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麗( hXqgi )
09/12/19 13:06(更新日時)

私には 部屋が二つ有る


キラキラとした夜景が広がる高層マンションの一室


広い部屋の真ん中には 大きなダブルベッド


私は週に二度 20才も歳の離れた貴方《優一》に 愛される…

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No.1159411 09/03/24 00:33(スレ作成日時)

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No.1 09/03/24 01:15
麗 ( hXqgi )

…… 麗……
麗は本当に綺麗だ……  綺麗だよ……


 髪を撫で

 額…

 唇…

 首筋…


少しずつ 焦らしながら 愛おしむ様に
触れるか触れないかの絶妙なタッチで私の全身を 愛撫する…

その唇に  
舌に触れられた身体は  小刻みに震えながら弓なりに身をよじらせた

  ……… あ…
    ……… イヤ…
   ……ヤメテ…

思わず声を漏らす

 … 麗?… 本当にやめていいの……?

優一は悪戯な顔で動きを止め私を見つめた

  ……イジワル……

私は大きく首を横に振って抱きついた

その途端
優一のkissは 激しく変わる……

No.2 09/03/24 01:35
麗 ( hXqgi )

若い子のセックスと違って さすがに大人の男…

ゆっくり ゆっくり動く優一の腰に合わせ 私の身体も自然と動いてしまう

…… ンッ…
…… アン……

私の喘ぎ声に交ざって 優一も時折声を漏らしている
その声にも私は興奮してしまう

優一の好きなJazzを遠くに聴きながら……
集中力が高まり
研ぎ澄まされた時間が流れる…


……… 愛してるよ……
 …… 愛してる ……


今迄知らなかった【イク】と言う感覚も彼によって初めて教えてもらった

終わると私は暫く動く事が出来ない

そんな私の髪を優しく撫でながら 抱きしめていてくれる


シャワーを先に浴びるのは決まって優一だった

私が出る頃には
彼の好きなワインが グラスに注がれていた

No.3 09/03/24 13:48
麗 ( hXqgi )

優一とは サークルを通じて知り合った
とは言っても 先に知り合ったのは 妻《里美》の方だった
美しいその人は 時々顔を出す紳士な優一にとてもよく似合う 品のある女性
仲のいい夫婦の姿は
周りから注目を浴びる程 誰の目にも素敵に写っていたと思う


そう


優一は既婚者


なんの取り柄もない私が あんな豪華なマンションで暮らせるのは
優一のおかげだった


私は 現実とは別の "大人の世界"へと のめり込んで行った

No.4 09/03/24 18:48
麗 ( hXqgi )

優一とは 平日しか過ごせない そんな事は当たり前だったし 問題でもなかった


夜景を見下ろせるこの空間が 自分のもので在る事に夢心地だっただけで 会えない事や妻の事は まだ そんなに気にならなかった


【今夜 伺いますがよろしいでしょうか】
社名と署名


優一が来る日はそんな メールが事務的に送られて来た
返信は 断る時だけした


【申し訳ありません 明日連絡申し上げます】
社名と署名


勿論 私では無いし 連絡もしない
優一に言われた通りに作ったメールだ

付き合って二ヶ月
そのメールを 返したのは一度か 二度くらいだった

最近ではそんな彼からのメールを確認した途端
優一の 感触を想い出し高揚して行くのがわかる…

彼の声…

彼の口髭…

彼の手…



ダブルベッドに視線を下ろすと夕焼けに染まった 美しい部屋が目に映っていた…

No.5 09/03/24 22:41
麗 ( hXqgi )

優一は 必ずワインを持ってやって来る

どれだけのものかなんて 私にはさっぱりわからない

それが白なら冷蔵庫に…

赤なら 窓際のボードの上に置かれていた…

ベッドのすぐ横に有る間接照明も優一の好みだった

その明かりの先に今夜は赤のボトルが置かれた


『 麗 今夜はここで食事しよう 』

優一が優しく微笑む

『 うん いいよ 』

軽いkissを交わした その時 玄関のチャイムが鳴った



部屋の中は あっという間に フレンチが並んでいく
優一のやる事なす事
全てが 魔法の様に思える
一通り 並べ終えた後
優一とシェフらしき人が 何かを話し帰って行った
『ありがとうございました』
それだけが 聞き取れた


グラスにワインを注いで 優一は言う
『たまには ゆっくり食事もいいかと思って』
また優しく笑う


彼とのひと時は まるで地に足が着かない様な時間ばかり

そんな優一を 愛さないで要られる訳もなく
確実にどんどん 引き込まれて行くのが
自分自身でも
はっきりと
手に取る様に わかった

No.6 09/03/24 23:44
麗 ( hXqgi )

目の前の料理が残り少なくなった頃
優一は キッチンに向かった

『ん?どうしたの?』
不思議そうに聞く私に

『今夜のメインだよ』
と 冷蔵庫から小さな肉の固まりを取り出し コンロの火を付けた


彼は本当に何でも熟す人だった

程なくキッチンから いい香りがして ステーキが運ばれて来た


『お待たせ』

さっき シェフと話してたのは きっとこの事だったんだろう

部屋には無い お皿が使われていた
結構 お腹は満足してたのにそのステーキも 難無く平らげた

『美味しかった~ ご馳走様でした』


小さく流れるJazzを聴きながら 二人は他愛もない会話を楽しんだ



『少し酔っちゃったかな  シャワー浴びて来るね』

私がそう言うと彼は立ち上がり 今日クリーニングから戻って来たばかりの バスローブを渡してくれた


酔いも手伝ってか
ベッドの上での 優一を想い出し 足早にバスルームに向かった…

No.7 09/03/25 00:26
麗 ( hXqgi )

