注目の話題
既読ついてもう10日返事なし
ピアノが弾けるは天才
一人ぼっちになったシングル母

みんなでつくろうストーリー8の6

レス500 HIT数 6398 あ+ あ-

旅人
15/11/23 22:52(更新日時)

約1年以上続いた、“みんなでつくろうストーリー8”…。


一旦終了したストーリーではありますが、実はまだ未完なのであります…。


とりあえず完結するのかどうかはわかりませんが、みんなでつくろうストーリーの主さまに代わり、私フリーターが、続きを書いてみることにいたします。

完結するなら8の10ぐらいまでにはなんとかしたいですな。



もちろん9スレにもストーリーを作りにいきます!



よろしくです\(^o^)/


No.2211200 15/04/30 22:23(スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿制限
参加者締め切り
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.500 15/11/23 22:52
名無し2 

>> 499 弘樹『もしもし。』
平井『もしもし、やぶおそくにごめんなさい。

実はね、旅番組のオファーが来たんだけどね

それが共演者は当日の本番までわからないのよ。

この仕事受ける?』

マネージャーの平井はオネエ系であった…


みんなでつくろうストーリー8の7に続く


No.499 15/11/22 22:03
名無し2 

>> 498 弘樹は少し嫌な予感がして

溜め息混じりに電話に出た…





No.498 15/11/22 08:40
旅人 

>> 497 弘樹は、汐里からすぐに返信があったことが嬉しかった。


そして


“来週末がオフの日なんで、その時に”




と返信した。




返信後、弘樹のスマホに電話がかかってきた。



着信番号は、弘樹のマネージャーの平井からだった…




No.497 15/11/21 22:38
名無し2 

>> 496 弘樹からのお誘いに
汐里は思わず

ドキドキした。

汐里〃ありがとうございます。私で良ければ連れて行って下さい。〃

汐里は既読無視と思われないように

すぐに返事を送った…




No.496 15/11/21 14:40
名無し2 

>> 491 LINEは、麻丘弘樹からだった。 レストランで、汐里は、弘樹のLINEのIDを教えてもらっていたのだ… … 弘樹〃今度良かったら一緒にドライブしませんか?〃


それはデートのお誘いだった…




No.495 15/11/21 02:02
旅人 

>> 494 ありがとうございます‼



新スレには、満レスになればお引っ越し致します。




もちろん、引き続き、主さまのスレで新しいストーリーもつくっていきたいので宜しくお願いします(^o^)v




No.494 15/11/20 23:13
名無し2 

>> 493 ほーい!🏃ちょっくら新スレに顔出して来ました~🙌




No.493 15/11/20 22:59
旅人 

>> 492 ちなみに、もう8の7を立ち上げております\(^o^)/




新着からきてもらうほうがよいかな?



主さまがレスすれば8の7は参加者締め切りにする予定であります。



主さまの発想に刺激を受ける部分が多々あります。
おかげでストーリー作りができるのでいつも感謝しております。



不肖の新主よりm(__)m





No.492 15/11/20 22:50
名無し2 

>> 491 またまた満レス近くなりましたね。

また探して参加します。

No.491 15/11/20 22:34
旅人 

>> 490 LINEは、麻丘弘樹からだった。



レストランで、汐里は、弘樹のLINEのIDを教えてもらっていたのだ…





※満レス近くなりました。


また、8の7を立ち上げます。



ストーリー作りに是非ご参加くださいませ。


みんなで作ろうストーリー 元主さまへ。



  • << 496 弘樹〃今度良かったら一緒にドライブしませんか?〃 それはデートのお誘いだった…

No.490 15/11/20 22:26
名無し2 

>> 489 同じ頃汐里のスマホにもラインが来た…




No.489 15/11/20 01:42
旅人 

>> 488 LINEは、田崎マネージャーからだった。


“紀美の相手ご苦労様。大変だと思うけど”



という内容だった。



大変だけど…、でも、結構楽しいよ



紀美の毒舌や愚痴聞くのも…





波田はLINEの文字を見ながら、心でそう呟いた…




No.488 15/11/17 22:22
名無し2 

>> 487 紀美の既読スタンプを確認した波田は

ちょっとがっかりしていた。

波田は溜め息混じりにスマホをベッドに置いてシャワーを浴びた。

シャワーを終え、再びスマホをみると

誰かからラインが来ていた…



No.487 15/11/16 10:32
旅人 

>> 486 波田からのLINEを見た紀美は、既読スタンプのみ押して返信はしなかった。



波田がLINEをくれると、波田に彼女がいるかどうかで多少ヤキモキしたことなど忘れてしまい、傲慢な性格の紀美に戻っていた…



No.486 15/11/15 21:52
名無し2 

>> 485 〃今日は楽しかった。ありがとう〃


波田からであった…




No.485 15/11/13 20:02
旅人 

>> 484 田崎マネージャーに送られて、自分のマンションに戻った紀美は、バスにお湯を満たす間、スマホのLINEのチェックをした…


No.484 15/11/12 22:43
旅人 

>> 483 田崎マネージャーが育て上げた、女優・如月由子は、学生時代から長く交際していた職人グチダキクオとの恋を実らせ、正式に結婚してからは、芸能活動よりは家庭生活に比重を置くようになり、田崎は、如月由子のマネージャーを別の人間に譲り、事務所スタッフとして働いていた。(みんなで作ろうストーリー4 参照)


長年自分に思いを寄せてくれていた、同じ事務所のスカウトマン・都築一郎とは入籍はせず、事実婚というかたちで暮らしている。
都築は、正式に結婚したがっていたし、自分もそれでもいいと思っていたが、結局事実婚のままで一緒に暮らしている。

やはり若い頃子宮がんになり、子宮を全摘したことが現在も尾を引いているのかもしれないと田崎は自分で思っている。


しばらくマネージャー業から遠ざかっていた田崎だったが、傲慢で有名な飯田紀美のマネージャーの話があった時、


じゃじゃ馬ならしもいいかもね



と思って引き受け、2年近くが過ぎている。



紀美も、なぜだか、田崎には少し気持ちを許しているのである…





No.483 15/11/12 22:16
旅人 

>> 482 紀美は、数十分後に迎えに来た女性マネージャーの車に乗って帰っていった。



女性マネージャー・田崎は、


「波田くん、いつもご苦労様」


と、波田に挨拶をして、紀美を乗せた車を発進させた。



紀美は、傲慢な態度から、マネージャーを何人も交代させていたが、現在のマネージャー・田崎玲子は不思議に続いていた。


田崎が、かつて、女優・如月由子を育て上げた伝説の女性マネージャーであり、ベテランであるから、紀美の所属事務所の社長が引き抜いてきたのであった…



No.482 15/11/11 23:13
名無し2 

>> 481 周囲からは傲慢に見える紀美であったが

波田には見えていた。
紀美の弱さも孤独も辛さも…




No.481 15/11/11 22:21
旅人 

>> 480 波田に彼女がいないと言われ、なぜかホッとした紀美だった。


そしてまた波田を相手に愚痴りはじめた。



ひとしきり愚痴ると、紀美は


「明日ロケで早いから、もう帰るわ。送ってくれなくてもいいから」



と、スマホでマネージャーに電話し、迎えにきてもらうように言った…



No.480 15/11/11 22:13
名無し2 

>> 479 紀美『本当は彼女なんでしょ?』

波田『居ないよ。彼女なんて。』

波田の言葉に紀美はちょっと嬉しそうな顔をした…




No.479 15/11/11 20:10
旅人 

>> 478 波田は、紀美からそう聞かれ


「え、別に…」



とお茶を濁した。



電話は実は、波田の母親からだった…



No.478 15/11/11 17:02
名無し2 

>> 477 電話をすませ帰ったきた波田に

紀美は

『彼女?』

と波田をのぞき込むように聞いた…




No.477 15/11/10 22:11
名無し2 

>> 476 その時、波田のスマホが鳴った。

波田『あ…ちょっと失礼。』

波田は電話にでるため席を離れた。紀美は波田の電話の相手が誰なのか

妙に気になった…




No.476 15/11/10 05:36
旅人 

>> 475 波田「そんなことないと思うけどな…」


と波田は言った。


だが、波田は、紀美の出演したドラマは全部見ているが、演技に関しては、やや残念な印象を持っていた。
グラビアアイドルから女優に転身し、結構な数のドラマに出演し、主役を勤めたドラマもあるのだが、主演のドラマは視聴率が取れず、ブレイクした作品もないのがそれを物語っているともいえた。
プロポーションは抜群で、顔も綺麗だが、演技というとなあ というのが、波田の正直な感想だが、弱気になっている紀美に本当のことをいうのは残酷な気がした。
それに、今は紀美もまだ22だしこれからどうなるかわからない
ひょっとしたら、今後大化けするかもしれないしなあ…。


紀美「本当にそう思ってんの?」


波田「うん」


紀美「いっそ、セレブな男でも捕まえて結婚しちゃおうかな~。弘樹と結婚って考えてたんだけど、弘樹はあんなトロい女に夢中みたいだしさあ…」


波田は黙っていた…





No.475 15/11/09 22:18
名無し2 

>> 474 紀美『ちょっと、聞いてるの?波田君!』

波田『あ、ああ。聞いてるよ。』

紀美『あたし、向いてないのかな…女優。』

紀美の珍しく弱気な発言に、波田はグラスをテーブルに置くと

紀美の目を見た…




No.474 15/11/08 03:40
旅人 

>> 473 紀美は、波田に近づいて、


「確か、同じクラスだった波田くんよね…?こんなところでひとりでどうしたの?」


と、自分のほうから話しかけた。



波田は、


「飯田さんの出てるドラマは全部見てます…。昔よりきれいになったなって思って、近づけなくて…」


と、たどたどしい口調でそれだけ言った。



紀美は、波田のことをはっきりと覚えているわけではなかった。
高校時代から、波田はわりに印象が薄かったので、紀美もかろうじて覚えていた感じだった。



紀美に群がる同級生たちをそっちのけで、紀美はしばらく波田と話していた。


話しているうちに、波田が高校卒業後に就職した会社が倒産し、現在はアルバイトを転々としていると聞いて、

「そういえば、うちの事務所でwebスタッフを探してるって言ってたわ。波田くんの前の会社って確かweb関連でしょ?あたしが社長に話してあげるし」


と言って、波田と連絡先を交換したのだった。


紀美は、事務所の電話番号ではなく、紀美個人の携帯を教えた。


「他の人には教えないでね」


と口止めはしたが…。




そして、波田は、紀美の事務所のwebスタッフになっただけでなく、たまに紀美に呼び出され、愚痴聞き役にされていたのだった…



No.473 15/11/08 03:25
旅人 

>> 472 草食系男子・波田守は、紀美の高校時代の同級生だった。


現在は、紀美の所属事務所のwebスタッフとして働いている。


2年前、高校の同窓会が開かれたとき、その頃出演していたドラマの視聴率が苦戦中だったので、PRも兼ねて紀美が参加したとき、出席者たちはどよめき、サインを求めたり、ツーショット写真など撮りたがり、芸能人ということでちやほやされまくり、紀美はかなりいい気分になれたのだが、隅のほうで、紀美に視線を向けながらも、紀美のほうに近づいてこない男がいた。


それが、波田だった…


No.472 15/11/07 22:11
名無し2 

>> 471 紀美『あたしの方が絶対可愛いのに、なんであいつがヒロインなのよ!ねぇ、そう思わない?波田君。』

紀美はかなり酔っていた。

波田は頷きながら酒をのんだ…




No.471 15/11/06 21:33
名無し2 

>> 470 その草食系男子は紀美の話を

聞きながら

ちびりちびりと

熱燗を呑んでいた…



No.470 15/11/05 22:37
名無し2 

>> 469 その頃紀美は

弘樹との憂さを晴らすべく

草食系男子と居酒屋にいた…



No.469 15/11/04 01:44
旅人 

>> 468 弘樹が帰ってから、麻美は


あの誠実さって、昔の主人みたい…



と思っていた。



夫の真藤も、麻美には誠実だったし、今も誠実さは変わらない。



麻美は、弘樹が汐里と結婚してくれたら と考えてみたりしていた…



No.468 15/11/03 23:35
名無し2 

>> 467 弘樹『ありがとうございます。ですが、もう遅い時間なので今日はこれで失礼します。』

弘樹の誠実さに麻美も

メロメロになりそうであった…



No.467 15/11/03 02:07
旅人 

>> 466 セカンドカーが出ていってから30分後、弘樹と汐里は、マネージャーが乗っている普通の乗用車でレストランをあとにした。



向かった先は、汐里の家だった。



麻美は、汐里が浅丘弘樹に送られて帰宅したので驚いた。



弘樹は麻美に


「はじめまして、浅丘弘樹といいます。きょうは、汐里さんを誘って食事して遅くなってしまって申し訳ありませんでした」



と言って頭を下げた。



麻美は、汐里の帰宅が遅いので心配していたが、弘樹の、若いのに礼儀正しい態度に、好感をもった。


麻美は


「わざわざ送ってくださってありがとうございます。よかったら、少しお茶でもどうですか?」



と弘樹に言った…






No.466 15/11/02 22:46
名無し2 

>> 465 しかし紀美が追いかけている車には

弘樹と汐里は乗っていなかった。

弘樹はこんなことも有ろうかと警戒し

マネージャーにセカンドカーを用意して貰っていたのであった…




No.465 15/11/01 23:46
名無し2 

>> 464 紀美は2人に気付かれぬように

しばらく間をおいて
弘樹の車の後を追った…




No.464 15/11/01 01:47
旅人 

>> 463 それで、本当はもう少し、弘樹と飲みたい気分だったが、弘樹の言うとおり、家に帰ることにした。


ふたりが店を出て、弘樹の車に乗り込むのを、飯田紀美が見ていた…


No.463 15/11/01 01:45
旅人 

>> 462 酔ったおかげでご機嫌な汐里は、弘樹にそう言ったが、そのとき、汐里のスマートフォンが鳴った。



汐里がスマホのディスプレイを見ると、自宅の番号だった。


多分、ママからだわ


と汐里がつぶやいたのが聞こえたのか、弘樹は

「明日の撮影もあるから、もうきょうは帰ったら?僕が送っていくよ。君のご両親に、僕が誘って遅くなったんだからきちんとおわびしないとね」


と言った。



汐里は、弘樹の優しさや紳士的な態度に、完全に参ってしまった…


No.462 15/10/31 21:50
名無し2 

>> 461 弘樹『真藤さん、場所を変えて飲み直さない?』

酔いが回ってご機嫌になっている汐里は…



No.461 15/10/30 22:37
名無し2 

>> 460 ほろ酔いの汐里は

笑い上戸になっていた。

弘樹も益々話を盛り上げ

楽しい時間が2人を包み込んでいた…




No.460 15/10/28 18:38
名無し2 

>> 459 弘樹の話に引き込まれながら

汐里は飲み慣れないワインに

頬が桜色に染まった…




No.459 15/10/28 15:05
旅人 

>> 458 その頃、弘樹と汐里は、美味しい料理を食べ、ワインも空けて、楽しい時間を過ごしていた。


弘樹は、若いのに意外に話題が豊富で、話もうまく、聞いている汐里は、いつまでも弘樹の話を聞いていたい と思った…


No.458 15/10/27 07:21
名無し2 

紀美は執念深く

弘樹の車が止まっている

真後ろに車を止め、車内で2人を待った…




No.457 15/10/26 22:30
旅人 

>> 456 同じ頃、自分の車であとをつけてきた紀美は、弘樹と汐里が一緒にレストランに入っていったことを知り



共演中、私には1度もこんなところにつれていってくれなかったのに、なんであの子は…



あたしのどこがいけないっていうのよ!



自分に自信があり、プライドの高い紀美には許せない出来事だったのだ…



No.456 15/10/26 22:25
名無し2 

>> 455 弘樹『僕が誘ったんだ。君はお金の事は心配しなくて良いから。』

汐里は弘樹の男らしさにクラクラした…



No.455 15/10/26 15:30
名無し2 

>> 454 そこは個室制になっていた。

汐里はこんな高級なレストランに来たのは初めてで戸惑い

汐里『あ、あの…私そんなにお金持って居ないので…』…




No.454 15/10/24 22:10
名無し2 

>> 453 弘樹と汐里は

弘樹の行きつけのレストランに入った…




No.453 15/10/24 00:08
旅人 

>> 452 そして、紀美も、自分の車に乗り、弘樹と汐里が乗る車を尾行したのであった。



弘樹も汐里も、紀美があとをつけていることには気づいていなかった…



No.452 15/10/23 21:55
名無し2 

>> 451 汐里は浅丘弘樹の真っ赤なスポーツカーの助手席に座った。
社内は汐里が好きなコロンが香っていた。
浅丘弘樹は車を走らせた。

そしてその光景を紀美は遠くから

見ていたのであった…




No.451 15/10/22 22:01
名無し2 

>> 450 そんな浅丘弘樹の笑顔が

汐里にはまぶしかった。

汐里『私でよければお供させて下さい。』…




No.450 15/10/21 08:53
名無し2 

>> 449 汐里の落ち込んだ顔を見て

浅丘弘樹は

『一緒に食事に行言ってくれないかな?』

と優しく微笑んだ…



No.449 15/10/20 22:46
旅人 

>> 448 もちろん、そんなことなど知るよしもない汐里は、紀美の言葉に落ち込むばかりだった。



中澤マネージャーの車も断り、汐里はひとりで帰りたかった。



しょんぼりしながら歩いている汐里の横に、真っ赤なオープンカーがするりと止まった。


「どうしたの?きょうはひとり?」



オープンカーから声をかけてきたのは、麻丘弘樹だった…



No.448 15/10/20 21:32
名無し2 

>> 447 汐里は出番の合間

紀美の言動に傷つき元気を無くし頭を垂れていた。

しかしながらその表情は

監督が次の作品で考案中の

耐え忍ぶ女性のイメージにピッタリであった…




No.447 15/10/18 16:43
名無し2 

>> 446 汐里は紀美に罵られた事から

完全に自信を無くしていた。

汐里の表情は徐々に影が出て来た。

しかし、汐里のその影がある表情が監督の評価を買うのであった…



No.446 15/10/18 06:57
旅人 

>> 445 紀美は、自分の所属事務所に頼んで、自分を汐里が主演するコメディものの連ドラに出演させるように頼んでいた。


汐里の連ドラは、毎回有名俳優や女優をゲスト出演させることで、話題性を作っていた。


第1話は麻丘弘樹がゲスト出演だったが、事務所からのアプローチで、4話に紀美がゲスト出演することに決定していた…


No.445 15/10/18 00:30
名無し2 

>> 444 純粋な汐里は紀美の陰険な発言を真に受け

落ち込んだ。

そんな汐里の元気の無い様子を

紀美は満足そうに勝ち誇った表情で眺めていた…




No.444 15/10/17 23:02
旅人 

>> 443 それは、すれ違った汐里にだけ聞こえるぐらいのボリュームで言った声だったので、弘樹には聞こえなかった。



汐里はショックだった…




No.443 15/10/17 22:56
名無し2 

>> 442 汐里の出番が終わった後

すれ違いざまに

紀美『ちっ、下手くそ!』…




No.442 15/10/17 07:15
名無し2 

>> 441 カッとなった紀美は
今度は汐里の演技に
いちゃもんを付け始めた…



No.441 15/10/16 01:56
旅人 

>> 439 その言葉に浅丘弘樹が 『タバコ?あ、ごめん、さっき僕が隣でタバコを吸っていたから 匂いがついちゃったかな!』… それは、弘樹のとっさの嘘だった。


しかし、その弘樹の言葉に、飯田紀美は



タバコの匂いが移るぐらい弘樹と一緒にいたんだ…




と、カッとなった…







No.440 15/10/16 01:54
旅人 

>> 439 それは、弘樹のとっさの嘘だった。


しかし、その弘樹の言葉に、飯田紀美は



弘樹と一緒にいたんだ…




と、カッとなった…







No.439 15/10/15 22:31
名無し2 

>> 438 その言葉に浅丘弘樹が

『タバコ?あ、ごめん、さっき僕が隣でタバコを吸っていたから
匂いがついちゃったかな!』…




  • << 441 それは、弘樹のとっさの嘘だった。 しかし、その弘樹の言葉に、飯田紀美は タバコの匂いが移るぐらい弘樹と一緒にいたんだ… と、カッとなった…

No.438 15/10/15 01:57
旅人 

>> 437 しかし、素直な汐里は、紀美に指摘されて自分の服を匂ってみて、


「そういえば、服にタバコの匂いみたいなのがしみついてるみたい…」



と言った…




No.437 15/10/14 22:46
名無し2 

>> 436 紀美は汐里に威圧的な態度をとって

平常心を失わせてやろうと目論み

すれ違いざまに

紀美『ちょっと臭くない?』

などと嫌みタップリな言動をとるのであった…




No.436 15/10/12 22:12
名無し2 

>> 435 紀美は汐里がなにか失敗をしないかと

揚げ足を取るつもりで

汐里の行動を見張っていた…




No.435 15/10/12 10:25
旅人 

>> 434 例の連ドラの収録が終了してからは、弘樹との接触がなく、仕事でも会えなかったので、紀美は焦っていた。


しかも、弘樹は、自分のクラスメート役という端役でデビューした水樹汐里とばっかり共演していて、さらに面白くなかったのだった…



No.434 15/10/11 21:29
名無し2 

>> 433 紀美は汐里と浅丘弘樹が

なんとなくいいムードだと感じて

面白くなかった…




No.433 15/10/10 23:10
旅人 

>> 432 それは、飯田紀美(のりみ)だった…


No.432 15/10/10 22:50
名無し2 

>> 431 浅丘弘樹といいムードでスタートをきっていた汐里をジッと見つめていた女がいた…




No.431 15/10/08 22:23
旅人 

>> 430 浅丘弘樹は、汐里の出演するコメディの連ドラの1話だけのゲストとしての出演だった。



浅丘弘樹は、汐里のことが気になっていて、今回のゲスト出演も事務所に働きかけていたのであった…


No.430 15/10/08 22:13
名無し2 

>> 429 そして今回も華やかなオーラを放ちながら

浅丘弘樹が現れた…




No.429 15/10/07 22:22
名無し2 

>> 428 数日後

汐里のコミックドラマの撮影が始まった。
マッチャンおばちゃんの言葉は

汐里の表情を明るく変化させていた…




No.428 15/10/07 01:53
旅人 

>> 427 目の前にいる汐里には、そのことは言わなかったが、もしあのときのおばちゃんが、汐里を見たらどう言うのだろうか と、麻美は思った…


No.427 15/10/06 21:38
名無し2 

>> 426 麻美はあの時のおばちゃんの言葉に感謝していた。

おばちゃんの言うとおり

自分には平凡な家庭が一番相応しいと思えて

あの時家庭を選ぶべき

背中を押してくれた言葉であった…




No.426 15/10/06 00:52
旅人 

>> 425 まっちゃん「あんたのドラマを何作か見たけどな、演技がヘタとかいうのはともかく、あんたには 何が何でも芸能界で生きていく! みたいな根性があんまり感じられへんねん。有名になるならどんなに汚いことでもする みたいな。まあ、芸能界の女優なんてな、大なり小なり汚い部分あるし、しゃーないんやけど、あんたは優しいとこあるしな。守るもんもありそやし、本質的には芸能界向きではないやろな」


麻美は、何となく納得した。



それから数ヶ月後、麻美は妊娠し、真藤と結婚するために芸能界を引退した。


その時に身ごもった子が汐里なのであるが…



No.425 15/10/06 00:39
旅人 

>> 424 福岡の場末のキャバレーで、父親の借金の返済と、身体を壊して入院していた父親の入院費や生活費を稼ぐため、年齢をごまかしてホステスとして働いていた麻美と、そんな麻美を助け、守ってくれた真藤と、恋人としてつきあうようになって1年半が過ぎていた。



真藤が、斉藤とのお笑いコンビを解散し、旅行会社に就職したのは、いずれは麻美と結婚しようと考えてのことだとも、麻美にはわかっていた。


麻美も、本当は、真藤と結婚したかった。


だが、女優になるために移った新しい事務所は、諸戸社長のように理解がなく(麻美は、真藤とつきあっていることを諸戸社長には打ち明けていた。最も、諸戸にはとっくにバレバレだったのだが)、これから女優として本格的に売りだそうとしている麻美に、結婚してほしくはないようで、遠回しに真藤と別れるように麻美に言ってきたりもしていた。


麻美は、このまっちゃんに

「あたし、そんなに向いてないんですか…?」


と思わず聞いていた…



No.424 15/10/05 21:45
名無し2 

>> 423 マッチャンおばちゃん『あんた優しいから、芸能界よりも家庭の主婦の方が向いているかもね。』


麻美は強ち間違ってないと思いながら


真藤の事を思った…



No.423 15/10/02 22:44
旅人 

>> 422 おばちゃんたちと会っていると、何となく麻美は心がほぐれるのを感じていた。



そんなある日、麻美はおばちゃんから

「あんたは長いことテレビに出てるようなタイプやないかもな…」



と言われた…



No.422 15/10/02 21:55
名無し2 

>> 421 それ以来麻美は

落ち込んだり悩んだりした時

そのカフェへ行って
おばちゃん達の姿を探すようになっていった…



No.421 15/10/01 23:20
名無し2 

>> 420 麻美が一人カフェで過ごしているとき

隣の席から

〃ガハハハハ!〃

と、けたたましい笑い声が聞こえてきた。
麻美が笑い声の方を振り向くと

『あ!テレビにでとった姉ちゃんやろ!』
と関西弁の女性たちに声をかけられた…


No.420 15/10/01 22:53
旅人 

>> 419 その頃、のちに夫になる真藤(しんどう)とつきあっていたのだが、真藤も、旅行会社エラソーに就職したばかりで忙しく、たまに会うことができても、なかなか自分の仕事の悩みなどは言い出せなかった。


