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禁断の花園

レス87 HIT数 18735 あ+ あ-

澪( ♀ ZnPK )
08/09/14 21:23(更新日時)

パーティを開く時









その日が







アナタの人生













‥ 最期の日よ ‥





******


前作同様、中傷・批判を お控え頂ける様お願い致します。

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No.1158462 08/08/24 17:35(スレ作成日時)

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No.1 08/08/24 18:07
澪 ( ♀ ZnPK )

キャロルは5歳。


“お城”と呼んでも過言では無い位の高級地に住んでいる。

何もかも 優雅な生活で、誰もが羨み‥そして賞賛した。



だけど キャロルの心は、いつも雲が掛かっているのだ。



父も母も顔を合わせれば喧嘩の毎日。



笑顔でいる時と言えば、人前だけ。



それでも ずっと側に居てくれてた執事が、心の支えとなってたけれど その彼も年輩であり体調的な面から、キャロルを置いて辞めてしまったのである。




◇◇◇



‐朝食時‐



お父様もお母様も、私の前では 喧嘩をしない。


でも 笑い合ったりもしなかった。


(本当は、喧嘩をしてる事 私が知らないとでも思ってるのかしら)


そう思いながらも、大好きな卵パンを口にする



「キャロル。今日から お前の面倒を見てくれるベビーシッターが来るんだ。お行儀よくするんだぞ」



「シッターさんが到着する迄 母様も一緒にいるからね」



ごくごく普通の会話。


でも その裏側は、お父様もお母様も同じ時間帯で、一緒に家を出たくないから 私とシッターさんを盾に 時間をずらしたいだけ。


そんなの嬉しくない

「いいよ。一人で待てる」


慣れてるもん。

No.2 08/08/24 18:48
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 1 ‥「そんな事 言わないで。母様はキャロルが好きよ」


優しく抱きしめ、額にキスをして そう話す。


「父様だって、負けない位 キャロルが好きだぞ」


私を抱き上げて頬へのキス。


「だったら、2人共一緒にいて頂戴」



ちゃんと、言わなきゃ気持ちなんて分かって貰えない。


「そうしたいけど、父様は仕事なんだよ。じゃあな。キャロル」


頭を撫で、お母様には目も合わせず出て行った。



「今日はね、昼食会と夜会に出ないとならないのよ。御免ね」


お母様の言葉。


私のお友達の親からの お誘いを受けたみたい。


お母様から呼んで、お出かけする事もある。



◇◇◇



時間通りに、ベビーシッターがやって来た。


優しそうなお姉さん

そんな印象を持つ。


「初めまして。キャロル。私はルルよ
仲良くしましょうね」


会ったばかりなのに とても心を和ませてくれる‥‥そんな気持ちまで抱いて、私はルルが気に入ってしまった。









優しい笑顔に惑わされて。



‥。

No.3 08/08/24 22:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 2 ‥ルルとの、お別れは直ぐだった。


お母様が その日の内に辞めさせたからだ。


あの時、私はルルの膝に乗り絵本を読んで、貰いながら甘えていた。


そこに ドレスを身に纏ったお母様が帰って来て


「何しているの!?
キャロル!早く寝室へ行きなさい」


と言って怒られたのだ。



渋々‥お部屋へ行ってベットに入ったものの、なかなか眠れない。



(何で あんなに怒るのよ!? 私たち何も悪い事してないのに)


そんなムシャクシャした気持ちで一杯だった。



それでも 時間が経てばウトウト‥し始めて来たけれど、階下から もの凄い声が響き渡る。



‐‐お父様とお母様の喧嘩‐‐



(私が出て行ったら
ケンカやめるかな?)


ふと、そんな考えが浮かんで 扉を開け
階段を掛け降りた。


「お父様ー。お帰りなさい」


ドキドキしたけど、声を掛けてみる。


すると2人共 ケンカをやめて、一瞬だけ静かになり お父様が私の方に来て
優しく抱きしめた


「ただいま。キャロル」


「あのね!今日ベビーシッターさんが来てね‥」


どれだけ楽しかったか、話そうとした時お母様が こう言い放つ


「ルルなら辞めて貰ったわ」

No.4 08/08/24 22:53
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 3 ‥「どうして!?」


ビックリして声を上げた。


「あの人は、ベビーシッター失格だから。

まだ小さい貴女を、こんな夜中まで寝かしもせず 絵本を読んで甘やかしていたわ。

それだけじゃないの。

キャロルが部屋へ行った後、キッチンへ向かうと ピザやポテトにジュース‥体に悪い物ばっかり!食卓に並べてた様ね。残骸が散らばってた。


そんな人に任せられないからよ」



「だけど 今日だけだったかも知れないわ!」


優しくて 楽しかったルルと突然過ぎる別れ。


たった1日位の事で離されてしまい、納得が行かなかった。

もう1つ加えるとすれば、この時 お父様が何も言ってくれなかった事も悲しかったのだ。


お母様の言葉に賛成したのか‥それとも言えば、ケンカになる。私の前だから口にしなかったのかな。


どっちにしても、黙っていた事に変わりなく とても辛い気持ちで また部屋に戻る。


その後‥‥2人は再びケンカを始めていた様だ。



◇◇◇



1週間が過ぎた頃
新しいベビーシッターがやって来た。


背が高くスラリとしていて、目映いブロンドヘアーを高く結い上げている人で、名前は フィネ。


美人で



意地悪そうな人‥

No.5 08/08/25 09:14
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 4 ‥フィネは、今日1日のスケジュール表を見せながら細かい所まで、お母様にスラスラと計画を話して行き


「必ずしも この通りに進められるとは限りませんが、規則正しい生活になる様に心がけます」


とキビキビとした言い方で伝える。


私は それが怖くて嫌だった。


だけど お母様は


「キャロルを頼みますね。


この子、放っといたら幾らでも夜更かしするし お菓子ばっか食べますの」


と答えたのだ。


フィネの言葉や態度に安心した様な瞳で。


そして、また家を出て行く。



◇◇◇



「あの‥フィネさん。


ご本を読んで下さる? 昨日ね、お父様が買って来てくれたのよ」


(怖そうに見えるけど、本当は優しいのかも知れない)


そんな小さな期待を持って 訊ねてみた


「キャロル様。貴女は5歳でしたね?

それなら 簡単な文字位、読み書きが出来なくてはなりません」


フィネは 腕を掴み机の前に座らせて、幾つかの字を教えて来る


お勉強なんて1つも面白くなかったけど 頑張って覚える様にした。フィネに怒られるのが嫌だったから。



まだ30分しか経ってないのに、何時間も経過している様な気分になって来た頃

No.6 08/08/25 10:04
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 5 ‥「今 覚えた事をテストしますよ」


と言われて、否応なく受けさせられてしまった。


(間違ってたら どうしょう‥。凄く怒られるかな)


とても不安な心で、習い立ての文字を書いていく。



結果は、1つだけ間違えていた。



「まぁ こんなものでしょ」


怒られもしなかったが、褒められもしない。


「今日のお勉強は此処まで。続きは又明日ですよ」


(続きが、まだ有るんだ‐‐)


思わず溜め息が出てしまう。


そんな私を見ても、何も言わず ただ ただ自分が立てた計画通りに事を進めるフィネ。


「次は 外に出かけますよ。戸外の空気も吸わないとキャロル様の体の為になりません」


本当は、お部屋で 遊びたかったけれど キリッとした瞳で見おろされれば 何も言えなかった。



◇◇◇



フィネに連れて行って貰った場所は、お家から少し遠いけれど 歩いて行ける所。

雑木林の奥にあってそこを抜けると、見た事もない花畑が広がっていたのだ。


周りは木々で囲まれていたけれど、とても大きくて広々している。



「わぁ!とっても綺麗ね。まるで“花園”みたい」


目を奪われ、足を踏み入れてしまった。




‐禁断の地に‐

No.7 08/08/26 00:19
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 6 ‥色とりどりの花々どれも これも凄く綺麗で、とても良い香りが包み込む。


