お題リレー短編小説
普通のリレー小説では無いんですが!
お題リレー小説をしませんか?
つまりお題に沿った超短編小説(小話)を書きます。
書き終われば何か1つお題を出して次の方に回します。
お題をもらう。
↓
お題に沿った小説(小話)を書く。
↓
次の方にお題を出す。
こう言った感じです。
俳句や短歌、ポエムなんかでも全然OKです
尚、出すお題については“なるべく”自分の書いた話しに関与している物にして下さい。
例)
―――――――――
「もらったお題(タイトル)」
************
************
************
「渡すお題(タイトル)」
―――――――――
注)物語が終わらず続く物は禁止です。かならず1レスで物語を終わらせましょう。
お題をタイトルにしましょう。
お題(タイトル)は物語の初めに必ず書いて下さい。次に出すお題(タイトル)も物語の最後に必ず書いて下さい。
では、スタートです。
初めのお題「秋」
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>> 50
【当たり】
「大当たり~」
米屋のおじさんの大声で道行く人達が振り返った。
三歳の文枝が座布団を当てたのだ。
母の喜ぶこと、喜ぶこと、一週間は会う人毎に娘のクジ運を自慢していた。
『私のクジ運は三歳の二等で終わったのねぇ』
寝そべってテレビ観てる夫がまたオナラした。
「出物腫れ物所嫌わず~」
『進歩もなく同じことを…』
『夫もハズレ!』
「あ~」
四十三の文枝は大きな溜め息をついた。
「夕飯の買いもん行って来ちゃうね」
返事を待つことなく、文枝は外に出てまた溜め息をついた。
四つ角の横断歩道で信号待ちをしていたら、夫が手招きしながら、大声で何か言っている。
聞き取れない。
『自分が来ればいいのに!あ~面倒臭い人だよ』
溜め息つきながら、夫の元に近寄った。
四つ角離れて直ぐ、トラックが信号機に突っ込んだ。
またハズレた。
次は溜め息
>> 51
【ため息】
はぁ~…
ふぅ~………
そんな深いため息ばっかついてると、ほんとに幸せ逃げちゃうよ。
あ、ヤバいヤバい、吸っとこ。
ばっか、遅いよ。
…………はぁ~………
もう~、どうしたのよ。
溜め込むのは良くないよ。
聞いてあげるから吐き出しちゃいなよ。
そうだよね。良くないよね。
そうそう。
じゃあ………
聞いてくれる?
もちろん!
実はね………
あたし宝くじの一等が当たっちゃったの!家のローン払って子供の好きな習い事させて車も買い換えて旅行の予定も立てちゃってパートも止めて初めてブランドバッグ買ったりエステいってたりめちゃ幸せなんだけど宝くじの本に誰にも言っちゃいけないって書いてあって誰にも何にも話せなくてそれが辛くて苦しくてそれで
ちょっと待った!
なんか超ムカつくんだけど!
めちゃ心配したんだから旅行くらい奢りなよ~。
なんて、冗談。
良かったじゃん!
次のお題は【宝くじ】でお願いします。
〔旅行〕父はオーケストラのヴァイオリン奏者で1年の半分以上は海外で過ごしていたが何故か母や私も一緒に連れて行っていた。転校が当たり前だった私に「学校で学ぶ以上のものがある」と言いながら。父は家に居る時もヴァイオリンを手離ず幼い頃から父の音色を聴いて育った私に弾き方もを教えてくれていた。ある日「この楽器を弾いてごらん」。渡された楽器の4本の弦を一気に弓を滑らすと芳しい香に包まれた。「この楽器は聞く人にも奏者にも喜びを与えられる特別なヴァイオリンなんだよ」…大人になった今、私は芳しい香に包まれながら海外公演の日々を過ごしている。学校で学ぶ以上のものがある、と言った父の言葉を思い出しながら。 次の題は「芳しい香」でお願いします。
>> 54
【芳しい香】
学生の頃、いつも勉強していた喫茶店があった。
決してお洒落とはいえない店内だったし、いつ来ても満席など一度も無かったが、店内に立ち込める芳しいコーヒーの香りと、初老のマスターの煎れる最高に美味いコーヒーと、優しいけれど媚びのない雰囲気が好きだった。
大学を無事卒業し、就職で引っ越しもして、あの喫茶店に行く事は出来なくなったが、どんな喫茶店に入っても、あの芳しい香とコーヒーの味には巡り会えなかった。
あれから10年以上が経ち、転勤であの土地に戻る事になった時、最初に行きたい場所はあの喫茶店だった。
引っ越しの片付けも済み、昔を思い出しながら探した喫茶店は、変わらぬ姿でそこにあった。
嬉しくて、でも少し躊躇いながら店に入ると
いらっしゃいませ!
