注目の話題
神社仏閣珍道中・改
妻子を養ってあげてる。結婚してる男性
自然消滅?ご意見お願いします!!

Everlasting Love☆

レス160 HIT数 29961 あ+ あ-

RIN( ♀ loeN )
13/05/05 04:32(更新日時)





あたしは
今あたしの隣りで
スヤスヤ眠るこの男に



何度 傷つけられ
何度 泣かされてきたか………。




「終わりにしなきゃ」
そう思う度、
離れられないのはあたしだった。



この暖かくて綺麗な手を
離したくないのはあたしだった。




…◇◆…………………………………◆◇…


小説と言える程、上手く書ける自信もありません。
読んで辛くなる方や不快に思う方がいると思います(*_ _)m

そんな方は是非スルーしてくださいm(_ _;)m


No.1886962 12/12/09 04:42(スレ作成日時)

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.160 13/05/05 04:32
RIN ( loeN )

>> 159


この時間じゃ、もう今日は連絡もこないんだろう…とお風呂に入ろうとした時 携帯が鳴った。
織田さんからだ。



携帯を見るのが怖かった。
「寝てるか?」



「ううん…起きてるよ」
わざと笑顔の絵文字をつけた。



「今から出れるか?」
織田さんのメールに絵文字はない。
ケンカするといつも絵文字はなかった。


「うん!」
あたしは敢えて絵文字をつけた。


これで終わるんだ。
そう思うと足がすくんだが、自分で決めた事。
逃げる訳にはいかない。


自転車をかっ飛ばして待ち合わせの場所へ向かった。
道路が歪んで見える。
人がハッキリ見えない。
逢う前から涙が溢れて仕方なかった。




いつも待ち合わせる場所。
何度も何度も来た場所。
今日は涙で違う景色に見える。



あたしはこれから何を言われるんだろう…。
織田さんが「YES」と言えば、もう引き止める訳にはいかない。
最後の覚悟は出来てたはずなのに…
まだ離れたくないと もう1人のあたしが言っているのが分かる。




駐輪場に自転車を止め、歩き出すと織田さんが待っていた。

織田さんに笑顔はない。
一瞬にして逃げたくなった。
織田さんを見て引き返そうとしたあたしの腕を織田さんが掴む。


ダメだよ。
見ないで…



勝手に決めて勝手に泣いてるあたしなんか見ないで…。 




掴まれた腕が引っ張られ、無言のまま抱き寄せられる。




「1人でずっと頭冷やしてた」




「………え?」




「勝手に決めるな!バカ凛!」




うっすらと目を赤くさせた織田さんがいる。
「凛…辞めるな。ずっと一緒だ!」




なんだよ………!
せっかくの決心はまた弱さに負ける。
だって一緒にいたいんだもん。
あたしはいつもこうして離れられずにズルズルとまた同じ道を歩いていく。
懲りもせず………。



どうして織田さんはここまでして あたしといるんたろう。
都合のいい女。
身体だけの女。
そういう関係を望むにはあたしは重いだろう。
バレたらヤバい関係。


めんどくさくなったら捨てられる。
でも織田さんはいつもあたしを捨てない。



いや…
遊びでも一緒にいたいのはあたしのほう。
だから…もう一度だけ、もう一度だけ
このまま一緒にいさせてください。
自分の気が済むまで とことん一緒にいたい。



どこまでも自分に甘いあたし。

No.159 13/05/05 03:50
RIN ( loeN )

>> 158

面接を終え あたしは帰宅した。
織田さんから連絡はない。
自分で決めたはずなのに涙が溢れる。


心のどこかでまだ期待しているあたしがいる。




織田さんに引き止めて欲しい。



きっと引き止めてくれる。
そんな安易な考えがあったのも事実。
もともと駆け引きなんて苦手なあたしはいつも1人で空回りする。



いや…
今回ばかりは心に決めたはずなんだ。
自分の辛さに…寂しさに…負けた。


ずっと一緒にいたい。
この気持ちは変わらない。
今も…これからも…あたしは織田さんが好き。



でも…でも…寂しかった。
前のあたしなら、もっと我慢出来た事が
我慢出来なくなって
嬉しい事の倍、寂しさや辛さを感じる。


このままだと壊れそうだった。
だから…だから決めたはずなんだ。


同じように「辛い」なら…
別れてもきっと辛いのは同じだと…………。



今、織田さんは何を思っているんだろう。
このまま何も言われずに終わるのかな。
最後くらい泣かずに笑顔で終わらなきゃ。



どんなに寂しくても辛くても
織田さんが大好きだった。
幸せな時間と笑顔をたくさんもらった。



ねぇ…織田さん。
あたしはあなたに出逢えて幸せだったよ。
ずっと…ずっと一緒にいたかった。
弱いあたしでごめんね…。



そんな事を考えながら
鳴らない携帯を横に、何時間経ったんだろう。
織田さんの終電の時間が過ぎ…
もう連絡すら する気がないんだと身体中の力が全て空っぽの抜け殻になったようなあたしだった!

No.158 13/04/07 04:00
RIN ( loeN )

>> 157


ラッキーな事にこの日は外回りだった。
織田さんと顔を合わせなくて済む。
ギリギリまで外にいて面接寸前に帰ろう、そう思った。


ギリギリに戻ったあたしに
「中川さん!面接待ってるよ!」
と前の人が呼びに来た。



遂に来た。
あたしの全てが終わる瞬間。
時計を見ると定時が近かった。
みんなが早く帰ってくれる事を願いながら面接室に向かった。



面接は織田さんの他に2人いる。
大きく深呼吸して中に入った。
あたしは契約社員だから、契約の更新が必要だ。
上司が必要事項を話した後
「問題なければ印鑑をここに押して下さい」
と言った。


よく読むと
辞める時は最低1カ月前に申し出る事!と書いてある。
1カ月か…長いな…と思いながらボケっとしていたんだろう。


「どうした?口数少ないな」
上司が言う。



あたしは見てはいけない顔を見てしまった。織田さんが悲しそうな顔で見ている。


でも、決めた事だ。
「印鑑 持ってきてません。更新はしません。今月いっぱいで辞めようと思います」



全員が無言になる。
「理由はなんかあるのか?」



「 40歳になる前にやりたい仕事があります」
一番、無難な答えだろう。



何だかんだ引き止められ、最後はもう少し考え直してみて!とアッサリ「はい、分かりました」とは行かず、あたしが負けて面接が終わった。
織田さんは終始無言のままだった。



昔、喧嘩した時にあたしが言った事がある。
「織田さんはあたしと別れても何も失う物はない。あたしは仕事も織田さんも失う。全て1からやり直す」



織田さんはあたしと別れたって何も失う物はないんだ。家庭も仕事もマイホームも大事な車も全て残る。
あたしは弱いから、別れても職場で顔を合わせていく自信はない。



仕方ない。
これがあたしがした事の代償。
罪と罰。
もう後には引けない。
これでよかったんだよね?凛………。



こうするしかなかったんだよね‥‥……凛。

No.157 13/04/07 03:17
RIN ( loeN )

>> 156

朝、メールが来た。
いつもの織田さんなら必ず
「昨日はごめん」
と言う。

今日はその言葉がなく
「凛携帯 見てみるね」
と言った。
まだ、絵文字がない。


心に決めたはずなのにドキドキした。
怖かった。
織田さんの反応がめちゃくちゃ怖かった。



しばらく返事がない。
「終わった」
そう思った。



凛携帯には
「しばらく距離を置きたい」
そう書いた。
自分が昨日は確実にそう思って書いたこと。
なのに心は震えている。


でも、これでいいんだ。
振られない限り、あたしは止められない。好きな以上、離れられない。


これで終われば、面接でちゃんと言えるはず。これでいい………。
必死に自分に言い聞かせた。


しばらく経って返事が来た。
「本当にいいんだね?」


やはりいつもの織田さんとは違う。
今まで何度もこんなやり取りをして その度 織田さんが引き止めてくれた。


どこかでそれを期待していたあたしは本当に最後なんだ…と確信した。



「本当は嫌。でも仕方ない。これでいいんだと思う」
もう出ないと思っていた涙が溢れてきた。



「わかった」



終わった。
長かった様な短かった様な恋が終わった。
苦しかった時間も楽しかった時間も幸せと感じた時間も………
最後はこんなにもあっけなく終わる。


逢えば離れたくなくなるから…
これでよかったと思おう。
苦しい想いを何度もしたけど…
今日、この時がこんなにも切なくて苦しいなんて………。


出来る事なら行きたくなかったが
面接が残っている。
仕方なく仕事へ向かった。


No.156 13/04/07 02:37
RIN ( loeN )

>> 155

三択………。


仕事は辞める。
織田さんとは別れない。


仕事は続ける。
織田さんとは別れる。


どちらも辞めない。
このまま頑張る。


凛………。
本当はどうしたい?
自分の心に聞いてみる。


最近、気が付いた。
少し前のあたしは喧嘩する度、悲しくなる度、泣いていたよね………。
今のあたしは、もう涙もあまり出なくなっていた。


「どーせ」
「やっぱり」
傷つく事に
裏切られる事に慣れてしまったのかな。



一緒にいられるだけで幸せ。
今も素直にそう思う?
「好き」
この気持ちは変わらない。
「一緒にいたい」
この気持ちも変わらない。



ぢゃあ何が違う?
智恵の言葉を思い出す。


「ねぇ…凛。凛は欲しくならない?私は絶対、自分のモノにしたい!って思っちゃうから自分が辛くなるから…凛の恋愛を否定はしないけど…幸せになって欲しいし、辛い凛は見たくない」



あたしは織田さんを自分のモノにしたい気持ちが知らず知らずの内に強くなっていたのかもしれないね……。
だからかな?
こんなに苦しいのは。
バカなあたしはやっと気が付いた気がした。


No.155 13/04/07 02:19
RIN ( loeN )

>> 154

織田さんはあたしがこんな事を考えているなんて知りもしない。
今の仕事の取り組みに燃えているから そんな事に気づく余裕もない。



帰り道のメールでは今日やった面接の評価や感想なんかを話してくれた。
この日の織田さんは珍しく機嫌が悪く、若干 あたしに八つ当たりしている様に思えた。



せっかくゆっくり話せる唯一のこの時間…。あたしが言った一言が、織田さんの怒りに火をつけた。



面接で散々、文句ばかり言って織田さんの話に聞く耳を持たない人が2人いたらしい。
あたしは彼女だけど…部下である。
ちょっと仕事の事で触れた言葉が織田さんの怒りを絶頂にさせた。



同時にあたしも止まらなくなっていた。
最後は織田さんが初めてかと感じる程のあたしへの怒りを表した言葉で駅に着いた。


あまりのショックであたしはもう何も言えず、
「凛携帯を明日見てください」
と言って最後にした。


「おやすみ」
織田さんは絵文字のない その一言を残し家に帰って行った。

No.154 13/04/07 01:51
RIN ( loeN )

>> 153

あたしは嘘つきが嫌い
酒にだらしない人が嫌い
守れない約束をする人が嫌い
不安にさせられるのがイヤ………。
お調子者がイヤ………。


自分が言った事に責任を持てる
約束は守る
いつでも安心させてくれる
ちゃんと自分を持ってる人が好き。


「転職」
この二文字ばかり あたしの頭の中でグルグルグルグル回り始める



智恵に聞いた
「ねぇ…今って空きある?」



「どうした?空きあるよ!人手不足!凛なら みんな両手広げて待ってるよ!」



「そっか…。なんかね‥‥辛くなっちゃって」



「凛が弱音吐くなんて珍しいね!今から飛んで行こうか?」



「大丈夫なの?」



「大丈夫!大丈夫!」



智恵が来てくれた。
随分、長い事 話を聞いてくれた。
2人の恋愛観は似ている部分が多い。
いつものあたしなら…
話を聞いてもらえただけで、多少は立ち直る事が出来るのに…


何故だろう………。
これだけ話しても心のモヤモヤが晴れない。


明日から3日間、面接がある。
あたしは迷う事なく最終日の最後を選んだ。


この面接までに……
自分の行方を決めよう!
そう決意した。
いや…
この時は既に心は決まっていたんだろう。

No.153 13/04/06 15:05
RIN ( ♀ loeN )

>> 152

織田さんが忙しくてメールすら出来ない時ほど…嫌な話が舞い込んでくるモノで…。


男性社員と一部の女の子達がよく、みんなが帰った後 ビールを飲みながら仲良く話している!

とか

織田さんは必ず喫煙所に○○さんといる!

とか

織田さんはよく仕事中いなくなって1時間以上 どこで何をしているのか分からない!

とか………。


あたしも知らない様な噂が飛び交う。
これだけいる女の中にたった4人しかいない男性。まぁ噂のネタになるのも分からなくはない。


信じてはいるモノの………
あまりにも こんな話ばかり聞いているとあたしの中の「信じる気持ち」も時として混乱に陥る時がある。


織田さんはあたしとの関係がバレない為に…仕事ではあえて あたしを織田さんの近くには置かない。
自分とはあまり接触のない位置にあたしを置く。


あたしはいつも織田さんが笑いながら他の女性と仕事以外の楽しい会話をする姿を遠目から見ていた。
あたしが帰った事にさえ気づかない位 話に夢中になっている時もある。


新しい年度…。
会社の業務体制も大幅に変わり、不平不満や悪口、愚痴を盛んに聞き始めた。
織田さんへの不満もたくさん出始めた。


そうなると…
仕事以外の話まで飛び交う。
この時のあたしは誰と会話するのも一服するのも苦痛になる程、心が疲れていた。

No.152 13/03/29 19:22
RIN ( ♀ loeN )

>> 151


本当に嬉しかった?…凛…。



嬉しい。
一緒にいられる事がただ嬉しい。
だけど…
だけど…ね。
不安が伴う。


また不安を抱きながら
今まで幾度となく喧嘩して来た毎日がまた始まる。


一緒の職場と言う事が
嬉しい事もある反面、悲しくて辛い時もある。


見なくて済むモノまで視界に入る。
聞かなくて済むモノまで耳にする。
知らずにいられるのなら
知りたくない事もある。


女はお喋りで噂好きだから
98%、知りたくなくても分かってしまう。


どっちがいいんだろう………。
毎日、顔が見られる幸せと
顔は見れなくなるけど、嫌な事を見ずに聞かずに、知らずにいられる事…。


ずっとあたしが迷っていた事。
何もなく平穏な日々が続いてる内は忘れているけど…
壁にぶち当たる日が必ず来る。


喜んでいる織田さんには言わずにいたが、そんな事ばかり毎日 考えていた。


その壁にぶち当たる日はそう遠くはなかった。

No.151 13/03/25 22:32
RIN ( ♀ loeN )

>> 150


移動する人達の名前・部署・地域などが部長より淡々と発表されている。
織田さんの移動を知っている人はほんの一握り。



どんな顔をしたらいいんだろう…。
織田さんは今、どんな気持ちでいるんだろう。
みんなはどんな反応をするんだろう…。
そんな事ばかり考えながら聞いていた。







「ーーーー以上!」



あれ?
織田さん…呼ばれてないよね!?
あたしが織田さんの名前を聞き逃すハズない!


どういう事なんだろう…。
忘れた?


チラッと織田さんを見ると前島とニヤニヤしている。
ちょっと混乱した。
移動なし?
それなら嬉しいけど。



発表が終わり、それぞれの階に戻る。
その時メールが鳴る。
織田さんだ!



「凛~!俺、移動なし!!!!!ヤッタ!!もう少し一緒に出来そうだ(^_^)ゞ」



「よかった!ホントよかった!…でも…あれは何だったんだろうね…」




大阪移動の話も用紙も前島のイタズラだったらしい。わざわざ紙まで似せて作ったと…。


どんだけヒマな奴なんだ(-_-#)
前島にはムカついたが、素直に嬉しかった。
織田さんも本当に嬉しそうだった。



そしてまた…葛藤と戦う新たな年度が始まった。
この時期はお互いが自分の気持ち、相手の気持ちを考える為の時期だったように感じた。















No.150 13/03/24 08:51
RIN ( ♀ loeN )

>> 149

こういったモノに疎いあたしは、定員さんに聞いてもサッパリ分からず…
結局 迷った挙げ句、携帯は買わずにショップを出た。


「織田さんごめん。なんだか どれがどう違うとか どれがいいとか全く分からなくて買わずに帰って来ちゃった」


あたしは携帯は長く使う方だから新しい物や機能などはあまり重視しないが…長く使うなら 使いやすい物がよかった。


「プッ( ´艸`)
明日、一緒に行こう!」



「うん!お願いします!…ごめんね」





次の日、早く終わらせてくれて一緒に選んでもらった。あった方がいい!と言う物も一通り揃えてくれた。


「じゃあ、ゆっくり使い方 教えよっか!」
ホテルに入り色々と教わった。
慣れないだけなのだろうか…?
使いにくくて仕方ない。


織田さんが言った連絡しやすい物をとりあえずやってみた。



おお!
これは納得(・∀・)

だが、このやり取りは実際、凛携帯ではなく織田さん自身の携帯でのやり取りになる。
無難な内容でのやり取りしか出来ない。



「凛携帯はどうするの?」



「凛携帯もそのまま持つよ(*´▽`*)
写メ…逢えない時に見たいし」



ありがとう。
思い出の2人を繋いだ携帯。



智恵や織田さんに色々聞きながら新しい携帯に慣れてくのに必死だった。
驚く事に携帯を変えたら1日のメールの回数は3倍近くも増えた。



そして遂に、発表の日が来た…!




No.149 13/03/24 08:14
RIN ( ♀ loeN )

>> 148


移動の日まで あと10日しかない。



出来るなら…
出来る事なら…
毎日 一緒に居たかった。


でもそれは あたしなんかより…
家族と過ごすべき時間。
寂しさは我慢し
「家族と…子供といてあげて」
と、伝えた。



「話変わるけど、凛さ…その携帯もう古いよな? 携帯そろそろ変えないか?」


ピンと来ないしあたしは
「ん?これ? 変えない!だってこの携帯には思い出がいっぱい詰まってる。まだ全然、壊れてないし!


「そうか……」
何だか少し困った様な寂しい顔をする織田さん。



「ん?なんか変えて欲しい理由があるの?」



「いや…金の掛かる事だから無理強いは出来ないが…凛が携帯変えてくれたら 今よりもっと連絡取りやすくなるんだ!」


今より逢えない・顔も見れない
だから せめてメールだけでも 出来るようにしてあげたい。
それには凛に携帯を変えてもらう必要がある。
散々、寂しい想いさせて泣かせてきたから…なかなか逢えなくなるのにメールだけでも キチンとしたいな、と思って。




俺も…寂しいんだ…。


そう言うと 何故 携帯を変える必要があるのか、変えると何故 連絡しやすいのか説明してくれた。


気に入ってた大切な携帯だっただけに ものすごく抵抗があったが…あたしの為に織田さんが考えてくれた案。
あたしは携帯をすぐに見に行った。

No.148 13/03/24 01:49
RIN ( ♀ loeN )

>> 147


「凛…今日 逢えるかな?」




「うんっ!」
大事な話が待ち受けているとも知らずにあたしのテンションは上がっていた。



いつもの居酒屋で待ち合わせる。
なんとなく元気がない。



「織田さん なんかあった?」



「うん…。凛…俺、移動だ!」



「…えっ…?移動?…どこに?」



「…………大阪だって」



「え………大阪?そんな遠くに?突然すぎない?」



「突然すぎだよなぁ…しかも大阪って…」
一瞬にして不安がよぎる。
しばらく言葉が出なかった。



「凛について来てって言いたいけど 蓮がいるもんな…本当に参ったよ」



「断ったらどうなるの?家族は?」



「学校もあるし単身赴任だろうな。いずれ移動は覚悟してたけど まさか大阪とは……!」



「遠距離恋愛になるんだね…」
ついて行きたいが蓮を置いてく訳にも連れてく訳にもいかない。


「凛…頑張れるか?凛は寂しいのがダメだし泣き虫だから心配だ…」


「頑張る!…大丈夫」



「ごめんな…あっ!凛、この話は発表があるまで誰にも言うな!知ってるのは上の人達と前島さんだけだ」



「うん!わかった」
頑張るとは言ったものの、今にも寂しさが溢れ出しそうな位 悲しかった。



織田さんに詳細が書いてある紙を読ませてもらった。


………本当に行っちゃうんだね………。







No.147 13/03/18 03:27
RIN ( ♀ loeN )

>> 146


次の日、あたしの住む街では珍しい程の大雪が降った。こんな日に限ってあたしは外回りとぶつかった。


途中 何度も織田さんからメールが来た。
「凛、大丈夫か?」


「大丈夫だよ!慎重にやってるから」


「凛、転んでないか?」


「大丈夫」


こんなやり取りを何度も交わした。



夕方になって
あれ?…………もしかして( ・_・;)???




トイレを探して入ってみると………
(*゚ロ゚)あぁ~~~~~~~!!



織田さんごめん( >_<)
生理が来た!


ホッとした様な残念な様な複雑な想いだった。


「織田さん!大事な話なんだけど…そんな大事な事メールで言うな!って怒るかな?」



「いいよ。どうした?」



「生理きた(>_<)」



「あぁ~!お仕置きだな、凛!」



「ごめん( >_<)」



「気をつけて帰っておいで(*´∀`)」


帰社したあたしに優しく微笑む織田さん。あたしの妄想で終わったけど、色々考えさせられる出来事だった。



その後しばらくして次は織田さんに大阪移動の話が出た。



ちゃんと書類に大阪移動と記してある。




No.146 13/03/18 02:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 145

少し早めに切り上げて逢いに来てくれた。いきなり本題に入るのは怖かったから今日の出来事の反省会なんかをしながら最初は普通に話していた。



…ちゃんと言わなきゃ。



「ねぇ織田さん。怖いけど言うね!あたしね…生理が来ないの…今日、来なかったら検査薬やってみようと思ってたんだ…あたし、蓮の妊娠の時以外 遅れた事ってないんだ」


冷静さを保とうとしながらも顔つきが変わった織田さんをあたしは見逃さない。



「…ごめんね。言われる言葉は覚悟してる…ただ、知っといて欲しかった」



「どのくらい遅れてるんだ?




「あたし…周期が少し早いから遅くても今日来ないと…。普段のあたしの周期だと1週間近く遅い感じ。言うの怖くて。検査薬してから言えば良かった」



「…そっか…体調は大丈夫なのか?」



「うん。全然、普段と変わらず」



その後しばらく無言のままの織田さんだった。
「凛は俺の言う事 関係なく産むって言うよな。…俺も産んで欲しい。…ただ、今すぐに色んな事を無責任に決断出来ないから、少しだけ待って欲しい」



…え?
…産んで欲しい?



