小島と俺
これは携帯小説で、ヒィクションです。
エリート社員、山崎に新人社員の小島が部下として配属される。呑気で陽気な小島と出会ってから変なやつと思いつつも、山崎は 自分の私生活、生き方、考え方に疑問を感じ始める。そして、小島にはちょっとした秘密があるのだ…
携帯小説初めてです。
誤字、文法、表現おかしいところあるかもしれません。
更新、遅いかもしれません。
頑張って描きますね。
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絶句…
知ってたのか…名前まで把握して…しかも幸子とは一回きりだ。
「まだいたわよね。もうご縁がないようだけど」
清美は美しい悪魔のような…でも菩薩のような顔をしていた。
冷静でしかし悲しげな顔。
しかし俺は言った。
「お前も浮気してるだから同じだろ」
と開き直った。
俺達は同等だ。
「私は浮気じゃないわ。」
そう言うと自分の携帯を取りだし電話し始めた。
「おい、なにこんな時に電話なんか…」
しかし、清美は俺を無視して
「もしもし、夫が私達二人歩いているのを見たそうなの…今から来てくれるかしら?」
と小島に電話していた。
どうも、どうやら山崎部長が僕と清美の事を疑ってるようですね…困った困った。
僕と清美が歩いてるとこを見られるとはタイミングよすぎですね。計算外でした。
途中ですいません。
あらためまして、僕は小島達也です。
山崎部長が浮気したり、宮永専務の事とかすっとこ分かってないんで、僕が出てきちゃいました。
あくまで山崎部長が主人公ですよ~。
清美の事や宮永専務の事を話すにはまず僕の生い立ちから説明する必要がありますね…
本当に清美とは浮気ではありません。
しばし、僕の話を聞いて下さい。
僕はある冬の日、深夜に産まれた。孤児の母に身寄りはなく、一人で産んだそうだ。
この時、母は未婚だった。
母は僕を産んだ時、
「私はひとりぼっちじゃない。この子がいる。産まれてきてくれて良かった」
そう思ったと後で聞いた時、僕は未婚で産んでくれた母に心から感謝したもんです。
僕がそれを聞いたのは5才の時でしたが、僕は沢山勉強する。そして、母の為に絶対に楽にしてやると思いました。
母の勤めていた工場の社長息子からプロポーズされたのです。
母はいかなりの申し出にただ驚き、
「からかわないで下さい」
と言ったそうです。
しかし、社長息子は諦めませんでした。しつこくアタックするわけではありませんでしたが、度々、母子家庭で身寄りのない母を気遣い、僕が熱を出した時は病院まで車で送ってくれたりしました。
母は真面目で一生懸命働く社長息子にだんだんとひかれていきました。
ついに母は社長息子に恋をしてしまいました。
僕4才。
母と社長息子は結婚しました。
僕は嬉しかった。
「うまれてはじめてのお父さん」
僕にも母にも優しい真面目で働きもののお父さん。
母も夜の内職を辞め少し体が楽になったようでした。
幸せな時間が流れました。
母は結婚した後は工場の事務員として働きました。働きものの父と母。社員やパートさんにも評判が良く、ご近所からも良い職場と言われていました。
父はたまに仕事が早く終えると僕を肩車してくれたり、父の絵を描いて見せると、
「これ、俺か!上手だな、さすが父さんの息子だ!」
と髪の毛がぐちゃぐちゃになるくらい頭をなでてくれました。
僕は父にも心底感謝しています。本当の息子ではない僕をこんなに可愛がってくれるなんて!