変わらぬ芳しい香と張りのある大きな声が迎えてくれた。
声の主は若く、慣れた手つきでコーヒーを出してくれた。
コーヒーに口をつけようとした時
もしかして…。
声に顔を上げると、そこには懐かしい顔があった。
息子に店は譲ってね。今はお客さんなんだよ。
それから私達は常連仲間となり、新たな交流を深めている。
>> 56
【マスター】
自家焙煎の看板と香りに誘われて、加奈子は店に入った。
店内はレトロ調で、青山辺りの本屋に置いてるような写真本が、無造作に積まれていた。
カウンター内に居た男性が多分、この店のマスターだろう。
美大出のような雰囲気の人だった。
店内はボサノバが小さく流れていた。
マスターは注文を聞くと、静かに
「畏まりました」と言って下がって行った。
マスターとお揃いの、無地綿のエプロンを付けた上品そうな女性が、ドアをカランコロンと鳴らして入って来た。
『奥さんかな?』
二人はカウンター内で静かに言葉を交わしていた。
マスターが珈琲を運んで来た。
テーブルに静かに置くと「ごゆっくり」と、と言って下がった。
レトロ調の店内と寡黙で芸術家のような雰囲気のマスター、見事にマッチしていた。
『此所は私の秘密の場所にしよう』加奈子は満足して帰って行った。
「ママ!ママ!像~さん♪」
クレヨンしんちゃんの真似を息子として喜んでる【寡黙なマスターの夫】に
「お風呂入いんなさい!」と冷めた口調で言った妻は
『あの人、内と外違い過ぎるわ!』と溜め息ついた。
>> 58
【珈琲】
あたしは珈琲が嫌いだ。
あんなただの黒い苦い液体にお金払う人の気が知れない。
その点、紅茶は優れものだよね。
香りからだって色々楽しめるし。
憧れの彼のバイト先は大好きな紅茶の種類一杯あるし、珈琲専門店じゃなくてほんと良かった。
今日は何飲もうかな~。
お待たせしました。
(え?!彼なんでカウンターから出てるの?どーしよー…初めてのチャンスなのに)
あ、ありがとうございます。
この珈琲、香りもよくて美味しいんですよ。一番好きな珈琲なんです。
でも、いつも紅茶なのに珍しいですね。
は、はい。
(ってか、覚えてくれてる~!けどオーダーミスだよ…バイトのお姉さん頼むよ~………でも一番好きって言われたら飲むしかないよね)
たまには珈琲も飲むんです。
ゴクッ
ほんと!香りも味も凄くいいですね!
(くぁ~……苦!)
珈琲の時はまた僕淹れますね。
じゃあ、次も珈琲で。(バカだな…あたし…)
ご馳走様でした。ほんと美味しかったです!(スタートは苦かったけど、絶対甘~い恋に発展させるぞー!)
次のお題は失敗の【ミス】でお願いします。
🌱ミス
『おまえさぁ、むいてないんじゃない?この仕事』
『……かもしれません』
『あっそ、わかってんだ。辞めるなら早めに相談してな』
『……でも、辞めません。向いてないかも知れないけどできないわけじゃないです。諦めるなら全部出しきってから辞めます』
そうタンカを切ってからはやもう2年
契約はまだ伸び悩み
毎日笑顔でカバンには大量の書類詰めてどれだけ歩いても増えるのはかかとの靴づれだけ
短大まで出てやっと入った憧れの会社なのに現実は厳しい
…くやしいけどもう諦めた方がいいのかな…
『よぉ!佐々木今月もナイス低迷ぶりだな』
『川嶋さん…相変わらずの嫌みですね…返す言葉はありませんけど…』
『低迷ならいいじゃねぇか混迷してるわけじゃねぇだろ
最初っからお得意さんもってる営業マンなんていないぜ
急がばまわれ
損して得とれ、だ
ま…がんばれや』
去り際に置いていってくれた冷たいお茶にデカイ絆創膏が一枚
『みんな同じ道』ってか
よっしゃ!あと一枚絆創膏変えるまでがんばりますか
次は『仕事』
>> 60
【仕事】
私の仕事は守衛。
九段下にある10階建の或るビルが私の職場だ。
1階が駐車場で、守衛室もそこにある。
一日交代で相棒は私より二歳ばかり上の爺さんだ。
私も爺さんだがね。
私が居る管理会社から、このビルに派遣されてる、私も派遣社員て訳だ。
宿直の時のアルコールは禁止されてるんだが、時々このビルに勤めてる人や納品する運ちゃんが、
「おじさんお疲れ!」て、ビール差し入れてくれるんだ。
好意を無下に断るのは礼儀に反する!
だから頂いてる。
相棒と
「内緒な」て言い合ってね。
あ、トラックが来た。誘導して来る。
あの運ちゃんもよく差し入れくれるんだよな。
オーライ、オーライ!
