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みんなでつくろうストーリー8の6

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旅人
15/11/23 22:52(更新日時)

約1年以上続いた、“みんなでつくろうストーリー8”…。


一旦終了したストーリーではありますが、実はまだ未完なのであります…。


とりあえず完結するのかどうかはわかりませんが、みんなでつくろうストーリーの主さまに代わり、私フリーターが、続きを書いてみることにいたします。

完結するなら8の10ぐらいまでにはなんとかしたいですな。



もちろん9スレにもストーリーを作りにいきます!



よろしくです\(^o^)/


No.2211200 15/04/30 22:23(スレ作成日時)

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No.201 15/06/20 18:55
名無し2 

>> 200 流郷は診察中だった為、玄関に出てきたのは島津であった。

それは西田と島津の11年ぶりの再会だった。
西田を見た島津は

『あ…西田さん。』
と驚いた顔をした。
西田『島津さん…。お久しぶりです。大変不躾ではありますが

あなたに会ってお話したいことが有りまして

あなたを捜していたんです。』…




No.202 15/06/20 20:33
旅人 

>> 201 島津も西田も、11年ぶりの再会ではあったが、お互いほとんど外見が変わってなかったことに驚いていた。


西田は、もともと少し太めな体型だったが、さらに少し太めになっていたが、反対に島津はあの頃より少し痩せていた。



体力が完全に回復していないせいもあるのかもしれないが…。




島津「流郷さんの家だけど、立ち話もなんですから、とりあえず上がりませんか?」


西田は、それもそうだと思い、ひとまず上がることにした…



No.203 15/06/20 21:47
名無し2 

>> 202 西田『早速なんですがね、菜穂子さんのことなんです。』

島津『菜穂子の?』

西田『ええ。実は菜穂子さん、由紀さんも一緒に

今日猿渡と会食をしておられましてね。』

その西田の言葉には猿渡への嫌悪感が含まれていた…




No.204 15/06/20 22:03
旅人 

>> 203 島津「西田くん、猿渡って誰なんだい?」



西田は、先走って話してしまったことに気づき、菜穂子のおかれている状況を、島津にかいつまんで説明した。


猿渡は、猿渡グループのオーナー社長で、7年前に妻を亡くした男やもめで、由紀よりは年下だが由紀とさほど変わらない年齢の息子がいること



お互い子持ち同士で、年齢的にも釣り合いが取れているから、田沼滋が乗り気であること



菜穂子は、義理で猿渡との見合いに行き、断りの返事をしたのだが、猿渡のほうは菜穂子を諦めずにアプローチをしていること


最近は、菜穂子のほうもまんざらでもなさそうなこと



西田の話を聞いた島津はやはり驚いた…









No.205 15/06/20 23:01
名無し2 

>> 204 西田『このままでいいんですか?島津さん。』

島津は明らかに動揺していた。

西田『菜穂子さんが今まで再婚しなかったのは

あなたにまだ気持ちがあるからだと

私は思いますよ。』
西田の言葉に島津は拳をギュッと握った…




No.206 15/06/21 01:14
旅人 

>> 205 しかし、現在の島津は、流郷に世話になっていてホームレス上がりの無職の身の上である。



島津も、リゾートホテルやファミリーレストランを経営している猿渡グループのことは知っていた。


そこのオーナー社長と、無職の自分…



いくら菜穂子が自分にまだ気持ちがあるとはいえ、菜穂子の父親である田沼滋が許すはずもなく、明らかに自分に分が悪い。


菜穂子…



思わず握りしめた拳だったが、黙って握りしめた拳を見ている島津だった…





No.207 15/06/21 01:33
旅人 

>> 206 西田には、菜穂子を愛していながら、島津がためらう気持ちも痛いほどわかっていた。


西田も、昔、菜穂子にあこがれていたからである。

西田は、菜穂子への気持ちを封印し、田沼滋がすすめる見合いの相手だった広恵と結婚した。
広恵は、菜穂子とちがい平凡な容姿の女だったが、気立てもよく、子供にも恵まれ、それなりに幸せだし、由美子と結婚してよかったと思っている。