母も父の会社を助けながらだったので大変だったとは思うけど、母子家庭の頃、昼も夜も働いた事を思えばへっちゃらだったようだ。
何よりも、
僕達は幸せだった。
もう1つとても良い事がありました。
僕6才。
妹ができました。
父と母は
『清美』
と名前をつけました。
清らかに美しく。
妹は可愛かった。幸せな家庭がもっと楽しく、もっと明るくなった。
僕は良い父と母のおかげで、6才の頃からいろんな勉強をするようになった。
ジャンル問わず。興味のあるものは何かにつけて調べたり、勉強したり。
恥ずかしくて言わなかったけど、父の小さな工場を継ぎたかった。父の助けになりたかった。
僕は中学生になっていた。相変わらず楽しい家庭。
勉強も楽しかった。成績は常にトップだった。
「家庭教師つけてるの?」
「どこの塾?」
と良く聞かれたがそんなのは僕には必要なかった。
必要な事は全て本にかいてあった。そして、あえて言うなら家庭教師は父だった。
父は頭が良く、いろんな事を教えてくれた。
幸せな家庭は僕が14才の時に終わった。
父が自殺したのだ。
父が自殺する少し前、僕は事務所で誰かに土下座しているのを見た。
母も土下座していた。
僕は家に戻るように言われたので、戻った。
この時は会話までは知りませんでした。
ちなみにここに僕が述べているのは母の日記をたよりにお話しています。
父は元請けから仕事が来なくなったのです。土下座しても受け入れてくれませんでした。
母は清美に似ていて、とてもきれいだったと思います。
元請けの担当から大変気にいられていたようです。
しかし、母には夫である父一筋。相手にしませんでした。
それが勘にさわったのでしょうか。元請けの担当部長は父の工場(この時、父は社長になっていました)への注文を全てきりました。
おまけに他の得意先にも根回しし、そちらからも仕事が来なくなりました。
会社は潰れました。
多額の借金を残して。
僕は後悔しています。なぜもっと父の取りうる行動を予測し、防ぐ事ができなかったのかと…
そして後追い自殺した母をどうして止める事ができなかったのかと…
僕は母の残した日記を読み、ある人物の名を知りました。
宮永部長…
み、や、な、が
こいつが父や母を自殺においやったんだ!!!
『復讐』
この言葉が僕の頭に浮かびました。殺しに行こうと思いました。
が、生かしてやる事にしました。
僕はまだ14才。子供だ。知識も足りない。他の会社の奴に根回しする程の奴。
僕は知識をつけ、全てを調え宮永を地獄に落とす。
命ではない。地位も名誉も何もかも奪ってやる。
そう決意しました。
僕と清美は施設に入りました。借金で自殺した夫婦の子供、しかも僕は連れ子。
そんな僕達を引き取ってくれる人はいませんでした。
会社の経営がうまくいっている時はあんなに良くしてくれたのに…
僕は人間は裏切る事をする生き物だと痛感しました。
清美は父と母を失い、精神的にまいっていました。清美はまだ8才。清美がかわいそうで仕方ありませんでした。
あの日、父と母が土下座していたのは宮永部長…(今は専務だが)だった。
その事を胸に秘め僕はいつか復讐する事で頭がいっぱいだった。
施設でも、僕は相変わらず勉強に明け暮れました。
母の遺書の一文に
『あなた達を残して逝く母の勝手な言い分ですが、もしあなた達、兄妹を受け入れてくれる家族があるのなら、甘えなさい。そして、その家族に必ず恩を返しなさい。』
というのがありました。
僕は15才中学3年生。
清美9才。
僕達を受け入れてくれるという家族がいました。
僕達 兄妹は品行方正、勤勉だったからだと思います。
とてもありがたいお話でした。
会社の社長さんの家で、偶然にも宮永部長の会社の下請けの社長さんでした。
こちらの会社の社長さんは宮永部長の担当ではないのか、母の日記にも記されていない会社でした。
社長も社長の息子夫婦も良い人でした。
社長の息子夫婦に子供はできず、年齢相応の子供を受け入れる事にしたそうです。
ちなみに、この社長一家の名字は藤永といいます。
僕は母の遺言どおり、受け入れてくれるこの家族への養子に
なりませんでした。
僕は15才。法律的にだって自分の親を選べる年齢です。
清美は引き取ってもらいました。僕もそうした方がいいと思っていたからです。
横レス失礼いたします。
一気に読ませて頂きました。非常に面白いです!!生々しい恋愛小説が多い中、違った視点からの人間模様を書いたこの作品はとても新鮮でした。「あの伏線をこう持ってきたか~」とウキウキしながら今後の展開を楽しみにしております。
仕事をしながらの育児とのことで何かと大変とは思います。あまり無理せずに体に気を付けて下さい。感想スレが見当たらなかったのですが、いてもたってもいられずに本編にお邪魔しました。頑張って下さいね~!!
