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麗( hXqgi )
09/12/19 13:06(更新日時)

私には 部屋が二つ有る


キラキラとした夜景が広がる高層マンションの一室


広い部屋の真ん中には 大きなダブルベッド


私は週に二度 20才も歳の離れた貴方《優一》に 愛される…

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No.1159411 09/03/24 00:33(スレ作成日時)

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No.51 09/04/13 14:07
麗 ( hXqgi )

マンションに戻ると

優一の車が停めてあり
車内から運転手が
私を見つけ会釈した


部屋には
明かりがついていた

『お帰り 麗』

優一が部屋にいた

『どうしたの?
今日は早いんですね』

私は聞きながら

昨日の事を気遣かって
くれたのかと
すごく嬉しかった

(言葉にはしなくても
ちゃんと想ってくれ
てるんだ)

そんな幸せな気持ちに
包まれながら
優一に抱きついた


スーツを着たままの
胸内ポケットから
紙?ビニール?…
指先に固い感触が伝わった

(なんだろう…)

そう思ったけど
出掛ける支度を
促され
髪を直し 服を着替え
レストランに向かった

No.52 09/04/13 14:36
麗 ( hXqgi )

優一とする食事は
夢心地だったけど
マナーが分からず
戸惑う事も多かった


そんなマナーにも
少しずつ慣れ
行儀よく食事も
出来る様になっていった


今夜の懐石も
戸惑う事なく
お腹も心も満たされた

普段は飲まない
冷酒も美味しかった



『優一さん もうすぐクリスマスだね…』

…!…
自然と口にした
言葉に記憶が遡り
私は次の言葉をのんだ

『そうだね いつもとは
明かりの数も色も違うね 』

だんだんと近づく
イルミネーションを
見ながら優一は答えた


軽くKISSをした後

エレベーターは
ふわりと
地上に止まり

扉を開いた

No.53 09/04/13 22:22
麗 ( hXqgi )

部屋は床暖房が
いつもついていたし
設備も良かったから
暖房やストーブなど
点けなくても
寒いと感じる事は
一度もなかった

『雪になるのかな…』

窓際で
優一が独り言の
様につぶやく

一緒に窓から眺めてみた

『寒かったから
降るのかもしれないね』

明かりの無い
景色を見ながら
私は答えた

『今日はバスタブに 
 お湯張ろうかな~ 』

バスルームに行き
ボタンでセットした


優一が里美と
連絡を取り合うのが
嫌だった

携帯をまた見てみたい
そんな思いも
無かった訳じゃない

何より
夫婦の会話を
されるのが嫌だった

せめて二人で
居る時だけは
私だけを見ていて欲しい…
せめて今だけは…

『お湯張ったよ もう少ししたら一緒に入ろう…』

優一が"他"に
気を取られない様
私は何かを必死に
探していた

そんな事は
本当に無駄なのに…

…ピリリリ…ピリリリ…ピリリリ…

ブザーが
お湯を張った事を知らせた

No.54 09/04/14 00:29
麗 ( hXqgi )

バスルームからも
外の景色が一望出来た
晴れの日には海も見える


優一は先に
シャワーを浴びてる

何度身体を重ねてても
こんなに明るい
場所で裸になるのが
少し恥ずかしくて
扉を開けるのを躊躇していた

『早くおいで』

扉を開け優一が
手をとり招き入れた

私の身体にシャワーを
浴びせながらKISSをした

器用にボディソープを
身体につけ
指先で洗い始める

『恥ずかしいょ…』

『力を抜いてごらん』

微笑み優一は囁いた

円を描く様に
しなやかな指先が
ゆっくり身体を撫でた…

全身に神経が
張り巡らされ

私の口から声が漏れる

… アッ …

  … アン… ン…

バスルームに
私の声と
シャワーの音が
やけに大きく響き渡る…

優一の指が
乳首に触れたとき

……アッ……

足から力が抜け
倒れそうになった
私の腰を支え

優一また唇を合わせた

No.55 09/04/21 01:01
麗 ( hXqgi )

『麗… 綺麗になったよ 温まりなさい』

腰を抱く手を離し
軽くバスタブへと促した

『一緒に入って…』

私は浸かりながら
優一の手をつかんだ

『甘えん坊だね』

笑いながら
後ろに回り
座っている私を
抱きしめた

『もう充分温まってるんだけどなぁ』

わざと甘えて
後ろに居る優一に
寄り掛かって目を閉じた

…… チャポン ……
……  チャポン ……

少しだけ温度が
低い私の肩に優一が
時折お湯をかけながら
何分たっただろう…

『先に上がるよ』

シャワーを浴び
優一は 部屋へ
戻って行った

私も慌ただしく
シャワーを浴び
追い掛ける様にして
部屋へと急いだ


優一の手元に
携帯は無く
ソファーで
ワインを飲んでいた

勿論
部屋にはJazzが
心地よく流れている
私にグラスを渡し

『 乾杯 』

いつも優一は
グラスを
軽く持ち上げ
ギリギリまで
近づけるだけで
決して合わせなかった

No.56 09/04/21 13:52
麗 ( hXqgi )

ふと目覚めると
隣に優一が眠っていた

気を失って
しまったのか
裸のまま
私はベッドにいた


ほんの少し
記憶を辿ってみる…


優一に抱かれる記憶が

子宮に…

乳房に…

鮮明に甦り

…ピクッ と
小さく身体を縮めた

… シャワー浴びなきゃ…

静かにベッドを
抜け出し
バスルームに
向かった時

スーツ越しに
触れた指先の
感触が脳裏を過ぎり…

バスルームへと
向かう足を
転換させた

何故か
嫌な予感がした…

用意された
スーツの
胸ポケットに
そっと触れてみた…

…パリ パリ …

(入れ替えたんだ…)

