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自分は47なのに、29の私に女として終わりと言う彼
彼女に敢えて冷たく接すべきか悩みます
どう接したらいいでしょうか?

お題リレー短編小説

レス500 HIT数 33299 あ+ あ-

高校生さん( 10代 ♂ 7JsUh )
11/06/24 14:02(更新日時)

普通のリレー小説では無いんですが!
お題リレー小説をしませんか?

つまりお題に沿った超短編小説(小話)を書きます。
書き終われば何か1つお題を出して次の方に回します。

お題をもらう。

お題に沿った小説(小話)を書く。

次の方にお題を出す。

こう言った感じです。
俳句や短歌、ポエムなんかでも全然OKです
尚、出すお題については“なるべく”自分の書いた話しに関与している物にして下さい。
例)
―――――――――
「もらったお題(タイトル)」

************
************
************



「渡すお題(タイトル)」
―――――――――
注)物語が終わらず続く物は禁止です。かならず1レスで物語を終わらせましょう。

お題をタイトルにしましょう。

お題(タイトル)は物語の初めに必ず書いて下さい。次に出すお題(タイトル)も物語の最後に必ず書いて下さい。

では、スタートです。

初めのお題「秋」

No.1160585 09/09/05 05:50(スレ作成日時)

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No.251 10/09/29 21:27
pure ( ♀ dKpJh )

>> 250 🎵【狐】
嫁いで半年も経った頃だろうか。姑から連絡があった。
「来週、屋敷奉りがあるから夕方にはうちに来るように」

帰宅した夫に屋敷奉りって何かを聞いた。
年に一回夕刻に、一対のお神酒、半紙にのせた尾頭付きの魚とお赤飯を持って、敷地内にある神様のところに、時計回りにお詣りするらしい。

実家の敷地内に神様がいたの?かなり広い敷地だから、分からないのは当たり前だが、そういう風習があることさえ私は知らなかった。

お詣りの日時よりも数日前、私は夫の実家に出向いて、神様がいらっしゃる場所を教えてもらった。そこには狐の形をした陶器がちょこんと顔を出している灯籠?のようなものがあった。

お稲荷様を祀り、五穀豊穣を願う。昔からの家は、大抵神様を祀っているらしい。

舅、姑、夫と四人で、懐中電灯の灯りを頼りにお詣りした。お詣りした後は、絶対後ろを振り向いたらいけない決まりも教えてもらった。
夕食はお赤飯とけんちん汁を食す。これも決まっているようだ。

あれから20年。舅は他界した。私たちの子供も加わり、年に一度家族の風習は引き継がれていく。

次のお題は
【お赤飯】

No.252 10/10/02 23:58
pure ( ♀ dKpJh )

>> 251 🎵【お赤飯】
娘がようやく初潮を迎えた。
早い子は小学四年ぐらいから生理が始まる子もいる中で、うちの娘は中学三年の夏までこなかった。
高校生になってもこなければ、病院に連れていくべきか?と心配にもなっていた。

「おめでとう」姑が炊いてくれたお赤飯で、家族みんなで、娘の成長を祝った。
娘は「何がおめでたいの?」と質問してきた。
学校で性教育は受けてきたけれど、どうもピンと来ないらしい。

ふと娘の質問に答えながら、自分も同じ質問を両親にしたことを思い出した。私が娘に説明している言葉は、はるか昔、紛れもなく両親から説明された内容だったことに気づかされる。
親の影響とは、知らず知らずのうちに脳内に受け継がれていくものかもしれないと思う。

ところで、私はお赤飯の炊き方を知らない。いつも祝い事のお赤飯は姑が炊いてくれる。
もし、孫が女の子だったら、私も姑のようにお赤飯ぐらい炊けるようになりたいと思った。

若い頃、姑を疎んだ自分の若気のいたりに気づかされ、もしかしたら、まだまだ教えて貰わなければならないことがあるように感じた。

次のお題は
【若気のいたり】

No.253 10/10/04 15:43
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 252 【若気の至り】
「小明(シャオミン)」
暗い廊下に来ると、彼女は震える声で言った。
「いつ上海に戻ったの」
「莉莉(リリ)、」
俺も言葉に詰まる。
「ずっと連絡しようと」
「ずっと前からね」
彼女は冷やかに笑った。
「可愛い奥さんも一緒に」
「あの子は違う」
「そう?」
「リリ、あの男とは…」
「別にいいでしょ」
リリは笑うのを止めた。
「貴方に何の関係があるの」
沈黙が流れる。
「幸せなら、」
俺の言葉に耳を貸さず、彼女は灯りの煌めく広間に戻っていく。
「良かった」
“Lily,”
あの男の声が聞こえた。
「車を待たせてある」

夜風がコートの隙間から忍び込んで体一杯に凍みていく。
Lily, Lily…。七年前、俺の胸で震えて泣いたリリはもういない。
「梁さん…」
小莉(シャオリー)は涙ぐんでいた。
「君ももう大人だね」
俺が笑うと、幼い顔が綻ぶ。
「その内、きっといい相手を見つけてやるよ」
大きな瞳が凍り付いた。
「梁さん、」
「明哥(ミン兄さん)でいい」
もう、同じ過ちは繰り返さない。
「君は俺の妹さ」
黒塗りの車が通り過ぎる。
もう俺とは他人の彼女の横顔が、一瞬浮かび上がって消えた。
次は【夜風】

No.254 10/10/06 07:17
ごんべー丸 ( ♂ 64Hjnb )

>> 253 【夜風】
「もう冬だな…」
一紀は空を見上げた。
青白く光る月と、冬の匂いの少し乾いた風…こんな夜が一紀は一番好きだった。

三年前、一紀と沙由美が出会ったのもそんな夜だった
裏切られ絶望した男と一時間半だけの泡沫の夢を売る女。出会うはずのない二人を優しい悪魔が巡り会わせた。

一紀と沙由美は奇妙な関係だった。沙由美には海の向こうに「彼氏」がいたし、一紀もそれを承知している。端から見れば二股女と間男であろう。しかし一紀はそれでよかったのだ…

そう、よかったハズだった…

一紀が自分の気持ちに気付いたのは、沙由美と出会って二年が過ぎた頃。男は女に恋をした。
そして…
一紀は沙由美の前から姿を消した…青白い月と乾いた風の夜だった

あれから一年…男は三年前と同じ場所に立っている。さっきよりほんの少し近付いた青白い光に包まれて、ゆっくりと柔らかな虚空へと足を踏み出した

「一紀っ!」

男の体を止めたのは沙由美だった。「よかった、やっぱりここに来た。今度は私が止める番よ。三年前に貴方がそうしてくれたみたいにね」

男と女の物語はまだ続いていく

No.255 10/10/06 07:18
ごんべー丸 ( ♂ 64Hjnb )