予想外の言葉に
嘘でもホッとしたあたしがいた。
間違いなくおろして欲しい、と言われる覚悟だった。



「絶対、おろせって言うと思ってた…別れるってなりそうで怖かった」
ホッとしたら涙が出てきた。



「凛。別れないよ!ずっと一緒って約束だろ?」



「…うん。ありがとう」



この日はあたしを大事に大事に包み込むように2人寄り添って寝た。
次の日、検査薬をやってみるつもりでいた。

No.145 13/03/18 02:21
RIN ( ♀ loeN )

>> 144

「大丈夫か?」



「…うん。来てくれてありがとう。怖かった…。あ、電話ごめん」



「すげー心配したぞ!ずっと電話してんのに出ないし 」



「出れる状態じゃなくて。…でも最後は納得してくれたよ」



「そっか…ごめんな。とにかく無事でよかった」



色々と事の事情を説明した後に織田さんがあたしに携帯を差し出した。
「なきゃ不便だろ」


「本当に連絡したい時に連絡つかないってイヤなモンでしょ」



織田さんはそっと頷いた。
この日から織田さんはほんの少しだけ変わっていった。


「凛…随分、待たせたけど話したい事あるって言ってたよな?今日、逢うか?」



「うんっ!」


この日の夜やっと話す時が来た。
本当は…あたしも話すのが怖かった…。
別れの危機とも言える重大な話だったから…。

No.144 13/03/07 02:47
RIN ( ♀ loeN )

>> 143




ピンポーン…!を押すまでもない。客は玄関の前で待ちかまえていた。挨拶する間もなく怒鳴りつけられた。




恐ろしく興奮状態なおじさんの後ろには奥さんもいる。2人に同時に怒られるあたし…。




その時 胸ポケットにしまってあった携帯が何度も鳴っている事には気づいていた。だが、とても出れる状態ではない。客の興奮がとりあえず落ち着いたら出ようと思っていた。




客は一方的に怒るばかりであたしの話に聞く耳を持たない。そして携帯はまだ鳴っている。




大事な用件だと困ると思い
「お客様…申し訳ありませんが少し失礼します」
と言って電話に出た。




「もしもし…」と出ると
「おい!人が話してる時に失礼じゃねーか!」
と、また怒鳴らた。




思わず「すみません、かけ直します」と言って切ってしまったが電話は織田さんからだった。
客の興奮状態が電話口でわかった様で駆けつけてくれた。




だが、織田さんが来てくれた時には既に解決して帰る所だった…。
自分のミスな訳でもないのに こんなに怒られて悔しかった。


あ~怖かった _| ̄|○


No.143 13/03/06 02:52
RIN ( ♀ loeN )

>> 142



その会話が聞こえたようで
とっさに織田さんが来た。




なんだろう…。
と、思ったら
「中川さん携帯 忘れたなら不便だろ?今日これ使いな!」
と織田さんが普段 使っている会社用の携帯を手渡された。



「俺宛てに電話がきたら俺の個人の携帯に電話するように言ってくれればいいから」




「…あ、はい。…ありがとうございます」
ちょっと予想外の展開になった…。




そこへ前島が
「中川さん今日これ行って欲しいんだけど行ける?」




うわぁ~( ̄○ ̄;)
見るとクレーム対応だった。
行きたくないが仕方ない。
「…はい。行ってきます…」




心の中で
『クレームは大抵、男の仕事じゃねーか(-"-;)』
とつぶやきながら 準備した。



「…中川さん、本当に大丈夫?俺、行くよ!」
あ…織田さんだ。
………ありがとう。




「大丈夫です。頑張ってきます!」
と言おうとしたら…



「織田!」
織田さんを呼ぶ前島。
織田さんは別の仕事を頼まれていた。
やっぱり前島は嫌いだ(-"-;)




仕方なく出掛けた。

No.142 13/03/03 20:38
RIN ( ♀ loeN )

>> 141



喫煙所を出たあたしを追いかけようとしたんだろう。
とっさに立ち上がったのが分かった。でも、あたしと入れ違いに他の女の子が数名 喫煙所に入って行った。
織田さんは出て来なかった。




職場に戻って仕事をしていると 織田さんも戻ってきた。
しばらくして あたしをチラチラ見ている。
と、同時に紗織が遠目から
「ねー!凛ちゃ~ん!メール見てくれたぁぁぁ?」
と言ってきた。
紗織は声がデカいから目立つ。



あ~携帯がブルブルしてたのね(・_・;)と思ったら何だか少し面白かった。



イケない遊びをして楽しんでいるようで少し悪いな…とは思ったが…
1日だけこのままでいてみようと思い あたしも遠目から少し大きな声で


「ごめーん!今日、携帯忘れた」と言った。


No.141 13/03/03 13:01
RIN ( ♀ loeN )

>> 140



あたしがこんな事までしたのにはもう1つ理由があった。




ある日『どうしても伝えたい事』があったあたしは織田さんに
「今日、聞いて欲しい話があるから時間作って下さい。大事な事だからね」
とメールを入れていた。




待っても一向に連絡はなく
深夜になって
「遅くなってごめん。前島さんと飲んでて今、会社」
と連絡がきた。




この際メールでもいいか!とも思ったが、やはり逢って話したい内容だった。



この日も織田さんは睡魔に負け あたしの
『聞いて欲しい話』の件など頭にはなく、次の日もその次の日も忘れてしまっていた。



こうしていつも
あたしが聞いて欲しい話は後回しにされていた。




これはあたしにもイケない部分がある。
織田さんは あたしの
「話したい事」=「別れ話」
だと思っているから…。



No.140 13/03/02 17:21
RIN ( ♀ loeN )

>> 139



本当は返してもらわなくたって解約してしまえばいい。
解約する前に着拒だっていい。



ただ…、
あたしの考えて悩んで寂しかった日々の真実味を真剣に考えて欲しかった。




あたしは携帯を見られても別に何も問題はない。
織田さんが何かをあたしに伝えたい時にあたしは携帯を持っていない。
持っているのは織田さんだから。



伝えたい事、言いたい事、聞きたい事がある時に相手と連絡が取れない時…
あなたはどんな気持ちになりますか?




不便だと感じるか
辛いと思うか
ラッキー!と思って飲んだくれるのか…




ちょっとは考えてくれるのかな…という思いが込められている。


連絡がつかない事が
ある意味で楽チンなのであれば あたしから求める事はもうしない。
それが織田さんの気持ち。
―真実―。



No.139 13/03/02 17:04
RIN ( ♀ loeN )

>> 138



「凛携帯の事?」




「うん」




「あっちは登録してないよ‥」



「そうじゃない。○○を止めろと言ってんじゃない。必要性を感じないから携帯を下さいって意味」




「…………ヤダ!連絡取れなくなる」




「今だってほとんどしてないじゃない」




「返さない。ちゃんとするから…」




あたしは知ってる。
喧嘩して次の日は改めてくれる。あたしの気持ちが落ち着くと 織田さんは元に戻るんだ…。



怒りん坊の凛は
「はい!」
と言って あたしの携帯を手渡して喫煙所を出た。




この意味が分かりますか?
織田さん…。



No.138 13/03/02 14:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 137



別に本当はゲーム位したって全然 構わない。
ただ…
頻繁にしてたメールも
『バタバタしててメールも出来ない』
『タイミングがなくてメール出来ない』
と言う理由でメールのやり取りが段々と無くなって行き あたしは寂しさを感じていた。




本当にたった1度のメールも出来ない程 忙しいなんて有り得ない。
あたしはタイミングは無いんじゃなくて作るものだ!と言う考え方。
実際に織田さんの仕事ぶりを見ていて感じてもいた。





あんなに悩んだ。
寂しさはあたしが耐えていくしかないんだ…と思って我慢していた。



それが…ゲーム?
ゲームで遊んでて あたしにはタイミングがない?




その後、たまたま喫煙所でバッタリ織田さんと会った。
喫煙所に織田さんは1人だった。
携帯を連打してる織田さんが
ハッ(」゜□゜)」!っと、あたしを見る。




くだらない。
「今日も忙しそうだね…」
と言ってあたしは右手を出した。



「なに?」
驚いた織田さんがあたしに聞いた。




「頂戴。違う方の携帯…もう必要ないでしょ」



No.137 13/03/02 14:13
RIN ( ♀ loeN )

>> 136



この日はタイミングよく帰り道メールが出来た。ちゃんとゆっくり話せるのは何日かに1度の帰り道のメールだけだった。




何度かやり取りをした後に
「聞いてみよう」と思った。
少し意地悪な聞き方をしてみた。



「ちょっと怖いんだけど…織田さんに聞きたい事があるの」




「どうした?」




「見に覚えは?」




「ん?…ゲームの事か?」




ゲーム?
なんだ、それ(・_・?)
○○…以前、織田さんに
「凛は登録しちゃダメ」
と言われた事があった。
みんなの会話によく出てくるが興味もなく、どんな物なのかさえ あまり内容も知らなかった。




「織田さん…○○ってやってる?」




送信した途端に聞くのが怖くなった。
「ごめん…やっぱり聞きたくない!答えなくていいや」




遅かった。
あたしの送信と同時に返信がきた。
「ゲームが○○の中のゲームだよ。他との絡みはないが、男連中4人とチーム作ってゲームだけしてる。けど、他との絡みはないから大丈夫だよ」




「それさ…前にあたしに登録するな!って言ったやつだよね?そのゲームって…いつやってるの?」




「一服の時とか昼とか夜間当番の時…ごめん…」




あたしは勘違い?していてこの○○で女の子とも絡んでいるのだと思っていた。
いや…実際には絡んでいるのだと思った。




「そっか。あたしにメールするタイミングはないけどゲームが出来る余裕はあるんだね…なんだかショック」




少しグダグダと何やら言ったあとに
「…言い訳だよな」
と返ってきた。




「別にやるな、とは言わない。でも、寂しいって言っても織田さんは変わらなかった。それがあたしへの想いだってわかった」



あたしにとっては大事なやり取りだったのに、この後 返信はなくモヤモヤした。
だが、この男………電車で寝始めたらしい。
呑気な男だΣ(・ω・ノ)ノ



No.136 13/02/28 01:24
RIN ( ♀ loeN )

>> 135



あたしの悩みを
不安を
聞いてくれるのはいつ?


1日過ぎ…2日過ぎ…3日過ぎ…
結局 話せないまま月日は流れていく。




もうあたしの寂しさも我慢も限界…。
別れたら辛い。
好き…だから。
大好き…だから。



でも、今のままでいても
別れても
辛いのはおんなじ。



こんな事を毎日毎日 考えては1人悶々としていた。




そんな中 もう音信不通になっているような友達から やたらメールがくるようになった。



内容はみな同じ。
「ねぇ凛、○○やってる?」

今 流行りのコミュニティーサイトだ。
「やってない」
と言うと連絡はもう来ない。





そうか…これかも!
なんで気づかなかったんだろう。



その日の夜、ふと思いついた。


No.135 13/02/28 00:12
RIN ( ♀ loeN )

>> 134



出逢った頃は日課だった朝のメールも日に日に回数は減っていく。



『バッタリ同級生と会っちゃって…』
『朝は鬼混みでメール出来なかった』



1度きりのメールで日中はもうメールがないのが『普通』になってしまった。
『タイミングがない』…と。



夜は夜で帰り道になるまでメールはない。残業なのか飲みに行ってるのかすら分からないまま あたしはひたすら待ちぼうけ。



付き合い始めから こんなペースのやり取りだったら きっとあたしもそこまで気にしなかったと思う。



でも…
しばらくは頻繁にメールして 頻繁に逢ってた。贅沢に慣れていた。



だからこそ今が寂しい…。



会社でも顔を合わす時間はほとんどなく、会話なんて全くない。



今 別れたら………
今 別れたら、織田さんも辛い?



きっと織田さんは
忙しい毎日に追われ
あたしの事なんて簡単にすぐ忘れちゃうんじゃないか………。


そんな想いが
あたしの中で毎日毎日ウロつき始めた。あたしがこんな事を毎日 悩んでいるなんて、きっと今の織田さんには気づく事すらないだろう。



No.134 13/02/27 02:00
RIN ( ♀ loeN )

>> 133



「手前の駅まででも送って行きたい…ダメ?…だよね…」




「ダメ!誰がどこで見てるか分からないしね。もう大丈夫だから心配すんな」




「じゃあ約束して。必ず病院に行って、必ず報告入れて!」




「わかった。約束する」




「絶対ね…」




「はいよ!全くぅ心配しすぎ!」




その後ちゃんと病院には行ったようで報告が来た。地元の町医者では無理だと言われ大きな病院を紹介されたらしい。




『喉が偉く炎症起こしてる』と言われ抗生物質を投与された…と。…喉の炎症が酷いだけで、町医者は大きな病院を紹介するのだろうか…。



何か隠してないか…と、偉く気になった。だが後日 織田さんに頼まれお財布を開けた時に、紹介された病院の診察券が入っていた。



本来3日後にまた通院しなくてはならなかったはずの織田さんは「もう治ったから」と言って病院には行かなかった。



本当に喉の腫れだけ?
気にはなったが、この日以来 あたしの知る限り血を吐く事はなかった。



そして―
織田さんはより一層多忙な日々が続いていった。



No.133 13/02/24 14:55
RIN ( ♀ loeN )

>> 132


気がつけば織田さんはもうスーツ姿だった。背中をさすってあげる事くらいしか出来ない自分。



「織田さん!救急車呼ぼう!」
首を横に振る。




「でも…」



「喉が塞がる。息が…出来ない」
そう言った織田さんは自ら指を喉に入れ また咳と一緒に痰のような血の塊を吐いた。



「…救急車!」
電話に向かうあたしの手を掴み首を横に振る。



しばらく洗面台に両手を置き苦しそうにしている。



こんな時 どうしたらいいんだろう…。



しばらくして織田さんがベッドに座り込み
「死ぬかと思った」
と言った。



朝 苦しくて目が覚めたらしい。喉が塞がりそうで息が出来なかった…と。



そして
「少し眠りたい」
と言ってベッドに横になった。




普段、織田さんはいびきがすごい。なのに今日はいびきもかかず静かに身動き1つしない。心配で不安で仕方ないあたしは織田さんの鼻息を何度も確かめた。




色々考えた。
こんな時 救急車を呼んでも乗った先はラブホテル。後々 知られたらマズい場所。



あたしが付き添って同乗したとする。誰が家族に伝える? 医者に伝えて欲しいと頼んで帰ったとしても 「通報者は女性」とバレるだろう。



でもこのまま眠らせといて大丈夫だろうか…。万が一、何かあったら あたしは後悔しない?




よく眠っていたが、お昼が近づいていたので織田さんを起こした。




「織田さん!大丈夫?」




パッと目を開け
「心配かけてすまん」
と起き上がろうとした。



「息…出来る?ゆっくり起きてね」



織田さんの顔にまだ笑顔はない。
「織田さん…救急車がダメならタクシーで病院行こう!」



織田さんは立ち上がり
「さっきより随分ラクになったから大丈夫。帰ったらすぐ病院行くよ」
と言った。




とは言え
ここから織田さん家までは1時間半かかる。大丈夫だろうか…。



不安な顔をするあたしに織田さんが言った。




「もう1回して帰る(*´∀`*)ノ」



スーッと気持ちがラクになったのを覚えている。エッチする元気があるなら大丈夫かな…と。



「バカ!!!!!」
と言ってあたしは抱きついて泣いた。本当に死んでしまうんじゃないか、と思うほど心配だった。




No.132 13/02/24 14:14
RIN ( ♀ loeN )

>> 131



あたしが付き合ってきた男性は淡白な人ばかりで あまり満たされるエッチを知らないあたしは織田さんのエッチで「満たされる」事を知る。




あたしを充分に感じさせてくれる。
この日は逢えなかった15日分の隙間を埋めるように…何度も身体を重ね合った。




グッスリと眠ったあたし達。







のはずが……………。







朝 織田さんの咳と異様な雰囲気で目が覚めた。隣りに織田さんの姿はない。




洗面台の灯りが付いている。と同時に織田さんの咳払いと 何だかゲホゲホする音がする。




慌てて行ったあたしは青ざめた。来るな!と言う様にあたしをストップさせようとする織田さんの素振り。




織田さんの咳と共に洗面台には血が流れていた。
パッと織田さんの顔を見ると 初めて見る青白くなった苦しそうな織田さんがいた。




「どうした?大丈夫?」
と聞くと
また咳と共に血が出ている。



No.131 13/02/24 13:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 130



たわいもない会話。
あたしはあまり甘えるのが得意じゃない。
2人寄り添う事もなくテーブルを挟んで話している。



時計を見るともういい時間だった。



「凛、今日も疲れてるだろうから眠いだろ。寝ようか」



「うんッ!織田さんも朝早いしね(笑)」
織田さんは極端に朝が苦手だった。まず起きない。



「あーあ!」
苦笑いをした織田さんがあたしの方に来て仕返しにくすぐりの刑を与える。



「ごめんなさい!降参!」
満足げな顔をした織田さんの唇があたしの唇に触れた。



初めはソフトに軽くチュッと。あたしが微笑むと2回目のキスはしばらくあたしを見て濃厚なキスに変わった。



「何日ぶりだ?」
織田さんが聞くから あたしが答える。



「15日ぶり」


「そんなか…待たせてごめんね」



首を横に振るあたし。
手を引かれベッドの前でまたキスを交わし優しくベッドに倒される。


荒くなっていく織田さんの息づかいがとてもエッチだった。
あたしの充電は満タンになった。


No.130 13/02/24 13:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 129



「そろそろ終電の時間だよ」




時計を見て
あたしをチラッと見る織田さん。



「泣かないよ!」
あたしはニコッと笑って返す。



「今日…泊まろう!凛、平気か?」



「あたし平気だけど…織田さん平気じゃないじゃない!今日、金曜日だよ」



「朝早く帰ればいいよ。泊まろう!」




久しぶりで嬉しかった。
「プッ(笑)………ちゃんと起きてね!」



ブスッと膨れっ面をする織田さん。
「…俺だって久しぶりに逢えたら離れたくないって思うんだ!………まぁ、凛が泣くから仕方なく!だけどね」
また あたしをイジメる。




2人でホテルに向かった。


No.129 13/02/24 13:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 128



「全く泣き虫だなぁ~凛は。
見た目と違って」



そう。あたしは強い女に見られがち。男なんていなくても生きていける!って雰囲気で近寄りがたい…とよく言われた。



「ごめん…ちゃんと考えてくれてるんだな…と思ったらつい…。放置が続くとね…信じてるクセに悪い方にばかり考えちゃって…悪いクセだよね」



「そうだ!何も心配いらないって俺はずっと言ってる。ちゃんと毎日 忘れてないし ちゃんと考えてる。余計な妄想は禁止だ!って何度も言ってる!」



「はいっ!
…で…好きなのか?(*´艸`*)



「うーん………まぁまぁ…かな!(-.-;)」


「ちょっとぉぉぉ!┗(`皿´)┛」




ああ…幸せな時間!
時計を見ると終電が近づいていた。
一緒にいられる時間はあっという間に過ぎていく。


No.128 13/02/24 07:16
RIN ( ♀ loeN )

>> 127



人目に付かない個室に入ると やっとホッとするんだろう。
いつもの織田さんになった。



「ねぇ…あんな高いの…ありがとう!大丈夫なの?」



「今回ボーナスの他にさ、残業代がすげー入ったんだ!残業代の分だけ別の口座に入るようにしたんだ!だから大丈夫。心配すんな」



話せる事が嬉しくて
注文の事などすっかり忘れてた。


とりあえず、ビールとホット烏龍茶で乾杯! もう注文する物はいつも決まってる。



織田さんが続ける。
「実はあのパソコン、俺も同じの買ったんだ!色違いだけどね(笑)凛がしたがってた、一応 お揃いだよ!…休みの日も『同じ物を使ってる』と思えば凛も寂しくないかな、と思ってさ」


「あと前に凛が言ってたの思い出したんだ。ボーナス入ったらパソコン買いたいなぁ…って言ってただろ?年末年始、凛に寂しい思いさせちゃうからさ‥凛に宿題出すぞ!年明けまでの宿題!」



「宿題?…なんだろ?」



「逢えた日とケンカした日を月別に表にする!パソコン初心者の凛にはなかなか難しい宿題だぞ!出来るかなぁ~Ψ(`∀´)Ψ」


「それに同じパソコンなら凛がつまずいた時、説明しやすいしね」



こないだ言った
「逢えなくて寂しい日々を乗り越える為」の話をここまで真剣に考えてくれてたんだ…と思ったら急に涙が出てしまった。



No.127 13/02/24 06:40
RIN ( ♀ loeN )

>> 126



寒かったのでとりあえず近くの本屋に入った。



メールしてみよッ!
「着いたよ。寒いから本屋さんに入ってます」




「俺も本屋さんにいます(笑)」



見渡すと……………いた!




「お疲れ様!何見てるの?」
見るとそこはパソコン関係の棚だった。
織田さんの手には既に本が2冊あった。



「凛が覚える為の一番分かりやすい本を探してたんだ!いいのあったよ」



「ありがとう♪」
と言いながら、あたしも1冊の本に目に止まった。
中をパラパラ見ていると あたし好みの本だった。でも値段が意外と高い。



「凛も何かいいのあったか?」


「ううん!まだパソコン関係は全然分からないから…」



するとあたしが見ていた本をあたしの手からサッと取り、
「やっぱり凛はこういうの好きだと思った!他も見てみ!」



もう1つ欲しいのがあった。
これは自分で買おう!



織田さんはその本まであたしの手から取り会計に向かった。



「織田さん…お金使いすぎ!…はいっ!本代!」


受け取ってくれず
「飯でも食うか!」と言った。


この近くに完全個室の居酒屋があり いつもそこに入る。
「お決まりだけど○○でいい?」


「うんッ!」



まだ終電まで時間に余裕があった。
嬉しかった。


No.126 13/02/24 06:17
RIN ( ♀ loeN )

>> 125



急いでシャワーを浴び化粧をしているとメールが来た。



「もうすぐ終わるよ!どんな感じ?」




早ッッッ!
こんな早い時間に逢えるのは本当に久しぶり。


「化粧が完成したら出れるよ!…10分位かな」



「よし!会社出たらメールするから慌てないでいーよ」



「はーい♪」



この日は週末で織田さんは週末は泊まれない。子供のサッカーのコーチをしているから。
それでも久しぶりに逢えるから あたしはいっぱい話がしたかった。普段メールじゃ話せない事もある。



メールだ!
「ごめん!駅で偶然○○さんと会っちゃってさ…もうすぐ着くよ。慌てなくていいから○○駅集合で!ごめんな…」



「大丈夫。あたしも今出るね!」



急いでタクシーを拾い向かった。あれ?まだいないなぁ…


No.125 13/02/23 22:55
RIN ( ♀ loeN )

>> 124



「あげる」って事は
「逢える」って事だよね!?