あの時と
同じ感触が
指先に伝わった

(見てはいけない… )

心と反対に
私の手は
ポケットから
ビニールに包まれた
一枚の紙を取り出した

No.57 09/04/21 16:28
麗 ( hXqgi )

†††††††††††


【Ensemble Concert】


~ 聖夜に送る
     二人のための
クラシック・
    アンサンブル~



    〇〇〇交響楽団

†††††††††††



クリスマスに
行われる
コンサート
チケットだった





時が止まり

私は
スローモーションの
様にゆっくりと
床に座りこんだ…


裸のまま…

膝を抱え


声を殺して泣いた

No.58 09/04/22 01:09
麗 ( hXqgi )

どれだけ
泣いたら
この想いが
届くのだろう…


どれだけ
涙を流せば
この頬を
伝わなくなるのだろう…



クリスマスを
一週間後に控えた頃

不安定だった
からなのか
ほんの少し
睡眠がうまく
とれなくなっていた

睡眠薬を
処方して貰おうと
電車を乗り継いで
病院に向かった


そんなに簡単には
貰えないと
思っていたから

流れる景色を
ぼんやりと
感じながら

薬を貰う口実を
考えていた


視点を定めず
目に映される景色は
水彩画の様に
ただ
色を通り過ぎて
行くだけだった


それなのに…


私の視線は
景色の中に
《教会》を
ピンポイントで捉えた


… あの教会だ! …


まさか こんなに
近くだったなんて…


開くドアを降り

タクシーで
教会に向かった…

No.59 09/04/22 08:45
麗 ( hXqgi )

人通りの多い
賑やかな駅前を離れ
住宅街に入ると
クリスマスに向けて
美しく装飾された家が
夜を待ち侘びる様に
建ち並んでいた


『降り出して
     来ましたね』

愛想の良い
初老のドライバーが
硝子越しに
空を見上げながら言った

その言葉に
私も空を見上げてみる

『本当だ…』
小さくつぶやいた


住宅街を抜けると
葉を散らし
閑散とした
森が広がり

その先に
まだ新しいで有ろう
真っ白な教会が
姿を現した


車を降り
ゆっくりと
教会に続く
石畳を進んだ



チラチラと
舞い降りる雪が
その景色をより一層
美しく増していた


掌を上に向けて
翳してみる


掌に落ちた雪は
私の温度で
すぐに
水滴へと変わる


頬に落ちた
雪もまた
涙の様に
水滴に変わった…

No.60 09/04/23 09:18
麗 ( hXqgi )

教会には
数人の人々が
何かの準備なのか
幾度と無く
出入りしていた



扉が開かれる度に
オルガンの音が
鳴り響いている


人波に紛れ
足を踏み入れると


五千からなる
パイプを連ねた
オルガンが
目の前に聳え立った


…パイプオルガンだ…


聴き覚えのある
メロディーが流れる


邪魔にならない様
片隅の空間で

目を閉じてみた



異国に居るかの様な
錯覚をさせる



足が宙に浮き

背中に羽がはえ

天使にでも
なったかの様だ



ここに来た理由も…
これから先の事も…
全て忘れ
暫く
その異国に
私は酔いしれていた

No.61 09/04/25 15:10
麗 ( hXqgi )

初めて耳にする
パイプオルガンの音色

部屋中に響き渡り
全身を包み込む

テレビのそれとは
全く異なり
遥かに素晴らしく
美しい音色だった



どれくらい
そうして
いただろう…


オルガンの
音色がとまり
私は目を開けた


……この
  美しい一時を
  優一と里美は
  クリスマスに
  共有するんだ……


すぐに
現実が
心を痛めた…


……薬が欲しい…
  眠りたい……


私は教会を出て
病院に向かった


『眠れないんです』


思ったより
睡眠薬が
簡単に手に入った


……これで今夜は
ぐっすり眠れる……

何となく
ホッとした気がした

私は優一の
マンションには
向かわず

狭い自分の
部屋へと
帰って行った

No.62 09/04/25 18:21
麗 ( hXqgi )

部屋に入り
私はヒーターの
スイッチを押した

外と変わらない程
部屋の中は冷たい


それでも
優一に関わるものが
無いせいだろうか
安堵する自分がいた


窓を開けると
降ってる雪が
屋根にほんのり
積もり
少しだけ
美しい世界を
見せてくれた


 …チチチチチチ… ボッ…

ヒーターが
温かい風を
送り始める

その匂いも懐かしい

ふと携帯に
目をやると
着信を知らせる
ランプが
光っていた


…マナーに
 したままだったんだ…

携帯を開くと
美砂の留守電が
入っていた

『麗?ご飯行かない?
 連絡待ってるからね』

20分程前に
録音されていた
私は折り返し
電話をした

…………………

『麗?待ってました!
 なんか美味しいもの
 食べに行こうよ~ 
 てか今日暇~?  』

相変わらず
高いテンションで
美砂は話す

『う~ん なんか疲れち ゃったんだよなぁ』

気乗りせず
そう答えた

No.63 09/04/26 17:25
麗 ( hXqgi )

『い~っつもそれじゃん
 それとも麗?
 何か有ったの?
 最近顔色も良くないし 具合でも悪いの?』

美砂が
心配そうに
声のトーンを
落として言った

確かに
体重も2㌔程
少なくなっていた

…今夜は付き合うか…
私は

『ううん 大丈夫だよ
 そうだね!
 たまには付き合う!』

明るく言った

『ヤッター!!
 じゃあいつもの
 居酒屋で待ってる!』

『うん!後でね!』

電話を切り
身支度を整えた


美砂には
まだ何も
話していない
今夜
透と別れた事だけは
話しておこう…


駅前まで
歩いてみた

都会とは違う
ささやかな
イルミネーション…

それでもちゃんと
クリスマスを
伝えている

……
 この世界だけで
 生きていた方が
 幸せだったのかも
          ……

そんな事を
思いながら
美砂の待つ
店に向かって歩いた

No.64 09/04/26 18:10
麗 ( hXqgi )

