黒い十字架
命より大切な
-存在-
に、気付いてしまった時から‥
それが欲しくて、欲しくて仕方が無い。
【 禁断の果実 】
決して‥手に入れてはならぬもの。
僕の‥‥‥
--- 妹 ----
◇中傷**批判などはご遠慮、願います◇
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**中世ヨーロッパ**
- - 公爵家 - -
“レオ”が10歳の時に、周囲からの祝福をうけて1人の女の子が誕生した。
彼の実妹であり、
“エレナ”
と名付けられた。
◇◇◇
・数ヶ月後・
僕は、小さな妹を見ても特に興味が無かったのだ。
それより友達と馬に乗って遠出をしたりふざけて遊ぶ方が楽しかった。
とは言うものの、10歳も年が離れたエレナを疎ましいとも思っても無かったから
「レオ!少しは、エレナと遊んであげて」
そう母親に言われた時だけ、相手をしていた。
貴族の家庭では、大概 こういう世話をするのは お仕えの者‥なのだろうが、両親は
「公爵家で有っても、子供には親からの愛情が必要」
と決めているらしくお世話など、全部 自分達でやり どうしても手が離せない時や協力が必要な時に、使用人達の手を借りている。
そして、僕はエレナの“お兄ちゃん”だから、こんな風に駆り出される時が有ったのだ。
“遊んで‥”
と言われても、まだ赤ちゃんの妹と どうやって遊べば良いか分からなくて、ほぼ〔面倒を見る〕
様なものだった
>> 1
‥そんな状態が、2年も続き エレナが喋る様になってからは、ちょっとウルサイ‥と感じる様になっていたのだ。
僕が13歳になった時、初めて女の子に恋をした。
出会った場所は、家族と出かけた旅行先。
同い年で、大人しく繊細。そして優しい子‥ルイーズ‥と言う名前だ。
僕とルイーズは、直ぐ仲良くなり 旅行中お互いの時間を合わせて、話をする‥ただ、それだけだったけど とても幸せな気分。
エレナの事なんて、頭に無かった。
旅行の日程も終わりに近づいて来たから僕は、ルイーズに住んでいる所を聞いて手紙でも送ろう‐‐と思っていたのだ。
しかし 彼女は首を横に振り、こう言った
「私も文通がしたいけど‥無理なの。
レオと会えて良かった」
悲しい様な笑顔‥それを向けて、ルイーズは去って行き
(僕は振られたんだ)
と思った。
その日の夜‥‥ルイーズは、自殺をして命を絶ってしまったのだ。
心に病を持っていて、以前から自殺未遂を繰り返していた事も 静養の為 此処へ来た事も‥全て後から分かり、ショックを受けた。
話してくれなかった事では無くて、好きな人が悩みを抱えてた事に‥気付かなかったから。
>> 2
‥旅行から帰って来て、長い長い月日‥ずっと部屋に引き隠り 落ち込んでいた。
何をするにも億劫でやる気が無い。
友達が心配して、見舞いに来てくれたり遊びへ誘ってくれて有り難かったが、まだ そっとしておいて欲しかった。
両親も、色々と話しかけて来たが‥本当に鬱陶しくて、余計外に出たく無くなってしまう。
ルイーズと一緒に居て、浮かれてばかりで‥結局 何の役にも立たなかった後悔が押し寄せて来るのである。
◇
扉の向こうから、ノックの音が しつこく聞こえて
「静かにしてくれよ!」
大きな声で、言い放つと 一旦 音は止まるが、また同じ事を繰り返す。
僕が、ドアを開けるまで続ける気の様だ
仕方なく 扉に手を掛けると、そこには案の定 3歳になったエレナが立っていた。
まだ 入っても良いなんて言って無いのに、勝手に部屋へ上がり込んで来る。
「お兄ちゃま 抱っこして」
(やれやれ‥)
溜め息まじりに、妹を抱きあげた。そうしないと、泣いてしまうからだ。
「お遊びしないの?皆心配してるよ」
エレナが 小さな腕を回し 抱きつく。
妹なりの励ましであろう
>> 4
‥「お兄ちゃま、それはパートナーに、するキスでしょう?」
驚きの声を上げて、ませた発言をして来る。
それでも‥そこはそこ3歳児。
「僕が元気になる‥“おまじない”だったんだよ」
とっさに、思い付いた言い訳をすると、納得したのだ。
「そっかぁ! じゃあ
もっと して上げる。お兄ちゃまが、もっと元気になります様に!」
エレナから、僕へキス。
この事は
‐兄妹だけの秘密‐
妹には、適当な言葉で理由を付けて それを約束させた。
エレナが 僕から離れて行くのでは無くて、周囲に知られると 引き離されてしまうと考えたからだ。
だけど‥実際は、その方が良かったのかも知れない。
‥禁断の果実‥
決して 手に入れてはならぬもの。
それを分かっていたから、その先には進まなかった。
現在(いま)は・・。
心の片隅で、それが“欲しい”と言う想いに迄 達してなかったから。
思い返せば、この時点で---離れておくべきだった。
エレナの為に。
>> 5
‥その日から、やっと僕は 自分の部屋から出て 皆と一緒に食事も取り 昼下がりに、外に出てみょう‥と言う気持ちになっていた。
丁度 友人達が誘いに来てくれた所だったので、それに応じたのだ。
ルイーズと永遠の別れ以来、引きこもってばかりだった為、こんな風に仲間と笑い合えるのも 久々で有り心も軽くなる。
これは、僕自身が自然に立ち直り始めた事‥そうだと思っていた。全て 自分の力だと。
でも、違っていたんだ。妹のお陰だったのに--気が付いていなかった。
「お兄ちゃまー!待って。待って!私も行くっっ」
背後から聞こえてくるエレナの声。
僕達が立ち止まり、振り返ると 息を切らしながらも、追いつけた事でニッコリして来た。
「皆さん こんにちわ」
スカートの端を持ち上げて、仲間に挨拶。
「エレナちゃん こんにちわ」
友人達も、挨拶を返し 頭を撫でる者もいた。
「ねぇ 何処へ行くの?私も連れてって」
僕に甘えて来るエレナ--。
いくら10歳も離れていたって妹は妹。
友達同士で出掛けるのに、連れて行けやしない。
一緒に行くにしても仲間だって、口にせずとも 心は怪訝になるだろう
>> 6
‥だから、こう言い放った。
「エレナを、連れて行く事は出来ないから 大人しく帰るんだ」
と。
瞬く間に妹の目は、涙で広がる。
「皆 行こう!」
僕が仲間に声を掛けて、前へ進む。
「レオ いいのか?」
友達は、ポツンと立ったまま 泣いているエレナを気遣い
振り向きながら、駆けて来る。
「大丈夫。放っておいても ちゃんと帰宅するから」
そう答えた。
僕には 妹の行動パターンが読めていたからだ。
帰る様に促しても、ほら‥こうして 小さな足で、必死に追いかけて来るんだ。
そして 途中で転んで、余計に泣き出す。
仕方なく僕が、エレナの元に引き返して ゆっくりと立ち上がらせて、ワンピースに付いた砂ぼこりを払い 簡単に傷口を消毒して‥
「酷くなる前に、家へ帰った方がいいよ」
エレナの頭を軽く撫でて、帰宅させた。
◇◇
僕が、エレナを仲間達と一緒に 遊びに連れて行かなかった訳は さっきも話した通り。
だけど その心の半分は あんな風に言っても、必ず妹が着いて来るのは分かっていた。
それなのに そう告げたのは‥
エレナが僕の後を着いて来る事が‥嬉しかったから‥
>> 7
‥13歳の僕と、3歳の妹。世間の者達は
「それだけ年が離れていれば、エレナの事を可愛いと思えるでしょう?」
と聞いて来たりする。
「はい。そうです。でもワガママ言ったり、生意気な態度をしたりする時は--可愛いと思えません」
僕は、そう答えていた。
本当の事だし隠す必要も無いからね。
◇◇◇
・ 1年後 ・
4歳になったエレナが“初恋”をした。
「お兄ちゃま。私ねタクト様が好きなのよ」
彼は‐‐僕の友達だ。
それを聞いた時、何だか胸が重い気持ちになったけれど 妹を束縛しなかった。
エレナが本気で、タクトに好意を持ったって、報われやしないと分かっていたからだ。
「お兄ちゃまは、好きな人いないの?」
妹からの質問‥。
「いるよ。マレーネだ」
家同士が勝手に決めた、交際相手の子の名前を出した。
何とも想ってないのに、口にした理由
(わけ)
直ぐ側に、彼女が居たから そう言うしか無かったんだ。
マレーネが、何を考えているのか‥そこ迄 気が回らなかった。
実妹への想いを知られない様にする為‥頭が一杯だったから‥‥。
>> 8
‥「わぁ!そうなんだ。マレーネさんも、お兄ちゃまの事お好きなの?」
わくわく ドキドキ
好奇心を隠さず、無邪気な瞳でエレナは彼女にも訊ねていた。
「勿論よ」
‐言葉と心は違う‐
彼女の表情を見てたら分かる。出来るだけ、顔に出さない様にしている様子ではあるけど。
僕とマレーネは、さっきも説明した通り家同士が決めたフィアンセ。当人達の気持ちよりも、家柄などの存続や安泰を第1として考えられている‐‐貴族‐‐宿命‐‐。
きっと、マレーネは僕との婚約に対して意にそぐわないのであろう。でも、4歳のエレナが期待している答えを 察知した様で、こう続けて言ったのだ。
「レオと結婚したら幸せになれると思うわ」
それを聞いた妹は、心から嬉しそうな笑顔を向けて話す
「うん!絶対そうなるよ。お兄ちゃま優しいもの。
余り賢く無いけど」
(一言余計だ!)
