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闇の中の天使

No.41 13/02/19 19:29
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫40


「園原と申します。本日はようこそお越しくださいました」
と言った。この若い男がオーナーだった。その私の表情を読み取ったかのように、
「ご安心ください」
と付け加えた。
心を見透かされたようで、私は申し訳なく思って「ごめんなさい」と、慌てて謝った。
「僕が若いので、驚かれるお客様はたくさんいらっしゃいますから、お気になさらないでください」鏡の中の園原は、にっこりと笑った。「どのような髪型になさいますか?」
私は、美恵さんに言われた通りに「お任せします」と言った。
「かしこまりました」
私の髪は、肩より少し長いくらいの長さだ。少し癖がある。
園原は、軽く髪にブラシをあててから、銀色に光るハサミを腰のポーチから取り出すと、早速カットを始めた。
まるで手品師のような早いハサミの動きに、私はただ見とれていた。
園原は何も語らず、真剣な目でハサミを巧みに動かし続けた。

「シャンプー台へどうぞ」
園原の声に、我に返った。
私の髪は、あっと言う間に耳が隠れるくらいの長さになっていた。
先ほどの女性がシャンプー台で髪を流してくれた。良い香りが私の鼻をくすぐった。

「これは、何の香りですか?」
「これは当店オリジナルのトリートメントです。ハーブが入っていて、血行を良くするのと髪を紫外線から守る効果、そして艶を持続させる効果もあります」
とても心地が良い…

鏡の前にもう一度席を移すと、園原がブローしてからワックスを付けた両手で私の髪をそっと持ち上げるようにセットしてくれた。
園原は、私の癖のある髪の特性を生かして、ふんわりとしたボブカットにしてくれた。鏡の中の私は、大変身していた。
園原は鏡を持つと、後の方まで見せてくれた。少し首筋が覗く長さだ。「いかがですか?」満足した私は、「とても気に入りました」と答えた。

立ち上がり、ポケットから財布を取り出した私に、園原もアシスタントの女性も戸惑った表情を見せて、慌てて「お代は奥様から頂いております」と言った。


デパート、レストラン、そしてこの美容室…
私は美恵さんがお金を支払う姿を一度も目にしていない。
お金持ちって、これが普通なんだろうか…


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