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みんなでつくろうストーリー8の6

レス500 HIT数 6408 あ+ あ-

旅人
15/11/23 22:52(更新日時)

約1年以上続いた、“みんなでつくろうストーリー8”…。


一旦終了したストーリーではありますが、実はまだ未完なのであります…。


とりあえず完結するのかどうかはわかりませんが、みんなでつくろうストーリーの主さまに代わり、私フリーターが、続きを書いてみることにいたします。

完結するなら8の10ぐらいまでにはなんとかしたいですな。



もちろん9スレにもストーリーを作りにいきます!



よろしくです\(^o^)/


No.2211200 15/04/30 22:23(スレ作成日時)

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No.101 15/05/26 16:17
旅人 

>> 100 田沼家専属運転手の西田保は、もう20年近く田沼家で働いている。父親も田沼家の運転手を長年勤めていて、父親のあとをつぐ形で、田沼家運転手として働くことになった。


採用されたばかりの頃は、西田もまだ20代の青年で、田沼滋だけでなく、娘の菜穂子の用事で運転することもあり、美しい菜穂子にほのかな憧れを抱いていたが、所詮は菜穂子と自分は釣り合うわけもないという諦めの気持ちもあったので、採用されて2年後に、田沼滋がすすめた見合いで知り合った女性と結婚し、子供にも恵まれ、それなりに幸せな生活をきずいている。

しかし、結婚しても、子供が生まれても、菜穂子に対するほのかな憧れが消えることはなく、そのため、菜穂子が島津雅彦と恋に落ち、田沼滋の目を盗んでデートするときなど、菜穂子に積極的に協力したりもしていたのである。


それに西田は、島津とも結構ウマがあい、菜穂子と島津が結婚してからも、島津ともわりと交流があったのである。


島津が離婚後、蒸発してからは、もちろん西田とも音信不通であったが…。


西田は車に乗り、運転しながら、


そうだ、島津さんに似ていたんだ。あの作業員は…



と、思い出していた…



No.102 15/05/26 17:08
旅人 

>> 101 由紀の姿を電車で見かけなくなって一週間ほどが過ぎた。


桂川奏の通う栄高校は、青蘭女子学園からはそう離れているわけではなく、よっぽど青蘭女子学園の前まで行ってみようかとも考えたが、女子校の門の前を自分がウロウロして迷惑になるのも…とためらいを感じていた。


奏は、由紀とあの日交換した連絡先のメモを思いだし、自分の机の引き出しにしまってあったメモを取り出した。


メモには、ラインのIDと、“島津 由紀”と、外見と同じにかわいらしい筆跡で書かれてあった。



どうしてるか、連絡してみるぐらいいいよな…


と、奏は思い、由紀にラインしてみた…




No.103 15/05/26 22:18
名無し2 

>> 102 〃あれから大丈夫だった?〃


奏からのラインを由紀は

嬉しそうに見た…



No.104 15/05/27 00:00
旅人 

>> 103 由紀はラインに


“最近は車で通学してるから、ちゃんとお礼を言いたかったんだけど、なかなか言えなくて”


と返信した。


奏は由紀からのラインを見て、


車で通学って、結構お嬢様なんだな…



と思った…




No.105 15/05/27 00:04
旅人 

>> 104 “でも、本当は前みたいに電車で学校に行きたいの”


続きで送られた由紀からのラインにはそうあった…



No.106 15/05/27 22:21
名無し2 

>> 105 奏はダメ元で

〃僕は君のボディーガードになりたい〃
とラインで返信してみた…


No.107 15/05/28 00:03
旅人 

>> 106 すると、しばらくして由紀からのラインには


“嬉しいです!今度一緒に電車に乗りたい”


