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poison

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13/10/18 16:43(更新日時)

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No.2006109 13/09/27 03:10(スレ作成日時)

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No.101 13/10/04 03:07
匿名0 

>> 100 ふき溢れそうになった、シチュー鍋。なんとか火を止める。

後ろから、得体の知れない怪物のものも、溢れていた…

No.102 13/10/04 03:12
匿名0 

>> 101 器にシチューをよそう。

テーブルに置くと、急いでトイレに駆け込んだ。

怪物は満足そうに、食い物を食らう

美恵は、あまりの痛さにトイレの中で泣いた。

出血もしていた…

胸にも、どす黒い痣が出来た…

No.103 13/10/04 03:14
匿名0 

>> 102 トイレから出た美恵は、真っ直ぐに歩に駆け寄る。

「恐かったね。ごめんね。ごめんね。ごめんね…」

歩を抱きしめて泣いた

No.104 13/10/04 06:09
匿名0 

>> 103 夜が白々と明けてきた

夫は、相も変わらず深夜番組を見ながら大きな声で笑っていた

新しく封を切った日本酒はほとんど無くなっている

「コンビニ行って買って来いよ!チューハイが飲みたいんだ!おい!起きてるんだろ!バーカ!」

壁を足で蹴飛ばしていた

壁にまた穴が空きそうな勢いだった

美恵は洋服に着替え、歩もいつ出掛けてもよいように準備をした

No.105 13/10/04 06:14
匿名0 

>> 104 歩を置いては行けない。

まだ寝ている歩を、少し窮屈ではあったが、おんぶをした。貴重品に少しの着替え、バックは小さめにし宏樹に気がつかれないように、コンビニに行って来ると言い外に出る

No.106 13/10/04 06:19
匿名0 

>> 105 美恵の実家は、電車で30分程度。始発はまだ動いていなかったが、待ってはいられない。

いつ宏樹が追いかけて来るかと不安になる

タクシーを拾おう

もう、あの家には居られない。今度、何かあったら、美恵の身体と心が壊れてしまう…

No.107 13/10/04 06:28
匿名0 

>> 106 大通りに出た所で、母に電話をした。

「もしもし~随分と早い時間だこと。どうしたの?」母は、寝ぼけた様子で語りかけてきた


「お母さん、今からそっちに行ってはダメ?話たい事が沢山あるの…」

母は
「こんな朝早くにどうしたの?宏樹さんは?まあ、いいわよ。こっちに来てから詳しい話を聞きたいわ」

ありがとう
お母さん…

美恵は、タクシーを止め、行き先を言う。夜勤の明けまじかなのだろう。少し遠出の行き先にタクシーの運転手さんは、快く乗せてくれた。

No.108 13/10/04 06:32
匿名0 

>> 107 実家に着いたのは、朝の7時前だった…

今日は、歩は保育園を休まそう。母に頼んで、1日だけ預かってもらおう。

仕事は休みたくないが、仕方がない。宏樹の会社に行かなければ…

No.109 13/10/04 06:40
匿名0 

>> 108 美恵は、宏樹の変わりようや、歩の保育園の先生に言われた事。
そして、会社に退職の手続きをしなければならない事などを一気に話した。

母は、困惑の表情を浮かべている。

まだ信じられないと言う。
疲れきっていた美恵は、少し仮眠を取りたいと思った。実家に帰ってきて母の顔を見たせいでもある。

