黒い十字架

レス172 HIT数 25596 あ+ あ-

澪( ♀ ZnPK )
08/08/29 00:13(更新日時)

命より大切な


-存在-


に、気付いてしまった時から‥


それが欲しくて、欲しくて仕方が無い。


【 禁断の果実 】



決して‥手に入れてはならぬもの。







僕の‥‥‥











--- 妹 ----





◇中傷**批判などはご遠慮、願います◇

No.1157979 08/05/02 18:27(スレ作成日時)

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No.101 08/08/03 11:07
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 100 ‥雨は、もっと酷くなり馬が騒ぎ出した為 マレーネだけを中に残して、御者台へ乗り 取りあえず安全な場所へ移動させた後、また中に入る。



集中豪雨の様な天候で、外に出られず
閉じ込められた状態となったのだ。



「レオが好きな方と重ねてくれても良いわ。それでも愛されたいから‥」


濡れた僕の顔や手をハンカチで、拭きながらマレーネは囁く。



元々 彼女を誘ったのは、自分のもどかしい気持ちを少しでも晴らす為。



だから その言葉を拒む理由は無い。



幼児体型のエレナと14歳の彼女とでは重ね合わせにくいものが有ったけれど、妹だって後10年経てば、そういう身体になるだろう。



マレーネとキスを交わした後は‥‥‥言わずと知れた事。




カーテンが引かれ
閉ざされた空間。


彼女から漏れる声をエレナが出していると想像をした。



マレーネは、僕が別の誰かの事を考えていると分かっていたけれど 実際に、体を重ねているのは自分だから それで良いと感じているのが伝わって来る。




妙な感情で有ったが事を終えた後は、あの もどかしい気持ちは落ち着いていた。



その日を境に、僕たちは そういう事をする様になって行ったんだ

No.102 08/08/04 15:57
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 101 ‥明け方になってから、やっと小雨になり段々と止み始めて来た。


2人共 何も言わず服を着て、高原を後にする。



僕はマレーネを家に送り届け、彼女の両親へ頭を下げた。


「こんな時間になる迄、帰す事が出来ずにいて申し訳ございません」


合意の上で、帰宅が遅くなったと言っても それはマレーネと2人の間だけの話で、家の者は知らない。だから、こうして謝っておいたのだ。


昨日の集中豪雨は、この地にも広がっていたのか、理由を話さずとも 帰りが遅くなった訳を分かってくれていた。


勿論 昨夜、僕達が何をしていたのか‥そこ迄は言わなかったし、マレーネも口にしない。


案外 アッサリと話が進み、特に叱られる事も無かったが、
結婚前の女の子が朝帰りーーーこれは、貴族の家柄に大きなヒビが入るーーーだから 出来れば、夜に出歩くのは禁止して欲しいと約束させられた。



◇◇◇



僕の家では、マレーネを明け方に帰したと言う事で 自分の父から、たっぷりと雷を落とされ 母には大目玉を喰らったんだ。そして、一週間 外出禁止令を下され、出ても良いのは庭のみ。それも
庭師の仕事を、手伝わないとならなくて その時しか出て行けないのである

No.103 08/08/04 16:46
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 102 ‥父親に殴られた頬を、さすりながら
書斎を出るとタクトが居た。


「大丈夫か?」


赤みを帯びた僕の顔を見て、心配気に訊ねて来る


「痛いのなんて、今だけだよ。それに、僕だって君を殴ったんだ。勝手な思い込みで。罰が当たったと思う。‥タクト、悪かった」



「もう いいよ。気にしてないから。それより、エレナちゃんを旅行に連れて行く話 駄目になった」


「どうして?」


「マイリーが一緒だとしても、14歳の僕と13歳の彼女の2人に 4歳の子を預けて、旅行には出せない‥レオの御両親から言われたんだ」


「エレナの事だから
それを聞いた時、泣いて わめいて 拗ねてたろ?」


見てなくとも、その時の光景は簡単に目に浮かぶ。



「うん‥。つい、さっきメロディさんがエレナちゃんの部屋に連れてったけど」


そんな会話をしながら、廊下を歩いていると 明るくて可愛い声が聞こえて来た


「タクト様。昨日の夜は、泣いて怒ったりしてたから出来なかったけど、今から一緒に お遊びしましょうよ」


「喜んで。姫君」


手の甲にキスをする彼。エレナは、益々笑顔になった。




それを見て どうも不思議で引っかかるものを感じたんだ。

No.104 08/08/04 21:59
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 103 ‥エレナは、思い通りにならないと 思う様になる迄、意見を押し通そうとする所があるんだ。大概の者は、根負けしてしまい“甘い実”のワガママを聞く。


勿論 そんな事ばかり続いている訳じゃなくて“我慢”をさせられる時だってあるのだ。これを強制されれば、一週間位はブチブチ文句を連ねる。



(マイリー付きでも、タクトとの旅行を反対されたエレナがこんなに早く立ち直るなんて‥)


タクトに、手を繋いで貰いながら 自分の部屋へと歩いて行く妹を見つめ そう思った。



僕も自分の部屋に戻り、ベットへ横たわる。



そこで考えた事。


マレーネと関係を持った事は、彼女と2人の秘密で 他に知る者は無い。でもお互い同意の上だったし、悪いとも感じていなかったんだ。

とても浅はかな事なのに。



次は、エレナ‥‥僕が覚えてる限りの記憶を手繰り寄せる。

ーーメロディ!ーー


そうだ。タクトにエレナへの愛を知られたのも、彼女が側に居た。


マイリーにバレた時もメロディが居てたんだ。


旅行の件の時も、彼女がエレナの側に着いていた(タクト談)

また“思い込み”かも知れないから、はやる気持ちを押さえる。でも、皮肉な事に、それが間違いだった

No.105 08/08/05 08:56
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 104 ‥後で知った事だが、エレナがタクトを自分の部屋に入れてこんな遊びに誘っていたのである。






「このタオルでね、私の“おめめ”を隠して頂戴。それでタクト様は、お体を撫でるのよ。何処の辺りを触られているか私が当てるから」


「僕がエレナ姫の体を撫でるのかい?」


タクトは驚いた様だ。


「そうよ。お洋服の上からでも、下からでも良いし キスでもいいからね」



ー僕が教えた遊技ー


「それは‥エレナちゃんが考えた遊びじゃないよね?」


姫君は頷く。でも誰から教えて貰ったのかは言わなかった。

彼に、エレナへの愛情を知られる前からこう言った遊びをしていたし、その時に

“僕が教えた事は、秘密だよ”


と約束させていたから。




しかし タクトは、直ぐに その甘美な遊びを教えた者が誰か察した。



「エレナちゃん‥‥知っている遊びは、他にも有る?」



「うん。えっとね‐‐‐‐」



禁断の遊技・・全てをタクトに話す。


エレナは、気付いて無かった様だけど、それは“無意識”の内に発していた


「SOS」



少しずつ、実の兄妹間でする遊びでは無い事・嫌悪感・恐怖を分かりかけてきた証拠。

No.106 08/08/05 09:53
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 105 ‥そんなエレナの頭を撫で、子馬の話を引き出しながら彼は外に連れて行った。

向かい側の部屋に居る僕から、少しでも離す様に‥。



◇◇◇



それ以来、タクトがエレナを外出に誘う事が増えて来たんだ。出掛けると言っても、まだ4歳の子に遠出させる訳じゃなく 馬車で10分程度の場所・徒歩で行ける所が殆どの様である。


