先生…‼
中学3年の4月🌸
新しいクラス、新しい教室、新しい教科書…。義務教育最後の年といえ、やはり学年のスタートは新鮮な気持ちになった。
そして、新しい先生。
ほとんどの先生方が昨年度の持ち上がりの中で1人、新しい先生が教科担任に加わった。
理科の高田先生。
初めて高田先生が教室に入ってきた瞬間、何とも言えない衝撃が走った…!!
私のリアルな経験を、のんびり綴っていきます。
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私は当時、男の子と付き合ったことがなく、一度だけ好きな子にバレンタインデーにチョコを渡したのが精一杯。
それも、告白なんてできなくて、箱にわざわざ油性マジックで「義理だよ」なんて書いて渡した😂
キス? とんでもない‼
そんなことは大人になってからするものだと思っていた。
エッチなことをすると妊娠するのは知っていたが、エッチなことって布団の中でギューッと抱き合うことだと思っていた。
何ともウブな中学生である。
それでも男子とはよく話すし、恋だってしていた。女子同士恋バナに花を咲かせていたものだ。
当時、私はタカシ君(通称タッチ)が好きだった。タッチは物静かで勉強もよくできた。タッチと同じクラスになれてウキウキしていた。
そこへ現れたのが、高田先生である。 高田先生を見た時の衝撃が、一瞬で恋に落ちたことだったとは、この時はまだ気づいていなかった。
だって、タッチが好きだったから。
私は理科が得意であり、一番好きな教科だった。でも、1、2年生のときの教科担任の先生はあまり好きではなかった。
授業がいい加減というか… 理科好きの私には物足りなかなった。話は脱線するし、ノート評価もあまりしてもらえないし。
一方、高田先生は、授業の中で必ず生徒に考える時間を与え、わかりやすい説明をし、ノートは毎時間集めて目を通してくれた。考えや疑問を書き込んだノートに「A」の評価がもらえるのが嬉しくて、私はどんどん高田先生の理科が好きになっていった。
理科がある日は嬉しかった。
理科がない日は憂鬱だった。
もともと理科が好きだったから、かえって曖昧になっていたんだろう。理科の授業が楽しみなのは、高田先生に恋をしているからだということに、まだ気づかなかった。
ただ、いつも理科の時間はソワソワ、ワクワク、ドキドキ💓
血圧も心拍数も上がっていたはずだ。
測ってないから確かではないが。
5月に入り、席替えがあった。
くじ引きだったか班長の権限だったか覚えていないが、とにかくあの時は自分の意志の及ばない所で席は決まった。
そして、運命の女神様がこの私にほほえんでくれた❗
通路挟んでタッチの隣になったのだ🎊
タッチとは2年生から同じクラスで、会話を交わしたことがある程度で、仲がいいという程ではなかった。当然私の❤な気持ちなど知らないはずだ。
イヤーっ💦自然にニヤニヤしてきてしまう。 だめだ‼タッチにバレてしまう~
朝、席に行けば自然に「おはよう」。授業中もチラ見、給食は彼の気配をおかずに白飯食べた。
…受験生だろ、脳内にお話咲かせてる場合ちゃうやろ! と、今の私から言ってやりたい💧
そんな感じで、隣のタッチに魂持ってかれていたせいで、くどいけれど高田先生に恋していることにまだ気づかなかった。
一学期も半ばへきたころから、生徒の間で高田先生への不満が膨らんできた。
高田先生は授業に熱心な反面、気持ちが間違った方へ向いてしまうことがあった。
例えば、質問に対して生徒の挙手が無いと怒り出す。
授業中に不良達が反抗すれば、他の生徒そっちのけで真っ向から言い争い、ケンカになる。
良く言えば熱心なんだが、悪く言えば大人気ないので、授業が中断することもあった。
そんな時、私は心がキリキリ痛んだ。 その状況に耐えられなかった。
先生の怒りは最もだ。でも、みんな嫌気が差すのも分かる。私もこんな先生嫌…
なのに、先生を嫌いになれない。先生が怒り出すと、
「先生、みんなに嫌われちゃうからやめて…❗」
と心の中で叫んでいた。
先生がみんなから嫌われることが悲しかった。怖かった。切なかった。
いくらウブで鈍感な私でも、徐々に高田先生に惹かれていることに気付き始めた。
しかし、みんなから嫌われている高田先生のことが好きなんて、誰にも言えなかった。
当時高校2年生の姉に、それとなく高田先生の話題をもちかけたことがある。
「高田~? あぁ、そんな先生いたね。私あいつに担当してもらったことないけど、何か嫌いやわ。」
そんな感じなので、姉にも本心を話せなかった。
高田先生が好き…
でも、そんなこと友達や姉に知られたら、私まで変に思われるかも…
私は、高田先生が好きな気持ちを、誰にも話さず心に秘めておくことにした。
どうやって知ったか覚えていないが、当時高田先生は32歳。
先生にとっては17歳も年下で、しかも教え子の私が恋愛対象になるはずもなかったし。
それからはもう、寝ても覚めても高田先生のことで頭がいっぱいだった。
もっと高田先生と話がしたい!
もっと高田先生のことが知りたい!
高田先生と手を繋いでみたい!
あぁ… 高田先生…
好きで好きで仕方ないよー
先生は彼女いるのかな?
結婚考えてたりするのかな?
いろいろ… いろいろ知りたいよー
好きな相手が同級生なら友達に相談できるのに、高田先生のことは誰にも話したくない。
胸がいっぱいで、苦しくなるほど好きだった。
「カナちゃん、最近タッチのこと話さないけど、冷めたの?」
隣のクラスのハルミちゃんに言われ、ドキッとした。
ハルミちゃんとは小学生の頃から仲良しで、お互いに好きな人ができると隠さず話していた。
「タッチ? …うん… もう好きじゃないのかもしれん…」
「なんでー!? 席が隣で急接近できるチャンスだって喜んでたのにー!!」
「なんかね… 好きっちゃあ好きかもしれないけど、別にもういいっていうか…」
歯切れの悪い私に、ハルミちゃんはため息をついた。
ハルミちゃんはこの時、片思いの中島君に猛アタックを繰り返し、ついに付き合うことになったばかりだった。
私がタッチとうまくいって付き合えたら、ダブルデートしようなんて話していた。
「ごめんね…」
「別にあやまることじゃないよ~」
タッチのことは、それっきり話題にならなくなった。
私の心からも、離れていった。
もう、高田先生でいっぱいだった。
一学期の期末テストがやってきた。
得意な理科では100点をとるつもりでいた。
…そうすれば、高田先生から一目置かれる…!!