やっと不安から逃れられたと言う安堵感もあった。

No.110 13/10/04 06:47
匿名0 

>> 109 「宏樹さんのお母様にも耳に入れたほうがいいかもしれないね。でも美恵が悪者になってしまうかも知れない…」

「お父さんが帰って来てから、相談してみようか?」
父も母も周囲の人たちも、アルコール中毒の人はいない。対処の仕方も分からない。

とにかく美恵は眠りたかった。それほど疲れていた。

No.111 13/10/04 14:25
匿名0 

>> 110 目が覚めた美恵は、一瞬どこにいるのか分からなかった。

隣のリビングで、母と歩の笑い声が聞こえた。

ここは、結婚するまで住んでいた美恵の家。

美恵は、やっと落ち着いて物事を考えられるようになった

No.112 13/10/04 14:41
匿名0 

>> 111 思えば、宏樹と結婚してから熟睡と言うものをした事がない。

歩も赤ちゃんで、夜中の授乳やオムツの取り替えなど、眠る暇はなかった。

午前中は、掃除に洗濯、夕飯の買い物とやる事は、山ほどあった。

歩がぐずり出すと、それらを中断しなければならない。歩をあやしながら、遊びの相手をしながら、~ながら、~ながらが多くなった。

宏樹の帰宅までに、部屋中をピカピカしなければならない。

~しなければならない。と言う強迫観念も芽生えた。
そうしないと、宏樹の機嫌が悪くなる。

「一体、1日何やってたんだよ!部屋は散らかってるし!今日は、ゴミ出しの日だったぞ!ゴミ出ししてないじゃあないか!1日寝てたのか?俺が、一生懸命、働いている時にお前は、グースカ、イビキかいて寝てたんだろ!」

「三食昼寝つきのいいご身分だ事!ふざけんなよ!役立たず!」

怒鳴り声がこだまする…

心の奥底に沈澱する毒のように…
やがて、その毒は全身にじわりじわりと、まわる…

No.113 13/10/04 14:57
匿名0 

>> 112 歩の声と母の声のするリビングに向かった。

食卓には、朝食が並んでいた。

朝の子供向けの番組を見て、歩は楽しそうに笑っていた。

「おはよう。歩の保育園には連絡しといたよ。またには、おばあちゃんちにお泊まりしてもいいでしょ?保育園の先生も心配していたから。今日は、ゆっくり、こっちにいたらいいよ」

母の言葉がとっても嬉しくて泣けた。

「美恵の仕事も今日は、休んだら?仕事は、忙しいの?パートさんだから、多少の融通は効くでしょ?」

美恵は、少し考えてから
「今日は、アパートに行って…宏樹さんも心配だし。宏樹さんの会社にも行って来なくちゃ。ありがとう。お母さん…」

「1日がかりには、ならないと思うけど、少しの間、歩をお願いします」

母に頭を下げた。

1児の母親がそのまた母親に頼む。それが当たり前と言う人はいるだろう…

また、その母親にも頼れず悩んでいる母親も沢山いる。美恵は、心底、感謝した。

No.114 13/10/04 15:05
匿名0 

>> 113 アパートに近づくにつれ、心臓の鼓動が早くなる。

それに伴い身体中がガタガタと震えた。

宏樹は、今何をしているのだろうか?

コンビニで酒を買って来いと言われ、そのまま家を飛び出してしまった…

怒りに我を忘れているのだろうか?

こわい…
とてつもなく怖い…

No.115 13/10/04 15:20
匿名0 

>> 114 お隣の人が声をかけてきた。
「原田さん。よかった。無事で…」

「昨夜は大変だったんだよ。お宅のご主人…」

やっぱりか…
尋ねるのが怖い…

「急に、大きな音がして、喚きながら外に出たんだろうねえ…
手当たり次第、そこら辺の家の玄関を叩きながら、わめいていてね…
はす向かいの人が警察を呼んだんだ。手に包丁を持ってたのを、向かい家の防犯カメラに映っていたからねえ…おっかなかったよお」
「奥さんとお子さんの姿がないもんだから、てっきりね…」

