小島と俺
これは携帯小説で、ヒィクションです。
エリート社員、山崎に新人社員の小島が部下として配属される。呑気で陽気な小島と出会ってから変なやつと思いつつも、山崎は 自分の私生活、生き方、考え方に疑問を感じ始める。そして、小島にはちょっとした秘密があるのだ…
携帯小説初めてです。
誤字、文法、表現おかしいところあるかもしれません。
更新、遅いかもしれません。
頑張って描きますね。
新しいレスの受付は終了しました
「え、だって宮永は…」
自殺するような男ではないはず…
あれだけ貪欲で、人を蹴落とそうとしたり、女をボロボロになるまで利用したり…
早苗の死に動揺した様子もなかった宮永が…
自殺なんかするのだろうか…
小島…
やはり小島…
小島はかなりの策略家だ…
表と裏の顔は宮永以上にに違ったものを見せる…
自殺に追い込むようなマネをしたのだろうか…
小島
小島
小島
…
頭の中で小島という男の名前が連呼する…
勿論、宮永を死に追いやろうが、手にかけようが小島を責める気はまったくない。
ただ、あまりに突然で、あっけなさ過ぎて、俺は躊躇する。
早苗の時もそうだった。
人の死には動揺してしまう…
「おい、しっかりしろ!」
また親父の声
「ああ、びっくりしただけだ…」
なるべく冷静に返す…
「分かってると思うが…お前は動揺せず、何もわからないふりをしろ。実際わしも分からんのだから…警察もいろいろ調べとるだろうから、社員には何もわからないで通せ」
「了解、分かってる」
電話を切った
「どうかしたの?」
キッチンで洗いものをしていた清美がカウンターごしに聞いてきた。
「宮永が死んだ」
俺は静かにこたえた。
しばらく沈黙が流れる…
清美は水道の蛇口を止めた。
「そう…」
清美は静かに言った。
清美にとって小島同様、宮永は両親を死に追いやった敵である。
清美の表情は青ざめてはいるが、静かで冷静で、少し残酷な顔をしていた。
恨みに恨みぬいた人間の死を…冷静に受け止めているのか…
しばらく二人して何も話さずつったていると
「おはよー!」
「おはよー!」
子供達が起きてきた。
俺たちの異様な雰囲気に気付き、
「パパ、ママどうしたの?」
「喧嘩?」
と聞いてきた。
俺たちは我に返り、
「喧嘩なんかしてないわよ、ほら早く座って朝食を食べましょ」
「そうだな、食べるか!しっかり食ってかないと、頭まわんないぞ!」
俺たちは何もなかったように振る舞う。
会社に出勤してからが大変だった。
社員は驚きを隠せず…
そわそわした様子だった。
一部の奴からは、
「宮永部長はどうしたんですか?何があったんですか?」
と血相を抱えて聞きに来たが、俺は
「一切わからないんだ。俺もわけがわからなすぎて混乱している」
そう言った。
警察も来て、関係者に事情を聞いていた。近頃宮永にかわった事はないか、恨まれたりはしていないか…
社長…親父は
「何も変わった事はなかった。宮永は得意先でもあつい信頼を受け、特に恨まれるような人間でもないし…」
と、裏の事情は一切話さなかった。
小島は…というと…
動じてはいなかった。
表情はかたいものの相変わらず表に本当の自分を出さず、通常通りといったところか…
朝からは忙しく、ほとんど小島と接する機会もなかったが…
小島と今夜、遅くでもいい。話してみよう。
小島、俺は宮永を殺して欲しいとは思っていた。
が、小島が本当に殺すとは思わなかった。
生かしたままで
もっと…卑劣で、残酷な方法で復讐すると思っていた。
警察による今わかっている宮永が自殺に至るまで…
宮永は昨日は朝から得意先に商品の設定変更があり、出向いていた。
得意先と話を終え、接待をして、お開き…
そこで変わった様子もなく、酒は飲まなかったらしい。
