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みんなでつくろうストーリー8の6

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旅人
15/11/23 22:52(更新日時)

約1年以上続いた、“みんなでつくろうストーリー8”…。


一旦終了したストーリーではありますが、実はまだ未完なのであります…。


とりあえず完結するのかどうかはわかりませんが、みんなでつくろうストーリーの主さまに代わり、私フリーターが、続きを書いてみることにいたします。

完結するなら8の10ぐらいまでにはなんとかしたいですな。



もちろん9スレにもストーリーを作りにいきます!



よろしくです\(^o^)/


No.2211200 15/04/30 22:23(スレ作成日時)

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No.51 15/05/13 01:55
旅人 

>> 50 シータは、テンダー(テレーズ)に、自分の今後について占ってもらうことになった。


テンダー(テレーズ)は、シータの現在の状況や生年月日などを尋ねて、水晶を見た。



「確かに…、あなたの芸能界でのピークは過ぎましたね…。引退するならなるべく早いほうがいいと思います…」


テンダー(テレーズ)にそう言われ、覚悟していたとはいっても、やはりショックだった…




No.52 15/05/13 07:18
名無し2 

>> 51 テンダー『あなたは裏方の仕事が向いていそうね。』


と、テンダーは続けた…




No.53 15/05/13 22:27
名無し2 

>> 52 シータはその言葉に表舞台を去る決意が出来た。

シータは今まで稼いだお金で

美容師の学校に通いたいと

その時思った…



No.54 15/05/13 22:40
旅人 

>> 53 もともとシータは、芸能界に入るまえは美容師を目指していて、美容学校にも通っていたのであった。

美容学校の学費と生活費を稼ぐため、夜のバイトをしていたときにスカウトされ、芸能界入りをしたのである。


芸能界で売れてくると、次第に美容師への夢を忘れ、美容学校も中退してしまったのだった。


テンダー(テレーズ)の言葉で、シータの心に、忘れかけていた夢がよみがえってきたのだった…



No.55 15/05/13 22:44
旅人 

>> 54 シータは思った。


芸能界で稼いだおカネで、美容学校にもう一度、入り直せるなら入りたい と…




No.56 15/05/14 12:44
名無し2 

>> 55 目標が出来たシータは

ガラッと表情が明るくなった。

テンダーはシータの明るい表情を見て

胸をなで下ろした…



No.57 15/05/14 22:55
名無し2 

>> 56 その頃アマンダとシータを捨てた

ミシェルは日本にいた…



No.58 15/05/15 01:18
旅人 

>> 57 ミシェルは、具体的な計画もなく、とにかくマシューやもろもろのことから逃げたい一心で、日本に来たのだが、日本に来ても、誰一人日本に知り合いもなく、日本語も話せないため、かなり悲惨な生活だった。

仕方なく、ミシェルは、ホームレスたちとともに生活をしていたのである。


日本語がわからず、身振り手振りだけのミシェルを、とりあえず受け入れてくれたのは、ホームレスたちだったからだ。


フランスにいたときはダンディーだったミシェルだが、ホームレス仲間たちと生活しているうちに、日本に来るときに着ていたスーツは汚れ、髪や髭はのびほうだい、もはや見るかげもなかった…



No.59 15/05/15 07:35
名無し2 

>> 58 そんなミシェルはある日警察官から職務質問をされた。

そしてビザが無いことが判明した。

ミシェルはひどい姿のまま

パリへ強制送還されることに…



No.60 15/05/15 09:58
旅人 

>> 59 ミシェルはフランスに強制送還されることになったが、心のどこかでホッとしている自分に気づいてもいた。


日本に来ても、ほとんど日本語もわからず、ホームレスの生活にも疲れていたからだ。

ホームレスの人々は結構親切だったが、残飯を漁ったり、何日も風呂に入らず着の身着のままの生活。
家を売ったおカネも、日本に到着してすぐに、日本の円に両替して、しばらくは赤坂や有楽町のホテル暮らしだったが、快適で有名なホテルはとても高く、いつまでもいられるわけはなかった。


赤坂や六本木で日本の女を身振り手振りでナンパし、成功しても彼女たちは必ずミシェルに金を要求してきたので、日本の女にも辟易していたミシェルだった…



No.61 15/05/15 10:28
旅人 

>> 60 おカネが減ることに心ぼそくなってきたが、アルバイトしようにも、日本語もできず、日本に知り合いもいないのでコネもなかったミシェルは、あてもなく公園をさ迷う毎日だった。