と思いながらも、僕は いつだってエレナの笑顔に負けてしまい、何も言えなくなる。
「お兄ちゃまとマレーネさんは、好き好き同士なんだね。じゃあ キスしてみて」
彼女が泣きそうな顔になった事にも、僕の想いにも 全く気が付かず‥妹は、はしゃぎながら そんな事を言ったんだ‥
>> 9
‥「そんな事、誰かに言われてするもんじゃないよ。それより今日は、母様と出掛けるんだろ?早く支度しないと叱られるぞ」
世間では、心優しく穏和で 美しき貴婦人‐‐とされている僕とエレナの母親であるが、怒った時の姿は鬼瓦の様だ。‥ひょっとしたら、鬼瓦の方が まだ優しそうに見えるかも知れない。
とにかく、怒った時の母に勝てる者は誰も居ないのだ。
そういう訳で 妹は僕が最後に言った事を聞くと、直ぐ外出の支度をしに部屋を出て行った。
「エレナが、困らせる様な事を言って悪かった」
妹からの発言に、困惑して涙目となっていたマレーネへ 僕が代わりに謝る。
2人の間に 特別な感情が無いのは分かるけど‥
(僕とのキスは、泣く程イヤなのか?)
と少々 空しい様な悲しい様な感覚を持っていたのだ。
「謝らないで。ちょっと驚いてしまったのと‥どうして良いのか分からなかっただけなの。
助け船を出してくれて有り難う」
マレーネも、可愛らしい笑顔を浮かべて答えてくれたけど‥やっぱりエレナの笑みに比べたら、劣ると思ったんだ。
>> 10
‥フィアンセであるマレーネ。彼女は、僕より1つ年下の13歳だ。
お見合い・交際・婚約・結婚
これらの期間まで、全て家同士が決める。同じ貴族であっても、各家庭の都合や事情で 初めて顔を合わせてから、挙式をする日の時期が
とてつもなく早い場合も有る。
僕達は、良いのか‐悪いのか‐‐婚約をしてから1年後、つまり来年に結婚をする事と決められているのだ。
この1年間の婚約期間、ただ何もせずにボーとしている訳じゃない。
結婚するからには、パートナーを守らないとならないし、仕事も必要。希望の役所に就ける様に、準備(勉強)をしている所だ。
また社交界に出てもそこそこ上手く渡れる様に‐社交辞令‐と言うものも覚えなくてはならない。不本意だけど、それに反発して 言いたい放題・やりたい放題な事をしたって ロクな結果にならないと思うから、自分の意志をシッカリ持ちつつ 周囲に合わせて行くしか無い。
◇◇◇
「レオ。週末に、私の家でティー・パーティをするの。そんな大袈裟なものじゃなくてね、軽いお遊び程度なんだけど‥。妹さんと一緒に来て下さらない?」
マレーネから、お誘いの声を掛けられたのは初めてだ。
>> 11
‥いつも、会う約束を持ち掛けるのは僕だったから 少し面食らってしまったけれど、快くそのティー・パーティの招待を受けた。
理由なんて、本当に簡単なもの。
フィアンセが言ってくれた
「妹さんと一緒に‥」
の言葉に惹かれたんだ。
いくら連れて行きたくても、デートや友人達と出掛けるのに“妹も一緒”なんて出来ない。当然だけど、ここ最近‥それが自分の中で もどかしくなって来た所だったから マレーネの言葉が嬉しかった。
そう言ってくれるのなら、堂々とエレナを連れて行けるからね。
綺麗な服・可愛いアクセサリーなどを身につけて、お出かけするのが大好きな妹だから きっと、ティー・パーティの誘いに応じる筈だ。
「週末を、楽しみにしているよ。マレーネ」
僕は また妹への
“恋愛感情”を隠しながら 彼女の頬に軽いキスをする。
「私も貴方達が、来て下さる日を心待ちにしているわ」
微笑んでの返答。
13歳のマレーネの方が、社交辞令は上手い様だ。
‥もう少し 疑えば良かったのかも知れない。いくら 決められた婚約者同士だからって、パーティに“妹同伴”を許すなんて‥。普通では考えられない事に。
>> 12
‥ドアの、ノックと共に薄いグリーンのドレス(外出着)に身を包んだエレナが、入って来た。
淡い栗色の髪の毛と良く似合っている。
「お兄ちゃま。おリボンを結んで頂戴。自分でやろうと思ったけど、やっぱり出来なかったのよ」
白いリボンを差し出して頼んで来た。
もし 此処に、マレーネが居なければ
僕は妹の頼みを聞いて 柔らかい髪に触れ--結んでいたであろう。
今は 彼女が側に居る‥‥僕は、また自分の想いを知られたくなくて隠し通す。
ー禁じられた愛情ー
だから‥こんな言葉で、本心を悟られぬ様に こう言い放った。
「僕はエレナの使用人じゃない!何でもかんでも、頼んで来るなよ!」
「怒らなくても良いじゃないの‥」
下を向き 拗ねて涙目となる。
自分の思い通りにならなければ
〔泣く〕〔わめく〕〔拗ねる〕
のどれかを必ずしてくる4歳の妹。
過去から、その態度は余り変わっていない。
変わったのは僕。
現在(いま)では、その言動 全てが‥愛おしいと思う様になっているんだ。
今も心の何処かに、残る亡き・ルイーズ‥
彼女に向けたかった愛をエレナへ捧げてる内に‥禁断の扉の前へと進んでいた
>> 13
‥その“扉”を開けずにいたのは、これでも一応〔 理性 〕があるし 正真正銘
血の繋がった兄妹の恋愛なんて〔 モラル 〕に反する事だと、分かっていたからだ。
◇◇◇
「泣かないで。私が結んであげるわ」
マレーネが 白いリボンを手に取ると
エレナの髪の毛を、まとめ上げ 器用にそれで結った。
その時の妹の姿は、思わず抱き締めたくなる程、小さくて可愛いレディに見えて‥‥。
そんな感情が、表へ出ない様にする為‥気を取られていたから‥‥全く 気付いてなかった。
勿論 エレナも、可愛い結び方に大満足で喜びまくっていたから 知らなかったたであろう。
-- マレーネが‥
〔 意味深な笑み〕
を浮かべていた事に
‥。
