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お題リレー短編小説

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高校生さん( 10代 ♂ 7JsUh )
11/06/24 14:02(更新日時)

普通のリレー小説では無いんですが!
お題リレー小説をしませんか?

つまりお題に沿った超短編小説(小話)を書きます。
書き終われば何か1つお題を出して次の方に回します。

お題をもらう。

お題に沿った小説(小話)を書く。

次の方にお題を出す。

こう言った感じです。
俳句や短歌、ポエムなんかでも全然OKです
尚、出すお題については“なるべく”自分の書いた話しに関与している物にして下さい。
例)
―――――――――
「もらったお題(タイトル)」

************
************
************



「渡すお題(タイトル)」
―――――――――
注)物語が終わらず続く物は禁止です。かならず1レスで物語を終わらせましょう。

お題をタイトルにしましょう。

お題(タイトル)は物語の初めに必ず書いて下さい。次に出すお題(タイトル)も物語の最後に必ず書いて下さい。

では、スタートです。

初めのお題「秋」

No.1160585 09/09/05 05:50(スレ作成日時)

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No.451 11/03/02 11:20
ポポロ ( ♀ TlbEh )

【複雑】

告別式…喪主の梨花は深々と頭を下げた。
最近会ったのは、三年前の悟の妻の告別式だった。

出会ってから30年…半分は仲間達と、時には2人で同じ時を過ごした。
誰もが2人は一緒になると信じて疑わなかった。

でも梨花は突然、黙って結婚してしまった。

どん底の人生から救ってくれた妻と結婚したが、自分が原因で子供が出来なかった。今は1人きりだ。

そして梨花も1人になった今、どうしても聞きたかったことを我慢できなくなった。

「…何故あの時、黙って結婚してしまったの?」

「…ごめんなさい…私…子供が産めないから…」

涙をためて梨花は静かに応えた…。

悟はこの複雑で悲しい2人の関係に、涙を流さずにはいられなかった…。

次は「ふたり」で。

No.452 11/03/04 23:47
月子 ( 0DD7nb )

>> 451 【ふたり】

彼女が朝食の用意をしてる。
彼女は穏やかな母親の顔をして 子供に微笑みかけている。

夢…?

僕は 今 幻を見てる?

この戦争がなければ 僕は彼女と結婚して ふたりの子供を育てていただろう。

兵士になど ならなかった。

もう、水も食料も 尽き果てた。

前にも後ろにも 進めない。

『待ってていいの?』

別れの朝 そう聞いた君に 僕は、返事をしなかった。

何故?

そうするのが 1番いいと思ったからさ。

生きて帰れるかわからないのに 約束で君を縛り付けて なんになるだろう。

ふたりで 生きていきたかった。

生きてさえいれば こんな朝もあったかもしれないのに…。

【約束】

No.453 11/03/06 02:06
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 452 【約束】
「ピエトロ」
マリアの黒い瞳が潤んで長い睫毛を濡らした。
「貴方は私の下に帰るわ」
それは確信ではなく懇願の口調だった。
「もし、貴方を見失っても、私は後を追う」
彼女の肩の向こうで、オレンジの向日葵が一輪、強い陽射しを浴びて燃える様に花開いている。
「だから、貴方も必ず戻ると約束して」
彼は急に息も吐けないほど胸が苦しくなった。

「パパ!」
目を開くと、水色の目が彼を見下ろしていた。
「朝御飯の時間よ!」
「いきなり乗っからないでおくれ、マリア」
彼は苦笑いして自分の胸に乗った幼い娘を抱き下ろす。
「お休みの日はパパを起こさなくていいって言ったでしょ」
娘と同じ水色の目に淡い金髪の妻が顔を出す。
「いや、もう起きるさ」
彼は床から立ち上がると、傍らの杖を取る。
「ピョートル」
妻の目が曇った。
「顔色が悪いわ」

「それじゃ、次はパパが鬼ね」
「分かったよ、一、ニ、三…」
妻子の駆け去る足音を聞きながら、彼は目を閉じて数える。
「八、九、十」
目を開けると、向日葵畑が一面に広がる。
柔らかな陽射しに微笑むかの様な、淡い、黄金色の花々。
彼は杖を頼りに歩き出す。
ロシアの冬将軍は、俺の片足と、そしてナポリで待つマリアとの未来を奪った。
「ごめんよ…」
黒の瞳と燃え立つオレンジの花の幻影に詫びると、彼の目に涙が溢れた。

花畑の終わりが近付いてきて、二つの並んだ金の頭が視界に飛び込む。
「見つけたぞ!」
彼は笑顔で叫んだ。
「ピョートル…」
振り向いた妻の顔は蒼白だった。
「マリア!」
幼い水色の目と黒の瞳が同時に彼を捕らえた。
「ピエトロ…!」

次は【ひまわり】

No.454 11/03/07 13:35
ポポロ ( ♀ TlbEh )

【ひまわり】

「ああ、ここにいたんだね。」

庭にいる母を見つけ、庭に出てベンチに腰掛けた。

日差しを浴びて、花の手入れをする母は、まるで少女の様だ。

優しくて、純粋で、誰よりも美しい母…。
子供の頃から何も変わらない。
あの時から母の時間は止まったままだからなのか…。

父は女と家にやってきて、離婚届にサインさせた。

女はずっと泣いていたが母は哀しげに微笑んでいた。

あれから未だに涙ひとつ流さないが、母は崩壊した。

父があの向日葵のワンピースの女と出て行ってから、うちの庭には向日葵が消えた。

そして僕は手に入れたのだ。
子供の頃から憧れ続けた愛しい人を。

「あなた、そろそろお茶にしましょうね」
「うん、そうだね(母さん…)」

end

次は【母】で🙇

No.455 11/03/08 02:01
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 454 【母】

インターフォンが鳴っている。
ソヒァから怠そうに腰を上げて、インターフォンに向かう。

「はい」
『ハッピー生命保険ですが、お母様いらっしゃいますか?』
「居ません」
『何時頃お戻りになりますか?』
「分かりません」
『…では、ご案内をポストに入れ行きますので宜しくお願いします。失礼します。』
「はい」

のろのろとソヒァに戻り、寝転んでボーッと天井を見詰めた。

時計のカチッ、カチッという音だけが響いていた。

ルルル…、ルルル…
電話が鳴った。

はぁ…
溜め息付きながら、体起こし、受話器を取った。

「はい」
『斎藤様ですか?』
「はい」
『さんこう不動産と申しますが、お母様いらっしゃいますか?』
「…居ません」
『何時頃お戻りになりますか?』
『…分かりません』
「ではまた電話させて頂きます」
チン!
電話が切れた。

受話器を叩き付け、体を震わせヒクヒク泣き出した。

そして堰を切ったように泣き出した。

電灯も付けず暗闇の中泣き続けた。

いつの間にか眠っていたようだ。

毛布が掛けられていた。

隣りの和室から線香の臭いがして来た。

隣りを覗くと、仏壇の前に父が座っていた。
母が好きだった白百合が供えてあった。

『お母さん…』

No.456 11/03/08 04:17
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 455 すみません
次のお題は【白百合】でお願いします。

No.457 11/03/10 10:24
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 456 【白百合】
「ちょっと電話してくる」
大通りに出た所で、偉哥(ウェイ兄貴)が俺と阿建(アジェン)に言った。
「待ってる間も気を付けろ」
偉哥の姿がカフェの奥に消えるのを見計らって俺らは煙草を取り出す。腹ペコを紛らすにはこれが一番だ。

「あ、」
火を点けようとポケットを探って気付く。
「マッチ貸したままだった」
「莉莉(リリ)か」
阿建が俺に火を貸しながら舌打ちする。
「あいつ、本当に気が利かねえよな」
阿建はどうやらあの子を嫌いらしい。
痩せぎすな体にダブダブの白ブラウスとずり落ちそうなスカートを着けた、お下げ髪の莉莉。
「ありゃ舞女(ダンサー)なんか無理だよ」
「俺もそう思う」
でも、多分そうなる筈だ。
あの子も舞女になって毎晩見知らぬ男に抱かれて踊り、場合によっては客と…。
用向きを伺う時の莉莉の怯えた小さな顔や、顔の見えない男があのか細い肩を掴んで押さえ付ける姿が次々浮かんできて、急に背筋がぞわついた。