☆にゅさん、誤字の多い中、読んで頂き大変ありがとうございます🙇
応援のレスとても励みになり、心強いです✨
感想スレは立ててないですが、立ててみようと思います。
良ければまたご意見下さい🙇
もうしばらく続きます。
宜しくお願いします🙇
「お兄ちゃんも来て!」
清美は僕に泣きすがり、藤永家へ一緒に養子に行くよう説得しました。
「清美、お兄ちゃんはしなきゃいけない事がたくさんあるから、だから…一緒には行けない。大丈夫。手紙も書くし、時々は会って話をしような」
そう、僕には『復讐』という目的がある。どんな形の復讐になるかわからない。
万が一の事を考えると清美だけを藤永家にお願いし、僕は離れて暮らした方がいい。
僕は施設の人、藤永夫妻にも、養子にぜひとすすめられたが、
「僕は一人で一からやってみたいんです。母がたった一人で一から僕を育ててくれたように…また父がよく僕に言っていたんです。自分の思う道をまっすぐにすすめと…云々カンヌン…」
何とか施設の人と藤永夫妻を説得し、僕は一人の道を歩みはじめました。
まずは住み込みで新聞配達を始め貯金を貯める事にした。
母の残したもの…
母の日記、遺書、現金50万円。50万円は母のヘソクリだと思います。毎晩こつこつと内職にあけ暮れ貯めた貯金だと僕は想像しましたし、母の日記にもそう書いてありました。
母の日記には僕の復讐に有利になる事が沢山書いてありました。
また後にもあかしますけど…
母は僕が復讐するのを望んでわざわざ日記を置いていったのか、それとも僕達 兄妹の幸せを願っていると言いたかったのか…
僕の中では、両方だと思いました。もしくは、僕に前者、妹に後者とも取れますが…。
僕は少なくとも、清美には幸せになって欲しいと願っています。
僕はアルバイトをしながら通信で高卒の資格をとりました。
その間、新聞配達は辞め、ある程度貯金がたまれば工場でアルバイトをしました。
沢山の技術を身に付けたかった。父のあとは継げないけれど、工場の鉄の匂いや、機械の油の匂いは幸せだったあの頃を思い出しました。
その頃、やたらと派手でヤンキーチックな女の子と出会いました。
同じ職場でつなぎをきて、溶接をしていました。
僕がじぃっとその女の子を見ていると…
「ああ?何か用かよ?」
「いやいや、女の子なのに溶接うまいね」
僕は褒めたつもりなのに
「女が溶接やってちゃ悪ぃのかよ!」
と言われてしまいました。
その女の子は満(みちる)
後の僕の嫁さんです。
僕はヤンキーはもっと仕事もだるそうで、適当だと偏見をもってましたが、満は仕事も真面目で一生懸命でした。
口が悪いのがたまにきず。
僕は度々満に話かけました。
「おめーいつも話かけてくっけど、あたいの事好きなのかよ?」
満はしつこくつきまとう僕を困らせようとして言ったんだろうけど、僕は
「うん、好きだよ」
とストレートに伝えました。
まぁそれから僕と満は付き合い始めたわけです。
おっと、僕ののろけ話は本編に関係ありません。
満は僕にするどい事を言った事があります。
「おめー、憎んでる奴いるだろ?へらへらしてっけど、あたいには分かる。」
と言った事があります。
僕は満にだけはこの時すべてを打ち明けました。
満に話すと、満は
「そっか、わかった。あたいはたっちゃんを応援するよ。ただし、殺しは辞めな」
「ありがとう。僕は殺さないよ。」
満とは僕が二十歳の時に結婚しすぐに娘もできた。
明るい家庭を築いたと思う。
満も娘が生まれた事でしおらしい女に変わっていった。
幸せな家庭に身を沈める中、僕の復讐の2文字は常に片隅にあった。
清美が24才になった時、結婚が決まりました。
清美がある会社の御曹子を気に入り、藤永夫妻にお願いし見合いをしたらしい。
藤永夫妻は実に清美によくしてくれた。本当の娘のように…
清美は我が儘もなく、すくすくと清らかな女へと育っていました。
優しくて、育ての両親に気を配り清美も藤永夫妻に感謝していると言った。