二杯目の
紅茶ハイを
飲み干しても
まだ言い出せず
お代わりを頼もうと
ブザーを押した時

『透くんとの事…
    知ってるよ…』
美砂が言った

『そうだったんだ…』

私は傷付けて
しまった事も含め
透との事だけを
言葉を選びながら
少しずつ話した


お金を貰って
愛人になった事…

立場もわきまえず
愛してしまった事…

嫉妬の感情を
押さえられなく
なりそうな事…


どうしても
優一の事は
最後まで
話せなかった


『麗? 透くん心配してるよ… 他にまだ何か言って無い事有るんじゃないの? 一人で抱えてないで話してみたら?
友達でしょ 何も出来なくても話しくらいは聞けるよ』

美砂は優しく
言ってくれた

『ありがとう…
 でもそれだけだから』

溢れそうな
涙を隠そうと
メニューを
手にした

『まっいいか!!
 今夜は食べるぞ~』


もっと知りたい事も
有っただろう…

深く触れない
美砂の優しさに
感謝した

No.65 09/04/26 19:12
麗 ( hXqgi )

食事を楽しみ
お酒も飲み

私達は
久しぶりの
時間を満喫した

『もうこんな時間だ~』

美砂の言葉に
時計を見ると
12時を回っていた

『帰ろうか』

店を出ると
辺りは降り続く雪で
真っ白に染まっていた


『このまま行けば
 ホワイト
 クリスマスなのにね』

『じゃあまたね!美砂』

『麗!なんか有ったら
 連絡しなさいよ! 』

私は頷き
バイバイと
手を振った

 -クリスマス-

この言葉に
反応してしまう…

さっきまで
あんなに楽しく
してたのに…

また
苦しくなって来る

早く眠りたい…
夢の中だけでも
忘れていたい…

私は
家路へと急いだ

No.66 09/04/26 22:01
麗 ( hXqgi )

『薬を飲む時は
 ちゃんと眠る
 準備をしてからに
 して下さいね 
 フラフラして
 倒れたら大変だから』

病院でドクターは
そう言っていた

《ハルシオン》
という
小さな青い
錠剤だった

『人によるんだけど
 半分にして
 飲んでみてね』

確かそうも
言っていた

真ん中に
割れる様に
溝が入っている


私はベッドに座り

ポキッと
折って飲んでみた


10分…

20分…

30分…

…何も変わらない…
私には効かないのかな…


40分を過ぎて
残り半分を飲んだ


暫くすると
ほんの少し
頭がぼんやり
するのが分かった


雪の降る日は
全ての音を
消すかの如く
見事な静けさを
与えてくれる

心地よさの中で
私はベッドに
横になり
そのまま朝まで

ぐっすり眠った…

No.67 09/04/26 22:33
麗 ( hXqgi )

薬で眠った朝は
調子いいと言うより
寝不足の感覚がした

時間は…
5時…

ボーッとする
頭を押さえ
カーテンを開けた

まだ暗い空
積もった雪が
反射し
神秘的な光で
一面を包んでいた

 …白銀の世界…

まさにそれが
ピッタリの
表現だと思う



このまま

吸い込まれて
消えてしまいたい


漠然と
考えていた…


私の心は
壊れかけてるの?

自分に
問い掛けても
答えなど
出るはずもない…

No.68 09/04/26 23:36
麗 ( hXqgi )

私の想いなど
何も知らず
優一は
今日もやって来た


シャワーを
浴びた後

『麗… 開けてごらん』

細長い包みを
手渡し優しく笑う

『え?何?』

思いもしない
プレゼントに
心が踊った

『わぁ…綺麗…』

キラキラ輝く
ダイアが
五つ連なった
ネックレスだった

『ありがとう!』

抱き着く
私の手から
ネックレスを取り
首につけてくれた


大きな鏡の前に
私を立たせ
バスローブを落とした

『似合うよ…
 すごく綺麗だ… 』

後ろから
首筋にkissしながら
優一は囁く

裸の自分を
見る事に…

そこに絡まる
優一の姿に…

耳元にかかる
吐息にも
感じてしまう

『… 優一さん…  』

私を立たせたまま
優一は
足先まで舌を這わせた

 …アアッ…  アン …

   …アァアン… 

  ユウイチ…サン…

優一に
抱かれる時
私の身体の全てが
性感帯となり
快楽の世界へと
導いてくれていた

No.69 09/04/27 07:59
麗 ( hXqgi )

セックスを
する事で
身体はいつも
満たされていたが
単に肉体だけであり
精神を
満たしては
くれなかった


その感情は
優一が居なくなれば
すぐに襲って来る…


すでに
クリスマスまで
後二日…


想う度に
何かが壊れて
行く気がした…


先に目覚めた私は
下げてある
優一のスーツに
視線を向けた…


……神様…
  どうか
  少しだけ
  私にも幸せを
  与えて下さい ……

こんな事で
幸せになれる
はずなどない


それでも私は
里美に
何かを知らせたくて


片方の
ピアスを外し
胸ポケットに
落とした

そして
いつもより
強めに
香水を吹き付け
優一の眠る
ベッドに
潜り込んだ

No.70 09/04/27 09:23
麗 ( hXqgi )

