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闇の中の天使

No.43 13/02/19 19:34
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫42


「はい。よろしくお願いいたします」
と、言い直した私を美恵さんはいつもの笑顔で見てから、
「わたしは少し疲れたので、休みます。佐伯さん、ゆかりちゃんに家の中を案内してあげてください」と言って「ゆかりちゃん、ではまた夕飯の時に…ね」
と言った。

病院で車に乗った時の美恵さんは笑顔で私の髪型を褒めてくれたが、とても疲れた顔色をしていた。
旦那さんの容体が悪いのだろうか…。私は心配になったが、何も聞かなかった。

「では、こちらへ…」佐伯さんが私に部屋を案内してくれた。
これまでいた洋館と似たヨーロッパ調の家具が嫌味なく揃えられていた。
三十人くらいは余裕で寛げるリビング。
広く、暖房の付いたバスルーム。

「ここがお嬢様のお部屋です」佐伯さんが開けたドアの向こうには、ゆったりとした空間が広がっていた。
南向きの窓からは、陽が差し込んでいる。
勉強机、ソファー、テーブル、テレビ、ウォークインクローゼット、その向こうの部屋には大きなベッドがあった。
部屋の中には、トイレとバスルームもある。
「足りないものがあれば、仰ってください」
「あの…」
「何か必要な物が、ございますか?」
「いえ…、私のことを‘お嬢様’と呼ぶのは、決まり事でしょうか?」
一瞬考えた佐伯さんは「決まりではありません」と答えた。
「では、由香里と呼んでください」
「かしこまりました。由香里様」
「あの…」
「他に何か?」
「えっと…、‘様’って、どうしても付けるものなんでしょうか?」
「由香里様は、どのように呼んで欲しいとお考えですか?」
「‘由香里さん’では、ダメですか?」

「かしこまりました。由香里さん」
佐伯さんは、そう言うと私を見て微笑んだ。そして、
「お話の前に‘あの…’や‘えっと…’と仰るのは、直された方がよろしいかと思います」
と、付け加えた。
私は素直に
「はい」
と返事をした。




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