しあわせいろ
私の前には広がる風景があります
目には見えないけどそれは沢山の線となり形となり私のまぶたの裏で形になります
それが私にとって当たり前の風景だった
ずっとこのまま
この当たり前の風景の中で生きていくのだと思っていたよ
あなたと会うまでは
花の色も
海の色も
空の高さも
みんな知らなかった
音が香りが全てが指先を通って私に世界を
光を見せてくれた
目に見える光はどんな色ですか?
私の心の中にはいつも暖かい色があります
ねぇ
幸せってどんな色で描けばいいのかな…
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ふたりが急に追いかけあっこをはじめてしまった
『ことりちゃ―ん
あのね―こいつね―
「ボランティア先の女の子がすっごい可愛いんだ」ってめっちゃ自慢しててさ―
このあほヘルパーね
一目惚れだったみたいだよ―
いや―やらしぃねぇ
不純だわ―
このボランティアさん』
佐藤くんの声が大きくなるに連れて望くんの足音が早くなっていく
『佐藤―!!
学食一ヶ月じゃきかねぇかんなお前
その口ぬいつけてやるぞ!』
まるで小学生の鬼ごっこみたい
私はクスクス笑いながら声がする方を眺めていた
友達って
学校って
やっぱりいいな…
懐かしい手触りの長机を指先で感じながら独特の学校の香りを体で感じていた
もし
進学を選んでわたしも何かを学んでいたら…
こんな風に大切な友達や仲間が私にもできるのかな…
もう一度教室の窓を少し開き隙間から吹き込む冷たい風を頬に感じながら色んな事を思い返していた
高校三年生の
就職活動か進学かで学校と家族で何回も何回も話し合いの場がもたれた
でも
あの頃の私は『ただ生きているだけ』で『どんな風に生きるか』なんて考える余裕も希望も何もなかった
ただそこにしか道がないかのような選択
マッサージ師
オペレーター
入力業務
成形工場
障害者枠を使った仕事…
一通り何でもできるように訓練はみんな受けた
やろうと思えばなんだってできた
足りないのはやる気だけだ
それは今も変わらないかもしれない
『別にいいや』ってあきらめにも似た気持ちから
『やってみようかな』までは気持ちが動いたけれど肝心な『何か』は未だにわからない…
私でなければ勤まらない何かなんてこの世に存在するのかな…
『わ―!
ことりちゃん―助けて!!
不純ヘルパーがいじめてくる―』
とうとう望くんに捕まったのか佐藤くんの沈痛な声が聞こえてくる
『まぁ…よくもあんなにことりの前でペラペラと…
ことり
こいつの言うことは気にすんなよ』
肩で息をしながら望くんが喋ってきた
『うん、大丈夫…二人とも仲良しだね』
背の高い黒い影を見上げてクスクス笑う
佐藤くんの方が望より少し背が高いのかな?
声が上から聞こえる
『ことりちゃんは声も可愛いなぁ♪』
ポンポンと頭を撫でる佐藤くんに
『だから…触るなって』
望が佐藤くんの手を退かした
佐藤くんに焼きもちやいてくれてるのかな?
正直に望の反応が嬉しい
暫くすると…
廊下が賑わい始めてきた
クリスマス会の準備をする為に、買い出しに行っていた人たちが帰って来たのだろう
『あ~!!望、宏樹!?』
望と佐藤くんの姿を見つけ駆け寄ってくる人もいる
『望、今日は来れなかったんじゃないの?』
『ってこの子は?』
『え~誰?』
『何だ?』
段々、人に囲まれ始めてきた
私は大勢の人と話すのが苦手だ
男の人の声
女の人の声
色んな声が混ざって
思わず望の後ろに隠れる
『先輩…僕がガイドヘルパーしてる中村ことりさん!僕と同じ19歳』
望に紹介され
私はおずおずと前に出た
『なっ中村…ことり…です』
『あの…こ、こんにちは!!』
噛んでしまったし、声も裏返った気がする
でも、何とか頭をペコリと下げることはできた
『キャー、かわいい』
『小動物みたい』
『ちっちゃ~い』
私を囲む様に沢山の声が聞こえる
『ことり…大丈夫だよ』
望が私の背を押した
『皆、僕の入ってるサークルの人たちだよ』
わいわい私を囲んでいる人たちの後方から1人が声をかけてきた
『ことりちゃん、こんにちは!私は、部長の高橋美穂…よろしくね』
声のする方に顔を向ける
高橋さんは落ち着いたハキハキとした喋り方をしている
『今日は来てくれて嬉しい、望君から聞いて会ってみたいと思ってたの』
差し出した私の手を握り返して高橋さんは言う
『今日はゆっくりしていってね』
ほらーっみんな教室行くよ
準備!準備!!
囲まれて困っているのをみかねて、高橋さんが他の人たちに声をかけた
『後でまた話そうね』
ポンッと私の肩を叩き
高橋さんはサークルの皆を連れだって歩き始めた
『じやっ
俺も行くわ
ほんならまたね、お二人さん
ことりちゃんこいつと手ぇつないだらあとでキチンと洗ってね』
『はいはい君はあっちいって下さいね
あとでちゃんと参加しますから
高橋も行きましたよ~
はいはいさよならさん』
『えっ嘘高橋もういっちゃったの?
はえ―な―もぅ
ほんじゃまたあとでな
バイバイお二人さん』
騒がしかった教室から足音が消えてまた私達二人になった
私はちいさく肩をおろすと『びっくりしたなぁ』と笑ってみせた
望くんは『ごめんごめん』といいながら私の右手をとった
ついさっきまであんなに近かった唇を思い出してまた顔があかくなってきた
『ことり
思い出し笑いしない』
『しっ
してないよ
思い出してなんかないもん
やらしいこと言わないでよね』
望くんが側でちいさく笑う
繋いだ手はさっきよりずっと私たちを近づけてくれていた
さっきまでいた教室を出たあとに『お気に入りの場所があるから』と望くんに手をひかれるまま階段をかなり上がった
階を上がることに懐かしい校舎の匂いや
友達と遊んだ感覚が段々とよみがえってきた
『ねぇ、どこまで上がっていくの?』
『もう少しだけ頑張って、いいところがあるから』
ゆるやかなカ―ブを描く階段をいくつか越した頃望くんの手が少し緩んだ
『はい、着きましたよ
入って入って』
あたしは背中を押されるがままに手のひらを前の方に差し出した
指先にドアのノブが当たった
『カチャリ…』
開いたドアの向こうからは何の音もなく普通の部屋という印象だ
『…ここは?』
『いいから入って入って』
おずおずと言われるがままに足を進めた
足を室内に入れた瞬間
左右あちこちからけたたましく発砲音がした
《バババババババン!!》
『きゃっ…!!』
思わず背中を丸めてしゃがみこんでしまった
『やめやめやめ!!』
聞き覚えのある声がパタパタと足音と共に聞こえてきた
『ごめんごめん
ことりねぇちゃん大丈夫?』
小さな声が私に心配そうに尋ねる
『この声は…真希くんね!