次に目覚めた時
優一は居なかった

いつもの様に
コーヒーが沸かされ
その横に
一枚のカードが
置いて有った


【Merry昀Christmas】

ため息と共に
首元に掛かった
ネックレスに
触れてみた

クリスマスプレゼント
だったんだ…


…奥さんには
どんなプレゼント
するんだろう…

また余計な
想いが
私を狂わせる

…優一の
 肌についた
 香水は 里美の
 所まで香りを
 運ぶのだろうか…

 里美はポケットに
 入ったピアスを
 見つけるだろうか…

 そして
 私と同じ様に
 苦しむだろうか……


 今日は土曜日のEve


私はもう一度
同じ香水を
耳元に
手首に
吹き付け


サークルに
出掛ける支度をした

No.71 09/04/27 16:33
麗 ( hXqgi )

>> 70 サークルで
私は
社交ダンスを
習っていた

年配の人が
半数を超え
彩り鮮やかな
衣装を身につけ
楽しそうに
踊っている


大会を目指す人が
多数を占める中
私は
そこまで入れ込む
つもりも無く
何となく
やってみたかった

それだけで
始めたダンスだった



里美の姿を見つけた

優一につけた
香りが私だと
気付く様
わざと近付いた


…帰ればきっと
 私の香りだと
 気付くに
 違いない…


一瞬にして
優越感に浸った


私は確実に
嫌な女になっていった

No.72 09/04/28 09:36
麗 ( hXqgi )

夜…

私は部屋には
戻らず
街を歩いていた


クリスマスは
一年に一度
誕生日より
大切にしてる
1番のイベントだった


毎年
クリスマスソングを
耳にする頃には

…今年はどんな
クリスマスを
過ごせるんだろう…

想像を膨らませ
ワクワクしながら
その時を待っていた


煌めく街を歩く
カップルたちは皆
寄り添い
手を繋ぎ…
kissを交わし


それぞれが
二人だけの
世界をつくり
幸せそうにしていた


 … 寒い …


人気のなくなった
道端に立ち止まり
自分の肩を
両手で抱きしめ
空を見上げた


たくさの星が
遠く瞬いている


星空の下
なぜか世界中で
一人ぼっちの気がした…

No.73 09/04/28 12:22
麗 ( hXqgi )

部屋に
戻った私は
一人
ワインを注ぎ

一つしかない
アロマキャンドルに
火を燈した

 …Merry
     Christmas…

携帯に向かって
グラスを翳してみる


~兊兊~兊兊兊~兊~

着うたが流れた

『Merry Christmas
     麗ちゃん!』

懐かしい
透の声だった

『 …透… 』

我慢してた
悲しみが
込み上げ
涙が溢れる

  ……トオル…
  …トオル…

 …傍に居て欲しい…

言葉にならず
鳴咽とともに

ただ…
ただ…
泣いた



透は黙って
声にならない
私の言葉を
携帯越しに
ずっと
聞いていてくれた

No.74 09/04/28 14:56
麗 ( hXqgi )

…透…

 透に逢いたい…
 抱きしめて欲しい…

 本当に透なの?
 違う!

 透じゃない
 そんな事
 解り切ってるじゃない

 でも
 今だけ…
 今だけでいい…


≫ ピンポン ピンポン!≪


玄関と耳元で
チャイムが鳴り

『麗ちゃん!
 大丈夫?麗ちゃん!
 開けて!麗ちゃん 』

ドアを叩く透の声がした

私は思わず
玄関に走り寄り
急いで鍵を開けた


透が心配そうに
立っていた

『麗 ちゃ 』

言い終えるのを
待たず私は
透にしがみつき
温もりを
確かめる様に
強く抱きしめた

 『 透… 』

走って来て
くれたんだろう

透は息を切らし

顔を埋めた胸も
ドクン…ドクン…
と波打っていた

No.75 09/04/28 18:18
麗 ( hXqgi )

『透… なんで
 来てくれたの… 』

透と私は
並んでベッドに
寄り掛かり
キャンドルを
見つめながら話した

『美砂さんから
聞いたんだ… 

麗ちゃんの体調
悪いんじゃ
ないかって
心配してるよ…』

『ごめんね… 
心配かけて…
美砂にも謝らないと』


私はそれ以上
話さなかった
話せばまた
透に甘えてしまう

こんなに
優しい人を
また
傷付ける事は
出来ないと想った


『痩せちゃったね…
さっき抱きしめた時
そう思ったんだ 

俺さ… 
やっぱり心配だし…

まだ麗ちゃんが
     好きなんだ』

(…今優しくしないで
   ダメだよ 透…
  好きだなんて
  言わないで …)

心とは裏腹に
また私は
透の腕に包まれ
泣いた…


『透… 抱いて…』

一瞬
戸惑ったのか
じっと
私を見つめた

『抱いて…』

透は私を抱き上げ
ベッドに横たえ
額にkissをした…

『ずっと傍に居るから
    少し休みなよ』

優しく微笑む
大人びた 透がいた

No.76 09/04/28 23:51
麗 ( hXqgi )

『透… ありがとう』

ベッド脇に
座ったまま
透は私の涙を拭い

優しく髪を
撫でてくれていた


…あの人と同じ…

その幸せ感に
私は目を閉じ
いつの間にか
眠っていた





明け方の
冷たい空気に
目が覚めた

何時間眠っただろう

眠りについた時と
同じ位置に
透はコートを羽織り
眠っていた


…この人となら
幸せになれただろうに

…優一に出逢う前に
      戻りたい

…優一を知らない頃
     に戻りたい


ヒーターをつけ
コーヒーを
飲みながら
私は透の寝顔を
見続けていた

No.77 09/04/29 08:48
麗 ( hXqgi )

…透…
あなたは
どうして
こんな私を?