立場や歳の差から恋愛対象として見てもらえなくても、生徒として注目されたいと考えた。
本当は、わからない所を質問しに行きたかったけれど、高田先生と1対1でいたら、きっと好きな気持ちが表情や態度から伝わってしまいそうで、できなかった。
後々につながるのだが、私は好きな人に対してどうしても想いを伝えられず、気持ちを隠そう隠そうとしてしまう。
ブスだし、脚は太いし、髪はくせ毛でボサついているし…
明るいだけがとりえだけで、女としての自分に自信がなく、こんな私、異性として好きになってもらえるとは思えないから…
好きだと伝えた後、ふられることしか想像できず、傷つくくらいなら、気持ちをひた隠しにしたかった。
だから、タッチの時も、ハルミちゃんと「ダブルデートしたいね~」なんて言いながら、タッチに気持ちを伝えることなど絶対にできなかった。男の子と付き合うなんて、夢のまた夢だった。
テストが終わり、答案用紙が返された。
答案用紙が手渡しされる瞬間は、高田先生に最接近できる瞬間でもある。
いろんな意味でドキドキする…
私の番が近づく…
ドキドキ、ドキドキ…
「安藤さん、よくがんばったな。」
高田先生が私にそう言って答案用紙を渡してくれた。
嬉しい!!
『安藤カナ』
と名前が書かれている横に、高田先生の親指があった。
指が離れた瞬間、赤ペンで書かれた
『95』
が見えた。
これが苦手な英語や社会なら飛び上がって喜ぶのだが…100点狙いだった為、いまいち中途半端な気持ちだった。
間違えた問題も、落ち着いて考えれば分かるものだった。
席にもどり、
「くそぉーーー!!」
と叫ぶ私に、同じ班のナオヤが私の答案用紙をむしり取った。
「くそぉーーー カナに3点負けたー!!」
ナオヤは後に私と同じ高校に進学する。ライバルであった。
私より勉強ができるナオヤは、私に負けるとは思っていなかったようだ。
「おーい、そこ、まだ授業中だぞー。うるさいぞー」
ニコニコ顔の高田先生に注意されて、私は再び嬉しくなり、顔が熱くなった。
先生は続けた。
「今回の平均点は○点。このクラスの最高点は95点。」
…もう、いろんな意味で嬉しくて、あの時の頭の中では巨大ヒマワリでも咲いていただろう。
夏休みを迎えた。
これでも一応受験生なので、塾の夏期講習に通いながら勉強に励んでいた。
夏休み中に、高校見学にいくことになっていた。
これは、県立高校が夏休みに実施していたもので、体験授業を受けたり、部活動の様子を見学させてもらえたりした。
私は、2校に見学に行った。そのうちの1校に、私は目標を定めた。後にこの高校に通うことになるのだが、それがこの恋にとって運命的な選択になることなど、この時は思いもしなかった。
高校、受験、勉強…
夏休みの間は、高田先生を想っていた記憶はあまり無い。
それなりに受験生だったんだろうな。
2学期になった。
学校で高田先生に会うと、私の恋心に再び火がついた。
この頃、相川七瀬の『恋心』が流行っていた。
~恋心 あてもなく今
夜に 怯えているわ
ガラス越しの 闇にそっと
涙 隠してる~
歌詞の内容はよく分かっていなかったが、とりあえず叶わぬ恋っぽい感じがしたのでよく歌っていた。 タイトルもズバリな感じで気に入っていたし。
相変わらずの日々を過ごしていた中、ちょっとした情報を耳にした。
タッチも、志望校が同じらしいのだ。
…好きじゃなくなったはずのタッチ…
でも、同じ高校に合格して、通うことになることを想像すると、何とも言えない気持ちになった。
授業中に、ハルミちゃんに手紙を書いた。(コラ!)
『タッチも志望校同じだってー!!
どうしょう、なんか嬉しいよ。
タッチは私より上の高校行くと思っていたから。
なんかドキドキする。
やっぱり私、まだタッチのこと好きかもしれない。』
高田先生に恋していることを、カモフラージュしたい気持ちもあったと思う。
ハルミちゃんからの返事
『やっぱり! カナちゃんタッチ好きなんだから、諦めずにアタックしなよ!
告っちゃいなよ~
付き合えたら、同じ高校目指してお互いにがんばろ!ってなるやん。』
とても告白する気にはならないので、適当にはぐらかした気がする。
が、この手紙のやりとりがとんでもない事件を招く。
当時、隣の席の男子は横川という不良だった。
横川はよくタバコを吸って登校してくる。
「朝からタバコ臭い!吸ってきたやろー」
「あぁ。2本な。」
これが朝の挨拶である。
学生服はカラフルなボタンで彩られており、裏ボタンは何やらチェーンがぶらぶらしていた。
学生服っていうか、短ランにボンタンなんだけど。(今の若い子分からないだろうな💧)
が、なかなかいい奴なので、私が欲しがっていたコミックス2冊を格安で売ってくれたりもした。(笑)
…隣が不良横川。もう隣はタッチ。
ある日の国語の授業中、朝からなぜかイライラモードだった横川が、突然私の机の上にかかと落としをしてきた。
ノートが破れた。
「ちょっと、何すんの!!」
「あーごめん。安藤見てたらイライラして。」
そんな理不尽な…
その場はそれで終わったのだが、今度は私がイライラすることになった。
で、その後の昼休み。
何やら男子トイレから不穏な空気が…
トイレの中を見れば(あ、廊下から見えるのよ)横川含む不良数名で食後の一服をしているではないか。
「おー安藤。センコウに言うんじゃねぇぞ。」
いつもは見て見ぬ振りしてあげるのだが、その日の私にそんな慈悲の心は無かった。
一気に階段を駆け下りて職員室に飛び込んだ!
「先生!男子がトイレでタバコ吸ってます!!」
すぐさま、高田先生ともうひとりの男の先生が駆け出した。
「安藤さんありがとう!」
そう言って颯爽と階段を駆け上がって行った高田先生。
あぁ… かっこいい…やはり、タッチより高田先生のほうが、一万倍好きだ…
その後トイレで、不良vs先生の学園ドラマ並みの展開が繰り広げられたのは言うまでもない。
横川のヤロウ…
少し気が晴れた私と裏腹に、
安藤のヤロウ…
と、怒りを増幅させた横川が、翌日に事件を起こした。
翌日の昼休みのことだった。
私はハルミちゃん達と廊下でおしゃべりをしていると、教室から『ガターン』と机が倒れる音がした。
またアホ男子が鬼ごっこでもして、誰かの机にぶつかったんだと勝手に解釈していた。
実際はそうではなかった。
そう、横川の仕業。
昨日の腹いせか、私の机を蹴り倒していた。
中のノートや教科書が散乱していた。
その中に、先日ハルミちゃんとやりとりした手紙もあった。 (処分していなかった私がバカだったが…)
教室にいた友達が私を探し出し、
「カナちゃん大変…!!」
と教えてくれた時にはすでに手遅れ。横川は手紙の中身も全部見ていた。
「ゲエェ~!!
安藤はタッチのこと好きなんやとー!!」
クラス中に聞こえる大声で、横川は叫ぶ。
やんやと言うクラスメート達。
その中には、仲良くしていた女子もいて、一緒になって笑ってる…!!!
恥ずかしさと…
怒りと…
悔しさと…
顔が真っ赤に熱くなっていくのがわかる。
たぶん横川に何か反論したと思うけれど、あまり覚えていない。
とにかく、私は机をもとに戻した後、溢れる涙をこらえきれず教室を飛び出した。
「カナちゃん!