次は【運転手】
🌱運転手
『お疲れ様あなた』
朝から何回この台詞を練習したかしら
あと数分であの人が帰ってくる
結婚してはや46年
親同士が進めた縁談でした
昔は親がきめた殿方としか結婚もできなかったの
みなさんの知らない昔のお話ね
そんな私達か縁あって夫婦になり今日であの人も仕事納め
お役所人で毎日毎日決まった時間に出て決まった時間に帰る
家や子供の事には口を開かず
ただひたすら真面目に過ごした人生
『今までありがとう
お疲れ様』
そう言って出迎えたいのに笑顔が不自然でまとまらない
あと3分
今角のスーパーを曲がったかしら
そのまま真っ直ぐ渡って公園を左
商店を横切ったらそのまま真っ直ぐ
築40年の古びた我が家
『ただいま』
照れくさそうに帰るあなた
そうね
今からあなたに恋をするのも悪い話じゃないわね
次は『家』です🌱
🌱運転手
『お疲れ様あなた』
朝から何回この台詞を練習したかしら
あと数分であの人が帰ってくる
結婚してはや46年
親同士が進めた縁談でした
昔は親がきめた殿方としか結婚もできなかった
みなさんの知らない昔のお話
そんな私達か縁あって夫婦になり今日であの人も仕事納め
お役所の運転手で
毎日毎日決まった時間に出て決まった時間に帰る
家や子供の事には口を開かずただひたすら真面目に過ごした人生
『今までありがとうお疲れ様』
そう言って出迎えたいのに笑顔が不自然でまとまらない
あと3分
今角のスーパーを曲がったかしら
そのまま真っ直ぐ渡って公園を左
商店を横切ったらそのまま真っ直ぐ
築40年の古びた我が家
『ただいま』
照れくさそうに帰るあなた
そうね
今からあなたに恋をするのも
悪い話じゃないわね
次は『家』です🌱
『家』
「忘れ物ないわね。」
「行ってきます。」
「行ってくるよ。」
「ヒロシ、あなた行ってらっしゃい。」
ガラガラピシャ
(おっ今日も元気に小学校行ってるな)
「友達んとこ遊びに行ってくる。」
「俺も接待ゴルフ行ってくる。」
「気を付けて行ってらっしゃい。」
(おっヒロシ声変わりしたな。お父さんも休みの度大変だ)
「…ってきます。」
「今日も残業で遅くなる。」
「毎週休みは接待ゴルフで毎日残業…少しはヒロシと向き合って下さい。大学受験控えてるんですから。」
「仕事だからしょうがないだろ!」
ガラガラピシャ
(最近夫婦喧嘩が多いなぁ)
「……。」
ガラガラピシャ
「行ってらっしゃい…ウッウッウッ」
(ヒロシよその県に就職して寂しいなぁ。然も最近お父さん家にあまりいないどうしたんだろ)
ガラガラ
(久しぶりのお父さんだ。テーブルに何か紙置いて行ったぞ)
「あの女の所だわ。どうしてくれようかしら…」
(お母さん包丁なんか持ってどこ出掛けるのかな)
ガラガラ
(だれ!?変な人がいっぱい来て調べ物してる)
…
(誰も帰って来ない…でも最近新しい友達が出来たんだ。ネズミさんに白色の蟻さん)
➡友達
>> 66
【友達】
あのさぁ、友達の誼で、ひとつ教えて貰いたいんだけどさ。
何?
おまえみたいにモテる秘訣あったら教えて欲しいんだよ!
秘訣かぁ
う~ん、そうだな、可愛く甘えてみせたり、反対に邪険にしてみたり…とかかな?
俺に出来るかな?
う~ん、そうだなぁ…、おまえ悪いけど顔がなぁ、ちょっとイカついし、その目んとこの傷が更にイカつさを増してっからなぁ
そっか、俺には無理か
そんながっかりすんなよ!
おまえみたいのも好きって思う人だって居るよ!
かな?期待して待ってよう。
あっ!またおまえに会いに来たみたいだぞ!
ほんとだ!
じゃぁ、ちょっくら行って来るね。
また土産持って来るから、またな!
あぁ、またな!
「あぁゴロチャンまた会えまちたねぇ。ゴロチャンも会いたかったでちゅか~。う~ん可愛い可愛い♪おいちいのいっぱいありまちゅからね~♪」
にゃぁ~ご~、にゃぁ~ご~
あいつモテんなぁ
次のお題は【猫かわいがり】
>> 67
【猫かわいがり】
え~、いじめられる猫とかけて、相撲で後輩に稽古をつけるととく。
その心は。
猫かわいがり。
………び……みょーだな……。
ダメっすか…。
なんかお前のはイマイチすっきりこないんだな。
そうですか…。
じゃあ、
あ、ちょっと待って。
もちもち~。うん。僕もうちょっと遅くなっちゃうかな~。あ~ん、そんな悲しい声出さないの~。ごめんにゃん。
ブランドバッグ~?ご機嫌なおるかにゃ~ん?
じゃあ買っていくからご機嫌直してくだちゃいね~。は~い。
先輩、次いいっすか?
おう。
猫耳ギャルとかけて先輩ととく。
その心は。
猫かわいがり。
おあとがよろしいようで。
次のお題は【先輩】でお願いします。
>> 68
【先輩】(遊)
君は靖国へ参拝しない考えか。国に命を捧げた先人たちを敬わないのか。
すまんが先祖じゃない。私逹は死んでも彼らの眠る靖国へは行かれないからな。
私達は毎年必ず病院へ通った。
医者は猫なで声だった。
「んー大丈夫でしょう」
「ありがとうございまーす。会計は」
「ああ事務の方で」
お医者さんは立派なお人。私達の命を守るお医者さん。ついていきます。どこまでも。
「医療費をー!増やさなければ!国民の命をー!守ることがっ出来ません!」
[人の命は地球より重い]
[木曜日から日曜日まで、学会のため休診]
「ナイスショット」
白い玉は小雨降るグリーンへと真っ直ぐに飛んだ。
「俺の車にタオルがあるから持って来い」
「はい!紺のベンツ?いやビーエムですか?」
山林を切り開いて出来た静かなゴルフコースを若手の医師は真新しいシューズで駆け抜けた。
びしゃびしゃの顔は眠たげに歪んでいたが、目は先輩の大型外国車を捉えて輝いていた。
「ゲフリール」
早起きして車を飛ばして来た医師どもは、グリーン奥で黒ずむ人工林の向こうに、巨大な斎場と霊園が広がっているのを知らなかった。
次は【本当の聖者】
>> 69
【本当の聖者】
聖者って言われる人って世界中にかなり沢山いたし、今もいるけど、現実に存在が確認できてる人で世界的に有名なのは、やっぱマザーテレサかな~。
そうだね~。宗教なんかぜーんぜん知らない私でも、マザーテレサは知ってるもんな~。
そうそう、ちょっと神がかり的なとこもあるようなイメージだよね。
でもさ、急に聖者とか言い出して、もしかしておかしな宗教とかハマりかけてないよね?