抱かれる前 私は髪は洗わなかった
ベッドに乱れる 長い髪が彼も私も好きだったから

早々にシャワーを終えバスローブを身に纏い 間接照明だけに明かりを落とした部屋に戻る


私の額に軽くkissをして入れ違いに彼もシャワーを浴びる

戻って来た彼は ワインのつがれたグラスを枕元に置いた


 ……… 麗 ……… 

…… 麗は私の天使だ……

そう言った後 ワインを口に含み kissをしてきた

思ったより 優一はたくさん含んでいた

口から 赤いワインが流れる…
〈汚れちゃうょ…〉
そう思いながらも
ただ優一の愛撫に身を任せていた


ベッドの上に私を座らせ
首…

背中…

腰…


優一は いやらしい舌を後ろから這わせる

 ……… あン ………
 …… ぁ… ン ……     
夜景を前にしながら
我慢出来ない快感に身をくねらせ

ベッドに崩れ落ちた…

No.8 09/03/25 09:14
麗 ( hXqgi )

部屋に置いてあるスーツに着替え
優一は会社に向かう

今日は金曜日
土日は絶対と言い切れる程優一はマンションには来ない
きっとあの美しい妻と仲良く過ごして要るんだろう

ふと 二人の姿を思い出す

私は妻《里美》に嫉妬する感情が湧いて行くのを感じ 心がキュッと痛んだ…




私には 付き合って二年になる四つ年下の彼氏《透》が居た

当たり前だけど優一の事は絶対的に 秘密…

透も私も昼間は 普通に働き ほぼ週末だけのデートだったから 特別疑われる事もなかった


窓にカーテンを引き
軽く片付けて 身仕度を整え 私も職場に向かう


私も週末はここへは 来ない
〈シンデレラTime終了〉
後髪を引かれる思いで マンションを後にする


そして 現実の世界に
帰って行く

No.9 09/03/25 09:42
麗 ( hXqgi )

『麗ちゃん お疲れ~』
約束を5分遅れておどけながら透がやって来た
スラッと伸びた手足が 印象的な透
顔にはまだあどけなさも残っている


『そんでさ~』

『ムカつくんだよな~』

一週間分の話しをするかの様に 透はずっと喋っている

時々相槌を打ちながら
《優一》の事を
   考えていた…

優一と出逢ってから やけに透の幼さが目立つ
そんな透に癒されていたはずなのに

居酒屋の料理も 美味しい…

薄暗い町も 嫌じゃない…

透の華奢な姿も…
ぶっきらぼうな話し方も好き…


だけど…


私は…

見下ろす景色が…

《《優一》》が

恋しくて たまらなくなっていた

No.10 09/03/25 15:01
麗 ( hXqgi )

透とのせわしない食事を終らせ いつもの様に私のマンションに戻って行った

  … ハァ… … 
優一と過ごすマンションに比べたら ため息が漏れた

ほんの数カ月前迄は 普通に不満もなく暮らしていた
この世界しか知らなかった私にはそれが当たり前だった


ワンルームの狭い部屋は 雑然としていた
一週間振りに 部屋の空気を入れ換える
景色と言えば 何の色もない住宅街や低いマンションくらいなものだ


また一つ ため息をつこうとした時

透が私を引き寄せ
kissをしてきた

『麗ちゃん エッチしよ…』
息遣いを荒くして 乱暴に服を脱がせようとする

『…透…  ちょっと待ってよ! 透!シャワー浴びさせて…』

腕を払おうとするが いくら華奢でも力は有る
私は 部屋の隅に有る小さなベッドに押し倒された
『我慢なんて出来ないよ  ね…  シャワーは後で浴びればいいよ  ね…』

甘ったれた声で 囁きながら その手を止めようとはしない

諦めて私は力を抜いた


荒々しくむしゃぶりつく
透に思わず顔を歪める
そんな事にも気付かないのか 自分の欲望のまま
私をまさぐる

No.11 09/03/25 15:23
麗 ( hXqgi )

 ……痛いよ 透……

唇の感触も 手の感触も
声も 優一の"それ"とは 全く違う…


一瞬私を見たが
変わらずに 乳首を吸い上げる…

イタッ …
… もっと ……
……もっと優しくしてよ……

その言葉に 透は興奮したのか 激しく腰を動かし
果てた……

『麗ちゃん 最高…』
息も絶え絶えに 透が私を抱きしめる

汗だくの彼とは逆に
私は一滴の汗も流してはいなかった


シャワーを浴びて眠る透の背中越しで
優一を想い
疼く身体を 指で慰めた

 …… ユウイチ サン ……

もう 透のセックスでは 満たされなくなっていた

No.12 09/03/25 19:10
麗 ( hXqgi )