とあり、奏は やったー と思った…




No.108 15/05/28 08:54
名無し2 

>> 107 だが問題は田沼滋であった。

由紀〃お祖父様が許してくれるかな〃

その言葉に奏は

〃僕が君のお祖父様を説得してあげるよ〃

と送った…




No.109 15/05/28 14:41
名無し2 

>> 108 そんなやりとりが数日続き

奏は由紀の祖父

田沼滋に話をするため

田沼家へやって来た。

門の前にたち

チャイムを見つめる奏の手は震えた…



No.110 15/05/28 15:40
旅人 

>> 109 由紀に聞いた、由紀の家(田沼滋の家)は、門構えも立派な大きな家だったからだ。


父親が会社の社長をしている奏の家もわりと大きなほうだと思っていたが、由紀の家のほうが大きく、凝った造りだったからだ。


敷地内にはそれなりに大きな平屋の家屋も見えた(その平屋の家屋には、運転手の西田とその家族が住んでいるのだが)。


奏は、由紀の家の前で緊張し、なかなかチャイムを押せなかったが、由紀のために勇気を出そう と思った…



No.111 15/05/28 22:38
名無し2 

>> 110 奏がチャイムを押すと

〃どちら様でしょうか?〃

と声がした…


No.112 15/05/29 07:14
名無し2 

>> 111 奏は

『か、桂川奏と申します。』

そして深呼吸をすると続けた。

『田沼滋様にお願いがあって参りました。』

足はガクガクし汗が流れた。

そしてしばらくすると門が開いた…



No.113 15/05/29 09:47
旅人 

>> 112 門があき、奏が中に入ると、芝生の美しい庭があり、小さいながらも噴水があった。


すごいな…



奏がただただ驚いていると、玄関には、どこか由紀の面影がある女性が立っていた。



「桂川奏さんね?私は由紀の母です。私の父の田沼滋は今出かけていますの。どうぞ中に…」


菜穂子はそう言って、奏を中に通した…



No.114 15/05/29 10:05
旅人 

>> 113 奏はアンティークなソファーや机などの家具が配置された応接室に通された。


しばらく待っていると、菜穂子がみずから紅茶を入れたカップをのせた盆を持って入ってきた。


菜穂子は、紅茶を奏にすすめ、奏の向かいのソファーに座ると


「あなたのことは由紀からも聞いていますわ。危ないところを助けてくださったそうで、ありがとうございます」

と、まず奏にお礼を言った。



「あの子の祖父…、私には父ですけど、あれ以来ずっと自分の車を使わせて通学させていて。もちろんあんなことのあったあとだし、仕方ない部分はあるんですが、他の子はみんな電車やバスで通っているので、ひとりだけ車で送り迎えされるのが恥ずかしいらしいんです。あの子も、本当は電車で学校に行きたいみたいで…」



と、菜穂子は奏に話した。



由紀は、菜穂子には、奏に助けてもらったことや、本当は電車で通いたいし、奏がボディーガードになると言ってくれていることを話していたのだった…



No.115 15/05/29 10:30
旅人 

>> 114 菜穂子はさらに、

「あなたに会ってみて、あなたが由紀の言っていた通りの人だってよくわかりましたわ。由紀のこと、よろしくお願いしますね。大丈夫、父には私から話します。由紀も出かけてるんですけど、もうすぐに帰ってきますから、よければしばらく待ってて下さいね」



と奏に言って、応接室を出ていった。


奏は内心ガッツポーズをしていた…




  • << 117 それから間もなく、由紀が帰ってきた。 玄関のほうから、ただいまー と言う由紀の声がした。 母の菜穂子が玄関に由紀を出迎えたようだった。 由紀の 「あら?お客様?」 と言う声がした…

No.116 15/05/29 22:11
名無し2 

>> 115 しばらくすると由紀が帰ってきた。

由紀は菜穂子から奏が来ていると聞くやいなや

嬉しそうに応接間へ向かった…



  • << 118 菜穂子から 「奏さんが来ているのよ」 と言われた由紀は、応接室に向かい、応接室のドアを開けた。 桜色の清楚なワンピースを身につけた由紀を見て、奏はドキっとした…