公園でボーッとしていたミシェルに声をかけてきたのが、ホームレスの男だった…



No.62 15/05/15 23:00
名無し2 

>> 61 その男は英語が堪能で、昔は社長だったらしい…



No.63 15/05/16 03:02
旅人 

>> 62 男は英語だけでなく、フランス語、ドイツ語も自国語のように話せ、堪能だった。


そんな男がなんで現在は、ホームレスとして路上生活を送っているのかはわからなかったが、とりあえずミシェルはこの男とだけは話が通じたし、男はホームレス仲間の間でも一目置かれているようで、他のホームレスたちは比較的すんなりとミシェルを受け入れてくれた。



男は、ホームレス仲間からは「島さん」と呼ばれていたが、苗字は「島津」というらしい。


男がミシェルを自分の段ボールのねぐらに泊めたときに、ミシェルが聞くと苗字だけは教えてくれたのだ…


No.64 15/05/16 22:33
名無し2 

>> 63 島津『あんた、金か?酒か?女か?』

ミシェル『え?』

島津『失敗したからここにいるんだろ。』

ミシェル『お…女です。』

島津『ガハハ!あんたイケメンだもんな。』…





No.65 15/05/16 23:43
旅人 

>> 64 そんなことを言う島津も、ボーボーの髭を剃り、髪や服を整えれば、かなりなイケメンだと思えた。

ホームレス然とした外見のせいで、島津の年齢はよくわからなかったが、おそらくは40代後半から50代前半ぐらいだろうと思われた。


島津の段ボールの棲みかの片隅には分厚い本が何冊かあり、島津のいないときに一冊手に取って見てみると、ニーチェの原書の本だった。


そんな島津の謎めいた部分に興味もあって、ミシェルはホームレスとして暮らしていた…


No.66 15/05/17 10:35
名無し2 

>> 65 ミシェルはニーチェの本を大切にしている島津を

哲学者だと感じた。
島津には人間を惹きつける

暖かい魅力があった…




No.67 15/05/17 21:58
名無し2 

>> 66 ミシェルが島津のニーチェの本を読み終えると

ミシェルはもう一度正しく生きたいと思った。
まさにそのとき、ミシェルは警察官に職務質問をされたのであった。

ミシェルは島津に出会い、島津の本を読み、もう一度祖国で生きる覚悟を決めたのであった…



No.68 15/05/18 09:37
旅人 

>> 67 強制送還をきっかけに、フランスでやり直そうと思ったのも本当だが、一部分では、日本とホームレス生活に疲れていたのも本音だった。


島津に、強制送還されてフランスに帰らなければならなくなったことを伝えると、島津は

「残念だな、ムッシュー。しかし、案外いい機会なんじゃないか?あんたにゃこんな生活向いてねえと思うよ」

と優しく言った。


ミシェルは、フランス人だからか、島津がそう呼ぶからか、ホームレス仲間たちからは“ムッシュー”と呼ばれていた。


ミシェルは


「わずかな間だったけど、島さんと出会えたことが日本でのいちばんいい思い出です…」


と、心から言った…



No.69 15/05/18 22:15
名無し2 

>> 68 ミシェルはフランスに帰ると

とりあえず仕事を探した…



No.70 15/05/18 22:21
旅人 

>> 69 ミシェルは、ほとんど蒸発同然でフランスを去ったため、今さら親から任せてもらった縫製工場には戻れないし、マシューのもとにも戻るつもりはなかった。


仕事を探して、ひとりでやり直そうと考えているミシェルだった…




No.71 15/05/19 17:10
名無し2 

>> 70 ミシェルが日本に帰り

島津も再起したいと考えていた…



No.72 15/05/19 22:12
名無し2 

>> 71 島津は以前会社の社長であったが

知人の借金の保証人になったばかりに

借金を負わされ、家族を守るため

家族とも縁をきり

今の生活を送っているのであった…


No.73 15/05/20 07:05
名無し2 

>> 72 島津はようやく借金も片が付き

再び家族と一緒に暮らしたいと考えていた…


No.74 15/05/20 09:53
旅人 

>> 73 しかし、家族を捨て、ホームレスになってすでに10年以上の歳月が流れている。



妻も、再婚しているかもしれない


ひとり娘の由紀はもう高校生かな…



島津はホームレス生活をするようになってからも家族のことを忘れた日は一日とてなかった。


家族と暮らしたいが、家出をして10年以上の歳月が流れていることが、島津をためらわせているのだった…