先に目覚めた私は
隣で眠る透を覗き込む
その寝顔は kissしたくなる程可愛い


私はコーヒーメーカーをセットして バスルームに向かう

シャワーを浴びながら

〈優一は今頃何をしているんだろう〉

また 彼の事が頭を過ぎる
〈愛しては いけない〉

そんな事も解っていたはず

それなのに…
この感情は日いち日と 大きくなって行く

透の事は 大好きだ
でも 優一の全ての魅力には 今は敵わない

このまま行けば 確実に 心も身体も 優一だけを求めてしまう
透だって失いたくない

どんなに 自分に言い聞かせても

想いは

心を素通りするだけだった



部屋はコーヒーの香りが充満していた
私はバスタオルを 巻いたまま煎れたてのコーヒーを飲む


透が眠たい目を擦りながらベッドに 起き上がり

『おはよ… 麗ちゃん』

と言って
小さく欠伸した

No.13 09/03/26 01:19
麗 ( hXqgi )

『俺も飲みたい』
トランクス姿でコーヒーをねだる
髪もボサボサだ…
それが 愛らしいと言えばその通り 確かに愛らしい
『甘いやつね』と透
『はいはい』
砂糖とコーヒーをカップに入れて渡した




日中は 映画を観たり ショッピングをしたり
有り触れた時間を過ごした

帰り道 わざと遠回りしたのかJewelry shopで透は足を止めた

『ねぇ、見て行こうよ』
二人の間では 結婚の話も出ていたからか
透が硝子越しに飾られたリングを指差して言った
一緒戸惑ったけど 促されるまま 店に入った
あんなにしたかった結婚さえも今は色あせて来てしまっている

(私は本当にこの人と結婚するのだろうか?) (幸せになれるのだろうか?)

店員と透のやり取りを聞きながら そんな事を考えていた

『透… またにしよ…』
そう言って店を後にする私を追い掛けて彼もまた慌てて店を出て来た

『麗ちゃん!?どうしたの? 最近何か変だよ』 ちょっと声を荒げた透が私の腕を掴んで立ち止まらせた

透にも 私の心の変化は伝わっていたのかもしれない

No.14 09/03/26 08:55
麗 ( hXqgi )

『…ごめん 何でもないよ ちょっと疲れちゃっただけ』

とっさに 嘘をついた

『そう? だったらいいんだけど…』

透も それ以上は聞かなかったが
何か言い出せずにいる様な感じがして少し気になった


- 感じがした?
違う…
間違いなく 聞きたかったに決まってる…
ほんの数週間で私が変わって行くのは 自分でも気付く程
明らかだったのだから -

多少の気まずさは 有ったものの 透も私もあえて 明るくしてた気がする

食事を済ませ 帰り道のスーパーで私はワインを手にとった…

『珍しいじゃんワイン』
透は他のワインにも 目を配らせながらポツリと言った

『たまには…ね』
そう言って レジに向かった


- 安物のワイン -

それでも どうしても飲みたかった
透にたいして罪悪感は少し有ったけど

でも…

少しだけ ほんの少しだけ優一を近くに感じていたかった

No.15 09/03/26 09:41
麗 ( hXqgi )

部屋に戻ってシャワーを浴びて…

透はテレビの お笑い番組を見ていた
いつもなら ゲラゲラと笑い転げるのに 観てるのか観てないのか その日は黙って画面を見つめてた


買って来た 赤ワインを注ぎ 透にも一つ手渡した

『乾杯』
”カツン” と 安物のグラスの音がした


私は透の横には座らず 狭いキッチンの椅子に座って飲んだ

ワインを一口含んだ瞬間

  優一を想い出した

一口…

また一口…


飲む毎に想いは強くなる


イケナイと思いつつ
目の前に座る透の後姿に 優一を重ねてしまう


口から零れるワインの感触…
それを拭う優一の舌…
身体中が熱くなる…

(……ねぇ………ワインを口移して……)


心で囁く…


当然透には届くはずもなかった

No.16 09/03/26 09:47
麗 ( hXqgi )

透は まだじっとテレビを観ていた

(  抱いてよ… )
( 抱いてよ 透… )

(………抱いて…………… ………抱いてよ……
………優一さん……… )


肩を抱きしめテーブルに 俯せた私を
いつの間にかやって来た透が 後から抱きしめた

『麗ちゃん… 愛してるよ…   麗ちゃん…』

kissをしようと振り向きたかったのに 透はその手の力を緩めてはくれなかった

『忘れないで…  俺が愛してる事』

私の後から 首にうずくまり透は小さく囁く

『透?』

……………
…………………

数分そうしていた

『おやすみ…』

透はそう言って 頬にkissをし 顔も見せずにベッドに入った


期待に反して

透は私を


抱かなかった…

No.17 09/03/26 21:59
♀ママ ( 20代 ♀ GqHJh )

主さんこんばんは😄
最高です✨ドキドキしながら読ませていただきました❤がんばって下さい😄
お邪魔とわかっていながら気持ち伝えたくてレスしたので返レスなしでいいですからネ😆続き楽しみにしてます😆

  • << 19 初めまして こんばんは 麗と申します 携帯を手にしてから作って行くので 私にも終りは見えません… 邪魔だなんてお気になさらずに 読んで下さる方がいらっしゃるんですね ありがとうございます m(__)m

No.18 09/03/26 22:19
麗 ( hXqgi )

