

同じことを言った…






『なんで 俺じゃ


だめなんだよ… 』



ボロボロと 泣きながら…







いつの間に


私は こんな



図々しい女になった?






人を選ぶなんて…










選ばれたくて


頑張る人が いるからだ。




私は比べ




そして選ぶ。



いらない方を







捨てて…








イラナイ女だった私。



選ばれなかった私。







捨てられた






私。





「ごめんね

ごめんね ダーリン…






わからない…


わからないんだよ!」


「リエ… 」


「誰が好きかなんて


わかんないんだよ!!」


「俺 待ってるから!!」



「 …え? 」



「ずっと待ってる」








「俺んとこ

帰って来てくれるの


ずっと 待ってるからね…」











私を おぶって

病院まで走った彼…



旅行のたびに

私の親へも お土産を買う彼…





いつも


笑ってた 彼…









冷たくなった足に


いくつも


いくつも




涙は おちていった。




No.229 11/10/30 05:43
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 228

「うお~!! 社長!!
ビックリしたぁ!!!」




会場の 出入口あたりで

Uちゃんの 大きな声。





一樹だ。




わざと大きな声で

私に知らせてくれてる。




急いで 泣くのを やめた。










「社長 いったい

いつ仕事してんすか!?」



今日も 失礼な言葉で

彼を ひきとめててくれてる。




ありがとう。Uちゃん。





1番低い場所に いる私。




1番 高いとこにいる一樹からは 絶対に 顔は
よく見えないはず…



私は そこから 手をふった。



手をふりかえす彼…











なんだろう



この感じ。







「うるせ~(笑)バカ!

ここにも 仕事しに来てんだ

俺は!!(笑)」




人が 大勢入っていない会場は

声が 反響する。





「まったまた~!!(笑)


あっ

よかったっすね♪社長♪」





そこから先は




聞きとれない…








部外者の一樹には


使われていない会場を

下まで おりては
来づらいんだろう。



聖域みたいなものだから…




「1回 車 見てくんな~!!」

上から一樹が叫ぶ。



「うん!

行ってらっしゃい!」



手をふる 私。







また


妙な 違和感を感じた。





とにかく 今のうち

メイクを直そう。




泣いていたなんて



絶対に


絶対に







知られたくなかった。




No.230 11/10/30 16:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 229

妙な違和感の原因。



Sとの電話で わかった。





一樹と つき合うようになってからは 友達との電話も

ままならない…


私は わずかな時間の隙間をぬって Sに電話をかけた。




『やっほ♪

… って

あんたからの電話は
とりあえず恐ろしいな(笑)』


「(笑)元気?」

『(笑)変わんない』



Sは すったもんだの末
高校生と別れ

今は
2まわり以上年上の
パトロンを持つ身…


『何があった?』

「ごめん!S!