- << 17 ‥「じゃあね!マレーネさん。お兄ちゃま。行って来ます」 妹は そう言って、リボンをヒラヒラなびかせながら 部屋を出て行った。 「マレーネ。まだ紅茶が残っているんだけど‥どう?」 エレナが居なくなれば、彼女と2人でいる空間が何処か ぎこちなくて‥その間を持たす為、小さなポットの中に入っている紅茶を勧めたんだ。ほんの些細な行動でも、何もしないよりはマシだと思って。 「有り難う。頂くわ」 マレーネがソファーに腰を下ろそうとした瞬間と、僕が それを注ごうとした時 ちょっとした弾みで 手が滑り、彼女のスカートに紅茶をこぼしてしまった。 「御免なさい!」 直ぐに謝り、タオルを手にして 拭こうとすると‥彼女が言ったんだ。 「気にしないで。これ位なら染みにならないわ」 女の子の服の事は、よく知らないけどそれでも 随分 高価そうだと言うのは分かる。だから 気にするな‥と言われても汚してしまったのだから、気になるし “火傷”をしてないか‥も気がかりだった。 僕のそんな心配が顔に出ていた様で、マレーネは また口を開く。 「そんなに気になるのなら‥見てみる?」 彼女が、ゆっくりとスカートをめくり始める‥。
雫さん😍💓
新作ですね!✨
前作も完結お疲れさま
でした😊
シリアスな話大好きな
んですー!🍓
超楽しみです😊続きが
気になります!また様々
な人の感情の嵐になりそ
うな予感ですね😍💓
応援してます(^ω^)!
>> 14
‥その“扉”を開けずにいたのは、これでも一応〔 理性 〕があるし 正真正銘
血の繋がった兄妹の恋愛なんて〔 モラル 〕に反する事だと、分かっ…
‥「じゃあね!マレーネさん。お兄ちゃま。行って来ます」
妹は そう言って、リボンをヒラヒラなびかせながら 部屋を出て行った。
「マレーネ。まだ紅茶が残っているんだけど‥どう?」
エレナが居なくなれば、彼女と2人でいる空間が何処か ぎこちなくて‥その間を持たす為、小さなポットの中に入っている紅茶を勧めたんだ。ほんの些細な行動でも、何もしないよりはマシだと思って。
「有り難う。頂くわ」
マレーネがソファーに腰を下ろそうとした瞬間と、僕が それを注ごうとした時 ちょっとした弾みで 手が滑り、彼女のスカートに紅茶をこぼしてしまった。
「御免なさい!」
直ぐに謝り、タオルを手にして 拭こうとすると‥彼女が言ったんだ。
「気にしないで。これ位なら染みにならないわ」
女の子の服の事は、よく知らないけどそれでも 随分 高価そうだと言うのは分かる。だから 気にするな‥と言われても汚してしまったのだから、気になるし
“火傷”をしてないか‥も気がかりだった。
僕のそんな心配が顔に出ていた様で、マレーネは また口を開く。
「そんなに気になるのなら‥見てみる?」
彼女が、ゆっくりとスカートをめくり始める‥。
>> 17
‥清楚な彼女が、大胆な行動に出てきて僕は 驚いてしまった。
こんな事、初めてだったから どうして良いのか分からない。
どんどん めくり上げていくマレーネ。
後‥もう一歩で、あの部分となる時‐‐‐彼女は手を離してスカートが元通り、足を包んだ。
「今、私がした事と同じ事を‥貴方の好きな方がレオの前で やったら、どうしてた?」
僕は返答に詰まる。
エレナが‥‥だったら、きっと“手にしてしまう”でも そんな事 言える訳が無い。
「やっぱり、私の事を好きだって仰ったのは嘘だったのね」
マレーネの声で、我に返った。そして
恐る‥恐る‥訊ねてみたんだ。
「僕が誰を想っているか‥知ってたのかい?」
彼女は微笑を浮かべながらも
「私が知ろうが、知るまいが‥。この婚約・結婚は破棄出来ないわよ」
と鋭い口調で放ってきた。
この時からでも、遅く無かったんだ‥。
僕が マレーネを愛せる様にしておけば‥‥誰も‥影を落とす事には、ならなかった筈なんだから。
だけど‥そこ迄 考えていなかった僕はエレナから 彼女へ想いを移す事など、出来なかった‥。
それが全ての、元凶だったのかも知れない。
>> 18
‥** その頃、エレナは母親と子馬を見に行っていた。
近所の友達は、みんな自分の子馬をペットにしていて、大きな公園や草原などで互いに 見せ合いをしたり、駆けっこなどをして遊んでいるのだが‥エレナだけが、それを持っていなかった。
その為 みんなの輪の中へ入れなかったり、仲間外れに遭い泣きながら 帰って来る事が日々、増えて来たのである。
そこで、両親が相談し合った結果 エレナにも子馬を与える事にしたのだ。
◇◇◇
「エレナ どの馬にするか決めたの?」
母が愛娘に訊ねる。
かれこれ30分は、選ぶのに迷っていた
「うん!決めたよ。この子にする」
真っ白な毛並みの子馬。とても穏やかそうな瞳をしていた。
それを購入する際に必要な手続きをしている間、幼女(エレナ)は ウキウキしながら、白い子馬を撫でて こう話かける
「子馬ちゃん。私と仲良くしてね!一緒に遊ぼうね」
母が戻って来たら、そのまま子馬を連れて帰れると思っていたが、実際 家に届けられるのは 3日後だと知り‥シュンとして 涙を、拭き拭き 母と手を繋ぎ馬車に向かう
>> 19
‥「いつまでも、メソメソしないの。3日後には届くから」
「うん‥」
そう言われても、まだ少し諦め切れない様子だ。
馬車に乗り掛けた時エレナは、前方から来る者を見て 流れ落ちる涙を止め様と必死になった。
「こんにちわ」
母と娘に声を掛けたのは、レオの友人・タクト‐‐エレナ‐“初恋の君”である。
「どうして泣いているの?」
好きな人に、泣き顔を見られてしまい
真っ赤になったが、話が出来るチャンスでも有った為‥頑張って喋る事にしたのだ。
「あのね・・・」
その訳を話すと、タクトはエレナの頭を優しく撫で、視線を合わす様に屈んで
こう言った
「それは残念だったね。じゃあ その悲しい事を吹き飛ばせる様に‥遊ぼうか?」
「え? いいの?」
思いもかけない言葉に、声を弾ませながら 母に承諾を求める。
幾ら 息子の友達でも、こんな小さな子のお守りなど迷惑では無いか‥と心配していたが、タクトが“快く引き受ける”と申し出たので、その日の午後 エレナは彼と出かける事となったのである。
◇◇◇
母と別れてから、タクトに手を繋いで貰った時 エレナの小さな胸は
(周りに聞こえちゃう!)