だが、菜穂子に対するあこがれは消えることはなく、西田は菜穂子の幸せのためならどんなことでもしようと決めていたのだ。


若かった菜穂子が、島津と恋におち、田沼滋から反対されていても、田沼滋の目を盗んで積極的にデートに協力したこともあったのだ。



西田は、菜穂子の幸せのために というのもあったが、島津とウマがあい、島津を好きになったからでもあった。



西田「島津さん、あなたの気持ちも僕なりによくわかるつもりです。でも、このままでは駄目です。僕に考えがあります…」



西田は、田沼滋や猿渡には極秘で、島津と菜穂子を会わせよう と考えていた…




No.208 15/06/21 01:58
旅人 

>> 207 そうこうしているうちに、菜穂子と由紀を迎えに行く時刻が迫ってきていた。


西田は、何とか菜穂子だけを島津と会わせたいと考えていた。



一方、食事も終わり、デザートも食べ終わって四人はお茶を飲んでいたが、やはり大輔は、時おり由紀に淫らな視線を向けていた。


親父が再婚したら、ひとつ屋根の下で暮らすわけだから、やれるチャンスだって



いや、こんないい女、それまで待てないや


大輔は中学生ですでに何人かの女とセックスしていたが、相手になった女はたいてい、場合によってはカネで簡単に身体を許すような不良少女か、自分の母親ぐらいな年齢の女で、由紀のような美人で上品な少女ではなかった。


うまくいけば、ひとつ屋根の下で、毎日やりたい放題だよな



由紀は、時おり感じる大輔の視線がたまらなく嫌だった。


西田さんが早く迎えに来ないかな



由紀は思っていた…






No.209 15/06/21 08:39
名無し2 

>> 208 デザートも食べ終わり

由紀にとっては苦痛の時間が

ようやく終わった。
猿渡『今日はきてくださってありがとうございました。

次回は是非我が家へ遊びにきてください。』

菜穂子は満更でもない笑顔で

お礼を述べた。

由紀も笑顔でお辞儀をした。

その笑顔は猿渡に対するものではなく

ようやくこの場から解放された

嬉しさが無意識に由紀を笑顔にさせていた…



No.210 15/06/21 16:35
名無し2 

>> 209 菜穂子と由紀は西田の車に乗り込んだ。
そして開口一番に由紀が

『お母さん、猿渡さんと再婚するの?』

その問いかけに西田も耳を傾けた…



No.211 15/06/21 17:57
旅人 

>> 210 由紀は思っていた。


猿渡と母が再婚すれば、あの大輔が自分の義弟になって、同じ屋根の下で暮らすんだ…



結構イケメンで、おとなしそうな感じの大輔だが、由紀は、時おりむけられていた粘っこい視線に気づいていた。


母親が再婚して同居すれば、何か嫌な予感がする…




由紀は、猿渡自身は、特に何とも思わなかったのだが、大輔のことがあまり好きになれなかったのである…



No.212 15/06/21 22:20
名無し2 

>> 211 菜穂子は由紀を見つめながら

『猿渡さんはいい人だと思うんだけどね…由紀はどう思う?』

由紀『私は…母さんが再婚するなら

私は学校の寮で暮らそうかな。』…



No.213 15/06/21 22:42
旅人 

>> 212 菜穂子「寮に…!?でも寮に入れるのは、遠くて自宅から通学できない人たちだけだって決まりがあるでしょう?あなたはちゃんと電車で通える距離なんだから、学校の許可がおりるわけないのよ…」



由紀にもそれは充分わかっていたのだが、母が猿渡と再婚して、あの粘っこい視線を向けていた大輔と暮らすのは嫌だったのだ。


菜穂子「それに…、お母さんは猿渡さんと再婚なんてしないわ。きょうはおじいさまの頼みだったから出掛けただけ…。由紀は心配しなくてもいいのよ」



菜穂子の返事を聞いて、由紀だけでなく、西田もホッとしていた…




No.214 15/06/21 22:53
旅人 

>> 213 菜穂子は、別に由紀のためというわけでもなく、本心で言った。


猿渡は確かに話題も豊富で一緒にいても楽しかったのだが、島津のように、黙っていても気まずくもなく、自然でいられる という感じはなかった。


もちろん、食事をしたのが初めてだから というのも多少はあるのだろうが、島津と出会ったばかりの頃、波長が合う とすぐに感じたのだから、猿渡にはそういう感じはなかった。