No.75 15/05/21 22:08
名無し2 

>> 74 その頃島津の娘由紀は

昔家族旅行をしたときの、父親が写った思い出の写真を

ながめていた…




No.76 15/05/21 22:15
旅人 

>> 75 その家族旅行は、父親が蒸発する直前に行った旅行だったため、由紀にとっては懐かしくもほろ苦い思い出だった。


父親が蒸発したことが、子供心に悲しく、父親を恨んだこともあったが、徐々に、父親が大変な思いをしたことを知り、恨む ということはなくなったのだが…。


由紀もやはりパパっ子だったため、子供の頃の優しかった父親の思い出が懐かしいのだった…



No.77 15/05/21 22:54
名無し2 

>> 76 由紀が写真をながめていると

由紀のスマホに

ラインが来た…



No.78 15/05/21 23:08
旅人 

>> 77 ラインの宛名は“奏”とあった。



奏くんからだ…



由紀は、あり得ないことながら、ひょっとしたらどこかにいる父親がラインをくれたのかもしれない と一瞬だけ思った。


桂川奏からのラインはもちろん嬉しかったのだが…






No.79 15/05/22 07:38
名無し2 

>> 78 奏からのラインには
〃明日も一緒に登校しようね。いつもの所で待ってるよ〃

とあった。奏は由紀と付き合うようになってから

少し遠回りになるけど由紀にあわせて道を変えていた…



No.80 15/05/22 15:37
旅人 

>> 79 由紀は、父親が蒸発してから、母親の奈穂子とともに、祖父母の実家に住んでいた。


祖父母は、奈穂子の両親である。


父親の島津雅彦が、保証人になり莫大な借金を背負った時に、家族に類が及ばないように戸籍上は母と離婚したのだと、由紀も後で知った。


母親の奈穂子と由紀は、そのため祖父母のもとに身を寄せることにはなったが、奈穂子は、離婚しても島津の姓を名乗っていたし、由紀もそうだった。


母親は、父親の姓を名乗り続けることで、蒸発した父親のことを待ち続けているのだと、由紀は思っていた…



No.81 15/05/22 20:35
旅人 

>> 80 祖父母は、些少ではあるが、先祖代々からの土地を受け継ぐ地主だった。

土地は郊外にあり、些少なのでさほど大地主というわけでもないが、昔ながらの地主という祖父・田沼滋のプライドは高かった。


祖父母には娘だけふたりいて、菜穂子の姉で由紀には叔母にあたる美穂子は早々と他家に嫁いでしまったので、祖父母は菜穂子に婿をとらせたがっていたが、菜穂子も島津雅彦と恋に落ち、祖父母の反対を押しきって結婚したのだった。

それでも島津が輸入食器会社を興し、成功していた間は、祖父母もなにも言わなかったのだが、島津が保証人になり、家や社屋が抵当にとられてなくなり、島津が菜穂子と離婚して蒸発してしまってからは、由紀とともに身を寄せる菜穂子に、祖父・田沼滋はしきりと再婚話を持ち掛けてくるのだった。


祖父はある時菜穂子に、

「由紀がいるせいで再婚をためらってるんだったら、由紀はわしらの養女として戸籍を移して、わしらの子として成人するまでなんとかわしらが育てる。お前もあんな男のことははやく忘れて、わしの土地を継いでくれるような男と再婚してほしいんだ。わしらもいつまでも元気なわけでもないし、お前だってまだ40をちょっと出たばかりじゃないか。まだ若い今のうちになんとか、わしらの願いを聞いてくれ…」

と言っていたのを由紀は聞いてしまったこともあったのだった…





No.82 15/05/22 21:30
旅人 

>> 81 由紀は、祖父の言葉に悲しくなった。


お母さんは、私のことが重荷なのかもしれない…


由紀は、もちろん母や祖父母の前ではそんなそぶりなど見せず、明るく振る舞っていたが、内心は悩んでいた。



しかし、母の菜穂子は、さすがに、どことなく由紀の様子が違うことに気づいたのだった…



No.83 15/05/22 21:51
旅人 

>> 82 ある日、菜穂子は由紀の部屋をそっと訪れ、由紀にどことなく元気のない理由を思いきって聞いてみた。


由紀は、はじめはためらって、なかなか理由を言わなかったが、奈穂子の優しい問いかけに、とうとう本当の理由を話した。


奈穂子は優しく由紀に微笑んで


「バかね…、由紀。お母さんは由紀のことを重荷だなんて思ったことなんて一度もないし、再婚なんて考えてないわ。お父さんはきっと、お母さんと由紀のところに帰ってくる ってずっと信じてるのよ。もう11年も…」