>> 20
‥と思う程、ドキドキしていた。
「今日は大人しいね。レオが居ないから寂しい?」
「違うわ!お兄ちゃまが、居なくても寂しくないもん!今日だって お出掛け前にリボンを結んでってお願いしただけなのに、怒られたのよ」
その時の事を思い出して、涙が滲む。
それを見たタクトは内心 焦ってしまった。端から見れば、自分が4歳の子を泣かした様に思われても仕方が無い雰囲気だったからである。
それを回避する為だけに、彼はエレナを抱き上げて 味方的な言葉を囁く。
「こんなに可愛い君の言う事を聞かず、怒るなんて‥いけないお兄さんだね。僕が代わりに叱ってあげるよ」
「本当に そうして下さるの? もしも、又お兄ちゃまに 私が怒られたら、タクト様は助けてくれる?」
(内容によるけど‥)
と思った彼であったが、たかが4歳児の言う事だし 兄妹ゲンカなんて何処でもある。
(取り合えず 今は、エレナを泣かさない様にしないとな)
そんな風に考えた上で“口では”こう言っておいた。
「勿論。何か遭ったら、いつでも言うんだよ。僕の家に来てくれたって構わないからね」
優しい言葉に“騙されてる”事に気付かず‥エレナは、タクトにキスをした
- << 24 ‥幼い女の子から、口づけをされてしまい面食らったタクト。 しかし相手は、4歳になったばかりの子で 友達の妹でもある事から、邪険には出来なかった。 嫌な顔一つせず、 「有り難う。エレナ姫から、キスを貰えるなんて僕は幸せだよ」 と、口上手に話す。 (‥姫‥!) そんな事を言われたのは、初めてであった為 エレナは心から嬉しくなって、もう一度 キスをしてしまった。 タクトの方は、これ以上 姫君からの愛情表現を示して貰うと 道行く人達に、自分の“趣味”を疑われかねない!と感じて、エレナの気を反らす事にしたのだ 「エレナ姫ちゃん。これから帰宅する時間まで、好きな場所や好きな物を買ってあげるよ。何でも言って」 「やったぁ!!嬉しいなー」 彼に抱っこされたまま“姫”はアレコレ考える。 ◇◇◇ つい先程、彼は‐エレナからキスを突然されて一瞬 動揺してしまったのだが‥ちょっと落ち着いて来ると 驚きと言うか‐‐不思議と言うか‐‐〔疑問〕が浮かぶ。 (どうして‐まだ4歳の女の子なのに‥キスが上手かったんだろう? まるで‥“経験済み”みたいじゃないか‥‥) それが、やけに頭から離れなかった
澪さん、こんばんは😊
新作いつも更新する度に読んどります😚
兄と妹との禁断の愛💕これからの展開気になるところ…楽しみにしとるばい😊
それでは執筆頑張って下さい📝応援しとります😚💦
では、また携帯小説の集いで…
アル🍺
>> 21
‥と思う程、ドキドキしていた。
「今日は大人しいね。レオが居ないから寂しい?」
「違うわ!お兄ちゃまが、居なくても寂しくないもん!今…
‥幼い女の子から、口づけをされてしまい面食らったタクト。
しかし相手は、4歳になったばかりの子で 友達の妹でもある事から、邪険には出来なかった。
嫌な顔一つせず、
「有り難う。エレナ姫から、キスを貰えるなんて僕は幸せだよ」
と、口上手に話す。
(‥姫‥!)
そんな事を言われたのは、初めてであった為 エレナは心から嬉しくなって、もう一度 キスをしてしまった。
タクトの方は、これ以上 姫君からの愛情表現を示して貰うと 道行く人達に、自分の“趣味”を疑われかねない!と感じて、エレナの気を反らす事にしたのだ
「エレナ姫ちゃん。これから帰宅する時間まで、好きな場所や好きな物を買ってあげるよ。何でも言って」
「やったぁ!!嬉しいなー」
彼に抱っこされたまま“姫”はアレコレ考える。
◇◇◇
つい先程、彼は‐エレナからキスを突然されて一瞬 動揺してしまったのだが‥ちょっと落ち着いて来ると 驚きと言うか‐‐不思議と言うか‐‐〔疑問〕が浮かぶ。
(どうして‐まだ4歳の女の子なのに‥キスが上手かったんだろう? まるで‥“経験済み”みたいじゃないか‥‥)
それが、やけに頭から離れなかった
>> 24
‥「決めた!私、湖でボートに乗ってみたい」
色々、考えていたけれど‥ずっと前から
“好きな人とボートに乗りたい”
と言う小さな願望を持っていた。
それを叶えるのは、今がチャンス‥と言う訳で、申し出たのだ。
4歳の子に、想われてるとも知らず タクトは
「承知致しました。お姫様。僕が、お供しましょう」
と言い、エレナを抱いたまま 手を取り
その甲にキスして、湖畔へと向かう。
その途中で、2人はレオとマレーネに会った。
恋愛感が有る・無しは別として、いわゆるデートと言うものである。あのまま、家に籠もっていても仕方ないから、外に出て来たのだ。
◇◇◇
「お兄ちゃま!マレーネさんと仲良く、お出掛けするのね。私も タクト様と、お遊びに行くの」
かなり嬉しいと丸分かりの笑顔で、妹が兄に話しかけて タクトに抱っこされたまま、降りようとしなかった。
「遊びに行くのは良いけど、ワガママ言って困らせるなよ」
そう注意をして、タクトにだけ聞こえる様に、こう言った
「いいのか?迷惑なら今からでも、僕に言ってくれ。何とかするから」
>> 25
‥「あぁ。気遣ってくれて有り難う。でも、大丈夫だよ」
タクトは そう答えて、マレーネにも簡単に挨拶をした後
エレナを連れて目的地に進む。彼の肩越しから、妹は 大きく手を振って
「バイバーイ!お兄ちゃま。マレーネさん又 お家(うち)に遊びに来てね」
と元気がいい声を上げていた。
◇◇◇
あの後‥僕は、エレナがタクトと何処へ行ったのか、凄く気になったけれど 徹底的に、問い詰めたり 尾行までしようとは思わなかった。
どんなに想い・愛していても、そこまですれば“異常”だし‥そもそも実妹に、恋愛感情を持っているだけで、僕は自分でも“尋常で無い”と分かっていたから、それ以上の行動は押さえていたんだ。
◇◇
マレーネがデート中に
「エレナちゃんは、貴方のご友人‥タクト様だっけ? が好きみたいね。貴方 協力してあげるの?」
冗談ぽく、笑いながらの質問をして来た。
「タクトが嫌がらなきゃ、いつでも協力するさ」
本当は そんな事、思ってないけど そう答えたのは、彼がエレナを本気で相手にしないと分かっていたから、平気で余裕ある返事が出来た。
タクトが、僕の想いと兄妹の関係を知るまでは‐
>> 26
‥夕方になって、タクトがエレナを届けに来た。僕と彼は友達だから、家の中に入って貰い 1時間程度 部屋で音楽を聴いたり喋ったりしていた。
そんな中、扉の向こう側から妹の声がしてくる
「お兄ちゃま!!開けてよ!早く!早く!」
(まるで、閉め出したかの様な言い方じゃないか)
と思いながらも、エレナが近くに居る喜びを噛みしめて‥ドアを開く。
「エレナ ノック位しろよ」
と言い、見おろすと妹は危なっかしい手つきで トレイの上に乗せた飲み物とお菓子を持っていて、両手が塞がっていたのだ。
「僕が持つよ」
エレナから、トレイを取ろうとしたが
「ダメ。私が運びたいの。お兄ちゃまは触らなくていいのよ」
お兄様に向かって、反抗的態度では有ったけれど、そんな姿も微笑ましく思えていた。
何とか、こぼさずにテーブルへ置く事が出来た妹に タクトは頭を優しく撫でて
「今日は、エレナ姫とデート出来た上にお茶やお菓子まで、頂けるなんて本当に光栄だよ」
と話しかけていたんだ。
その後も、エレナはなかなか部屋を出て行こうとしない。
「用が済んだのなら出て行けよ」
タクトから離れて欲しくて、そんな事を口走った
>> 27
‥「どうして?私も一緒に、お話したいわ“仲間外れ”なんてしちゃ駄目なんだよ」
僕の気持ちと反対に、妹はタクトから離れたくない様だ。
「レオ。何も そんなに怒る事ないだろ?