びっくりしたぁ
どうしてここにいるの?』
周りからガタンガタンと机を直す音がして人の気配や声がいつしか耳に入ってきた
『えへ、今日はクリスマスイブでしょ?
いつも僕たちの病院に望兄ちゃん達が慰問にきてくれんだけど
今年はこっちでクリスマスパーティーすることになったんだ
病院の中だと大きな音とかだせなかったりするから
比較的元気な子はリハビリも兼ねてお手伝いなんだ
病院にいる子には夜に会いに行くの
サンタクロースのかっこうして驚かすんだよ
今はその準備をしていたの
てっきり望兄ちゃんかと思って…
ごめんなさい…』
周りにいた子供達もおずおずと声をあげた
『ごめんなさいお姉さん』
『怖くなかった?立てる?』
私がにっこり笑って大丈夫よと伝えると安堵のため息が漏れた
『ごめんなことり
今日この時間に真希とここで待ち合わせしててさ
ことりがくるのは内緒にしてたんだ』
『そうだったのね
びっくりしたわ』
何とも予想していなかった真希くんとの再会に心が穏やかになった
『兄ちゃんそういえばさっき高橋さん達も来たよ
あとで手伝いにくるねってジュース置いてってくれたんだ
おかしもあるけどまだ食べちゃだめだよね?』
『ん~もうじき12時か
多分今みんなでサンドイッチ作ってる最中だろうからもう少し待っててな
部長たちもデッカイクリスマスケーキ焼いてきてるらしいし
先に飾りつけやクリスマスカ―ドだけ書いちゃおうな』
『うん!見て!僕もね足の裏使って足形のスタンプで〃メリークリスマス〃って書いたんだよ
上手でしょ?』
『あっ!ほんとだ!赤い字と緑の字でうまく書けてるじゃんか
真希やるなぁ』
『えへへ
足裏スタンプおもしろかったよ
雑巾で拭くのが少しくすぐったいけどね』
周りにいる数人の子供達もクスクス笑っている
目には見えないけど私の前には真希くんみたいに身体が不自由な子やうまく自分を表現できない子がいるんだろうな
私は望くんの手を握り一人ひとりに自己紹介を始めた
『みなさんはじめまして私は中村ことりといいます
目の見えるみんなには私はどんな風に見えるかな?
私は生まれた時からしばらく目が見えません
今は高校を卒業してガラスを作る工場でアルバイトをしています
今日はここにいる加藤望くんにガイドヘルパ―を頼んで大学を探検に来ました
みなさんのクリスマスパーティーに私も参加させて頂いていいですか?』
そういうと周りから沢山の拍手が起こった
『もちろんいいよお姉ちゃん!』
『お姉ちゃんも一緒に折り紙切ろう
見えないところはお口でいうからさ』
あちこちから手を引っ張りたり背中を押されたりした
『いいじゃん、いっといでことり
俺もこっちの飾り付け手伝うから』
望くんに背を向けて私は引かれるがままにある一角に腰をおろした
そこには真希くん
それに二人の女の子がいた
一人は真理ちゃん
もう一人は由美ちゃん
二人とも真希くんと同じく二年生らしい
『ねぇみんなここは何をお手伝いする所なのかな?私にわかるように教えてくれる?』
『ここはね今からクリスマスの歌を歌うチ―ムだよ
[あわてんぼうのサンタクロース]を歌うの』
『あわてんぼうのサンタクロースかぁ
私も大好きな歌よ
ピアノとかエレクトーンは?
カセットかCDで流すの?』
『うん!大きいお姉ちゃんがねCDをかけてくれるの
真理はね真希くんと一緒でリウマチって病気で足と右手が動かないんだ
だから車椅子で学校行ってるんだよ!
でも歌は大好きなんだ』
明るく元気な声からは想像もつかない
『そうなのね
教えてくれてありがとう、真理ちゃん』
『次は由美ね…
由美はね、お姉ちゃんと同じ目が見えにくいの
弱視っていって顔に一センチくらい物をくっつけないと何かわからないんだ
右目は全然みえないけど左目はぼんやりだけど明るく見えるんだよ
由美も学校に行くときははくじょう持つんだ
ことりねえちゃんみたいにお洒落してカッコイイ彼氏作るんだ!』
可愛らしい声で私の手をひく
みんな小さいのに凄く前向きだ…
小さいながらに自分で出来ること出来ないことちゃんとわかってる…
わたしは?
私にはわかっているかな…自分のしなくちゃいけない何か
明るい会話とは裏腹にほんの少しだけ胸が傷んだ
『じゃあ歌の練習しようか?』
お母さんに買ってもらったコートを脱ぎながらワンピースの裾を払った
家ではいつもジーパンばかりだからワンピースとはいえ短いスカートは膝回りがこぞかゆい
モコモコとした犬の毛みたいなタートルのワンピースは座ると丈が少しは上がるため床に直接すわるのに抵抗があった
膝に脱いだコートをかけると手拍子に合わせて曲の練習が始まった
歌を歌いながら子供達の楽しそうな明るい顔を思った
歌はいいよね
心が和む
歌いながら小さい頃のクリスマスを思い出していた
あたしがまだ幼稚園で普通にみんなと過ごしていたとき
みんなは当たり前のように目の見えない私に手を貸してくれたり
一緒に遊ぶためにいくつかのルールがあった
誰かに優しくしたり優しくされたり
守ってくれたり
支えてあげたり…
何だかいつの間にか忘れていた気がする
『これが私だよ 』って今のみんなみたいに笑って言える日がこなきゃいくら私が『変わらなきゃ』って思っててもダメな気がする…
今の私が
今の私を認めてあげなきゃ前には進めない…
変わる所と
変わらなくていい所…
そんな事を考えながら歌を歌っていると真理ちゃんが聞いてきた
『ねぇ
、ことりお姉ちゃんは望兄ちゃんの彼女なの?』
いきなりの質問にびっくりして小さい子相手に真顔で答えそうになった
『えっ?えっ!
えーっとねぇ…
違うよ
私が困ってる人でお兄ちゃんはボランティアさん
それ以外なんでもないよ?