やはり、何かが違う… と菜穂子は思ったのだった…



No.215 15/06/22 07:03
名無し2 

>> 214 西田は菜穂子達に島津の居所が分かった事を言いたくて仕方なかったが

その夜は自分の胸の中にしまっておいた。
そして何とかして島津と菜穂子達を会わせたいと考えていた…


No.216 15/06/23 02:08
旅人 

>> 215 次の日、由紀と奏は、ふたりで仲良く登校していった。


由紀は奏に


「昨日はごめんなさい。本当は奏くんと一緒に図書館で勉強したかったんだけど、お母さんの用事で…」

と言った。


奏は、


「気にしてないよ。それよりもきょうは一緒に帰ろう。昨日の夕方は、由紀の家に行けなかったし、由紀の家で一緒に勉強したいんだけど…、いいかな…?」


と言った。



田沼滋から交際を認められてから、奏は時々由紀の家に行っていたが、田沼滋の言いつけを守って、決して由紀とふたりきりになることはなく、必ず祖母の美恵子や、菜穂子や田沼滋の目の届くリビングで勉強したり、ゲームをしたりしていた。


由紀も、学校の友達から、同年代の男子は、性に対して興味を持ち、彼女が出来れば、そういう関係になりたがるものだということは聞いていた。


昨日の大輔の視線も、そういう視線だったのかもしれない…


と由紀は思っていた。



奏にも、そういう欲望があるのだろうか


あっても、決して態度に出さず、いつも私のことを大事にしてくれてる…



由紀は、そんな奏が好きだった。



由紀も、高校卒業して、奏と同じ大学に進学し、大学を卒業したら、奏と結婚したい と思っていた。



奏くんと結婚して、お父様とお母さまみたいな夫婦になりたい…



まだ父親の島津が蒸発する前、由紀は子供だったが、子供だった由紀の目にも、父と母は仲がよい夫婦に見えた。


父も母も、お互いのそばにいるときは、この上なく幸せそうだった…








No.217 15/06/23 02:22
旅人 

>> 216 子供だった由紀は、時おり、父と母がキスをしている場面も垣間見たこともあった。



父と母は、由紀が見ているとは知らず、服のままではあったが、父は母を抱きしめ、唇を重ねていた。


唇を離したときに、母はうっとりと父を見つめ、今度は母のほうから父に唇を寄せていき、ふたたびふたりはキスをするのだった。



幼かった由紀は、ふたりが何をしているのかもわからなかっだが、そんな光景にドキドキし、同時にふたりの幸せそうな姿が強烈に胸に焼きついていたのである。


父と母は、愛しあっていたんだ


だから、母が猿渡と再婚なんて考えられないことだわ


そう思いながらも、由紀は、将来奏と結婚した時のことを想像し、想像の中で、あの時の父と母の光景に、自分と奏を重ね合わせ、少し顔を赤らめた…




No.218 15/06/23 02:28
旅人 

>> 217 由紀が登校して、田沼滋も用事で西田の車で出掛けていった。


母の美恵子(由紀には祖母)も、タクシーを呼び、趣味の会に出掛けていった。


広い家に菜穂子ひとりだった。



菜穂子は、猿渡が今度何か言ってきても断ろうと決めていた。



そこへ、西田が帰ってきた。



田沼滋の用事が終わる頃迎えに行けばよいので、一旦帰ってきたのである。



島津と菜穂子を会わせるために…



No.219 15/06/23 02:33
旅人 

>> 218 西田は、田沼滋を車から下ろしてすぐに、島津と連絡を取り、駅前にある小さなビジネスホテルの部屋に菜穂子を連れていくから と言った。



島津は驚いたが、島津も、恋しい妻の菜穂子に会いたかった。