あたしはプレゼントの中身より むしろ逢える事が嬉しくて待ち遠しかった。



今日かな…?…今日…かな?と思いながら何日も過ぎていく。







……………あれ?Σ( ̄□ ̄;)!!






それは郵送で贈られてきた(笑)
残念でした!凛ちゃん。


何やら大きな箱…!
なんだろう…。



開けてみると、パソコンとプリンターだった。




こんな高いモノ………。
あんなに忙しいのに、これ…いつ買いに行ってくれたんだろう。



メールしても読めないだろうな、と思いながらも お礼が言いたくてメールした。




「織田さん…パソコン届いたよ!あんな高いモノ悪いな…。でも嬉しい!ありがとう♪」




珍しくメールが返ってきた。
「今日…逢えるか?」




ヤッタヽ(*^∇^*)ノ
「うんッ!!」




「じゃあ頑張って早く切り上げるから支度して待機してて」




「はーい!頑張ってね」
久しぶりにダブルの喜びだった。


No.124 13/02/23 14:06
RIN ( ♀ loeN )

>> 123


季節は冬。
織田さんが苦手な寒い冬。
あたし達は相変わらず一緒にいる。



12月~3月は織田さんの忙しさが最もピークな時期。
日中は会社にいる時間が殆どなく外を動き回っている。そして夜は報告書作成や事務的な仕事をする。


なかなか逢えない時期。
4年以上経った今でも…1日顔を見れないのは寂しい。


逆に織田さんは4年以上経って安心しきっている様に感じる。 言葉がなくてもお互いの行動が読めてくる。



逢えない日々を乗り越える為にあたしも何か始めてみようかな、と思い織田さんに相談した。



「あたし、夜バイトしようと思って」




「なんで?困ってんのか?金…」



「そうじゃなくて!」
始めようと思った経緯を話した。



「ふふっ(笑)馬鹿者め。夜のバイトはダメだ!危ないし体力的にもダメ。その代わり…凛が夢中になれる物あげるから。楽しみにしてな!」




あたしが夢中になれる物ってなんだろう…。



No.123 13/02/20 02:31
RIN ( ♀ loeN )

>> 122



蓮…。
こんな親でごめんね…。



ハッと思いメールをした。
「今回の事は『知らなかった』『聞かなかった』事にする。だから織田さんもこの話はもう一切しないで下さい」




あたしは考えてみればいつもそうだった。
いつも蓮に癒されてきた。
蓮は親の恋愛事情には一切 触れてこない。
悲しい時
辛い時
いつだって蓮があたしをからかってオチョくって笑わせてくれた。


愛おしい蓮。
ありがとう

ごめんなさい

お母さんの胸はいっぱいです。



何らかの形で自分なりに決め事を作らないと いつまでもダラダラするだけだと思った。
だから
「もし次こんな事があったら終わらせよう」
そう決めた。


No.122 13/02/20 02:19
RIN ( ♀ loeN )

>> 121



返事を出来ずにいたあたしに
織田さんからメールが来る。




「ほんとにすまなかった。俺は凛が好きだから、凛が落ち着くまで待つ。せめて会いたかったが…今日は帰るよ…凛。…あまり泣くと顔腫れるから。もう泣くな!」




決めた。
ずっと返信しない訳にもいかないし、決めた。



「今回の事はかなりショックだった。まだ辛い。…けど、織田さんが嫌いになれない。好きなまんま。だから…決めました。今回の事は許せない。だけど、あたしは織田さんが好きです。…もし、次…こんな事があったら あたしは全て終わりにします。」



「わかった、約束する」



織田さんが駅に着きメールが終わると やっと重たい身体を起こしてリビングに行った。
蓮や母の前に出るのは初めて。


あたしの顔を見て蓮が言った。
「ひでーブスっ面してんなーぁ(笑)」



やっとニコッと素直に笑えたあたしがいた。


No.121 13/02/20 02:01
RIN ( ♀ loeN )

>> 120



「好き」


この気持ちは変わる事はない。
どんなに辛くても
悲しくても
酷い!と思っても………



好き。



憎む事が出来ない。
いっそ大嫌いになれたら どんなに楽か…と何度も思った。



大好きと言ってくれても
いくら優しくしてくれても
あたしを真剣に想ってくれてても…
織田さんには家庭がある。



「ずっと一緒」
こんな約束が叶わない事くらい分かってる。



随分 悩んだ。
布団の中に丸まってティッシュを抱え込んだまま 考えちゃぁ涙がポロポロ出て こんなに泣いたら もっと目が腫れるのに… 涙ってこんなにとめどなく出るモノなんだ…と思うくらい泣いた。



蓮や母はそんなあたしを
「どうしたの?」と聞きに来る事もなく放っといてくれた。
それがありがたかった。




「好き」
でも
「許せない」


「そばにいたい」
でも
「悔しい」



しばらく葛藤した。



No.120 13/02/18 02:44
RIN ( ♀ loeN )

>> 119



織田さんからメールが来た。
急いで終わらせたようで
「今から行く」と…。




だが、初めて拒否した。
「今日は1日考えたい。せっかく早く上がってくれたのにごめんね…」




「いや…俺が悪い。凛にずっと逢えてなかったから やっと逢えた日に喧嘩したくなかった。だから、やっと逢えた時は言えなかった。あの日からずっと凛に逢いたくて仕方なかった」




返す言葉が見つからなかった。しばらく返信出来ずにいた。




「凛を壊しそうで怖い…凛を失いそうで怖い…」




また泣いた。
そして次の日…
またズル休み。
織田さんにメールする事もせず休んだ。




まだ あたしの中で答えが見つからずにいた。




凛…………
どうする?
どうしたい?
許すのか?


それとも、終わりにするのかい?



自分の気持ちにまっすぐ向き合ってみた。



その時 織田さんからメールが来た。
「顔…腫れたんだね ごめん…」





No.119 13/02/18 02:27
RIN ( ♀ loeN )

>> 118



「今日なるべく早く上がるから逢おう!今どこにいるんだ?もう暗いからフラフラしないで欲しい」




「こんな顔で帰れないから」




「………ごめん。どこにいるんだ?」




「…いつもの公園」




「少し落ち着いたら帰れよ。俺は凛が好きだ。言うのが遅くてすまなかった。でも、やましい事は一切してないからな」




「もう戻らないとマズいでしょ。戻って、大丈夫だから」




「…わかった」




あたしは落ち込んだり嫌な事があると夜ブラブラ歩いたり この公園でボーっとしたりする。

タオル片手に珈琲を飲みながら考えていた。いつまでも止まる事を知らない涙がポロポロポロポロこぼれ落ちる。



周りに何人か人はいたが
恥ずかしいとかカッコ悪いとか考える余裕もなかった。




でもいい加減 帰らないと…。
泣きはらした顔で帰宅したあたしはこの日 トイレ以外 出る事もなく部屋に引きこもった。



No.118 13/02/17 20:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 117



今更 何を聞いたって それは言い訳に過ぎない。事実を変える事はもう出来ない。




こんな事で?
別に浮気されたわけでもないのに。ただ女と飲みに行っただけ。それが許せない? 器ちっちぇ~!




そう思う人もいるだろう。




あたしは体調が悪くて休んでいた。高熱が下がり、健気に織田さんの連絡を待っていた。
深夜に連絡は来た。そこに木村さんの名前はなかった。男性が酔って一緒に会社に泊まる、と言った。


後日 逢えた日もその日の話には触れて来なかった。2人で決めたはずの 決めたばかりの5箇条、後半3つをあっけなく破った。




仕事が忙しいから、と しばらく逢えていなかった。
何も知らないあたしは…ただ織田さんを信じ 織田さんに抱かれた。


忙しいから、あたしとは逢えないのに…飲みに行ける時間はあるのか…。



悲しかった。
悔しかった。
騙されたようで裏切られたようでバカにされたようで…情けなかった。


あたしが好きな織田さんは…もっと優しくて誠実で思いやりがあった。


そんな織田さんはどこへ行ったの?





鳴り続ける電話に…出た。
「…なんで切るんだよ!…んで出ないんだ!」




「何を言いたいの?」



No.117 13/02/11 23:15
RIN ( ♀ loeN )

>> 116



初めてだった。
仕事中に「専用携帯」に電話をするのは。しかも時刻はまだ、誰か残っているかもしれない早い時間。


いつもの織田さんなら、まず出ないはず。
しかし織田さんは出た。
あたしが木村さんと帰ったのを見ていて
「ヤバい」とでも思っていたんだろうか。





怒りと言うべきか
ショックで悲しくて悔しくて
電話に出るなり あたしは泣きじゃくる。
「織田さん…!………なんで嘘ついたの?なんか隠してる事ない?」





「待て、凛!…どうした?」





「織田さん嘘ついた。あたしを騙した。
………なんで?」





「西さん事件の日の事か?」





「………他にもあるの?」





「ない!ちゃんと話すつもりだったよ
…ごめん…タイミングが分からなくて。
でもちゃんと話すつもりだった」





認めた。
隠すなら…
完璧に隠し通して欲しかった。
以前から言っていた。
木村さんはお茶する度 織田さんの話ばかりする、織田さんの話しか出てこないと。
木村さんは男好きだが、織田さんを特に気に入っている。
だから あたしは木村さんと織田さんが飲みに行くのを1番嫌ったよね?
知ってたよね…織田さん。





木村さんがあたしに話さないとでも思ってた?
だとしたら…
とんだ誤算だったね…織田さん…。





もう…声にならない。
「織田さん、今どこで話してるの?」




「…倉庫。…凛…」




もうショックで言葉を失った。あたしは一方的に電話を切った。この普段では有り得ないあたしの状態が心配でたまんないのか何度も何度も電話が鳴る。




No.116 13/02/11 04:24
RIN ( ♀ loeN )

>> 115



「抱かれる」事は効き目抜群であたしのちょっとした怒りと寂しさもどっかへ飛んでった。
単純な女。



「抱いた」事により あたしのご機嫌も治り 安心したのか織田さんも普段の織田さんに戻っていた。





―それから一週間経ったある日―



この日、久しぶりに木村さんが一緒に帰ろうと待っていたので一緒に帰った。



聞きたくない真実を耳にする。単純なあたしは、もうすっかり忘れていたのに。




「こないださぁ!…『もう俺、飲みには行かないから』、とか前に言った癖にさぁ!織田さんと飲んじゃったよ!!超~ぉ久しぶりなんですけど(笑)」





え…?




織田さんと?




飲んだ?





「ふ~ん!いつ?」
体が震えているのが分かる。
けど、平常心を装って精一杯 冷静に聞いた。




「あ!凛ちゃんがお休みしてた時!しかも飲み屋じゃなくて蕎麦屋で朝まで!(笑)」



「ふ~ん」
もう言わないで…。
それ以上 言わないで…。
自分で体の震えが止まらないのが分かる。
これ以上 聞いたら泣いてしまいそう。



あたしは話題をすり替えた。
だが、余程 嬉しかったんだろう。木村さんはまだ話し足りない様子で話を元に戻す。



無理。
もう聞きたくない。
「あたし銀行寄りたいから…お疲れ様でした!」
笑顔でバイバイし、用もないのに銀行に入った。





出たら木村さんが待っていた。
まだ話したいの?



怒りの矛先は木村さんじゃないはずなのに…怒りを覚えた。
殴ってやりたいくらい憎かった。



「待っててくれたんだ?ごめんね」




「でね!――――――」
話は続いた。




「ねぇ…蕎麦屋で朝まで飲んでたの?すごいね!」




「いや…蕎麦食べて帰ろうって話だったのに夜中まで飲んでた(笑)」




この木村さんの口っぷりは織田さんと2人きりの様な話っぷりだった。他の男の名前は出てこない。




どっちの話が本当なの?
あまりしつこく話が続くので、一瞬 試されてる様にも感じ あたしは少しだけ冷静さを取り戻す。



最後は嫌な女になった。
「木村さん嬉しそう(*´艸`*)よかったね!久しぶりに飲めて!((*´艸`*))じゃあ、お疲れ様でした!」



無理やりバイバイした。
ためらう事なく携帯を手にするあたしがいた。


No.115 13/02/11 03:39
RIN ( ♀ loeN )

>> 114



織田さんの仕事が忙しくてしばらく逢えていない時期だった。


終電が過ぎ
深夜0時…1時が過ぎる。
まだ連絡は来ない。



電話は繋がるが…出ない。
と言う事は帰ってはいない。
飲んでるんだ。



誰と飲んでる?
前島と飲む日は遅くても前島の終電には解散する。
他に誰かいるんだな。



やっと深夜2時を過ぎてメールが来た!

「遅くなってごめん。具合どうだ?」



「熱はないけど…ちょっと寂しかった」



「ごめん。西さんが酔いつぶれて歩けなくてさ。北川さんと会社まで連れてきて。そのまま3人で会社泊まり。………凛に逢いたい…」



「ちゃんと連絡くれたからホッとした。約束守ってくれてありがとう!やっぱり織田さんはあたしを裏切らなかったね!」



「…俺、そんなちゃんと出来てない…凛が具合悪くても来て欲しい…」



「だって会社でしょ?」




「…うん。でも逢いたい」




珍しい。恥ずかしがり屋の織田さんは普段こんなストレートに物を言わない。
でも、少し酔っているのかと思い あまり疑いもしなかった。


「ちゃんと治ったら逢おうね」



「…凛…」
泣き顔の絵文字が何度か続き、そのまま おやすみ と言って寝た。



メールでは笑って見せたが久しぶりの待ちぼうけで少し疲れ、熱は下がっていたが次の日も休んでしまった。



その後 何日間かの織田さんは今から思えば何か言いたくて でも言えなくて、罪悪感と戦っていたのだろう………。
とても優しくて あたしが復帰した日には「逢いたい」と言ってあたしを抱いた。



No.114 13/02/11 03:06
RIN ( ♀ loeN )

>> 113




めったに休む事のないあたしだが、突然39度の熱が出た。
まだインフルエンザが流行る時期ではない。



よく見れば喉の奥が白くなっている。
扁桃腺か…!



仕事を3日間休んだ。
いつもと逆パターン。
けど、熱で辛くて休んだのは最初の2日間だけ。3日目はズル休みだった。


初日の織田さんはとても優しく 合間を見ては連絡をくれた。


「大丈夫か?」
「少しゆっくり寝てな!」


それじゃあ寝れないぞヾ(^-^;)と思うくらいマメに連絡をくれて優しかった。



病院に行ける気力もなく病院は2日目の午前中に行った。抗生物質をもらい熱は夕方には下がっていた。


これなら明日は行ける!
仕事を休むと織田さんの顔が見れない。早く行きたくて仕方なかった。



忙しくてプライベートではなかなか逢えなくても職場が同じだと毎日 顔だけは見れる。
唯一のメリット。



「織田さん!熱下がったよ!」



あれだけマメに連絡をくれていたのに突然、返事が来なくなった。



忙しくなっちゃったんだな…としか思ってなかった。熱が下がったあたしは身体もだいぶ楽になり、織田さんの帰りを待った。




しかし、終電を過ぎても連絡が来ない。久しぶりに不安がよぎった。


No.113 13/02/11 02:40
RIN ( ♀ loeN )

>> 112



幸せ。
幸せってなんだろう。



どんな事が幸せで
どんな事が不幸せ?



好きな人とただ一緒にいたい。
好きな人とただ一緒にいられる。



あたしにとっては幸せ。
じゃあ、家族は?



あたしは嘘をついて騙されるのは嫌。
けど、嘘の塊で騙している現実。



喧嘩ばかりしては葛藤してきた。こんな関係を続けてていいのか…。



答えなんて分かってる。
ただその真実からは目を背ける。自分の欲望だけを必死に守る。



胸の痛みは消える事はない。
ただ、忘れてしまう瞬間がある。「幸せ」を感じている間は自分達の都合のいいように…。



No.112 13/02/11 02:26
RIN ( ♀ loeN )

>> 111



ちゃんと使ってくれていた。
「会議なので、しばらく抜けます」と言った織田さんの右手に手帳があった。




こんな些細な事が嬉しい。
あたしが選んだ物を織田さんが使ってくれている。



織田さんからはピンクのハートのピアスをもらった。実はあたしは肌が弱くピアスはカブレるのでしばらく付けていない。
だが嬉しくて速攻つけてみた。
夏と言う事もあり、さっそく耳がパンパンになった。


消毒しながらつけている内に慣れた。




忙しくて無い時間の中でこれを選んでくれた事が何より嬉しかった。織田さんはどんなに忙しくても必ずプレゼントはくれる。


物は何でもいい。
その「気持ち」が嬉しい。




この幸せな気持ちがいつまでも続きますように…。




No.111 13/02/11 02:13
RIN ( ♀ loeN )

>> 110



この日以来、あたしの知る限り…血を吐く事もなく平穏な日々が続いた。



夏はあたし達の記念日がくる。
4年記念日。



職場にも家庭にもバレたらイケない関係は、プレゼントが難しい。 身につける物は奥さんのチェックが入る為 NGだ。



必然的に選ぶ物は会社で使える物になる。だが4年にもなると 段々とネタ切れ寸前だε-(‐ω‐;)



ペアの物…なんて絶対的に無理だからペアは買った事がない。




なんかないかな…?




すごーく考えた。
いい案が浮かんだ!
織田さんが喜ぶかは分からないけど、織田さんが必ず使う物。そして、あたしも使える物。




4年記念日は初めてお揃いの物を買った。「手帳」…と言っても中身を自由に入れ替えられる手帳。織田さんが中身は好きな物を入れて使えばいい。
あたしは毎日 書いている日記用にした。そして、家で使う。




ペアだけど、一緒の場所で持たなければバレない。色は織田さんが好きな茶にした。



しばらく使ってなかったから…気に入らなかったかと思った。

No.110 13/02/11 01:51
RIN ( ♀ loeN )

>> 109



何事もなかったかの様な顔をして入って来た。遅刻の理由を何と言ったのかは知らないが…。


普通に仕事している。
大丈夫なのかな…。



あまり仕事中はメールしても携帯を見れないから「大丈夫?」とだけ一言メールした。
返事待ち。



返信がないから「病院行ってね」と言って帰った。
返信が来たのは終電間際。



「今日は会社に泊まるよ!」




「病院行ってって言ったのに。…大丈夫?」




「朝、歯磨いてたらオエってなって血吐いたんだ。明日も続くようなら病院行ってみるよ!」


「明日も…って…今日、日中も続いてたの?」



「ああ。しんどくて…もう寝たい」



「なんかあったらすぐ連絡して!」



「わかった。すまない」




この人は意外と頑固だ。
次の日は治ったと言い病院には結局、行かなかった。



No.109 13/02/11 01:36
RIN ( ♀ loeN )

>> 108



またある日の朝
いつもの様に朝一のメールを楽しみに待っていると…。
織田さんからの着信音が鳴った。



「あっ!織田さんだ♪」



ルンルンしながら携帯を開くと
「凛~!具合悪くなってもうたぁ~今、便所!」



「…胸?Σ( ̄□ ̄;)!!」




「いや…下痢と嘔吐。吐きっぱなしで○○駅から進めない、ちょっと遅れるから心配しないで行ってくれ」




「○○駅なら…戻って病院行ってきなよ!今日は休みなよ!」


「いや…気合いだ!大丈夫。なんとか行くよ!」




大丈夫なのかな…。
風邪かな…?



しばらく経っても来ない。
○○駅からなら普通にくれば40分位。1時間経っても来ない。




「ねぇ…大丈夫?」




「今、向かってるんだが、吐き気で降りて、また乗って…の繰り返しで。今○○駅!もう少しだ!」




○○駅なら…あと5駅。
ここまで来ちゃったなら頑張れ!としか言えなかった。



ただの風邪ならいいが…。
病院に行かせよう。


No.108 13/02/11 01:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 107



あたしは若い頃に父を心筋梗塞で亡くしている。
狭心症と聞いただけで不安でいっぱいになる。父も真面目で仕事一筋の人間だった。




夜。



「突然、胸がグッと痛くなったんだ!死ぬかと思ってすぐ一番近い病院に駆け込んでさ。そしたら待ってる間に痛みがなくなった(笑)」



「絶対、我慢しないでね!発作が起きたらすぐ救急車だよ!我慢するとお父さんみたいに死んじゃうよ!」



「俺をそんな早く殺さないでくれよ(笑)発作起きたら飲む薬ももらったし今 嘘の様に全然 元気だから心配すんな!」



「………うん」




「大丈夫だよ」



優しい声。
愛おしい。



織田さんは…
織田さんは…
あたしの彼氏の前に
大切な大切な、可愛い可愛い子ども達のお父さん…なんだからね…。


お父さんを亡くすにはまだまだ幼なすぎる子ども達。仕事も大事だけど、もっと身体…労ってね…。



そう告げると
「はいよ!全く心配性だなぁ」
と笑う織田さん。



けれど、織田さんの身体の異変はこれだけじゃなかった。


No.107 13/02/11 01:00
RIN ( ♀ loeN )

>> 106



ある夏の日の夕方。


「凛、すまん。今日は戻りが遅くなりそうだ。心配しないで先に帰るように!」




「トラブル?」




「ちょっと具合が悪くなって今、病院。少し落ち着いたから心配いらないよ!」



そこから連絡が途切れた。
暑い日だったから熱中症かな?と思っていた。



心配するなと言われても…
心配しないわけがない。
あまり遅くまで残っているのも不自然だよな、と思いチラッと時計を見る。


連絡があってから既に2時間経っている。



周りは知らないのか知っているのか分からない位 織田さんの事は話題にもなっていない。


情報がつかめない。
どうしよう………。



やっと連絡が来た!