真理ちゃんはおませさんだなぁ』
笑ってごまかそうとすると真理ちゃんは小さな手で私の腕をツンツンしてきた
『うっそだぁ
だってお姉ちゃんこんなに可愛いカッコしてるじゃん~
隠したってダメなんだよ
今日はクリスマスなんだから
神様に嘘ついたら怒られちゃうんだよ』
『前から優しいけど兄ちゃんはことりちゃんと一緒だともっと優しい顔になるよね
前に海であった時も思ったんだ
今日はいないけど、ママとも『お似合いだよね』って話していたんだよ』
真希くんが話に入ってきた
『あははは…みんな大人みたいだね』
全然笑えない感じで切り返すと由美ちゃんがポツリと言った
『…私も好きな人できるかな…
ママみたいに誰かのお嫁さんになんてなれるのかな…』
『勿論だよ~
由美ちゃんが望めば何だって叶うんだよ?
なぜそう思うの?』
『だって…
だってね…由美の目が見えないせいで結婚しても由美は赤ちゃんのお世話やご飯の用意だって一人じゃきっとできない…
もうじき三年生なのにまだ由美は一人で学校にも行けないの
誰かについてもらってばかり…
なんだか
これからもずっとそうなのかなって…』
小さな手をキュッと結ぶ由美ちゃんの手をわたしは両手で包んだ
『違うよ
由美ちゃんも
真理ちゃんも
真希くんも
みんなみんな望まれて
ママやパパに愛されてお腹から出てきたんだよ
私も昔はそうやって沢山悩んだの』
『何でかわからないけど私達は街で歩いてるみんなとはほんの少し違う格好や体で生まれてきたよね
でもそれは『ママの子になるしるし』だったんじゃないかな』
『しるし…?』
由美ちゃんが言った
『そう、しるし
どこがどう悪くてもどんなに形が違っていてもママ達が
みんなが
足りなかった部分をきっと与えてくれるの
『足りない所は自分で見つけなさい』って
神様が宝探しみたいに旅にださせてくれたんじゃないかな
真希くんには手を
真理ちゃんには足を
由美ちゃんと私には目を
その部分を埋めてくれる大切な誰かに逢うためにきっとここにきたんだよ
でも、いつ大切な人に逢えるかは神様にもわからなくて
それまではパパやママが守ってくれる…
だから、それまではママやパパに『ありがとう』って甘えていていいんだって私は思うな
それは私も兄ちゃんもここにいるみんなも『みんな一緒』
そう思うな』
私が言うと由美ちゃんが手を握りながら私の膝に顔を埋めてきた
『由美はね…
ここにいてもいいのかな…』
『あったり前だよ
由美ちゃんそんな事を考えてたの?
由美ちゃんがいないと僕寂しいよ
由美ちゃんがいるから楽しいんだよ
ね。真理ちゃん』
『うん、あたしも由美ちゃんがいないと寂しいよ
真理は一人っ子だし妹もお姉ちゃんもいないけど由美ちゃんには何でも話せるもん
由美ちゃん
これからも一緒に頑張ろう
せっかく友達になれたんだもん
離れたくなんかないよ』
膝にしがみついていた由美ちゃんがゆっくりと顔を上げた
『あたしもみんな大好き
ありがとう…』
そういうと少し明るい声で『ありがとう』ともう一度言って二人の方に座り直した
小さな小さな心には
どんなに痛いトゲが刺さっているんだろう…
不安で
こわくて
さみしくて
迷って…
どんなに自分を奮い立たせてもすぐに闇は追い付いてくる
『大丈夫だ』って気持ちなんて直ぐに飲み込まれちゃう…
だからこそ
私達障害者は強くなるために
生き抜く力を身につけるために
望くんたちみたいなボランティアさんの善意に甘えて強くなるために過ごすんだよね
普通でいるために…
『みんなおまたせー!!おいしいサンドイッチとクリスマスケーキの到着だよっ
みんなに会いに遠くの国からやってきたサンタクロースがたくさんきたよ!
みんなよろしくねぇ』
室内から『パンパンパン!』と突然の激しいクラッカー音に硝煙が立ち込めた
私がとっさに耳を塞ぐと『姉ちゃん大丈夫だよ
由美ちゃんも
サンタクロースがお祝いにクラッカーをならしたんだよ
もう誰もひっぱらないから平気だよ』
真希くんが詳しく説明してくれた
『ありがとう』
『ううん!あ、あのね今六人の赤い服来たサンタクロースが部屋に入ってきたの
トナカイも二人いるよ?
あとのお姉さんやお兄ちゃん達は廊下にいてね
みんなに小さな包み紙を配って回ってる
今年はなにかな?
去年は病院でチョコレートやお菓子の詰め合わせ配っていたけど』
まわりからは小さな子の『ありがとう』であふれていた
優しい空気が冷えた空気を暖めてくれる
ボランティアって
人を助ける仕事って
こんなに温かくて人の心を咲かせてくれる
『こーとりちゃん!
あ、真希くんに由美ちゃんと真理ちゃんだぁ
ここは何のグループかな?
クリスマスプレゼントをおもちしましたよ。はい!手を出して~』
目を固くつむり手のひらを差し出すと何かフワッとした感触がした
?なんだろう
指で軽くつまむとビニールに包まれた何かがフワッとへこんだ
『わかる?ことりちゃん
ヒントね~みんなはいっちゃダメだよ?