あんなに
酷い事
してきたのに
それでもずっと
私を守ってくれる…



私には解ってた
寄り掛かれば
寄り掛かっただけ
この人を
傷付けてしまう

優一が居ない
寂しさを
埋めてるだけ

どんなに
苦しくても
私は透ではなく
優一を選ぶだろう




『麗ちゃん…
ごめん 眠っちゃった』

『ううん… 
 謝るのは私だよね』

透にも
コーヒーを渡した

『今日はどうするの?
予定がないなら
ご飯でも食べて…』
『教会に行きたい!』
透の言葉を
遮って私は言った


まただ…

私の中の
悪魔が
心を支配する

透を利用して
優一の気持ちを
確かめ様と考えた


同時に里美にも
私が居るという事を意識 させたかった…

No.78 09/04/29 19:41
麗 ( hXqgi )

私はいつもより
念入りにメイクをし

若さを強調させる
ミニスカートを履き

プレゼントされた
ネックレスを
見せびらかす様
胸元の開いた
服も選んだ

当然
あの日優一に
つけた香水も
きつめにつけた



私にとって
戦いだった…






透と私は
教会に向かう
電車の中で
透と会話したものの
全く頭には入らず
考えるのは
優一達の事ばかりだった


…私が透と一緒なら
 きっと優一は
 気にするだろう

…奥さんに近づけば
 今度こそきっと
 匂いに気付くはず

…穏やかに
 今日を過ごす事は
 出来なくなるだろう
…もしかしたら
 奥さんに隠れて
 連絡してくるかも

頭の中は
そんな事ばかり

『着いたよ』

透の言葉に
促され
電車を降り
タクシーで
教会へと急いだ



優一達より
早く着いて
いなければ
意味がない…

No.79 09/04/30 09:29
麗 ( hXqgi )

間に合った…


『麗ちゃん…?ここ
入れないんじゃない?』

道沿いに
貼って有る
コンサートの
ポスターを見ながら
透は言った

『うん… そうだけど』

曖昧な返事をしながら
私は二人の姿を探した


教会に向かい
歩くカップル達は
皆幸せそうに
私の前を通り過ぎて行く





見慣れた車から
優一が降り
続いて里美が降りた

   …来た…


『透!来て!』

私はコートの
ボタンを二つ外し
透の腕をとり
真っすぐ
優一達に向かって行った



『お久しぶりです』

私は笑顔で
里美に挨拶した

『あら 麗さん?こんな所でお会いするなんて
麗さんもこちらへ?』

『いいえ そうじゃないんですけど…お見かけしたものですから』

一歩近付いて
優一にも挨拶した

『こんにちは佐伯さん』

優一は
少し驚いた様に
見えたものの

『こんにちは 
麗さんでしたか
そちらは彼かな?』

『ええ…そうです』


試す様に私は
力強く答えた

No.80 09/04/30 09:56
麗 ( hXqgi )

『妻の里美です
麗さんとはスクールで
ご一緒させてもらってるます』

当たり前の様に
里美を引き寄せ
透に紹介した

『あ!そうなんですか!何も聞いてなかったので知らなくて』

何を勘違い
したのか
透は続けて
とんでもない事を
言い出した

『クリスマスに教会で
アンサンブルですかぁ…いいですねぇ
なんかお幸せそう!』

里美が口を挟んだ

『そんな… 
でも本当に幸せです
私の誕生日も兼ねて
主人が予約してくれて』

普段は
控え目な里美が
プレゼントらしき
小さな四角い包みを
わざわざ見せた

『うわぁ!流石ですね』

大袈裟に透が言った

  ……は?……

…何言ってるの?
 なんなの?  …

私は 外したボタンの
襟元を合わせ掴んだ

優一は
優しい眼差しで
里美を見つめ
二人の話しを
頷きながら聞いていた


もう
話の内容など
私の耳には
一切入らなかった


時折向ける
里美の視線が
何を意味するのかさえ
この時は解らなかった…

No.81 09/04/30 10:26
麗 ( hXqgi )

『そろそろ
   時間だよ』

時計を
確認しながら
優一は里美に言った

『それではまた…』

二人は揃って
お辞儀をし
教会の扉を開いた


『麗ちゃん!!
佐伯さんって
紳士的だねぇ!
クリスマスに
誕生日だってさ
奥さんも
幸せだよねぇ
…………
…麗…ちゃん…?』

返事をしない
私を振り返り
透は固まった

『 カエッテ… 』

鬼の形相をして
いたに違いない

『えっ?』

『帰ってって
言ってんのが
聞こえないの!?!』

まだ人が
通り過ぎる中
大声で怒鳴った

『どうしたの!?』

慌てた透が
私に触れようと
手を延ばした

『最低だよ…
  もう帰って!!』

その手を
大きく振り払って
私は走りだした



惨めだった…


悔しかった…



来なければ良かった!

見なければ…


どこを

どうやって

帰ったのだろう…



私は部屋に戻り
ドアの鍵をかけた…

No.82 09/05/01 08:46
麗 ( hXqgi )

気持ちを
落ち着かせたくて
私はまた
ワインを開けた

グラスの淵から
溢れる程に注ぎ
一気に飲み干した


……
あの人は誰が
私を抱こうと
構わないの?


私が居るのに
なぜ平然と妻です
そんな事言えるの?