横川ムカつく!ホント許せない!ひどすぎるよ…
カナちゃんずっとタッチのこと好きで、告白できずにいたのに…!!」
ちょっと違う為、ハルミちゃんを騙している気がして、よけい泣けてきた。
「ちょっと、カナちゃんおいで!!」
しゃっくり上げて泣いている私の手を引っ張り、ハルミちゃんは階段を駆け下りる。
行き先は職員室だった。
「○○先生いますか~」
ハルミちゃんは職員室の入口で、私の担任の先生を呼んだ。
「ハル…ミ…ちゃん、ヒック、いいってば~、ヒック…」
私は引っ込もうとする。
「安藤さん? どうした?何があった?」
しゃっくり上げてうまく話せない私のかわりに、ハルミちゃんが説明する。
「横川が、カナちゃんの好きな人を言いふらしたんです。教室で、みんないるのに!本人にも聞かれて、それで…」
「それで、安藤さん泣いているんだね。」
ハルミちゃんは、机が倒された事なども説明している。
…………
ハルミちゃんと担任の先生には大変申し訳ないことに、この時私は全く違うことに考えが及んでいた。
職員室=高田先生の居場所
この時もつい、高田先生の姿を探していた。
…いた。高田先生は背を向けるかたちで机に向かいながら、振り返ってこちらの様子を心配そうに見ていた。
この距離なら、ハルミちゃんの説明も全て聞こえているだろう。
恥ずかしい!!
恥ずかしい!!
超 恥ずかしいー!!
私が本当に好きなのは、先生なんです!!
私に好きな子がいるなんて思わないで下さい!!
怒るハルミちゃん。
真剣に話を聞いて下さる担任の先生。
心配そうにしている高田先生。
当の本人はというと、周りの想像の遠く及ばない理由で泣いている。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を見られる恥ずかしさ。
ハルミちゃんを騙している罪悪感。
高田先生に誤解されているもどかしさ。
うわーん!!!!!!
5時間目の授業が始まるまでには教室に入り、席に戻った。
隣に横川、通路をはさんで隣はタッチ。
私は泣きはらした顔で、机だけを見ていた。もう、横川と不良バカトークしたくないし、タッチの方を向けるわけもない。
「タッチが隣でうれしいだろ~」
なお、小声で冷やかしてくる横川。
タッチはどう思っているんだろう。恥ずかしすぎる。前は好きだったけど、本当はもう好きじゃなくなったとも言えない。
我慢するしかなかった。
ライバルのナオヤは横川の前の席で、いつもは横川とつるんで私をいじってくるのに、この時は横川を無視していた。
あからさまに私をかばうわけじゃないけど、かと言って一緒にひやかしもしなかった。
横川のバカにしらけているのが分かった。ナオヤなりの心がけが嬉しかった。
翌週、席替えがあるのが救いだった。
ハルミちゃんとは毎朝待ち合わせをして一緒に登校していた。
翌朝も、同じように登校した。
「昨日は大変だったね。カナちゃんの席、横川とタッチにはさまれているから…」
「うん、でも横川は無視するし、タッチのことも別にもういいから。ハルミちゃんありがとね。」
声のトーンを上げて返した。事実、昨日より気持ちは上向きだった。
ハルミちゃんは続ける。
「昨日、あのあと理科だったんだけどさ、高田先生に『安藤さんどうしたのかな。大丈夫かな。』って聞かれたよ。高田先生も見てたんだね。」
「高田先生が…!?」
嬉しかった。マジで。
私の気持ちを知らないハルミちゃんが言うのだから、間違いない。高田先生は私を心配してくれていた。
しかも、ハルミちゃんの言葉からだけで判断すると、高田先生は私に何があったのか、よく知らないようだった。
良かった…
学校へ向かう足取りが軽くなった。
それから数日経って、席替えをした。
私の学校では、班編成や係決めが前期と後期に一回ずつなので、9月末に行われたこの席替えが、中学校生活最後の班編成と係決めでもあった。
私は迷わず理科係に立候補した。
理科係は、毎時間理科の授業が終わった後に理科ノートを集め、先生の所に持って行く。
これほど、高田先生と関わりが持てるチャンスは無かった。
もうひとつ、『選択授業』があった。これは、5教科のなかでひとつ好きな教科を選び、クラスを解体して選択教科ごとに分かれて受ける授業だった。
迷わず理科を選択する。
理科でも2種類あって、Aコースは教科書の内容を復習していくいわば「苦手克服」コース。Bコースは教科書にとらわれず、自分で研究テーマを決めてレポートを作っていく「追究」コース。
理科大好きな私は、Bコースを選択。
初めての選択授業で担当の先生が発表された。
理科Bコース…高田先生
…よっしゃ!! もうひとつ、高田先生と関わるチャンスが増えた。
相変わらず、高田先生の授業は熱心だった。先に述べた通り、生徒とぶつかる事も多かったのだが…。
私は、理科係として、みんなの理科ノートを集めては放課後にせっせと職員室の高田先生のもとへ足を運んだ。
職員室に高田先生がいない時は、机の上に置いておくだけなのでつまらなかったが、いる時は二言三言言葉を交わすのが楽しくて楽しくて仕方なかった。この頃から徐々に、高田先生と個人的に話すことが増えてきた。
「3組の理科ノートお願いします~」
「はーい、ありがと。」
「あ、先生、(パソコンの画面を指差して)これ次の授業のプリント?」
「こら、見るな!」
と言いつつ、画面をこちらに向けて見せてくれる高田先生。
実験の説明に使うための実験器具のイラスト、日付と時刻を入力すると星の様子が映し出されるプラネタリウムのソフトウェア、複雑な化学反応式…
いろいろ見せてくれる高田先生。
ただでさえ理科好きの私には興味深いものだが、先生の顔に自分の顔を近づけて一緒にパソコン画面を覗き込むのは、すごくドキドキした。
…先生の手、大きいな。爪が丸っこくてちょっとカワイイ♪
…あ、先生の使っている赤ボールペン、私と同じだ!
「この力学台車とバネの図、図形作成ソフトを使って俺がつくったんだぞ。」
と、複雑な実験装置の図を指差す先生。
カッコいい…
ここらへんで、高田先生の人物像を少し紹介しよう。
年齢 32
やせ型でやや長身
細い目に細いフレームのメガネ
ジャケットとスラックスは毎日同じ。
綿の白のカッターシャツはシワシワ。
教師に多いサンダル。
決してイケメンではないし、おしゃれに関心があるとは思えない。
真顔こわい
笑うと白い歯がステキ
趣味は仕事も兼ねてパソコンのようだ。
車は黒で、うちらの世代だと知られているけれど、今はほとんど見かけなくなった某スポーツカー。
今の段階で紹介できるのはこれくらいかな。
季節は秋になろうとしていた。そろそろ志望校を決定しなくてはいけない。私は夏休みの高校見学で気に入ったY高校に決めようとしていた。一応合格圏内ではあるが、ボーダーラインギリギリで悩む所であった。
そんな頃だった。
普通に自宅でくつろいでいたら、突然姉が、
「あ、カナー。そういや今日高田の家見つけたよ。」
…!!!?