由美ちゃんもよく考えてね
ヒントその1
丸くてちいさい
ヒントその2
甘くて白い
ヒントその3
そのまま食べてもおいしいけど温かい牛乳かコーヒーに溶かしてもおいしいものなーんだ』
『…あーわかった!』由美ちゃんが声をあげた
『じゃあ…由美ちゃん!』
『んーとね…
マシュマロ!かな』
私も合わせて手をあげる
『せいかーい!!』
まわりからパチパチと拍手が沸き起こる
小さく『やった』と声が聞こえた
いつもの優しい香り
『おめでとう由美ちゃんやったね
ことりも』
頭を二回ポンポンと撫でてくれる優しい手
『望くん』
『そっちはどうだ?』
>> 167
『マシュマロお見事!すごいな由美ちゃん』
背後から望くんが優しい声をかけると由美ちゃんが照れたように笑った
望くんもそうだけどボランティアの人たちって声かけが本当に優しい
思いやりの気持ちもそうだけど今その人が何を一番望んでいるかちゃんと考えている
望くんが初めてうちに来たときもそうだった
私を見透かしたみたいに『自分の事は自分でできる』っていってくれた
あのときは『何なの?』って失礼な人だなって思ったけど
望くんはちゃんと相手の顔だけじゃなくてその人の気持ちまでのぞきこんでる
それがハッとしたり
ドキンとしたり…
勇気づけられたり…
こうやってみんなは少しずつ自信をつけて勇気をもって前を見据えるんだね
望くんの目指してる仕事ってこういうことなんだね…
みんなの笑い声が私に雨のように降り注ぐ
知りたかったはずのいろんな事が
なぜかしら胸を暖めたり
一人ぼっちになったような気持ちにさせるよ
しばらくみんなでお菓子の食べあいや差し入れのサンドイッチを満喫したあとに
私達のグループが先頭に立ちクリスマスソングを何曲か歌った
教室のヒンヤリとした空気がみんなの歌声と笑い声で和らいでいく気がする
大きな笑い声とクルスマスの曲に合わせた手拍子や口笛
その後のおたのしみのクリスマスケーキ
たっぷりの生クリームに甘酸っぱいイチゴがたまらなくおいしかった
人と交わりながら声をたてて食べるとこんなにもおいしくなるんだね
時はあっという間に流れてクリスマス会ももう終盤にかかりかけた時だった
真希くんが望くんに質問を始めた
タイムアタックみたいに10数えるうちに答える
という形式らしく
まわりにいた子供達や周りの同級生達も盛り上がって拍手している
さっき声をかけてくれた高橋さんに頼んで私は一度席を後にした
さすがの私もトイレの中にまでは望くんを頼るわけにはいかないもんね
『すみません大切な時に』
高橋さんにつかまりながら一段と引き締まった空気の中を廊下を直線に歩く
『何を言っているのよ?気にしないで』
学内のお手洗いはさすがに福祉大学らしく障害者ようの広々したトイレが各階についている
手すりにさわりながら高橋さんの説明を受ける
『真っ正面に座る便器がこちら向きにあります
流すのは座って右手の二つ目
一番目は非常時のボタンでひもつきです
トイレットペーパーは流しボタンの側についてます
向かって左側に立ち上がりのバーがありますから
終わられて左側に手荒いで
洗面台の向かって左に石鹸と右にドライタオルの温風機があります
終わったら声かけして下さいね』
優しい口調でハキハキと説明をしてくれた
さすがにボランティアサークルの部長さんだけあって場慣れしていてとてもわかりやすい
『すいません
じゃあ終わったらまたお願いします』
静かにドアを閉めて用事をすませる
広いトイレは使い安くて安心する
和式の狭いトイレは慣れていない人だと足のレバーがわかりにくい
やっぱりボタンが簡単で実に手軽だ
立ち上がり手を洗うと勢いよく温風が吹き出す
扉を開けようとロックを開けるとすぐに高橋さんが駆けよってくれた
『おまたせしました』
『ううん全然平気よ
大丈夫だった?』
私たちは手を這わせるとまたきた道をまた戻りはじめた
じきに高橋さんの足が不意に止まった
『…どうしましたか?』
『ん?あのね、今共用通路の前なんだけどね
側面が大きなガラスで見下ろせるの
今日はクリスマスだからイベントしてるサークルもたくさんあるんだけど何気にカップルもたくさんいたりしてね
うらやましいなぁってね
あーあ
大学の四年なんてあっという間だったわ
就職も決まって今は気ままなバイト暮らしで
あと4ヶ月何しようかな?』
最後高橋さんは笑いながら照れくさそうに『ばかよね』と付け加えた
時折かかる高橋さんの髪から女の子らしい甘い香りが漏れる
雰囲気はきりっとしているのに可愛らしい方なんだなぁ
私はくすりと笑いながら『私も同じですよ』と 言ったが
『そんなこと言ったら望くんが泣くわよ』
と切り返されてしまった
『…でもね私達まだちゃんと付き合っているわけじゃないんですよ』
ガラスに背中をつけると顔だけを高橋さんに向けた
表情はわからないけど高橋さんの驚いた声が間近に聞こえる
『本当に?それ聞いて喜ぶ子多分いるかもよ~
ああ見えて加藤くんもてるからね~
そっかそっか…
未だに実らず片思いってやつだね
やつもあたしも前途多難な片思い中ってわけだな』
『えっ?高橋さんも片思い中なんですか?』
『えへへ
ことりちゃんには言っちゃった
でもみんなには内緒だよ?はずかしいから』
そういうと高橋さんはあたしの隣にきて同じようにガラスに背を向けて話し出した
『あたしもね加藤くんと一緒で片思い中なんだけど気合いが違うよ気合いが
なんせ片思い歴三年目なんだから
あ、ひいた?
ストーカーとかじゃないよ?
でもあきらめられなくてね
しつこい女の子とは思われてるかも』
『そんなことないですよ…
でも意外
高橋さんてみんなに人気ありそうだし
明るいし優しいしハキハキしてて…
私が男の人だったら絶対好きになりそう』
『ウフフ照れちゃうわね
ありがとう
ことりちゃんは優しいね
山野くんもね
おんなじ事を言ってたわ』
『山野さん…って高橋さんの好きな人ですか?』
『うん、そう
山野慎一っていう人でね
あたしたちの主催してるサークルのイベントとかにもたまにくるの
歳は確か27かな
うちの学校のOBで今区役所に勤めてるのよ
なかなかのイケメンなんだけどあたしよりいつも背か低くてだいたい後頭部と話をすることが多いかな?』
あたしはためらっていた言葉を思い切って発した
『…高橋さん
ひょっとしたら山野さんって…』
『そっ
身体に障害がある人なの
下半身は全く動かないし
握力も弱くてね
自走は無理だからいつも電動車椅子
あたしらがいるときは自走にしてるけどね』
『そう…なんですか…』
『なんで?意外だったかな?
爽やかなラガーマンみたいなマッチョだったらお似合いだった?』
高橋さんはおどけたように笑い混じりで言ったあと少し照れくさそうに言った
『でもね
好きなのよ、とっても』
目がみえないってこういう時にもどかしい
幸せそうに
恥ずかしそうに
高橋さんはきっと顔をゆるませたのだろうな…
『ことりちゃんには聞いてもらっちゃおうかな
あたしの諦めの悪い恋バナ』
あたしが黙ってうなずくと高橋さんは一つ深い息を吐き出してゆっくりと話し出した
『あたしがこの大学に入って初めての夏にね
今のサークルのイベントで海に行く機会があったの
小さい子どもたちに海に触れあってもらおうっていう企画でね
その時に初めてのOBだった山野くんと会ったの
びっくりしたわ
車椅子を砂浜に置いてわずかに動く腕でほふく前進よ
スゴいんだけど笑えちゃってね大笑いしちゃったわ
だって海水パンツ一枚だったし
見上げられて一言
『お前笑うとこちゃうわ』
って一緒に笑ってくれてね
身体は不自由なのにアウトドアで何でもやりたがる身体はもう真っ黒でね
華奢な足とは反対に上半身はがっちりしてて
とにかく笑った笑顔が素敵だったなぁ…
まぁいわゆる私の一目惚れよね
それから寝そべったままみんなで砂の城を作ったり
救命胴衣つけたまま浅瀬で泳いだり
とにかく何でも楽しんでする人だった』
『それから何回かみんなでイベントを重ねてあたしが二年生になった夏に思いきって告白したの
勿論彼女はいなかったし
いつもみんなには『優しい彼女ほしいなぁ』なんて言ってたわ
だから少なからず期待はしてたの
メルアドも交換してたし
電話もしょっちゅうしてたし
買い物やなんやと遊びにも行ってたしね』
『…それで山野さんは何て?』
『だめだって
『俺は好きな女の子とは付き合わないんだ』って
わけわかんないでしょ?