プレゼントって…
あれはリングだよね
奥さんは
ピアスなんか
つけてない
知っててあの日
ポケットに
入れたんだから!
       ……


優一は何でも
買ってくれた

リングを
欲しがらないのは
勿論暗黙であり
里美のプレゼントを
見るまでは
考えもしなかった


あっという間に
ボトルは空に
なっていく

浴びる様に飲む…
まさに
言葉通り
ゴクゴクと
喉元を流れてく


…奥さんの特権
  だとでも言うの? …

プレゼントを
見せる時の
まるで
勝ち誇ったかの様な
里美の顔…

優一の笑顔…


私は…



完敗だった……

No.83 09/05/02 12:35
麗 ( hXqgi )

勝つつもりで
挑んだ
戦いだったはずなのに…
こんな惨めに
なるなんて!!
怒りなのか
悲しみなのか

私はもっと
アルコールが
欲しくて
酔ったまま
ふらふらと
近所のコンビニに
向かった


日本酒

酎ハイ

ビール

カゴを満たして
店内を歩いてると

・・・・・・

コスメコーナーで
足が止まった…


普段使わない
箱に入った
化粧剃刀を手にし
レジに向かい
コンビニを後にした



風が音をたて
落ち葉が舞い踊る

酔いのせいか
寒さはさほど
感じなかった

気付けば
コートも着ていない

頬に当てた手が
冷たくて
孤独が
覆いかぶさる…


…どうして私だけ…

…どうして 独り…


通り行く人が
私を見て
笑ってる気がした

No.84 09/05/03 18:09
麗 ( hXqgi )

悲しい
クリスマス…

独りぼっちの
クリスマス…

買って来た
お酒もまた浴び
私は泥酔していた

何もかも
忘れたくて
飲んでるはずなのに
飲めば飲む程に
想い出し
自分を苦しめる

最後の一本を
取り出した
袋の底に
剃刀が見える

…これで楽になろう…

怖くはない
薄い刃を
手首にあて
ス-ッと引いてみた

痛くもない…

ぼーっと見てると
一文字に引かれた
肌の中から
プツプツと
赤黒い玉が浮かび
それはすぐに
一本の線となって
手首を伝った


  …温かいよ…

  …綺麗…

ポタポタと
流れる
赤い血を
美しいと思ったし
温もりに
触れた気がした…


テーブルに俯せ

暫く見つめ


幸せな気持ちで
瞼を閉じた

『 気持ちいい… 』

No.85 09/05/03 23:23
麗 ( hXqgi )

…ねぇ 麗さん
優一があなたを
愛してると思う?
本当は 解っている
でしょう? …

薬指に光る
リングを
見せながら
里美は高い笑いする


…愛してるのは
 里美だけだよ
 麗はただのおもちゃ
 それだけだよ …


里美を
抱き寄せながら
優一も笑う


『やめて!やめてよ!』

私の叫び声は
二人の笑い声に
消されて届かない

頭を抱えて
何度も何度も
声にならない
声をあげた

足元から
氷の混ざる
水が湧き出て
あっという間に
下半身を浸した

『お願い… 助けて』
『寒いよ…』


…麗ちゃん
 可哀想に…

『透… 助け…て』

…… 助…け… …

どんどん
身体が凍り始め
頭迄浸された
もうダメだ…




『麗ちゃん!
    麗ちゃん!』

No.86 09/05/03 23:53
麗 ( hXqgi )

目の前に
慌てた透が居る
訳が解らない…

『寒い…』

私はガタガタと
震えてた…

血を流すと
体温が下がるのか
本当に寒かった

透が持ち上げた
私の手首には
どす黒い血が
べったりと付き
テーブルの下には
ゼリー状に固まった
小さな血溜まりが
出来ていた

『麗ちゃん…
   どうして…』

透は涙を
浮かべながら
タオルを巻き
上着をかけ
ヒーターをつけた


私は生きていた

玄関の鍵を
閉めなかったのは
生きていたいと
願ったから
なのだろうか…

来て欲しいと
願ったから
なのだろうか…


私は
抱きしめられた
透の温もりと
暖まる部屋の
心地良さに
また
睡魔に襲われ
眠りに落ちていった…

No.87 09/05/04 08:52
麗 ( hXqgi )

…ちょっと
手首を切った
くらいじゃ
死ねない…
知ってるよね
それくらい


死にたいなんて
ほんの少しの
感情なのに…

お酒って怖いね

何でも出来る
そんな気がしてしまう

お母さん
ごめんなさい…

貴女に貰った
大切な身体
傷付けました…
ピアスは
笑って許してくれた

でもこればかりは
許しては貰えないね

私はこれから
どうなるのでしょう…
まともに
歩く事
出来るのでしょうか…



手首に痛みを感じた

気付くと
透が手首に
包帯を巻いていた

消毒液に
塗り薬…

コンビニの
袋も目についた


『透… ごめんね…』

『大丈夫だから…』

包帯を巻き終え
透がニコッと頷く

『何も聞かないんだね』

私の問いに

『聞いて欲しいの?
違うでしょ… 
まだ居るから
もう少し眠ったら?』

『本当に居てね…』

ずっと目を開けて
いられない程
頭痛もひどい


なぜだろう

枯れてしまったのか
涙も出なかった…


『ごめんね…』

私はまた落ちた

No.88 09/05/11 08:34
麗 ( hXqgi )

そんな事をしながらも
優一と過ごす時間だけは
失いたくなく
透との間を
行き来していた

私は最低だ
透の気持ちを
知っていて
辛い時だけ呼んでいた



この頃には
透に連れられて
美砂も
良く来てくれていた

いい加減
何も話さない私と
聞き出さない透に
しびれを切らしたのか
ファミレスで
食事しながら
美砂が言い出した

『麗?やっぱり変だよ
そんなに辛い事有るなら話してみなよ…
透くんの事だって いつまで振り回すつもりなの?』

透は食べるのをやめ
『美砂さん、俺は大丈夫だよ… だから無理に
聞かなくても…』
口ごもった

やはり聞きたいのだろう

私はひとつひとつ
始めから
話し出して行った

隠す事にも疲れ
限界だったのかもしれない


優一と出会い
愛人となった事

不覚にも
愛してしまった事

里美に嫉妬して
嫌がらせをした事

どうすれば
いいのか解らない事
全て話した

隣に座った透が
窓の外を見ながら
涙を拭うのが
視界に入っていた

No.89 09/05/11 12:08
麗 ( hXqgi )