「へーえ、そんなんやー。どうして分かったの?」
私は平静を装いながら耳ダンボにした。
姉の話では、学校帰りにバスに乗っていたら、バス通りに面したある家のガレージで、高田先生が洗車しているのを目撃したそうな。
家にあったゼン○ンの住宅地図を引っ張り出し、場所を聞いた。
「ほら、ここ。」
姉の指の先には、
『高田○○』
と、高田先生ではない男性の名前が書かれた家があった。おそらく先生のお父さんの名前だろう。
…ここって…
うちからさほど遠くない。っていうかY高校へ行く途中にある。私はY高校に合格したら自転車で通うつもりなので、毎日高田先生の家の前を通りながら通学できる!!
私の志望校はY高校に決定した。
翌日、いつものように理科ノートを提出する為、職員室の高田先生のもとへ。
「先生、先生の家分かっちゃいました!昨日姉がバスから先生を見つけたそうです。」
「そんなんだよ。あの場所、よく生徒にバレるんだよなぁ。それで、卒業した教え子が突然訪ねてきたりするんだよ。この前も、渡辺が来たんだ。」
と、嬉しそうに話す高田先生。
渡辺とは、卒業した一学年上の渡辺ミサ先輩。生徒会も勤め、美人でスポーツ万能。関わりがない私でも名前と顔が一致する有名な先輩だ。高田先生が去年、教科担任で受け持っていたそうだ。
…渡辺ミサ先輩、先生の家に直接行ったんだ。先生も嬉しそうだし。なんか、妬いちゃうな…
家の場所を知ったことで、私と先生の秘密ができたように思っていたのが、バカみたいだった。
姉と同じバスに乗って高校に通う人もたくさんいるし、私だって自転車で通る道になるかもしれないのだから、冷静に考えれば当たり前なんだけど…
気を取り直して、
「じゃあ、私も先生の家に行っちゃったりしちゃおっかな~ なんて~。」
結構勇気を出して言ってみた。
「勘弁してくれ~」
… … そうなんだ。
やっぱ、迷惑だよね。
でも、ミサ先輩なら良かったのかな?
教師にとって生徒が自宅に来るって面倒なことかも。
彼女じゃないんだもんね。
卒業したら、高田先生のこと忘れよう…
とは言っても、高田先生が好きな気持ちはかなり強い。卒業して忘れることなどできそうになかった。
現にY高校に合格して、毎日高田先生の家の前を通って通えるのを夢見ている。
そして相変わらず理科係として、ほぼ毎日先生と関わり、会話できるのが嬉しくて仕方ない。
その頃には、高田先生は私を「安藤さん」から「アンカナ」と呼ぶようになっていた。
「ぉおー、今日もまたアンカナが来たな~」
「だって先生、私は理科係なんだから当たり前じゃないですか~!」
「変なヤツ~」
「先生ひどーい!」
バチン!(先生の肩をたたく)
…今から考えると、先生に対して失礼極まりない。
誰にでもこんなふうにからかうわけじゃない。高田先生の中で、私は確実に『その他大勢』の生徒ではなくなっていたと思う。
だからといって女として特別な目で見ているわけもないが、『からかってやりたいヤツ』くらいには思ってくれていたであろう。
楽しくて楽しくて、幸せだった。
卒業まであと半年もないのが悲しかった。
隔週、1時間の『選択理科』の授業も楽しみだった。
理科Bコースを選択したのは、学年200人中でわずか十数名しかいなかった。
先生と生徒の距離が近い。
この選択授業の時間は、自分で好きな研究テーマを決めて実験や観察を行い、レポートとしてまとめる授業だ。
理科好きの私には、大好きな授業だった。もちろん、好きな理由はもう一つあったのは言うまでもない。
ある日の選択授業の時間、私はガスバーナーでガラス管を加熱していた。
真っ直ぐなガラス管の一部を集中して加熱して軟らかくし、そこから曲げてL字の管に細工していた。
先生に見ている前でうまくいったので、できがった瞬間に油断したのだろう。
高温になっている、ガラス管の加熱部分をつまんでしまった。
「あつっ……!!」
触れた指先が白くなっている。焼けたのだ。
バカ…
曲げて曲がるほど軟らかい所だもん。熱いにきまってるじゃん。
その時、高田先生が
「見せろ!!」
と言って、私の手をガッと掴んだ。
そのままグイッと引っ張られる。
先生は私の指先をジッと見つめる。
…先生と手を繋いでいる!?
ドキドキした。
「バカやろう…」
高田先生はそう言って、私の指先を自分の親指の腹で優しくなでる。
火傷の痛みなどほとんど感じない。感じるのは高田先生の指の感触だけ。
少し固い。
…そして温かい。
はっとして、思わず手を引っ込める私。
「軽い火傷だな。水で冷やせ」
高田先生はそう言っ て、実験台の蛇口をひねり、水を出してくれた。
ようやくじんじんと痛み出してきた指先を、無言で流水に入れた。
先生の手指の感触まで洗い流してしまわないよう、水が当たる部分を最小限にとどめた。
「しばらく様子を見て、ひどくなってくるようなら、すぐに先生に報告しなさい。」
こんな時でも、心のブレーキは忘れない。
…先生は、教師として当然の対処をしたまで。授業中の生徒の怪我は、教師の責任だもんね。
幸い火傷は大したことはなく、下校するころには痛みはほとんど消えていた。
…あの時、なぜ、手を引っ込めてしまったんだろう…
もっと先生に触れていてほしかったはずなのに。
「安藤さん昨日は災難だったよねー。」
翌日、選択授業が同じの西山さんに声をかけられた。友達ってほどでもないけど、会えばよく話す仲だ。
「何かあったの?」
まわりにいる子達も会話に加わる。
「うん。ガスバーナー使ってて、ちょっと火傷したんだわ。大したことないけどねー。」
と、返す私。
「その後だよー。運悪く高田がすぐ近くにいてさ。安藤さん火傷したあと高田に手を握られたんだよー。」
西山さん。
「ええーっ!かわいそう!!」
「大丈夫だった?変なことされなかった?」
心配してくれるみんな。
…そう。高田先生ってこういう扱いなのだ。
イケメン先生はちやほやされるのに、そうでない先生は女子生徒からの風当たりが厳しいのが世の常。
先に述べた通り、高田先生は人気がない。昨日の私への対応は、悲しいかな、まわりの女子からすれば立派な『セクハラ』になるのだ。
…別に何でもないよ。
苦笑いで返すのが精一杯だった。
はぁーっ…
9月の席替えで班は別れたものの、私の左ななめ前はナオヤのままだった。
ナオヤは前期生徒会長をつとめ、成績も優秀。期末テストでは、5教科の合計が450点を下回ると、彼によると「この世の終わり」らしい。
ナオヤとは、三年生で初めて一緒のクラスになったが、一年生の頃からよく話をしていた。小学校も別、クラスも別のはずなのに、なぜ一年生の頃から交流があったのかよく分からない。
成績優秀ではあるが、ナオヤは変態だった。
こちらが油断していると、腰から制服に手を入れて、ブラジャーのホックを外してくる。気配を消して近づき、後頭部を教科書で殴ってくる。手袋をはめた手で背後から鼻と口を塞がれ、苦しくてバタバタするまで離さない。
などなど…
被害者はかなりの数にのぼる。
こうして文にすると相当問題児だが、なぜか周りからは憎まれない、不思議なオーラを持っていた。
私もナオヤの奇行に本気で泣いたこともあったのに、なぜか嫌いではなかった。
ひとつハッキリしたこと。それは…
ナオヤはドSでわたしはドMだということ。
こんなこと判明しても、人生の何の役にも立たないけれど、今後自分のMっぷりを思い知らされることになる。
他でもない、高田先生によって。
「俺も、お前と同じY高校受けるわ。」
冬の気配が感じられるようになったある日、突然ナオヤが言った。
「はぁっ!?」
驚く私。
変態度はテストの点や成績に反映されないため、数字だけで判断すればナオヤはかなりの優等生である。 この地区でトップ高のF高校を受験すると、誰もが思っていた。
「なんで!? F高じゃないの?」
「親にも、塾の先生にも、F高当たり前だって言われてたから、Y高校行きたいって言ったら、めっちゃ怒られた。」
…当然だろ。説明になってないし。
仮にF高校に行きたくなくとも、レベルだけで言えばY高校との間にあと2校ある。しかもY高校はけっこう遠い。
「アホじゃない?」
「ちなみに、タッチはY高校やめて、その上のK高校受けるって。」
…あそう。で?あんたはなぜ?