季節が秋から冬に
変わる頃には


 私と透の関係が
音を立て崩れて行った



優一を 独占出来ない苛立ちと 逢いたいと言う欲求が増えれば 増えるほど 透の存在が 疎ましくなっていった


『音たてないで!!』

『何度言ったら解るの?』

『はっきりしてよ!』

『いい加減にして!』

透の些細な事に腹が立つ

食事の仕方

物の見方

話し方に歩き方

仕舞いには セックスの事迄にも文句を言っては泣きわめいた

いつも いつも

『ごめんね』

戸惑いながらもそう言って透は黙って抱きしめていてくれた
その優しささえも今の私には優柔不断にしか感じられず

『何で!? 何でそうなの?! 何がごめんなの!!』

黙る透に思わず

『あなたじゃない!!』

そう叫んだ


透は私を抱きしめる手を ダランと落とした

悲しい目をして私を見つめた…


そして

背中を向けた…


玄関のドアが

バタンと 閉じた

No.19 09/03/26 22:30
麗 ( hXqgi )

>> 17 主さんこんばんは😄 最高です✨ドキドキしながら読ませていただきました❤がんばって下さい😄 お邪魔とわかっていながら気持ち伝えたくてレスしたの… 初めまして

こんばんは

麗と申します

携帯を手にしてから作って行くので 私にも終りは見えません…


邪魔だなんてお気になさらずに

読んで下さる方がいらっしゃるんですね

ありがとうございます
m(__)m

No.20 09/03/26 23:39
麗 ( hXqgi )

………  何? …………
……? 透… ?………

… 何故? 抱きしめてくれないの………

透 ! 透……

… 置いて行かないで…


透を罵る言葉とは 裏腹に寂しさが私に向かって押し寄せる… 

涙がとめどなく頬を伝い流れる



透はいつも私を 抱きしめていてくれた

悲しみに泣いた時…

嫉妬に 泣いた時…

気の利く言葉も 何も無いけど 何も聞かずに ただ黙って抱きしめていてくれた

彼もきっと 苦しかったに違いない…

泣きたかったに違いない

最後に見せた 透の瞳は そう想わせる程 深い悲しみに包まれていた…

気付かなかった…?
違う…

解ってて甘えてた

透は私を捨てたりしない

傲慢な想いが私を支配していただけだった


優一を愛した事で
手に入れる事が出来たはずの幸せを 私は失った

優しかった 透は

もう 居ない


残ったのは 手に入れる事の出来ない

優一への愛だけだった

No.21 09/03/27 11:27
麗 ( hXqgi )

翌日

必要な荷物を抱え
都会のマンションに向かう


透が居なくなった今
ここに居る意味はもう何も無くなった


暫くは感傷に 浸ってもいたかったけど
その感情を上回るほどに
心が……
身体が
優一を求めていた……


……優一に逢いたい……

……優しい声が聞きたい…

……優一……


私は優一を想う気持ちに
歯止めがきかなくなって行った


【今日お逢い出来ますか?】

自分からメールを送った

これが初めてのルール違反だった


マンションに向かう電車の中で
透を想い出す事はもう
微塵もなかった

No.22 09/03/27 12:06
麗 ( hXqgi )

マンションのロックを外し部屋に入る
私の大好きな景色が
目の前に広がる…

……明日から ここから職場に向かう……

必要な書類をテーブルに置いた


何かに解放された様な 穏やかな気持ちがした

……優一に逢える……

…… ずっとこの場所で……

踊り出したいくらいに
嬉しかった

優一の好きな Jazzを流し口ずさむ…



鳴りもしない携帯を開いてみる

着信は当然無い


部屋の空気を入れ換え様と大きな窓を開けた


カーテンを揺らし
一陣の冷たい風が吹き抜けた


テーブルに置いた 書類がパラパラと音をたて宙を舞う


今日は日曜日…

優一からの連絡が有る訳もない

私は《愛人》で有る事を


思い出し冷たい床に
座り込んだ…

No.23 09/03/27 14:37
麗 ( hXqgi )

……優一さん

……今どこに居るの?

……奥さんと一緒なの?

……何をしてるの?

……携帯見てないの?

……それとも 見てるのに見ないふり?

……ねぇ 何か言ってよ

……空メールでもいいから送ってよ

お願いだから…
私を少しでも 想い出して
届かない想いが 身体中を駆け巡る…



どれくらい 時間が過ぎたのか

メールの着音に慌てて 携帯を開く


【麗ちゃん  
俺ね 知ってたんだ 麗ちゃんに他に好きな人居るって

それでも俺を必要としてくれるならって傍に居たんだ

麗ちゃんの事は 今でも大好きだよ
 
あなたじゃない

そう言われた時は苦しくて逃げ出しちゃった

ごめんね 麗ちゃん

ずっと一緒だと思ってたけど
俺じゃなかったんだね
幸せになってね】


透からだった…
また涙が溢れる
さっき迄の涙とは違う
……私はおかしいの?…

心が割れそうに痛い


明かりの灯り出した景色を見ながら 私は携帯を閉じた

No.24 09/03/29 14:56
麗 ( hXqgi )

-----------

月に四回開かれる サークルに優一の妻《里美》は必ず顔を出している


優一との関係が始まって間もない頃
土曜日の午前中は私も 必ず通っていた

でも今は せいぜい月に二回顔を出せばいい方…

優一と里美のほほ笑ましいツーショットを見る事が苦しかったから


多分 今日は里美だけのはず…

……やめようかな……

そう考える私の中で

〈行きなさい!