煙を吐き出し大きく息を吸い込むと、くどい程甘い香りが鼻を衝く。
洋人の男が花束を手に俺らの前を通り過ぎる。
茉莉花(ジャスミン)に似て、もっと大輪の白い花だ。

「リリ!」
思わず声のした方を向くと、いつの間に現れたのか、洋人の女が嬉しげに花束を覗き込んでいた。
“You like lily,don't you ?”
男も笑顔で「リリ」と繰り返す。どうやらあの花の名前の様だ。
“My favorite!”
女は「気に入ったわ」とか答えたらしい。

「おい、行くぞ」
偉哥に肩を叩かれて我に帰る。
「はい」
洋人の二人が道を遠ざかっていく。
妙な花だ。
俺は煙草を踏み潰すと偉哥に附いて歩き出した。

次は【香り】

No.458 11/03/10 15:12
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 457 【香り】

柴田さんはパイプをくゆらす時、良い顔する。
パイプの煙が緩やかに立ち上ぼる。
それを愛しそうに見ている柴田さん。

柴田さんは私より20も上。
私の我が儘を楽しそうに、少し困ったように聞いてる。

私はそんな柴田さんをどんどんぞんざいに接し始めた。

それでもそれが面白かったのか、
「茉悠は困ったお姫様だね」と余裕ある大人の対応をする。


それで茉悠は
「私、そのパイプの匂い嫌い!
あなたの髪にも服にも私に触れる手にも、その匂いが付いていて一緒に居ると、私まで匂いが移ってるの!
ねぇパイプ辞めて!」
柴田は茉悠を見た。

そして
「知らなかったよ。茉悠はそんなにパイプの葉の香り嫌いだったのか」
くゆらせていたパイプの火を消した。
柴田は笑顔だった。


しかし、それから柴田は茉悠の前から、パイプの煙のように消えた。


茉悠はパイプの葉の香りが恋しくて、恋しくて切なくなった。

次は【煙】

No.459 11/03/13 16:52
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 458 【煙】
「柴田さんなら、今月付けで退社されたとのことです」
受付嬢は業務用の笑顔を崩さずに告げた。
「連絡先とか分かりませんか?」
茉悠は食い下がる。
「少々お待ち下さい」
相手は笑顔のまま再び受話器に語りかける。
「ご連絡先等は分かりますか?」
この女、どうしてそんな呑気に話せるの?
茉悠は受話器を奪い返したくなる衝動を抑えた。
「大変申し訳ありませんが、連絡先等は承っておりま…」
茉悠は最後まで聞かずにビルを飛び出した。

「柴田さん…」
茉悠はビルとビルとの隙間から覗く空に呟いた。
「どこにいるの?」
見上げる空は、四角く切り取られた小さな灰色の穴の様に見える。
―僕の故郷は、田舎だから、晴れた日には空と海が同じ色に見えるんだ。
いつか、彼が語った声が蘇る。
柴田さんはきっと…!
茉悠は今度は駅へと駆け出した。

「次の到着の新幹線ですと、只今自由席しか残っておりませんが…」
「それでお願いしま…!」
茉悠が言い終える前に、窓口の床が激しく揺れた。

「只今、地震のため、全線で運転を見合わせております」
どうなってるの?
どうして邪魔するの?
茉悠は叫び出したい気持ちで、駅の人混みを飛び出した。

電器店の前を通りかか、人だかりが出来ていた。テレビで速報を流しているらしい。
「…地区は、大津波により、壊滅的な状態です」
茉悠は凍りついた。
あれは、柴田さんの…。

隣から流れてきた煙の匂いに我に帰る。
「柴田さん!」
「茉悠ちゃん」
相手はパイプを片手に寂しく笑っていた。
「次の新幹線で帰るつもりが、足止めになっちゃった」
二人は固く抱き合った。

次は【再会】

No.460 11/03/20 12:45
笑い袋 ( 40代 ♂ xcYYh )

>> 459 「みか…」
おもわず…
テレビに向かって呟いた。


そこに、映る惨劇が絶望へといざなう。

地震と津波で…街は廃墟と化し家とひとを無に返していた。

故郷に置いてきた、妻と子供は大丈夫なんか…考えるより早く走り出していた。

目の前に広がる無惨な光景をみて涙が溢れ頭を抱えて座り込んだ……

「お父さん?」


遠くから…聞き覚えのある声が聞こえたような気がして、振り返った。


そこには、妻と子供の姿が…

立ち上がり駆け出す…「良かった…」

「生きていてくれてありがとう」。

抱きしめながらそう呟いた。




次は【つぶやき】ですm(_ _)m

No.461 11/03/28 00:00
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 460 【つぶやき】


「あっ!」
悪夢を見て目が覚めた。
パジャマが汗で濡れていた。

「あ~怖かった」

レースのカーテン越しに青空が見えた。

『良い天気だ。
しかし、怖かったな』
キッチンから音がした。
妻の静香が朝食の支度をしているようだ。


雀がチュンチュン鳴いてる。

『いつもと変わらない穏やかな朝だ。』

静香がベッドルームに入って来た。

「おはよう!シャワー浴びて来て、もうご飯用意出来たから。」

『静香もいつもと変わらない。』

「良かったぁ~!」

「どうしたの?」
静香は訝しげに訊いた。

「いや~さ、恐ろしい夢見たんだよ。ある訳無いんだけどさ、全く小説の世界みたいなんだよ。
でも、リアルに感じたよ。いや~汗掻いちゃったよ。」

「どんな夢見たの?」
「それがさぁ、地震に津波に放射能漏れで、日本列島大変なことになっちゃってさ。
アハハハハ、そんないっぺん何でもかんでも起きる訳ないよなぁ。
あ~夢で良かったぁ!」


その時ゴォーッと地鳴りがして、家が揺れた。

静香は真っ青になってベッドの下に潜り込んだ。

「あなた!危ないから早く潜って!」


「えーっ!夢じゃ無かったんだ!」

悪夢だ!

次は【穏やかな朝】

No.462 11/03/29 00:07
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 461 【穏やかな朝】
「もうタンポポが咲いたわ」

愛は隣の公英(きみひで)に告げると、自らの膨らんだ腹を撫でた。
朝の海から吹く優しい風に可憐な黄色の花々が揺れている。

「これは…」

公英の顔が曇った。
周囲の花より遥かに太く長い茎。
二つの花が融けて一つになった様な頭。
どうして一輪だけこんな奇形なタンポポが…。

「どうしたの?」
「いや、何でも…」

公英が花を背にして答えかけたところで、大地が激しく揺れた。

「早く高台に逃げろ!」
公英は愛を車の運転席に押し込むと勢い良くドアを閉めた。
「貴方は?」
「発電所に行く」
ドアの外に立つ彼の目には涙が浮かんでいた。
「僕には職員としての責任があるからね」
「待って!」

愛が叫んだ時には、もう、公英は、まるで海の傍に並ぶ巨大なプレゼント箱の様な建物に向かって一人駆け出していた。

「見ろ!発電所が火事だ!」
「この辺にも放射能が!」
「あの人、お腹大きいわ…」
「きっと、バケモンみたいな子供が生まれるぞ」

避難所の片隅で、愛は腹を守る様にしてうずくまると、耳を塞いで咽び泣いた。

「あっちの浜辺まで競争よ!」

お揃いの黄色いリボンを靡かせて二人の少女が駆けていく。

「何だか、普通のママの二倍は生きてる気がするわ」

愛は墓地のある丘から海を見下ろして笑った。

双子の真理(マリ)と真実(マミ)は、まるで生まれ変わりの様に父親の公英に似ている。

「あ、綿毛!」
「飛ばしっこしよう!」

瓜二つの娘たちがそれぞれ手にした花に息を吹き掛けると、白い羽を付けた種は風に乗って青い空に飛び散っていった。

次は【タンポポ】

No.463 11/03/29 00:15
千草 ( Qx57h )

穏やかな朝、君は旅立った


君はペットショップの狭いゲージで、昼間だというのに元気に走り回っていた。
片方の耳は、千切れて無かった。
他のハムスターの倍くらいに成長するまでになっていた。
売れ残り。
ハムちゃん。

あの出会いの日から、君は、なかなか子供に恵まれない私達の癒しになった。
手のひらに乗り、向日葵を食べる。
かわいい、かわいい宝物。

ある日、足に小さなシコリを見つけた。
君は癌になったんだ。その日から毎日、薬を飲んで癌の進行と闘ったね。
君は、自分の頭と変わらないシコリを付けたまま、ヨタヨタと走り続けた。

そんな時、私は妊娠に気が付いた。
『ハムちゃん、弟が産まれるよ~!一緒に写真撮ろうね!頑張ろうね!!』毎日、そう声をかけた。

君は、2歳と3ヶ月になっていた。
獣医さんも驚く程の生命力!!