普段、おねだりをしたりしない清美のお願いに藤永夫妻は相手先に頭を下げ見合いをセッティングしました。
結果、相手の御曹子も清美を気に入り、結婚…
この御曹子はまさに山崎部長…男前で、仕事ができ、有名大学をでている…。
女なら結婚したがる男性そのもの…でも僕は喜びませんでした。
この結婚が決まった時、僕は清美に聞きました。
「本当に相手の事を気に入ったのか?」
「ええ」
「嘘だな…、清美、母さんの日記を読んだんだね」
僕は内容が内容だから清美には見せる事ができずにいたが、盗み見していたらしい。
「読んだわ」
「清美、お前…」
「お兄ちゃん、復讐するんでしょ」
清美は静かに言った。
「なぜ、そんな事…」
「ずっと、お母さんの日記を読んでから思ってたわ、きっとお兄ちゃんは復讐するだろって」
「清美は普通の家庭を築いて欲しい。今からでも遅くない!断れ!」
僕には珍しく清美に怒鳴りました。
「嫌よ。決めたんだから。」
清美は普段おとなしいが、自分が決めたら絶対に曲げない。
清美はまっすぐに僕を見て言いました。
「私も宮永を憎んでる。首を吊ったお父さんの姿を見た私は幼いながら許せなかった。分かるでしょ、お兄ちゃん」
僕は何も言えませんでした。清美も復讐にこだわっていたなんて…
「宮永のいる会社の御曹子と結婚なんて…」
「お兄ちゃん、情報があれば流してあげるわ。お兄ちゃんが復讐するなら協力する」
「清美…」
「でもね、本当に気にいったというか気になったの。会社主催のお食事会ではじめて見た時、学歴もあって、お金の苦労もない。社長の椅子も用意されているのに寂しそうだったの。何とかしてあげなきゃと思って…」
清美は山崎部長と結婚しました。
山崎部長と清美が結婚するには少し危険でした。
清美は復讐以外の目的で山崎部長と結婚しました。
それが何かはのちに誰かが直接山崎部長に伝えるでしょう。
山崎部長は清美や自分の子供に優しく接していましたが、どちらかというと家庭には冷めていたようでした。
清美は優しくて、美人ですが、大人しくて不器用でした。
多分、山崎部長は清美の内面より容姿をとったのでしょう…
僕は清美から家庭の相談をよく受けました。
よく電話がかかってきました。
山崎部長の冷めた心を溶かしてやろうとしたものの、安易ではなかったようです。
浮気にも気づいたらしく、とりあえず探偵を雇い浮気相手だけでも把握するよう僕は言いました。
清美は浮気を知らないフリをして、とにかく家庭を円満に過ごしたかったようです。
子供に心配かけない為にも…
まったく、山崎部長は何をやってんだか…
僕の妹を大切にしてもらわないと困るよ。
僕と満の夫婦はとことんうまくいってました。子供はあと2人位欲しかったですが、授かりませんでした。
おっと、僕ののろけは置いといて…
僕と満は一生懸命働き貯金をためました。ボロいアパートも思い入れが強く長い事住んでいます。家賃安いし。
僕は幸せな家庭を満喫しているようで、宮永への復讐は忘れませんでした。
いろんな工業技術を身につけ、勉強しました。
いろんな策略を練りました。
時には清美も手伝ってくれました。それが裏目に出て、山崎部長に誤解を招いたようですね…
さて、いろいろと話をしましたが…
僕と清美はこんな感じで育ちました。
生きてきました。
まだまだ言いたい事はあるんですが、あくまで山崎部長が主人公なんですよ。
僕がでしゃばるのはここまでです。
最後にどうでもいいことなんですが…かっ○えびせん。
父が好きでよく僕に買ってくれました。思い出の味なんです。
今じゃ、僕も大好きでよく食べてます。
小島達也の話に付き合って頂きありがとうございました。
何だか長い間、小島に俺の存在を薄くさせられた気がするが、俺が主人公の山崎孝弘だ。
「小島と清美が兄妹!!」
俺は叫んだ。
清美が小島に電話した後、小島は俺の家に戻り、俺にいろいろと話をした。