あなたの夫は 私を愛してる
そう言ってやりなさい〉


…悪魔が囁く…


何かしたかった…

何も知らない里美に意地悪したい…

幸せそうな里美に
ほんの少しだけでも私の存在をアピールしたい


……ダメだ……

………ダメだ………

……ルール違反だ……


小さく首を振って

思いを掻き消し

私は会場に向かった

No.25 09/03/30 11:03
麗 ( hXqgi )

サークルが開かれる会場は駅前のビルの5階に有る
エレベーターを降り 会場のドアを開けた

無意識に里美の姿を探していた

……あれ? まだ来てないのかな……

時計はもうすぐ開始時間を回ろうとしてる


『今頃どの辺りに居るのかしらね』

『羨ましいわぁ』

『うちもあんなに優しい主人だったらいいのに』

『毎年結婚記念日に旅行なんてねぇ』

サークルの年配の人達が楽しそうにほほ笑めみながら噂話に華を咲かせてた

『帰って来たら 惚気話でも聞かせてもらわなきゃね』

『でも 里美さん恥ずかしがり屋だからね』

……?里美さん?……

……里美さんって ……

何で!?


バッグから携帯を取り出し部屋を出ようとドアに手を掛けたその時 講師が入って来た

驚く姿をよそに
ちょこっとお辞儀をし
教室を後にした


震える指で
優一の番号を探す

……………
  ……………
    ……………

呼び出し音も鳴らず

優一の携帯は
留守電に切り替わった…

No.26 09/03/30 11:25
麗 ( hXqgi )

心臓の鼓動が激しく脈打つ

胸が押し潰される様に苦しい

何度も何度も掛けてみる
  ………
   ………
     ………

……出て! 優一さん…

お願いだから出て!

声を聞かせて……


何度掛けても 聞こえる声は優一のものではなかった

ルールなんてどうでもいい

独占欲だけが心を占める


優一への悲しみや苦しみ…

その想いが

里美への


憎しみ…怒りに変わる迄

今の私にはもう
時間など必要なかった

No.27 09/03/30 22:45
麗 ( hXqgi )

夜になっても
優一の携帯は繋がらないままだった

私は夕食も摂らず ただ携帯を握りしめていた

教室で耳にした会話も 頭の中を何度も駆け巡る
……結婚記念日……

夫婦なんだから当然なんだ

私はただ待つだけの愛人
そう決まってた

お金で買われた女


だけど… だけど…

だけど だけどだけど…

だけど………だけど……

なぜ?なぜ 

心が痛む?…………


……優一が欲しい……


ベッドにかかったカバーを力いっぱい引きはがし 倒れ込む

その感触がまた
恋しさを一層重ねた

目を閉じれば今度は 優一の感触を想い出す

……優一さん
……ユウイチ……


優一を愛してるのか セックスに溺れてるのか
私にはわからない


自分の身体に指をなぞり
一人身をくねらせベッドに乱れる……


……アッ……
…ア…ンッ…

……アア……ン……

昇りつめたと同時に
虚しさと睡魔に襲われ 眠りについた

No.28 09/03/31 09:44
麗 ( hXqgi )

カーテンの引かれていない窓から射す光で目覚めた私は
ほんの一瞬夢と現実をさ迷った

すぐに
泣き腫らした重たい顔が

現実を物語る


開かれたままの携帯の着歴はどれも優一のものではない

〈シャワー 浴びなきゃ…〉
小さくため息をつく


鳴らないと解っていれば 少しは楽なのかもしれない


そう思い
私は携帯の電源を切り
熱いシャワーを浴びた

No.29 09/03/31 10:28
麗 ( hXqgi )

悲しい時

寂しい時

海を見るのが好きだった
潮風にも波音にも癒される


海の無い町で育った私は
年に一度
夏休みになると両親が休暇をとって連れて行ってくれる海が大好きだった

いつも日焼けし過ぎて
大騒ぎしてたっけ…

小さい頃の無垢な自分を
思い出し少しだけほほ笑んだ


マンションからどれくらい
歩いたのだろう
時間にして15分くらい?
”ここ”に来てから
初めてこの場所に来る

目の前に海が広がった

大きく深呼吸をして
潮の香を吸い込む

それほどでも無い波音も
心地いい


冬の海が好きになったのは
いつからだろう

砂浜に続く小さな階段に座り海を眺めた

海岸の人影は 時々犬の散歩をする人達が通る程度


遠くに見える船…

空を飛ぶ鳥…

潮風…

すべてが私を癒してくれた


冷たい風が芯から身体を冷やしても私は
何時間もそこに居続けた


現実に戻るのが …

自分自身が…

怖かったのかもしれない

No.30 09/03/31 14:42
麗 ( hXqgi )

月曜日に入れた携帯の電源も
【優一】と記された着歴はひとつも無い

叱られるだろうと
予測した事さえも
何もなかった

火曜日…


水曜日…


木曜日…


不思議なくらい あの週末の
苦しみは無くなってた

冷静に考えると
優一の事を愛してるのかさえ解らなくなったりもする


そんな時思い出すのは
透だった



透は時々メールをくれていた

【麗ちゃん元気?】

【ちゃんとご飯食べてる?】

他愛もない短い文

返信してもしなくても
透は変わらず私を気遣かってくれていた


そんな透の優しさが私の心を穏やかにさせてくれる要因のひとつだったのかもしれない

No.31 09/04/02 12:57
麗 ( hXqgi )