…ひょっとして、私と同じ高校に行きたくて、Y高校を…?
ナオヤは言った。
「あ、勘違いするなよ。お前普通科だろ?俺、理数科だから。F高で俺より頭いい奴に紛れるより、自分が学年1位でいた方がいいだろ?」
…あ、そういうことですか。
何か、いろんな意味でバカにされてるな。私。
別の日、そんなナオヤが突然、ななめ後ろの私を振り向いて、
「お前、高田のこと好きだろ。」
と、核心をついてきた。
…!!!!!
「まさか。好きなわけないやん。」
慌てる私に、ナオヤは続ける。
「だってお前、理科の授業の時はいつもテンション高いし、高田が席をまわってくる時は、お前の顔赤くなってるし。」
…ナオヤは賢い。いつからそう感じていたのだろう。話の内容も、昨日今日の様子だけではないことが分かる。コイツにごまかしはきかない。
でも、ここだけはプライドが許さなかった。
「違うって!理科はもともと好きなだけだよ。」
焦るため、顔が熱くなる。バレないように、バレないように… 焦れば焦るほど、顔に表れる。私はポーカーフェイスが苦手だ。
「嘘つけ。」
ナオヤはそれだけ言うと、ニヤついた顔のまま前を向いて黙った。
ナオヤの隣、つまり私の前の席のリョーコちゃんが、
「ちょっとー、気持ち悪いこと言ったらカナちゃんかわいそうやん!」
とフォロー。
「ほんと、やめてよ~ リョーコちゃんサンキュ!」
…『気持ち悪いこと』かー
はぁーっ…
その翌日も、ナオヤは高田先生の話題を持ちかけてきた。
「なぁ、高田ってさ、アイツきっと童貞だぞ。」
「……」
無視する私。
「彼女いそうにないだろ、きっと童貞だよなー。」
「ちょっとー、またそんなこと言って、あんたバカだねぇ。」
と、リョーコちゃん。
「安藤もそう思うだろ? ぜってぇ童貞だよ。」
うるさいので適当に返事してみた。
「知らないよ。そうなんじゃないの?」
すかさず返すナオヤ。
「お前童貞が趣味かよ~」
「違うわ!」
「童貞じゃない方がいい?」
再び適当に返しておく。
「はいはい、そうかもね。」
この時、私は『童貞』の意味を知らなかったけれど、『どうていって何?』とも聞けなかった…
やがて、二学期の期末テストがやってきた。高校受験の合否を左右しかねない、大切なテストだ。
それほど油断したわけではなかったが、数学がひどい結果だった。数学は得意で、90点台を目指していたのに、はるか及ばず…
自分が勝つと分かっていて、いつも勝手に勝負を挑んできては私をバカにするナオヤも、今回の私の数学の出来には凍り付いていた。
「お前、Y高校受かるのか?」
泣きそうだった。
問題は、やり直してみれば、どれも解けるものばかりだった。
…これが入試本番だったら…
受験が、怖くなってきた。
その日の放課後、いつものように理科ノートを提出しに高田先生のもとを訪れた。
が、さすがに今日はワイワイ話したい気分ではない。
「3組のノートです。お願いします。」
机上にノートを置くと、高田先生が返事をするかしないかのうちに踵を返した。
元気が出ないのも本当だったが、高田先生に「元気ないな。どうしたのかな。」と思ってほしかった。
翌日はちょうど、選択授業の日だった。
いつもは楽しくて仕方ない授業だが、理科室へ向かう足取りは重い。
…あのテストが入試だったら、確実に落ちてる。同じケアレスミスをしたら?
そうでなくとも、今回の数学の成績は下がるに決まってる。苦手な英語も相変わらずだし、内申が足らない…
少し早めに理科室に入り、ストーブに当たりながらぼーっと考えていた。
「アンカナー、お前なに青春してるんだよ~」
背後から、高田先生が笑いながら声をかけてきた。
…よっしゃ!!
少し気分が上向きになる。
「先生… 私…
高校受かる自信なくしてます。」
あえて、低いテンションのまま答える。
「お前、今そんなこと言ってどうするんや~ まぁ、今度の三者懇談で担任の先生とよく話して高校を決めなさい。」
当たり前のことを言う高田先生。
なんか、物足りない。
でも、何て言ってもらえたら満足する? これ以上の言葉があるか?
きっと、ストーブの前で落ち込んでいたのが他の生徒でも、高田先生は同じことを言っただろう。
それが気に入らない。
私の中で、抑えが効かなくなっていく…
やはり、高田先生には私を特別な目で見てほしい! 今ここに先生と2人きりだったら、後ろから抱きしめて「大丈夫だよ。がんばれ。」って言ってほしい!!
先生、好き!!
ぎゅーっとしてみたい!!