日に日に弱って行く君に、私は毎日声をかける。
『もうすぐ弟に会えるよ~!!死なないで~』

私が、息子を抱き、我が家に帰ると、君の姿は無く、息子の誕生日の穏やかな朝、お気に入りの小屋の前で、眠るように死んだと聞いた。
君は人間の言葉がわかってたのかな?
帝王切開の予定日の話、聞いてたもんね。

写真は撮れなかったけど、息子に君の話を沢山するよ。
ずっと、家族だよ。
ありがとう。

次は『ありがとう』

No.464 11/03/29 00:18
千草 ( Qx57h )

>> 463 すみません💦

書くのに時間がかかってしまって💦

かぶってしまいました💦

お題、タンポポでお願いします🙏

No.465 11/03/31 06:11
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 464 【タンポポ】【ありがとう】

桃代は省吾に、タンポポの綿毛を吹きつけた。

「止めろよ!耳ん中入ったら、耳にタンポポ咲いちゃう!」

そう言って手で塞いだ。

「アハハ」

笑う桃代に
「ちっちゃい時、おかんが言ってたもん!」

小さい省吾とお母さんの光景が浮かんで桃代はほんわかした。


青空に白い雲がポッカリ浮かび、風が心地良い日だった。

二人は陽気に誘われ、省吾の家近くの公園に来ていた。


桃代は省吾の家で、もう何度も夕飯をご馳走になり、省吾の母と気兼ねなく会話するようになっていた。


先日の夕飯の時も
「桃ちゃん!省吾が何か悪さしたら、頭ゴツンしちゃっていいからね!」

「おかん、勝手に許可出すな、俺の頭だぞ!」

省吾の母と桃代は顔を見合わせて大笑いした。


桃代は母を早く亡くしていたからか、省吾の母と会話するのが嬉しかった。


省吾は、まだ綿毛を飛ばしてた桃代の後ろから、タンポポで作った王冠を被せて言った。
「タンポポの花言葉知ってる?真心の愛って言うんだ。
桃代、結婚しよう!」

桃代は飛びつき
「王冠ありがとう」
と言った。

次は【花言葉】

No.466 11/04/16 09:20
千草 ( Qx57h )

>> 465 花言葉


今日から、私は長年連れ添った主人と別れ、息子と新しい人生をスタートさせる。

癌になった私に、労りの心も無く、
毎日罵り、
自分の性欲を満たしたい時にだけ
優しさを見せるアナタ
奴隷なのか?娼婦なのか?と小さな息子を抱き泣き崩れる私に、

また、そうやって俺を責めるのか?!と家を飛び出し帰らないアナタ。


身も心もボロボロになっていた時、
買い物先の商店街、
ヨチヨチ歩く息子が、花屋の前で立ち止まり、
『ぅ~う、あ~ぅ。』と指さす先にあったのは、鮮やかなカーネーション達。

あまりに欲しがる息子に、
一輪買い与えると、まだ小さな小さな手で、一生懸命にそれを抱え、
またヨチヨチと歩き出した。

しばらく歩くと、急に息子は振り返り
『あぁ~あ、う~ぅ。』と私に笑顔で花を差し出す。
私が受け取ると、息子は手をたたき、体全部で喜びを表現した。


私は上手に笑えてたかな?
泣いてる私を、心配そうに覗き込む小さな瞳。
私は、君となら頑張れる。
君を幸せにするよ。


カーネーションの花言葉。
『あらゆる試練に耐えた誠実』

もういいよ?って言ってくれたの?
ねぇ?チビちゃん?



次は、チビちゃんでお願いします。


陽子さん、ありがとうございました。

No.467 11/04/18 14:37
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 466 【チビちゃん】

「ミホちゃん?」

白衣を着た長身の若い医師が、首を傾げ美穂子の前に立って居た。

美穂子も白衣姿。
美穂子は医師ではなく、栄養士で、大学病院でもう11年勤めている。

病院でミホちゃんと呼ばれたことは一度もない。


「あぁ…と、どちら様で…」

「やっぱ、ミホちゃん?」

長身の若い医師は嬉しそうに白い歯を見せて笑顔になった。


「加瀬美穂子ですが…」

長身の若い医師は
「昔遊んで貰った木村颯太です!覚えてませんか?」


「あっ!角の木村さんちのチビちゃん?」

「あははは、そのチビです!」

「まぁ、大きくなって!
タエちゃんお元気?
ご家族の皆さんお元気?」


タエちゃんは美穂子と同い年で、学校が終わると毎日のように遊んだ。
颯太はタエの一番下の弟で、みんなにチビちゃんて呼ばれていた。
美穂子は一人っ子だったので、小さい颯太が可愛いくて、よく遊んであげてた。
木村一家は、お父さんの転勤で岐阜に引っ越してしまい、美穂子は寂しかったのを覚えている。


「颯ちゃん東京に戻ったの?
ドクターになったの?
何科?」


懐かしくて、矢継ぎ早に質問してしまった。


颯太も嬉しそうに質問に次々答えた。


携帯番号、アドレス教えあって、ゆっくり話そうと別れた。


長身の白衣姿の颯太の後ろ姿を見送った。

チビちゃん大きくなったな
ドクターだって!


「主任!ミーティング始まりますよ!」

「ごめん、ごめん」

栄養士加瀬美穂子は白衣を翻し急いだ。

次は【白衣】

千草さん。どう致しまして。また宜しくお願いします。

No.468 11/04/19 21:49
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 467 【白衣】
「教授総回診の時間です」
白衣を纏って立つ男の眼光は鋭い。彼は大学病院の教授の座を狙う准教授。誰にも心を許せない孤独なエリートだ。

「どうしてチャンネルを変えるの」
ママが言う。
「つまんないから」
「パパのドラマよ」
「ドラえもんの方がいい」
画面ではのび太が両親に叱られていた。のび太だってパパはちゃんと家にいるのに。

「誕生日は一緒にお祝いしてくれるって約束したのに」
夜遅く帰宅したパパに僕は言った。
「パパは忙しいのよ」
ママを無視して僕は食い下がる。
「何が忙しいんだよ。本当はお医者さんでもない癖に」
陰になったパパの顔は表情が分からない。
「パパの仕事なんて嘘っぱちだ!」
平手打ちしたのはママだった。
「一朗!」
パパの呼ぶ声が聞こえたが、僕は部屋に駆け込み鍵を閉めた。
泣きながらそのまま寝入った僕は、明け方近くに銃声で目を覚ました。

『人気俳優松田吾朗、猟銃自殺』

白い着物を着たパパが、目を閉じて棺の中に横たわっている。
「パパ」
瞼がカッと熱くなって膝から力が抜けた。
「生き返って」
今までテレビの中で何度死んでも、パパはちゃんと生きて家に帰ってきた。
「お願いだから…!」
皆が僕を棺から引き離して、パパを真っ白な灰にしてしまった。

「教授総回診の時間です」
白衣の背筋を伸ばし、正面を見据える。
誰にも心を許せない、孤独なエリート医師の表情だ。
「OK」

「亡きお父様の代表作を演じるのはどんなお気持ちですか?」
「どうって…」
控室の僕は、苦笑して記者の肩越しに鏡に見入る。
鏡の中から、白衣の男が寂しく笑い返した。

次は【ジュニア】

No.470 11/04/20 18:02
なおさん ( 40代 ♂ eqOJh )