その後、部下と別れ「じゃあ、また」と言って帰っていったらしい。
しかし、宮永は自宅には帰らずタクシーでホテルに向かった。
宮永はホテルでチェックインした。
が、すぐにホテルを出たらしい。
フロントの従業員も確認している。
料金は前払いで、2時間ほどで戻ると言ったらしい。
しかし、宮永が戻る事はなかった。
宮永がホテルを出てから死に至るまではよくわかっていないらしい
明け方にホテルの近くの公園で、首を吊って死んだ。
警察も、ホテルを出てから公園で首を吊るまでのいきさつはわかっていないらしい。
約2時間、宮永が何をしていたかはわからないとの事。
俺は、首吊りと聞いて思った事2点。
小島がもし、宮永に手をかけたなら首吊りは不自然だ…他殺ならもっと違う…刺すとか、毒殺とか…
しかし、小島の両親は首吊り自殺で亡くなっている。
復讐の為に、何か罠を仕掛けたのか…
分からない事も多くあるが…業務にさしつかえてはならない。
宮永が死んだ事により、やる事は山程できるだろう…
後任や、やりかけの仕事の分配、また得意先への連絡…
親父は暫く寝る間もないくらい忙しいだろう…
とにかく、淡々と語っているが、俺は今猛烈に忙しい。仕事もあるし警察の対応にも呼ばれたし、おまけに社内でクレームが発生し、全数見直し検査…出荷に間に合わない。
忙しい、忙しい、忙しい…
で、何とか仕事を終えたのが深夜1時…
小島は得意先から急きょ呼ばれて出掛けていったきり…
小島は得意先から気に入られている。
新しい商品の発注を受けたようだ…
不思議な奴だ。
得意先から
「頼むよ、小島君」
なんて頼られて、仕事を取ってくる…というか、相手から近づいてくる。
見た目はぼけていて、大切な書類を入れたバッグにか○ぱえびせんが入っているが…
小島の人徳だろうか…
いや、小島は今まで散々苦労をし、辛いめにあい、絶え間ない努力をしてきた。
それは人徳というか報いかもしれない。
今日は会社に泊まる事にした。営業部の隅にあるソファーはベッドにもなる。
泊まりがけの仕事の時の仮眠用だ。
キャビネットから毛布を取り出して(これも仮眠用)横になった。
宮永…
なぜ死んだ…
俺は再び宮永の死について考え始めた。
俺は宮永の死を聞いて驚きはしたが、その後は至って冷静だった。
勿論、宮永の死を悲しいとか、何も死は望まなかったとか…不憫とかも思わなかった。
すべては宮永のした事に対する罰だと思った。
よく 死刑に賛成か反対か何て議論しているが…
俺は 賛成だ。
宮永は人を殺している。小島の両親も自殺に追いやった。早苗をいいように使い、死なせた。
あいつに生きる価値があるわけがない。
死んで当たり前。
当然だ。
しかも、俺も宮永をうっとおしいと思っていた。
ふっと笑いが漏れた。
が、すぐはっとした。
宮永の死を、俺は冷静に喜んでいる。いや、むしろ、邪魔者がいなくなってせいせいしている自分に…
例えどんな奴でも、人の死を喜ぶような奴だったのか…俺は…
しかも、俺の手はいっさいがっさい汚さず、憎い相手が勝手に自殺したんだか、なんだかしらないが死んでくれて 有難いと思った。
俺の汚い一面を自分自身で見た気がした。
思わず、ベッドから起き上がり、壁にかけてある鏡を見た。
顔はやはりいけてるはずだ。とにやけてみた。
が…鏡にうつった俺の顔。心の歪みが顔に出ていた。意地が悪そうで…腹黒くて、俺はえらいと思っている顔だ…
鏡にうつった自分の顔が一瞬宮永と重なった…
何てこった…
宮永は血の繋がった俺の父親でもある。
少しぞっとした。
「あれ~、部長~何を鏡に向かってるんすか?心配しなくても部長はイケメンですって」
び、び、びっくりした~
小島か!!