と言って由紀を抱き締めた。




奈穂子「本当は、実家になんか帰ってこないで、私が働いて由紀とふたりで生きていけばよかったかもしれない…。でも、お父さんが、離婚のときに、経済的に不自由のない実家にいるほうがいい と言ったし、お祖父さんやお祖母さんにとってはあなたはたったひとりの孫ですもの。だからそばにいてあげることがいいと思ったから…」



奈穂子の姉である美穂子の夫婦には子供がなく、田沼滋にとっては由紀がただひとりの孫であることは変わりないのだった。
奈穂子に似て美しく、聡明で素直な由紀を、祖父・田沼滋が可愛がっていることも事実だった…








No.84 15/05/22 21:54
旅人 

>> 83 由紀は、母の菜穂子が、別れてからもずっと父を待ち、父を愛していることに感動し、悩み事など吹き飛んでしまった。


ちょうどそんな頃であった。


由紀が、桂川奏と知り合ったのは…



No.85 15/05/23 00:09
旅人 

>> 84 桂川奏の通っている高校は、由紀の通っている青蘭女子学園のすぐ近くにある高校だった…



No.86 15/05/23 21:50
名無し2 

>> 85 2人は毎朝同じ電車に乗っていた…



No.87 15/05/24 19:25
名無し2 

>> 86 ある日。電車に乗っていた由紀は

男子校性数人に囲まれ

からかわれるというアクシデントにみまわれた…



No.88 15/05/24 23:13
旅人 

>> 87 もちろん由紀が、電車に乗ってるどの女子高生よりも群を抜いてかわいかったからだが、桂川奏も、毎日同じ電車に乗る由紀のかわいさが気になっていたひとりだった。



由紀に絡んでいる数人の男子高校生は、ちょっと先の男子校の生徒で、その男子校は柄がよくないことでも有名だった。


「青蘭女子のネーチャン、俺たちとデートしようぜ」

「デートがダメなら断り賃くれよ。なんなら身体でもいいんだぜ~」

由紀は

「やめてください…」

と必死で言うが、電車に乗っている他の高校生や大人たちも、トラブルを恐れて見て見ぬふりをするしまつ。


そのうちに不良男子高校生たちは、可愛い青蘭女子の制服に包まれた由紀の胸をさわりはじめた。

「ネーチャン意外といい乳してんじゃん。これから学校サボってさ、俺たちといいことしようぜ。いっぱい感じさせてやっからさ~」

由紀が泣きそうな顔で顔をそむけている。

大人たちも、見て見ぬふりをしながら、興味本意でニヤニヤ見ていたり、あんまりかわいくない他校の女子たちは半ば いい気味 みたいな目で見ていて誰も絡まれている由紀を助けようともしなかった。