「本当はまた今度僕の家で話をする予定でしたが…かわいい妹が疑いを持たれては困ると思いまして…おじゃましました。」
そう言って小島は生い立ちやいきさつなど話をした。
俺は強烈な小島の話にショックを受けた。
俺はようやく、
「すまん、俺の勘違いだ…」
と言った。
小島が清美の兄貴とは想像を越えていた。
小島の話だとつじつまが合いすぎてよけい清美と小島を疑った事が情けなかった。
そして、宮永専務への見方が変わった。俺はただうっとおしいじじいだとか、俺を潰して次期社長にのしあがりたいのかとか想像するに過ぎなかったが、小島の話では半端ではない。
「なぜ、もっと早くに話してくれなかった」
俺は小島と清美に問いただした。
『目的が復讐だから…』
二人はほぼ同時に同じ事をこたえた。
「いや、それでも…清美は復讐の為、俺と結婚したのか?」
復讐の為だてしたら俺は利用された身ではないか…
清美は真剣な顔をして言った。
「いくら復讐の為でも、好きな相手じゃないと結婚はしないわ」
「…」
清美は潔白だった。
浮気を疑い、さらに拍車をかけ浮気した俺…
浮気するのは妻に足りないものを補う為だと、理由をつけて浮気を重ねた。
「この際だから言わせて頂きますが、部長。僕は清美の幸せを願っているんです」
「それはわかった」
「いやいや、わかったじゃなくて、清美は真剣に山崎部長をいたわろうとしてたのに浮気だなんてヒドイじゃないですか!?」
「う…すまん…」
「僕に謝ったって仕方ありません!」
俺は小島に責められ情けなくなり、胸が痛い…
「清美、悪かった」
「…」
清美は何も言ってはくれなかった。
そこへすかさず小島が
「そんな言い方じゃ伝わりません!」
小島が入ってきた。
小島は普段へらへらしているが、熱くなるととことん熱いようだ。
俺は土下座し、清美に謝った。これはどんな得意先に土下座して謝った事よりも情けなかった。
「清美、本当に悪かった。俺の自己中から浮気をした。許してくれ…」
清美はようやく口を開いてくれた。
「わかった。顔を上げて。もう浮気しないで、早苗とも縁をきってね。私もながい間黙っててごめんなさい。」
清美は優しく言った。
俺は自分の生き方を間違えていたのだろうか…
なんとなく、そんな気になった。
あたたかい空気が流れるかと思った瞬間、小島が口を開いた。
「山崎部長、僕はどうしても部長が許せません」
「お兄ちゃん、もういいのよ」
「違う!満に手を出そうとしたでしょう!」
「何それ…?どうゆう事?」
清美が怪訝な顔をする。
満さん!誰にも言いませんとか言ってたのに!
「すまん、俺は清美と小島が歩いているのを見て動揺し、血迷った」
「僕の愛妻に血迷うなんて…!」
「本当にすまん!」
「まぁ、満が、『山崎さんには私のミラクルパンチをお見舞いしてやったから許してやって!』ってメールがきたから今回は許しますけど!」
俺は穴があったら入りたかった。
「満姉さんに手を出そうとするなんて…」
清美は呆れていた。
ちなみに小島と清美が歩いていたのは、お世話になった施設の施設長さんが入院し、二人でお見舞いに行くところだったらしい。
たまたま早苗のマンションの近くの病院だったとの事。
俺は勘違いと、小島の話のショックと、満さんがあっさり小島にミラクルパンチ事件の事を話した事で、小さく小さくなっていた。
いつも堂々として、はつらつな俺はちっぽけな男へと化していた。
そこへ、車のエンジン音が聞こえた。誰だこんな深夜に。
時刻は深夜1時。しかし、うちの前にとまったようだ。
「来たみたいだね」
小島は言った。
誰が…?
俺はさらにこの後、衝撃を受ける事となる。
家のチャイムが鳴る。
俺は玄関へと向かう。
「親父…」
「よう!元気か!」
深夜の来客は親父だった。
「どうして…」
「小島君から連絡をもらった。何かややこしい事になってると。」
もう俺はちんぷんかんぷんだ。
なぜ小島が親父に連絡を…?
わからない。
誰か俺を助けてくれ!
