注目の話題
これって付き合ってると思いますか?
気になる人が社内恋愛。それを理由に仕事をやめるのはありか
連れ子が嫌いと言われた

~漆黒の~(後)

レス40 HIT数 4859 あ+ あ-

シノァ・オーギュスト( INTknb )
14/10/07 18:54(更新日時)




漆黒の髪


ただ触れてみたいと


思ったんだ・・・・・




※こちらは後編になります。

※BL表現が含まれます。不快に思われる方はスルーしてください

※誤字脱字等多数あります。お許しください

※なるべく毎日更新しますが、家事育児仕事とバタバタして更新できなかった時は暖かい目で見守ってやってください

※感想スレもありますのでよろしければ😄

No.1867482 12/10/24 14:11(スレ作成日時)

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No.1 12/10/24 14:23
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

登場人物まとめ

シノァ
18才 168㎝
主人公
バンパィア



セス
35才 178㎝
シノァの師匠
漆黒の髪


ウォーゼン
28才 180㎝
バンパイァ
城主・騎士隊長


リックス
10才 140㎝
狼男
可愛い💕


カルゥアン
?才 172㎝
謎の男
バンパィアに興味がある


オーギュスト
年寄り
シノァの育ての親


サゥス公
王に逆らい処罰
落城
ウォーゼンに本を託す


マノニ
シノァの幼なじみ
10才でバンパィアになる


レギュラス
マノニの仲間 謎
重い闇を背負う


ロレーヌ
ウォーゼンとお付き合いしている


ゲス兄弟

弟 デクノ
騎士
シノァをいじめる


兄 ダディ
バンパィア
シノァを犯した


ややこしくて
すみません😫
まあ、シノァとセスとウォーゼンが分かっていればなんとかなるかもしれません💦

No.2 12/10/24 14:26
シノァ・オーギュスト ( INTknb )


・なぜサゥス公がこの本を託したのか
・オーギュスト公の名が記載されるこの家系図は何を表すのか

どこを探しても
道行く人を招き
それとなく尋ねても
その謎は解けなかった

そう
あれはお前がこの城を出て行った後
一年が経ち、また小雪がちらつきはじめた頃のことだった


俺は最終手段に賭け
サゥス公に隠すようにいわれ、今まで人目を避けていたこの本を持ち歩き
情報を集めることにした


酒場に行き 机上に本を乗せる


周りに見せつけるように表紙を開いて読みふける


「兄さん!珍しい本だねぇ!なんだか綺麗な羊皮紙じゃないか!さわっていいかい?」


「ああ 構わないよ」


酒場の女の陽気な声に
周りの者が興味深げにのぞき始めた


俺はワインを飲む真似をしながら注意深く
本を覗く者たちをさぐる

「こりゃすげぇ!
高級な羊皮紙に金の竜の装飾だ!
兄ちゃん!これいくらだい!金貨二枚で譲って貰えないか!」


商人風の男が本を高々と掲げ、ますます人だかりが出来始める


「いやいや!俺は金貨3枚だ!」


「それなら、俺は四枚!」

男たちのやりとりを黙って眺めていた


ちがう。彼らではない
本の秘密を知っているが故に
手に入れたいと思うものならもっと高額で・・・


「金貨50枚だ!」


ざわりとどよめきが起こり、声をあげた者に皆の視線が移る


赤毛が目立つ、みすぼらしい服を着た男
身長は俺と変わらないぐらいだろうか


腕を伸ばし、サッと本を奪い取ると
そいつは俺の前に、金貨の袋を差し出した


「少し、話がしたい。
この本を売るかどうかはその後決めよう」


「のった!」


赤毛の男は、ゆっくりと俺の横の席に座り
周りに集まっていたものたちに、シッシッと手を払った


そして、酒場の女にワインを頼むと、俺の肩に腕をのせ、耳元で囁いた

No.3 12/10/24 14:27
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 2 「こんな危険を犯してまで、手に入れたかったモノはなんだい?」


「この本の秘密を」


ワイングラスを机上に下ろし、迷うことなく答えると、男はにやりと笑い指を一つ出した


「では,それなりの代価を頂くよ
君はそう・・・・バンパィアだね。
ウォーゼン・エゥラール殿。
ボクがその本の秘密を教える代わりに
君はその躰を差し出してもらうよ」


「なぜ俺がバンパィアだと?」


「夜しか現れない
エゥラール隊長殿!」


彼は大げさに敬礼をしてみせた後
馬鹿らしいというように両手を広げた


「まぁ、騎士には興味ないがバンパィアにはかなり興味があってね
さぁ、本の秘密と
君の躰
交換してくれるかい」


迷っている暇はなかった、
とにかくサゥス公に託されたことを遂行しなくては

「よかろう・・・」


「了解!話はついた!
ボクの名はカルゥアンと申す
以後お見知りおきを」


男は軽く頭を下げると
サッと椅子から立ちあがった


「では、すぐにいかなくては行けない場所がある
その本は大事にかくしていたまえ!」

No.4 12/10/24 14:28
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 3 ニヤリと笑うと
机に勘定をのせ
彼は風のように走り出した