お隣の家のご主人は口をつぐんでしまった。

「あの…本当にご迷惑をおかけ致しました。改めて謝罪にうかがいます」
深々と頭を下げた。

「主人は今どこに…」

「警察からまだ帰ってないんじゃないかな?」

「それより、本当に無事でよかった。本当によかった」
お隣のご主人は涙ぐんでいた…

No.116 13/10/04 16:05
匿名0 

>> 115 ご近所に、挨拶をするのはあとまわしにして、何がどうなっているのか、まずアパートの部屋に入った。

案の定、この部屋だけに嵐が来たような有り様だった…

家具は、なぎ倒されテレビも原型を止めていなかった。

洋服は散乱し、その中には汚物もあり臭いもすさまじい。
テーブルは、一本の足が折れ斜めに傾いていた。

陶器というお皿は、全て粉々になっていた。

宏樹の携帯電話は、液晶部分が、何か鋭いもので何回も刺したあとがあり、中のバッテリーもひしゃげていた。

これでは、連絡の取りようもない。固定電話も同様に、配線が根元から引き抜かれており、壁がむき出しになっている。

私がいけなかったんだ

私が逃げたばかりに…
美恵は自分を責めた…

No.117 13/10/04 16:11
匿名0 

>> 116 宏樹はまだ警察にいると、ご近所の人が言っていた。
宏樹のいる警察署の場所も聞いた。

きっと宏樹は昨日のパジャマのままだろう…

美恵は、宏樹の着替えと、何かの為にと貯えていた、少しばかりのお金を持ち、タクシーに乗った。

No.118 13/10/04 16:17
匿名0 

>> 117 警察署などと言う所は来た事がない。

美恵は、車の運転免許も持っていない。

縁遠い場所。警察署…

オタオタと自動ドアが開く。すぐ横には受付と書かれたプレートが置かれていた。
奥の通路では、警察官の人たちが、忙しく行ったり来たりをしていた

No.119 13/10/04 16:26
匿名0 

>> 118 受付のプレートのカウンターの前に立つ。目付きの鋭い警察官が、こちらを睨んでいる。

「あの…昨夜遅くに、こちらに…」言葉が見当たらない。くちごもる美恵を、上から下まで睨むように見ていた警官のひとりがカウンターごしに話かけてきた。
「あの…原田と申します。昨夜遅くに…ご近所さんから聞いて、主人がこちらにいると伺ったもので…」

美恵は自分で何を話ているのか分からなくなっていた。

No.120 13/10/04 16:36
匿名0 

>> 119 「あ~原田の奥さんね。いますよお~。今、担当を呼びますから。ちょっと待って下さい。何かお持ちですか?少し中身を見せてもらっていいですか?」

着替えやバスタオルが入ったバックと美恵が普段持ち歩いているバックの中身を丁重に見ていた。

「はい。終わりました。ご主人、運転免許証も滅茶苦茶に破いちゃって、身元の確認が出来なかったんですよ~。電話は壊しちゃうし、携帯も壊しちゃうし。まいったねえ~」

声はとぼけているが、眼は笑っていない。
不気味だった。美恵の背中から冷や汗が吹き出た。

No.121 13/10/04 16:49
匿名0 

>> 120 「原田さんの奥さんですか?それを証明する何かをお持ちですか?」

突然に質問され戸惑う。

健康保険証は、美恵の会社から出されている。

まさか、婚姻証明書なるものを提示するには、市役所に行かなければ、貰えない。どうしよう…

戸惑っていると、

「では本人さん確認の為の何かをお持ちですか?」

この質問にも答えられなかった。
まさか、戸籍謄本を提出するのではないだろうか?

答えに窮地していると

「まあ、書類はあとでも結構ですがね。いずれ必要になりますから、揃えて置いてください。」

冷たい氷のような口調だった。

No.122 13/10/04 16:57
匿名0 

>> 121 スーツを着た男性が

「別室、空きました」と小声で言うのが聞き取れた。
「原田さんの奥さん。少しお聞きしたい事が二三あるので、よろしいですか?案内します」

奥の通路を指さして、こう告げる。

どこから、来たのか知らない間に婦警さんが後ろに立つ。

美恵は、警察に逮捕された気分になった。

私、何か?悪い事でもしたのかしら?自分の知らぬ間に…

美恵の足がガクガクと震える。

No.123 13/10/04 17:03
匿名0 

>> 122 「あ、あの主人は…?主人には合わせてもらえないのですか?」

「主人は…主人は、どなたかを…け、怪我をさせたり、何か悪い事をしたのですか?」

歩きながら宏樹の事を訪ねても、誰ひとり反応はなかった。

もしかしたら大変な事になっているのかもしれない。
美恵は、独りでこの場所に来た事を悔いた。

No.124 13/10/04 17:11
匿名0 

>> 123 「こちらにどうぞ。少し狭苦しいですが。お話をするだけですから。」

ドラマの中に取調室という場所が何回も登場する。

ここが、取調室?なの?

でも、少し違う。ドラマに出てくる取調室は、マジックミラーと呼ばれる。窓がついているのをよく見る。
じゃあ監視カメラがついているのかしら?