そして、親父は語り始めるのだった。
主人公の孝弘には悪いが、わしがついに語る時がきたようだ…。
しばし、話させてもらうよ。
わしは社長の山崎 達弘。
孝弘はわしの息子だ。
さて、どこから話そうか…
わしの年齢は66才。
まぁ、年の話はさておき。
わしは会社の御曹子の2代目だ。1代目が社長の時は戦前の話。何やら車の部品といっても自転車やら、農機具の部品何かをつくっている会社だった。
戦後は自動車メーカーの下請けとして、企業を拡大していった。
わしは次期社長の椅子は用意されとった。
思い上がっていた。
自分は素晴らしい人間だと。
社長の椅子が用意されていたわしは、のらりくらり…
わしが若い頃、どちらにしろ、将来は約束されたものだと確信し、仕事に一生懸命打ち込む事もなかった。
それでも人には偉そうで傲慢だった。
わしの父親は、特に厳しいわけではなかった。自分は良くできるから、自分の息子だから、特別厳しくしなくても良いとでも思っていたのか…
わしの父親、1代目も傲慢だったんだろうな。
わしの父親は仕事を自分の手で築き上げたから、たいした奴だったとは思うが。
わし、実は大学は裏口入学だったしのぉ。
わしは、たいして努力もせず、人に指図する事だけに長けていた。何も自分が動かなくても、人に命令すれば動く。
そんな事だけを学習していた。
さて、わしは今はこんな老いぼれになってきたが、昔はわりとダンディーだったと思う。
女の子をとっかえひっかえ…
今思えば盛りのついた、犬、蛙のようだった。
もちろん、わしの好みはべっぴんさんのみだった。
ある時、わしは下請け工場でべっぴんさんを発見した…
下請けに監査に行った時だった。
事務員を勤める若い社員だった。
ストレートの長い髪を後ろでまとめ、少し顔にかかる遅れ毛が色っぽい…
わしがほおっておくわけがない…。
わしは名刺を渡した。今のように携帯もなく、家に固定電話がないうちもある時代…
名刺の裏にはわしの自宅の番号を記入して渡した。
が女性社員はきょとんとした顔をして、
「どうも」
と言っただけだった。
わしは、そのべっぴんさんに一目惚れした。
他に付き合っている女性すべてを失ってもいい。
そう思える程、熱が入った。
べっぴんさんはガードがかたくというか…男性が苦手な感じがした。
こうなったら、長期戦だ!
わしはべっぴんさんをおとす為あれこれと作戦を考えた。
その下請けに用事があるという奴がいれば、
「俺が行って来るよ」
と仕事をぶんどってまでその工場に行った。
下請けに出向くなんてめんどくせーというオーラをだしていたわしが急に変わったのを見て、他の社員はきょとんとしていた。
べっぴんさんから電話がかかってくる事はなく、こちらから
「連絡先教えてよ」
と言うと、
「弊社の番号にかけて頂ければ、担当のものがお繋ぎ致します」
と返ってきただけだった。
最初は
「俺が男前過ぎて照れてるのかな」
とかあほな勘違いをしたが、どうやらまったく相手にされていないようだった。
しかし、それがまたわしのはーとに火をつけた。
わしは、べっぴんさんにあつーいラブレターを書いて送った。
それはもう、情熱的な文章で一字一句に気を使い…
仕事でも勉強でもこんなに必死になった事はなかった。
しかし、べっぴんさんから返ってきた手紙の内容は丁寧にわしの気持ちを断り、しかし、わしの女性へのだらしなさ、仕事への入れ込みの足りなさまで指摘してあった。
こうなったら、今度はわしの魂に火がついた。
全ての女をたち、仕事に熱意を…
わしはこれでもかと仕事に熱を入れた。今まで、人任せにしていた仕事にも自分が率先してやった。
みるみるとわしは仕事人間になり功績もできた。
女にだらしないという噂もなくなった頃、べっぴんさんにもう一度アタックしてみた。
ついにべっぴんさんはわしが誘ったデートに応じてくれた。
初デートで、べっぴんさんは頑張ってるわしを
「とても頑張っていらっしゃるのですね」
と誉めてくれた。
わしはますますやる気になり、仕事で功績をあげ、一生懸命するようになった。
べっぴんさんにほめてもらう事は、先代の社長にほめられるより、得意先にほめられるよりずっと励みになった。
わしには珍しく、べっぴんさんに手は出さなかった。身体を求めると逃げていってしまいそうだった。
べっぴんさんといい感じになってきた頃、わしに見合いの話がきた。
早い話、政略結婚に近い…
お互いの企業が親戚になる事で会社が有利になる。
というか、お互いが裏切られないというメリットがあるというものだが…
わしはこの見合いに、親父にかなり反対した…
が…無理だった。
会社を運営させる為手段を選ばない父親。
わしはべっぴんさんを連れて失踪しようとした。
べっぴんさんを連れて、遠い街へと出掛けた。
そして、べっぴんさんを初めて抱いた。
抱き終わったあとにわしは見合いの事を打ち明けた。
そして、わしと一緒に逃げてくれと頼んだ。
大の男が吐くには情けないセリフ…。
しかし、わしはべっぴんさんにどうしても一緒に来て欲しかった。
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