バンパィアでなかったら見逃してしまいそうな俊敏さに驚いたが
逃げ足が早いと言われれば、きっと納得できなくもない



店が並ぶ街並みを抜け、閑散とした裏通りを何回か左右に曲がり
気付けば見知らぬ場所へ来ていた


舗装されていない泥道の両サイドには
さびれた店が並び
そのほとんどが戸を閉めている


くたびれた角灯が点々と道を照らし
怪しげな露天商が、道端で、明らかに盗んできたような品を並べていた


「ようよう兄ちゃん
かっていかねぇか!」


ボサボサした髪の間から歯のない口だけを見せ、汚い身なりの男たちが
盗品を売りさばく


「ここは・・・・・?」


「ごめんよ~今日はちょっと急いでんだ
きみ!こっち!こっち」


カルゥアンは露天の男たちに軽く挨拶しながら
またも、俊敏な足取りで脇道へ消えた


一体どこへ行くというのだろう
まさか、俺を騙して路地へ追い込み本を奪い取ろうとしているのではないだろうか


疑心暗鬼のまま、角をまがると
暗闇の中、小さな露天商の前でカルゥアンが口笛を吹いていた


品が並ぶ
ぼろ切れの上には
血糊がついた剣や弓
鎧などが並び
腕輪やネックレスなど
小物が散らばっている


「ど・れ・が・ほ・し・い」


帽子を深く被った男が
低い低い声で訪ねる


「さぁ、選びたまえ」


カルゥアンは俺に分かるようにあるものを指差した


それは

小さな
竜の刺繍を繕った
古ぼけた羊皮紙

No.5 12/10/24 14:29
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 4 「あれを・・・あの羊皮紙を」


「二 人 ぶ ん か?」


「うーん、ボクはいらないかな」


「わ か っ た」


男はそう言うと、俺の前におどけた顔のマスクを差し出した


「それを被っていくといい!」


「どこに行くんだ?」


「ボクはここで
君の躰をまってるから💕」


「どういうことだ!?」


「 い け」


ヒラヒラと手を振るカルゥアンを遠くに見ながら
俺は言われるまま
男の背に隠されていた
小さな扉の中に押し込まれた


そこは頭がつくほど狭い道幅で明かりはなく、奥へ奥へと続いている


暗闇の中慎重に歩みを進めた


どこからか水が滴る音が聞こえる


「地下か・・・・・」


地上より気温が低く、
壁から所々水がにじみ出ている


きっと何者かが
これから行く場所を特定することができぬように地下道を利用したにちがいない


暗闇の中、壁に手をあてながら歩き続けた


どれぐらい歩いただろうか


闇の中、目前に小さな灯りがさす、古びた扉が見えた


「竜だ・・・・・」


扉の隅に
竜の模様が乱雑に書かれた小さな汚い布が、短剣で刺してある


布には奇妙なほど、たくさんの剣傷があった


懐に隠していた本を取り出し
竜の模様を比べる


同じ模様・・・・・



ピチョン・・・ピチャン・・・


俺は暫く、水滴の音が静かに響く中、異様に切り刻まれた竜を眺めていた

すると、突然扉が音を立てて開かれた

No.6 12/10/24 14:30
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 5 入り口で渡された奇妙なマスクを急いで被り
冷静を装った


扉の先には
同じように奇妙なマスクをつけた物たちが
足の踏み場のないほど集まっているのが見える



高い壁に小さな窓しか見当たらぬ不思議な部屋はまるで
何者かの侵入に怯えているかのようだった



「如何様で?」


扉を開けた男が
ゲラゲラと笑った表情のマスクから
俺を試すように、たずねる


「如何様で」


扉の竜の羊皮紙は
まるでそれを倒すかのように切り裂かれていた


質問の答えは


「竜を・・・倒す力となろう」


「力をわけしものよ、通りたまえ」

No.7 12/10/25 15:01
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 6 塞ぐように、扉の前に立ちはだかっていた男が静かに道をあける


カルヴァンめ・・・
大変な場所へ案内したな・・・


扉の男の視線をさけるように
マスクを深く被り
人々の中へ潜り込み
聞き耳をたてる


「今日は人が多いな」


「なんだか素晴らしい発表があるらしいわよ」


「竜の尻尾を掴んだか?」

「いやいや
きっとふんづかまえて
剣で刺し殺したに違いねぇ」


人々の間から口々に発せられる竜という言葉を
静かに伺う


こいつらが言っている竜というのは
きっと・・・・


「なぁなぁアンタ!どう思うよ?」


考え込んでいると突然話しかけられた
返答は分かっている
予測はしていたんだ
この竜が何を表すか


そう・・・きっと・・・

「私は・・・・・竜である王は不変であり決して倒される者ではないと考えるが・・・」


ざわり


周りで話をしていたものたちが、一斉に俺を見る

やはり・・・竜がさししめすものとは
・・・・


「今、そなたは何といわれたか?」


気持ちの悪いマスクたちの顔が一斉に俺の姿を捉える

No.8 12/10/25 21:37
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 7 俺は再度試すように
その名を呼んだ


「竜の紋章が示す王は
決して倒すべき存在では・・・・むぐぐ」


「おおっとぉ!
竜に対抗する俺たちは不変で倒されるわけないってことだよな!」


「ちが・・・・ぐぐっ」


マスクの後ろから赤毛が見える
口を無理やり塞いだままそいつは俺を部屋の角に追いやった


「なんのつもりだ!」


「それはボクの台詞だ!心配してきてやったから良かったものを!
こんな場所で竜の名を出し、竜を正当化するなんて、正気か!?」


「やはり竜とは王のことなのだな!
だとすればなおさら
正さなくてはならない
王家は滅びぬ!
王を滅ぼそうなどと考える奴らは罪人・・・むぐぐ」


カルヴァンは不振そうに振り向いたものたちに
軽く手を振って
マスクを外すと優しく笑ってみせた


彼の顔を見た人々が、やれやれまたアイツか、というように、肩をすくめて立ち去っていく


その姿を確認した彼は
軽く舌打ちをすると
マスクを深く被り
俺を後ろに隠したまま
この部屋に唯一通じる
先程通った扉へ向かった

「君は頭が固すぎる!