美恵の心の中はもう犯罪者そのものの気分だった。

それほど、警察という所は特殊な場所でもあった。

No.125 13/10/04 17:17
匿名0 

>> 124 「原田さん、こちらにおかけ下さい。お疲れではないですか?」

背もたれがクッションバネになっている椅子を薦められた。恐る恐る座ると、思ったより座り心地がいい。
机も事務所で使われているものとは違って、カフェにあるような丸い机だった。
少しだけ緊張がほぐれる

No.126 13/10/04 17:27
匿名0 

>> 125 「原田美恵さん。24歳。生年月日は…でよろしかったでしょうか?」

唐突に婦警さんが尋ねた。
「お子さんは、○○保育園の年少さん組。保育士担当は○○先生。ここまでは合ってますか?」

はい。と答える美恵。

「原田美恵さんの職場は、○○被服会社。お勤めされて5ヶ月と10日。ここまで、合っていますか?」

美恵は、再びはいと答える。

No.127 13/10/05 02:38
匿名0 

>> 126 「あの…それで、今主人はどこに…今日は会わせていただけないんですか?」

「何かその…人に怪我をさせたり…何かを壊したり…」

美恵は宏樹の事で頭がいっぱいなっている

No.128 13/10/05 02:48
匿名0 

>> 127 婦警さんは、事務的にこう言った。
「まだ被害届は出されていません。通報を受け原田宏樹を取り押さえる際に、警官に公務執行妨害と銃刀法違反の現行犯で逮捕されたした」

「拘留は、取り調べが終わるまでは警察署管内の留置所にいます。」

「近隣住民に少なからず、迷惑をかけ尚且つ恐怖心を煽りました。」

「以後、面会も制限されます。」

美恵は、宏樹には当分の間会えないと言う事だけは、解った…

No.129 13/10/05 03:02
匿名0 

>> 128 「失礼ですが、あなたも何か被害に遭われたと言う事はありませんか?」

「身体的な被害や精神的な被害…」

まさか、宏樹がそんな事をするなんて事は、絶対にない。美恵は、首を横に振る。

「原田宏樹は、多量のアルコールを飲み、心神耗弱状態と言う事にはなっていますが、正式に精神鑑定もする予定ではあります」

「常日頃から、飲酒をしていた事実はありますか?」
美恵は、黙りこくってしまった…

美恵が喋る事で宏樹の立場が悪くなってしまうのではないか?
警察の人に迷惑を、ご近所に迷惑をかけたのは自分が勝手に、家を飛び出してしまったからではないのか?
宏樹は、私を探す為に外に出掛けたのではないのだろうか?

頭の中が、真っ白になる…

No.130 13/10/05 03:09
匿名0 

>> 129 美恵は
「婦警さん!ひろ君は、宏樹さんは、主人は…お酒さえ飲まなければ、とっても優しい人なんです!子供も大好きで、私だって、とても大事に思ってくれる、私にとっても大切な人なんです!」

「お酒が、あの人をあんなに変えちゃったんです!お酒さえ飲まなければ…」

あとは、言葉にならなかった…

No.131 13/10/05 03:14
匿名0 

>> 130 婦警は、深いため息をついた。
「アルコール依存症のご家族は、皆さんそう、おっしゃるんですよ」

「美恵さん。あなたも少しだけカウンセリングを受けて見てください。」

「出来れば、原田宏樹のご両親もご一緒にね」

意味が解らなかった。

私がカウンセリングを受ける?なぜ?
宏樹さんのご両親も?なぜ?

No.132 13/10/05 03:20
匿名0 

>> 131 「今日の所は、これでお引き取り下さい。まだ拘留中なので面会は出来ません。
原田宏樹のご両親にも連絡をして下さい。面会の日は、こちらから連絡します。では今日は以上です」