帰宅する度、喜びを食卓で話すエレナ。

聞かされる僕は、堪えきれない想いを押し込める。



◇◇◇



僕が、両親から与えられた罰の期間も後2日で終了する。


庭師の手伝いは、水やりや言われた部分の芽や葉を取る位だから、庭に出ても10分程度で家へ戻るのだ。



この日 それをしていた時、僕の元へ
マレーネがやって来た。


「聞いたわよ。外出禁止中なんですってね」


近くで、子馬を呼びはしゃいでいる妹の声。空気をギリギリまで入れた風船の様に、心もパンパンだ。


庭師が、気を利かせたと言おうか‥‥温室で仕事をして欲しいと頼む。そこでの作業は既に済んでいる事から、僕とマレーネ2人で居る時間をくれたのだ。


この機会を逃さない。直ぐに、彼女の手を取り そこへ入る。


温室の鍵を掛けて、奥に進み

No.107 08/08/05 10:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 106 ‥背が高く、珍しい品種の花々が咲き誇る中で‥事をした‥。勿論“合意の上”

温室の花の香りは、エレナから放たれる良い匂いと似ていたから、馬車の時よりもマレーネの身体に埋もれたんだ。




◇◇◇



庭師から怪しまれない内に、2人共 服を着替える。


「お茶でも用意するから、家に入って」


マレーネへ声を掛けた。


「有り難う。まさか
此処で、これをするとは思わなかったけど‥お誘いが嬉しかったわ。身体だけでも、私を必要としてくれるから」


温室の鍵を開けながら、僕はマレーネを見る


「誘い?」


「ええ。街の中で偶然、会ってね。メモに書いて教えてくれたの。レオが謹慎中だって事や、お誘いの件もね」


一瞬 言い掛けた言葉を飲み込んだ。


するだけの事をしておいて『 誘って無い 』とは、口に出来なかったから。



メロディに対する疑いは、増長していた。


あの時も、この時も‥本当に“偶然”だったのか? もし、計算された事柄なら、一体どうして‥?




◇◇◇


** 数日後 **


タクトとマイリーが旅行に行く日が来た。早朝からの出発の為、この日ばかりは彼も家には来なかった。


エレナは絶対に泣くと

No.108 08/08/05 12:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 107 ‥思っていたけど、そんな事は無くて
楽しそうに子馬と広場へ行ったり、庭で駈けっこなどをしていたんだ。



世の中ー何が起こるか分からない。


“一分先は闇”


この日の内に、僕は自らの手を赤く染める事になったんだ。


◇◇



先ず 僕は、タクトとマイリーを別れさせる為に町へ向かった。ナージャと言う名前の女の子の元に。


この子は“噂好き”“聞いた事を誇張する”“ちょっと嘘つきな面もある”との事で、有名だった。

適当な理由を付け、彼女に近づき 2人の事を話す。悪くも言わず‥良くも言わず‥と言った様にね。

繰り返さず、一回だけ伝えておけば良い。


後はナージャが広めてくれるだろう。


全ての人とは、限らないけど他人なんて誰が噂を口にしてもスキャンダル的な事なら、直ぐにでも飛びつく。




◇◇◇



その頃、エレナはクマの縫いぐるみと子馬に


「内緒だよ。今夜ね
タクト様が会って下さるの。本当なんだから。此処が、待ち合わせ場所“メロディ”が地図を書いてくれたんだけど、もう行き方 覚えちゃった」


旅行に行けなくても彼と会えると思い嬉しかった訳だ。


「そうだ!子馬さんの背中に乗れば、早く行けるわね」

No.109 08/08/05 13:03
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 108 ‥子馬は、乗馬用では無いし そんな躾も訓練もされていない。また エレナ自身、馬に乗った事すら無いのだ。


鞍も付けず そのまま 背中に手を掛けて、飛び乗ろうとした時 子馬は嫌がり
暴れ出す。それが怖くて、しがみついた場所が良く無かったのか 余計に体を振るわした為、エレナは走り回る馬から‥落下したのである。



僕が妹の姿を見たのは、丁度 振り落とされた時。


背中を打ち、ピクリとも動かない。


急いで エレナを抱き上げて、家の中に運ぶ。親は当然 使用人達も驚きの声で騒然となった。



部屋に運び入れて、医者が来る迄の間
僕は‥‥家を抜け
子馬を捕まえる。



命を差し出しても良い位、愛して病まない甘くて小さな実を振り落とした時よりも、暴れ回ったが
力づくで 馬舎へと引きづり込んだ。



あのナイフを取り出し、子馬の足を切りつけ 倒れた所で‥
致命傷となる部分に深く突いて とどめを刺した。



これで2度と、エレナに危害を与える事は無い‥。




また ナイフに日が当たり、影はあの時と同じで“黒い十字架”の様に見えた。

光の加減か立っている位置か‥難しい事は分からないけど、その先端は



僕に向かっていたんだ。

No.110 08/08/05 16:44
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 109 ‥その死体は隠さなかった。

早く エレナの容体が知りたくて、馬舎を後にしたんだ。


途中で庭に転がっていたクマの縫いぐるみと‥‥地図を拾い上げる。


どう見てもメロディの筆跡。


疑惑は不安へと移り変わる。


(何が目的なんだ‥?エレナに、何をする気だ!?)



◇◇◇



妹の部屋に行くと、意識は取り戻していたが、まだ朦朧とした状態だった。


僕が入って来ると同時に、両親が


「エレナを見てて」


と言い慌ただしく出て行ったんだ。



僕がエレナの側へ近づくと、小さな声で喋り掛けて来た


「今夜ね タクト様と会うのよ‥‥」


グッタリしている妹の負担に、ならない様 ちょっとずつ質問しては休ませる。それを繰り返し、やっと理解が出来た。
旅行を反対され、ムシャクシャしていたエレナにメロディーが

“内緒でタクト様に会わせますよ”

と伝えて地図を書き渡したそうだ。

誰にも言わないつもりだったけど、子馬から落ちて行けそうに無いから 僕が代わりに行って、それを伝えて欲しいと。


エレナに安心させる言葉を掛けて、縫いぐるみを隣に寝かせた。





妹が約束していた場所には、メロディが待ち受けている筈だ

No.111 08/08/06 10:15
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 110 ‥今 メロディが居れば、捕まえるなりして妹の側へ、近づかせない様に出来るけれど マイリーとの口裏合わせをする為、彼女には今日一日だけ休暇を与えてるから 此処に居ない。


つまり 今夜、エレナが一人で目的地に着いた所を狙えるチャンスが有る訳だ。


◇◇


階下も廊下も、ざわついている。それがウルサイと エレナはぐずり出す。まだ少し熱の残る額にキスをしてから、僕は扉を開けた。


そこで知ったのだが別の地で暮らしている親戚が、不慮の事故に遭い生死をさ迷っているとの事であり、両親に直ぐ来る様にと連絡が有ったそうだ。

2人とも、エレナが気がかりで仕方ない。しかし そっちに行かない訳にもいかず、父様だけが親戚の所に行くと伝えたらしいが‥


“家名”を重んじる親戚。


許可が下りる訳が無い。



両親は支度を終えて姫の元へ戻って来た。


話を聞いた途端、泣きじゃくる。


たっぷりの愛情を注がれて育っているエレナ‥。甘えたいのに甘えられない事・側に居て欲しい事を素直に訴えた。


2人共‐‐特に母様は、胸を引き裂かれる様な表情となり、父様も辛そうだったんだ。


それでも選んだのはエレナでは無かった。


(子供より親戚か!?)