Rと…

別れた。」




彼女は

予想していたと笑った。

私の愛情の期限は

5年なのだと



笑った。




今の彼も


きっと 5年後に飽きて



あんたは 捨ててるよ…








と 豪快に笑った。









「もうすでにね S…


なんか変なんだ 私。




もう 後ろめたいこともない


今まで以上に

一樹のこと



愛せるはずなのに…」






『… あん時と

同じでしょ。』







Sは



私達が

高校3年の秋の話しを



はじめた。




No.231 11/10/30 17:36
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 230

「1位! K高校!」


アナウンスが
ホールに響きわたる。




客席に 固唾をのんで結果を待っていた 高校生達の波から

悲鳴が あがる。



立ち上がり 肩をたたき合い
抱き合いながら 歓喜の涙を流す ひとつの大きな波…





私は そんな大きな波に





おしつぶされる。









終わったんだ。








私の











『堕天使』












市のコンクールを

1位で通過した私は



おごっていた。




県も1位



そして







全国でも きっと





頂点に立つ。











初めて感じた


絶望。











ホールのロビー


いつもの様に

円陣をくむ私達。




顧問が言う。


「生徒審査は

1位だったんだそうだよ…」




そんなもの関係ない。



次に進めなければ








ここで 終わり。








私は 立っている事が出来ず

床に 突っ伏す。



悔しくて 悔しくて




悔しくて






床を 掻きむしり


頭を きちがいのように
振り回し





泣いた。




No.232 11/10/30 19:16
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 231

あの頃 私は

3度目の正直で
雄太と つき合っていた。


そう

『いつでも リーが
可愛くいれますように』

って

鏡とブラシを
プレゼントされていた頃…




必死で

演劇部の活動を する私。

一緒に いたくて いたくて
しかたなかった雄太。



しっかりとした 身体の関係(笑)を持っていた私達には

1分1秒が
惜しい時期だった…



だから


幼いながらも

私は雄太を


とても 愛していたんだ。











『堕天使』が




私の 生活から消えた。







それは


雄太との

これから始まる
たくさんの幸せな時間の
はじまりだった…







はずなのに。





バランスを失った私は


雄太の価値さえ

わからなくなった。





消えたものの方へと



天秤は






かたむいた。
















繰り返される日常。



明日がある 喜び。







そこにあって


あたりまえのもの。








戻らない時間は


何よりも 愛おしい。




失ったものは


綺麗に見える。









待ってくれていた者への

愛を

見えなくする程に…



No.233 11/10/30 19:47
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 232

『今から行くね』



短い 短いメール。





そんな彼からの



ながい





ながい

メールが届いた。





『情けないね。俺…


摩耶に あんなに
「学校行け 学校行け」
って言ってたのに

身体に力が入らなくって
何もやる気が起きなくて
もう
2日も仕事を休んでる。

今 すごく反省してるんだ。

ヤキモチをやかない俺。
パチンコばっかしてた俺。

全然 リエりんのこと
大事に してなかったって…


寂しい思いを させてたんだね


長い5年だったけど
あっという間の5年。

たくさん旅行に行ったね。

2年前の福島のホテルでは
カウントダウンパーティーのビンゴで リエりん1等賞を当てたよね! あれは すごかった!


楽しかった。

全部 楽しかった。



次の正月も 3人で

伊豆で 迎えたかったです。



俺 ずっと待ってるからね!

必ず 戻って来てくれるって
信じてる。


大好きな リエりんへ。』













痛かった…



本当に 胸が…







張り裂けるかと思うくらい



痛かった。

















傷つけた







罰。




No.234 11/10/30 20:14
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 233

「ダッヂの社長と お酒呑んでるなんて なんか変な感じ!」


Cが 笑う。


「ま~ 呑んでんの Cさんと リエだけだけどね(笑)!」


ヤクザ顔の男は


牛乳が大好きな ゲコだ。



「あ そっか(笑)💦💦」


Cも 私と同じ

ビール大好きで ご機嫌だ。



一樹と 会わせたことにも

ご機嫌の理由は


あると思うが…





「社長…


摩耶ちゃんのこと

お願いね」



Cが 真剣に 頭を下げる。


「必ず 幸せにします」




一樹も 真剣だ。








かたくなな

摩耶の心がとけるまで



あと


どのくらいの時間が

必要だろう。




「会社には もうしばらく ふせてた方が いいよね…?」



従業員と 会員。




そんな ケース 今までない。







ふせる



とは言っても




いつ 自分の店の仕事してんだか わからない(笑)と 人に思われる程 頻繁に 私の会社に あらわれる一樹を


いぶかしく思ってる人間は



すでに 会社に



たくさん 居るわけで…





No.235 11/10/30 20:41
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 234

「リエさんって
ダッヂの社長と…

前から知り合いだったの?」




検査員の男の子が

車のチェックをしながら

私に聞く。




「え!?💦 なんで?」



「最近 よく一緒にいるな~

と思って…」


ボンネットを勢いよく閉める

「あっ!!」



「なにっ!?」

音と 声に ドキっとする。




「懐中電灯の電池切れてたんだ

リエさん 持って来て」









パシリかよ。











私は 最近

やたらと こういう思いをする…



男性社員で 知っているのは

Oだけだ。





一樹の 強引さに

ちょっと辟易する瞬間。


私の立場も

少し 考えてほしい…。








「リエ!」


来た…




「これ V自動車の社長にもらった。 みんなで食べて♪」




… 温泉まんじゅう。




なんて言って

これ 私 皆に配るんだよ…







「それと…


アドレス変えてね。

リエ。」

















はい?




No.236 11/10/30 21:48
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 235

Uちゃんほどに

一樹の性格を知らないCは


あの日

口を すべらせた。


酔ってもいたんだろう…




「私 人のことで
滅多に泣かないんだけど…

R君の

最後のメールは泣いたよね~」




… C!!!