やだ~、違うよ。たまたま本で聖者の事書いてたから、その流れなだけ。
そっか。ならいいけど。でもさ、この人聖者って基本周りが決めるってか言い出す事じゃない?誰にも知られず知らせずに人類を救ったとしても、聖者とは言われないよね。だって知らないんだから。
そう言われてみればそうだよね。そう考えると知られざる聖者は沢山いるかも。
聖者=善の極みって考えるなら、誰でも聖者の素質はあるんじゃない?
いい事言うじゃん。本当の聖者まで善を極められるか?
あたしは無理だなぁ。
あたしも。聖者に付いてく方が楽で良さそう。
益々ダメじゃん。
次のお題は【素質】でお願いします。
🌱質素
貧乏なわけではないしキチキチなわけでもない
でも毎食自炊だし買い物も滅多にしない
質素倹約
そう言えば聞こえはいいけど使い方がわからない
そう言えばそこまでだよね
つもりつもった貯金は36歳で5000万は楽に越えた
実はマンションも買ったし車も持ってる
あとは‥
結婚情報紙を見つめながら炊きたてのご飯に桃屋の食べるラ―油をかける
真っ裸にパンツ一丁にあぐらをかいてその横にはビール
しかもそのパンツも三枚1000円
36歳で水玉なんてありえないよね
でもいいの
楽してなんぼ
自分の時間も自分のお金も自分だけのもの
『さて
明日は何してあそぼうかな』
お一人様の気楽な毎日
老後の不安より幸せな今があればいい
お一人様
実に幸せな時間だ❤
🌱次は『あぐら』で お願いします
- << 73 【素質】【あぐら】 「ねぇお父ちゃん 私、お母ちゃんみたいな良いお母さんになれるかな?」 母の仏壇に花を供えながら、いつものように縁側であぐらをかいて新聞を読んでいる父に質ねた。 父は新聞から目を離して 「里美はお母ちゃんの娘だ、良いお母ちゃんになる素質は十分あるさ」 と言って微笑んだ。 里美は頷いて微笑んだ。 庭には今年も母の好きな紫陽花が咲いていた。 これでどうでしょう? 次は【紫陽花】
🌱紫陽花
毎年6月になると思い出すあの風景
君が雨の中
傘もささず、ただ泣いていたあのシ―ン
まわりの音がまるで聞こえなくなるようなまるでスローモ―ションのような初恋
あれから50年
今年も君が好きだった赤い紫陽花が窓から見える
どうだい?
空の上からみた紫陽花は
また格別きれいなんだろうか
君の最後の日もちょうどこんな雨の日だったね
そっと傘を差し出した僕がいつの間にかかけがえのない存在になってくれたと泣いてくれたね
それは僕も同じだよ
君がいたから僕はこれまで生きてこれた
そう思うよ
さて
そろそろ目を閉じようか
今度目が覚めたら次は君が僕を見つけてくれるかい?
君の好きな赤い紫陽花を胸に抱いて
空を散歩するとしよう
次は『空』です
🌱お題の訂正と加筆💦本当にありがとうございました😹
>> 75
【空】
『遠い地平線が消えて
深々とした夜の闇に心を休めるとき
はるか雲海の上を音も無く流れさる気流は
限りない宇宙の営みを告げています
満天の星をいただく
果てしない光の海を
ゆたかに流れ行く風に
心を開けば
きらめく星座の物語も聞こえてくる
夜の静寂(しじま)の
なんと饒舌なことでしょうか
光と影の世界に消えて行った
はるかなる地平線も
まぶたに浮かんでは消えてまいります…』
あぁ素敵!
涼子は今夜も城さんの声にうっとりした。
全日空提供のジェットストリームは、零時に放送された外国のあちこちを旅してる気分で話してくれるラジオ番組だった。
大学生の姉も憧れていたのだろう。
毎夜付けていた。
同じ部屋の小学生の涼子はたまたま夜中に目が覚めて、耳慣れない言葉と、何ともワクワクする音楽に、すっかり虜になってしまった。
見たこともない外国に夢馳せて眠りにつく。
毎朝眠そうな涼子を訝しがる母の目を避けて、ランドセル背負う涼子だった。
次は【外国】
🌱外国
まわった国は数知れず
時には大金持ちになり
時には散財したり
独身の頃は気ままだったのに
友人が増え
恋人ができ
家族が増え
いままでのように気楽には前に進めない
あと少しで思い描いたゴ―ルなのに
喉元に冷や汗が一筋流れ落ちる
『早く決めろよ』
せかす友人の言葉に静かに目を閉じる
決断の時だ
『うっ‥っ
またしくじった‥』
『や―い!一回休み~っ
これで俺の勝ちだな
まぬけの一郎~』
『うっさいなぁ!次は俺が絶対あがるかんな!!』
そう
これは手元のスピード一つで運命が変わってゆく
人生ゲームなのだ
🌱次は『運命』です
>> 77
【運命】
美沙と綾子は初めてのオペラ、それもドレスコードは正装という、ちょっとした非日常に胸を踊らせながら劇場に向かっていた。
劇場は、体感出来る程素晴らしい音響が評判だった。
わぁ!
あそこにオーケストラが座るんだね~。
なんかドキドキしてきた~。
私も初めてだらけで緊張するな~。
お客さんもみんなドレスだもんね~。
なんか凄い!!
日本じゃないみたい。
あたしたちも、今日だけセレブ、目一杯楽しもう!
あ、そろそろ開演だよ。
(何しゃべってんだかさっぱり解んないけど、綾子ったら青筋立てちゃって、めっちゃ真剣に見てるし。
あ、そろそろ幕間だよね。)
(もうちょっと。
もうちょっとで幕間。
頑張れあたし…。
このまま静かに幕間まで行ってよ~。
ここで席は絶対立てない!けど、振動最悪だよ~…。
さっき食べたアイスがマズかったかな…。
早く幕間~!)