No.112 08/08/06 10:47
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 111 ‥確かに、この時代それは大事な事だと言うのも分かる。行っておかないと、将来的な面で影響が及ぶかも知れない‐‐

だけど、こんなに悲しんでいるエレナの側に居てやれないなんて・・・怒りを感じる



両親が、少しでも長くベットから離れ様としない姿を確認して 僕は馬車へと向かった。


2人が乗って行くものである。


車輪の部品を一つ外したんだ。



◇◇◇◇



「レオ。エレナに何か遭ったら知らせて頂戴!直ぐに帰るから」


母様は何度も、僕に告げて 使用人にも話していた。


「医者の診断では、明日1日安静にしていれば大分 良くなるとの事だ。治ったからって、余り動き回らない様にしてやってくれ」


と父様。


「そんなに、エレナが心配なら残ってやれば良いのに」


そう言ってみたけれど


「今さえ良ければいいってもんじゃ無いんだ! レオとエレナの将来を台無しに、したく無い。14にもなってるんだから、貴族が どういうものか分かるだろう!」

と怒られた。


結局 エレナを気にしながらも、行ってしまった両親。



馬車を見送り 心の中で呟く。



(さようなら‥。
エレナを守るのは、僕だ。貴族である前に大切な存在だからね)

No.113 08/08/06 16:07
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 112 ‥その日の夜‥


エレナの代わりに、子馬へ餌をやりに行った使用人が慌てて帰って来た。


(あの死体を見たんだ)


僕は、その事を話されたら“自分が殺した”と白状する気でいた。エレナを傷つけると、どんな目に遭うか‥使用人にも分からせる為に。



「誰か‥誰か 子馬が何処へ行ったか知りませんか!?」



周りの者達は驚き、僕もビックリだ。



但し、使用人の場合子馬が見つかなければエレナの、ご機嫌が台風の様に吹き荒れるから。



僕の場合は‥‥


(確かに、この手で刺し殺したんだ。隠しもせず あの馬舎に放っておいたのに)


そんな思いを持ちながら


「僕が探して来る!エレナには、まだ言わないで」


と周囲に声を掛け、一目散に 馬舎へと走った。

そこは、綺麗に整備され子馬の姿は無い。

不信感を抱いたままエレナが行く筈だった、待ち合わせ場所へ拾った地図を握りしめ 歩みを進めたんだ。


◇◇


昼間なら、何て事がない森の中は、夜になれば“地縛霊”でも現れそうな漆黒の森に姿を変える。



生温かい風が吹き抜けるその場所には‥首と胴体が切り離された子馬が転がっていたんだ。



目は見開かれ‥



僕を見ていた

No.114 08/08/07 21:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 113 ‥その場に、へたり込み頭が混乱する。

自分でも どんな風にして子馬を、森にある“底なし沼”まで運んだのか分からない。


我に返った時は既に頭も胴体も、蒼く白い月の光に照らされた、そこに沈んで行く所だった。


これ迄 僕が犯した罪を泥で塗り潰していく様に‥。



◇◇◇



家にも、何時(いつ)あの場所から抜けて戻ったのか記憶が無い。まだ 子馬の姿は脳裏に焼き付いたままである。



「お帰りなさいませ。心配しておりましたのよ」


“子馬を探しに行く”


そう言って、出て行ってから遅くまで戻らなかった事で使用人の一人が声を掛ける。


また別の者は、僕に付着している血液を見て驚きの声を上げていたりもした。


だけど どう答えていいのかも分からず 無言で階段を昇ったのだ。




エレナの部屋の前まで行くと、話し声がしてきた。


扉が閉まっていたし立ち聞きする気も無かったが、ある言葉で僕はノックもせずに ドアを開けて、相手の胸ぐらを掴んだ。



その言葉は‥


「メロディ、やめてよ!」


と甘い小さな実が、口にしたから。


◇◇


「エレナに何をしたんだ!?」


黒い十字架を、彼女の喉元に当てて問いただす。

No.115 08/08/08 21:15
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 114 ‥「お兄ちゃま‥!」


僕を止める様にしてベットから降り、側へ寄ってきた。


そっとメロディから身を離した後、エレナは こう問いかけて来る


「メロディが仰った(紙に書いた)んだけど‥嘘でしょう?


お兄ちゃまが、子馬さんを殺したなんて。


そんな事して無いよね!?」



「‥当たり前だろ‥」


妹の目を見れなかったけれど、僕は自分で自分に胸中で言い聞かせる



(そうだ。あんな無惨で残酷な殺し方は“して無い”だから嘘じゃないんだ)



死体を、底なし沼に沈めた様に 我が罪を“屁理屈”で沈没させた。



「ほら!お兄ちゃまは殺して無いと言ってるわ。もう あんな事、書いたりするのやめてね。メロディ。驚いちゃったわ」


ホッとした声で、彼女に向き直り そう告げる‥愛おしい甘美な実‥



すると メロディは指を差し、エレナの瞳をナイフに向けさせたんだ。



確認するかの様に、見つめた後 不安な色を浮かべ 質問を投げ掛けて来た。



「何故、お兄ちゃまのナイフに‥子馬さんの白い毛が着いてるの? お手ての血は何‥?お洋服にも‥」

だけど、僕は こう言ったんだ



「僕とメロディ どっちを信じる?」


と‥。

No.116 08/08/08 22:53
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 115 ‥僕とメロディの間に挟まれて、エレナは とても悩み・迷っていた。


「・・お兄ちゃまは
子馬さんを、殺してないと言ったのに
ナイフ.お手て.お洋服に毛と血が付いているし‥


メロディは、お兄ちゃまが子馬さんを
殺す所を見てたって教えてくるたけど‥どうして 止めなかったの?」



明らかに、熱が上がって来ていると見て取れる顔色。


「エレナ。御免!その話しは置いておこう。休んだ方がいいね」


言い逃れでも何でも無く、本心から 妹の体が心配になってそう言ったんだ。


メロディも 近づいて来る。



エレナは どっちにも歩み寄らずにいた



「分からないよ!!どっちを信じて良いか分からない!


2人とも私のお部屋から、出ていって!」


クマさんが、今の妹にとっては“支え”であるかの様に シッカリと胸に抱き、僕達が出て行くまでふらつく足を踏ん張っていたのだ。




◇◇◇



他の者に、妹を頼んだ後 僕は彼女の腕を掴み 自分の部屋に投げ入れた。


「何が目的なんだよ!あの馬を切り離したのは、お前だろ!?」


泣きそうに首を横に振るが、騙されない



こいつは‥女の子じゃない。








“男”だから。

No.117 08/08/09 10:28
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 116 ‥この事を知っているのは、両親と僕だけ。エレナには、衝撃的過ぎる年齢だからと言う訳で、話してはいなかった。

また、外部に漏れぬ様に細心の注意をはらう為 他の使用人にも伝えていない。

聴覚に支障は無くとも、言葉が話せず
男の割には小柄で細身‥‥この時代、メロディを雇う者は誰も無かったんだ。


しかし 本人は、働く為に 沢山の努力や創意工夫を施した。その中の1つが、“女の子の姿”になる事だった様である。


僕の家に初めて来た時は、自ら その事を伝えたのだ。


“真面目に勤務するのなら‥”


両親は相談の上で、メロディを雇う。


だけど 男なのに、女の姿で居ると世間に広まれば 好奇の目が集まり、親から聞いた噂話しによって、子供同士の苛めに発展する可能性もあるとの事で メロディの素性は隠された訳だ。


そして、彼女の名は自分が適当に付けたらしく 特別な思い入れは無いそうである。




◇◇◇



「僕の前で、女らしさを見せたって無駄な事 分かってる筈だろ!?」


紙とペンを叩きつけもう一度 問いただす



「妹を盾にして、僕から金目の物を取る気だったのか?