妹さんが居ても、僕は別に構わないんだから」
彼がエレナを庇ってそう言ったから
“姫”は調子に乗っていた。
「友達との遊びに、妹が混じるなんて‥」
と表向き そうブツクサ言っておいたけど、本心は やっぱりエレナがタクトの膝に座ったり、笑顔を向けている姿なんて見たくなかったんだ。だからと言って目を反らし続けるのも、不自然だから‥結局 嫌でも見なくては仕方が無い状況だった。
平常心を保ちながら
「いくら何でも、タクトに甘え過ぎだよ。迷惑だろ!」
などと注意をして、本心を隠す。
顔に出さない様にとそっちにばかり、気を付けていたせいで
“口調”
にまで、頭が回ってなかった。
全てを隠し通して、言動に出さない様にする‐‐そんな大人に、14歳の僕はまだなり切れておらず、又 それに気も付いていなかったんだ。
◇◇◇
しばらくして、彼が帰宅した後‐‐僕は妹と2人で遊ぶ事になった。
‥甘美なる遊び‥
‐‐。
>> 28
‥そう思っているのは、自分だけ。
エレナの好きな人はタクトで有って、僕で無いのは“確実”だから。
◇◇◇
妹は〔ごっこ遊び〕が大好きだった。
本日の“お遊び”は
-お医者さんごっこ-
「タクト様に買って貰ったのよ」
幸せそうな顔をして木箱を開ける。中には、玩具の聴診器や注射器が入っていた。それを 僕に手渡して
「お兄ちゃま、お医者様ね。私は病気の人よ。さぁ 始めましょう!」
エレナが、僕の前に座り‥胸元のボタンを外して 肌を見せた。
「何処が悪いのか、音を聴くよ」
玩具の聴診器を持ちその遊びに付き合う。
わざと指先が、妹の胸や背中に当たる様に工夫して それを
そっと押しつけた。
まだ4歳だし、完璧な幼児体型のエレナだけど、肌は透き通る程 美しい。
マレーネが見せた足よりも、魅惑的だと思う。
僕の指から伝わる、妹の柔らかい肌のぬくもり‐‐。
「大分 悪い様だから今 直ぐ入院だね」
適当な事を言って、抱き上げ ベットに横たわらせた。
エレナにとっては、“ごっこ遊び”
僕には‐‐
“甘美なる遊び”
それは‥その内に
“禁忌の遊び”
となる
>> 29
‥「お兄ちゃま先生
私は、何処が悪いの?」
お医者さんごっこを続けながら、エレナが訊ねて来る。
「胸とおなか だね」
僕は“遊び”を盾にして、ゆっくり‥ゆっくり‥妹の小さな体を撫で回して行く。
くすぐったいのか、エレナが声を立てて笑い出して 身をよじり、僕の手から離れた。
笑い過ぎで、青い目には涙が見え 頬は
ほんのり赤味が差していたのだ。
「診察中に、逃げるなんてイケナイ子だね。体も悪い様だし注射をしよう」
口実を作り、妹に近づく。
「えー!お注射なんて嘘っこ(玩具)でも嫌だなぁ」
ちょっと躊躇いながら言いつつも、仕方無く腕を出して来たが、僕は こう話した。
「注射と言っても、玩具を使う訳じゃないんだよ」
「え!!まさか本物‥‥‥!?」
最後の言葉を言い終わるか、終わらない内に‐‐僕は エレナへキスをしたんだ。口元から首筋、胸元‥おなか‥そこから、“下の方”までずらす。
それは 自分にとって、もの凄く心地良い時であった。
「それだけ沢山キスの注射したら、早く治るね!」
無邪気に口を開く妹。何も分かってないのを良い事に‥僕はもっと色んな“遊び”をしたくて、たまらなくなる
>> 30
‥エレナは、軽い嚔(くしゃみ)を連続で し出した。
少々 肌寒かったのと、僕が自分の欲求の為に妹を“裸”状態と、させてしまったせいでもある。
「お兄ちゃま。お洋服着ても良い??本当の、お病気になっちゃいそうよ」
「いいよ。でも、僕が脱がせたんだからエレナは そのままで居て」
風邪を引かせたくない気持ちと、もう少し肌に触れていたい想いが重なり‥そんな風に声を掛けて、聴診器と同じ様な要領で、指先に当たる感覚を楽しみながら妹のボタンを、ゆっくりと止めた。
「まだ寒い?」
僕からの言葉に、頷くエレナ。
(大切な 大切な 宝物
大好きだよ)
そう思い、膝に乗せて抱きしめたんだ。
「有り難う。お兄ちゃま。とても温かくて気持ちいいよ」
妹が持たれ掛かって来て、一瞬だけ
‐‐エレナを、巻き添えにしてしまうけど、このまま奈落の底に落ちてもいい!‐‐
気の迷いが生じた。
だけど それは、直ぐに思い留まる。
エレナからの言葉によって。
「タクト様にも“お医者さんごっこ”して貰いたいな。
色んな所にキスして頂きたいのよ」
夢見がちな瞳で、そう呟いていた
>> 31
‥妹が甘えて来た所で、僕に“恋愛として”の好意を持っている訳じゃない‥。
「タクトは、お医者さんごっこなんて嫌がると思うし エレナの体にキスしないよ」
「あら!どうして、そんな事が分かるの?」
「僕は、エレナの兄ちゃんだから“ごっこ遊び”に付き合えるけど タクトは違うだろ。それに14歳にもなってたら‥‥‥」
その続きを、話しかけたが 途中で止めた。
「14歳にもなってたら?」
エレナが聞き返す。
ー 幼児の体よりも
同じ年頃の女の子の体にキスしたいだろうね ー
‐‐なんて、そんな事 言えやしない。
「‥普通にデートする方が喜ぶよ」
と誤魔化して、そう言葉を続けた。
どうせなら、もっと気の利いた事を言えば良かった‥と後悔が瞬時に僕を襲って来る。
「そうなんだ!じゃあタクト様を、おデートに誘ってみるよ。
お手紙に書いて出してみたいな。
お兄ちゃま“字”を教えてね」
タクトにも、交際相手は居るし 幼児に対して恋愛感を持ったりしない普通の感覚の友達だ。
だけど エレナの誘いに‥絶対 乗ってくる。
それは、僕の大事な妹を泣かせた時
どうなるか‥知っているからだ。
>> 32
‥あれは、いつだったか・・・エレナから
「白鳥さんが見たいの。お兄ちゃま、連れてって」
と頼まれた時があった。
(森の中‥‥人目の付かない場所‥エレナと2人‥)
良からぬ想像を、理性で押さえながら
妹を連れて、そこへ向かった。
◇◇◇
大きくて綺麗な湖の上を滑る様に、水面を泳いでいる白鳥を その“ほとり”に座りながら、妹は嬉しそうな顔で鑑賞していたのだが‥‥突然、銃声が鳴り響く。
狩りをしていた者の“流れ弾”が、運悪く1羽の白鳥に当たり、水辺に羽根と血が浮かぶ。
銃声にも、白鳥の死にも驚きと恐怖で‥エレナは、泣き叫んだのだ。
小さな女の子の声に、狩りの者もビックリした様で 声を頼りにやって来る。
自分が放った弾が、子供に当たったのでは無いか‥と不安になったらしい。
妹を見て 無事だと分かると、再び道を引き返して行ったんだ。
僕は エレナに
「直ぐ 戻って来るからね」
と言って、白鳥の死骸が見えない場所・安全な所に座らせてから‥狩りの者を追いかけた。
( 僕の愛しい妹を、泣かすなんて許さない!)