くそ、返なとこ見られた。
「どうした?まだ仕事でも残ってんのか?」
「いや、部長が会社に泊まるって清美に聞いたもんだから~、あっこれ差し入れっす」
コンビニの袋を手渡した。おにぎり…と、か○ぱえびせん…またか○ぱえびせんか…
「悪かったな…サンキュー」
「今日は新しい商品を受注する事が決まりました。図面を本に試作品を技術開発部に依頼して…来月末には出荷になりそうです」
「そうか、さすがは小島だな」
「部長に誉められると気色悪いっすよ。へらへらしてるだけでは気に入られないぞ。運が良かったと思え…とか言わないんですか」
小島はにんまりして、自分用のか○ぱえびせんを開け、サクサクと食べた。
俺もか○ぱえびせんを開け、食べた。
あ、うまい…
か○ぱえびせんってこんなにうまかったんだな…
しばらく、何気ない仕事の話をした。
小島はいつもと変わらない。
小島は宮永に何かしたのか否か…それだけが気になった。
小島は宮永の話をさけているのか?それとも、俺に何か言いたくてここに来たのか…
ついに俺は聞いた。
「小島…宮永は…」
俺が言い終わらないうちに、
「宮永専務は自殺されたのでしょう?」
と言い返してきた。
先程とは違い、鋭い目付きをしていた。
が、か○ぱえびせんは食べていた。
サクサクいわしながら
「宮永専務は自殺したんです。他に何かありますか?」
小島は真実を知っているのか…それとも自殺したから復讐を諦めたのか…俺には計り知れなかった。
ただ、小島が鋭い目付きをした時はそれ以上は何も聞けなくなる…
チンピラとか輩とかそういうレベルではない。やくざの頭のような…(テレビドラマや映画でしか見た事ないが)それくらい威圧感があるのだ。
「いや、何もないな」
そう 言うのがやっとだった。
小島の考える事は俺にはよくわからない…
俺の考えている事は小島にはよくわかるんだろな…
小島は俺に余計な詮索はするなと釘をさしにきたのか。
小島の復讐か、自殺かは知らないが…宮永は死んだ。
それですべては終わったのだ。
俺も色々考えるのに疲れた。
宮永が死んで数日はとてつもなく忙しく、目がまわりそうだった。
通夜に葬式、引き継ぎ…
社内も騒がしく…
なぜ?
の声が多く聞こえた。
宮永に縁のある得意先は 仕事の事で悩んでいたのでは?
働かせ過ぎたのでは?
という奴もいた。
宮永は外面の良さの為人気もある。
宮永がなぜ死んだのか、俺には計り知れない。
知ってるのは小島だけかもしれない…
それすらわからなかった。
警察の出した結論もやはり自殺だった。
宮永が死んで時間が流れた。
あれだけ騒いでいた社内も落ち着きを取り戻し、日常がかえってきた。
小島も相変わらずのひょうひょうぶり…
あれ以来、小島に宮永の話はしていない…
真実が知りたい…
実を言うと親父にも宮永は小島が手にかけたんだろうか…と聞いたが、
「宮永は自殺だ。警察もそう言っている。自分で自分をさばいたんだ」
と言うだけだった。
ふぅ…
どうも小島です。
宮永…死んじゃいましたね…
部長はどうやら僕が宮永をどうこうしたのかしていないのか…気になる様子。
部長は表面上には出しませんけど…
「小島…お前、宮永に復讐をしたのか?」
と今にも聞きたそうです。僕にはわかりますね。
僕の考えてた復讐劇は自殺で済むようなもんじゃありませんよ。
宮永の悪事をスキャンダルとしてばらまき、とことん追い詰める詰める
つもりでした…
何か、さっきハンドルネームがおかしかったですね…
ま、気にしなくていいですよ
南が間違ったみたいだし
本題に戻ります。
僕は宮永に何もしていません。いえ、できませんでした。
僕自身宮永への復讐にはためらいもありました。
宮永の悪事をばらまく事は会社の信頼を欠く事になる…
宮永がここまで人気者というのは僕の中ではちと予想外でもありました。