仕事を終えて
帰り支度をしてた時
デスクに置いた携帯が

…ブブブ……ブブブ…
と短く振動した

…メールだ…

携帯を開くと
優一からの着信だった

相変わらず
事務的だったけど
その瞬間

やっぱり…

心臓が高鳴る程
嬉しかった

やっと逢える気持ちが
私を幸せにする
逢えるとなれば
里美の事など
眼中に無くなる

少なくとも
”今”だけは
逢える事だけに心が踊った

本当に…


幸せだった

No.32 09/04/02 14:45
麗 ( hXqgi )

生活感の無かった
部屋も 少しずつ
荷物が増えていた


窓の景色はまるで
その部屋の一部で有るかの様に いつも美しく
優しく夢を見させてくれていた



そろそろ優一が
迎えに来る時間…


身仕度を整え
甘い香りの香水を
手首にほんのり
吹き付けた


……この間の事
怒ってないだろうか……
……もう終りにしたい……

そんな風に言われる
かもしれない…

愛人で在る私が
初めに交わした優一との
《ルール》を破った事に
少し不安も有ったから

冷静でいる今は
まともに考える事が
当たり前に出来るのに…

里美に対する嫉妬も

それが間違いだと解る


里美との生活を
壊そうなんて思わない

勿論妻の座を
狙ってる訳でもない

 
ただ逢いたい以外
どうしたいのかは
自分自身全く解らなかった



玄関のチャイムが鳴り
ワインを持って
優一がやって来た…

No.33 09/04/02 19:29
麗 ( hXqgi )

『久しぶり…』

思わず駆け寄り
優一の首に纏わり付く

『逢いたかったよ…』

優一が静かに囁く


……逢いたかった?…… 

……本当に?……

そう聞き返したい
気持ちを押さえ
唇を重ねた


懐かしい優一の香り
柔らかいくちびる…

『待たせて有るから
行こうか』


食事に行く時
マンションの前に
いつも車が用意されていた

『うん 分かった』

促されて部屋を出た


用意された車の
後部座席に乗り込み
予約した店に向かった


街はクリスマス
イルミネーションで
一層華やいでいた

こんな景色の中で
生きている自分が
怖いほど幸せに思える


車を降りると

優一はコートの
襟を立て直し
そっと私の肩を抱いて
店にエスコートしてくれる

『寒くないかな?』

優一のそんな
言葉や行動は
本当に当たり前で
いつも自然で素敵に思う


クリスマスが近い
雪が降りそうな程
冷え込む夜だった

No.34 09/04/03 14:17
麗 ( hXqgi )

食事中にも
帰りの車の中でも
優一は 私がした
ルール違反について
何も語らなかった


マンションに戻り
シャワーを浴びた

…どうして何も言わない?
…私のしてる事なんて優一夫婦には全く何でも無い事?

…少しは 気にならない?

また 少しだけ
嫉妬の感情が沸き上がる


部屋に戻ると
いつもと変わらない
彼が微笑み
入れ違いに
バスルームに向かった


私は優一の携帯に
手を延ばし開いてみる…

…きっとロックされていて見る事なんて出来ないだろう……

私は軽くそう思いながら
メールボタンを押した…

優一の携帯は簡単に
その内容を私に見せた

心臓が脈打つ…

……見てはいけない……

分かっていても
その手を止める事は
出来なかった

仕事関係で有ろう
メールがズラッと並ぶ

……………
………………
お願いだから
何も有りません様に…
……………
……………………
………!………

私は画面に
《里美》を見つけ
その指を止めた

No.35 09/04/05 10:44
麗 ( hXqgi )

益々心臓は高鳴る…

バスルームから

 カタン

優一が出る気配がする


私は咄嗟に
里美の番号を自分の
携帯に打ち込んだ…


いつもの様に
優一はワインの
支度を始める

今夜は冷蔵庫から
冷えた白ワインが
用意された


ばれて無いだろうか

携帯の位置は?

待受画面に戻した   だろうか


罪悪感からか
異常に彼の行動
一つ一つが気になる

いたたまれなくなった
私は 携帯の乗った
テーブルを 拭き直す

一瞬私が触れた携帯に
目を向けた気がしたけど
特に何も言わなかった

ホッとしたと同時に
こんどはやけに
テンションが上がる

『ねぇ… 見て!見て』

窓に見える
明かりを指差し
あそこの店はどうだったとか 今度はあの場所に行きたいだとか

今言わなくてもいい事を
一生懸命探しながら
精一杯明るくそして
いっぱい甘えながら話した


優一は
うん うんと頷きながら
私の話を聞いてくれていた

No.36 09/04/05 16:03
アンナ ( ♀ EroLh )

こんにちは😊✨
リレー小説で、ご一緒させていただいてるアンナです🐰
乱舞、好きな上品の大人の女性のストーリー👯💕
表現力、見せ方、展開が上手で引き込まれます‼😲
リレー小説でも、ピヨさん、笑い袋さんに、麗さんに助けられてます🙇✨
リレー小説では、皆様が文章と情景描写が上手で✨
共感出来る、読みやすくテンポよく、喜怒哀楽を包括し深く感動的…が私は好きなはず💦
いざ書いて…回された時、わ~難しい‼けど楽しいが大きい✨
ピヨさんたちが、今回リレー小説で目指す方向性はどんな感じです❓😃…と
聞けばよかった…最初に質問すら思いつかなかった‼😂
ピヨさん、笑い袋さんのスレ、リレー小説のスレ、知ってますか❓💦
私が勝手に、ラブストーリーやミステリーを盛り込んだけど💦
順調にリレーしてる、読む方に、私のレスで頓挫したくなく😔
順番が、次の麗さんに後押しして頂き…ピヨさん笑い袋さんが目指す感じに合ってる❓大丈夫❓💦と…
ミクル🔰、携帯もネットも疎く、リレーも初チャレンジ、小説は初公開な私は、かなり戸惑い😭
でも楽しく😊✨
麗さんは回されて、大丈夫です❓💦
私なり書いてますが💦
乱舞もリレーも麗さん素敵です💕👯