だが、久し振りに真藤の独り暮らしの部屋で会ったとき、麻美を抱いた後に真藤が


「なんか元気ないね…、なにかあったの?」


と聞いてきたことがあったが、真藤も新入社員で慣れない仕事で大変なんだと思い、言えなかった。



麻美も、カフェや喫茶店でひとりボーッと過ごし、演技のことでいろいろ考えていた…



No.419 15/10/01 22:44
旅人 

>> 418 親友で女優の、夏川日向子にすすめられ、モデルから女優に転身したばかりの頃だった。

フレッシュだがどこかアンニュイな雰囲気を醸し出す麻美は、演技はまだつたない部分はあったものの、ドラマでも好評だった。


いくつかドラマに出演した頃、麻美に映画出演の話が舞い込んだ。


はじめての映画出演で、麻美は何度も監督から演技のダメ出しをされ、役づくりに悩んでいた…



No.418 15/10/01 22:30
名無し2 

>> 417 麻美は

昔自分も似たような経験をしていた事を思い出していた…




No.417 15/10/01 22:21
旅人 

>> 416 芸能活動の話には、両親はあまりいい顔はしないのだが、汐里がまっちゃんと会った話をすると、母・麻美は

「その人、なんかどこかで聞いたことがあるような気がするわ…」




と、つぶやいた…



No.416 15/10/01 22:01
名無し2 

>> 415 汐里は家に帰ると

マッチャンおばちゃんの事を

両親に話した…



No.415 15/09/29 22:15
名無し2 

>> 414 汐里『皆さんと話していたら何だか元気になれました。』

マッチャンおばちゃん『さよか!ほな、落ち込んだらまたおいで!ハハハ!』…



No.414 15/09/26 23:38
旅人 

>> 413 まっちゃんは汐里の言葉に



「うちもあんたに会えて嬉しいでえ~」



と、あははと笑いながら言った。



連れのおばちゃんが



「このまっちゃんはなあ、昔大衆演劇におったんやで。うーんと若い頃の話やけど。まあ今は単なる大阪のおばちゃんやけどな」




と、汐里に教えてくれた…




No.413 15/09/26 23:24
名無し2 

>> 412 汐里は自分が笑顔になれたのはきっとこのおばちゃん達の醸し出す雰囲気に

リラックスできたおかげであろうと思った。

汐里『あの…私こんなに笑顔になれたの久しぶりなんです。皆さんと出逢えて嬉しいです。』…



No.412 15/09/25 07:18
名無し2 

>> 411 こうして汐里はこのフラッと入ったカフェで

たまたま隣にいたマッチャンおばちゃんから演技のダメ出しをされたのであった。
しかしそれは演出家さながらの

的を得た言葉であった…



No.411 15/09/23 22:33
旅人 

>> 410 汐里「その笑顔って…?」



まっちゃん「かわいらしい顔しとるがな。あんたあのドラマで弘樹との絡み多かったけど、そんな感じの笑顔やなくて、なんか固かったで~」




汐里は結構驚いた…



No.410 15/09/23 22:27
名無し2 

>> 409 マッチャンおばちゃんはそれから弘樹について暑く語りはじめ

汐里はマッチャンおばちゃんの演説を聞きながら

知らぬ間に笑顔になっていた。

マッチャン『それや!姉ちゃん、その笑顔や!』…




No.409 15/09/22 21:47
名無し2 

>> 408 マッチャン『うち、見たで!この間のドラマ!弘樹めっちゃカッコえかったねん!』

マッチャンと呼ばれるおばちゃんは

周囲のざわめきを気にすることなく

喋り続けた…




No.408 15/09/20 21:57
旅人 

>> 407 初老な女性の連れの女性が汐里を見て


「あんた、もしかしたらテレビに出てる子やない?この前弘樹のドラマに出とったやろ!」


と結構デカい声で言った。


初老女性「まっちゃん、あんたこの子知ってんのかいな」


まっちゃんと呼ばれた連れの女性は


「うち、麻丘弘樹のファンやから、あの子のドラマは必ずチェックいれてんねん。弘樹と共演しとった子やろ?なあ、そやろ?」


と、やっぱりデカイ声で言ったので、まわりがざわざわしだし、汐里はうつむいた…



No.407 15/09/20 21:48
名無し2 

>> 406 汐里はその初老の女性たちの会話を聞きながら

その会話が織りなす間やリズムが心地良く感じる事に気付いたその時

『姉ちゃん、どっかで見た顔だなや!』
とその集団のなかの一番ボス的な初老の女性が

汐里に声をかけてきた…





No.406 15/09/19 16:36
名無し2 

>> 405 汐里は

コミカルな演技に自信がもてぬまま

近くのカフェへ入った。

汐里がカフェで1人チョコレートパフェを食べていると

隣には初老の女性達が3人

何やら楽しげにお喋りしている。

汐里はいつしかその女性達の会話に聞き入って

時折話が可笑しくて吹き出しそうになった…




No.405 15/09/18 23:05
旅人 

>> 404 しかし、若手漫才師や若手芸人たちのギャグではなんだか笑えず、笑いのツボや表現方法が食い違ってるんだ酔うに汐里には思えた…



No.404 15/09/18 22:31
名無し2 

>> 403 汐里はコメディーの表現方法を知りたくて

お笑い劇場に足を運んだ…



No.403 15/09/16 23:07
旅人 

>> 402 汐里「コメディ…ですか?」


中澤「うん、でも前回とは違って今度は連ドラなんだよ。しかもうちの事務所の斉藤さんも出演するんだ。まあ汐里ちゃんは主演ではないけど結構重要な役どころだからね」



中澤はそう言ったが、


コメディなんてやったことないし



と、汐里は自信がなかった…



No.402 15/09/16 22:58
名無し2 

>> 401 その話は中澤マネージャーから汐里に電話で伝えられた。

中澤『いや~、汐里ちゃん、ドラマが好評だったから

今度はコメディーのドラマのオファーが来たよ。』…




No.401 15/09/15 21:25
名無し2 

>> 400 そのドラマが放映された数日後

汐里にコメディードラマのオファーがきた…



No.400 15/09/13 23:29
旅人 

>> 399 汐里の初主演ドラマは、連ドラではなく、2時間の単発のドラマだった。


ただ、相手役が麻丘弘樹で、しかも恋人役だった。



麻丘弘樹が、恋人役に汐里を希望し、麻丘弘樹の事務所側から諸戸社長に働きかけがあって成立したのである。


汐里は、難病におかされ、余命いくばぐもなく、最後は湖のほとりで恋人の腕の中で死ぬという薄幸な役どころだったが、汐里はこの役に挑み、せいいっぱい取り組んだ。


恋人役の麻丘弘樹も、汐里に演技上のいろんなアドバイスをしてくれたことも大きかったが…



No.399 15/09/13 23:13
名無し2 

>> 398 そして数日が経ち

汐里が初出演したドラマが放映されると
汐里は一躍有名人となった…



No.398 15/09/12 22:26
名無し2 

>> 397 浅丘弘樹は次のドラマでは

汐里を恋人役にしたいと

考えていた…




No.397 15/09/11 01:53
旅人 

>> 396 汐里は、中澤マネージャー(かつては斉藤源一郎のマネージャーだったが、現在斉藤には別のマネージャーがついていて、それで汐里のマネージャーに抜擢されたのである)の運転する車に乗って帰ったが、それが麻丘弘樹には新鮮に感じられたのだった…


No.396 15/09/11 01:49
旅人 

>> 395 汐里は、ど新人の自分が行っていいものか悩んだ。
麻丘弘樹も行くし、汐里は行きたかったのだが…。




しかし、これから打ち上げ会だと遅くなるし、帰宅が遅くなって芸能活動に反対の両親の印象を悪くすると、今後芸能活動がやりにくくなると考えて


「すみません。私は、今回は帰ります…」



と断った…








No.395 15/09/10 22:43
名無し2 

>> 394 そんなムードの中で撮影は順調に終わり
打ち上げ会に汐里も誘われた…




No.394 15/09/09 23:20
名無し2 

>> 393 浅丘弘樹が汐里の肩を持ったことが

紀美には面白くなかった。

その場では浅丘弘樹の前だったからにこやかにしていたが

内心ではメラメラと汐里に対する嫉妬心が沸き起こって来るのであった…



No.393 15/09/09 22:25
旅人 

>> 392 弘樹「飯田さん、彼女は今度君が演じる僕の妹のクラスメート役で出演することになったみたいだよ。新人だし、君よりは出番も少ないけど、君のクラスメートの役だし、君のほうが先輩なんだし、優しくしてあげなよね」



弘樹の言うことも最もな話だし、弘樹にそう言われると紀美はうなずくしかなかった…



No.392 15/09/09 22:11
名無し2 

>> 391 緊張して、しどろもどろになっている

そんな汐里を見かねて、浅丘弘樹が助けに入ってくれた…



No.391 15/09/09 14:44
旅人 

>> 390 汐里は、芸人の“水樹汐里”(モデル時代から、母の麻美の旧姓を芸名にしている)ではなく、うっかり本名の“真藤汐里”を名乗ってしまうぐらいビビっていた。



テレビやグラビアで目にした飯田紀美から、いきなり声をかけられて緊張したのであった…




No.390 15/09/09 12:44
名無し2 

>> 389 汐里は紀美の威圧的な態度に驚き

『ま、真藤汐里です。宜ちくお願いします。』

と、ちょっと噛んでしまった…



No.389 15/09/09 07:13
名無し2 

>> 388 紀美は汐里に近付くと

『新人さん?』

と、何とも嫌みな感じで聞いてきた…




No.388 15/09/06 23:06
旅人 

>> 387 紀美は、汐里が撮影スタッフたちから何かと話しかけられ、チヤホヤされているのをみて、


なんなの?誰なのよあの子は…



と、ムカつく気分になった。



汐里がスタジオに馴れないため、スタッフたちが緊張をほぐすために何かと汐里に話しかけていたのだったが、つねに自分が中心でいないと我慢できない性格の紀美は、その光景にムカついたのだった…



No.387 15/09/06 23:00
旅人 

>> 386 しかも、紀美も、麻丘弘樹にあこがれていて、彼が主演のドラマで、しかも妹役で、ドラマ上での絡みも多く、自分の汚名返上と同時に、麻丘弘樹ともつきあえるかもしれないという期待も抱いていたのだった。



紀美が、女王様風にスタジオに入っていくと、見慣れない綺麗な女の子がいた。



それが汐里だった…



No.386 15/09/06 22:56
旅人 

>> 385 飯田紀美の年齢は22歳だった。



10代半ばに、大手ランジェリー会社のオーディションに合格し、その会社のイメージモデルをつとめていた。
毎回新作のランジェリーや、ときにはセクシー系ランジェリーも身につけていたりしていて、プロポーションが抜群だった。
プロポーションがよいため、ランジェリー会社のイメージモデルの契約終了後は、おもに男性誌のグラビアモデルの仕事がメインとなっていた。


グラビアモデルとして人気と知名度が上がっていくと、女優としてドラマにも出演していくようになったが、どういうわけか、彼女のドラマは、グラビアほど人気がなかった。



ひとつは、飯田紀美が必ず共演の俳優と恋愛の噂を立てることで、ほとんどは紀美の所属事務所の捏造であるが、まれに、紀美がそのプロポーションを武器に共演俳優を誘惑したりすることもあるらしく、インターネット上の評判も芳しくない女優だった。


紀美も、麻丘弘樹主演のドラマで、弘樹の妹役ということで、汚名返上のためにはりきっていたのであった…



No.385 15/09/06 22:37
旅人 

>> 384 すると、スタジオの入り口のほうから

「おはようございま~す」


と、ちょっとわざとらしい甲高い声の挨拶が聞こえてきた。



麻丘弘樹演じる主人公の妹役をつとめる飯田紀美(のりみ)だった…




No.384 15/09/06 22:23
名無し2 

>> 383 汐里が浅丘弘樹を見た瞬間

パチッと目が合い、
汐里は緊張しながら自己紹介をした。

新人の汐里に対して浅丘弘樹は意外と礼儀正しかった…



No.383 15/09/05 21:48
旅人 

>> 382 麻丘弘樹は、汐里と同い年の24歳で、10代後半に連続ものの学園ドラマでドラマデビューしてから、着々とスターへの階段を登っている若手俳優だった。


汐里も、彼のデビュー作で、彼が生徒役で出演していたその学園ドラマを彼目当てで見ていた過去があった。
最初は、主演のアイドル上がりの俳優のファンでドラマを見ていたのだが…。



麻丘弘樹は、今をときめく若手No.俳優らしく、まぶしい輝きを放っていた…





No.382 15/09/05 21:39
名無し2 

>> 381 汐里がスタジオに入ると奥の方に光り輝くオーラがあり

そこには憧れの浅丘弘樹の姿があった…



No.381 15/09/05 04:58
名無し2 

>> 380 そして汐里は胸を弾ませて

撮影現場へと通うことになった…




No.380 15/09/04 01:33
旅人 

>> 379 べる子のクイズ番組に出演する時に、母の麻美は、かつて真藤が所属していた事務所の諸戸社長に連絡を取り、汐里を諸戸の事務所の所属にしてもらうことにした。


今は多少年も取ったが、諸戸社長はまだ現役の芸能事務所社長だった。


そして、斉藤も、まだ諸戸の事務所に所属していた。



諸戸社長は、麻美の申し出を快諾した…



No.379 15/09/04 01:20
旅人 

>> 378 それは、若手No.1イケメン俳優、麻丘弘樹主演のドラマで、麻丘弘樹演じる主人公の妹のクラスメート役だった。


もともと、その役は、大手プロダクションの女優に決まっていたのだが、どうしてもスケジュールの都合がつかず、降板することになった。
たまたま、プロデューサーがべる子のクイズ番組を見ていて、わずかな出演だった汐里をみて、決めたのだという。


若手No.1のイケメン俳優、麻丘弘樹のドラマに、端役とはいえ出演できる…




汐里は嬉しかった…




No.378 15/09/03 22:21
名無し2 

>> 377 だった五秒の汐里の登場は

予想以上に反響が大きく

それから数日後

汐里にオファーがやってきた…




No.377 15/09/01 14:33
旅人 

>> 376 わずかな時間だけの登場だったが、汐里はテレビを見ている人達の目をひいたのだった…


No.376 15/09/01 14:18
名無し2 

>> 375 そしてクイズ番組が放映されると

局の電話がひっきりなしに鳴り

『さっきプレゼントを持って出たかわいい女の子は誰?』

と、問い合わせが相ついだ…




No.375 15/08/31 14:23
旅人 

>> 374 麻美は、スタジオの隅で、汐里を励ます夏川日向子を見ていた。



そして、昔、真珠会社のオーディションで、緊張していた麻美に、当時まだ無名に近い駆け出し女優だった夏川日向子が

「ちゃんと背筋伸ばしなさい」


と、ピシッと、でもどこか暖かい声で言ってくれたことを思い出した。



あのときの真珠会社のイメージモデルに、麻美とWキャストで選ばれた日向子も、あのイメージモデルの仕事を機に、女優としての仕事がふえ、中年になった現在も、長く美しい脚は健在で、映画やドラマに出演し、代表作も数多くある。
そして数年前に、40前後の年齢で、有名パティシエ・二階堂晃司との結婚も果たした。



思えば、あのオーディション以来、麻美と日向子は深い友情で結ばれた親友だった。


日向子は、引退した麻美を惜しがったが、麻美が引退したことで、芸能界での愚痴や悩みを安心して麻美に吐き出せるようになっていたし、麻美もかつては芸能界にいたため、日向子の気持ちがわかる部分もあり、かえって密な友情を築くことになった。


麻美は、今また日向子が、娘の汐里を励ましている姿に、日向子との縁を感じ、感慨を覚えていた…

No.374 15/08/31 13:51
旅人 

>> 373 収録前、夏川日向子が汐里に


「汐里ちゃん、大丈夫よ、落ち着いて」



と言った。


汐里は、わずかな出番とはいえ、はじめてのテレビ収録で、緊張で足がガクガク震えていたのだ。




汐里には内緒にしていたが、スタジオの隅には、母の麻美も来ていた…




No.373 15/08/31 12:31
名無し2 

>> 372 そして数日後。

汐里が待ちに待ったクイズ番組の放映時間となった…




No.372 15/08/30 22:38
名無し2 

>> 371 麻美がディレクターにコッソリ汐里の事情を説明すると

ディレクターはしばらく考えて

『よし、じゃあ五秒位の登場にしよう。』

と、ゲストにプレゼントを届け

ほんの一瞬画面に登場することになった…


No.371 15/08/30 04:12
旅人 

>> 370 汐里は嬉しかったが、麻美は、後で夏川日向子のスマホに電話し、汐里には普通の幸せを掴んでほしかったから、本格的に芸能活動をさせることには反対だったと言ったが、日向子は


「昔、あなたの家に何度か遊びに行って見たときよりも随分綺麗になったじゃない、汐里ちゃん。あの子には素質があると思うし、あの子が望んでるんだから、何年間かだけでも芸能活動させてもいいんじゃない?」


と麻美に言った…



No.370 15/08/29 13:56
名無し2 

>> 369 そして汐里はディレクターの目にとまり
クイズのアシスタントをしてほしいと

急遽頼まれた…




No.369 15/08/28 22:53
名無し2 

>> 368 夏川日向子に話しかけられた日向子は

スタッフから注目の的となった…




No.368 15/08/28 10:52
旅人 

>> 367 それは、べる子がレギュラー司会をつとめるクイズ番組の撮影だった。




撮影現場に現れた汐里は、スタッフたちの目をひいた。



モデルの現場には慣れていたが、テレビの現場ははじめてで、どぎまぎしていた汐里だったが、そんな汐里に


「汐里ちゃんじゃないの!どうしたの?こんなとこで」



と、声をかけてきた人がいた。




汐里が振り向くと、母の麻美の親友、女優の夏川日向子が立っていた。




夏川日向子は、クイズ番組のゲスト解答者として出演するので、来ていたのだった…



No.367 15/08/27 22:22
名無し2 

>> 366 そして汐里は

ベル子に指定された日時に

撮影現場の見学に出かけた…




No.366 15/08/26 22:29
名無し2 

>> 365 帰りがけベル子は汐里に住所が書かれたメモ紙を

ベル子『今度収録見にいらっしゃい。』
と言いながら手渡した…



No.365 15/08/25 07:06
名無し2 

>> 364 ベル子のマシンガントークに

ようやく割り込めた真藤であった…




No.364 15/08/24 21:24
旅人 

>> 363 真藤は


「じゃ、そろそろ帰ります。斉藤によろしく伝えてください」



と立ち上がり、汐里を伴って帰ろうとした…




No.363 15/08/24 12:33
名無し2 

>> 362 ベル子がどんなに芸能界の苦労話を聞かせても

汐里のキラキラした瞳は変わらなかった。

真藤は自分と同じように1~2年位なら芸能界を経験するのも

悪くないかもしれないと考え始めていた。

1時間位ベル子は喋り続けた。

真藤は帰るタイミングをはかり始めた…



No.362 15/08/23 21:27
名無し2 

>> 361 汐里はそんなベル子の話を

目を輝かせながら聞いていた。

真藤はそんな汐里を複雑な心境で

見守った…




No.361 15/08/23 14:02
旅人 

>> 360 べる子の下積み時代の話になった時、真藤は、昔自分と斉藤がお笑いコンビを組んでいたときも、そんなこともあったなあ…と思い出していた。


九州のキャバレーでボーイとして働きながら、斉藤とスーパーマーケットのイベントや、キャバレーのショータイムの前座としてどさ回りをしていた日々…。



俺は、斉藤ほど、お笑い志望ではなかったから、結局就職したけど、そのかわり、麻美と結婚して汐里をはじめ3人の娘に恵まれたし



昔を回想していた真藤は、家を出る前に言った麻美の言葉を思い出した。


麻美は

「私は、本当は芸能界で長く生きるよりも、あなたと平凡な家庭が欲しかったの。オーディションに合格したおかげで、モデルで活躍したし、日向子さんがすすめてくれたおかげで、女優としても少し活動したけど、モデルや女優の仕事って、楽しかったし、芸能界に入ったおかげで、お父さんの借金だって返せたんだから、その意味では芸能界にいてよかったと思っていたけど、あの世界って、なんだか私には合ってないような気がしていたの。それに、芸能界って、華やかだけど、裏は醜くて汚いものだってこともわかったし…。汐里は、昔の私に似ていたからか、中学生のときにスカウトされて、ティーンズ誌のモデルなんかしていたからわからないのかもしれないけど、芸能界でトップに立てるのなんてわずかに一握りの人たちだけ。それに、売れていけばいくほど、裏は汚れていくのよ…。汐里にそんな思いをさせたくないの。だから、なんとかべる子さんに頼んで汐里の芸能界入りを諦めさせて…」



と言っていた。



かつて、芸能界で脚光を浴びていたことがある麻美の言葉には真実味があった…




No.360 15/08/23 13:35
名無し2 

>> 359 ベル子は自分が売れるまでの

サクセスストーリーを

語り始めた。

ベル子『売れるまではお金が無くってね、

地方の酒場をまわったり

酷い時には〃下手くそ!〃って罵声をあびせられて

コップの酒をかけられた事もあったのよ。

それでも私はこの仕事を続けたかったのよ。』…







No.359 15/08/23 12:07
名無し2 

>> 358 ベル子がまじまじと汐里を物色するように見るものだから

汐里は少しうつむいた。

ベル子『悪くないわね。』

唐突にベル子が口を開いた…



No.358 15/08/22 14:49
旅人 

>> 357 運ばれたコーヒーとケーキの皿もウエッジウッドのものだった。


確か、斉藤からは、べる子が仕事部屋として借りているマンションだと聞いていたのだが


仕事部屋のわりには豪勢だな…




斉藤もここにはよく来てるのだろうか…




などと、いろいろ真藤は考えていた…




No.357 15/08/22 12:43
名無し2 

>> 356 通された部屋には

ふかふかのイタリア調の絨毯がひかれていて

その上に高そうな木製のテーブルとソファーが置かれていた。
ベル子『どうぞ、こちらへ座って!』

真藤と汐里はそのソファーに戸惑いながら腰掛けた。

高層マンションの窓からは街が一望出来た。

2人がこの生活感のない部屋をキョロキョロと見回していると

ベル子がコーヒーとケーキを持って

部屋に入って来た…


No.356 15/08/21 12:37
名無し2 

>> 355 〃ピンポ~ン〃

真藤がベルをおすと
『は~い!』

とインターフォンからベル子の声がした。
しばらくするとドアが開き

ベル子が出迎えた…



No.355 15/08/20 23:15
旅人 

>> 354 べる子は 斉藤と住むマンションではなく、仕事部屋に借りているマンションのほうを指定していた。



最初、斉藤のほうに真藤からメールが入ったのだが、たまたまそのときにべる子がいて、誰からのメールか聞いてきたため、斉藤は真藤のことを話したのだった。



真藤の家で、一度だけ汐里と会っていた斉藤は、最初、麻美と間違えたくらい、汐里は若い頃の麻美に似ていた。


汐里が、ティーンズ誌で、“水樹汐里”という芸名でモデルをしていたことなど、斉藤は全く知らなかった。


子供がいないため、ティーンズ誌など目にすることもなかったせいもあるのかもしれないが…。



しかし、斉藤は、地方ロケが入っていて、しばらく東京に帰れなかった。



そこでべる子が



「あたしのほうが芸能界は長いんだし、あなたの代わりに話ぐらいは聞いてあげられるわよ」



としゃしゃり出て、真藤に勝手にメールをしたのだった…


















No.354 15/08/20 22:52
名無し2 

>> 353 真藤はできれば斉藤に相談にのってほしかったが

どうしても斉藤の都合が悪く

ベル子のいるマンションのインターフォンを押した…




No.353 15/08/19 16:51
名無し2 

>> 352 そして、真藤は汐里の芸能界入りについて

斉藤とベル子に相談をもちかけたのだが

斉藤とベル子が揃う日はなかなかなく、
結局ベル子が汐里の相談にのることになった…




No.352 15/08/19 07:24
名無し2 

>> 351 真藤は汐里が芸能界に入りたがっている事を

斉藤とベル子に相談してみようと思った…



No.351 15/08/16 11:30
旅人 

>> 350 一方、真藤の家庭のほうでも、騒動が勃発していた。


24になった長女の汐里が、芸能界に入りたい と言い出したのである。



3人いる娘の中でも、いちばん麻美に似ている汐里は、10代前半からときたまティーンズ向けの雑誌でモデルの仕事をしたりしていたが、汐里が高校を卒業し、女子短大に入学したときに、真藤と麻美が芸能活動から引退させたのだった。


真藤も麻美も、娘たちには平凡な幸せを掴んでほしい と願っていたからだった。


だが、汐里の考えは、両親とは違っていた。



両親のすすめで芸能活動を中止し、短大を卒業して小さな会社に就職したが、会社勤めは性格に会わず、かつてモデルだった過去を知った同僚たちからの妬みゆえの嫌がらせなどもあり、半年で辞めてしまってからは、ときたまバイトするフリーター生活を続けていた。



父親の真藤からは、いつまでもこんな生活を続けてないで就職しろ なんなら自分の会社で働けばいい と言われたが、汐里は会社勤めはコリゴリだったし、母親の麻美が、モデルから女優に転身して売りだそうという時に父親との結婚を選んで芸能界を引退したのかがわからなかった。




汐里は、母親が出来なかったことを、自分がやってみたい との気持ちが強かった…




No.350 15/08/15 09:27
旅人 

>> 349 そんな結婚生活を、気づけば10年以上も続けていた。



斉藤は、だんだんと、仮面夫婦を演じていることにむなしさを覚え、離婚を真剣に考えるようになったが、いろんなしがらみがあり、ふんぎりがつかないのも事実だった…





No.349 15/08/15 09:22
旅人 

>> 348 斉藤とべる子の結婚式には、たくさんの芸能関係者が出席した。


べる子は、角隠しにキンキラ派手なの柄の大振り袖を着ていた。
だが、どちらかというと大柄なべる子には、その大振り袖は似合っていたし、7歳年下の斉藤に合わせたのか、かなりの厚化粧をしていて、並んでいると斉藤と似合いの年格好に見える。



斉藤は、昔真藤と麻美の結婚式に出席したときの、麻美の清楚なウェディングドレス姿を思い出した。

真藤は、旅行会社エラソー(現在はエラソートラベラー)に就職してまだ1年ちょっとで、麻美のほうも母親がいなくて、病気の父親だけだったため、結婚式は質素なものだったが、それでも、元モデルだった麻美のウェディングドレス姿は、さすがに美しかった。


斉藤はべる子に


「きれいだよ」


というと、べる子は


「嬉しい。最初の結婚の時は入籍だけで、式もやってなかったから、花嫁衣装にあこがれてたんだ。源ちゃん年下だし、老けてみえたら源ちゃんがかわいそうだしって思って」


と、少し涙ぐんで言った。



斉藤とべる子の結婚は、多数の女性誌やスポーツ新聞の紙面を飾り、結婚のおかげで、斉藤もべる子も仕事は増えた。



斉藤も、テレビ出演が増え、べる子のすすめで俳優業にも挑戦するようになり、これが意外に好評で、押しも押されぬメジャー芸人となっていった。



だが、結婚生活は、最初の頃は、べる子も得意の料理を頑張ったりと斉藤に尽くしたが、仕事が増えるにしたがって、家事もおろそかになり、たまの休みも、部屋でこんこんと眠っていることが増えた。


セックスも、もともと身体の相性が抜群によかったわけでもなかったため、ふたりの仕事が忙しくなるに従って激減していった。
べる子はどちらかというとセックスに淡白なほうで、別になくても平気なようだった。


斉藤は、べる子とのセックスが減っても、セックスの相手にはさほど不自由しなくなっていたが、べる子とのおしどり夫婦のイメージを壊さないため、あくまでも、いざとなったらお金で解決するような女性を選ぶように心がけ、ひとりの女性と長くつきあうことはしなかった。



しかし、時おりそういう女性を抱きながら、麻美とこうしたかった という気持ちは常にあった…













No.348 15/08/14 01:38
旅人 

>> 347 斉藤とべる子の結婚式には、真藤と麻美も招待したが、出席したのは真藤だけで、麻美は来なかった。



真藤が


「実は…、麻美は妊娠してて、つわりがひどくて、無理だったんだ…。お前の晴れの日に来れなくて残念がっていたよ。おめでとう、くれぐれもよろしくって言っておいてくれって…」



と控え室で斉藤に言った。



斉藤は、麻美が来なかったのが残念だった。



麻美を一目見たかった。真藤の妻としてでもいいから…



でも、数ヶ月前に、麻美は二人目を出産したばかりのはずなのに、またすぐに妊娠しているなんて…




結婚式当日に、不謹慎かもしれないが、出産してもとの身体に戻った麻美と真藤がセックスしているところを想像し、斉藤は複雑な思いになった。


べる子を愛して、結婚生活をスタートさせようとしているのに、真藤に抱かれている麻美を想像して、真藤に対して妬ましさを覚えるのを、斉藤はどうしようもなかった。




余談だが、残念なことに、この時に妊娠していた子供は結局流産してしまい、真藤と麻美が3人目の娘を授かるのは、それから数年後のことだった…






No.347 15/08/14 01:23
旅人 

>> 346 斉藤が


「ありがとうございます…。べる子が、式には伊藤さんにも来てもらいたいって言ってました…」



と伊藤に言うと、伊藤は


「ありがとう。聡子ちゃんのこと幸せにしてあげてくれよな。俺は、出来なかったけど…」


と、打ち明け口調で言った。



斉藤「え…?」



伊藤「実はさ、聡子ちゃんが離婚して、俺達のコンビも解散した時に、聡子ちゃんに、結婚してくれって言ったことがあったんだけど、断られちゃってね。もう男なんてコリゴリ、伊藤ちゃんは好きだけど、男としてじゃないって言われて、ショックだったよ、その時は…。でも、今思えば、聡子ちゃんはまだ前の亭主のことが好きだったんだよね。強がってたけど…。まあ、聡子ちゃんに振られて1年後に、俺は今のカミサンと出会って結婚したんだけどね。聡子ちゃんに振られたから、カミサンと出会えたし、今は俺も幸せだから、聡子ちゃんにも幸せになってほしいって思ってるんだけど」



斉藤は、伊藤の話に心をうたれ、べる子を愛そうと思い、結婚を決意したのだった…




No.346 15/08/14 01:11
旅人 

>> 345 旅番組の逆プロポーズのせいで、斉藤とべる子がつきあうような雰囲気になり、べる子とも数回セックスをするようになった頃、斉藤はひとりで、いつかべる子と明け方に行ったべる子の元相方の伊藤の店を訪れた。



不規則な営業時間のせいか、斉藤が訪れた時はたまたま他に客はいなくて、伊藤が、斉藤を見て



「おっ、源ちゃん久し振り。聡子ちゃんと結婚するんだってね、おめでとう」



と、屈託なく言った…




No.345 15/08/14 01:04
旅人 

>> 344 斉藤は、べる子と結婚式を挙げる前に、何度かべる子のマンションを訪れ、べる子と肌を重ねるようになった。


べる子とのセックスは、可もなく不可もなく といった感じで、カラダの相性も普通という感じだった。



バツイチになってからは、仕事一筋で、あまり男とも遊ばなかった と言ったべる子の話はどうやら本当らしかった。



斉藤は、べる子を抱きながら、これが麻美だったら と何度も考えた…




No.344 15/08/14 00:58
旅人 

>> 343 べる子と斉藤の旅番組は、最終日のべる子の斉藤への逆プロポーズのおかげか、視聴率が45%にまでハネ上がり、世間では


女にここまで言わせたんだから、斉藤よ、べる子と結婚しろ!