(ΘωΘ)誰かが下ネタでも、書いたんでしょうか?
【ジュニア】

ギリシャ神話で有名なスケベと言えばゼウス。
その子供はたくさん居るがペルセウスは活躍してる割には、ヘラクレスほど人気が無いですね。
タイタンの戦いではメデューサの首を取り、海洋巨大生物クラーケンをその首を使って石に変え、生け贄にされるはずだったアンドロメダ王女を助けて恋に落ちる。半神半人であるがゆえの苦労を乗り越え人として成長していく姿は、感動的です。全然小説してませんが次は【神話】でお願いします。

No.471 11/04/26 20:42
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 470 【神話】

妻の綾子は怒って居間を出ると、叩きつけるように寝室のドアを締めた。


「ママを怒らせちゃったな」
夫の信一は、息子の信也と娘の愛に肩をすくめて言った。


「パパがあんなこと言うからよ」
愛が信一を睨んだ。

「愛だって、酷いこと言ってたじゃないか」

「僕達みんなママに勝手なこと言ってたよ。ママが怒るのも当たり前だよね」
信也は、自分が母に言った言葉を思い返した。


「うん。みんな勝手言ってたな。ママに謝ろう!」


3人はゾロゾロ並んで寝室に行った。

ドアをノックして、ドアを開けようとしたが、鍵が閉められて開かなかった。


「綾子悪かったよ。」
「ママ勝手なことばっかり言ってごめんなさい。」
「ママ、ごめんなさい。」

3人は開かないドアに向かって謝った。

しかし返事は無かった。


しばらく待ったが、何にも反応が無かった。

どうしようか?と困り顔の3人は、トボトボ居間に戻り、作戦会議を開いた。


寝室に籠もった綾子は、静かになったドアの向こうが気になった。
『たったあんだけ?あんだけで許せって?』
更に怒りが込み上げてきた。

するとお腹がグゥーと鳴った。

『お腹空いたぁ。』


『でも出て行く訳に行かないし…』
『ん?良い匂い!』


ソースの匂いがして来た。


『信一焼きそば作ったんだ!』

信一の焼きそばは、綾子の好物だった。

ソースの匂いが綾子の胃を刺激した。


信一は皿に盛った焼きそばを廊下に持ち出し、子供達は扇いで匂いを送った。


ドアが開いた。

「天の岩戸作戦成功!」

3人は綾子に駆け寄り謝った。

次は【好物】

No.472 11/05/06 22:03
pure ( ♀ dKpJh )

>> 471 【好物】
夫は、なんでも上手い!と言って食事をしてくれる。好き嫌いも無いし、いつも食べっぷりが良く、完食するから好物が分からなかった。

結婚して15年も経った頃だろうか…夫のあまり好きではない食材が、少しずつ判明してきた。年齢と共に、食が落ちてきたのがきっかけだった。
挽き肉料理や豆腐は、あまり手をつけない。
「あまり挽き肉料理や豆腐は好きじゃないのね」さりげなく夫に問いかけると、
「嫌いじゃないけど、好物でもない」と返事が返って来た。

「じゃぁ、あなたの好物は、何?」
すると、ニンマリとしたいたずらな目つきで
「ママかな」と言った。
それを聞いていた娘が、目をまん丸くして、「おえっ」と吐くまねをした。

「そうじゃなくて、食べ物の好物よ」
夫の好物って何なのか。こうなったら、聞いてみたいと思った。

すると夫からは、
「しいて言えば、肉とネギを煮たものとメンチカツを甘辛く煮たものかな」と返ってきた。
私は、夫の好物をあまり作ったことが無いことに気づいた。

歳を取ると、子供の頃に食べたものが恋しくなると聞く。
夫の好物は紛れもなくお袋の味だった。

次のお題は
【お袋の味】

No.473 11/05/07 15:53
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 472 【お袋の味】

人見知りの引っ込み思案で、何の才能も無い私を、両親も亡くなり、長女の姉が心配してたのは知っていた。

姉は小さい時から利発で、明るく、何処に行ってもリーダー的存在になった。

そんな姉が眩しかった。


姉は仕事でも成功者で、高収入を得ていた。

そんな姉から
「私ね、店を出したいの。
でも私、忙しいでしょ?だから、和ちゃんに手伝って貰えたらと思うんだけど、どう?」

突然の話に戸惑った。

「お店って?」

「私、忙しくて、ちゃんとした食事が摂れない日があるのよ。摂れても、外食で飽きちゃうし。私みたいな人多いと思うの。
そんな人をターゲットにお惣菜屋の店をやりたいの!」


「お惣菜屋?どんなのを出すの?」

「お袋の味!
ほら、お母さんの料理美味しかったでしょ!和ちゃんもお母さんの味作れるじゃない!
我が家の料理を出そうと思うの!」

料理も姉の方が上手かった。

姉がメニューも考えるからと、珍しく押して来たので、その勢いに押され、手伝うと返事していた。


私は調理師免許を取った。


店名は『惣菜屋かず』

暖簾を見て知った。

店はサラリーマン、OLに人気で繁盛した。

姉の読みが当たった。

私の暮らしのことも考えて開いてくれた姉に感謝した。

次は【店】

No.474 11/05/11 18:05
なおさん ( 40代 ♂ eqOJh )

>> 473 【店】

拙者、樵(きこり) 助平(すけひら)と申す。
この名は、いささか憂うつになるでごさる。
知り合いなどは、決まってもっこりすけべいと呼んでからかっておる。いちいち相手をするのも疲れるので無視するでござるが、一緒にうどんを食おうと言う事になり店に入った所、連れはまた拙者の名を呼んだのでござる。先客が吹き出して、鼻からうどんが出た時はさすがに堪える事が出来ずに、一緒に吹き出してしまったでござる。
情けない。

次は【うどん】でお願いいたす。

No.475 11/05/14 22:55
@Y.A.J.I担当 ( woxEnb )

うどん


うどんを二本、真っ直ぐにのばしてみた…。
なんだか 君と私みたいで涙が出てきた。
この涙がかれる前にこの二本の線が 交じることってあるんかなぁ…晗


次は 片思いで お願いします晙

No.476 11/05/16 01:32
pure ( ♀ dKpJh )

>> 475 【片思い】

娘が初恋をした。
通学途中、電車で見かけた新社会人。

毎日、毎日、帰宅すると、彼の話を息せききって話し出す。

名前も年齢も分からないイケメンの彼らしい。

花の女子高生。娘の片思いの話を聞きながら、遥か昔のおぼろげな記憶をたどる。

ドキドキ、ソワソワした気持ち。携帯電話もメールもない時代。
何度も何度も手紙を書いては、渡せずにいたあの頃。

娘の恋バナを聞きながら、相づちを打つなんて、何だかおかしい。

ねえ…そんなに彼が好きなら、打ち明けちゃえば?
毎日聞くのが面倒になって、つい口をはさんでしまった。

娘は、頬を赤く染め、
そんなこと出来るわけないでしょ!?と口をとがらせた。

次のお題は
【相づち】

No.477 11/05/29 03:24
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 476 【相づち】

しきりに相づちを打つ私。

今日の彼は何時になく饒舌で、私は相づちを打つ間しかない。

しかし、正直言うと飽きてしまってた。

終わんないかなぁと思い始めた時

「つまんないよね、こんな話。
ごめんね。」

そう言われて、慌てた。

「ううん、そんなこと無いよ。
それでそれはどう言うことになの?」

『あ~、質問なんかしちゃった』

彼は嬉しそうな顔をして、また勢いよく話を始めた。


再び相づちを打つ私。


彼は突然笑顔で
「と言う、は・な・し!
聞いてくれてありがとう!」

そう言って長い話を終了させた。

本当はまだ話は途中だったと思う。

きっと私の相づちに疲れを感じ取ったんだろう。

彼は素敵で好きなんだけど、歴史とメイスン話になると熱を帯びてしまう。

『帰りに、首に貼る湿布買って帰ろうかな?』


歴史とメイスン話以外は素敵だから、相づちくらい打ち続けようと思った私だった。


『でも、話題がそっち方面に行かないようにしよう!』と強く思った。


次は【長話】

No.478 11/05/29 09:54
小町 ( ♀ L5U5nb )

長話


いつも21時から
彼と電話する

遠距離になってからの
毎日の日課

話し終わるのは
だいたい…23時?
いわゆる長話ってやつ

プルルル…

いつもと同じ時間

どうして?
電話に出ない彼

プルルル…

お留守番サービスに…

いつも欠けたことのない
彼との電話
初めて繋がらなかった

私、重い??
愛想尽かしちゃった??