ジャン!ジャン!ジャンジャンジャンジャンダダダダダダダダダーン!
(おぉ~!)
(ギャー…………)
果たして綾子の運命やいかに!
次のお題は【静かに】でお願いします。
陽子さん、ありがとうございました。
>> 78
【静かに】
頭蓋底をくすぐられる感覚に、脳が起きた。目蓋や上肢を動かすには至らないが、左右の耳にあらん限りの意識を集中して音源の追跡を試みた。
(静かに)
何度となく領空侵犯を繰り返す蚊ではあるが撃墜するまでもないのだ。
(静かにしてくれ)
何より音が消えた位地を聞き分けなければならない。蚊が圏外へ離脱したのか、はたまた私の皮膚に留まったのか。聴覚には同義でも現象は百八十度違ってくる。
どうも蚊は接近と離脱を繰り返すだけのようだ。ただそれが耳障りなのだ。
(静かにしてろって)
ニアミスの連続に、鼻息を荒らげ、閉じた目を一層強くつぶった。蚊の方は一向に襲って来ない。
(なんだー。雄かー)
髪の毛のすれすれを、右へ左へ旋回している。
(来いよ。刺せ。早く刺せよ。コノヤロー)
蚊は急にどこかへ飛び去ってしまったようだ。
私は飛び起きて電気を点けた。
(絶対に殺す)
だが私は本能の赴くままに、電気を消して寝た。
次は【血】
🌱血
最初の感触は何とも言えなかった
ついばまれているのか‥
遊ばれているのか‥
足首に感じたそれをまどろこしく感じながらも眠気には勝てず身を任せていた
しばらくたち‥
太ももの内側に‥
ヒップラインにそうように背中‥
そして首筋に‥
『‥‥っもう‥我慢できない‥』
声をあらげると同時に誰かの体が覆い被さってきた
『おかあちゃん~
血ぃ吸われた~
かゆぅて眠れん~
線香焚いて~』
刺された首筋をカキながらねぼけまなこで台所に向かう
豚の背中からいつもの香り
あぁ
夏だなぁ
🌱次は『香り』で お願いします
>> 80
【香り】
昔の恋人の岳と貴教はコロンを付けていた。
それぞれと別れた後、道ですれ違った人が、同じ香りをしてることがあった。
通り過ぎて行く見知らぬ人の香りが、懐かしい思い出を呼び起こした。
くすぐったいような気持ちではあるが、それ以上ではない。
これから会う、今の恋人慶彰は、コロンを付けていない。
しかし、彼にも香りがある。
それは洗剤の匂いと
ヘアートニックの匂いと
クリーニング屋の匂いと
彼の匂いと
彼の生活の全ての匂いがミックスした匂い
だ。
それはとても心地良く、彼だけが放つ香りだ。
待ち合わせ場所に彼を見つけた。
彼も私に気付き、互いに歩み寄った。
「何食べる?」
いつものように腕を組み、夜の街を歩き出した。
彼も私の香りを心地良く思ってくれているのだろうか?
次は【街】
🌱街
『あれから5年か‥』
俺は平日の普通列車に身を任せて久しぶりの故郷への景色を楽しんでいた
親も合わせると15人にもなる大家族の我が家
親父含め男4人に
お袋含め女11人
兄貴二人は独立して独り暮らしをしながら実家の近くで家計を助けている
姉貴は上四人がそれぞれ嫁いだ
我が家にいるのは
高校生一人に
中学生一人に
小学生一人の女子
おれも専門学校を出てすぐ住み込みでパティシエとしてホテルで働いているが
今日は末の妹の入学祝をおそかりしだが持参した
『アイツ喜ぶかなぁ‥』
カバンに入れた新しい洋服を見て少し微笑む
大家族の末っこにとって『新品』の服は一年に一度あるかないかのミラクルだ
ピンクの水玉に可愛いキャラクターのワンピース
早く見せてやりたいな‥
ほら
もうじき駅だ
ずらっと並んだ家族が見える
今日は全員揃っているらしいから楽しみだ
懐かしい顔が広がる
‥‥母ちゃん‥‥
また腹がでかくなってる‥(泣)
🌱次は『ミラクル』です
>> 83
【ミラクル】
久子は39歳。
夫の繁樹は42歳。
小4と小1の娘が二人。
この不景気は久子の家にも及んで、繁樹から
『夏のボーナスは全く期待出来ない』と言われてしまった。
夏どころか、冬のボーナスだって酷かったし、昇給は僅か2千円。
PTAの役員もジャンケンで負けて、広報になってしまい、フルタイムで働くことが出来ず、近くのスーパーで5時間パートして、ギリギリ生活している。
レジより鮮魚売り場の方が時給が良かったので、長靴履いて、ゴムの前掛けして働いている。
華やかだった独身時代が、今となっては幻だ。
仕事を上がり、働いているスーパーで買い物をした。
レジの若いお姉さんがレジシートを見て
「お客さんこれ凄い!ミラクルですよ!」
と興奮して渡した。
見ると、金額とレジ番が『1111』
ミラクル…。
若いお姉さんの興奮に付き合って驚いてみせた。
が、
私のミラクルこんなのじゃ嫌~!と叫びたかった。
次は【叫ぶ】
🌱叫ぶ
こんなに何かに熱くなったのはいつぶりだろう
乾いた喉に冷たいビールを流し込む
『ごくり‥』
喉を鳴らすのはビールか興奮か‥
興奮が
夢が
現実が
憧れが
形となってグランドを弾け飛ぶ
小さなボールに
日本の想いを全て詰め込んで‥
『試合終了~!!』
グランドにいたすべての選手が空を仰いだ
やりきった安堵
とれなかった栄光
色んな感情が入り交じる
涙は本気の証だ
逃げなかった証だ
誰もが君らを称える
その勇姿に
その涙に
その努力に
四年後は
もっと熱いプレイを
もっと熱い歓声を
全てだしきるんだ
🌱次は『歓声』
サムライブルーのみなさんお疲れ様でした🙇
選手もサポーターも