そこに 女の子がポツン‥と1人で座っていた。


「こんにちわ」


自分から声を掛けると、その子は ゆっくり顔を上げただけで何も言わない。


「恥ずかしいのでしょうね。さぁ 帰りますよ」


フィネが 促して来た


「えっ? でも もっと遊びたいわ。今 来た所なのに」


大人しそうな その子と仲良くなりたかった。でも‥‥


「駄目です!!帰らないと、計画通りに行きませんからね」


私の手を強く掴んで、引きづる様に 歩き出す。



「バイバイ。また会いましょうねー」


ずっと こちらを見続けている女の子に挨拶をして、フィネと 花園を後にしたのだ。



◇◇◇◇


その日の夕食は、レストランで。


“自然食”で作られているから 体に良いとフィネが教えてくれた。



本当は仲が悪いのに私や人前でだけ、仲良しのフリをする両親と食卓を囲むよりも‥この方が楽しいと 私は感じ始めていたのである。



「フィネさんは、ご自分のお父様とお母様が好き?」


思わず訊ねてしまう。


驚いた様に、私を見て 初めての微笑を浮かべた。



-涙と共に-

No.8 08/08/26 13:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 7 ‥「どうして泣いてるの?」


私が聞くと、フィネは 側に来て


「キャロル様の瞳が、寂しそうだったからよ」


と言い抱き締めてくれた。


“寂しい”気持ちよりも、お父様とお母様が本当に仲良くなって欲しい。その思いの方が大きかったけど‥フィネからの包容と優しい言葉に反発が出来なかった。


それ程 暖かみを感じていたから。



◇◇◇



食事を済まし、家へ帰った後 彼女は又さっきと同じで 厳しい口調・態度に戻った。


フィネの立てた計画表には、無駄な動きが1つも無い。


そして 私をそれに合わせ様とするから 1つ1つの行動を早くしなければ、ならなかった。


だから 1日が終わる時には もうクタクタで就寝時間には ぐっすり眠る事が出来たのだ。



夜中になり、突然お皿が割れる音・喧噪に目を覚ます。


いつものケンカ‥にしては、激し過ぎだったから急いで 声のする方へと向かった。


この時も 私が行くと2人共 ケンカをやめ、こっちに来る。

お母様からは、お酒の香り。お父様からは‥香水の匂い‥が漂って来た。


‥仲良しのフリをして私にキスや頭を撫でる‥。




その途端 胸の苦しみと吐き気が襲い、目が回った。

No.9 08/08/26 20:55
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 8 ‥凄く 気分が悪くて、悪くて 必死に
2人に助けを求めた。



お酒の匂いをプンプンさせながら、私を抱くお母様。


「何 ボサッと覗き込んでるの!? お医者様を呼んで頂戴!!

この子の為に動けなくても、他の女の為なら動けるわけ!?」


金切り声だ。


「一過性のものかも知れないだろ!?

少し様子を見てから呼ぶのは駄目なのか!?」


怒鳴るお父様。



その後 2人は


「別れてもキャロルは渡さない!!」


と言い合っていたのを覚えている。



私は それに答えたかったけれど、口が痺れて来て 話せず 胸の重苦しさに加え、吐き気まで増した為 話せずにいた。



だから 心の中で
叫び続けたのだ



《私は、お父様とお母様の子供!!


どちらか1人の子じゃない!》






2人の間で、体も心も引き契られそうだ。

No.10 08/08/26 21:55
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 9 ‥それからの記憶は無くて、気が付くと自分のベットの中だった。


少し頭が痛かったけれど、ゆうべの様な気持ち悪さは消えていたのだ。


部屋を出ようとした時 お父様に会った


「おはよう。キャロル。具合はどうだ?
仕事へ行く前に、様子を見たくて」


屈み込み 額に手を当てたり、外れ掛かっていた寝着のボタンをはめ 色々 体の事を聞いて来て、私は それに答える。


「‥あのね 頭がちょっとだけ痛いのよ」


「じゃあ 下へ行って薬を取って来る。仕事へ行くまで、まだ時間が有るからな」


「一緒に行く。お母様に会いたいもの」


朝であっても、夜であっても 私が居ないと喧嘩をする。あんな声 聞きたくなかった。そういう理由で言ったのだが、お父様は 繋いでいた手を、きつく握って来たのである。


「キャロルは俺の子だ」


と呟いて。


その時の雰囲気が険しくて、私は何も答えられなかった。



リビングで お母様とフィネが話をしていて お父様は、いつもの様に目も合わさず


「頭痛薬は、何処かな? キャロルが痛いと言ってるんだ」


と柔らかい口調で、お母様に訊ねる


「こっちよ。キャロル いらっしゃい」

No.11 08/08/26 22:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 10 ‥お母様も視線を外して、優しい言葉遣い。


・・私とフィネの前だから・・




キッチンで頭痛薬を飲んだ後


「今日は お家に居てね。お母様」


お願いをした私に、お母様は こう答えたのである


「そうしょうと思ってたんだけど、昨夜みたいな事が起こった時の対処方法を、お医者様に聞いて来ようと思うの。


今日の用事は それだけにするわね。


早く帰って来るからフィネと待ってて」


軽い包容をしてから私を連れ、再びリビングへ。



お父様は もう仕事に行った様で姿は無かった。



「私も出かけるわ。フィネ‥後は宜しくね」


手早く身支度を整えて


「いい子にしてるのよ。キャロル」


と告げ 額にキスしてから、お母様も
さっさと家を抜けて行く。


フィネが、きびきびした態度で


「朝食を取れそうなら、早く着替えなさいよ。口に出来ないなら 寝てなさい」


そう言い放った。


「うん‥」


取り合えず部屋へ行こうとした時、溜め息まじりに彼女が こう言ったのが耳に入る


「全く‥あの2人は
キャロル様の心なんて考えてない」


嬉しかった。フィネが、私の気持ちを分かってくれてる。



そう思っていたから‥

No.12 08/08/27 07:42
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 11 ‥グズグズしていると、怒られるので
部屋に戻り ベットに入った。まだ頭の痛みは引いていない為だ。


15分程度 経った時、フィネがドリンクを持ってやって来た。


「食事を口に出来なくても、水分くらいは取らないと駄目です」


そう言われて、私はそれを飲む。とてもサッパリしていて痛かった頭がスーッとする感じ。それに、凄く美味しくて グラスを空っぽにしたのだ。



午前中は そのままベットで過ごしたけれど、午後になれば 痛みも何もなく元気になる。



“直ぐに帰る”


と言ったお母様は、まだ帰って来ていない‥。



「キャロル様。外に出ましょうか。辛気くさい顔をして 籠もっているよりは、気分転換になりますよ。例え30分でもね」


計画表と時計を見ながら、話すフィネ。


確かに いつ来るか分からない人を、何もせず ただ ひたすら待つ時間は長い。


私の為と言うより、計画表を重視されていても ずっと家にいるよりは楽しいかも知れない。



「じゃあ 昨日、行った花園に行きたいわ」


「花園‥? あぁ!あの花畑ですね。いいでしょう」



「今日も あの女の子に会えたらいいな」


私の言葉に、フィネの表情が一瞬 変わった

No.13 08/08/27 22:09
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 12 ‥“会っては、いけないの?”