という批評がされるようになり、斉藤は、追い詰められたような形になってしまった。



そして、逆プロポーズがあった番組ロケから3ヶ月後、斉藤とべる子は華燭の典を挙げることとなった…







No.343 15/08/14 00:52
旅人 

>> 342 もう日は沈みかけ、沈む直前に空を真っ赤に染め上げていた。



べる子が


「あたし、源ちゃんが好き!源ちゃん、あたしをお嫁にもらって!」


と言うと同時に斉藤に抱きついてきたのだった。



斉藤は、突然のなりゆきに、べる子のギャグではないかと思っだが、あまりにも思いがけなかったため、言葉を失ってしまった。



そして、そこで番組ディレクターが



「ハイ、OK!いやぁ、実に感動的な最終回だったね~」



と言った。



べる子のマネージャーの清田や、斉藤のマネージャーの中澤、そしていつの間にロケ地に来ていたのか、諸戸社長までが一斉に拍手をしている。




斉藤は、もしかして、ハメられたのではないか と思った…




No.342 15/08/13 21:48
名無し2 

>> 341 砂浜には流木が横たわっていて

ベル子は斉藤に

『源チャン、ここ座って!』

と言うと、少し間を開けて

ベル子も斉藤の横に座った。

何か笑いをとらねばと斉藤が考えていたら

ベル子が

『源チャン、あのね…』

と話し始めた…



No.341 15/08/11 22:01
名無し2 

>> 340 旅の最終日。

ロケーションは海岸で行われた。

夕暮れ時

夕日が海をオレンジ色に染めていた。

斉藤は、いつになく緊張しているように見えるベル子に

何時もと違う何かを感じていた…




No.340 15/08/11 15:16
旅人 

>> 339 ロケは順調に進み、いよいよ最終日の収録の日になった…


No.339 15/08/11 01:37
旅人 

>> 338 内輪でだんだんと話が大きくなっていき、旅番組の最終日に、べる子が斉藤に愛の告白をする という流れになってしまっていた。



べる子は、マネージャーの清田から、この企画を打ち明けられ、頑張るつもりになっていた。




知らなかったのは、斉藤だけだったのだ…




No.338 15/08/08 09:40
旅人 

>> 337 斉藤がべる子の部屋(ベランダだが)にいたことは、べる子のマネージャーの清田から、斉藤のマネージャーの耳に入り、事務所の社長の諸戸の耳にも入っていた。



諸戸自身は、斉藤がべる子と結婚することは悪くない話だと考えていた…



No.337 15/08/07 12:32
名無し2 

>> 336 マネージャーはベル子と斉藤はすでに親密な関係に有るのだと

すっかり誤解して

ディレクターに

『この企画でプロポーズ入れたら盛り上がるでしょうね。』
と軽い気持ちで言った…



No.336 15/08/06 22:25
旅人 

>> 335 ドアの外から呼んでいたべる子のマネージャーの清田がべる子からドアをあけてもらい、中で斉藤がいるのを見つけ、清田はべる子と斉藤は昨夜は一緒だったんだと思った。


ふたりはもうすでに何かあったんだと清田は考えた…



No.335 15/08/06 22:18
名無し2 

>> 333 ベル子はチャイムの音に驚いて目を覚ました。 『あれ、寝てたみたいね。』 ベル子は斉藤をみると、イタズラっぽく笑ってみせた… 『ベル子さ~ん!』
ドアの向こうからベル子のマネージャーの声が聞こえた…



No.334 15/08/06 22:13
旅人 

>> 333 しばらくチャイムの音は鳴っていた。



べる子は


「この時間だから多分マネージャーかも」




と言ってベランダから室内に入り、ドアを中からあけた。



やはりドアの外にいたのはべる子のマネージャーの清田だった。



  

清田「べる子さん、おはようございます。あれ?そこにいるのは、斉藤…さん?」




斉藤はベランダ越しに自分の部屋へ戻るのを忘れていたのだった…




No.333 15/08/05 22:13
名無し2 

>> 332 ベル子はチャイムの音に驚いて目を覚ました。

『あれ、寝てたみたいね。』

ベル子は斉藤をみると、イタズラっぽく笑ってみせた…




  • << 335 『ベル子さ~ん!』 ドアの向こうからベル子のマネージャーの声が聞こえた…

No.332 15/08/05 20:07
旅人 

>> 331 それでもなんとかべる子の手を引き剥がそうと斉藤は頑張っていたが、その時べる子の部屋のドアのチャイムが鳴った…



No.331 15/08/04 22:15
名無し2 

>> 330 斉藤はシャツの裾をそっと引っ張ってみたが、ベル子の握力は思った以上に強かった…




No.330 15/08/04 21:41
旅人 

>> 329 斉藤が立ち上がった時だった。



寝ぼけたべる子が、斉藤のシャツの端っこを掴んでいたのだ。



「往かないでよ~、もっと飲も~よ~」



寝ぼけたふりなのか、本当に寝ぼけているのか、斉藤は困惑した…



No.329 15/08/03 22:16
名無し2 

>> 328 朝方、斉藤は肌寒さで目を覚ました。

ハッとして隣をみると

ベル子が寝ていた。
しまった…

斉藤は自分の部屋に戻ろうと

音をたてないように立ち上がった…



No.328 15/08/03 01:22
旅人 

>> 327 結局、花火が終わっても、ふたりは飲みまくり、意識朦朧となるまで飲んだあげく、明け方、ふたりはベランダにおかれたチェアで寝てしまっていたのであった…


No.327 15/08/02 22:18
名無し2 

>> 326 次々と打ち上げられる花火を

ホテルのベランダから眺め

斉藤もベル子もお酒が進んだ…



No.326 15/08/01 23:07
旅人 

>> 325 その時、立て続けに仕掛け花火が ドーン!ドーン!

と上がった。


空が真っ赤に染まるほどの仕掛け花火の美しさに斉藤とべる子は見とれた。


斉藤は眠っていたのだが、花火の音で目が覚めたのだった。


あとでスタッフたちから聞いたのだが、このホテルの近くで花火大会が催されていたらしい。



べる子が


「こっちのベランダからのほうがよく見えるよ」


と言った。



斉藤は、花火の美しさに、ついべる子のベランダの垣根をまたぎ、べる子の部屋のベランダにはいった…




No.325 15/07/31 22:20
名無し2 

>> 324 斉藤は花火の音で目を覚まし、窓を開けると隣のベランダにベル子がいることに気付き

ちょっと笑って見せた。

ベル子は

『こっちで一緒に飲まへん?』

とグラスを持ち上げて見せた…



No.324 15/07/31 07:05
名無し2 

>> 323 その時

ド~ン!と音がしたと思ったら

空一面に花火が上がり始めた。

ベル子がしばらく花火の美しさに見とれていると

斉藤の部屋の窓が開いた…




No.323 15/07/31 00:42
旅人 

>> 322 寝てるのかな…




べる子は、ふと、隣の斉藤の部屋のベランダに渡って、斉藤の部屋を覗いてみたい好奇心にかられた。


べる子たちや番組スタッフが宿泊しているこのホテルは、当時オープンして間もないリゾートホテルで、ベランダに面した窓が大きく、西洋風にひらくことが特徴だった…


No.322 15/07/29 12:41
名無し2 

>> 321 ベル子は寝付けないまま

ベランダのチェアに腰掛けて

星空を眺めながらタバコをふかした。

隣の斉藤の部屋は真っ暗で物音一つ聞こえて来ない…




No.321 15/07/29 00:30
旅人 

>> 320 斉藤は、服のままベッドに仰向けになり眠ってしまったが、べる子はなかなか寝付けなかった。



実はべる子は、前の夫に似ている斉藤のことが気になっていて、自分の所属事務所にも協力してもらい、何かと斉藤と自分がくっつくようにもっていこうとしていたのだ…





No.320 15/07/28 00:45
旅人 

>> 319 まあ、ふたりが別々の部屋に泊まるのは当然といえば当然ではあるのだが、番組スタッフたちは斉藤とべる子との間にはすでに何かあるような感じで見ていて、露骨な好奇の目を斉藤とべる子に向けていたし、べる子も


「源ちゃん、源ちゃん」


と、収録後も斉藤にベッタリだった。



自分のために用意された部屋に引き上げて、斉藤は、ハーッと大きくため息をつき



なんでこんなことになってしまったのかな



諸戸社長も、べる子さん側も、俺とべる子さんがくっつくような雰囲気に仕立てようとしてるし…



べる子さんは、お笑い界の大先輩だし、トークも達者だし尊敬してるし、けっして嫌いじゃないけど…


年上ってことを抜きにしても、女としてはタイプじゃないからなあ…




斉藤はそんなことを考えながらシングルベッドに、疲れもあってか服のまま仰向けに寝転がり、そのまま眠ってしまった…




No.319 15/07/27 22:51
名無し2 

>> 318 いつものように2人の掛け合いは軽妙で
収録はスムーズに進み

夜が来た。

斉藤とベル子は別々の部屋に泊まる事になっていた…



No.318 15/07/26 21:56
名無し2 

>> 317 諸戸の言葉は斉藤の心を大きく揺さぶった。

その翌日は

ついにベル子との旅番組の収録が始まろうとしていた…



No.317 15/07/26 00:39
旅人 

>> 316 社長の諸戸(もろと)は、

「まあ、今はあのふたりももうじき二人目の子供ができるそうだからな…。お前もべる子との噂のおかげで売れてきたし、新しい幸せってやつを考えてみたほうがいいのかもしれないぜ…」


と、いつになくしみじみと斉藤に言った。


斉藤「社長は、それがべる子さんとのことだっていうんですか…?」


諸戸「いや、そうは言わんが、少なくとも、水樹麻美への気持ちにだけは、決別するべきだって言ってるんだ。第一、真藤と麻美がつきあっていたことだって、コンビを組んでいたのに全く気づいてなかったお前にも罪はあるんだからな。本気で麻美が好きだったら、真藤とのことに気づいていたはずだぜ」


斉藤は、諸戸の言葉が当たっていただけに、何も言えなかった。


確かに、あの頃に気づいていたなら、挽回するチャンスだってあったかもしれないが、俺は気づかなかった…



斉藤はしばらく黙っていたが、やがて諸戸に


「少し、考えさせてください…」



とだけ言った…




No.316 15/07/25 23:30
旅人 

>> 315 現在は真藤の妻で、3人の娘の母親でもある水樹麻美(現在は真藤麻美)は、真藤がすすめた真珠会社のイメージモデルのオーディションで、女優の夏川日向子とダブルキャストとしてではあったが、見事イメージモデルの座を射止め、そのCMを皮切りに、モデルの仕事のオファーが殺到するようになった。

もともと、真藤と斉藤の事務所に持ち込まれたオーディションの話だったので(むろん真珠会社は斉藤たちの事務所だけでなくあちこちの事務所にオーディションの話を持ちかけていたのだったが)、麻美は自動的に斉藤たちの事務所の所属になった。


フレッシュで、どこかアンニュイな雰囲気も漂う麻美はモデルとして活躍していたが、やがて、女優の夏川日向子のすすめもあり、女優に転向することを決めた。
その時に、所属事務所を移ったが、女優として少し活躍し始めた頃、麻美は真藤の子を妊娠する。


麻美と真藤は愛し合うようになっていて、真藤が斉藤とのコンビを解散しサラリーマンになってからも交際が続いていたのである。
斉藤は全く気づいていなかったのだが…。



やがて、麻美は芸能界を引退し、真藤と結婚した。
借金のために身体を壊して入院していた麻美の父親も、麻美がモデルの仕事で借金を返してくれて、麻美が真藤と結婚した2年後に、安心したように、安らかな顔で世を去った。


(詳細は「みんなで作ろうストーリー8の2」を参照)



斉藤は、麻美と真藤がひそかに距離を縮めていたことに全く気づいていなかったことが悔やまれていた。


あの頃は、真藤とふたりでメジャーになることばっかり考えて、ネタづくりのことで頭がいっぱいだったからな…と、斉藤は回想していた…






No.315 15/07/25 23:07
旅人 

>> 314 さらに社長は思いがけないことを言った。


「いっそのこと、豪島べる子と結婚ってのはどうだ?豪島べる子はもともとはお笑い芸人だが、最近じゃ女優業にも進出してて、演技力もなかなかって評判はあるし、お前よりは年上だが、別に不細工でもなくいい線いってる外見だし…」


斉藤は

「やめてくださいよ~」


と言った。



社長は、そんな斉藤を見つめて、


「まあ、豪島べる子と結婚ってのは冗談だがな。お前はともかくも、向こうはまんざらでもないんじゃないか?お前だっていつかは身を固めなきゃいけないんだし…。お前はまだ、真藤の嫁さんになった水樹麻美のことが忘れられないのかもしれんがな…」


と言った。



斉藤「知ってたんですか、社長…」




社長「真藤とお前が彼女に好意を寄せていたことは、あの頃お前らと一緒にスーパーや商店街のイベントなんかでどさ回りしていた俺にはバレバレだったんだよ。まして水樹麻美は、真藤がすすめた真珠会社のオーディションで見事イメージモデルになって、しばらくうちの事務所にモデルとして所属してたんだからな。考えてみたら彼女のおかげでうちの事務所も多少潤って、マネージャーも雇えるようになったんだしな」


斉藤は、自分の片想いが社長にバレバレだったのが意外だった…



No.314 15/07/25 22:04
名無し2 

>> 313 斉藤『すみません。二日酔いと台風のアクシデントでつい気を許してしまいました。』

社長『しかし、お陰で忙しくなったよな。悪い話じゃ無いかも知れないぜ。』…



No.313 15/07/24 22:12
旅人 

>> 312 そして、べる子サイドからは、だんだんと、斉藤との噂を肯定するような内容の記事や発言が増えるようになってきた。



斉藤の事務所の社長はある日斉藤を事務所に呼び、


「豪島サイドからは、なぜだかお前との噂を肯定するような感じだが、本当はどうなんだ。お前、豪島べる子と寝たのか?」


と、直接的に斉藤に問うた。




斉藤は、


「そんなことしてないですよ。台風が来た日に成り行きでマンションに行ったけど、別に何もなかったんですから…」



と言った。



社長は


「しかし、お前も豪島べる子のマンションに行くなんて軽率だな…」



と言った…


No.312 15/07/23 22:39
旅人 

>> 311 さすがに、バラエティー番組なので、唇と唇のキスではなく、べる子が斉藤の頬にキスをする という展開だったのだが。



べる子は斉藤の頬に、口紅の跡がべったり残るぐらいのキスをした。



しかも、そのシーンは写真となって、翌日のスポーツ新聞の芸能欄のトップを飾ることになり、女性週刊誌や一般週刊誌にまで掲載されていたのだった…


No.311 15/07/23 22:18
名無し2 

>> 310 共演していた斉藤に司会者が

『ラブラブなんですね~。』

とふると斉藤は言葉を濁したが

なぜか斉藤とベル子が番組の中でキスをする流れになってしまった…



No.310 15/07/23 14:47
旅人 

>> 309 斉藤の仕事が増えるとともに、べる子とバラエティー番組で一緒になることも増えてきた。


あるときに、べる子と共演したバラエティー番組で司会者が


「べる子さん、最近斉藤さんと噂になってますけど、真相はどうなんですか~?」


などと、べる子に話題を振ってきた。



するとべる子は


「斉藤さんのこと結構好きなんですよ、あたし」


と、思いがけない発言をしたのであった…



No.309 15/07/23 14:00
名無し2 

>> 308 斉藤はとあるごとにベル子との事を言われ

『ちゃいまんがな!』

と斉藤が否定すると
それがまた客席に受け

一つのネタのようになってきた…



No.308 15/07/23 07:48
名無し2 

>> 307 本当は噂されるような事など

全く無いのだが

世間ではもうおしどり夫婦扱いだ。

そんな斉藤はベル子と噂になってから

急激に仕事が増えた…



No.307 15/07/22 12:30
名無し2 

>> 306 世間でお似合いカップルだと

噂されるなかで

斉藤に思いがけない仕事が舞い込んできた。

それはとある旅番組で

出演者はベル子と斉藤になっていた…



No.306 15/07/21 12:20
名無し2 

>> 305 しかもワイドショーでは

お似合いのカップルとして

取り上げられていた…




No.305 15/07/20 23:30
旅人 

>> 304 斉藤がテレビのスイッチを入れると、ワイドショー番組が写し出され、ワイドショー番組では


“豪島べる子、若手芸人・斉藤源一郎と熱愛発覚! 斉藤はべる子のマンションに通い同棲か?!”



などと、見出しがつけられ、ワイドショー番組のキャスターたちは、斉藤とべる子のことについてあーでもないこーでもないと言いあっていた。



マネージャーは


「斉藤さんがべる子さんのマンションから出てきたところが、きょう発売の写真週刊誌にフォーカスされて、掲載されてたんですよ」


と言った。



半同棲って、俺はきのうはじめてべる子さんのマンションに行ったのに…


しかも、ただごはん食べてドンぺリをご馳走になっただけなのに…



斉藤には信じられない話だった…





No.304 15/07/20 22:17
名無し2 

>> 303 マネージャー『斉藤さん、テレビ見ましたか?』


斉藤『テレビ?』


斉藤はまだ目が覚め切れてない体で


テレビのスイッチを入れた…



No.303 15/07/20 19:09
名無し2 

>> 302 そして翌日

斉藤の元にマネージャーから

電話がかかって来た…


No.302 15/07/19 11:53
旅人 

>> 301 結局その日は、べる子の用意したご馳走を、もう食べきれないと思うぐらい食べ、ドンぺリを飲んで、台風の勢いがおさまるころに斉藤はべる子のマンションをあとにした。



だが、斉藤がべる子のマンションから出てきたところを、写真週刊誌のカメラマンがひそかに隠し撮りしていたことに、斉藤は気づかなかった…



No.301 15/07/18 22:01
旅人 

>> 300 しかも、ご馳走だけでなく、ドン・ペリニヨンまで用意されていた。



「べる子さん、これドンぺリじゃないですか」




斉藤が驚いて言うとべる子は



「あたしだって、とっておきのお酒ぐらい用意してあんのよ。源ちゃんドンぺリなんて飲んだことないんでしょ?」


と言った。



確かに、ドンぺリなんて飲んだことないが、浜田省吾が歌っていた『MONEY』という曲に


♪最高の女とベッドでドン・ペリニヨン♪



という1節があり、ドンぺリは(自分にとって)最高の女と飲むものなんだと思っていた。



斉藤にとって最高の女は、目の前にいるべる子ではなく、真藤と結婚した麻美だった…




No.300 15/07/18 19:40
名無し2 

>> 299 斉藤はベル子のマンションのバスルームでシャワーを浴びた。

バスルームから出ると

ベル子が『源チャン!なにしとんねん!早よこっちこんかい!』

と斉藤はベル子の声がする方の部屋へいくと

テーブルの上に並びきれない程のご馳走が並べられていた…



No.299 15/07/18 17:15
名無し2 

>> 298 ベル子のマンションはすごかった。

部屋数はかなり沢山あった。

そしてベル子は意外と料理が上手だった…



No.298 15/07/18 13:05
名無し2 

>> 297 ベル子は電車が止まって帰れない斉藤を自宅マンションに招いた…



No.297 15/07/17 21:15
名無し2 

>> 296 電車で自宅に帰ろうと思っていた斉藤は
『アリャ~、電車動いてないのか…』

と呟いた…



No.296 15/07/17 12:50
名無し2 

>> 295 伊藤がテレビをつけると

電車もバスも台風のためにしばらく

運休すると報じていた…



No.295 15/07/17 11:49
旅人 

>> 294 伊藤「そういえば、きょうの昼間ぐらいに台風が接近するとかニュースであったような…」



伊藤がそう言ってしばらく後、果たして空がどす黒い色に変わり、激しい雨が降りだしてきた…



No.294 15/07/16 22:22
名無し2 

>> 293 ベル子『そうかなぁ…いやいや、源ちゃんの方が数段ええ男や。ハッハッハ!』


斉藤が照れ笑いをしながら窓の外を見ると


灰色の雲が空一面を覆っている。

斉藤『こりゃあ、もうすぐ降りますね。』…


No.293 15/07/16 00:50
旅人 

>> 292 斉藤は、店長の伊藤の話を聞いて、自分と真藤みたいだ と思っていた。




べる子は


「でも、コンビを解散したのは、あたしの前の旦那が、あたしと伊藤ちゃんのこと疑って、ネチネチ嫉妬してたのが原因だったんじゃん。しかも当てつけがましく浮気してさ、まあもうどうでもいい昔の話だけど…」

と言いながらグラスを空けた。



伊藤「そういえば、斉藤くんって、聡子ちゃんの前の旦那にちょっと似てるよね」



と言い出した…



No.292 15/07/16 00:43
旅人 

>> 291 店は明け方という時間帯のせいで、客は斉藤とべる子だけしかいなかった。


店長がふたりが座るテーブルにグラスを2つおいた。


斉藤は店長に


「あのー、この店って、こんな時間からやってるんですか?」


と尋ねると店長は


「いつもいつもじゃなくて、不定期なんだよ。俺ひとりの店だから決まった時間に営業してるわけじゃないんだ。きょうはたまたまこの時間開けてたけどね」


と言った。



べる子はグラスの酒をチビチビ飲みながら


「そうなのよ。きょうは開けてるのかなって思ってたら閉まってたり、夜中の2時過ぎに用事で通りかかったら開いてたり、変な店なのよ~。でも、変な店だけど、お酒も料理も絶品でさ、ファンも結構いるんだよね。ね~、伊藤ちゃん」


と、店長にむかって言った。



店長の伊藤は


「聡子ちゃんとは故郷が同じでね。幼馴染みだったんだよ。俺もお笑いを目指してたこともあって、お笑い芸人目指してた聡子ちゃんとコンビを組んでたんだけど、うまくいかなくて…。コンビを解散してひとりになったら聡子ちゃんはたちまちメジャーになっちゃったから。俺はもうひとつの夢だった、店をもつことは叶えたんだけど…」


と言った…



No.291 15/07/16 00:21
旅人 

>> 290 その店は、べる子の知り合いが経営している店で、店長は店に入ってきたべる子を見ると


「よう!聡子ちゃん、いらっしゃい!」


と、明け方なのに愛想よく言った。


斉藤は


「あ、あの…、聡子って…?」


と尋ねると、べる子は


「ああ、あたしの本名。本名は豪島聡子っていうの」


と答えた。



店長は、べる子の横にいる斉藤を見て


「おっ、そちらは売り出し中の斉藤源一郎くんだよね。聡子ちゃんとテレビに出てるの、いつも見てるよ。なかなかいい味だしてるよね」


と言った。



斉藤は、


「あ、ありがとうございます…」


と恥ずかしそうに言った。


べる子は、テーブル席のひとつに腰を下ろすと


「あんたも座ったら?」


と言ったので、なりゆき上べる子の向かいの席に座ってしまった…





No.290 15/07/15 19:30
名無し2 

>> 289 斉藤はいつも可愛がってもらっているベル子だから

嫌とも言えずに

カフェ風の店に入った…



No.289 15/07/15 01:47
旅人 

>> 288 べる子は、そんな斉藤のことなどまったく気にしないふうで普通に


「あら、おはよう、源ちゃん」


と挨拶した。


そして


「あら、もう朝なの…?あたしったらなんでこんなとこで寝てたんだろ?」

と言ってから斉藤を見て


「きょうはオフだし、これからかるーく迎え酒ってことで、飲みに行かない?」


と、ゴーインに斉藤の腕をつかみ、べる子の知り合いの、昼間もやってる飲み屋へと連れていったのだった。


女のくせにすごい力だな…



と斉藤は思ったが、べる子に引きずられるようにしてついていってしまったのだった…



No.288 15/07/14 22:22
名無し2 

>> 287 こんな所に女性を1人おいて帰るわけにもいかず

斉藤はとりあえず女性を起こす事にした。
斉藤『あの、もしもし…』

斉藤はそっと女性の背中をトントンしてみた。

女性は気持ち悪そうに起き上がった。

郷原ベル子!