みんなみんな輝いた一ヶ月でした
また四年後に😸🌱
ももんが
〔歓声〕彼は北イタリアのモデナに住む美しい歌声を持つパン職人の息子として産まれ、子供の頃から歌うのが好きだった。ある日、父親と共に行ったオペラが彼の人生を決めた「大きくなったらテノール歌手になるんだ」。その言葉通り、イタリアの太陽を思わせる明るく澄み切った甘さと共に素晴らしい高音はイタリアの空を突き抜けるかの如く「神に祝福された声」を持つテノール歌手になった。人々は彼に歓声と拍手を惜しむ事無く送り、高音のハイCsが9つあるアリア゛ああ!友よ、なんと楽しい日゛で更に熱狂させ、彼を「キング・オブ・ハイC」と絶賛した。トリノ・オリンピックで彼が歌った゛誰も寝てはならぬ゛は記憶に新しいだろう。それから1年後に私は彼の訃報を聞いた。モデナの聖堂から出て来た彼の棺に人々は「ブラボー!」の歓声と拍手を送り続けた。天から歌う為に、この世に授けられた存在であった彼の名前はルチアーノ・パヴァロッティと言う。…次は〔イタリア〕でお願いします。
>> 86
〔イタリア〕
イタリアにいくら注ぎ込んだかなんて考えたこともない。
子供の頃からスパゲッティーは大好きで、幼稚園児の時にはパルメザンチーズをかけられることの喜びに目覚めていた。イタリアの味の洗礼は簡単に済ましてあったと思える。
大人になるとパスタブームの嵐に呑まれた。それまでは中華ソバや唐揚げ、カレーないしは牛丼という奴らに、パスタを旨いと感じる味覚神経が育っているとは思えなかったが、僕は硬すぎるアルデンテを噛みながらイタ飯屋で同僚のグルメ話に何度も頷いた。必ず登場する不味いカルパッチョをサラダで誤魔化して食べた。
やはりプライベートもイタ飯屋になった。僕の場合、ラーメンよりパスタだから少しも無理はない。
「どうした。美味しくない?もっと食えよ」
確かに金を出すほど旨くもないのだが早く片付けるのを手伝って欲しかった。
彼女は艶と母性のある素朴な女性。イタリアと呼ぶに相応しいのは彼女だけだった。
次は【食欲の果て】
>> 88
【ストレス】
「ただいま~!」
真っ赤な顔をして、一年生の颯太が帰って来た。
ママは「お帰り~!」と迎えた。
颯太はランドセル下ろし、いつものようにうがい、手洗いをして
「今日のおやつは?」
ママは
「先に学校からのお便り出すんでしょ!」
颯太は、ママに促されて、ランドセルからお便りと、返された国語のテストを出して渡した。
「テスト返されたのね」
どれどれと颯太のテスト…
ふりがな問題で
『虫が木にいます』を
『ぬしがきにいます』
穴埋め問題で
『いぬが○○る』を
『いぬがこえる』
ママは、木に住む主と、肥った犬が頭に浮かんで吹き出してしまった。
テスト見て笑うママに颯太は口を尖らせて
「笑わないで!僕ストレスになる!」と言ってふくれた。
ママは、颯太の口から『ストレス』なんて言葉が出て来たことに驚いて目を丸くした。
そんな言葉知ってんなら、木の上に主を居させるな、犬はほえさせなさいと思った。でも次からは笑うの我慢しよう、『ストレス』になるようだから。そう思ったらまた吹き出してしまった。
真っ赤な顔の一年坊主は更にホッペを膨らませた。
次は【テスト】
🌱テスト
顔‥中の下
身長‥普通
趣味‥アニメ好き
お金‥よくわからないが多分たくさんはなさそう
家族‥長男で妹と両親と犬一匹
『何か決め手‥っていうか決定打がないのよね
惜しいけどダメ
体の相性もイマイチだしね』
足を組み替えながら飲みかけのお茶を飲み干す
『どうしても‥だめなのか?』
哀願するように瞳を潤ます男
悪いけどあなたと付き合うつもりは最初からサラサラないの
間違っても人生が交わる事もないしね
『うん
ごめんなさいね
楽しかったわ』
肩を落とした彼とはうらはらに笑顔でこちらに歩いてくる爽やかな青年
すれ違う彼らは対照的
『おまたせ!待った?』
『ううん‥私も今来たところよ』
『そういや今のしんのすけだよな‥
どうしたんだアイツ‥?』
『さぁ‥?それより行きましょうよ風間くん
私今日はイタリアンが食べたいな』
しんのすけとトオル
ついでにボーちゃん
でも
この秘密は墓場まで持っていかなくちゃね
まさおには内緒のネネの秘密
🌱次は秘密
〔秘密〕「彼女とラブシーンをする役者は必ず彼女の虜になる」…最近よく聞く業界の噂話。役者をしている僕に「お前も気をつけろよ(笑)」と役者仲間から言われたが期待と不安に揺れ動く自分がいた。ある日、撮影現場でラブシーンを撮る時に監督から「相手は例の彼女だからね🎵」僕はドキッとした「彼女に会える」…しばらくして「おはようございます。宜しくお願いします」…現場入りした女性の声に振り返った僕は彼女に一瞬にして虜になった。黒髪に白く美しい肌、見事なプロポーション。何よりも素晴らしいのは「魔性を宿した緑色の瞳」だった。ふと先輩役者さんの言葉を思い出す「男だったら彼女の瞳は忘れられない」そう、役者ですら虜にする彼女の秘密は「瞳」にあった。次は「虜」でお願いします。
>> 91
【虜】
一瞬で僕は彼女の虜になった。
一緒に暮らせる日を待ちわびて、やっと今日彼女は家にやってくる。
黒く大きな瞳。
しなやかな体。
ちょっと首を傾げながら僕を見つめる仕草。
愛しいと言う感情が僕を甘く包む。
彼女の頭を撫で、頬から顎に手を滑らせ、唇に触れる。
彼女はそっと僕の指を噛む。