誰が正しいかなんて
誰も分からないんだ。

君の考えも彼らの考えも、どちらが正しいか決まってなんかいないんだ」

No.9 12/10/25 21:39
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 8 「王はっ!ぐっ
「ボクはこの場でマスクをとった!
君はボクの危険な行為に感謝し、そして君は・・・・・少し言い過ぎたようだ・・すこし・・・・すこしだけ黙っていたまえ・・・」


カルヴァンはそう言うと
俺を壁に追い込み
互いのマスクを下から軽くあげ


唇を合わせた


「む・・・んっ」




カルヴァンが俺の肩を強く抱く


肩越しに、チラチラと剣が見える


剣を構えた者たちに囲まれている・・・


腕を腰の剣に添えようとすると
彼はさらに強く肩を抱き
何度も何度も深く口づけた



クチュッ・・・チュッ・・はふっ・・
はっ・・・


わざとらしいリップ音に人々の目が集まり


冷やかすような
野次が飛び
ヒソヒソと女性の声が聞こえ始めた


それに伴い
人々の目を避けるように、剣先の光が静かに消えていく

No.10 12/10/25 21:41
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 9 チュ・・・
音を立てて唇を離したカルヴァンは耳元に口を寄せ静かに囁いた



「貸し、2つだ」


「今日は!素晴らしい日である!」


タイミングよく
突然飛び込んできた
嬉しそうな声に、皆の注目が集まった


声の主である
ピエロの装飾を顔に施した男は、
足に着く鈴を軽快に鳴らしながら
丁度、出口とは反対側に見える、粗末な木箱を並べたような舞台に上がり
、手に持った重く堅い鎖をジャラジャラと引っ張った


「離せ!離せぇ!」


鎖の先には、両腕を縛りあげられた
傷だらけの銀色の髪の男が、必死の抵抗を見せていた

「・・・・この反逆者め・・
ぅ!あぁああ゛!!!!」


バチンバチン


高い鞭の音と共に、悲痛な声が響き渡り、銀の髪がキラキラと揺れる
ピエロはぐったりと動かなくなった男を
舞台近くの壁の柱に鎖で何度も繋いだ後
皆の方を向き一礼した

No.11 12/10/25 21:45
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 10 「繰り返す
オホン!
今宵は最高の日で
あ~る!」


銀色の男を指差し、
ピエロは
ますます声高らかに
皆に呼びかけ、
拍手を求めて
指ををクイクィッとあげた


周りの者が顔を見合わせパラパラと拍手を贈る


「諸君!今の拍手に後悔はないかな?
この銀色の男が
あの
金の竜の影である
漆黒の悪魔のっ!
一番大切にしている仲間!銀狼(ウルフ)だとしてもっ!」


「黙れ・・・・・あいつは悪魔ではない・・・・
反逆者集団め・・・・
この行為は絶対に!許さな ・・・・ムググク」


ピューピュー!!!!!!
わあぁあああ!!!!!!
パチパチパチパチ!!!!!


拍手喝采の中
銀狼と呼ばれた男は
布のような物で無理やり口を縛られ
苦しげにもがいている

No.12 12/10/25 21:47
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 11 俺たちは集団の中に潜り込むとジッと話に耳を傾けた


「静粛に!静粛に!
さて・・・・
皆も知っているであろう
こいつの主である、漆黒の悪魔は
竜の名の下に
我々の正しい行為をすべて排除し、
正義を振りかざしている!」


「むがっ!ぐっ!」



横で暴れる男に冷たい視線を浴びせながら
ピエロはくくっと
嬉しそうな笑みを漏らし話を続ける



「今こそ奴を倒し!
本当の正義とは何なのかを
竜におもいしらせてやらねばならぬ!」


「そうだそうだ!
いいぞ!!!やっちまえ!!」

歓喜の声が
月明かりのだけが唯一の光だった部屋を
明るく、陽気な雰囲気に促す



「さぁ!同士よ!
正義の剣をかざし
悪魔をやつざきにしてやろうではないか!!!!!」



うおおおぉお!!!!



カキン!カキン!と音が重なり勇ましく声をあげたものたちが、剣を天高く振りかざした


漆黒の悪魔を
殺してやる!

竜を
殺してやる!


狂ったように声をあげ、剣を軽く合わせる音が鳴り響く

No.13 12/10/26 20:55
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 12 そんな中
銀狼だけが
薄くうなり声をあげていた



唇から覗く八重歯が
少しずつ牙のように伸び始めている


殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!


