みんなでつくろうストーリー8の6
約1年以上続いた、“みんなでつくろうストーリー8”…。
一旦終了したストーリーではありますが、実はまだ未完なのであります…。
とりあえず完結するのかどうかはわかりませんが、みんなでつくろうストーリーの主さまに代わり、私フリーターが、続きを書いてみることにいたします。
完結するなら8の10ぐらいまでにはなんとかしたいですな。
もちろん9スレにもストーリーを作りにいきます!
よろしくです\(^o^)/
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>> 100
田沼家専属運転手の西田保は、もう20年近く田沼家で働いている。父親も田沼家の運転手を長年勤めていて、父親のあとをつぐ形で、田沼家運転手として働くことになった。
採用されたばかりの頃は、西田もまだ20代の青年で、田沼滋だけでなく、娘の菜穂子の用事で運転することもあり、美しい菜穂子にほのかな憧れを抱いていたが、所詮は菜穂子と自分は釣り合うわけもないという諦めの気持ちもあったので、採用されて2年後に、田沼滋がすすめた見合いで知り合った女性と結婚し、子供にも恵まれ、それなりに幸せな生活をきずいている。
しかし、結婚しても、子供が生まれても、菜穂子に対するほのかな憧れが消えることはなく、そのため、菜穂子が島津雅彦と恋に落ち、田沼滋の目を盗んでデートするときなど、菜穂子に積極的に協力したりもしていたのである。
それに西田は、島津とも結構ウマがあい、菜穂子と島津が結婚してからも、島津ともわりと交流があったのである。
島津が離婚後、蒸発してからは、もちろん西田とも音信不通であったが…。
西田は車に乗り、運転しながら、
そうだ、島津さんに似ていたんだ。あの作業員は…
と、思い出していた…
>> 113
奏はアンティークなソファーや机などの家具が配置された応接室に通された。
しばらく待っていると、菜穂子がみずから紅茶を入れたカップをのせた盆を持って入ってきた。
菜穂子は、紅茶を奏にすすめ、奏の向かいのソファーに座ると
「あなたのことは由紀からも聞いていますわ。危ないところを助けてくださったそうで、ありがとうございます」
と、まず奏にお礼を言った。
「あの子の祖父…、私には父ですけど、あれ以来ずっと自分の車を使わせて通学させていて。もちろんあんなことのあったあとだし、仕方ない部分はあるんですが、他の子はみんな電車やバスで通っているので、ひとりだけ車で送り迎えされるのが恥ずかしいらしいんです。あの子も、本当は電車で学校に行きたいみたいで…」
と、菜穂子は奏に話した。
由紀は、菜穂子には、奏に助けてもらったことや、本当は電車で通いたいし、奏がボディーガードになると言ってくれていることを話していたのだった…
>> 124
田沼滋は、当然のことながら、菜穂子の頼みでも、すぐに首を縦にはふらず
「考えておく」
と言っただけだった。
菜穂子は由紀に
「頼んではみたけど、おじいさまは承諾しなかったわ。でも、おじいさまはそんなにひどく反対はしなかったから望みはあると思うの。奏さんにも伝えて…」
と言ったので、由紀はその夜ラインで
“お母さんがおじいさまに頼んでくれたけど、すぐにはうんと言ってくれなかったみたい。でも、必ず説得するって言ってくれたから、もう少し待ってほしいの”
と、奏に伝えた。
奏は由紀からのラインを見てちょっとがっかりしたが、すぐさま由紀からラインがあり
“早く桂川くんと一緒に学校に行きたい”
とあったので、奏は嬉しかった。
そして奏は、由紀に恋をしたことに気づいたのだった…
>> 125
田沼滋は、菜穂子が部屋を出たあとに、西田に
「西田、お前は昼前、その男子高校生を見たんだろう?どんな感じだった?」
と尋ねた。
西田は
「育ちの良さそうな、今どきの高校生らしくない雰囲気でしたが。栄高校の制服を着てましたね」
と言った。
田沼滋は
「確かに栄高校なら、由紀の学校とも近いが…。栄高校は学力レベルも高いし、比較的良家の人間が通っているところだから心配はないと思うが…」
と言ってからしばらくして
「私が昔から信頼している興信所に頼んで、その桂川奏という高校生の身元調査をしてもらおう。菜穂子に返事をするのはそれからでも遅くはない。くれぐれも、興信所の件は菜穂子や由紀には気取られないようにな…」
と言った…
>> 126
数日後、興信所からの報告書が、田沼滋のもとにひそかに届けられた。
興信所の報告によると、桂川奏の父親は、桂川商事という商事会社の社長をしている。
会社の経営状態も、堅実で、そう悪くはない。
桂川奏の母親は、結婚前はピアノ奏者として交響楽団にいたこともあり、結婚を機に専業主婦になっている。
奏には国立大に通う大学生の兄と、全寮制の私立の中学に通う弟がおり、奏は次男坊である。