一体 何が欲しいんだ?」

No.118 08/08/09 10:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 117 ‥仕事の為に、女の子の格好をしてるだけで 中身は男。


しかし、エレナの全てを奪う様な趣味の持ち主で無い事は、分かる。


これ迄 メロディに
そのチャンスは、沢山あったのにも関わらず 何もしょうとしなかった為である

まぁ それが普通なんだけどね。




◇◇◇



ものの数秒で、男らしい目つきに戻り
メロディは、紙にペンを走らせて突き出した。


それを読んだ僕は


「本気で聞いてるんだ!ふざけるなよ!」


と詰め寄ったが、メロディは頑として
それを“真実”だと別紙に書き連ねる。


その時の視線や表情に、態度‥‥僕の頭でも読みとれた。


「本気なんだな‥‥」

メロディは頷く。




ーー手渡された紙に、書かれていた事ーー





【 欲しいのは
金目の物では無い。


レオ様が、エレナ様を想っている感情と同じ様に 俺にも、
そういう気持ちがある。









相手は












‥ タクト様 ‥ 】




僕の恋愛対象も、大概だと分かっているのだが‥メロディの想う相手を知った時 背中に寒い風が吹き付ける感覚に陥った。

No.119 08/08/09 20:31
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 118 ‥その頃、エレナは別のメイドに あやして貰い、やっと落ち着きを取り戻していた。


誰かに話しを聞いて貰いたい‥そんな気持ちで一杯だったけど、頭も背中も痛く熱の為 気持ちが悪くて話せずにいたのだ。



「お母様は、いつお帰りになるの?

お父様は‥?」


メイドの手や胸も、暖かかったけれど
4歳の姫にとって、心地良い温もりを与えてくれるのは母親

父親の大きくガッシリした手で頭を撫でて貰うと、安心感を得られる事

その2つを感じ取っていたので、エレナは両親に甘えたくて仕方が無かったのである。



「明日の朝には、戻られますよ。お2人共 随分、お嬢様を心配しておられました。貴女を置いて、2日も家を空けるなんて事ありません」


メイドが、そう言ってベットに寝かせ、縫いぐるみを抱かせる。


「タクト様は?」


「旅行から戻られたら、一番に来てくれますよ」


優しい笑顔を向けた。


「子馬さんは‥?」


「そんなに心配しないで、ゆっくり休んで下さい」


その質問には、答え辛く 話しを反らしてエレナを寝かしつける。


眠りに落ちながら姫は確信と同時に、祈りを捧げた



(子馬さんを殺した犯人に、天罰を与えて下さい)

No.120 08/08/11 11:01
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 119 ‥2人の会話は、夜中まで掛かった。

エレナを追い詰めたら、僕が側に着く。タクトは 僕の手から姫を遮る為、此処にやって来る。そうすれば 自分も彼に会え、姿を見る事が出来るから‥‥その理由で 色々と吹き込んでいた様だ。



「‥‥マイリーは、君と仲が良いけど‥何処まで知ってるんだい?」


ペンを取り メロディは答える



《 何も気づいてませんよ。それなのに口にする事と言えば
“私達は親友だから、何でも分かり合えるわね。辛い時とかいつでも言って。力になるから”


時々バカらしくなりますね。俺が、女の子の‘友情’に理解が乏しいだけかも知れませんけど 》


「それは、僕も同じだよ。今一つ分からない所が有るからね。
でも どうしてエレナを利用したんだ?

そんな事しなくても、タクトと友達になれる機会は有る筈だろ?

恋愛は無理だけどな。彼の場合 僕やメロディと違って、普通の感覚の持ち主だからね」



《そうです。タクト様の恋愛観は、人並みなのは分かっております。


だけど エレナ様を“引き取る”気で居たら‥?


俺は 率直に言うと
お嬢様への嫉妬も混じっているのですよ》

No.121 08/08/11 21:11
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 120 ‥「そんなの無理な話だ。タクトが、どう言おうとも先ず 父様と母様は許さないだろうし 彼の両親だって、簡単に引き取ったりしないよ」


《 レオ様とエレナ様の御両親が、戻って来られないのは貴方が一番 ご存知でしょう? 》



「ー!見てたのか!?」



車輪の部品を外した時の事だ。


ゆっくり走らせれば、動かしにくいけれど進む事は出来る。だけど スピードをあげれば‥‥。



その時、けたたましい程のドアベルが鳴り響く。


何人かの使用人が、階段を駆け降りる音。騒がしい玄関。


様子を見に行かなくても、何が遭ったのか分かっていた。



ー 両親の死 ー



僕が殺した様なもの。


暫くして、執事がやって来て悲痛な面もちで それを伝える。


◇◇◇



翌朝、すっかり熱も下がり真新しい服を着て 両親の帰りを楽しみに待つエレナの元へ、僕が向かった。


メロディは‥昨夜、警察に突き出したんだ。
過去に、母の宝石を盗もうとした事(お金に換える為)
子馬の事
そして 馬車の事、僕がやった分も含め全て、彼女に罪を被せた。勿論 メロディは否定していたが 心当たりもある訳だから‥警察からの質問に口を閉ざす態度で連れて行かれたんだ

No.122 08/08/11 21:46
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 121 ‥彼女自身が犯した罪も、相当の処罰が下る。それに加え、僕が被せた罪で かなりの苦痛を味わうだろう。(この時代の)警察は犯行をした者の言う事など、耳を貸さない。


だから 僕が捕まらない自信は有ったし エレナを追い詰めた彼女への復讐でもあったんだ。



◇◇◇



エレナは 両親の死に強い衝撃を受けて 最初 信じ様としなかったが、家中の雰囲気‥そして 使用人の言動。何より
冷たくなって帰宅した2人の姿‐‐‐


「どうして‥?」


その一言だけ漏らし小さな妹は、僕に抱きついて大粒の涙をこぼす。



両親を死に追いやった罪悪感より、こうして僕の妹が飛び込んで来た事に、喜びを感じていた。



「父様と母様が居なくても、僕がエレナを守るよ。これからもずっとね」


久し振りに その小さな身体へ腕を回し抱きしめる。


ほんのりと漂う花の香り。誰にも無い甘い実だけの香りだ。

両親が居なくなったのだから、タクトの元へ引き取られる可能性もある。



(そんな事させたくない)


想いが溢れ 妹の首筋を舐める様に口づけ。



だけど‥僕に待っていたものは、エレナとの別れ。



触れたくても‥触れられない。



僕の罪への天罰

No.123 08/08/11 23:38
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 122 ‥その日から、少なくとも2週間近くは 本当に慌ただしくて目まぐるしかった。
やっと、落ち着きを取り戻して幾日か過ぎた頃 僕はマレーネと会った。誘いを掛けるのは いつも僕の方だけど、たまに彼女からの誘いもある。僕達の間に会う理由なんて要らなかった。それぞれ
心の隙間を埋める為に、体を重ねていたのだから。


この日までの間、マレーネとの そういった関係は何度も何度も有ったんだ。


今日も、それをして家に戻った。


使用人からタクトが来ている事を聞き、部屋へと足を運ぶ。


ドアを開けると、明らかに いつもと違う表情をして言い放った。



「僕とマイリーの旅行話をしたんだってな。町中で、あの子は“淫乱”だと騒がれているよ。そして僕は、町娘に手を出す男だって言われてるんだ。自分の事は 好きな様に言わせておいてるけど、マイリーが どれだけ傷ついたと思う!?」