そう訊ねたかったけれど、そこで返って来る答えが


“やめておきなさい”


だったら‥ガッカリしてしまうので、黙っておいたのだ。



それから 花園へ着く迄 フィネは一言も喋らず 足早に歩いた為、着いて行くのに必死で ほぼ走っている様な状態であった


◇◇◇


目的地に到着した時息切れがしていたけれど、顔を上げると昨日の女の子が座っているのを見つけ
また 側に近づく


「え‥と。昨日も会ったよね。私の名前は キャロル 5歳なの。貴女は?」


「セシリー。私も5歳よ」


容姿に似合う、物静かな話し方をする子だ。


「ご近所には、同じ年の子が居ないのよ。一番 近い年で
13歳なんだけど‥たまにしか遊んでくれないんだ。だからね、同じ年の子が居て嬉しいな」


右手を差し出して、握手を求める


「‥遊んで貰えるだけでも幸せよ‥。私には そんな人いてないから‥‥」


消え入りそうな声
悲しげな瞳。


何だか こっちまで
悲しくなって来た。

「それは今までの事
今日からは違う。私がセシリーと遊ぶもの。いいよね?」


仲良くなりたくて笑顔を向けると、怖い程の白い手で 握手を返してくれた

No.14 08/08/27 22:33
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 13 ‥「有り難う・・」


かすかに微笑みを浮かべるセシリー。


早速 花冠や首飾りを作ったり 指輪も創作して遊んだ。


とても楽しく過ごしていたのに、フィネが入り込んで来て
また 慌ただしい別れを告げ 家路に。


途中で 彼女は花で作った物を、はぎ取り 流れが急な川へと投げ捨てたのだ



「酷いわ!どうして、そんな事するの!?」



“仲良しの証”


としてセシリーと作ったのに!



「ずっと 付けていれば、皮膚が被れるからです。あの子の目の前で捨てるよりは 良いでしょう?」


それは そうだけど‥‥納得が行く様な行かない様な心境だ。



◇◇◇



家の前に、馬車が止まっていて お母様が降りて来るのが見えた。待たされてた事など 頭から飛んで行き 私は走って
そこへ行ったのだ。

「キャロル。外に行ってたの? 具合は?」

心配してくれて、喜ばしかった。



でもね お医者様の所から“直ぐ帰る”と言っていた筈なのに、お母様の足下には



お洋服や靴などが入った紙袋が沢山 沢山置いてあったのだ


(お遊びしてたのね‥)



チクッと胸が痛み、体に重みを感じる。


私は、話す気力を失い トボトボと家に入った

  • << 16 こんにちは😃 新作も面白いです~。 応援してます✨頑張って下さいね🙌
  • << 18 ‥自分の部屋では無く、別室に行き椅子に座る。此処は、特別な物があるとか 思い出があるとか、そういう事は無かった。 単に“好きな場所”それだけ。 お父様とお母様の事を考えれば、考える程 胸や体の重み・気分の悪さが増して来る様であった そんな 私の元へ来たのは フィネ。 「何をしてるのですか!? 今日の分の勉強はマダ終わってませんよ!」 と厳しい口調 「気持ち悪いもん。出来ないわ!」 そう言ってみたが、彼女は 休ませてくれ様ともせず 答える 「キャロル様の体調不良は、神経性のものです。何か別の事に打ち込めば 気が紛れますよ」 「神経性って?」 フィネが 側まで来て私の頬に手を当てた 「お父様とお母様の事で、悩み過ぎて心が助けを求めているのですよ。 私は医者でも仲介人でも有りませんからね 貴女を治す事も お2人の仲を円満にする事も出来ません。 知識も無いのに、中に入ると余計 悪くなる場合が有るから 敢えて何もしないし、キャロル様の悩みを消し去る事も無理です。 だけど その苦しみを軽くする事なら出来ますよ」 それに返答しょうと口を開きかけた時、お母様が私を呼ぶ声が聞こえてきた。

No.16 08/08/28 14:55
ぷりん ( ♀ gcMN )

>> 14 ‥「有り難う・・」 かすかに微笑みを浮かべるセシリー。 早速 花冠や首飾りを作ったり 指輪も創作して遊んだ。 とても楽しく過ごし… こんにちは😃
新作も面白いです~。
応援してます✨頑張って下さいね🙌

No.17 08/08/28 15:38
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 16 ☆ ぷりんさんへ ☆

こんにちわ😊


この作品にも、遊びに来てくれて嬉しいです😃


応援メッセージ有り難う。


頑張りますね!

No.18 08/08/28 16:24
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 14 ‥「有り難う・・」 かすかに微笑みを浮かべるセシリー。 早速 花冠や首飾りを作ったり 指輪も創作して遊んだ。 とても楽しく過ごし… ‥自分の部屋では無く、別室に行き椅子に座る。此処は、特別な物があるとか 思い出があるとか、そういう事は無かった。


単に“好きな場所”それだけ。



お父様とお母様の事を考えれば、考える程 胸や体の重み・気分の悪さが増して来る様であった



そんな 私の元へ来たのは フィネ。


「何をしてるのですか!? 今日の分の勉強はマダ終わってませんよ!」


と厳しい口調


「気持ち悪いもん。出来ないわ!」


そう言ってみたが、彼女は 休ませてくれ様ともせず 答える


「キャロル様の体調不良は、神経性のものです。何か別の事に打ち込めば 気が紛れますよ」


「神経性って?」


フィネが 側まで来て私の頬に手を当てた


「お父様とお母様の事で、悩み過ぎて心が助けを求めているのですよ。


私は医者でも仲介人でも有りませんからね 貴女を治す事も
お2人の仲を円満にする事も出来ません。
知識も無いのに、中に入ると余計 悪くなる場合が有るから 敢えて何もしないし、キャロル様の悩みを消し去る事も無理です。


だけど その苦しみを軽くする事なら出来ますよ」


それに返答しょうと口を開きかけた時、お母様が私を呼ぶ声が聞こえてきた。

No.19 08/08/28 17:00
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 18 ‥「此処に居たのね。キャロル。突然
母様の元を離れて、家に入ってしまったから心配したのよ」


「本当に“心配”してくれてた!?」


ちょっと大声を出してしまい 自分の声が頭に響いた。


「当たり前でしょう!
今日お医者様の所に行ったら、休診でね隣町にまで行ったのよ。そこは開いていたけれど 患者さんが一杯。やっと順番が来て話してみたら

“後日 お伝えします”


で終わりよ」


呆れた様な仕草をして話す。


隣町のお医者さんの所から帰る途中で、有名な洋菓子店に立ち寄ったそうだ。


「ブラマンジェを買って来たの。好きでしょう? これなら、気分が悪い時でもスルっと入るわ」


これは 私の大好物だ。ミルクで作られプルンプルンして、美味しいし 食べ易い。


「うん。大好きよ。食べたい」


と言うと お母様が優しく抱きしめてくれ‥少しずつ 気分の悪さは引いて行く。


「丁度 3時だし、皆で食べましょう」


お母様の言葉で、食卓へ。


そこで、私は花園で会ったセシリーの話をした。


すると お母様が、両肩を掴み 軽く揺さぶって追求する様に問いを投げかけて来たのだ



「キャロル! その子は何処に住んでいるの!?」

No.20 08/08/28 20:05
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 19 ‥「知らない。聞いてないもの」


突然の言動にビックリして答えた。


「じゃあ その花園は何処にあるの?」


真剣な眼差しを向けて お母様は訊ねてくる


「あのね‥‥」


本当に言っていいのか、どうか心配になりながらも話しかけた時 フィネが口を挟む。


「奥様。そんなに問い詰めては キャロル様が不安になってしまいます。


私が後で説明しますから ご安心を」


隙を与えぬ様な口調で、それを告げてから私に向き直る。


「おやつの時間は、終わりです。さぁ次は勉強をしましょう。ダラダラしていては、時間が勿体ないですからね」


席を立つ様に促され 部屋へと追いやられた。



◇◇◇



「ねぇ フィネさん。お母様は、何故あんなに必死でセシリーの事を聞いて来たのかしら?」


「知りませんよ。お母様に聞いてみないと。それより早く、計算をしなさい!」


私は、数字が書かれた紙を見ながら、頭は違う事を考えていたのである。



(セシリー‥どっかで見た様な気がするのよね。大人しくて優しくて 可愛い。そして あの真っ白な肌)


‥思い出した!!