No.37 09/04/05 16:26
麗 ( hXqgi )

>> 36 初めまして?
こんにちは アンナさん昀

こちらこそリレーでは
大変お世話になります坥

楽しそうだったので
軽く参加したんですが…

いざ始まってみたら
これが意外と難しい昻昻
😊なので尚更

皆さんの流れを保つのがやっとって状態です
ミステリーは本当に難しいです晙
今から考えるのは
結末です

私には完結出来る自信が
全く無いので(笑)


私こそこのまま仲間入りしてていいのか悩みます 淸


乱舞見て下さってありがとうございます煜


こっちも結末はどうするのか全然考えてません(笑)

これからも どうぞよろしくお願いします昀

No.38 09/04/05 16:32
麗 ( hXqgi )

>> 37 ちなみに
アンナさんの小説の
タイトルを教えていただけませんか晗

是非 読ませて下さい昀

No.39 09/04/05 21:09
アンナ ( ♀ EroLh )

>> 38 アンナは、ピヨさんとこと、まめさんのとこのリレー小説に参加してる身分です💦
まだ自分のスレ立てられなくて😱
というより、自分のスレ立てして、小説なり詩を書きたいのですが…
理由は…スレが立てられないから😱💦

指定受信だから、ドメイン指定して確認して、メール送ったのに返ってこないから😩⤵

昼間にでも、ミクルに📱して、聞いて問題解決するしかなさそうかなぁ…と💧
🔰で、ミクルにうといから、こんなとこでも引っかかってます😂
私もリレーは、頭ないからミステリーなんて柄じゃないので全く自信なく書いてます💦

No.40 09/04/06 01:01
麗 ( hXqgi )

>> 39 麗です昀
スレッド立てられないなんて有るんですか昻

頑張って成功させて下さいね坥

リレー…
今書いたけど不安…

それでは
おやすみなさい抦

No.41 09/04/06 23:27
麗 ( hXqgi )

会話が途切れるのが
怖い…

初めて優一の前で
自らバスローブの
紐を解き…
私からくちづけた…

少し驚いたような
顔をしていたけど
いつも通りクールに
腰を抱き
グラスを置いて

『麗… どうかした?』
スッと指で私のあごを持ち上げ優しく問い掛ける

首を横に振り
窓際に立つ優一の前にひざまづく

まだやわらかい
優一の下半身を両手で包み込み口に含んだ


『 麗 … 』

私の髪を撫でる
優一のそれは
すぐに
口に含めない程
大きくなる

髪を撫でる手を止め
私から身を引き離した


『どうした麗 
今日の麗はいつもと違うよ』


そう言って
私を持ち上げベッドに
寝かせ
この両腕を頭上に
優しく持ち上げた

No.42 09/04/07 10:22
翔 ( kqyUh )

楽しみに読んでます

No.43 09/04/07 12:00
麗 ( hXqgi )

>> 42 ありがとうございます昀
m(__)m昀昀
嬉しいです昀昀

No.44 09/04/08 16:04
麗 ( hXqgi )

優一の優しい手が
私の両腕を一つに捉え
指先から脇に
ゆっくりと
舌を這わせて行く…

『  悪い子だ…   』

   えっ?
  気付かれた?

一瞬 身体が凍り
優一を見つめた

『  …?…  』

『麗は 悪い子だ…
私の天使だったんじゃ
なかったのかな… 』

低く優しい声を
耳元に吐きかけ
首筋をなぞる…

『…ン アッ… 天使なんか……  じゃない… よ …ン…  』

快感なのか
ゾクゾクと鳥肌が立つ
わからない感覚に
何度ものけ反ってしまう

……気付かれてない……

それ以上優一は
何も言わなかった

私は罪悪感からも
少しずつ解き放され
優一の動きに身を委ねた


ゆっくり…


ゆっくり…


優しく…



激しく…



無になり
私は優一に抱かれた

No.45 09/04/08 19:30
麗 ( hXqgi )

優一に
抱かれた後は
いつだって
余韻が永かった


打ち付ける
シャワーの
シブキでさえも
ほてった身体を
十分に刺激する

… アッ …

私は感度の高まる
その場所に 当たるたび
小さく 声を漏らしていた


部屋に戻ると
優一は 明日着て行く
服の支度をしてる

『明日も来てくれる?』

後ろから抱き着き聞いた

『勿論だよ ちゃんと いい子にしてるんだよ』
微笑み
私の頭を撫で
額にくちづける


【週二回】
そう決まっていたから
当たり前の答えのはず

なのに…
優一と居ると
穏やかな時が流れる…
その流れが
とても心地いい

充実した時を過ごしてる
そんな想いが反動となり

また
私の心を掻き乱し始めていた

No.46 09/04/11 14:55
麗 ( hXqgi )