そんな怒りの心で。
>> 33
‥その者は、単なる趣味と遊びで狩りを楽しんでいた様だ。
だけど そんな事、僕には関係ない。
理由なんて、どうであっても 妹を怖がらせ 泣かせたのだから。
その男を捕まえると、地面に叩きつけて護身用の短剣を向けた
「僕の妹を泣かせたのは、貴方です。容赦しませんよ」
エレナを守る為ならば、自分より大きな体の者・強そうな者にも立ち向かえる。
その刃物で 肩を貫いたんだ。
うめき声を出し、僕に掴み掛かって来たが 力一杯振り切って、崖から突き落とした。
此処は、足が滑り易くて これまでも幾人かの狩人が転落している。
世間の者達は、罪も無い動物を撃ち殺す天罰が下ったのだと言いこそすれ、深い追求はしない。
崖から落ちれば、濁流の飲み込まれるか獰猛な野犬に食い殺されるか‥‥どちらにしても、生きては帰れない。
エレナを泣かせた狩人に関しては‥僕が殺した様なもの。
直ぐに、冷静さを取り戻したのだが それと同時に“罪悪感”が胸の中で膨大して、はち切れそうであった
「レオ‥!」
名前を呼ばれ、飛び上がる程 驚き 振り返ると、そこには‥
僕の友人・タクトが立っていたのだ。
>> 34
‥「エレナを、泣かせたからね。
例え それが友達であっても、僕は許せないと思ってる」
タクトは どう答えて良いのか分からない様子であった。
妙な沈黙を打ち破る様に、エレナの声が近づいて来て 姿を現す。
「タクト様ー!此処に居らしたのね」
彼の側に寄ろうとするエレナ。幸い僕がした“罪”は見ていない。
「どうして来たんだ?
待ってる様に言っておいた筈だよ」
と僕は妹に話す。
「待ってたけど、お兄ちゃま なかなか戻って来ないし‥でも ふと、お顔を上げたらタクト様が通られる姿を見たから 追い掛けて来たのよ」
そう答えてから、エレナは タクトを見て言った
「白鳥さんが弾に当たって、死んじゃったの‥。あのままだと可哀想だから、お墓を作りを手伝って欲しい。お願いよ」
彼は 鳥類全てが苦手で、血を見るのも得意じゃない。
‥血だらけの白鳥‥
タクトは、目眩がする様だった。
しかし 断れば、きっとエレナは泣く。
だから 姫の言う事を聞いたみたいだ。
殺される位なら、相手をする方がマシなんだろうと‥解釈していた。
そう。僕が‥勝手に思っていたんだ‥。
>> 35
‥その後、3人で
森の奥深くに白鳥のお墓を作り、森から離れた。
あれから 何日‥何ヶ月‥が経っても、タクトは 僕のした事を誰にも告げておらず、距離を置く事もせずに 友達付き合いをしてくれている。
人を刺して、崖から突き落とした。
その確たる証拠が無いから 訴えたくても出来ないのだろう‥これも 僕が勝手に予想して思っていた事。
思えば‥この時にでも、タクトに聞いてみれば良かった。
「どうして 何も言わないんだ?」
と。
そうしておけば、これ以上 道を踏み外す事は、無かったのかも知れない。
少なくとも エレナに〔 黒い十字架 〕を突き付けてしまう様な事には、ならなかった筈だ。
◇◇◇
妹を泣かせた狩人を僕が殺した様なもの‥。
それに関して、胸の中で罪の意識が絡まっていた。だけど
(エレナを悲しませた奴が、のうのうと生きて笑っていたら‥やっぱり許せない!)
自分を“正当化”する様な言い訳で、その罪悪感を塗りつぶす。
そんな事をしたって死に追いやった事実は、何も変わらないのに。
こんな事にも、気付かなかった程‥僕はエレナに夢中だったんだ。
>> 36
‥「ねぇ!!お兄ちゃま、聞いてるの!?」
ペンを握りしめているエレナの怒った声に、ハッとした。
「御免‥。えっと何だっけ?」
「もう!お手紙の書き方よ。これで合ってる?文章おかしくない!?さっきから、何度も言ってるのに聞いてくれて無いんだもん」
少々、短気な所があるエレナは苛立ちながら 僕に手紙を見せて来た。
(表情と言い、口調と言い‥怒った時の母様と、そっくりだな)
そう思いながら、タクトへ宛てた妹からの手紙を読み直す。
「良いんじゃないか。タクトなら、直ぐにでも返事をくれるよ」
「じゃあ 明日、このお手紙を渡して来てね。私は バイオリンとダンスの、お稽古が有るし お外に行けないから」
ションボリして話す。
貴族のレディーの教養の1つとして、小さな頃から学ばされているのだが妹は、余り好きで無い様だ。
「分かったよ。明日手紙を渡しておく。エレナが1日頑張ったら、ご褒美にタクトを誘って此処へ泊まりに来させよう」
この手紙の“受け取り人”が僕だったら‥そんな想いも有ったのに、そう言った理由は1つ。
“最愛の妹”喜ぶ顔が見たかったから。
僕の想いは止まらない。
>> 37
‥* エレナの心 *
‐ 翌朝 ‐
「お兄ちゃま!絶対よ。絶対! 絶対!タクト様に、お手紙を渡してね」
エレナは 友人の元へ遊びに行く兄に、しつこく頼んでいた。
「分かってるよ。ほら!早く 部屋に行かないと、先生に注意されるぞ」
先生とは バイオリンの教師の事である
「お稽古‥嫌だけど頑張って来るね‥」
ため息を付きながら習い事の為に、使用している部屋へと足を運ぶ。
◇◇◇
その室内の窓から、レオが、門を出て行く姿を見ていたエレナ‥。
10歳年上の兄は、時々 意地悪を言ったり、冷たい態度を取って来る事がある。それは 決まって周囲に身内なり、友達が側に居る時だ。
(どうしてかなぁ?
2人きりの時は、いつも優しくて 遊んでくれて、頭も体も撫で撫でしてくれるのに)
レオの想いなんて、これっぽっちも知らず エレナは、そう思っていたのだ。
(私が困った時、悲しい時や泣いた時‥いつも側に来て 慰めてくれたり、励ましてくれる お兄ちゃま。大好きなんだけど
時々-怖い‐
って思う事があるんだ‥。
例えば 私が野ウサギさんを触ろうとして、噛まれた時
>> 38
‥あの日の夜中。
お兄ちゃまは、私のお部屋に来て キスをした後 頭を撫でながら こう言ったの。
「エレナを、辛い目に遭わせる者は‐誰だって許さない」
血なまぐさい匂いが漂って来てた‥。
そして 次の日から
野ウサギさんの姿は見なくなったわ。
いつでも、どんな時でも‥何が遭っても王子様みたいに守ってくれたり、助けてくれる私のお兄ちゃま。
時々 怖くなるのは
タクト様を、野ウサギさんみたいにしてしまわないか‥と言う事。
私は タクト様が好き!