流郷の服を借り、多少こざっぱりした姿になった島津は、西田の名前でとってあるビジネスホテルの部屋に入り、菜穂子を待った…




No.220 15/06/23 12:26
名無し2 

>> 219 菜穂子は西田がそのような事を考えているなどとは

思いもしないで

1人きりの家の中で
〃あの人も紅茶が好きだったな…〃

と思いながら紅茶を飲んでいた…



No.221 15/06/23 14:22
旅人 

>> 220 島津は、ストレートの紅茶が好きで、菜穂子はよくスコーンを焼いた。


輸入食器会社を経営していた島津は、食器にもうるさく、食器はすべて輸入物で、日本でもよく知られたブランドのものばかりが揃っていた。



島津は、ストレートの紅茶を、ウエッジウッドのティーカップで飲み、菜穂子が焼いたスコーンでティータイムを楽しんだ。


当時、社長業が忙しく、時には仕入れで海外に行くこともあった島津にとって、菜穂子の焼いたスコーンで紅茶を飲むひとときは、一番心休まる時でもあった。



紅茶のおかわりを注ぐ菜穂子の手をつかみ、自分に引き寄せて、菜穂子を抱きしめ、唇を重ねることもあった。


菜穂子は、島津が好きだったストレートの紅茶をひとりで飲みながら


あの人がいなくなってから、スコーンを焼くこともなくなったわ


あの人はよく、買いつけのためにイギリスにも行ってたけど、イギリスのホテルで出されるスコーンよりも、私のスコーンのほうがおいしいとよく言ってくれた…



そう言って私を抱きしめてくれた…



菜穂子は、猿渡と会った翌日だからか、なぜか島津のことばかり思い出すわ と思っていた…



No.222 15/06/23 22:15
名無し2 

>> 221 島津を思いながら紅茶を飲む菜穂子の瞳から

堪えきれずに涙が落ちた…



No.223 15/06/24 07:08
名無し2 

>> 222 菜穂子が感慨に浸っていると

誰かが帰って来た音がした。

菜穂子は慌てて涙を拭いた。

菜穂子はその足音を聞いて

すぐに西田だと分かった。

足音は珍しく菜穂子がいるリビングへと向かって来た…




No.224 15/06/25 07:00
名無し2 

>> 223 〃コンコン〃

『菜穂子さん、居られますか?』

声はやはり西田だった。

菜穂子『どうぞ、お入りください。』

西田は意を決してリビングルームの中へ入った…




No.225 15/06/25 12:36
名無し2 

>> 224 西田『菜穂子さん、実はですね…』

菜穂子『どうなさったんですか?西田さん。』

菜穂子は何時もと違う様子の西田に

紅茶を差し出し

ソファーへ座るように促した。

西田の額には汗が滲んでいた。

西田はポケットからハンカチを取り出すと

額の汗をふき取り

紅茶が置かれた席へ座った…



No.226 15/06/25 14:43
旅人 

>> 225 西田は


「菜穂子さん、実は…、菜穂子さんだけにお話しますが、島津さんの居どころがわかったのですよ」



と切り出した…




No.227 15/06/25 22:16
名無し2 

>> 226 西田の言葉に菜穂子 は

『え…あの人が…?』

と目を見開いた…




No.228 15/06/25 22:27
旅人 

>> 227 西田は


「島津さんの居どころがわかったのも、つい最近で、偶然だったんです。島津さんは、菜穂子さんのことをある場所で待ってるんですよ。私は夕方には車で旦那さまの迎えに行かなければなりません。私がご案内しますから、早く支度をして下さい…」