No.117 15/05/29 22:12
旅人 

>> 115 菜穂子はさらに、 「あなたに会ってみて、あなたが由紀の言っていた通りの人だってよくわかりましたわ。由紀のこと、よろしくお願いしますね。… それから間もなく、由紀が帰ってきた。


玄関のほうから、ただいまー と言う由紀の声がした。


母の菜穂子が玄関に由紀を出迎えたようだった。


由紀の


「あら?お客様?」



と言う声がした…




No.118 15/05/29 22:15
旅人 

>> 116 しばらくすると由紀が帰ってきた。 由紀は菜穂子から奏が来ていると聞くやいなや 嬉しそうに応接間へ向かった… 菜穂子から


「奏さんが来ているのよ」


と言われた由紀は、応接室に向かい、応接室のドアを開けた。


桜色の清楚なワンピースを身につけた由紀を見て、奏はドキっとした…



No.119 15/05/30 12:31
名無し2 

>> 118 運転手の西田が庭掃除をしながら

窓の外から奏の事をかなりジロジロと見てきた。

なにしろ由紀のボーイフレンドが家に来るなんて

初めての事であった…



No.120 15/05/30 15:14
旅人 

>> 119 庭の掃除がすむと、西田は車の掃除と洗車をはじめた。


洗車をしながら、菜穂子がはじめて島津雅彦をこの家に連れてきた時のことを思いだしていた。


西田はそのときにはもう結婚していたが、菜穂子が島津を連れてきた時に、ちょっと複雑な気分だったことを思い出した。
島津とも気が合った西田は、菜穂子が島津と結婚してからも、ふたりで飲みに行ったり、結婚後の島津と菜穂子の家にも遊びに行き、ふたりから暖かく迎えられたものだが…。


その思い出の連鎖で、西田は、島津に似た作業員のことを思い出したのだった…




No.121 15/05/31 12:38
名無し2 

>> 120 『あ…』

西田は思わず声を出した。

あの時工事現場で見た

どこか見覚えのあるあの男は

島津雅彦に似ていたのだ…


No.122 15/06/01 23:02
名無し2 

>> 121 奏は由紀と一緒に登校する

という許可が由紀の母親から出た事で

ひとまず目的を達成できた喜びを感じていたが

窓の外からビシビシと感じる西田の視線には

汗が出た。

奏『じゃあ、俺そろそろ帰るよ。』…




No.123 15/06/02 02:02
旅人 

>> 122 由紀は

「また来てね」


と言って玄関の外まで見送ってくれた。



西田は、明日由紀を車で学校に送っていくときに、あの作業員をじっくり見てみようと考えていた…



No.124 15/06/02 19:38
名無し2 

>> 123 奏が帰った後

菜穂子が

田沼滋と西田に

由紀の送り迎えを奏に託したいという意向を伝えた…



No.125 15/06/03 00:32
旅人 

>> 124 田沼滋は、当然のことながら、菜穂子の頼みでも、すぐに首を縦にはふらず


「考えておく」


と言っただけだった。



菜穂子は由紀に


「頼んではみたけど、おじいさまは承諾しなかったわ。でも、おじいさまはそんなにひどく反対はしなかったから望みはあると思うの。奏さんにも伝えて…」


と言ったので、由紀はその夜ラインで


“お母さんがおじいさまに頼んでくれたけど、すぐにはうんと言ってくれなかったみたい。でも、必ず説得するって言ってくれたから、もう少し待ってほしいの”

と、奏に伝えた。



奏は由紀からのラインを見てちょっとがっかりしたが、すぐさま由紀からラインがあり

“早く桂川くんと一緒に学校に行きたい”