酔いが醒めた斉藤はベル子を見てびっくりした…


No.287 15/07/14 20:16
旅人 

>> 286 ほとんどくっつくように設置された隣のベンチにはうつぶせで誰かが寝ていた。



服装からしてどうやら女のようだ




まさか…





斉藤は、深酒しすぎた自分を反省した…




No.286 15/07/14 06:57
名無し2 

>> 285 明け方の海浜公園で、のっそりと起き上がり辺りを見回すと
もう一人誰かが

ベンチに横たわっている…



No.285 15/07/13 23:02
名無し2 

>> 284 そして斉藤は気がついたら

海浜公園のベンチに横たわっていた…



No.284 15/07/13 19:38
名無し2 

>> 283 斉藤の姿を見つけたベル子は

『あら!源ちゃん!』

斉藤もベル子もすでに出来上がっていた…




No.283 15/07/13 12:29
名無し2 

>> 282 そんなある日、斉藤は何時ものように

行きつけの店で飲んでいると

ベル子がスタッフを引き連れてやって来た…



No.282 15/07/12 13:01
旅人 

>> 281 当時はべる子も、メジャーではありながら関西に住んでおり、東京で仕事があるときだけ上京していた。
現在は斉藤もべる子も、ともに全国区になったため東京に拠点を移したが。


べる子も関東出身で、最初なかなか関西に馴染めなかったことが共感となり、斉藤の世話をやいていた。



しかし、斉藤は、べる子に先輩としての感謝の気持ちはあるものの、恋愛感情はなく、べる子がタイプではなかったのもあった。



年に1度、正月の年賀状で、真藤と麻美が、子供たちに囲まれた写真をつけて送ってくるが、それを見るにつけ、斉藤は虚しさをかみしめた。


俺って何やってんのかな…


斉藤は孤独を酒で紛らわし、仕事が終わるとミナミやキタの盛り場でばか騒ぎを繰り返していた…



No.281 15/07/12 12:43
旅人 

>> 280 べる子は、売れない若い頃に、一般人の男性と1度結婚していたが、結婚生活は1年で破綻しており、子供もなく、斉藤と知り合った頃は独身だった。


女芸人には、容姿の不細工を売りにしている者も結構いるが、べる子は美人というわけではないが、不細工でもなく、愛嬌のある顔立ちだった。
芸人のせいか、あまり知られていないが、背も高くスタイルもよかった。



そんな愛嬌あるスタイルのよかったべる子も、50を過ぎた現在、スタイルも太りぎみになり、けっして不細工ではないが、大御所らしくふてぶてしい顔つきになってしまった。


だが、斉藤と出会った頃は、愛嬌のある面倒見のよい先輩だった…








No.280 15/07/12 12:20
旅人 

>> 279 斉藤は当時20代半ば、豪島べる子は30をちょっと出たぐらいの年齢だった。


べる子は女芸人として、すでにメジャーであり、女優として2時間ドラマなどにも出演したりもしていた。
斉藤も、もちろんべる子のことは知っており、大先輩だと思っていた。


関西バラエティー番組の準レギュラーだったべる子は、斉藤になにかと世話をやいてくれ、斉藤にはありがたがった。


だが、あくまでもお笑い界の先輩としての感謝であり、恋愛感情ではなかった。



斉藤の心の中には、まだ、真藤と結婚した麻美が生きていたのだ…





No.279 15/07/12 08:45
名無し2 

>> 278 孤独に苛まれていた時

番組の共演者だったベル子と出会った…



No.278 15/07/12 00:47
旅人 

>> 277 斉藤も、そんなべる子を強いて追わなかった。




その日はオフだったため、ふたたびソファでまどろみはじめた斉藤は、夢うつつで、べる子との出合いを思い出していた。



真藤との漫才コンビを解散して、ピン芸人として九州のローカル番組にちょっとだけ出演したりしているうちに、斉藤は関西のバラエティー番組に出演するチャンスを得るようになる。


事務所のすすめもあり、斉藤は住み慣れた福岡を離れ、関西に移り住むことになった。


関西のバラエティー番組で顔を売れば、お笑い芸人として名を知られるようになる
関西で芸人として成功すれば、やがては全国区になる可能性もある と考えた斉藤は、関西での仕事に燃えていたが、もともとが九州出身だったためか、関西の笑いのテンポに馴染めず、戸惑うことも多かった。


さらに、関西に知り合いがいなかったこともあり、表向きは目一杯陽気なふりをしていたが、裏では反対に孤独地獄だった…




No.277 15/07/11 22:29
名無し2 

>> 276 ベル子は喋るほど喋ると

自分の部屋へ入って行った…


No.276 15/07/11 15:54
旅人 

>> 275 目が覚めた斉藤に、べる子が


「あら、おはよう」


と、あっさりと挨拶した。



べる子は


「明け方までバラエティーの録りだったのよ。まったく最近の若手芸人って、アドリブ下手ってのが多いわね。もっと早く終わるはずが、こんな時間までかかっちゃって、仕事部屋に泊まるより帰ってくるほうが早いから…」


と言った。



べる子は現在、バラエティー番組のレギュラーが2本、半年前からはクイズ番組の司会もつとめるようになっていた。


仕事が忙しく、このマンションまで帰るよりもと、3年前から仕事部屋と称して2DKのマンションを借りていた。


マンションを借りてから、べる子はこのマンションに帰ってくるよりは、仕事部屋に泊まることが多くなり、実質的には斉藤とべる子は別居状態だった。



もっとも、仕事部屋を借りる時に、斉藤も1度だけ、べる子の仕事部屋のマンションを見たことがあり、場所も部屋の間取りも知っているのだが…。


契約のときと、仕事部屋に家具を運んだ時にマンションには行ったが、そのあとは、斉藤が仕事で遅くなっても、べる子が

「私の仕事部屋に泊まる?」


と言うこともなかった。



斉藤もそのほうが気楽だと思っていたのだが…



No.275 15/07/11 08:29
名無し2 

>> 274 斉藤はそのままうたた寝をしたらしく

朝方ベル子が帰って来た音で目が覚めた…



No.274 15/07/10 21:33
名無し2 

>> 273 斉藤はワイドショーを見ながら

離婚すればその後の騒動が大変だろうと想像し

もう少し仮面夫婦でいたほうが良いのかと悩んだ…



No.273 15/07/10 20:25
旅人 

>> 272 斉藤はテレビを見ながら


けっ、何がおしどり夫婦だよ


結婚してからほとんど一緒に過ごしたことなんてないのにな…



と胸の中で思った。



仕事もほとんど別々で、ときたま夫婦でテレビに出る仕事がある時や、夫婦揃ってのCMもあり、CM撮りの時などに顔を合わせるぐらいなのに



もちろん斉藤もべる子も、テレビやCMでは仲良さげな夫婦を演じているのだが…。



少なくとも、べる子と結婚したばかりの頃は、こんなではなかったな



斉藤は、ワインの酔いもあったのか、昔を思い出していた…



No.272 15/07/10 19:26
名無し2 

>> 271 テレビでは夜のワイドショーが放映されていた。

その中で芸能界おしどり夫婦として

斉藤夫婦の名前もあげられていた…



No.271 15/07/09 22:10
名無し2 

>> 270 そして斉藤はマンションに帰った。

灯りをつけると生活感も愛情も無い

何時もの空間が照らされた。

グラスにワインを注ぎ入れ

リビングのソファーに腰掛けると

〃ハァ…〃

とため息混じりにテレビをつけた…



No.270 15/07/08 23:26
旅人 

>> 269 結局、真藤の家で飲み直したものの、斉藤は、真藤と麻美の仲良さげな姿に、離婚しようか迷っていることも言い出せず



「あした仕事だから、俺はこのへんでおいとまするよ。きょうは楽しかった。またな、真藤、麻美ちゃんも突然押し掛けたのにありがとう」


と言って、真藤に呼んでもらったタクシーに乗って自分のマンションへと帰っていった。



妻のべる子も仕事でいないマンションへ…






No.269 15/07/08 23:22
旅人 

>> 268 麻美は、昔と変わらない美しさで、リビングで飲むふたりを細々ともてなした。


真藤と麻美は、結婚して20年以上になるのに、仲のよい夫婦だった。


斉藤は、芸人としては成功したものの、好きだった麻美は真藤と結婚し、自分も結婚はしたが必ずしも家庭的には幸せではない。


真藤も、現在の生活に不満があるわけではなかったが、最近時々ではあるが、あのまま斉藤と漫才コンビを組んだままだったらどうなっていたか と考えることもあった。


斉藤とふたり、漫才界のトップに立てていたかもしれない…


そんなことも考えてみたりするのだった…



No.268 15/07/08 22:26
名無し2 

>> 267 真藤の家につくと

麻美が出迎えた…



No.267 15/07/08 19:40
名無し2 

>> 266 真藤『今夜、家で飲み直さないか?』

斉藤『よし!今夜は飲もう!』

そして2人はお好み焼き屋を出て

真藤の家へ向かった…



No.266 15/07/08 13:45
名無し2 

>> 265 斉藤『ありがとう。』

斉藤はその女性が差し出した

手帳にサラサラとサインをした。

真藤は同じ芸人という夢を追いかけた人間として

芸人という夢を掴み取った斉藤を

羨んだ。

しかし斉藤が、幸せな家庭に恵まれた

真藤を羨んでいるとは

知る由もなかった…



No.265 15/07/08 12:43
名無し2 

>> 264 隣の席ではカップルが楽しそうにお好み焼きを食べている。

斎藤源一郎は妻との離婚の話を真藤に切り出そうとして

『あのさ…』

と言いかけた時

隣のカップルの女性が話しかけてきた。
『あの…斉藤源一郎さんですよね。あの…ずっとファンなんです。サインして貰えませんか?』…




No.264 15/07/08 12:08
旅人 

>> 263 斉藤は、かつての相方の真藤とお好み焼き屋に来ていたのだった。


由利は、真藤もチラッと見たはずだったが、真藤は斉藤以上に由利にはわからなかった。


斉藤は、風貌は当時と変わったとはいえ、まだテレビにも出演しているので、芸能人らしい雰囲気を漂わせているが、エラソートラベラーの課長をつとめ、一サラリーマンになった真藤は、もうどこからみても一般人だった。


斉藤と真藤は、大学時代、漫才だけでは食べていけなかったため、キャバレーのボーイのアルバイトをしていたが、同じキャバレーにいたホステスの水樹麻美にふたりは恋していた。


麻美が真藤のすすめでオーディションを受け、モデルとしてブレイクしていた頃、麻美と真藤は愛し合うようになり、真藤は斉藤ほどお笑い志望ではなかったため、麻美と結婚するために旅行会社エラソーに就職した。
真藤の就職とともに漫才コンビは解散し、やがて真藤は麻美と結婚、斉藤はピン芸人となった。


ピン芸人になって3年後、斉藤は、7歳年上のお笑い女優・豪島べる子(本名・豪島聡子)と電撃結婚し、10年以上たつが子供はなく、夫婦間もけっしてうまくいっているわけではなかった。


斉藤は離婚を考えているが、なかなか決心がつかず、真藤に相談することも考えていたが、真藤はかつて自分が好きだった麻美と結婚し、何人も子供がいて幸せそうだし、相談しても… と考え、結局当たり障りのない近況などを話すだけだった…







No.263 15/07/08 11:03
名無し2 

>> 262 由利は話声でそれが斎藤源一郎だと分かったのだが

風貌は一目ではそれが昔追っかけをしていた人物だとは

分からなかった。

由利は改めて月日が流れたのだと感じながら

渉とお好み焼きを食べた。

渉『上手い!由利が焼くお好み焼きは本当に上手いね!』

由利『当たり前よ!ハッハッハ!私を誰だと思っているのよ。』

渉『え~と、誰だっけ。』…




No.262 15/07/08 07:21
名無し2 

>> 261 由利がお好み焼きを上手くひっくり返した時

隣の席から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

由利はしばらく考え
そして思い出した。
隣にいるのは昔漫才師だった

斎藤源一郎であった…




No.261 15/07/07 21:51
名無し2 

>> 260 漫才を見終わった由利と渉は

行きつけの店でお好み焼きを焼いていた。
初めは上手く焼けなかった由利だったが
渉に教えられ

今では店員に誉められる程に成長していた…




No.260 15/07/07 01:58
旅人 

>> 259 由利が応援していた漫才コンビは解散してしまったが、漫才にハマってしまった由利は、それからも、面白い芸人がいれば漫才を見に行ったりしていたのである…



No.259 15/07/07 01:55
旅人 

>> 258 由利が漫才を見に行くのは数年ぶりだが、まだ10代の終わりごろや、モデルの仕事を始めた頃は、結構漫才を見に行ったりしたものだった。



由利が高校生の頃は、父親の仕事の関係で九州に住んでいた。


高校生だった由利は、たまたま日曜の昼に出掛けたスーパーのイベントで、まだ大学生だったコンビが漫才をしていたのを見て、面白くて、それから漫才にハマっていったのだった。



由利は、その漫才コンビがメジャーになって売れるように陰ながら応援し、スーパーや商店街などのイベントでコンビが漫才をやるときには必ず見に行った。


だが、結局メジャーになれないまま、由利が再び父親の仕事の都合で九州を離れた頃、その漫才コンビは解散したようだった。



コンビは解散したが、コンビの片割れは、その後ピン芸人としてブレイクし、メジャーになって現在も第一線で活躍している。


そのピン芸人は、斉藤源一郎という名前だった。


コンビを組んでいた真藤は、旅行会社エラソーに就職し、現在はエラソートラベラーの課長を勤めているのであるが…(みんなで作ろうストーリー8の2参照)



No.258 15/07/05 10:55
名無し2 

>> 257 渉『へ~え、俺も好きだよ漫才。』

由利『良かった。これ結構人気あってね、前例とるの大変だったのよ。』

渉『よくいくの?漫才。』

由利『う~ん、数年ぶりかな。』…



No.257 15/07/04 19:56
名無し2 

>> 256 渉『じやあ、一周年記念日にどこ行こうか?』

由利『ジャーン!』

由利はポーチから二枚のチケットを取り出した。

由利『へへへ!漫才のチケットよ!』…



No.256 15/07/04 14:39
旅人 

>> 255 由利は、モデル引退後、広告代理店でアルバイトをし、社員だったかつての夫と結婚し、広告代理店を辞めてからは専業主婦だったため、離婚後は生保レディーや、コールセンターなどの派遣業を転々としたが、元モデルという変なプライドのせいか、どの仕事も長続きしなかった。


そんな由利だったが、35歳のときに、やはり元モデルだったというスナックのママと知り合い、意気投合して彼女のスナックで現在も働いている。


水商売は、思ったよりも自分にあっていたのが由利は意外だった。


ママの愛子も、元モデルだったせいか、愛子のスナックには、ちょっと年輩の業界人や、劇団員やしたっぱの大部屋俳優なども客として訪れることもあった。



先輩劇団員に連れられて、渉が愛子の店に来て、由利が接客したのが、ふたりの出合いだった…



No.255 15/07/04 14:23
旅人 

>> 254 渉「そうだっけ?でも、由利も、つきあって一周年記念とか、案外気にするんだね」


とちょっと笑って言うと


由利「女はいくつになってもそういうことにこだわるものよ」


と言った。



渉は、マイナーな劇団の、売れない劇団員だった…



No.254 15/07/04 12:40
名無し2 

>> 253 由利と徹が並んで歩いていると

2人は街の人混みの中で

よく目立った。そんな視線を感じるのは2人とも何時もの事だった。歩きながら由利が言った。

『徹、今日何の日か知ってる?』

徹『今日?なんだっけ…由利の誕生日だっけ。』

由利『違うわよ!全く馬鹿なんだから。付き合って一年の記念日じゃないの!』…


No.253 15/07/03 21:51
旅人 

>> 252 由利が現在つきあってる渉(わたる)は30歳で、由利より13も年下だった。


しかし、渉は身長が180近くあるし、年齢よりは上にみられることが多いので、もとモデルで美人でスタイルのいい由利と一緒にいても、さほど違和感はなかった…



No.252 15/07/03 19:31
名無し2 

>> 251 由利『ごめん!お待たせ。』

年下のイケメン彼氏は

少し手をあげると

『やあ。』

と渋く微笑んだ…




No.251 15/07/03 07:15
名無し2 

>> 250 菜穂子『うん。西田さんが苦労して探してくれたのよ。』

由利『へ~…島津さん、元気にしてたの?』

菜穂子『かなり大変な思いをしてきたみたいなの。これからは私が側にいて力になってあげたいの。』

由利『やっぱり菜穂子は昔から一途だね。』

その時由利の携帯がなった。

由利『菜穂子ごめん!彼が来たから私もう行くね!』

菜穂子『うん、じゃあね!』

由利は嬉しそうに彼の元へと向かった…



No.250 15/07/02 22:38
名無し2 

>> 249 菜穂子『実はね…島津…さんなの。』

由利『…え?元旦那の島津さん?』

菜穂子『ええ。』

由利『じゃあ、消息が分かったのね。』…



No.249 15/07/02 17:18
名無し2 

>> 248 菜穂子『そういう由利こそ、例の年下の彼氏と上手くいってるの?』

由利『むふふ、今夜もデートなの。』

菜穂子『まあ、ご馳走さま!』

由利『で?誰なの?菜穂子のお相手は?』…




No.248 15/07/02 15:47
旅人 

>> 247 由利は

「年も同じで、同じバツイチなのに、なんで菜穂子にばっかそういう話が来てあたしには来ないのかしら~。神様って不公平よね。しかもあたしは子供もいないのに…」


と言ったが、菜穂子は答えず、ランチを口にした。


由利は、菜穂子の高校時代の同級生だった。



由利は身長171㎝の長身で、大学時代モデルにスカウトされ、女子大生モデルとして雑誌を飾っていたこともあった。
由利はモデルから歌手か女優に転身したかったようだが、いくら由利が美人でスタイルがよかったとはいえ、由利レベルの芸能人は結構いるし、歌も下手で、演技の勉強などもろくにしていないし、そうこうするうちに由利の所属事務所から、AVへの進出を打診され、頭にきて芸能界を引退したのだった。


菜穂子は、高校卒業後、私立の女子短大に進学したので、4年制大学へ進学した由利とは別々の道を歩いていたが、気があって現在まで何となくつきあいは続いていた。


短大卒業後、アルバイトで商社に勤めた菜穂子は、当時は同じ商社にいた島津雅彦と恋に落ち、結婚したが、由利も菜穂子と同じ時期に、広告代理店に勤務する男と結婚したのだった。



島津は商社を退社し、輸入食器会社を興した頃、菜穂子は、由紀という娘に恵まれたが、由利には子供が出来ず、結婚して4年で離婚し、その後は彼氏のいる時期はあっても再婚はしていない。


もっと若い頃は由利にもわりに再婚話はあったのだが、由利が高望みだったせいでうまくいかず、そうしてる間に、またまだ綺麗でスタイルはいいが由利も年齢を重ねていき、条件が悪くなっていたのである。



なので、ある意味由利の自業自得でもあるのだが、由利は適当に年下の彼氏がいたりもするので、口ほどには菜穂子をうらやましがってもいなさそうであった…









No.247 15/07/02 13:02
名無し2 

>> 246 菜穂子『違うわよ!』

由利『え?猿渡さんじゃないの?』

菜穂子『猿渡さんはいい人だけど、私は再婚するきはないわ。』

由利『何だか勿体ないわ。猿渡さん結構イケメンだし、お金持ちだし、申し分ないと思うのに。』…



No.246 15/07/02 07:05
名無し2 

>> 245 由利『もしかして猿渡さん?』

菜穂子はちょっとむせた…



No.245 15/07/01 22:29
旅人 

>> 244 菜穂子は

「そ、そうかしら?」



ととぼけたが、親友の由利は


「恋ね。いい人見つけたんでしょ?」


と、鋭いところを突いてきた…



No.244 15/07/01 22:12
名無し2 

>> 243 そんなある日。

菜穂子は親友と久しぶりに

ランチをする事になった。

すると、親友『菜穂子、久しぶりに会ったら、何だか綺麗になったね。』

とパスタをクルクルしながら言った…




No.243 15/06/30 05:11
旅人 

>> 242 流郷の了解も得たので、島津はチラシをつくり、流郷の診療所にチラシを置かせてもらったり、時間を見つけて、診療所の近辺の家のポストにチラシを入れたりした。


店舗がないので、島津は、連絡先としてプリペイド携帯を持つことにした。


これで、菜穂子とも連絡が取れる と島津は思った…



No.242 15/06/30 05:06
旅人 

>> 241 島津が何でも屋をはじめようと思ったきっかけは、流郷が診療所をやっているせいで、近所の年配の患者さんの送り迎えをやったり、患者さんの中で、独り暮らしの老人も何人もいて、送り迎えついでに話し相手になったり、ちょっとした買い物を頼まれたり、力仕事をやったり ということがちょくちょくあった ということだった。


料金はそんなに高くしなくて、主に独り暮らしの老人たちや、困っている人の役に立てば という気持ちからだった。


これなら店舗もいらず、しばらくは自分ひとりで動けるから と島津は考えた…



No.241 15/06/29 21:54
名無し2 

>> 240 そんなある日。

このままではいけないと思った島津は

何でも屋

をしようと思いついた。

島津が流郷に何でも屋をやりたい

と胸の内を話すと

流郷は快諾してくれた…




No.240 15/06/29 02:21
旅人 

>> 239 菜穂子は、島津に抱かれるたびに激しく燃え、結婚していた頃は口にしなかった

「イク…」


という絶頂の言葉を、吐息とともにもらすようになった。


終わったあと、菜穂子自身も、自分がこんなに激しく燃えるのが信じられない気持ちだった。



菜穂子は、島津に寄り添いながら


「早くあなたと由紀と3人で暮らしたいわ…」


と言った。



島津は、菜穂子に申し訳ない気持ちになった…




No.239 15/06/29 02:14
旅人 

>> 238 一方、島津も流郷の家で安穏としていたわけではなく、職探しに必死だった。


菜穂子を抱いたことで、一層島津も、菜穂子と由紀と3人で暮らそうと改めて思っていた。



しかし、島津の職探しは難航していた。



その間も、島津は時々菜穂子と会っていた。




菜穂子は、田沼滋や美恵子や由紀が出掛けてから、島津に電話をかけ、再会したビジネスホテルの部屋で、島津に抱かれた。



島津も菜穂子も、会えば激しく互いを求めあい、時のたつのを忘れるほどに何度も交わるのだった。



島津は、菜穂子を抱きながら、以前の菜穂子は、ここまで激しくもなく、どちらかといえば淡泊なタイプだったはずだが と思った。

だが、考えてみれば、菜穂子も40代で、まだ女盛りであり、加えて11年ぶりに夫に抱かれ、肉体に火がつくのも当然といえば当然でもあった。



島津も、菜穂子の情熱に溺れるように菜穂子を求め、激しく菜穂子の身体を抱いた…



No.238 15/06/28 22:59
名無し2 

>> 237 菜穂子は11年ぶりの島津との夜の事を思い出すと
また体が島津を求めるのであった…

No.237 15/06/28 01:33
旅人 

>> 236 結局、島津と菜穂子は夕方近くまでホテルの部屋にいた。


離ればなれだった11年ぶんの時間を埋めるように、ふたりは互いを求めあい、何度も交わったのだ。

夕方近くなり、菜穂子は身支度を整えて、タクシーで自宅に戻った。


島津は、流郷の診療所の電話番号を菜穂子に教えた。
流郷の自宅には電話がなく、独り身だし診療所の電話で事足りるから と流郷が言っていたからだ。


菜穂子は、タクシーの後部席に、島津との情事の余韻が残った身体をもたせかけ、島津とのひとときを反芻しつつも、島津と再会したことは、父の田沼滋にも、母の美恵子にも、娘の由紀にも、しばらくはだまっていたほうがいい と考えた…



No.236 15/06/28 01:20
旅人 

>> 235 終わったあと、ふたりは裸のまま、しばらくベッドの中で抱きあっていた。



島津も菜穂子も、肌が汗ばんでいた。



島津は、菜穂子を抱いて、もう菜穂子と離れまいと心に決めた。



菜穂子も、島津の汗ばんだ胸に顔を埋めて、もう離れまいと思っていた。



島津は、菜穂子や由紀のために、早く仕事を見つけようと決意した。


島津は言った。


「もう、君を離さない、離すまいと、君を抱いて思った…。君と由紀のために、早く仕事を見つけようと思う。仕事が決まれば、由紀と3人で暮らそう」



菜穂子は頷いた。


そしてそのまま唇を重ね合わせ、島津は再び菜穂子を抱いた…




No.235 15/06/28 01:11
旅人 

>> 234 菜穂子がそう言って島津の胸に顔を埋めてくると、島津は再び菜穂子を抱きしめ、唇を重ねた。


ふたりは口づけをしながら、そのままそばにあるベッドに倒れこみ、島津は菜穂子の唇を離すと、菜穂子の首筋に唇を這わせながら、菜穂子のワンピースを脱がせていった。



菜穂子は、島津にされるままになっている。



島津は、菜穂子のワンピースや下着を脱がせて裸にすると、自分も服を脱いで、裸の菜穂子を抱きしめた。


菜穂子は


「恥ずかしいわ…」


と言ったが、菜穂子の身体は昔とほとんど変わっていなかった。

由紀を産んだとは思えないぐらいの細い腰で、胸もあまり大きくはなく、少女めいた身体つきの菜穂子だった。


「きれいだよ…、菜穂子…。昔とちっとも変わっていない…」



そう言って菜穂子と唇を合わせると、今度は菜穂子のほうから強く唇を吸ってきた。



島津は、11年の間、女を抱いたことは一度もなかった。

ホームレス生活だったので、女が寄ってこなかったためだったが、菜穂子以外の女をだく気になれなかったためもあった。


菜穂子も、11年の間、他の男に身体を許すこともなかった。



抱きあったふたりには、そのことがわかった。


どこかぎこちなかったが、ふたりは肉体のふれあいで愛を確かめあい、菜穂子は島津に抱かれてのぼりつめた。



島津と菜穂子はほぼ同時に果てたのだった…






No.234 15/06/27 23:36
名無し2 

>> 233 島津『しかし俺は…
今の状態では

由紀にもお父さんにも

合わせる顔が無いんだよ。』

島津はため息混じりに

菜穂子の肩を少し離し

悲しそうに言った。
菜穂子『じゃあ私もあなたに付いていきたい…』

島津『菜穂子…』

島津は菜穂子の言葉にしばらく涙が止まらなかった…




No.233 15/06/27 15:45
名無し2 

>> 232 島津『菜穂子…ずっと寂しい思いをさせてしまってすまない。』

菜穂子『ずっと…ずっと、信じていたわ。あなたがまた帰って来てくれるって。』

島津は力一杯菜穂子を抱きしめた。

菜穂子の涙は島津の胸元を温かく濡らした…



No.232 15/06/26 20:27
旅人 

>> 231 西田は、いつの間にかそっと部屋を出ていった。



立ったまま泣いている菜穂子を、島津は抱きしめた。



「菜穂子…、11年前と少しも変わっていない…」




「あなたは、少し痩せたみたい…、でも、今までどうしていたの…?」



島津は、菜穂子を抱きしめたまま


「あれからいろいろあったんだ。今だって、再起したいと思いながらもふがいないことに無職なんだよ…」



と、言った…




No.231 15/06/26 19:33
名無し2 

>> 230 菜穂子の目からポタポタと涙が流れ落ち

『元気そうで…』

菜穂子はそこまで言うともう

胸がいっぱいになり

言葉が出なくなった…



No.230 15/06/26 09:49
旅人 

>> 229 島津が

「はい…」


と返事をしてから、ドアの魚眼レンズで覗いてみると、西田が見えた。

西田の後ろに人がいるような感じもあったが、魚眼レンズでははっきりとはわからなかった。


島津はドアをあけた。


西田の後ろには、菜穂子が立っていた。



「あなた…」




「菜穂子…」




ふたりはその場に立ったまま見つめあった…


No.229 15/06/26 07:13
名無し2 

>> 228 その時島津はビジネスホテルの部屋の中で

本当に菜穂子が来てくれるのだろうか

と考えて

落ち着きなく狭い部屋の中をいったりきたりしていた。

その時部屋をノックする音がした…




No.228 15/06/25 22:27
旅人 

>> 227 西田は


「島津さんの居どころがわかったのも、つい最近で、偶然だったんです。島津さんは、菜穂子さんのことをある場所で待ってるんですよ。私は夕方には車で旦那さまの迎えに行かなければなりません。私がご案内しますから、早く支度をして下さい…」