うう゛うう゛うう゛う


唇が狼のように尖りはじめ、口の間から鋭い牙が見え隠れし始めた


男の姿に気づいた者たちが、恐怖に声をあげたが、変化は止まらない


ああああ゛あぁ


うがあぁああぁぁ


銀色の髪が顔中を覆い
男の頭部はみるみるうちに銀に光る美しい毛並みを持つ
狼の姿に変わった




「おまえらあぁあ!!!!!!
漆黒の騎士を
なめるなよぉっつ!!!!」


口を鬱いでいた布を一気に引き裂さき、狼は恐ろしく大きな声を発する


うおぉおおおん!

うおぉおおん!

うおぉおおん!

No.14 12/10/26 20:56
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 13 「いいぞ・・・いいぞ・・・」

どよめく人々を横目に
ピエロが、銀色の男を壁の柱に鎖でさらにきつく縛りながら
ニヤリとわらった


「奴がくる・・・・
奴がくる・・・・
奴がくるぞおぉお!」


ピエロの声を合図に
男たちが ときの声をあげ
女たちでさえ剣を構え始める


「バカげてるねぇ
ボクはそろそろトンズラしますか✨
キミはどうする」


「きた・・・・・・」


カルヴァンの顔色が変わる


バリバリバリバリ


小さな窓が次々に粉々に砕け、勇み立った狼たちが、唸り声をあげながら部屋の四方へ飛び散った

ガラスの破片が粉雪のように飛び散り
月明かりを反射して
キラキラと光る


光を背に、黒い陰がまるで悪魔の羽を象るのように
マントを広げ、ゆっくりと部屋の中央に降り立った

「漆黒の悪魔だあぁあぁ!」


ピエロがまるで、憧れの君に会ったかのように
歓喜の声をあげる

No.15 12/10/26 20:58
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 14 皆が剣を構え、息をのむ中、悪魔と呼ばれた男は
部屋の中央でまるで紳士のように
マントを翻し静かに一礼した


サラサラさら・・・・・


緊迫した雰囲気の中
ガラスの破片が音をたてながら静かに床に降り積もる音が聞こえる


一礼を終えた
男が顔を上げる


黒い服
黒いシルクハット
黒いマスク
黒のマント


漆黒の髪


「!!!!漆黒の悪魔だ!!!!!!やれぇ!!」


誰かの声を合図に
皆が一斉に声をあげた


やあぁああぁあぁあ!!!!

軍勢が部屋の中央に佇むただ一人の男をめざして走り、剣を振りかざす


男はその姿を
静かに眺めていた


切り裂けえぇ!!!!!


剣先が男を中心に円を描き捉える


ピエロがおどけた声で
勝利の舞をまった
・・・・・・

No.16 12/10/27 21:47
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 15 ガガガガガガガガ


それは
まるで
ノイズ音


花びらが散るように

男を囲んでいた者の首が飛び

切り口からの鮮血が
花火のように
美しく飛び散る


その中央で
悪魔は
漆黒に纏われた姿の中
唯一見える唇の端を
ゆっくりとあげた


ぎゃああぁあ!
わあぁあああああああ!

軍勢は一気にパニック状態に陥り
四方八方散り散りに走り出す

それを待ちかまえていたかのように
先程侵入した狼たちが四隅でうなり声をあげる


「囲まれた・・・・」


唯一の出口である地下へ通じる扉の前には
一際大きな狼が
うなり声をあげながら
牙をむいている

No.17 12/10/27 21:48
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 16 ウォオオン!ウォオオン!


狼の遠吠えを合図にするかのように
剣が交わる音と
人々の叫び声が重なる


ウォオオン


カキン!カキン!


ぎゃああぁあ


ウォオオン!


キャー


カキン!カキン!


まるで音楽を奏でるように


剣の音と、叫び声
うなり声が交互に聞こえる


人々は円を描くようにバタバタと倒れ


床には炎のように紅い鮮血が広がる


漆黒を纏った悪魔は
まるで軽いステップを踏むように
人々を切り裂いていく


「やめろ・・・・」


「え!?
わっ!!ウォーゼン!
やめろっ!」


カルヴァンの声など耳に届かなかった
気づいた時には男の剣を受け止めていた


「やめろ・・・
それ以上、抵抗できぬ者を切ってはならない」



銀色の男を目指し、華麗なステップを踏む男の足がとまった


「これ以上罪を重ねるな・・・」


受け止めた剣の間から、漆黒の男の瞳が見える、暗く光の見えぬ深い漆黒・・・・・


男は
軽く剣を跳ね返すと、一歩、二歩と後退し間合いをとった


ピチャ・・・・
床に広がる血液の紅が
男の黒を
さらに暗く美しく映し出す


あれだけ人びとを切ったというのに
男の服装は、全く乱れる様子もなく
剣先さえ、先程鞘から出したかのように輝いている


男は剣を顔の前に据えると
瞳を閉じた

No.18 12/10/28 08:44
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 17 男の圧倒的な姿に周りのものたちはしん・・・と静まり返った