僕にとって宮永への復讐には正直ためらいがでてきたのは事実です。
長年、父や母を死においやり、僕の親友の命まで奪った宮永…
僕は探偵になったかのように宮永に張り付き宮永の取引き先に勤めるなど…かなりの情報を集めました。
それは宮永に死より苦痛な復讐を考えていたからです。
宮永を恨み抜いた執念です。宮永の大好きな金や名誉を奪おうと思ったりもしました。
が…やはり僕の考える復讐は人に迷惑がかかるのです。
僕は悩みました。
こんなに心に決めていた復讐…
今の会社に入ったのは僕にとって宮永の情報を集めるに過ぎませんでした。
僕があちこちで営業して、仕事を取ってくるのは 決して僕の能力ではありません。(勿論、相手がどうすれば僕に仕事をくれるのか考えたり、知識様々な努力はしました)
僕は工場をあちこち転々とする間に今の会社の取引先にまで顔が広まる程になっていました。
ので、僕の顔や名前で仕事をくれる会社もありましたよ。自慢ではありません、僕はそれだけ人より努力しましたから…
すべての原動力は
宮永
こいつがいるから…
ところが、今の会社、僕にとってとても楽しいのです。
血の繋がりのある(結局勘違いでしたが)と思っていた部長とのやり取りも…
田辺部長(覚えてますか?技術開発部の部長さん)
も僕に知識を楽しく与えてくれます。
社長もなかなか面白いし…仕事にやりがいというのを感じました。
今までは復讐と生活の糧でしかなかった仕事…
僕が宮永に復讐した後は会社を去るつもりでした。
僕は早苗が自殺した頃はまだ復讐欲はありました。
が、やはりためらいがありました。
幸せな家庭を築けた。満の事は今でも愛してるし、娘もかけがえのない存在…
部長は頭カチンコチンだけど、なかなか面白いし、何より清美の夫だ。
今幸せな僕に復讐の意味があるのだろうか…
社長だって、今までこの会社を守ってきたわけで…社長は全てを僕に任せると言った以上僕がどんな事をしても異論はないでしょう。
なのに、僕は行動に移せない…
早苗は何と、宮永に抱かれている写真まで証拠として送ってきました。
やるべきでは…と思いつつ…復讐する事で今目の前にある全てを失うような…
僕は怖くなったんです。正直…
そう言った矢先、宮永は自殺しました。
僕にはわかりました。
誰も何もわからないかもしれませんが…
知らないかもしれません…
社長はどうかな。気づいてるかも…
部長は頭カチンコチンだからすっとこわからないでしょうね…いや、部長のそこがいい所ですが…
宮永は自殺したくて自殺したんじゃありません。
自殺に追い込まれたといいましょうか…
僕ではありません。
あくまでも僕の推察です。
が多分確実でしょう…
清美です。
お兄ちゃんは私が宮永を自殺に追い込んだ事はおいおい気づくかしら?
いえ、もう気づいているかもしれない。
気づくでしょうね…
そうよ。私が自殺に追い込んだ。
お兄ちゃんがやらないから私が…ではなく最初から私が復讐するつもりだった。
はっきり言うとね…
殺すつもりだったのよ、私。
なのに呆気なく自殺なんかしちゃって…
じわじわ嫌がらせして、それから殺すつもりだったわ。
お兄ちゃんは私と同様…宮永を憎み、復讐を心に誓い生きてきた。
でも、お兄ちゃんは根はとっても優しくて、思いやりがある。
父や母が自殺にさえ追い込まれなかったら、きっと最高の技術者になってたと思う。
そんなお兄ちゃんが復讐何かホントはできない、戸惑うと踏んでいた。
きっと、誰かに迷惑かけると思いとどまり、悩み、苦しむ…
でも私は見た目程やわではないし、思いやりもない…冷静で手段は選ばないわ。
やると決めたからにはやる。
そして、私を大きく前進させた出来事は…
早苗に感謝するわ。
彼女は私にこっそりと私だけに教えてくれた事がある。