「今から戻るよ!心配かけてすまん」



「熱中症?」



「いや…胸…狭心症だと言われた。まぁ大丈夫だよ」



「狭心症って…。どこの病院?」



病院はそう遠くない。
忙しい振りをして帰りを待った。


思ったより元気そうに帰ってきた。男性社員との間で茶化されながら笑って話している。



1人じゃないし大丈夫かな!?
顔も見たし帰ろう。
詳しい事は夜聞こう。



No.106 13/02/11 00:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 105



「ねぇ…織田さん。あたしが言いたいのは、ずっと逢えてなくて寂しい時に他の女の子と飲んでるのが嫌なだけ。必ず連絡さえくれれば、飲みに行ってもいいんだよ?」




「いや…俺ももう喧嘩はしたくないんだ。凛を泣かせたくない。それに今は仕事がめちゃくちゃ忙しいから飲んでる場合じゃないし。…大丈夫。心配するな!たまには断れなくて行く時もあるけど、必ず連絡するから。余計な心配しない事!」




「そっか…わかった。なんか、ごめんね」




織田さんは優しい顔で微笑む。そう、あたしが大好きな織田さんだ。




そして織田さんは日に日に仕事に追われていく。織田さんはあまり身体が丈夫じゃないから、心配だった。 終電で帰っても朝が早いから睡眠時間も少ない。


かと言って会社に連泊するのは奥さんが許さない。



喧嘩は減った。
あたしが嫌だった女性がいる飲み会にも行かなくなった。
ホッとしたような、可哀想なような。身体だけは大事にしてね!と言いたいが あたしが仕事を代わってやれる訳でもない。


そんな中、あたしの不安は的中する。


No.105 13/02/11 00:15
RIN ( ♀ loeN )

>> 104




この5箇条………。
思っていたより効果があった。


織田さんは約束した。
極力、女性がいる飲みには行かないと。この「極力」には前島の存在が邪魔をする。前島は上司だから あまり断れない、と。そこの部分は仕方ない。



織田さんは飲みに行かなくなった。仕事が忙しくなったのもあるが…。飲みがなくなると喧嘩も減った。それはそれで、ほんの少し罪悪感も感じた。




あたしは元々 飲まないが、たまには飲みたい日もあるだろう。仕事に追われ疲れた日なんかは特に息抜きに飲みたくもなるだろう。



あたしとの約束で飲みに行けない。ストレスはたまんないか。


次はそんな事が気になるようになった。




あたしは重くないだろうか………。




No.104 13/02/09 01:37
RIN ( ♀ loeN )

>> 103



喧嘩しては仲直りし
また喧嘩しては仲直りする。
こんな毎日がダラダラと続いた。



喧嘩の理由がいつも似たり寄ったりの中身だから、2人の間での「5箇条」を作った。




◆サシで飲みに行かない
◆必ず最後は連絡する
 (無断外泊禁止)
◆約束を守る
◆嘘をつかない
◆隠し事をしない




最後に織田さんに足された。
◇妄想で泣かない
◇すぐくじけない
◇お互い他の異性との余計な接触は控える




ありがちな当たり前の様な内容だが、







、守れるのかい?
織田さん。



あたしは守れる自信はある。
あとから足された上の2個だけは自信がない。

だが、2人で決めた事。
出来なければ作った意味がない。
………出来る限り 努力しなきゃ!




さて、5箇条の効力はあるのか!? ないのか!?


No.103 13/02/07 02:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 102



ホテルに戻るとドアが開かない。



…。


開かない。


…。


やっぱり開かない。



一瞬、織田さんの仕返しかと思った。開かないから入れない。こんな惨めな姿…あたしは何をしてるんだろう…。


もう1度だけ試して開かなければ帰ろうと思った。
その時「ドア固いんだよ」と織田さんが開けてくれた。
この言葉がこの日の最後の声だった。



そこからはメールでのやり取りだった。織田さんがメールで言ってきたからメールで返した。同じ部屋にいるのに…。



この人は思った事を口で言うのが苦手なんだと理解した。
「戻ってこなかったらアウトだった」「せっかく一緒に寝たくて呼んだのに帰ったから、もう呼ばないと思った」




お互い無言のまま
泣き続けるあたしは織田さんの腕枕ですっぽり顔を隠すように………寝た。


No.102 13/02/06 23:53
RIN ( ♀ loeN )

>> 101



追いかけてくる訳でもない。



もうボロボロだった。
あたしの想いは届かない。
言っても伝わらない。
我慢するのも もう限界だった。



既婚者と独身。
同じ「好き」でも違うんだ…。気持ち的な余裕も違う。



さて、凛…どうする?





このまま帰るのか?




追いかけても来ないのに
もう戻れないよ?




このまま帰ったら あたし達は終わるだろう。
そこまでの覚悟は出来てるのか?凛。




こんな事を自分に聞きながら
でも抑えきれない涙を流し あたしは歩いていた。




電話が鳴った。




出るか?
出ないか?




出た。

「お前…帰る奴がいるか!戻ってこい!」




「…わかった」



これだからダメなんだ。
結局いつもあたしは最終的に許してしまう。だから同じ事ばかり繰り返す。

わかっているのにバカなあたし………。


No.101 13/02/06 23:35
RIN ( ♀ loeN )

>> 100


寝起きの悪い織田さんも目をまん丸くして起きた。―そして―、あたしが投げつけた物をあたしに投げ返した。


初めて見る織田さんだった。
マジ切れしている。


お互いに興奮していたから何を言われたか、よく覚えていないが…
織田さんが自分の感情をむき出しに言葉を発する事はまず ない。 俺だってこれでも精一杯 努力してるんだ的な事を言われた気がする。



それでもあたしは納得出来なかった。


無言になったあたしを見る事もなく、織田さんはベッドに戻る。今までの興奮はどこへ?と思う位 また寝てしまった。



仕事が忙しくて疲れ果てて寝たならいい。けど、楽しく飲んで、酔っ払って寝る。あたしを呼んでおきながら。



あたしはずっと我慢してきた。嫌でも言わずに頑張って自分の気持ちをこれでも多少なり抑えてきたつもりだった。




あたしは1人ホテルを出た。


No.100 13/01/29 00:31
RIN ( ♀ loeN )

>> 99



普段から ちゃんとコミュニケーションが取れているなら…
きちんと逢うなり電話なりメールなり…「会話」が出来ているなら…

あたしはこんなこと全然 構わないんだ。




でも違う。
今は違う。




「話したい事がある」
ってあたしが言ったって時間を作る努力はなかなかしてくれない。


泊まりじゃなくたって食事だってマックだっていいんだ。
あたしは織田さんと会話がしたかった。


今あたしが悩んでる事・葛藤してる事・寂しい事…
織田さんは何を知ってる?
今のあたしの何を分かってる?



飲みに行く日は早く仕事を切り上げて行くのに あたしと逢うのは残業で帰れなくなった日、飲んだ後……………。
そして すぐに寝るんだ。



我慢してた想いが爆発した。
1番最初の初めてした大喧嘩。



あたしはバスタオルで織田さんを叩いた。でも起きない。
そして、怒り狂った様にそこら中にある物を織田さんに投げた。さすがの寝坊助な織田さんも………起きた。



No.99 13/01/27 23:44
RIN ( ♀ loeN )

>> 98


ある日 いつものごとく酔っ払った織田さんから電話がきた。



「凛!解散した!今から来い!!」



織田さんは酔うとこういう口調になる。普段は少しあたしに気を使うような優しい話し方だが酔うと素直と言うか若干『S』っぽくなる。



「そんな酔っ払いじゃ、あたしが着いた頃には寝てるでしょ!?」



「寝ねーよ!いいから来い!!」


こう言った強引な織田さんは珍しい。でも、かなり酔っている。迷っていると………



「嫌ならいい。来なくていい」



スネた。




「すぐ行く」



待ち合わせの場所まで行くと、途中まで織田さんが走ってきた。あたしを見つけた瞬間、ガバッと抱きしめられた。



今日はどうしたの?
いつもと違う気がした。



ホテルに入り あたしがシャワーを浴びようと服を脱ぎ始めた時…チラッと織田さんを見た。もうベッドで寝そうになっている。まだ全然 会話と言う会話もしていない。


絶対 寝るな!と思い
「寝るの?」
と聞くと



「寝ない!待ってる。ゆっくり入っといで」
と言う。



怪しいな、と思いつつ急いでシャワーを浴びて出ると…
ものすごいイビキをかいて寝ている。



あたしは何をしに来たの?
ため息が出た。



「織田さん!織田さん!」
起こしても起きない。



ただ同じベッドで寝ている織田さんの隣りで…寝るだけの為にあたしは来たの?
その為にあたしを呼んだの?



段々と怒りと虚しさが込み上げてきた。


No.98 13/01/25 02:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 97



仕事で忙しい分には
「あたしが寂しがったらいけない」と思い 泊まり込みの日は気分転換の為に少し休憩させようと時々メールをする。



くたびれた織田さんは電話をくれる。だから寂しくない!
織田さんは朝が弱いから必ず朝は電話で起こす。織田さんが寝るまで あたしも家に持ち帰った仕事をする。



この「一緒に頑張ってるよ」的なのが好きだった。 ただの自己満なんだけど。



だが、織田さんは仕事の期限が近づいていても前島の誘いには断らない。断れない。
前なら
「ちょっと飲みに行ってくる」
と連絡があったのに
連絡がないまま
残業?
飲んでる?


分からないまま待ちぼうけなあたし。段々と飲み方が前島に染められていく。前島はヘロヘロになるまで飲ませて自分だけは必ず帰る。



連絡する事も出来ない程ベロンベロン酔って放置されるあたし…。朝になっても連絡がない。今はもう分かってるが、この頃のあたしには連絡がない理由が分からず、不安で不安で眠れない日もあった。



次の日はまた後回しにした仕事に追われる織田さん。もしくは二日酔いで早く帰る織田さん。



なんだか…寂しい。


No.97 13/01/25 01:59
RIN ( ♀ loeN )

>> 96


しばらくして社内移動があった。織田さんは1つ昇格し、あたしは違うエリア担当への移動。


若干だが、環境が変わった。
織田さんの上にものすごくSっ気たっぷりの上司が移動してきた。この上司、かなりの酒好きな上にかなり酒が強くて女好き…バツイチ・独身。



織田さんが飲みに行く回数は益々 増えた。と同時に織田さんの仕事量もかなり増えた。



あたしも初めの3ヶ月位は新しい仕事を覚える為に必死だった。移動したのは数名でほとんどの人は今までと何も変わらない仕事。移動したメンバーばかりが残業の毎日。



遅くまでいると酒好き女好き上司・前島が
「飲み行くかぁ~!」と始まる。


織田さんは前島に接触する事をひどく嫌っている。あたしも前島は好きじゃない。だから あたしはいつも行かない。
1度だけ初めての時に行ったが前島の飲み方が嫌いで行きたくなくなった。



この前島が来てから…
織田さんは少しづつ変わっていったね…。

仕事にもある意味「責任」が増えた事によって織田さんの仕事に対するこだわり、仕事量も増え、織田さんは段々 気持ち的な余裕がなくなり仕事に追われる毎日になった。



織田さんは自分に甘い部分があり「今出来る事」を先延ばしにする癖が多少ある。期限が近づくと ようやくやり始める。その中で自分の仕事に対する自信とこだわりが強い分 妥協をしない為 会社に泊まり込みで仕事をする日も多くなった。





なかなか逢えない。
メールすら、気づけば ほとんどしてない日も。
あたしは徐々に仕事に慣れ自分にも余裕が出来てきた。




すれ違い。



織田さんは忙しさのあまり あたしを気遣える余裕もない。逆にあたしは仕事に慣れた分 寂しさを覚え始める。




織田さん…。
このままだとあたし達 すれ違っちゃうよ………。



No.96 13/01/25 01:12
RIN ( ♀ loeN )

>> 95



そっか…。
忘れてるのかな…。
あたしが待ってる事なんて。



あたしがこうして憂鬱になってる間も飲んで歌って楽しんでるんだよね…。



時計を見ると深夜2時を過ぎる事も度々あった。それでも織田さんはどんだけベロベロに酔っていても必ず連絡をくれた。



ホッとする瞬間。



それが怒りに変わる瞬間の日もある。憂鬱な気持ちと不安な気持ちに駆られながら待ってたあたしに対して、酔っ払ってやたらテンションの高い電話が来るとカチンとくる。



織田さんに対しては気持ちを押さえられなくなる あたし。
「ねぇ…逆の立場になって考えてみて。織田さんがあたしだったらどんな気持ち?」



「ヤダ!凛は俺がいない飲みには行くな。絶対ダメ!」



「なんで?」



「○○が酔って凛に近づく」
「○○が凛を狙ってる」
「○○が……………」



「そういうの心配なんでしょ?だからあたしは行かないじゃん。あたしからしたら同じなんだよ‥織田さんが心配する事と」


「誰も近寄らないよ、こんなおじさんだぞ?」



「そんなの分かんないじゃない!」



「まったく余計な心配しすぎ!」



こんなやり取りから喧嘩になる。最終的には織田さんの逆ギレで終わる。


そして次の日。
「昨日はごめん」



もうお決まりのパターンになってきてしまった。



それでも、喧嘩しつつも この時はまだちゃんと連絡はくれてたんだ。


No.95 13/01/25 00:41
RIN ( ♀ loeN )

>> 94



あたしと一緒にいる時は奥さんからどれだけ電話がかかって来ても、織田さんは決して電話に出ない。メールも返さない。

「出なくていいの?」
と聞くと
「出たらしつこいから…」
と言う。




この状態と同じ。
飲んでる間はいくらあたしがメールしても電話しても決して連絡がつく事はない。



男性ばかりの飲みなら問題ないが…女性がいると、信用はしてるがやはり不安。


織田さんの「終電」の時間があたしの中では1つの目安だった。今日は帰るのか、また会社に泊まるのか。
そしてこの時間が過ぎても連絡がないと… あたしの中の憂鬱な時間が始まる。



以前の織田さんは
「俺も早く連絡したくてしょーがなかった」と言わんばかりに隙があれば ちゃんと連絡をくれた。だからすごく「安心」出来る「信用」出来る人だった。



いつからか段々と変わってしまった織田さん。付き合いが長くなると、なーなーになってしまう?


あたしの唯一の相談相手。
智恵が言う。




「まぁ…飲んでる時くらい都合よく凛を忘れたいって事だよ!」


No.94 13/01/23 20:46
RIN ( ♀ loeN )

>> 93



行かないとは決めたものの…
飲み会のメンバーによって どんな雰囲気になるのか知っている。


織田さんは飲んでる間はメールはくれない。やっとメールが来た時は「解散」した後だ。




「待っている時間」は長い。




なぜ行かないと決めたか?




喧嘩になるのが嫌だから…。




でもこの決断が
また違った方向で喧嘩の元となる。
あたしさえ「我慢」すればいい話。



そう思った。


楽しいはずの飲み会で喧嘩になるくらいなら…あたしが行かずに我慢して待ってればいい。



そう思った。




実際にただ待つ事は
思っていたより辛かった。




ヤキモチ妬きで心配性…
寂しがり屋ですぐ不安になりやすいあたしには「ただ待つ事」は苦しかった。




でも、この想いは
織田さんにはなかなか届かない………。



No.93 13/01/22 22:22
RIN ( ♀ loeN )

>> 92



「鈴木とカラオケか?」




こんな短い一言でもわかる。
完全に怒ってる。



「織田さん今どこ?…あたし…どうしたらいいか分からなくて…ごめん」



「俺は帰る!」





帰るって………。
もう電車ないのに。


そんな時 織田さんと一緒にいた上司がカラオケに来た。
「珍しく織田、帰るって」




ヤバいかな…
と思いつつもあたしはカラオケを出た。


織田さんがいた。
反対方向に歩いている。
追いかけた。



「織田さん!」



「戻れ」



「○○で待ってて。あたしもすぐ行くから!じゃなきゃ織田さんもカラオケ行こう」




織田さんはあたしの顔すら見ない。
「俺はいかねぇ。お前は戻れ」



「戻らない。あたしも織田さんと行く。でも…慌てて追いかけたからバックがカラオケにあるの…すぐ行くから待ってて」



「…」




怪しい行動だが、あたしも少しだけ戻り織田さんが待つ場所へ行った。



怒ってはいるが、あたしが来た事で織田さんの機嫌はほんの少しだけおさまった。


あたしは織田さんに
『お前』と言われるのが好き。飲み会の後はいつも、飲み会中そばに行ったり感づかれない為にあえて距離を置き、お互いに我慢してた分 2人になれた時が嬉しくてたまらなくて いつもイチャイチャしてた。



けれど この日は違った。
織田さんはやっぱり怒ってる。




この辺りから あたしは飲み会には行かないと決めた。


No.92 13/01/14 10:45
RIN ( ♀ loeN )

>> 91


この頃はやたら飲み会が多かった。飲み会は1番の喧嘩の原因になる。お互いにヤキモチ妬きで心配性なあたし達は行かなきゃいいものの…どちらも「自分がいないところに他の異性がいること」が嫌だった。



ある日、2次会に流れる時にカラオケ派と帰りたい派がウダウダと話してる中 1人の女性と上司の男性と織田さんが消えた。
気づいた時には既に反対側の道を歩く3人の後ろ姿しか見えなかった。





織田さん…あたしを置いて どこへ行くの?




あたしはどうしたらいい?




懐かしい名前だが、木村さんは怒っている。木村さんはかなりの酒好き 男好き。飲み会は「自分が中心」的な考え方をするとこがある。黙って男性を取られた感でムカついたんだろう。


半分やけになって木村さんが言う。
「鈴木ぃー!カラオケ行くよ!あ!中川も!」




鈴木さんは要注意人物の中でもトップにいる織田さんが嫌いな人。



………織田さんも、あたしを置いて黙ってどっかに行っちゃった………。
あたしだってたまにはいいかな。



3人でカラオケに入った。
携帯が鳴る。
織田さんからだ…!




No.91 13/01/13 23:50
RIN ( ♀ loeN )

>> 90


喧嘩になると織田さんはいつも「ごめん」と言う。織田さんはあまり怒らない。ヤキモチを妬く時だけはハンパなく怒るけど…。



ごめんと言ってもソレを改めるわけではない。その場しのぎの「ごめん」はもう聞き飽きた。


こんな事で怒るの?と思うかもしれないが「こんな事」はたくさんあった。今までも…。



「何がごめん?」
織田さんに聞いた。



「いつも泣かせてごめん」



「なんで泣くか分かる?」



「…」



もういーや。分からないならいい。黙って早足であたしは帰る。いつもこうやって織田さんを怒って…泣いて…当たり散らして…。時間が立って冷静になると自分のとった態度で織田さんに振られないか不安に襲われる。


織田さんを嫌いになれたら…
そう思うことはたくさんあるのに…
嫌われるのは怖い。
わがままなあたし。



No.90 13/01/13 23:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 89



「凛…帰るの?」



「帰る」



「怒ってるのか?」



「…別に」



「どっかかと言えば…俺…被害者だぞ?」



「そう?」



俺は悪くない!って言いたいのか。ふざけやがって。
こんな事くらいで泣くのは悔しい。けど、ハッキリしない織田さんにも腹が立って
「あたしの彼氏だから」とちゃんと言えない事にも 悔しくて…情けなくて…悲しくて…ポツポツ落ちる涙を織田さんに見られないように振り向かず歩き続けた。



「凛!…ごめん…」



何に対しての「ごめん」?



No.89 13/01/13 23:02
RIN ( ♀ loeN )

>> 88



情けない。




この場にもし…
誰もいなくて…
角田と織田さん2人っきりだったら…




あなたはどうしてた?




その頃きっとあたしはまた鳴りもしない携帯を隣りに置いて、いつまでもいつまでも待っていただろう。




あたしは織田さんが好き。
大好き。



でも「織田さんの全てが好き」な訳じゃない。織田さんも…そうだよね…?



あたしは押しに弱くてハッキリ断れない織田さんが嫌い。誘われれば断れない織田さんが嫌い。………断れないんじゃない。この人は断らないだけ。



なんで
どうして
目の前にあたしがいるのに…
もっとちゃんと怒ればいいじゃねぇか!
なんでもっとハッキリ言えないの!?
あのまま引っ張られたまま どうするつもりだったの?
これが逆に
「あたしが織田さんの状態」だったら…あんたは何も思わない?



腹が立って仕方なかった。


No.88 13/01/13 12:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 87



あたしはタクシーを拾いに行き無理やり角田を乗せた。女のあたしには分かる。この子は完全に酔ってはいない。普段からこんな調子の子。また次回の飲みでこんな事態にならないように言った。



「次からはちゃんと終電の時間みて飲みな。みんな帰れなくて困ってるよ」
2000円置いてタクシーのおじさんに行かせた。



みんなヤレヤレと思い それぞれ帰っていく。織田さんはあたしの所に来て言う。



「悪かったね…」



悪かったじゃねぇよ。
ふざけんな!



でもここでは、2人の会話は出来ない。説教は後だ。
「情けないね…」
と、だけ言い あたしは歩き出す。織田さんは「ヤバい」って顔をして後ろから歩き出す。



情けない。
この言葉にはどんな意味があるか分かるかい?織田さん………。


No.87 13/01/13 12:40
RIN ( ♀ loeN )

>> 86


ある時 終電がないから会社に戻ると言った織田さんに酔っ払った後輩が言った。



「私も終電ない( ̄○ ̄;)織田さんと会社に泊まるぅ~!!」



織田さんの腕にしがみつき離れない。織田さんはチラッとあたしを見て助けを求める。あたしは織田さんがどう対応するのか見ていた。



「会社はね、本来 宿直以外は泊まっちゃダメなんだ!俺も本来はダメなの!それに女性が泊まるとこじゃない!簡単に誰だって出入り出来るし、そこで寝る人も俺だけじゃないんだから」



酔っ払った後輩には通じない。
「今日だけなんだから大丈夫!バレない♪バレない♪」
更に強く腕にしがみつく。



周りは笑っている。
1人の男性が面白がって
「泊まっちゃえよヾ(≧∇≦*)ゝ」
なんて言い出した。



この言葉に調子に乗った後輩は強引に織田さんの手を引っ張り会社方面に歩き出す。
もう1人の後輩が
「中川さん!ヤバいですよね!?」とあたしに聞いた。


みんな終電が近づいている為イライラし始めた。
「おい!角田!タクシーで帰れ。お前んち近いだろ」



「私もうお金がなぁーい」



こんな状態が何分か続いた。
織田さんは離れようとしているが、離れようとする度 引っ張らてしがみつかれる。
無理にでも離れようとしない織田さんにあたしはイライラした。


あたしは普段、人前であまり感情を剥き出しにしない。
だが、………怒りマックス!