俺はじりじりと間合いをとる・・・


さぁ・・・・どうくる・・・・


彼はゆっくりと目を開けると
真っ直ぐに銀色の男のいる舞台を見た


それはまるで
俺の存在など見えていないかのように


「ここは通さん!
これ以上罪を重ねるな!」


剣を構え、男に向ける
どうにかして
この酷い殺戮を止めなくては


男は一瞬俺をみて
スッと目の前から姿を消すと
瞬時に横を駆け抜けた


「しまった・・・・」


『狙いは銀髪の男だ!!』


誰かの叫び声に
振り返ると
高く高く宙を舞い、ヒラリとマントを翻し
舞台の近くまで
風のように走り抜ける奴の姿をとらえた


舞台までもう寸部の距離もない


漆黒の男の手が・・・・


銀狼の手をとろうと


伸ばされた・・

No.19 12/10/29 07:30
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 18 「そうはいきませんよぉ」

突然
漆黒の男の動きを予想していたかのように
二人の間に
ピエロが姿を表す


ピエロは銀髪の男の首に、剣を向けながら
漆黒の男の鼻先に
自分の顔を近づける


「やっと会えましたねぇ憧れの君。
私はこの日をどれほど待ちわびていたか・・・」


嬉しそうに漆黒の男の髪を掴みながら
ピエロは尚も話を続ける


「分かっているとは思いますが
君が一歩でも動けば
仲間の命はないですよ
さぁどうします?」

  • << 21 漆黒の男の動きがピタリと止まった ピエロはその姿を嬉しそうに眺め 彼の顔に触れる 「あぁ・・・こんなに近くであなたに触れることができるなんて・・夢のようです。 さぁこのマスクを外し 私にあなただけの秘密を見せてください」 顔に触れていた手を止め、ピエロはゆっくりと男のマスクに手をかける 「やめろ!やめろよぉ!」 ウオォオン ウオォオン! 鎖に繋がれたまま銀色の髪を揺らし、必死に叫ぶ男の声と それに共鳴するように、四方でうずくまり悲しげに吠える狼の声だけが、部屋の中に響く 皆、言葉を忘れ、 漆黒の男のマスクの下の素顔に見入った ピエロの手が、マスクをゆっくりと外し 月明かりがぼんやり マスクの下の男の顔を映し出す

No.20 12/10/30 07:40
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 19 漆黒の男の動きがピタリと止まった


ピエロはその姿を嬉しそうに眺め
彼の顔に触れる


「あぁ・・・こんなに近くであなたに触れることができるなんて・・夢のようです。
さぁこのマスクを外し
私にあなただけの秘密を見せてください」



顔に触れていた手を止め、ピエロはゆっくりと男のマスクに手をかける


「やめろ!やめろよぉ!」

ウオォオン
ウオォオン!


鎖に繋がれたまま銀色の髪を揺らし
必死に叫ぶ男の声と
それに共鳴するように部屋の四方でうずくまり悲しげに吠える狼の声だけが部屋の中に響く


皆、言葉を忘れ、
漆黒の男のマスクの下の素顔に見入った


ピエロの手が、マスクをゆっくりと外し


月明かりがぼんやり
マスクの下の男の顔を映し出す


ピエロはその顔を愛おしそうに、撫でた・・・・

No.21 12/10/30 07:41
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 19 「そうはいきませんよぉ」 突然 漆黒の男の動きを予想していたかのように 二人の間に ピエロが姿を表す ピエロは銀髪… 漆黒の男の動きがピタリと止まった


ピエロはその姿を嬉しそうに眺め
彼の顔に触れる


「あぁ・・・こんなに近くであなたに触れることができるなんて・・夢のようです。
さぁこのマスクを外し
私にあなただけの秘密を見せてください」



顔に触れていた手を止め、ピエロはゆっくりと男のマスクに手をかける


「やめろ!やめろよぉ!」

ウオォオン
ウオォオン!


鎖に繋がれたまま銀色の髪を揺らし、必死に叫ぶ男の声と
それに共鳴するように、四方でうずくまり悲しげに吠える狼の声だけが、部屋の中に響く


皆、言葉を忘れ、
漆黒の男のマスクの下の素顔に見入った


ピエロの手が、マスクをゆっくりと外し


月明かりがぼんやり
マスクの下の男の顔を映し出す

No.22 12/10/31 07:44
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 21 ピエロはその顔を愛おしそうに、撫でた


「あぁ・・・・やはりアナタだったのですね
憧れの君・・・・
憎き男・・・・
ルルド・セス!!!!!」


ピエロは深く被っていた彼のシルクハットをも一気に投げ捨て
大声で皆に伝えた


「漆黒の悪魔の正体は、
かの!名高い騎士!
ルルド・セス!
反逆の罪により、騎士の位を剥奪されたにも関わらず、未だに王のそばにつかえていたとは・・・・・憎い!憎いぞ!」


ピエロはセスの顔に爪を深く刺し、頬に爪痕を紅く紅く残す


「さぁこの男を
どう苦しめてやりましょう・・・・」

  • << 24 「やめろっ!ぐっ!あっ!」 もがく銀髪の男を軽く抑え ピエロは、群集を眺め嬉しそうに呼びかけた 「さぁ!有志を募りましょう! コイツを、痛々しく、最高の苦痛を味あわせながら倒すことが出来るというものは 名をあげなさい 最高の栄誉を差し上げましょう!!!!」 周囲がどよめき始める 皆はそれぞれに顔を見合わせ、剣を握る しかし、手を挙げるには至らない それどころか ただただ、お互いに譲り合い ついには臆病な言葉をも漏らすものさえ現れ始めた 「相手は、ルルド・セスだ・・・・一時は騎士の中で1・2を争った腕前の男・・・」 「おそろしい・・・・」 「倒せるわけがない!」 「何を言っているのです!!!!!!!!」 ピエロが皆の意気を奮い立たせるように呼びかける 「コイツの仲間は ほら、この通り、私の手によって、死も生も選べる! セスは絶対に 動くことも、剣を振るうこともできない! さぁ誰か名をあげなさい!今宵の勇者よ! さぁ!」