「お持ちになった本人の着替えその他については、お預かり致します。ご苦労様でした。」

No.133 13/10/05 03:25
匿名0 

>> 132 美恵は、事の重大さを改めて実感した。

宏樹は、犯罪者になってしまった…

やはり私のせいだ…
私がいけなかったんだ…

宏樹が、言っていた事は、本当の事だったんだ…

警察署から出た美恵は、しばらくの間、動けなかった…

No.134 13/10/05 03:32
匿名0 

>> 133 宏樹を迎えに行って、そのまま帰れると思った。でも面会も出来ない、顔さえ見られない…

今、ひろ君はどんな気持ちでいるんだろう?
宏樹に会いたい…

本当は、警察から帰ったら、そのまま宏樹の会社に出向き、退職の手続きもしたかった。

なんで?会社を辞めてしまったのかを本人のくちから聞きたかった…

No.135 13/10/05 03:41
匿名0 

>> 134 美恵は、もう少しの力も出なかった…
このまま、まっすぐに歩の待つ実家に帰ろう…

アパートは、何も出来なかったけど、ガスの元栓や電気のブレーカーは落としてきた。冷蔵庫の中のものも皆、ゴミに出した。

あとで、部屋の中も綺麗にしよう。もうあそこには住めない。

ご近所にも、一軒一軒お詫びをしなくては…

実家に向かうタクシーの中で、目まぐるしく考えた。

No.136 13/10/05 03:46
匿名0 

>> 135 ああ、ひろ君のご両親になんと言ったらいいのだろう?気が重い。私のせいだから、責められても仕方ないけど、これ以上責められたら私はどうなってしまうのだろう?

謝ってすむ問題ではない

No.137 13/10/05 03:52
匿名0 

>> 136 タクシーが実家の前で停車した。

お財布を出そうとバックの中を見た。

先日、保育園の先生から頂いたパンフレットが目についた。

お金を払い、実家の玄関のチャイムを鳴らす。

インターホンごしに母が
「今、開けるよー」
明るい声がする。

今の美恵には、それだけが救いの声だった。

No.138 13/10/05 03:56
匿名0 

>> 137 美恵の父も旅行から帰っていた。

歩と父と母の笑い声がする。よかった。先ほど奈落の底に突き落とされた美恵には、天の声にも聞こえる。平和で安心出来る、暖かな声。

No.139 13/10/05 23:20
匿名0 

>> 138 疲れた…
本当に疲れた…

実家のチャイムを鳴らした

No.140 13/10/05 23:30
匿名0 

>> 139 「お帰りなさい。ママ~」たどたどしい言葉で、駆け寄る歩。

「おみやげは~?」

あ~そうだった。歩の好きなケーキ…忘れちゃった…
「ごめんね。今度は絶対に忘れないで買ってくるから」歩の頭をなで、抱っこした。また、大きくなったのかな?すごく重たい。

父が顔を出した
「美恵。どうだったか?大事な時に、父さんいなくてすまなかった。ごめんな…」
誰にも、あんな事は予測はつかない。
あんな事!

「お父さんにも迷惑かけて、ごめんなさい」
美恵は、今にも泣きそうになりながら精一杯に言った。

No.141 13/10/05 23:33
匿名0 

>> 140 「あゆむ~。おばあちゃんと駄菓子屋さんに行こうか?」
母が気を使って歩を外に誘う。お母さん、ありがとう…美恵は、また泣けてきた。

No.142 13/10/05 23:37
匿名0 

>> 141 「おばあちゃん!いくいく~。また、ガチャポンしてもいい?」
歩が目を輝かせて母の方へ駈けていく。

「お父さんに話をしてね」母はそう言うと、歩と一緒に出かけて行った。

No.143 13/10/05 23:47
匿名0 

>> 142 「母さんから、あらかた聞いたよ。美恵も疲れた顔して…それで、どうなったんだ?」

父に、アパートの事、昨日の事、警察で婦警さんが言ってた事などを、とぎれとぎれ、鼻水をかみながら話した。

「じゃあ、まだ宏樹くんには会わせて貰えなかったんだな…宏樹くんの会社には行かなかったんだ…」

父は、考え事をする時、必ず腕組みをする。

うーむと言ったきり、腕組みをしたまま動かなくなった。

美恵は、お茶とお団子を盆に乗せ、テーブルに置いた。

No.144 13/10/05 23:54
匿名0 

>> 143 「宏樹くんのご両親にも知らせよう…」

父は、携帯ではなく家の電話に手を伸ばした。

手書きの電話帳を開く。

「お父さん…宏樹さんが、あんな事になったのは、私のせいだから!私が悪かったから…」

「宏樹さんのご両親に、なんてお詫びをしていいのか、分かんないよ」

美恵は、また泣いた。
声を出して泣いた…

No.145 13/10/06 00:00
匿名0 

>> 144 「決して美恵のせいじゃあない」
キッパリと父は言い切る。
「とにかく、向こうの親御さんにこちらから、連絡をしなければな。警察の方でも、連絡はしているはずだ。もし美恵が悪いとなったら、先方さんから電話があるよ。心配するな」