彼女の息が近づく。耳元で軽い息づかいが聞こえた後、ゆっくり耳を舐め、軽く噛む。
ずっと戯れていたいが、明日は朝も早い。
「悪戯しない。
もう寝るよ。」
残念だがたしなめた。
「みゃ~…。」
残念そうな鳴き声を残し、彼女はゆっくり目を閉じた。
いい子だね。
明日は特別にネコ缶ゴールドスペシャルを奮発するね。
次のお題は【ネコ】でお願いします。
>> 92
【ネコ】
あのネコと目が合った。私が動いても、ネコは寸とも身動きしない。腹立たしい。
どこまで近づけば逃げるのかを私は調べる破目になった。
一歩二歩と踏み出した後は、面倒だから走り寄ってやった。
ネコは逃げなかった。鼻先にグッと顔を近づけても、まばたき一つせずに私の目の動きをうかがっていた。
それならこっちもと、よくその面を拝まして貰っていると、ネコは私と目を合わせたまま、私のズボンのボタンに爪を立ててきた。
私は動けなかった。背中を熱い緊張が這い上がって、後頭部に渦を巻いていた。
ひんやり、と爪の先を感じる。ボタンは外されて、ファスナーの上端が開いていた。
「髪切ったのか」
ショートカットのネコは少し顎を引いた。
「行こうか」
ネコの目が落ち葉のように揺れながら下へ降りた。
腕を回そうと私が体を寄せた瞬間、短い髪を揺らしてネコは飛びのき、そのまま後ろを見ることなくスタスタ歩き去った。
次は【人の雌と動物】でお願いします。
>> 93
【人の雌と動物】
深い靄と闇で道に迷ってしまった。
行き止まりだが、バックしようにも、道が見えない。
仕方ない朝まで待つか。
急ぐ旅でもないし、此所でひと眠りしてよう。
少し尿意を覚え、懐中電灯片手に外に出た。
外は深い森が広がっていた。
うん?灯が見える!
家が在るのか?
足元を用心深く確かめながら灯の方に歩いた。
やはり家が在った。
それも大きな屋敷だ。
外門は開いていた。
中に入り、ライオンのドアノックを二度叩くと、静かに開いた。
「夜分遅く申し訳ありません、この先で道に迷いまして」
どうぞお入り下さい。
此所は靄が掛かるので迷われる方が多いんですよ。
赤いドレスを着た妖艶な女が現われた。
妻です。
女の美しさに目を奪われた。
驚かれたようですな。
「道に迷われたようですね。
明るくなるまで休んでらして下さい」
しっとりとした声だ。
「お一人でお住まいなんですか?」
いや、わしと妻の二人だ。
「ええ、一人です。
犬が居るから寂しくないですし」
犬は首をうなだれ、座り込んだ。
次は【靄】
>> 94
【靄】
高卒の美咲は世の中から見捨てられたと思っていた。誰も助け合うことのない平面の上で、時間に追われ、期限に迫られながら、安定した世界との合流地点を求めて、はぐれた歯車は回り続けた。小説など手にする暇はなかった。
美咲は一年で大学生となり、二年して女になった。失恋してからは空の色が濃く感じられた。
数年後、美咲は打算的な結婚を目標にした短期集中型の恋愛をした。この時の積極さが今の、納得いく結婚生活をもたらした。
健康な子供を授かって、部屋の狭さを再認識すると、便利な土地に窓の大きな注文住宅を立てて移住した。
優越感に勝る幸福はなかった。美咲は世間と交わる度に自分の幸福を新鮮に切り直した。
美咲は空を見ないようになった。美咲の眼球が焦点を合わせるのは手鏡の中の顔だけだった。幸福な家は、その鏡以外の全てが靄だった。子供の明るさや、夫のつけた灯が、美咲を囲む靄を照らして、不透明な白壁に仕立てた。
次は【虚像】で宜しく。
🌱虚像
『これって何て読むのかな?』
『きょぞう』
『意味は何ていうの?』
『‥あのさぁ、悪いけど俺いそがしいんだよね
そこに辞典あるだろ
自分で調べなよ』
『‥たっくんの意地悪
今日のご飯うんと辛くしてやるんだからね』
背中を向けながらいつものピンクのエプロンを器用に着ける
けして高くない身長に華奢な肩
髪はさらりとしたロングヘアーで顔も悪くない
男受けはいい方だろう
調理に入る前にいつも髪をひとつに束ねるのがお約束
いつも俺が帰ってしばらくは傍を離れようとしない
一人になりたいときもあるが仕方ないと割りきっている
台所からいい匂いがしてきた
今夜はシチューか
夏に食べるのも悪くはないな‥
ボールペンを手先で器用に回転させる
それを取り上げるといつものように後ろから抱き締めてくる
『たっくん
ご飯だよ❤』
『それより今日こそ買ってきたろうな
イナズマイレブンのDS!テストで100点取ったんだから約束だよ!ママ』
~たっくん
ある夏の会話より~
次は100点
>> 96
【100点】
『今日ね、帰りのバスの運転手さん凄~く丁寧な人でね、降りる人一人一人に、ありがとうございましたって言ってたんだ!私、すっごく嬉しくなって、降りる時、何時もより笑顔で、ありがとうございましたって言って降りたんだ!あの運転手さん100点満点だよ!』
『そう!そういう人に出会うと幸せな気分になるよね。』
『で、病院どうだったの?』
『うん…左目はこれ以上良くならないって…』
『…そっか!でも元気になってきたんだから落ち込むなよ!』
『分かってるよ!』
『あきちゃん、ごめん。もう仕事に戻らないと…』
『あっ!うん!忙しいのに電話ありがとう。』
『また明日掛けられたら、掛けるね』
『はい!また!』
今日のデートはお、わ、り。
あ~!会いたいよ! やっぱり寂しいよ~!