No.23 12/11/01 07:42
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

こちらを毎日のぞいてくださっている方
本当に有り難うございます
最近
物語はできあがっているのですが
文章でのあらわしかたが難しく
煮詰まっています

戦いのシーンがふえてきて
どうかいたらいいんだか😫

何よりも楽しく書いてないから物語もマンネリでつまらない・・・

ということで
少し戦いの多い文章を
読んで
勉強していきたいので

申し訳ありませんが
更新を不定期にさせて頂きたいと思います


しかしっ!
絶対に終わらせます!


1人でもみてくださっている人がいるかぎり
がんばります

今後とも長い目でよろしくお願いします


漆黒ははじめてかくにしては
難しい物語でした😣

がんばります😣



暇をみて
ねむもがんばります・・・・

No.24 13/02/05 13:42
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 22 ピエロはその顔を愛おしそうに、撫でた 「あぁ・・・・やはりアナタだったのですね 憧れの君・・・・ 憎き男・・・・ ルルド・… 「やめろっ!ぐっ!あっ!」


もがく銀髪の男を軽く抑え
ピエロは、群集を眺め嬉しそうに呼びかけた


「さぁ!有志を募りましょう!
コイツを、痛々しく、最高の苦痛を味あわせながら倒すことが出来るというものは
名をあげなさい
最高の栄誉を差し上げましょう!!!!」


周囲がどよめき始める


皆はそれぞれに顔を見合わせ、剣を握る


しかし、手を挙げるには至らない


それどころか
ただただ、お互いに譲り合い
ついには臆病な言葉をも漏らすものさえ現れ始めた


「相手は、ルルド・セスだ・・・・一時は騎士の中で1・2を争った腕前の男・・・」

「おそろしい・・・・」


「倒せるわけがない!」


「何を言っているのです!!!!!!!!」


ピエロが皆の意気を奮い立たせるように呼びかける


「コイツの仲間は
ほら、この通り、私の手によって、死も生も選べる!
セスは絶対に
動くことも、剣を振るうこともできない!
さぁ誰か名をあげなさい!今宵の勇者よ!
さぁ!」

No.25 13/02/06 14:39
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 24 「・・・・・・・」


おそるおそるポツリポツリと小さく手があがる


「なんだ!なんだ!なんだぁ!その情けない様は!竜を!王を倒すのではなかったのか!」


「しかし!」

「でも!」


「五月蝿い!」


否定的な声を漏らす人々に苛ついたように靴音を鳴らし
ピエロは大声で叫んだ


「なんて意気地なしばかりなんでしょう!
ええぃ!忌々しい!
それならば私が!」


ピエロは、未だ喉元に剣を当てたまま
側近の鍛えられた男に
人質を預けると
腰に下がる長剣に手かけた


そして、ひきぬいた剣を蛇のようにペロリと舐め嬉しそうに笑う



「スダズタに切り裂いてやるわ!」


「やめろ!やめろよぉ!
セスっ!ぼくに構うな!役目を!役目を遂行しろ!」

No.26 13/02/07 12:13
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 25 じゃらじゃらと体中に巻かれた鎖を揺らしながら、悲痛の声をあげる銀狼を
セスは静かに見つめていた

「セスっ!
逃げろ!逃げろ!
逃げろよおっ!」


「サヨウナラ・・
ルルド・セス!」


ピエロは不適な笑いを浮かべ、彼の上に剣を掲げる


「やめろっやめろっ
やめろおおぉお!!!
いやだぁ!
セス!セス!
セスっっ!」


ボタボタと銀狼の瞳から大粒の涙が溢れる・・・・・

漆黒の男は
その剣先を
静かに・・・・
まるでそれをうけいれるかのように
ただ静かに
見つめていた・・・

No.27 13/02/17 22:26
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 26 「お待ちください!」



ピエロの剣がセスの首元で
ぴたりと動きを止める

よく見ると
セスの右肘から鋭い鎌のようなものが
ピエロの腹部を捕らえている


「お待ちください!!!」



声に反応したのか
お互いに間合いをはかっているのかよくわからなかった


にらみ合っている二人の間に声の主が歩み寄る



人々の視線は
真っ向に彼の姿を捉えた


視線の主は、
サッとマントを翻し
緊迫した状態の二人の前元に跪き深々と頭を垂れる


「そのお役目
私にお譲りください」


「お前は・・・・」


ピエロが訝しげに
こちらを伺う


「先ほど、その男の剣を止めたものです
腕には自信があります!あなた様のお望み通りの死を悪魔に与えて見せましょう」


「ほぅ・・・・さほどの実力・・・・・・」


ピエロはちらりと
セスの肘から鋭く光る鎌が自分の腹部を捕らえているのを確認すると
考えこむような素振りをみせ
そしてまだ疑わしげに
セスの首を捕らえた状態で再度たずねた


「・・・・
何者だ?