色んな不安が駆け巡る


ピンポーン

「…え」
こんな時間に…誰?

ガチャ

「……あっ…」


一言、言ってくれれば
良かったのに

そういえば昨日、
明日から休暇もらえる
って言ってたっけ

サプライズのつもり?

こんなに心配したのに…

でもいっか

今日は電話じゃなくて


直接長話できるしね


次のお題
→遠距離

No.479 11/05/29 23:10
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 478 【遠距離】

ロッカールームに柴崎綾香が居た。

「お疲れ~」
「あ~お疲れ~」
「これからデートとか?」
「あはっ、遠距離で来月まで会えないの」
「まぁ、そうなの。寂しいわね」
「そうなのよ。あなたは?」
「まぁ、同じかな?」
「あなたも遠距離なの?」
「うん…」
「寂しいわね」
「うん、寂しい…」
「何時会える予定なの?」
「うん…何時になるかな?」
「…遠距離って辛いよね」
「…うん。でも何時か会えるし」
「お互い頑張ろう!」
「うん!ありがとう。じゃあ、お先に~」
「お疲れ様でした~」

柴崎は帰った。

ロッカールームに木村京子が入って来た。

「早紀早いね。直ぐ着替えるから待ってて」
「うん、ゆっくりでいいよ。今日は囲炉裏屋で良いよね」
「うん、良いよ。あそこの唐揚げ大好き!」
「うん、うん!美味しいよね」
「そうそう、柴崎さんも遠距離なんだってさ。お互い頑張ろうって言い合っちゃった!」
「えっ?」
「ほら、業務の柴崎綾香さんよ!」
「遠距離って言ってたの?」
「うん。違うの?お互い遠距離で寂しいねって、言い合ってね」
「早紀、知らなかったんだ…」
「えっ何?」
「柴崎さんの彼ね、亡くなったの」
「えっ?え~っ!そんな!」



綾香は、夜空に瞬く星を見つめ
『遠いよ~!』と呟やき、涙溢れた。


次は【見上げてごらん夜の星を】

No.480 11/05/30 03:07
pure ( ♀ dKpJh )

>> 479 【見上げてごらん夜の星を】

8月 長女の誕生日を迎えるたびに、複雑な気持ちが蘇る。

初めての妊娠、出産を控え、非番の夫と両親学級に通っていた。立ち会い出産が出来ることを夢見ていたが、それはかなわぬこととなった。

飛行機事故の大惨事。
歌手の坂本九氏も乗っていた日航のジャンボ機が、山肌を縫いながら墜落し、無残な残骸と化したのだ。

当時、夫は警察官として、事故のあった山へ捜索に向かい、私はひとり病院で出産した。
携帯も無い時代。夫が父親になったと知ったのは、数日後だった。

守秘義務が当たり前であるため、夫は事故現場について、一切を語らない。しかし、テレビで報道された事故現場を見れば、かなり複雑な心境だっただろう。とても父親になったことを喜べる状態ではなかったはずだ。

毎年、夏になると、遺族が墜落現場に供養をかねて登山する。BGMは坂本九さんの見上げてごらん、夜の星を…
月日は流れ、遺族の高齢化と共に、年々登山する人が少なくなっている。
秋に結婚が決まった娘はこの夏で26才になる。
家族で祝う娘の最後の誕生日に、寡黙な夫は何を思い、何を感じるのだろうか。

次は
【登山】

No.481 11/05/30 17:02
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 480 【登山】

「ねぇ、ねぇ、やっぱさ、今は登山よね!」


真智子ことマッチが雑誌片手に言って来た。


マッチとは中学からの友達。
流行りものに弱い。
いっつも私を巻き込んで来る。

「ヨッコ!山ガールになろうよ!」

良子ことヨッコの私は『またか!』と思った。


「マッチ山登れるの?」

「最初はさ、簡単な所から始めてさ、富士山で初日の出見る!良くな~い?」

「富士山で初日の出か…、良いねぇ!」

結局、私は乗ってしまう。


「じゃあ、明日山ガールファッション買いに行こう!」

「山ガールファッション?」

雑誌広げ
「見て見て、ほら、こんなに可愛いの!」
と雑誌見せるマッチ。

「ホントだ!」


尾瀬に来た。
山ガールの私達は出会う人達と挨拶交わす度に、山ガールになった快感を味わった。


山小屋に宿泊したが、人がいっぱいで、一部屋に知らない人達と雑魚寝になった。
それも全くイケてない男性二人と。
風呂は無し。
勿論シャンプーも出来ない。


尾瀬で山ガール熱が冷めた二人は、次に何を始めるかは雑誌次第のようだった。


次は【流行り】でお願いします。

No.483 11/05/31 01:41
pure ( ♀ dKpJh )

>> 482 【瞬間】
めっきりおばさんと化した我が身にすれば、ドキドキした瞬間など、子供の受験時ぐらいだ。

くたくたになった夫をもてなし、当たり前のように、子供のお弁当を作り、自分の身支度も早々に、毎日同じ生活のリズムが繰り返される。

一昔前、ヨン様ブームとなった「冬のソナタ」
韓流の先駆けとなったドラマだ。
友人がワクワクドキドキすると言った時、絶対ハマるものか!と意気込んだものの、見始めた途端夫婦ではまった。

しばらく韓流とはご無沙汰だったが、今度は娘が韓流にハマり出した。
チャン・グンソクに心を奪われたそうだ。

確かに、男前。綺麗だと思う。だが、イケメンは賞味期限が短い。今が稼ぎ時だろう…などとうんちくを垂れたくなる。

何故、韓流ドラマがこんなにもハマるのか?あの臭いセリフに、若い頃のときめきを呼び起こしたくなるからかもしれない。韓国語だから違和感が無いだけで、日本語で聞いたらぶん殴りもんのセリフ。

たまには夫から臭いセリフの一つも聞いてみたい。それが女心なのかもしれない。

サランへ チョワヨ。
夫に韓国語で愛のささやきを練習させてみるが、容姿はお互い程遠い。残念な夫婦がここにいる。
次のお題
【韓流ドラマ】

No.484 11/05/31 18:06
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 483 【韓流ドラマ】

片山早紀と木村京子は同期入社で、早紀は営業1課、京子は営業2課と課は違うが、同じフロアで仲良くなった。

帰りに飲みに行ったり、昼はたまに会社外で昼食食べに行ったりした。

でも会社の食堂で一緒に食べる方が多かった。

今日も会社の食堂で食べながら、ペチャクチャ喋っていた。

京子が
「韓流ドラマの草分け的存在のあのペ・ヨンジュンさんが、7300万も義援金寄付してくれたんだって。なかなか出来ないことだよね。私、感動しちゃった!」
と言った。

「あのヨン様て言われてる人?」
生姜焼き食べながら、早紀が訊いた。

「そう!冬ソナのヨン様よ!」

「何、何、何?冬ソナ?ヨン様の話?」

突然後ろから割って入って来たのは、総務、社長秘書の福田恵子。

福田は会社創設の頃から居たらしい、大お局様だ。

普段は食堂には来ない。

「二人共、韓流ドラマ好きなの?私、冬ソナにハマっちゃって、韓国まで冬ソナツワー行って来たの。ヨン様もツワーに来てくれてね…お優しい方なのよ」
うっとりするように語る福田さんは可愛らしかった。

「帰り、一緒に食事どう?
冬ソナとか、韓流ドラマ語りましょうよ」


早紀と京子は、断れる相手じゃないと思った。


5時半正面玄関フロアで待ち合わせることになった。

「どうしよう?私冬ソナ観てないし、韓流ドラマ全然知らないよ~」

「私だって!」

福田恵子大お局様との会食を思うと、午後の仕事に身が入らない二人だった。

「どうしょう!!」


次は【高級料亭】でお願いします。

No.485 11/05/31 21:47
紋次郎 ( 30代 ♂ BGhZh )

>> 484 【高級料亭】

俺は料亭の板場見習いをしている。雑誌やTVの取材もよくある。芸能人よりも政財界の大物が御得意様の料亭だ

両親の反対を押し切り、体一つでこの料亭に飛び込んだ。あれから8年..「板前になるならお前を勘当する」とまで言われた親父が2年前に死んだ。葬式にも行かず俺は、まな板と向き合っていた