僕が考えていた以上に、タクトは彼女を想っているのが伝わって来る程の雰囲気だった



「ちょっと 待てよ
何で、僕が漏らしたと思うんだ?」



「ナージャから聞いたんだよ。彼女のみの話しなら 僕も信じない。嘘つきな所があるからな。でも君が喋った所を見た者がいるんだ」

No.124 08/08/12 00:08
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 123 ‥「誰なんだ?そんないい加減な事を言うなんて」


動揺を見せぬ様に、必死となる。


「ティモテだ‥。でも あの子は、ビックリする位に純粋だよ。直ぐ 側で君がナージャに、噂が広まる話をしていた所を見て 聞いてたのに


“レオは、冗談で仰ったのに あんな意地悪な噂を流すなんて ナージャは本当に信用出来ない”


と言って、僕がマイリーと旅行した事も嘘だと本気で思ってるんだ。


それから ティモテは、君がナージャと会った事を 僕以外には伝えてないそうだよ。変に 噂が燃え移らない様にね」


僕は もうタクトに何も言えず‥自分が秘密を漏らした事を認める様な、状態となってしまった。



ティモテが、無条件で タクトを愛し そして その彼の仲間も信じる‥‥どこまでも、どこまでも‥純真な心。


此処で タクトに
“喋ってない!”
と言い切れなかったのは、近くにいた彼女が“嘘”をついていると話す様なものだ。


あの無垢な心の持ち主を、裏切る事まで出来なかった。



「僕は 全力でマイリーを守り抜こうとしたけど‥駄目だったよ。あの町には 住めなくなって、連絡先も言わず 別れの言葉だけを残し 出て行ったんだ」

No.125 08/08/12 00:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 124 ‥別れを告げられたのに、後を追いかける様な性格では無いタクト。つまり もうマイリーとは離れた訳だ。


元々は、誤ったとは言え 妹をナイフで刺してしまい それを口止めする代わりに、ティモテの母親と交わした約束。


彼とマイリーの別離。


果たす事が出来たのに、気持ちは晴れない。



タクトは 僕を一瞥して部屋を出て行ったんだ。



◇◇◇



そのまま 帰宅するつもりだったが、1人で森に入ろうとするエレナを見つけて 彼は引き止めた。


「お姫様。女の子1人で行くのは危険ですよ」


「1人じゃない。クマさんも一緒だもん。‥‥森の中にね、私の子馬さんがいるの」


タクトは、姫の話を聞くと 優しく抱き上げて 頬にキスをし、そっと抱きしめた。



「エレナちゃん。僕の所に来ないか?
父さんも母さんも、弟も 君を凄く気に入ってるんだ」



4歳の小さな身体を実兄に奪われ、そして子馬と両親まで殺された姫。


その姿は 見る者、全ての胸を打つ程



疲れ切っていたのである。



「うん‥そうしたい」


と言って、タクトに持たれ掛かった。心の何処かで分かっていたのだ。




それが兄への復讐




になると。

  • << 128 ‥エレナは、メロディに教えて貰った場所を 思い出しながら、タクトと森の中へ進む。 まだ 乾き切っていない子馬の血と、まばらに散らばっている白い毛が 底なし沼へと続いていた。 摘んできた花を投げ込み、お祈りを捧げてから タクトの方へ振り返る あれ程 感受性の強い子が涙を見せない。 確か 葬儀中もそうだし、周りの無神経な発言も耳に入った時も泣いてなかったのだ。 訳は タクトも理解している。 そっと 小さな姫君を引き寄せて 優しく囁いた 「今まで、よく我慢したね。僕はレオに殺(や)られたりしないから大丈夫だよ」 その声と腕の力は、エレナを安心させたが、それでも必死に涙を堪えたのである 「‥タクト様のお家 (うち)へ行く前に、私のお家に戻りたい。やっぱり、お兄ちゃまに内緒で出て行きたくないの。 何処かに行く時は、挨拶とキスしてたもん。だからね‥」 「うん。レオが、どんな人間でも姫にとっては たった1人のお兄さんだ。会いに戻ろうな」 その言葉に、笑顔で頷き 再び家路へと帰宅したのだ。 ◇◇◇ エレナが、部屋をノックしても返事は無い。 中でレオとマレーネが身を結んでいたから。 「ドア開けるよ」

No.126 08/08/12 05:08
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

>> 125 澪さん、また遊びに来たばい😚

だんだん、話が佳境に入っていき、更に物語が面白いです。
レオの黒き十字架は益々重さを増しエレナを想えば想うほどエレナの心は離れて行く…
独特な世界観好きばい😍
メロディが男だったのにはビックリ😲ヌオッ
こいからも、更新楽しみにしとります😊
アル🍺😪

No.127 08/08/12 14:58
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 126 ☆ アルさんへ ☆


いらっしゃいませ🎀

レスどうも有り難う御座います😊


こんな作品でも、読んで貰えて嬉しいですよ。


最後まで頑張りますね。

No.128 08/08/12 22:59
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 125 ‥別れを告げられたのに、後を追いかける様な性格では無いタクト。つまり もうマイリーとは離れた訳だ。 元々は、誤ったとは言え 妹をナイフで… ‥エレナは、メロディに教えて貰った場所を 思い出しながら、タクトと森の中へ進む。


まだ 乾き切っていない子馬の血と、まばらに散らばっている白い毛が 底なし沼へと続いていた。

摘んできた花を投げ込み、お祈りを捧げてから タクトの方へ振り返る


あれ程 感受性の強い子が涙を見せない。
確か 葬儀中もそうだし、周りの無神経な発言も耳に入った時も泣いてなかったのだ。


訳は タクトも理解している。


そっと 小さな姫君を引き寄せて 優しく囁いた


「今まで、よく我慢したね。僕はレオに殺(や)られたりしないから大丈夫だよ」


その声と腕の力は、エレナを安心させたが、それでも必死に涙を堪えたのである

「‥タクト様のお家
(うち)へ行く前に、私のお家に戻りたい。やっぱり、お兄ちゃまに内緒で出て行きたくないの。

何処かに行く時は、挨拶とキスしてたもん。だからね‥」


「うん。レオが、どんな人間でも姫にとっては たった1人のお兄さんだ。会いに戻ろうな」


その言葉に、笑顔で頷き 再び家路へと帰宅したのだ。


◇◇◇


エレナが、部屋をノックしても返事は無い。

中でレオとマレーネが身を結んでいたから。


「ドア開けるよ」

No.129 08/08/13 10:20
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 128 ‥「まだだ!!僕が良いと言う迄 開けるんじゃない!」


その声を聞いて、エレナがムッとしながら言い返す


「何よ!怒鳴らなくても良いでしょう!?」


近くにいたタクトは使用人から、マレーネが来ている事・レオの慌てた声を聞き 何をしてたのか察したが 小さな姫に話す訳にも行かず、上手に エレナをおだてて、その場を離れさせたのだ。




◇◇◇◇



****


妹の声が部屋の外から、聞こえた時
“事柄”は もう終わり掛けていた。


しかし いつもの様な満足感は得られなかったんだ。


普段 そんな事ないけれど、今日のマレーネは それが始まった時も最中も 時折、拒む態度を示していたから。



手早く着替えを済ませた頃 彼女が喋り掛けた



「今日 お話が有って来たのに、聞こうともしないでベットに 押しつけるんだもの‥‥」



マレーネの口調も、普段と違う。



それだけで 何となく拒もうとしていた理由が分かった。


だけど ちゃんと彼女の口から聞こうと思い 隣に腰を下ろしたんだ。


「御免。話って何かな?」



「まだ診て貰ってないけど‥‥赤ちゃんが出来たと思うの」



(やっぱり‥)


予感的中。

No.130 08/08/13 10:57
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 129 ‥それを聞いた時、僕は僕なりに責任を持とうと思った。