マスクをとり名を明かせ勇者よ」


「ヤメトケ!ヤメトケっ!」


カルゥアンが微かに声をあげるが
躊躇うことなくマスクを脱ぎ捨てた


「おぉ・・・・」


人々の間から
感嘆の声があがる


ウォーゼン・・・エゥラール・・・


そう
俺の名は


「我が名は!
ウォーゼン・エゥラール!!!!!

憎き竜を
倒す者だ!!!!」

No.28 13/02/20 22:19
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 27 「ウォーゼン・エゥラール!」


ざわざわと騒ぎ声が聞こえる


「あの・・・騎士隊長の
ウォーゼン・エゥラールか?」


「騎士最強の腕と言われた・・・・」


「ルルド・セスと一二を争った・・・あいつか!!」


「お静かにっ!」


ピエロが皆の浮ついた声を静止し、ウォーゼンをいまだ疑わしげに横目で睨む


「ふぅーん・・・・・
あの・・・ウォーゼン・エゥラールが
ルルド・セスをねぇ・・・
殺すというのかい?」



ピエロはまるで俺を知り尽くしているかのように
訝しげに
ブツブツと呟く


「あの・・・正義感あふれ
王にバカなほどに尽くすウォーゼン・エゥラールがねぇ・・・」

「・・・・・・まさか
逃げる気じゃないだろうね・・・・」

No.29 13/03/19 15:01
シノァ・オーギュスト ( INTknb )

>> 28 「逃げるなど滅相もございません
私は以前から
ルルド・セス
君と一戦交えてみたいと思っていました」


ウォーゼンはピエロではなくセスに語りかけるように一言一言慎重に言葉を選ぶ

「どうかお願いです
滅びる前に
私と一戦
交えてほしい」


「どうします
ルルド・セス」


ピエロは未だセスの肘から腹部にのびる釜のような剣にチラチラと視線を写しながらセスに語りかけた

「私に滅ぼされるか
騎士として彼と戦い滅びるか、選びたまえ
答えによっては
私もこの剣を鞘に納めようではないか」


セスは首筋にあてがわれた剣など全く気にしていない様子だった


彼は、かの英雄
ウォーゼン・エウラールを見つめていた


その瞳には
なにか先ほどとは違う色が注しているような感じさえ覚える

No.30 13/03/28 15:21
シノァ ( INTknb )

>> 29 すっと
肘から伸びた釜を先にひいたのは、セスだった


いや、それでは語弊がある
正確に言えば
ピエロに向けていた剣を引いたとたん、ヒラリと人々の間を抜け、気づけばウォーゼンの前に立っていた


「面白い!」


ウォーゼンは感嘆の声をあげる


「セス!君は相変わらず俊敏だね
ピエロを殺るなどいとも簡単なことだっただろう」

先ほどセスがいた場所を見ると、ピエロは不服そうな顔で剣を握り、かなきり声をあげた


「くだらないことをいっていないで!!!さっさとソイツを倒してしまいなさい!」


ウォーゼンは急に真面目そうな顔でコホンと咳払いをすると、ピエロに深く一礼しセスと再度向かい合った

「私の誘いに応じてくれてありがとう
セス、久しぶりに君と剣を交えることが出来そうで嬉しいよ」


それからウォーゼンはセスをじっと見つめ、プッと笑い出した


周りのものはあまりの緊張感のなさに、少しあきれた様子で彼らを眺めていたが、かの英雄はそんなことは全く気にしていないようで高らかに笑い続ける

No.31 13/03/28 15:41
シノァ ( INTknb )

>> 30 「セス!君は随分と、その・・・・」

言いかけて、彼はまた、あははと笑い出す


「随分と・・・歳を重ねたね」


セスは相変わらず顔色一つ変えない様子で立っていたが、剣を強く握っていた手が緩み、殺気立っていた先ほどの雰囲気はだいぶ和んだように見えた

「君と初めて出会ったのはもう30年以上前のことだから仕方ないか・・」

ポツリと呟き
お互い様だね
と肩を竦めると、ウォーゼンはさぁてと軽く伸びをした


「一戦手合わせ頂きますか!!!」

No.32 13/03/29 08:00
シノァ ( INTknb )

>> 31 サッと空気が変わる


セスは再度、腰の剣に手をかけた


シャキン


高い音が響き
お互いの剣がキラキラと月明かりを反射する


二人の剣士は軽く剣を掲げた


「嬉しいな。何年ぶりだろう。
君と剣を交えることができるなんて」


たくさんの者たちが、セスの
いや、漆黒の男の死を望んでいる


辺りは殺気立っているというのに
相変わらず、この男は
ただ、ただ楽しそうに
セスに剣先を差し出した

  • << 34 カチリと剣の合わさる音がして 二人は胸の前に剣を携え、深々と礼をした 時が止まったかのように静まり返る中、 二人をみていた者たちの間から、時折感嘆の声が小さく響く 特にそれは女性らしき仮面を被ったものから発されることが多いようで 中には、うっとりとため息をつくものまであらわれた それほどまでに、二人の騎士は礼儀正しく 美しかった かつて存在した 女性に優しく 人には親切に といった騎士道は 今では少しずつ廃れてしまっている しかし未だなお彼らはその美しさを秘めていた