と菜穂子に言った。


菜穂子は、急いで自分の部屋にいき、少し化粧を直してから、白を基調としたワンピースに着替えた。


そして、西田の車に乗った。




車は、島津が待つビジネスホテルへと向かった…



No.229 15/06/26 07:13
名無し2 

>> 228 その時島津はビジネスホテルの部屋の中で

本当に菜穂子が来てくれるのだろうか

と考えて

落ち着きなく狭い部屋の中をいったりきたりしていた。

その時部屋をノックする音がした…




No.230 15/06/26 09:49
旅人 

>> 229 島津が

「はい…」


と返事をしてから、ドアの魚眼レンズで覗いてみると、西田が見えた。

西田の後ろに人がいるような感じもあったが、魚眼レンズでははっきりとはわからなかった。


島津はドアをあけた。


西田の後ろには、菜穂子が立っていた。



「あなた…」




「菜穂子…」




ふたりはその場に立ったまま見つめあった…


No.231 15/06/26 19:33
名無し2 

>> 230 菜穂子の目からポタポタと涙が流れ落ち

『元気そうで…』

菜穂子はそこまで言うともう

胸がいっぱいになり

言葉が出なくなった…



No.232 15/06/26 20:27
旅人 

>> 231 西田は、いつの間にかそっと部屋を出ていった。



立ったまま泣いている菜穂子を、島津は抱きしめた。



「菜穂子…、11年前と少しも変わっていない…」




「あなたは、少し痩せたみたい…、でも、今までどうしていたの…?」



島津は、菜穂子を抱きしめたまま


「あれからいろいろあったんだ。今だって、再起したいと思いながらもふがいないことに無職なんだよ…」



と、言った…




No.233 15/06/27 15:45
名無し2 

>> 232 島津『菜穂子…ずっと寂しい思いをさせてしまってすまない。』

菜穂子『ずっと…ずっと、信じていたわ。あなたがまた帰って来てくれるって。』

島津は力一杯菜穂子を抱きしめた。

菜穂子の涙は島津の胸元を温かく濡らした…



No.234 15/06/27 23:36
名無し2 

>> 233 島津『しかし俺は…
今の状態では

由紀にもお父さんにも

合わせる顔が無いんだよ。』

島津はため息混じりに

菜穂子の肩を少し離し

悲しそうに言った。
菜穂子『じゃあ私もあなたに付いていきたい…』

島津『菜穂子…』

島津は菜穂子の言葉にしばらく涙が止まらなかった…




No.235 15/06/28 01:11
旅人 

>> 234 菜穂子がそう言って島津の胸に顔を埋めてくると、島津は再び菜穂子を抱きしめ、唇を重ねた。


ふたりは口づけをしながら、そのままそばにあるベッドに倒れこみ、島津は菜穂子の唇を離すと、菜穂子の首筋に唇を這わせながら、菜穂子のワンピースを脱がせていった。



菜穂子は、島津にされるままになっている。



島津は、菜穂子のワンピースや下着を脱がせて裸にすると、自分も服を脱いで、裸の菜穂子を抱きしめた。


菜穂子は


「恥ずかしいわ…」


と言ったが、菜穂子の身体は昔とほとんど変わっていなかった。

由紀を産んだとは思えないぐらいの細い腰で、胸もあまり大きくはなく、少女めいた身体つきの菜穂子だった。


「きれいだよ…、菜穂子…。昔とちっとも変わっていない…」



そう言って菜穂子と唇を合わせると、今度は菜穂子のほうから強く唇を吸ってきた。



島津は、11年の間、女を抱いたことは一度もなかった。

ホームレス生活だったので、女が寄ってこなかったためだったが、菜穂子以外の女をだく気になれなかったためもあった。


菜穂子も、11年の間、他の男に身体を許すこともなかった。



抱きあったふたりには、そのことがわかった。


どこかぎこちなかったが、ふたりは肉体のふれあいで愛を確かめあい、菜穂子は島津に抱かれてのぼりつめた。



島津と菜穂子はほぼ同時に果てたのだった…






No.236 15/06/28 01:20
旅人 

>> 235 終わったあと、ふたりは裸のまま、しばらくベッドの中で抱きあっていた。



島津も菜穂子も、肌が汗ばんでいた。