早苗はもう1通私に手紙をくれていた。録音テープと一緒に…
私は女として宮永に嫌悪感を感じた。
母は、宮永におかされていた…
早苗からもらったテープ宮永と早苗の会話…
『早苗、前に言った僕の大好きな女性がいた事…覚えてる?』
『ええ、社長と付き合ってたとか言う…』
『実はね…旦那が自殺した時に会社を助けるからと言ったらやらせてくれたんだよね』
『それは交換条件?』
『うん。でもね…1回じゃもの足りないでしょ?ずっと好きだったんだしさ…だから…やっぱり俺の愛人になったら考えてあげるよって言ったらさ、次の日自殺しちゃったんだよ。何でだろうね…結局、結構つまらない女だよ。死ぬくらいなら僕の愛人になればいいのにね。早苗は賢いよな。いい子だ』
そこでテープはきれた
私の母は父の会社を守る為必死だった。
だから宮永に体を売った。
夫が自殺した後もなお会社を守ろうとした。
なのに宮永は受け入れなかった。
さらなる要求は愛人になれと…
母にとって宮永の愛人=奴隷
そういった図式が頭に浮かんだであろう…
私は、母の気持ちがわかる。
夫が先代から受け継ぎ、地味ながらも成り立ててきた会社…
守らねば…私が死んだつもりで…宮永に…
でも母は夫以外の男に抱かれた事を後悔したに違いない。
私の予想ですが、宮永は今夜一晩付き合ってくれと母に言ったに違いない。
でも貪欲な宮永は母に更なる要求をした。
母は宮永に失望した。
自分の身を差し出したにも関わらず…
約束を守らなかった。
だから
母は
死んだ。
お母さん、どうして死んじゃったの?
幼い頃 幾度となく疑問に思った。
あの強い母なら私達をおいて簡単に死んだりはしないはず…
宮永が…母のすべてを奪ったのだ。
宮永が、私の母を奪った。
宮永が私達兄妹から幸せな家庭を奪ったのだ。
私は早苗から届いた宮永の悪事の証拠は全てコピーしたわ。
孝弘には内緒で…
どうせお兄ちゃんに渡すのは分かってたから…
私は毎日少しずつ、宮永に証拠を送りつけた。
一気に送ると生ぬるい。
宮永が悪事がばれる恐怖があったかなかったかは知らないけど…
最後は死への恐怖を味わってもらうつもりだった。
最後に宮永に送りつけたもの…
は証拠ではなく手紙
『自殺か、殺人選んでください。尚、自殺なら、あなたの名誉は汚しはしない』
そんな手紙を送りつけた。
私は宮永は自殺する根性はないとふんでいた。
自殺しないなら、私が殺すまで…
そう思っていた。
私の中の悪魔は、宮永が焦り、恐怖にみまわれるのを想像し、笑ってた。
宮永自身、誰の復讐かは心当たりがありすぎてわからないんじゃないかしらね?
もし、私だと気づけば、すぐにでもとどめをさすわ…
でも、宮永は自殺を選んだ。
よっぽど自分の名誉が大切だったのかしら?
警察も宮永の捜査で、私の送りつけたものは見つかるはずだけど…そんな様子もなかった。
多分宮永は自殺する前にすべて処分したのね…
あっけなく死んで、私はもの足りなさすら感じた。
ああ、私はこんなに心の汚れた人間になってしまったんだ。
なのに、罪悪感もない。
私は何事もなかったかのように生きて行くんだ…
仕事を終えて、家に帰宅した23時…
珍しく清美は酒を飲んでいた。
しかも…日本酒を…らっぱ飲みで…
「おい、清美?お前らしくないじゃないか?」
「私はこんな女よ…」
そして、清美はすべてを語りだした。
清美が宮永を自殺に追い込んだのか!?
清美は話を終えてもまだ日本酒をらっぱ飲みして…
大声で笑い飛ばした。
「ねぇ、あなたほめて…私がやったのよ…宮永を父と母のかたきをとったわ…」
「清美落ち着け…」
いや、落ち着くはずはない。かなりの量を飲んでいる。
俺は…初めて見る妻の姿に驚いた。
「清美、お前はよくやった。よくやったよ。」
とにかくなだめようと… ほめて、
清美を抱き締めた。
俺はどうしたらいい?