『麗 休むよ おいで』

支度を終えると
優一はベッドに入り
私を呼んだ

私の髪を
優しく撫で眠りにつく

いつもなら
そのまま私も眠るはず

でも色んな想いが
頭に浮かび
目が冴えて眠れない…


髪を撫でる
優一の手が
次第にゆっくりと…
途切れ途切れになり…
止まった…


私は
呼吸を小さくし
身動きもせず
暫くじっとしてた


5分くらい過ぎた頃
腕に乗せた頭を動かしてみる

…ううん…

と声を漏らして
寝返りをうち背中を向けた

優一は完全に眠りに
ついている様だ


私は静かに
ベッドを抜け出し
携帯の置いてある
テーブルに向かった


【あなた 
毎日お疲れ様です
もうすぐクリスマスですね  
今年はどんなクリスマスを過ごせるのか今から楽しみです
それでは
余り無理なさらない様にね
もうお互い若くは
ないのですから
   里美】


【週末はいつも寂しい想いをさせてすまない
そうか…
もうクリスマスだね
君の誕生日だから また何か考えておくよ

おやすみ      】

No.47 09/04/11 15:38
麗 ( hXqgi )

--23:37 送信--


心が凍りつく

私がシャワーを
浴びていた時間だ

体温がみるみるうちに
上昇して行く


壊してしまうんじゃ
ないかと思う程に
携帯を強く握りしめていた

……裏切られた……

そんな想いがした


背中を向け
眠っている優一を

刺してしまいたい!

そう思わせる程の
深い悲しみと嫉妬が
全身を駆け巡る


テーブルに残った
ワインを一気に
飲み干し
震える手を握りしめた


……ダメだよ 麗!

優一さんは私のものじゃない

解ってる!
   解ってるょ…

でも辛いょ…
苦しいょ…………


ベッドでは
何も知らない優一が
小さな寝息をたて眠っている

しゃがみ込み
寝顔を見つめた
涙がぽろぽろ零れ鳴咽が漏れる

気配に気付いたのか
優一は
『おいで』
私を抱きしめた

我慢仕切れず
声をあげて泣いた


それでも
優一は何も言わず
ただ黙って髪を撫で
抱きしめていた

No.48 09/04/12 22:09
麗 ( hXqgi )

腕の中で
どんなに泣いても
優一はただ黙って
抱きしめていた

それはまるで
私の心全てを
見抜いているかの様に…

何も言えない
自分が悔しくて
悲しくて

どれだけ
抱きしめられても
優しく撫でられても
気持ちが収まる事は
なかった


……
こんな気持ちになるなら
見なければ良かった…

知らなくてもいい事実
なぜ知ろうとするの?
……

たった
二つのメールが
夫婦の全てを
物語るかの様に
事実と混ざり合い
妄想さえ広がる…


二人で並ぶ姿…
結婚記念日に…

クリスマス…

………

私は?私は?

誕生日…
だから何なの!

何なの?

……

 ……………………
 ……何?…………
 …………なぜ…………


一言も言葉に出さず…

しゃくり上げたまま


赤ん坊の様に眠りに落ちた

No.49 09/04/13 09:32
麗 ( hXqgi )

……

 『優一さん 早く!早く!』 波打ち際から優一を呼んだ

ゆっくりと 微笑みながら歩いて来る優一

私は両手をいっばい
広げて優一を待った

両手に抱きしめた時
優一は私をすり抜けた

 …………!…………

海を振り返ると
そこには里美が笑って
両手を優しく広げ
立っていた


『行かないで!行かないで!
… 行か… … いで …  』
追い掛けようと
足を動かすのに
波に足を取られ動けない!

『 …待って!… 』
……………………
………………………
『 優一さん!! 』
!!

自分が出した
大きな声に驚き
ベッドに起き上がる

 … 夢 …

隣に眠るはずの
優一は
居なかった


時計は7時を回ってる


優一はもう
会社に行ったのだろう…


コーヒーメーカーにも
一杯分のコーヒーが
温かい湯気を出していた


ボーッとしながら
カップに注ぎ
窓際に向かう


景色が霞む…
泣き腫らした瞳のせい?


窓にも大粒の涙が
外を伝い 流れていた

No.50 09/04/13 12:43
麗 ( hXqgi )

雨の日は
尚更感傷的に
なったりする

ため息を
何度吐いたのだろう
会社でも同じだった

『麗!飲みに行かない?』

同僚の美砂が
私の肩をポンと
軽く叩いた

『…! 美砂』

『最近ぼんやりしてるぞ』
驚く私を
下から覗き込み
上目使いで
おどけてみせる

美砂とは同期で
入社した時からずっと
一緒に働いて来た

勿論 遊びも一緒
本当に気の合う友達


透との出会いも
美砂がセッティングした
合コンがきっかけだった

透と別れた事…

優一との事…

仲の良い美砂にさえ
まだ話せないまま
今日まで過ぎている

『美砂 ごめん!
先約有るからまた今度誘って!』

両手を合わせ
片目を開けて
私もまたおどけてみせた

『もう!また~?
麗!付き合い悪いぞ!』

『ご~め~ん!』

仁王立ちして笑う
美砂を背中に
私は手を振り
会社を後にした


朝からの雨は
みぞれになって
一層寒さを増していた…

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