>> 254 文字オーバーでしたので、お題はこちら
【コンティニュー】
でお願いします

No.256 10/10/06 20:55
なおさん ( 40代 ♂ eqOJh )

>> 255 【コンティニュー】

深夜0時
突然テレビの画面が
消えた
いわゆる砂嵐状態だ
よく見ると 画面の向こうで 井戸のような物が映っている
私は 恐怖にかられながらも 目をそらす事が 出来なかった。
井戸の中から白い手が現れた時に 映った物は……


【コンティニュー】
続きをご覧になりたい方は
以下に 振込みをお願いします。

まさか振込み詐欺に
幽霊まで使うとは


しっかり払いました。

次は 【詐欺】

No.257 10/10/06 22:48
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 256 [詐欺]
男と女が視線を絡ませた瞬間から2人の騙し合い、駆け引き‥甘く危険なゲームが始まる‥
互いの眼が唇が、甘美な誘惑を身体から放つフェロモンが仕草に拍車を駆け、何時もの酒が媚薬に変わる。
「続きをシーツの上では如何かしら‥」
女が放つ餌に飛び付いた男が次のステージで丁々発止が待つ部屋へ胸を躍らせ、互いのフェロモンを最大限に振り撒いてBARを後にする。
「ホント詐欺よね‥」。

次は「フェロモン」。

No.258 10/10/08 07:47
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 257 【フェロモン】

「恵美、何永沢さんのお尻見とれてんの?
涎零れそうだよ」

「やだぁ!(苦笑)
だけど、永沢さんのお尻素敵じゃない?」


「えーっ!?
やだぁ、恵美どうしたのよ!中年のオジサンみたいな発言!」

「いや、前からさ、永沢さん色気有るなって思ってたんだ!
梓は感じない?」

「色気?」

梓は永沢の後ろ姿をジーッと見つめた。

「フェロモンてやつ?確かに永沢さんフェロモンあるかも?」

「でしょ、でしょう!永沢さんフェロモンムンムンだよね?!」

「恵美!ちょっと、その表現止めて!恥ずかしくなる!」
そう言って眉をしかめる梓。

「ごめん、ごめん!梓には刺激的過ぎたね」

「違うよ、オジサンぽいからだよ!
セクシーとか言ってよ」


永沢が突然振り向いた。

二人は慌てて
「山田商会さんの請求額これで良いの?」

「あ、あぁ、うん、そ、それで良いよ!」

「ありがとう」
「うん!」

永沢は営業に出て行った。

二人は顔を見合わせ吹き出した。


「今日ランチ何処にする?」
「トレビのパスタにしない?」
「ok!じゃ、昼まで頑張るか!」

二人はパソコンに集中した。

次は【パソコン】

No.259 10/10/08 14:37
pure ( ♀ dKpJh )

🎵【パソコン】
社内メールで、彼からメッセージが届く。

今日の夜 9時 いつものところで

同じ部署で仕事をし、お互い残業なのはわかっている。

チラッと、パソコンのディスプレイの画面ごしに彼を見る。
目を合わせようともしない彼を見てため息がこぼれる。

一体、いつまでこんな関係を続けるのか。雅代は自分が情けなくなる。今日こそは、別れようと思いながら彼と会う。
彼の長い腕に抱きしめられると、やっぱり離れられない、別れられないと体が感じてしまう。

彼は離婚するつもりだと言うが、それは有り得ない。雅代が家庭を壊す女ではないことを見込んで、2人が燃え上がるためのリップサービスに過ぎないのだ。

男はズルい。ただ一時の恋愛ごっこを楽しみ、家庭に戻れば良き夫、良き父親へと変貌する。

彼の深みにはまって、身動きの取れない雅代は、女の性の恐ろしさを思い知り、一線を越えてしまったあの日の自分の愚かさを後悔している。

次のお題は
【ズルい】

No.260 10/10/09 03:23
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 259 【ズルい】
「雅代、会社辞めるって本当か?」
「ええ」
「どうして相談してくれなかったんだ」
「貴方には帰るべき所があるでしょ」
彼女は笑顔で言う。
「それは、私じゃない」

後腐れなく終われたわけだし、これで、いいんだ。
夕食の箸を進める彼に、幼い娘の声が飛ぶ。
「今日ね、明子おばちゃんに会ったの」
「え?」
妻と旅行中の筈の知人である。
「おばちゃん、て声掛けたら、変な顔して走ってっちゃった」
「それは人違いしたんだよ」

「ババ抜きしよう!」
慣れない食器洗いを終えると、娘が走ってきた。
「分かったよ」
彼は疲れた顔で笑って娘の頭を撫でた。

「パパの負けだ」
カードの山の上にジョーカーを投げ出す。
ペアのカードを積んだ山の上で、たった一人で笑うジョーカー。
嫌な顔だ。思わずカードを裏返すと、唐草模様の上でセロテープが光った。
「ジョーカーのカードは一度背中が破けたからママがテープを貼ったの」
幼い娘は得意げに言う。
「だからすぐ分かっちゃった」
「そういうズルはダメだぞ、遥子」
「気付かないパパが悪いんだよ」
娘は白い歯を見せて笑っている。
「どうしてカードを破くの、パパ?」
次は【カード】

No.261 10/10/09 13:42
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 260 [カード]
一気に煽った酒がラインダンスを始めた。

「調子、どうよ?」。

隣の席に座った顔なじみの「仲間」がビール片手に話し掛ける。

「ああ、出ちまったんだよ」。
「へぇ‥お目に掛かりてぇもんだな。‥おやおや、獲物さん、いらっしゃいませ‥だ」。

飲み干したグラスを残してテーブルに着き、金と欲を誘うカードに「「仲間」の顔がニヤリと笑った。

俺の座った席だった。

「ストレート」。
「上がり、ですか?」。
ディーラーがカードを切る様にバーテンダーがグラスをテーブルを滑らせて手元に寄越す。

「お疲れさん‥何か飲みなよ?」。
「イイ事でもありましたか?」。

蓋の空いたビール瓶を片手に会釈するバーテンダーに笑いかけた手元の
「出ちまった」
ロイヤルストレートが黙ってギャンブラーを見上げていた。

次は「ギャンブル」。

No.262 10/10/10 22:41
なおさん ( 40代 ♂ eqOJh )