まさか…清美が…
なぜ気づいてやれなかった…
清美がこんなにも一人で抱え込んでたとは…
知らなかった
清美は酔いがまわっていて…しばらくわめいたり、泣いたりしていたがついに眠りについた。
眠りについた清美を見ながら…俺は何とも言えない気持ちになった。
俺はいつも社長の息子、次期社長と言われてプレッシャーに負けないように、したたかに、ひたむきに、冷徹に生きてきたつもりだった。
しかし、清美や、小島、早苗に比べたら何てない人生だ。
俺は平凡だった。
なのにいつも不満で自分勝手だった。
その日を境に清美は夜中に酒をあおり、俺が帰宅するといつも酔っぱらっていた。
急に泣き出したり、笑い出したり、意味不明な事をくちばしっていた。
要は子供達が寝静まった夜に酒を飲むと言う生活が続いた。
朝はあまり起きられず… 俺が朝早くに起きて、子供達を起こした。
そして朝食をとらせる。
朝の朝食作りがこんなに面倒だとは思わなかった。
今まで、当たり前に出てきた味噌汁、目玉焼きなど…
当たり前ではなかったんだ。
清美は夜から朝にかけ豹変するが…眠りから覚め、子供達が学校から帰る頃には母親になっていた。
きちんと夕食を準備し、掃除などもしていたようだ。
俺が仕事から帰ると準備されていた。
家政婦も週に少し雇ってはいるが…
子供達と清美の話をすると
「いつもとかわらないよ。」
「でも、最近朝起きないね…」
「いつもの優しいママ」
との事だった。
「ママ病気?」
子供達が心配して聞くので、
「病気じゃないよ。少しママは疲れてるから、休ませてやってくれ。」
「うん!わかった!」
清美、お前の優しい子育てで、子供はいいこに成長してくれてるぞ。
俺は小島に相談しようかと思った…
でも、これは夫婦の問題な気がする。
小島は清美が復讐していた事を知っていただろうか…
色々な思いがよぎる。
俺は今まで家庭をないがしろにし、女に走った。
外面だけよく、次期社長 というプレッシャーを勝手に自分にかけたつもりでいて…本当は社長息子とえらそうにしていた気がする。
女に費やす時間と金は家族に使えたはずだ…
俺がもっと、思いやりを持って家族と接していれば清美はここまで精神的に追い詰められなかったかもしれない。
清美は体調が常に悪そうで…痩せていった。
「清美、病院いこう」
俺は見かねて言うが清美は一向に
「大丈夫よ。病気じゃないんだから…」
と病院へは行きたがらない…
正直、俺も疲れてきた。相変わらずハードな仕事…
清美の家事のサポート…子供への配慮…
清美のケアをしようとするもののよくはならない…
もし、誰かに相談したら…確実に清美が宮永を追い詰めたと暴露する事になる。
小島…
やっぱりお前に相談する…
「部長、宮永は自分で死んだんです。つまり自殺ですよ。清美は関係ありません」
小島の答えはこれだった。
俺は小島の家で相談した。
そこで満さんが口を挟んだ。
「あんた、散々浮気したんだからね!清美がおかしくなったのはあんたが原因でもあんだからね!清美は何も悪いことしちゃいねーよ。」
「みちるちゃん…お言葉…」
小島が満さんをさとした。満さんは感情が高ぶると言葉が悪くなるようだ。
「あらやだ…とにかくっ!今は部長さんがケアするしかないでしょう?」
「でも何をどうすれば…」
『それは自分で考えるしかないな…』
小島と満さんがはもった。
「清美が苦しんでいるんだ。助けてあげたい…」
俺は訴えた。
「部長。部長は清美の旦那でしょ?部長なりのやり方で癒してあげて下さい」
「そう。私達は見守るに徹するよ」
「部長…清美を愛してるならできますよ。正直、僕らでは解決できないし…どうしたらいいかもわかりません。宮永が死んだのは事実…清美は復讐した達成感はなくそれどころか…罪悪感すらあるはずです。幸い、警察にはバレてませんが、バレてしまえば下手な事にもなります…」
清美は相変わらずだった。
俺もだんだん疲れてきた。
清美はアルコールに依存して夜遅くまで飲んでいた。
俺に子供のように甘える清美…
今は子供たちの前では理性を保っているものの…
いつか、子供の前でも我を忘れるのではないかと思えた…
俺は仕事を早めに切り上げ、後の業務は小島に頼んだ…
すまん、小島、満さん…
小島は俺の状態を察してか快く引き受けてくれた。
勿論…俺が仕事を蔑ろにし、部下である小島に仕事を押し付けるのに対しまわりはよくは思っていない…
まわりの人間は事情を知らない。
例え知っていたとしても、仕事を蔑ろにされちゃ大きな迷惑だろう…
今まで俺が偉そうにしてきた分、まわりの奴らは俺への評価もかわるだろう…
でも俺は気にしなかった。今までのプライドは捨てた。