シーっ!!!
(なんちゃって)

















聞こえないふりを

していたんだね。




それでなくとも

あの後 毎日


一樹といる夜 携帯は鳴った。




『かわいそう』


って 思っちゃだめだ。






何度も 念をおされた。






データを移行せず

携帯ごと取り替えてくれとも
頼まれたが

『めんどくさくなる』
という理由で 断固拒否した。







「アドレス変えて

着信は 拒否

電話帳からは削除。」



彼の狩りは

まだ 終わらない。






「摩耶…


いつ会ってくれるかなぁ



俺に…」










とても



気の重い













12月の 初旬だった。



No.237 11/10/30 23:48
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 236

R君が

私の生活から


姿を消したとて




伏兵がいる。






私達の恋は


一筋縄では いかないらしい…






「摩耶

ちょっと 一樹に


会ってみない?」




「 … やだ 」











「もうすぐ
クリスマスじゃん!

お金は いっぱい持ってるよ~
あの人。


好きな物

買ってもらえるし!」






言ってる私も情けないが

摩耶の 眉毛が




ピクっと動いたことも

見逃さない。






「バカじゃないの…」








うん…



ママは 馬鹿だ。










「プレステ…


欲しいんだよね♪摩耶♪」





「 … 」







コタツに もぐった。





笑ってるのかな?
















泣いて



いるのかな…?












知っているのは





コタツの中の



チャオ君だけだね…




No.238 11/10/31 00:24
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 237

定年を過ぎても


ねばりにねばって
仕事をしていた私の父親は

いよいよ 観念し



その位置を しりぞき


母とともに

実家へ帰って来ていた。



… とは言っても



実家の 真向かいに

ちょうどいい 平屋を見つけ


そこに2人で住んでいるのだが…




気性の荒い 兄嫁と

わがままな父が


一緒に暮らせるわけがない。





気兼ねなく 遊びに行けるので 私には 好都合だった。





私は 母に


一樹が 救急車で運ばれた日から ずっと 相談をしていた。




親には 隠し事をしない。





いくつになっても

甘えん坊である(笑)







「お母さん…


Rと 別れたよ」




「なんだろ…


いいコだったのに…」




「うん…」




「あの 救急車の人のせい?」





「うん…






だね… 」




母が

お茶を入れてくれる。






ふ~っと 冷ましながら

私は





10年前を 思い出す。







新婚さんの事故のニュースに


『幸せなまま死んだんだから

幸せかもよ』



と 恐ろしい事を言った

あの頃を…










「お母さん



私 結婚しようと思ってる」





「救急車と!?」








その通り。




No.239 11/10/31 01:22
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 238

「本日 Uちゃんち集合!

作戦会議っす!!」





「なんで?」





「社長~…

なんも いっつも2人でいなくたって いいじゃないすか…」



「そういう意味じゃね~けど」



「今日は エッチぬき!」

「何言ってんの(笑)Uちゃん」






摩耶のことで

煮詰まる私達に
(会社で煮詰まるなよ)


Uちゃんからの 助け舟。





あまえよう。




エッチぬきだけど。

(残念かよ)











「U 部屋綺麗だなぁ…」


一樹が 感心している。



Uちゃんちも 公営の一軒家だが 去年建てられたばかりの 立派なものだ。


もちろん 家賃は

うちの6倍ほど。




「Uちゃん こう見えても

綺麗好きなんだよ!」


「どう見えてんすか?」

「リエは?」


「聞いてね~し…」

Uちゃんが ぼやく(笑)



「私だめ~

掃除 超 苦手💦」


「リエの苦手なことは

俺がするよ♪」



「イチャイチャすんな!」



ゲキが 飛ぶ(笑)










「今日こそ突破っす!」


「…?」


「強行突破って

言いたいんだよ Uちゃん…」



一樹に こっそり

耳うちする。


「あぁ(笑)」













強行突破?