「オイ、お前にお客さんだぞ」

板場長が顎でしゃくる方を覗いた

「お、お袋..」

枯れ枝のような体に凛とした着物姿のお袋は痩せていた

「オウ、俺は買い出し行くからな、予約分の仕込みやっとけよ」

「ありがとうございます」

板場長は口の端で微笑んだ

お袋とは10年以上も会っていない。親父が死んだことは、手紙で知っただけだ

「私が歩ける間に、これをお前に渡そうと思ってね」

白布を四折りにした細長い小さな箱だった。俺は訳が分からず手に取った

「お父さんがね死ぬ間際にそれをあんたに..って。それから、血は争えねぇや..って」

気丈なお袋は、涙の代わりに小さな肩を震わせている
箱を開けると見事なまでに研ぎ込まれた柳刃包丁だった。年季の入った板前でもこれ程研ぎ込まれたものはないだろう

「お父さん..若い頃少しは知られた板前だったの」

「....。」

「お父さんを可愛がってくれてた方のミスを庇って..それから板前の道を捨てたの..」

それから半年後にお袋は死んだ。白装束のお袋は枯れ枝のようだった..

親父の残した包丁は箱の中にある..

次のお題は【独り】

No.486 11/06/01 16:17
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 485 【独り】
空港のロビーに出た瞬間、フラッシュの台風に見舞われる。
さすがに以前ほどこの嵐にも勢いはなくなったが、僕はまだ、この国では「ジュン様」でいられるみたいだ。

まるで銃か剣みたいに幾本ものマイクが一斉に僕を囲む。
「プロデュースした韓国料理店がオープンするそうですね」
「はい」
―本当は名義貸ししただけだ。
「日本で起きたユッケ中毒死事件についてはどう思われますか?」
「残念な事件です」
―これ以外答えようがあるか?
「朴正炳(パク・ジョンビョン)さんの訃報についてはどう思われますか?」
僕の中の喧騒が止まった。
「それじゃ、これから移動しますから!」
マネジャーの声が響いた。

「炳(ビョン)の事、やっぱり訊かれたね」
「『僕も驚いてます』とだけ答えればいい」
マネジャーは提案というより指示の口調だ。
「そりゃ、分かってるさ」
流れていく車窓の風景は、はためく日の丸を幾つも映し出す。
この国では今日が建国記念日だそうだ。
―日の丸って、白い布に落ちた血の跡みたいだよな。
炳の低い呟き声が蘇る。

「そりゃ、僕としても驚いています」
店に来た取材陣を前に、僕はマニュアル通りに言葉を並べる。
「彼が自殺するなんて」
―僕の母は日本人さ。韓国人と結婚したから実家から勘当された。
―本当は日本語なんてペラペラ話せる。小さい頃、母が教えてくれた。
―十歳の時、母は首を吊った。
―片言の日本語で「ビョン様」だの「韓国の貴公子」を演じるのは、もう耐えられない。
「前の晩に電話した時も、普段の彼でしたから」

噛み砕いたキムチを飲み込むと、塩辛い味に目の前が滲んだ。

次は【日の丸】

  • << 488 【日の丸】 私は天宮麗子。高校2年生.. 自分で言うのも何だけど..美人で頭も良く、性格もいい.. いつもみんなの中心にいる事が、自然という感じかな..自惚れではなく客観的に見ても、まず間違ってないと思う 時々、お昼の弁当を独りで食べるくらい..かな 友達も多いし学校で一番のモテ男の彼氏もいる.. お父さんは大学病院の先生で不自由な暮らしはしていない.. お母さん..お母さんは、娘の私が言うのもなんだけどおもいっきり地味.. 田舎の小さな農家で育ったらしく、丸々とした体型でかにも健康体という感じ.. お母さんと超エリートのお父さんがどこで出逢ったのか..何度聞いても絶対に教えてくれない.. お父さんがお母さんに一目惚れしたという話しは小さい頃に聞いた覚えがある。 農家で育ったお母さんからはお米の大切さの英才教育を受けて育て上げられた.. 3才の頃からお茶碗に盛られたご飯は、お米一粒残さず食べている.. それは今でも続いている..一種の強迫観念と言えるかもしれない.. お母さんは本当に真面目な人でお弁当は毎日作ってくれる。病気の時でも朝早く出掛ける時でも1日も欠かした事がない.. だけど..そんな時は決まって日の丸弁当..作らなくていいよと言っても親の努めだからと言って取り合わない.. 『盛られたご飯は、お米一粒残さず食べる』 呪文のように私の頭を駆け巡り洗脳されたように弁当を鞄に詰め込む.. 全て完璧な私が日の丸弁当だなんて.. 誰にも言えない.. 次のお題は【完璧】

No.488 11/06/03 21:02
@紋次郎@ ( 30代 ♂ BGhZh )

>> 486 【独り】 空港のロビーに出た瞬間、フラッシュの台風に見舞われる。 さすがに以前ほどこの嵐にも勢いはなくなったが、僕はまだ、この国では「ジュン… 【日の丸】
私は天宮麗子。高校2年生..
自分で言うのも何だけど..美人で頭も良く、性格もいい..

いつもみんなの中心にいる事が、自然という感じかな..自惚れではなく客観的に見ても、まず間違ってないと思う

時々、お昼の弁当を独りで食べるくらい..かな

友達も多いし学校で一番のモテ男の彼氏もいる..

お父さんは大学病院の先生で不自由な暮らしはしていない..

お母さん..お母さんは、娘の私が言うのもなんだけどおもいっきり地味..

田舎の小さな農家で育ったらしく、丸々とした体型でかにも健康体という感じ..

お母さんと超エリートのお父さんがどこで出逢ったのか..何度聞いても絶対に教えてくれない..

お父さんがお母さんに一目惚れしたという話しは小さい頃に聞いた覚えがある。

農家で育ったお母さんからはお米の大切さの英才教育を受けて育て上げられた..

3才の頃からお茶碗に盛られたご飯は、お米一粒残さず食べている..

それは今でも続いている..一種の強迫観念と言えるかもしれない..

お母さんは本当に真面目な人でお弁当は毎日作ってくれる。病気の時でも朝早く出掛ける時でも1日も欠かした事がない..

だけど..そんな時は決まって日の丸弁当..作らなくていいよと言っても親の努めだからと言って取り合わない..

『盛られたご飯は、お米一粒残さず食べる』

呪文のように私の頭を駆け巡り洗脳されたように弁当を鞄に詰め込む..

全て完璧な私が日の丸弁当だなんて..

誰にも言えない..

次のお題は【完璧】

No.489 11/06/18 13:14
風花 ( ♀ rbVjnb )

>> 488 【完璧】



なんということでしょう。

私は驚愕した。

まだ続いていたとは…。

私が投稿してからまったく続きが現れず、もはや終わりかと諦め、マイスレからも削除していたスレッドが…、

こんなにも連綿と続いていたとは。

感動した私は、思わず再び加わった。

こうしてまた、このスレッドは、淡々と、粛々と、小さな説話を紡ぎ続けるのであった。

完璧を…すなわち満レスを目指して…。



【ビフォー アフター】

  • << 491 【ビフォーアフター】 薬を飲み初めて4ヶ月。電車の吊り広告で見つけたのがキッカケだった。 『この薬で運勢が劇的に好転!!ウンカワールZ!!』 薬?41才のうだつの上がらない男の暇潰しと淡い期待.. 半月後から頭がスッキリとしてきた。1ヶ月目、仕事の成績が急速に伸び一生縁のないと思っていた昇進の文字がチラつく。 2ヶ月目、幹部候補は間違いないと専務から直々に御達し、専務の顔を初めて知る。 3ヶ月目、15才年下の専務の娘と結ばれる。 薬の効果は絶大だった。順風満帆、全てが自分のイメージ通りに実現した。毎日々、自分の夢をイメージする事が楽しくなった.. 4ヶ月目、夕食をしながら妻が得意な料理の話をする。 「今晩の料理は白ワインを使って..」 ここまで聞いてテーブルをひっくり返した。元来の気性の短さが災いした.. 薬の使用上の注意に『服用中微量のアルコールでも摂取してはいけません。』 これが原因だった..この運勢が変わったらどうしてくれるんだ!? もちろん妻は薬の事は何も知らない。1週間後、妻は何事も無かったように荷物をまとめ出て行った。 それ以来、少しずつ歯車が狂い始めた。夢を思い描く事もしなくなった.. 5ヶ月目..会社に俺の机はなかった。結局あの薬は何だったんだ..思い込みだったのか.. 「社長こんな胃薬で運勢が変わるなんてバレませんかね?」 「心配するな。人生なんてイメージ次第で自ずと努力する力が湧いてくるものだよ。それより夜逃げの準備をしておけよ。ガハハ!!」 【梅雨】