俺からの風あたりがきつく、精神不安定になりやめていった奴…そいつは今はもうたちなおっているだろうか…
新しいレスの受付は終了しました
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
タイムマシン鏡の世界4レス 109HIT なかお (60代 ♂)
-
運命0レス 68HIT 旅人さん
-
九つの哀しみの星の歌1レス 76HIT 小説好きさん
-
夢遊病者の歌1レス 91HIT 小説好きさん
-
カランコエに依り頼む歌2レス 95HIT 小説好きさん
-
神社仏閣珍道中・改
(続き) この日、お宮参りの赤ちゃんとそのご家族がみえました。 …(旅人さん0)
274レス 9562HIT 旅人さん -
私の煌めきに魅せられて
私の初恋の続き、始まったかもしれません。。。 「それにしても玲ち…(瑠璃姫)
55レス 602HIT 瑠璃姫 -
北進ゼミナール フィクション物語
勘違いじゃねぇだろ飲酒運転してたのは本当なんだから日本語を正しく使わず…(作家さん0)
15レス 194HIT 作家さん -
仮名 轟新吾へ(これは小説です)
想定外だった…て? あなた達が言ってること、 全部がそうですけ…(匿名さん72)
196レス 2927HIT 恋愛博士さん (50代 ♀) -
タイムマシン鏡の世界
そこで、私はタイムマシン作ること鏡の世界から出来ないか、ある研究所訪ね…(なかお)
4レス 109HIT なかお (60代 ♂)
-
-
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②4レス 136HIT 小説好きさん
-
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?11レス 142HIT 永遠の3歳
-
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令1レス 151HIT 小説家さん
-
閲覧専用
今を生きる意味78レス 523HIT 旅人さん
-
閲覧専用
黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 973HIT 匿名さん
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 136HIT 小説好きさん -
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 142HIT 永遠の3歳 -
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 151HIT 小説家さん -
閲覧専用
おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1405HIT 檄❗王道劇場です -
閲覧専用
今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 523HIT 旅人さん
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
美人や可愛い子は恋愛で苦労しない
男性が彼女候補を選ぶ時って顔やスタイルなどの容姿がクリアしたら内面を見ていくって感じじゃないですか?…
151レス 5339HIT 恋愛したいさん (30代 女性 ) -
妻子を養ってあげてる。結婚してる男性
私は男で妻と子どもがいます。子どもは現在6歳です。子育ては大変ですが自分も手伝ってます。妻は専業主婦…
25レス 993HIT 相談したいさん -
働いてないのに働いてると嘘をつく母親たちの心理は?
母親は離婚しシングルになり私は母親に引きとられました。 母親は実家に依存し私の子育てもほとんど祖母…
6レス 233HIT 育児の話題好きさん (30代 女性 ) -
自然消滅?ご意見お願いします!!
返信がない彼氏。 お互いアラサーです。付き合って3ヶ月の彼氏がいます。 GW明けにLINEで…
6レス 206HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) -
これからの時代子ども作っても大丈夫?
まだ子どもいない新婚ですがこれからの時代子ども作っても損しそうで心配 昔は子育てにお金かけず子…
9レス 339HIT 育児の話題好きさん (30代 女性 ) -
神社仏閣珍道中・改
【神社仏閣珍道中】 …御朱印帳を胸に抱きしめ 人生いろいろ、落ち込むことの多い年頃を迎…
274レス 9562HIT 旅人さん - もっと見る