No.240 11/10/31 02:48
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 239

「いやぁぁ!!!!!」














初めて聞く


摩耶の悲鳴に






私は 青ざめる。













いつも通りの

Uちゃんちでの晩ごはん。



つづきの部屋で

ビールを飲み始める私達。


摩耶とIは

居間で 遊んでいる。


2人は 本当の姉妹のようだ。

Iは 摩耶を
「お姉ちゃん」と呼び

摩耶は Iのために

自作のぬり絵をプレゼントしたり 本を 読んであげたり

一生懸命 可愛がる。



Iが 赤ちゃんの頃からの
つき合いだ…


姉妹のようも

あたりまえかも。




いつも通りの風景…











そして






強行突破。










偶然をよそおい

一樹が やって来る。



かたまる 摩耶。




Uちゃんが 言う。

「摩耶ちゃん 大人は大人で飲んでるから Iお願いね!」


「…うん」


「閉めようか?ここ」


「…うん!」





Iが 何度も開けてのぞく。


摩耶は

背中を 向けたままだ。




一樹に 仕事の電話が入り

居間をぬけて 玄関にゆく時は


コタツに もぐる。




絶対に 顔を見ない気だ。










「んじゃ 俺

そろそろ 帰るか…」



ドキドキしながら


それでも 精一杯の優しさで





一樹は

「バイバイ」と


コタツから出た 摩耶の頭を








撫でた。



No.241 11/10/31 03:28
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 240

私は 呆然としていた…




「リエさんは 社長送って!」



一樹は






悲しい顔を


していた。








Uちゃんに しがみつき

号泣する摩耶の声を

聞きながら




私と 一樹は 外へ出た。









「一樹…」


「大丈夫!!」








「今

はじまったんだ…!」





私は



もう






この先など




考えられなかった。






「絶対 大丈夫!!」








そう言って




一樹は 帰って行った。













私の した事の



代償。







普通に暮らしていれば



負わせることのなかった







摩耶の傷。









女を 押し通した







馬鹿な母親の





結末。














一樹の 大丈夫を



私はまだ その時







信じられずにいた。




No.242 11/10/31 04:41
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 241

声と 喋りには

自信があった…







Q2のサクラのバイトを始める時 話したが…

今は その相手は電話ではなく



マイク。




私は

競りのアナウンスの仕事が

業務の中で 1番好きだ。




天職



とさえ 思っていた。




普段の声は

比較的低いのに

マイクに向かうと
2トーンほど 上がる(笑)




会場を 見渡す場所に 設けられた マジックミラー越しの ブース。



私は この場所も大好きだ。







そんな 大好きな場所で


今日は サボっていた(笑)






「今日こそ突破…


失敗でしたね…」



まだ言うか。




「すいません…」


「なんでUちゃんが謝んの!?

あの後 普通だったし(笑)
ビックリしたんだよ…」


「だけど摩耶ちゃん

『気持ち悪い』って
言ってたっすよ…」



それは


気持ちも悪いだろう…






「免疫ついたんじゃない(笑)」






私は もう


しばらく 一樹のことは

摩耶には ふれないでおこうと
決めていた。




「社長も…

へこんだんじゃないすか?


よってたかって

静かになっちゃいましたもん」



うってかわってだUちゃん…




「全然!
むしろハリキリ出したよ!」









そんな

一樹の頑張りが





意外な助っ人を




呼ぶことになる…




No.243 11/10/31 14:19
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 242

ハンターは

標的を変えた。



「俺 リエの お父さん お母さんに 挨拶に行きたい」



「話してあるし
それは別にかまわないけど…」


「明日」

「は?」


「今からでもいい」



いやいやいや。





いくら年寄りだとて

うちの親にも


都合というものはある。




「話しておくよ」






とにかく 一樹は


せっかちだ。


大事な事の場合のみだが…










携帯が 鳴った。


身体から離していた為
バイブの振動音が強い。




実家の 真裏に位置する
ビジネスホテル兼ラブホ。



たまに

わずかな時間 立ち寄る。








私は スルリと


ベッドから おりた。










雄太だ…




とらなきゃ

よけいに あやしまれる。







「はいはい」


『お~ 何してた?』



何してた… って










ナニしてた。







「友達と…

ごはん」



携帯を置いた場所が

比較的 ベッドから遠かったので あまり聞こえてはいないだろう…




とりあえず

だだっ広い部屋だ。








『おまえさ
摩耶のピアニカ(鍵盤ハーモニカ) とってある?』





なんとなく…




イヤな気持ちになった。






あっても 渡さない。




勝手につくった



摩耶の弟になんか








絶対 渡さない。








「あるわけないじゃん(笑)」


『だべな(笑)』











「…誰?」




「高校ん時… の


と…


もだち… 」







「… 早く


結婚しようね… リエ」




「うん…




愛してる…」















愛してる…




No.244 11/10/31 16:11
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 243

「ばぁちゃんのカレーが

世の中で 1番おいしい♪」




ママのつくった

カレーが食べたい…






あなたのオトウサンは

その昔


言っていたよ。




「ママのは しょっぱい(笑)」


「食べる物に文句言うな(笑)」


「意味 ちがくね?(笑)」




給料日間際は

いつも 実家でご飯だった。


手当ては 国からもらえても

雄太からは
一銭の養育費も 入らない。



そのくせ

ピアニカないか?