>> 261 【ギャンブル】
ああ、又負けた……
もう ギャンブルは止めた。

いったい何回決心すれば 止められるのだろう……

すでに 何回も止めているのに……
(止めるのを、止めたら、楽になるよ)

この声は 神なのか それとも悪魔の囁きか 気が付けば 又 ギャンブルをしている


ダメだ こりゃ。

次は 【懲りない】

No.263 10/10/11 00:01
pure ( ♀ dKpJh )

>> 262 🎵【懲りない】

泥酔状態で帰宅した夫。飲まれるまで飲むな!と繰り返し伝えても、一向に懲りない。

夫は水を飲むようにお酒を飲む。まるで誰かが取り憑いているみたいだ。
若い頃は、喧嘩っ早くて飲み仲間に抱えられ、血だらけで帰宅したこともある。
誕生日にプレゼントしたブランドのセーターもボロボロになり、時には救急車で運ばれたこともあった。

しらふの夫は大人しい。無口でシャイ。飲むと気がデカくなる。
時々、彼の前に彼しかわからない人が現れるらしい。見えない存在と喧嘩を始める。


佐藤さん、こちらへお入り下さい。
私はアルコール依存専門病院を訪れた。
家族外来と研修で、浴びるように飲酒する夫が心の病からくる症状だと知った。

夫を心の病から救うことが出来るだろうか…断酒は難しい。でも、小さい頃の生い立ちを鑑みて、妻として残りの余生をたくさんの愛で溢れさせたいと心に決めた。

次のお題は
【心の病】

No.264 10/10/11 09:32
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 263 【心の病】
「ああ、またか」
努めて笑顔で応じながら、私は内心ウンザリする。
精神科医というものは、あまり有名になるべきでない。
世間に顔を知られたが最後、
電車でたまたま一緒になった相手からも声を掛けられる。

「詳細はクリニックで伺います」
と適当な所で名刺を渡して降りるのだが、
相手になった私まで他の客から妙な目で見られるのだからかなわない。

「毎日毎日おかしな人間ばかり相手にして、胃が痛いよ」
この一月は特に妙な患者ばかりだ。
自分の症状より私への質問に熱心な会社重役とか。
「それじゃ一度、病院へ行きましょう」
妻は私の背を押して車に乗せると、郊外の病院まで深夜の道を走った。

「最近、クリニック以外の場所でも心を病んだ方から次々声をかけられるので
過労気味なのですよ。」
白衣の男は私の言葉に深い同情を込めて頷くと、
妻に声を掛けた。
「奥さん、いつからこうなりました?」
「一月程前、リストラで会社を辞めてから様子がおかしくなりまして…」
私をそっちのけで話し始めた二人を見ながら、背筋に悪寒が走るのを感じた。
どうやら、こいつらも全員心の病の様だ。
次は「患者」

No.265 10/10/12 00:56
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 264 [患者]
「あの‥センセ?」。
一通りの質問に答えるが、言葉に表情と目と身体の動きが一致しない‥「ウソだ」。
目の前の女性患者に「嘘」を感じた。

問題は「嘘」から如何にして「真実」を語らせるか、なのだ。

「患者はウソをつく」。
恩師の言葉に「嘘」は無かった。

「じゃ、この写真の女性は貴女よね?
何故、彼と一緒に歩いているの?教えて?」。
目の前の女性患者が息を呑み、観念した諦めの顔で話し始めた。
「彼は…」。

真実を話す患者を映す映像を見る度に、自分がウソツキに思え、患者を騙し罪悪感を抱く‥。
そろそろ恩師に診てもらおうとするか。

「センセ‥診てもらえませんか?」。

次は「嘘」。

No.266 10/10/12 01:36
pure ( ♀ dKpJh )

>> 265 🎵【嘘】
小さい頃から、嘘は絶対ダメ。正直に生きなさいと親から言われてきた。でも、大人になると、いつしか嘘も方便と言う言葉と行いを学ぶ。

この境目は、個人の価値観と判断に委ねられる。

自分の若い頃を棚に上げ、娘が年頃になると、彼氏の存在がヤケに気になる。

遊び放題だった夫は、娘を一生嫁に出すまいと決めている。自分だって、散々女をクイモノにしたくせに、矛盾している。

「彼氏が出来ても、絶対パパには言えないね」
娘は半ば父親の嫉妬深さに辟易している。

夫の様子を見ながら、私の父もどれだけ私を心配していたか?手塩に育てた娘の行く末は、言いようも知れぬ不安と心配の連続なのだと思い知る。
年老いた私の父は、未だ私の行く末を気に留め、最近では私の娘である孫まで心配している。

過保護なのかもしれないが、私はそこに愛を感じずにはいられない。

次のお題は
【過保護】

No.267 10/10/12 20:05
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 266 [過保護]
「行くよ~」。

゙え💦行くの?
雨だよ?
せっかくの毛並みが濡れちゃうじゃん?゙

「まったく、犬らしくない奴だなぁ‥」。

゙😨えっ?何?それを着せるの?゙

「レインコートを着ないと雨の日に散歩に行かない犬なんて‥でも着るとメチャ可愛いから許しちゃう💖」。

゙😨着たくないよぉ💦みんなと会うからぁ💦恥ずかしいょ😭散歩したくなぃい(ノ△T)゙

「やあだ💘そんなウルウルおメメしちゃ💕写メ撮っちゃう⤴」。

゙みんなから見ても過保護だと思わない?゙
゙親バカっていうの。゙
長い尻尾をユラユラさせる猫が欠伸をした。

次は「欠伸」。

No.268 10/10/13 00:12
pure ( ♀ dKpJh )

>> 267 🎵【欠伸】
3限の授業は眠気に襲われる。大学に入学して、早半年。前期が全単とれたのに気を良くして、ちょっと気持ちが緩み始めて来たようだ。

特に水曜日の3限は、抑揚のない語り口調の教授。欠伸が止まらず、化粧のマスカラが欠伸の涙でヤバいことになりそうだ。
少人数の授業だから、思いっきり寝るわけにもいかず、窓越しの緑の木々を眺めながら、また欠伸を一つ。

教授が咳払いをした。慌て黒板に目をやると、教授と目があってしまった。
君は、今の観点からどう考えるかね?
突然の質問に、上の空の私はしどろもどろするしかなかった。

ヤバい、ラクタンだと聞いていたのに、話が違うじゃん。この爺教授は侮れないと実感した。

次のお題は
【教授】

No.269 10/10/13 02:27
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 268 [教授]
彼に振られたばかりの私に次の課題曲は…
「どーして⁉こういう時に限って、この曲なワケ⁉」。
ピアノを前に投げやりな音が、唯、つんざく。

「なんか、ヤな音だなぁ‥ピアノが気の毒だよ💦」。

フラリと現れた教授が私の背後に回り、
私に被さる様にして鍵盤の上にある私の手を重ねて課題曲を弾き始めた。

゙うわ💓うわ💓゙

ギリシャ系の風貌に緑色の瞳の教授を間近で、しかも隣!