胸をさわっていた不良男子高校生のひとりが、由紀の制服のベストの中に手を入れて、下のブラウスのボタンを外しはじめた。


ひとりはスカートの中に手を入れようとしている。



その時だった。


奏が


「やめろよ!」


と大きな声をあげた…





No.89 15/05/25 07:24
名無し2 

>> 88 『なんだてめぇ!』
一番体格の良い男が奏を睨み付けた。

初めから様子を見ていた乗客のおばちゃんが

『兄ちゃん!4人相手に無理や!』

と奏に囁いた。

その時、奏の勇気に触発された乗客の中の男たちが

奏に続いて立ち上がった…



No.90 15/05/25 09:38
旅人 

>> 89 奏は

「次の駅で降りてもらおうか」


と、至って冷静に男子高校生たちに言った。


由紀の胸にさわっていた、いちばん図体のデカイボス格の男が

「おう、相手してやるぜ」

と言い、電車が次の駅に着いたところで、奏と高校生たちも電車を降りた。

ボス格の高校生・尾形はなぜか由紀の腕をつかんで一緒に電車を降りた。


尾形は、

「お前をボコボコに叩きのめしてから、この女をお前の目の前で輪姦(まわし)てやるぜ」

と不適な笑いを浮かべて奏に挑みかかったが、次の瞬間、奏から腹にボディーブローを食らった。


尾形は


「ぐえっ…」

と、こみ上げる吐き気をこらえながらなんとか立ち上がったが、腹を押さえてうずくまってしまった。


ボス格の尾形があっけなくやられたことで、他の奴らはこそこそと逃げていった。


電車に乗っていて、どうなるのか気になって一緒に降りた男たちは、奏に拍手した…





No.91 15/05/25 09:53
旅人 

>> 90 奏は、うずくまっている尾形を、駅員につきだした。

車内で尾形が、由紀に迷惑行為をしていたことは電車に乗っていた男たちが証言してくれた。



尾形を駅員に引き渡し、ホームで次の電車を並んで待っている時に、由紀は奏に


「ありがとうございます…」


と、お礼を言った。



奏が、お礼を言った時の由紀の笑顔の可愛さにドギマギしながらも

「いや、いいんだよ。それより学校遅刻になっちゃったね。まあ、駅員さんが学校に電話してくれたからいいけどさ」

と言った。


由紀は、サラサラの髪や、整ったきれいな顔立ちで喧嘩なんかしそうにない外見の奏が、なんであんなに強いのか意外な気がした。


奏は、由紀のそんな思いを見抜いたかのように


「僕、子供の頃、身体が弱くてさ、親の知り合いがやってるボクシングジムに通ってたんだよ。別にプロボクサーになるつもりはないけど、ジムでサンドバッグ叩いたり縄跳びしてたりすると、ストレス解消にもなるから、今もたまに通ってるんだ」

と笑って言った…



No.92 15/05/25 10:33
旅人 

>> 91 奏は、由紀に言ったように、子供の頃は身体が弱かった。
虚弱体質というわけでもないが、すぐに風邪をひいたり病気がちだったので、心配した奏の父親が、昔の友人が当時オープンしたばかりのボクシングジムに奏を通わせることにしたのだった。

ボクシングジムは、子供向けのコースもあり、奏はオーナーでありコーチでもあった稲森の教えで、身体を動かすことやボクシングの楽しさを知り、それにつれて身体もだんだんと丈夫になっていったのだった。


奏は、プロボクサーになるつもりもなく、あくまでも運動としてボクシングを続けていたが、稲森からも、ボクシングの技は凶器にもつながるので下手に乱用するなと厳しく言い渡されていたし、友人にも誰にも、ボクシングジムにたまに通っていることはだまっていたのだった。


だから、奏にとっても、ボクシングの技をジム以外で使ったのは今回がはじめてだったし、尾形をなぐったときもかなり手加減はしているのだった(それでも一般人にすればかなり痛いとは思うが)。


奏は、由紀を守るためにボクシングが役に立ってよかったと思っていた…







No.93 15/05/25 13:38
名無し2 

>> 92 奏が由紀を星蘭女学院へ送り届けた時には

もう10時を過ぎていた。

由紀は深々と奏にお礼を言うと

お互いの連絡先を交換しあった。

その姿を由紀の父親は工事現場で働きながら

遠くから心配そうに見守っていた…




No.94 15/05/25 16:38
名無し2 

>> 93 娘由紀の姿を遠くから見守るのが

島津雅彦のなによりの楽しみであった。
由紀がその日は何時になく遅い登校で

しかも見知らぬ男子校生と一緒であった事は

雅彦にとっては大きな衝撃であった…



No.95 15/05/25 20:16
旅人 

>> 94 ホームレス生活から足を洗い、いつかは家族のもとに帰りたいとひそかに願う島津だったが、さすがにすぐにも帰れず、ホームレス時代にこっそり隠し持っていた金で、まずは興信所に妻の菜穂子と娘の由紀が現在どうしているのかを調べてもらうように頼んでいた。


菜穂子がもしも再婚していたなら、もうふたりに会うことは諦めようと島津は思った。


興信所の調査結果では、妻の菜穂子と娘の由紀は、菜穂子の父親である田沼滋のもとに身を寄せており、菜穂子は離婚後も島津姓を名乗ったまま再婚もしていないとわかった。

ひとり娘の由紀ももう17歳で、青蘭女子学園に通っていることもわかった。


興信所が隠し撮りした菜穂子や由紀の現在の写真を見たとき、島津は思わず涙をこぼした。


菜穂子…、昔とちっとも変わっていない…


由紀、昔の菜穂子に似て、可愛い娘になったな…



島津は、いつかは必ずふたりのもとへ帰ろう と固く決意したのだった…



No.96 15/05/25 20:26
旅人 

>> 95 そう決意した島津ではあったが、菜穂子の父親である田沼滋にもともとよく思われていなかったことや、保証人になったために莫大な借金を背負ったとき、かなりな迷惑をかけたことなどを考えると、やはりある程度の経済力をつけてから とも考えていた。