お兄ちゃまよりも。
だからね もしも、好きな人の事で 嫌な時が遭ったとしたって、泣かない様にするし 悲しいお顔もしない。
お兄ちゃまが、タクト様を殺したり‥
大怪我をさせたら‥
私が‥
お兄ちゃまを
同じ目に遭わせる)
◇◇◇
「エレナさん?どうかしましたか?」
バイオリンの弓を持ったまま、考え事をしているエレナに、先生は優しく訊ねた
「御免なさい。何でもないの」
そう言って笑顔を向け曲を奏で出した。
>> 39
‥ スタンリー家 ‥
此処は、タクトが住んでいる所。
彼もまた 由緒正しい家柄に生まれ育ち 当然、定められた交際相手がいるのだが‥‥タクトは、家の者には内緒で 別の女の子と隠れて付き合っている。
町に住んでいる子でごく普通の家庭だそうだ。何の問題も無いけれど、彼女は
貴族では無い。たった それだけの事で猛反対を受けた挙げ句、早々と(勝手に)決められた相手を紹介されたらしい。
だけど タクトは、そんな反対にも負けず 町の子と付き合いを続けているのだ。
「何も悪い事をしているんじゃ無いんだから、堂々と会おうよ!」
タクトが大分前に、マイリー(町の女の子)へ話したが、彼女は
「どうして? いつバレるか分からない‥そんなスリルって素敵なのに。今のままが良いのよ」
と言われたらしい。
今まで、色んな理由で‥何回か喧嘩をした日も有ったそうであるが、彼は一度たりとも マイリーの口に勝てた日は無くて、結局 この交際の件も 彼女の圧勝となり
“ 秘密の恋 ”
が進行している状態だ。
僕は タクトから、それを話して貰ったけれど、誰にも口外していない。
愛するエレナにも‥。
>> 40
‥僕は、自分でも余り 賢いと思わないけど‐‐友達の秘密ぐらい守れる。
◇◇◇
「タクト様は、もうすぐ お戻りになられると思いますのでお部屋で、お待ち下さい」
玄関先でスタンリー家のメイドさんに、告げられて 僕はタクトの室内で待つ事となった。
ソファーに腰かけてふと テーブルへ目を向けると何枚か、写真が散らばっていたのだ。
幾ら 友人で有っても、人の物を勝手にまじまじ‥と見るのは宜しくない。
だから 視線を外しメイドさんが入れてくれたお茶を飲みながら、窓から景色を見たりしていた。
それは それで良かったと思う‥。
もしも 僕が、好奇心で見ようとしたり視界に“あの写真”が入っていたならば きっと、タクトが戻るなり 我を忘れて問い詰めていたかも知れなかったからだ。
15分程で、待ち人が帰宅して来た。
「タクトが今日、来るとは思って無かったんだ。待たせて悪かったな」
「いや。別にいいよ。こっちが勝手に来た訳だし‥僕の方こそ済まない。
実は エレナから、君あてに手紙を渡して欲しいと頼まれたんだ。かなりタクトに惚れてるよ」
笑いながら、手渡す。
内心‥タクトを羨ましく感じて。
>> 41
‥彼も 何度か僕の家へ遊びに来ているし、他の仲間達と
つるんで出掛けたりする時に エレナと偶然会う事も有る為 妹が少々、短気な点・“せっかち”な面も持ち合わせている事を知っていた。
「早速、読ませて貰って返事を書くよ。
その間 そこに有る本でも適当に見てくれても良いから」
「有り難う。だけど、エレナに付き合ってられないなら いつでも言ってくれよ。僕から上手く伝えるからね」
(早く そう言ってくれれば、エレナの関心を向ける事だって出来るんだ!)
心の中で叫ぶ。
しかし タクトは、少し考えて こう伝えたのだ
「大丈夫。エレナちゃんを迷惑だって考えた事ないし、妹が出来た様に思っているよ。僕は 兄と弟しか居ないもんでね」
◇◇◇
彼が返事を書いている間 小説を借り読んでいた。タクトが持っている本は、面白いものが多く夢中になってしまっていたが‥‥時々、彼は僕を怪訝な目で チラチラ見ている事には気付いていた。
殺人に繋がる出来事を起こしたからか‥
実妹への想いを悟ったのか‥
そこ迄 この時の僕は分からなかったが、そんなの どっちでも良かったのだ。
エレナが、いつまでも笑顔で居てくれればね‥。
>> 42
‥「レオ。手紙と一緒に写真も入れておくよ」
返事を書き終えたタクトは、封筒へテーブルに置かれている何枚かのそれを、丁寧に同封しからテープで止め 僕に渡す
その先は、流れで残りの写真の話題となった。
「この子が、決められた交際相手。まだ月に1回、会うか会わないかって所でね好きでも無いけど、嫌いでも無いな」
クルクルとした縦巻きカールが似合う女の子。名前は
“ティモテ”と言うそうだ。
「へぇー! 美人さんだね。僕達と年は同じ位なんだろ?」
「それが‥まだ12歳なんだよ」
「12歳!?」
どう見たって、14か15位にしか思えない容姿に驚いたが、話を聞けば ティモテの会話内容・趣味までも 実年齢より上に感じられる程で、ますます びっくりしてしまったのだ。
もう1枚の写真は、タクトの好きな相手。マイリーだ。
年齢は、僕らと同じ14歳。ふわふわした綿菓子みたいな髪をしている
「マイリーさんは、年相応に見えるよ。可愛らしい顔だね」
口にはしなかったけど、2人共 かなり芯が強い印象を受けた。
(どっちを選んでも確実に、タクトは尻に敷かれるな‥)
と感じていたのである。
>> 43
‥「所で、いつか予定の空いてる日は無いか?‥‥‥」
僕が訳を説明するとタクトは
「じゃあ 明日の夕方に泊まらせて貰おうかな」
と言い その約束をしてから、スタンリー家を後にした。
◇◇◇
帰宅した時、エレナは 大嫌いなお稽古を1日中していた為クタクタになり、ソファーで身を崩していたのである。
バイオリンでは、弓が上手く扱えずに手を痛め ダンスレッスンでは 靴擦れを起こした様だ。
それでも 我儘を言わず 泣かないで頑張っていたと、使用人が口々に話していて エレナを労っていた。
「お兄ちゃま お帰りなさい!」
ゆっくりと起き上がり、そして 抱きついて来る‥可愛い妹‥。
使用人が出て行き、誰も居なくなると‐僕は“深くて、甘い口づけ”を与えた。
そうすると 今度はエレナからも、甘美なキスが返って来るんだ。
毎晩の様に‥
僕が 〔 調教 〕
した。
優しく‥優しく‥
自然に染み込ませる様にして。
◇◇◇
タクトからの手紙を渡し、宿泊の話をすると 幸せそうな顔をして 妹が封を開ける。先ず 写真を手に取り、それが視界に入った。
彼とエレナの‐‐キスシーン‥
- << 47 ‥ーと言っても、抱っこされているエレナが タクトの頬にキスしてる所で、口づけでは無い。 他には、仲良く抱き合っているもの。 近づき過ぎる!と思う程 接近していてタクトの手が、妹の足に触れそう‥なもの。 などが有った。 「湖のボートへ、2人で乗りに行った時にね 写真屋さんが側に有ったから撮って頂いたのよ。 “好きな様に(ポーズ)して良いよ”って仰ってくれたから 私 タクト様にしてみたかった事をやってみたんだ」 本当に幸せそうな笑顔で、写真を見てタクトの話をするエレナ。 多少 胸に重みを感じていても、友人に嫉妬して どうこうする気は無い。 妹さえ幸福な気持ちで居るのなら、それは それで構わないと言う想いも持ち合わせていたから。 でも‥エレナを悲しませ、泣かせた場合は相手が誰でも、許せない! だから 僕は、どんな時でも妹を見守って行くんだ。 ◇◇◇ 「ねぇ!お夕食が済んでからまた遊ぼうよ。 “お嬢様ごっこ”がいいな。 お兄ちゃまは、使用人の役よ」 お遊びでも、自分が上の立場になりたい様だ。 「いいよ。遊んであげる」 その“ごっこ遊び”を甘いものに変えるからね‥
澪さん、こんばんは!