吐息に‥
淡いオー・デ・コロンの匂い‥
突然の事にドキドキ💓鼓動が速まり、顔が赤くなるのが😳バレませんように💦。

「この曲は愛にときめいて喜んでいる曲なんだよ。
今なら弾けるよ👍
ドキドキ💓感、わかるだろ?」。

それ以来、教授の淡いオー・デ・コロンが私の匂いとなり、

課題曲の題名は

「愛の夢」だった。


次は「ピアノ」。

No.270 10/10/13 08:44
pure ( ♀ dKpJh )

>> 269 🎵【ピアノ】
もうすぐピアノの発表会がある。長女はかなりの肥満児で、デパートでそれらしい可愛いドレスを購入したくても、なかなか合う服が無い。
電車を乗り継ぎ、銀座や新宿と探してみるが、なかなか思うようにいかない。
せっかくの休みを娘のために費やし、あれこれ試着させるが、どれもしっくりいかない。
だんだん腹が立って来た瑞恵は、「全く、お前がデブだから、なかなか合うものが見つからないじゃない」と足が棒のようになる中で、娘に罵声を浴びせた。娘は、目に涙を溜めて
「ママ、ごめんなさい」と言った。

あれから五年後…思春期に入った娘は、今引きこもり状態、拒食症になってしまった。

必死に探した桜色のワンピース。エリーゼのためにを弾く娘の写真を眺めながら、瑞恵は虚しくなった。
もっと一緒に、娘と笑いながらウィンドウショッピングをしたかった。今更ながら、未熟な子育てしか出来なかった自分をただただ情けないと思うばかりだ。

せめて、ピアノを弾く楽しさを思い出して欲しい。瑞恵は、娘の心に届いて欲しいと願いながらエリーゼのためにを弾き出した。

次のお題は
【写真】

No.271 10/10/13 18:01
陽子 ( ♀ oQ9K )

>> 270 【写真】

リビングに置いた写真に話し掛ける。

『この後皆でどんなお喋りしたの?』

『恋話した?』

『服は何処で買うの?
それ凄く似合ってるよ♪素敵!』


『その髪型どう言ってして貰ったの?
私、美容院苦手なんだけど、苦手じゃなかった?
お化粧もバッチリだね!私、お化粧もあんまりしないんだ。
なのにね、娘二人共お化粧バッチリなんだよ。』

『指輪とかも好きなんだね。
娘達もだよ。
私は指輪とかアクセサリー苦手何だけどね』


『綺麗だったんだね、お母さん』


先日お墓参りの時に、兄がコピーして持って来てくれたセピア色の独身時代の母の写真。

『お母さんと色んな話したかったなぁ…お母さん…』

次は【隔世遺伝】

No.272 10/10/13 18:59
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 271 [隔世遺伝]

涼しげな切れ長の一重の親に、
くっきり二重の私。
ホントに両親の子なのかなぁ‥。
「あんたは橋の下から拾って来たのよ(笑)」。

…今となっては笑い話だけどホントに悩んだのよ?(苦笑)。

「まさかね‥お祖母ちゃまと結婚した相手と同じ国の方と結婚するとは思わなかったわよ?血は争えないわね‥益々、そっくり似て来てるわよ?花嫁衣装を着た時は、お祖母ちゃまかと思ったわ(笑)」。

…おしゃべりなトコが似なくて良かったわ‥お母さん(笑)。

次は「目👀」。

No.273 10/10/13 19:37
pure ( ♀ dKpJh )

>> 272 🎵【目👀】
人を見る目が無いと痛い目に遭う。

子供の頃は純粋無垢なものだと思いがちだが、魂レベルは肉体の幼さとは比例しないらしい。

お釈迦様の額の真ん中にある目は魂の目。だから眉間にシワを寄せると真実が見えない。常ににこやかに穏やかな表情で人と接していけば、間違った道には進まない。
よく父がそんなことを言っていた。

酸いも甘いも経験した熟年に達すると、2つの目だけで、人を見るというよりも、魂の目で視る力が備わるような気がする。
見た目が美人できれいな人も、年寄りになればシワも出来る。化粧品でいくら隠しても、生き様は顔に出てくるようだ。
器量の良し悪しは遺伝で変えようが無いが、生き様は本人の心持ちで変わっていける。

人としてきれいに生きる。いつか訪れる死を迎えたら、この世に未練を残さず、キッパリあの世へ旅立ちたい。そのためにも精一杯自分らしく生きようと思う。

次のお題は
【未練】

No.274 10/10/14 01:23
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 273 [未練]
ショーウィンドウ越しに各ブランドの旬物が悩まし気に囁き掛ける。

「ねえ~💕ねえ~💕買ってって~💕」。

魅力的な誘惑の中で一際、強いアピールする鞄と目👀✨が合った私は迷わずに鞄を手にすると‥。

店員さんが近づいて来た。
「お客様、申し訳ありません💦その鞄はディスプレイ用で販売してない物でして‥」。
「あら‥💦」。
見てみると👀‥鞄の後ろが全く色も素材も違う、ディスプレイ用の鞄だった。

゙ヤラレた!それはそれでイイなあ゙。

泣く泣く‥
鞄を放し‥
未練たっぷりの私を見送る
ショーウィンドウの元の位置に就いた鞄がウィンクする。

「悪く思わないでね」。


次は「買い物」。

No.275 10/10/14 09:08
pure ( ♀ dKpJh )

>> 274 🎵【買い物】
田舎に住んでいる若者は都会に憧れる。
娘はテレビでみる原宿に憧れを抱き、いつか連れて行って欲しいと懇願した。
高校生になると、ファッションに興味を抱き、おしゃれを楽しみたいと思うものだ。
私もかつて、高校時代には、よく学校帰りに原宿や渋谷に出かけた。大型ショッピングモールでしか買い物が出来ない環境は物足りないのかもしれないと思う。
週末、娘を連れて新幹線に乗り、原宿へと向かった。田園風景からビルが建ち並ぶ風景に変化していく様を眺めながら、娘はワクワクしている。
原宿駅から竹下通りに入ると、まるで年末のアメ横のような人だかりだ。活気のみなぎる雰囲気に圧倒されていた娘だが、すぐに順応していた。予算を決め、好きな物を自由に買い物させた。帰りには抱え切れない買い物袋の数になった。