好きなら付き合えばいいのに
理由は色々あったんだけど大きく3つ
一つは障害者である自分はあたしを守ることが100%できない
危険な時
助けがいるときに一番に駆けつける事ができない
二つ目
下半身に障害があるから子供を作るのは大方無理
仮にできたとしても自分と同じような障害を持つかもしれない子供を作るわけにはいかない
自分の世話に子どもの世話
全てを好きな人に任せるのはできない
自分にだけなら責任を取れとも大切な家族に何もかも任せるような無責任な人生にはしたくないから』
ここまで聞いてあたしは山野さんの言わんとする事が
本当の深い所にある気持ちが
痛いほどわかった
きっときっとどんなにか嬉しかっただろうか
好きな人に好きだと言われて困る人なんかこの世界にはいないだろう
でも
悲しいかなそれを素直に受け入れられない時がある
私達のように誰かの手を常に借りなければ生きていけない弱い人間だ
自分の意思を伝えるときだって常に周りを意識してタイミングを図る
トイレに行きたいとき
ご飯を食べたいとき
買い物に行きたいとき
いつもいつも
当たり前のようになんてできないのだ
『今いいかな』
そう言って第2の目や足や手を誰かに借りる
借り続けなければ私達は上手く生きてはいけないのだ
だからこそ
好きな人とは生きていけない
大好きな人が自分の為に献身的に尽くしてくれる姿に最初は感謝してその愛情に心も豊かになるだろう…
幸せも感じると思う
でもそれは一年や二年や三年の出来事じゃないのだ
付き合えばゆくゆくは『結婚』という二文字も頭をよぎるだろう
結婚すればそれが毎日続き
当たり前のように流れる
買い物も食事も家事全般
仕事も育児も
そして介護も
全てを愛する人に委ねるなんて
私にもそんな事はできないと思う
ううん…
きっと愛してるからこそできないと思う
『でもそれが愛だよ』という人もいるかも知れない
でも私は知っているよ
私を置いては1日も離れなかったお母さん
友達とお茶を飲むことも食事をすることもなく
同窓会にだって一度も行ったことがない
若い頃からお母さんからお化粧品の香りがしたこともないし
爪にマニキュアだってしていない
髪の毛もいつも伸ばして縛っているか短いかどちらかだし
何かあって駆けつけられるようにかお母さんは滅多にスカートなんかはいたりしない
自分の時間を
人生を全てをかけて私を生かしてくれている
守ってくれている
そんな風に過ごしているから
そんな生き方しかできなかったから
私たちは愛する人を自分の人生に巻き込めないのだ
きっと山野さんも私に似た気持ちだったんじゃないだろうか…
『ことりちゃん…?』
ハッとして顔をあげる
『あっ、ごめをなさい
何かスゴい考えちゃって…』
『ううん、いいのよ
ありがとうね聞いてくれて
じゃあ3つ目ね
『俺は今のお前が好きだ
だから絶対に付き合えない』
…なんだって?
あほよね~
思うところはわかるけど
そんなにあたし甘く見られてんのかしらってね』
『…甘く?』
『そっ
『甘く』よ
どうせ奴の考えてることはこうよ
『迷惑かける』
『しのびない』
『ふがいない』
バカじゃないのって思うわ
あたしは『障害者』の山野くんを好きになったんじゃない
好きになった山野くんがたまたま『障害者』だっただけよ
違う?
どんなに健康な人と付き合ったって次の日に事故に遭えばその日からあたしの彼は『障害者』よ
歳を重ねてじいちゃんばあちゃんになってボケたら?
そしたらその日からあたしだって『障害者』よ
あたしたちは『たまたま』『今だけ』健常者なだけで遅かれ早かれいつかは障害者になるのよ
それが今か今じゃないかだけじゃない?
それにあたしは健常者と付き合えば必ず幸せになれるのかしら?
山野くんを好きなままで?
未練があるままで?
そうね、そうやって他の人を好きになれたら案外幸せなのかもね
逃げてれば
目をそらせば楽なんだもの
でもあたしはそんなのは嫌
しつこいっていわれても
嫌いだって言われても
絶対にいつか彼に好きだと言わせて見せる!
ってあたしやっぱりストーカーなのかなぁ?』
笑いながら言い切った高橋さんは照れていたが
あたしはやっぱり素敵な人だなぁと心がほんわかと温かく感じた
高橋さんのように強く想えたら
好きだと胸を張れたなら…
あたしの気持ちを見透かしたように高橋さんがあたしに言った
『本当に大切なものにはね
人間全部使えちゃうのよ
体も
心もね
だってそうでしょ?
世界でたった一人
大切な人が自分の支えで生きている
こんなに幸せなことってあると思う?』
『望くん言ってたわ
『ことりといると素直になれる』
『彼女といると幸せな気持ちになれる』ってね
何でことりちゃんは望くんと付き合わないの?
やっぱり山野くんと同じ理由?
それとも望くんの事嫌い…?』
あたしはすぐに頭を横に降った
右手を首から鎖骨に添わせてネックレスを取り出した
『なぁに?羽の形のペンダントね
さっき望くんもしてたけど…
まさかお揃い?』
『はい…
母のお土産なんです
二つ合わせると両方の羽がつながって…
でも…
あたしといると望くんは飛べないんです
きっとあたしに遠慮してしたいこともできない
見たいものも見れない…
行きたい所にだって…』
あたしはいつの間にか両目からぼろぼろ涙をこぼして肩を震わせて話していた
自分でもこんなに素直に気持ちを話せるなんて驚いていた
あたしはガラスに背をつけたままヘタヘタとしゃがみこんでしまった
声を上げてしゃくりあげるように泣いていながら
不思議と恥ずかしさはなかった
今まで人の目を気にしたり押さえていたりした気持ちが一気に吹き飛んで火がついたように泣いていた
高橋さんは黙ってあたしの背中を撫でてくれていた
望くんが好きだと叫びたい
ずっと一緒にいたいて誓いたい
でも自分の手で見えない足かせを望くんにつけることは絶対に嫌だった
もぅどうしたらいいのかわからなかった
相手の気持ちを想うのはどちらも同じなのに
どうして素直に生きれないんだろう…
ただ側にいたいだけなのに…
『ことりちゃん
私思うんだ
本当に人を愛するって守ることだけじゃないって
弱い自分を知ったり
強い自分を知ったりしながら
一緒に生きていけばいいんじゃないのかな?