1番 初めに来たベビーシッタ―


(ルルよ!セシリーはルルに似てるんだ)

No.21 08/08/28 23:56
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 20 ‥「まだ1問も解いてませんね!」


フィネの声は明らかに怒っていた。


慌てて 計算問題を解いたけれど、殆ど間違っていて 勉強時間を増やされてしまったのである。



途中まで行く前から投げ出したくなる位 勉強が嫌で嫌で仕方なかったけれど、良い事もある。


珍しく早く帰宅して来たお父様が、部屋を覗き そして誉めてくれたからだ


「一杯 勉強をして偉いぞ。キャロルは、父様の自慢の子だよ」


頬へキスしてくれた時 前から気になっていた事を訊ねた


「この前 お父様から香水の匂いがしてたけど、今日はしないね。どうして?」


「あぁ。あれは、足を挫いて道端に座り込んでいた女性(ひと)を、介抱した時に付いたんだ。


母様は信じてくれなかったけど、キャロルは信用してくれるだろ?」


仕事ばっかりのお父様だけど、嘘はつかない‥。だから その言葉に大きく頷いた。


そして 私の中で少しずつ心に変化が生まれていたのである


手厳しいフィネ。言う事を聞き 動いていればーーお父様もお母様も、今までより もっと私の事を考えてくれて 側に居てくれる。


その事から、彼女への苦手意識は薄らいで行った。




何の疑いも持たずに


No.22 08/08/29 09:15
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 21 ‥お父様とお母様の仲は、相変わらずの状態が続いていて、月日が経つ内に いつしか私は 朝食が済んだ後、フィネの到着を心待ちにする様になっていた。


別に 彼女の言動が柔らかくなった訳じゃなくて こちらも
相変わらずである。

お勉強を、なかなかしなかったり イタズラをした時は怒られるけど 決して手を上げる事は無かったし、夜もお父様かお母様が帰宅する迄 必ず家に居てくれる。


それから 花園にも連れて行ってくれて セシリーとも会わせて貰えた。


つまり 両親よりもフィネと過ごす時間の方が多く、私自身 彼女に慣れ 段々と好きになって来たのである。



花園に限らず、散歩へ連れ出される時でも 美人のフィネは
道行く人達が思わず振り返る程だった。

男の人に声を掛けられる事も有り、それには軽く笑みを浮かべて 答えはするけれど、無駄話は一切せず颯爽として その場を離れ歩き出す。


そういった姿も彼女には とても良く似合っていて ご近所の女の人からも、好印象を持たれていたのだ。


男の人に媚びを売る様な事はしない


同性と異性の前で、態度を変える事も無く どちらも同じ姿勢で接する


口調はともかくとして、頼りになる面がある

No.23 08/08/29 10:35
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 22 ‥などなど そういった点から好かれている様だ。


だからと言って、フィネは図に乗る事もない。


彼女が立てた計画表通り・時間配分内にキッチリと動かされるのは 窮屈に感じるけれど 放ったらかしにされたら されたで、私は何も出来ない気がしていた為 非難なんて口にしなかったのだ。



さて セシリーとの仲だが、益々 良くなっていて 少しずつ状況も分かって来た。


両親は、目の前で大喧嘩。毎日 飛ばっ散りを受けるのがセシリー。揃って


『お前さえ居なければ 簡単に別れられるのに!!』


と怒鳴られる。


互いに、セシリーを押しつけ様としてみたり 食事もマトモに与えて貰えない。また、家のお金が少ない為 ベビーシッターも雇って貰えず近所の人は、そんな家庭の子を遠巻きに見てるだけ‥‥。



「キャロルは幸せよ‥」



どんな会話をしてても、お遊びをしていても 必ずセシリーは この言葉を口にする。





いつの日か、お父様とお母様‥どちらか片方を選ばないとならない時が、来るかも知れない私。




はっきり言って辛い選択だ。


それの何処が




“幸せ”


なんだろう‥?




私には 分からない。



No.24 08/08/29 20:08
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 23 ‥「何か、怒らせる様な事を言ってしまったかしら‥‥?」


私が急に黙ったせいか、セシリーは おどおどして訊ねて来た。


「ううん。怒ってないよ。気にしないで」


そう言ったのだが、

「でも‥‥」


と やたら気にして来たので、そんな事ないと分かって貰いたくて


「本当に怒ってないってば。ねっ!折角 仲良しの友達になれたんだもの。私のお家で遊ばない?


良かったら ご招待するわ」


とお誘いを掛けたのだ。


「ありがとう。じゃあ ママに聞いてみる。明日お返事するね‥‥」


セシリーの声は、いつも言葉の最後が小さく消えていきそうだ。


「そうだ。貴女って何処に住んでいるの?」


「この場所から反対の所‥‥」


恥ずかしそうに俯いてセシリーは答える

私が住んでいる町とは、正反対の場所だからであろう


「恥ずかしがらなくても大丈夫だわ。笑ったりしないからね」


お父様とお母様が、よくしてくれる様に 私も彼女へ包容をしてみた。


そして‥


「貴女のママって、お名前は何と言うの?」


ルルに似たセシリーに訊ねてみた時、フィネが私を引き離す。


この日は 別れの挨拶すらもさせて貰えず 連れ帰されたのだ

  • << 26 ‥「あんな事するなんて、セシリーに失礼だわ」 フィネに引っ張られながらも、私は話す。 「失礼なのは 貴女ですよ。キャロル様。アレコレと詮索するなんて。もう少し考えなさい!」 と彼女から、注意を受けてしまった。 ◇◇◇ 今日は 家に帰っても、お父様もお母様も居なかった‥。 フィネが以前、教えてくれた様に2人の事を考えると 胸が苦しくなり気分も悪くなる。そんな時、口調は厳しくても看ていてくれるのは彼女であった。 ◇◇◇ ** 翌朝 ** いつもと同じ様子の両親と朝食。 「お父様、お母様。 お友達のセシリーを お家に呼んだけど 連れて来ても良いよね」 その言葉に、お父様は直ぐ頷いてくれたが お母様は少し考え込んでたものの了承してくれた。 「そうだわ。この前 セシリーが何処に住んでいるか聞いてたでしょう? あれね 花園の反対側の所で暮らしてるんだって」 「花園‥?あの花畑の事か?反対側の地域に、セシリーなんて子いたかなぁ?」 お父様が腕を組み、首をかしげる。 お母様は、私を不信な目で見つめていた。 セシリーを信じたい気持ちが広がる。 嘘つきじゃないと。

No.26 08/08/29 22:35
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 24 ‥「何か、怒らせる様な事を言ってしまったかしら‥‥?」 私が急に黙ったせいか、セシリーは おどおどして訊ねて来た。 「ううん。怒って… ‥「あんな事するなんて、セシリーに失礼だわ」


フィネに引っ張られながらも、私は話す。


「失礼なのは 貴女ですよ。キャロル様。アレコレと詮索するなんて。もう少し考えなさい!」


と彼女から、注意を受けてしまった。



◇◇◇



今日は 家に帰っても、お父様もお母様も居なかった‥。


フィネが以前、教えてくれた様に2人の事を考えると 胸が苦しくなり気分も悪くなる。そんな時、口調は厳しくても看ていてくれるのは彼女であった。



◇◇◇



** 翌朝 **


いつもと同じ様子の両親と朝食。


「お父様、お母様。
お友達のセシリーを お家に呼んだけど
連れて来ても良いよね」


その言葉に、お父様は直ぐ頷いてくれたが お母様は少し考え込んでたものの了承してくれた。


「そうだわ。この前 セシリーが何処に住んでいるか聞いてたでしょう?
あれね 花園の反対側の所で暮らしてるんだって」


「花園‥?あの花畑の事か?反対側の地域に、セシリーなんて子いたかなぁ?」


お父様が腕を組み、首をかしげる。


お母様は、私を不信な目で見つめていた。



セシリーを信じたい気持ちが広がる。



嘘つきじゃないと。

No.27 08/08/30 07:08
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 26 ‥「でも、そう言ってたもん!」