No.86 13/01/13 12:12
RIN ( ♀ loeN )

>> 85


あたしにも次々と後輩が出来始めた。
…とは言え、皆 年上ばかり。唯一、2人『年下の後輩』がいる。


蓮の保育園 小学校 中学校…いつでもあたしは1番年下だった。いつも「中川さんはまだ若いから…」と言われてきた。兄の同級生がいたりして可愛がってもらえたのもあったが。


あたしは前の職場で新人の教育もしてきた。「新人さん」には何故か目がいってしまう。ましてや この職場の雰囲気は独特。少しでも気楽に話せる人がいないと精神的に弱い人にはキツい職場。


なるべく気にかけて新人さんに接した。やはり歳が近い分お互いに気楽だから仲良くなるのは早かった。


2人共 独身の為 よくお茶したり飲みに行くようになった。そこに男性社員が時々、混ざるようになっていく。この子達が誘うからだ。数名の中にあたしと織田さんがいて嬉しいようなハラハラするような。




No.85 13/01/07 19:50
RIN ( ♀ loeN )

>> 84


すげー怒った顔してる( ̄○ ̄;)




帰り道のメール。
「お待たせ。浮気者!」



「お疲れ様。…で、あたし触ってないと思うんだけど…触ってたかな?」



「ちょっとぉぉぉ!!って肩バシッとしてただろ(-_-#)すげームカついた」




ん?
ソレ…NGか…。



「ごめん…」



「今日はメール無理だ…おやすみ」



「え…ごめん!もうしないから…ごめんね…」



もう返信は来ない。
織田さんは喧嘩になるとメールをしなくなる。電話にも もちろん出ないし、最悪な時は電源まで切られる。



あたしが1番悲しいパターン。
せっかく待ってた「楽しみな時間」は待った時間のたった何十分の1かの時間で終わる。



最近は「もうこうなったら何しても無理だな」と思えるようになってきたが それでもやっぱり落ち込む。
最初の頃こんな事が多々ある度あたしはよく泣いた。



男性は相手が誰!とか関係なく男性と絡むのが面白くない。特にこの人との絡みは要注意!って人が4人いる。



今日のバシッ!の相手はその4人の内の1人。元々あまり男性とは絡まないあたしはそれ以上に男性に近づかなくなっていた。


No.84 13/01/07 01:09
RIN ( ♀ loeN )

>> 83


こんな女は面倒くさい・重い…と言う人は多いだろう。



ヤキモチ妬きで
心配性で
寂しがり屋で
泣き虫……………。



ただ、こんなあたしでも続いているのは織田さんも同じ価値観だから…だと思っている。



ある日 もうそろそろ定時だな!
と言う時 あたしは仕事の事を聞きに男性と話していた。
自分では気づいてはいなかったが、織田さんからメールが来た。



「○○さんの体に触るのだけは止めてくれないかな?」



「…」
体?
触る?



あたし…そんな事したかな?


…と言うか、メール出来んじゃんか
(#`皿´)


No.83 13/01/05 04:30
RIN ( ♀ loeN )

>> 82



深夜2時過ぎ。
ようやくメールが来た。
「待たせてごめん。寝てる…よね?」




「起きてる。待ってた」




「遅くなってごめん!……………」
言い訳が始まる。





段々とこういう日が増えていった。あたしは重い女。必ず待っている。付き合いもある「飲みに行くな」とは言えない。
せめて連絡がきてホッとしたいだけ。
あたし達の出逢いが出逢いなだけに不安なんだ………。



織田さんはあたし以上にヤキモチ妬きで心配性なのに、相手の気持ちには鈍感だ。言わないと気がつかない。



しばらくは我慢した。上司の誘いは断れないのも分かるし今まで行ってたのに行かないのも おかしいだろう。終電なんか気にもせず週の半分は会社に泊まってた人なんだから尚更。




ただ、コレが段々と普通の様になっていく。時には喧嘩になり逆ギレされる事もある。


「織田さんはトイレに行かないの?今日は朝メールくれたっきり1度もくれなかったよね」



「飲んでる時は凛携帯はカバンの中で音無しにしてるから。カバンの中だからトイレにも持ってけないんだ」



「気にはならないの?」



「…んな事 言ったってしょーがねーだろ!」



「………わかった」
「プーッ…プーッ…プーッ」


あれ?…もう切られてる…。




面倒くさいよね。
重いよね。
負担だよね…あたしの存在。



いつからか泣き虫になったな…あたし。


No.82 13/01/05 04:02
RIN ( ♀ loeN )

>> 81


朝の「おはよう」が楽しみで
帰りの「おやすみ」が寂しい。


付き合い始めた頃は朝晩 織田さんが家にいる間以外は普通にメールしてた。ヒマさえあればメールしてた。当たり前の様に…。


「やっと前みたいにメール出来るんだ♪」
そう思っていたのも束の間だった。最初は織田さんも嬉しさ優先でマメにメールをくれたが…段々とメールは減っていく。



思っていた以上に携帯を出せる場所がないらしい。時々トイレでくれる以外はほとんどメールはない。
期待が大きすぎたあたしは、ほんの少し寂しさを感じ始めていた。





…そろそろ帰る頃だからメールくるかな♪




………。




………。




………。



メールが来ない。
飲んでるのかな?


飲んでるとしたら いつもならメールか電話がくる。
「ちょっと飲みに行ってくるね。必ず連絡する」



終電の時間は過ぎた。
まだメールは来ない。
ここからは時計とのにらめっこ。


………。



待たなきゃいいのに…待ってしまう。誰といるんだろう…。
連絡がないって事はもしかしたら…女の子?



気になって仕方ない。
時間ばかりが過ぎていく。



No.81 13/01/03 03:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 79 「今日、キツい言い方して悪かった。 ずっと気になってたんだが連絡出来なくてさ…。ごめん」 あっ!携帯か! 突然すぎて忘れて…



織田さんは付き合い始めの浮ついた思うがままの織田さんから…慎重になりすぎなんじゃないか、と感じる程 慎重な慎重すぎる織田さんになっていった。


当たり前の事だが。
元々 嘘がつけないタイプで口も決して達者ではなく とっさに言い訳など器用に頭が回転する人じゃない。



自分が以前から使っている携帯の他にもう1つ携帯があるのを人に見られたら…間違いなく怪しいだろう。
だから、会社内ではほとんどメールはしない。朝晩のみがあたし達の『メールの時間』になった。



あたし達のいる課の人間がみんな帰った後でも ウチの会社は他の課にも大勢の社員がいる。織田さんは誰にも見られない様に慎重に携帯を使った。



No.80 13/01/03 03:07
RIN ( ♀ loeN )

>> 79


★読んで下さっている方がいるか分かりませんが…。



内容が内容なので自スレ設定にさせて頂きました。
読んで不快に思う方は読まないでくださいm(_ _)m



同じような想いをしている方や同じような経験をした方、ただ物語として読んで頂き感想を頂ける様であれば


http://mikle.jp/thread/1875174/


こちらにレスください。
ただ…勝手で申し訳ないのですが とても大切にしているスレなので非難中傷は控えてください。


すみませんが宜しくお願いします。


今 小説じゃなく日記の板に書けば良かったな…と後悔しています。


No.79 13/01/03 02:52
RIN ( ♀ loeN )

>> 78



「今日、キツい言い方して悪かった。
ずっと気になってたんだが連絡出来なくてさ…。ごめん」




あっ!携帯か!
突然すぎて忘れてた。




携帯を渡すと優しい顔で
「ありがとう…凛」と言って携帯を開く。
アドレスを確認した織田さんは…………。






「これは…。恥ずかしいな(〃∀〃照)」と苦笑いする。




「嫌だったら変えて(*´艸`*)」
あたしがそう言うと




「嫌じゃないよ。ありがとう」と織田さんは微笑んで軽く携帯をイジってみてた。




「今日はもう終電ないから会社に戻るね。今日からいっぱいメール出来るね!」




「うん!嬉しい」




そのまま一緒にいたかった。
帰っていく後ろ姿を見ながら追いかけて抱きつきたかった。
でも家の前だったからグッとこらえた。




織田さんの姿が見えなくなったら すぐにメールが来た。
「おっ♪俺の携帯と同じメーカーだから、すぐに使えるよ!ありがとう。これでやっと言える!………愛してるよ」





「うん…あたしも愛してる」



思う存分、寝るまでメールし続けた。お互い嬉しさでいっぱいだった。



この日からあたし達は『専用携帯』だけのやり取りが始まる。
これが良かったのか…悪かったのか…。



  • << 81 織田さんは付き合い始めの浮ついた思うがままの織田さんから…慎重になりすぎなんじゃないか、と感じる程 慎重な慎重すぎる織田さんになっていった。 当たり前の事だが。 元々 嘘がつけないタイプで口も決して達者ではなく とっさに言い訳など器用に頭が回転する人じゃない。 自分が以前から使っている携帯の他にもう1つ携帯があるのを人に見られたら…間違いなく怪しいだろう。 だから、会社内ではほとんどメールはしない。朝晩のみがあたし達の『メールの時間』になった。 あたし達のいる課の人間がみんな帰った後でも ウチの会社は他の課にも大勢の社員がいる。織田さんは誰にも見られない様に慎重に携帯を使った。

No.78 13/01/03 02:21
RIN ( ♀ loeN )

>> 77



しばらくして また電話が鳴る。
「今、凛ん家の前。出て来れるかい?」




え?
前って………。


慌てて窓から外を見ると姿はない。
織田さんに家が分かる訳ないよな…。疑問に思いながら外へ出ると…隣りのマンションの下でアグラをかいて座っている。




思わず笑ってしまった。
「織田さん!残念、家違い(笑)」



「いや…とっさに恥ずかしくなって移動した。ちゃんと分かってるよ!凛ん家はこっちだって!」




「なんで知ってんの?」




「前に2ケツした時に凛が教えてくれただろ」



そうだったね…。
後ろに買い物カゴの付いたあたしの自転車に、無理やり2人乗りして走った事があったね。蓮の練習を見に行く時の距離が遠くて電動自転車を買ったあたしが、電動は慣れなくて怖いって話をした時だよね。



酔っ払った織田さんがしつこく「乗れ!」って言うから無理やり乗った時。股が痛くてスゴいスピードで走るから怖くて怖くて…。



でも、2人して無邪気にはしゃいで楽しかった思い出。




No.77 13/01/03 01:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 76



こんな事を考えていると、やっとメールが来た。



…ん?



写メだけが送られてきた。
飲み屋で変顔をした織田さんと上司と同僚で映っている写メ…。


ものすごくバカにされた気分だった。
「今、飲んでるよ」と伝えたかったのだろう。
この人はあんな電話の切られ方をしても何も感じないのか!? 挙げ句こんなめでたい顔して飲んでやがる! 怒りがフツフツと込み上げた。でもこの怒りをぶつける手段もない。





今度は電話がきた。
小声すぎて良く聞こえないが
「今トイレ。携帯ありがとう!凛の好きな様にアドレス設定しといて!また連絡する」




そうだ。
織田さんはいつも忘れなかった。
飲みに行く時も必ず
「これから○○さんと飲みに行ってくる」

「今、解散したよ」

「○○さん達(女性)に○日に飲もうって誘われたんだけどいい?」

「もうそろそろお開きになりそうだからね」


あたしが心配しない様にマメに連絡をくれる人だった。あたしは単純バカだから こんな連絡が来ただけでホッとした。



アドレスかぁ…何がいいかな。
2人だけのなんだから何だって構わないのに…真剣に考えた。
あたしの願いを込めて………
【Everlasting love】
       永遠の愛。



他人が聞いたらバカじゃねーか!と思うだろう。あたし達のしている事に永遠もクソもない。愛なんてアホか!と思われるだろう。


でも事実、あたしはバカでクソでアホなんだ…。いけない事をしていると分かっていて止められない。ただ、好きで大好きで一緒にいたい………。



No.76 13/01/03 01:08
RIN ( ♀ loeN )

>> 75




『専用携帯』を買う時…
訳があって家と携帯ショップを2往復した。閉店が迫ってた為、慌てて行ったら手続きに必要な物が1つ足りなかったのだ。隣町の携帯ショップに行ったから結構 疲れた。



それも…少しでも早く少しでも楽に連絡が取れる環境になりたかったから。




そう思っていたのは あたしだけだったのかな…。事実、織田さんは奥さんにバレてあたしの存在を隠そうと必死だ。


それは何故?
―離婚したくないから―
以外、どんな理由があるって言うの?


バレるまでは1日中メールして いっぱい逢えて いっぱい話せて………。今思えば楽しくて嬉しくてラブラブで幸せだった。



………今は?




今のあたしは………幸せ?
織田さんといれて幸せ?




………織田さんは?
こんな事してて幸せ?




織田さんの家族を裏切っていて本当に幸せ?



No.75 13/01/03 00:44
RIN ( ♀ loeN )

>> 74



公衆電話から電話をした。
「あのね、携帯ゲットしたよ!」






…。





「凛…。公衆電話はダメだよ…。余計に怪しまれるんだ…。」



…。



「………そっか。ごめんなさい………。」




あたしはそう言ってすぐに電話を切った。電話の向こうで何か言っていたが、構わずに切った。



喜んでくれると思ってたのに………。やっぱりそこまでは望んでなかったのかもしれない。あたしはどちらかと言えばネガティブだから、織田さんの反応がやたらショックだった。





この携帯…どうしよっかな…。あたしの携帯も古いからコレに変えよっかな…。





折り返し電話をくれるわけでもメールをくれるわけでもないのが悲しくて…歩きながらポツリポツリと涙が出てきた。





あたしからはメールも電話も出来ない。織田さんは自分の都合で時々メールや電話をしてくる。公衆電話も登録外の携帯もダメ!って言うなら もう手段はない。


あたしが我慢するしかないんだ。
………いつまで?
………いつまでかも分からないのに我慢出来るの?あたし………。



No.74 12/12/31 22:49
RIN ( ♀ loeN )

>> 73



「織田さんは不便になると思うけど…あたしとだけの『専用携帯』持てる?
夜、駅に着いたらロッカーにしまって帰って…朝またロッカーから出せばいい。
『専用』だと、どんなに通話してもメールしても一定料金なんだって
だから月々1000円くらい!ロッカー代と携帯代はあたしが出すから」





「それがあれば嬉しいけど…そんな訳に行かないよ。凛に負担かけさせるのは嫌だ!それなら俺がそれ買えばいいんだろ?」





「ダメだよ!携帯もう1つ買ったのが分かれば疑うし、明細が家に届くとマズいでしょ!だから、あたしがあたし名義で買うから!
それで全部やり取りすれば携帯見られても何も怪しい物もなくなる
その代わり不便だよ。会社では隠し持たなきゃいけないし、朝と帰りも面倒臭くなるよ。どう思う?」




「…ありがとう。携帯代は俺が凛に払う!ありがとう」




すぐに携帯を見に行った。
織田さんが使っているメーカーの古い型なら使い方も同じはず。メール 電話だけなら機能なんて何も考えなくていい。
ちょうど¥0のがあった。
すぐに買った。




問題はこれをどうやって渡そう………。




No.73 12/12/31 22:31
RIN ( ♀ loeN )

>> 72



唯一の救いは会社に行けば顔だけは見れる事。でも、話せるチャンスはなかなかない。


織田さんは止めていた煙草をまた吸い始め 時々 喫煙所で逢うのがやっとだった。




目の前で「別れる」と電話で言った。消したはずのアドレスと番号。それでもまだメールしていた事実。まだ逢っているかもしれない不安。別れたとは言え お互い同じ職場にいる。
旦那が帰って来なければ疑わないはずはない。



あたしの辛さなんかより奥さんの方が何倍も何倍も苦しんでいるはずなのに………。
ごめんなさい…。
ごめんなさい…。
ごめんなさい…。



でもあたし、この手を…離したくないんです。
まだ一緒にいたいんです。
自分の事しか考えられない「自己中女」
そう言われても何も否定出来ない。




あたしは鬼だ。最低だ。
メールが普通に出来なくなって織田さんが遠くなって 寂しくて寂しくて…。1つだけ残っている手段がある!と考えてはいたが…言わずにいた事があった。



それを織田さんに伝えた。



No.72 12/12/31 02:35
RIN ( ♀ loeN )

>> 71



「どうした?」




返事が来ない。
………何が起きたの?




待っても待っても返事が来ない。不安でいっぱいになる。




しばらくして電話が来た。
「凛にメール打ってる時にカミさんから電話が来てさ‥間違って通話になっちゃったんだ。ちょうど○○駅のホームでアナウンス聞かれた。
○○駅で何してんだ!って。
何とか ごまかせたから大丈夫だけど、焦ったよ…」




「大丈夫なの?」



「もう大丈夫だよ」



○○駅は会社から織田さんの最寄り駅には通らない駅。
この日から織田さんは奥さんからの電話やメールに『証拠』の写メを送らなければならなくなる。



「残業」と言えば会社の写メ、「先輩と飲む」と言えば「飲み屋」「相手」の写メ、「会社に泊まる」と言えば「仮眠室」の写メ。



益々、逢う事も厳しくなった。


No.71 12/12/31 02:18
RIN ( ♀ loeN )

>> 70


「凛…ごめんな。我慢ばっかりさせるけど必ず乗り越えよう」



「うん」




離れたくなかった。うん…とは言ったものの もうこの瞬間から寂しかった。泣いたら織田さんが困るから…泣いちゃダメだよ、凛。
深く深く深呼吸をして
「バイバイ」
笑顔で言えた。
織田さんは心配そうに あたしの顔を覗き込む。



見ないで…。
何も言わないで…。



「放置ばかりしてすまん、必ずまた逢うから!どんな壁にぶつかっても頑張ろうな」



もう何も言わないで。
せっかく笑顔でバイバイ出来たのに泣き虫なあたしはまた涙が溢れ出す。



「大丈夫。織田さんも頑張ってるんだから…あたしも頑張る!もう行きな」




「泣かせてんのに行けないよ」



「大丈夫!」



織田さんを改札まで引っ張り背中を押した。1度振り返り あたしを見てから 吹っ切った様に足早に階段を下りて行った。


織田さんの姿がなくなったのを確認し あたしは歩いて帰った。



しばらくして
織田さんからメールが来た。
「ヤバい事になった!」






ヤバい事って……………何?



No.70 12/12/31 01:28
RIN ( ♀ loeN )

>> 69



織田さんと他の人達は普通にメール出来るのに あたしはメール出来ない。仕事の事ですら電話もメールも出来ない。



織田さんは当たり障りのない「おはよう」「お疲れさん」など1日に1回くらいしかメールをくれなくなった。




あたしの寂しさも限界に近かった。織田さんが遠い…。ものすごく遠い人に感じた。
織田さんも何かを感じたのかメールが来た。




「凛が遠い…めちゃくちゃ遠い…凛に触れたい」




「あたしも…逢いたい」




「うん。今日、逢おう」




逢えるの?
この内容…大丈夫?
嬉しさと不安が混じり合う。
でも「逢おう」と言ってくれた。今日は素直に逢いに行きたい。織田さんは早く仕事を切り上げて来てくれた。



「やっと逢えたね」



「うん!」



この日 織田さんは帰らなかった。あたしもこの前の様には帰さなかった。


そばにいたい。
触れていたい。


次はいつ逢えるか分からない。思いっきり大好きな手を繋いでいたい。
何度も何度もキスをして
何度も何度も抱き合った。



次の日は休み。
これまで我慢していた思いがお互い一気に溢れ出したかの様に 一晩中 体を重ねた。


No.69 12/12/31 00:57
RIN ( ♀ loeN )

>> 68


織田さんに予測変換の話をした。



「なるほど!『り』って打ったら『凛』、『す』って打ったら『好きだ』って出てきたよ…バレバレな訳だ…。
もうメールも簡単には出来ないな… 寂しい思いをさせてすまない」




これ以上 メールすら出来なくなるんだね…。職場で姿くらいは見れるけど…寂しいな…。
でも これ以上 織田さんに大変な思いをさせるのも………。
織田さんは自分が手を出した責任から あたしに「別れてくれ」と言えないだけかもしれない。



「頑張って乗り越えよう」と言うべきなのか迷いに迷い あたしは返信した。




「織田さん…。もう…無理しなくていいよ。………別れよう」



すぐに電話が鳴った。あたしはもう涙で声が出ない。




「勝手に決めんな!一緒に乗り越えようって約束しただろ。俺も極力、いい方法 考えるから…別れるなんて言うな!勝手な判断禁止だ!」



そんな事 言ったって………。
この頃から喧嘩をする度あたしは「別れる」と口走るようになる。いつでも織田さんは「別れない!」と言った。



No.68 12/12/30 11:37
RIN ( ♀ loeN )

>> 67


「凛はどうしたいの?奥さんと別れて欲しいの?
ねぇ…凛。凛は綺麗なんだからさ!他に男なんていっぱいいるじゃん。
私から見たら その人…ズルい勝手な男にしか見えない。
家庭も壊したくない。
凛も手放したくない。
で、凛には寂しい想いさせて自分はバレるのが怖いからって必死になってる。
分からない?その人が大事なのは『凛』でも『奥さん』でもない。『自分』なんだよ!」






「…うん。分かってるの。智恵の言うとおり。
離婚して欲しいとも思ってない。ただ…好きだから一緒にいたい…それだけ。
間違った事してるのも分かってる。
智恵が苦しんでた時期もあたし知ってるのにごめんね…」






「…まぁね…夢中になってる間は何言ったって無理なんだよね…。私だって、ほら!カズの時。凛が何を言ったって私は聞かなかったもんね!
挙げ句、妊娠までして…おろして…玲奈とカズがデキてた!っていうね…
私はさ。凛にはそんな想いして欲しくない。
その時は死にたいくらい辛いよ。…でも私はちゃんと生きてる。必ず、乗り越えられる日が来るから…!」





智恵の言葉はものすごく理解できた。それでもあたしは織田さんといたい。一歩が踏み出せない。


No.67 12/12/29 22:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 66



一通り事情を説明した。
「智恵も大ちゃんの携帯見て浮気知ったって言ってたよね?」




「凛!どんなにメール消したってね…その日どんなメールをしたか分かるんだよ!なんでか分かんない?」





「なんで?」





「予測変換!
り…を打てば『凛』が出てくる。
だ…を打てば『大好き』が出てくる
あ…を打てば『逢いたい』『愛してる』
凛がよく逢うのはどこ?そこだってその内バレるよ!」




予測変換かぁ………
気づかなかったな。



「凛。離婚したい・離婚したいって言っても みんな『子供の為に離婚はしない』って言うじゃない?それってさ‥結局は『愛情』があるからなんだよね。『愛』も何もなくなったら『子供の為』なんて関係なく別れんだよ!その人だって結局、別れないって事は凛を好きかもしれないけど…でも奥さんを子供を愛してるからだよ」




分かってる。
分かってるよ…智恵。
だけどね、それでも「ただ一緒にいたい」
あたしはバカなんだ…。弱虫なんだ…。


「愛してる人の幸せを願って別れます」なんて 今のあたしには出来ない。


No.66 12/12/29 22:14
RIN ( ♀ loeN )

>> 65



次の朝 織田さんからメールが来た。


「昨日カミさんに『まだメールしてんじゃねーか!』って言われたんだ。ちゃんと消去してんのに もうどうやって どこを見られてんだか分かんねー」




一度 裏切られ信頼を取り戻すには相当な時間がかかると言う。あたしもあまり携帯には詳しくない。




あ!そうだ!
あの子に聞いてみよう。


前の仕事で旦那の浮気が原因で離婚した友達がいる。
この子も苦労人で以前 サイトで知り合った男に騙された。友達には厳しい事も間違ってる事にもハッキリ言ってくれる子。 怒られてもいい。相談してみよう。あの子なら仕事にも関係ない人物。信頼できる。



連絡を取ると すぐに逢ってくれた。



織田さんには
「ちょっと信頼できる友達がいるから聞いてみる。旦那さんの浮気が原因で離婚してるから何か分かるかもしれない。
もちろん女の子だから安心して!