幸せにしてもらえたら
幸せにしてあげたり
目を貸してもらったら
笑顔で返してあげたり
ギブアンドテイクだよ
何もかも全部を持っている器用な人なんて絶対にいないと思うんだ
ことりちゃんは自分が望くんに何もしてあげられないのが不甲斐なくて嫌なのかな?
なら、それは 違うよ
ことりちゃんがいるからアイツは幸せで
色んな気持ちを感じられるんだよ
ことりちゃんが泣いたり笑ったりするとこを
一番近くで見ていたいんだよ
それはことりちゃんのご両親だって同じだと思うな
ことりちゃんが生まれて来てくれて
小さな手や足を沢山動かして命を目一杯使って成長してくれている
そのなかで目が見えないハンデをご両親もことりちゃんと一緒に乗り越えているんだよ
病気と
障害と戦っているのはことりちゃんだけじゃないよ
お父さんやお母さん
望くんや頼りないけど私やみんなもいる
ことりちゃんの目の替わりをする人は沢山いても
ことりちゃん自身は一人しかいないの
今のことりちゃんだからこそ
望くんは好きになったんだと思うよ?
確かに口でいうより介護は大変だよ
それは認める
でもね、『辛い、大変』よりも大切で大好きな人の笑顔が勝る瞬間が勝っちゃうんだよ
どんなにしんどくても一緒に笑っていられるなら幸せなんじゃないかなぁ…』
私は涙を拭いながら何度か小さく頷いた
そして心の一番深い所にあるあの悩みを口にした
『…でも
私のせいで望くんが夢を諦めちゃうなんて嫌なんです
望くんが彼らしく生きれないなら…
わたし…
私は一緒になんて生きられないです』
『望くんの夢?
それを彼が諦める…って言ったの?
本人がそう口にしたの?』
『いえ…
でも望くんが来年の春に留学したがっているっていう事は人から聞きました
長い間の夢だって…
向こうの大学に入り直して本場の介護を勉強しなおしたいって…
私…
だって…』
『ことりちゃん
それ望くんから聞いたの?』
『いいえ…望くんの同級生の遥さんから…
でも…私は…』
今度は長い息を溜め込んではフーッと吐いた
『こらこら未確認な情報で一喜一憂しないの
いいじゃない
どんな選択をするか一番近くで見てたら』
『…でも言ってたんです
遥さんが『望くんは優しいから』って…
だから私…』
『だから『私に遠慮して北欧留学の夢あきらめちゃうかも』って…?
ことりちゃんも奴も似た者同士ね
始める前から何でも諦めるの?
相手の為?
犠牲にしたくないから?
私から言わせたらそんなの自分に酔ってるだけだわ
本当の目の前にいる相手を何も信じていない証拠よ
じゃあ、あなた達は今まで生きてきて一度でも傷つかずに生きてこれた?
目が悪くなくても悪くても人間なんだもの傷ついたり泣いたりする日なんか誰にでもあると思う
一番大切なのは傷つかないように生きるんじゃない
傷ついた時に誰とどうやって向き合って立ち直るかよ
違う?
自分で起き上がるのがしんどければ何度だって人の手を借りたらいいのよ
家族だって
友達だって
恋人にだって
あなたについてるその手は何の為にあるの?
あなたの体は目だけじゃないでしょ?
あなたには耳も
手も
足もついてるじゃない』
高橋さんの優しい
そして厳しい声が私の頭をかすめて構内に響き渡った
誰もいないだろう通路には高橋さんの叫びにも似た想いがこだましている
私はもう頷くしかできなくて何度も黙って涙を拭った
肩で返事をする私に今度はゆっくりと優しく声がかかる
『ことりちゃん
あなたにとって望くんはなぁに?
優しいヘルパーさん?
楽しいボランティアさん?
それとも気の合う友達?
…違うよね?
大切な人なんでしょう?
大事だから自分らしく生きてほしいんでしょ?
それはね
きっと望くんも同じだと思うよ?
だからこそあの子北欧留学の申し込みしたんだと思うよ』
『…え
申し込んだ…?』
顔を上げて声のする位置を必死で探した
困惑する私に高橋さんが両頬を軽く叩いた
『行くんだってさ
来年の4月から卒業までの3年間
これがどういう事かわかる?
あいつはね信じてんのよ
自分の肩を押してくれることりちゃんをね
離れていても気持ちは変わらないって
だから決断できたんだと思うよ?』
『普通は行かないで~って泣くのにね
行ってほしくて泣くなんて…ね
何だか可愛らし過ぎてあなた達お似合いよホント』
最後は高橋さんの笑い声がその場を和ませた
優しい手が私の背中を撫でる
『もぅ泣かない泣かない
あんまり泣いてると私が泣かしてるみたいじゃない
あ、泣かせたのは本当か?ごめんごめん』
『ううん…高橋さんは今の私に大事な事全部言ってくれました
私…望くんの事知ってたつもりで何もわかっていませんでした
見えない相手に
恋に恋していただけかもしれない
これからはもっと
もっとちゃんと望くんを見てみたいと思います
本当に…
ありがとうございました』
額が胸につきそうなくらい勢いよく頭を下げた
こんな気持ちをなんて言ったらいいかわからないけど
胸の中にしまい込んでいた何か大切な物を拾い上げた気分だ
『さっ
行こうか?随分時間経っちゃったよね?
よく考えたらあたしたちまだお昼ご飯も食べてないじゃない?
サンドイッチ残ってるかなぁ?』
私達は笑いながらもと来た道を戻り始めた
行きとは全く違い足が軽い
胸もすっきりしている
言葉って不思議
人って不思議だね
人を悩ませるのも傷つけるのも人ならば
救ったり成長させてくれるのもやっぱり人なんだね
私もなりたいな
今は無理だけど
誰かの為に私も生きたい…
望くんが前に言っていた
『自分の生きた証』を私も見つけたいな…
望くん
例えそれが自分の為だったとしても
その気持ちをもって乗り越えようと差し出してくれた望くんの手を
私は『ずるい』なんて思わないよ
誰かの為でも
自分の為でも
それは『大きな一歩』に違いないから
私は早く望くんに会いたくて
会いたくて
この気持ちを伝えたくてはやる胸を押さえて望くんの待つ教室を目指した
しばらく進むと前方から騒がしい声が聞こえてきた
私は笑みを浮かべて小さく息を吐いた
その先を高橋さんが軽く手で止めた
『…何か様子がへんね
廊下にみんな出て何してんのかしら』
高橋さんの言葉に一瞬足取りが止まった
『ことりちゃんここでちょっと待っててくれる?何かあったみたい』
握っていた腕から優しく私の手を外す
私は突然の出来事に戸惑いながらも一人になるのが不安で連れていって欲しいとお願いした
『様子を見たら直ぐにくるからね』
そういうと足早に高橋さんは前方に向かった
相変わらずざわざわしていた方向からみんなが高橋さんを呼ぶ声が聞こえた
『何がおきたのかな…?』
私が首をかしげていると低い位置から私の手を誰かが引いてきた
『ことりねえちゃん
ことりねえちゃん…』
涙ぐんでいるその声は子供達だった
『誰かな?