とあったので、奏は嬉しかった。


そして奏は、由紀に恋をしたことに気づいたのだった…



No.126 15/06/03 00:43
旅人 

>> 125 田沼滋は、菜穂子が部屋を出たあとに、西田に

「西田、お前は昼前、その男子高校生を見たんだろう?どんな感じだった?」

と尋ねた。


西田は

「育ちの良さそうな、今どきの高校生らしくない雰囲気でしたが。栄高校の制服を着てましたね」

と言った。


田沼滋は


「確かに栄高校なら、由紀の学校とも近いが…。栄高校は学力レベルも高いし、比較的良家の人間が通っているところだから心配はないと思うが…」

と言ってからしばらくして


「私が昔から信頼している興信所に頼んで、その桂川奏という高校生の身元調査をしてもらおう。菜穂子に返事をするのはそれからでも遅くはない。くれぐれも、興信所の件は菜穂子や由紀には気取られないようにな…」

と言った…







No.127 15/06/03 01:00
旅人 

>> 126 数日後、興信所からの報告書が、田沼滋のもとにひそかに届けられた。


興信所の報告によると、桂川奏の父親は、桂川商事という商事会社の社長をしている。
会社の経営状態も、堅実で、そう悪くはない。

桂川奏の母親は、結婚前はピアノ奏者として交響楽団にいたこともあり、結婚を機に専業主婦になっている。

奏には国立大に通う大学生の兄と、全寮制の私立の中学に通う弟がおり、奏は次男坊である。


子供の頃、身体が弱かったせいで、奏の父親がボクシングジムに通わせいて、現在も運動のために時たま通っている。由紀を助けることができたのもボクシングのおかげだが、普段はボクシングが出来ることなどけぶりにも出さず、成績も学年では上位で、おだやかでやさしく、クラスでも慕われているという、反対する理由を見つけることのほうが難しい高校生だった。


田沼滋は、報告書を見て、もう由紀と一緒に登校することを許す気になっていたが、それでも一度自分の目で桂川奏を見てみたい と思った…



No.128 15/06/03 01:07
旅人 

>> 127 その間も、西田が運転する車での送り迎えは続いていた。

西田は、学校の近くで見た、島津に似た作業員を目で探したが、あの時以降、島津に似た作業員を見ることはなかった。



工事がほぼ完成したので、島津は仕事がなくなってしまったのである。


島津は、工事現場から少し離れた安宿に泊まっていたが、宿賃も底をついたので宿にもいられなくなり、宿を出ていかざるをえなくなって、ホームレス時代のように公園の土管の中や橋の下で眠ったりしていたのだった…




No.129 15/06/03 01:23
旅人 

>> 128 仕事があった時は見ていた由紀の姿を見たいと思っていたが、仕事がなくなった直後、慣れない生活のせいか、島津は風邪をこじらせてしまい、熱が高く、医者にも行けず、公園の土管の中で寝込んでいたのだった…



No.130 15/06/03 07:13
名無し2 

>> 129 『あの…もしもし…大丈夫ですか?』

土管の中で高熱を出してぶるぶる震えている島津に

誰かが声をかけた…


No.131 15/06/03 09:45
旅人 

>> 130 島津が熱にうなされながら、声のしたほうを見た。


声をかけていたのは、サラリーマン風の姿をした見知らぬ男だった…





No.132 15/06/03 10:16
旅人 

>> 131 見たところ、30代半ばぐらいだろうか


島津は、フランスに強制送還されたミシェルのことをふと思い出した。


男は、


「医者に看てもらうほうがいいと思いますよ。知り合いに医者がいますのですぐに連れてきますから」


と、自販機で島津のために冷たいペットボトルのお茶を買い、島津に渡すとひとまずそこを去った…


No.133 15/06/03 10:20
旅人 

>> 132 男…、五十嵐聖二は、小さな診療所をやっている医者の友人のもとへ走っていた。



あの時もこうやって走っていたな…



そして、美也子さんのご主人とまたまた魂が入れかわってしまったんだ…



五十嵐の心に、甘く、苦い思い出がよぎった…



No.134 15/06/03 10:28
旅人 

>> 133 運命のいたずらで、長年忘れられなかった菊池美也子の夫の菊池康成と魂が入れかわってしまい、康成になった五十嵐は、身も心も美也子を愛し、美也子は肉体の悦びを知ると同時に、結婚して10年以上たって妊娠もしたのである。