持っていたコップを音を立てて テーブルに置く。


2人とも私とセシリーの話を疑ってる気がして腹が立ったから。


「頭に来たからと言って、そういう態度は感心しないな」


お父様に窘められ、お母様は こう告げた


「ちゃんと、セシリーの都合も聞いて
いつにするか教えて頂戴。貴女の大切なお客様だから、母様も家に居て おもてなしをするわ」


私は とても嬉しくって自分から抱きついて頬へキスをする

お父様の側にも行き

「あんな事して御免なさい」


と謝り 許して貰った。



ーー 物事(状況)が、確実に動き出したのは この日あたりである ーーー



◇◇◇



私が花園へ向かったのは、2日後だった

大雨が降り続いて、行けなかったからだ。


やっと、晴れ間が広がったある日の事。

フィネと一緒に花園へ向かい セシリーと会う。そして会話を楽しんだ後に、お家で遊ぶ日時を決めた


いつもなら、慌ただしいお別れをする事になるのだが 珍しくユックリと挨拶を交わし 花園を後にする。


「ちゃんとした挨拶を出来るなんて初めてよ。今日は どうして引っ張る様にして帰らないの?」


素朴な疑問

No.28 08/08/30 07:32
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 27 ‥「挨拶の時間を与えても、与えなくても何か1言 言うのですね!」


フィネの威圧的な言い方を聞くと 何故か口を閉ざしてしまう。


(別に文句を言った訳じゃないのに)


そんな気持ちがあった



「買い物が有りますから、此処へ寄りますよ」


近くのお店へ。


そこは まぁまぁ広い店内で、雑貨だけでは無く 小麦粉 砂糖などの食材・小さなお菓子。2階には布地や服が売られているのだ。


勿論 専門店でも・大きなデパートでも無いから 種類は少ないけれど、ちょっとした物を買う時など よく利用されていて(余談ではあるけれど‥)私が今 着ているウサギさんの刺繍入り下着も 此処で買って貰ったもの。お気に入り!



◇◇◇



フィネが、色々見て回っている時‐‐ふと お父様が今朝、セシリーに対しての疑問を口にした事を思い出した。



(此処からなら、花園まで直ぐに着くし一度 反対側に出てみょう。セシリーの家があれば 嘘じゃないって、お父様に証明出来る筈)



自分が作成した計画表を、基盤にしているフィネが この行動を許してくれる訳ない。



だから 後ろを向いてる隙に、お店を出て行き 目的地に向かったのだ。


一人で。


No.29 08/08/30 12:41
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 28 ‥花園には、誰もいない。きっとセシリーも家に戻ったんだと思った。


花の絨毯を駆け抜ける‥のは良いけれど 見た目通り、広くて大きい場所だったから 反対側に着いた時点で 心臓がバクバクして息切れをしたのだ。


それは なかなか止まらなかったけれど 歩けない程では無かったから、小道を進み セシリーが住んでいると言う地に着いた。



そこは、豊かな田園が広がっていて 何処の通りを見渡しても砂利道しか無い。

私が住んでいる所も砂利道は有るけれど ガラスの破片とか
怪我を招いてしまう様なゴツゴツした石は全て取り払われていた為、この道の風貌に少々 驚いていたのだ。



セシリーが、話してくれた家の外観を頼りに 探し始めた


だけど見つからなくて、不安と心配になりかけた時‥本人が肩を叩き 声を掛けてくれたのである



「キャロル どうして此処に? 何か御用なの‥‥?」



「あぁ! セシリーっ!会えて良かった。本当に良かったわ」


ホッとして、レースをあしらったワンピースが汚れるのも構わず 染み付きの服を着ているセシリーに抱きつく。


その姿を、この地の住人達が 気味悪そうだったり 白い目で見ては通り過ぎて行った‥。

No.30 08/08/30 16:41
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 29 ‥それに慣れてはいるが、やっぱり辛そうなセシリーと手を繋ぎながら 私は道行く人達に大きな声で


「どうして、そういう目で見るの!?‥何か悪い事でもしましたか!?」


そう言うと、びっくりされたけど誰も何も答えない。



「セシリー あんな人達の事なんて気にする事ないからね。

心を傷つけるなんて最低だわ!」


この日 私は、苛めや凶器に変わるのは

手足(殴る・蹴る)や言葉の暴力だけじゃなく『目』‥視線‥だって それになる時があると知ったのだ。



「ありがとう。キャロル。ああやって、言ってくれたのは貴女だけよ‥。所で何故こちらへ?‥‥」


それに、答え様と口を開きかけた時の事 そこら中に甲高い声が響き渡り こっちに近づいて来たのである。


「ママ‥‥」


セシリーが怯えながら その人を見あげた。



髪を振り乱し、つり上がった目はギラギラとしている。胸元も大きく開かれ、スカートも皺だらけ。
長い長い爪に、怖い位の真っ赤な口紅。

セシリーのママはルル‥‥それは大間違いだと、この人を見て分かった。


自分の娘を突き飛ばして 私の髪を掴む。


「アンタ何処の子だい!?」



怖くて 怖くて‥意識を失った。

No.31 08/08/30 20:03
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 30 ‥目を開けると、そこは花園の中でセシリーが心配そうに、私を覗き込んでいた。


「大丈夫? 本当は、貴女の家まで送りたかったけど 場所が分からなくて御免ね‥‥」


どうやって運んでくれたのか知らないけど、セシリーの格好を見れば 一生懸命 ここまで送って
近くに居てくれた事位 私でも分かる。


「謝らなくていいよ。有り難うね」


本当は もっと感謝の気持ちを伝えたかったけれど、まだ頭がクラクラしていて話せなかった。



目を閉じたり‥開けたりする姿を見て、セシリーは自分の住んでいる地にある小さな病院へ駆け込んだ様で お医者様を連れて来たのが視界に入る。



◇◇◇◇



次に目覚めた時は、自分のベット。


(あの、お医者様がお家まで運んでくれたのかしら? セシリーは?)


起きあがったと同時に 頭が割れそうに痛く気分も最悪だ。

「フィネさん‥?」


こんな時 いつも側に居てくれるのはベビーシッターの彼女。お父様とお母様じゃない!


私は、フィネの姿を探し求めて部屋を抜ける。


物音で気付いたのか走って来たのは、両親。


お母様が持っている手紙‥その中身が見える



‐キャロル・ステラ
入院の可能性あり‐

No.32 08/08/30 21:54
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 31 ‥「入院って何!?
頭が痛くて気持ち悪くなったら、病院に入れられちゃうの?

そんなの嫌よ‥!」


頭痛と動悸が激しくなり、お母様から離れる。ふらついた私を お父様が抱き止めてくれたけれど


「大丈夫だ。キャロル お前は何処も悪くない。父様が守ってあげよう」


「お父様だけ?私は、お母様にも守って欲しいのに。2人がいいのよ!!」


今までの中で、1番言いたかった事を訴えた。



それでも 両親は互いに目を合わせ様としない。私を間に挟み


どちらがより多く


“キャロルが大切で愛情を持っている”

と競争でもするかの様に話してくるのだ。



「‥仲直りしてよ‥」


もう 限界に達していた。



両親の事を考えると 体中の嫌悪感が、いつも酷くなる。


仲良くして欲しい


そうじゃないと、この心の苦しみ・体の痛みから逃れられないんだ。



(仲直りしてくれなかったら このお家を出よう‥)



そんな気持ちが芽生える。



離れてしまえば、お父様とお母様の事を考えずに済む‐‐入院だってしなくていい‐‐そう思った。

No.33 08/08/30 22:30
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 32 ‥私の考えは、アッサリと却下されてしまった。