由美ちゃん達かな…?』
触った手が微かに濡れていた
涙…?
私はその場にしゃがみこみ声のする方へと顔を向けてみた
『どうしたの…?
何かあったの?』
誰だかわからないけど頭を撫でながらゆっくりと尋ねた
『…兄ちゃんが
望にいちゃんが…』
胸にツキンと何かが走った
『望くんがどうかしたの?
教えて?』
まわりにいた何人かのうち誰かが発した声に私は声を失った
『望にいちゃんがね…
倒れたの…
全然動かなくて…』
子供達を撫でる手が一気に震えた
望くんに今何が起きているのか…
この時の私はまだ予感さえもしていなかった
ただ
なにもできない自分と動かない体でその場に立ちすくむしかできなかった…
次に泣いたのはその日の夜の事だった
昼間に望くんが倒れ、そのまま学校の近くの総合病院に運ばれた
私は『倒れた』とききながらもどうすることもできずに周りにいた子供達と斎藤くんや高橋さんに支えられて病院に付き添う事ができた
しばらくしてお母さんがやってきて高橋さんやみんなに詳しい事情を聞いていた
私は心配で心配でその場を立ったり座ったり落ち着かなかった
『ことり…気持ちはわかるけど少し落ち着いて?』
お母さんが隣に座りながら優しく肩を抱き寄せる
『望くん…
大丈夫だよね…?
きっと目を覚ますよね…』
お母さんは黙ってポンポンと肩を叩いた
何だか凄くくやしい
目がみえたら誰より先に駆けつけて
誰より先に声をかけたいのに…
望くん…
望くん…
アゴの下辺りで両手を組みまぶたを閉じた
神様
どうか望くんが早く目を覚ましますように…
病院の中の消毒液の匂いに独特の雰囲気に目に見えない不安は更に私の中で募っていった
そのうちに高橋さんが慌ただしく子供達を親御さんに引き渡す準備をはじめ
病院には私とお母さん
それに斎藤くんだけが代表で残った
(…なんだ?頭が痛い…
ってか…ここは?)
横たわる体を右手で支えながら軽く頭を振ると辺りには白いもやのようなものがかかっていて足元もまともに見えなかった
まるで雲の上を歩いているようだった
さっきまで確か教室の中にいたはずなのに…
しばらく歩いていると辺りが少しだけ明るくなった
もやのようなものがとれて視界が広がった
足元には目をつぶった俺が寝ていて側では斎藤が誰かに電話しながら椅子に座っている
『…まさか俺
死んじまったんかなぁ…』
そりゃいつかは人は死ぬんだけどさ
神様
クリスマスイブなんて
そんなのあんまりだ
しかも好きな子とのデートの最中で
まだ告白の返事も聞いてないのに
『あ‐あ…
ついてねぇなぁ…
まだまだことりと話してないこと
話したいこと
たくさんあったのになぁ…』
病室の上を歩いていると病室の外にことりとおばさんの姿が見えた
俺はことりの側にそっと降りていった
ことりやおばさんにはどうやら見えないみたいだ
『ことり』
隣に座り声をかけるが反応がない
ことりは両手で手を重ねると目をつぶり独り言をいっていた
『神様…どうか望くんが早く目をさましますように…
私の大好きな人を早く…返して下さい
望くんから未来を取り上げないで下さい…
どうかお願いします…』
横で聞いていたおばさんがことりの頭を優しく撫でていた
座っている椅子から顔をあげると
『面会謝絶』という札がかけられ俺はICUに入っていた
入り口のプレートに『加藤望』と書かれてある
俺はついさっきまで通っている大学の一室でクリスマスのパーティーをしていた
歌を歌い
飯を食って
子供達と遊び
ゲームをしていて俺は突然倒れた
体が突然フワッとした瞬間意識が飛んだのだ
俺は教室の冷たい床を頬に感じながら
みんなの声の中にことりを探した
『ちくしょう…何でよりによってクリスマスなんかなぁ…』
透けた手でことりの手に自分の手を重ねた
ことりは色白で可愛い女の子だ
しなやかで落ち着いた栗色の髪はいつも肩の辺りで揺れていて
目は見えないが笑うと何ともいえず可愛い
背も小さくて150センチ位だろうか
178センチの俺と並ぶとまるで小学生みたいだ
すっほりと胸に収まるその小さな体はいつも自信なさげにうつむいていて
いつも何かを探しているようだった
でもその反面強い気持ちも実は持ち合わせていて
俺はことりの心の中にあるもうひとつの顔をいつも覗いていた
自分の殻の中でもう一人のことりが出たがっているように見えたからだ
ほんの少しの勇気
ほんの少しの自信
ことりにはどちらもあと少しずつ必要だった
それは俺も同じだった
いつも満たされているようでそうじゃなくて
自信なんかなくていつめ誰かを助けながら庇いながら
本当は自分自身が救われていたのかも知れない…
だからこそ
似た者同士のことりを一瞬で好きになったのかも知れないな
弱くて寂しくて自分が嫌いで
自信なんかなくて
それでも自分でもがいている
ことりを見てるとまるで自分を見ているような気持ちだった
病室の前で祈ることりの横で話しかけてみた
『ことり
ごめんな
何か俺
死んじゃったかもしれないんだ
何だかなぁ…
いつかは人だから死んじゃうんだけどさ
こんなに呆気ないと何かまぬけだよな
ことりとまだデートしたかったし
これからもデートしたかったし
留学もちゃんとしてさ
介護の勉強もっと頑張ってさ
じいちゃんやばあちゃんになった時にもさ
安心してことりに側にいてもらえるようなじじぃになりたかったのになぁ…
これからまだやりたい事もたくさんあったのになぁ…』
それだけ言うと自分でも知らないうちに涙がポタポタ流れてきた
『…ちくしょう』
目を擦りながら肩を震わせて泣いた
泣きながらことりの事をまた想った
居るのにわかってもらえない寂しさ
隣にいても感じてもらえない孤独
ことりはこんな瞬間を一人で19年も過ごしてきたんだ…
本当の意味でことりの抱える闇にほんの少し触れた気がした
隣にいたおばさんが家に一度連絡を入れるからねと席を立った
ことりは目を開けると『わかった』と優しく微笑んだ
でもその目は赤く
頬には涙の後がいくつもついていた
ことりと俺は気づかないまましばらく隣に居合わせた
ことりは体を少し揺らせながら小さな声でクリスマスの歌を口ずさんでいた
俺はその様子をじっと眺めていた