「………すまん。頼む」




織田さんはこの頃から
「ごめん」「すまん」ばかり言うようになった。


No.65 12/12/29 21:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 64



「…織田さん!」





「凛…。今日、泊まろう!」




帰らせなきゃいけないあたし。でも、帰って欲しくないあたし。織田さんは自分に甘い。
あたしがシッカリしないと…!



「大丈夫。あたしはずっと待ってるから。逃げたりしないから。今日は帰らなきゃダメだよ。…奥さんが待ってる。早くしないと終電なくなるよ」




「いや…今日は凛とくっついて寝る。ギュッとして寝たい」




ねぇ…織田さん。
あたしだっておんなじ気持ちだよ…。
でもね…次 バレたら今度こそ終わる。ここはグッと我慢しないと………。





「織田さん。あたしは織田さんが大好き。一緒に寝たい。
でも…バレて終わるのだけは嫌。今日は我慢しよう」




織田さんは渋々 帰った。
これでいいんだ………。
今はこうするしかないんだ。



No.64 12/12/29 21:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 63



この日から
連絡出来ないと言っていた織田さんは


朝の「おはよう」
帰りの「帰るね」
最後の「大好きだ!おやすみ」



片言の言葉のみメールをくれた。あたしは織田さんからメールが来るまでしなかった。



1度だけ偶然 会社のエレベーターで2人きりになれた。




「今日、逢えるか?」




「大丈夫なの?」




「しばらく大人しく帰ってたから大丈夫だろッ!」




嬉しかった。逢いたかった。
ほんの5分でも10分でも逢いたかった。



よく2人で行った居酒屋で逢った。あたしの目の前に久しぶりに織田さんがいる。途中であたしは席を移動し 織田さんの隣りに座った。手を繋いだ。
何日間も触れられずにいた織田さんの温もり。
あたしは織田さんの手が大好きだ。綺麗な手………。


この綺麗な手をずっと…ずーっと離したくない。強く感じた。
でも、そろそろ帰らせないと…。




「織田さん…。そろそろ帰らないとね!」




「……………。」
時計を見ながら織田さんは何も言わない。



No.63 12/12/29 21:16
RIN ( ♀ loeN )

>> 62


織田さんは恥ずかしがり屋で「好き」だの「愛してる」だのを言わない。



織田さんが帰って行く後ろ姿を見ながら「今日から織田さんと連絡出来ないんだ」…と思うと寂しくて寂しくてやりきれなかった。



それでも、織田さんがあたしとの「別れ」を選ばなかった事に少しホッとしたあたしがいた。


メールが鳴った。
織田さんからのメール。
たった1回だけのメールだったが………。







「凛…愛してる」






携帯チェックされるんでしょ?
大丈夫なの?
と思うと同時にこの言葉が嬉しくてたまらなかった。
初めて言われた。「愛してる」



返していいのか迷いながら
「あたしも愛してる」




このバカな女はこんなバカ男の甘い言葉にまんまとハマり、バレた事で辛さと戦う奥さんの事なんて「ごめんなさい」とは思いつつも結局は自分達優先で何にも考えてはいないんだろう。


考えられたら「別れ」を選んでいるはずなんだから………。



No.62 12/12/29 20:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 61



「カミさんにも散々 泣かれたよ。色々、考えさせられた1日だった。
凛はこんな俺でも付いて来てくれるか?
地獄だぞ!毎日、辛いぞ!
凛のアドレス、番号…全部カミさんは自分の携帯にデータを移した。俺は目の前で全部、消させられた
これからは毎日、携帯はチェックされる。しばらくメールも電話も出来ない。
仕事が終わったら早く帰るようになる。
………耐えられるか?」






耐えられる?
そんなの分からない。
完全に織田さんは『家庭』を選んでいるのにバカなあたしは それでも織田さんといられるなら………なんて自分の気持ちを最優先にして頷いた。




「泊まりたいね…。でも今日はこのまま帰らないと………。
帰り道もメール出来ないけど、ごめんな」



うっすら目を赤くした織田さんはそう言った。泣いちゃいけないと我慢していた涙が一気に溢れ出した。




そんなあたしを見て 帰るに帰れない織田さん。




「大丈夫だから帰りな!」
精一杯の強がりを言う。




「どんな困難も乗り越えような!凛…!」



頷いて織田さんの背中を押した。最後に1つだけ聞いた。



「織田さんは奥さんになんて言ったの?あたし達が付き合った事…」



「………性的な欲求が抑えられなかった。って言った…ごめん」



それが正直な気持ちだったんだろう。


No.61 12/12/29 20:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 60




「凛…ごめん」




そのまま黙っている。




ごめんってどういう意味………?
やっぱり別れる………の?




「終わりにしようって事…かな?」



泣いちゃダメ!
凛…泣いちゃダメだよ。
泣いたら困らせるだけ。
頑張れ、あたし!




「俺の考えが甘すぎてロックもかけてなかったし、カミさんが疑ってる事にも気づいてなくて…俺が風呂入ってる間に携帯見られた………メールも発着信も消してなかったし、完全にバレた…言い訳する余地もなくて…本当にごめん」





「それで…織田さんはどうしたいの?」




「情けないが、どちらも選べない…子供と離れるのが1番辛い。…けど、凛も失いたくないんだ…勝手ですまん」




この織田さんの言葉に答えは出ている。あたしを失いたくないとは言え『子供と離れるのが1番辛い』と言っているんだから。



あたしが「別れよう」と言うのが1番正しい事も分かっている。それでも言えない、一緒にいたい。織田さんが言わない限り あたしはまだ側にいたい。
どうしようもないバカな女。




「あたしはまだ…織田さんの側にいていい…の?」




織田さんは黙って頷く。
織田さんが重い口を開く。



No.60 12/12/29 03:32
RIN ( ♀ loeN )

>> 59


帰ろうとした時 自然に織田さんを見てしまった。悲しそうな顔であたしを見ている。




何を言いたい?




聞きたいけど聞けない。




仕方なく会社を出た。
携帯が鳴った。





あっ!
会社の番号。




織田さんだ!
「中川さん忘れ物してるから持ってくよ。今どこにいる?」



「駅のホームまで来ちゃいました」



「じゃあ、ちょっと待たせるけど持ってくから中川さんの最寄りはどこ?そこまで行くよ」




大丈夫?
不自然じゃない?
履歴残るのに大丈夫………?


でも逢いたい。
あたしは「はい」と答える。



そして織田さんが来てくれた。


No.59 12/12/29 02:52
RIN ( ♀ loeN )

>> 58



織田さんは来た。
憔悴しきった姿だった。
一生懸命、普通に振る舞っているように見えるが笑顔が疲れきっている。
それはきっと あたしも同じだっただろう。



メールも電話も出来ない。
織田さんからも来ない。
不安で不安で仕方ない。
何か言いたそうに織田さんがあたしを見た。でも、用もないのに話しかけられない。





そばに行きたい………。
話がしたい。でも、術がない。




あたしは普段から必要以上に男性と話さない。織田さんがヤキモチ妬きだから尚更 話さないようにしている。それなのに織田さんと話してたら おかしい。




時間に任せるしかないのかな………。
このまま成す術もなく終わっちゃうのかな………。既婚者だと知っていて付き合った。結果は初めから分かっていたはず………。
織田さんもやっぱり「バレたら逃げる」そこら辺にいる不倫男と同じなのかな………。



モヤモヤしたまま仕事をした。会社では泣けない。早く1人になりたかった。


No.58 12/12/29 02:37
RIN ( ♀ loeN )

>> 57


夜…。
メールが来た。




「話したい事があるんだ。今、電話しても大丈夫かな?」





もう、どっちからのメールか分からない。でも、どっちからにしても話さなければ。あたしがしている事はそういう事なんだから………。





「大丈夫です」
返信すると電話が鳴った。
空気が…どんよりと伝わってくる。
織田さんだった。





不安に思った通りだった。
何かを読まされているかの様に棒読み状態で織田さんが話す。




「俺には家庭が大事だから…別れて欲しい。………携帯から凛のアドレスと番号を今から消すから…凛も消してくれ。……………これからは一切、連絡はしない。凛も…………しないで欲しい。


勝手でごめん」




最後まで棒読み状態だ。
心からそう思ってるの?
それが本心?




なぜか涙は出なかった。
どこか冷静なあたしがいた。




「少し話させてもらって平気?」





「うん」




ここから織田さんは
「うん」
「ううん」
しか言わなくなる。




「奥さんに言わされてるの?」




「うん」






「本当におしまい?別れるの?」





「ううん」





「言わされてるだけ?」





「うん」





「分かった!信じるね」





「うん…」





「ごめんね…辛い想いさせて」




「ううん…俺が悪いから…ごめん」




電話を切った。
切った途端に涙が溢れた。
一晩中泣いて整形に失敗した女のように顔が腫れた。こんな顔で仕事に行きたくない。この日 初めて社内不倫の現実を思い知らされる。



次の日、行きたくないが…織田さんの姿が見たい。あたしは出産するまでメイクアップアーチストの仕事をしていた。何とか腫れた顔をごまかして仕事に行った。やっぱり朝のメールはない。


昨日は信じたが段々と不安になる。



No.57 12/12/29 02:01
RIN ( ♀ loeN )

>> 56



今度はメールが来た!
織田さんからだ。





終わるにしてもメールなんて嫌…。
「今、少し話せるか?」



冷静でいたつもりだったが…内心 動揺していたんだろう。
あたしは織田さんだと思い込み返信する。



「場所移るから少しだけ待って」




慌てて公園を探し移動したが「大丈夫だよ」とメールをしても、一向に連絡が来ない。




どのくらい待ったかは覚えていないが やっと気がついた。織田さんの携帯を使った奥さんからのメールだったんだね…。



まだ終わっていない仕事に戻り会社に帰社した。
明日は織田さん…来れるのかな?



普段、「ごめんなさい」と言う気持ちがあっても いざと言う時は自分達がどうなるのかと言う不安しかない。
奥さんに…子供達に…
ごめんなさいと言う気持ちはあるのに こんな時は『別れたくない』そんな勝手な事しか考えられないんだ。
自分勝手な女……………。



No.56 12/12/29 01:28
RIN ( ♀ loeN )

>> 55



今でも胸に焼き付いている。
顔から想像していたより少し高めの女性の声。



織田さんの奥さん。






「もしもし!織田の妻です!………………………………」






威勢の良い最初の言葉は聞こえたものの、その後からが聞こえない。






「やめろって!」




後ろから織田さんの声が聞こえる。




「もしもし……………!」





「やめろっ!」




何度か繰り返されて電話は切れた。携帯は折れてない。連絡出来ない状況なんだ………。




もう仕事なんて上の空。
でも、やり終えなきゃ戻れない。とにかく仕事を続けた。


No.55 12/12/29 01:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 54



朝礼で辺りを見渡しても織田さんの姿はない。




来てない?




ずっとモメてる?




あたしはどうしたらいい?
どうするべき?




みんなはこんな時どうするんだろう。誰かに相談したくても瞬時に物事を理解してくれる人はいない。
友達…と言っても最初から話さなければならない。



誰にも言えない恋愛は全て自分で解決しなければならないんだ。



そして当たり前の様に仕事が始まる。
結局、織田さんは『体調不良の為、欠勤』だった。
仕事はミスは許されない。冷静でいられる訳もないが、連絡が来るのを待つしかない。
そう思いながら仕事した。今日は外に出る。今にも溢れ出そうな涙を必死にこらえ仕事に励む。



午後になって電話がきた!
織田さんだ!



No.54 12/12/29 01:09
RIN ( ♀ loeN )

>> 53


不安だったが
いつものように朝のメールを待つ。



織田さんが発する最初の言葉はなんだろう…。



ごめん?
別れよう?
やっぱり家庭が大事だ?



もう、マイナスな事しか考えられなかった。




いつものメールが来る時間はとっくに過ぎた。メールが来ない。




なぜ?




織田さんは仕事でも携帯を使う。
織田さんも携帯折った?
そんな大事なデータのある携帯を折るだろうか?
あたしに言う言葉を探してる?
でも、状況が分からないから…あたしから連絡するのは避けた。




待っても待ってもメールは来ない。今日は仕事だ。会社に行けば逢えるよね………?




No.53 12/12/29 00:59
RIN ( ♀ loeN )

>> 52


見ないわけにはいかない。
慰謝料
話し合い
そんなのが怖いわけじゃない。
織田さんを失うのが怖い。





メールを見た。
「コソコソしてないで返信くらいしたらどーですか?」




内容は奥さんからだ。
迷ったが、織田さんがなんて言ってるのか分からない。



返信はしなかった。
ズルい女だ。


織田さんは今…
何を思ってる?



眠れずに朝を迎える。
あれ以来、メールは来なかった。


No.52 12/12/29 00:39
RIN ( ♀ loeN )

>> 51


また携帯が鳴った。
今度は織田さんのアドレスからだ。




怖かった。開くのが怖かった。





あたしは何を言われるの?






もう分かっていた。男は家庭に戻るんだ。
この世にお前がいればいい。くらいに




好き。
大好き。
愛してる。
ずっと一緒だよ。






そんな甘い恋人同士でいたって、バレた途端 家庭に戻るんだ。不倫なんて所詮 遊び。






織田さんも……………そう?




No.51 12/12/29 00:19
RIN ( ♀ loeN )

>> 50



27歳の時…
ある事がきっかけであたしは一時期 出逢い系サイトの様なものにハマった。


そのサイトはここで言う
【仲間専用掲示板】みたいな物があって 仲間になった数名で専用スレッドで楽しむ。
1人で逢うのは怖いから そう言った大勢のスレッドで楽しんでいた。ある日みんなで飲み会をしようと言う事になり 偶然 近所だった同じバツイチママと先に友達になって逢った事があった為 一緒に参加した。



そこで知り合った陵君。
この仲間の飲み会で何度か逢った後に付き合った。



付き合い始めて半年もしない頃………



「陵の妻です。
あなた騙されてますよ。
陵には妻子がいますから」



やはり知らないアドレスから
真夜中の突然のメールだった。
そう…あたしは『独身』の陵君と付き合っていたんだ。
あの時は何が何だか分からず、すぐ陵君にメールした。電話もした。既に繋がらなかった。何日も何日も…繋がらなかった。


騙されてたんだ。
そして…バレた瞬間に逃げられた。バレたその瞬間から音信不通になる。



あの時はいっぱい泣いた。
もう恋愛なんてしない!出逢い系なんてやめた。やっぱり所詮 出逢い系。こんな酷い男しかいないんだ。絶望感でやりきれなかった。


もう諦めて忘れよう!と思った矢先。突然メールがきた。
陵君だった。


携帯を見られ、バレてモメた際に携帯の取り合いになり 携帯を折った………データが全部分からなくなった…と。あたしのアドレスを必死に思い出し何度もメールしたが返ってきてしまい 必死に少しづつ変えてみながら送ってた、やっと繋がった…と。


「一言、謝りたかった」



あの日と同じ。
織田さんに連絡するのはやめとこう。今頃きっとモメてる………。
明日も仕事だ。朝になれば何かしらの連絡はあるはず。
祈るように朝を待つ。


No.50 12/12/28 23:49
RIN ( ♀ loeN )

>> 49





「織田の妻です。
どういうつもりで織田とメールしてるんですか?
あなたにも家庭があるんですよね?
もうやめてください。
織田共々、迷惑してます。」




知らないアドレス………。



妻……………?



バレた?



携帯………見られたの?




それしか考えられない。
織田共々………?



今 織田さんはどんな状況なんだろう。
織田共々って言うことは………

「俺も迷惑なんだ」
とでも言ってる?



織田さんは不器用。結婚して以来、初めての恋愛。浮かれていた。危ないなぁ…と不安だった。
でも…こんなに早く?
まだ付き合って4ヶ月。



終わっちゃうのかな………あたし達………。



何も手につかず悲しい気持ちでいっぱいになった。
でも、どこか冷静なあたしがいた。



奥さんに返信はせず、しばらく考えていた。
そう…27歳の時の恋愛。
あの時を思い出していた。


No.49 12/12/27 02:38
RIN ( ♀ loeN )

>> 48


この日以来、織田さんはあまり家庭の話をしなくなった。あたしもあまり聞かなかった。聞けば傷つくのが分かっているから。


ズルい女。汚い女。最低な女。
たった1度だけだが出産経験はある。精神的にも身体的にも不安定な奥さんがいるのに…
それを知りながらも まだあたしは織田さんといる。


織田さんは心配性なあたしを不安にさせない為か「凛以外、やましい事は一切してないから!」と携帯もいつも無造作に置きっぱなしでいる。
だからあたしは、携帯が鳴り続けるのも目の前で見ている。


本来のあたしなら人の携帯なんて絶対見ない。でも、妊娠中の不安定な時期の奥さんがどんなメールをしてきてるのか気になる。何度か中身を見てしまった。

案の定 奥さんは精神的にオチた内容のメールをしている。
奥さん…
ごめんなさい…
あたし最低な女です。


それから時は過ぎ
ちょうど付き合い初めて4ヶ月に入ったあの日の夜。


No.48 12/12/27 02:11
RIN ( ♀ loeN )

>> 47


「凛…!ごめん。隠してたつもりではない。知ってると思ってたんだ。……凛…。」



振り向かずに聞いた。
「今…何ヶ月?」



「…5ヶ月…。」


あたしと付き合う前か…


「………幸せにね!」



「おい!今日は帰らない!もう帰らないって電話した!今日は凛といる。凛といたい」


そんな甘い言葉にまんまと騙されるバカな女がここにいる。あたしはいつもそう。


頭では分かっている。何度も何度も「別れよう」と思いつつ この男の真剣な目と甘い言葉に決心を簡単にも揺るがされるんだ。


そして自分に甘く自分の弱さが「ただ一緒にいたい」と言う気持ちを優先させてしまう。


合い言葉のように言っている「ずっと一緒」なんて叶うはずかない事を知りながら………。


No.47 12/12/27 01:53
RIN ( ♀ loeN )

>> 46


涙が止まらない。自分がどこを歩いてるなんて気にも出来ないくらい泣きながら歩いて歩いて………。



色んな事が頭をよぎる。



なぁーんだ。織田さんは幸せなんじゃん!何ヶ月か後には可愛い赤ちゃんが生まれるんじゃん!………奥さんともエッチしてたんだ………。


なぁーんだ、なぁーんだ、なぁーんだ。



男の浮気は奥さんの妊娠中が1番多いって聞いた事がある。なぁーんだ、織田さんもその内の1人だっただけか! 所詮、ただの浮気相手だっただけなんだ…あたし。



あたし…
奥さんが妊娠中だって初めから知ってたら 付き合ってたのかな?


後ろなんて振り向かずに歩き続けた。今どこを歩いてて どこに向かってるなんて関係なかった。それを知っても落胆するだけで織田さんを殴って バカヤローと責めて 大嫌いになれない自分が悔しくて情けなくてたまらなかった。


織田さんは電話で何やらモメながら必死にあたしを追いかけている。


行き当たりばったりで歩いていたあたしは行き止まりにぶつかった。


No.46 12/12/27 01:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 45


この日もいつものようにマックでお茶をしていた。たわいもない会話。


織田さんは女心に疎い。あたしといても平気で奥さんの話や子供の話もする。あたしも蓮の話をするから 別にそれはよかったが………



「……………ほら!ウチのカミさんは今 妊婦だからさ。免除してもらってるんだよ!」




…え?

今 なんて言った?

なんて言ったの?



「織田さん…今…なんて言った?」



「ん?」



「子供のサッカーで…なんて言った?」



「…え?………あれ?…え!…あれ?凛に言ってなかったか?………知ってるモンだと…俺、話したと思うんだけど………」

織田さんはめちゃくちゃ動揺している。でも、それ以上にあたしは動揺していた。


知らなかった。
奥さんが妊婦さんだなんて…。


とてつもなく情けなくて悲しくて…あたしは何も言わずマックを出た。


No.45 12/12/25 02:47
RIN ( ♀ loeN )

>> 41 蓮と2人の生活にも慣れ、蓮は小学校高学年になる。反抗期…。蓮は同級生より早い成長期で背も高く筋肉質で声変わりもした。 中学校。…


織田さんは誠実な人。必ず約束は守ってくれる。そして、時間が作れる限り逢ってくれる。


時には居酒屋、時にはファミレス、時にはマック…。ほんの30分でも一緒にいられる事が嬉しかった。



「今日は帰らなきゃいけないから」
と言って一杯だけのつもりで居酒屋に入り、やっぱり一緒にいたいと言い朝までいた日も多々あった。


「今日はあまり時間がないから」
とマックに入り、別れ際 寂しくて涙ぐむあたしに「まったくしょーがねぇなー(笑)」と言いながら朝まで一緒にいてくれた事もある。


織田さんの携帯は毎回 光り続ける
。…奥さんからの電話…。



「織田さん…携帯…」
と言うと あたしを気にさせない為に携帯をしまう。


織田さんが寝た後にこっそり携帯の画面を見ると 着信が30回 メールが何通も。




心が痛い。
チクチクチクチク…
心が痛む。


自分のしている事を棚に上げて 携帯が光る度 胸が痛かった。


No.44 12/12/24 11:26
RIN ( ♀ loeN )

>> 43


★Azumanさん


ご丁寧な説明ありがとうございますm(_ _)m

色んなスレがあるんですね♪
皆それぞれ色んな形でミクルを楽しんでいるんですね。


私の話は現在も進行している話です。どこで誰が見ているか分からないのでドキッとしちゃいました(笑)
小心者です。


感想スレ…
まだ私には無縁のスレかと…。

読んで頂いている方が沢山出来るならば、検討してみます。
読みにくかったらごめんなさい!