ふざけんな!












自業自得か。








「お母さん…


一樹
ここに挨拶に来たいって」

父は 耳が遠いので
ここの家は
テレビのボリュームが高い。


大きな声で 母に言った。


「摩耶は会った事あんの?」


全部 話してある…



首を横にふる摩耶。


この間の事は

会ったとも
みなされていないのか…





「んじゃ

ばぁちゃんと一緒に
会ってみよう!」




スプーンが とまる。




「そんな ヤクザ顔の救急車

ばぁちゃんも怖いけど


一緒に
会ってみよう♪摩耶♪」







摩耶が



「うん」
と言って笑いながら


また





カレーを食べはじめた。



No.245 11/10/31 20:44
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 244

本当なら

伊豆にいたはずの



12月31日…






本当なら


3人で笑っていたはずの

12月31日。







泣きながら

互いを呼び



きつく抱きしめ合う…







私達は 本当に


泣いてばかりいた。




どちらとも

一緒にいたいのに


同じ時間を



共有できない…







深い 穴の底は



2人でも寒かった。







摩耶…




摩耶…











「バイバイ…


また 来年ね」


泣きながら

手をふる私達。








雪のふる中


家へと急ぐ…





「なんもなきゃ

ここに居たのにね。



ごめんね 摩耶…」





修善寺の温泉で

はしゃぐ芸人達を観ながら

「別に いいよ」

と 摩耶が悲しく笑う。






「プレステもらったしね(笑)」


「摩耶…」




サンタクロースの プレゼント







一樹…









一樹…











年が


明けてゆく
















神さま どうか



来年は






3人で笑いながら




除夜の鐘が










聞けますように…。




No.246 11/10/31 21:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 245

「おまえ!
笑うと可愛いな!!」


酔っぱらった兄が

一樹を見て 笑う。



「よく言われます。

目が
お人形さんみたいだって…」


緊張している一樹は

返しが おかしい。



爆笑する兄。



父は ほぼ聞こえていない為

終始 うす笑いを浮かべている



こんな父でも

私が離婚した時は


当時住んでいた マンションの

10階のベランダに飛び出し

声にならない叫びを
あげたそうだ…



母から 聞いた。




そんな母は

チラチラと


摩耶を 気遣っている。




「ところでさ…

おまえ なんで
こんな女が いいの?」

失礼だぞ 兄。



「理想のひとです」

「これが?」

「はい」

「なんで?」


「俺は バカに見える

ケバい女が 好きです!」








兄 また爆笑。


「でも 本当に
バカじゃ困るんです!

リエは バカじゃない!」



情けなくなって来た…




「俺はリエになら

頭で タバコを消されても

笑ってられる
自信があります!!」


「おまえ バカだろ」

兄 ふたたび爆笑。


「たぶん」



なんだ この会話。





「一樹君 牛乳…」


「ありがとうございます」



「牛乳って!!」




兄が

とうとう


ひっくり返って笑い出した…



No.247 11/10/31 23:36
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 246

摩耶は…



思ったより楽しそうだ。


「で 一緒んなったら

どこに住むの?」


兄が 突然 核心にせまる。




「俺は…

今住んでるとこに

連れて行きたいです」







私は…


ここを


離れたくなかった。





友人がいて

会社も近く


なにより




こうして 親がいる。





それを

摩耶に伝えるのも


怖かったのだ。





摩耶は


不思議な顔を していた。



不機嫌な時は

面白いぐらいに 顔に出る。




この事については

何度か もめてもいた。



こちらに住まないなら

結婚もしないと言う私に

1度は 折れ


その方向で 考えてもみた。



ただ




一樹の店だ。





こちらから通うのは


あまりにも遠い。




恋愛中と


生活になってしまったのとでは



気持ちと身体の負担が 違う。


そのぐらい



私でも わかる。





「リエは


ここから 離れたくない…

って言います。


だけど 俺

リエや摩耶が
ここに来たい時は
必ず 連れて来ます。


毎日来たいのなら

毎日 連れてきます!