「ママありがとう」帰宅後、一つ一つ袋から大切な物を扱うように、買った物を取り出し、嬉しそうな娘を見ながら、連れて行って良かったと感じた。
そのうち親と出かけることも無くなるだろう。この買い物旅行は、娘のためではなく、私の思い出作りだったのかもしれない。

次のお題は
【新幹線】

No.276 10/10/14 13:31
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 275 [新幹線]

始発の新幹線ホームには様々な人々が混じり合うが
人々に混じって荷物の大きさと量と派手な私達の存在が目立つ。

゙もう、慣れたけどね。゙

「お疲れ様です🙇久しぶりですね~今週は何処ですか?小倉なんですよ💦」。
「お疲れ様‥移動だけでもお疲れ様だよね💦~今週は名古屋💦じゃあね👋」。

ホームだけでなく、新幹線内でも会う事が多いが
向こうが知っていて私の記憶が曖昧気味な時がある。

「お疲れ様ですぅ🎵憶えてますかぁ?」。
「お疲れ様~今週、何処?」。

言葉が話を綴り続ける
ココロの中では
「あんた誰💦誰だっけ?💦何処で会った💦?」。
頭の中では朧気な記憶帳をひっくり返して相手を思い出そうとしている。

「頑張って下さいね~✨👋」。
「ありがとうございます🙇✨👋」。

゙誰だっけ?゙…ああ💡思い出した🎵゙

荷物を邪魔にならない様に置いて
席に深々と身体をうずめた
私の脳裏に浮かぶ記憶帳と一致した彼女に安心して睡魔が近寄って来た。

新幹線での移動時間は踊り子さんにとって
貴重な睡眠時間でもあった。


次は「移動」。

No.277 10/10/15 00:57
pure ( ♀ dKpJh )

>> 276 🎵【移動】
新幹線にするか、高速バスにするか。出張をする時には、交通の移動手段で悩むことがある。
地方から首都圏を通過して移動するとき、乗り合わせの時間や到着時間で、プラスαのお楽しみを味わえるか否かを考えると、過酷なスケジュールでも心無しか気が晴れる。

北関東から神戸に向かう。深夜バスを利用して、大阪まで出て、それから在来線で神戸に向かえば、朝早く新幹線を乗り継いで行くよりも出張費が浮く。
いや、京都で下車して、京都タワーの銭湯で体を清め、それから神戸まで新幹線を利用しようか…インターネットであれこれ調べていくうちに、どんどん楽しみが膨らんでいく。

今回は京都で下車した。リクライニングのゆったりしたバスで、ぐっすり寝て、朝風呂に入る。水風呂でシャキッとした気持ちになり、しっかりとメイクを施した。

講師の仕事は、巡業と似たような感覚だ。どんな人との出会いがあるか。大阪はノリが良いが神戸はどうだろう。

震災後、初めて訪れる神戸。震災の映像を思い出しながら、都市再生の街並みに複雑な気持ちを抱いた。

次のお題は
【巡業】

No.278 10/10/15 04:48
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 277 [巡業]

2ヶ月前に来た時は猛暑の頃だったから、🍺ビール缶だらけの客席だった。

「プルタップにチップを挟んだビール缶の差し入れを頂いてたっけ…。」

久々に来たステージで新しい作品を御披露目する。

「差し入れには‥おひねり付きの日本酒がイイなぁ🎵」。

常連さんや見慣れた顔も揃っているだろう‥。

巡業の幕が上がる。

ステージに立ち、ライトを浴びた瞬間に
私に集中する視線と音の洗礼を
ゾクゾクと鳥肌が立つ興奮を楽しむ。

この瞬間があるからヤメラレナイ。

1ヶ月後には私は違うステージに立つ。

「次の所で、新しい作品を考えなきゃ‥正月かぁ‥」。

巡業に携わる人に関係なく、1年が急ぎ足で過ぎて行く。

人、様々な思いを抱きつつも巡業は年末年始に向けて大きくシフトチェンジし始めた。


次は「作品」。

No.279 10/10/15 13:18
pure ( ♀ dKpJh )

>> 278 🎵【作品】
楽焼きの陶芸を始めてかれこれ40年。地元で著名な先生にいろはを学び、ようやく納得のいく作品が出来るようになった父の恩師。
趣味が高じて、茶道の世界に興味を持ち、歴史や茶道具の研究まで行い、自費で茶道の著書も出版した。

父の恩師は欲のない、少々変わり者だった。出会いは中学の美術の先生と生徒。半世紀にも渡る師弟関係が続いたのは、芸術の世界だったからかもしれない。

恩師は楽焼きで腕を上げたため、鎌倉のお寺から議員経由で作品を頼まれた。その地域の土を使い五色の茶碗を作成する予定だった。3つまで茶碗が出来上がり、恩師はお寺を訪ねた。
久しぶりの自分の作品と再会した時にハプニングは起きた。本物の作者だと知らぬお寺の坊主が、高価な茶碗を手に取る恩師に罵声を浴びせたのだ。それに腹を立てた恩師は結局五色の茶碗まで制作するのをやめてしまった。お金は一切いただかず寄贈である。作者も住職名だったと言うから、無欲な恩師が腹を立てても仕方ない。

人の才能を利用し、後世に自分の名前を残したかった住職の欲が五色の茶碗を幻に変えた。

次のお題
【幻】

  • << 281 [幻] 「汝、健やかなる時も病める時も互いに支え合う事を誓うか?」 10年前の今日、 純白の総レースのベールにウェディングドレス姿の私が、 颯爽とした彼の傍らで未来を誓い合った‥。 10年後‥ 颯爽としていた彼は何処へ? 今日は何の日か憶えてる? いつもよりも 手の込んだ料理に 黄金色のシャンパンが 旦那を前に色褪せて来る。 「ちょっと待ってて」。 旦那は 薄暗くした部屋の中で 隠していた 10本の燭台の灯火を1つずつ点けていく。 2人の瞳が 燭台の灯火を追って10本目の燭台に灯された。 「10年、ありがとう」。 燭台の灯火に照らされた ダイヤモンドの首飾りを私の首に付ける旦那は ゙幻゙では無く 10年前の今日 私の傍らにいた颯爽とした彼だった。 次は「感謝」。

No.280 10/10/15 19:04
もぅ ( MIlSh )