と菜穂子に言った。


菜穂子は、急いで自分の部屋にいき、少し化粧を直してから、白を基調としたワンピースに着替えた。


そして、西田の車に乗った。




車は、島津が待つビジネスホテルへと向かった…



No.227 15/06/25 22:16
名無し2 

>> 226 西田の言葉に菜穂子 は

『え…あの人が…?』

と目を見開いた…




No.226 15/06/25 14:43
旅人 

>> 225 西田は


「菜穂子さん、実は…、菜穂子さんだけにお話しますが、島津さんの居どころがわかったのですよ」



と切り出した…




No.225 15/06/25 12:36
名無し2 

>> 224 西田『菜穂子さん、実はですね…』

菜穂子『どうなさったんですか?西田さん。』

菜穂子は何時もと違う様子の西田に

紅茶を差し出し

ソファーへ座るように促した。

西田の額には汗が滲んでいた。

西田はポケットからハンカチを取り出すと

額の汗をふき取り

紅茶が置かれた席へ座った…



No.224 15/06/25 07:00
名無し2 

>> 223 〃コンコン〃

『菜穂子さん、居られますか?』

声はやはり西田だった。

菜穂子『どうぞ、お入りください。』

西田は意を決してリビングルームの中へ入った…




No.223 15/06/24 07:08
名無し2 

>> 222 菜穂子が感慨に浸っていると

誰かが帰って来た音がした。

菜穂子は慌てて涙を拭いた。

菜穂子はその足音を聞いて

すぐに西田だと分かった。

足音は珍しく菜穂子がいるリビングへと向かって来た…




No.222 15/06/23 22:15
名無し2 

>> 221 島津を思いながら紅茶を飲む菜穂子の瞳から

堪えきれずに涙が落ちた…



No.221 15/06/23 14:22
旅人 

>> 220 島津は、ストレートの紅茶が好きで、菜穂子はよくスコーンを焼いた。


輸入食器会社を経営していた島津は、食器にもうるさく、食器はすべて輸入物で、日本でもよく知られたブランドのものばかりが揃っていた。



島津は、ストレートの紅茶を、ウエッジウッドのティーカップで飲み、菜穂子が焼いたスコーンでティータイムを楽しんだ。


当時、社長業が忙しく、時には仕入れで海外に行くこともあった島津にとって、菜穂子の焼いたスコーンで紅茶を飲むひとときは、一番心休まる時でもあった。



紅茶のおかわりを注ぐ菜穂子の手をつかみ、自分に引き寄せて、菜穂子を抱きしめ、唇を重ねることもあった。


菜穂子は、島津が好きだったストレートの紅茶をひとりで飲みながら


あの人がいなくなってから、スコーンを焼くこともなくなったわ


あの人はよく、買いつけのためにイギリスにも行ってたけど、イギリスのホテルで出されるスコーンよりも、私のスコーンのほうがおいしいとよく言ってくれた…



そう言って私を抱きしめてくれた…



菜穂子は、猿渡と会った翌日だからか、なぜか島津のことばかり思い出すわ と思っていた…



No.220 15/06/23 12:26
名無し2 

>> 219 菜穂子は西田がそのような事を考えているなどとは

思いもしないで

1人きりの家の中で
〃あの人も紅茶が好きだったな…〃

と思いながら紅茶を飲んでいた…



No.219 15/06/23 02:33
旅人 

>> 218 西田は、田沼滋を車から下ろしてすぐに、島津と連絡を取り、駅前にある小さなビジネスホテルの部屋に菜穂子を連れていくから と言った。



島津は驚いたが、島津も、恋しい妻の菜穂子に会いたかった。



流郷の服を借り、多少こざっぱりした姿になった島津は、西田の名前でとってあるビジネスホテルの部屋に入り、菜穂子を待った…




No.218 15/06/23 02:28
旅人 

>> 217 由紀が登校して、田沼滋も用事で西田の車で出掛けていった。


母の美恵子(由紀には祖母)も、タクシーを呼び、趣味の会に出掛けていった。


広い家に菜穂子ひとりだった。



菜穂子は、猿渡が今度何か言ってきても断ろうと決めていた。



そこへ、西田が帰ってきた。



田沼滋の用事が終わる頃迎えに行けばよいので、一旦帰ってきたのである。



島津と菜穂子を会わせるために…



No.217 15/06/23 02:22
旅人 

>> 216 子供だった由紀は、時おり、父と母がキスをしている場面も垣間見たこともあった。



父と母は、由紀が見ているとは知らず、服のままではあったが、父は母を抱きしめ、唇を重ねていた。


唇を離したときに、母はうっとりと父を見つめ、今度は母のほうから父に唇を寄せていき、ふたたびふたりはキスをするのだった。



幼かった由紀は、ふたりが何をしているのかもわからなかっだが、そんな光景にドキドキし、同時にふたりの幸せそうな姿が強烈に胸に焼きついていたのである。


父と母は、愛しあっていたんだ


だから、母が猿渡と再婚なんて考えられないことだわ


そう思いながらも、由紀は、将来奏と結婚した時のことを想像し、想像の中で、あの時の父と母の光景に、自分と奏を重ね合わせ、少し顔を赤らめた…




No.216 15/06/23 02:08
旅人 

>> 215 次の日、由紀と奏は、ふたりで仲良く登校していった。


由紀は奏に


「昨日はごめんなさい。本当は奏くんと一緒に図書館で勉強したかったんだけど、お母さんの用事で…」

と言った。


奏は、


「気にしてないよ。それよりもきょうは一緒に帰ろう。昨日の夕方は、由紀の家に行けなかったし、由紀の家で一緒に勉強したいんだけど…、いいかな…?」


と言った。



田沼滋から交際を認められてから、奏は時々由紀の家に行っていたが、田沼滋の言いつけを守って、決して由紀とふたりきりになることはなく、必ず祖母の美恵子や、菜穂子や田沼滋の目の届くリビングで勉強したり、ゲームをしたりしていた。


由紀も、学校の友達から、同年代の男子は、性に対して興味を持ち、彼女が出来れば、そういう関係になりたがるものだということは聞いていた。


昨日の大輔の視線も、そういう視線だったのかもしれない…


と由紀は思っていた。



奏にも、そういう欲望があるのだろうか


あっても、決して態度に出さず、いつも私のことを大事にしてくれてる…



由紀は、そんな奏が好きだった。



由紀も、高校卒業して、奏と同じ大学に進学し、大学を卒業したら、奏と結婚したい と思っていた。



奏くんと結婚して、お父様とお母さまみたいな夫婦になりたい…



まだ父親の島津が蒸発する前、由紀は子供だったが、子供だった由紀の目にも、父と母は仲がよい夫婦に見えた。


父も母も、お互いのそばにいるときは、この上なく幸せそうだった…








No.215 15/06/22 07:03
名無し2 

>> 214 西田は菜穂子達に島津の居所が分かった事を言いたくて仕方なかったが

その夜は自分の胸の中にしまっておいた。
そして何とかして島津と菜穂子達を会わせたいと考えていた…


No.214 15/06/21 22:53
旅人 

>> 213 菜穂子は、別に由紀のためというわけでもなく、本心で言った。


猿渡は確かに話題も豊富で一緒にいても楽しかったのだが、島津のように、黙っていても気まずくもなく、自然でいられる という感じはなかった。


もちろん、食事をしたのが初めてだから というのも多少はあるのだろうが、島津と出会ったばかりの頃、波長が合う とすぐに感じたのだから、猿渡にはそういう感じはなかった。



やはり、何かが違う… と菜穂子は思ったのだった…



No.213 15/06/21 22:42
旅人 

>> 212 菜穂子「寮に…!?でも寮に入れるのは、遠くて自宅から通学できない人たちだけだって決まりがあるでしょう?あなたはちゃんと電車で通える距離なんだから、学校の許可がおりるわけないのよ…」



由紀にもそれは充分わかっていたのだが、母が猿渡と再婚して、あの粘っこい視線を向けていた大輔と暮らすのは嫌だったのだ。


菜穂子「それに…、お母さんは猿渡さんと再婚なんてしないわ。きょうはおじいさまの頼みだったから出掛けただけ…。由紀は心配しなくてもいいのよ」



菜穂子の返事を聞いて、由紀だけでなく、西田もホッとしていた…




No.212 15/06/21 22:20
名無し2 

>> 211 菜穂子は由紀を見つめながら

『猿渡さんはいい人だと思うんだけどね…由紀はどう思う?』

由紀『私は…母さんが再婚するなら

私は学校の寮で暮らそうかな。』…



No.211 15/06/21 17:57
旅人 

>> 210 由紀は思っていた。


猿渡と母が再婚すれば、あの大輔が自分の義弟になって、同じ屋根の下で暮らすんだ…



結構イケメンで、おとなしそうな感じの大輔だが、由紀は、時おりむけられていた粘っこい視線に気づいていた。


母親が再婚して同居すれば、何か嫌な予感がする…




由紀は、猿渡自身は、特に何とも思わなかったのだが、大輔のことがあまり好きになれなかったのである…



No.210 15/06/21 16:35
名無し2 

>> 209 菜穂子と由紀は西田の車に乗り込んだ。
そして開口一番に由紀が

『お母さん、猿渡さんと再婚するの?』

その問いかけに西田も耳を傾けた…



No.209 15/06/21 08:39
名無し2 

>> 208 デザートも食べ終わり

由紀にとっては苦痛の時間が

ようやく終わった。
猿渡『今日はきてくださってありがとうございました。

次回は是非我が家へ遊びにきてください。』

菜穂子は満更でもない笑顔で

お礼を述べた。

由紀も笑顔でお辞儀をした。

その笑顔は猿渡に対するものではなく

ようやくこの場から解放された

嬉しさが無意識に由紀を笑顔にさせていた…



No.208 15/06/21 01:58
旅人 

>> 207 そうこうしているうちに、菜穂子と由紀を迎えに行く時刻が迫ってきていた。


西田は、何とか菜穂子だけを島津と会わせたいと考えていた。



一方、食事も終わり、デザートも食べ終わって四人はお茶を飲んでいたが、やはり大輔は、時おり由紀に淫らな視線を向けていた。


親父が再婚したら、ひとつ屋根の下で暮らすわけだから、やれるチャンスだって



いや、こんないい女、それまで待てないや


大輔は中学生ですでに何人かの女とセックスしていたが、相手になった女はたいてい、場合によってはカネで簡単に身体を許すような不良少女か、自分の母親ぐらいな年齢の女で、由紀のような美人で上品な少女ではなかった。


うまくいけば、ひとつ屋根の下で、毎日やりたい放題だよな



由紀は、時おり感じる大輔の視線がたまらなく嫌だった。


西田さんが早く迎えに来ないかな



由紀は思っていた…






No.207 15/06/21 01:33
旅人 

>> 206 西田には、菜穂子を愛していながら、島津がためらう気持ちも痛いほどわかっていた。


西田も、昔、菜穂子にあこがれていたからである。

西田は、菜穂子への気持ちを封印し、田沼滋がすすめる見合いの相手だった広恵と結婚した。
広恵は、菜穂子とちがい平凡な容姿の女だったが、気立てもよく、子供にも恵まれ、それなりに幸せだし、由美子と結婚してよかったと思っている。


だが、菜穂子に対するあこがれは消えることはなく、西田は菜穂子の幸せのためならどんなことでもしようと決めていたのだ。


若かった菜穂子が、島津と恋におち、田沼滋から反対されていても、田沼滋の目を盗んで積極的にデートに協力したこともあったのだ。



西田は、菜穂子の幸せのために というのもあったが、島津とウマがあい、島津を好きになったからでもあった。



西田「島津さん、あなたの気持ちも僕なりによくわかるつもりです。でも、このままでは駄目です。僕に考えがあります…」



西田は、田沼滋や猿渡には極秘で、島津と菜穂子を会わせよう と考えていた…




No.206 15/06/21 01:14
旅人 

>> 205 しかし、現在の島津は、流郷に世話になっていてホームレス上がりの無職の身の上である。



島津も、リゾートホテルやファミリーレストランを経営している猿渡グループのことは知っていた。


そこのオーナー社長と、無職の自分…



いくら菜穂子が自分にまだ気持ちがあるとはいえ、菜穂子の父親である田沼滋が許すはずもなく、明らかに自分に分が悪い。


菜穂子…



思わず握りしめた拳だったが、黙って握りしめた拳を見ている島津だった…





No.205 15/06/20 23:01
名無し2 

>> 204 西田『このままでいいんですか?島津さん。』

島津は明らかに動揺していた。

西田『菜穂子さんが今まで再婚しなかったのは

あなたにまだ気持ちがあるからだと

私は思いますよ。』
西田の言葉に島津は拳をギュッと握った…




No.204 15/06/20 22:03
旅人 

>> 203 島津「西田くん、猿渡って誰なんだい?」



西田は、先走って話してしまったことに気づき、菜穂子のおかれている状況を、島津にかいつまんで説明した。


猿渡は、猿渡グループのオーナー社長で、7年前に妻を亡くした男やもめで、由紀よりは年下だが由紀とさほど変わらない年齢の息子がいること



お互い子持ち同士で、年齢的にも釣り合いが取れているから、田沼滋が乗り気であること



菜穂子は、義理で猿渡との見合いに行き、断りの返事をしたのだが、猿渡のほうは菜穂子を諦めずにアプローチをしていること


最近は、菜穂子のほうもまんざらでもなさそうなこと



西田の話を聞いた島津はやはり驚いた…









No.203 15/06/20 21:47
名無し2 

>> 202 西田『早速なんですがね、菜穂子さんのことなんです。』

島津『菜穂子の?』

西田『ええ。実は菜穂子さん、由紀さんも一緒に

今日猿渡と会食をしておられましてね。』

その西田の言葉には猿渡への嫌悪感が含まれていた…




No.202 15/06/20 20:33
旅人 

>> 201 島津も西田も、11年ぶりの再会ではあったが、お互いほとんど外見が変わってなかったことに驚いていた。


西田は、もともと少し太めな体型だったが、さらに少し太めになっていたが、反対に島津はあの頃より少し痩せていた。



体力が完全に回復していないせいもあるのかもしれないが…。




島津「流郷さんの家だけど、立ち話もなんですから、とりあえず上がりませんか?」


西田は、それもそうだと思い、ひとまず上がることにした…



No.201 15/06/20 18:55
名無し2 

>> 200 流郷は診察中だった為、玄関に出てきたのは島津であった。

それは西田と島津の11年ぶりの再会だった。
西田を見た島津は

『あ…西田さん。』
と驚いた顔をした。
西田『島津さん…。お久しぶりです。大変不躾ではありますが

あなたに会ってお話したいことが有りまして

あなたを捜していたんです。』…




No.200 15/06/20 12:27
名無し2 

>> 199 そこへ西田がやって来た。

西田はこの前来た時は、島津に会うのをためらい

確かにそれが島津だと確信して、そっと帰ったのであった。
西田は緊張しながらも

流郷の家のベルを押した…



No.199 15/06/19 22:47
旅人 

>> 198 一方、島津は、だんだんと体力も回復し、少しずつ起き上がれるようになっていた。


流郷は、友人の五十嵐からも、それとなく島津の身の上を聞いていた。
だが、島津の前では、何も知らないように振る舞っていたが…。



流郷は、島津が最初、土管の中で寝ていたことを思いだし、すべてを察した。


流郷は島津に言った。


「もしも、仕事もなく、行くところもないのならしばらくここにいませんか…。ごらんのとおりのちっぽけな町の診療所だし、看護師も置けないぐらいの貧乏医者なんで、彼女もいないし結婚だってしてないんですよ。ひとり暮らしだから気兼ねはいりませんよ。庭の草むしりとか、結構やることもあるし、できることをしてくれたらいいんです」


狭い診療所の裏には、多少老朽化はしているが、流郷の自宅になっている平屋の家があるので、島津とふたりで暮らしても問題はなさそうだった。



島津は、流郷の申し出を受けることにした…


No.198 15/06/19 22:11
名無し2 

>> 197 西田は猿渡という男があまり好きではなかった。

今日菜穂子と猿渡が家族ぐるみで

会食をするのも

あまりいい気持ちがしなかった。

そのこともあり、先日突き止めた

島津に今一度問いかけたかった。

このままでいいのかと…



No.197 15/06/19 15:34
旅人 

>> 196 西田は、夕方に、菜穂子と由紀を車で迎えにくることになっていた。



それまで時間があるので、西田は、流郷の診療所へ行ってみよう と考えていた…




No.196 15/06/19 15:28
旅人 

>> 195 大輔は、由紀の、ソフトクリームをスプーンですくって口に運ぶ様子を、エロチックに感じ、






嫌がる由紀を犯すうちに、由紀のほうが感じてきて、動物的な交わりを楽しむ







という、淫らな想像をしていた。




由紀は、何となく、大輔の視線が嫌で、早く家に帰りたくなっていたが、菜穂子は猿渡と楽しそうに話していた。




菜穂子も、ソフトクリームを食べて


「とてもおいしいですわ」



と、笑顔になった…




No.195 15/06/19 12:25
名無し2 

>> 194 猿渡の話は尽きることがなかった。

4人は一見すると普通の家族に見えた。
メインディッシュを食べ終わると

デザートにソフトクリームが出てきた。
猿渡『これは当店自慢のソフトクリームなんですよ。』

と相変わらず笑顔ですすめてきた。

由紀がソフトクリームをスプーンで口に運ぶと

息子は由紀の口元をじっと見ているのであった…



No.194 15/06/19 10:24
旅人 

>> 193 由紀は、最初のうちは特になんとも思わなかったのだが、時おり感じる大輔の視線に、何とも言えない不快感を感じていた。



ちょっとおとなしめな感じの普通に顔立ちのいい少年なのだが、時おり、何気なく、すれた感じの表情をしたり、無遠慮な視線を向ける。



菜穂子のほうを見ると、菜穂子は猿渡の話に楽しそうに相槌を打っていた…



No.193 15/06/19 02:25
旅人 

>> 192 猿渡の妻は、大輔が7歳の時に病気で他界したが、猿渡は、社長として仕事に追われる毎日だったので、大輔の世話は家事代行の人間に任せっぱなしだった。


猿渡は、仕事でかまってやれない負い目と、母親のいない寂しさを、豊富な小遣いで補っていた。



そのため、大輔は、父親の幸三の前ではいい子を演じていたが、裏ではかなり遊び放題で、中学生でありながら、酒やタバコもひととおり経験し、すでに何人かの異性と遊びで肉体関係も持っていたのだった。



大輔も、猿渡に似てそこそこ顔立ちもよかったことと、豊富な小遣いで遊んでいるうちに、ちょっと柄のよくない高校生たちと知り合い、つるんで遊ぶようになったせいもあったため、異性とセックスするチャンスも生まれたのである。



大輔は、




親父が再婚したら、この女が俺の姉さんになるのか



こんな美人の姉ができて、同じ家に暮らせば、うぶな弟を装おって、夜中に部屋に忍び込むか、誰もいない時に無理矢理やっちまうとか…




不良高校生たちとつるんで遊んだとき、大輔は、強姦に近いようなこともやったことがあったので、なに食わぬ顔で食事をしながら、由紀を無理矢理押さえつけ、犯す想像をしていたのだった…




No.192 15/06/19 02:04
旅人 

>> 191 それから、四人がけのテーブルで、食事がはじまった。


菜穂子の向かいの席に猿渡が、由紀の向かいの席には大輔が座った。


猿渡は、食事中も菜穂子に何かかにかと話しかけ、菜穂子が相づちをうつ。



由紀はあまり口もきかず、食事をしていたが、同じようにあまり話さず食事をしている大輔は、由紀のことを粘っこい視線でチラチラと見ている。



大輔も、中学生で、性に関心のある年頃だった。



大輔は由紀のきれいな顔立ちや、ワンピースの上からふんわりと膨らんだ胸元に、粘っこい視線を這わせ、由紀の裸を想像しながら食事を楽しんでいた…



No.191 15/06/19 01:56
旅人 

>> 190 そして日曜日。



待ち合わせは猿渡グループが経営するファミリーレストランのひとつで、時間は正午だった。



菜穂子はラフすぎず、フォーマルすぎでもない藤色のワンピースを着ていた。
藤色のワンピースは、色白の菜穂子によく似合い、菜穂子をより美しく見せていた。



由紀も、上品な感じのワンピースを着ていた。



ふたりが西田の運転する車で、指定されたファミリーレストランに到着すると、スーツにネクタイの出で立ちの猿渡がすでに到着していた。



「やあ、菜穂子さん。きょうは来てくれてありがとう。そのワンピース、とても素敵ですよ。きょうの菜穂子さんはとても美しい…」


と猿渡は感激した口調で菜穂子に言ってから由紀を見て



「由紀さんですね。初めまして。猿渡幸三といいます。横にいるのは息子の大輔です」



そう言われて由紀は、猿渡の横にいた大輔を見たが、何となく、大輔が、品のよくない表情をしているのが気になった…








No.190 15/06/19 01:40
旅人 

>> 189 由紀は奏に


“今度の日曜だけど、お母さまの用事につきあわなくてはいけなくなったの、ごめんね”



とラインした。



しばらくして奏からラインがあり、


“いいよ。また来週でも一緒に図書館に行こう。よかったら夕方、家に行ってもいいよ”


との返事だった。



由紀は奏のラインの返事が嬉しかった…




No.189 15/06/19 01:33
旅人 

>> 188 猿渡が指定してきた日は日曜日だった。



由紀にその話をすると、由紀はちょっと難色を示した。


その日は、奏と一緒に図書館で勉強しながらデートの予定だったからである。


奏と由紀は、田沼滋から認められ、一緒に登校だけでなく交際することも許されていた。


ただし、節度を守れ とは言われていた。


要するに、高校生で肉体的なつきあいはするな ということである。



奏も高校生で年頃の健全な男子である。



ひとりのときは、由紀の身体のことを想像することもあるし、由紀にキスしたい、裸になった由紀を抱きたい と考えることもあった。




だが、奏は、そう思いながらも、田沼滋が交際を許可してくれたことが嬉しかったので、田沼滋を裏切るようなことはすまい と心に決めていた。



それだけでなく、由紀を心から大切に思うようになっていたこともあった。


まだ今は高校生だけど、大学に入って、就職したら由紀と結婚しよう と奏は思っていたのだ…



No.188 15/06/19 01:17
旅人 

>> 187 それから数日後のことである。


田沼滋が菜穂子に


「この前、猿渡さんから連絡があってな。見合いは断られたが、やはりどうしてもお前のことが忘れられないから、せめてもう一度チャンスをくれないか と言ってきたんだよ。一度だけデートしてほしいと…。そして、息子も連れていくから、お前も由紀を連れてきてほしいと…。子供たちが一緒なら危なくもないだろうからって。そこまで言ってくれてるんだから、一度ぐらいは猿渡さんとデートにつきあってもらえんかね…」