子供の頃、身体が弱かったせいで、奏の父親がボクシングジムに通わせいて、現在も運動のために時たま通っている。由紀を助けることができたのもボクシングのおかげだが、普段はボクシングが出来ることなどけぶりにも出さず、成績も学年では上位で、おだやかでやさしく、クラスでも慕われているという、反対する理由を見つけることのほうが難しい高校生だった。
田沼滋は、報告書を見て、もう由紀と一緒に登校することを許す気になっていたが、それでも一度自分の目で桂川奏を見てみたい と思った…
>> 133
運命のいたずらで、長年忘れられなかった菊池美也子の夫の菊池康成と魂が入れかわってしまい、康成になった五十嵐は、身も心も美也子を愛し、美也子は肉体の悦びを知ると同時に、結婚して10年以上たって妊娠もしたのである。
身体は康成なので、康成の子だが、五十嵐は自分と美也子との子供だと思っている。
自分の身体になった美也子の夫の康成が、自分が以前家庭教師をしていた朝倉五月と結婚して、子供を作っていたのには驚いたが。
そう、同じ時期に妊娠した美也子と五月は、同じ日に産気付いたのだった。
連絡を受けて五十嵐も康成も走って産婦人科に駆けつけたのだが、産婦人科の門の前で思い切りぶつかったふたりは気を失い、魂が入れ替わり、もとに戻ってしまったのであった…
>> 137
五月は
「今どき“子”のつく名前なんて」
と言ったが、五十嵐が半ば強引に決めてしまったのである。
舅の朝倉には好評だったので、結局五十嵐の主張が通ったのだが…。
そして、もとに戻った康成も、美也子が産んだ男の子に“皐月”と名づけた。
幸い美也子はその名前を喜んだ。
さすがに康成は、五月の名前をそのままの漢字で使うのは気が引けたので、字は変えたのである。
康成も五十嵐も、もとの肉体に戻ったので、当然のことながら、美也子や五月に対する態度も微妙に変化していった。
その話はひとまず置いて、五十嵐は友人の医者がやっている町の医院に駆け込み、事情を説明した。
五十嵐の友人の医者の流郷(りゅうごう)は、五十嵐から事情を聞くと、すぐさま島津が寝ている土管へと向かった…
>> 145
流郷の横に五十嵐が立っていた。
五十嵐は、島津の様子をときどき見に来ていたのだが、五十嵐は、島津が、死んだ自分の父親の大学の後輩として、昔よく家に来ていたことを思い出したのだった。
死んだ五十嵐の父親は、面倒見のよい性格だったので、五十嵐の父親を慕って五十嵐の家にはいろいろな人が訪ねていた。
父親の部下だった舅の朝倉俊三や、島津もそうだった。
島津は昔、輸入食器会社の社長をしていて、買い付けのために外国へ行くこともあり、英国やフランス語は堪能だった。
多額の借金を背負って会社は倒産した と風の噂で聞いてはいたが…
五十嵐は、目の前のみすぼらしい島津の姿が信じられない気分だった…
>> 147
五十嵐「そうですよ。僕がまだ子供だった頃、島津さんは大学生でしたよね。その頃、父を訪ねてよくわが家に来られてましたね。大学を卒業されて、会社を興す前に商社に就職されて、きれいな奥様と来られた時もありましたね…」
島津「そうだっだね。あなたの父上のお母様のカルさんからもよくしてもらった…」
五十嵐「祖母は今も元気ですよ。ひ孫ができたと喜んでくれて」
島津「ひ孫…、じゃあ、君は結婚したのか…」
五十嵐「はい、去年ですが…」
妻になった五月を嫌いではないし、五月が産んだ女の子・美也子も、肉体的には自分の子に間違いはないのだが、精神的には、五月と、魂が入れかわった康成との間にできた女の子 という気持ちがぬぐえず、さほど可愛いとは思えないのだが、そんなことまで島津に話す必要はなかった…
>> 149
島津「いや、君の気持ちは嬉しいが、君の家には奥さんや子供がいるんだし、そこへ他人の私が図々しく居候するわけにもいかないよ。それに私はまだ完全に回復したわけじゃないから、しばらくはまだここにいなければいけないだろうし…」
あとで、医師の流郷に聞いたところ、島津は肺炎をおこしかけていて、あと何日か発見が遅れていたら生命の危機だったという。
意識が戻って、ひとまず危機は脱したとはいうものの、まだ熱はあり、長年のホームレス生活や慣れない仕事の無理がたたって、体力も弱っていた。
流郷「確かに、もうしばらくはここにいたほうがいいと思う。体力が回復してきたら、また今後のことを考えればいいし、今決めなくてもいいんじゃないか?」
五十嵐は、それも一理あると思った…
- << 151 島津『そうだ…あの頃聖司くんはまだ子どもで、大学時代に僕が持ち歩いていた本に興味を持って 僕の横に座って難しい本を読んでいたよね。』 五十嵐『はい。しっかり覚えています。あの本が僕の人生を変えたんです。』…
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