両親が譲り渡してくれた財産と結婚資金 全部 合わせても、彼女と子供を育てるだけの資金は有る。

子育てだって協力するつもりだし、マレーネが信頼する使用人も数人なら雇えるんだ。


僕の仕事も 今からでも、父の事業を引き継ごうと思えば出来る。


それなのに、マレーネは こう言った。



「この子を卸そうと思う。赤ちゃんは、来年 レオと結婚して落ち着いてから、産みたい」



振り返ってみれば、14歳で妊娠してしまったかも知れない動揺と、それが確信出来たとしても育てていく自信が無いといった不安を彼女は 持っていたのだろう。


この時に、経済面や仕事の話。オナカの子の事をどう考えているか‥自分の考えを述べて マレーネを抱きしめ、世間の批判から守る!と示せば 産んでくれたと思うんだ。



でも 僕は、自分が“責任も取れない様な人間”
と、遠回しに言われてる気がしたのと、“卸す”と口にした事が許せなくて‥‥




マレーネを突き飛ばし 枕を顔に押しつけてしまった。







心臓が止まるまで。



窓辺に置いているナイフは、また黒い十字架の様に-陰を創る。僕に向かって。

No.131 08/08/13 15:02
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 130 ‥完全に、彼女が息絶えると 僕はそのまま崩れる様にしてベットから落ちた。

手が震え 頭の中は真っ白で、どうして良いのか分からなくなる。



5分‥また5分と時間だけが過ぎて行く内に、取り合えず
今 出来る事を考えられる余裕が少しずつ芽生えだした。


ベット上の冷たい遺体を、使ってないクローゼットに入れてから部屋を出たのである。



◇◇◇



エレナの元に行き、夢中で遊んでいる所を抱きあげて、深い口づけを送った。


「お兄ちゃま‥何か遭ったの? 今のキスいつもと違うよ」


僕の首に腕を回して ぴったりと寄り添う。


小さな胸の中で、僕から“離れる口実”を切り出すチャンスを、狙っていたなんて思いもしてなかったんだ。


何が起こっても、こうして甘い実に触れられる‥何の根拠も無い自信を持ち過ぎて、簡単に見える事も見えてなかったから。


「何でもない。僕のエレナ。でも‥笑顔を向けて欲しいな。

悲しませる奴が居れば、罰を与えてやる」


どんな時でも、この感情は本気だった‐‐‐。



「‥お兄ちゃまと離れたら笑顔が戻るの!! 悲しませているのは、他の誰でも無い! レオよ。罰が必要なのは お兄ちゃま!!!」

No.132 08/08/13 16:20
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 131 ‥堰を切った様に、泣き続け 様子を見ながら待機していたタクトの方へエレナは 手を差し伸べた。


素早く自分の元に、引き寄せた彼は


「例え“養女”と言う形が取れなくても 僕の家で、責任をもって預かるよ。ずっとね。家族にも了承済みだ。---自分の想いと都合だけが優先していたから、裏の動きなんて 気付いてなかっただろ? もう少し、妹さんの心へ歩み寄れば
こんな結果には、ならなかったのにな」


そう告げた後、エレナも言い放つ。


「人を怪我させたり
傷つけたり、意地悪しちゃいけないんだからね! こっちへ来ないで。クマさんに噛みついて貰うよ!」

一歩 近づいただけで、エレナは 出口を求め逃げまとう様な瞳を見せていた。


無理強いしても、この小さな実は 彼の元へ行くだろう。




◇◇◇◇



エレナが出て行った後の僕に、寂しく打ちひしがれる時間など無かった。


自分の部屋に隠したマレーネの遺体‥。

使い古したタオルケットや毛布などを、引っぱり出して 上に置き“黒い十字架”で 切り刻む。


飛び散る血液を、目立たなくする方法はメロディと話した あの夜に聞いていたから‥最小限に抑えられたんだ。

  • << 135 ‥身体のパーツを、一つずつ厳重に包む。 最後に顔を持ち上げた時‥こう囁いた。 「僕を好きになってくれて有り難う」 言った所で、もう完全に遅いけれど 心からの言葉だったんだ。 彼女が、好きだと話していた生地の布にそれを くるんだ後 全てのパーツを旅行鞄に詰め込む。 良家のお嬢さんが、夜になっても翌日を迎えても、帰って来なければ騒ぎになるだろう。マレーネは僕の所へ行くと行って 家を出て来てる筈だから、先ずは 此処へ彼女の家の者が 訪ねに来るのが目に浮かぶ。 知らぬ振り、警察が来て質問されても 上手く交わせる言葉は考えているけれど ずっと、騙せる自信なんて無い。 自ら 犯行を告げに行き罪を償う そんな、当たり前の事が出来ないんだ。 僕が留置されている間‥‥エレナに何か遭ったら? タクトの元にいれば 彼と同様 家族が小さな妹を守ってくれる。その点は信じているけど、四六時中 エレナに付いて回る訳じゃないだろうし、これから成長すれば 甘い実自身が1人で外出する事だってあると思う。 危ない目に遭ったら誰が守るんだ‥? 僕は エレナに触れられなくても、近くに居ようと決意した。

No.133 08/08/13 19:29
匿名 ( DKUKh )

先が気になる~😍😍😍
頑張って下さ~い🍀

No.134 08/08/13 21:41
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 133 ☆ 匿名さんへ ☆

レス有り難う御座います。


こんな作品でも、続きを気にして頂けるなんて‥嬉しいですよ😊


最後まで頑張って、書き上げますので
良かったら 又 覗きに来て下さいね。

No.135 08/08/13 22:29
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 132 ‥堰を切った様に、泣き続け 様子を見ながら待機していたタクトの方へエレナは 手を差し伸べた。 素早く自分の元に、引き寄せた彼は 「例… ‥身体のパーツを、一つずつ厳重に包む。
最後に顔を持ち上げた時‥こう囁いた。

「僕を好きになってくれて有り難う」


言った所で、もう完全に遅いけれど 心からの言葉だったんだ。


彼女が、好きだと話していた生地の布にそれを くるんだ後
全てのパーツを旅行鞄に詰め込む。



良家のお嬢さんが、夜になっても翌日を迎えても、帰って来なければ騒ぎになるだろう。マレーネは僕の所へ行くと行って 家を出て来てる筈だから、先ずは
此処へ彼女の家の者が 訪ねに来るのが目に浮かぶ。



知らぬ振り、警察が来て質問されても
上手く交わせる言葉は考えているけれど ずっと、騙せる自信なんて無い。


自ら 犯行を告げに行き罪を償う


そんな、当たり前の事が出来ないんだ。


僕が留置されている間‥‥エレナに何か遭ったら?


タクトの元にいれば 彼と同様 家族が小さな妹を守ってくれる。その点は信じているけど、四六時中 エレナに付いて回る訳じゃないだろうし、これから成長すれば 甘い実自身が1人で外出する事だってあると思う。


危ない目に遭ったら誰が守るんだ‥?