と言ってきた。



菜穂子は、ちょっと憂鬱な気持ちだったが、由紀も猿渡の息子も一緒なら と思い、OKの返事をした…




No.187 15/06/19 00:34
旅人 

>> 186 由紀は

「お母さまは、猿渡さんを好きなの…?」


と、菜穂子に聞いた。



菜穂子は


「いいえ、私が好きなのは、あなたのお父様だけよ…」


と答えたが、猿渡本人は決して嫌なタイプではないし、嫌い というわけでもなかった。



猿渡グループのオーナー社長でもあり、子持ちだが、魅力的ではある。



菜穂子は



夫さえ帰ってきてくれたなら…



と思わずにはいられなかった…





No.186 15/06/18 22:11
名無し2 

>> 185 その日の夜。

菜穂子が猿渡から貰った薔薇の花を

花瓶に生けていると
由紀が

『また貰ったの?』
と菜穂子に言った。
菜穂子は『また置いてあったのよ。』

と苦笑いするのであった…



No.185 15/06/18 18:26
旅人 

>> 184 菜穂子のほうも、猿渡からのアプローチに対し、徐々にではあるが、気持ちが動きかけていた。


確かに、猿渡のほうも初婚ではないし、由紀より3歳下の息子もいる。


子持ち同士だから、由紀を連れて再婚してもさほど遠慮する必要はない。



夫の島津が行方不明になってもう11年。



菜穂子の心は、時に激しく乱れた…











No.184 15/06/18 18:19
旅人 

>> 183 求婚者の猿渡幸三は、年齢は50歳。


田沼滋がすすめてきた再婚相手候補のひとりだった。


リゾートホテルやファミリーレストランを経営する猿渡グループのオーナー社長であったが、7年前に妻を亡くし、子供は、中学生の息子がひとりの男やもめであった。


猿渡幸三は、半年前、見合いの席で菜穂子を見初め、田沼滋に菜穂子との縁談を積極的に働きかけていた。


菜穂子は、父親の田沼滋に泣きつかれ、見合いだけなら としぶしぶ出かけた席だったのだが…。



田沼滋も、猿渡との縁談にはかなり乗り気であった。


「向こうにも、由紀と年齢の近い息子がいるんだし、子持ち同士なら気がねもいらないし、なんたって猿渡グループの社長なんだから…」



しかし、やはり菜穂子は、猿渡に断りの返事をした。



猿渡も、年齢のわりには若く見え、島津ほどではなかったが、まずまずイケメンの部類に属する顔立ちだし、43歳の菜穂子とも年齢的にはまずまず釣り合いもとれている。


だが、菜穂子の胸には、夫の島津への愛が消えることなく残っていた。



猿渡は、断られても諦めず、菜穂子にアプローチを続けていたのだが…



No.183 15/06/18 16:15
名無し2 

菜穂子はこの

押しの強い男に

少しずつ気持ちが傾きかけてきていた。
男は毎日のようにチャイムを鳴らした後、玄関先に花束を置いて帰るのだ。

島津を思いつつも
菜穂子はその美しい花束を複雑な気持ちで見つめた…



No.182 15/06/18 12:27
名無し2 

>> 181 西田が島津の所在を突き止めたなど知る由もない菜穂子は

1人の男性から熱烈なアプローチを受けていた。

その日の夕方も玄関のベルがなった。

菜穂子はまた来たのか

と思いながら玄関に出てみると

やはり今日も薔薇の花束が玄関先に置いてあった。
それにはメッセージがついている。

〃君がイエスと言ってくれるまで僕は諦めないよ〃…



No.181 15/06/17 15:08
名無し2 

>> 180 西田は
島津に会いたいから
ついて行きたいと

流郷に頼んだ…



No.180 15/06/17 08:35
旅人 

>> 179 男は、五十嵐の友人の医師・流郷だった。



「私は、流郷誠といいます。小さな診療所を開いている医師です。
島津さんはこの土管の中で、肺炎をおこしかけていて、かなり危険な状態だったのです。幸い、私の友人が島津さんを見つけ、私の診療所に運んだので、もう危機は脱して、最近では少しずつ体力も回復していますが…」


流郷の言葉に西田は驚いた…




No.179 15/06/17 07:08
名無し2 

>> 178 男『今、そこにいた男性を1人保護しています。その人は島津という人です。』

西田『島津…私が捜している男性も島津という人なんです。』…



No.178 15/06/16 22:01
名無し2 

>> 177 辺りはもう薄暗くなりかけていた。その男は西田をみると新入りのホームレスだと思ったらしく
『こんばんは。』

と声をかけてきた。
西田はちょっと戸惑いながら

『あ、こんばんは。あ…いえ、あの…ちょっと人を捜しているんです。多分ここに居たはずなんです。』

と、返した…



No.177 15/06/16 20:03
旅人 

>> 176 見ると、島津ではなかったが、30代半ばぐらいの年齢の、見知らぬ男だった…



No.176 15/06/16 12:38
名無し2 

>> 175 西田は一時間くらいその場で待ったが

一向に島津が帰って来る気配は無く

今日はもう帰ろうとしたその時

誰かがこちらの方へ歩いてくる気配を感じた…



No.175 15/06/16 07:10
名無し2 

>> 174 西田は島津がこの場所へ必ず帰って来ると確信し

しばらくその場で待ってみた…



No.174 15/06/15 00:44
旅人 

>> 173 ニーチェの原書は、亡き島津の父親が、まだ中学生だった島津に与えたものだった。


中学生の島津には、全くわからなかったが、父親は


「大人になったらな、これを読めるようになれよ」


と、島津に言ったのを覚えている。



奇しくも、ニーチェの原書をもらってから間もなく、島津の父親は交通事故で突然他界した。



島津の父親は公務員だったので、母親とふたり残されても、生活にさほど困ることはなかったが、島津には、ニーチェの本と、父親の言葉がいつまでも胸に残っていた。


高校卒業後、本格的に語学を勉強したのも、父親の言葉が胸に残っていたせいもあった。



そして、原書を読めるようになった時、島津は感銘を受けたのだった。



語学を必死で勉強したおかげで、後に自分で輸入食器会社を興した時に大いに役立ったのだが…





No.173 15/06/14 22:30
名無し2 

>> 172 その頃当の島津は

随分体調も良くなって来ていた。

そしていつも持ち歩いていたニーチェの本が無いことに気がついた。

ボロボロな本だが島津にとって

その本は宝物なのであった…


No.172 15/06/14 21:48
旅人 

>> 171 果たして、そのニーチェの本の裏表紙の中には


Masahiko S




のサインがあった…




No.171 15/06/14 21:43
名無し2 

>> 170 西田が空いた時間に工事現場の聞き込みを初めて

6件目で島津らしき男が数日前から

姿を見ないという情報を掴んだ。

西田がそのあたりを探しているうちに

あるヒューム官の中にニーチェの本を見つけた。

西田はその本を見た瞬間に島津の物だと感じた…



No.170 15/06/14 12:37
名無し2 

>> 169 菜穂子も由紀も一日たりとも父親のことを

忘れたことはなかった。

菜穂子には沢山の男たちが

言い寄って来ていた。

中には素敵な男性もいたのだが

断り続ける母親を由紀は

複雑な思いで見ていた…



No.169 15/06/14 04:37
旅人 

>> 168 ただ、元のさやに収まるには、田沼滋のことと、島津の経済力という壁はあるが、それさえ乗り越えられたら と西田は考えていた。


田沼滋から何度となく再婚話を持ちかけられても断り続けているのは、やはり菜穂子は島津のことを愛していて、島津のことを待っているからだと思うからだった。



西田も、島津に会いたかった。



こうなったら、なんとか手がかりをつかんでみせる と西田は決意した…



No.168 15/06/13 21:54
名無し2 

>> 167 西田は島津が現在どんな生活を余儀なくされているのか

大体想像がついた。
西田は島津の年齢を考えても

菜穂子や由紀の気持ちを考えても

元のさやに戻るのが一番良いのではないかと思い悩んだ…



No.167 15/06/13 01:43
旅人 

>> 166 男は


「さあなあ…、現場の仕事が終わってみんな散り散りになっちまったしなあ。どっかの安宿に泊まってるみたいなこと言ってたがなあ…」



と西田に言った。



西田は


「そうですか…」


と言った。



結局、手がかりはつかめなかった…




No.166 15/06/12 22:50
名無し2 

>> 165 西田『その人、今どこにいるか分かりませんか?』…




No.165 15/06/11 21:57
名無し2 

>> 164 男は続けた。

『そいつ酔って

俺の女房はいい女だったな~。

ってしみじみ言ってたよ。』…



No.164 15/06/11 15:22
旅人 

>> 163 工事もほぼ終了し、ほとんどの作業員が、散り散りになってしまい閑散とはしていたが、それでも何人かの作業員が残っていた。


西田が聞いてみると、


「何しろ現場のヤツなんて大勢いたから、いちいち名前なんか覚えてないしなあ~」


といった答えがほとんどだった。



だが、その中のひとりが


「あぁ、そんな感じな人だったら覚えてるよ。仕事終わってからよく一緒に屋台で安酒飲みにいってさあ~」


と西田に言った…



No.163 15/06/11 12:37
名無し2 

>> 162 その頃運転手の西田は

先日見かけた作業員が島津ではないかと思い

その工事現場の作業員に

島津の事を聞いてみた…


No.162 15/06/10 23:02
旅人 

>> 161 それからは、奏と由紀は、一緒に電車に乗り、仲良く登校するようになった。


だんだんと登校だけでなく、ふたりは帰りも一緒に帰るようになった。



駅でおりてふたりでいろんなことを話すようになった。


そして由紀が奏に


「これからは、桂川くんのこと、奏くん って呼んでいい…?」


と言ったので、奏も



「じゃあ僕も、ふたりのときは 由紀 って呼んでいいかな?」


と言ってみると、由紀は頷いた…




No.161 15/06/10 22:57
旅人 

>> 160 そして日曜日。



奏は、由紀の家で昼食に招かれた。



田沼滋と妻(由紀にとっては祖母である)の美恵子、菜穂子と由紀がいた。


奏は緊張していたが、田沼滋は、奏を見て、もう由紀との登校は許そうと決めていた。

今時の高校生のような浮わついたところもない奏のことを、田沼滋はかなり気に入り、ランチが終わってから


「これからはときどき遊びにきたまえ。由紀とは明日から学校に一緒に登校してもらいたい。よろしく頼むよ、桂川くん」



と奏に言った。




奏も由紀も、田沼滋の許可をもらい、本当に嬉しかった…







No.160 15/06/10 22:20
名無し2 

>> 159 その男子中学生は

女子に

『お先に~!』

と言いながら追い抜き

抜かれた女子は向きになって

男子と競いながら自転車をこいでいた。
奏は2人が羨ましかった。

自分もあんな風に由紀と一緒に

登校出来たら楽しいだろうなと

しばらく2人を眺めた…



No.159 15/06/09 21:58
名無し2 

>> 158 奏は由紀と一緒に登校出来ないため

再び登校のルートを元に戻していた。

奏が何時もの橋にさしかかると

何時もすれ違う女子中学生が

男子と仲良く競いながら自転車をこいでいた。

奏はその女子中学生がいつぞやの大風で転んで

自分がカットバンをあげた事を思い出していた…



No.158 15/06/09 15:35
旅人 

>> 157 まだ、一緒に登校はできてはいなかったが、田沼滋の態度がかなり軟化していて、今度、奏は田沼滋から自宅に招かれているのである。


もちろん、一緒に登校できてなくても、あれから奏と由紀は毎日ラインでやりとりをしていた。


奏が由紀を好きなだけでなく、由紀も奏に惹かれていた。


由紀は、ラインでやりとりをするうちに、だんたんと奏に心を開き、11年前由紀の父親が母親と離婚して行方不明になり、現在もどこでどうしてるのかわからないことを、奏に打ち明けた。


父親が行方不明になったのは、由紀が6歳で、小学校に入学したばかりの時だった。



奏は、由紀の事情を知り、そんなかげりなど少しも見せない由紀を改めて好きになった…



No.157 15/06/09 15:18
名無し2 

>> 156 その頃奏は

由紀の父親が行方不明である事を

ラインで由紀から聞いていた…



No.156 15/06/09 02:56
旅人 

>> 155 島津「妻の菜穂子と娘の由紀は、今は妻の実家に身を寄せているんだよ。もちろん、妻の実家に行けば会えるかもしれないが、今のこんな姿の私では、会いたくても会えないんだ…」



五十嵐は、島津が妻子の居どころを知ってるのに、会えない気持ちを聞いて切なくなった。


島津「少し前に、興信所を使って、妻や娘が現在どうしてるのかは調査してもらっているんだ。由紀が通う高校の近くに、日雇いの仕事があって、陰ながら娘を見ていたんだ…」



五十嵐は、自分の経験が役に立たなかったことは残念だが、やはり島津のためになんとかしたい気持ちは変わらなかった…




No.155 15/06/08 16:32
名無し2 

>> 154 五十嵐は以前

歯科医の菊池と魂が入れ替わった時

患者のカルテなどから

名前を聞けば大体の地名が分かるほど

広い範囲の土地勘が養われていた。

その土地勘から島津の妻達を探し出そうと考えたのであった…




No.154 15/06/08 10:00
旅人 

>> 153 五十嵐が様子を見に、流郷の診療所に来ていた時、まだ意識が戻っていなかった島津は、菜穂子と由紀の名前をしきりにうわごとで呼んでいたのを聞いていた。


島津「菜穂子や由紀とは、11年前に別れて以来会ってないんだ…」


五十嵐は、島津の切ない気持ちを考えて、なんとかしたい気持ちだった…



No.153 15/06/08 09:54
名無し2 

>> 152 島津は五十嵐に他人の借金の保証人になったばかりに

借金を負わされ

家族を守るために家を出た

いきさつを話した。
五十嵐『島津さん…』

五十嵐は島津の話を聞くうちに

涙があふれ出た。

五十嵐『島津さん、うなされているときずっと奥さんと娘さんの名前を呼んでいましたよ。』…




No.152 15/06/07 22:29
名無し2 

>> 151 島津『あれはたしか…』

聖司『ニーチェの哲学書でした。』

島津『いや~よく覚えているねえ。』

聖司『僕はその本が大好きになりまして、あの後自分でお金を貯めてやっとこさ本を探しあぐねて買ったんです。』…



No.151 15/06/07 12:45
名無し2 

>> 150 島津『そうだ…あの頃聖司くんはまだ子どもで、大学時代に僕が持ち歩いていた本に興味を持って

僕の横に座って難しい本を読んでいたよね。』

五十嵐『はい。しっかり覚えています。あの本が僕の人生を変えたんです。』…




No.150 15/06/07 01:35
旅人 

>> 149 島津「いや、君の気持ちは嬉しいが、君の家には奥さんや子供がいるんだし、そこへ他人の私が図々しく居候するわけにもいかないよ。それに私はまだ完全に回復したわけじゃないから、しばらくはまだここにいなければいけないだろうし…」



あとで、医師の流郷に聞いたところ、島津は肺炎をおこしかけていて、あと何日か発見が遅れていたら生命の危機だったという。


意識が戻って、ひとまず危機は脱したとはいうものの、まだ熱はあり、長年のホームレス生活や慣れない仕事の無理がたたって、体力も弱っていた。


流郷「確かに、もうしばらくはここにいたほうがいいと思う。体力が回復してきたら、また今後のことを考えればいいし、今決めなくてもいいんじゃないか?」


五十嵐は、それも一理あると思った…



No.149 15/06/06 22:52
名無し2 

>> 148 五十嵐『良かったら、家に来ませんか?』…



No.148 15/06/06 20:38
旅人 

>> 147 五十嵐「そうですよ。僕がまだ子供だった頃、島津さんは大学生でしたよね。その頃、父を訪ねてよくわが家に来られてましたね。大学を卒業されて、会社を興す前に商社に就職されて、きれいな奥様と来られた時もありましたね…」


島津「そうだっだね。あなたの父上のお母様のカルさんからもよくしてもらった…」



五十嵐「祖母は今も元気ですよ。ひ孫ができたと喜んでくれて」


島津「ひ孫…、じゃあ、君は結婚したのか…」


五十嵐「はい、去年ですが…」


妻になった五月を嫌いではないし、五月が産んだ女の子・美也子も、肉体的には自分の子に間違いはないのだが、精神的には、五月と、魂が入れかわった康成との間にできた女の子 という気持ちがぬぐえず、さほど可愛いとは思えないのだが、そんなことまで島津に話す必要はなかった…







No.147 15/06/06 19:55
名無し2 

>> 146 島津『五十嵐…さん?』

名前を聞いた島津は
昔五十嵐清十郎に世話になった事を思い出した。

島津『もしかして、あなたは五十嵐清十郎さんのご子息なのですか?』…



No.146 15/06/06 14:18
旅人 

>> 145 流郷の横に五十嵐が立っていた。


五十嵐は、島津の様子をときどき見に来ていたのだが、五十嵐は、島津が、死んだ自分の父親の大学の後輩として、昔よく家に来ていたことを思い出したのだった。


死んだ五十嵐の父親は、面倒見のよい性格だったので、五十嵐の父親を慕って五十嵐の家にはいろいろな人が訪ねていた。


父親の部下だった舅の朝倉俊三や、島津もそうだった。


島津は昔、輸入食器会社の社長をしていて、買い付けのために外国へ行くこともあり、英国やフランス語は堪能だった。


多額の借金を背負って会社は倒産した と風の噂で聞いてはいたが…



五十嵐は、目の前のみすぼらしい島津の姿が信じられない気分だった…






No.145 15/06/06 12:39
名無し2 

>> 144 『私は五十嵐といいます。あなたは覚えていないかもしれませんが、私は昔あなたにお世話になった事があるんです。』…




No.144 15/06/05 15:56
旅人 

>> 143 目が覚めると、島津の目にうつったのは見知らぬ部屋と見知らぬ男だった。


「よかった、意識が戻ったんだね」



額に汗を浮かべたその男は島津を見て笑った…



No.143 15/06/05 12:18
名無し2 

>> 142 毎日社長として激務に追われながらも

菜穂子と由紀がいる家庭は

何にも代え難い幸せな時間だった。

そして数時間後。

島津は誰かが呼ぶ声で目が覚めた…




No.142 15/06/04 21:48
名無し2 

>> 141 島津はうなされながら

菜穂子と由紀の夢を見ていた…



No.141 15/06/04 15:29
旅人 

>> 140 流郷は、必死で島津の手当てをした。


島津は、肺炎をおこしかけていたので、大変だったが、流郷は不眠不休で頑張った。


高熱のため、島津はうわごとで



「菜穂子…、由紀…」



と、何度も妻と娘の名を呼んだ…



No.140 15/06/03 20:19
旅人 

>> 139 流郷のワゴン車の後部には人ひとり寝られるスペースがあり、応急処置ぐらいならできるようになっていた。


流郷は、できるだけゆっくり運転し、島津に負担をかけないように、診療所に運んだ。


診療所は、狭いが入院できる部屋もあり、島津を五十嵐とふたりがかりでベッドに運び、くたびれた洋服を脱がせ、備え付けの入院着に着替えさせた。



五十嵐は、流郷の手伝いが終わると帰っていった…



No.139 15/06/03 20:10
旅人 

>> 138 流郷は、土管の中で寝ている島津を見るなり、

「これは大変だ。かなり衰弱している。あまり動かせないが、このままここに寝かせてもおけないしな。五十嵐、悪いが診療所に戻って俺のワゴン車をとってきてくれないか。ゆっくり運転して診療所に運ぼう」


と、上着のポケットから車のキーを出し、五十嵐に放り投げた。


五十嵐は、キーを受けとると、診療所まで走っていった…



No.138 15/06/03 15:57
旅人 

>> 137 五月は

「今どき“子”のつく名前なんて」

と言ったが、五十嵐が半ば強引に決めてしまったのである。
舅の朝倉には好評だったので、結局五十嵐の主張が通ったのだが…。


そして、もとに戻った康成も、美也子が産んだ男の子に“皐月”と名づけた。

幸い美也子はその名前を喜んだ。


さすがに康成は、五月の名前をそのままの漢字で使うのは気が引けたので、字は変えたのである。


康成も五十嵐も、もとの肉体に戻ったので、当然のことながら、美也子や五月に対する態度も微妙に変化していった。


その話はひとまず置いて、五十嵐は友人の医者がやっている町の医院に駆け込み、事情を説明した。


五十嵐の友人の医者の流郷(りゅうごう)は、五十嵐から事情を聞くと、すぐさま島津が寝ている土管へと向かった…



No.137 15/06/03 10:38
旅人 

>> 136 五十嵐も康成も、あきらめてもとの生活に戻っていった。
一度魂の入れ替わりを体験すると、もう二度と他人とは入れ替われないと、デブッチョ小出から聞いていたからである。

康成は歯医者を再開し、産まれた男の子に“皐月”と名づけたと聞いた。


自分も、五月の産んだ女の子に“美也子”と名づけたのだった…



No.136 15/06/03 10:32
旅人 

>> 135 ふたりが気を失ってる間に、美也子は男の子を、五月は女の子を産んでいた…



No.135 15/06/03 10:31
旅人 

>> 134 産婦人科の前で気を失って倒れていたふたりは産婦人科内に担ぎ込まれ、並んで別の病室に寝かされていたが、同時に意識が戻ったので、お互い顔を見合わせた。



もとに戻っている…



ふたりは愕然とした…

No.134 15/06/03 10:28
旅人 

>> 133 運命のいたずらで、長年忘れられなかった菊池美也子の夫の菊池康成と魂が入れかわってしまい、康成になった五十嵐は、身も心も美也子を愛し、美也子は肉体の悦びを知ると同時に、結婚して10年以上たって妊娠もしたのである。


身体は康成なので、康成の子だが、五十嵐は自分と美也子との子供だと思っている。


自分の身体になった美也子の夫の康成が、自分が以前家庭教師をしていた朝倉五月と結婚して、子供を作っていたのには驚いたが。


そう、同じ時期に妊娠した美也子と五月は、同じ日に産気付いたのだった。



連絡を受けて五十嵐も康成も走って産婦人科に駆けつけたのだが、産婦人科の門の前で思い切りぶつかったふたりは気を失い、魂が入れ替わり、もとに戻ってしまったのであった…



No.133 15/06/03 10:20
旅人 

>> 132 男…、五十嵐聖二は、小さな診療所をやっている医者の友人のもとへ走っていた。



あの時もこうやって走っていたな…



そして、美也子さんのご主人とまたまた魂が入れかわってしまったんだ…



五十嵐の心に、甘く、苦い思い出がよぎった…



No.132 15/06/03 10:16
旅人 

>> 131 見たところ、30代半ばぐらいだろうか


島津は、フランスに強制送還されたミシェルのことをふと思い出した。


男は、


「医者に看てもらうほうがいいと思いますよ。知り合いに医者がいますのですぐに連れてきますから」


と、自販機で島津のために冷たいペットボトルのお茶を買い、島津に渡すとひとまずそこを去った…


No.131 15/06/03 09:45
旅人 

>> 130 島津が熱にうなされながら、声のしたほうを見た。


声をかけていたのは、サラリーマン風の姿をした見知らぬ男だった…





No.130 15/06/03 07:13
名無し2 

>> 129 『あの…もしもし…大丈夫ですか?』

土管の中で高熱を出してぶるぶる震えている島津に

誰かが声をかけた…


No.129 15/06/03 01:23
旅人 

>> 128 仕事があった時は見ていた由紀の姿を見たいと思っていたが、仕事がなくなった直後、慣れない生活のせいか、島津は風邪をこじらせてしまい、熱が高く、医者にも行けず、公園の土管の中で寝込んでいたのだった…



No.128 15/06/03 01:07
旅人 

>> 127 その間も、西田が運転する車での送り迎えは続いていた。

西田は、学校の近くで見た、島津に似た作業員を目で探したが、あの時以降、島津に似た作業員を見ることはなかった。



工事がほぼ完成したので、島津は仕事がなくなってしまったのである。


島津は、工事現場から少し離れた安宿に泊まっていたが、宿賃も底をついたので宿にもいられなくなり、宿を出ていかざるをえなくなって、ホームレス時代のように公園の土管の中や橋の下で眠ったりしていたのだった…




No.127 15/06/03 01:00
旅人 

>> 126 数日後、興信所からの報告書が、田沼滋のもとにひそかに届けられた。


興信所の報告によると、桂川奏の父親は、桂川商事という商事会社の社長をしている。
会社の経営状態も、堅実で、そう悪くはない。

桂川奏の母親は、結婚前はピアノ奏者として交響楽団にいたこともあり、結婚を機に専業主婦になっている。

奏には国立大に通う大学生の兄と、全寮制の私立の中学に通う弟がおり、奏は次男坊である。


子供の頃、身体が弱かったせいで、奏の父親がボクシングジムに通わせいて、現在も運動のために時たま通っている。由紀を助けることができたのもボクシングのおかげだが、普段はボクシングが出来ることなどけぶりにも出さず、成績も学年では上位で、おだやかでやさしく、クラスでも慕われているという、反対する理由を見つけることのほうが難しい高校生だった。


田沼滋は、報告書を見て、もう由紀と一緒に登校することを許す気になっていたが、それでも一度自分の目で桂川奏を見てみたい と思った…



No.126 15/06/03 00:43
旅人 

>> 125 田沼滋は、菜穂子が部屋を出たあとに、西田に

「西田、お前は昼前、その男子高校生を見たんだろう?どんな感じだった?」

と尋ねた。


西田は

「育ちの良さそうな、今どきの高校生らしくない雰囲気でしたが。栄高校の制服を着てましたね」

と言った。


田沼滋は


「確かに栄高校なら、由紀の学校とも近いが…。栄高校は学力レベルも高いし、比較的良家の人間が通っているところだから心配はないと思うが…」

と言ってからしばらくして


「私が昔から信頼している興信所に頼んで、その桂川奏という高校生の身元調査をしてもらおう。菜穂子に返事をするのはそれからでも遅くはない。くれぐれも、興信所の件は菜穂子や由紀には気取られないようにな…」

と言った…







No.125 15/06/03 00:32
旅人 

>> 124 田沼滋は、当然のことながら、菜穂子の頼みでも、すぐに首を縦にはふらず


「考えておく」


と言っただけだった。



菜穂子は由紀に


「頼んではみたけど、おじいさまは承諾しなかったわ。でも、おじいさまはそんなにひどく反対はしなかったから望みはあると思うの。奏さんにも伝えて…」


と言ったので、由紀はその夜ラインで


“お母さんがおじいさまに頼んでくれたけど、すぐにはうんと言ってくれなかったみたい。でも、必ず説得するって言ってくれたから、もう少し待ってほしいの”

と、奏に伝えた。



奏は由紀からのラインを見てちょっとがっかりしたが、すぐさま由紀からラインがあり

“早く桂川くんと一緒に学校に行きたい”


とあったので、奏は嬉しかった。


そして奏は、由紀に恋をしたことに気づいたのだった…



No.124 15/06/02 19:38
名無し2 

>> 123 奏が帰った後

菜穂子が

田沼滋と西田に

由紀の送り迎えを奏に託したいという意向を伝えた…



No.123 15/06/02 02:02
旅人 

>> 122 由紀は

「また来てね」


と言って玄関の外まで見送ってくれた。



西田は、明日由紀を車で学校に送っていくときに、あの作業員をじっくり見てみようと考えていた…



No.122 15/06/01 23:02
名無し2 

>> 121 奏は由紀と一緒に登校する

という許可が由紀の母親から出た事で

ひとまず目的を達成できた喜びを感じていたが

窓の外からビシビシと感じる西田の視線には

汗が出た。

奏『じゃあ、俺そろそろ帰るよ。』…




No.121 15/05/31 12:38
名無し2 

>> 120 『あ…』

西田は思わず声を出した。

あの時工事現場で見た

どこか見覚えのあるあの男は

島津雅彦に似ていたのだ…


No.120 15/05/30 15:14
旅人 

>> 119 庭の掃除がすむと、西田は車の掃除と洗車をはじめた。


洗車をしながら、菜穂子がはじめて島津雅彦をこの家に連れてきた時のことを思いだしていた。


西田はそのときにはもう結婚していたが、菜穂子が島津を連れてきた時に、ちょっと複雑な気分だったことを思い出した。
島津とも気が合った西田は、菜穂子が島津と結婚してからも、ふたりで飲みに行ったり、結婚後の島津と菜穂子の家にも遊びに行き、ふたりから暖かく迎えられたものだが…。