>> 279 [幻]
私の産まれてくる筈だった赤ちゃんは死んでしまった。最近、毎夜赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。
ある日スーパーへ行くと3年ぶりの友人の志保に会った。ベビーカーに赤ちゃんを連れている。胸の奥に何か分からない感情が沸き上がる。
悟られまいといつもの様に明るく振る舞い、たわいもない世間話しをしていると、志保が『ごめんトイレ行く間ちょっとだけ見てて貰える?』とトイレまで走っていった。赤ちゃんはスヤスヤと寝ている。
私の子も産まれていればと頬に触れてみると、また何か分からない感情が沸き上がってきた。
この子は産まれてきたのに、何故私の子は産まれてこれなかったのか?志保はあんなに幸せそうなのに、私は…私は…。何故?何故?憎い憎い憎い。
頬に触れていた手を首に回す。ぐっと私の腕に力が入る。
その時、赤ちゃんの目がパッと見開き私と目が合った。
赤ちゃんの口が小さく動く。『ママごめんね』はっと我に帰り手を離す。何?今の…。赤ちゃんはスヤスヤと眠ったままだ。

その日から赤ちゃんの泣き声が聞こえる事はなくなった。あの時赤ちゃんの霊が来てくれたのか?それともただ私が幻を見ただけなのか?お題[赤ちゃん]

No.281 10/10/15 19:25
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 279 🎵【作品】 楽焼きの陶芸を始めてかれこれ40年。地元で著名な先生にいろはを学び、ようやく納得のいく作品が出来るようになった父の恩師。 趣味が… [幻]
「汝、健やかなる時も病める時も互いに支え合う事を誓うか?」

10年前の今日、
純白の総レースのベールにウェディングドレス姿の私が、
颯爽とした彼の傍らで未来を誓い合った‥。

10年後‥
颯爽としていた彼は何処へ?
今日は何の日か憶えてる?

いつもよりも
手の込んだ料理に
黄金色のシャンパンが
旦那を前に色褪せて来る。

「ちょっと待ってて」。

旦那は
薄暗くした部屋の中で
隠していた
10本の燭台の灯火を1つずつ点けていく。

2人の瞳が
燭台の灯火を追って10本目の燭台に灯された。

「10年、ありがとう」。

燭台の灯火に照らされた
ダイヤモンドの首飾りを私の首に付ける旦那は

゙幻゙では無く

10年前の今日
私の傍らにいた颯爽とした彼だった。


次は「感謝」。

No.282 10/10/15 20:10
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 281 [赤ちゃん][感謝]

ただ‥ただ‥

「赤ちゃん、ありがとう」。

双子だとは
思わなかった‥。


次は「予想外」。

No.283 10/10/15 22:00
pure ( ♀ dKpJh )

🎵【予想外】
子供たちが結婚するまで、親元を離れることは無い。近郊の大学に進学し、家族が離れ離れになるとは到底想像もつかなかった。
長男も長女も「ひとり暮らしはイヤだ。自宅から通える大学にする」と言っていた。
ところが、蓋を開けてみれば、やりたいことに拘らせたことが仇となり、わざわざ他県へと進学してしまった。

夫婦二人。空いた子供部屋を眺めて、こんな大きな家を建てなきゃ良かったねと引きつり笑い。払い続ける住宅ローンの負担を考えると、予想外の展開だった。
四年間も離れて生活すれば、子供たちは、もう別所帯の感覚になってしまうのだろうか。

振り返ってみれば、最初は夫婦二人きりのスタートだった。子供が一人、二人と増え、それが当たり前になり…そしてまた夫婦二人きりに戻っていく。
空気のような夫婦になった私たちは、老いた体を労り合いながら、夫婦の再スタートを切る。
共に白髪が生えるまで…から、今度はどちらかがどちらかを看取るまでに目標が変わった。

次のお題は
【看取る】

No.284 10/10/16 18:33
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 283 [看取る]

母を看取って3年になるが

「看取る」事を経験するのと
「しない」のでは
雲泥の差がある。

最後まで介護に携わなかった
長兄と義姉は
「介護する」事を知らずに
「介護される」方になる。

ある意味、幸せで
ある意味、不幸だ。

介護を押し付けられた私達は

長兄と義姉に「✋手も、👅口も、💰金も出さない」。

決意をした。

己自身がした事は必ず己自身に返って行く事を

あの2人は未だに知らない。

まだ、時間は
たっぷりある…。

それでなくとも
私達よりも
速く逝くのだ…。

あの世で母に
どのツラ下げて会うのかね‥。

楽しみだよ。

母の3回忌
穏やかな微笑みを浮かべる母の遺影が
より謎めいた微笑みを私に投げかけた。

次は「投げる」。

No.285 10/10/17 18:32
もぅ ( MIlSh )

>> 284 [投げる]
またこの夢だ。
小学校の時の校舎を歩いて理科室の前まで行くと、横の階段から黒い布を被った男がノソノソと現れ私に斧を投げ付けてくる。いつもそこで目が覚める。

今日も何故か理科室まで歩いて行く。ノソノソと男が現れた。男が斧を投げる瞬間、私はバッと身を屈めた。斧が勢いよく壁に突き刺さる。
いつもと違う!
壁に突き刺さった斧を抜きおもいっきり男に投げ付ける。その瞬間、男の姿がパッと消えた。
へへ…。いつもと違う。

斧を持ったまま校舎内を歩いていると、また男が現れた。勢いよく斧を投げると、パッと姿が消える。
バイオハザードみたいだ。楽しくなってくる。その後も2、3人倒しただろうか。

そういえば、私はいつ目が覚めるのだろう?
[目覚め]

No.286 10/10/18 19:25
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 285 [目覚め]
今迄
暗闇の世界しか
知らなかった。

「包帯を取るよ」。

暗闇の視界に
初めての光が眩しい。
「リハビリしないとね」。

初めての
顔‥顔‥顔‥。

お母さんとお父さん。
お兄ちゃんとお姉ちゃん。

医師の先生と看護士さん。

‥゙あの人は?゙‥。

一番
見たかった顔は‥

私の瞳になった。

それから
目覚める度に

゙あの人の瞳゙を持つ私は

女の眼なのに
男の眼をも
持つ様になった。


次は「持つ」。

No.287 10/10/19 01:25
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 286 【持つ】
「阿偉(アウェイ)」
あの人はいつもの笑顔で言った。
「また怒られたのね」
柔らかな手が俺の頬をつつくと、薔薇の香りが薫る。背筋が震えた。