島津は、菜穂子を抱いて、もう菜穂子と離れまいと心に決めた。



菜穂子も、島津の汗ばんだ胸に顔を埋めて、もう離れまいと思っていた。



島津は、菜穂子や由紀のために、早く仕事を見つけようと決意した。


島津は言った。


「もう、君を離さない、離すまいと、君を抱いて思った…。君と由紀のために、早く仕事を見つけようと思う。仕事が決まれば、由紀と3人で暮らそう」



菜穂子は頷いた。


そしてそのまま唇を重ね合わせ、島津は再び菜穂子を抱いた…




No.237 15/06/28 01:33
旅人 

>> 236 結局、島津と菜穂子は夕方近くまでホテルの部屋にいた。


離ればなれだった11年ぶんの時間を埋めるように、ふたりは互いを求めあい、何度も交わったのだ。

夕方近くなり、菜穂子は身支度を整えて、タクシーで自宅に戻った。


島津は、流郷の診療所の電話番号を菜穂子に教えた。
流郷の自宅には電話がなく、独り身だし診療所の電話で事足りるから と流郷が言っていたからだ。


菜穂子は、タクシーの後部席に、島津との情事の余韻が残った身体をもたせかけ、島津とのひとときを反芻しつつも、島津と再会したことは、父の田沼滋にも、母の美恵子にも、娘の由紀にも、しばらくはだまっていたほうがいい と考えた…



No.238 15/06/28 22:59
名無し2 

>> 237 菜穂子は11年ぶりの島津との夜の事を思い出すと
また体が島津を求めるのであった…

No.239 15/06/29 02:14
旅人 

>> 238 一方、島津も流郷の家で安穏としていたわけではなく、職探しに必死だった。


菜穂子を抱いたことで、一層島津も、菜穂子と由紀と3人で暮らそうと改めて思っていた。



しかし、島津の職探しは難航していた。



その間も、島津は時々菜穂子と会っていた。




菜穂子は、田沼滋や美恵子や由紀が出掛けてから、島津に電話をかけ、再会したビジネスホテルの部屋で、島津に抱かれた。



島津も菜穂子も、会えば激しく互いを求めあい、時のたつのを忘れるほどに何度も交わるのだった。



島津は、菜穂子を抱きながら、以前の菜穂子は、ここまで激しくもなく、どちらかといえば淡泊なタイプだったはずだが と思った。

だが、考えてみれば、菜穂子も40代で、まだ女盛りであり、加えて11年ぶりに夫に抱かれ、肉体に火がつくのも当然といえば当然でもあった。



島津も、菜穂子の情熱に溺れるように菜穂子を求め、激しく菜穂子の身体を抱いた…



No.240 15/06/29 02:21
旅人 

>> 239 菜穂子は、島津に抱かれるたびに激しく燃え、結婚していた頃は口にしなかった

「イク…」


という絶頂の言葉を、吐息とともにもらすようになった。


終わったあと、菜穂子自身も、自分がこんなに激しく燃えるのが信じられない気持ちだった。



菜穂子は、島津に寄り添いながら


「早くあなたと由紀と3人で暮らしたいわ…」


と言った。



島津は、菜穂子に申し訳ない気持ちになった…




No.241 15/06/29 21:54
名無し2 

>> 240 そんなある日。

このままではいけないと思った島津は

何でも屋

をしようと思いついた。

島津が流郷に何でも屋をやりたい

と胸の内を話すと

流郷は快諾してくれた…




No.242 15/06/30 05:06
旅人 

>> 241 島津が何でも屋をはじめようと思ったきっかけは、流郷が診療所をやっているせいで、近所の年配の患者さんの送り迎えをやったり、患者さんの中で、独り暮らしの老人も何人もいて、送り迎えついでに話し相手になったり、ちょっとした買い物を頼まれたり、力仕事をやったり ということがちょくちょくあった ということだった。


料金はそんなに高くしなくて、主に独り暮らしの老人たちや、困っている人の役に立てば という気持ちからだった。


これなら店舗もいらず、しばらくは自分ひとりで動けるから と島津は考えた…



No.243 15/06/30 05:11
旅人 

>> 242 流郷の了解も得たので、島津はチラシをつくり、流郷の診療所にチラシを置かせてもらったり、時間を見つけて、診療所の近辺の家のポストにチラシを入れたりした。