(^O^)/
🚀parallelworld🌏の応援レスありがとう
〆
m⊆(_ _)⊇m
エレナに対しての異常なまでのレオの兄妹愛💕
そして、エレナのタクトの片思い💕
今後の展開が気になるばい😚
これからも、執筆頑張って下さい😊
おいも、🚀🌏の方を頑張りマッスル💪😤ムハッ💨
アル🍺
>> 44
‥「所で、いつか予定の空いてる日は無いか?‥‥‥」
僕が訳を説明するとタクトは
「じゃあ 明日の夕方に泊まらせて貰おうかな」
と…
‥ーと言っても、抱っこされているエレナが タクトの頬にキスしてる所で、口づけでは無い。
他には、仲良く抱き合っているもの。
近づき過ぎる!と思う程 接近していてタクトの手が、妹の足に触れそう‥なもの。
などが有った。
「湖のボートへ、2人で乗りに行った時にね 写真屋さんが側に有ったから撮って頂いたのよ。
“好きな様に(ポーズ)して良いよ”って仰ってくれたから 私 タクト様にしてみたかった事をやってみたんだ」
本当に幸せそうな笑顔で、写真を見てタクトの話をするエレナ。
多少 胸に重みを感じていても、友人に嫉妬して どうこうする気は無い。
妹さえ幸福な気持ちで居るのなら、それは それで構わないと言う想いも持ち合わせていたから。
でも‥エレナを悲しませ、泣かせた場合は相手が誰でも、許せない!
だから 僕は、どんな時でも妹を見守って行くんだ。
◇◇◇
「ねぇ!お夕食が済んでからまた遊ぼうよ。
“お嬢様ごっこ”がいいな。
お兄ちゃまは、使用人の役よ」
お遊びでも、自分が上の立場になりたい様だ。
「いいよ。遊んであげる」
その“ごっこ遊び”を甘いものに変えるからね‥
>> 47
‥夕食が終わり、食後に出された飲み物を半分位 口にした頃、エレナが
「おなか痛い!」
と言い出した。
単なる食べ過ぎだ。
「ほら、だから言ったでしょう!!もう、その辺りで やめておきなさいって。ちっとも言う事を聞かないから 痛くなるのよ」
食卓の席で、母がそう言っている間に 僕はナプキンで、エレナの可愛い口元を拭う。
「‥‥抱っこ‥」
妹が両手を差し伸ばした相手は、僕じゃなく 母様だった。
こういう時 いつもエレナは母親に甘えていく。
「私 今日は、お父様とお母様の お部屋でネンネする」
痛みのせいか、涙声である。
「仕方ないわね。そうして上げましょう。エレナが一緒なら父様は、もの凄く喜ぶわ」
母様の言う通り、父は娘が可愛くて仕方ない様なんだ。
約束していた“お嬢様ごっこ”は出来なくなってしまったけど、僕には また別に楽しみが有った。
使用人が目を離した隙に、エレナが口を付けたスプーンに、間接キス‥。そしてナプキンを妹の席から さっと取り、何食わぬ顔で自分の部屋に戻る。
さぁ‥‥余興の始まりだよ‥。
‥‥‥エレナ‥‥‥。
ーーー。
>> 48
‥箱を取り出し、中を開ける。そこにはエレナが使ったハンカチ・バックに付けていたマスコット・ペンなど 小さな物が入っていた。それらを全て取り出し、テーブルに広げる。
さっき取って来たナプキンも横へ置いて足りない物に気づく。
僕は妹の部屋に入って、鏡台にあるブラシから絡みついた髪の毛を抜き取り 再び自室へと戻る。
◇◇◇
僕は“黒魔術”の本を手にして、書かれてある通りの儀式を行った。
本気で こういう物を信じている訳では無く“興味本位”が気持ちの大半を占めていたんだ。
‥‥愛する者に、我が存在を深く刻みつける‥‥
この“黒魔術”の効果が現れたのか、それとも自分自身への“天罰”なのか‥
この時は、まさか
あんな事になるなんて思ってなかった。
可愛くて小さな僕の妹‥。
もう触れる事が、出来なくなるなんて。
だけど エレナは一生、僕を忘れないであろう。
タクトも‥。
‥僕は、いつの間にか“黒い十字架”を握りしめていたんだ。
その矛先が、エレナに向かうなんて思いもせずに。
>> 49
‥翌朝‥
すっかり腹痛が治ったエレナは、まだ夜も明けぬ内から僕の部屋に飛び込んで来た。
「お兄ちゃま!起きて!起きて!」
とたたき起こされたんだ。
両手に服を持ち、こう話して来る
「どっちの方が似合う?今日の夕方 タクト様がいらっしゃるから、綺麗なお洋服で迎えたいのよ」
「まだ‥3時30分じゃないか。真夜中だぞ。気が早過ぎるんじゃないか?」
そう言いながら、寝着のままのエレナを引き寄せた。
「夕方になってから慌てるのは嫌だもん。それに お洋服だけじゃなく、お洒落もしたいし‥‥」
何だかんだと、ぶちぶち言い始める。
「エレナは 今のままでも‥可愛いよ‥」
頭と頬を撫でて口づけ。妹も自然に、それを返す。いつもなら そこで終わるのだが‥‥この時は違った。日毎 上手になって行くエレナのキス。いつかは、僕以外の男と そういう事をする日が来るだろう。それで、妹が幸せになるなら構わない。
だけど その前に‥
もう少し先へ進んでみたいと言う欲望が抑え切れずにいた。
エレナの寝着を脱がした時
「お医者さんごっこするの?」
と訊ねられたが、答えなかった。
「ーー!?お兄ちゃま!」
- << 51 ‥いつもとは、違う触れ方・・そして僕の体の変化に驚き、エレナが声を上げたから 側にあるタオルを妹の口へ押し込む。 僕は、初めて“禁断の果実”を手にしてしまったんだ。 その味わい(感覚)は極上のもの。 手にしてはならぬ 甘美な実‥。 それが、分かっていても 口にしてから 僕は より一層 エレナに もっと興味を抱き‥ また 味わいたくなる。 ‐‐‐。
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500レス 5742HIT 理沙 (50代 女性 ) 名必 年性必 -
家の鍵をかけない人いますか?
私はいつも出かける時に家の鍵をかけません。単純にめんどくさいからです。 帰って来るとき、荷物持…
15レス 336HIT おしゃべり好きさん -
彼女が彼氏を好きかもしれません
彼女がもしかしたら彼氏のことを 好きかもしれません。
9レス 230HIT 恋愛好きさん (10代 女性 ) - もっと見る