……
始業のチャイムと共に、冷静になり席に着いた。
三者懇談では、やはりY高校を受けたいという意志を担任の先生に伝えた。
私がY高校に行きたいのには、高田先生の家の前云々の以前に、きちんとした理由があった。
私は小学生の頃から理科が好きで、子どもの頃から植物を研究する仕事をしたいと思っていた。
Y高校は理科教育に力を入れている高校であり、それが私にとって一番の魅力であった。農学や生命工学を学ぶ大学に進学するために、これほど適した高校はなかったと思った。
その意志を、担任の先生は理解して下さった。 しかし、今回数学だけでなく英語も成績が下がり、先生は快く推してはくれなかった。
母も心配して、
「Y高校をやめて、S高校にしなさい。」
と言う。うちには、滑り止めの私立に通わせてもらえるほど経済的に余裕がない。
S高校はY高校の1ランク下、かつY高校より近い。
(高校をランクとか上下とか個人的にはあまり好きな表現ではないが、他に分かりやすく伝えられる言葉が見あたらず… すみません。)
でも、Y高校に行きたい。
この時、校舎の改築工事とかで放課後の教室が使えなかった。その為に、だだっ広いホールで、同時にすべてのクラスが懇談を行っていた。企業の就職説明会のような感じだった。
私は3組。
高田先生は5組の担任。
声はきこえなくても、この距離なら様子は伝わるだろう。
高田先生は、ちょうどこの時誰もいなくて、こちらの様子を気にしているように感じた。
気にしていて欲しいという願望がそうさせたかもしれないが。
…高田先生だって自分の学級の生徒の進路で一生懸命なのに、私のことまで心配する余裕あるわけないよね。
心にブレーキ。
結局、希望通りY高校を受験することにした。
冬休みに入ろうとしていた。勉強や受験の悩みは続くものの、私はかねてから楽しみにしていたことがあった。
それは、高田先生に年賀状を書くこと。
姉の卒業アルバムには、最後のページに教職員の住所と電話番号が載っていた。
大きな牛の絵を描き、プリントゴッコで刷っていく。
刷り上がった年賀状に、色鉛筆で色を塗っていく。
勉強に追われる日々の中、絵を描くことが好きな私には息抜きになった。
その中の一枚を取り、ペンを持って深呼吸。
スゥー ハァー …
○○市△△町1丁目…
スゥー ハァー …
高田 浩之 先生
宛名を書くだけで、こんなに緊張するなんて、笑えた。
裏面の牛の横に、
「高校入試、合格できるようにがんばります。」
と、一言添えた。
さんざん考えて紡ぎ出した言葉だった。まさか家族が見るかもしれない年賀状で、愛の告白できるわけないしね。
普通の生徒を装って(笑)
…先生、まさか私から年賀状が来るとは思っていないだろうな。
ビックリするかな。
喜んでくれるかな。
でも、大人の人って、たかが年賀状で嬉しいとか思うかな。…
様々な想いと共に、そっとポストに投函した。
冬休みに入ると、受験モードが一気に上昇! 塾の冬期講習は正月三が日も休みは無い。
元日に勉強している自分が、いかにも受験生~!!って感じで妙にワクワクしていた。
1月3日、塾から帰宅してポストの中を見ると、年賀状が届いていた。
この日に届く年賀状は、出してない人から届いた年賀状に返信している物が多い。
…高田先生からの年賀状がありますように!!…
祈る気持ちで、家族ひとりひとりに振り分けながら一枚ずつ見ていく。パソコンで作成する年賀状が今ほどメジャーでなかった時代だ。ほとんどの宛名が手書きである。
その中に一通、パソコンで書かれた、
安藤 カナ 様
目が止まる。友達からではない予感。
差出人は…
高田 浩之
…来た!
すぐ隣にいる父に動揺を悟られないよう、残りの年賀状を振り分けた。
「はい、これおとーとおかーのやつ。こっちは姉ちゃん。」
私は自分宛ての年賀状を持って自分の部屋へ。
心臓が高鳴る。
あえて、友達から来た年賀状から先に見ていく。
最後に残った、高田先生からの年賀状。
ドキドキ…
そっと、裏面を見た。
そっと年賀状の裏面をめくる。
宛名と同じく、パソコンで作成してある牛と雪だるまのイラスト。
…けっこう、かわいい。
その下に、分が添えられていた。
『笑顔のステキな君だから 今年はきっと素晴らしい年になるでしょう!
悔いのないようがんばって下さいね。』
見覚えのある、高田先生の字。
全身がくすぐったくなり、思わず体をよじる。
嬉しくて自然と笑顔がこぼれる。
何度も何度も読み返した。
最後は、年賀状を胸に当てて抱きしめた。
…大丈夫。私は絶対にY高校に合格するんだ…
受験に立ち向かう勇気が出てきた。
三学期が始まった。
私立の推薦入試を受ける子が欠席していたりして、いよいよ受験ムードが高まってきた。
入試まで、あと2ヶ月。そして、卒業も近い。どの教科書も、残りのページがわずかだ。男子は給食の懇談表を見て、「今日でアゲパン食い納めかもしれねぇー!」とか言ってる。
私とハルミちゃんは、2学期の終わり頃から一緒に帰るようになっていた。お互い部活が終わって、学校を出るタイミングが同じになったからだ。
一学期からハルミちゃんは中島君と付き合っていたが、この頃もアツアツで、「卒業したくなぁーい!!」と言っていた。でも中島君はバリバリの不良くんなので、まず学校で見かけない。どこで2人は会ってるんだか不思議なくらいだった。ハルミちゃんによると、彼は給食時間には学校に姿を現しているらしい。
…私も、卒業したくないよ。高田先生と離れたくないんだよ。…
仲良しのハルミちゃんにも言えない。
話題は、受験のことが中心。ハルミちゃんと私とは、受ける高校が違う。卒業したら、ハルミちゃんとも離れてしまう。
そんなある日の帰り、ハルミちゃんがこう切り出した。
「カナちゃん、好きな人いるでしょ。」
突然のハルミちゃんの質問に、一瞬ビビる。が、そこは冷静に。
「え?いないよ。」
「嘘だぁ。カナちゃん高田先生が好きなくせに。」
ほほえむハルミちゃん。
…バレてる!?
「何でそう思うの?」
「だって、理科の時間をすごく楽しみにしてるし。毎日高田先生の所へノート出しに行く時も、嬉しそうにおしゃべりしてるし。」
…あちゃー。私って分かりやすいんだなー…
「高田先生とは気が合うし、話してて楽しいんだよ。理科話で盛り上がるしね!」
「はいはい。良かったねー。」
ニコニコするハルミちゃん。
「うん、良かったよ。理科が高田先生で。」
開き直っているのかはぐらかしているのか、自分でもよく分からなかった。
ハルミちゃんは、変に冷やかしたり、まわりに言いふらしたりする子じゃない。でも、やはり高田先生への本当の気持ちは話せなかった。
それでもハルミちゃんは、帰りに私が職員室へ寄り高田先生とおしゃべりしている間、廊下で待っていてくれた。
「ゆっくり話しておいでよ。もう少しで卒業なんだし。」
とまで言ってくれた。
優しい彼女の心遣いに甘えっぱなしだった。
三学期の期末テストが、1月中に行われた。三学期の成績が、2月から始まる私立高校の一般入試に必要な為だと説明された。
期末テストと言っても数週間しか進んでいない授業のテストである。簡単だった。
おかげで、三年間のテストの中で、最高点がとれた。この点数が、高校入試に挑む自信に繋がった。
いつものように、ノート提出のついでに高田先生と話す。
「アンカナなら、Y高校大丈夫だろ。いつものお前の実力を出せば、合格するよ。」
明るく優しくそう言ってくれた。
理科は98点だし、他の教科の点数を高田先生は知らないからそう思ったのかもしれないが。
でも、大好きな人から一番言ってほしい言葉を言ってもらえるのは幸せだった。
「はい。Y高校受かるようがんばります。」
その会話を聞いていた、高田先生の隣の先生が、
「安藤さんY高校受けるんだ。高田先生の出身もY高校でしたよね?」
と、ナイストス!