『別れなよ!そんな人と付き合ってたって、麗は幸せになれないよ!』

美砂は強い口調で言った
何も言わず
ただ黙ってる透にも

『透くん?麗の事好きなんでしょ?だったら何で何も言わないのよ!』
『……』
透は何も答えない

苛立った美砂は

『あんた男でしょ?好きならちゃんと掴みなさいよ!私のとこで、どうしたらいい?なんて、もう言ってる場合じゃないんじゃないかな!』

大声ではないけど
明らかに怒ってる

それでもまだ
私は優一との別れを
選択する気はない
そんなに簡単に
言わないで欲しかった

簡単に
別れられないから
こんな風になってる…

……
言われなくても
幸せになれない事くらい
私が1番よく解ってるょ
         ……

『別れたくないの…』
私の一言で
美砂の言葉は途絶えた

そして透も小さなため息を漏らした

No.90 09/05/13 08:53
麗 ( hXqgi )

『帰る』
無愛想に私は
テーブルに
一万円札を置き
席をたった

『なんなのよ』

美砂がムッとして
一万円札を握りしめ
突き返した

『麗さ、変わったよね
今のあんたは嫌いだから! 』

伝票を持って
さっさと
帰ってしまった

私は立ち上がった
席にもう一度座り
残っていた
アイスコーヒーを飲んだ

今頃
涙が溢れてくる

美砂を
追い掛けた透が戻り、
また私の横に座って

『美砂さん 泣いてたよ… 』

…私だって泣いてるよ

声にはならなかった
いや…しなかった

『麗ちゃん… 帰ろう』
透は私の肩を
キュッと抱き寄せる

力のまま
その肩に頭をつけ

『透… 透の事も好き』
悪魔が囁いた

もたれた
私の頭を抱え


……


私にkissをした


透は泣いていた

涙を流し

泣いていた…

No.91 09/05/13 10:11
麗 ( hXqgi )

私は嫌がる
透をタクシーに乗せ
マンションに向かった

そう…
優一と愛し合う
あの部屋だ…

『知りたいんでしょ?
私のこと全部』

『だけどやっぱり…』

『本気で嫌だったら
今ここに居ないはずだし
見せてあげるよ全部』


マンションの前で
タクシーを停め
精算を済ませ降りた

『ここなの…?!』

見上げながら
驚いた顔で透が言った

『私が好きなら来てよ
来ないなら、二度と
私に構わないで』

絶対に断らないと
確信してる私は
完全に上から目線で
挑発している

悲しい顔をした透は
思った通りの答えを出し 私を見つめた

『どうぞ』
私は
部屋のロックを外し
透を招き入れた


……

いつもの景色が
私達を向かえてくれる
夕暮れ時も
また格別に美しい


透は黙ったまま
ずっと景色を眺め

立ちすくんでいた

No.92 09/05/13 12:13
麗 ( hXqgi )

『綺麗でしょ…
ここで彼に抱かれるの…』

ベッドを撫で
悪戯に透を見た

微かに透は
震えているのか

『俺にどうして欲しいの…』

小さく強く呟いた

『抱いてよ… あの人以上に私を感じさせて』

言い捨て
シャワールームに
向かう私の手を
力強く掴み
引き寄せる

『望み通りにするよ!』
私の髪を
揉みくちゃにしながら
kissをしてきた

舌が絡み合い
息も出来ない程
激しいkiss…

上着のボタンを
契れそうな力で
外していく…

『もう、我慢はしない』

怖いくらいの
その表情に
いつもの幼さはない

透にしがみつくのが
やっとだった

永く激しいkissの後
そのまま抱えられ
ダブルベッドまで運び

一瞬の躊躇もなく

私を横たえた…

No.93 09/05/16 16:11
麗 ( hXqgi )

いや…
ベッドに投げ落とした

『どんな風に
あいつに抱かれる!?』

馬乗りになり
大声で透が叫ぶ

私の両腕を
頭の上で
一つに持ち
睨みつける

  …コワレタ?…

こんな透は
初めて見る
正直 ちょっと
怖い気がしたけど
強気で見つめ返した

何も言わない
私の服をわし掴みし
そのまま破いた

パチッ!

大きくボタンが弾け
窓にぶつかる

透は荒々しく
私に覆いかぶさり
ブラを持ち上げ
あらわになった
胸にむしゃぶりついた

『やめて!痛いよ!』

暴れ様にも
押さえられ
出来るのは
足をばたつかせる位だった

『なんで?なんで
 あいつなんだよ!』

そう繰り返しながら
力強い愛撫を続ける

ふと 透を見れば
その瞳からは
涙が流れていた…

『泣いてるの?』

呟いた瞬間
透の力が緩んだ

すかさず
私は起き上がり
透にまたがった

淫らな格好のまま
逆転した

『教えてあげるよ…
そんなに
乱暴にしないで…』

No.94 09/05/16 18:34
麗 ( hXqgi )

私は透の唇を
舌でなぞり
kissをした

耳に舌先で
触れると
透は

『アッ… ア… 』

まるで
女の子の様に
声を漏らし
身体をビクビクッと
震わせている


もう強い透は
そこに居ない

流れる涙も
いつの間にか止まり
一つ一つの
私のkissに
身を委ねていた

小さな乳首にも
舌を這わせ
円を描くように…
軽く吸い上げる様に…
転がしてみる

『アアッ… アッアッ…』

乱れた私の服の
背中を握りしめ
透は喘いだ


…男の人も
 こんなに
 感じるんだ…

その姿に
どうしようもない程
私は感じ
大きく反り返った
透を掴み
ゆっくりと
私の中に沈めた…


  ン… アア……ッ

二人同時に
大きな声をあげた

優一の様に

ゆっくり
ゆっくり
腰を動かしてみた

…これなら
 透とでも
 イケるかもしれない…

私は自分の
場所を探り
動かす…


『もう…ダメだよ…』

透が悲鳴に
近い声で言った

その途端
透の動きが
早くなった

『ダメだよ!… 』



私にしがみつき
透は果てた…

No.95 09/05/17 18:24
麗 ( hXqgi )