そのぐらいの覚悟は
あるんです!!」




そう言って







牛乳を 一気に飲み干した。



No.248 11/11/01 00:43
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 247

「摩耶の部屋も あるよ」



一樹が 言った。


「あたしの部屋?」







…え?



「うん!」






「あら いいね!

摩耶 いっつも
ちゃんとした 自分の部屋が欲しいって 言ってたさ!」



母である…




「洋間…?」



畳しかない 今の家には

懲り懲りなんだろう…


「もちろん!」



「床は?」


「カーペット …だな 」


「 … 」


「摩耶 何がいいの?」



「フローリング!」


「じゃあ
フローリングにする!!」






この人は…


引っ越すことに

抵抗は ないんだろうか。






ただ 今は



それよりも





摩耶と 一樹が 喋っている。





その事に


胸が いっぱいになっていた。








うまく



いくのかな…





このまま









光りの射す方に




歩いて



ゆけるのかな…









自分の 犯して来た罪






傷つけた者たち











私は





幸せになっても






いいんでしょうか…





No.249 11/11/01 02:15
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 248

「ちょっと休憩すっぺ!」








久々の登場。


チャラ男である。






「お疲れさま」


コーラを手渡す。




「サンキュっ」

ゴクゴクと飲み始めると



「今日の 日当」





一樹が言う。



「ただ働きか!?俺!?」





大工さん。


フローリング要員である。






「でも よかったな

ほんとに…」



「ありがとうね」





私は


心から そう言った。




「『死ぬ』とか言うしな(笑)

こいつ…」

「わ~~~っ!!」

「うるせ…」


みんなで笑う。




「もう少しだからな!

摩耶!」


「うんっ!」












あの日…







ここを訪れた時






感じた 何か。









今なら わかる。













「大工さん カッコイイね♪」


「摩耶ちゃんまで…




嫁になるか?」


「嫁 いるし(笑)」




「捨てるか」
















笑えないぞ チャラ男。




No.250 11/11/01 02:52
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 249

いい風が 吹き始めると



いろんな事が

流れにのる…





「ママ
あたし 受験する」


「摩耶…」







摩耶は


生活を 変えたがっていた。



私が 『いい』と言っても


学校へ行かない自分 は



やはり


後ろめたかったのだろう…







そんな摩耶に


一樹は


何も恥じる事はない

と言い



むしろ

引っ越すのに 好都合だ

と言った。




ただ 摩耶が

行きたいと思うのなら


どんな高校でも行け

お金の心配は するな




とも言ってくれた。





時期を同じくして


摩耶の親友の お母さんから

2人が

同じ高校へ行きたいと
言っている事


母子家庭への援助などを

教えてくれた。





「実は


結婚するんです…」


と うちあけた時




少し


誇らしい気持ちにもなった。





何もかもが



新しい。












1月…



初旬の事だった。




  • << 251 「マジすかっ!?」 「Uちゃん どれに?」 「全部っすよ! 摩耶ちゃんのことも … 引っ越しのことも」 「Uちゃん…」 2人で 泣いた。 一樹は 結婚したら 私は 会社を辞めるものだと 思ってる。 私が 辞めたくない理由。 1番は… Uちゃんだ。 この土地に 彼女を おいて行ってしまうようで 引っ越しが決まってから 私は 夜な夜な ひとりで 泣いた。 毎晩みたいに 一緒にいた。 会社のみんなからは 君らが結婚するべきだよね って 笑われてた。 愛しき 相棒。 春休み 夏休み 冬休み… Iの新学期が始まる間際は 毎回 お決まり 『リエさん 通信簿の 【家庭のトコロミ】んとこ 書いてくださいよ~』 の SOS。 所見だよ。 (トコロミも正しいらしい(笑)) 『あいつと喋ってても 暖簾に窓越しっす(怒)』 …腕押し。 社内報を読みながら 『なになに… 【美味しい料理に… … 舌 … 舌打ちをした】?』 舌打たね~し。 打ったの 舌鼓だし… あぁ 愛しき 相棒。
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