身体は康成なので、康成の子だが、五十嵐は自分と美也子との子供だと思っている。


自分の身体になった美也子の夫の康成が、自分が以前家庭教師をしていた朝倉五月と結婚して、子供を作っていたのには驚いたが。


そう、同じ時期に妊娠した美也子と五月は、同じ日に産気付いたのだった。



連絡を受けて五十嵐も康成も走って産婦人科に駆けつけたのだが、産婦人科の門の前で思い切りぶつかったふたりは気を失い、魂が入れ替わり、もとに戻ってしまったのであった…



No.135 15/06/03 10:31
旅人 

>> 134 産婦人科の前で気を失って倒れていたふたりは産婦人科内に担ぎ込まれ、並んで別の病室に寝かされていたが、同時に意識が戻ったので、お互い顔を見合わせた。



もとに戻っている…



ふたりは愕然とした…

No.136 15/06/03 10:32
旅人 

>> 135 ふたりが気を失ってる間に、美也子は男の子を、五月は女の子を産んでいた…



No.137 15/06/03 10:38
旅人 

>> 136 五十嵐も康成も、あきらめてもとの生活に戻っていった。
一度魂の入れ替わりを体験すると、もう二度と他人とは入れ替われないと、デブッチョ小出から聞いていたからである。

康成は歯医者を再開し、産まれた男の子に“皐月”と名づけたと聞いた。


自分も、五月の産んだ女の子に“美也子”と名づけたのだった…



No.138 15/06/03 15:57
旅人 

>> 137 五月は

「今どき“子”のつく名前なんて」

と言ったが、五十嵐が半ば強引に決めてしまったのである。
舅の朝倉には好評だったので、結局五十嵐の主張が通ったのだが…。


そして、もとに戻った康成も、美也子が産んだ男の子に“皐月”と名づけた。

幸い美也子はその名前を喜んだ。


さすがに康成は、五月の名前をそのままの漢字で使うのは気が引けたので、字は変えたのである。


康成も五十嵐も、もとの肉体に戻ったので、当然のことながら、美也子や五月に対する態度も微妙に変化していった。


その話はひとまず置いて、五十嵐は友人の医者がやっている町の医院に駆け込み、事情を説明した。


五十嵐の友人の医者の流郷(りゅうごう)は、五十嵐から事情を聞くと、すぐさま島津が寝ている土管へと向かった…



No.139 15/06/03 20:10
旅人 

>> 138 流郷は、土管の中で寝ている島津を見るなり、

「これは大変だ。かなり衰弱している。あまり動かせないが、このままここに寝かせてもおけないしな。五十嵐、悪いが診療所に戻って俺のワゴン車をとってきてくれないか。ゆっくり運転して診療所に運ぼう」