僕は エレナに触れられなくても、近くに居ようと決意した。

No.136 08/08/13 23:11
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 135 ‥机の前に座って日記帳を開く。


文章力の無い僕を、心配した父が贈ってくれた ぶ厚い物だ。


“どんな事でも良い。毎日じゃなくても構わん。少しずつでも思った事 感じた事を書くんだ。そうすれば、ちょっとずつマシになる”


と言って手渡され、読書も糧になるとかで、色んな本も付けられた事が有る。



これで、文章力が本当にマシになってるとは思ってないけど 僕は それを貰った時から‥


エレナが産まれた日の事を始め 今までの事を覚えている限り、こうして‥書いて来たのである。


嘘・偽りなんて何ひとつ無い。


全部 エレナへの想いを込めた日記帳となったのだ。



最後に、こう書き記た。



“エレナを愛している”



◇◇◇◇



この日記帳を僕は、タクトの元にいる妹宛に送った。


これを読むか どうかは分からないけれど、この気持ちに揺るぎは無いんだ。





何処の国でも、凶悪な犯行をしていながら捕まらない者。


迷宮入りしている事件だってある。



僕も警察の手から、逃げながら 甘い実
を追い続けるんだよ。




◇◇◇◇◇



*** 一年後 ***



今日は、エレナ・5歳の誕生日。

No.137 08/08/14 21:38
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 136 ‥お祝いの席は、姫が産まれ育った家で行われた。


この一年の間で色々あったものの、タクトの家名・家柄などが立派だった為 エレナ側の親類が話し合った結果 「養女」となったのである。

しかし 今まで住んでいた所には、両親の愛情が詰まっており 使用人との思い出‥‥そして レオと過ごした日々‐‐

まだまだ、幼いこの女の子は それらを全て捨て切る事が出来ないでいた。


そこで タクトの両親が新しい娘となったエレナの為


“産まれ育った家へ好きな時に帰っても良い”


と約束してくれたのである。


その家には 今まで通り、使用人が残り週に一回は必ず戻って来る お嬢様を快適に迎えられる様に維持しているのだ。



◇◇◇◇



エレナの誕生会には沢山の者が集まり、盛大に祝う。


両親・兄が側から離れても、その代わりに可愛がってくれる人が現れる。


どうやら 愛情に欠ける事の無い“星のもと”に産まれついている様だ。



相変わらず、クマの縫いぐるみを抱いているエレナ‥。


タクトを探しに、廊下へ。


ふと顔を上げて見た光景は、カーテンの陰で 優しいキスを交わしている





彼とティモテの姿。



‥‥‥。

No.138 08/08/14 22:21
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 137 ‥それから、数週間は拗ねて 拗ねて 周りを手こずらせたが決して、涙は見せなかった。


姿は見えぬども、今にもレオが現れて
タクトやティモテに危害を加える様な気がしてならかったからだ。



去年 突如として行方をくらました兄。

フィアンセのマレーネの消息も途絶えた


どちらの死体も見つからず‥迷宮入り‥となってしまっている。



(マレーネさんは、分からないけど‥お兄ちゃまは生きている‥‥)



タクトを想い、クマを抱きしめ 毎日の様に


(お願い。傷つけないで)


と祈っていた。




◇◇◇◇



“絶対に泣かない”


そんな心を持っていたけれど、大好きなタクトとティモテの


“結婚発表”



を聞いた時‥‥




「私の事 好きって言ってたのに!


“小さな恋人”と仰って下さってたでしょう?


どうして!? どうしてよ!!!」



堪えきれずに、大きな声を出し その場で泣いてしまう。




2人共、駆け寄り 姫を宥める。



泣き叫ぶエレナの視界に




黒い十字架を手にして歩みを進める、レオの姿が入った。



声は、聞こえなくても口の動きで理解出来る



「エレナ‥愛してるよ」

No.139 08/08/15 08:38
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 138 ‥夕暮れ時の湖畔。

「お兄ちゃま!!来ないで!!! 来ないで!」

異常な位 涙を流し叫ぶ声に、ティモテがエレナを抱き タクトは振り返る。


彼の父から、譲り受けた銃を手に持ち
かつては親友でもあったレオに向けたのだ。


小さな姫とフィアンセを守りたい気持ち。


こうなる前までは、楽しく遊んで、学び親しんだレオとの思い出。


2つの感情が交差して、引き金を掛ける指は躊躇する。



「撃って!!撃って!
タクト様。お願いよ!!!」


訴え続けるエレナ。

ティモテは、もし
その瞬間が来てしまった時


(こんな小さな子に見せる場面じゃないわ)


瞬時に考え 姫の目を覆いながら、しっかりと抱き締めた。



◇◇◇



レオとタクト‐‐


2人は向き合ったままである


「撃たないのかい?


僕は、愛する人を守る為なら親友であろうが、身内であろうが‥容赦しない。


君も知っている筈だよね。



エレナを悲しませ、泣かせた奴は 天罰が下る!」



ナイフを振りかざし 殺人鬼の様に、迫りくるレオ。




その時 鈍い音が、静かな湖畔に響き渡り 一瞬間 血の雨が降り注ぐ。

No.140 08/08/16 09:04
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 139 ‥また湖畔に、静かな時が戻る。


ティモテとエレナが ゆっくり顔を上げると、タクトは銃を撃てなかった様子で立ち尽くしていた。


そして 側には、彼の弟・グレッグがいて短剣を手に、足下へ倒れ伏せたレオを見おろしていたのである。


それに 付着している血痕を見たエレナは、ティモテから
そっと離れて駆けよった。



「グレッグ様!助けて下さって有り難う」



エレナの兄が“見たい”と願っていた、あの笑顔を向けて
姫は御礼を告げ、ぎゅっと抱きつく。


そして タクトにも体に腕を回して 彼を見上げ


「守ってくれて有り難う。タクト様 大好き」


ピョンピョン跳ねて喜んだ。


最後は ティモテ‥


「ずっと 抱っこしててくれたのね。嬉しかったよ」


少々 複雑な気持ちだったけど、頬にキスをして 自分を助けてくれたので、タクトとの結婚を祝したのである。



「あ~あ お兄ちゃまの血で、クマさんが汚れちゃった。


後で洗ってあげるからね」



兄が 近づいてきた時の騒ぎで、手から転がり落ちた縫いぐるみを抱きかかえた。



その間 タクトもグレッグも レオが倒れた振りをしているだけで、いつエレナに乱暴をし

No.141 08/08/16 09:47
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 140 ‥連れ去るか分からない‐‐と言った緊張感も有り、死を確認する迄 小さな姫を庇う様にして守っていたのだ。



◇◇◇



兄弟で、レオを仰向けにさせる。



体から 血が流れ広がり‥砂と混じり
どす黒くなって行く。



‥底なし沼の様に‥



深く 深く 突き刺さった“黒い十字架”が彼を、そこに 押し込めるかの様であった。




◇◇◇◇



葬儀の席で、エレナは 兄が棺に納められて、土の中へ埋め込まれた時‥‥今まで、誰にも見せた事の無い程の愛くるしい笑顔をしていたのである。




それから、数ヶ月後に タクトとティモテの挙式が取り行われ 2人は新居へと移った。



寂しくて 悲しかったけれど、その代わりにグレッグが姫を楽しませて 可愛がり 心根が優しく清らかなティモテは
よくエレナを家に呼び タクトも時間が有る時は、お相手をしていた。


新しい両親・使用人 生家に残っている者たち‥近所の方や友達、みんな みんな お姫様を愛し、こよなく大切にする。



◇◇◇



「グレッグ様。私ねあのアイスクリームが食べたいな」


今日は、タクトの弟が姫のお相手。


外出先で ワゴン売りしているアイスを見て

No.142 08/08/16 10:15
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 141 ‥そう おねだりをしたのだ。