ことりを置いてなんていけない
やっぱりことりの側にいて
ずっとことりの声を聞いていたい
俺は立ち上がりことりの前に立って前から体を抱き締めた
見えなくても
想いは本物だ
『ことり
やっぱり好きだ
このまま置いてなんていけないよ
なぁ…』
するとことりが歌うのを止めて何かを感じたかのように前を見据えた
ことりも何かをかんじているんだろうか…
『望…くん…?』
ことりが周りを見渡すような仕草をしている
ことりは再び目を閉じるとまるで見えているかのように俺に語りかけた
『…何だか望くんが側にいてくれてるみたいな気がする
何だか安心するなぁ
今ここに望くんがいるわけないのにね…
望くん
私、わたしも望くんが好きだよ
ずっと
ずっと一緒にいたい
望くんが留学しにいってもちゃんと待ってる
私も夢を見つけてきっと待ってる
自信がなくて弱音が出るときは電話する
会いたくなったら会いにだって行く…
だから
だから…
私をここに置き去りにしないで…
ちゃんと元気に『行ってくるね』って笑って行ってよ…
このまま会えなくなるなんて…
嫌だよぉ…
望くんに…
会いたい…』
ことりは自分が胸からかけていたネックレスの片方を手に取ると俺の方に差し出すように見せた
『望くをが元気になって
早く夢をかなえられますように…』
俺は右手をことりの肩に乗せるとそのまま肩を沈めてことりの唇にそっと自分の唇を合わせた
このまま死んでなんかたまるか
ことりを残してなんか
その瞬間
体が爆発したような痛みを感じた
頭がくらくらして血の気が引くような冷たさの中
最悪なコンディションの中
俺は斎藤の目の前で意識を取り戻した
それから体の痛みと猛烈な眠気の中
次に目を覚ましたのはクリスマスの余韻も吹き飛ぶ大晦日の朝の事だった
『の~ぞむくんっ』
病室のドアから覗いた栗色の髪の毛
『ことりさん
そんなとこでかくれんぼしないでくれます?』
『えへへ
ばれちゃった』
『声ですぐわかるっつ‐の』
肩をすくめてちょっと舌を出しながらことりが入ってきた
今日は花柄のシャツに細目のジ‐パン
髪は肩の辺りまで下ろしていてでこっぱちみたいにおでこを出してピンでとめている
相変わらずデカイリュックにはくじょうはいつもの必須アイテムだが
今日はなにやら片手にデカイ紙袋をひっさげている
『どうした?今日はバイトじゃないだろ?
おばさんとどこかよってきたのか?』
『あ、これ?うふふ
これはね~望くんにお土産なの
昨日目を冷ましてから今日まで時間がなかったから急いで作っちゃった
はい、ちなみにクリスマスプレゼントも兼ねてるからね』
ことりはガサガサと白い紙袋を広げると緑と白のチェック柄の包装紙に赤いリボンがかけてある包みを俺の膝のあたりにそっと置いた
『あれから一週間だもんな…
心配かけてごめんな?
な、これ開けてもいいか?』
ことりは嬉しそうに目を細めると小さくうなずいた
俺があれから意識を取り戻すのに一週間
ことりは毎日のように仕事で忙しい父ちゃんと寝たきりのばあちゃんに代わり
おばさんと毎日見舞いにきてくれていたらしい
大学のみんなはこの病院から場所も近いこともあってしょっちゅうきていたらしいが
目の見えないことりが反応しない俺を見舞うのはさぞかし心配だっただろうと思う
あの時に感じたことりの姿は今となっては夢だったのか現実だったのかはわからないが
一番最初に俺が目を冷ましたのを感じたのはことりだった
と、付き添いの看護婦さんがひやかしながら耳打ちしてくれた
俺があの日倒れた原因はまだ検査の途中だが俺は今ICUから一般に移り検査の結果がでるのを待っている
多少体にふらつきがあるものの食欲もあり非常に元気だ
今すぐに立ち上がってことりと出掛けたいけど
検査の結果が出るまではじっとしてるようにと看護婦さんと父親に昨日さんざん釘をさされた
気がついて見ればクリスマスを飛び越えて大晦日の蕎麦をすすることなく今日は元旦
俺は新しい年を迎えていた
家族と離れてこうやって病院で年を越すのははじめてじゃない
小学生の頃
まだ母親がうちにいた頃は病気の治療のために長期間入院していたからだ
今となってはかあちゃんは折りのあわない父親に加えどちらかの不貞が原因で俺が中学の時に家を離れた
今もって連絡はこないが多分たよりがないって事は元気な証拠なんだろう
何よりまだ離婚はしていないらしい
まぁそれはおいといて…
俺は結局初めてのクリスマスデートも
告白の返事も
プレゼントも渡せずに
大晦日の夕方に目をさまし
全部中途半端にしたまま新年を迎えてしまったのだ
『望くん…?どうしたの?見ないの…?』
ことりが心配そうに顔を近づける
『どこか痛むの?』
傾けた顔から綺麗な髪がするりとほどける
…可愛いすぎる
ことりは無意識にすぐに人に顔をよせる癖があるので俺は平静を装いながらも内心ドキドキしっぱなしだ
『何でもないよ
ありがと、ことり』
赤いリボンをほどき緑色の包装紙を開くとそこにはガラスでできた淡いブルーの万年筆と真っ白いマフラーが入っていた
『ことり…
これ…』
『気にいってくれたかな…
万年筆はね、失敗ばっかりでね
何回も何回もやりなおして綺麗なねじれを作ることができたの
中に入ってる青色とペン先の設置はちょっとズルしておじさんに手伝ってもらっちゃったんだけどね
あとマフラーはお母さんに教えてもらったんだ
真っ直ぐ編めてるか不安なんだけど初めての作品だから大目に見てね
ね…
気に入ってくれたかな…?』
『ありがとうな
絶対めちゃめちゃ大切にするよ
マフラーも綺麗に編めてるし
万年筆もかっこいいよ
本当にありがとうな』
『本当に?
あ~よかった
渡すまではドキドキしちゃってね
本当によかった』
また嬉しそうに笑うことりの手をとると俺はベッドサイドにあった丸いすをもう片方の手で引き寄せた
『ことり座って』
『あ、ありがとうね』
ことりは椅子に手を添えると慣れた様子でその場に腰をかけた
俺はもう一度ベッドサイドに手を伸ばすと今度は引き出しの中から小さな包みを取り出しことりの手のひらに乗せた
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