と、上着のポケットから車のキーを出し、五十嵐に放り投げた。


五十嵐は、キーを受けとると、診療所まで走っていった…



No.140 15/06/03 20:19
旅人 

>> 139 流郷のワゴン車の後部には人ひとり寝られるスペースがあり、応急処置ぐらいならできるようになっていた。


流郷は、できるだけゆっくり運転し、島津に負担をかけないように、診療所に運んだ。


診療所は、狭いが入院できる部屋もあり、島津を五十嵐とふたりがかりでベッドに運び、くたびれた洋服を脱がせ、備え付けの入院着に着替えさせた。



五十嵐は、流郷の手伝いが終わると帰っていった…



No.141 15/06/04 15:29
旅人 

>> 140 流郷は、必死で島津の手当てをした。


島津は、肺炎をおこしかけていたので、大変だったが、流郷は不眠不休で頑張った。


高熱のため、島津はうわごとで



「菜穂子…、由紀…」



と、何度も妻と娘の名を呼んだ…



No.142 15/06/04 21:48
名無し2 

>> 141 島津はうなされながら

菜穂子と由紀の夢を見ていた…



No.143 15/06/05 12:18
名無し2 

>> 142 毎日社長として激務に追われながらも

菜穂子と由紀がいる家庭は

何にも代え難い幸せな時間だった。

そして数時間後。

島津は誰かが呼ぶ声で目が覚めた…




No.144 15/06/05 15:56
旅人 

>> 143 目が覚めると、島津の目にうつったのは見知らぬ部屋と見知らぬ男だった。


「よかった、意識が戻ったんだね」



額に汗を浮かべたその男は島津を見て笑った…



No.145 15/06/06 12:39
名無し2 

>> 144 『私は五十嵐といいます。あなたは覚えていないかもしれませんが、私は昔あなたにお世話になった事があるんです。』…




No.146 15/06/06 14:18
旅人 

>> 145 流郷の横に五十嵐が立っていた。


五十嵐は、島津の様子をときどき見に来ていたのだが、五十嵐は、島津が、死んだ自分の父親の大学の後輩として、昔よく家に来ていたことを思い出したのだった。


死んだ五十嵐の父親は、面倒見のよい性格だったので、五十嵐の父親を慕って五十嵐の家にはいろいろな人が訪ねていた。


父親の部下だった舅の朝倉俊三や、島津もそうだった。


島津は昔、輸入食器会社の社長をしていて、買い付けのために外国へ行くこともあり、英国やフランス語は堪能だった。


多額の借金を背負って会社は倒産した と風の噂で聞いてはいたが…



五十嵐は、目の前のみすぼらしい島津の姿が信じられない気分だった…






No.147 15/06/06 19:55
名無し2 

>> 146 島津『五十嵐…さん?』

名前を聞いた島津は
昔五十嵐清十郎に世話になった事を思い出した。

島津『もしかして、あなたは五十嵐清十郎さんのご子息なのですか?』…



No.148 15/06/06 20:38
旅人 

>> 147 五十嵐「そうですよ。僕がまだ子供だった頃、島津さんは大学生でしたよね。その頃、父を訪ねてよくわが家に来られてましたね。大学を卒業されて、会社を興す前に商社に就職されて、きれいな奥様と来られた時もありましたね…」


島津「そうだっだね。あなたの父上のお母様のカルさんからもよくしてもらった…」



五十嵐「祖母は今も元気ですよ。ひ孫ができたと喜んでくれて」


島津「ひ孫…、じゃあ、君は結婚したのか…」


五十嵐「はい、去年ですが…」


妻になった五月を嫌いではないし、五月が産んだ女の子・美也子も、肉体的には自分の子に間違いはないのだが、精神的には、五月と、魂が入れかわった康成との間にできた女の子 という気持ちがぬぐえず、さほど可愛いとは思えないのだが、そんなことまで島津に話す必要はなかった…







No.149 15/06/06 22:52
名無し2 

>> 148 五十嵐『良かったら、家に来ませんか?』…



No.150 15/06/07 01:35
旅人 

>> 149 島津「いや、君の気持ちは嬉しいが、君の家には奥さんや子供がいるんだし、そこへ他人の私が図々しく居候するわけにもいかないよ。それに私はまだ完全に回復したわけじゃないから、しばらくはまだここにいなければいけないだろうし…」



あとで、医師の流郷に聞いたところ、島津は肺炎をおこしかけていて、あと何日か発見が遅れていたら生命の危機だったという。


意識が戻って、ひとまず危機は脱したとはいうものの、まだ熱はあり、長年のホームレス生活や慣れない仕事の無理がたたって、体力も弱っていた。


流郷「確かに、もうしばらくはここにいたほうがいいと思う。体力が回復してきたら、また今後のことを考えればいいし、今決めなくてもいいんじゃないか?」


五十嵐は、それも一理あると思った…



  • << 151 島津『そうだ…あの頃聖司くんはまだ子どもで、大学時代に僕が持ち歩いていた本に興味を持って 僕の横に座って難しい本を読んでいたよね。』 五十嵐『はい。しっかり覚えています。あの本が僕の人生を変えたんです。』…
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