その思い出の連鎖で、西田は、島津に似た作業員のことを思い出したのだった…




No.119 15/05/30 12:31
名無し2 

>> 118 運転手の西田が庭掃除をしながら

窓の外から奏の事をかなりジロジロと見てきた。

なにしろ由紀のボーイフレンドが家に来るなんて

初めての事であった…



No.118 15/05/29 22:15
旅人 

>> 116 しばらくすると由紀が帰ってきた。 由紀は菜穂子から奏が来ていると聞くやいなや 嬉しそうに応接間へ向かった… 菜穂子から


「奏さんが来ているのよ」


と言われた由紀は、応接室に向かい、応接室のドアを開けた。


桜色の清楚なワンピースを身につけた由紀を見て、奏はドキっとした…



No.117 15/05/29 22:12
旅人 

>> 115 菜穂子はさらに、 「あなたに会ってみて、あなたが由紀の言っていた通りの人だってよくわかりましたわ。由紀のこと、よろしくお願いしますね。… それから間もなく、由紀が帰ってきた。


玄関のほうから、ただいまー と言う由紀の声がした。


母の菜穂子が玄関に由紀を出迎えたようだった。


由紀の


「あら?お客様?」



と言う声がした…




No.116 15/05/29 22:11
名無し2 

>> 115 しばらくすると由紀が帰ってきた。

由紀は菜穂子から奏が来ていると聞くやいなや

嬉しそうに応接間へ向かった…



  • << 118 菜穂子から 「奏さんが来ているのよ」 と言われた由紀は、応接室に向かい、応接室のドアを開けた。 桜色の清楚なワンピースを身につけた由紀を見て、奏はドキっとした…

No.115 15/05/29 10:30
旅人 

>> 114 菜穂子はさらに、

「あなたに会ってみて、あなたが由紀の言っていた通りの人だってよくわかりましたわ。由紀のこと、よろしくお願いしますね。大丈夫、父には私から話します。由紀も出かけてるんですけど、もうすぐに帰ってきますから、よければしばらく待ってて下さいね」



と奏に言って、応接室を出ていった。


奏は内心ガッツポーズをしていた…




  • << 117 それから間もなく、由紀が帰ってきた。 玄関のほうから、ただいまー と言う由紀の声がした。 母の菜穂子が玄関に由紀を出迎えたようだった。 由紀の 「あら?お客様?」 と言う声がした…

No.114 15/05/29 10:05
旅人 

>> 113 奏はアンティークなソファーや机などの家具が配置された応接室に通された。


しばらく待っていると、菜穂子がみずから紅茶を入れたカップをのせた盆を持って入ってきた。


菜穂子は、紅茶を奏にすすめ、奏の向かいのソファーに座ると


「あなたのことは由紀からも聞いていますわ。危ないところを助けてくださったそうで、ありがとうございます」

と、まず奏にお礼を言った。



「あの子の祖父…、私には父ですけど、あれ以来ずっと自分の車を使わせて通学させていて。もちろんあんなことのあったあとだし、仕方ない部分はあるんですが、他の子はみんな電車やバスで通っているので、ひとりだけ車で送り迎えされるのが恥ずかしいらしいんです。あの子も、本当は電車で学校に行きたいみたいで…」



と、菜穂子は奏に話した。



由紀は、菜穂子には、奏に助けてもらったことや、本当は電車で通いたいし、奏がボディーガードになると言ってくれていることを話していたのだった…



No.113 15/05/29 09:47
旅人 

>> 112 門があき、奏が中に入ると、芝生の美しい庭があり、小さいながらも噴水があった。


すごいな…



奏がただただ驚いていると、玄関には、どこか由紀の面影がある女性が立っていた。



「桂川奏さんね?私は由紀の母です。私の父の田沼滋は今出かけていますの。どうぞ中に…」


菜穂子はそう言って、奏を中に通した…



No.112 15/05/29 07:14
名無し2 

>> 111 奏は

『か、桂川奏と申します。』

そして深呼吸をすると続けた。

『田沼滋様にお願いがあって参りました。』

足はガクガクし汗が流れた。

そしてしばらくすると門が開いた…



No.111 15/05/28 22:38
名無し2 

>> 110 奏がチャイムを押すと

〃どちら様でしょうか?〃

と声がした…


No.110 15/05/28 15:40
旅人 

>> 109 由紀に聞いた、由紀の家(田沼滋の家)は、門構えも立派な大きな家だったからだ。


父親が会社の社長をしている奏の家もわりと大きなほうだと思っていたが、由紀の家のほうが大きく、凝った造りだったからだ。


敷地内にはそれなりに大きな平屋の家屋も見えた(その平屋の家屋には、運転手の西田とその家族が住んでいるのだが)。


奏は、由紀の家の前で緊張し、なかなかチャイムを押せなかったが、由紀のために勇気を出そう と思った…



No.109 15/05/28 14:41
名無し2 

>> 108 そんなやりとりが数日続き

奏は由紀の祖父

田沼滋に話をするため

田沼家へやって来た。

門の前にたち

チャイムを見つめる奏の手は震えた…



No.108 15/05/28 08:54
名無し2 

>> 107 だが問題は田沼滋であった。

由紀〃お祖父様が許してくれるかな〃

その言葉に奏は

〃僕が君のお祖父様を説得してあげるよ〃

と送った…




No.107 15/05/28 00:03
旅人 

>> 106 すると、しばらくして由紀からのラインには


“嬉しいです!今度一緒に電車に乗りたい”


とあり、奏は やったー と思った…




No.106 15/05/27 22:21
名無し2 

>> 105 奏はダメ元で

〃僕は君のボディーガードになりたい〃
とラインで返信してみた…


No.105 15/05/27 00:04
旅人 

>> 104 “でも、本当は前みたいに電車で学校に行きたいの”


続きで送られた由紀からのラインにはそうあった…



No.104 15/05/27 00:00
旅人 

>> 103 由紀はラインに


“最近は車で通学してるから、ちゃんとお礼を言いたかったんだけど、なかなか言えなくて”


と返信した。


奏は由紀からのラインを見て、


車で通学って、結構お嬢様なんだな…



と思った…




No.103 15/05/26 22:18
名無し2 

>> 102 〃あれから大丈夫だった?〃


奏からのラインを由紀は

嬉しそうに見た…



No.102 15/05/26 17:08
旅人 

>> 101 由紀の姿を電車で見かけなくなって一週間ほどが過ぎた。


桂川奏の通う栄高校は、青蘭女子学園からはそう離れているわけではなく、よっぽど青蘭女子学園の前まで行ってみようかとも考えたが、女子校の門の前を自分がウロウロして迷惑になるのも…とためらいを感じていた。


奏は、由紀とあの日交換した連絡先のメモを思いだし、自分の机の引き出しにしまってあったメモを取り出した。


メモには、ラインのIDと、“島津 由紀”と、外見と同じにかわいらしい筆跡で書かれてあった。



どうしてるか、連絡してみるぐらいいいよな…


と、奏は思い、由紀にラインしてみた…




No.101 15/05/26 16:17
旅人 

>> 100 田沼家専属運転手の西田保は、もう20年近く田沼家で働いている。父親も田沼家の運転手を長年勤めていて、父親のあとをつぐ形で、田沼家運転手として働くことになった。


採用されたばかりの頃は、西田もまだ20代の青年で、田沼滋だけでなく、娘の菜穂子の用事で運転することもあり、美しい菜穂子にほのかな憧れを抱いていたが、所詮は菜穂子と自分は釣り合うわけもないという諦めの気持ちもあったので、採用されて2年後に、田沼滋がすすめた見合いで知り合った女性と結婚し、子供にも恵まれ、それなりに幸せな生活をきずいている。

しかし、結婚しても、子供が生まれても、菜穂子に対するほのかな憧れが消えることはなく、そのため、菜穂子が島津雅彦と恋に落ち、田沼滋の目を盗んでデートするときなど、菜穂子に積極的に協力したりもしていたのである。


それに西田は、島津とも結構ウマがあい、菜穂子と島津が結婚してからも、島津ともわりと交流があったのである。


島津が離婚後、蒸発してからは、もちろん西田とも音信不通であったが…。


西田は車に乗り、運転しながら、


そうだ、島津さんに似ていたんだ。あの作業員は…



と、思い出していた…



No.100 15/05/26 15:42
旅人 

>> 99 車は、青蘭女子学園の門の手前で止まり、まず西田が運転席から降りて、後部座席のドアを開け、由紀が降りてから

「行ってらっしゃいませ。学校の終わるころにまたお迎えに参ります」

と深々と礼をし、由紀が門の中に入るまで見送るのだった。


由紀は、祖父の気持ちは嬉しいが、他の登校している生徒たちからはじろじろ見られ、恥じらいも感じていた。


西田が由紀を見送り、運転席に乗り込もうとした時、近くの工事現場に、何だかどこかで見たような感じの作業員がいるのが目に止まった。


どこかで見たような…



西田はすぐには思い出せなかったが…



No.99 15/05/26 15:35
旅人 

>> 98 次の日から、由紀は、祖父の車に乗って青蘭女子学園に通うようになった。


祖父のお抱え運転手である西田の運転は快適で、不満があるわけではなかったが、由紀は、昨日の自分を助けてくれた男子高校生に電車で会えなくなることが少しだけさびしかった。


一方、桂川奏も、あれ以来由紀を電車で見かけなかったので、内心かなり気になっていた…



No.98 15/05/26 15:29
旅人 

>> 97 その日、由紀が家に帰ると、朝の事件のことはすでに学校から連絡があったようで、菜穂子と祖父の田沼滋、祖母の美恵子の心配ぶりがただ事ではなかった。


祖父の田沼滋は、

「だから電車通学なんか危ないと言ってたんだ。由紀は菜穂子に似て美人なんだから不良学生たちから目をつけられたりするんだ。明日からは、わしの車を使って学校に通いなさい。いいね、由紀」

と言ったが、由紀は

「でも、おじいさま。友達や他の子はみんな電車で通ってるし、私だけおじいさまの車なんて…」

と言った。


だが、祖父は


「駄目だ。またこんなことがあったらどうする。駅員の話によれば不良学生たちはお前にイタズラする寸前だったらしいじゃないか。可愛いお前をまたそんな目にあわすわけにはいかん。これは命令じゃ、わかったな、由紀」


と言下に由紀に言ったので、由紀はもうそれ以上に言えなかった…



No.97 15/05/26 12:40
名無し2 

>> 96 由紀は父雅彦が近くにいるとは知らず


こんな時、父親が居てくれたら

心強いのにな

と思っていた…



No.96 15/05/25 20:26
旅人 

>> 95 そう決意した島津ではあったが、菜穂子の父親である田沼滋にもともとよく思われていなかったことや、保証人になったために莫大な借金を背負ったとき、かなりな迷惑をかけたことなどを考えると、やはりある程度の経済力をつけてから とも考えていた。


興信所の調査で、田沼滋がしきりに菜穂子に再婚話を持ち掛けていることなども報告があったので、よけいに、着の身着のままでは帰れない と思っていた。


しかし、妻や娘の姿をせめて遠くからでも見たい との思いも強く、偶然にも由紀の通う青蘭女子学園の近くに日雇い仕事があるのを見つけ、日雇い仕事に汗を流しながら、遠くからそっと由紀を見るだけの毎日だったのだが…



No.95 15/05/25 20:16
旅人 

>> 94 ホームレス生活から足を洗い、いつかは家族のもとに帰りたいとひそかに願う島津だったが、さすがにすぐにも帰れず、ホームレス時代にこっそり隠し持っていた金で、まずは興信所に妻の菜穂子と娘の由紀が現在どうしているのかを調べてもらうように頼んでいた。


菜穂子がもしも再婚していたなら、もうふたりに会うことは諦めようと島津は思った。


興信所の調査結果では、妻の菜穂子と娘の由紀は、菜穂子の父親である田沼滋のもとに身を寄せており、菜穂子は離婚後も島津姓を名乗ったまま再婚もしていないとわかった。

ひとり娘の由紀ももう17歳で、青蘭女子学園に通っていることもわかった。


興信所が隠し撮りした菜穂子や由紀の現在の写真を見たとき、島津は思わず涙をこぼした。


菜穂子…、昔とちっとも変わっていない…


由紀、昔の菜穂子に似て、可愛い娘になったな…



島津は、いつかは必ずふたりのもとへ帰ろう と固く決意したのだった…



No.94 15/05/25 16:38
名無し2 

>> 93 娘由紀の姿を遠くから見守るのが

島津雅彦のなによりの楽しみであった。
由紀がその日は何時になく遅い登校で

しかも見知らぬ男子校生と一緒であった事は

雅彦にとっては大きな衝撃であった…



No.93 15/05/25 13:38
名無し2 

>> 92 奏が由紀を星蘭女学院へ送り届けた時には

もう10時を過ぎていた。

由紀は深々と奏にお礼を言うと

お互いの連絡先を交換しあった。

その姿を由紀の父親は工事現場で働きながら

遠くから心配そうに見守っていた…




No.92 15/05/25 10:33
旅人 

>> 91 奏は、由紀に言ったように、子供の頃は身体が弱かった。
虚弱体質というわけでもないが、すぐに風邪をひいたり病気がちだったので、心配した奏の父親が、昔の友人が当時オープンしたばかりのボクシングジムに奏を通わせることにしたのだった。

ボクシングジムは、子供向けのコースもあり、奏はオーナーでありコーチでもあった稲森の教えで、身体を動かすことやボクシングの楽しさを知り、それにつれて身体もだんだんと丈夫になっていったのだった。


奏は、プロボクサーになるつもりもなく、あくまでも運動としてボクシングを続けていたが、稲森からも、ボクシングの技は凶器にもつながるので下手に乱用するなと厳しく言い渡されていたし、友人にも誰にも、ボクシングジムにたまに通っていることはだまっていたのだった。


だから、奏にとっても、ボクシングの技をジム以外で使ったのは今回がはじめてだったし、尾形をなぐったときもかなり手加減はしているのだった(それでも一般人にすればかなり痛いとは思うが)。


奏は、由紀を守るためにボクシングが役に立ってよかったと思っていた…







No.91 15/05/25 09:53
旅人 

>> 90 奏は、うずくまっている尾形を、駅員につきだした。

車内で尾形が、由紀に迷惑行為をしていたことは電車に乗っていた男たちが証言してくれた。



尾形を駅員に引き渡し、ホームで次の電車を並んで待っている時に、由紀は奏に


「ありがとうございます…」


と、お礼を言った。



奏が、お礼を言った時の由紀の笑顔の可愛さにドギマギしながらも

「いや、いいんだよ。それより学校遅刻になっちゃったね。まあ、駅員さんが学校に電話してくれたからいいけどさ」

と言った。


由紀は、サラサラの髪や、整ったきれいな顔立ちで喧嘩なんかしそうにない外見の奏が、なんであんなに強いのか意外な気がした。


奏は、由紀のそんな思いを見抜いたかのように


「僕、子供の頃、身体が弱くてさ、親の知り合いがやってるボクシングジムに通ってたんだよ。別にプロボクサーになるつもりはないけど、ジムでサンドバッグ叩いたり縄跳びしてたりすると、ストレス解消にもなるから、今もたまに通ってるんだ」

と笑って言った…



No.90 15/05/25 09:38
旅人 

>> 89 奏は

「次の駅で降りてもらおうか」


と、至って冷静に男子高校生たちに言った。


由紀の胸にさわっていた、いちばん図体のデカイボス格の男が

「おう、相手してやるぜ」

と言い、電車が次の駅に着いたところで、奏と高校生たちも電車を降りた。

ボス格の高校生・尾形はなぜか由紀の腕をつかんで一緒に電車を降りた。


尾形は、

「お前をボコボコに叩きのめしてから、この女をお前の目の前で輪姦(まわし)てやるぜ」

と不適な笑いを浮かべて奏に挑みかかったが、次の瞬間、奏から腹にボディーブローを食らった。


尾形は


「ぐえっ…」

と、こみ上げる吐き気をこらえながらなんとか立ち上がったが、腹を押さえてうずくまってしまった。


ボス格の尾形があっけなくやられたことで、他の奴らはこそこそと逃げていった。


電車に乗っていて、どうなるのか気になって一緒に降りた男たちは、奏に拍手した…





No.89 15/05/25 07:24
名無し2 

>> 88 『なんだてめぇ!』
一番体格の良い男が奏を睨み付けた。

初めから様子を見ていた乗客のおばちゃんが

『兄ちゃん!4人相手に無理や!』

と奏に囁いた。

その時、奏の勇気に触発された乗客の中の男たちが

奏に続いて立ち上がった…



No.88 15/05/24 23:13
旅人 

>> 87 もちろん由紀が、電車に乗ってるどの女子高生よりも群を抜いてかわいかったからだが、桂川奏も、毎日同じ電車に乗る由紀のかわいさが気になっていたひとりだった。



由紀に絡んでいる数人の男子高校生は、ちょっと先の男子校の生徒で、その男子校は柄がよくないことでも有名だった。


「青蘭女子のネーチャン、俺たちとデートしようぜ」

「デートがダメなら断り賃くれよ。なんなら身体でもいいんだぜ~」

由紀は

「やめてください…」

と必死で言うが、電車に乗っている他の高校生や大人たちも、トラブルを恐れて見て見ぬふりをするしまつ。


そのうちに不良男子高校生たちは、可愛い青蘭女子の制服に包まれた由紀の胸をさわりはじめた。

「ネーチャン意外といい乳してんじゃん。これから学校サボってさ、俺たちといいことしようぜ。いっぱい感じさせてやっからさ~」

由紀が泣きそうな顔で顔をそむけている。

大人たちも、見て見ぬふりをしながら、興味本意でニヤニヤ見ていたり、あんまりかわいくない他校の女子たちは半ば いい気味 みたいな目で見ていて誰も絡まれている由紀を助けようともしなかった。

胸をさわっていた不良男子高校生のひとりが、由紀の制服のベストの中に手を入れて、下のブラウスのボタンを外しはじめた。


ひとりはスカートの中に手を入れようとしている。



その時だった。


奏が


「やめろよ!」


と大きな声をあげた…





No.87 15/05/24 19:25
名無し2 

>> 86 ある日。電車に乗っていた由紀は

男子校性数人に囲まれ

からかわれるというアクシデントにみまわれた…



No.86 15/05/23 21:50
名無し2 

>> 85 2人は毎朝同じ電車に乗っていた…



No.85 15/05/23 00:09
旅人 

>> 84 桂川奏の通っている高校は、由紀の通っている青蘭女子学園のすぐ近くにある高校だった…



No.84 15/05/22 21:54
旅人 

>> 83 由紀は、母の菜穂子が、別れてからもずっと父を待ち、父を愛していることに感動し、悩み事など吹き飛んでしまった。


ちょうどそんな頃であった。


由紀が、桂川奏と知り合ったのは…



No.83 15/05/22 21:51
旅人 

>> 82 ある日、菜穂子は由紀の部屋をそっと訪れ、由紀にどことなく元気のない理由を思いきって聞いてみた。


由紀は、はじめはためらって、なかなか理由を言わなかったが、奈穂子の優しい問いかけに、とうとう本当の理由を話した。


奈穂子は優しく由紀に微笑んで


「バかね…、由紀。お母さんは由紀のことを重荷だなんて思ったことなんて一度もないし、再婚なんて考えてないわ。お父さんはきっと、お母さんと由紀のところに帰ってくる ってずっと信じてるのよ。もう11年も…」

と言って由紀を抱き締めた。




奈穂子「本当は、実家になんか帰ってこないで、私が働いて由紀とふたりで生きていけばよかったかもしれない…。でも、お父さんが、離婚のときに、経済的に不自由のない実家にいるほうがいい と言ったし、お祖父さんやお祖母さんにとってはあなたはたったひとりの孫ですもの。だからそばにいてあげることがいいと思ったから…」



奈穂子の姉である美穂子の夫婦には子供がなく、田沼滋にとっては由紀がただひとりの孫であることは変わりないのだった。
奈穂子に似て美しく、聡明で素直な由紀を、祖父・田沼滋が可愛がっていることも事実だった…








No.82 15/05/22 21:30
旅人 

>> 81 由紀は、祖父の言葉に悲しくなった。


お母さんは、私のことが重荷なのかもしれない…


由紀は、もちろん母や祖父母の前ではそんなそぶりなど見せず、明るく振る舞っていたが、内心は悩んでいた。



しかし、母の菜穂子は、さすがに、どことなく由紀の様子が違うことに気づいたのだった…



No.81 15/05/22 20:35
旅人 

>> 80 祖父母は、些少ではあるが、先祖代々からの土地を受け継ぐ地主だった。

土地は郊外にあり、些少なのでさほど大地主というわけでもないが、昔ながらの地主という祖父・田沼滋のプライドは高かった。


祖父母には娘だけふたりいて、菜穂子の姉で由紀には叔母にあたる美穂子は早々と他家に嫁いでしまったので、祖父母は菜穂子に婿をとらせたがっていたが、菜穂子も島津雅彦と恋に落ち、祖父母の反対を押しきって結婚したのだった。

それでも島津が輸入食器会社を興し、成功していた間は、祖父母もなにも言わなかったのだが、島津が保証人になり、家や社屋が抵当にとられてなくなり、島津が菜穂子と離婚して蒸発してしまってからは、由紀とともに身を寄せる菜穂子に、祖父・田沼滋はしきりと再婚話を持ち掛けてくるのだった。


祖父はある時菜穂子に、

「由紀がいるせいで再婚をためらってるんだったら、由紀はわしらの養女として戸籍を移して、わしらの子として成人するまでなんとかわしらが育てる。お前もあんな男のことははやく忘れて、わしの土地を継いでくれるような男と再婚してほしいんだ。わしらもいつまでも元気なわけでもないし、お前だってまだ40をちょっと出たばかりじゃないか。まだ若い今のうちになんとか、わしらの願いを聞いてくれ…」

と言っていたのを由紀は聞いてしまったこともあったのだった…





No.80 15/05/22 15:37
旅人 

>> 79 由紀は、父親が蒸発してから、母親の奈穂子とともに、祖父母の実家に住んでいた。


祖父母は、奈穂子の両親である。


父親の島津雅彦が、保証人になり莫大な借金を背負った時に、家族に類が及ばないように戸籍上は母と離婚したのだと、由紀も後で知った。


母親の奈穂子と由紀は、そのため祖父母のもとに身を寄せることにはなったが、奈穂子は、離婚しても島津の姓を名乗っていたし、由紀もそうだった。


母親は、父親の姓を名乗り続けることで、蒸発した父親のことを待ち続けているのだと、由紀は思っていた…



No.79 15/05/22 07:38
名無し2 

>> 78 奏からのラインには
〃明日も一緒に登校しようね。いつもの所で待ってるよ〃

とあった。奏は由紀と付き合うようになってから

少し遠回りになるけど由紀にあわせて道を変えていた…



No.78 15/05/21 23:08
旅人 

>> 77 ラインの宛名は“奏”とあった。



奏くんからだ…



由紀は、あり得ないことながら、ひょっとしたらどこかにいる父親がラインをくれたのかもしれない と一瞬だけ思った。


桂川奏からのラインはもちろん嬉しかったのだが…






No.77 15/05/21 22:54
名無し2 

>> 76 由紀が写真をながめていると

由紀のスマホに

ラインが来た…



No.76 15/05/21 22:15
旅人 

>> 75 その家族旅行は、父親が蒸発する直前に行った旅行だったため、由紀にとっては懐かしくもほろ苦い思い出だった。


父親が蒸発したことが、子供心に悲しく、父親を恨んだこともあったが、徐々に、父親が大変な思いをしたことを知り、恨む ということはなくなったのだが…。


由紀もやはりパパっ子だったため、子供の頃の優しかった父親の思い出が懐かしいのだった…



No.75 15/05/21 22:08
名無し2 

>> 74 その頃島津の娘由紀は

昔家族旅行をしたときの、父親が写った思い出の写真を

ながめていた…




No.74 15/05/20 09:53
旅人 

>> 73 しかし、家族を捨て、ホームレスになってすでに10年以上の歳月が流れている。



妻も、再婚しているかもしれない


ひとり娘の由紀はもう高校生かな…



島津はホームレス生活をするようになってからも家族のことを忘れた日は一日とてなかった。


家族と暮らしたいが、家出をして10年以上の歳月が流れていることが、島津をためらわせているのだった…



No.73 15/05/20 07:05
名無し2 

>> 72 島津はようやく借金も片が付き

再び家族と一緒に暮らしたいと考えていた…


No.72 15/05/19 22:12
名無し2 

>> 71 島津は以前会社の社長であったが

知人の借金の保証人になったばかりに

借金を負わされ、家族を守るため

家族とも縁をきり

今の生活を送っているのであった…


No.71 15/05/19 17:10
名無し2 

>> 70 ミシェルが日本に帰り

島津も再起したいと考えていた…



No.70 15/05/18 22:21
旅人 

>> 69 ミシェルは、ほとんど蒸発同然でフランスを去ったため、今さら親から任せてもらった縫製工場には戻れないし、マシューのもとにも戻るつもりはなかった。


仕事を探して、ひとりでやり直そうと考えているミシェルだった…




No.69 15/05/18 22:15
名無し2 

>> 68 ミシェルはフランスに帰ると

とりあえず仕事を探した…



No.68 15/05/18 09:37
旅人 

>> 67 強制送還をきっかけに、フランスでやり直そうと思ったのも本当だが、一部分では、日本とホームレス生活に疲れていたのも本音だった。


島津に、強制送還されてフランスに帰らなければならなくなったことを伝えると、島津は

「残念だな、ムッシュー。しかし、案外いい機会なんじゃないか?あんたにゃこんな生活向いてねえと思うよ」

と優しく言った。


ミシェルは、フランス人だからか、島津がそう呼ぶからか、ホームレス仲間たちからは“ムッシュー”と呼ばれていた。


ミシェルは


「わずかな間だったけど、島さんと出会えたことが日本でのいちばんいい思い出です…」


と、心から言った…



No.67 15/05/17 21:58
名無し2 

>> 66 ミシェルが島津のニーチェの本を読み終えると

ミシェルはもう一度正しく生きたいと思った。
まさにそのとき、ミシェルは警察官に職務質問をされたのであった。

ミシェルは島津に出会い、島津の本を読み、もう一度祖国で生きる覚悟を決めたのであった…



No.66 15/05/17 10:35
名無し2 

>> 65 ミシェルはニーチェの本を大切にしている島津を

哲学者だと感じた。
島津には人間を惹きつける

暖かい魅力があった…




No.65 15/05/16 23:43
旅人 

>> 64 そんなことを言う島津も、ボーボーの髭を剃り、髪や服を整えれば、かなりなイケメンだと思えた。

ホームレス然とした外見のせいで、島津の年齢はよくわからなかったが、おそらくは40代後半から50代前半ぐらいだろうと思われた。


島津の段ボールの棲みかの片隅には分厚い本が何冊かあり、島津のいないときに一冊手に取って見てみると、ニーチェの原書の本だった。


そんな島津の謎めいた部分に興味もあって、ミシェルはホームレスとして暮らしていた…


No.64 15/05/16 22:33
名無し2 

>> 63 島津『あんた、金か?酒か?女か?』

ミシェル『え?』

島津『失敗したからここにいるんだろ。』

ミシェル『お…女です。』

島津『ガハハ!あんたイケメンだもんな。』…





No.63 15/05/16 03:02
旅人 

>> 62 男は英語だけでなく、フランス語、ドイツ語も自国語のように話せ、堪能だった。


そんな男がなんで現在は、ホームレスとして路上生活を送っているのかはわからなかったが、とりあえずミシェルはこの男とだけは話が通じたし、男はホームレス仲間の間でも一目置かれているようで、他のホームレスたちは比較的すんなりとミシェルを受け入れてくれた。