…えっ!?高田先生もY高!
すかさず高田先生。
「いえ、僕はN高校です。」
…なーんだ。違うんだ。でも、高田先生N高出身なんだ。頭いいんだ…
ひょんな事から、高田先生の出身高校が聞けた。
この日の収穫は多かった。
※いろいろな高校がでてくるので整理します。
偏差値高い順です。
F高 ナオヤレベル
(東大京大レベル)
N高 高田先生出身校
K高 タッチの志望校
Y高 私とナオヤの志望校
2月になった。いよいよ卒業を意識するようになる。
三年間の感謝をこめて、三年生全員で校舎内のすべての廊下のワックスがけをすることになった。
ワックスをかける前に、洗剤とタワシで汚れをゴシゴシ落としていく。それほど大きな中学校ではないが、それでもすべての廊下に洗剤をまいて、みんなでゴシゴシする光景は、なかなか迫力のあるものだ。
私の班の担当は、職員室前から三年生の教室に上がる階段の前まで。ゴシゴシしながら、様々な思い出が蘇る…
三年生になった4月、新鮮な気持ちで初めてこの階段を上ったこと。
横川達の喫煙を先生に報告するためダッシュしたこと。
応戦するため駆け上がる高田先生の姿がカッコ良すぎたこと。
この一年間で、休み時間に高田先生と何度もすれ違ったな。
友達関係のいざこざから、たえられず授業中に教室を飛び出し、この階段の踊場で泣いたこともあった。
感傷にひたっていたら、悲劇がおきた。
廊下は塩ビが張ってある。そこに液体の洗剤をぶちまけて磨いている。
そう、廊下はとても滑りやすくなる。
そこで、誰からともなく暗黙のルールが出来上がる。一気に全面に洗剤をまくのではなく、飛び石のように所々洗剤を塗らない場所を作っておく。私たちは、この洗剤を塗らない乾いた場所を『島』と呼んだ。
『島』は50cm四方ほどの大きさで、1~2mおきの間隔で作った。
廊下を通る人は、この『島』をぴょんぴょん渡っていくシステムだ。
洗剤スペースはツルッツルである。
私たちの最大の失敗は、この『島』を階段が終わった所に作らなかったことだった。階段を下りてくる人は皆、滑らないよう慎重に下りてくる。が、階段が終わった所で油断するようだった。
ちょうどこの場所が若干くぼんでいたようで、液体の洗剤が溜まっていた。
条件は最悪である。
階段を下りてきた人の5人に1人はここでしりもちをついていた。
受験のストレスが溜まっている中学生である。誰かが転ぶたびに異様なテンションで喜んだ。
それが先生だとなおさらだった。
いつも怒ってばかりのオバサン先生が、
「きゃあぁあ~!!」
物静かな男の先生が、
「うおおっ!!」
叫びながらしりもちをついていく。
良いストレス発散になった。
そして、誰しも思うのである。
…絶対自分は転ばない。
私も例外ではなかった。
私は洗剤の入ったバケツを二階に届けるため、バケツを手に持ち、慎重に『島』を渡り階段へ向かう。
ピョン
…あっ、階段の上から高田先生が下りてきた!
いちいちドキドキする私。
ピョン
一歩ずつ先生に近づく。先生とはどこかの島ですれ違いそうだ。
ピョン
高田先生は階段を下りきる。洗剤溜まりの危険地帯に入った。
ピョン ツルーッ!!!
あっ と思った時には手遅れ。
「ひぃやあぁー!!」
高田先生に気をとられて『島』を踏み外した私は、思いっきり滑ってひっくり返った。
楽し○ごのギャグかと思うほどの見事な開脚と、その先にものすごく驚いた顔の高田先生。
カラララ~ン
転がるバケツと飛び散る洗剤。
「…っ」
爆笑じゃなくて失笑。
唯一の救いは、スカートでなくジャージだったことくらい。
穴があったら入りたいと思った。
「大丈夫か?」
高田先生が笑いをこらえながら話しかけてくれた。
別の意味で大丈夫じゃない。
よりによって…高田先生の前で全力開脚を披露しなくても…
顔から火を噴きそうになりながら立ち上がり、おもむろにバケツを拾い上げると、私はもと来た道を後戻りした。新しい洗剤を取りに行くために。
「ごめん。洗剤こぼしちゃったね。」
私が撒いた洗剤のせいで、いくつかの『島』が水没した。
それからのことはよく覚えていないが、帰る頃には笑いながらハルミちゃんに一部始終を話した気がする。
帰宅して、洗剤でパリパリになったジャージを見て、母が驚いたので、一連の出来事を報告した。
「高田先生にバッチリ見られちゃってさぁ~。」
さりげなく高田先生の名前を出す。
「高田先生って理科の男の先生だっけ?」
「そうだよ。」
「あんた、まさかあの先生のこと好きなんじゃないでしょねぇ? やめてよ~、何十歳も年上のオジサンなんかー。」
グサッ
…私の顔のどこかに、『高田先生love』とか書いてあるんだろうな。
土日をはさみ、月曜日に登校した。2日間で、廊下のワックスは乾きピカピカになっていた。
月曜日は選択理科の日である。2日間あっても、こちらはなかなかサッパリとはいかない。高田先生と顔を合わせるのが恥ずかしかった。
照れ隠しだったのか、何だったのか… その日、私は真面目に授業に向かう気持ちになっていなかった。 実験レポートを作成する日だったのだが、集中できず、周りの子とペチャクチャおしゃべりをしていた。
土日のテレビ番組のネタで盛り上がり、授業が終わる頃になってもレポートはほぼ白紙だった。
…まぁいっか。来週までに家で書けばいいんだし。
終業のチャイムが鳴る。
「起立 」
当番のかけ声で立ち上がる。
その時だった。高田先生が、
「安藤は残れ」
と、厳しい口調で言った。
…やばい。さすがに今日の態度は叱られても仕方ない。
私は白紙のレポート原稿に目を落とした。
「礼 ありがとうございましたー」
理科室から出て行くみんな。
「安藤さん、ごめん…」
私がおしゃべりに巻き込んだにもかかわらず、申し訳なさそうに小声で謝ってくれるみんな。
やがて、理科室は高田先生と私の2人だけになった。
このあとは掃除の時間。高田先生は廊下へ出て行き、理科室の掃除に来た生徒に何やら話し、追い返してしまった。
ドアを閉める先生。
再び2人きりになり、理科室に静寂が訪れた。
理科室の机は実験台であり、6人で座れるようになっていた。
高田先生は無言で私の向かいの椅子に座り、腕組みをした。
………
何も言わない先生。
うつむいていても、すごく怒っているのが分かる。
怖くて顔を見られない…
私から何か言うべきなのか…
何も言い出せない代わりに、レポート原稿を開き、筆箱からシャーペンを取り出した。
原稿に書く内容は頭の中に入っている。何も見なくても、ペンはスラスラ進んだ。
掃除の音楽が流れている。よく聴くクラッシックだが、曲名は知らない。
カリカリカリ…
緊張で、自分でも驚くほどのスピードでレポートは進んでいく。