No.490 11/06/19 08:11
なおさん ( 40代 ♂ eqOJh )

>> 489 【ビフォーアフター】

[ビフォー]
あぁ~💧梅雨が鬱陶しい~

[アフター]
梅雨明けたら暑い~💧

(≧ω≦)bあんまり変わらんがな。

【梅雨】でお願いね💕
ツ~ユ~🎶

No.491 11/06/19 08:22
@紋次郎@ ( 30代 ♂ BGhZh )

>> 489 【完璧】 なんということでしょう。 私は驚愕した。 まだ続いていたとは…。 私が投稿してからまったく続きが現れず、もはや終わりか… 【ビフォーアフター】

薬を飲み初めて4ヶ月。電車の吊り広告で見つけたのがキッカケだった。

『この薬で運勢が劇的に好転!!ウンカワールZ!!』

薬?41才のうだつの上がらない男の暇潰しと淡い期待..

半月後から頭がスッキリとしてきた。1ヶ月目、仕事の成績が急速に伸び一生縁のないと思っていた昇進の文字がチラつく。

2ヶ月目、幹部候補は間違いないと専務から直々に御達し、専務の顔を初めて知る。

3ヶ月目、15才年下の専務の娘と結ばれる。

薬の効果は絶大だった。順風満帆、全てが自分のイメージ通りに実現した。毎日々、自分の夢をイメージする事が楽しくなった..

4ヶ月目、夕食をしながら妻が得意な料理の話をする。

「今晩の料理は白ワインを使って..」

ここまで聞いてテーブルをひっくり返した。元来の気性の短さが災いした..

薬の使用上の注意に『服用中微量のアルコールでも摂取してはいけません。』

これが原因だった..この運勢が変わったらどうしてくれるんだ!?

もちろん妻は薬の事は何も知らない。1週間後、妻は何事も無かったように荷物をまとめ出て行った。

それ以来、少しずつ歯車が狂い始めた。夢を思い描く事もしなくなった..

5ヶ月目..会社に俺の机はなかった。結局あの薬は何だったんだ..思い込みだったのか..



「社長こんな胃薬で運勢が変わるなんてバレませんかね?」

「心配するな。人生なんてイメージ次第で自ずと努力する力が湧いてくるものだよ。それより夜逃げの準備をしておけよ。ガハハ!!」

【梅雨】

No.492 11/06/19 23:33
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 491 【梅雨】
とうとう降り出した。

鴉児(ヤール)は急いで近くの軒下に飛び込む。

この店なら閉まってるから、雨宿りしても文句は言われない筈だ。

この前は、うっかり洋菓子屋の軒下に入って酷い目に遭った。
「乞食小僧め、ここはお前のねぐらじゃない!」
頭から水をぶっかけられ、却ってずぶ濡れになった。

今度はそんなバカはやらない。
鴉児は小さな手で顔の滴を拭いつつ、念のため割れたガラス戸の奥をそっと覗く。
中はシンとして薄暗く、人の気配はない。

ほっと息を吐くものの、手にした籠に目を落として思わず屈み込む。

もう夕方も近いのに、籠にはまだ花が半分以上も残ってる。

今夜もまた屋台の粽(ちまき)を二つ買って平らげたら、路地裏の残飯を漁らなくてはいけないのだ。

梅雨時ともなると残飯の腐りも早く、まともな物にはまずありつけない。

考えあぐねる内にも、雨音は強さと速さを増していく。

「母ちゃん」

お腹空いたよ。
疲れたよ。

地を打つ雨に呟くと、目の前が滲んだ。

「先客がいたか」

頭上からの声に鴉児はびくりと目を上げる。

「明哥(ミン兄貴)!」
「ついてねえよなあ」

相手は腕で顔を拭いながら苦笑いしている。

「商売上がったりです」

鴉児は涙を拭うと、売り口上の語調で答えた。

この辺りにいる青幇(マフィア)では一番若く、「小明(シャオミン)」と呼ばれている明哥。

酷いことはしないけど、花を買ってくれたこともない。贈る相手もいないんだろうな。

「これ食うか?」
「え?」
明哥は銀紙に包まれた小さな板を差し出している。
「この洋菓子半分と花一輪で、交換だ」

次は【雨宿り】

No.493 11/06/20 09:43
ウッカリ八兵衛 ( VYlai )

>> 492 雨宿り

昔むかし備後の国に、田子兵衛という若者がいた。

山で薪や山菜を採り、家に帰ろうとした矢先、雨が降り始めた。

「久しぶりの雨じゃ・・ じゃが、どうせにわか雨じゃろう。すぐやむ」

そう思った田子兵衛は、近くの巨木に身を隠した。

疲れていたのだろう。眠気に誘われる田子兵衛。つい、うとうとと居眠りをしてしまう。

目を覚ました時、雨はまだ降り続いていた。どれくらい時が経ったのだろう。日が落ちてないという事は、さほど長い時間寝ていた訳ではなさそうだが・・

再び、居眠りをする田子兵衛。今度は、夢を見た。観音様が現れた。

観音様が・・何か言っている・・雨を振らせる代わりに・・田子兵衛・・

田子兵衛は目を覚ました。まだ日は落ちていない。しかし、やたら腹が減る。もしかして、丸1日寝ていたのか・・?

何か食わねば・・ と思いつつ、またも眠気に襲われる。

田子兵衛は、二度と目を覚ます事は無かった。

もちろん、村人が総出で雨乞いの儀式をした事など、知るよしもない。田子兵衛に見立てた人形を捧げて・・

今、巨木の下にはひっそりとお地蔵様が鎮座している。



次は「お地蔵様」でお願いします。

No.494 11/06/20 21:28
@紋次郎@ ( 30代 ♂ BGhZh )

>> 493 【お地蔵様】

私は何不自由のない都会生活がいやになり6年前にこの村へ越して来た..

村民は170人程だが信じられない事に携帯を持っている人は誰もいない..

高齢者が大半を占めている事も理由のひとつだが極少数の若者でさえ持っていないという..

理由を尋ねると学校に行けば勉強..家に帰れば手伝いや弟達の子守..それから勉強したりと忙しいから..

なんと純朴な子供達だと目頭が熱くなったものだ..


村の人達の人柄もさることながら、村全体の佇まいも私を和ませてくれる..

昭和初期の風景が完全に再現されているのだ..当然だが人工的にではなく自然に..

春には桜が畦道を彩り夏にはヤマメやイワナの泳ぐ硝子のような川と井戸に冷やされた西瓜..秋には紅葉が時を忘れさせてくれる..冬には山の幸であったかい鍋と音もなく舞い降りる雪..
私が移住の話をすると妻と子供は猛反対した。財産の全てを渡すと言えば了承した..家族の事はもう6年も思い出していない事に気付いた..


私がここに来て毎日欠かした事のない日課が夕方の散歩だ..四季に彩られ夕焼けに包まれたこの畦道の散歩..私と同じように畦道の散歩を日課としているお婆ちゃんがいる..

いつもの時刻に散歩に出ると50m程先を包みを持って歩いている..それから少し大き目の桜の下に『ちょこん』と座っているお地蔵様にお団子を御供えする..

しばらく手を合わせまた歩き始める..そして日課のように桜の木陰から狸が顔出し団子をパクリ。

御供え皿には何もないお地蔵様の前を私はチラリと覗き微笑みながら夕焼けに照らされている..