あれ、また和夫だ!
『どうしたの?』
『はっきり決まんなかったから言えなかったんだけど、今、OK貰った。来週の水曜日から四日間休暇取れたから、会いに行くから、元気で待ってるんだよ!』
『…ありがとう』
100点満点の日だった。
次は【電話】
🌱電話
『トゥルル‥
トゥルル‥』
また着信だ
布団を頭まですっぼり被る
もうこれで何回目だろう
朝となく昼となく夜となく
時には深夜にも及ぶ
『もう‥いい加減にしろ‥!!』
溢れだす涙は止まることはない
怖い
怖い
怖い
カ―テンを締め切り玄関は二重ロック
電気もつけてない
にもかかわらず私がいる日には必ず電話が鳴る
まさか見張ってるの‥?
ガタガタ震える指先で携帯を取る
『もしもし‥‥?』
その瞬間に激しくドアが叩かれる
‥!!
『‥開けてくださいよ
いるのはわかってるんですよ
逃げてるつもりですか?』
低い男の声とガチャガチャとドアノブが動く音
床にあったありったけの紙を机に置きその下に潜った
『もう‥ダメだ‥!』
その時室内のファックスがガタガタと動き出した
『今から迎えにいきます
ノリスケ』
これはある小説家とそれを追う編集部の終わりなき日常である
次は『汗』でお願いします😺
>> 98
【汗】
夫が後輩を連れて来た。
「おい!何か美味しいもん出してやってよ!こいつ独身だから、旨いもん喰ってないんだよ!先ずはビール持って来て!」
「奥さん、突然お伺いしてすみません」
後輩君は困った顔をした。
大方、夫が強引に誘ったんだろう。何時もよりエラそうな夫にムカつきながらも、ビールと夕飯用に作ってあった料理を運んだ。
「こんなのしかないの?他にもっとなんか作って出してやってよ!」
後輩君益々困った顔で
「いえいえ十分ですから」
妻は台所に立った。
「最近の主婦は、髪染めたり、マニュキュアしたり、果てはピアスしたり、なってないよな!俺は妻にそんなのはさせない!」
「へぇ~先輩亭主関白なんですね」
夫は満足そうに高笑いした。
妻は完全にぶち切れた!
髪染めないのは黒髪が好きだから
マニュキュアしないのは、爪が息苦しく感じるから
ピアスしないのはアクセサリーに興味ないから
何?やらせない?ざけんな!
妻は翌日美容院、皮膚科行き、マニュキュア買った。
帰宅した夫、妻見て正に鳩が豆鉄砲食らった顔して、一挙に汗を吹き出した。
妻は涼しい顔をした。
次は【ビール】
- << 101 すみません💦被ってしまいました💦次は「ビール」でお願いします🙏
〔汗〕リング上の男は上半身を流れる汗と共に色気を飛び散らせていた。私もマーシャルアーツをしているがリング上の男を見たのは初めてだ…戸惑いながらも私の中の「女」が熱く騒ぎ出し始めていた…ドクン…リング上の男が身体を捻りながらキックすると相手の左首に入って倒れた。歓声が沸き上がる中、男が振り返ると私と目が合った「次はお前だ」獲物を見つけた瞳だ。やがてリングから降りた男は私の手を掴み外に出て行った。行く先は知らずとも解っているのは男の汗が流れ落ちる先は私の肌である、と。 次は「獲物」でお願いします。
- << 102 【ビール】【獲物】 スマートにカッコよく物事をこなすのが、洋平のポリシーだ。 趣味である猟の解禁日、洋平は有給をとり猟場へ向かった。 勿論、仕事は有給に向けてやりこなし、忙しい職場にあっても問題なく、スマートに休みを申請した。 猟場に到着し、新調した猟場ファッションに新しい銃。 準備は万全の態勢で猟を楽しみ、予定通りの獲物を手にした。 後は自宅で獲物を料理し、キンキンに冷えたビール片手に今日の猟を回想する。 完璧だ。 そんな事を思いながら帰路についた。 自宅に着き、早速調理にとりかかる。 今日の為に用意したスパイスをスマートに使いこなし、獲物は最高の料理となった。 料理をテーブルに置き、冷蔵庫からビールを取り出す。 予定が… ビールは袋に入ったまま、床に置きっぱなしだった。 次のお題は【置きっぱなし】でお願いします。
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