翌日になり、フィネがやって来て 昨日の事を話してみた所

「何を言ってるんですか! まだ5歳の貴女が1人で出て行って どう生活するつもり!? 逃げても、直ぐに連れ戻されますよ」


体がマシになり立てでも 容赦なく言葉を浴びせて来た。


だけど 筋が通っているから反論出来ない。



それからの数日間、全く何の変わりばえもしない毎日が過ぎていたが、2つ嬉しい事が起こった



先ず お昼から夕方までセシリーを招き“プチ・パーティ”を開き


夜は、お父様の“お誕生日パーティ”を開くと お母様が言って来たのである


お父様も その日は早く帰ると約束をしてくれたし、プチパーティ・バースディパーティ共にフィネも参加して貰う事となり 私は本当に嬉しくて喜んでいた。





「‥パーティを開く時 その日がアナタの人生 最期の日よ‥」





フィネの呟きを耳にしたのは お母様だった。




だけど 何も言わず
ただ ただ私をギュッと抱きしめたのだ



もしも この時に彼女を追い出したとしたって‥結果は同じだったであろう





それ程 フィネの計画は綿密だったから


‥‥

No.34 08/08/31 09:46
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 33 ‥パーティ当日‥


この日 私はフィネから贈られたドレスを着て、セシリーの到着を待った。


本当は待ち合わせをして、連れて来ようと思っていたのだが 彼女のパパが此処まで送る‥とセシリーに話したそうだ。

それを聞いて 私は
どんなパパなのか、見てみたい好奇心が有り承知をして、お家までの道順を教えたのである。



お母様とフィネが、手分けして作ったお料理やお菓子。リビングの飾り付けは、まるで“おとぎの国”の様に可愛かった。


準備も整い、飽き飽きしない内に呼び鈴が鳴り 私は直ぐに玄関へ向かう。



「行らっしゃい。セシリー」



扉を開けて出迎える


「こんにちわ。キャロル。お招き有り難う」


今の時期には不釣り合いのお洋服。背丈にもサイズが合っていない。


きっと これが唯一の訪問着なんだと思う。


「君が娘の友達?」


そう言って来たのはセシリーのパパ。


ゴリラみたいな体格・顔立ちをしていたけど 優しい話し方をする人だ。


しかし子供が大嫌いで、自分の娘すら要らないと言った面も有るそうである。


セシリーを此処へ送って来たのは、たまたま気が向いただけの様で さっさと帰ってしまった。

No.35 08/08/31 10:12
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 34 ‥私は セシリーと手を繋ぎ、家の中に入る。


「素敵なお家ね‥‥いつか住みたい‥」


何度も何度も口にしていたので


「じゃあ お泊まりしに来て。好きなだけ居ていいのよ」


と言ってみたが、全く耳に入っていないのか 廊下の壁に飾ってある絵画や、棚に置いてある調度品をキョロキョロと見渡していた。



◇◇◇



「お母様 フィネさん セシリーが来て下さったわ」



「こんにちわ。セシリー。今日は楽しんで下さいね」


フィネが声を掛けたけれど、お母様は何も言わずにいて、瞳に驚きの色が現れていた。



「どうかしたの?」



私は訊ねる。



「何でも無いわ。セシリー よく来てくれたわね。ゆっくりして頂戴」



笑顔を向けたのは良いが 彼女と全く視線を合わさない。


お父様とも目を合わせないが それ以上である。



(どうして そんな事をするのだろう‥?)


後で聞くつもりでいた。今は セシリーに楽しんで貰う事が先決だから。




******



私が感じたこの疑問


答えを聞かない方が良かったのかも知れない。







‐‐知らなくて


“幸せ”


と言う事も有る‐‐

‥‥。

  • << 38 ‥プチ・パーティはお絵かきやゲーム、お洒落ごっこ・おままごと等 時間も経つのも忘れ、2人で夢中になって遊んだ。 そして ティータイムの時 フィネが、セシリーに訊ねる 「帰りも、お父さんが迎えに来てくれるのですか?」 すると 彼女の顔色は、どんどん沈んで行き 隣にいる私でさえ、耳を傾けないと分からない位の声で 答えていた 「‥パパは来ない‥ママが来るって。この近くのお店に行きたいから、ついでに‥‥」 フィネもお母様も、全く聞こえないとでも言いた気な表情だったから、私が代わりに伝えたのである。 「それなら 来てくれた時に、貴女のママにも家にあがって、貰いましょうね。ご挨拶したいわ」 そう言ったのは、お母様なのだが 焦点は合わず言葉だって たどたどしい。 セシリーは 顔を真っ赤に染め俯き首を横に振っていた。 「嫌です‥‥」 “母親を見せるのが恥ずかしい” そんな様子が、ありありと出ていたのだ またも 声が小さ過ぎた為に私が伝えた。 「じゃあ 控えておくわね。無理強いは良くないから」 お母様の返答に、安心したセシリーだが私もホッとしていたのである。

No.36 08/08/31 13:20
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

澪さん、こんにちは!
(^O^)/
店暇になったんで一気にここまで読みました😚
セシリーがキャロル邸に来たことで、これから更に物語が動く気配がビンビンと伝わってくる☝😲
何故、母親はこんな態度を取るのか…先を楽しみにしとります😊
花嫁👰修業や色んな事しながら更新大変と思うばってんが更新頑張って下さい💪😤

あっ、それから大分風邪具合良くなったばい😉
責めの言葉が効いたか➰🔥😂
なにわともあれレス有難うです💦応援してます😚💦
   〆 ペコリ
m⊆(_ _)⊇m

アル🍺

No.37 08/08/31 21:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 36 ☆ アルさんへ ☆


応援レス有り難うございます😃


今回の話しは、早く終われると思いますので( 多分 )前回 同様、宜しければ最後まで お付き合い下さいね。



それから 風邪マシになって来て良かったです(=^▽^=)

No.38 08/08/31 22:03
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 35 ‥私は セシリーと手を繋ぎ、家の中に入る。 「素敵なお家ね‥‥いつか住みたい‥」 何度も何度も口にしていたので 「じゃあ お泊ま… ‥プチ・パーティはお絵かきやゲーム、お洒落ごっこ・おままごと等 時間も経つのも忘れ、2人で夢中になって遊んだ。


そして ティータイムの時 フィネが、セシリーに訊ねる


「帰りも、お父さんが迎えに来てくれるのですか?」


すると 彼女の顔色は、どんどん沈んで行き 隣にいる私でさえ、耳を傾けないと分からない位の声で 答えていた


「‥パパは来ない‥ママが来るって。この近くのお店に行きたいから、ついでに‥‥」


フィネもお母様も、全く聞こえないとでも言いた気な表情だったから、私が代わりに伝えたのである。


「それなら 来てくれた時に、貴女のママにも家にあがって、貰いましょうね。ご挨拶したいわ」


そう言ったのは、お母様なのだが 焦点は合わず言葉だって たどたどしい。



セシリーは 顔を真っ赤に染め俯き首を横に振っていた。


「嫌です‥‥」


“母親を見せるのが恥ずかしい”


そんな様子が、ありありと出ていたのだ

またも 声が小さ過ぎた為に私が伝えた。


「じゃあ 控えておくわね。無理強いは良くないから」


お母様の返答に、安心したセシリーだが私もホッとしていたのである。

No.39 08/08/31 22:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 38 ‥あのママの姿を見て、お母様やフィネにセシリーとの付き合いを辞める様、言い渡されそうだったからだ。



楽しい時間は、アッと言う間に終わる。

セシリーが帰宅する時を迎え 私だけ玄関の外まで一緒に出た。


彼女のママに会いたく無かったけれど、友達を一人 放っぽり出すのも気が引けた為である。




気違いの様な声で、本人がやって来た。

この前 見た時よりも、もの凄い迫力。

突然 手を上げられ
条件反射で私は、両手を頭に当て目を閉じてしまった。


しかし 髪の毛を引っぱられたのはセシリーだ。顔をぶん殴られても泣かない‥。

痛みも何も、感覚すら忘れ去られたかの様に、遙か遠い目で何処となく見ていた。

母娘は 挨拶もそこそこに、その場を離れて行ったのである


◇◇◇◇



セシリーが帰り、3時間後には お父様の誕生日パーティだったので 支度に大忙しだ。それでも予定通り進み お父様も 時間に間に合う様に帰宅。


“仲直り”と迄は行ってないけれど、両親は ちょくちょく目を合わして会話をする。


たった これだけの事でも、私は喜ばしかった。


演技だったなんて‥思いもせず、2人を信じていたからだ。

No.40 08/09/01 07:29
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 39 ‥そのパーティも終わりに近づいて来た時の事だ。


私は お父様にセシリーとのプチ・パーティが如何に楽しかったのかを話し、その両親の事も伝えた

すると お母様が突然、怒りを発する。


「いい加減にして!
キャロル!! うんざりだわ」



どうして怒られるのか、さっぱり分からない。



「見苦しいぞ。キャロルが、こっちに懐いてるのが気に食わないからと言って、そんな態度は無いだろ?」


お父様が私を抱き上げ、守る様にして膝に乗せた。


「それで怒ってるのでは無いの!