【夕焼け】

No.495 11/06/21 00:30
千草 ( Qx57h )

>> 494 夕焼け

生まれてすぐ、母親の兄の家に預けられ、その後、中学校にあがるまで、親戚の家をたらい回しにされた。
いつもオドオド、大人の顔色をうかがい、毎日夢も見ないほど、気を遣い、神経をすり減らし、やっと両親と住めたと思いきや、そこに私の居場所は無く…。学校から帰るのが嫌で、友達の家を転々とした。
しかし他人の中学生の女の子をずっと泊めるなんて無理な事。いつしか友達の家にもいられなくなった。
途方に暮れた私が見つけたのは、山の中にひっそりと佇む神社。
私は、そこで寝泊まりして朝、両親が仕事に出てから家に帰る生活を続けた。
毎晩、寒さや暑さ、蚊、ムカデ、空腹、孤独に耐えた。泣いて泣いて泣いた。

ある日私は、学校にも行かず神社で昼寝していた。
ふいに目を覚ますと、まぶしい光に目が眩んだ。
真っ赤な大きな夕焼け。山から見る、雄大なその姿は、まるで私を優しく包み込む母のようだった。胸が熱くなった。
ここが、こんなに空に近い事にも気付かずにいた。下ばかり見てたから…。
あの日あの瞬間、私は夕焼け空を独り占めにした。

今、私は散歩がてら息子と夕焼けを二人占めにするのを楽しみにしている。

次は、『瞬間』でお願いします。

No.496 11/06/21 01:23
ウッカリ八兵衛 ( VYlai )

>> 495 瞬間

滝本桃花は、そこから下を見下ろした。

一直線に下る道。かつて、父や母と共にその道を下り降りた事はある。しかし、今回は父も母も側にいない。

父と母は、下り坂の終わりで桃花が来るのを待っていた。

「早く来ておいで!」

「大丈夫だから!」

父と母の声が聞こえる。

大丈夫・・ 確かに、大丈夫なのだろう。父や母と共になら、何度も下った道だ。しかし、1人で・・となると話が違う。

怖い・・

父に、側に来るよう頼んでみる。しかし、父は来ない。

父は、今日こそはこの道を桃花1人で下らせようと決意していた。側に行きたい気持ちをこらえ、桃花に声をかける。

「桃花、大丈夫だからおいで!」

桃花は、決めた。

えいっ!・・

桃花の小さな体が、下り坂を滑り降りる。

父と母は、歓喜の表情で桃花を迎えた。

それはまさに、もうすぐ3歳になる桃花が、1人で滑り台を滑り降りた瞬間であった。



次は「滑り台」てお願いします。

No.497 11/06/21 23:13
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 496 【滑り台】
「やっぱり怖いよ」
公園の滑り台の上で、マーロンは涙目になった。
「大丈夫さ」
マイケルは笑うと、瞬く間に滑って砂場に着地した。
「ほら!」

「やっぱりやめようよ」
ウォータースライダーの入口で、マーロンは泣き声を出した。
「大丈夫だって」
浮き輪に座ったマイケルは瞬く間にトンネルの中に姿を消した。
「気持ちいいよ!」
プールの水飛沫の中から再び現れたマイケルは手を振った。

「僕にはできないよぉ」
白銀のスロープを見下ろして、マーロンはストックを握ったまま凍り付いた。
「先に行くよ!」
マイケルは勢い良くストックを押し出した。
「怖くなんかないったら!」
強まる吹雪の向こうから、弾けた笑い声だけが響いてきた。

「ご搭乗の皆様にお知らせいたします」

アナウンスの事務的な声にマーロンは目を覚ました。

「当機は只今、地上より三万フィートの高さを飛行しております」

マーロンは座席に凭れたまま、胸ポケットから写真を取り出した。

クリスマスツリーの前でピースサインを出す、幼い双子の笑顔。

「マイケル…」

マーロンは呟いた。

どうして、いつも、俺より先に逝っちまうんだよ。

「ご搭乗の皆様に…お知らせします!」

アナウンスの声が上擦ってくぐもる。

「当機はただ今より、緊急着陸態勢に入ります」

周囲のざわめきと機体の揺れが連動する様に大きくなる。

「緊急脱出口のスライドから、速やかに避難して下さい」

大丈夫だよ、マイケル。

マーロンはゆっくり深呼吸すると、胸ポケットに写真をしまった。

今度の滑り台は、俺一人でもちゃんと滑るから。

次は【脱出】

No.498 11/06/22 09:53
ウッカリ八兵衛 ( VYlai )

>> 497 脱出

スタジアムは、今まさに歓喜の時を迎えようとしていた。

9回裏、ツーアウトランナー無し。マウンドには若きエース、前山健太。最後のバッターも、簡単にツーストライクに追い込む。

スタンドでは、ファンが固唾を飲んで見守る。現在チームは12連敗中。今日負ければ最下位に転落するだけでなく、連敗の球団ワーストを更新する不名誉。連敗中、中には惜しい試合もあったのだが、連日の敗戦にストレスは溜まる一方だ。

しかし、今日は違う。初回に4番栗田がタイムリーを放つと、続く丸山がホームランで一気に4点を奪う。エース前山は絶好調。ここまで相手チームを散発3安打、無失点に抑えている。

今までの鬱憤を晴らすかのような試合運び。しかし、まだ試合は終わってはいない。

あとアウト1つ・・ アウト1つで、長く苦しい連敗地獄からの脱出だ・・ ファンは、ひたすら祈り、声援に声を枯らす。

スタジアムに駆けつけた3万人余りの注目が、前山と、対する打者に集中する。

前山が小さく頷く。捕手とのサインが決まったようだ。唇をキュッと引き締め、大きく振りかぶる。そして今、最後の1球が放たれる・・



次は「最後」でお願いします。

No.499 11/06/22 18:42
@紋次郎@ ( 30代 ♂ BGhZh )

>> 498 【最後】

今..まさに最後の時を迎えようとしている..

参加者は数名..

お互いの腹を探り合いながら相手の出方に全神経を集中させている..

起床と同時に投稿をチェック..
あ..まだ満レスじゃない..次のお題は..はぁ!?何とイメージの湧きにくい..

執筆中に先を越されるか..まだ時間はある..な

しかし..新参者が栄えある最後を飾るのも気が引けるな..

投稿チェック..まだ大丈夫か..落ち着いて執筆できないな..

みんなも同じ気持ちなんだろうか..

しかし、ここでどこの馬の骨とも知らない輩に

『ワーイヤッタネ🙌』

何てラストを飾らせるのも癪に障る..

間違ってもこのような事態に陥ることのないように諸先輩方に祈りを込めて..

ラストを飾って頂きたい..

【栄冠】

No.500 11/06/24 14:02
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 499 【栄冠】
「うーん、どの子がいいかな」

最終候補に残した三枚の写真を前にパリスは頭を抱えた。

彼はこういう時、酷く優柔不断になる。

「ゴージャスなイメージで行くならこの子ね」

あたしは三枚の内の一枚をもう少し彼の手前に置く。

「大臣の娘だし、話題性も十分よ」

しかし、彼は溜め息を吐く。

「何か、オツムが足りなそうなんだよな」

「それじゃ、この子は?」

あたしは最初の写真の上にもう一枚を重ねた。

「医学部卒の才媛ですって」

パリスは横目で睨む。

「ちょっと、色気に乏しいね」

「それじゃ、この子しかないわね」

あたしは最後の一枚を改めて眺めた。

「ほんと、セクシーな子だわ」

彼は、黙っている。

「本当はこの子にしたいんでしょ?」

パリスは視線を反らすが、否定しないのが一番の証拠だと思う。

「どの道、貴方が決めることよ」

最後の写真をデスクに放るとあたしは席を立った。

「私たちは貴方の決定に従うわ」

ビルを出ると、大臣の娘が派手なリムジンに凭れて立っていた。

「あたしが選ばれたら、パパがこの会社の後押しするって」

コンビニに入り、いつもの栄養ドリンクの棚に向かうと、才媛に出くわした。

「私を選べば、ボランティアで企業医も務めますよ」

マンションに着くと、写真よりも更に艶やかな女がドアの前にいた。

「もし私が選ばれなかったら、」

女は挑む様に微笑んだ。

「その時が見物ですわ」

翌朝、オフィスに着くと、パリスが昨日のままの服で出てきた。

「ヘレナ、僕の決定に従うと言ったね」

「ええ」

「次のイメージガールは、君だ」
(了)

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