「華姐(ホアチエ)、仕立屋とお電話が繋がりません」
蓉蓉(ロンロン)が急に蒼白い顔を出す。
「じゃ、車代やるから、あんたが服を取りに行って頂戴」
あの人は冷淡に告げると、札びらを床に放る。
蓉蓉はか細い体を屈めて拾う。
「無駄遣いすんじゃないわよ」
「はい」
哀れな少女は緑色の目を伏せて答えた。

「これ、飲む?」
蓉蓉が出ていくと、あの人は手元の洋酒を指した。
「勿体無いです」
「景気付けにいいのよ」
「叱られますから」
相手は黒い目を冷たく光らせた。
「臆病ね」
俺はポケットの中で小刀を握り締めたまま、ガタガタ震えた。

「阿偉」
むせかえる様な薔薇の香りの中で俺は目を覚ました。
「またうなされたのね」
柔らかな手が額の汗を拭う。
「洋酒飲む?」
「いい」
「真っ青だわ」
「何でもないんだ」
相手は緑色の目を光らせて微笑む。
「臆病ね」
「蓉蓉…」
俺は目を閉じる。
お前はいつから、そんな匂いを持つ様になったんだ。

次は「夢」

No.288 10/10/19 01:42
pure ( ♀ dKpJh )

>> 287 🎵【夢】
空襲で逃げ惑う。娘を抱きかかえ、火の粉を交わしながら、ひたすら走る。この子を何とか助けなければ…

民家が見えた。火の粉が飛び交う中、走ってたどり着いた家の前には、松ノ木があり、そこに着いた時、やっとこの娘を助けられたと安堵した気分になる。そしていつもそこで夢から覚める。

何故か知らないが、いつも父はそんな夢を何回も見たらしい。

そして、縁あって私が嫁いだ家には、立派な松ノ木が佇んでいた。

父は、その松ノ木を見たとき、何回も見た夢との偶然に驚いたという。

父には元々霊感がある。父の夢を通じて、私はここに嫁ぐべくしてやって来たようだ。

その割には、波乱万丈ではあるが、それもまた私の運命なのかもしれない。

次のお題は
【波乱万丈】で
お願いします✨

No.289 10/10/19 13:37
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 288 [波乱万丈]

他人から見ると
「波乱万丈」な生き方でも
本人は知らない。

そういう星の元に
誕生しただけ‥

そうでもなきゃ
自分が納得しない。

納得できない。

パラシュートを背に仲間と一緒に飛び降りた。


次は「納得」。

No.290 10/10/20 02:25
pure ( ♀ dKpJh )

>> 289 🎵【納得】
両親が離婚することに、私たち姉妹は納得していた。子供である私たちも家庭を持つ身になったし、夫婦の問題として、自分たちで決めたことなら、あえて口をはさむのもどうかと思ったからだ。
両親が離婚と決まって、いざ具体的な話になると諍いが益々たえなくなった。どちらが家を出て行くかで揉めたのを皮きりに、家財道具の一つ一つをどう分けるかで話がつかないらしい。
そのたびに、父から、母から別々に連絡が入る。どちらの言い分も分からなくはないだけに、突き放すわけにもいかない。猫の額ほどの庭付き一戸建てを売りに出したところで、年季の入った中古物件などたかが知れた金額しか貰えまい。幾ばくも無い寿命を考えれば、あえて、今から一人暮らしをするのは不経済だ。死んだら遺品の片付けも一軒余分に面倒見なけりゃならない。お墓もしかり。
熟年離婚が流行っているようだが、やっぱり離婚はしないで済むならしない方がいい。
両親のくだらないもめ事を耳にしながら、いい加減にして欲しいと思わずにはいられなくなった。
次のお題は
【遺品】

No.291 10/10/20 13:35
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 290 【遺品】
「鬼婆め」
あたしは人力車の座席から道に唾を吐く。
「せっかく阿偉(アウェイ)が来たっていうのに」
彼はまだ下っ端だから、老大(ボス)の使いで華姐(ホアチエ)の元に来る時が
顔を合わせる数少ない機会だ。

それなのに、今日は彼が現れた途端、華姐は仕立屋に行けと言う。むろん取りに行くのは姐さんの服。意地悪としか思えない。
「あんな女、死ね!」

阿偉はまだいるかな。受け取った服を抱き締めて帰り道を急ぐ。
しかし、アパートの前には、行く手を阻む様に人だかりが出来ていた。
「殺しか?」
「いや、身投げだろ」
「あんな別嬪がなあ…」

「華姐は知ってたんだ」
阿偉は震える声で言った。
「自分が消されるって事」
そう言うと、彼はポケットから何かを取り出して叩き付けた。

「蓉蓉(ロンロン)、あの人は笑って飛び降りたんだよ」
彼を抱き止めながら、あたしは床に転がり落ちた、夜目にも鋭く光る小刀の刃を眺めていた。

「華姐」
一枚きり残した写真にあたしは今日も問い掛ける。
「あの時はあたしを助ける為に、一人で行かせたの?」
姐さんは勝ち誇った笑いを浮かべるだけで、何も答えてくれない。

次は【写真】

No.292 10/10/20 14:29
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 291 [写真]

祖父ちゃんの
仕事場での写真には
💻パソコンも📠FAXや📱ケータイが無い。

モノクロの写真に
姿勢を正して座る
祖父ちゃんの
机の上に

祖父ちゃん以上に
姿勢正して
大きな「算盤」が

お行儀良く
誇り高く

祖父ちゃんの前に
座って居た。


次は「座る」。

No.293 10/10/22 02:07
pure ( ♀ dKpJh )

>> 292 🎵【座る】電車に乗り、いろんな人を見るのはおもしろい。特にシルバーシートに座る若い人。老人がシルバーシートに立ちはだかると、慌てて寝たふりをして気がつかないようにしたり、見てみぬフリをする光景がなんとも滑稽だ。どんな気持ちで座っているのかインタビューしたくなる。

昔なら、サッと席を譲る人が、シルバーシートにかかわらずいたように思う。思いやれない人間が増えたのも情けないが、シルバーシートを作った所以もうなずける。

さて、先日のことだ。珍しく、サッとした身のこなしで、入って来た老人に席を譲った若者がいた。相向かいに座っていた外人がそれを見て学び、真似をして、同じく連れの老人に席を譲った。譲らなかった人を観察すると、しまったと言う表情が見て取れる。

改札口を出てから、子供にあの光景をどう思ったか聞いてみた。「席を譲ったあの人たちはかっこよかったね。私もそんな大人になるよ」と返答してくれた。
良い行いを見ると、さわやかな気持ちになる。そして人の振りみて我が振り直す精神も学ぶような気がする。

次のお題は【大人】

No.294 10/10/23 20:36
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 293 [大人]