毎日、毎日‥いくら自分の子供でも付き合って行くのに限度が有るわ」



「‥‥お母様は、私が嫌いになった?


だから・・だから友達のセシリーにまで冷たくしたの?」


ショックは、次第に心の中で ひび割れをし、悲しみの川となり涙に変わる。


そこへ お母様の声が響いて来た



「ね‥キャロル。教えて頂戴‥‥。花園で仲良くなったセシリーは、一体


“何処に居たの?”


貴女‐‐プチ・パーティの時間 1人でずっと遊んで喋っていたのよ。


隣には 誰も居なかったのに‥」



「そんな筈ない!だってフィネも セシリーに話してたわ」


フィネは黙り込む

No.41 08/09/01 08:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 40 ‥「何で黙ってるの?セシリーを知ってるでしょ? 見たでしょう?」


私は フィネに答えを要求する。


「奥様の言葉に驚いて、声が出なかっただけですよ。セシリーはキャロル様の、お側におられました」


「フィネ! 嘘をつかないで」


とお母様。


お父様は そんなお母様を見ても、我関せず‥とでも言う様な態度を示した所から さっき、2人が目を合わせて喋っていたのが“ 偽り ”だと分かったのである。



お父様もお母様も信じられなくなり、私は 涙が流れたまま‥自分の部屋へと戻った。




◇◇◇



追いかけて来てくれたのは、勿論 フィネ。私が何に悲しんでいるのか察していた様で


「貴女のお父様もお母様も、キャロル様を安心させたくて仲良くお話をしたり、目を合わせたりされてたのですよ。結果的には 失敗だったけれど、お2人は お2人なりに一生懸命 考えて取られた行動です。


貴女は、ちゃんと愛されてますから泣く事ありません」


私が単純なのか、フィネの口調のせいなのか‥‥気分が落ち着き始める。


階下では相変わらずの大喧嘩‥‥でも、2人の前に行こうとは思わなくなった。

仲直りをするなんて無理。


もう 諦めた為だ。

No.42 08/09/01 09:43
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 41 ‥ガラス食器が割れる音に、金切り声。

以前も聞いた事がある。


フィネは何も言わずに 私を抱き締めてくれた。



「キャロル!!何処にいるの!? 出て来て頂戴!」


切り裂く様な声で、名前を叫ぶお母様。


「行っては、なりません。奥様は錯乱しています」


腕に力を入れて、フィネが私を抱え込んだ。


「錯乱って何?」


その問いに対し、言いにくそうにしていたが 彼女は答えた


「気が狂っているのですよ」


それを聞いた時“驚き”なんて言葉じゃ足りない位の衝撃が襲った。



部屋の扉が音を立てて開き、お母様が入って来る。


力強いフィネの手から、もぎ取られる様にして引き離されて次に 私は、お母様に抱き上げられた。

「キャロルを、どうする気!?この子だけは 犠牲にしないで!」



「何を仰ってるのでしょうか?」



「あの人‥あの人が
突然死したのよ。体ごとテーブルに当たって、床へ倒れた時には もう‥。


フィネ! 貴女が殺したのでしょう!?


“パーティを開く時その日が アナタの人生 最期の日”


そう言ってた。てっきり キャロルを狙ってると思ったから 今日は、家に居たのよ!!」

No.43 08/09/01 10:21
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 42 ‥「あの人って・・お父様なの? 違うよね!?」


私は、お母様に問いただすと 黙って頷かれた。


それでも“信じたくない”気持ちが強く 階下へ行こうとしたけれど フィネよりも、もっと力を入れて抱き締められたから 身動きが取れなくなってしまう。

「子供が見るもんじゃ無いわ」


とお母様は言い、再び フィネを睨む


「奥様。心が疲労しております。すこしユックリしませんか? 落ち着きますよ。

これ以上、キャロル様を怯えさせたく無いでしょう?


それに私は、パーティ云々の話しなんてしてません」


フィネは静かに話すが、こんな時にまで“落ち着き過ぎ”ている彼女も不自然に見えた。




◇◇◇◇



[ 錯乱 ] しているのは‥


お母様?


フィネ?


お父様だったのかも知れない‥。




それとも



“私”‐‐?




あの手紙内容を思い出す



《キャロル・ステラ 入院の可能性大》



*****


「キャロル様 奥様を寝かせてあげましょう」


とフィネ


「行かないで!殺されてしまうわ」


お母様は言う。



何だか頭が混乱した

どちらを選ぶのが正しいの!?


本当の“気違い”は誰!?

No.44 08/09/02 07:13
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 43 ‥答えを出せないでいてる内に、お母様は 私を抱いたまま階下を駆け降りて、外へ向かい 隣のお家の呼び鈴を鳴らした。


そして 事情を簡単に説明する


「キャロルをお願い出来ますか? 私は、あの人の死を知らせたり、葬儀の手配や他にもする事が有るの」


「ええ。困った時は
お互い様ですよ。貴女が、お迎えに来られる迄 キャロルちゃんを預かります」


「有り難う。それともう1つ お願いが有って、ベビーシッターのフィネが来ても絶対に娘を手渡さないで!」


隣の家のオバ様は、不思議そうにしていたが、お母様が余りにも真剣だったから それを承知したのだ。


「‥キャロル いい子にしててね。フィネの所へ行っては駄目よ」


と私にも念を押す。

「‥‥‥」


誰が正常で、誰が異常か分からなくて黙ってしまったけれどとにかく 此処のお家に居れば安全なのは確かだと思った。

お母様は 私をもう一度、包容して額へキスをした後 オバ様に挨拶をし出て行ったのである。



◇◇◇



「貴女、そのドレス よく似合ってる。お母様が懸命に選んだ甲斐があるわね」


とオバ様が言った。

「お母様が?」


どういう事‥?これはフィネからの贈り物なのに

No.45 08/09/02 20:03
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 44 ‥オバ様は、広いお部屋に案内してくれ大きなソファーへ、私を 座らせてくれた。


「このドレス‥本当に、お母様が選んでくれたの?」


オバ様に訊ねてみる

「そうよ。隣町にね
私の妹が住んでいて会いに行った時、子供の服ばかり揃えてあるお店にキャロルちゃんの、お母様が入ってくのを見たわ。
ガラス窓から姿も映っていてね、凄く悩んで店員さんに話しかけては 選んで悩んで‥‥あんなに沢山あるドレスの中で 貴女に1番よく似合うものを見つけたのよ。・・・」


その後に続く話で、お母様が このドレスを買いに行った日は、私が倒れた翌日

“お医者様の所に行ったら すぐ戻る”


と言い、帰って来なかった時だ。



「・・何か飲み物でも入れてくるから待っててね」


オバ様は、私の頭を撫でてキッチンへ。


◇◇◇



フィネからの贈り物じゃなかった‥。なのに、何故 自分からだと言って渡したの?