アイスを買って貰い 上機嫌で、木陰に座り美味しそうに食すエレナ。



この姫と暮らし始めてから、グレッグは新しい妹の姿を見る度に 何でもしてあげたくなり‥‥たまに、レオの気持ちが分かる時もあった。


レオと言えば、未だに不思議で不可解な事がある。



たまたま 湖畔へ遊びに行った日。


ティモテとエレナが 座り込み 兄・タクトに 彼がナイフで切り掛かろうとしていて‥グレッグは
自分の短剣で助け様とした。



( 2人とも揉み合いの様になっていたし、女の子は 目を伏せていたから知らないだろうけど‥‥僕は確かに見たんだ。

転がったクマの縫いぐるみの表情が、歪んで 本物の熊みたいにレオ様の背中から、鋭く光った大きな爪で 心臓を貫く様に えぐった‥)



鈍い音は その時のもの。


短剣に付着したのは返り血で、僕が刺したから付いたんじゃない。



でも こんな事、話したって誰も信じないだろうから黙っているけど‥。


でも エレナは何か知っているのかも知れない。



いつも いつもクマの縫いぐるみを抱え それが“生き物”の様に喋りかけている事があるからだ。


気になるけど、一緒にいる

  • << 144 ‥時間は、これからも作れるし その内分かるだろう。 少々 楽観的なグレッグは、深く追求して考えず 可愛いエレナの頭を撫でた。 ◇◇◇ 生温かい風が拭き、まとわり付く。 「ねぇ。今度は、お家の中で遊ぼうよ。 お夕食の席に タクト様とティモテさんも呼びたいの!お泊まりもして頂くわ」 と言って、グレッグの手を引っ張り 家へと向かう。 ◇◇◇◇ ‥エレナ‥ エレナ 。 愛おしい僕の妹。 僕は もう、この世に居ないけれど‥‥ いつまでも側に “憑いて”守るよ。 僕は エレナに触れられない。 それが課せられた罰 でもね エレナ。 君にも罰が与えられているんだよ。 僕の死を願った事じゃない。 『愛情』に飢えた事なんてなく、いつでも注がれ 誰にでも愛される。 それを“当然”だと思い、高飛車になっている罪 僕が こうして近くにいる限り、エレナには “本当の自由” なんて無いんだ。 ‥離れない。 エレナを泣かせる奴が居れば、呪縛を与えたいから。 愛してるよ‥エレナ *完*

No.143 08/08/16 10:42
匿名 ( DKUKh )

主さん、おはようございます😄

レオがタクトの妹宛に送った日記帳、妹の存在が気になってます😆

レオが死んでしまったので、物語も終盤かなぁなんて、寂しい気持ちがあったり😣

今後の展開、更新を楽しみにしています😍

  • << 145 ☆ 匿名さん ☆ レス有り難うございます😊 物語は、最終回を迎えましたが 日記帳とエレナの事は、番外編として このレス内に書いていこうと思っております。 良かったら また読んで下さいね。

No.144 08/08/16 10:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 142 ‥そう おねだりをしたのだ。 アイスを買って貰い 上機嫌で、木陰に座り美味しそうに食すエレナ。 この姫と暮らし始めてから、グレッグ… ‥時間は、これからも作れるし その内分かるだろう。



少々 楽観的なグレッグは、深く追求して考えず 可愛いエレナの頭を撫でた。




◇◇◇



生温かい風が拭き、まとわり付く。


「ねぇ。今度は、お家の中で遊ぼうよ。

お夕食の席に タクト様とティモテさんも呼びたいの!お泊まりもして頂くわ」


と言って、グレッグの手を引っ張り 家へと向かう。







◇◇◇◇





‥エレナ‥ エレナ



愛おしい僕の妹。




僕は もう、この世に居ないけれど‥‥



いつまでも側に



“憑いて”守るよ。




僕は エレナに触れられない。




それが課せられた罰




でもね エレナ。



君にも罰が与えられているんだよ。





僕の死を願った事じゃない。







『愛情』に飢えた事なんてなく、いつでも注がれ 誰にでも愛される。


それを“当然”だと思い、高飛車になっている罪





僕が こうして近くにいる限り、エレナには



“本当の自由”



なんて無いんだ。





‥離れない。




エレナを泣かせる奴が居れば、呪縛を与えたいから。



愛してるよ‥エレナ

*完*

No.145 08/08/16 10:55
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 143 主さん、おはようございます😄 レオがタクトの妹宛に送った日記帳、妹の存在が気になってます😆 レオが死んでしまったので、物語も終盤かなぁな… ☆ 匿名さん ☆


レス有り難うございます😊


物語は、最終回を迎えましたが 日記帳とエレナの事は、番外編として このレス内に書いていこうと思っております。

良かったら また読んで下さいね。

No.146 08/08/16 11:36
匿名 ( DKUKh )

>> 145 主さん、お返事ありがとうございます😄❗
そして最終回お疲れさまでしたm(__)m

毎回、レオ、エレナの動きに、ドキドキ😆♥して、読ませて頂きました😆

これからも一ファンとして、応援させて下さい\(^O^)/
番外編楽しみに待ってます😍

  • << 149 ☆ 匿名さんへ ☆ こちらこそ、レス有り難う御座います。 番外編&新作も頑張って書こうと思ってますので、これからも応援よろしくお願い致しますね。 良かったら、また 遊びに来て下さい☆

No.147 08/08/16 11:48
バトー ( 10代 ♂ IbDL )

澪さん、最後まで読みました😊

面白かったです😂
前作もそうでしたが、最後は読者に色々と想像させてくれる展開となっていて、なんだか凄く本格的でした😲

また機会があれば次回作も読みたいです。勿論、家庭を最優先させて下さいね😁
お疲れさまでした。

  • << 150 ☆バトーさんへ☆ レス有り難う御座います。 こんな小説に、色々と お褒めの言葉を掛けてくれるなんて 嬉しいですよ。 番外編と新作も 書いて行くつもりですが、次作のタイトルは決まってないので 決定したら 「集い②」の方に、発表しょうと思っています。 これからもヨロシク! それと受験勉強、頑張ってね

No.148 08/08/16 19:09
楓 ( ♀ gcbL )

澪さん😃

お疲れ様です💐
密かに読ませて頂きました✨
毎回更新楽しみでした。
澪さんの小説はとても情景が伝わりやすく、読みやすいので大好きです🏆

私は以前小説挑戦した事あるのですが、途中で断念してしまいましたので…澪さんはホント凄いと思います。

番外編も楽しみにしています💕

  • << 151 ☆ 楓さんへ ☆ レス有り難う御座います。 そう仰って貰えて、光栄ですよ。 作品‥挫折 分かります! 私も何回か、放棄したくなった事ありますから💦 前作同様、これも “意地”でも終わらせるって気持ちで書き上げた小説なんです。 次こそは そんな風にならない様にしたいなぁ‥。 また 番外編と新作も書いて行く予定なので、暇な時にでも覗いて下さいね。

No.149 08/08/17 08:11
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 146 主さん、お返事ありがとうございます😄❗ そして最終回お疲れさまでしたm(__)m 毎回、レオ、エレナの動きに、ドキドキ😆♥して、読ませて頂… ☆ 匿名さんへ ☆


こちらこそ、レス有り難う御座います。

番外編&新作も頑張って書こうと思ってますので、これからも応援よろしくお願い致しますね。


良かったら、また 遊びに来て下さい☆

No.150 08/08/17 08:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 147 澪さん、最後まで読みました😊 面白かったです😂 前作もそうでしたが、最後は読者に色々と想像させてくれる展開となっていて、なんだか凄く本格的… ☆バトーさんへ☆


レス有り難う御座います。


こんな小説に、色々と お褒めの言葉を掛けてくれるなんて 嬉しいですよ。


番外編と新作も 書いて行くつもりですが、次作のタイトルは決まってないので 決定したら
「集い②」の方に、発表しょうと思っています。



これからもヨロシク!


それと受験勉強、頑張ってね

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