※レス43かな?誤字がありました。すみません。


No.43 12/12/24 04:31
Azuman ( ♀ NJRtnb )

>> 42 「上のスレタイと下のスレタイを足して文章を作って遊ぶスレ」というスレに参加してまして、きょう下にこのスレがありまして、いつもは上下スレの中身を見ることはないのですが、このスレだけは何故だか興味を惹かれたのです。

一気に読ませていただきましたが、主さんの辿ってきた経緯にひきこまれ、続きが楽しみになりました。


なんかしょうもないきっかけで申し訳ないですが。
長くても読ませていただきます。

なんか横レスになって中断してしまったかも。
できれば感想スレを別に立ててくださったらうれしいです(横レスで物語の流れを中断しなくてすむかも)。

No.42 12/12/24 04:21
RIN ( ♀ loeN )

>> 36 ふとしたことからこのスレを見つけて、一気に読みました。 続き待ってますね。


★Azumanさん



読んで頂いてありがとうございます。
ふとした事ってなんでしょうか?(・_・;)


まだまだ先は長いです。
気長にお待ちくださいね。


No.41 12/12/24 04:15
RIN ( ♀ loeN )

>> 40



蓮と2人の生活にも慣れ、蓮は小学校高学年になる。反抗期…。蓮は同級生より早い成長期で背も高く筋肉質で声変わりもした。


中学校。悪さばかりする。でもスポーツで鍛えられた基本的な事は忘れていない。人一倍、友達を大切にし優しい性格。
悪さが楽しい時期はある。間違った事との線引きが出来れば多少の悪さは通り道。色んな経験をして色々 学んでいく。


蓮はたくましく育ってくれた。…と、あたしは思っている。



ママ、そろそろ恋愛してもいいよね?



気づけば離婚して11年。
27歳の時 恋愛したっきり もう泣く恋愛は嫌だと避けてきた。自分で言うのもナンだが、モテない訳じゃない。出逢いはあった。声もかけらるた。
あたしがただ面倒くさかった。


それが、織田さんとの出逢いで変わっていく。


(※年数の計算に若干ズレがあるかもしれませんが気にしないでください)


  • << 45 織田さんは誠実な人。必ず約束は守ってくれる。そして、時間が作れる限り逢ってくれる。 時には居酒屋、時にはファミレス、時にはマック…。ほんの30分でも一緒にいられる事が嬉しかった。 「今日は帰らなきゃいけないから」 と言って一杯だけのつもりで居酒屋に入り、やっぱり一緒にいたいと言い朝までいた日も多々あった。 「今日はあまり時間がないから」 とマックに入り、別れ際 寂しくて涙ぐむあたしに「まったくしょーがねぇなー(笑)」と言いながら朝まで一緒にいてくれた事もある。 織田さんの携帯は毎回 光り続ける 。…奥さんからの電話…。 「織田さん…携帯…」 と言うと あたしを気にさせない為に携帯をしまう。 織田さんが寝た後にこっそり携帯の画面を見ると 着信が30回 メールが何通も。 心が痛い。 チクチクチクチク… 心が痛む。 自分のしている事を棚に上げて 携帯が光る度 胸が痛かった。

No.40 12/12/24 03:44
RIN ( ♀ loeN )

>> 39


「別れよう」
あたしに拒否する理由はもうない。同じように同じ事を考えていたんだね…。


もうとっくに「愛」なんて無いと思っていたのに…何故か涙が出た。旦那も泣いていた。


「別れた方がいい関係でいられる場合もあると思う」あたしは言った。旦那は予期せぬ言葉に驚いていたが いくつか約束をさせ あたし達は離婚した。



蓮5歳、保育園年長さん。



あたしは旦那に感謝している。離婚しても金銭的にはやっていける自信を持たせてくれた。がむしゃらに働いてきたから、蓮と2人になっても困らない生活費は稼げていた。


ストレスから解放されたあたしは穏やかになり、蓮にまっすぐに愛情を注ぐ事が出来るようになったんだろう。
蓮のチックはいつの間にか治っていた。


蓮の為に………
どっちがよかったのかなんて分からない。けど、あたしに出来る事は一生懸命 働いて まっすぐに蓮と向き合う事。


結婚して5年。
離婚して2年。
あたしは女ではなく、母親として精一杯 生きてきた。恋愛なんてしてる場合じゃなかった。

No.39 12/12/24 03:29
RIN ( ♀ loeN )

>> 38


その頃 蓮がチックになる。
目をパチパチするチックではない。鼻をやたらとひん曲げる?チックだ。あたしは蓮の変な癖だと思っていた。…が、あたしの母親が「蓮、チックだね」と言うので慌てて本屋に行き 読むと本当にチックだった。


ごめん…蓮。
ママそんな事にも気づかなかった。 子供はよく見て よく感じ取っているんだ。親の姿を…。不安定なあたしの姿、ストレスから蓮に冷たく当たるあたしの姿。


あたしがこんなじゃいけない。


そんな頃 珍しく旦那からメールが来た。
「話したい事がある。お母さんが帰ってくる前に話したい。今日、早く帰ってきて欲しい」
と。


すぐにピンときた!


No.38 12/12/24 03:10
RIN ( ♀ loeN )

>> 37


旦那は地方で仕事が出来た!と帰らない日が次第に増える。旦那には目指す「夢」があった。

でも、ごめんなさい。
あたしにはその「夢」を応援する気持ちが薄れてきた。
家計の為に精一杯 子育てしながら働いた。姑に散々イヤミを言われながらも耐えてきた。



何のため?



愛ってなんだろう………。




セックスも無ければ夫婦の会話もない。旦那は帰ってくれば姑といる。あたしと蓮は違う部屋で襖を閉められる。


もう頑張ったよね…あたし。
蓮…。ごめんね…。
蓮をパパのいない子にしちゃうけど、パパの分もママ 蓮にいっぱい愛情を注ぐから!


蓮、ごめんなさい…。
あたしは決めた。
100万貯めたら出て行こう…!


No.37 12/12/24 02:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 35 あたしは20歳で結婚し出産した。一回り年上の旦那とあたしのおばあちゃんと言ってもおかしくはない歳の姑と同居した。 蓮が生まれ幸せ…


コツコツ貯めた貯金も底をつきそうになり、あたしは働こうと決意する。蓮はまだ1歳になっていない。それでも生活の為には働かなきゃならなかった。


案の定 反対する旦那と姑。
「蓮が可哀想」


あたしは反対を押し切り、蓮を預けて出来る仕事を見つけ働き始めた。あたしの仕事は頑張れば頑張っただけ収入が増えた。ひたすら頑張った。業績は常にトップ1・2には入れる位 頑張った。これが逆効果になる。


益々、旦那は働かなくなった。
「蓮の為に働いて」と頼めば働こうとはするが3日も続かない。あたしは旦那に自分の収入は3分の2としか言わず 残りの3分の1は貯めた。いざと言う時の為に内緒の貯金をした。


旦那は働かないだけで人としては悪い人ではなかった。でも、あたし達は蓮が生まれてからセックスもない。20歳そこそこの女が「凛はお母さんであって、もう女として見れない」と言われる。


あたしの人生…
こんなんでいいのか…


No.36 12/12/24 02:52
Azuman ( ♀ NJRtnb )

ふとしたことからこのスレを見つけて、一気に読みました。


続き待ってますね。

  • << 42 ★Azumanさん 読んで頂いてありがとうございます。 ふとした事ってなんでしょうか?(・_・;) まだまだ先は長いです。 気長にお待ちくださいね。

No.35 12/12/24 02:36
RIN ( ♀ loeN )

>> 34


あたしは20歳で結婚し出産した。一回り年上の旦那とあたしのおばあちゃんと言ってもおかしくはない歳の姑と同居した。


蓮が生まれ幸せな新婚生活…………なんて、1年も続かなかった。旦那の収入は不安定。月に5万しかない時も増えていく。蓮が生まれるまではあたしも働いていたから何とかなっていたが生活はキツかった。


あたし達は姑の住む団地で同居した。姑は細かい。少しでもお皿のしまう場所が違うと指摘され 口癖のように「今の若い人は…!」と言われる。あたしが買ってきた物には決して手を付けない。冷蔵庫の中には常に封を切った牛乳が2本と玉子が2パック。間違えて使うモンなら「凛さん、これは私のじゃないかしら」と指摘される。魚を焼いた後はすぐにグリルを洗わないといけない。「あとで」なんて許されない。


「私はもう年寄りだから蓮の面倒は見れないわよ」とも言われた。自分の息子が働かないにもかかわらず「貯金しなさい」とも。



あたしのストレスは次第に増していく。


  • << 37 コツコツ貯めた貯金も底をつきそうになり、あたしは働こうと決意する。蓮はまだ1歳になっていない。それでも生活の為には働かなきゃならなかった。 案の定 反対する旦那と姑。 「蓮が可哀想」 あたしは反対を押し切り、蓮を預けて出来る仕事を見つけ働き始めた。あたしの仕事は頑張れば頑張っただけ収入が増えた。ひたすら頑張った。業績は常にトップ1・2には入れる位 頑張った。これが逆効果になる。 益々、旦那は働かなくなった。 「蓮の為に働いて」と頼めば働こうとはするが3日も続かない。あたしは旦那に自分の収入は3分の2としか言わず 残りの3分の1は貯めた。いざと言う時の為に内緒の貯金をした。 旦那は働かないだけで人としては悪い人ではなかった。でも、あたし達は蓮が生まれてからセックスもない。20歳そこそこの女が「凛はお母さんであって、もう女として見れない」と言われる。 あたしの人生… こんなんでいいのか…

No.34 12/12/24 01:32
RIN ( ♀ loeN )

>> 33


会社にも家庭にもバレてはいけない恋愛。誰にも言えない・話せない恋愛。


織田さんは奥さんが初めて付き合った女性。長く付き合った後 若くして結婚した。他の女性を知らない。基本的には真面目な性格で恋愛には不慣れで不器用だ。


織田さんは完全に舞い上がっている。それはあたしも同じだったが 付き合い初めなんてこんなモンだろう。


時間が許される限りメールして電話して。
織田さんは元々、残業やら飲んで会社に泊まる事が多かった為 頻繁に逢う事も可能だった。

あたしは寂しがり屋。織田さんが帰宅した後 土日は寂しかったが、織田さんは以前から飲みに行かない日は終電ギリギリまで仕事する事が多く 終電で帰っても最寄り駅に着く頃はもう日付が変わる。遠いから朝も早い。付き合う前からメールもマメにくれる人で返信も必ずくれる。


この頃は寂しいと言うより常に一緒にいた、メールも頻繁に出来たから安心出来る人だった。


No.33 12/12/23 14:46
RIN ( ♀ loeN )

>> 32


嫌なハズがない。好きな人と一緒にいたい。でも織田さんは既婚者。いけない事と知りつつも あたし達は自分の欲望に負けた。


「嫌じゃない。不安だった。織田さん何も言わないから…今日だけの関係なのかな?と思って」


「普通に考えたら俺は『付き合って』とか『好き』とか言える立場じゃないからね。凛こそ俺でいいのか?」


「あたしは好きじゃない人とする様な女じゃない。織田さんだから…一緒にいたかった」


「こんな立場で勝手だが、俺も同じだ。凛が欲しくてたまらなかった」



お互いの気持ちを確認し合ったあたし達はいけない恋に溺れていく。


No.32 12/12/23 14:30
RIN ( ♀ loeN )

>> 31


昨夜もあまり酔った感じはしなかったが、目が覚めて酔いも覚めた織田さんがどんな反応をするのか気になった。


織田さんが目を覚ます。
「凛、起きてたんだ?おはよう」


「おはよう」
チェックアウトまでまだ時間がある。どうするんだろう…。


「凛、時間は平気か?」


「あたしは大丈夫。織田さん早く帰らないとね!」


化粧をしようと立ち上がろうとすると あたしの手を引っ張り またキスをする。一体 何回したんだろう…。
2人でシャワーを浴び帰り支度をした。別れ惜しそうにしていたがバイバイした。


織田さんの帰りの電車の間中ずっとメールをした。あたしは何となく歩いて帰りたい気分で歩いて帰った。


もうすぐで着く頃 あたしは聞いた。何も言わない織田さんの気持ちが知りたかった。



「ねぇ…織田さん。今日の続きはあるの?」



「あ…言ってなかったね!好き!!これからも宜しくお願いします!あれ?もしかしてヤダ?」


No.31 12/12/23 13:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 30


織田さんは何も言わない。
「好きだ」とも「ごめん」とも「付き合って」とも…
何も言わず嬉しそうにイチャイチャし そしてまた あたしを求めてくる。


あたしは織田さんが何も言わないから あたしも聞かなかった。一夜だけの過ちなら それでもいい。織田さんは酔っていた、そう思えばいい。


ただ1つだけ気になった。
他の女性ともこんな関係があるのなら、今日であたしは織田さんから離れよう。そう思った。
「ねぇ…噂された○○さんとも本当は付き合ってたの?」



「あれは違う。本当に今までこういうのはない。初めてだ。昨日はすげー目の前にある凛のうなじにムラムラしてたが…まだ理性が勝った!………今日は理性が負けた。我慢出来なかった」



やっぱり、したかっただけね…。まぁ男なんてそんなモンだ。



織田さんはまたあたしにキスをし今日は思う存分あたしを抱きたいと言わんばかりにあたしを抱き続けた。



力尽き…2人とも寝た。
そして朝が来る。



No.30 12/12/23 05:00
RIN ( ♀ loeN )

>> 29


ビックリした。
「ちょっと!!!何してんの!?」
こんな言葉しか出ない。


一度 唇は離れたが更に勢いを増してキスをしてくる。勢いの余りあたしは椅子に倒れた。織田さんの手があたしの胸へ…。下へ…。


「織田さん!ダメ!人に見られる!」
織田さんは興奮している。更に更に激しくなる。
「織田さん!ダメだって!!!」


抵抗はしているが、止められなかった自分の欲望。密かに抱いていた恋心は一瞬にして崩れた。もちろん
「してはいけない事」
わかってはいたが受け入れてしまった愚かなあたし。 好きな人に抱かれたい。


「織田さん…ここではやめよう」


織田さんは動きを止め
「場所変えよう」とカラオケを出た。ちょうど近くにラブホがあった。入った途端、もう織田さんの勢いは止まらなかった。

あたしが受け入れてると、激しさは優しい愛撫に変わる。
さっきまでの勢い任せなキスから舌を絡め合う優しく長いキスへ。あたしの小さな胸に…首に…耳に…。


秘め続けた想いは隠せなくなった。止められなかった罪の始まり……………。


No.29 12/12/23 04:39
RIN ( ♀ loeN )

>> 28


仕事の話だけじゃなく色んな話をした。織田さんはあまり家に帰らないイメージだったが広くて綺麗なマイホームがある事、2人の子供の事、初めて付き合った女性が奥さんな事、あたしの息子の事、離婚した経緯…など。


この日は金曜日で次の日が休みな事もあって随分、話した。息子はおばあちゃん家にいたから あたしも時間は気にしなくてよかった。


随分、話した後お決まりのカラオケへ。いつもと違う店で2人だから部屋も狭い。必然的に隣りに座る。この狭くて薄暗い空間にあたしと織田さんが2人きりでいる。


部屋に入って何曲も歌っていない、あたしが曲を選んでいると………いきなり織田さんがキスをしてきた。勢いに任せるように激しく。


一瞬で頭が真っ白になった。


No.28 12/12/23 04:19
RIN ( ♀ loeN )

>> 27


この日は夕方から会社のイベントがあった。自由参加だが大半の人が参加する。
あたしは興味もないし大勢の人に交わるのが苦手だから初めから欠席にしていた。織田さんは出席予定だった。


仕事が終わる定時が過ぎた頃、みんなはイベントへ流れ、あたしは帰ろうとしていた。そこへメールが。織田さんからだ。




「凛、今日は行かないんだろ?俺も行かない事にした!何?暇で暇でしょーがないって?(*´艸`*)俺もみんなイベント行って暇人確定!今日も仕方なく凛に付き合ってやるか!」



「2日連チャン?」



「嫌かい?」



嫌な訳がない。むしろ嬉しい。でも…いいのかな…。


「織田さんと2人で飲むのも免疫ついたからいーよ」


「よっしゃ!決定\(≧∇≦)/」
織田さんのテンションは高かった。この日はイベントでみんなが会社の近くにいる事もあり場所を変えた。


「どこ行こうか?お好み焼きじゃあ、まるでデートみたいか!?やっぱり飲みか!?」


織田さんはウキウキしている。昨日の帰り際 寂しげに思えたのは気のせいか。
結局また居酒屋へ行った。


No.27 12/12/23 03:53
RIN ( ♀ loeN )

>> 26


次の日の朝。
今までと同じようで違う1日の始まり。この日から朝のメールは一斉送信じゃなくなった。



「凛!昨日サシで飲んだ事、キムさんは知ってる?」


「ううん。言ってない!」
体調が悪くて行けなくなったのに、あたし達だけで飲むなんて知ったら気分悪くしないか気になったから言ってなかった。


「言わない方がいいのかな?凛どう思う?」


「うーん。聞かれたら言えばいいんじゃない?」


「いや。実は昨日、凛といる時にキムさんからメールが入っててさ…『飲みは程々にね!』ってメールが来てたんだ!隠すのもおかしいのかと思って凛に聞いてみたんだ」


多分、木村さんは来たかったんだろう。あたしには何も言ってこない。ヤキモチな気がした。

「言わない方がいいかもね。人が具合悪いって言ってんのに2人は楽しんでたって知ったら気分悪いかもしれない」


「そうだよな…わかった!」


隠す必要なんてなかったのかもしれない。でも帰り際の出来事を思い出すと言ったらいけない気がしたんだ。
あたし達は結局、言わなかった。




─そして遂にこの日─
ここからあたし達の「許されない事」が始まってしまう。


No.26 12/12/23 03:28
RIN ( ♀ loeN )

>> 25



もちろんするハズがない。
あたしはお酒も飲んでいない素面。
「酔っ払った勢い」なんて言う言い訳も通用しないんだから。



「ダメ!」
笑って答えた。


「じゃあ、ココ!」
おでこを指差している。


「ダメだよ!」
強く言った。


織田さんは諦めて歩き出す。終電がなくなったあたしのタクシーを拾うまでの道。無言のまま………手を繋いできた。


酔っ払ってるんだな、と思った。あたしをタクシーに乗せると 少し寂しげな顔で
「気をつけて帰れよ!また明日な!」


「うん、また明日ね!ありがとう♪」


織田さんは来た道を戻って行った。今までの織田さんとは違う織田さんな気がした。
ホッとしたような少し寂しいような、そんな自分がいた。



No.25 12/12/23 03:08
RIN ( ♀ loeN )

>> 24


この日は飲みは程々にしカラオケに行った。飲めないあたしに気を使ったんだろう。


薄暗い部屋に織田さんと2人きり。今日の織田さんはあまり酔っていない。



「会社の飲み会の時にさ!2人で歌えるイイ曲ないかな?」
織田さんが言う。


あたしは曲を探した。気づくと反対側に座っていたはずの織田さんがあたしの後ろにいる。
そっと一緒に本を覗き込んでくる。一気に距離が…近くなった。



ドキドキしないハズがない。
心臓が飛び出そうな位ドキドキでいっぱい。早く雰囲気 変えないと!
そう思ったあたしは言った。



「これは?」


globe?glove?のface。
歌ってみた。
織田さんが離れた。
ホッとした。


「これは無理だろ~!(笑)」
カミカミで歌う織田さんがおかしくて2人で笑った。



楽しかった時間が過ぎ、帰り際…。思いもしなかった事を織田さんが言った。




「凛…。ほっぺにチューして」



え?(・_・;)



織田さん、そんな酔った感じじゃないのに……………。


No.24 12/12/23 02:42
RIN ( ♀ loeN )

>> 21 夏。 忘れもしない8月のクソ暑いあの日。 その日は木村さんとまた3人で飲む約束の日だった。 しかし、暑さでバテたのと夏風邪をひ…


織田さんが色んなグループの女性達とよく飲みに行き、会社によく泊まっている事は知っていた。コミュニケーションを大事にしたいから、と言っていた。


ウチの課は定年に近い50代と中堅の40代の女性が多く あたしと同じ30代が少ない。
3人しかいない男性社員はあたし達と歳が近い。



「若いとね、勝手な噂が先走りするから!男性とは必要以上に仲良くしない方がいいよ!」と良く忠告されたりもした。



そんな忠告は頭の片隅にはあったが、みんな何だかんだ言って飲んだりしてんだからいいんじゃね?位にあたしと木村さんは思っていた。



でも今日は違う。2人きり。
色んな人達と飲み慣れている織田さんが言った。



「俺!サシで飲む事はほとんどないんだ!緊張すんねぇ~!」


やめてよ…そんな事 言われたらあたしも緊張すんじゃねーか( ̄○ ̄;)


No.23 12/12/22 19:49
RIN ( ♀ loeN )

>> 22


★旅人22サン。


読んで頂いてありがとうございます
(〃ω〃)ゞ
素直に嬉しく思います。

下手くそなりに頑張って書いてみます!!