やがて、15分間の掃除時間が終わった。 次はホームルーム。 高田先生だって担任を持っているから、さすがにこのあたりで解放してもらえるはずだ。
B4の原稿用紙が完成に近づく。いいタイミングで終われそうだ。
その時、高田先生が冷たい声で言い放った。
「それ完成させて終わりじゃねぇぞ。」
ピタリ と、私の手が止まった。
どうしよう…
授業中におしゃべりしていたこと。
レポートを書かなかったこと。
先生が何か言う前に、自分から謝らなくてはいけない。
…ごめんなさい。
喉の奥が震えて、言葉が出ない。
かわりに、涙が溢れてきた。
怒る先生がめちゃ怖い。
アホな自分が情けない。
高田先生からは特別な生徒と思われたくて一生懸命がんばってきたのに、今日のこれで私のイメージは台無しだ…。
一度涙がこぼれだすと止まらなくなってしまい、しまいにはしゃっくり上げて泣いていた。
「お前、行きたい高校があるんだろ? それに向けて一生懸命だったじゃないか。いつものアンカナはどうした?お前そんなんでいいのか!」
怒った口ぶりだが、こんなに優しい言葉をかけてもらったこと、親以外の大人からは初めてだった。
小学生の頃から学級委員をやったり授業中も積極的に発言したり、勉強面でもそれほどひどく先生に迷惑をかけたことのなかった私は、教師からすれば『多少のことは目をつぶってやれる』子どもだったのだろう。
受験頑張るとか言ってるのに、どこかで気を抜いている自分を見抜いた高田先生。
そこをスルーしないで、きちんと叱ってくれた高田先生。
掃除に行かせなかったり、ホームルームの時間も削ったり、そこまでする指導の仕方はどうであれ、この日、彼からこうして叱られた事が今後の私の人生に影響していくことになる。
ちなみに…
2人きりの理科室であらぬ展開になれなどという、腑抜けた妄想をする余裕など無いほど、この時の高田先生は恐ろしかったのです。
「1人で教室に入れるか?」
教室に向かう廊下で、高田先生が優しく声をかけてくれた。
「はい‥。」
すでに帰りのホームルームの時間で、廊下は静かだ。
「そうか。 がんばるんだぞ!」
軽く肩をポンと叩いて、ほほ笑む高田先生。そのまま先生は5組の教室に行き、私はその先の3組の教室へ向かう。
高田先生は、自分の教室にすぐには入らず、私を見てくれていたのだろう。私が3組の教室の前に着いた時、ようやく背後でドアを開ける音がした。
教室では、担任の先生が話をしていた。そっと後ろのドアから入ったつもりだが、静かな教室では目立ちすぎた。全員の視線がワッとこちらへ向けられた。
「安藤どうしたんだよー。 掃除さぼってよぉ。」
「カナちゃんどこ行ってたん?」
同じ班の仲間から質問攻め。
「安藤さん、何かあったの?」
担任の先生も。
…伝わってなかったのかよ!?
「カナちゃん泣いたの?まさか高田に変なことされたとか!!?」
…そんなわけないし。
「違うよ…掃除行かなくてゴメンね。」
班長が言った。
「生徒指導の三浦先生が、『帰りに俺の所に来い』だって。掃除サボってたからな。」
あの怖い三浦先生が!?
何でこうおおごとになるんだよ~
放課後、理科ノートの提出と、三浦先生と話す為に職員室へ向かった。
幸い、高田先生は机に…
いた。
気まずい。
三浦先生の席は、高田先生の隣の隣である。
生徒指導の三浦先生は、とにかく怖い。不良達も恐れていた。
班長の北川にによると、掃除の見回りをしていた三浦先生が、階段掃除をしている私達の班の人数が少ないことに気付き、班長に声をかけたそうだ。
班長は素直に安藤カナが行方不明であると答えた。掃除をサボっている疑いをかけられた私は、ようするに呼び出されたのである。
私は高田先生の後ろを通り過ぎ、三浦先生に恐る恐る声をかけた。高田先生といい、どんな風に叱られるのだろう。泣きっ面に蜂とはこのことか。
「あの、3-3の安藤です。」
「おお。安藤さんか。掃除の時間はどこにいたんだ?」
三浦先生は意外にもにこやかに問いかけてきた。
高田先生をチラ見する。
…笑いをかみ殺してしている! くそー
開き直った私は、わざと高田先生に聞こえるように、
「あの… 高田先生に叱られていました。」
と答えた。
「ぇえ?高田先生に?」
驚いて高田先生の方を向く三浦先生。
「何して叱られたの?」
「授業中、おしゃべりをして集中していなかったからです。」
本人がすぐそこにいるのだ。何も隠すことはない。
それまで笑いをこらえていた高田先生が、我慢できないと言った感じで続けてきた。
「すみません。掃除に行かせなかったのは僕です。コイツ、あまりにも気ィ抜いてたんで、叱ったんです。」
三浦先生は納得して、
「いやぁ、僕も職員室でよく見かける安藤さんが、掃除をサボるとは思っていなかったけど、同じ班の生徒が事情を知らなかったから、何かあったのかと思ってね…」
三浦先生とは直接関わりはない。いつの間にか私の顔と名前を覚え、掃除に見かけなかっただけで、心配してくれるなんて。驚いた。
その後は和やかなムードになり、私も少しずつ気持ちが晴れてきて、最後には笑顔で職員室を後にした。
…私を気にかけ、見てくれている先生がこんなにいる。
この日のことは、今でもはっきり覚えている。
そして、今の私に深く繋がっていくのである。
卒業まであと1ヶ月を切った。高校入試は卒業式の翌日に控えている。
…高田先生の授業を受けられるのも、残りわずかだな。
初めて高田先生が教室に入ってきた時から、私は恋してたんだな…
何で好きなのか、恋に落ちるのに理由なんて無い。カッコいいから好きなんじゃない。好きだからカッコよく見える。恋ってそういうものだ。
私は、黒板に字を書く高田先生の背中を見つめるのがたまらなく好きだった。
スッと伸びた背中、時々寝ぐせのある髪、左手は真っ直ぐ下に下ろして軽く拳をにぎるのが先生の癖だ。黒板を見てノートをとる振り(っていうか実際そうしている)をすれば、不自然ではない。
…この恋、終われるのかな?
ぼんやり考えていることがナオヤにバレると面倒くさいので、そのあたりは気を配っていた。
ある日の学年集会で、志望校別に別かれて受験票が配られた。Y高校を受けるメンバーが分かる。
『Y高校』の札が貼られた場所に向かった。嫌でもナオヤと連れ立って。
あれ?他に誰もいない。
担当の先生から受験票を受け取る。
「2人とも、がんばるんだぞ!」
「2人だけですか?」
ナオヤが聞く。
「そうだよ。Y高2人だけ。しかも普通科と理数科でお前ら別々だしな。受験当日は、俺が付き添いで行く。○時に正門横の石碑の所に集合だ。」
…ナオヤと2人だけかよ。つまんない。
教室に戻ると、ナオヤは信じられない行動に出た。
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