興信所の調査で、田沼滋がしきりに菜穂子に再婚話を持ち掛けていることなども報告があったので、よけいに、着の身着のままでは帰れない と思っていた。


しかし、妻や娘の姿をせめて遠くからでも見たい との思いも強く、偶然にも由紀の通う青蘭女子学園の近くに日雇い仕事があるのを見つけ、日雇い仕事に汗を流しながら、遠くからそっと由紀を見るだけの毎日だったのだが…



No.97 15/05/26 12:40
名無し2 

>> 96 由紀は父雅彦が近くにいるとは知らず


こんな時、父親が居てくれたら

心強いのにな

と思っていた…



No.98 15/05/26 15:29
旅人 

>> 97 その日、由紀が家に帰ると、朝の事件のことはすでに学校から連絡があったようで、菜穂子と祖父の田沼滋、祖母の美恵子の心配ぶりがただ事ではなかった。


祖父の田沼滋は、

「だから電車通学なんか危ないと言ってたんだ。由紀は菜穂子に似て美人なんだから不良学生たちから目をつけられたりするんだ。明日からは、わしの車を使って学校に通いなさい。いいね、由紀」

と言ったが、由紀は

「でも、おじいさま。友達や他の子はみんな電車で通ってるし、私だけおじいさまの車なんて…」

と言った。


だが、祖父は


「駄目だ。またこんなことがあったらどうする。駅員の話によれば不良学生たちはお前にイタズラする寸前だったらしいじゃないか。可愛いお前をまたそんな目にあわすわけにはいかん。これは命令じゃ、わかったな、由紀」


と言下に由紀に言ったので、由紀はもうそれ以上に言えなかった…



No.99 15/05/26 15:35
旅人 

>> 98 次の日から、由紀は、祖父の車に乗って青蘭女子学園に通うようになった。


祖父のお抱え運転手である西田の運転は快適で、不満があるわけではなかったが、由紀は、昨日の自分を助けてくれた男子高校生に電車で会えなくなることが少しだけさびしかった。


一方、桂川奏も、あれ以来由紀を電車で見かけなかったので、内心かなり気になっていた…



No.100 15/05/26 15:42
旅人 

>> 99 車は、青蘭女子学園の門の手前で止まり、まず西田が運転席から降りて、後部座席のドアを開け、由紀が降りてから

「行ってらっしゃいませ。学校の終わるころにまたお迎えに参ります」

と深々と礼をし、由紀が門の中に入るまで見送るのだった。


由紀は、祖父の気持ちは嬉しいが、他の登校している生徒たちからはじろじろ見られ、恥じらいも感じていた。


西田が由紀を見送り、運転席に乗り込もうとした時、近くの工事現場に、何だかどこかで見たような感じの作業員がいるのが目に止まった。


どこかで見たような…



西田はすぐには思い出せなかったが…



  • << 101 田沼家専属運転手の西田保は、もう20年近く田沼家で働いている。父親も田沼家の運転手を長年勤めていて、父親のあとをつぐ形で、田沼家運転手として働くことになった。 採用されたばかりの頃は、西田もまだ20代の青年で、田沼滋だけでなく、娘の菜穂子の用事で運転することもあり、美しい菜穂子にほのかな憧れを抱いていたが、所詮は菜穂子と自分は釣り合うわけもないという諦めの気持ちもあったので、採用されて2年後に、田沼滋がすすめた見合いで知り合った女性と結婚し、子供にも恵まれ、それなりに幸せな生活をきずいている。 しかし、結婚しても、子供が生まれても、菜穂子に対するほのかな憧れが消えることはなく、そのため、菜穂子が島津雅彦と恋に落ち、田沼滋の目を盗んでデートするときなど、菜穂子に積極的に協力したりもしていたのである。 それに西田は、島津とも結構ウマがあい、菜穂子と島津が結婚してからも、島津ともわりと交流があったのである。 島津が離婚後、蒸発してからは、もちろん西田とも音信不通であったが…。 西田は車に乗り、運転しながら、 そうだ、島津さんに似ていたんだ。あの作業員は… と、思い出していた…
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