男は、ホームレス仲間からは「島さん」と呼ばれていたが、苗字は「島津」というらしい。


男がミシェルを自分の段ボールのねぐらに泊めたときに、ミシェルが聞くと苗字だけは教えてくれたのだ…


No.62 15/05/15 23:00
名無し2 

>> 61 その男は英語が堪能で、昔は社長だったらしい…



No.61 15/05/15 10:28
旅人 

>> 60 おカネが減ることに心ぼそくなってきたが、アルバイトしようにも、日本語もできず、日本に知り合いもいないのでコネもなかったミシェルは、あてもなく公園をさ迷う毎日だった。


公園でボーッとしていたミシェルに声をかけてきたのが、ホームレスの男だった…



No.60 15/05/15 09:58
旅人 

>> 59 ミシェルはフランスに強制送還されることになったが、心のどこかでホッとしている自分に気づいてもいた。


日本に来ても、ほとんど日本語もわからず、ホームレスの生活にも疲れていたからだ。

ホームレスの人々は結構親切だったが、残飯を漁ったり、何日も風呂に入らず着の身着のままの生活。
家を売ったおカネも、日本に到着してすぐに、日本の円に両替して、しばらくは赤坂や有楽町のホテル暮らしだったが、快適で有名なホテルはとても高く、いつまでもいられるわけはなかった。


赤坂や六本木で日本の女を身振り手振りでナンパし、成功しても彼女たちは必ずミシェルに金を要求してきたので、日本の女にも辟易していたミシェルだった…



No.59 15/05/15 07:35
名無し2 

>> 58 そんなミシェルはある日警察官から職務質問をされた。

そしてビザが無いことが判明した。

ミシェルはひどい姿のまま

パリへ強制送還されることに…



No.58 15/05/15 01:18
旅人 

>> 57 ミシェルは、具体的な計画もなく、とにかくマシューやもろもろのことから逃げたい一心で、日本に来たのだが、日本に来ても、誰一人日本に知り合いもなく、日本語も話せないため、かなり悲惨な生活だった。

仕方なく、ミシェルは、ホームレスたちとともに生活をしていたのである。


日本語がわからず、身振り手振りだけのミシェルを、とりあえず受け入れてくれたのは、ホームレスたちだったからだ。


フランスにいたときはダンディーだったミシェルだが、ホームレス仲間たちと生活しているうちに、日本に来るときに着ていたスーツは汚れ、髪や髭はのびほうだい、もはや見るかげもなかった…



No.57 15/05/14 22:55
名無し2 

>> 56 その頃アマンダとシータを捨てた

ミシェルは日本にいた…



No.56 15/05/14 12:44
名無し2 

>> 55 目標が出来たシータは

ガラッと表情が明るくなった。

テンダーはシータの明るい表情を見て

胸をなで下ろした…



No.55 15/05/13 22:44
旅人 

>> 54 シータは思った。


芸能界で稼いだおカネで、美容学校にもう一度、入り直せるなら入りたい と…




No.54 15/05/13 22:40
旅人 

>> 53 もともとシータは、芸能界に入るまえは美容師を目指していて、美容学校にも通っていたのであった。

美容学校の学費と生活費を稼ぐため、夜のバイトをしていたときにスカウトされ、芸能界入りをしたのである。


芸能界で売れてくると、次第に美容師への夢を忘れ、美容学校も中退してしまったのだった。


テンダー(テレーズ)の言葉で、シータの心に、忘れかけていた夢がよみがえってきたのだった…



No.53 15/05/13 22:27
名無し2 

>> 52 シータはその言葉に表舞台を去る決意が出来た。

シータは今まで稼いだお金で

美容師の学校に通いたいと

その時思った…



No.52 15/05/13 07:18
名無し2 

>> 51 テンダー『あなたは裏方の仕事が向いていそうね。』


と、テンダーは続けた…




No.51 15/05/13 01:55
旅人 

>> 50 シータは、テンダー(テレーズ)に、自分の今後について占ってもらうことになった。


テンダー(テレーズ)は、シータの現在の状況や生年月日などを尋ねて、水晶を見た。



「確かに…、あなたの芸能界でのピークは過ぎましたね…。引退するならなるべく早いほうがいいと思います…」


テンダー(テレーズ)にそう言われ、覚悟していたとはいっても、やはりショックだった…




No.50 15/05/12 01:45
旅人 

>> 49 出迎えたのは、占い師らしくない、優しそうな中年の女性だった。


なにやら薬の調合をしていたのか、薬草を煮詰めたような匂いがしている。


「いらっしゃい、ご紹介の方ね…」


テンダーことテレーズがそう言って微笑んだ。


シータの緊張がほぐれていった…



No.49 15/05/11 07:12
名無し2 

>> 48 シータはブローニュの森の扉を恐る恐る開けた…



No.48 15/05/10 22:09
旅人 

>> 47 ブローニュの森の占い師は、しかるべき紹介者がいないと占わないらしく、一見の客はお断りらしいが、的中率が高いという評判だった。


シータは、芸能界のつてを頼って、何とか紹介してもらうことに成功した。


その、ブローニュの森に住む占い師とは、マーサの後を継いだテンダーことテレーズだった…



No.47 15/05/10 22:04
旅人 

>> 46 所属事務所の契約も切られそうな感じだったので、シータは困っていた。


藁にもすがるような気持ちで、数日後、シータはブローニュの森にいるよく当たるという占い師のもとを訪ねることにした…


No.46 15/05/10 21:53
名無し2 

>> 45 シータの場合スキャンダルは不倫として扱われ

世間からバッシングを受けた。

最近はオファーも無くなり

この仕事が自分には向いていないと感じ始めていた…



No.45 15/05/10 18:24
名無し2 

>> 44 シータもその番組を自宅で見ていた…



No.44 15/05/10 11:12
旅人 

>> 43 ミリアン(ゼナ)は、例のスキャンダル以来かなりな売れっ子になっていた。


そのせいでとばっちりを食ったジャンだったが、ジャンはあれから、ユリアが元気がなくなっていたのをずっと気にしていた。


ユリアは、ジャンをミリアンに取られてしまったようで面白くなかったのである。


ジャンは、ユリアに会い、なぜ元気がないのか問いただした。


そして、その流れで、ユリアに告白したのである。


ユリアも、ジャンを好きだったので、ジャンの告白は嬉しく、半年後 ーそう、マシューに双子のライアとアリスが生まれた直後ぐらいにー ユリアとジャンは結婚したのである。


ジャンは、ユリアと交際するようになると、ミリアンとテレビに出ることをきっぱり断った。


ミリアン(ゼナ)はさびしかったが、ユリアは幼なじみでもあるし、ジャンの言い分を聞き入れ、二人を祝福した…






No.43 15/05/10 05:08
名無し2 

>> 42 そのバラエティー番組で花団に座って賑やかに喋っているのは

お騒がせニューハーフ、ミリアン(ゼナ)であった…



No.42 15/05/09 23:48
旅人 

>> 41 テレビをつけると、俳優のロバートが映っていた。


相変わらずステキだわ~ とシモーヌは思った。


ロバートは昔、隣のパトリックとよく行ったカフェで、ウェイターをやってたっけ


今じゃ、アランドロン以来のフランスのビッグスターだもんね



シモーヌはそう思うと、感慨無量なものがあった…



No.41 15/05/09 21:07
名無し2 

>> 40 子ども達が寝静まり
シモーヌはリビングで

カクテルを飲んでいた。

シモーヌが一番安らげる時間だ。

そしてシモーヌはテレビをつけた…



No.40 15/05/09 12:33
名無し2 

>> 39 マシューはお世話になったシモーヌやアマンダに


お返しをしなければならないと思い

近くの工場へ働きにでるようになった。
働きながら育児をして

開いた時間は相変わらず読書にふけった。

マシューは小説というものに強い興味を抱き

いつか自分もこんな小説が書きたいと思い始めた…




No.39 15/05/08 22:01
名無し2 

>> 38 マシューはシモーヌ家に来るまでは

近所付き合いを嫌って散歩などしなかったのだが

ここへ来てから顔つきも穏やかになって
家の周りを子ども達を連れて散歩にも出かけるようになった。

近所の人達が声をかけると

マシューは笑顔で返すようになった…



No.38 15/05/07 20:42
旅人 

シモーヌももちろんひ孫の誕生が嬉しく、マシューの双子の赤ちゃんとともにマリオを可愛がった。


マリオと、マシューが産んだ双子、ライアとアリスは、こうやって、ほとんど3人一緒にいることが多くなっていくのであるが…



No.37 15/05/07 20:35
旅人 

>> 36 自分でアパルトマンを借りて、ほとんど寄り付かないジュリアンも、やはり孫が生まれたことは嬉しく、たびたび、ピエールと夏海が暮らすアパルトマンに顔を出していた。


末期癌におかされたロベールは、生命力が強いのか、やつれながらも小康状態を保っているらしい。
ただ、そうは言っても、いつロベールの容態が急変するかわからないので、マリオは可愛いが、あまり長くいることもなく、帰っていくのであった。


ピエールは、年頃になってくると、父親には同性の愛人が数多くいて、母親とはすでに何年も事実上の夫婦ではないことを知るようになっていた。
たくさんの同性の愛人がいても、現在病気の為面倒を見ているロベールという男性を、父がいちばん愛していることも…。


しかし、たまに会うと、ピエールにとってはいつも優しい父親であったので、ピエールも、父親の生き方を完全に否定する気はなかった。


ただ、母が多少気の毒ではあるが、母は母で、結構割りきって生活を楽しんでいるらしいこともわかっているので、ピエールは、それはそれでいい とも考えていた…



No.36 15/05/07 20:19
旅人 

>> 35 夏海は、マリオの育児のかたわら、マリオがもう少し大きくなったら、自分が創作したスイーツを食べてもらいたい と考えていた。


日本の製菓会社、ランプリールにいた頃は、数々の創作スイーツを発表していた夏海だったが、フランスに来てからは、勉強したり、二階堂の製菓学校の臨時講師をつとめたりもしていて、スイーツのデザインなどゆっくり考えている暇もなかったのである。


いずれマリオに私のスイーツを食べてもらいたい…



そんな気持ちが、夏海に、しばらく忘れていた創作の喜びをもたらし、次々とアイデアが浮かんできた。


夏海は、日本から持ってきていたデザイン帳に、ペンを走らせた…



No.35 15/05/07 15:45
名無し2 

>> 34 アンナとジュリアンにとって

マリオは初孫であり
その愛おしさは格別であった…



No.34 15/05/07 07:44
旅人 

>> 33 ミシェルが、日本でどうしているのかは、いずれ語られる機会もあろう。



シモーヌの下宿に移って1年たち、双子たちが一歳になる頃には、マシューはだいぶいろんな知識を身につけていた。


もちろん酒場などではなく、新しい普通の仕事も見つけ、マシューは、シモーヌの下宿に住んで、シモーヌやアンナの協力も得ながら、双子を育てていくのである。


話が前後するが、ピエールと塩川夏海にも子供が誕生した。

可愛い男の子で、夏海はその子に、“マリオ”と名付けた。

“マリオ”は、日本人の名前にもあるからで、いずれ日本で暮らす日が来るかもしれないと考えて夏海は名付けたのである。

マリオの誕生を知った師の二階堂からは、祝福のメッセージと、盛大なプレゼントが贈られていた。


母になった夏海は、以前よりもさらに美しくなっていた…



No.33 15/05/07 07:30
名無し2 

>> 32 マシューはアマンダの好意でシモーヌ家で暮らすうち

シモーヌ達や本などから

沢山の知識を身につけていくのであった。
そして自分に出来る仕事を探して、この人たちにご恩返しをしたいと考え始めた。

その頃ミシェルが日本で暮らしていることなど

誰も知らなかったし
探すこともなかった…


No.32 15/05/06 22:33
旅人 

>> 31 シモーヌの本や、下宿人が置いていった本だけでなく、ジュリアンがかつてシモーヌと住んでいた少年の頃に読んでいた本もかなりあったのだが…。



シモーヌやアンナが双子をあやしてくれている間、マシューは、それらの本を手に取って読んでみたが、わからない字も多かった…



No.31 15/05/06 22:25
名無し2 

>> 30 シモーヌの家には実に沢山の本があった。
シモーヌ自信も本が好きだという事も有り

下宿した人達が読み終わった本を

置いていくようになっていた。

そこには様々なジャンルの本が並んでいた。

マシューは本という物に強い興味を抱いた…




No.30 15/05/06 01:39
旅人 

>> 29 それを見ていたアンナは、

「あらあら、お義母さん、まるでひ孫の世話の予行演習みたいですね」

とシモーヌに言った。


ピエールと、塩川夏海の子供は、マシューよりも少し遅れて出産の予定だったからだ。


シモーヌは


「まあでも、赤ん坊はどの子もみんな可愛いもんだよ。ほら、あたしのほうを見て笑ってる」

と、双子をあやしながらメロメロだった。


スージーも、最初はやはり多少の戸惑いはあったが、自分の弟妹だと思うとやはり可愛いと思うのだった。


マシューはもう、酒場勤めはしたくなかったが、ろくすっぽ学校にも行ってない自分にできる仕事なんかあるんだろうか と、新たな悩みができていた…



No.29 15/05/05 21:08
名無し2 

>> 28 双子の赤ちゃんは泣くときも同じだった。
マシューが1人にお乳をあげている間は
シモーヌがもう1人をあやした。

シモーヌも双子達から沢山の

幸せな時間をもらっていた…



No.28 15/05/05 09:10
名無し2 

>> 27 双子の赤ちゃんはシモーヌ家のアイドルになった。

そしてアマンダは2人に名前を授けた。
男の子は〃ライア〃
女の子は〃アリス〃
と名付けた。

マシューは産まれて初めてこの家で

家庭の温もりを知った…




No.27 15/05/04 22:29
旅人 

>> 26 退院後、シモーヌの下宿に落ち着いたマシューは、


「ありがとう、奥さん…。奥さんが手をさしのべてくれなかったら、ミシェルに蒸発されて途方に暮れてた…。奥さんはあたしとベビーたちの恩人だよ…。あのね、奥さん…、もしも、もしもなんだけど、イヤじゃなかったら、あたしの子供たちの名前、考えてくれないかな。ミシェルは、考えておく って言ったけど、もうミシェルはいないし…」


と、アマンダに言った。



アマンダは、マシューのこの願いを聞き入れることにした。



可愛い男の子と女の子の双子だった…



No.26 15/05/04 22:21
旅人 

>> 25 スージーが精神的に強くなったのは、同じカフェでバイトしているボブのおかげもあった。


ボブが、スージーの支えになっていることは大きかった。


スージーは、マシューが、あのとき見た女性と同一人物だとわかったが、今目の前にいるマシューは、あのとき父親と一緒だった時とは別人のようだった。


ショックと、産後の疲れでマシューはやつれてはいたが、瞳には力強い輝きがあった。


マシューは、アマンダの優しさに打たれ、ひとりで双子を育てながら、なんとか生きていこうと決めていた…



No.25 15/05/04 22:13
名無し2 

>> 24 スージーはそんな複雑な関係のマシューと双子の赤ちゃんとの同居を

快く受け入れた。

スージーももう子どもではなかった…




No.24 15/05/04 20:45
旅人 

>> 23 幸いに、シモーヌの家にはまだ部屋があったので、シモーヌにはアマンダから事情を話した。


シモーヌは、いくらなんでもそこまでしなくても と言ったが、ミシェルが蒸発する前にマシューには内緒で自宅を売却していたことが判明していて、新しい買い手もついているらしく、マシューには、退院後戻る家もないのだった。


もちろん、日本への渡航費にあてるためだったのだが…。



アマンダは

「あの子の産んだ双子の赤ちゃんは、スージーのきょうだいでもあるわけだし、あの子も、酒場なんかじゃなく、ちゃんとした仕事さえできるようになるんなら、下宿代だって払えるようになるわ」


とシモーヌに説明した…



No.23 15/05/04 20:38
旅人 

>> 22 アマンダは、ひとまずマシューが入院している病院に行き、退院後、とりあえず自分のところに来るように伝えた。

後で聞いた話だが、マシューには両親がなく、身寄りもなかったのである。

マシューは施設で育ち、15歳になると施設を出され、手っ取り早く酒場で働くようになった。

ミシェルと知り合ったのはその酒場だったのだが…。


マシューは、思いがけないアマンダの台詞に

「ありがと…。奥さん優しいんだね…。奥さんからミシェルを奪うようなことになって、ホントにゴメンね…」


と、涙ぐみながらアマンダに言った…




No.22 15/05/04 19:30
名無し2 

>> 21 アマンダにとっては、あんなに憎んだマシューであったが

自分と同じ様に捨てられてひどい目にあっていると思うと

可哀想に思えてきた…




No.21 15/05/04 09:41
旅人 

>> 20 ミシェルが蒸発したので、連絡は当然、元妻のアマンダのところにも入った。



アマンダも、ミシェルの行き先などわかるわけもなかったが、ミシェルが産後すぐの愛人をほっぽり出して蒸発した無責任さに腹を立てた…




No.20 15/05/04 09:30
旅人 

>> 19 半年経ち、スクープは沈静化し、ミシェルはスクープ当初ほど好奇の目では見られなくはなっていたが、マシューからはネチネチと責められ、誰にも言わずにフランスを離れたい気持ちは変わることはなかった。


ただ、ミシェルは日本語がほとんどできなかったので、ミシェルも、日本に行くのはいいが、日本に着いてからのことを全く考えていなかったのが、なんだかんだいってもボンボンなのか、いい年なのに世間知らずというのか…。
日本人女性と交際していた時は、相手の女性がフランス語が堪能だったため、日本語がわからなくてもなんとかなっていたからである。





それはさておき、ミシェルが蒸発したとわかり、産後まもないこともあって、マシューは半狂乱になった…



No.19 15/05/04 07:25
旅人 

>> 18 ミシェルが、数ある国の中から日本を選んだのは、以前、元妻のアマンダに隠れて、観光に来ていた日本人女性と短いラブアフェアを楽しんだ思い出があったからだった。


彼女が日本に帰国するまでのつきあいだったが、彼女とつきあって、日本人女性のよさを発見していた。

ベッドも魅力的だったし、あんな女性たちのいる国に行って暮らせたら…


ミシェルは、現象逃避の意味もあり、そんなことを考えるようになったが、さすがにすぐには実行には移せなかった。


結局、ミシェルが誰にも言わず、日本へ渡ったのは、それから約半年ほど経ってからだった。



ミシェルが朝、普段通りに会社に行くと言って出ていってしばらくして、マシューが産気付き、病院で双子を産んだ。


ミシェルに連絡しだが、ミシェルは無断欠勤をしている と言う。



その頃、ミシェルはすでに日本へ向かう飛行機の中だった…



No.18 15/05/03 23:18
名無し2 

>> 17 お坊ちゃま育ちのミシェルは

そんな針のむしろのような環境で平然とやり過ごせる

逞しさはなかった。
ミシェルはだれも自分を知らない、どこか異国の地へ逃げ出したかった。

ミシェルは日に日に現実逃避の計画を練るようになっていた。
そして様々な国の中から

日本に行きたいと考えるようになっていた…



No.17 15/05/03 20:52
旅人 

>> 16 一方、ミシェルのほうはさんざんだった。


マシューからは連日ののしられ、家に居づらくなっていた。


マシューは


「あんたのために、苦手な料理や掃除だって頑張って、お腹のベビーと3人で幸せになろうって思ってんのに!」

と、妊娠のイライラもあって、怒りは半端なかった。



職場でも、ミシェルは居づらくなっていた。


もともとミシェルは、親が経営している縫製工場を1つ任されていて、若い頃から羽振りがよく、高価なスーツを着こなせるのもそのせいだったのだが、社長室でも秘書や事務員からは好奇の目を向けられ、工場へ出向いても、雇い人たちからはそういう目で見られたりしていた…



No.16 15/05/03 17:01
名無し2 

>> 15 その週刊誌はシモーヌも目にしていた。
シモーヌはアマンダを可哀想に思ったが
アマンダが離婚してからひとりの女として生き生きと輝き始めたようすを見て

よい決断であったと思っていた…




No.15 15/05/03 16:36
旅人 

>> 14 アマンダもアマンダで、デートを重ねるうちに、ビリーの誠実さや真面目さに好感を抱くようになっていた。

何度目かのデートでアマンダはビリーに、

「ソフィーからも言われたの。あの頃あなたの気持ちに気づいていたら今頃違っていたかもしれないって…」


と言うとビリーは、


「そうかもしれないけど、逆にあの頃に結婚していたら、今みたいにうまくいってなかったかもしれないし。お互いベ別の相手と結婚して、年月が経ってから巡りあったからよかったのかもしれないよ」

と、優しくアマンダに言うのだった。



アマンダも、パパっ子だったスージーのことがネックだったのである…







No.14 15/05/03 16:05
名無し2 

>> 13 ビリーもその週刊誌で騒がれているのが
アマンダの元夫だと気がついていた。

ビリーはアマンダとの結婚を考えていた。
しかし、デリケートな年頃のスージーの事を心配して

なかなか言い出せないでいた…



No.13 15/05/03 13:27
旅人 

>> 12 スージーも、その週刊誌を見て、呆れていたというか、ショックだった。


以前に偶然見た若い女だけではなく、今度はニューハーフと恋人になっているパパって、なんて節操なしなの…


アマンダはスージーに


「あなたには黙ってだけどね。パパは昔からこうだったのよ。あなたにとってはかけがえのないパパだろうけど、ママンはパパと別れて正解だったと思ってるわ」


と言った。


そんなアマンダは、まだスージーには話していないが、仕入れ問屋を経営しているビリーと、ちょくちょくデートをしているのだった…



No.12 15/05/03 13:00
名無し2 

>> 11 同じ頃その週刊誌を見て呆れているのはアマンダであった…



No.11 15/05/02 22:16
旅人 

>> 10 週刊誌の見出しには、


ニューハーフタレント、シータ、新恋人か?!



と大々的に記載があったため、ミシェルははじめてシータがニューハーフであることを知ったのだった。


結局あの日は、何事もなく、普通にシータと楽しく飲んで終わっただけだった。


ミシェルが帰り際にシータを誘おうとしたのだが、シータは

「明日の仕事が早いから、ご免なさいね。また今度…」


と言って帰ってしまったのである。



しかし、マシューがこの週刊誌を見ていて、激怒していたことを、ミシェルはまだ知らなかった…




No.10 15/05/02 22:02
名無し2 

>> 9 そして数日後

シータの思惑どおり週刊誌にシータとミシェルの写真がスクープされた…



No.9 15/05/02 12:27
名無し2 

>> 8 女大好きミシェルはシータがニューハーフである事も知らずに

性懲りもなくシータに会いに行くのであった…



No.8 15/05/01 20:13
旅人 

>> 7 シータは、念のため、自分のマネージャーに、自分とミシェルとのツーショット写真を、離れた場所から隠し撮りするように言ってあった。


週刊誌だけじゃあてにならないし


ミシェルとは、例の酒場で待ち合わせをしていた…



No.7 15/05/01 16:16
名無し2 

>> 6 シータはミランダをスクープした週刊誌に

匿名で電話をかけた。
『シータが最近イケメン男性と一緒にいるのを見ました。かなり親密そうでした。』

これで自分もスクープされて

注目されると思い

シータはその夜もミシェルを飲みに誘った…




No.6 15/05/01 07:29
旅人 

>> 5 もちろん、ミシェルは、シータがニューハーフだとはまだ気づいていなかった。


ミシェルは、さすがにニューハーフとはまだ浮気したことがなかった。


一方シータは、帰ってからマネージャーに


「ちょうどいいタイプの男が見つかったのよ~」


と、電話で話していた…




※主さまありがとうございますm(__)m



No.5 15/05/01 07:24
名無し2 

>> 3 ミシェルは、酒場でシータと盛り上がり、シータと連絡先を交換して別れると、連絡先のメモを見ながらひとりにやついていた。 さっきの美人… ミシェルはお腹が大きくなったマシュー とセックスが出来ない事もあり

シータへの欲望を膨らませていた。




それでは参加させて頂きます。😊



No.4 15/04/30 22:44
旅人 

>> 2 フリーターさん😊 8の続きを作って下さって ありがとうございます。🙇 主より🎉 いえいえ(^_^)


さっそくきてくださり、うれしいです。


主さまも、よろしければ、時々こちらにもご参加くださいませ。


9のほうにも喜んで参加いたしますよ~




フリーター(旅人)より



No.3 15/04/30 22:40
旅人 

>> 1 みんスト8のあらすじを簡単に書くのはむずかしいのですが、とりあえず舞台は現代のフランスであります。 ニューハーフタレントのシータは… ミシェルは、酒場でシータと盛り上がり、シータと連絡先を交換して別れると、連絡先のメモを見ながらひとりにやついていた。


さっきの美人も、どっかで見たような感じだったけどな…


家に帰れば、マシューが待っていた。

そろそろお腹も目立ちはじめている。


妊娠のイライラを、自分に向けてるんだろうな と思うと、多少同情するが、やはり憂鬱だった…


  • << 5 ミシェルはお腹が大きくなったマシュー とセックスが出来ない事もあり シータへの欲望を膨らませていた。 それでは参加させて頂きます。😊

No.2 15/04/30 22:35
名無し2 

フリーターさん😊

8の続きを作って下さって

ありがとうございます。🙇

主より🎉



  • << 4 いえいえ(^_^) さっそくきてくださり、うれしいです。 主さまも、よろしければ、時々こちらにもご参加くださいませ。 9のほうにも喜んで参加いたしますよ~ フリーター(旅人)より

No.1 15/04/30 22:32
旅人0 

みんスト8のあらすじを簡単に書くのはむずかしいのですが、とりあえず舞台は現代のフランスであります。


ニューハーフタレントのシータは、ライバルのミリアンの人気を妬み、自分も誰かとスキャンダルを起こそうかな と盛り場を物色していたが、目をつけたのは、イケメンだが女ぐせの悪いミシェルだった。



ミシェルは、若い頃に結婚した年上の妻のアマンダと離婚し、妊娠した若い愛人のマシューと同棲していたのだが、マシューが最初のしおらしさはどこへやら、鬼嫁化してきたので、連日飲み歩いていたところを、シータに声をかけられたのであった…



  • << 3 ミシェルは、酒場でシータと盛り上がり、シータと連絡先を交換して別れると、連絡先のメモを見ながらひとりにやついていた。 さっきの美人も、どっかで見たような感じだったけどな… 家に帰れば、マシューが待っていた。 そろそろお腹も目立ちはじめている。 妊娠のイライラを、自分に向けてるんだろうな と思うと、多少同情するが、やはり憂鬱だった…
投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