No.22 12/12/22 09:30
旅人22 ( ♀ )

主さん、読ませていただいてます😌💓


つづき、楽しみにしてますね⤴

No.21 12/12/22 03:03
RIN ( ♀ loeN )

>> 20


夏。
忘れもしない8月のクソ暑いあの日。
その日は木村さんとまた3人で飲む約束の日だった。
しかし、暑さでバテたのと夏風邪をひいた木村さんは珍しく飲みに行くのを断ってきた。
初めてのドタキャンに、もちろん飲みは延期になると思ったあたしは帰ろうとした。



メールが鳴る。




「おいおい!帰るなんて言わせないぞ!今日こそサシ決行だ!キムさんはまた次回行けばいい!」


突然の事で
断る口実が見つからない。



「じゃあ、汗かいたから家でシャワー浴びてからでもいい?でも待たせるから中止しない?」



「いくらでも待つから。ゆっくり用意して来て!」
最後はハートだ。


ドキドキした。緊張した。でも嬉しくて嬉しくて鏡の前で何枚も着替えてみるあたしがいた。



「ただ2人で飲みに行くだけ」



自分の中で言い訳をしながら待ち合わせの飲み屋に向かった。


まだこの時は高鳴る胸を抑えながらも冷静でいられた。決して、してはいけない事の判断くらいは出来るあたしだった。


─そして─
笑顔で待ってる織田さんがいた。


  • << 24 織田さんが色んなグループの女性達とよく飲みに行き、会社によく泊まっている事は知っていた。コミュニケーションを大事にしたいから、と言っていた。 ウチの課は定年に近い50代と中堅の40代の女性が多く あたしと同じ30代が少ない。 3人しかいない男性社員はあたし達と歳が近い。 「若いとね、勝手な噂が先走りするから!男性とは必要以上に仲良くしない方がいいよ!」と良く忠告されたりもした。 そんな忠告は頭の片隅にはあったが、みんな何だかんだ言って飲んだりしてんだからいいんじゃね?位にあたしと木村さんは思っていた。 でも今日は違う。2人きり。 色んな人達と飲み慣れている織田さんが言った。 「俺!サシで飲む事はほとんどないんだ!緊張すんねぇ~!」 やめてよ…そんな事 言われたらあたしも緊張すんじゃねーか( ̄○ ̄;)

No.20 12/12/22 02:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 19


しばらくそんな日々が続く内に織田さんがやたら言うようになった。



「サシでもいーぞ!」
「サシで行くかい?」
「俺はいつでもOKだぞ!」



行けるハズがない。
OK出来るハズがない。



「あたし飲めないのに2人で行ったって織田さんツマンナイよ!!」



もし万が一、織田さんにその気があったら…
あたしの中の密かな恋心が織田さんに伝わるのが怖かった。


あたしは恋愛すると、それしか見えなくなる。自分でわかっているから一歩も踏み込んではいけない事だと必死で自分を止めていた。


思い出した。
入社して間もなく あたしがミスして泣いたあの日 2人で初めて飲んだあの日 織田さんが言ってた言葉。
その言葉は何度も織田さんの口から聞いた。


「俺は尊敬していた上司が1人いて!この何年間、その上司の言った言葉だけは絶対に守ってきた。それに、そういう目で女性を見た事も本当に1度もないんだ!」



その上司の言葉とは、
「何があっても社内の女には手を出すな!」



そうだ!!
織田さんはあたしに気があるわけじゃない。これも大事にしているコミュニケーションの1つなだけか!



勝手にドキドキしてる自分が笑えた。




このままでいれば良かったんだ。お互いにセーブしたまま、そのままの、今までの関係でいれば楽しかったはずなのに…。


あたし達は間違った道に…
進んではいけない道にハマっていく。


No.19 12/12/22 01:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 18


「織田さんってマメですよね(笑)あのメールのやり取りを何人としてるんだろ?」



「ハハッ!私は朝忙しいから返信するの毎日やっとお昼過ぎ(笑)だからメールもそっからはほとんど来ない(笑)」




………………ん?




………………えっ?




木村さんとは、そんなにメールしてないの?
あたしにはかなり頻繁に来る。
しかも「気になっていた事」。 そう………織田さんからのメールにハートの絵文字がやけに多くなった事。


でもあたしは、木村さんにもしてるモノだと思っていたから
誰にでもハートをよく使う人なんだと思っていたんだ。




してはいけない意識をこの日辺りからしてしまっていたんだろう。誰に話す事もなく、お互い確認し合う訳でもなく。
いけない恋の始まりは、この日から始まってしまっていたんだ。
誰にも言わない・言えない密かな想いは、この日からあたしの胸に膨らんだ。


でもまだセーブ出来ていた。
密かな想い。織田さんは既婚者。綺麗な奥さんと可愛い子供達。あたしに見せた写メには花柄のカーテン 赤いソファー 幸せな家庭が映っていたから…。


頭では分かっている。
でも織田さんからのメールが毎日 楽しみになっていた。織田さんは何も深い意味などない。 そう思うあたしと、ハートの絵文字にイチイチ ドキドキするあたしがいたんだ。


No.18 12/12/22 01:28
RIN ( ♀ loeN )

>> 17


朝、決まった時間に織田さんからメールが来るようになった。 …と言っても あたしと木村さん宛ての一斉メール。




「おはよう!!今日も1日頑張ろう♪」




織田さんは遠いから電車の中で暇なんだなぁー、きっと。
と思い あたしは返信する。




「おはよう!!頑張ろうね♪」




…そこからは、一斉メールではなく個々宛てに来る。なんの疑いもせず、あたしと木村さんの2人とやり取りしているモノだと思っていた。
織田さんの返信は早い。絵文字もいっぱい。


随分マメな男だな…と感心する位 毎日の日課になっていった。仕事中も気づけばずっとメールしてる日もあった。時間の許される限り。


そんなメールのやり取りにも慣れた頃、あたしには1つだけ気になっていた事があった。
木村さんは織田さんとメールしてる話はしてこない。
でも あたしは同じようにメールしているモノだと思い込んでいた。


ちょっと聞いてみた。


No.17 12/12/22 01:16
RIN ( ♀ loeN )

>> 16



飲みに行くと朝方まで飲む事も多々あった。飲み→カラオケ パターン。
…とは言え、ほとんどが木村さんの毒舌な文句や愚痴を織田さんが聞いてなだめる あたしはほとんど聞き役に徹する。
そんな飲み方だった。


よく思っていた。
飲めないし、あたしがいても つまらないんじゃないか?と。 でも、あたしはカラオケが好きなのでカラオケではあたしと織田さんが主に歌っていた。





今思えば、この頃はよく3人で遅くまで飲んで仲良しだったよね………。
恋愛感情とか嫉妬とか何もなく
ただただ楽しかったよね………。


それが徐々に徐々に変わっていったんだ。
あの日を境に。


No.16 12/12/22 00:54
RIN ( ♀ loeN )

>> 15


それからあたしは木村さんとたまにお茶をして帰ったりするようになった。
木村さんは酒好きだが、あたしが飲めないのでいつもコーヒーを飲んで帰る。


仕事に対する不安や悩みも 聞いてくれる人がいると随分ラクになる。


職場はいくつかのグループがあるがあたしと木村さんはどこにも属さないタイプだ。
当たり障りなく誰とでも話すが、特に仲良しグループはない。


だが、織田さんは見ていたのか 段々あたし達を飲みに誘ってくるようになった。
いつも決まって声をかけるのは木村さんに。
木村さんは酒好きなのと子供も自立していて自由だから断らない。

あたしは昔から男性に声をかけられるタイプではない。
いつもこの2人に半ば強引に連れて行かれる感じだった。


No.15 12/12/13 02:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 14


次の日 何人かの先輩に
「昨日は大丈夫だった?」と声をかけられた。

「はい。ご心配かけてすみませんでした。大丈夫です!」


この時はあたしにはまだ仲良しと言える先輩がいなかった。
素直に嬉しかった。



ベテランに見えたが あたしより5ヶ月前に入社したばかりと言う先輩、木村さん。
「私なんてミスの連続だったよ!って言うか今もミスばっかだけど!凹むよね~。でも大丈夫だよ。ここに1番仕事デキない人間がいますからぁ~(笑)何度、鈴木に呼ばれた事か!」


木村さんが続ける。
「でも私も嬉しいよ。やっとこうやって話せる人が出来て。ここの先輩ってさ、なんか感じ悪いよね。私、2回も呼び出しくらったし!…くだらないんだよ!内容が」



木村さんは…
織田さんに悩みを聞いてもらった事がないんだろうか…。
俺は新人とは常に近い距離にいようと思ってる、と言っていたが。
あ…
吉田さんは?
吉田さんは既に職場に打ち解けているが、織田さんとは?


あ、そっか!
あたしの場合 泣いたの見られたから…か!



No.14 12/12/13 02:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 13


そんな話をしていると織田さんの白いワイシャツの胸ポケットで携帯が光っているのに気づいた。


「織田さん!携帯光ってますよ」


「ああ…」


パッと画面を見て また胸ポケットにしまう。…また光っている。私は気になって仕方ない。

「奥さんじゃないんですか?待ってますよ。今日はありがとうございました!そろそろ帰りましょうか」


「あぁ…子供待ってるか!?俺はもう終電ないから会社に泊まりだな(笑)」


え…?
終電ないって(*・ω・*)


織田さんの自宅はかなり遠かった。



「気づかなくてすみませんでした」



「気にしないで!俺が誘ったんだし俺しょっちゅうだから。会社が家のようなモンだよ(笑)あ!何かあったらメール出来るようにアドレス教えとく!」


あたしからメールする事はないだろうが、社交辞令的な物だと思い交換した。大丈夫だと言っても送ると言うので駅まで送ってもらい、この日は帰った。



No.13 12/12/13 02:13
RIN ( ♀ loeN )

>> 12



居酒屋に入ったはいいが、あたしは見た目かなり酒好きで強そうに見られるが…実はお酒が飲めない(・・;)
しかも人見知り。
気分がオチていた事もあり何を話していいか分からない。


織田さんが色々話してくれた。
今までに辞めてった人の話。
会社の人間関係。みんなミスしながらも今に至る事。
そして、自分は1人1人との信頼関係を大切にしている…と。
誰に相談していいか分からなかったら いつでも俺に話してくれと。



あたしの心も少しずつ落ち着き 今まで誰にも話せずにいた不安な部分や悩みなどを話した。


段々、打ち解けていった時 織田さんが携帯を出した。綺麗な奥さんと可愛い子供の写メ。
幸せアピールか?(笑)と思いつつ、あの事を思い出した!



「織田さん!ちょっと耳にしたんですが、変な噂たてられて大変だったみたいですね(笑)………ヤバいんじゃないですか?サシで飲んでるとこ誰か見てたら また誤解されますよ(*´艸`*)」


織田さんは困惑した顔でその時の事を話した。あれには相当 参ったと。


No.12 12/12/12 02:59
RIN ( ♀ loeN )

>> 11


「大丈夫?」



「………すみません、大丈夫です。もう帰ります」



「ここで1時間以上ずっと説教されてたのか?…あんなん気にするようなミスじゃないのに」


「あ…でも、あたしの不注意なので。すみませんでした」



「もう暗いし雨降ってきたから帰りな…あ!…傘ある?」



「はい」
うわぁ~!こんな泣き顔見られて最悪(-_-#)


だが、織田さんの手前、一緒に会議室を出てあたしは帰った。傘なんてない。濡れて帰りたい気分だった。


ボーっと歩いてると、誰かが走ってきて そっと傘を差し伸べてくれた。


織田さんだった。
「風邪ひくぞ!」


「あ………すみません」


「ちょっと時間ある?少し飲んで行かないか?」


そんな気分でもなく迷ったが わざわざ追いかけて来たと言うので飲んで帰る事にした。




この日から………
少しずつ、少しずつ距離が近くなっていく。



No.11 12/12/12 02:36
RIN ( ♀ loeN )

>> 10

ある日あたしは仕事でミスをした。
今思えば大したミスでもなく よくあるクレームの中の1つ。
だが、新人だったあたしにはかなりショックな事だった。めちゃめちゃ凹んでいた。



あたしは入社してからずっと「この仕事はあたしには合わない、辞めたい」と思っていた。でも紹介で入ったからには頑張らないと!!!!!と思って頑張っていた。



そこへ課長・鈴木博文に呼ばれた。鈴木さんはみんなの嫌われ者。 ヤダなぁ~と思いながら会議室へ。


もちろん内容は今日のクレームについて。かなり こっぴどく言われイヤミをダラダラ言われてる内に段々と情けなくなってきた。 悔しさと情けなさで涙が出そうだ。 必死に耐えたが………ついに出てしまった。



泣き出したら止まらず気がつけば定時の5時が30分も過ぎていた。出て行きたくても この姿を人に見られたくない。変に騒がれるのも嫌だった。



あたしは鈴木さんに
「落ち着いたら帰りますので先に出てください」と頼み しばらく落ち着こうと会議室に残った。



誰かがノックもせず静かに入ってきた。


噂の男。織田 敦。
入社前にモメたと言う男………。


No.10 12/12/12 02:03
RIN ( ♀ loeN )

>> 9


ようやく独り立ちし段々と仕事にも慣れてきた。
先輩達とランチすると やはり女性の職場独特の臭いがプンプンする。


一般的に良く言われる事。
女は陰口や噂話が大好きだ。


「○○課の○○とウチにいた○○は付き合ってるのがバレて辞めたらしいよ!」
だの
「○○は男好きだよね~男の前だと全然、別人だよね!」
だの。


そんな会話の中でウチの課の上司の名前が出てきた。
ウチの課には、3人だけ男性の上司がいる。


どうやら、「誰々とデキてるネタ」が私達が入社する前にオオゴトになり散々モメたらしい。

○○さんって あの綺麗な人だ~。○○さんは子煩悩そうな人だよなぁ…
お互い既婚者だよね?
まぁ良くある話か!!


なんて思いながら、ただ聞いていた。


No.9 12/12/10 02:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 8

結局この日は2時間位 話して別れた。



―そして―
入社日。


あたしは早めに着き朝礼まで指示された場合で待機。


吉田さん…まだ来ないな…。


結局ギリギリに来てなんとかセーフ。100人位の人前で入社の挨拶をした。
やはりあたしが先(*ω*;



この時 一番前例と後列にいた数名の顔を見た。確かにみんなキツそうな感じだ…。


この日は午前中、主任の女性に仕事を教わり午後は研修。
終わって3階へ戻る。
最後に簡単な連絡事項を部長やら課長が話し終了。



帰り際 吉田さんが少し遠目から
「凛ちゃん♪また明日ね!!」
と元気よくバイバイして帰った。


早速 初日から主任に怒られた。
「中川さん!会社にいる間は同期でも後輩でも必ず『さん付け』で呼びなさい」


「はい。すみませんでした」



やれやれ、疲れた初日だった。
約1ヶ月間このリズムの仕事が続いた。



No.8 12/12/10 02:00
RIN ( ♀ loeN )

>> 7



この日は同期になる吉田さんと一緒に帰った。とは言え、吉田さんの自宅は会社から近い。なので、お茶をして帰ることに。


吉田さんはあたしと違い
明るく社交的でハキハキした姉御肌タイプの人でよく喋る。
完全にあたしは聞き役だ。


「ねぇねぇ。今日、顔見たぁ?超ぉぉ怖そうなおばちゃんいっぱいいたよね!!」


年上だからか まるでタメ口だ。
あたしは少し人見知りするのと この日がキチンと話をするのが初めてだった為 敬語。


「緊張してたのもあって、あまり顔見れませんでしたよ。でも空気が怖かったですね」



「怖かったよぉ!!一番手前にいた女なんて、すげー顔であたしのこと見てたし!!何様?って感じぃ(;`皿´)」



「ハハッ。よく見てますね(笑)」


「あとさぁ。すげー頭した女がいたよね!!(*´艸`*)」


「え?どんなですか(笑)」



「見た目どぉ見ても50歳位のおばちゃんなのに耳の上で2つにお団子してる人!」



よく見てるな…。
この余裕の差…。
ちょっと疲れそうな感じだな。


No.7 12/12/09 22:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 6


会社は都内の10階建てのビル。
課によってフロアが違う。
私達が所属する課は3階。
各階を回って ここがどんな仕事をしているか、など説明された。

事務員の女性がいる課と私達の課以外はほぼ男性ばかりだった。


最後に私達が所属する課に。
緊張……する。

案内してくれた上司が入って行くと、一斉にみんながこちらを見る。


シーンとした空気の中で、まるで私達を睨むような鋭い目。
誰一人として声を出す人はいない。

視線は感じるがあまりジロジロ見るのもどうかと思い 説明を終えて外へ出た。


来月からここで働くのか…ちょっと心配だな……。



No.6 12/12/09 21:30
RIN ( ♀ loeN )

>> 5


数日後………。
「採用」の電話があった!!!



あの筆記試験で大丈夫だったんだ( ̄∀ ̄)
あと1人は誰だろう…。


私は面接が1番だった為、待合室でも ほとんど他の人と会話と言う会話はしていなかった。


それからまた数日後。
制服の配布と社内見学・説明があり、行く事に。
あとから来た女性はやはり永井さんが声をかけたと言う女性だった。


彼女曰わく
「残りの3人は次の為のストックらしいよ♪」と。
彼女は私より永井さんとの付き合いが長く仲が良い感じだった。



あ~そっか。
いじめや派閥で辞めてく人も多いって言ってたな。
そんなストック作っておく程 入れ替わりが激しいって…


なんとなく不安になった。



No.5 12/12/09 21:15
RIN ( ♀ loeN )

>> 4



面接が終わった者から筆記試験に移る。
別室に監視員?の男性が1人。
筆記試験は国語と数学と英語。
それぞれA3の用紙1枚。




やべー………。
永井さん「簡単な小学生レベルの筆記だから勉強なんかしなくても大丈夫!」
って言ってた癖に嘘つき(-_-#)

数学以外はまぁまぁ書けた。
分からない問題は仕方ないので提出し挨拶して本日は終了。
採用者のみ後日 連絡が来るようだ。


まぁ落ちたら落ちたでしょーがない。
私は退職する予定の職場に1つお願いをしていた。
「もし採用されたら、研修期間は給料が少ないので…良ければ土日だけ続けさせて欲しい」と。


店は土日が特に忙しかった為、快くOKしてくれていた。


ダメだった時はもちろん店に残ってね♪とも言ってくれていたので気持ちは多少 楽だった。

No.4 12/12/09 15:18
RIN ( ♀ loeN )

>> 3


履歴書を見ながら5人の面接官が順番に質問してくる。
予想範囲内の質問には しっかり答えられたはず…だ。



1番偉そうな人が話し始めた。


「中川さんは女性ばかりの職場経験があるようですが、いじめや派閥がありますよ。…この会社。
耐えられる自信はありますか?
それから、この仕事は体力的にも精神的にも本当に大変な仕事です。ウチとしては定年まで続けて頂ける方を探しております。
大丈夫ですか?」



いじめ 派閥覚悟で入社しろと言う事か…
(・・;)



思わず聞いた。
「そんなに激しいいじめがあるんですか?」

隣りの男性が答える。
「いじめと言うよりは派閥ですね。よくある○○派 VS ○○派…ってな感じの傾向がありますよ。」



「そういう事ですか。大丈夫だと思います。以前の職場もそういう傾向はありました。
それから、私は今まで1つの仕事を長く続けてきましたし生活もありますから
頑張ります!!」



………面接終了!!!!!
緊張した(-.-;)



No.3 12/12/09 14:32
RIN ( ♀ loeN )

>> 2

面接当日。
この日は面接と筆記試験があった。
採用は2人。
実は誘ってくれた永井さんは私の他にもう1人、声をかけていた。


私とその女性だけかと思っていた。
しかし他にも3人程 面接を受けに来てる人がいる………。



(あれ…?必ず入社出来るわけじゃないんだ( ̄○ ̄;)



緊張が走った。
しかも面接は私が1番最初だった。
面接官が5人…横に並んで座っている。
5対1。


こんな立派な面接は高3の就職の際に受けた面接以来。


あたし大丈夫?(笑)と思いながら
大手企業なんだから当たり前か!! と少し冷静になり 面接開始。


No.2 12/12/09 10:08
RIN ( ♀ loeN )

>> 1


ハローワークに通ってみたが
ピンとくる仕事はほとんど無く
呑気に職探ししてる場合ではないあたしは
結局、雑誌で見つけた仕事につく。


店が終わり精算や片付けなど全て終わって家に着くのは22時頃だった。

店のレイアウトをやらせてもらえる様になり
少し「楽しい」と思い始めた頃のお誘いだった。


聞けば確かに魅力的な給料。
勤務時間や勤務体制も魅力的だった。

高校時代は定食屋のバイトを3年続けた。
高校卒業後 就職し出産間近で退職。
大好きだった仕事は12年間。


あまり色々な職業の経験がない事と やっと慣れて楽しいと思い始めていた時の転職に正直 迷った。

1番の迷いは
「知り合いからの紹介」という事。


私が続かなかった時やミスした時などに迷惑をかける。


悩んだが決めた。
やはりこの歳でそのお給料とボーナスが貰える仕事はなかなかない。


No.1 12/12/09 09:48
RIN ( ♀ loeN )


4年前の夏。



蓮の友達のパパから
「蓮ママ ウチの会社で人探してんだけどやらない?
給料いいから蓮ママにはチャンスだと思うんだけど!!!」



蓮は1人息子。
高校2年生。


この時あたしは12年続けた大好きだった仕事を辞め
新しい仕事につき1年が経とうとした頃だった。

30代半ばの女性の転職は
予想以上に厳しく
やりたい職種は年齢はギリギリでも 子持ちという点で
独身の若い女の子が優先された。


息子が生まれて初めて
俺はコレがやりたい!!
という物を私にお願いしにきた時
お金がかかるのは覚悟の上で
「やりな(^ー^)」
と言った。


1つの道具を買うにも万単位。
全て揃えるには何十万。
遠征も遠い所では十万以上かかる時があった。


大好きな仕事ではシングルマザーのあたしでは到底 金銭的に無理があった。


でも…
小さい内から沢山 我慢させてきた息子が
初めて「やりたい事」を見つけた。

やらせてあげたかった。



私は転職を決意した。
退職金で道具を揃えた。
中学生になる準備金も何とか出来た。


  • << 2 ハローワークに通ってみたが ピンとくる仕事はほとんど無く 呑気に職探ししてる場合ではないあたしは 結局、雑誌で見つけた仕事につく。 店が終わり精算や片付けなど全て終わって家に着くのは22時頃だった。 店のレイアウトをやらせてもらえる様になり 少し「楽しい」と思い始めた頃のお誘いだった。 聞けば確かに魅力的な給料。 勤務時間や勤務体制も魅力的だった。 高校時代は定食屋のバイトを3年続けた。 高校卒業後 就職し出産間近で退職。 大好きだった仕事は12年間。 あまり色々な職業の経験がない事と やっと慣れて楽しいと思い始めていた時の転職に正直 迷った。 1番の迷いは 「知り合いからの紹介」という事。 私が続かなかった時やミスした時などに迷惑をかける。 悩んだが決めた。 やはりこの歳でそのお給料とボーナスが貰える仕事はなかなかない。
投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