ふと 手がスカートに触れた時、ポケットの中へ何か入ってる事に気付く。ずっとハンカチだと思っていたが‥ちょっとした違和感。


そっと取り出すと、それに挟まれて薄っぺらく小さな袋が、入っていたのである。



それが‥




私を狂わせた



No.46 08/09/03 00:05
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 45 ‥その小さな袋に、何か入っているのかこの時は さっぱり分からなかった。


「キャロルちゃん!?」

オバ様が いつの間にやら、戻って来ていて その声にビックリしてしまった


「それ どうしたの?
何処で見つけて来たの? 話してみて」


穏やかに‥でも必死に訊ねて来る


「ドレスのポケットに入っていたのよ。
ハンカチの間に挟まっていたから、ずっと気付かなかったわ」


「このドレスに‥。そう 分かった。キャロルちゃん これは、持っていたら凄く危険なのね。だから 安全な所へ渡しておくわ」


「安全な所? じゃあ此処は安全では無いの?」


妙な不安の影が心に侵入して来た。


オバ様は


「そうじゃ無いけど、とにかく貴女には持たせられない」


と言い、否応なしに小袋を取り上げて別室に駆け込んで行く




私は、用意をしてくれた飲み物を手にし口へ運んだ。


緊張・心配・何とも言えぬ心境‥絡み合った感情が、解きほぐされそうな程に甘くて美味しいドリンクである。


それで つい油断をしてしまったのかも知れない



その部屋のバルコニーの窓が叩かれ、顔を上げるとセシリーが居て 私は思わず開けてしまった


フィネも居たのに

No.47 08/09/03 07:44
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 46 ‥「セシリー、どうしたの!?」


真っ白な腕に、痛々しく浮かび上がっている火傷の痕。水膨れ‥。綺麗な瞳の脇には青アザ。口端は切れて血が滲んでいて 服も靴もズタボロであった。


「パパとママ‥二人から・・・」


殴る・蹴る・言葉の暴力を受けたとの事である。


「この、お家のオバ様は お優しいから
きっと助けて下さるわ」


私はセシリーを中に入れ、フィネを見た

「無事で良かった。奥様が、貴女を連れて逃げたから心配して探してたのですよ」


と彼女が言って、抱き寄せる。


「ねぇ 私が着ているドレスは、お母様が買って下さったのに どうして自分からの贈り物として、私にくれたの?」


フィネの包容に、心地良さを感じながらも そう聞いたのだ


「それは 奥様から頼まれたからです。


貴女に好かれていない・普段 あまり側に居てやれないのにプレゼントだけ母親面して渡せない‥などと仰いましてね。
私は考え過ぎだと伝えました。でも‥」


彼女からの説明が嘘とは思えなかった。

私は お母様が大好きだけど、お父様に甘える事の方が多かったし そう勘違いされたと感じた為だ。


どんどんフィネの手に落ちていく私を、セシリーが見つめていた

No.48 08/09/03 19:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 47 ‥その視線を感じ、我に返る。フィネから離れて セシリーの元へ。


「御免ね。怪我した所、痛むよね。待ってて! オバ様を呼んで来るから」


そう言った時、張本人が声を掛けながらこっちに来た


「キャロルちゃん?誰と話しているの?」


私は、傷口に触れない様 気を付けて手を添えて、オバ様に事情を伝えたのだがお母様と同じ‥いえ もっと怪訝な表情を示す


「セシリー? 何処にいるのかしら‥?」


「隣にいるわ!!見えないの!?」


ひょっとして‥オバ様は、お母様と手を組んでいるの?


信じていたのに!



◇◇◇◇



「ちょっと失礼しますよ」


バルコニーからフィネが家へ上がる。



否応なしに、彼女はオバ様にツカツカと向かい 耳元で何かを話した。


すると、オバ様が私を抱きしめて


「貴女のお母様から守ってあげる」


と言い出し始めたのだ。


「私よりも先に、セシリーを守ってあげて!」


頭が再び 混乱を起こし涙が出る




そして‥けたたましく呼び鈴が鳴り響き 叫びながら、お母様が入って来た

No.49 08/09/03 19:59
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 48 ‥「アンナ!(母の名)勝手に入って来ないでくれる?」


オバ様が、私を隠す様にして言い放つ。

「フィネが、此処へ入った所を見たの!


大事な娘の危機を知りながら、悠長にしてられる訳ないでしょう!!」


と言葉を返すお母様に、オバ様が こう言ったのである


「何が大事な娘なの?

キャロルちゃんに‥キャロルちゃんに



“ 麻薬 ”


を与えてた癖に!


貴女が買ったドレスにそれを入れた小袋を見つけたのよ


母親のする事じゃないわ」



ーー 麻薬 ーー


それが何か位、知っている。


気付かない内に、私はそれを服用させられてたの!?



じゃあ、セシリーは



私の‥




‐‐ 幻覚 ‐‐




◇◇◇



ふらつく体を支えたのは、フィネ。


「心配しなくていいの。悪いのは貴女じゃないから」


しっかりと腕の中に包み込んだ




「小袋!? 麻薬? 何の事?


返して!!! 私のキャロルを返して!」


此処まで、取り乱したお母様は初めてだ。


必死になり 自分を取り押さえるオバ様の腕を、振り払おうとして もがき続ける。


「警察を呼び、一緒に逃げますよ」


フィネが囁いた

No.50 08/09/03 20:25
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 49 ‥「私だけじゃ嫌よ。セシリーも一緒がいい」


彼女は 私だけしか見えない‐幻‐だと言う事が分かっていても、未だに消えず 側にいる姿を無視出来なかった。


幻覚でも‥親友‥だから。そして、フィネは“話しに合わせているだけ”


「当然ですよ。さぁ行きましょう」



彼女とオバ様は、アイコンタクトを素早く取り この家から逃げられる様に、したのである




◇◇◇◇



着いた先は、フィネの家だった。



何もかも 1ミリのズレを許さない‐と言った様な内装で、彼女らしい住処だ。


リビングに案内される途中で ある事に気付く



(花園!!あそこへ行ってからよ。私の気分が悪くなったのは!


お父様とお母様の事を“ 今 ”考えても胸も体だって苦しくない)



焦らず もう一度、思い返してみたが


花園へ行かなくなった後は、あんなに苦しい状態になった事が無いのだ



「フィネ‐‐‐。


あの花園に何があるの‐‐?」



恐る恐る聞いてみる


「気にしなくていいのです。貴女とセシリーの楽しい場所。それで良いでしょう? 私は、セシリーが見えないけれど、キャロル様が変だとも思わないし、彼女の存在を無視しません」

  • << 51 ‥頭を撫でて、どっしりと落ち着いた声 薬により おかしくなった私でも受け止めてくれ、幻想の友達まで認めてくれている。 「キャロル様は‥私の娘ですよ」 その言葉を聞いた途端 思わずフィネから身を引いた 「違う!違うわ。私のお母様は、アンナ・ステラ!!フィネじゃ無い」 「気持ちは分かるけれど 奥様が貴女にし向けた事(麻薬)は 絶対してはならなかったのですよ。 愛情表現を示している割には、放ったからしの母親なんて、いないのと同じでしょう」 筋は通っているが、でも 納得出来ない 麻薬がどうとか、放置がどうとか‥そんな事 私は どうでも良くなっていたから 「それでも!それでもフィネは、私のお母様にも代わりにもなれないわ。 帰る! お母様の所へ帰るの!」 セシリーの手を引き 玄関に走った瞬間の事だ。 私は フィネの手により、撃たれてしまい その場に倒れ込む。 なま暖かい血の流れ出る感触と鋭い痛みが 一気に掛け巡った。 彼女に抱き上げられ花園へ向かっているのが ぼんやりした視界で分かる。 そこの中で寝かされた私 この後‥ 正真正銘の 『真実』 が次々に浮かぶ。
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