店舗がないので、島津は、連絡先としてプリペイド携帯を持つことにした。


これで、菜穂子とも連絡が取れる と島津は思った…



No.244 15/07/01 22:12
名無し2 

>> 243 そんなある日。

菜穂子は親友と久しぶりに

ランチをする事になった。

すると、親友『菜穂子、久しぶりに会ったら、何だか綺麗になったね。』

とパスタをクルクルしながら言った…




No.245 15/07/01 22:29
旅人 

>> 244 菜穂子は

「そ、そうかしら?」



ととぼけたが、親友の由利は


「恋ね。いい人見つけたんでしょ?」


と、鋭いところを突いてきた…



No.246 15/07/02 07:05
名無し2 

>> 245 由利『もしかして猿渡さん?』

菜穂子はちょっとむせた…



No.247 15/07/02 13:02
名無し2 

>> 246 菜穂子『違うわよ!』

由利『え?猿渡さんじゃないの?』

菜穂子『猿渡さんはいい人だけど、私は再婚するきはないわ。』

由利『何だか勿体ないわ。猿渡さん結構イケメンだし、お金持ちだし、申し分ないと思うのに。』…



No.248 15/07/02 15:47
旅人 

>> 247 由利は

「年も同じで、同じバツイチなのに、なんで菜穂子にばっかそういう話が来てあたしには来ないのかしら~。神様って不公平よね。しかもあたしは子供もいないのに…」


と言ったが、菜穂子は答えず、ランチを口にした。


由利は、菜穂子の高校時代の同級生だった。



由利は身長171㎝の長身で、大学時代モデルにスカウトされ、女子大生モデルとして雑誌を飾っていたこともあった。
由利はモデルから歌手か女優に転身したかったようだが、いくら由利が美人でスタイルがよかったとはいえ、由利レベルの芸能人は結構いるし、歌も下手で、演技の勉強などもろくにしていないし、そうこうするうちに由利の所属事務所から、AVへの進出を打診され、頭にきて芸能界を引退したのだった。


菜穂子は、高校卒業後、私立の女子短大に進学したので、4年制大学へ進学した由利とは別々の道を歩いていたが、気があって現在まで何となくつきあいは続いていた。


短大卒業後、アルバイトで商社に勤めた菜穂子は、当時は同じ商社にいた島津雅彦と恋に落ち、結婚したが、由利も菜穂子と同じ時期に、広告代理店に勤務する男と結婚したのだった。



島津は商社を退社し、輸入食器会社を興した頃、菜穂子は、由紀という娘に恵まれたが、由利には子供が出来ず、結婚して4年で離婚し、その後は彼氏のいる時期はあっても再婚はしていない。


もっと若い頃は由利にもわりに再婚話はあったのだが、由利が高望みだったせいでうまくいかず、そうしてる間に、またまだ綺麗でスタイルはいいが由利も年齢を重ねていき、条件が悪くなっていたのである。



なので、ある意味由利の自業自得でもあるのだが、由利は適当に年下の彼氏がいたりもするので、口ほどには菜穂子をうらやましがってもいなさそうであった…









No.249 15/07/02 17:18
名無し2 

>> 248 菜穂子『そういう由利こそ、例の年下の彼氏と上手くいってるの?』

由利『むふふ、今夜もデートなの。』

菜穂子『まあ、ご馳走さま!』

由利『で?誰なの?菜穂子のお相手は?』…




No.250 15/07/02 22:38
名無し2 

>> 249 菜穂子『実はね…島津…さんなの。』

由利『…え?元旦那の島津さん?』

菜穂子『ええ。』

由利『じゃあ、消息が分かったのね。』…



  • << 251 菜穂子『うん。西田さんが苦労して探してくれたのよ。』 由利『へ~…島津さん、元気にしてたの?』 菜穂子『かなり大変な思いをしてきたみたいなの。これからは私が側にいて力になってあげたいの。』 由利『やっぱり菜穂子は昔から一途だね。』 その時由利の携帯がなった。 由利『菜穂子ごめん!彼が来たから私もう行くね!』 菜穂子『うん、じゃあね!』 由利は嬉しそうに彼の元へと向かった…
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