「゙大人゙って奴は…」。

ケンカで
頭を冷やしに来た
公園のベンチで
1本のセブンスターに灯火を点けた。

ふと、何処からか
歌が流れてくる。

~🎵
さよならを
繰り返し
君は大人になる

ときめきと戸惑いをその胸に

さよならを言えただけ
君は大人だったね
~🎵

紫煙に混ざる歌が魂に響く。

あの時に
あの歌を聴かなかったら

大人の私は
居なかっただろう。

「時間です」。

今でも
マイクの前に立つ
私の中で
あの歌が魂に響いている。


次は「響く」。

No.295 10/10/23 23:52
pure ( ♀ dKpJh )

>> 294 🎵【響く】
真夏の暑い日差しが照った夕刻は、必ず落雷が落ちる。ピカッと地面まで光る稲光とともに、雷が怒涛のごとく響く。

彼に思いを打ち明けられた日。雷の響く音と私の心が揺さぶるような気持ちが一緒になりドキドキした。

雷が鳴り響いた後は、勢いよく夕立が始まる。アスファルトを打ちつける激しい雨の音。

不意の夕立に、びしょびしょに濡れながら、雨宿りをする場所に走り出す人。

そんな光景を見ながら、彼が私の肩を抱き、キスをしてくれた。初めてのキスは、わけも分からず、意識が遠のき記憶すら定かでない。

夕立は、流れる雨雲とともに北へと向かい、先ほどまで真っ暗だった景色は、ほのかな夕暮れのオレンジ色の雲を映し出した。

故郷に帰省するたび、夕立とオレンジ色の空を見ると、淡い初恋を思い出しては、ピュアなあの頃の自分を取り戻す。

心が荒んだら、必ず帰る場所。故郷は私の原点だとしみじみ思う。

次のお題は
【ピュア】

No.297 10/10/24 01:00
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 296 「剥き出しのピュア」が
躊躇無く
引き金を引く。


反省💦間違えて💦
レスオーバーしてしまい💦
申し訳ありませんm(_ _)m

次は「引く」。

No.298 10/10/24 02:45
pure ( ♀ dKpJh )

>> 297 🎵【引く】
嫁入り道具のタンスの引き出しを引く。
しばらく見ることのなかった着物の数々。
娘の七五三で着る着物をどれにしようか。
実家が仕立ててくれた桃色の訪問着。アラフォーにさしかかった今となっては、少々恥ずかしい色合いだ。
藤色の訪問着を引っ張り出した。白い花の刺繍が施してある。萌葱色の色無地とどちらにしようか悩んだが、インスピレーションで藤色に決めた。
冠婚葬祭には、やはり着物を着たい。こんな時しか袖を通さないが、背筋がピンとして気持ちが良い。

たまには着物もケアをしないといけないなと思いつつ、タンスの引き出しをあちこち引いてみると、中学時代にもらったラブレターが出てきた。

夫には見せられない。きっと嫁いだばかりの私がタンスに忍ばせておいたのだろう。今の今まで忘れていた。

携帯もなかった時代。君の笑顔は太陽のようだ…中学でもらった手紙を読みながら、中年太りで頭が禿げてるかもしれない彼を想像した。

今やラブレターはあり得ない。メールが主流だろう。便利さは情緒的な部分を少しずつ蝕むような気がした。

次のお題は
【蝕む】

No.299 10/10/24 17:25
ヴァノーラ ( URR6h )

>> 298 [蝕む]

‥まだ満月じゃない‥

1人、闇に蝕む月を
見上げる。

飢えに襲われる感覚が短くなってきた。

人としての感覚が
無くなる前に
為す術を知らぬ己自身に

沈黙を守る銀色の月が闇夜を照らす。

己の嘆きが遠吠えとなった。

‥もう、時間がない‥

次は「時間」。

No.300 10/10/24 23:09
秋扇公主 ( aVaWh )

>> 299 【時間】
「阿茉(アモー)、お前、まさか」
俺は流しに吐いた彼女の肩を掴んだ。
「ごめんなさい」
彼女は俺から目を反らす。
「ちょっと気分が悪くて」
「悪阻だろ」
「本当に具合が悪いだけ」
「何ヶ月だ?」
彼女は青ざめた顔を背ける。
「あんたの子じゃないわ」
「どうしてそう言い切れる」
この一年、彼女の客は俺一人ではないが、俺は間違いなく彼女を抱いた一人だ。
「帰って」
「阿茉」
「私、あんたが怖いの」

三日後、阿茉は公園で死体で発見された。犯人は分からない。客と争って殺されたのだろうと噂された。

あれから半年。
俺は相変わらず、ヤクザ稼業を続けている。
もう、阿茉の顔を朧気にしか思い出せない。
覚えているのは、痩せこけた体の薄い肩と伏せた目の長い睫毛だけだ。
「半年、か」
阿茉が生きていたら、今頃そっくりな娘を産んだ気がした。

「達哥(ダー兄貴)、これが新しい子です」
紹介された娘は、痩せっぽちな体に、明らかにお譲りと分かる派手な旗袍(チャイナドレス)を着ていた。
薄い肩。伏した目の長い睫毛。
「名前は?」
動揺を圧し殺して俺は訊ねる。
「莉莉(リリ)です」

次は【面影】

  • << 301 🎵【面影】 鏡に映る自分の顔。お化粧をするために額を出し、順番に顔に塗りたくる。 肌の艶が衰えて、目の下が弛みはじめ、目尻にはカラスの足跡が気になり始めた。 やだわ、だんだん母や祖母に似てきている。体系も含め、祖母の面影と瓜二つになっていく自分の顔立ちを鏡越しに眺め、表情や雰囲気も遺伝子が関わってくることを思い知った。 娘は小さい頃は主人にそっくりだった。主人に似たたれ目。一重瞼に嫌悪感を持っていた。まつげが長く、目が大きいのは私に似たからか、メイクをすると別人のように変身する。 お前に似てきたな… 主人がボソッと言った。 娘は、うそ!本当?ママに似てきた?と喜びを隠せない。 あぁ、ママに似ていい女になっていくよ。俺に似たら心配だ。嫁のもらい手がいなくなる。 謙遜も含めて、笑いながら娘に話しかけていた。 私は複雑な気持ちになった。主人は決して美男子な顔立ちではない。でも私と愛する夫の子供たちだから、私より主人の面影に似て欲しいのだ。 愛する夫の遺伝子を残したい。かつて、不妊に悩んだ女優の言葉の深さを私はかみしめていた。 次のお題は 【不妊】
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