No.34 13/04/10 07:58
シノァ ( INTknb )

>> 32 サッと空気が変わる セスは再度、腰の剣に手をかけた シャキン 高い音が響き お互いの剣がキラキラと月明かりを… カチリと剣の合わさる音がして
二人は胸の前に剣を携え、深々と礼をした

時が止まったかのように静まり返る中、
二人をみていた者たちの間から、時折感嘆の声が小さく響く


特にそれは女性らしき仮面を被ったものから発されることが多いようで
中には、うっとりとため息をつくものまであらわれた


それほどまでに、二人の騎士は礼儀正しく
美しかった


かつて存在した
女性に優しく
人には親切に
といった騎士道は
今では少しずつ廃れてしまっている

しかし未だなお彼らはその美しさを秘めていた

No.35 13/04/13 07:14
シノァ ( INTknb )

>> 34 「はやく!はやくやってお終いなさい!💢」


ピエロの甲高い声も、もはや彼らの耳には届かない

しばらくの緊張の後
先に動いたのはウォーゼンだった


大きく腕を振り上げ
素早く動く様は
まるで獅子のごとく
猛々しい


セスはそれを
いとも簡単に受け止めると
凄まじい勢いで弾き返す

にやりとウォーゼンが笑う


息をきらしながら
それでも華麗に
セスが立ち向かっていく


「懐かしいな、セス」



「随分とっ!強くなった!!!!!」


彼は笑いながら攻撃をひらりと交わすと
剣先をセスにむけた


「あの頃は
あんなに
小さかった君が・・・
うおっと!」


っ・・・は・・・はっ・・・


セスの息があがっていくのが分かる
ひらりひらりと
彼の攻撃を交わすウォーゼンは幾らか彼より歩があるように見えた


「・・!ウォーゼン!ウォーゼン!」

いつの間にか
観衆から声が上がり
ウォーゼンが攻撃をかわすたび、闘技場での試合を思い起こさせるような歓声があがる



ウォーゼンは軽く攻撃続けながら尚も呼びかけつづける

「あんなに小さかった君が、成長し
無事俺の前に立っている!

俺はっ!
俺は
君にあえて・・・
嬉しいよ

セス・・・・」


ウォーゼンの動きがピタリととまる



張り詰めた空気の中
セスが発する荒い息だけが耳に届く



「君に始めてあったのは
そう

もう

二十年以上前のことか・・・」

No.36 13/04/17 14:18
シノァ ( INTknb )

>> 35 「生意気なチビ」


そんな噂からセスのことを知った

彼は入門当初から剣術にも学問にも馬術にも優れ、師と仰ぐべきものの腕を遥かに超えていた


そんな彼を師が気に入るわけがなく、
礼儀正しく仕えていたにも関わらず、いじめを受けているような切り傷やアザがたえなかった


他のものたちも、そんないじめを楽しむように眺めている


「やめないか!」


今日もまた無意味に振り下ろされる剣に耐えられず思わず声をかけてしまった

No.37 13/05/26 05:56
シノァ ( INTknb )

>> 36 騎士が弟子にする仕打ちに口を挟んではいけない

それは騎士と従者の主従関係を保つための最低のルール


「でも、俺の行為は、
あんたの遣ってることに比べたら間違ってることじゃない!」


騎士は苦々しげに立ち去り、セスだけが残った


まだ幼い顔つきの男の子
俺より10ほど下だろうか・・・・

「ありがとうございました。」


深々と頭を垂れる彼に、屈辱を受けたあの騎士の明日からの仕打ちを考えると
申し訳なく思えてきて 頭をあげさせた


黒髪、に流れるような切れ目
筋の通った鼻


綺麗な顔つき・・・・・

No.38 13/05/26 05:56
シノァ ( INTknb )

>> 37 「あ・・・・えっと・・・今日飲みに行かないか?」


すこしでも気晴らしになるかと誘った酒場は速攻断られたが
その代わり


「手合わせ?いいよ。
俺でよければ」


あ・・・少し 笑った?


俺が手合わせを承諾すると、彼はあまり顔にはださなかったが
嬉しそうな様子で去っていった


それからというもの
彼は毎日(正確には師に仕え終わった後遅くても必ず)
俺の所にやってきた

No.39 13/05/26 06:27
シノァ ( INTknb )

>> 38 彼の実力は噂通りで
毎日の剣術も飽きることはなかった


「ウォーゼンさまぁ~
そろそろ酒場に遊びにきてよん」


「ごめん。今日はちょっと彼が・・・・
あっ!こらセス!
帰らなくていいから!
おいで、さぁ!稽古をしよう!」


女性の誘いも忘れ
俺は彼に没頭した


的確な剣術
恐ろしいほどの気迫
絶対に緩めない力


「セス・・・お前が
漆黒の悪魔だったのか」

昔幼い少年が見せた
あの鋭い剣術の謎が
解けた・・・・


お前はこんな重い運命を・・・・

No.40 14/10/07 18:54
シノァ ( INTknb )

>> 39 表現力に乏しく、毎日文章を書いているのに
彼らの動きや気持ちを十分に書き表せず辛いです
はやく書きたくてあせるのに・・・


もし続きを待ってくださる方がいらっしゃいましたらすみません
頑張ります

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