やっぱり
透とのセックスでは
満たされない

『もう少し我慢してくれ  なきゃダメだよ』

息を荒くして
高揚した顔の
透を横目に

なんの余韻も
ないまま
ベッドを抜ける


  …ん?…

携帯が短く鳴った

メールを開くと
優一から…

【今夜 伺いますが
 よろしいでしょうか】

返信せず
そのまま
携帯を閉じ
透を見た

『透… 
 今日はここに居て』

『うん…』

満足気に
優しい顔で頷く



私は急いで
シャワールームへ行き  ビデを使い
念入りに洗浄する

……私がどんな男を
  愛したのか
  どんな風に
  愛されるのか
  見せてあげる……


壊れてるのは
間違いなく
私の方だった…

No.96 09/05/17 22:04
麗 ( hXqgi )

『メッチャ綺麗だね…』
部屋に戻ると
外を見ながら
透が静かに言った


『普通に
生活してたら
私にはこんなとこ
絶対住めないよ
勿論…透もね』


『麗ちゃん…
それでもやめて欲しい…
俺、バイトも増やすし
頑張るからさ!』


『アハハ!そんなの
無理に決まってるじゃない!何言ってるの?』

真剣な顔で
諭す透が
何だか可笑しかった

どれだけ働いても
優一の様にはなれないし
優一の様に私を
抱く事も出来ないだろう

『彼みたいに
なれるなら
考えてもいいかな』

透はまた
悲しそうに
うつむいていた


私は時計に
目を向け
優一の来る時間を
確認した

…そろそろかな…



 - Ping-pong♪ -



チャイムがなった

… ビンゴ! …

慌てたふりで
透を急かす

『隠れて!早く!!』

扉の隙間から
ベッドが見渡せる
クローゼットに
透を押し込む


何が何だか
分からない透は
同じ様に慌てて
すんなり従った


玄関の靴を
隠し
ドアを開けた

No.97 09/05/18 00:07
麗 ( hXqgi )

『ただいま』

優一は時々
そう言って
部屋に入って来た

相変わらず
穏やかな
低いトーンだ


『お帰りなさい』

優一の身体に
絡みついた

口髭が
くすぐったい
小鳥のkissをして

『シャワー浴びて…
私は今浴びたの…』

優一の上着の
ボタンを
人差し指で
触れながら言う

優一は
いつだって優しい

『ん?食事に
  行かないのか?』

唇を尖らせ
甘ったるい声で

『だってぇ…』

上目使いで
優一を見つめる

『わかったよ』

そう言って
額にkissし
私を抱き寄せる


待機してる
運転手に
携帯で連絡をし
バスルームに向かった

No.98 09/05/18 08:26
麗 ( hXqgi )

急いで
透の元に行き
クローゼットの
扉を開け
私は言った

『絶対出ないで』

そんなに
狭くはない空間に
透は力無く
しゃがんでた

呆れてるのか
悲しんでるのか
透は何も言わない

押さえつける様に
声を潜め

『透!わかってる?
  絶対だからね!』

扉を閉め
ベッドを直し
優一を待った

優一が出る迄の時間
やめようか?
どうするか悩んだ

いくらなんでも
ひど過ぎやしないか?

こんな事をして
何かが変わるだろうか

同じ事が
何度も頭を巡る



バスルームから
-カタン-
と 音がした


… 今更だよね …

私は決断した

No.99 09/05/19 17:26
麗 ( hXqgi )

- ドクドク -  

 - ドクドク-

心臓が
その存在感を
示している

落ち着かない…

緊張感からか
ぎこちなく
なってしまう…

『どうした?』

ワインを注ぎながら
優一は私を見た

『え?…どうも
   してないよ』

多分 作り笑いだった


クローゼットが
気になって
仕方がない

笑いながら
優一は私に
ワインを手渡した

『ありがとう…』

渡されたワインを
一気に飲み干し
自分でグラスに
注ごうとした時

『そんな飲み方は
   よくないよ』

私からグラスを
取り上げ抱きしめる

鼓動が優一に
伝わってしまうと
思えば思うほど
更に激しく
高鳴ってしまう…


髪をかきわけ
舌を柔らかく
すべらせながら
首筋にkiss…

  … アン … 

私は声を漏らす


『綺麗だよ…麗…』

kissしながら
あっという間に
裸にされてしまう



私は

扉越しの
透の前で


一糸纏わぬ身体を
さらけ出していた

No.100 09/05/20 12:17
麗 ( hXqgi )

優一は
クローゼットに
向かって立つ
私の後ろに回り

柔らかく胸を
揉みしだき
少しずつ
愛撫する手を
下に滑らせる

力を入れ閉じた
その場所に手が届く…

『 ン… ダ、ダメ… 』

優一の手に
自分の手を重ね
止めようとしても

『綺麗だよ… 
 恥ずかしくないから…
 … ほら…
 …  力抜いて…』

止めようとはせず
私の手の上に
優一は
手を重ねかえた

濡れた溝を
優一のしなやかな
指に誘導され
そっとなぞる

『 アアッ… 』

固くなった
蕾にふれた時
内ももに
入れた力も抜け
背中越しの
優一の首を抱える

自分でするより
遥かに気持ちいい
その動きに

羞恥心も
次第に薄れ
漏らす声まで
大きくなって行く


『 イ… イッちゃう… 』

耳元にかかる
優一の息使いも
荒くなり感じてしまう


自ら動きを早めると
優一はkissで
口を塞いだ

立ったまま
のけ反り
私は隙間から
声をあげ
  
昇りつめ
もたれかかった

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