父の言葉は強くて暖かい。
氷ついた美恵の心を溶かしてくれる。

No.146 13/10/06 00:11
匿名0 

>> 145 電話の呼び出し音が受話器から漏れる。

中々、先方さんは出なかった。やはり警察から連絡があって、警察署に向かっているのだろうか?

父は、宏樹の自宅ではなく、今度は、宏樹の父の携帯にかけた。

やはり、着信音が鳴るだけであとは、留守電に変わってしまった。

「おかしいなあ。電話番号が間違っているのかな?」
「美恵の携帯を貸してくれるか?美恵の携帯には、電話番号が入っているんだろ?」

美恵は
「宏樹さんの家とお義父さんの携帯番号とお義母さんの携帯番号が入ってるよ」
はいと、父に渡した。
まず自宅にかける…

やはり、誰も出ない

No.147 13/10/06 00:18
匿名0 

>> 146 今度は、宏樹の父の携帯にかけた。

やはり、すぐに留守電になった。父は
「もしもし、山下です。美恵がお世話になっております。少し話たい事があるのですが、またかけ直します。失礼致します」と留守電に入れた。

今度は、宏樹の母の携帯にかけた。

やはり、留守電になった。
「お父さん…やっぱり、警察署から連絡があって、向こうに向かってるんだよ」
そう考えるのが普通だった。

No.148 13/10/06 00:26
匿名0 

>> 147 父も
「そのようだな。今、午後の3時すぎだから、もう少し経ったらもう一度かけてみるか?電話に出ないという事は、あちらの家に伺っても留守という事だしな」
「アパートに帰っても寝る所がないだろ?今夜もここに、泊まってけな」

美恵の仕事場が少し遠くなるが、歩の保育園は近くなる。バスとは、ルートによっては迂回する。

明日は、出勤をしよう。
歩も保育園に行かせよう。
美恵は、そう思った…

No.149 13/10/06 00:33
匿名0 

>> 148 宏樹の家は、車で50分の場所にある。宏樹が勤めていた会社の方面にあたる。

電車とバスで行くと、倍の時間がかかった。

美恵の父は車の運転をする。サンデードライバーだ。平日は、通勤に電車を使う。父の会社は電車の方が早い。朝は、道路が渋滞し中々前に進まないからだった。

No.150 13/10/06 03:13
匿名0 

>> 149 美恵は、これからの事を考えていた。

今、住んでいるアパートはもう引っ越しをしよう。

ご近所中に迷惑をかけてしまったから…

謝罪の時の品は、何を持っていけばいいのだろう?
まさか、お金では失礼にあたるかな?でも、まだ器物損壊とは言われていない。
勿論、宏樹が壊したのであれば弁償をする。

あとは、宏樹の会社の事。退職の手続きをしなければ。失業保険の届けも出せない。

美恵たち夫婦は、貯蓄と言ってもたかがしれている。
どうしよう…

両親に借金をして支払う事も考えたがそれは、最終手段だ。これ以上、迷惑をかける訳にはいかない。

引っ越し先も決めなければ…

ひろ君、ごめんね…
自分の事で、一杯になっちゃって、ひろ君の事、後回しにしちゃった…

会社で、嫌な事があった時ちゃんと話を聞いてあげていたら、こんな事にはならなかったのに…

  • << 151 リビングにあるソファーに身を預けて、考え事をしていたら、いつの間にか寝てしまったようだ。 キッチンからいいにおいがする。 歩の笑い声が聞こえてきた。親って、なんてありがたいのだろう…改めて感謝の気持ちになる。 身体が言う事をきかない。 そのままソファーに横になった。身体にはタオルケットが掛けられていた。きっと、父が掛けてくれたのだろう… ありがとうお父さん…
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